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ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第六部

1 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 20:01:53 ID:GiMVl5Pq
このスレはジョジョの奇妙な冒険のキャラクターを使ったバトロワをしようという企画です。
二次創作、版権キャラの死亡、グロ描写が苦手な方はジョセフの様に逃げていってください
ちなみにこの企画は誰でも書き手として参加することができます。
僕たちジョジョロワ住民は……作品が投下されるとくるい、もだえるのだ 喜びでな!
初心者の方も大歓迎です。書く技術は承太郎のようにやっていればそのうち覚えることができます
が、マンハッタン・トランスファー程までとはいいませんが、億泰よりは空気を読むことを推奨します



まとめサイト
http://www10.atwiki.jp/jojobr2/

したらば
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11394/

前スレ
ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第五部
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1240232945/

2 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 20:05:16 ID:GiMVl5Pq
【第一部:ファントムブラッド】6/11
○ジョナサン・ジョースター/○ディオ・ブランドー/○ロバート・E・O・スピードワゴン/
●ウィル・A・ツェペリ/○エリナ・ペンドルトン/○ジョージ・ジョースター1世/●ダイアー/
●黒騎士ブラフォード/○タルカス/●ワンチェン/●ジャック・ザ・リパー

【第二部:戦闘潮流】4/10
○シーザー・アントニオ・ツェペリ/●リサリサ(エリザベス・ジョースター)/○ルドル・フォン・シュトロハイム/
●スージーQ/●ドノヴァン/●ストレイツォ/●サンタナ/●ワムウ/○エシディシ/○カーズ

【第三部:スターダストクルセイダース】9/15
○ジョセフ・ジョースター/●モハメド・アヴドゥル/○花京院典明/○J・P・ポルナレフ/○イギー/
○ホル・ホース/○ラバーソール/○J・ガイル/●エンヤ婆/●ンドゥール/
○オインゴ/●マライア/○アレッシー/●ダニエル・J・ダービー/●ヴァニラ・アイス

【第四部:ダイヤモンドは砕けない】9/12
●東方仗助/○空条承太郎/○虹村億泰/●広瀬康一/○岸辺露伴/○山岸由花子/●矢安宮重清(重ちー)/
○トニオ・トラサルディー/○川尻早人/○片桐安十郎(アンジェロ)/○音石明/○吉良吉影

【第五部:黄金の旋風】12/15
○ジョルノ・ジョバァーナ/○ブローノ・ブチャラティ/○グイード・ミスタ/○レオーネ・アバッキオ/
○パンナコッタ・フーゴ/●トリッシュ・ウナ/●サーレー/○ホルマジオ/○ペッシ/○プロシュート
●ギアッチョ/○リゾット・ネエロ/○ティッツァーノ/○チョコラータ/○ディアボロ

【第六部:ストーンオーシャン】 9/15
○空条徐倫/●エルメェス・コステロ/○F・F/○ウェザー・リポート/○ナルシソ・アナスイ/
●エンポリオ・アルニーニョ/●ロメオ/○グェス/●サンダー・マックイイーン/●ラング・ラングラー/●ケンゾー/
○ヴィヴィアーノ・ウエストウッド/○ミュッチャー・ミューラー/○ドナテロ・ヴェルサス/○エンリコ・プッチ

【第七部:スティール・ボール・ラン】 5/10
○サンドマン/○マウンテン・ティム/○リンゴォ・ロードアゲイン/●オエコモバ/
●マイク・O/●スカーレット・ヴァレンタイン/○ブラックモア/○フェルディナンド/
●ミセス・ロビンスン/●ベンジャミン・ブンブーン

【54/88人】

【支給品・生物】
○サヴェジ・ガーデン鳩/○ココ・ジャンボ亀/○ヨーロッパ・エクスプレス馬/●ダニー犬/●ヴァルキリー馬
【スタンド生物】
○モハメドアヴドゥ竜/○ロビンスン翼竜A/○ロビンスン翼竜B/
【支給品・人間】
●空条承太郎のワイフゾンビ/○吉良吉廣/
【スタンド】
●ヨーヨーマッ/●アヌビス神/●ブラック・サバス(本体のポルポは生存?)

3 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 20:09:40 ID:GiMVl5Pq
投下完了

今晩中に投下がある模様

4 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 20:18:55 ID:9185CQx2
>>1
乙です

5 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 20:19:31 ID:4+I1+J41
乙一

6 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 21:00:08 ID:WMPOTcAh
>>1
お前の命がけのスレ立て、僕は敬意を表するッ!
乙!

7 :BIOHAZARDU ◆xrS1C1q/DM :2009/06/24(水) 23:44:02 ID:9185CQx2
「じゃあ、行くとするか」

アバッキオの残り時間からすると長すぎるとも感じられる情報交換が終わった。
先程よりも一層蒼白さを増した顔でアバッキオは歩き始める。
民家のドアを開けるのはイギーのザ・フール。先行するのはホルマジオ。
ムーディ・ブルースのリプレイは続けるものの、決して奇襲はさせない。
何があっても対応できるような陣形を組み、彼らは民家から出た。


彼らの耳が風切り音を捉える。


出てから間髪いれずに飛んでくる何か。
弾くか、避けるか悩むホルマジオだったが飛来するもののスピードの考慮して安全に回避することを選んだ。
ここでイギーの手を煩わせていたらアバッキオの守護に裂く余裕が無くなるとも考えてのことである。
体を下げるわけにはいかないから着弾点を予測し、その場を離れる。
音がしてからこの動作を行うまでに実に二秒。
実践で培ってきた判断力がなせる業だ。
しかし考えることが少なかったこと、これは彼の過失である。

(コイツは……銛か! チッ、防いでも下手したらメザシになってたって事か畜生!)

スタンドの視界から見えた形状。
細長い棒状のボディの先端についた鏃、鈍い金属製の光沢。
突き刺されば人間などひとたまりもないという事は心で理解できた。
軌道を見るに避けたらアバッキオに刺さるということはないようなので襲撃をかわしたことに一息吐く。

(アバッキオの言ってた事が正しければ飛び道具になりえるのは後は謎の鉄球と拳銃だけ。
 正面から気を張って防ごうと思えば防げないモンじゃねぇ!)

スタンドの、近距離系の力で投げられたものは威力という点で言えば拳銃のそれを上回る。
明らかに投擲向けの武器であった銛を紙一重ではあったといえども回避できたことにホルマジオは希望を見出す。


ズルリ


「はっ……?」

足が滑った。それだけは知覚することが出来た。
次に感じたのは背中の一部を“喪失”した感覚。
明確な“死”の存在をホルマジオは感じ取る。
差し出された、いや、支えてくれた“手”の存在を知るまでは。
鼻を鳴らしながらイギーは心中でぼやく。

(しょうがねーしょうがねー言ってるけど一番しょうがねーのはオメーだな。
 二人して頼りない連中が揃っているからよ、俺が何とかしねーとよ!
 ジョリーンのヤツも今どうしているか心配だし、とっととやってとっとと帰るか!)

もう一度だけ、実に不機嫌そうにイギーは鼻を鳴らした。



★  ☆  ★

8 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 23:44:13 ID:sKOus7+V
 

9 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 23:45:21 ID:sKOus7+V
 

10 :BIOHAZARDU ◆xrS1C1q/DM :2009/06/24(水) 23:47:08 ID:9185CQx2
おお、一人も死ななかったか。連中も中々やるな。
アバッキオはそう長くもちそうにないだろう。放っておけば失血死するか。
あの紙を上手い角度で開くようにするのは中々骨が折れたからなぁ。
最終的には臭い隠しの黴でドアに貼り付ける事にしたんだが。
日本人にはこれによく似た伝統的で古典的な悪戯があるって聞いたがあれは黒板消し。
せいぜい服が汚れてイラッとするだけだ。
だがな、俺の罠は服が汚れるのは同様だけれどもゾッとするんだ。
引っかかった瞬間のアバッキオの顔を見たか?
見開いた目、半開きで固まった口、死を覚悟したんだよなあれは。
あそこで生き残ったのは運が良かったか? それとも悪かったか。
間違いなくヤツは後悔するだろうよ。
いや、俺が生き延びちまったことを後悔させるんだ。
この戦いが終わる頃にはきっと『何であそこで死ねなかった』ってね。
それにホルマジオへのトラップも上々だったな。
本当にあそこへ行ってくれるか不安なところもあったが案外計算どおりに動いてくれて助かったよ。
滑った瞬間のアイツの表情も同様に最高だった。
何が起こったか分からないってマヌケな顔を見たときは腹を抱えそうになったよ。
アイツしかいないって状況だったら間違いなく堪え切れなかっただろうね。
そして最後に自分の死を覚悟した時の顔。
大の大人が思わず目を瞑った様は実に見苦しい。見苦しいからこそ素敵であるんだがな。
さて、次はどうしよう? とりあえず数分ぐらい焦らしておいてやるか。
ストレスで煮立っていく様を見るのも楽しい、苛立ちによって隙が出来てもおいしい。
まさに一石二鳥ってヤツだ。
時間つぶしがてらに支給品の方も見ておくか、武器は有り余ってるからな。
銛なども回収すればまた使えるだろう。
こういう小物も応用すれば色々と使い道があるのは分かったから考えてみるのも乙だ。



む? ムーディ・ブルースで俺の追跡をするんじゃないのか?
明後日の方向へ行ってるということは……逃げているという事だな?
興ざめだ。どっちにしろ殺すっていうのは変わらんがな。
常に追う側だったから、たまには挑戦者を叩きのめして殺すということをやってみたいのだが。
まぁいい、逃さなくてはいいって話だからな。
さて俺もボチボチ歩き出すとするか、暇つぶしのおもちゃはたくさんある。
数分くらいならばあっという間に費やせるはずだ。
さて、最初に出てくるのは――鉤爪か。
リーチと切れ味はいいと思うんだが如何せん動かしにくいってのは問題だな。
機動性が皆無に近い我がスタンドならばそのデメリットも小さいか?
とりあえず現在の段階ではこれをつけるのは保留だな。
次は何んだ……ナイフか。
殺傷力溢れるって訳じゃないがある意味俺の一番得意な獲物ってやつだ。
死なないように気を遣いつつゆっくり解体する、この殺し合いでその機会があればいいんだが。
他には特筆するほどの支給品はないな。
改めて思うが案外色々なものが支給されているみたいだな。
殺し合いに関連するものばかりだと思ったがビールに古地図、挙句の果てにはドレスか。
主催が何を考えているのか本当に分からん。
荒木なりのジョークってヤツか? 考えても無駄なことだろう。
そしてディバッグの最深部。本当にそこの部分にあった“それ”。

「そろそろ襲撃の頃合か」

黒い金属の塊、先刻も確認した銃器、不思議と重さを感じさせない謎の拳銃。
これがないと遠くからの奇襲も糞もない。
少しだが配置したスタンドの陣形が乱れてきてるぜ。
予備があるから弾数に余裕があるとはいえできれば一撃で決めたいところだな。
これから先にも銃は重宝する。
そんなことを考えながら俺はカメラをグリーン・ディの方へと手渡す。
両腕で照準を合わせ、いつでも狙い打てる体制へと入った。

11 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 23:48:18 ID:sKOus7+V
 

12 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 23:49:16 ID:sKOus7+V
 

13 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 23:49:57 ID:sKOus7+V
    

14 :BIOHAZARDV ◆xrS1C1q/DM :2009/06/24(水) 23:50:11 ID:9185CQx2
銛と足元に置かれた小球の罠を切り抜けてから数分。
どこから来るのか分からない攻撃、しかも上下からもくる可能性があるそれは彼らの警戒心を存分に煽った。
たった数分、されど数分。
焦りは精神力を磨耗させ、現実世界に隙という形となって現れ始める。
しかし、姿を見せない襲撃者はここから更に数分間焦らしをかけた。
ホルマジオが積もった苛立ちのぶつけ所を見失い電柱に怒り任せの蹴りを入れる。
イギーが今にも吠え出しそうに表情を歪めて大きく唸り声を上げた。
アバッキオの足取りも徐々に覚束ないものになっていく。
そして彼ら三人にとって致命的な隙が生まれた。
ホルマジオの背面をカバーしていたスタンドに微妙にだが死角が生まれたのだ。
引き金にかけた指をゆっくりと曲げる。
殺しに対する罪悪感などローティーンの頃には既に捨て去っていた。
表情から読み取れるのは仲間を急に失った二人がどのような反応をするのかという期待だけ。
指の動きが終わりと告げると共に、辺一面に軽い音が響き渡った。

「なっ!? ホルマジオ! おい返事しやがれホルマジオ!」

アバッキオの狼狽した声、イギーの悲痛な鳴き声。
それから少し遅れてホルマジオの体が揺らぐ。
頭部、脳を破壊したことを確信し、チョコラータは満足げに頷く。
膝折れ、懺悔するかのような体勢で一旦動きが止まった。
傍に立つスタンドのほうも細かい粒子となって消えていく。
次第に薄くなっていく影はホルマジオの命が尽きつつあるということを如実に表す。
“養分”が下に行ったことを確認してカビは繁殖を始めた。
二、三呼吸ほど間をおいて上半身も前のめりに倒れ、彼の全身を緑色が覆った。
最初に仕留めた獲物は彼の胸に達成感を与えるには十分すぎるほどである。

「できればあらん限りの苦痛を与えて殺してやりたかったところだがな、後二人もいるんだ。
 犬のほうは分からんがアバッキオのほうはきっと楽しませてくれるだろう。
 見ろ! あの悔しそうな顔を! 実に最高の相手じゃないか!」

軽く俯き気味のアバッキオの様子がチョコラータを興奮させる。
殺した甲斐があったものだ、彼は心の底からそう思う。
唯一の不満を挙げろと言われれば、ビデオのズーム越しでしか見ることが出来ないという事であったが、
それを差し引いても十二分に満足の行く表情を眺める事ができた。
物言わぬ死体へと嫌味を込めつつ賛辞の言葉を贈った。

「ホルマジオ……裏切り者とは言えども俺はお前に敬意を表そう、君のおかげで実にいい物を見ることが出来たよ。
 地獄で暗殺チームの仲間のギアッチョとやらに誇ってくるがいい、俺の快楽の礎になれたという栄光をな
 暗殺チームの仲間もアバッキオたちもそっちへ送るからあの世でも不自由はしないだろうな
 そうだ、生きていたほうが苦しいかもしれんからなぁ」

脳内から分泌される麻薬が彼の気分を高揚させる。
しかし、理性的な部分が極限のところでせめぎ合い叫ぶことだけは防いだ。
次はどちらを狙うか? 拳銃を構えつつ悩む。
銃口を交互に動かし、彼らの命を握っているという優越感に浸った。
一通り快楽を貪った後は今までいた見渡しの屋根から飛び降り、特定されぬうちに他の場所へと移動しようとする。


彼の体に悪寒が走る。
原因は分からないが何となく嫌な予感がしたのだ。
一歩、たったの一歩であったがたたらを踏んでしまうチョコラータ。

「しょうがねぇなぁ〜 勘のいい野郎ってのは嫌いなんだ、全くよぉ。
 この軌道じゃあたらねぇからな。おまえさん運が良かったな〜」

下から急に現れたホルマジオ。
通常ではありえない速度での攻撃はチョコラータのシャツを切り裂くだけに留まった。
自分の悪運の強さにホッとするチョコラータと、それに対して苛立ちを隠せないホルマジオ。
両者は向かい合い、真の意味で戦いの火蓋は切って落とされた。

15 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 23:51:11 ID:sKOus7+V
 

16 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 23:51:57 ID:sKOus7+V
 

17 :BIOHAZARDV ◆xrS1C1q/DM :2009/06/24(水) 23:53:05 ID:9185CQx2
「ハッ、人様にとやかく言えるような素敵な仕事をしてたって訳じゃないがな、
 テメェがマトモな野郎じゃないってことだけはよ〜く分かるぜ。
 それに俺とギアッチョのつながりを知ってるって時点でお前はこっち側か」
「そうだな、貴様ら暗殺者に言われたところで説得力はない。が、あえて否定したりはしない。事実だしな。
 お前達は仕事で殺しをするが俺は自身の快楽の為に人を殺す」

ホルマジオが地面へと唾を吐き捨てた。
地へと落ちるのと同時に彼は駆け出す。
狙うのは相手の首。
先のイギーとの邂逅により、敵のスタンドの格闘能力は低いと判断したゆえの行動だ。
小細工の聞かないこの状況なら勝てる、そうホルマジオは踏んだのだ。
今回は絶対に対象を見失うわけにも行かないし、カビがある以上は下に攻撃する術が少ないので敵を縮小させる気はない。
だが殺傷能力という点から彼は右手に存在する“爪”を使用する。
チョコラータは自身に迫る右腕をスタンドの両腕を使用して止めた。
そう、つまりこの時点でホルマジオの左腕は完全にフリー。
無防備なグリーン・ディの右頬へと叩き込まれる拳。
本体へのダメージのフェードバックにより砕けた奥歯を吐き散らかしながら彼は倒れこむ―――リトル・フィートの腕を両腕で掴んだまま。

「ぐっ! テメェそれを狙ってやがったか!」
「お前のスタンド能力の発動条件は一目で分かったからな。
 最も効率のイイやり方がこれってわけだ。カビによる攻撃をかねているからなあああああああああああああああ!」

スタンド能力を使用する気がないというのは知らぬことだが、チョコラータの行動は間違ってはない。
外見だけでへビィ級の存在だという事が見て取れて分かるグリーン・ディ。
耐えかねたホルマジオの腕が僅かに下へと下がった。
瞬く間にカビによって包まれていく右腕。
たまらず、チョコラータの腕を両腕で掴みなおす。
……気がつけば掴んでいたのはスタンドの左腕のみとなっていた。
ハッとした表情でホルマジオが正面を向く。
迫る拳。
ガードに回す時間も余裕もない。
意趣返し。当たった箇所はホルマジオがチョコラータを殴った場所であった。
不安定な体勢だったのが幸いし口の中を切るだけに留まるも、彼は冷や汗を流す。
二発、三発、四発。彼の口からも根元から折れた歯が飛ぶ。
唇に付着した返り血を舐め取りつつ、満足げな顔で笑う。

「いい顔になったじゃないか、さっきの呆気ない死に様よりはずっといいと思うぞ」

あざけりの言葉にホルマジオは小さく返した。
頬が腫れてしまったせいか何を言っているか聞き取りづらいがチョコラータも確かにそれを耳にする。
わざとらしく耳に手を当て、聞き返した。

「すまないがもう一度言ってくれないか? 俺に何か言いたいんだろ? はっきりと言ってくれよ」
「そのい…………おれ………った」

なおも聞き辛い発音で喋るホルマジオ。
再度聞き返そうと口を開け―――――――

「そこがいいんだって言ってたんだよこのヌケサク」


小石がチョコラータの脇腹を貫いた。


ポケットの中に小さくして仕込んでおいた基本支給品の鉛筆、そして小石。
今の攻撃の原理は、鉛筆にかけていた能力を解除。
その反動で飛んでいった小石をチョコラータに当てるというシンプルなものであった。
口からも血を流し、ホルマジオを憎憎しげな目で睨む。
グリーン・ディはリトル・フィートの腕を離してしまっていた。

18 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 23:53:37 ID:sKOus7+V
 

19 :BIOHAZARDV ◆xrS1C1q/DM :2009/06/24(水) 23:54:03 ID:9185CQx2
「おいおい駄目じゃねぇか、ここで腕を離しちまったらよぉ。
 敵に喰らいついたならば死んでも離さねぇ……これが基本じゃねーか。
 俺の仲間じゃお前みたいなヤツをマンモーニっていうんだぜぇ」

まっ、俺は喰らいつけないときは深追いしないがなと小さく付け加える。
穴の開いた腹を押さえながら怒りの篭った瞳でホルマジオを見据えた。
形勢は当初より完全に逆転した。
手数の増したホルマジオを攻撃を凌ぐので精一杯。
小石の弾丸を警戒し、己も同時に拘束してしまうさっきの手は使えない。
何とか爪の一撃だけはかわしているがそれも時間の問題だろう。
チョコラータの表情が屈辱で歪んだ。

(やりたくはない……やりたくはないがあれをやるしかないのか?
 クソッ! さっきまでのいい気分がこれで全部台無しだッ!
 ホルマジオ、お前も俺の復讐の標的になったぞ!)

腹を決めたチョコラータ。
左腕を弾いた後にスタンドの体をリトル・フィートへとぶつける。
相手がよろめくのを視認すると同時に後ろへ飛びのく。
追撃がないことを疑問に思うホルマジオ。
そんな彼を他所にチョコラータは行動を開始した。
スタンドの手を己の右腕に近寄らせ――――――――――――傷口に手刀を突き込んだ。

「ぐぅ……がぁっ…!」

苦悶の叫びを上げながらチョコラータはカビで塞いだ傷口をこじ開ける。
引き抜く際の地獄のような苦しみにより再度呻く。
既に体勢を整えたホルマジオが行動を取る前に仕留めようと詰め寄った。
そんな彼に対して右腕を振るい――――――



自分の血液をホルマジオの顔面へと浴びせかけた。
視界を失ったことでしばし立ち尽くすも、蹲ったりすることはない。
このまま止めを刺すことができるかもしれないだろう。
しかし彼は細心の注意を払うことを決め、撤退を洗濯する。
作戦は成功したものの、逃げ歩く彼の顔には明るさの欠片もなかった。




★   ☆   ★

20 :BIOHAZARDV ◆xrS1C1q/DM :2009/06/24(水) 23:55:03 ID:9185CQx2
「すまねぇが水を取ってくれないか?」

頼りない足取りで帰ってきたホルマジオは第一声で水を要求した。
イギーが砂を操作することによってディバッグを漁り、ペットボトルを手渡す。
片方の掌で作った椀へと水を注ぎ、自身の顔へと浴びせかける。
まだ痛みは引かぬものの一応視界は帰ってきた。
数回瞬きをして目の調子を確かめた後、すまなさそうに一言。

「すまねぇ、後一歩って所だったのに敵の本体を逃がしちまった。
 血の目潰し程度だったらそのまま殺れてたはずだ!」
「済んだことを気にしてもしょうがねぇ、ムカつくが責任の追及はしねぇよ。
 後一歩って事は手傷くらいは追わせたって事だ。前向きに考えようぜ。
 次やりやすくなるように繋ぐことができたってな」
「ありがとよ。だが……あの手は二度通じるものじゃないと思うぜ?
 野郎も俺の存在がいなくなれば警戒するようになるだろうよ」

あの手というのは今、チョコラータへと接近するために使用した作戦だ。

もっていかれた支給品の内訳より相手が再度拳銃を使用すると予想。
そこで、イギーのザ・フールでホルマジオとリトル・フィートの砂像を作成。
普通に作っては自衛に回す砂の量が不足するので中身は空っぽだ。
“本物”のホルマジオは一気にカビの出ないサイズまで縮んでから、ある程度のサイズまで拡大。イギーの頭上に乗っていた。
そしてワザと、かつ不自然にならない程度に隙を作り出し、攻撃をあえて受け止めて死んだように錯覚させ、
本物のホルマジオが接近しているということを察知させないという作戦だ。
余談であるが、この作戦において民家から出た際にはホルマジオは既に入れ替わっていた。
要するに銃撃の際の救出劇はイギーによるある種の自作自演だったというわけだ。

「もう一つのほうをやるべきだろうがココはな。
 テメェやイギーだって命を懸けている、俺だけ安全地帯でヌクヌクしてるってのは性に合わねぇんだよ」

アバッキオの覚悟に対してホルマジオは返事をしない。
分かっている。自分だって、チームの仲間であっても同じことを言うのは間違いないから。
しかし、敵を確実に倒しにかかるためとはいえ自分の命を捨てるのは最後の手段にしたい。
できるならば誰も犠牲にせずに勝てるのというのが一番好ましいのだから。
けれども考える時間はない、敵は今にも攻撃を仕掛けてくるだろう。
ホルマジオは腹をくくってアバッキオへと告げた。

「しょうがねぇな〜。簡単に死んじまうんじゃねぇぞ。
 死人を出して勝っても戦勝祝いのワインがまずいだけだからよ」
「ハッ! なんだかんだ言っても死に掛けの俺は早々狙われねぇだろうよ!
 むしろお前らが逝っちまわないかの方が俺としては心配だぜ」

敵に聞かれぬように小声であったが、端端から楽しげなものが読み取れる。
イギーの耳が小さく揺れる。
男達は目ざとくそれを感じ取り、イギーへと問い掛けた。

「イギー、敵の気配でも感じ取ったか?」

彼はよく観察しなければ気付かないほど小さく頷き、ある方向を向いた。
しかし、それは彼が聞き取った音源とは明後日の方角。
気付かれたことを勘付かせぬ為に別の方位を見ただけだ。
真の意思を伝えるのは足元から伸びた一筋の砂。
アバッキオたちは即座にその事に気がついた。

(確かに聞いたぜ! テメェのうめき声をな!
 このオッサンがどこまでやったか知らねぇが結構なダメージを与えたみたいだな)

おおよその敵の位置は分かったがこちらからは襲撃を仕掛けない。
そちらのほうへと警戒を深めるだけだ。

21 :BIOHAZARDV ◆xrS1C1q/DM :2009/06/24(水) 23:56:04 ID:9185CQx2
そして―――――     ―――――時は来た。


鳴り響く軽い音が2、いや、3。
イギーがザ・フールによって砂の防壁を生み出した。
来る方向の大まかな予測はついていたので楽に防ぎきる。
硬化を解除したことにより砂のカーテンが重力に負けて崩壊した。
三人の周囲を砂埃が包む。
人影すらも見えぬ状態が終息した時、そこにいたのはイギーとアバッキオ。
そして消えたホルマジオと同様、イギーも銃声のなった方向へ駆け出す。
残されたアバッキオは完全に無防備。スタンドを使ったとしてどこまで防ぎきれるか。
しかし、彼の下へ飛んでくる銃弾は一発もない。

「やっぱり放っておいても死ぬような怪我人は後回しにするってか?
 俺には神様に頼むくらいしかできねぇが……帰って来いよ」

アバッキオの半ば呟くような言葉に後押しされたが如く、イギーは更に加速する。
硝煙の臭いも一瞬であったが確かに嗅ぎ取った。
角を数回曲がり、直線を何mも走りきる。
彼は焦っていた、アバッキオの命のタイムリミットが迫っていることに。
イギーは最初に臭いを感じ取ったポイントの手前であろう交差点へと辿り着いた。
周りを見渡してみるも人間の気配らしきものは一切感じない。
臭いを嗅いで見る……医薬品の香りがした。

(胡散臭せぇ、本当に胡散臭せぇぞこれは。いままでカビで隠していたのにどうして臭いが明らかになった?
 ……間違いなく罠だよな。チッ! 行くしかないってやつだよなこれは)

意を決して曲がり角を左へと曲がる。当然右側のチェックもしてだ。
敵の本体らしき人間はいない。
あるのはここら一帯で飽きるほど見てきた民家の塀。
樹高が5m程で統一された街路樹達。
よくある設計のありふれたマンホール。
交差点で事故を起こさぬために必要不可欠の道具、信号機。
そして無造作に投げ捨てられた人間の右腕。
切り口から流れ出る鮮血がまだ止まっていないので切り落としてからそう時間は経っていないのだろう。

(あの野郎の……腕……だよな? ってことはさっきの声はこれをやったときのヤツか?
 けっ、本当に狂っていやがる。まさか自分で自分の腕をちょん切るたぁな)

恐る恐る近寄っていき、スタンドの腕で触れてみる。
………………何も起こらない。
が、害があるわけではないがとにかく不気味なのだ。
自分たちが進んでいく方向とは逆側に右腕を投げ捨てる。
落ちていく際にカビに包まれた肉塊。

(うへぇ……体から一度離れれば元々自分のものであってもお構い無しってかよ。
 気色悪いとか胸糞割るいとかそういう次元じゃないぞ!?)

げんなりとした表情となるイギー。
これからどのように本体を探そうか思索しようとしたところで―――――


鉄塊に大砲を叩き込んだような音がした。
マンホールによって塞がれていた穴よりチョコラータは出。
音がした時点で振り返ったイギーであったが一歩遅れた。
両腕に装着した鉤爪を振り回すグリーン・ディ。
砂を展開して盾に、しかし集中を欠いた状態では強度に不安が。
刃の先が砂の壁を突破して現れた。
大分勢いがそがれているとはいっても喰らえば致命傷。
その一撃がイギーを捉え――――――――――毛皮にぶつかって止められた。

22 :BIOHAZARDV ◆xrS1C1q/DM :2009/06/24(水) 23:56:58 ID:9185CQx2
チョコラータが狭く薄暗い穴倉の中ではなく、見通しの良いところにいれば即座に気がつけただろう。
イギーのサイズが通常よりも二回りは大きいということに。
全身に砂を密着させ、それを硬化しある種の鎧とする。
当然機動力を大きく損なうので戦闘中に常時使用できる代物ではない。
けれども奇襲の一撃を防ぐことのみを考えれば十分すぎるものがあった。
動揺を見せたチョコラータをイギーの上に乗っていたホルマジオが元のサイズへと戻りつつ襲う。
爪の一閃、かわしきれずに頬に大きな一文字を残す結果となった。

(クソッ! 喰らってしまったぞ! ヤツの能力は何だ?)

能力の発動に向けて身構えるチョコラータ。
しかし、何も起きる事はなくその事が彼にホルマジオの能力を誤認させることとなった。
本人が不利になるということを知って、あえて能力を使用したという事を知らずに。

(ヤツの能力はある種の瞬間移動か!? しかし、それではさっきの小石の説明が付かん……)

分からぬ事ではあったが、それを考えている暇はない。
対峙するホルマジオは爪に付いた血液を軽く振り落とした。
イギーのほうも体を覆っている砂をスタンドの本体へと戻し臨戦態勢を取る。
二対一、圧倒的に不利な状況下でチョコラータの戦いは始まった。

「コイツを取り付けるにはそりゃあもう、死ぬ思いをしたってもんだ。
 新鮮な傷口に異物を当てたらそれは痛いに決まっている、実に、実に痛かったよ。
 だからな……お前らも精々苦むんだなあああああああああああああああああ!」

宣言と共に両腕に取り付けられた鉤爪を振るう。
実際のところ、彼の武器は苦労した分だけいい働きをしている。
スピードは減ったものの、それを補うに十分すぎるリーチに力ずくで圧し切ることのできるパワー。
元来より下半身がないグリーン・ディの形状から考えて重心が崩れることもない。
剣術などの心得がないのでただ振り回すだけだが、脅威と言っても過言ではないだろう。
事実、ホルマジオも攻めに転ずる機を見つけることができずに防戦一方といった感じだ。
だが彼は攻めなくてもよいのだ。傍らには頼れる仲間が一匹。

「よしっ! やれイギー!」
(言われなくってもタイミングぐらいは合わせられるっつーの!)

ザ・フールの硬質化した爪先がチョコラータの肉体を切り裂いた。
咄嗟に回避行動を取れたため、傷自体はそう深い物ではない。
しかし、浅い傷としても幾度と無く攻撃を喰らったとしたら?
この二人のコンビプレーはチョコラータに防御することすら許さない。
比較的近距離での戦闘に優れたリトル・フィートが相手を足止めし、ミドルレンジからの攻撃に適している砂が間を読んでダメージを与えていく。
ゆっくりと、しかし確実にチョコラータの体に刻まれていく生傷。
彼の視線がチラチラと後ろを向いた。

「逃げる気か? それは正しい判断だ。俺だってこんな状況になったら逃げるぜ。
 だがな……残念な事に俺達はお前を逃がす気がないんだ」

怒るわけでもなく、哀れむわけでもなく、ただただ冷徹に告げられた死刑宣告。
とは言っても決して深くまでは飛び込んだりしない。
あくまでも敵の懐に潜り込むのはいざという時に対処しやすい方だ。
彼の脇腹に何度目か分からぬ攻撃が加わる。
そろそろ出血量的に余裕の保てない頃になってきただろう。
本体のチョコラータは俯きがちになり、完全にスタンドの視覚に任せている。
先の苦い経験より、ついついイギーへと忠告してしまうホルマジオ。

「“右手”からの目潰しに俺はやられたんだ。右はないがお前も注意しな」
(分かってるよ、そもそも目潰しされても片方が残るように二人できたんだろ?
 ちょっと焦ってねぇかお前? 手負いになったこれからがやばいんだぜ)

ホルマジオの耳の中で銃声がやけに長く響いたような気がした。

23 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 23:57:09 ID:sKOus7+V
 

24 :BIOHAZARDV ◆xrS1C1q/DM :2009/06/24(水) 23:57:54 ID:9185CQx2
嫌な予感がしたホルマジオは後ろに引いてチョコラータから距離を取る。
そして横目でイギーの姿を確認した。
……ちらっと見るつもりが気がつけば顔の全体がそちらを向いている。
目が見開いた、口が勝手に開く。

「なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」




そこにいたのは後頭部に穴を開け、白黒の毛を緑色へと染め直したイギーの骸。



ふと視線をずらしてみる。
拳銃を握り締め、銃口をこちらへと向ける切り離されたチョコラータの右腕。
吐き出された鉛玉をスタンドを前面に押し出すことによって防ぐ。
背後からは悠然と歩み寄るチョコラータの影。
瞬時にして自身の敗北を悟るホルマジオ。

(しょうがねぇ……潮時ってやつか)

悔しさで胸が焦がれるもこの事実は揺るがしようが無い。
手負いの相手とは言えども自由に動く右腕と本体を同時に相手取るのは荷が重過ぎる。
噛み締められた唇からは血が滲み出した。

「リトル・フィート」

本人にしか聞こえないような声で呟き、能力を発動。
イギーの忘れ形見であった砂を蹴り上げて砂埃に身を包みつつ縮んでいく。

「くそっ!」

もう一度だけ小さく悪態をつき、ホルマジオは戦場より離脱した。

「逃がしたか」

さほど残念がる様子を見せず、チョコラータは己の右腕を拾い上げた。
なおも血を垂れ流す全身の傷口をカビで包み込んでいく。
切断した右腕もカビによって断面を接着した。
指を動かして異常が無いかどうかを確認。
結果に満足したチョコラータは歩き始める。

「少し……血を失いすぎたな。まぁ、あの犬への復讐は果たせたしよしとしておくか。
 ホルマジオを殺し損ねたのは痛かったが、この傷だから逆によかったかもしれん。
 さて、どこか適当な民家にでも入って休息を取るとするか」

25 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 23:58:14 ID:sKOus7+V
 

26 :BIOHAZARDV ◆xrS1C1q/DM :2009/06/24(水) 23:58:54 ID:9185CQx2
ホルマジオとイギーが去ってからある程度の時間が経過、アバッキオの体が僅かに揺れた。
彼の命を司る砂時計が急速に全ての砂を振るい落とそうとしているのだ。
半ば朦朧としていきた意識の中で彼は決断を下す。
二人を追いかけて戦場へと向かうことを。

「このまま待ってても血がなくなって野垂れ死にするだけだ……。
 まだ戦いが終わっていない可能性だってありうるがその辺はしょうがねぇ。
 万が一足手纏いになりそうだったらばとっとと死んでやるよ」

半分足を引きずるような形で彼は歩き始めた。
モデルのような華麗な歩き方でも、大地を力強く踏みしめた歩き方でもない。
非常に頼りない足取りであったが瞳に輝く意思だけは消えずにギラギラと光っていた。
十m前後を歩いたと思いきや塀に寄りかかって息を整える。
道端にある石に躓きそうになって思わず冷や汗をかく。
遅々とした歩みであるが彼自身がそれを気にすることはない。
目的地へと向かっているのだ。自分はゴールへと向かっている、そう確信して。
少なくとも銃声の発生源の近くまでは行くことができたのだ。
残り3m、2m、1m、この交差点を左に曲がって―――――


「イギー?」

カビに覆われ倒れ伏す死体と辺り一面に散らばった砂を見た。



そうか、やられちまったのか。
俺の心の中でやけに冷静に答えは出てきた。
イギーと全く同じ体格、命の抜け殻となった消えつつある砂。この二つがあるのに違うとは言えまい。
あれだけ時間が経っても帰ってこなかったときに既に嫌な予感はしていたんだ。
ただ、あんまりにも死体が酷すぎて逆に実感が湧かない。

「お前は……本当にイギーなんだよな?」

何気なく呟いた問い掛けに“肉塊”は返事をしてくれない。
そして気にかかるのはもう一人の男の事。
ホルマジオの姿がないかを見渡してみたが―――――いない。
死体がないのだろうし恐らく逃げたのだろう、このことについてはあいつを責める気は一切ない。
勝てるか勝てぬか分からないこの状況ならば妥当だ。
少しでも多くの情報を持ったやつが生きて帰る。これは正しいと俺は個人的に思っている。
見た限りで把握できる大まかな情報を確認した後に、半身を傍に呼び寄せる。
己が分身の力を使って敵本体を此処を立ち去る直前まで巻き戻す。
本当は戦闘の部分もじっくり見たかったが俺の命が足りねぇ。
数分前のことだからか巻き戻しはあっという間に終了した。
……なんだ、ヤツも傷だらけなんじゃねぇかよ。
全身のいたるところから血が滲み出して服をどす黒く染めていた。
足取りだって俺と似たり寄ったりだ。

「行かねぇといけねぇよなこれは……」

ヤツを倒さなくっては休息どころか止血すら碌にできない。
勝ち目があるかは……かなり微妙だ。
だが、此処で退いちまったらイギーの死が文字通り犬死になっちまう。
生意気な犬だったがな、命懸けで戦ったってことは誰にも否定させねぇ。
リプレイをここでやめにしてムーディは俺の護衛に回す。
どこから来るか分からない攻撃にぶるってるわけじゃない
血が手がかりになってヤツの行く手を教えてくれているんだ。
じゃあ、足は重いがよぉ。追跡のほうは再開させてもらうとするぜ。


27 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 23:58:59 ID:sKOus7+V
 

28 :創る名無しに見る名無し:2009/06/24(水) 23:59:49 ID:sKOus7+V
  

29 :BIOHAZARDV ◆xrS1C1q/DM :2009/06/24(水) 23:59:53 ID:9185CQx2
★  ☆  ★



血痕の後を辿り、アバッキオは一軒の家屋へと到達した。
支給品にはこれ以上罠に使えるものはなかったと判断。
念のためにドアに耳を当ててみるが、物音も人の気配もしなかった。
ゆっくりとドアを開け、僅かな隙間より内部を見渡してみる。
人の気配はない。唯一の手がかりである血痕は点々と続いていた。
今までのことを考えると逆に不安がつのる。
が、アバッキオはあることに気がつき自嘲気に笑う。

「明らかに……俺は見下されてるってわけか。
 非戦闘型の一体くらいには真正面から行っても絶対に勝てるってなぁ」

一瞬だけ腹を立て、すぐにその考えを改めた。

「油断してるならさせてやるぜ、俺はその隙を突いていくだけだ」

思い直したアバッキオは再度血痕を追う作業を再開した。
追跡の一時的な終着は階段。
血痕は上へ上へと続いていっている。

「二階か……高所はヤツのテリトリーだな。
 いや、今更不利だなんだで怖気づいてるようじゃ決してやつには勝てねぇ」

段差に右足を乗せた、もう後戻りはできない。
手すりに体重を預けつつ、一段一段を着実に踏みしめていく。
弱った体を上り階段の傾斜が蝕んでいった。
息が今まで以上に荒くなる。
命が急激に削り取られていくのを感じた。
それでも彼は休憩を取ることなく前へ、前へと進む。
瞳に映るは頂上。
そして、二階のどこかに潜んでいるであろうチョコラータをも見据えていた。


★  ☆  ★

30 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:00:31 ID:rlrKwoJp
    

31 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:01:13 ID:sKOus7+V
   

32 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:01:58 ID:rlrKwoJp
 

33 :BIOHAZARDV ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:03:02 ID:9185CQx2

金属同士が擦れあう小さな音と共にアバッキオがドアの向こうより現れる。
ベッドに腰掛けていたチョコラータの顔が綻ぶ。

「ようこそ、レオーネ・アバッキオ。よくぞここまできたものだな。
 ご褒美とはいってはなんだがハンデをやろう、俺の慈悲に感謝することだ。
 “カビを解除して戦ってやる”どうだ、かなりおいしいだろう?」

彼には戦闘をするという意識が一切ないのが見て取れた。
満身創痍の男をじわじわといたぶって虐殺する、そのことしか考えていない。
ニヤ付いた笑顔をアバッキオへと向けながら手加減を申し出る。
彼の返事はない。
幽鬼の様な足取りでチョコラータの元へと向かうだけだ。
無視されたとしてもその行為がチョコラータの機嫌を損なうことはない。
これから自分のことを無視できないようにしてやろう。
このような情熱を燃やしだすのが彼の性格だ。

「そう冷たくするなよアバッキオ。
 俺からの気付け薬だ、ありがたく受け取るんだなあ!」

鉤爪付きの手袋をゆっくりとした動作で両腕へとつける。
アバッキオが無言なのも、スタンドを出さないのも消耗のためだと判断する。
意識も殆どなく、意地だけでここまで来たのだろう。
そう考えただけでチョコラータの全身が粟立ち、興奮で貌が紅潮する。
完全な無防備なアバッキオの左肩へと爪を振るい、肩の肉を抉り取った。
あっさり殺してはつまらない、この攻撃はそう語っていた。
しかし、アバッキオは怯むどころか目を瞑ることすらしない。
今までと寸分も変わらぬ歩調で迫ってくる。
次は右の腿へと刃の先端が突き刺さった。
血が湧き出てきたもののバランスを崩すことすらない。
まるで機械のようにひたすら前へと歩いてゆく。
流石のチョコラータもこの異常な出来事には頭を捻る。

「……スタンドの方か?」

彼の呟き、その考えが本当ならば合点いく。
ムーディ・ブルースの“再生”は起きた出来事を寸分違わずに再現できる。
つまりは足をもぐか、本体が死なない限りは止まることなく歩き続けるという事だ。
グリーン・ディが大きく右腕を振りかぶる。
日光を浴びて鈍く光る切っ先。
そして次の瞬間、アバッキオの胸から腹にかけて鮮血が噴出した。
それでも歩みをやめようとしない彼の姿にチョコラータは笑みを見せる。
念のために歩行の軌道より立ち退く。
アバッキオの狙いが油断して近寄ってきた自分の命を狙うことだと推測して。
幻影はそれでもなお前進を止めない。

「まだ生きてるとは随分としぶといなぁアバッキオ。
 苦しいだろ? 痛いだろ> 諦めて出てきたらどうだ?
 このままだとお前のスタンドがなぶり殺しになってしまうぞ?」

幼子に言い聞かせるが如く口調。
苦悶の表情が見たいという欲求はすぐにアバッキオに伝わった。
二度目の金属音と共に“もう一人”の方が現れる。
フィードバックしたダメージは残り少ない命を更に縮める結果となった。
しかし、もはや意味はないというのに先に部屋に入ったほうも歩みをやめない。
消す気力すら湧かないのだろう。
これから来る虐殺という名の宴の期待に目を細める。

34 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:03:38 ID:sKOus7+V
 

35 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:04:19 ID:sKOus7+V
   

36 :BIOHAZARDV ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:06:05 ID:EhaMXu7b
ドアから入ってきたアバッキオはふらつきながら歩いていた。
紅い命は絶え間なく流れ出し、言葉を発することすらままならない。
そんな彼の元へとチョコラータは歩み寄り、嘲った。

「くくく、一体どんな気分だアバッキオ?
 これから絶望の淵へと叩き込まれる気分はなあああああああああああああああああああああああああああああ!」




ドサリ




何かが倒れる音が背後から聞こえてきた。
最後の抵抗に備えてグリーン・ディを置いておいたムーディ・ブルースと思っていた方がいた方からだ。
機械のようにぎこちなく振り返ってみると、倒れていたのはアバッキオ。


理解不能  理解不能  理解不能


そう言わんばかりにチョコラータの表情が凍りついた。

「こっちにいるのはスタンドのはずだ! 何故スタンドが本体よりも先に倒れる!?
 いや……あっちが本体なのか!? ありえん、そんなわけがあってたまるか!!
あれだけのダメージを負いながらも微動だにしない人間がいるはずが――――――――――」


首元に目をやってみる、青い手が存在した。
前の見ると額に液晶画面のようなものが付いた無機質な顔……。
なんだって、そう叫ぶ暇もなくチョコラータの首は直角に曲がった。
糸を失ったマリオネットのように地面に倒れ伏す彼の体。
ベッドを紅く染めつつ、アバッキオは薄く笑う――――――――




やってやったぜ……!
何をされようと動じず、微塵も反応を見せぬ覚悟は出来ていた。
最後に倒れてちまったのは情けねぇがな……。
任務は達成したんだ、よしとしても罰は当たんないだろ?
しかし、体のいたるところから感覚が消えてってるな。
お陰様でヤツの攻撃に瞼一つ動かさずに済んだんだからこれもよしとしよう。
ムーディの最後に発揮したパワーも不思議だが火事場の馬鹿力からってことで納得しておくか。
本来の目的だった絞首だけじゃ間に合わなかったかもしれないからな。




「ッキオ……アバッキオ……」



誰かが俺を呼ぶ声がしやがる。もしかしてイギーとかじゃねぇよな?
しょうがねぇ……徐倫には悪いが俺もそっちの方へ行くか。
“あの人”も俺を許してくれるといいんだが――――――――――。

37 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:06:29 ID:rlrKwoJp
 

38 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:07:19 ID:rlrKwoJp
  

39 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:08:14 ID:rlrKwoJp
 

40 :BIOHAZARDW ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:09:02 ID:EhaMXu7b
「ッ! やっぱり痛いからやりたくなかったわ」

カビに侵された指先を糸へと変えて引きちぎる。
足元には気合の叫びと共にスタンドのつま先が開けた穴。
緑でコーティングされた糸をそこに投げ入れ、そのままストーン・フリーで埋める。
絹のように滑らかで白い肌に真紅の血が一つのアクセントとなった。
口では痛いと言っているものの、実際にはさほど気にせずに彼女は西へと歩む。
思考のウェイトの大半を占めているのは出会ったばかりの仲間の事。
どうか、どうか無事であって欲しい。
縋るように祈った彼女の眼前にSFそのものの存在が現れた。

「あれは……トカゲ?じゃないわよねぇ。やっぱり恐竜なの?」

黄土色の鱗に鋭利な爪、掠っただけでも怪我は免れないだろうと一目で分かる牙。
トカゲと似た部分は多数存在するも、雰囲気、サイズ、そして威圧感が完全に別な種族である事を告げていた。
呆然と立ち尽くす彼女であるが恐竜は何も仕掛けてくる様子がない。
安心した彼女が念のために進路を変えよとしたと同時、恐竜は彼女のほうへ飛び掛ってきた。

「何ィ!? コイツ……早い!」

上下の運動を制限されている身では立体的な回避は出来ない。
彼女は軽く後ろへ下がることによって恐竜の着地点から離れる。
跳躍の頂点に辿り着いてしまったからはこれ以上の軌道の変化は不可能。
そう踏んだ彼女の予測通り恐竜は現在地の数メートル手前に降り立つ。
タイミング的には完璧なものであった。
着地から来る衝撃による一瞬の硬直。
如何なる生き物であってもなくすことのできぬ隙を狙って叩くつもりであった。
けれども彼女もまたスタンドの拳を振り上げたまま凍りつく。
恐竜の脚は重力がもたらした衝撃を大地を蹴るエネルギーへと変換。
初撃よりも更に勢いを増して彼女の元に飛び掛る。
我に返った徐倫が迎撃しようとするも時既に遅し。
尖った爪が彼女の肩口へと突き刺さり、血飛沫を撒き散らさせながら飛び去っていった。
声をあげることなく傷周りの肉を糸へと変え、傷に縫い付ける。
なぜ首に攻撃して致命傷を与えなかったのか疑問に思ったが、それを考えるのは後に回す。

「これは……この恐竜の特性なの? それともただの射程?」

彼女の頭が最優先に考えるのはどうしてこの恐竜はカビないのかという疑問。
いくつかの可能性が浮かんできては消える。
再度こちらへと向き直った恐竜を見据えつつ、左手を下へ降ろしてみた――――カビない。

「なるほど、カビの射程のほうだったみたいね」

ひとまずの危機は去った事を確信する徐倫。
彼女が知る由もないがこれはグリーン・ディの真の射程ではない。
殺し合いの主催、荒木飛呂彦が突出した力によりバランスを崩させないように枷を着けたのだ。
本体のチョコラータからある程度の距離を取れば“胞子”は消滅する。
一度発生したカビは消滅しないが感染が広がる可能性はかなり落ちる。これが架せられた制限。
今、徐倫に与えられたハンディの一つが消え去る。
先程までは出来なかった少し腰を落とし気味な体制で恐竜と対峙。
次は直線的に突っ込んでくる恐竜。
カウンターとして放たれた左ストレートを持ち前の反射神経でかわす。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッッ!!」

続けざまに放たれた拳の弾幕も軽いフットワークで避けていく。
一発、二発、三発、四発、五発、六発、ついに叩き込まれる鉄拳。
しかし掠める程度であったので少し後退するだけに留まる。

「第二ラウンドの開始ってヤツかしら」

41 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:09:43 ID:rlrKwoJp
 

42 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:10:27 ID:rlrKwoJp
 

43 :BIOHAZARDW ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:12:03 ID:EhaMXu7b
岩をも砕くストーン・フリーのジャブが数発飛ぶ。
左右のステップで紙一重の余裕を残しつつ拳をすり抜け距離を詰める。

「オラァ!」

右足が恐竜の側頭部を狙い跳ね上がる。
軽く屈むことにより直撃を免れ、そのまま向かおうとする恐竜。
止まることのない右足の回転するエネルギーに左足で大地を蹴ったパワーを乗せて加速。
徐倫の体が宙に浮かび、左踵が恐竜の頭頂を狙う。
“回転”の力にも太古はついていく。
鱗が少し削ぎ取られるものの致命的なダメージには至らない。
両足が地面に付くと共に徐倫の体は再度飛び上がる。
後に残されたのは踏み込みの衝撃で抉れたクレーターとそこへ飛び込む愚か者の姿。

「やれやれだわ。このスピードと反射神経、単純なだけに面倒ね」

最初の交錯以来、恐竜が飛び上がることはない。
足を使って徐倫の隙を引き出そうと彼女の周りを走り回る。
こうなってしまっては彼女のほうも迂闊に攻撃を仕掛けることは出来なくなる。
ジャブ一発分の隙ですら見逃さないことが分かっているから。
こうして場の空気は膠着し始めた。
セオリーとしては恐竜のスタミナが切れるまで徐倫が待つべきなのだろう。
しかし、相手は始まりから今までの間に疲労の様子を一切見せない。
加えて徐倫には一刻も早くこの戦闘を終わらせる必要があった。
進退のないこの状況に歯噛みする徐倫。
痺れを切らした彼女は“障害”の元へと走り出した。

「ストーン・フリー!」

精神を研ぎ澄ました全身全霊の一撃が当たらないのだ、やぶれかぶれに放った拳が当たる道理がない。
軽くしゃがみつつ腕を掻い潜り勢いを殺さぬまま彼女に肉薄する。
咄嗟に肘を落として迎撃を狙うももう遅い。
尾によって右腕は弾かれ、気が付けば既に眼前に。
苦し紛れに放った左膝の上に器用に飛び乗り、膝に秘められた威力を殺しつつ――――徐倫の首元へ牙を突き立てた。
大きくのけぞる徐倫。しかし彼女の肌に染み出した血液の量はごく僅か。

「やれやれ、本当にやれやれだわ。捉えるのにここまで苦労するなんてね。
 逆に言えばッ! このチャンスだけは絶対に逃すわけにはいかない!」

苦しさに恐竜が思わず彼女の首筋から口を放す。
さっきのジャブとエルボーの狙いはダメージを与えることではなかった。
両腕を前に伸ばして恐竜の死角に持っていくことが真の狙いだったのだ。
そして彼女はあえて牙による一撃を喰らった。
突き立てた際に生じる隙、死角にある二本の武器。
致命傷になるほど牙が食い込む前に両腕で恐竜を抱きしめる。
いや、抱きしめるというような生易しいものではない。
腕の力によって恐竜の背骨を圧し折ろうとしているのだ。
プロレス技のいわゆる“鯖折”。
体を“く”の字にへし曲げられ甲高い叫びを上げる恐竜。
決死の抵抗が徐倫を襲う。
自由に動く前足による引っかき。
肩、顔を中心に紅い筋が無数に出来る。

「これしきの事ッ! なんて事ないわ!」

叫ぶことにより己を鼓舞する徐倫。
スタンドの背を締める力は徐々に強くなっていく。
それとは対照的に恐竜の抵抗する力は弱まっていった。

44 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:12:38 ID:rlrKwoJp
 

45 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:13:22 ID:rlrKwoJp
 

46 :BIOHAZARDW ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:15:02 ID:EhaMXu7b
(潮時か……私も向かうとしよう)

カビの感染の心配がないこともほぼ確定した。
恐竜の視界から不利な現状を把握し、参戦の決断を下す。
放っておけば殺されることが明白、しかし勝利するためには二頭でかかれば十分すぎるほど。
その事実はフェルディナンドの腰を上げさせるのに不足ない。
アヴドゥルであった存在が大地を蹴り走り出す。
強靭な脚力により出発より数分で戦地へと辿り着いた。
締める腕へ全意識を集中する徐倫はまだ忍び寄る博士の気配に気付かない。
物音を立てずに背後まで接近し、彼女の背を狙って爪を振り上げる。
殺気を感じ取った徐倫は反射的に掴んでいた恐竜を別の方向へと放り投げ、両腕で顔と急所をカバー。
が、一手遅れていた。
今まで対峙していた相手のものよりも更に巨大な爪が彼女の頬を切り裂く。
深い傷口からは血液が流れ出し小さな河を作った。

「その首輪……どうやらアンタが本体みたいね。能力は生物以外の何かを恐竜に変えるといったところかしら?
 条件はまだイマイチ分からないけど、自分も恐竜へ変えられるとは思わなかったわ。正直ちょっと驚いてる」

本体にはついていた首輪が小さい方についていないことから元は“参加者”でなかったと推測。
自分の仮説が間違っていることに彼女は気がつくことはない。
上から下へと左手を滑らせ頬に付着した紅を親指で掬い取る。
大きく指を振り血を振り払った後に、指に残るものを舐め落とす。
そして紅く染まった唾を地べたへと吐き出し――――フェルディナンドの導火線に火がついた。

「貴様も大地を敬わぬクソ頭しか持ち合わせていないようだな!」

リンゴォに見破られた反省を生かし、極力口の中を見せぬように言葉を吐き出す。
前後から二頭が同時に跳躍した。
左か右か、特に意識することなく徐倫は右手に飛びのく。
着陸時の隙を狙うか、あわよくば二体が宙で激突するのを期待して。
放物線が上昇を止め下降を始めた。
弓のように腕を引いて構える徐倫。
二頭はぶつかることはなかったが予想通りの軌跡を描いて落ちていく。
狙うは本体である首輪付きの方。


交差した時、フェルディナンドは虚空の中で唯一の足場であるもう一頭を利用した。
一度目よりも更に高く飛ぶ大きい恐竜と地面へ叩きつけられる小さい恐竜。
どちらへ攻撃しても残ったほうの攻撃を喰らうのは必至。
地に伏す者が起き上がるのと天へ昇った彼が頂点に達したのはほぼ同時。
反撃を諦め、徐倫は二方から距離を置いた。
しかし重力の恩恵でより加速したフェルディナンド達と迫るもう一方を同時に退けるのは至難の業。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッッ!!」

ラッシュの手数により勝負を試みる徐倫。
先発として小柄なほうを向かわせ、フェルディナンド達はその後ろを走る。
小回りが聞く分、ラッシュを掻い潜りやすいという算段の上でだ。
けれども先刻の激突が告げるとおり、当たるものは当たる。
一発喰らって動きが止まったところから追撃の連打が体を叩く。
悲鳴を上げながら押し返されていく恐竜。
“囮”には見向きもせずに突進を喰らわせる。
肺から空気が抜ける感覚を味わった徐倫であったが、すぐに上にのしかかる者の顔面に一撃。
新たな傷を増やしつつも彼女は立ち上がった。
そこへ突き刺さる無情な死刑宣告。

「そう、そのパワーに対して真っ向から対峙するのは御免こうむりたい。
 だからこそ……いたぶって失血死を狙わせてもらおう」

47 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:15:10 ID:rlrKwoJp
 

48 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:16:27 ID:rlrKwoJp
  

49 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:16:46 ID:pou62lK5
支援

50 :BIOHAZARDW ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:18:02 ID:EhaMXu7b
フェルディナンドの予告に徐倫は眉一つ動かさない。
不本意ながらも殺す殺されるの戦いには随分と慣れてしまった。
スタンドの補助を得つつ大地を蹴る。
目指すはまたしても本体。
裂帛の叫びと共に眼前へと詰め寄る。
己からの攻撃はまだ仕掛けない。
首筋を狙った一閃を左腕を使って上手く逸らす。
小柄な一匹が仕掛けてくる体当たりにも踏みこたえて倒れたりはしない。
逆に体を持ち上げて巨躯へと投げ飛ばす。
投擲されたほうも受け止めたりはせずに同じ動作で回避と攻撃を。
スェーバックで紙一重にかわすものの前髪の先端が数本散った。
小刻みなステップで徐倫はフェルディナンドの背後へと回り込んだ。
瞬時にして反応して振り返って見せるもそこに彼女の影すらない。
冷や汗をかく博士であったがすぐに居場所は察した。
恐竜の視線を下へと向けさせる――――いた。
地面スレスレを滑り足元を狙う右腕を軸とした両足。
軽くジャンプする事により彼女の脚は虚空を舞った。
しかしその回避すらも想定内、折込済みの出来事。
体を捻り、左腕も地面に付け体の角度を変化させる。
回転力を上手く利用したことにより、地面と水平であった体はさしたる力を使うこともなく向きを変えた。
地面とほぼ垂直にそびえ立つような形へと。
両肘、両肩、両膝と順に折りたたんでいく。
マズイ、直感がそう告げるものの体は制御できない。

「そこぉっッ!」
「ぶげっ!」

先程は間逆の順で伸ばされていった間接達。
それぞれの加速が生んだスピードと天へと延びた体の軌道は形容するならばロケット。
二つの足が顎に衝突し、自慢の牙と吐き散らかしながら宙を舞う恐竜。
倒れ伏した相手を再起不能とするべく徐倫が迫る。
が、ラッシュのダメージより回復した方が行く手を遮った。
舌打ちと共に徐倫はそちらと向かい合う。
その隙にフェルディナンド達も立ち上がった。
再び彼女の足がステップを刻み始める。
蝶の様に華麗に舞うものではなく、獲物を刺し殺す蜂のような鋭さを持ったそれを。
強攻すれば手痛い反撃を食らうが彼女は防御に専念しているのでそう攻撃は喰らわない。
徐倫の行動に博士は首を捻った。

(この動きを続けて何をやりたい? いくらスタンドの補助があろうとも限界は来るはずだ。
 そうだ、恐竜でもない限りは絶対に限界が出てくるはずなんだ。体力にはな)

事実、見るからに徐倫の体は疲弊していた。
全身を流れる汗、間隔の短くなった呼吸。
彼女のリミットを知らせるものは他にもいくらでもあった。
思考にふける彼を他所に彼女が何度目か分からないこちらへの接近を仕掛けてくる。
右腕を振り上げつつ、左腕による直線的な攻撃を。
このフェイントを彼女は完全に見切ったものの回避の際に足を滑らせた。
小さいほうの恐竜はこの隙を決して見逃すことなく走りよってくる。
彼女は薄く笑った。
スタンドの張り手を己の頭にぶつけて無理矢理倒れこむ。
対象を失った恐竜は勢いを殺せぬままもう一匹のほうへと突っ込み――――――


完全に不意をつかれたフェルディナンドと共に地面に倒れ込む。
地面に叩きつけられた痛みによって一瞬目を瞑ってしまった博士。
目を開けた彼が最初に見たのは拳を鳴らした後に、首を鳴らす徐倫。

「やっと捕らえたわ……オラオラオラオラオラオラおラオ来オラオラオラオラオラオラオラオラオラアアッッッ!!!」

51 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:18:23 ID:rlrKwoJp
  

52 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:19:24 ID:rlrKwoJp
 

53 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:21:14 ID:rlrKwoJp
 

54 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:23:24 ID:8Ly6kwG9
支援

55 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:24:39 ID:pou62lK5
面白いけどすごく誤字いっぱいで指摘しきれない
支援

56 :BIOHAZARDW ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:26:04 ID:EhaMXu7b
気がつけば彼は民家の中にいた。
アヴドゥルの体を動かそうにも動かない。既に体の限界が来ていた。
小さく溜息をつきつつ一旦スタンド能力を解除。

(この際あの女を恐竜としてしまうか? ……いや、駄目だ。
 二匹いてやっと互角な上にイギー監視をやめるわけにはいかない。
 生きた人間を恐竜化するには数分かかるというのは思わぬ欠点だな)

心の中で愚痴を言いつつ彼は二人の死体を見た。
いや、正確には繁華街近くで拾った男の死体をだ。
元から凄惨な様子であった死体がどう変化しようと彼になんら感慨は湧かなかった。
殴られ続けたお陰で一層損傷の激しくなった頭部へとメスを突き刺す。
周りの肉が寄り合って再び新しい命へと昇華する。
幾度も見てきた光景であるし、これからも数知れず見ていくことになるであろう景色。
死体を見たときと全く同じ感情を抱きながら彼は変化を見届けた。
傷一つない鱗、綺麗に生え揃った牙、少しのへこみや欠けもなく尖った爪。
今までボロボロだったのが嘘のように恐竜は元通りに蘇った。
そして彼はアヴドゥルを見ようとする………首を動かす事ができない。
完全に無意識の内に彼は自身の体に金縛りをかけていた。

(何を馬鹿なことをやっているのだ私は!
 アヴドゥルはもう死んだ。これだけは何があろうとも覆しようがない。
 今更したいがどうなってようとも問題はないはずだ!)

強い調子でまくし立てる心中とは裏腹に体は動かない。
激しい苛立ちが彼の胸へと去来した。

(早くするんだ! 早くしなければ今にもあの女がココへと来てしまうぞ!
 見ろ! 見ろ! 顔を僅かでもいいからそっちへと向けるんだ!)

精神が無意識を凌駕し始めた。
油の切れたブリキのおもちゃのようにぎこちなく回る首。
彼は見た、アヴドゥルであった何かを。
巨大なハンマーで何度も叩き潰されたかのような顔、特に顎は原型をとどめてすらいない。
衣服の所々が破れ、筋肉に覆われた肉体は所々が陥没している。
手と足の関節は無数に増え、通常ではありえぬ方向を向いていた。
思わず目を背けるフェルディナンド。
あまりにも情けない自身を叱責しつつ再度彼の方を見た。

眼孔から零れ落ちた彼の左目と目が合った。

込み上げる猛烈な吐き気を必死に飲み込む。
目に滲んだ涙は果たして何が原因だったのだろうか?
吐き気から来るものだったのか? それともあるいは――――。
これは本人であるフェルディナンド自身にすら知り得ない難題。
だが、答えの一つが彼の脳裏を過ぎった。

『自分は間違っていると』

彼はその後に無理矢理言葉を続けた。
あたかも折れそうになる自身の心を納得させるかのごとく。

「だからこそ、私はこの殺し合いで優勝する必要があるんだ」

半ば呟くような弱弱しい宣言。
しかし少しであるが吐き気が和らいだ気がする。
今度は迷うことなくアヴドゥルの崩れかかった死体を見据える。
メスで彼の体に一筋の傷を付けた。
徐々に異形へと生まれ変わりつつある彼の姿を眺めながら、
博士は「そういえば何故あの女はこちらへと来ないのか?」と考えた。

57 :BIOHAZARDW ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:32:05 ID:EhaMXu7b
自身がブチ破った穴より小さいほうを外に出して見回りをさせる。
左右、念のために上を見てみるものの人影らしきものはない。
共有した視界に映るのは風に流されて飛んでいく雲だけ。
軽く息を吐き出し、少し時間を置いてみるものの今までに戦っていた相手は姿を見せない。
もしや恐竜の秘密に気付いたのか? と案じるも、気付かせる要素はなかったと自らを納得させる。

「助かったのはやつなのか? それとも私か?」

何気なく呟いた一言に答える相手はこの場において誰もいない。
このことが沈み気味だった彼の気分を更に悪化させることとなった。
安全を確認すると恐竜の中に忍び、民家の敷地内から出て行こうとする。
同時に背中を襲った重量感、違和感。
何があったかを彼が知るまもなく暴れだす恐竜。

「もらった! 一か八かの勝負だったけど……どうやらこの賭けは、私の勝ちの様ね!
 アンタ達は動かないものを見れない! 確かめるためとはいえ、怪獣を目の前にして動かないってのは辛かったわ」
「なんだと!? なぜだ! どこでそれに気がついた!」
「答えてあげるわ」

その言葉と共にストーン・フリーの腕に込められた力が一層強まる。
此処へ来て博士は、徐倫が恐竜の首を極めているのであるという事に気がついた。
体をゆすって振り落とそうとするも両手両足は決して緩まない。
体内にいるフェルディナンドの顎から冷や汗が滴り落ちた。

「まず最初にこいつが襲ってきたのは私が動いてからだったわ。
 それに次の攻撃の時も私の頚動脈を外した。格好のチャンスだったにも関わらず。
 私はその時とある事情で完全に動きを止めてたの。ついさっき気がついたんだけどね」
「バ、馬鹿なッ!? たったそれだけの手がかりで特性を見抜いたと!?」
「言ったでしょう、私は確かめてみたってね。
 ラッシュで吹き飛ばした後、私は穴の脇でジッとしていたの。その結果は……ね」

言い終わるや否や徐倫はトドメを刺しに走った。
これまで完璧に動脈を締められたならば恐竜の生命力を以ってしても数分と持たないだろう。
小さいほうを動かそうにも同士討ちを恐れるあまりについつい躊躇ってしまった。
活路を見出すために博士は恐竜を跳躍させ、宙で姿勢を制御し背を下へと向ける。
総重量は計り知れぬが確かなことは一つ、背中に張り付いていた徐倫が重傷を負ったということ。
巨躯から繰り出されるボディプレスによって彼女は喀血する。
けれども締める腕の力だけは何があろうとも緩めようとはしない。
知らぬうちにフェルディナンドの口から漏れていたのは恐怖の叫び。

「死ね! 死ね! 死ね! 死ね! 死ねええええええええええええええええええ!」

半狂乱になりながら同じ動作を二度、三度と繰り返す。
怖かった、ただひたすらに彼女の事を恐れ続けた。
敵の弱点を見抜くために自分の命ですらも惜しまずに懸けること。
どんなにダメージを食らおうと決して喰らいついた牙を離さないこと。
つまりは、死を恐れぬ彼女の精神が怖かった。
空条徐倫の全ての挙動が博士の大脳よりアヴドゥルの記憶を引き起こす。
年齢も人種も、性別すら異なる両者の姿が不思議と重なって見えた。
唯一違うのは、アヴドゥルはフェルディナンドの命を救ったが、徐倫はフェルディナンドに命を狙われているということ。
彼にとっては何故かそれが許されざることのように思えた。
故にそれを振り払うかのように彼は攻撃の手を休めない。
その目は血走り、彼の理知的な雰囲気を霧散させていく。

徐倫のほうも最初の一撃以外は命に関わりかねないダメージは負っていない。
とはいっても一撃一撃の非常に重い攻撃は彼女の体を徐々に蝕んでいく。
何発目だろうか?
彼女は再び口より血を吐き出し、同時に一瞬だけ緩む拘束。
恐竜はその刹那すらも逃さずに必死に身を捩る。
そして、恐竜は小さくも堅牢であった檻より脱出を果たした。

58 :BIOHAZARDW ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:35:08 ID:EhaMXu7b
「君のその精神力、ああ感嘆したよ。本当に尊敬できると思う。
 だがな、私はそういう“愚か”な生き方をするヤツの気持ちが分からないんだよ。
 あぁ本当に君は狂人のようにしか見えない。尊敬できるというのは嘘ではないが決してなりたくはないタイプの人間だ」

内臓をやられた痛みで腹を押さえる徐倫にとって意外な言葉が投げかけられる。
ふと顔を上げてみるも大きい顎から続く言葉はない。
ただ、一瞬だけ頭を垂れた後に彼女に襲い掛かるのみだ。
タイミングをずらして襲撃する二頭にもはや反応することは出来ない。
軽い舌打ちと共に砂を一掴み掬い上げ恐竜達へと投げる。
幾ら動体視力があろうとも広がる粒子を完全に避けるのは不可能。
目に入って時間を食うよりはましだと一瞬だけ瞼を下ろす。
攻撃が来る事を覚悟するも、聞こえたのは去っていく彼女の足音。
逃げたとは判断しない、あくまでも戦略的なものがあるのだろう。
短い交戦で彼女ならば敵を見逃さぬだろうと判断する。
先程までは使っていなかった、嗅覚、聴覚も全て使用して彼女を追いかける。
その姿はまさに捕食者。
太古から蘇ったハンター達は獲物を追い詰めるべく走る。
匂いから判断すれば彼女はこの茂みへと入ったのだろう。
非常に細い路地。サイズ的にアヴドゥルのほうが入れば一杯一杯になるはずだ。
彼女のほうもそれを見越して此処を選んだのだろうと判断する。

「この程度の浅知恵で私を倒せると思ったか……。
 稼いだ僅かな時間ではどの程度体制を整えられただろうか? 殆ど何もないだろうな」

小型で比較的自由の利くであろう小さい恐竜を路地へと突撃させる。
自身達はといえばその場からの跳躍で屋根の上に飛び乗った。
巨獣の着地の反動により、瓦が数枚割れ砕ける。
そう進まないうちに小道に立ちふさがる徐倫の姿を見た。
息も荒くなっている彼女の消耗は相当激しいのだろう。
体のバランスもおかしく、左寄りに傾いてしまっている。
好機と判断したフェルディナンドは構わず恐竜をけしかけた。
彼は大きな事を見逃している。
ストーン・フリーの明かされていない能力を完全に失念していた。

「私の能力、まだ教えてなかったわね? 私の能力はストーン・フリー。
 シンプルにたった一つの分かり易い部分だけを教えてあげるわ。
 自分の体の一部を“糸”に変化させることが出来る、これが私の力よ。
 そしてやれやれだわ。近距離パワー型の脚力をしてもこれは中々骨が折れたわ。
 バランスも悪い、千切れそうになる足が痛い、本当に散々ね。
 でも、これで私が一歩上をいくわ、コイツをこの戦いの場から退場させる」

フェルディナンドはついつい彼女の話を聞き入っていた。
これはジョースターの血筋が持つカリスマか、それとも黄金の意思の眩さか。
どちらにしろ彼が精神力で彼女に一瞬であろうとも押されてしまったのは事実だ。
その事を理解し、眉間に皺がよるも戦闘における集中力は切らない。
恐竜の数メートル手前で徐倫の体のバランスが一瞬崩れた。
今までは匂いで彼女の位置を把握していた彼が彼女の体を改めて視認する。
左足がなかった。いや、足の付け根辺りから伸びる糸のみが存在した。
糸の先は動いていないから何があるかは分からない。
だが、伸びた糸の高度からしてあれしかありえないだろう。

「弱ったとはいっても私のスタンドは近距離パワー型。
 問題は折ることよりも支えることだったわね」

彼女の溜息と共に木が倒れていく。
前に飛ぶか? 彼女がいるから無理だ。
左右へ飛ぶか? 壁に阻まれて不可能だ。
飛ぶか? 木との激突が早くなるだけだ。
後ろへ逃げるか? 最後にこの選択肢が出てきたのは彼の成長によるものだろう。
しかし、この場においてはそれが仇となり、逃げ遅れた恐竜は―――巨大な質量によって押しつぶされた。

59 :BIOHAZARDW ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:38:03 ID:EhaMXu7b
「さて、これであんたと私の一騎打ちって状況が出来たわね。
 今までの戦局を見る限りだと私のほうが有利みたいだけど、今の私は傷だらけだわ。
 要するにどっちが勝つのか分からない。あんたも分かっているでしょう?」

潰され、身動きもとれずに呻いている恐竜を一瞥し徐倫は路地より出る。
そして居場所も分からぬ対戦相手へと宣言した。
丁度他の家が影となり見えない位置に立っていたフェルディナンドは悩む。
バカ正直に正面へと立つか、このままこの場を去っていくか。


自分の理性的な部分は告げる『このまま立ち去れ』と。
確かに先程までの白兵戦から考えて勝率がないわけではないだろう。
しかし、彼女の持った糸の力。変幻自在なそれは戦力としての価値を図りにくい。
あの時まで一切能力を明かさずに乗り切った駆け引きも自分に真似できるかどうか。
身体能力などの基礎値では勝るも、戦い方は明らかに向こうのほうが上手い。
それでも私の感情的な部分は叫ぶ『立ち向かって打ち勝て』と。
彼女を越えればアヴドゥルの幻影に縛られることもなくなる、そんな気がした。
強く、気高い彼女を踏み台にすればどこまでもいけそうなのだ。
弱き心を断ち切るためにも此処で彼女は倒さなくてはならないと思う。


彼の心の中の拮抗は―――――後者が勝った。
皮肉な事にも決め手となったのは『覚悟を決めた相手に覚悟を持たぬ私が勝てるのか?』という彼の否定した精神論であった。
声が聞こえてきたほうより、背を向けてフェルディナンドは去っていく。唯一つの置き土産を徐倫に残して。

「面白いことを一個だけ教えておいてやろう!
 さっきお前が潰したあの恐竜。実はあれの中身は人間だ。
 信じられぬなら見に行け、後悔すると思うがな」

吐き捨てると共にダイアーにかけたスケアリー・モンスターズを解除。
今頃は木の本で潰れた無残な死体という光景が展開されているのだろう。
そう、これは彼なりの徐倫に対する復讐。
死体を見て彼女がどう反応するのか?
自分が殺したと思い込み、再起不能の廃人となってしまうのか?
そこまでは行かなくても少なくとも衝撃だけは受けるだろう。
想像すると黒い快感がフェルディナンドを包む。
下卑た喜びに浸りかけた事に少し顔をしかめつつ、彼は戦場より離脱した。


★  ☆  ★

60 :BIOHAZARDW ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:41:05 ID:EhaMXu7b
逃げられた! いや、最後の発言は……罠?
それとも本当にあれは……人間が恐竜に変えられただけだって言うの?
どちらにしろ私はあの場所へ向かわなくてはいけないみたいね。
重い足を引きずりつつ一歩づつ着実に進んでいく。
アバッキオにイギーは無事かしら?
アナスイ、ウェザー、FF、父さんもいい仲間を見つけたのかしら?
向こうにいるエンポリオとエルメェス、それにママはしがらみを忘れて上手いことやってるのかしら?
ちょっとだけ涙が零れたけど、これくらいは許してくれるわよね?
そして私は引き倒された木の鎮座する場所へとまた辿り着いた。
正直に言っちゃえば嘘だって思ったわ。
だって小さすぎるし、本体のほうにある首輪がついてなかったから。
けどね、本当にその人はいた。
顔もどうなってるか分からないくらいに潰れて、肉が細切れになったその人が。

「あっあ……うあああああああああああああああああああああああああああ」

間違いない、私が……私が殺してしまったんだ。
ラッシュを何回も当てた上にこんな木で押しつぶしたんだ、肉体だって無事なはずがない。
潰れてなのがどうなっているかわからない顔を私は見た。
この人は私が殺した。
家族も恋人も仲間もこの殺し合いの会場にいるんだろう。
次の放送でこの人の死を知ったらどんな風に思うんだろうか?
いや、悲しまないはずがない。きっと泣きじゃくってしまう。
どんなに心の強い人だって悲しみを感じないはずはないんだ。
私のせいで、私が殺しちゃったせいで。
ボロボロになった死体じゃせめてもの供養すら出来ない。
見ただけでとても……とてもショックを受けちゃうだろうから。
崩れた頭部へと私は駆け寄って抱きしめた。
この人の知り合いを探そう、何があっても罪を償おう―――――



そこまで考えた所で、彼女、空条徐倫の意識は完全に途絶えた。
あまりの現実感のなさに逃避しかけていた彼女の思考も、起き上がったときは完全に復活するのだろう。
その時になって彼女がどのようなことを考えるかは分からない。
たった一ついえることは彼女は“人殺し”という罪を己に科しまったという事だ。
冷静に考えれば分かっただろう、この死体に存在する様々な矛盾点に。
生憎と彼女は完全に取り乱していたのだが。



「父さん……」


彼女の顔で涙が河を作る。
風は、そんな彼女の頬を優しく撫でた。



★  ☆  ★

61 :BIOHAZARDW ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:44:05 ID:EhaMXu7b
私の行動は間違っていない、決してだ。
そうだろアヴドゥル君。と言ったところで君は返事をしてくれない。
なぜなら君はもうモハメド・アヴドゥルじゃないからだ。
あぁそうだ、何度も確かめてきた事実じゃないか。
ならば何故私は“あれ”出来なかったんだ?
思いつかなかったわけがない、最も基本的なことを忘れるはずがない。
下敷きにされたヤツの恐竜化を解除すれば動揺して隙も出来るはずだ。
不可能ではない、むしろチャンスには溢れていたはずだ。

「そうだ、アブドゥルを捨て駒にしてでもあの女を引っかけば私たちの勝ちだったんだ」

苦々しげな声が私の口から漏れ出した。
本当にそうだったと今になっては思う。
私がアブドゥルの体内から出て、彼をあの女の下に突撃させる。
先程までならば百%の確立で爪の一撃当てれるかどうか不安だったが、
人間一人分の重さがなくなったことに加え、彼女の傷つきようから判断するに確実に一かすりはいった。
無謀な賭け等ではなく、論理的に考えれば当然の行為だった筈だ。
確かにアブドゥルが本体だと思っていたあの女の口ぶりからいえば彼の体も無事にはすまない。
民家で見たときよりも更に酷いものになるってくらいは容易に想像がつく。
だが! それが一体なんだったというのか!?
勝つためならば些細な問題は切り捨てるべきじゃないか!
これではまるで感情論などという下らないものに私が振り回されているみたいではないか!?
……いや、確かに私は振り回されている。
結局私もさっきの狂人どもと同類というわけか?
尊敬を知らぬものと同じ程度の頭しか持ち合わせていないというのか?

「クソッ、私がこんなにも弱い人間だっただと!?」

口調が荒れてしまっているのがはっきりと分かった。
普段ならばこんな物言いをすれば周りから奇異の目で見られるだろうな。
恐竜の中から這い出てみる。
アブドゥルが私を目で追うが、瞳からは知性の欠片も感じられない。
彼が私の命を救ったというのは紛れもない事実だ。
そうだ、それだけは自覚している。
彼の持つ黄金の精神に私が多少なりとも感化されたのは認めよう。
仲間へと遺志を伝えようというのも私が彼に対して恩義以上の感情を抱いていることも確かだ。


だが! 私は一体どうすればよいというのだ!?
イギーが死んだというのをついさっき翼竜が教えてくれた!
花京院の元へと飛ばしてみたが彼もまた死んでいるのかもしれない!
どうすればいいというのか!?
彼の最後の願いを完遂することが不可能となった私はどうすれば!?
誰でもいい、是非とも教えてくれ!
私は弱い人間だ。そうだ、死ぬのが何よりも怖いと思っている!
荒木にだって勝てる気がしない!
ロビンスンやリンゴォとやらが言った男の世界ってヤツを理解できないんだ!
だったら私は殺すしかないじゃないじゃないか!
後戻りなんてできっこない、誰も殺してはいないがあの女にやったことは許させるはずもない!
そもそも荒木に勝ち目がない以上は殺すしかないじゃないか!
何故だ、何故君は命を懸けて満足げな顔を遺して死んでいくことが出来るんだ!
分からない、私には到底分かりっこない!
たった一つだけ言える事はある。
結論を既に下してしまったという事だ、私には悪にしか思えないがこれしかない。

優勝して元の世界へと帰る



私には―――――――――――それしかない

62 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:44:35 ID:8Ly6kwG9
shienn

63 :BIOHAZARDW ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:47:03 ID:EhaMXu7b
★  ☆  ★



「しょうがねぇなぁ」

溜息混じりに発した口癖はかなり疲れた感じだった。
本当に俺という人間はしょうがない。
いや、違う。俺は“どうしようもない”野郎だ。
アバッキオの元へ俺はあえて戻らなかった。
あいつは勝ち目がなかろうとも敵の元へ向かってしまう。
直感だが中々不思議と間違っているという気はしねぇ。
だけどよぉ、それはただの犬死なんじゃねぇのかよ?
そんな事を考えちまう俺は間違いなく臆病者の部類に入るんだろうな。
けどな、しょうがねぇじゃねぇか。
俺だって一度喰らいついて勝機が見えた状態なら逃げたりしないぜ。
だが……あの状態からは勝ちってヤツが連想できなかったんだ。
博打は大好きだが負ける可能性のほうが高いヤツには絶対にのらねぇ。
賭けてるのは命だってんだからなおさらだぜ。
生き残るためには大勝負をしっぱなしよりは小さい勝ちを重ねてく方が確実だしな。
そもそもアイツは無茶して自分で倒さなくとも何とかしてくれるヤツがたくさんいやがる。

「俺は……何なんだ畜生!」

頭を使えばどんなくだらねー能力だって使えるようになる。
日頃からそうやって豪語してきた俺はまるっきりピエロじゃねぇか。
ウチのチームを見渡すだけでもアイツに勝てそうなやつは幾らでも存在する。
むしろ俺以外ならば全員勝利を収めるんじゃねぇか? って思うほどだ。
許可したもの以外は入ることの許されない鏡の世界を生み出す能力。
半径200m以内の生物を全て老化させ朽ち果てさせるガスを出す能力。
近距離型の力、速度、更に遠距離型の射程までも兼ね備えてる能力。
ほぼ無敵の“息子”を量産し本体には全くダメージが届かない能力。
触れたもの全てを凍てつかせる矛と堅牢な氷の鎧を備えている能力。
磁力を操り、敵の体内から刃物を産んだり自身を透明化させる能力
あぁ、こんな奴らの中において俺の能力だけが無力だ。
遊びで殺しをするようなゲス野郎に不覚を取るのは俺だけだ。
暗く沈んでいく思考、仲間が見れば間違いなく何やってんだって笑うんだろうな。
別方面に考えを飛ばすために別のことを考えてみる。

「アバッキオは……結局どうしたんだ?
 一人で向かったんだよなぁ、おい。間違いなく死んでやがるか」

あいつの死に関して悲しんだりはしない。
元来ならば俺の所属しているチームは、ヤツのチームとの血みどろの抗争をおっぱじめる予定だったんだ。
この殺し合いがなければ俺とあいつらは殺しあってたはずなんだからな。
その辺に関しては俺も冷静に考える事ができるぜ。
確かに見殺しにしちまったのは悔しいっちゃ悔しいが身を裂くほどじゃねぇ。
あぁ、立ち向かったであろうあいつを尊敬するって気持ちは多少なりともあるがな。
奇跡が起こったとしても相打ちどまりなんだろうよ。
……なんだかんだでアイツにも少し情が移ったのかも知れねぇな。
なんだかんだ言いつつも少しだけだが虚無感を覚えちまってる俺に気がついた。
戦闘中ではあったがあいつと笑いあった事もあったしよ。

「いい加減俺も疲れちまったな」

疲れたのは体か、それとも心か。
二度目の溜息と共に頭に手を伸ばして頭部をかきむしる。
カビがどうたらってのは気にしねぇ、イライラをぶつける対象が他にねぇんだからよ。
独特な音が俺の頭から響く。
ふと何気なく腕を少しだけ慎重に降ろしてみた。

64 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:48:39 ID:qpFnc7J/
そう!支援ッ!

65 :BIOHAZARDW ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:50:04 ID:EhaMXu7b
カビが生えない。



本体が死んだか? 咄嗟に思ったがそれはありえないなと否定する。
アバッキオが勝てる確立はさっきも言ったとおり奇跡でも起きねぇと無理だ。
どっちかといえば射程距離とかあんがえるのが打倒だろうな。
少し思考が飛び掛っている俺の目の前に一人の女の姿が見えた。

「あれは……アバッキオと行動していた女。確かジョリーンって呼ばれてたよな?」

職業柄人の名前と顔を覚えるのが得意な俺はすぐに脳みそのデータベースから女の名前を持ってきた。
あいつの仲間って事はある程度信頼を置いても安心ってことだな。
だが、これだけは不安だ。
このことをほって置いたら後々でやばいくらい面倒なことになる。
それは――――――――



女が潰れた男の生首を持ってやがるってことだ。
面倒ごとはしばらくゴメンこうむりたいぜぇ。
さて、俺は最初に考えたのと同じ三択を考えなくっちゃいけないって訳だな。


「しょ〜〜〜がねぇなぁ〜〜〜」



66 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:50:10 ID:8Ly6kwG9
まだ支援だッ!

67 :今にも落ちてきそうな空の下で ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 00:51:11 ID:EhaMXu7b


















ジョジョの奇妙なバトルロワイヤル 第124話 『BIOHAZARD』 終幕






          『今にも落ちてきそうな空の下で』




















68 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:52:56 ID:rlrKwoJp
 

69 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:53:38 ID:rlrKwoJp
  

70 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:54:23 ID:rlrKwoJp
   

71 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:54:34 ID:8Ly6kwG9
  

72 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:54:39 ID:pnUhVpLI
支援という形になるな…

73 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:55:03 ID:rlrKwoJp
 

74 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:55:59 ID:rlrKwoJp
  

75 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:56:23 ID:8Ly6kwG9
支援!

76 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:56:42 ID:rlrKwoJp
     

77 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:58:15 ID:pou62lK5
名作すぎる・・・
紫煙

78 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:58:32 ID:rlrKwoJp
 

79 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:58:53 ID:kSehfr9b
支援

80 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:59:34 ID:kSehfr9b
支援

81 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 00:59:54 ID:rlrKwoJp
  

82 :今にも落ちてきそうな空の下で ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 01:00:27 ID:EhaMXu7b
「そろそろお目覚めの時間じゃないか? レオーネ・アバッキオ」

不愉快な、聞いてるだけで反吐を吐いちまいそうな声で俺は目を覚ました。
最初に知覚したのはずぶ濡れとなった体。
気持ちワリィ……起き上がってシャワーを浴びそうと思ったが体が動かねぇ。
手や足が動いている感覚はあるんだが体だけが起き上がらない。
意識も微妙にはっきりとしねぇのは寝起きだからか?
漆黒の世界から視界が帰ってきた。
見えたのは床、目線を動かすと見えるのは見覚えのない一室。
ははっ、聞こえた声はそういうことか……そういうことなのかよ!
全部分かったぜ。
どれもこれも俺の一炊の夢だったって訳だ。
ムーディ・ブルースでヤツの首をへし折った俺なんざいない。
いるのは戦う事も出来ずに貧血でぶっ倒れた馬鹿野郎だけだ。
納得いくぜ、幾ら精神が昂ぶってても俺のスタンドじゃ小枝を折るようには行くまい。

「どんな気持ちだ? 仲間を失い、やっと俺の元へと辿り着くも自分は瀕死。
 戦う事すらできずに死んでいく貴様は一体どのような表情を見せてくれる!?」

本ッ当に趣味の悪いこった。手に持ったハンディカムはそういうことかよ。
倒れた時にカビて死なないってのもあれか?
黴に覆われて死ぬのはつまらねぇってコイツが解除したってわけか?
疑問だらけの俺だがこれだけは確実だって分かったものもあるぜ。
俺の“死という結果”だけは何があっても覆しようがねぇって事はな。

「ふふん? 貴様はすぐにでも死んでしまうものだって勘違いしているのか?
あまり馬鹿なことを考えるのはやめたほうがいいな。貴様には義務があるのだから」
「なん………だっ……て?」

思わず聞き返しちまったが大方予測はついている。
これから俺は碌な目に遭うことなく死んでいくのだろう。
案の定ヤツは歪んだ笑顔を浮かべていやがる。
俺の近くへ寄って来たと思いきや足の裏で頭を押さえつけてきやがった。
もはやムカつくという感情すら湧かねぇ。
上からは何かのボタンを押すような音が聞こえてくる。
そして俺の眼前に手中に納まりそうな機械が置かれた。
これは……やつの持っていたハンディカムか。
認識すると同時にヤツのスタンドが俺の体にのしかかり、無理矢理瞼をこじ開ける。

「さて、お前の友人の最後が如何なるものであったか見せてやろう。
 大丈夫、彼は十分すぎるほど立派に戦ったさ。俺がヒヤッとする位にな」

強制的に開かされていた目が更に見開いた。
俺の無様な姿を野朗は「こちらも保存したいくらいだ」などとほざきながら見やがる。
見たかぁねぇ、死体を見て納得はしたが殺された場面なんざごめんだ。
そんな俺の願いも無機質な機械は答えてくれない。スクリーンはただ事実だけを映し出す。
イギーが接近してくるところから再生は始まった。
しかし、辿り着いたアイツが見たのは地面に落ちているヤツの右腕。
逃げろ! 俺の心の叫びも“過去”には決して届かない。
白兵戦を挑むクソ野郎に応じる二人。
地に置かれたビデオは淡々と出来事を記録してゆく。
やつを追い詰めた二人。
絶体絶命の状況にも拘らず俯いた顔の中でアイツは薄く笑っていた。
罠だ! まだ間に合う! 深追いだけはするんじゃねぇ!
背後から体と分断していたはずの右腕が引き金を引く。
放たれる鉛弾。
そしてイギーは崩れ落ちた。
糞生意気で言う事なんざ一つも聞かないアイツは……死んだ。

「バカ……野郎が……無茶すんなって………言ったろうが」

83 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:01:07 ID:qpFnc7J/
シエーン!!!

84 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:01:21 ID:rlrKwoJp
 

85 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:02:02 ID:rlrKwoJp
         

86 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:03:04 ID:rlrKwoJp
 

87 :今にも落ちてきそうな空の下で ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 01:03:08 ID:EhaMXu7b
「あぁ、いい顔だ。本当にいい顔だ。ところでアバッキオ、話は変わるが人が幸福を感じるのはどんな時だと思う?
 一つは絶望が希望へと変わった時だ。さっきの犬、イギーといったな。ヤツとの戦いはまさにそれだったよ」

ココで一旦間をおいて俺の表情を盗み見しやがる。
ド畜生が、悔しがる俺の表情すらヤツの思う壺ってヤツか。
大分霞んできた俺の世界でやたらとハッキリ聞こえてくる声が気にくわねぇ。

「もう一つの方も教えてやろう。絶望しているヤツを上から見下している時さ。
 そう! 今のお前を見ていること! それこそが俺の幸福だ、レオーネ・アバッキオ!」

満足したんだろ? さぁさっさと俺のことを殺せよ。
声には出せない抵抗の意思を瞳に込めて睨む。
それすらもヤツの快楽への肥やし程度にしかならない。

「殺してくれってか? 俺はな人の苦痛を見ることが何よりも大好きなんだ。
 だからこそ……血を失ってじわじわと死んでいくお前が見たいんだよ。
 とはいっても少々の間ココからは立ち去らせてもらうんだがな。
 なぁに、不安がる事はない。覚えていたら再度見に来てやろう」

そう言ってヤツは本当にこの部屋から出て行きやがった。
階段を下りていく音がやけに大きく感じられる。


やっと訪れた静寂の中で俺は孤独となった。
さっきまでは心がブレまくっていたせいで他の事を考える余裕が無かったが今は別だ。
あれこれと色々なモンが頭の中を通り過ぎていく。
走馬灯ってヤツか? それを見ながら俺は一つの結論に達しちまった。
いや、前から気がついていたことを改めて突きつけられたって感じか。
何をするにしても中途半端なダメな野郎が俺の真の姿だってことに。
殺し合いが始まって早々に任務の護衛対象を失った。
託された伝言の意味は結局分からずじまいだ。
もう少し深く考えてみるべきだったってのによぉ。
これじゃあ折角命懸けのメッセージを送ったってのに無駄ってヤツだ。
そもそも俺に託したメッセージは全部無駄だったんじゃないのか?
倒すと誓った相手も既に死亡していた。
俺は詰まる所ただの傍観者だったってわけなのか?
じいさんとオッサンが戦っている間に俺は何をやっていた?
マヌケにもサンタナの記録を見て一人でイラついていただけじゃねーか!
そうだ、俺は結果すら見届けることの出来なかった負け犬だ。
俺がやったことといえば全てが終わった後にコソコソと覗き見をしただけ。
とんだお笑い種だ!
イギーの足を引っ張ったのも俺。
あの程度の罠なら気がつけていてもおかしくはないはずだ。
いや、気がつかなくてはいけなかったんだ。
そうすれば少なくとも足手まといだけにはならないで済んだ。
徐倫のヤツが勝手に交わした“帰る”って約束も果たせそうにねぇ。
俺たちが死んだ事でアイツが泣かなきゃいいんだが。
いや、絶対にアイツは俺達の死を知って泣くだろう。
だから俺達は絶対に生きて帰らなくてはならなかった。
はっ! 約束の一つも果たせないガキは俺じゃねぇかよ!
出来ないならあの場できっぱりと言い切ればよかったんだ。

俺は全く成長しちゃいねぇ。
あの人を殺し、この世界へと足を踏み入れてから一向に成長してねぇ。
なぁ先輩。あんたから見たら俺はどんな風に見える?
正義を信じ、正義に殉じたあんたから見ればな。
笑うかい? 怒るかい? それとも泣いてくれるのかい?
だよな……死んだやつの気持ちなんてそんなの分かるはずねぇ。だからこそ俺が納得するために何かしなくっちゃいけねぇ。
くだらねぇ人生だったが最後にカッコつけるくらいならアンタも許してくれるだろ?
後の連中へと託してみるくらいはよ。

88 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:03:44 ID:rlrKwoJp
   

89 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:03:56 ID:8Ly6kwG9
  

90 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:04:25 ID:rlrKwoJp
    

91 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:05:05 ID:rlrKwoJp
          

92 :今にも落ちてきそうな空の下で ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 01:05:13 ID:EhaMXu7b
立ち上がることは出来ないから這ってでも進む

俺が通った後には血の道ができるが気にしねぇ

壁際へ、ヤツの立っていた壁際へと必死に這い寄る

上半身が崩れ落ちた、もう力が入らない

痛みはない、それどころか全ての感覚が消えかかっている

目は完全に靄に覆われて全てが白くなった

衣服が床と擦れる音だけがやたらと大きく響きやがる

この程度の動きで息が切れ始めた

もう一度、最後に数十cm

このホンの僅かさえ動ききれば俺のムーディはいける

それでも俺の肘から先はびくともしねぇ

だから俺は肘を支えとして行軍を再会した

スタンドは最後の一瞬に全エネルギーをかける為に使用しない

あくまでも俺の力だけで辿り着いてやらぁ

そして俺は目的の位置で完全に崩れ落ちた

一瞬意識が虚空の彼方へと飛んでいく

いや、意識ではなく俺の命が出て行こうとしていたのだろうな

気を抜けばあっという間にあの世へと行っちまいそうな状況

此処はゴールじゃねぇ、給水所だ

大きく深呼吸をし、ムーディ・ブルースを発現

目の見えない俺にもこれだけは分かった

コイツもまた限界であるという事に

体表が割れた陶器のように崩れ落ちていく

だが、まだ能力だけは使える

どうせすぐにでも消えてしまいそうな命だ、全てを注ぎ込んでやろう

ブチャラティ、ミスタ、フーゴ……すまねぇな俺はここでリタイヤだ

新入り、気にくわねぇが後の事は任せたぜ。精々チームの野郎たちと仲良くやりな

ホルマジオ、ジョリーン……託した情報は上手く使ってくれ

そしてトリッシュ、イギー、すまねぇな

ムーディ・ブルースの感覚がターゲットを捉えたことを告げる。


93 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:05:25 ID:pnUhVpLI
支援ッ!

94 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:06:30 ID:rlrKwoJp
 

95 :今にも落ちてきそうな空の下で ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 01:07:25 ID:EhaMXu7b

後は壁にこの顔を刻み込めば終わりだ

ふらつく足を動かさせながらムーディの体を壁に密着させる

力を込める 刻め 刻め 刻め!

感覚のないこの体であったが実感はあった、成功したと

安堵の息を吐き出しつつ俺は満足した

このいい気分のままで俺は死んでいこう




そんな俺のささやかな願いは誰かの足音によって終焉を告げた

一歩一歩順調に近付いてくるそれは誰ものか分からねぇ

ただ、そいつは俺の全てを込めたデスマスクへと近付き―――――――――





何かが砕ける音がした




いや、何かじゃねぇ。この場においてあれしかねぇんだ!

足音の正体は分かったがそれは何の意味も持たねぇ

「やぁアバッキオ。随分と早い再会になったな」

ゲロ以下の声が聞こえてきやがる

思考力さえも奪われていってるがこれだけは分かった―――――絶望―――――

俺は結局何も成し遂げることなく犬死。なんの意味もない死を迎えるのだ

「さっき言ったことの裏を返せば希望が絶望に変わったのは相当な悲劇だ。
 その不幸からくる絶望が俺を更なる喜びを俺に与えてくれるぞ! レオーネ・アバッキオ!
 お前と共にいたあの女に仲間の死の映像を見せてやるってのもいいかもしれんな」
「はっ……くそっ…たれ………が」



彼の断末魔は今までの弱った様子からは考えられぬほどに大きなものだった。
屋根の向こうに広がる空はどこまでも広く、青い――――――





【イギー  死亡】
【レオーネ・アバッキオ  死亡】
【残り 52名】

96 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:07:39 ID:rlrKwoJp
      

97 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:07:51 ID:8Ly6kwG9
支援支援

98 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 01:08:19 ID:rlrKwoJp
 

99 :今にも落ちてきそうな空の下で ◆xrS1C1q/DM :2009/06/25(木) 01:08:48 ID:EhaMXu7b

投下完了ですクソ長いのに支援に付き合ってくださって本当にありがとうございます
状態表を書き忘れてたのにたった今気付きましたが、疲れたんでまた後に投下します
誤字脱字は……ごめんなさいorz 特急で書き上げて推敲もろくにできなかったので悲惨になっちまいました
wiki収録前には必ず直しますんで許してください

それと、受験があるんでしばらく書き手から離脱します
ラジオとかには出没するかもしれませんがSSはしばらくかけません……

では、今までありがとうございました!


100 :創る名無しに見る名無し:2009/06/25(木) 02:23:50 ID:pou62lK5
とりあえず駆け足で誤字拾ってきました
他にもあったような気もしますがとりあえずこれだけで
受験生のてを煩わせるのも気が引けますしね

>>424
彼の言に胡散臭そうな顔を上げるイギーであったが
彼の言葉に胡散臭そうな顔を上げるイギーであったが

>>440
リボルバーに込められた玉を確認し、
「玉」より「弾」の方が適切かと・・・

>>442
ヤツを一言で言ってしまえば趣味の悪い感染者。
ヤツを一言で言ってしまえば趣味の悪い観戦者。

>>445
私の覚悟を照明して見せるのだ。
私の覚悟を証明してみせるのだ。

>>446
隣にいる戌を一介の戦士として見た信頼を示す厳しい一言。
間違いとは言い切れないが「犬」じゃないか?

以上、前スレ

>>21
マンホールによって塞がれていた穴よりチョコラータは出。
何だかわからんが最後途切れてるっぽい

>>33
苦しいだろ? 痛いだろ> 諦めて出てきたらどうだ?
苦しいだろ? 痛いだろ? 諦めて出てきたらどうだ?

>>55
オラオラオラオラオラオラおラオ来オラオラオラオラオラオラオラオラオラアアッッッ!!!」
素直にオラオラでwww

>>61
先程までならば百%の確立で爪の一撃当てれるかどうか不安だったが、
先程までならば百%の確率で爪の一撃当てられるかどうか不安だったが、

>>65
アバッキオが勝てる確立はさっきも言ったとおり奇跡でも起きねぇと無理だ。
アバッキオが勝てる確率はさっきも言ったとおり奇跡でも起きねぇと無理だ。

>>82
起き上がってシャワーを浴びそうと思ったが体が動かねぇ。
起き上がってシャワーを浴びようと思ったが体が動かねぇ。

>>92
だから俺は肘を支えとして行軍を再会した
だから俺は肘を支えとして行軍を再開した

101 :スナイプ・ガール ◆33DEIZ1cds :2009/06/25(木) 22:13:42 ID:63WsLdL3
ラジオに乱入してくださった方々及びお聞きくださった方々、本当にありがとうございました!

そしてラジオ中に投下されたお二人、お疲れ様でした!じっくり読ませていただきました〜
感想はラジオで…(言ってもいいですか?)

録音を実況にご用意しましたので、良ければお聞きください。ちょっと注意事項もありますが…

エドさん・園子さんのディ・モールト・ベネッ!!!な朗読及び、突如現れた楽天・ノムさんのコメントを聞き逃した方は必聴です!

次回は7月1日水曜日、午後10時より。お待ちしてます〜。

102 :創る名無しに見る名無し:2009/06/26(金) 06:43:44 ID:njsS/JFY
>>◆xrS1C1q/DM氏
投下乙です。かなり長い話なのに中だるみ等がなく、キャラの個性も十分に出ていていい作品だったと思います。
内容に関する矛盾はそれほどないと思いますがやはり誤字が…。って感じですかね。
別作品へと分割して書けないようなキャラ集団で大変だったと思いますがどのパートも良かったです!GJ!
本業頑張ってくださいw

>>スナイプガール氏
ラジオ乙でした。録音もDL!DLゥ!
このままだと毎週(まぁ実際問題考えると隔週か月一程度だろうけど)の企画になりそうだw

103 :創る名無しに見る名無し:2009/06/26(金) 21:41:36 ID:atwAmkE5
投下乙ッ
なんというか読み終わって脱力感に襲われたぜ…
イギー、そしてなによりもアバッキオ…
一度砂で騙しただけに今度も、と希望を抱いてしまったよ
そして救いようのないアバッキオの死…
チョコラータどうこうじゃなくてあまりにも救いのない、意地も見せれなかったアバッキオの心中を考えるともう… orz

鬱死、呆然死、後悔死…なんというか、もうだめだ…
それほど感情注入させられれる作品でした。改めて投下乙ッ!次の作品…いつまでも待ってます、ボス…

>>SNIPEGIRL氏
お疲れ様でした!…俺は聞けなかったけどDLして楽しんできます!
来週だけじゃなく、再来週もその次も、その次も…という具合にラジオ楽しみに待ってます
次は参加で来たらいいなァ…

104 : ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 21:34:25 ID:ghAlc3FZ
投下します。

105 :La La La Love Deluxe ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 21:35:49 ID:ghAlc3FZ
東に向かえばレストラン『トラサルディー』の異世界支店がある。
店内で暢気に食事を楽しむトニオ、ポルナレフ、マックイィーン。
よたよたとエンヤ・ガイル婆が店の付近まで南下しているとも知らずに。

南東からは虹村億泰とサンドマンが成すべき抵抗を息吹かせるためにやってくる。

北西のコロッセオへ向かうはジョルノ、エシディシ、プッチ、ディオ。
コロッセオ付近ではロバート・E・O・スピードワゴンが接近している。
そして、スピードワゴンの同盟者は南の進行を迷うホル・ホース。

彼らがこれから遭遇する運命は、明るいものとは言えない。
暗く深く伸ばされし試練が糸のように複雑の交差する。

そして……その運命の隙間を掻い潜り、迷える魂が折り合う出来事がまた一つ。
たった3人の男女の間で妖しく静かに行われた、E-4中央部の幕間。


これは、そんな話。


◇  ◆  ◇

106 :La La La Love Deluxe ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 21:38:32 ID:ghAlc3FZ


山岸由花子と空条承太郎の仲を語れる人物はいない。
交流時間の希薄さが、語る内容を極端なほどに狭めている。
由花子は承太郎と共闘して敵と対峙したことはない。東方仗助は経験している。
由花子は承太郎と世間話をするような機会はほとんどない。広瀬康一は経験している。
二人が正式に顔を合わせた思い出は、恋人同士のプライベートではなく、社交辞令に過ぎない二度。
一度は矢安宮重清のために。もう一度は杉本鈴美のために。住民が揃った集会だった。

「いっしょに……行動しないか? 」

とはいえ由花子は空条承太郎の客観的印象を余すところ無く知りえている。
それは彼女がボーイフレンドと共有する甘い時間を大切にしていたから。
毎週聞かされる広瀬康一の客観的感想が、由花子に空条承太郎という男をよく知らしめていた。

「敵討ちを止めたりはしない」
 
敵対した過去のある仲間とは、ある程度の利便性を持たぬ限り接触しない用心深さ。
かつて康一の拉致監禁事件を起こした由花子は、承太郎との間に隔たる心の距離を理解していた。
承太郎と親密な関係になれるかどうかなど、由花子にはどうでもよかった。
スタンド使いは身の安全を確保するために、己の秘密を漏らすべきではないのだから。

「だが……お前には死んでもらいたくない」

承太郎は持ち前の経験と知識を構築させたので、本当に信頼のおける人間としか関わらなかった。
しかしその用心深さは、承太郎の関与しないところで脆く崩れ去っている。
信頼していた広瀬康一が何気なくこぼす秘密が、山岸由花子に吸い取られていたのだから。

「これは俺の本音だ」

人と人が密接に繋がり続ける限り、言葉は人から人へと流れてゆく。
もちろん承太郎はそれ(由花子への漏洩)も見越した上で康一と接していたのかもしれない。
改心した山岸由花子が広瀬康一と敵対してまで、自分を追い詰めることなどない……と。
皮肉の坩堝に飲まれていく予見が、復讐を企むシンデレラに衣装箱(クローゼット)を授ける。

「今すぐ考え直せとは言わない、ただ……少しでいいから今後について考えてもらいたい」

由花子は心の中でほくそ笑む。
それは承太郎が彼女の“心の色直し”をしていることに気づいていないと勝ち誇る所以?
普段は無愛想を貫いているはずの男が、なよなよしく気遣う態度を嘲る所以?
それとも……他人から聞いた評判など、尾びれ背びれの噂と自己を戒める所以?


107 :La La La Love Deluxe ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 21:39:20 ID:ghAlc3FZ
「ありがとう」

らしくない承太郎の告白に、由花子もらしくない返事で答えた。
彼女を知る人間が見れば何の冗談だと呆れていたに違いない。
無論これは彼女の本心ではない。彼女を上っ面でしか知らない承太郎だけに通じる罠。

「見直した、少し」

康一の話を頭の片隅に留めつつ、由花子は“いつもとちょっと違うオンナノコ”を演じる。
実に白々しい行為だが、康一の死に苦しむ由花子にとっては、嘘でもあり本心でもあった。
そして由花子が知りえない所で、この行動が承太郎の心に再び揺らぎを咥える。

「……すまない」

空条承太郎はうっおとしい女を苦手とする。そして彼は黒髪が似合う日本人女性を好む。
恋愛下手と言い換えるべきなのか難しいところだが、結婚した相手はアメリカ人女性である。
『人間は異性の親と似た気質を持つ相手をパートナーとして望む』という俗説に則っとれば……。
彼の言う日本人女性の姿とは――献身的で大和撫子のような女性をさすのかもしれない。
母親であるホリィ空条が日本人的女性の気性(過保護)とアメリカ人的外見を兼ね揃えているのだから。

「行こう」

由花子は献身的に康一を愛し殉じようとしている。
悲しみに浸るあまり、しおらしくお淑やかになっている。
その陰影に承太郎が見ているものは、父性愛を呼び覚ます……孤独に暮らす女性――妻子の幻影か。
自分の娘も年頃になれば、彼女のような面立ちで悲しみにふけるのだろうか……と。

「待って。もう少しだけ――……」

肉厚な胴回りに巻きつく二本の腕。隆々とした背骨に擦り寄る柔肌の温もり。
踵を返して進もうとしていた男に由花子は抱きついた。
承太郎の心を震わすにはこのままでは不充分と考えたのだろう。


108 :La La La Love Deluxe ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 21:41:57 ID:ghAlc3FZ
「……山岸由花子」

しかし由花子の充分は承太郎の過多だった。
その理由は先述の通り、崩壊しかけた承太郎の心に水を差したことだけではない。
ドラマのワンシーンを切り取ったような抱擁。
山岸由花子は広瀬康一に生涯を誓った。
彼女にとって康一は白馬の王子様であり初めての人なのだ。
両思いとなった日々を彼女はかみ締めていた。
フィクションさが鼻につく求愛行為に、彼女は夢を見すぎていたのだ。
ドラマチックなシチュエーションは承太郎の心に真っ直ぐ伝わらなかった。

「……? 」

山岸由花子と空条承太郎は愛する者を失い悲しんでいる。
しかし由花子は未成年で、承太郎は妻帯者。恋愛と結婚は違う。家族とカップルは大いに違う。
父性愛と男性愛のベクトルを統一しきれなかった由花子。
承太郎の心にとって、由花子の行為はわずかに余計だった。
そのじれったさが承太郎の首を後ろに振り向かせ、『アレ』を目に入れさせてしまった。
白く優しい篭れ日の、天から降り注ぐ陽光を跳ね返す、てらてらと輝く小さな結晶体。

「スター・プラチ――」


◇  ◆  ◇


時間の流れを止めたさせた虚軸の空間。
その世界の支配者として坐すのは空条承太郎。
顔から右上半身にかけて走る炎が、服装を通り越して細胞まで爛れさせる。
突然の爆発と痛み。忘れたくても忘れられない因縁の苦しみ。
それは角砂糖に仕掛けられたキラー・クイーン第一の爆弾。
承太郎の回想は昨夜。
のらりくらりと珈琲タイムを満喫していた男の手。
その手からポチャリと落とされた活躍の源。糖分、糖、角砂糖。
昨夜ずっと行動を共にしていた吉良吉影からのプレゼントは、背後から送られた。

「吉良、吉影」

いくら承太郎が停止世界スター・プラチナ・ザ・ワールドを発動させようとも、発動前の事実は避けられない。
完全な爆破による肉体の消滅を免れたとはいえ、序章の火花は承太郎の肉体を完全に貫いていた。
途中で静止させられた三番手、四番手と続くの衝撃たちが、まだかまだかと燻っている。
爆ぜた衝撃で醜く崩れた顔に手を当てて、承太郎が見るものは。

山岸由花子。
承太郎の背後から両腕を巻きつかせていた彼女は、承太郎よりも先に爆弾の被害を受けるはずだった。
スター・プラチナが彼女の体を承太郎の胸側に引っ張ったおかげで、無傷だった。
角砂糖は由花子の背中ではなく承太郎の背中を破ったのだ。

吉良吉影。
見渡す限りに目を凝らすが、承太郎は姿を視認することが出来ない。
スタープラチナの千里眼も本日は曇り空。爆発の光と熱に瞳孔を少しやられていた。
痛みを堪える自分の神経に、山岸由花子の安否に、まだ残されている爆弾の余波に、心が落ち着かない。
そして悲哀に呑み込まれた感情が承太郎の猶予を大きく削る。
立ち直りを数秒で済ませられるものか。

109 :La La La Love Deluxe ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 21:43:44 ID:ghAlc3FZ
「……時は動き出す」

時間の首輪を外されて再び暴走する爆炎。
由花子を助けながら、承太郎は体を大きく反らして死をかわす。

「きゃ―あ――あ――っ! 」

途切れ途切れに耳に伝わる悲鳴が、由花子の生死を承太郎に確認させた。
今にも耳を破りかねない空気振動で、かき消されそうだが、二人はまだ死んでいない。
いや、死ぬはずが無い……死ぬわけにはいかない。
焦げかけた唇をぎりぃと噛み締める承太郎。
承太郎は――完全な予想とはいえおそらく吉良吉影がいる方向にのみ――精一杯の注意力を注いだ。
最悪のケースを絶つ上では吉良という要素を絶つ。それは最適な対応だ。
それゆえに彼は冷静に対応する癖がついている。ただ……

「おォオおォォォおおおおおオオおオオオォォオおォォオおおおおオオォ……」

例え、承太郎がどれほど頭脳を持っていたとしても。
例え、承太郎がどれほど深く真実を看破していたとしても。
例え、承太郎がどれほど洗練された考察を持っていたとしても。
例え、見るのではなく『観る』聞くのではなく『聴く』のだとしても。

「スター……プラチナッ! 」

彼は人間だ。
ごり押しであろうと無茶苦茶であろうと、やることはシンプルに。
たった一つの問題点から、着実に一つずつ潰す。
己を怒らせた事実を直々に潰す。

「…………」

では、承太郎のすぐ後ろにいる山岸由花子はどうだろうか。
気がつけば宙に舞踊り。
本能的に訴えた奇声も叶わず、地面に全てを預けられてしまった。
爆発と立ち向かう(スタンド)する承太郎。
山岸由花子は自分の置かれた立場を、とてもよく理解していたが、今はそれに目をつむった。

「いけない」

由花子は顔に手を当てながら、小声で肉体のしるしに戒めを送る。
ピグピグと痙攣する左目の眼輪筋は、興奮と暴力的な感情を表す彼女の兆候。

「吉良、吉影」

爆発から逃れる承太郎の反応の良さ。由花子はそれを己のミスと考えていた。
承太郎が、生きている、ということは、由花子意外の何かに気を取られていたということ。
承太郎の背中に顔を預けたとき、眼輪筋の痙攣による振動が僅かに背中を伝えていたとすれば。
『興奮? 暴力的? この状況で? 』と勘ぐられたと。
承太郎の情報が広瀬康一を通じて由花子を通じて渡ったのならば、その逆も可。
真実は得てして別の点にあるが、警戒を怠らなかった彼女の行動は正解だった。

「オラオラオラオラオラオラオラオラァッ! 」

地面のアスファルトをスター・プラチナのラッシュで叩き壊し、承太郎は破片を集める。
そして破片をガリガリと鋭利に削り、野球のピッチャーのような構えをとる。

「大丈夫だ、すぐ終わる」

110 :La La La Love Deluxe ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 21:44:43 ID:ghAlc3FZ

すぐ終わる。
その言葉に由花子は息をグッと飲んだ。
自信と経験に裏打ちされた絶対的な意志。
山岸由花子は奮えていた。天地に誓った自分自身の覚悟のために……!


◇  ◆  ◇


――時刻は少しさかのぼる。

「なんだそれは……それが私の、この吉良吉影の最後だと? 」

山岸由花子から語られた真実は吉良吉影の誇りと自尊心を砕いた。
決定的な切り札を発動できる条件が全て整った奇跡。
その行幸が些細な重圧で取り逃がしてしまったのだから。
ツキに見放された男はあっけなく藻屑のように果つ。
最期は法に裁かれることなく、永遠に還らぬ者として裁かれ続けた。

「そう。あんたは杉本鈴美に裁かれ……いや。裁いてもらったのよ」

広瀬康一から聞かされた全ては、第三者の山岸由花子から再び当事者へと帰った。
とはいえ、納得がいかないらしく、吉良は爪を激しく噛んでいる。
仗助に殺害されず、自殺もできず。行き先は地獄ではなく『安心なんてできない所』とだけ。

「あなたが負かした相手は、まだ生きている。川尻早人、虹村億泰、空条承太郎」

吉良の気持ちを思いやることなく、由花子はマイペースに言いつけた。
吉良の正体を東方仗助に伝えることに成功した川尻早人。
絶対の武器の猫草を吉良から奪い取った虹村億泰。
そして吉良を戦闘不能にした空条承太郎。

「私は必ずアイツらを殺す。協力が必要……」
「ふざけるな! 私がなぜ切り札を手に入れたかわかるか!? 奴らに会いたくなかったからだッ!」

吉良のモットーは植物のように静かに暮らしたい。
その平穏を乱すものは誰だって容赦せずに始末してきた。
吉良にとって、争いは実にくだらないバカのすることと考えて生きてきた。

「――じゃあ手に入れて、終わり? 私はそうは思わない。アイツらはあんたを逃がさない」
「私はこんな状況であろうと平穏に暮らせれればそれで良いッ! 協力はする。しかし死にいくのは結構だ」
「違うわ、あんたは負ける」

それだけに、由花子の言葉に苛立ちを隠しきれなかった。
彼女の制服の胸元をグイと握り、吉良は詰め寄った。

「幸いこの世界には仗助や康一を殺す実力者がゴロゴロいるんじゃあないかぁ〜〜……。
 放っておいても誰かが潰しあう。残り10人を切ったら、私も動こうじゃないか」
「それじゃあ“負ける”って言ってるのよ。何も自分からガツガツ殺せって言ってんじゃあないわよ……」

吉良の十指に更に力が込められるが、由花子の言葉は止まらない。

「あたしにとって空条承太郎たちは『越えなければならない相手』。
 誰だって逃げて済むならそうするわ……でも、時として人は逃げられない状況がある。
 逃げたいのに、周りが全て行き止まりで逃げられない。だったら壁を破るしかない。
 親しい付き合いじゃあなかったけれど、あたしは昔の仲間を殺して康一くんともう一度、思いを遂げたい」

111 :La La La Love Deluxe ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 21:46:31 ID:ghAlc3FZ
堂々と縁切りを宣言する由花子の顔は毅然としている。
しかし彼女にとって――空条承太郎を知る者にとって、彼らを越えることの甚大さ。
それは吉良もよくわっていた。
彼もまた空条承太郎から逃れたい一心で切り札を獲得し、最後の最後までその発動に全力を注いだ。
残り10人になったら、と口では余裕を見せていても、それは問題の先延ばしである。
自分以外の9人が承太郎に与する者だったら、自分は安心して生きられるのか。
仗助と康一が死んだのはあくまでも偶然であり、吉良がどうこうした結果ではない。

「山岸由花子、お前の言葉には確かに一理はある。しかしあくまで一理だ! 今はその時ではない」

それでも吉良吉影は踏みとどまった。
空条承太郎たち黄金の精神を持つ者を対処するには入念な準備が必要だからだ。
そもそも携帯電話で握られた弱みをまず解決しなければならない。
その上、百戦錬磨のスタンド使いに勝つということは並みの問題ではない。
特に吉良の素性を知らぬ人物が紛れているこのバトル・ロワイアルでは、目立つ行動を避けたかった。

「いいえ」

それはその通りであるし、事実だろう。

「“今”しかないのよ。あと少しで……やってくるわ」

吉良が一人で動くのならば。


◇  ◆  ◇


――時刻は再び決戦に戻る。

「……間違いない」

空条承太郎は吉良が放った爆弾の謎について、その解明を捉え始めていた。
まず吉良がキラー・クイーンの能力で爆弾化したのは、角砂糖である。
なぜならキラー・クイーンに爆弾化された物は、触れたものを爆破させるから。
爆弾化された物質そのものは、決して爆発しないのだ。
承太郎は、角砂糖が爆破されることなく容を保っていたことを観ていた。

「この破片から推測すると、直径1cm程度の物ならギリギリ入る」

爆弾が角砂糖と仮定した承太郎の思考ステップは次へ移っていた。
“どのように角砂糖をこちらまで飛ばしたのか”。
角砂糖の重さは極めて軽く、風にあおられてしまえば、目標点に到達しない。
それをクリアした吉良のアイディアは、手持ちのボールペンであった。
ボールペンの中身を取り除き、そこに小さくした角砂糖とねじ込んだ。
流線型のボールペンならば、風の抵抗をさほど受けずに飛ばすことが出来る。
爆破が起こればボールペンは粉々に破壊されるので、初見で気づくのは至難。

「おそらくヤツは上。俺は下だ」

そして、ボールペンが確実に承太郎のもとへ飛ばす工夫。
それは標的よりも高い位置から投げる。
重力の影響をポジティブに変換させることで、速度も上がるからだ。
高身長である承太郎の顔面付近で爆破した事実からも、打点が高いことを示している。

「開いている窓……」

承太郎は一階建て以上の家屋についている窓を、傷ついた瞳で観察する。
負傷しているとはいえ、スター・プラチナの目は非常に優れていおり、人間の限界を超えた精密さを持つ。

112 :La La La Love Deluxe ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 21:47:47 ID:ghAlc3FZ
「スター・プラチナ・ザ・ワールド!! 」



ド―――――――――――z__________ン


「……一発だけなら、バレないと思っていたのか? 俺にとっちゃ充分スリーアウトだ。
 今度はこっちの攻撃だ。かったるいことが嫌いなんでな……このまま……決着をツけさせてもらうぜ」

承太郎の手の中で踊る大量のアスファルトの破片が――

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァァ!! 」

機関銃を超えるスピードで目当ての家屋を目指して飛んでいく。
だが破片は全て莫大なエネルギーを保存したまま、壁すれすれのところで止まる。
10個、いや100個にもなる破片が、承太郎の指示を待っている。

「そして時は動き出す」

開放の号。
文明の力が生み出した足跡の散弾銃が同時に壁を貫く。
部屋の中にいた物はすべて弾丸の餌食として、その生を終えているに違いない。
耐え切れなくなった壁も、みすぼらしく、そしてか細い断末魔をあげながらゆっくりと崩れた。

「中、を、見る、までも、ない」

そして壁の崩壊に合わせるように、承太郎もぐったりと倒れた。
最初の激しい爆撃によるダメージの疲労と負担と集中力の消耗。
承太郎には、反撃するだけの、余力がほとんど残されていなかった。

「…………し、て」

地に伏した承太郎の周囲がじわじわ赤く染まる。
綺麗な円を描くそれは、彼の腹部から止め処の無く流れる出血。
穴を開いたのは、アメリカ・スタームルガー社のオートマティックピストル『スタームルガーMkI』。
持ち主は山岸由花子。

「やら、れ、た」

承太郎は山岸由花子をまったく警戒していなかったのか。
それは承太郎本人にもわかっていなかった。
『康一の死に悲しんでいるから、混乱で震えるしかない自分』という女の姿を、利用するという発想。
これこそが由花子が吉良に語った“今”。
由花子が望むタイミングは“承太郎がいつもと違う彼女を気遣う”ことだった。
女にとって最高の力は、武器よりも仲間よりも“女”そのもの。

「と、いうわけ……か」

ストーカーまがいを起こしても、たかだか高校生だからと舐めていたわけではない。
まともな思考として、広瀬康一さえもダシにして罠にはめるという発想が思いつかなかった。
……思いついていたとしても、承太郎はきっと否定していただろう。
顔中を引きつらせ、確固たる意志を主張いていた彼女を観ていたとしても。

「先、を、越されたな」

113 :La La La Love Deluxe ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 21:49:19 ID:ghAlc3FZ
修羅の道を選んだ由花子の精神をゲスと罵る感情を承太郎は出さない。
道は何であれ、立ち向かうと先に選んだのは彼女。
愛に対して当人なりの覚悟を持って進んでいたのは由花子だった。
とはいえ、凶弾に倒れた自分を弁護するつもりも承太郎にはなかった。
彼は由花子とは大きく違う者になってしまっていたから。

(いつだって……想っていた)

愛していると想い続ける癖に、何年も家族を放置していた父親。
離婚を告げられても、ただ受け入れ続ける父親。
危険に巻き込むまいと背中で語り続けて、結局は最愛の妻を死なせた夫。
本当に大事なものだったのならば……愛し続けるべきだったのだろうか。
不器用無愛想それでも。傍にいてやらなければならなかったのだろうか。
毎日のように時間を共にし、恋人と時間を共有していた山岸由花子に説く資格はない。

(いつだって……愛していた)

見せしめとして消された妻との別れは六時間。
彼氏の悲報を聞いて崩れた女は、まだ二時間足らず。
どちらがより立ち直るのに、労力を必要としたか。

――時間の長短で重さを語るなど愚かなことはない。それが愛という感情ならば尚更だ。

だが! 大人として。家庭を持つ者として。人生の先達者として。
本当に立ち直らなければならなかったのは、どちらだったのか。
先に現実と向き合い、前へ進むべきだったのはどちらだったのか。

空条承太郎は同じ境遇の他者との慰みを選び、山岸由花子は行き過ぎた愛を自己の為に昇華する。

暴走。優劣。
承太郎があえてそれを考慮するならば、それは由花子への対応ではなく。
純粋に吉良と由花子という敵の強襲に対処できないほど、自分が動揺していたと認めるぐらいだろう。
暴走を止められなかった。相手の愛も己の愛も。

薄れていく意識のなか、承太郎は見た。
山岸由花子の顔が怒りや感情も暴走だけではなく……。
それ以上に、瞳の奥底に宿る、決意。

(……やれやれ、だ)


道を切り開いたの女の顔――それを邪悪と呼ぶには言いがたく。


しいて言えば、大きな大きな、愛。


◇  ◆  ◇


「ほっ……本当に、死んでいるのか? 」
「ええ。そうでなくとも、始末するんでしょ……首輪、一応回収しておく? 」

吉良吉影が山岸由花子の前に現れたのは、それか数分後のことだった。
吉良は最初のボールペン爆弾を承太郎に投げてから、すぐにその場を離れ、様子を伺っていたのだ。
吉良と由花子が交わした密約は『由花子が承太郎と接触した後、吉良が好きなタイミングで承太郎を攻撃する』だった。
この約束は任意のもので、吉良は承太郎に攻撃をしない、という選択肢もあった。
由花子は、最初から一人でも承太郎を殺そうと覚悟していた。
ラブ・デラックスで身体を絡めとり、隙を見て銃殺するつもりだったのだ。

114 :創る名無しに見る名無し:2009/06/27(土) 21:52:41 ID:NzmjAiGq
Cしえん

115 :La La La Love Deluxe ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 22:02:47 ID:ghAlc3FZ
「……納得いかなそうな顔ね」

放り投げられた角砂糖爆弾が承太郎の肉体を衣服もろとも完全に消滅させる。
しかし吉良には、これで承太郎が完全に死んだとは到底信じられなかった。
この手で直接手を下したとしても、それほど承太郎の存在感は巨大なものだった。

「私が協力しなかったら、本当に殺せていたのか? 」
「この拳銃で死んだのは間違いないわ。脈もとって確認してる」

承太郎はなぜ由花子の拳銃に気づくことが出来なかったのか。
それは彼女は手で拳銃を撃っていなかったから。
彼女は自分のラブ・デラックス(髪の毛)で拳銃を放ったのだ。
最初は制服の背中に当るところに拳銃を隠していた。
そして服の中で拳銃を移動させ……さらに髪の毛の束の中に移動させる。
激鉄を引いたのも、全ては彼女の髪の毛の仕業。これくらいは造作もない。

「協力してくれたのは、素直に感謝するわ」
「これのもらったカリを返したまでだ」

そして承太郎の携帯電話による脅迫を吉良が乗り越えた理由は、由花子の支給品だった。
『妨害電波発信装置』……携帯電話などの電子機器を一時的に圏外にして使用不能にさせる小道具。
強力すぎて1999年以降の時代の波にもまれ改善された道具だ。
携帯電話による録音の転送を(実際は承太郎の嘘だが)防止できるので、吉良をこれを喜んだ。
吉良が承太郎からあまり距離をとらなかったのも、この道具のおかげ。

「具体的な有効範囲はわからんが、そんなに遠くでは使えないと説明書に――山岸由花子? 」

ころんと転がった首輪を拾い、じっと見つめる由花子。

「……あなた、結婚したことは? 」
「? それがどうした」

由花子は思い出していた。
荒木に殺された女性と、彼女を母と叫ぶ娘。異様なほど狼狽していた空条承太郎。
そして名簿に書かれた二つの『空条』。

「でしょうね……」

勝手な憶測と結論をつけたのか。
怪訝な顔をする吉良を尻目に、由花子はそれっきり何も言わなかった。


116 :La La La Love Deluxe ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 22:03:56 ID:ghAlc3FZ
【E-4 中央部/1日目 朝〜午前】
【吉良吉影】
[時間軸]:限界だから押そうとした所
[状態]:掌に軽度の負傷、ハイ、爪の伸びが若干早い
[装備]:ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り5個)、携帯電話、折り畳み傘、クリップ×2
[道具]:ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×6、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×8、ポケットサイズの手鏡×2
    未確認支給品×0〜2個、支給品一式×2 、緑色のスリッパ、マグカップ,紅茶パック(半ダース)、 ボールペン二本
[思考・状況]
基本行動方針:植物のような平穏な生活を送る
0.由花子を利用できるだけ利用する。
1.携帯のデータを消したい。
2.手を組んだ由花子と協力して億泰、早人を暗殺する。ただし無茶はしない。
3.当面はおとなしくしていて様子を見る。そのためにまず情報の入手。
4.自分の正体が吹き込まれた携帯電話を破壊したい
5.他に自分の正体を知る者がいたら抹殺する
6.危険からは極力遠ざかる
7.2が終わった後、または利用価値がなくなったと思ったら由花子を殺して手を愛でる。
8.なんとしても“生き残り”杜王町で新しく平穏を得る
[備考]
※バイツァ・ダストは制限されていますが、制限が解除されたら使えるようになるかもしれません。
※荒木のスタンドは時間を操作するスタンドと予想しました。が、それ以上に何かあると思っています。
※場合によっては対主催に移っても良いと考えてます。
※平穏な生活を維持するためなら多少危険な橋でも渡るつもりです。
※自分がどうやって死んだのか全てを知りました。
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。

【山岸由花子】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:健康、強い覚悟
[装備]:妨害電波発信装置、サイレンサー付き『スタームルガーMkI』(残り7/10)
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1 承太郎の首輪
[思考・状況]基本行動方針:優勝して広瀬康一を復活させる。
0.………………妄想ね。
1.吉良吉影を利用できるだけ利用する。
2. エンヤがたくさん人を殺すことに期待
3. DIOの部下をどうにか使って殺し合いを増進したい。
4.正直知り合いにはなるべくあいたくない。けど会ったら容赦しない。
5.今夜10時にD-4のスペースシャトルにてエンヤと合流。残り人数次第でそこで始末する。
[備考]
※エンヤの頭部に髪の毛を植えつけました。
※エンヤの能力が死体操作であることを知りました。生きた人間も操れると言う事はまだ知りません
※荒木の能力を『死者の復活、ただし死亡直前の記憶はない状態で』と推測しました。
 そのため、自分を含めた全ての参加者は一度荒木に殺された後の参加だと思い込んでます
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。

『妨害電波発信装置』
強力な電波を発生させて、電子機器の機能を狂わせる小型装置。
現実にある道具で最近はかなりリーズナブルになっている。
携帯電話は圏外になり、その他の電子機器も使用不能になる。
有効範囲は数メートル。まるで磁力を帯びたジョセフみたい。

『スタームルガーMkI+サイレンサー』
10発装填の自動拳銃。現実支給。


【空条承太郎 死亡】

117 :La La La Love Deluxe ◆AP01bDVIOA :2009/06/27(土) 22:05:14 ID:ghAlc3FZ
投下終わりました。
しえんありがとうございました。

118 :創る名無しに見る名無し:2009/06/27(土) 22:07:48 ID:NzmjAiGq
>>117
乙ッ!!
いやあ熱かった、由花子さんKOEEEEEEEEEEEEEE!!

119 :創る名無しに見る名無し:2009/06/27(土) 22:11:14 ID:iQWTxG/s
「うっおとしい」って“ちゃんと誤植”してるw

120 :創る名無しに見る名無し:2009/06/27(土) 23:08:46 ID:bpOACLMI
予約の段階からこうなる気はしてたが・・・
承太郎おおおおおおおおおお!!
ジョリーンもボロボロだし、今回ジョルノ以外みんな軸がブレブレだな・・

121 :創る名無しに見る名無し:2009/06/27(土) 23:58:44 ID:o7ghOMTa
そもそもジョルノは誰が死んでも動じないからなぁ。
それこそ怒ったり悲しんだりはするが。
どっちかというとジジイがやばいかも。
知ってる肉親全員死んで超涙目。あ、エリナがギリギリ…

122 :創る名無しに見る名無し:2009/06/28(日) 07:58:35 ID:Uq25MtPL
うーむ、やはり前作で生存した参加者が死ぬというジンクスは強いなぁ
承太郎は今思えばだけど色々と慎重すぎたのかもねぇ…

123 :創る名無しに見る名無し:2009/06/28(日) 11:41:38 ID:Od7LbdBV
放送後まだ書かれてないキャラっていたっけ?

124 :創る名無しに見る名無し:2009/06/28(日) 12:04:09 ID:NvUwtiTe
>>123
今回の予約分が投下されれば全員かかれたことになるね

125 :創る名無しに見る名無し:2009/06/28(日) 13:04:10 ID:0VQcXSuC
>なぜならキラー・クイーンに爆弾化された物は、触れたものを爆破させるから。
>爆弾化された物質そのものは、決して爆発しないのだ。

とあるが爆弾化した物質を爆破することもできなかったっけ?

126 :創る名無しに見る名無し:2009/06/28(日) 13:43:37 ID:+UkHhM+v
>>125
基本は爆破しないと思うがどうなんだろうな。
百円玉、ドアノブ、ヤンキーのお札、りおちゃんのパンティー、億泰は爆破しなかった。
猫草の空気弾は爆弾化が解除されたらただの空気の塊だし見えない。

例外?が美奈子が手首と美奈子の彼氏が耳を残して消滅した件。
爆破を受けた重ちー、辻彩、露伴、親父は跡形も無く消滅した。
血が出てたってことは先にちぎったのかな。

127 :創る名無しに見る名無し:2009/06/28(日) 14:21:23 ID:+UkHhM+v
爆破の威力と範囲は変えれるみたいだから、一部分が残るように調整したのかもね。

128 :創る名無しに見る名無し:2009/06/28(日) 14:24:22 ID:ZNI5Q4z2
空気弾は爆裂しただろ

129 :創る名無しに見る名無し:2009/06/28(日) 14:48:16 ID:+UkHhM+v
酸素がなかったらキラークイーンの爆弾は爆発しないから、空気弾は例外なんじゃね

130 :創る名無しに見る名無し:2009/06/28(日) 16:49:07 ID:8YzuKbCQ
キラークイーンのあれは接触弾と手動点火弾の違いだろ?
接触弾は触れたものを爆破するし、手動弾は爆弾にしたものが爆発する。

131 : ◆xrS1C1q/DM :2009/06/28(日) 19:50:28 ID:NvUwtiTe
話をぶった切ってゴメンナサイ

状態表と誤字の訂正ですが、テストが近いということで手がつけられなさそうです
非常に申し訳ありませんが来週末になってしまう可能性もあります
無責任なことになってしまってすみません
wikiのほうに既に収録されてしまったみたいですが、絶対に修正は行うので安心してください

それと状態表が本編と大きく矛盾することはないので、繋ぎたいという方は遠慮なくどうぞ
質問があれば受け付けますので


ハイ、立つ鳥が後を濁しまくってしまい改めて申し訳ございませんでした

132 : ◆yxYaCUyrzc :2009/06/29(月) 20:16:20 ID:QosHEqbO
本投下開始します。

133 : ◆yxYaCUyrzc :2009/06/29(月) 20:17:56 ID:QosHEqbO
外では太陽が高くまで昇っている頃だろう。
だが、その輝きは、温かさは……“今の”彼には必要ない。
いずれ太陽を克服し、その時に初めて日光浴を楽しめばいいのだから。

失った左腕に止血――と言っても強靭な筋肉を操作して無理矢理に血管を塞いでいるだけなのだが――を施した柱の男は怒りに任せ声を荒げる。

「おのれ……ッ!ジョセフ・ジョースター!
 あのクソ生意気な態度!外見が違おうと間違う筈もないッ」

放送は聞き逃していなかった。
柱の男は何も戦闘のみに長けた種族ではない。聴力も、瞬時の記憶能力も人間の比ではない。
だが、男、カーズにとっては禁止エリア設定以外の内容はどうでも良かった。
主催者の話し方が苛立ちを呼ぶものだろうが……数千年を共に生きた同族がこのゲームを退場しようが。
――と言うよりは、そういう発想だからこそジョセフに対する怒りのみで思考が埋め尽くされていたと言えるだろう。

しばらく周囲に当たり散らしたカーズ。その目には冷たい光が宿っていた。

「だがそうだ……アレに下らん復讐心を燃やすのみで己の身を滅ぼしてしまっては話にならん。
 この私が今何をすべきか?それは、それはァ〜〜〜」

冷静でありながらなお高々に上げる声をトンネル内に反響させながらコツコツと足音を鳴らし歩き出す。
その方向はジョセフ達が逃げて言った方向とは真逆。
そして、少々の距離を行ったところでピタリと止まり、壁に手を当てる。

次の瞬間。カーズは壁に吸い込まれていった。

* * * * *

134 : ◆yxYaCUyrzc :2009/06/29(月) 20:19:57 ID:QosHEqbO
暗闇を一人、カーズは行く。
口は固く閉ざし、目標となる一点のみを見据えていた。
先程までのテンションでべらべらと喋り続けていた男とは思えない程である。


――作者から――
柱の男カーズには、人間やスタンド使いの常識は全く通用しない。
……というのは、発想のスケールが桁違いなのだ。
吸血鬼や波紋の存在を知らない多くの人間達は、一体彼がどんな男なのか見当もつかず、すぐにリタイアする事となる。
しかし、この“バトルロワイアル”というゲームにおいては、カーズの行動は間違ってはいない。
目的を見失って命を落としてしまったヤツがマヌケなのである!

ここで、カーズの行動について代弁しよう。



まずはカーズの思考について。彼の思考はこうだ。

彼が“潜り込んだ”のは壁そのものでは無い。聡明な読者諸君ならお分かりだろう。いわゆる、
「空気供給管にーッ!!」
……と言うやつである。サンタナのような若造に出来て彼に出来ぬ事はないのだ。

では――なぜ彼はわざわざそのような回りくどい行動を起こしたのか?
その答えは実に簡単である。
カーズは……いや柱の男達は、何も線路を歩いて標的を追う必要などないしそんな真似をする理由もないのだ。
全身の骨格をバラバラにして供給管に肉体をねじ込んでしまえば死角から攻撃することも、周囲の探索をすることも造作ない。
さらに言えば、彼がこの地下に潜り込んだ場所は何の変哲もないマンホール。つまり、何も駅から外に出ずとも構わないという事を意味している。
日中にも関わらず行動範囲がぐっと広がるというのは太陽を弱点とする彼らにとっては大きな武器となりうる。

そして、食事も武器も必要としない彼にとっては支給品は不要なもの。
禁止エリア確認のための地図、そして解析に使うための首輪だけをその懐に仕舞ってその他はすべて放置。
もっとも、狭い空気供給管内にデイパックのような大きなものを持って入る事などそもそも不可能なのだが。

あれほど苛立っていたジョセフに対しても“いずれ”復讐を果たせばいい。“今すぐ”である必要はない。
もっと言えば何も美しく、正々堂々とした攻撃をする理由もない。たとえ無様だろうが卑怯だろうが勝てば良いのである。

135 :うさぎとかめ ◆yxYaCUyrzc :2009/06/29(月) 20:21:59 ID:QosHEqbO
さて。次にカーズの今後の方針、目的は何なのか?という疑問である。

ジョセフ・ジョースターに対する復讐はもはや二の次。
カーズの目的とすることは、昔も今もただ一つ『究極の生命体となること』である。
荒木を殺してその力を奪い、更にはエイジャの赤石を回収、その力をもって太陽をも克服する事が第一なのだ。
何千年、何万年と狙い続けていた目的に比べればこの数時間で生まれた怒りなどチリ同然。

するとまず浮かび上がる課題が首輪の解析。
これをどうにかしない事には究極生物もくそもない。
ただし、解析の技術に関しては石仮面を作り上げるようなカーズの右に出る者はそういないだろう。おそらく、未知の機械や技術も天才カーズの手にとっては大した障害ではない。
ではカーズは何を欲しているのか?それは言うまでもなく“サンプル”である。可能なら吸血鬼の首輪が欲しいのだが贅沢は言っていられない。とにかく数がほしい。
かと言って参加者を殺して回るような面倒は起こさない。放送の内容に従うならば自ら手を下さなくともそこらじゅうに死体が転がっている事になる。そして、これからも死者は増えることだろう。
死体があればその腕も欲しい。両腕が使えないというのは不便である。片腕で首輪をバラしていたら手元が狂って爆発、もう片方の腕も失ったなんて冗談は流石のカーズも勘弁である。
自身の腕に死者の腕をくっ付けることは不可能ではない、という事はエシディシがロギンズの腕を奪った例を考えれば理解してもらえるだろう。



最後に。彼は一体どこに向かうのか?
これはカーズ自身もハッキリ決めていた訳ではない。その理由もいたって単純である。
彼らは日光の下には出られない。行動範囲が広くなったとはいえ限界は存在する。
しかし“日光が当たっている場所を遠目から見ること”は可能。要するに、空気供給管の中から、
「あぁ、あそこから光が射しているから危険だ。避けて通ろう」
といった判断ができるのだ。もっとも……鏡や水面を利用されてハムエッグのようにされてしまうかも、という危険性はゼロではないが。
そんな訳でカーズは今いる管が続く限りの出入口を片っ端から確認し、自分の求めるものがあれば利用する、という行動方針を立てたのだ。

冷静な考えによって導き出された結論、自分の能力と目的を充分に考慮した結果。
そのベクトルはどう転んでもカーズの最終目的に向けられている。

その目的を達成できるか否かは今は誰にも分らない。そう、カーズ自身にさえ。
そんな一抹の不安――もっとも彼に不安という概念があるのかは疑問だが――を振り払うかの様にカーズは闇の底へと体を滑り込ませていった……。

To be continued ...

136 :うさぎとかめ ◆yxYaCUyrzc :2009/06/29(月) 20:23:19 ID:QosHEqbO
【H-5 → ?-? 地下・空気供給管内/1日目 午前〜昼(10時ころ)】
【カーズ】
[時間軸]:リサリサとJOJOにワムウと自分との一騎打ちを望まれた直後
[能力]:柱の男、『輝彩滑刀の流法』
[状態]:全身に裂傷(止血済)、左ヒジから左手にかけて損失(止血済)、ジョセフに対する苛立ち(現在ほぼ無し)
[装備]:なし
[道具]:首輪、地図
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を殺して力を奪う、スーパーエイジャを手に入れる。
1.空気供給管内から町内探索。状況に応じて外に出て行動(内容は下記)
2.首輪解析。同時にそのためのサンプル入手。数はあるほど良い。出来れば首の配線があるであろう吸血鬼が一匹欲しい。
3.死体があったら左腕を貰って治療したい。
4.エイジャの赤石を探し出し入手。
5.主催者=荒木に関しての情報収集。目的を突きとめる。(ただし最優先ではない)
6.ジョセフ・ジョースターの姿に関して考察。いずれ復讐を果たす(ただし最優先ではない)
7.第四回放送時にジョースター邸に赴く(ただし最優先ではない)
8.エシディシと合流(ただし最優先ではない)
[備考]
※血を吸った際の回復力に制限がかけられています。
※ワムウと情報交換をしました。
※カーズとワムウがマンホールに入った地点はH-7です。
※心臓にもなにか埋め込まれてるのではないかと考えています。
※地下鉄はある程度周りの下水道や空気供給官なとと繋がっているようです。(イギーVSペットショップのような感じ)。ただしその経路は不明。
※H−5地下鉄線路脇にデイパック(内訳:地図以外の基本支給品、残量のない輸血パック、未確認の不明支給品0〜2)を放置しました。
※カーズの移動速度は徒歩以上全速力以下のスピードです。
※仮に死体から左腕を入手した際に輝彩滑刀が出来るかどうかは不明です。

137 :うさぎとかめ ◆yxYaCUyrzc :2009/06/29(月) 20:26:26 ID:QosHEqbO
随分と短い作品ですが以上で投下終了です。最初2レス分にタイトルをつけ忘れたorz

昼間動けない・動かない行動方針で動かしにくいキャラなら神出鬼没にすればいいじゃない、なんて発想です。

この以前のカーズ出演作品「イエスタディを聞きながら」でのカーズの時間が日中になっていましたが、日中だと12〜14時で第二放送後ですので、勝手に10時ごろの時間軸で書いてしまいました。
「〜聞きながら」を執筆された◆em4fuDEyHM氏から一時投下スレで「誤表記だったので午前としてよい」との回答をいただきましたので、「〜聞きながら」の時間軸(午前)の少しあと、という時間軸で収録したいと思います(その際前作の方も修正させてもらいます)。

タイトルの「うさぎとかめ」、案を出して下さった紫煙スレ512氏、ありがとうございました。
意味するところはまぁ「己を見つめよ、過信はするな」と言ったところでしょうか。
果たして彼はうさぎになるかかめになるか……?

そしてやってしまった「作者から」パロw
ちょっとやりすぎただろうか……

文章の矛盾、話の展開の矛盾、パロディの突っ込み等々ありましたらお願いいたします。では。。

138 : ◆yxYaCUyrzc :2009/07/01(水) 07:01:46 ID:tmPhmi3r
wiki収録行いました。過不足があったら言ってくだされば修正します。
※「イエスタデイを聞きながら」の時間軸を変更させていただきました。

139 :スナイプ・ガール ◆33DEIZ1cds :2009/07/01(水) 21:43:19 ID:VukoPXgi
いいや!限界だッ!放送するねッ!!(22時よりしゃべります。それまで無音です。)

聴き方解説ページ→ ttp://cgi33.plala.or.jp/~kroko_ff/mailf/radio.htm
アドレス→ttp://std1.ladio.net:8020/jojoroyaleradio003.m3u
後、livedoorねとらじttp://ladio.net/で題名(ラジオでjojoロワ:第三回放送)検索でもいけます。
ねとらじから行くと、題名横の「play」から再生できます。

実況スレ→http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12752/#1

140 :創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 21:07:53 ID:emniamL/
>>138
遅れましたが投下お疲れ様です!
放送聴いてショックも動揺も何もしないあたりがさすがカーズ
>「空気供給管にーッ!!」 ……と言うやつである、のくだりに笑ってしまったw
向かう先はサンタ・ルチア駅か食屍鬼街かはたまた特別懲罰房か
これは次に繋ぎやすい!GJ!

一時投下の段階で気づけばよかったのですが気になった点がふたつ
>7.第四回放送時にジョースター邸に赴く(ただし最優先ではない)
これに関してはワムウとの約束で、彼の死を知ったカーズの思考からは消していいかと
後支給品ですが「ディスコの毒薬」など使えるものはもっていくような性格だと思うので、確認済みだがカーズにとって不要
などと付け加えておくとべネなんじゃないかと思いますが…どうでしょう?

>>139
昨日は楽しい時間をありがとう!お疲れ様でした!
がっつくようで悪いんだが…第四回はいつになるんだね………?



141 : ◆yxYaCUyrzc :2009/07/02(木) 21:42:42 ID:7YmrIDI0
>>140
ご意見ありがとうございます。
思考7に関しては消しました。
支給品はもう拾われる可能性が低いとみてどちらも公開しました。相変わらずマイナー支給品w

142 :スナイプ・ガール ◆33DEIZ1cds :2009/07/02(木) 22:18:46 ID:69imD86K
ラジオをお聞きくださった方々、乱入してくださった方々、ありがとうございました!
録音を実況にご用意しました。良ければどうぞ…

提案させていただいた企画のことも少し詳しいスレを立てました。
ご一読いただけると嬉しいです。

次回は、完全に未定ッ!w
八月中には恐らく…また宣伝に来てもいいですかねェ〜?

143 :創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 23:10:06 ID:emniamL/
ドネル・ケバブ……な、なぁにこれ?w
馬鹿な、このジョジョヲタの、この俺がわからないだとォーーーッ?!

144 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/02(木) 23:21:12 ID:llBU1h2i
【ディアボロ、ジョセフ・ジョースター、音石明、アレッシー】投下します。

『バトル・ロワイヤル』会場地下ーーーそこにはりめぐらされたトンネル内部を一本の列車が疾走している。
永遠に続くかと思われるようなトンネルの暗闇を引き裂き、軽やかな金属音を立てて電車は駅に到着した。

『−−−サンタ・ルチア駅、サンタ・ルチア駅です〜。お降りの際は足元に注意してお忘れ物のないように……』

無機質な音声が響き渡るなか、三つの人影がホームに降り立った。

「ちょッ……これ暗ッ!?つーか寒ッ!?」

人影の一つが大声をあげた。
そう、このサンタ・ルチア駅(地下鉄)非常灯の一つすら灯っていない真っ暗闇なのである、ついでに震えあがるほど寒い。
この状態は、つい先ほど川尻早人がヴァニラ・アイスと死闘を繰り広げたことが原因なのだが
大声を上げた人影ーーー音石明にそのような事がわかるはずもなかった。

「うるさいぞ、貴様。誰かがこの上に潜んでいたらどうする。」

自分のスタンドで、音石の口を塞ぎながら横に降り立ったディアボロが言う
彼が着ているペイズリー柄に編みあげられた網の様な服は音石以上に露出が高かったが
体を寒さで震え上がらせている様子はない。これが帝王の貫録というものなのだろうか、………ちょっと違う気もする。

「ディアボロくん、ワシのスタンドなら調べられるぞい」

ディアボロに肩をかしてもらっていたジョセフが言う、カーズによって傷つけられた目と鼻はまだ回復していないようだ
ジョセフはその場にしゃがみこむと地面に手を押し付け、炎症を起こしている瞳を閉じた。
その動きに答えるように、ジョセフの腕から紫色の茨が出現する

「『隠者の紫』!この上に生物がいるか調べろ!」

『隠者の紫』はザワリとその体をゆらめかせると、壁をつたって蔦を伸ばしてゆく

「どうだ?ジョセフ」

「ふむ・・・、階段の上で待ち伏せ。とかは、なさそうじゃのう」

ディアボロは「そうか」とうなずくと、いまだ口をふさがれたままジタバタしている音石の方を見る
その視線に気づいた音石は、蛇に睨まれた蛙のようにビクッと動きを止める

145 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/02(木) 23:22:17 ID:llBU1h2i
(こッ・・・怖えーーーーよ!!とりあえず俺の正体をばらさないでくれるとは約束してくれたけど・・・
 お願いだから俺を危険にさらしたりしないでくれよオオオオオオオ!たのむぜ!!)

音石が期待を込めた目でディアボロの方を見つめなおすと
向こうもその視線の意味を悟ったのか、こちらに向かってうなずく。
音石がそれにほっとしたのもつかの間

「じゃあ、こいつを斥候としてこの上に行かせるか」

(ちょっとオオオオーーーーーッ!?)

全然、察していなかった。現実は非情である。
再びジダバタし始めた音石を見やりながらディアボロは冷静に言う

「なにか言いたいことがありそうだから一つ言っておく、俺は手負いのジョセフを守りながら移動しなければならない
 それと俺はあまり自分の手の内は知られたくないのだが、これだけは言っておく俺のスタンドは近距離タイプだ。
 俺が斥候に向かうより、遠距離まで移動できるお前のスタンドの方が向いている。
 俺達が今一番にすべきことは、ジョセフが回復するまでの時間を確保できる場所を見つけることだ。
 ここでゆっくりしていればあのカーズとかいう男も追いかけてくるだろう
 ぼやぼやしている暇なんて俺達にはない。わかったか?」

よどみなく話し終えると、ディアボロはジョセフに向かってこれでいいか、と尋ねる

「ああ、ワシはそれでかまわんよ」

答えるジョセフの声には覇気が無い、笑ってはいるが、無理をしているのがバレバレだ
妻に子供に友人に師の訃報は彼の心に相当なダメージを負わせたようだ。
普通の人間ならばこの様子に同情し、涙の一つでも浮かべるだろうが
あいにくここにいるのはビビリのヘタレと、悪魔の名を持つ帝王だけであった。

「それと後もう一つ」

ディアボロがこちらに振り向く

「なッ・・・なんでしょうカ?」

まだ何かあるのかと、音石の声はおもわず声が裏返ってしまった
その様子に頓着することなく帝王は言う

「逃げようとする素振りを少しでも見せてみろ・・・・・・・・・・・・・・・ちぎるぞ」

(どこをッ!?)

とは怖くて聞けなかった、指とかじゃなくて股間に付いてるアレだったたらひどすぎる。
音石は頭をガクガクと縦に振ることで肯定の意を示した。

*        *        *

146 :創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 23:22:31 ID:9ZftYs1I
>>143スティーリー・ダンが商人に変装して売ってた食べ物じゃないっけ?

147 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/02(木) 23:23:54 ID:llBU1h2i

非常灯から非常灯へと『レッド・ホット・チリペッパー』を移動させる音石の頭をそのフレーズがよぎる。
もっとも本当のおばけ屋敷と違うのは、目に飛び込んでくる血の手形は血糊ではなく本物だし
転がってるのは人形ではなく、死体である。ついでに構内に漂う死臭もおばけ屋敷では体験出来ないものである

(怖ぇーーよ!メチャ怖ぇーーーーーーーーーーよッ!!)

思わず涙目になる音石の傍に『キング・クリムゾン』が出現する

「何かわかったか」

「うおッ!?いきなり背後に立つなよ!
 心臓に悪ッ・・・いや何でもないですその手を降ろして下さい千切らないデ」

荒れた息をととのえ音石は報告する

「と・・・とりあえず、構内に人はいないぜ。廊下に一つ、北側出口の方の花の中に子供の死体が二つある
 停電してたのは、ここのブレーカーが誰かさんに電圧掛けまくられたせいで落ちてたみたいだ・・・です」

「花の中、だと?」

問い返してきたディアボロに音石はうなずくと続ける

「ああ、誰かは知らねえが子供の死体の周りに花を置いてったみてぇなんだ。手も組まされてたし。
 後、その子供の死体の傍にデイパックが三つ置いてあった」

「デイパックが三つ・・・?どういうことだ、二つの死体ならバックも二つのはずだが。
 よし、ジョセフが回復しだいそれを回収する。お前は引き続き構内の探索を行え、外には出るなよ。
 ちょっとでも怪しいと思ったら、すぐ俺のいるトイレまで戻って来い。わかったな?」

音石が頷くのを確認すると、ディアボロは元来た道を引き返していった
ジョセフが目を洗う場所を見つけたとはいえ、手負いの人間を一人残しているのは不安なのだろう
もっとも、その不安はジョセフの体を気遣ったものではなく、自身の保身のためなのだが。

音石はディアボロが自分の目が届かない距離まで去ったのを確認すると、大きく息を吐いた。
きびきびと仕切ってくれるのは良いのだが、あの魚の死んだような眼は怖い。
人なんでダース単位で殺してそうな目だ。音石はぶるっと体を震わせた

(あいつに付いてゆくのも怖い、かといって逃げれるとも思えない。だったら、いっそのこと殺すか?)

一端はステルスマーダーになろうと決めた身でもある
音石はちらりと『レッド・ホット・チリペッパー』を見る、体色はそろそろ黄色になろうかという所だった。
黄色になるまで回復できればディアボロとも対等に渡り合えるだろうか
天井の非常灯の電力だけでは足りないだろう、ディアボロからはやめろと言われたが
やはり外に出るしか電力を供給するしかない。

148 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/02(木) 23:25:15 ID:llBU1h2i
(グダグダ悩んでてもしょうがねぇ、俺の『レッド・ホット・チリペッパー』は最強なんだ!やってやるぜ!!)

『レッド・ホット・チリペッパー』もその意思をくみ取ったのかこちらに向かって来る。
よしッ、と気合を入れると音石は出口に向かって歩き始めた

(でも、やっぱ怖いからスタンドだけ外に出そう……)

音石明19歳。ビビリの彼のマーダー歴はまだ始まったばかりである。

*        *      *

えらくない、ぜぇ〜んぜんえらくない。

俺はバイク(ハーレーだかベスパだかは知らねぇぜ?俺はバイクにくわしくないんだ)を走らせながら一人ごこちる
いくら進んでも見えてくるのは木ばかりで、追いかけていたはずの女の姿は見あたらない。


どう考えても見失っています、本当にありがとうございました。


数時間前に、あの女を探すのに役に立つものはないかとバックをあさったら
地面に落ちた紙の中からいきなりバイクが飛び出してきやがったんだ、携帯電話もこんな風に入ってたのかねぇ〜?
あんとき、俺はまだ運に見放されていないと思ったんだがねぇ〜現実は非情ってやつか。ちくしょう。

俺は木の影にバイクを止め、当たりを見回した。どうやら森を抜けきったらしい。
目線の先には駅らしき建造物と線路が見える、俺は鉄塔からずっと南下してきたはずだから
ここは、H−3「サンタ・ルチア駅」か?ずいぶんと遠くまできちまったもんだぜぇ〜

ん?なんか今電灯のあたりに何かいなかったか〜?あれは……スタンド?
動きからして電灯から電気をねこばばしようって根胆かぁ〜?わざわざえらいねぇ〜
どうやら入口に立ってる髪がウザイ男が本体らしいな、俺の姿には気がついていないらしい

こっちは女見失ってイライラしてんだ、お前には悪いが俺のストレス発散につきあってもらうぜぇ〜
ミスタとエリナの時のようなヘマはしねぇからよぅ〜、覚悟しろよ〜?


アレッシーの影はぐにゃりと歪むとその姿を音石に向かって伸ばしはじめた

*        *       *


149 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/02(木) 23:27:22 ID:llBU1h2i
「よし、こいこいこいこいこいこいこい・・・キターーーーーーーーーー!!」

音石は思わずガッツポーズをしてしまった、この「バトルロワイヤル」に放り込まれてからはや7時間。
ようやく『レッド・ホット・チリペッパー』は本来の姿を取り戻したのであった
ひさしぶりに黄色に輝く自分のスタンドを見ると感慨深いものがある
あ、涙出てきた。

「お喜びの所わざわざ悪いねぇ〜」

「誰だ!?」

いきなり話しかけられて音石は飛び上がった、視線の先にはニヤニヤ笑いを浮かべた小男が立っていた
音石は警戒して『レッド・ホット・チリペッパー』を小男の近くの電灯に潜むように指示を飛ばす。
この距離ならば確実に電線の中に引きづり込めるだろう
だが、その事を知ってか知らずか小男は話をやめない

「私……自分よりも弱い奴をを見ると…………
 なんとういか……その…………フフ、いじめてストレスを発散させたくなるんですよねぇ〜
 んでもって、ある女を追いかけてたんですけど見失っちまいましてねぇ〜今すっごくイライラしてるんですよぉ
 これ以上イライラを我慢すると俺の精神衛生上とても悪いんで、あなたに付き合っていただきたいんですよぉ〜」

「はぁ!?ふざけんな、なんで俺がお前のそんなアホな趣味に付き合わなきゃいけないんだ
 ってゆーか、お前は俺が弱いとでも言いたいのかよ、えぇ!?オイ!
 『レッド・ホット・チリペッパー』めんどくせぇからコイツを電線に引きづり込め!!」

そう叫びながら人差し指を小男に突きつける
いつもなら、指示を飛ばした時点で勝負はついているのだが。

「……なんで出てこない!?もう一度!『レッド・ホット・チリペッパー』!」

もう一度スタンドを召喚しようとして、音石明は自身の異変に気づいた。

体型が、子供になっている。
相手を指したままの己の手は、いつもの半分くらいのサイズになってしまっていた

(こんな手じゃギターの弦を抑えることができねーじゃねぇか!大変なのはそっちじゃないだろ俺!!
 なんか知らない内に、こいつのスタンド攻撃をくらっちまってたのか
 ちくしょう、スタンドさえ使えりゃこんな男ボッコボコに出来んのによー!
 戦況は不利と見ると、38計逃げるにしかずってやつだ、いったんあいつらのいるトイレまで引き返す!)


150 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/02(木) 23:28:50 ID:llBU1h2i
音石はきびすを返すと、ディアボロ達の方へと走り出す
小さな子供の体格では自分の服がブカブカしすぎていて、走りにくいことこの上ない

「うわっ!?」

自分の喉から、まだ変声期を迎えていない声が飛び出したことにも驚いたが
それよりも何も無いところから、足に殴られたような衝撃が走ったことのほうが重要だった
足に走る激痛に、子供の体格の音石はあっけなく転んでしまう。

足元を見れば自分の影の他に、棒を持った土偶のような影が目に映る。

「ミスタとエリナの時失敗したのはよぉ〜近づき過ぎたからなんだよなぁ〜
 こうやって離れた所からいじめれば大丈夫ってわけだぁ、ん〜俺ってえらいねぇ〜〜〜」

アレッシーの持つ木の棒が何もない空間に振り下ろされた
その動きと同じように土偶のような影が音石の影に向かって棒を振り下ろす

「ギャッ!?」

音石は痛みに体を歪めた、もう体は5歳児ほどの姿になってしまっている
子供の姿では、体を縮めて与えられる痛みに耐えるしか方法がなかった

(もうだめだ……俺ここで死んじゃうんだ……!
 死ぬ前に……もう一度ギターを……引きたかった……な……)

前にも一度同じことを思った気がしたが、思考も体の変化に引きずられているのか、上手く考えがまとまらない
再度振り上げられた棒に音石が観念して、ぎゅっと目をつぶったその時

「『隠者の紫』!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

紫色の茨が傷ついた音石の体を包み込むと、ジョセフ達の方へと引き寄せ、ディアボロが両手でキャッチする
小さな体を受け止めたディアボロは、あることに気づき目を見開いた

「この服……信じられんが、この少年は俺達と共に行動していた男のようだぞ。ジョセフ」

「フム、するとこの男のスタンドは『影で触れた相手を子供化する程度の能力』といったところかのぉ
 そういえば、どこかでそんな話を聞いた気が……」
 
傷ついた音石を挟み冷静に推理をくりひろげる男達に対し、音石を攻撃していた男はジョセフの顔を見ると驚愕する


151 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/02(木) 23:30:31 ID:llBU1h2i
「ゲェッ!?貴様はジョセフ・ジョースターッ!?」

音石の怪我の具合を見ていたディアボロはひょいとジョセフの方に顔を向けて尋ねる

「知り合いか?」

「いや……、でもワシの顔を知っとるスタンド使い……相手を子供にする能力…………
 もしかして君は、承太郎とポルナレフ君が戦ったという『アレッシー』かね?」

「わかってんなら話は早ぇ、手前ぇの孫にブッ飛ばされたこの恨みをここではらしてやるぜぇ〜〜〜〜ッ!!」

その宣言と共にアレッシーの影が大きく歪んだかと思うと、こちらに向かってその形を伸ばしてくる

「ディアボロくん、君はその子を連れて奥まで戻ってくれ。ここはワシが引き受ける」

「無茶だジョセフ、あんたはまだ目が治りきっていないんだぞ。
 それに今のお前は、身内の死で冷静な判断がしづらくなっている。
 今のあんたじゃ死に向かって突き進むようなものだ、俺がこいつの相手をする。」

「…………すまない、ディアボロ君」

「礼はいい、さっさと行ってくれ」

ジョセフはアレッシーに向かって拳をかまえるディアボロに背を向けると、
ぐったりとした音石を担ぎあげ駅の奥に向かって走り出す。

「させるかよォ〜〜〜ッ!『セト神』こいつら全員子供に変えろッ!!」

アレッシーは『セト神』を操ると、ディアボロの方へと路線を変更する
この距離なら確実に取れる、目の前の男から一つずつつぶしてゆける、はずだった。

「!?」

目の前からディアボロの姿が消えている。
どこに行ったと辺りを見回そうとするアレッシーの首を何者かが押さえつける

(『キング・クリムゾン』、俺以外の時間を5秒だけすっとばした
 俺がお前の背後に回り込んだという経過は無くなり、俺がお前の背後に立ったという結果だけが残る)

ディアボロはアレッシーの首をしめあげながら話しかける、

152 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/02(木) 23:32:03 ID:llBU1h2i
「少しでも妙な動きをしてみろ、命はないと思え」

「ッ!?な何ッ!?お前、瞬間移動するスタンドか!?」

「答える必要はない、それに質問するのは俺の方だ」

だが、自分のペースで話を進めようとするディアボロを遮るようにアレッシーはニヤッと笑う

「いひひぃ〜〜〜?そんな事言ってていいのかなぁ〜〜〜〜〜ッ!?」

その声と共にぐぉっという、ジョセフの悲鳴が奥から聞こえてくる。
下を見れば自分の方に向かっていたはずの影から枝分かれするように、ジョセフの方へと影が伸びている
ディアボロに向かって出した影はダミーで、ジョセフの方にさし向けたのが本命だったのだ

アレッシーも、ディアボロがジョセフの声に気を取られた隙に『キング・クリムゾン』の腕から脱出している
ディアボロも再び『キング・クリムゾン』を発動させ、時を飛ばそうとするが
一度「時飛ばし」を行ってから、まだ時間がたってないため発動できない。
『キング・クリムゾン』の腕は空を切ったのみに終わった。

ディアボロはチッと舌うちをする、『キング・クリムゾン』の能力を知られないためにジョセフを引き離したのに、これでは逆効果だ
『ブラックサバス』のような影に潜んで移動するスタンドをなまじ知っていたがために、
このスタンドも似たようなものだろうと知らず知らずの内に高をくくって油断していた、自分の完全なミスである。
ディアボロは額に意識を集中する、『キング・クリムゾン』が再発動できる時間が始まったのだ

(だが、あせることは無い。いつもどうり『エピタフ』で未来を見て
 俺に都合の悪い未来だけを『キング・クリムゾン』で消し飛ばせ……ッ!?)
 
ディアボロは目を見開いた。
『エピタフ』に映る映像にディアボロは愕然とする
かつて栄光の座を欲しいままにしていた頃は、何千回いや何万回と見ていた姿だった。
自分が唯一心を許した参謀、可愛いい我が半身

(……ドッピオッ!?いや違う、あれはこいつのスタンドで子供化した俺の未来の姿だ
 この映像が実際に起こってしまう前に『キング・クリムゾン』を発動しないと!)

さてここで一つ疑問を皆さんに投げかけてみよう、「スタンドは原則、一人一つまで」
だがここにいるディアボロは『エピタフ』と『キング・クリムゾン』二つのスタンドを扱うことができる、
それは一体どうしてなのか?

答えは簡単である。
『エピタフ』と『キング・クリムゾン』が同一のスタンドだからだ

153 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/02(木) 23:33:50 ID:llBU1h2i
『エピタフ』が拳を構える動作、『キング・クリムゾン』が拳をくりだす動作と書けば伝わりやすいだろうか
だが、この状況においてディアボロの拳は止まったままである、
ひさしぶりに見たドッピオは、『キング・クリムゾン』を発動するのにタイムラグを生じさせたのだ

そう拳はそのままでは何も出来ない、振り下ろさねば意味を持たないのだからーーー

「ぐあッ!?」

次の瞬間、エピタフで見た姿と寸分たがわ形で横たわるディアボロがいた。
『キング・クリムゾン』に呼びかけても、内から消えてしまったように反応が無い、『エピタフ』は使えるようだが・・・
子供化は完全に自分の身におこっていしまったようだ

「ん〜〜〜〜、やっぱりというかその格好はそっちの姿の方が可愛いねぇ〜〜〜」

大人のディアボロが着ていると、ただの痛いおっさんで終わるこの網のような服も
少年の姿の彼が着ると何だか、いかがわしい物に見えてくるのは何故だろう、露出度のせいか。
下卑た笑みを浮かべ舌舐めづりをするアレッシーに、先ほどとは別の意味で身の危険を感じてディアボロは後ずさる
いくら帝王とて人間である、この体中を舐めまわされるような視線に、生理的な嫌悪感で涙目になるのは仕方のないことであろう

(また俺は死ぬ・・・のか?)

今回は死ぬまでの時間がいつもより長かった、それだけのことだったのだ。
この地獄から抜け出せると思わせておいて、ドン底まで落とし込む。今回はそういう趣向だったのだろう
そう考えると体中から力が抜けてゆく
『エピタフ』を使えばこの局面を切りぬけられるのかもしれない、だがそれを考えるだけの精神力は彼に残されていなかった

何回も殺されいれば、これから一体どんな死に方をするのか大体想像がついてくる。
どうせ何をやっても死ぬのだ、諦めという水たまりはディアボロの心を毒のようにじんわりと蝕んでゆく

(嬲られて、殺される。か・・・『今回』は長い死に方ってわけか。『次』はもっと楽な死に方だといいーー)

その時だった。

「波紋疾走!!」

    メ メ タ ァ!

独特の効果音と共に、結構分厚いはずの駅の壁がクッキーでも砕くように吹き飛ぶ
もうもうと立ち込める土煙の中、男の人影が浮かびあがった。
子供サイズの人影ではない、まぎれもなく大人の影だ。

154 :創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 23:35:21 ID:U1lIEzV6
ジョセフはポルナレフ呼び捨てです

155 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/02(木) 23:35:22 ID:llBU1h2i
「何ィ〜〜!?ジョセフ・ジョースター!?手前ぇ俺の攻撃をくらったはずだぞ〜〜!?」

一体どうしてなのか
あの時確実に『セト神』をくらっていたはずなのにジョセフの姿が変わらないのは何故か?
アレッシーはあることに、はっと気づき大声を上げた。

「しまった……ジジィだから一回影に触ったくらいじゃ餓鬼になんなかったのかァ〜〜〜〜〜!?」

つまり、そういうことであった
今のジョセフの外見は白髪ではなく黒々とした髪をたくわえた筋骨逞しい波紋戦士の姿である。
限界まで鍛え抜かれたギリシャ彫刻を思わせる体からは、ディアボロでさえたじろぐほどのビリビリとした殺気をはなっている
たびかさなる身内の死に、先ほどの攻撃にこの状況。温和な彼でもさすがにプッツンしたという所か

20代ほどに若返ったジョセフと10代まで若返ったディアボロ、3歳児くらいの音石
そしてこの事態の元凶であるアレッシーが対峙する
ジョセフには二つの選択肢がある、スタンドが使えない今波紋のみでアレッシーに挑むのか
それともディアボロの保護を優先し、体制を立て直すのか
一方のアレッシーは距離を取って様子をうかがうのか、それとも勢いにまかせて攻撃をしかけるのか
彼らの選択とは?

「逃げるんだよォ〜〜〜〜〜〜ッ!!」

アレッシーは、あっけにとられるジョセフとディアボロを尻目に森に向かって全力疾走する
えりまきトカゲも「まいりました」と頭をさげるような見事な逃げっぷりであった
一呼吸おいてドルンドルンとエンジンを噴かすような音が聞こえてくる、どうやら逃走用にバイクを隠していたらしい

「HolyShit!(なんてこった)あいつ足を持っていやがったのか、早く追いかけないと……ッ!」

森に向かって足を踏み出したジョセフだったが、3歩も歩かない内に地面に崩れ落ちる
劇薬とアレッシーによる怪我は三半規管にまでダメージを与えているようだ
地面に体がつかないようにジョセフの体を支えたディアボロは
体が若返った事により精神まで影響を受けているのか、若者のようにいきりたつジョセフをなだめる

「待てジョセフこっちは丸腰だ、今から走ってもあいつに追いつけるとは限らない
 お前と同行者の男の怪我もある、しばらくはこの駅にとどまって籠城したほうがいい」

「だが…………ウッ!糞ったれ、また目が痛みだしてきやがった……」

ジョセフの肩を支え直すとディアボロは構内へと歩き始める、10代まで縮んでしまった自分の身長では
2メートル近いジョセフの体を支えるには少しキツイものがある。

(今のスタンドが使えない状況で無理に追いかけるよりも
 あの男が自滅するこで俺達のスタンド効果が解けるのを待ったほうがいい、あの様子なら誰彼かまわず襲いかかりそうだしな
 ジョセフも手負いとは言え妙な技は使えるようだし、俺もまだ『エピタフ』は使えるからな……
 無理に危険な場所に身を投じるより、ここに籠城したほうが危機は少ない)


156 :創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 23:46:46 ID:U1lIEzV6
『エピタフ』はスタンド名ではなく技の名前ですよ
『キラークイーン』の中の『シアーハートアタック』みたいなものです


157 :創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 23:46:55 ID:gay+Ic8z
3部ゲーネタなつかすぃ支援

158 :創る名無しに見る名無し:2009/07/02(木) 23:59:00 ID:7YmrIDI0
引きづり込む→引きずり込む
いつもどうり→いつも通(どお)り
今のところ誤字はこのくらい?

159 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/03(金) 00:00:31 ID:eQXRfO1p
確かに、ディアボロの読みどおり
今のアレッシーには、体になんらかの異常があると「セト神」の効果が消える制限がかかっている
ここにとどまるという彼の判断は適切(ベター)だと言えるだろう、しかし

「………………。」

いまだこの『バトル・ロワイヤル』には60人ちかい参加者が残っているのだ
今後のことを考えると最良(ベスト)の選択であるとはいえないかもしれない

ディアボロは駅のガラスに映る自分の顔を見つめる。
そばかすのういた顔、柔らかな瞳、柔和と呼ぶよりは臆病そうな顔立ち

「ドッピオ……。」

「うー?」

いつの間にかトコトコと傍にやってきた音石が、自分が呼ばれたのかとこちらの顔を見上げてきた
お前のことじゃないよ、と頭をなでてやると安心したのか音石は甘えるようにジーンズにしがみついてきた
そうやってると、まぎれもなく3歳児である。
音石の場合、子供に戻されすぎてスタンドどころか記憶まで失っているのかもしれない

(ドッピオ、今お前が俺の中にいてくれたら、この選択に自信が持てるのか?
 俺が絶頂に君臨していた頃は、何があっても二人で乗り越えてきた
 「『光と影』『表と裏』『二重の人格』その秘密があるかぎり俺の栄華は廃れる事は無い」
 サルディニアで会った占い師が言ったとうりになった
 「私」はお前がいない限り絶頂に返り咲くことは出来ないという事なのか、ドッピオ?、
 今の俺はこの選択で栄光をつかむよりも、お前が傍にいてくれることのほうがよっぽど嬉しいのだがな……)

朝の光に照らし出される構内に3人の男達が佇むーーーーーー実際には、気絶中の川尻早人を入れて4人なのだが。
おのおのの思惑をふくんだ彼らの顔を見つめるように、ガラスに映ったドッピオの顔が少しだけ微笑んだような気がした

【H-3サンタ・ルチア南側駅前広場/1日目 朝7時】

【チキン三羽〜たまごクラブ、ひよこクラブ、こっこクラブ〜】

160 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/03(金) 00:02:49 ID:eQXRfO1p
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:外見が15歳(ドッピオ似)。目が死んでる。強い恐怖 。
    セト神の効果によりスタンドが『エピタフ』しか使えなくなってます
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:とにかく生き残り平穏な生活を送る。
0. とりあえず、サンタルチア駅で籠城する、ひきこもり乙とか言わないように
1.ジョルノには絶対殺されたくない。普通に死ねるならそれでもいいや。苦しまないように殺して欲しい。
2.自分の顔と過去の二つを知っている人物は始末する。ボロは絶対に出さない。
3.とりあえずはジョセフに協力。でもジョセフのへたれ具合によって対応を変える。捨て駒も視野に。
4.チョコラータ、電車内の謎の攻撃、謎の男(カーズ)怖いよ、キモイよ……
5.ジョルノや暗殺チーム、チョコラータとジョセフ達を上手く敵対させたい。ぼろが出そうだから怖いけど……
6. 早人の傍にあるデイパックを回収したい

[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りましたが、ジョセフに話すつもりはありません。それを取引に協力させたようです。

※セト神のせいでスタンドが『キング・クリムゾン』の腕と『エピタフ』しか使えなくなっています

【ジョセフ・ジョースター】
[時間軸]:DIO討伐後、日本に帰る飛行機の中。
[状態]:外見が2部終了時。胸に浅い傷(止血済) 目と鼻につらい炎症(失明はしない程度)。深い悲しみ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 深い悲しみ。立ち直れそうで立ち直れない
基本行動方針:必ず生きて脱出する。打倒アラキ!
0.怪我がなおるまで駅に籠城する
1.承太郎、花京院辺りと合流して自分の推測について話し合いたい。
2.ジョージ、ジョナサン、ツェペリ、エリナ、スピードワゴン、徐倫は見つけ次第保護する。
3.殺し合いに乗っていない参加者達も護る。或いは協力。機械に詳しい人間がいたら首輪の内部構造を依頼。
4.ディオや柱の男達は見逃せない。偽者の東方仗助を警戒?(攻撃したのは彼?ディアボロ君に任せるか)。
5.ディアボロに若干の信頼。でも自殺をしそうで怖い。



[備考]
※参加者達は時代を超えて集められたのでは?と推測しています(ディアボロにはまだ話していません)
※首輪を『隠者の紫』で調べましたが機械には疎く詳しい事がわかりません。分かった事といえば隙間がまったく無い事くらい。
※1で挙げた面子はジョセフが聡明と判断した面子なだけで別にポルナレフが信用できないというわけではありません。
※波紋の呼吸を絶えず行っています。その影響である程度の運動なら息ひとつ乱れません。
 ディ・ス・コの薬品の負傷はいずれ治るようです。いつごろかはわかりません。

※セト神のせいで『隠者の紫』が使えなくなっています、波紋は問題なく使えます


161 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/03(金) 00:04:14 ID:eQXRfO1p
【音石明】
[時間軸]:チリ・ペッパーが海に落ちた直後
[スタンド]:レッド・ホット・チリペッパー(黄色です)
[状態]:幼児化(3歳程度)、体中に打撲の跡(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品 ×1
[思考・状況]基本行動方針:優勝狙い

0.うー?
↑現在幼児化しているため、このくらいのことしか考えられません
幼児化が解除された場合の思考は下になります

1.とりあえずスタンドが黄色になって良かった……!
2. とりあえず仲間(ディアボロ)ができたのは良かった。でも状況変わってない……。
3.もしできたら様子を見てディアボロ達をを殺……せるのかな……この俺に……。
4.サンタナ怖いよサンタナ
5.電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー!
[備考]
※バトルロワイアルの会場には電気は通っているようです。
しかし様々な時代の土地が無理やり合体しているために、電線がつながっていなかったりと不思議な状態になっているようです。
スタンドが電線に潜ったら、どうなるかわかりません。(音石は電線から放電された電気を吸収しただけです)
※ミセス・ロビンスンをスタンド使いだと思っています

※セト神のせいで『レッド・ホット・チリペッパー』が使えなくなってます

【アレッシー】
[スタンド]:『セト神』
[時間軸]:はるかかなたにフッ飛ばされて再起不能した後
[状態]:顔面に殴られた痕(ミスタからとエリナからの分)、背中に刺された傷(浅い)、地面を転がり蹴られたのでドロドロ、
片腕に少女エリナの歯型、足のつま先に痛み、顔中鼻血の跡、貧血気味、
[装備]:メローネのバイク
[道具]:カップラーメン(アレッシーは毒入りだと勘違いしています)、携帯電話、メローネのバイク、支給品一式。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームに乗るつもりは今のところないが、明らかに自分よりも弱い奴がいたら虐めてスカッとしたい              
1. とりあえずなんかヤバそうだから逃げる!
2.ダービーを抱えた女と合流……できたらいいなぁ、信頼を得て保護を受ける。 鉄塔近くの奴らとヘリは無視だ!
3.その後、携帯電話を使わせる。
4.でも本当はいじめまくりたくて仕方が無い。
5.上手く不意を突ける機会があればミスタとエリナとジョセフとディアボロと音石に報復する
[備考]
※セト神の持続力が弱体化しているようです。アレッシーが気絶しなくても、アレッシーに何らかの異常があれば子供化は解除されるようです。
※その制限に薄々気がつきはじめています、そのためやや警戒気味
※『名に棲む鬼』における鉄塔の戦いの一部を目撃しました。会話は聞き取れていません。
  ダービーが投下された瞬間を見逃し、最初に目にしたのはF・Fに抱えられた治療後の姿だったため彼がカビに感染していたことを知りません。
  また上空の戦いは見ておらず、プッチ神父とサーレーの姿もよく見えていませんでした。
※ジョルノのスタンド能力を『触れたものを一定時間固定する』能力、F・Fのスタンド能力を『治療が可能な』能力
 ディアボロのスタンド能力を『瞬間移動』する能力と認識しました。
  エシディシに関してはスタンド能力がどういったものであるかイマイチ確信を持てていません。
※ンドゥール、オインゴ、マライア、ダニエル・J・ダービー、ヴァニラ・アイスとはお互い面識がありますが、スタンド能力は把握していません。


※川尻早人は北側出口入口にて気絶したままです

*支給品説明*

【メローネのバイク】(燃料十分)(5部出典)
読んで字の如く、暗殺チーム所属のメローネ私物のバイク、アレッシーへの初期支給品
原作ではベイビィ・フェイスに乗り逃げされたり、ジョルノに燃やされたりと色々とついていない
おい、メローネ。お前のバイク燃えてんぞ?



162 :架空過去型<<禁忌>>まじない ◆bAvEh6dTC. :2009/07/03(金) 00:09:02 ID:eQXRfO1p
以上で投下終了です。
キンクリの能力解説は
ttp://www11.plala.or.jp/azathoth/stands/kobetu/KingCrimson.htm
↑ここを参考にしました。

>>156>>158様指摘ありがとうございます
他にも感想、指摘 お待ちしています

後、タイトルの元ネタわかった人は俺と握手

163 :創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 00:26:14 ID:mbsz5O5O
投下乙です
誤字に関しては上にあげられているものと、
人なんでダース単位で殺してそうな目だ→なんて
逃げれるとも思えない→逃げられる(ら抜き言葉)
のふたつを見つけました。
あと全体的に句読点(特に句点)が少ないのが気になりました。

内容に関しては、まず、
ディアボロがスタンド使いになったのは1986年、19歳の時です。
なので、15歳の時点でスタンドが使えるものか(当時はエピタフすら使えません)
あとは上で言われているとおり、
ジョセフのポルナレフの呼び方について、
『エピタフ』の表現について、

最後に感想ですが、とても面白かったです。
特にアレッシーを利用して若ディアボロ&若ジョセフが登場したことはとても良かったと思います。


164 :創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 00:30:10 ID:mbsz5O5O
>>162
スタンドの解説でしたら、他にもここなんか役に立ちますよ
http://spw.at.infoseek.co.jp/stand-ka.htm#kingc

165 :創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 12:59:15 ID:Dgffoixp
2つのスタンド→2つの能力
にすれば大丈夫だろ

あと誤字
ごこちる→ごちる

166 :創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 19:49:04 ID:vzMKw+Ai
投下乙!

たまごクラブwwwwひよこクラブwwwwこっこクラブwwwwwww
3人とも若返りネタが来るとは思わなかったww
せっかく回復したのに戦闘力0の音石。ジョセフは欝状態なのに体はビンビンww

修正作業は大変だろうけど、話はめっちゃ面白かったぜ。
ジョセフ、ドッピオ、レッチリベイビーのこれからに期待!

167 :創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 20:45:36 ID:vzMKw+Ai
>明けてさだめに身をやつし ◆33DEIZ1cds氏
くじけてしまいそうな状況でも、絶対に負けない。最後にはたち上がる。
この心の強さがエリナなんだよな。泥水すすったり、再婚しない覚悟は健在。
ダービーギャンブル対決の下地作りとエリナにテレンスの優しさを気づかせた氏はGJだ。
彼女に協力してくれる仲間が見つかればいいね。上手くいけばジョージも帰ってくるぞ! 頑張れエリナ!


>性/さが ◆hqLsjDR84w 氏

シーザーとウェストウッドの異色対決が見られるゥ!……と思ったら露伴wwwww
信じられるか……第一回放送後なのにまだ状況が読めてないんだぜ?w
しかし氏はあえてコメディタッチにすることで、露伴のチートさを和らげている。
凶悪なヘブンズドアーという死亡フラグを持つ露伴。こっそり彼の寿命を延ばした氏のしたたかさがグッド。

>トニオのスーパー料理教室 ◆bAvEh6dTC. 氏

「以外ッ!!それは調理ッ!! 氏はイタ飯を知り尽くしているのかぁ〜!?」←驚愕
「しかもこんな書き方で表現されたパロロワSSは珍しい!すごく新鮮だった」←ここにセリフ
「放送をまんまと聞き逃したこいつらが、この後あんな目に会うかと思うと……」←悲しみ
「氏のSSが、より美しく輝いてしまった。やっぱりパロロワは日常パートは欠かせない」←次回作も期待

> 耳なし芳一 ◆yxYaCUyrzc氏
原作でも重ちーの死にやり場の無い怒りを感じていた億泰。いい奴だよな。
これに仗助と康一の死が重なるんだから、奴の怒りも有頂天は確定的に明らか。
仲間の死を悲しむ立場、ジョジョロワ1stとはまったく逆の路線になってる……頼れる兄貴は未参加だし。
>>それでお前が俺にコーイチの面影を重ねないと言い切れるのか?
サンドマンのこのセリフは、億泰という人物をよく理解してるなぁとしびれたね。

168 :創る名無しに見る名無し:2009/07/03(金) 21:06:38 ID:1AlpcXHP
投下乙

アレッシー無双来たw(色々な意味で)
若ジョセフはジョジョゲーやってない人でもニヤリと来るアイディア
けどそこで留まらないのが氏のすごい所
まさかディアボロをドッピオにするとは思わなかったw


なんだけどこれって後々めんどくさくならないかな?
ジョセフ達が若返ったまま放送迎えれば、アレッシーは気絶どころかダメージすら負わないことになるし
逆にアレッシーが先に進んじゃえばジョセフたちは若いまま。
ジョセフやディアボロはいいとしても完全にキャラとしての個性を失った音石とかきついんじゃないかな〜?

個人的な意見になっちゃうけど氏の奇抜なアイディアを盛り込んだ作品は面白いんだし
もうチョイ冷静な目で見直すのも必要かもしれないよ?
毎回内容にどこかしらの矛盾があるってことで指摘されてるし

169 :創る名無しに見る名無し:2009/07/04(土) 02:18:48 ID:t7QZruda
>ジョセフ達が若返ったまま放送迎えれば、アレッシーは気絶どころかダメージすら負わないことになるし

ミューミューみたいに寝るか気絶したら解除でよくね?
さすがに制限あるだろ。

>ジョセフやディアボロはいいとしても完全にキャラとしての個性を失った音石とかきついんじゃないかな〜?

それは>>168が決めることじゃないね。音石は放置されてるわけじゃあるまい。
ジョセフが子供を見捨てるはずがないし、音石の利用価値を知ってるディアボロも見捨てるメリットなし。

>もうチョイ冷静な目で見直すのも必要かもしれないよ?

そもそもフェルディナンドも恐竜化は3体まで〜とか制限されてるし。
相手を変化させる系の能力はどっかで制限されてるだろう。
アレッシーが若返らせたら、そのSS内で元に戻せってか?

170 : ◆bAvEh6dTC. :2009/07/04(土) 22:10:21 ID:RMa2bOdH
指摘、感想ありがとうございます

誤字脱字等修正、エピタフとキンクリに関しての変更
で、WIKIに上げたいと思っています

ちなみにタイトル元ネタの答え→少女革命ウテナの劇中歌でした
最近はまったんでこれからタイトルがJ・A・シーザーばっかりになりそうです



171 :創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 12:10:18 ID:p1ZXLEe8
>>170
修正乙。



>彼は誰 ◆33DEIZ1cds氏
かっこいいよなロビンスン。たまってた鬱憤を晴らしたなぁ。
『恐ろしいのは戦いもせずに負けることだ』の“戦い”の解釈の違い。
ロワの対応者フェルディナンドとロワに不慣れな男の対比は、スタンド使いと非スタンド使いならでは。
あっさり負けてしまったけれど、この突然の奮起に違和感をまったく感じない。
原作のチョイ役が持つ、刹那的な雰囲気をシリアスに持っていけたのは、氏の掘り下げ能力が高い証拠だろう。

>愛・戦士たち ◆0ZaALZil.A 氏
ウェザーを恐れるヴェルサスとウェザーに会いたいアナスイ。
彼らを軸に、誤解フラグのティッツァと粛清フラグのイケメンが美味しい。
コンスタントに時間を持て余していた2組が合わさると、ここまで面白くなる。
このSSはただの情報交換で終わらせず、原作準拠の新しいフラグを作り上げる布石となった。
4人がこれからどうなってしまうのか、非常に楽しみだ。

>123 幸福の味はいかがです ◆33DEIZ1cds
マックイィーンの死は無駄じゃなかった。これを本当に自殺と呼べるのか。
>>一瞬で黒から白に戻ろうったって、そうはいかないよ…
マックイィーンは自分をよく理解しているが、彼の遺言は“料理楽しかったよ。うまかった。また食いたい”。
ポジティブさと食べる喜びを取り戻したのはトニオの努力が実ったからではないだろうか。
彼の最後の言葉こそ『幸福の味』への答えになっている。これからもトニオの活躍に目が離せない。

>124 太陽(ザ・サン) ◆0ZaALZil.A
『時を越えたコラボ』を地でいってるディオ、ジョルノ、プッチがやっぱり面白い。
エシディシ、ディオに与えるスタンドDISCフラグも見逃せないが、親しいのに親しくない関係が絶妙だ。
未来を知っているプッチが他人の『運命』を気づかう姿は新鮮で、彼が聖職者だったという設定を思い出させる。
荒木考察の戦力として申し分ないディオ班にとって、有益な人材が早く集まることを願う。スピードワゴン?だれそれ?
エシディシの涙にも感動した。動くカーズと動かぬエシディシ。柱の男はまだまだロワを盛り上げてくれるだろう。

172 : ◆bAvEh6dTC. :2009/07/05(日) 15:00:04 ID:eKpvu8y/
仕事進まなくてムシャクシャしたので絵板に落書きしてきた
後悔はしていない

173 :創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 21:24:44 ID:o+l9O5ag
では◆0ZaALZil.A さんの代理投下を始めたいと思います
今回はノーミスでいきたいなぁw


174 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 21:29:55 ID:o+l9O5ag
チックショオ〜、ネズミが腹に張り付いてるとなるとどんな奴でも警戒すんだろ。
 『初見で警戒される』ってのは言うまでもなくマズイぜ」

放送を聞き終え、その内容に何の感慨も浮かばずに民家を出たのはホル・ホース。
彼は腹に張り付いたネズミに対して、悪態をついていた。
と言ってもネズミが言葉を理解するわけでもなし、不毛な独り言でしかない。

「南へ行くっつっても、やみくもに真南へ行くのは馬鹿のすることだ。
 ある程度目星つけなきゃなんねー。こちとら急いでんだからよ」

彼が焦っているのは、その腹のネズミによるものだった。
どこから疑われていたのか知らないが、ネズミはスピードワゴンがホル・ホースが裏切らないために懸けた、言わば『保険』。
なんでも、10時間以内にとある“カギ”を得なければ、『心が折れて』しまうのだそうで。
さすがにホル・ホースには腹をえぐる覚悟は無く、外すには命令された『仲間探し』を貫徹させなければならないのだ。
まあ、『心が折れる』という言葉が意味するところはスピードワゴン自身もよくわからなかったようで。
分からないが、その無知がなお一層恐怖を駆り立てるというのもまた事実。

「やっぱ、あの場所だろうな……。地図の確認も兼ねて」

方位磁石を取り出し、地図と照らし合わせつつ歩む。

「女の一人でもいてくれりゃあいいんだがな。悪趣味なとこだから可能性は低いかね」

最低限、周囲の警戒は怠らず。




175 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 21:35:06 ID:o+l9O5ag
  ★


背中を預けていいと思える者が、この場においてたった一人。
これを頼もしいと取るか、心細いと取るかは自由。

「ペッシ、そいつの監視を頼む。来客だ」
「リ、リーダー? 来客って?」
「どんな奴かはわからんが一人だ。だからこそ『試す』チャンスと俺は取る。
 単独なら、ここを制圧しようと考えてる輩じゃあないだろうからな。ヤバくなったら容赦なく逃げる。
 もしそうなったら体勢を立て直してここを取り戻すがな。念のためだ、脱出経路は確保しておけ」

『パッショーネ』暗殺チームのリーダー、リゾットにとっては後者だった。
チームを喪い復讐に燃えた事もあったが、何の因果かその一人と再会を果たした彼。
すべては荒木が作りし箱庭からの脱出を目指すため、彼は新たなリーダーとして、新たなメンバーを欲していた。

「気ィつけてくれよ、リーダー」
「首輪を外せる奴かもしれない以上、下手に痛めつけるわけにもいくまい」

その言葉を受け、部下のペッシは安堵の表情を見せた。
暗殺を生業とする彼らにとって許されぬ態度かもしれないが、人員確保は必要なのでその行為は目的に反しないものだとリゾットは判断した。

「行ってくる」
「ああ。……さあ、とっとと歩きな。心臓突き破られたくなかったらな」
「……言われなくても出来る」

リゾットを見送り、ペッシは己がスタンド、『ビーチ・ボーイ』で女性の看守――ミューミューを小突く。
針は胴体部にまで食い込んでいる。
ちょっとでも妙な動きを見せようものなら、心臓の奥深くにまで針が貫かれることだろう。

リゾットの尋問は、スタンド使いにとって命綱とも言える能力の説明をも迫るものだった。
ミューミューは、勝つ見込みがないことを理屈でなく心で理解し、仕方なくバラすことにした。
名は『ジェイル・ハウス・ロック』、能力は『触れたものを「3つ」の物事しか記憶できなくする』。
これを聞いたリゾットは、彼女の監視を担うペッシに命じた。

『ビーチ・ボーイ』の針をあらかじめ胴体に食い込ませておくこと。
腕にあらかじめ「2つ」の書き込みをしておくこと。

『女の心臓を突き破れ』『リーダーからの命令』この2つ。

なぜ「2つ」なのか?
これは、『ペッシが記憶せざるを得ないような何かが起こっても指令を忘れないようにする』ため。
ミューミューが「記憶すべき事象」を起こしてもいいように。
もっとも彼女は、『ビーチ・ボーイ』の糸でぐるぐる巻きにされており、ほぼそんな事態は考えられないのだが。
ちなみにこれはリゾット、ペッシともに知ることではないが、ミューミューの能力は『スタンド攻撃を受ける直前までの記憶は残る』。
能力を知られた今、彼女に為す術など元から無いのだ。

「寝込みを襲うとは、やってくれたな荒木……」
「だ〜か〜らぁ、俺たちゃ別に荒木の差し金じゃあねえって」

ミューミューは、荒木を元々の世界で世話になった『ホワイトスネイク』の本体だと思い込んでいた。
リゾットもその名は別の本体名で聞き及んでいたし、刑務所内で井の中の蛙になっているような奴が並行世界に干渉などと大それたことをする可能性など論外とみなした。
見当違いの勘違いも甚だしい、と言ってやりたかったが、リゾットにも覚えがあるし、こちらの説明も聞く耳持たずといった感じだったので無視した。
相手を任されたペッシにとってはうっとうしい事この上なかったが。

「もういい、しゃべるな。話が噛み合わねえ」
「グッ……!」

竿でつつくとそれきり彼女は黙った。黙って歩くしかなかったから。

176 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 21:39:59 ID:o+l9O5ag
  ★


「誰かいませんかねぇ〜、っと」

遠目にナチス研究所を観察するホル・ホース。
中を確認しないでやみくもに突入するわけにもいかない。
彼は一番よりナンバー2、誰かと組んで力を発揮するタイプなのだから。

「ん? 中から誰か出てきやがった」

研究所から出てきた者はひとり。
フードをかぶり黒衣を纏った男性としか、外見上は判断できない。

「あの動き……プロだな。いかにもって感じがするぜ」

だが、ホル・ホースとて素人ではない、れっきとした暗殺者。
DIOの部下という立場上、その道の人々はよく見ている。
そんなホル・ホースでさえ、彼を今まで見てきた中でも群を抜く存在と評する。
それこそ、彼の下についていいと思えるほどの。

「姿見せた瞬間襲われたら嫌なんだがな……あ〜〜〜クソッ! どの道身の危険が迫ってるのは変わりねえ!
 こうなったら腹ァくくるぞ!」

女を口説く自信はあるが、初対面で仲良しになれるほど、この状況は甘くない。
相手が修羅の道を歩んできたというのならなおさら。
だが、仲間を引き連れるには避けて通れない交渉。
ホル・ホースは意を決し、地をしたたかに踏みしめ向かっていった。

「止まってくれ! 俺の名はホル・ホース。まあ、腹のネズミは気にしなさんな。
 俺は荒木を倒すために仲間を集めてる。中にもあんさんの仲間がいると察するぜ。一緒に来てくれないか?」

気さくに問いかける。
交渉で大事なのは、自分のペースに持ち込むこと。
ホル・ホースは口説きの経験でそれが分かっていた。
また、軽い態度を気取ってはいるものの、身の警戒は怠っていない。
二人の距離は10メートル。
銃器を形どったスタンド『エンペラー』は、弾丸もスタンドゆえ距離次第で威力が変わってしまう。
ここがギリギリ殺傷能力を保てる射程距離というわけだ。
相手が一番戦いたくない近距離パワー型のスタンド持ちだったとしても、まず射程距離が10メートルもないため安全圏と言っていい。

交渉を図る際の方程式は完成している。
だが、完成しているということすなわち、ダイヤモンドより壊れないというわけではない。
目には目を、歯には歯を、という言葉がある。
ルールにはルールを、誰かが定めた新たな規則に、既存の規則は駆逐されるのだ。

「オレはおまえに……近づかない」

リゾットは名乗らない。それが、彼らのルールにおいて闘争の開始を示すゴングとなった。

177 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 21:45:03 ID:o+l9O5ag
  ★


飛来するメスの群れ。
一斉に、宙を乱れなく奔る様子はまるで水魚。

「おわぁっ! 容赦なしってわけかい!」

咄嗟に横転して避けるホル・ホース。
無論、ここで守りに甘んじるほど彼は心穏やかではない。

「『皇帝(エンペラー)』!」

素早く体制を整え、手のひらに収めた精神のヴィジョン、『エンペラー』の引き金を二度引く。
撃鉄が弾薬を叩く音が響く。
狙いは頭部。

「おっと」

だが、転がってすぐ狙いを定めるというのはそうそう上手くいくものではない。
結果として照準はぶれ、リゾットはちょっと身を傾けただけで回避に成功、弾丸は遥か彼方へ。

「拳銃型のスタンド。武器として見れば遠距離で戦うべきものだが、距離をとればスタンドパワーは弱まる、常識だ。
 勝てると思うか? そんな役立たずのおハジキで」

嘲るリゾット。外した弾丸を悔しそうな目で追うホル・ホース。

「ケッ、戦闘中におしゃべりたぁ、感心しねえな」

負け惜しみのような挑発を受けても、リゾットは悠然とした態度を崩さない。
絵的にも、しゃがんだままのホル・ホースを、リゾットが見下ろす構図が成立していた。

(全くもって感心できねえぜ、あんさん)

リゾットは『役立たず』と揶揄したが、短所あるがゆえの長所というのは存在する。
『思念を通じての弾丸操作』、『エンペラー』の長所はそこにあった。
的を逸れた弾丸はUターン、リゾットの後頭部に風穴を開けんと迫る。
普通の弾丸なら空気抵抗などで勢いをなくしているだろうが、スタンドの弾丸にそんなものは存在しない。
狙いは脳幹。真後ろ、完全な死角!

「勝った! 脳みそ地面にブチまけやがれ!」

言い終わる前か後か。
リゾットの周りでメスが生成され、弾丸と交差しはじき落とされたのは。

「ニャニイ―――ッ!」
「『勝った』だの『やった』だのは“ブッ殺した”時に言うもんだ。先に言うのは感心しないな」

先の自分の発言に似た忠告をされ、ホル・ホースはギリと奥歯を噛みしめる。
憎々しげな表情とは裏腹に、脳裏では何故自分の目論見がばれたのか、と考えを巡らせていた。

「いつまでも外した弾丸を見つめ続けるバカはいまい。敵が近くにいるならばな」

その言葉にホル・ホースはハッとさせられた。
彼が犯した最大のミス。
それは、弾丸操作の都合上外した弾丸をわずかだが注視してしまったことだ。
そんなことをすれば、外した弾丸に何かあると思われるのは道理。
少し後ろに注意してやれば、戻ってくる弾丸に気づくのは容易い。
ホル・ホースが得意とするのは近距離からの暗殺であったため、普段弾丸操作に重きを置いていなかったのが仇となった。

178 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 21:50:03 ID:o+l9O5ag
「おしゃべりしすぎも良くないな」

徐々に、まるで空間を溶媒として溶けるかのように、リゾットは背景に馴染んで消えた。
これでは弾丸を当てようがない。

(なんてこった! 姿まで消せるのかよ! メスを飛ばすだけじゃあ決め手に欠けるとは思ってたがな……。
 だがこれで、奴の能力が読めてきたぜ!)

だが、ホル・ホースは諦めなかった。

(おそらく奴の能力は『鉄を作りだす』ことだ。
 メスは言うまでもねえ、姿を消したのは鉄を身に纏って保護色にしたってところだろう)

能力の全容に――正確ではないものの、核心には――近づいていたからだ。

(だが、そう無尽蔵には作れないらしい。弾丸をはじく強固な壁でも作っちまえば、こっちは勝ち目ねえんだからな。
 弾丸がスタンドでも、分厚い壁を透過できるかっつーと疑わしいしよ。
 つまり! 位置さえわかりゃあ『エンペラー』は通用する!)

それは希望という火種となって、闘士を再燃させる。



だがそんな思いに反して、無慈悲にも戦いの神は決着を迫った。

「おげえええええあッ! 口から……針がッ!」

無数の針がホル・ホースの口内を突き刺し、頬と口からボロボロと垂れ流される。
血液と混じって落下するその様子、あえて形容するならば土石流のよう。

「もう遅い。すでにおまえは『出来あがっている』のだからな」

どこからか声がしたが、ホル・ホースは突然の攻撃による動揺と激痛のためにその位置が察知できなかった。

(体内にも……仕込めたのかよ……。
 声のした場所はわかんねーし、足跡つけて歩くほど奴はマヌケじゃあない。どうすりゃあ……)




179 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 21:50:53 ID:o+l9O5ag
「ガハァッ!」

俯き、咳きこむようにして口に残っている針を吐き出す。
目に映ったのは、散らばる無数の針と、赤黒く染まった地面。

そして、左手に握りしめていた方位磁石。

(俺は確か、南西方面に向かって歩いていったはず……。奴と対峙した時にも西を向いてた。
 じゃあ……なんで『N極が西方面を向いている』……? 下に置いてある針に引き寄せられた? いいや違う。
 しっかりと西に向いているからな……。だったら何故? 決まってんだろそんなの!)

方位磁石を置いてすっくと立ち上がり、『エンペラー』を握りしめ、左手を添える。
狙いはN極が指し示した方向。

「磁力だ……鉄を作りだし、操っていたのは……! 奴が発していた……!」

腕からカミソリが生えてきて裂傷を作った。
駆け巡る激痛。それでもホル・ホースは構えをぶらさない。

(せっかくつかんだチャンス、逃がすかよ……! 狙いは……正中線上!)

近距離の暗殺こそが『エンペラー』の独壇場、自分で言ったのだから名前負けするつもりはない。
名を背負う以上、この戦いからは逃げられないのだ。
引き金は一定のリズムを刻み、狙い通り銃口から4発の弾丸が放たれた。
構えが最後までぶれなかったのは、ホル・ホースの精神力の賜物か。

180 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 21:51:37 ID:o+l9O5ag

「それをやると思ったよ」

――的がないのに狙い通りとは、実におかしな話だが。

後ろから聞こえた声に、呆然とするホル・ホース。
群れをなした弾丸はとどまることを知らず。

「方位磁石を持ってる事には気が付いていた。その動きを見れば、いずれ俺の能力がわかることも。
 磁石が指し示したのはそこに置いといたメスだ。血液ごと『メタリカ』を付着させたメスをな……」

ホル・ホースがもう少し冷静だったら。
方位磁石が、わずかに下に傾いていると気が付いていたら。
このようなミスは犯さなかっただろう。

ホル・ホースは先ほどまで固く握りしめていた『エンペラー』を、ポロリと落とす。

「降参だ。マジにしてやられたよ」

両手を上げる、降伏を示すサイン。
もはや誇りも何もあったものではない、命あっての物種ということだろうか。

「正気か? お前が白旗揚げたところでみすみす逃がすバカはいない。同業者ならそれがわかるだろう?」
「俺は深追いはしないことにしてんだよ。それに、引き際は見極めねーとな」

ホル・ホースは振り向かない。
ただただ、惨めな言い訳をするのみだ。

「これからお前の頭をカミソリで切り飛ばすが……その銃を拾って弾を装填する程度の時間はあるかも知れないぞ。
 発射はさせないがな」
「なんだって? いまなんていったんだ……? 装填しろ? 弾を込め直せだって〜?
 その必要はない! 弾を込める必要はぜんぜんねーのよ!」




181 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 21:52:20 ID:o+l9O5ag
言い終えたが刹那、ホル・ホースの脇下をすり抜けた弾丸がリゾットに向かう。

「弾丸を操作してくることぐらい読めていたぞ!」

あらかじめ用意されていたメスが弾丸をはじく。


弾丸をはねる甲高い音が、『3回』響く。


では、残りの1発はいずこへ?

「後ろかッ!?」

リゾットが犯した重大なミス。
それは、相手のスタンドではなく、『相手そのもの』を見下していたことだ。
同じ策を二度も用いるような、愚鈍な人物と判断していたことだ。

「あぐぅッ!」
「いいや、前だ。活路を見出すのはいつだって前なのよ」

リゾットの左肩に弾丸がめり込む。
倒れそうになるも、踏ん張ってホル・ホースを見やる。

左肩に、染物でもしたかのような鮮やかな円が広がっていた。

「自分の体を死角にして……弾丸を放ったか」
「その通りよ。あんさんが後ろにいたのは想定外だった。マジにしてやられたと思ったさ。
 だが、逆にその位置はちょうどよかった。近距離からの暗殺は、『エンペラー』の得意分野だからな」

言ってしまえば、最初の3発はすべてオトリ。
本命は、完全な死角から放たれる一撃だった。
リゾットが先述した事の逆を言えば、スタンドは自分に近ければ近いほどパワーが強くなる。
つまり、『エンペラー』の弾丸がホル・ホースに当たれば、奇妙に思えるが推進力が増す。
肉体を貫いたのち、背後の相手に傷を負わせるほどまでに。
そう、ホル・ホースはたとえ誇りを失ってでも、惨めになってでも、勝利を諦めなかったのだ。




182 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 21:53:07 ID:o+l9O5ag
(さて……面子は保たれたが、いかんせん血を失いすぎた……。
 まあ、カウンター喰らわしただけでも良しとするかね。自分に弾当てるだなんて二度とやりたくなかったがよ……)

ホル・ホースはこの隙に乗じて決定打を与える予定だったが、貧血と数々の傷、そこに疲労が伴ってはまともに立つのも難しく。
落としたはずの『エンペラー』のヴィジョンが消えるほどに、意識がしっかりと保てずにいた。
このまま、反撃する前にやられてしまうだろう。

「さっさと……とどめ、さしやがれ」
「いいや、ささない。なぜならお前は俺の仲間になるからだ」
「ハァ!?」

振り向き、想定外の言葉に目を見開くホル・ホース。さっきまで息も絶え絶えだったのが嘘のよう。

「いや、マジに恐れ入ったよ。自分に弾丸を当ててまで勝とうとするお前の覚悟に敬意を表したい。
 そして4回引き金を引いた時、構えに震えがなく、呼吸にも乱れがなかった。腕を傷つけられたにもかかわらず、だ」
「世辞にしか聞こえねーよ……」

ホル・ホースがそう思うのも無理はない。
策でもって一杯喰わせたものの、リゾットの有利は終始揺らがなかったのだから。

「とりあえず中に招待しよう。簡単にだが、傷の手当てもしてやる」

肩を貸したホル・ホースは歩く気力もないのか、はたまた争いを終えた安堵によるものか、
その歩みは力なく、リゾットに引きずられているかのようだった。


  ★


『メタリカ』は、体内や物質の鉄分を操作し、新たに鉄を作りだすスタンド。
それを利用して、股釘を作って傷口に打ち込んでやれば、ひとまず傷は塞がる。
鉄は地表に出る金属の中では最も多い金属だ。
国家の威信をかけた一施設なら、なおさら事欠かない。

「リーダー、何で俺には傷の処置してくれなかったんです?」
「喉は傷を塞ごうとして頸動脈を傷つけたらまずい。肘は『ビーチ・ボーイ』の操作に支障が出る恐れがある」
「よく考えてるんだな、さすがだぜ旦那」
「旦那……? お前がそう呼びたいならそれでいいが」

183 :創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 21:58:15 ID:WS7IAtq2
一通り治療を済ませたリゾットは、ペッシと彼に拘束されたミューミューを呼び戻した。
ペッシはホル・ホースが傷付いていたことに対する弁明を求め、リゾットは入団試験だと答えた。
直後、「あんなヘヴィな入団試験があるか」と、ホル・ホースの文句を受けたのは言うまでもない。

「それとホル・ホース。さっきの話は本当なんだな?」
「スピードワゴンって奴がどれくらい同志を集められるか分からんが、そういう話があったってのは事実だ」

応急処置を施している間に情報交換も兼ねてこれまでの経緯を話しあったのだが、そこでリゾットは己の僥倖に歓喜することになる。
殺し合いを打破するためのメンバーを募るため、わざわざホル・ホースは相方と二手に分かれて捜索していたとのこと。
話を聞くに半分脅しに近いものだったらしいが。

「スピードワゴンをこっちに連れていくつもりかい? 反対はしねーだろうが、誰か俺についてきてくれなきゃいけねーぜ。
 『ここに仲間がいるんだけど』って言ってホイホイついてくほどあいつは馬鹿じゃあねえ」
「ならコイツを連れて行け。間が抜けているが戦力にはなるし、お前のスタンドとの相性もいいはずだ」


リゾットが指さしたのは、ともに自由を手に入れることを誓った男――


「わ、私か?」
「こいつですって、リーダー!?」


――ではなかった。
指名したのは、未だ拘束を解かれていないミューミュー。

「気が利くじゃあねえの、旦那! しっかりとエスコートさせていただくぜ」
「い、いいんですかいリーダー! もしかしたら二人とも裏切るかもしれないっていうのに」

真逆となった二者の意見。だが否定の意見は通らない。

「ホル・ホース、そいつが自分の立場をわきまえない愚図ならその場で始末しろ」
「女性に対してそういうこと言うのどうかと思うがね……。ま、下手して全員が危機に陥るようならやむなし、か」
「そういうことだ。お前は『生かされている立場』だということを忘れるな、ミューミュー」
「グッ……!」

鶴の発する一声が、何より響いて通らない。

「ペッシ、拘束を解いてやれ」
「わ、わかったよ、リーダー」

ペッシが『裏切るかもしれない』と言ったが、ミューミューに関してはやすやすと裏切られるほどやわな尋問をしたつもりはない。
拷問、というわけではないが、多少の武力行使をした甲斐あってミューミューの能力は割れた。
無論リゾットは自分の能力を明かしていない。
裏切る可能性を出来る限り減らしたのだ。屈服させ、ついていかざるを得ないと思わせることで。

184 :創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 22:00:08 ID:WS7IAtq2
ミューミューの肉体に絡みついていた糸がするりと解かれる。

「そいじゃあ行ってくんぜ、旦那。何か欲しいもんでもあるかい?」
「そうだな & &首輪はおいおい手に入るし、技術者が欲しいのも既に伝えたな。
 欲しいのはここの防衛力だ。探知能力をもつ者が来てくれたらありがたい。ペッシ一人では限界がある」
「探知能力持ちだな。レーダーとかでもいいんだろ?」
「あれば、でいい。スピードワゴンとやらと合流してこっちに戻るのを優先しろ」

帽子をかぶりなおしつつ、了解、と軽く返事するホル・ホース。

「無事を祈ってるぜ旦那。さ、ご同行願おうか」
「私はガキじゃあないんだ、言われなくたってそうする」
「あらら & &こりゃあ、ものにすんのに骨が折れそうだぜ」

すごい剣幕で睨みつけるミューミューを、ホル・ホースは軽く受け流して研究所を出る。
彼女はつかつかと、速足でそれに続いた。


  ★


「本当にいいんですかい、リーダー?」
「ホル・ホースの奴が裏切るかもしれないと、考えているな?」

二人を見送った後、リゾットはペッシの抗議の相手をしていた。
初対面の人物を警戒するのは、この状況下なら確かに正しい反応だ。

「奴はしばらくは裏切らん。『一番よりナンバー2』、『強い者の下につく』、それが奴の生き方だそうだ。
 手傷を負わせたことを誇りもしない。自分が弱いことを知っているから、組む必要性を理解している。
 俺たちと組むことがどれだけ有用か、思い知らせてやる自信もある」

だが、リゾットはホル・ホースを知っており、ペッシは知らないのだ。
彼の本質を、彼が人生において重視していることを。

「お前が警戒するのも無理ないかもしれないな。ああいうタイプはチームにいなかった」

リゾットは伊達にリーダーをやっていない。
人の性質を見抜き、ふさわしい役割を与えるだけのことはできる。
調子の軽い女好き、暗殺チームのメンバーには誰一人として当てはまらない精神構造。
異常と言っていいくらい歪んだ性癖の持ち主はいたが、彼とはまた違う。
だが、それでもリゾットにとっては相手をするのに別段困るというわけでもない。
これくらいで苦労するようなら、リーダーの名が廃る。

185 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 22:00:47 ID:o+l9O5ag

「分かったら、お前はさっきまでのように駅周辺の警戒に当たれ。俺は引き続き首輪を外すのに使える部屋があるか調べる」
「まあ、急な来客でしたからね。あんな短時間で全部の部屋見まわるのは無理でしょうよ」

リゾットはミューミューに対する尋問を終えた後、研究所内部の探索をしていた。
しかし、間もなくして施設に接近するホル・ホースを目にし、対処を余儀なくされたのだ。
結果としては良かったのだが、これ以上時間を無駄にはできない。

「何かあったらすぐに俺に伝えろ」

こくり、とあるかどうかわからない首を縦に振り、地下へ下るペッシ。
リゾットは、研究所内部の調査をしようと――する前に、


――活路を見出すのはいつだって前なのよ


時代錯誤な格好をした男の言葉を思い出していた。

(活路は前に……か。ブチャラティのチームと敵対していた過去にこだわるのは、活路を見いだせぬ後ろ向きの行為かもしれない。
 だが俺は……そう簡単に割り切れない)

その覚悟に感銘を受けた相手だったが、彼を変えるには至らなかった。

(ホルマジオやプロシュートが生きていようと、この憎しみの炎は絶やしてはならない)

後ろ向きの姿勢だからこそ。

(俺たちの目標は……殺し合いの打破もだが、組織の中で自由を得ることだ。
 奴に、ホル・ホースに敬意を表したのは嘘ではないが――奴らとは相容れないのだから、戦うしかない)

彼は恐れを知らない、向こう見ずでいられるのだ。

186 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 22:02:23 ID:o+l9O5ag
【F-2 ナチス研究所/1日目 午前〜昼】

【暗殺チーム(現在メンバー募集中)】

【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:メタリカ
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷、左肩に裂傷、銃創(『メタリカ』による応急処置済み)
[装備]:フーゴのフォーク
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする  
1.ナチス研究所を拠点として確保する。まずは施設内を探索し首輪解除に使えそうな部屋探し
2.首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。
3.ホル・ホースを信頼。ミューミューはそうでもない。
4.暗殺チームの合流と拡大。人数が多くなったら拠点待機、資材確保、参加者討伐と別れて行動する。
5.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断、皆殺しにする。ブチャラティチームに関しては後ろ向きな行動だろうがやむなし。
6.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。
[備考]
※F・Fのスタンドを自分と同じ磁力操作だと思いこんでいます
※F・Fの知るホワイトスネイクとケンゾーの情報を聞きましたが、徐倫の名前以外F・Fの仲間の情報は聞いてません
※情報交換の際ホル・ホースから空条承太郎、ジョセフ・ジョースター、花京院典明、J・P・ポルナレフ、イギーの能力を教わりました。
※ホル・ホースの言葉に若干揺らぎましたが、現在ブチャラティチームと協力する気はさらさらありません

※リゾット、及びペッシのメモには以下のことが書かれています。

[主催者:荒木飛呂彦について]


荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
         → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない


開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 

※荒木に協力者がいる可能性有り


【F-2 ナチス研究所地下鉄駅ホーム/1日目 午前〜昼】

【ペッシ】
[時間軸]:ブチャラティたちと遭遇前
[状態]:頭、腹にダメージ(小)、喉・右肘に裂傷、強い悲しみと硬い決意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(数不明)、重ちーが爆殺された100円玉
[思考・状況] 基本行動方針:『荒木』をぶっ殺したなら『マンモーニ』を卒業してもいいッ!
1.駅周辺を警戒。
2.誰も殺させない。殺しの罪を被るなら暗殺チームの自分が被る。
3.ホル・ホースはいいとして、ミューミューは頼りになるのか?
3.チームの仲間(特に兄貴)と合流する
4.ブチャラティたちを殺す?或いは協力するべきなのか?信頼できるのか?
[備考]
※100円玉が爆弾化しているかは不明。とりあえずは爆発しないようです。
※暗殺チーム全体の行動方針は以下のとおりです。
基本行動方針:首輪を解除する
1.首輪解除のためナチス研究所を拠点として確保する。
2.首輪を分析・解除できる参加者を暗殺チームに引き込む。
3.1・2のために協力者を集める。
4.荒木飛呂彦について情報収集
5.人数が多くなれば拠点待機組、資材確保組、参加者討伐組と別れて行動する

187 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 22:03:20 ID:o+l9O5ag
【F-2 ナチス研究所から東に少し離れたところ/1日目 午前〜昼】

【ホル・ホース】
[スタンド]:エンペラー(皇帝)
[時間軸]:「皇帝」の銃弾が当たって入院した直後。
[状態]:頬、右上腕に裂傷、左肩に銃弾による貫通傷(すべて『メタリカ』による応急処置済み)貧血気味、
    腹部にダニー(身体的な異常は0)
[装備]:なし。
[道具]:チューブ入り傷薬、支給品一式(不明支給品0〜2、確認済)
[思考・状況] 基本行動方針:生き延びるために誰かに取り入り、隙を突いて相手を殺す。
1.ミューミューとともにE-4の民家へ。
2.スピードワゴンの作戦に乗ってやるが、今の旦那はリゾットだ!
3.探知能力を持った者、またはレーダーを探す。
4.ミューミューを口説くのは難しそうだ。裏切るようなら始末するがな
5.このネズミをどうにかしたい。
6.女は見殺しにできねー。

[備考]
※先刻の【D-4/深夜】にてホル・ホースの悲鳴が近くの参加者に聞こえた可能性があります。
※スピードワゴンにシーザーとの戦闘の事を隠しています。
※情報交換の際リゾットからブチャラティチームの能力を教わりました。
 暗殺チームの名前と能力(ペッシ含む)は教わっていません。ミューミューの能力は教わりました。
※リゾットの考察メモの内容を聞きました。

※ホル・ホース、スピードワゴンの両者は、隕石を見、鉄塔とスペースシャトルの破壊音を聞きました。



※ネズミについて(SPWの不明支給品のひとつでした)
このネズミは【アクセル・ROの作りだした“ジョニィが捨てたダニー”】です。出典はSBR15巻。
このネズミの解除方法は原作同様“水で清める”だけOKです。ただSPWが教えなかっただけなので偶然的に外すことができるかも知れません。
ロワでの制限として“心が折れるまでには約10時間かかる”というものがあります。
ダニー自体を破壊する事は出来ます(コミック内の描写より)が腹と一体化しているのでまず無事では済まないでしょう。
また、ダニーはあくまでも“シビル・ウォーによって作り出されたモノ”であるのでシビル・ウォーの“罪をおっ被る”という能力は持っていません。あくまでも“心を折る”だけが能力です。
上記が記された【説明書】はスピードワゴンが破り、その一部は屋外へ捨て、残りは食べてしまいました。



【ミュッチャー・ミューラー】
[スタンド]:『ジェイル・ハウス・ロック』
[時間軸]:幽霊の部屋から出た直後
[状態]:全身に軽い打撲。腫れ上がった顔。リゾットに対する恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには極力乗らない。身の安全を最優先。
1.ホル・ホースの軽いノリがムカつくけど、暴力は勘弁してほしいからついていく。
2.他のスタンド使いを仲間にして、アラキを倒したい。
3.もうスカーレットを仲間だと思うようなことはしないよ(鉄塔に行ったのだろう。勝手に行け)。
[備考]
※ジェイル・ハウス・ロックは特定の条件下で自動的に解除されるよう制限されています。
 ミューミューが寝ると解除されるのは確定しました。
※荒木のスタンドを「ホワイトスネイク」だと思っています。
※第一回放送を聞き逃しました。リゾットは教えていません。
※リゾット、ペッシの名前と能力を知りません。


※フーゴの辞書(重量4kg)、ウェッジウッドのティーセット一式は【F-2 ナチス研究所】に置いて行きました。

188 :活路は前に ◇0ZaALZil.A(代理投下:2009/07/05(日) 22:04:25 ID:o+l9O5ag
122 :活路は前に ◆0ZaALZil.A:2009/07/04(土) 13:00:29 ID:???
フゥゥー……初めて……バトル書いちまったァ〜〜〜♪ でも思ってたよりなんて事は……あったね、うん

投下完了。誤字脱字矛盾点などあれば指摘どうぞ。
前もって言っておきたいのですが、SS中でスタンドの弾丸をメタリカが生成したメスではじいていますが、
エンペラーはJOJO A-GO!GO!にて精密動作性Eだったので、『メスをすり抜けてリゾットに当てる』のは無理と判断しました。
それでもまずいと言うようなら指摘どうぞ。メスに血液を付着させるように修正します。

それと、「Whatever she brings we……」にて、研究所組の時間が「日中」になっていたので、
「午前」に起こったことだと勝手に解釈させていただきました(「イエスタディを〜」と同じミスだとは思いますが)





★  ☆  ★

代理投下完了です感想は後ほどに


189 :創る名無しに見る名無し:2009/07/05(日) 23:44:36 ID:eLQCwYe9
投下乙です!
なによりもリゾットのCOOLさに惚れた…
戦闘はもちろん、メンバーを纏める統率力やブチャに対する割り切れない気持ち。
暗殺メンバーのリーダーとしてのそのカリスマ性に思わず溜息が漏れた…そんな格好よさ…
ホルホースの憎めなさも原作以上!キャラの個性が際立つぜ!
戦闘描写も工夫されててディ・モールトべネ!次の氏の作品が楽しみだ

改めて乙!次の作品、個人的にはまた氏のバトルが見たいものだ…

190 :創る名無しに見る名無し:2009/07/06(月) 18:35:17 ID:KGFfcA4f
投下GJ!
リゾットが!リゾットがすっごくリーダーやってる・・・!
ホルホースと言い、やっぱおっさん連中には若者にはない格好よさがあるな!
バトルもすげー燃えたぜ・・・
改めてGJっした!


191 :スナイプ・ガール ◆33DEIZ1cds :2009/07/07(火) 01:38:42 ID:BfOf4cn8
いつもラジオを聞いてくださってる方々、乱入してくださる方々ありがとうございます!
wikiにラジオの項目追加させていただきました。
お手数ですが何か不都合がありましたらお知らせいただけると助かります。

同時にCD化企画の宣伝もさせていただいてます。
参加者の方々も私もかなり燃えてますww

次に、ラジオの次回放送決定したので宣伝させていただきます。
次回は8月5日午後10時より。
皆さまお待ちしております!!

新作投下された方々、乙でした!
ボス、やっぱ最高ぉぉぉおお!!おいしすぎます。
リーダーもかっこいい!ミューミューも今後活躍なるか!?期待!

192 :創る名無しに見る名無し:2009/07/10(金) 00:57:51 ID:uzGjG7C1
予約スレに、予約に関すること以外書くのやめてくれー
ワクワクするのはひっじょーーーに分かるけどさ

193 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/13(月) 21:25:29 ID:vbBOs8X3
一日遅れましたが一時投下スレにて投下したことを報告します。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。


194 :創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 23:10:35 ID:vFMy1Zd1
月報補助用データ
     話数     生存人数    生存率 
ジョジョ2 129話(+17)  51/88 (- 9)   58.0(- 9.8)


これに加えて現在したらばの一時投下スレに仮投下中の作品が一つあります
※死者はネタバレになるので伏せますが
計算などにミスがあったらすみません


195 :創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 23:12:44 ID:sw8SdKr9
17! よっしゃあ、すげー!

196 :創る名無しに見る名無し:2009/07/14(火) 23:36:13 ID:L1pfe7S3
コンスタントに進んでるね
マイペースにいってて良い感じ

197 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 20:28:53 ID:vhz/hK0D
九時少し前に投下し始めます。


198 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 20:52:59 ID:vhz/hK0D
投下します

199 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 20:54:36 ID:vhz/hK0D
じっと顔を見つめる。
満足げで充実感に満ちた顔を眺め、開かれたままの瞳を自分の手で降ろしてやる。
俺は彼の宗教を知らない。そして俺自身が信じるものが『男の世界』である以上、彼が望む埋葬の仕方はわからないが…。
ズシン、と鈍い音。低く微かでありながら力のある声。

「墓穴の準備はできたぞ…リンゴォ・ロードアゲイン……」

少なくとも俺の、俺が納得する敬意の表しかたはできる。
その声を合図に俺は彼の体を抱き抱える。割れ物を扱うように慎重に、聖人を扱うように恭しく。
底がならされた一段低くなったその穴にゆっくりと降ろしてやる。少しサイズがあわないのか、体を縮め窮屈そうだけれども致し方ない。
背中を丸めるように横たわる男を見下ろし、俺は先の戦いを掘り起こす。少しずつ、土を被せ顔形が見えなくなるなか、俺は作業を進めながらも考えることをやめなかった。

『俺は行く、男の世界へ!この拳でな…。リンゴォ!お前がどれ程嫌でも付き合ってもらうぜぇー! 』
『ッ…がッ…ぁあ…頼んだ』
『フッ、フフ…見、たか…着ぐるみ、野…郎…!!』

怪我した腕の状態は芳しくない。
それでも俺は丁寧に、丹念に土を被せていく。傍らに立つ男は俺が一人でやりきることに意義があることに理解を示してくれたのか、手を貸すような野暮なことはしなかった。

…それもそうだろうな。

太陽の当たらない、日陰の場所にしか彼を埋葬できなかったことは心残りだがそれも仕方ないことだ。
俺は怪我のため、穴を掘れない。タルカスは太陽の下を歩くことができない。
それでも額から吹き出るように流れ落ちる汗を一拭い、依然手は休めない。
存外短時間で終わった儀式に俺は一息つく。少し盛り上がった土を前に今一度俺は目を閉じ黙祷を捧げる。

地平線よりゆっくりとその姿を見せる太陽。その明るさに目を細めると同時にその温かさともたらす恵みに想いを馳せる。

どこまでも透き通る空の蒼さも。
囀ずる小鳥の歌声も。
俺は彼の分まで背負って行こう。
約束しよう。必ずこの先君との闘いは忘れない。そして、この俺を聖なる領域へと高めてくれたことに…

「感謝いたします」

深々と垂れていた頭を持ち上げ、足を門への方へと向ける。
儀式は終えた。俺は自分の仕事に、己を乗り越えるための場所へと帰る。

「『借り』ができたな、リンゴォよ…」

200 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 20:55:28 ID:vhz/hK0D
その時を狙ったのかのようにそいつは声をかけてきた。
俺とはまた違う世界を持つ男。戦士としての誇りをもち、主君に仕えることを第一としている男。
閉めきっていた門を再び開けるため体重をかけるとゆっくりと軋み唸りながらも動き始めた。
来訪者を迎え入れる準備を終え、俺は振り向くとタルカスと視線を合わせる。
日陰にしかいられず太陽の下へは出れないその体。日陰を進み絶対日光が当たらない道を進んだとはいえ危険を犯し俺の儀式の手伝いをしてくれた。


「…手伝いには感謝する。しかし勘違いするな、俺はお前のために門番をしているわけではない………」
「………」
「乗り越えるべきは相手か、自分自身か。俺はこの館でもう三人もの参加者と遭遇した」
「絶好の狩り場だと?」

沈黙で返答とした。俺は来るべき戦いに備え体を伸ばす。門を見据え、まだ見ぬ『男の世界』を夢想する。

「だが借りは返そう。即ちここで俺は約束をしよう、タルカス。『ディオ、そしてその部下どもには手を出さない』とな…」
言い終わってしばらく経ってから背後より忍び笑いが聞こえた。わざとらしいその堪えかたに俺は一息はくと少しだけ声をはった。

「聞こえたか?門の外にいるもの…お前がディオ・ブランドーの部下というならばここに手を出さないことを誓おう」

埋葬の途中、聞こえた蹄の音。僅かに風に乗って運ばれる血の臭い。
そして気配を隠そうとするその警戒心。
だからであろう。俺は姿を表したものが馬に乗った少年であっても油断するようなことはしなかった。
身軽な仕草で馬よりヒラリと降りる。その細かな歩幅で間合いをつめ俺と視線を合わせた。

「貴様ら人間にはわからぬことであろうが…小僧……血の臭いは落とせるようなものではない」

はりつめた空気。無表情の視線を変えたのはタルカスの唸るような言葉。
顔に釣り合わない歪んだ笑みを浮かべて少年は口を開いた。

「バレたってならしょうがねぇよなァー?それにお前らもDIO様組なんだろ?んならまだ…ノープロブレムだな、ヒヒヒ……!」

笑い続ける少年の正面より体半分だけ退かし道を作ってやった。俺の顔へと視線を固めたままそいつは歩いていった。

…残念だ。しかし同時に安心もした。ヤツの、あの少年の目には醜く曇っていた。
汚らわしい決闘にならなかったことを喜ぶべきなのか。それはわからなかったが。
タルカスとなにやら話し込むその会話を方耳に俺は宥めようと馬の手綱を握った。
なかなか収まらないその馬にため息を吐き、同時にまたも自分が戦いに飢えていることにきづいた。




     ◇   ◆   ◇






201 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 20:56:05 ID:wVGAxVpF
支援

202 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 20:56:50 ID:vhz/hK0D
食器を打ち合わせるような音だけが沈黙を破っていた。
インディアンのくせにどこで身につけたかわからないがそいつはしっかりとテーブルマナーを守り、優雅なティータイムとしゃれこんでいる。
どこかぼんやりとしてうまく働かない頭でそんなことをふと思った。鈍い痛みを手のひらに感じ見てみると指先から血が流れていた。
どうから無意識の内に割れたマグカップの破片を強く握っちまっていたようだ…。

ちっ……俺も弱くなっちまったもんだな…。たくさんの仲間の死を乗り越えたあの旅は俺を強くしたと思ったのによォ………。
いつから俺はこんなセンチメンタルになっちまったんだ。
頭でそんなことを考えながら俺は手を動かす。砕け散ったマグカップの破片を拾い上げてはテーブル上に置いていく。俺の血が破片を赤のまだら模様に染め上げていく。

荒木にここに呼ばれた時、なにもかもが胡散臭く見えたぜ。作り物の世界に放り込まれて自分が信じることができるのは仲間達しかいないと思ってた。
でもよォ…俺はそう思ったはずなのに死んだ仲間の名前を見つけて…それを見て素直に嬉しくなっちまった…。
自分で作り物は信じないと誓ったくせにそれでもそいつの名前を見たときもしかしたらまたそいつに会えるんじゃねーか、なんて希望を持っちまった。
またそいつに会えると思うと嬉しくて楽しみで、あの時照れ臭くて言えなかった礼を言ってやるって俺は固く自分に約束した。

なのに…なのに、なんで死んじまったんだよ、アヴドゥル……………ッ!

液体で満たされていた欠片に一滴、二滴と涙の破片が降りかかる。
重力に従い、赤のまだらを純白に戻しながらテーブルクロスへとその姿を消していく。
くそっ、なんで泣いてんだよ、俺は…。ちくしょう、元々死んだ奴じゃねーか、ジャッジメントの時とは違げーんだよ………。

いつから俺はこんな弱虫になっちまったんだ?俺ってこんな貧弱だったか?
たぶんそうだったんだろうな…。俺は、弱い。
戦いにおいてではなく精神的にという意味でだ。
だからきっと俺はサウンドマンのやつが立ち上がった時も動けなかった。
トニオさんに感謝の言葉を言い、俺のほうにチラリと目線を向けた時に言葉を口にできなかった。
気づいた時にはサウンドマンはいなくなり、扉が閉めた時のをベリの音が虚しく響いていただけだった…。

「どなたかお知り合いを………亡くされたのですネ」

コーヒーカップとクッキーの皿をお盆に乗せ机を片付けながらトニオさんが俺に訪ねる。
あえて俺の顔を見ないのはトニオさんの気遣いだろう。
本当に強い人だ…トニオさんは俺なんかより遥かに、何倍も強い。
サウンドマンが死者を読み上げた時からそれっきり俺は黙りこくってその上マグカップを取り落として割っちまったのにトニオさんは違う。
微塵も動揺を見せねぇ。
それどころか料理人として、笑顔を浮かべて食事をするっていう誇りを崩さなかった。一秒たりともだ。

203 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 20:58:59 ID:vhz/hK0D
でも俺は気づいてる。
たぶんトニオさん本人もわかってるんだろう。キッチンへと向かうその背中はさっきより少し小さく丸まって見える。
それを見ながら俺は自分の中で悲しみ以上のものが込み上げて来たのがわかった。
トニオさんも誰か大切な人を亡くした。それも一人じゃねぇ。何人もだ。寂しげな笑みとあの背中がそれを物語っている。それでもトニオさんは…笑ったんだ。

くそったれ…俺は…なにしてるんだッ!

ゆっくりと立ち上がると俺は拳を握る。自分が不甲斐なかった。
トニオさんはトニオさんの戦いをしてる。パール・ジャムのスタンドは沢山の人を笑顔にしてきた。それはきっとトニオさんにしかできないことだ。
なら…俺の仕事は何だ?俺のすべきことってなんなんだよ?
決まってる。戦うことだ!

ずんずんと向かっていく。その先にある目的のもの、俺はそれに手をかける。
頭を冷やせって?充分冷静だぜ、わかってるよアヴドゥル…
あの旅で成長していなかったら俺はきっとすぐにでもここを飛び出していただろう。なんの自衛の術をもたないトニオさんを残してな。

だから俺はそれを取った。自分の役割を果たすため。
相手が悪党だろうとなんだろうとかまわねぇ。このままじっとなんかしてられるか!
人を殺す輩ならおびき寄せて叩く。荒木に反逆の意思を見せる奴なら仲間にする。

決断をした俺にそのコール音はやけに長く感じられた。
拳を握り直すと俺は汗ばんだ手でもう一度ダイヤルのボタンを押した。





     ◆





いつもなら気にならない水の冷たさは身を切るようだった。気づいたら同じ皿を何度も磨いていて私は苦笑いを浮かべた。

「…仗助サン、…康一サン」

母国の言葉でなく彼らの国の言葉で名前を口にした。そうでないと天国にいる彼らはわからないでしょうからね。
だけど続ける言葉が見あたらなかった。何を言って言いかわからずサウンドマンさんの情報を聞いた時から同じ言葉がぐるぐると頭を回る。

「私ハ料理人トシテ……失格ですネ…」

客を前に上の空じゃ一人前のシェフは名乗れません。何時だって笑顔でお客様の笑顔をも作り上げるのが私の仕事だというのに。

けれども、けれども…この舞台でシェフに何ができるというのだろうか?

バリン、と皿が砕け散る。手から滑り落ち粉々になった皿を見つめて私は思った。
料理で人を元気にする?この私が?自分でさえ元気でない料理人が?
偽りの笑顔しか知らないシェフがいったいどうやってお客様に本当の笑顔を届けることができるというのだろう?
フロアに飛び散った残骸をかき集める。
堪らなく惨めで、寂しかった。

「私ハ…無力ダ………」

仗助サン、康一サン…聞こえますか?私は…どうすればいいんですか………。




     ◇   ◆   ◇

204 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 21:00:12 ID:vhz/hK0D
薄暗い廊下を歩いていく。やけに自分たちの足音が木霊していてそれが一層不気味だった。
外観からわかっていたけど相当広いわね、この館…。

空条承太郎を始末した後、私は吉良吉影と供にDIOの館へと向かった。吉良は嫌がっていたけどそんなことは私にどうでもよかった。
恐怖の殺人鬼も正体を知れば私にとってただの変質者でしかなかったのだから。

きっと何処かに引きこもりたがってるんでしょうね…。
最大の脅威が消え去った今、私を含む正体を知っている者を消したい…そう思ってるんでしょうけどそうはさせないわ。

最大の脅威が去ったのは私も一緒。空条承太郎という一つの城を陥落させたなら残るは残党狩り。
確かさっきの放送で…20人近く減ったのかしら?六時間で20は上々のペースね。このまま行けば今夜には終わってるかも。
ふとあたしの脳裏を過ったのはエンヤという老婆。あいつ、しっかり働いてるかしら?

死んでる?生きてる?沢山参加者を殺してくれたかしら?案外くたばってたりして。
ただ一つ言えることはあいつみたいに利用できる人数を増やしていかないとあたしはこの舞台で勝てないでしょうね…。
ラブ・デラックスじゃ遠距離型のスタンドや銃に対抗できない。勝てる手段は全て使わなきゃ……!

だからあたしはDIOの館へと向かった。狂信的までのカリスマ性を誇るDIO。エンヤに代表されるようにその絶対的な力に集まる者は多い。
だからこそそこを行くッ!ギリギリの勝負にはなるでしょうね。それこそがあたしにとっての乗り越えるべき障壁ッ!

既に門で利用できる人物が二名いたことはわかってる。幸いなことにタルカス…だったかしら?
エンヤの名前を出したらすぐに通してくれた。もう一人の男も気になるところだけれども…まぁ、今はいいわ。それよりも中に何人いるか、そっちが優先だわ…。

廊下の終わりの扉に手をかけると私は唾をゴクリと飲み込んだ。意を決して扉を開く。
そこは天井が高めの広々とした部屋だった。でも衝撃だったのはそんな部屋の構造なんかじゃない。何よりも中にいた人物に私達は驚いた。

「川尻…早人………ッ!?」

何処か疑ってるような吉良の声。それもそうでしょうね。あたしだって信じられない。
吉良に敗北の原因で大きな役割を占めた川尻早人。吉良が殺すべき相手としての川尻早人。

獲物を前にした精神の高ぶりからか、一歩一歩近づいていく吉良に対してあたしの脳は冷静だった。
この川尻早人がどうやってあの門を突破したの?どうしてDIOの館なんかに?その目的は?
一方の川尻早人も狼狽えた様子だった。視線があたしに移っては吉良に移り、口をパクパクさせ言葉にできないように見える。

「あなたは……、あなたは…!」
「………お前が私を知っているのか。なにも知らない小僧なのか。そんなことはどうでもいい………!」

「ここでお前を始末するッ!」

205 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 21:01:55 ID:vhz/hK0D
吉良は憎々し気に拳を握ると早人ににじりよっていく。今にもキラークイーンで爆発しかねない男にあたしは黙って制止をかけた。
まとわりつく髪の毛を鬱陶しそうにするとやっと冷静さを取り戻したのか吉良はその場に止まる。

「なんのつもりだ…山岸由花子………」
「冷静になりなさいよ。このガキがどうやってあの門をパスしたのよ?不思議だと思わない?」
「そんなものはどうとでも説明できる。なにより問題はそこではない…。この吉良吉影の終わりの発端が目の前にいる。それ以外になにがあるというんだ?」

もはや怒りを通りこして呆れしか沸いてこなかった。こんなにも使えないとは…買い被りすぎたかしら、吉良吉影…。
ため息一つ吐くと伸ばしていた髪の毛を呼び戻す。血みどろの親子対決という名の一方的な虐殺の観戦を決め込むとあたしは近くの椅子を引き寄せて腰かけた。
いや、虐殺っていうのは間違いね。キラークイーンでの殺人なんて一瞬ですもの。

「………ヒヒヒ」
「何が可笑しい?」
「ヒヒヒ……フフフ…ガッハハハハハ!いやいや、失礼…これだからやめられないぜ…まったく自分の能力にはほんと感謝してるぜ…」

突如笑い声をあげはじめた少年。そこに今までの面影は微塵もなく私の知らない何がそこにいた。
ゾワッと全身が逆立つのがわかった。こいつは…川尻早人じゃない。

「能力ってことはもしかしてスタンド能力?相手の姿に変装できるものかしら」
「お前頭脳がマヌケか?自分のスタンド能力をおめおめと晒すやつが何処にいるってんだよ」
「それもそうね。じゃ、一つだけ聞かせてちょうだい。
門の所にいた二人はどうもDIOの犬みたいだった。あたしが知ってるエンヤって婆さんもDIOを盲目的にまで崇拝してた。
貴方はどうもその類いに見えないけど…どうかしら?」

あたしの言葉を受け偽早人は一層顔を歪めた。にやついた顔で焦らすように返答を溜める。

「さぁ、どうだかね?まぁ、そこらへん含めてギブアンドテイクといこうか、お嬢ちゃん。
なに、嘘はつかねぇよ。こっちだって情報が欲しいのは事実なんだしよォ!」

会話を交わしたあたしの率直な感想は、扱いづらい相手というもの。
吉良のように一定のルールに従ってるわけでもなく、タルカスやエンヤのように誰かを利用すれば簡単に従うたまでもない。
自分以外を容易く蹴り落とす、ある意味純粋なプレーヤー。
口車にのせるのは…厳しいわね。ギブアンドテイクって言葉通りにうまくいっても…同盟ってのが妥当なところかしら?

「わかったわ。それなら私から話しましょう」
「ヒヒヒ…大人の世界がわかってるじゃねえか」

でも結局あたしは情報交換をすることができなかった。
扉の軋む音に振り替えると新たに三人の男があたしたちの交渉の舞台に上がったのだから。





     ◇   ◆   ◇






206 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 21:02:49 ID:vhz/hK0D
このゲームは運命の巡り合わせ。そこに一つ一つ意味がある。
もしもジョルノとディオがリンゴォ・ロードアゲインと戦うことがなかったならば。
もしもタルカスがリンゴォに負けるようなことがあったならば。
もしもタルカスがディオを知らない時代から呼び寄せられていたら。
そして、もしこのエンリコ・プッチがDIOの館に向かうという選択肢を選ばなかったならば。

…全ては神の導きだ。
なによりも愛されているのはこの私ではない。
進む道、進む道、全てが正しい方向へ向かっていく。そんな星の元に生まれたディオ・ブランドー。
神よ、貴方が全てを決定なさっているというならばなによりもこのエンリコ・プッチとディオ・ブランドーを巡り合わせて下さったことを感謝いたします。

ディオ本人のおかげで懸念されていた門前の無益な争いは避けることができた。
タルカスとやらは太陽のもとを歩くディオを見て驚いていた。
容姿についてはなにも言わなかったことからきっと『スタンド使いになる以前の吸血鬼ディオ』に従っていた者だろう。

そう!ここDIOの館に集まる者は全てDIOの名の下に集う者!
善だろうと悪だろうとその絶対的な名前の元には情報が集まる。だから私はここへ来た。
しかし…蓋をあけたら収穫はそれ以上!

門番二人に少年を合わせると三人もの参加者。
やはり彼は神に愛されている。生まれついての王の元に民がこんなにも容易くあつまるとは…。
ただ戸惑いが生まれるのは確かだろう。

私達三人がディオを先頭に部屋に入った際も三人が三人、僅かに表情を変えただけだった。
つまるところ、『この時代』のディオを知らないのかもしれないな…。

だから私は語った。名を名乗りディオという実例を元に私は先ほど四人で纏めた荒木の能力についての仮説を三人に説明した。
ちなみにタルカスやリンゴォを呼び込むようなことはしなかった。襲撃者を恐れてというのもあったが何より…彼らは頭脳がアレそうだったのでね。
独自の価値観を持つものと戦士にこの話をしても別段利益があるようなものでもないしな…。

私の長い仮説を聞き終えた三人の反応はディオを見たときのそれと対して変わらなかった。
三十代近くの男はそもそも話に興味がないのか、なんの反応を示さずどこからか持ち出した紅茶をたしなんでいる。
少女と呼ぶには幼すぎて、女性と呼ぶには成熟されていない彼女は話の最中僅かに眉をつり上げ視線を少しさまよわせたがその程度。
すぐにもとの鉄仮面に表情を戻してしまった。
そして少年は…最初こそ目を細め胡散臭げに私の話を聞いていたものの、最後には子供とは思えないゲスじみた笑いを浮かべニヤニヤとしていた。
…どうもタルカスの時とは勝手が違うようだな。
ほんの少しだけ不安を抱きながら私は話を進めることにした。

「私の仮説になにか質問は?」

お互いがお互いの反応を伺うような微妙な沈黙。
男はチラリと視線をあげたがその後は知らぬ存じぬを貫く。
彼女は仮面を張りつけたまま微動だにせず。
少年は笑いを堪えきれず忍び笑いを漏らす、それだけ。

…なんなんだ、この三人は。私は知らず知らずの内に苛立ちを覚え始めていた。
主たるディオがいるのにこの態度。まずそこが堪らなく不愉快だ。
いったい何を考えているというのだろう。よもや王座を狙おうとしている輩どもか、と疑いも沸いてくる。
私は少しだけ語調をきつくしながらも疑問を口にした。

207 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 21:04:23 ID:vhz/hK0D
「どうやら私の仮説を信じてもらえたようなので私から君たちに質問したい。
君たちは正確にどの『DIO』に仕えていたのか?各々とDIOの関係について詳しく聞きたいと思ってるのだが…」

真っ先に返答をしたのは彼女だった。髪をかきあげながら口を開いた。

「それに答えて私達になにかメリットはあるのかしら?」

思わず耳を疑った。なんだと……今なんと言った?この女はなにをほざいた?

「ヒヒヒ…お嬢ちゃんのいう通りだ。ここじゃ情報が命だからな。ただ一つだけ言ってやろうか?
少なくとも俺が知っているDIO『様』はこんなもやしっ子じゃなかったぜ。
一度対面しただけだったが滲み出るようなカリスマ性とやること全てが正しく思える絶対的な支配力。
そこのお坊ちゃんじゃ………ヒヒヒ……!役不足だ」

こいつは今何を口にした?!何を主張した?!
血液が逆流するほどの怒りが私の中で持ちあがる。もはや私は聖職者という仮面をつけている自信がなかった。
一人の友を侮辱されたという事実が私を一人の人間に戻した。スタンドが答えるかのように私より浮かびあがりそうになる。
奴らに相応しい処刑を施す!私の夢、偉大なるDIOの目的、天国を侮辱した罪はあまりに、重い。
そう思い怒りの言葉が口うをつきそうになった時だった。

「いい加減にしろッ!!」

その声に私は冷水を浴びたかのように一気に冷静を取り戻した。
予期せぬ声に反射的に振り向くと怒りに拳を握りしめ、身を震わすディオの姿が目に入った。
私は失念していた。一番に屈辱に曝されたのはほかでもない、ディオ本人なのだ。

「さっきから黙っておけば言いたい放題言ってくれたな、貴様らッ!
人をモノか何かのように扱い見下した態度ばかりッ!
よくも…よくもこのディオに向かってッ!…この汚ならしい阿呆どもがァーーッ!!」

私は…なんという勘違いを犯してしまったのだ。説明はこのエンリコ・プッチがすべきでなかった。
全てをディオに任せるべきであった!
ディオが話すことで未来の彼と比べると無力ながらもそれを乗り越えんとする決意を示すことができたというのに…!

時既に遅し。ディオはそれだけ言うと憤怒の表情で扉に向かって突進。
数秒後には階段をかけ上るような音だけが虚しく部屋に響く。

「無理もありません。彼は人一倍プライドが高い。
この舞台で彼は思い通りにならないことばかりにぶち当たり、無力感に苛まれていたようですから。
そこにあなたたちの未来のディオ・ブランドーの偉大さを突きつけられては…」

今までずっと沈黙を守っていたジョルノが突然立ち上がった。彼は三人のもとへゆっくりと向かっていきながら話を続ける。

「あなたたちが期待していたディオ・ブランドーが彼でなかったというのならばあなたたちにとってここに来たのは無駄になってしまいますね…」

私としては反論したい意見だ。だが彼ら三人はどこか同意しているようだった。
ジョルノは言葉を続ける。

208 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:04:35 ID:k6QCDqwc
 

209 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 21:05:29 ID:vhz/hK0D
「でも僕はそうは思いません」

「なぜならこのジョルノ・ジョバーナがあなたたちにとってのディオ・ブランドーとなるからです」

だから私は続けられた言葉に度肝を抜かれた。今、なんと………?
ジョルノ以外の四人が呆けた顔でいる間にたたみかけるようにジョルノは言葉を続けた。

「僕は荒木を倒して全てを手に入れるつもりです。
首輪をつけ殺す覚悟がある以上ヤツに殺される覚悟を見せつけなければならない。舐められぱなっしは嫌いなタチなんです。
時間を操作するヤツの能力を手に入れるには荒木を殴ってでもやらせなければならない。そのために僕は荒木をねじ伏せるつもりです。」

私はとんでもない勘違いを犯していた。この短時間に二つも、だ。
ディオの王としての器を信じきれなかったこと。そしてジョルノの王としての器を見極めきれなかったこと。

誰かを失い動揺していると決めつけたのは私だ。
だが彼はそんな逆境をエネルギーへと変えることができる王の素質を持っている!
それもこの土壇場で!なんという肝っ玉だ…。

「もちろん僕が信頼ならないという方もいると思います。ですから今すぐにとは言いません。強制もしません。
荒木を打ち倒す、その共通の目的へと向かう仲間を僕は募ります!」

三人は完全に彼に呑まれていた。いや…正直に言おう。私自身も呑まれていた。
その背中はとてつもなく大きく見え、私は偉大なる父の影を彼に重ねていた。
それほどまでにジョルノはこの場を支配していた。

「そうですね…では僕と協力してくれるというならば第二回放送時にここで誓いをたてましょうか。
僕も人を待たせてましてね…今すぐにとは行かないわけでして。緊急時にはここにいるエンリコ・プッチ神父が代理になってくれます」

ジョルノ・ジョバーナ。なんという人物だ。私は…私は二人の帝王に恵まれてしまった。
神よ、貴方に再び感謝を述べたい。私をジョルノ・ジョバーナと巡り会わせた貴方の運命に…私は感謝いたします。





     ◇   ◆   ◇





権力を望む者は高い場所を好む傾向にあるらしい。フン…権力、か………。
俺は開け放たれた窓より町を見下ろした。
少し高い所にあるからだろう、吹き付ける風は絶え間なく、怒りに火照った頭をいい具合に冷やしてくれた。
怒りか…。そう、怒りだ。そんな言葉では生ぬるいほど俺は怒っていた。今だかつてないほどに。

210 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 21:07:15 ID:vhz/hK0D
しかし今の自分にとってみればそれは恥ずべき自分の汚点だ。確かに俺は侮辱を受けた。それもあんな年端のいかないいけ好かないガキに、だ。
それは言い訳にはならない。そう、俺は誓ったはずだ。七年前、ジョジョの思わぬ反撃にあった時俺は自分に誓ったはずだ。

『自分の欠点は怒りっぽいところだ。反省しなくては!よりもっと自分の心を冷静にコントロールするように成長しなくては………』

そして数時間前にも誓ったはずだ。

『自称未来の友を筆頭にスタンド使いを“上に立って利用してやる”のだッ!』

あれは俺の失態だった。もちろん下手に出るという意味ではない。このディオ・ブランドー、なにがあろうと誇りだけは捨てん!
大笑いの一つでもしてやればよかったのだ。奴らに見せつけるべきだったのはほかでもない。
このディオの帝王としての器!上に立つものとしての度量の広さ!

成長するとは即ち成長『できる』と言い換えることができる。
認めよう、この俺はまだ完成してない未熟者だ。
だからこそ俺は伸びることができる。どこまでもな。

風が与えた静かな時間は俺にとって予想以上に有意義なものとなった。
フン…不思議なものだ。思い返すと一人なったのは殺し合いが始まった直後、ここにいた時以来だな。

数時間前のことがやけに遠く感じられる。俺はそんな自分に知らず知らずの内に笑みを浮かべていた。
もしかしたら長時間もの緊張状態で神経がはりつめていたのかもしれんな…。
それにしてもここが『DIOの館』とは奇妙なものだ。未来の俺が支配した場所で俺は誓いを立てた。そして再びか。
これも何かの因果か………フッ………。

スッキリした頭にもう一度新鮮な空気を入れると今一度伸びをする。さて、下に戻るか。
だがそう思った俺の耳に階段をゆっくりと昇る靴音がはいる。今さらなにか。この俺を無能と罵った奴らがなんの用だ…?
警戒心から俺は気を引き締め少しだけ階段より距離をとった。

「…何か用か?」

階段を昇ってきたのは女だった。プッチの話にいちゃもんをつけたのは確かコイツだったな…。
あの状況にも関わらずあの堂々とした態度からは自信が読み取れた。さてはコイツも『スタンド使い』…なのか?

頭を働かせる俺とは対照的に女は階段を昇りきった場所でふと立ち止まる。
そしてどこか遠い目をしていきなり話を始めた。

「貴方のことは…エンヤっていう老婆に聞いたの。きっと貴方にとっては未来のディオなんでしょうけど…色々と教えてくれたわ、彼のこと」

夢見る表情の女は話を続ける。

211 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 21:08:31 ID:vhz/hK0D
「確かに噂通りだったわ。今、確かに貴方は無力だわ。正直な話…こうやって向かい合ってても全然恐怖は湧いてこない。」

「でもね、そんな貴方でも何かやってくれるんじゃないかっていう期待が自然に湧いてくる。
この人についていけばっていう希望が見えてくる。でもね…」

「私に…もうその『希望』は必要ないの」

全身の毛が逆立つような恐怖。馬鹿な、この俺が…脅えているだとッ?!
俺に突きつけられた銃口。その穴より深く、何処までも暗い女の目に吸い込まれる感覚に襲われた。

「貴方を利用させてもらうわ、ディオ・ブランドー。
死にたくなかったら私のいう通りに従いなさい。本当よ、殺したりはしないわ…従ったらね」

くそっ、なんなんだコイツは!自分の顔が青ざめるのがわかる。何故こうも立て続けに…ッ!
だが起きてしまったことはどうしようもない。冷静になるのだ!

「それはつまり…どういうことなんだ?」

少しでも会話を長引かせることに集中する。その間に何か策を考えなければ、俺の命は、ない。
俺の目論みを悟っているのか、それとも他の理由からか。女は余裕たっぷりの笑みを浮かべると素直に口を開いた。

「そうね…話で済むならそれもそっちのほうが楽ね。用件はたったひとつよ、ディオ・ブランドー。
私に従いなさい。…三度目は言わせないでね、私としても時間はない事はわかってるの」
「…質問が悪かったな。『従わせる』、それはなにをだ?この無力な俺を従わせて何の利点がある?武器を持っているお前が」

退かない、媚びない、屈さない…!もう、これ以上この俺が惨めな目にあってたまるか!
俺の些か強気な態度が女の『なにか』に触れたようだ。
先程の笑顔が消えると女の顔がぴくぴくと震える。どうやら俺の発言がお気に召さないようだな…。
それでも表面上は確かに冷静を装っている。だが額に浮かんだ青筋を俺は見逃さなかった。

「ディオ・ブランドー。貴方の名に集まる部下を使って殺し合いを加速させなさい。
ここには何人もの殺しを否定する偽善者がいるわ。その輩を全員殺すのには私の力が足りない」
「そこで貴方を利用する。時代を超え、何人もの臣下を持つ貴方。
頭が回らないタルカスのようなウドの大木も頭が優秀な指揮官ならば使いようはいくらでもあるわ」
「そうね、私もはっきり言わなかったのが悪かったわね…つまり私が言いたいのは…」

「このディオをマリオネットにお前が背後より…この俺の軍団を支配しようというのか…ッ!?」

212 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 21:09:43 ID:vhz/hK0D
それはこの俺が尤も屈辱だと感じること。思わず零れ落ちた俺の言葉。
殺されもせず、かといって自由もない。ただこの目の前にいる女に利用されるだけのためにこの先生きる。
外れていて欲しいと思う俺の希望を打ち消すように、よくわかったわね、と言わんばかりに浮かべられた女の笑みが憎い。

だが、そうだ、これも冷静に考えてみろ。これはすなわち圧倒的有利じゃないか?
それはつまり俺を生かしておかなければできないこと。ヤツの目的は俺を利用することだ。
ならば例え俺が反撃しても殺すことはしないはず…ッ!
加えて銃を発砲しようものならば下にいる誰かがここに来るはずだ。そうなればこいつは破滅…!

そうだ、これは試練だ。未来のDIOを乗り越えるチャンス!
そして…思い知らせてやるッ!このディオを舐めたことを…必ず後悔させてやるッ!

俺は下唇を舐めると流れ落ちる汗を拭う。
少しだけ離れた場所にある自分のデイバックににじりよる。
そんな俺を後押しするかのように風が一陣駆け抜けて行った。





     ◇   ◆   ◇





私の名前は『吉良吉影』。年齢は33歳。
自宅は杜王町北東部の別荘地帯にあり、結婚はしていない。
仕事は『カメユーチェーン店』の会社員で毎日遅くとも夜8時までには帰宅する。
タバコは吸わない。酒はたしなむ程度。夜11時には床につき必ず8時間は睡眠をとるようにしている。
寝る前にはあたたかいミルクを飲み、20分ほどのストレッチで体をほぐし床につくことを習慣としている。
そのおかげか、赤ん坊のように疲労やストレスを残すことなく朝目を覚ますことができる。
健康診断も異常なしとの言葉を医者からもらった。

そんな私にもたった一つ、趣味と呼べるものがある。それは………

「ちょっと待ちたまえ…ジョルノ・ジョバーナ。人に役割を押し付けて逃げるとは都合がよすぎないかい………?」
「別に僕はついてきて欲しいと言った覚えはありません。むしろあなたにはあそこに残っていて欲しかった」

213 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:10:52 ID:fEDeZftx
しえん

214 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/07/15(水) 21:11:30 ID:vhz/hK0D
館より少し出た住宅街。私の前で二人の男が言い争いをおっ始めた。
いつもの私だったらこんな茶番じみた他人の言い争いなど一切興味を示さない。むしろ避けるべきものなのだ。
しかし…今回ばかりは話が違う。寧ろ私に関わり重要な話し合いとも言えるのだ…。

この平穏を第一とする私が他人の問題に首を突っ込む?この私が?
柄にもないことだとは理解している。その理解と対極にあるのは欲望である、となにかで読んだ記憶がある。
まったくもってその通りだ。今私は身をもってそれを体験している。
男たちの口論を前に私は一人思案にふける。

ここに来てからろくな目にあってない。
平穏を望んだ私の生活はめちゃくちゃ…こんな場所に呼び出された私は不幸の星の元に生まれたのだろうか?
起きた出来事を反芻するとあまりのツイてなさにため息が口をつく。
男たちは口論を続ける。私も思案を続けた。

だが唯一、そう唯一と言ってもよい幸運が転がり込んだ。空条承太郎が死んだ、それもあるがなによりも…。
そのことを考えると私は思わず顔がニヤつくのをこらえることができなかった。
周りを警戒するふりをして何気なく顔を背けると震える頬の筋肉を必死で引き締めた。

私は今まで48人の手のきれいな女性を殺してきた。そしてその美しい手と共に生活することを生き甲斐にしている。
そんな私であるから人の手を見る目には自信がある。美しさを語らせたら右に出るものはいないと自負している。

そんな私に転がり込んだ、幸運。

誤解がないように先に言おう。私は女性が好きだ。
そっちの趣味は毛ほどもないと思っていただきたい。
だが…それを差し引いてでも…控え目に言ってでも―――

ディオ・ブランドーの手は美しさと言わざるをえない。

未完の美しさとでも言えばいいのか?そこがイイッ!凄く素敵だッ!
逆境の中から立ち上がり、時には泥にまみれ、時には身も凍るような寒さに晒された。
そう、あの手には底辺から這い上がった気高さがあるッ!
生まれついての輝かしさではない、粗暴の側面を時折見せる美しさ!

嗚呼…美しいィ………

ぜひとも…あの手を私のものにしたい。
男の手だ。決して実用的でないし、そのつもりもない。
ただ一人の手を愛する者としてあれを逃すわけにはいかない。あれは私のものなのだから…!

…フゥ、珍しく熱くなってしまったな。落ち着くんだ、吉良吉影。
そう、手だ。あれを我が物にするため。そのためにもこの二人…ジョルノ・ジョバーナとエンリコ・プッチは重要なのだ。

215 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:18:13 ID:OtX+TyV6
支援


216 :◇Y0KPA0n3C. 氏代理投下:2009/07/15(水) 21:24:16 ID:OtX+TyV6
まずなによりも見極めなければいけないのは三人の関係だ。
この舞台で知り合っただけなのか?私と山岸由花子のように元々顔見知りなのか?
私が彼を始末したとき、二人がどうでるか。そこにこれは大きく関わってくる。

二つ目は彼らのスタンド能力。場合によっては共闘、敵対するかもしれない。ならばぜひとも彼らの能力は知っておきたいところだ。
尤も私は闘争を好まない。戦いはよっぽどのことがない限り避けたいものだ。

「…このままじゃ埒があきません」
「私の助言を聞き入れてはくれないのかね?こうしている間にも私はディオのことが心配だ」

一段落した思考を中断し会話に集中を向ける。なによりも必要なものは情報だ。
どうも待たせ人のことで揉めているようだな。お互いに譲らないまま話は平行線をたどる。

「論点をまとめましょう。僕はエシディシの元に向かい、時間や遭遇者の関係もありナチス研究所の襲撃の延期を交渉したい。
それにたいしてあなたは彼らに約束したのが僕である以上僕が館へ残るべきだ、と。
さらにディオさんをあそこに残してきたというのが非常に心残りである。こういうことですよね?」
「ああ」
「ですから僕はさっきから言ってるじゃないですか。
妥協案ならば僕は館に、あなたはエシディシの元に。釈然としないのはあなたの態度なんです」
「………」

エンリコ・プッチは口を開きかけ、そのまま何も言わず黙りこんだ。
何か言いたいがどこか言いづらい、歯切れの悪い態度。
それを見てピンときた私は助け船を出してやることにした。

「ちょっといいかな、ジョルノ君?」
「なんでしょうか?」
「これは私の憶測でしかなないが…プッチ神父は君のことを心配してるんじゃないかな?」

これはチャンスだ。私が有能であることをこの二人に印象づければディオ・ブランドーと接触する機会も増える。
もちろんやりすぎは彼らに警戒心を与える。
あくまでも植え付ける印象は『無力だが状況に合わせて自己を犠牲にすることができる大人のサラリーマン』。

「ジョルノ君、君はいまいくつかな?」
「15歳です」

「15歳…とてもじゃないがこんな物騒な世界に子供を一人で歩かせるわけにはいかないよ。君はまだ子供なんだ。
確かにさっきの演説にはびっくりした。とても立派だったと私は感銘を受けた」
「…」
「でも…だからこそ君を危険な目に合わせるわけにはいかない。それが言いたかったんですよね、プッチ神父」

217 :◇Y0KPA0n3C. 氏代理投下:2009/07/15(水) 21:26:36 ID:OtX+TyV6
お節介ぐらいでちょうどいい。それは例え子供であろうと強力なスタンド使いであるということを私が知らないかのように演出するだろう。
それは私が『何の力も持たないサラリーマン』であることに錯覚させてくれる。
賛同を求めた神父は思わぬ助け船にホッとしながらジョルノを説得しにかかる。

「エシディシは君と一度戦っている。君が例え冷静であっても彼は非常に気まぐれなんだ。
それに他の参加者のこともある。六時間で22名もの参加者が亡くなった以上、強力な力をもったものがいるのは確かなんだ。
そんなところに君を一人にするわけにはいかない。」

「君はあの偉大な父をも越える逸材なんだ。将来人の上に立つべき男に君はなる…」

「私は君を失いたくない」

まったく、歯の浮くような台詞だな…鳥肌でも立ちかねないね。
あまりの青臭い台詞に私は一人身震いした。
見るとジョルノは迷っているというより戸惑っているようだった。さて、どうすべきか。
ここはやはり私がもう一押しして―――

「………!」

震源は私のポケット。動揺を悟られぬよう何食わぬ顔で手をポケットへと伸ばす。
握りしめ伝わる伝導。たが…これでどうする?
そう、私が携帯電話を持っていることは山岸由花子しか知らない。当然だ。

空条承太郎との例の会話が入っている以上、可能な限り携帯電話については知られたくない。
…だがここで、この電話をかけてきた人物をうまく仲間にできるようなお人好しなら。
戦力を増やした私への信頼は一気に上昇、手への道は極めて近くなる。

だがなにもこれだけではない。迷いのあるジョルノ。先を急ぐプッチ。
そう、天秤を傾ける権利を握っているのはこの私なのだ。

プッチを手助けするにはこう一言言えばいい。
『それなら私がそのエシディシに会いに行こう』。
要はプッチはディオも心配、ジョルノも心配という軟弱者なのだ。
そう、つまりプッチの現在の第一目標は『ディオとジョルノの安全を確保すること』
私がメッセンジャーに名乗りをあげれば喜んで私に仕事を託してジョルノと供にDIOの館に向かうだろう。

しかし同時に私の脳裏をよぎったのは一人の女の微笑。気になるのは山岸由花子の行動だ。
ヤツの行動次第では手がどうなるかわからない。それだけは…それだけはあってはならないッ!
ならば…私が向かうべき先は元の場所。愛しの手があるDIOの館だ。
そのためにはこう囁けばいい。
『ジョルノ君、とりあえずはDIOの館に戻ろう。またそこでじっくり話し合えばいいさ』

ベットすべきはどのテーブルか。
仲間を得れば一気に二人の信頼を得る、ハイリスクハイリターンの携帯電話か。
確実にプッチから信頼を得るメッセンジャーとしての一人旅か。
手の安全を第一に館へ戻る現状維持か。

考えるんだ、吉良吉影。
ジョルノが決断を下すよりはやく、携帯の振動が消えるより早く。





      ◇   ◆   ◇

218 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:29:10 ID:auu7K9iB
静まり返った部屋には俺一人。
右見てェー、左見てェー、上を見て周りを見渡して…よし、OK。

「そこにいるのはわかってんだぜ…出てこいよ」

これで誰もいなかったら正直かな〜り恥ずかしい。いい年した俺としてはそんなことは遠慮したいもんだぜ。

俺の大きくもない声が部屋内に消えていく。暫しの沈黙の後ありがたいことに反応が返ってきた。
正面に見える窓がゆっくりと開くとどこからともなく現れた男が窓枠を跨いで部屋の中に入る。
やっぱりな…。歓迎の証しに口笛をひとつ吹いてやると男の方から話し掛けてきた。

「どうして俺の存在に気づいた?」
「いや、たまたまなんだぜ?お前がこの屋敷に来たのってエンリコ・プッチとかジョルノ・ジョバーナが来たときと同じぐらいだろ?
偶然窓に目をやったら一瞬だけ人影が横切ったように見えてな。
確信は持ってなかったが…まぁ、結果はこの通りさ…ヒヒヒ…ラッキー、ラッキー」
「………」

顎で椅子を勧めてやる。素直に座ったところを見ると…俺の話を聞く意志があるのか。
…俺の腕の見せどころだな。よし、交渉開始だ。

「ところで、お前あの話聞いたか?」
「…時代を越えるというのはまだ半信半疑だ。まだ断言するには早いと俺は思っている」
「あー、そっちの話じゃなくてだな、ジョルノ・ジョバーナの話だ。あいつの宣言、どう思う?」
「そうだな………魅力的ではある。勝ち抜いたところであの荒木の目的がわからない以上優勝した所で俺が故郷へ帰るかわからない。
そう考えたら俺としてはうまい話ではあると思う」
「………本当にそう思うのか?」

俺の言葉にインディアンは反応する。身を乗り出すように姿勢を正すと俺の話を聞こうとする。
俺は自分の考えを言うべきか悩んだ。なんてったって俺のスタンド能力関わることだからな…あんまり言いたくねぇんだが…。

俺から言わせてもらえばジョルノ・ジョバーナの話は所詮夢物語だ。実例はなりよりもこの俺自身。
自慢じゃねーが少々の爆撃や炎、衝撃にも俺のイエロー・テンパランスは耐えれると自負してる。
それこそ爆弾だってそんな大規模じゃなけりゃ死ぬことはねぇ。だがそんなことを荒木か知らねェと思うか?

こんなビックイベント、プレーヤーの情報や選考にはヤツもじっくり時間をかけたはずだ。
ならわざわざルールを壊せるようなヤツを参加者に選ぶとは思えねぇ。
よって荒木を倒すのは不可能、俺は優勝を目指すことにしましたとさ…ヒヒヒ………!
もちろん金が目当てってのもちょっぴりあるけどな!

結局俺はこの話を男に言わないことにした。メリットとデメリットを比べるとあまりに圧倒的だ。
ここでの口約束なんてあってないようなもの。口止めしたところでコイツだっていつか殺すんだ。
一瞬の相棒に与える信頼とスタンド能力がバレるじゃわりに合わねぇ。

219 :◇Y0KPA0n3C. 氏代理投下:2009/07/15(水) 21:29:17 ID:OtX+TyV6
身を乗り出した男を無視して俺はコイツが会話で漏らした『故郷に帰る』に注目した。
交渉再開。

「インディアンよ…お前の目的ってなんだよ?」

ジョルノ・ジョバーナの話にコイツが食いついたのは荒木が信用ならないから。
だがそれはある意味裏返しでもある。つまり…

「目的といえば一つしかない。一秒でも早く故郷へ帰る。先祖たちの土地を白人から取り戻すためにな」

予想通りだ!こいつのこの目…なにをしてでもっていうどこまでもハングリーな精神の塊よ。
そしてそういう輩なら…ハッキリとしたメリットを示せば俺と組むことに躊躇いは持たないだろう。

空条承太郎、ヴァニラ・アイス、ウェザー・リポートとブラックモア、J・ガイルにアンジェロ、そしてまだ見ぬスタンド使い達。
俺は覚えてるぜ〜、承太郎〜〜…。
お前との戦いは油断して負けちまった。

ケーブルカーの中でも水中でも、そしてマンホールの時も。
反撃は予測できるものだった。だが俺は油断した。それが敗因!
だから今度こそ念には念を入れるぜ…。このインディアンを俺の切り札にしてなァ!

「俺と組まねえか?あんな甘ちゃんたちがいう仲良しクラブの同盟じゃねえ。
俺は俺のために、お前はお前のために。互いの利益のためだ」

七人の同盟もDIO軍団も知らねェ、とっておきの切り札。
予定では今夜七人がここに集まる。だがな…俺のイエロー・テンパランスで顔を変え混乱を起こすことなんて朝飯前よ。
誤解が誤報を生み、最後に待ってるは…二つの全面対決よ!

傷つきボロボロの中、最後に俺はジョーカーを切るッ!
残るは…この俺とこのインディアン……ヒヒヒ!
承太郎…俺は反省すると……強いぜ?お前への借りは返す!必ずな!

男に躊躇いはなかった。一拍も置かず鋭い返事がきた。

「それを組んで俺が得るメリットは?なにか詳しい取り決めは?」
「人数を減らそう。しかも脱出に役立ちそうなヤツは残してだ。
俺だって荒木は気にいらねぇからな。優勝はたしかに魅力的だが、ま、生きれるってならそっち優先だ。
だから役に立たない、無駄に正義を振りかざすやつらを俺が潰そう。
これがお前が得るメリット。脱出が不可能な時、少しでも人数が少ないほうがお前もいいだろ?」

220 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:30:55 ID:auu7K9iB
「……続けてくれ」
「で、取り決めは俺としてはお前と組んでることをなるべく他のやつらには知られたくない。
まずは別行動が基本。
それで俺がお前を必要としたときは…この伝書鳩を送る。お前はこれを受け取り次第、同封されてる場所で俺と合流。
現地では俺のいう通りに働いてもらおう。
そして……特別サービスだ。これを依頼料としてやるよ」

ポケットをまさぐると目的のものを見つけた。放り投げてやると軽快な動きで男はそれを掴んでしげしげと赤石を眺めた。
遠距離への攻撃手段を失うのは痛ぇが…この光線の威力はたかが知れてる。銃のほうが使い勝手がいいし、ここは俺の器を見せてやるか。

返事を待つ。しばらくの沈黙の後、インディアンは赤石をデイバッグに入れながら立ち上がった。

「いいだろう…協力体制成立だ。別行動は俺も望むところだ。だがひとつだけ言わせて貰おう…殺すか殺さないかは俺が決める」
「なにィ?」
「希望を絶望と決めつけるのはお前じゃない。俺は俺の目しか信じない。…だが約束は必ず守ろう。不要と判断したならば俺も手を貸す」

使いづれぇが…約束しちまったもんは仕方ねえ。今さらなし、っていうのもなんだしな。ここらが妥協のしどころだろうね…。
男は窓へと向かっていく。そういやまだ名前聞いてなかったな。

「てめー、名前は?」
「サウンドマン…我が部族で音を奏でる者」
「サウンドマンか…覚えたぜ。そういや言うのを忘れたがお前、『足』はあるのか?なんだったら俺の馬でも貸してやるが」
「問題ない。この足ひとつで駆けつけてみせる。」

「では、さらばだ」

窓から飛び出したサウンドマン。なるほど、納得だ。やつの跳躍力を見て俺は目を丸くした。
ひとっとびで壁を越えていったあの筋肉。もしや俺みたいにスタンドを纏ってるのかもしれねぇな。

さて、それじゃ俺も動くとするか。
上に向かったのはもやしっ子ディオと…東洋人の女か。
んで…たった今聞こえたあの声は…タルカスっておっさんの声。さては誰か侵入してきたのか?

さてさて…ヒヒヒ…どうしようかね?
悪巧みを考え、俺はそれに呼応させるかのようにイエロー・テンパランスを動かした。





     ◇   ◆   ◇

221 :◇Y0KPA0n3C. 氏代理投下:2009/07/15(水) 21:31:01 ID:OtX+TyV6
いつかのツェペリのおっさんの言葉を思い出す。
『“勇気”とは“怖さ”を知ることッ!“恐怖”を我が物とすることじゃあッ!』
とてつもない重い言葉だ。おっさんは長い間戦ってきた。だからその言葉にはこれほどの重みがあるッ!

「話を聞きにいかなくていいのか?」
「…門番がいなくなるんでな。それに俺は頭を使うのが仕事ではない。主君がどんな姿であっても守るもののはただひとつだ。」
「そうか…」

門の陰で息を潜める俺の耳に二人の男の子会話が入る。
まったくのんきのもんだぜ…。
こっちは正直ブルっちまってるっのによォ…なんせあのタルカスだ。

そう、ツェペリのおっさんの仇でありジョースターさんを散々苦しめたあのタルカス。
ジョースターさんの波紋で跡形もなく消え去った…あのタルカスだぜ?!
まったくどうなっちまったんだ…今更ながらこれが俺の悪夢だったらどれたけいいのに。
そんな都合のいいはずがなく、結果俺は自分の頬っぺたを痛めるだけに終わった。

「そういうお前は行かなくていいのか?ジョルノ・ジョバーナ、確かお前が戦った相手だと聞いたが」
「一度世界に触れた者に興味はない。奴は奴だけの光輝く道を行くだろう。
俺の世界と奴の道は一点でしか混じらなかった、ただそれだけのこと。」

だが…俺は転んだらただじゃ起き上がらない男よお!
痛みに俺のオツムは冷静になったのか、一つのことがわかった。
タルカスはディオとは違い、以前同様に太陽の下を歩けない。よ〜く観るとタルカスの奴は俺が見える範囲にはいない。
ただ喋り声があの半開きのドアから聞こえるだけだ。
つまり…実質門番はあの男一人ってわけだな?

「フン……リンゴォ・ロードアゲイン。不思議な男よ」
「………」

そうとわかりゃ…こりゃチャンスなんじゃねぇか?
俺だってあの貧民街に住んでた男だ。自慢にはならねぇが油断したら死が待ち受けるあそこを生き抜いた俺。
腕には少し自信があるッ!それこそそこらのチンピラには喧嘩負けしねえほどのな。

「タルカス」
「………?」

だが違う。戦うことイコール守ることじゃあねえ。
例えばジョースターさんならいいだろう。あの人にはそれができるだけの力がある。だが俺には力がねえ。ならよォ…

222 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:32:40 ID:auu7K9iB
「貴様は日が沈むまで動けない、そうだったな?」
「うむ」

こすずるいと馬鹿にされるかもしれねえが俺にしかできないことをやるべきなんじゃねぇか?
そう、それは潜入捜査。
まずは恥を忍んでディオの仲間のふりをする。そして中に乗り込んで…やつらの情報を手に入れるッ!
さっき見た限り、タルカスの野郎はディオの仲間を集めてるようだ。だったら…俺がなに食わぬ顔でディオの部下のふりをしたら…いけるんじゃねぇか?

「ならば門番としての『借り』は必ず返してもらおうか」
「…墓穴を作っ「借りの返しは戦いだ。夕陽が沈んだ六時ごろ、お前には俺の世界を知る義務がある」

だが気になるのはディオに同行していた二人の男達。その二人を含む三人はさっきこの門を出てどこかに行っちまった。
見知らぬ第三者の男もいて警戒から俺は話しかけなかったが…俺としてはどうしてディオとつるんでいるのか?気になるのはそこだぜ…。
特に金髪のガキ。あいつは『臭い』がしなった。それどころかどこかジョースターさんと同じ波紋、太陽の臭いがした。
そんな野郎がどうして?

「…KWAAAAA!いいだろう、リンゴォ…貴様との戦い、決着をつけようではないかァ!
このタルカス、売られた戦いより逃げるほど腰抜けでは断じてないッ!」
「…よろしくお願いいたします」

なにもかも救えるのは力がある人だけだ。残念ながら俺にはその力がねえ。
だからこそ、救えるごく僅かな可能性は取りこぼしちゃならねえ!

貧民街で生き抜いた『誇り』か。
泥を啜ってでも弱者を守る『誓い』か。
今まで俺を支えてきてくれた『人を見る目』か。

俺の心は、揺れる。





     ◇   ◆   ◇





…ここらでいいか。ゆっくりと呼吸を整えながら俺は次第に速度を緩める。
眼前に湖を前に足を止めると俺は木陰が被さる岩の上であぐらをかいた。
俺が足を止めた目的、それは

グゥ〜……

223 :◇Y0KPA0n3C. 氏代理投下:2009/07/15(水) 21:32:57 ID:OtX+TyV6
腹が減ったので食事をとるためだ。
俺はデイバックから飲料水と食料を取り出すと食事を始めた。
その拍子に例の小僧…いや、男からもらい受けた赤石が転がり落ちた。
湖の反射にキラリと自身を輝かせるそれを俺は見つめる。不味い食料を口に放り込みながらその美しさに見とれた。

「不味い…」

一方の食事は…これはひどい。
あのトニオ・トラサルディーとは比べ物にならないほどだ。と言ってもないものはない。
俺は黙って食事を進め、完食した。

一息吐くと俺は意識を手中にある輝きに移す。
ゴロンと横になり、手の中であらゆる角度から眺めると一層その美しさがわかった。
これほどのものを俺に渡すとは…よっぽどの大物か、物の価値もわからぬ馬鹿か。

思い出を脇に追いやり、俺は目の前にある問題に取りかかる。
…俺からして見たらメリットしかないな。赤石を得た、自由を制限されることはない。そして奴との約束も…

「…所詮口約束」

ニヤリと口端をつり上げる。無論、約束は守る。俺とて考えなしに殺しに走る危険人物をそのままにしてはいられない。
だが仮に奴が俺を呼び出し、敵対する相手を俺が『必要』と判断した場合…

「手は出さんぞ…」

いや…もしもそいつが荒木打倒の確固たる準備ができている人物ならば…。
もしもそいつが億康のように『彼らの意志』継ぐものならば…。
俺は笑みを深くした。心のどこかでこうなるとは思っていたが…こうなるとなんの考えなしに約束した奴に同情してしまう。

「始末する相手は…貴様になるかもしれんぞ………」

誰も俺を縛ることはできない。不敵な態度に切れる頭。体からにじみ出る自信とどす黒い感情。
あのやり取りはむしろ俺に警戒心を抱かせただけに終わった。そう言えば名を聞くのを忘れたが、まぁ、いい。
次会う時が何時になるかわからんが、どっちみち俺に『選択』の権利があるんでな…。

「DIOの館に向かったのは正解だったな…」

224 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:34:21 ID:auu7K9iB
となると次に気になるのは…ジョースター邸。
距離も幸い遠くはない。その上近くに豪華客船も鉄塔ある。
目的地には困らないな…ルートとしては北より湖を回り、南下していくのが理想か?
そうなると北東にある施設に足を向けてないが…追々考えればいいか。

満腹になったからか、思考が一段落したからか急激な眠気が俺を襲う。
周りの気配を探る。眠気に邪魔されぬよう、意識を集中し直し探るが…気配はない。
時間を確認すると第二回放送までは二時間といったところだった。

寝過ごすような心配はないわけではないが…ここで体力の回復を計るのもいいかもしれないな。
わずかに漏れる木漏れ日より俺は顔を腕で覆った。
意識を手放す直前に目にした赤石の輝きは故郷の姉を思い出させた。











【E-5 繁華街/1日目 昼】
【J・P・ポルナレフ】
[スタンド]:『シルバー・チャリオッツ』
[時間軸]:3部終了後
[状態]:右手にガラス片による負傷(物を持ったりするのには難儀かも)その他は健康。
[装備]:無し
[道具]:不明支給品0〜2(戦闘や人探しには役に立たない)
[思考・状況]後悔、自己嫌悪、若干の焦り、トニオに対する心配
[基本思考] 基本行動方針:殺し合いに乗ってない奴を守り、自分の正義を貫く
0.携帯電話で情報を得る。電話先にいるのが『黒』なら呼び出し叩く。『白』なら仲間にする。
1.トニオと共に仲間を集める
2.死んだはずの仲間達に疑問
3.J・ガイルを殺す

225 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:34:45 ID:OtX+TyV6
【トニオ・トラサルディー】
[スタンド]:『パール・ジャム』
[時間軸]:4部終了後
[状態]:右腕・左肩・右足太股・脇腹に一ヵ所、右肩に二ヵ所の刺し傷、無力感
[装備]:フランス風クリームスターターとパール・ジャムのミルフィーユ仕立て季節のソースを添えて
[道具]:無し
[思考・状況]
0. 私はどうすればいい…?
1.色々ありすぎて悲しいけど、料理で人を癒すことはやめない?
2.対主催の皆さんに料理を振舞う?
[備考]
※刺し傷はいずれも割りと深いですが料理で一応は処置済みです。
※レストランにある食材のうちいくつかが血液でダメになった可能性があります
※服は着ました
※服にはエンヤ婆とマックイイーンの血液が大量に付着しています。
※三人は店裏の庭に埋葬しました。
※サンドマンが情報提供したのは第1回放送の内容のみです。




【C-4 DIOの館の塔/1日目 昼】
【山岸由花子】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:健康、強い覚悟
[装備]:妨害電波発信装置、サイレンサー付き『スタームルガーMkI』(残り7/10)
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜1 承太郎の首輪
[思考・状況]基本行動方針:優勝して広瀬康一を復活させる。
0.ディオを従わせる。できれば髪の毛を植えつけたい。
1.吉良吉影を利用できるだけ利用する。
2. エンヤがたくさん人を殺すことに期待
3. DIOの部下をどうにか使って殺し合いを増進したい。
4.正直知り合いにはなるべくあいたくない。けど会ったら容赦しない。
5.今夜10時にD-4のスペースシャトルにてエンヤと合流。残り人数次第でそこで始末する。
[備考]
※エンヤの頭部に髪の毛を植えつけました。
※エンヤの能力が死体操作であることを知りました。生きた人間も操れると言う事はまだ知りません
※荒木の能力を『死者の復活、ただし死亡直前の記憶はない状態で』と推測しました。
 そのため、自分を含めた全ての参加者は一度荒木に殺された後の参加だと思い込んでます
※吉良の6時間の行動を把握しました。
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※早人がニセモノだと気づきましたがラバーソールの顔・本名は知っていません。

226 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:36:32 ID:auu7K9iB
【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:内臓の痛み、右腕負傷、プライドがズタズタ(悪化)、スタンド使いへの激しい嫉妬、ジョルノ、シーザー(と荒木)への憎しみ、自分に対する無力感、ストレス(軽減)
[装備]:なし
[道具]:チャーイ(残量1.5g)、基本支給品 不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:なんとしても生き残る。スタンド使いに馬鹿にされたくない。
0.なんとかしてこの窮地を脱出する。
1.下にいる輩に自分の王としての資質を見せ付ける!
2.スタンド使い(特にプッチ)を『上に立って従わせる』、従わせてみせる。だが信頼などできるか!
3.ジョルノが憎いが、借りを返すまではジョルノと行動を共にする。返した後は不明(現在は腹を立てているので借りについては保留)
4.勿論ジョルノとの行動の途中でジョナサン、エリナ、ジョージを見つけたら彼らとも合流、利用する
5.なるべくジョージを死なせない、ジョナサンには最終的には死んでほしい(現時点ではジョルノにジョナサンを殺させたい)
6.ジョルノが & &俺の息子だと!?(半信半疑)
7.プッチとやらはスタンドを与える能力を持っているようだが、頼むのも癪だ!
[備考]
1.見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
2.チャーイは冷めません
3.着替えは済んでいます
4.ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
  ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
5.ジョナサン、ジョージの名前をジョルノに教えました。
  エリナは9割方死んでいるだろうと考えていたのでまだ教えていません。(万が一見つけたら合流するつもりではいます)
6.シーザー戦で使用したロードローラ(3部のあれ)はD−3南部に放置されています。
  壊れたか、燃料が入っているかは不明です。
7.参加者が時を越えて集められたという説を聞きました(本人は信じざるを得ないと思っていますが、実感はありません)

227 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:36:46 ID:OtX+TyV6
【D-4 中央部/1日目 昼】
【吉良吉影】
[時間軸]:限界だから押そうとした所
[状態]:掌に軽度の負傷、ハイ、爪の伸びが若干早い
[装備]:ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り4個)、携帯電話、折り畳み傘、クリップ×2
[道具]:ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×6、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×8、ポケットサイズの手鏡×2
    未確認支給品×0〜2個、支給品一式×2 、緑色のスリッパ、マグカップ,紅茶パック(半ダース)、 ボールペン二本
[思考・状況]
基本行動方針:植物のような平穏な生活を送る
0.最も手に近い手を考える
1.携帯のデータを消したい。
2.手を組んだ由花子と協力して億泰、早人を暗殺する。ただし無茶はしない。
3.当面はおとなしくしていて様子を見る。そのためにまず情報の入手。
4.自分の正体が吹き込まれた携帯電話を破壊したい
5.他に自分の正体を知る者がいたら抹殺する
6.危険からは極力遠ざかる
7.2が終わった後、または利用価値がなくなったと思ったら由花子を殺して手を愛でる。
8.ディオの手を必ず自分のものにする。
9.なんとしても“生き残り”杜王町で新しく平穏を得る
[備考]
※バイツァ・ダストは制限されていますが、制限が解除されたら使えるようになるかもしれません。
※荒木のスタンドは時間を操作するスタンドと予想しました。が、それ以上に何かあると思っています。
※場合によっては対主催に移っても良いと考えてます。
※平穏な生活を維持するためなら多少危険な橋でも渡るつもりです。
※自分がどうやって死んだのか全てを知りました。ショックを受けています。
※空条承太郎が動揺していたことに、少し違和感。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※早人がニセモノだと気づきましたがラバーソールの顔・本名は知っていません。

【ジョルノ・ジョバァーナ】
[スタンド]:『ゴールド・エクスペリエンス』
[時間軸]:メローネ戦直後
[状態]:健康、トリッシュの死に対し自責の念、プッチからの信頼に戸惑い
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3
[思考・状況]
0.思わぬプッチの宣言に戸惑い。どうすればいいのかわからない。
1.第二回放送までにコロッセオ駅に戻るのか、ディオの館に向かうのか。プッチと話をつける。
2.トリッシュ……
3.ディオに変な違和感(父という事には半信半疑)
4.ジョナサンの名前が引っ掛かる
5.プッチとエシディシに対して不信感
6.プッチとエシディシを警戒。エシディシを放っておくのはまずいが、仕方あるまい
[備考]
1.ギアッチョ以降の暗殺チーム、トリッシュがスタンド使いであること、ボスの正体、レクイエム等は知りません。
2.ディオにスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教えました。
  仲間や敵のスタンド能力について話したかは不明です。(仲間の名前は教えました)
3.彼が感じた地響きとは、スペースシャトルが転がった衝撃と、鉄塔が倒れた衝撃によるものです。
  方角は分かりますが、正確な場所は分かりません。
4.ジョナサン、ジョージの名前をディオから聞きました。ジョナサンを警戒する必要がある人間と認識しました。
5.参加者が時を越えて集められたという説を聞きました
  (他の可能性が考えられない以上、断定してよいと思っています。ただし、ディオが未来の父親であるという実感はありません)

228 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:38:03 ID:auu7K9iB
【エンリコ・プッチ】
[時間軸]:JC6(69)巻、ヤドクガエルに“破裂する命令”をした直後
[状態]:健康 腕の辺りの服がちょっと燃えてる ディオに罪悪感 ジョルノに畏怖の念
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ヘリコの鍵(ヘリコプターはコミックス60巻でチョコラータが乗ってたもの)、ウェザーの記憶DISC
    不明支給品0〜2(確認はしてます)
[思考・状況]
基本行動方針:ディオ&ジョルノのもとへ、天国へ
0.とりあえず帝王二人の安全を確保したい(ディオ&ジョルノ)
1.第二回放送までにコロッセオ駅に戻るのか、ディオの館に向かうのか。ジョルノと話をつける。
2.首輪解析のため、ナチス研究所を手に入れたい
3.エシディシは良い奴のようだ。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい。
4.ディオが違う時代から来ていたことに少しショック。
5.ジョースター一族はチャンスがあれば抹殺(無理はしない)
6.DISCの確認
7.エシディシ、ディオに相応しいスタンド探し(ディオ優先。ディオはスター・プラチナを使いこなせるのでは?)
[備考]
※エシディシとはお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました。彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※ヘリは墜落しました。残骸はD-2の南部にあります
※影響を恐れ、ジョルノ、ディオにディオの未来に関する情報を教えていません。
※ディオは『スター・プラチナ』を使いこなせるのではと考えていますが、実際のところは不明です。



229 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:38:40 ID:OtX+TyV6
【C-4 DIOの館内部/1日目 昼】
【ラバーソール】
[時間軸]:承太郎と戦闘中、ザリガニ食べてパワーアップした辺り。 川尻早人に変装中。
[状態]:健康。仗助、重ちー、マイク・O、スカーレットを食べてパワーアップ!?
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 ×5(内一食分食料と方位磁石消費)、ギャンブルチップ20枚、ランダム支給品×1 (未確認)
    サブマシンガン(消費 小)、巨大なアイアンボールボーガン(弦は張ってある。鉄球は2個)
    二分間睡眠薬×1、剃刀&釘セット(約20個)
[思考・状況]
基本行動方針:勝ち残り、優勝。溺れるほどの金を手に入れる。
1.さぁて、どうしようか?
2.参加者をできるだけ減らす。
3.状況によっては誰かに化ける
4.七人の同盟とDIO軍団を上手くぶつけて一人勝ちを狙う。
5.必要な時になったら鳩をサウンドマンに送る。
[備考]
※ラバーソールは承太郎、花京院とロワで会った人間に変装できます(その場の状況で考えるようです)。
 偽のスタンド像も出せますが性能はイエローテンパランスです。
 死者の変装は“特殊な状況”にならない限りやらないようです。
※ラバーソールは仗助が自分自身の怪我も治せると勘違いしています。
※鳩は早人が同封した返事分、一回分の便箋を持っています。
※J・ガイル、アンジェロのスタンドについては理解し切れていません。水、及びそれに順ずるものを媒介とするとだけ把握しています。
※悪魔の虹メンバーとほとんど情報交換を行っていません。お互いの名前と姿ぐらいしか正確には把握していません。
※また、駅にいた悪魔の虹メンバーはイエローテンパランスの能力を「顔を変える」と誤解している可能性があります。
※ラバーソールは川尻早人の顔です。今後顔を変えるかどうかは次の書き手さんにお任せします。
※DIOの館にて遭遇した人物に名前・素顔を明かしてません。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※ヨーロッパ・エクスプレスは門前に繋がれてます





【C-4 DIOの館 門前/1日目 午前】
【リンゴォ・ロードアゲイン】
[スタンド]:マンダム
[時間軸]:果樹園の家から出てガウチョに挨拶する直前
[状態]:全身にラッシュによるダメージ(中)身体疲労(大)右上腕骨骨折、
[装備]:ジョニィのボウィーナイフ
[道具]: 基本支給品 不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者達と『公正』なる戦いをし、『男の世界』を乗り越える
1.遭遇する参加者と『男の世界』を乗り越える
2.休息と怪我の手当てがしたい。
3.日が沈んだらタルカスと再び戦う。
4.日が沈むまでは門を離れるつもりはない。
[備考]
※骨折は気力でカバーすれば動かせます。
※ミセス・ロビンスンのこともあり、男の世界を証明したいという願望がさらに強くなってます。
※フェルディナンドの姿・声等についてはタルカスに言いませんでした。

230 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:40:02 ID:auu7K9iB
【ロバート・E・O・スピードワゴン】
[スタンド]:なし
[時間軸]:コミックス五巻「悪鬼の最期」にて、ジョナサンとエリナを発見した直後。
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式(不明支給品1、確認済)、リサリサのマフラー、民家で見つけた包帯。
    (※時計と方位磁石は、ジャケットのポケットに入っています)
[思考・状況]
基本:ジョナサン一人に負担をかけぬよう、自分も弱者を守る。
1.さて、どうするか &?
2.最悪、誰かにディオ・ブランドーの危険性を伝える
3.ホル・ホースを警戒しつつ、共に目的を同じくする者との合流を図る。
4.ホル・ホースと分担で仲間を探す。繁華街に向かいたかったがディオを追いかけるのを優先
5.地図が正確か確認する(それほど疑っているわけではない)
6.食料・武器の調達もしたい
7.ホル・ホースは信用しきれない。そのために保険をかけた。だが心の奥底では信用してやりたいとも思っている。
8.あの隕石は自然現象か、それとも & &?(一応確認したいかな、程度の思考です)

[備考]
1.ホル・ホースが戦ったのは波紋使いではないかと薄々考えています。
2.スタンドについて未だ知りません。
3.ネズミについての真相はスピードワゴンしか知りません。
4.ディオが太陽の下を歩いているのに疑問を感じていますが、悪人であることに変わりは無いと考えています。
  また、同行者二人は間違いなく人間と考えています。


【タルカス】
【時間軸】:ジョナサン達と戦う直前
【状態】:身体疲労(小)精神疲労(小)
【装備】:大型スレッジ・ハンマー
【道具】:基本支給品
【思考・状況】基本行動方針:ディオ様と部下と一緒に荒木をぶっ殺す
1.館でディオのもとに集う仲間を待ち受ける。
2.ディオとその部下以外が館に侵入してきたら殺す。
3.自分の強さに疑問
4.出来れば鎖が欲しい &
[備考]
※挫折感は幾らか和らぎました。
※リンゴォのスタンド『マンダム』について把握しました。
※フェルディナンドの姿・声等は何も把握できませんでした。

231 :◇Y0KPA0n3C. 氏代理投下:2009/07/15(水) 21:40:22 ID:OtX+TyV6
【B-3 湖の傍/1日目 昼】
【サンドマン】
【スタンド】:『イン・ア・サイレント・ウェイ』
【時間軸】:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
【状態】:健康、満腹、睡眠中
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×2、不明支給品1〜3(本人確認済み) 、紫外線照射装置 、音を張り付けた小石や葉っぱ、スーパーエイジャ、
【思考・状況】 基本行動方針:元の世界に帰る
0.姉ちゃん…
1.豪華客船、ジョースター邸、鉄塔と施設を回りつつ南下する。
2.ツェペリの『荒木は死者を復活させて命を弄ぶ』論に少し興味。荒木の言葉の信憑性に疑問。
3.名簿にあるツェペリ、ジョースター、ブランドーの名前に僅かながら興味
4.遺言は伝えた。その他に彼らを知る人間とも一応会ってみたい(優先はしない)
5.もう一度会ったなら億泰と行動を共にする。
6.ジョルノの話に興味。
7.鳩が来たら一応その場に向かう。が、従うかどうかはその場で判断する。
【備考】
※7部のレース参加者の顔は把握しています。
※スカーレットが大統領夫人だと知っています。
※ンドゥールに奇妙な友情を感じています。 康一、ツェペリにも近い感情を持っています。
※億泰と情報交換をしました。
内容は「康一と億泰の関係」「康一たちとサンドマンの関係」「ツェペリの(≒康一の、と億泰は解釈した)遺言」「お互いのスタンド能力」「放送の内容」です。
※チーム・ザ・ウェーブの遺志は億泰に託しました。
※情報提供したのは第1回放送の内容のみです。
※エンヤ婆を攻撃した石は、I-7  中央部(果樹園跡)での大規模な戦闘中に集めて小石や葉っぱに張り付けて置いた音の残りです。まだ余りがあるようです。
何の音を保存しているかは、次の書き手さんにお任せします。
※プッチの時代を越えて参加者が集められていると考えを聞きました。
※早人がニセモノだと気づきましたがラバーソールの顔・本名は知っていません。





232 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 21:43:37 ID:auu7K9iB
177 名前:ボヘミアン・ラプソディ  ◆Y0KPA0n3C. 投稿日: 2009/07/15(水) 21:38:45 ID:???
投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
一時投下スレにて指摘を下さった方々、ありがとうございました。 予約期限を過ぎたことをお詫びします。すみませんでした。
そして代理投下をまたもお願いします。いつもいつも毎度心苦しいですがよろしくおねがいします &
投下完了です
丁度PCのほうがさるさんになりましたwかなりギリギリでしたね
感想はあそこで言いましょうかw

233 :創る名無しに見る名無し:2009/07/15(水) 23:30:53 ID:35oJWjQR
投下完了です!

多くの人数入り混じるドラマは流石!
ディオ、ジョルノを中心に動く者。こっそり暗躍する者。
全員がみんな何かをしでかそうなのが怖いwwww
吉良が電話に出たら間違いなくアウトwwwwwwwwwwwwww

234 :創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 00:01:46 ID:OBKXw2cP
投下乙です

多人数の予約が入ったときは正直どうなるのかと思っていましたが
登場人物それぞれのキャラクター性やこれからの方向性が描かれていて
引き込まれました
スピードワゴンには是非奮闘してもらいたい…
そしてサンドマンの合理性からくる黒さが見え始めてざわざわしました

235 :創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 03:29:50 ID:SviV+gX+
>◆Y0KPA0n3C.氏
投下乙です。
些細なショックで爆発しかねない大人数の集結を、駆け引きのみで一気に捌き切る技量に感服。
ディオはその『手』も含め、帝王の素質と呼べるのかもしれませんね…。

>一時投下スレ 178-183氏
表現技法講座、目からウロコの連続でした。
第三者ながら、書き手の端くれとして非常に参考になります。乙でした。

236 :創る名無しに見る名無し:2009/07/16(木) 18:07:24 ID:by43RCz/
投下&代理投下乙です。
この誰が動き出すかわからないって感じがいい!
ディオもだけど、この中で一番まずいのって吉良な気がする
電話先にはトニオがいるし、コロッセオは億泰も向かってるし、一旦戻ればなんか企んでる由花子がいるし……

237 : ◆0ZaALZil.A :2009/07/20(月) 11:20:55 ID:AfK9I4Q5
途中報告。
6〜7割出来てます。ただおそらくWikiに載せる際分割いるんじゃないかってくらい長いので
推敲に時間かけたいです。

238 : ◆0ZaALZil.A :2009/07/20(月) 17:53:48 ID:AfK9I4Q5
これ言うの忘れてた。水曜か木曜に投下予定です。

239 : ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 21:47:53 ID:IZ18r8ur
F・F、エシディシ、川尻早人、ディアボロ、ジョセフ・ジョースター、音石明、アレッシー
投下します

240 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 21:49:21 ID:IZ18r8ur
どこへ行こう。

あたしはさっきからずっとそればっか考えていた。
そのせいでまだ一歩も踏み出せないでいる。
徐倫のため他の奴らを殺して回る、とは言え、徐倫本人に会うのは避けたい。
そりゃあ、探して保護した方がどう考えても良いだろうが、そんな効率の問題じゃあない。

向かいたいのは、『人が寄り、なおかつ徐倫が行かない』どこか。
徐倫を襲いかねない危険人物を探すのもだが、優先すべきはこれだ。
危険人物と言えば……プッチはどこ行っちまったんだ?
プッチと同行してたらしい筋肉達磨も行方不明だし、放置すんのは絶対に避けたい。

「やっぱ行くっきゃねえのかなあ〜?」

さっきから気になってしょうがない巨大な建造物、コロッセオ。
イタリアだったかに在ったんじゃあねーのか?
極上の料理にぶっかけた蜂蜜のように街の景観はブッ壊されてることだろーよ。違和感バリバリだ。
徐倫はわざわざ行かないだろうな、こんなところは。拠点にするには無駄に目立ち過ぎる。
かと言ってここに寄りつく奴なんてそうそういないだろうってのもまた言えるわけで。
いるのは、状況の見えてない馬鹿か、相当の自信家のどっちかだろう。
6時間も経ったんだから皆現実が見えてるだろう、後者の可能性の方が高い。

「いいや……違う、行かなきゃいけない。徐倫のためにもここは!」

行かなきゃいけない。
たとえ誰もいなくても、いずれ捜索する者が現れるだろう。
物陰に隠れてそいつにFF弾を打ち込めばそれでいい。
それだけで、たったそれだけで決着はつく。

241 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 21:50:06 ID:IZ18r8ur



「……できるのか? あたしは、その『たったそれだけ』が?」

乗っ取った男、ダービーを打つ時さえためらったのに?
震えが止まらず、ろくに照準を合わせられなかったのに?
そもそも途中まで殺しを躊躇してたのに?

(なのに貴様は『たったそれだけ』などと、エラソーにのたまってるのか? プランクトンの分際で)

プッチ神父があたしを嘲る声が聞こえた、気がした。

「……ああ、そうだ、『たったそれだけ』だよ。わけねぇんだ、徐倫のためなら」

その声を振り切るようにして走る。
ウダウダ悩んでる暇はない、徐倫の身を案じるなら。
思い出を足かせのように引きずってしまうから一歩一歩が重いんだ。
捨てなきゃあ、前には進めない。

必要なのは目的。空条徐倫のために戦うという目的だけ。


  ★


話し相手がいないというのは、寂しいものだな。

プッチが居なくなってから、奴の魅力を再認識させられた。
することもなく一人でいるのは面白くない。
悠久の時を生きてきたはずなのに、退屈な時間はひどく長く感じる。
いつもだったら頭のクールダウンに十分な時間は過ぎただろうが、高ぶった気持ちは一向に冷めない。
同族のこともそうだが、ここに来てから満足に戦えていないのが原因だろう。
プッチには悪いが、今誰か来ようものなら手加減できるかどうかさえ怪しい。

242 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 21:50:52 ID:IZ18r8ur

「ヌウ?」

侵入者……来たか。
足音を出来るだけ出さない歩き方はしているが、地を伝わる振動は消しきれまい。
だが、気配の消し方は修羅場をくぐりぬけてきた波紋戦士のそれに劣らない。
これほどの腕なら、その力奴らに匹敵するかもしれん。
文字通り血が滾るのがわかる。
ジョルノとの戦いの際、プッチに介入されてから、その鬱憤を晴らしたくて辛抱たまらなかった。
今回は邪魔する者はいない。来ようものなら、そいつごと叩き潰すまで。

狩りの対象の足音止まる。距離からして、機を見計らっているのだろう。

「そこにいるのはわかっている。おとなしく出てきたところで見逃す気などないがな。
 貴様がその気なら、相手してやろうじゃあないか」

スッと立ち上がってみせたが、向こうは動かない。

「来ないのか? ならばこちらから向かうぞ」

不意を突こうとしたのだろうが、無駄だ。その目論見ごと吹き飛ばしてくれる。

対象は20メートル先、柱の後ろ。侵入者は動かない。

接近、残り10メートル。侵入者は動かない。

接近、残り5メートル。まだ動かない。

3メートル、2メートル、1――――。



右足を鞭のように振るい柱をなぎ倒す。

石塊吹っ飛び、破片舞い散る。その陰からひらりと飛ぶ影一つ。

射出音六度響く。飛来物が2、3頬を掠る。

横転しながら着地したそいつは。

「貴様は……」

ジョルノに治療されたはずの男だった。



243 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 21:51:48 ID:IZ18r8ur
  ★


(チッ……柱の影を見に来たところを上からズガン! と考えてたが甘かったぜ。
 しかし、よりによってあの筋肉達磨が相手か!)

さっきまでプッチの次に再会を願ってはいたものの、それは恋い焦がれた者同士が浮かべるような感情じゃあない。
こいつに対しては、そんなのとは対極にある憎悪しか浮かばない。

『どうやらコイツは貴方の肉体を取り込んだようです! つまり貴方とヤツの相性は最悪!』

ジョルノの言葉を脳裏で反芻する。
F・F弾はプランクトンを射出する攻撃だから、肉体の一部を飛ばしているようなもの。
こいつを放置すんのは危険だが、そう思ってた割に対策は練っていなかった。
近距離パワー型スタンド並みの力も吸収されて通用しないこいつ相手に、どこまでやれる?

「よりによって貴様か。野放しにすればプッチも厄介に思うだろう。協力は……出来るはずもないな。
 遠慮はしない、ここで片付ける」

そー言う奴の表情からは、笑みが見て取れた。
随分とまあ舐めくさってくれるじゃあねーの、えぇオイ?
策がない? なら見つけ出せばいい!
とにかく、今は時間稼ぎをするしかないッ!

指先を銃口に変換、発射。
よけられるが問題ない、距離を稼ぐための布石だ。

さて、どうする?
DアンGやダービーにやったように、肉片をまき散らす手は使いたくない。
リスキーすぎる。二人ともほぼ動けないという前提があったから出来たことだ。
外側から傷をつけるのは難しい。体液を奴の中にブチ込んで繁殖させ内部から破壊するしかないが、体表に打ち込めば吸収される。

244 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 21:52:48 ID:IZ18r8ur

要は、『最初っから内部にブチ込む』しかないわけだ。
それができる箇所はおそらく、口内、眼球、耳とか鼻とか……顔付近に集中してやがる。
ヘヴィったらありゃしねえ。

コロッセオに地下があると知ったのは偶然だったが、最初はラッキーだと思った。
遺跡のように入り組んだここなら奇襲しやすい。
だが、強い奴に対してあれこれと策を弄するのは無駄だとさっきので思い知らされた。
位置が位置だ。狙いを定めて、真正面から突っ切るしかねえ!

「どうした、鬼ごっこは終わりか? それとも、このエシディシに命乞いでもするつもりか?」

駅のホームみてーなところまで走って立ち止まったあたしに、そう言って蔑視しやがった。
地下鉄が通ってるんだろうかとかムカつくヤローだとか考える暇もなく、思考のほとんどを隙を作るための作戦練りに回す。

「一つ聞いていいか? 分からんのだ。貴様は何のために戦う?」

向こうから話しかけてきやがった! 隙を得るための手口か?
いや、あの圧倒的なパワーの持ち主がそんなことをするとは思えない。追いかける速さも加減したようだから。
だからあたしは深く考えず、正直に率直に答えてやった。

「あたしはあいつを……徐倫を生き残らせなきゃならねーんだ! この命に代えても!
 テメーみたいな化け物に徐倫を殺されてたまるか!」


  ★


「一つ聞いていいか? 分からんのだ。貴様は何のために戦う?」

言うなればこれは最後通告。
このままならわけなく勝てるだろうから、協力するかどうか一応聞いておく。
目的が一致するなら、プッチの頼みを無下にするわけにもいくまい。

「あたしはあいつを……徐倫を生き残らせなきゃならねーんだ! この命に代えても!
 テメーみたいな化け物に徐倫を殺されてたまるか!」

そんな思惑つゆ知らずといった感じで、聞けたのは随分と身勝手な理由。

「安っぽい感情で動くんだ――なッ!」

男に接近を許してしまった。構えた銃口を顔に向けられる。
回避は間に合わない。

「直を――喰らいやがれ!」

不意を突かれたのは驚きだが、口なら吸収されないとでも思ったか?
吹っ飛びはしたものの、喉の傷は浅い――何ィ! 喰い……破られる!?

「勝った! 臓物をブチまけなァァァ――――!」



245 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 21:53:42 ID:IZ18r8ur

  ★


確かに打ち込んだはずだ、途中で吹っ飛んだから二発だけだが確かに。
即、分裂も命令した。なのに、何で。

「何で! フー・ファイターズが死滅してんだよォォォ――――!」

慌てふためくあたしとは対照的に、筋肉達磨は落ち着きはらってペッと掌に血反吐を吐きだす。

「こんなものに……こんな塵に匹敵する微小な生物に喰われかけるとはな。反省しなくては」

かろうじて生存しているフー・ファイターズのことだろう。
熱した鉄板に水滴を零したような音がして、そこで完全な死滅を確認した。

「もし俺の流法がこの生物を焼き殺せる「炎」でなかったなら。「炎」でなかったならッ!
 どうやってあの攻撃を防いでいたか分からなかったぞ……」

奴の唇から血液垂れる。そこから煙を帯びて皮膚が焼けていた。

奴の能力は、フーファイターズを焼き殺すほどに血液の温度を上昇させる能力らしい。
肉体を取り込むこととの関連性は見出せないが、分かったことはある。


今のあたしじゃ、コイツに勝てない。


「さっきから気になっていた。鉄塔の側にいた女と、貴様の動きは酷似している。
 変装か……あるいは、肉体を乗っ取ったのか?」

冷や水を浴びたようにピクリと反応してしまう。

「図星のようだな。フン、とんだお笑い草だ!
 他人の肉体を乗っ取り、あげく、ジョリーンだったか? そいつ以外は内側から喰い破る。
 貴様が俺を化け物と言えた口か?」

反響して聞こえたのは、地下だからというだけじゃあないだろう。

「その人にも化け物にもなれぬ出来損ないの頭で考えろ。ジョリーンが貴様の助けを必要とする弱者なら間もなくくたばる」
「徐倫を侮辱するのはやめろ! それに、これはあたしが勝手にやってることだ!」
「だが俺は言い振らすぞ?『ジョリーンの仲間であるフー・ファイターズは殺し合いに乗った』と」

246 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 21:54:30 ID:IZ18r8ur
事態は、あたしが死ぬより最悪の方向へ向かってしまった。
もしそんな話が流布すれば、徐倫は集団から敵視され、疎外されるだろう。
そうなれば彼女の孤立は必至。生き残れる可能性は激減する。

「徐倫は同行者から嫌われるだろうな。除け者にされ、弁明すら聞いてもらえないのが目に見える」
「黙れ! 徐倫は、徐倫は」
「必死に孤独に耐えたところで、噂を聞いた誰かが始末しにかかるだろう。
 それとも、耐えかねて自殺するのが先か?」
「黙れ黙れ黙れ!」

壊れたテープレコーダーのように必死に言葉を繰り返す。
耳もふさいでいるが、それに合わせて奴は声量を上げてきた。
守りたかった徐倫が殺される。湧き出るそのイメージを塞き止めたい。
だが、奴の暴言が途切れることはなかった。

「その時の死に様はどんなものなのだろうな? 刺殺? 絞殺? 銃殺? 圧殺?
 自殺なら服毒というのもあるかも知れんなあ?」
「黙れ……黙れ……死なせて、たまるか……」

そして、自分でも分かってたから恐れていた、最も耳に入れたくない一言を――

「いいや、ジョリーンは死ぬ。だが忘れるな、徐倫を殺したのはお前だ。全て貴様のせいだ」

――聞いた途端、あたしはキレた。

「黙れエエエエエエエエエエエエ!」

ひたすらに、残像が見えてくるほどに拳を振るう。
だが見切られる。左腕をつかまれる。

「動揺して安易な攻撃を繰り出したなあ〜〜〜!」

拳撃が止まった隙を突かれ、野菜を切るように容易く、右手首が手刀で切り離される。
ボールみたいに宙を舞う手首。

「そしてお前は『得意顔してしゃべんなこのウスラボケが』と言う!」
「得意顔してしゃべんなこのウスラボケ――がッ!」

247 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 22:01:03 ID:IZ18r8ur
顎を蹴とばされた。舌を噛んだ。
受け身を取れずに倒れる。自然と奴に蹴られた脚を見ることになる。

切られたはずの右手首が一体化していた。

「右手からまた撃ってくると思っていたぞ。狙いは耳の穴か?」

完全に、読まれていた。
血液が駄目だったから、リンパ液で満たされた耳内部の組織、蝸牛を狙うという策を。
F・F弾を、飛ばされた右手からブッ放してやろうとしたことを。
空中で変化する指を見逃さなかったのだろう。
奴はあたしを蹴ることで右手を操作する集中力を損なわせ、同時に振るった足で手首を吸収しやがったのだ!

「絶望のォ〜! ひきつりにごった叫び声をきかしてみせろォ〜〜〜!」

起き上がっていないあたしに容赦なく向かってくる。
チクショウ……ここまでなのかよォ……!


  ★


戦略的撤退を取った俺ってえらいねえ〜〜〜。
『セト神』は解除さえされなければ無敵の能力なんだからな。
ん? ここに来る以前子供化したポルナレフに追い詰められた? そんなこと言うのはえらくないね。

北上した俺の目に留まったのはコロッセオ。
目立つ施設だから何となく向かってしまったんだろう。
足が見つかった余裕もあって、内部の捜索をし始めたんだよ。
盗られたらまずいから、バイクは目立たないところに隠したけどな。

そしたらなんと、地下への隠し通路を見つけたんだよ! 俺ってばますますえらいねえ〜〜〜。
真実の口が蓋になってたなんて驚きだぜ。
んで、喜び勇んで侵入開始したってわけだ。

遺跡みたいな内部を探検してると、途中で近代的な場所に通じた。
いや、何か騒がしい音がしてたからその正体を知りたかっただけなんだぜ? それに関わろうなんて微塵も思わなかった。
だが、生まれてこの方、あれほど自分の選択と幸運に感謝したことは無かったね。

「ダッ、ダァービィー!」

感動の再会ってやつだ。
背負ってた女が居ないが、この際どうだっていい。ダービーに会えただけで良しとしよう。

しかし緊急事態だ。
俺がダービーを見つけて数秒後、奴の右腕が吹っ飛ばされた。
誰がやったって? 一番会いたくなかった筋肉野郎だよ。
何か叫びながらニヤついてやがる。おぞましいったらありゃしねえ。
関わりたくないし今すぐにでも逃げちまいたい。だがこれはチャンスなんじゃあねーの?
ここでアメリカンコミックのヒーローよろしくジャジャーンと助太刀に入れば、
ダービーの信頼が得られるわ、危険人物を無力化できるわいいことづくめ。
こーいうのは大抵リスクが付きものだが、あのデカブツはこっちに背中を向けてっから気付いてねえ。
ジョセフみたく見た目ジジイじゃあねえし、影に2、3秒触れさせればイジメ甲斐のある子供に変えるには十分。
そもそもダービーがやられたら、次にやられるのはこの俺だろう。元々危険なのは変わりあるめえよ。
そうこう考えてるうちに蹴りがダービーの顎にモロに入る。こりゃあ今すぐ行かねえとダービーがやられる!
意を決してスタンドを発現、最大限影の面積を拡張し走り出した。



248 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 22:02:07 ID:IZ18r8ur
  ★


「ねぇねぇディアボロくぅ〜ん、いい加減冷房を切りに行きたいんですけどお」
「俺とこいつを危険に晒してもいいと? 三人一緒に行くのも論外だ。
 俺かお前がこいつを服ごと抱えて行く必要があるから、下手をすれば咄嗟の事態に対処できない」

ジョセフの提案を退ける。
スタンド攻撃のせいで、俺はスタンドが使えなくなり、音石に至っては動きまわることすら難しくなった。
たくましい肉体を取り戻し、奇妙な術が使えるジョセフはともかく、俺と音石は戦力として計上できない。
籠城を選択した一因はそこにある。
消極的だが、選択そのものは間違っていないからこそ、あの時ジョセフは反対しなかった。
いかなる場合においても安全に振る舞うことを優先せねばなるまい。

「もっとも……裸のままこいつを抱えるのも勧めんがな」
「分かってるって。そんなことして突然姿が元に戻った日にゃあ目のやり場に困るってーの。
 そもそも、冷房を切りたいのはこいつが震えてっからだ」
「うー……」

ジョセフが指差したのは、元々着ていた衣服にくるまっている音石。
ぶかぶかで見に纏えたものではないから脱いだようだが、寒さには耐えかねるのだろう。
唇は既に紫色、未発達の歯をカチカチ言わせて縮こまっている。
これくらいの年の子供には酷な環境だ。別に憐れんでいるわけではないが。
確かにこれが原因で、元に戻った時音石の肉体に異常が出ては困る。
従わせる利用相手が使い物にならなくなるわけだからな。
しかし、自分の命には代えられない。このディアボロ、何より危険は避けたいのだ。

「それに目の容態はどうなんだ? ほれ、水だ」

デイパックから飲料水を取り出し、ジョセフに渡す。
いい加減処置を施さないと、本当に役立たずになるからな。

「おお、わりいな」
「自分で言ったことだろう、目を洗う時間をくれと」

無視するように、バシャバシャと音を立てて目を洗うジョセフ。
この様子だと、あの問いも忘れているのではないか。

249 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 22:03:03 ID:IZ18r8ur
『娘がいると言っていたな。お前はどうしていた? この世界に娘も来ていたら……もし死んでいたら』

返答次第では見限る。だがこいつはそれを知ってか知らずか、今の今まで回答を保留にしてきた。
襲撃者、アレッシーとやらの対処に追われたかもしれないが、答える時間だけなら電車内でもあったはず。
しかし、娘か。
血縁関係を表すだけなら意味は一緒だが、ジョセフと俺のそれは違う。
娘との繋がりを断ち切ろうとした俺とは対照的に、ジョセフは――少なくとも当初は、身を案じていたのだろう。
そう、娘トリッシュは死んだ。荒木が嘘をついたというのは無いな、いずれ裏が取れるし、何より感覚で分かる。
ちらと音石を見る。不思議そうに首をかしげたので頭をなでてやる。

血縁上、トリッシュの母で俺の妻に当たるドナテラ・ウノとの出会いなど思い出せない。
娼婦のような感覚で見ることは無かったし恋もしたが、俺にとって愛は無用だったから。
組織の頂点に立とうとする身において、直接的な繋がりを持った者は邪魔者でしかなかったから。
だがジョルノに敗れた俺は、かつてのような絶頂を得ることはできないだろう。
それどころか度重なる「死」で精神は摩耗し、他人に無様な姿をさらしても何も思わなくなった。

平穏の中を生き長らえたところで、俺には何もない。
家族も、意地も、信念も、地位も、名誉も、愛も。
断ち切るべき因縁が残されているが、それを絶やすのは生きるための手段であって目的ではない。
死にたくないとは言った。だがそれならば俺は一体何のために生きている?

そこで思考が堂々巡りに入ったから、俺は気付けなかった。


あれほど寒がっていた音石が、生まれたままの姿でつっ立っていたことに。



250 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 22:04:04 ID:IZ18r8ur

  ★


「ヒイイイイイイすいませんでしたあああああ」

何者かがいるとは分かっていた。
振り向いた瞬間土下座されるとは想定外だったが。
珍妙な髪形をした男が額を地面にこすりつけている。俺は何もしていないのに。

「不意を突こうとしたか?」
「めめめめめめ滅相もございません! たたたただ足がふらついてしまっただけでして」

どもる口調は演技には思えない。
ふと後ろを見やるが、俺を化け物呼ばわりした奴はいつの間にやら姿をくらましていた。
この隙に乗じたのだろう、こいつに注意を配りすぎた。

「フン、逃げられてしまったじゃあないか。……死んで詫びてみせろ」

芸術と言って良いくらい整った姿勢を崩さない男の首元に、手刀を構える。
ブツブツと、小声で謝罪の意を表明しているようだが知ったことではない。
そして、構えた平手を振り下ろし――





「いや、やめておこう」




寸止めた。

251 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 22:04:57 ID:IZ18r8ur
岩の様に安定していた男の姿勢がぐたりと崩れる。

「さっきまで俺と戦っていた奴を追いかけろ。始末できればそれが一番いいが、期待はしない。
 自分の命が惜しくても、偵察ぐらいは出来るだろう?」
「……」
「ああ、俺は行かんぞ? 太陽光に弱い体質でな、追いかけるのは至難なのだ」

これといった反応を示さない。仕方ない、もうひと押しするか。
襟をつかんで持ち上げる。

「それとも、ここで苦痛を感じる間もなく一瞬でくたばる事を望むか?」

ドスを聞かせた声で言う。

「い、いいいいいいいいい行きます行きますったらあああああああ!」

襟をつかむ力を緩めると、一目散に逃げ出した。
ちゃんと働いてくれるとは思わんが、俺を襲おうなどという馬鹿な考えは二度と起こすまい。

「しかし……期待外れと言わざるを得ないな」

『フー・ファイターズ』とやらも、今の男も、なんてこと無い存在だったではないか。
人間は本当にワムウを倒すほど強いのか?

……思えば俺は恵まれていたのだな。
人間のくせに、不思議と気が合ったエンリコ・プッチ。
揺れ動く状況下でも、自らの意地を曲げなかったジョルノ・ジョバァーナ。
何の力も持たないのに、プッチから聞いた未来の姿の片鱗を見せつけたディオ・ブランドー。
『あえて』人間の力を認めるとは言ったものの、それは必然だったかもしれない。
これほどにも魅力的な人間を見てきたから、ここで落差を感じてしまうのも必然だったろう。

『フー・ファイターズ』への挑発は、策を隠し持っている可能性を恐れてしたことだった。
怒りに身を任せさせ、安直な攻撃を誘ったのだ。
挑発にあっさり乗ったし、策も単純なものだったと、杞憂に終わったのだが。
だがそんなのは後だから言えることで、実際のところあの時の言葉は半分本音だ。
誰かを生き残らせると言いながらあの体たらく、物言わず俺を殺しにかかればいいものを。
所詮、人にも化け物にもなれぬ半端者か。

喉に傷を負わせたことは、褒めてやっていいかも知れんがな。



252 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 22:07:01 ID:IZ18r8ur
  ★


『いいや、ジョリーンは死ぬ』

黙れ!

『だが忘れるな、徐倫を殺したのはお前だ』

黙れ、黙れ、黙れ! そのクソやかましい声を止めろ!

『全て貴様のせいだ』

「黙れっつってんだよオオオオオオオオオ!」

命からがら逃げ出したあたしは、苦悶の表情を浮かべ、左手で頭をかきむしっていた。
あの一言が、頭の中にこびりついて離れない。

勝てなかったのもそうだが、言い返せなかったことの方がはるかに惨めに感じた。
「徐倫を死なせないためなら、プッチみたいな奴らを先に始末しよう」と、自分の実力を無視して思いあがっていた。
結果はどうだ? 負けて死ぬならまだいい。
徐倫を更に危険に晒してしまったではないか。
あげく乱入者が出たのをいいことに逃走。負けなんてもんじゃあない、完全敗北だ。

徐倫を優勝させる道を諦めるわけにはいかない。
だけど、無関係の誰かを巻き込むのに躊躇いがあったからこその結果なんだ。
危険人物を先に倒す? そんな風に利口ぶったところで、それは結論の先送りに他ならない。

もう迷わない。
女子供であろうが何だろうが、殺す。利用できる者は利用し尽くす。
徐倫の身が危ないのなら、他の奴らに殺られる前に殺ればいいだけの話。
あの筋肉達磨に笑われるくらいなら、完全な化け物になったっていい。
あたしは――いや、『私』はあの頃へ戻る。
ただ一心に、ホワイトスネイクの命令を受けていただけのあの頃に。
自分のことを未練がましく『あたし』と呼ぶのはやめにしよう。
思い出が失われることを心の奥底で恐れていたから、自分を『あたし』と呼んだのだ。
目的を果たすためだけに生きる化け物に、思い出はいらない。

頭の中の声は止んだが、代わりに排気音を確認。おそらく自動車両の類。
戦闘はもちろんのこと、満身創痍のこの身ではまともに逃げられるかも疑わしい。
水分は補給したが、右手を再生するには至らなかった。
バイクに回り込まれる。ライダーの顔は、コロッセオ地下でちらと見たが、何よりダービーの記憶が知っていた。


253 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 22:08:37 ID:IZ18r8ur
「アレッシーか」
「よお〜〜〜ダービー、しばらくぶりだな」

子供が見たら泣くか逃げるかするであろう、下卑た笑い顔を向けてきた。

「何の用だ?」
「なに、大したことじゃあねえ。一緒に行動してほしいのさ」

エンジンを切ってバイクから降り、不細工な顔を近づけて言う。

「大きい声じゃあいえねーがな……俺は弱い者をイジめるとスカッとする性格なんだ……。
 だがここに来てからというものの、そんな性癖を優先するあまり痛いしっぺ返しを何度も食らった身だ。
 一人じゃロクに生き残れない、そう学習したよ。お前はどうなんだダービー?」

こいつのスタンド能力が何であれ、手を組むことにはメリットがある。
バイクという足は目的のためにも絶対に欲しい。
殺して奪い取ることも考えたが、これ以上の負傷は避けたいし、何より奪ったところで右手を喪失したまま運転するのは難しい。

「いいだろう、一人では生き残れそうにないというのはこちらも同じだ。せいぜい協力し合おうじゃあないか」
「物分かりがよくってえらいねえ〜〜〜」

役に立つかは分からないが、それなら腕を治した後に始末してしまえばいい。
それまで足手まといにならなければいいが、主DIOのためと適当に理由をつけてやればちゃんと戦うだろう。

「一応俺のスタンド能力を教えておくぜ。『セト神』、影のスタンドだ。
 触れた奴を若返らせる能力を持ってる。何でか知らんが、あのデカブツは若返らなかったがな」
「私が戦った奴のことか?」
「そうそう。しかし変な奴だったぜ。少しも若返った様子なかったし、太陽の光が駄目とか言うし。
 どうせコロッセオにはもう寄りつかねーからどーでもいいがな」

筋肉達磨の弱点は太陽か。心に留めておこう。

「で、どこ行くよ?」
「北上して湖に向かいたい。私のスタンド能力は……詳しいことは長くなるから言えないが、
 水さえあれば腕を治せる」
「ふーん……そいじゃあ乗りな。俺は前、お前は後ろだ」

254 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 22:10:06 ID:IZ18r8ur
ひょいと座席後部にまたがる。
大きさからして本来二人で乗るものではないが、それを取り締まる者などいやしない。


『貴様が俺を化け物と言えた口か?』


言えないな。
今度は胸張って言えるように、全てを捨て、目的のためだけに生きる完全な化け物になってやろう。


――それが『私』の、生きる意味。


  ★


先の間違いについて訂正しよう。
『音石は生まれたままの姿で立っていた』のではない、『立たされていた』のだ。
年端もいかぬ、血塗れの少年に。

「ふぅ……スッキリしたぜ、って何ィ! こいつ何モンだディアボロ!」
「静かにしてくださいよ……この子の首かっ切っちゃって良いんですか?」

服で顔を拭いたジョセフは、おどけることなく真剣に驚愕していた。
音石が突如現れた少年に口を押さえられて、ガラス片を首元に押しつけられていたからだ。
それが何を意味するのかは本能で理解しているのだろう、むーむー唸って涙を浮かべていた。

子供になる前の音石は、『子供の死体が二つある』と報告した。
なるほど確かにこれなら死体と見紛うのも無理はない。どっちなのかは知らないが。
外から来たにしてはあの格好は目立ち過ぎる。年も相まって格好の的だろう。

「何が目的だ? 何だってこんなことをする?」
「質問するのは僕です。あなた状況分かってます?」

黒光りするその瞳に思わずたじろぐ。
馬鹿な……このディアボロが、こんなクソガキに恐怖しているだと?
だが、こんなところで下手に抵抗して駒を失うのは愚策だ。黙って話を聞こうじゃあないか。

「お兄さんたちは、殺し合いに乗ってるの?」
「んなわきゃねえだろ。それとも何か? オメーにゃ俺たちがこんな小さい子イジめて楽しむような奴に見えるのか?」
「……同じく」

二人して否定。もとより肯定する理由などない。

「そう……ですか。でも信用したわけじゃあないですからね」
「あーハイハイ、分かったからその子を放してやれ」

拘束を外した瞬間、音石は俺に駆け寄ってワンワン鳴きついてきた。
頭をなでてやるが、泣き止む様子は無い。あやす方法など分かるわけもない。


255 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 22:11:41 ID:IZ18r8ur
「今度はこっちが質問させてもらうぜ。お前の名前は? いつからここにいた?」
「質問は一つずつするもんですよ。……僕の名前は川尻早人。いつからも何も、ここでちょっと寝ちゃってまして。
 ついさっき目が覚めたんですけどね。騒がしかったから」

アレッシーが来た時のことだろう。確かにいい年しておきながら騒がしい奴だった。
しかし、死体の側で寝るだなんてどういう神経をしているのかこいつは。

「他にもいろいろ聞きたいことはあるが……今まで何をしてきた? ここで何があったのかも含めて話してほしい」
「そちらが先に話してくれるのなら」
「抜け目ねえなボウズ! 将来出世すんぜきっとよぉー!」

ジョセフが茶々を入れてきても、少年は表情を崩さない。
情報交換しづらい空気だが仕方ない、話してやるか。


  ★


ジョセフが名乗った時、早人はひどくたまげていた。
何でも奴の知るジョセフは79歳、ちょっと前までボケが進行し、杖を突くほどに足腰が弱い人物だったそうだ。
確かに奴は老いぼれだったが年の割に若々しく、生活保護を必要とするような人物であるはずがない。
早人曰く、荒木の能力に関係しているのかも、とのことだった。
ジョセフは自分の未来について“Oh,my god!”とコメントしてたが、これが荒木の仕業なら奴は神を超越した何かだ。

「とにかく、冷房のスイッチ入れたのはお前なんだろ?」
「はい」
「ヤリィ! 僕チン寒くて寒くて冷凍保存されちゃいそうだったんだぜ〜! 早速案内してくれよ!」
「ジョセフ、さっきの話を忘れたのか? 俺たちは下手に動くべきではない」

どうやら早人がヴァニラ・アイスとか言う奴を倒すため、電力をあらゆる場所に送り込んだ結果冷房が発生したらしい。
しかし理由と場所が分かったからといって、むやみに動くつもりはない。

「ヘーキヘーキ! さっきペットボトルくれただろ? そこに波紋を流せば探知機になる!
 ちょっと前はできなかったが、今の波紋力なら可能だぜ!」


256 :今ここに生きる意味を ◆0ZaALZil.A :2009/07/22(水) 22:13:19 ID:IZ18r8ur
独特の音を立てて深呼吸したジョセフに呼応するかのように、ペットボトルの中の水面に波が浮かぶ。
原理はわからんが、嘘をついているということはあるまい。奴の命にもかかわることだから。

「範囲はチョイ狭いが駅の中なら十分よ!」
「うー!」

褒め称えるように音石が声を上げる。なお、しばらくして泣きやんだ音石は元々来ていた服でぐるぐる巻きにされ、ジョセフの背に縛られている。
勝手に動かれては厄介だからと、ジョセフが提案したのだ。

「ジョセフ、今駅には俺たち以外誰もいないんだな?」
「おうよ、ビビるだけ無駄だぜ」
「二人きりの話がある。そいつは背負ったままでいいから少し付き合え」

あの時の答えを聞けるのは、今くらいしかないだろう。
スタンドが出せないから今すぐにとはいかないが、ここで対応を決める。
早人にお前はそこにいろと言い、三人でトイレへと向かう。


  ★


「そして俺は誘われるまま、ホイホイとトイレについて行っちゃったのだ」
「誘うとかそんなつもりはないから安心しろ」

ジョセフのジョークを軽く受け流す。
こいつに出会って結構経つが、ここにきて更にうっとうしくなった気がする。若返ったからか。

「俺が電車で言ったことを覚えているか? この世界にお前の娘も来ていたら、もし死んでいたら。俺はお前に尋ねた」
「……」
「結局、今みたいに沈黙を押し通された。返答を期待したのだがな。もう一度聞こう、『お前はどうしていた?』」

腹は決まっていたのか熟考する素振りも見せず、俺の方を向いて淡々と話し始めた。その瞳には光があった。

「俺が今くらいの年の頃は、自分のことばっか考えて生きてた。
 だがある日、戦いの中で大切な仲間が死んじまった。シーザーっていうキザ野郎だ。
 大いに悲しんださ、敵地のど真ん中にいることも忘れて。
 だがな、シーザーの遺志を無駄にしないためにも俺は誓ったよ。
 『みんなの思いのために戦ってやるぜ』ってな。「仁」ってやつかな。
 ここでワイフや仲間が死んでから、俺は自分にばかり目を向けてた。だけど、若返ったことで思い出したんだ。
 あの時みたく悲しみは乗り越えなくちゃならねーって、思いは受け継がなきゃならねーって。
 その点はアレッシーに感謝しなくっちゃあな」
「……皮肉だな。若返らなければ出せなかった結論だ」
「かもな。だけど、それが俺の答えだし、俺の生きる意味だ」

257 :創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 22:30:42 ID:PiXPuctm
奴は奴なりの答えを見出していた。虚勢を張っているかも、と考えたがその割には出来過ぎた答えだ。


俺はもう、ジョセフを笑えない。


親しい者の死を乗り越えようとする力は、俺には持てない。
意地を貫く真っ直ぐな思いからなる力は、俺には持てない。
俺は弱い。強ければ、アレッシーはあの時点で殺せていたはずだ。
『エピタフ』で予知した未来に動揺するほどに弱いから、奴を逃したのだ。
それどころか『身内の死で弱くなっていた』ジョセフがいなければ死んでいただろう。

「つうか感性まで若返っちまったのよねぇ〜ん。もう自分のことワシとか言いたくねえよ俺。未来を知っちまった分尚更よお」
「……」
「ディアボロはさぁ、あんまキャラ変わってねーよな。昔っからそんなカンジだったわけ?」
「うー?」
「……フン」

適当にあしらい、俺はどうすればいいのだろうなと心の内で問いかける。だが反応を示してくれる我が最大の腹心、ドッピオはいない。
分かってはいたが、幾度も繰り返してきたことだから癖になってしまったのだろう。
答えは、自分で見つけるしかないということか。
ジョセフが言うところの『みんなの思いのため』といった感じの、俺が生きる意味を。

そもそも何故こんなにも固執してしまうのだろうな。
ジョセフは『感性まで若返った』と言った。今の俺は15歳かそこらといったところ、思春期真っただ中だ。
存在意義を得たいと思う時期だから、こだわってしまうのか?
まあ何だっていい。それがこの場を勝ち抜く強さにつながるのなら、確かめる価値はある。
スタンドは精神の力だからな。


  ★




誰だってみんな確かめたい。今ここに生きる意味を。

258 :◇0ZaALZil.A 氏代理投下:2009/07/22(水) 22:31:15 ID:AERgmPkG
【E-3 コロッセオ駅ホーム/1日目 午前】



【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:右手の手の甲が粉砕骨折(ほぼ全快)、頬と喉に軽傷(回復中)、
    ワムウとサンタナの死にやや動揺(戦闘に支障が出る?)、あえて人間の強さを認めた
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部〜6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る(乗る乗らないは現段階では不明)
1.プッチにはああ言われたが、脅威となる人間は始末するつもり
2.さっき出会った二人に失望。プッチ達はもっと面白い奴らだったんだがな
3.常識は捨てる必要があると認識
4.プッチはなかなか面白い。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい
5.太陽に弱いという意味で無理に出歩く必要はない。
6.自分のスタンドを探す
[備考]
※プッチとはお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました
 彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※波紋使いやスタンド使いに対して、自分やカーズにとって脅威となるなら容赦するつもりはありません。
 ただし、ワムウやサンタナの仇討ちのために戦うつもりはありません
※ダービー=F・Fと認識しました。プッチらが来ればその事実を伝えますがエシディシ本人は意図的に広めようとは思っていません。
※『セト神』にわずかに触れましたが、これといった変化はないようです。



※コロッセオ地下は駅ホーム以外は遺跡(7、8巻参照)のような構造になっています。

259 :創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 22:32:29 ID:PiXPuctm
【E-3北部 / 一日目 午前】


【知性と暴力】


【F・F】
[スタンド]:『フー・ファイターズ』
[時間軸]:DアンG抹殺後
[状態]:右手首喪失、顎と舌に負傷、バイクに乗っている
[装備]:ダービーの肉体
[道具]:加湿器、メローネのマスク、支給品一式(水はすべて消費)、壊れた懐中電灯
[思考]:基本行動方針: 空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる
1.ジョリーンの為に皆殺し(殺すことに対する躊躇いは無くした?)
2.水分補給のため、北上して湖に向かう
3.アレッシーを利用する。用がすんだらバイクを奪う
4.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断
5.死んでいった仲間たちへの深い悲しみ(忘れようとしています)
[備考]
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます
※承太郎はDISCを抜き取られ廃人化した状態だと思いこんでいます
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いてません
※隕石を落としたのはウエストウッドじゃあない別のスタンド使いだと思っています。
※ジョルノに対してはある程度の信頼を寄せるようになりました。出会ったら……?
※黴に感染しませんでした
※ダービーの体を乗っ取ったので外見は完全にダニエル・J・ダービーです
※彼の記憶も見ることが出来たので三部勢(少なくとも承太郎一派、九栄神、DIO、ヴァニラ、ケニーG)の情報は把握しました。
 徐倫を優勝させるために最大限活用します。
※放送でダービーの名が呼ばれるかF・Fの名が呼ばれるかは不明です。
※エートロの皮がE-2とD-2の境目付近に放置されています
※エシディシは血液の温度を上昇させることができ、太陽光に弱いと認識しました。
※思い出を捨てるため、初期の話し方に戻りつつあります(一人称が『あたし』から『私』、など)

260 :◇0ZaALZil.A 氏代理投下:2009/07/22(水) 22:32:54 ID:AERgmPkG
【アレッシー】
[スタンド]:『セト神』
[時間軸]:はるかかなたにフッ飛ばされて再起不能した後
[状態]:顔面に殴られた痕(ミスタからとエリナからの分)、背中に刺された傷(浅い)、地面を転がり蹴られたのでドロドロ、
   片腕に少女エリナの歯型、足のつま先に痛み、顔中鼻血の跡、貧血気味、バイクを運転中
[装備]:メローネのバイク
[道具]:カップラーメン(アレッシーは毒入りだと勘違いしています)、携帯電話、支給品一式。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームに乗るつもりは今のところないが、明らかに自分よりも弱い奴がいたら虐めてスカッとしたい              
1.ダービーの傷を癒すため、北上して湖に向かう
2.ダービーを抱えた女と合流……できたらいいなぁ、ダービーに会えたからいいか
3.ダービーの信頼を得て保護を受ける。鉄塔近くの奴らとヘリとコロッセオは無視だ!
4.その後、携帯電話を使わせる。
5.でも本当はいじめまくりたくて仕方が無い。
6.上手く不意を突ける機会があればミスタ、エリナ、ジョセフ、ディアボロ、音石に報復する
[備考]
※セト神の持続力が弱体化しているようです。アレッシーが気絶しなくても、アレッシーに何らかの異常があれば子供化は解除されるようです。
※その制限に薄々気がつきはじめています、そのためやや警戒気味。ちょっとでもヤバイと感じたら逃走するようです
※『名に棲む鬼』における鉄塔の戦いの一部を目撃しました。会話は聞き取れていません。
 ダービーが投下された瞬間を見逃し、最初に目にしたのはF・Fに抱えられた治療後の姿だったため彼がカビに感染していたことを知りません。
 また上空の戦いは見ておらず、プッチ神父とサーレーの姿もよく見えていませんでした。
※ジョルノのスタンド能力を『触れたものを一定時間固定する』能力、F・Fのスタンド能力を『治療が可能な』能力、
 ディアボロのスタンド能力を『瞬間移動』する能力と認識しました。
 エシディシに関してはスタンド能力がどういったものであるかイマイチ確信を持てていませんが、
 『影を一瞬触れさせたぐらいじゃ若返らない』『太陽光に弱い』と認識しました。
※ンドゥール、オインゴ、マライア、ダニエル・J・ダービー、ヴァニラ・アイスとはお互い面識がありますが、スタンド能力は把握していません。




【H-3サンタ・ルチア駅トイレ/1日目 午前】


【チキン三羽〜たまごクラブ、ひよこクラブ、こっこクラブ〜】

【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:外見が15歳(ドッピオ似)。目が死んでる。強い恐怖 。セト神の効果によりスタンドが使えなくなってます
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水の半分はジョセフに渡した)
[思考・状況]
基本行動方針:とにかく生き残り平穏な生活を送る。
0. 冷房を消しに行くが、サンタルチア駅で安全に籠城するのは依然変わりなくッ
1.ジョルノには絶対殺されたくない。普通に死ねるならそれでもいいや。苦しまないように殺して欲しい。
2.自分の生きる意味を知りたい。
3.自分の顔と過去の二つを知っている人物は始末する。ボロは絶対に出さない。
4.とりあえずはジョセフに協力。でも今後もジョセフのへたれ具合によって対応を変える。捨て駒も視野に。
5.チョコラータ、電車内の謎の攻撃、謎の男(カーズ)、早人怖いよ、キモイよ……
6.ジョルノや暗殺チーム、チョコラータとジョセフ達を上手く敵対させたい。ぼろが出そうだから怖いけど……
7. 駅にあるデイパックを回収したい


[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りましたが、ジョセフに話すつもりはありません。それを取引に協力させたようです。
※セト神のせいで『キング・クリムゾン』と『エピタフ』が使えなくなっています
※自分の生きる意味を知ることが、殺し合いを勝ち抜く力になると思っています。しかし積極的に生きようとしているわけではありません。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました


261 :創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 22:34:01 ID:PiXPuctm
【ジョセフ・ジョースター】
[時間軸]:DIO討伐後、日本に帰る飛行機の中。
[状態]:外見が2部終了時。胸に浅い傷(止血済)、目と鼻に炎症(失明はしない程度、水で洗って軽減された)、服ごと音石を背負ってる
    悲しみは乗り越えた?
[装備]:ペットボトル(波紋探知機)(水の容量残り1/3)
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:必ず生きて脱出する。打倒アラキ!  深い悲しみは乗り越えた?
0.とりあえず冷房を消しに行くぜ!
1.怪我がなおるまで駅に籠城する
2.承太郎、花京院辺りと合流して自分の推測について話し合いたい。
3.ジョージ、ジョナサン、エリナ、スピードワゴン、徐倫は見つけ次第保護する。
4.殺し合いに乗っていない参加者達も護る。或いは協力。機械に詳しい人間がいたら首輪の内部構造を依頼。
5.ディオや柱の男達は見逃せない。偽者の東方仗助を警戒?(攻撃したのは彼?ディアボロ君に任せるか)
6.ディアボロに若干の信頼。でも自殺をしそうで怖い。



[備考]
※参加者達は時代を超えて集められたのでは?と推測しています(ディアボロにはまだ話していません)
※首輪を『隠者の紫』で調べましたが機械には疎く詳しい事がわかりません。分かった事といえば隙間がまったく無い事くらい。
※1で挙げた面子はジョセフが聡明と判断した面子なだけで別にポルナレフが信用できないというわけではありません。
※波紋の呼吸を絶えず行っています。その影響である程度の運動なら息ひとつ乱れません。
※ディ・ス・コの薬品の負傷はいずれ治るようです。洗浄したことで和らぎましたが、全快するのがいつごろかはわかりません。
※セト神のせいで『隠者の紫』が使えなくなっていますが、波紋はむしろパワーアップしています。
※波紋探知機は全盛期の波紋力でなければ作れません。範囲は狭いですが駅内部なら全域を探知できます。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました


【音石明】
[時間軸]:チリ・ペッパーが海に落ちた直後
[スタンド]:レッド・ホット・チリペッパー(黄色です)
[状態]:幼児化(3歳程度)、体中に打撲の跡(中)、ジョセフに服ごと背負われてる
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品 ×1
[思考・状況]基本行動方針:優勝狙い
0.うー?
↑現在幼児化しているため、このくらいのことしか考えられません
幼児化が解除された場合の思考は下になります

1.とりあえずスタンドが黄色になって良かった……!
2.とりあえず仲間(ディアボロ)ができたのは良かった。でも状況変わってない……。
3.もしできたら様子を見てディアボロ達をを殺……せるのかな……この俺に……。
4.サンタナ怖いよサンタナ
5.電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー!
[備考]
※バトルロワイアルの会場には電気は通っているようです。
 しかし様々な時代の土地が無理やり合体しているために、電線がつながっていなかったりと不思議な状態になっているようです。
 スタンドが電線に潜ったら、どうなるかわかりません。(音石は電線から放電された電気を吸収しただけです)
※ミセス・ロビンスンをスタンド使いだと思っています
※セト神のせいで『レッド・ホット・チリペッパー』が使えなくなってます


262 :◇0ZaALZil.A 氏代理投下:2009/07/22(水) 22:34:22 ID:AERgmPkG
【H-3サンタ・ルチア駅ホーム/1日目 午前】

【川尻早人】
[時間軸]:吉良吉影撃破後
[状態]:精神疲労(大)、身体疲労、腹部と背中にダメージ大、漆黒の意思、殺意の炎、血まみれ(乾いた)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 ×2、ジャイロの鉄球、鳩のレターセット、メサイアのDISC
    ヴァニラの不明支給品二つ(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を倒したい。吉良吉影を殺す。殺し合いにはのらないけど、乗ってる参加者は仕方ない。
1.吉良吉影を殺す。邪魔をするような奴がいたらそいつも・・・
2.なんとかして鳩を取り戻し、承太郎に手紙を送る。
3.荒木の能力を解明したい
4.あのお兄さんが……ジョセフ・ジョースター?
4.死んだ人達にはどう接すればいいんだろうか?
5.他の知り合いにも会いたい…。
6.エンポリオの遺体をアメリカに埋めてあげたい
[備考]
※吉良吉影を最大限警戒、またエンポリオの情報によりディオ、プッチ神父も警戒しています。
※ゾンビ馬によって右足はくっついていますが、他人の足なので一日たてば取れてしまう可能性があります。
 歩いたり、走ったりすることはできるようです。
※ある程度情報交換しましたが、三人を完全にに信用していないので吉良吉影について話していません。
 ジョセフも本人かどうか半信半疑なので仗助について話していません。


※【H-3サンタ・ルチア駅】にてエンポリオの死体が花の中に倒れています。デイパックも放置されています
※サンタルチア駅は引き続き停電しています、あと寒い。


263 :◇0ZaALZil.A 氏代理投下:2009/07/22(水) 22:43:05 ID:AERgmPkG
言い忘れてましたが投下完了です
携帯と二刀流なんでIDが違うのは見逃してください
話の本筋とは関係ありませんがさるさんにかかりにくくなり、効率も上がるのでオススメです

感想はもうちょっと待っててね

264 :創る名無しに見る名無し:2009/07/22(水) 23:28:44 ID:AERgmPkG
投下乙

FFが色々な意味でああんまりだあああああああああああ
徐倫と出会って得た“思い出”が結果的に彼女を縛って捨てることを決断させた
要するに“生きる事”を捨てちゃったわけなんだよね……FFが見出した生きる意味から考えると
化け物になった彼女がすくわれるといいなぁ……

そして柱の男は相変わらずチートすぎるwww
一部の天敵連中除けばどんな能力者たちと戦ってもオールマイティに対処できるとかマジでチート
これからコロッセオ周辺にも色々ありそうだから主として頑張ってもらいたい所

アレッシー(笑)は本当に土下座が似合うw脳内再生余裕でした

駅組みに関して言えば早人くん本当に黒い
ジョセフのギャグにノーコメントっていうのは相当黒い、ニュー○ーズもビックリの黒さだ
ディアボロは一体どこへ向かうんだろうな?
ドッピオが大好きなことはとりあえずよーく分かったがw


改めて投下乙です!
今後の展開に期待できる、そんな作品でした

265 : ◆33DEIZ1cds :2009/07/23(木) 21:05:02 ID:G4gA1AAm
約5分後にフェルディナンド、花京院典明、グェス、パンナコッタ・フーゴ投下します。


266 :ツィゴイネルワイゼン ◆33DEIZ1cds :2009/07/23(木) 21:11:12 ID:G4gA1AAm
出来たばかりの銃創が痛む。
それに呼応するかの如く、花京院の気持ちもどんよりと沈んでいく。
止血をしようと見回した視線も、彷徨い果てて行き場をなくし、一点を見つめたまま動かなくなってしまった。


一体僕たちは何なんだ。
僕たちがお互いに傷つけあって、奪い合う理由は何なんだ?

死にたくない。誰だってそうさ。
でも、だからと言って他人を踏み台にして得る人生にどれ程の意味があるんだ…

その後に食べる料理は美味しいのか?映画を見て感動できるのか?友人と楽しくはしゃげるか?…絶対に無理だ。
濁った泥水の中にいるような気分で一生を過ごさなくてはならないだろう…

だが、現状はどうだ。
死と言う事実の前には僕の信じた正義などは無意味なのか?
死ぬことに対する恐怖の前には、どんな高尚な思想も便所のネズミのクソ程度のものなのか…

では僕はDIO打倒を目指しつつも命を懸けるつもりはなかったとでも言うのか?
いや、断じてそんなことはない!ホリィさんのような良い人を死なせたくないし、旅に出た仲間は、初めてできた友達だったんだ。

彼等はきっと今の僕を見たら失望するのではないだろうか?
『おい、花京院、弱気になって眠てぇこと言ってんじゃねえ』なんて言われそうだな…

…そうだ。今でもはっきりと言えることは、彼らのためなら命を懸けられる。
出会うまでは存在すら知らなかったような他人でも、しっかりと向き合えば精神を通じさせることができる。

僕だって最初は承太郎を殺そうとしたんだ。
でも彼は逆に僕をDIOの呪縛から解き放ってくれた。
無視してもよかったのに。そのまま殺してしまうことだってできたのに。

この襲撃者の少年を救わなくては、承太郎やみんなに対する侮辱だ。眼の前で泣いている彼は、かつての僕なんだ。
逃げずに向き合えば、絶対に分かり合える。そう思わないで、どうしてこの先やっていけるというのか…

…これは、同じ轍を踏んだ僕にしかできないんだ。

心を決めようじゃないか。今は目の前の彼を見極めなくては。

ちゃんとした止血なんか後回しだ。まずはなんと話し掛けるべきだろう……

267 :ツィゴイネルワイゼン ◆33DEIZ1cds :2009/07/23(木) 21:13:43 ID:G4gA1AAm



もう何度考えただろう。『死にたくない』、『優勝する』。

政府公邸へと向かいながらも、わたしの精神は果てしなく暗く、倦み疲れている。

わたしの目的はなんだッ?優勝することだ!…何度も繰り返した自問自答だ。

明白過ぎるこの目的に、なにをこんなにも戸惑うことがある…ッ。
わたしは必ず優勝する…

…だが元の場所に、アメリカに帰ったあと、そのあとはどうする…?
こんな気持ちを抱えたまま一生を過ごさなくてはならないのか?
この心の歪みと共にあと何十年も生きるのか?
自分自身を弱いと蔑みながら?

そんなのは生きながらにして地獄にいるのと同じではないか…
死ぬのは嫌だが、ゲームの後手に入れたものが死よりも悲惨な生だったら、ここに来てからの全ての行動に一体何の意味があるんだ…

とにかく、今の鬱屈とした気分をどうしたらいい…アヴドゥル、ロビンスン、リンゴォ、あのエメラルド色の瞳の女…
あいつらの捉えどころのない”激しさ”に、わたしは恐怖しているんだ。
劣情を感じている。認めよう。

生き残るためには恩人の死体を使い、殺人を続けなければならぬ、が、心がもはやそれには従わぬ。

この気分から解放されるには何をすべきなんだ…覚悟もないわたしにそんなことができるのか…。

とりとめもなく考えながら、政府公邸に向かわせた翼竜にも意識を向ける。

邸内で、先ほど泣き崩れた少年はどうやら完全に戦意を喪失しているらしい。
翼竜の聴覚より、二人の会話を拾って聞く。
囁くようにゆっくりと、花京院が泣いている襲撃者の少年に語りかけているのが聞こえる。


『…なあ、君、話せるかい?僕の声が聞こえる?』

『……うっ、……聞こえて、ますよッ…!でも、もういい、僕は……もう何が何だかわからないッ…。』

『…聞いてください。大切なことなんだ。僕は君自身が信じるものや、君が大切に思っているものを否定するつもりはない。
ただ話を聞いて欲しいんだ。勝負を決めるのは犠牲にするものが何であるかだ、と言ったね?
確かにあらゆる勝利には犠牲が伴う。でもそれは他人の命や、君自身の心じゃないといけないのか?…その答えを見つけたくはないか?』

『…何…だって…?き、君は今、なんて、言ったん、だ…』

『話をしたいだけです。さあ、立って。…僕ももううんざりなんだ。ここに連れて来られてから、間断なく心が擦り減っていくのを感じる。
後悔も、悲しみも、不信も、不安も…もうこれっきりにしたい。』


わたしは、ひっそりとした室内でしゃがみこんだ花京院が襲撃者の少年の腕を引き、ゆっくりと二人で立ち上がるのを翼竜より仲介した視覚から見た。


268 :ツィゴイネルワイゼン ◆33DEIZ1cds :2009/07/23(木) 21:16:16 ID:G4gA1AAm
”僕は君自身が信じるものや、君が大切に思っているものを否定するつもりはない。”

この彼の言葉に、わたしの心は揺れた。
自分の気持ちが弱っているのをはっきりと感じる。
意志が萎えそうになっている。

肉体的にも精神的にも疲弊しているであろう二人の少年も、わたしと似たような心情を抱えている…?

花京院典明。
彼なら、今まで賛同者などいないに等しかったわたしの大地に対する尊敬の念ですら、話せば否定せずに受け入れてくれる気がした。アヴドゥル君のように。
彼の死に際に握った手のひらの感覚が、滲み出るように蘇り、わたしの心はまた激しく揺さぶられた。
さらに、先ほど見た言語に絶する彼の遺体の状態が続いて想起され、不覚にも泣きそうになる。

…やはりアヴドゥル君の仲間の話をどうしても聞きたい…わたしだって、もう考えるのにもうんざりだ。
だが自分の安全が最優先事項であることは以前変わりない。彼らならうまく接触すれば、攻撃されることも無いだろう…
全てが悪い方向へ向かっている気がする……わたしは救われたい……

…さて、わたしは彼らにどう接触するべきか。アブドゥル君の中から出なくてはな……


政府公邸は近い。




「…そうですか。わかりました。荒木に日記を取り返されたか…仕方ない。
重要な手がかりを逃しましたが、内容が白紙だったし、有効活用の方法が現状では存在しませんでしたから…これでお互いの話は大方済みましたね。」

「ああ…、ぼくは洗いざらいぶちまけた。あんな大泣き姿を見られた君に、かっこつけて取り繕うなんて馬鹿馬鹿しいからな。
今、わりといい気分ですよ…君は?ノリアキ。」

「ええ、僕も今落ち着いた気分でいますよ、フーゴ。君はさっきの錯乱状態から、よくここまで落ち着いてくれた。すごく話しやすかった。傷も手当てしてもらったし。」

「僕が付けてしまった傷だ。当然でしょう…ところで…」


269 :ツィゴイネルワイゼン ◆33DEIZ1cds :2009/07/23(木) 21:18:08 ID:G4gA1AAm

場所は政府公邸内。

小一時間前、フーゴを手近な場所に腰かけさせたあと、花京院は彼が落ち着くまで根気よく待ち続け、タイミングを見計らって一つずつ質問をしていった。
フーゴは花京院の落ち着いた優しげな様子に、徐々に本来の自分を取り戻し出した。

そして、目の前の同い年くらいであろう少年に、自分の全てを語り尽くすのを止められなかった。
生い立ちからある日自分が起こした傷害事件、その後所属していた組織のこと、恩のあるチームリーダーの突然の反逆に臆病風に吹かれて付いていけず、ひとりぼっちになったこと。
ここに来てからも一人で何の行動も起こせずにいるときに、主催者が突然現れ、『お願い』を強要してきたこと。それに従ってしまった自分を情けないと感じていること。

それに対して花京院は若干の質問を挟みつつ、最後まで聞いてくれた。
しかもフーゴを軽蔑するような素振りなど微塵も見せず、こう言ってくれたのだ。

「さあ、君が何も包み隠さず正直に全て話してくれたんだから、僕もその誠意に答えなくては。…ただその前に、この怪我を何とかしたいんだが、手伝ってもらえませんか?」

怪我の応急処置をした後、花京院が話す番になり、フーゴはDIO打倒の経緯から、花京院がここに来てからの一連の出来事を知ることができた。
話の序盤、承太郎の名前が出た瞬間に彼は顔を強張らせたが、花京院の話が一通り終わるまで取り敢えずは口を挟まず聞くことにした。

吉廣以外の人間から聞かされた承太郎の人物像は、正に真逆、花京院によれば彼は無口でぶっきらぼうだが、とても情に厚く、母親思いの男だった。

先の会話を交わした後、あまりに食い違う意見に混乱したフーゴは、自分の支給品である不思議な写真の中の老人、吉廣から聞かされた話を全て、花京院に話した。
それを聞き花京院はびっくりしたような表情をしたものの、承太郎は優等生では決してないが、犯罪者ではないよ。食い逃げをしたっていうのは聞いたけどね。と、まるで地球は丸いよ、とでもいうような調子で答えた。
共に旅をし、承太郎と親しく関わった花京院からすれば眉唾な吉廣の話だったが、フーゴからすればどちらの言い分が本当なのか全くわからない。
この一連のやり取りは彼の混乱を深めるだけだった。
写真を引っ張り出して問い正すも、吉廣は頑として譲らない。

(「承太郎は極悪だと言っとるだろうがッ!仲間だか何だか知らんが、小僧がすこーしばかり付き合ったところで、奴の何が分かるというんじゃッ!」)と、自分の正しさを主張する。

フーゴの混乱をよそに、花京院は不思議な老人のあまりにも憎々しげな様子に驚いたと同時に、頑固な老人に友を侮辱された気分になり少し辟易していた。

(吉良吉影という人物が本当はどういう人物か未だよくわからないが、吉廣さんがだいぶ自分たちに都合のいいよう事実を曲解して受け止めているのでは?
吉廣さんが悪意から嘘の情報をフーゴにもたらしたのか、何かの事情で逆恨みのような状態や、勘違いから先の危険人物と称した人々の名前を挙げたのか、それを確かめる術は今のところはない…
まさか承太郎や彼の知り合いがそんなことをするなんて…ありえない、よな?)

不明確な疑点を確実なものにしたいと、花京院が吉廣の情報についてさらに言及しかけた。が、その時突然公邸の外から男の声が響いた。

「…館の中にいる少年達!特に花京院君に告ぐ!わたしはフェルディナンド。君の仲間のモハメド・アヴドゥル君の死に際に居合わせた者だ。
彼からメッセージを預かっている。わたしに攻撃の意思はない…姿を見せてくれないか?」

刹那、二人は咄嗟に声がした方向から一番近い窓の下の壁に向かって走った。


270 :ツィゴイネルワイゼン ◆33DEIZ1cds :2009/07/23(木) 21:19:51 ID:G4gA1AAm
「そして、できることなら私の話も聞いてほしい。君には許しがたい内容だと予め断っておくがね…君がこれを聞いて何を思うのか…判断してくれ。
…だが、わたしはもうほんとうに…疲れた。何も隠す気力が無いんだ…」

依然男の呼びかけが続く中、壁に張り付くように身を寄せた後、注意深く話を聞きつつ緊迫したお互いの表情を見やる。

「どうして館の中に人がいるとわかった!?しかも僕の名前を具体的に挙げた…スタンド能力なのは間違いないとして、アヴドゥルさんの知り合いか…?」

「ノリアキ、ここに鏡があります。部屋に置いてありました。これで外の様子を探ってから判断すべきでは?」

フーゴは極力露出を控えるように気を配りつつ、発現させたパープル・ヘイズを使って鏡を掲げ、二人で外の様子をうかがった。
そこには一人の男性と、同じくらいの大きさの見たこともない動物が佇んでいた。

「…あれは、恐竜!?トカゲのような…。あんなスタンドがあるとは…本当に想像を絶するな…しかしあのスタンドでどうやって邸内の情報を知ったんだ…?」

「まだ未知の能力があるんでしょう…ともあれ、銃やボウガンのような飛び道具はなさそうだ…彼の様子を素直に受け取るなら、ついさっきの僕らと同じくもう何もかもうんざり、と言った様子ですね。
彼の呼び掛けに応じるかい?ノリアキ。亡くなった君の仲間からメッセージがあると言っていたが…」

「アヴドゥルさんから僕の名前を聞いたのか…?という事は、少なくともアヴドゥルさんが信用した人物と考えて差し支えなさそうですね。…僕が先に顔を出します。
問題ないようなら、フーゴは後から続いてください。」

花京院はゆっくりと警戒しつつ、窓から外を覗いた。
訪問者である男は、疲れた様子はそのままに、唇の端だけを釣り上げ悲しげに笑った。

「…顔を見せてくれてありがとう。早速だが…『スケアリーモンスターズ』。生物を恐竜化する能力。それがわたしのスタンドだ。私の隣にいるのがその生物だ、見えるだろう?」

(…生物を恐竜化出来るスタンド!?それにしてもあの男性はどういうつもりなんだ?
彼の最後のメッセージを伝えたいなどと言ってはいるが、他の参加者を襲っただなんて…!なぜあえてそんなことを僕らに言うんだ…?!
しかも生物を恐竜化できるというのなら、今連れている恐竜は元は何の生物なんだ!?)

言いようの無い感情が腹の底からせりあがってくる。
彼の腹の中では、疑惑と恐れ、希望に縋りたい気持などがごちゃごちゃに掻き混ぜられていた。

だが、彼に従来備わっている徳性、冷静沈着であろうとする部分、自制心がわずかに働いた。
フーゴとの会話、その間に流れた同族感から来る何とも言えない気持ちが、花京院を現実へと繋げ置く。

フーゴと共有した気持ちは、慣れ合いでも、傷の舐め合いでもない。
自分がここにいると実感させてくれる物…『他者との共感』。
隣人を信じたい気持ち…”この人間を理解できるかもしれない”という希望。

この確信があったから、この一粒の宝を守りたいと思えたから、彼の心は壊れなかった。

(待て、待つんだ、花京院典明ッ!ここで冷静にならなくてどうする…!
あの男性の能力すら未知数の今、戦闘沙汰なんて起こせば、絶対に誰も無事では済まない…それは即ち何を示す?荒木に対する我々の全面敗北ではないか?
今、初対面でもフーゴを理解できるような気がしたんだッ。この尊い気持ちを失いたくない!
この局面で、耐えなくちゃならないのは僕だッ!この僕の今後の行動が全てを正しい方向へ導く可能性を持つッ!全てがだめになってしまう前に、手遅れになる前に…!)

フーゴもすでに顔を出して、困惑した表情のまま外を見据えていた。
花京院は唇を噛みしめることで自身を戒め、冷静に窓の外に向かって声を投げた。

「…あなたの話を伺います。あなたを敵と断定しているわけではありませんが、だまし討ちは通用しません。
あなたの想像の及ばないような方法で、こちらには対応する用意があります。」


271 :ツィゴイネルワイゼン ◆33DEIZ1cds :2009/07/23(木) 21:21:47 ID:G4gA1AAm
…あなたの話を伺います。あなたを敵と断定しているわけではありませんが、だまし討ちは通用しません。
あなたの想像の及ばないような方法で、こちらには対応する用意があります。」

大げさに威嚇し、無駄な争いが起きないよう気を配る。

翼竜でほぼ全ての情報を知っていたフェルディナンドは、そんな用意など無いとわかっていながらも特に何も言わず、言われた通りに2人の居る部屋まで足を運んだ。
そして彼もフーゴと同じようにここにきてからの一部始終を話した。

アヴドゥルのこと、2人で話し合った考察の内容、氷のスタンド使いの襲撃、アブドゥルの最後のメッセージ、自分のこれまでの方針、
配下にしたロビンスンとリンゴォの決闘を理解できずにただ眺めていたこと、眼を付けた女性を襲い、激しい戦闘の果てにひどい捨て台詞を残して去ったこと。
そして今、覚悟も無く弱い自分の精神は死んだような状態で、どうすれば救われるのか知りたいと思っていること。

…だが、彼はいかなる時も隠し持つ札の用意を怠らない。
彼の持つカードは2つ。

・人間及び人間の死体を恐竜化出来ることを黙っておく。

・連れている恐竜(元アブドゥル)は、”支給品だった動物”を恐竜化している、と嘘をついておく。

フェルディナンドは誰にも心を許さない。
荒木を信用するつもりも、目の前の2人を信用するつもりも、彼には毛頭無い。
必要以上に弱々しい素振りも、少々自分に不利な情報をもらすのも、正直さをアピールするためだ。
それで疑惑を持たれるのは承知の上…これからの行動で仮初めの誠実さを示せば、過去を反省している人間として初めからなんの疑いのない人間よりも、より強固に信じてもらえる。
どんなに精神が消耗しようと、彼の思考は常に彼自身の利益を最優先に進行していく。

そうとは知らない花京院もフーゴも、2人それぞれ質問を挟みつつ、静かに話を聞き終えた。
フェルディナンドが語り終え、一瞬の沈黙が部屋に訪れた。
それをすぐさま破ったのは、花京院の言葉だった。

「…もうこんな悲しみ、苦しみ、怒りの連鎖は止めなくちゃならない。それを僕らでやるんです。アヴドゥルさんの最後の言葉は、僕に勇気を与えてくれる。彼の為にも…
今、弱いのなら成長すればいいんだ。覚悟というものは、行動の後から付いてくるものだと僕は考えます。」

フーゴとフェルディナンドは黙って話を聞いている。その表情から彼らの気持ちを読み取ることは難しい。
花京院は構わずに続ける。その様子はまるで、この言葉を言う事で自分自身が安心を得ようとしているかの如くだ。

「吐き気を催す邪悪は、確かに強大な力を持っているかもしれない。でも、荒木の…悪の行動や意志が未来へ実を結んで行くことなんて絶対に無いッ!
ニュートンはガリレオから学びアインシュタインに受け渡した。ダンテはウェルギリウスから学びボッカチオに受け渡した。
でも暴君カリギュラにも、切り裂きジャックにも、アル・カポネにも、ヒトラーにも、後継者などいなかった。
彼らのほとんどは半ば発狂して生涯を終えている。僕らはこいつらの側に落ちかけた人間です。
でも間違いに気付けたのなら、正していける。歴史が常に正しいものを選択してきたのなら、勝つのは我々です。それを証明しましょう。」

272 :ツィゴイネルワイゼン ◆33DEIZ1cds :2009/07/23(木) 21:22:34 ID:G4gA1AAm
語り終えた花京院は気丈な話しぶりとは裏腹に、2人に対する疑心を抑えられなかった。まるで水の上の油、一点の漂流物のように。
(ああ、僕のこんな歯の浮くような台詞、これは確かに本心なんだ。ただこれを彼らが信じてくれるかが分からない。
まだ、僕自身彼らを信じていないのか…僕は一体どうしたい?もう自分の心の限界が分からない……)

その言葉を聞きフェルディナンドは眉根を寄せつつも、不安に揺れる瞳を隠そうともせずに素直な様子で言葉を紡いだ。

「いくつか聞いたことの無い名称があるが…君の言うことは分かる…分かるが、わたしはアヴドゥル君に対して罪の意識が消えない。
恩人の彼に対する私の様々な思いの中に、確かにあるんだ。決して払拭できない罪悪感が。
そして荒木と言う人物も恐ろしい…いい大人が、と笑ってくれて構わないんだよ。…こんなわたしに、立ち向かえるのか…そんな資格があるのだろうか…」

花京院はふっと笑った。それは馬鹿にしたような笑いというよりは、自嘲に近い寂しげな笑いだった。

「あなた、真面目すぎるんですよ。…あなただけじゃありません、僕も、フーゴも…。こんな狂ったゲームです。こっちもちょっとばかりイカれた行動をとって、荒木の度肝を抜いてやりましょうよ。
荒木も我々参加者も、何をしでかすかわからないのはお互い様…まずは仲間を集めましょう。みんなで成長できるように、過去に打ち勝てるように。
ただ、他の参加者を襲ったのは誉められたことではありません。まだ間に合う。命がある限り、償っていけるんです。我々は誰一人手遅れなんかではありません。」

このセリフを聞いたフェルディナンドはいくつも年下の少年のこの発言を、生意気だとは思わなかった。
ただ、花京院の本心だとも思えなかった。

(さっきからまるで自分に言い聞かせているような調子じゃあないか。この少年にはまだ何か不安定な影が見える…我々二人にどう接するか迷っているな。
つまり心底安心はしていない…先に起こった出来事を鑑みれば当然か?まあ、その隙を突かれないように気を付けるんだな…)

「…ありがとう。礼を言うよ。ミセス・ロビンスンと同じになるのはごめんだが。
君の言うような”狂った”方向へあえて身を転じてみるのも一興…まだ自信はないが、ね」

「今はそれで十分です。焦ることが何よりも危険なのだから。
さあ、そろそろ彼女を…グェスさんを呼びに行かなくては。僕を、盾にした時…彼女のあのリアクションは、自分の行動を悔いていると思うんです。
決して自分が何をしたのかわからないような人ではない。彼女についても、今はそれだけで十分です。話し合えば、これから信頼関係を築いていけます。悪い人ではないんだから。」

3人はそっと立ち上がり、揃ってグェスが駆け込んだベッドルームへと移動する。
目指す部屋の中は静まり返っていた。


273 :創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 22:20:45 ID:i1OBMmx2
「グェスさん…?」

まず、花京院が少し覗き込みつつ声をかける。が、…返事がない。

拗ねているのか?…まさか、何らかの襲撃を受けたのでは、と案じ、はじかれるように各々のスタンドを発現させつつ室内へと転がり込む。
しかし、彼らの危惧をよそに室内は静寂で彼らを迎えた。

目的の人物が不在なことを訝りつつ、眼を凝らせばシーツがとぐろを巻くベッド上に、四つ折りの紙が置かれてあった。

支給品の紙か…?いや、違う。文字が透けて見えている。手紙だ。
花京院がベッドに近づき、ゆっくりとその紙を開く。かさかさという紙のこすれ合う音が、静かな室内の緊張感を吊り上げる。

手紙の内容は、とても悲痛なものだった。


274 :◇33DEIZ1cds氏代理投下:2009/07/23(木) 22:21:33 ID:oTJRCgld
【花京院へ

あたしはあんたに謝らない。

謝るっていうのは、許される余地のある人間がすることだ。あたしにはそんなの無い。だから謝れない。
さっきのあんたの眼を見てわかった。あたしは腐れゲス野郎だってな。

どうしてあんなことをしたのか。あたしは死ぬのが怖かったんだ。ここに来てからずっと、そればっかり考えてた。
そして全部、あたしが悪いんだ。今になってやっと認めるよ。
善にも悪にもなりきれないあたしは、ゲームどころか、人生の舞台にすら立っていない、ただの間抜けだったんだ。

鈍感で、怠惰で、卑劣で、無意味…ほんとうに、そういうものに堕ちてた。
あたしはいったい何が怖かったの?死ぬのが嫌、って一体なに?
同じことなんども考えすぎて、あたしがバカだからかな、わかんなくなっちまった。

死ぬときに痛いのが嫌なのか、死んだらやりたいことができなくなるから嫌なのか、死ぬことそのものが嫌なのか…
たぶん、どれもちがう。
今あたしが死んだら、あたしがいたことなんてみんな忘れちまう。
きっとそれが怖かったんだと思う。

あたしはここにいたのに…誰も覚えていてくれる人がいない。
誰の心の中にもいない。先に託せるものも何もないあたしだから…

あたしは色々なことを、うまくいかせようとして全部失敗してきた。
あんたに言った話、あれも嘘だよ。はめられて服役したって話…服役してたのはほんとだぜ。
でもはめられてじゃない。れっきとした自分の罪だ。
あんたに嫌われたくなかったんだ。初めて友達ができるかもって思ったけど…服役囚なんてどん引きだろ?だから嘘をついたよ。

自分かわいさにあたしが悪いって認めたくなくて、なにかをすればするほど、大事なものや大切にしたいと思ったものが、手に入れたそばから消えていく。
あたしの人生はそういう人生だった。
結局今回もそのパターンさ。

もうあんたとはいられない。
今ここからあたしのスタンドで盗み聴いたあんたらの会話で、さっきの穴あき服の拳銃野郎の話も聞こえた。どうかうまくやってくれ。
怪我の手当て、ゆっくりやってもらいなよ。あたしが言うなって感じだけどな。

あたしは出ていくよ。
あんたらとは離れて、脱出を目指す。
もし、このくそゲームであたしが死んじまう前にまた会えたら、あんたに決めてほしい。
その時のあたしが、あんたの友達に相応しい人間かどうかを。もう一度友達になってくれるかを。


さよなら。       


決意を込めて   グェス 】






275 :創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 22:23:10 ID:i1OBMmx2
見知らぬ土地を一人の女が不安げに歩きながら、考えている。
どうしようもない現実を受け入れ、孤独を抱えながら先へ突き進もうとする彼女ははたしてどこに行きつくのだろう?


花京院達、手紙、読んでくれたかなあ…スルーされてたらお笑いだな。
しかし、やっぱり一人は怖いな…まだ日の出てる時間だからいいけど。
あんなことをやっちまった以上、あそこにはいられねえ。気まず過ぎんだろ…

はあ、これからどうするか……ま、ジョリーンとこ行くかな。他に知ってるやつもいないし。
あいつもあたしがどれだけ嫌がらせしても屈しないやつだった。
きっと脱出を目指してんだろうな。

…それに協力してれば、ジョリーンに認めてもらえるかな?
ひねくれた方法じゃなく、今までのあたしなら考えもしなかったことだけど、正直に…ジョリーンと向き合って。

でももう一度会ったら、またボコられたりしないかな…まあそれは会った時の状況次第、だな。
勘違いが一番怖いぜ…どう行動すりゃあベストなんだ?
考えなくちゃな、しっかり…でもあたしバカだからなあ。しくったりしても誰も助けてくんないんだし…。
ジョリーンが見つかる望みなんかマジでゼロかもしんないけど…
というか空条徐倫って、ほんとにジョリーンなんだろうな?
わかんねーけど、とにかく探しに行こう…
途中で死んじまうかもな。死ぬのは怖い…でも今、ここでは絶対に死ねない。

だって、もう一度花京院に会いたい。
あたしは本気の心を見せつけなくちゃならないんだ。
今までの弱い自分自身に。

憂鬱な気分は抜けねーが…

最終目的は、生きてここを出ること。
そしてもう一度あいつと友達になりたいな…


ここでは唯一の財産であるデイバックを持ち直し、弱々しいながらも己の前方を見据える彼女がどうなるかは、まだ誰も知ってはいない。
この後彼女がどうなるかは、彼女がどうしたいか、なのだ。


276 :◇33DEIZ1cds氏代理投下:2009/07/23(木) 22:23:31 ID:oTJRCgld



手紙を一通り読み、グェスが一人で去ってしまったことを知った花京院は自分の不手際を悔いていた。

「結界を解除したままにしてしまった…僕のミスだ。法皇の結界で出ていく彼女にすぐに気づけた筈なのに…!」

「今、それを言ってもしょうがないでしょう。だが、当然僕の責任でもありますね。…で、具体的にはどうする、ノリアキ?彼女を探すんだろう?」

「…ええ、フーゴ。グェスさんを探します。他にも僕の仲間や、フーゴの仲間に会えるかも。それに…イギーは死んだんですね?博士?確かなんですね……場所は分かりますか?せめて土に返してやりたいんです。」

「ああ、確かだ。地図上ではここだ…」

そう言ってフェルディナンドは地図上で該当する位置を指した。

「E-6…だいぶ中心寄りですね。分かりました。グェスさんも中心地に向かったかもしれない。手紙にあったように、生きてここを出たい気持ちは、変わってないはず。
必然的に協力者を探すことになるでしょう。知り合いはジョリーンという女性くらいのようでしたが…ともかく人が集まりそうな場所を目指すでしょう。
ただ、南西に向かったのか、西に直進したのかが全く分かりません…いずれにしろ、一人で行くなんてのは危険極まりないです…早く追い付かなくては。
なるべくすぐに、E-6を目指し移動を開始します。グェスさんを探しつつ、イギーの元を目指す。
一応、斥候としてフェルディナンド博士はもう一度E-6に翼竜を飛ばしてしてもらえますか?途中でグェスさんらしき人物を見つけたら、報告をお願いします。その他の参加者であっても同様です。」

フェルディナンドは面倒だ、という本心をおくびにも出さずに答える。

「…構わないが、E-6にはわたしが襲った女がまだ居る可能性があるぞ…我々が先走って全滅してもいけない…慎重に行くべきだろう。
それから、なるべく探すようにするが、わたしの翼竜を二匹使ったとしてもグェスという娘一人をピンポイントで探すとなると難しいぞ…」

その言葉を受けて、フーゴは素早くさらなる考察を展開する。

「確かに難しいか…。でも斥候は重要ですね…そのE-6で博士が遭遇した女性からすれば、我々は得体の知れない人物ですから。突然の接触はいらぬ争いを生む…
特に博士は、姿は見られていなかったそうですが、声から特定されるでしょう。しかも、あなたが襲ったその女性がジョリーンの可能性が高い…
グェスさんがノリアキに話したジョリーンの能力と、博士と戦闘した女性の能力はかなり似通っていますから。ここまで似ていれば、おそらく同一人物。」

フェルディナンドはつい先程まで子供のように泣きじゃくっていたとは思えないフーゴの冷静な発言に感心しながらも、先程のひどく狼狽していたフーゴと今のおそろしく落ち着いたフーゴ、一体どっちが彼の性格に近いんだ?
という疑念が浮かんできた。しかし今は一先ず答えを返してやる。

「一理ある。が、断定はしない方がいいな…」

「そうですね、失礼しました…。そして、さっきあなたが話してくれたその女性と一緒にいたという男の一人は服装の特徴から言って、こちらはほぼ間違いなくアバッキオだ。
彼は生身の腕っぷしこそ強かったが、スタンド戦となると訳が違ってくる。スタンドが戦闘向けではありませんから…戦いに巻き込まれたのなら今ごろ無事かどうか…
まずは移動しつつ、目的地の状況を探り、場合場合に応じて対応を取っていく。途中でグェスさんが見つかればベストですが。ノリアキ、すぐに出発するのかい?」

「ああ、早い方がいい。彼女が出て行ってから、おそらく二時間は経ってしまっている…彼女が移動し続けていたのなら、距離的にもかなり開いてしまったはずです。
博士、翼竜の一匹は斥候としてE-6にまっすぐ向かわせ、もう一匹は中心地方面に向かわせつつ、グェスさんを探すことに重点を置いて行動させてください。
先ほど頓挫してしまった写真の中の老人の話は、時間があれば移動しながら詳しく考えることにしましょうか…」

話を切り上げた後、花京院はフーゴから取り上げていた拳銃を返した。
それを受け取った時のフーゴは表情こそ暗かったが、花京院が信頼の証を示してくれたことに感謝の言葉を述べた。

そして各々素早く出発の準備を整えた。
その間も、様々な思考が交錯する。




277 :創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 22:24:51 ID:i1OBMmx2
フーゴは花京院とフェルディナンドについて、戦力的に強化されたことと、今のところは協力関係を結べたことに満足はしていた。
一方でこうも考える。

(特に襲撃者だった自分の話を最後まで聞いてくれたノリアキには感謝しなくてはならないのだろうが、人には建前というものがある。
拳銃を返してくれたことはありがたいが…彼らが僕の話を聞いて今どう思っているやら。僕なら逆の立場の場合、どう思う?軽蔑するんじゃあないか?
やっぱり言うべきではなかった…のか?軽率な行動だったかもしれない。

そして承太郎という人物について、吉廣氏とノリアキでなぜこうも見解が違う?どちらかが嘘か、どちらもほんとうの可能性だってある…
承太郎という男がひどい八方美人や、二重人格のような性格である可能性だって無いとは言い切れない。

それに博士…この人はこれまでゲームに乗っていたんだ、また気が変わらないなんてなぜ言い切れる?今はすごくしおらしい態度だが…
ノリアキも言葉ではああ言っているがどこか自信なさ気だ…そう言うことで自分を納得させたいようにも見える。

一体誰を信じたらいい…?いやッ!分からなくなると言うことは、誰も信じてはいけないということだッ!たぶん僕が彼らを信じていないのと同様に、彼らも僕を信じていないに違いない。
せいぜい背中に気を付けろよ、ってところか?人と協力するのは今の状況では吝かでないが…気がすり減る一方だ……

…それにブチャラティ達にはどんな顔で会えばいいのかいまだ分からない…もし拒否されたり攻撃されたりしたら、どう対応すればいいんだろう…
そもそも彼らはまだ無事なんだろうか?特に…アバッキオは大丈夫なのか…)

フェルディナンドは今まで一人で抱えてきた病巣の様な気分を全て吐き出し、少し爽快だった。
荒木に対する恐怖も、年の割には落ち着いた2人の少年と会話をしていると薄れていくような気がした。
それに自分には、いざという時に切るべき手札が残っているのだ。
荒木については具体的な対策が練られたわけではないし、楽観視は決してできないが…
アヴドゥルに対する申し訳なさは消えるはずもないが、自分一人では処理し切れなかったイラついた感情も、今はそこまで頭をもたげて来ない。

(やっと…やっとアヴドゥルくんの言葉を伝えられた。素直にうれしく感じるな、何かわたしらしくない気がするが。ふふ。

それにしても、他人と話すことがこんなに自分の精神の均衡を保つのに役立つとは…この二人には感謝しなくてはならないな…
今後については不確定要素が多すぎて不安だが。
そもそも優勝すれば元の世界に戻れる、というのも単なる口約束だからな…荒木は信用なんてできない。
わたしと同じく大地の美しさに涙したとしても、それが奴の性質全てを物語っているわけではないからな…

だがこの二人の少年に全てを許すなど愚の骨頂。捨て時がいつか来ると言うのならば、見極めて行動していくまでだ。
必ず、この嫌な気持ちを脱ぎ捨てわたしは良い気分で勝利をつかむ。今まで通り美しい大地を尊敬し、遺体によって繁栄したあの方の国で後の時を過ごせるように。

その"勝利"がこのゲームでの優勝ということになるのか、荒木を殺すということになるのかはまだ未定だかね。
まあ、彼らのスタンドは中々頼もしい。今のところは仲良くしようじゃないか、二人とも…)

花京院は仲間2人の死に心を痛めながらも、争いなく状況が終着したことに安堵した。
しかしグェスが心配だ。無事に再会できることを祈る。彼女の気持ちを知った今、前の行動を責めることなどどうしてもできなかった。してはならない、と思った。
だが、大層な演説をぶったわりには2人にどう対応すればいいのかまだ選択しきれていない自分が虚しかった。

(グェスさん、どうか無事で…!フーゴもフェルディナンド博士も、かなり落ち着いているし、頭がいい。
だがまだ僕は怖いんだ。彼らの今までの行動もあるが…。信じることが最終的に良い舵取りを生むことは分かっている。
でも理屈じゃないんだッ!高台からプールに飛び込むのが恐ろしいように、二人を信じきるのが恐ろしい……。一体僕の心はこれからどこへ向かうのだろう…?
しかし、しばらくは問題なく移動できそうだ…その間に2人を観察させていただこう。
そして承太郎、ジョースターさん、ポルナレフ…まさか死んでないよな…?僕は一刻も早くあなたたちに会わないと、気がおかしくなりそうです…)



バトル・ロワイヤルは彼らの様々な思いをそのままに、熱気をはらんで加速していく。
速やかに飛びめぐる運命のさなか、ここには平穏も、そして沈黙もない。

278 :◇33DEIZ1cds氏代理投下:2009/07/23(木) 22:25:53 ID:oTJRCgld
【米日伊 上っ面同盟締結】


【??? /1日目 午前(10時前ごろ)】
【グェス】
【時間軸】:脱獄に失敗し徐倫にボコられた後
【状態】:精神消耗(大)、花京院に屈折した思い(嫌われたくない/認めて欲しい)、罪悪感、自分が悪いと認めた
【装備】:なし
【道具】:支給品一式(地図・名簿が濡れている 水全消費)
【思考・状況】基本行動方針:他に知り合いもいないので、会うのはちょっと怖いがジョリーンを探し、彼女が脱出を目指しているならそれを手伝う。
1.死にたくない
2.自分は腐れゲス野郎だけど、次に花京院と会えるまでにちょっとはましな人間になりたい。
【備考】
※グェスは、エルメェスや他の刑務所関係者は顔見知り程度だと思っています。
※空条承太郎が空条徐倫の父親であると知りました
※花京院と情報交換をしました。
※花京院に自分ははめられて刑務所に入れられた、と嘘をついています。 →嘘だったと告白しました。
※フーゴが花京院に話した話一部始終を聞きました。
※グェスが出て行ったのはフーゴと花京院が会話を始めてから約1時間後、博士登場の約1時間前です。
花京院達が公邸を出るころにはグェスが立ち去ってから2時間強経っています。
※グェスがどこに向かっているかは、次の書き手さんにお任せします。花京院の予想通り、中心地に向かっているとは限りません。


【C−8 政府公邸 /1日目 昼】
【パンナコッタ・フーゴ】
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:苦悩と不安、傷心、重度の鬱状態、人間不信、精神消耗(ちょっと回復。今はわりと冷静)、額に瘤、右腕に中程度のダメージ
[装備]:吉良吉廣の写真、ミスタの拳銃【リボルバー式】(5/6)、ミスタがパくった銃【オートマチック式】(14/15)
[道具]:支給品一式、ディアボロのデスマスク、予備弾薬42発(リボルバー弾12発、オートマチック30発)閃光弾×?、不明支給品×?
[思考・状況]
基本行動方針:花京院とフェルディナンドと共に脱出のための仲間を集める。でもだれも信用してはならない。気をしっかり持たなくては…
0.死にたくない
1.グェスを探しつつ、3人でE-6に向かう。
2.吉廣に説明された内容について3人で話し合い、きちんとした真実を知る。(時間があれば、程度に考えている)
[備考]
※結局フーゴはチョコラータの名前を聞いていません
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
※地図を確認しました
※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました
※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※吉良吉廣のことを鋼田一吉廣だと思い込んでいます。
※荒木がほかになにか支給品をフーゴに与えたかは次の書き手さんにお任せします。
 また閃光弾が残りいくつか残ってるかもお任せします。
※花京院とフェルディナンドと情報交換しました。パッショーネのかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて説明しました。
※花京院とその仲間(ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎 )の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※フェルディナンドのスタンド能力を全て把握したと思っています。(フェルディナンドが伏せている能力は、下記参照)
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました(納得済み)。


279 :創る名無しに見る名無し:2009/07/23(木) 22:27:05 ID:i1OBMmx2
【花京院典明】
【時間軸】:ゲブ神に目を切られる直前
【状態】:とても喉が渇いている、精神消耗(中)、グエスが心配、フーゴとフェルディナンドは信頼したいがまだできない、右肩に銃創(応急処置済み。ホチキスは使っていない。)
【装備】:なし
【道具】:ジョナサンのハンカチ、ジョジョロワトランプ、支給品一式。
【思考・状況】 基本行動方針:打倒荒木!
0.二人を信頼しなくては、旅をしていた仲間たちに顔向けできない!でも心底信じるのは怖い…今後2人をじっくり観察。
1.グェスを保護するため探しつつ、3人でE-6に向かう。イギー…今行くからね。
2.自分の得た情報を信頼できる人物に話すため仲間と合流しなければ…
3.フーゴが吉廣に説明された内容について3人で話し合い、きちんとした真実を知る(時間があれば、程度に考えている)。承太郎が凶悪犯罪者だなんて…まさか、だろ?そうだよね?
4.甘さを捨てるべきなのか……?
5.巻き込まれた参加者の保護
6.安心して飲める水が欲しい。
7.荒木の能力を推測する
【備考】
※水のスタンド(=ゲブ神)の本体がンドゥールだとは知りません(顔も知りません)
※ハンカチに書いてあるジョナサンの名前に気づきました。
※水や食料、肌に直接触れるものを警戒しています。
※4部のキャラ全員(トニオさん含む)を承太郎の知り合いではないかと推測しました。
※荒木から直接情報を得ました
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※フェルディナンドのスタンド能力も全て把握したと思っています。(フェルディナンドが伏せている能力は、下記参照)
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました(納得済み)。


280 :◇33DEIZ1cds氏代理投下:2009/07/23(木) 22:27:28 ID:oTJRCgld
フェルディナンド】
[スタンド]:『スケアリーモンスターズ』
[時間軸]:ロッキー山脈への移動途中(本編登場前)
[状態]:健康。生身の状態。少し落ち込んでいて弱気。やっとアヴドゥルの言葉を伝えられて少しうれしい。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 ×4、麻薬一袋、ダイアーの未確認支給品×0〜2個、スティックス神父の十字架、メス(ジャック・ザ・リパーの物)
[思考・状況]:基本行動方針:花京院とフーゴと共に脱出のための仲間を集める。それが無理そうなら優勝狙いにスタンス変更。
0.優勝してもその後の人生が死ぬより嫌なものだったら意味がない。そもそも荒木が信用できない。
1.グェスを探しつつ、3人でE-6に向かう。同時に2匹の翼竜をそれぞれ操って様子を探る(下記参照)。
2.フーゴが吉廣に説明された内容について3人で話し合い、きちんとした真実を知る。(時間があれば、程度に考えている)
3.ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、空条承太郎にアヴドゥルの最後の言葉を伝える。花京院のように協力する…べきか?
4.荒木に対する怒り
5.アヴドゥルに対しての複雑な感情 (罪悪感を認めた)
6.リンゴォ(とミセス・ロビンスンの最後)に強烈な印象。こいつは狂人か?関わりたくない。
※DIOの館は取り合えずあんな人間(リンゴォ)がいる以上は厄介なので捜索は辞めておくことにました。
※フェルディナンドは、 『ジョセフ・ジョースター、花京院典明、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎』 の姿と能力を知りました(全て3部時点の情報)。
※フェルディナンドは【D-6】に大型トラックを放置しました。
※アヴドゥルの首輪はついたままです。機能自体は停止していますがなかに爆薬はまだ入っています。
※フェルディナンドはミセス・ロビンスンを「虫を操るスタンド使い」だと思っています。
※タルカスの声をうっすら聞きました。つまりリンゴォ以外の人間がDIOの館にいると把握しました。姿は見えていません。
※カビのスタンド使いの存在を把握しました。→フーゴと花京院にも教えました。
※花京院とフーゴの会話はすべて聞いており、内容を把握しています。
※恐竜(元アヴドゥル)は横に従えて行動するつもりです。
※フェルディナンドがついた嘘は以下の2点です。
・人間及び人間の死体を恐竜化出来ない。
・連れている恐竜(元アブドゥル)は、”支給品だった動物”を恐竜化している(ジョリーンとの戦闘時の説明では、ダイアーの恐竜化は省いて話しました)。

※「スケアリー・モンスターズ」は制限されています。
解除後は死亡
恐竜化してもサイズはかわらない
持続力、射程距離、共に制限されています。ある程度距離をとると恐竜化は薄れていきます。細かい制限は次の書き手の皆さんにお任せします。
恐竜化の数にも制限がかかっています。一度に恐竜化できるのは三体までです。





※フェルディナンドは制限の一部に気付きました(『三体まで』の制限)。




【翼竜A】
[思考・状況]
1.E-6の状況を観察する。現在、E-6に向かって南西に進んでいる。

【翼竜B】
[思考・状況]
1.グェスを探しつつ、状況を観察する。現在、中心地に向かって西にまっすぐ進んでいる。(見落とさないように探すため、翼竜Aよりややゆっくりめ)




※翼竜は、ミセス・ロビンスンの虫の死骸にスタンド『スケアリーモンスターズ』を使い生み出されたものです。
※翼竜の大きさは本来の虫と同じ(数mm〜1cm)です。
※翼竜はフェルディナンドが命令し操作できます。
※翼竜は視聴覚をフェルディナンドと共有します。




281 :◇33DEIZ1cds氏代理投下:2009/07/23(木) 22:28:18 ID:oTJRCgld
以上です。したらばでも言いましたが、修正に時間をいただきありがとうございました。

したらばで指摘をくださった方々には、ここでも改めてお礼を申し上げます。お世話になりました。
近く、批評もお願いしてこれからにつなげたいとも思っています。


〜以下はスナイプ・ガールとして〜

8月5日にラジオ放送予定でしたが、仕事が入り、中止せざるおえなくなりました…

日を改めて8月12日(水)午後10時〜放送しますので、お時間大丈夫な方は是非お聞きください。

最初からこんなことで申し訳ないです…何か面白いことをやるのでそれで許していただければ…orz
今のところ決まっている予定
・死亡キャラ語り (死亡順に毎回10人ずつくらい?)
ゲストが来た場合は上の内容を取り入れつつ雑談
・黄金の朗読@その子様

皆お待ちかねの朗読!朗読ゥ!読むSSは安価で決めるとのことです。
聞きオンリーでも、乱入でも、お待ちしてます〜。




代理投下完了です、感想は後ほどに

282 : ◆33DEIZ1cds :2009/07/25(土) 22:36:36 ID:GxmzNyx3
遅くなりましたが、代理投下ありがとうございました!

283 :創る名無しに見る名無し:2009/07/27(月) 22:12:16 ID:OUmvdady
予約wktk

284 :創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 15:31:11 ID:dGm9K30R
☆俺たちの冒険はまだ続く!な人たち

【B-2 ???/1日目 朝】【ブローノ・ブチャラティ】 【グイード・ミスタ】※C-1へ移動中
【G-6 路上/1日目 朝】 【プロシュート】 【シュトロハイム】 ※G-6へ移動中
【H-5 ボンペイ遺跡/1日目 朝】 【J・ガイル】 【片桐安十郎(アンジェロ)】 【ウェザー・リポート】【ブラックモア】

☆まだまだ安心できない人たち

【E-3 コロッセオ駅ホーム/1日目 午前】 【エシディシ】
【E-5 繁華街の少し東/1日目 午前】 【空条徐倫】【ホルマジオ】
【E-6 とある民家の二階のベッド/1日目 午前】 【チョコラータ】
【F-5 特別懲罰房前/1日目 午前(九時前後)】 【虹村億泰】※コロッセオ方面に移動中
【G-4 オエコモバの死体の傍/1日目 午前】【ティム】【アナスイ】【ヴェルサス】【ティッツァーノ】 ※特別懲罰房前に移動中
【H-3 サンタ・ルチア駅トイレ/1日目 午前】 【ディアボロ】【ジョセフ・ジョースター】【音石明】
【H-3 サンタ・ルチア駅ホーム/1日目 午前】 【川尻早人】
【?-? ???/1日目 午前(10時前ごろ)】 【グェス】※どこかへ移動中

☆もう少しで放送の人たち
【?-? 地下・空気供給管内/1日目 午前〜昼(10時少し前)】 【カーズ】※どこかへ移動中
【F-2 ナチス研究所/1日目 午前〜昼】 【リゾット・ネエロ】
【F-2 ナチス研究所地下鉄駅ホーム/1日目 午前〜昼】 【ペッシ】
【F-2 ナチス研究所から東に少し離れたところ/1日目 午前〜昼】 【ホル・ホース】 【ミューミュー】 ※E-4民家へ移動中

☆あとは放送を待つだけな人たち
【B-3 湖の傍/1日目 昼】 【サンドマン】
【C-4 DIOの館 門前/1日目 昼】 【リンゴォ・ロードアゲイン】 【ロバート・E・O・スピードワゴン】【タルカス】
【C-4 DIOの館の塔/1日目 昼】 【山岸由花子】 【ディオ・ブランドー】
【C-4 DIOの館内部/1日目 昼】 【ラバーソール】
【D-4 中央部/1日目 昼】 【吉良吉影】 【ジョルノ・ジョバァーナ】【エンリコ・プッチ】
【E-5 繁華街/1日目 昼】 【J・P・ポルナレフ】 【トニオ・トラサルディー】
【C-8 政府公邸/1日目 昼】 【フーゴ】 【花京院典明】 【フェルディナンド】【翼竜A】【翼竜B】※E6へ移動中

285 :創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 15:34:44 ID:dGm9K30R
☆予約中

【F-8 駅周辺、線路沿い/1日目 朝】 【オインゴ】
【D-3 民家(北部)/1日目 朝】【岸辺露伴】【ウエストウッド】 【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
【G-10 北西部 小島(ダービーズアイランド)/1日目 朝】 【ジョージ・ジョースター1世】【テレンス・T・ダービー】

【B-2 ???/1日目 朝】【ジョナサン・ジョースター】
【G-2 ジョースター邸 二階寝室/1日目 午前】 【エリナ・ペンドルトン】
【E-3 北部/1日目 午前】 【F・F】 【アレッシー】

286 :創る名無しに見る名無し:2009/07/29(水) 15:52:39 ID:z4hGffOx
まとめGJ! ただ、

>【G-4 オエコモバの死体の傍/1日目 午前】【ティム】【アナスイ】【ヴェルサス】【ティッツァーノ】 ※特別懲罰房前に移動中
ウェザーを探しているので特別懲罰房に向かおうとはしてないです。あと、
>☆あとは放送を待つだけな人たち
は、サンドマンと花京院組以外このままで放送迎えられるのかな? と思いました

287 :Nothing to Fear! ◆fCe/egRLA/au :2009/08/02(日) 17:58:34 ID:JJ66erT4
投下します。

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

午前8時を過ぎたころ、オインゴはエリアG-7に到達。
探知機が示すとおりに従い、ネアポリス駅から南南西に歩き続けていた。

「マジで? 」

2時間近くを消費して彼が最初に出会った相手は死体だった。
すり潰された内臓とだらしなく散らされた糞尿が、人間の尊厳を著しく損なわせている。
それはオインゴの同僚――共にDIOに忠誠を誓っていたマライア。
醜く歪んだ顔とグンバツの太ももは、彼女の印として充分見分けがついた。
骨肉をむき出した肉体から死斑を調べて、オインゴは彼女の大まかな死亡時刻を割り出す。

「ちぇ! 死体も探知するのか。いらねーよ、そんな親切設計。生きてるヤツに会わなきゃ意味がないぜ」

右手の探知機に文句を言いながら、オインゴはポリポリと頭をかく。
動揺は無い。彼は人を殺すことに躊躇しない男だからだ。仕事仲間の死さえも日常なのだ。
自分や弟に降りかかる恐怖はともかく、生き死にに脅えるほど彼は腰抜けではない。

「……で、どっちに行けばいいんだ? 」

西と南を交互に指す探知機に、オインゴは再び悪態をついた。
西はプロシュートとシュトロハイム。南はツェペリ一行の亡骸。
オインゴにはそんなことを知る由もない。

「当たって砕けろだ」

選んだ道はさらに南。川にかかる橋を目指しオインゴは歩く。
なるべく多くの生存者と遭遇するのを望む彼には、どちらも正解であり不正解だった。
敵に狙われれば一溜りもないのは、中央も端も同じ。
『人に会う』メリットがそのまま『命を奪われる』リスクとなるのだから。

☆ ☆ ☆

午前9時を過ぎたころ、オインゴはエリアI-7に到達。
探知機が示すとおりに従い、G-7から南南西に歩き続けていた。

「マジで? 」

更に2時間近くを消費して彼が最初に出会った相手はやっぱり死体だった。
木陰に身体を預けて座る様子が、森林浴の傍らで居眠りをしてしまった老人を思わせる。
それは、またもやオインゴの同僚――共にDIOに忠誠を誓っていたンドゥール。
へし折られた杖とズタズタになった血まみれのマントは、彼の印として充分見分けがついた。
ンドゥールの両足の下敷きになっていたディバッグを回収して、オインゴは中身を調べる。

288 :Nothing to Fear! ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 18:00:30 ID:JJ66erT4
「どいつもこいつも縁起でもねー。 俺はお前らみたいにヘマはしないぞ! 」

空っぽになったディバッグをンドゥールに投げつけて、オインゴは唾を吐く。
そして戦利品である支給品をマジマジと眺めて物色した。
悪態はつけど、オインゴの興味は目の前の武器に向けられていた。

「……本当にこんな物が入ってんのか? 入ってるとしても本当に“使える”のかよ?」

彼が新たに手に入れた支給品は複数。どれも俄かにはとても信じられない物。
ンドゥールやサンドマンが対応しても、同じ反応をしていただろう。

「疲れたら使おう。それがいい」

自分の最後の支給品であった『ミキタカの胃腸薬』を水と一緒に呑み込み、深呼吸。

「行くか」

南西と南東を指していた探知機をに注意を払いながら、オインゴは進む。
南東に行けばエリアI-7のワムウVSツェペリ夢の跡。
南西に向えばエリアI-6のリサリサの残骸。
彼の徒労は終わらない。朝から始まった死体参りはまだまだ続く。

☆ ☆ ☆

午前10時を過ぎたころ、オインゴは川原の土手で寝転がっていた。
ぜいぜいと息を切らしながら、顔にペットボトルの水をかける。

「もう限界だ……」

エリアはI-6。探知機に振り回された結果がこれだ。
出会った死体のほとんどが顔も身の丈もわからぬ損壊状態。
人のひの字も見つからないという連敗状態。それは自分の安全が約束されている事実でもあるのだが。

「使わしてもらうぜ、ちょっと休憩させろ」

ペットボトルの残りの水を盛大に飲み干し、オインゴは懐から一枚の紙切れを出す。
施されたラメが太陽に照らされてチカチカと輝くそれは、『ダービーズ・チケット』と書かれていた。
夢の島へと誘う魔法の切符は、ハイリスク・ハイリターンの入り口。

「おーいダービー! 俺を島に呼んでくれ〜! 」

度重なる無駄骨に苛立ちを隠しきれないオインゴ。
誰にも会えないことで憔悴していた彼の心に、知人の再会はオアシスだった。
つまり、彼はそのチケットの本当の意味を読み取っていなかった。
説明書に書かれた言葉をいい加減に読んで、理解したつもりになっていた。
“とにかくダービーのいる場所へ行くことができるかも”……という気休めの冗談程度にしか。

――それでは、どうぞ――

ふと我に返ったとき、オインゴは目を疑った。
広大な海に囲まれた緑地。潮風に靡く住人たちの髪。
高価なテーブルとイス。鋼鉄で作られた謎のケース。
そして彼を射抜く視線。一筋縄ではいかぬ殺気を放つ男が4人。

「ようこそ、私の島へ」


289 :Nothing to Fear! ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 18:01:13 ID:JJ66erT4
オインゴの肌はピリピリと痺れ、汗腺はぶわっと脂汗を噴出した。
散々歩き続けて上がっていた体温が、急激に冷え切っていくのをオインゴは実感した。
張ち切れんばかりの威圧に身体がいち早くギブアップを宣言したのだ。

「や、やれやれだぜ」

最初の一言めに空条承太郎の口癖が出た自分に、オインゴは手放しで褒めてやりたかった。
相手に成りすましている間は、相手に成り切る。
これぞまさに職業病。


『殺伐とした島に、オインゴが!』……この参入は誰かの救世主となるのだろうか。



【G-10 北西部 小島(ダービーズアイランド)/1日目 昼(午前11時ごろ)】
【オインゴ】
[スタンド]:『クヌム神』
[時間軸]:JC21巻 ポルナレフからティッシュを受け取り、走り出した直後
[状態]:胃が痛い(かなり和らいだ)。
[装備]: 首輪探知機(※スタンド能力を発動させる矢に似ていますが別物です)
[道具]: 青酸カリ、学ラン、ミキタカの胃腸薬、
    ダービーズ・チケット、不明支給品残り1〜2、支給品一式×2(ペットボトルは1本消費)
[思考・状況]
基本行動方針:積極的に優勝を目指すつもりはないが、変身能力を活かして生き残りたい。
1.……完全に場違いだコレ。
2.鏃が差した方向に従い、他の参加者に接触する
3.承太郎か億泰の顔と学ランを使って、奴らの悪評を振り撒こうかなぁ〜
4.億泰のスタンド能力を聞き出したい(とりあえず戦闘型ではないかと推測)

※現在は承太郎の顔になってました。
 顔さえ知っていれば誰にでも変身できます(現在承太郎、億泰の顔を知っています)。
 スタンドの制限は特にありません。
※エルメェス、マライア、ンドゥール、ツェペリ、康一、ワムウ、リサリサの死体を発見しました。
 しかし死体の状態が結構ひどいので顔や姿形をを完全に再現できるかどうかは不明です。
※億泰の味方、敵対人物の名前を知っています。
※状況をまるで理解してません。承太郎のフリをしたほうが正解である、というのは理解してます。

【ミキタカの胃腸薬】
オインゴの最後の支給品。
ミキタカがコミックス40巻あたりで自分のカバンから出した医薬品。
本物でございます。
億泰たちにはただのギャグにしか見えなかったようだ。
普通に飲めるし効果も普通にあるらしい。
使用上の容量、用法をよく守ってお使いください。

ありがとう、ミキタカ胃酸。良ィィィィィィィィィィ薬です!

【ダービーズ・チケット】
ンドゥールの支給品。詳しくは109話「リグビーズ・タイム」参照。

290 :知りすぎていた男 ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 18:03:34 ID:JJ66erT4
ま……知ってるやつが多かろうと少なかろうとどうでもいいが……。
自己紹介をしよう。僕の名前は岸辺露伴。漫画家だ。週刊少年誌で連載を持っている。
アンケートの調子は良い。この前は2週休み合併号の表紙を任された。

しかしその真の姿は若干20歳のスタンド使いなのさ。

僕は仕事柄、リアリティというものに強く惹かれる。
職業病っていうのかな……作り話をする人間の言葉にしては法度がすぎるかい?
ところがそれは大きな間違いだ。
漫画を描くうえで、作家がもっともないがしろにしてはいけない事は、現実を知ること。
調子にのって就活に失敗するとか、高望みをして受験に落ちるとかじゃないぞ。
『本物を味わえ』という意味さ。全ての創作は現実の体験から始まる。
なぜなら作者も読者も、現実で生きる存在だからさ。
『赤色のアイスクリーム』を見て君たちはどんな味を想像するだろうか。
味はイチゴ? ラズベリー? トマト? それともチリペッパーとか?! ハハハ。

……な? 僕たちが思い浮かべる味は現実に則した発想に縛られている。

そいつの味がなんなのか、それは食べてみなければわかりっこない。
でも僕たちは食べる前に食べた気になってしまっている。

蜘蛛。唐突だけど蜘蛛の味を知ってるかい。僕は知っている。ちょっと甘いんだぜ。
麻縄。ロープをかじったらどうなると思う? 段々舌がピリピリしてくるんだ。
用紙。最近のコピーに使う紙は、噛んでも噛んでも消化されないから、飲み込んだときにちょっと不安になる。

実際にやってみないとわからないものさ。
蜘蛛はおどろおどろしい粘っこさや苦味があると思い込んでいた。
麻縄はもっと鰹節みたいな香ばしさをイメージしてた。
用紙なんて、もう少し割とすんなり食べれると思ってたんだけどなぁ(繊維なんて歯より柔らかいだろ?)。

経験したからこそ、僕は先入観に打ち勝った! 実に清清しい気分だね。

人間の持つ最高で最低な能力は『経験』。経験への渇望と、漫画家はいつも格闘している。

人間が想像できる全てを経験しようとすれば、そこに『倫理』と『良心』が立ちはだかる。
殺し。人を殺す悪役の気持ちを描くのならば、殺しを経験せねばならない。
不義。人の心をたぶらかす色情魔を描くのならば、密通を交わさなければいけない。
策謀。人を扇動する革命家を描くのならば、まず己が立ち上がって衆を率いるべきだ。

僕たちは法と道徳によってこれらを抑えている。
経験を体験するに越したことはない。漫画家ならばあらゆる事をすべきなのだ。
いけるならいける所まで歩みたい。ややもすれば一瞬で越えてしまいそうな境界線。

僕のスタンド、ヘブンズ・ドアーはそのラインをより太く硬く安全にさせる手段。

ニヒルな笑顔で夜道を歩く策略家よりも。名指しで相手の不幸を叫ぶ占い師よりも。
優しい言葉で相手の心理を読み取るペテン師よりも。凶悪な殺人鬼よりも。
僕はいとも容易く、彼らのお株を取ることが出来てしまう……その可能性を持っている。
他人がヘブンズ・ドアーを持っていたとしたら、僕はあまり関わりたくないな。
関わっても旨味がないから。ヘブンズ・ドアーを持っているヤツを取材する意味がない。
せいぜい『ヘブンズ・ドアーどうしが遭遇したら、お互いはどう思うのか』という体験ぐらいかな。ちっぽけな利益。

勘違いしてもらっちゃ困るが、僕はヘブンズ・ドアーという能力を忌み嫌ってないぜ。

この能力のおかげで、僕は犯罪者たちの深層心理をよりリアルに知ることができた。
一生縁が無いような職を持つ相手の感情を形にして具体的に知ることもできた。

291 :知りすぎていた男 ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 18:06:12 ID:JJ66erT4
「シーザー・アントニオ・ツェペリ」

若干十代にして人間ができる犯罪という犯罪をこなす。
改心してからは波紋の使い手として、一族の誇りのために命すら天秤にかける男。
僕より年下で悪魔と天使を演じた人生は、極めて稀有だ。
若き頃のジョセフ・ジョースターと苦労を共にした数日間の記憶も見逃せない。
彼が僕の生きる時代より過去の人間であることを示している。

「ヴィヴィアーノ・ウェストウッドウッド」

平凡にして凡庸な人生とは裏腹に、心の中に渦巻くコンプレックス。
自分より劣る存在をクズ、下等生物と見下す性格に、看守という職はピッタリ。
そして、これは改めて調査したことで明らかになったことだが……彼のプロフィール。
出来たてほやほやのスタンド使い。詳しくはわからないが、プッチ神父と空条徐倫が大きく関わっているらしい。
つまりシーザーの調査とは対照的に、彼は僕が生きる世界より未来に生きる人間だった。
実に興味深い。
漫画家冥利につきる究極の取材とは、こういった物なのかもしれないな。

――それを真っ向から受け止めるかどうかは別だけどな。

「自分の想像を果てしなく凌駕する事実に対しては……僕は動かない」

ヘブンズ・ドアーには『読めないもの』がある。
それは『自分の過去の遠い記憶』と『運命』。
僕は杉本鈴美の全てをヘブンズ・ドアーで読むことは出来なかった。
彼女と僕が幼馴染であることを『彼女に出会ったことで、彼女を思い出すまで』気づけなかった。
昔の古い友人の名前を、会った後に思い出すかのように。

「時の流れに関する事実に対しては、僕は中立を貫く」

彼らがどんな人間かはわかった。
シーザーはドライな関係を望むが、根は熱く、信頼した相手には盲目的につきあう。
ウェストウッドは平々凡々な人間であり、注視すべきは彼の性格よりスタンド能力。
それだけで充分だろう。『過去』だろーが『未来』だろーが、知ったことか。

――僕から彼らに“時の流れを悟らせる”マネはしない――

彼らの人生が嘘だと言ってるわけじゃない(むしろ認めているし、疑うことは僕の能力のコケンに関わる)。
荒木が時を越えてヒトを集められるスケールの持ち主なのはわかった。
シーザーたちがうっかり“時の流れ”を知る機会も、いずれ来てしまうだろう。
だからこそ。だからこそ僕はタイムパラドックス的なトラブルを避ける。

せっかく仗助たちに荒木を任せているのに、これ以上ややこしい問題が増えるのは面倒だ。
『経験』というものは本当に嫌だね。漫画家らしいメタシフィック的思想を優先したくなる。
僕がもう少し口の軽いヤツだったら、話は変わっていたんだろうがな。

「おい、起きてくれ」

これから先、時代を無視した存在に何度も会うのだろう。
とはいえ大事なことは、自分という基準をぶれさせることなく、しっかりと持ち続けることだ。

岸辺露伴は“時の考察に対し”動かない。

 ◇ ◇ ◇

292 :知りすぎていた男 ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 18:11:50 ID:JJ66erT4
「よし……傷は塞がったぜ。何週間か静養してれば完治するだろう」

僕(岸辺露伴)の怪我への、シーザーの治療が終わった。
時計は午前10時すぎを指している。随分と時間がかかったが、感謝はしておこう。

「不思議な紙だよな。何をどうやったらコイツが入るんだ」

今まで興味がなかったので調べていなかったのだが、僕たちにはバッグが与えられている。
バッグの中身は地図、名簿、日用品一式、そして『紙』だった。
ちなみに話しておくと、僕は全てをまだ具体的に調べていない。
さっきも話したが、僕にはヘブンズ・ドアーがあるので名簿があまり意味を成さない。
地図も、わざわざ確認するのも面倒くさいので(むしろズンズン先へ進みたくなる性格だ)開けていない。

「この『紙』はどんな意味があるんだ? 」

『紙』を開いたのもシーザーで、半ば強引に開けられてしまった。
……まぁ、出てきたのは【ポルナレフの車椅子】(ポルナレフはフランスのメーカー名か?)だから助かったけどな。

「その説明書どおり、招待してくれるんだろうよ。
 そのダービーって野郎は……俺たちみてーな不思議な力を持っているのかもな」

シーザーが僕の怪我を治したせいか、ウェストウッドも幾分か大人しくなった。
先にシーザーを起こしたのは正解だったな。僕の安全が確保されたのだから、余計なマネはしないだろう。

「ロハン、この“チケット”は“臭う”ぜ……!? 」

シーザー、お前の言うことはもっともだよ。
お前はヘブンズ・ドアーで『僕を助ける』ようにされてるんだからな。
だがこの岸辺露伴……このチケットに運命を感じるんだ。
ダービーが荒木の手先ならば、これはヤツからの挑戦状でもある。

「ダービー・ザ・プレイヤー! 僕たちは決闘を申し込むぞッ! 」

受けてたとうじゃないか。罠としても。

 ◇ ◇ ◇

ド●ドド●●ドド●ドド●●ドド●ドド●●ドド●ドド●●ドド●ドド●●ドド●ドド●●ドド●ドド●●ドド●ドド●●ド
ド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドド
ド●●●ドドドド●●●ドドドド●●●ドドドド●●●ドドドド●●●ドドドド●●●ドドドド●●●ドドドド●●●ドドド
ド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドド
ド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドドド●ドドドドド
              

「なるほど」

狭い住居の中だった風景が、一遍した。
開けた青空に、心地よいさざなみの音が、僕の創作意欲を盛り上げてゆく。
いよいよ僕たちは敵陣に入ったんだな、という緊張感と優越感が血の巡りを早めている。

「まさしく“遊ぶための箱庭”って感じだな。チケットは本物だった」

中指と人差し指に挟んだ紙切れをピラピラと泳がせながら、僕は相手の出方をうかがう。
小さな島にぽつんとある机と椅子に、足を組んで座る男、ダービー(だよな?)は若かった。
もっと老齢で底の知れないギャンブラーが出てくると思っていた。
しかしこの肌のつや、顔の出で立ちは20代……コイツ、僕と年が変わらないのか。

293 :知りすぎていた男 ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 18:12:42 ID:JJ66erT4
「Exactly(その通りでございます)。そして私はショーの主催者であり対戦者でもあります」

……ここで今すぐヘブンズ・ドアーでダービーの全てを暴くべきか? いや、待て。現時点で控えるべき理由はある。

@僕たちがさっきまでいた住居から島に移動したのは誰のスタンドか?(ダービー?、ダービー以外の人間?)
最初の施設にいた時、康一くんたちの姿を僕は覚えている。僕の時代の人間は(仮定だがな)複数招かれた。
つまり時代を越えて人数をそろえる事が可能だろうが不可能だろうが、特定の土地にヒトを召還できる。
それがダービーの能力ならば、さっさとヘブンズ・ドアーで全てを暴けばいい。
個人的にはダービー以外のスタンド使いの仕業ではない、と断定したい……だってそうだろ?
普通に考えたら、そんな大事な役職である召還士にこんな危険な真似をさせない。アホの極みだ。

A荒木一派は僕の能力を知っているのか(荒木が知っているならダービーに教える)。
これも厄介な問題だ。ヘブンズ・ドアーは使い方によればかなり優秀な切り札。
それを敵の拠点でお披露目することが、どれほどリスキーであろう。
僕の能力は先手必勝だからな。事前に警戒されて射程距離外から攻撃されてはひとたまりもない。

つまり
・荒木が僕の能力を知っている→知ってて召還した→僕に勝てる見込みがある→いずれ再起不能
・荒木が僕の能力を知らない→知らずに召還した→ダービーに勝てるが、手の内をバラすことに→やっぱり再起不能

いっそ最初の案のほうが、ヤケクソにダービーをイジることが出来るんだがな。
しかしそんな事ができる人間に、こんなチケットを支給しているということは……荒木は間抜けなのか狸なのか。
わからない……僕は承太郎のような無敵のスタンドではないからな。今は静観するしかない。スタンドを使わず!

「――お前が主催者であろうと何であろうとなぁ〜〜〜迷うことはねぇ〜〜〜」

……む!?

「ウェストウッド、ロハンを守っててくれ。こいつは……俺が倒す! 」

シィィィィザァァァァァァアァァァ!?
こいつ! 僕の命令を拡大解釈しやがって。攻撃は最大の防御ってか?
ダービーに真っ向から叩いて僕を守るつもりか。
まだ具体的なスタンド能力さえもわかってないのに、非スタンド使いのお前が……

「俺が勝負に勝ったらよぉ、喋ってもらうぜ! 色々となぁ! 」

……いや、これは意外といけるかもしれない。
シーザーは波紋使いではあるがスタンド使いではない。
彼にはスタンドがほぼ未知の物にしか発想がおぼつかないはず。
僕のようにアレコレ難しく考えるより……シンプルに勝負ができる。
ダービーが何かイカサマをすれば、彼は純粋な疑問を浮かべるだろう。

「それではシーザー・アントニオ・ツェペリ様、勝負は何にいたしましょうか」
「ポーカーだ。新品のトランプ……ロハンのディバッグの中に入っていた」
「ご丁寧にセキュリティ(未開封証明)シール付きですか。ならばよろしい、始めましょう」

シーザーが“しかけて”いる最中、僕はダービーの傍らに放置されているものを直視していた。
それは青白くやせ細った初老の外国人紳士だった。あの様子だとかなり危険な状態かもしれないな。
ダービーとの勝負に負けた代償は、かなり高くつくらしい……依然、気が抜けないな。頼むぜシーザー。

「ルールの共通化を確認。それではシーザー様、Are You Ready? 」
「GO! ダービー、GO! GO! 」

294 :知りすぎていた男 ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 18:14:11 ID:JJ66erT4
 ◇ ◇ ◇

ポーカーは、トランプを使って行うゲーム。コントラクトブリッジ、ジン・ラミーと並ぶ三大トランプゲームの一つで、心理戦を特徴とす
る。主にアメリカでプレイされているゲームで、ギャンブルとして行われる事が多い。プレイヤー達は5枚の札でハンド(役)を作って役の
強さを競う。相手をフォルド(ゲームから降りる)させれば、ハンドの強さに関わらず勝つことが出来ることから、ブラフ(ハッタリ。ベ
ットすることによって弱い手を強く見せて相手をフォルドさせようとすること)に代表される心理戦の占める割合の高いゲームであるとさ
れる。勝った負けたの数にはさほど意味が無く、勝ったときの儲けを大きくし、負けたときの被害を最小にするための総合的な戦術がより
重要である。また、他のプレイヤー達の仕種、表情、賭けたチップの枚数等から他のプレイヤー達のハンドの強さを予想し、自分の賭ける
チップの枚数を決める。このゲームでは相手を惑わす為に、わざと驚いて見せたり、嘘(いわゆる口三味線)をついたりする事が認められ
ているが、実際のゲームにおいては相手の表情などを読んで自分のアクションの判断にする場面も、巷間信じられているほどには多くない
…………

どこぞの資料を漁れば、この程度の情報は簡単に手に入る。
それだけポーカーというものはポピュラーなゲームになっているということだ。

「チップは5枚、賭けるぜ」
「それでは私も5枚、賭けましょう」

両者の手によってカードがきめ細かくシャッフルされる。
交わされたルールは、日本人にとって一番馴染みがあるタイプ(クローズド・ポーカーという)だろう。
『クロォォォズドッッ! ポォォォォウカァァァァカァァカァァァァァ……! 』
@プレイヤーが52枚の山札から5枚ずつカードをとる。
A賭け金の可否(ベット)を確認。
Bいらない手札を捨てて山札から捨てた枚数だけとる。

「2枚交換だ」
「……ブツブツ……私も、2枚」

C賭け金の可否(ベット)or上乗せ(レイズ)をもう一度確認。

「……このままでいい」
「私はもう一度2枚。ブツブツ……勝負を受けましょう」

D手札公開(ダウン)。より高い役を作った勝者は賭け金を全て入手。

「ダイヤのAで−K−Q−J−10のロイヤルストレートフラッシュだ」
「ハートのAで同じくK−Q−J−10のロイヤルストレートフラッシュです」

今回の勝負は手持ち15枚のチップで始まったんだが、いきなりハイレベルな戦いだな。
序盤からこんな形で両者の役が揃ってしまうことが可能なのか!?
……なんて間抜けな叫びをあげる相手がいたら、ぜひ拝見したいものだ。
もはや子供さえ騙せない子供騙し。この勝負はただの運試しから、悪質なイカサマ合戦になっている。

「シーザー様、お気持ちは察しますが賭け金の譲渡を申し上げます」
「わかってるさ。ハートがダイヤより強いのはな……しかし俺の国ではダイヤが一番なんだ。
 俺が敬愛する偉人はダイヤをもっとも注視していたんだぜ? このダイヤのような固い意志が革命を……」

シーザーのイカサマは僕も知っている。
彼は手札を交換してダイヤのロイヤルストレートフラッシュを作ったのではない。
“最初”からカードを5枚抜き取っていた。
ゲームが始まるずっと前。
この島に呼ばれる前に、彼はトランプの箱についていたセキュリティシールを剥がし、開封していたのだ。
磁性を持った“くっつく波紋”と呼ばれる技術を使って、シールは元に戻したらしい。

「わかりました……マークの優劣を事前にハッキリと決めなかったのは、こちらに非があります。
 スペード至上主義は世界共通ではありませんし、今のはノーカウントとしましょう」

295 :知りすぎていた男 ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 18:15:42 ID:JJ66erT4
プレイがいざ始まった後は、適当に札を引いて、その中にこっそりロイヤルストレートフラッシュを作る札を仕込む。
シーザーは最初のターンで山札から4枚しか引いていない。
1回目の『2枚交換』も真っ赤な嘘。本当は『2枚を重ねて1枚に錯覚させた4枚』を場に出している。
2回目の『2枚交換』も交換するフリをしていただけなのだ。波紋とやらは相当高度な技術らしい。
あるいは、彼が幼少の頃から築いてきたスキルの1つかもしれない。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

『シーザーのイカサマ』

a b c d 10←この10は事前に抜いておいた5枚の内の1枚(abcdは山札から引いたカード)。
   ↓
   ↓←←隠し持っていたロイヤルストレートフラッシュの5枚の内、2枚(JとQ)を手札に仕込む。    
   ↓
a(b)とc(d)を捨てる。※くっつく波紋で重なった2枚のカードを、1枚に見せる。
   ↓
 10 J Q ※本当は4枚捨てたが、2枚捨てたように見える。
   ↓
   ↓←←カードを2枚引くフリをする。隠し持っていた残りの2枚(KとA)を山札から引くようなフリをする。    
   ↓
10 J Q K A 完成

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

……え? 『最初に5枚も抜いてたら、山札をシャッフルしたときに気づく』だって?
僕もそう思う。普通バレる。ちゃんとシーザーにも確認をとったさ。

――ロハン、こいつはいわば挨拶代わりさ。
  チケットによれば、ダービーはゲームマスターなんだろ? 試してやろうじゃないか。
  この男が“俺のイカサマに気づくのか気づかないのか。気づいたとしたら、どう対応するのか”をさ。

ダービーは、セキュリティシールが破れていないだけで、イカサマは無いと思い込む未熟者なのか。
ダービーは、セキュリティシールのトリックに気づいたら、それを執拗に追求する臆病者なのか。
ダービーは、セキュリティシールのイカサマにあえて目をつぶる、生粋のペテン師なのか。

「次回から、マークの強さはスペードを筆頭にハート、ダイヤ、クラブの順とさせていただきます。
 それでは改めてカードはシャッフルさせていただきます。シーザー様も後でご確認ください」

ダービーはそのどれでもなかった。
決して口には出さないがイカサマにイカサマで返す。ヤツは“やられたら受けて立つタイプ”だった。
どうやってハートのロイヤルストレートフラッシュを揃えたのかはわからない。
ダービーは最初の時点でシーザーがイカサマをしているのに、気づいていた。

「このカードは……イカサマはない。正真正銘、“今度こそ”潔白な52枚のトランプだ」

その謎が解けない限り……負けるぜ? シーザー。

 ◇ ◇ ◇

「うざってぇ」

ウェストウッドの苛立ちを横へ受け流しながら、場は静かに続く。
初戦以来、2人の手札は水を打ったように慎ましいものになった。
チマチマとチップを賭けて、やっている事はカードとチップの交換ばかり。
シーザーもダービーもお互いのギャンブル癖を感じ取ったのか、じっと時を待っているようだ。

「シーザー様、我々はお遊びをしているのではありませんよ。ネガティブ・プレイヤーとなんら変わらない」
「その言葉、そっくりそのまま返すぜ」

296 :知りすぎていた男 ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 18:16:45 ID:JJ66erT4
嵐の前のなんとやらだ。事実、シーザーはもう少しで爆弾を爆破させようとしていた。
全チップを使っての、特大級役ロイヤルストレートフラッシュ。

「ならばこうしましょう。山札も、もうすぐ無くなります。このターンの時点で、お互いの手札を比較するというのは? 」
「一発勝負か。聞いてないな、そんな横暴は」

彼は手札を捨てる時に、こっそりとカードをくすねている。
長きに渡る勝負の合間にスペードの10、J、Q、Kを懐に忍ばせていたのだ。
残りはスペードのAのみ。それさえ引けば賭ける準備が整う。

「ならば私はこの勝負を放棄しても構わないのですよ。お仲間のための時間稼ぎに付き合う義理はない」

ダービーはシーザーの足元を見ているようだが、それは大きな勘違いだ。
シーザーはダービーのイカサマの謎を解くために時間を稼いでいるわけじゃないからな。
現にシーザーは、勝負を挑もうと思えばいつでも挑める圧倒的有利な状況にあった。

「意外とせっかちだぜダービー……まぁいい。こっちもここまで出来るとは、思ってなかったさ」

なぜなら彼は、ダービーの背後に『シャボン玉で作ったレンズ』を飛ばしていたのだから。
レンズに移りこむ映像は、ダービーの手札。彼の役は全てシーザーに筒抜けているのだ。
つまり、シーザーはダービーが“チップ全賭けの勝負に持ち込む”のをずっと待っていたんだな。

「俺は三枚交換するぜ」
「では最後の2枚を私が」

白々しい宣言と共に、シーザーはカードを引き当てる。
そこで引き当てたカードはスペードの9とハートのA、ダイヤのA。上手い……!
『スペード』のAが出なくとも『スペード』の『ストレートフラッシュ』は可能。
『ハート』のAと『ダイヤ』のAが出た以上、ダービーはAの『フォーカード』を出せない。

「この2枚はいりません」

……そして『スペード』の『ストレートフラッシュ』より高い、ダイヤ(ハート)の『ロイヤルストレートフラッシュ』も不可能。
これでダービーが勝つには『クラブ』の『ロイヤルストレートフラッシュ』を出さなければならない。
スペードのAが向こうに渡った可能性はあるが、今のヤツにとっては大した役には立たない。
しかしヤツはスペードのAを捨てていない。この場に出ていたのを、僕はまだ目撃していない。

「「ダウン」」

つまり、この勝負は事実上、シーザーの勝利。

「スペードの9−10−J−Q−Kのストレートフラッシュ」
「スペードの10−J−Q−K−Aのロイヤルストレートフラッシュです」

よしっ! やはりダービーはスペードのロイヤルストレートフラッシュッ!
この勝負はシーザーの勝………………

「……俺の、負けだな」

………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………
…………………………………………………………………なんだって?

 ◇ ◇ ◇

297 :知りすぎていた男 ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 18:18:45 ID:JJ66erT4
「おっと……私への手出しは、すなわちシーザー様の死を意味します」

ああ、また1つ魂が肉体から吸いとられてゆく。
シーザー・アントニオ・ツェペリ氏の魂が、ダービー君の手によって人形にされてしまった。
互いが出した手札。それは存在しないはずのカードを使った役だった。
スペードの10−J−Q−Kが2枚。どこから沸いて出たのだろうか。
私は知っている。それはダービー君が仕込んだカードなのだ。

彼はシーザー氏が取り出したトランプとまったく同じ商品を持っていたのだ。

考えてみれば、おかしい話ではない。
シーザー氏が用意したトランプはディバッグに入っていたもの。
つまりアラキヒロヒコから支給されたものであるからして、ダービー君が同じ物を手に入れることは可能。
あの悪趣味な珍しいデザインが……この世に2つあるとは、中々考えにくいのは同情できる。

「彼の魂を返して欲しければ、あなたがは私に勝たなければなりません」

身体に隠していた52枚を手足のように操り、巧みに枚数を調整して手札に加えていたダービー。
このイカサマは、彼自身が元々用意していたものであり、シーザー氏への対策ではない。
イカサマを使おうと決心させたのは、シーザー氏自身。あんな事をしたから、ダービー君はイカサマを疑ったのだろう。
それは最初に出したダイヤのAで−K−Q−J−10のロイヤルストレートフラッシュではなく。

――ブツブツ……小ざかしい……ブツブツ……セキュリティシールなんて……見せ掛け……
  この私に……触り、なれている……シールの、貼り具合……ブツブツ……異変、気づかないとでも……

私には何も違和感はなかった。しかしシーザー氏はセキュリティシールにトリックを使ったようだ。
私にしか聞こえないくらい小さな声で、ダービー君は怒りを訴えていたのだ。
自分に真っ向からイカサマを仕掛けようとしたシーザー氏へ、ダービー君はイカサマ勝負を引き受けたのだ。

「おっと……その前に、もう1人お客様を呼ばなければ」

シーザー氏の真意はわからないが、よりイカサマを駆使して札を揃えたのは相手だったと、負けを認めた。
彼は“相手が同じ種類のトランプを持っているはずがない”と油断した事実を受け入れたのかもしれない。

「それでは……どうぞ」

純粋にカードを引き当てていた、という観点からみればシーザー氏は充分よくやった。
心理的な視野狭窄に陥るのは極端であると思うのだが……それが彼の性分なのだろう。
自分が引き込んだはずの土俵で、相手に負かされる……そんな自分を許すことができなかったのだ。

おそらくシーザー氏はイカサマの種をもう理解しただろう。
ポーカー勝負に隠された“邪悪さと狡猾さの勝負”に、彼は決定的な優劣を付けることを望んでいる。
彼の仲間が抗議したところで、勝敗は覆らない。彼自身が敗北を認めたのだから。
この私、ジョージ・ジョースターのように。
物もろくに言えない貧弱な人形として、この人形箱へと永遠に幽閉されてしまうのだ。

「ようこそ、私の島へ」

そしてまた1人。私はこれからも、悲劇を見届けねばならない。

「や、やれやれだぜ」

298 :知りすぎていた男 ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 19:00:33 ID:JJ66erT4
【G-10 北西部 小島(ダービーズアイランド)/1日目 昼(午前11時)】
【ジョージ・ジョースター1世】
[時間軸]:ジョナサン少年編終了後
[状態]:【肉体】右わき腹に剣による大怪我(貫通しています)、大量失血で血はほとんど抜けました
    【魂】テレンスの作った人形の中。禁止エリアに反応して爆破する首輪つき。
[装備][道具]: なし
[思考・状況]
基本行動方針:ジョナサンとディオの保護
1.おお、なんということだ。
※テレンスに一回勝利しないとジョージの魂は開放されない。 ただしテレンスの死はジョージの死。
※ジョージの人形がどこまでちゃんと喋れるのか不明(話相手ぐらいにはなる?)。

【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[時間軸]:ワムウから解毒剤入りピアスを奪った直後。
[状態]:【肉体】疲労(大)、ダメージ(大)、ヘブンズ・ドアーの洗脳
    【魂】テレンスの作った人形の中。禁止エリアに反応して爆破する首輪つき。
[装備]:スピードワゴンの帽子。
[道具]:支給品一式、エリナの人形、中性洗剤。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには乗らない。リサリサ先生やJOJOと合流し、 エシディシ、ワムウ、カーズを殺害する。
0.…………………精神的敗北。
1.荒木やホル・ホースの能力について知っている人物を探す。
2.スピードワゴン、スージーQ、ストレイツォ、女の子はできれば助けたい。
[備考]
※テレンスに一回勝利しないとジョージの魂は開放されない。 ただしテレンスの死はシーザーの死。
※シーザーの人形がどこまでちゃんと喋れるのか不明(話相手ぐらいにはなる?)。
※第一放送を聞き逃しました。
※ヘブンズ・ドアーの命令は以下の二点です。
 1.『岸辺露伴の身を守る』

【テレンス・T・ダービー】
[時間軸]:承太郎に敗北した後
[状態]:健康 スタンド『アトゥム神』
[装備]:人形のコレクション(ジョージ、シーザー)
[道具]: 世界中のゲーム
[思考・状況]
1.参加者ではなく、基本はG-10にある島でしか行動できない。
2.荒木に逆らえば殺される。
3.参加者たちとゲームをし、勝敗によっては何らかの報酬を与える(ように荒木に命令されている)。

299 :知りすぎていた男 ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 19:01:21 ID:JJ66erT4
【ヴィヴィアーノ・ウエストウッド】
[スタンド]:プラネット・ウェイブス
[時間軸]:徐倫戦直後
[状態]:左肩骨折、ヘブンズ・ドアーの洗脳 、
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(飲料水全て消費)、不明支給品0〜3
[思考・状況]
0.あー……? 誰かきたな。
1.シーザー負けてんじゃねー。
2.露伴の介護をするため、露伴の命令に従う。
3.出会った人間は迷わず殺す。
[備考]
※怪我の応急措置は済ませました。戦闘などに影響が出るかどうかは次の書き手さんにお任せします。
※支給品を確認したかもしれません。
※自分の能力については理解しています。
※ヘブンズ・ドアーの命令は以下の二点です。
 1.『人を殺せない』
 2.『岸辺露伴を治療ができる安全な場所へ運ぶ。なお、その際岸辺露伴の身を守るためならスタンドを行使する事を許可する』
※ヘブンズ・ドアーの制限により人殺しができないことに気づいていません。
※鉄塔の戦いを目撃しました。プッチとサーレーの戦いは空のヘリで戦闘があった、地上では乱戦があった程度しかわかっていません。
 また姿も暗闇のため顔やスタンドは把握していません。
※館から出てきたジョナサン、ブラフォードを見ました。顔まで確認できたかどうかは次の書き手さんにお任せします。

【岸辺露伴】
[スタンド]:ヘブンズ・ドアー
[時間軸]:四部終了後
[状態]:右肩と左腿に重症(治療済み)、貧血気味
[装備]:ポルナレフの車椅子(安静のために乗ってます)
[道具]:基本支給品、ダービーズチケット ジョジョロワトランプ2ndシーズン
[思考・状況]
基本行動方針:色々な人に『取材』しつつ、打倒荒木を目指す。
0.取材取材ィ! ダービー君、君から色々聞きたいからヨロシクッ! シーザーのカリは……って、あんたは!?
1.“時の流れ”や“荒木が時代を超えてヒトを集めた”ことには一切関与しない。
2.あとで隕石を回収しに来よう。
[備考]
※参加者に過去や未来の極端な情報を話さないと固い決意をしました。時の情報に従って接するつもりもないです。
 ヘブンズ・ドアーによる参加者の情報を否定しているわけではありません。

例 プッチ神父と徐倫の情報も大まかに理解しましたが、他人にこの情報を話すつもりは一切ないです。
  プッチ神父には“DIOと親密な仲間ァッー”ではなく“徐倫たちを敵視する、いかれた天国マニア”。
  空条徐倫には“空条承太郎の実の娘”ではなく“プッチたちを嫌う、仲間想いのプッツン女囚”。
  シーザーには“ジョセフの戦友”ではなく、“信頼を得れば実に頼もしい元チンピラ”。
  ウェストウッドには“徐倫と戦ったプッチの部下”ではなく“隕石を落とすうざいヤツ”として接します。

※名簿と地図は、ほとんど確認していません(面倒なのでこれからも見る気なし)。
※傷はシーザーのおかげでかなり回復しました。現在は安静のため車椅子生活を余儀なくされています。
※第一放送を聞き逃しました。
※空条承太郎(オインゴ)に気がつきました。
※露伴の支給品はポルナレフの車椅子、ダービーズチケット!!、ジョジョロワトランプ2ndシーズンの3つでした。


【ジョジョロワトランプ2ndシーズン】
シーザーがポーカー勝負に使ったトランプは、な、な、なんとこれ!
あのジョジョロワトランプが装いも新たにして帰ってきたッ!
ジョジョロワ2ndの参加者88人から厳選された51人+アラキヒロヒコを加えた52枚!! 
岸辺露伴の支給品でもあるが、ホビーショップ『ディオザラス』によれば、かなり大量入荷されたらしいぞ。
あの名プレイヤー、テレンス・T・ダービー氏も一押しの一品ッ! 拡張パック、新シリーズも随時発売予定だァァ!

【ポルナレフの車椅子】
5部でポルナレフが乗っていたもの。わりと身軽に動ける造り。

300 :創る名無しに見る名無し:2009/08/02(日) 21:55:25 ID:zI50eF1e
投下乙

今回一番気になったのが支給品のトランプだな。
トランプの拡張パックってなんだよw

301 : ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 22:00:45 ID:JJ66erT4
>>300
支給品シリーズ
主催側シリーズ
名施設シリーズ

コンプすると晴れて52枚になります。

302 :創る名無しに見る名無し:2009/08/02(日) 22:46:00 ID:CWZ+fc5X
シーザーへの命令いっこしかないよ

303 : ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 23:06:37 ID:JJ66erT4
>>302
露伴はシーザーに1つしか命令を書き込んでいません。

304 : ◆em4fuDEyHM :2009/08/02(日) 23:09:29 ID:JJ66erT4
>>302
状態表は修正させていただきます。
指摘ありがとうございました!

305 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/02(日) 23:29:39 ID:IYirJ/vl
投下乙です!
シーザー…お前なら、お前ならジョージを解放してくれると思ってたのに…
露伴やシーザーの原作でのキャラが頭が回るタイプなのでテレンスの狡猾さが際立つ、際立つゥ!
さて、オインゴはどうなるか?w露伴は承太郎知ってるし…そして放送も迫ってるw
冒頭の露伴の独白もカッコイイ!GJでした!

一日遅れですが一時投下スレにて投下しました。
なにかありましたらよろしくお願いします。

306 :創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 16:24:43 ID:m9Img57i
ジョーカーは誰が描かれているのかな・・・フフフ
52枚じゃ、足りないんだぜ

307 :創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 22:20:20 ID:E6Ivj/cG
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
            i〃彡ノソ´                     ミヾヘミ、ヽ
          l彡'ノ//     _,,,,,,,,,、              ,ミゞミ、川i    そうだ……53枚目は君にしよう……>>306
          ヾ/ノ/ノ   ''""二'''" .    ゙==、,_    ヾミyヾツノ
_______ ゞliノi    ,イで゚)ヽ  :.    _,,,ご'''ー   iヘリノ,ソ_∧,、________
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ i ヾノ     、,二ン` .:.;  .: ィ"(:゚ツヽ、   iヾツノ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           ', ヘi            .:  .:  `゙゙ー ´     ,iリノ′
           ヽ ゙i           、   .::          /シ;
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

308 :創る名無しに見る名無し:2009/08/03(月) 23:56:21 ID:7zAx7UnQ
どんなシリアスな場面でも荒木が出るたび吹くw

309 : ◆33DEIZ1cds :2009/08/04(火) 00:00:54 ID:xC2hAuBy
〜チャットのお知らせ〜

来る8/7金曜午後10時〜ジョジョロワ2nd交流を目的としたチャットを開催します。

書き手さん・読み手さん・その他なんでもありさん。
名前はお好きに決めて入室を。トリ持ちさんはトリでもOK。知られたくない方はなんでもお好きなお名前を。
内容はとにかくジョジョロワなどの雑談。ルールはありませんが、平穏に楽しみましょう。
当日になんでもありと現行スレにチャットルームのURLを貼りに参ります。

この度は私情により直前の日付変更、申し訳ありませんでした。
行けたのに変更のせいで無理になった!という方には特にお詫び申し上げます。
行ってやろうじゃあないか!って方はお待ちしております!

現行スレに書いていいかどうか迷ったんですが、不適切だったら申し訳ありません。

310 :創る名無しに見る名無し:2009/08/04(火) 00:26:39 ID:itGHKJgO
>◆em4fuDEyHM氏
投下乙です!
露伴は時の考察に対し動かない、か……。
確かに奴はリアリティ重視するならな。これが後にどう響くか。
そしてオインゴはどうなってしまうんだ! 続きが非常に気になる!
GJでした!

>◆33DEIZ1cds氏
ここでも問題ないと思いますよ。楽しみにしてます!

311 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 20:44:09 ID:v3ESj1rI
投下します

312 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 20:45:43 ID:v3ESj1rI
僕は、受け継いできた人間だ。
波紋はもちろんツェペリさん。勇気だって父さんの背中を見て、僕は受け継いできたと思ってる。
もっと言えば石仮面。石仮面は確かに多くの波乱や不幸を招いた。
これがなかったら…僕は今よりはもっと平穏に暮らせただろう。それだけは確かだ。
でもそんな石仮面があったからこそ今の僕がいる。知り合った人達がいる。
そういう意味じゃこの僕、ジョナサン・ジョースターは母さんのおかげで今の僕がいるのかもしれない。

「うっ…うぅ………」

涙がポタリポタリと膝を濡らす。太陽がそんな僕を励ますように背中を温かく包み込んでくれる。
背負っていた袋は僕の足元に広がり中にあるのは、首輪だけ。
僕は首輪をそっと持ち上げる。一人の人間が死んだ、それなのになんでこんなにもこの首輪は軽いんだろうか。

「こんな……こんなことって……………」

空っぽになった袋はやけに大きく見える。今の今までここに、彼がいたはずだった。
…そうだ、僕は受け継ぐ人間だ。例えそれがどんなに辛いことだろうと、それが僕なんだ。
首輪を握る拳に力がこもる。彼は一言も漏らさなかった。うめき声一つ上げなかった。
その事実を改めて知り僕の目から涙がドッと溢れた。

「ブラフォード…ブラフォード……………ッ!」

そうだ、彼は何も言わなかったんだ。痛みに耐え抜いたんだ。
奥歯を噛みしめ嗚咽を止める。少しでも気を抜いたら、僕はどうにかなってしまいそうだった。

なによりも許せなかったのは僕自身だ。父を助けることに我を失い恩人を殺した。
罪悪感が僕をむしばむ。不甲斐なさに目の前が真っ暗になる。

でも…だからこそ僕は進むんだ!
ブラフォード、恨むなら存分に恨んでくれ。
罵声でも拳でもなんでも僕は喜んで受け入れよう。
君にはその権利がある。それが僕がしたことなのだから。

「君の意志…確かに受けとめるよ、ブラフォード」

もしかしたらただの勘違いかもしれない。
君の意志とは大きくかけ離れているかもしれない。でも…

「父さん…すぐに行きます」

僕は止まらない。それが君の望んだことだと思うから、僕は父の元へ向かおう。
走り出した僕。でもすぐにその足を止めた。
振り返り今まで通ってきた道を見る。ここのどこかで彼は、ブラフォードは、死んだ。

「君を殺したのは、僕、だ」

313 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 20:48:18 ID:v3ESj1rI
苦しいさ。辛いさ。
でもそれから逃げるのはブラフォードに対する侮辱だ。
首輪を握りしめ僕は今度こそ館に向かって走り出した。

波紋の呼吸を練る。走ることが僕の今のすべきこと。
ただ走ろう。ただ速く、一秒でも速く!

そう思っていたからだろうか。それとも何処かでまだブラフォードに対して気持ちの整理ができてなかったのかもしれない。
多分両方の理由からだろう。

館の目の前、正面玄関で感じた何かの気配に対して僕の反応は一瞬遅れた。

「ちっ…まったくお前もか。どいつもこいつもエラくないねェ〜」






       ◇    ◆    ◇





「アレッシー、バイクを止めろ」

言われなくても俺は止めるつもりだったぜ。なんせあれを逃すわけにはいかねーからな。
湖を目前としたこの地点、その近くそびえ立つジョースター邸。
視界に映ったのはそのジョースター邸に向かい走る一人の男。

俺はハンドルを捻ると徐々にバイクのスピードを落とした。
ラッキーなことにバイクの排気音は男に聞かれることなくそのまま近くの草むらにバイクを忍ばせる。

「で、どうするよ?」

男がいるであろう場所に視線を向けながら俺はダービーに尋ねた。

「そうだな…私としては湖を優先したい。動けることは確かに事実だがあまりにも損傷が大きい。
それに…さっきのような男の可能性もある………」
「おいおい、いささかビビりすぎじゃねーか、ダービーよォ?
確かにさっきの男、コロッセオにいた野郎は桁違いだ。だがよ、そんなモンスターそうそういねえだろォ〜?」
「………」

渋るダービーはそれでも動かない。気持ちがわからねえでもないけどな。
俺は黙って跨がっていたバイクから降りると内緒話でもするようにダービーの耳元で囁いた。

「さっきも言ったけどよォ、俺のスタンドセト神は触った相手を幼くする能力…。
スタンドはその持ち主の精神力、その言葉通りによ…ここだけの話、俺は弱いものイジめが大好きなんだ」
「…」
「だからよォ、俺としちゃもうイライラの限界なんだぜェ〜?なんてったってここに来てから三人もガキにしたのに一人もイジめ尽くせてない。
まったくエラくない連中だらけだねェ〜〜」

314 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 20:50:47 ID:v3ESj1rI
「俺は行くぜ。バイクはてめぇに任せたぜ、ダービー」
「…仕方ない。確かに参加者を減らすのも悪くはない選択肢だ。しかし私は援護しかしない。参加者に接触、直接戦闘するのはお前だ」
「フフフフフ…もちろんだ。まったく、お前が話が通じる相手でよかったぜ…ヒヒヒ、エラいねェ〜〜」

バイクを隠してくる、そう言ったダービーを残して俺は目的地に向かって先陣をきる。
ウクックックック…久しぶりにイジめができる機会に俺の胸が高鳴る。
はやる足を止めずに俺は出来る限り気配を消すと男に向かって慎重に忍び寄った。





      ◆





いいねェ〜、まったくいいねェ〜!
ジョースター邸の扉の真ん前で俺はついに獲物を捉えた。
ところがどっこい、俺の予想を超えた反射で男は一瞬しかセト神に触れなかった。
結果赤ん坊に毛が生えた程度にしようとしていた俺の目論見は崩れた。
弱いもの、とは言いかねない半端な年頃のガキ、そんなヤツが俺の目の前にいる。
正直焦ったぜ。その反射や振り向く動きはさっきのモンスターほどじゃねえが場馴れしてたからな。
慎重を期すならもっと若くしてイジめるべきなんだろうが………。

「…あれ?!こ、これは…一体………ッ?!」

コイツの反応は俺の心を揺さぶる!多分スタンド使いじゃねーんだろうな?
俺に向かって戦いの構えをとったまではエラい。ところが縮んだ自分の拳に変化を感じたコイツの表情!

「グヘヘヘヘヘ」

もっとガキにする予定は取り止めだ。こんなに唖然として戸惑ってるヤツは久しぶりだからなァーーーッ!
た〜っぷり可愛がってやるぜ、ヒャホォ!

一歩一歩近づいていく。それに従ってコイツも一歩一歩後ずさる。
だが俺だって過去の失敗から学ぶ男だ。承太郎やポルナレフの時はそれで痛い目にあったからな…。
セト神は臨戦体制のまま、俺は着実に近づく。コイツがまだ銃や刃物を持ってる可能性もある。警戒を緩めちゃならねえなぁ。

だが、俺にはラッキーなことにコイツは次の瞬間扉に猛然と向かって行きやがった。
俺の顔に笑みが広がる。こいつァ、好都合だ!つまり逃走を選んだのはそれがヤツの最善だからだ。
よってヤツには俺には立ち向かう手段がなァ〜い…!

「待ってくれよォ〜〜〜、ってか?グヘヘヘヘヘ!」

315 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 20:52:08 ID:v3ESj1rI
おいかけっこもかくれんぼも嫌いじゃねえぜ。むしろ弱いものを少しずつ追い詰めるのは大ィィィー好きッ!
扉には鍵がかかってる。逃げ道は見たところここしかねぇよおだし、何も慌てる必要はない。
スタンドのセト神の拳に俺自身の身体。扉を突き破ろうと体当たりをかまし、無茶苦茶にドアノブを乱打する。
そうしてるうちにどうにか扉をぶち壊すことに成功した。さぁて、お楽しみの始まりだ…!

「もぉいいかァ〜〜い?まァ〜だだよォ〜」

かくして俺は無事館に侵入成功、と。ヒヒヒ…!






      ◇    ◆    ◇





揺れるドアを前にぼくは頭を抱えこんだ。いったいこれはどういうことなんだ?
と、とにかくわかってることは………。

僕の名前はジョナサン・ジョースター。父さんの名前はジョージ・ジョースター。
ディオ・ブランドーは最近この館に住み始めた僕と同い年の男の子。
ペットのダニーは僕の無二の親友だ。

それで…それで確かぼくはここになにかをしにきた。とても大切ななにかを…急いでやるために…なんだけど………。

「えっと…」

なんだっけな?ぼくはとにかく急いでた。それだけは確かなんだけど…。
そんなぼくを邪魔するかのようにドアが激しく揺れる。
その音にハッとするとあわててドアから離れた。
そうだ、ぼくに襲いかかってきた変なおじさんがいたんだ!
ぼくはそのおじさんから逃げてここに来た。
それだけじゃない気がしたけどおじさんはぼくに考える時間をくれないみたいだ。
いっそう激しく揺れるドアを見たぼく。そう、今のぼくがやるべきことはひとつ!

それは…逃げる!

階段をかけ上がって二階に向かう。カーペットに広がる血やぼくの身体より大きな剣を見たときなにかを思い出しそうだった。
けどそんなことに構ってられない!とにかくさっきのおじさんをどうにかする方法をかんがえないと!

316 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 20:53:12 ID:v3ESj1rI
それだけぼくは必死だった。だからそこに人がいるかもしれないなんて考えもしなかった。
ただたまたま開いた部屋の中に飛びこんだら偶然、そこに人がいた。

「…あ」
「………!?あなたは、いえ、もしかして………ッ!?」

その人はきれいな女の人だった。
血かなにかでドレスは汚れてた。顔は疲れで青白く見えた。
それでもその人の目は、キラキラ、星みたいに光っててとてもきれいだった。

ドクン

…あれ?ぼくはこの人をどこかで見たことがある気がするぞ………。だれだろう?
女の人は混乱してるぼくをじっと見つめる。なにか考えこんでるみたいで悩んでるその姿もきれいでぼくはドキッとした。
そうしてしばらくするとフゥと息をはいて笑顔になった。
女の人はスッキリしたさわやかな表情でぼくの頭をなでる。

「あなたはジョナサン・ジョースター」

こんな風に頭をなでられたことはなかった。父さんはとても厳しくてぼくをこうやってしたことがなかったから。
だからぼくはどうすればいいかわからなくなって思わず黙りこんだ。さっきのおじさんが近くにいるかもしれないのに。
あたたかい手が優しくぼくの髪の毛にふれる。
きっと母さんが生きてたらこんな風にしてくれたのかもしれない。そうふと思った。

ドォォ〜〜ン!バギバギバギッ!

サッと女の人の顔色が変わる。きれいだった顔をキリッとさせるとぼくをかばうように部屋の扉の前に立った。
ぼくは女の人のかげに入りながらその背中を見上げた。あのおじさんのことを言わないと。

「すみません…言いたいことがあります!」

だけど振り向いた女の人を見るとそんなことは言えなかった。
心配そうな、不安そうな女の人の顔は見たくない。そうぼくが思ったから。
かわりに出たのはぼくの中で不思議に思ったこと。

「なんでぼくの名前を知ってるんですか?」

瞳が大きく開かれる。ぼくは自分の質問を後悔した。
寂しそうな笑顔を浮かべると黙って女の人は首をふったから。
唇にひとさし指をくっつけしー、と言うと女の人はまた扉を振り返った。

その背中はさっきより小さく頼りなく、ぼくには見えた。





     ◇   ◆   ◇

317 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 20:54:34 ID:v3ESj1rI
目の前に広がるのは豪華絢爛な玄関ホール。ざっと見たところで二階まで含めりゃ相当の部屋数だな。
こりゃ…ガキを探すのにちょっぴり骨が折れそうだな………。

「なァ〜んてことにはならないんだな、それが」

ヘッヘッヘッ…まったく最近のガキはエラくないねぇ〜〜。
カーペットの汚れをに目を向ける。おびただしい量の血の海のわきを一つの足跡が横切る。
そしてそれは階段を上り、二階へと向かって行く。

「ママが見たら怒りますよォ〜〜〜」

ピチャピチャと足の裏で跳ね上がる液体。
近くにある大剣やデイバッグも気になるところだが…今はガキを優先だ。
ゆっくり、ゆっくりと階段を昇る。

「どこにいるのかなァ〜〜〜?出ておいでよォ〜〜〜」

勿論足跡から目を離さずにだ。ひょっとしたら巧妙な罠かもしれねえからな。
尤もそこまで余裕があるかと言ったら疑わしいが。
とにかく油断大敵だ。そう絶えず言い聞かせないと興奮でブッチギリそうだった。

「どうしたんだァ〜い?顔を見してくれよォ〜〜〜」

ニンマリと笑みが広がる。
足跡は遂に途切れた。

どうやらここに入ったのは確実みてえだな。
ここ以外に足跡はないのがそれを裏付ける確かなものだった。
部屋ん中にいるガキはなにしてんだろうな?頭を抱えて震えてんのか?
なけなしの勇気を振り絞って俺に立ち向かう構えを取るのか?
涙を流して命乞いをするのか?

「ノックしてもぉしもぉ〜し」

有らぬ妄想に悶えながら焦る気持ちでドアノブを回す。
鍵がかかってやがるか…もう、焦れったいやつだぜ!
早く、早く!一秒でも早くッ!
扉に張り付くように俺は体重をかける。セト神を傍らに呼び出すとその拳でノブを叩く、叩く!

あとほんの少し、ほんの少しだ………ッ!
セト神は勢いを増してめちゃくちゃにノブを回す。
それを見ながら俺は舌舐めずりをして、名残惜しむように扉から距離をとる。
息が自然と荒くなる。ハァハァ…と言う息を吐きながら俺は闘牛のように助走をつけた。

そしてドアをぶち抜き、そのまま中に倒れ込むように俺は―――




ズガン!

318 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 20:55:50 ID:v3ESj1rI
「………あ?」

俺は思わず硬直した。
ガキ共がかけっこでスタートラインで構えるかのようなポーズのまま俺は目の前の光景を見る。
俺が飛び込むことなく、扉は開いた。
そこには震えるさっきのガキとどこか見覚えのある女。
女は青ざめ、呼吸を荒くしている。そうなりながらも腕のなかのマシンガンはしっかりと固定されてる。
そしてその先からは一筋の煙が立ちこめている。

ゆっくりと俺は自分の体に目を落とす。熱い、脇腹が、熱い。
手をやった脇腹からヌメリとした何が流れ落ちる。
それを光にかざすと、そこは赤一色。



「…………………なんじゃこりャアアーーーーーーッ?!」



膝が独りでに折れる。俺の意識とは無関係に身体が前のめりになり、そして倒れこんだ。
アツアツに熱したフライパンで内蔵をかき乱されてるような痛みに俺はのたうち回る。なんだこれ?エラくない、エラくないィイッ!
世界が回り霞む視界の中、もう一度マシンガンを構え直す女が見えた。
俺の口から情けない悲鳴が漏れ、命の危機から転がるようにその場を逃れる。
次の瞬間、俺を掠めるように疾走する銃弾。ついさっきまで俺が存在した場所には大きな大きな穴が生まれた。冗談じゃない、このままじゃ殺される!

階段を文字通り転がり落ちる。身体中に走る痛みよりせめて頭だけは、と両腕で庇った。その腕に一瞬だけ熱が走った。
一段と大きい衝撃を受け終えると俺はボロボロになりながらも一階にたどり着いた。
だが痛みに呻く暇も悪態をつく暇もないッ!逃げろ、俺、逃げろ!

腰が抜けたのか俺の足は動かない。それでも逃げなきゃなんねぇ。俺は芋虫のように惨めに這いつくばり玄関を目指す。

だが絶望が広がる。
耳にはいる階段をかけ降りる音が、チャッと銃を構える音が。


開いた扉から差し込む太陽の光を背に受けゆっくりと振り向いた。目線の先には…マシンガンが俺とにらめっこしてやがる。
ちくしょう…死にたくねぇ。俺はまだ誰もイジめ尽くしてねぇんだ………ッ!
女の息が止まる。集中するかのように両目が一瞬閉じられる。
それにコイツは確か俺が早朝にイジめた女!俺はそんな…イジめられた相手の手で殺されるのか?
狙いを定めるかのように女が銃の先より俺を覗き込む。震えていた手が止まった。
嫌だ、嫌だ、嫌だァッ!俺は死にたくねぇッ!まだまだ子供をイジめてェッ!こんな所で…こんな所で…
引き金に指がかけられた。女が力を入れる。


「ちくしょうーーーッ!死にたくない―――ッ!うわあぁァアあぁァアーーーーッ!!」





―――ドン

319 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 20:56:33 ID:v3ESj1rI
女の身体が揺れた。放たれた銃弾は俺の足元でシュウシュウと音を立てている。
女はマシンガンの反動で揺れたわけじゃない。勿論俺がなにかをしたわけでもない。

「行くぞ、アレッシー」

襟首を捕まれ持ち上げられると俺はうめき声で返事をした。
ダービーが放った何かが撃ち抜いた下っ腹を女がまさぐる。
さっきの俺と同じだ。何が起きたかわかんねぇ、そんな顔をしてる。
ダービーの肩に背負われ俺はこうして命からがら館より逃げ出した。
ドサッと何か重いものが倒れたのを耳にして。





      ◇   ◆   ◇





「………お姉さん?」

ぼくの言葉にはだれも返事をしてくれなかった。無表情なドアが僕を見つめ返すだけ。
じっとなんかしていられなかった。あの女の人は今ごろおじさんと戦っている。なのに物音一つしない。それがいっそうぼくの不安をかき立てた。
イライラとぼくは立ったり座ったりを繰り返す。その場でぐるぐる歩きまわったと思ったら立ち止まる。
イスに座ったと思ったらスクッと立ち上がる。その繰り返し。
ただ自分からドアノブに触れることは決してしなかった。
それをしたらあの女の人との約束を破ることになる。それだけは、このぼくにはできないことだ。

その約束は急いで立てられた誓いだった。おじさんが悲鳴を上げ転げるのを見て女の人が僕に向き直る。
おじさんが反撃できないことを十分に確認すると僕の手を握り言った。

『あなたはここにいてください』
『どうしてですか?ぼくも戦います!ぼくは本当の紳士を目指してるんです!勝てないなんて最初から―』
『勇気と無謀は違う』
『……………!』
『クスッ、そんな困った顔をしないでください。でも………』
『貴方にもしも勇気があるというなら…信じてください。この私を信じるという勇気をもってくれませんか?』
『………はい』

約束は守る。それが本当の紳士だ。
最後にはぼくは腹を決めてドアの真正面のイスに座ると腕組みをした。
もうここまできたらなんでもこい、だ。
ぼくは…あの女の人を信じるんだッ!

振り子時計とぼくの心臓だけが音をたてる。
とても静かだった。
階下でなにか起きてるとは思えないほど静かだった。

320 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 21:01:22 ID:v3ESj1rI
唐突に、けれどもゆっくりとドアが開いた。ビクリとぼくは反応して腰を浮かした。
一瞬だけあのおじさんが来たらどうしよう…そんな不安がよぎったから。
けれどもその不安は無事に外れた。入ってきたのは女の人だった。
思わず胸をなでおろす。ホッと息をはいて声をかけようとして…

「!」

女の人は血まみれだった。それも乾いた血じゃない。今なにかで撃たれたばかりの傷口、お腹のちょうど下辺りからドクドクと赤い液体が伝う。
うろたえ大慌てするぼく。なにをすればいいんだっけ、血を止めればいいのかな?!いや、ここは医者を呼ぶべきなのかな?!

そんなぼくをよそに本人はどこまでも落ち着いていた。ため息をフゥと吐くとイスに腰かけた。そしてぼくを近くに呼び寄せる。

「いいですか、ジョナサン」

座った女の人の目線はちょうどぼくと同じ高さ。ぼくの瞳をのぞきこむ。

「貴方はよく信じてくれました。よく待ってくれました。」

女の人の両手にぼくの手が包みこまれる。やわらかくてあたたかくて大きな手だ。

「不安だったでしょう。怖かったことでしょう。でも貴方はそれに耐えきったのです!」
「…」
「ジョナサン・ジョースター、貴方の勇気を私は誇りに思います」

ぼくは嬉しかった。けど同時にどうしようもなく居心地が悪かった。
本当にすごいのはぼくじゃない。目の前のこの女の人だ。
さぞかし今のぼくはさえない顔をしてるんだろうな。
そんなぼくの様子に気づいたのか、それとも気づいてないのか。
女の人はポケットをしばらくの間ゴソゴソすると、探し物を引っ張り出す。
じっとそれを見つめる表情がほんの少しだけ固くなったのにぼくは気づいた。
けど黙って次の言葉を待った。大人のそういうしぐさはなにか深いわけがあるからだ。いつかの父さんがそうだったから。

「そんな貴方の勇気を見込んで…これを譲ります」

渡されたのは…チケット?
紫色の下地に金色のラメ入りの文字ででかでかと“DARBY'S TICKET!”と書いてある。
まわりにはこれでもか、と言わんばかりにトランプやらチェスのコマやらチップが楽しげな様子を演出してる。
そして右端にはニヒルな笑顔の変な…個性的な帽子被った若い男の人。

一見ただのチケットみたいだ。
けど渡した本人はどこまでも真剣な表情だ。今まで以上にひしひしと伝わるものがある。
この人をそこまでにするなんて…いったいこれはなんのチケットなんだ?

「ジョナサン、貴方が本当に…本当に勇気があるのなら、勇気があると思ったなら、このチケットを使ってください。」
「これを…?」
「どんなに酷い目に会おうとも、どんなに辛い現実があろうとも、どんなに厳しい試練が待ち受けていても。
それに立ち向かう勇気…!それが貴方にありますか?」

目と目が合う。思わず圧倒されそうになり、ぼくは負けじとにらみ返した。
にらむぼく、見つめる女の人。にらむ、見つめる、にらむ、見つめる………。

「フフフ…」
「ハハハ…」

321 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:01:49 ID:MoWAnVtk
美しすぎる支援

322 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 21:02:02 ID:v3ESj1rI
そうやっていたら、やたらむきになったのがおもしろかったのか、どちらからともなく笑ってしまった。
しばらくの間部屋に笑い声がこだまする。いつまでもこうしていられる、そう錯覚してしまうほど。

「…そろそろ行かなくてはなりません」
「行くって…どこに行くんですか?その傷で無理しちゃいけない!」

女の人が呟いた。ぼくはびっくりした。
なにをしに行くと言うんだろう。なによりも安静にしとかないとマズイ。子供のぼくが見てもそれは確かだった。
暑くもないのに汗が額から浮かんでる。寒くもないのに震えがはしってる。明らかにおかしかった。

「駄目です!本当はこうやってる時間もなかった。すぐにぼくがなにか探してきま―――」
「ジョナサン」

部屋の中になにかないだろうか。とにかく今は血を止めるのが最優先だ。
ああ、ぼくったらなにをやってたんだ。すぐにでも処置をしなくてはいけなかった!
これじゃ本当の紳士にはなれない!
ぼくがそう思っていたときだった。

部屋中を走り回るぼくを止めたのは体に回されたうで。
後ろから抱き締められたぼくは思わず固まる。背中にトクントクンと心臓の鼓動が伝わる。
それはぼくのものではないリズムで脈打つ。全身に向け、命を送り込む。

「もっと早くこうしていたかった」

緊張で僕は身体を強張せる。

「もっとずっとこうしていたい」

だけどその言葉が、優しさが温かい。

「ジョナサン…貴方の勇気がこれっぽっちでも私にあったなら…」

眼をつぶりこの時だけ女の人に全てを任せた。

「…それでもこうして貴方が腕の中にいる。これ以上になにがあるのでしょう?」

眼を開く。振り向くと…その人は泣いていた。
涙を流して、それでも気高く、それでいてどこまでも優しい笑顔。

323 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 21:02:43 ID:v3ESj1rI
「…勇気が出るおまじないです」

唇が触れたのは一瞬だった。
少しだけ悪戯っぽい笑顔を呆然とする僕に向けるとドアへ向かっていく後ろ姿。

「ありがとう」

女の人がドアノブをつかむ。

「そして…さようなら」

ドアが開いていく。その身を滑り込ませていく。

「―――幸せにね……ジョナサン」

軋む音を立てて扉が閉じられた。
閉まるその音がやけに大きく聞こえた。





◇◆◇





「エラくない、全然エラくないッ!ちくしょう、痛ェエエ、痛ぇよォ〜〜〜〜ッ!」

大の男が涙声で喚くとここまで不愉快だとは私も知らなかったな…。
尤もそんなことを覚えてもこの先何に役に立つとは思えんがな。

シクシクと泣く相棒を眺めて私はため息を吐いた。
同盟を申し込まれた時のコイツの機転の良さに少し期待した自分が馬鹿らしかった。
勿論相手を殺すとまでは期待はしていなかった。しかし子供になった相手に傷一つつけないとは…呆れるばかりだ。

いっそのことここで始末するか…。そうも思ったがそれを思い直す。
要はコイツに優秀な『ブレイン』が付けばいいのだ。
コイツはきっと一生自分が何故負けたかわからんだろう。
それはコイツがそういう精神をしているからだ。


324 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:03:04 ID:MoWAnVtk
携帯、PC、支援二刀流

325 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 21:04:24 ID:v3ESj1rI
スタンドは精神力―――端的に言い表すとそう言える。
コイツは虐めることに生き甲斐を感じ、そのような精神をしている。ある意味ではそれだからヤツの行動は間違いではない。
なんせ『スタンド』通りに動いたんだからな。
そう、虐めるためのスタンドなのだ。コイツの『セト神』は。

なんともまぁ、融通の効かないヤツだ。まぁ、今回の戦いでそれがわかっただけよしとしよう…。

私はそう自分に言い聞かせた。事態は一刻を争うとはわかっていたが…私は自分を押さえた。

いや、押さえることができた。
それは私が徐倫を信じてるから。
彼女なら…彼女なら例えどんなことがあろうとも生き残っている。
そう思うと気持ちが落ち着いた。

「―――…いッ!おい、ダービーッ!聞いてんのか、テメェッ!」
「すまない、少々考えごとをしていた」
「それより本当に湖に行けば治療してくれをだろうなァ?」
「ああ、それは信じてもらってかまわない。とにかく一刻も早くだ」

悪態を盛大につくアレッシー。その様子を見る限りじゃ案外軽傷ではないのか。
バイクも速くはないとは言え、しっかりと運転が出来ている。
…やれやれ、これは喜ぶべきことなんだろうが………。

「おい、ダービー!俺の治療が終わったならすぐにでも館に向かってもらうからなッ!」
「どうしてだ?」
「俺のむかっ腹が収まんねからだよォッ!くそッ、あの二人絶対許さねぇ!絶対殺してやるゥ!」

喚いたり泣いたり怒鳴ったり忙しい男だ。
…しばらくはため息が続きそうだな。私はそう思った。


「ああァアアー痛ェエエぜ、ちくしょおおォーーッ!」





     ◇   ◆   ◇





326 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:04:35 ID:qaHWmUis
支援

327 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:04:57 ID:MoWAnVtk
sienn

328 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:05:59 ID:MoWAnVtk
携帯支援が成功しないorz支援

329 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 21:06:16 ID:v3ESj1rI
身体全身で扉にぶつかる。それでもドアは開かない。
歯痒い。しかし僕にはこうするしかない。『今』の僕にはこの手段しかないんだッ!
部屋の中央まで下がると思いっきり助走をつけ、全身で扉にぶち当たる。
一度で壊れなかったら二度。
二度で壊れなかったら三度。
なんどでもぶつかるさ、なぜなら…

「エリナッ!」

そこに愛すべき人がいるんだから。
僕は全てを思い出した。何で忘れてたんだろう。あんな大事なことを。
どうして気づかなかったんだろう。こんな大切な人を。

自分が腹立たしい。無力な自分が怨めしい。だけど諦めてはならない。
足を止めるな、ジョナサン・ジョースターッ!なぜなら待ってるのはエリナだけじゃない!
父さんもいる。何処にいるかはわからない。けれども一刻も早く、ただエリナに…ッ!
そのためにも、どんなに辛いとも立ち向かうんだッ!

「そうだろ、ブラフォードッ!!!」

だからこの言葉を叫ぼう。
この力を叩き込もう。

「ふるえるぞハート!」

ダブダブだった袖に合わせてメキメキと腕が成長する。
元の大きさに、大人になろうと骨が軋む。

「燃えつきるほどヒート!!」

甲高かった声が轟く低さに戻る。その声にのせて最後の呼吸を口から吐く。

「おおおおぉーッ!刻むぞ、血液のビート!」
「山吹き色の波紋疾走!!」

僕、ジョナサン・ジョースターは何もかもが元通りになった。
記憶も、もちろん、身体も。


どうやらエリナは扉の後ろに机や椅子を積み上げていたらしい。それが扉が空かなかった原因のようだ。
僕の波紋疾走の衝撃はくだけ散った扉をも飛び越え、幾つかの家具を吹き飛ばした。
部屋を飛び出した僕の耳に家具が転がり落ちる音が入ってくる。
それに構わず僕はエリナを探す。
…いた!玄関ホールのちょうど真ん中!

330 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:06:48 ID:MoWAnVtk
支援

331 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 21:07:37 ID:v3ESj1rI
飛ぶように愛しの人の元へ向かう。
自分に何が起きたかなんてどうでもよかった。
どうして子供になってしまったかなんて今は関係ない話だ。

ただ大切なことは世界で一番大切な女(ひと)が泣いている、悲しんでいる、苦しんでいる。

ならばそれを支えるのは…僕だ。そうさ…いつだってささえるさ!

「エリナッ!」

彼女の背中にそう叫ぶ。二階から階段を一段飛ばしでかけ降りる。
ゆっくりと彼女が振り向く。その光景がやけにゆっくりに見える。
スローモーションのようなその光景を見ながら足を進める。一秒でも早く、彼女の元へ。

―――振り返った彼女の顔は絶望に染まっていた。

どうして?どうしてそんな不安そうな顔をするんだ?
君は…僕を信じてくれている。僕も君を信じている。
エリナまで残り十メートルもない。そうだ、そんなに不安なら僕がその不安を、絶望を打ち消さなければ。

―――来ないで

そう彼女の唇が動いた。
僕はさらに混乱する。きっと父さんのことでエリナは何かを知っているのにちがいない。
もしかしたら…最悪の出来事が起きたのかもしれない。
でも…それで彼女が罪悪感を感じているなら、それは違う。
悪いのは僕なんだ。だからそんな顔をしないでくれ、エリナ。

エリナまで後僅か。手を伸ばせば届く距離。

「来ないで、ジョナサン…」

聞こえたのはそんな声だった。今にも消えそうな儚い、微かな声。


そして





僕の前で赤い花火が



舞った。






     ◇   ◆   ◇




「館に戻る必要はないィ〜〜〜?」
「ああ」

332 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:07:39 ID:MoWAnVtk
支援

333 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 21:08:19 ID:v3ESj1rI
視界に入るのは太陽を反射させキラキラ輝く水。
私の故郷であり分身であり命の源。

「お前の獲物、そうかもしれんがあの状況でそうも言ってられなかった。そのことについては謝ろう」
「チェッ…それを言われちゃ俺も弱いぜ………。でも確かなんだろうな?」
「そこら辺も含めて詳しく私のスタンドについて話しておこう。治療と同時平行で行えば時間も有効に使える」
「わかった。とりあえず急ぐとするぜ」

唸りをあげるバイクの排気音。顔にあたる湿気を含んだ風。
そうだ、これだ。水辺にいるというのが私の心を落ち着かせてくれた。
私の罪の意識を軽くしてくれた。

もう、私は吹っ切れた。
最も残酷な方法で彼女の生に幕を下ろしたのだから。
私は『あえて』威力の弱い弾を放った。分身を込めたそれは狙い通りに完全な貫通をすることなく体内に残った。
後は本人の血液の中で増殖。心臓で全身に巡られたフー・ファイターズに私が指令を送るだけだった。

突き破れ、と。

もう後戻りはできない。
だが想像したよりなんて事はなかった。
それにホッとした。

どうだ、怪物よ。私は今、完全に人間をやめたぞ。
人間を捨て、自分を捨て、フー・ファイターズとしてを捨てた。
コロッセオで待っておけ…必ず私は戻る。
次こそお前の息の根を止めてやる…何を犠牲にしてでもなッ!

「待っていろ………『怪物』め………ッ!」







【C-2 南東部 湖の脇/1日目 午前】
【知性と暴力】
【F・F】
[スタンド]:『フー・ファイターズ』
[時間軸]:DアンG抹殺後
[状態]:右手首喪失、顎と舌に負傷、バイクに乗っている
[装備]:ダービーの肉体
[道具]:加湿器、メローネのマスク、支給品一式(水はすべて消費)、壊れた懐中電灯
[思考]:基本行動方針: 空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる
1.水分補給のため、湖で休む
2.アレッシーを利用する。用がすんだらバイクを奪う
3.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断


334 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:08:28 ID:MoWAnVtk
sienn

335 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:09:26 ID:MoWAnVtk
支援

336 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 21:10:17 ID:v3ESj1rI
[備考]
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます
※承太郎はDISCを抜き取られ廃人化した状態だと思いこんでいます
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いてません
※隕石を落としたのはウエストウッドじゃあない別のスタンド使いだと思っています。
※ジョルノに対してはある程度の信頼を寄せるようになりました。出会ったら……?
※黴に感染しませんでした
※ダービーの体を乗っ取ったので外見は完全にダニエル・J・ダービーです
※彼の記憶も見ることが出来たので三部勢(少なくとも承太郎一派、九栄神、DIO、ヴァニラ、ケニーG)の情報は把握しました。
 徐倫を優勝させるために最大限活用します。
※放送でダービーの名が呼ばれるかF・Fの名が呼ばれるかは不明です。
※エートロの皮がE-2とD-2の境目付近に放置されています
※エシディシは血液の温度を上昇させることができ、太陽光に弱いと認識しました。
※思い出を捨てるため、初期の話し方に戻りつつあります(一人称が『あたし』から『私』、など)
※殺すことに対する躊躇いは無くしました




【アレッシー】
[スタンド]:『セト神』
[時間軸]:はるかかなたにフッ飛ばされて再起不能した後
[状態]:顔面に殴られた痕(ミスタからとエリナからの分)、背中に刺された傷(浅い)、地面を転がり蹴られたのでドロドロ、
   片腕に少女エリナの歯型、足のつま先に痛み、顔中鼻血の跡、貧血気味、わき腹に銃創、腕にかすり傷、
   全身に軽い打撲、バイクを運転中
[装備]:メローネのバイク
[道具]:カップラーメン(アレッシーは毒入りだと勘違いしています)、携帯電話、支給品一式。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームに乗るつもりは今のところないが、明らかに自分よりも弱い奴がいたら虐めてスカッとしたい              
1.傷を癒すため、湖に向かう
2.ダービーを抱えた女と合流……できたらいいなぁ、ダービーに会えたからいいか
3.ダービーの信頼を得て保護を受ける。鉄塔近くの奴らとヘリとコロッセオは無視だ!
4.その後、携帯電話を使わせる。
5.でも本当はいじめまくりたくて仕方が無い。
6.上手く不意を突ける機会があればミスタ、ジョナサン、ジョセフ、ディアボロ、音石に報復する
[備考]
※セト神の持続力が弱体化しているようです。アレッシーが気絶しなくても、アレッシーに何らかの異常があれば子供化は解除されるようです。
※その制限に薄々気がつきはじめています、そのためやや警戒気味。ちょっとでもヤバイと感じたら逃走するようです
※『名に棲む鬼』における鉄塔の戦いの一部を目撃しました。会話は聞き取れていません。
 ダービーが投下された瞬間を見逃し、最初に目にしたのはF・Fに抱えられた治療後の姿だったため彼がカビに感染していたことを知りません。
 また上空の戦いは見ておらず、プッチ神父とサーレーの姿もよく見えていませんでした。
※ジョルノのスタンド能力を『触れたものを一定時間固定する』能力、F・Fのスタンド能力を『治療が可能な』能力、
 ディアボロのスタンド能力を『瞬間移動』する能力と認識しました。
 エシディシに関してはスタンド能力がどういったものであるかイマイチ確信を持てていませんが、
 『影を一瞬触れさせたぐらいじゃ若返らない』『太陽光に弱い』と認識しました。
※ンドゥール、オインゴ、マライア、ダニエル・J・ダービー、ヴァニラ・アイスとはお互い面識がありますが、スタンド能力は把握していません。
※カップラーメンをアレッシーは毒入りだと勘違いしています




◇ ◆ ◇

337 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:10:34 ID:MoWAnVtk
支援

338 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:10:41 ID:QeLj7QMf
支援させていただこう!

339 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 21:11:15 ID:v3ESj1rI
なんだ、これは。

赤、赤、赤。
一面に、見渡す限りに広がる赤い海。


『ジョナサン』

足元に広がる液体の中に浮かぶ様々なもの。エリナだったもの。

なんだ、これは。

僕をさっき優しく抱いてくれた腕。右に、左に左右に別れ、それはもう二度と僕の身体に暖かみをくれない。

『…勇気が出るおまじないです』

飛び散る何かの中で僕の視界が捉えたもの。
思い出したのは泣きそうなエリナと押さえられていた下っ腹。

なんだ、これは。

だがそれも当然、もう冷たくただのものになってしまった。
彼が、彼女が動くことはもう、ない。

『ありがとう』

玄関の扉より差し込む太陽がキラリと反射する。
散らばっていたのは二つの輪っか。


なんだ、これは。

340 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:11:36 ID:MoWAnVtk
支援

341 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:11:55 ID:QeLj7QMf
支援

342 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 21:12:12 ID:v3ESj1rI
僕が捧げた愛の誓い。彼女に課せられた死の呪い。
それをつける首や、指は、もう。


『そして…さようなら』



エリナ、今の君はどんな顔をしてる。
君の瞳は何を映してる。君は今、何を考えてる。


なんだ、これは。


抱き抱えたその瞳には何も映らない。
ただカメラに焼き付けられたかのように絶望の色が底に張り付いていた。


『幸せにね……ジョナサン』


―――プツン


切れた
僕の体の中でなにかが切れた
決定的ななにかが





「ああ゛あァアァア゛゛あぁ゛ぁ゛ァアーーーーーッ!!!」


343 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:12:25 ID:MoWAnVtk
支援

344 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:12:58 ID:QeLj7QMf
しえん

345 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:13:19 ID:MoWAnVtk
ダメ押しの支援

346 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 21:13:39 ID:v3ESj1rI
【C-2 ジョースター邸/1日目 午前】
【ジョナサン・ジョースター】
[時間軸]:エリナとのハネムーンでアメリカに向かう途中の船上でワンチェンと遭遇する直前
[状態]:唇と右手から少量の出血(生活、戦闘に支障無。未治療)、顔と体中が血塗れ、鼻の骨折、
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:?????
0.?????
[備考]
※不明支給品1〜2(未確認)とダニーについて書かれていた説明書(未開封)が入ってるジョナサンのデイバッグ、
 タルカスの剣、ジョージのデイバッグの三つがジョースター邸内(C-2)に放置されてます。
またジョナサンの近くにエリナの首輪、エリナの指輪、ブラフォードの首輪が同じく放置されてます。




【エリナ・ペンドルトン 死亡】
【残り 50名】


347 :I was born to love you ◆Y0KPA0n3C. :2009/08/05(水) 21:15:48 ID:v3ESj1rI
投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
一時投下スレにて指摘を下さった方々、ありがとうございました。

348 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:46:38 ID:YlXjKCPw
投下乙
ジョナサンカワイソス主人公まっしぐらだなあ
こんなカワイソス見たことねえぜ

349 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 21:59:22 ID:GKR438G0
投下乙
ジョナサン▼
FFのド外道ぶりに拍車がかかってきてGJ 
あとアレッシーがこんなに活躍するとは思わなかった。
それとようやくダービー戦へのフラグが固まったな。

まだ放送まで時間があるし。ジョナサンはもっとひどい目に会うと思う。
親父の次はエリナだから……次はスピードワゴ(ry

350 :創る名無しに見る名無し:2009/08/05(水) 22:01:23 ID:p6ZcZxeZ
ざんねん! ジョナサンの紳士道は ここで おわってしまった

351 :創る名無しに見る名無し:2009/08/06(木) 15:40:49 ID:BTnBp1Ng
投下乙です

FFの魔改造が進んでいくなあ。それに比べてアレッシー(笑)ときたら……
そしてジョナサンがあああんまりだああああああ
ダービーズチケット渡すことには成功したけど、立ち直れるのか!?

352 : ◆0ZaALZil.A :2009/08/06(木) 22:09:16 ID:BTnBp1Ng
途中報告を。
現在五割ほど書き上げました。進みはあんまりよくないです。考察書くの難しい……
土日に頑張って、日曜夜か月曜に投下予定

353 :創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 21:38:05 ID:etoyMwWU
えっとぉ…そのぉ…チャットってどこでやるのん?

354 :創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 21:40:24 ID:u88XfX6p
>>353
時間になればスナイプガールさんがこのスレにアドレスを貼ってくれるぞ
と、半からからずっと張り付いて更新を連打している俺がいってみる

355 :創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 21:41:39 ID:F9R2A0y/
>>353
10時にここにアドレスが書き込まれるよ!

356 :創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 21:44:04 ID:etoyMwWU
なるほどぉ。
つまり9時から更新連打してたアタイは馬鹿ってことね!

357 :創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 21:54:28 ID:I+5P6F6y
まあ気長に待とうや・・・フフ。

358 : ◆33DEIZ1cds :2009/08/07(金) 21:58:30 ID:F9R2A0y/
間に合ったぁぁあ!只今よりチャット開催!

名前はお好きに決めて入室を!トリ持ちさんはトリでもおk!知られたくない方はなんでもお好きなお名前を!
書き手さん・読み手さん・なんでもありさん。携帯からもたぶん行けます。

最初は自己紹介などをすると、エライねエ〜
内容はとにかくジョジョロワなどの雑談。ルールはありませんが、平穏に楽しみましょう。

アドレス↓
ttp://chat.mimora.com/common/chat.mpl?roomnum=118275&password=

359 :創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 22:01:22 ID:zAdXeMcq
ふむ、トリップキーは使えないみたいですね。
今から入る方、注意ですね

360 :創る名無しに見る名無し:2009/08/07(金) 22:03:45 ID:LV7bHik0
いつもの4人(?)だw

361 : ◆jSnOPC/6TP9K :2009/08/08(土) 00:36:42 ID:wRPGM13W
こんばんわ、◆7d53oKGJP2です。
先程、自分でトリップキーを晒してしまうという禁忌を犯してしまいました。
ロワを見ている皆様には大変ご迷惑をおかけしますが、このトリップはもう使いません。
スナイプガール様、他にも見ていらした方々、重ね重ねご迷惑をお掛けした事をお詫び申し上げます。

362 : ◆xFxgImgUJk :2009/08/08(土) 00:37:32 ID:wRPGM13W
あれ…表示が…

363 : ◆jSnOPC/6TP9K :2009/08/08(土) 00:49:55 ID:wRPGM13W
なんかトリがうまく出ませんが、◆7d53oKGJP2です。失礼しました。

364 :無駄なことなど何もない ◆0ZaALZil.A :2009/08/10(月) 14:10:24 ID:eh9j3pvY
「……以上が俺の考察だ」

ダムが決壊するように一気に、それでいて要点は小川のように淀みなく語ったブチャラティ。

「ミスタ、長いこと話に付き合わせて悪かった」
「い、いや、別に構わねーよ」

だが、頭の出来が人並み以上とは言い難いミスタにとって、それは経典を読み聞かされるようなもので。
普段使わない頭脳を働かせたことで血流が良くなったのか、頭をぼりぼり掻いている。

「要するに、今から確かめる他ないってことだろ?」
「まあそんなところだ。今までの話は推測でしかない。俺たちは圧倒的に情報が足りていないからな」

とはいえ、相手の言いたいこと、要点はしっかりとつかんでいる。
付き合いの長さ、上司と部下としての関係がそれを可能とさせるのだ。

首輪。
ゲーム参加者に課せられた最大の制約にして、荒木が傍観者でいられる所以。
脱出、反逆、逃避、静観……それらを不可能にする、軽量にして強固な拘束具。

勝つためには知らねばならない。
無知は罪だ。だが、知るということは時として罠が待ち受ける。
その罠は死を持って全てを飲み込むかもしれない、それでも。

「覚悟はいいか? オレはできてる」

彼は誓った者のため、罠とて飛び込む覚悟がある。


  ★

365 :無駄なことなど何もない ◆0ZaALZil.A :2009/08/10(月) 14:11:20 ID:eh9j3pvY


話しながら歩くというのは誰だってしたことがあるだろう。
歩くこと。話す、あるいは聞くこと。両方やるのはそう難しいことではない。
だが、片方に意識を集中すればもう片方の作業効率は落ちる、当然だ。

彼らとてそうだ。
ブチャラティらは、老人のようにのろい歩みを取らざるを得なかった。
考察内容と自らの見解を語り、そこから質疑応答に用いる時間を踏まえれば歩調の緩みは当然である。
だが、おかげで時間を有効に使う事が出来たようだ。

「おそらく、ここから南に真っ直ぐ行けば禁止エリアだ」

時計の針は9時を指す。ちょうど【C-1】が禁止エリアになる時間。
先のやり取りで費やした時間は無駄にはならなかった。

「まさかこのまま行くわけじゃあねえよな、ブチャラティ?」
「荒木は『即、爆発することはない』と言っていたが、そのまま受け取るのもどうかしてるからな。
 まずはこの首輪で実験する」

ブチャラティは、スージーの思いとともに受け継いだ首輪を取り出した。
それに荒縄を結び付け、犬のリードのようなものにする。

「なるほど、それを禁止エリアに投げれば、俺たちが禁止エリアに入らなくても首輪の反応が見られるってわけか」
「そうだ。尤も、この首輪は機能が停止しているかもしれないが。
 地面に落とした程度で爆発することは……ないな。もしそうなら、激しい戦闘に耐えられない」

荒縄を持って、首輪を投擲。
わずかに音を立てて着地。だが、首輪は一向に変化を見せず。
位置を間違えたかとも考え、更に南へと投げたものの変わらず。

「やはり機能していないのか?」
「やっぱり突っ込む覚悟するしかねえな」
「ああ、オレもそのつもりだ」

縄を手繰り寄せつつ返事するブチャラティ。

「ブチャラティ、悪いがここは俺が行く。あんたの『スティッキィ・フィンガース』は首輪を外すのに必要な『希望』だ」
「……俺だって最悪のケースは予想している。『荒木の言ったことは嘘で首輪は即爆発、侵入した途端再起不能』というケースをな」
「それだけじゃあねえ。銃のない今、俺が一人で生き残れるかどうかは怪しい。捨て石ってわけじゃあねえが行くべきは俺だ」

366 :無駄なことなど何もない ◆0ZaALZil.A :2009/08/10(月) 14:12:25 ID:eh9j3pvY
ブチャラティにとってミスタの提案は、嬉しくもあり、辛くもあり。
有難い部下を持った事には感謝する、だが余計に部下に負担を掛けるのも、リーダーとしての面子にかかわる。
言っていることは理に適っているから、たちが悪い。


少々の沈黙を経て、彼は――


「ミスタ、禁止エリアに侵入してくれ」


――その覚悟に懸けることにした。


  ★


「大丈夫……だよな? たぶん、きっと」
「おそらくは。殺し合いを見て愉しむような奴が、禁止エリアによる死を望むだろうか?」

決意はしたものの、膝が震えているミスタ。
ブチャラティが落ち着かせようと言葉を掛けるが、不安要素が多いのは事実。

「禁止エリアによる死を望まない。なら、何らかの手段で知らせてくるはずだ。そこに侵入した事実を。
 しかし、注意しなければ感じ取れないもの……例えば、光とかで知らせるのなら。
 夜ならまだしも、今は陽が出ているからな。ミスタ、どんな微細な変化でも見逃すな」

首輪に電球が付いているのは確認済み。
もしこれが禁止エリアを感知するものだとしても、自分からは見えにくい。
だが、地図の確認がしづらい夜に、強い光でもって禁止エリア侵入を伝えるという機能なら納得がいく。

「本当は俺も行って互いに観察すべきだが、ミスタの覚悟を無駄にしたくない」
「……わ、わりいな。先走ろうとしちゃってよ」
「いや、いいんだ。俺一人がいい格好するわけにもいかない」

わずかに笑みが生まれたが、南を見据えると自然二人の顔は引き締まった。
推測に推測を重ねたところで、事実という壁を前にすれば理はあまりにも薄っぺらく、か細い。
だが挑む。膝の震えは止まった。覚悟はとっくにできている。


地を踏む。足を上げる。砂が舞う。

目線は首輪。歩みは南。

地を踏む。足を上げる。砂が舞う。

歩幅が小さくなっているようだが、気にしない。確かに近づいているのだから。

地を踏む。足を上げる。砂が舞う。

一時たりとも気は抜けない。命というチップは何より重い。

地を踏――――

367 :無駄なことなど何もない ◆0ZaALZil.A :2009/08/10(月) 14:14:51 ID:eh9j3pvY





『禁止エリアに侵入。30秒後に首輪が爆破されます』






「なッ」
「戻れ、ミスタ!」

声が聞こえるや否や、バックステップを取ったミスタ。
ブチャラティの命令より早く、離脱を図る。

「グッ!」
「い、今の声は……」
『禁止エリアからの離脱を確認。起爆タイマー、解除』
「まさか……!」

慌てて地に倒れこむミスタ、疑問を投げかけるブチャラティ。二人を無視するように音声響く。
声の主は。

「アラキ……!」

知らぬはずがない、邪悪の化身。

「クソッ! 奴のスタンドか!?」
「待てミスタ!」

周囲の警戒に当たるミスタ。
ブチャラティは顔に滝の様な汗を浮かべていたが、あくまで冷静に振る舞おうとする。

「しかしよブチャラティ、今荒木の声を聞いただろう!?」
「首輪から発せられた音声、だ。
 荒木の警告が、例えば精神に直接訴えかけるものだったらオレに聞こえることはない。とすると……」

口元に手を当て思案するブチャラティ。
だが、口を押さえていても分かるほどに笑みがこぼれていた。だが先のそれとは違う。
それはまるで、大事なテストで山勘を当てたかのような、そんな笑み。

「何か分かったのか、ブチャラティ? 荒木に繋がる何かが?」
「ミスタ。前もって言っておくがオレは別に気が変になったとかそういうことはない。
 だから、少しの間俺が何をしていようと黙っていてくれないか?」

こくりと頷くミスタ。
ブチャラティはチームリーダーを務めるほどに聡明だ。
こんなときに意味のないことをする男であるはずがないと、ミスタは自信を持って言える。
だから言われた通り静観しようと思っていたのだが。

368 :無駄なことなど何もない ◆0ZaALZil.A :2009/08/10(月) 14:15:48 ID:eh9j3pvY


『禁止エリアに侵入。30秒後に首輪が爆破されます』

『禁止エリアからの離脱を確認。起爆タイマー、解除』

『禁止エリアに侵入。30秒後に首輪が爆破されます』

『禁止エリアからの離脱を確認。起爆タイマー、解除』

『禁止エリアに侵入。30秒後に首輪が爆破されます』

『禁止エリアからの離脱を確認。起爆タイマー、解除』


ミスタは、境界線を行き来するブチャラティを見て、首を傾げざるを得なかった。


  ★


「すまないな、ミスタ。待たせた」
「何をしたかったのか全くもって理解不能だぜ、ブチャラティ」

ミスタの頭の中では、疑問符が飛び交っていることだろう。
しかし、ブチャラティは決して気が触れたわけではない。その表情、至ってまじめだ。

「そうだな……理由から説明すると回りくどい。結論から言おう。
 荒木のスタンド能力が、首輪に関係している可能性は極めて低い」

ややあって、ミスタが腑に落ちないといった表情で問いかける。

「全ッ然分からん」
「逆に考えるんだ、もし首輪が荒木のスタンドなら、どんなタイプか? と」

スタンドによる戦闘経験が決して少なくないミスタにとって、この質問に答えるのはさして難しいことではなかった。

「そりゃあ、『遠隔操作型』か『自動追跡型』じゃあねーか?」
「そうだ。だが二つともあり得ない、説明がつかないことがあるんだ」
「一つずつ頼むぜ」

ああ、と軽く息つく間をはさんで、ブチャラティは自論を展開する。

369 :無駄なことなど何もない ◆0ZaALZil.A :2009/08/10(月) 14:16:35 ID:eh9j3pvY
「まず『首輪が遠隔操作型のスタンド』である場合。これは論外だ。
 荒木がどこにいるか分からないが、この広い街で首を吹っ飛ばすだけの威力を出せるか?
 パワーは距離に依存するから、首輪の爆発力を一定に保つのは難儀だ。
 感覚を共有していても生死の確認なんて苦労するどころの話じゃあない。
 一瞬たりとも気が抜けなくなる。88人の大所帯となればな。おちおち寝てもいられない」

メモを取り出すブチャラティ。

「同じ理由から、『首輪に作用するスタンド能力で生死の確認を行っている』というのも可能性としては低くなる。
 別の手段、例えば監視による二段構えの確認をされているかもしれないがな」

そして、こう書き加える。


 ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)


「そして『自動追跡型』の場合。パワーが距離に関係なく出せるから、どちらかというと遠隔操作型より可能性が高い。
 しかしだ……ちょっと地面を見てくれ」

そこには、子供が陣取りでもしたかのような感じで線が引かれていた。
その前に立つブチャラティ。一歩踏み出す。


『禁止エリアに侵入。30秒後に首輪が爆破されます』


忠告に従い、すぐさま離脱。


『禁止エリアからの離脱を確認。起爆タイマー、解除』



370 :無駄なことなど何もない ◆0ZaALZil.A :2009/08/10(月) 14:17:40 ID:eh9j3pvY
「ミスタ、この首輪は『精密すぎる』んだ。禁止エリアへの侵入を必ず伝えてくる。寸分狂わずな」
「『自動追跡型』は大雑把な動きしかできないからありえねえわな」
「そうだ。ついでに言えば、『町全体の3/100』だけを禁止エリアに指定している時点でかなり精密だ。
 あげく、最初に88人一斉に別々の場所にワープだのやられちゃあ、大雑把だなんて口が裂けても言えないさ」

両手の平を上に向け、「やれやれ」といった感じのポーズを作るブチャラティ。
それとは対照的に、ミスタは怪訝な顔をブチャラティに向けていた。

「ああ、よーくわかったぜブチャラティ。だが、分からねえ。
 アラキのスタンドが完全に判明したわけでもねえのに、あの笑みは何だったんだ?」
「確かにアラキのスタンド能力は分からないが、アラキを打倒する上で大切なことが分かった」

人差し指を立ててブチャラティは言う。

「アラキは、ほぼ単独で動いている」

「どういうこったい?」
「順を追って説明する」

確信に満ちたその瞳。
ミスタは、ブチャラティの言葉を不思議に思っても否定はしない。

「あくまで俺が述べたのは『アラキ一人で首輪にスタンド能力を作用させた場合』に言えることだ。
 他の誰かにさせているのなら全くの的外れになる」
「それがないと言い切れるってことだよな? 理由は?」
「俺たちが集められたホールの舞台には『アラキしかいなかった』。これが答えだ」

息つく間もなく話は続く。

「参加者に反抗されないために、自分の協力者を示しておくのは意義がある。
 単純に考えて、全面対決することになった場合、敵が二人なら戦力が二分、三人なら三分される。軍隊ならほぼ対処しようがない。
 湖に船を浮かべるくらいだ。奴は自分の強さをやたら見せつけたがっている。
 なのに、スタンドのヴィジョンすら見せなかったのは『出来ないから』だろうな。
 敵が一人なら、不意を突けば打ち取れるはずだ……!」
「協力者がいないってことか?」
「いたとしても、そいつは積極的に協力しているわけではないだろう。
 もしくは、あの場にいてもハッタリが利かないような奴かもしれない」

371 :無駄なことなど何もない ◆0ZaALZil.A :2009/08/10(月) 14:18:51 ID:eh9j3pvY
紙上で鉛筆を躍らせるブチャラティ。


 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む)


「あんな少ない情報からここまで分かるもんなのか……流石だぜ、ブチャラティ」
「断定するのは危険だがな。それにもしかしたら、『そう思わせるのが目的』なのかもしれない」
「アラキの手の内で踊らされていただけでした、ってのは勘弁願いたいぜ」

肩を落として深くため息をつくミスタ。

「さて……もう一つの仮説を確かめに行くか」

荷物をまとめて進路は西へ。
箱庭の外を知るために。


  ★


「特に壁で仕切られてるとかじゃあなさそうだな」

地図でいう所の西端に来てみたはいいものの、情景にこれといった変化はなかった。
見たところ、地図の外に出ようと思えば出られそうである。

「俺の予測が正しければ、この先は禁止エリアだ。逃げようとしていきなりズガン! だったら先に伝えてるだろう」
「その方が、みんな中央によりだがるしな」

歩む、歩む、歩む。


『禁止エリアに侵入。30秒後に首輪が爆破されます』


「やはり、な」
「地図の外側に城を構えてる、って可能性は本格的に出てきたな」

軽く話し合う余裕を見せつけて、引き返す。


『禁止エリアからの離脱を確認。起爆タイマー、解除』


「大体のラインを見極めるか」

往復開始。
侵入と離脱の知らせが続く。
こうも繰り返されると、荒木も『いい加減しつこいね』とか言ってくればいいのに、
と、ミスタはくだらないことを考えていた。

372 :無駄なことなど何もない ◆0ZaALZil.A :2009/08/10(月) 14:19:47 ID:eh9j3pvY
しばらくして、ブチャラティはピッチャーマウンドを踏み固めるような動きで地面に跡をつけた。

「でもよお、跡なんか付けてどうするつもりだブチャラティ? 判別の正確さを再確認するのか?」

ブチャラティの返答は、わずかに遅れが生じたものだった。

「俺たちは見せつけるしかないんだ。荒木の居場所を見つけ出すためには……」


「死地に突っ込む『覚悟』があることを!」


弾かれたように、西へ駆け出していくブチャラティ。


「馬鹿な、ブチャラティ――――――!」
『禁止エリアに侵入。30秒後に首輪が爆破されます』

唐突にして突然、ゆえにミスタの反応は遅れ、止めること叶わず。
警告もなんのその、ブチャラティは止まる気配を見せない。
その走りは、戻ることなど微塵も考えていないスピードだった。

『20秒後に首輪が爆破されます』

更なる警告にも、ブチャラティは怯まない。
途中で動きが止まる。周囲を確認していた。
振り返り、帰還しようとする。

『10秒後に首輪が爆破されます』

無情にも迫る制限時間。ミスタは焦っていた。
ブチャラティが駆けた距離は優に100メートルは超えている。
一流のスプリンターでも10秒でこの距離は至難。
それ以前にブチャラティは往復するのだ、息が続かない。

『5秒前』

死の宣告を言い渡すカウントダウン。
録音の筈なのに、笑みを抑えきれない荒木の表情が浮かび上がってくる。

373 :無駄なことなど何もない ◆0ZaALZil.A :2009/08/10(月) 14:20:32 ID:eh9j3pvY
『4――』

遠い。圧倒的に。人の足では。

『3――』
「『スティッキィ・フィンガース』!」

精神の像を発現。大地を殴りつける。
諦めの意からなる行為ではない。
触れると同時にジッパーが出現。まるで線路。

『2――』
「開け、ジッパー!」

引き手を掴み、自動的に切開。それを推進力とし高速移動。
摩擦音響かせ滑る。滑る――

『1――』




  ★


「無茶しないでくれよブチャラティ! せめて俺に一言言ってから」
「言ったら……止めただろう?」

図星を突かれてミスタは黙る。

実際、かなりの無茶だった。
ジッパーの長さは残る距離全てを補うことはできず、
野球選手が塁に向かってするかのようなヘッドスライディングでギリギリ抜け出すことに成功したのだ。
ジッパーが生む推進力がそれを可能にさせたが、少しでも足りなければ死体が一つ出来あがっていたことだろう。

息が切れ切れのブチャラティは顔を伏せていたが、それは部下が自分の考えを容認しなかったからではない。

「……見当たら、なかった」
「え?」
「荒木が隠れ家にするような、そんな場所……見当たらなかったんだ……!」

『エアロ・スミス』の射程距離はせいぜい数十メートル。
二酸化炭素のレーダーの範囲は100メートルといったところ。
その範囲内に行ってみたはいいものの、それらしき施設はなかった。

374 :代理:2009/08/10(月) 15:41:40 ID:lBN/UOsc
「考えてみれば分かることだった。索敵なら弾丸に『セックス・ピストルズ』を乗せて
 上空に打ち上げた方が広範囲を調べられる。人物となると難しいだろうが施設なら事足りる。
 ……やはり俺の思い込みだったのか」
「諦めるなよブチャラティ。地図の外って言っても、海の向こう側もあるんだ。
 移動手段が限られるから、そっちの方が可能性が高い」
「そう、だな。それに、地下施設なら気付きようがない」

こうして、実験の結果が書き加えられた。

 ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内いる可能性あり
  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も)

「これからどうするんだブチャラティ? 北側で同じような事すんのか?
 ああ、いや、別に止めはしねえけどよ」
「やめておこう」

即答。北端を行くというのは自分で言ったことなのだが。

「さっきので思い知らされたが、そう簡単に荒木の居場所を見つけられるとは思えない。
 それに、何度も同じことをすればアラキに警戒されるかもしれない」
「じゃあジョースター邸か?」
「彼らは彼らでするべきことがあるだろうから、下手に付き合わせるわけにはいかない。
 だが、今いる位置が位置だ。ワンチェンの支給品を回収してから立ち寄るだけのことはしよう。
 ワンチェンに銃が支給されてたら見逃すわけにもいかないし、協力してくれる以上ジョナサンたちとは情報を共有したい」

主要な施設に行こうにも遠いし、何より拳銃のない今ミスタは足手まといと言っても良い。
石ころでも代用は利くが、不安要素を減らすためにも慣れた武器を手に入れる必要があると判断した。
中心地へ行くのは時期尚早、返り討ちにあうのが関の山。

「じゃあ行こうぜ、ブチャラティ」



彼らの身を呈した考察は、徒労に終わるのか? いつか実を結ぶのか?

だが、無駄なことなど何もない。

辿り着こうとする意志がある限り。


375 :代理:2009/08/10(月) 15:42:28 ID:lBN/UOsc

【B-1 西端/1日目 午前】

【チーム・ブチャラティ】

【ブローノ・ブチャラティ】
[時間軸]:護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後
[状態]:肩に切傷(血は止まっている)、左頬の腫れは引いたがアザあり、右腕の骨折、トリッシュの死に後悔と自責
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、荒縄、シャーロットちゃん、スージーの指輪、スージーの首輪
[思考・状況]
基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出
1.【B-2】へ行き、可能ならワンチェンの支給品および首輪の回収を行う。
2.その後はジョースター邸へ(ジョナサンらと一緒に行動する気はない)。北端に沿って東を見に行くのは中止。
3.絶対にジョセフと会い、指輪を渡す。彼にはどう詫びればいいのか…
4.チームの仲間に合流する。極力多くの人物と接触して、情報を集めたい。
5.“ジョースター”“ツェペリ”“空条”の一族に出会ったら荒木について聞く。特にジョセフ・ジョースター、シーザー・アントニオ・ツェペリ(死亡したがエリザベス・ジョースター)には信頼を置いている。
6.ジョナサンとブラフォードを信頼。できれば他のジョースターにも出会いたい
7.スージーの敵であるディオ・ブランドーを倒す
[備考]
※パッショーネのボスに対して、複雑な心境を抱いています。
※ブチャラティの投げた手榴弾の音は、B−2の周囲一マスに響きわたりました。
※波紋と吸血鬼、屍生人についての知識を得ました
※ブチャラティが持っている紙には以下のことが書いてあります。


@荒木飛呂彦について
・ナランチャのエアロスミスの射程距離内いる可能性あり
 →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も)
・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む)


A首輪について
・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
 →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)
・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。


B参加者について
・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから




376 :代理:2009/08/10(月) 15:43:23 ID:lBN/UOsc
【グイード・ミスタ】
[時間軸]:54巻、トラックの運転手を殴った直後(ベイビィフェイス戦直前)
[状態]:健康、左頬が腫れている、トリッシュの死に深い動揺とゲームに対する怒り
[装備]:ナランチャのナイフ、手榴弾2個
[道具]:不明支給品残り0〜1(あるとしたら武器ではないようです)
[思考・状況]
基本行動方針:ブチャラティと共に行動する。ブチャラティの命令なら何だってきく。
1.【B-2】へ行き、可能ならワンチェンの支給品および首輪の回収を行う。その後ジョースター邸へ
2.エリナの誤解を解きたい
3.アレッシーうざい
4.あれこれ考えずシンプルに行動するつもり。ゲームには乗らない
[備考]
二人がした情報交換について
※ブチャラティのこれまでの経緯(スージーとの出会い〜ワンチェン撃破まで)
※ミスタのこれまでの経緯(アレッシー、エリナとの出会い〜ブチャラティと合流まで)
※波紋と吸血鬼、屍生人についての知識を得ました

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さるさんくらっちゃいました。時間帯考えるべきだったかなorz
どなたか代理投下お願いします

代理投下終了

377 :創る名無しに見る名無し:2009/08/12(水) 01:50:57 ID:qZAyOCr5
投下乙です!
ただの考察だけでは無く、ミスタとブチャラティの禁止エリア・首輪の性能把握のためのギリギリの実験にドキドキしました。

「ブチャラティ、悪いがここは俺が行く。あんたの『スティッキィ・フィンガース』は首輪を外すのに必要な『希望』だ」
ミスタは男前ですね…彼の覚悟を辛いながらも汲んで、禁止エリア侵入を命令するブチャラティも、信頼し合ってるからこそ命令できるけど、
そんな大切な仲間を危険な目にあわせてしまうこの状況下…、彼の辛さが心に響きました。考察内容も以前変わりなく、COOL!
ほんとに2人はいいチームだなあ…

しかし…向かうジョースター邸にはエリナを失ったジョナサンが…!どうなちゃうのよォ!
今後がすごく楽しみになりました!

378 :スナイプ・ガール ◆33DEIZ1cds :2009/08/12(水) 21:48:04 ID:qZAyOCr5
限界だッ!放送するねッ!!(22時よりしゃべります。それまで無音。)

聴き方解説ページ→ ttp://cgi33.plala.or.jp/~kroko_ff/mailf/radio.htm
アドレス→http://std1.ladio.net:8020/jojoroyaleradio004.m3u
後、livedoorねとらじttp://ladio.net/で題名(ラジオでjojoロワ:第四回放送)検索でもいけます。
ねとらじから行くと、題名横の「play」から再生できます。

実況スレ→http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12752/1250013487/


379 :スナイプ・ガール ◆33DEIZ1cds :2009/08/13(木) 02:43:05 ID:N6f3biA2
ラジオに乱入してくださった方々、お聞きくださった方々、お疲れ様でした!!

↓ラジオ用したらばに録音をご用意したのでお知らせします。例によって音関係がよろしくありません…ご容赦ください。
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12752/1250013487/
レス版>85に置いてます。

次回は9/2水午後9時から。同時に、wikiのラジオのページに今年の日程を追加しました。余程のことが起こらない限りはこの日付で確定です。
^^^^^
では、次回もお待ちしてます!       

380 :創る名無しに見る名無し:2009/08/14(金) 22:13:23 ID:qJLXHOKi
したらばに新作キター−−−−!!!
が、見事に荒れてるなオイ。

氏の新作が、無事にこの板に乗ることを祈るぜ……

381 :when where who which ◆bAvEh6dTC. :2009/08/15(土) 10:25:54 ID:mzoKOVxA
【荒木飛呂彦】投下します。
元「二人式有限確定情報ゲーム」です。
これは、後の4人組VSゲス二人とは、何の関係もない、単発の話です。

一寸(約3p)にカットされた桃色の大理石と墨色の大理石が、32組ずつ隙間無く敷き詰められている。
それらの石片を動かないように固定している枠は
目が痛くなるほどに、精巧な唐草模様が彫られた白檀の樹で作られており
この状態でも十分鑑賞用に耐えうる資格を持っているのに、さらにその上に宝玉で作られた駒が乗っていれば
チェスセットとしては、十分に過ぎたる物であると言えよう。
普通なら博物館の宝物庫に仕舞い込まれるべき一品を、おしげもなくテーブルの上に広げて二人の人影が向かい合う

人影の一つが、石英で作られた歩兵の駒を手に取ると相手に向かって2マス進めた。
対する人影も、黒水晶の歩兵を相手が置いた駒の向いへと1マス進める。

e6とe4。

フランス防御と呼ばれる、定石中の定石である。
初手としてはありふれていると言えよう。

先手を打った人影―――荒木飛呂彦は、本に書かれたような定石に顔をしかめた
彼としては、もう少し破天荒な初手を期待していたのだ、キングフィアンケットの防御とか。
荒木飛呂彦は軽く嘆息すると、大量の薄荷と角砂糖の入った自分のグラスに熱い茶を注いだ
一息ついてこのガッカリ感を吹き飛ばそう、という根胆らしい。

荒木の落胆を感じ取ったのか、向いに座る人影は指先でチェスの縁をコツンと叩いた。
意味を訳せば、(古典的な定石でも別にかまわないだろう?ゲームはこれからなんだから)といった所か。
その様子を横目で眺めながら、荒木飛呂彦はグラスに注いだ液体を嚥下する。
薄荷の清涼感と、無駄に加工されていない砂糖の優しい甘みが、荒木の落胆を少しだけ慰める
舌の上にわずかに残る苦味を楽しみながら、荒木は瑪瑙で作られた僧侶の駒をc4に進めた
相手も翡翠で作られた僧侶をc5に置く、二つのビショップは向かい合う形になった。

この状態だと、どちらの僧侶も動けない。
この展開に少し満足すると、荒木飛呂彦はテーブルの向こう側に座る相手に親しげに話しかける。

「人数が人数だから、3日ぐらいはかかるかなと思ったけど、このペースだと一日以内で終わりそうな勢いだね」

そう言うと、手に持った金剛石の王をe2に置いた
荒木飛呂彦が主催するこの「バトル・ロワイヤル」、始まってまだ9時間しかたっていない。
それだというのに、参加者の約半数近くが死亡しようかという勢いである。
この原因は主に参加者達にあるのだろう、元々殺しを生業としている者や、殺しそのものを趣味にしている者
そして、それらを撃退しようという意思を持つ者達、つまり彼等は殺し、殺されるということに慣れている
それに加えて「スタンド」「波紋」「吸血鬼」といったような異能の力
それらを一か所に集めれば激突し、潰し合うのは自明の理であると言えた。
荒木は更に続ける。

「だけど空条承太郎まで死んじゃうとはね、僕も彼の奥さん殺したりして揺さぶってみたりしたけどさ
 あそこまで綺麗に繋がるとは思わなかったよ」

笑っちゃうよね、と言いながらも荒木の顔は笑みを浮かべない
面白くない、というよりは誰が死のうが生きようが関係無いといった体だ。


382 :when where who which ◆bAvEh6dTC. :2009/08/15(土) 10:28:03 ID:mzoKOVxA
生前、敬意をはらった人物でも、死んでしまえばもう興味は無い。
その様子は子供がおもちゃに遊び飽きて放り投げる様によく似ていた。
もっとも、このような思考回路の人間だからこそ、殺人ゲームを主催しようという気になったのだろうが。
黙したまま返さない相手をいいことに、荒木はさらに話続ける。

「こうやって、チェスに興じれる時間が持てるのは良い事だけどさ
 早く誰か殺し合ってくれないかな、面白い死合いがあったみだけど見逃したみたいだし、退屈でしょうがないよ」

少し前に起きたアクシデント―――
支給品の一つである、カメオのランプで呼び寄せた二人の参加者。
その中の一人が、荒木の保持する「日記」を盗んだのである。
いくら彼女のスタンドが、かなりの小型かつ「小さくする」能力という気づかれにくいタイプのものであったとしても
盗まれた事自体に気がつけなかったというのは、かなりの痛手であった
チェスの相手をしてくれているこの人物から、そのことを指摘されなければ、今頃どうなっていたか……
最悪、日記の秘密を解き明かされ、このゲームを根底からひっくり返されていたかもしれない
それを防ぐためにも、荒木は日記を取り返すために自らゲーム盤に降り立ち、参加者の一人に接触したのだった
荒木の不満は、その時見逃してしまったゲーム内容にあるようだ。

それにくらべて、ここを出る前に見たあの殺し合いは最高だった。
何の能力も持たない上に、足を封じられた少年がほぼ無敵に近いスタンド使いを下したのだ
またあんな殺し合いを見てみたい、拮抗した力を持つ者同士の死力を尽くしたバトルも良いが
圧倒的な戦力差を知力のみで覆すバトルも、また良いものがある。

ん?と荒木は次の手を指さない相手の様子で現実に引き戻された
顔色を伺うと、わずかに苛立ったような気配が伝わってくる、荒木はその苛立ちの原因を探るべく声をかける

「ひょっとして君、勝手に参加者に接触した事を怒ってるのかい?
 しょうがないだろ「日記」盗られちゃったんだから、イレギュラーだったと思って見逃してくれよ」

荒木と彼が「日記」が奪われたと知った時、相手が主張したのはグェスと花京院両名の処刑だった
自分達の正体を少しでも知られるような不安材料が相手の手に渡ったのだ、用心するに越したことはない。
その言葉に荒木は反対したのだ、「それでは面白くない、駒はゲームの中でこそ死ぬべきだ」と
結局、荒木の主張が勝ち「日記」は戻ってきた、結果論としてはこれで良かったのかもしれない。

(まぁ、僕に甘いってことなんだよね)

383 :when where who which ◆bAvEh6dTC. :2009/08/15(土) 10:29:13 ID:mzoKOVxA
そう考えるとなんだか微笑ましい、思わずにやにや笑いを浮かべる荒木に
相手は嘆息すると猫目石の騎士をf6へ置く、つまり一気にこちらの陣地に切り込んで来る形になる
その一手にむっと眉根を寄せると荒木は手に持った歩兵を何処へ置いたものかと思案する。
c3に置くべきか、c4に置くべきか
「歩兵はチェスの魂である」と先人の言葉にもあるように
序盤で歩兵を何処に置いたかによって、終盤の難易度はガラッと変わるのだ
参加者達の殺し合いは佳境に入ったようだが、自分達の勝負はこれからだ。

出入り口一つ無い、真っ白な室内の中に駒を置く音だけが響く―――


       【when  where  who  which ?】
     

 第二回放送までにこの対局が終わるのかは、未だに謎である。

【???/10時】
【荒木飛呂彦】
[時間軸]:不明
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:不明
[思考・状況]
基本行動方針:不明

投下完了です。指摘、感想をお待ちしています。

384 :創る名無しに見る名無し:2009/08/15(土) 22:20:03 ID:CfFUvJAY
投下乙ッ!

成る程……分割ときたか
これだけでも、話として成り立ってるから大丈夫だと思います。
能力設定チャットに参加してないから、詳しい事は言えないけど
読む限りでは、問題はとくになさそうだと感じました。

後、毒スレの批判とかは気にしなさんな、みんな暑くてカリカリしてるだけさ。
残りの話も期待して待ってます。


385 :創る名無しに見る名無し:2009/08/16(日) 03:26:19 ID:hRx6M1BF
投下乙です。
荒木の対戦相手が誰なのか気になるところ。

続きを待ってるぜ。

386 : ◆bAvEh6dTC. :2009/08/17(月) 14:20:27 ID:Bo/gbwGS
これを忘れていました。
※荒木は8〜10時の殺し合いを、一部見ていない可能性があります。

問題なさそうなので、この話は先にWIKIに上げます。
残りの話は、整理中ですのでもう少しお待ち下さい。


387 :バーチャルスター発生学 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 12:01:06 ID:y9OTS/Ug
【ナルシソ・アナスイ、マウンテン・ティム、ドナテロ・ヴェルサス、ティッツァーノ
Jガイル、片桐安十郎(アンジェロ)、荒木飛呂彦】投下します

しとしと雨が降り注ぐ中、4人の男達が進んでゆく

「うッ……」

4人の中の一人、ドナテロ・ヴェルサスはうめき声を上げると、自分の肩にある星型の痣を押さえた
アナスイにウェザーの事を聞かれるまで、すっかりこの痣の存在を失念していたのだ。

エンリコ・プッチの言葉によれば、この痣は元々ジョースター家の人間にのみ発現する物らしい。
ジョースター家の人間で無い自分達に、この痣があるのは
自分達の父、ディオ・ブランドーが100年前に、ジョナサン・ジョースターという男の体を
死闘の末、首から下まで乗っ取ったからなのだと言う。
最初に、この話を聞いた時「そんな荒唐無稽な話があるか」と思わず突っ込みを入れた自分に、
神父は目を見据えてこう言ったのだ「私の話が嘘かどうかは、ここにいる君が一番よくわかるのではないか?」と。
くやしいが、プッチの言う通りだった。病室に集められた、自分と同じ痣を持つ若者達、ウンガロとリキエル。
いきなり、自分の異母兄弟だと紹介された時は驚いたが、不思議と納得している自分がいたからだ。
体では無く心が、理性では無く魂が。この二人を兄弟として認めたという事なのだろう。

(そして続けてあの野郎はこう言いやがった……)

出生の秘密を暴露されて戸惑う自分達に、プッチはこう言ったのだ「ジョースターと同じ痣を持つ君達なら
ジョナサン・ジョースターのひ孫、空条承太郎とその娘、空条徐倫の居場所を感じ取れるはずだ。
ここまで言えばわかるね、私の言いたい事が。私を「天国」へと押し上げるためには、君達の存在は不可欠なのだ
…………協力してくれるかい?」その言葉にヴェルサスは従った。
プッチの言葉で自信を取り戻し、前を向いて歩けるようになったから。
不幸続きの自分の人生に、何らかの意味を見いだせたと思ったから。

だが、今自分がいる「バトル・ロワイヤル」において神父の言葉が持つ意味はそれだけでは無い。

(つまり俺が、空条徐倫の居場所を感じ取れるってことじゃねぇか!)

徐倫の位置さえわかってしまえば、彼女と鉢合わせないように行動する事も可能である。
そう思って、先ほどから痣に意識を集中し、「探って」みたのだが

(1……2……3……4ッ!?何でこんなに多いんだよ!どれが空条徐倫なのかわかんねぇぞ!)

空条徐倫以外の星型の痣を持つ者達まで、カウントしているのだろう
よく考えたら、プッチと一緒に病院で徐倫を待ちかまえていた時も、リキエルと徐倫の存在を一緒に感じ取っていた。
しかも「大体、北の方に二人いるんじゃないかなぁ」「北東に一人いる、気がする」「南に一人……あれ?近い?」
といった漠然とした物である。はっきり言ってまるで役に立たない。
その絶望感が、冒頭のうめき声に繋がるのだが。

388 :バーチャルスター発生学 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 12:03:01 ID:y9OTS/Ug
「どうかしましたか、ヴェルサス?」

もう一つの絶望感の原因がやってきた。
自分の声を聞いてか、先ほどから自分の目の前で、アナスイとティムに相談していたティッツァーノが戻って来たのだ。
ヴェルサスはうっと言葉を詰まらせた、2時間ほど前に自分の勘違いを発端にして
こんな可愛い子が女の子のわけないじゃないか、という事をリアルに体験してしまったのである。
その時の事を思い出すだけで羞恥心で死にたくなる、「穴があったら入りたい」という諺があるが
今から地面を『アンダー・ワールド』で100mほど掘りこんで、その中でしばらく泣いていたい気分である。
自分の様子をみかねたのか、「大丈夫ですか?」とティッツァーノが声をかけて来た。
本人は気遣っているのだろうが、今のヴェルサスにとっては傷口に塩を塗り込む行為でしかない。

「何で男なんだよぉぉぉぉぉぉッ!俺が何したっつーんですか神様!!」

あァァァんまりだァァアァWHOOOOOOOHHHHHHHH!!
再び地面につっぷして泣き始めたヴェルサスに、
うるさいですよ、とティッツァーノが無情にフロントチョークを決めた。

*      *      *

「あの二人どうするんだよ、ティム」

傍から見れば、じゃれあってるだけにしか見えないティッツァーノとヴェルサスの様子を
横目で眺めながら、ナルシソ・アナスイはマウンテン・ティムに問う。
聞かれたティムは、締めあげられて酸素不足のため変色し始めたヴェルサスの様子を、何となく見ながら答える。

「そうだな、愛は性別の壁を必要とはしていない、人を愛することで一番大事なのは外見では無く
 相手を思いやる気持ち、それだけなのだろうな」
「まぁ、俺も自分が女だったとしても徐倫に告白してただろうしな。って違うぞ。
 俺が言いたかったのは、あの二人を完全に信用出来るかってことだ」

先ほどあったばかりの人間というのもあるが、問題はティッツァーノだ。
「相手に嘘をつかせる程度の能力」と彼は説明したが、自分達はそのスタンドのビジョンすら見ていないのである
つまり、「相手に嘘をつかせる程度の能力」という説明そのものが、嘘であるという可能性があるのだ。
それに……とアナスイは思う。

(あのヴェルサスって野郎、明らかに俺の顔見てビビッてやがった。
 初めは、俺の殺人犯としての顔を知っててビビッてるのかと思ったが、先ほどから様子を見る限り、どうもそんな感じじゃねぇ。
 あの反応は、俺の事を殺人犯以外の人間として知ってる奴の顔だぜ……?)

プッチ神父もこの殺し合いに参加させられている以上、この男がその手先であるという事もありえるのだ。
警戒はしておくに越したことは無い。
体に張り詰めさせたアナスイに、ティムは優しく声をかける。

「そう気張る事はないさ、俺が見る限りあの二人は白だ。俺の保安官としての目を信用してくれ。
 それよりも……気がついていたか?」
「ああ、わかってるぜティム。雨が降る方に進もうと言ったオレが悪かった、この雨はウェザーにとっては
 こいつらを撒くための物だったんだ!クソッ!」

未だにギャイギャイと揉めてるティッツァーノとヴェルサスに振り替えると、アナスイは大声で叫ぶ。

389 :バーチャルスター発生学 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 12:05:26 ID:y9OTS/Ug
「お前らいつまでもイチャついてんじゃねーぞッ!何かいやがる!警戒しろッ!!」

べ、別にイチャついてなんかいねーよ!という抗議の声は無視し、アナスイは地面に『ダイバー・ダウン』を潜航させる。
慌ててヴェルサスが『アンダーワールド』を出すのが見える。
ティムも既に手にロープを構え、戦闘態勢は万全のようだ。
ティッツァーノは、スタンドビジョンを出さない。
出せないのか、ティムの様にスタンドビジョンを持たないタイプなのかは判断出来なかった。

(うだうだ考えててもしょうがねぇ、目の前の物から一つずつ片づけてゆく!
 お願いだから無事でいてくれよ、徐倫。こいつらをなんとかしたら、すぐに行くから。)

ざあざあと降りしきる雨の中、水煙に紛れる4人の人影が―――6人になった。

*     *      * 

「ちょっ……おまっ……やめてマジで苦しッ!キブ!ギブギブギブギブギブ!!」

ばしばしと自分の腕を叩くヴェルサスに、ティッツァーノは腕の戒めを解く。解放されたヴェルサスはゲホゲホと咳きこんだ。
苦しげに、酸素を供給を行う相手を見ながら
ティッツァーノはヴェルサスの呼吸が落ち着くのを見計らって、再び首に腕を回す。
また締め上げられるのかと、体を強張らせるヴェルサスを手元に引き寄せ、耳元で小声で囁く。

「首は締めませんから、このままで少し私の話を聞いて下さい」
「何だよ」
「貴方、あのアナスイという男の事、何か知ってるのではありませんか?」
「うぇッ!?……いやほらアレだよアレ、バラバラ殺人のナルシソ・アナスイ!
 新聞にもでっかく載ってたから知ってたんだよ、お前だって名前くらいは聞いた事あるだろ?」

嘘だな、とティッツァーノは思う。
アナスイが殺人犯だというのは、本人も自己申告してきたのもあるし本当だろう。
だが、長年ギャングをやってきたティッツァーノの目は誤魔化せない。

(君の反応は、殺人犯を目にした時の一般人の物じゃない
 まるで、旧知の人物にいきなり出会ったかのような驚き方なんだよ!)

しかも、さっき締め上げた時に気づいたのだが、ヴェルサスの肩に星型の痣があるのが見えた。
ここに来る前まで、自分とスクアーロが追いかけていた裏切り者、ジョルノ・ジョバーナと同じ形の痣が。
よく考えれば、自分はこの男の事を何も知らない、知っている事といえば
「過去を掘り起こす」スタンドを持ち、幸せになりたいという気持ちは人一倍強いという事だけ。

「って、いいかげんに腕どけろよティッツァーノ!ティッツァ!」

その声に、ティッツァーノはわれに返った、知らず知らずの内にまた締め上げていたらしい。
ったく、と首をさするヴェルサスにティッツァーノは静かに言う。

「ヴェルサス、貴方の事で一つだけわかった事があります」

ずっと気になってはいたのだ、彼を見ていると何故こんなに苛立つのか、
彼を見ていると、何故スクアーロの事ばかり考えてしまうのか。
その答えは、さっき彼が自分の名前をある呼び方で呼んだ事に気づいた。

390 :バーチャルスター発生学 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 12:06:44 ID:y9OTS/Ug
「似てるんですよ、貴方は。スクアーロに……私の相棒に……」

優しい、だけど遠くを見るような目つきで見つめられてヴェルサスはたじろぐ。

「何だよ……お前そいつに会いたいのかよ」

「ええ、とてもね」

寂しそうに微笑まれると、何だか居心地が悪くなる。
ヴェルサスはティッツァーノから視線を外し、そして何かに気づいたかのように目を細めた。
その視線の先には、水煙にまぎれるように二つの人影が立ちふさがっている。

「あれは……?ウェザーじゃねぇな、誰だ?」
「これだけ離れた距離から、あの人影を「ウェザーじゃない」と判断出来るという事は
 やっぱり貴方初めから、ウェザーという人の事を知ってたんですね……」
「へ?あ、違ッ!この、それは!?」
「お前らいつまでもイチャついてんじゃねーぞッ!何かいやがる!警戒しろッ!!」
「べっ、別にイチャついてなんかいねーよ!」

と叫び返しながら、ヴェルサスは『アンダー・ワールド』を出現させる。
自分も、スタンドは出せないが周りを警戒する。
自分達の前に立ちふさがったまま動かない二人に対し、ティムはロープを握りしめ問いかける。

「そこの二人!こちらはこの殺し合いに乗っていない!もし君達も同じように乗っていなければ
 両手を上にあげて、戦闘の意思が無い事を示して欲しい!」

だが、二つの人影は動かない。
聞こえていなかったか?そういぶかしんだティムが、相手に向かって足を踏み出した瞬間だった。

「ティムッ!」

ティムの肩に、拳ほどの大きさの水の塊がへばり付き、さらには口の中に潜り込もうとしている。
『アクア・ネックレス』水素を媒介にして動き回る、水で出来た死の首飾りだ。
このスタンドに潜り込まれたが最後、内側から操られるか、最悪の場合、陸の上で溺死させられてしまう。
だが、それは。

「!?」

潜り込まれた場合の話だ。
ティムは『アクア・ネックレス』が自分に潜り込もうとした瞬間、自分の顔をロープでバラバラにしていた。
『アクア・ネックレス』は突然の事態に付いてゆけず、口と本来ならば喉があるべきはずの場所で立ち往生している。

「『ダイバー・ダウン』ッ!空にしたペットボトルごとティムの体内に「潜航」させる!」

『ダイバー・ダウン』がペットボトルを手に持ったまま「潜航」し―――といっても
ペットボトルそのものは体に入れることは出来ないので、ペットボトルは体の外に出ている形になるが……
そして、金魚すくいでもやるような形で、『アクア・ネックレス』はペットボトルの中に閉じ込められた。
アナスイがそれを素早くキャッチし、蓋をキュッと締める。

「す……すげぇ……」

呆然とヴェルサスが呟く。
アナスイとティム、スタンドを手足のごとく使いこなしているのもあるが
彼らの一番素晴らしい所は、その状況判断能力なのだろう。
またたく間に、襲いかかって来たスタンドを無力化した二人を見て、ティッツァーノもそう思う。

391 :バーチャルスター発生学 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 12:08:31 ID:y9OTS/Ug
ペッドボトルの中で、ジタバタと悪あがきをする「アクア・ネックレス」を持ちながらアナスイが叫ぶ。

「そこの二人!お前のスタンドは無力化した!最後通告だ!
 すぐさま投降しなきゃ、殺されても文句はいえねぇと思え!」

だが、そこまで言われても目の前の二人は動かない。
いや、これは動かないのでは無い、動けないのだ、この二人は歩く事も呼吸をするこすらも出来ない!
ティムが気づいて叫ぶ

 ・・・・・・・・
「こいつらは人形だアナスイ!誰かが操っていやがったんだ!」

その声と共に、水で出来たハンバーグの様な髪型をした人形と、ドリアンみたいな体型の人形が
まるで、糸が切れた操り人形のようにバッシャンと水たまりの中へ倒れ込んだ。
この二つの水で出来た人形は、囮だったのだ。

「ティ……ティッツァ……」

ヴェルサスが、震える声で自分の名前を呼ぶ。
彼の視線をたどって自分の胸を見れば、赤い染みがみるみるうちに広がってゆく所だった。
そう、あの二つの人形は囮。
そちらに攻撃を集中させ、後方にいる自分達の油断を誘うための……
焼けつくような痛みを胸に感じながら、ガクリと膝をつく自分をヴェルサスが抱きとめるのを感じる。

一体どうやって攻撃された?
俺とヴェルサスには、どんなスタンドも近づいてこなかったはずだ。

痛みで霞むティッツァーノの視界の中、雨粒の中にミイラのようなスタンドの姿が映った気がした。

*      *      *

青い顔をしながら、自分達の元を離れていったティッツァーノを見送りながらティムは思う。

ティッツァーノ、自分の事を、ギャングだと名乗ったあの青年。
ティム自身は保安官であるものの、ギャングや殺人犯に偏見を持っているわけではない。
彼は他人の評分よりも、自分の目で見た物を信用するタチだし
実際に話してみるまで、その人間性は図れないものだと考えているからだ。

ティムが考えこんでいるのは、ティッツァーノの出自に関してではない、彼の話した会話の内容についてだ。
彼は「自分は裏切り者の一派と、暗殺チームと敵対している」と言った。
この情報は正しいと判断するべきだろう、自分の置かれている立ち位置を明確に示すことは、このような状況であれば、必須の事だ。
誤情報は誤情報を生む、彼の様なタイプの人間がそのくらいの事を分かっていないはずがない。

この話が正しければ、彼は二つのチームから命を狙われるような
ギャングの中でも重要なポストに、ついていたのではないだろうか。
だが、彼は一言もその事を話していない。

(面識の無い人間にも、知られちゃまずいポストに付いていたのか?)

もしくは、自分達を経由して他人に伝わると、さらにマズイ事でも起きるのだろうか。
彼等と話した時に気づいたが、自分とティッツァーノ達の年代には時間差がかなりある。
ティッツァーノの顔色が変わったのも、年代の話をした時だったな、とティムは思う。
彼がくわしく自分の事を話さなかったのは、その辺に理由があるのかもしれなかった。


392 :バーチャルスター発生学 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 12:23:48 ID:y9OTS/Ug
ここで一つ言っておこう、ティムはティッツァーノがくわしい情報を提示しなかった事を怒っているのではない。
むしろ、この状況では当然の事だろうと考えている。
自分に不利なカードは伏せ、自分に痛みのない情報だけを相手に与える、駆け引きにおける基本である。
ティッツァーノからは、もうかなり情報を引き出せている、これ以上の情報提供を望むのは酷だろう。

ティムはちらりと、自分の隣を歩くアナスイを見る。

今までに考えた事をアナスイに話すつもりは無い、彼は徐倫の事だけでも手いっぱいなのだ
確信の持てない不安材料を与えて、不信感を植え付ける事はしたくなかった。
このような「殺し合い」という特殊な状況で、何が引き金で悲劇が起こるかわからない。
不確定な材料は出来る限り自分の胸に秘めておこう、必要となった時にアナスイに話せばいい。

そんな事を考えていると、アナスイが自分に向かって「あの二人をどうする?」と聞いてきた。
その言葉に適当にボケて返しながら、ティムはさらに思考する。

それに、あの二人は俺達二人に危害を加える理由も無ければ、危害を加える方法すらない。
「嘘をつかせる能力」「過去を掘り返す能力」これだけでは、殺し合いを生き抜くのは無理だろう。
早いが話、二人ともてっとりばやく、戦闘能力の高い味方が欲しかったのではないだろうか。
そのために、あそこまで情報提供を惜しまなかったと考えれば合点がいく。

「そう気張る事はないさ、俺が見る限りあの二人は白だ。俺の保安官としての目を信用してくれ。
 それよりも……気がついていたか?」

ティムはアナスイを宥めながら、注意を前方の不審者へと向けさせる。
水煙にまぎれるように立つ、二つの人影。
この雨の中、流れ落ちる水滴を拭いもせずにぼーっと突っ立っている。

また、一筋縄でいかなそうな奴が出てきたな。
俺の獲物が縄だけにってか?

ティムは手にいロープを握りしめると、二つの人影に向かって一歩踏み出した。

*    *     *

「隠れろ、Jガイル。誰か出てくる。」

イケメン四人組に、Jガイルとアンジェロが襲いかかる少し前。
サンタルチア駅前の広場の隅で、コソコソと動く二つの人影があった。

ブラックモアとウェザー・リポートが、第二回放送時に駅を襲撃するという話を聞いたJガイルとアンジェロは
一足お先にサンタルチア駅周辺を、散策する事に決めたのだった。
反射物の位置や、蛇口や水道管の場所を探っておけば、戦う時に有利だからである。
ヴァニラ・アイスVSブラックモア+ウェザー・リポートを離れた所で観戦し
弱った方にとどめを刺す、それが先ほど二人が出した決断だった。

「あれは……アレッシーか?何であいつこんな所に」

サンタルチア駅から、バタバタと飛び出してきた妙な髪型の男
中で何があったのかは知らないが、恐怖で顔を引き攣らせていた。

「アレッシー?」
「ああ、俺の同僚で、自分よりも弱い奴や子供をいじめてスカッとするのが趣味の男だ」
「俺と気が合いそうな奴だな、俺も子供をいじめるのは好きだぜぇ?」

いじめ過ぎて殺しちまう事もよくあるけどな、とアンジェロは笑う。

393 :バーチャルスター発生学 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 12:25:49 ID:y9OTS/Ug
「どうする?あのアレッシーとかいう男も俺達の仲間に引き入れるか?」
「いや、やめておこう。アレッシーが駅から飛び出して来たってことは、ヴァニラに殺されかかったんだろ
 俺達もここから駅に近づくと、ヴァニラに気づかれるかもしれん。それに」
「うわ、あいつの支給品バイクかよ」
「そういうこった」

バイクに乗って一目散に逃げてゆくアレッシーを横目に、Jガイルとアンジェロは駅を迂回して北上する事にした。
ウェザーはまだ雨を降らし続けてくれている、自分達は雨雲を追いかける形になった。
アンジェロの「アクア・ネックレス」には水分が、Jガイルの「ハングドマン」には反射物が必要だからだ。
そして、北上した彼らが見た物とは。

「東方仗助?」
「誰だ?そいつは」

今度はJガイルが尋ねる番だった。
ラバーソールに食い破られた事を示す二つの死体、もっともその大半は食い散らされ
学生服の端切れくらいしか、その身元を判別出来るものはなかった。
東方仗助は制服を改造していたのが幸いだった、彼の顔はわからなくとも、その服を見れば誰だか一発でわかる。
特に、彼に恨みを持つ者なら、なおさらだろう。

「俺をムショ行きにしやがった奴の孫だよ、こっちの死体は知らねえな
 同じ学生服だから、同じ学校の奴だったんだろ」

思い出すのも忌々しい、とばかりにアンジェロは吐き捨てる、よほど嫌な目にでも遭わされたのだろう。
そんな相方の様子を見ていたJガイルが、いいことを思いついたとばかりに右手と右手を打ち鳴らした。

「アンジェロ、お前のスタンドでその二つの死体を、元の姿に化けさせることは出来ないか?」

聞かれたアンジェロは、一瞬だけ怪訝な顔をしたものの直ぐにその意図に気づき「アクア・ネックレス」を発動させる。
水たまりからゴボゴボと、二つの死体にスタンドが注ぎ込まれてゆく。
むき出しの骨に肉づけをするように、水が纏わりついてゆく。
以前、彼が東方邸で年代物のウイスキーに化けたのと同じ要領である。
しばらくして、二つの死体は実体を取り戻し、ゆらりと立ち上がった。

「あーだめだ、この状態にする事は出来るけど、近くで見たらばれるな」

「二つの死体」に化けた己のスタンドを見ながら
アンジェロが残念そうに首を振る、だがJガイルはニヤリと口を歪める

「それがいいんじゃぁねえか……、遠目から人影が立ってるってわかるだけで十分だぜ」

アンジェロもニヤリと笑い返す。

「で、俺達はこの死体にホイホイ近づいてきた奴らを美味しく頂いちまうってわけだ」

二人は顔を見合せてゲラゲラと笑い合った。

そして、実際この作戦は上手くいった。
『ハングドマン』の攻撃を受け、地面へと崩れ落ちる長髪の男を見ながら、Jガイルはほくそ笑む。

「おい……、俺を早くあのペットボトルから出してくれ……」
「おっと、でも抜けがけして勝手に攻撃したあんたが悪いんだぜ?ほらよ」

『ハングドマン』がペットボトルを一閃する。『アクア・ネックレス』は、ずるりと地面に滑り落ちた。
アナスイとティムが、どこから攻撃されたのかと、うろたえたようだが関係ない。
Jガイルがティッツァーノとヴェルサスを、アンジェロがアナスイとティムを攻撃する、そういう口約束だったが。

394 :バーチャルスター発生学 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 12:28:51 ID:y9OTS/Ug
「あれ?」

『ハングドマン』で切りつけたはずの、ティッツァーノとヴェルサスの姿が見えない。
どこにいったかと辺りを見回せば、さっきまで二人がいた地面に直径一mほどの穴が開いていた、そこに逃げ込んだらしい。

「なぁ、アンジェロ」
「何だよ、今集中してるから手短にな」

アンジェロはめんどくさそうに言う、アナスイとティムの二人を相手するのは手がかかるのだ。
だが、それにもめげずJガイルは声をかける。

「俺の獲物が地下に穴掘って逃げやがった、穴の中じゃ光がとどかねぇ
 悪いけど、俺の獲物とお前の獲物、交換してくれねぇか」
「そりゃしょうがねーな……、分かったぜ、地下だな。
 いつもよりスタンドを移動出来る範囲がせまいが、逃がしはしないぜ」

*     *     *

はっ、はっ、はっ、はっ。

明かり一つ灯らぬ真っ暗闇の穴の中を、ヴェルサスはティッツァーノを抱えたまま走る。
彼のスタンド『アンダー・ワールド』は制限により、この殺し合いが始まる前の事は掘り返せないが
普通に地中を掘り進むことは、今まで通り可能であった。
彼等の前を先行して掘っていた『アンダー・ワールド』が振り返って報告する。

「ヴェルサス、イツモヨリホリニクイヨ、シタニイクホドジメンカタイゾ」
「わかってる、ここから離れる事が出来たら何だっていい!出来る限り掘り進め!」

手に抱えるティッツァーノからは、血がどんどん流れだしている。
命に別状はなさそうだが、早く手当をしないとまずいかもしれない。

「ヴェルサス……下ろしてください……」
「馬鹿言うな、その怪我で走らせられるか!」

地中に降りてから、ティッツァーノを襲ったスタンド攻撃は追ってこない
だからといって、この怪我で無理をさせるのは良心が咎める。
そう思って、ティッツァーノの申し出を却下したヴェルサスだが

「違います……私を置いて行って下さい」

「はぁ!?」

ヴェルサスはおもわず足を止めてしまった。
いきなり何を言い出すのかという、自分の怪訝な顔を見ながらティッツァーノは続ける。

「このまま、私を担いで走っても逃げ切れません、私を置いて逃げてください」
「ふざけんなよ!その怪我でここに置いてゆけるわけないだろ!」

ヴェルサスはティッツァーノの胸倉を掴みあげる

「さっきから様子がおかしいぞ、お前。……あいつらに何か言われたのか?」

ティッツァーノは答えない、だがその沈黙が雄弁に答えていた、何かあったのだ。
二人の足元に流れ込む水が、足首に達しようとしていた。
暗闇ゆえ、ティッツァーノの表情はわからなかったが、腕に伝わる震えで彼が何かを耐えているのが感じ取れる。

395 :バーチャルスター発生学 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 12:31:27 ID:y9OTS/Ug
そして、ティッツァーノは、ぽつりぽつりと話し始めた。
アナスイとティムと情報交換をした時。

(ティッツァーノはギャングなのか)(ええ、イタリアのパッショーネという組織に属していました。
 お二人は、アメリカ出身だから知らないと思いますけど)(そうだな、知らないな)
(ん?パッショーネ?)(どうした、アナスイ)(パッショーネって麻薬の取引をやっていた所か?)
(ええ、やっています)(いや、どうでもいい話なんだが独房に入ってたヤクの売人が)

(10年前にパッショーネのボスが代替わりしてから、ヤクを売らなくなったって嘆いてたのを思い出してさ)
 
「それがどうかしたのかよ、10年前にお前の所のボスが変わったってだけの話だろ
 別におかしな話でも、何でもないぜ?」
 
何故そんなに衝撃を受けるのかわからない、といった体でヴェルサスが尋ねる。

「ヴェルサス、今は何年ですか?」
「2011年だろ」

即座に答えるヴェルサスに、ティッツァーノこう返す。

「私は、2001年だと思ってたんです」
「それが何か……あ」

2011年。2001年。10年前。ギャング抗争。ボスが変わった。あれだけ銃弾を受けて生きているわけが。

それらのキーワードが、グルグルとヴェルサスの頭を支配する。
ちなみに、この質問にアナスイは「2011年」、ティムは「1890年」と答えている。

「まさか、お前と相棒がついてたのって前のボスの側なのか?」

「そうです、だからスクアーロが私が撃たれた後も生きていたとしても
 彼はきっと、新しいボスに殺されてしまっている……」

戒律を重んじるギャングが、前のボスについた、しかも親衛隊の男を生かしておくはずがない。
どう考えても、スクアーロの生存は絶望的だった。
暗闇にすすり泣くような音が響く、ティッツァーノは泣いているのかもしれなかった。
ヴェルサスは、そんな彼の様子に声をかけることが出来ずに、何となく足元に目をやった。
穴から流れ込んだ水は、膝の辺りのまで達しようとしていた。

さっきまでは、足首までの深さだったのに?
水の勢いとは、こんなに早いものだったろうか。

「しまった、これはスタンド攻撃かッ!?」

『その通りだぜ!!』

どこからともなく声が聞こえたかと思うと、自分達の足元の水がどんどんせり上がってくる。
せまい穴の中では、流れ込みせり上がってくる水からの逃げ道すらない。
慌てふためく自分達を、ゲラゲラと品の無い笑い声が取り囲む。

『穴の中に逃げ込んだのが運のつきだったな、二人まとめて溺死しな!!』

ヴェルサスとて、無駄に慌てふためいていたわけでは無い。
即座に『アンダー・ワールド』を使い、逃げるための横穴を掘ろうとするが
掘ったはしから、噴水のように水が噴き出してくる。どうやらアンジェロは、この辺りの水道管を破壊したらしい。
二人の周りの土壁も、噴き出した水を含んでドロドロと溶け始めている。
このままじゃ良くて溺死、悪くて泥に埋まって窒息死だ。

396 :バーチャルスター発生学 ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 12:32:58 ID:y9OTS/Ug
「もういいんですヴェルサス、私の事は放っておいて早く逃げて……」
「うるせぇよティッツァ!俺に指図すんな!」

一人だけなら、ここから脱出できるかもしれない。
ここで身軽になれば、地上に逃げる事も可能かもしれない。
だがヴェルサスは、光を失ったティッツァーノの瞳を見て言う。

「しっかりしろよ!アナスイの話がただの勘違いかもしれねーだろうが!
 お前がどこで野たれ死のうが、誰に殺されようが、知ったこっちゃねーよ!だけどよ……!だけどよ……!
 俺の周りで死なれる事ほど、迷惑な事はねぇんだよ!!」

ぐったりとしたティッツァーノの体を掴みなおし、迫る来る水と泥の中ヴェルサスは吠える。


「やっと、胸をはって自分の人生を歩めるようになったんだ!
 俺以外の人間すべてが投げ出したとしても、俺はあきらめてやらねぇ!
 どんなに絶望的な状況でも、俺だけはこの泥の中から星を見続けてやるッ!!
 こんな所で死ねるかってんだああああああああああああああああああぁぁぁぁぁァァァッ!!!」


    二人の囚人が鉄格子から外を眺めた。
    一人は泥を見た。
    一人は星を見た。

彼はどちらを見たのだろう。

 ゴ ヴ ン ッ ! !

突如、ティッツァーノとヴェルサスの周りから水が消えた。
いや、水だけではない、泥も、そしてあれだけぬかるんでいた足場さえも消えている。
ヴェルサス達の立っていた地面は、地下に吸い込まれるように消えてしまった。

そして、ティッツァーノとヴェルサスは、何も無い空中に放り出されていた。

何が起こったのか理解出来なくて、辺りを見回す。
アナスイとティムはともかく、むこうで自分達と同じ様にに落下している
頭のハゲた男と、配達員みたいな男は何者なのだろう。
後、みんながみんな、何が起きたのか理解出来ていないって顔をしているのが笑える。
顔文字で例えるなら。

 ( ゚д゚ )   ( ゚д゚ )   ( ゚д゚ )   ( ゚д゚ )     ( ゚д゚ )

 ↑ティム  ↑アナスイ  ↑Jガイル  ↑アンジェロ  ↑ティッツァーノ


こっちみんな。

まぁ、俺も同じような表情になってるってのは否めないけどな。
重力に従って自由落下をし始める俺達を、雨が濡らしてゆく。
上空を見上げれば、青味を増す空に、消え損ねた星が一つ見えた気がした。


397 :何人も語る事なし ◆bAvEh6dTC. :2009/08/20(木) 13:29:03 ID:y9OTS/Ug

目が、霞む。

ともすれば、うっかり寝入ってしまいそうだ。
ヴェルサスは、体中を蝕む倦怠感と戦いながら、ティッツァーノを担いだまま
巨大な穴の真ん中に、橋のように伸びた水道管の上を進む。

落下している、と感じた次の瞬間ヴェルサスがとった行動とは?
自分達の近くの「水道管がアンジェロによって破壊された記憶」を「掘り起こし」それにしがみ付くことであった。
ちなみに自分達のように、落下を止める手段を持たなかったアナスイとティムと残りの二人は、眼前の遥か下に落ちていった。
底の方は真っ暗闇で、下に落ちた彼等がどうなったのかは確認出来なかった。
この高さである、全員地面に叩きつけられ、死んでしまっている可能性が高いだろう。

ヴェルサスは穴の淵へとたどり着くと、側面を『アンダー・ワールド』を使ってよじ登る。
なんとか地上へと這い上がると、適当に目に付いた民家に入る。
木張りの床にティッツァーノを横たえると、自分もその横に座りこむ。
座ると張り詰めていた緊張感が解け、疲れがどっと押し寄せてくる。

(やりすぎたか……)

実は、自分達に迫りくる水と泥を逃がすために、ちょっとだけ縦方向に穴を掘るつもりだったのである。
それが、思いのほか力いっぱい掘ってしまったらしく、結果的には自分を中心に300m近い大穴を掘ってしまった。
昨日スタンド使いになったばかりのヴェルサスに、手加減しろと言うほうが無理な話かもしれない。
地面も水を吸って柔らかくなっていたのが、さらに掘りやすくなっていた原因であろう。
まぁ、自分達を襲ったスタンド使いも下に落ちて行ったようだから、結果オーライという奴である。

(でもこれから絶対やらねぇ、こんな疲れる事もう絶対やらねぇ)

一回使うたびに、死にたくなるほどの疲労感に襲われる必殺技などもう使いたくもない。
このまま床に身をゆだね、眠り込んでしまいたかったが、まだもう一つ仕事が残っていた。
ティッツァーノの手当である。
命に別条はなさそうだが、このまま放置しておいてよいものでもないだろう。
傷口を洗い、包帯でも巻かねば化膿してくるかもしれない。
そのためには上着を脱がし、傷口の状態を見なければいけないのだが。

「………………。」

ヴェルサスは、上着に脱がしかけたまま固まっている。

上着の下から現れたのは、ティッツァーノの均整のとれたしなやかな肉体と
その胸に、真一文字にパックリと開いた赤い傷口。
だが、それらよりもヴェルサスの目をひいたのは、体中に刻まれた無数の古傷だった。
銃創や切り傷に始まり、中にはどうやって付けられたのかは不明だが、獣の牙のような跡もあった。
それは、彼が長年ギャングの親衛隊として過ごしてきた証なのだろう。

「驚きましたか?」

おもわず絶句するヴェルサスに、ティッツァーノは微笑みかける。

「そうでもねぇよ」


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