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ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第七部

1 :創る名無しに見る名無し:2009/08/20(木) 13:39:52 ID:y9OTS/Ug
このスレはジョジョの奇妙な冒険のキャラクターを使ったバトロワをしようという企画です。
二次創作、版権キャラの死亡、グロ描写が苦手な方はジョセフの様に逃げていってください
ちなみにこの企画は誰でも書き手として参加することができます。
僕たちジョジョロワ住民は……作品が投下されるとくるい、もだえるのだ 喜びでな!
初心者の方も大歓迎です。書く技術は承太郎のようにやっていればそのうち覚えることができます
が、マンハッタン・トランスファー程までとはいいませんが、億泰よりは空気を読むことを推奨します



まとめサイト
http://www10.atwiki.jp/jojobr2/

したらば
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11394/

前スレ
ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第六部
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1245841313/-100


2 :創る名無しに見る名無し:2009/08/20(木) 13:45:53 ID:y9OTS/Ug


【第一部:ファントムブラッド】6/11
○ジョナサン・ジョースター/○ディオ・ブランドー/○ロバート・E・O・スピードワゴン/●ウィル・A・ツェペリ/
●エリナ・ペンドルトン/○ジョージ・ジョースター1世/●ダイアー/●黒騎士ブラフォード/○タルカス/●ワンチェン/
●ジャック・ザ・リパー


【第二部:戦闘潮流】4/10
○シーザー・アントニオ・ツェペリ/●リサリサ(エリザベス・ジョースター)/○ルドル・フォン・シュトロハイム/
●スージーQ/●ドノヴァン/●ストレイツォ/●サンタナ/●ワムウ/○エシディシ/○カーズ


【第三部:スターダストクルセイダース】8/15
○ジョセフ・ジョースター/●モハメド・アヴドゥル/○花京院典明/○J・P・ポルナレフ/●イギー/
○ホル・ホース/○ラバーソール/○J・ガイル/●エンヤ婆/●ンドゥール/
○オインゴ/●マライア/○アレッシー/●ダニエル・J・ダービー/●ヴァニラ・アイス


【第四部:ダイヤモンドは砕けない】8/12
●東方仗助/●空条承太郎/○虹村億泰/●広瀬康一/○岸辺露伴/○山岸由花子/●矢安宮重清(重ちー)/
○トニオ・トラサルディー/○川尻早人/○片桐安十郎(アンジェロ)/○音石明/○吉良吉影


【第五部:黄金の旋風】11/15
○ジョルノ・ジョバァーナ/○ブローノ・ブチャラティ/○グイード・ミスタ/●レオーネ・アバッキオ/
○パンナコッタ・フーゴ/●トリッシュ・ウナ/●サーレー/○ホルマジオ/○ペッシ/○プロシュート/
●ギアッチョ/○リゾット・ネエロ/○ティッツァーノ/○チョコラータ/○ディアボロ


【第六部:ストーンオーシャン】 9/15
○空条徐倫/●エルメェス・コステロ/○F・F/○ウェザー・リポート/○ナルシソ・アナスイ/
●エンポリオ・アルニーニョ/●ロメオ/○グェス/●サンダー・マックイイーン/●ラング・ラングラー/●ケンゾー/
○ヴィヴィアーノ・ウエストウッド/○ミュッチャー・ミューラー/○ドナテロ・ヴェルサス/○エンリコ・プッチ


【第七部:スティール・ボール・ラン】 5/10
○サンドマン/○マウンテン・ティム/○リンゴォ・ロードアゲイン/●マイク・O/●オエコモバ/
●スカーレット・ヴァレンタイン/○ブラックモア/○フェルディナンド/●ミセス・ロビンスン/
●ベンジャミン・ブンブーン


【50/88人】

【支給品・生物】
○サヴェジ・ガーデン鳩/○ココ・ジャンボ亀/○ヨーロッパ・エクスプレス馬/●ダニー犬/●ヴァルキリー馬
【スタンド生物】
○モハメドアヴドゥ竜/○ロビンスン翼竜A/○ロビンスン翼竜B/
【支給品・人間】
●空条承太郎のワイフゾンビ/○吉良吉廣/
【スタンド】
●ヨーヨーマッ/●アヌビス神/●ブラック・サバス(本体のポルポは生存?)

3 :何人も語る事なし ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 13:50:34 ID:y9OTS/Ug
ヴェルサスは去勢をはると、傷口に付いた泥をペットボトルの水で洗い流し始めた。
ヴェルサスが傷口を水で洗い、布を(牛タンを包んでいた布、乾いた布はこれしかなかった)巻く間
ティッツァーノは、ぽつりぽつりと話し始めた。
自分の事。スクアーロの事。パッショーネの事。裏切り者たちの事。
普段の彼ならば、口が裂けても言わないような事までしゃべっていた。
その様子は、何かを話し続けていないと不安でしょうがないといった体だ。
間接的に伝えられた相棒の死は、彼の精神を予想以上に脆い物に変えてしまったらしい。

話しかけられている方のヴェルサスは、肉体的に限界が来ていたのか、こっくりこっくりと船をこいでいた。
その姿に、ティッツァーノは起きてください、とヴェルサスの体をユサユサ揺らす。
やべっ今意識飛んでた、という相手の言い分は置いといて、尋ねたい事があったからだ。

「ヴェルサスも、自分の事をしゃべって下さい」
「今、ありえないくらい眠いんだが……後じゃ駄目なのか?」
「駄目です、特に貴方の肩にある痣について聞きたいんです。
 私達が追いかけていた裏切り者の一人に、同じ痣を持った奴がいましたから
 3行くらいでもかまいませんので、話してくれませんか?」

3行で説明する方が、逆に難しいんじゃないかとヴェルサスは思ったが
ここで答えなかったら寝かせてくれそうにもないので、かいつまんで説明する事にした。

「えっと、昨日事故ったら親父の親友だっていう男が病室に来て、スタンドくれて
 空条徐倫の足止めしたら、幸せになるって言われたから手伝ったけど
 だんだんそいつの言い分にむかついてきたから、邪魔してやった。
 星型の痣は、そいつがジョースターの血統でなけりゃ、大量にいるらしい俺の異母兄弟の一人だと思う」

もういいか?とティッツァーノの顔色を伺うと、お疲れ様ですと返してきた。
もう寝ててもいいということなのだろう、ヴェルサスは床に身をゆだねると目を閉じた。
頬から伝わる木の冷たさが気持ちいい、心地よい睡魔が体を襲ってくる。

「…………おやすみなさい、ヴェルサス。
 ここからは私の独り言のような物ですから、聞き逃してくれてもかまいません」

スタンドとは精神の力である、使い過ぎれば疲労し、今のヴェルサスの様に寝込んでしまうこともある。
ティッツァーノは、寝息を立て始めたヴェルサスを見ながら話続ける。

「先ほどもお話しましたように、私がいた世界の時間軸と貴方達の時間軸にはズレがあります」

ティムが「1890年」、ティッツァーノが「2001年」、アナスイとヴェルサスが「2010年」。

「アナスイとティムの仲間や敵に、死んでいるはずの人間が多く存在したことから
 彼等は荒木の能力を「死者を生き返らせる程度の能力」だと思っていたそうです、だけど」

それでは説明出来ないことが多すぎるのだ、例えば、ヴェルサスやアナスイは自分とは違って、ここに来る前に
殺されるような自体には陥っていない。それに、最初に女性を空中に浮かせて殺した方法の説明もつかない。

「私は、荒木のスタンドを空間操作型で「物体をコピーする程度の能力」だと思っていました。
 それならば、私達がここに集められた方法も、あの女性を殺した方法も説明がつくと思っていたからです」

それでもおかしいんです、と彼は言う。その理由は自分達の体にあった。
ティッツァーノはここに来る直前、スクアーロの代わりに『エアロスミス』の銃撃を受けた記憶を持っている。

「私の体がコピーされていたのならば、私は銃弾をくらった状態でここにいなければいけないはずです。
 なのに、私は五体満足でここにいます。ティムとアナスイも似たような事を言っていました」


4 :何人も語る事なし ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 13:52:12 ID:y9OTS/Ug
アナスイは、さっきまで湿地帯にいたはずなのに泥も草も付着していない。
ティムは、ブラックモアに付けられた銃創と血痕が無くなっている。
ヴェルサスも、徐倫につけられた首の傷が消えている。
記憶と体の状態が一致しない、それはどういう意味をもつのか?

「ヴェルサスは最初に会った時、私にこう言いましたね、『この地面には記憶が存在しない』と。」

ティッツァーノは、傷口が痛むのか胸を押さえた。
そして、深く息を吸い込み直すと、再び話し始める。

「つまり、私達やこの土地は何も無いところから造りだされた、紛い物なのではないでしょうか?
 私達そっくりの人形を作り、そこにその人間が生きていた頃の記憶を植え付ける……」

ティッツァーノの手が、何かに縋ろうとするかの様に民家の土壁を掻く。
土くれがボロボロと彼の膝の上に落ちたが、その中に普通ならば存在するであろう、細かな虫や蜘蛛はいなかった。
そうなのだ、外でも鳥どころか鼠一匹さえ、自分は見ていない。
まるで、何も無い空間に作られた箱庭のような、歪な完璧さがこの世界にはあった。

今まで語った、自分の相棒を失った悲しみすら
作られた物でしかない、という可能性にティッツァーノは肩を震わせる。

組織が代替わりしたかもしれないという推測。
相棒が死んでしまったかもしれないという憶測。
自分自身が「自分自身」でないという観測。
不安は不安を生み、疑心は留まる所を知らない。

疑心暗鬼のスパイラルに陥った彼の肩にそっと手が置かれた、ヴェルサスだ。

「起きて……いたんですか」
「まーな」

ヴェルサスはよっこいせと体を起こす、まだ寝足りないといった体だ。

「さっきも言ったろ、アナスイの話がただの勘違いかもしれないしれねーし、お前の話だって推論の域を出ていない。
 それに、もしティッツァの話が本当だったとしてもだ、俺の幸せになりたい気持ちは本物だし
 お前の相棒に会いたい気持ちだって本物だろ?
 俺達が本物か偽物かだなんて、ここを出てから考えれる話だ」

一気に言い終わると、再び横になってしまった。

「ひょっとして、慰めようとしてくれてます?」

そう聞くと、そんなんじゃねーよとそっぽを向かれた。
慣れない事いうんじゃなかったとか、思ってそうだ。
ティッツァーノはそんな彼の背中に声をかける。

「なんてゆうか……前向きですよね、ヴェルサスは。少し見直しました」
「往生際が悪いだけだぜ、それよりも本気で寝かせてくれ……頭痛くなってきた
 お前の話は、起きた後にゆっくり聞くから」

5 :何人も語る事なし ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 13:53:44 ID:y9OTS/Ug
【G−4 穴付近の民家/1日目 昼】
【ドナテロ・ヴェルサス】
[時間軸]:ウェザー・リポートのDISCを投げる直前
[状態]:睡眠中、疲労(大)、服がびしょぬれ
[スタンド]:アンダー・ワールド
[装備]:なし
[道具]:テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:絶対に死にたくない、幸せになる。
0.色々考えるよりも、今は眠い。ZZZZzzzz。
1.どんな事してでも生き残って、幸せを得る。その方針は依然変わりなくッ!
2.プッチ神父に会ったら、一泡吹かせてやりたい。
3.この先不安。
4.ティッツァーノムカつく、外見的な意味で。


[備考]
※ティッツァーノの『トーキング・ヘッド』の能力を知りました。
※ティッツァーノ以外のマフィア、ブチャラティ達の事、パッショーネの事を聞きました。
(ブローノ・ブチャラティ、グイード・ミスタ、レオーネ・アバッキオ、パンナコッタ・フーゴ
 ジョルノ・ジョバァーナ、チョコラータ)
※荒木のスタンドを「物体をコピーする」能力だと思っていますが、確証が持てないので保留あつかいにしました
※ティッツァーノの言葉により「自分達は偽物かもしれない」という考察を聞きましたが
 幸せになるという行動方針にブレはありません。
※荒木の能力により『アンダー・ワールド』には次の2点の制限がかかっています。
 ・ゲーム開始以降の記憶しか掘ることはできません。
 ・掘れるのはその場で起こった記憶だけです。離れた場所から掘り起こすことはできません。
 ・『アンダー・ワールド』でスタンドを再現することはできません。
 ・ただし、物理的に地中を掘り進むことは今まで通り出来ます。
※ラバーソールとマイク・Oの、能力と容姿を知りました。
※アナスイ、ティムの容姿とスタンドビジョンを知りました。
※アンジェロ、Jガイルの容姿と『アクア・ネックレス』のスタンドビジョンを知りました。
※星型の痣を持つ相手(ジョナサン、ジョセフ、ジョルノ、徐倫)の位置が大体わかります
 ただし、誰が誰かまでは判別出来ません。
※プッチ、ウェザーの位置も大体わかりますが、どっちがどっちなのかは分かりません。
※穴に落ちた4人は、状況的に死んだと考えています。

【ティッツァーノ】
[時間軸]:ナランチャのエアロスミスの弾丸を受けて、死ぬ直前。
[状態]:胸に切り傷(中、処置ずみ)、背中に痛み、服がずぶぬれ、絶望していました(ヴェルサスの言葉で緩和ずみ)
[スタンド]:トーキング・ヘッド
[装備]:ブラックモアの傘 、牛タンの味噌漬けを包んでた布(包帯として)
[道具]:岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)、基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:生きて町から出る。
0.第2放送までここで待機、ヴェルサスが起きたら考察を話す。
1.ここで生き残るためには「情報」が必要、どんな些細なことにも気をつけないと……
2.『トーキング・ヘッド』がアナスイの舌に張り付いたら、ゲームに乗っていないという裏を取る。嘘をつかせることも考慮に
3.この先不安……自分は本当に「ティッツァーノ」なのか?スクアーロは生きてるのか?
4.この名簿は一体?なぜ自分はここに呼ばれたんだ……?
5.少しだけ見直しましたよ、ヴェルサス
6.アラキを倒し、生きて町から出る


6 :何人も語る事なし ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 13:55:54 ID:y9OTS/Ug
[備考]
※ヴェルサスの『アンダー・ワールド』の能力を知りました。
※ヴェルサスの知り合いについて、かなりおおざっぱな説明をうけました。後で、もう少しくわしく聞く気です。
※アナスイ、ティムと情報交換しました。アナスイの仲間の能力、容姿を把握しました。
 (空条徐倫、エルメェス・コステロ、F.F、ウェザー・リポート、エンポリオ・アルニーニョ
  ベンジャミン・ブンブーン、ブラックモア、オエコモバ)
※荒木のスタンドを「物体をコピーする」能力だと思っていますが、確証が持てないので保留あつかいにしました。
※「自分達が偽物ではないか?」という考察を情報が集まるまで、保留にしました。
※パッショーネのボスが代替わりし、スクアーロが死んだ可能性について、情報が集まるまで保留にしました。
※ラバーソールとマイク・Oの、能力と容姿を知りました。
※トーキング・ヘッドを操作できる射程距離に制限がかかってる可能性がありますが、
 本人は気づいてないようです。(ちなみに原作の射程距離はB)
※アナスイ、ティムの容姿とスタンドビジョンを知りました。
※アンジェロ、Jガイルの容姿と『アクア・ネックレス』『ハングドマン』のスタンドビジョンを知りました。
※穴に落ちた4人は、状況的に死んだと考えています。

ティッツァーノの考察↓

・荒木の能力について
 
 「死者を生き返らせれる」
  ・アナスイ、ティムが主張している。
   ・おそらく違う。アナスイとヴェルサスが「自分達は殺された記憶を持っていない」と言っているため。
    (これは他の参加者にも要確認。)
   ・女性が宙に浮いて殺された方法が説明不可能。
   ・そもそも人を生き返らせるスタンドなんて、ありえない。
  ただし↓
   ・参加者を一斉に集める方法→死体の自分達を集め、一斉に生き返らせれば可能。
   ・バラバラに配置する方法→自分達の「生存」を解除し、死体をバラバラに配置し、再び生き返らせれば可能。

 「物体をコピー出来る」
  ・ヴェルサスの「この地面には記憶が無い」と、バラバラな地名の地図から考察。
   ・女性が宙に浮いて殺された方法→連続的にコピーして浮いているように見せかけた?
   ・参加者を一斉に集める方法、バラバラに配置する方法→簡単に可能。
  ただし↓
   ・自分達の記憶と体の状態が一致しない→説明不可能。
 
・その他の考察
 
 「自分達は偽物であり、本物の記憶を植え付けられているだけ」
  ・自分達の記憶と体の状態が一致しない、ヴェルサスの「この地面には記憶が無い」から考察。
   ・荒木のスタンド?
   ・もしこの仮説が正しければ、荒木は
    「本人そっくりの人形を作れる力+本人の記憶を植え付ける力」を持っている事になる
   ・スタンドは原則、一人一能力。これだと2能力持ってる事に。

 「パッショーネのボスが2001年に代替わりしている」
   ・アナスイからの情報(アナスイの勘違いの可能性も、他の参加者に要確認)
    ・事実ならば、スクアーロは生きていない?

・なお、上の全ては情報不足のため、推論の域を出ない物とする。


7 :何人も語る事なし ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 14:03:44 ID:y9OTS/Ug

「ぷはッ!」

日の光一つ差し込まぬ真っ暗闇の中、ティムが水面から顔を出した。
穴の底の柔らかい泥と水が、クッション替わりになって助かったとはいえ
かなりの高さから水面に叩きつけられたのである、体じゅうがヒリヒリと傷む。
飛び込み台から、プールに飛び込んだような痛みだと例えれば、分かりやすいだろうか。
この水はアンジェロが、水道管を破壊した際に発生した物であったが、今の彼にそんな事がわかるはずも無かった。

「アナスイー!ティッツァーノー!ヴェルサスー!無事かー!?」

暗闇に向かって声を張り上げる、自分の声が壁に反響してこだました。
これだけ暗ければ、自分の手すらも見えない。
声が反響して聞こえる事もあって、この真っ暗な空間に自分一人だけが存在するような気分になってしまう。
自分の呼吸音と、体が沈まないように水を掻く音だけが聞こえる。

なかなか返答が返ってこなくて、若干不安になり始めたティムの耳に、「ここだー」というアナスイの声が聞こえてくる。
アナスイも無事のようだ、残りの二人はどうしたのだろうか?
声が反響してアナスイの居場所が掴めない、ティムはもう一度声を張り上げる。

「どこだー!アナスイー!」

すぐに、ここだー!という声は返ってくるものの、依然居場所がわからない。
ティムは嘆息すると、アナスイを探すため水面を掻く
この状況じゃ名前を呼び合うより、自分の方から探しに行った方が早い。

その時だった。
ばちゃん、という人が水を掻きわける時に出す、特有の音が聞こえた。

ティムは、バッと振り返った。
自分とアナスイ以外の人物がいる。
ヴェルサスとティッツァーノならば何も問題は無いのだが、もしこの人影が自分達を襲ったスタンド使いなら?
冷たい水に浸かっているはずなのに、汗が噴き出す。
ティムが見つめる中、人影はどんどん大きくなってゆく―――


【G−3 穴の底】


【マウンテン・ティム】
[時間軸]:SBR9巻、ブラックモアに銃を突き付けられた瞬間
[状態]:左肩と腹部に巨大な裂傷痕(完治)。服に血の染み。やや貧血 。全身ずぶ濡れ。
[装備]:物干しロープ、トランシーバー(スイッチOFF)
[道具]:支給品一式×2、オレっちのコート、 ラング・ラングラーの不明支給品(0〜3)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0. ( ゚д゚ )!?
1.アナスイの仲間を捜す(そのためにまずウェザーを探す)
2.事情を察したのでマイク・Oは追わない
3.「ジョースター」、「ツェペリ」に興味
4.特別懲罰房を拠点にしたい
5.もしアナスイが再び殺人鬼になるようなら止める。生死を問わず
6.アラキを倒す
7.この穴を作ったのは誰だ?

8 :何人も語る事なし ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 14:06:15 ID:y9OTS/Ug
[備考]
※アナスイ、ティッツァーノと情報交換しました。アナスイの仲間の能力、容姿を把握しました。
 (空条徐倫、エルメェス・コステロ、F.F、ウェザー・リポート、エンポリオ・アルニーニョ
  ブチャラティ、ミスタ、アバッキオ、フーゴ、ジョルノ、チョコラータ)
※ティッツァーノとの情報交換で得た情報は↓
 (自分はパッショーネという組織のギャングである。この場に仲間はいない。ブチャラティ一派と敵対している。
  暗殺チームと敵対している。チョコラータは「乗っている」可能性が高い。
  2001年に体に銃弾をくらった状態でここに来た。『トーキングヘッド』の軽い説明。)
  親衛隊の事とか、ボスの娘とかの細かい事は聞いていません。
※マイク・Oのスタンド能力『チューブラー・ベルズ』の特徴を知りました。
※マイク・Oの目的(大統領夫人の護衛)を知りました。
※ラバーソールとヴェルサスのスタンド能力と容姿を知りました。
※アナスイが愛のために暴走してしまわないか心配しています。もし暴走するようなら、アナスイの生死を問わず止める覚悟はできています。
※自分が不確定だと思った考察は話さないようです。(アナスイの精神状態を心配しての配慮です。)
※自分達が、バラバラの時代から連れてこられた事を知りました。

※ヴェルサスとティッツァーノも穴に落ちたと思っています。

【ナルシソ・アナスイ】
[時間軸]:「水族館」脱獄後
[状態]:健康 (?)全身ずぶぬれ
[装備]:
[道具]:支給品一式(食料、水2人分)、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、首輪(ラング)、 トランシーバー(スイッチOFF)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
0.( ゚д゚ )!?
1.仲間を捜す(徐倫は一番に優先)
2.殺し合いに乗った奴ら、襲ってくる奴らには容赦しない
3.特別懲罰房を拠点にしたい
4.徐倫に会った時のために、首輪を解析して外せるようにしたい
5.アラキを殺す
6.この穴を作ったのは誰だ?

[備考]
※マウンテン・ティム、ティッツァーノと情報交換しました。
 ベンジャミン・ブンブーン、ブラックモア、オエコモバ、ブチャラティ、ミスタ、アバッキオ、フーゴ
 ジョルノ、チョコラータの姿とスタンド能力を把握しました。
※ティッツァーノとの情報交換で得た情報は↓
 (自分はパッショーネという組織のギャングである。この場に仲間はいない。ブチャラティ一派と敵対している。
  暗殺チームと敵対している。チョコラータは「乗っている」可能性が高い。
  2001年に体に銃弾をくらった状態でここに来た。『トーキングヘッド』の軽い説明。)
  親衛隊の事とか、ボスの娘とかの細かい事は聞いていません。
※マイク・Oのスタンド能力『チューブラー・ベルズ』の特徴を知りました。
※アラキのスタンドは死者を生き返らせる能力があると推測しています。
※ラバーソールとヴェルサスのスタンド能力と容姿を知りました。
※ティッツァーノの『トーキングヘッド』の能力を知りました。
※デイパックには『トーキング・ヘッド』入りの水が入っています。
※首輪は『装着者が死亡すれば機能が停止する』ことを知りました。
 ダイバー・ダウンを首輪に潜行させた際確認したのは『機能の停止』のみで、盗聴機能、GPS機能が搭載されていることは知りません。
※ヴェルサスの首筋に星型の痣があることに気が付いていません
※自分達が、バラバラの時代から連れてこられた事を知りました。

※ヴェルサスとティッツァーノも穴に落ちたと思っています。


9 :何人も語る事なし ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 14:09:45 ID:y9OTS/Ug
J・ガイル】
[時間軸]:ジョースター一行をホル・ホースと一緒に襲撃する直前
[能力]:『吊られた男』
[状態]:左耳欠損、左側の右手の小指欠損、右二の腕・右肩・左手首骨折、カーズに対して怒りと恐怖
    軽く情緒不安定 、全身ずぶぬれ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
0.( ゚д゚ )!?
1.アンジェロを可能な限り利用し、参加者を減らす。
2.第二放送になれば駅へ向かい、優勢なほうに味方する
3.自分だけが助かるための場所の確保もしておきたい。
4.カーズには必ず自らの手で借りを返す…のか?
5.4のために力をつける。結局はこのゲームでは力がないと死んでしまう…
6.20時にDIOの館に向かう
7.ブラックモアへの不信感
[備考]
※デイパックと支給品一式をカーズに奪われました。
※『吊られた男』の射程距離などの制限の度合いは不明です。
※ワムウによる蹴りのダメージは右二の腕・右肩・左手首骨折でした。それぞれに対して添え木がしてあります。
※支給品一式をブラックモアから譲り受けました。
※ヴァニラアイスの能力と、ウェザー達が第二放送時に駅に襲撃を仕掛けることを知りました
※ヴェルサス、ティッツァーノの容姿を知りました。

※体は大丈夫でしたが、骨折にどう影響したのかは不明です。

【片桐安十郎(アンジェロ)】
[スタンド]:アクア・ネックレス
[時間軸]:アンジェロ岩になりかけ、ゴム手袋ごと子供の体内に入ろうとした瞬間
[状態]:健康、テンション高 、全身ずぶぬれ
[装備]:ディオのナイフ ライフルの実弾四発、ベアリング三十発  
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 基本行動方針:安全に趣味を実行したい
0.( ゚д゚ )!?
1.J・ガイルを可能な限り利用し、参加者を減らす。
2.第二放送になれば駅へ向かい、優勢なほうに味方する
3.空条承太郎を殺す。
4.荒木は良い気になってるから嫌い
5.20時にDIOの館に向かう
6.ブラックモアへの不信感
[備考]
※アクア・ネックレスの射程距離は約200mですが制限があるかもしれません(アンジェロは制限に気付いていません)
※名簿に目を通しました。
※ヴァニラアイスの能力と、ウェザー達が第二放送時に駅に襲撃を仕掛けることを知りました
※ヴェルサス、ティッツァーノの容姿を知りました。


10 :何人も語る事なし ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 14:11:55 ID:y9OTS/Ug
以上で投下完了です。
指摘、感想をお待ちしています。

11 :創る名無しに見る名無し:2009/08/20(木) 19:02:41 ID:KH+OQBkx
力作投下乙!
ヴェルサスの穴SUGEEEEEEEEEEEE!
2VS2のタッグマッチにwktkする。全員死んでまうん?w

ティムがより思慮深くなってカッコよくなった!
ヴェルサスとティッツァの絡みも、これはこれでアリだなと思うわけです。

12 :何人も語る事なし ◆bAvEh6dTC. :2009/08/21(金) 12:35:07 ID:ei2W/R6z

「状況説明図」
              ヴェルサス、ティッツァーノ(地上)  
―――-┐       ┌――――――――――――――――――
     │       │
     │       │
     │ 穴     │
     │       │
     │       │
     │       │
     │       │←水
     └────―┘
      (この辺は泥)
アナスイ、ティム、Jガイル、アンジェロ(穴の底)
※10時現在、G−3のほとんどが穴になっています。
※穴の広さは、直径300mくらい(地図でいうほぼ1マス)
※深さは、地上から底が確認出来ないくらい深いです。
※穴の底は、泥と水がかなり大量に溜まっています。
※穴の底でも放送が聞こえるかは、次の書き手におまかせします。

↑これを忘れていました。
後、wikiに収録して下さった方ありがとうございます。

13 :NEVER SAY GOODBYE ◆em4fuDEyHM :2009/08/21(金) 12:41:34 ID:X/BlN3uQ
晴天の起因は頂を登り正午を刻む。降り注がれる放射線の仰角はほぼ真下。
打ち寄せられる飛沫と共に奏でられる屈折のコントラストは、今日も変わらず美しい。
これほどまでに美しい景観が用意されているというのに、誰も興味を示さない。
だらしなく四肢を弛緩させてアクビをする者。冷や汗を流して立ちすくむ者。
魂を奪われて倒れ伏す者たち。そして……目先の欲を満たすため、命をやりとりする愚か者たち。

「空条承太郎様。少々お待ちください。この方々の判断を先に仰ぎたいので」

恭しく払われる礼。最初に口火を切ったのはテレンス・T・ダービーだった。
オインゴの正体を暴くことなく、偽りの存在を黙認。なぜ。
彼はオインゴの変身能力『クヌム神』を見破れなかったのか?
否。彼はオインゴの申し出があったからこそ、自分の陣地に招待したのだ。
召還を願い出た者の把握をテレンスが成しえぬはずはない。
何より彼は『ある手段で』参加者の情報を大まかに知っている。すなわち空条承太郎の死すら当の昔の話。

「それでは、決断を」

では、テレンスは、同じDIOの同盟者として親交のあるオインゴを庇ったのだろうか。
それも否。彼はオインゴに仲間意識など持ちあわせていない。
なぜなら彼は主催者側のギャンブラーである前に……勝負を取り仕切る仲介人である。
つまり彼は一介の勝負師でありながら、中立の視点でギャンブル滞りなく進行させねばならない。

――岸辺露伴様、ヴィヴィアーノ・ウェストウッド様、あの人はオインゴさんです――
――空条承太郎さんに変装している赤の他人です――
――スタンド能力『クヌム神』で変身しているのです――

違う。それらは勝負の公平さを損なわせる行為。
テレンスが判断した中立。
それは『オインゴの能力を露伴たちに伏せる』こと、そして『露伴たちの素性をオインゴに伏せる』こと。
露伴たちは承太郎の真相に気づかぬまま。オインゴは露伴たちの名を知らぬまま。
己の横槍によって双方に旨味が生まれないように、行動を選択している。

「……ちょっと待ってくれないかな。 いや、ね……僕は構わないんだけど。
 承太郎さんに相談しておきたいんだ。彼もチケットを持っていたからココに呼ばれた。
 せっかくの偶然を使わない手はない。彼と作戦会議する時間を僕は希望する」
「勝負が始まる前ならば、いかなる進言も受け入れましょう。このまま引き返しても結構」
「露伴君、お、お、俺はどうしたらいいんだぜ」
「OK!じゃあ勝負は後ほど。承太郎さん、ちょっとこっちへ」
「シーザー様の肉体への配慮も出来る限り考慮します。私の身に危害が及ばないのならば……の話ですが」

一方、勝負師としてのダービーはこの状況を楽しんでいた。
それはオインゴの登場で掻き立てられたのではなく、岸辺露伴との出会い。
未だスタンドの片鱗すら見せない彼の底知れなさに、ダービーは純粋な敬意を感じていた。

そう、ダービーは露伴のスタンド能力をまったく知らないのだ。

彼が知っているのは『元にいた世界で得た情報』と『参加者の顔と名前だけ』。
オインゴのスタンドも承太郎のスタンドもDIOとジョースター家の因縁も知っている。
しかしそれだけ。DIOが雇った調査団によるジョースター一行の情報のみ。
荒木飛呂彦から手に入るはずだった圧倒的な有利を、ダービーは自らの手で拒否したのだ。
その理由は己の勝負勘を鈍らせないため。情報は勝敗を決する近道となるが、近道は答えではない。
近道に頼りきって安心する腑抜けになることを彼は恐れていた。敵はいつも情報を落としてはくれない。

14 :NEVER SAY GOODBYE ◆em4fuDEyHM :2009/08/21(金) 12:43:39 ID:X/BlN3uQ
「……海沿いを進んでいたんですよね」
「ああ」
「承太郎さん、『それ』、今はどうなってるんです」
「どうだろうな」
「この説明書は『それ』と一緒に紙に入っていた。現物は確認してるんですよね? 」
「ああ」
「薄々感づいているんじゃあないですか?……『それ』がここに来ると」
「どうだろうな」
「ハハッ! まあ期待はしてますよ。少なくとも僕は“空条承太郎と『例の組織』を信頼しています”から」
「ああ」

……現にこうして味方が敵に情報を漏らすケースも有り得るのだ。
オインゴはこの島の位置と自分の情報を早くもバラしている。
オインゴの気持ちを察すれば、さしずめ疑いの目を逸らすための保身。
露伴と承太郎は繋がりがある。正体が割れるのも時間の問題。
億泰から情報をもらったオインゴも、そうでないテレンスも、思いは共通していた。

「なぁ! お前は僕たちを召還した。ということはその逆もできるのか? 」
「先ほども申し上げましたが、勝負以外の要請は私の裁量に左右されますので、答える必要はありません」
「“できない”とは言わないのか。フン! まぁいい。シーザーの肉体はこっちが管理させてもらうよ」
「しかしシーザー様はいずれ衰弱して没するでしょう。魂が抜けるとは、そういうことです」
「そこで寝ている老人は手遅れのようだが……直接の死因は出血死だろう?しかしシーザーは無傷だ」

シーザーの身体をウェストウッドが両手で引きずっている。
全身を鍛えたイタリア人の巨躯はアメリカの男にもすこぶる重い。
身動きのとれない人間を運ぶのは、本来はウェストウッドのような無骨なタイプでも大変。
ところがウェストウッドは文句1つも言わず、大きな図体を揺らして職務をこなしている。
その物を言わぬ姿には、何らかの異常性を匂わせているが……

「僕の全神経をかけて、ヤることヤろうじゃないか」
「グッド。ゲームは何にしましょうか」

それは、このヴィヴィアーノ・ウェストウッドに染み付く。

「……ウェストウッド」

狂気のせいなのかもしれない。

☆ ☆ ☆

「ロハン・キシベはてめーとゲームすることはねぇ」

これまで沈黙を保っていた存在、ヴィヴィアーノ・ウェストウッドの開口。
その言葉の内容を受け止めるのに、この場にいた全員が数秒のスキを取られた。
ヴィヴィアーノの本音。ヴィヴィアーノの真意。ヴィヴィアーノの狙い。
全てがヘブンズ・ドアーの掌で造られた虚像とも知らずに、虚無に陥る。
ヴィヴィアーノが浴びた露伴の洗脳は『岸辺露伴を守ること』と『人殺しの不可』。
だがウェストウッドが理解している洗脳は唯一。
『岸辺露伴を治療ができる安全な場所へ運ぶ。なお、その際岸辺露伴の身を守るためならスタンドを行使する事を許可する』。

「アホのシーザーが敗北した瞬間から、俺は完全に『ロック』されたんだ」

シーザーの敗北は魂を抜き取られることで完結した。
ダービーの死亡遊戯の顛末を学習したウェストウッドは、あらゆる危険性を無意識に考慮する。
@露伴は勿論、自分がゲームに参加することを拒絶する。敗北は露伴を危険に足らしめる。
A掟破りのダービー殺しも拒絶。島の支配者ダービーの死で、島から脱出できなくなってしまう恐れがある。
そしてダービーの死はシーザーの死。最優先事項ではないが、露伴の治療役をおいそれと捨てるのは忍びない。
まさに自縄自縛。完全自作自演包囲網。ウェストウッドは己の立場を本能で理解したのだ。

15 :NEVER SAY GOODBYE ◆em4fuDEyHM :2009/08/21(金) 12:45:29 ID:X/BlN3uQ
「空条承太郎だったか? だからお前がやれ」

ウェストウッドの人差し指が、帽子を深く被る男に向けられる。
彼の記憶にあるのは、自分を打ち負かした空条徐倫の名。
岸辺露伴と出会う前に、ウェストウッドは名簿に2つの空条を見つけていた。
――囚人番号FE40536ジョリーン空条の関係者の可能性アリ。
復讐の対象=空条という図式がウェストウッドの脳髄に叩き込まれていた。
“こいつが勝てば旨みは俺たちがもらう。負けても俺がスカっとする”。
己の恨みを晴らすために、ウェストウッドは唇を舌で舐める。

「……訳は後で話します。承太郎さん」

岸辺露伴はウェストウッドを右手で制しながら、オインゴに問う。
このとき岸辺露伴が空条承太郎へ割り振る“信と疑”は五分五分であった。
普段の白いロングコートとは打って変わった学ランと、一辺倒な誤魔かしに露伴は“疑”を抱く。
一方で、迷うことなく“露伴”の名を口にした事実は“信”に値する。
当然の如く、これはオインゴが虹村億泰から露伴の人柄の情報を手に入れていたことに起因。
しかし露伴はそんな事を知る由もない。むしろこの事実は、露伴に余計な入れ知恵を与えていた。
島にいた誰もが、オインゴの前で岸辺露伴の名を口にしていない。つまり、この承太郎は本物。おそらく。

「さて空条承太郎様、どうされますか」

ウェストウッドが動かない事情は、ヘブンズ・ドアーの持ち主である露伴にも立派に通じる道理。
主催者たちへの情報漏えいを危惧し、先刻まで貫き続けたヘブンズ・ドアーの自粛。
“時の考察”もこの時ばかりと露伴に牙を向いた。承太郎がいつの時代からやって来たのかがわからない。
それらをこのタイミングで解禁し、場を混乱に陥れるほど彼の心境は乱れてはない。
したがって彼も場を任せるほかなかった。“承太郎”に。

「帰る。てめーらの為に動く義理はねぇ」

とはいえ、ここにいる承太郎は全くの別人。己の保身に走るオインゴなのだ。
彼がいらぬ争いに自ら投じるはずがない。いつも心はYES安全NO危険。
オインゴはダービーと軽〜〜い談話を楽しみながら休憩する目的でやってきただけ。
命のやり取りといった高尚な目的はゼロ。興味もゼロ。
オインゴは大股に足を開いてポーズをとると、ビッとダービーに指図した。

「ダービー、俺を元の場所へ帰してくれ」

オインゴのジョースター一行共倒れ作戦が、ついに始まった。
大事な局面で空条承太郎が仲間の期待を裏切る。『承ります』ではなく『お断りします』。
取り残された仲間はどうなるだろう。承太郎が偽者と疑うのか?
その前に“どうして……?”と受け入れることを手間取ってしまうだろう。

「それでは空条承太郎様、アディオス――」

些細な行為だが、これが幾千回と続けられたら。
微細なひびが防波堤を崩すように。一級品の芸術の評価をさげるように。
噂が噂を呼び、実となる風評被害。被害被害被害被害。


16 :NEVER SAY GOODBYE ◆em4fuDEyHM :2009/08/21(金) 12:47:35 ID:X/BlN3uQ
「イヤッフォォォォォォォィィィ! 」

右腕を高く掲げてオインゴは飛び上がる。オインゴ、新たなる面相を奪取し、再び大地へ。
周囲の風景は打って変わってエリアはI-6。彼は再び川岸の原っぱに帰ってきたのだ。
興奮の余りそのまま地面を転げまわる。
物事が滞りなく進行していることへの、喜びのボディランゲージ。

「信じられねぇ! 俺ってついてるぜ! 」

オインゴは予定外のイベントのために、引き返すことを選んだ。
それは一重に恐怖もあったのだが、彼の狙いはダービーの島に居座ることだった。
海に囲まれたこの島は、敵から命を狙われることのない、最上で最高のオアシス。
支給品のチケットが無ければ、この島の存在など知るチャンスも無い。

「これで俺の“他人に成りきって評判ガタ落ち作戦”はグーンと成功率が上がった。
 ヤバくなったら、このチケットでダービーに匿ってもらえばいいんだからな! 」

オインゴの顔がゴワゴワと変形していく。
新たに手に入れた面相は岸辺露伴とヴィヴィアーノ・ウェストウッドとテレンス・T・ダービー。

「それに、地図に載ってない島が海にある……つまり、『こいつ』も使えるってこった! 」

ごそごそとポケットから小さな装飾品を取り出す。
オインゴがンドゥールから受け継いだ支給品、【承太郎が徐倫に送ったロケット】。
空条承太郎が、スタンド能力を発症させる『矢』の欠片を仕込んで投獄中の娘に渡したものだ。
このロケットはただのアクセサリーではなく、ある装置が取り付けられている。
川岸をずっと移動していたオインゴを何度も驚かせた。その正確さはハイテクノロジーの化身だ。

「『潜水艦』が俺をわざわざ探してくれるんだぜ。出来すぎだよなぁ〜〜〜コレはよぉ〜〜〜〜? 」


誰とも分からない顔で、オインゴは醜く笑う。


【I-6 川沿い/1日目 昼】
【オインゴ】
[スタンド]:『クヌム神』
[時間軸]:JC21巻 ポルナレフからティッシュを受け取り、走り出した直後
[状態]:胃が痛い(かなり和らいだ)。
[装備]: 首輪探知機(※スタンド能力を発動させる矢に似ていますが別物です) 承太郎が徐倫に送ったロケット
[道具]: 青酸カリ、学ラン、ミキタカの胃腸薬、
    ダービーズ・チケット、支給品一式×2(ペットボトルは1本消費)
[思考・状況]
基本行動方針:積極的に優勝を目指すつもりはないが、変身能力を活かして生き残りたい。
1.ついてるぞ!
2.もしくは鏃が差した方向に従い、他の参加者に接触する。
3.潜水艦やダービーズ・チケットを使って『海を攻略する』。
4.他人の顔と学ランを使って、奴らの悪評を振り撒こうかなぁ〜(バレそうになったらチケット使って逃げる)。
5.億泰のスタンド能力を聞き出したい(とりあえず戦闘型ではないかと推測)

※顔さえ知っていれば誰にでも変身できます。スタンドの制限は特にありません。
※承太郎、億泰、露伴、ウェストウッド、テレンス、シーザー、ジョージの顔は再現できます。
※エルメェス、マライア、ンドゥール、ツェペリ、康一、ワムウ、リサリサの死体を発見しました。
 しかし死体の状態が結構ひどいので顔や姿形をを完全に再現できるかどうかは不明です。
※億泰の味方、敵対人物の名前を知っています。

17 :NEVER SAY GOODBYE ◆em4fuDEyHM :2009/08/21(金) 12:49:22 ID:X/BlN3uQ
【承太郎が徐倫に送ったロケット】
ダービーズ・チケットに続くンドゥールの支給品その2。
コミックス64巻〜66巻に登場するアクセサリー。面会室で空条徐倫が差し入れとしてもらった。
サイズは小さいが、中に矢の欠片を入れることが可能。実はSPW社の潜水艦の探知機も仕込まれている。
徐倫がその場で捨てたため、エルメェスとグェスがスタンド使いとなり割を食った。
【SPW社の潜水艦】
ンドゥールの支給品その3。DISCを抜き取られた空条承太郎が乗っていたアレ。
第6部の、コミックス66巻で登場したSPW社が誇る海洋移動機。人を乗せて海にもぐることが出来る。
基本として、【承太郎が徐倫に送ったロケット】を持っている人の所に向かうよう設定されている。
【承太郎が徐倫に送ったロケット】を持つ人間が搭乗したら、制御可能になる。
【承太郎が徐倫に送ったロケット】が破壊されたら潜水艦はどうなるのか? それは誰にもわからない。
オインゴが島を行ったり来たりしたから現在位置はG-8。潜水艦なので移動速度は結構速い。
☆ ☆ ☆
最果てに浮かぶ特別賭博施設ダービーズ・アイランド。
支配人テレンス・T・ダービーに挑みし勇者たちは二つの道を選ばされる。
本人にとって有益なもの――それは情報であれ物品であれ――を手に入れる『栄光』の道。
肉体から命だけが飛び出し、小さな人形に閉じ込められて生涯を生きる『敗北』への道。
勝負は世界中の古今東西に散らばる、海千山千のゲーム。カード、ダイス、ボードゲーム、チップ……
「……ようこそ、ダービーズ・アイランドへ」
しかし勝負をする前提として、挑戦者は専用のチケットを発見せねばならない。
挑戦権はチケット所有者だけではない。島にたどり着いたすべての人間が参加者となる。
ただ、ダービーズ・チケットが無ければ、この島の存在を知ることも無いということ。
「まさか仲間を置き去りにして、再度この島にやってくるとは」
そして、ダービーの前に現れた挑戦者は己の嗅覚に引っかかった最上の餌のために……。
駒を捨て、主催者の喉笛へ噛み付く近道を選んだ。
「御託はいい。僕が希望するゲームはトランプの“スピード”だ」
その男の名は岸辺露伴。
車椅子からぎこちなく木製の椅子に移動すると、ダービーに向かい合うような形でテーブルについた。
配下のウェストウッドをまるで場代(チップ)のように切り捨てて、壇上に立つ。
「手持ちのカードはジョーカーを抜いた52枚でやる。持っているんだろう? 同じメーカーのトランプを」
オインゴが去った後、残された露伴たちは予想外の事態に深くため息をついた。
全く真意がわからない承太郎の行動。ただでさえ無口な男は勘違いされやすいというのに。
岸辺露伴は空条承太郎の反旗で、己を責めた。それは承太郎関係の失態による感情ではない。
「ジョーカーのないトランプ……ええ、シーザー様がお持ちになっていた札種はここに」
奴が偽者だった?時の考察に関係あり?そんなことはもうわからない。当の承太郎がいないのだから。
尋問は今度出会った時にすればいい。当初の通り、島から出てヘブンズ・ドアーで徹底的に調べればいいのだから。
露伴の問題はそこではなかった。彼はウェストウッドの処遇を思いつかなかったことを恥じたのだ。
元の土地に戻り、ヘブンズ・ドアーの洗脳を改ざんして、もう一度島に戻ればよかったのだから。
露伴にとってウェストウッドに対する固執は、あくまで緊急避難用のはしごに過ぎない。
救急車のシーザーを手に入れた今、もはや火事の野次馬に等しい人材だった。
「それでは、よろしいですね? 」
「来るがいいさ……準備が出来ているのならな」
そして岸辺露伴は……この世界において己が成すべき役割を受け入れつつあった。
ヘブンズ・ドアーは相手の意識を書き換える。ゆえに向かう所敵無し。
しかしこの能力が戦闘系スタンドかと聞かれれば、彼は首を振るだろう。
ヘブンズ・ドアーの発動よりも相手が先手を取ってしまった場合、限りなく窮地に陥る。
鍛えあげられた肉体もなく、拳法の心得もない本体はスタンドには格好の的。

18 :NEVER SAY GOODBYE ◆em4fuDEyHM :2009/08/21(金) 12:50:14 ID:X/BlN3uQ
「「勝負ッ! 」」

何より彼は自分本位だ。ビジネスライクの付き合いを除けば、彼は本能に忠実。
『読者のために漫画を描く』という欲望のままに動き、世界中で取材の旅をする。
取材のためだったら全財産も叩き、資料のためなら他人の尊厳さえも容易く踏みにじる。

“悪の怪人よりは正義の味方のほうがマシさ。だけど正義に全てを注ぐほど僕はお人好しじゃあない。”

滑らかに札を散らしながら岸辺露伴は考える。
殺し合いという品位の欠片もない戦闘には、東方仗助や虹村億泰が迎え撃つ。
仲間を集い抵抗組織を作り上げる工作には、空条承太郎や広瀬康一が適任だ。
では親友にさえ灰色の男と評される自分の役割は何か。
答えは決まっている。

“『取材』だ。これは『取材』なんだ”

生まれてこの方欠かさず続けてきた行為。いともたやすく行われる好奇な冒険。
テレンス・T・ダービーに勝利し、荒木飛呂彦の情報を洗いざらい喋らせる。
ダービーズ・チケットを贈られた運命を、素直に受け入れることでフルに活かす。
ただし相手は百戦錬磨のギャンブラー。まさしくプロ中のプロ。
シーザーのイカサマをモノともしなかった技量は、ただの漫画家には到底かなわない。

「ヌウゥッ! 岸辺露伴……この手の動きッ! 貴様やり込んでいるなッ!? 」

しかし漫画家には、そうッ! 漫画家は日夜走らせ続けた技術がある。
通常約3日。カラーが加われば約4日。原稿を仕上げる両手の巧みさは、一日の長がある。
ダービーの発言は大いなる間違いである。
露伴はカジノに入り浸るほど金にも執着はない。露伴には極道を震え上がらせる博打の才覚もない。
彼は己が培ってきた経験を披露しているだけに過ぎない。
ゆえに露伴は、イカサマが入りにいくい純粋な『スピード勝負』に持ち込んだのである。

「終わりだッ!」
「コンプリーッ!」

テーブルに叩きつけられたトランプたちが、勢い余って跳ね上がる。
黒と赤と白の三色が織り成す紙々のダンス。観客はたった2人。
勝敗はつかず。どちらも終了を宣言したが、勝ちを名乗りあげなかった。お互いが納得していないのである。
テレンスはテーブルから立ち上がり、爪を噛みながら無念さを喘いだ。

「“ほぼ同時”……! 信じられない、この俺がカード勝負で『引き分け』ッ!」

余談だが『スピード』とはトランプにおける2人用短気決戦ゲームのことである。
まずトランプをハート&ダイヤとスペード&クラブの2組に分けてシャッフル。
次にお互いが4枚のカード(場札)を引いて、テーブルに表向きで並べて置けば準備完了。
@掛け声と共に、手札の手札の一番上のカードを場札と場札の間に同時に置く(台札)。
A4枚の場札の中に、台札と一つ違いがあれば、その場札を台札に重ねて新しい台札にできる。
Bプレイヤーは不足した場札を手札から補充する。
C両者ともA〜Bの動作が不可能となった場合、@に戻る。
D以上の繰り返しで先に手札を切らせた側が勝利。

19 :NEVER SAY GOODBYE ◆em4fuDEyHM :2009/08/21(金) 12:55:36 ID:X/BlN3uQ
「――さあ、第2ラウンドだ、早くやろうぜダービー・ザ・プレイヤー。引き分けじゃあしょうがない」
「……? な、な…………何……だと…!? 」
「当然じゃないか。僕は君と勝負するためにここに来たんだからな」

まさにスピードの名に相応しい“息もつかせぬ”行動が望ましい。
運の要素も大事ではあるが、それ以上に瞬発力と判断力の正確さが問われるのだ。
勝負のかかる時間は5分とかからないだろう。
集中力を大量に消費するゲームではあるが、それに見合った試合時間である。

「ついでに……変な期待をされても困るんで言っておくが――」

では、仮にこのスピード勝負の決着が終わらなかったとしたら?
手先の運動に限れば、岸辺露伴のスタミナは漫画家家業で鍛錬されている。
ダービーもゲームの達人であり、指先の感覚は誰よりも研ぎ澄まされているだろう。
超人的な技術を持つプレイヤー2人が、ずっと同時に手札を切らせたとしたら?
この勝負は終わらない。終わるはずがない。勝敗がつくまで続けるしかない。
何十、何百、何千、何万、何億回と――永遠に。


「この岸辺露伴に精神的動揺による判断ミスは、絶対に無いと思っていただこう」





【G-10 北西部 小島(ダービーズアイランド)/1日目 昼(放送直前)】


【終わりが無いのが終わり! トランプ・地獄の無限『スピード』対決】
【岸辺露伴】
[スタンド]:ヘブンズ・ドアー
[時間軸]:四部終了後
[状態]:右肩と左腿に重症(治療済みだが車椅子必須)、貧血気味、精神集中、ダービーの椅子に座っている。
[装備]:ポルナレフの車椅子(安静のために乗ってます)
[道具]:基本支給品、ダービーズチケット ジョジョロワトランプ2ndシーズン
[思考・状況]
基本行動方針:色々な人に『取材』しつつ、打倒荒木を目指す。
0.取材取材ィ! ダービー君、君から色々聞きたいからヨロシクッ!
1.“時の流れ”や“荒木が時代を超えてヒトを集めた”ことには一切関与しない。
2.あとで隕石を回収しに来よう。
[備考]
※参加者に過去や未来の極端な情報を話さないと固い決意をしました。時の情報に従って接するつもりもないです。
 ヘブンズ・ドアーによる参加者の情報を否定しているわけではありません。 具体例は「知りすぎていた男」参照。
※名簿と地図は、ほとんど確認していません(面倒なのでこれからも見る気なし)。
※傷はシーザーのおかげでかなり回復しました。現在は安静のため車椅子生活を余儀なくされています。
※第一放送を聞き逃しました。

【テレンス・T・ダービー】
[時間軸]:承太郎に敗北した後
[状態]:健康 精神疲労(小)
[装備]:人形のコレクション
[道具]: 世界中のゲーム
[思考・状況]
1.参加者ではなく、基本はG-10にある島でしか行動できない。
2.荒木に逆らえば殺される。
3.参加者たちとゲームをし、勝敗によっては何らかの報酬を与える(ように荒木に命令されている)。
※ダービーは全参加者の情報について、名前しか知りません(原作3部キャラの情報は大まかに知ってます)。
※ダービーズ・アイランドに放送が流れるのかは、不明です。

20 :NEVER SAY GOODBYE ◆em4fuDEyHM :2009/08/21(金) 12:56:54 ID:X/BlN3uQ
【ジョージ・ジョースター1世】
[時間軸]:ジョナサン少年編終了後
[状態]:【肉体】右わき腹に剣による大怪我(貫通しています)、大量失血で血はほとんど抜けました
    【魂】テレンスの作った人形の中。禁止エリアに反応して爆破する首輪つき。
[装備][道具]: なし
[思考・状況]
基本行動方針:ジョナサンとディオの保護
1.むう、なんということだ……!
※テレンスに一回勝利しないとジョージの魂は開放されない。 ただしテレンスの死はジョージの死。
※ジョージの人形がどこまでちゃんと喋れるのか不明(話相手ぐらいにはなる?)。


【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[時間軸]:ワムウから解毒剤入りピアスを奪った直後。
[状態]:【肉体】疲労(大)、ダメージ(大)、ヘブンズ・ドアーの洗脳
    【魂】テレンスの作った人形の中。禁止エリアに反応して爆破する首輪つき。
[装備]:スピードワゴンの帽子。
[道具]:支給品一式、エリナの人形、中性洗剤。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには乗らない。リサリサ先生やJOJOと合流し、 エシディシ、ワムウ、カーズを殺害する。
0.…………………精神的敗北。
1.荒木やホル・ホースの能力について知っている人物を探す。
2.スピードワゴン、スージーQ、ストレイツォ、女の子はできれば助けたい。
[備考]
※テレンスに一回勝利しないとジョージの魂は開放されない。 ただしテレンスの死はシーザーの死。
※シーザーの人形がどこまでちゃんと喋れるのか不明(話相手ぐらいにはなる?)。
※第一放送を聞き逃しました。
※ヘブンズ・ドアーの命令は以下の1つだけです。
 1.『岸辺露伴の身を守る』

21 :NEVER SAY GOODBYE ◆em4fuDEyHM :2009/08/21(金) 13:18:35 ID:X/BlN3uQ
☆ ☆ ☆

半永久的に多大な精神的疲労を与え続ける露伴の作戦。
それはダービーの余裕と沈着を揺さぶり、恐怖と渇望への開放を望ませる。
最終的に露伴が敗北したとしても、ダービーの精神力と勝負勘はかなり精度を落ち込ませるだろう。

「……どこだぁ」

しかしそれは同時に岸辺露伴の精神力も少なからず疲弊させる。
万が一露伴の精神が折れてしまった場合

――いや、この場合は“ヘブンズ・ドアーが解除されてしまった場合”と言うべきか。

「ロハン・キシベはどこだぁ……」

飼い主を見失った犬は命令を守る。
『岸辺露伴を治療ができる安全な場所へ運ぶ。なお、その際岸辺露伴の身を守るためならスタンドを行使する事を許可する』
覚醒したウェストウッドは、露伴が再びダービーズ・アイランドに戻ったことに気がついていない。
ならば彼の行動基準はどうなるのか。

岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。
岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。
岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。
岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。
岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。

しかし岸辺露伴はいない。
見捨てられた? 島へ戻った? 隠れている?  自分は命の恩人なのに? 車椅子がないと動けないのに?
そんなはずがない。

岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。
岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。
岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。
岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。
岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。

守らねばならない。探さねばならない。
ひょっとしたら、何者かに襲われたのかもしれない。さらわれてしまったのかもしれない。
助けなければならない。岸辺露伴を取り戻さねばならない。

「ぐびっぐびっぐびっぐびっ……」

自分の支給品であるペットボトルをガブ飲みして、ウェストウッドは奮起した。
彼は知らない。そのジュースが恐ろしい飲み物であることを。
自分の戦闘本能を呼び覚まさせて好戦的にするスタンド『サバイバー』が入っていることを。

「手当たり次第に拷問して尋問してやる。ロハン・キシベを助けるためだ」

ウェストウッドの胃や腹にたまった『サバイバー』は、ウェストウッドを興奮させる。
主人不在という緊急状態(危険度レベル6)において、命令実行のためならば手段は問われない。

「ここにいる全員だ……吐かせてやる。知らないフリしようが構わねぇ。
 スカっと殴っちまえば、ゲロる決まってんだ。カスな人間ほどな」

岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。
岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。
岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。
岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。
岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る。岸辺露伴を守る……


22 :NEVER SAY GOODBYE ◆em4fuDEyHM :2009/08/21(金) 13:27:10 ID:X/BlN3uQ
【D-3 民家/1日目 昼(放送直前)】
【ヴィヴィアーノ・ウエストウッド】
[スタンド]:プラネット・ウェイブス
[時間軸]:徐倫戦直後
[状態]:左肩骨折、ヘブンズ・ドアーの洗脳
[装備]:『サバイバー』入りペットボトルジュース(残り1?/2?)
[道具]:基本支給品(飲料水全て消費)、不明支給品0〜2
[思考・状況]
0.ロハンを探す。
1.出会った人間は迷わず尋問、拷問。ロハンの居場所を吐かせる。
2.本当に知らなかった場合? 知るか。
3.出会った人間は迷わず殺す。
[備考]
※怪我の応急措置は済ませました。戦闘などに影響が出るかどうかは次の書き手さんにお任せします。
※支給品を確認したかもしれません。
※自分の能力については理解しています。
※ヘブンズ・ドアーの命令は以下の二点です。
 1.『人を殺せない』
 2.『岸辺露伴を治療ができる安全な場所へ運ぶ。なお、その際岸辺露伴の身を守るためならスタンドを行使する事を許可する』
※ヘブンズ・ドアーの制限により人殺しができないことに気づいていません。
※鉄塔の戦いを目撃しました。プッチとサーレーの戦いは空のヘリで戦闘があった、地上では乱戦があった程度しかわかっていません。
 また姿も暗闇のため顔やスタンドは把握していません。
※館から出てきたジョナサン、ブラフォードを見ました。顔まで確認できたかどうかは次の書き手さんにお任せします。

【『サバイバー』入りペットボトルジュース2?】
ウェストウッドがロワ冒頭から何気なく飲んでいたジュース。
共通支給品であるペットボトル(水)の他に、これも飲んでいたからキャラが変わっていた。
本当のウェストウッドはもう少し大人しい性格の持ち主。
『サバイバー』はスタンドで、原作6部コミックス71〜74巻あたりを参照。
電流と水を介して人間の闘争本能を増やすスタンド。
ちょっとの水があれば人間の体内にもともと流れている電流を使って、相手を怒らせやすくする。
本体のグッチョ(射程距離とスタンド効果の関係上の問題)はどこにいるのか?という疑問が……。

露骨に常時闘争心が掻き立てられてない、ということでそこは一つ。

23 :NEVER SAY GOODBYE ◆em4fuDEyHM :2009/08/21(金) 13:27:54 ID:X/BlN3uQ
投下完了。
色々と議論すべき点があると思いますので、よろしくお願いします。

24 :創る名無しに見る名無し:2009/08/21(金) 23:06:33 ID:hYHIkHDu
投下乙!

一連の作品で色々とありすぎて俺の脳内がポルナレフだぜ
オインゴは相変わらず小物だなww
相手の顔に変身可能だけど、ウェストウッドに変身した日には敵だらけの四面楚歌です。本当にありがとうございました
そして潜水艦というアイディアは本当になかった
ヒット&アウェイ(もどき)は果たしてどのような形で実を結ぶのか?

そして露伴はカッケー!
スピードで同時に最後のカードを置くシーンは完全に荒木絵で再現できたわww
「――さあ、第2ラウンドだ、早くやろうぜダービー・ザ・プレイヤー。引き分けじゃあしょうがない」
「……? な、な…………何……だと…!? 」
「当然じゃないか。僕は君と勝負するためにここに来たんだからな」
この一連のやり取りには本当に痺れた! だけど
この岸辺露伴に精神的動揺による判断ミスは、絶対に無いと思っていただこう
↑のセリフは負けフラグすぎて不安なんですがwww

ウエストウッドも何回か指摘があったサバイバー状態を矛盾の無いように収まったね〜
ある意味露伴の命令のせいで余計危険度が増してる気がww


個人的な見解になるけど、特に指摘するべきところは無いかな?
支給品も展開も別に問題ないと思う

25 :創る名無しに見る名無し:2009/08/21(金) 23:12:14 ID:IOvTcVOI
投下乙です!
露伴また放送聞き逃すだろこれwwwwww

いくつか指摘を。
オインゴの状態表
>2.もしくは鏃が差した方向に従い、他の参加者に接触する。
>3.潜水艦やダービーズ・チケットを使って『海を攻略する』。
どっちが優先なのか分かりづらいです。文面だけを見るなら2と3は逆じゃないでしょうか?
あと、学ランは装備欄に移すべきだと思います

サバイバーはアリだとは思うけど、他の人の意見も伺いたいところです

26 :創る名無しに見る名無し:2009/08/21(金) 23:30:50 ID:qzCK6uC0
投下乙でした!

ギャンブル話が好きなくせに自分では書けない私は氏に敬意を表します。
何よりも、露伴がかっこいい!>>24さんの仰るように、漫画のコマが勝手に頭に浮かぶ…
ジョジョ的アツさも持つ作品だと感じました。

自分も指摘等は特にありません。
支給品も問題ないかと。

改めてお疲れ様でした。

27 :創る名無しに見る名無し:2009/08/22(土) 00:01:55 ID:TjmdqdyB
投下乙でした!

私としては問題はないと思いますし皆様と同じく露伴ちゃんの格好良さに痺れた、と言いたい、が…
「ああ どうだろうな」はやめいwwww吹くwwww

28 :創る名無しに見る名無し:2009/08/22(土) 00:32:00 ID:3qs+yTwE
ああ そうだな。

29 :創る名無しに見る名無し:2009/08/22(土) 00:49:00 ID:G8jXk92n
ああ。

30 :創る名無しに見る名無し:2009/08/22(土) 01:59:53 ID:VdY5KnDN
投下乙

露伴のスピードについてこれるテレンスすげえ。
つまりテレンスも加速した時に対応できるのかw
そう考えるとこいつが一気に強キャラに思えてくるwww

31 : ◆em4fuDEyHM :2009/08/22(土) 12:18:53 ID:TbLKYvLQ
感想と指摘、ありがとうございます。
サバイバーはこのままいこうと思います。
・オインゴの状態表の修正(優先度はどっち?)
・露伴の状態表の修正(車椅子?ダービーの椅子?)
・露伴VSダービーは52枚でスピードをしている

これらを修正してWIKIに掲載させていただきます。

>>30
テレンスはスタープラチナのパンチに対応できていたので、大丈夫かなと判断しました。
テレンスは心を読んだ上で防御でしたが、露伴も同じようなことやってますので。
来るとわかっていたクレイジー・Dのパンチよりも、先に原稿を手に取ってましたから。

32 :創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 11:26:05 ID:4iT28ECI
愉快な被害者がまた増えたwww

露伴もさっさとヘブンズドアーしちゃえば勝てるのにねぇ…

33 :創る名無しに見る名無し:2009/08/25(火) 23:05:27 ID:qYu+Ew9r
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
            i〃彡ノソ´                     ミヾヘミ、ヽ
          l彡'ノ//     _,,,,,,,,,、              ,ミゞミ、川i    それやったらダービーの次の相手が僕になるね……
          ヾ/ノ/ノ   ''""二'''" .    ゙==、,_    ヾミyヾツノ
_______ ゞliノi    ,イで゚)ヽ  :.    _,,,ご'''ー   iヘリノ,ソ_∧,、________
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ i ヾノ     、,二ン` .:.;  .: ィ"(:゚ツヽ、   iヾツノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           ', ヘi            .:  .:  `゙゙ー ´     ,iリノ′
           ヽ ゙i           、   .::          /シ;
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

34 :ゲルツェンの首 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/31(月) 16:31:03 ID:xb9KsPzW
【グェス】投下します

きめ細やかな砂地をサクサクと踏みしめながら、一人の女が砂浜を歩いてゆく。
彼女が、一歩足を進めるごとに付けられる足跡は、すぐに打ち寄せる波にかき消されてしまう。
今、彼女を探すために、何人かの男が探索を試みていたが
このように痕跡を消されてしまっていては、見つかるものも見つけられないだろう。
もっとも、彼女はそこまで考えて行動しているわけではないのだが……

「はぁ……」

グェスはため息をついて、水平線を眺めた。
政府官邸に書き置きを残して、もう3時間は経つ
徐倫を探すと息巻いて飛び出したはいいものの、特にあてがあるわけではない。
ただ、何となくフラフラと海の近くを歩いているだけなのだ。
それとも、自分は船でも通りかかってくれるのではないかと、心のどこかで期待でもしていたのだろうか?
だが、徐倫は見つからず、船の一隻も通りかかる気配もない。
水平線の向こうには小さな島が見えたが、さすがにあそこまで泳いで行く元気は無い。
グェスはぺたんと砂浜に座り込む、波が爪先を濡らすが、彼女がそれを気にする余裕は無かった。

(やっぱりダメだ、あたし。花京院にも「警察が助けてくれる」なんて甘い事は考えるな、って言われてたのに)

がっくりと肩を落とすグェスの肩で、奇妙な鳴き声を上げる生物がいた。
身長15pぐらいの彼女のスタンド「グーグー・ドールズ」である。
一人で歩くのはさすがに心細かったので、出現させていたのだ。

「なぐさめてくれてるの?」

手のひらに乗せてやると、小さなスタンドはそうだと肯定するように数回鳴き声を上げた。
グェスはその様子に顔を和ませると、指の腹でスタンドの頭を撫でてやる。

「よーしよしよしよしよしよしよしよし、ご主人の気持ちがわかるお前は良い子でちゅね〜
 それにくらべて、あたしは何をやってんだろうね……」

ねー?とスタンドに意見を求めたが、返答は無い。
可愛らしく首をかしげられただけである。

(今からでも遅くないから花京院達の所へ帰った方がいいのかな……いや、やっぱりだめだ
 あんな事した後に、どのツラ下げて戻れるんだよ…………)

グェスは足にこびり付いた砂を払うと立ち上がる、あては無いがこのまま歩き続けるしかないのだろう
この先に徐倫がいるという保証は無いが、ここで一人グダグダしているよりは遥かにマシである。

そう考えた矢先だった、自分の肩に乗っていた「グーグー・ドールズ」が突如、大きな鳴き声を発したのだ。
グェスはあわててスタンドの口(?)を押さえた、この声を聞きつけて他の参加者がやってきてはマズイ
花京院やジョリーンのような参加者ならいいが、ヴァニラのような奴には来て欲しくない。

だが、それは杞憂に終わったようだ。
しばらくじっとしていたが、誰かが声を聞きつけてやってくるような気配はない。
グェスはほっと一息つくと、スタンドを押さえる手を離す。
一体、何に反応したのだろうか、辺りをぐるっと見回してみる。
青い空、白い砂浜、エメラルドブルーの海、日の光に照らされてキラキラと光る水面―――
「殺し合い」という状況でなければ、のんびりバカンスでも楽しみたいような素晴らしい風景だ。
だが、そこに一つだけ場違いな物があった。

35 :ゲルツェンの首 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/31(月) 16:33:14 ID:xb9KsPzW
(あれって、煙だよな?)

自分の前方に、細長い煙が幾筋も立ち上がっているのが見える、今にも消えてしまいそうな薄い色の煙である。
あれは何かが燃えた時に出る種類の煙である、「グーグー・ドールズ」が鳴かなかったら、気付かなかったかもしれない。
手の中のスタンドに「何か見つけても、もう大きな声はだしちゃダメだからな」と言っておく
スタンドは不服そうにしているが、いいつけをやぶる気はなさそうである。

グェスは再び肩に「グーグー・ドールズ」を乗せると、煙に視点を定めたまま歩き出す。
煙が上がっているという事は、言うまでもなく、あそこで何かが行われていたのだ。
戦闘なのか、ただの狼煙なのかはわからなかったが、とにかく自分はあそこに向かうべきなのだろう
あてが無いのは、今の自分が情報不足だからである、びびって行動を起こさないままなら
ジョリーンの情報はおろか、生き残る術さえも見つけられないだろう。
これは、今までの彼女なら考えられない事である、花京院との邂逅が彼女の精神にいくばくかの覚悟を決めさせたのか。

求めよ、さらば与えられん。
たずねよ、さらば見出されん。
門を叩け、さらば開かれん。
すべて求むるものは得たずねぬる者は見出し、
門をたたく者は開かるるなり

聖書の一文を思い出しながら、グェスは歩く。
そのまま歩き続けそして、川の河口らしき場所にたどり着いたグェスは、地図をガサガサと広げた。

「河口があって、政府官邸からずっと海岸沿いに歩いて来たから……
 ここは、G−8かな?だとすると対岸の煙は果樹園が燃えてるってことかな」

もう一度地図に目を落とす、西に向かえば橋があるようだが、時間が惜しい
ここは、このまま突っ切った方が早そうである。幸いにも河口であるため、川の深さはそれほどでもない。
そうと決まれば、とグェスはブーツを脱ぐとズボンを捲りあげ、ざぶざぶと川の中へと入って行った。

「うぉッ、思ったより冷たいし」

ちなみに、彼女が行くのを諦めた西の橋には、夢のチケットを片手に男が嘆いていたのだが、それは置いておこう。
彼女が向こう岸にたどり着いた時には、もう10時を少し過ぎるころだった。
思えば、政府官邸を出てからずっと歩きづめである、少し疲れたかもしれない。
グェスはブーツを履き直すと、さらに奥へと進んでいく。
「果樹園」と書かれていただけあって、周りの木々は背の低い低木しかない
ちょうど、自分の顔の位置に葉っぱがくるので、顔を遮られる形になる。
そして、顔に邪魔な葉をかき分けて、眼前に広がった光景にグェスは愕然とした。

至る所に地面に落ちたプラムの実に、赤黒いねばっとした物がへばり付いている
それが何なのかはあまり考えたくなかったが、目に飛び込んでくる物達がその正体を突き付けてくる。
体を横に切り裂かれた壮年の男の死体、頭をかちわられた少年の死体、腹部を貫かれた死体、馬の死体
死体、死体、死体、死体………………。
顔が確認できる死体だけでも、このあり様なのだ、下手をすれば3人以上の人間が死んでいる可能性があった。

「うっ…………」

喉の奥から酸っぱいも物がこみ上げてくる、おもわず口元を押さえてグェスは後ずさった。
この様な死体を間近で見せられると、自分が殺し合いに参加している事を否応なしに自覚させられてしまう。
吐き気を必死で堪えながら、震える脚を叱咤してグェスは死体を調べるために近づく。
ここで逃げ出してしまったら、何のためにやって来たのかわからない。

36 :ゲルツェンの首 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/31(月) 16:35:02 ID:xb9KsPzW
死体は、バターを切ったような滑らかな傷口をさらしている
どんな鋭利な刃物を使えば、このように出来るのかは彼女には見当もつかなかった。
次は血だ、傷口はもう乾いており、地面に黒い染みを作っている。
それは彼等が死亡してから、かなり時間が経っているということだ。
ということは、彼等を殺した犯人もだいぶ前に立ち去っているという事になる。
そこまで考えると、少しだけ気分が落ち着いた。
気を取り直して、彼等の遺留品を調べてみる、だが

「無いなぁ……、この人達を殺した犯人が持っていったのかな?」

バッグの中には、何も無く
ここにある支給品は、地面に転がっている無駄にでかい氷だけのようだ。
馬とかも案外、支給品だったりしたのかもしれない。
どうやらここには、ジョリーンに繋がるヒントも、脱出の手段も見受けられないようだ。
ここまでやってきたのに、無駄足だったのか、と脱力するグェスの服をひっぱる存在がいた。
「グーグー・ドールズ」だ、何かを見つけても、大きな声は出さないという約束はきちんと守ってるらしい。
スタンドは手に何かを持っている、何か面白い物を見つけてきたのでご主人様に褒めて欲しいようだ。
グェスはスタンドが持つ何かを受け取る、かなりボロボロに壊れていたが。

「アタシの首についてるのと同じ、首輪!?」

首に手をあてる、指に感じる冷たい感触と、自分の手の中の材質は一緒のようだ。
グェスが、まじまじとボロボロの首輪から飛びだした電線など見つめていると
「グーグー・ドールズ」が、まだ何かあるとでも言いたげに死体の傍を走り回っていた。
その様子を見たグェスは、何をしているのかと一瞬言いかけたが

「あ」

死体にはめられたままの無傷の首輪を見て、ある事に思い至った。

*    *     *

「首輪、ゲットだぜ!」

次の瞬間、4つの首輪を手にガッツポーズを取るグェスの姿が!

どうしてこうなったのかは、賢明な方ならすぐにお気づきだろう。
彼女は自分のスタンド「グーグー・ドールズ」に命じて、死体だけを小さくしたのだ
そして、小さくなった死体から、大きいままの首輪を抜き取ればよいのである。
かくして「バトルロワイヤル」に置ける重要行動「自分以外の首輪を手に入れる」を、彼女は難なく達成したのであった。

4つの首輪を手に入れたグェスは、自分の背後に並べられた死体達に十字を切る。
このまま放っておくのはさすがに可哀想だったので、小さくした時ここの民家の裏まで持ってきたのだ。
日陰に置いておけば、腐るのも遅れるだろうし、もし彼等の関係者があらわれても大丈夫だろう。
グェスは犠牲者達に短く黙祷を捧げると、首輪を持ったまま民家に入る。

そして、首輪を机の上に置いくと、グェスは「よしっ!」と気合を入れた。
これから何をすべきなのか決まったのである、脱出するにしても、主催者と対立するにしてもネックになるこの首輪。
もし、首輪の解除方法を掴めれば、ジョリーンと交渉する際にも有利に働くだろうし
他の参加者達も、自分の事をむやみに傷つけようとはしないだろう。
それに……とグェスは思う、これで他の参加者を助けることが出来れば、花京院だって自分の事を見直してくれるかもしれない。
首輪は4つもあるのだ、どれか一つを実験に使っても十分におつりがくる量である

37 :ゲルツェンの首 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/31(月) 16:38:00 ID:xb9KsPzW
グェスは、首輪の横に解体に使えそうな道具を並べてゆく
小さな鋏、ピンセット、ペンチ、ドライバー、ハンマー、これらは全て、近くの民家から拝借してきた。
調べるのは、「グーグー・ドールズ」が最初に持ってきた、一番破損が激しい首輪だ
内部が露出しているこれなら、簡単に中身を取り出すことが出来るからだ。
ハンマーはいらなかったかも、と考えながら、グェスはピンセットを巧みに使い中身を取り出していく。
元々、手先は器用な方である、このくらいどうという事はない
ちなみに彼女の手先がどのくらい器用かというと、鼠の死骸をチャック付き着ぐるみに作り替えるほどの腕前である。
机の上に全て中身を出し終わると、グェスはほっと溜息をついた。
解体する前に、首輪に石を投げつけてみたりして、多少の衝撃なら爆発しないことは確認ずみであるが、怖いものは怖い。

机の上に並べられたのは、配線(これとは別に、長い配線が首輪の内側から飛び出すように伸びている、先には
何か付いているが、何なのかは不明)、基盤(むやみに取り外そうとすると、爆発するようにするための命令を出す?)
ちいさな機械(これも謎)、小さなランプ(生死を示す物だろうか、グェスの首輪はランプが点いているが
机に並んだ首輪達のランプは消えている)、そして問題は首輪の中身の大半をしめていた……

「粘土?じゃないよな、どう考えても」

薄いベージュ色の粘土の様な物体、配線や基盤も大半がこの中に埋まっていたのである。
手に取るとアーモンドのような匂いがする、マジパンの様にも見えるが
荒木が「爆発する」と言っていたのだから、これが爆弾なのだろうか?
そう言えば、女囚仲間の一人が「ねぇ、知ってたぁ?C−4(プラスチック爆弾)ってさぁ、いい匂いするし、甘いから
ベトナム戦争の時に食べちゃう人けっこーいたんだって〜、食べすぎたら中毒起こすらしけどさァ〜!」
と言っていたのを思い出した、目の前のコレはその特徴と一致する。
なるほど、プラスチック爆弾なら石を投げようが、解体しようが爆発しないわけである。
プラスッチク爆弾はそれ単体なら、火気や衝撃を加えても爆発しない、信管があって初めて爆弾となるのである。
という事は、これの他にまだ信管があるはずなのだが。グェスは再びプラスチック爆弾をほじくり返す。

「あった!当然だけど、起動はしてないみたいだな」

装着している本人が死ねば、信管に電気信号を送らなくなるのだろう、グェスはふむふむと頷くと
信管に繋がった配線をニッパーで切り落とす、これで何が起ころうが爆発する危険性は無くなった。
次は、この基盤と小さな機械だが。

「う〜ん、これはアタシにはどうしよーも出来ないな、誰か機械に詳しい奴に見せたらわかるのかも」

これはパス、基盤と小さな機械は配線ごとタクシーやランプが入っていた白い紙に包んでおく。
誰かに見せれば、何かわかるかもしれない。

「さて、あんまし気が進まないけど、やっとかなきゃなんねぇんだろな〜」

グェスは切り離した信管と、プラスチック爆弾を見ながら呟く。
彼女が今からやろうとしているのは、このプラスチック爆弾の火力測定である。
どのくらいの規模で爆発するのかわかれば、今後の対処にも変化が出るだろう。
いったんは爆発させなくてはならないわけで、大きな音と光がでるのは目に見えている、他の参加者を呼び寄せる危険があった。
だが、ここは地図のほぼ端である、参加者が通りかかる危険は低く、今の機会を逃せばチャンスは二度とこないだろう
第一、生きている人間の首輪で実験するわけにはいかないのだ。

念のために、ここよりさらに西に移動し、海岸にプラスチック爆弾を設置する。
水辺なら煙が出てもすぐに消せるし、砂地なら爆発しても音を吸収するだろうと踏んだからだ。
そして今、グェスは爆弾から伸びる配線の端と端を持って座っている、当然、爆弾から20mは離れた位置でだ。

「とりあえず、信管は起動するようにしてみたけど、上手くいくかなぁ
 ………………テレビドラマで見た知識だけで作っちゃたし」

38 :ゲルツェンの首 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/31(月) 16:45:08 ID:xb9KsPzW
この配線同士をくっつければ作動するようにしているのだが、上手く爆発させる自信がない。
いくら手先が器用だからといって、爆破工作の知識までは持っていない
この装置も、テレビドラマで見た様子を、見よう見真似で制作したものなのだ。
これが、プラスチック爆弾でなかったらお手上げだっただろう、爆弾から配線を長く伸ばした姿は様になっているが?

「ええい!もうどうにでもなーれッ!発破!!」

グェスは目をつぶり、配線同士をくっつける、そして次の瞬間!

ガ ッ ! ボ ン ッ ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! !

―――擬音語だけでは訳がわからないので、説明しよう。
まず最初に青い閃光が燦然と瞬いた、それが「ガッ」。
そしてその後、爆風が砂を空高く打ち上げた、それが「ボンッ」。
どのくらい高く吹き上がったかというと「!」の多さから察していただきたい
より具体的に言うと、戦隊物の決めポーズの時にでる煙くらい凄い物だった。

「………………………………。」

絶句するグェスに、爆風であおられた砂がぱらぱらと落ちてくる。
とりあえず、爆心地に行き、煙を消すために海水を掛けておく。
爆発した所には、綺麗なクレーターが出来上がっていた。
半分だけ爆発させたのに、この有り様である。もし、生きた人間の首輪が爆発すれば、どんな惨事になるのか。
グェスの背中を、冷たい物が滑り落ちる。

クレーターの傍でグェスは立ち尽くす、あいかわらず潮騒はざわめき、海は美しい。
だが、自分の後ろの民家では、誰だかわからない死体が3つ眠っている。
それを考えてしまうと、何だかやるせない気持ちになってくるのはなぜだろう
花京院に憐れまれるような視線を、受けた時に感じた気持ちにもよく似ている。
これが、罪悪感という物なのだろうか?

グェスは手に持った、三つの首輪をぎゅっと握りしめた。

【I-9/海岸/第二回放送前】

【グェス】
【時間軸】:脱獄に失敗し徐倫にボコられた後
【状態】:精神消耗(大)、花京院に屈折した思い(嫌われたくない/認めて欲しい)、罪悪感、自分が悪いと認めた
【装備】:
【道具】:支給品一式(地図・名簿が濡れている) 、水は川で補給、首輪×4(無傷3個、大破1個)
     基盤、配線、謎の機械をエニグマの紙に包んだ物、プラスチック爆弾2分の1
【思考・状況】基本行動方針:他に知り合いもいないので、会うのはちょっと怖いがジョリーンを探し
              彼女が脱出を目指しているならそれを手伝う。
0.火力やばくね・・・?
1.死にたくない
2.自分は腐れゲス野郎だけど、今よりましな人間になりたい。
3.ジョリーンに会って、脱出を目指すなら手伝いたい。
4.花京院にはマシな人間になれるまで、会いたくない。
5.首輪を解除する方法を探す

39 :ゲルツェンの首 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/31(月) 16:47:52 ID:xb9KsPzW
【備考】
※グェスは、エルメェスや他の刑務所関係者は顔見知り程度だと思っています。
※空条承太郎が空条徐倫の父親であると知りました
※花京院と情報交換をしました。
※花京院に自分ははめられて刑務所に入れられた、と嘘をついています。 →嘘だったと告白しました。
※フーゴが花京院に話した話一部始終を聞きました。
※グェスが出て行ったのはフーゴと花京院が会話を始めてから約1時間後、博士登場の約1時間前です。
 花京院達が公邸を出るころにはグェスが立ち去ってから2時間強経っています。

首輪について
※グェスが持ってる首輪は、ウィル・A・ツェペリ、ンドゥール、広瀬康一、ワムウの物です。
 (現在、ワムウの首環は大破していますが、頭につながる第二の爆弾は配線ごとくっついたままです。
  そして、雷管、爆弾の半分が無い状態です。)
※グェスは、首輪が付けていた本人が死亡すれば、何をしても爆発しないという事と、首輪の火力を知りました。
※首輪についている爆薬は、人一人を余裕で爆死させられる量みたいです。
 グェスは「もし、誰かの首輪が爆発したら周りの人間も危険な火力」と判断しました。
 ただし、首輪から取り出して爆破したからこの火力なのか
 ワムウの首輪だからこの火力なのかは不明です。
※謎の機械はおそらく盗聴器だと思われますが、グェスは気づいていません

※ウィル・A・ツェペリ、ンドゥール、広瀬康一の死体がI−8の民家裏に移動しました。
引用は新約聖書マタイ伝二十六章六十四節より



以上です。指摘、感想をお待ちしています。

40 :創る名無しに見る名無し:2009/08/31(月) 17:49:11 ID:Gx9AIkjR
投下乙

指摘ですが、現在◆zQyD4guRRA氏が仮投下中の作品では『手榴弾でも首輪には傷一つつけられない』とあります
一応仮投下の作品ですが、数日経ってもこの部分への指摘が来ないので◆zQyD4guRRA氏の作品の描写を優先させるべきかと

それと爆薬の量に関してですが、氏の仰せられるようにワムウの首輪のみに威力の高い爆薬が仕掛けられていたとしても
ならば何故頭に保険をかけているにも関わらず人一人を優に爆殺できる量を首輪に仕込むのかが分かりません
しかし、他の参加者にも同じだけの量が入っていると考えればOPで示された威力と明らかに矛盾します

どうか回答のほうよろしくお願いします

41 : ◆zQyD4guRRA :2009/08/31(月) 20:34:12 ID:sLOwvcRS
>>39
投下乙です。

>>40
私が先日仮投下を行ったSS内の描写について説明します。

私は、ルールに記載されている『四つの条件』に触れない限り、首輪の起爆は絶対に起こらない、と考えていました。
このバトルロワイヤルでは無数の超能力者が集められ、戦闘を強要されています。
戦闘による多少の外部衝撃で表面が破損してしまうような強度の首輪では、荒木が望まない「事故」が発生する危険がありますので、
『首輪は手榴弾の炸裂程度では傷一つ付かない』と解釈し、そうSS内に記述しました。

今回、首輪の設定について独断で踏み込み過ぎた点がありました。反省しています。
本投下の際には、ブチャラティ達が発見した首輪の様子についての描写を削ります。

首輪の強度等の詳細設定について、一度議論を行う必要があるのかもしれません。

42 :創る名無しに見る名無し:2009/08/31(月) 21:07:09 ID:pDAebDE/
投下乙です!
感想はちょっと待っててくださいね

>>41
修正は必要ないかと
今までも何人かが首輪関連の描写をしましたし
強度に関しては44話などで頑丈さが間接的に示されてますから、改めて明言してくれた方が助かりますw

それに、首輪に踏み込みすぎたと氏が修正されてしまうと今回の作品はどうなんだって話になりますから

43 :創る名無しに見る名無し:2009/08/31(月) 23:17:49 ID:y0oHkxFu
投下乙っていう世界だ!!

グェス可愛いよグェス
そしてオインゴとは壮絶な入れ違いwwww

首輪は議論スレで話し合った方がいいんじゃない?
両者共、修正をかけるのはそれからでも遅くないはず

ちょっと気になったのは、オープニングでママを殺した方法って
首輪の爆破なのか、スタンドで殺したのか、分からないようにぼかされてなかっけ?
一概に首輪の爆破と決めつけないほうがいいと思う。


44 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 00:04:55 ID:z3S6oFeV
火力やばくね・・・?

45 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 00:10:22 ID:d4iSA3Bi
>>43
28話「過去が来る!」にて
>(あの謎の広間で突然起こった爆発。その閃光で見えたスージーQの顔。見間違いと思いたかったわい…)
という記述が、

37話「HERO」にて
>……荒木飛呂彦…首が爆発した女性………殺し合いのゲーム……
って記述がありましたよ。
探せばまだあるかもしれないけど。

首輪によるものとは言いきってないけど、荒木のスタンド能力と考えるには難しいものがある気がする

46 :45:2009/09/01(火) 13:21:14 ID:d4iSA3Bi
言い忘れてた、投下乙です

個人的には、破損しているにもかかわらず首輪が爆破しないのはどうなのかなと思いました
ルールには、首輪を無理やり取り外そうとしたとき首輪が爆発するとありますし、
破損はしても首輪が爆発しないようなら無理やりはずせてしまうんじゃないか、と。
「死亡したのち、首輪が破損した」というのなら別ですが、「THE NOBES」を見る限りそうではなさそうなので

47 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 18:46:36 ID:z3S6oFeV
首輪の表面が壊れただけでは爆発しないんじゃない?
内部のどこか一箇所でもイジれば爆発するとか?

…ヒビ割れてた程度とかもアリ?

48 : ◆bAvEh6dTC. :2009/09/01(火) 21:53:30 ID:d9RijLzy
指摘ありがとうございます。
以下修正です。
・「大破」という表現を、「金属部分の一部が割れ、内部が見えている」
 というものに差し替えます。
・グェスが火力測定を行う理由を追加
 「OPで女性を殺した方法がスタンドなのか、首輪の爆発なのかよく見えなかったから。」

次、首輪です
・私は、首輪の強度を爆弾などの物理攻撃なら壊れないが
 スタンド攻撃なら、ダメージを与えられると考えてこの話を書きました。
 (ハーミットパープルを首輪に潜航できる、前回のロワもキッスでダメージを与えてたので)
・「THENOBES」に
 「サンドマンは木を駆け上がり、沢山の音のオブジェをワムウの頭上に降らせた。
  目視という尺度では測れないほど、目にも写しきれぬほどの量。
  衝撃音、粉砕音、切削音、掘削音、燃焼音、破壊音。
  波紋で傷ついていたワムウの体が粉々になりながら塵と化し消えていく。」
 とあったので、「死体状態になりながらの首輪破損」が行われたと判断しました。
・火薬の量についてですが、83話「Safest place to hide」で
 カーズが自分の頭を切り開いて、爆弾の有無をチェックするシーンがあったので
 柱の男達には、このくらいの火力の首輪をつけておかないと
 解体される危険性があると感じたからです。
 FFなど、首から上を爆破したくらいでは死にそうにもない参加者もいるので
 カーズが見つけた第二の爆弾などもありますし
 参加者ごとに、首輪の種類が違っててもいいと考えた上の執筆でした。




49 : ◆0ZaALZil.A :2009/09/01(火) 22:04:42 ID:d4iSA3Bi
修正するなら、ひび割れた首輪に穴を開けて解析した、とかですかね?

あとすいません、首輪に関連して、「愛・戦士たち」にて、
>ダイバー・ダウンを首輪に潜行させた際確認したのは『機能の停止』のみで、盗聴機能、GPS機能が搭載されていることは知りません。
と書いてしまいましたが、荒木は首輪をつけた参加者の居場所を特定できるとルールに書いてあっても、
GPSに限定してはいませんでした。
私のSSで本編中の描写なく備考欄だけで勝手に決定したかのように書いてしまいましたし……この部分を修正すべきでしょうか?

50 : ◆0ZaALZil.A :2009/09/01(火) 22:21:53 ID:d4iSA3Bi
おっとリロードし忘れてしまいました、失礼

>>48
>ハーミットパープルを首輪に潜航できる
ハーミットパープルでやったのは「潜行」じゃなくて「念写」じゃないですか?
>紫色のイバラを右手から発現させ、自分の首輪へと巻き付ける。
とのことですし、潜行はしてないのではないのでしょうか

>カーズが自分の頭を切り開いて、爆弾の有無をチェックするシーンがあったので
>柱の男達には、このくらいの火力の首輪をつけておかないと
>解体される危険性があると感じたからです。

解体難度と爆弾の火力にどのような関連性があるのでしょうか? 仕組みそのものが違うのならともかく

51 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 22:24:21 ID:2+6D0j2h
ひとまず議論スレ行ったほうがいいかもね

52 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 22:49:17 ID:d4iSA3Bi
書きこんでおきました。以後の意見は向こうにお願いします。
そして、◆33DEIZ1cds氏のSSにも期待させていただこうッ!

53 : ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:00:54 ID:x7qy5U1o
◆bAvEh6dTC.さん乙でした。
そして期待に感謝。

虹村億泰、エシディシ、チョコラータ、ホルマジオ、空条徐倫投下します。

54 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 23:04:43 ID:+hfdeR+N
支援すると思ったなら!
スデに行動は終わっている!

先っちょからケツまでとことんやるぜ…

55 :the Tell-Tale Heartl ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:06:52 ID:x7qy5U1o
ああ…すばらしいッ!今までのどんな記録よりもすばらしい!百万倍もすばらしい!!
こいつの表情はどうだ!絶望を絵に描いて額に入れたかのような完成度だッ!
全気力を使い尽くして、粘って粘って這いずり回りながらも希望を捨てず、目的を成そうとしたところに…最後の最後で、俺がすべてを台無しにしてやったッ!!

もう何度このシーンで一時停止ボタンを押したかわからない。
傷の具合を確かめた俺は、楽しい映画鑑賞を行っている。
アバッキオの最後の表情を目に焼き付けるため、ゆったりと椅子に腰をかけて。
最も、目の前に本人がいるのだが。
だが奴はもう物言わぬ死体だ。何の興味も持てない。
この録画を何時間でも眺めていたい。

このゲームには心底感謝しよう…通常の生活ではいくらなんでもこんなものは手に入らなかったろうからな。
ああ、もしかしたらまだまだこれ以上の傑作を生みだす事が出来るかもしれないッ!
もうしばらく休憩した方がよいのだろうが、好奇心が疼いて居ても立っても居られない。
俺が休んでいる間に、色々なチャンスが過ぎ去ってしまうかもしれないじゃあないか…?
あっさりと殺されてしまうなんてもったいない。
一人でも多くと接触し、恐怖し、苦しみ、失意に暮れながら絶命していく様をビデオに収めたい…!!
不思議とあまり疲れを感じないのも、このアバッキオの表情のおかげだな。

俺は次なる行動に向けて思考を展開する。
コロッセオには人がいそうだが、目立つ建物に集まるのは考えの浅い素人か…。
そいつらを狩るつもりで潜んでいるような血の気の多い連中、といったところかな?
なに、心配はない。素材は十分すぎるほど芳醇だ。
このまま西に移動するとしよう。
すぐに移動するため、簡単に荷物をまとめる。
それにしても荷物が多い。いらないものも入っている様だが、今はそのままにしておこう。
早く移動を開始しなければ。

まだビデオを見ていたい気もするが、とにかく良い機会を逃してしまうのは我慢ならない。
俺は地図を広げ、具体的に進行方向を把握する。
それから荷物を持って部屋を出た。
アバッキオの死骸に一瞥をくれてやるのを忘れずに。

56 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:08:54 ID:x7qy5U1o
民家から出た俺は、そのまま真っ直ぐ西に向かう。
しばらく歩くと、また面白いものを見つけてしまった。
生首を抱えた女が倒れている。…面白いシチュエーションに俺は興味がわいた。
観察しようと近づいていく。

良く見ればこの女は空条徐倫…戦闘でもあったのだろうか。
俺は辺りを見渡す。
周囲の損壊具合から、中々に激しい戦闘だったことが伺える。
今のところは周りには誰もいないようだ。
それにしても、こんな短時間のうちに再度遭遇するとは奇遇だな。
ま、麗しいお嬢さんはお休み中のようだが。

しかし、何ともおかしな状況だな。見る限りすぐには起きそうにない。
……どうする?このまま殺すか?

とんでもない。

なんの反応も見せない相手を殺して何が楽しい?
絶望に歪む顔をたっぷりと堪能し、墜として堕として墜とし尽くし、さらにそこにちょっとだけ希望を与えてからまたドン底に叩き落とすのがいいのだ。
それにこいつにはまだアバッキオ達の死に様を見てもらわなくては。
また会うまで生きていてくれると非常にいい。
もっとも、今の状態で他人に見つかったらまず命はないだろうがな。
いやあ、後々に残せる楽しみというのもいいものだ…俺の楽しみがまた増えるぞッ!可能性は一つでも多い方がよいのだ。

とりあえず今は生首抱えてぶっ倒れてる様でも収めて置こうと、俺はハンディカムを構えた。
アハハハハハッ!まったくひどい有様だッ。再会したならおまけでこいつも見せてやろう……。
改めて自分でこの姿を見たとき、果たして冷静でいられるかなあ〜?
クックックッ……。ハッハッハッハッハッハッハッ……。アーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!

57 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 23:09:17 ID:+hfdeR+N
支援

58 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:11:49 ID:x7qy5U1o



サウンドマンと別れ、固い決意と共にコロッセオ方面へと孤独な行軍を開始した虹村億泰は、ひたすらに歩き続けていた。
道の途中、長く歩いたせいでかいてしまった汗を拭こうと、デイパックの中に腕だけ突っ込む。使えるものはなかったかと乱雑に探った。
すると、手のひらに布の感触を得た。
何も考えず気引っ張りだし、そのまま首元へ持っていくと汗を拭う。が、何かタオルやハンカチなどの感触と違う。妙につるつるしている。
不思議に思い、眼の高さに布をあげてよくよく見てみると……

それは、女性用下着だった。

「な゛ァッ!!」
狼狽し、思わず取り落とす。

「ンだこりゃァ!こんなもん俺のバッグには入って無かったぞ!ってか、入ってる物が最初に確認した時と違う!?
サウンドマンのと間違ったのか!?それとも…承太郎さんか!?
どっちかの趣味だったらどうしよう、俺…。気持ちわりぃ〜!絶対ェ触りたくないッ。」

腕をあげた状態で固まっていた億泰は、ひとまずバッグを持ちなおそうとあげていた利き腕を下ろしかけた。

その瞬間、おぞましい変異が彼の腕を襲った。
腕から胞子状の物質が突如噴き出したのだ。

「ッ?!なんだ!?パンツ触っちゃったから……?なわけねぇ!この異常さは間違いなく、スタンド攻撃ッ!」

自らのスタンドを発現させ、辺りをうかがう。
こんな不気味なスタンドが存在することに物怖じしつつ、足りない、と本人も自覚している頭で必死に考える。

(近距離パワー型は射程距離的に可能性が低いな…これはどんなタイプのスタンドだ…?中距離型か?遠距離操作型か?)

その間もカビはぐずぐずと腕を浸食している。
ザ・ハンドで削ることのできる部分は削ってみたが、繁殖が異常なスピードで進行していてあまり意味がないようだ。
意を決し、表面からなるべく浅く自分の皮膚ごとほんの少しだけ削ってみると、カビは一端は駆除できるが、また新たに沸き出てくる。
何よりも腕を包み込むように発生しているので、全体を隈なく削り取ることなどできない。

(くそ!落ち着け、俺!なんにせよ参加者を殺す気の奴が襲った相手の生死を確認出来ないほど遠くに居るとは思えねえ…。
少なくとも、大声を出せば届く範囲にはいるはずッ)

このスタンドの正体は「グリーン・ディ」。
あらゆる生物を朽ち果てさせる『食人カビ』を撒き散らす能力。
そして”下へ行くと発生する”というスタンドの発動条件を億泰が理解できない今、削る、生える、また削る…のイタチごっこを続けるより他、成す術がなかった。

「ってぇ…まさか自分のスタンドで自分の皮膚を削ることになるとはな…でもあんま意味ねえみたいだしよぉ〜。
しかしグロいぜ…くそ!おい!誰か居やがるな?!出てきやがれ!」

視線を上下左右に彷徨わせていると、先刻までの進行方向とは逆の位置から男が一人ゆっくりと姿を現した。
距離にすれば10メートル程向こうだろうか?
男はハンディカムを構えた場にそぐわぬ装備で億泰と対峙した。
顔に浮かぶ表情からは悪意が読み取れる。

億泰は相手が呼びかけにあっさり応じたことに驚く。
が、裏を返せばそいつには姿を見せてもかまわないという自信があるからだ。
さらに警戒を強める。

59 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:13:31 ID:x7qy5U1o
(なんだぁ?こいつの能力がカビを生やす能力だけだとしたら、少なくとも相手を瞬殺できる能力じゃあねぇ…。
なのに奴はあっさり姿を現した。なんか他の能力があるか、拳銃でも持ってんのか?まあおれのザ・ハンドにそんなもんは利かねえがなァ…。)

当然、チョコラータは億泰の能力など知らない。
チョコラータが姿を現した理由など、常人に理解できようはずがないのだ。
彼の一番の行動目的は『絶望した人間の表情をビデオに収める』。
その為に渡る危険な橋など、彼には物の数ではないのだ。
最も、自分の快楽に沸き、全く周りが見えなくなってしまうような愚拙な人間では決してない。
近距離パワー型ならば射程外となる10メートルほどの距離を保つ。
最低限できる防衛手段を講じた上で姿を現したのだ。

そして、何よりも頼もしい自分のスタンドが、先制攻撃を成している。
後に残っているのは素晴らしい”趣味”の為の土台を作る、という楽しい作業だけだ。

「てめぇが本体か!?素直に姿を見せるとはいい度きょ「1968年…」
「あ?」億泰は、突如相手の口からこぼれだした数字の意味がわからず、意表を突かれて思わず聞き返した。

「…10才の少女が4才の男の子と3才の男の子を殺した…殺人が発覚していよいよ断罪されるというときに、彼女は何て言ったと思う?
『殺人は悪くない。人はみんないずれ死ぬのだから』
…実にシンプルですばらしい思想だ。
彼女の将来の夢は看護婦だった。注射の時に人に針をさせるから、という理由だそうだ。」

億泰がこれまで生きてきた人生は平々凡々とは言い難いが、それでも彼自身ある程度のモラルと強い信念を持ち、最近は信頼できる友人たちと楽しく過ごしてきた。
しかし、目の前の男から発せられる言葉の羅列は、億泰には意味がよくわからなかった。
男はにやにや笑いをそのままに、さらに語りかけてくる。
どうやらハンディカムで億康を撮影しているようだ。

「俺と非常によく似ている。俺も苦痛にもがきのたうちまわる人間の表情を見たくて医者になったからなァ……。
…ところで、悠長に俺の話を聞いていていいのか、虹村憶泰?腕が落ちるぞ…そら!フハハハッ。」


気味が悪い。とにかく気味が悪いのだ。
この男の表情も、話の内容も、腕から這いずり上がってくるカビの群れも。
奇妙な自己紹介に憤るよりも、目の前の男から発せられる雰囲気や、男が楽しそうに語ってくる話が不快だった。
話の内容もろくに理解できない億泰だったが、嫌悪感だけは募ってゆく。
今の状況に対処しようと焦れば焦るほど、彼は冷静さを失っていった。

(どう考えても『乗っている』…反撃しなきゃならねえ…!だが、この反吐を吐きそうな気分…あいつだ。このおっさんはあいつに似ているんだ。)
思い出したくもないどくろ柄のネクタイが記憶の隅でちらつきだす。

(俺はまた、この手の人間と関わらなきゃあいけねえのか…?うんざりなんだぜ、いいかげん…)
『殺人鬼吉良吉影』
こいつの見た目が吉良に似ているわけではない。
サラリーマンのような雰囲気も皆無だし、何より日本人ですらないようだ。
だが目の前の男から発散される空気がなんとなく吉良に似ている。
こいつもおそらく空気を吸うように当然のこととして、人を殺してきたのだろう。

こんな状況のせいかその雰囲気に触発され、嫌な事柄ばかりが脳裏によみがえってくる。
父親の哀れな姿、兄の死、ここに来てからの仗助と重ちー、康一の死……。
初対面の人間がなぜ自分の名前を知っているのか、という疑問すら浮かばなかった。

60 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 23:15:55 ID:d4iSA3Bi
支援

61 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:16:54 ID:x7qy5U1o
とにかく何か言い返してやりたくてたまらなかった。
相手の能力が不明であるにも拘らず、憶泰は悪態をつきながら接近を開始してしまった。

「クソ野郎、んなこたぁわかってんだよ!!お望み通り食らわせてやるぜぇ!」
右腕が依然浸食される中、男に手っ取り早く一発食らわせてやろうと、億泰は走り寄りながら自分の右手を振りかぶり、斜めに振って下ろす。
彼の背後に控えるスタンド、ザ・ハンドも同じ動きを模した。
空間を削って一気に相手との距離を縮める為だ。

が、どうしたことだろうか?
空間を削り取ることができない。

「何ィー!?ま、まさか!カビのせいか!」
突然の事態に立ち止まり、狼狽しつつもスタンドをよく見る。
すると、カビが覆い尽くしている本体右手のダメージはスタンドにも正確にフィードバックされていた。
グリーン・ディ発動から少々時間がたち、腕のダメージも進行している。
スタンドのビジョンも腕表面がボロボロとこぼれるように欠け、かなり危険であることが明瞭だった。
カビに覆われて見えないが、腕が崩れかけている。あと何秒かすれば完全に胴体から剥離してしまいそうだ。
これ以上、このカビどもに上に上って来られたら…!億泰の動悸がさらに早まる。

「…彼女と俺に共通している点が何か分かるかァー?それは好奇心だ…。
人間は好奇心があるからここまで進化してきたッ。彼女も俺も一歩先へ進むことのできる人間なのだ……。そして、貴様はここで朽ち果てる人間だ…。」

「くそったれが!勝手に決めんじゃねえ!!意味わかんねえことばっかくっちゃべりやがって…!」

スタンド能力を発動させることが叶わず、窮地に陥ってしまった。
億泰は決断した。
今は逃げるしかない、と。

「…だが今上に振りかぶった瞬間、うじゃうじゃ増えて続けてたこいつらの動きが止まったのは見えた!上へ上げれば止まるってことか?」

もう一度腕を振り上げる。チョコラータのスタンド能力から生み出されたカビは発生条件を満たす事が出来ず、活動を停止する。

「っし、止まりやがったぜ…そして俺はおめえの変態趣味に付き合うつもりはねえ!そこで空気相手に喋ってろ!」

唾を吐き捨てるとともに言い放つと、片腕をあげた状態で、億康はコロッセオ方面へ体を向けて全力で走り出した。
恐れる心を抑えることも敵わず、息を荒くもらしながら飛ぶように逃げる。
その間、一度だけ男の方を振り返ると、ねっとりとしたいやらしい笑い顔を張り付かせ、逃げていく自分と目を合わせてきた。

億泰の背中にいやな汗が浮かぶ。


逃げられると、思うなよ

男の眼はそう言っていた。


62 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:20:41 ID:x7qy5U1o


ホルマジオは下を向いたままため息をついた。
足元には、醜悪な肉塊と化した生首を抱えた女。
その光景は、あまたの死体をその眼で見、また己で作り出してきたことのある彼から見ても、なかなかに異様だった。
どうやら息はあるらしいが、一向に目を覚ます気配がない。
彼女を見降ろし、今後の行動について踏ん切りのつかない自分にいら立っていた。

(どうする、どうするよ。たたき起すか、このままフケるか…。しょうがねえなあ〜。俺ってやつは……さっきのカビ野郎だって今どこにいるかわかんねえ。
次に襲撃されたならば、何の策も練っていない今、こっちは分が悪すぎるッ。)

まず、この完膚なきまでに破壊しつくされた首は何者か考えなくてはならない。
この女がやったのか?だが、もしそうなら仕留めた人間の生首を抱えて眠り扱けているのは状況としておかし過ぎる。
死体愛好で殺人狂というのならば話は別だが、先刻伺った彼らの様子からその可能性は消える。
自分だって裏の世界の人間。そのくらいは嗅ぎ分けることができる。
アバッキオだってそうだったろう。
用心深いギャングに、共に行動してもよい、と思わせる何かがこの女にはあったのではないだろうか?

(誤って殺したか、別の襲撃者から襲われて、この女の盾にでもなって死んだ…ってところか?この首は……)

思考をまとめようと状況把握を進めていた彼の耳に、カツ、という足音が届いた。その瞬間ホルマジオは全身総毛立つ。
即座にリトル・フィートを発動し、視認することは不可能なサイズに己を縮小させた。
間もなく現れたのは、やはり先ほど一戦を交えたカビのスタンド使い本人だった。
悠々とした態度でこちらに向かって来る。
その様子がまた、ホルマジオの癪に障る。
彼が現れたという事は、いよいよアバッキオの死が確定的になったという事だ。

ホルマジオは歯を食いしばりながらも必死に状況の打開を思案している。
(どうする、攻撃するか!?いや、こいつのカビの能力は、小さくしたからって衰えるとは思えねえ!
しかも本体が小さくなれば必然的に行動範囲が俺より『下』に限定される。
攻撃するにしても、俺にとって明らかに不利な要素が多くなるッ!ここは、指をくわえて見ているのが関の山かよ…!?)

男は徐倫に気付き、にやにやと嬉しそうに何か考えている風だった。
が、やがてさくさくと軽快な音を立てて彼女の周りを一周すると、ハンディカムを構えて気絶した彼女の様子を撮影し出した。
ひょっとしたら殺しにかかるつもりか、と言う考えが一瞬閃いたが、それは杞憂だった。

男の行動にホルマジオは戸惑ったが、次には沸き立つ熱湯のような嫌悪感が立ち上って来た。
仕事として、職人としての気概を持って殺人を犯してきた自分にとって、自らが殺人を決行した後よりももっともっと下劣で嫌な気分。
この男は楽しんでいる。この世に真の気狂いがいるとしたら、それはこの男に違いない。


63 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 23:22:18 ID:53+ZIIye
承太郎!君の支援を聞こうッ!

64 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 23:22:51 ID:+hfdeR+N
グレイトフル・支援…

65 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:28:28 ID:x7qy5U1o
アバッキオも同じようなことをされたのではないか。
無念だったろう。
クソみたいな気分で死んでいくしかなかったのだろう。

…だが目下自分にできることなどあるか?
今こうして隠れていることが、結果的に正しかったと言える時が来るだろうか?
だが”今”はまだその”時”ではない。
自分の正しさを証明してくれるものは何もない。

今はただ自分の弱さが疎ましい。
自分はアバッキオの死を、やはり残念に感じてセンチメンタルになっているのかもしれない…と考えつつ彼は状況の推移を見守った。
しばらくしてカビのスタンド使いはひきつった笑いを顔面に浮かばせその場を去って行った。
ホルマジオに気付いた様子はない。

それを見た彼は、迂闊にも安堵のため息をついてしまった。
そのちょっとした行動で、自分がそれほどこんな奴にビビっていたのかと実感する羽目に陥る。
またしてもイライラを増幅させる結果となってしまった。
舌打ちをし、差し迫っている判断を下すため泳ぐ思考を無理やり整える。
なんとか自身を見失わぬよう砕心し、思考を巡らせた。

(やはり単独行動は避けるべきだ。あのカビ野郎は生き残ることすら二の次なのか?
スナッフ・ムービーを作るために行動してるみてえだぜ…クソが!!
やっぱビビってる場合じゃあ無えんじゃねぇのか!?俺だって悪だが、俺の居た悪の中には一つの確固たる筋が通っていたッ!
俺から見りゃあ、こいつは悪ですらない、何かもっと別の……。イラつくぜッ!)

ともかく、誰が正しかったのかは、結果が教えてくれるだろう。
今は自分の目的のため、最善の行動をとることが先決だ。

こういうゲス人間は、社会の中に常に一定数いる。
疥癬にかかった羊がどこにでもいるのと同じようなものだ。
そう自身に言い聞かせ、噛み締めていたあごの力を抜くと、具体的な行動方針をなんとかひねり出す。

(…いや、落ち着け。取り敢えずはこの女だ。俺はこいつの目が覚めるまでこの状態で待つ。
起きたら様子を見つつ接触開始だ。アバッキオ達のことを伝えるべきだろうしな…。
そのくらいはしてやってもいいだろう。俺なりの手向けだ。
他人が来たのならそいつが乗っているか、乗っていないかだけ見極め、乗っていればドロンだ。
乗っていなければリトル・フィートを解除し接触する。)

小さいままの彼は疲れた様子でその場に座り込むと、周囲を警戒しつつもしばらく体を休めることとした。
そして、盗んだまま未確認であった支給品に目を通すつもりだったが、またしても状況が彼にそれを許してはくれなかった。
目前で気絶していた徐倫が身じろぎし、その双眸をゆっくりと開いたからだ。

しかし、ホルマジオはすぐには行動を起こさない。
この女が起き上がってからどのような言動を取るのか?それによって自分はどう行動すべきか決める。
集めた情報を総括し、吟味し、判断する。
それだけが、彼の経験が痛いほどその肉体に刻み込んでくれた信条だった。


66 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 23:30:37 ID:53+ZIIye
マジオ・・・支援

67 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:31:54 ID:x7qy5U1o


「うッ……」
身体中が痛みのシグナルを発している。
悪意に満ちた襲撃者との戦闘を終え、見知らぬ他人を誤って殺害してしまった自責の念を胸に深く突き刺したまま、 空条徐倫は目覚めた。

目を開けると、抱え込んでいた被害者の生首を抱えた状態でゆっくりと身を起こした。
いつ新たな襲撃があるか分からないにもかかわらず、彼女はそのままの姿勢で動かない。
二つの目は大きく見開かれているが、虚ろに空を見つめている。

(…気絶していたのか…。…ああ…、あたしが…この人を殺した…他でもないあたしが…)

まとまらぬ思考の中で、同じ言葉だけが無益に回り続ける。
ふと、意識が肩のあざに向いた。

(…え……?)

彼女は、あざになど意識を向けるべきではなかったのだ。
この世には死ぬよりも恐ろしいことがあって、それが実際に起きたのだ。
疲れ果てた彼女をさらに奈落の底に突き落とさんとしてか。
気高くも呪わしいジョースターの血が、絶望を彼女に運ぶ。

(…父…さん…?この、感覚って……いや…嘘…そんな……)

運ばれた絶望、それは空条承太郎の死。
また意識を手放しそうになる。
脳をフォークで突き刺され、ぐちゃぐちゃにかき回されているかのようだ。

(そんなわけない…あいつが死ぬはずない…こんなの気のせいだわ…!
アバッキオとイギーもどうなったの…?…まさか……嫌だ、そんなの……
もう嫌、いや…あたし……あたし…どうしたらいいのよォ…ッ!)

うなだれると、目じりに涙が浮かんだ。
彼女は今、泥を見ている。
自らの運命に飲み込まれてしまいそうだ。
見ず知らずの人間を殺害したと認識し、父親の死を感じ取ったその時、空条徐倫は泣いた。
血がにじむほどに手を握り締め、震える肩を隠そうともせずに。

かき乱された彼女の思考は、果たしてどこに行きつくのか?

68 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 23:32:50 ID:+hfdeR+N
一度支援したら決して解除しねえッ

69 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:33:40 ID:x7qy5U1o



目覚めた女…空条徐倫は未だ下を向いたきり動かない。
持ち主から離れ、土に還る運命にあるだけの生首を抱えたままで。

徐倫が眼をさましてから既に数十分経ち、ホルマジオは焦れた。
接触すべきか、否か?それを判断する材料が一向に揃わない。
だが、この女は涙を浮かべている。
目の前の首だけになった参加者を想ってか、それともアバッキオとイギー、まだ安否のわからぬ彼らを想ってか。

後者についてならば、自分には教えてやれることがある。
短い付き合いだったし、自分の立場からは敵に当たる男だが、アバッキオは何となく自分の死を徐倫に伝えてやってほしい、と言いそうな気がした。

(囚われずに先に進め、とかなんとか気障ったらしく言うんだよ、あいつなら。俺にはわかるね。)

それに彼女はそこまで常軌を逸して取り乱している様子でもない。
手のひらを握り締め、何かに耐えているような行動をしてはいるが、話くらいはできるだろう。
ホルマジオはそう考え、スタンドを解除し接触することを選択した。

「!…誰よ、あんた?」
相手の反応は、まあまあ普通…。叫ばれなかっただけでも上々だ。
一方、思考の波に呑まれ、一瞬反応の遅れた徐倫はストーン・フリーを素早く発現させつつ、相手の動向をうかがった。
見たところ、カビのスタンド使いとは違う人相だ。
だがこいつに自分を襲う意思が無いとは限らない。

「おっと攻撃はなしだぜ。俺は今までカビのスタンド使い相手に戦っていた。お前の仲間のアバッキオと犬っころとのチームでな。」

ホルマジオは手っ取り早い意思表示として、両手を挙げることで攻撃の意思のないことを示した。
スタンドという特異能力が蔓延るここでは信用効果は薄いかもしれない。が、これ以外に出来ることが無い。
後は己の口だけが頼りだ。

「…カビのスタンド使い…どうなったの?全員無事なの?…なぜあたしがあの2人を知ってるって知ってるの?」

徐倫は目の前の相手の安全性よりも仲間の安否が気にかかるのか訪ねてきた。
しかし、実際会話をしてみるとどこか様子が変だ。

(全体的に表情がうつろで、おかしな感じだな…。警戒心のほかに感じられるのは…?なんだ?無関心…じゃ矛盾するか。
何かラリッたような……阿片中毒の人間がこんな表情だったぜ…?まさかキメてんじゃあねえよなあ〜?)

彼女から漂う決定的な違和感の正体をつかめないまま、取り敢えず攻撃される様子はないので言葉をつづけていく。
とにかく自分のペースで物事を進行していかなくては。
信頼を得るためにも、会話の主導権を持つことが肝要だ。

70 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:38:01 ID:x7qy5U1o
「焦るな。まずは残念なお知らせだ。頼むから取り乱して泣きわめいたりすんじゃねえぞ。
アバッキオと犬は死んだ。さっき襲っていたカビ野郎が楽しそうにニヤつきながら西に歩いてったからな。
俺は戦闘中はぐれてた…。お前があの2人の仲間だと知っていたのは、ま、自分のスタンド能力のおかげだ。」

「……そう、なの…あの二人が…。そう…死んだのね…。…あんた、本体が離れてくのを黙って見てたわけ?」

ホルマジオは直球で痛いところを突かれ、自嘲気味に笑った。

「はッ、事情も知らねえで挑発的なこと言ってくれるじゃねえか。腰抜けだと思うんなら思っとけ…その通りだからよ。」

しかしこの女の反応はなんだ?泣きわめくかと思い予め釘をさしておいたが、この落ち着きぶりは逆に薄気味悪い。
彼女が未だ抱えたまま放さない生首。
これの醸し出す雰囲気に影響されて、視界から拾う情報が必要以上にグロテスクに感じるだけか?

「いいか、俺の目的は生き残ることだ…誰かを積極的に殺して回る気なんざさらさらねえ。合流したい仲間もいるしな。」

ホルマジオは相手の様子を伺いつつ、言葉を続ける。

「それに、策さえ整えば…、絶対勝てるって確信があるのならカビ野郎を追跡して叩いてもかまわねぇ…。
お前も仲間だったのなら、そう思ってんじゃねえのか?ま、あれだ…つまりは手を組まねえか、ってことだよ。」

相手の提案を受けても、徐倫は未だに地面を見たままだ。
ぼんやりとした表情で答える。
「……アバッキオとイギーの復讐に…?悪いけどそれはできないわ。」

「アァ!?てめえ…ぼーっとしやがって、今の状況わかってんのか!?おら、その気味悪ィモンを離せ!」

ホルマジオは、薄い反応しか示さない彼女にイラ立ち、はたく様に生首を払いのけた。
その首は半回転して徐倫の腕から離れ、べちゃ、と地面に落ちる。
転がった首を緩慢な視線で追い、彼女は話し出す。

「……あたし、決めたの。どんなことしても、会いたい人に会いに行くって。」
その瞳にかつて灯されていた黄金の精神は、今やその影を潜めた。
代わりに存在するのは、熱く煮えたぎる地獄そのものの様な穴だった。

「あなたもこの人も、アバッキオも、イギーも…みんなみんな、延々と続く悲劇の中で、出会っては消えていく儚い顔にしかすぎない。
あたしがこの人を殺してしまったのも、なるようになっただけよ……。アバッキオとイギーもそう……。」

徐倫はその時初めてホルマジオを見た。
徐倫の眼を正面から見たホルマジオは、彼女が決断した事柄がなかなか穏やかなものではないらしいことを感じ取る。

「この人には家族が、恋人が、友人がいたかもしれない…いえ、きっといたんでしょう…でもあたしにだっているわッ!」

加えて、彼女は一般人とは少し違うらしいことにも気が付く。
これまでが安穏とした人生ではなかったのだろうか?凄みのある瞳だ。
自分達のように職業的に人殺しをしているという訳では無さそうだが、ある程度場慣れしている様に感じる。
それにしては言ってることは生ぬるいがな、とホルマジオは密かに心中で零す。

「あたしには会いたい人がいる…家族に、ここに来る前からの仲間…。
私にはわかったの。目的の為に、手段で迷っている場合じゃあない…。殺人も止むを得ないと思っている…。」

父親と仲間の為ならば、どのような過程をも厭わない。
父親の死の感覚を事実として受け入れることを拒否した彼女は選択した。

71 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:41:49 ID:x7qy5U1o
『望む結果を得る為ならば過程などどうでもよい』

その為に何人死んでしまおうと、それは問題ではない。
みんなで生きて、元の場所に帰るのだ。
どんな善人が被害を被ろうと、どんな悪人が得をしようと、自分に害をなさぬ限りそんなことは関係が無い。

「かわいい顔して、冷酷なこというじゃあねえか。アバッキオ達がくたばったのも、何とも思わないってか?」

「フッ、そうね…冷酷さも必要だと思わない?こんな状況なんだから。
アバッキオと…イギー、…は…そうよ、言ったでしょ。なるように、なっただけよ…。
あたしは何がなんでもあいつに会うのよ…父さんに…きっと生きているわ……。」

徐倫は肩のアザのにそっと触れ、祈るように目を閉じる。
しかし、ただ祈るだけでは願いが叶うはずもない。
他人に陥れられ、投獄の憂き目にあった彼女には、それだけは実感として分かっていた。

では、どうすればよいか?
簡単だ。戦えばよい。

祈りとは、即ち戦うことだ。
邪魔な障害をなぎ倒し、祈り、戦い、その果てにたとえ体がボロボロになっても、心が死んでしまっても。
会いたい人が、生きて欲しい人が無事ならば。

(父さん…アナスイ、ウェザー、FF。会いに行く。必ず。荒木は当然だが、邪魔するやつ、あたしの前に立ちふさがる障害には容赦しない。
その為に他人が犠牲になっても…あたしは立ち止まらないだろう。…大切なものを守るために!)

決断は下された。
アバッキオとイギーの死に後ろ髪をひかれる思いすら無理やり押し殺す。
砕けた心を歪に繋ぎ直して先へ向かうしかない彼女。生きるために。守るために。
彼女の選択は、果たして是か非か?

「ふん、そいつら全員の名前が次の放送で呼ばれたらどうする気だ?後追いでもすんのかよ?もう小一時間すりゃあ放送だぜ。」

「そんなことは心配しなくていいわ。絶対に起こらない事だもの、考える必要はない。それにそのセリフはそっくりそのままお返しするわ…。」

何の根拠もなく、意地だけで言い返している様がありありと感じられる。
そんな徐倫の様子にホルマジオはいら立つ。

「ケッ、そりゃお前がそう思いたいだけだろうが。俺らは職業柄、死ぬ覚悟は常にしてんだよ。」

彼の様に常に片足を棺桶に突っ込んだ職業をこなしてきた人間にとって、子供の駄々など只々煩わしい。
抑えきれずにとげとげしく言い放つ。

「ま〜あいいぜ、時間も無駄にはできねえからな…。
言っとくが、お前がそう決めたんなら俺はもう何も言わねえ。当然邪魔もしねえ。
お前が俺の仲間に危害を加えない限りはな。…で、どうする?俺の提案は却下か?」

ホルマジオの嘲笑にぴく、と眉を動かしたが、そのことには一切触れず、考えず、徐倫は自らの方針を伝える。

「手を組むってやつ?却下ね。理由は一つ、あんたを信用できない。今までの話だって何も裏付けが無いわ。」

徐倫は雄々しく言い放ったが、頭の中は混沌としていた。

(名前が呼ばれるなんて無い…あるはずない…でも…もしそうなったら、あたしは…あたしは……)

ホルマジオの目論見は失敗に終わった。些か感情を表に出し過ぎ、相手を説得するまでにも至らずじまいだ。
何度目かわからない舌打ちを鳴らすと、ポケットに手を突っ込んで砂を蹴る。

72 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:43:47 ID:x7qy5U1o
「そーかよ。お節介焼いちまって悪かったな。…だが!アバッキオと犬っころのことは…もう少し考えてやれよ。」

ホルマジオは徐倫に背を向け歩き出した。
彼はがっくりと肩を落としてはいるが、次の行動をとるため思考を展開する。
(また振り出しか…。いい加減マジに疲れてきた。俺は何しにこいつに接触したんだよ。まったく、しょうがねえなあ…。
とりあえずは他人と接触を図らなきゃあ始まらねえ。向かうなら繁華街やらそのあたり、か。)
殺人ゲームとはまるで無関心を決め込む、明るく澄んだ空を見上げると嘆息が漏れた。

一方の徐倫は去ってゆくホルマジオを見もせずに、また頭を垂れ地面を見据える。
(放送を聞くのが怖い…。でも、今はどこかに隠れなくては。)
そして同じくため息を吐きだした。



(このスタンドはやばすぎる!…何でカビるんだッ?!何が発動の条件なんだ?なんで上に上げると止まるんだ?)

恐怖の為か、必要ないという確信があるからか、虹村億泰は男が見えなくなっても後ろを一切振り向かずに走り続けた。

(分かるかよォー…。自分の頭なんか頼りになんねえ…だが絶対にヤバいってことだけは分かるぜッ。なんかとにかくやべぇってことだけはよォー!
ここで意地張って死んだら意味がねえ!あいつらの意思の為にも、俺は逃げるッ。)

走り続ける疲労の為に頭も真っ白になり、無意識にカビに侵されていた腕も下ろしてしまう。
2本の腕を全力で前後に振りながら、己の限界のスピードで逃げる。

すると、ある地点でカビに浸食された自分の肉体に変化が生じていることに気が付いた。
(やべ、腕下ろしたらだめなんだった!…あれ?カビが、止まってる…?さっきまで繁殖していたのに…ぴったりと……)

恐る恐るみると、ケロイド状になった腕の表面が現れた。
(…射程距離か…?ひとまずは収まったみてえだ…だが、あいつはぜってえ追いかけてくる…。どう出るんだ、俺はッ!?
…俺には逃げるしかできなかった。あいつらの為、なんてうまい逃げ口上があってよかったな、億泰?ホントは怖かったんじゃあねえのか…?)

誰が彼を責められるだろう?
しかし、彼はまっすぐすぎる心ゆえに、ゲスな人間に意思を持って立ち向かえなかった自分を激しく嫌悪した。
(俺は…今の俺は死んじまったあいつらに対して、胸を張って顔を合わせられない…反吐が出るような人間をぶちのめしたかったのに、そいつの前から尻尾巻いて逃げたんだからな……。
俺はチキンですらない、意気地無しの屑だ……)

突然始まった殺人ゲーム、友人の死でどん底の気分になるも、偶然出会った人間に鼓舞され決意を固めることができたはずだった。
だが、彼の心は今や揺れるつり橋の如し。
がむしゃらな彼が当初の目的として向かうコロッセオでは何が待ち受けるのか?

そして、億泰より数メートル後方、視認されぬよう通り道の横にてチョコラータは走りながら笑っていた。
彼はせっかく見つけたおもちゃを諦めるような、聞き分けの良い人間ではない。
即座に億泰の追跡を開始している。
見失わぬ程度の距離を保ちつつ、億泰の後を追っているのだ。

スタンドは一端解除している。走りながらでは撮影が不可能だからだ。
殺す、という目的だけならば実に要領を得ない行動だが、それだけが目的ではないチョコラータにとっては当然の処置だった。

彼は笑いが止まらなかった。
こんな喜びは今まで味わったことが無い程だ。
(クククッ!走り寄ってきたということはあいつのスタンドは近距離パワー型!
俺のグリーン・ディといい相性じゃあないか〜?
もちろん俺が優勢になれる、という意味においてだがなあ〜!!)

二人はコロッセオ方面へ向けて命をかけた鬼ごっこを開始していた。
だが、真の鬼は別にいるかもしれない。まだ二人が存在を認識していないだけだ。

生態系の頂点・柱の男がコロッセオにて舌なめずりをしながら、来訪者を今や遅しと待ち構えている。


73 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:46:39 ID:x7qy5U1o


「…また来たか。やはり目立つ建物とあって参加者が集まりやすいと見える…なかなかいいぞ。だがさっきのゴミ2人のように、失望させてくれるなよ…」

ゆっくりとその巨大な男は立ち上がり、正面に向き直った。

「さあ、仕掛けてくるか?来ないならこっちが行ってもいいぜ。」

カビのスタンド使いから必死で逃げている内に、億泰はコロッセオの内部へといつの間にか侵入していた。
どこをどう走ったのか全く分からない。
そして、誰かがいる、ヤバい、と思ったら向こうから声をかけてきたのだ。
憶泰はその男の背後から、闘気の様な一種独特の雰囲気が漂ってきているのを感じた。
どこか浮世離れしたオーラに戸惑い、さらに恐怖を重ねつつも口を開く。

「ケッ、てめえもキチガイ殺人鬼かぁ?次から次にイラつくぜッ。てめえの趣味に付き合ってやる義理はねえんだよ!イカれてんのか!こんな状況でッ。」

たくさん走って逃げたのに、また訳の分らぬ参加者に出会ってしまった。
億泰はいい加減休みたかったが、事態は全くいい方向に転ばない。
腕も痛みが激しくなってきた。
目の前の男は余裕の表情で答えてくる。

「FUN、人間ごときに我らが抱く闘争への渇望など理解できなくて当然…。
そして柱の男である俺に対して、食料以下の存在である貴様がその様な口のきき方をするか…礼というものを教えてやらねばならんな。」

「あぁ?!てめぇは人間じゃねえっていうのかよ!?いいか、今から人間をカビまみれにして喜ぶ頭のおかしな変質野郎が来るぞ!
でかい口叩くんならそいつを何とかしてからたたきやがれ!」

億泰は後ろをはらはらと振り返りながら吐き捨てる。
こいつがさっきのカビ野郎を何とかしてくれたら、と思ってはみたが、そんなうまい話ないよな、とすぐ諦めの感情が浮かぶ。
だがスタンドがほとんど役に立たない今、自分はどうしたらいいのかが全く分からなかった。
重要な選択をずっと兄に頼ってきた彼は、土壇場の選択など突然できるはずが無かった。

「ほう?確かに人間一人分の気配が近づいている…。カビ、と言ったな…それは低い位置に移動すると発動するカビのスタンド能力か?」

「低い位置ィ?しらねーが、とにかくやばいんだよ!潰し合うんならてめえらみてえにゲームに乗った奴同士でやんな!」

「なるほど…兎角メダカは続々と集まりつつあるというわけか…」

億泰と今相対している人物は、そう独語した。
その男、名をエシディシ。
説明不要の最強生物、柱の男。
太陽の元に出ることができない彼は、ここで他の参加者を待ちわびていた。

「忌々しいカビのスタンド使い、たっぷりと礼をくれてやろうと思っていたところよ…。
偶然にせよ、そいつをここまで連れてきたことは褒めてやろう、人間。プッチ達が帰って来るまで手は出すまい。」

エシディシはさらに心中で零す。
(ゲームにも乗っていない、波紋使いでもない、只の人間だ。スタンド使いかもしれないが…。その無様な狼狽ぶりからして、大した闘争も期待できないしな。)

「はぁあ?もう意味わかんねえ…。早く何とかしないと、俺の腕もヤベえってのに……。」


74 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 23:47:36 ID:+hfdeR+N
支援

75 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:48:37 ID:x7qy5U1o
「どいつもこいつもコソコソと…そこに隠れている貴様。貴様か…俺をカビまみれにした輩は…。協力など望むべくもない。出てこい!」

その台詞に反応はなかった。
だがまだ気配はそこにある。
どうやら潜んでいる人物はどう動くか考えているようだ。
逃げる腹積りか、それとも何か策を練っているのか。

今、コロッセオの闇の中に潜む男――チョコラータは何を考えているのか?


76 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 23:49:22 ID:+hfdeR+N
支援ッ

77 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/01(火) 23:49:25 ID:x7qy5U1o
【E-3 コロッセオ駅ホーム/1日目 昼】




【チョコラータ】
[時間軸]:本編登場直前
[状態]:最高にハイ、右腕切断(カビで接着&止血)、顔に小さな傷、疲労(大)
[装備]:ミスタの拳銃、
[道具]:顔写真付き参加者名簿、チョコラータのビデオカメラとテープ、支給品一式×2
    エンポリオの拳銃(幽霊)、不明支給品の詰まったディバッグ、四部ジョセフが持っていた折りたたみナイフ
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを楽しみ、優勝して荒木にロワの記録をもらう
1:…考え中
2:億泰を拷問して楽しみたい
3:ディアボロを拷問してボスの情報をはかせる
4:参加者に出会ったらどうするかはその場で考えるが、最終的には殺す
5:ホルマジオに出会ったら殺す
6:徐倫にイギーとアバッキオの死に様と、ダイアーさんの首を抱えて気絶していた徐倫自身の姿を見せる(再会できたら、やってやろうかな?程度の認識です。)

[備考]
※あまり休んでないため体力はさほど回復していません。
※グリーン・ディには制限があります、内容は以下の通り


チョコラータからある程度離れたら“感染能力”と“体に付着していた胞子”は消える
要するに今ついているカビは絶対に取れないけどチョコラータから離れれば伝染は起きなくなると思っていただければOKです
なお、どの程度離れれば効果が切れるのかというのは不明です


※参加者が荒木に監視されていると推測しています
※思考3については、「できれば」程度に思っています


不明支給品について


【E−6 民家付近に放置されているもの】


レッキングボール2個分の衛星
“ガラスのシャワーだッ!”と乱暴に書かれ、折り畳まれている紙と散乱したガラス
鋭い歯のついたモリ。


【チョコラータの持つディバッグに入っているもの】


死の結婚指輪
アリマタヤのヨセフの地図
ボーリングの爪切り
ワンチェンがジョナサンを襲撃した時につけていた武器
缶ビールが二本に共通支給品であるペンとは異なるデザインのそれ。そして“知ってるか?缶ビールの一気飲みの方法”と書かれたメモ。
ディオの母親が来ていたドレス

78 :創る名無しに見る名無し:2009/09/01(火) 23:54:55 ID:d4iSA3Bi
しえんぬ

79 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/02(水) 00:00:25 ID:x7qy5U1o
【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:右手の手の甲が粉砕骨折(ほぼ全快)、頬と喉に軽傷(回復中)、
    ワムウとサンタナの死にやや動揺(戦闘に支障が出る?)、あえて人間の強さを認めた
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部〜6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る(乗る乗らないは現段階では不明)
0.カビのスタンド使い(チョコラータ)を殺す。億泰は取り敢えずプッチに会わせる(役に立たなさそうだが)
1.プッチにはああ言われたが、脅威となる人間は始末するつもり
2.さっき出会った二人に失望。プッチ達はもっと面白い奴らだったんだがな。今度は…どうかな?
3.常識は捨てる必要があると認識
4.プッチはなかなか面白い。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい
5.太陽に弱いという意味で無理に出歩く必要はない。
6.自分のスタンドを探す
[備考]
※プッチとはお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました
 彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※波紋使いやスタンド使いに対して、自分やカーズにとって脅威となるなら容赦するつもりはありません。
 ただし、ワムウやサンタナの仇討ちのために戦うつもりはありません
※ダービー=F・Fと認識しました。プッチらが来ればその事実を伝えますがエシディシ本人は意図的に広めようとは思っていません。
※『セト神』にわずかに触れましたが、これといった変化はないようです。

※コロッセオ地下は駅ホーム以外は遺跡(7、8巻参照)のような構造になっています。

80 :創る名無しに見る名無し:2009/09/02(水) 00:03:21 ID:4bmSNn4q
「支援」しなきゃあ「栄光」は掴めねえ…

81 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/02(水) 00:03:44 ID:x7qy5U1o
【虹村億泰】
[スタンド]:『ザ・ハンド』
[時間軸]:4部終了後
[状態]:腕がカビの攻撃により重症(ザ・ハンドの『削る』能力は現在は使用不可。スタンド自体は発現可能。回復すれば使用できるようになると思われます。)
   自分の道は自分で決めるという『決意』。承太郎(オインゴ)への疑惑(今はあまり気にしていません)肉体的疲労(中)、精神的には少々弱気。
[装備]: なし
[道具]: 支給品一式。(不明支給品残り0〜1)
[思考・状況]
基本行動方針:味方と合流し、荒木、ゲームに乗った人間をブチのめす(特に音石は自分の"手"で仕留めたい)
0.チョコラータから逃げたい
1.エシディシは意味不明すぎる。こっちに危害は加えないらしいが、信じるべきか否か?
2.仗助や康一の意思を継ぐ。絶対に犠牲者は増やさん!
3.承太郎さんにはすまないと思っているが何だか変だと思う。今は深く考えない。
4.もう一度会ったならサンドマンと行動を共にする。
5.なんで吉良が生きてるんだ……!?
【備考】
※オインゴが本当に承太郎なのか疑い始めています(今はあまり気にしていません)
※オインゴの言葉により、スタンド攻撃を受けている可能性に気付きましたが、気絶していた時間等を考えると可能性は低いと思っています(今はあまり気にしていません)
※名簿は4部キャラの分の名前のみ確認しました。ジョセフの名前には気付いていません。
※放送をほとんど聞き逃しました。(ただし、サンドマンから内容に関して聞きました。下記参照)
※サンドマンと情報交換をしました。
内容は「康一と億泰の関係」「康一たちとサンドマンの関係」「ツェペリの(≒康一の、と億泰は解釈した)遺言」「お互いのスタンド能力」「放送の内容」です。
※デイパックを間違えて持っていったことに気が付きました。誰のと間違ったかはわかっていません。(急いで離れたので、多分承太郎さんか?位には思っています。)
※エルメェスのパンティ(直に脱いぢゃったやつかは不明)はE-4に放置されました。


※億泰がチョコラータに攻撃されたのはE-4。この場所では、今は感染は起こりません。


82 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/02(水) 00:12:04 ID:MZZNnB0E
【E-5 繁華街の少し東/1日目 昼】

【空条徐倫】
【時間軸】:「水族館」脱獄後
【状態】:全身に切り傷。疲労(大)、精神的ショック、ゆがんだ覚悟
【装備】:ダイアーの生首
【道具】:なし
【思考・状況】
基本行動方針:打倒荒木! 絶対仲間(承太郎・ウェザー・アナスイ・FF)を死なせない。その為の過程や方法などどうでもよい。
0:第二放送まで人目に付かないところで休む
1:父さんは死んでなんかない!…でも放送で名前が呼ばれたら……?
2:私が……殺したのよ。それがなにか?
3:アバッキオとイギーの死を自分に無理やり納得させた。…もう少し考えてやれ?無理よ…そんなの…


[備考]
※名簿に目を通しました。
※徐倫は端的に言うと『開き直り』のような状態です。(ダイアーを殺してしまったことと、アバッキオとイギーの死をなるようになっただけ、と言った部分)
※ホルマジオは顔しかわかっていません。名前も知りません。
※チョコラータの能力の骨組み(下に降りると発生するカビを撒く能力)
※最終的な目標はあくまでも荒木の打倒なので、積極的に殺すという考えではありません。
加害者は(どんな事情があろうとも)問答無用で殺害、足手まといは見殺し、といった感じです。



【ホルマジオ】
[時間軸]:ナランチャ追跡の為車に潜んでいた時。
[状態]:カビに食われた傷(現在はカビの感染無し)、精神的疲労と肉体的疲労
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、万年筆、ローストビーフサンドイッチ、不明支給品×3
[思考・状況]
基本行動方針:ボスの正体を突き止め、殺す。自由になってみせる。
0:俺は何やってんだ…この女は諦める。
1:繁華街へ移動して他者と接触する。接触方法は決めていない。
2:ディアボロはボスの親衛隊の可能性アリ。チャンスがあれば『拷問』してみせる。
3:ティッツァーノ、チョコラータの二名からもボスの情報を引き出したい。
4:もしも仲間を攻撃するやつがいれば容赦はしない。
5:仲間達と合流。
6:アバッキオ達の死をホンの少しだけ残念がる気持ち
7:カビのスタンド使いを倒せなかった自分に苛立ち
[備考]
※首輪も小さくなっています。首輪だけ大きくすることは…可能かもしれないけど、ねぇ?
※サーレーは名前だけは知っていますが顔は知りません。
※死者とか時代とかほざくジョセフは頭が少しおかしいと思っています。
※不明支給品は本来ジョセフのものです。いまだ未確認です。
※チョコラータの能力をかなり細かい部分まで把握しました。

83 :the Tell-Tale Heart ◆33DEIZ1cds :2009/09/02(水) 00:13:38 ID:MZZNnB0E
ミス…本スレ>>73>>75の間に以下の文を入れ忘れてしまいました。
wiki追加時に修正します。申し訳ありません。

エシディシは焦る億泰とは逆に、楽しそうな表情で顎に手をあてる。
そして億泰の後ろの薄暗がり、その空間に向かって話しかけた。

以上です。
支援ありがとうございました。
感想、指摘等よろしくお願いいたします。

あとずうずうしく宣伝。
明日9時よりラジオです!
いつもより1時間早いのでお間違いなく!

84 : ◆33DEIZ1cds :2009/09/02(水) 00:16:15 ID:MZZNnB0E
だから明日じゃないってばぁぁ!!
今日の間違いです。

9/2午後9時より放送です…すみませんでした。

85 :創る名無しに見る名無し:2009/09/02(水) 00:20:41 ID:4bmSNn4q
>>83
乙でしたァん!
やあ…チョコ先生が生き生きしてるし、徐倫は悲しき覚悟を秘めているし、エシディシも…凄く…良いです…
億泰とマジオは何か素直に応援したいwwどっちも頑張れよッ

それぞれの思惑が交錯した所で第2回放送って感じかな…

ちなみに>>61の2行目、億泰の「億」が「憶」ってなってるのだけ誤字が気になったのでご報告をば。

いや、マジに乙でした!

86 :創る名無しに見る名無し:2009/09/02(水) 00:26:18 ID:USyovhff
投下お疲れ様です。
ホルマジオまじCOOL…暗殺チームらしさが全面に出ててまじカッコイイッ!
繁華街に向かうけど、暗殺チームとの合流はまだまだみたいだな。
ほんとこいつはロワに出てきて渋みがあるキャラだ…

コロッセオの戦闘も気になるところだけど放送後の徐倫にも注目。
なんという投げやり主人公www ジョナサンといい、段々歴代JOJOも壊れてきたなァ…
だが、それがいい

改めて投下乙です!そして明日のラジオ、楽しみにしてます!

87 :創る名無しに見る名無し:2009/09/02(水) 00:32:02 ID:Q24r7ob3
投下GJ!
チョコ先生は本当にクサレ外道だな(褒め言葉)
しかしジョリーンはFF化するのか否か……
ホルマジオはどうなるのか……

ラジオも楽しみにしてます
用事で俺聞けなさそうだけど、録音を楽しみに待ってるよ!

88 : ◆33DEIZ1cds :2009/09/02(水) 20:34:16 ID:MZZNnB0E
ラジオ!ラジオォ!!(21時よりしゃべります。それまで無音。)

聴き方解説ページ→ ttp://cgi33.plala.or.jp/~kroko_ff/mailf/radio.htm
アドレス→http://std1.ladio.net:8020/jojoroyaleradio005.m3u
後、livedoorねとらじttp://ladio.net/で題名(ラジオでjojoロワ:第5放送)検索でもいけます。
ねとらじから行くと、題名横の「play」から再生できます。

実況スレ→http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12752/1251889603/

89 : ◆33DEIZ1cds :2009/09/03(木) 19:51:04 ID:Dahc6LKp
ラジオをお聞きくださった方々、乱入してくださった方々ありがとうございました。
録音を用意しましたのでお知らせします。
ラジオ用したらばか、wikiのラジオの項目からDL出来ます。

次回は10/7午後9時より。
また雑談しまくりだと思いますがよろしくお願いします!

90 : ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 13:47:59 ID:MOL9WUGZ
投下を開始します。

91 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 13:52:43 ID:MOL9WUGZ
「……で、首輪の様子はどうなんだ?」
「一見、何の問題も無さそうだな。――いつまで食ってるつもりだ?」

ブローノ・ブチャラティは、傍らの部下に呆れ顔で尋ねた。
硬い生地を噛む小気味良い音が、否が応にも耳に入ってくるのだ。

「やっぱり、ブチャラティも欲しい?」
「いらん、とさっきから言ってるだろう……」

溜息交じりに返しながら、拾い上げたばかりの首輪を睨み付ける。
ちなみに、首輪のかつての持ち主は、肉片の一つさえもこの場に残していない。
小さな円の形で、地表が黒く焼け焦げている箇所を発見したのが数分前のこと。
その『爆破痕』と、転がっていた一つの首輪だけが、ここで何かが行われていた証拠だった。

「それじゃあよォ――『ピストルズ』、食えッ!」
『アギャギャアァァァ――――ッ!クレッ!クレ――ッ!』

先程からミスタが貪っているのは、彼の支給品の菓子だ。
細長い棒状のクッキーに、チョコレートが薄く塗り固められたもので、
ここに来るまでの間に彼が封を開け、食べ始めていたのだ。
小さな箱なのだから、さっさと平らげてしまえば良いだろうに。
貧乏性と言うべきか、彼は一本一本丹念に味わっていた。

『ウガ、ウガギャギャギャギャッ!』
『ワギャアァァァ――――!』

――やはり、ブチャラティの予想通りの事態が発生した。
互いの取り分を巡り、押し合い圧し合いのバトルを開始した『ピストルズ』。
そして彼らを困り顔で宥めるミスタ。
これまでに、幾度となく目にした光景である。
普段なら微笑ましいが、今すべきことではないだろう。
ブチャラティは、またもや溜息を吐く。

「ミスタ――遊んでないで、奴のデイパックか、支給品の入った『紙』を探すんだ」
『『紙』ッテ――アレノコトカ?ブチャラティ』

地表のある一点を指差したのは、菓子の欠片を頬一杯に溜めている『No.3』。
その先を目で追うと、確かに彼の言う通り、二枚の紙切れが草葉の陰に落ちていた。

「やはり、『紙』だけがデイパックから吹っ飛んでいたか――グラッチェ(ありがとう)、『No.3』」
『リーダー様ニ褒メラレルナンテ、サスガノ俺モ照レチマウゼェ〜〜!』
『イイナァ〜〜『No.3』ダケッ!』

赤面する『No.3』に頷き掛け、紙片に歩み寄るブチャラティ。
菓子の空き箱を放り棄て、ミスタも身を乗り出してきた。

「ま、『銃』だったら最高なんだけどなァー。
 やっぱりそんな都合の良すぎる事はないかね――どうよ?」

慎重な手付きで二枚の『紙』を拾い上げ、
折り畳まれたその表面に記載された説明に眼を通す。

ブチャラティ、再三の溜息。




92 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 13:57:00 ID:MOL9WUGZ




「ジョナサン……いないのか?」

呆然と呟いたミスタを、ブチャラティが手で制する。

【B-2】の東で、仇敵の首輪と支給品を回収した後に、
チーム・ブチャラティが向かった先は【C-2】のジョースター邸。
かつて激闘を交え、ついには改心させた波紋使いの青年、
ジョナサン・ジョースターとの再会を踏んでいた二人だったが、
彼等に待ち受けていたのは、意外かつ奇妙な事態だった。

「静かに、ミスタ――何者かが潜んでいるかもしれない」

……誰一人、いないのである。

薄暗い屋敷中に渦巻く血臭と、微かな硝煙の香り。
そして足元の絨毯を黒々と彩る、無数の血痕。
ここで死闘が行われていた事実は、戦闘のプロフェッショナルでなくとも容易に察せられる。

ふと、何かに気付いたように眼を見開き、立ち竦んだブチャラティ。
彼の視線を追ったミスタも、同様の状態に陥る。

『それ』は、彼等の視線の先――ホールのほぼ中央に存在していた。

慎重に周囲へ注意を配りながら、『それ』に踏み寄る二人。

「これ……は……?」
「――遺体、だな」

――しかし、眼前の『もの』を、果たして遺体と呼ぶべきだろうか?
『それ』は、多量の肉と骨が、秩序無く寄せ集められた血濡れの塊だった。
一見しても、かつてどのような人物だったのか、老若男女の区別すら判らない。

ただ、衣服だったと思しき引き裂かれた布が、周囲に散乱していた。
それを見て、ミスタが微かな呻きを上げる。
見覚えのある生地だった。

「――エリナ・ジョースター……なのか?」
「――エリナ・ジョースター……なのか?」

愕然とした表情で、足元の亡骸に向けて呟くミスタ。
ブチャラティが、硬く眼を瞑った。

「それは、確かか――ミスタ?」
「……ああ。これは彼女の衣服の生地だ。思い出したよ――」

重苦しい沈黙が、薄暗いホールに充満した。
既に、全ては終わっている。
二人には、凄惨な過去の痕跡を凝視する事しかできない。

壮絶な面持ちで、歯を食い縛るブチャラティ。その両拳は、湧き上がる怒りに打ち震えていた。
――ジョナサン・ジョースターの妻、エリナ。彼女も罪無き犠牲者だった――スージーQと同じく。

僅かな時間ではあったが、彼女と実際に顔を会わせていたミスタは、内心の動揺を隠せない。
――この惨たらしい血肉の塊が、あの美しかった女性の成れの果てだというのか?

93 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 13:59:06 ID:3ZRKIe4J


94 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 13:59:54 ID:MOL9WUGZ
「どうして、こんな事に――クソッ……!」
「……落ち着け、落ち着くんだ……ミスタ」

――それにしても、奇妙な遺体だった。
ギャングという立場上、数多くの死骸の造形を脳裏に焼き付けてきた二人でも、
眼前の遺体を造り出す殺害手法については、首を傾げざるを得ない。
刃物で残虐に切り刻んだものとも、鈍器を延々と打ち付けたものとも、まるで異質。
どうすれば、このような死骸を生み出せるのか?――そして、犯人は?

「――エリナ・ジョースター。
 君の無念は、必ず晴らしてみせる」

ブチャラティの背後から物言わず現出した、『スティッキィ・フィンガーズ』。
スタンドの拳は足元の絨毯に打撃し、一本の『ジッパー』を造り出した。
その両端は即座に大きく開かれ、本来ならば出来るはずの無い穴が床に発生する。
暗い間隙の先に待ち受けているのは、床下の空間か?それとも、さらに奥の地中?

疑問を発する事もなく、肉塊の山は、穴に零れ落ちて――消える。

「……ブチャラティ」
「残念だが――手厚く埋葬してやる時間は無い。
 屋敷の調査を急ごう……犯人の手掛かりが見つかるかも知れない」

複雑な表情はそのままに、ミスタが頷く。

足元の『ジッパー』を閉じて、ブチャラティは白昼なおも薄暗いジョースター邸を一望する。

解くべき謎は、まさに無数に存在した。

うら若き淑女を、原形も留めぬ骸へと変えた殺人者の正体は?
ジョナサン・ジョースターに黒騎士ブラフォード、
そして屋敷にいたと聞くジョナサンの父、ジョージ一世は何処へ消えたのか?そして何故?
数多くの不可解を残して、静寂と暗闇だけが、広大な館に満ち満ちていた。

二人は、屋敷内の調査の段取りについて話し合った。

重苦しい雰囲気が霧消した訳ではないが、計画自体はスムーズに決着を見せる。
ミスタが上階を、ブチャラティが一階を巡回。
何らかの異常を発見次第、即座にもう一人に連絡し、対処する。

「行くぞ」
「……ああ」

ブチャラティは、隣の部屋へ続く扉へ。
ミスタは、二階への階段の方向へ。

それぞれが、行動を開始しようとした時――。



――突然の物音が、彼等の意識を縫い止めた。



ほぼ同時に、二人は音の発生源を振り仰ぐ。
彼等が睨んだのは、屋敷内に踏み込んだ最初の場所――玄関。

――そこに、誰かが、いた。

95 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 14:03:57 ID:MOL9WUGZ
闇の深いホールから、開け放たれた玄関へと注がれる、二つの視線。
その終点で、謎の訪問者は屹立していた。
外界の陽光を背に受けている為に、影絵のような様相を呈しており、外観の委細は掴めない。
辛うじて、中肉中背の男性らしい、と識別できる程度だ。

二人の行動は、極めて迅速だった。
既にミスタはポケットからナイフを掬い出し、
ブチャラティも『スティッキィ・フィンガーズ』のヴィジョンを背後に顕している。
僅かな無駄もない、清水が流れるような動作。

「――そこに立っている者ッ!
 我々二人は"乗って"いないッ!
 君の素性を知りたい……そのままこちらに近づくんだッ!」

高らかに声を上げ、訪問者に向けて命じるブチャラティ。

影は、一言も発さず、動きもしなかった。

つかの間の、静寂。

爆発的な緊迫が、ホールに張り詰める。

だがそれも、数秒の間だけ。

変化は、玄関の側から訪れた。

影の右腕が、緩慢な動作で、上がる。

胸元の高さで留め、こちらに向けているような格好。

それは、まるで――。

「ブチャラティ、奴はッ――!」

ミスタの、絶叫に近い言葉も中途のままに。

……銃撃が、始まった。



それは、如何なる機構が為し得る連射なのだろうか?
無数の弾丸が、豪雨の如く延々と襲い来るのだ。
炸裂音も、通常の銃のそれより遥かに小さい。

凶弾の軌道は、漏れなくブチャラティ達の、それも急所に向けられていた。
玄関の影は、一挙に片を付けるつもりなのか。

「――どうやら、オギョーギ良く命令する必要もなかったみたいだぜ」
「うむ、そのようだな……残念だ」

だが、攻撃の着弾点であるはずの二人組は、至って冷静そのもの。
軽い調子で言葉を交わしながら、白昼の影を睨んでいるだけ。
銃弾など、掠りもしなかった。

――なぜ、彼等は無傷でいられるのか?
その答えは、二人と影の間で、浮遊していた。

96 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 14:06:50 ID:MOL9WUGZ
『――イエェェ――イ!』
『ヒャッホォォ――ッ!』
『ナンカサァ――コレ、スットロイ弾ダゼェ、ミスタ!』
『ソレニ……普通ノ弾丸ヨリモ、ズット軽イ!』
「判ったから働け、『No.5』、『No.1』ッ!」

そう。
グイード・ミスタのスタンド能力、『セックス・ピストルズ』が、
肉薄する無数の弾丸をことごとく蹴り飛ばしているのだ。
二人の身体に食い込み、その命を断つ義務を課せられていた銃弾は、
周囲の床や背後の壁に突き刺さり、小さな穿孔を生むのみだった。

倒れるそぶりも見せない二人が不思議なのか、影が一歩、こちらへと歩み寄ってきた。
無意味な連射は止めぬままに。

ミスタが、憎々しげに片眉を歪める。

「しつこい野郎だねェ……そろそろ、"弾き返す"かい、リーダー?」

影を睨んだまま、ブチャラティは小声で応えた。
それは、実に微かな声音――隣のミスタにしか聴こえない程の。

「……許可する。だが、殺すなよ。戦闘不能にするだけだ」
「アイアイサァー。『ピストルズ』ッ!」

主の命令が終わるや否や、小さな精霊達は配置を変えた。
既に放たれた敵の弾丸を、器用に空中に縫い止めて――。

『――ィイイイィィェェェ―――――――ァァアアアアアアアアァッ!』

一挙に、解き放った。

都合四発の弾丸が、影の両腿、腹部、そして弾丸を放つ右腕に激突する。

再び館に振り降りる、しばしの静寂。

影は、前屈みにぐったりと崩れ落ちた。

膝立ちの姿勢で、腹の弾痕を掌で押さえている。

視線を交わし、二人が頷き合う。
ミスタをホールの中央に残し、敵への接近を開始したブチャラティ。
万が一の事態を考慮し、大きく迂回するコースを取って、互いの距離を縮めて行く。
当然の事ながら、既に敵からの銃撃は止んでいる。

相手の一挙一動を慎重に観察しながら、じりじりと接近を続ける。

身に受けたダメージの為か、影の正体――袖が破れた服を着た男――は、
肩を震わせながら、絨毯の上でうずくまっていた。
その姿勢の為に、相貌と表情を窺い知る事は叶わないが、
彼がその顔に浮かべているのは、果たして激痛による苦悶か。それとも敗北の屈辱か。

数メートルの距離を置いた地点で、ブチャラティは歩みを止めた。

「……二、三の質問をさせてもらおうか。
 おっと、俺達を恨むなよ? 先に手を出したのは、君だからな――」

敵からの返事は、無い。
苦痛の為に、声を上げる事もままならないらしい。
あまりにも弱々しげな相手の態度に、ブチャラティは呆れる。

97 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 14:08:34 ID:MOL9WUGZ

さらに一歩、足を踏み出して――。



――背後から、何かが転倒するような音を聞いた。



反射的に、そちらを仰ぎ見るブチャラティ。
視界に映り込んだ驚くべき状況に、その両眼が見開かれた。

――何故?どうやって?

ホールの奥からこちらの動向を窺っていたミスタが、絨毯に倒れ伏していた。
……全身から、夥しい鮮血を爆発させて。

そして、次の喘ぎは、部下から漏れたのではなかった。

「…………は……ッ!?」

驚異的な速度で起き上がり、抜き放たれた敵の手刀が、
ブローノ・ブチャラティの鳩尾に、貫通していた。







時を遡ること、約二十分前。

遥か高みからの陽光を受け止めて、穏やかな輝きを放つ湖の水面。
そのほとりに、一台の中型バイクが到着した。
搭乗者は二人。
両者ともに、ただならぬ様子ではない。

「よし、湖に着いたぜェ……って、何やってんだよッ!」
「判らないのか?水に浸かっている」

湖畔に到着するや否や、堂々とした歩調で湖面に接近し、着水。
そのまま胸までを水中に突っ込んだF・Fに、
同行者のアレッシーは狼狽を隠せない様子だった。

「おいおい、イカレちまったのかよ……『治療』はどうしたんだ?」
「説明すると言っただろう。これが、私の能力だ」

右腕を水面から掲げて見せてやると、アレッシーは口をあんぐりと開けた。
驚愕するのも無理はない。
先の戦闘で消失した手首から先が、完全に再生されているのだから。

「ス、スッゲェッ……!」
「寄れ。傷の手当てをしてやる」
「……ハイ!喜んでッ!」

『治療』の効能が判明するや否や、足首まで浸かる水も厭わずに、
喜色満面で治癒者まで寄り添って来たアレッシー。
F・Fは内心で嘲笑う――全く、現金な男だ。

98 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 14:11:44 ID:3ZRKIe4J


99 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 14:12:08 ID:MOL9WUGZ
腹の銃創を始めとした全身の傷口に、
復活したばかりの指先から、自身の細胞を埋め込んでやる。
銃創や切り傷の縫合は容易だったが、顔面等の打撲痕はどうしようもないので無視した。

「コレ……一体何だってんだ?」
「『肉の接着剤』のようなものだと解釈してくれればいい。
 私のスタンド能力――『オシリス神』の媒介は『水』だ。
 他者の治療には限界があるが――『水』さえあれば、私自身は際限無く再生できる。
 ……ところで、その『つめもの』だが――」
「グエェッ!」

F・Fが言い終わらぬ内に、呻きを漏らして飛び上がったアレッシー。
当然の反応だ。傷口に入れたばかりの粘液が、前触れもなく蠢きだしたのだから。

「――私自身が、自在にコントロールする事もできる。
 敵の肉体に撃ち込めば、その内部に侵入し、際限無く肉や内臓を突き破り――死に至らしめる。
 概要ではあるが、これが私のスタンド能力だ。把握したか?」
「よぉ〜〜く判ったが……。
 実演してくれなくてもいいだろうがよォ〜〜〜〜!」

喚くアレッシーを尻目に、F・Fは必要な作業に取り掛かった。
背のデイパックから空のボトルを取り出し、足元の澄んだ水を汲み出す。
飲用には問題があるかも知れないが、『フー・ファイターズ』の活動には充分だ。

落ち着かない様子で、腹の『つめもの』を弄りながら、
アレッシーは頼もしい治癒能力者に訊いた。

「……で、これからどうするんだよ?ダービーの旦那?」
「決まっているだろう」

F・Fの応えは、やはりそっけないものだった。
――か弱い子供の命を奪い去る、という内容においてさえ。

「ジョースター邸に引き返し、残した一人を始末する。
 『セト神』の能力はまだ解除されていないのだろう?」
「まあ、多分、ね……」
「ならば、早速行くぞ。餓鬼に逃げられる前に――」

水面から上がり、濡れた衣服にも構わずバイクに乗り込もうとするF・F。
アレッシーは慌てて、相方の後を追う。







十数分後。
F・Fとアレッシー、ジョースター邸に到着。
窓から内部を覗き込み、屋敷に先客が来ている事を知る。

「アイツは……ミスタかッ!」
「静かにしろ、アレッシー。奴等に気付かれるぞ」
「クソッ……ブッ飛ばしてやるッ……あの野郎……!」

数十秒ほど屋敷内の二人の様子を観察した後に、F・Fは一つの提案を示す。
憎き仇敵を目前に、アレッシーは相方への反発心を隠さなかった。
それは、F・Fが単独で屋敷に突入、二人を始末するというプランだったのである。

100 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 14:13:36 ID:MOL9WUGZ
「――グイード・ミスタと、ブローノ・ブチャラティ。
 実のところ、私はあの二人の能力を把握している」
「……え、そうなの?マジ?」

かつて、リゾット・ネエロが語っていた情報が、思いがけぬ収穫となった。
ジョルノ・ジョヴァーナの件もあり、あの話は信頼性に欠けると判断していたのだが、
たった今、少なくともスタンド能力の説明については事実だと確信できた。
窓の奥のホールの中央で、『オカッパの男』――ブローノ・ブチャラティが、
『ジッパー』を発動させて、例の女の遺体を床下に葬ったのである。
『スティッキィ・フィンガーズ』、近距離パワー型。『ジッパー』で空間を開閉する能力。

F・Fは内心でほくそ笑んだ。
スタンド戦において、こちらが一方的に相手の能力を把握している事実は、非常に強力な優位性に他ならない。
それが、彼が単独での戦闘を躊躇しない理由。

「ケチケチするなよォ〜〜ダービーッ!
 俺も行くぜェ――ミスタに一泡吹かせてスッキリしてやるッ!」
「駄目だ」

打撲痕の残る顔で、しつこくF・Fに食い下がるアレッシー。
負傷が治った為か、幾分元気を取り戻したように見える。

「でもよォ〜〜俺だって『セト神』があるんだぜ?
 大丈夫だって、ヘマなんてしないからさ――ダービーの旦那ァ〜〜?」
「……いい加減に学ばないか、アレッシー?」

そんなアレッシーも、最終的にはF・Fの案を渋々認めた。
これまでの失敗の連続を、彼に粛々と諭されたのである。
不可思議な異能を持つ者を相手に取れば、どのようなアクシデントが待ち受けているか判ったものではない――。
その常識を、彼はようやく理解しつつあった。

F・Fは、自らの思惑通りに話が進んで安心した。
思惑、と言ってもそれは非常に単純なもので、要はアレッシーが癪なのである。
能力を把握しているとはいえ、今回の標的は二人のスタンド使い。
確実に役立つと言えるのならばまだしも、この間抜けなサディストは戦闘の邪魔になる恐れの方が強かった。

「お前は外で待機していろ。何があっても屋敷の中には来るな」
「……ったく、エラくないねェ〜〜!
 とにかく、ミスタの野郎はさっさと始末してくれよな!頼むぜ!」
「その点は安心していい。……すぐに戻る」

不貞腐れ顔のアレッシーを背後に残し、F・Fは屋敷の玄関扉へ歩み寄る。

――かくして、二つの物語は一つに束ねられた。




101 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 14:15:47 ID:MOL9WUGZ




ブローノ・ブチャラティの胸部に巨大な穿孔を開けた男――F・Fが、顔を上げる。

彼がその相貌に浮かべていた形相は、苦痛でも、焦燥でもなかった。

それは――白紙の如き、完全なる無表情。

敵を欺き、死に至らしめる自らの行為への感慨など、一抹さえない。

適切なプロセスを前もって携え、それに従い行動した結果、当初の予測通りに終決した。

全ては、既に決められていた。

ただ、それだけだ――と、言わんばかりの、冷厳な眼差し。

しかし。

それが顕れていたのも、極々僅かな時間だけ。

次の瞬間には、F・Fの表情に、驚愕と疑念の色彩が炸裂する。

「……残念だった、な」

確かに、奇妙には感じていた。
肉や心臓を突き破った感触が無かったのだ。
己が右腕は、確かに相手の胸元を貫通している。貫通してはいるのだが――。

『ジッパー』が、既に敵の胸に間隙を造り出していた。
必殺の一撃は、開け放たれていた隙間を通ったに過ぎない。

「『スティッキィ・フィンガーズ』……。
 なかなか素早い動きだったが、俺のスタンドの方が僅かに上回っていたようだな――」

その口調は、まるで最初から何の問題も無かった、と言わんばかりの平淡さ。
胸の『ジッパー』は、既に硬く硬く閉じられている。
これでは穴から腕を抜き、離れる事も出来ない。
F・Fの動きは、完全に制御されたのだ。

そして、ブローノ・ブチャラティの背後から現出した『スティッキィ・フィンガーズ』。
唸りを上げて、スタンドヴィジョンの左拳がF・Fの顔面へと猛追し――。

……中途で反転、ブチャラティ自身の顎に突き刺さった。

まるで『くす玉』のように、彼の頭部が中心線から二つに分割される。

それとほぼ同時に、間隙の背後から現れた、指先。
発射された一発の凶弾は、『分割』された頭部の間を通り抜け、天井に食い込み木片を四散させた。

F・Fが、微かに頬を歪ませ、眼前の敵を睨む。
その胸中に噴出したのは、強烈な悔恨の念。

彼がブチャラティに抜き放ち、肘から先を胸に固定されていた右腕。
その手首から先は、常人ではありえない不可解な形状に変容し、
彼の頭部を後ろから突くような格好となっていた。

咄嗟の判断で、ブチャラティが自らの頭部を『分割』しなければ、
指先からの『F・F弾』は、その脳幹に突き刺さっていたに違いない。

102 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 14:19:34 ID:MOL9WUGZ
鈍い軋み音を洩らしながら、その手首が更なる変形を試みる。
より下部へ、下部へと撃ち込むべく――。
次の一撃は、確実にブチャラティの頸椎を貫き破壊するだろう。

だが勿論、ブチャラティ自身がそれを許すはずもない。
まず、F・Fの右腕を締め上げていた胸部の『ジッパー』を緩める。
同時に、『スティッキィ・フィンガーズ』の右脚を腰の前で折り畳み、
そのままF・Fの腹部を激烈な勢いで蹴り飛ばした。

蹴りの威力が、繋がり合っていた互いの身体を引き離す。

二対の靴底と絨毯の生地が擦れ合う鋭い音が、屋敷のホールに粛々と響き渡る。

沈黙の最中、先に口を開いたのは、襲撃者――F・F。

「自らの身体に穴を開けて、攻撃を"通した"か……。
 ――面白い。親友の能力を思い出したよ」
「不意打ちを掛けるような下衆に、友人がいるとはな……存外だ。
 お前が、勝手に友達と思っているだけじゃあないのか?」

口角を上げながら、ブチャラティが応対する。
軽い皮肉のつもりで放たれた言葉。
しかしそれは、F・Fの逆鱗に直に触れた。

挙げられた腕――差し出された指。
予備動作も皆無に、新たな数発の『F・F弾』を発射。
互いの距離が生まれたといっても、間合いは二メートル弱に過ぎない。
数発の弾丸は、そのまま対象の致命傷を生み出すはずだった。

――もし相手が、近距離パワー型のスタンド使いでなければ、の話だが。
至近距離から放たれた弾丸を、『スティッキィ・フィンガーズ』は寸分違わず拳で弾き返し、主を守護する。
ブチャラティは反撃しない。
そろそろと背後に退き、目標の地点に向かう。
突如、血を撒いて倒れ伏した部下の元へと。

ミスタは、想像以上に凄まじい状態だった。

全身に無数の傷が生まれ、今も多量の血流が噴き出し、絨毯を赤黒く染め上げて止まない。
息はあるが、意識は完全に闇の中だ。
そして、本体の傍らで横たわっている、『セックス・ピストルズ』の六人組。
一人残らず、どす黒い粘液状の何かが、彼等の表面にへばり付いていた。
この粘液が、『ピストルズ』の全身を侵食し、破壊しているのか。

満身創痍の部下を足元に、ブチャラティは敵に向けて問う。
あくまでも、静粛な口調で。

「……ミスタをどうした?」

F・Fは、愉快で仕方がない、といった口振りで応える。

「感謝しろ――死なない程度に生かしてやっている。
 すぐに殺す事も出来たが、それでは貴様のハンデになるまい?」

ふいに呻きを上げる、ブチャラティ。
視線の先は、『F・F弾』を防御した『スティッキィ・フィンガーズ』の左手の甲。
『ピストルズ』と同様の黒い粘液が、そこに付着していた。
粘液そのものに自律性があるようで、蠢きながら肌と肉を食い破っている。
そして、スタンド能力の大原則――本体へのフィードバック。
ブチャラティ自身の左拳から、細い血流が噴出する。

103 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 14:22:44 ID:MOL9WUGZ
「成程な――『スタンドに取り付き、食らい尽くす肉片』。それがお前の能力か。
 ならば、『ピストルズ』が反射させた銃弾が効かないのも頷ける。
 "お前の身体に戻っただけ"なんだからな――」
「うむ……及第点といった所だな。
 我が『弾丸』をそのチンケなスタンドで防御しても、無駄だ。
 接触した時点で外皮に吸い付き、内部へと侵食し破壊する」

大きく息を吐いて、自らの左拳を睨むブチャラティ。
肌を引き裂き、骨の表面にまで食い込んではいるが、さして決定的なダメージではない。
弾丸をスタンドで防ぐだけでは、致命傷に繋がらないらしい。
その点が、ミスタの場合とは決定的に異なっている。

ブチャラティは推測する――恐らく、『ピストルズ』の大きさが問題だったのだ。
弾丸と接触しても、スタンドに付着する『粘液』は決して多量ではない。
だが、『ピストルズ』のようなリトルサイズのスタンドにとってはそれも致命傷。
通常よりも遥かに大規模なダメージを、本体――ミスタに与えてしまった。

「ところで……」

敵は、更なる言葉をブチャラティに畳み掛けてきた。
自らの絶対的優位を確信しているかのような、堂々とした様子で。

「どうやら、君の『右腕』は……骨折でほとんど動かせないようだが。
 ――死にかけの仲間を護りながら、『片腕』で、私と対等に渡り合うつもりかね?」
「ああ、その通りだ」

ブチャラティは、断固たる口調で敵に応じ、小さく頷いた。

続けて、指を胸の前に立て、まるで子供に教え諭すような仕草を見せる。

「――そして一つ、あんたの話の間違いを指摘しよう。
 『片腕』なのは、俺だけじゃあない」

その言葉を聞きざま、F・Fの表情が一変した。
彼は、気付いていなかったのだ。
先刻の近接戦の最後――両者が離れる直前の隙を縫って、自らの身体に『ジッパー』が接着されていた事に。

「――これで、お互い『片腕』だな」

『スティッキィ・フィンガーズ』の『ジッパー』は、確固とした物理的接続を、疑似的なそれに一変させる。
ブチャラティの呟きと同時に、その能力効果は、容赦無く解除された。

肘から先、といった容易いものではなかった。
肩から丸ごと、左腕の全てが胴から吹き飛び、絨毯に転がる。
それを追って両の断面から、黒い血飛沫が噴き零れ出した。

戦慄の表情で、落ちた自らの左腕に視線を落とすF・F。

「想像以上に――手強いな。ブローノ・ブチャラティ……」
「……何故、俺の名前を知っている?誰から聞いた?」

疑問への回答は、無かった。
敵の右手の指から、再度の銃撃が始まったのだ。

ブチャラティの眼前に迫り来る、無数の猛威。

本体に食らえば勿論のこと、スタンドヴィジョンで弾いても対象に損傷を与える、
この"生きた"弾丸の脅威を、如何にして防ぐというのか?

104 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 14:25:23 ID:MOL9WUGZ
――『スティッキィ・フィンガーズ』にとっては、それも容易い問題だった。
足元の床をスタンドの拳で打撃、『ジッパー』を発現させ、断面から一気に捲り上げる。
かくして弾丸を防護する、即興の『盾』が完成。

ここまでの立会いで、ブチャラティは既に理解していた。
敵が指から放つ『弾丸』は、その速度も威力も、本来の金属銃弾より劣るという事実を。
掲げ上げられた『盾』は、結局のところ木製の床板に過ぎないのだが、
無数の弾丸は総じて貫通までに至らず、表面に食い込むだけに留まっていた。

ブチャラティの行動は迅速。
敵が銃撃を止めたと見るや、『盾』から横に滑り込み、床を蹴って襲撃者に猛追する。
射程距離内への突入と同時に、『スティッキィ・フィンガーズ』の左拳の一撃を振り翳す。

F・Fも充分に知り得ている。
『スティッキィ・フィンガーズ』の一打が、決定的な致命傷に繋がる事を。
だから彼は、攻撃の勢いを受け流す道を選んだ。
残された右腕を前方に伸ばし、ヴィジョンの下腕に横から打撃、その軌道を僅かに反らす。
跳ね除いたスタンドの腕を横目に、差し出した勢いに乗じて、
そのまま右手の人差し指をブチャラティの喉元に突き出した。
間髪入れず『F・F弾』を発射。
やはりそれも読まれていた。ブチャラティは既に首元に『ジッパー』を発現。
僅かな接合部だけを残して、"ぐるり"、と、その頭部が右肩の後ろに転がる。
弾丸は再び空を切り、玄関近くの柱に食い込むのみ。
歯軋りするF・F。
ガラ空きの胴体に向けて、次なる『F・F弾』を見舞おうとする、が。
相手は接近も早ければ、退却も早かった。
華麗な動作でF・Fの傍らに潜り込み、転回。

両者の向きのみが入れ替わる形で、間合いは再び同様の格好に。
首の『ジッパー』が戻る耳障りな音響のみが、ホールに木霊する。

敵を睨むF・Fが、内心で悪態を吐く。
――接近戦では、やはり分が悪いか。

首の傾斜を直すブチャラティが、決意を固める。
――このまま一気に片をつける。ミスタの為にも。

十秒足らずの、視線の交錯の後に。
無言のまま、どちらからともなく、戦闘は再始動した。

身を大きく反らしたのはF・F。
左腕の欠損を無視した、超人的な後方転回を繰り出す。
彼はこう考える。
『スティッキィ・フィンガーズ』は近距離パワー型。つまり弱点は遠方からの一方的攻撃。
そして自分には無尽蔵の『F・F弾』がある。
間合いを取る事が、勝利に繋がる。

駆け出したのはブチャラティ。
身を大きく屈め、壮絶な勢いで敵に突進する。
彼はこう考える。
敵は『弾丸』を有する。つまり遠距離からの攻撃に持ち込む算段。
そして自分の優位は近接からの『スティッキィ・フィンガーズ』。
間合いを詰める事が、勝利に繋がる。

敵との距離を置き、『F・F弾』で決着を付けようとするF・Fと、
『スティッキィ・フィンガーズ』による接近戦を狙うブチャラティ。
戦闘は、自然とこのような構図に落ち着こうとしていた。

105 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 14:27:42 ID:MOL9WUGZ
三回、四回、五回……どこまで続くのか。
F・Fは、ただバック転を繰り返している訳ではなかった。
ブチャラティの側を向いたと同時に、指先から数発の『F・F弾』を放出しているのだ。
発射装置そのものである右手だけで全体重を支え、高速で回転する中途にも拘らず、
なんという精緻極まる攻撃だろうか。

敵の一回転の度に、床から切り出した小さな『盾』のみで、
全ての凶弾を正確に防御するブチャラティも凄まじい技巧。
しかし、射程距離に入るまでの速度が稼げない。
両者の間合いは、じわじわと遠ざかっていく。

ホールの壁面近くまで来て、ようやくF・Fはアクロバットを止める。
これも見事な受身で体勢を切り替えると、
腰を屈めた格好から、自らの分身――生きた銃弾を連発する。
今、互いを隔てる距離は、約五メートル。彼のみが一方的に攻撃できる位置。

『盾』からの衝撃に、顔を顰めるブチャラティ。
これまでよりも遥かに強烈な弾丸の雨霰に、
左手に構えた『盾』が最期の悲鳴を上げ、直後に断裂し粉々に吹き飛んだ。

止むを得ず、『スティッキィ・フィンガーズ』の左腕で防御を開始。
しかし、片腕だけではどうしても弾幕を防ぎ切れない。
ついには防御に漏れた弾丸が、右肩、右大腿、左腹部を掠り、彼の服と肌を引き裂いた。

次に上半身を後方に翻したのは、ブチャラティの方だった。
『F・F弾』の着弾衝撃で吹き飛んだ訳ではない。
自らの意思で、身体を背後に反らしたのだ。
後頭部を床に打ち据える直前に、『スティッキィ・フィンガーズ』を発動。
床上に直線状の『ジッパー』を生成し、自身の左手でそれを捉える。

――そして、滑走。
新たな『ジッパー』の向かう先は、F・Fの元ではない。
むしろその逆。後方へと、彼は退いたのだ。

退却に移ったブチャラティに対し、更なる銃撃を試みるF・Fだったが、想像以上に滑走は高速。
『ジッパー』の先端を取るブローノ・ブチャラティの姿が、ホールの奥へ奥へと突き進んでいき……。



…………そして、暗闇の中に、消失してしまった。



F・Fは、突然の事態に戸惑った。
闇の奥から、敵の動く気配や物音は皆無。
広いホールに、完全なる静寂が訪れたのだ。
これまで演じていた激闘の、全てが嘘に感じられる程の。

――逃げた、のか――?

当初、F・Fの胸中に浮かんだのはその思惑だった。
私との不利を悟り、屋敷から脱出した――という。

ホールの中央付近に、彼は視線を移す。
……何も、変化は無い。
そこでは、先程までと同様に、全身を己が血に濡らしたグイード・ミスタが、仰向けの姿勢で力なく横たわっていた。

――いや、違う。

106 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 14:29:02 ID:3ZRKIe4J


107 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 14:53:02 ID:3ZRKIe4J
 

108 : ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 15:16:07 ID:MOL9WUGZ
一時投下スレに続きを投下しましたが、さるさん規制が解けたので自分で投下します。

109 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 15:17:04 ID:MOL9WUGZ
F・Fは、自らの仮説を否定した。
あの男――ブチャラティは、意識不明の仲間を見捨てて、
何処かへと立ち去ってしまうような類の人間ではない――。
倒すべき敵であるにも拘らず、そのような観念に、F・Fは半ば無意識的に囚われていた。

不明瞭な思考の欠片が、意識上に浮かんでは消える。

F・Fは――『知性』を与えられたプランクトンの集合体は――ふと思う。
そういえば、ブローノ・ブチャラティは、自らの知る『誰か』に似ている。
誰だったかは思い出せないが、奴との戦闘中、『そいつ』の影が、ずっと脳裏にちらついていた。

強い信念の元、目的へと邁進する行動力。
決して揺るがぬ決意を湛えた、瞳。
そして、仲間への固い信頼の念。

そう――"『彼女』が、仲間を、見捨てるはずがない"。

……突然、F・Fは、一つの『気配』を感じた。
極々微かに薄められてはいるが、それは確かに、自らの動向を窺っているもの。

ほぼ反射的に、彼は自身の身体に命令を下す。

『気配』の方向――遥か上方――を、振り仰ぐ。

視界に現れた光景は、想像を絶していた。



――ブローノ・ブチャラティが、暗闇の中でこちらを注視している。
まるで『蝙蝠』のような、宙吊りの姿で――。



そのまま、『降下』するようにして、急接近。
瞬く間に、射程距離――二メートルに到達。

『スティッキィ・フィンガーズ』が、高らかに、吼える。



『――アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ
 アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ』



激烈極まる拳撃の連射が、始まった。
爆発的に、全身の出力を高めるF・F。
思わず喉から漏れ出す、意味無き絶叫。

「――ウウウウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォ
 ォォォォオオオオオオオオオオオオオオオォォォオオオアアアッ!」
『アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ
 アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ』

――ゆっくりと、状況が飲み込めてきた。
ブローノ・ブチャラティが両足の間に挟み込んでいるのは一本の『縄』。
天井の柱に括り付けたそれを『ジッパー』の媒介とし、
滑り降りる勢いに乗せて、F・Fの斜め上から襲い掛かって来たのだ。

110 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 15:18:30 ID:MOL9WUGZ
『アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ
 アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ』

止め処なく繰り出される、壮絶な乱打。
それを行うのは左拳のみのはずなのに、今は『降下』の加速が付与され、両腕によるラッシュ以上の爆発力!
上半身を目まぐるしく旋回させて、一撃一撃を正確に避わし、時にその軌道を逸らすF・Fだが、
その脚は、じりじりと後方に退き始めていた。

『アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ
 アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ』

落下の勢いに乗じたラッシュは重く、そして速い。
F・Fは回避と防御に精一杯で、たった一度の反撃を繰り出す暇さえ与えられない。
また、連撃の射程範囲から退避する事も不可能。
一瞬でも立ち遅れたら、致命的な攻撃を胸か首に食らってしまう。

『アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ
 アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ』

迂闊だった。
右の頬と左耳を、『スティッキィ・フィンガーズ』の拳が掠め、瞬時に切断されたのを悟った。

『アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ
 アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ』

連撃は終わらない。
『縄』の切れ端は床と接触しており、その箇所から、『ジッパー』のレールは床面へと移行しているのだ。
降下の速度は未だに死なず、ラッシュはF・Fの体力を削り続ける。

『アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ
 アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ』

ついに壁と壁の間、ホールの隅まで追い込まれてしまった。
もはやF・Fが逃げる道は完全に失われる。
延々と、回避と防御に専念するのみ。

『アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ
 アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ』

右肩。左腹部。右腰と右胸部にそれぞれ二箇所。左耳にもう一発、完全に千切れ飛ぶ。
全て掠り傷だが、小さな『ジッパー』は容赦無く新たな切断部を生み血潮を吹かせる。
胴の中央に食らわないのが奇跡的な程だった。

『アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリッ――――』

長い長い乱打が、ついに閉幕する。
『スティッキィ・フィンガーズ』が床を蹴り、ブチャラティが後方に退く。

決死の防戦を縫って放たれた、ラッシュ最後の一撃。
その一打で、ブチャラティは攻撃の終了を判断した。

――F・Fの右上腕に、ブレスレットのように『ジッパー』が付着していた。

ブチャラティによる小さな宣言と共に、
その接合が、容赦無く解除される。

『――――アリーヴェデルチ(さよならだ)』

絨毯に転がり落ちる、肘と手と指の付いた肉塊。
能力解除に一瞬遅れて、どす黒い血潮が切断面から噴出する。

111 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 15:19:02 ID:3ZRKIe4J
 

112 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 15:19:43 ID:MOL9WUGZ
「お前の、負けだ」

ブチャラティが、小さく息を吐く。
決着は、付いた。
両腕を欠いた敵を正面に見据え、彼は問う。

「話してもらおうか――お前の知る、全ての情報を」

だが――返事は、無い。

敵は、興味の欠けた面持ちで、床に落ちた自らの右腕を見つめていた。
ただ、それだけだった。

ブチャラティの胸を、微かな疑念が覆い始める。
――奴の能力は完全に封じられた。もう、こいつには何も打つ手が無いはずだ。
たった今、命を奪われても不思議でない状況で、何故この男は平然と佇んでいるのか?

奇妙な沈黙を破ったのは、意外にも敵の側からだった。

「"そうだ……申し遅れたよ"」

まるで何かに思い当たったかのように、敵は、ブチャラティに淡々と語り始めた。

「"私の名はダービー。
 D’.A.R.B.Y.
 Dの上にダッシュが付く……。
 ところで、私は賭け事が大好きでね。
 くだらないスリルに目がなくって、
 病み付きって奴でして……"」

唐突に、自己紹介を切り出した敵――ダーピー。
ブチャラティは険しい表情で、凝視を続ける。
念の為に、『スティッキィ・フィンガーズ』を傍らに現出させて。

「"ま……大方はギャンブルで生活費を稼いでるんですよ。
 あなた、賭け事は好きですか?"」
「……さっきから、何を言っている?」

痺れを切らしたブチャラティが、刺々しさを含んだ声で、そう詰問した直後――。

――激烈な衝撃が、彼の後頭部に襲い掛かった。

揺らぐ、視界。
崩れる、姿勢。
反転する、意識。

訳も判らぬまま、うつ伏せに転倒してしまう。

そして直後に現れた眼前の光景に、ブチャラティは目を見張る。
見覚えのない奇怪な生物――『スタンド』が、唸り声を上げながら、彼の胸を足蹴にしていたのだ。

『フー……フゥー……フゥーァ……!』

骨組みだけで構成されたようなスリムさを有する、漆黒のボディ。
鼻の位置から頭頂部を通り真上へと伸びた、アンテナ型の突起物。
渦巻き状の模様が刻まれた両眼は、何を見ているというのか。

『そいつ』は、あまりにも唐突な襲撃者。
敵――ダービーに協力する第三者のスタンド能力なのか。
あるいは戦闘中、奴が自らのスタンドヴィジョンをずっと隠していたのか。

113 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 15:21:04 ID:MOL9WUGZ
頭に直に食らった衝撃の余韻か、思うように身体が動かせない。
どうにか上半身を持ち上げた所で、待ち受けていたのは、『そいつ』による肘の一撃だった。

『……フウウゥゥゥゥゥ――――フォアアアアアアアアアアアッ!』

放たれる、奇声。
『そいつ』は強靭な膂力で、『スティッキィ・フィンガーズ』の額を打撃。
受身も取れぬまま、ブチャラティは再び絨毯の上に転倒する。
右腕の骨折箇所が床と激突し、ブチャラティは額に脂汗を浮かべ喘ぐ。

「……ブローノ・ブチャラティ〜〜〜〜ッ!」

ブチャラティの頭上で、『そいつ』の傍らに寄り添い笑うダービー。
最高に愉快だ――そう言わんばかりの口調で、彼は語り掛けてきた。

「貴様が私のくだらないお喋りに気を取られている間に、
 我が『左腕』はボトルの水を吸収し成長していたッ!」

玄関近くの床に、視線を馳せる。
そこでは、蓋を開けられた基本支給品のボトルが転がっていた。
恐らく、『スティッキィ・フィンガーズ』のラッシュの前後にダービーが投擲したのだ。
粘液はそこから伸び、黒いスタンドの足元と繋がっている。
奇怪な『そいつ』は、この男の左腕そのものだというのか。

笑みを絶やさぬままに、ダービーは話を続ける。

「……そして、ブチャラティ。
 君は、私が指先からしか『銃弾』を放てないと思っているようだが……。
 大いなる勘違いだなァ〜〜〜〜それは」

切断されたばかりの右腕の先を、立ち上がろうとしたブチャラティの顔面に向ける敵。
そこは、断面の肉が変形し、窄まるような形状を呈していた。
……まるで、火器の発射口のように。

防御する時間も与えられなかった。
放たれた『F・F弾』は、ブチャラティの左眼球に突き刺さり、
一瞬でその構造を完全に破壊し尽くした。

着弾の衝撃で、ブローノ・ブチャラティの身体は宙を舞う。
哀れな犠牲者は、昏睡状態の部下――グイード・ミスタの傍らに転がり落ちた。

F・Fは、その限界まで口を開け広げ、笑みを更に深くした。
溢れ出んばかりの歓喜の念が、その精神に満ち満ちていた。
また一歩、崇高なる目的へと彼は近付いたのだ。

「フフハハハハハッ――勝ったッ!私の完全なる勝利だッ!」

敵の眼球の裏から進入した『F・F弾』は、十秒足らずで大脳に到達し、奴を死に至らしめるだろう。
だが――と、F・Fは考える。
"直接、止めを刺さなければ、気が済まない"。

顔面に張り付いた笑みをそのままに、
新たな銃口こと、上腕の切断部をブチャラティ目指して差し出し――。



――巨大な『柱』が、両者の間に倒れ込んで来た。

114 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 15:21:58 ID:MOL9WUGZ
唐突な乱入者の体躯は、胴周り四メートル、体長十メートルを下るまい。
その巨体が、ホールの床に横倒しで衝突したのだ。
屋敷全体に轟き渡る爆音と衝撃波は、想像を絶する。
見る間にも木製の床板は陥没し、『柱』の一部が減り込んで行く。
木板が引き千切れる、悲鳴の如き異常音。

F・Fの相貌に、もはや笑みは無い。
眼前の光景を、呆然の表情で凝視する事しかできない。

「……『柱』ッ……!?な……何だとッ……!?」

自らの左腕から生み出した、あの愛しき『分身』は、
苦悶の叫びも上げられぬまま、『柱』に潰され即死していた。

『柱』の末端――かつての底部――に付着したものを発見し、F・Fは小さな呻きを上げる。
やはり、それを切断し転倒させたのは『ジッパー』。

F・Fがそちらに視線を戻した時には、既に。
事態を引き起こした張本人が、『柱』の彼方で立ち上がっていた。

「グラッツェ(ありがとう)……シニョール・ダービー。
 ミスタの所まで、俺を吹き飛ばしてくれて――」
「貴様ァッ……!」

破壊した左眼から進入した『F・F弾』が、息の根を止めているはずだったブローノ・ブチャラティ。
その彼が当たり前のように生存している理由は、一瞬で理解できた。
撃ち込まれた左眼を、周囲の肉と纏めて『ジッパー』で剥ぎ取り、『F・F弾』の侵食から保護。
さらに、辺りの肉や肌を『ジッパー』で接合させ、欠損による出血を防いでいるのだ。
彼の左頬の上には、縦一文字の『ジッパー』が、瞳の代わりに存在していた。

「……どうやら、俺はあんたの能力を見くびっていたようだ。
 今回は退却させて頂く。ジョナサンには少し申し訳無いがな――」

もうもうと湧き上がる粉塵に、ブチャラティの姿が覆われていく。
視界に残ったのは、おぼろげな影だけ。

F・Fが呆然と見ている間にも、ホールの奥で、また一本の柱が軋みながら転倒した。
天井に登られた際、この広い邸宅中の柱に、『ジッパー』が取り付けられたというのか。

――しかし、まさか、それでは――!?
彼が抱き始めていた恐るべき予感を、ブローノ・ブチャラティは代わりに断言した。



「この屋敷は、まもなく『倒壊』するッ!」



高らかな宣言は、終わりへの呻きを上げ始めた屋敷のホールでなお、明々と響き渡った。

屈辱と焦燥の入り混じった面持ちで、埃の先の敵を睨むF・F。
――もう、これ以上は戦えない。逃げる事を考えなければならない。

「今度こそ……本当に、アリーヴェデルチ(さよならだ)」

115 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 15:23:27 ID:3ZRKIe4J
 

116 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 15:24:37 ID:MOL9WUGZ
その言葉を残して、ブチャラティの影が、溶けるようにして消失する。
『ジッパー』の能力で、地下へと逃げ込んだのか。

F・Fのすぐ傍らで、崩落した天井の一部が床で爆散した。
恐らくこのやり方では、屋根が丸ごと内部に落ち込み、上から押し潰されるように倒壊するだろう。
壮絶な轟音は、いや増して周囲一帯に響き渡っている。

屋敷の死が、迫っていた。

「それにしても……ブローノ・ブチャラティ。
 その冷静な判断と、強靭な行動力――」

一挙に転がり落ちてきた上階の壁面を尻目に、F・Fが、微笑む。
今回の笑みは、戦闘中の、険を含んだ表情とは根本的に異なっていた。

その顔は、実に……純粋な。

心の底から、愉快げな。







意識不明の部下をその背に負って、ブローノ・ブチャラティは、走駆する。
彼が行くのは、まさに道なき道――地中。

(シニョール・ダービー……いずれ必ず、お前とは決着を付ける)

トンネルも無い地殻の内部を猛進するという荒技を、『スティッキィ・フィンガーズ』の特殊能力は可能にした。
本体の眼前の土壁を切るような動きで振られたスタンドの指先が、『ジッパー』を展開。
一時的に侵入可能な『空間』を生成する。
発生した間隙に潜り込み、再びスタンドの指先を振りかぶる――その繰り返し。

粛々と続く、奇妙な地中移動の中途。
ブチャラティはふと、腰に回した自身のデイパックに目配せする。

先刻【B-2】を調査した際に、入手したランダム支給品の一つが『包帯』。
不要なものだと思っていたが、まさかこんな形で使用を迫られるとは。

(とにかく、『参加者』のいない静かな場所を目指す――
 そこでミスタの応急処置を行う)

ブローノ・ブチャラティの呼吸は荒い。
大の男の全体重を背に抱えたその足取りも、敏速とは程遠いもの。
持続力にやや難のある『スティッキィ・フィンガーズ』の連続使用による疲弊も、
彼の動作に明確なぎこちなさを付与していた。

だが、今や右側のみとなった瞳は、強烈な決意を思わせる眼光を湛えて止まない。

一片の迷いも捨てて、ブチャラティは前進する。
その先に待ち受ける運命は、果たして――?

117 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 15:26:11 ID:MOL9WUGZ




危うかった。

突如、倒壊を始めた屋敷から逃げ去るように距離を置き、バイクと共に門の前で待機していたアレッシー。
彼は唖然の表情で、瓦礫の山から這い出て来たF・Fを凝視していた。

「おいおい……大丈夫かよッ……!その怪我――」
「早く抱き起こせ。湖に戻るぞ」

相も変わらず、抑揚の欠けた口調でF・Fは命じる。
崩落する柱と壁の残骸に巻き込まれ、左脚の膝から先が引き千切れてしまった。
両腕を失っている実情、無事に残っている四肢は右脚のみという有様。
しかし、本人にとっては別段の興味も湧かない負傷だ。
再生したばかりの手足に愛着など持っていない。
持てるはずがない。

「……どうした?」

F・Fは、自らを抱え上げようとしているアレッシーに問う。
彼の両腕が、震えていた。
見上げれば、戦々恐々とした面持ちで、周囲を忙しなく見回している。
その畏怖の原因は――思索する必要も無かった。

「奴等は……どうしたんだよ?」
「あと一押しという所で、逃げられた。
 安心しろ――二人ともに重傷。今すぐ我々を襲う事はあるまい」
「それなら、いいんだけどよォ〜〜……」
「さっさと乗せろ」

胴を持ち上げ、アレッシーは相方をそそくさとバイクの後部に乗せる。
壮絶な負傷の為に、F・Fの身体は驚く程に重量を欠いていた。
その事実が、介抱人の背筋を今一度凍らせる。

呆然とした口調で――半ば独り言として、アレッシーは呟いた。

「旦那……あんた、マジで人間かよ?」

F・Fは応じない。
右腕の切断部から血肉を伸ばし、前に乗った運転手の胸に絡めるように変形させ、固形化。
この程度の措置で、走行の勢いに振り落とされる危険が消えた訳ではないが、
そこはアレッシーの安全運転に期待するしかない。

他に打つ手も無く、運転手の襟首に鼻を押しつけて二輪車の始動を待つF・F。
これまでと変わらぬ無表情を貫いてはいるものの、
胸中では、アレッシーの何気ない冗談の言葉が反復して止まない。

――あんた、マジで人間かよ?

適切な答えが、即座に思い付いたのだが。
口に出すのは、止めておいた。


118 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 15:27:47 ID:MOL9WUGZ




雲一つない晴天。陽光の降り注ぐ街路。
そこに、猛然と疾走する若者がいた。

おおよそ、常人の走りではない。
広い背に大荷物――都合三つのデイパックに、兇器サブマシンガン――を抱えているのにも拘わらず、
その呼吸には乱れる兆候すら覗われないのである。
驚嘆すべき走行法は、如何なる技術によるものなのか。

強い陽光の差し込む角度のせいか、あるいは周囲の建造物との都合か。
その相貌は深い影に覆われており、表情は闇に隠されてしまっている。

青年が向かう先は、この街の中央部。
多くの『参加者』が待ち受ける、疑念と緊迫の坩堝。

静かなる疾走は、何を望み、目指しているというのか――?
真実は、まだ誰にも判らない。

彼自身にさえ、不明瞭なままだ。



To Be Continued...


119 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 15:29:55 ID:3ZRKIe4J
 

120 :The fall of a castle ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 15:30:11 ID:MOL9WUGZ
【D-2 地下/1日目 昼】
【チーム・ブチャラティ】
【ブローノ・ブチャラティ】
[時間軸]:護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後
[状態]:肩に切傷(血は止まっている)、左頬の腫れは引いたがアザあり、右腕の骨折、
   左手の甲と左腕に無数の傷、右肩、右大腿、左腹部に掠り傷、
   左眼球付近を消失(ジッパーで処置しています)、
   トリッシュの死に後悔と自責
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、シャーロットちゃん、スージーの指輪、スージーの首輪、
   ワンチェンの首輪、包帯、冬のナマズみたいにおとなしくさせる注射器
[思考・状況]
基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出
1.他の参加者がいない場所でミスタの応急処置を行う。
2.絶対にジョセフと会い、指輪を渡す。彼にはどう詫びればいいのか…
3.チームの仲間に合流する。極力多くの人物と接触して、情報を集めたい。
4.ダービー(F・F)はいずれ倒す。
5.“ジョースター”“ツェペリ”“空条”の一族に出会ったら荒木について聞く。特にジョセフ・ジョースター、シーザー・アントニオ・ツェペリ(死亡したがエリザベス・ジョースター)には信頼を置いている。
6.ジョナサンとブラフォードを信頼。できれば他のジョースターにも出会いたい
7.ジョナサン、ブラフォード、ジョージはどこに行ったのだろう?
8.ダービー(F・F)はなぜ自分の名前を知っているのか?
9.スージーの敵であるディオ・ブランドーを倒す
[備考]
※パッショーネのボスに対して、複雑な心境を抱いています。
※ブチャラティの投げた手榴弾の音は、B−2の周囲一マスに響きわたりました。
※波紋と吸血鬼、屍生人についての知識を得ました
※荒縄は手放しました。
※ダービー(F・F)の能力の一部(『F・F弾』と『分身』の生成)を把握しました。
※ブチャラティが持っている紙には以下のことが書いてあります。


@荒木飛呂彦について

* ナランチャのエアロスミスの射程距離内いる可能性あり

  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も)

* 荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む)


A首輪について

* 繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
* 首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?

  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)

* スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。

B参加者について

* 知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
* 荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
* なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
* 未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
* 参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
* 空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから

121 :代理:2009/09/04(金) 15:55:14 ID:3ZRKIe4J
【グイード・ミスタ】
[時間軸]:54巻、トラックの運転手を殴った直後(ベイビィフェイス戦直前)
[状態]:意識不明、全身に無数の傷、大量出血、
   左頬が腫れている、トリッシュの死に深い動揺とゲームに対する怒り
[装備]:ナランチャのナイフ、手榴弾2個
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:ブチャラティと共に行動する。ブチャラティの命令なら何だってきく。
1.気絶中
2.アレッシーうざい
3.あれこれ考えずシンプルに行動するつもり。ゲームには乗らない
[備考]
二人がした情報交換について
※ブチャラティのこれまでの経緯(スージーとの出会い〜ワンチェン撃破まで)
※ミスタのこれまでの経緯(アレッシー、エリナとの出会い〜ブチャラティと合流まで)
※波紋と吸血鬼、屍生人についての知識を得ました
※処置さえ行えば死亡には至らない程度の負傷です。



【C-2 ジョースター邸前/1日目 昼】
【知性と暴力】
【F・F】
[スタンド]:『フー・ファイターズ』
[時間軸]:DアンG抹殺後
[状態]:左腕を肩から、右腕を上腕から、左脚を膝から損失、左耳切断、全身に無数の切り傷、バイクに乗っている
[装備]:ダービーの肉体
[道具]:加湿器、メローネのマスク、支給品一式(水のボトルは空)、壊れた懐中電灯
[思考]:基本行動方針: 空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる
1.水分補給のため、湖で休む
2.アレッシーを利用する。用がすんだらバイクを奪う
3.ブチャラティ一行を始末できなかった事を後悔
4.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断
[備考]
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます
※承太郎はDISCを抜き取られ廃人化した状態だと思いこんでいます
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いてません
※隕石を落としたのはウエストウッドじゃあない別のスタンド使いだと思っています。
※ジョルノに対してはある程度の信頼を寄せるようになりました。出会ったら……?
※黴に感染しませんでした
※ダービーの体を乗っ取ったので外見は完全にダニエル・J・ダービーです
※彼の記憶も見ることが出来たので三部勢(少なくとも承太郎一派、九栄神、DIO、ヴァニラ、ケニーG)の情報は把握しました。
 徐倫を優勝させるために最大限活用します。
※放送でダービーの名が呼ばれるかF・Fの名が呼ばれるかは不明です。
※エートロの皮がE-2とD-2の境目付近に放置されています
※エシディシは血液の温度を上昇させることができ、太陽光に弱いと認識しました。
※思い出を捨てるため、初期の話し方に戻りつつあります(一人称が『あたし』から『私』、など)
※殺すことに対する躊躇いは無くしました
※リゾットから聞いたブチャラティチームのスタンド能力についての情報は事実だと確信しました。

122 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 15:56:48 ID:3ZRKIe4J
【アレッシー】
[スタンド]:『セト神』
[時間軸]:はるかかなたにフッ飛ばされて再起不能した後
[状態]:顔面に殴られた痕(ミスタからとエリナからの分)、
   片腕に少女エリナの歯型、足のつま先に痛み、貧血気味、
   全身に軽い打撲、バイクを運転中
[装備]:メローネのバイク
[道具]:カップラーメン(アレッシーは毒入りだと勘違いしています)、携帯電話、支給品一式。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームに乗るつもりは今のところないが、明らかに自分よりも弱い奴がいたら虐めてスカッとしたい
1.ダービー(F・F)の治療の為に湖に向かう
2.ダービー(F・F)の能力スッゲ!ダービーを抱えていた女(F・F)はもうどうでもいいや
3.ダービー(F・F)の信頼を得て保護を受ける。鉄塔近くの奴らとヘリとコロッセオは無視だ!
4.その後、携帯電話を使わせる。
5.でも本当はいじめまくりたくて仕方が無い。
6.スタンド使いをいじめてもロクな目に会わないと少し学習
7.上手く不意を突ける機会があればミスタ、ジョナサン、ジョセフ、ディアボロ、音石に報復する
[備考]
※セト神の持続力が弱体化しているようです。アレッシーが気絶しなくても、アレッシーに何らかの異常があれば子供化は解除されるようです。
※その制限に薄々気がつきはじめています、そのためやや警戒気味。ちょっとでもヤバイと感じたら逃走するようです
※『名に棲む鬼』における鉄塔の戦いの一部を目撃しました。会話は聞き取れていません。
 ダービーが投下された瞬間を見逃し、最初に目にしたのはF・Fに抱えられた治療後の姿だったため彼がカビに感染していたことを知りません。
 また上空の戦いは見ておらず、プッチ神父とサーレーの姿もよく見えていませんでした。
※ジョルノのスタンド能力を『触れたものを一定時間固定する』能力、F・Fのスタンド能力を『治療が可能な』能力、
 ディアボロのスタンド能力を『瞬間移動』する能力と認識しました。
 エシディシに関してはスタンド能力がどういったものであるかイマイチ確信を持てていませんが、
 『影を一瞬触れさせたぐらいじゃ若返らない』『太陽光に弱い』と認識しました。
※ンドゥール、オインゴ、マライア、ダニエル・J・ダービー、ヴァニラ・アイスとはお互い面識がありますが、スタンド能力は把握していません。
※カップラーメンをアレッシーは毒入りだと勘違いしています
※ダービー(F・F)から、『フー・ファイターズ』の能力の一部(治療と『F・F弾』)を聞きました。



【D-3西部/1日目 昼】
【ジョナサン・ジョースター】
[時間軸]:エリナとのハネムーンでアメリカに向かう途中の船上でワンチェンと遭遇する直前
[状態]:唇と右手から少量の出血(生活、戦闘に支障無。未治療)、顔と体中が血塗れ、鼻の骨折
[装備]:“DARBY'S TICKET”、サブマシンガン(残り弾数不明)
[道具]:デイパック*3、不明支給品1〜5(全て未確認)、エリナの首輪、エリナの指輪、
    ブラフォードの首輪、ダニーについて書かれていた説明書(未開封)
[思考・状況]
基本行動方針:?????
0.?????
[備考]
※【C-2 ジョースター邸】から、マップの中央に向けて南東に移動中です。
※タルカスの剣は【C-2 ジョースター邸】に放置され、屋敷の倒壊で瓦礫に埋もれました。



[補足]【C-2 ジョースター邸】は、【1日目 昼】に完全に倒壊しました。
 同時に、その音が周囲に響き渡りました。届いた範囲は他の書き手さんにお任せします。


123 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 15:57:31 ID:3ZRKIe4J
【支給品の解説】

【POCKy】
ミスタの支給品。
単行本第35巻で、鈴美が露伴に占いを持ち掛けたお菓子。
原作に登場したものは(エンポリオが食べていたような)『幽霊の菓子』と思われますが、
この支給品は別に幽霊ではありません。

【包帯】
ワンチェンの支給品。現実世界からの出典。
一般的なガーゼ生地の巻軸包帯。
傷口に巻けば止血や清潔を保つことができます。

【冬のナマズみたいにおとなしくさせる注射器】
ワンチェンの支給品。SBR単行本第18巻で登場。
大統領の部下二人組がルーシーに刺そうと奮闘した注射器。中身は睡眠薬。
原作では無関係な警備兵の喉元にぶっ刺さってしまった。かわいそう。


124 : ◆zQyD4guRRA :2009/09/04(金) 16:04:33 ID:MOL9WUGZ
再びさるさんに掛かっていました。
支援&代理投下ありがとうございました!

125 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 16:22:23 ID:3ZRKIe4J
>>124
いつだってささえるさ


投下乙です
ううむ、やはりブチャラティかっこいい
丁寧に組み上げられた戦闘は鬼気迫るものがありますね
……ていうかこの先チームブチャラティは大丈夫なのか、この傷で

FFってかっけーなー
だけど完全に漆黒の殺意に目覚めていった
いどうなるんだろう

アレッシー(笑)

126 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 21:49:36 ID:Aai17sKF
うおおマジにブチャラティリタイアかと思った
生き残ってホッとしたけど満身創痍になっちゃって・・・
しかも今後目が治らないうちはブチャもスタンドバトルは難しいんじゃあないか

127 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 23:47:46 ID:XY0JQwXH
投下乙です!
正直ミスタかブチャラティのどちらかはリタイアするものと思ってたw
ダービーinFFこえぇなぁ…こんな状態でジョリーンと会ったらどうなるかが今から楽しみで仕方が無い

>>126
それでもブチャラティなら…ブチャラティなら残った左目を今後失ったとしても…戦ってくれるに違いない

128 :創る名無しに見る名無し:2009/09/04(金) 23:57:50 ID:MOyxYmzf
ブチャラティかっこよすぎワロタ
しかし俺はついFFを応援してしまったぜ・・・
FFにはダークな魅力とか凄味があるな
GJっした!


>>126
それでも荒木理論なら・・・
のりあきが普通に復帰してきたジョジョワールドでならきっとなんとかしてくれる・・・!

129 :創る名無しに見る名無し:2009/09/05(土) 01:17:50 ID:fFTsfqKq
投下乙です!
死んだと思った時は 二度あったッ!見事に騙されましたw
ブチャラティ、ミスタという歴戦の兵をを前に一歩も退かないFFすげぇ…
よく考えたらフー・ファイターズって弱点らしい弱点ないな…とりあえずウェザーが組んだら相当ヤバイ
ダービーの記憶を語り始めたFFのところでマジテンションあがった、かっけえFF!

崩壊するジョースター邸を中心にばらける三人組みの描写も渋いぜ。
さて、ジョナサンはどうなるのか、どうなっているのか、気になるのはそこだぜ…
FF&アレッシーの無双化にも期待期待ィ!

改めて投下乙ッ!次回作も期待してるぜッ!

アレッシー(笑)なんもしてねぇwwww


>>126,127,128
時々でもいいから五部主人公を思い出してあげてください…
ジョルノ涙目すぎるw

130 :創る名無しに見る名無し:2009/09/08(火) 03:13:42 ID:zuokna+w
ブチャラティチーム復活には3つのコロネが必要だな

131 :創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 15:22:40 ID:8+ET+Kgz
今日投下か・・・wktkしてるぜ

132 :創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 22:41:38 ID:RXaIz4FO
電波状態は…良好ですか?
此方は…「支援」の準備なら出来ている。

と、同じくwktkしまくりだ

133 : ◆33DEIZ1cds :2009/09/13(日) 23:03:30 ID:xW+m5Mf/
>>132
でぃ・もーると、良好です。

ウェザー・リポート、ブラックモア投下します。
さほど長くありませんが、支援をよろしくお願いします。

134 :悪魔に首をかけるな ◆33DEIZ1cds :2009/09/13(日) 23:07:13 ID:xW+m5Mf/
「どういう事です」

ウェザー・リポートとブラックモアはポンペイ遺跡の中を散策しつつ、情報交換を行っていた。
対ヴァニラ・アイス及びラバーソウルの対策を練っていく上で、まず問題となったのがラバーソウルの変身能力。

道中の会話から、なりすましを防ぎ、お互いを認識しあうため各々のパーソナルデータを交換すべき、と言う話になったのだった。
それがあればラバーソウルが化けても偽物か否か判断できる素材になる。
他に変身能力を持つ者がいてもおかしくないのだ。出来るだけ先に手を打っておく必要がある。

そのように提案したのはウェザーだった。
故に彼は自分の肩書き、参加者の中に自分や仲間と敵対していた人物がいるらしいことを話した。
それを受けて、ブラックモアは自分の職業及び直轄の人物がどういった人間かを明かした。
あくまで他人に知らせても良いぎりぎりの範囲の情報だが。
まず、彼の付き従う人物は、第23代アメリカ合衆国大統領。ここで双方に困惑が訪れた。

この話が本当ならば、ウェザーから見ればブラックモアは過去の人間、ブラックモアから見ればウェザーは未来の人間、ということになる。

お互いに嘘を付く利点が無いという理由から、おそらく荒木の能力で集められているのは同時代の人間ばかりではないらしいことを悟った。
改めて荒木のスタンド能力、その異質さにゾッとした二人だったが、そこまではまだ良かった。
その次にあげられた名前にウェザーが異を唱え、改めて場が混乱してしまう。

『ファニー・ヴァレンタイン等と言う合衆国大統領は聞いたことがない。』

そして冒頭のセリフがブラックモアの口から零れたのだ。
「第23代大統領はそのような名前ではなかったぞ。俺も歴代の大統領を全て覚えているわけではないが…。」
まさか自分の上司の名前を間違えるまい、といった様子ではあるが、ウェザーは疑惑の籠った目でブラックモアを見ている。

ブラックモアはしまった、と思った。自分は嘘はついていないが、余計なことで余計な疑いを持たれては…。
緊張しつつ、なるべく感情を出さないよう顔の筋肉を意識してウェザーと目を合わせる。
自分の思惑を読み取ったのかどうかは定かではないが、ウェザーの言葉が動揺を打ち消してくれた。
「いや、お前は嘘は言っていないだろう…嘘だとしてもお前のような策士が間違えるとも思えないし、ここで嘘をつくメリットも見当たらん。」
胸の内でひそかに安堵のため息をつく。彼が自分を知恵者と買ってくれていたことで助かった。
相変わらず表情を変えぬよう気を配りつつも、相手の次の言葉を待った。

135 :創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 23:07:27 ID:M3R653ZF
支援させていただこうッ!

136 :悪魔に首を懸けるな ◆33DEIZ1cds :2009/09/13(日) 23:08:11 ID:xW+m5Mf/
「しかし、参加者名簿にあったな。”スカーレット・ヴァレンタイン”…関係があるのか?」
「はあ、ファースト・レディかと。同姓同名の別人でなければ。」
大統領夫人、という重要な人物にも拘らず、それに対するブラックモアの反応は全く持って淡泊だった。
違和感を感じたウェザーは、訝しげな顔で問うた。
「…探さないのか?上司の配偶者ならば…」
「生憎、私の職務の管轄外ですので。」
軽快に、どこか気楽ささえ漂わせながら、ブラックモアは答えた。
自分と所縁のあるはずの人間に対してこうも興味無さ気に答えられるものなのか。
ウェザーが寄せていた眉根に、さらに力がこもる。
ブラックモアのこういうところが不安点だ。同時に先ほどから垣間見える、その狡猾さも。

「……。いいだろう。なぜ大統領の名前がお前が居た時代と俺が知っている歴史で違うのか…全く見当もつかない。が、今は…考えないでおく。」
目下、やるべきことは他に山ほどある。
話を先に進めようと、ウェザーはブラックモアの職務内容を詳しく話すよう求めた。
本心から申し訳なさそうな様子を顔に昇らせ、困ったような声音でそれに答える。
「すいませェん…それは申し上げることはできません。何というか、種類としては…どちらかと言うと悪の領分でしょうか。あまりクリーンなものではありません。
まあ、そんなことは取るに足らない事ですがね…だから彼ら、とびきりの殺人鬼達にも取り入れたのでしょう。…何せ、私とて必死ですから。」

ぽつりと漏らされた言葉に、ウェザーははっとした様子で相手の顔をじっと見る。
その表情から何かが読み取れそうな気がした。

(こいつは、生き残る以上の目的が何かある。その為になら、危険な橋を渡ることをも厭わない目的が。)
今まで掴みかねていたブラックモアの人格の一端を今、見た。ウェザーはそう感じた。
薄く微笑みながら歩き続けるブラックモアは、聖なる遺体に思いをはせているのか、自ら忠誠を誓った人物を想っているのか。
ウェザーが自分の表情を見ていることに気が付いていない。
今が機、と判断し、ウェザーは今まで口にしなかった懸念事項を口に昇らせた。
先にヴァニラ・アイス襲撃という大きな戦いを控える今、疑惑を断ち切り、自分の考え全てをはっきりさせるべきと考えたのだった。

自分がここに連れて来られてから、初めて遭遇した死体のこと。
その死体が握り締めていた繊維屑のこと。
そしてその繊維は、ブラックモア衣服の物と酷似していること。

語り終えたウェザーが、特に弁明を求めたわけではない。
だがブラックモアは自らの利益を考えてか、早々と口を開いた。
その発言は、自らの犯した殺人を認める体のものではあった。
「すいませェん…言い逃れはできませんね。その青年が私を殺そうとしたので、やむを得ず正当防衛を「嘘だな。」」


137 :創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 23:08:33 ID:6u5jSYH9
支援

138 :悪魔に首を懸けるな ◆33DEIZ1cds :2009/09/13(日) 23:09:34 ID:xW+m5Mf/
ブラックモアは立ち止まった。
予期せず素早く、確固たる意志で示された否定の言葉。至上の言い訳と思ったのだが。
(真実に嘘を混ぜれば、嘘はばれ難い、はず……)
彼は戸惑う。心音が大きくなる。信用を失ったか、攻撃されるのでは?という懸念が頭の中をアラーム音のように駆け巡る。
自分達の周りでは、地面に染み込み続ける雨粒の、優しい、ごく小さな音だけが響いている。

ウェザーが先ほどまで北上させていた雨雲は既に解除している。
消耗が激しい中、今自分達が襲われると対応の遅れにつながりかねないためだった。
今は襲撃者に対応できるよう、自分達の周り、最小限の範囲で小雨を降らせる雨雲を維持しつつ移動している。

何よりもこの雨を止められてしまえば彼には何の対応もできない。
だが、今は聞くべきことを聞く。
相手を論でねじ伏せることができれば、同盟を結んだ時のように無益な争いを起こす事もない。
焦るな、と自分自身に言い聞かせつつ、ブラックモアは口を開いた。
「…なぜそう思われますか?」
「『尤もらしすぎる』…これが理由だ。勘と言ってもいい。まあ死体の状態も鑑みてだが。
俺の持つこの繊維が、お前の衣服から千切り取られたものだと完全に証明することはできないが、お前の正当防衛を証明する手段もない。」

ブラックモアと同様に立ち止まったウェザーは低い声で答える。
囁く様な彼の声は、柔らかく地面に染み込む雨音と同時に、確かな確信を含んでブラックモアの耳に届く。
「おそらくお前が一方的に襲った。俺はそう考えている。しかし、俺はお前を攻撃しない。死亡していた男には仇を取ると誓った…。
だがお前はエンポリオと早人を助け、殺人鬼だらけのこの同盟を恐るべき手腕でまとめあげた。」
「…お褒めに与り。」
ウェザーの言葉を受け、ブラックモアは片足を後ろに引くと優雅な動作で礼をした。
肯定も否定もせずにいるのは、後のウェザーの出方を伺っているのか、単に成す術がないだけか。
ウェザーは計りかねながらもさらに己の言葉を吐き出し続ける。
「茶化すんじゃあない。それで殺人が帳消しになると言っているわけではない。
だが、お前は見境なく殺人を犯すようなゲスとは違う…。悪を悪と認識できる。俺の考える『最悪』とは違う性質を持っている。」
「…そうですか。いや、自分のことを改めて言われるとわからなくなるものですねぇ…。」
「…生き残る、さらにその先の目的が何かあるのか?お前の行動は何か大きな目的の為のものか?内容を話せとは言わない。とにかく俺はお前を攻撃しない。今は、な。」

聖人の遺体を集めるという自分の目的を話すつもりなどさらさらなかったが、ウェザー・リポートが物分かりの良い人間で助かった。
ブラックモアは内心ほくそ笑む。
彼のスタンド能力こそ自分に必携のもの。
件の殺人はほぼばれてしまったが、今は攻撃しないという彼の言葉にウソはないだろう。
動機に対する明言は避けさせてもらう事にしよう。
「ハイ…どうも、感謝いたします。目的がある…まあ、そんなところですとだけ言っておきましょう。」
子供の安全確保のために成すべきことがある今の状況下、ヴァニラ・アイスを倒すまでは自分達の仲違えなど無益の極み。
駅舎襲撃時には嫌でも共同戦線を敷くことになるのだ。その中でならさらに強固な信頼を得ることもできよう。ブラックモアにはその自信もある。
差し当たっての行動の為、自ら率先して行く先を提案する。
「ところで、現在地はG-5という事になりますが、当面はマップ上のこのマス内を隈なく散策、という事でよろしいですか?」
「ああ…駅襲撃は時間的にも余裕をもって進めたい。あまり離れずにいよう。誰か、ゲームに乗っていないマトモな人物と接触できれば最良だが…。」


139 :悪魔に首を懸けるな ◆33DEIZ1cds :2009/09/13(日) 23:13:11 ID:xW+m5Mf/
話し合いつつも、ウェザーは迷い続けている。
(だがおまえから”善”の要素を読み取ることもできない。出会った当初に感じた悪意は、まだ間違いなくお前の内にある。
目的を持ち、自らを悪と認識しているものに、俺はどう出るべきか…?)


ブラックモアが取るのは確固たる意思の上に成り立った行動。
だが問題なのは殺人を厭わないその人間性だ。
彼の心は正しい場所にあるのだろう。憂慮すべきは彼の頭の方だ。
だが今は共闘体制を敷くことに異存はない。むしろ関係を強化しておくべきだ。
「それからまた提案だが…。さらに素早くお互いが本物であることを確認するために、合言葉を決めるというのはどうだ?」
「ああ、それは良い考えです…何か言葉がお決まりですか?」
ウェザーは軽くあごに手を当て、考えるような素振りをしながらブラックモアの顔を覗き込んで言った。
「『悪魔に首を懸けるな』…これでどうだ。」
「…わかりました。では、移動開始でよろしいですかねぇ…。」
二人は再び歩き出した。お互いの間に流れる信頼にもならない、敵対心にもならない、奇妙な空気をそのままに。

「さらにヴァニラ・アイスについては、ウェザー・リポート、いかがお考えですか?」
一つ議題が片付き、もう一つのさらに厄介な問題を解決するため、ブラックモアがウェザーに考えを促す。
まっすぐに眼前を見据えて歩いているウェザーは、目線を一瞬ブラックモアに流し、述懐した。
「能力が最大の難点である以上、不意打ちで即死させるのが最上だろうな。つまりは暗殺だ。」
これを聞いたブラックモアは、ほう、といった風に目を開き、斜め下、地面を見つめて考えるような挙動を示しながら賛同した。
「暗殺…成程。では駅舎の地形、相手の位置を予め詳しく知る必要がありますね。」
「そうだな。早人がいる分、我々は動きにくいと言わざる負えない。放送まであと3時間強…早めに駅に行きたいが、今は時間をおくべきだ。」
「そうですねえ…一先ずはお仲間になっていただけるような人物と接触したいものです。」
具体案がはっきりと決まらず、2人にはもや付いた気分が残る。
しかしなんといっても焦って先走った行動をとり、自らの首を絞めることだけはあってはならない。
この点、2人の認識は一致していた。

会話が終わり、さらに数歩歩いてから、ブラックモアは支給品のペットボトルを取り出した。
ふと先ほどの好奇心を抑えきれずに質問する。
「ああ、そうそう…この容器は何という材質ですか?初めて見ます…軽くて、ガラスのように割れたりしない。」
「……、それはプラスチック。合成樹脂と言って……」

降りしきる小雨の中に、歩く2人の背が霞んでゆく。
彼らは止まることを知らない。
お互い思うように進みそうで進まない苛立ちと、焦る気持ちを控えようともがく理性に、心を翻弄されながらも。


140 :創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 23:15:22 ID:RXaIz4FO
>>133
ベリッシモ良いことだ。

遅れたけど支援!

141 :創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 23:16:42 ID:6u5jSYH9
携帯の書き込みの成功率の低さが異常すぎる
支援

142 :悪魔に首を懸けるな ◆33DEIZ1cds :2009/09/13(日) 23:21:29 ID:xW+m5Mf/
【G-5/1日目 午前】

【ブラックモア】
[時間軸]:ジャイロの鉄球が当たって吹っ飛んだ瞬間
[状態]:左腕にかすり傷
[装備]: 一八七四年製コルト
[道具]:支給品一式、予備弾薬(12/18)不明支給品1〜3(本人は確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する。
0.G-5のマス内を散策。協力者を募る。駅には早めに戻って、その場の状況確認をする。(”早め”の程度は後の書き手さんにお任せします。)
1.ウェザーの信頼を得ることを第一に考え行動する。その際に生ずる損得を含めて。
2.第二回放送時にサンタ・ルチア駅を襲撃する。ただし無理はしない。
3.早人救出作戦を考える。場合によってはウェザ−と相談する。
4.七人の同盟をまもるかどうか、場合によってはウェザーと相談する。
5.20時にDIOの館に向かう…?
6.早人が用済み(ウェザーの信頼得た後ならば)になったら始末する。
7.名簿にある“ツェペリ”“ジョースター”“ヴァレンタイン”の名前に注目
8.遺体を捜す
9.傘が欲しい…。
10.ラバーソウルは見つけ次第対応する、Jガイルとアンジェロはしばらく放置
11.駅周辺を移動して仲間を探しつつ、対ヴァニラの作戦を考える
[備考]
※名簿はチェック済みです。一通り目を通しました。"ツェペリ""ジョースター""ヴァレンタイン"の名に警戒と疑問を抱いてます。
※ブラックモアがほかの七部の参加者をどのぐらい知っているかは不明です。
※エンポリオからは情報を聞き出せませんでした。
※支給品一式をJ・ガイルに譲りました。ウェザーリポートにはばれてません。(二つ持ってたことも渡したことも)
※J・ガイル、アンジェロのスタンドについては理解し切れていません。水、及びそれに順ずるものを媒介とするとだけ把握しています。
※ヴァニラアイスの能力を把握してます

143 :創る名無しに見る名無し:2009/09/13(日) 23:22:34 ID:RXaIz4FO
支援

144 :悪魔に首を懸けるな ◆33DEIZ1cds :2009/09/13(日) 23:22:40 ID:xW+m5Mf/
【ウェザー・リポート】
[時間軸]: 12巻、脱獄直後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3(本人は確認済み)、黒い糸数本
[思考・状況]
基本行動方針: とりあえず殺し合いには乗らない。襲ってきた相手には容赦なく反撃する。
0.G-5のマス内を散策。協力者を募る。駅には早めに戻って、その場の状況確認をする。(”早め”の程度は後の書き手さんにお任せします。)
1.早人の安全を確保したい。
2.第二放送時に駅を襲撃する
3.ブラックモアを警戒。
4.20時にDIOの館に向かう…?
5.早人救出作戦を考える。場合によってはブラックモアと相談する。
6.七人の同盟をまもるかどうか、場合によってはブラックモアと相談する。
7.エンリコ・プッチを警戒
8.ラバーソウルは見つけ次第対応する、Jガイルとアンジェロはしばらく放置
9.駅周辺を移動して仲間を探しつつ、対ヴァニラの作戦を考える
[備考]
※男(ロメオ)を殺したやつを探す。相手次第で始末する→ブラックモアだという事が自白により確定。だが今は手を出さない。(早人救出を優先するため)

※北上させていた雨雲は解除しました。今雨が降っているのは、2人の周り、最低限の範囲です。
(”最低限”の程度は後の書き手さんにお任せします。急な戦闘に備えて降らせています。 )
※名簿はチェック済みです。一通り目を通しました。早人と情報交換しました。
※黒い糸はブラックモアの服からちぎりとったものです。
※ブラックモアは生き残るだけではなく、さらに先の目的が何かある事を知りました。内容(遺体を集めること)までは知りません。
※ヴァニラアイスの能力を把握してます


145 : ◆33DEIZ1cds :2009/09/13(日) 23:25:38 ID:xW+m5Mf/
以上です。
支援ありがとうございました。

誤字・脱字・矛盾等、指摘及び感想をお願いします。

146 :創る名無しに見る名無し:2009/09/14(月) 22:02:47 ID:YMoGptUV
投下乙
相変わらずブラックモアの世渡り上手さはすげぇなw
ウェザーもクールでカッコイイし、何気にコイツらも名コンビかもしれん



147 :創る名無しに見る名無し:2009/09/15(火) 14:58:50 ID:3KfkOX/o
投下乙
ウェザブラパートの密度が段々深くなってきたな
ロメロ殺害フラグの解消がこれからどう影響するか……

148 : ◆33DEIZ1cds :2009/09/15(火) 22:15:10 ID:KVjB+c6m
短い文章に感想ありがとうございました!

2人の状態表に↓
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
という項目を追加してwikiに加えてきます。

そして…早速の予約に、期待で胸が爆発しそうだと言っておこう……

149 :創る名無しに見る名無し:2009/09/20(日) 16:55:02 ID:j61lv1Uo
追加予約でさらにwktk
荒木が入ってるということは俺らが見られるのは仮々投下の後ってことか…
待ち遠しいぜ

150 :創る名無しに見る名無し:2009/09/20(日) 17:32:32 ID:f4iNoFjv
そういや仮々投下ってどこに貼るんだろうね?

12人予約とか、wktkが止まらん

151 :創る名無しに見る名無し:2009/09/20(日) 18:41:24 ID:7PGvfdfs
12人予約とか憧れすぎる。
いつかそんくらいの大仕事に取り掛かりたい。
書く書く詐欺にならないよう、投下に期待しつつ今から放送後のプロットを練るのだ。

議論スレとか、なんでもありとか、仮投下スレにアドが貼られるのかな??>仮々投下

152 :創る名無しに見る名無し:2009/09/20(日) 19:14:21 ID:Y9ZGGpXF
それ何て自分?>書く書く詐欺

多分仮仮投下は初だよね
何処に投下するかも話あったんじゃあない?

153 :創る名無しに見る名無し:2009/09/20(日) 19:33:18 ID:7PGvfdfs
能力チャットの主催者の方が後でされていた報告では、
『読み手の眼の届かないところにあげて、書き手間で協議』
ってなっていたから、したらばのどこかのはず。
アドが貼られるスレまでは未決定かな?
自分もチャットにはいなかったので…orz

書く書く詐欺から一緒に抜け出そうぜェ…旦那。

154 :創る名無しに見る名無し:2009/09/20(日) 21:23:53 ID:CC2KheYY
いや、荒木の能力に触れたり開催目的とかに触れなければ普通に投下されるはず>仮仮投下
仮仮投下は書き手間の多彩なアイディアを決定するには早すぎるって言われたからの措置だから

155 : ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 01:10:10 ID:CEbSdrz8
今の内にネタバレをすると、荒木は ほ ぼ 何もしません。

仮仮投下するまでもない……と思ってます。
100kb超えましたので、今は推敲の段階です。もうちょっとだけ時間かかるんじゃ。

156 :153:2009/09/21(月) 02:08:23 ID:Z1cnQM/v
>>154
把握しました。ありがとう!

>>155
頑張ってください!いつまでも…待ってます…投…下…

157 :152:2009/09/21(月) 09:13:01 ID:cQ4NdeFQ
>153
頑張るよ兄ィ!

>154
なるほど。じゃあ第二回以降に結構来そうな予感。

>em氏
100kb…wktkが止まらない
連休なんて関係ない今唯一の楽しみです、アバティーでもジョルノに勧めて待ってます

158 :偉大なる死 その@ ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:31:54 ID:CEbSdrz8
初対面の人間に会ったとき、あなたはどのように接するでしょうか。
いわゆる第一印象……見たままの感想を意識に刷り込むのではありませんか。
太っている人はよく食べる? 汗っかき? 力持ち? キャッチャー?
やせている人はダイエットしすぎ? 運動はしない? それとも陸上選手?

「どうした? この私がお前達に選択の権利を与えてやろうとしているのだ」

当てずっぽうです。言いがかりです。全てはあなたの妄想に過ぎません。
1週間?1ヶ月?1年? 10年? 実に馬鹿馬鹿しい話です。
その人がどんな性質を持っているかどうかなど、わかるはずもないのです。
本音が本音だって誰がわかるのでしょうか。本人以外、言葉の真偽は闇の中です。

「さあ! 是か否か、ンン〜ナイスな返事を期待しているぞ」

私達はわかったフリをしているだけなのです。
“彼女が寡黙なのは、奥手だから。きっと僕に照れているんだね”
“あの人は私をリードしてくれようとしている。こんな私のために……嬉しい!”
お互いに探りを入れて勘違い。そして作られる信頼関係。
勘違いが合致しあうからこそ、人々は仲間や伴侶を作る。なんと身勝手なこと。
しかしそれは悪いことではありません。むしろ祝福されるべきであります。
嘘から生まれる恋もあります。歴史の偉人たちは“昨日の敵は今日の友”を幾度も実践していました。
幸せの道へと歩めるのなら、その勘違いを『運命』として賞賛することに、何の異論がありましょうか。
逆の道へ進んでしまうよりは、ずっと良いことなのですから。

「俺たちの答えはノーだ。お前に話す言葉など何も無い」

話を戻しますが、第一印象というものは、その足がかりに大いなる役割を果たすのではないでしょうか。
勿論すべてのケースにおいて人間が同じ対応をとるわけではございません。
しかしここ一番では、人は最初の印象を、ある程度は重要視するのではないでしょうか。
『チンピラくずれのアイツが結婚してからというもの、すっかり過保護パパに変わっちまったなぁ』
『あの人がそんなことをするはずがない! 毎朝、私に挨拶をちゃんとするいい男だったんです! 』
“現在”の心の内を探る前に、昔の基準でモノを計る。それが人から聞いた噂話であったとしても。

「エルメェスの報いを受けろ」

男たちの戦いが始まる。
あまりにも誇り高く、あまりにも馬鹿げた戦いだ。

★  ☆  ★

159 :偉大なる死 その@ ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:33:38 ID:CEbSdrz8

あれは午前9時42分をすぎたころの話でしょうか。ええ、覚えてますよ。ハッキリと。
なぜなら私の支給品の1つに“デジタル式腕時計”という物がございまして。それを身に着けていたのです。*****************
詳しい説明を聞くまでは、“不思議な数字を出すオモチャ”だと勘違いしておりました。未来の技術はすばらしいですねぇ。

さて、本来ならば太陽も昇り始めて気温も本格的に上がりかけていたはずですが、空は曇り。
……失礼、不肖わたくしブラックモアと申します。雨粒を固定し自在に操るスタンド使い。
しとどに振り続ける雨は私に無敵の力をくれます。この世の雨全てが私の味方。
その私がエリアG−5で探索に勤しんでいた時のことです。

「あの食屍鬼街というエリア……どう思う? 」

同行者である彼が思いもよらぬ提案を持ちかけたのです。

その名はウェザー。毛皮の帽子を被った無愛想な男。
こんな事を言うのは気は退けますが、私にとってはこの上ないパートナーでもあります。
なぜなら彼は天候を操るスタンド使いだからです。大気中の水分を自在に操るスケールは凄まじい。
余程のことがなければ私が彼に勝つことは逆立ちしたって無理な話でしょう。
というのも、彼を失うことは私自身の力をみすみす捨てることになるからです。
鍬を放り投げる農夫がいましょうか。ツルハシを捨てる炭鉱夫がいましょうか。
悔しいことではありますが、この世界で雨が降ることは想定できません。
私は今すぐに身を守る力が欲しかった。だからこの男の意思にある程度は従わざるをえない。

「ここは街とわざわざ銘打ってある。人が隠れる分には……問題ない」

食屍鬼街と書かれた施設に、ウェザーは興味津々で指を刺していました。
無論、私はまったく興味がありませんでした。G−5を探索しようと提案したのは彼なんですがね。
ウェザーはクイを親指を傾けながら、私に合図を送りました。
よくよく目を凝らせば、食屍鬼街の入り口付近に鎮座する高台。そこにうっすらと人影が。
おそらくウェザーは、支給品である“オペラグラス”という望遠鏡らしき物で見つけたのでしょう。

なるほど、彼と接触を試みようとする腹積もりのようです。
……やはりというか、何というか。雲行きが怪しくなってきましたねェ。
天気の話ではありませんよ? 私自身が“仕事”をする上でかかる苦労の度合いの話です。
職業柄、人の顔を覚えるのは苦手ではありません。しかし、物事には限度というものがあります。
人事は同僚の警護官のほうが得手であり……おっと失礼。愚痴です。忘れてください。

何が言いたいのかというと、現段階で私と同盟を組んでいる者達の処遇だけで、私には手一杯なのです。

お恥ずかしい話ではありますが、6人の人間のハラを常に同時に考えるというのは、思っていたより難しいのですよ。
片桐安十郎(アンジェロ・カタギリ)は獰猛でタチの悪い殺人鬼です。粘着質。彼の処理は時間がかかるでしょう。
腐ったりんごのような精神は理解できません。しかし片桐安十郎はジャパニーズというのが分かるだけマシなのです。
J・ガイルやラバーソールは国籍すらもわかりません。身元不明の人間をどう信用しろと。


160 :偉大なる死 その@ ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:34:36 ID:CEbSdrz8
次にウェザー。彼は更に厄介で、本人が記憶喪失とのたまう有様。自分で身元を話していたのにです。
しかし彼のスタンドは私には欠かせない存在であり、無くてはならないメインピースでもある。
その絆(ビジネスライク)を繋いでいるのは川尻早人(ハヤト・カワジリ)なのですが……まさに薄氷の渡り道。
川尻の瞳の奥に輝く可能性は評価できます、とはいえ子供の発想は突拍子が無く、迂闊に手がつけにくい。
最大の難点はいつ死んでもおかしくない事。ウェザーの死と同じく、彼の死もまた、私の死を招くおそれも。
ウェザーの出方次第では、ヴァニラ・アイス討伐の後、お払い箱にされてしまうやも。

……ヴァニラ・アイスを殺せれば、という前提ですがね。失礼。また愚痴をこぼしてしまいました。
ご了承ください。もはや人間ですらない、スタンドも非常に対処しづらい存在に、殺しに行かされる身にもなっていただきたい。
私の提唱のもと立ち上げた7人の同盟、『悪魔の虹』。全く憎たらしい。

「時間がないのはわかってる。あそこへ寄った後は急いでサンタ・ルチア駅に戻ろう」

“裏切り抜け駆け何でもあり”と釘を刺したのは正解でした。
その方が彼らの本質をより理解できます。それは不幸中の幸いでした。
どうせ同盟を組むなら、彼らには素のままであってほしかったのです。下手な信頼は嫌悪より劣る。

彼らは私のことをどう思っているのでしょうか? おそらく『おべっかな蝙蝠』とでも見下しているのでしょうか。
もしそうであるのなら恐悦至極。まったくもって喜ばしい限りであります。
蝙蝠役を演じるのが大変つらい事であるのに、何ら異存はありませんがね。
先ほどから話しているように、そこの主張を変えるつもりはありません。

しかし、ある意味やりやすいのですよ。『見下されている』というのは。
彼らの実力がどうであれ、おそらくは凶悪なスタンド。これは変わらぬ事実とみて大丈夫でしょう。
又聞きした情報から判断すれば三人はいずれも劣らぬ実力者。
“せいぜい笑ってな、最後に勝つのは俺だバーカ”という態度を前面に出している。
つまり、未知のスタンド使いに対するあの傲岸不遜さは、己の力への自信と誇りの表れなのです。

私が彼らと戦ったとして私が勝つには、正直分が悪いと思ってます。
確立にして50%……いや、良くて30%でしょうか。
だからこそ。
だからこそ、彼らにはこのまま自分を信じて欲しい。己の力を正確に判断してほしい。
彼らの頭の中では、私はいつまでも愚かな存在であってほしい。
彼らには頭の中で確固たる勝機を確信してほしいのです。
その時には、彼らの自信は過信になっていることでしょう。私はそれを待っているのです。

人間、“勝った!終わった”と思ったときが一番スキが生まれるのですから。

水の中で1分しか我慢できない人間が潜水したとします。
彼が我慢の限界を感じて水面からあがった瞬間、再び水底に引き摺ったら彼はどんな気分でしょう。
そういうことです。彼は予期せぬ事態に溺れて死ぬ。
一流の企業で、幾度に渡る面接で合格をもらったとしましょう。
全ての面接が終わったあとの歓迎パーティーの裏で、受験者の素の態度をチェックする“最終面接”があったとしたら。

161 :偉大なる死 その@ ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:37:14 ID:CEbSdrz8
そういうことです。何も知らぬ受験者は醜態を晒す。

「ブラックモア、“よろしく頼む”」

さて私の当面の課題はあのウェザーであります。
彼は最も最も最も最も最も注意しなければならない。それは彼が私を侮っていないから。
彼は私を役立たずなスポークスマンとは思っていない。それぐらいは私だってわかります。
大統領補佐官として生きてきましたから。人を見る目は多少なりとも鍛えられました。
ゆえに感じるのですよ。“俺はお前を決して逃がしはしない”という視線を。

根拠を挙げろ、と言われれば、ここで挙げるまでもないでしょう。ポンペイ遺跡の事です。
あの“青年殺し”の一件。私がこの世界に来て最初に行った殺し。
ウェザーに、私の本質を――ある程度までは――理解されてしまったのです。
ある程度は覚悟していましたが、こんなにも早く看破されてしまうとは。

あの時に降っていた雨。どうして雨が降っていたのでしょうか? 彼が近くにいたから、雨が降っていた。
もはや言及するまでもありません。それは彼のスタンド ウェザー・リポートの仕業。舞台の設立者です。
今にして思えば、シラを切っていた方が正解だったのかもしれませんね。
私が青年殺しを認めてしまった事実はもう覆りません。しかしウェザー――

“死亡していた男には仇を取ると誓った…。”

青年と直接に会話を交わさずして、私に疑いを持っていたことになります。
つまり殺人現場の目撃どころか、私が青年と接触したことさえ視認していなかったのです。
死体が握り締めていた繊維屑だけで! 私の所までたどり着いた。いや、たどり着かせてしまった!

彼が私を襲わない理由は2つ。
1つは利用価値があるから。目の前で宣言されてしまった。もう1つは彼が私のスタンドの全貌を知っていないから。
ウェザーはあらゆる要素を考慮した上で行動しようとしている。
逆にいえば、不確定要素が全て潰されない限り露骨な行動はとらないだろう。それはありがたい。
……おお恐ろしい恐ろしい。だってそうでしょう?
エンポリオ少年をもし助けていなかったら。悪魔の虹を結成させていなかったら。
彼はなんの躊躇もなく、私を再起不能にしていたかもしれないのです。

私は一体何なのでしょうか。この身の毛も弥立つ殺し合いで、頼らざる得ない相手と出会ってしまった。
全ての人間が地に臥した後、最終的に彼と2人きりになってしまったら?
私はおそらく死ぬ。迷うことなくウェザー・リポートの制裁を受けるでしょう。
拒否は……おそらく出来ない。彼は私よりも強いから。

「『ウェザー・リポート』、俺を風で飛ばしてくれ」

風速30mを超える気流は人間の体を宙に浮かせるそうです。
ウェザー・リポートはその勢いを利用して空に舞い上がる―ようは大ジャンプですが―ことさえ出来る。
原理はわかりませんが、彼は自分の周りにだけ天候を発動させることも可能だそうで。
この程度は朝飯前なのです。ちなみに、朝食はさきほど採りましたがね。

「このまま食屍鬼街に突入するッ! ブラックモア、もし俺がバランスを崩して落ちてしまったらフォローしてくれ」

キャッチ・ザ・レインボーでウェザーと同じく空に登った私に、彼が指図をする。
私は言われるままに、首を縦に振りながら雨粒を固定させました。
現在の座標は高さ10m前後。水平軸の位置は、ここから食屍鬼街の高台を目指すには十分な距離。

「すまないなブラックモア、恩に着る」

……白々しい。私が裏切りをしたくても出来ない状況を最大限に利用するつもりなんですかね。
これで本調子ではないとは、まったく呆れた話です。突風で大の男が宙に浮いているんですよ?
その気になれば、この地に蠢く愚者をハリケーンでまとめて始末できるものを。

162 :創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 23:39:03 ID:shQfL4DL
支援

163 :偉大なる死 その@ ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:41:01 ID:CEbSdrz8
――と、思いますよね。普通は。いや、個人的にはそうであってほしいのですが。

彼が最強のスタンド使いであるという私の見込み……素直に受け入れてよいものか。
だってそうでしょう。アラキ・ヒロヒコはなぜ彼を呼んだのでしょうか?
ウェザーが見境の無い殺人鬼ならば、もっと一方的な展開になってしまいます。
ここまで強大なスタンド使いを招いても“問題ない”と、あの男は判断している可能性が高い。
それは一重にアラキ・ヒロヒコの能力が圧倒的な存在である、という論拠も考えられますが。
もっともっと悪い方向へ思考を働かせてみると、背筋が凍りそうです。

ひょっとすると、いるのではないか、と。

ウェザー・リポートすら忸怩たる思いで応対しなければならぬほどの実力者。
こちらの想像を絶するようなスタンド能力が、息を潜めて笑っているのかもしれません。
それこそ神のような絶対的な者、生物学上の頂点に位置するような……。
ヴァニラ・アイスのような吸血鬼の存在が確認できた以上、もはやあらゆる妄想が捨てがたくなった。
私が生き残るためにも、手放すわけにはいきませんね。このウェザー・リポートという聖剣は。

★  ☆  ★

「オオオオオオオオ前たちはァァァァァ何者だァァァ! 返答次第ィィィィィではァァァァァ」

やかましい叫び声は威嚇のつもりだったのでしょうか。説得力はまるでありませんでした。
左腕が千切れ、右目が潰れ、右足に走る重傷。腹部と左半身にも怪我が見える。
これでどうやって戦えというのでしょう。見てるこっちのほうが痛みを覚えそうです。

「驚かせてすまない。俺たちはお前を襲うつもりはない。むしろ協力してほしいくらいだ」

目的は少々ずれていましたが、ウェザーの言うとおり、我々は最初からそのつもりでした。
街に向かったのは物資の供給のほかに、近隣に潜んでいる善良な者たちとの情報交換の狙いもあったからです。
まぁ、全ての人間にこちらから声をかけるつもりはありませんでしたがね。返り討ちされたらひとたまりも無い。
それはウェザーも重々承知の上のはずです。彼がこの男に接触したのは、現実的な主観で判断したからでしょう。
ボロボロになった体を引きずりながら歩く男は、まともに戦闘が出来ないことを印している。
しかしその一方、声を大きく張り上げる元気が残っている。あげく酷い出血もしていない。
その不死身さは彼が吸血鬼であるから、との予測も見受けられましたが、何のことはありませェん。
やれたれ吸血鬼の次はカラクリ細工人形(サイボーグ)ですか。実際にこの目で見るのは始めてです。
あくまで想像上の存在と私は認識していたのですが……事実は小説より奇なりですね。
ウェザーの態度から察すれば、この程度の技術力はいずれ常識となるのでしょうか?

「貴様らを信じろと言われてハイソウデスカと納得できるかァァァァァァァ! 」
「空条徐倫、エルメェス・コステロ、F・F、ナルシソ・アナスイ……彼らから何か聞いていないか? 」

頑なな態度を持つ男を懐柔するのは少々骨が折れるだろうと、当時は考えていましたよ。

「何ッ!?……ぐ、むむ。貴様がそれらの味方であったとしてェ、当人である証拠はない! 軍人は余計なことは喋らぬ」
「流石軍人だな。市民の味方だ……教えてくれてありがとう」
「……う、うろたえない! ドイツ軍人はうろたえないッ! そんなことで私をおちょくろうとは」
「ありがとう。あんたはそんなに悪いやつじゃなさそうだ。あんたのゲルマン魂に敬意を評そう」
「ドジこいたーっ このままではイかあぁーんッ! 」

思わず声を吹き出しそうになりましたが、相手の男は自ら身元を話してくれました。
終始一貫して毅然とした態度を取っていたことを考えれば、嘘をついているようには感じられませんでした。
悪い男ではない。無差別に相手を襲うわけでもなし。元よりこの怪我では我々とまともに戦うことすら難しい。
私とウェザーはどうにかして彼から詳しい話が聞けないか考えました。
だってそうでしょう? 彼は『助けてくれ』とは一言も唱えなかったのですから。
助けを求めれば見返りを求められることを知っているのです。流石軍人気質。

164 :創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 23:41:41 ID:iBcCjOPg
やっぱタイトルはそれか。支援するッ!

165 :偉大なる死 その@ ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:42:41 ID:CEbSdrz8
「お前は最初から大怪我をしたわけではないんだろう。誰にやられた。例の吸血鬼という奴にか? 」

ウェザーと私は協議の結果、彼に上記のように質問することにしました。
したたり落ちるオイルは戦闘からさほど時間が経っていないことを指しているのですから。
我々は『吸血鬼』という情報を相手に差し上げました。逆に見返りを押し付けたのです。
知らなければ向こうは何かしらの興味を示す。知っていれば共通の敵を持つもの同士で利益が得られる。
そのいずれかの希望的観測を併せて、彼の返答を待ちました。

「そんなレベルではない。吸血鬼なぞ話にならん」

ニカァと笑う男にちょっとばかり腹が立ちましたが、予想外の収穫に驚きました。
面と向かって疎通したわけではありませんが、この時はウェザーも少し動揺していたかもしれませんね。
上には上がいた? この男には吸血鬼が“しょぼい”と嘲笑する程度の者でしかなかったのか。
……会ってみたい。私自身の目で。幻のような奇跡があるというのなら、是非とも。

「吸血鬼を甘く見るな! 奴は不死身な上に凶悪なスタンド使いだぞ!? 」

私が思案している間に、ウェザーは更に大袈裟な反応を相手に見せていました。
あざとい。これはあざとい。ウェザーのしたたかさ。
それとなく情報の優位さを相手に与えることで、さらなる情報を引き出そうとしていたのです。

「貴様らが誰のことを話しているのかは知らんが、吸血鬼なぞ然したる問題ではないぞ。
 フフフ……仕方が無い。貴様らも知っておけ。吸血鬼を赤子同然に蔑む存在――『柱の男』のことを」

そして引き出された情報は我々にとって簡潔であり、信じがたい事実でした。
吸血鬼よりも更に格上がこの世界にいる! そしてこの男はソイツと戦ったことがある。
その時ウェザーがどんな気持ちだったかは定かではありません。
しかし私も彼も背中が凍る思いをしていたと考えています。厄介ごとがまた増えたのだから。

「せめて奴らの背格好だけでも教えてくれないか!? 俺はウェザー。彼はブラックモア。
 俺たちはとある吸血鬼を殺すために同盟を組んでいる。そのために全力を注ぐ算段をしていた。
 だがこのままでは俺たちはダメだッ! 吸血鬼に全力を尽くしているようじゃ……俺たちに先はない」

とはいえ釣った魚をここで逃がすわけには行きません。
この男が出任せで答えていたとしても、みすみす無視するわけにはいかないのです。
アラキ・ヒロヒコのスケールを探る上では、他者の情報は必須事項。
『柱の男』という者が本当に存在しているのなら、アラキは彼らよりも格上である可能性が考えられます。
ウェザーも本音ではあまり情報の吐露はしたくないのでしょうが、今回は饒舌です。
それだけ彼は執念深い性格だったということでしょうかねェ? まぁ私も同じ行動を取っていたんでしょうが。

「……フフン! いいだろう。『柱の男』とは吸血鬼を食料として生きる古代生物のことだ。
 人間を吸血鬼に変える技術を持ち、高い知能と不死身の体を持つ最強最悪の生物よ。
 現在この世界で確認している柱の男は2名! 出会ったら念仏でも唱えておけ〜〜ッ!
 これ以上話すつもりはない。さっさとここを立ち去るのが懸命だぞ? 死にたくなければ、な」

ウェザーの顔が少し笑って見えたような気がしましたが、あえて無視しました。
いや、私も確かに笑っていたんでしょうがね。声は心の中に留めておきましたよ。しっかりと。
急に背筋を伸ばし、勢いよく手足をすらーっと動かしたと思うと、ビシっとポーズを取ったのです。
正直どうコメントしたらいいのか迷いましたが、彼は得意げだったので我慢しました。
プライベートでは意外と憎めない人物なのかもしれませんね。退屈せずにすみそうです。
……それにしても、2名ですか。神は昔から唯一の絶対だったのでは? 話が胡散臭くなってきました。


166 :偉大なる死 その@ ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:45:14 ID:CEbSdrz8
「黒いターバンを顔に撒いた長髪の男『カーズ』と、奇妙な帽子を被る『エシディシ』だ」
「やつらを倒す方法はっ!? 」
「あまり調子に乗るなよメリケン。それがわかれば苦労はせん。
 我々も必死だったのだ。尊い犠牲の上に命からがら逃げてきた。
 このシュトロハイム、今は柱の男討伐に命をかけている。用が済んだのならばお引取りを願おう」

シュトロハイムと名乗る男は敬礼をとると、踵を返し街に溶け込んでいきました。
最後まで私たちを頼ろうとしない態度は、舐められたくないという驕りでしょうか。
それとも……我々をメッセンジャーとして使い走りに行って欲しかったのでしょうか。
ブシドー・スピリッツというヤツでしょうか? まぁ私には関係の無い話です。
彼が我々に背を向けて去った以上、彼はある程度、己の死期を悟っているのでしょう。
ここで我々が彼を襲ったとしても、柱の男の情報は受け継がれます。

★  ☆  ★

「シュトロハイムの言葉……真偽はどうであれ興味深い」

その後ウェザーはディバッグから名簿を取り出しながら、私にペンで催促しました。
名簿に記されたシュトロハイム、エシディシ、カーズの名前は非常に近い場所で配列されているのです。
あのヴァニラ・アイスを手玉に取れるものが2人もいるのは正直受け入れがたいのですがね。
柱の男がどんな相手であろうと、シュトロハイムは彼らに敵意を持っているのは確かでしょう。

「そして彼には仲間がいる。『“我々は”命からがら逃げるのに……』と言ったのは、そういうことだ」

知ってます。彼の目は軍人の目というよりは兵隊の目でした。
目標は常に真っ直ぐ。後ろを振り返らない尖兵というべきでしょうか。
彼は生きて帰ることを視野に入れていない。見上げたものですが、少々ひっかかりますね。
ウェザーはあえて語りませんでしたが、彼の仲間とシュトロハイムは既に接触していたのかも。
ウェザーが挙げた名前に対する反応と、『尊い犠牲』という言葉。
やはり柱の男はそれほどまでに強大な存在なのでしょうか。

「そろそろ駅に戻ろう。突風による移動は時間を大幅に短縮してくれが、ここから駅は大分距離がある」

とはいえ実際の本音はわかりません。これ以上の推察は褒められたものではない。
いくつかの謎を抱えたまま、私とウェザーは風と雨に身を任せました。
ウェザーはスタンドで突風を起こし、己の身を空高く揚げて飛びました。
私も負けじと雨粒を加速装置にしながら、風に吹かれたウェザーリポートの後に続きました。
食屍鬼街の邂逅は一瞬でしたが、時刻はすでに午前10ごろをまわっていたと記憶しております。
高く高く舞い上がる我々は、あらゆる下の様子が一望できます。
もっとも、その時は周囲にどなたも見当たらず、退屈な時間でしたがね。

「ブラックモア」

しかし、今ならわかります。この時、陸空含めてそばにいたのが我々だけで本当に良かったと。
そして、シュトロハイムに出会ったことは、最初から予定されし運命のひとつだったのだと。

「あの男、まさか」

本来の天候は快晴だったのですが、我々の周囲は雨空でした。
ウェザーのスタンド、ウェザー・リポートが一部地域に雨を降らせていたのですから。
しかし、我々が発見したそれは黄金のように輝いていました。
地表近くで大きな煌きとともに佇む男が一人。格好はほぼ全裸でしたが、頭には黒いターバン。
彼が放つ光はまるで太陽を感じさせましたが、私とウェザーの心に広がったのはどんよりとした雨でした。

「「柱の男……」」

167 :偉大なる死 その@ ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:46:09 ID:CEbSdrz8
それは我々2人のれっきとした本音でした。柱の男『カーズ』の参上。
もし何も知らずにうっかり近づいてしまっていたら、我々はどうなっていたことか。
仮に『何もなかった』としても、私達は彼には近づけません。
散々な悪評を聞いておいそれと近づく話がありますか? 私個人の感情としては怖いもの見たさもありますが。
しかしカーズはシュトロハイムのように目立った負傷をしている気配もないのです。
左腕を失ってはいますが、出血している様子はありません。
あそこまでズッパリと腕を失えば、この寒い雨の中、悠々と闊歩することなど出来ないのです!
やはり柱の男は吸血鬼かそれ相応の生物である事は間違いないようです。
だとすれば、何なのでしょうか。私の敬愛する想像――アダムを彷彿とさせる格好。

「――貴様ら、このカーズの話を聞いてはもらえぬか」

しかしカーズは更に我々の予想に反し、更なる脅威をのし掛けてきました。
ありのまま起こった事を話すなら、『カーズはいつの間にか私たちと同じ高さに移動していた』。
そして、シュトロハイムが待機していたのとは別の高台に難なく着地したのです。
あの時の……まるで手品師が物体を消すかのように飛んだヤツの動きは忘れられません。
ウェザーは気づいていなかったかもしれませんが、私の固定した雨粒を通貨していたんですよ? 全く意に介していなかった。

「どうした? このカーズが貴様らの前に姿を現したのがそんなに可笑しいか? 私の格好に違和感を覚えたか?
 フン、やはり人間だな……貴様らは我らがいかに完璧な存在であるかをわかっていない」

ウェザーのスタンドも、私のキャッチ・ザ・レインボーの雨の弾幕も反応に一瞬遅れが生じました。
しょうがありません。向こうの言葉を借りれば、所詮私達は人間に過ぎないのです。
この邂逅が私たちにどれほどの実害を及ぼすか……そんなことは、もう、どうだって、いい。
問題は我々がどう動いたかではなく、我々はどうしたかったのか、ですよ。

この邂逅、実は私たちの知らないところで後々、大きなしこりを残すことになるのです。
とはいえそれは今、話したところでどうにもなりませんがね。

閑話休題。それはまた本筋に話を戻しましょう。
我々がいかにして柱の男へ接したのかを……。

★  ☆  ★

168 :偉大なる死 そのA ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:47:04 ID:CEbSdrz8
降り注ぐ雨の勢いは、更に激しくなった。
頭上の天中にあたり頭骸骨を舐めるように垂れる水滴は表相へと移る。
眉の毛に染み込めば、毛根を刺激し筋肉がこわばる。人の機嫌が害されたかのような動き。
睫の毛に染み込めば、急な異物の進入に瞳孔は大きく広がり、異物を洗い流すために涙をたらす。
鼻に染み込めば、むずがゆい感覚を鋭敏な神経が招く。過度に鼻腔を震わせば、風邪の病がやってくる。
唇に染み込めば、水滴の冷たさと粒さが数多の神経の集合体を刺激し、たまらず門戸を開放する。

「貴様らには情報を洗いざらい話せ。その間抜けな顔にぶら下っている首輪について、知っている事すべてをだ」

ウェザーもブラックモアもその場を動かなかった。お互いを視認することもなく。
ウェザーはすぐに反撃できるよう、スタンドの微調整を行った。
ブラックモアは自分に降りかかる雨という雨を周囲に固定していた。
しかし2人は決して自分から動こうとはしなかった。得体の知れぬ相手に迂闊にスタンドを見せるのは自殺行為だからだ。
そしてカーズの不気味な態度に、彼らは返答することが出来なかった。
もしシュトロハイムの証言を聞いていなかったら、彼らはもう少し率先して会話を成立させていたかもしれない。
実は2人は知らないことだが――カーズが彼らに接触したのは偶然である。
むしろ接触の原因を作ったのは――本人は気づいていないが――ウェザー・リポートのせいだ。
空気供給管を通じて移動していたカーズは、できるだけ日が当たらぬルートを邁進していただけ。
さすれば彼が最終的にたどり着くのは、雨で陽射しが完全に押さえられた曇り空の下。

「幸いこの天候……ん!? HOMU……雨粒が落ちていかない……貴様たち、何をした?」

ウェザー・リポートの豪雨地帯を天からの啓示と考えたカーズ。
彼はそのまま地上に飛び出し、この雨の中ノコノコやってくる獲物を探していた。
ただし、彼の目的は餌の確保ではなく、首輪開錠のための情報提供者への接触。
颯爽とウェザーたちの前に現れたカーズ。むやみに人を殺すならば、最初の謁見ですでに殺している。
ゆえに彼はウェザーたちのいた高さまで飛び上がり、存在をアピールしたのだ。
つまりカーズは2人を殺すつもりは全くと言っていいほど0に近く、殺意というものもなかった。
ウェザーたちが大人しく情報を吐露していれば、多少の被害はあったかもしれないが、大事にはならなかった。
彼らは気づいていないが、降りしきる雨中ではブラックモアとウェザーのほうが有利なのである。
カーズはその能力上、ウェザーの能力を知らないので、いずれは不利な態勢を取らざる得ない。
撤退にしろ逃げながら戦うにしろ、ウェザーとカーズなら生存への足取りは容易につかめるはずだった。

「このカーズとしたことが、ちょっぴり驚いてしまったぞフフフ」

しかしこの尊大な態度。カーズは自分の体に走った違和感を気にしながら、ニヤリと笑った。
言うまでも無く、ブラックモアが固定した雨粒はカーズの体に貫通していたのである。
本来ならば雨粒に肉体が裂かれ負傷するはずなのだが、人外のカーズには無問題。

169 :創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 23:47:20 ID:mRkMZ3nb
  

170 :創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 23:47:56 ID:iBcCjOPg
支援

171 :創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 23:48:46 ID:mRkMZ3nb
  

172 :創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 23:51:19 ID:GJwomB0g
タイトルやばすぎる支援

173 :創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 23:52:15 ID:shQfL4DL
ジラされてるなw 支援

174 :偉大なる死 そのA ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:55:12 ID:CEbSdrz8
肉体に潜行した雨粒は心臓に到達する前にカーズの体内で吸収されてしまった。
どんなに固定されていようと雨は雨。煮れば蒸発する水と全く同じなのだから。
突き破れた細胞は、まるでジッパーのようにピッタリと塞がり、傷を埋め合わせていった。
カーズの心臓に仕込まれていた爆弾は、雨粒に触れることなく、事なきを得た。
自分が進む軌道と、空中で停止している雨粒との交差点を計算することなど、頭脳明晰なカーズには楽勝だ。

「早くしろ。このカーズの機嫌が、グツグツと熱いシチューのように変わる前にな」

ウェザーとブラックモアの慎重すぎる性格が、カーズを懐に潜り込ませてしまった。
2人のカーズとの距離はもはや5メートルあるかないか。
カーズの流法を知らない2人にとっては、この距離が事実以上に脅威に勘違いさせるものになっていた。

「申し訳ありませェんが、どこから話せばよいのでしょうか。
 我々の持っている情報が、あなたの期待に添えられるかどうかは、我々では判断しかねます。
 無礼を承知で申し上げますがァ、あなた様は私達にとって有益な情報をお持ちなのですか」

頭でっかち。この状況下においても、彼らは頭脳で対処しようとした。
それはとても優秀な証拠でもあるが、愚かさの証明でもある。相手は家畜の言い分に耳を貸さない。
言うことを聞かない畜生は暴力で訴えればいい。
右腕から飛び出した刀がブラックモアの左腕を縦一文字に斬る。

「次は首をブッ飛ばす。何、知らなければそれで良い。貴様たちから首輪を回収するまでだ」

今にも射抜かんとばかりに刺さるカーズの視線に、ブラックモアは平静を装い続ける。
吹き飛んだ腕を見送ることはない。それは“自分の腕が無事である”という余裕と、“カーズへの探求”という焦燥。

「……空条徐倫、エルメェス・コステロ、F・F、ナルシソ・アナスイをご存知ですかァ」

ブラックモアは、かつて聖人の脊椎を手にした時の自分を振り返っていた。
34kmにも及ぶ瞬間移動。ミイラ化した脊髄の感触。背筋を駆け抜けた神々しい気配。奇跡の体験。
森羅万象を司る聖人が己の元へ光臨したとき、みっともなく天へ叫び続けた。感動の吐露。
神と自己との繋がりを得たのは自分だけ。自分だけ。自分だけ。自分自分自分自分自分自分自分自分自分。

それらに囚われるあまり、ルーシー・スティールごときに不覚を取り、死に至ったのはなぜ?
卑しい卑しい独占欲。ここ一番で露呈させてしまった弱さ。
そんな男に与えられし道は? バベルの塔に落とされた雷。罰。

信心を持つ自分だからこそ。身をもって体感した自分だからこそ。。決して心は絆されることなく。
同じあやまちは繰り返さない
カーズは人間とは違う生物だろう。シュトロハイムが語った『柱の男』はおそらく本物。

「質問を質問で返すなッ! 」

175 :偉大なる死 そのA ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:56:14 ID:CEbSdrz8
しかし、どれほど超人的であっても、神ではない。
眉間にしわを醜く寄せ、口角を大きく歪ませ、激しく喉を震わせる。
右腕を水平に倒し、むき出しになった刃を当て、襲い掛かるこの物体は。



「 貴様ら“も”このカーズの餌としてく――」



この目の前の存在は。




「――GOAHHHッ!? 」







ただの化け物だ。



★  ☆  ★

176 :創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 23:58:05 ID:mRkMZ3nb
   

177 :創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 23:58:13 ID:shQfL4DL
支援

178 :偉大なる死 そのA ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:58:21 ID:CEbSdrz8

ほおの皮膚を焼き、中の筋肉を裂き、口内を歯とともに突き破る。
噴出す体液は運動エネルギーと共に飛散するが、すぐに露と消えた。天の恵みと同化して地に還ったからだ。
排水溝からあふれ出す洪水のように、ゴポゴポと音を立てながら主張する。

「誤解ならば謝ろう。その口で抗議が出来るのならな」

ウェザー・リポートの拳が、カーズの口を砕いた。問答無用の一撃は怒りに包まれている。
喧嘩を売った理由は、もちろん同士の敵討ち。シュトロハイムの反応と重ねれば、もはや推測とは言いがたい。
『カーズ撤退作戦時』の『犠牲』は『エルメェス・コステロ』。仲間は化け物の『餌』となり死んだ。

「俺たちの答えはノーだ。お前に話す言葉など何も無い――エルメェスの報いを受けろ」

ブラックモアは手元の銃弾に装填された雨粒を確認しながら、これからの事を整理していた。
例え個人的感情による私怨がなかろうと、もはやカーズとの衝突は避けられない。
直接手をくだすのは気が引けるが、ウェザーの意向に沿うための選択肢は限られている。

「ウェザァァァァァァァァーーーーーーリポォォーートォォォーーーーー!!! 」

密着した右拳をそのまま振りぬき、ウェザーはウェザー・リポートでカーズを殴りぬける。
何十kmという風速で打たれたストレートはカーズの体を吹き飛ばし、地上の家屋に叩きつける。
柱の男という巨大な弾丸をぶつけられた屋根は、みしみしと木っ端を軋り合いながら逆巻いた。

「BAAAAAAAAAAAKAAAAAAAAAAAAA!! 」

その間、わずか数秒。
おぞましい大吼えが雨音をかき消さんと鳴り響き、緊張しきった太ももが爆発的な跳躍力で身体を翔け昇らせる。
獣はたまたま目の前に入った獲物を細切れに掻っ捌いて宙に散らせていく。

179 :偉大なる死 そのA ◆em4fuDEyHM :2009/09/21(月) 23:59:21 ID:CEbSdrz8
その右腕は、掘削音を奏でながら妖しく輝き始めていた。その名は輝彩滑刀(きさいかっとう)。
とっさの反撃を試みる間でもなく、ブラックモアは雨に消えた。

「NNNNNNNNNNNNN〜〜ずい゛ぶん゛、であ゛ら゛い゛、がん゛げい゛じゃあ゛な゛い゛が……? 」

カーズはさっと右腕を天にかざす。彼の体は少しづつ重力に引っ張られ始めていたが、カーズの関心事は空にあり。
いつの間にかカーズよりも遥か高く上昇していたウェザーが、カーズを見下ろしていた。

「バババッ面白いぞ! BABAバババババババBABあああABABAAAAAHHHHHOHHHHHHHHHHHHHーーーッ! 」

その距離にして5メートル弱。ブラックモアに集中していたカーズの裏を完全の取ったのだ。
スタンドヴィジョンも完全に鮮明となり、人型の姿を象って主人の傍に座す。

「ウウウェザァァァァァァァァーーーーーーリポォォォォォォーーーーーートオオオオォォォーーーーーー!!! 」

大空全体に駆け巡らんばかりの怒声を張り上げて、ウェザーはカーズめがけて急降下する。
そしてスタンドによる両拳のラッシュをカーズの体に浴びせた。
雲のように気体と液体と固体の狭間を揺れるスタンド、ウェザー・リポートの拳。
それは本体のウェザーから離れていても、抜群の威力をほこる。
まるで伸縮自在なゴムのように、ウェザー本体が充分に近づかずとも拳は当たる。
まるで怒りに燃えた神が、バベルの塔を叩き壊すかのように。

「ヌ゛ウ゛ゥ! うっ! ぐぐっ……な゛、ご、ごれ゛ばァ……」

いくら雨の上に乗っかっていたとはいえ、これではカーズも落下せざるえない。
何より片腕というハンデが、ウェザー・リポートのラッシュを1つ、また1つとカーズにヒットさせる。

「ごい゛づ……ごの゛パワ゛ー! ……ABAVVWWW……!?」

そして極めつけは落ち続けるカーズの肉体に、茶々を入れる厄介な援護。
カーズは一瞬目を疑った。この手で細切れにしたはずのブラックモアが生きていたからだ。
まるで朝刊を面倒くさそうに取りに来た主夫のように、やる気のない表情をしながら。
そう、ブラックモアはカーズによってバラバラにされたのではなく、自らバラバラになったのだ。
カーズが落下しそうなエリアの雨を固定し、地上付近に降り立った。

「AHHHHOH―――ッ!!!? 」

落下するカーズに固定された雨粒がずぶずぶと入り込む。
数はもはや計算不可能なまでに増えて、地上1メートルのころにはカーズの体は傷まるけになっていた。
その狙いはカーズへのダメージではない。雨粒の負傷が通じないことは先の襲撃で重々承知。
目的はカーズの肉体の落下速度をブレーキングさせること。大量の雨粒はカーズの肉体との間に摩擦を生み速度を奪う。
ウェザー・リポートのラッシュが少しでも多くカーズにHITさせるために、より遅いスピードで地上に到達させようとしているのだ。

180 :創る名無しに見る名無し:2009/09/21(月) 23:59:41 ID:iBcCjOPg
支援

181 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:00:00 ID:36P09PKe
 

182 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:00:47 ID:q6dpmhMm
  

183 :偉大なる死 そのA ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:01:35 ID:I7miVQ48

「キャッチ・ザ・レインボー、そのままこちらへ落ちて着てくださると助かるかと」

なおもブラックモアは攻撃の手を休めない。穴ぼこチーズならぬ、穴ぼこカーズを仕留めるために。
懐から取り出した拳銃を迷うことなく構え、カーズの胴体目掛けて打てる弾丸を撃つ。
固定された雨粒によって更に弾かれて、弾丸は軌道をカーズのみに飛んでいく。
雨による湿気で火薬の威力が落ちることはない。今回はウェザーのサポートがあるので、気候も思いのままだ。
装填しては撃ち、装填しては撃ち……堅実なルーチンワーク。まさに上下からのグラデーション。
時代を超えた2人の雨乞いたちが、悪しき生物駆除に手を取り合って協力している。

「お受け取りください。R&B(レイン&バレット)……攻守を兼ねております」

ウェザーはカーズを追いながら殴る。
ブラックモアはカーズを雨粒で食い止めながら狙撃する。

「つまり――挟み討ちの形になりますねェ」

ちなみに、これはブラックモアたちも知らないことだが……カーズの肉体は彼らの予想以上にダメージを与えていた。
雨粒の摩擦熱と、ウェザー・リポートの拳圧による摩擦熱も微力ながらカーズを苦しめていた。
かつて石仮面で人間を止めたストレイツォが自らを滅したように。肉体をチリチリと思いつめるじれったい攻撃。

「GGGごVVVばッッハァAA……!」

カーズはこの猛烈な攻撃に耐え切れず、成す術も無く地面に叩きつけられてしまった。
脳や心臓といった大切な器官は、かろうじて致命傷を避けることに成功したが、肉体そのもののダメージは尋常ではない。

「WKAKAKA!? 貴様、な゛、何を゛」

しかしウェザー・リポートの攻撃は止まらない。エルメェス追悼への鎮魂歌は続く。
地べたに打ち付けたカーズの頭に拳をピッタリと当て、ウェザーはカーズを見下ろした。
まるでネズミ捕りにかかった薄汚いドブネズミに対し哀れみを向けるように。
万力の力を込めて、ウェザー・リポートはカーズの頭部をメリメリと地面に押し付けた。

「や゛あ゛ああああああああめ゛え゛えええええろお゛お゛お゛おおおおおOOOOOOOOOOOOO」

耳を劈くような叫び声。ウェザーはそれを過去の記憶と織り交ぜていた。
サンタ・ルチア駅の激闘の最中で流れたエンポリオと川尻早人の悲鳴。
助けられた。自分は助けられたはずだったのに。自分は何をやっていたのだ。
したり顔で敵を再起不能にしたと思い込んでいた――ヴァニラ・アイス、まさかの反乱。
自分があの時しっかりと死体を確認していれば……自分が確実にトドメを指していれば。

「AVAVAヴァヴァヴァッヴぁ吾ヴぁ゛;LGADSOFcqqsdviwcgfhじぃ゛う゛dべFDKJLB!!! 」
「ウェザー・リポート……その醜い顔を破壊しろ。徹底的に……冬のナマズのように黙らせろーーーッ! 」

右腕だけでは飽き足らず、左の拳も追撃に加わった。
振り上げて降ろす。腕を振り上げて降ろす。止むことなく降り注ぐ左腕。
すり潰すように頭部を下ろす。すり潰すように頭部を下ろす。全力で架される右手の圧力。

184 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:02:43 ID:q6dpmhMm
 

185 :偉大なる死 そのA ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:02:53 ID:I7miVQ48
「YAあ゛あ゛ああ゛あああAADDDDAAAAAあ゛あああ゛あああAAABAAAAAああ゛あああああああAAAAAAA!! 」

近場で静観していたブラックモアが思わず口を押さえるほどのグロテスクな光景。
それだけウェザーの怒りは心頭していた。この男は柱の男。吸血鬼を超える存在。
また仕損じるのか? 否!否!否! やらねばこちらがやられるのだ。だから先は失敗し出し抜かれた!

「死ねェェェーーーーーーーッ!! 」
「VAAOOOOOOOOOOOOO!!!! 」

ウェザー・リポートの拳の圧力に耐えかねて、ついにアスファルトの地面が音を立てて割れた。
カーズの悲鳴はアスファルトごと飲み込まれ……ついには動かなくなった。
その様子を見ていたブラックモアはウェザーの瞳にドス黒い意思が宿ったかのように見えた。
これまでずっと冷静沈着に行動し、ひたすら冷酷な感情を一歩手前で抑え続けていた男が。
沢山の殺しを当然のようにしてきた自分は“仕事”の延長に過ぎなかった。
しかし人はこれほどまで、残忍に残虐に残酷に振舞えることができるのか。例えそれが仲間のためだとしても。

「……フゥー、フゥー! 」

興奮して過呼吸寸前の男を見つめながら、ブラックモアは改めて自分の立場を認識した。
カーズがどれほどの強者だったかはわからない。しかし今のウェザーにはそれを上回るスゴ味があった。
精神力とスタンドのパワーは直結すると良く聞くが、これほどまでの成長性は見たことがなかった。

「ウェザー、もう終わりましたよ」

なおも暴力を振るい続ける味方に対して、忠告する自分は何なのか。
いつか出し抜こうとする事すら絶望的になってしまったのではないか。
彼が完璧な人間ではないことが判明したのは幸いだが、それは即ち“曲者”ということではないのか。

「ウェザー・リポートッ! 」

ガスガスと地面を叩き続けるスタンドが終に破壊衝動を止めた。
長い人生でほとんど出したことのないレベルの声量をブラックモアは吐き出したからだ。
利用できる存在の本性をこれ以上見たくなかったというのが本音だ。見苦しく、知的さもない。

「……駅に戻りましょう。今のあなたなら、きっとヴァニラ・アイスにも勝利できます」
 シュトロハイム氏には申し訳ありませェんが……カーズ討伐の一報は後にしましょう。
 どうせ私達がわざわざ報告しなくても、いずれ放送が伝えてくれるはずです」

ブラックモアの言葉につられる様に、ウェザーは西へ自分達を駆り出した。
この時ブラックモアは、ふとカーズの亡骸を見た。
頭部はもはや見られたモノではないが、その体は鍛えに鍛え抜かれた美しさ。
聖人のような高潔さは無かったが、その肉体は超人……うっすらと悪寒が走る。
聖人は2度死んで甦るからこそ、聖人と呼ばれている。

もし、このカーズが聖人に近い存在であったとしたら。

「ウェザー、念のため、カーズをもう一度殺し――」


186 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:03:27 ID:bSB2h8u5
>穴ぼこチーズならぬ、穴ぼこカーズを仕留めるために。

誰がうまいこと(ry
支援

187 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:03:30 ID:q6dpmhMm
   

188 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:04:11 ID:q6dpmhMm
   

189 :偉大なる死 そのA ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:04:46 ID:I7miVQ48
視線を共闘(とも)へと戻したブラックモアは見た。
降り注ぐ雨嵐。その中でひと際目立つ、赤い閃光が走っていたことを。
それは光などではなく、凄まじい勢いで噴出した血液。出所はウェザー・リポートの胸に開いた穴だった。

「“死ね”? この私に“死ね”だと? 思い上がるのもいい加減にしろ 」

肝を冷やす一声。

ブラックモアは反省した。あれほど同じ過ちはしまいと気をつけていたのに。
すべき事は決まっている。事態は早を求められている。
いつもの倍以上の雨粒を固定させて、更に強固なガードを選択した。
だが時既に遅し。彼もウェザーと同じく、大きな穴を開けられていた。
悪運と言うべきなのか、開いたのはマントのコートであり、肉体には貫通しなかったのだが。

「貴様らは……殺す。これは絶対だ」

ブラックモアの瞳に映るのは、ぎこちなく動く化け物の右手。
その中で特に目立つのは鉄色に変色した人差し指。
それはブラックモアがカーズに撃ったはずの弾丸が寄せ集められていた。
食らった弾丸を体内で集めて、指先から発射する。
この芸当はサンタナすら可能。サンタナよりも格上の柱の男にとってみれば容易なこと。

「キャッチ・ザ・レインボーッ!! 」

ウェザーの傷口を雨で塞ぐブラックモアには、カーズの行動が理解できなかった。
『なぜ体内から弾丸を飛ばせるのか』という部分的な疑問ではなく、『どうしてお前は生きている』という根幹問題。
聖人だから、などという理由で素直に納得できるはずもなく。ブラックモアはその内、この謎について考えるのを止めた。

ブラックモアは知る由も無い。カーズたち、『柱の男』は体を自由に折りたたむことが可能なのだ。
つまりウェザーが潰していたカーズの頭は、カーズが自ら経込ませただけだったのだ。
そしてカーズは自らの肉体を排水溝へと逃がしていた。まるでチューブから出てくるマヨネーズのように。
一見すれば、グロテスクにひしゃげた生物の残骸にしか見えない。しかし本体は無事。大事な心臓も全くの無傷。

「ウェザー・リポートッ! 傷は塞いだんだ、早く逃げないと私もお前も終わりだッ!
 お前が雨を降らさねば2人ともカーズに敗北するぞッ! それはイコール死だッ! 」

ブラックモアの叱咤にウェザーは返事をしない。
地上にいるカーズとの距離は数メートルはあるが、ジャンプ1つで追いつかれてします高さだ。
それは先の邂逅で充分に思い知らされている。
ここでウェザーが目を覚まさせてくれなければ、ブラックモアは袋のネズミ。弾丸はカーズに武器を与えてしまう。
キャッチ・ザ・レインボーで雨に中を移動することは可能だが、スピードは並。カーズに追いつかれるだろう。
何より移動中にウェザーが死亡し雨が止んでしまえば、2人は転落死してしまう。


190 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:05:03 ID:q6dpmhMm
 

191 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:05:47 ID:q6dpmhMm
 

192 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:06:42 ID:q6dpmhMm
 

193 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:07:34 ID:ROj+880Z
wktkがとまらないから支援

194 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:07:38 ID:bSB2h8u5
 

195 :偉大なる死 そのA ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:08:01 ID:I7miVQ48
「目を覚ませウェザー・リポートォォォォーーーーーー!! 」

ブラックモアの今日2度目の叫びも豪雨にかき消される。
ブラックモアは覚悟し始めていた。死。恐怖こそないが“来るべき時が来た”という直感が彼を縛る。
あれほどウェザー・リポートが猛攻をお見舞いしていたというのに。当のカーズはどこ吹く風だった。
まったくわからない。想定していた能力。その概念がブラックモアの中で崩れてゆく。
どうすれば良い? 答えは簡単。ウェザーを見捨てて隠れることは可能なのだ。
だがいずれカーズは自分を追い詰めてくる。ここでウェザーを失うことは自分の死に繋がる。

「死ね」

耳元で囁かれた声に、ブラックモアが我に返る。
顔を上げれば、そこには自分たちを追い詰めた悪魔の顔。
カーズは再び跳躍してブラックモアの高さまで到達していたのだ。
右手にはこの薄暗い天気の中でも輝く刀。この激しい雨音の中でも聞こえる回転音。
カーズ懇親の殺意がブラックモアの体を切り裂こうとしていた。

そのコンマ数秒の間。

ブラックモアは見た。
己の体が雨と共に四散していく様を。
自分が助かるために、カーズの刃を避けるために。
キャッチ・ザ・レインボーの能力で体をバラバラにしている自分を、彼は認識していた。
ウェザー・リポートの体も自由になる。
ウェザー・リポートの体は、突如吹き抜けた強風によってあられもなく空を舞い、きりもみしながら飛んでいった。
ブラックモアは、己の信じる道を選んだ結果、ウェザー・リポートを捨てたのだ。
これはもっとも“正しい道”と信じたから、彼はウェザーを手放した。

「BAAAAAAAAAAOOOOOOOOOOOOOOOUUUUUUUUUUUUUUUUU!!!! 」

196 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:08:55 ID:q6dpmhMm
  

197 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:09:43 ID:q6dpmhMm
 

198 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:10:22 ID:ROj+880Z
支援

199 :偉大なる死 そのA ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:11:03 ID:I7miVQ48
★  ☆  ★

「風が来たとき……まさかとは思いましたが、既に意識は戻っていたのですね」

ブラックモアはウェザー・リポートを見捨てるために、解放したのではない。
彼は自分に吹き付けられた風の強さを、ウェザー・リポートのスタンドによるものと察知した。
ウェザーを守るためにブラックモアはウェザーを放して風に預けた。
予測は的中。カーズと自分がいた地点に……その絶妙な座標に雷が落ちてきた。結果、稲妻はカーズにだけに当たった。

「う……すまない、ブラックモア。もう少し早く伝えるべきだった」
「まったくです。おかげで私は少々通電してしまいました」

ウェザー・リポートは天候を操ることができる。雲も雨も嵐も……雷も。
ウェザー・リポートが地面擦れ擦れまで落下していたのを、ブラックモアの集合体が間一髪で救い上げる。
キャッチ・ザ・ウェザー・リポート。ブラボー・ブラックモア。

「ぐふっ……とはいえ油断はできません。この雨の量だ。直撃しても水から電気が逃げてしまう。
 あのカーズがこれで倒せたとは思いません。そもそも雷が落ちたのはウェザーの仕業でしょう。
 しかしあたったのは偶然です。しかもクリーンヒットでは無いでしょう。そんな事ができたら最初からしている」

ブラックモアはぐったりとしているウェザーを抱えようと寄り添う。
最初にカーズに斬りおとされた――と見せかけた――左腕も回収し、ブラックモアの身体は完全に元に戻っていた。
この『雨の中を身体をバラバラにして移動できる』という彼の能力を、ウェザー・リポートはこの時初めて理解していた。

「カーズの弾丸は、全弾命中した、わけじゃない。ウェザー・リポートの空気抵抗で……弾丸を削った……」
「しかし小さくなったはいいが、勢いが死なない鉄の粒の集に、結局身体を貫かれてしまったと」

傷ついたウェザー・リポートを確実に救助するために、バラバラになっていた身を集めていた。
万が一に備え、周りを固定雨粒のバリアーを徹底的に張り巡らせていた。

「理不尽」

それなのに。それなのに。
ブラックモアの背中を貫く非常な雨粒。バリケードのわずかな隙間を通り抜けて、まさかの不運が彼に飛び込んだ。
それは自分がカーズに放ったものではあるのだが。
それが回り回って帰ってくるとは。ブラックモアは邪悪の化身を心の底から憎んだ。

「弾丸が……鉄である……必要は、ない、のか……」

高圧力によって打ち出したことで威力がつくのは金属だけではない。
雨粒も――つまり水も高圧縮で打ち出せば弾丸のように飛ぶ。
ウォーターカッターやウォーターレーザーという道具は、我々の現代社会でも存在している。
カーズは体内に貯まった水滴を指先に集め、ブラックモアたちにぶっ放したのだ。
高圧力をかけた水でも、受ければ人間はひとたまりも無く。 無様に血の雨を降らすッ!
弾はある。大量に。雨として。無限に。

「そおうだッ! 『雨粒』だよォッ! ごのまぬげがァァァァァーーーッ!」

200 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:11:29 ID:q6dpmhMm
   

201 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:12:29 ID:bSB2h8u5
 

202 :偉大なる死 そのA ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:13:51 ID:I7miVQ48
腹と背中から出血したブラックモアは、咄嗟に雨で傷口を塞ぐ。
しかし雨は傷を塞ぐだけで、傷を治すのではない。最小限の出血にしたところで、たかが知れている。
それはウェザーとブラックモアの命の危険シグナルが点灯していることを指す。
少なくともブラックモアは己の死期を悟り始めていた。このままいけば、いずれ自分は死ぬ、と。
ウェザーもまた、うっすら自分の死期を感じ始めていた。不覚ではあるが、胸の傷は浅くは無い。

「ウェザー……リポート……」

その時、再び西から東へと走る突風。
ウェザーのウェザー・リポートが再びスタンドパワーを発揮させたのだ。
大きく空に舞い上がり、力なく吹き飛ばされる2人。
行き先は東の食屍鬼街。目的は当然、シュトロハイムとの再会。
柱の男を知り尽くしている男へ、この事実を伝え共同戦線を張る。
それが命が残りわずかと悟る2人の最後の希望だった。
風は勢いをまし、グングンとふたりを飛ばしていく。
スタンドパワー制限ギリギリのところで、ウェザー・リポートは己の本分を解き放つ。
まるで燃え尽きる直前に大きく炎を強める蝋燭のように。

203 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:14:18 ID:q6dpmhMm
  

204 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:15:03 ID:bSB2h8u5
 

205 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:15:07 ID:q6dpmhMm
 

206 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:15:54 ID:q6dpmhMm
          

207 :偉大なる死 そのA ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:16:00 ID:I7miVQ48
「ぐっ……ぐっ……どうする」

2人に置いてきぼりをくらったカーズは、まともに動ける状況ではなかった。
直撃を避けたとはいえ、雷の余波である側雷撃はカーズの体に多大なダメージを与えた。
このまま2人を追って始末するか。あえて待機をするべきか。

「まずは……地下だ……この状況で……襲われたら……不利」

カーズは必死に体を折りたたみ、再び排水溝から地底へと潜り込む。
彼はこの雨も落雷もウェザー・リポートの仕業とは気づいていない。
あくまで偶然の産物と片付けていた。ゆえに冷静だった。
この負傷はあくまで自分のミスではなくアクシデントに過ぎなかったと。

「どこでもいい……隠れる……隠れて……安全な場所へ移動してやるわ!」

だから今は隠れる。
最終的な勝利をつかむために。手段や過程はどうでもいい。
ゲスや卑怯者と罵られようと構わない。
なぜなら彼は究極的な結果主義。どんな手を使おうが、全ては最後に“勝てばよかろう”なのだから。

★  ☆  ★

208 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:16:35 ID:q6dpmhMm
   

209 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:17:31 ID:q6dpmhMm
   

210 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:17:40 ID:bSB2h8u5
  

211 :偉大なる死 そのB ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:17:41 ID:I7miVQ48
屍食鬼街。東部。入り口。最果ての高台。
上る。男。一人。ルドル・フォン・シュトロハイム。目的。監視。

「本格的に降ってきたな」

ぱりぱりに乾燥した毛髪を叩く水滴を、右手で振り払いながら、シュトロハイムは天候の不順を確認していた。
あと数十分もすれば放送が流れる。それは日没まで残された時間が6時間を切っていることを示している。
シュトロハイムにとって、この天候不順は天運として受け取る気にはなれなかった。
このまま屍食鬼街に雨雲が停滞すれば、カーズは少なからずこの施設に立ち寄る可能性が出てくる。
それは喜ばしいことなのだが、逆に言えばカーズにとって有利な地形となるわけで。

「もっとも……ヤツがここに来るかどうかなど、何の根拠もないのだがな」

上着のジャケットのファスナーを開けて、中を覗く。
亀のスタンド使いココ・ジャンボはスースーと寝息を立てて眠っている。
そして亀の甲羅にはめ込まれた鍵の中には、相棒プロシュートの姿。
最初に屍食鬼街の篭城を提案したのは、どちらからであったか。
“カーズは必ずここに来る!”という勘。生業とする職業のせいか、生存奔放の逆をついた勘とというべきか。
2人はここでカーズがやってくるのを今か今かと待ち構えていた。来るかどうかはカーズ次第というのに。

「もう少し、ありのままに話すべきだったか」

ただ、まったく収穫が無いというわけではなかった。
来訪した敵意の無い者には『柱の男』の情報を提供することができた。
もっとも恐れるべき事態は自分達が犬死にする可能性。
彼らはそれをウェザー・リポートたちに託すことで未然に防いだ。
彼らが本当にエルメェス・コステロの戦友ならば、いずれ同じ戦線に立ってくれることだろう。

「わざわざ隠すメリットは……本当にあったのか?」

しかしシュトロハイムは『柱の男』の全ての情報を話したわけではない。
柱の男がカーズとエシディシ以外にも、サンタナとワムウがいたことを話さなかった。
理由は2人がすでに死んでいるから。死んだ者の話をしても意味が無い。
素直に話したところで『でも、4人中2人死んでいるのなら柱の男って大したことないんじゃない? 』と返されてしまう。
しかしサンタナとワムウの死はシュトロハイムにとっては受け入れがたい事実でもあった。
それは柱の男を始末できる実力者の存在がいるということ。
柱の男を倒す存在がいるというのに、柱の男を軽視していては、最終的にそいつに殺されてしまう。
当面は柱の男への対策だが……その予見は彼の背筋を震え上がらせる。

「だがアァァァァ素性もわからぬ奴らにィィィ情報をダダ漏らしすぎればァァァ……ヌオオオ…… 」

次にシュトロハイムが隠したもう1つの情報は、柱の男の性質。
彼らの弱点が日の光であることや、彼らが超人的な肉体を持つことを完全に伏せていた。
これは、ある意味仕方の無いこととも言える。なぜなら情報は最大の武器なのだから。
ウェザー・リポートがエルメェス・コステロの仲間である保障はどこにもない。
むしろ彼らの味方と偽り、こちらを取り込もうとした恐れもあったのだ。
灰色の来訪者にこちらの全てを伝えてしまったら、向こうにとって用済みにされかねない。
シュトロハイムもプロシュートも、これ以上余計な戦闘を繰り返すほどの力はない。


212 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:18:18 ID:q6dpmhMm
  

213 :偉大なる死 そのB ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:18:33 ID:I7miVQ48
「気にするな。奴らだって同じように考えてるさ」

亀の中から素っ気無い返事が、シュトロハイムに返ってくる。
あくまで柱の男だけを焦点に絞りたかったのは、プロシュートも一緒だった。
日没までの時間が6時間を切ったということは、柱の男を倒すチャンスが限られてきたということ。
正直に言えば、今すぐにでもウェザー・リポートたちに情報を授けたい気持ちもあった。
しかし、迂闊な情報開示は、むしろ疑いの目を向けられる。
理屈屋の雰囲気を出していた2人に単純な応対で働かせることを躊躇してしまったのだ。

「昨日今日会ったヤツにホイホイ頼るようじゃダメだ。信用はしても信頼はしねぇ」
「確かに……我らの肩書きが泣く。これしきの窮地など、1度や2度のことではないと!
 カーズは必ずや我らが独伊二国同盟が骨の髄まで屠ってくれるッ!」

どんな手を使ってでも勝つ。しかし使う手は、己にとって確実に信頼性のある者でなければならない。
その差異は『ヤケクソ』と『狡猾』と区切れるほど、大いなる違いが待っているのだ。

「ムッ……あれは!? 」

プロシュートたちが決意を固めようとしたまさにその時。
バシャバシャと水を跳ね除けながら、重力を無視した動きで2つの影が飛んできた。
シュトロハイムが先ほど出会った理屈屋。ウェザー・リポートとブラックモアだ。
シュトロハイムが高台から身を乗り出して、目を細める。
被写体は出鱈目な動きと共に、あっと言う間にシュトロハイムの元へ移動した。
そして乱暴に床へ着地すると、彼らはぐったりとその場で息を荒げた。

「どうした! 何があったッ! 」
「……我々はカーズにやられたのです。手を貸して……いただきたい」

ブラックモアが拙い動きでマントを肌蹴て、肉体に開けられた穴を見せびらかす。
血は止まっているが、お腹についた雨のレンズから背後の風景が覗けてしまう有様だった。

「ご覧の通り、私はこの雨が止めば死ぬ! そしてこのウェザー・リポートも時間の問題!
 あなたに頼るのは愚の骨頂の極みでありますが! 柱の男の対処方法をご教授いただきたい! 」

両方の掌を差し出して頭を下げる自分の姿に、ブラックモアは新鮮な気持ちを感じていた。
人間、緊急事態になればこうも愚かしく生き様を晒すことが出来るものなのかと。
今のブラックモアには、恐怖や諦めの感情は無く、むしろ怒りだけが働いてた。

「我々が教えたところで、今すぐカーズが倒せるわけではない。特にこの雨では……」
「その雨を降らせているのが、このウェザー・リポートの天候を操るスタンドッ! 強力な戦力だ。
 わかるか! 彼が死ねば雨は止み! 私の固定雨粒も消滅! 彼の死は私の死だッ!
 早く教えろォォォ! 奴を殺すのは私達だ! 今、ここで殺さねば私の感情が収まらない! 」

圧倒的な理不尽。自分の立ち振る舞い、気苦労、思案を真っ向から否定されてしまった。
柱の男! それは神のような存在だったのか? この負傷は己への『罰』だったのか。
そんな風には到底受け入れられなかった。あの邪悪な笑みは崇高さ、純潔さとはまるで遠い。

214 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:19:09 ID:q6dpmhMm
    

215 :偉大なる死 そのB ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:20:00 ID:I7miVQ48
「これは私たちの持ちえる支給品一式ッ! どうだ……どれもこれもガラクタばかり!
 どうだ軍人め。それでもまだ我々の足元を見ようというのか、この――」

ブラックモアの感情の矛先は、カーズただ一人。
突如現れた存在に全身全霊を尽くして屠る。半ば強制的に齎された死はどうでもいい。
どうせならば共に墓穴へと引きずり込んでやるという、確固たる意地。

「グラッツェ」

一声。たったその一声が、ブラックモアには何よりも吉報に聞こえた。
いつの間にかシュトロハイムの背後から現れた男。
その怪我の具合はブラックモアやウェザー・リポートよりも酷いのかもしれない。
しかし今はそんなことはブラックモアにとってどうでも良かった。

「まずはそこのウェザー・リポートとやらに話が聞きたい。アンタ達が本気でカーズをどうにかしたいのなら、いいビジネスをしよう」
「……確かに、今の我々だけでは、ヤツを追い詰めるためのピースが足りなかった。しかしいいのかプロシュート? 」
「やるならどんな手も使うって言ったろ。こいつ等が本気で手伝ってくれるんなら……悪くない。
 話すのはカーズ討伐の件だけだ。そっからどうするのかは、俺たちが決める。仲良しごっこをするつもりはねぇ」
「ありがとう。あんた達はカーズのことだけ話してくれればいい」

それからというもの、4人による迅速な情報交換が行われた。
プロシュートたちがカーズの弱点とその身体能力を話し、ブラックモアたちは引き換えに自分のスタンド能力を克明に話した。
その結果、4人が運命の悪戯で勝機を逃していたことを心より悔いた。
カーズに最初から太陽光を浴びせていれば、ブラックモアたちは絶対なる勝利を得ていた。
最初から鮮明な情報交換を行っていれば、ブラックモアたちは死に瀕することなく、より安全にカーズを始末できた。
とはいえ犠牲は避けられぬ状況。曇り空の下で一同に更なる暗雲が立ち込める。

「これは俺たちの問題だ」

そんな暗い雰囲気を吹き飛ばしたのはウェザーの気遣いだった。
胸部を貫かれた痛みのせいで、本来ならば腕もまともに動かせない状態だ。
彼もまたブラックモアと同じく、死を約束された身であるというのに。

「待て! 私はスタンド使いではない。それにこのプロシュートはスタンド使いではあるが……」
「話そうとしない時点で、非戦闘タイプなのはわかっているさ」

不平等さに耐え切れず、シュトロハイムが自らの情報を曝け出そうとしても、彼は笑って過ごした。
部外者が見れば、死を前にして爽やかに生きようとする好青年と考えるかもしれない。

「チッ……言ってくれるじゃねーか」

しかしプロシュートは見た。
ウェザー・リポートの瞳に宿る漆黒の殺意は、この場にいる誰よりも根深く暗いものであると。

★  ☆  ★

216 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:20:10 ID:q6dpmhMm
   

217 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:21:00 ID:q6dpmhMm
   

218 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:21:48 ID:q6dpmhMm
 

219 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:21:57 ID:bSB2h8u5
 

220 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:21:59 ID:3T0+gY5d
  

221 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:22:39 ID:q6dpmhMm
  

222 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:23:19 ID:q6dpmhMm
   

223 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:24:17 ID:q6dpmhMm
    

224 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:24:57 ID:q6dpmhMm
   

225 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:26:17 ID:q6dpmhMm
   

226 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:26:21 ID:bSB2h8u5
ジョジョロワ1stまとめWikiの編集をしつつ支援

227 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:27:10 ID:3T0+gY5d
>>226に敬礼しながら支援

228 :偉大なる死 そのB ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:27:14 ID:I7miVQ48
★  ☆  ★

現在時刻はもう数分で放送を迎えようとしていた。
屍食鬼街の入り口でウェザー・リポートは風景を一瞥し、雨雲を移動させる。
駅の周囲や、J・ガイルたちがいたエリアに降らせていた雨の力を、小雨程度に極力弱める。
そして減らした雨雲はそのまま屍食鬼街の周囲で限定的に集め、局地的な豪雨を呼び起こせる大きさにまでなった。

「『悪魔』が現れたぞ」
「『首を懸けて』はいけませんねェ」

約束した合言葉をさらりと交わし、ブラックモアは自分の胸を手のひらでさする。
雨水で固定された傷口は出血をぴたりと止めているが、周囲の皮膚は紫に変色し始めている。

「もって10分から20分というところでしょうかね。普通なら、とっくに意識を失っています」

ブラックモアは飄々と余命を宣告するが、その顔は笑っていない。
出血をした人間が、正しい医療措置も受けずに生きられる猶予は、お世辞にも長くはない。
血流の不整は酸素供給や器官の作用に不順を起こし、人の意識を段々と苦しめていくのだ。

「独り言を」

ざあざあと水を流す雨雲に顔を向けて、ブラックモアは口を大きく開いた。
ウェザーは彼に背を向けたまま、何も答えない。

「この地で蝙蝠のように生きてきましたが、このような事態を“罰”とは考えておりません。******************
 身から出た錆、因果応報と笑う者も出てくるでしょう。愚かな心が導いた破滅の末路だと。
 しかし私には、逆に『激励』にしか思えません……神が“あの化け物を滅せ”と。あの世に逝く前に、最後の試練を与えたのだと。
 その報酬が“天国”だと憚るつもりはございませんが、“地獄から天国を覗ける”くらいの温情は頂けるのでは……なーんて」

ブラックモアは己の運命に酔いしれるかのように、両手を広げて天を仰いだ。

「私は全身全霊を尽くしました。この世にとって、『禍』となるカーズの抹消のために。
 人には『命』を超越した大いなる『使命』があると聞きますがァ。例えるならこれは何しょうか……」

その顔には相変わらず笑みはない。

「『償い』、ですかねェ? 」

229 :偉大なる死 そのB ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:28:12 ID:I7miVQ48
自嘲に共に見せた、ブラックモアの別れの挨拶。
ウェザーはそれに答えることなく、背を向け続けることで答えた。
ブラックモアもそれ以上は何も言わず、ひっそりと露と消えた。

「ウェザー・リポート、お前は部分的に雨を強めた……」

ウェザーたちがカーズと対戦したのは、エリアG-5と屍食鬼街の境目あたりだった。
落雷のダメージと柱の男の耐久性から考えて、カーズはそう遠くには行ってないはずなのだ。

「水道管、空気供給管、換気扇……あらゆる空間に雨を流し込んだ」

ウェザーは、カーズが隠れられそうな隙間には徹底的に雨水を流し込み、洪水に仕立てあげていた。
溺死するということは無くても、傷を癒したいカーズにとって自分の容量を超える水攻めは堪らないはずだ。
うっかり脱出する方向を間違えれば日の光を浴びてしまう。地下道が使い物にならなくなれば、川へ追い出される。

「沢山の土砂を混ぜて……腐ったドロ水を送ってヤツのプライドを揺さぶった……」

幸いなことに、カーズはこの雨をウェザーの仕業と気づいてはいないだろう。
つまりカーズは自ずから雨水の影響を受けず、かつ太陽光が当たらない地域へと移動を開始するはずである。
体の骨格を自由にできるという長所は、裏返せばカーズの自堕落さに結びつけることが可能なのだ。
“わざわざこんな道を混雑した管を通らずとも、そっちに充分なスペースの管があるではないか。行こう”
“どうしてこんなに雨が強くなったのだろう?……偶然だな。行こう”

「ヤツは知らず知らずのうちに屍食鬼街の地下へと避難したんだ……」

この作戦が膨大なスタンドエネルギーを消費することはわかっている。
即ち、この作戦の次第ではウェザー・は非常に悔いが残る結果を受け入れなければならない。
なぜなら川尻早人の救助へ向かうのが、事実上不可能となってしまったから。
最初のカーズの不意打ちを受けた時点で、彼はもう早人を守る余裕が無くなってしまった。
極めて遺憾ではあるが、ブラックモアの手助けが無ければ自分はそうそうと転落死していただろう。
そして仮に自分があのまま駅に戻ったところで、ヴァニラ・アイスとの戦闘前に力尽きる可能性もあったのだ。

「俺のスタンド、ウェザー・リポートよ……お前はまだここまで出来る余裕があったんだな……残念だ……」

しかし実際問題、ウェザー・リポートはまだまだ戦えた。天候を操る余力が充分にあったのだ。
ウェザーが読み違えた理由は2つある。
1つはこの世界でのウェザー・リポートは本来よりも力を制約されているという認識。
強大な能力であるがゆえに、その具体的な状況を計るのに困難だった。
そしてもう1つは、あれだけ警戒していたブラックモアに自分の命を握られてしまったこと。
本心か演技かはさておいて、カーズ討伐に夢中になっている彼を悪戯に刺激することが出来なかったのだ。


230 :偉大なる死 そのB ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:30:38 ID:I7miVQ48
「俺に残された道はカーズを食い止めることだけだ。早人に襲い掛かる前に、ここで潰す」

何よりも後悔が残る。
自分に出来ることが、もはやカーズの足止めしか出来ないことに。
ここでカーズを食い止めたとしても、早人に襲い掛かる危険は現在進行中なのだ。
ヴァニラ・アイスがどんな気まぐれで早人を殺すかもわからない。命の保障はまったく約束されていない。
現にカーズの襲撃を受けた後、逃げる方角を西か東かでブラックモアと揉めてしまった。
カーズをサンタ・ルチア駅までおびき寄せて、ヴァニラ・アイスをぶつければ共倒れを狙うか。
早人の安全を優先して、シュトロハイムたちと共に戦うか。

「俺は早人の安否を、放送で知る」

しかし、ウェザーにはもう自分を言い聞かせるしかないのだ。
もうスタンドエネルギーは完全に底をついてしまった。残された時間はもうない。
カーズはいずれヴァニラ・アイスと戦うことになるだろう。
ヴァニラ・アイスのスタンド能力に勝るとは到底考えられないが、吸血鬼は柱の男の天敵なのだ。
それはシュトロハイムもプロシュートも力説していた。
2人にヴァニラ・アイスVSカーズの勝敗を説いた結果、明らかな実力差はないと結論がついた。

「……いや、それも適わないかもしれない」

ざんざと降り続ける雨は、まるで涙のように。
己の体から少しづつ抜けていく体温は、まるで生気のように。
ウェザーは十字を切りながら、天を仰いだ。

「F・F、お前がいれば」

水によって無限に増える治療薬。
ウェザーは知らない。彼女――いや、彼らが既に自分を捨てて名も無き戦闘者になったことを。

「アナスイ、頼んだぞ」

人体改造のエキスパート。
ウェザーは知らない。彼もまた巨大な穴ぐらの中で生死に触れる状況に晒されていることを。

「徐倫」

そして愛の受刑者(プリズナー・オブ・ラブ)。
彼女のように、どんな苦難も正面から立ち向かう姿はいつ見ても綺麗だった。
どんな絶望的な状況でもNO断念。試練として、苦行として受け入れて。
最後には“くたばりやがれ”と決着ゥをつける。

「もう一度、君と話がしたかった……そよ風の中で……」

どこかでこの天気を見てくれているかもしれない。
そう祈りつつ、ウェザーはゆっくりと地に伏した。
孤独な感情を洗い流すかのように、哀しみの雨を降らし続けて……。

★  ☆  ★

231 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:30:59 ID:ROj+880Z
支援だ! 今度こそは成功してくれ!

232 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:32:20 ID:I7miVQ48
ウェザー・リポートが黙祷をしていた時から、遡ること数十分。
濁流から逃れるために食屍鬼街へと繋がるダクトを這いずって動く影が、安全地帯へ逃げようとしていた。
言うまでもなく、柱の男カーズである。肉体を綺麗にたたんで前進する姿は芋虫のような運動を彷彿させる。

(本格的に酷い天気になってきたようだ……フフフ、まぁそれはこのカーズにとって好都合だがな)

何も知らないカーズ。自分が進んできた道が全て計算づくで用意されていた物とは知らず。
まるで自らが的確な判断の下、安全なルートを選んでいるかのように、彼は完全に勘違いしていた。
日の光に当たらぬよう西を避け、外の川へ飛び出さないように上を目指し、上方の激流を避けて東を進み、籠の中へと進む。

(このまま行けば、繁華街の食屍鬼街という場所へ辿りつくはずだ)

カーズは考える。たどり着く街はおそらく住居が沢山あるに違いない。つまり日中でも隠れられる住居があるということ。
太陽光線に弱い柱の男が息を潜めるには、まさしくおあつらえ向きの場所なのである。
カーズの肉体はギュルリと進路を変えて、食屍鬼街内でも比較的近場の排水溝を進んだ。

「……雨は大分強くなっているようだな」

食屍鬼街は地図上のエリア丸々1つ分を占めるエリアである。
大規模さは他の施設とはヒケを取らない。隣のポンペイ遺跡が可愛く見える。
その上、整った住宅の並びは隠れ蓑に持って来いの状態だ。

「――何よりも『困難』で、幸運が無かったらたどり着けない道だった」

鳴り響く雷鳴。轟々と落とされる恵みを天頂から浴びる男。
高級なブランドのスーツはすっかりずぶ濡れ。値打ちは下落を止められない。
それでも、この男の心の高ぶりは上昇を止めることを知らない。彼にとっては今が最高の瞬間。
長き殺しの日々を生きてきた中でも、今日ほど興奮を覚えた日は無いだろう。
イカズチとともに現れた男のはギャング団パッショーネの殺し屋。通称『プロシュート』。

「HUMM〜?、何だ……貴様か」

再び鳴り響く雷鳴。目の前の敵には、まったく興味無さそうな振る舞い。
事実。カーズにとっては、プロシュートなど、ただのギャラリー以下の存在。いてもいなくとも全く問題のない空気。
名前すら知らない。というより知ろうとしない。あえて名を聞くことすら手間とみなされてしまう。
プロシュートがどんなに誇り高く無謀な決意を持って立ち向かえど、カーズの感情は弱者への蔑みただ1つ。


233 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:33:16 ID:I7miVQ48
(この足りない脳味噌でよぉ〜〜く考えた)


エルメェスの決死の覚悟を無駄にしたくなかった。シュトロハイムからの情報を何度も吟味した。
カーズの能力は何か、カーズの性格は何か、カーズの目的は何か。カーズの弱点は何か。
何度も何度もシミュレートし、カーズを少しでも倒せる可能性を模索した。具体的なビジョンを作るために。
カーズへの復讐を考える内、プロシュートは基本に立ち返ることにした。暗殺とは何ぞやと問い続けた。
それは適当であってはならない。それは確実でなければならない。それは目的を最優先しなければならない。
それは無謀であってはならない。それは迅速でなければならない。それは失敗も考慮しなければならない。
それは無駄があってはならない。それは百回やっても百回同じようにできたほうがいい。それはシンプルがいい。

(正直、自分でも信じられねぇ……でも思いついちまったんだ。テメーを殺す方法を)

食屍鬼街の住宅の棟数はちゃんとカウントしたし、どこの家に何があるのかも覚えた。
彼の左目に移る二階建ての家は、一階がリビングで大きなテレビが1つ。ソファーが2つ。机は木製で高さは膝下。
街の役所のような建物にあった地図資料を読み漁り、ライフラインの繋がりも必死に洗った。
フィールドワークを自分の味方にさせるために、坂道や砂利道、ランプの位置もまとめて記憶した。
カーズが空気供給管のような管のルートを通って来たパターンに備えて、換気口はほぼすべて潰した。
サンタナを超える力を持つシュトロハイムが、筋肉痛になりそうだと訴える始末だった。
一部を除いて全ての家の水道を開放し、カーズが通れる道を一本道に錯覚させる作戦も準備した。

(どうやってかはわからんが、『アレ』はお前を殺せるような気がする)

それでも……不安だった。カーズがいつこの街にくるか断定出来なかったからだ。
ひょっとしたら永遠に来ないかもしれない。失敗は許されない。作業中はいつも震えていた。
そしてシュトロハイムが偶然見つけた『アレ』を、プロシュートは全面的に信じることが出来なかった。
もちろん試験的な行為は可能な限り行った。不測の事態と考えられる条件は何度も何度もこなした。
上手くいった時も、素直に喜べなかった。当のカーズはそこにはいなかったから。

「……クククク、何が貴様をそうさせるのか? あのイカレ女の敵討ちか」

プロシュートにとってウェザーとブラックモアの登場は、実のところ行幸だった。
カーズの誘導と、『アレ』を実行させるための成功率。悩んでいた2つの問題点を確実に成功へと導く要因になりえた。
勝つためならばどんな手だって使う。やるならトコトンやる。彼らを利用しない手はない。
幸い彼らは、エルメェス・コステロの味方だった。お互いの得になる話だ。表面上は。
問い詰めれば、プロシュートは告白しただろう。
『彼らを信用してもいいのか? 彼らの言葉は真実なのか? 俺は最後まで迷っていた』と。
ブラックモアが声高に胸を見せて訴えても、ウェザーが懸命な説得をしても、すべては虚像かもしれない。
なぜならプロシュートはスタンド使いであり、スタンドには無限の可能性がある。
裏切られることが日常茶飯事であるギャング生活。あったばかりの人間を易々と信じられるものか。
それでもプロシュートが、こうしてカーズの目の前に立つ理由は。

234 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:35:26 ID:ROj+880Z
支援

235 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:35:51 ID:I7miVQ48
「オレの『勘』だ」

苦楽を共にしたチームとの絆。まるで“軽く10年は修羅場をくぐり抜けて来た”と言わんばかりの人生。
心の底まで信頼していたわけではないが、彼らとは良き関係だった。
組織に爪弾きにされたもの同士で深めた親交。メンバーとの第一印象は、どうだったのか思い出すと……。
『気持ち悪いクズ同士の集まりだが、こいつらとは意外と上手くやっていける気がする』。
その勘はプロシュートに擦り寄るように真実を招き、直感として花開いた。
どんな壁が立ちはだかろうと、誇りの為なら乗り越えられる。誇りを無碍にされたままでは終わらない。
ウェザー・リポートとブラックモア。プロシュートは彼らにも同じ感想を覚え……己の『勘』を信じた。

「「死ねイジャええのせイイきッ! 」」

ほぼ、ほぼ同時に。男たちは握っていた拳を振り上げた。
もし、何も知らない第三者が見届けていたら、その人物はカーズにあっと驚かされていたに違いない。
カーズは拳を振り上げる途中で人差し指だけを伸ばし、指先から高圧の水を打ち出していたからだ。
大量の雨をタップリと含み、獲物に目掛けられた銃は、弾切れ知らずの機関銃。
問答無用で飛び出した散弾は相手の五臓六腑を破壊する。

「MUN!?」

カーズは目を疑った。自分が仕向けた殺意を受けたのはプロシュートではなかったからだ。
激しい豪雨で見えにくくはなっているが、黒く汚れた欠片の寄せ集めが、目の前に広がっている。
まるで大量の小魚が一体となり、一匹の巨大な海洋魚のフリをするがのごとく。

「横から出ようが、雨は雨ですからねェ」

その正体は雨に身を溶け込まし、夜顔負けの曇り空に潜んでいたブラックモア。
ウェザー・リポートが降らせた局地的豪雨は、スタンド『キャッチ・ザ・レインボー』に絶大な力を与えた。
すなわち放たれた雨の弾丸をこの身に直接受けることで、ブラックモアはカーズの攻撃を固定したのだ。
これがただの水ならばどうだったか。カーズが己の水分を抽出していたら、どうなっていたかはわからない。
しかし、ブラックモアはカーズの水弾を雨粒と信じていた。確固たる核心は、精神力(スタンドエネルギー)を強くする。
“カーズから飛び出るこの水は誰が何と言おうと雨です。ウェザー・リポートの雨に間違いありませェん”と。

「オラァァッ! 」

そうこうする間に、ブラックモアの集合体をすり抜けて、『何か』が飛んできた。
カーズの思考は、ほんのわずかな虚を突かれていたので、冷静と我慢の間で混乱していた。

(これを投げたのはおそらくプロシュート。これは丸くて小さいモノ。これは何だ。爆弾か。見えるものは何だ。くすんだ色と綺麗な色。
 待て。爆弾ごときで私は死なん。私を殺すと奴は、待て、こいつはさっき何と言った。“死ね”と叫ぶ自分と同時に、奴が叫んだ言葉は。
 『×イジャのせ××き』。『×イジャのせき×き』『えイジャのせきせき』――『エイジャの赤石』!? 馬鹿な――)

目と鼻の先に近づく宝石に、カーズのシナプスが余計な茶茶を起こさせる。

(幾年も捜し求めていた宝石が、どうしてこんな所に現れたのかと。そんな事は万に一つもない。
 自分を殺すと宣言した男が、どうして大事な切り札を自分に投げつけるのか――そんなはずはない。
 落ち着け、これは赤石ではない。第一、この宝石についているこれが、何の意味ももたないではないか。
 そうだ。これは罠だ。私の動揺を誘い、スキを作るまやかし。カーズよ、気にすることはない。全て討ち砕くのだ。
 自分の顔の皮膚に今か今かと触れようとする、この汚らわしい模造品ごと、この輝彩滑刀で奴らを切り裂いてしまえ)

コンマ数秒の思案がカーズを混乱の渦へと飲み込んでいく。

「きさまを真っ二つにするッ! 」

プロシュートの言葉の真意。
カーズはまだその狙いに気づいていない。

★  ☆  ★

236 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:36:50 ID:bSB2h8u5
ついに来た。支援!

237 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:38:09 ID:I7miVQ48
みなさんは、今までに空中へ放り出されたことがあるだろうか。
この世に存在する生物の大半は、一度は地面に着地し、大地の恩恵を足から実感する。
その地面が、とつぜん何かの拍子に無くなってしまえば、我々はいとも簡単にバランスを崩す。
高さ何メートルの塀からしなやかな着地をする猫も、地上数十メートルの上空を飛ぶ鳥も、みな一緒なのだ。

「MUNNNNNAAAAAAAAA!?」

ここは知る人ぞ知るとある休憩室。
ソファーやクローゼットといった家具はもちろん、冷蔵庫にはキンキンに冷えた飲み物も用意されている。
さきほどまで土砂降りの中にいたカーズは、なんと突然この部屋に招かれてしまったのだ。
しかも身体は完全に空中にあるので、間もなく机に落下して激突すること間違いなし!
予想外のことに思わず焦るカーズ! ************************************

「きた、きた、きた、きたアアアアアアアアアアアッ!! 」

だが、次の瞬間! なんとカーズの宿敵であるシュトロハイムが机の下から飛び出してきたではないか。
プロシュートから返して貰ったスタン・グレネードを部屋の天井目掛けて投擲するシュトロハイム。なかなかの腕前だ。
爆発と一緒に放たれる強烈な閃光は、カーズの背中を焦がし、更なる窮地を生み出している。
火薬の威力が大したことでなくとも、光はカーズにとって目の上のたんこぶ。
意気揚々と第二、第三のスタン・グレネードを準備するシュトロハイム。これでカーズは迂闊に天井に近づけなくなってしまった。

「カァァァァァァァズッ! きさまにとどめを刺せるなんて!スカッとするぜーッ!! 」


お気づきだろうか? この部屋は我々がよーく知っているッ! この空間を我々には覚えがあるッ!
ここはプロシュートたちが支給品として管理していた『ココ・ジャンボ』が作り出した異空間なのだ。
『ココ・ジャンボ』はギャング組織パッショーネが発見した、スタンド使いの亀。
長きに渉る訓練により、ココ・ジャンボは特殊な鍵を甲羅にはめ込むことで、スタンドの発動のコントロールを身に着けた。
つまりその特殊な鍵をココ・ジャンボの甲羅にはめ込めば、異空間への入り口が発生し、鍵を外せば入り口は消える。
ちなみに、その異空間はココ・ジャンボの甲羅からでしか侵入できない。

「ジィィィィイイク・ハイル!! 」

もう、おわかりだろう。
プロシュートがカーズに投げつけたモノは、ココ・ジャンボ自身。
カーズが見た宝石とは、ココ・ジャンボの甲羅にはまっていた鍵の付属の模造石。
そして、カーズがシュトロハイムと対決しているこの部屋は、ココ・ジャンボの異空間。
カーズはココ・ジャンボの甲羅に切りかかるはずが、そのまま中の異空間にの中に引きずりこまれてしまったのだ!

「くだらんぞナチ公ッ! 貴様には大人しく泥を舐めるのがお似合いだNUAAAAAHHHH――輝彩滑刀ッ! 」

238 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:41:36 ID:bSB2h8u5
支援

239 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:43:01 ID:woI9o0CX
あたし今目がウルウルしてるわ
今回はネタ無しにただただ支援ッ!

240 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:45:38 ID:q6dpmhMm
  

241 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:46:46 ID:I7miVQ48
ではプロシュートはなぜこのような行動に出たのか。
シュトロハイムの因縁に決着させるために、このようなお膳立てを用意したのか。
残りのスタン・グレネードもろとも、ココ・ジャンボの体内で特攻する算段だったのか。
彼らが悩みに悩み選んだ答えは、これだったのだろうかッ!?

「そんな手をマンマと食らうドイツ軍人などおらんわーッ!」

まばゆい光を撒き散らしながら、カーズの輝彩滑刀は12000000年の年季を見せ付ける。
だがその刀はシュトロハイムに身に食い込まず、寸での所で留まっているッ!
刃に仕込まれたツメは目にも留まらぬ速さで、エッジの部分を滑るように動いているというのに。
なぜなら、そのエッジの部分を我らがシュトロハイムがしっかりと掴んでいるからだ。
全壊した右足の膝と右手で挟み、上下の力で輝彩滑刀を徹底的に押さえつけてしまったッ!
例え故障していようが、シュトロハイムの全身は柱の男・サンタナの倍を誇るパワーを持っている。
カーズのパワーがいくらサンタナを軽く凌駕していようと、わずかな均衡は生み出される。

「――シュトロハイム、そーゆーのをなぁ〜〜ただのやけくそと言うのだッ! 貴様は柱の男という存在を舐めたッ! 」

しかし、非情にもその均衡は刹那に終わり、シュトロハイムはカーズの刃で文字通り“辻斬り”にされて、散った。
宙を舞ったスタン・グレネード×2が弾みで暴発し、より一層激しく閃光を放射する。
上等なカーペットがシュトロハイムから噴出したオイルでドス黒く染まってゆく。

このとき、シュトロハイムは我が身がバラバラにされたことを、いともすんなり受け入れていた。
恐怖はなかった。痛みもなかった。後悔もなかった。『やるだけやったのだから』――そう思っていた。
圧倒的悪の前で、彼が最後に感じていたことは、氷のように冷静な己を見つめる姿。
まるで生きながらヘビに飲まれるカエルのように……ぐったりとする自分。

(フフフ……カーズ、この部屋は貴様の棺桶よ! )

シュトロハイムの行動は最初から予定通りであった。
ウェザーたちと手を組んだのは偶然だが、誰かと手を組むのは偶然ではなかった。
仲間同士でいざこざが起こらぬよう、いつでも『この役目』を引き受けるつもりでいた。
それは何度もプロシュートと話し合ったし、何度も討論し続けた。
生身のプロシュートよりも、ほぼ全身サイボーグである自分が適任であると押し通した。
柱の男の情報は、自分でなくとも誰かに伝えることができる。

(さらばだ……いまいましくも……誇り高き……戦士たちよ)

より多くの時間を稼ぐのなら、それがいい。
『どんな手段を使ってでも』とは、そういうことだ。

★  ☆  ★

242 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:47:17 ID:q6dpmhMm
  

243 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:48:08 ID:q6dpmhMm
  

244 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:48:52 ID:q6dpmhMm
    

245 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:49:20 ID:woI9o0CX



246 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:49:40 ID:3T0+gY5d
   

247 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:49:41 ID:q6dpmhMm
   

248 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:51:56 ID:I7miVQ48
★  ☆  ★

カギをはめれば、そこはてんごく。
あなたもわたしも、こんにちは。
あなたもわたしも、さようなら。

おおやさん、きょうもよろしくね。

カギをはずせば、ゆめはおわり。
あなたもわたしも、おいだされ。
あなたもわたしも、もとどおり。

おおやさん、おげんきで。

――鍵を外しちまったら、もう中には入れないのか?
――そうだ。生き物はみんな部屋から追い出されてしまう。
――逆に言えば中に残ることができるのは、生物以外……なぁ、柱の男は、どうなんだ。
――アレは生物界の頂点に君臨していると言っても過言ではない。おそらく放り出されるだろう。
――そのまま中に残っちまえば、いい気味なんだがな。
――鍵が外れてから追い出されるのに、若干の猶予がある。亀から出た所を飛び出した所を狙うか。
――シュトロハイム、ちょっと待て。その発想を『4次元』的にしたらどうだ?


たいへんだ。
おおやさんが、いない。
おおやさんが、いない。
どうするの。どうするの。

おおやさんが、いなくなったら――


「ザ……グレイト……フル・デッド……掴んだぜ」



へやは、いったいどうなるの?



「『栄光』をなぁッ! 」


★  ☆  ★

249 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:51:56 ID:q6dpmhMm
 

250 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:53:28 ID:woI9o0CX



251 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:53:30 ID:I7miVQ48
★  ☆  ★

したたる水を両手で払いながら、プロシュートはゆっくり足を前へ進める。
数分前には視界がぼやけるほど振っていた大雨も、少しづつ勢いを失い始めていた。
それは、小ぶりの傘を差して、幼稚園児が水溜りでぱしゃぱしゃと遊べるほどに。
この雨の勢いから考えれば、ウェザー・リポートの雨も5分足らずで止むだろう。

「よう、ウェザーはどうだった? 」

ブラックモアがふわりと地面に降り立ち、一時限りの盟友を出迎える。
しかし新たに傷づいた穴を両手で優しく撫でるとその場に座り、ゆっくりと横たわってしまった。
雨粒で塞がっていた傷を確認していたのだろう。とはいえ残された命はあとわずか。
カーズから受けた怪我で更に血を失ったのは大きかった。トレードマークのマントはボロボロだ。
最悪の場合、いつショック死になってもおかしくない状況だが、神の運命はまだ彼を弄ぶらしい。

「……こっちは終わったぜ」

プロシュートの声に合わせる様に、最後の気力を振り絞り、顔をしっかりと右に向ける。
ブラックモアは何も言わず、思いの丈を真っ直ぐな視線で訴えた……瞳は曇りつつ。

「迷惑をかけた。お前も、アイツらも、コイツにもな」

プロシュートはすっと右手を持ち上げて、『結果』を掲げた。
それはザ・グレイトフル・デッドによって朽ち果てたココ・ジャンボの死体。
直に老化能力を叩き込まれた生物の、肉体の自制は既に失われている。
ところどころにムキ出しとなった骨が、醜く崩れる生物の最後を主張していた。
どしゃりとココ・ジャンボだった肉塊を地面に落とし、プロシュートは懐から『鍵』を出した。

「カーズはあの部屋から出られなくなった……ツいてなかった」

『鍵』を外されたココ・ジャンボは異空間から生物を追い出そうとする。
その刹那の内に、ココ・ジャンボが死ねば、追い出されるはずの生物たちは、そのまま部屋に残るのではないか。
そして本体の死がスタンドの消滅であるように、異空間はそのまま消滅してしまうのではないだろうか。
この仮説を実践することこそが、カーズ抹殺作戦の全容だった。

「じゃあな。柱の男が、まだ1人残っている」


252 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:54:53 ID:q6dpmhMm
 

253 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:54:53 ID:I7miVQ48
人手が欲しかった。
@カーズに安全に近づくまでのメンバー。
Aカーズにココ・ジャンボを叩き込むのを助けてくれるメンバー。
Bカーズをココ・ジャンボの異空間内で足止めしてくれるメンバー。
Cカーズの殺害に失敗したとき、しんがりとして助力になってくれるメンバー。
Dカーズ殺害に成功したあと、もう1人の柱の男の存在を誰かに知らせてくれるメンバー。

「……オレは……ここで」

ブラックモアはココ・ジャンボにプロシュートたちを潜ませ、雨に溶け込みながら@とAを担った。
雨まみれの街におびき寄せられたネズミを探すことは、造作もないことなのだ。

シュトロハイムは言うまでも無くBを一身に引き受けた。代わりにプロシュートがDを任された。
ココ・ジャンボ殺害という切り札に集中して欲しいという、皆の要望だった。
そしてウェザー・リポートはカーズを食屍鬼街におびき寄せる他に、Cも心得てくれた。
ブラックモアの合図が無ければ、食屍鬼街全域に雷と洪水と全力の台風が暴れる予定になっていた。
カーズが住宅に篭城しようと、そこに逃げ場はない。嵐に備えていない16世紀時代の古い構造など、容易に崩れ去る。
ブラックモアがウェザーに吉報を届けていたので、この天災は収まり始めているのだ。

「くたばるわけには」

プロシュートはまたしても賭けに勝った。彼の『勘』は最後まで鈍ることなく、精彩さを放ち続けた。
カーズ討伐計画を足早に実行させるだけの見返りを彼は得た。『栄光』を掴んだのだ。
――しかし多くの犠牲を出した。何の罪も無い、何も知らない者を、己の私欲のためだけに巻き込んだ。
それは彼も重々承知だった。自分は吐き気を催す邪悪。どんなに気高くあろうとしても、悪は悪。
だからこそ、ここでくたばるわけにはいかなかった。
会って数時間も経っていないのに、自分の計画に乗り、全力を尽くしてくれた。
自分が最後のツメをしくじれば、それこそ彼らに申し訳が立たない。
シュトロハイムには仲間がいる。ウェザー・リポートにも仲間がいる。自分にも仲間がいる。
彼らと接触しなければ、わざわざ遠回りしてまでカーズ抹殺に専念した意味が無くなってしまう!

「――ゴバッ!……も、もしかして……」

彼らはどうして自分の意思に賛同してくれたのだろうか。信用? 信頼? スゴ味?
違う。
彼らは誇り高くありたかっただけだ。プライドを嘲笑しコケにした存在を許すことが出来なかった。
カーズ、いや、柱の男から一方的な侵略に全力で立ち向かおうとしただけ。
蟻を無自覚に踏み潰す象のような、過程を省みることすらせず、我が物顔で進む奴に思い知らせたかったのだ。
“人類存続とか地球平和とかどうだっていい。だがな、テメー、あんまり人間様をナメてんじゃねーぞコラァッ! ”と。

254 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:55:33 ID:q6dpmhMm
           

255 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:56:26 ID:q6dpmhMm
  

256 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:57:14 ID:q6dpmhMm
 

257 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:57:54 ID:q6dpmhMm
 

258 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 00:58:03 ID:bSB2h8u5
 

259 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:58:29 ID:I7miVQ48
「ま、まさか……ツいて、なかったのは……オレもなのか……! 」

ドクドクと血を垂れ流す腹部を手で押さえて、プロシュートは声を絞った。
この傷は、紛れも無くカーズの水圧弾を受けた時のものだった。
極限の緊張状態にあったため、脳内麻薬が活発に溢れていたのだろう。
彼はブラックモアのブキャッチ・ザ・レインボー――雨粒による傷口の固定――が解除されるまで、気づいていなかった。
自分もまた無傷では済んでいなかったという事実。無傷で生還という奇跡は、起こっていなかったのだと。

「……シュトロハイムよぉ、『もっと落ち着け』とか、『やかましい野郎』だなんて言ったが、撤回するよ……無礼な事を言った。
 おまえが『エイジャの赤石』の話を持ちかけていなかったら……紙一重でカーズを出し抜けなかったかもしれねぇ。
 ウェザー・リポート、ブラックモア! おめーら胡散臭ぇくせして頼りになっちまったじゃねーかッ! どうせならもっと役に立てよ!
 赤の他人を簡単に信んじまったオレが馬鹿みたいだぜ……それもこれも! いつもの面子がいねぇからだ!
 なぁペッシ、リゾット、ホルマジオ! お前らどこで油を売ってやがる……早くオレを助けろよ……いや、助けなくていい……」

死にたくない。死ぬのが怖いからじゃあない。
死ぬことに対する恐怖はとうの昔に捨てた。死ぬことに悔いはない。
オメオメと救助されて生き延びるつもりはない。己のケツは己で拭いて当然。自業自得がこの世界だ。

「聞いてくれるだけでいい……柱の男は……ヤベェんだ……誰か………………………………」

ココ・ジャンボに何度も老化させて、年齢を探ったことが、余計に精神力を消費させたのか。
この降りしきる雨天で冷えたココ・ジャンボを老化させるために、いつも以上のエネルギーを使ってしまったのか。
そんな屁理屈はどうだっていい。ただ、今は死にたくない。『その時』は今ではない。
まだまだずっと先の『未来』で待っているはずだった。きっとそうだった。

(なんて……こった……ツいて…………ない、な………………)

チャリンと鍵が路面に跳ねる。
持ち主も、後を追うように倒れた。
時計は午前0時に差し掛かり、空は穏やかな晴間を作り始めていた。


260 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 00:59:35 ID:I7miVQ48
【ココ・ジャンボ 死亡】
【シュトロハイム 死亡】
【ウェザー・リポート 死亡】
【ブラックモア 死亡】
【プロシュート 死亡】


※ココ・ジャンボ、ブラックモア、プロシュートの遺体はG-5とG-6の境目付近の食屍鬼街内にあります。
※プロシュートの遺体のそばにはフルフェイスヘルメットと基本支給品があります。
※ブラックモアの遺体のそばには一八七四年製コルト予備弾薬(4/18)と【マルクのペンダント】、基本支給品があります。
※ウェザー・リポートの遺体はG-5の食屍鬼街の端です。そばに支給品一式、黒い糸数本、【梨央ちゃんのアレ】があります。
※シュトロハイムの遺体はレミントン・ダブルデリンジャー、基本支給品と共に消滅しました。

【マルクのペンダント】
ブラックモアの最後の支給品。
ジョジョ第二部で登場したシーザーの旧友、マルクのペンダント。中には女性の写真が入っている。
ナチスの軍人として勤務していたマルクは、写真の女性と近々結婚する予定だった。

【梨央ちゃんのアレ】
ウェザー・リポートの最後の支給品。
ジョジョ第四部で東方仗助と吉良吉影の最後の決戦舞台となった家。
梨央ちゃんはその家の住人で、最近よくアレが盗まれると近所に相談していたらしい。
吉良の「うらやましいな……暇そうで……」のシーンと言えばピンとくる人もいるだろう。
もちろんこれは、何の変哲もないただのアレなのでご安心を。

261 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:00:20 ID:q6dpmhMm
    

262 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:00:43 ID:3T0+gY5d
  

263 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:01:21 ID:q6dpmhMm
      

264 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 01:01:46 ID:I7miVQ48
★  ☆  ★


「あ、リーダーッ! 何かあったのかッ!? 」

G−5から遥か西。ナチス研究所地下鉄駅。
形を潜めていたはずの上司。その突然の謁見にペッシは大袈裟に慌てふためいた。
任務以外は進んで行動に移さないリゾットが、すすんで仲間とコンタクトを直接取ることは、めったに無い。
それだけ、リゾットの登場が非常事態を指しているとペッシは考えてしまっていた。

「それを止めるんだ」

リゾットはペッシの心配をよそに、すっと右手で指差して注意を促した。
まさかスタンド能力を解除するわけじゃあるまいし、ペッシには何がなんだか理解できなかった。

「今からオレのことは“リゾット”でいい。少なくとも、オレたちの上下関係を悟られるような発言は控えてくれ」

ペッシは結局、素直にうなづくしかなかった。どうして今更そんなことを言うのかピンとこなかった。
しかしリゾットには、この取り決めが後々重要になると信じていた。
ホル・ホースはまだ“こちら側”の人間だった。軽口を叩きそうだが、お喋りではない。彼はビジネスを優先する。
しかし、今後リゾットと接触する人間全てがホル・ホースのような者とは限らない。
ミュー・ミューのように大人しく言うことを聞かず、むしろその場で抗ってくる者も出てくるだろう。
いわゆる“正義バカ”と言われる人種。相手がギャング、というだけで毛嫌いし親交を絶とうとする者達。
彼らに迎合するつもりはないし、彼らを卑下するつもりもない。ただ、無駄を省きたいのだ。
せっかく知り合った有能な人間と、そんな理由で協力を断念するなどもったいないの極み。

「これからは素性も隠す。バレたら、その時謝罪すればいい」

確実さと慎重さを優先するリゾットは、来る放送に向けて、本腰を入れようとしていた。
あれよあれよと過ぎた6時間。次の放送でも、きっと多くの人間が死んでいるだろう。
ひょっとしたら、従来の仲間はもう自分たちだけかもしれない。孤立して、首輪破壊のチャンスを失うわけにはいかない。
自分たちが対立するのは、あくまで同じ穴のムジナの、ブチャラティたちだけだ。

「リ……リ……リゾット! オレは引き続き、ここで警備してりゃいいんだよな? 」

不安そうに尋ねるペッシに笑顔で答えて、リゾットは再び地下に身を投じた。
惜しむらくば彼の兄貴分であるプロシュートがここにいれば、と目を瞑る。
無愛想で口下手な自分には、彼の相手をするのは適任ではないのだ。それは、プロシュートの役目だ。
一人前の殺し屋としての成長は見られるが、ペッシにはまだまだ彼が必要、とリゾットは考えている。
人を殺してギャングに入った自分と、人を殺さずしてギャングに入ったペッシは、根本で違っているのだから。

(長いな。トリッシュ奪還作戦で動いたときに匹敵する……長い長い1日だ)

リゾットはふと耳を澄まして、響き渡る音を脳に篭らせる。
地下鉄道で鳴っていた振動音が、さきほどよりもやや、静かになった。
それは雨が止んだことで、地下に流れる水の量が減ったせいだったのだが……。
リゾットはその雨が、自分の仲間の為に降っていたとは露も知らない。


265 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:02:05 ID:q6dpmhMm
 

266 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:02:45 ID:q6dpmhMm
  

267 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 01:03:03 ID:I7miVQ48
(出来ることなら……生きて再会したものだ)


【F-2 ナチス研究所/1日目 昼(放送直前)】
【暗殺チーム(現在メンバー募集中)】
【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:メタリカ
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷、左肩に裂傷、銃創(『メタリカ』による応急処置済み)
[装備]:フーゴのフォーク
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする  
1.ナチス研究所を拠点として確保する。まずは施設内を探索し首輪解除に使えそうな部屋探し
2.首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。
3.ホル・ホースを信頼。ミューミューはそうでもない。
4.暗殺チームの合流と拡大。人数が多くなったら拠点待機、資材確保、参加者討伐と別れて行動する。
5.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断、皆殺しにする。ブチャラティチームに関しては後ろ向きな行動だろうがやむなし。
6.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。
[備考]
※F・Fのスタンドを自分と同じ磁力操作だと思いこんでいます
※F・Fの知るホワイトスネイクとケンゾーの情報を聞きましたが、徐倫の名前以外F・Fの仲間の情報は聞いてません
※情報交換の際ホル・ホースから空条承太郎、ジョセフ・ジョースター、花京院典明、J・P・ポルナレフ、イギーの能力を教わりました。
※ホル・ホースの言葉に若干揺らぎましたが、現在ブチャラティチームと協力する気はさらさらありません
 ただし、カタギの人間(首輪解除に有益な人材)には素性を伏せてでも接触してみる(バレたり、その後のことはケースバイケース)。
※リゾット、及びペッシのメモには以下のことが書かれています。
[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
         → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り

【F-2 ナチス研究所地下鉄駅ホーム/1日目 1日目 昼(放送直前)】
【ペッシ】
[時間軸]:ブチャラティたちと遭遇前
[状態]:頭、腹にダメージ(小)、喉・右肘に裂傷、強い悲しみと硬い決意
[装備]:リゾットにタメ口の許可認証
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(数不明)、重ちーが爆殺された100円玉
[思考・状況] 基本行動方針:『荒木』をぶっ殺したなら『マンモーニ』を卒業してもいいッ!
1.駅周辺を警戒。
2.誰も殺させない。殺しの罪を被るなら暗殺チームの自分が被る。
3.ホル・ホースはいいとして、ミューミューは頼りになるのか?
3.チームの仲間(特に兄貴)と合流する
4.ブチャラティたちを殺す?或いは協力するべきなのか?信頼できるのか?
[備考]
※100円玉が爆弾化しているかは不明。とりあえずは爆発しないようです。
※ただし、これからは素性を伏せて誰かに接触してみる(バレたり、その後のことはケースバイケース)。
※暗殺チーム全体の行動方針は以下のとおりです。
基本行動方針:首輪を解除する
1.首輪解除のためナチス研究所を拠点として確保する。
2.首輪を分析・解除できる参加者を暗殺チームに引き込む。
3.1・2のために協力者を集める。
4.荒木飛呂彦について情報収集
5.人数が多くなれば拠点待機組、資材確保組、参加者討伐組と別れて行動する

268 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:03:39 ID:q6dpmhMm
   

269 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 01:03:43 ID:I7miVQ48
★  ☆  ★

「は、放してくれっ! 俺は関係ねぇっ……1人にさせてくれぇ! 」

G−5から遥か南西。サンタ・ルチア駅。
素っ裸で駅の奥へ走り去る男に、ディアボロとジョセフは呆れるほかなかった。
心も体もみっともなく醜態を晒してでも、恐怖から距離を取ろうとする姿。
それは人間として間違った行為ではない。
いきなり赤ん坊にされて、幽閉されたら、普通の人間は気の動転では済まないものだ。

「「……さてと」」

何事も無くしゃくしゃくと服装を整えるこの2人が、人としてどうかしているのだ。
ギャングとしてのし上がり、幾多の揉め事を鎮圧させたディアボロ。
3度の飯より飛行機墜落。渡った国は数知れずのジョセフ・ジョースター。
有象無象のスタンド使いたちに対処してきた彼らにとっては、日常に過ぎない。
恐怖にさい悩まれようと、思案する前にまずは行動せよと、彼らの本能が告げているのだ。

「おーい、坊主! どうした!? 」

そう、彼らにとっては、非日常が日常である。
しかし、我が身可愛さに逃げ出した音石明と同じように、この少年もまた、日常が日常。
音石のように尻込みはせずとも、少年には現実を簡単に受け止めるほどの度量はない。
川尻早人は1人同じ方角を見つめていた。

「ウェ……うっく……ウェザーさん…………!」

嫌な予感は、数十分前からあった。それまであったものが忽然と消えてしまったとき。
そしてはるか東に、それがどんどん寄せ集められていったとき。
何かが彼に起こったと思わずにはいられなかった。そうでなければ、この状況は説明できない。
頭ではわかっている。早く対応せねばならばい。東に何かが起こった。
そしてウェザーはッ……『ウェザー・リポート』は『もう』ッ!すでに!『すでに』ッ!

「おいっそんな泣きっ面してどうするッ! ハッハッハ、そうしょ気るでない。顔を上げい少年ッ!」

どんな敵が現れたのか、健闘もつかない。彼のスタンドは討ち損じても、負けることはない。
早人の希望が音を立てて崩れようとしていた。このままでは、いずれ追い詰められてやられてしまう、と。
もう、わかっている。放送をわざわざ聴くまでもない。
覚悟を持たねばならない。ウェザー・リポートを殺した『奴』を倒すことだけを考えねばッ!
ヴァニラ・アイス殺害以上の乗り難いチャンスと! 味方してくれる運命を!
川尻早人は漆黒の意思で再び掴み取らねばならないのだッ! それが徒労に終わるとは知らずに。

「きれーな虹じゃあ」

一面に晴れ渡る、美しい虹のコントラスト。

270 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:04:20 ID:q6dpmhMm
 

271 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:05:00 ID:q6dpmhMm
                                                               

272 :偉大なる死 そのC ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 01:05:03 ID:I7miVQ48











――雨があがった――













273 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:05:16 ID:bSB2h8u5
1st死亡者リストに究極カーズ追加するの忘れたけどキルスコア誰が稼いだか分かりづらいからいいや
支援

274 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:05:44 ID:q6dpmhMm
       

275 :偉大なる死 そのD ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 01:06:06 ID:I7miVQ48
【H-3 サンタ・ルチア駅トイレ/1日目 昼(放送直前)】
【チキン4羽〜たまご、ひよこ、こっこ、烏黒鶏〜】
【川尻早人】
[時間軸]:吉良吉影撃破後
[状態]:精神疲労(極大)、身体疲労、腹部と背中にダメージ大、漆黒の意思、殺意の炎、血まみれ(乾いた)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 ×2、ジャイロの鉄球、鳩のレターセット、メサイアのDISC
    ヴァニラの不明支給品二つ(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒したい。吉良吉影を殺す。殺し合いにはのらないけど、乗ってる参加者は仕方ない。
1.そ……そんな……
2.吉良吉影を殺す。邪魔をするような奴がいたらそいつも・・・
3.なんとかして鳩を取り戻し、承太郎に手紙を送る。
4.あのお爺さんが……ジョセフ・ジョースター?
5.荒木の能力を解明したい
6.死んだ人達にはどう接すればいいんだろうか?他の知り合いにも会いたい…。
7.エンポリオの遺体をアメリカに埋めてあげたい
[備考]
※吉良吉影を最大限警戒、またエンポリオの情報によりディオ、プッチ神父も警戒しています。
※ゾンビ馬によって右足はくっついていますが、他人の足なので一日たてば取れてしまう可能性があります。
 歩いたり、走ったりすることはできるようです。
※ある程度情報交換しましたが、三人を完全に信用していないので吉良吉影について話していません。
 ジョセフも本人かどうか半信半疑なので仗助について話していません。

【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:目が死んでる。強い恐怖 。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水の半分はジョセフに渡した)
[思考・状況]
基本行動方針:とにかく生き残り平穏な生活を送る。
0.サンタルチア駅で安全に籠城するのは依然変わりなくッ
1.ジョルノには絶対殺されたくない。普通に死ねるならそれでもいいや。苦しまないように殺して欲しい。
2.自分の生きる意味を知りたい。
3.自分の顔と過去の二つを知っている人物は始末する。ボロは絶対に出さない。
4.とりあえずはジョセフに協力。でも今後もジョセフのへたれ具合によって対応を変える。捨て駒も視野に。
5.チョコラータ、電車内の謎の攻撃、謎の男(カーズ)、早人怖いよ、キモイよ……
6.ジョルノや暗殺チーム、チョコラータとジョセフ達を上手く敵対させたい。ぼろが出そうだから怖いけど……
7.駅にあるデイパックを回収したい

[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りましたが、ジョセフに話すつもりはありません。それを取引に協力させたようです。
※セト神のせいで『キング・クリムゾン』と『エピタフ』が使えなくなっています
※自分の生きる意味を知ることが、殺し合いを勝ち抜く力になると思っています。しかし積極的に生きようとしているわけではありません。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました

276 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:06:30 ID:q6dpmhMm
    

277 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:08:23 ID:bSB2h8u5
>※セト神のせいで『キング・クリムゾン』と『エピタフ』が使えなくなっています
元に戻ったんでねーの?

278 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:08:31 ID:q6dpmhMm
 

279 :偉大なる死 そのD ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 01:09:00 ID:I7miVQ48
【ジョセフ・ジョースター】
[時間軸]:DIO討伐後、日本に帰る飛行機の中。
[状態]:胸に浅い傷(止血済)、目と鼻に炎症(失明はしない程度、水で洗って軽減された)悲しみは乗り越えた?
[装備]:ペットボトル(波紋探知機)(水の容量残り1/3)
[道具]:支給品一式 基本支給品、不明支給品 ×1、衣服 ※音石の物です。
[思考・状況]
基本行動方針:必ず生きて脱出する。打倒アラキ!  深い悲しみは乗り越えた?
0.虹がきれいじゃ。ん?そういえばこの雨って……
1.怪我がなおるまで駅に籠城する
2.承太郎、花京院辺りと合流して自分の推測について話し合いたい。
3.ジョージ、ジョナサン、エリナ、スピードワゴン、徐倫は見つけ次第保護する。
4.殺し合いに乗っていない参加者達も護る。或いは協力。機械に詳しい人間がいたら首輪の内部構造を依頼。
5.ディオや柱の男達は見逃せない。偽者の東方仗助を警戒?(攻撃したのは彼?ディアボロ君に任せるか)
6.ディアボロに若干の信頼。でも自殺をしそうで怖い。

[備考]
※参加者達は時代を超えて集められたのでは?と推測しています(ディアボロにはまだ話していません)
※首輪を『隠者の紫』で調べましたが機械には疎く詳しい事がわかりません。分かった事といえば隙間がまったく無い事くらい。
※2で挙げた面子はジョセフが聡明と判断した面子なだけで別にポルナレフが信用できないというわけではありません。
※波紋の呼吸を絶えず行っています。その影響である程度の運動なら息ひとつ乱れません。
※ディ・ス・コの薬品の負傷はいずれ治るようです。洗浄したことで和らぎましたが、全快するのがいつごろかはわかりません。
※波紋探知機は全盛期の波紋力でなければ作れません。範囲は狭いですが駅内部なら全域を探知できます。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました

【音石明】
[時間軸]:チリ・ペッパーが海に落ちた直後
[スタンド]:レッド・ホット・チリペッパー(黄色です)
[状態]:すっぽんぽん 体中に打撲の跡(中)、
[装備]:なし
[道具]:
[思考・状況]基本行動方針:優勝狙い
0.逃げるんだよおおおおおおおおお ※一時的に混乱してるだけ
1.とりあえずスタンドが黄色になって良かった……!
2.とりあえず仲間(ディアボロ)ができたのは良かった。でも状況変わってない……。
3.もしできたら様子を見てディアボロ達をを殺……せるのかな……この俺に……。
4.サンタナ怖いよサンタナ
5.電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー!
[備考]
※バトルロワイアルの会場には電気は通っているようです。
 しかし様々な時代の土地が無理やり合体しているために、電線がつながっていなかったりと不思議な状態になっているようです。
 スタンドが電線に潜ったら、どうなるかわかりません。(音石は電線から放電された電気を吸収しただけです)
※ミセス・ロビンスンをスタンド使いだと思っています

※【H-3サンタ・ルチア駅】にてエンポリオの死体が花の中に倒れています。デイパックも放置されています
※サンタルチア駅は引き続き停電しています、冷房は消されました。
※全てのエリアの雨が止みました。

★  ☆  ★

280 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:09:35 ID:q6dpmhMm
    

281 :偉大なる死 そのD ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 01:10:38 ID:I7miVQ48
「RRRRRRRRRRRRRYYYEEEEEEEEEEEEEEE!! 」

「異空間だと! フンッ! 体内を変形させて、次元の隙間を脱出し! そのまま元の世界へ……」

「ぎいいいいやあああああああ!! だ……ダメかッ! 」

「か……体が!ズれる! 次元の歪みに! 情報が処理しきれないッ!」

「た……体形を戻せん……で……出られん! 」



ドォォーーーーーーーーーz________ン



――カーズは――

2度と元の世界へは戻れなかった……
この世とあの世の中間に挟まれ
永遠に異空間をさまようのだ
亜空間の狭間

そして 死にたいと思ってもしても死ねないので



――そのうちカーズは 考えるのをやめた





282 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:10:47 ID:q6dpmhMm
     

283 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:11:46 ID:q6dpmhMm
 

284 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:12:04 ID:3T0+gY5d
カーズ実質脱出か?w

285 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:12:26 ID:q6dpmhMm
   

286 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:13:17 ID:q6dpmhMm
 

287 :偉大なる死 そのD ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 01:13:22 ID:I7miVQ48
★  ☆  ★


「……こういう結末、アリなのかな? 」

純粋な悪の玉座。荒木飛呂彦の謁見。
彼は相変わらずチェスをたしなみながら、語り続ける。
予定外の死亡。カーズの末路。
カーズの再起不能は、荒木にとって予定外のことであった。
……正確に言えば、『カーズが異空間を永遠に彷徨う』という結末に対して。

カーズの死亡――想定内。カーズが弱かっただけ。
カーズの再起不能――これも想定内。なぜなら、最終的に宴の前菜として利用するつもりだったから。
参加者が自分と戦うときに備えて、カーズを駒として立ち塞がらせる。
あわよくば石仮面とエイジャの赤石でチューンナップしたカーズをぶつける――実に愉快な試みだ。

「でも、これじゃあねぇ」

しかしカーズを回収しようにも、これでは後味が悪い。
ココ・ジャンボがまだ生きている内ならばカーズを救出することもできた。
プロシュートの命を賭した老化スピードのせいで、荒木は奇を失ってしまったのだ。

「というより、ああなっちゃった状況から、僕、カーズ君を助けられるのかな? 」

やってみなくてはわからない。だが、今回は中止という判断が生まれた。
何よりプロシュートたちの命がけの行動には、何よりも敬意を表するべきであり。
文字通り『封印』を勝ち取った彼らの姿は、自分のポリシーである『人間賛歌』そのもの。

「カーズ君、悪いけどさぁ、やっぱりこの話は無しってことで」

カーズは、実はプロシュートの名前を知らなかった。
シュトロハイムを除けば、カーズは名前も知らない相手に負けた。
歯牙にかける資格すらないと嘲った相手に、下克上を食らったのだ。
そんなカーズをクライマックスの添え物にするのは、舞台への侮辱に値する。

「よし、放送にいこう」

プロシュートたちへの敬意を意識しつつ、荒木はその場を後にした。



【カーズ  再起不能】


※荒木飛呂彦がカーズを死亡扱いにするようです。

288 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:15:11 ID:q6dpmhMm
 

289 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:15:16 ID:woI9o0CX


290 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:15:23 ID:y7sbyizo
支援ッ!

291 : ◆em4fuDEyHM :2009/09/22(火) 01:15:33 ID:I7miVQ48
投下終了

誤字脱字など、お見苦しい点は多々あると思います。
今日のところはこの辺りで。
多くの支援。長い時間のお付き合い、本当にありがとうございました。

292 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:15:52 ID:i2vs9HSw
乙ッ!

293 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:20:06 ID:bSB2h8u5
投下乙ッ!
そうか、そう来たか……その方法は思いつかなかった!
緻密に計算されたバトル、非常に読みごたえがありました!

あと音石wwwwwww予想はしてたけどwwwwwwwww

カーズは再起不能であって死亡じゃあないんだよね……死者スレでどうネタにしてやろうか

あと、第二回放送の予約はいつからはじめるかをそろそろ決めるべきだね

294 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:21:31 ID:3T0+gY5d
うおおおおおおおおお
凄かった、本当にすごかった

正直すごすぎて冷静に感想かけねえwwwwwww
何か色々すげーと思った
お前がナンバーワンだ……・改めて、GJ!

295 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:24:04 ID:woI9o0CX
凄すぎる描写

乙でした…!

だが
>>163
『やれたれ吸血鬼〜』→『やれやれ吸血鬼〜』かと…

本当に乙でしたッ!

296 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:44:21 ID:q6dpmhMm
長編の投下乙でした!

いやぁ、もう……なんていうかね、その…………スッゲェ!!
圧倒的な存在に対して、持つカード全てを費やして挑む『人間』たち。
なんていう人間賛歌、なんていうジョジョッ! 震えたよ!
サイボーグがいるだって? いやいや、彼ほど人間らしい男はいないね!
彼らは前話書いた頃から長生きは出来ないと思ってたけど、いやぁここまでやりきるとはw
あとカーズの倒し方は、まったく考えてなかった。こんな方法があったなんて。

>柱の男! それは神のような存在だったのか? この負傷は己への『罰』だったのか。
>そんな風には到底受け入れられなかった。あの邪悪な笑みは崇高さ、純潔さとはまるで遠い。

全体的にものすごく面白い話でしたが、この一節は特にお気に入りです。
神で繋げるのも考えてなかったなぁ……あなた、本当にすごいわ。

暗殺チームや早人達の話も、物悲しくもどこか清清しく素敵でした。
雨はあがった、か。たまらない。
その直後の「考えるのをやめた」で吹いて、荒木の「やっぱなしで」でも吹いてしまったw
いやあ、爽やかなエンドでした。

改めて投下乙です!

297 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 01:57:48 ID:u3Leupfr
投下乙ッ!投下乙ッ!投下乙ゥーーーーッ!
ウェザー、ブラックモア、シュトロハイム、プロシュート…
一人でもかけてたらこの『奇跡』は起きなかったッ!カーズという規格外の怪物に敵うものはいなかったッ!
其々の意地と誇りが光り輝いてたッ!この作品にッ!僕はッ!

  最大限の敬意を表すッ!

個人的に名コンビだった両方が散ったのは残念だったけど皆かっこよかった
特にウェザーとブラックモア!そのハードボイルドさに痺れたァーーーッ!
『雨』を通して二つの駅の味方に伝わる思いが物悲しい
リゾット、ペッシがこの後どうなるか。仇がいない中、早人はどうなるのか。

そして荒木…そうきたか!第二回放送後の動きにも目が放せないッ!

改めて投下乙ッ!いいもん見せてもらったぜ…

298 :創る名無しに見る名無し:2009/09/22(火) 02:07:50 ID:1UEZm3sw
何という乙
第2放送後のジョジョロワ2ndはいい意味でどうかしている

F.Fの変貌、ラバーソール無双、ヴァニラの死、承太郎の死、BIO HAZARD…

そしてここにきてついにプロシュートVSカーズに凄まじい決着…
クオリティ高すぎて鳥肌がヤバイ
とんでもない作品をありがとうございました

ところでヴァニラアイスはすごいなw
本編ではとっくに死んでいると言うのに、虹のメンバーはほとんどがヴァニラを意識して行動しているという…
荒木は荒木であいかわらずフリーダム…
てか戦いが夢中になりすぎだwww
下手したらこいつ見入りすぎて主催者が放送を忘れるとかいう事態になってたかも知れんぞwww

あと、読みながらいくつか誤字を拾ったので報告しておきます

>>160
確立 → 確率
>>166
短縮してくれが → 短縮してくれたが
>>167
通貨 → 通過
>>287
奇 → 機

さて、二周目読みに行くか

299 :創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 01:56:19 ID:8QxMSiR8
今読み終わった
乙!マジで乙!
初っぱなの「エルメェスの報いを受けろ」から涙腺緩みっぱなしだった
ブラックモアの一人称がしっくりきていて格好良く、引き込まれた
ウェザーが他の仲間たちに一言言う場面では涙が込み上げ、シュトロハイムの覚悟、プロシュートの叫びでもう涙が止まらなくなった
こんな倒し方になるとは思わなかった!熱い戦いだった!!
雨が上がることがこんなに悲しいなんて思わなかったよ……

あと誤字報告します
>>259
午前0時 → 午後0時

第2放送行く前に今一度状況を確認するために読み直さなくては…
この話の二周目にもいきたいが体力がもたないんだぜ…

とにかく乙!でした!


300 :創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 20:09:26 ID:c3DUC+zO
wiki更新乙

殺害数上位を柱の男たちで埋め尽くすなか、唯一の生存者のラバーソウルがやけに目立つなw


301 :創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 21:25:00 ID:hrTcTR9Q
遅ればせながら投下及びwikiの更新乙です!

もう言い尽くされてるけどすご過ぎて感想が書けない…。
モアとウェザーの合言葉をちゃんと使っていただけて感激だ…

とりあえず、興奮して眠れなくなりました、ということで感想に代えさせて頂きます…

302 :創る名無しに見る名無し:2009/09/23(水) 23:41:05 ID:WdbLoRwN
ジョジョロワ史上に残る名バトル!


乙でした!

303 :創る名無しに見る名無し:2009/09/24(木) 21:08:25 ID:eOy01M5h
ACDCがまた放送で泣くのかw

304 :創る名無しに見る名無し:2009/09/26(土) 03:56:37 ID:zvsec45M
そういや、再起不能の直前に一気にキルスコア4も稼いだのか

305 :創る名無しに見る名無し:2009/09/26(土) 06:25:14 ID:XOKqnojR
ある意味帳尻か?w

306 :創る名無しに見る名無し:2009/09/26(土) 17:16:10 ID:C4Aeizix
今までサラマンダーだっただけにすごいな。
殺害数上位にぽつんと早人がいるwww

307 :創る名無しに見る名無し:2009/09/26(土) 23:25:46 ID:ROabgXzE
>>307
一応登場話でエルメェス殺してるんだぜ

308 :創る名無しに見る名無し:2009/09/26(土) 23:37:20 ID:ROabgXzE
>>307はどう見ても>>306への安価ミスです本当にありがとうございます

309 :創る名無しに見る名無し:2009/09/27(日) 10:13:09 ID:TpTdAST+
まぁROabgXzEったらいけない人っ!

310 : ◆Or4jDNZ.8Y :2009/09/27(日) 16:29:15 ID:w69CUX+n
「――で、そのBMWという男はいつになったら来るんだ」
「違う違う、SPW(スピードワゴン)な」

ホル・ホースたちがE−4の民家に到着しても、当の待ち人はちっとも姿を現さなかった。
あまりにも暇になったので、2人はぐうたらと寛いでいた。
ソファーに寝転びながら、指で装飾品を手のひらで遊ぶホル・ホース。
ミューミューはハードワックスで固めたロングが崩れていないか毛繕いをしていた。

「いいじゃねえか。SPWがくるまで身の安全は俺が保証してやってるんだぜ? 」
「大した口ぶりだ。人に拳銃を向けながら言う言葉じゃあない」

ホル・ホースはミューミューの揚げ足取りにギョッとして、ソファーから飛び上がった。

「勘弁してくれ。俺は女は守る主義だぜ? どんなババアだろうとブスだろうと関係ねー!」
「どうせ私はブスでババアだよ」
「ちっがーう! 今のは言葉のアヤって奴だ」

両手をグッと握りながら、ホルホースは叫んだ。
その拍子にポケットに入れていた装飾品が金属音を立てる。

「それは何だ? 指輪か? 」
「死の結婚指輪っていってな……ペアリングだぜ!? 値打ちものだ」

ふぅん、とそっぽを向くミューミュー。特に興味はないらしい。
ホル・ホースは彼女の態度に諦めたのか、次の話題に移ろうと考えた。

「わかったわかった……SPWが帰ってこなかったケースの話をするぜ」

バサッと地図を広げて、ホル・ホースはペンで直にメモを走らせていく。

「俺たちがいる民家がここ。リゾットの旦那がいるのが、ここだ。そんで……」

ホル・ホースは地図に長い線を引く。
E-7ネアポリス駅、G-6食屍鬼街、H-5ポンペイ遺跡、H-3サンタ・ルチア駅、F-2ナチス研究所、E-3コロッセオ。

「地下鉄のルートだ……ここまではいいよな? 厄介なのは、こっから先だ」

コロッセオから伸びた線は2本に分かれ、片方は『E-5 繁華街』、もう片方は『C-4 DIOの館』へと繋がった。

「SPWが死んだのなら、敵が近くにいるってことだ。地下鉄を使って逃げるのはアリだぜ」
「コロッセオで地下鉄が分岐しているということか? A、コロッセオから繁華街へ進む。B、コロッセオからDIOの館へ進む。
「そうだ。地下鉄車両は『1つ』じゃなかったッ! こいつらは別々のルートを進む。こいつは使えるぜ」
「随分と唐突だな。一台の電車が交互の2つのルートを通るかもしれない。
 もしくはこちらが任意にルートを切り替えることが出来るとか……電車が複数あるなんてわからないだろう」

首を傾げるミューミューにホル・ホースは、ニカァとある物を出した。

「旦那に会えたおかげで、地下鉄の存在を知った……しっかりメモった、地下鉄の時刻表はな」

ナチス研究所で地下鉄の存在を初めて知ったホル・ホース。
彼の左手には、びっしりと網羅された時刻の表。特殊な紙――支給品電車専用時刻表。

「一台はもうすぐコロッセオに着く。もう一台は多分サンタ・ルチア駅あたりに到着するみたいだ。
 そうじゃねえと時刻表の辻褄が合わない。もっとも、二台が別々のルートを通るのかは、お前の言うとおりわからねーが」

少しづつ明らかになる世界の全貌。
ホル・ホースたちは、その足取りをつかみ始めただけに過ぎない……!


311 : ◆Or4jDNZ.8Y :2009/09/27(日) 16:31:17 ID:w69CUX+n
【E-4 民家/1日目 昼】
【ミュッチャー・ミューラー】
[スタンド]:『ジェイル・ハウス・ロック』
[時間軸]:幽霊の部屋から出た直後
[状態]:全身に軽い打撲。腫れ上がった顔。リゾットに対する恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには極力乗らない。身の安全を最優先。
1.ホル・ホースの軽いノリがムカつくけど、暴力は勘弁してほしいからついていく。 地下鉄使えそう。
2.他のスタンド使いを仲間にして、アラキを倒したい。
3.もうスカーレットを仲間だと思うようなことはしないよ(鉄塔に行ったのだろう。勝手に行け)。
[備考]
※ジェイル・ハウス・ロックは特定の条件下で自動的に解除されるよう制限されています。
 ミューミューが寝ると解除されるのは確定しました。
※荒木のスタンドを「ホワイトスネイク」だと思っています。
※第一回放送を聞き逃しました。リゾットは教えていません。
※リゾット、ペッシの名前と能力を知りません。

312 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/09/27(日) 16:32:31 ID:w69CUX+n
【ホル・ホース】
[スタンド]:エンペラー(皇帝)
[時間軸]:「皇帝」の銃弾が当たって入院した直後。
[状態]:頬、右上腕に裂傷、左肩に銃弾による貫通傷(すべて『メタリカ』による応急処置済み)貧血気味、
    腹部にダニー(身体的な異常は0)
[装備]:なし。
[道具]:チューブ入り傷薬、支給品一式、死の結婚指輪の解毒剤リング、不明支給品1。ナチス駅の時刻表。
[思考・状況] 基本行動方針:生き延びるために誰かに取り入り、隙を突いて相手を殺す。
1.SPWの帰りを待つ。帰ってこないようだったら、方針を変える
2.スピードワゴンの作戦に乗ってやるが、今の旦那はリゾットだ!
3.探知能力を持った者、またはレーダーを探す。
4.ミューミューを口説くのは難しそうだ。裏切るようなら始末するがな
5.このネズミをどうにかしたい。
6.女は見殺しにできねー。


[備考]
※シーザーとの戦闘はみんなに隠すつもり。
※情報交換の際リゾットからブチャラティチームの能力を教わりました。
 暗殺チームの名前と能力(ペッシ含む)は教わっていません。ミューミューの能力は教わりました。
※リゾットの考察メモの内容を聞きました。
※ホル・ホース、スピードワゴンの両者は、隕石を見、鉄塔とスペースシャトルの破壊音を聞きました。
※ネズミについて(SPWの不明支給品のひとつでした)
このネズミは【アクセル・ROの作りだした“ダニー”】です。出典SBR15巻。 解除方法は原作同様“水で清める”だけ。
ロワでの制限として“心が折れるまでには約10時間かかる”。シビル・ウォーの“罪をおっ被る”という能力は無し。
ダニー自体を破壊する事は出来ます(コミック内の描写より)が腹と一体化しているのでまず無事では済まないでしょう。
上記が記された【説明書】はスピードワゴンが破り、その一部は屋外へ捨て、残りは食べてしまいました。


【死の結婚指輪の解毒剤リング2つ】
死の結婚指輪の毒を解除できる薬が入った指輪2つ。
エシディシとワムウがジョセフの体に仕込んだもの。解毒剤リングを飲まないと数日で死んでしまう。
2つあるのは、エシディシの指輪とワムウの指輪それぞれに対する解毒剤が決まってるから。
説明書に詳しい説明が入っているが、ホル・ホース的には半信半疑。

【地下鉄のルート】
E-7ネアポリス駅→G-6食屍鬼街→H-5ポンペイ遺跡→H-3サンタ・ルチア駅→F-2ナチス研究所→E-3コロッセオ

E-3コロッセオ→→→E-5繁華街→???
          ↓
           →C-4DIOの館→???

※電車は一台ではない可能性あり。
※進行ルートは不明。進行方向も不明。
※ホル・ホースの予想ではコロッセオとサンタ・ルチア駅にそれぞれ電車が止まる。
 あくまで予想なので、この通りとは限らない。

313 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/09/27(日) 16:40:48 ID:w69CUX+n
投下おわりました。
指摘があったらお願いします。

314 :創る名無しに見る名無し:2009/09/27(日) 17:43:32 ID:3paICHUs
投下乙です。感想の前に指摘をいくつかさせてください。

95話「オオカミ少年」にあるように、ホル・ホースは不明支給品を既に確認しています。
地下鉄のルートを支給品で知ったというのはおかしいのでは?

また、これは個人的にですが、二人の警戒心が足りない気がします。
ミューミューがナチス研究所でしていたように、ジェイル・ハウス・ロックを入り口に仕掛けるぐらいのことはしていいと思います。
それでなくともホルホースはリゾットに与しているのですから、ミューミューは余裕持ちすぎな気がします。

315 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/09/27(日) 21:51:31 ID:w69CUX+n
>>314
違います。地下鉄のルートを知ったのはナチス研究所で見たからです。
支給品は関係ないです。文を直します。
警戒心が足りないのですか。じゃあそれも書いてまた投下します。

316 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/09/28(月) 22:44:21 ID:vB8jApHc
修正したものを投下します。

317 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/09/28(月) 22:45:08 ID:vB8jApHc
ミューミューは恐怖していたので家の中を動き回っていた。
窓から外を覗いたかと思いきや、今度は床に耳をあてて音を聞いていた。
ビビりまくるミューミューにホル・ホースはちょっとカワイイと思った。

「お前のスタンドは、家の壁にしかけたんだろ? 」
「ど、ど、どこから入ってくるかわからない。しっかりチェックしたい」

ホル・ホースはリゾットからミューミューの情報を聞いていた。
彼女はナチス研究所にずっと閉じこもっていたので、状況を正確に理解していないらしい。

「気持ちはわかる。でも、ちょっとやりすぎだぜ。きれいな顔が台無しだ」

皇帝をミューミューに向けながら、ホル・ホースはため息をついた。
ミューミューは彼の態度を気にせず、彼をにらんだ。

「――で、そのBMWという男は! い、い、いつになったら来るんだ」
「違う違う、SPW(スピードワゴン)な」

ホル・ホースたちがE−4の民家に到着しても、当の待ち人はちっとも姿を現さなかった。
あまりにも暇になったので、2人はぐうたらと寛いでいた。
ソファーに寝転びながら、指で装飾品を手のひらで遊ぶホル・ホース。
ミューミューはハードワックスで固めたロングが崩れていないか毛繕いをしていた。

「いいじゃねえか。SPWがくるまで身の安全は俺が保証してやってるんだぜ? 」
「大した口ぶりだな。人に拳銃を向けながら言う言葉じゃあないッ!! 私は信じないぞッ! 」

ホル・ホースはミューミューの揚げ足取りにギョッとして、ソファーから飛び上がった。

「勘弁してくれ。俺は女は守る主義だぜ? どんなババアだろうとブスだろうと関係ねー!」
「どうせ私はブスでババアだよ」
「ちっがーう! 今のは言葉のアヤって奴だ」

両手をグッと握りながら、ホルホースは叫んだ。
その拍子にポケットに入れていた装飾品が金属音を立てる。

「それは何だ!? ……なんだ、指輪か」
「死の結婚指輪っていってな。ペアリングだぜ!? 値打ちものだ」

ふぅん、とそっぽを向くミューミュー。特に興味はないらしい。
ホル・ホースは彼女の態度に諦めたのか、次の話題に移ろうと考えた。

「わかったわかった……少しはまともな話をしようじゃねぇか。
 SPWが帰ってこなかったケースの話をしてやる」

バサッと地図を広げて、ホル・ホースはペンで直にメモを走らせていく。
ミューミューもチラリと地図を見ている。

「俺たちがいる民家がここ。リゾットの旦那がいるのが、ここだ。そんで……」

318 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/09/28(月) 22:45:50 ID:vB8jApHc
ホル・ホースは地図に長い線を引く。
E-7ネアポリス駅、G-6食屍鬼街、H-5ポンペイ遺跡、H-3サンタ・ルチア駅、F-2ナチス研究所、E-3コロッセオ。

「地下鉄のルートだ……ここまではいいよな? 厄介なのは、こっから先だ」

コロッセオから伸びた線は2本に分かれ、片方は『E-5 繁華街』、もう片方は『C-4 DIOの館』へと繋がった。

「SPWが死んだのなら、敵が近くにいるってことだ。地下鉄を使って逃げるのはアリだぜ。
 コロッセオで地下鉄は分岐している A、コロッセオから繁華街へ進む。B、コロッセオからDIOの館へ進む。
 つまり地下鉄車両は『1つ』じゃなかったッ! こいつらは別々のルートを進む。こいつは使えるぜ」
「ず、随分と唐突じゃないか。一台の電車が交互の2つのルートを通るかもしれないんだぞ。
 もしくはこちらが任意にルートを切り替えることが出来るとか……で、電車が複数あるなんてわからないだろう」

首を傾げるミューミューにホル・ホースは、ニカァとある物を出した。

「旦那に会えたおかげで、地下鉄の存在を知った。しっかりメモったぜ、地下鉄の時刻表はな」

ナチス研究所で地下鉄の存在を初めて知ったホル・ホース。
彼の左手には、びっしりと網羅された時刻の表。

「一台はもうすぐコロッセオに着く。もう一台は多分サンタ・ルチア駅あたりに到着するみたいだ。
 そうじゃねえと時刻表の辻褄が合わない。もっとも、二台が別々のルートを通るのかは、お前の言うとおりわからねーがな」

少しづつ明らかになる世界の全貌。

「……地下鉄のルートがそうなってるのは知らなかった。だが、その後の話はホイホイと信じるわけにはいかないッ!! 」
「だから仮定の話だぜ。もしもの時には、そんなこと言ってる場合じゃあないと思うがね」
「そうはいくかーっ! ナチス研究所に戻る魂胆だろう!? 黒ずくめの男たちと会うのは、もうこりごりなんだッ! 」
「バーロー。あのな、お前さんに優しくしたのは女だからだ。仲間だからじゃねーぞ」
「ほ、ほ、本音が出たな!? 誰が貴様なんぞを仲間と思うか! こっちから願い下げだ」
「ケッ」
「フン! 」

ホル・ホースたちは、その足取りをつかみ始めただけに過ぎない……!


【E-4 民家/1日目 昼】
【ミュッチャー・ミューラー】
[スタンド]:『ジェイル・ハウス・ロック』
[時間軸]:幽霊の部屋から出た直後
[状態]:全身に軽い打撲。腫れ上がった顔。リゾットに対する恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには極力乗らない。身の安全を最優先。
1.ホル・ホースの軽いノリがムカつくけど、暴力は勘弁してほしいからついていく。 でも信用できない!
2.他のスタンド使いを仲間にして、アラキを倒したい。
3.もうスカーレットを仲間だと思うようなことはしないよ(鉄塔に行ったのだろう。勝手に行け)。
[備考]
※ジェイル・ハウス・ロックは特定の条件下で自動的に解除されるよう制限されています。
 ミューミューが寝ると解除されるのは確定しました。
※荒木のスタンドを「ホワイトスネイク」だと思っています。
※第一回放送を聞き逃しました。リゾットは教えていません。
※リゾット、ペッシの名前と能力を知りません。

319 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/09/28(月) 22:48:33 ID:vB8jApHc
【ホル・ホース】
[スタンド]:エンペラー(皇帝)
[時間軸]:「皇帝」の銃弾が当たって入院した直後。
[状態]:頬、右上腕に裂傷、左肩に銃弾による貫通傷(すべて『メタリカ』による応急処置済み)貧血気味、
[装備]:腹部にダニー(身体的な異常は0)
[道具]:チューブ入り傷薬、支給品一式、死の結婚指輪の解毒剤リング、不明支給品1。ナチス駅の時刻表。
[思考・状況] 基本行動方針:生き延びるために誰かに取り入り、隙を突いて相手を殺す。
1.SPWの帰りを待つ。帰ってこないようだったら、方針を変える
2.スピードワゴンの作戦に乗ってやるが、今の旦那はリゾットだ!
3.探知能力を持った者、またはレーダーを探す。
4.ミューミューを口説くのは難しそうだ。裏切るようなら始末するがな
5.このネズミをどうにかしたい。
6.女は見殺しにできねー。

※シーザーとの戦闘はみんなに隠すつもり。
※情報交換の際リゾットからブチャラティチームの能力を教わりました。
 暗殺チームの名前と能力(ペッシ含む)は教わっていません。ミューミューの能力は教わりました。
※リゾットの考察メモの内容を聞きました。
※ホル・ホース、スピードワゴンの両者は、隕石を見、鉄塔とスペースシャトルの破壊音を聞きました。
※ネズミについて(SPWの不明支給品のひとつでした)
このネズミは【アクセル・ROの作りだした“ダニー”】です。出典SBR15巻。 解除方法は原作同様“水で清める”だけ。
ロワでの制限として“心が折れるまでには約10時間かかる”。シビル・ウォーの“罪をおっ被る”という能力は無し。
ダニー自体を破壊する事は出来ます(コミック内の描写より)が腹と一体化しているのでまず無事では済まないでしょう。
上記が記された【説明書】はスピードワゴンが破り、その一部は屋外へ捨て、残りは食べてしまいました。


【死の結婚指輪の解毒剤リング2つ】
死の結婚指輪の毒を解除できる薬が入った指輪2つ。
エシディシとワムウがジョセフの体に仕込んだもの。解毒剤リングを飲まないと数日で死んでしまう。
2つあるのは、エシディシの指輪とワムウの指輪それぞれに対する解毒剤が決まってるから。
説明書に詳しい説明が入っているが、ホル・ホース的には半信半疑。

【地下鉄のルート(確定)】
E-7ネアポリス駅→G-6食屍鬼街→H-5ポンペイ遺跡→H-3サンタ・ルチア駅→F-2ナチス研究所→E-3コロッセオ

E-3コロッセオ→→→E-5繁華街→???
          ↓
           →C-4DIOの館→???

※電車は一台ではない可能性あり。 現在走っている電車の進行ルートは不明。
※ホル・ホースの予想では電車は二両。放送直後にコロッセオとサンタ・ルチア駅にそれぞれ電車が止まる。
 あくまで予想なので、この通りとは限らない。


320 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/09/28(月) 22:50:04 ID:vB8jApHc
時刻表はホル・ホースがメモしたことにしました。
ミューミューを人間不信っぽくしました。
指摘ありましたらおねがいします。

321 :創る名無しに見る名無し:2009/09/29(火) 06:49:06 ID:GWUAjyOR
>指で装飾品を手のひらで
指と手のひらが重複

>ミューミューの人間不信
前話(活路は前に)を見るとリゾットに対する恐怖はあれどロワ自体への恐怖はそれほどでもないかと。
個人的な意見を言えば、そこまで恐怖していたらナチス研究所にいた時点ですでに何らかの恐怖の描写があるはず。

……と、指摘ばっかりでも良くないので感想を。
ホルホースが用意周到なあたり、いかにも彼らしいという感じがあってなかなかいい。
ミューミューの人間不信は先にも言った疑問が少々あるけど、ホルホースとの絡みは分かりやすい。
初めて(違ったら失礼)の投下という事を差し引いてもいい作品だったと思う。投下乙

322 :創る名無しに見る名無し:2009/09/29(火) 22:39:43 ID:WR+OiWr2
投下乙です
ホルホースの軽いノリとミューミューのマダオっぷりが微笑ましいw
最後のやり取りといい、意外にいいコンビかもしれん

俺個人としては逆にずっとナチス研究所に引き篭もってたからこそ恐怖が出たって解釈もあるから別に気にならなかった
まぁ、他の人の意見も聞いたほうがいいと思う
改めて投下乙!

323 :創る名無しに見る名無し:2009/09/29(火) 23:15:47 ID:y/LInPUE
投下乙です。
警戒心≠恐怖心だと思うのですが……。
ミューミューの警戒心を表すなら、例えば拳銃を向けられてとっさに身構えたり、
事あるごとにホル・ホースを凝視したりとか。
口調まで変える必要あるのかなあ、と。
前話との繋がりや、立場をわきまえない愚図ならその場で始末しろとリゾットが言ったこと、
ミューミューの刑務所主任看守という立場を考えると少し違和感が。
ホル・ホースの方は、非常に「らしく」ふるまっていてよかったと思います。

324 :創る名無しに見る名無し:2009/09/29(火) 23:32:13 ID:492spYHN
>>321
冷酷なリゾットと出会ったことで改めてロアに対する恐怖心を持った、ともとれないか?

「黒ずくめの男たち」→「バーロー」の流れに吹いたw

325 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/04(日) 18:53:25 ID:nJCEz/LC

一時投下スレにて投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
結果的に放送を遅らせて申し訳ありませんでした。

326 :【次スレからのテンプレ推奨スレッド】:2009/10/04(日) 20:21:13 ID:GmF+5265
【”超”関連スレ】

WHITE ALBUM ホワイトアルバム #25枚目
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/anime/1253921310/
WHITE ALBUM ホワイトアルバム #27枚目
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/anime/1254650846/

327 : ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 21:33:19 ID:sFkbUaip
エシディシ、虹村億泰、吉良吉影、ジョルノ・ジョバァーナ、チョコラータ、エンリコ・プッチ
投下します。

328 : ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 21:34:24 ID:sFkbUaip
晴天からの陽光が絶え間無く降りしきる、静かな街路。
黒々とした影を地に落とし、歩を進める者が二人。

前を行くのは学生服を着た少年。
そして彼の斜め後ろで、あたかも要人を護衛するように周囲に目配せしながら歩む、神父服を纏った男。

やや急ぎ足の歩調ではあるが、彼等の表情に焦りの色は見えない。
人気の失せた街に、二対の乾いた靴音のみが反響する。

不意に、前の少年が口を開いた。
同行者を仰ぎ見る事もなく、視線を行き先に向けたまま。

「……彼を、どう思います?」

少年に返す言葉を吟味しているのか、神父服の男は口元に手を添え、
しばし沈思の仕草をした後に、きっぱりと応えた。

「対処に困る相手だな」
「貴方も、そう感じますか」

少年が、ちらり、と背後の男を横目に見遣る。歩みは淀める事なく。
神父服の男は小さく頷き、自らの説を補足した。

「明確な敵意を剥き出しに、襲い掛かって来るような輩ならば、対処も容易いのだが。
 あの男については……どう接するべきなのか、考えあぐねているよ」

その言葉を最後に、再び彼等の間に沈黙の影が落ちる。

脈々と連なる靴音のリズム。二人は歩調も息も乱さない。北の空は、造りもののように蒼かった。

やはり前方に向いたまま、少年が語り始めた。

「突然、大勢の人間が――人間でない方もいますが――
 謎だらけの世界に放り込まれて、戦闘を強要されている。
 同時に、誘拐された人々の大半が、人知の及ばない超常能力を持つ。
 その『スタンド使い』の僕達だって、現状に戸惑っているんです」

神父服の男は、厳然そのものの眼差しで少年の背を射ている。

「それなのに、"特殊な力を一切持たない"と自称する彼の、あの落ち着き払った佇まい。
 ディオさんのように狼狽して当然なのに、あれでは、あまりにも……"平然としすぎている"。
 僕が明らかに妙と感じるのは、その点です」
「恐らくは、『スタンド使い』なのだろうな」

間断無く、少年の言葉は背後から返された。

「だが問題なのは、能力を隠している事実ではない。彼の真意だ。
 彼が、ディオと君の世界をどう思っているのか――それなんだよ」
「そうですね」

どうでもいいような口調で、少年が同意した。

「恐らくは、彼は無難に用事をこなして――エシディシに伝言を残して、館に戻るでしょう。
 僕達の反感を買うのを恐れていますから、一時的には忠実に従っているはずです。
 ですが……彼を放っておくと、いずれ厄介な事態を起こす――そんな懸念を、僕は抱いています」
「同感だな。あの男は『灰色』だ。館に控えている者達と同じように」

329 :The Killer Eyes ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 21:35:27 ID:sFkbUaip
神父服の男はそこで言葉を切り、語調を切り替えた。やや強く。

「だが……とにかく、今は目下の問題と向き合おう。
 彼の扱いについては、館に着いてからでも再考する時間がある。
 君とディオの身の安全――全てはそれからなのだから」

少年は、軽く眼を瞑った後に、

「……判りました」

とだけ応え、両の瞳を露わにした。
その双眸に宿る仄かな光は、果たして希望か。失意か。

言葉を交わす内に、目的の場所が前方に現れていた。
泰然と己が威容を誇る、巨大なる館。
少年が写真でしか見た事のない、ある男が住んでいた城塞。

デイパックから取り出した時計を一瞥し、彼は呟く。

「もう少しで『放送』ですね」







動作の一切が見えなかった。

突然の爆裂音にそちらを振り仰いだ時には、既に全ては終わっていた。

まず、視覚的な違和感が、虹村億泰の意識上に襲来する。

確かに背後にあったはずの壁面――その不可解な消失。
そして、湧き上がる砂埃の渦の中央に聳えるのは、
"たった今まで逆の側にいた"、筋骨隆々の体躯ではないか。

億泰の視線の先で、大男は奇妙な姿勢のままに静止している。
右脚を胸の高さまで振り上げ、横から叩き付けたようなその姿は――『蹴り』なのか。

少年は、無意識の内に息を飲んでいた。腕の痛みも忘れて。

重々しい岩造りの壁を、この男が蹴りの一撃で木端微塵に吹き飛ばした――。
眼前の確固たる真実に達するまでに、数秒を要した。

穿たれた『穴』が、あまりにも巨大過ぎた。

自称する通り、こいつは人間ではないのだ――そう億泰は理解した。
男は、その肉体のパワーのみをもって、岩壁を粉砕したのである。
動きが、残像すら見えなかった。悉くが瞬刻の出来事。

暗闇に立ち込める砂塵の中で、彼は整然と佇む武神の彫像を凝視する。
虹村億泰にはそれしかできない。
この世界で、彼はただ無力だった。

330 :The Killer Eyes ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 21:36:25 ID:sFkbUaip
未だに右脚を高々と持ち上げ、蹴りの姿勢を残存させている巨躯。
堂々たるその姿は、何を思索していると言うのか。

静寂の十数秒が経った。

美しき体躯は、その脚を優雅にすら思える動きで戻しながら、

「逃げたか」

とだけ、呟いた。







吉良吉影は、冷たい嫌悪の眼差しで、正面の巨大建築物――コロッセオを睥睨していた。
見慣れた風景の中心に高々と聳え立つ、異様極まる非現実。
その存在は、自らの立場を否が応にも想起させてしまう。

数々の呪詛が、彼の胸中に湧き上がっては消える。
――どのような意図を持って、イタリア・ローマの古代遺跡をこの街に鎮座させるのか。
――そもそも、本来あの場所に存在していた駅と周囲の建物は、一体どうなってしまったのだろうか?消し飛ばされたか、あるいは埋め立てられたか。
――街の中央にあんなものがあっては、様々な不都合が生じてしまう。主要道路が潰されている。

どこまでも日常の平穏を重んじる彼が、荒木飛呂彦の手によって戦闘空間へと改造された杜王町に、好感情を抱けるはずも無い。
古代闘技場へと進む足取りには、内心の苛立ちがありありと顕現していた。

ポケットの携帯電話は、既に着信振動を止めて久しい。
吉良は、現下の電話の使用は危険要因が大き過ぎると判断していた。
留守番電話機能にデータが無い点は確認済みだ。先程の発信者の正体が気にはなるが、やはり単独での通話はリスクが上回る。
もし味方となるような人物ならば好都合だが、逆に『積極的』な人物なら、目も当てられない結果が待っているだろう。
通話それ自体が、未知のスタンド攻撃の発端になる可能性も考えられた。
起こり得る全ての問題を覚悟した上で、未知の相手との通信に踏み切る自信と余裕が無かった。

ちなみに、例の『録音』は既に削除を終えている。
これで不安要素を一つ断ち切った訳だが、未だ処理すべき課題は山済みだ。

先刻、吉良はエンリコ・プッチとジョルノ・ジョバァーナの二人に提案を切り出した。
『コロッセオへの伝言は私に任せて、君達は館に戻るべきだ』――と。
彼等からの確固たる信頼と、ディオ・ブランドーの(『手』の)安全。
その双方を得られ、なおかつ『録音』の抹消を行えるこの選択が、最も適切な道と吉良は判断した。
彼の申し出に対して特に反感も見せず、北への道を逆行していったプッチ達。二つの黒い背を見送りながら、吉良は安堵した。
――能力は不明だが、両者共に『スタンド使い』。みすみすと仲間のディオを死なせるような失敗は踏まないだろう。

別れた二人の動向を伝えるべく、吉良吉影は忌々しきコロッセオへの道を歩む。
その内部では、エシディシという男が待機しているらしい。
プッチから聞いた奇怪極まる彼の容貌が少々不安ではあるが、二人の味方と告げれば別段の問題は起こるまい……恐らくは。

ついに手に入れた単独行動だったが、安心の二文字には程遠かった。
見通しは依然として暗く、悩みの種だけには事欠かない。
あまりにも多過ぎる懸念と、『手』への抗い難い欲求が意識上で延々とせめぎ合う。

混濁する思考と隣り合わせに続く、吉良吉影の孤独なる旅路。

――それが遮られたのは、コロッセオの元まで五十メートルを切った辺りだろうか。

「虹村億泰を、知っているか?」

331 :The Killer Eyes ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 21:37:17 ID:sFkbUaip
吉良の歩みが、硬直した。

突如、路地に響き渡った低い声は男のもの。
聞き覚えの無い声質のそれは、確かに吉良に向けられたものだった。

「もし知り合いなら、彼は……君の『敵』か、『味方』か?
 億泰が君の『敵』であるならば、その先――コロッセオには向かわない方がいい。
 面倒なボディガードが付いているぞ」

謎の声の口調は真剣そのものだった。
吉良は戸惑う――どうやら、こいつは自分を敵視している訳ではないらしい。
それどころか、真実との符合はどうあれ、彼に助言を呈している。

「……何者だ?どこにいる?」

辺りに視線を馳せつつ、謎の忠告者に向けて問う吉良吉影。
しかし彼が本当に知りたいのは、口に出したどちらの謎でもない。

――"こいつは、どこまで知っているのか?"という疑問。

自分の名前は?スタンド能力は?そして『本性』は?
死んだ東方仗助や広瀬康一とかに会い、自分に関する情報を聞かされているのか?
それとも、こいつは実のところ何も知らないが、適当な質問を自分にぶつけて反応を窺っているだけなのか?

「私の場所か?君の傍らにある、シケた雑居ビルだよ。その四階だ」

まもなく返ってきたのは、意外な程に素直な反応。
それを聞きざま、吉良は額に当てた手で陽光を隠しつつ、上方の壁面を凝視する。

なるほど。確かに、四階に位置する窓の一枚が小さく開いている。
間隙の狭さと光源の関係で、発声者の顔を知る事は出来ないが。

頭上の相手に向けて、吉良は更に踏み込んだ問いを言い放つ。

「――お前は何者だ?何故、私に助言を寄越す?」

重圧感を伴う沈黙が、街路に翳る。

返答を待ち侘びる吉良の頬に、一筋の汗が伝う。そして、

「それを知りたいのなら、私の元に来い――君も納得してくれるはずだ、『吉良吉影』」

最後の単語に、瞼が震えた。

前言撤回。
安直なハッタリではない。こいつは自分について何かを知っている。
少なくとも、名前と容姿を把握されている。誰かに教えられたのか。では誰に?

傍らのビルの入口へと、吉良は視線を差し向けた。
僅かな躊躇いの後に、一歩を踏み出す。

無視はできない。行かなければならない。その末路に何が待っているにしろ。

「そうだ――それでいい。来い、私の所へ」

332 :The Killer Eyes ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 21:40:41 ID:sFkbUaip
大きな呼気を一つ、扉を開く。

広いとはお世辞にも言い難いそのフロアは、様々な物品が乱雑に散らかっていた。
ブラインドで陽光が遮られている為に、屋外とは打って変わって薄暗い。
部屋の淀んだ空気を肌に受けつつ、余す所なく内部を観察した後に、ようやく吉良は踏み込む。
最初からの全てが罠で、声の主の仲間たる攻撃者が潜んでいても何ら不思議では無いのだ。

「――そうだな……虹村億泰と出会った経緯を教えてやろうか?」

上からの声を聞き流しつつ、入口の横手に見つかった狭隘な階段を、慎重な動きで登り始める。
襲撃に対し『キラークイーン』を発現させる準備は出来ている。

「あのチンピラを、コロッセオまで追い詰めた所までは良かったんだがね。待っていた男が問題だった。
 どうやら、あのデカブツ――私のスタンド能力を何故か把握している上に、なんと一度食らって生き延びているらしい」

階段を進む間も、まるで独り言のように声は続いていた。
狭い階段を反響し下階の吉良まで伝わるその大音声に含まれた、どこか愉快げな響き。

「おいおいマズイな、こいつの能力は"相性が悪い"――そう私は判断した。
 私は賢明だから、危険と判断した穴に首は突っ込まない。
 ……そんな訳で、あの闘技場から命からがら逃げてきたって訳さ」

吉良、二階に到着。
階段に隣接する廊下に回り込み、闇に覆われたその深部を睥睨する。
一切の無人を確認し終え、彼は階段に向き直った。

「まあ、私の事情は、ともかくとして……」

静粛な足取りで、三階への歩みを進めていく。

――男が、驚くべき台詞を放つまでは。

「……殺しているんだろう?」

吉良の動作が、音も無く止まる。

上階からの声は、聞き手の事情を無視して淡々と続く。

「……何人も何人も、殺しているんだろう?
 私が言っているのは、この世界に招かれてからの話ではないぞ――
 かつて暮らしていた世界で、君は大勢の人間を手に掛けてきたのだろう?
 そして自らの行為に、この上無い愉しみを抱いていた……違うかね?」

最も大切にしているコレクションを、赤の他人の指にベタベタと触られる心地。

「他者の命を奪う自身を想像するだけで、胸が高鳴らないか?」

手摺を取る吉良吉影の腕が、わなわなと震え出す。
背筋を撫でる寒気、頭部に集中する血流の圧迫感。
果たして、その両の瞳の焦点は定まっているのか。

「逃げ惑う犠牲者の叫喚を聞くのは、最高の気分だろう?」

沸き上がる衝動と、それを抑えようとする理性が、壮絶なる格闘戦を演じる。

「人生で、最も生きた心地がする瞬間だよなァ?
 迷う必要など無い。判ってるんだよ、私には……!」

――決着に、そう時間は掛からなかった。
吉良吉影は、己が内の敗者が粉々に崩落する音を聞いた。

333 :The Killer Eyes ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 21:44:36 ID:sFkbUaip
変化は、唐突に訪れた。
壊れた自動人形のように静止を続けていた吉良が、異様な強靭さをもって動作を再開したのだ。

仄暗い階段を、怒涛の速度で駆け上がる。

三階など、もうどうでもいい。無視する。

「そうさ。私には、判るのだよ。私だけには、ね――」

瞬く間に目的の階に到着。

薄汚れた廊下を大股に歩み、僅かに開かれた一つの扉を睨む。
不愉快な声は、その部屋から漏れ出していた。

全力で扉を蹴飛ばす。

――到着した部屋は、小さなミーティング・ルームと思われた。
窓の奥で広がる蒼々とした空と、しかし薄暗い内部が、奇妙なコントラストを形成している。

声の主は、その奥にいた。

「はじめまして、吉良吉影。申し遅れたな……私の名はチョコラータだ」

肘掛椅子に深々と身を預け、真向に来訪者を見据える男。

吉良の第一声は、爆発せんばかりの怒気に震えていた。

心の底からの絶叫だった。

「お前に、何が判る……!?」

それが発端となったのか。
最初から愉快げだった男の相貌が、一気に破顔した。

「そう怒るな、怒るな……!
 とてもじゃないが、君と闘うなんて御免被りたいんだよ。
 腹が立ってしまったのなら謝るさ――だが、真実だろう?」

今にも飛び掛からん様相の吉良を、悠然の表情で見遣る男――チョコラータ。
その視線は、吉良の表情を――厳密に言えば、彼の両の眼を直視して止まない。
吉良に付随する、『何か』を確かめているかのように。

「――『顔写真』を一目見た時から、少々気になってはいたんだ。
 そして、つい先程……発見した君と直接に接触し、淡い期待は一層強まった。
 だから私は、一つの『賭け』に打って出る事に決めた」

些かの悪びれも無く、男が滔々と放つ言葉に――その総意に、吉良の心胆は戦慄を禁じえなかった。
――まさか。こいつ。

「自分の名前を知られている事実に対して、何故あそこまで狼狽する?
 私が根拠の無い『妄想』を披露し始めた途端に、息を荒げてこの部屋まで駆け上がって来た理由は?
 答えは、単純明快。
 君が、私の『同類』だからだ。
 ……生涯で一度も、会えないと思っていた」

不意に、吉良の全身を貫く憤怒が、微かに和らいだ。

男は、旧知の仲間に語り掛けるような優しい口調で――言い放った。

334 :The Killer Eyes ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 21:46:26 ID:sFkbUaip
「全ての発端は、君の『眼』だった」

吉良は、見た。
相手の双眸――その深淵で蠢くものを。
途端、決定的な事実に気付いたように――その唇が、小さく開かれた。

男が、吉良の代わりに呟く。

「"私と、同じ眼をしている"――人殺しの、眼だ」

その口元が、歪んだ。

見つめ合う。

胸の前で指を組み合わせ泰然と微笑む、快楽殺人者と。
予想だにせぬ事態に愕然と佇むままの、猟奇殺人者が。

両者共に、無駄な動作は行わない。
ただ、視線を交錯させているだけだ。
まるで、互いの瞳から『何か』を汲み取るかのように。

――夥しい死と直に触れ合ってきた、二人の死神。
闇の中の小さな邂逅は、如何なる結末を生み出すというのか?
その答えは、まだ誰の予測にも及ばない。

部屋に踏み込んでから、どれだけの時間が過ぎたか。
吉良が、喉から声を振り絞ろうとした、その時。

突如、彼の意識に割り込んだものがある。

第二回放送だった。

335 :The Killer Eyes ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 21:47:24 ID:sFkbUaip
【D-4 北部/1日目 昼(放送前)】

【ジョルノ・ジョバァーナ】
[スタンド]:『ゴールド・エクスペリエンス』
[時間軸]:メローネ戦直後
[状態]:健康、トリッシュの死に対し自責の念、プッチからの信頼に戸惑い
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3
[思考・状況]
1.ディオの館に戻る
2.トリッシュ……
3.ディオに変な違和感(父という事には半信半疑)
4.吉良に不信感。彼の真意を知りたい
5.ジョナサンの名前が引っ掛かる
6.プッチとエシディシに対して不信感
7.プッチとエシディシを警戒。エシディシを放っておくのはまずいが、仕方あるまい
[備考]
1.ギアッチョ以降の暗殺チーム、トリッシュがスタンド使いであること、ボスの正体、レクイエム等は知りません。
2.ディオにスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教えました。
  仲間や敵のスタンド能力について話したかは不明です。(仲間の名前は教えました)
3.彼が感じた地響きとは、スペースシャトルが転がった衝撃と、鉄塔が倒れた衝撃によるものです。
  方角は分かりますが、正確な場所は分かりません。
4.ジョナサン、ジョージの名前をディオから聞きました。ジョナサンを警戒する必要がある人間と認識しました。
5.参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
  (他の可能性が考えられない以上、断定してよいと思っています。ただし、ディオが未来の父親であるという実感はありません)
6.「吉良はスタンド能力を隠している」と推測しています。


【エンリコ・プッチ】
[時間軸]:JC6(69)巻、ヤドクガエルに“破裂する命令”をした直後
[状態]:健康 腕の辺りの服がちょっと燃えてる ディオに罪悪感 ジョルノに畏怖の念
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ヘリコの鍵(ヘリコプターはコミックス60巻でチョコラータが乗ってたもの)、ウェザーの記憶DISC
    不明支給品0〜2(確認はしてます)
[思考・状況]
基本行動方針:ディオ&ジョルノのもとへ、天国へ
0.とりあえず帝王二人の安全を確保したい(ディオ&ジョルノ)
1.ディオの館に戻る
2.首輪解析のため、ナチス研究所を手に入れたい
3.エシディシは良い奴のようだ。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい。
4.ディオが違う時代から来ていたことに少しショック。
5.吉良に不信感。彼の真意を知りたい
6.ジョースター一族はチャンスがあれば抹殺(無理はしない)
7.DISCの確認
8.エシディシ、ディオに相応しいスタンド探し(ディオ優先。ディオはスター・プラチナを使いこなせるのでは?)
[備考]
※エシディシとはお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※ヘリは墜落しました。残骸はD-2の南部にあります
※影響を恐れ、ジョルノ、ディオにディオの未来に関する情報を教えていません。
※ディオは『スター・プラチナ』を使いこなせるのではと考えていますが、実際のところは不明です。
※「吉良はスタンド能力を隠している」と推測しています。

336 :The Killer Eyes ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 21:48:33 ID:sFkbUaip
【D-4 南西部 ビル四階/1日目 昼(放送直前)】

【吉良吉影】
[時間軸]:限界だから押そうとした所
[状態]:掌に軽度の負傷、ハイ、爪の伸びが若干早い
[装備]:ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り4個)、携帯電話、折り畳み傘、クリップ×2
[道具]:ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×6、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×8、ポケットサイズの手鏡×2
    未確認支給品×0〜2個、支給品一式×2 、緑色のスリッパ、マグカップ、紅茶パック(半ダース)、 ボールペン二本
[思考・状況]
基本行動方針:植物のような平穏な生活を送る
1.この男は……!?
2.最も手に近い手を考える
3.コロッセオでエシディシに会い、『研究所の襲撃を延期する。自分達は館に残る必要がある』というジョルノ達の言葉を伝える
4.手を組んだ由花子と協力して億泰、早人を暗殺する。ただし無茶はしない。
5.当面はおとなしくしていて様子を見る。そのためにまず情報の入手。
6.他に自分の正体を知る者がいたら抹殺する
7.危険からは極力遠ざかる
8.4が終わった後、または利用価値がなくなったと思ったら由花子を殺して手を愛でる。
9.ディオの手を必ず自分のものにする。
10.なんとしても“生き残り”杜王町で新しく平穏を得る
[備考]
※バイツァ・ダストは制限されていますが、制限が解除されたら使えるようになるかもしれません。
※荒木のスタンドは時間を操作するスタンドと予想しました。が、それ以上に何かあると思っています。
※場合によっては対主催に移っても良いと考えてます。
※平穏な生活を維持するためなら多少危険な橋でも渡るつもりです。
※自分がどうやって死んだのか全てを知りました。ショックを受けています。
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※早人がニセモノだと気づきましたがラバーソールの顔・本名は知っていません。
※携帯電話の録音は削除しました。



【チョコラータ】
[時間軸]:本編登場直前
[状態]:最高にハイ、右腕切断(カビで接着&止血)、顔に小さな傷、疲労(中)
[装備]:ミスタの拳銃
[道具]:顔写真付き参加者名簿、チョコラータのビデオカメラとテープ、支給品一式×2
    エンポリオの拳銃(幽霊)、不明支給品の詰まったディバッグ、四部ジョセフが持っていた折りたたみナイフ
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを楽しみ、優勝して荒木にロワの記録をもらう
1:吉良を殺人鬼と確信。彼と敵対するつもりはない
2:エシディシは自分の能力を知っている。相性が悪いと推測
3:億泰を痛めつけたかったが残念
4:ディアボロを拷問してボスの情報をはかせる
5:参加者に出会ったらどうするかはその場で考えるが、最終的には殺す
6:ホルマジオに出会ったら殺す
7:徐倫にイギーとアバッキオの死に様と、ダイアーさんの首を抱えて気絶していた徐倫自身の姿を見せる(再会できたら、やってやろうかな?程度の認識です。)

[備考]
※あまり休んでないため体力はさほど回復していません。
※参加者が荒木に監視されていると推測しています
※思考4については、「できれば」程度に思っています
※エシディシはスタンド能力者であり、『グリーン・ディ』と相性が悪いと考えています。
※グリーン・ディには制限があります、内容は以下の通り

チョコラータからある程度離れたら“感染能力”と“体に付着していた胞子”は消える
要するに今ついているカビは絶対に取れないけどチョコラータから離れれば伝染は起きなくなると思っていただければOKです
なお、どの程度離れれば効果が切れるのかというのは不明です

337 :The Killer Eyes ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 22:02:49 ID:sFkbUaip
不明支給品について

【E−6 民家付近に放置されているもの】

レッキングボール2個分の衛星
“ガラスのシャワーだッ!”と乱暴に書かれ、折り畳まれている紙と散乱したガラス
鋭い歯のついたモリ。


【チョコラータの持つディバッグに入っているもの】

死の結婚指輪
アリマタヤのヨセフの地図
ボーリングの爪切り
ワンチェンがジョナサンを襲撃した時につけていた武器
缶ビールが二本に共通支給品であるペンとは異なるデザインのそれ。そして“知ってるか?缶ビールの一気飲みの方法”と書かれたメモ。
ディオの母親が来ていたドレス



【E-3 コロッセオ駅ホーム/1日目 昼(放送前)】

【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:右手の手の甲が粉砕骨折(ほぼ全快)、頬と喉に軽傷(回復中)、
    ワムウとサンタナの死にやや動揺(戦闘に支障が出る?)、あえて人間の強さを認めた
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部〜6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る(乗る乗らないは現段階では不明)
1.カビのスタンド使い(チョコラータ)も逃げたか……。
2.プッチにはああ言われたが、脅威となる人間は始末するつもり
3.億泰は取り敢えずプッチに会わせる(役に立たなさそうだが)
4.さっき出会った二人に失望。プッチ達はもっと面白い奴らだったんだがな。
5.常識は捨てる必要があると認識
6.プッチはなかなか面白い。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい
7.太陽に弱いという意味で無理に出歩く必要はない。
8.自分のスタンドを探す
[備考]
※プッチとはお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました
 彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※波紋使いやスタンド使いに対して、自分やカーズにとって脅威となるなら容赦するつもりはありません。
 ただし、ワムウやサンタナの仇討ちのために戦うつもりはありません
※ダービー=F・Fと認識しました。プッチらが来ればその事実を伝えますがエシディシ本人は意図的に広めようとは思っていません。
※『セト神』にわずかに触れましたが、これといった変化はないようです。


338 :The Killer Eyes ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 22:04:54 ID:sFkbUaip
【虹村億泰】
[スタンド]:『ザ・ハンド』
[時間軸]:4部終了後
[状態]:右腕がカビの攻撃により重症(ザ・ハンドの『削る』能力は現在は使用不可。スタンド自体は発現可能。回復すれば使用できるようになると思われます。)
   自分の道は自分で決めるという『決意』。承太郎(オインゴ)への疑惑(今はあまり気にしていません)肉体的疲労(中)、精神的には少々弱気。
[装備]: なし
[道具]: 支給品一式。(不明支給品残り0〜1)
[思考・状況]
基本行動方針:味方と合流し、荒木、ゲームに乗った人間をブチのめす(特に音石は自分の"手"で仕留めたい)
1.エシディシは強すぎる。人間ではないと直感。
2.エシディシは意味不明すぎる。こっちに危害は加えないらしいが、信じるべきか否か?
3.仗助や康一の意思を継ぐ。絶対に犠牲者は増やさん!
4.承太郎さんにはすまないと思っているが何だか変だと思う。今は深く考えない。
5.もう一度会ったならサンドマンと行動を共にする。
6.なんで吉良が生きてるんだ……!?
【備考】
※オインゴが本当に承太郎なのか疑い始めています(今はあまり気にしていません)
※オインゴの言葉により、スタンド攻撃を受けている可能性に気付きましたが、気絶していた時間等を考えると可能性は低いと思っています(今はあまり気にしていません)
※名簿は4部キャラの分の名前のみ確認しました。ジョセフの名前には気付いていません。
※放送をほとんど聞き逃しました。(ただし、サンドマンから内容に関して聞きました。下記参照)
※サンドマンと情報交換をしました。
内容は「康一と億泰の関係」「康一たちとサンドマンの関係」「ツェペリの(≒康一の、と億泰は解釈した)遺言」「お互いのスタンド能力」「放送の内容」です。
※デイパックを間違えて持っていったことに気が付きました。誰のと間違ったかはわかっていません。(急いで離れたので、多分承太郎さんか?位には思っています。)
※エルメェスのパンティ(直に脱いぢゃったやつかは不明)はE-4に放置されました。
※『グリーン・ディ』のカビは解除されています。


[備考]コロッセオ地下は駅ホーム以外は遺跡(7、8巻参照)のような構造になっています。

339 : ◆zQyD4guRRA :2009/10/04(日) 22:06:17 ID:sFkbUaip
投下完了です。
第二回放送予約を長引かせてしまってすみません。

340 :創る名無しに見る名無し:2009/10/05(月) 00:48:56 ID:uEzmlDci
本投下乙でーす
吉良とチョコが接触とは、また恐ろしい展開になってきましたねw
後はYO氏の本投下を待って、いよいよ第二放送ですか
楽しみです

341 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/10/05(月) 20:49:48 ID:ZVzqQGaS
指摘ありがとうございます。
もうちょっと修正したのを投下します。

342 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/10/05(月) 20:55:04 ID:ZVzqQGaS
ミューミューは恐怖していたので家の中を動き回っていた。
窓から外を覗いたかと思いきや、今度は床に耳をあてて音を聞いていた。
ビビりまくるミューミューにホル・ホースはちょっとカワイイと思った。

「お前のスタンドは、家の壁にしかけたんだろ? 」
「ちゃんとチェックしないと、立場をわきまえない愚図だと言われて殺される」

ホル・ホースはリゾットからミューミューの情報を聞いていた。
彼女はナチス研究所にずっと閉じこもっていたので、状況を正確に理解していないらしい。

「気持ちはわかる。でも、ちょっとやりすぎだぜ。きれいな顔が台無しだ」

皇帝をミューミューに向けながら、ホル・ホースはため息をついた。
ミューミューは彼の態度を気にせず、彼をにらんだ。

「――で、そのBMWという男は! いつになったら来るんだ」
「違う違う、SPW(スピードワゴン)な」

ホル・ホースたちがE−4の民家に到着しても、当の待ち人はちっとも姿を現さなかった。
あまりにも暇になったので、2人はぐうたらと寛いでいた。
ソファーに寝転びながら、指で装飾品を手のひらで遊ぶホル・ホース。
ミューミューはハードワックスで固めたロングが崩れていないか毛繕いをしていた。

「いいじゃねえか。SPWがくるまで身の安全は俺が保証してやってるんだぜ? 」
「大した口ぶりだな。人に拳銃を向けながら言う言葉じゃあない……私は信じないぞ」

ホル・ホースはミューミューの揚げ足取りにギョッとして、ソファーから飛び上がった。

「勘弁してくれ。俺は女は守る主義だぜ? どんなババアだろうとブスだろうと関係ねー!」
「どうせ私はブスでババアだよ」
「ちっがーう! 今のは言葉のアヤって奴だ」

両手をグッと握りながら、ホルホースは叫んだ。
その拍子にポケットに入れていた装飾品が金属音を立てる。

「それは……なんだ、指輪か」
「死の結婚指輪っていってな。ペアリングだぜ!? 値打ちものだ」

ふぅん、とそっぽを向くミューミュー。特に興味はないらしい。
ホル・ホースは彼女の態度に諦めたのか、次の話題に移ろうと考えた。

「わかったわかった……少しはまともな話をしようじゃねぇか。
 SPWが帰ってこなかったケースの話をしてやる」

バサッと地図を広げて、ホル・ホースはペンで直にメモを走らせていく。
ミューミューもチラリと地図を見ている。

「俺たちがいる民家がここ。リゾットの旦那がいるのが、ここだ。そんで……」


343 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/10/05(月) 20:56:15 ID:ZVzqQGaS
ホル・ホースは地図に長い線を引く。
E-7ネアポリス駅、G-6食屍鬼街、H-5ポンペイ遺跡、H-3サンタ・ルチア駅、F-2ナチス研究所、E-3コロッセオ。

「地下鉄のルートだ……ここまではいいよな? 厄介なのは、こっから先だ」

コロッセオから伸びた線は2本に分かれ、片方は『E-5 繁華街』、もう片方は『C-4 DIOの館』へと繋がった。

「SPWが死んだのなら、敵が近くにいるってことだ。地下鉄を使って逃げるのはアリだぜ。
 コロッセオで地下鉄は分岐している A、コロッセオから繁華街へ進む。B、コロッセオからDIOの館へ進む。
 つまり地下鉄車両は『1つ』じゃなかったッ! こいつらは別々のルートを進む。こいつは使えるぜ」
「随分と唐突じゃないか。一台の電車が交互の2つのルートを通るかもしれないんだぞ。
 もしくはこちらが任意にルートを切り替えることが出来るとか……で、電車が複数あるなんてわからないだろう」

首を傾げるミューミューにホル・ホースは、ニカァとある物を出した。

「旦那に会えたおかげで、地下鉄の存在を知った。しっかりメモったぜ、地下鉄の時刻表はな」

ナチス研究所で地下鉄の存在を初めて知ったホル・ホース。
彼の左手には、びっしりと網羅された時刻の表。

「一台はもうすぐコロッセオに着く。もう一台は多分サンタ・ルチア駅あたりに到着するみたいだ。
 そうじゃねえと時刻表の辻褄が合わない。もっとも、二台が別々のルートを通るのかは、お前の言うとおりわからねーがな」

少しづつ明らかになる世界の全貌。

「地下鉄のルートがそうなってるのは知らなかった。だが、その後の話はホイホイと信じるわけにはいかないな」
「だから仮定の話だぜ。もしもの時には、そんなこと言ってる場合じゃあないと思うがね」
「そうはいくか。ナチス研究所に戻る魂胆だろう。黒ずくめの男たちと会うのは、もうこりごりなんだよ」
「バーロー。あのな、お前さんに優しくしたのは女だからだ。仲間だからじゃねーぞ」
「……ほ、本音が出たな!? 誰が貴様なんぞを仲間と思うか! こっちから願い下げだ」
「ケッ」
「フン」

ホル・ホースたちは、その足取りをつかみ始めただけに過ぎない……!


【E-4 民家/1日目 昼】
【ミュッチャー・ミューラー】
[スタンド]:『ジェイル・ハウス・ロック』
[時間軸]:幽霊の部屋から出た直後
[状態]:全身に軽い打撲。腫れ上がった顔。リゾットに対する恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには極力乗らない。身の安全を最優先。
1.ホル・ホースの軽いノリがムカつくけど、暴力は勘弁してほしい。 でも信用できない。
2.他のスタンド使いを仲間にして、アラキを倒したい。
3.もうスカーレットを仲間だと思うようなことはしないよ(鉄塔に行ったのだろう。勝手に行け)。
[備考]
※ジェイル・ハウス・ロックは特定の条件下で自動的に解除されるよう制限されています。
 ミューミューが寝ると解除されるのは確定しました。
※荒木のスタンドを「ホワイトスネイク」だと思っています。
※第一回放送を聞き逃しました。リゾットは教えていません。
※リゾット、ペッシの名前と能力を知りません。

344 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/10/05(月) 20:58:37 ID:ZVzqQGaS
【ホル・ホース】
[スタンド]:エンペラー(皇帝)
[時間軸]:「皇帝」の銃弾が当たって入院した直後。
[状態]:頬、右上腕に裂傷、左肩に銃弾による貫通傷(すべて『メタリカ』による応急処置済み)貧血気味、
[装備]:腹部にダニー(身体的な異常は0)
[道具]:チューブ入り傷薬、支給品一式、死の結婚指輪の解毒剤リング、不明支給品1。ナチス駅の時刻表。
[思考・状況] 基本行動方針:生き延びるために誰かに取り入り、隙を突いて相手を殺す。
1.SPWの帰りを待つ。帰ってこないようだったら、方針を変える
2.スピードワゴンの作戦に乗ってやるが、今の旦那はリゾットだ!
3.探知能力を持った者、またはレーダーを探す。
4.ミューミューを口説くのは難しそうだ。裏切るようなら始末するがな
5.このネズミをどうにかしたい。
6.女は見殺しにできねー。

※シーザーとの戦闘はみんなに隠すつもり。
※情報交換の際リゾットからブチャラティチームの能力を教わりました。
 暗殺チームの名前と能力(ペッシ含む)は教わっていません。ミューミューの能力は教わりました。
※リゾットの考察メモの内容を聞きました。
※ホル・ホース、スピードワゴンの両者は、隕石を見、鉄塔とスペースシャトルの破壊音を聞きました。
※ネズミについて(SPWの不明支給品のひとつでした)
このネズミは【アクセル・ROの作りだした“ダニー”】です。出典SBR15巻。 解除方法は原作同様“水で清める”だけ。
ロワでの制限として“心が折れるまでには約10時間かかる”。シビル・ウォーの“罪をおっ被る”という能力は無し。
ダニー自体を破壊する事は出来ます(コミック内の描写より)が腹と一体化しているのでまず無事では済まないでしょう。
上記が記された【説明書】はスピードワゴンが破り、その一部は屋外へ捨て、残りは食べてしまいました。


【死の結婚指輪の解毒剤リング2つ】
死の結婚指輪の毒を解除できる薬が入った指輪2つ。
エシディシとワムウがジョセフの体に仕込んだもの。解毒剤リングを飲まないと数日で死んでしまう。
2つあるのは、エシディシの指輪とワムウの指輪それぞれに対する解毒剤が決まってるから。
説明書に詳しい説明が入っているが、ホル・ホース的には半信半疑。

【地下鉄のルート(確定)】
E-7ネアポリス駅→G-6食屍鬼街→H-5ポンペイ遺跡→H-3サンタ・ルチア駅→F-2ナチス研究所→E-3コロッセオ

E-3コロッセオ→→→E-5繁華街→???
          ↓
           →C-4DIOの館→???

※電車は一台ではない可能性あり。 現在走っている電車の進行ルートは不明。
※ホル・ホースの予想では電車は二両。放送直後にコロッセオとサンタ・ルチア駅にそれぞれ電車が止まる。
 あくまで予想なので、この通りとは限らない。


345 :H&M ◆Or4jDNZ.8Y :2009/10/05(月) 21:00:52 ID:ZVzqQGaS
ミューミューの台詞を少し変えました。
気持ち落ち着かせたつもりですが、残したのはリゾットに対する恐怖だけです。

>>339
乙です。
吉良とチョコラータがヤバイ感じで面白かったです。放送楽しみにしてます。

346 :snipegirl ◆33DEIZ1cds :2009/10/07(水) 00:34:56 ID:3KnQLjGI

10/7放送予定だったラジオですが、第二放送予約解禁と同時進行放送になるかもしれないので中止いたします。
予約と同時放送になるかどうかは未決定ですが、取り敢えず結論が出るまでは延期とさせていただきます。
したらばで皆様にご意見をいただき、それに応じて行動させていただきたいと思います。

直前の予定変更、誠に恐れ入りますが、何卒ご理解お願いします。


347 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/09(金) 22:46:29 ID:wmYJfzbc
連絡です。一時間後に投下開始予定です。
今しばらくお待ちください。

348 :創る名無しに見る名無し:2009/10/09(金) 22:52:12 ID:WAxPNuM9
投下……来たか…

349 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/09(金) 23:44:23 ID:wmYJfzbc
お待たせしました。投下します。

350 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/09(金) 23:47:02 ID:wmYJfzbc
「下手に動かないことをオススメするわ。銃の扱いには慣れてないから殺すつもりがなくても…もしかしたら」

牽制するかのようにおおげさに銃をちらつかせる女。含み笑いのその声はやけに耳障りに聞こえる。
突きつけられた銃口の闇と女の目線に俺は黙って一歩、また一歩下がるしかなかった。
冷静に現状把握に勤めた頭脳が弾き出した答えは、絶望的という変わることないバッドエンド。

冷や汗が額を伝う。
三階建ての塔、高さはかなりあり、飛び降りればただではすまない。
唯一この部屋に繋がる階段の前には女が陣どり、脱出経路は塞がれている。
その上、こちらは丸腰。あるのは未確認の支給品が入ったデイバッグ、しかもそれすら手元にはない。
俺は込み上げる吐き気と悪態を押さえ込むのに必死だった。

だが迫り来る女に向かって俺は口を開いた。
だからと言ってこのまま何もせずにはいられない。
忠告通りに動かないでいたら俺はあっという間に操り人形…そんなことは断じてあってはならない…ッ!

「名前は?」
「…?」
「貴様の名前だ…このディオ・ブランドーを追い詰めた相手の名を知らぬまま操り人形となるのは屈辱だ…」
「せめて最後に名前だけでも…って奴かしら?」
「そんな所だ」

見え見えの時間稼ぎだが今はその僅かな時間さえ惜しい。
思考を止めるな、前を見ろ。屈辱と危機を跳ね返すことができなければ俺は『成長』できない。
やつらが語るディオ・ブランドー何ぞと比べられるのは屈辱の極みだ。
だがそんな奴等に劣ってると見下されるなんてもってのほかだッ!
考えろ、考えろ…この危機を脱さなければ俺はおしまいだ。

「山岸由花子よ」
「ユカコ・ヤマギシ…東洋人か?黒髪に黒目は言われてみれば特徴に当てはまる。尤もこのディオから見たら東洋のイエローモ…」

ピシャリと俺の口を閉ざせたのは辛辣な女の言葉でもなく皮肉に対する返事でもなかった。
なんでもないように山岸由花子が髪をかき揚げる、そんな動作に俺はくぎ付けになる。
視線は『それ』を辿っていく。本来あるべきでない長さを超え、それは床の上を伸び、一直線に足元に伸びていく。
終着点はこのディオの足首。
途方もなく長く、そして逞しいと言えるほどの太さになった髪の毛が幾重にも巻きついていた。

こいつ…スタンド使――――ッ!


「もううんざりなのよ…私と康一君の時間を浪費しないでくれる?」



351 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/09(金) 23:48:05 ID:wmYJfzbc
天地が逆になったのを感じた瞬間全身を駆け巡った電流。背中から伝わった衝撃に肺が収縮、一瞬だけ息が止まった。
堪らず咳こむ。だがうめき声は漏らしてはならない…ッ!自分を叱咤激励するとそのまま飲み込んだ。
小娘相手にこのディオが弱味を見せるだと…?汚ならしい…穢らわしいゴミどもに見下されるだと…?

震える手足に停止を命じ、その場で立ち上がろうとする。
惨めだ…この上ない屈辱ッ!この期に及んで体は言うことを聞かない。
そんな自分になによりも腹が立つッ!

「次は鉛玉…意地をはって損をするのはどちらかしら」

女は変わらない調子で俺に声をかける。
その態度が今の俺には気に入らない…ッ!その目が今の俺には気に入らない…ッ!
過去何度も見てきた目。走馬灯かのようにいくつもの記憶が掘り起こされた。


『可哀想ね…まだ息子さんも子供なのに…』
『旦那の虐待らしいわよ…怖いわ、時々酔った声が聞こえるのよ』


止めろ………


『この先どうするんでしょうな?まだ少年じゃないか』
『奥さんに続いて旦那まで…なんでも前から体調を崩してたらしい』
『…呪われてるんじゃないか?』
『止めなさいよ、不謹慎よ。ご子息に聞こえたらどうすんのよ…あんなに立派なのに、可哀想に』


止めろと言っている………ッ


『お高く止まってやがるくせに…妙に鼻にかかる奴だ』
『なんでも捨て子だったとか』
『どうりで名字が違うわけだ…ケッ、農民出が…』


その目で…哀れみを込めた目で…見下した目で…この俺を、このディオを………ッ!

「もう一度だけ言うわ。『私に従いなさい』。次はないわ…」

生まれたての小鹿のように震える手足をなんとか動かすと俺は立ち上がった。
そして向き直る。
認めよう…こいつは…この女は確かにこのディオを追い詰めているッ!
依然命を握られている状況は変わらず。寧ろスタンド使いであるとわかっただけに勝算はもはや無いに等しい。
だが…それがなんだというのだッ!
例え命を握られていようとも…どれほど俺を痛めつけようとも…ッ!


「この俺の『誇り』まで支配されてたまるかァ―――ッ!」



352 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/09(金) 23:49:37 ID:wmYJfzbc
そして俺は立ち上がった足を精一杯動かす。
まとわりつく髪を振り払い、張り巡らされた網目を潜り抜けると俺の身体が宙に舞った。
窓を通り抜け、俺は大空に翔んだ。


「…ッ!?」
「貴様なんぞにこのディオがいいように扱われてたまるか!そんな命、この俺は認めんぞッ!」

初めて女の顔が変わった。次第に小さくなるその顔を俺は可能なかぎり見上げた。
確かに浮かぶ狼狽の色と焦りをそこに感じ、俺はほんの少しだけ愉快に思える。今の俺はそれ以下であると冷静に分析するど自分がいながらも。
風の抵抗を一身に受け、俺は手を広げる。
すぐに始まるであろう、落下の前の奇妙な無重力を前に俺の体は勝手に動いたようであった。

その時見えた窓から見下ろす最後の女の顔。その表情を見たとき俺の心から勝利の喜びが霞のように消え去る。
利用価値をなくした、ただそれだけだった。山岸由花子の表情には勝利の喜びもなく敗北の屈辱も浮かんでいない。
道端に捨てられた廃棄物を眺める、利用価値をなくした道具を見つめる人の目。

糸が千切れ、使い物にならなくなったマリオネット。

その目は、俺が尤も嫌悪する目だった。



唐突に始まった落下。
引力、重力にひかれ瞬く間に塔が遠くなる。受け身を何も考える間もなく、始まったのと同じくらい唐突に。

「ガハァ……ッ………!」

落下は終わった。
全身を強く打った俺に天は微笑まなかったようだ。
衝撃は忠実に事実を物語る。
狙ったのかのように、庭の木一本にも引っ掛かることなく俺は全身を強打。
ヌメリと広がる何かを感じた瞬間、闇が俺を包み込む。

馬鹿な…このディオが…帝王が死ぬだと………ッ!?
幸運があるはずた…俺はまだこんな所で死ぬべき人間ではないはずだ…ッ!

「ァア……クはァ…………」

悪態をつく力もなく、口からは胃液に混じり血を吐くことしかできない。
こんな惨めな…このディオが…間違っている…!断じてあってはならない…嘘だ、馬鹿な、そんな………。
視界の狭まりは止まらない。焦点を失い、もはや塗りたくられたインクも判別できない。
空は黒一色だった。

俺は、何も残せぬまま死ぬのか…?何も果たせず、何一つ終わらせることなく………。
闇に浮かび始めたものがあった。一つ、また一つとはっきりしだしたそれたち。
そのどれもが人の顔で…そしてそのどれもがこのディオを見下し、哀れみ…そして………


「くそっ………たれ……どもがァ……………」





   ドゴォオオ―――――………
             ………―――――ン



353 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/09(金) 23:51:15 ID:wmYJfzbc
「ディオ・ブランドー…これは『男の世界』だ………。ジョルノ・ジョバーナ、そしてお前、ディオ・ブランドー…。
一度敗北した俺のけじめのためだ。タルカス、聞こえるか?すぐに塔を昇れ、お前の―――」


声は『下』から聞こえた。声は決して大きいわけではない。
だがそれはその声の持ち主が呟いてるからだとかそういうわけではなかった。
遠く、距離があったからだ。中庭から聞こえていたからその声はここまで届きにくかったのだ。

思い出したのは数時間前のリンゴォ・ロードアゲイン。
スタンド使いという存在と『六秒時を戻す』というあの発言。
そして…今まさに窓の外に飛び降りようとしている俺の体。

俺が飛び降りる前、その時まで『時を巻き戻された』…そういうことか?
つまりは、俺はまたもや助けられたということか…。
だが現実はそう甘くなかった。
俺がはたしてヤツのおかげで『助かった』のか、それとも危機へと巻き戻ったのか。
考える暇もなく、再び足首を何かに引っ張られ宙に舞った俺。その視界は迫り来る天井でいっぱいになった。






    ◇  ◆  ◇




「さて、どうしようかしら…」

小さいとき、誰かが大切にしていた花瓶を割ってしまった時の気持ちと今の気持ちは似ていた。
自分がやってしまったことを目の前にして、どう行動したら一番被害が少ないか、そう必死で考える点はまったく一緒ね…。
もっとも今の状況のほうが遥かに面倒であることは確かだわ。

「まったく…」

鼻を高らかに鳴らすと私はその原因を睨み付けた。
床に横たわり間抜け面を晒してノビているディオ・ブランドー、その人だった。
そもそもディオ・ブランドーが窓から訳のわからないことを叫びながら飛び降りたのがこのややこしい状況の発端だった。
窓から身を投げたし、痙攣しているのを私は見ながら…見ながら…と思ったら飛び降りていなかった。
今起きたことを簡潔に述べるとこうなるわね。奇妙なことだけど全部起きた事実だわ。

そう、事実と言える。
それは私がスタンド使いだから。私が吉良吉影という男を知っているから。中庭に立つ一人の不気味な男を知っているから。

「リンゴォ・ロードアゲイン………」

354 :創る名無しに見る名無し:2009/10/09(金) 23:53:31 ID:dw8CTk42
オッス!オラ、支援!

355 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/09(金) 23:53:52 ID:wmYJfzbc
確かそう名を言ってたわ。それにしても恐ろしい能力だわ…。
そう、私の推測が当たっているなら…リンゴォは『時間を巻き戻す』ことができる。それも吉良とは違い、それをごく普通のスタンド能力のように『できる』。
私は庭にいる男にチラリと目を向けると自分の中のリンゴォに対する警戒レベルを一つ上げた。
本来はそのスタンド能力の射程距離やら、弱点・対処法を考えるべきなんでしょうけどそうもいかなかった。
差し迫った問題があるのだ。リンゴォのことは今はこの程度に留めておかなければならない。

「さてと…」

頭痛の種は今から起こるであろう、タルカスの襲撃にどう対処するかだ。
私がディオを殺ろうとした、殺らなかった関係なしにあの能無しの馬鹿はここにくる。
そして、また自殺されたらかなわないわ、と私が壁に叩きつけ気絶したディオを見て…まぁ、十中八九襲ってくるでしょうね…。
考えられる一つの対処法は気絶したディオを人質にとってこの場を凌ぐっていう手。
だが私はこの選択肢を即座に却下した。
…悪手かしらね。人質を運びながら移動するのはかなりの負担。始末しようにもした途端に多数のディオ軍団の逆怨みにあう…。
でも…ディオを利用するのが一番だと思うのよね。無駄な戦闘を避けられるっていうのは魅力的だし…さて…どうしようかしら。
だけどそんな私を待ってくれなかった。次なる選択肢が浮かぶ前に聞えてきた足音に私は仕方なく思考を止めると、銃を構えた。

「よっ、お嬢ちゃん」

だが昇ってきた男は私が予期したものとは違っていた。
そこには牡牛のような大男はいなく、人を小馬鹿にした表情のクソ生意気なガキがいた。

「川尻…早人……って呼べばいいのかしら?」
「何とでも言えばいいさ…名前なんてぇのはそう大事じゃねぇ…。ところでそうのんびりお話してる場合じゃねぇだろ?ン?」
「………」
「リンゴォ・ロードアゲインの言葉と中庭の一瞬の光景で起こったことがなにかはわかってるつもりさ。そういうわけでひとつ…」

そう言った『川尻早人』がグイっと顔を近づける。
そして囁くように、秘密話をするかのように言った。

「俺に飛びッきりの案があるんだが…どうだい?乗らない?どう?」





    ◇  ◆  ◇




数分後、いえ、数十秒後…



「―――…UURYYYYYY!」

階段をかけ昇る音と謎の叫び声から私は襲撃を知る。
構えていた銃をそのまま階段に向け指を引き金にかけるといつでも打てるように準備した。
だが…

「早………ッ!」



356 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/09(金) 23:55:16 ID:wmYJfzbc
銃の素人、それも女子高生の私にはそいつはあまりにも速く動く的だった。
見かけによらず敏捷な動きで階段を跳躍、まっすぐ向かってくるタルカスに私は慌ててラブ・デラックスを巻き付け動きを封じた。

「これしきの…ヌルい、ヌルいわ!」

…はずだった。なんなの、この筋肉馬鹿は!
私のラブ・デラックスを生身で振り切るなんて…有り得ないわ、人間じゃない!
間一髪振り下ろされたハンマーの一撃をかわす。
髪の毛の数を増やし、なんとかタルカスの動きを止めるもこの男はまだ抵抗を止めない。
片手にハンマーを握りしめ、一歩一歩確実に私に向かってこようとする。

「『こいつ』がどうなってもいいのかしら?」

だから私はその足を止めるため策を打った。
見せつけるかのように、弱った『ディオ・ブランドー』を目の前に吊し上げる。

「大切なご主人様の首の骨をへし折られたくなかったら止まりなさい」

パフォーマンスの意味を込めて『ディオ』の首の拘束を強めてやった。
『ディオ』はか細い呼吸を荒くし、そのもがきには必死さが伺えた。ここまでやれば充分でしょうね。
それを見たタルカスは鋭い犬歯をむき出しにすると怒鳴り声を上げた。

「女ァ…!人質をとるとは…この腰抜けめ!」
「何とでもどうぞ。腰抜けだろうが、なんだろうが構わないわ。とりあえずそこを退きなさい…」

こいつは色々と規格外だわ。リンゴォといい、タルカスといい、エンヤといい…。
ほんとにディオに集う奴らは厄介で化け物じみたやつしかいないわね…まったく。
まぁ、だからこそ利用価値があるんだけどね。
私は思わず笑みを洩らしてしまった。それを余裕と受け取ったのか、タルカスは表情をさらに険しくした。
そしてその後、私と同じような笑みをにんまりと浮かべた。

「…知ってるか、女」
「何が?」
「人質を取られた時に最もしてはいけないこと!それは『従うこと』よォ!
「!?」
「豚のような悲鳴を挙げるがいいわァー!貴様の顔にエリザベスの顔が見える…あの悪魔のような女のなァ!
二度も主君を失ってたまるか!貴様がディオ様の首をへし折るより早く、わしが貴様を…ミンチにすればいいだけのことよォ―――!」

地響きを立ててタルカスは私に近づいてくる。
私は焦りや驚きを通り越して呆気に取られた。確かにそうだ、正論だわ。
人質を取られた時、要求に乗るのは最もしてはいけないこと。私を先に殺せばいいってものも尤もだわ。
だけど…私のスタンドで動きを封じられたこの状態で、本気で私が『ディオ』を殺すより私を早く殺せるとでも思ってるのかしら…?
本気だとしたら…ほんとにたいした『武人』だわ…。

「止まれ…」
「ヌゥ?」
「止まれ…と言っているんだ…このグズが…これ以上このディオが醜態を晒して…たまるか…!」


357 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/09(金) 23:56:06 ID:wmYJfzbc
いつの間にか『意識を取り戻していたディオ』の言葉にようやくタルカスは足を止めた。
苦しげに咳き込みながらも話を続ける。
私はラブ・デラックスで『ディオ』を黙らせることもできたが、そんなことはしなかった。

「この俺が女にいいようにあしらわれ、利用され、その上自称部下に助けを請うだと?このディオが?…そんなことが、そんなことがあってたまるかァーッ!
一思いに殺せ!どうせ一度は死んだ身だ!帝王は命乞いなどしない!だが…山岸由花子、その瞬間に貴様も死ぬがなぁ!」

勝ち誇ったディオの宣言。指差した先にあったのはタルカスがもつハンマー。
つまり、私がここで『ディオ』を殺せばその瞬間にタルカスがお前を殺すぞ、ざまぁねえな、そういうことかしら?
だったらと私は口を開いた。結局なんだかんだ言ってこの『ディオ』は助かりたいだけじゃないのかしら…?

「交渉しない?」
「なにがだ?この後に及んで怖じ気ついたか?」
「さっき言ったわよね、私にディオ軍団を指揮させなさいって。
だけどあんたはそれを断って、今あたしに命を握られてる。あたしは面倒な戦闘に巻き込まれてる。
あなたが後ろのあのタルカスに一言言ってくれれば譲歩してもいいわよ。『この女には構うな』って。
その借りとは言ってはなんだけどあたしが使い走りになってディオ軍団をかき集める役になってあげる。
まぁ、私が利用したいって目的もあるんだけどね…それでも…いいビジネスじゃないかしら?」

私は黙って『ディオ』の返事を待った。タルカスも動きを止めて主人の判断を待った。
私は笑みを浮かべた。そして同様の笑みを『ディオ』が浮かべたのを見て確信した。

全てがうまくいった、と。





   ◆





『ドゥユーアンダースタンン?どうよ、この俺のイカすなスタンド&作戦は!』
『つまりあんたがディオに成り済ます、そういうこと?』
『俺のスタンドで今からあがってくるタルカスを説得して、お嬢ちゃんの安全を確保する』
『その代わりあたしがディオ軍団をかき集める…』
『その軍団をいいように使って戦闘を起こして…』
『たくさん殺す…こうかしら?』
『わかりが早くて助かるぜ。パーティーは派手に殺るって昔から相場は決まってるからな!』
『シッ!黙って、タルカスが階段を昇ってくるわ…』




こうした密約の結果、はれて自由の身となった私はこうして青空の下をのんびり歩いてる。
じめじめした館の中とは対照的な暖かな太陽が私をジリジリと焦がす。私は手をあげると眩しげな太陽の光を遮った。

358 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/10(土) 00:01:29 ID:nuTSmWxt
「日焼けは勘弁ね…でもこういう日に康一君とピクニックに行くのも悪くないわ」

おもっいきり伸びをすると幾らか緊張感が紛れた。肺一杯に空気を取り込み、ゆっくりと歩きを開始する。
頭の中ではさまざまな策略を巡らせながら。
そう言えば…第二回放送時にジョルノ・ジョバァーナとの約束があったわね。
…まぁ、いいわ。どうもエンリコ・プッチと同じようにあの二人はディオにメロメロですもの。
館に残った偽早人がどうにしてくれるわ。

「ふぅん…」

それにしても…顔を変えて、体型まで変えられるスタンド使いねぇ…確かに厄介だわ。荒木もいいもん選んだわね。
でもいささか無用心じゃないかしら?スタンド能力の解説つきだなんて。
それともこんな小娘にはやられないって余裕?

「フフフ…」

だとしたら…ありがたいわ。その油断が一番ありがたい!
その油断が続く限り…やつは気がつきやしないわ。

「馬鹿な男…あら、女かもしれないわね。どっちでもいいけど」

私が頭部に埋め込んだ髪の毛にやつは気がつかない。
気がつくときはあいつの首が吹っ飛んだ時ね…その時どんな顔になってるか…フフフ、楽しみだわ。

「ヘイ、お嬢ちゃん!ちょいと話があるんだが…」

わき道から突然かけられた声。驚きはしたけど恐怖はなかった。
あら、あたしはそんな軽い女じゃないの。それに残念だけど私には康一君がいるから…。
いつもの私だったらそう返答してただろう。もしかしたら無視してたかも。
だけど今日の私はちょっと違うのよ?また利用できる相手が増えたわ、そう思った私は今、きっとすごい笑顔を浮かべてるのだろう。
だからわたしは少し立ち止まり、そして爽やかな笑みを浮かべ振り向いた。





     ◇   ◆   ◇




359 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/10(土) 00:03:11 ID:nuTSmWxt
エスキモーが凍る極寒も…フライパンのような灼熱のサハラ砂漠も…そして石仮面も、波紋でさえも!
衝撃と『何が起きたかわからない』という異常性で言ったら比べ物になりゃしねえ。
狐につつまれただとか寝ぼけてたとか魔法をかけられたとかのほうがよっぽど説得力があるぜ…もうそんなもんはとっくにブッ飛んで超えていっちまった。
だから俺は俺が見たもの、ありのままに述べようと思う。

俺は門に隠れて中を窺ってた。中庭にいた男は髭をはやした中年といっても妥当な程で、左手にナイフを持っていた。
体つきは無駄な筋肉をきれいに削ぎ落とした彫像かのようでヤバい臭いがプンプンしてやがった。
俺としてはお友達にはなりたくないタイプだねぇ…。

よし、ここまでは大丈夫だぜ。いつもの俺らしいクールな思考にナイスな観察力だ。
話を続けよう。

俺はその時こう思った。
『男はナイフを持っているがそれ以上に…なによりも修羅場を幾つも潜り抜けてきたっていうのがわかるッ!命のやり取りを日常に行っている、そんな臭いだぜ…。
だがそんなんでビビってるようじゃ、このスピードワゴンの面子がないってもんだ!』
ディオが太陽の下を平気で歩いている以上、もしやタルカスも?と思ったがどうやらそんなことはねぇようだしな。
サシならそう簡単には負けねぇ自信はある。やってやる…やってやるぜ!
そう俺が決心して門から半分身を乗り出しかけたその時だった。

ここからだ!大切なのはここからだ!

不意に頭上を横切った影に何かを叩きつけたような鈍い音。
慌てて姿をもう一度門に隠し、中をチラリと覗きこんだ俺はおったまげた!
血だらけ、死にかけ、あの怪物吸血鬼ディオがくだまっちまってるんだからな!
石仮面もブッ飛ばす衝撃に俺の脳は容量オーバー、思わず思考強制ストップよ。

だがそれだけで終わらなかった。追い討ちをかけるように更なる奇妙な出来事が俺を襲った。

世界が白黒になり、『なにか』が捻れるような、そんな感覚に襲われ…
気がついたら『なにも変わていなかった』。
俺がその後動けるようになったのはどのぐらい経ってからだったのか、詳しくはわからねぇ。
でも一つ言えるのはディオの姿どころか、血一滴すらそのあるべきところにはなかったってことだ。
まるで最初からなにもおきてなかったかのように、な。

『知らない』ということは恐怖だ。人は未知なるもの、計り知れないものに畏怖と敬意、そして恐怖を感じる。
一体なにが起きているのか、一体何が原因なのか。
俺はこの感覚を、疑問をどこかで感じたことがある。…そう、ホル・ホースの奴の疑惑の襲撃劇、支給品とやらの白ネズミ。

ある!この世界には俺の常識を越えた、波紋の世界のさらにその先の世界がここにはあるッ!
納得が必要だ。波紋と石仮面のように、なにが黒で白なのか。果たしてこの俺の身に起きたことは何だったのか。

「くそ………思ったより隙がねぇな。ガードが固い女は嫌われるぜ?」

360 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/10(土) 00:03:59 ID:wmYJfzbc
そういうわけで俺はとりあえずは門での奇妙な体験を保留し、確実な情報を手に入れることにした。
やっぱ情報収集は自分の足で、目で、耳で行うに限るぜ…。懐かしいもんだぜ…昔はこうやって人脈を広げたもんよォ。
ターゲットはディオの館より出てきた女。こいつは何かを知ってるに違いねぇ。少なくとも俺が知りたい何かを持っている、そこは確かだ。
女の後ろを追いかける俺。脳裏をよぎったのは何処かで聞いたことわざのようなワンフレーズだ。

「虎児を得んとするならば虎穴に…だったかな」

この女がディオの手先だろうとなんだろうと俺のやることに変わりはねぇ。
今考えるべきことは何が起きるかじゃなくて何をすべきかだぜ!
そうだろ…ツェペリのおっさん?

「男は度胸、なんでもやってみるもんさ」

低く独り言を呟くと俺はシルクハットを深くかぶり直す。
何が出てくるかわからない。すぐに襲い掛かられるかもしれない。
警戒を高めながらも俺は女の後ろ姿に声をかけた。

「ヘイ、お嬢ちゃん!ちょいと話があるんだが…」





     ◇   ◆   ◇



「ディオ様…」
「馴れ馴れしく触れるな!貴様に助けられんでも立ち上がることぐらいできるッ!」

そう言って男の手を払いのける。正直な話、襲ってくる事はないとわかっていてもこんな血なまぐさい大男にずっと傍にいられたらたまんねぇ。
俺が好きなものは金なんだよ、金。
怪我をしてるが、それを気にしていないように振舞うと俺はタルカスを睨みつけ言った。

「どうした、さっさと自分の仕事に戻らないのか?」
「…仰せの通りに」

タルカスはそう言うとドスドスと足音を響かせ下に向かっていった。
やれやれ、扱いづらいな。忠義にあついってのは厄介なもんだぜ…。だが使い方次第だ。
これで少なくとも俺は急襲されることはない。そう思うと気が楽だぜ…フゥ…。

「くそ、屈辱だ…このディオが…クソッ…………!」

いつもの俺とは違う声。俺の自慢のスタンドは顔形だけでなく、声までも変幻自在。
ま、要は精神力だからな…深くは考えないほうがいいんだろうけどよ。
きっと声帯かなんかまでスタンドがいじくってくれるんだろうな。

「スィませェん、どなたか傘をお持ちでないですか?」

シンプルな発想だったがなにより条件を満たすまでが困難な道だった。声音を変え、一人芝居に興じながら俺は考えを巡らす。
俺のスタンドを最大限使えば混乱を起こすなんてわけねぇ…。使えそうな奴等とは既に手を組んだことも考えると用意はばっちりだ。
キャンプファイアーとかあるだろ…?あの時火を起こすために必要なものが何か知ってるか?
新聞紙に、薪に、燃えやすい木材類だろ?俺はここに石油や灯油も入れちまうつもりなんだぜ?
後はこの俺がマッチを放り込むだけだ。

361 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/10(土) 00:04:57 ID:nuTSmWxt
「このディオに向かって………汚ならしいクズどもがァ―――ッ!」

唯一残念なことは俺のハンサムボイスが聞こえないってことだけだ。
顔に相応しく声もハンサムなだけに惜しいことだぜ…、なんてな!ヒヒヒ…!
一度笑いが込み上げてくると俺は止めることができなくなった。
だが何も我慢することはない。門番二人を残し今ここには誰もいやしないのだから。
戦闘狂と偽りの主人に気づくことさえできないにわか戦士…!ほんとにクレイジーな奴らだぜ。
ああやってタイマンで殺り合って他の参加者全員潰そうっていうのか?馬鹿げてるなァ!

ドーム状の塔の天井に狂ったような笑い声が反射して跳ね返ってくる。そしてその度ごとに俺の笑い声も変わっていく。
無力な誇り高い男の声、黒い策略家の萎びれた声、度胸を底に秘めるガキの声、自分が利用されてることに気づかなかった女の声。

「馬鹿ばっかりだぜ…ヒヒヒ…フハハハハ!
騙されているとも知らない殺人者たち、対等であると思い込み走り回る女、パシりのような原始人に蝙蝠の策略家も天気を操る男もドス黒く染まる狂信者も!
全部俺以下のゴミクズどもはがりだぜッ!」

笑い声と靴の音を響かせながら俺は塔の中心に向かう。棺桶の蓋をずらすと俺は中を覗き込む。
こんな楽な仕事で金が溺れるほど貰えるんだッ!ありがたい話だ…荒木には本当に感謝しなきゃなァ!

「後はお前だけだ…承太郎」

中に横たわる哀れな男に目を向ける。
猿ぐつわを口に、手は背中がわで結ばれ、足首にも黒の拘束が何重にも巻かれている。
俺はその額に唾をはきかけてやった。

「そうやってずぅ〜とおねんねしとるといいさ、ディオ・ブランドーさんよォー!」

生きてる人間に化ければ下手な知り合いに会った時に面倒なことになる。
死んだ人間に化ければ放送を聞いたマトモな参加者の奴らは普通警戒心を高める。
たがもしも生きてる人間が『動けない』でいたら?

そう、何も考えるとことはなかったッ!シンプルな話だったのだ!
ディオ軍団と悪魔の虹同盟をぶつけ合う方法はあまりにも簡単だった。
両方の頭になって扇動すればいいだけ。煽り、盛り上げ、誤解を生む。簡単なことだぜ!

「誰であろうとこのディオに歯向かうものは殺すだけだッ!奴らを皆殺しにしろッ!」

若さに溢れた猛々しい声がそう宣言する。

362 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/10(土) 00:05:57 ID:nuTSmWxt
「スィませェん…ですが、やることは何も変わりません。今から館を奪還する、それが私たちの仕事でィす…!」

雨合羽を纏った黒の策略家の指令が口をつく。

閉められた棺桶の蓋に腰かけると俺は一人呟き続ける。
黒光りし、反射した棺桶に移った顔は次々と変わっていく。
そして最後に俺を見返していた人はディオ・ブランドーだった。

「承太郎…後はお前だけだ。このラバーソールの顔と名前、そして『黄色の節制』のことを知っているのはお前だけ…ッ!お前を殺せば、俺は無敵だ!」

近づく放送に俺は願いをかける。
願わくは宿敵が死んでいるように。願わくは利用できる相手がたくさん残っているように。




     ◇   ◆   ◇




小窓から見える光景は先と何一つ変わらなかった。
広がる庭園に男が一人背を向けて立っている。そんな何一つ変わらない光景。
俺はその男に声をかけた。

「無事間に合った」
「そうか」

会話はそれだけだった。
男がこちらを向くことはないと知っていた俺はそれ以上無駄な言葉は不要だと思い、俺はそのまま玄関ホールに座りこんだ。
感謝はすべきだったのだろう。
だが俺はしなかった。
代わりに手に馴染みつつあったハンマーの柄を軽く握る。

「備えろ、戦いにはそれが必要だ」

俺はそう呟いた。座ったまま、血の匂いを僅かに残すハンマーを軽く振るう。
だが沸き上がる衝動を前に俺は今度は立ち上がり、少しでも体に馴染ませるために型を意識して鉄槌を振るう。
放送まで時間はもうない。しかし、どうしてだか、体を無性に動かしたかった。





―――放送まであと僅か

363 :ハマー・トゥ・フォール ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/10(土) 00:07:02 ID:nuTSmWxt
【D-4 南部/1日目 昼(放送前)】
【山岸由花子】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:健康、強い覚悟
[装備]:妨害電波発信装置、サイレンサー付き『スタームルガーMkI』(残り7/10)
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1 承太郎の首輪
[思考・状況]基本行動方針:優勝して広瀬康一を復活させる。
0.話しかけてきた相手を見定める
1.吉良吉影を利用できるだけ利用する。
2. エンヤがたくさん人を殺すことに期待
3. DIOの部下をどうにか使って殺し合いを増進したい。
4.正直知り合いにはなるべくあいたくない。けど会ったら容赦しない。
5.今夜10時にD-4のスペースシャトルにてエンヤと合流。残り人数次第でそこで始末する。
6.一応ディオの手下を集める
[備考]
※エンヤの頭部に髪の毛を植えつけました。
※エンヤの能力が死体操作であることを知りました。生きた人間も操れると言う事はまだ知りません
※荒木の能力を『死者の復活、ただし死亡直前の記憶はない状態で』と推測しました。
 そのため、自分を含めた全ての参加者は一度荒木に殺された後の参加だと思い込んでます
※吉良の6時間の行動を把握しました。
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※ラバーソールのスタンド能力を『顔と姿、声も変える変身スタンド』と思ってます。
 依然顔・本名は知っていません。


【ロバート・E・O・スピードワゴン】
[スタンド]:なし
[時間軸]:コミックス五巻「悪鬼の最期」にて、ジョナサンとエリナを発見した直後。
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式(不明支給品1、確認済)、リサリサのマフラー、民家で見つけた包帯。
[思考・状況]
基本:ジョナサン一人に負担をかけぬよう、自分も弱者を守る。
1.由花子に話を聞き、ディオの館で何がおきたか問いただす。不思議な現象についても知りたい。
2.最悪、誰かにディオ・ブランドーの危険性を伝える
3.ホル・ホースを警戒しつつ、共に目的を同じくする者との合流を図る。
4.ホル・ホースと分担で仲間を探す。繁華街に向かいたかったがディオを追いかけるのを優先
5.地図が正確か確認する(それほど疑っているわけではない)
6.食料・武器の調達もしたい
7.ホル・ホースは信用しきれない。そのために保険をかけた。だが心の奥底では信用してやりたいとも思っている。
8.あの隕石は自然現象か、それとも……?(一応確認したいかな、程度の思考です)
[備考]
1.ホル・ホースが戦ったのは波紋使いではないかと薄々考えています。
2.スタンドについて未だ知りません。
3.ネズミについての真相はスピードワゴンしか知りません。
4.ディオが太陽の下を歩いているのに疑問を感じていますが、悪人であることに変わりは無いと考えています。
  また、同行者二人は間違いなく人間と考えています。
5.時計と方位磁石は、ジャケットのポケットに入っています


364 :ハマー・トゥ・フォール ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/10(土) 00:11:05 ID:nuTSmWxt
【C-4 DIOの館 門前/1日目 昼】
【リンゴォ・ロードアゲイン】
[スタンド]:マンダム
[時間軸]:果樹園の家から出てガウチョに挨拶する直前
[状態]:全身にラッシュによるダメージ(中)身体疲労(大)右上腕骨骨折
[装備]:ジョニィのボウィーナイフ
[道具]: 基本支給品 不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者達と『公正』なる戦いをし、『男の世界』を乗り越える
1.遭遇する参加者と『男の世界』を乗り越える
2.休息と怪我の手当てがしたい。
3.日が沈んだらタルカスと再び戦う。
4.日が沈むまでは門を離れるつもりはない。
[備考]
※骨折は気力でカバーすれば動かせます。
※ミセス・ロビンスンのこともあり、男の世界を証明したいという願望がさらに強くなってます。
※フェルディナンドの姿・声等についてはタルカスに言いませんでした。

【タルカス】
【時間軸】:ジョナサン達と戦う直前
【状態】:身体疲労(小)精神疲労(小)
【装備】:大型スレッジ・ハンマー
【道具】:基本支給品
【思考・状況】基本行動方針:ディオ様と部下と一緒に荒木をぶっ殺す
1.館でディオのもとに集う仲間を待ち受ける。
2.ディオとその部下以外が館に侵入してきたら殺す。
3.出来れば鎖が欲しい…
[備考]
※リンゴォのスタンド『マンダム』について把握しました。
※フェルディナンドの姿・声等は何も把握できませんでした。


365 :代理:2009/10/10(土) 00:41:05 ID:EGhhw5kj
【C-4 DIOの館 塔/1日目 昼(放送前)】
【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:内臓の痛み、右腕負傷、プライドがズタズタ(悪化)、スタンド使いへの激しい嫉妬、ジョルノ、シーザー(と荒木)への憎しみ、
    自分に対する無力感、口と両手両足を由花子の髪の毛で拘束されてる、気絶中
[装備]:なし
[道具]:チャーイ(残量1.5g)、基本支給品 不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:なんとしても生き残る。スタンド使いに馬鹿にされたくない。
0.気絶中
1.スタンド使い(特にプッチ)を『上に立って従わせる』、従わせてみせる。だが信頼などできるか!
2.ジョルノが憎いが、借りを返すまではジョルノと行動を共にする。返した後は不明(現在は腹を立てているので借りについては保留)
3.勿論ジョルノとの行動の途中でジョナサン、エリナ、ジョージを見つけたら彼らとも合流、利用する
4.なるべくジョージを死なせない、ジョナサンには最終的には死んでほしい(現時点ではジョルノにジョナサンを殺させたい)
5.ジョルノが……俺の息子だと!?(半信半疑)
6.プッチとやらはスタンドを与える能力を持っているようだが、頼むのも癪だ!
[備考]
1.見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
2.チャーイは冷めません
3.着替えは済んでいます
4.ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
  ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
5.ジョナサン、ジョージの名前をジョルノに教えました。
  エリナは9割方死んでいるだろうと考えていたのでまだ教えていません。(万が一見つけたら合流するつもりではいます)
6.シーザー戦で使用したロードローラ(3部のあれ)はD−3南部に放置されています。
  壊れたか、燃料が入っているかは不明です。
7.参加者が時を越えて集められたという説を聞きました(本人は信じざるを得ないと思っていますが、実感はありません)
8.塔内の棺おけの中にいます。棺おけは原作三部でDIOが(ヌケサクが)入っていたものです。

【ラバーソール】
[時間軸]:承太郎と戦闘中、ザリガニ食べてパワーアップした辺り。 ディオ・ブランドーに変装中。
[状態]:健康。仗助、重ちー、マイク・O、スカーレットを食べてパワーアップ!?
[装備]:ヨーロッパ・エクスプレス
[道具]:支給品一式 ×5(内一食分食料と方位磁石消費)、ギャンブルチップ20枚、ランダム支給品×1 (未確認)
    サブマシンガン(消費 小)、巨大なアイアンボールボーガン(弦は張ってある。鉄球は2個)
    二分間睡眠薬×1、剃刀&釘セット(約20個)
[思考・状況]
基本行動方針:勝ち残り、優勝。溺れるほどの金を手に入れる。
1.ディオ・ブランドーのフリをする。
2.参加者をできるだけ減らす。
3.状況によっては誰かに化ける
4.七人の同盟とDIO軍団を上手くぶつけて一人勝ちを狙う。
5.必要な時になったら鳩をサウンドマンに送る。
[備考]
※ラバーソールは承太郎、花京院とロワで会った人間に変装できます(その場の状況で考えるようです)。
 偽のスタンド像も出せますが性能はイエローテンパランスです。
 死者の変装は“特殊な状況”にならない限りやらないようです。
※ラバーソールは仗助が自分自身の怪我も治せると勘違いしています。
※鳩は早人が同封した返事分、一回分の便箋を持っています。
※J・ガイル、アンジェロのスタンドについては理解し切れていません。水、及びそれに順ずるものを媒介とするとだけ把握しています。
※悪魔の虹メンバーとほとんど情報交換を行っていません。お互いの名前と姿ぐらいしか正確には把握していません。
※また、駅にいた悪魔の虹メンバーはイエローテンパランスの能力を「顔を変える」と誤解している可能性があります。
※ラバーソールは川尻早人の顔です。今後顔を変えるかどうかは次の書き手さんにお任せします。
※DIOの館にて遭遇した人物に名前・素顔を明かしてません。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※リンゴォのスタンドを時を巻き戻すスタンドだと推測しています。
※由花子の髪の毛が「ラバーソール」についたのか、「イエロー・テンバランス」についたかは以降の書き手さんにお任せします。


366 :代理:2009/10/10(土) 00:42:35 ID:EGhhw5kj
403 : ◆Y0KPA0n3C.:2009/10/10(土) 00:20:03 ID:QE8i9UJY
投下完了です。
一時投下スレにて指摘をして下さった方、代理投下をしてくださった方、ありがとうございました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
放送を遅らせてスミマセンでした。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------

代理投下完了。

367 :創る名無しに見る名無し:2009/10/10(土) 01:28:03 ID:hFVnxOG3
投下乙
まさにラバーソール無双だな
コイツ、優勝候補ナンバーワンじゃね?

368 :創る名無しに見る名無し:2009/10/10(土) 01:48:04 ID:BhYzE+Y0
由花子もヤバイがラバーソールはもっとヤバイな
由花子は黄の節制の本当の能力(スタープラチナすら防ぐスライムの防御壁)は知らないわけだし…
ただ、本気で強力な使い手とぶち当たった時に勝てるかどうかとなると、そこまで強いわけじゃないからわからんけどな
具体的にはエシディシ、ブチャラティ、F.F、吉良チョコあたりか…
『ディオ・ブランドー』を明確に敵視しているジョナサンもラバソにとっては危険だな

369 :創る名無しに見る名無し:2009/10/10(土) 11:19:05 ID:CqnHsdO/
ラバーソールはスタートダッシュもよかったけどその勢いを殺されなかったのが今の勢いを生んだんだなぁ
由花子とラバーソールのステルスの今後の活躍を期待せずにはいられないっ!投下乙です!

370 : ◆33DEIZ1cds :2009/10/10(土) 22:46:54 ID:kqHDZ/zX
投下乙でした!
皆それぞれの輝きを放っている…
ディオ様頑張れ超頑張れ。

えと、ラジオは11日午後11時45分(第二放送予約解禁15分前)に放送開始します。
またここにアドレスを貼りにお邪魔します。
一時間くらいで切り上げる予定です。

夜遅いですが良ければお聞きください。お待ちしてます〜

371 :創る名無しに見る名無し:2009/10/10(土) 23:39:25 ID:Co1J+dtb
投下乙です
由花子にSPWが捨て駒にされそうでwktk
ラバーソールに期待しとく


372 :創る名無しに見る名無し:2009/10/10(土) 23:40:05 ID:EGhhw5kj
ついにラジオ&第二回放送! 期待してます!

373 :創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 12:13:14 ID:7XYw3NUx
ラバソKOEEEEEEEEEEEEEEEE!!
ジョジョの敵役は取れる策は全部取ってくるところが恐ろしいなあ
単純馬鹿じゃない故に怖いぜぇ……

ラジオも楽しみにしています

374 :創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 23:46:06 ID:PGgJ8cQ+
まだかしら?

375 : ◆33DEIZ1cds :2009/10/11(日) 23:46:34 ID:uHAVbotM
ラジオがつながらないorz
しばしお待ちを…

今若干泣きそうです…orz

376 :創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 23:47:13 ID:qdLaT+F7
うい、待つぜ
放送予約の人は、そっちも頑張って

377 :創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 23:50:18 ID:+hJEDR+3
ええ、何時までもお待ち申し上げておりますとも。
わくわくどきどきと・・・!

378 :創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 23:53:49 ID:geFjAUB7
ま、間に合ってくれ…!!

379 :創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 23:55:18 ID:qz7QzR7O
リアルタイムで予約解禁を見届けたい

380 : ◆33DEIZ1cds :2009/10/11(日) 23:55:42 ID:uHAVbotM
無理っぽいな・・・>間に合う
ネトラジのくそやろうorz

381 :創る名無しに見る名無し:2009/10/11(日) 23:59:55 ID:+hJEDR+3
まあ気長に待ってますよ!

382 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 00:03:23 ID:MadwiSW8
おおう  >予約合戦

383 : ◆33DEIZ1cds :2009/10/12(月) 00:04:00 ID:VrOp9O80
http://r-0109.ddo.jp:8000/ (ラジオアドレス)
http://www.k-razor.com/netradiofaq.html (聞き方)

ここでの感電氏のラジオの続きでやるので…みんな…来て…orz


384 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 00:05:26 ID:MadwiSW8
そんな気にしなくてもw
始るのが楽しみだ

385 : ◆33DEIZ1cds :2009/10/12(月) 00:06:04 ID:VrOp9O80
あ、実況はttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12752/1255199371/
ここで。

386 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 00:35:19 ID:6Gdxn+QF
放送はOZ氏に決定ですね
作品数では中堅ですが、非常に質が高く、私の好きな書き手さんの一人です
投下期待してますね

387 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 00:54:15 ID:qaUY3IWm
ネッシー…投下来たか…

388 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 00:54:37 ID:RBtQklKc
支援

389 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/12(月) 00:56:47 ID:uVAzQLQN
>>386に感謝。
それでは第二回放送、投下します。

390 :ポルポル:2009/10/12(月) 00:57:04 ID:knKHkT/H
    _,,.. -;;;;==ニ二二ニ==;;;;- ..,,
   ー=、 、ー-、`ヽ、、ヽ`!i' , ,i",r'",-'"
      `ヽ`ヾ`、 ! ヽ ! l! i! !_i_/'      支援がんばるぜ
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ

391 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 00:57:14 ID:iW2xUnuP
よし、支援だ!

392 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/12(月) 00:57:54 ID:uVAzQLQN
――今流れているのは交響曲第5番ハ短調作品67、日本では一般に『運命』と呼ばれる曲。
ダダダダーン、って言えば大体の人が分かるあれだよ。

『運命』というのは、ベートーヴェンの弟子アントン・シントラーの「冒頭の4つの音は何を示すのか」
という質問に対して、「運命はこのように扉をたたく」とベートーヴェンが答えたことに由来するとされる通称さ。
……まあ、信憑性は低いみたいだけどね。

おっと、話が逸れた。
この殺し合いが始まってから実に12時間、半日が過ぎた。
太陽も高くまで登って非常に過ごしやすくなったことだと思う。
……中にはそんなことないって人たちもいるだろうけど。
その清々しい気持ちを忘れないようにして、日の出から正午までに死んだ参加者の名前を聞くといい。
偽って、裏切って、騙して、奪って手に入れた自らの生を噛みしめようじゃあないか。



第一回放送から第二回放送までの六時間で脱落した参加者は……



ダニエル・J・ダービー
黒騎士ブラフォード
ヴァニラ・アイス
空条承太郎
スカーレット・ヴァレンタイン
マイク・O
ミセス・ロビンスン
エンヤ婆
サンダー・マックイイーン
イギー
レオーネ・アバッキオ
エリナ・ペンドルトン
シュトロハイム
ウェザー・リポート
ブラックモア
プロシュート
カーズ



以上17名。

……少し減ったけど、まあいいさ。前回頑張りすぎたってだけの話だよね? きっと。
でも、ま、この調子でいけば日付が変わる頃には殺し合いも佳境に入ってるかな?
引き続き、君たちの活躍に期待しているよ。



おっと。
また禁止エリアの発表をし忘れるところだったよ、危ない危ない。
必死こいて生き残ろうとしてるときに首輪がズガン! 再起不能! ってんじゃ興が冷めちゃうよね。
ただ、前にも言った気がするけど、爆発までに一応猶予はあるんだ。頼りに出来るほど長くはないけど。
じゃ、一度だけしか言わないからよ〜く聞いてね。

 13時に I-7
 15時に D-6
 17時に E-2

はい、もう言わない。
聞き逃した人はせいぜい気をつけるんだね。

393 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/12(月) 01:00:24 ID:uVAzQLQN

必死こいて殺し合っても意味がない、って反抗心持ってる人もいるかもしれないけど……そんな君たちに朗報だ。
優勝した人には望むものを何でも与えてあげるよ。何でも、ね。
もっとも、僕が与えられる限りのものだけに限るよ。ただ、僕自身に『何が』『どこまで』出来るかは大体察しが付くでしょ?


ただ……みんなが呑気して殺し合いが滞るようなら……僕ももうちょっと考えるかもしれない。
禁止エリアを増やすとか、ね。


そうだ、もし誰かに会いたくて会いたくてたまらないって人のためにちょっとしたアドバイス。
地図の中にいくつか駅があるけど、実は地下鉄が通ってるんだ。どこかの誰かさんが一台壊しかけたけど、どの車両も依然問題なく運行している。
しかもお得な事にこの地下鉄、禁止エリアに侵入しても首輪が爆発しない。
ただ勘違いしないでよ? 禁止エリアの影響を受けないのはあくまで『電車の中にいる時』のみだ。
ぶらり途中下車の旅、と洒落込むのも悪くないかもね。

それじゃあまた六時間後、日が沈みかけるころまた会おう。
君たちの健闘を祈っている。


  ★


そりゃあ、F・Fじゃあなくダービーの名前を呼ぶに決まってる。
自分たちが目にしたものをまず信じるよ、誰だって。
それで混乱した方が面白いしね。

……穴を塞ぎに行かないのかって?

まあ、穴があいてて別段問題があるわけじゃあないし。
割とどうとでもなるもんさ、そういうのは。

いや……『なるようにしかならない』、と言った方が妥当かな?

無敵のスタンド使いと謳われ、殺し合いの打破を目論んだ空条承太郎は、身内の死に動揺して命を落としたし。
僕らの居場所を調べ始めたブチャラティ達は、間もなくして重傷を負ったし。
プロモーションしなかったポーンも、こっちから干渉はしたけど、結局は他の人たちのお陰でようやく動き出した。

ある程度は放っておいても割と『なるようになる』力が働く。
人によってはその力を『運命』とか言いたがるけどね。
とにかく、そういうのに怯えてビクビクするのは性に合わないんだ。もっとドーンと構えていようじゃあないか。

……『日記』に関しては反省してるよ。変な希望を彼らに与えてしまった。


……分かってる。時期が来たらちゃんと動いてやるよ。


持てるカード全てで――与えられた『運命』でもって勝負する、その行為に価値があるんだ。

プロモーションなんて後から都合よく与えられるものはないさ。

そもそもプロモーションは、チェスの正式なルールじゃあないんだから。

394 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/12(月) 01:06:37 ID:uVAzQLQN
投下完了。
禁止エリアについてですが、
>I-7
グェスを追いだし、潜水艦が通れる範囲。南の範囲を狭める
>D-6
フーゴ組にプレッシャー
>E-2
コロッセオ、ナチス研究所組にプレッシャー

駅は禁止エリアにしませんでしたが存在を明かせばディアボロ組は動くだろうと考え存在を明かしました。
意見ありましたらどうぞ。大歓迎です。

395 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 01:13:28 ID:qaUY3IWm
投下乙です!
音楽好き荒木w第三回放送も期待しちゃうな、これはw
禁止エリアは大胆に配置してきたな…これは参加者の考察と行動に期待
とにかく放送乙 これからの投下も期待してるよ、ネッシー!

396 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 01:29:21 ID:6Gdxn+QF
投下乙!
九番のつぎは運命かwww
洋楽好きで有名な荒木だが、クラシックも異様に似合う男だなw
ディアボロ組は動くだろう…とのことですが、この放送でまたジョセフが凹んでしまうw
第一放送では母、妻、息子、アブドゥル、ストレイツォを片っ端から亡くし、
今度は孫の承太郎、祖母のエリナ、ペットのイギー、盟友のシュトロハイムか…
悲惨すぎるな(カーズが死んだ事が救いか?)
徐倫も父とウェザー死んで、鬱状態に拍車がかかりそうだ
他にも気になる展開がいっぱいで楽しみだな
書き手の皆さん、これからも予約&投下楽しみにしてます

397 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 02:23:20 ID:ggchSNnz
投下乙ー
順調に進んでるなぁ
何だかんだでもう中盤かしら
感慨深いものがあるねw

398 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 10:52:43 ID:uVAzQLQN
Wiki編集してて気づいたんだけど、死の結婚指輪の解毒剤リングって指輪じゃなくてピアスだよね。
あと、死の結婚指輪つけられたら数日で死ぬってことはないし

勝手に編集していいでしょうか? ◆Or4jDNZ.8Y 氏返答お願いします。

399 : ◆Or4jDNZ.8Y :2009/10/12(月) 21:40:55 ID:Uq0KmQVS
>>398
どうぞ。それでいいです。

400 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 21:58:03 ID:RBtQklKc
放送も投下されたし、次の投下が来るまで第二放送までを振り返ってみないか?
人気投票とかもあるから、ひとまずどんな感じだったかを思い出すという意味も含めて

401 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 23:07:45 ID:uVAzQLQN
振り返ってみると、今んところ正統派熱血対主催チームが少ないって言うか皆無って言うか

402 :創る名無しに見る名無し:2009/10/12(月) 23:33:04 ID:l3xJZ3M5
熱血対主催の中核になりそうな主人公達が揃いに揃ってあれな状況だから……

403 :創る名無しに見る名無し:2009/10/13(火) 00:25:26 ID:oX/kpNgv
今回は解禁直後の予約はなしか
前回がいい意味で度肝を抜かれたから今回の最初の投下にも期待

404 :創る名無しに見る名無し:2009/10/13(火) 00:43:52 ID:mMHYDCrd
>>401
ブチャ&ミスタと早人がそれに近いかな。
ポルポルと億泰とペッシが次点、
最も期待されてた徐倫は心がヘシ折れてる常態か。

405 :創る名無しに見る名無し:2009/10/13(火) 00:48:12 ID:AlehaANY
>>404
対主催となると結構いるけど、結束力あるチームとなると限られてくる

406 :創る名無しに見る名無し:2009/10/13(火) 01:43:44 ID:gW0E/dWO
リゾット達に期待

407 :創る名無しに見る名無し:2009/10/13(火) 20:05:39 ID:Dl7uPo54
暗殺チーム、対主催者、DIO軍団
揃いも揃って散らばってるし、意志の統率もできてねぇもんなw
まぁ、一応首輪解除の拠点を押さえてるリゾット組が一歩リードしてるっちゃしてるが…
SPWと由花子がどう動くか…

408 :創る名無しに見る名無し:2009/10/15(木) 17:20:19 ID:zJPltDB1
一応こっちでも宣伝。

したらば三行状態表作成スレにて、第二回人気投票が開始されました。
皆さんの投票をお待ちしております

409 :創る名無しに見る名無し:2009/10/16(金) 08:55:50 ID:0IHnVyXP
>>396
一言だけ言わせてくれ・・・
てめぇよりにもよってアヴドゥルをアブドゥルだとーッ!?
よりにもよってウルムドの方と間違えてんじゃねーか!クソッ!

410 :snipe girl ◆33DEIZ1cds :2009/10/16(金) 22:25:33 ID:Z+IU+rt0
話題の途中で失礼します。

いつもラジオを聴いて下さっている方々、レスを下さる方々、乱入してくださる方々…
本当にありがとうございます。
今回はジョジョロワと福本ロワとの合同ラジオのお話があり、放送の許可をいただきたく書きこみました。

形式はいつも通りで、誰でも乱入歓迎&好き放題しゃべる(レスで質問を書き込んでもらってそれに答えてもらったり、
私からインタビューまがいのことをしてみたり…)という感じです。

放送してもいいよ!しょうがねえなあぁ。という場合は、10/30(金)午後10時〜2時間くらいを予定しております。

ちなみに、福本ロワさんからは今のところ書き手さんがお2人乱入で駆けつけて下さる予定です。
よろしくお願いします!

411 :創る名無しに見る名無し:2009/10/17(土) 00:43:33 ID:krd4EpLL
いいと思いますよ
ラジオも、予約の方も楽しみにさせていただきます

412 :創る名無しに見る名無し:2009/10/17(土) 16:59:46 ID:eP+zrisq
福本読んでないって気付いた時にぃ、じゃあラジオ乱入できないじゃなぁい!!

413 :創る名無しに見る名無し:2009/10/17(土) 20:17:46 ID:WI4B1Ru0
なに>>412?福本作品を読んでいない?
逆に考えるんだ、「今から大人買いすればいいさ」と考えるんだ

ジョジョと福本って、「絵柄が特徴的」「独特の擬態語」「カリスマ悪役」
とか、いろいろ共通点があるよな。自分はどっちも好きだ。

414 :創る名無しに見る名無し:2009/10/17(土) 20:23:09 ID:IBZxWgjI
ジョジョも福本作品も普通に一巻から買うと金銭的にきついけど、最近コンビニ版出てるの多いしねー

415 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/17(土) 22:32:02 ID:krd4EpLL
途中報告。
8割完成していますが、分割級の長さ+超展開気味なのでギリギリまで推敲します。
水曜夜12時ごろ投下予定。

416 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/10/21(水) 01:33:23 ID:zIyu1Epr
>>415
楽しみにしてます!

一時スレに投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
特に内容が内容なだけに何かありましたらご連絡ください。
それでは失礼します。

417 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/21(水) 23:56:24 ID:i5nKeyJz
スイマセン、もうちょっとお待ちください

418 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 00:20:46 ID:zA1WzxIC
お待たせしました。投下します

419 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 00:21:54 ID:zA1WzxIC
「それじゃあまた六時間後、日が沈みかけるころまた会おう。
 君たちの健闘を祈っている」

互いが音源知れぬ声を聞いている間も、その後暫しの静寂が訪れても、表情を固持していた。
一人は頬笑みを、一人は苛立ちを。

「だから……? だからなんだというのだ?」

静かな、それでいて確かな怒りを込めて呟いた殺人鬼――吉良吉影。

「殺人鬼? 同類? 好き勝手言ってくれる。
 何故分かったかなど知ったことではないが……私の平穏を乱す者には容赦しないということに変わりはない」
「……君の経歴に触れたいのは山々だが、こうも反発されるとはね。
 だが私は君と戦いに来たんじゃあない。素性を広めようとしているわけでもない。コロッセオの件でそれが分かるだろう?」

穏やかな、それでいて狂気をも孕んだ笑顔を見せる殺人鬼――チョコラータ。

「さあな。嘘をつくメリットがない、とでも言いたそうだから言っておく。それで借りを作ったつもりか?」
「いやいや、借りなんて大層なものじゃあないさ。ちょっとした良心だと思ってくれればいい」
「人を殺人鬼と罵っておいたゲスが良心を語るか……どこまでもふざけてる」

平穏を愛する者と、狂気の中に生きた心地を感じる者との相違を多くは語るまい。
彼らは殺人という点において交わりはするものの、決して重なることはないのだ。
両者にとって理解には程遠い、無関心と言って良い領域。


420 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 00:22:53 ID:zA1WzxIC
事実、吉良吉影は考えていた。如何様にしてチョコラータを始末するかを。
だが、掴みようがない。性格も、能力も。
ゆえに考えあぐねる。必殺の切り札を、『キラークイーン』を出すべきか否かを。
それに先にビルに入ったのはチョコラータなのだ、部屋の中に何か仕掛けられていないとも言い切れない。
考え抜いたうえでの『保留』。それが吉良の下した結論だった。

そしてチョコラータも考えていた。吉良吉影と同行すべきかを。
今までの人間観察の経験を以てして僅かにつかめたのは、吉良は『何かに怯えている』ということぐらい。
何に対してか、そこまではいま一つ掴めないが、この様子では『第二のセッコ』にはなれないだろう。
放置したところで脅威になるとも思えない。

「そう蒸し返すな。
 あわよくば同行を、と思ってたんだが今の君には不快だったようだね。私はさっさと出て行く」
「見逃すと思うか?」
「見逃すね。やるなら確実に仕留めたいと君は思ってる、日本にだって法があるからな。
 今までも掻い潜ってきたのだろう、それなりに」
「……」

吉良の沈黙は、チョコラータに肯定とみなされる。

「フフフ、図星と見た。そして君はこれからもそうするだろうね。
 私はナチス研究所に行くとしよう。機会があればまた会おう、『同類』」
「待てッ!」

しかし静止を命じる吉良。

「……私からも忠告だ。『今後、ナチス研究所を襲撃しようとしている者たちがいる』」
「何故それを教える?」
「精神衛生上借りは返したいと思っただけだ。お前にそのつもりがなくとも」

ただ、それだけのために引き留めた。
同行はしない、多くは重ならないから。戦わない、勝算が薄いから。

「まあいい、礼を言おう。ナチス研究所に行くつもりだったが、自ら死地と分かって飛び込むこともない。
 ほとぼりが冷めるまで待つべきだな。向かうは……」

だが彼らとて、わずかに、ごくわずかにだが『殺人』以外に重なる点がある。

命を粗末にしても、捨てるような真似をしないという点。


421 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:25:09 ID:Ukwpspb9
 

422 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 00:25:12 ID:zA1WzxIC
  ★


「それじゃあまた六時間後、日が沈みかけるころまた会おう。
 君たちの健闘を祈っている」

迎え、送る。ここでは何度もそれが繰り返され、これからもそうするのだろう。
現に出会いは訪れた。だが、そこにいる者たちは決して出会いを歓迎しない。
停止した車両に対して、念写による徹底的な、手厚い身体検査が手始めに行われ。
来訪者ゼロの確認を取った安堵もつかの間、彼らはさらなる対処を迫られた。

「早人君がいつの間にかいなくなっておる。電車と放送に注意を配りすぎたわしのミスじゃ」
「追うのか? いずれここを出ていかねばならんだろうが」
「そうじゃな。誰かしらここに来た場合を考えると、南口がほぼ封鎖されている以上ずっと籠っていてはまずい」

放送による、地下鉄、その存在の暴露。
ボンペイならまだしもここは、地図にもしっかりと「駅」と記載されている。
人を求め、血を求め、寄って集ってくるものがいずれ現れるだろう。
更に、少年川尻早人の逃亡。
泣きじゃくっていた時点で気づいてあげるべきだったとジョセフは反省する。
子供なのだから、殺し合いという異常事態にいま一つ実感がわいていなかったのだと、勝手に結論付けた己の過ちを。
彼は積極的だった。素性も知れぬ男たちを前にして、幼児に刃を突き付けるほどに。自らを顧みないほどに。

「南は論外、東は包帯男がいる可能性がある……G-1の湿地帯が妥当か」

己の保身を第一とするディアボロにとって、この選択は当然なのだが。
そうは問屋がおろさない。

「以前C-10が禁止エリアになったじゃろう? 今回の放送でI-7も。中央から明らかに離れておるのに。
 どう見ても、そこにいる『参加を拒む者たち』に対する処置じゃ、これは。地下鉄に関してもそう。
 だから、湿地帯に行ってもいずれ禁止エリアになると思うがのう」
「時間稼ぎにはなる」
「わしの目は充分回復しておるよ」

これ以上の籠城は厳しい、ディアボロもそれは理解していた。
されど無限の死という過去の経験が、その理解を容易くは受け入れない。受け付けない。


423 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 00:28:46 ID:zA1WzxIC
「とにかく。口論する前に早人君を連れ戻してくるわい」
「死に急ぐ者に付き合う必要があるか?」
「そう手間はかからんよ。ちょっと行って戻るだけじゃ。それに……ちょっと前に誓ったからの」

察しはつく。『みんなの思いのため』だろう。
自分の『絶頂』以上に重視することはない――以前なら、こう言って鼻で笑ったろうが。
胸を張って主張できない。もはや全てを失ったと言っても過言ではないのだから。
ひどく羨ましく思う。ディアボロにそういった生き方はできないから。
デイパックも持たず駅を出るジョセフに視線を向けることすらせず、ディアボロは思考する。

(今のままジョセフと同じ生き方をしても猿真似だ。今までの生きる意味も、否定されたようなもの。
 八方塞とはこのことか)

ジョセフの生き方を理解はしても、納得に達しない。
組織の頂点に立つ者が、その地位を脅かす存在を警戒しないなどあり得ない。
他人と接する上で不信が前提なのだ。部下はもちろんのこと実の娘でさえ。
誰かのために生きるなど、あまりに呑気な発想。

(それはいいとして……ここにずっと籠るのもまずいな。今の音石では思い通りに動くか分からん)

動揺に動揺を重ねれば、駒という役割すら忘れて独り歩きする。
ディアボロはそれを危惧していた。
着替える猶予を与えるのも惜しい、それほどまでにこの男は我が身を案ずる。

(さて、どうしたものか)

平穏な場所はどこにもない。運命は容赦なく判断を迫る。

424 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 00:29:58 ID:zA1WzxIC
  ★


少年は走る。急いでいるのだから奔る。

川尻早人はただひたすらに願った。ウェザーを殺した存在との邂逅。
かつて運命に勝った者が、今では自らに味方する運命を願っている。皮肉な話だ。
あまりに無茶、無謀。だがそれも無理からぬこと。
エンポリオ・アルニーニョ、ウェザー・リポート、東方仗助、広瀬康一……信頼のおける者ばかり消えていった。
荒木は先の放送で承太郎の名前も読み上げた気がする。
まるで好転しない状況に翻弄されるばかり。
夜の支配者――吸血鬼を倒したところで彼はまだ子供、全てを受け入れられる度量など、まして気概などなかった。

「ハァッ、ハァッ……うっ!」

つまずき、水溜りに飛び込む。
死体から拝借した新たな左足での歩行に慣れず、既に何度もダイブを繰り返していた。
服がずぶ濡れだ。だが涙は乾いていた。

「ウェザー……さん……! 必ず……!」

溜め池をもたらした存在を回顧しても、涙は一滴も流れない。
一刻も早く復讐を。一刻も早く遭遇を。
彼の心は、それで満ちていた。失ったものを、喪ったものを埋めるかのように。

「あうッ……!」

そしてまた、倒れ――



――視界が緑に覆われた。



  ★

425 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 00:31:11 ID:zA1WzxIC
「早人君ッ!」

遅れて、ジョセフが早人のもとへ駆け寄る。
赤一色だった早人は、今では上半身を中心にグズグズした緑を纏っている。どう見てもスタンドの仕業。

「ああああ……うああ……あああ!」
「落ち着け、動いたら危険じゃ早人君!」

よく見るとこのグズグズは皮膚を、肉を巻き込んでいる。起き上がろうとした際、脆くなった指が崩れるほどに。
朽ち果てた老木の葉のように、ポロリと。
再びの身体欠損。パニックは必至、早人に励ましに応えられるだけの平常心など欠片もなかった。

(ボロボロの早人君を放置したということは、出てこれない事情があるのか?)

ジョセフが到着するまでに早人を殺すなど赤子の手を捻るようなものだろうが、なぜか襲撃者はそれをしなかった。
止めを刺していない、かと言って生命にかかわる強力な攻撃かというと、様子を見るにそうでもない。
このことからジョセフは、スタンド攻撃を仕掛けた本体は『どこかに隠れている』と推測した。
止めを刺すには決め手に欠けるが、多くの参加者をスタンド攻撃に巻き込みたい。故に能力射程圏内に隠れたのだと。

「直に触れるのは、何かまずい気がするのう……。『隠者の紫(ハーミット・パープル)』!」

義手の左腕から無数の茨を伸ばし、その手で早人を弄る。
左肩の一部が緑に彩られるが、ちょっとやそっとのこと、気にしてはいられない。
茨はアスファルト上を伝い、未だ乾かぬ水面を流動させ、瞬く間に周辺の地図を形成。

(やはりカビか……。早人君のと、周辺にばらまかれた胞子を辿って場所は特定できた。
 向かいのビルにおるな、それも高所。戦いの基本に則っとる)

侵入したいところだが、中に罠を仕掛けている可能性もあり、うかつに入れない。
そしてどうやってカビに感染するのか、その条件も不明なまま。

(退却というのもありじゃが、敵さんに逃げられると厄介かもしれんのう。せめて能力の全容を掴みたい)

しかし転んでもただ起きるだけでは納得しないのだ、ジョセフ・ジョースターという男は。
やられました、逃げました、で事を済ませたくない欲深さ。
何より、カビのスタンド使いが仲間の脅威になることを恐れる。

「速攻で窓をブチ破る!」

『隠者の紫』をビル屋上に引っ掛け、外壁を昇れば内部の罠を心配する必要はない。
そこから窓を割って部屋に入り、奇襲を仕掛けるという作戦。
ワイヤーアクション顔負けの速さで目標地点に到達、ガラスを蹴破り――



――銃声。



撃たれたのに気を取られ、ジョセフは『落下』。
部屋の中で佇む、ビデオカメラを構えた男を見上げる形になった。


  ★

426 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 00:32:10 ID:zA1WzxIC
「やはり、いい。絶望した奴を見下すのは」

例え難い愉悦。チョコラータは今まさにそれを感じていた。

吉良吉影と別れた後、チョコラータが目指したのはサンタ・ルチア駅。
放送の内容からして、駅に向かう参加者は多いと推測したのだ。
ナチス研究所に興味はあったが、忠告の通り集団で襲撃されたらたまったものではない。
その上充分な『高さ』のある施設かどうかも不明瞭なのだから、多対一で立ち回る自信があるかというと微妙だ。

しかし、どちらに向かうにせよ体力を取り戻しておきたかった。目に付いたビルに急いで立ち入り、室内にて待機。
しばらくすると、よろけながら走る子供――川尻早人が目に入る。
『グリーン・ディ』の能力でカビをばらまいた結果、大方チョコラータの予想通りになった。

カビは感染したものの、子供がこけた程度の落差では感染量はたかが知れていたのだ。
しかし、血塗れの状態で死ななかっただけ大したもの。それに、簡単に死んではつまらない。
感想はそれくらいで片付けて、チョコラータは撮影を開始した。
記憶より記録を、回想より観賞を。わずかも漏らさずに取っておきたいから。

しかし、初老の男――確かジョセフ・ジョースター――が駆け寄ったとなると話が違ってくる。銃を構えて警戒。
窓を蹴破るのも想定外と言うほどでもなかった。もはや的に弾を当てるようなもの。
壁を破られれば多少は焦ったろうが、茨という貧弱なヴィジョンでは無理だろう。
扉か、窓か。侵入するとしたらどちらかと推測できたから。
侵入に要した時間は称賛に値するが(おそらくスタンド能力で位置が分かったのだろう)反応に困るほどの速さでもない。

(左腕がカビに感染しなかったのは義手だからか?……だが、全身機械仕掛けということはあるまい)

現にカビ化は進行している。
この高さなら地面に叩きつけられて即死だろうが、刹那の表情だろうと余すことなく録画したい。

「なるほど……『上から下へ』いくとカビが生えるのか……早人君はこけた時に」

聞きとれそうにない小声でも記録する。

「条件は分かった。『これ』を使うべきときじゃな」

紙から放たれたものも、何もかも。


  ★

427 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 00:33:21 ID:zA1WzxIC
ジョセフが出したのは『火焔ビン』。かつて、ワムウとの戦車戦にて使用したもの。
早人に付着したカビを調べる際、ついでにと、デイパックから取り出しておいたのだ。
カビ化の進行していない左手で砕き、全てを燃やしつくす赤を纏ってみせた。

「よっ……と。流石に、熱いのう」

今度は、外壁に接する面積を最小限にしてしがみつく。
地上は水が張っている。落ちればせっかくの火が無駄になる。

カビ化は阻止できた。
先の念写で、カビはスタンドでないことは確認済み。ならば火で燃やせるとジョセフは踏んだ。
だがこれは苦肉の策、ジョセフも本来ならば使いたくはなかった。
建物ごと燃やした方が決着が早く付いたかもしれないが、雨に濡れたビルでは火攻めの効果が薄いし、火事に乗じて逃げられれば無駄になる。
加えて火に包まれれば肉体面の負担が大きく、そう長く持たない。
他に手段がなく、リスクを踏まえた上でやったこと。

「銃を持っておったか……しかもビデオカメラとは、悪趣味な奴じゃ」

そして早人を放置した理由、止めを刺さなかった理由。納得せずとも理解には至った。
人が苦しむのを上から眺めたかったのだろう。かつてDIOから感じ取ったものとはベクトルの違うドス黒さ。
ギリ、と音を立て歯ぎしりする。
こんな奴のせいで早人が、もしかしたらそれ以前にも誰かが。

全身を燃やしている現状、飛びかかって火を燃え移らせるのが最善か。
拳銃の残弾が気になるが、『隠者の紫』で拘束すれば何とか時間が稼げる。相討ちには持ち込めるだろう。

「奴だけは……生かしておけん!」

相討ちだろうと倒す。
『星の白銀』程のパワーも、『銀の戦車』並みのスピードも、『法王の緑』や『魔術師の赤』のような遠距離からの攻撃手段もない。
『隠者の紫』は、あくまで知略策略で追い詰めていく自分のスタイルが反映されたものだ。
力押し、スピード頼みが不可能、必然少なくなる手段を知恵で補うスタイル。
しかし、もはや手段を選ぶ余裕がない。
らしくないな、とジョセフは自嘲する。

だがセンチメンタルに浸ってこのまま逃げられてはまずい、急がねば。
そう思い歩を進めた矢先、思考が寸断される。




428 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 00:34:49 ID:zA1WzxIC
『コッチヲ見ロ』





けたたましく音を放ち、壁をパワフルに疾走する不気味な小型戦車、その存在に。


そして、


『カチリ』



――――閃光、次いで爆風。




  ★


「このまま見逃すと……思うのか? 15年間も殺人を隠し続けてきた、この私が!」

チョコラータと別れたものの、吉良は殺害を諦めていなかった。
別れたふりをして尾行し、隙をついての暗殺を謀り機を窺い続けた。
しかし能力が分からない中、余計なリスクは背負いたくない。彼は博打を避ける。

「『シアーハットアタック』。決して逃がしはしないッ!」

だからこそ、目立った弱点のない『シアーハートアタック』を解禁。
広瀬康一の様な例外もあるが、彼は既に死亡済み。故に、ちょっとした余裕が生まれたというのも一因ではある。

(そうだ! 決して逃がしてはならない……!)

吉良は、この世界に放り込まれてから出会った人物を思い出す。
山岸由花子には『手』がある。今まで殺してきた女性にも引けを取らないほどに美しい手が。
ディオ・ブランドーには『手』がある。粗削りだが、気高さを感じる手が。


429 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:36:12 ID:Ukwpspb9

           ,ィラ火、 `((ど迄;;;少゙_ノ‐'゙ //_人.ハ_,、   _/\/\/\/\/\/\_
         ┌(《炎(べj!  `''゙゙´  じ'で,('ー-‐'"     `ヽ \                 く
       ___/ ゝ`‐h忙,ッリへ_(^ヽc‐'⌒´`7,イ'´(ハ(^ヘ、   ヽ< このときをまっていたっ!/
      ,/rく/*/`′`'~~´ //// ,ノイ‐-、   ''" }   { /                \
    /|<./゙Y ) // ////  `7| へ、:! ',ニ、〉ミ、  〉 ̄|/\/\/\/\/\/ ̄
  ,∠ イ_/人.///__/∠/ ト、_/∠_| ´ei川ィeヽ !{;レヘ ゝ   _|\/\/\/\/\/|_
//\/`く./// // / ̄ ,,メ ̄王〈{ヽニノ;;,,、.ご_u jリイノ!i レ!   \             /
{ / /!\/ / // / / / / /    '++++' ,.イ'",.,.、,、,、,-、゙'";Y!i:{!; j} _/ くらえ!        \
゙\_j/ // // / / / / /    <ゝ /ノィ( ̄,二ニ)j゙ 、iトlトj!ジ'´ /\ 火炎ビンだァ〜〜!! /
    / / // // / / / / /〃//〃,  ノ {イリ!`ニ二´ i ;!川ト/ ,;: イ/               \
  '// // // / / / /  |/   ゙〃〃/   ノ ! ル 川 jハ ジ'´ ""   ̄\/\/\/\/\/ ̄

430 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:38:04 ID:2dXZhxAu
>>429
てめえwwwwwwwwww

支援

431 :R-0109 ◆eVB8arcato :2009/10/22(木) 00:41:20 ID:KT6QzTvd
いまひどい支援を見たwwwwwwwwwwwwwwwww

432 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:41:30 ID:AGL/vKnU
    

433 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:42:18 ID:KT6QzTvd
思わずトリップが出るほどはみ出るウマさwwwwwwwwwwwwwwwwwww

434 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:42:46 ID:AGL/vKnU
火炎ビンwwwwwwwwww

435 :代理:2009/10/22(木) 00:45:34 ID:Ukwpspb9

----------------------------------------------

(お前には何がある、チョコラータ? 少なくとも、お前に加担する理由など微塵もない!)

由花子と協力したのも、ジョルノやプッチの信頼を得ようとしたのも。
全ては手首を手に入れ、飽きるまで愛でるため。
だが、チョコラータはそんな事情も知らずに、神聖なる領域に土足で踏み込んだ。

(ただ『今をより良く』生きたいのに何故殺人狂呼ばわりされなきゃならない!?
 誰がお前の同類だ! さえずるなよクズがっ!)

吉良は、きれいな手を持った女性を殺さずにはいられない。
そして切り取った手を愛し、手と共に過ごす。それが彼にとっての至上。
法がそれを邪魔するなら消し去る。死体ごと、証拠も。

それを除けば『誰よりも平穏に生きる』。それこそが吉良吉影の信条。
彼が演じる『ごく普通のサラリーマン』が『快楽殺人鬼』に共感を覚えることなどありえない。
覚えれば、それは平穏を乱す源になる。

誤魔化そうと、とぼけようとする間もなく本性をばらされるというかつてない体験。
殴りかかってやりたかった。ドテッ腹に向こうが見通せるほどの風穴をあけてやりたかった。
すんでのところで抑えたが、怒りが収まらずつい口走ってしまった、「お前に何が判る」と。
衝動に身を任せたために仮面が取れるという失態。流石の吉良もこれには憤慨。そして止まらない。

いつだって吉良吉影は『平穏を愛する、ごく普通のサラリーマン』でいなければならない。
チョコラータはそれを乱した。仮面を剥いだ。だから始末する。再発を防ぐために。
人数減らしのための協力など論外。吉良はチョコラータの存在を毛ほども認めていない。

(『何の力も持たない一般人』を演じたのがチャラになることだけは避けたい……。
 だからこそ『シアーハートアタック』がいい)

傍に立たないのに『スタンド』とは矛盾しているが、まさしくそれがシアーハートアタックの利点である。
回収に気を遣いさえすれば、姿を見せないで済むからだ。

「偶然だろうと何だろうと、私の正体に近づいた者は万死に値するッ!」

吉良吉影の憎しみは、歪み歪んでねじ切れる。
その矛先が別に向かっているのも知らずに。


436 :代理:2009/10/22(木) 00:46:28 ID:Ukwpspb9
  ★


「く……うう……」

ジョセフ・ジョースターは、ほんの少し生きていた。
水溜りの少ない地点に着地したはいいものの、爆風のダメージは計り知れず。
ガードに使った義手が吹き飛び、大破してしまうほどの痛手。
下手をすれば五体がバラバラになっていただろう。

『コッチヲ見ロォー』

当の戦車は俄然元気。
軋むキャタピラ音を響かせ、駄目押しとばかりにジョセフに迫る。

「ちったぁ年寄りを労らんかい……」

その言葉に覇気はない。
介入者も、その力量も、全てが想定外。対処する気力が沸かない。
ジョセフ・ジョースターは、これから訪れるであろう自らの死をすんなりと受け入れた。

思い返せば、彼がこの半日間で失ったものはあまりに多い。
敬意を払った家族も、かつての盟友も、そして苦楽を共にした孫さえも。
失った悲しみは乗り越えなくちゃならない、託された思いは受け継がなきゃならない。
その決意は所詮ただの言葉だった。そこに何の力もなかった。
託されるものが、ジョセフ一人で支えるには重すぎる。
そのためだろうか、ジョセフは完全に「らしさ」を失っていた。
部屋に侵入した途端攻撃される可能性を考慮せず、勝利の確信もないまま短絡的にのり込む。
普段ならあり得ぬ手抜かり、影響は確実に行動に表れていた。

もはや後悔も未練もない。あるのは、死後の世界にはせる根拠のない幻想ぐらいだ。
「みんな、もうすぐそっちにいくよ」などのような言葉に代表されるくだらない妄想。


『老いぼれたな、JOJO。貴様はそこで終わる男か』


だからこれも――聞き覚えのある声も、きっと幻聴。
思い出の品を見て、少し過去に浸りたいと思っただけ。


437 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:47:11 ID:AGL/vKnU
   

438 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:47:52 ID:AGL/vKnU
     

439 :代理:2009/10/22(木) 00:48:05 ID:Ukwpspb9
『シーザー・ツェペリはかつてお前に、人間の魂を、思いを受け継がせた。
 その身尽きても、魂は死ななかった男。俺の記憶にその名を刻ませた戦士だ』

女たらしの優男。
だが、先祖への敬意は人一倍強く、悪口の謝罪が出来なかったことを今でも後悔している。

『この殺し合いで出会った波紋使い、ウィル・A・ツェペリ。
 奴と、奴の仲間の絆に俺は破れ去った。その姿に俺はシーザーを重ねたよ』

シーザーの祖父であり、ジョセフの祖父ジョナサン・ジョースターの師。
スピードワゴンが認める波紋の、精神の強さを伏せ持つ存在。

『彼らは強かった。まさしくこのワムウが認める誇り高き戦士よ。
 だがお前はどうだ! 失ったものの重さに押しつぶされたと言い訳をして、何も成さぬまま終わるのか!?
 俺の知るジョセフ・ジョースターは、逃げても、みっともない姿を晒しても、諦めることだけはしない男だ!
 今のお前の姿は、戦士として散った『ツェペリ』に対しての侮辱に他ならないッ!』


ゆらりと、立ち上がる。


「フフ……ただ負けてあの世に行っちまったら、今以上になんて言われるか分かったもんじゃないわい。
 ブッ飛ばされるだけじゃ済まないかもしれん」

どうしても諦めきれなかった。
幻聴か否か、その真偽はともかく、かつて受け継いだ思いに支えられたから。
残った右手で『隠者の紫』を発現。『シアーハートアタック』を包めて、停止させにかかる。

(とにかく戦車との距離をあけて、時間を稼いだ隙にこいつの危険性を誰かに伝えなければ……!)

必死なジョセフをあざ笑うかのように、速度を増す無限軌道。
拘束は緩み、今にも茨から抜け出しそうだ。

「頼む、もってくれ……!」

思念を最大限集中。ひたすらに、持てる限りの力を込める。

『コッチヲ……見ッ……』

だがこの拮抗状態も、長くは続くまい。
『隠者の紫』のパワーは、決して自慢になるほどのものではないから。

「うおおおおおおおお!」

ジョセフの健闘むなしく、爆弾戦車は茨の網からはい出て――




440 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:48:44 ID:AGL/vKnU
     

441 :代理:2009/10/22(木) 00:49:56 ID:Ukwpspb9

「『キング・クリムゾン』!」



寸刻、ビルの壁にめり込んだ。



  ★


(『望むものを何でも与える』か……)

放送で示唆された、褒美の存在。
ジョセフは「信用ならない」と言って切り捨てたもの。

(そう、信用ならない。反故にしたっておかしくないからな)

ホールで見せつけられた圧倒的な力。
それを以てすれば、殺し合いの頂点に上り詰めたものとて、蹴落とすことは容易だろう。

(生きる意味は、俺自身にしか見いだせない)

ディアボロは、甘言に乗せられて何かを得ることを良しとしない。
かつての地位も、そうやって手に入れた。
では、ジョセフはどうやって生きる意味を見出したのか?

「ジョセフは、どうして思いを託されたのだろうな?」

屈強だからか。諦めの悪い人格だからか。
最初からそうなら苦労はしない。きっと、思いを受け継ぐまでもなく戦えるだろう。
ジョセフも悩んだ末に『生きる意味』を見出したのだろうか?
ディアボロはジョセフ・ジョースターのことを良く知らない。
出会ってしばらく経つが、ジョセフの過去・経歴にあまり触れていなかったのに気付かされる。
自分の過去が露見することを恐れてそうしたのだが。

「聞かせてほしいものだな」

今のディアボロは、「生きて」いても「活きて」はいないという自覚がある。
命あっても、成さず遂げずはただの逃げ。逃げても、先の放送のように平穏は容易く崩される。
呑気な発想をしていたのは自分だった。
思い通りに動かない駒に信用は置けない。では、主張しない王に価値はあるか?
覚悟が必要だ。逃げないで戦う覚悟が。

そしてディアボロは、ジョセフと合流するため駅を出た。
実質孤独の身だったからという恐怖もあったが、『生きる意味』を見出さなければ今度こそただの木偶に終わるから、というのもあった。
『活きる方法』を掴み取りたいという欲望はさらに増す。
自らの保身以外の理由で動くのは珍しいと、ディアボロ自身驚いていた。


442 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:50:29 ID:AGL/vKnU
             

443 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:51:12 ID:AGL/vKnU
     

444 :代理:2009/10/22(木) 00:52:11 ID:Ukwpspb9
そして、小型のスタンドを縛りあげる火達磨のジョセフを見つけ、咄嗟にスタンドを殴りつけた。
敵が離れた安堵からか、ジョセフがふらつくものの、ディアボロは手を差し伸べない。

(このカビは……チョコラータの!)

右手に付いたカビを見てすぐに理解した。
ふらついたジョセフを支えようと手を『下へ』運べば、パンデミックは避けられない。
ジョセフは火の影響でカビに感染しないと分かっているから、なおさらしない。

「敵は『二人』居た……!」

厄介だな、とディアボロは舌打ちする。
チョコラータのスタンドの特性は理解しているつもりだが、上に昇る以外対処しづらい。
そして、一度殴って分かったが、小型のスタンドの方も困ったことに異常な硬度を誇っている。
パワーに自信のある『キング・クリムゾン』でも破壊し尽くせるかどうか。

「いいか、ディアボロ君……あのスタンドを、窓ガラスが……割れているところへ、投げるんじゃ」
「何だと? どういうことだ?」
「今、逐一、説明してやれる……暇は、ない……」

ゴトリと、重いものが落ちたような音がした。
音源を見れば、先ほど動きを封じた戦車が解き放たれていた。

『コッチヲ見ロォー!』
「馬鹿なッ! 浅かったが、確かに壁にめり込ませたぞ!」
「頼む、わしの言った……通りに!」

困惑を隠しきれないと言った感じで、ディアボロはジョセフに向かう『シアーハートアタック』を『キング・クリムゾン』で受け止める。
回転するキャタピラが手のひらをこすって痛むが耐える。


「何かわからんがくらえ!」


『キング・クリムゾン』、振りかぶってのオーバースロー。
方向、角度良し。吸い込まれるように、部屋の中へ。


――轟音、響く。



  ★


445 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:52:17 ID:AGL/vKnU
   

446 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:52:24 ID:2dXZhxAu
しえn

447 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:53:06 ID:AGL/vKnU
        

448 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:54:39 ID:AGL/vKnU
   

449 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 00:59:39 ID:Ukwpspb9
そろそろ本人帰ってくるよ

450 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:01:01 ID:zA1WzxIC


ビル内部、階段踊り場にて。

「吉良吉影が、援護しに来たというのは……私の思い違いだったな」

チョコラータは地に這いつくばって前進しつつ、反省していた。
『グリーン・ディ』の優位性が崩れたその時に、逃げるべきだったと。
放っておけば、じき死ぬ。だからその瞬間まで撮影してやろうと思っていた。
更に、ジョセフに迫る新たなスタンド。そこでチョコラータは勝利を確信。
倒れている早人を無視したことから、ジョセフを敵視していると判断してしまったのだ。
戦車の正面に携えた骸骨の意匠が、吉良吉影のネクタイの柄と一致していたこともあり、それが思い込みを深化させた。
ディアボロが来てようやく動き出したが、『シアーハートアタック』を投げ込まれてからは後の祭り。

「ひとまず……ここから、離れなければ……!」

爆風によるダメージはともかく、拳銃が壊れてしまったのが痛い。
だが悔やんでもいられない。一刻も早く、移動するのが先決だ。

「そして手に入れるのだ……ッ! この殺し合いの、全記録を!」

先の放送で「望むものを与える」という言質は取った。
後は、生き残るだけ。そのはずだった。

「させんよ」

階下から聞こえたのは。

「貴様は、ここで倒す」

ジョセフ・ジョースターと、ディアボロの声。
ディアボロがジョセフを支え、一歩一歩、ゆっくりとだが果敢に迫ってくる。

チョコラータはしかし、下の二人を見て尚、淡白な笑みを保っていた。

「強気な事を言ってくれるじゃあないか。
 深達性II度の熱傷面積が、全体表の皮膚の15%を超えている。知覚鈍麻も進んでいるだろう?」

ディアボロは、デイパックに入っていた飲料水全てをジョセフの火消しと火傷の治療に使った。
墨のように黒焦げている箇所もあり、それこそ焼け石に水をかける様なものだったが。
『シアーハートアタック』が爆発してから、『グリーン・ディ』のカビが解除されたのは早人で確認済み。
それを確認してからの、随分と遅れた処置。今のジョセフは気力で立っているようなものだ。

451 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:02:03 ID:zA1WzxIC
「長年医者をやってきたが、そこまでの症状で立っていられた者は初めて見たぞ。『ジョセフ・ジョースター』」

知られていないはずの名を呼ばれ、ジョセフは一瞬竦む。
その一瞬が命取り。

「ぐおッ!」

ジョセフがぐらつく。
足下に目をやると、千切れた左腕が足を掴んで蠢いていた。

「ジョセフ! が…はッ!」

支えようとするディアボロに襲いかかる、上からの衝撃。
切り離された下半身が、胸を踏みつけるように蹴りを食らわせていることに気付き、スタンドでガード。

「我が『グリーン・ディ』のカビの特性を知っていても、応用範囲までは知らなかったようだな、『ディアボロ』?」
「な……うぐッ!」

その一言が二重の意味でディアボロを震撼させる。
ディアボロは『グリーン・ディ』の能力を『生物を朽ち果てさせるカビの散布』としか知らなかった。
カビは、肉体の切断面を埋めて止血させたり、分離させた肉体を自由に行動させたりすることができる。
ディアボロもジョセフも、チョコラータが物陰に隠れていたために体を分解させた事実に気づけなかった。
『シアーハートアタック』による爆風はチョコラータの肉体に著しいダメージを負わせたが、そこで肉体が分かれたために現在の有利がある。
寧ろ、ナイフで切り離す手間が省けたこともあり、爆風による負傷は大した不利になっていない。

「そしてェェェェェェェ!」
『コッチヲ見ロォ〜〜〜!』

死を運ぶ爆弾、『シアーハートアタック』の再来だ。

(少しの間閉じ込めておいたが、いいタイミングで出てきてくれたな。
 そいつはなぜか、最初に川尻早人を無視してジョセフ・ジョースターに攻撃を仕掛けた。
 次は俺の『右腕』目掛けて。そこで俺は気付いたよ。
 そいつは『熱』を持った者に向かって愚直に進むのではないか、とな)

ジョセフの火、そしてチョコラータが撃った拳銃の銃口から発せられた硝煙。
チョコラータがその結論を下すには充分な根拠。
デイパックからいつの間にか取り出した『幽霊の拳銃』を構える。

452 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:02:47 ID:AGL/vKnU
  

453 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:02:49 ID:Ukwpspb9
 

454 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:03:09 ID:zA1WzxIC
(もう一つの拳銃を取り出す時間は稼いだ。
 向こうも同じことを考えているかもしれないが、弾丸を上回る熱量などそうそう生まれるものではない!)

本来ならここに『グリーン・ディ』のカビを加えて更に完璧なものにしたかったのだが、疲労とダメージにより困難と判断。
更に欲を言えば、別の部屋に逃げて爆風のダメージを最大限減らしたいというのもあった。
決め手がないチョコラータにとって決め手となる『シアーハートアタック』任せの作戦のため仕方ないのだが。

「うおおおおおおおおおお!」

ジョセフとて、迫る『シアーハートアタック』に対して何もしないはずがない。
後ろにかざした右手から『隠者の紫』を網の様に展開、それと同時に後方へ倒れそうになるが、茨に支えられる。

「なるほど、確かに距離がなければ俺とて爆風を食らう、ただでは済まない。
 ……その程度、読めてないとでも思ったかあああ―――ッ!」

間髪いれずに、茨がプッツリと切断された。
切り離されていた腕が手刀を作り、素早く切り裂いたのだ。

「ぐああッ!」

そして、先の動揺が効いたのか、ディアボロも限界の時が来たようだ。ガードが崩れる。

同時に落下。

帰還する肉体。

放たれる弾丸。

そして二人に迫る『シアーハートアタック』。



「よおーく見せるんだッ! 希望が尽きて…命を終える瞬間の顔をッ!」
「次の、お前の台詞は……『絶望をわたしの方に向けながら落下していけ』、だ!」
「絶望をわたしの方に向けながら落下していけええええええ! うわははははははははははは……はっ!」



455 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:03:28 ID:AGL/vKnU
      

456 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:04:32 ID:AGL/vKnU
 

457 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:04:36 ID:zA1WzxIC

チョコラータは動揺すれど、眼前に迫る『それ』を見逃さなかった。

「グラッツェ、チョコラータ。お前が吹き飛ばしてくれなきゃ駄目だった」
「『隠者の紫』は、支えるために張ったのでは、ない……。ディアボロ君に、『鉄球』を、託すためじゃ」
「ガードを崩したのもそれを投げるためだ。そして分かっているな? ジョセフはずっと炎に包まれていた。
 回転による摩擦を加えたら、鉄球はさぞかし『熱い』だろうな」

『キング・クリムゾン』が放った鉄球は、まさしく剛速球。
旋風をその身に宿し、一直線に階上のチョコラータへ。
しかしスタンドを出すこと叶わなかったが、無情にも反応上回り、右手の甲で防がれる。
そして振るう。

「だからどうした。はじけばいいだけの話だろう、無駄なあがきしやがって!」



だが、ぴったりとくっついて離れない。



「な……にッ!」

チョコラータは見落としていた。
ただ投げるだけなら、最初からディアボロに渡していればいい。では何故?
ジョセフが託したのは『鉄球』だけではない。『鉄球に込めたくっつく波紋』もだ。
ジョセフは重傷を負ったために呼吸が乱れ、わずかしか波紋を練れなくなった。
だから、限界まで波紋を練ってから鉄球を渡そうとした。もとよりはじかれる可能性など想定内。
『スタンド』は、『キング・クリムゾン』は波紋の影響を受けない。
だが、『隠者の紫』は波紋を伝えることが出来る!

「クソッ! 離れろ! 離れろおおお!」

瀕死の呼吸で練った波紋は微弱なもの。2、3回腕を振るえば鉄球は離れる。
だが、その数回が命取り。

「このわしの……最後の、波紋、じゃ」


『カチリ』



――爆発。




458 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:05:23 ID:AGL/vKnU
    

459 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:05:53 ID:zA1WzxIC
  ★


「ぐはッ、ハァ……ハァ……!」

チョコラータの完全な死を確認しておきたかったが、もたもたしてもいられない。
真っ先にすべきは、『シアーハートアタック』の後始末。

『コッチヲ』
「ふんッ!」

壁に空いた穴から、『シアーハートアタック』を投げる。
姿が消えたのを確認し、チョコラータの死体を一瞥してやっと、ディアボロはその場に座り込んだ。

「これで……本当に、良かったのか?」
「あれだけの……威力じゃ。誰も巻き込まず、遠くから来るとは、思えん。
 周辺には、あまり人がいないはずじゃ。いずれ、本体が回収するじゃろう。
 もっとも、今他の対処法なんぞ、ありゃせんわい……」

弱弱しい、か細い声でジョセフが返事をする。
だがディアボロはそんなことを気にせず、ふと沸いた新たな疑問を投げかける。

「一つだけ聞かせろ。火焔ビンはともかく、何故鉄球を持つことにした?
 鉄球を投げつけるにしても隙がある。『隠者の紫』を上回る利点があるとは思えん」

う〜む、と唸ったジョセフ。

「そこんとこなんじゃがのう……わしにもよくわからんのじゃ。熱で肉にくっつくことも考えて、わざわざ『はじく波紋』も使ったが。
 なんとなく、持たなくちゃいかん気がしてのう……」
「なんだ、それは」

フッと、微かに笑うディアボロ。
以前だったら分からなかったろうが、今回は結果的によかったと思えた。
個人の思いが理屈より大事なこともあると、ディアボロはこの戦いを通して理解できたのだから。
自分に火をつけたことも、窓を割って入ったのも単純な行動だったろう。
だが、火をつけなければ鉄球は熱くならなかったし、窓を割らなければ『シアーハートアタック』を正確に投げ込めなかったかもしれない

460 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:06:49 ID:AGL/vKnU
      

461 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:07:08 ID:zA1WzxIC
ディアボロは、ジョセフに花を持たせてやりたかった。
生きる意味を考えさせてくれたジョセフが、生きる意味を否定されて死ぬのは我慢ならなかったから。
ディアボロにとっての希望がこれ以上絶えないためにも、この戦いは負けられなかった。
『キング・クリムゾン』の真の能力を使わなかったのも半分はそのためだ。
『時を飛ばす能力』はジョセフのことを考えるとリスクが大きい。
『エピタフ』はアレッシーの件もあり、過信出来なくなったというのもあるが。

「ディアボロ君……最期に、君に言っておきたいことがある」
「何だ?」

ジョセフがもう長くないことは、誰が見ても明らかだろう。
ディアボロは余計な処置を施さないし、ジョセフも今度こそ死を受け入れた。
『やるだけやったんだからな』素直にそう思えた。

「初めて君と会った時、ひどく『死』に怯えていたようじゃったが……。それが悪いとは、言わん。誰だって、『死』に対する恐怖は、ある。
 波紋は……説明したとおり、呼吸が生み出す力……じゃが、恐怖で呼吸、は……乱れる。
 恐怖を、我がものとして……初めて……呼吸は、乱れない」

スピードワゴンから聞いた、ウィル・A・ツェペリの受け売りだ。
受け売りだが、ジョセフは見てきた。死に対する恐怖を、太陽に対する恐怖を持った一族を。

「『恐怖を自分のものとする』事……と、『恐怖を力に変える』事は、違う。
 それを……忘れ、ないで……いて……くれ……。君……は……間違う…………な……」

彼らは恐怖に支配され続けた。何年も、何年も。そして力を振るった、そこで多くの血が流れた。
だから分かる。だから伝える。


そしてジョセフは、友を、仲間を、家族を喪い続けた人生を終える。
だが彼は、最期まで自分の生き様を、強さを貫き通した。
一番大事なものは失わなかったのだ。



462 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:07:30 ID:AGL/vKnU
         

463 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:08:13 ID:AGL/vKnU
   

464 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:08:26 ID:Ukwpspb9
 

465 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:08:52 ID:zA1WzxIC
  ★


「フフフ……ハハハハハ」

狂気に満ちた笑いが漏れる。

(よくやってくれた! あの爆発で生き残っている者はいないだろう。
 無事に『シアーハートアタック』が帰還したのが、何よりの証拠!)

吉良吉影が自分に向かう『シアーハートアタック』を回収。
計画通りになったことに、ひどく歓喜する。

(死体を確認できないのが問題だが……向かうわけにもいかないしな)

何にせよ、生存者がいても『シアーハートアタック』と吉良吉影を結ぶ決定的な線はない。
依然有利は揺らがないだろう。
しかし悩みは尽きない、いつだってわいて出てくる。
ふう、と、吉良はため息をつく。

(いや、まだ問題があったな。プッチとジョルノにエシディシの件をどう説明するか、だ。
 私の能力で袖でも焦して襲われたことにするか? いや、どうやって逃げたか聞かれるだろう。
 ……さて、どうしたものか)

未だ杞憂は晴れず、吉良吉影は休めない。


  ★

466 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:09:01 ID:AGL/vKnU
    

467 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:09:44 ID:AGL/vKnU
           

468 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:10:03 ID:zA1WzxIC

「爆発が近いのに、逃げなくていいのか?」
「いいのかったって、勝算もねえのに向かえねえだろ」

民家に潜む男女――ホル・ホースとミューミューは、殺し合いという舞台に不釣り合いなくらい落ち着いていた。
もっとも二人とも職業柄、爆発音くらいでパニックを起こしてなんかいられない。

「平気だろ。俺たちがここで植物の如くひっそりとしてりゃあ大丈夫だって」

だがこうも調子が合わないと、口論するのもアホらしくなってくる。
そう思い、何も言わずに周囲を警戒するミューミュー。
ふと外を見ると、会社勤めのサラリーマンらしき格好をした男が目に入る。
不思議な事にその男は、爆発が起きたビルに視線がほとんど向いておらず、時たま口元をニヤニヤさせているだけだった。

「ホル・ホース、あいつをどう思う?」
「……どうだろうな? 爆発を起こした張本人、とまでは言い切れねえな。スタンドを遠隔操作してるようには見えねえ。
 まあ、ヤバい奴だってのは確かだが」

そうか、とだけミューミューは返事する。
警戒しておくに越したことはない、という結論だけ出しておくことで両者落ち着いた。

「で? 一回目の放送の内容は伝えた。知り合いの名前も教え合った。後は何かあるか?」

暇だった二人が行ったのは情報交換。
リゾットとの協力関係があっても、やはり情報は多いに越したことはない。
一回目の放送を聞き逃したミューミューに恩を売っておきたい気持ちが一番強かったが。

「地下鉄のことで聞きたいことがある」
「知ってる限りの路線はもう伝えたろ?」
「そうじゃあない。スピードワゴン――放送でその名前は読み上げられなかったが、
 もし呼ばれたら地下鉄を使って逃げるのはアリだ、と言っていたな?」

ホル・ホースの顔がわずかに締まる。

「スピードワゴンは北へ向かったのだろう? 北に危険人物がいると分かって北の駅に向かう馬鹿がいるか?
 意味が分からないぞ。それとも、そんなことにも気付かない愚図は用無しということか?」
「ああ、悪い、ちゃんと説明すんのを忘れてた」

469 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:10:25 ID:AGL/vKnU
    

470 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:10:38 ID:Ukwpspb9
 

471 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:11:13 ID:zA1WzxIC
いそいそと、急かされたように地図を広げるホル・ホース。

「『DIOの館』って施設があるだろ? さっきも言ったようにDIOは『一応』知り合いだ。
 DIO本人はともかく、DIOの『信奉者』達は集まる可能性が高い。信奉者のフリして振る舞えば安全が確保できるって寸法だ。
 だから、分岐する条件をちゃんと知っておきたかったわけよ」

それでもミューミューは尚、怪訝な顔を向ける。

「不確定要素が多すぎないか?」
「だから、可能性の一つとして見てただけだって。それに寝返ることも考えてねえ」

自らのために動くものを欲するDIOより、チームのために動くものを欲するリゾットの方が、ホル・ホースにとって有難かった。
誰かと組まなければ、ロクに実力も発揮できないと自覚しているから。
何より、自分のことを評価してくれる存在が欲しかった。

「とにかく! 今はスピードワゴンとリゾットの旦那と、その相方の生存を祝おうや」
「リゾットと、ペッシだったか? 分からないぞ、偽名の可能性だってある」

リゾットとペッシは、ミューミューに対し正式に名乗っていない。
要はそれだけ警戒されているとミューミューからすれば取れる、偽名を疑うのは仕方ない。

「ま……そう思いたいんならそれでいいや」

地下鉄について意見してくれただけでも上出来か、とホル・ホースは楽観的に捉える。
エスコートも楽じゃあないなと、彼にしては珍しく根負けしそうだった。




472 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:11:59 ID:zA1WzxIC

【E-4 中央/1日目 日中】
【吉良吉影】
[時間軸]:限界だから押そうとした所
[状態]:掌に軽度の負傷、ハイ、爪の伸びが若干早い
[装備]:ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り4個)、携帯電話、折り畳み傘、クリップ×2
[道具]:ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×6、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×8、ポケットサイズの手鏡×2
    未確認支給品×0〜2個、支給品一式×2 、緑色のスリッパ、マグカップ、紅茶パック(半ダース)、 ボールペン二本
[思考・状況]
基本行動方針:植物のような平穏な生活を送る
1.ジョルノとプッチに対する言い訳を考える……?
2.最も手に近い手を考える
3.コロッセオでエシディシに会い、『研究所の襲撃を延期する。自分達は館に残る必要がある』というジョルノ達の言葉を伝える?
4.手を組んだ由花子と協力して億泰、早人を暗殺する。ただし無茶はしない。
5.当面はおとなしくしていて様子を見る。そのためにまず情報の入手。
6.他に自分の正体を知る者がいたら抹殺する
7.危険からは極力遠ざかる
8.4が終わった後、または利用価値がなくなったと思ったら由花子を殺して手を愛でる。
9.ディオの手を必ず自分のものにする。
10.なんとしても“生き残り”杜王町で新しく平穏を得る
[備考]
※バイツァ・ダストは制限されていますが、制限が解除されたら使えるようになるかもしれません。
※荒木のスタンドは時間を操作するスタンドと予想しました。が、それ以上に何かあると思っています。
※場合によっては対主催に移っても良いと考えてます。
※平穏な生活を維持するためなら多少危険な橋でも渡るつもりです。
※自分がどうやって死んだのか全てを知りました。ショックを受けています。
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※早人がニセモノだと気づきましたがラバーソールの顔・本名は知っていません。
※携帯電話の録音は削除しました。
※シアーハートアタックに何らかの制限がかかっているかは不明です。




473 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:12:16 ID:AGL/vKnU
     

474 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:12:41 ID:zA1WzxIC
【E-4 民家/1日目 日中】
【ミュッチャー・ミューラー】
[スタンド]:『ジェイル・ハウス・ロック』
[時間軸]:幽霊の部屋から出た直後
[状態]:全身に軽い打撲。腫れ上がった顔。リゾットに対する恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには極力乗らない。身の安全を最優先。
0.スピードワゴンが来るまで待機。
1.ホル・ホースの軽いノリがムカつくけど、暴力は勘弁してほしい。でも信用できない。
2.他のスタンド使いを仲間にして、アラキを倒したい。
[備考]
※ジェイル・ハウス・ロックは特定の条件下で自動的に解除されるよう制限されています。
 ミューミューが寝ると解除されるのは確定しました。
※荒木のスタンドを「ホワイトスネイク」だと思っています。
※第一回放送の内容をホル・ホースから聞きました。
※リゾット、ペッシの名前と能力を知りません。偽名の可能性もあると思っています。
※吉良吉影を『警戒が必要な人物』と認識しました。
※ホル・ホースと『知り合いの名前』を情報交換しました。名前以外の情報をどこまで伝えたかは次の書き手さんにお任せします。



【ホル・ホース】
[スタンド]:エンペラー(皇帝)
[時間軸]:「皇帝」の銃弾が当たって入院した直後。
[状態]:頬、右上腕に裂傷、左肩に銃弾による貫通傷(すべて『メタリカ』による応急処置済み)、貧血気味
[装備]:腹部にダニー(身体的な異常は0)
[道具]:支給品一式、チューブ入り傷薬、死の結婚指輪の解毒剤リング、ナチス駅の時刻表、不明支給品1(確認済)
[思考・状況] 基本行動方針:生き延びるために誰かに取り入り、隙を突いて相手を殺す。
1.スピードワゴンの帰りを待つ。帰ってこないようだったら、方針を変える
2.スピードワゴンの作戦に乗ってやるが、今の旦那はリゾットだ!
3.探知能力を持った者、またはレーダーを探す。
4.ミューミューを口説くのは難しそうだ。裏切るようなら始末するがな
5.このネズミをどうにかしたい。
6.女は見殺しにできねー。


※シーザーとの戦闘はみんなに隠すつもり。
※情報交換の際リゾットからブチャラティチームの能力を教わりました。
 暗殺チームの名前と能力(ペッシ含む)は教わっていません。ミューミューの能力は教わりました。
※リゾットの考察メモの内容を聞きました。
※吉良吉影を『警戒が必要な人物』と認識しました。
※ミューミューと『知り合いの名前』を情報交換しました。名前以外の情報をどこまで伝えたかは次の書き手さんにお任せします。
※ホル・ホース、スピードワゴンの両者は、隕石を見、鉄塔とスペースシャトルの破壊音を聞きました。

※【F-4】でシアーハートアタックの爆音が響きました。どの程度の範囲まで聞こえたかは後の書き手さんにお任せします。
 ホル・ホースとミューミューには聞こえたようです。

※ネズミについて(SPWの不明支給品のひとつでした)
このネズミは【アクセル・ROの作りだした“ダニー”】です。出典SBR15巻。 解除方法は原作同様“水で清める”だけ。
ロワでの制限として“心が折れるまでには約10時間かかる”。シビル・ウォーの“罪をおっ被る”という能力は無し。
ダニー自体を破壊する事は出来ます(コミック内の描写より)が腹と一体化しているのでまず無事では済まないでしょう。
上記が記された【説明書】はスピードワゴンが破り、その一部は屋外へ捨て、残りは食べてしまいました。

475 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:13:36 ID:zA1WzxIC

【地下鉄のルート(確定)】
E-7ネアポリス駅→G-6食屍鬼街→H-5ポンペイ遺跡→H-3サンタ・ルチア駅→F-2ナチス研究所→E-3コロッセオ


E-3コロッセオ→→→E-5繁華街→???
          ↓
           →C-4DIOの館→???


※電車は一台ではない可能性あり。 現在走っている電車の進行ルートは不明。
※ホル・ホースの予想では電車は二両。放送直後にコロッセオとサンタ・ルチア駅にそれぞれ電車が止まる。
 あくまで予想なので、この通りとは限らない。





  ★


「いやあ〜〜〜、ラッキーだ! あのディアボロから、ようやっと離れられたしよお!」

電車に揺られるその男、音石明。
第二回放送の頃には落ち着きを取り戻しており、格好が格好だったのでなかなかトイレから出られずにいたが、
『レッド・ホット・チリ・ペッパー』で電線越しにホームの様子を窺うことだけはしていた。
そのうち3人とも外へ行き、帰ってくる様子もなく。
とうとう見捨てられたかと思ったが、デイパックを置いて行ったし、どうも違うようだ。
これはチャンスとばかりに放置された衣服を着た後、二つのデイパックを回収して電車に乗り込む。
そしてデイパックには、音石にとって、いや、この世界にいる誰にとっても驚愕すべきものが入っていた。

「ジョセフがデイパック置いて行ったのも幸運だったぜ! なんせこれは『その手の方々』には最高の交渉道具だ!」

手にするは、『首輪の設計図』。

メモ帳に、『隠者の紫』と砕いた鉛筆の芯で念写したものだ。
元々は早人を元気づけるためにジョセフが作ったものなのだが、音石はそんな事情を知る由もない。

「さあて、どうしようかねえ?
 能力の都合上駅から離れると不自由するかもしれないし……別の駅でしばらく様子見か?」

音石明、頂点を目指す第一歩。

「俺は反省すると……強いぜ?」

その歩みはまだ、始まったばかり。



476 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:13:44 ID:AGL/vKnU
  

477 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:14:10 ID:2dXZhxAu
支援

478 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:14:24 ID:AGL/vKnU
     

479 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:14:44 ID:Ukwpspb9
 

480 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:14:53 ID:zA1WzxIC

【H-3 電車内/1日目 日中】
【音石明】
[時間軸]:チリ・ペッパーが海に落ちた直後
[スタンド]:レッド・ホット・チリペッパー(黄色)
[状態]:体中に打撲の跡(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×3、不明支給品×1、ノートパソコンの幽霊、首輪の設計図(ジョセフが念写したもの)
[思考・状況]基本行動方針:優勝狙い
0.やっと自由になれた! バンザーイッ!
1.しばらくどこかの駅に待機せざるを得ないかもな、能力的に考えて
2.サンタナ怖いよサンタナ
3.電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー!
[備考]
※バトルロワイアルの会場には電気は通っているようです。
 しかし様々な時代の土地が無理やり合体しているために、電線がつながっていなかったりと不思議な状態になっているようです。
 スタンドが電線に潜ったら、どうなるかわかりません。(音石は電線から放電された電気を吸収しただけです)
※ミセス・ロビンスンをスタンド使いだと思っています
※三人のやり取りを始終見ていたわけではないので、早人とジョセフとディアボロが駅を出た理由を知りません。

※【H-3サンタ・ルチア駅】にてエンポリオの死体が花の中に倒れています。
※波紋探知機だったペットボトルは【H-3サンタ・ルチア駅】に放置されました。
※サンタルチア駅は引き続き停電しています、冷房は消されました。



  ★


川尻早人は、立ち上がる。

「ウェザー……さん……」

うわ言のようにつぶやいた。
何故倒れたか、よく思い出せない。視界が緑色に染まってから、記憶がほとんど途絶えてる。
とにかく今言えるのは、倒れている場合じゃないということだけ。

「仇……見つけ、なきゃ」

体に付いた血は洗い流された。だが、その心はまだ洗われていない。

「僕が、やらなきゃ……!」



漆黒の光と炎を宿し、その瞳は何を見る?



481 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:15:12 ID:AGL/vKnU
   

482 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:15:56 ID:zA1WzxIC
【F-4 南部ビル傍/1日目 日中】
【川尻早人】
[時間軸]:吉良吉影撃破後
[状態]:精神疲労(極大)、身体疲労(中)、腹部と背中にダメージ大、上半身ダメージ(小)、右手人差し指欠損、
    服がびしょ濡れ、漆黒の意思、殺意の炎
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、鳩のレターセット、メサイアのDISC、ヴァニラの不明支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒したい。吉良吉影を殺す。殺し合いにはのらないけど、乗ってる参加者は仕方ない。
1.絶対にウェザーの仇を見つける。
2.吉良吉影を殺す。邪魔をするような奴がいたらそいつも・・・
3.なんとかして鳩を取り戻し、承太郎に手紙を送る……?
4.あのお爺さんが……ジョセフ・ジョースター?
5.荒木の能力を解明したい
6.死んだ人達にはどう接すればいいんだろうか?他の知り合いにも会いたい…。
7.エンポリオの遺体をアメリカに埋めてあげたい
[備考]
※吉良吉影を最大限警戒、またエンポリオの情報によりディオ、プッチ神父も警戒しています。
※ゾンビ馬によって右足はくっついていますが、他人の足なので一日たてば取れてしまう可能性があります。
 歩いたり、走ったりすることはできるようです。
※ある程度ジョセフたちと情報交換しましたが、三人を完全に信用していないので吉良吉影について話していません。
 ジョセフも本人かどうか半信半疑なので仗助について話していません。
※第二回放送をほとんど聞いていません。「承太郎の名前が呼ばれた気がする」程度です。
※この後どこへ向かうかは次の書き手さんにお任せします。



  ★


「俺は、ずっと逃げていた」

『時を飛び越える能力』、『未来を予測する能力』。
何もかも『未来に対する恐怖』の精神が生み出したものだと、ディアボロは気付かされた。

「何が帝王だ。何が無敵の頂点だ。立ち向かうこともせず、ただ怯えていただけじゃあないか」

拳を握る力が強くなる。
王の宮殿は、ただの張りぼてに等しい虚栄だった。王の姿は、単に恐怖に震える弱者の虚仮おどしに過ぎなかった。

「ジョセフは強かった。多くを失って尚、戦い続けた。なのに、失うものなどないはずの俺は……!」

ただ惨めに、生き残りたいと願った。
だが、ただ生きるだけでは駄目なのだ。何かを為さねば死んでいるのと同じだ。
ジョセフ・ジョースターは最期まで自分を貫いて『活きた』。

「ジョセフ。俺には、お前のように思いを受け継ぐべき者はいない」

ディアボロは、どうなるだろうか。



「だが、お前の思いは俺が連れていく!」




483 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:16:36 ID:AGL/vKnU
              

484 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:17:18 ID:zA1WzxIC

覚悟した。
味気ない永遠より、浮き沈みはあっても、灼たる熱い刹那を求める覚悟を。

「ドッピオ、かつての栄華はもう捨てることになる。それでも、俺は別の輝きを、『恐怖に打ち勝てる信念』を手にしたい!」

ジョセフ・ジョースターの『黄金の精神』が、ディアボロを突き動かした。
元来彼は欲深い。生きる上で、何かを求めずにはいられない。平穏ではいられない。

“『光と影』『表と裏』『二重の人格』その秘密があるかぎり、栄華は廃れる事は無い”
サルディニアで会った占い師に言われたことだ。
実際それは間違っていない。ドッピオを失った今、『栄華』は廃れ『信念』を見出したのだから。

「そして倒す! 恐怖を生み出す者を……荒木を!」

『恐怖を自分のものとする』事と、『恐怖を力に変える』事は違う。
ディアボロは『恐怖を力に変える』過去の自分と決別し、『恐怖を自分のものとする』ことを生きる意味とすることを願った。
死に対する恐怖を克服し、この舞台を真の意味で勝ち抜く力にしたかった。

「ん? あれは……?」

反射する光が目に入る。媒体は、先ほど自分が投げた鉄球。
爆風から逃れたそれは、異様な存在感を放つ。

「ジョセフの形見と思って持っていくか」

握ると、熱はもう冷めているはずなのに、不思議と太陽の温かみを感じた。


『ウィル・A・ツェペリ』の勇気を敬う言葉が。
『シーザー・アントニオ・ツェペリ』の未来に託す人間の魂が。
『ジャイロ・ツェペリ』の技術の象徴、鉄球が。
ジョセフを通してディアボロに受け継がれた。
感化されたとはいえ、彼が黄金の精神に目覚めるかはまだ分からない。
もしかしたら、その覚悟は言葉だけの偽りに終わるかもしれない。


一つだけ言えるのは、思いは既に託されたということだけ。
今こそ、ディアボロ自身の信念が試される時だ。


485 :目覚めよ、その魂 ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:19:48 ID:zA1WzxIC
【F-4 南部ビル内部/1日目 日中】
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:右手に負傷(小)。肋骨二本骨折。強い決意。強い恐怖(乗り越えたい)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水は全消費)、ジャイロの鉄球
[思考・状況]
基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、恐怖を乗り越え荒木を倒す。
0.ジョセフ、お前は強かった。
1.早人を迎えに行くか。音石はどうする?
2.ジョルノには絶対殺されたくない。来るなら立ち向かう。
3.恐怖を自分のものとしたい。
4.自分の顔と過去の二つを知っている人物は立ち向かってくるだろうから始末する。
5.電車内の謎の攻撃、謎の男(カーズ)、早人怖いよ。だが乗り越えたい
6.駅にあるデイパックを回収したい


[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
※『恐怖を自分のものとして乗り越える』ために生きるのが自分の生きる意味だと確信しました。
※アレッシーとの戦闘により、『エピタフ』への信頼感が下がっています。
※川尻早人の方が先に移動し始めたので、合流できない可能性があります。


  ★







                  ――君、求めるもの掴み取りたくば――











                     ――目覚めろ、その魂!――








486 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:20:06 ID:AGL/vKnU
         

487 :目覚めろ、その魂 ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:21:39 ID:zA1WzxIC
【チョコラータ 死亡】
【ジョセフ・ジョースター 死亡】
【残り 43人】

※チョコラータの持っていた顔写真付き参加者名簿、チョコラータのビデオカメラとテープ、支給品一式×2 エンポリオの拳銃(幽霊)、
 不明支給品の詰まったディバッグ、四部ジョセフが持っていた折りたたみナイフは爆風に巻き込まれ消滅しました。
※参加者に付いている『グリーン・ディ』のカビが全て剥がれました。


【E−6 民家付近に放置されているもの】

レッキングボール2個分の衛星
“ガラスのシャワーだッ!”と乱暴に書かれ、折り畳まれている紙と散乱したガラス
鋭い歯のついたモリ。


【火焔ビン】
ヴァニラ・アイスの支給品。
ジョセフ・ジョースターがワムウとの戦車戦で使用したもの。
火が付いた状態で紙の中にしまわれている、という説明が紙に書かれていた。
ワムウの声がしたのは、思い出に浸ったために見た妄想か? それとも実際にワムウが死後の世界から叱咤しに来たのか?
それは謎である。


【チキン4羽〜たまご、ひよこ、こっこ、烏黒鶏〜 ――それぞれの巣立ち】


-------------------------

ミスったorz こっちが正しいタイトルです
投下完了、誤字、脱字、矛盾点等指摘あればお願いします

488 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:22:53 ID:fbKWtVI8
投下乙!
まさかのディアボロ覚醒にwktkが抑えられねぇ!

489 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:25:35 ID:AGL/vKnU
投下乙
うむ、おもしろかった
シアーは厄介だな、しかしw
ディアボロこうなるかあ。実はマーダー側覚醒狙ってたけど、これも面白そうだ
タイトルと最後のは、アギトかな

火炎ビンのAAを張った人は、怒らないから職員室まで来ることw

490 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:26:10 ID:Ukwpspb9
いつだって、支えるさ……

投下乙!
ディアボロがダメボロから脱却した!
早人もフラグ立ってるしでこれは後が気になる

coution!
現在490kbです
立てようと思いましたが規制中の為どなたかスレ立ての方よろしくお願いします

491 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:28:03 ID:2dXZhxAu
すげえええええええ!
投下乙!
最近超大作多いなーw喜ばしいことだw
ジョセフ……お前は立派にやったのだよ……
ディアボロはついに覚醒かー、今後が楽しみだわw
そしてチョコ先生はついに脱落か!
まぁ散々好き勝手暴れてきたしお疲れさまと言っておこうw




スレ立てはごめん、俺も無理だった

492 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:28:12 ID:AGL/vKnU
>>490
ん、行ってみるわ

493 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:28:33 ID:zA1WzxIC
>>489
分かっていただいてうれしい限り>タイトル元ネタ
アギト全部は見てないんだけどね

494 : ◆0ZaALZil.A :2009/10/22(木) 01:32:18 ID:zA1WzxIC
忘れてた。
支援していただいた方々、代理投下してくれた方に感謝。

495 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:32:21 ID:KaXVtu/T
>>490
cautionじゃないのか…


投下乙!
ジョセフ爺さんの格好良さに痺れた…
あとチョコ先生は最期までチョコ先生だったぜ…
音石がこれからどうなるかが気になりすぎるww

496 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:35:20 ID:AGL/vKnU
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1256142830/

うい、新スレー


>>493
ライダーオススメだぜー

497 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:35:53 ID:Ukwpspb9
新スレ立ったので埋めついでに

火炎びんの件は代理投下したんで許して下さい

>>495
知ってん(ry

498 :創る名無しに見る名無し:2009/10/22(木) 01:46:04 ID:2dXZhxAu
>>496
乙!甘いの3個投げてやる

499 :創る名無しに見る名無し:2009/10/24(土) 16:49:30 ID:rgaXsKpo
投下乙!
ジョセフの生き様が超カッコよくてブルっときたぜェェェ!!
吉良のシアーハートも解禁でこれからが期待で胸が膨らみすぎ。
ディアボロの覚醒もチョコ先生の外道っぷりもとっても面白かった。
ワムウの回想と鉄球の一撃はうまく伏線回収してるなーと感動した。
鉄球を張り付かせてシアーで倒す発想は素で驚いた。その手があったか!
第2回放送後の最初に相応しいSSだったと思う。
ホルホルとミューミューが美味しい役回りになってきたww

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