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コードギアス反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ37

1 :創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:43:06 ID:eaiT05oZ
ここはPS2/PSPソフト「コードギアス反逆のルルーシュ LOST COLORS」SS投稿スレです。
感想等もこちらで。このゲームについて気になる人はギャルゲー板のゲーム本スレにもお越しください。
基本sage進行で。煽り・荒し・sageなし等はスルーするか専ブラでNG登録して下さい。
(投稿前に読んでください >>2-)

■SS保管庫 http://www1.ocn.ne.jp/~herma/CodeGeass_LostColors/2ch/0.html

■前スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1233659495/ 
  (過去ログは保管庫スレッド一覧から閲覧できます)

■関連スレ
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS 21 (本スレ)
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gal/1225489272/
コードギアス ロスカラのライ 強くて優しい真の7(ナ)イト(主人公スレ)
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1233048852/
【PSP】コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/handygame/1207641630/
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS 攻略スレ4
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gameover/1209720651/

■公式サイト http://www.geass-game.jp/ps/
■アニメ公式サイト http://www.geass.jp/
■攻略wiki http://www9.atwiki.jp/codegeasslc/

2 :創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:44:18 ID:eaiT05oZ
■全般
・支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう
 (連投などに伴う規制について参考>>3-あたり)
・次スレ建設について
 950レスもしくは460kB近くなったらスレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから
 重複などを防ぐために、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えてください。
  ※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例 940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など
・誤字修正依頼など
 保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(geass_lc_ss@yahoo.co.jp)に
  ※修正依頼の際には、作品のマスターコード
   (マスターコード:その作品の投稿が始まる、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)
   を必ず記述して下さい
   例:0003-0342 のタイトルを○○に カップリングを○○に
     (↑この部分が必須!)
   マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定だと処理ができなくなる場合があります

■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.前書き・後書き含めて10レス以上の連投になると同一IDからの投稿が規制されます。(←「さる」状態)
  間に他IDからの「支援」が入ることで規制は回避できますので、規制にかかりそうな長文投稿の際は
  投下前に支援を要請して下さい。逆に、必要ない場合は支援の要らない旨を書いてください。
  前レス投稿から30秒ほどで次レスを投稿することができます。(投稿に関する規制については >>4- あたり参考)
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
  ・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
6.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
  ・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
   (トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で)
  ・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます

前書きの中に、以下のテンプレを含むことが推奨されます。(強制ではありません)
【メインタイトル】
【サブタイトル】
【CP・または主な人物】
【ジャンル】
【警告】

【背景色】
【基本フォント色】

3 :創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:44:56 ID:eaiT05oZ
■創作発表板での投稿規制について 参考(暫定)

1レスで投稿可能な容量
 ・X:1行の最大 / 255byte
 ・Y:最大行数 / 60(改行×59)
 ・Byte :最大容量 / 4095Byte
  但し、改行に6Byte使うので注意。例えば60行の文なら59回改行するので
  6Byte×59=354Byte これだけの容量を改行のみで消費する

さるさん( 過剰数の投稿に対する規制 )
 ・1時間に投稿できる数は10レスまで。それを超えると規制対象に
 ・毎時00分ごとにリセット。00分をはさめば最長20レスの連投が可能

連投規制( 連続の投稿に対する規制。短い間隔で連続の投稿ができない )
 ・30秒以上の間隔をあければ投稿可

おしりくさい虫など( 携帯のみ?同一内容の投稿に対するマルチポスト規制 )
 ・「支援」などの同じ言葉を繰り返し投稿することでも受ける規制。
  違う内容を投稿すれば解除される。スペースを挟むだけでも効果あり

4 :創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:45:28 ID:eaiT05oZ
■画像投稿報告ガイドライン

ロスカラSSスレ派生画像掲示板
 PC用  http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic
 携帯用(閲覧・コメントのみ) http://bbs1.aimix-z.com/mobile.cgi?room=lcsspic

1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。
  尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
 ・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
 ・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)

2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
  (SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。)
  例:「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。 画像板の(タイトル)です。
     〜(内容・注意点などを明記)〜 よかったら見てください。」
 ・内容:挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど
 ・注意点:女装/ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)/微エロ(キス、半裸など)
      /ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など(絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします。)

 画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
 *ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。

3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
  画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
  画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。

4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
 ・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます
 ・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
 ・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
  (ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)

5 :創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 23:45:54 ID:eaiT05oZ
以上です

6 :創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 00:36:39 ID:Og4cIUmJ
>>1
乙でした!

7 :創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 00:41:08 ID:WrtkXV7h
1さん乙でした〜
新スレでもがんばって投下しますよ〜

8 :創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 00:48:34 ID:9BWSNgsW
>>1
乙です

9 :創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 01:06:38 ID:JlDDsaKb
>>1さん並びにトーマス卿乙であります。

10 :創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 02:15:53 ID:Ptc5ed7L
あと30日で発売から1年たつのか。
>>1

11 :創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 06:59:54 ID:2Mt0Vmek
もう一周年か。久しぶりにロスカラをプレイするとしよう。

12 :創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 01:19:14 ID:yZPRV19u
この板って即死あるのかな?

久しぶりに再プレイしようと思ったらPSP充電器みつからんがな

13 :創る名無しに見る名無し:2009/02/26(木) 08:06:59 ID:WmtE55fF
まじで?

14 :poppo:2009/02/27(金) 00:09:58 ID:XhNZrNwc
POPPOです。
今から

コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」 (中編7)
を投稿します。
長いですけど、支援は必要ありません。
それではいきます。


15 :POPPO:2009/02/27(金) 00:11:01 ID:XhNZrNwc
医療用のトレーラーが到着し、周囲を黒の騎士団に見張らせた。僕とルルーシュは乗り込んだ。
ルルーシュは主治医と看護士たちにギアスをかけた。正体を知られない為とはいえ、仲間にギアスをかけるのは辛いものがある。
緊急手術が行われ、ギアスをかけられた医療スタッフは淡々と治療をこなしていった。患者が仮面を外した『ゼロ』だというのに全く気にする素振りを見せない。
彼らには一団員を治療しているという認識しか無い。僕から見ても少し異様な光景だった。
弾丸は貫通していて、出血がひどかったが、医師によればルルーシュの命に別条は無いということだった。
僕はルルーシュの手を握った。
温かい。
生きているという証。無事だとわかっていても僕は落ち着いてはいられなかった。
目の前で大切な人が傷つくのはもうたくさんだ。
「…ライ」
僕の手を握り返してきた。声を聞いた僕は顔を上げた。ルルーシュは僕の顔を見て、少し驚いていた。
「…泣いているのか?」
「…泣いちゃ、悪いか?」
「フン…そんなことは、言っていない」
僕は両手でルルーシュの手を握る。
男とは思えないほどの白い肌と細い指。これが日本の救世主と言われるゼロの手だ。
でも、彼の手はこんなにも弱くて儚い。
「…ライ」
「ん?何だい?ルルーシュ」
「…俺は、ゼロは、利用されたのか?」
「…ああ、おそらく僕たちに似たギアスの持ち主だ」
「俺は、おれは…」
「今は安静にしてくれ。俺が捕まえる。いや、殺す。だから…」

「ユフィはどうなった?」

その言葉を聞いた途端、僕の体が無意識に動いてしまった。
平静を装うつもりだったのに。ルルーシュに悟られてしまったのだろう。苦笑いで僕を見つめた。
「相変わらず…お前は優しい嘘は下手だな」
「…ごめん」
ルルーシュの手を握る僕の手が震えてきた。ルルーシュは笑っているが、涙を必死に堪えていることは丸分かりだ。
先ほど、連絡員からユフィの状況が伝えられた。言おうとすると声がかすれてしまって、うまく喋れない。
どうして、こんなことに。
どうして、どうして!
「ライ。嘘は言ってほしくない。…ユフィは、どうなった?」
「ゆ、ゆう、ユフィは―――――――――――――――――――――――」






16 :POPPO:2009/02/27(金) 00:11:45 ID:XhNZrNwc
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」 (中編7)




「死んだ――――――――――――――――――――――――――」

クレイン総合病院。
優秀な医療人を多く輩出する名門貴族、クレイン家が経営する病院の一つであり、トウキョウ租界にある医療施設。
最新鋭の設備に優秀な医療スタッフを集めたVIP専用の施設であり、エリア11に来訪す大貴族や皇族もこの病院を利用している。
貴族らしく豪華に装飾された病院の内部。
その一室で、一人の少年が天井を見上げていた。室外では多くのブリタニア軍人が周囲を警備している。
彼の顔は涙の跡が濃く残っていた。放心状態で視点が定まっていない。
血塗れになった服を着たままで、スザクは呆けていた。

悪い夢だと思った。
ユフィがゼロを撃つなんて。
ユフィが撃たれるなんて。
ユフィが、死ぬなんて。

これは夢だ。そう思いたかった。
でも、僕の手が現実だと言っている。
ユフィの手が冷たい。
僕が握っても、どんどん体温が失われていく。強く握っても、少しも動いてくれない。

それが許せなくて、僕はユフィの体を抱きしめた。
強く。強く。
僕がこうするとユフィはいつも決まってこう言うんだ。
≪痛いよ。スザク。でも、大好き≫
でも、ユフィは目を閉じたまま何も言わない。
何も喋ってくれない。
ユフィの体から薬品の匂いともに彼女の匂いがした。
その匂いを胸一杯に吸った。
ユフィを抱いてる時に感じた匂いを。
体温を。
温もりを。
愛を。
僕は思い出していた。

また、視界が滲む。
あれだけ泣いたのに。
あれだけ叫んだのに。
まだ僕の瞳から涙が零れ落ちた。
「ユフィいい…僕は…君が……何であんなことを、したのか…分からないよ」
僕の腕にいっそう力がこもる。自分の涙を拭わず、ユフィを抱きしめた。
ただ悲しかった。
一体、何が起こったんだ?
あの時のユフィはユフィじゃなかった。
ユフィは一度も日本人をイレブンと言ったことは無かった。
公の場でもイレブンという言葉を使うのは極力控えてた。それはユフィがナンバーズという区分を嫌っていたからだ。
僕の手を払って…
あれじゃ、まるで…


17 :POPPO:2009/02/27(金) 00:12:29 ID:XhNZrNwc
その時、スザクの脳裏に一つの記憶が蘇った。

(まるで―――――――――――――――――――――――――?)
(ちょっと待て。たしか、半年前の式典で…)
(あの時は確か、僕は気を失って…気が付いたらライが撃たれていて、ユフィが倒れていた)
(今回はゼロが撃たれて…まさか)
(半年前は失敗して…)
(今回は、成功した?)
スザクは自分が知る由もない陰謀の輪郭を見た気がした。
体中の熱が冷め、もう一度ふつふつと『何か』がこみ上げてきた。
自分の身も心も染め上げてしまう『何か』が。
(一体、何が、いや、誰が。この事件には黒幕がいるのか。裏で手を引いている誰かが!)
(ライか!?いや、そんなことはない。ありえない!ならば、ゼロか!?しかし、自分を撃たせるわけが無い。でも、あのゼロが影武者だとしたら…だとしたら!)

「教えてあげようか?」

唐突に後ろから声が聞こえた。
スザクが振り向くと一人の少年がいた。
「…君は」
地面に届くほどの長いブロンドの髪。貴族のような煌びやかな衣装。
整った容姿に全てを見透かすような真紅の瞳。病院には相応しくない格好をしていた。
彼の口元が薄く開く。
「はじめまして。枢木スザク。僕の名前はV.V.(ブイツー)」
「…V.V.?」
そして、彼は語りだした。彼の知る『真実』を。






18 :POPPO:2009/02/27(金) 00:13:50 ID:XhNZrNwc
「あ、アン!しっかりして!アンッ!!」
煙と炎が辺りに漂う中、私はアンの前にしゃがみ込んで傷を確認した。
深い。
そして大きい。
白いカーディガンが真っ赤に染まっていた。
それだけでは留まらず、床にアンの血が広がっていく。
両腕が折れていて、腹部からの傷が酷過ぎる。私のジャケットを被せたのに、紺のジャケットが黒く染まっていく。
瞳孔が少し開いていて、両眼の焦点が合っていない。メガネの破片が額に食い込んでいる。
口が震える。
私は思ってしまった。
近頃、医学書を読みあさっていて、断片的に知識があるからこそ、冷静に事態を把握してしまった。

もう、アンが助からないことを。

「い、いたい、い、いい、いたいよぉ…」
「アン…お、おおお、お願い、死なないで!お願いだから!!」
私はメガネを外して、アンにギアスをかけた。
この近距離だと対象者の神経を遮断できる。
だから!
アンが私の顔を見た。両目の焦点が私の顔で合わさった。
「…あれ?い、痛みが」
「アン!動いちゃだめ!今、薬で痛みを止めてるから!!」
「……リリーシャ?何で、カツラなんて、被ってるの?」
「そ、そんなことはどうでもいいから!じっとしてなさい!い、いいこと!救命医が来るまでアンは…」
「あはは。リリーシャ。涙で顔が、グシャグシャだよ…」
「笑わないでよ!!お、お願い!アン!あなたがいないと、私…」
「う、うふふ…。リリィが取り乱すなんて、初めて見た」
「うぐっ!い、いいじゃない!私は、完璧な人間じゃないんだから!た、ただ粋がってる、ただの…」
私の視界は涙で歪む。
アンの顔に、大粒の涙が零れ落ちた。
ハンカチで血と一緒に優しく拭う。
「私、わたし、アンがいないと何もできないの。昔に戻っちゃう。だから、だから…」
「…変なの。リリィが、弱音を吐くなんて…似合わないよ」
「わ、わたしは、つ、つよ、つよくなんか、ないぃ。私は弱虫で、それを隠すために…」
「…うん、知ってる」
声が震えていた。鼻水だって出ているかもしれない。
頭が真っ白で。でも、アンの顔がたくさん出てきて。何で。何で…
「昔…と、友達を、私が、死なせてしまったから、本国から、に、逃げてきただけで…」
「うん」
「ただ、じ、自分が、天才だって、自惚れてて、ほ、ほかの人を、見下してい、た、だけでっ…」
「知ってる」
「アンが、はじめてなの、わ、わたし、を、怒って、くれたのは。アンが、き、きき、気づかせてくれたの。わ、私がぁ、わ、あああぁ」

アンがいつの間にか私を抱きしめていた。
痛みが無くて、骨折していることに気づかずに。
『あの時』みたいに、
アンが私を包み込む。


「全部、知ってるよ」




19 :POPPO:2009/02/27(金) 00:14:28 ID:XhNZrNwc
アンが私に、そっと呟いた。
私はもう何も言えなかった。
目も、声も、震えて、上手く動いてくれない。
アンの血の匂いがする。
私は汚れることも厭わず、アンの背中に手をまわした。
ビチャ、といやな音がした。
「リリィ。私ね。今日、パパに、会いに、行ったんだ…」
うん……仲直り、したの?
「ママも、来るはず、だったのに、来な、かったんだよ」
うん…
「パパ。もう一度、や、ヒュッ、こほっ…、やり直したいん、だって、私たち3人で…」
うん…うんっ…
「でも、パパ。次も誘うって、絶対、やり、直す、って。パパの、あんな、にし、真、剣な顔、はじ、ひっ、めて見た」
うっ、うん。アンのパパが、ようやく…よ、よかっ…
「わ、わた、ひ、ヒュー、し、パパの、こと、見、なおし、た、んだ」
「リ、リィが、ア、ドバイ、ス、スしてく、れたおか、げ、だ…よ?」
私はただ、結婚記念、日に何かプ、レゼ、ん、ントしたほ、うがいい、っていっただけで…すごいの、はアンの…


「わたし、リリィ…に、かん、しゃ、して……」







―――――――――――――――アン?
私は力を失ったアンの腕を振りほどいて、アンの顔を見つめた。
口が開いたまま、動かない。
体中に怖気が走る。
「…アン?お願い。目を開けてよ。目を閉じてないでさぁ」
私の足元にヒビが入るような、そんな感覚が、私の全身に伝わる。
「…私、言うこと聞くからさ。じゅ、授業は、真面目に受けて、に、二度と、サボったりしないからさぁ、お願いよぉ」
「あなたと、ま、また、遊園、地に行ったり、ふ、服を買いに、行った、りしたいよ…」
私はもう一度ギアスをかけた。
対象者に意識が無くとも、対象者が生きていれば体を動かすことができる。
そう、生きてさえいれば。体を操ることができる。
しかし、アンの体は動かなかった。
いくら強く念じても、強く『命令』しても、
指一つ動かない。
対象者が生きていれば、生きてさえいれば。
つまり、アンはもう死ん―――――――――


「いやっ、いやあ、いっ、いやああああああああああああああああああああああああ!!!」







20 :POPPO:2009/02/27(金) 00:16:07 ID:XhNZrNwc
同時刻。
式典会場から遠く離れた場所に、数十機の月下と一台のKMF運搬用のトレーラーが止まっていた。その周囲には黒のジャケットを着て、武装している人間が多数いる。
副司令が率いる壱番隊の部隊だ。
杉山賢人は壱番隊の副隊長。
月下の腕に寄りかかりながら、無線機で連絡を取っていた。
『ユーフェミアぁ。よくもゼロを撃ちやがって!』
「吉田!落ち着け!藤堂弐番隊長がプランF の指示が出てる。早く所定の場所に行け」
『プランF!?まさか…』
「…ああ。最悪の状況だ。今、参番隊もそっちに向かってる」
通信を切った後、またすぐに連絡があった。
零番隊長からの通信だ。
「カレン。どうした?」
『ねえ、杉山さん。ライは、ライはどうしたの!?まだそっちに来てないって本当!?』
「今、こっちからも連絡を入れてる。プランFはライの指示らしい。あとは…」
『ライに何かあったの!?ねえ!』
「…まだ情報が回ってきてないんだ。会場で何かがあった事は間違いないみたいだが、今は何とも言えない」
『くっ!ごめんなさい。杉山さん。今、朝比奈参番隊長から連絡が入ったから…』
「ああ、分かった。ライと連絡がとれたらすぐ報告するよ」
『ええ!お願い!』
そう言うと通信が切れた。
杉山は無線機を握りしめた。
歯を食いしばると、杉山は思い切り小石を蹴り飛ばした。前方にいた月下に当たり、振り向いた。
いまだライから連絡が無く、彼は動けずにいる自分に苛立っていた。
「クソッ!カレンを心配させるなよ。ライ。泣かせたら、タダじゃおかねえからな」




同時刻。
「ゼロ様が撃たれた!?」
シズオカにあるキョウト六家の別荘。
巨大な日本庭園があり、かつては文化遺産の一つであった屋敷。
その一室にある大スクリーンに桐原の顔が映し出されていた。
皇家の代表、神楽耶はその報告に身を震わせた。
『命に別条は無いということだが、安心は出来ない。そして、日本に戦が訪れる。7年前と同じようなブリタニアとの戦争が』
「……ゼロ様」
崩れ落ちる神楽耶を二人の従者が支えた。
「神楽耶様!」
『神楽耶!気をしかと持て!皇家たる者。弱き姿を民衆に見せるでない!』
「…はい!叔父様」
『神楽耶は今からキョウトへ戻れ。神楽耶の身に何かあれば…』
神楽耶は目もとを袖で拭うと、桐原に視線を送った。
少女に相応しくない、強い決意を秘めた瞳を宿した表情で。
「なりませぬ!私はゼロ様と共に闘いとうございます!私の力をもって、今から全部隊に召集をかけます!わたくしにできることであれば何でも致しますわ」
『…分かった。そちらの好きなようにしろ』
通信が切れると、従者に命令を下す。
その場を立ち去った後、彼女は袖を捲りあげて、屋敷の奥に消えていった。





21 :POPPO:2009/02/27(金) 00:17:09 ID:XhNZrNwc
私は…自分の願いのために…
アンの命まで踏みにじった。
憎い。
自分が憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。
計画が上手くいって喜んでいた自分が憎い!
何が成功した!?何が上手くいった!?誰が喜んだ!?誰が得をした!?
自分が天才!?ギアスで何でも出来る超人!?『ゼロ』を超える策略者!?
はっ!自惚れるのもいい加減にしろ!
私は!私は!私はぁ!!
兄の仇を取る為に!死んだ人間の汚名を晴らすためだけに!私のエゴのために!
大切な親友すら犠牲にした、


―――――――――――――タダノヒトゴロシダ。


私は首元からネックレスを取り外すと、私はアンの手に握らせた。
一年前にアンから貰ったネックレス。
私のお気に入りで、外出する時はよく身につけていた。
「今の私に、これをつける資格は無いわ。アン」
私はアンに微笑む。
これがお別れの挨拶。
膝を返すと、私はアサルトライフルを持って私は立ち上がった。
「ゼロだけは…絶対に殺す。それが、せめてもの…」
目の前には幾重の死体が連なっていた。肉片しか無い死体も多くあった。
この虐殺の元凶。
身も心の血で濡れた女。
それが――――――――――――今の私。

私はギアスを発動させた。
左目がマジックミラーになっているメガネをかける。
私の眼球がどの方角を向こうが必ず私の額を映すように細工されている。
自分自身にギアスをかけることで、人間の動体視力を超えた身体能力を引き出すことができる。リスクとして体にかかる負担は凄まじいが、今はどうでもいい。自分の体がどうなろうと。
残っている一本のマガジンは、ポケットに突っ込んだ。

もう、立ち止まらない。

22 :POPPO:2009/02/27(金) 00:17:53 ID:XhNZrNwc
私は『命令』した。
前進しろと。
地面を勢いよく蹴り飛ばした私は前へ進む。
煙で目が眩むが、前方に人影が見えた。銃を所持していることから軍人だと思われる。
だが、彼らに弁明している暇は無い。
私の行く手を阻む人間は容赦しない!
私は『命令』した。
殺せ、と。
パパパパン!
4発の弾丸は4人の人間の頭を撃ち抜いた。糸が切れた人操り形のように崩れ落ちる。
その死体から2丁のアサルトライフルを奪い去った。
両手に持ったアサルトライフルを前方に構えて、行く手にいる人間を全て撃ち殺して行った。
中には黒の騎士団の団員もいた。
躊躇いもなく撃った。
死んだ。
私は勢いをつけて、座席からランスロットと呼ばれるKMFの肩に飛び乗って、そこから式場の舞台に降り立った。
舞台上に配備されていた兵士は皆驚いた。
私は彼らに考える暇も与えず、そこにいたブリタニア軍人は全て殺し、数人の黒の騎士団の内、一人だけ残して他は撃ち殺した。
両腕両足を撃たれた男は、目の前で起こった事が把握できずにただ地べたをもがいていた。
その男に近付いて、髪を思い切り掴みあげた。
男の耳に障る悲鳴を無視してメガネを上げる。
左目にある赤の紋章が輝く。
「ゼロの居場所を言え」
「…12時の方向に待機しているトレーラーに、副司令と一緒にいる」
「ゼロの正体は?」
「………」
私は用が済むと、銃口を彼の額に当てた。
「そう、ありがとう」
バン!
男の顔が無残にはじけ飛ぶ。
返り血を浴びたが、拭うことはしなかった。
アサルトライフルを捨てて、また死体かた2丁奪った。マガジンも持てるだけ持ってポケットに入れる。
人が集まる前に、私は瓦礫と化した出入り口を飛び越えていった。


23 :POPPO:2009/02/27(金) 01:23:10 ID:XhNZrNwc
「ああ。ゼロの治療は終わった。今は情報を隠しておけ。下手な混乱を避けたい」
僕はディートハルトに連絡を入れた。
通信機を切った後、ルルーシュの寝顔を見た。
主治医に指示して、ルルーシュには睡眠薬を飲ませて眠っている。
放っておけば傷を無視してでも指揮をとって、命を危機に晒しかねない。
医療スタッフはゼロの素顔に目もくれずに仕事に徹している。
僕は椅子に座りながら思考を始めた。
(…ユフィの言動と行動。明らかにおかしかった。ならば、半年前のようにギアスに操られていた可能性が高い…でも、一体誰が、何のために?)
そして府に落ちないことはそれだけでは無い。
(『新日本党』のリーダー、鬼頭も色々と言っていたな。
『ゼロ』の指示で、と。
でもルルーシュからそんな話は聞いていない。
それに『新日本党』と組んでも、黒の騎士団側に何のメリットも無い。ルルーシュは関わっていないことは確かだ)

『ギアス』、『新日本党』、『ゼロ』。

これをキーワードに様々な思考を巡らせていったが、もう一つ、重要な要素が欠けている。
それは動機。
事の発端はそれに繋がる。その原点が絞り込めないのだ。
今回の事は日本にとってもブリタニアにとっても不利益を被る話でしか無い。
第3者の介入が一番疑わしいが、根拠が薄すぎる上に勢力は不特定多数だ。
分かっていることはゼロの命を狙っていて、失敗したということだけ。
今はそれが分ればいい。
「だから、ここを守ることが最優先だ」
僕は手元にある銃を見た。扱い方は『知っている』。
今一度、マガジンにある弾を確認する。
(そういえば…)
カレンや壱番隊に連絡を入れてない。ルルーシュの手術中は警戒していただけだった。連絡もディートハルトと藤堂さんにしかしていない。
壱番隊には待機命令とKMFが揃うまで動くなという指示を送ったはずだけど、大丈夫かな?
そう思って無線機に電源を入れた時、

パパパパパパン!
外で銃声の音がした。
悲鳴を上げる看護士たち。
僕はそれを手で制して、アサルトライフルを握る。
外に待機させていた団員から連絡が入った。
「どうした!?何が起こった?」
『い、いきなり団員の一人が発砲して、相撃ちに…うっ、グアッ!?』
「おい。応答しろ。藤原。藤原!」


24 :POPPO:2009/02/27(金) 01:23:48 ID:XhNZrNwc
ドン!!
突如、大きな音と共にトレーラーが傾き始めた。
それをいち早く察した僕は、銃を肩にかけて、ルルーシュの体を掴んで、反対方向の壁に背中をぶつけた。
(――――――ッ!!)
背中に激痛が走り、医療器具が飛んでくるが、僕はそれを無視して非常ボタンをガラスと共に叩き壊した。
いきなりトレーラーの天井が展開し、その小さな転がるようにルルーシュを抱きかかえたまま脱出した。
地面に僕は転がった。ルルーシュの体も二転、三転するが彼は起きなかった。
周囲から押し寄せてくるのは炎から来る熱気。
僕の背後では黒の騎士団員の死体が転がっていた。
横倒しになったトレーラーから足音が聞こえた。
咄嗟にルルーシュの前に出る。
「誰だっ!!?」
僕は反射的に銃を構えた。
後ろにはルルーシュがいる。しかも、マントもシーツも無く、顔をさらけ出している。
まずい!
僕は引き金を引こうとして、
その標的を見た途端、
手が止まってしまった。
相手の顔を見たからだろうか。
いや、目の前にいた少女がこんな事を呟いたからだ。



「え?…ライ、先輩?」





25 :POPPO:2009/02/27(金) 01:24:19 ID:XhNZrNwc
(!?先輩?ってことは…)
血で濡れた服を着た青髪の少女は目を見開いて、僕を見ていた。
目の前の光景が信じられないと言っているように。

「き、君は…アッシュフォードの?」

彼女の左目に輝いている紋章を僕はとらえた。
見間違えることの無い、悪魔の紋章。
眼鏡の奥に秘めた瞳に彼女は宿していた。

(左目は、まさか…ギアス!?)

「え?…な、なんで?…へ?」

う、うしろにいるのは…

「る、ルルーシュ先輩?…は?…え、え?」

…何の冗談?ル、ルルーシュ先輩の格好って…は?ウソでしょ?

私の手が無意識に震えていた。銃口が定まらない。

ギアスの力で体を制御してるのに。

「貴方が…」

(…この騒乱、まさかこの少女が!!)

「君が…」














26 :POPPO:2009/02/27(金) 01:25:02 ID:XhNZrNwc
「何でこんなところにいるんだああああああああああああああああ!!」
「何でこんなところにいるんですかああああああああああああああ!!」



凄まじい絶叫と共に睨みあい、互いに引き金を引こうとした瞬間―――――――――――
ズゥゥゥウウウウウン!!
突然、轟音と共に視界一杯に黒い物体が広がる。
小さな銃声がかき消され、周囲に粉塵が舞い上がった。恐る恐る上を見上げると、それがKMFであることが分かった。
『無事か!?』
「C.C.!!」
ゼロ専用のKMF、ガウェイン・ラグネルからオープンチャンネルで彼女の声が聞こえた。
赤いハッチが開き、C.C.の姿が見えた。
「今、ワイヤーを…」
「そんな暇は無い!」
僕はルルーシュを担ぎあげるとガウェイン・ラグネルの右腕を足蹴にして、コクピットに飛び乗った。
ベルトは締めずに、操縦桿を握ってハッチを閉めた。
膝にルルーシュの体を置くと、両側から現われたキーボードに打ち込んで生体反応を確認した。
モニタには炎上した機器が周辺に多くあることから、温度による生体反応が確認できない。
思わず舌打ちをする。
「…逃げたか」
「?一体どうしたんだ?」
前部座席から僕を見上げながらC.C.が訪ねてきた。
「さっき僕たちの目の前に女の子がいただろ!?彼女はギアスを持っていた!」
「何だと!?」
「!?C.C.も知らないのか…おそらく身体を操るギアスだろう。さっきの異常な身体能力も自分自身にギアスをかけていたなら説明がつく!そして、この事件のっ!…」
ガンッ!と僕は右横のフレームを思い切り叩きつけた。少し拳形に凹んでしまっていた。
その時、コクピット内にアラーム音が鳴った。
モニターを確認する。周囲に5機のサザーランドが接近し、発砲してきた。
ガウェイン・ラグネルの前方に絶対守護領域が展開された。
『ゼロォォォオオ!!自分だけ逃げる気かああああ!!』
銃弾を完全に防ぎきれたとしても衝撃はコクピット内にも伝わってくる。
ルルーシュの体が揺れ、ジャケットに彼の血がこびり付いた。
傷口が開きかけている恐れがある。
「――ッ!!」
それを見た瞬間、僕の頭は沸騰した。


27 :POPPO:2009/02/27(金) 01:27:48 ID:XhNZrNwc
操縦桿を強く握り、サザーランド全てをロックオンした。そのままボタンを押す。
「お前らは…」
ワイヤーカッターが装備されたスラッシュハーケンが発射され、2機のサザーランドに巻きつく。ナイトメアのアサルトライフルがいとも簡単に切り落とされる。
そのままガウェイン・ラグネルの上半身を回転させた。同時にフロートシステムを展開した。
「邪魔なんだよおおおお!!!」
他のサザーランドに激突しながら、サザーランドの機体が切り裂かれた。周囲の破片と粉塵をまき散らしながら黒い機体は空高く飛び上がる。
一瞬遅れて、5機全てコクピットごとサザーランドが炎上した。パイロットも生きていはいない。



28 :POPPO:2009/02/27(金) 01:28:41 ID:XhNZrNwc
それをモニターで確認すること無く、ガウェイン・ラグネルを発進させた。
ルルーシュの傷にタオルを押し当て、僕はC.C.に声をかける。
「このままシズオカの本部に向かってくれ。ルルーシュの傷が開きかけてる」
「分かった。…ライ。お前はどうするつもりだ?」
「…ルルーシュを休ませている間、僕がゼロを代行する。そして、あの少女を捕まえる。黒の騎士団総力を挙げてな。C.C.君にも手伝ってもらいたい」
「…やはり、そう言うと思ったよ。ならば私も同行する」
「何を言ってるんだ?C.C.はルルーシュの傍にいてくれ。万が一の事態に対処できないだろ?」
「私はルルーシュの共犯者だが、子守をする気はない」
「…冷たいな。君は」
「恋人からの連絡をほったらかしにしているお前に言われたくないな。不審に思われるぞ?」
…先ほどから右のモニターが点滅していた。通信が来ているという知らせだ。
Q1
相手はカレンだ。紅蓮弐式からの通信だった。
僕は言い知れぬ冷や汗をかき始めた。
何でかって?
それはC.C.がニヤついているからさ。
「C.C.…ゼロの仮面は無いか?声でバレる」
「そんなものは無い。繋ぐぞ」
「ちょっと待っ!」
僕の言葉も空しく、チャンネルがつながれた。
眼前のモニターには『SOUND ONLY』の文字だけ表示されている。
『ゼロ!ご無事でしたか!?…報告します。現在、ポイント甲七十八に待機させているトレーラーに副司令が到着していません。
『蒼天』のスタンバイは既に完了していますが、連絡も途絶えたままで…』
「…そのまま『蒼天』をポイント丙二十一まで後退させてくれ。零番隊はポイントB2に移動を開始しろ」
『…ええっ!ライ!?何でガウェインに乗ってるのよ!?』
やっぱりばれた。映像は無いものの、何故か焦る僕。
「すまない。カレン。成り行きでこうなった」
『成り行きでって…!!ゼ、ゼロは?ゼロは無事なの!?』
「ああ。今は眠ってるけど命に別条はない。あと、カレン。今から数日程度、僕がゼロの代わりをするから。心配しな…」


『はあああああ!!?』


コクピット内にカレンの大声が響き渡った。前部座席にいるC.C.が両手で耳を塞ぐくらいだった。
僕の耳響くものがあったが、それが逆に心地よかった。
カレンの声を聞いただけで心が癒されるなんて…僕は完全にカレンに依存してしまっているのかもしれない。
『ちょ、ちょっと何言ってんのよ!?た、確かにライは指揮能力が高いけど、ゼロの代わりなんて…』
「大丈夫だ。カレン。ライの腕なら私が保証する」
『え!?C.C.!?何で貴女が其処に、って、まさか!ライと二人っきりでガウェインに!?』
「…ゼロも乗っている。負傷中だからあまり大声を出さないでくれ。カレン」
『あっ!も、申し訳ありません!』
「だから、ゼロは眠ってるって…」
カレンの声に、僕とC.C.は思わず笑ってしまった。
いつの間にか、さっきまで張り詰めていた緊張感が無くなっていた。
ここでようやく僕は気づいた。C.C.がカレンと連絡を取ったのは僕を気遣ってくれてのことだったということを。
『…ねえ、ライ』
「ん?何だい?」
『ライは、大丈夫なの?怪我とか、してない?』
…カレン。君って人は本当にやさしい女の子だ。
君を好きなってよかったよ。
心がすごく落ち着く。


29 :POPPO:2009/02/27(金) 01:35:15 ID:XhNZrNwc
「ああ。心配してくれてありがとう。カレン」
『…良かったぁ』
通信が切れる前に、僕はカレンに言った。
彼女だけにかける、魔法の言葉を。
「カレン」
『えっ?何?』


『愛してるよ』


『〜〜〜!!!』
ブチッと、通信を強引に切る音が聞こえた後、コクピット内に静寂が生まれた。
C.C.が小さく笑うと僕のほうを見上げながら言葉を紡いだ。
「カレンの扱い方が上手くなったな」
「その言い方は無いよ。でも、カレンが考えていることは手に取るように分かるな」
「…乙女心まで知り尽くす気か。末恐ろしいな。お前は」
「?何がだい?」
「いや、何でも無い。ただの一人言だ」
「そうなんだ。ところでさ。C.C.」
「何だ?」
タイピングを一旦止めて、僕はC.C.に笑顔で感謝の意を述べる。
「ありがとう」
それを聞いたC,C,は含み笑いを僕に返した。
ちょっとばかり怖い。
「フン。『非』童貞坊やが。生意気だぞ?」






混沌とした式典会場。
彼は撃墜されたサザーランドの残骸の上に立っていた。
ガウェイン・ラグネルの後ろ姿を見守る一人の少年がいた。
帽子を脱ぎ去り、黒髪のカツラをはぎ取った。
彼の綺麗な白い長髪が肩にかかる。
その時、彼の表情には深い笑みが刻まれていた。
少年には相応しくない、狂喜に満ちた、目と唇を歪ませた禍々しい笑顔。
その唇が言葉を紡いだ。

「見つけた…」


30 :POPPO:2009/02/27(金) 01:38:29 ID:XhNZrNwc
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」 (中編7)

終了です。
話が二転三転して、適度に切ってやっと落ち着きました。
もう少し詰めようと思ったのですが、これ以上すると一章にまとまらないので
大分細部を切り落としました。
感想待ってます!
それでは。


31 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 08:25:51 ID:8HeuhtCH
POPPO卿投下乙です!朝からいいものを読ませていただきました。
ついにやってきましたね衝撃の展開が。
原作のルルーシュと同じく親しい者を殺してしまったリリーシャはどうなるのか
犯人がゼロではないことで違った行動を取るスザク
そして、VV出演でハアハアしているであろうトーマス卿
いよいよ先が読めなくなってますます楽しみです。続きを全力を挙げてお待ちいたしております!
誤字報告
命に別条 命に別状

32 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 10:32:15 ID:iqReT76e
>>30
POPPO卿、GJでした!
最愛の人をなくしたスザク、親友をなくしたリリーシャ、悲劇が広がっていきますね。
V.V.の教えた真実は、嘘か真か……
ゼロの正体を知り動揺するリリーシャ、敵の正体を知り動揺するライ。
色々気になってきますね。
しばらくゼロを代行するライ、その行動は如何なるものになるのか。
笑う少年、X.X.
彼はやはり……
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

33 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 15:13:17 ID:zxgYVHiJ
面白い、そしてすごい
オリジナル満載で原作から離れてるのにちゃんとギアスになってる
描写もうまくてキャラの息遣いが伝わってきそうです
続きが待ち遠しくて仕方ないです

>>31
なんで男キャラのV.V.にトーマス卿がハァハァするんだよw

34 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 21:07:06 ID:Jg9l18kj
>>30
投下乙ですPOPPO卿
リリーシャとライの邂逅に瀕死のルル―シュと、展開が全く読めませんね。
カオスっぷりを堪能しつつ続きを待ってます。
ただ、ちょっとだけ耳に痛いことを言わせて頂きますが、誤字脱字がちらほら見受けられます。
生きていはいない→生きてはいまい  など
このあたりはトーマス卿の無敵のサポートがありますが、もう少し推敲をすればさらに
素晴らしくなると思います。期待しています。

>>33
トーマス卿は可愛い男の子にハァハァする方ですよ。テストに出るので覚えときましょう。

35 :千葉はライの嫁:2009/02/27(金) 23:08:58 ID:I4hZXEJm
随分とお久しぶりな感じになります、千葉はライの嫁です。
久しぶり過ぎて俺のことを知らない人もいそうですが、書いてる長編の続きを投下しようと思います。
レス数は、どれくらいかなぁ。20にはいかないと思いますが……それなりに長いです。
では、行きます。


36 :千葉はライの嫁:2009/02/27(金) 23:10:46 ID:I4hZXEJm
あ、書き忘れてましたが、スザクに匹敵する身体能力というのを意識して書いたのでライが結構強いです。
あと、オリジナルキャラとかも出ます。そういうのが無理な人はスルー推奨です。

37 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:14:11 ID:I4hZXEJm
 富士五湖の一つ、河口湖。
 美しい自然とエリア11最高クラスのホテルであるコンベンションセンターホテルを備えている上にフジヤマプラントから近いため警備が厳しく、その結果治安が良いこともあって観光地として人気を博している湖である。
「うんうん、思ってたよりも綺麗なところじゃない。美しい自然の中で語らう、四人の美男美女達。くぅ、絵になるわぁ! 後で写真撮らないとね」
 湖畔を軽やかな足取りで散策するミレイは喜色満面の笑みを浮かべて、くるりとその場でターンをした。
 ミレイの動きに合わせて、ふわりとスカートが舞い上がる。この日の為に奮発した色鮮やかで美しい衣服とミレイ自身の美貌も相まってその姿は、なるほど。まるで一枚の絵画のようで確かに絵になった。
「でもほんと、ルル達も来れれば良かったのに。それに、カレンまで来られないなんて……残念ですね」
 どことなく寂しげな声の主はシャーリーだった。友達を大事にする彼女からすれば、今この場に生徒会メンバーが揃っていないのが残念で仕方が無いのだろう。
「また来ればいい。今度は、皆で一緒に」
「ライ……うん、そうだよね」
 傍らに立ったライにシャーリーは明るく笑って見せた。それを見て、自分が安堵していることにライは気付く。
 ライにとっても不可解なことなのだが、シャーリーを初めとする生徒会メンバーが笑顔でいてくれないと、彼は落ち着かないのだった。
「おや〜? なに雰囲気出しちゃってるのかな二人とも。なに、シャーリーったら浮気?」
「うわっ……!? か、会長ってば、何言ってるんですか!! そ、そんなんじゃないんですから! 私はただライと……」
「あっはっは! 照れない照れな〜い」
「もう、会長!」
 まるで子供のように追いかけっこを展開するミレイとシャーリー。ライは一通り騒ぐ二人の姿を眺めていたが、傍らで同じように二人を眺めていたニーナに視線を向ける。
「なぁ、ニーナ」
「な、なに?」
 不意に声をかけられて、一瞬体を震わすニーナ。男性恐怖症の気があるニーナは、まだ多少ライへの恐怖心が残っていた。
「浮気って、どういう意味だったんだろう?」
 ライは真剣な表情をしていた。そんな真剣な表情で、間の抜けたことを口にした。
 ニーナは初めライがボケたのかと考えたが、真剣そのもののライが本気であることを理解するに至ると、思わずふきだした。
 突然、控え目ながらも笑い出したニーナにライは不思議そうな顔をしている。
「ニーナ? 僕は何か、おかしなことを言っただろうか」
「フフフ……ううん、言ってません。そうですね、浮気ってどういう意味なんだろ」
「ニーナにも分からないのか」
 ライは軽く目を見開いて驚いた様子で、思案に耽りだした。それほど真剣に考えることではないのに真面目な顔で考え続けるその姿を見て、また少し笑ってしまう。
 同時に、租界から出てから胸の内に不安を燻らせていた自分自身のことも、ニーナにはなんだかおかしく思えた。
「良い天気……」
 見上げた空は、どこまでも青く澄んでいた。部屋に篭りがちなニーナは、こんな風に穏やかな心で空を見上げたのは久しぶりな気がした。
「ねぇ、ライさん」
「……どうした?」
「今日は、きっと良い日になりますよね」
 ニーナの方から言葉をかけてきたことに僅かに驚いたライだが、ニーナの顔に柔らかい微笑が浮かんでいるのを見て今こそ成果を見せるときだと、ミレイに言われてから練習を重ねていた笑みを浮かべた。
「ああ。きっと良い日になるよ、ニーナ」
 二人の間に、穏やかな風が吹く。
 風を受けて揺らいだ湖面が微かに波打ち、太陽の光を受けきらきらと輝いて見えた。



「ライさん、少しほっぺたがひくひくしてて、おかしいですよ」
「……」




38 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:16:26 ID:iU7ytaGa
おひさしぶりです支援

39 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:16:40 ID:/MZkS3yE
支援

40 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:17:00 ID:iqReT76e
待っていました支援

41 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:23:04 ID:I4hZXEJm
「……会長、質問をしても良いか」
「いいわよ〜。なに? 私のスリーサイズとか?」
「違う。会長達の部屋のことだ。今日はどの部屋に泊まるんだ?」
「この部屋よ。安い部屋だけど、良い感じでしょー。」
 ミレイは両手を広げ、今いる部屋を自慢するように言う。
 確かに良い部屋だ。調度品の品も良く、またミレイ達三人が入っても充分以上の広さがある。湖に面する外壁には大きな窓があり、
 高さはそれほどでもないもののそこから陽光に煌めく河口湖の美景を俯瞰出来る。本当に良い部屋だ。が、しかし。
 まるで後から一つ付け足してもらったかのようにベッドが四つ窮屈に並んでいるのは、一体どういうことだろうか。
「……じゃあ、もう一つ質問だ。僕は今日どの部屋に泊まるんだ?」
 まさか。いやしかし、そんな馬鹿な事が。咄嗟に思い浮かんだ己の予想を否定してもらうために紡ぎだされたライの言葉は。
「んふふ〜。言わなきゃわからない? ここよ、こ〜こ!」
 してやったりと言わんばかりに満面の、それもまるで小悪魔のような笑みを浮かべたミレイに肯定された。
 ライは暫し告げられた言葉の意味を嫌々ながら吟味する。その結果導きだされる答えは考えるまでも無く分かっていた。分かっていたが、
 ライの優秀な頭脳はその答えを弾きだすのを拒否した。同時に、ゼンマイの切れかけた人形のようなぎこちない動きで踵を返すライ。
 そして、躊躇することなくドアへと歩みだす。ライは逃げだした。
「おっと、逃がさないわよ!」
 しかし回り込まれてしまった。唯一の出口の前に立ち塞がるミレイを親の仇を見るような目で見るライだが、ミレイは堪えた様子も見せず笑ってみせる。
「男女同室なんて、正気ですか会長!」
「あら、失礼ね。ミレイさんは至って正常、正気で本気よ? ほらほら、部屋のキー一つしか持ってないでしょ?」
「非常識だ!」
「なによ、良いじゃない別に。同じベッドで寝るわけでもなし。あ、それとも一緒に寝る? ライなら私、別に平気だけど」
 ミレイの場合、冗談なのか本気なのか判断に迷うから困る。初めこそ理路整然とミレイに行動の非常識さを説いていたライだが、全くの馬耳東風。
 ミレイを相手にしても埒が明かないと悟ったライは、ベッドの上で寛いでいるシャーリーとニーナの二人に希望を託した。
「んー、でもライだけ一人っていうのはかわいそうだと思うしライだったら変なこともしないと思うから、別に良いかな」
「それに、その。今夜は朝まで語り明かすって、ミレイちゃんが言ってたから。皆起きてるなら……あ、いや、だからってライさんを信用してないわけじゃなくて」
 希望は潰えた。しかも二人はライを信頼しているからこそこんなことが言えるのである。ライがこれ以上どうこう言えるわけがない。
「はい、多数決成立。だ〜いじょうぶ、カレンには黙っててあげるから」
「どうしてここでカレンが出てくるんだ……」
 力なく項垂れるライの呟きに、おや、とミレイは意外そうな顔をした。
「あなた達付きあってるんじゃないの?」
「だから、何故そういう話になるんだ」
「だって最近いつも一緒にいるし、結構良い感じに見えるけど」
 ミレイの答えに、ライは目に見えそうなほどの盛大なため息を吐いた。
 確かにカレンは魅力的な女性だとライは思う。容姿の美しさというよりもむしろ、時折見せる意志の強さ、心根の単直さがだ。
 ライは、学園でのカレンが本来のカレンの姿ではないことを見抜いていた。何故そんなことをする必要があるのかも、薄々察してさえいる。だからといって、カレンにどうこう言うつもりは無い。
 ライ自身、ミレイ達との間に要らぬ波風を立てぬために嘘をついているのだ。カレンを責められる筋合いは無い。
 そしてそうした特殊な事情を抜きにすれば、カレンはとても好ましい人物だった。半ば無理やり押し付けられたライの世話役を当初こそ不満気だったものの、
 なんだかんだで投げ出さずに親身になってくれているし、当ての無いライの記憶探しにも付き合ってくれている。
 ライにとってカレンは、とても大切な友人だ。それ以上でも以下でもないのだ。何やらミレイは二人の関係を誤解しているようだが、カレンのような女性と付き合える男は果報者だとライも思う。
 だからこそ、自分のような不審者とそういう眼で見られているとあってはカレンが気の毒過ぎる。

42 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:24:04 ID:iqReT76e
支援

43 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:24:07 ID:/MZkS3yE
支援

44 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:25:40 ID:I4hZXEJm
「カレンには本当に良くしてもらっているが、会長が思っているような関係じゃない。
 でも、もしも会長以外にもそう思われているのだとしたら問題だな……もうカレンには、租界の案内は頼まない方が良いのかもしれない」
「え、ちょ、ダメダメ! これからもカレンに案内してもらいなさい!」
 思案顔のライに、酷く慌てたのはミレイだ。まさか、こんな展開になるとは考えもしなかったのだろう。ミレイの想像以上に、ライは鈍感だったのだ。
「しかし」
「良いから! これ、会長命令ね!! もし私のせいでライの世話が焼けなくなったと知られたら、カレンにどれだけ恨まれるか分かったものじゃないもの」
 ライは最後まで納得のいかない顔をしていたが、ミレイの剣幕に押され渋々頷いた。それを見たミレイの口から、思わず安堵の吐息が漏れる。
 こんなに焦ったのはルルーシュがシンジュクでテロに巻き込まれたと聞かされた時以来だとミレイが考えた刹那、何かがミレイの脳裏に閃いた。
 シンジュクゲットーでのテロ騒ぎではイレブンに多数の死傷者が出たと聞く。ミレイもネットに出回っていた違法動画を目にしたことがあるが、目を覆いたくなるような惨状が映しだされていた。
『外的要因よりもむしろ、内的要因によって記憶を失ってしまったのかもしれないわね』
『内的要因? って、どういう意味ですか会長?』
『分かりやすく言っちゃえば、嫌なこととか悲しいことを忘れたくて他のことも忘れちゃったってこと』
 ライが目覚めた直後に、ミレイ自身がシャーリーと交わしたやり取りが思い出された。
 ライは発見当初、ゲットーのイレブンが着ているような粗末な衣服を身に付けていた。もし仮にライがテロ騒ぎが起きた日にシンジュクに居合わせたとして、
 あの惨状を眼前にしてしまったのだとしたら……ショックで記憶を失ってしまったというのも、ありえない話ではないのかもしれない。
(もしもそうだとしたら、ライは)
 何かを掴みかけたミレイの思考は、そこで中断を余儀なくされた。
 階下から微かに悲鳴や怒声染みた声が聞こえたかと思えば、散発的に鋭く乾いた音が発せられたのが確かに聞こえたからだ。
「な、なに? 今の」
 シャーリー達にも聞こえたらしい。聡明なミレイはその音の正体にいち早く気付いていたが、ニーナの不安に揺れる瞳を見てしまっては口にするのは躊躇われた。
 ミレイに代わり、厳しい表情で事実を告げたライが口にしたのはただ一言。
「銃声だ」
「銃声!? どうして、な、なんでそんな!」
「推測になるが、ゼロが登場してから反ブリタニア勢力の活動が活発になったと言われている。今の銃声も恐らく、そうしたテロリストの仕業だと思う」
「そんな……!」
 シャーリーの顔がみるみる青ざめる。流石のミレイも、何も口に出来ないまま俯いてしまっている。
 不意に、がたがたと震えていたニーナが転げ落ちるようにベッドから降りた。そのまま、半ば這うような勢いで出口へと駆けだす。
「どうするつもりだ、ニーナ」
 その前に立ちふさがったのは、ライだ。ニーナはごちゃごちゃとした感情をそのまま顔に出したような歪んだ表情でライを睨む。
「どいてよ! 逃げなきゃ、逃げなきゃイレブンに殺されちゃう!!」
「大丈夫、殺されはしない」
「そんなの分からないじゃない!!」
 興奮状態にあるニーナを落ち着かせるためにゆっくりとした口調で、ライは語り始める。
「分かるさ。このホテルその物には何の価値も無い以上、連中の目的はこのホテルの宿泊客を人質にとって何らかの要求をブリタニアに飲ませることだろう。
 人質という価値のある僕達を、すぐさま殺すような真似はしないはずだ。このホテルは湖の中央の埋め立て地に建てられていて橋も一つしかないからな、閉鎖は容易な筈だ。
 それにもしも僕がテロリストなら、宿泊客の位置は名簿を見るなりしてすぐに把握するよ。逃げられないように」
 直後、まるでタイミングを計ったように日本解放戦線と名乗ったテロリスト達が放送を使って宿泊客の名と部屋の番号を読み上げ、
 自分達が完全に人質の人数と構成について把握していること、今すぐに自分達が指定する場所に来る事、そして逃げ出そうとした者は女子供であろうと即刻射殺する旨を告げた。
 全てが、ライの言葉通りとなってしまったのだ。へなへなとその場に座り込んだニーナは、ミレイに抱きしめられた途端に声を上げて泣き出してしまう。
 ニーナの泣き声で不安に胸を押しつぶされたのか、シャーリーも声を殺して泣きだし、弱いところを見せまいとしているミレイもニーナの不安を少しでも軽くしようと寄り添っているだけで精いっぱいだった。

45 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:26:58 ID:iU7ytaGa
しえんー

46 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:29:05 ID:I4hZXEJm
(日本解放戦線か。旧軍の残党で構成された大きな組織だったか……大方、新参のゼロの派手なパフォーマンスに触発されたんだろうが)
 彼女達の悲痛な様子に胸を痛めながらも冷静な思考を保っていたライは、暫しの間をおいた後努めて落ち着いた口調で言葉をかけた。
「皆不安なのは分かるが、今は大人しく奴らの言うことに従おう。大丈夫、皆無事に家に帰れるさ」
「いい加減なこと言わないで!!」
 ライの言葉には不器用な彼なりの精一杯の優しさが込められていたが、理不尽な現状のせいで心を乱されていたニーナにとっては無責任極まりない発言に聞こえた。
 泣き叫びながら、俯かせていた顔を上げライを睨みつけたニーナは、ライの顔に浮かぶ穏やかな表情と粋然な決意の輝きを宿した瞳を見て言葉を失った。
「根拠はあるさ。僕が守る」
 そう言って、ライは微笑んだ。湖畔で見せたぎこちない笑みではない、透明に澄んだライという人物そのものを表すような微笑だった。
 不思議なことに少しだけ、本当に少しだけだが気分が楽になった気がしたニーナは頬の涙をぬぐい一度鼻をすすると、こくりと頷いた。
 ライもまた笑顔のまま頷くと、視線を巡らしミレイとシャーリーにも問いかける。ある程度平静を取り戻していた彼女達が同じように頷いたのを確認してから、ライは立ち上がり先頭に立って歩きだした。
「ライ、さん」
 ドアノブに手をかけたライは、酷くか細いニーナの声を聞き洩らすことなく振り向いた。
 ニーナは先ほど自分が見せた醜態とライへの仕打ちを思って自己嫌悪にかられている様子で、怯えた表情のまま、
「ごめんなさい……ありがとう」
「どういたしまして。……ああ、そうだ。前から言おうと思っていたんだけど、ニーナ」
 どのような言葉を返されるのか怯えていたニーナに向けられたのは、先ほどと同じ笑顔。
「僕のことはライと、そう呼び捨てにしてくれ」
 自分の言葉でニーナの表情が僅かに和らいだのを見て一つ頷くと、ライはドアを開けた。念のため周囲を警戒し人影が無いことを確認し、背後のミレイ達に合図を送る。
 どちらにしろこれからテロリスト達に会わなければならないのだろうが、トラブルが発生する確率は低い方が良いというライの考えによるものだ。
 人質の集合場所として選ばれた大ホールは五階ほど上の階にある。ライは少し悩むそぶりを見せた後、エレベーターがある方向へ向けて歩きだした。ミレイ達もその後に続く。
 先頭から順番にライ、シャーリー、ニーナ、ミレイの順番で廊下の中央を歩く。高級ホテルだけあって敷かれたカーペットは歩き心地が良いものであったが、今のライ達の歩みは沼地を歩いているかのように鈍かった。
 やがて四つのエレベーターが並ぶ開けた空間に着くと、恐らく旧日本軍の制服であろうと推測される軍服に身を包んだテロリストが二人ライ達を待っていたかのように立っていた。
「ミレイ・アッシュフォード、シャーリー・フェネット、ニーナ・アインシュタイン、ライ・ウーティス……ふむ、女三人に男一人。間違いなさそうだな」
 巌のような顔と体をした小柄な男が手元の書類とライ達に交互に視線を向けながら呟き、エレベーターのスイッチを押す。
(厳格そうな人物だ。これならば人質に危害を加えないだろう)
 そう内心で安堵していたライだったが、もう一人のテロリストの男の顔を見て僅かに緩んだ心を引き締めた。
 もう一人のまるで針金のような鈍い鋭さを持った男の口元に、軽薄な笑みが浮かんでいたからだ。
「はっ。女三人に男一人ね。若いのにやるもんだな色男よぉ。いや、若いからかな? ん?」
「すいません、何を仰りたいのか分かりません」
「今夜はお楽しみの予定だったんだろって言ってんだよ」
 軽薄な笑みを浮かべたまま、男はライの胸倉を掴み引き寄せた。背後でミレイ達が何か言いかけたのを気配で察知し、ライは男からは見えない位置でミレイ達に大人しくするよう手で合図を送る。
 怯えた様子を微塵も見せないライが気に食わなかったらしく、男はライの胸倉をつかむ腕に更に力を込めた。だがしかし、ライはどこまでも平然としていた。
「確かに今夜は友人達と楽しく過ごすつもりでした。残念ながら、この状況では難しいでしょうが」
 淡々としたライの言葉に舌打ちし、男はライの端正な顔に唾を吐いた。それほど屈辱的な行為をされたというのに、ライは瞬き一つせず男の言葉も眼光も正面から受けている。
 苛立ちが滲む男に対し、ライは徹底的に無反応で応じていた。それが一番だとライは考え、事実あまりにつまらないライの反応に飽きたらしい男は胸倉を掴む腕から力を抜きかけた、その時だ。

47 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:30:50 ID:iqReT76e
支援!

48 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:30:54 ID:I4hZXEJm
「放しなさいよ!」
 ライとテロリストの間に割って入ったシャーリーがテロリストの腕をはたき落したのだ。真っ直ぐ過ぎる人柄のシャーリーが、ライが受ける行為に堪えかねて動いてしまった。
 怒りに頬を紅潮させたシャーリーに睨まれた男は当初何をされたか理解出来ていなかったようだが、次の瞬間には既に手を振り上げていた。その手が振り下ろされると同時に、骨が肉を打つ鈍い音が鳴る。
「ライ!」
 シャーリーの代わりに拳を受けたのはライだった。ライはたたらを踏みながらも踏みとどまり、男を睨めつける。視線を逸らすことを許さぬその眼差しに、男は苛立ちの対象をシャーリーからライへ切り替えていた。
「ガキが、逆らおうってか!」
「栄光ある日本軍の中でも日本陸軍は、厳格な軍紀を守る精兵揃いと聞いたことがある」
 怒鳴り散らす男を意に介さずライはカッ、と目を見開きと淀み無く続けた。
「その日本陸軍の兵士が、日本軍を代表する誇り高き勇兵が、子女に拳を振るうのか! 日本陸軍とはその程度か!!」
 威厳すら感じさせる大声を発したライの気迫に気圧され、男は無意識に後ずさっていた。
 突然のライの変わりようにシャーリー達も思わず息を飲む中、一人冷静さを失っていなかった巌のような体格のテロリストがライの正面に立った。
「確かに、今俺の仲間がしたことは我ら陸軍のみならず日本軍全体を貶める愚劣な行為であった。そのことは謝罪しよう。
 だが……そのことを、貴様に責められる謂われも無い」
 言い終わるや否や、男のそれこそ岩石のような拳がライの腹にめり込んだ。その場に膝をついたライから視線を外した男はもう一人の男に目で合図すると、
 好きにしろとでも言うような態度で未だ来ないエレベーターの扉を見つめた。パネルに表示されている階の進みは遅く、他の階で同じようなやりとりが行われているのが窺えた。
 針金のような男は先ほど自分がライに気圧されたことに気付き顔を怒りと羞恥で真っ赤にすると、膝をついていたライの顎を蹴り上げた。
 男の怒りはこの程度では収まらぬようで、派手に吹っ飛び壁に身を打ちつけたライを執拗に蹴り続ける。ライは腕で顔を庇うだけで、抵抗する素振りも見せない。
「ライ! やめて、やめてよぉ!!」
 悲鳴を上げ駆けよりかけたシャーリーを、ミレイが押さえ込んだ。シャーリーは何故ミレイが自分を押さえ込むのか理解出来ず混乱した。
「会長、なんで……放してください!! ライが、ライが!」
「うるせぇぞ女! 黙って見てろや!!」
 ばたばたと暴れるシャーリーを、しかしミレイは決して放さなかった。先程蹴り飛ばされたライが刹那の間自分に向けていた視線に込めていた意味を、ミレイは確かに理解していたからだ。
 即ち「手出しするな。黙って見ていろ」。ここでこれ以上逆らえば、ライ達はどうなるか分からない。ライが抵抗らしい抵抗を見せていないのは、ここが落とし所だからだ。
 恐らくもう一人のテロリストもそのつもりであるに違いない。文字通り体を張って守ってくれているライの気持ちを無駄にしない為に、ミレイはシャーリーを抱きしめる腕に力を込める。噛みしめ過ぎたミレイの唇からは、血が滲んでいた。
 ニーナは目の前で行われる理不尽な暴力を見かね、口元を手で覆い座り込んで泣きだしていた。暴れていたシャーリーも、徐々に力をなくしてやがては嗚咽を漏らすしかなくなった。
 それからエレベーターが到着するまでの短い、しかしミレイ達にとっては恐ろしく長く感じられる時間が過ぎるまで、ライはテロリストの暴力を一身に受け続けた。

49 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:32:27 ID:I4hZXEJm
「カレンちゃん、カレンちゃんってば!」
 腕を小突かれたカレンは、そこで漸く自分が何をするでもなく突っ立っていたことに気付いた。
 すぐ傍らには怪訝そうな顔をした小笠原がおり、周囲では玉城や南、杉山といった面々が新しいアジトに荷物を運び込んでいる。
「どうしたの? ぼーっとしちゃってさ」
「あ、いえ。別になんでもないんです」
「なんでもないってことはないっしょー。さっきなんて、凄い切ない顔してため息まで吐いてたくせに。
 なに? ひょっとして恋の悩みだったり? それならお姉さんが力になってあげるからさ! さぁさ、話してごらん」
「いや、あの」
 好奇心を隠そうともせず迫ってくる小笠原。気のせいなのだろうが、その眼は爛々と光って見えた。
 逃げようにも小笠原に右腕で肩を組むようにしてホールドされてしまっているし、なにより小笠原の指摘が当たらずとも遠からずな内容だったせいで、動揺してしまって上手い言い訳が出てこない。
 しかしカレンは、それほど困ってはいなかった。そろそろ、相方がツッコミを入れてくれるだろうと予想していたからだ。
「井上流、雷神拳」
「おわっち!? ビリってきた今ビリって!」
 案の定、小笠原に悟られぬよう忍び足で接近してきていた井上が、小笠原の内肘の突出している骨の辺りをコツンとやった。
 通称ファニーボーンと呼ばれるそこを叩かれたことで小笠原はしばし腕を押さえて呻いていたが、やがて抗議の意を込めた視線を井上に向ける。
 しかし井上は涼しい顔。
「口動かしてばかりいないで手を動かしなさい」
 きっぱりと言ってのける井上。カレンは、締めるべきところはきっちり締めてくれると、小笠原と同じく噂好きでも流石に井上は違うと見直していたのだが、それも束の間だった。
「だって今まで浮ついた話のなかったカレンの恋話よ? これ以上に重要なことって他にある? いいやない!」
「……言われてみればそうね。どうなの? カレン」
「ちょっ!? やっぱり同じだこの人達!!」
「やかましい。良いから白状しろい!」
「理不尽だー!」
「おい、カレンで遊ぶのもほどほどにしておけ」
「わぷっ」
 呆れたような声音で割って入ってきた吉田が、背後から小笠原の帽子を押さえる。突然視界が遮られたことで拘束が緩んだ隙に、カレンは小笠原の魔の手から逃れた。
「んもう、なんで邪魔するかな吉田は! なんだかんだで吉田も、カレンの恋話に興味あるくせに!」
「いや、別に。プライベートに干渉する気は無い」
「ぶーぶー。空気よめー」
「お前こそ空気を読んで仕事をしろ」
「そうよ小笠原。仕事しなさい」
「うわっ、なにその自分は悪くないみたいな態度。腹立つわぁ!」
 ぎゃーぎゃー言い争いだした小笠原と井上を見て嘆息すると、吉田は傍らに立つカレンに顔を向けた。
「残念だったな、カレン。今日は友達と予定があったんだろう?」
「ん? あー、そういえばそんなこと言ってたね。どうせ今日は大したことしないんだし、行ってくれば良かったのに」
 いつの間にか喧嘩をやめていた小笠原の言葉にカレンは困ったような、曖昧な笑みで答えた。恐らく苦笑しようとしたのだろうその笑みは、中途半端過ぎてどこか痛々しかった。
 カレンとて、日本解放を目指すレジスタンスであるまえに人間である。
 そんな彼女がミレイ達に対して、罪悪感を抱いていないわけがない。普段の生活では感じなくとも、こうしたちょっとした出来事で後ろめたさが顔を覗かせるのだろう。
 そうしたカレンの心中を察したのだろう、取り成すようにして井上がカレンに問いかけた。
「それで、場所はどこなの? まさか租界の中ってわけじゃないんでしょ?」
「はい。確か、河口湖だったと思います」
「……河口湖だと? だとしたら」
 河口湖という単語を聞いた吉田が、険しい表情で付けっぱなしにしていたテレビに目をやる。
 その視線の先、車の大きさに見合う巨大なテレビの画面に映し出された映像を見て、カレンはヒュッ、と息を呑んだ。
「みんな……!」
 画面の向こう側には、ミレイ達生徒会メンバーが銃を突き付けられている姿があった。

50 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:32:57 ID:iqReT76e
支援

51 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:33:00 ID:iU7ytaGa
しえんしえん

52 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:35:50 ID:I4hZXEJm
 また別の場所で、その映像を憤りと共に見る者達がいた。
 濃い緑色の軍服に身を包んだ、日本刀の如き鋭利な雰囲気を纏った男。名を、藤堂鏡志朗。
 奇跡の藤堂とも呼ばれる日本軍最高の英雄にして、今回のホテルジャックの実行犯である草壁と同じ日本解放戦線のメンバーである。
 その藤堂の拳は今、普段感情を露わにすることの無い彼が堪え切れなかった怒りに震えていた。
「馬鹿なことを……!」
 それが草壁の行動に対する、藤堂の評価だった。
 彼等は何も理解出来ていない。彼等の行動が与える影響も、コーネリアという人物が戦姫と呼ばれている理由さえも。
 今回の一件がどう終息するにしても、ブリタニア人の日本人に対する感情は更に悪くなるだろう。弾圧は更に強まり、ゲットーで暮らす人々が犠牲になる。
 そして、コーネリア。エリア18において彼女はアジトに立て篭もった反乱軍を"人質ごと殲滅"し、世界中を戦慄させた。
 今回はEUなどの要人が含まれるため多少なりとも交渉を試みる振りはするだろうが、最終的には力で捩じ伏せるだろうと藤堂は見ている。
 血気ばかり盛んな草壁達の行動は余りに浅慮。短絡的に過ぎる。藤堂の評価は、当然過ぎるものであった。
「……片瀬少将は、なんと?」
「少ない戦力で各国要人を人質に取れたことで、大喜びでした。まるで子供のようでしたね」
 侮蔑の感情を隠そうともしていない朝比奈の報告を受け、藤堂は強く唇を噛みしめた。そうでもしなければ、上官を罵る言葉を吐き出してしまいそうだった。
 眼を閉じ、呼吸を整える。爆発しそうな感情を藤堂はなんとか抑え込む。怒りに我を失い今すべきことを怠るほど、藤堂は無能ではない。
「白鳥少佐はどこにおられる?」
 藤堂は彼が知る限りにおいて、最も頼りになる男の居所を尋ねた。
『奇才』白鳥社。旧日本陸軍少佐にして、士官学校時代の藤堂に教官として軍人に必要なことの全てを叩き込んだ男である。
「いざとなれば白鳥」という言葉さえ生まれるほど優れた軍人であり、今でこそ厳島の戦いにより藤堂が有名になっているが、それ以前の軍部では白鳥こそが最高の軍人として知られていた。
 ただ少々性格に難があり、無能であれば上官だろうと平気で罵るような人物である為兵達に好かれる一方で上層部の受けは宜しくなかった。
 本来なら将官になれるほどの功績を上げていながら、未だに藤堂より階級が下の少佐止まりであるのは、その辺りに理由がある。
 それでも旧軍の元帥大将の下ではその能力を存分に発揮出来ていたのだが、以前白鳥に「無能の腰ぬけ」と評されて以来「白鳥嫌い」で有名である片瀬が解放戦線のトップとなってからは、活躍の場を与えられていない。
 藤堂は嫌味たっぷりな白鳥の語り口を思い出す。もしこの場に白鳥がいてくれたなら、彼は藤堂を皮肉り、藤堂をもっと早く平静に戻してくれただろう。
 しかし藤堂の言葉に四聖剣の一人である千葉凪沙は、沈んだ顔で言葉を紡いだ。
「白鳥少佐は現在、キョウトの方へ出向いておられます」
 そうか、と白鳥の不在を告げられても藤堂に気落ちした様子はない。一時は感情に揺らぎを生じさせたとはいえ、藤堂は完璧な軍人なのである。
「千葉、お前は白鳥少佐の元へ行け。会合が済み次第、少佐をお連れしろ」
「はっ!」
「朝比奈、お前は兵士達を宥めろ。今回のことで、草壁達と同じ考えを抱く者達が暴走するやもしれん」
「任せてください」
「卜部は草壁と連絡が取れないか試みろ。仙波、お前は私と来い。片瀬少将に草壁の説得をお願いする」
「分かりました」
「了解」

53 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:36:52 ID:I4hZXEJm
号令の下、四聖剣は即座に行動を開始した。藤堂自身も仙波を連れ、片瀬の私室へ急ぎ足を運ぶ。
しかし片瀬の元に向かいながら、藤堂は自分の言葉に片瀬は耳を貸さないであろうと予想していた。
藤堂の片瀬への人物評価は、端的に言ってしまえば白鳥と同じ「無能」であったからだ。戦場の動きを理解することも出来ず、用兵も弱腰で、先見性も皆無。
無能な味方は有能な敵よりも厄介である。ましてそれが上官であるならば尚更だ。人の上に立つ者が無能なのは、これ以上無いほどの罪悪なのだ。
『無能な上官もタチが悪いが、それに愚直に従い続ける部下もタチが悪い。そう思わねぇか中佐殿?』
ふと、以前白鳥が口にした言葉が藤堂の脳裏をよぎった。口元を吊り上げ、揶揄を隠そうともしない眼差しを向けてきた白鳥に対し、藤堂は無言だった。
返す言葉を持たなかったのだ。そしてそれは、今も変わらない。もしまた同じ問いを投げかけられても、藤堂はきっと無言で答えることだろう。
そしてそれに対する白鳥の反応も、きっと変わらないだろう。困ったように苦笑して、
『頑迷だな。今はそれでいいかも知れんがな、藤堂。これだけは肝に銘じておけ。後悔は、先に立たないものだ』
それだけを言って去っていくのだろう。白鳥社とは、そういう男だ。
「中佐?」
怪訝そうな仙波の声で、藤堂の意識は現在へと戻る。見れば、既に片瀬の私室の前までたどり着いていた。
藤堂は一先ず白鳥の言葉を思考の隅に追いやり、閉じられている扉を叩いた。
後で悔いることが無いように、今自身に出来ることをやる為に。

54 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:38:02 ID:iU7ytaGa
しえんー

55 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:39:07 ID:I4hZXEJm
 その場の誰よりも冷静な思考を巡らしつつ、ライは自分達が閉じ込められている場所である食糧貯蔵庫の中を視線だけで見まわした。
(見張りの人数は四人。見える範囲に二人、背後に二人。何れも銃で武装している。刃物の類も所持していると仮定した方が良いだろう。
 貯蔵庫の広さ、そして人質の数を考えれば四人という数は少ないように思うが、ここにこれ以上人員を割くことが出来ないんだろう。
 見張りの交代は三時間から四時間に一度。先程変わったばかりだ、しばらくはこのままだろう。
 定時連絡は三十分に一度ほどの頻度で行っていたが、一時間ほど前から無くなったな。人質を連れ出しに来るから、確認は不要ということか)
 そこで一旦思考を止め、ライはミレイ達の様子を窺った。何れも疲弊の色は濃いがそれだけだ。幸い、と言っていいものかこの場合は疑問だが、男の人質から殺されていることを考えれば、大人しくしてさえいればミレイ達の身の安全は暫くは確保されていると言っていいだろう。
 だからと言って、現状を座視しているつもりはライには無い。何とかしてこのどう転んでもおかしくない現状を打破したいと考えているのだが……。
 一瞬、ライの視界が暗くなる。失神しかけたのだ。先程から打たれたところが熱を発し始め、ライの意識を苛むようになっていたのである。
 ライの不調に気付いているのだろう。シャーリーが気遣わしげな視線を向けてきたが、ライは監視の目を引くのを恐れて何も反応を返さぬまま気付かなかった振りをした。
 シャーリーの優しさを無碍にした形となり胸が痛んだが、このことで目を付けられ次の人質にライが選ばれてしまっては、彼女達を守る人間がいなくなってしまう。
(しかし、この状況が長引くと不味い。何とかしなければ……。だからといって事を急くわけにもいかない。機会を待たなくては)
 しかし、転機はライの予想していたよりも早くやってくることになる。
 冷静すぎるライとは反対に、ニーナは既に限界だった。生来気の弱い人物であり、また以前イレブンの手によりその脆弱な心に植え付けられた恐怖心は根深く、
 常に死が間近に存在すると言う極限の状況に長く置かれたことで身も心も限界を超え、ニーナはいつ心が折れてもおかしくない状態にまで追い詰められていた。
 危ういながらそれでも何とか堪えていたニーナの眼前に、テロリストの男の軍靴に包まれた足が無遠慮に踏み出された。
 そのつま先には、人質の物だろう赤黒い血がこびり付いていた。それから逃げるように目を逸らし思わず顔を上げたニーナは、男の顔をまともに直視し、
 今この場で、最も口にしてはならない言葉を言ってしまった。
「イレブン……」
 その瞬間、その場の空気が震えた。まるで、これから起こる出来事に怯えたように。
「貴様、今何と言った!」
 彼等にとって最も許し難い言葉を耳にしたテロリストは激昂し、銃のトリガーに指をかけた。その動作が、ニーナの恐怖を更に増長させる。
 泣き叫び怯えるニーナの姿が益々テロリストを苛立たせ、ニーナを庇う為に気丈に振舞うミレイとシャーリーの言葉が只でさえ高ぶっている彼等の神経を逆なでした。
 テロリスト達は怒声を上げ、ニーナ達に詰め寄る。テロリスト達の眼に殺意さえ芽生えていることを見てとった瞬間、ライの焦燥は頂点に達した。
(不味い不味い不味い不味い……!!)
 この状況は不味い。庇おうにも既にテロリストの男達は興奮しすぎている。男達が未だ発砲していないのはひとえに相手が女、それも子供だからだ。
 今ライが出れば彼等は間違いなく銃の引き金を引くだろう。だからといって、このまま放っておけばニーナ達に危害が加えられるのは火を見るより明らかだ。
 では今こそ反攻に転じるか? あり得ない。この騒ぎで、見張りの意識は全てこちらに向けられてしまっている。少しでも妙な動きをすれば、ライはそれこそ蜂の巣にされてしまうだろう。
(だが、それがなんだ!)
 腕を掴まれ、ニーナが悲鳴を上げた。そのあまりに悲痛な声を耳朶にしたことで、遂にライの我慢は限界に達した。
 狙うはすぐ横、ニーナを掴み上げている男。この男を一撃で倒し、混乱に乗じて傍にいるもう一人を片付ける。背後にいる二人については、何とかなると信じる他無い。
 一か八かどころではない。穴だらけの無謀な行為、殆ど運任せの分の悪すぎる賭けだ。それを自覚して尚ライは躊躇を捨て去り、行動を起こそうとした。

56 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:40:39 ID:I4hZXEJm
「お止めなさい!」
鈴の音のように澄んだ、凛とした声が辺りに響き渡る。自分の浅慮を諌めるようなその声に行動を中止し、ライは声の主を見た。
目を引く長い薄桃色の髪。本来は穏やかな表情が似合うであろう気品を感じさせる美貌は義憤によって紅潮し、
アメジストの如き色彩と輝きを持つ瞳には、武装したテロリストを前にしながら一縷の怯みさえ孕まずただひたすらに気高い意思を宿すのみ。
「なんだ貴様は!」
テロリストの一人が銃口を彼女に向け睨みつける。しかし彼女は動じない。それどころか、真っ向から睨み返して見せた。
その堂々とした立ち姿を見て、ライはすぐさま彼女の正体に気付いた。彼女こそエリア11総督コーネリア・リ・ブリタニアの実妹にして、現エリア11副総督。
「私はブリタニア帝国第三皇女。ユーフェミア・リ・ブリタニアです」

左右の護衛の制止の声を振り切り立ち上がったユーフェミアは、生まれて初めて向けられた銃口への恐怖を必死の思いでこらえきった。
ともすればくじけそうになる心を奮い立たせ、前を見据える。その視線の先にあるのは銃口でもテロリストの姿でもなく、理不尽な暴力にさらされ泣き崩れている一人の少女だった。
ふと、少女と目が合った。涙でぬれた瞳に浮かぶのは驚きと、なお色濃く残る恐怖の影。
余りに痛ましい。ユーフェミアは少しでも彼女の励ましになればと、出来得る限り穏やかに微笑んで見せた。
(可哀想に。辛いでしょう。怖いでしょう。大丈夫。今、助けてあげますからね)
少女から視線を外し、決意を胸にユーフェミアはテロリストに言葉を投げかけ始めた。
ユーフェミアとて馬鹿ではない。自分の立場とテロリストの目的を考えれば、自分がこれからどのような扱いを受けるかなど分かり切っていた。
同時に自分の行動によって、敬愛する姉コーネリアに多大な迷惑をかけるだろうことも予測出来ていた。
姉のことを思い、ユーフェミアの胸が痛んだ。彼女には自分が馬鹿な事をしているという自覚もあったし、護衛の言葉に従い大人しくしていることが最善であるとも分かっていた。
それでも、ユーフェミアは自分の行動が間違いだとは思わない。弱き者を救うこと。それこそが皇族たる彼女の、ノブレス・オブリージュであるのだから。
優しく、そして誇り高いユーフェミアの想い。しかし、世界は残酷だった。
「もしお前が本当に第三皇女だというのなら、確かにこれ以上無い交渉の材料となる。是非、我々の役に立っていただこう。
 だが、それとこれとは別問題だ。この女共には、我々日本人を侮辱したことに対するけじめをつけてもらう」
眉一つ動かさぬまま、テロリストは非情な言葉を返した。同時に、テロリストは少女の腕を捻りあげる。
少女の悲鳴。テロリストの言葉に動揺していたユーフェミアは、それを耳にした瞬間こみあげてきた怒りにその身を震わせた。
だが、ユーフェミアの激情が放たれる前に、テロリストが発した言葉がユーフェミアの臓腑を抉る。
「何を憤っている。我々は、貴様達の流儀に従っているだけだ。弱肉強食、それがブリタニアの国是なのだろう?」
瞬間、ユーフェミアの顔が蒼褪め強張る。それも当然。何故ならば彼女は咄嗟に、テロリストの言い分を否定出来なかったのだから。
テロリストの言葉がいっそ皮肉なほどに、ブリタニアという超大国の在り方を表していたが故に。
返す言葉を持たぬ自分自身に動揺したユーフェミア。動揺は怯みを呼ぶ。テロリストの発する殺気に呑まれ、堪らずユーフェミアが後退りかけた時。
「何故黙る。ユーフェミア・リ・ブリタニア」
一縷の乱れも無い、穏やかでありながら確固たる意思を感じさせる凛然とした声。
さして大きくもないその声はしかし、不思議なくらいしっかりと、ユーフェミアの耳に届いた。
「貴女は正しいことをしている。ならば―――堂々と、胸を張っていればいい」
ユーフェミアは、声を発した人物へと視線を向けようとした。彼女以外の面々も同様である。
だが彼女達の視線が声の主を捉える前に、彼は動きだしていた。
ユーフェミアの目の前で突如、少女を拘束していたテロリストの男が膝を折って倒れこむ。刹那の間も置かず、
男のすぐそばにいたもう一人のテロリストの体がくの字に折り曲がり、次の瞬間には宙を舞っていた。
「殿下!」
「ユーフェミア様!」
事態に付いていけず呆然としていたユーフェミアを、彼女の護衛達が引き倒す。床に倒れこむ間際。ユーフェミアは、飛翔する銀色の風を見た。

57 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:41:02 ID:iU7ytaGa
しえん

58 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:43:02 ID:I4hZXEJm
 突然の事に驚きながらも、テロリストの男達は自分達の仲間を倒した銀髪の青年を捕捉していた。
 二人のテロリストが銃を構える。だが、その動きは致命的なまでに遅い。引き金を引く前に青年は、彼等の仲間の一人を彼ら目がけて投げ飛ばしていた。
 抜け目の無いことに彼等の射線を遮るようにしてである。これでは咄嗟に撃つことも出来ない。飛んでくる仲間の姿を見て対処に困った彼等は、
 一人は慌てて飛んできた仲間の体をよけ、もう一人は仲間を受けとめようとして耐えきれず共に転倒した。
「野郎!」
 残る一人が激昂し視線を倒れた仲間達から青年に向けようとしたところで、青年の姿が消えていることに気付き目を見開いた。
 人質の中に紛れたか。そう思い人質達に鋭い視線を投げた男は人質達が呆けたように上を見上げていることに気付き、
 次の瞬間には天井を足場にし、獲物に襲いかかる猛禽の如き勢いで迫ってきた青年の痛烈な蹴りを受けて顎と意識を砕かれていた。
 仲間の下敷きになっていた最後の一人は目の前で繰り広げられた一方的過ぎる戦闘に呆然とする他無く。
「武器を捨てろ」
 先程まで自分達が手にしていた銃を銀髪の青年に突きつけられ、完全にその戦意を喪失した。
 最初の一人が青年に倒されてから、ほんの十秒ほどの間のことであった。たったそれだけの時間で、テロリスト達は全滅した。

「大丈夫か、ニーナ」
 他の人質に協力してもらいテロリスト達を拘束し終えたライは、ミレイ達の元に戻るやいなやニーナに気遣わしげな視線を向けた。
 その優しい声音と視線で張り詰めていた気持ちが緩んだのか、恐怖では無く、心からの安堵によってニーナは泣きだした。
 それをシャーリーと共に宥めてやりながら、ミレイは先ほどのライの動きを思い浮かべた。
 一瞬で訓練を受けたテロリストを倒しただけでも驚きだが、大の男一人を軽々と放り投げた膂力や近くの棚を足場に一気に天井まで駆け上がった身のこなしを考えると最早呆れる他無い。
「ライ、さっきの動き。あれは一体なんなの?」
 ミレイの問いかけに対し、ライはしばしどう答えるべきか悩むようなしぐさを見せると、
「分からない。何故か出来ると思ったから、出来ることをしただけだ」
 ライ自身自分の常人離れした身体能力に困惑しているらしいのを察して、ミレイはそう、と頷きながら思考を巡らせていた。
 騎士候に過ぎなかったマリアンヌの後ろ盾となるなど、アッシュフォード家は代々「強者」を愛する家風があり、
 それ故ミレイも幼少の頃より様々な強者を目にしてきた。先に述べたマリアンヌや、帝国最強の戦闘集団ナイトオブラウンズ、
 そして日本の敗戦後に迎え入れた、日本の歴史の裏で暗躍していた忍の末裔達。陰からルルーシュ達を護衛している篠崎咲世子もその一人だ。
 ミレイにはライが、そうした世界でも有数の実力者たちと比べても遜色無い戦闘力を持っているように思えた。
「何であんな無茶したの!!」
「い、いや、だから、出来ると思ったから」
「出来ると思ったからってやってもいいわけじゃないでしょ! 危ないじゃない!」
「す、すまない」
「謝れば良いってもんじゃ、ってそうだ! ライ、怪我は大丈夫? 痛くない?」
 無茶をしたことでシャーリーに説教されたり心配されたりで困り果てているライを見ていると、今一つ確信が持てないのだが。
「すいません」
 シャーリーとライのやり取りを苦笑混じりに眺めていたミレイは背後から声をかけられて、その声の主を見て驚いた。
「友人同士でお話しされている最中申し訳ないのですが、彼とお話させていただけないでしょうか」
 上手い言葉が出てこずただ頷くことしか出来無かったミレイに、皇女ユーフェミアは礼を述べてまずニーナに視線を向けた。
「大丈夫? 怪我はない?」
「あ、は、はぃ!」
「そう、良かった。あなたは、この子のお友達? あんな状況で庇えるなんて、勇気があるんですね」
「いえ、そんな……私は、と、当然のことをしただけです」
「当然のことかもしれませんけど、中々出来ることではありませんよ。立派でした」
 ふわりとした、上品さと無邪気さを絶妙なバランスで兼ね備えた笑みを浮かべるユーフェミア。
 ブリタニア貴族からすれば雲の上の存在であるユーフェミアを間近に見て、一目で分かるほど委縮してしまっているニーナとシャーリーだったが、
 その笑顔を見て幾分緊張が和らいだらしく、ニーナは頬を赤らめて俯き、シャーリーは照れくさそうな顔をした。
 その二人に対して、次に視線を向けられたライは平然とした様子でユーフェミアの視線を受け止めた。

59 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:44:24 ID:/MZkS3yE
支援

60 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:46:19 ID:I4hZXEJm
「お名前をお聞きしていいですか?」
「ライです」
「ライさん、ですか。ライさん。先ほどは、ありがとうございました」
 ユーフェミアが口にしたのは、心からの謝意の言葉だった。皇女という立場でありながら深々と頭を下げた彼女は、次いでライの顔に残る暴力の跡に気付くと痛ましげな表情を見せた。
 そっと目が伏せられた拍子に長い睫が憂いに揺れる。それに対してライは、困ったような顔をした。
 何せライが行動を起こしたのはユーフェミアを助けるためではなく、ユーフェミアが奇しくも囮の役目を果たしてくれたからである。
 言いようによっては、ユーフェミアを利用したとも言える。それなのにこうも厚意を向けられては、心苦しくもなるだろう。
「いや、僕の行動で貴女に危険が及ぶ可能性もあった。そのことを考えれば寧ろ僕が」
「いいえ、そのことではなく。いえ、助けてくださったことも勿論感謝していますけど、私が一番お礼を言いたいのは……」
 ライの言葉を遮るようにしたユーフェミアは、途中まで口にしたところで悩むような仕草を見せた。
 上手く言葉に出来ないのか。それとも言って良いものか悩んでいるのか。それはライには分からなかったが、ライがその先を聞くことは無かった。
「お話し中申し訳ありませんが、宜しいですか?」
 きびきびとした語り口の少女が、遠慮がちに二人に歩み寄ってくる。彼女の後ろには、彼女より幾分年下らしい少女も付いていた。
 その二人の顔を見てライは思いだした。先程、ライが動いたとき誰よりも早く反応しユーフェミアを守るべく行動を起こした少女達であった。
 きっちりとスーツを見事に着こなした長い金髪の少女と、幼さゆえか少々スーツ姿に違和感のある栗色の髪の少女。
「ライさん、でしたか。自分はユーフェミア様の護衛、リーライナ・ヴェルガモン少尉であります」
「同じく、マリーカ・ソレイシィ候補生であります!」
 二人はかっちりとした敬礼をして見せると、その可憐な容姿に似合わぬ軍人言葉で喋りだした。
「先程のライさんの動きを見させていただきましたが、敬服致しました。何らかの武術を修めていらっしゃるとお見受けしましたが、
 ひょっとしてライさんも私達と同じく軍人でいらっしゃるので?」
「いや、僕はただの、ではないかもしれないけど……学生なんだ」
「……学生と言うと、士官学校などではなく一般の?」
「そうだけど」
「えぇ! あんなに強いのに!?」
「マリーカ!」
 驚きのあまり素が出てしまったらしいマリーカを、リーライナが窘める。一応彼女も驚いてはいるようだが、彼女の表情は驚き以外の感情で曇っていた。
「見張りは排除しましたが、私達が人質であるという状況は変わっていませんし、テロリスト共がいつやってくるとも知れません。
 かと言って、この人数を悟られずに脱出させるなど不可能ですし」
 そこで言葉を切り、リーライナは自らの護衛対象であるユーフェミアに視線を向ける。
 その視線に込められた思いを理解したユーフェミアは、きっぱりと。
「私には、皆さんを置いて自分だけ逃げだすなんて出来ません」
「……と、ユーフェミア様は仰っておられまして」
 相手の地位と自分の立場が無ければ、盛大にため息をついていたであろう表情をするリーライナ。
 酷く疲れた様子のリーライナに代わって、マリーカが言葉を続けた。
「ですから、敵が来た場合は私達で応戦しようと考えています。幸い出入り口は一つだけですので、上手く立ち回れば敵の侵入を防ぐことが出来ると思われます。
 ただ、今回のユーフェミア様のご訪問はお忍びだった為護衛は私達二人だけ。人質の方の中にも、残念ながら戦闘職の方はいませんでした。
 この場において戦力として数えられるのは私とリーライナ少尉、そして……ライさん、あなただけです。ですから」
 ここに至ってライにも、何故彼女達が申し訳なさそうな顔をしているのか理解出来た。
 状況が状況とはいえ、一般人であるライを巻き込んでしまうのが軍人として忍びないのだろう。
「そういうことなら考えるまでもない。どこまで役に立てるか分からないけど、是非協力させてくれ」
 だからこそ、ライは皆まで言わせずそう言った。
 ライの意図と言葉に込められた思いを正確に理解したマリーカとリーライナは、ただ静かに頭を下げた。
 ライもまたその二人に対し軽く頷いただけだったが、ふと思い出したように振り向いた。
「そうだ、シャーリー」
 突然声をかけられどう返事をすれば良いか迷うシャーリーに、ライは気まずい様子で視線を逸らしながらも、
「もう少し、無茶をするよ。だから先に謝っておく。すまない。それと、その……ありがとう」

61 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:48:59 ID:iU7ytaGa
しえん

62 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:49:11 ID:/MZkS3yE
支援

63 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:50:12 ID:I4hZXEJm
 それだけを告げると、シャーリーの言葉を待たずにライはリーライナ達と出口に向かって歩を進めていた。
 遠ざかって行くライの背中を、心配そうに見送るシャーリー。そのシャーリーの肩が、ポンと叩かれる。
「会長……」
「ライなら大丈夫よ。こんな状況だっていうのに笑っちゃうくらい平然としてるし、シャーリーもさっきの見たでしょう? ライは強いのよ。だから、大丈夫」
「でも、ライ怪我してるんですよ! いくら強くても、また怪我するかもしれないじゃないですか!!」
 その声は最早悲鳴に近かった。この状況の中、シャーリーも精神的に参ってきているのだろう。
 普段以上に感情的になっているシャーリーの姿を見て痛ましく思いながら、ミレイはそっとシャーリ―を抱き寄せた。
「そうね、ごめん。今のは私が無神経だった。それに本音を言えば、私もシャーリーと同じ。ライにこれ以上、危険なことをしてもらいたくなんかない。
 でもねシャーリー。それでも今の私達は、ライに頼るしかないのよ。ここにいる人達皆が無事に家に帰る為に、ライの力が必要とされている。
 それに、ライは無愛想でまだ言葉遣いも硬いし不器用だけど、優しいのはシャーリーも知っているでしょう? そのライが、こんな状況を放っておける訳が無いことも」
「そんなの、そんなの分かってます! 分かってるんです! それが分かっているのに、私は……何も出来ない」
 ミレイがあやすようにシャーリーの背を撫でる。ミレイの腕の中で、シャーリーは泣いていた。
 それは今の状況をただ見ているしかない非力な自分と、ライが怪我をしているのを知りながら尚心のどこかでライに頼らざるを得ないと考えていた情けない自分を嘆く、悔し涙だった。
 嗚咽を堪え、その身を震わすシャーリーを労わるように、シャーリーと手を繋ぐ者がいた。ニーナだ。
「何も出来ないなんて、そんなことない。だってシャーリーは、私を守ろうとしてくれたもの」
 ニーナは涙に濡れた眼差しを向けてくるシャーリーに、自身の胸中の不安を押し殺して笑いかけた。
「それに、シャーリーはライさん……ライのことが心配で、本当にライのことを想って、ライに怒ってあげることが出来たじゃない。
 多分ライは、シャーリーに怒ってもらえて嬉しかったんだと思う。だから、ありがとうって言ったんだと思う」
「ニーナ……」
「皆さん!」
 ざわめき出していた人質達を静めるように、リーライナの緊迫した声が響き渡った。
「物影に隠れていてください。敵が来たようです」
 銃を構えたリーライナとマリーカの指示に従い、ミレイ達も物影に身を隠した。
 ミレイ達の視線の先ではライが、扉のすぐ近くに立ち鋭い目つきで閉ざされた扉を油断無く睨んでいる。
 驚くべきことに、ライは銃を手にしていなかった。武器と言えば後ろ腰にテロリストから奪ったらしいナイフをベルトに差しているのが確認出来る程度だ。
 どうやらライは先ほど同様、白兵戦を主体とするらしい。しかも位置関係からして、ライが先陣を切るようだ。何らかの作戦があるのかもしれないが、
 ライが先ほど以上の危険に身を晒すことは素人のシャーリーにも予想することが出来た。
(ライ……)
 シャーリーは、いや、シャーリーだけでなくミレイもニーナも、ライの無事を祈りながらその背中を見続けていた。

 カレンや吉田らが脱出艇の確保に向かうのを見送り自身も目的の場所に向いながら、扇は改めて自分の格好を見下ろしとても似合っているとは思えないその衣装にため息を吐いた。
 黒一色で統一された上下に、顔の半分近くを覆う黒いバイザーと洒落たデザインの黒帽子。
(確かに、何かしら組織の一員を示すものがあった方が団結しやすいかもしれないが)
 これはやり過ぎではなかろうか、と扇は疑問を抱かずにはいられない。ゼロ曰くある程度防弾性がある繊維で作られているらしい。
 嘘ではなかろうが、むしろこの服を皆に着せる為の方便としての性質の方が強いのではなかろうかと扇は思った。
(あの仮面と衣装も、彼の趣味のようだし……この格好も、彼の趣味なんじゃ……)
 だとしたらゼロはあまり趣味が良いとは言えないな、とまた嘆息した扇の目の前で、扇とは反対に喜び勇んで制服に袖を通した玉城が心なしか上機嫌な様子で口を開いた。
「食糧貯蔵庫、食糧貯蔵庫っと……あったあった! ここに人質がいるわけだ」
「ちょっとアホ玉城、勝手なことしてんじゃないわよ。見張りがまだ残ってるんだからね。ゼロが来るまで待ってな」

64 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:52:02 ID:iU7ytaGa
まだまだしえん

65 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:52:24 ID:/MZkS3yE
支援

66 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/27(金) 23:54:34 ID:I4hZXEJm
 不愉快そうな感情を隠さず玉城を罵ったのは小笠原であり、その語り口と表情はかなり剣呑であった。
 扇達はこの食糧貯蔵庫に捕らわれている人質の解放を命じられていた。もしこれに失敗しようものならこの作戦そのものが失敗に終わると言っても過言ではないことを考えれば、
 小笠原の態度も仕方の無いことだろう。更に彼女の場合、以前玉城の勝手な行動で死にかけたということもある。
 いつもならここで手を止め小笠原に突っかかる玉城であるが、
「ただ人質を助けるだけだろぉ? ゼロ無しでいいじゃねぇか別に。見張りの野郎も、ボスが死んだとなりゃ大人しくなるだろ」 
 今回に限って玉城は止まらなかった。玉城が貯蔵庫の扉に手をかけたのを見て慌てて扇が駆け寄るが、
 無情にも扇が制止しようと扉に手を伸ばした所で、扉は玉城の手によって一気に開かれた。
「ハッハッハァ! ブリタニアの野郎共、ありがたくもこの玉城様がぁ!?」
 玉城の言葉は唐突に遮られた。扉が開いた瞬間、飛び出してきた何者かの一撃によって。
「たっ……!」
 崩れ落ちる玉城を支えようとした扇の背筋にひやりとした何かが過る。瞬間、扇は本能的に頭を守った。
 襲ってくる衝撃。盾とした両腕を一撃でへし折らんばかりの重さ。それはガードしてもなお扇の脳を揺らし、更に大柄な扇を吹き飛ばすほどの威力があった。
「ぐぅ……」
 先程の頭部への一撃に加え、壁に叩きつけられたことで思わず扇は膝を折ったが、追撃はやって来ない。
 突然の襲撃からいち早く立ち直った小笠原が、襲撃者に挑みかかっていたからである。
「井上、連絡! それとフォロー頼んだ!」
 それだけを最後尾にいた井上に叫ぶと、小笠原は一足飛びに踏み込み、体勢を低くしていた敵の側頭部目がけて蹴りを放つ。
 鞭のようにしなり、速さのみならず鋭さを兼ね備えたその一撃をしかし、相手はあっさりと躱してのけた。
 敵の手練に驚く間もなく、襲い来る敵の拳を紙一重で避けた小笠原の口元に、笑みが浮かぶ。
「上等! これくらいじゃなきゃ、張り合いが無い!」
 嬉しげな響きの言葉を吐きながら、怯むことなく小笠原は敵に襲いかかる。
 持ち前の高い身体能力をフル活用し、蹴りと拳を休むことなく繰り出す。常人ならば反応すら出来ないであろうハイ・スピード・コンボ。敵はその連撃を、避けるのに専念しているようだった。
 それ故に、両者の勝敗は明らか。このままでは遠くないうちに全力で攻めている小笠原が体力を消耗し、敵が反撃に転じて終わりだろう。
 その程度のことは小笠原自身にも予想出来ているだろうが、彼女は四肢を振るう度に滲み始めた汗を舞い散らせながらも、少しも焦れた様子を見せなかった。
 小笠原が大ぶりの右ストレートを放つ。余りに迂闊な攻撃。敵はそれを見逃さずその一撃をいなし、小笠原の体が大きく左に泳ぐ。
 それにより、今まで小笠原の体によって遮られていた部分が敵の視界に入ることになり、その先には――拳銃を構え狙いを付けていた、井上の姿があった。
 小笠原の真の狙いはこれだった。彼女が相手の気を引き、適当なところで井上が決める。勝利を確信し、小笠原の顔に笑みが浮かぶ。
 発砲音。次の瞬間、最初の激突から崩れることの無かった小笠原の余裕の表情が、初めて驚愕に歪んだ。
 信じがたい話だが、スローモーションのようにして、小笠原の目には見えた。敵が、銃弾さえも躱してのけたのが。
 いや、それだけではない。同時に振り抜かれた敵の腕を追って首を曲げて背後を見れば、井上が手にしていた拳銃の銃身に、ナイフが突き立っているではないか。
「あ……あんたほんとに、人間かぁーー!?」
 小笠原が思わず口にした驚愕の声に反応したのか、小笠原と敵の目が合う。
 銀色の髪が映える、端正な顔立ちをした青年だった。頬には真新しい暴力の跡が残っていたが、それは青年の美しさを欠片も損ねてはいない。
 これほどの美貌、恐らく一度でも目にすれば決して忘れるようなことはあるまい。
(……あれ? 銀色?)
 事実、彼女は青年の顔を見た瞬間に、何かを思い出しかけて。
 腹に風穴が開いたかと錯覚するほどの一撃を受け、受け身も碌に取れないまま糸の切れた操り人形のように崩れ落ちた。
「小笠原!」

67 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:57:06 ID:/MZkS3yE
支援

68 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 23:57:32 ID:iU7ytaGa
しえん

69 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:05:58 ID:UqxZvbjU
支援

70 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/28(土) 00:13:44 ID:AU2QOMzk
 井上の呼びかけにも小笠原は微かに体を震わせるのみ。最早、体を動かすことさえ出来ぬ有様らしい。たった一撃で、彼女は戦闘不能にされたのだ。
 井上の視線の更に先では、扇が何とか立ち上がろうとしながらもその度に失敗し、玉城に至っては完全に失神しているらしくぴくりとも動かない。
 そして、ほんの僅か。時間にして一秒程度の間意識を向けなかっただけで銀髪の青年は壁を足場として、井上目がけて駆けてきていた。
 迎撃しなければ。咄嗟に井上は腰のホルスターに手を伸ばしかけ、そこで漸く先ほど青年に銃を破壊されていたことを思い出した。
 青年が壁を蹴り、宙を舞う。さながら独楽のように回転しながら向かってくるその様を見て、井上の脳裏に「全滅」の二文字が浮かぶ。
 思考を手放し呆然と、迫りくる青年を眺めていた井上は、
「伏せて、井上さん―――!」
 前触れ無く聞こえたその声に、殆ど脊髄反射で応える。
 仰向けに倒れこむようにしてその身を伏せた井上は、視線の先、自らの頭上で敵と交差する紅い髪の少女を見た。

 井上から襲撃を受けているという連絡を受けたカレンは、吉田達より先んじて扇達の救援に向かった。
 しかし食糧貯蔵庫までやってきた時には既に玉城、扇、小笠原が地に伏し、今まさに井上が襲われているところであった。
「伏せて、井上さん―――!」
 ダッシュの勢いをそのままに、カレンは大きく跳躍する。幸い井上には声が届いたようで、カレンは敵の腹目がけて渾身の蹴りを見舞った。
「りゃあぁぁぁ!!」
 その蹴りはカウンターの要領で敵の腹に突き刺さったが、カレンは不確かな手ごたえ、まるで強化ゴムを蹴りつけたような感触を感じていた。
 その感触の正体は鍛えられた筋肉と言う名の鎧。青年の細身に反して密度の高い筋肉は、カレンの蹴りの威力を半減していた。
 だが、全くダメージが無いわけではない。事実、危なげなく着地したカレンに対し敵の青年は辛うじて着地には成功していたものの、膝をつき未だカレンに背を向けたまま立ち上がれずにいる。
 青年が容易に立ち上がれぬ状態であるのを確認してから、カレンは周囲を見回した。
 気を失った玉城、苦しげに呻く扇、苦悶さえ出来ぬままその身を震わす小笠原、そして一見したところでは外傷は無いものの、床に手をついたまま消耗した様子の井上。
 それらを改めて目にしたカレンの瞳が怒りで揺らぐ。頭に血が昇って行くのを実感しながら、カレンは青年に歩み寄ろうとして、
「うっ……」
 突然、鈍い痛みが足首に走った。堪らず視線を下ろすカレン。ブーツによって直接見ることは出来なかったが、この時カレンの足首は痛々しく腫れあがっていた。
 先程の蹴りの時を痛めたのか。カレンはそう考え、事実それは確かに原因の一端ではあったが、全てでは無かった。
 カレンは気付かなかったが蹴りを受けた瞬間、青年は自分の右肘と右膝を使ってカレンの足首を思い切り挟みこみ、ダメージを与えていたのだ。
 骨に異常は無さそうなものの、やや歩行に支障をきたすことになりカレンは唇を噛んだが、そこでふと、青年の容姿に目を惹かれた。
 背を向けている為顔は見えないが、鮮やかな銀の髪はカレンの友人のそれとよく似ていた。
 まさか、と。足首の痛みにより冷静な思考を取り戻したカレンの顔から血の気が引いていく。今自分が対峙しているのは、まさか……。
「動くな」
 カレンの思考は、その言葉と共に後頭部に押し付けられた銃口の感触で中断させられた。
 声からして女性のようだが、背後に立つ人物には付け入る隙が微塵も感じられない。カレンは心中で舌打ちするが、大人しく従うしかない。
 そのカレンの脇をやはり銃を手にした少女が駆け抜け、壁を支えに何とか立ちあがっていた青年の元へ急ぐ。
「大丈夫ですか、ライさん!」
 呼ばれた青年の名が自分の予想通りであったことで、様々な感情がカレンの心中に渦巻く。
 無事でいてくれたことへの安堵、常人離れしている強さへの不審、そして気付いていなかったとはいえ、傷付けてしまったことへの罪悪感。それら全てが混ざり合った、ぐちゃぐちゃな心中。
 少女に支えられながら歩くライに何か言葉をかけようとしたところで、しかしカレンは今の己の立場を思い出し、顔を伏せたまま脇を通り過ぎるライを無言で見送るしかなかった。
「紅月!」
 この時になって漸く、南や杉山らが駆けつけてきた。彼等はまず扇達が倒れ伏し、カレンが銃を突き付けられている状態に驚いた。
 両手に銃を持ち、それぞれの照準をカレンと小笠原に向けていたリーライナは、油断無く身構えながら杉山達に射抜くような眼光を向ける。

71 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:13:55 ID:qxMsE7+C
支援

72 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/28(土) 00:16:29 ID:AU2QOMzk
「貴様らの仲間は見ての通り捕らえさせてもらった。解放してほしくば、今すぐ我々を解放しろ」
「なにをっ」
「動かないで!」
 思わず詰め寄りかけた杉山達だったが、もう一人の少女、マリーカが素早く銃を向けたことでその場に釘付けにされる。
 睨みあう両者。まるでその場だけ時が止まったかのような静寂の中、場に緊迫した空気が流れる。
「ブリタニアの女性は勇敢なのだな。だが、少々落ち着きが足りないようだ」
 不意に、声が響いた。感情を感じさせない冷徹なその声は機械を通すことでいっそ非人間的でさえあった。
 静まり返った通路に、コツコツと硬質な靴音を響かせながら姿を現した人物を目にし、リーライナは驚きの声を上げた。
「貴様、ゼロ!!」
「ほぉ、貴女のような可憐な方まで私をご存じとは。私も有名になったものだ」
「クロヴィス殿下の仇を、我ら帝国臣民が知らぬ筈が無い!」
 その容姿に似合わぬ荒々しい声を発し銃を向けるマリーカを一瞥し、ゼロは無言のまま鋭利な眼差しを自分に向けるリーライナと真正面から向き合った。
「君達は誤解をしている。君達はどうやら私を日本解放戦線の仲間だと思っているようだが、それは間違いだ」
 芝居がかった動きでマントをひらめかすゼロの言葉に、リーライナは端正な眉を寄せる。
「我々は『黒の騎士団』! 力無き者の味方である我らは、君達を助けに来た!!」
 自らを誇示するように両手を広げ、ゼロは高々と宣言した。
 そのゼロの言葉にリーライナは驚きを隠せない。彼女の目の前に立つ怪人は、クロヴィス前総督を暗殺したテロリストでありながら、
 あろうことか騎士を名乗ったのだ。それも、力無き者の味方などという、まるで自分こそが正義だとでも言うような言葉まで添えて。しかも、自分達を助けに来たと言う。
「テロリストが騎士を名乗るか」
「祖国を救うため戦う存在を、ブリタニアでは騎士と言うのではないか? 君達を相手取るにはぴったりの名前だと思うがね」
「戯言を。貴様も日本解放戦線と同じテロリストであるのは変わらない。その貴様が、我々を助けに来たとはどういうことだ?」
「言葉通りの意味だが?」
 ゼロは仮面に手を添え、奇妙な形に指を曲げると言葉を続けた。
「確かに日本解放戦線も日本解放の為に戦うという意味では同志と言えるが、今回は少々互いの考えに相違があったものでね。
 言っただろう? 我々は力無き者の味方だと。今回のような罪の無い一般人を犠牲にする、無意味な行為は看過出来なかった。
 それ故私は人質を解放するよう草壁らを説得したのだが、応じてもらえなかったものでね。仕方なく……天誅を下した」
 仮面に添えていた手を一気に握りしめる。力強く握りしめられたその拳は、ゼロの断固たる意思そのものを表しているかのようだった。
「もし貴様の言葉が真実なら、私達が貴様らに助けられねばならぬ道理は無いわ。ここで救助を待てばいい。貴様も一緒にね」
「ふっ、心遣いには感謝するが、我々には救助を待つほどの時間的余裕は無い。後二十分ほどで、このホテルは爆破されるのだからな」
「……どういうこと」
「恐らく逃走の為だろうが、草壁らは爆発物を用意していたのだ。そしてこれはこちらの落ち度だが、先ほど草壁らを始末した時生き残りの部下にタイマーを作動させられてしまってね。
 そのリミットまで、もう二十分ほどしかないのだよ。草壁は死んだとは言え、地上ではまだその事実を知らぬ日本解放戦線の者がブリタニア軍と睨みあっている。
 そんな状態で、二十分以内に救助が来るとは思えないな。だから私としては、こうして睨みあっている暇があれば、一刻も早くこの場から脱出したいのだよ。君達と共に」
 毅然とした態度でゼロと向き合っていたリーライナの瞳にこの時、迷いが生じた。
 もし仮に爆発物の話が本当だとしたら、ゼロの言うとおり今の状態は時間の無駄以外の何物でもない。しかし、相手はゼロである。信用など出来よう筈が無い。

73 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:18:18 ID:qxMsE7+C
支援

74 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/28(土) 00:18:39 ID:AU2QOMzk
 また異なる理由で、表面上は平静を保っていた黒の騎士団の面々もゼロの言動に戸惑っていた。
 確かに、爆発物はある。それもこのホテルを倒壊させるのに十分な量が。ただしそれはゼロが設置させたものであり、しかもその爆発物はゼロの持つスイッチによってのみ起爆するのだった。
 交渉を有利にする為に伏せているのだということは皆分かっていたが、それでも予想外の事態に見舞われながらも平然と虚言を弄するゼロという人物に、不信感を抱いたのも確かだった。
 しかし、そんな黒の騎士団側の事情を知らないリーライナにとっては、判断に迷う問題であるのは変わらない。
 そもそも爆発物など存在しないかもしれないし、あったとしても爆発するまでにもっと時間があるかもしれない。だからと言って、
 無視していいような話でもない。リーライナ一人の命だけでなく、多くの人質、そしてユーフェミアの命までかかった話なのだから。
「リーライナさん」
 惑うリーライナの耳に、この状況でなお落ち着いた声が届く。ゼロに隙を見せぬようにしながら背後を窺うと、
 腹を押さえたライが、壁を支えにしながら立ち上がっていた。
「ゼロの話、僕は受けて良いと思う」
「えっ」
「ライさん……?」
 突然のことに戸惑う二人。この瞬間、ライに気を取られていたリーライナから銃を奪うことがカレンならば可能であっただろうが、
 そのカレン自身がライの言動に虚を突かれていたためそれは適わなかった。一方のゼロは、興味深そうにライを眺めているようだった。
 この時ほんの一瞬、ライを見たゼロの体が不自然に硬直したことに気付いた者は、この場にいなかった。
「ほお。君は見たところ、軍人と言うわけではないようだが」
「ああ。ただの学生だからな」
「ふむ。その学生の君が、何故私を信用すると?」
「別に、お前を信用したわけじゃない」
 まだ腹が痛むのか、額にうっすらと汗をにじませているライの声はかすれていた。
「ゼロという人物の思考、そして目的を考えて判断しただけだ」
「私の? 興味深いな。聞かせてもらおうか」
「お前はさっき言ったな。草壁を説得しようとしたと。それはつまり、このホテルに忍び込んできたのではなく、真正面から入ってきたということだ。侵入者と面会するトップはいないからな。
 それに素人に毛が生えた程度のお前達が見つけられるような侵入経路を、建物の詳しい構造についての情報を得ている筈のブリタニア正規軍が見つけられないというのも考えにくい」
「ふっ、その通りだ。私は正面から堂々と、車でこのホテルまで乗り付けてやったよ」
「その車の種類を当ててやろう」
「面白い。当ててみろ」
「報道関係の車両、恐らく中継車だろう」
 ライが発した言葉を聞き、仮面により様子が窺い知れないゼロ以外の黒の騎士団の面々が、バイザーでは隠しきれないほどの驚きを表情に出した。
 その反応だけで、ライの言葉が事実であることがリーライナ達にも分かった。
「……何故分かった?」
「お前が一人の犯罪者でありながらこれほどの知名度を誇っているのは、幾つか理由がある。
 クロヴィス前総督を暗殺したこと。そしてマンガから抜け出してきたかのようなその姿も勿論そうだし、僕の友人である枢木スザクを助け出したこともある」
 ここで、今度は黒の騎士団だけでなくリーライナ達も驚かされていた。
 スザクは名誉ブリタニア人とはいえ、所詮は日本人……イレブンである。そのスザクをライは、何の躊躇いも無く友人と呼んだのだから。
 当のライは何ら気にした様子も見せず、言葉を続ける。
「お前がテロリストではなくゼロとして有名になったのは、これらのことを大衆の、いや、メディアの前で堂々披露したのが最大の理由だ。
 ただ撮られるだけでなくお前は、メディアを上手く使っている。まるで舞台の役者のような、芝居がかった口上、動作。
 従来のテロリストがメディアを利用するのは大抵が要求を示す為だが、お前は大衆を舞台の客と見立て、徹底的にゼロという存在を演じてみせた。
 これにより、ゼロという存在は強烈に人々の頭に残った。共通したイメージが確立されたわけだ」
 ゼロは無言。ただ静かに、ライの先を促すのみ。
「そして今回。自分の組織を作ったお前は、今度はその組織に対するイメージを確立させようとしている。
 その為の中継車だろう。そして、お前の言動や行動から考えると、お前が黒の騎士団に対して大衆に抱いてほしいイメージは絞られてくる」
「興味深い。是非聞かせてもらいたいな」
「表現は色々あるだろうが、そうだな。最も分かりやすいのは……」
 少しの逡巡の後、ライはやや乱れていた呼吸を整え、言った。
「正義の味方」

75 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:18:44 ID:y9YWKKzX
しえんー

76 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/28(土) 00:20:27 ID:AU2QOMzk
「フッ……くく、あっはっはっはっはっはっは!!」
 瞬間、ゼロは大笑した。愉快で堪らないとでもいう風に。肩を大きく揺らしながらゼロは、天井を見上げるようにして暫し笑い続けた。
「ほぼ正解だ、とだけ言っておこうか。君は頭が良い」
 ゼロの称賛に、ライは渋面を作ることで応えた。そのライの反応にさえ愉快そうな声を漏らすと、
 ゼロはライの隣で戸惑っている様子のリーライナに向き直る。
「聞いていた通りだ。我々黒の騎士団は、正義の味方だ。人質には絶対に危害を加えない。時間のこともある。そろそろ、どうするかご決断願えるかな?」
 急かしながらも、どこかからかうような響きの宿るゼロの言葉に、未だ迷いを残すリーライナは返事に詰まった。
「先ぱ……少尉」
 気遣うようなマリーカの声。しかしその声には、マリーカの感じている不安が孕まれていた。
「分かりました。貴方を信じましょう、ゼロ」
 そしてそれとは別に、凛とした決意を感じさせる声が発せられていた。
「ユ、ユーフェミア様!」
 驚き、カレンから銃口がそれていることにも気付かず慌てて振り返ったリーライナの視線の先には、案の定、ユーフェミアの堂々たる立ち姿があった。
 制止しようとして適わなかったのか。傍らにはミレイとシャーリーの姿もあり、開け放されたままの扉からはニーナが恐る恐る顔をのぞかせていた。
「何故出てきたのですか! 危険です、お下がりください!」
「話は全部聞いていました。たった今ゼロは、人質に危害を加えないと約束しましたよ」
「だからと言って!」
「ごめんなさい、リーライナ少尉」
 尚も言い募ろうとするリーライナに、ユーフェミアは後悔すら滲ませた顔をして、頭を下げた。
「あなたにこんな大事な決断を押し付けそうになって。本来なら、私がやらなければならないことでした。ごめんなさい」
「ユ、ユーフェミア様」
 言葉を失ったリーライナに優しく微笑むと、きっ、と真摯な表情を浮かべて、ユーフェミアはゼロと対峙する。
「私はブリタニア帝国第三皇女。ユーフェミア・リ・ブリタニアです。ゼロ、先程の言葉に嘘偽りはありませんか?
 もし貴方が本当に人質の方々を無事に逃がすというのなら、私ユーフェミアの名に誓って約束します。此度のことで、貴方を捕えるようなことはさせません」
「……ああ。勿論、人質は助けますよ。ご配慮、感謝します。ユーフェミア殿下」
「分かりました。リーライナ少尉、銃を下げてください。マリーカ候補生もです」
「……Yes,Your Highness」
 渋々、といった感じで銃を下げるリーライナ。リーライナが銃を下げたのを見て、どこか納得のいっていないような、それでも安堵した様子でマリーカも銃を下げた。
 同時に、吉田達は扇達に手を貸す為に動きだし、ミレイとシャーリーが座り込んでしまっていたライの元に駆け寄って来た。
 そうしてライがミレイ達に手当てを受けている様子を、静かにカレンは眺めていた。
「カレン、彼女達が君の友人か?」
 いつのまにか傍らに来ていたゼロが、カレンにだけ聞こえるように囁いた。
「あ、はい。そうです」
「そうか。色々と思うところはあるだろうが、君はここに長居すべきではない。髪型を変え、バイザーで顔を隠しているとはいえ、君に気付かないとも限らないからな。
 君は井上を連れて先に脱出艇に向い、準備をしておいてくれ」
「……わかりました。お気遣い、ありがとうございます」
 人質の中にカレンの友人がいると聞き、万に一つでもカレンの正体が気付かれることがないよう団員達に「紅月」と呼ぶことを徹底させたのはゼロだった。
 また、人質を救出するチームから白兵戦最強のカレンを外したのもゼロの配慮によるものだった。
「気にすることはない。君に何かあれば、私も困るからな」
 マントを翻してカレンに背を向けたゼロに頭を下げると、カレンは井上の元へ駆けだした。

77 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:20:37 ID:GgLNIVab
支援!

78 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:23:04 ID:y9YWKKzX
しえんだ

79 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/28(土) 00:24:04 ID:AU2QOMzk
「ライ、ライ大丈夫?」
 両肩をそれぞれミレイとシャーリーに支えてもらいながら、ライは立ち上がった。
 間近で見たシャーリーの顔は、泣きそうになり歪んでいた。ミレイもライに少しでも負担をかけないよう注意を払ってくれているのが分かった。
 視線を感じてそちらを見ると、ニーナが黒の騎士団のメンバーが近くを通る度にビクっ、と体を震わせながらも、ライを迎えるようにして立っていた。
(随分心配をかけたみたいだな)
 心苦しい気分になったライは少しの逡巡の後、出来るだけおどけた調子を装って口を開いた。
「ミレイさんにシャーリーか。両手に花という奴だね。随分豪華な花だけど、頑張った甲斐があった」
 明らかに作った声で突然そんなことを言い出したライに対し、初めはミレイもシャーリーもキョトンとしていたが、
 すぐにライの意図を察したミレイがにんまりと悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「あら、ダメよー。シャーリーはルルーシュ一筋なんだから。ミレイさんだけで我慢としときなさい。
 その代り頑張ったご褒美に、ミレイさんがたっぷりサービスしてあげるから。うりうり〜♪」
 ミレイは支えていたライの左腕を取ると、彼女自慢の豊かな胸の間に挟むようにして抱き込んだ。
 左腕を包むふっくらと柔らかい感触にライの顔がみるみる赤くなっていく。途端にあたふたし始めたライにふふん、と小悪魔のように笑いかけるミレイ。
「あれぇ、どうしたのライ? 顔が真っ赤よ?」
「いや、あの」
「もう、何やってるんですか会長! ライをからかわないでください!」
 ミレイの反対側でライを支えていたシャーリーが、こちらは羞恥によって顔を赤くしたシャーリーが怒鳴り声をあげた。
 助かったよシャーリー、とライがシャーリーに礼を言おうとそちらに目を向けると、不機嫌なシャーリーと目が合った。
「ライもだよ。変なこと言わない」
「す、すまない」
 シャーリーに怒られたライは、主人に叱られた子犬のように項垂れた。
「ぷっ、あっはっは」
「どうしたの、ミレイちゃん」
「いやいやぁ、あんなに強いライもシャーリーには勝てないんだなって思ったらね」
 いきなり笑いだしたミレイに不思議そうな顔をして近づいてきたニーナに、ミレイはそう答えつつライの頭をくしゃくしゃと撫でた。
 ミレイの顔には、この事件が起きてから浮かぶことの無かった穏やかな笑顔が浮かんでいた。

 他の人質達と共に歩み去っていくライ達の背を、ゼロは見送った。
(ライ……頭の切れる奴だ。それに井上が連絡してきた"銀髪の男"というのは、あの状況からしてライのことだろう。
 とすると、ライは不意をついたとはいえ一人で扇達を倒したということになる。スザク並みとまではいかんかもしれんが、かなりの実力の持ち主であるのは間違いない。
 以前からライの事務処理能力には注目していたが……欲しいな)
「ゼロ」
 思考を打ち切りゼロは振り向く。声の主であるユーフェミアは、ゼロに対し心根をそのまま示すような真っ直ぐな眼差しを向けていた。
 ユーフェミアの傍らには、敵意を隠そうともしないマリーカが付き従っている。
「どうしましたユーフェミア殿下。何か問題でも?」
「貴方にお聞きしたいことがあります。よろしいですか?」
「私に答えられることであるのなら」
「ではお聞きします。我が兄クロヴィスを殺したのは、ゼロ。貴方ですか」
「その通りです。私がクロヴィスを殺しました」
 ゼロの答えに、ユーフェミアが表情を曇らせる。しかし平然と答えたゼロに詰め寄りかけたマリーカを制したのも、やはりユーフェミアだった。
「……それは何故?」
「貴女の兄クロヴィスは、反ブリタニア勢力の鎮圧と称しながらゲットーで暮らす罪無き人々を虐殺した。許されることではない」
「テロリスト風情が何をっ!」
「外野は黙っていてもらえるかな。今私は、貴女の主ユーフェミアと話している」
 一瞥すらしないゼロにそう断じられたマリーカは、ユーフェミアにまで目線で下がっているよう促されると、悔しげに唇を噛みしめ沈黙した。
 ユーフェミアはゼロから目を逸らさず、しかしその顔に僅かな悲哀をにじませていた。

80 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:25:44 ID:qxMsE7+C
最後の支援
感想はまた夕方にでも書きまする

81 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:25:51 ID:y9YWKKzX
しーえんー

82 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/28(土) 00:26:30 ID:AU2QOMzk
「それが理由? 兄の行いが、貴方は許せなかったと」
「その通り……と言いたいところだが、それだけではない。私があの男を殺した最大の理由は」
 その時、ユーフェミアは怖気を感じた。目の前に立つゼロから何か、圧倒的な負の感情を感じたからだ。
「あの男が、ブリタニア皇帝の息子だから」
「え……?」
 戸惑うユーフェミアを無視してゼロは大仰な仕草でマントを翻す。
「そういえば、貴女もそうでしたね……ユーフェミア・リ・ブリタニア」
 マントに隠された手が再び現れた時、その手には既に拳銃が握られていた。その銃口は目の前に立つユーフェミアに向けられている。
「なにを!」
「動くな。お前が動けば、ユーフェミアを撃つ」
 肩にかけていた銃を構えかけたマリーカに、鋭い制止の声が飛ぶ。既に引き金を引くだけで良い状態のゼロの言葉に、マリーカは従うしかなかった。
 このやり取りに気付いた周囲の人質や黒の騎士団メンバーから戸惑いの声が上がる。喧噪に包まれる周囲を余所に、その中心たるゼロとユーフェミアは静かに見つめあっていた。
「随分と落ち着いておられますね。兄を殺したテロリストに銃を向けられているというのに。怖くはないのですか?」
「もちろん、怖いです。怖いですけど」
 自らの中の恐怖心を認めながら、ユーフェミアはなお毅然と言い放った。
「貴方は人質には危害を加えないと約束しました。私は、貴方が約束を守ると信じています」
 凛とした、ユーフェミアの声とその眼差し。少しの間それらを無言で受け止めていたゼロは、大げさに肩を竦めた。
 そのまま手の中の銃をくるりと反回転させ、銃のグリップをユーフェミアに向ける。
「確かに、私は約束した。そして私は約束を破るつもりはない。今も貴女を撃つつもりはなかった。なかったが……ここまで信用されてしまうのも困りものだな。
 ユーフェミア殿下。貴女に忠告しておくが、貴女は甘すぎる。今回は相手が私だったから良かったが、誠意に対し常に相手が誠意で応えてくれるとは思わないことです」
 その言葉を真摯に受け止めていたユーフェミアに、ゼロは持っていた銃を押し付けた。
「その銃は貴女が持っていると良い。今回の約束を貴女なら破ることは無いだろうという、私の信頼の証だ。
 もし貴女が私を信用出来ないと思ったその時は、その銃で私を撃つと良い」
 それだけを告げたゼロはまるで苛立ちを紛らわすように大仰な仕草でマントを翻しながら、踵を返し歩きだし始めた。
「ご忠告感謝します、ゼロ。貴方は優しいのですね」
 その言葉を背に受けたゼロは――ルルーシュは歩みを止め、仮面に隠された顔に苦い笑みを浮かべた。
「……だから、貴女は甘いというのですよ」
 そして今度こそ、歩みを止めること無く去って行った。




 こうして、コンベンションセンターホテル占拠事件はその幕を下ろした。
 今回の活躍により、黒の騎士団の名は一躍有名になることとなる。そしてそれは、黒の騎士団を率いるゼロについても同様であった。
 また、ゼロが語った彼等黒の騎士団の行動理念は、イレブンを中心とした多くの民衆に広く受け入れられることとなる。
 エリア11総督コーネリアは妹ユーフェミアを人質にとられた状態では手が出せず、その様子を歯ぎしりしながら眺めるしかなかった。
 そして一方で、その様子を愉快そうに眺める人物もいた。

83 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:27:05 ID:GgLNIVab
支援

84 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:28:04 ID:y9YWKKzX
しえn


85 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/28(土) 00:28:24 ID:AU2QOMzk
 フジヤマプラント内部 キョウト本部 

 フジヤマプラントの一角にある応接室。備えられているソファやデスクは一目で高級と分かる物が揃っており、ガラス張りの外壁からは富士の山を見下ろすことが出来る。
 日本の象徴、富士山。日本人に愛され、その姿の美しさに惚れ込んだ幾人もの画家達に筆を取らせ、数多くの名画を世に生み出させた霊峰。
 その富士山は今、サクラダイト採掘のためにブリタニアの手によって蹂躙されている。そしてこの応接室から半ば機械化された富士山を俯瞰する男がいた。
 歳の頃は四十代後半といったところだろうか。無精ひげに銜え煙草というだらしない見た目をしているが、その瞳に宿る光が男の本質を表している。
 老いてなお鍛えられた男の身を包む濃い緑色をした日本陸軍の制服の襟には、少佐を示す階級章。この男こそが『奇才』の異名で知られる天才。白鳥社であった。
「中々に愉快な幕切れであったな」
 背後からかけられた揶揄するような響きを持つ声に、白鳥は振り向く。そこに立つ枯れ木のような体躯に圧倒的な存在感を持つ老人に、白鳥は口元を吊り上げた。
「あの草壁が、桐原公を少しでも愉しませることが出来たんならそりゃ僥倖。血気ばかり盛んな猪にしては上等な最期ってもんですな」
「手厳しいな。草壁の死に何ら思うところは無いのかな?」
「ありませんな。どちらかといえばあなたが何を考え草壁に雷光なんて玩具を与えたのか、そちらの方が気になるんですがね」
 飄々とした様子で答えた白鳥に、桐原は人を食ったような笑みを持って応えた。
「ふむ。今回の件で、片瀬めの重い腰が少しでも軽くなればと思っておったのだが」
「これはこれは、耄碌なさったかご老体。片瀬の腰が軽くなるのは撤退戦の時だけさ。そんなこともお忘れか?
 ふうむ、だとしたらこれは参った。現在の日本解放戦線はキョウトの期待に応えられるような組織ではないことも、ひょっとしたらお忘れになっているかもしれねぇ」
 自らが属する組織を役立たずだと扱き下ろした白鳥の顔には、本心からの呆れが浮かんでいた。そしてその中に潜む僅かな自嘲を、桐原は見過ごさなかった。
 白鳥自身も己の心情を桐原に見透かされていると悟っているのだろう。表情を消した白鳥は近くのソファにどっかりとその身を預け煙草を灰皿に押し付けると、視線で桐原にも座るよう促してきた。
「単刀直入に聞かせてもらいますがね。ゼロと黒の騎士団をどう思っておいでで? キョウト六家でなく、ご老体個人がだ」
 先ほどまでの飄々とした雰囲気とは全く違う、凄味を感じさせる空気を纏った白鳥。それと相対した桐原はしかし涼しい顔でそれを受け流している。
「そうさな……少々派手すぎまた行動に慎重さ、堅実さが欠けるが、それでもあの行動力は評価に値するな。何より、見ていて痛快だ」
「援助も考えていると?」
「一考する価値はあろうな。ゼロも中々に賢い男のようだし、黒の騎士団には腕の立つKMFパイロットもいるようだしな」
「そうですか。ではうちに回す予定だった例の新型、黒の騎士団にくれてやってください」
 この提案は予想外だったのか。桐原の目が僅かに驚きに見開かれた。驚かせることが出来て嬉しかったらしく、白鳥は満足気に笑っていた。
「どういう風の吹きまわしだ? あれほど完成はまだかまだかと責っ付いておった紅蓮弐式を手放すとは」
「責っ付いてたのは俺じゃありませんよ。片瀬の野郎です。まぁ、確かに性能も大したもんだし「初の純日本製」って謳い文句も魅力的ですが、
 今の解放戦線にはちっとばかし勿体無い代物だ。片瀬に持たせると、折角の高性能機を無駄に遊ばせることになりかねねぇですからね。
 それなら、将来有望な新鋭に持たせてやった方がマシってもんじゃねぇですかね」
「片瀬はどうするのだ」
「放っておきゃいい。腰ぬけのやっこさんのことだ、キョウトの機嫌を損ねて支援を受けられなくなるんじゃねぇかとビビって強いことは言えっこねぇですよ」
 片瀬を揶揄するように一頻り嗤うと、白鳥は立ち上がった。
「さてと。そろそろ、自分はお暇させてもらいましょうか。ひよっこどもが自分の帰りを待ってるもんで。
 それでは、体には気ぃつけてくださいね桐原公。あんたみたいな狸が今の日本には必要だ。まだ暫くは死んでもらっちゃ困る」
「安心せい。儂が死んでも、神楽耶様がおられるわ」
「あのお嬢ちゃんですか。確かに器のデカイお嬢ちゃんだとは思いますが……今しばらくはあの清純さを保ってもらいたいんですがね」
「いやいや。神楽耶様もあれで中々、油断のならぬお方よ」
「ああ、なるほど。言われてみりゃそうだ」

86 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:29:46 ID:GgLNIVab
支援!

87 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/28(土) 00:34:57 ID:AU2QOMzk
 桐原の言葉に苦笑しつつ頷くと、白鳥は一礼して退室した。部屋を出た白鳥はポケットから煙草を取り出し一本銜え、同じように手慣れた仕草で取りだしたzipooのライターで火を付けると、
 大きく一度紫煙を吸いこみ吐き出した後、薄暗い通路をゆっくりとした歩調で歩きはじめた。
(さて。桐原の爺も気にしてたが、片瀬の奴をどうすっかねぇ)
 立ち昇る紫煙を何となく目で追いつつ、白鳥は思考を開始した。
 日本最大の反ブリタニア組織、日本解放戦線。旧日本軍、中でも日本陸軍の残党を核として構成されている解放戦線は、旧軍の武装を多く引き継いでいる上にその殆どが軍人であったこともあって構成員一人一人が高い能力を持っており、まさに名実共に日本最強の組織と言える。
 ところが、これほどの力を持つ組織でありながら解放戦線はこれまでに目立った戦果を挙げていない。理由は様々だが、最大の理由は片瀬少将を筆頭とする上層部の慎重策のためだ。
 軍隊とは完全な縦社会である。旧軍の人員で構成されていることで高い能力を持つに至った解放戦線であったが、皮肉にもその旧軍の体質に縛られることで、藤堂や白鳥といった実際に現場に立つ指揮官達と上層部との間で温度差が生まれることになったのだ。
 慎重派の片瀬ら上層部に対し、藤堂や白鳥といった現場指揮官らで積極派は構成されていたが、その中でも直接片瀬に意見を具申出来るのは藤堂と白鳥の二名のみ。
 そしてその二人の間にも、意見の相違が存在した。片瀬に異論はあるもののそれでもなお組織としての結束を重視する藤堂に対し、白鳥は片瀬を"排除"してでも解放戦線の方針を積極的なものに転換させるべきだと考えていた。
(片瀬の無能もそうだが、藤堂の奴も腹が立つほど頑固だからなぁ。あの石頭め……コーネリアが相手ではこれまでのやり方では座して死を待つも同然だと気付いてやがるくせして。ああ糞、苛々するったらないぜ。時間もねぇってのに)
 車両置き場にたどり着いたところで苛立ち紛れに舌打ちすると、白鳥はいつの間にかすっかり短くなっていた煙草を携帯灰皿に放り込んだ。
「白鳥少佐」
「ん、おぉ、千葉じゃねぇか。迎えが来るって話は聞いてねぇが……ああ、藤堂の奴か」

88 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:36:03 ID:GgLNIVab
支援

89 :コードギアス The reborn world 5話:2009/02/28(土) 00:36:13 ID:AU2QOMzk
 黒塗りの自動車の傍らに立つパンツルックの千葉の姿を認めた白鳥は、苦笑しつつ大人しく千葉が開けてくれていた後部座席に滑り込む。
 千葉もすぐに操縦席の乗りこむと「発車します」とだけ告げると言葉通りすぐに車を動かした。
「しっかし、お前さんも律儀だねぇ。草壁の騒ぎをどうにかする手助けを俺にさせる為に藤堂が迎えにこさせたんだろうが、
 お前さんも知ってるだろう? 草壁のアホ垂れはおっ死(ち)んだ。なら、俺みたいな年寄りなんて待ってるこたねぇのによ」
「中佐に命じられましたから」
「かぁー、真面目だねぇ! まぁ俺としては、千葉みたいな美人に迎えに来てもらうのは嬉しいばかりだから別に構わねぇんだけどよ。あーあ、藤堂の奴が羨ましいったらねぇなぁ。こんな美人に惚れられててよ」
「ば、馬鹿なことを言わないでください! 私は別に」
「照れるな照れるな。ふむ、お前さんがうちに来たのは七年前だから……今幾つだっけか? 二十四? それくらいだったよなぁ。
 いやぁ、歳誤魔化してたって知った時は驚いたぜぇ。そこまでして藤堂の傍にいたいってか? 乙女だねぇってどわぁ!?」
 千葉がプロもかくやと言わんばかりのドリフト技術を披露したため、後部座席で派手に転がる白鳥。
「な、なんだなんだ!? 狸でも飛び出してきたか?」
「失礼しました。コーナーを見ていたら急にドリフトしたくなったものですから。お怪我はありませんか?」
「ねぇよ! ったく、おっかねぇ女だ。まぁいい。で、結局お前さん今幾つだっけか? 書類上の数字じゃなくて、本当の方な」
「……今年で二十三になります」
 ボソリ、ともう一度ドリフトしたそうな顔で千葉は呟いた。
 七年前。当時まだ学生だった千葉が暮らす町がブリタニア軍の脅威にさらされた時、厳島から撤退途中であった藤堂達がその窮地を救った。
 その時目にした自ら陣頭に立って兵達を励ましながら共に戦い、傷だらけになりながらも千葉達民間人を助け出した藤堂の姿が忘れられなかった千葉は、
 思い切ったことに軍に入れてほしいと藤堂に直願した。当初藤堂は千葉の申し出を退けたが、最後には根負けしたというわけだ。
 だが流石に藤堂も甘くは無く、女性の身に軍隊生活が如何に過酷かを身をもって知った後で今一度意思確認を行うとして、ど素人だった千葉の教育を自らが尊敬する恩師、つまり白鳥に任せた。
「おぉ、そうそう、そうだったな。いやぁ、書類上では二十九になるんだったか。二十三の娘が随分サバ読んだなおい。どうりでてめぇにゃ色気が足りないわけだよ」
 今の二人の関係はそこから始まった。当初は素人の教育、それも女性の教育をおしつけられたと面倒くさそうな様子を隠そうともしなかった白鳥であったが、彼は能力さえあれば人種や性別に拘らない男であり、
 そして千葉は白鳥が感心するほど有能で努力することが出来る女性であった。千葉の本気を知った白鳥は他の軍人と同じように扱い、そして千葉もそれを望んだ。
 そのようにして白鳥の過酷な訓練を耐え抜き、また自ら研鑽を積み続けた千葉は僅か数年で藤堂直属の「四聖剣」の一人に選ばれるという大躍進を遂げたのだ。
 己が四聖剣の一人に選ばれたのは自分一人の力では無く、白鳥という日本軍切っての名将に多くのことを叩き込まれたからであると理解している千葉は、藤堂に匹敵する敬意を白鳥に抱いている。そう。尊敬しているのだが。
(どうしてよりによって少佐に、歳のことを知られてしまったのだろう)
 白鳥の下にいた頃に巧言に惑わされ、軍に入る為歳を六つも誤魔化していたことがバレてからというものそれをネタにからかうようになった恩師に辟易し思わず嘆息する千葉。
 そんな千葉の心情を理解していながら尚、膝をばんばん叩きながら愉快そうに笑い転げていた白鳥は、千葉が予告無しでまたもやドリフトを披露したことで本当に転がることとなった。

90 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:36:55 ID:GgLNIVab
支援!

91 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:39:18 ID:y9YWKKzX
しえんー

92 :千葉はライの嫁:2009/02/28(土) 00:43:52 ID:AU2QOMzk
あぁ、やっと千葉さんが書けた。あ、年齢については完全に独自設定です。
長すぎましたね、二つに分けるべきだったかもしれません。それでも無事投下を終えられたのは、支援してくださった方々のおかげです。
以前からこの河口湖の事件は書きたかったのですが、ユーフェミアやニーナのことを考えて書いてたら大変な難産になりました。それだけに、支援してくださった方々が「支援した甲斐があった」と思えるような出来になっていれば幸いです。

それでは、この辺で。千葉はライの嫁でした。

93 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 00:48:36 ID:y9YWKKzX
おつかれさまでした〜
ライかっこい〜強いライはいーなー
リーライナやマリーカに、小笠原まで出てきての豪華なストーリーでした
ライの異能に触れたゼロ=ルルがこの後いかに関わってくるのかに期待です〜

力作が投下されると、自分もやるぞって気になります
負けずにがんばりますので、千葉ライさんも次回をがんばです〜

94 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 01:47:02 ID:GgLNIVab
>>92
千葉はライの嫁卿、GJでした!
いいね、いいねぇ!
たっぷり出てきたキャラ皆が活きてるってかんじかします!
読みごたえもあるし……ディ・モールト良い!
ここからどう物語が動くか大変楽しみです!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

95 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 06:04:45 ID:EuyzYemO
千葉はライの嫁卿、乙です!

いや〜、ライ君の無双ぶりは痛快でした。
欲をいえばライ君はスザクのような派手な立ち回りより、『●ィンランド・サガ』に登場する「ヨームの戦鬼」なオヤジみたく、
無駄なく最小限の動作で最高の結果を出すような戦い方のほうが「らしい」と思うのですがw
色々、勝手なことばかりスミマセン(汗

今回で各方面にフラグを立てまくりましたねw
これで解放戦線以外ならばどのルートに進んでも違和感はないと思います。
偉そうで申し訳ありませんが、それを意識させて読ませる千葉はライの嫁卿の文才には、本当に脱帽です。
何にせよ彼がどの組織に属することになるか、続きが楽しみです!
執筆ガンバってください!!


96 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 12:58:17 ID:fWR+SAu5
今後の展開が気になりますね。続きを楽しみにしています。

97 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 14:06:27 ID:flb6L2l1
他スレ住人だがこっちに投下する前に埋めてくれ迷惑だ

98 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 14:41:28 ID:y9YWKKzX
スレ容量も十分足りていて、立て逃げのスレもけっこうある現状で
前スレを埋め立てないことがなんの迷惑になるのか・・・ご説明を賜りたいものですね
さぞ香ばしい・・・もとい、こちらの住人が三跪九叩頭して泣いてお詫びしないとならない
そんな理由を証明してくれることと思いますが

99 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 14:44:46 ID:y9YWKKzX
なんの迷惑になるのか
って言い方はちょっと上から目線で偉そうでしたね〜
どういう風に迷惑になるのか
に訂正しましょうか
謝罪と賠償も必要ですか?

必要だと言われてもしませんけどね

100 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 15:26:59 ID:flb6L2l1
最近色々なスレが立ち始めたので容量いっぱいになりつつある
これでわかりますか?

101 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 16:24:00 ID:qxMsE7+C
まあ>>100さんの言うことも尤もですな。「整理」なんて食らったら堪ったものじゃないですし。
ちょっくら行ってきます。

>>98
気持は解りますが、もうちょっと普通に訊いたほうがいいのでは…

102 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 17:12:19 ID:iTCK7njw
とはいえ>>97の態度は人をたしなめるにしちゃおかしくね?
98が辛辣にすぎるのは確かだが、荒らし同様な書き方する97をあえて擁護する気にはならないね
むしろこういうことは単一スレだけに狙って言うより自治スレに発言して全板的に言うことだろうに
喧嘩腰でまず書き込みをしたのはどっちの方なんだ?
俺は98の方は責められないね
もっと言ってやりゃ良かったのにと思う

103 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 19:47:18 ID:xWTjm6+0
まあ、300足らずで圧縮はないわ。心配しないでよろし

ただ前スレ30Kくらいは残ってるので
容量的に行けそうな短編等は前スレ投下も推奨
ただ埋めるには大容量だし

104 :POPPO:2009/03/01(日) 00:45:15 ID:+ZWAjzRR
POPPOです。
今から『反逆のルルーシュ。覇道のライ』 TURN00「終わる日常」(後編1)
を投稿したいのですが、
その前に(中編7)の修正版を投稿したのですがよろしいでしょうか?
修正、追加した部分が、管理者トーマスさんにお願いできるレベルではないのでどうしようか
迷っています。
皆さんの意見を聞きたいので書き込みお願いします。

105 :POPPO:2009/03/01(日) 00:49:02 ID:+ZWAjzRR
すいません。
その前に(中編7)の修正版を投稿した(い)のですがよろしいでしょうか?
の間違いです。

106 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2009/03/01(日) 01:04:39 ID:fQPmbK6p
>>104
多岐に渉るものですか?単なる誤字脱字なら当方でいくらでも修正いたしますが…。
まあ個人的には、POPPO卿のお好きになさっても宜しいかと。

107 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2009/03/01(日) 01:10:37 ID:fQPmbK6p
失礼、追加部分とかがあるのですね。それなら投下してくださったほうが有り難いです。
お待ちしております。

108 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2009/03/01(日) 01:11:55 ID:fQPmbK6p
追加
36スレ目が24kBの余裕があるので、出来ればそちらに投下していただければ

109 :POPPO:2009/03/01(日) 01:16:50 ID:+ZWAjzRR
すいません。
(中編7)が41KB
(後編1)が31kBあるのですが、どうすればいいでしょうか?


110 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2009/03/01(日) 01:21:49 ID:fQPmbK6p
でかっ!ものすごい追加量ですね!
途中まで前スレに落として埋まったらこっち、というのが理想(当然ちゃんと保管はしますよ)ですが…
ややこしいかも知れませんね。まあPOPPO卿の御意志にお任せするということで。

111 :POPPO:2009/03/01(日) 01:32:26 ID:+ZWAjzRR
保管者トーマスさん。書き込みありがとうございます。
ではこの37スレに書き込みたいと思います。
保管されている中編7)は今から投稿するものに書き換えてもらってもよろしいでしょうか?
それでは(中編7)修正版いきます!
今から相当な量が来ると思いますので覚悟してください。(苦笑)

112 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:33:40 ID:fQPmbK6p
了解。支援、保管ともに準備完了です。猿にはくれぐれもお気を付け下さい。

113 :POPPO:2009/03/01(日) 01:35:19 ID:+ZWAjzRR
医療用のトレーラーが到着し、周囲を黒の騎士団に見張らせた。僕とルルーシュは乗り込んだ。
ルルーシュは主治医と看護士たちにギアスをかけた。正体を知られない為とはいえ、仲間にギアスをかけるのは辛いものがある。
緊急手術が行われ、ギアスをかけられた医療スタッフは淡々と治療をこなしていった。患者が仮面を外した『ゼロ』だというのに全く気にする素振りを見せない。
彼らには一団員を治療しているという認識しか無い。僕から見ても少し異様な光景だった。
弾丸は貫通していて、出血がひどかったが、医師によればルルーシュの命に別状は無いということだった。
僕はルルーシュの手を握った。
温かい。
生きているという証。無事だとわかっていても僕は落ち着いてはいられなかった。
目の前で大切な人が傷つくのはもうたくさんだ。
「…ライ」
僕の手を握り返してきた。声を聞いた僕は顔を上げた。ルルーシュは僕の顔を見て、少し驚いていた。
「…泣いているのか?」
「…泣いちゃ、悪いか?」
「フン…そんなことは、言っていない」
僕は両手でルルーシュの手を握る。
男とは思えないほどの白い肌と細い指。これが日本の救世主と言われるゼロの手だ。
でも、彼の手はこんなにも弱くて儚い。
「…ライ」
「ん?何だい?ルルーシュ」
「…俺は、ゼロは、利用されたのか?」
「…ああ、おそらく僕たちに似たギアスの持ち主だ」
「俺は、おれは…」
「今は安静にしてくれ。俺が捕まえる。いや、殺す。だから…」

「ユフィはどうなった?」

その言葉を聞いた途端、僕の体が無意識に動いてしまった。
平静を装うつもりだったのに。ルルーシュに悟られてしまったのだろう。苦笑いで僕を見つめた。
「相変わらず…お前は優しい嘘は下手だな」
「…ごめん」
ルルーシュの手を握る僕の手が震えてきた。ルルーシュは笑っているが、涙を必死に堪えていることは丸分かりだ。
先ほど、連絡員からユフィの状況が伝えられた。言おうとすると声がかすれてしまって、うまく喋れない。
どうして、こんなことに。
どうして、どうして!
「ライ。嘘は言ってほしくない。…ユフィは、どうなった?」
「ゆ、ゆう、ユフィは―――――――――――――――――――――――」






114 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:35:24 ID:dtQvlL/A
念の為に支援させて頂きます

115 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:36:12 ID:fQPmbK6p
支援

116 :POPPO:2009/03/01(日) 01:39:33 ID:+ZWAjzRR
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」 (中編7)




「死んだ――――――――――――――――――――――――――」

クレイン総合病院。
優秀な医療人を多く輩出する名門貴族、クレイン家が経営する病院の一つであり、トウキョウ租界にある医療施設。
最新鋭の設備に優秀な医療スタッフを集めたVIP専用の施設であり、エリア11に来訪す大貴族や皇族もこの病院を利用している。
貴族らしく豪華に装飾された病院の内部。
その一室で、一人の少年が天井を見上げていた。室外では多くのブリタニア軍人が周囲を警備している。
彼の顔は涙の跡が濃く残っていた。放心状態で視点が定まっていない。
血塗れになった服を着たままで、スザクは呆けていた。

悪い夢だと思った。
ユフィがゼロを撃つなんて。
ユフィが撃たれるなんて。
ユフィが、死ぬなんて。

これは夢だ。そう思いたかった。
でも、僕の手が現実だと言っている。
ユフィの手が冷たい。
僕が握っても、どんどん体温が失われていく。強く握っても、少しも動いてくれない。

それが許せなくて、僕はユフィの体を抱きしめた。
強く。強く。
僕がこうするとユフィはいつも決まってこう言うんだ。
≪痛いよ。スザク。でも、大好き≫
でも、ユフィは目を閉じたまま何も言わない。
何も喋ってくれない。
ユフィの体から薬品の匂いともに彼女の匂いがした。
その匂いを胸一杯に吸った。
ユフィを抱いてる時に感じた匂いを。
体温を。
温もりを。
愛を。
僕は思い出していた。

また、視界が滲む。
あれだけ泣いたのに。
あれだけ叫んだのに。
まだ僕の瞳から涙が零れ落ちた。
「ユフィ…僕は…君が……何であんなことを、したのか…分からないよ」
僕の腕にいっそう力がこもる。自分の涙を拭わず、ユフィを抱きしめた。
ただ悲しかった。
一体、何が起こったんだ?
あの時のユフィはユフィじゃなかった。
ユフィは一度も日本人をイレブンと言ったことは無かった。
公の場でもイレブンという言葉を使うのは極力控えてた。それはユフィがナンバーズという区分を嫌っていたからだ。
僕の手を払って…
あれじゃ、まるで…

その時、スザクの脳裏に一つの記憶が蘇った。


117 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:40:19 ID:fQPmbK6p
支援

118 :POPPO:2009/03/01(日) 01:40:33 ID:+ZWAjzRR
(まるで―――――――――――――――――――――――――?)
(ちょっと待て。たしか、半年前の式典で…)
(あの時は確か、僕は気を失って…気が付いたらライが撃たれていて、ユフィが倒れていた)
(今回はゼロが撃たれて…まさか)
(半年前は失敗して…)
(今回は、成功した?)
スザクは自分が知る由もない、巨大な陰謀の輪郭を見た気がした。
体中の熱が冷め、もう一度ふつふつと『何か』がこみ上げてきた。
自分の身も心も染め上げてしまう『何か』が。
(一体、何が、いや、誰が。この事件には黒幕がいるのか。裏で手を引いている誰かが!)
(ゼロか!?しかし、自分を撃たせるわけが無い。でも、あのゼロが影武者だとしたら…だとしたら!)

「教えてあげようか?」

唐突に後ろから声が聞こえた。
スザクが振り向くと一人の少年がいた。
「…君は」
地面に届くほどの長いブロンドの髪。貴族のような煌びやかな衣装。
整った容姿に全てを見透かすような真紅の瞳。病院には相応しくない格好をしていた。
彼の口元が薄く開く。
「はじめまして。枢木スザク。僕の名前はV.V.(ブイツー)」
「…V.V.?」
そして、彼は語りだした。彼の知る『真実』を。








119 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:41:31 ID:fQPmbK6p
支援

120 :POPPO:2009/03/01(日) 01:42:28 ID:+ZWAjzRR
「あ、アン!しっかりして!アンッ!!」
煙と炎が辺りに漂う中、私はアンの前にしゃがみ込んで傷を確認した。
深い。
そして大きい。
白いカーディガンが真っ赤に染まっていた。
それだけでは留まらず、床にアンの血が広がっていく。
両腕が折れていて、腹部の傷が酷過ぎる。純白のワンピースが真っ赤に染まっていた。
私のジャケットを被せたのに、紺のジャケットが黒く染まっていく。
纏まっていた金髪が散乱していて、髪の先が焦げていた。
瞳孔が少し開いていて、両眼の焦点が合っていない。メガネの破片が額に食い込んでいる。
口が震える。
私は思ってしまった。
近頃、医学書を読みあさっていて、断片的に知識があるからこそ、冷静に事態を把握してしまった。

もう、アンが助からないことを。

「い、いたい、い、いい、いたいよぉ…」
「アン…お、おおお、お願い、死なないで!お願いだから!!」
私はメガネを外して、アンにギアスをかけた。
この近距離だと対象者の神経を遮断できる。
だから!
アンが私の顔を見た。両目の焦点が私の顔で合わさった。
「…あれ?い、痛みが」
「アン!動いちゃだめ!今、薬で痛みを止めてるから!!」
「……リリーシャ?何で、カツラなんて、被ってるの?」
「そ、そんなことはどうでもいいから!じっとしてなさい!い、いいこと!救命医が来るまでアンは…」
「あはは。リリーシャ。涙で顔が、グシャグシャだよ…」
「笑わないでよ!!お、お願い!アン!あなたがいないと、私…」
「う、うふふ…。リリィが取り乱すなんて、初めて見た」
「うぐっ!い、いいじゃない!私は、完璧な人間じゃないんだから!た、ただ粋がってる、ただの…」
私の視界は涙で歪む。
アンの顔に、大粒の涙が零れ落ちた。
ハンカチで血と一緒に優しく拭う。
「私、わたし、アンがいないと何もできないの。昔に戻っちゃう。だから、だから…」
「…変なの。リリィが、弱音を吐くなんて…似合わないよ」
「わ、わたしは、つ、つよ、つよくなんか、ないぃ。私は弱虫で、それを隠すために…」
「…うん、知ってる」
声が震えていた。鼻水だって出ているかもしれない。
頭が真っ白で。でも、アンの顔がたくさん出てきて。何で。何で…
「昔…と、友達を、私が、死なせてしまったから、本国から、に、逃げてきただけで…」
「…うん」
「ただ、じ、自分が、天才だって、自惚れてて、ほ、ほかの人を、見下してい、た、だけでっ…」
「…知ってる」
「アンが、はじめてなの、わ、わたし、を、怒って、くれたのは。アンが、き、きき、気づかせてくれたの。わ、私がぁ、わ、あああぁ」

アンがいつの間にか私を抱きしめていた。
痛みが無くて、骨折していることに気づかずに。
『あの時』みたいに、
アンが私を包み込む。


「全部、知ってるよ」



121 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:42:40 ID:fQPmbK6p
支援

122 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:43:00 ID:dtQvlL/A
支援

123 :POPPO:2009/03/01(日) 01:43:44 ID:+ZWAjzRR
アンが私に、そっと呟いた。
私はもう何も言えなかった。
目も、声も、震えて、上手く動いてくれない。
アンの血の匂いがする。
私は汚れることも厭わず、アンの背中に手をまわした。
ビチャ、といやな音がした。
「リリィ。私ね。今日、パパに、会いに、行ったんだ…」
うん……仲直り、したの?
「ママも、来るはず、だったのに、来な、かったんだよ」
うん…
「パパ。もう一度、や、ヒュッ、こほっ…、やり直したいんだって、私たち3人で…」
うん…うんっ…
「でも、パパ。次も誘うって、絶対、やり直す、って。パパのあんなに真、剣な顔、はじめて見た」
うっ、うん。アンのパパが、ようやく…よ、よかっ…
「わ、わた、ひ、ヒュー、し、パパのこと見、なおした、んだ」
「リ、リィが、アドバイス、してくれたおかげ、だ…よ?」
私はただ、結婚記念日に、何かプレゼントしたほうがいい、っていっただけで…すごいのはアンの…


「わたし、リリィ…に、かん、しゃ、して……」







―――――――――――――――アン?
アンの腕の力が抜けた。
私はハッとしてアンの顔を見つめた。
瞳を閉じたまま、口が開いて動かない。
体中に怖気が走る。
「…アン?……目を開けてよ。目を閉じてないでさぁ」
私の足元にヒビが入るような、そんな感覚が、私の全身に伝わる。血に染まった手でアンの頬を触った。べったりと赤い跡がつく。
「…私、言うこと聞くからさ。じゅ、授業は、真面目に受けて、に、二度と、サボったりしないからさぁ、お願いよぉ」
「あなたと、ま、また、遊園、地に行ったり、ふ、服を買いに、行った、りしたいよ…」
私の左目に赤の紋章が輝いた。
その目でアンを捉えた。
私のギアスは対象者に意識が無くとも、対象者が生きていれば体を動かすことができる。
そう、生きてさえいれば。体を操ることができる。
しかし、アンの体は動かなかった。
いくら強く念じても、強く『命令』しても、
指一つ動かない。
アンの瞳は閉じたまま。

つまり、アンはもう死ん―――――――――


「いやっ、いやあ、いっ、いやああああああああああああああああああああああああ!!!」







124 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:44:23 ID:fQPmbK6p
支援

125 :POPPO:2009/03/01(日) 01:45:43 ID:+ZWAjzRR
同時刻。
式典会場から遠く離れた場所に、数十機の月下と一台のKMF運搬用のトレーラーが止まっていた。その周囲には黒のジャケットを着て、武装している人間が多数いる。
副司令が率いる壱番隊の部隊だ。
杉山賢人は壱番隊の副隊長。
月下の腕に寄りかかりながら、無線機で連絡を取っていた。
『ユーフェミアぁ。よくもゼロを撃ちやがって!』
「吉田!落ち着け!藤堂弐番隊長がプランF の指示が出てる。早く所定の場所に行け」
『プランF!?まさか…』
「…ああ。最悪の状況だ。今、参番隊もそっちに向かってる」
通信を切った後、またすぐに連絡があった。
零番隊長からの通信だ。
「カレン。どうした?」
『ねえ、杉山さん。ライは、ライはどうしたの!?まだそっちに来てないって本当!?』
「今、こっちからも連絡を入れてる。プランFはライの指示らしい。あとは…」
『ライに何かあったの!?ねえ!』
「…まだ情報が回ってきてないんだ。会場で何かがあった事は間違いないみたいだが、今は何とも言えない」
『くっ!ごめんなさい。杉山さん。今、朝比奈参番隊長から連絡が入ったから…』
「ああ、分かった。ライと連絡がとれたらすぐ報告するよ」
『ええ!お願い!』
そう言うと通信が切れた。
杉山は無線機を握りしめた。
歯を食いしばると、杉山は思い切り小石を蹴り飛ばした。前方にいた月下に当たり、その月下が振り向いた。
いまだライから連絡が無く、行動が起こせない自分に苛立っていた。
「クソッ!カレンを心配させるなよライ。カレンを泣かせたら、タダじゃおかねえからな」
杉山はもう一度バンダナを締め直して、夕日に染まった空を見上げた。
徐々に大きな暗雲が太陽を覆い始めていた。



同時刻。
「ゼロ様が撃たれた!?」
シズオカにあるキョウト六家の別荘。
巨大な日本庭園があり、かつては文化遺産の一つであった屋敷。
その一室にある大スクリーンに桐原の顔が映し出されていた。
皇家の代表、神楽耶はその報告に身を震わせた。
『命に別状は無いということだが、安心は出来ない。そして、日本に戦が訪れる。7年前と同じようなブリタニアとの戦争が』
「……ゼロ様」
崩れ落ちる神楽耶を二人の従者が支えた。
「「神楽耶様!」」
その姿を見た桐原は目を吊り上げて、大声を上げた。
『神楽耶!気をしかと持て!皇家たる者。弱き姿を民衆に見せるでない!』
「…はい。叔父様」
『神楽耶は今からキョウトへ戻れ。神楽耶の身に何かあれば…』
神楽耶は目もとを袖で拭うと、桐原に視線を送った。
少女に相応しくない、強い決意を秘めた瞳を宿した表情で。
「なりませぬ!私はゼロ様と共に闘いとうございます!私の力をもって、今から全部隊に召集をかけます!わたくしにできることであれば何でも致しますわ」
『…分かった。そちらの好きなようにしろ』
通信が切れると、従者に命令を下す。
その場を立ち去った後、彼女は袖を捲りあげて、屋敷の奥に消えていった。
「ゼロ様。あなたは日本の救世主なのですよ。待っててくださいまし!今度は私がゼロ様を!」







126 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:47:10 ID:dtQvlL/A
支援

127 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:47:10 ID:K07SMB6p
支援

128 :POPPO:2009/03/01(日) 01:47:56 ID:+ZWAjzRR
私は…自分の願いのために…
アンの命まで踏みにじった。
憎い。
自分が憎い。憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。
計画が上手くいって喜んでいた自分が憎い!
何が成功した!?何が上手くいった!?誰が喜んだ!?誰が得をした!?
自分が天才!?ギアスで何でも出来る超人!?『ゼロ』を超える策略者!?
はっ!自惚れるのもいい加減にしろ!
私は!私は!私はぁ!!
兄の仇を取る為に!死んだ人間の汚名を晴らすためだけに!私のエゴのために!
大切な親友すら犠牲にした、


―――――――――――――タダノヒトゴロシダ。


私は首元からネックレスを取り外すと、私はアンの手に握らせた。
一年前にアンから貰ったネックレス。
私のお気に入りで、外出する時はよく身につけていた。
「今の私に、これをつける資格は無いわ。アン」
私はアンに微笑む。
これがお別れの挨拶。
膝を返すと、私はアサルトライフルを持って私は立ち上がった。
「ゼロだけは…絶対に殺す。それが、せめてもの…」
目の前には幾重の死体が連なっていた。肉片しか無い死体も多くあった。
この虐殺の元凶。
身も心の血で濡れた女。
それが――――――――――――今の私。

私はギアスを発動させた。
左目がマジックミラーになっているメガネをかける。
私の眼球がどの方角を向こうが必ず私の額を映すように細工されている。
自分自身にギアスをかけることで、人間の動体視力を超えた身体能力を引き出すことができる。リスクとして体にかかる負担は凄まじいが、今はどうでもいい。自分の体がどうなろうと。
残っている一本のマガジンは、ポケットに突っ込んだ。

もう、立ち止まらない。

私は『命令』した。
前進しろと。
地面を勢いよく蹴り飛ばした私は前へ進む。
煙で目が眩むが、前方に人影が見えた。銃を所持していることから軍人だと思われる。
だが、彼らに弁明している暇は無い。
私の行く手を阻む人間は容赦しない!
私は『命令』した。
殺せ、と。
パパパパン!
4発の弾丸は4人の人間の頭を撃ち抜いた。糸が切れた操り人形のように崩れ落ちる。
その死体から2丁のアサルトライフルを奪い去った。
両手に持ったアサルトライフルを前方に構えて、行く手にいる人間を全て撃ち殺して行った。ライフルを持った人間なら男も女も殺した。
中には黒の騎士団の団員もいた。
躊躇いもなく撃った。
体中に穴を開けて死んだ。
私は勢いをつけて、座席からランスロットと呼ばれるKMFの肩に飛び乗って、そこから式場の舞台に降り立った。


129 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:48:30 ID:dtQvlL/A
支援

130 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:48:31 ID:fQPmbK6p
支援

131 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:48:48 ID:j9UkQaCx
しえん


132 :POPPO:2009/03/01(日) 01:49:41 ID:+ZWAjzRR
舞台上に配備されていた兵士は皆驚いた。
私は彼らに考える暇も与えず、そこにいたブリタニア軍人は全て殺し、数人の黒の騎士団の内、一人だけ残して他は撃ち殺した。
両腕両足を撃たれた男は、目の前で起こった事が把握できずにただ地べたをもがいていた。
その男に近付いて、髪を思い切り掴みあげた。
男の耳に障る悲鳴を無視してメガネを上げる。
左目にある赤の紋章が輝く。
対象者に触れている時は対象者の意思すら私の支配下に入る。
正真正銘の傀儡を化すのだ。
私は『命令』した。
「ゼロの居場所を言え」
「…12時の方向に待機しているトレーラーに、副司令と一緒にいる」
「ゼロの正体は?」
「………」
口が動かない。彼は答えを持っていない。つまり、ゼロの正体を知らない。
私は用が済むと、銃口を彼の額に当てた。
「そう、ありがとう」
バン!
腕に軽い反動がきて、男の顔が無残にはじけ飛んだ。
返り血を浴びたが、拭うことはしなかった。
アサルトライフルを捨てて、また死体から2丁奪った。マガジンも持てるだけ持ってポケットに入れる。
人が集まる前に、私は瓦礫と化した出入り口を飛び越えていった。
歯を食いしばりながら、彼女は必死に感情を殺していた。
冷静な判断力を損なわないように。体を焦がす激情と体を凍らせる絶望感に押し潰されながらも。
大粒の涙が、彼女の瞳から零れ落ちていた。








133 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:50:45 ID:fQPmbK6p
支援

134 :POPPO:2009/03/01(日) 01:51:33 ID:+ZWAjzRR
「ああ。治療は終わった。ゼロの負傷は伏せておけ。下手な混乱を避けたい」
僕はディートハルトに連絡を入れた。
通信機を切った後、ルルーシュの寝顔を見た。
主治医に指示して、ルルーシュには睡眠薬を飲ませて眠っている。
放っておけば傷を無視してでも指揮をとって、命を危機に晒しかねない。
医療スタッフはゼロの素顔に目もくれずに仕事に徹している。
僕は椅子に座りながら思考を始めた。
(…ユフィの言動と行動。明らかにおかしかった。ならば、半年前のようにギアスに操られていた可能性が高い…でも、一体誰が、何のために?)
そして府に落ちないことはそれだけでは無い。
(『新日本党』のリーダー、鬼頭もおかしなことを言っていたな。
『ゼロ』の指示でやった、と。
でもルルーシュからそんな話は聞いていない。
それに『新日本党』と組んでも、黒の騎士団側に何のメリットも無い。ルルーシュは関わっていないことは確かだ)

『ギアス』、『新日本党』、『ゼロ』。

これをキーワードに様々な思考を巡らせていったが、もう一つ、重要な要素が欠けている。
それは動機。
事の発端はそれに繋がる原点が絞り込めないのだ。
今回の事は日本にとってもブリタニアにとっても不利益を被る話でしか無い。
ブリタニアの有力貴族たちの介入が一番疑わしいが、根拠が薄すぎる上に勢力は不特定多数だ。
情報が少なすぎる。
分かっていることはゼロの命を狙っていて、失敗したということだけ。
今はそれが分ればいい。
「だから、ここを守ることが最優先だ」
僕は手元にある銃を見た。扱い方は『識っている』。
今一度、マガジンにある弾を確認した。
そう、もう過去は変えられない。
本当に大変なのはこれからだ。
このままではブリタニアとの衝突は避けられない。しかし、それを避ける手が無いわけでは無い。
僕はそれを見越して早急に手を打った。
ディートハルトに下した命令が無事に完遂すればいいのだが…
(そういえば…)
カレンや壱番隊に連絡を入れてない。ルルーシュの手術中は警備と担当していただけだった。
連絡もディートハルトと藤堂弐番隊長だけだ。
壱番隊には待機命令とKMFが揃うまで動くなという指示を送ったはずだけど、大丈夫かな?
そう思って無線機に電源を入れた時、

パパパパパパン!
外で銃声の音がした。
悲鳴を上げる看護士たち。
僕はそれを手で制して、アサルトライフルを握る。
外に待機させていた団員から連絡が入った。
「どうした!?何が起こった?」
『い、いきなり団員の一人が発砲して、相撃ちに…うっ、グアッ!?』
「おい。応答しろ。藤原。藤原!」



135 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:51:35 ID:dtQvlL/A
支援

136 :POPPO:2009/03/01(日) 01:53:38 ID:+ZWAjzRR
ドン!!
突如、大きな音と共にトレーラーが傾き始めた。
それをいち早く察した僕は、銃を肩にかけて、ルルーシュの体を掴んで、反対方向へ跳んだ。
(――――――ッ!!)
背中に激痛が走り、医療器具が飛んでくる。
僕はそれを無視して非常ボタンをガラスと共に叩き壊した。
いきなりトレーラーの天井が展開し、その小さな隙間を掻い潜って転がるようにルルーシュを抱きかかえたまま脱出した。
医療スタッフたちは何が起こったかもわからず、体を揺らされてトレーラーの中に取り残された。
地面に僕は転がった。シーツに包まっていたルルーシュの体が二転、三転してしまう。
泥が顔に付いたが、拭っている場合ではない。
周囲から押し寄せてくるのは炎から来る熱気。僕の背後では黒の騎士団員の死体が転がっていた。
横倒しになったトレーラーから小さな足音が聞こえた。
咄嗟にルルーシュの前に出る。
「誰だっ!!?」
僕は反射的に銃を構えた。
しかし、そこに『敵』はいなかった・
「ど―――――!?」

『敵』は僕の視界の下にいた。

刹那、風を切る音と同時に拳が飛んできた。
咄嗟にアサルトライフルで顔を守った。
バッドで殴られたような衝撃が両腕にかかる。
(ぐっ!)
そして、即座にライフルを蹴り上げられた。隙も与えずに回し蹴りが僕の左腕に炸裂する。
左腕が強烈な攻撃力に悲鳴を上げる。
振り張らわれた左腕の隙から、拳が僕の胸を突き刺した。
重い衝撃が僕の体を揺らした。
(ごっ、が――――!!)
揺らぐ視線の先で、迫りくるアーミーナイフと共に『敵』の顔を見た。
青の長髪が、僕の視界で揺れている。
琥珀色の瞳に整った容姿。
血塗れの服。
僕は目を見開いてしまった。
(お、女の子!?)
僕が驚く暇も無く、彼女のナイフを持った右手が直進してくる。
体を瞬時に仰け反らせたが、鋭利な刃物は僕の頬をかすめた。
僕は彼女の右腕を上に払うと、彼女が態勢を崩す。僕は右足に力を込めて、彼女の腹部を思い切り蹴とばした。
華奢な体は宙を舞い、鈍い音を立てて勢いよくトレーラーの壁に激突する。
激痛が走る胸を手で抑えながら、背中のホルスターに入れていた拳銃を取り出し、彼女に構えた。
(な、なんだ。さっきの威力は…女の子が出せる力じゃない…)
同時に彼女も拳銃を僕に突き出していた。長い前髪に隠れた瞳が僕を捉えた。
距離は5メートルも無い。射程範囲内だ。
後ろにはルルーシュがいる。
しかも、マントもシーツも無く、顔をさらけ出している。
まずい!
『敵』を射殺するためにトリガーを引こうとして、

引けなかった。

なぜなら、目の前にいる『敵』がこんな事を呟いたからだ。
小さな唇が動く。



「え?…ライ、先輩?」



僕の体が硬直した。

137 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:53:58 ID:fQPmbK6p
支援

138 :POPPO:2009/03/01(日) 01:55:07 ID:+ZWAjzRR
(!?先輩?ってことは…)
血で濡れた服を着た青髪の少女は目を見開いて、僕を見ていた。
目の前の光景が信じられないと言っているように。
「き、君は…アッシュフォードの?」
彼女の左目に輝いている紋章を僕はとらえた。
見間違えることの無い、悪魔の紋章。それを彼女は宿していた。
眼鏡の奥で、赤の紋章が輝いている。
(左目は、まさか…ギアス!?)
真っ赤に染まった全身で、僕に銃を向けている彼女。
長い青髪が風に揺れた。




「え?…な、なんで?…へ?」
私の目の前には黒の騎士団のジャケットを羽織った少年。泥で顔が汚れていて、鋭い目つきをしているが、その端正な容姿が陰ることは無い。
燃え盛る炎を背に、私を睨みつける美少年は間違いなく我が校の『銀の王子様』、ライ先輩が其処にいた。
医療用のトレーラーの中にはゼロと副司令がいると言っていた。
私が転倒させたトレーラーから、二人の少年が出てきた。
そして、ライ先輩のうしろにいるのは…
腹部に包帯を巻いた黒髪の美少年。目を閉じて眠っているが、その顔に見覚えがある。
彼もライ先輩と同じく、整った容姿をしている美少年だから。

「る、ルルーシュ先輩?…は?…え、え?」

一瞬、頭の中が真っ白になる。
…何の冗談?
ル、ルルーシュ先輩の格好って…は?ウソでしょ?
裸体の上半身に紫色の生地に黄色のラインが入った特徴的なズボン。
腹部には負傷したと言わんばかりの包帯。
信じられない。
信じたくない。
私の手が無意識に震えていた。
銃口が定まらない。
ギアスの力で体を制御してるのに。

「貴方が…」

(…この騒乱、まさかこの少女が!!)

「君が…」

ライ先輩とルルーシュ先輩が!!









「何でこんなところにいるんですかああああああああああああああ!!」
「何でこんなところにいるんだああああああああああああああああ!!」


139 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:55:29 ID:j9UkQaCx
しえん

140 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:55:35 ID:fQPmbK6p
支援

141 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:55:40 ID:dtQvlL/A
支援

142 :POPPO:2009/03/01(日) 01:56:14 ID:+ZWAjzRR
凄まじい絶叫と共に睨みあい、互いに引き金を引こうとした瞬間―――――――――――
ズゥゥゥウウウウウン!!
突然、轟音と共に視界一杯に黒い物体が広がり、『それ』は炎上していたトレーラーを踏み潰した。
僕と彼女の間を隔てる壁のように立ちはだかった。
小さな銃声がかき消され、周囲に粉塵が舞い上がった。恐る恐る上を見上げると、それがKMFであることが分かる。
『無事か!?』
「C.C.!!」
ゼロ専用のKMF、ガウェイン・ラグネルからオープンチャンネルで彼女の声が聞こえた。
赤いハッチが開き、C.C.の姿が見えた。
「今、ワイヤーを…」
「そんな暇は無い!」
僕はルルーシュを担ぎあげるとガウェイン・ラグネルの右腕を足蹴にして、コクピットに飛び乗った。
ベルトは締めずに、即座に操縦桿を握ってハッチを閉める。
膝にルルーシュの体を置くと、両側から現われたキーボードに打ち込んで生体反応を確認した。
モニターには炎上した機器が周辺に多くあり、温度による生体反応が確認できない。
思わず舌打ちをする。
「…逃げたか」
「?一体どうしたんだ?」
前部座席から僕を見上げながらC.C.が訪ねてきた。
「さっき僕たちの目の前に女の子がいただろ!?彼女はギアスを持っていた!」
「何だと!?」
「!?C.C.も知らないのか…おそらく身体を操るギアスだろう。さっきの異常な身体能力も自分自身にギアスをかけていたなら説明がつく!そして、この事件のっ!…」
ガンッ!と僕は右横のフレームを思い切り叩きつけた。少し拳形に凹んでしまっていた。
その時、コクピット内にアラーム音が鳴った。
モニターを確認する。周囲に5機のサザーランドが接近し、発砲してきた。
ガウェイン・ラグネルの前方に絶対守護領域が展開された。
『ゼロォォォオオ!!自分だけ逃げる気かああああ!!』
銃弾を完全に防ぎきれたとしても衝撃はコクピット内にも伝わってくる。
ルルーシュの体が揺れ、ジャケットに彼の血がこびり付いた。ルルーシュの腹部に巻いてある包帯が血で滲み始めていた。
傷口が開いている恐れがある。
「――ッ!!」
それを見た瞬間、僕の頭は沸騰した。
操縦桿を強く握り、サザーランド全てをロックオンした。そのままボタンを押す。
「お前らは…」
ワイヤーカッターが装備されたスラッシュハーケンが発射され、2機のサザーランドに巻きつく。ナイトメアのアサルトライフルがいとも簡単に切り落とされる。
「邪魔なんだよおおおお!!!」
そのままガウェイン・ラグネルの上半身を回転させた。同時にフロートシステムを展開する。
他のサザーランドに激突しながら、サザーランドの機体が切り裂かれた。周囲の破片と粉塵をまき散らしながら黒い機体は空高く飛び上がる。
一瞬遅れて、5機全てコクピットごとサザーランドが炎上した。パイロットの生死など確認するまでもない。

その光景をモニターで見ること無く、ガウェイン・ラグネルを発進させた。
ルルーシュの傷にタオルを押し当てながら、僕はC.C.に声をかける。
「このままシズオカの本部に向かってくれ。ルルーシュの傷が開きかけてる」
「分かった。…ライ。お前はどうするつもりだ?」
「…ルルーシュを休ませている間、僕がゼロを代行する。そして、あの少女を捕まえる。黒の騎士団総力を挙げ…うっ!?」


僕の頭に激痛が走った。


視界が歪んだ。意識が一瞬飛びそうになった。
「どうした!?ライ!」
しかし、痛みはすぐに引いていった。
僕は頭を振りながら、C.C.に大丈夫だと返事をした。
僕を見つめていたC.C.は言葉を返す。
「…ライ。私も同行する」
「何を言ってるんだ?C.C.はルルーシュの傍にいてくれ。万が一の事態に対処できないだろ?」
「私はルルーシュの共犯者だが、子守をする気はない」
「…冷たいな。君は」
「フッ。恋人からの連絡をほったらかしにしているお前に言われたくないな。不審に思われるぞ?」

143 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:57:04 ID:fQPmbK6p
支援

144 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:57:53 ID:p0CBOY1f
支援

145 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 01:58:59 ID:j9UkQaCx
しえん


146 :POPPO:2009/03/01(日) 02:01:38 ID:+ZWAjzRR
…先ほどから右のモニターが点滅していた。通信が来ているという知らせだ。僕も結構前から気付いていた。
Q1
相手はカレンだ。紅蓮可翔式からの通信だった。
僕は言い知れぬ冷や汗をかき始めた。
何でかって?
それはC.C.がニヤついているからさ。
「C.C.…ゼロの仮面は無いか?声でバレる」
「そんなものは無い。繋ぐぞ」
「ちょっと待っ!」
僕の言葉も空しく、チャンネルがつながれた。
眼前のモニターには『SOUND ONLY』の文字だけ表示されている。
『ゼロ!ご無事でしたか!?…報告します。現在、ポイント甲七十八に待機させているトレーラーに副司令が到着していません。
『蒼天』のスタンバイは既に完了していますが、連絡も途絶えたままで…』
「…そのまま『蒼天』をポイント丙二十一まで後退させてくれ。零番隊はポイントB2に移動を開始しろ」
『…ええっ!ライ!?何でガウェインに乗ってるのよ!?』
やっぱりばれた。声をゼロに真似てドスの利いた命令口調で言ったのに。
映像は無いものの、何故か焦ってしまう。
僕は仕方ないので正直にしゃべることにした。
「すまない。カレン。成り行きでこうなった」
『成り行きでって…!!ゼ、ゼロは?ゼロは無事なの!?』
「ああ。今は眠ってるけど命に別状はない。あと、カレン。今から数日程度、僕がゼロの代わりをするから。心配しな…」


『はあああああ!!?』


147 :POPPO:2009/03/01(日) 02:02:09 ID:+ZWAjzRR
コクピット内にカレンの大声が響き渡った。前部座席にいるC.C.が両手で耳を塞ぐくらいだった。
…ルルーシュ。よく起きないな。睡眠薬効きすぎじゃないか?
僕の耳にも響くものがあったが、それが逆に心地よかった。
カレンの声を聞いただけで心が癒されるなんて…僕はもう、取り返しがつかないほどカレンに依存しているのかもしれない。
『ちょ、ちょっと何言ってんのよ!?た、確かにライは指揮能力が高いけど、ゼロの代わりなんて…』
「大丈夫だ。カレン。ライの腕なら私が保証する」
『え!?C.C.!?何で貴女が其処に、って、まさか!ライと二人っきりでガウェインに!?』
「…ゼロも乗っている。負傷中だからあまり大声を出さないでくれ。カレン」
『あっ!も、申し訳ありません!』
「だから、ゼロは眠ってるって…」
カレンの声に、僕とC.C.は思わず笑ってしまった。
いつの間にか、さっきまで張り詰めていた緊張感が無くなっていた。
ここでようやく僕は気づいた。
C.C.がカレンと連絡を取ったのは、僕を気遣ってくれてのことだったということを。
『…ねえ、ライ』
「ん?何だい?」
『ライは、大丈夫なの?怪我とか、してない?』
「ああ。心配してくれてありがとう。カレン」
『…良かったぁ』
…カレン。君って人は本当にやさしい女の子だ。
君を好きなってよかったよ。
心がすごく落ち着く。
通信が切れる前に、僕はカレンに言った。
彼女だけにかける、魔法の言葉を。
「カレン」
『えっ?何?』


「愛してるよ」


『〜〜〜!!!』
ブチッと、通信を強引に切る音が聞こえた後、コクピット内に静寂が生まれた。
C.C.が小さく笑うと僕のほうを見上げながら言葉を紡いだ。
「カレンの扱い方が上手くなったな」
「その言い方は酷いな。でも、カレンが考えていることは手に取るように分かるよ」
「…乙女心まで知り尽くす気か。末恐ろしいな。お前は」
「?何がだい?」
「いや、何でも無い。ただの一人言だ」
「そうなんだ。ところでさ。C.C.」
「何だ?」
タイピングを一旦止めて、僕はC.C.に笑顔で感謝の意を述べる。
「ありがとう」
C.C.は少し面食らった顔をした後、彼女は含み笑いを僕に返した。
ちょっとばかり怖い。カレンの笑顔とは大違いだ。C.C.の笑顔は心を不安にさせる。
「フン。『非』童貞坊やが。生意気だぞ?」








148 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:02:36 ID:dtQvlL/A
支援

149 :POPPO:2009/03/01(日) 02:02:47 ID:+ZWAjzRR


混沌とした式典会場。そこには幾多の死体が転がっていた。
悲鳴と銃声。
撃墜されたサザーランドの残骸の上に、ガウェイン・ラグネルの後ろ姿を見守る一人の少年がいた。
帽子を脱ぎ去り、黒髪のカツラをはぎ取った。
彼の綺麗な白い長髪が肩にかかる。
その時、彼の表情には深い笑みが刻まれていた。
少年には相応しくない、狂喜に満ちた、目と唇を歪ませた禍々しい笑顔。
その唇が言葉を紡いだ。
「見つけた…」
左右非対称の瞳は黒いナイトメアが見えなくなるまで、その姿を見続けていた。


150 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:02:52 ID:fQPmbK6p
支援

151 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:04:02 ID:j9UkQaCx
しえん

152 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:04:02 ID:fQPmbK6p
支援

153 :POPPO:2009/03/01(日) 02:04:55 ID:+ZWAjzRR
これで(中編7)は終了です。
支援ありがとうございます!
ですが引き続き支援をお願いします!
それでは(後編1)
行きます!

154 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:05:40 ID:fQPmbK6p
応ともよ〜

155 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:06:15 ID:j9UkQaCx
うにゃらー


156 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:08:21 ID:dtQvlL/A
Come on!

157 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:12:08 ID:QRLrdJV3
猿に気をつけて

158 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:23:33 ID:fQPmbK6p
…早速猿か!?

159 :POPPO:2009/03/01(日) 02:24:24 ID:+ZWAjzRR
シズオカにある黒の騎士団の本部『イザナミ』。
黒の騎士団の本部であり、その建築物は元あったブリタニア軍の基地を大幅に改装したものである。
今やその規模は、トウキョウ租界にあるブリタニア軍本部に匹敵する軍事力を備えている。
配備されているKMFの総数。軍事研究施設を合わせると日本最大の軍事要塞と言っても過言ではない。
世界各地に支部を持つ『黒の騎士団』の総本山として、申し分無い戦力を有している。
その基地の中心にそびえ立つ巨大な建物。周囲には多数のKMFが警備をしており、24時間厳重な警戒態勢が敷かれている。
その建物に比較的高い階層にあるゼロの個室。
個室と呼ぶには大きな空間で、書庫に寝室、シャワールーム、化粧室、コンピュータ室。さらには客人を向かい入れる居間もある。
3人はゼロの書斎にいた。
現在、インド支部で開発されている浮遊航空艦『イカルガ』に設計されているゼロの自室も、この部屋を参考にして建造されているが、ここの面積は3倍ほどあるだろう。

書類に目を通し終わった僕はコーヒーを啜りながら、束の間の休憩を取っていた。
長いソファに座って、机にはいくつかの書類とノートパソコン、そして数ピースのピザが入っている箱が置いてある。
仮面は外しているが、僕は着慣れないゼロの衣装を着ていた。
少々熱苦しいがマントも羽織っている。
C.C.は僕の隣でもくもくとピザを食べていた。先程からピザの匂いが服に着かないか心配している。
ピザの匂いがするゼロなんて、本当に笑えない。
しかし、僕はそれ以上に気になることがあった。
C.C.もピザを食べながら僕と同じ視線の先を見つめていた。
それは運搬用のベッドにいる一人の少年だった。
上半身は裸で腹部には包帯が巻かれていて、左手には点滴が打たれている。
黒髪の美少年、ルルーシュは携帯を耳にかけて会話の真っ最中だった。
二人の会話が僕の耳にも入る。

160 :POPPO:2009/03/01(日) 02:25:06 ID:+ZWAjzRR
『ゼロが撃たれたって聞いた時、私、心臓が止まっちゃうかと思ったよぉ…』
「ごめんな。シャーリー。でも心配しないでくれ。命にか…」
『心配するよおおお!!ル、ルルに何かあったら私、わたし…』
「…心配してくれてありがとう。シャーリー。嬉しいよ」
電話からは彼女のすすり泣く声が聞こえてきた。必死に声を抑えていて、それでも抑えきれずに息遣いが途切れ途切れになっていて、それを強調していた。
電話越しでもシャーリーの表情が分かる。それを聞いたルルーシュの顔が少し和らいだ。
「なあ、シャーリー…」
『え?ぐすっ…何?』


「愛してる」


『!!う、うん!私もよ!ルル、愛してる!』
「ありがとう。……あっ、すまない。シャーリー。そろそろ時間だ。…体には気をつけろよ」
『それはこっちのセリフよ!もうっ。…うふふっ。あっ、それと、ナナリーの事は心配しないで。私がずっと傍にいるから』 
「!あ、ああ。恩に着る。…これは、デート10回分かな?」
『ううん!ルルが、無事に帰ってきてくれるだけでいいから』
「…っ!……シャーリー」
『じゃあね。ルル。ちゃんと帰ってきてよ?』
「ああ。必ずだ。約束する。…それじゃあ、切るからな。愛してるよ。シャーリー」
ピッ、電話を切る電子音が書斎に響いた。
コーヒーを飲み続ける僕。ピザを淡々と口に運ぶC.C.
会話を済ませるや否や、ルルーシュは僕たちをほうを見た。
ん?どうしたんだい?ルルーシュ。


「そこでニヤニヤするな!ライ!それにC.C.!」



あははっ。
そんな顔で睨んでも全然怖くないなぁ。ルルーシュ。







161 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:25:18 ID:QRLrdJV3
まあ、そうだろうね;

162 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:25:39 ID:fQPmbK6p
ほっとしたところで支援

163 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:26:11 ID:QRLrdJV3
失礼、リロードしなかった。支援

164 :POPPO:2009/03/01(日) 02:27:35 ID:+ZWAjzRR
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」 (後編1)




「ごめんごめん。ルルーシュ。もう何も言わないからスネないでくれよ」
「すねてなどいない!」
なら怒鳴らないでくれ…っていうかその顔、無茶苦茶すねてるじゃないか。
「フン。あんなノロケ話を私たちの前でするほうが悪い」
「それはライのせいだろう!仕事中にいきなり携帯を持ってくるからこんな事にっ!」
「シャーリーが必死に『ルルはどうしたの!?ねえ!』なんて言ってるのに、切れるわけないじゃないか」
「ぐっ!…それはそうだとしても、後でかけさせるとか、他の手立てがあったはずだろ!?」
「シャーリーだって危険を承知で君に連絡を入れてるんだぞ?無碍には出来ないよ」
「し、しかし!」
「見苦しいぞ。ルルーシュ。自分の女の好意を無碍にするとは、男の風上にも置けんな」
眉間に皺を寄せるルルーシュ。君に言いたいことは分かる。
C.C.にその言葉をそのままそっくり返してやりたい気持ちは痛いほどわかるけど、ここは穏便に、ね?
C.C.はそういうルルーシュの反応をからかっているだけぞ?
「ふふ。しかしなぁ。女の殺し文句まで一緒とは…出自は違えど、血は争えんな。お前たちは」
そうかな?でもこれが一番効果的だろ?ストレートでなおかつインパクトのある言葉だ。
これ以上に愛を伝える言葉を僕は知らないよ。
「だが、安心しろルルーシュ。お前はライよりまだマシだ」
「「……どういうことだ?」」
怪訝な表情をした僕に、C.C.は意地の悪い笑顔を返す。まるでイタズラがうまくいったような妖しい顔だ。
なぜだろう?何もしてないのに背筋が寒くなる。
「お前の告白を聞いたのは私とこいつだけだが、ライの告白は黒の騎士団全員に聞かれたぞ?」

「「はあっ!!?」」

僕は思わず声を上げてしまった。ルルーシュの声と一致してしまったが、そんなことはどうでもいい。
え!何で!?
あの時は音声だけの通信だろ!?まさか、僕がゼロの代理をしているって皆知っているんじゃ…
「お前ほどの男が気づかなかったのか?ライ。会話の最後の部分だけ全部隊のチャンネルに繋いだのさ。…確か、カレンの『心配している』あたりからだったかな?」
僕は絶句してしまった。
嘘だ!と思いたかったが、いくつか思い当たる節がある。
C.C.の話を聞いてそのひっかかりが、紐がするすると解けていくように解決できた。

一昨日の重役会議からカレンが僕と目を合わせてくれなかったのだ。
カレンには僕がゼロの代わりをしていることを知っている。なのに二人きりの時でも、話しかけてこなかった。
なんてことだ!そういうことだったのか!!だから食堂でカレンの前にあんな人だかりが出来ていたんだな!?多くの女性団員に囲まれて冷やかされていたのか!恥ずかしくて目を逸らしてたんだな!?
『今日、ライ副司令はお休みですよね?』ってそういう事だったのか!!
ああ、なんたる失態!
C.C.に一瞬でも気を許すんじゃなかった!僕に気を遣うなんて二の次だったんだ!ちくしょう!C.C.の性格をちゃんと理解していたのに!何故気づけなかったんだ!?
ルルーシュが複雑な表情で僕に声をかける。
「……ライ。すねるな」
ルルーシュ!なんだその顔は!僕を憐れむ気か!?
僕はすねてなどいない!ムカついているだけだ!自分に!
「さて、雑談はこのくらいにして本題に入ったらどうだ?時間が詰まっているんじゃないか?」
顔を見合わせる僕たち。
…まさか、C.C.に主導権を握られるとは。
敵わないな。僕とルルーシュでは。この魔女に。数百年生きてきたのはやはり伊達じゃない。

165 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:27:36 ID:fQPmbK6p
支援
誤字報告
少々熱苦しい → 少々暑苦しい

166 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:28:25 ID:dtQvlL/A
支援

167 :POPPO:2009/03/01(日) 02:29:48 ID:+ZWAjzRR



「…状況はどうなっている?」
「リアルタイムで君のパソコンに送っているはずだが?」
僕は空になったカップをテーブルに置いた。緩んでいた顔を引き締める。ルルーシュも先程とはうって変わって真剣な表情だ。
「そういう意味ではない。ブリタニアとの衝突は避けられないのか?」
「これを見てくれ」
僕はリモコンでモニターを展開させて、今まで放送されたブリタニアの報道が流れる。
式典以外のニュースを排して、ルルーシュに見せた。
彼の表情が一層険しくなった。握り拳がベッドにあるテーブルに叩きつけられた。
ドンッ!
「馬鹿かっ!!ブリタニアはっ!」
「…最初、僕も言葉が出なかったよ」
それは歪曲された報道だった。軍の息がかかった情報局が、軍に都合のいい情報に作り替えられるのはブリタニアでは日常的なことであって、騒ぐほどのことではない。
しかし、今回はあまりにも常軌を逸していた。
ユーフェミアが『ゼロ』が撃ったことは数万人という日本人とブリタニア人が目撃している。その上、TV局がその瞬間を捉えていた。今や日本中が知る事実だ。
だが、ブリタニアの情報局ではユーフェミアの発砲は無かったと報道し、それどころかゼロが今回の事件の黒幕であると、『新日本党』の鬼頭の発言が大きく取り上げられていた。
これでは日本人に怒りを、ブリタニア人には不信感を買ってしまう。
皇族と軍の情報局の癒着、それを顕著に表わすものでしか無かった。
犠牲者は『新日本党』の爆弾と、KMFの交戦によって五〇〇〇人に上っていた。
「ディートハルトに情報操作をしてもらっていたんだが…」
「ウイルスが仕組まれていたんだろ?確かEUで開発されていたという…」
「それで黒の騎士団のネットワークは一時的に潰されてしまった。完全な状態に戻るまでは時間がかかると言っていた。その間にこんな報道が行われてしまったんだ。これは『新日本党』の…」
「『新日本党』…!口にしただけでも虫唾が走る!」
ルルーシュが苦虫を潰したような顔をした。
「…事件以来、スザクと連絡が取れないんだ。学園にも来てないらしい。…ユフィが、あんなことになって…もう行政特区日本は」
「ライ…それ以上は、言うな」
「…ああ、すまない」
沈黙する僕とルルーシュ。静寂が広い書斎を支配した。C.C.がピザを食べる音だけが聞こえる。
互いに次に繋げる言葉が見つからなかった。
その静寂の中、ジュースを喉に流し込んだC.C.が無表情で言葉を発した。


168 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:30:24 ID:QRLrdJV3
ラスト支援。後は頼む

169 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:30:54 ID:fQPmbK6p
支援

170 :POPPO:2009/03/01(日) 02:31:00 ID:+ZWAjzRR
「ライは完璧にゼロを演じきっていた。
ルルーシュ。お前が指揮をしたとしても結果は変わらなかったと思うが?」
僕とルルーシュはC.C.の顔を見つめた。彼女にしては意外な言葉だった。
フン、と鼻を小さく鳴らしたルルーシュは頬杖をついた。
「今、各地で起こっている衝突はもうすぐ終わる。ただ、国境が完全封鎖された。海外の支部から増援を送っても防衛ラインで激戦になって戦力が無駄に削られるだけだ。
日本にいる戦力だけで租界を落とすしかない。あと40時間で十分な戦力が整う。ブリタニアの援軍が到着する五日後までに決着を着けなければならない。
ルルーシュはそれまで体を休めておいてくれ。僕は『蒼天』で前線にでる」
「…分かった。幸い、内臓は傷ついていないからな。明日まで大人しくしておくよ。それに、決戦時にお前がいないと士気が下がる」
「そこまで大した存在じゃないよ、僕は。でも、ルルーシュ。もし傷が痛むのなら決戦の時も僕が『ゼロ』を演じようか?」
「それは困る。ベッドにいるのはもうウンザリだ。今からでもその仮面を返してもらいたいくらいだよ」
ルルーシュは冗談交じりに言ったが、僕はそれを少し鋭い口調で制した。
「怪我を甘く見るな。僕の時代では、銃で腹を撃たれたらまず助からなかった。いくら医学が発達しているといっても油断はするなよ。君に何かあったら皆が悲しむ。僕も、どうかなってしまう」
ルルーシュは僕の真剣な表情を見て、目を見開いていた。そして、すぐに表情が柔らかくなる。
「…ああ。分かった」
「分ってくれれば、それでいいさ」
僕たちは微笑みあった。それを見ていたC.C.も微笑んでいるようだった。口にケチャップをつけたままというのがいただけなかったが。

時刻を確認する。そろそろ幹部の作戦会議が始まる。
C.C.に濡れたフェイスタオルを手渡した。汚れた手を口元を拭いて、また僕に返してきた。C.C.らしい。
ピザの箱を片付け、テーブルに置いてある書類をまとめているとルルーシュが低い声色で僕に話しかけてきた。
僕は顔を上げる。
「何だい?ルルーシュ」

「…見つかったのか?例の女は」

その言葉に僕は目を細める。
「ああ、見つかったよ。アッシュフォード学園の中等部に、一人当てはまる人間がいた」
僕は手元にある一枚の書類を手渡した。
ルルーシュはその用紙を見て、表情が険しくなった。
其処に載っているのは、彼女の経歴と青い長髪を持つ可愛らしい少女の写真。
それを眼の端に捉えながら、僕は言葉を紡いだ。


「リリーシャ・ゴットバルト―――――――あのジェレミアの妹だ」







171 :POPPO:2009/03/01(日) 02:31:53 ID:+ZWAjzRR
月が青い。
気付いたらもう夜だった。
私は隠れ家にしているアパートに閉じこもっていた。
パソコンを叩き壊して、血塗れになった服を投げ捨てて、下着を着けたままでベッドに蹲っていた。
電気もつけず、部屋は暗い。月の明かりだけが部屋に照らしていた。
シーツは汗や唾液で汚れ、部屋は散らかっていた。壊れたパソコンに拳銃。バッグや変装用のカツラ。化粧品もばらばらに散乱している。あのメガネも叩きつけて、どこにあるのか分らない。
体中が軋んで、足を少し動かすだけでも激痛が走った。
もう何もしたくない。
もう何もできない。

ここに帰ってきて眠り込んだ私はすぐに起きてしまった。
悪夢を見たからだ。
私がアンの首を絞めて、息の根が止まるまで絞め続ける夢を。
寝ようとするが、その度に悪夢を見た。
逃げる子供の背中を容赦なく撃つ夢を。
KMFで親子を踏み潰す夢を。
軍人が拳銃で自分の頭を撃ち抜く夢を。
ナイトメアのライフルで人間を撃って、肉片が吹き飛ぶ夢を。
仲間同士がナイフで刺し合う夢を。
自分で自分の腹を刺してその腕が止まらない夢を。

そして、ライ先輩が私に銃口を向ける夢を。

何が本当にやったことで、どれが私の妄想なのか。区別がつかない。
悪夢が見るのが怖くて、眠ることができなかった。
『力』を手に入れたあの日から始まった非日常。
特別な人間だと慢心していた。輝いていたと思っていた日々が、醜くて、血に濡れた、狂気に満ちた世界に思える。
(ああ、やめて!やめてよ!いや、いやあ!!)
爪を立てて、痛みで何も考えないようにしないと。
鼻につく血の匂いと、燃え盛る炎でむ淀んだ空気。腕に反動が来ると共に、目の前で人の顔がはじけ飛ぶ瞬間。耳に響く悲鳴と銃声、爆音。
その全てが脳裏にこびり付いて離れない!!
あの式典で味わった光景が。感触が。匂いが。感情が。私の五感を震わせる。
もう、いや!いやあ!
やだやだやだやだやだ!聞きたくない!感じたくない!味わいたくない!
怖い!こわい!こわい!
撃ちたくない!殺したくない!命令したくない!いや!いやあ!
思い出したくないよ!いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだあああああああ!!

その時、ドアの前で音がした。


172 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:33:13 ID:fQPmbK6p
支援

173 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:33:30 ID:dtQvlL/A
支援

174 :POPPO:2009/03/01(日) 02:33:32 ID:+ZWAjzRR
喉が干上がって、頭の中が真っ暗になった。
(誰か来た!)
胸に氷が突っ込まれたように心臓が跳ねあがる。それと同時に体中が震えだした。
私を、殺しに来たんだ!私を!私を殺しに来たんだ!
い、いや、死にたくない。死にたくない!死にたくないよおおっ!!
目を動かして、床に転がっている拳銃を発見した。
私はベッドから倒れこむように拳銃を掴む。受け身も取れず、強く胸を打ちつけた。
「…いぎっ!」
全身に激痛が走る。どの痛みが体を打ち付けた痛みで、どの痛みが重度の筋肉痛か分からない。体が仰向けになったまま、ドアに向けて銃を構えた。
その時、右腕の筋肉が肉離れを起こす。
引きつった痛みで右腕がまっすぐに伸びたまま動かない。
「…ああっ、はあっ!!」
震える左手で銃を持ちかえた。
キィィィと、音を立てて扉が開いた。
廊下は明かりが付いていて、逆行で顔が見えない。
ひっ、人影が見えた!
私の心は恐怖に染まる。
声にならない叫びで私は引き金を引いた。

「…あ、あああああ、ああああああああああああああああああああああああ!!!!」

ドンッ!ドン!ドンッ!ドドン!ドン!ドンッ!
何かが割れる音共に、『誰か』が壁に吹き飛ばされた。壁に寄りかかった『誰か』に、私は容赦なく撃ち続けた。
かち、かちかち、かちかちかちカチッ…、 
弾が切れても、私は引き金を引き続けた。
「ああ、ああああ…はあっ、はあはあ、あ、あっ、あああああ…」
乱れた呼吸を整える。開ききった眼で、私はドアの先で倒れている人間を見た。
廊下は明かりがついていて目が眩んだが、壁にはいくつかの穴とべったりと血がこびり付いているのが分った。
倒れている人間は身動きをしない。
死んだ。
「ひひっ…は、はは、ははは。……ひっ、やった」
安堵するのも束の間、式典での凄惨な光景が脳裏に蘇った。
急に胸から込み上げてきた。
「ううっ、うええええっ、ごぼっ、おええええ、おうえええええっ!!」
吐いた。
医に溜まっていたキツネ色の物体を床に零した。
脳を貫くような痛みが全身を刺激するので、嘔吐を繰り返すたびに苦しい。
それでも吐いた。
吐き続けた。
ビチャビチャと、水が叩きつけられる音が部屋に響いた。
「おっ、おええええっ、ごぼっ、ごばっあ!あっ、あっ、あはああ!ぶっ、ぶりゅあ」
嘔吐を繰り返して、やっと口から出るものが無くなる。
鼻水と唾液をだらしなく零して、前を見た。
目の前には動かなくなった死体があった。

しかし、その死体がむくりと立ち上がった。


175 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:34:22 ID:dtQvlL/A
支援

176 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:34:59 ID:jro5dovc


177 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:35:10 ID:jro5dovc


178 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:35:16 ID:fQPmbK6p
支援

179 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:35:26 ID:jro5dovc


180 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:35:47 ID:jro5dovc


181 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:37:39 ID:jro5dovc


182 :POPPO:2009/03/01(日) 02:40:39 ID:+ZWAjzRR
その異常な光景を見た私は凍りついた。
「―――――――――――ひえ、ひっ、ひいいいいいいいいやああああああああ!!!」
床を這いずるように私は後ろへと後ずさる。
床に転がっていたマニキュアや鏡を蹴とばして、銃を握り締めたまま必死に距離をとった。
壁に背中を当てた。
顎が震えて、声が出ない。
体が悲鳴を上げているが、それでも生への執着がその痛みすら凌駕する。
何で?
何で動けるの?
あれだけ体に撃ち込んだのに、なんで生きてるの?
何で、平然と立っていられるの?
なんでなんでなんでなんでなぜ何故何故何故何故!!

「あーあ。服が血まみれになっちゃった。やり過ぎだよ。リリーシャ」

立ち上がった死体から、拍子抜けする子供の声が聞こえた。
眼が少しずつ光に慣れてきた。
「あ…ああ…あ、あああ、ああ…」
よく見知った顔だった。
肩まである綺麗な白髪に、整った容姿。
右目は黄金、左目は深緑の左右非対称の瞳。
青色の煌びやかな服が、血と水で濡れていた。
「水とシュークリームを持ってきたのに、これじゃあ駄目だね。あ、でも、冷蔵庫に肉まんを買ってきたから食べなよ。リリーシャ。3日も何も食べてないでしょ?」
眉間から流れ出る血を拭いながら、X.X.は私に優しく微笑みかけた。
その笑顔を見た私は、視界がぼやけてしまった。
手で床の上を進んで少年を抱きしめた。
小さくて華奢な体に、ほのかな温もり。
その体温を貪るように私は腕を少年の体に巻きつけた。
荒みきった心に一滴の水が沁み渡った。
私の中からせき切ったように、凍てついていた感情が溢れ出してくる。
「ああ、ああああああっ!!え、えええっ、えっくす、つー!X.X.!!どこ行ってたのよおおおっ!!」
X.X.は私の乱れた髪を優しく撫でてくれた。
余計に顔が歪んで、大粒の涙が頬を伝う。
「わ、わたし、寂しくて。さみしくてえっ!怖かったんだからああ!!」
「そっか。ごめんね。リリーシャ」
X,X,の声が私の心に深く沁み渡る。
あまりの心地よさに私は危うく忘れるところだった。
「ねっ、ねえ!X.X.!!私、これでいいよね!貴方の願い、叶えられたよね!?だから、これ以上、私、人を殺さなくていいよね!?ね、そうでしょ!?」
「もう、リリーシャったら。こんなに汚れて。髪もパサパサじゃないか。お風呂にも入ってな…」

「話を逸らさないでっ!!」

183 :POPPO:2009/03/01(日) 02:41:47 ID:+ZWAjzRR
私は両手でX.X.の顔をつかんで目の前で叫んだ。
なんで、なんでいつも通りなの!?貴方は。
私がこんなに苦しんでるのに!
「答えてよ!貴方の願いはこれで叶ったでしょ!?これでブリタニアとイレブンとの間に争いが起こる!多くの血が流れる!ただの争いじゃない!そう、もうこれは『戦争』と呼べる規模で!」
唾がX.X.の顔にかかるが、私はそんなことを気にも留めなかった。
「貴方の願いは、『この地で戦争をもたらすこと』
そうでしょ!?もう、貴方の願いは叶った!私が叶えてあげた!だから、だからああ!!」
私の手はX.X.の顔から、肩へとゆっくりと落ちていった。
そして、X.X.は笑顔で私にこう言った。
いつも私に見せてくれた笑顔で。



「だから、今日はお別れに言いに来たんだ」



「…………へ?」
一瞬、何を言われたのか、理解できなかった。
「じゃあね。リリーシャ。短い間だったけど楽しかったよ」
X.X.は私の瞳を見つめた。
そして、端正なX.X.の顔が邪悪な笑顔に歪む。


彼女はこの世で初めて、『悪魔』を見た。


X.X.は私の肩を抑えつけた。
少年とは思えぬ強い力で。
私は心が色んな感情でぐちゃぐちゃになってた。
「…ねえ、X.X.……冗談でしょ?」
彼の左目が深緑から銀色の瞳に輝いた。
「…ねえ、やめて。やめてってばあ!」
その瞳に宿るのは銀の紋章。
紋章が大きく羽ばたいた。



「い、いやあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」









184 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:42:06 ID:fQPmbK6p
支援

185 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:42:19 ID:jro5dovc


186 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:42:38 ID:jro5dovc


187 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:42:49 ID:jro5dovc


188 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:42:56 ID:dtQvlL/A
支援

189 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:50:26 ID:j9UkQaCx
支援


190 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:52:42 ID:j9UkQaCx
しえん


191 :POPPO:2009/03/01(日) 02:55:46 ID:+ZWAjzRR
僕の頭に激痛が走った。
『――――――――――うぐっ!』
幹部の会議中に、ゼロの仮面が揺れて頭を抑えた。
ゼロの異変に気付いた黒の騎士団の幹部たちが声をかける。
「ぜっ、ゼロ!ご無事ですか!?」
「ゼロ!大丈夫か!?」
「おいっ!まさか、撃たれた傷がまだ痛んでじゃねえだろうなあ!?」
僕は仮面ごしにカレンの表情を捉えた。
彼女は僕を心配して、瞳に涙すら溜めている。
(ありがとう。カレン)
心で感謝して、幹部の面々に言葉をつづけた。
『心配をかけてすまない。ただの睡眠不足だ』
「…しかし、やはり過労がたたっているんじゃないのか。ゼロ。いくら軽傷とはいえ、十分な休息をとる必要があるぞ」
『藤堂。君の気遣いには感謝する。しかし今は一刻を争う。その会議済み次第、私も休眠を取る。心配するな。…では、卜部。トウホク支部での状況報告を頼む』
「…ああ、分かった。では続けるぞ」


192 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:56:18 ID:dtQvlL/A
支援

193 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 02:56:33 ID:fQPmbK6p
支援

194 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 03:09:54 ID:fQPmbK6p
猿…なのか…?

195 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 03:12:57 ID:dtQvlL/A
一応支援

196 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 03:13:54 ID:e2opsEt0
猿か、直接入力しているかだな。

197 :POPPO:2009/03/01(日) 03:25:14 ID:+ZWAjzRR




トウキョウ租界にある政庁の司令室。
そこではオペレータの大きな声が飛び交っていた。
『キュウシュウ本部が陥落しました!生き残った兵士は捕虜となっているようです!』
『シコク、チュウブ基地との連絡が途絶えました!相手は黒の騎士団で間違いないようです!』
『緊急入電!ミヤギでのクルツリンガー卿の編成部隊が全滅!エアハルト卿も撤退を開始しました!』
『定期連絡です。現在、トクシマでブリタニア軍と黒の騎士団が交戦中!増援の要請が出ています!』

次々と報告されるブリタニア軍の敗走に、コーネリアは唇を噛み締めていた。
「くそっ!戦闘の展開が早すぎる!これもゼロの仕業かっ!」
他の武官たちがコーネリアの声を聞いて、言葉を噤んでいた。
その中で、彼女の後ろに立っている選任騎士、ギルフォードが言葉を発する。
「コーネリア様。ここは残存する兵力をこのトウキョウ租界に集結させるべきかと。いずれゼロは時期にこのトウキョウ租界に攻めてくるでしょう。
ダールトン参謀長もグラストンナイツを率いてこちらに向かっています。トウキョウ租界を陥落させることがゼロの目的です。ここを5日間死守すれば本国からの援軍が到着し、我々の勝利です」
「分かっている!しかし、何としてでもシズオカにある本部を早急に抑えねばならん!ここは…」
 

「旗色は悪そうですね?コーネリア皇女殿下」


聞きなれた声にコーネリアは後ろを振り返った。彼女の顔は驚愕に染まった。
「エ、エニアグラム卿!?」
そこにいたのはコーネリアの師でもある女傑。引き締まった肉体に端正な顔立ち。
白い服装に紫色のラウンズのマント。
「なっ!?まさか、ナイトオブラウンズ!?」
他の武官が声を発した。
その声に司令室にいる人々も動きが止まる。
「潜水艦『グラム』で、ただいま到着しました」
コーネリアの前で彼女は会釈をした。
「エニアグラム卿。こんなに早く来てくれたのですね!これで我が軍の士気も上がりましょう!」
コーネリアはノネットの手を掴むと、顔を綻ばせた。
ユーフェミアが無くなって自室に閉じこもっていたと聞いていた。
目もとにはまだ、跡が残っている。
しかし、表面を取り繕えるだけでも、彼女は十分だった。
「殿下。実は。助っ人を連れてきましてね。まあ、助っ人というには強力すぎる戦力かもしれませんが…」
「…助っ人ですか?」
ノネットの言葉を聞いたコーネリアは少し首を傾げた。
しかし、彼女の後に入室してきた人物を見て、コーネリアは言葉を失った。

「お久しぶりですね。コーネリア様。ロシア戦線からの寄り道ということで陛下から許可が下りました」
ノネットに続いて、一人の男の声が聞こえた。
「あ、貴方はっ!」
その人物を見るや否や、ギルフォードが驚愕の声を上げた。
それだけではない。コーネリアも他の軍人たちも思わぬ来客に目を見開いていた。
ノネットと同じく、白い軍服を着た男だった。
オールバックの黒い髪に、貴族の威厳を示すような黒の髭。緑色の瞳に宿す鋭い眼光。2メートルを超える巨体に、服の上から分かるほどの強靭な体躯。
ラウンズのみが許されたブラウン色のマントを身に纏った男であり、騎士を名乗る者なら誰もが知りうる人物。
コーネリアも彼の姿を見た時は言葉を失っていたが、すぐに不敵に口を歪ませた。
「…確かに、助っ人と言うには強力すぎます。黒の騎士団を抑えるどころか、息の根を止めることができましょう」
「当然でしょう。そのために私たちは出向いたのですから」
彼の低い声が司令室に木霊した。力強く、重圧のある彼の言葉。それだけでブリタニアの士気が高まっている。コーネリアは二人の人物に会釈をした。彼女にしては珍しく嬉々を含んだ声だった。



「ようこそ御出で下さいました。ナイトオブナイン、ノネット・エニアグラム卿。ナイトオブツー、セルゲイ・サザーランド卿」


198 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 03:25:51 ID:dtQvlL/A
支援

199 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 03:26:59 ID:fQPmbK6p
支援

200 :POPPO:2009/03/01(日) 03:33:11 ID:+ZWAjzRR
多くのご支援、ありがとうございました!!
皆さんには感謝してもし足りません!!
これで(後編1)
終了です!
感想、いくらでも待ってます!
それでは!
ID:fQPmbK6pさん。誤字報告ありがとうございます!
誤字報告
少々熱苦しい → 少々暑苦しい
159。ライの話の途中。

201 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 03:37:22 ID:dtQvlL/A
POPPO卿、大作の投下お疲れ様でした。
更なる激動、それと共に未知なる存在であるナイトオブツーの参戦。
X.X.の目的、そしてライ達が向かう先。
続きが気になる次回の投下も楽しみにしております、GJでした!

202 :POPPO:2009/03/01(日) 03:38:01 ID:+ZWAjzRR
・・・すいません。誤字報告です。
197
ユーフェミアが無くなって→ユーフェミアが亡くなって
訂正お願いします!

203 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 10:30:25 ID:gekdeDt/
>>200
POPPO卿、GJでした!
オリジナルが増えてきましたね。
しかし、このX.X.の言葉は……
リリーシャどうなっちゃうんでしょう。
戦争が、始まる、のか?
むぅ、ドキワクだね。
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

204 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 21:54:15 ID:dtQvlL/A
10分頃に投下させて頂きます
前書き・本文・後書き合わせて12レスです

205 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:00:49 ID:BE9a/SNt
 支援要らないかな?

206 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/03/01(日) 22:10:02 ID:dtQvlL/A
時間ですので投下します
今回は前日譚の第2話ですよ〜

【タイトル】コードギアス 反逆のルルーシュR2 RADIANT WORLD
【ジャンル】シリアス(長編)
【警告】ギアス篇&黒の騎士団篇の合いの子ルートの
    ギアス篇ENDからスタートしています
    R2の豪快なifルート&オリジナルのキャラ&メカが
    登場しますので苦手な方は御注意下さい

207 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/03/01(日) 22:11:35 ID:dtQvlL/A
願いは崩れたガラス絵の様に舞う。
空虚な想いを重ねながら描いた様々な欠片。
それを必死で拾い集め彷徨っても掌から綺麗にまた落ちていく。
築き上げた日々はもう帰ってはこない。
そうして喪う事にも慣れていくのは心が閉じていくからなのだろうか―――――

UNDERGROUND SIDE
『―ORDER:円卓の騎士』

シャルルとV.V.との密約から数週間。
ライはある女性の下に身を寄せている。
ナイトオブラウンズ、神聖ブリタニア帝国が誇る最強の十二の騎士。
その最高位の称号の九番目の席を預かる女性、ノネット・エニアグラム。
それが彼を預かる女性の身分だ、そして彼女は辺境ながらも領地を持っている。
ラウンズの中には名門貴族が何人かはいるが領地を持っているとなると話は別だ。
彼女以外では今現在のナイトオブワンたるビスマルクしか持っていない。
歴史を紐解いてもこの様な異例は稀だった。
その彼女が預かる領地はブリタニアの辺境にある、その領地内にある屋敷の庭で彼はラジオに耳を傾けながら剣を振るっていた。
『続いてのニュースはテロ組織、黒の騎士団に関する情報です。逃亡を続けている―――――』
(これで主要の構成員はほぼ捕まったか……出資者は見せしめに処刑、やはり手慣れているな)
彼は逐一情報収集しながら状況の整理をはじめていく。
C.C.を捕獲したいというシャルルとV.V.の言葉にライは黒の騎士団の存続を主張した。
それ自体については滞りなく通ったのだが、出資者である桐原爺含むキョウト六家を処断するのは止められなかった。
幸いにも皇神楽耶は存命した様だが、資金源等を失ったのは痛手でもある。
それでも、その中でシャルルとの契約の折に随分と融通が通った事が彼にとっては意外でもあった。
『C.C.の捕獲は一任しよう、好きにするがよい』
(何を考えているのやら……)
訓練用の木剣を一陣の風の様に舞わしてからの横薙ぎ一閃。
その剣先に出ているのは恐れ、迷い、不安。
剣は心を映す鏡、そんな言葉が彼の脳裏を掠めた。
昔日の彼に剣技を教えた者の言葉。
その言葉を知る彼女は窓から見える彼の光景を気だるげに見つめていた。
「おはようございます、今日もお早いですな」
「ああ……あいつはいつもあれをしているのか?」
「毎朝仕事が済めばしておりますな。いやはや、若いながらにしっかりしておられますぞ?」
「そうか……」
特に興味がないわけでもない、ただ億劫な気分で彼女は答えている。
起きてから終わるまでガウンのままでただ眺めているだけ。
ここ最近の彼女の日課はこれだけだった。
後はただ椅子に腰掛けて日々を過ごす、そんな事の繰り返し。
ビスマルクはそんな彼女を諌めたがおいそれとも変わることはない。
彼女にとって親友であり尊敬する人物である女性はついぞ最近行方を晦ましたからだ。
そして、その彼女が大切にしていた妹はこの世界にはもういない。
『エニアグラム卿、世話をして貰いながらすまないと思っている』
「復讐、か……その相手はもういないのではないのですか、コーネリア様」

「ふぅ……少しは本調子になってきたな」
体のストレッチをしながらライは自分の予定を組み立てていく。
今日は帝都ペンドラゴンに出向く日、勿論ノネットの付き添いという名目。
しかしそれが果たされた日は今のところ一度もない。
(今日も一人だろうな、動き易くて助かるが……)

208 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/03/01(日) 22:13:02 ID:dtQvlL/A
敵対する側の人間、しかもそのトップクラスの人間と共に過ごす日々。
数週間の間、食事時以外で会話の一つもない関係。
(団員達が苦労をしているかと思えばこちらはVIP待遇か、因果なものだな……)
ストレッチを終えてタオルで汗を拭き取っている彼の耳にゆっくりと近づく足音が聞こえてくる。
「終わりになられましたかな?」
「ええ、ジョンさんも終わりになられたんですか?」
少々しわがれた声ながらも優しげに彼へ話しかけてきた老人、ジョン・ウエストウッド。
代々エニアグラム家に仕えている家系らしく彼も同じ道を選んだそうだ。
彼の仕事は執事、所謂バトラーであり屋敷の事柄を切り盛りしている。
「本日は出庁されるとの事、送迎は任せますぞ?」
「それは構いませんが……」
そしてライの苦手な人でもある、それは忘れている記憶の影響なのか。
彼にとって温和な老人というのがはじめてのタイプなのだろう。
それもあってか彼の老獪からくる口八丁手八丁に翻弄されるのが今の悩みだ。
その事をガレージに停めてある車を玄関前に移動させながら、同時にライは幾つかの悩みを思い浮かべる。
悩みの一つにはここに食客としている以上は人間関係を円滑に運ぶかどうかだった。
だが、彼は今もエリア11と呼ばれる日本の復権を願って戦いに身を投じた立場である。
そして今もそれは変わらない、だからこその悩みだ。
その考えも久々に袖を通したであろうスタイルに合わせて作られた純白のスーツを着用している女性によって阻まれる。
「待たせたな、帝都に向かってくれ」
「イエス、マイロード」
「ああ、それからその返事は止めろ。お前は客だろ、そういう細かい事は気にするな」
「はぁ……わかりました」
言葉を発したのはそれっきりでノネットは目的地に到着するまで黙って車窓の景色を眺め続けてた。
反応するのも時折通り過ぎていく領地内に居住している住人に手を振って応える程度に留めている。
その彼女の領地から帝都ペンドラゴンまでは車で約四時間という所だ。
車中での会話は目的地である特務庁に到着するまで一度もなかった、かといって空気が重たかったわけでもない。
お互いに話をする気分ではないというのもあるだろう。
同時に話題がなかったともいえる、それは互いに知らない事が多いからだろう。
「用が済めば連絡する、それまでは好きにしていいぞ」
「わかりました」
彼女が手に持っていた紫色のマントを羽織り特務庁へと入っていくのを見届けてから彼も行動をはじめる。
背中を突き刺す様に感じる気配、それを感じながら特務庁の駐車場に車を預けて向かう先。
ブリタニアのバイオニクス関連において一翼を担う研究機関へと向かう―――――

自分を待っていたであろう特務総監が執務室に自分を通してソファーに腰を掛けるように促す。
極々普通な対応かもしれない。しかし、ノネットにとってそれは些か腹立たしい対応だった。
勧めに反して彼女はデスクの前まで進み憮然と腕を後ろに回して、まるで新兵の様な構えを取って総監である女性を見据えた。
ベアトリス・ファランクス、ブリタニア皇帝の主席秘書官にして特務総監。
特務庁の仕事、要は皇帝や皇族近辺の警護担当であり付随してナイトオブラウンズを預かっている立場とも言える。
それを踏まえて、ノネットはここに呼ばれた理由について理解はしている。
電話一本『特務庁に来なさい』のみ、しかし腹立たしい理由はもっと別の事だ。
「呼ばれた理由はわかっているわね、ナイトオブナイン」
「ああ、わかっているさ」
「結構。ではKMFの改修案を近日中に提出して頂きましょうか、各機構の新規案についてのデータは―――――」
事務的な対応に苛立ちよりも呆れにも似た諦めの感情がノネットの神経を静かに逆撫でしていく。
だが、我慢する以外の術はない。いや、言うだけ無駄というのが正しいのだろう。
それがこみ上げてくる怒りを抑えるには至らないだけだ。
「その他の詳しい事は派遣される特派の技術者に。以上です」
「他に言う事は?」
「ありませんが」
「……本当にないのか?」
「ええ、それがなにか?」

209 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/03/01(日) 22:15:00 ID:dtQvlL/A
執務室の隣にある秘書が控えている部屋まで響く机を叩く音。
それを聞いて控えていた秘書達は即座に執務室へと入ったが、それ以上の侵入はベアトリスによる手のみで制された。
ただ両手を机の上に乗せたままベアトリスを見続けるノネット。
その胸倉を今にも掴みかかりそうな気迫を放っている背中に不安を覚えながらも秘書達は踵を返していく。
この二人になにかを言える人間はこの場にいない。しかし、仮にこの二人を制する事ができるであろう人物は皇帝だけだ。
つまり秘書達の選択は正しい、この二人の関係は上司と部下という言葉で括る事が出来ない事も含めて。
その二人だけの空間に漂う沈黙、殺気にも似た感情を眼に宿らせてベアトリスを見据えるノネットの貌。
彼女もわかっている、なぜそこまで問い詰めてくるのかを。
だからこそ応えない、応えられる事が出来ないから。
「……ブリタニアは世界の全てに対して今も戦争をしている、わかっているでしょうナイトオブナイン」
「ああ、だからユーフェミア様は死んだ。あれだけの事をすればナンバーズに討たれるのも当然の事だろうさ」
「その物言い、まるで私達が殺したとでも言いたそうですね」
「違うとでも言う気か? 笑わせるなよファランクス特務総監、ユーフェミア殿下はな―――――」
「ナイトオブナイン、貴方がそんな事では困ります。今も尚ブリタニアと世界情勢、そして国民感情も冷えてはいない」
「ちっ……心底呆れたよ」
ノネットが発した落胆の言葉、それは本意ではない。
彼女とてわかっている、ここでブリタニアが退けば遺恨を残し続けるだろうと。
同時に今のバランスを覆せば被害を被るのは富裕層ではない国民達だ。
軍事需要や貿易、各エリアとの物流で潤っているのは利権を持つ貴族のみ。
一般市民はその余りで生活している、この状態はブリタニアの歴史を振り返れば十分でもあった。
以前より続いていた平定されない国内情勢に疲弊した状況を一変させた功績。
それが現政権への絶対たる忠誠心を生んでいる。だが、その代償には他国が蹂躙される結果だ。
しかし、現ブリタニア皇帝であるシャルルが掲げた国是。それに付随する利益。
隙あらば我が物にしようとしていた他国、主に中華連邦とEUによる虎視眈々と狙われていた状況の打破。
結局のところ、ブリタニアには選ぶ道がこれしかなかったのだ。
だからこそどうしようもなかった皇族に絶対忠誠を誓う軍部の体制、それと共に行なわれるナンバーズとの区別。
その末路にユーフェミアの死、コーネリアの失踪が絡んでいる。
だが、情報の統制と操作によって歪んだこの事実は国民の感情を煽り更なる世界制覇へと進めさせられていく。
自国の民か、いずれ起きるであろう悲劇か。
ノネットの選ぶ道もまた、自国を護る方向以外にはない。
その幾つもの考えに自分を沈め、彼女は執務室を後にしようとするが―――――
「……エニアグラム卿」
「ふぅ……なんだ、ベアトリス」
「先程も言ったとおり情勢は現在ですら先の見えない状況、貴方がそんな事では国民も不安がります」
「わかっているさ、ナイトオブラウンズの名がただの飾りじゃない事も含めてな」
「それに私とて人の子です、痛まないはずがありません……」
「だが、いずれは向き合わねばならない事柄だろう? 政治は得意ではないが、いつかは必ず露呈するぞ」
「仮にそうだったとして、解決できる人間は一生出てこないでしょう。それを可能とするのは―――――」
「人ではないだろうな。それも当然か、世界の全てを巻き込んで戦争を起こすなんて事をするのは」
その言葉を最後にノネットが執務室を後にしてすぐにベアトリスは肩を下ろした。
彼女もわかっている、こんな事を続けていればいずれ破綻する。
退く道がないところにいるのは追い詰められていくナンバーズだけだとは限らないのだと。

「これで大丈夫なのか?」
「肉体面の問題は全てクリアしてあります、後はどうとも言えない状況でして……」
「そうか」
投薬と検査を終えて体の動きを軽くチェックしているライを不安な表情のままで見つめるバトレー。
自分が誰を肉体改造したのか、その事実に震えながら彼は少年を見続けた。
「脳はどうだったんだ?」
「一部に謎の腫瘍があります、CODE-Rの物と酷似しておりますが未知の腫瘍ですので……」
「摘出はできないのか?」
「何分脳の中心部ですので……今の医療技術では不可能です……」

210 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:16:16 ID:fQPmbK6p
支援

211 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/03/01(日) 22:17:02 ID:dtQvlL/A
電子カルテが写す脳の図面を見てライはこれがギアスによってできた腫瘍だというのは理解できる。
問題はこれがどれだけのリスクを生むかどうかだ。
「……ところで」
「はっ、なんでしょうか?」
「その話し方はどうにかならないのか? 以前はそんな口調で僕に話しかけなかっただろう?」
「そ、それは……」
「僕が皇族の血筋だからか? その人間の体を好き勝手に弄った事を咎められるのが怖いのか?」
「うう……」
「余計な心配だな、僕自身にはもうわだかまりはない。だからもう少し楽にしてくれ、これじゃ聞きたい事も聞き辛い」
わだかまりはない、少なくともライ自身はもう解消している。
腹立たしくはないと言うのは嘘になるかもしれないが、少なくとも済んだ事をいつまで言い続けるのは趣味ではないのもあるだろう。
そして、そんな事に執心していられるほどの余裕もない。
腫瘍に関する事の簡易的な説明を受けてからライはそのまま駐車してある車の元へと戻ってきていた。
(データと比べて以前より大きくなっている、か。となればいずれは―――――)
死亡、もしくはそれに近い事が体に起こる。
それがバトレーの見解と医学的見地を合わせた診断結果だった。
目覚める前に見たC.C.の記憶、そこで出会ったはずであろう人物。
(なぜ思い出せないんだ……なにかを聞いたはずなんだが……それされわかれば―――――)
「おい、こんなところでなにをしている」
「ん? ここで待っているだけだが」
「見かけない顔だな、それにお前―――――」
「貴様ハーフだな、ハーフが特務庁になんの用だ!」
(まったく……教育が行き届いているのは結構だが少し横暴過ぎるだろう、これは)
数人のブリタニア軍人、それもKMFのパイロットであろう士官の服装。
揉め事を避けたいライはあれこれと言葉を続けるが相手に聞く耳はない。
そのまま胸倉を?まれる形になったのだが―――――

「あら? エニアグラム卿、お久しぶりですね」
「モニカか? お前も呼ばれていたのか」
「ええ、KMFの改修案を出して頂けるかしらってファランクス総監に」
ノネットはモニカが声をかけるまで見ていたであろう窓の外に視線を向けると、自分の運転手が軍人に絡まれている姿を見つける。
モニカが男性に興味があった事にノネットは驚いたが、それ以上に次に飛び込んできた光景に彼女は驚愕した。
ライの胸倉を掴んだ軍人が空に舞い背中から地面へと落ちて、その二呼吸遅れて飛び掛ってきた軍人全てを薙ぎ倒す光景。
拳、蹴り、投げ、言葉で表現すればありふれた物だ。しかし、その体の動かし方は―――――
「珍しい、と言うよりは変わり者のようですね」
「あ、ああ……あんな演舞用の武術を実戦で使う奴がいるとはな……」
「本当です。しかもフィアナ流といえば演舞者自体も少ないというのに」
流れる様に体を動かし、時に相手の力を飲み込んで返す。西洋剣術と体術の流れを汲むブリタニアでは珍しいどころか目にかかれない技術。
ノネットとモニカ、この二人ですら士官学科での映像教材でしか見た事がないものだ。
倒された軍人達は事態を飲み込まず、再度攻撃しようと立ち上がりライへと向かおうとする。
しかし、間に割って入っていく栗色の髪の少女を見て二人は茶番はもう終わりだなと結論付けた。
「さて、これ以上の騒ぎは御免だな。止めに行くか」
「エニアグラム卿の知人だったのですか? それでしたら面白そうですわね」
「興味があるなら話してみるか? 私もちゃんと話した事がないから丁度いい機会だ」

「お止めなさい! 貴方達もブリタニア軍人なら毅然と―――――」
「なんだ、グラウサム・ヴァルキリエ隊か? その割に見慣れない顔だな」
「新人だろ? おい、新人が俺達に文句を言おうってのか!?」
「ううっ……し、新人は新人ですが、それでも同じ軍人としてですね!」
「すまない、止めてくれた事は感謝するが……君が割って入ったから話が余計に面倒になっていると思うぞ?」
「えええええっ!?」

212 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:18:17 ID:fQPmbK6p
支援

213 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/03/01(日) 22:19:02 ID:dtQvlL/A
ライは自分を庇おうとしたであろう少女の場違いな叫び声に思わず溜息が出てしまう。
状況をややこしくした事もあるが、同時に少し懐かしい事もあった。
アッシュフォード学園にいた時に親しくしてくれた少女と似て明るく誠実なところに。
「戯れはそこまでにしておけ。そいつは私の預かっている者だ、なにか問題があるか?」
「ナイトオブナイン!? それにナイトオブトゥエルブまで!?」
「お、おい行こうぜ……し、失礼しましたっ!」
一応の敬礼だけをして去っていく軍人を眺めながらライはラウンズという名の重さをようやく理解した。
同時に疑問もあった、なぜエリア11で起きた黒の騎士団によるテロの際にすら出撃しなかったのかを。
「やれやれ。で、お前はルキアーノのところの新人か?」
「は、はいっ! マリーカ・ソレイシィですっナイトオブナイン!」
「はっはっはっ、ルキアーノの部隊員の割には元気だな」
「ええ、ヴァルキリエ隊は淑女が多いですから」
ノネットの後ろからついてきていた見覚えのない女性にライは疑問よりも警戒をしてしまう。
その身に着ているのはノネットと同じ純白のスーツに黄緑色の外套。
それだけで十分にわかる事実、彼女もまたナイトオブラウンズの一員なのだと。
「マリーカ、なにをしているの? もうすぐミーティングの時間よ、急ぎましょう」
「はい、リーライナさん。それでは、失礼します」
マリーカの先輩らしき金髪の女性に呼ばれて去っていく二人の姿をライは見届ける。
あくまで見届けているだけだったのだが―――――
「なんだ、惚れたのか?」
「それはありません」
「面白味のない奴だなぁ、そこで冗談の一つでも言ったらどうだ?」
「はぁ……彼女達はどこかの特殊部隊の所属なんですか?」
「ふふっ、特殊部隊ではなくてラウンズ直属よ。それもブリタニアの吸血鬼の、ね」
吸血鬼、というのが比喩か誇張された表現なのか。
些か似合わない異名に疑問を抱きながらもライは二人の言葉を待った。
できる事なら早く帰りたいというのが本音だからだ。
「そういえば自己紹介がまだでしたわね。私はモニカ・クルシェフスキー、ナイトオブラウンズのトゥエルブよ」
「ライです」
「その続きは? そういえば、お前の家名はなんなんだ?」
「聞かない方がいいですよ、色々と」
「面白い返答ですね、武術は誰に教わったのです?」
「その質問の意図を聞きたいですね、別段珍しくもなかったでしょう?」
ライの返答に二人はきょとんとして目を合わせて、その一呼吸遅れてノネットが大笑いした。
モニカもモニカで面白いのか、くすくすと笑っている。
「あれだけの事をしておいて珍しくもない、か。お前、面白いな」
「……僕は面白くないです」
「失礼。エニアグラム卿、どうやら陛下の客人は余程の人物みたいですよ」
「みたいだな」
そのままモニカは一礼して去ろうとするのだが、振り返り様に派手につんのめるのを見て慌ててライは受け止めた。
モニカが照れ笑いしながら礼を述べるのを見ながら彼の脳裏に一つの答えが出る。
ナイトオブラウンズは変わり者の集まりなのだろうと。

「ジョン、戻ったぞ」
「おかえりなさいませ。して、いかがされますかな?」
「とりあえず帝都のKMF工廠へ運搬させよう、オーバーホールも一度必要だろうからな」
「かしこまりました。ライ殿も務め、御苦労様でしたぞ」
「はぁ……ありがとうございます」
邸宅に帰宅してジョンによる出迎え。
変わらなかった日常に現れた変化、それはノネットが帝都に出向いただけでは終わらない。
この日を境に彼女はライとの肉弾戦・KMF模擬戦をしていく事になる。
一日も間を空ける事もなく、毎日毎日。
時には夜になっても止まる事もなく―――――
そんなある日、彼はジョンと話す機会があった。

214 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:19:36 ID:XE6ST8bf
sienn


215 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/03/01(日) 22:21:02 ID:dtQvlL/A
「どうですかな、調子は?」
「き、聞かないで下さい……見ればわかるでしょう……?」
「ほっほっ、随分と疲れ果てておりますな」
なにが入っているのかはわからない水筒を手渡され、彼は一瞬躊躇したが飲まないのも失礼だと考えた。
それに時間は既に幾らか経っているのに今更始末されるとも考えられないなと。
「当家のスタミナ飲料はよく効きますぞ。時にライ殿はまだ成人されていらっしゃらないようですな」
「それがなにか?」
「なに、老爺の戯言です。今は良いでしょうが将来の事を考えておられては?」
「未来について、か……自分の事に関してなら特には」
「それはそれは。ふむ、あまり急く事もないでしょうに」
「はぁ……」
「一度ノネット様に軍に入られた時の事を聞かれるが良いでしょう」
「そこはジョンさんが、とは言わないんですね」
「所詮は老いた執事、若人に説く言葉は知れども騎士たる者に説く言葉は知りえてはおりませんからな」
その言葉の意味、真意。幾らかの言葉を交わしてもライはこの老人がやはり苦手だった。
だが、言いたかった事を理解できないわけでもない。
実にシンプルなものだ、もう少し幸福を求めてもいいのではないかという問い。
しかしライにしてみれば失笑する他に術を知らない。
今更幸福を求めるなどと―――――
『―――――イ……生き……るのよ……』

「珍しいな、お前でも読書はするのか?」
「失礼ですね、僕でも本は読みますよ」
「そうか、それは悪かったな」
ライは食事を済ませた後、書斎で本を物色していた。
その手には一冊の本が収まっている。
彼は寝る前に読書をする、ここでの生活において日課になっている事の一つだ。
「ロマン・ロランか。父も母もよく読んでいたな、それは」
「そうなんですか。それにしても随分と節操のない蔵書ですね、ここは」
「私もそう思うよ。種類を問わずに集めていたみたいでな、私はたまにしか読まないからよくわからないんだが」
そう言いながら彼女も一冊の本を棚から引き抜く。
題名からしてブリタニアの戦記を記した書籍なのだろう。
それを訝しい顔で見つめたまま、その本を彼女は彼の方向へ向けて軽く振って見せた。
「……そういえばジョンさんに言われたんですが」
「ん〜なんだ?」
「ノネットさんが軍に入った時の話を聞けと」
ライの言葉にノネットああ〜などと言いながら頭を軽く掻いた。
少々の沈黙の後、彼を手招いて食堂にまで足を運び紅茶をジョンへ要求する。
その流れに彼は余程重苦しい話なのだろうと思わずにはいられなかった。
テーブルを挟んだだけの僅かな空白、少なくともそれは二人の距離の証明でもあるのだろう。
「知っているとは思うがブリタニアは随分と国内情勢が安定しなくてな―――――」
思い出すように彼女は言葉を続けていく。
ブリタニアが安定しない事、その中で現皇帝のシャルルが即位した時は荒れに荒れた事。
即位以降ではナイトオブラウンズの造反、その結果はラウンズの二人を残して事実上の崩壊。
その暗く重い時代の中で民衆の支えとなるマリアンヌという騎士の栄転と実力の草子。
「当時の私は子供でな、その話を聞いて……」
「それでどうしたんですか?」
「勢い余って士官学校に入った」
「……はっ?」
先程までの重苦しい声とは違い明るいトーンになったのを彼は思わず呆け面で受け止めてしまう。
しかもどこがどうなればそういう話になるのかも理解できなかったからだ。

216 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:22:06 ID:fQPmbK6p
支援

217 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:22:47 ID:XE6ST8bf
しえん

218 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/03/01(日) 22:23:02 ID:dtQvlL/A
「いや〜あの日は大変だったぞ〜なぁジョン?」
「あれはもう大変でしたぞ、先代のあの慌て様は未だかつてありませんでしたからな」
「当然でしょう……跡継ぎが急に軍へ入るなんて言い出せば……」
「それもそうなんだがな。だが、私はそれが嫌だったんだよ」
旧体制にも似た家名の存続を優先するよりも彼女は国を重んじた。
自分は辺境とはいえ貴族、民衆から這い上がり代表的存在になったマリアンヌが国に尽くしているのに自分は家を護るだけ。
その現状を彼女は認められなかった。
「私にとって世界なんてものは目に見える範囲の事だったからな、だからマリアンヌ様の話は驚いたよ」
「世界は果てしなく広い、といったところですか」
「そうだな、そういう表現が一番かもしれないな」
「この辺りの農夫方も先代の説得に参られましてな。いやはや、あの日は最高でしたぞ」
「最高、か。確かに最高の日だったな」
そう言って彼女は窓の外に視線を向けて邸宅の先に広がる領民の家を見た。
彼も続いて見た先では家には明かりが灯っており家族の団欒の時間なのだろうと見て取れる。
「ああ、本当に最高だったよ。エニアグラムの娘じゃなく、ノネット・エニアグラムとして生きられるという事がな」
「まるで子供が自立をしたみたいな言い方ですね、それ」
「そうだな。だが、世界はどこまで続いていると知ればそうも思うさ」
「無限の可能性を知った様な表現をしますね」
「そういう事だろう? 私はどこまでも進める、なんでもできるんだとな」
跡継ぎとして、結婚をして、子を生して、家督を譲って、そして老いていく人生。
そんな人生が嫌だったわけではない、ただそれ以外の道を知ってしまったのだと。
彼女は言いたかった、それは彼にとっては他人事にも等しい事柄でもあった。
「結果として世界を巻き込んだ戦争に加担してしまったのは後悔しているがな」
「辞めようと思えば辞められるでしょう」
「私にも誇りはある。それに自分で選んだ道だ、後悔はしても責任は取るさ」
窓へと向けた視線を彼に戻して真剣な眼差しで見た。
彼はまだ窓の景色に執心している、それを意に介さず彼女は言葉を発する。
「まぁ、要は誰にでも可能性はあるという事だ。勿論お前にもな」
「そう思うのはノネットさんだけですよ」
「その言葉を言った事、いつの日か後悔するぞ〜?」
「しませんよ、絶対に」
視線を変えず窓の外の景色を見続ける彼にこれ以上の言葉はない。
後は本人の意思だろう、そう思い彼女は席を離れた。
しかし、彼女は言葉の続きが腹の中にある。
今のまま強くなり続けても限界はいつかくる。
だが、もしその先を知った時―――――
「あいつ、マリアンヌ様よりも強くなれるかもな」

ライと帝都に出向いた日からノネットは少しずつ変わっていった。
塞ぎこむのを辞めて外に出てはライとの模擬戦にKMFの改修と精力的に活動している。
それにつき合わさせられているライは急なハードワークで最初は疲弊したが最近は慣れたものだ。
目覚めてから一ヵ月、彼は成長をし続けているが世界情勢に変化はない。
「いい加減、少しは動いてみるか……」
特務庁の駐車場でいつもの様にノネットを待ちながら彼は幾つかの行動を考えた。
手に入る情報は表面上の情報だけだ、つまりギアスに関する事は自身の身体についてしか知りえていない。
「こんなところで待っていたらまた問題が起きますよ?」
「ん? ああ、マリーカさんか。こんにちわ」
「こんにちわ〜ってそうじゃないです!」
相変わらず元気な子だなと思いながら彼は頭の中の考えを止めない。
ノネットと共に帝都に来てから感じる視線、その視線に対してアクションを起こすか。
それともV.V.の元に行きギアスに関する事の探りを入れるかだ。

219 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:24:10 ID:XE6ST8bf
しえん

220 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:24:15 ID:fQPmbK6p
支援

221 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/03/01(日) 22:25:02 ID:dtQvlL/A
「今日は特務庁に用事なのか?」
「はい、ナイトオブテンのKMFの改修案についての認印を貰いに来ました」
「直属部隊も大変そうだな」
「そうなんですよ〜それに新任のラウンズの資料も貰ってこいとか馬上試合の事も聞いてこいとか」
「そこまでくるとただの小間使いだな」
「ひ、酷いですっ!」
そのまま他愛のない話だけして別れたが、その間にライはアクションの一つを選んていた。
会話の間だけ強く感じた視線、自分を見ているという他者の意識。
見えないなにかを探るよりまずは身近な事柄を処理しようと―――――

「ちょろちょろ動いて……子供じゃないんだから」
少女は少年を追いかけた。
最初は高層ビルの屋上から見届けていただけだったが、そうも言っていられなくなった。
高層ビル群の中へと進まれて見失うの愚かしい。
そう思い人込みに紛れて少年を追い続けた。
その少年がビルの間に入り込んだのを見て追従したのだが―――――
「いない!?―――――」
「上にいるぞ―――――」
背後からの不意な衝撃と首と手を固められた勢いで彼女は地面に寝そべる形になってしまう。
両手は固められている、首もしっかりと極められている。
つまり彼女は完全に拘束され生殺与奪の権利を追跡していた少年に与えてしまったのだ。
「尾行をしていた割には無用心だな、路地裏に入っただけでなにもしないとでも思ったのか?」
「ど、どうやって……」
「簡単な事だ、追跡者が誰かわかっているならタイミングを見計らって視界から一瞬だけ消えてやればいい」
「路地裏に入ったのも……」
「ただの目晦ましだよ、本命は君だ」
ライは尾行している人間を特定してから路地裏に入った。
しかしただ入れば捕まえられるとも思わなかったのだ。
自分を尾行する可能性がある組織、ないしは人間。
それがギアスに関係する者だった場合、対策をしなければならない。
「ロロの能力、自分の能力、それを考慮すればこれがベストだろう?」
「だからって普通する……あんな台の上から飛んで……背後に回るなんて……」
「できるならする、可能だったら実行する、基本だろう?」
「あんたって……もしかして体力馬鹿……?」
既に力関係は明確だが、それでも悪態を続ける彼女に彼は呆れた。
だが敵対関係になるなら話は別だ。
「答えてもらうぞ、色々とな」
「その質問はナンセンスでしょ、私みたいな下っ端が知っていると思う?」
「期待はしていないさ、ギアスは持っているのか?」
「……ええ、持っているわよ。無理矢理与えられたのをね」
「無理矢理……だと?」
ライは予想の中になかった答えに対して困惑した。
自分の意志で望んだのではなく、他人の意志によって与えられたのだと。
「ロロもそう……誰が好き好んでこんな力なんか……」
「与えたのはV.V.か?」
「そうよ……勝手に与えておいて人を失敗作呼ばわり……」
「ちっ、よりにもよって……」
ライは少女の返答に苛立ちと怒りを覚えた。
自分で望んだのなら代償があるのは当然だろう。
しかしこの少女は無理矢理与えられ、更には危険を孕んだ代価まで払わされたのだ。
その返答に質問を続けるの止めて彼は拘束を解いた。
少女に対してこれ以上の行動ができる筈はないと。

222 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/03/01(日) 22:27:02 ID:dtQvlL/A
「手荒な真似をしてすまなかったな、後は好きにしろ……」
「……本気なの? 不利になっても知らないわよ」
「生憎と君達に怨みはない、それにこれ以上の行動はプライドが許さないからな」
「なにそれ?」
「V.V.が嫌いって事だ」
彼の返答に少女はきょとんとしてから思わず笑いそうになってしまう。
自分の行動と指示をした人間を嫌悪しているとその手下にわざわざ漏らしたのだ。
それは自殺行為にも等しい、それをさらりとしてしまった事があまりにも可笑しかったのだ。
「面白い事するんだ」
「そうか、僕は面白くはないんだがな」
「面白いわよ、それもすっごく」
「はぁ……まったく……それで名前は?」
「名前? アリスだけど」
「アリスか、覚えておくよ」
そのまま彼はアリスに追跡について色々と付け加えた。
自分を尾行をするなら隠れずに普通についてこいと。
それから自分を失敗作だと思うなと。
「細かい事はいずれ言う、とりあえずは以上だ」
「V.V.様に言うなとは言わないんだ」
「好きにすればいい。こっちもリターンはそれなりにあったからな、リスクは背負うさ」
そう言ってそのまま街の雑踏へと戻っていく彼をアリスは黙って見送った。
本当ならば追うべきだろう。
だが、彼の行動と言葉が発したか不思議な魔力は彼女を躊躇と共にこのままでもいいのだろう思ってしまう。
それはギアス嚮団という特殊な環境において存在しなかったものだからだろうか。
「世界には面白い人がいるんだね、ねえ―――――」
彼女は思わず空へ想いを伝えてしまう、懐かしい名前と共に―――――

特務庁の駐車場に戻ったライはノネットの姿を探したがまだ戻ってきていなかった。
随分と時間が経った筈なのだがと思いながら、彼は視線を右往左往させた時。
そこで場違いとも思える少女の姿を見つける。
しかし出で立ちはここにいて当然という姿だった。
カスタマイズされたであろう純白のスーツに桃色の外套。
(ナイトオブラウンズか、見たところナナリーと同じ年頃みたいだが……)
携帯を弄るのに忙しいのか、彼の視線に気付かず彼の前を通り過ぎようとする少女。
その懐から落ちた書類にも気付かず歩いていくのを見て彼は少女を呼び止めた。
書類を拾い少女に手渡そうとした時―――――
「書類、落としましたよ」
「……ありがと」
『っ!?』
彼の目の前にはフラッシュバックが起きて、少女は虚ろな瞳になっていく。
感じ慣れない意識の流入、感じ慣れた意識の遮断。
『僕達の計画は無かった事になってしまう―――――』
(ぶ、い……つ……)
『相も変わらず嘘吐きばかりよな、このブリタニアという国は。のう、マリアンヌ?』
(こ……う、て……いま……で……)
不意を疲れた衝撃に手に持っていた書類を落として彼は膝をついてしまう。
頭の中で鐘をがん、がん、と鳴らされたような痛みの中で見上げた少女の顔。
最初は虚ろな表情だったのだが、次に浮かべた表情は微笑だった。

223 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:27:15 ID:XE6ST8bf
しえんですよ

224 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:30:15 ID:fQPmbK6p
支援

225 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/03/01(日) 22:30:44 ID:lIVAuCX5
ただし、その微笑んだ顔は少女とは程遠い貌をしている―――――
「こんなところでユーザーに会うなんてね。しかも、陛下に勝るとも劣らない程の力」
「なっ……ギアスを知っているのか!」
「知っているわよ、それも貴方よりも深くね。はじめまして、私の名はマリアンヌ・ヴィ・ブリタニア。聞いた事位はあるでしょう?」
「マリアンヌ、だと……!?」

砕けたガラス絵は元には戻らない。
願い続けなければ想いは色づかない。
王が繰り返すのは罪と罰。
それでも全てを背負わねばならない。
指の隙間から全てが堕ちていこうとも―――――

226 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/03/01(日) 22:31:17 ID:lIVAuCX5
以上です
まさかのマリアンヌ様早期登場に自分でビックリです
幸せに興味がなそうなライはどこまでも捻くれているのはよろしくないですね
アリスと絡んだりマリーカと絡んだりもして大忙しなブリタニアでの生活
その過程で何を知って何を決断するのか
その決断は本編でどう成って変化するのかが楽しみですね

では、次回の12話でまたお会いしましょう。失礼しました

227 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:33:14 ID:jro5dovc


228 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:33:28 ID:jro5dovc


229 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 22:42:15 ID:Cb8SWG3t
ぷにぷにさん、投下乙です。色々と人間関係が広がりを見せ、伏線も張られてきましたね。
マリーカやアリス、執事さんが今後ライにどんな影響を与えるのか、彼の体が抱える問題とは…気になります。
そしてこれが現在にどうつながるのか、次回を楽しみにしています。

230 :創る名無しに見る名無し:2009/03/01(日) 23:54:28 ID:gekdeDt/
>>226
ぷにぷに卿、GJでした!
ブリタニアで多くの人と出会っていくライ。
色々なことが起こっていきますねぇ。
そしてマリアンヌ……この邂逅、どうなるのか……
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

231 :創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 01:59:37 ID:u+AFTNqd
POPPOさん
面白かった!!
オレンジが生きていることを知っている読者としては
リリーシャの動機の「弱さ」は少し気になっていたところだったのですが
こうもきっちりひっくり返してくれるなんて。
スザクがどう動くか、ルルーシュの行末も気になる……
どう転ぶかわからないギアスらしさを持った作品、本当に楽しみにしています。

ぷにぷにさん
面白かったです。細部まで作りこまれていて読み応えがすごい。
ギアス編からのライが、自分で定めた分を守りながらも
ノネットと交流を重ねていく過程が良いなあと。
執事さんも素敵だ。マリーカやアリスたちとの絡み方も自然で、
あちこちにきっちりネットワークがつながっていく感じ。
続きを読める日を楽しみにお待ちしています。


あー面白かった。

232 :創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 19:48:08 ID:nq3kzQl/
千葉はライの嫁卿、ぷにぷに卿、POPO卿、と力作が連続して投下されて嬉しすぎる!ゴチになりました!
それにしても、今回もそうだが、古参(?)の職人は投下タイミングが似てる気がwバイオリズムが似てるのかな?w
ということは、そろそろあの人とかあの人の投下もあるかもってことかw

233 :創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 21:08:40 ID:wV7syBfm
>>232
俺もその意見を信じてそろそろ投下されると信じている

234 :創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 21:22:40 ID:SPLGR4DZ
>>232
俺もそう信じて全裸で待っているところだ
主に青さんとか

235 :創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 21:44:39 ID:cXQ4jo81
ぷにぷに卿GJ!
ライのこれまでがわかっていっそう物語が深くなりましたね
もう一度今までの話を見てみたくなりました続きが楽しみです

236 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 09:45:04 ID:ZTLYmf4w
>>234
激しく同意!!
また古参の方々の投下が復活し、このスレがさらに活気づくことを願っています。

237 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 15:08:41 ID:w9M0UQ2I
では、手始めに皆でロスカラを再プレイw

238 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 17:58:52 ID:MOz3pE2b
今日一日引きこもってプレイしますた


239 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 18:43:20 ID:w9M0UQ2I
只今、親衛隊ルートを攻略中。
九州でのネリ殿下のデレはいつ見ても驚愕しますなw

240 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:09:23 ID:3mfgIDPW
俺はこれから騎士団カレンルートをプレイして、カレンのヒロインっぷりに萌えるとするよ。

241 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:45:23 ID:qFt9o5+a
何となく暇だから>>239を見て書いた。

242 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:46:34 ID:qFt9o5+a
「ほら、スザク。私、お弁当を作ってみたの!」
「ユーフェミア副総督、何ともったいなき…………」
「ほむーっ!」
「いや、ユフィ。……ありがとう」
「初めからそう言えばよいのです! さあ、あちらに――」
 などという微笑ましい二人の光景を、執務室の窓から見ていたライはふと、左の方を向いた。
 そちらには今ライの前にある窓と同様の物があり、
「…………」
 エリア11総督、コーネリア・リ・ブリタニアが自分と同じように窓の外を覗いていた。
(ん……?)
 ライはそこでコーネリアの様子がおかしい事に気付く。
 そもそも厳格なコーネリアが執務の手を止めている事自体が珍しい。
 今、彼女はユーフェミアとスザクが仲良く庭園で昼食をとっている姿をじっと見つめ、立ち尽くしていた。
(お腹が空いたのか……?)
 まず最初に思い浮かんだのがそれ。だがライは自分の考えを即座に否定した。
 まだ彼女の補佐に就いて日も浅いが、空腹に我を忘れる人物でない事くらいは理解できる。
 ならば、ここまで彼女があの二人の姿に心奪われている理由は何だろうか。
(あ、)
 そして、ライは一つの心当たりに思い至った。恐らく理由はこれだろう。
「コーネリア総督」
「ん!? な、なんだライ。ああ、仕事の途中だったないかんいかん……」
 ライはあたふたと自身の机に戻ろうとするコーネリアに向かって、
「ユーフェミア副総督ならば、コーネリア総督が行かれても迷惑などと思われないと思いますよ」
 そう頷きながら言った。
 しかし、
「…………ライ、お前は何を言っている?」
 コーネリアはきょとんとした様子で首をかしげた。
「え、コーネリア総督がスザク達を見て何やら考え事をしていらしたので、てっきり……」
「ば、馬鹿者! そんな訳ないだろう! 大体、確かにあの枢木という男はあまり気にいらないが、二人の昼食に割って入るなどと無粋な事が出来るか!」
 まくしたてるようなコーネリアの言葉にライは思わず一歩退きながら、内心疑問に溢れていた。
(あれ、違ったかな……)
 以前彼女がユーフェミアと語らっている時間があまり取れていないと愚痴を零していたので、てっきりそれが理由なのかと思ったのだが。
 コーネリアは頬を軽く蒸気させながら懸命に否定している。
 照れくさくてそうしているのかとも思ったが、本当に違うらしい。


243 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:48:46 ID:qFt9o5+a
「では、やっぱりお腹が空いて……」
「お主は私を馬鹿にしているのか!?」
「で、ですよね……」
 流石にそれはないかと納得しつつ、
「では、どうされたのですか? 総督にしては珍しく呆けていらしたので……」
「む!? そ、それはだな……」
 そこでコーネリアは荒げていた声をいっそう弱め、もごもごと口ごもった。
(よっぽど言いたくない理由なのかな?)
 ならば彼女のためにも、この話題は変えるべきか。
 そう思った頃、コーネリアが重い口を開いた。
 手を腰の後ろで組み、顔を真っ赤に染めながら、
「いや……少しな、ライ……お主“と”……お弁当などを……」
「え、僕“の”弁当ですか?」
 この時、ライはコーネリアの眉尻がぴくりと下がった事には気付かなかった。
 ライはただただ一人で納得して、
「分かりました。ユーフェミア副総督のように凝った物ではありませんが……総督の言うように致します!」
「ちょ、ちょっと待てライ……少し誤解があるぞ……」
 うろたえるコーネリアを両手で制し、ライは深く頷いて答える。
「コーネリア総督、遠慮なさらずに。庶民の味に興味を持たれた事は大変嬉しいです」
「いや……だからな……」
「今すぐ取ってきます。では!」
 ライはぴしっと敬礼、そして自分の弁当を取りに勢いよく部屋を飛び出して行った。

 ・・・・・
 部屋に一人残されたコーネリアは、
「あの脆弱者め……! いつ私がお前の弁当が欲しいと言ったのだ! まったく、いつもいつもあやつは先走りおって!」
 一息、
「……まあ、悪くはないかもしれんな」
 と、顔を赤らめつつライの帰りを待っていた。

 今日も政庁は平和である――

244 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 19:50:35 ID:qFt9o5+a
以上、30分で書いたからとか、コーネリア総督初めてで難しかったとか、色々言い訳あるけどまあいいです。
さて、次はヒロインカレンを書くか

245 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 20:00:57 ID:LfB2FqG2
>>244
GJでした!
なんだこのネリ様は!
可愛いぞ!
30分でこれか……素晴らしい!
貴公の次の投下も全力で期待しています!

246 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 20:20:35 ID:vFn48eh5
なんと言うすばらしいネリ様……GJである。
私も……頑張ろう

247 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 20:38:48 ID:qFt9o5+a
じゃあ続いて>>240を見て何となく思いついたライカレ

248 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 20:40:45 ID:qFt9o5+a
「カレン、」
 格納庫で紅蓮の整備をしていたカレンは、突然の背後からの声に振り返った。
 神妙な面持ちでカレンの後ろにいたのは、
「ライ? どうし――きゃっ!」
 思わず悲鳴を上げてしまった。
 いきなりライがこちらの腕を掴んできたのだ。
 動揺、混乱、そして少しの期待。
 色んな思惑を孕んだカレンが次に出した言葉は、しかし、
「痛っ……」
 ライに掴まれた手首から刺すような痛みが走った。
「やっぱり……」
 そう言ったライの声色は低く、少し怒っているようだった。
「今日の動きが変だったから気になってたんだけど、これが原因だね。なぜ黙っていたんだ」
「う……こんなの、すぐ治るわよ!」
 カレンは強気に腕を振り払おうとした。
 確かに、今日の作戦前に手首を軽く捻っていたのは事実だ。だが操縦に支障は無かった……と思っていたのだが。
 誰も、ましてや自分でも気付かなかった微かなタイミングのズレに、ライだけが気付いてくれた。
 とても嬉しい事なのに、素直になりきれず、つい彼の優しさに反発しようとしてしまった。
 だが、
「いいから医務室に行くよ」
「ええ!? ちょ、ちょっと!」
「文句は治ってから聞くよ。後、ゼロに言って明日の作戦からカレンを外してもらう」
「そ、そんな!」
 カレンは絶望に打ちひしがれた気持ちになった。
 腕を捻って作戦に支障をきたすなどとゼロに知られては、自分の評価が著しく下がってしまう。
「駄目よ、そんなの!」
 強引にライの腕を振り払う。今度は成功した。
「私は、こんな事で立ち止まったりしたくないの。ゼロの期待に応えたい……そして日本を取り戻したいの!」
「カレン……」
「だからお願い、ライ。怪我なんてすぐ治るからゼロには……」
「…………」
 こちらの懸命な願いを聞き届けてくれる気になったのか、ライはすっと目を閉じて黙ってしまった。
 長い長い沈黙の後、ライはおもむろに携帯電話を取り出して、
「…………ああ、ゼロ。ライだ」
「え……?」
 一瞬カレンの理解が遅れた。
 その隙を見逃すまいと、まくし立てるようにライは電話に話し掛けた。
「カレンが怪我をしてね。ああ、大した怪我じゃない。ただ明日の作戦には外して構わないね。ああ、前衛は僕が……ああ、頼むよ」
「ええーーっ!」
 カレンの抗議の声も時既に遅し。
 ライは満足そうに頷いてゼロとの通話を終わらせた。


249 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 20:44:19 ID:qFt9o5+a
「ライ、どうして――」
「カレン」
 こちらの声を遮って、ライは真っ直ぐな視線と共に言った。
「確かに君の言う事も分かる。君が作戦に参加するのとしないのとでは成功確率に大きく差が出来るし、皆の志気も下がる」
「だ、だったら……」
 ライは両目を閉じ、左右に首を振って、
「でも、無理して戦場に出られたらこっちも困る。そして……その怪我のせいで君まで失ってしまったら……」
「ライ……」
 今度は優しく、ライはカレンの腕を掴んだ。
「頼む。こんな事で君への信頼は揺らいだりはしないさ。だから僕の言うことを聞いてくれ」
「…………うん、わかった。ごめんなさい」
 しゅん、とカレンはうなだれながら言った。
 ライは少しだけばつが悪そうに、
「カレン……」
「いいのよライ。だけど、そう言ったからには、私の分まで頑張ってよね」
「ああ、任せてくれ」
 そうして二人は手を取り合って医務室へと足を運んでいったのである――


 ・・・・・・・
「なーんてこと、無いわよね……」
「どうしたんだ、カレン?」
「ひゃーーっ!!」
 背後から掛かった声に、カレンは思わず飛び上がって距離をとった。
 その反応に逆に驚いたライは、
「ど、どうしたのさ……」
「いいいいや何でもないの。そう、何でもないの。ちょっと腕を捻っちゃって…………あ」
「ほう……詳しく聞こうかカレン」
「ちょ、ちょっと待ってライ。落ち着いて、私は大丈夫だから――」
「ああ、丁度いいゼロ。カレンが話があるそうだぞ」
『なんだ?』
「ええー! 話が違うー!」


 今日も黒の騎士団は平和(?)だ

250 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 20:46:33 ID:qFt9o5+a
以上、45分で書いたとか、カレンよりはちっちゃい子を書く方が得意だとか、色々言い訳はあるけどまあいいです。

251 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 20:47:38 ID:CzafXINE
すごすぎる…GJを贈らせてください!

252 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 20:49:51 ID:LfB2FqG2
>>250
速いぃぃぃぃぃ!
だがGJ。
まさかの妄想オチに全俺が吹いたw
何だこのクオリティはッ!
素晴らしいの一言に尽きる!
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!

253 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 21:01:09 ID:ZTLYmf4w
>>240
俺もロスカラの騎士団カレンルートをプレイしてから脳内でライカレが公式カップルになった!!

254 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 21:01:52 ID:ZTLYmf4w
>>240
俺もロスカラの騎士団カレンルートをプレイしてから脳内でライカレが公式カップルになった!!

255 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 21:32:07 ID:XQeGOmiy
>>250
すごいですね。
両方とも短い時間に書き上げたにもかかわらず、完成度の高さ、面白さはすばらしいの一言。
GJです。


256 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 21:44:03 ID:J6OeY1fM
253のかた重複してますよ。レベルは低いですがちょっと投下の方
行きたいと思います。KYと言われようが行きます!!

「英雄 一章 」

ライの過去話です
10レス位かかります、支援の方どなたかお願いします


257 :テリー:2009/03/03(火) 21:46:28 ID:J6OeY1fM

初めに教科書に記載されている事を話そう。
それによれば、この時期のブリタニアは周辺諸国とは友好関係にあったとされている
それは当時の皇帝の力と政治家達の必死の交渉、強大な軍事力と有能な人材etc
国力、軍事力共に歴代1とも言われているその強大な“力”で周囲に圧力を
また友好関係を築き後の国定に大きな影響を与えまた当時は戦争をする理由を
相手に与えなかった、つまり隙が全く無かったのだ。


しかし


とある北方領土「ヘレナ」の王がした過ちで遂に戦闘へと突入してしまい
あわやヘレナのみならずブリタニア全土を巻き込む全面戦争へと発展しそうな
所を「ヘレナ」と「北の蛮族」の壊滅と引き換えに回避する事が出来た。
この「ヘレナ」こそライが王として治めていた領地、そしてギアスの魔力
で壊滅した地であった・・・・・・


さらに教科書にはヘレナ壊滅は時の王の所行による物であるとし、ブリタニア一族
の恥さらしとされ永遠の汚名を着せられている、しかも明確にハッキリと。現に今日
の歴史家も満場一致の結論なのだ。



それはライの事か?



その真実とは―――――



「英雄」




258 :テリー:2009/03/03(火) 21:47:51 ID:J6OeY1fM
ガキィィン!!

ここは剣の交わる訓練場、何百という兵士達が日々鍛練を積む神聖なる場所と軍内部
での暗黙の了解となっている。どんな人物も、例え市民でも貴族でも、ブリタニア皇族
でも例外では無い。そこに身分は関係ないのだが

「も、もうこれ以上はできぬ・・・・・」
「最早ですか!?まだ30分程度ですぞ!!」
「それでも無理なものは無理なのだ!!休ませてもらうぞ!!!!」
そう吐き捨て訓練場を後にするのは皇族の一人、ドレイク・サン・ブリタニア
極度にして重度の臆病者にして怠け者。この訓練も中途半端にしかやらない
皇族の面汚し的存在でしかない。
「まったくドレイク様は」
「言うな、バルト様に聞こえる」
バルト・サン・ブリタニア、ここヘレナの王。詳しい事は後にするとして――――
ドレイクに呆れている兵士達、彼は今では28にもなると言うのに政治には無関心
特に何かすると言うわけでもないグータラ野郎として軍、住民、領民の評判は
それはひどいものが有った。
「兄があれなら弟もどっこいだな」
「ああ、兄弟そろって・・・・・なぁ」
ドレイク実の弟、クルーガー・サン・ブリタニアも同じ様な者で親の七光と言われる
始末でとても手に負えない位の悪評価。それでもこのヘレナは北方と本国及び各
領地とを結ぶ主要交通の要と位置図けられているため産業、商業が盛んで重要地と
されているので一定の援助がある。それが無ければここは荒地になっていただろう
「あの兄弟とは天と地の差だな、あのお二人は」
「そうとも!ライエル様方が居なければここはどうなっていた事か」
「妹のフレイ様の影響力にエレナ様の統率力は見事なものだ」



その訓練所の側では
「はっ!!いやぁ!!」
「まだ筋が甘い!!隙を見せれば一瞬ですぞ!!!」
訓練場で剣の鍛練を積む青年こそライエル・エス・ブリタニア、ライだ。汗を大量に
流しながら必死に鍛練を積んでいる、努力こそ人間を成長させるというライの母
エレナ・皇・ブリタニアの教えを信じて。ここヘレナの統治全てを取り仕切る女傑


259 :テリー:2009/03/03(火) 21:49:26 ID:J6OeY1fM
その政策力は本国にいる高官も助言を求める程、ヘレナが栄えているのはこの方
のおかげなのだ。その娘でライの妹、フレイ・皇・ブリタニアは一言で言えば
格闘家だが漂う雰囲気が尋常ではない、後の歴史書にはシャルルにも負けじ劣らず
だったと記されている。



ガキィィィィィン!!!!
ライの持つ剣が弾かれ床を滑りライはその場に片膝をつけてしまいライと訓練を共にしていた将校に剣の切っ先を突き付けられる。
「もうへばりましたか、ライエル殿?」
「ま・・・・まだ・・・・まだ・・・・クッ!!」
ライは立ち上がろうとしても足はフラフラで剣を持とうにも腕は鉄の様に重かった
それも無理は無い事、何しろ日の出と共に訓練を始めかれこれ6時間以上も剣を
振り続けていたのだから。
「しかしお見事ですライエル様。その勇気と諦めの悪さに負けず嫌い、素晴らしきもの」
「ハァ、ハァ、お世辞・・・・か?それとも・・・・嫌味・・・・か?」
「滅相もありません!褒めですよ」
その言葉にその場に居合わせている兵士が笑い、ライも苦笑いを浮かべる。
ここの守備隊はライの努力と力を認めている、ライも兵士達の努力と勇気を解っている
だからこそ身分を超えた友情が生まれこの様な憎まれ?口をたたかれても気にも留めないのだ・・・・・・・・でも


「こらーーーーーーーーーーー!!!!ダグラスーーーーーーーーーー!!!!」


と猛烈な勢いで飛び蹴りをさっきまでライに特訓をしていたヘレナ守備隊部隊長
騎士ダグラスにくらわすも
「単調すぎますよフレイ様」
と難なくかわされるライの妹フレイはカンカンに怒っていた
「兄様にこんな無茶をさせるとは何事ですか!!!?」
「毎度毎度言ってますがライ様が自ら望んでの特訓ですけど」
「それが何です!!!だいたい貴方は何時も―――」
と、ながーーーーーーーーーーいお説教?が始まった。



260 :テリー:2009/03/03(火) 21:50:52 ID:J6OeY1fM

(また始まった・・・・・)
ライの事となるとフレイはもう親馬鹿以上の過保護になる、その長いお説教の
犠牲になった将校は数知れず。
「聞いてるんですか!!?ダグラスさん!!!」
このお説教を止められるのは
「フレイ、そのへんにしないか!私が望んだ事なんだから」
「はい、解りました!!兄様」
ライが来た途端に頬を赤く染め可愛い妹に戻るフレイ、訓練時や公務の時は戦士の
表情を見せるも母やライ、友人の前では何時も笑顔を見せている。そのせいか一部の
兵士から二重人格者か?と言われている。
「ライエル、フレイ!ここに居ましたか」
「「母上!!」」
2人の母、エレナは数人の重臣を従え訓練場に来た。その表情や漂うその気はとても
優しいものがある。
「エレナ様!」
ダグラス以下その場に居合わせた兵達は皆跪き彼女を称える姿勢を取る
「皆私の息子、娘が厄介になっています。このエレナ、感謝いたしますよ」
「勿体なきお言葉、ありがたく思います」
「それよりどうなされたのです?この様な所へ」
エレナも剣の鍛練の為にここを訪れる事はあるが今は公務の最中のはず
「そうでした!ライ、フレイ、お友達が来てますよ」
「本当ですか!?」
「皆待ってますよ、行っておやりなさい」
「はい!!行こうフレイ!!」
とても嬉しそうに笑ってライとフレイは訓練で疲れているはずなのに駆け出して行った
それをいとおしむ様に見つめるエレナの表情は幸せそのものだった。
「元気ですなぁ羨ましい」
「ええ、この平和が仮初に成らなければいいのですが・・・・・」
「バルト様の事ですか?」
その言葉に重臣達もエレナも顔をしかめる
「・・・・何とかしなければなりませんが・・・・私にはどうする事も」
エレナは確かに人気も高いし臣下達や住民の支持も高いがいかんせん日本から嫁いできた
身の上に女と言う事もあり立場が低い。これが本国なら強力な発言力を持っているが
ヘレナの政権下では男の立場は非常に高い(政権内に限って)



261 :テリー:2009/03/03(火) 21:52:01 ID:J6OeY1fM
「あの王宮の状態・・・・見れる物ではありませんですからなぁ」
「おや、揃いも揃っていかがなさいましたかな?」
エレナ達の所に現れたのはそれはそれは脂ぎった顔をしている中年男達
彼等はバルトの重臣達で無能+おべんちゃんの美味い人間ばかり。自分の
私利私欲の事しか頭にないクズどもなのだ
「いえ、ただの散歩ですわ」
冷たい目で睨みつけるエレナや将軍、兵士達。
「左様ですか、あまり出しゃばった事はお控えなさる事をお勧めしましょう」
「その通り!長生きしたければな」
とゲラゲラ笑いその場を後にする彼等を睨みつけながら送る
「腐れどもが!!」
「国の恥さらしだわ!!」
「お止めなさい!何を言っても駄目です、今は耐えるのです。必ず時は来ます」
重臣達を宥めるエレナも悔しさを隠し通せないでいる。
バルトは中年男達の言葉を重要しエレナ達真に国や民を想う臣下達の言葉を重要しない
でいる。そのためバルトよりもエレナの言葉を信じついて来た民はほぼ全員と言っても
過言ではない。


それに飽き足らずさらに酷いのは王宮その物だ


酒池肉林


聞いた事のある人は多いはず。広大な王宮内部では男女達が裸で池や林を追いかけっこ
しながら何日も宴を催していると言う有るまじき所と化している。何万tもの酒に
何万tもの肉、そこで毎日遊び呆ける後宮の女性達。更にはライの腹違いの兄達も
その中にいると言う始末。

それを目の当たりにしているエレナ達は此処に絶対に近ずこうとしない。

その為に民の税金がいくら使われている事か・・・・・止めようにもエレナ一派の
勢力は力が弱く軍隊も全てライの元に集中しているから何ともできないのだ・・・・
逆らえば命は無い・・・・と言うことなのだ



262 :テリー:2009/03/03(火) 21:53:50 ID:J6OeY1fM
さて城下の町では活気に溢れ返っている
この町の名前は「アルウス」エレナ首都で後ろを険しい山脈で守られている天然の
要塞としても結構名高く町は高さ約15mはある城壁で囲まれている。ここに行くには
北方からは正面を流れる大河「ウイントシュト―ス」から港がある拠点「スピリッツ」まで船で渡るしかない。
平坦な道を通っては本国など西方向にある領地からしか行けず周りはやはり険しい山脈
が連なっているため通る事は出来ない。
そんな所でも力強く人々は生きている、そんな町並みを全速力で駆け抜けていく
ライとフレイの先には20人位の友達が待っている
「ライーーーーーーー!!フレイちゃーーーーーーーーん!!」
「遊びに来たぜ!!」
「寂しくなかったかしら?フローラお姉さんが会いに来てあげましたよーー」
「もうフローラちゃんたら!」
ライを皇族と知っていてもこうして友達は結構多い、駆けて来たライとフレイをみて
挨拶するのは
メリッサ、ライの彼女で周りが引くほどのバカップル(メリッサの一方的な)で町では
世継ぎが楽しみだと騒がれている、ちなみに髪はオレンジに近く眼は緑。両親は全国を
回る商業団の一人でブリタニア全土を何度も回っている。
 コルト、ブリタニア本国軍の騎士を父に持つ騎士見習い。馬に乗るのが大好きで
その乗りこなしは結構上手くここで乗馬を楽しんでいたライと出会い友達となった悪友?
 リンダ、ライよりも年上の姉的存在、だがフレイから強烈なまでの敵対心を燃やされている。困ってる人をほおっつておけない性格の黄色の髪をした美人さん。
 ソフィア、リンダと同い年で彼女の親友。両親が鍛冶屋のためか物作りが得意で
しょっちゅうフレイが折る剣を直したりしている、少し男性恐怖症があるのがキズと
言われるカワイ子ちゃん。
 他にもたくさんの友達がライとフレイにはいるも皆帝都に住んでいるため滅多に会えないでいる。
「皆久し振りだね!!元気にしてた?」
「それにしてもよく来れたわね、学校休みなの?」
「ええ、今夏休みのまっさい中でね!!それにライが寂しくしてるかなーーーーー
って思って」
と悪戯っぽく微笑むリンダにメリッサとフレイが笑顔で
「そんな事はありません、リンダさん」
「そうそう、寂しさを紛わせられるのは私だけだから」
と目を笑わさず語り、三人の間には目に見えない火花がちっていた
「このモテモテが・・・」


263 :テリー:2009/03/03(火) 21:55:26 ID:J6OeY1fM
「呪い殺す・・・必ず!!」
「このフラグ建築士が・・・・」
憎悪の黒いオーラをしのばせるのは男の方々
「あ、あは、あははははははは。」
と冷や汗を流すライでした。この後、夜遅くまで乗馬や格闘妓大会に合戦
日向ぼっこなどすごく楽しい一日を過ごした。




その帰り道で
「やあライエル君、フレイちゃん、ご機嫌いかがかな?」
「あ、これは遠路はるばるようこそゴドウさん!」
ゴドウとは北の蛮族出身のこれまた商人でライやメリッサら子供達に自分の旅の話や
自分の一族の話を話してくれる心優しいおじさん。
「どうしたんです?やけに暗い感じですけど」
「うん、なんか怒ってるように見えるよ?」
顔は笑顔だが雰囲気がどことなくピリピリしていたし彼の仲間は露骨なまでに
不機嫌な顔をしている者さえ見える。
「君達の親父さんさ、我々北の蛮族を下賤な輩だと罵ったんだ。私達は自分の
生まれに誇りを持っているし皇帝陛下もブリタニアもそれを尊重してくださっている。
にも拘らずだ」
「ごめんなさい、私達の親が酷い事を」
しゅんとなるフレイの頭を優しく撫でゴドウは言う


「謝る事は無いよフレイちゃん、言ってやったさ!貴様らの様に国に恩も感じず
ただ悪戯にメシばかり食いロクに動かない豚には我ら下賤な者の誇りすら解らんだろう
そう!!豚には真珠の様な高貴な魂など解る事も出来ぬ、何時かライエルの内に秘める
炎に焼かれ丸焼けとなり消え去るであろう!!貴様らがいくら束となろうとも百万の軍
を従えようともライエルにはかなう事は永久に無い!!とな」


「「・・・・・・・・・」」
周りからは拍手が起こっていた、いつの間にか声が大きくなり町中に聞こえるくらいの
大きな声となっていたらしい。


264 :テリー:2009/03/03(火) 21:57:15 ID:J6OeY1fM
「ゴドウさん顔真っ赤ですよ?」
「ほっとけ!!」



現代
「・・・・・・・・・」
「何頬膨らませてるの?」
ぷぅと不機嫌になっているシャーリーに?が飛び交うライ。君は乙女心をよく理解
しなさいライ君
「ライを好きなのは私だけだったのになんか悔しい!」
「そうは言ってもなぁ、本気で好きなのは後にも先にもシャーリーだけなんだけど」
と困った顔をするライの目は真剣
「・・・・も、もう・・・・ライに免じて許してあげるけどこの後しっかりと
証明してもらうからね!!・・・・身体で」
と真っ赤になるシャーリーにライも赤くなり
「お手柔らかに」
と言うしかない。こんな所でニヤニヤしたらどうなるか
「それで、その後はどうなったの?」
「うん。あの3人はとんでもない事を考えていたんだ――――」




再び過去に・・・・・・・その夜




「あの下賤め!!蛮族のくせに生意気な事を言ってくれる」
怒りに震えるバルトは今や国中の笑い者となり下がってしまった、と言うより
今ようやく気付いただけだけど
「ライエルも気に入らん!!年下のくせに頭に乗り過ぎだ」
「フレイも言う事すら聞かない、あんな奴らなんか!!」
2人の兄妹もこの通りだ、大人気ない事この上ない奴らばかりで呆れる
と言うより毎晩この二人はフレイに夜這いを掛けようとしている不届き者


265 :テリー:2009/03/03(火) 21:58:42 ID:J6OeY1fM
今また失敗して来た所なのであるそうだ
「だがそれも此処までよ・・・・まもなく此処は火の海となる。愚か者共の
町などようは無い。それに此処の生活にも飽き飽きしてきたしな」
「素晴らしい父上!!こいつ等が居なくなればその分の食べ物や酒が入る!!」
「若い女だけでも連れて行き奴隷にするのも良いかもな!!」
暗がりの部屋の中では狂喜がはびこっていたのをこの時には勉学に励むライも・・・・
スヤスヤと眠る町の誰も知らない・・・・・
(それにこれで騒ぎが大きくなればあの若僧皇帝も失脚させる事が出来る
あんな小僧が皇帝で私がこんな辺境な地の王など似合わない。私こそが皇帝
に相応しいのだ!!クハハハハハハハハハハハハ!!!)



その北約500kmにある城、名を「サイサリス」北の蛮族の首都が置かれている城
その外見はまるで暗黒に包まれているかのように黒い。



その城門は開かれ次々と兵達が進軍を開始していたその列は100kmにもおよび
さながら蛇の中でも最大の大きさを持つ大蛇「ヨルムンガルド」の様



その列は・・・・・・・・・・まだ途切れる事を知らないでいる





266 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 22:00:27 ID:LfB2FqG2
支援

267 :テリー:2009/03/03(火) 22:01:01 ID:J6OeY1fM
以上ですが2つほどお詫びを 注意書きの所にオリジナルキャラとオリジナル設定
が入っています。とまた15分ほど開けませんでした事を深くお詫びいたします。
ではまた。


268 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 23:16:49 ID:LfB2FqG2
>>267
テリー卿、乙でした。
なんというか、ぶっちゃけ読みづらい。
長音や感嘆符が多いことと文章の切れ方が半端な事が原因かな、と思いました。
話の流れはそんなに悪くは無いと思います。
貴方の次の投下を待っています。

269 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 23:29:08 ID:mpygJECZ
オリジナル展開は難しいだろうから、
あまり風呂敷を広げずに頑張ってください


270 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 23:47:13 ID:XQeGOmiy
0時近くに投下します。
途中、念のためですが、支援を数回入れてもらえると助かります。
よろしくお願いいたします。

271 :創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 00:00:47 ID:sw8BWsOD
こんばんわー。
時間ですので投下いたします。
えー、以前から少しずつ書き進めていたやつです。


タイトル 賭け 前編
カップリング ライ×アーニャ
ジャンル 未定(笑

設定は、ゲームで言うと行政特区日本設立後になります。
なお、今回は前編となります。
楽しんでいただければ幸いです。


272 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/04(水) 00:02:00 ID:sw8BWsOD
出会いとは、いろんな形がある。
その後の関係も……。
そして、これはそんな中の一つの出会いと関係の話…・・・。


賭け 前編




「では、ライ、視察の皆様のご案内をよろしくお願いしますね」
ユーフェミア様は、にこやかにそういうとスザクを連れ立って部屋から出て行った。
出て行く間際に、スザクがごめんって感じで手で合図をしていたのだが、僕はよくわからず呆気に取られていた。
なんで…僕が……。
その時はそう思ったが、後からスザクから理由を聞いて納得した。
どうやら、本国でも特区日本を守護する二人の白騎士はかなり有名になっているという話だ。
それに元イレブンであり、ユーフェミア皇女殿下の婚約者であるスザクよりも一応ブリタニア人の僕の方が皇族や女性受けがいいのが選抜の理由ということらしい。
スザクはそう説明した後、小声で付け加えた。
どうやら視察団うちの一人の女性の指名というのが本当のところとか……。
確かに女性に興味がないわけではないが、どうも皇族というと親戚というイメージが先行して恋愛対象と思わない感じがするんだよなぁ。
それに、皇族や本国の貴族連中はガチガチのナンバーズ嫌いばかりだし…。
だから、いくら慕われてもねぇ…。
本当に頭が痛いよ……。
そんな風に思っていた。
だから、そこそこ相手をして、誤魔化すしかないか……。
そんな事を考えていたし、その通り実行した。
そして、視察最終日の夜……。
僕は、パーティ会場の離れたベランダで一人たたずんでいた。
ふぅ……。
口から溜息が出る。
やっと開放される。
そう思ったら、自然と出ていた。
おおむね皆さん満足されたみたいだし、問題なく終了したみたいだ。
もっとも、僕に御執心と思われる皇族の女性からのベッドへのエスコートはお断りしたので、その女性にしてみれば不満かもしれないが……。
ともかく、一気に肩の重しが落ちた気がする。
すごく気が楽になった。

273 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/04(水) 00:03:58 ID:sw8BWsOD
明日は非番だからのんびりして、明後日はスザクと久々に模擬戦でもするかな。
確か、クラブの改修が終わったって話だったし…。
そんな事を考えていたら、後ろから声を掛けられた。
「いい?」
そこには、ドレスを着たピンク色の髪の少女が立っていた。
確か…彼女は……。
僕は、慌てて直立不動の姿勢をとる。
そう、彼女の名は、アーニャ・アールストレイム。
ラウンズの一人であり、今回の視察団の一人としてここに来ていた。
そう言えば、よく見られていたな…。
それに写真も撮られていたような…。
もっとも、迫ってくる女性をかわすことを優先していたので気にはしなかったけど。
ふとそんな事が頭に浮かぶ。
ともかく、ここは無難に返答しておこう。
「はっ、どうぞ」
だが、そんな僕の対応に、何を思ったのか無表情のままじーっと顔を覗き込まれる。
今の溜息……聞かれたかっ……。
すーっと汗が背中を濡らす。
やばいなぁ……。
油断しすぎたっ。
そんな事を考えていたら、無表情のまま彼女は言った。
「軍務以外の時もそう対応するの?」
その予想外の言葉に僕は「はぁ?」と何気なく答えてしまう。
ますますじーっと覗き込む彼女。
何か言い訳を言った方がいいのかもしれない。
そう思って口を開こうとしたが、その前に彼女の方が反応した。
「ふーんっ…」
それだけ言うと何を納得したのか、そのまま彼女は踵を返してパーティ会場に戻って行った。
何だったんだよ、今のは……。


次の日の朝早く、僕はスザクに起こされた。
だが別に一緒に住んでいるわけではない。
ドアを叩く音で叩き起こされたというのが正しい。
「どうしたんだよ…、こんな朝早くにぃ…」
欠伸まじりの文句をドアを開けてスザクに言う。
今日は、僕は非番のはずだけどなぁ…。
なんか重大な事でも起こったのだろうか…。
でも、そういう時は、電話とかで連絡してくるし…。
瞼をこすりながらそんな事を考えていた。
「ごめん…ライ。非番なのはわかってるけどね」
苦笑してそう言った後、スザクはきりっと真剣な表情になった。
「アールストレイム卿が、模擬戦の相手に君をご指名だよ。すぐ出かける支度をしてくれ」
その言葉に僕は驚いた。
「そんな予定なかったんじゃ…」
「うん。なかったよ」
すばやくそう返される。
「じゃあ…なんでまた…」
そう答えると、スザクは僕の肩をポンと叩いて言った。
「ライ、言ったよね…。今回の件で女性の指名があったって……」
「ああ、聞いたよ。だから、問題ない程度には相手をしたけど……」
まぁ、ベッドへのエスコートは断ったがきちんと対応したし、問題にはならないと思うのだが…。
それにパーティが終わる頃には大変満足そうだったけどな。
僕の表情から、それを読み取ったらしい。
「いや、ご不満らしいんだ。だからだよ…」
スザクがすぐにそう説明する。

274 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/04(水) 00:05:30 ID:sw8BWsOD
「へ?!」
ちょっと待て。
スザク、今、なんと言った?
ご不満だと?
それが模擬戦とどう関係するんだ…。
そこまで考えて、昨日の夜の事を思い出す。
「まさか…」
「そう、そのまさかだよ」
スザクは、呆れたような表情を見せた。
「僕に御執心の女性っていうのは……もしかして……アールストレイム卿のことかっ」
スザクは、こくりと頷く。
「言ってなかったっけ?」
真顔でそんな事を聞いてくる。
「聞いてないぞっ」
僕は、ちょっとイラっとしてそう答える。
するとスザクのやつは、にこやかな笑顔で言い切った。
「あ、ごめんね」
「ごめんですむかっ」
思わず、そう答えた。
眠気が一気に覚める。
「でも、相手を勘違いしたのは、ライだからなぁ」
そんな事を言い出しているスザクに、僕は、今、初めて殺意を覚えた。
こういう天然なのはわかっていたが、ここまでとは…。
しかし、今更何を言っても始まらない。
「わかったよ、どうすればいい?」
結局、前向きに行動するしかない。
「大丈夫、車を手配しているから、すぐに着替えて出かける準備をしてくれればいいよ」
そう説明するスザクを感謝する気にはならなかった。
こうなったのもスザクが悪いんじゃないかっ。
そう思っていたから…。
だから、さっさと彼を部屋から追い出すと身支度を素早く整える事にしたのだった。


30分後、僕は模擬戦の行われる場所に着いた。
車から降りるとロイドさんとセシルさんが僕を見つけて、手を振って呼んでいる。
改装されたクラブの説明の為だろう。
「しかし、君も大変な人に気に入られちゃったねぇ。むふふふふ」
説明しながらロイドさんがニタリとそんな事を言ってくる。
それを慌てて別の話題を振って誤魔化そうとするセシルさん。
いや、大丈夫ですよ、セシルさん。
もう慣れましたから…。
苦笑し、ロイドさんに言い返す。
「そのおかけで面白いデータが取れるんじゃないですか。終わったら何かおごってくださいよ」
軽く冗談ぽく言ってみる。
これ位言っても罰は当たるまい。
「そうだよねぇ。うん、君の言うとおりだよ。よしっ、今夜の夕食は僕がおごるよ」
ご機嫌にそう答えるロイドさん。
ナイトオブラウンズとの模擬戦は、それほど楽しみなのだろう。
いやぁ、言ってみるものだ。
そんなやり取りを呆れて見ているセシルさん。
多分、「ああ、ライくんもすっかりロイドさんに染められちゃったのね」みたいな事を考えているのだろう。
表情がそう語っている。

275 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/04(水) 00:07:43 ID:sw8BWsOD
まぁ、雑談はそれくらいにして本題に入ろう。
「で、アールストレイム卿のナイトメアのデータありますか?」
僕がそう言うと、情報末端からデータをディスプレに映し出してくれる。
彼女専用のナイトメア「モルドレッド」。
その詳細なデータがずらずらと映し出される中、そのデータを確認して僕は苦笑した。
「すごいですね…。まさに動く砲台って感じだ」
「そうだねぇ。彼女のナイトメアは、火力と防御力重視だからねぇ。かなり硬いよぉ〜」
ロイドさんが面白そうにそう解説する。
「だけと、その分、機動力と格闘戦には不向きな感じですね」
その解説にディスプレを凝視して僕はそう答える。
「だけど、接近戦だとしてもMVSでもなかなか突破は無理だし、長距離だとクラブの火力では、貫けないわよ」
僕の言葉にセシルさんがそう切り返す。
「でも、シールドが硬いとしても全方位展開じゃありませんよね」
「そうね。ランスロットと同じ様な感じかしら」
セシルさんのその言葉に僕はニヤリとしてみせた。
「提案してあった改修がされているようだったら、何とかなりますよ」
そんな僕の言葉にロイドさんは、ますます楽しそうな表情をした。
「もちろんだよぉ。ご注文どおりにやっといたから…」
ロイドさんがここまではっきりと言い切ったのなら問題はないだろう。
「でも、かなり繊細だから大変だと思うわよ。仮想データだけでしかやってないから……」
心配そうに僕の顔を覗き込むような感じで見ているセシルさん。
まぁ、ぶっつけ本番っていうのは確かにきついかもしれない。
でも、まぁ、なんとかなるかなという自信はあった。
だから、そんなセシルさんに自信ありげに微笑み返す。
「大丈夫ですよ。ある程度の仮想データがあるだけでも助かりますし、予想通りならうまくいくと思います」
そして、気になった事を切り出す。
「ところで判定の方法はどうするんですか?」
そうなのだ。
火力重視のモルドレッドで模擬戦の場合、その点が気になっていたのだ。
「まぁ、予想してたと思うけど、模擬弾とコンピューター処理判定がメインだね。後、格闘戦は、寸止めでお願いするからねぇ」
気楽に言うロイドさん。
いやぁ・・・あの重装甲に寸止めって・・・。
まぁ、とやかく言うまい。
ともかくやってやろうじやないか…。
それにやる以上は、勝ちたい。
ナイトオブラウンズと模擬戦なんてめったに出来ることではないからなぁ。
そういえば確か……ナイトオブラウンズとの模擬戦なんてノネットさんとやったとき以来だ。
でも、ノネットさんの時はスザクと僕の2対1だったし、それにノネットさんは専用機でもなかった。
そんな条件でも圧倒されたっけ…。
ふとそんな事を思い出し、苦笑してしまう。
たが、あの時とは大きく違う。
あれから1年以上が過ぎて僕の腕も上達したと思うし、何より僕自身もクラブという専用機を手に入れている。
負けられない。
そういう思いが、沸々と湧き上がってくる。
アドレナリンが全身を駆け回っているような感覚だ。
僕は、ゆっくりとディスプレから目を離すとクラブの方に目をやった。
頼むぜ、相棒。
僕は、心の中でクラブにそう声をかけていた。



276 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/04(水) 00:10:25 ID:sw8BWsOD


ポワーーッ……。
キュルルルッ・・・・・。
コックピット内が独特の起動音とディスプレの光に満たされる。
OSが立ち上がり、各部のチェックを始める。
「すべて問題なしっ。こっちはいつでもいけますよ、セシルさん」
各部のチェックが終わるとサブモニターの隅っこに小さく写るセシルさんを見て報告する。
「こっちでもチェック終わりました。ランスロット・クラブ、発進どうぞっ」
僕はスティックを握りなおすと深呼吸をした。
「ランスロット・クラブっ……。行きますっ!!!」
その声と同時にクラブを発進させた。
一気に急なGが身体を襲う。
だが、それは僕にとって身が引き締まる様に感じられて気持ちが良かった。
さぁ、やってやるっ。

模擬戦地域では、すでにモルドレッドが僕を待っていた。
「すみません。お待たせしました、アールストレイム卿」
僕はそう無線で話しかけた。
「そうね。少し待った…」
短くそう答えるアールストレイム卿。
相変わらずの無表情な顔がサブディスプレに映し出される。
その言葉と態度に少しカチンときた。
急に言い出したのはそっちだろう。
そう言い返したかったが、相手は皇帝陛下直属の騎士だ。
言い返せるはずもない。
「すみません」
短く、そう返事をする。
なんだよ、この女はっ…・…。
だから、本国にいる貴族とか皇族っていうのは嫌いなんだよ。
表情には出さず、そう心の中で不満をぶちまけている時だった。
「賭け……する…。いい?」
へ?
賭け?
いきなり、なんでそうなる…。
僕がアールストレイム卿の急な提案に驚いて何も返事出来ないでいるとそれを承諾と認識したのだろう。
そのまま話を進めていく。
「私が勝ったら1ついう事をきいて」
「え?!」
言葉に詰まる。
どういう事だよ…それは……。
だが、そんな混乱しかけた僕にお構いなく言葉を続ける。
「貴方が勝ったら……」
そこまで言った後、サブモニターの彼女の姿が消えて一気にモルドレッドが攻撃を開始した。
「くそっ。なんなんだっ…」
そのおかげで混乱しかかった頭ははっきりしたが、それどころではないほどの火線が幾重にも迫ってくる。
「くっ…」
一気に出力を上げ機体を加速させると火線の間を曲芸のようにくるくると避けていく。
コックピットのスピーカーが危険を知らせるブザー音をがなりたて、「すごいっすごいっ」というロイドさんの声、「不謹慎ですっ」というセシルさんの声がそれに続く。
ギリギリと身体をGが締め上げ、それに耐えるため歯を食いしばる。
身体は、その激しい動きに悲鳴を上げていたが、頭の中は別だった。
勝つためにするべきことが頭の中を駆け抜けていき、それに合わせてスティックを小刻みに動かして避けていく。
思ったよりも激しいじゃないかっ。
だが…それ以上じゃないっ…。
僕は、少しずつ距離を詰めていき、一瞬火線が弱まった瞬間を狙って突っ込んだ。

277 :創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 00:12:12 ID:eb7dM8hu
支援

278 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/04(水) 00:12:28 ID:sw8BWsOD
いけるっ…。
そう思った瞬間、待ち構えたようにハドロン砲が発射された。
反応するままに回避運動を行い、シールドを展開する。
多分、完全に回避しきれない。
そう判断したためだが、それは間違っていなかった。
モニターに被弾の表示が一瞬点滅する。
かわしきれず、シールドに掠めたのだろう。
もっとも、今の攻撃と回避行動をコンピューターは、被害なしと提示した。
それでもシールドエネルギーの消耗が激しい。
すごい威力だ…。
こりゃ、何度もは無理だな。
出来て後2回ってとこか……。
再度激しくなった攻撃を回避しながらデータを修正していく。
思った以上にモルドレッドの反応が早い。
見せてもらった機体データ以上だ。
さすがナイトオブラウンズと言ったところか。
相手の出方を伺うため回避に専念していると再び火線が弱くなる。
誘っている…な。
脳裏に無表情の彼女の顔が浮かぶ。
いいさっ、やってやるっ…。
僕は、コントロールスティックを握りなおすと火線の中に突っ込んでいった。

「うーん…。なんか今日のライくんの動き、強引過ぎませんか?」
空中で行われる戦いをモニターしながらセシルが呟く。
模擬戦がスタートしてすでに5分が経過していた。
火線が弱くなると突撃を繰り返し、その度にハドロン砲で攻撃され回避して距離をとる。
それが何度も繰り返されていた。
「そうだねぇ。なんかそういう感じするねぇ。彼らしくないっていうか……」
ロイドが歯切れが悪そうに同意する。
だが、一人スザクだけは別意見のようだった。
「さすがだと思いますよ、ライは……」
彼は空中で激しく動きあう2つのナイトメアを見上げてそう答えた。
「え?!」
思わぬ意見にセシルがモニターから目を離し、空を見上げた。
ロイドは、興味深そうにスザクを見ると聞き返す。
「その根拠はなんだい?スザクくん」
その顔には笑みが浮かび実に楽しそうだ。
空を見上げてナイトメアの動きを目で追いながらスザクが答えた。
「数字だけだと同じことの繰り返しの様ですけど、動きを見てたらわかります。少しずつ軌道を修正してますよ。
だから、1回目は回避しきれずにハドロン砲をシールドで受け流したけど、それ以降はかすってもいません」
そんなスザクの言葉にうなづくロイド。
「確かに…。数字だけではわからないねぇ、それは……。で…スザクくんの考えとしては、彼は勝てそうかい?」
ロイドだけでなく、セシルも視線をスザクに移すと彼の答えを待っている。
「わかりません。ですけどそろそろライが仕掛けると思いますよ」
拳をぎゅっと握り締め、2機の動きを目で追い続けるスザク。
そして、スザクの言葉に誘われるかのようにロイドとセシルも2機の動きを目で追い始めた。



279 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/04(水) 00:13:44 ID:sw8BWsOD

つまんない……。
何度も繰り返される単調な攻撃にアーニャはうんざりしていた。
これなら、模擬戦しなくてもよかった。
ふとそんな事が頭に浮かぶ。
そして、幻滅し、悲しい気持ちになる自分がいた。
ノネットの嘘つき……。
話してくれたこととまったく違う。
彼女が話してくれたライは、すごくかっこよくて、優しくて、そして強いはずだった。
それなのに……。
ああ…、こんなことなら、来なければよかった。
会わなければ、こんなに幻滅する事も悲しくなる事もなかったのに……。
もう……いいや……。
終わらせよう。
そう決断すると、アーニャはわざと攻撃を弱めた。
そう、ライを誘い込むために。
ほんと……つまんなかった。
そう思いながら・・・・・・。

攻撃が一瞬弱まる。
よしっ、そろそろ仕掛けるか。
シールド強度のゲージを最大まで上げる。
シールドエネルギーのほとんどを消費するが、これであのハドロン砲の直撃を1回だけだが完全に受け流せるはず……。
だがさっきまでとモルドレッドの攻撃してくるタイミングが違う。
つまり、彼女も仕掛けてくるということだ。
くそっ、なんでわくわくするんだっ、僕はっ。
そんな事が思い浮かんだが、今はその思いを胸の中に押し込めた。
くるくると機体に回避運動をさせながらモルドレッドに接近していく。
多分、ハドロン砲を牽制に使って、こっちの回避方向に火力を集めて攻撃してくるに違いない。
その為に、何度も単調と思えるような攻撃を繰り返してきたのだ。
うまくかかってくれればよし、かかってくれない時は、強引に懐に割り込むだけさ。
そう決心し、スロットルを一気に踏み込む。
「勝負だっ!!!」




つづく

280 :創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 00:15:38 ID:sw8BWsOD
以上で前編終了です。
まぁ、早めに後半投下する予定ですので、読んで気に入った方はお楽しみに。
それと、支援、ありがとうございました。


281 :創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 00:43:45 ID:JHkrJfDa
>>280、乙です!
へへ… 続きが気になるぜ…

282 :創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 00:49:06 ID:eb7dM8hu
>>280
あしっど・れいん卿、GJでした!
というか相手をした女性は誰なんだw
ノリノリなロイドさんがらしいなぁ、と思えますね。
相手の動きを見つつ、勝負にかかる……ところで「つづく」の文字が。
さてさて、どうなることやら……
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

283 :創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 14:51:58 ID:xZlwbMuZ
乙でした!
ライアニャはかなり好きなカップリングなので、
これからアーニャがライにどう惹かれていくかがすごく楽しみです。
続き期待しております!

284 :創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 21:42:07 ID:BTYjPBJC
トーマスゲロ吐いて病院行きで廃人フラグktkrww
あいつこのままいなくなればいいのにww

285 :創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 22:09:34 ID:h3rG6tSq
ではライモニ(+テンさん)の短編投下しまーす

286 :創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 22:11:04 ID:h3rG6tSq
 ほのかに漂う香りを嗅ぎ、その後ゆったりとカップを傾け、味わい深い紅茶を楽しむ。
 それがモニカの日課であり、趣味だ。
「うん、美味しいね」
「でしょう?」
 目の前でモニカと同じようにカップを傾ける少年、ライの賛辞の言葉にモニカは表情をほころばせた。
 やはり自分の趣味が理解されるというのは嬉しい。
 ラウンズは貴族出身が多いというのに、貴族らしい貴族という者があまりいない。いつもモニカは一人寂しく日課をこなしていたのだ。
「アーニャは紅茶よりもジュースだし、ジノやノネットなんて論外。ヴァルトシュタイン卿とお茶なんて出来ないし……」
「はは、確かに」
「でも、ライって本当に貴族出身じゃないの? 作法も完璧だし……」
 そう言うと、ライは珍しく動揺を見せた。
「そ、そうかな? 僕は僕ほどがさつな人間はいないと思うよ」
「ふふっなにそれ」
 あまりに稚拙な誤魔化しに、思わず笑みが零れてしまう。ライ本人はそれではぐらかしているつもりなのだろうが。
 それにしても、
(出身を聞かれるのが困るのかしら……ま、これ以上はいっか)
 人が隠している物をわざわざ暴きたいとも思わない。興味はあるが、本当に大切な事ならいずれ彼の方から話してくれるだろう。
 それくらいには親しくありたいと思う。そういう相手だ。
「あ、」
 と、何かに気付いたライが声を上げた。
 首だけ振り返って見る。見た瞬間、モニカは嫌そうな表情を、隠す素振りも見せずに表に出した。
「ルキアーノ・ブラッドリー……何の用?」
「ほう、これはこれはクルシェフスキー卿。私に向かって何の用とは、無礼極まりないな」
 そういうのいいから、帰って。そんな無言の要求を視線で送る。
 しかしルキアーノは気にした様子もなく、
「まあいい。私が用があるのはこちらの男だ――ライ・ランペルージ」
「へ? 僕ですか?」
 ライは心底意外そうに首をかしげた。
 ルキアーノは続ける。
「就任の儀以来、挨拶をしていなかったからな。それでこのルキアーノ様が直々に来てやったという訳だ」
 なにを、いちいち偉そうに。モニカは忌々しげにルキアーノを睨んだ。
 こんな男を相手にする必要はないと言いたかったが、ライは真面目にルキアーノの言葉を受け取ったようだ。


287 :創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 22:12:21 ID:h3rG6tSq
 姿勢を正し、ぺこりと頭を下げる様子はやはり気品に溢れている。
「わざわざありがとうございます、ブラッドリー卿。新たにナイト・オブ・イレブンに就任したライ・ランペルージです。以後お見知りおきを」
「ああ」
 ルキアーノは一度頷いて、
「ところで……貴様の大切な物は何だ?」
 これにはライも質問の意図が理解出来なかったのか、
「大切な物……ですか? それはどういう意味でしょう」
 と、これまた真摯に答えた。
 ルキアーノはふん、と鼻を鳴らし高らかに宣言する。
「なに、個人的な興味だ」
「はぁ……」
 納得出来ない様子のまま、ライはすっと両目を閉じて思考に入った。
 それを見たモニカは、昔同じ事を問われた時の自分を思い起こしていた。
(私は何て答えたっけ?)
 確か、適当にあしらった記憶がある。
(大切な物……)
 ルキアーノは命という答えを持っている。だが、自分はどうだろうか。
 大切な物と言われても、明確な答えをそう持ち合わせてはいない。だからこそ自分ははぐらかしたのだ。
(ライは、何て答えるんだろう)
 普段なら追い払っているルキアーノを放置したのは、彼に対する微かな期待があったからだ。
 ライならば、きっと自分の出せない答えを持っている気がした。それを聞きたい。
「そうですね……」
 やがて、ライはゆっくりと口を開いた。
 真っ直ぐな視線をルキアーノに向けて、
「僕の大切な物。――それは、僕が今まで経験した出来事、そして出会ってきた全ての人々との思い出です」
 他の誰かが言ったなら、気恥ずかしくなるような台詞を、ライは誠実な表情で語った。
「ふん……変な男だ」
 ルキアーノはそれだけ言い残して去っていく。
 ただ、モニカの感想はルキアーノの物と同じだった。ルキアーノがいなくなったのを確認した後、
「本当、変よね。ライって」
「ええっ」
 少しショックだったらしい。ライは悲しげな表情を紅茶のカップで隠す。
 そんなライを微笑ましく思いながら、モニカも紅茶を一口飲んで、ふと、考え付いた質問をしてみた。
「ねぇ、ライ」
「ん?」
「さっき言ってた大切な物に、私も入ってるの?」
 ライは一瞬驚いたように目をまんまるに見開いた後、すぐに笑顔を浮かべて頷いた。

  ――もちろん。


288 :創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 22:13:06 ID:h3rG6tSq
以上、「なんで、モニカすぐ死ぬん?」とか、「節子それ、モニカやない、ドロテアや」とか、色々言いたいけどまあいいです。

289 :創る名無しに見る名無し:2009/03/04(水) 22:55:58 ID:JHkrJfDa
>>288 ライモニ珍しいですねw
ライはサラッと恥ずかしい事を言いますね!
GJでした!

290 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 00:02:07 ID:UDEtnOjt
投下しようと思います。
20スレぐらい予定しています。

291 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 00:07:49 ID:imDfnNht
支援

292 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 00:08:27 ID:UDEtnOjt
では投下します。

Another Lost Colors 色とりどりの世界を君に
 第三話

アニメともゲームとも違うパラレルワールドと思ってください。
 話の展開上オリジナルキャラ、オリジナル設定、オリジナル展開多数です、
 そういうのが苦手な方はスルーしてください。
 一応ライが主人公ですが設定がかなり違います。


293 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 00:10:02 ID:UDEtnOjt
「お久しぶりです、コーネリア皇女殿下」
 ヘリポートにライはコーネリアを迎えていた。
 後にはアルもついている。
「ライエルか、モスクワをおとしたそうだな」
「いえ、あれは兵達や部下達ががんばった結果です、私は何もしてません」
「ふん、相変わらずその自信に裏打ちされた謙虚さ、変わってないな。
 それよりそのしまりのない顔何とかならんのか」
「いえ、この顔は生まれつきですから・・」
 ライは多少苦笑した。
 確かにライの顔は軍人にしては柔和過ぎるというかあまり威厳がない。
「まあいい、それよりそっちの話は・・」
 コーネリアはもう1人いたエリア11の官僚に顔を向ける。
「はい、総督閣下の歓迎パーティー・・」
 その話を聞いてライは眉をひそめる。
(パーティー?今このエリアはそれどころかじゃないはずだ)
 案の定コーネリアはその官僚に銃を突きつける。
「ぬけている、ほうけている、堕落している、ゼロだ、早く私のもとへゼロを差し出せ」
「まあまあ、総督閣下、銃をお納めください、君、後で正副総督執務室にゼロに関する
 資料とこのエリアに関する資料を後でまとめて持ってきてくれないか」
「え?それはいつまでにございますか」
「いつまで?今日中か遅くても明日までに、ってもしかして用意してないの」
 ライはすでにそうゆう資料はすべてまとめて用意されているものと思っていた。
「いえ、その、事前に命令がございませんでしたので・・」
 官僚の言い訳がましい言葉を聞いて呆れた。
(普通命令がなくても事前に用意しておくものでだろう、コーネリアの言うとおり
 ほんとにほうけてるとしか思えない)
「総督閣下、副総督閣下、すでにそれらの資料はまとめてありますので今日中に
 提出いたします」
 官僚に代わって答えたのはアルだった。

294 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 00:13:37 ID:UDEtnOjt
 副総督執務室

 執務室のドアには統帥府直属帝立特務遊撃師団暫定司令部と書かれた手書きの紙が張られている。
 特撃はその性質上一箇所に留まることはなく、司令部は司令のライがいる場所におかれることがある。
 現在特撃は政庁基地に駐留し、一部は政庁を間借りしており司令部は執務室におかれることになった。
「こちらが資料になります」
 アルが持ってきた資料をライは目を通す。
「ゼロに関する資料はこれだけしかないのか」
「はい、警察もほとんどゼロに関する情報はつかめてないようです」
「これじゃあ、雑誌に書いてた内容とほとんど代わらないな」
「それとゼロが映っている唯一の映像をTV局から借りてきました。
 パソコンの中にすでに送ってありますのでご覧ください」
 ライはパソコンの中から映像データのアイコンをクリックした。
 パソコンと執務室のテレビにその画像が映った。
 枢木一等兵強奪事件の映像である。
(これがゼロ、それにしても大胆不敵だな、クロヴィスの専用車に模した車で
 正面から現われるとは)
 映像ではジェレミアとゼロの掛け合いが始まっている。
『言うぞ、オレンジだ』
『何、何のことだ、えーいこやつをひっとらえよ』
『全力で私を見逃せ』
「!!」
 この瞬間、ライは驚愕した。
「ちょ、今の!?」
「どうされました」
 ライはすばやくパソコンのキーボードを打ち、先ほどの映像をまき戻し再生した。

295 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 00:14:39 ID:UDEtnOjt
「これは、やっぱりギアスだ」
『全力で彼らを見逃すのだ』
 ジェレミアの顔を拡大し映像をクリアにしていく。
「ジェレミア卿の目が赤くなっている、ゼロはギアスを使ったんだ」
「!!ゼロも司令と同じギアスユーザーということですか」
 ライは書類をひっくり返してある書類をみつけた。
「前幕僚長バトレー将軍、クロヴィスの護衛を勤めていた親衛隊も
 クロヴィスの殺害された時間の記憶がないと証言している。
 ジェレミア卿はこの時のことをなんと言っている」
「確か記憶に無いと・・」
「やはりな、前後の記憶が混濁するのはギアスの後遺症だ。
 ゼロは私と同じ絶対遵守のギアスユーザーだ」
 ライはパソコンを先ほどの映像からシンジュク事変のデータに
 切り替えた。
 パソコンではシンジュク事変のナイトメアの動きが出ている。
「この時からレジスタンスの動きが格段に良くなっている」
「恐らくゼロが指揮したのでしょう」
「まるでナイトメアをチェスの駒の様に扱ってるな。
 これがゼロの指揮だとしたらゼロは相当な用兵家だな」
 ライは一旦書類とパソコンから目を離し考えた。
「アル、戦略研究班に言ってゼロを徹底的に分析させろ。
 情報部にはゼロに関する情報収集、どんな些細な情報も私に報告するように言え。
 ギアス解析班にはゼロのギアスの解析を頼む」
「イエス、ユアハイネス」
(ゼロ、もしかしたら僕にとって最大の敵になるかもしれない
 いや、もしかしたら味方以上に必要な敵かもしれないな)
 ライは再び書類に目を通した。
「ん?」
「どうしました」
「いや、これなんだがこのお金の流れ、うまくごまかしているけどどう見ても不自然なんだよ」
 アルはライから渡された書類を見る。
「確かに、科学技術向上のための研究費となってますが金額が大きすぎます」
「アル、すまないがこれについても調べておいてくれないか」
「わかりました、もしこれが本当だとしたらクロヴィス前総督は相当な予算を
 流用したことになります」
「死人に鞭打つまねはしたくないけどね、何か気になるんだよ」

296 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 00:16:13 ID:UDEtnOjt
翌日

 政庁奥にあるクロヴィスの私邸

 ライはここに訪れクロヴィスの書いた絵を見ていた。
「これを全部、クロヴィス前総督が」
「はい」
 クロヴィスの執事だった男が言った。
 ライは沈痛な面持ちでその絵を見た。
(素人の僕にもわかるほど良い絵だ。
 クロヴィス、皇族にさえ生まれてなければ
 芸術家として大成してたかもしれないのに
 哀れだ)
 ライは下を向いて少し涙をこぼした。
 ふとある絵に気づいた。
「この絵は?」
「亡きマリアンヌ様とそのお子様達の肖像画でございます」
(マリアンヌ様のご子息にご息女、確かこのエリア11で亡くなったと聞いたが
 ユフィが言ってたな、確か名前はルルーシュにナナリー)
 この事が後で重大な意味を持つことになるとはこの時のライは気づいてなかった。

297 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 00:18:20 ID:UDEtnOjt

 再び副総督執務室に戻ったライは政務に勤しんでいた。
 コンコン
 扉をノックする音にライは返事をする。
「はい、どうぞ」
「失礼します、副総督閣下」
 入ってきたのはスザクだった。
「突然お呼び出しして申し訳ない、枢木一等兵・・いえ、准尉になられるんでしたっけ」
「まだ、正式な辞令は出てませんがその予定です」
「そうですか、では枢木一等兵でよろしいですね、おかけください。
 今お茶をいれてもらいますんで」
 執務室のソファーに座らせ、お付のメイドにお茶を入れるように頼んだ。
「いえ、そのお構いなく・・」
「遠慮することはありません、本当はスザクと呼びたいし、ライと私のことは呼んでほしいのですが
 今は公務中なので勘弁してもらいたい」
「いえ」
 メイドがお茶を入れてライとスザクの前に出した。
「あの、この人は・・・」
「ええ、日本人ですよ、小百合さんっていうです。彼女の入れる紅茶は絶品です」
「恐縮です、ライエル様、今日は良いアールグレイが手に入りました。
 スザク様もぜひお召し上がりください」
「はい・・」
 スザクは少し戸惑っているようだった。
 日本がブリタニアに占領されてから、ブリタニア人からは名誉と差別され
 同じ日本人からは裏切り者と呼ばれた。
 それは仕方ないことだと思いつつ、悲しかった。
 目の前にいるライはブリタニア人の中でもさらに支配者階級の皇族である。
 本来なら自分を最も差別するべき立場にもかかわらずライはスザクに対して
 礼を尽くしている。
「今日貴方を呼んだのは他でもありません、貴方に聞きたいことがあるからです」
「聞きたいこと?」
 スザクは首をかしげた。
「ええ、ゼロについてです」
「ゼロ!?そのことでしたら取り調べのとき何度も・・」
「調書なら穴が開くほど読みました、ただ肝心なことが書かれてないんです」
「肝心なこと?」
「貴方はゼロについてどういう印象を持ったかということです」
「僕がゼロについてですか」
「ええ、話していただけますか」
「・・わかりました」
 スザクはしばらく考えた後、口を開いた。

298 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 00:19:18 ID:UDEtnOjt
「彼は間違ってると思います」
「ほう、貴方は彼によって助けられたと調書には書かれていますが・・」
「そのことについては感謝しています、でもあんなやり方じゃあだめです。
 間違ったやり方じゃ意味なんて無いと思うんです」
「ふんふん」
 ライは頷きながらメモを取っている。
 しばらくスザクの話に相槌を打っていたライだったが
「なるほど、つまり貴方はゼロに対して否定的ということですか」
「はい」
「わかりました、もう結構です、いろいろ参考になりました、ありがとうございました」
(ゼロについてだけではなくスザクの性格も読めてきたな)
「お役に立てたなら嬉しいです」
 そう言ってスザクは執務室から出て行こうとするが
「あ、ちょっと待ってください、肝心なことを伝えるの忘れていた、枢木一等兵
 貴方学校へ行く気あります」
「学校ですか」
「ええ、普通貴方の年齢だったら学生やってるほうが自然ですから
 学校通ってみませんか、もちろん強制はしませんが」
「僕もできれば学校に通いたいと思いますが・・」
「そうですか、ならこれ・・」
 そう言ってライが机の中から取り出したのはアッシュファード学園の入学案内と願書だった。
「特派がある大学から一番近いのはこちらですから何かと都合が良いでしょう。
 学費はこちらが持つんで安心してください」
「いえ、そんな、そこまでしていただくなんて」
 ライはフッと笑った。
「安心してくれ、これは私の、いや僕の自己満足、権力者の道楽とでも思ってくれれば良い
 だから遠慮することはないさ、君みたいなタイプの人間はほっとけないし、親戚には
 優しくするのは当然だろう」
「親戚!?」
 その言葉にスザクは目を見開いた。
「僕の正式な名前はライエル・スメラギ・ブリタニアって言うんだ、従兄弟殿」
「スメラギ!?」
「そうスメラギ、僕の母はキョウト六家筆頭皇家の出身、君とは従兄弟にあたるんだ」
 そう言ってライはメモに何かを走り書きしてスザクに渡した。
「僕のプライベートナンバー、何かあったら電話して力になるよ」

299 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 00:20:13 ID:UDEtnOjt

 釈放されたジェレミアは廊下を歩いていた。
「だからオレンジではないというのに・・」
 なにやらブツブツ呟いている。
「おい、オレンジ」
「だからオレンジではないと!!何度も・・キューエル卿か何の用だ」
「副総督がお呼びだぞ」
「副総督が私に?」
「ああ、この間のことかもしれないな、あの副総督は改革派のリーダーだ。
 ナンバーズと共生と融和などと言う戯言を唱えている連中で、純血派とは対立する派閥だ。
 たださえ厄介なのに今回の件を理由に私達を処分する気かもしれん。
 貴様がどこぞの最前線にとばされようともかまわんが、私達まで巻き込まれたら
 いい迷惑だ」
「何だと!先日の件は貴様のせいだろう、あの件に関しても私が覚えていないと何度言ったら・・」
「また、その言い訳か、それより早く行け、これ以上心証を悪くさせるな」


300 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 00:21:32 ID:UDEtnOjt
副総督執務室

 コンコン
「はい、開いてますよ」
「失礼いたします、ライエル副総督閣下、ジェレミア・ゴッドバルト、
 ライエル様の命によりただいまはせ参じました」
(テンション高い人だな)
「急にお呼び出しして申し訳ありません、ジェレミア卿」
「ライエル様の命でしたらいつでもはせ参じる所存であります」
「ジェレミア卿、私のことはライエル卿、もしくは略してライ卿で
 結構ですよ、皇族といっても殿下とはつかないんですからわざわざ様なんて
 つけなくてもよろしいです」
「いえ、しかし、皇族相手にその様な口のきき方は・・」
「いいですね、ジェレミア卿」
 やんわりとした口調だが妙な威厳があるライの声にジェレミアは
「イエス、ユア、ハイネス」
 と返事してしまった。
「先日は災難でしたね、無事釈放されたそうで、今回貴公をお呼び出ししたのはその件にも
 関わりあることです」
 ジェレミアは息をのんだ。
「信じてください、決して私は帝国を裏切るようなまねをしておりません。
 オレンジなどというのはゼロのでっち上げです、私は本当に覚えが・・」
「わかりました、信じます」
「信じられないのも無理はありません、ですが私の皇族に対する忠義は・・っと今何と仰いましたか!!」
「信じますって言ったんですよ、ジェレミア卿」
 ジェレミア卿は信じられない者を見るような目でライを見た。
 今まで同じ純血派の仲間にすら信じてもらえないのをライは立った一回会っただけで信じるといったのだ。
「あの、ですが、しかし・・」
 ジェレミアは逆に動揺し言葉に詰まる。
「なんですか、もしかして本当は疑惑どおり不正を働いたとでも・・」
「いえ!!決してそのようなことは!!」
「フフ、すいません、私は一目見ればその人が嘘をついてるかどうかはわかります。
 貴公は嘘をつける人ではないとわかります」
「あ、ありがとうございます」
 ジェレミアは頭を90度下げた。

301 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 00:25:04 ID:i+/04ORK
さるに間に合わなかったかな

支援

302 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 00:40:56 ID:LJVWszdd
支援

303 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 00:52:43 ID:ldn4s/CS
支援


304 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 01:00:45 ID:UDEtnOjt
「顔をお挙げください、ジェレミア卿、あの映像見させてもらいました。
 恐らく貴公は混乱と興奮のあまり、自分の意思と全く別の行動をとってしまったのでしょう。
 記憶がないのもその辺の影響でしょう、精神医学的にありえない話ではありませんから。
 あれは不幸な事故です。
 さすがに貴公を前の階級に戻すことはできませんが貴公や純血派の復権できるだけ
 お手伝いさせていただきます」
 さすがにギアスについて説明するわけにはいかなかった。
 ジェレミアはボロボロ泣き出した。
「どうしました!?」
「うう・・失礼しました、命を助けられたばかりかこのような私の言うことを
 信じてもらえて大変感動しております。
 この恩義このジェレミア命に代えましてもかえさせていただきます」
「はは・・気が向いたらでいいですから・」
(本当に感情が顔に出る人だな)
「一つ聞きたいことがあります」
「はい、何なりとお申し付けください」
「貴公はゼロにどういう印象を持ちましたか」
「ゼロ・・ゼロー!!」
 急に叫びだしたジェレミアにライはビクッとする。
「ゼロ、奴こそブリタニア帝国臣民の敵!!世界の敵!!私の敵!!・・」
 その後ジェレミアはよくもまあこれだけボキャブラリーが続くなとライが
 感心するくらいゼロに対する罵詈雑言を叫び続けた。
 10分後
「つまり、ゼロを倒すことこそが・・」
「あの、もう結構です、貴公がゼロにどういう想いを抱いてるか十分理解しました」
「は、しかし、まだ20分ぐらい続きが・・」
「本当に結構ですから、私の用件は以上です、下がって良いですよ」
「は、失礼します、最後に一つお聞きしてもよろしいでしょうか」
「?なんですか」
「ライエル卿の実の母親がマリアンヌ様と言うのは本当なんでしょうか
 今は亡きルルーシュ様の双子の兄弟というのは」
 ライはその質問に顔をしかめた。
「マリアンヌ妃の二つ名『閃光』を私が受け継いだからそういう噂も出ているのも知っています。
 亡き従兄弟のルルーシュと誕生日が全く同じ日だというのも噂の出所の一つですが
 それはまったくのでたらめです、DNA鑑定でもそれは証明されています」
「も、申し訳ありません、出すぎたことを聞いてしまって・・」
「いえ、貴公がマリアンヌ妃を敬愛しているのは知っています。
 私もその2つ名に恥じぬ振る舞いをするつもりなのでよろしくおねがします」
「ははぁぁ」
 ジェレミアは恭しく頭を下げた。
 ジェレミアが出て行った後、アルが執務室に入ってきた。
「いいんですか、今更純血派を取り込んだところでたいしたメリットはありませんよ。
 彼らはあまりにも私達と思想が違い過ぎます」
 ライは机にひじを突き
「別に純血派を取り込むつもりはないよ」
「だとしたら何故ジェレミア卿をかばうのですか。
 こっちまで余計な火種を抱えることになりますよ」
「う〜ん、彼みたいな人間も何だかほっとけないんだよね」
 アルはライの人の良さにため息をつく。
「それに」
「それに?」
「彼の忠義心は本物だよ、味方にしておいて損はない」


305 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 01:01:41 ID:UDEtnOjt
数日後

「本日はクロヴィス様のご葬儀があります」
 アルはスケジュール帳を見ながら話す。
「そういえば今日だったな、本当なら直に参列したかったが
 今ここを離れるわけにはいかないな」
「衛星中継される予定なのでそちらをご覧ください」
 予定の時間になってアルは執務室のスクリーンとプロジェクターを
 動かす。
 スクリーンには亡くなったクロヴィスの巨大な肖像画がうつり
 ブリタニアの国歌が流れ荘厳な雰囲気だ。
『神聖ブリタニア帝国第98代唯一皇帝陛下よりお言葉』
 髪がロール巻きの威厳のある男性が壇上に立った。
 ライは皇帝を見るたびに思うことがある。
(どうやってあの髪セットしてるんだろう)
『人はァ! 平等ではない・・・』
 ライは皇帝の演説を聞きながら思った。
(やれやれ、伯父貴は相変わらずだな、確かに平等なんて人間の幻想に過ぎないが
 人の多様性において差別主義もナンセンスだ、平等、不平等に善も悪もない、
 もしブリタニアが本当の意味で進化しているのならとっくに戦争なんてやめているはずだ)
 演説が終わった後、ライはため息をついた。
「相変わらず伯父貴は当たり前のことを大げさに言う才能に満ちてるな。
息子の葬式まで、こんな政治的プロパガンダを垂れ流さなくても・・」
「今の発言、不敬罪にあたりますよ」
「君が言わなければいいだけだろう」
「私が密告するとは思わないですか」
「その時は僕の人の見る目がなかったというだけさ」
 ライはアルとの会話を楽しんでるようだった。
 アルはメガネの位置を直しながら
「特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)がエリア5での反乱鎮圧の任を終え
 近日中にもこのエリア11に着任します」
「そうか、ようやく彼女達が」


306 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 01:02:39 ID:UDEtnOjt
 エリア5(旧ペルー)

「くそ、何なんだ、奴らは」
「あのような少数精鋭部隊がブリタニアにいるなんて聞いてないぞ」
 破壊された市街地において反乱軍のナイトメアが次第に追い詰められていく。
「我が軍随一の機械化部隊がこうも簡単に追い込まれるとは」
「答えは単純明快『弱い』からさ」
 一機のナイトメアが放つ銃弾は反乱軍のナイトメアを次々と打ち抜く。
「奴らはコーネリアや、シュナイゼルの親衛隊でもありません」
「展開していた支援部隊、すべて破壊されました!!?」
「少佐!!」
「残りのナイトメアで市街建造物の残骸を盾に頭を叩く、最早これしかない」
 部隊の指揮官は部下に指示をだす。
「散開!GO!」

「ジ・オドに反応、気配が殺気だったな、動いたか、ルクレティア」
 ナイトメアに乗る黒髪のクールな印象を持つ少女が呟いた。
 その額にはギアスのマークが
「はい、大尉、ザ・ランドとGPSの照合完了、残存騎、予想経路2でこちらに進撃してきました」
 真面目そうな三つ編みの少女が冷静に言った。
「単純な奴らだ、司令がここにいたら笑っているところだ、ダルク」
「あいよ」
 返事をして出てきたナイトメアに乗っているのはショートカットにリボンをつけた
 活発そうな少女。
「レセプター同調、ナイトメアフレームへのギアス伝導開始」
 ゴゴゴ!!!
 轟音があたりに響く。
「いっけえええ!!!」
「何だ!?」
 ナイトメアが何とビルを担ぎながら落ちてきた。
「これがあたしの能力(ギアス)ザ・パワー」
「こんなバカな!」
 反乱軍のナイトメアはビルの残骸に押しつぶされ爆発した。
「これで当該エリアでのわれわれ(特殊名誉外人部隊)のミッションは
 終了した」
 サンチアは爆発するナイトメアを見ながら冷静に言った。
「次は、どのエリアでの作戦になるんですか」
「エリア11旧日本だ、大佐から連絡があった。
 本隊はすでに駐留している」
「んじゃあ、久しぶりにライに会えるね」
「ダルク、司令かライエル様でしょう」
「え〜、ライも呼び捨てで良いっていってるよ」
「まったく・・たしかエリア11は・・」
「ああ、すでにアリスが潜伏している」
「アリスとも久しぶりに合流できるね、そういえばターゲットは?」
「ゼロ、ギアスユーザーだ」

 パチパチ
 瓦礫の上にはD.D.が座って彼女達を見ながら拍手をしていた。
「素晴らしいな、実に素晴らしいな
 ようやく彼女達も舞台に上がる、本来出会うはずのなかった英雄達の
 一大叙事詩、主演はゼロかそれとも君か、私は観客として
 そして演出家としてこの舞台を見届けさせてもらうよ、我が契約者ライ」

307 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 01:04:45 ID:UDEtnOjt
以上です
これからはキャラ、用語説明です。

特殊名誉外人部隊(イレギュラーズ)
 通称イレギュラーズ 隊長はサンチア
 特撃に所属している部隊 司令であるライ直属の部隊でライの親衛隊のような部隊である。
(ただしライに騎士はいないので正式に親衛隊とは認められていない)
 名前の通り全員ナンバーズでありギアスユーザーでもある。
 戦災孤児になり響団の実験体にされ脱走したところをライに助けられてそのまま
 特撃に所属している。
 各隊員の紹介は次回

 小百合
 ライのお付きのメイド
 苗字や詳細はネタバレになるのでここでは詳しくは書けません。
(この時点で気づいた人は気づいてると思う)
 日本人でお茶を入れるのがうまい。
 詳細はおいおいと語られる予定。




308 :Mrスケアクロウ:2009/03/05(木) 01:13:06 ID:UDEtnOjt
これで完全に終了です。

しかしライがやってること完全にナンパだな。
人脈を作っているところなんですけど。
そしてイレギュラーズの登場。
アリスは次回登場予定。

しかしコードギアス小説版最終巻読みましたが
マリアンヌのいかれっぷりに正直引いた。
さらにナナリーの闇の部分も垣間見れたところとか。
その辺も今後生かしていきたい。
ナナナは登場人物がまともでよかった。
皇帝もマリアンヌも最後はナナリーの選択を支持したし。
あとがきが長くなりました、すいません、では又次回

309 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 01:47:45 ID:bTaKc7zr
>>288
GJでした!
モニカ……結局のところ性格がイマイチ分からない私。
小説にでも書いているのだろうか。
……ルキアーノ実際何しに来たんだろう?
ライ、まっすぐだ……凄くまっすぐだ……
なんかいいねぇ。

>>308
Mrスケアクロウ卿、GJでした!
ジェレミアァァァァァ!
副総督が自分を信じてくれたことにより、彼はどういう道を行くのか……
でも、ゼロへのうらみは深いなぁ……紅蓮にチンされるフラグはまだ残っているっぽいですね。
しかしこの展開……イレギュラーズもでてるし……
続きが非常に楽しみです!

貴公らの次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

310 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 04:19:06 ID:zx2rODTI
Mrスケアクロウ卿、乙です!

更新、一日千秋の思いでお待ちしておりましたが、まさかイレギュラーズが登場するとは・・・
GJ!激しくGJです!!
イレギュラーズとライ、SSのネタにすれば妙にうまく絡むんですよねw
しかも、何だか全員とフラグ成立しているみたいだしww
次回も全力でお待ちしております。

P.S
「黒髪のクールな印象を持つ『少女』」
サンチア姐さんって確か20代前半か半ばだったような・・・

311 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2009/03/05(木) 12:59:34 ID:LJVWszdd
ロスカラSSスレよ、私は帰ってきた!!
いや〜かなり間を空けまくりましたが、やっぱり書きたくなっちゃうんだよねw
『姫と騎士にて、愛しきかな』の続編をリハビリな感じで執筆してみた。
……この時間って人いるのかしら? 大して長くないけど、支援が欲しい今日この頃。


312 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2009/03/05(木) 13:13:05 ID:LJVWszdd
お茶会、食事会、夜会、舞踏会。どれも意味するところは違う。
けれどそれを貴族や皇族が行うものと考えると内容は似通ったものに成ってくる。
即ち『悪巧みの場』であり、『人脈を広げる場』でもあり同時に『万魔殿』と同義。
歴史は言うに及ばず、現代の神聖ブリタニア帝国でもその定義は適用されるだろう。
懇意である者、お近づきになりたい者をこれらのイベントに招待する事で、有効に親交を深めたり新しい関係を築くのだ。

お茶や食事、華麗なダンスの裏ではただの親交と表現するには生ぬるい策謀が飛び交う。
主催者は多くの交友関係を築くべく努力するし、出席者は自分のライバルとなりそうなものを見繕う。
戦いは常に行われているが、それは決して人目に触れることは無い。
『笑顔の敵に後ろから狙われているようで気分が悪い!』
ナイトメア・フレームの操縦に定評があったゴッドバルド家跡取りの言葉だが、正にその通りである。

笑顔で居ない者は居ないが、それは決して善意の体現でない。笑顔とは仮面であり、悪意と打算に満ちた本心を隠す為のフェイク。
偽りの微笑みの下では戦場とは違う戦いが常に行われる修羅の庭だが、そこでの争いが今のブリタニアを作り上げているのだ。
故にこの国で上流階級に属すればイヤでも通らなければならないイベントであり、それは最近になって騎士を持った出戻り皇女とて例外では無い。





「おはようございます、ナナリー様」

ナナリー・ヴィ・ブリタニア皇女殿下の朝のご機嫌と言うのは、朝一番にかけられた声によって二段階に変化する。
もっとも目が見えず、足が動かないハンデを持ちつつも真っ直ぐ誠実に育った彼女にとって、機嫌が悪いなんて事は自意識下には無い。
強いていうならば『普通』と『上機嫌』である。

「はい、おはようございます」

見えない目で捉える先に居るのはメイドである事が、視覚以外の全ての感覚でナナリーには解った。
故に今朝のご機嫌は……普通である。


「おはよう、ナナリー。よく寝られたかい?」

でもその『普通』は朝食の場で掛けられる声によって、『上機嫌』へと変化し、後はそれが一日中続く。
声の主は先にテーブルについていた銀髪の青年 ライ・ランペルージ。本当の名をライとしか解らない元記憶喪失者。
しかし今では皇帝を初めとした皇族に認められたナナリーの騎士である。

「おはようござます、ちゃんと寝られましたよ? ライさん」

「そうかい? もしかしたら緊張して眠れていないのかと思ってさ」

足が動かないナナリーは車椅子のまま席に着き、メイドたちが料理をテーブルに並べ始め、朝食の準備が整った。
コックの技量が光るブリタニア風ブレックファーストを口にしながら、ライとナナリーの会話は続く。



313 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2009/03/05(木) 13:15:20 ID:LJVWszdd
「もう……私はそんなに子供じゃありません!」

「ゴメンゴメン。でも始めてのお茶会だからね? 色々と準備する事もあったし」

頬を膨らませる様すらも恐ろしく愛らしいナナリーと宥めつつもその身を案じるライ。
『お二人の会話だけで食パンが幾らでも食べられる』
二人の居住するベリアル宮のメイドなら頷いてしまう、上記の言葉が似合う理想的ストロベリートーク。

「お母様が主催したり、ユフィお姉さまの所へお呼ばれした事はありますけど……ゴメンなさい」

「どうして謝るんだい?」

不意の謝罪にライは首を傾げ、ナナリーは瞳を閉じたままの可愛い顔を苦悶に歪める。

「自分じゃ何も出来ないくせに、『お茶会を開いてみたい』なんてワガママを……」

「前にも言ったと思うけど、君のワガママなら僕は何でも叶えるよ? ナナリー」

『ブリタニアの皇帝になりたい』と真摯に言われたならば、ギアスや策謀の限りを尽くして彼女を世界の頂点に導く用意がライにはある。
万が一にもそんなお願いされないだろうと解っていたが、皇族や貴族の嗜みにして重要命題たるお茶会の開催くらい楽なものだ。

「もう……ライさんと居ると世界一悪い娘になってしまいそうです」

「それは光栄の極みです、プリンセス?」

挟んだテーブルさえも障害であり、僅かな距離すら二人の間では無粋なもの。
だが『それに』と前置きをして、ライは真剣な顔で語り出すのは現実のお話。

「これからブリタニア皇族として生きていくなら、どうしても必要な物を手に入れる絶好の機会でもあるからね」

ブリタニアと言う国で『皇族』と言う存在はただソレだけでも大きな意味を持つ。
しかしそれだけで血を別けた間からでの凄惨な共食いに勝利できる訳ではない。
次に世界を統べる皇帝に相応しい者か否か? 図るべき点としては総合した知力が筆頭に上げられるだろう。


「後ろ盾ですね?」

そして次に重要に成ってくるのが後ろ盾。簡単に言えば支援者・支持者を持つ事。
有力な後ろ盾を例に出せば国の経済を動かす大企業の社長、大隊以上を任せられた高級軍人、エリアを統括する大貴族。
彼らは皇族と言う箔を付ける事を、皇族は一人では得られない影響力を確立する為にその関係を結ぶ。

「それでライさん……どれくらい来て頂けそうですか?」

本来そんな後ろ盾候補を出戻り皇女が、会合の場に引き出すのは難しい。
なぜならばそんな存在は既に他の皇族や大貴族の傘下に入っている可能性が高いからだ。
すなわち皇位継承権を上げるレースとはそう言った後ろ盾たちの獲得競走なのである。

「大丈夫だよ、ナナリー。君が会いたいと言っていた面子は、普通ならば皇族や貴族の後ろ盾になるような人たちじゃないからね
 まぁ、儀礼的にお誘いした兄弟や姉妹の皆さんは難しいから抜きにして……」



314 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2009/03/05(木) 13:16:42 ID:LJVWszdd
もし本当にそう言った存在の獲得が目的ならば、ライもかなりの無理をしなければ成らないし、お断りを多数受ける事にもなりかねない。
けれども今回は実に楽な交渉に終始した。その理由はナナリーが会いたい人々がブリタニア内で高い存在では無いからである。

「それ以外はリスト通り、全員が参加してくれるみたいだよ?」

そういう意味では姫が心配する騎士への負担は小さいと言う事になるのだろう。
ナナリーはホッと息をついて、数時間後に控えるお茶会へと考えを巡らせる。

「そうですか……楽しみです」

何時でも優しく華やいだ空気が流れるベリアル宮。
そんな場所でもメイド達が準備の為に動き回り、主が夢想を巡らせる今の状況は特筆すべき状態と言えた。





「「「「「ようこそいらっしゃいました、ジョン・マクドナルド様」」」」」

迎えに来た黒塗りのリムジンから降り立った私 ジョン・マクドナルドは呆然としていた。
ここは皇族のプライベートハウスが並ぶ一角、その中では小さいとは言え一般人からすれば大きく豪華な建物 ベリアル宮。
そして自分を出迎える複数のメイドたち……私は場違いだ。

「荷物やコートはこちらでお預かりします」

「あっはい」

何とか小さく返事をすれば、テキパキと自分のコートは剥ぎ取られ、鞄は強奪された……これぞ正しくプロの手際。
空回りする思考回路の片隅で無駄な考えを巡らせてみる。

「どうぞ、こちらへ」

案内された先は充分に手入れされた庭園だった。美しい離宮の佇まいを更に引き立てている。
地面には丁寧に刈り込まれた緑の芝生、過敏に過ぎず咲き誇る淡い色合いの花々たち。
そして中央には白いクロスを纏ったテーブル、その上には白亜に精細な縁取りが成されたティーセットが並んでいる。
これがいわゆるガーデンパーティ? こういった場所に初めて呼ばれるので詳しくは解らない。

「まもなく主が参られます。どうか寛いでお待ち下さい」

案内してくれたメイドにそんな事を言われるも、ガチガチになった体を解す術は無い。
医科大の同僚たちは知らないが、こう言った場所には縁がないと思っていた。
内科や外科を筆頭とした花形を専攻していれば、皇族や貴族にお呼ばれもあるだろう。
だが自分が専門にしているのは精神科、しかも幼児や高齢者を多くの対象にしており……弱者が嫌いなブリタニアでは人気が無い分野なのだ。
ふと周りを見れば参加者は十人に満たず、その大部分がそれなりの格好をして学を収めているが、こんな場所に馴れていない雰囲気。
良かった……自分だけ場慣れしておらず、無礼を働いたら如何しようかと思っていたのだ。
ふいに空気が変わった。メイド達が緊張の糸を張り、私たち招待客にもそれが伝わる。

「ようこそ、いらっしゃいました」



315 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2009/03/05(木) 13:17:33 ID:LJVWszdd
響いたのは愛らしい声。現れたのは二つの人影。

「私のような若輩の招きに応じてくださり、本当にありがとうございます」

皇族らしくない前口上を語るのは車椅子に腰掛けた可憐な少女。光を捉えていないらしい眼は伏せられ、栗色の髪は緩やかなウェーブを描く。
そしてもう一人は少女の車椅子を押す端正な顔立ちの銀髪の青年。

「初めてお茶会というものを主催したので、皆さんにご満足いただけるか解りませんけど、どうか楽しい時間をお過ごしくださいね?」

そこで少年が少女に何やら耳打ち。少女の方はパッと顔を羞恥で赤く染め、思い出したように続けた。

「えっと! 私がナナリー・ヴィ・ブリタニアです。そして私の騎士である……」

「遅い紹介になってしまいましたが、ナナリー皇女殿下の騎士を勤めているライです」

どうやら先程の騎士 ライ卿の耳打ちは、皇女殿下に自己紹介を忘れていることを教えるものだったらしい。
『遅い紹介』と言う単語は忘却へのジョークなのだろうが、私を含めて招待客には笑う余裕は無い。

「もう! ライさんが早く教えてくれればよかったんです……」

ツンとそっぽを向き、頬を膨らませる。ナナリー皇女殿下が取るのはそんな余りにも愛らしいアクション。
それを受けてクスリと小さく笑い、ライ卿は続ける。

「とまぁ、こんな主従ではありますが……これから午後のひと時を皆さんとご一緒します。どうかお手柔らかに」





後にして思えば……この二人 姫と騎士はどんな高みに上り詰めても……この暖かく支えあう関係を失うことは無かったのだろう。

――ジョン・マクドナルド 晩年の回想録にて 後に世界を変える者達について記す――

316 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2009/03/05(木) 13:24:56 ID:LJVWszdd
あれ〜随分と小さく収まってしまった……これが創作版の力なのか!?
うん、ただ私が久しぶりすぎて四苦八苦し、短く切っただけなんだけどねw

と言う感じで、『姫と騎士にて、愛しきかな 七話』をお送りしました〜
貴族と言えばお茶会→お茶会と言えば陰謀策謀後ろ盾? そんな無茶理論の賜物(ぉ
お茶会の詳しい中身も考えてはいるけど……読む人は楽しいのだろうか?(遠い眼

317 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 14:16:05 ID:SmzSJTJ5
GJ!
ひさしぶりにライナナで2828させていただきました
お茶会の中身ももちろん読みたいです
ここ最近の投下でロスカラはまだ終わっていないと感じました

318 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 19:02:37 ID:osedSFA4
お久しぶりです!そして投下乙です!
ナナリーが可愛すぎる!
久々のライナナごちそう様でした
又の投下をお待ちしてます

319 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 19:21:53 ID:bTaKc7zr
>>316
貧弱な軍馬卿、GJでした!
良い! ディモールト・良い!
ライナナは癒される、なんだかとっても暖かいかんじだ。
お茶会の中身? 読まなきゃ楽しいも楽しくないも分からない。
お願いです、投下していただきますますか。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

320 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 20:45:00 ID:GWAtLcN/
職人の皆さんGJ!!
このままの勢いでロスカラ2発売まで行くぜ!!
というわけで、ロスカラ2のエンディングを妄想しました。(もちろん、主役はライ!)

@ルルーシュ死亡阻止エンド
Aカレンとラブラブハッピーエンド
Bシャーリー生存、ルルシャリ出歯亀エンド(シャーリー騎士団加入)
CC.C.と不死共存エンド
Dスザクとゼロレク継承エンド
Eラグナレクの接続失敗、ユフィがCの世界から復活、スザユフィ出歯亀ハッピーエンド
Fアーニャとジェレとオレンジ畑でモラトリアムエンド
Gナナリーと世界再興騎士姫エンド
H中華〜超合衆国ルートで星天出歯亀エンド
I藤堂千葉&扇ヴィレを出歯亀しつつ、玉城と日本奪還エンド
Jジノと自分探しエンド
Kルルナナロロ生存で、ロロと義兄弟エンド
L騎士団オペ娘の誰かと友達以上恋人未満で、普通の生活エンド
Mラウンズまたはブリタニア皇族女子の誰かといい仲になりつつ、ブリタニア和平復興エンド
Nシュナイゼルとダモクレス自爆エンド
Oシャルルとマリアンヌと神殺し成立、サードインパクトエンド
Pミレイとニーナとリヴァルと親友関係で、アッシュフォード養子エンド
Qロイセシ、ラクシャータとどこかで研究者エンド
Rカグヤと婚約、皇家復興エンド
Sギアス根絶のための旅に出る孤独贖罪エンド

なんかSSのリクみたいになってしまったw



321 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 20:47:48 ID:kasq1xxR
む、投下いきます。ライin中華の短編

322 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 20:49:05 ID:kasq1xxR
 星刻と天子、香凛、そしてライの四人はとある空間に集まっていた。
 星刻を教師に、天子が国政について勉強に励む様子を、ライは香凛のいれたウーロン茶を飲みつつ見守っている。
 やがて勉強が一段落したところで、天子が星刻に問うた。
「ねぇねぇ、星刻」
「何でございましょう、天子様」
 天子は少しだけためらった後、
「星刻とライはどっちが強いの?」
「っ!?」
 いったい何を。ライはそんな視線を送るが、天子はいつも通りのにこやかな笑顔。
 どうやら、純粋に子供心から来た疑問らしい。
 では、何と答えるのがよいか。ライが言葉に迷っていると、笑顔を崩さず星刻が答えた。
「いいですか、天子様。そのような疑問に意味などありません」
 星刻の言葉は真剣だ。
 ライは彼の告げるであろう言葉を先読みし、うんうんと頷いた。
(こういう役目は、星刻の方が適任かな)
 星刻は続ける。
「我らは天子様をお守りする剣。どちらが強いなどという事実に意味はなく――」
 一息。
「また、ライも私も、どちらも天子様をお守りするための力を持っているのですから――まあ、私が上でライが下ですが」
「ぶっ」
「何か文句があるのか、ライ?」
「いえ……」
 吹き出し掛けたウーロン茶を喉の奥へ。
 敵意剥き出しの星刻をあしらいつつ、ここは一旦この場から離れたほうがいいとライが判断した時だ。
 天子はでも、と前置きして、
「でも、でもでも、ライは星刻にも負けないって言ってたよ」
「いいいいぃぃぃ天子様!?」
「ほう、ライ貴様……」
 星刻が腰の剣帯に手を掛ける。
 振り返ればもう、香凛は一目散に部屋から逃げ出していた。慣れだろうか。見習いたい。
 ライは若干泣きそうになりながら、否定の言葉を並べた。
「言ってない! 言ってないです!」
 しかし天子が続ける。
「でもライ言ってたよ。『僕は、天子様が見守って下さる限り誰にも負けませんよ』って」
「そ、それはっ……!」
 言ったかもしれない。
 ライの躊躇に、星刻が剣を抜いた。
「ライぃ!!」
「うわっ」
 首筋に突きつけられた剣先を見て、ライはごくりと唾を飲み込んだ。
 まずい。これは殺される。
 これ以上下手な事は言えない。そう思いつつ、ライはちらりと天子の方を見て、
(これは駄目だ……)
 天子は止めるどころか、ライと星刻の勝負の行方にわくわくと心躍らせているようだった。


323 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 20:50:35 ID:kasq1xxR
(仕方ない)
 ライは覚悟を決め、星刻に向き直った。ひやりとした嫌な汗が頬を流れ落ちる。
「言っ……たかもしれません」
「…………」
 ごくり、と再び唾を飲み込む音が部屋に響いた。
 沈黙が支配する空間。
 緊張の均衡。
 しかし、次の瞬間、それらは破られる。
「へくちっ」
 天子の可愛らしいくしゃみが聞こえたと思った時には、星刻が剣を突き出していた。
「シャースーニィィー!!」
 ライは反射的に頭を右に傾けてかわす。
 そのすぐ横を星刻の剣が一陣の風をもって通り過ぎた。
 つつ、と僅かに流れた自分の血を見て、
「殺す気ですか!?」
「ウオ ダ ジエン、グアン チュアン ニー!」
「何言ってるか全然分かりません!」
「ライ、頑張って!」
「あ、止めて下さらないんですね天子様!」
「タァッ、ホゥッ、ハッ!」
「シン……クー! ちょ、……待っ……!」
「ツェンツンツゥイー!!」
 ライの言葉に聞く耳もたず、星刻は剣を振り回した。
 怒りに我を忘れても剣の動きが一向に鈍らないのは、流石と言うべきか厄介と言うべきか。
 ライは豪華かつ高価な家具を盾にしつつ、星刻の剣技を避け続ける。
「頑張れライー!」
 天子がこちらに熱心な声援を送ってくる。
 家具がいくら破壊されようとも何も気にしない寛容な心に、ライは自然と涙した。
(こうなったら……)
 星刻との勝負は避けられない。そう判断したライは、一つの行動を起こした。
「天子様!」
「な〜に?」
「何か競技を決めて下さい!」
「きょうぎ?」
「ええ、星刻と僕との勝ち負けを決める競技を――うわぁ!」
 話をしながら逃げていたため、ライは床に落ちていた机の破片に気付かずにつまずいてしまった。
 慌てて起き上がろうとした瞬間、星刻の剣が眼前に突きつけられる。
 そして星刻は悲しげに、
「ライよ……貴様は我が生涯最大の味方であり敵であった」
「最後に会話が出来てよかったです」
「私は悲しい……」
 星刻の瞳から一筋の涙が伝った。ライは頷いて、
「意外です。僕と星刻にはコンセンサスがとれているみたいで」
「許せ、ライ――!」
 何を許せというのか。
 ライは半ば諦めの感情をもって剣の切っ先を見つめた。短い人生だった、と。
(いや、長い人生だったのか? しかしこの場合は生きてきた実質期間が重要……?)
 深い命題だな、とライは鋭利な刃を見ながら思った。


324 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 20:51:37 ID:kasq1xxR
 そしてその刃が振り下ろされようとした瞬間、
「じゃんけん!」
 と、場の空気を一喝する声が響いた。
「天子……様?」
 正気を取り戻した星刻が、恐る恐ると言った様子で天子に尋ねる。
 天子は自身の名案に満足しているのか、満面の笑みで、
「神楽耶から教えてもらったの! じゃんけんでどちらが強いのか決めましょう!」

 ・・・・
 ・・・・・・
 ライは今、自分の置かれている状況を再確認した。
(ええと、星刻が壊れて、天子様がじゃんけん勝負にしようと……)
 周囲を見れば、立会人として香凛や洪古、そして天子が座っている。
 皆、どうしてこのおかしな状況を平然と受け止めていられるのかがライは不思議でならない。慣れだろうか。
 すると、じゃあ、と天子が手を上げて合図した。
 どうにでもなれ、とライは目の前にいる星刻を見る。
 彼はすっと両目を閉じ、息を大きく吸って、そして吐くのと同時に奇声を上げた。
「ホオオオゥゥゥゥウ!!」
 気功の一種か、星刻の周囲から何か場のようなものが湧き出た。見ると、口元には若干血が滲み出ていた。
 かつてこれほどまでに、じゃんけんに命を懸けた男がいただろうか。
 ライは思う。こんな星刻、星刻じゃないと。
(終わらせよう……)
 そして星刻を元に戻す。それが今出来るのは自分だけだ。
 故に、ライは星刻に気圧されまいと構えをとった。
 そして思う。ああ、今僕もまたかつてないほどにじゃんけんに真剣になっている、と。星刻ほどではないが。
「最初は、」
「グゥゥゥゥウ!」
 でも、と同時に思う。
 こんな日々がいつまでも続くのも悪くはない、と。
(僕も慣れてきたのかな)
 だが今の星刻のようにはなるまい。自分は合衆国中華最後の良心として、その力は奮うのだ。
 この日々を守るために。
「じゃん!」
「ケェェェン!!」

  ――ポオオオォォォォン!!!


325 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 20:52:07 ID:kasq1xxR
以上、神楽耶から教わったからじゃんけんは日本語で設定完璧オッケー問題無しとか、でも中国語はかなりテキトーとか、いろいろ矛盾してますがまあいいです。

326 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 21:21:18 ID:bTaKc7zr
>>325
GJでした!
何だこのシンクーは! 面白いじゃないかッ!
この壊れっぷりは楽しすぎるw
中国語、わかんないぜ。
誰か、誰か翻訳プリーズ。
じゃんけんでこの覇気……すごいなぁw
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

327 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 22:53:18 ID:w9GkRHWm
こんばんわー。
23時ごろ投下します。
よろしければ、途中数回の支援をお願いいたします。


328 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/05(木) 23:00:36 ID:w9GkRHWm
時間ですので投下いたします。
 
タイトル 賭け 後編
カップリング ライ×アーニャ
ジャンル ラブコメ?

前回の続きとなります。
よかったら、前編を読んでいただいて、読んでください。
よろしくお願いいたします。

329 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 23:00:58 ID:bTaKc7zr
支援

330 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/05(木) 23:01:56 ID:w9GkRHWm
賭け  後編


一気に突っ込んでくる白いナイトメアを面白くなさそうに目で捉えて狙う。
帰国したらノネットに文句を言おう。
そう思いながら……。
それはあまりにも作業的な正確すぎる動作。
ハドロン砲を牽制に発射し、回避ポイントに砲火を集中させる。
それだけで終わりのはずだった。
勝利を確信していたアーニャにとって、この模擬戦はもうどうでもいいことでしかなかったはずだった。
しかし、それは間違いと思い知らされる。
ハドロン砲を回避すると思われていたライのナイトメアは、シールドを展開するとその直撃を受け流して一気に懐に飛び込んできたのだ。
「え?!」
予想とは違う動きに一瞬、反応が遅れる。
その隙をライは見逃さなかった。
右手に握られた短めのMVSが振り下ろされる。
コックピットに鳴り響く警戒音と破損を表示するディスプレのサイン。
今のでハドロン砲破損…。
だが、さすがはナイトオブラウンズ。
すぐにハドロン砲を放棄すると前方にシールドを展開する。
予想通り、MVSが返す刀で切りつけられた。
シールドとMVSの衝突で火花がおこり、機体が振動する。
だが、被害はない。
しかし、メイン火力のハドロン砲を失ったのは痛手だった。
やられた……。
そう、さっきまでの繰り返しの単調な攻撃は、こういう事だったの。
くすっ……。
悔しいはずなのになぜか微笑が漏れる。
ほんのさっきまで心を支配していた虚しさと悲しさが一気に喜びに変わっていく。
強い……。
ノネットの言うように、彼は強い。
心に湧きあがる喜びと興奮。
そう、こうじゃないと……。
こんなに楽しい気分で戦うのは、初めてだ。
そう、今、アーニャは、楽しかった。
そして、うれしかった。
自分の思っていたとおりのライの姿に……。



331 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 23:02:04 ID:W1VHmD1x
支援とかマンドクセ

332 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/05(木) 23:04:15 ID:w9GkRHWm

「す、すごいっ」
ハドロン砲の一撃を受け流しての攻撃に思わず声を上げてしまうセシル。
「うひょっ、やるねぇ〜」
ロイドも実に楽しそうに歓声を上げた。
クラブのMVSの一撃を受けて、モルドレットがぐらついてハドロン砲を手放す。
だが、返す刀で放ったニ撃目はシールドで完全に防がれた。
「おしいっ」そんな声が二人の口から漏れる。
だが、そんな中でスザクはただ無言で見続けていた。
メイン火器のハドロン砲を潰したのはいい。
だが、今のでシールドはもう使えないはずだ。
だがまだ強固なシールドと多彩な火力は健在。
それに、今のでアールストレイム卿も本気になっただろう。
そうなると同じ手は使えない。
やはりニ撃目を防がれたのは痛いな。
自分だったらどう対処するか考えていく。
だが、うまい手が浮かばない。
本当にどうする気だ、ライ。


さすが、ナイトオブラウンズ。
さっきまでとは格段に違う動きと反応。
機動性の低いモルドレッドがまるで普通のナイトメアと変わらない、いやそれ以上の動きを見せる。
それにさっきの攻撃も破損したハドロン砲を放棄し、ニ撃目をシールドを展開して防いだ判断力の速さ。
間違いなく決まったと思った攻撃が防がれたのには驚いた。
強い……。
彼女はとてつもなく強い。
そう再認識させられた。
どうしたっ……。
どうしてしまったんだろう。
すごく……。
すごく楽しい。
胸の奥に押し込んだわくわくした気持ちがまた顔を出してくる。
くそっ……。
こんな楽しいのは、初めてだ。
そして、戦う前までの嫌な思いが払拭されていく。
このままずっと戦いたい。
そう思ってしまうほど、この戦いに魅了されてしまいそうだった。


333 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 23:05:01 ID:bTaKc7zr
支援!

334 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/05(木) 23:06:02 ID:w9GkRHWm

「なんかさ、あの2機の動き、踊ってるみたいに見えちゃうよ」
激しさを増していく2機の動きを見ていたロイドがぽつりと呟く。
「えっ、ロイドさんもそう感じたんですか?」
セシルが驚いた様にそう言った。
あの1撃が決まってからというもの、モルドレッドの動きが格段によくなった。
そして、クラブの動きもそれにあわせるかのようにより速くなっている。
くるくると攻防が入れ替わり、2機のナイトメアが空中を舞っている。
そう、それはまるで息のあった剣舞を連想させるような動き。
だから、二人がそう思えたのも仕方ないのかもしれない。
そして、もう一人。
実はスザクもそう感じていた。
まるで長年のパートーナー同士のような動きに驚き、見入ってしまう。
「なんか……楽しそう……」
セシルの呟きが口から漏れる。
「そうだねぇ。なんかさ、お互いの事を貪欲に知りたがっている恋人のようだねぇ〜」
その言葉にセシルは驚く。
ロイドの口からそんな言葉が出てくるとは思いもしなかったからだ。
「あのねぇ〜、僕だって、一応、人だよぉ〜」
そんな態度のセシルに"一応"というところに力を入れてロイドがふくれっ面で文句を言う。
その言葉と態度に、スザクもセシルも吹き出していた。
模擬戦でこんなに楽しく笑う事になるとは思いもしなかったと感じながら……。

模擬戦開始から20分が経とうとしていたが、一向に勝負が付く気配はない。
まるでお互いに相手の動きが見えているかのような攻防が続いている。
はぁはぁはぁ……。
息が切れる。
身体中がGによって引き起こされる疲労で悲鳴を上げていた。
だが、どうしてだろう。
身体はこんなにもくたくたなのに、心の中で沸き起こったワクワクした気持ちはますます大きくなっていく。
だが、何ごとにも終わりはある。
エネルギー残量の少なさを知らせるランプが点滅する。
エナジーフィラーの残量が20%を切っている。
まぁ、フルパワーに近い戦闘を20分も続けていれば消耗も激しいだろう。
あと5分もしないうちに終了か……。
なら……。
僕は、追加されたコンソールを調整する。
簡単なプログラムを入力していき、それが終わると無線のスイッチを入れた。。
「アールストレイム卿、そろそろエネルギー切れです。これで最後にしませんか?」
向こうも状況は同じなのだろう。
「うん。…OK……」
短くそう返事が返ってくる。
相変わらずの無表情の顔だったが、どことなく楽しそうに見えたのは気のせいだったのだろうか……。
ともかく、これで最後だ。
僕は、汗で滑るスティックを握りなおすと、一気にクラブを加速させた。


335 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 23:07:37 ID:bTaKc7zr
支援

336 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/05(木) 23:08:41 ID:w9GkRHWm

彼から無線が繋がる。
彼の方もエネルギーの残りが少ないみたいだ。
私は申し出を受ける事にした。
まだ、少し物足りなかったが、終わりはある。
それに何やら仕掛けてくる。
彼のあの楽しそうなわくわくした表情がそれを物語っている。
さぁ、何が来るの?
何を見せてくれるの?
心の中が期待感で満たされていく。
失望させないで……。
私は、そう呟く。
そして、それと同時に彼のナイトメアが一気に距離を詰めようとしてきた。
火線を幾重にも放ち牽制する。
その砲火をまるで曲芸のように潜り抜けて接近してくる彼のナイトメア。
そして、牽制なのだろう。
左右の腰の部分からスラッシュハーケンが発射された。
2本のハーケンのうち、1本を回避し、もう1本を弾き返す。
しかし、それでもかまわず彼のナイトメアが近づいてくる。
シールド展開っ……。
MVSの攻撃を防ぐため、前方にシールドを展開しょうとした。
その時だ。
後方警戒のブザー音が響く。
え?!
すばやく後方モニターを展開する。
そこには、避けたはずの1本のスラッシュハーケンが向きを変えてモルドレッドに向かってきているではないか。
そんな……馬鹿な……。
スラッシュハーケンが方向を変えて向かってくるなんて……。
とっさに回避しょうとするが間に合わない。
激しい破壊音と衝撃がコックピットに伝わってくる。
フロートユニットに命中したらしく、ガクンとモルドレッドが高度を落す。
そして、その隙をライは見逃さなかった。
一気に近づくとMVSを振り上げる。
そして、モルドレッドのコックピットに振り下ろす。
避けられないっ……。
そう思ったら身体が勝手に動いていた。
それは、訓練された者だけが出来る動きだ。
ピーーーーッ。
それと同時にけたたましいブザー音が鳴り響き、両方のナイトメアの動きが止まった。
コンピューターが強制停止させたのだ。
そして、ディスプレに映し出される判定は、「両者撃墜」だった。
そう、ライがMVSを振り下ろそうとした瞬間、アーニャも無意識のうちに打てるだけの火力で攻撃していた。
その結果、両者相打ちとコンピューターは判断したのだった。


337 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 23:09:05 ID:bTaKc7zr
支援!

338 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/05(木) 23:10:37 ID:w9GkRHWm

戦いが終わり、僕は心地よい疲労感に満たされていた。
ふう……。
勝てなかったのは残念だけど、すごく楽しかった。
そう思っていたら、モルドレッドの方から無線が入ってきた。
「あの……聞いていい?」
少し覗き込むような表情がモニターに浮かぶ。
「はい。かまいませんよ。アールストレイム卿」
僕は、そんな表情を見せる彼女が少し可愛いかなと思ってしまう。
無表情の様に見えて、けっこういろいろ違ってくるものなんだな。
そんな事を考えながら…。
「あのハーケンって……」
やっぱり、それか……。
僕は、微笑みながら説明する。
「あのハーケンは、小型のバーニアみたいなのが付いてまして、事前にプログラムする事で発射後に方向を変えることが出来るようになっているんですよ。
もっとも発射後は新たに入力しての軌道変更は出来ませんから、ある程度の先読みしてのプログラム入力とそれにあわせた相手の誘導は必要ですけどね」
そう、ただ発射し回収するという直線的な動きしか出来ないハーケンをもっと活用できないかと考えた僕がロイドさんに相談していろいろやってみた結果が今回のものだったのである。
そして、今回の模擬戦で牽制や翻弄させるには十分な役目を果たす事が実証された。
発案者の僕としてもすごくうれしい結果だった。
「ふーん……」
僕の説明にそっけない返事が返ってきたが、彼女の無表情のように見える表情の中には、興味とうれしさが含まれているように見えた。
そして、しばらく無言が続く。
無線を切らずにただ、考え込む彼女の姿だけがモニターに写っている。
うーーん……。
どうしたんだろう。
すごく嫌な予感がするのは気のせいだろうか…。
「あの……、そろそろ戻りませんか?」
沈黙に耐え切れずそう声をかける僕。
だが、その言葉を言い終わらないうちに彼女から話を切り出される。
「賭けの事……だけど……」
ああーっ、それがあった。
だけど、この場合は無効が一番無難だよなぁ。
しこりも残したくないし……。
だが彼女の口から出た言葉はまったく違っていた。
「お互いに……相手を撃墜した。……両者……勝ち」
「えーーっ」
思わず、そう反応してしまう。
普通、そういう風にはしないと思うのだが……。
それにそれじゃあ、再戦を言いづらいじゃないか……。
僕としては、また彼女と戦いたい。
そして、もっとわくわくしたいという思いが強く心に残っている。
だが、これでは……。
彼女は、また戦いたいと思わなかったのだろうか……。
この気持ちは僕だけなんだろうか……。
そんな事を考えて、僕は言葉を返せないでいた。
「これ……決定」
きっと迷う僕を待っていたら決まらないと思ったのだろう。
彼女は強く断言した。。
こうなったら仕方ない。
観念するか……。

339 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 23:10:55 ID:bTaKc7zr
支援

340 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/05(木) 23:12:50 ID:w9GkRHWm
「はい。わかりました。アールストレイム卿」
諦めてそう答える。
だが、沈黙のみが返ってきた。
どうしたんだろう。
そう思って再び声をかける。
「アールストレイム卿?」
するとすぐに言葉が返ってくる。
「それ……嫌……」
「へ?!」
どういう意味だ?
「アーニャ……」
不満そうな表情がかすかに出ている無表情で彼女は言った。
「は?!」
「だから……アーニャ」
つまり、アーニャと呼べという事らしい。
「えーっと……」
じーっと覗き込むように顔がモニターに映る。
あー……言うの待ってるよ。
しかし、なんかドキドキするじゃないか……、こういうのはっ……。
柄にもなく緊張してしまう。
こんなところをスザクやユーフェミア様に見られたらなんて言われるか……。
えーいっ、男は度胸だ。
少し開き直り気味に僕は言った。
「あ、アーニャ……」
その瞬間だった。
ほとんど大きく表情を出さなかった彼女の顔が、頬を染めてうれしそうに微笑んだのは……。
その可憐さに、僕は言葉を失って思わず見とれてしまっていた。
やばいよ……。
無茶苦茶かわいいじゃないかっ。
ドクンと心臓が高鳴る。
収まれ僕の心臓……。
だがそんな僕にお構いなく、彼女は……いや、アーニャは恥ずかしそうに頬を染めて聞いてくる。
「次、ライの番……」
え?!
その言葉で浮ついた僕の心は一気に現実に戻される。
そうだった……。
お互いに勝ったのならそうなる。
えーい、何を言うべきなりだろうか……。
迷う僕を楽しそうに見ているアーニャ。
その笑顔を見ていたら、迷うのが馬鹿馬鹿しくなった。
そうだ。
何をいろいろ考えている。
素直に思った事を言えばいいんだ。
そうだよ。
僕は、そう決心すると口を開いた。
「あ、アーニャ……」
「うん……」
にこりと僅かに微笑んで聞いてくる。
その楽しそうな表情。
普段がほとんど無表情なだけに強烈すぎる。
うわーーっ…かわいいっ……。
その笑顔だけで心が満たされて、思わず言葉を失ってしまいそうになった。
おちつけ……。
落ち着くんだ。
深呼吸を数回して、落ち着かせて言葉を続けた。

341 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 23:14:51 ID:bTaKc7zr
支援!

342 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/05(木) 23:15:32 ID:w9GkRHWm
「僕の願いは……」
モニター越しだがアーニャの視線が熱い。
「君と……また戦いたい……」
そして、一気に思っている事を言い続けた。
「こんなに楽しい戦いは、初めてだった。だから、もっともっと戦いたいと思ってしまったんだ。
それに、もっとアーニャの事が知りたい。そう思ってしまった。だから、また僕と戦ってほしい……」
カーーーッと顔が赤くなるのが自分でもわかる。
まるで、これじゃあ、告白みたいじゃないかっ。
そんな事が頭に浮かぶ。
えーーい、何を考えている、僕はっ……。
そんな僕に彼女は恥ずかしそうに返答をしてくれた。。
「うん……。私も楽しかった。だから……ライの事、もっと知りたい。また戦いたい……」
その返事を聞いて、感謝の言葉が自然と出る。
「ありがとう、アーニャ」
すごくうれしかった。
アーニャも僕と同じように感じてくれてたんだ。
また、戦える。
そう思うだけで、わくわくしてしまう。
だが、その気持ちは、無線に入ってきた言葉で一気にかき消されてしまった。
「あの〜、いいかなぁ〜」
そう、ロイドさんだ。
そして続けて「駄目ですよっ、ロイドさんっ、雰囲気読まないとっ」というセシルさんの声。
それって……つまり……。
「えーーーっ、ちょっと待ってくださいっ。もしかして、今の会話……筒抜け?」
「うん……」
苦笑したようなスザクの声。
「ごめん。なんかさ、言うタイミング逃しちゃって……」
そんなーーっ……。
僕は、絶句するしか方法を知らなかった。


別れの時、彼女の言った「また……」という言葉に、僕も「ああ、またね……」と返事をする。
そう、これは別れじゃない。
再会をするための儀式なのだ。
彼女の手が僕の手と重なり何か握らせる。
そこには小さな小さな紅い石があった。
すべすべとしていて綺麗な紅。
そして、キーチェーンのようなものが付けられている。
彼女が愛用の携帯を見せる。
そこには同じような紅い石が付けられていた。
「私だと思って……」
僕は頷いた。
そして、アーニャは帰国していった。

343 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 23:16:31 ID:bTaKc7zr
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344 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/05(木) 23:18:40 ID:w9GkRHWm


2日後の昼前、僕の執務室にユーフェミア様がスザクを連れてやってきた。
そして、入ってくるなり実に楽しそうに聞いてくる。
「聞きましたよっ、ライっ。アールストレイム卿に告白したんですってね」
どうやら、あの会話は行政特区の行政府中に広まっているようだった。
まぁ、今までどんなに迫られても女性に見向きもしなかった男があんな事を言ったのである。
そりゃ、話のネタとしては最高なんだろう。
だが、そのネタの本人としては、こう話が広がっていくのは勘弁して欲しいものだ。
くそーっ、誰だよ、広めてるのはっ……。
そんな事を考えながら、何とか話を収めようとした。
「いや、告白じゃなくて……」
実際にそうなのだが、どうもあの台詞では告白に聞こえてしまっているらしい……。
だから慌てて言い返そうとしたが、すぐにユーフェミア様の言葉で遮られた。
「もっと君の事が知りたいだなんてっ…。もう〜、すごく熱々です〜っ。ライって情熱的なんですねっ」
実にうれしそうです。
生き生きしてますよ、ユーフェミア様。
そんな事を考え、他人の噂話でここまで楽しんでしまうとは…と感心してしまう。
いや、感心するところが違うっ…。
自分で自分に突っ込みを入れながら、何とかこの状態を打破すべくユーフェミア様を落ち着かせようとする。
「いや、あのですね……」
しかし、僕が再びなんとか言い返そうとするものの、その度にユーフェミア様の言葉に遮られてしまい何も出来ない。
もう一方的に言われまくっている状態だ。
なんとかしてくれよ。
そんな儚い望みを持って横にいるスザクを見るものの、スザクは苦笑だけしか返してこない。
えーいっ、僕の事を親友と思うなら、自分の彼女ぐらい何とかしろ。
そう言いたかったが、だが…無理だろうなぁ…。
彼の性格と、ユーフェミア様との関係を考えれば……。
そう判ってしまうのが悲しい。
そんな事を思っていたのだがすぐにユーフェミア様の新たな言葉で現実に戻された。
「そうそう、昼食はご一緒してくださいね、ライ。新しくエリア11に来られた方をご紹介したいですし……」
「えっ? 新しく赴任された方ですか?}
それは初耳だった。
いきなり決まるなんて……。
僕の表情から、読み取ったのだろう。
ユーフェミア様が説明する。
「ええ…。中華連邦が最近、特に活発な動きを見せています。その為に急遽派遣が決まったそうなんです」
「そうでしたか……」
つまり、僕が担当した視察団もその為の予行演習みたいなところか……。
それなら、急な視察も納得できる。
「では、時間ですし食事に参りましょう」
ユーフェミア様に言われ、僕らは行政府のレストランへと向かった。
そして、レストランに来たものの、準備されたテーブルには……………誰もいなかった。
「あら?」
ユーフェミア様がきょろきょろと周りを見回している。
その様子は、手違いが合ったようで少し焦っているように見えた。

345 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 23:19:55 ID:bTaKc7zr
支援!

346 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/03/05(木) 23:21:58 ID:w9GkRHWm
ユーフェミア様が焦るような人物か……。
誰だろう……。
そんな事を考えていると、いきなり後ろから抱きつかれた。
「うわぁぁっ……」
思わず声が出た。
そして、僕が後ろを見て相手を確認するのとその人物からかけられた言葉が耳に入るのは同時だった。
「只今……、ライ」
そう、そこには2日前に再会の約束をして帰国したはずのアーニャの姿があった。
「えっ?!えぇぇーーーーーっ、なんで……」
僕の驚く顔をじろじろと覗き込むアーニャ。
相変わらずの無表情だが、心なしか笑っているように見えた。
「正式に…エリア11に派遣された……。また……しばらく一緒……」
頭の中が一気に真っ白になってしまい、言葉を失う。
そんな僕に不安を覚えたのだろう。
「ライは……嫌?……うれしくない?」
すこし悲しそうな感じで聞き返される。
そんな悲しい感じて聞かないでくれ。
そう思って、すぐに答えた。
「そんなわけ、あるもんかっ。うれしいよ、アーニャ」
そして、無意識のうちに彼女を抱きしめた。
きゃしゃな身体が僕の腕の中にある。
ほのかに漂う彼女の体臭が僕を興奮させる。
こんなにうれしい事が起こるなんて……。
腕の中に感じる彼女の確かな感触と湧き上がってくる彼女への思いが僕を幸せにしていた。
だが、痛いまでに突き刺さる熱い視線。
その視線で僕は我に返った。
そう、ここは行政府の中にあるレストラン。
そして、今は……お昼時。
つまり……。
大勢の人たちがいるという事。
そんな中で、僕はアーニャを抱きしめている。
その認識で一気に体温が上昇し、僕の顔は真っ赤になった。
そして、慌てて離れようとしたのだが、アーニャはしっかり僕に抱きついており、離れようとはしない。
さらに、くすくすという声がする横を向くと、小悪魔的な表情で笑いを堪えているユーフェミア様とニコニコしているスザクの姿があった。
「よいものを見させていただきましたよ、ライ」
そんな事を言うユーフェミア様。
「よかったね、ライ」
もっとも天然のスザクは、そう言うだけだったが……。
そして、僕はその二人の態度でわかってしまった。
こうなると知ってたな、二人ともっ。
くそっ、謀られたっ…。
だが、そう思ったのもつかの間、さらに拙い事に気が付いた。
よく回りを見渡すとこっちを見ながらこそこそと喋る人が多い……。
つまり、あの噂話がよりいっそう真実として広がっているのであった。
ああーっ、なんでこうなるっ。
な、なんとか、なんとかしないと……。
焦る僕の思考が空回りを続ける。
多分、混乱気味なんだと思う。
だが、そんな中、アーニャは抱きついたまま顔を上げると少し頬を染めて言った。
「また……二人で楽しもうね……」
その言葉が、響き渡る。
僕は、もう観念するしかなかった。


終わり

347 :創る名無しに見る名無し:2009/03/05(木) 23:22:12 ID:bTaKc7zr
支援

348 :代理投下:2009/03/05(木) 23:31:27 ID:bTaKc7zr
以上でおわりです。支援ありがとうございました。
読んでいただいて少しでも楽しんでいただければ幸いです。
なお・・最後にサルが出ました。支援受けてたのに・・・なんでだよーっ。

349 :創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 00:53:35 ID:3RC/pXZA
>>348
あしっど・れいん卿、GJでした!
ハーケンの発射前の操作、難しそうだ。
ミスったら自分に当たりかねんな。
そして聞かれていた二人の会話……恥ずかしいなぁ。
帰国してすぐに来日するアーニャ、なんか可愛い。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!


誤字指摘
>>334
長年のパートーナー→パートナーかと

350 :創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 18:24:13 ID:Os4AUooA
更新ピタリと止まったね
管理人さんどうしたのかな

351 :創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 19:30:50 ID:LsHMlpFY
>>350
間違ってたらスマンのだが、アンチな人か?

352 :創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 19:47:57 ID:Os4AUooA
違うよ!心配してるだけ。

353 :創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 20:10:01 ID:LsHMlpFY
そうかそら悪かった。なんか深夜に気分悪くなって腹痛くなって病院に運ばれたようだ。
俺も詳しいことはしらんが

354 :創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 22:14:17 ID:qPZKTVjS
ではライルルスザの三人組短編投下します

355 :創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 22:15:39 ID:qPZKTVjS
 ライは絶句した。
 必ず、かの悪逆皇帝の王を正さなければならぬと決意した。
 ライにはファッションがわからぬ。ライは、一国の王であった。笛を吹き、母と妹と遊んで暮して来た。
 けれども劣悪な環境に対しては、人一倍に敏感であった。
 今日未明ライは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のペンドラゴンの都市にやって来た。
 ライには父も、母も無い。女房も無い。十四の、内気な妹も死んでしまった。 ライには竹馬の友があった。枢木スザクである。

 ・・・・・
「走れメロスだね、懐かしい」
「ああ、スザク。よく来て……くれ……た」
 ライは再び絶句した。
 ルルーシュの方を見て、もう一度スザクの方を見る。
 ルルーシュはそんなライの行動に訝しげに、
「ライ、さっきから何を人をじろじろと」
「だってさ……君達の服装が……」
 ライは思わず目を逸らす。
 ルルーシュが来ている服。それは彼の皇帝としての服だ。
 白を基調としていて、各部には黄色い翼と赤の瞳のイメージが装飾されている。
 スザクの方もイメージは似たような物で、こちらは黒や紺といった色調だ。加えてコーネリアのクラゲを逆さにしたようなマント。
 ライははっきりと思った。ださい、と。
「似合っているだろう? 俺がギアスをイメージしてデザインしたのだが……」
 浮かれた様子のルルーシュ。
 本人は気に入ってるらしく、このままでは本気で衆目に晒す事になってしまう。
 故に、ライは決断した。彼の愚考を止めるため、自分は悪になろうと。
「ルルーシュ……この際だから言おう」
 一息。
「君のセンスはズレている」
「ははっこれはまた可笑しな発言だ。寝言は寝て言うものだぞ、ライ」
「少しは真面目に受け取ろうよ!」
「ふむ……」
 少し考え込んだルルーシュはいいか、と前置きして、
「お前は古い時代の人間だから分からないだろうが――」
 言ってルルーシュがスザクの方を見る。スザクはああ、と続けた。
「今はこれがトレンドだよ」
「嘘だっ!!」
「因みにライの衣装はこれだ」
 ルルーシュが青を基調とした布地を広げた。
 他の二人と同じように翼やら瞳のイメージが刻印されている。
 一瞬ライは自分がそれを着ている姿を想像し、ぞっと背筋を凍らせた。
「嫌だ、僕はそんな服は着たくない!」
「う〜ん……ねえ、ライ」
 と、スザクが頑なに拒絶するライに問うた。


356 :創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 22:17:06 ID:qPZKTVjS
「君はあの百万人ゼロの時は……」
 スザクの言葉にルルーシュは天井に視線を向け、何かを思い起こすように、
「結構ノリノリだったな」
「やはりね」
「違うだろう! 僕は最後まであれに反対したぞ! あんな全身タイツの仮面姿など!」
「ふむ……スザク、お前はゼロレクイエム以降――」
 うん、とスザクは笑顔で頷いた。
「実は結構楽しみだ。あれ、格好いいよね」
「だろう?」
「おかしい、おかしいぞ二人とも! ……はっ!」
 ライは気付いた。これほどまでに二人をおかしくする原因。そんな物は一つしかない。
 周囲に向かってライは叫ぶ。
「新手のギアスだな! 出てこい、悪魔の瞳を持つものよ! 貴様が二人にギアスを掛けた事は分かっている!」
 すると、スザクは可哀想な者を見る目でライを見て、ルルーシュに小声で話し掛けた。
「ライはどうしたんだろう?」
「聞こえてるぞスザク! 大体どうかしているのは僕じゃない。君達の方だ!」
 はは、とルルーシュは笑って、
「正常でない者は皆そう言うな」
「くそっ、ああ言えばこう言う……!」
 相手は詭弁やハッタリの達人、ルルーシュだ。それに天然系のスザクまで加わってしまっては、もはや説得のしようがない。
 ライは静かに、かつてルルーシュの語った『俺達二人が揃えば、出来ない事など何も無い』という言葉を思い出した。
(なるほど、正逆の二人が同じ結論を出す事で覆せない物となる訳か)
 何とたちの悪い。
「さて、そろそろライにはこれを着てもらおうか」
 ルルーシュが蒼の衣装をライに近づける。
 ライは反射的に後ろに退きつつ、
「いやだ! そんな物を着たら末代までの恥だ!」
「安心しろ。ブリタニアの血脈は続いている。この服装へと」
 思えば、皇族にはいろいろと奇抜なファッションセンスな者が多い。
 コーネリアのクラゲ、ギネヴィアの髪留め、カリーヌのリング、皇帝の髪型、シュナイゼルの顎。
 後半は少し違うかもしれないが、それらを始めとするけったいな衣装のセンスは自分の中の遺伝子に潜在的に含まれているのかもしれない。
「そんなの嫌だ!」
「往生際が悪いぞ。……スザク」
「イエマジェ」
「略して格好つけてるつもりか! その姿で言うともはやギャグ……はっ、スザクやめ脱がさないでうわーーっ!!」

 ・・・・・・
「ライ、その格好……」
「言うなC.C.。僕は……僕は……」
「予備の拘束着、いるか?」


357 :創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 22:18:53 ID:qPZKTVjS
以上、そろそろネタがなくなってきたとか、次は何のキャラ絡めようとか、色々悩んでますがまあいいです。

358 :創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 22:57:36 ID:LsHMlpFY
>>357
すげえな、何者だあんた。
とにかく乙 次も楽しみにしてます

359 :創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 22:59:10 ID:3RC/pXZA
>>357
GJでした!
のっけから吹いたwww
ある意味最初からクライマックスw
ルルーシュとスザクのセンスがwww
でも、ゼロスタイルは仮面だけならオシャレだと思うんだ。
そして、顎はちげぇよwww遺伝子的な問題だよwww
ルルーシュ作の衣装<拘束着、ですね、分かります。
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

360 :創る名無しに見る名無し:2009/03/06(金) 23:01:27 ID:BKwd4mqL
駄目だ、「イエマジェ」で吹いたwww
DVDのオマケに出て来ても良いシチュエーションだし、テンポ良く読めました
ギャグ系のSSも良いですね〜
楽しい話しをありがとうっ!!
又の投下をお待ちしてます

361 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 00:38:38 ID:jb/DX3y5
もう爆笑するしかないwwww
C.C.にすら同情されるとは……よほど滅茶苦茶な物だったのかwwww
とりあえず顎は違うでしょ(多分)。皇帝の髪は否定できませんがww

362 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 01:44:20 ID:CgWVGKzw
シュナイゼルの顎wwwイエマジェwwwww

363 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 02:07:53 ID:3gZ/pCWw
皇族のファッションセンスは遺伝的なもの。
顎も遺伝的なもの。
問題なし。

364 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 02:19:52 ID:XHV/bucH
イエマジェはズリィwwwwww
腹筋死ぬwwww

365 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 20:23:47 ID:fmuDwSsV
管理人いいかげん何してるんだろ
更新が遅れてるのは100歩譲って許してやらんこともないが
連絡もまともにできないのか?
4日前にメール出したのまだ返事こないし

366 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 20:28:15 ID:bQdLMjA4
ふむ、四日もメールを返せないほどの事が起こっているのか。
……トーマス卿、大丈夫だろうか。

367 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 20:41:17 ID:KbVZY2V9
あの、また短編投下しますが、今日のはあまり読まない方がいいかもしれません。
ほんの思いつきで書いたので、本当に酷いです。
ネタとか前振りとかじゃなくて、ボツにしようかと何度も思って今でも思ってます。

では、一応ライアニャ短編です。


368 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 20:42:24 ID:KbVZY2V9
「ん? アーニャがそんな本を読むなんて、珍しいな」
「そう?」
 ライはアーニャが読んでいる、何やら子供向けの挿し絵がついている本を見た。
「ウサギと……なんだ、これは?」
「ガメラ」
 アーニャは表紙をライの方に向け淡白に言う。
 しかし、ライはガメラなるものに関する知識は無い。
「ガメラか……聞いたことないな」
 すると意外そうに、
「エリア11……日本の童謡の本だから、ライは知ってるかと思った」
「知らないな…。日本で育った訳じゃないしね。しかし見た目といい名前といい、亀の一種かな?」
「そうみたい。でもガメラは火を吐く」
「火を!?」
 そう、とアーニャは頷いた。更にアーニャは挿し絵のついた別のページをライに見せる。
「これはウサギとの競争。ガメラは甲羅に閉じこもり、回転して空を飛ぶ」
「空を!? ではウサギは勝ち目が無いじゃないか……」
「そう。これは生まれによって全ての者の勝敗は決まっているという教訓に基づいている。ウサギはいくら努力してもガメラに勝てない」
「そうか……日本にもブリタニアと同じような価値観があるんだな」
 それはブリタニアの思想を好まない自分にとっては悲しい事実だ。
(いや、待てよ……)
 そこでライはある事実に気付く。
 自分の知る日本人は果たしてそうだったろうか。違うはずだ。
 日本にはブリタニアとは明らかに何かが違う文化が確かに根付いていて、それは少しではあるがそこに住むブリタニア人に影響を与えていた。
 事実、エリア11におけるブリタニア人のオタク含有率は世界でトップだ。
(だとしたら、かつてブリタニアと同じであった思想を変える何かがあったはず)
 それが分かればブリタニアを中から変えるという、雲を掴むような話も実現可能になるかもしれない。
「アーニャ! その後ガメラはどうなったんだ!?」
「わからない。人間の台頭により、ガメラは住む場所を失ってしまったと思う」
「人間による環境破壊か……日本は緑の多い国だから、ガメラの最後の居場所だったのかな」
 ブリタニアも、シャルル皇帝が即位するまでは内乱で悲惨な物だったと聞く。
「そうかも。でも、ガメラも人間に屈しなかった。別の文献にその記録が残っている」
 それだ。ライは反射的にそう思った。
 アーニャは床に置いてあった別の本を開く。
 それは同じような絵本で、ブリタニア用に訳された文字にこう書かれていた。


369 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 20:43:32 ID:KbVZY2V9
「ウラシマタロウ……?」
 アーニャは頷いて、
「ガメラが海岸で複数の人間と戦っていた。そこにやってきたウラシマは――人間に加勢する」
 それはそうだろう、とライは思った。
 何しろ相手は火を吐き空を飛ぶ化け物だ。人間も必死になるというもの。
(なるほど、ブリタニアという大国に屈しない精神はここから来るのか……はっ!)
 まさか、とライは心の中で呟く。
 『ウサギとガメラ』の話を聞いて、自分は日本にもブリタニアと同じ思想があるのだと、そう思った。
 だがそれが間違いだとしたら、
(日本人は、ガメラに抗うウサギであり人間……!)
 そしてウサギはガメラに勝てなかった。では人間は果たしてガメラに勝てるのだろうか。
「だけどガメラも負けない。ウラシマを捕まえて、海の中に引きずり込んだ」
「!?」
「そして溺死寸前まで追い込んだ後、海底にある巣で、仲間達と共にウラシマを集団暴行」
「なんて惨い……」
 それはまるでブリタニアに蹂躙されるイレヴンのようではないか。
 つまり日本人は、強者と弱者の立場というものを、こちらよりも遥か昔から認識していたという事だ。
 それでも諦めきれず、彼らは人間としてガメラに立ち向かっている。
(誇り高い民族だ……)
「ガメラは最後に、ウラシマを海岸へと戻した」
「ん? ……ガメラはウラシマを殺さなかったのか?」
 アーニャは頷く。そして、悲しげに瞼を伏せた。
「ガメラは光速に近いスピードと強烈な加速度で海岸を行き来した。相対性理論により、ウラシマは日本と異なる時間軸へと、未来の日本へと残された。つまりそこは……」
「エリア、11……」
 ライは愕然と、そして力無く膝を折った。
(そんな、それでも彼らは戦っているのか……)
 たとえ世界に隔絶されたとしても、ウラシマはガメラに戦いを挑む。
 そんな覚悟が自分にあるだろうか、とライは自問した。
「ライ」
 心配そうにこちらを支えてくるアーニャに、ありがとう、とライは言って立ち上がった。
「僕にはまだ覚悟が足りなかった。スザクのように、ウラシマのように……!」
「ライ、私も手伝う。ガメラに勝とう」
「アーニャ……」
「ライ……」

 ・・・・・・
 その後、一組の男女が日本を中心にブリタニアを、世界を巻き込む変革を引き起こした。
 後世の歴史書は、その一連の世界革命をこう呼んでいた。

 ――ウラシマレクイエム、と。


370 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 20:44:01 ID:KbVZY2V9
以上、すいません本当に酷いネタですいませんとか、明日はもう少し真面目にネタを考えますとか、色々謝罪の文言はありますがだって思いついちゃったんだもん。
関係無いですけど、モスラって、地球に衝突する隕石の軌道を変えるという重厚なテーマを、アルマゲドンやディープインパクトより5年以上前に映画で扱っていたんですよね。
凄いですよね。今回の話はそれに匹敵する発想だと個人的には思ってます。言い訳が長くなりました。すいません。


371 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:33:35 ID:bQdLMjA4
>>370
GJでした!
ウサギとガメラwwwシュールすぎるwww
ウラシマタロウwガメラと戦うのかwww
ガメラひでぇwwwというか仲間ってガメラいっぱいいるのかw
発想が凄すぎるwww
腹がwww腹筋が痛いwww
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

372 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:40:10 ID:dKHLXHab
>ウサギとガメラ

多分このセンスには逆立ちしても勝てないw面白過ぎます
楽しい話を有難う
またお待ちしてます

373 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 21:55:57 ID:HGPRjjhF
コードギアスたまに最初から最後まで全部見直してしまう!やっぱり自分の中ではギアスはまだまだ熱いです!!
ロスカラ2出て欲しいですね!

374 :テリー:2009/03/08(日) 00:00:32 ID:dyisXwdj
こんばんは!感想が少なくて不満な毎日です。
投下いきます!
「英雄 二章 」

16レス位かかります、支援と感想してください

375 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 00:36:21 ID:qfvPOkF+
>>370
君は「メテオ」を見ればきっと感動出来ると思う。

376 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 00:39:03 ID:X2kWyU6t
374の方ちょっと待った!!!!
かってに私の名前使わないでください!!!!!

377 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 00:49:52 ID:nbQ0/CHX
状況がよく飲み込めないんだが
テリー卿混乱してるんですか?

378 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 00:52:30 ID:9kqsBEwA
むぅ、どういう状況だ?
あとテリー卿、トリップ使ったらいいんじゃないかな?

379 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 00:53:43 ID:D74BH4CC
>>376
お前例の荒らしだな
いい加減にしろよ

380 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 00:54:03 ID:Gvg+FpX9
なんなんだかなぁ……

381 :テリー:2009/03/08(日) 01:00:36 ID:X2kWyU6t
379の方違います!!376が本物の私です!!英雄はまだ制作途中です!!
第一に自分はまだ未熟で16レスも長いのはまだ書けません!!


382 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 01:05:38 ID:9kqsBEwA
とりあえず、名前の後ろに半角で#を入れて、好きな文字列を入れるとトリップというものが使えます。
なりすまし防止のためにも使った方がいいかな、と私は提案してみます。

383 :テリー" ◆GH6kzC2bvQ :2009/03/08(日) 01:08:37 ID:X2kWyU6t
378の方、貴重な助言ありがとうございます。
こんな事になるとは毎度毎度申し訳ないです・・・・・・

384 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 01:11:07 ID:9kqsBEwA
いえいえ、気になさらずに執筆頑張ってください。

385 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 01:15:08 ID:D74BH4CC
トリップをつけてもまだ本物と確定したわけじゃないんだよな

386 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 01:19:17 ID:Gvg+FpX9
結局、SS投下したらわかるんじゃないかな。
人によって書き方とか、キャラ描写とかいろいろ違っているし。

387 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 01:21:18 ID:Gvg+FpX9
という訳で…374のテリーさん、投下してね。
投下しない時点で、偽者決定。

388 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 01:22:23 ID:D74BH4CC
だな。猿にしてもちょっと以上だぞ

389 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 01:35:29 ID:GzPvpy4S
テリーうざい

390 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 01:46:51 ID:iEdDm4g7
>>390
本当のことでも言わないのが大人ってもんだぜ?
保管庫止まってるせいなのかみんなイラついてないか?少し落ち着こうぜ

391 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 01:48:53 ID:iEdDm4g7
失敗、>>389だった

392 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 01:59:22 ID:8HlrTRdY
なんだこの流れは。過疎るだけでなく、こんなに性質の悪い連中まで出るようになったのか?

393 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 02:14:22 ID:VLEZWu4H
トーマス…なにやってんだ…?見ろよこの惨状…
お前のせいだぞ…

394 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 05:09:08 ID:Q2MuclkJ
立って二週間足らずでこんだけ大容量埋まるスレが過疎とかないわー。

395 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 08:09:01 ID:ql4zmXE3
何がなんでも管理人さんに因縁つけたくてマッチポンプで本スレ荒らし、か。
他の保管庫とか見たことない奴なんだろうな。1ヶ月単位とかザラだっつーに。

396 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 21:05:12 ID:bc1frjoq
日常生活より管理優先しろ的な理屈はあんまりだよな。
貴重な時間を投資してくれてんのにさ。
システムの改良といい、ここまで細やかな対応してくれる保管庫なんて滅多にない。
趣味を楽しむ心の余裕を持とうよ。

397 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 21:21:56 ID:Sm8/AYPj
じゃあエールの意味も込めてライVでも投下しますか!

398 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 21:23:12 ID:Sm8/AYPj
 外の世界に出ると、そこには闇が広がっていた。
 現世から閉ざされた夜の闇には、唯一、星と月の光が輝いている。
 その光景を視界に入れつつ、V.V.は両手を組んで、
「ん〜〜」
 伸びをした。
 V.V.はここの雰囲気が好きだった。
 眼下、エアフィルターの先の地下には嚮団の施設が存在する。
 無機質な建造物と自然物が渾然一体とした奇妙な都市だが、嚮主である自分はあまり好きではない。
 というより、一ヶ所にじっとしているのが合わないのかもしれない。
「ほ……ちょっと寒いかな」
 肌を刺すような痛みと白く濁った息が、自分の存在をこの閉ざされた世界に固定する。
 再び思う。この雰囲気はいい、と。
「君はそうは思わないかい、ライ?」
 振り向いて問うと、そこには少し不機嫌そうな少年、ライが立っていた。
「思わない。エアフィルターから熱が漏れてなければ、寒さで死んでしまう」
「いや、僕も死なないだけで痛みや寒さはあるんだけどね……」
 うん、と頷いて、
「それより君はどうしてここに?」
「それはこっちの台詞だV.V.。君がふらりと席を外すもんだから、僕のところにおろおろと研究者がやって来るんだ」
「で?」
「『黄昏の間に入られたのでしょうか?』なんて聞かれるから困ったよ。確かに僕はあの空間に馴染みはあるが、自由に出入りなど不可能だ」
「コードが無いもんねぇ……ま、君ならそろそろコード保持者になれるんじゃないかな?」
 すると、ライは目を伏せ黙り込む。
 再び静寂が二人を包み込んで、やがてライは口を開いた。
 首を左右に振り、
「僕にはその選択は出来ないよ。誰かを殺し、何かを得るなんて」
 コードを手に入れるには、一定のギアスを持った者が、既存のコード保持者を殺さなければならない。
(C.C.はその殺されるのを望んでいるけど……)
 しかしそれはC.C.の問題であって、ライがコードを得てしまえばそれは彼にとって許せない事なのだろう。
「難しいね。少なくとも今僕を殺せば……君の反対する『ラグナレクの接続』は止められるよ?」
 ライは再び否定。
「それこそ誰かを殺して何かを為した事になる」
「ふ〜ん……でも協力する気はない、と。嚮団の孤児の世話はしてくれるのにね」
 それを聞いて、ライは少し苦々しい表情を作った。


399 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 21:25:40 ID:Sm8/AYPj
「あの子達に罪はない」
「だから育てても問題ない? 優しいね“ライお兄ちゃん”」
 言うと、ライは眉間にしわを寄せて、
「君に呼ばれると気持ちが悪い」
「はいはい、分かってるよ。……ともかく、計画を直接手伝う気は無いんだね?」
 ライは頷いて、
「ああ……それに、僕が今さら何を協力する必要がある。強いてあげるならラグナレク接続時、コードが『アーカーシャの剣』の負荷に耐えられるかが問題だが、」
 一息。
「それこそ新たな強いコード保持者を用意するしかない。僕に何が出来る」
「それこそ君の出番じゃないか、強いギアス能力を持つ者」
 V.V.は笑顔で言った。
 だがライは冷めた表情のまま、こちらの言葉を一蹴する。何度も言った。その気はない、と。
 なら、とV.V.は前置きして、
「孤児の女の子達に子供を産ませてみたら? 今は無理だけど、彼女達も成長したら君を受け入れてくれると思うけど。
 そうしたら人為的な移植物である彼女達の物と、君の持つ『R因子』が共に遺伝して、より強いギアス能力者が産まれるかもしれない」
 嚮団の調査では、近親婚が認められていた時代の皇族は『R因子』を持つ絶対数は多かったらしい。
 だがライは冗談、とV.V.の提案を切り捨てた。
「僕にそんな気はないし、子供達に何かを受け継がせる気はない」
 ライは視線を上空、真円に輝く満月へと向けた。
「それに、僕にはそんな資格は無いよ――君が計画を後戻り出来ないのと同じように、ね」
「…………」
 V.V.は少しの間黙り込んだ。
 ライは気付いている。自分がマリアンヌ殺害の犯人である事を――そして恐らく弟であるシャルルも。
 V.V.は頷いて、
「そうだね僕はもう後戻りは出来ない。マリアンヌを……。いや、コードの呪いを持った瞬間からかな」
 ふ、とV.V.は笑みを作った。今までの外見に相応な陽気な笑顔ではなく、何かを悟ったような、そんな笑みだ。
「僕達は似ているね、ライ。何をしたいのか、ぼんやりとは分かっていても、そこに行ける訳でもない」
 ああ、とライは頷いた。
「気付いた時には、もう遅い。何をしてもそこには辿り着けないから……。足掻いて、抗って、結局は何も出来ないんだ」


400 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 21:26:21 ID:Sm8/AYPj
「うん。でも良かったよ、君を復活させて。……おかげで僕は、シャルル以外の人間と理解しあえた」
 それも、ラグナレクの接続を経る事なく、だ。
 するとライは何も言わずにエアフィルターを開いた。そのまま地下へと戻ろうとして、しかし足を止めた。
「そろそろ本気で死にそうだ。僕は戻るよ……そしてV.V.、人生の先輩からアドバイスだ」
 ライは首だけこちらの方に向け、そして言った。
「後悔だけはしないように。……じゃあ、君もはやく戻ってくるんだぞ」
 それだけ言い残して、ライは帰ってしまった。
 そしてまたV.V.は一人になる。
 静かな冷たい風に晒されながら、V.V.は消え入るような声で呟いた。
「気付いた時には、もう遅い……か。まったくだ」
 自嘲するような笑顔を浮かべ、V.V.は嚮団の中へと戻って行った。

   ――定めは僕が引き受けるよ。


401 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 21:29:13 ID:Sm8/AYPj
以上、若干小説ネタ入っちゃったとか、もちっと短くまとめたかったとか、色々反省する部分がありますがまあいいです。

402 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 22:17:09 ID:9kqsBEwA
>>401
GJでした!
ライとV.V.の間の雰囲気が凄くいいかんじ!
いいねぇ、ディモールト・良し!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

403 :テリー" ◆GH6kzC2bvQ :2009/03/08(日) 23:41:08 ID:X2kWyU6t
えーーー英雄を書き終えたら投下しようと思ってましたSSを投下
したいと思います。

「鉄の道」

カップ ライ×ア―ニャ
ジャンル 完全100%のオリジナル設定、注意してください







404 :テリー" ◆GH6kzC2bvQ :2009/03/08(日) 23:42:04 ID:X2kWyU6t
すいません追加ですが7レス位です、念のために支援をどなたか

405 :テリー" ◆GH6kzC2bvQ :2009/03/08(日) 23:42:41 ID:X2kWyU6t
「鉄の道」


フランス首都パリにある巨大な駅「パリ中央ステーション」


ここは1日約60万人が利用し15ものホームが有る駅ビル、一日の本数は上下
合わせのべ約300本もの膨大な列車がいききし、ここを中心にしてヨーロッパ
各地に向かって旅人が大勢出発し帰って来る。


この広大な鉄道網を一手に受け持っているのが世界最高峰の超一流企業であり
世界最大の鉄道会社「ブリタニア」。100年もの伝統を持つこの会社はヨーロッパ
各国に10もの大きい支社を持っておりその収益はのべ10億ドルは普通にこす
その本社が有るのがここ「パリ中央ステーション」だ。




17:24「パリ中央ステーション」改札口前




会社帰りのサラリーマンや学校帰りの学生達でごった返している改札で
「ママ、早く早く!!」
オシャレな服装に小さなリュックを背負った少年がとても興奮した笑顔で
母親を急かし改札の方へ走って行く。
「こらジン!!危ないですよ、ちゃんと前を見て歩きなさ―――」
「わっ!!」
と、大きいトランクを引っ張る母親の注意も空しく少年は大男とぶつかってしまった
その大きさと言ったら遠くからでもわかる位の大きさで少年をみる目も鋭いものがあった
「あ・・・ご、ごめんなさい」
その威圧に怯えてしまうジンにその男はジンの目線まで屈んで
「少年よ、これから旅行かな?」
「え・・・・・うん。これから汽車に乗って行くんだ」


406 :テリー" ◆GH6kzC2bvQ :2009/03/08(日) 23:43:35 ID:X2kWyU6t
怒られるかと思ったが予想外の言葉に少しキョトンとしてしまう。
「そうか、列車の旅は好きかな?」
優しい笑顔でそう言う男はその大きな手をジンの肩をそっと掴む
「うん、大好き!!」
「そうか・・・ふふふふふふふふ」
ジンの答えに満足したのか男は立ち上がり笑いだした
「ぶははははははははははは少年よ!!!ならば楽しむがいい、私の自慢の鉄道
がきっと楽しませてくれるだろう!!!」
と大声で話す男にびっくりするも笑顔で頷くジン。


この男こそ、かの超一流大企業「ブリタニア」会長にして「ヨーロッパの鉄道王」
シャルル・ブリタニアその人でありこの大声は毎日ここで発せられているため
今となっては名物の一つとなってしまっている。
「あなた、おまたせしました」
「おおマリアンヌ、忘れ物は無いか?」
シャルルの後ろから声をかけたトランクを引く女性はマリアンヌ・ブリタニア
シャルルの妻でまだ社長だった時の秘書だったとても美しい女性、その美貌は
ミス・フランスと言う最高の賞を獲得したほど。
「はい、参りましょう」
「うん、またな少年よ!!旅を存分に楽しむのだぞ」
「うん!!行こうママ」
笑顔で礼をシャルルにしたジルの母親はジルの手を引き改札口へと吸い込まれていった
その後姿をマリアンヌは優しく見守っていた。
「まったく子供好きにも困ったものねぇあなた」
「ふ、解っておろう?そんな事は」
大きな荷物を持ち2人も改札口へと向かった、シャルルとマリアンヌは今回
結婚記念日を祝して旅行に行く事にしている。
「これはシャルル会長、マリアンヌ婦人!ご旅行ですか?」
「ええ、イタリアまで長旅を」
「良いですなぁ、イタリア行きは5番線です!楽しいご旅行を」
「うむ、行って来る!!」


17:34 5番ホーム



407 :テリー" ◆GH6kzC2bvQ :2009/03/08(日) 23:44:18 ID:X2kWyU6t

そこにはすでに列車が発車時刻になるのを今か今かと静かに待っていた
これからその列車に乗って旅行に行く家族や老夫婦、出張帰りのビジネスマン
とあるツアーの団体客、遊休休暇を利用して乗る公務委員の一団、苦労して
キップを手にしウキウキしているマニアと様々な人がいる。


18:00発 ローマ行き 寝台特急「オリエントエクスプレス」


ブリタニアが誇る世界最高の急行列車、ブルーの車体にゴールドの帯を敷く美しい
スタイルで幅広い世代に人気があるのが売りでキップはプラチナで滅多に手に入る
のが難しい超豪華列車。
「トマトにソフトドリンク、アイスにピザ生地・・・・調理用のワインが無いぞ?」
「すでに積み込んでます料理長」
「カクテル用の酒と混同すんなよ?」
「マスター、あなたこそ間違って“飲む”なんて事の無いようにして下さいよ?」
8号車に食堂車、9号車にバーテン車を連結しているその辺りにはこれからの長旅を
支える食材やお酒が料理人やバーテンダーによって積み込まれている、ちなみに
7号車には調理専用の車両が連結されている。
「この前みたいな事になったら減俸だからな、注意した方がいいぞ?特にお前は
酒好きで有名だしな」
料理長C.C。世界でも10本の指に入る程の料理の腕と味覚を併せ持つコック
でも一番得意とするのはピザ作りだとか。
「うるせえよ、あれは単なるきの緩みだ!同じ過ちは繰り返さねぇよ」
その反応に周りのスタッフは大笑いしC.Cは鼻で笑った。
バーマスター ルキアーノ。ブランデーからワインやカクテルと酒の事には
うるさくその知識は右に出る者はいないほどで彼の作るカクテルは格別、でも
隙あらば酒を楽しむ癖が有るのがキズ。


「17:48、あと12分か・・・・今日も子供でたくさん!にぎやかになるわねぇ」
と大きな懐中時計に目をやり5号車の車掌室からホームを見渡す笑顔な車掌のミレイ
子供好きで長いこのオリエントの旅を最後まで決して退屈にさせないパフォーマンス
にトークショーや企画を思いつくアイディアマン。
「ミレイさん!」


408 :テリー" ◆GH6kzC2bvQ :2009/03/08(日) 23:45:12 ID:X2kWyU6t
「ナナちゃん!変わりない?後ろは」
「はい、今日もたくさんのお客さんが乗ってくれてうれしいです!」
ミレイと同じ車掌のナナリーがホームからミレイに話しかける、10号車にも
備えてある車掌室が彼女の担当でその可愛らしい姿に加えて美声とも相まって
ブリタニアのマスコット的存在として全女性社員の癒しの一人なのだとか。

とそこへ

「ナナリー、元気にしてる?」
「お母様、お父様!!ようこそオリエントエクスプレスへ」
自分の両親に礼をし笑顔で迎える
「ミレイよ、何時も娘が世話になってるな」
「いえいえとんでもない会長!ナナちゃんには助けてもらってますよ」
その言葉に顔を赤らめるナナリーと微笑むマリアンヌに自然と笑顔になるシャルルと

「18:00発、ローマ行き寝台特急オリエンタルエクスプレスは間もなく発車いたします
ご乗車のお客様は5番線にお急ぎください」

「そろそろですね、では楽しいご旅行をお楽しみください!!」
自分の持ち場に向かって駆け出して行くナナリー、その背中はとても頼もしく見える
「では乗車しようかマリアンヌよ!!」
「はい!ではミレイさんまた」
と列車に乗り込むシャルルとマリアンヌを見届けたミレイは無線を取る
「C.C、全部運び終えた?」
「完璧にな、バーの方も準備は万端だ。何時でもいいぞ?」
「OK!!ジェレミアさん、機関車はどう?」


「準備は整っているぞミレイよ!!」
「元気だなぁジェレミア、楽しみか?」
「そう言うノネット殿こそウキウキしておられるではないか」
14両もの客車を牽引するのは何と蒸気機関車なのだ、ジェレミアとノネットは
この機関車の機関助士として点検を終え発車を待ちどうしにしているところなのだ
「あははははは、当然じゃないか!蒸気機関車を運転できるんだ、毎日が楽しみ
でしょうがないんだ!!」
と笑い合う二人の所に


409 :テリー" ◆GH6kzC2bvQ :2009/03/08(日) 23:46:11 ID:X2kWyU6t
「ノネット、そろそろ時間だよ」
「お、戻って来たなアーニャ。今まで愛しの彼とデートか?」
「う・・・・そ、それは」
「おふざけもそこまでですよノネットさん、位置について下さい」
2人の機関士ライとアーニャ。恋人同士でもあるこの二人は社内一番のラブラブカップル
として知られるけど、社員に出くわすたびに茶化されてしまうのが二人の悩みの種だとか。
ノネットのせいでアーニャは赤くなってしまう、それがとてつもなく可愛いからこちらも
癒し的存在とされている。
「ジェレミアさん、クラブの調子は?」
「絶好調だ!!最高の力を今日も出してくれるだろう」
クラブと名ずけられた蒸気機関車はアメリカ生のバークシャー型を会社の技術部が改造し
20両の大編成でも最高速度100kmを出すことができる黒い機関車
(機関車のイメージは映画「ポーラーエクスプレス」を参照ください)
その答に満足したライは無線で掛け声の様に言う
「皆さん、今回も頼みましたよ!!」
「「「「「おおおおう!!!!」」」」」


「18:00発、ローマ行き寝台特急オリエンタルエクスプレス発車いたします!
ドアが閉まりますのでご注意ください」


発車のベルが鳴り、ナナリーが列車のドアを一斉に閉め安全を確認する
「OKですミレイさん!!」
その合図にミレイも確認を終え、ライのいる機関車に合図を送る
「こっちもよ、発車おーーーーーらーーーーい!!」
機関車でアーニャがミレイの合図を確認する
「ライ!!」

ポーーーーーーーーー!!!

汽笛を鳴らしライはレバーを前に倒すとクラブは蒸気を勢いよく吐き出しガタン!!
と列車を引っ張り出す。
ノネットとジェレミアが後ろを向き無事に客車が付いて来ているかを確認すると
スピードを上げ列車は駅を離れていく


旅の始まりを告げる汽笛を鳴らす


さあ皆様、旅の始まりです。




410 :創る名無しに見る名無し:2009/03/08(日) 23:46:23 ID:ZJ3/qhXm
支援

411 :テリー" ◆GH6kzC2bvQ :2009/03/08(日) 23:48:09 ID:X2kWyU6t
以上です。英雄も近じか投下したいと思っております。
その時はお付き合いを!!では失礼します。410の方支援ありがとうございます!

412 :創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 00:31:00 ID:7/uzDfAI
テリー卿 GJです
とりあえず 発車おーーーーーらーーーーい が駄洒落になってて吹いた
このSSは、これで完結ですか? ギアス関係無しなパラレル物は、意見の別れる所でしょうが
自分は、続きを読みたいと思いました

ところで、トリップで # 打つ時、隣の " も押しっちゃったでしょ?
あと >>406 少年の名前 ジン、ジルのどっち?



413 :創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 03:03:03 ID:MwncDYPb
>>411
テリー卿、乙でした。
完全なるパラレルワールド。
なんというか、皆幸せそうでなによりです。
今回出てきていないキャラは何をやっているのか気になるところですね。
貴方の次の投下をお待ちしております。

414 :創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 07:21:42 ID:0Gp76fxc
いくつか気になった点を
パラレルなのだからと言われればそれまでなのですが、
フランスに本社を持つ会社の名前が「ブリタニア」イングランドの古名というのは
少々違和感を感じました。中央ターミナルという名称も現実にある駅名を用いれば
描写に奥行きやリアリティが生まれたのではないでしょうか
また、これはテリーさんに限った話ではありませんが
恋人同士という、あるいは親友などの人間関係を直接的に「恋人同士である…」と説明文で
表現するのではなく、キャラクター同士のスキンシップやセリフ、第三者キャラクターの視点で
間接的に表現してみてはいかがでしょう
文章の完成度もですが、それ以上に描写と表現が引き締まると思います
人間関係の描写というものは説明文の一言ですませるにはもったいないと思います
以上長々と失礼しました
どうぞよい文章を書けるよう御研鑽ください

415 :創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:09:29 ID:JxNFk1kb
テリー卿、乙であります。
遅いか、
トーマス卿、保管庫更新ご苦労様です。
リアルに支障をきたさない程度に、がんばってください。

416 :創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:18:25 ID:1pT/UIVg
さて、短編投下します。本日でラスト
絡むキャラは内緒で

417 :創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:20:15 ID:1pT/UIVg
「る、ルルーシュ……駄目だよ、こんな事」
 ライはいやいやをするように首を左右に振ってルルーシュを退けようとした。
 しかしルルーシュはそんなライの手を掴み、耳元で囁いた。
「五月蝿い。お前は俺の言う事を聞けばいいんだよ」
「あっ……」
 耳に吹きかけられた吐息に、ライはくすぐったくて身をすくめる。
 目の前にあるルルーシュの顔を見ていると、だんだんと――

 ・・・・
 ・・・・・・
「――と頬が熱くなっていくのをライは感じた。『ああっルルーシュ!』ルルーシュがライの首筋に……」
「何やってるんですか、咲世子さん?」
「ほあぁっ!?」
 背後から掛かった声に、咲世子は思わずルルーシュのような叫び声を上げてしまった。
 振り向けばそこにはよく見知った、
「ら、ライ様!? いつからそこに……!」
「いえ、今帰ってきたところですけど……咲世子さんは何をやっていたんですか?」
 ライが体を傾けて咲世子の後ろ、机の上の紙束に目をやった。
(い、いけませんっ!)
 咲世子は持ち前の瞬発力を活かして即座にライの視線を体で遮る。
 これを彼に見せる訳にはいかない。何故ならそれは……、
「漫画か何かですか?」
「え、ええ漫画! そう漫画! 日本の文化! ザ・漫画!」
 こくこくと頷く。ぶんぶんと頷く。
 そうですか、とライは納得した様子で微笑んだ。
 咲世子もつられて笑顔を浮かべ――、
「よかったら見せていただけませんか? 僕、凄く興味があって」
「いいいいぃぃぃえ! ノンノノノン! お見せするほどの物ではございません!」
「大丈夫ですよ。咲世子さんの書いた漫画ならきっと面白いですって。恥ずかしがらずに」
 あまり人に何かを強要しない彼が、今日は何故か引き下がらない。
(漫画と言ったのが失敗でした……!)
 まさかライが漫画にそれほど興味があったとは。後悔先に立たずか。
 漫画に興味を持ってくれているその事実は嬉しい。
 機会があれば、あのがさつなブリコミ(注:ブリタニアンコミック)なんかとは全く違う、日本の繊細な漫画を見せてあげたいと思う。
 しかし、しかしだ。
 咲世子は後ろ手に、机の上の紙束を撫でた。
(いけない……)
 これを見せる訳にはいかない。そう何度も咲世子は確認する。
 見せた瞬間、自分の人生は終わる。それだけは確実だ。
 何故ならそれは――、
(ライ様とルルーシュ様の……同人誌!!)


418 :創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:22:25 ID:1pT/UIVg
 咲世子の同人誌はアッシュフォード学園でかなりの人気を誇り、半年に一度開かれる即売会でも重鎮の個人サークルだ。勿論壁際。
 しかし咲世子自身、趣味の一環なので普段なら別段書いた絵に執着はない。
 傑作ではあるが、ライに見られるよりかは、
(無理やりにでも回収するべき!)
 咲世子はそう結論づけ、即座に行動を開始した。
「たあっ!」
「あっ……」
 掛け声一発。一瞬で机に広がる膨大な紙束をかき集め、くしゃくしゃに丸める。
 その速度は常人では追いつけない。勿論ライもだ。
 咲世子は作業を終え、安心してライの方に向き直った。
「さあ、ライ様。よろしければ私が漫画をってぇぇぇええ!!?」
 素っ頓狂な悲鳴が木霊する。無理もない。
 何故ならライが自分の書いた同人誌の一枚の紙をまじまじと見つめていたのだから。
「…………咲世子さん、これって」
「ひっ」
 咲世子は今度は小さな悲鳴を上げる。もはや動揺は抑えられない。
 回収する時に落としたのか。何故気付かなかったのか。後悔の念が溢れ出す。
(仕方ありません。もうこうなったらカミングアウトです)
 咲世子は開き直る事にした。腐女子がなんぼのもんだと。ライが魅力的なのがいけないのだと。
 しかし、
「咲世子さんが僕をこういうふうに見ていたなんて知りませんでした。意外です……」
 しかし。ライの口から紡がれた言葉は軽蔑の言葉ではなかった。
 そこで咲世子は見た。ライが持っている絵。それは――、
(ライ様“だけ”が書いてある裸の一枚絵!)
 その事実に思い至った時、ライがこちらの手をとった。気のせいか、彼の頬は若干赤らんでいる。
「咲世子さん。いや、咲世子……僕は……」
「ライ様――」


 ・・・・
 ・・・・・・
「ライは咲世子の腕を引き、ぐいと体を寄せた。咲世子は若干の抵抗を試みたが、ライがすかさず腰に手を回す。『逃がさないよ、咲世子』『ああっ、ライさまぁ……!」
「何やってるんですか、咲世子さん?」
「へ? ……ほあぁああっ!? ら、ライ様! いつからここに!?」
「いや、今帰ってきたところです。そうしたら咲世子さんが僕を呼んでいたみたいだから……。ところで何ですかそれ?」
「何でも、何でもありません!!」

   ――アッーーー!

419 :ピンクもふもふ  ◆Moffuu/mUE @株主 ★:2009/03/09(月) 22:23:57 ID:1pT/UIVg
 以上、これにて毎夜続けた投下は一先ず終わり。
 稚拙な文章をわらわらと書きましたが、どれか一つでも楽しんで頂ければ幸いです。

 最近忙しくてまともにSS書く時間もとれなくて、ちょっと間が空くとすぐ書けなくなってしまう。
 それもこれも小説なんかに触れない生活をしているからで、流石にラノベだけで文章表現身につけるのは限界がありましたな。少しまともに勉強して、よりよいSSを書けるよう精進いたします。

 という訳でこれからはまた暇な時間にゆったりと書くので、その時また読んでいただければと思います。


420 :創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:38:32 ID:MwncDYPb
>>419
ピンクもふもふ卿、GJでした!
咲世子さん、手がこんでるw
劇中劇中劇に吹いたwww
凄いよ、この咲世子さん! さすがアッシュフォード学園のメイドさん!
全部楽しく読ませていただきました。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

421 :創る名無しに見る名無し:2009/03/09(月) 22:55:20 ID:91HlMNVF
ピンクもふもふ卿、アナタサマでしたか!
寸鉄ぶっすりなSSの極意、見せてイタダキマシタ!
ここ数夜で腹筋が割れたにも関わらず「イエマジェ」の呪いが今だ解けません!
ゆったりまったりものされた作品も楽しみにお待ちしますデス!

422 :創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 00:16:52 ID:JWrYHjGj
突然ですが、とんでもなくカオスなネタが思いつきました。もしよければ
使っていただけませんか。


「閃光の魔法少女マリアンヌ」
:アーニャの中にあるマリアンヌの意識が表面化した状態で変身の呪文を
唱えたとき、アーニャの姿からマリアンヌ本来の姿となり、さらに魔法少女
の衣装を身にまとった姿になることによって、閃光の魔法少女マリアンヌへ
と変身するのである。


・・・色々とすみません。
萌は文化卿の「魔法少女ライマーユニー」のSSと、余暇卿の「虫食い同
好会」のSSを読んでいたときに思いついたものです。もし、お二人の
お気に触ってしまったようでしたら、誠に申し訳ありません。

ネタを思いついておきながら、自分には職人の皆様のような文章表現力が
ありません。他力本願かもしれませんが、このネタを使っていただければ
幸いです。ちなみに元ネタは、「奥さまは魔法少女」からです。


423 :簡単に書いてみた:2009/03/10(火) 04:35:43 ID:ZMWWziRE
彼女と初めて出会ったのは学園内だった。
僕の親友ルルーシュの妹ナナリーの友人の一人。
それが、彼女、アーニャ・アールストレイム。
だが、今、僕の目の前にいるのは、何者なんだ?
さっきまでそこにいたのは、間違いなく彼女だったはず……。
だが、今、僕の目の前にいるのはまったくの別人。
姿だけではない。
喋り方も性格もまったく違っている。
どういうことなんだ?
訳がわからなかった。



「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第1話 変身しちゃう女の子って変じゃないですか?




ら、ライさんに見られたっ……。
私の頭の中でアーニャの思考が悲鳴を上げている。
えーい、うるさいわねぇ…。
後でちゃんと説明しておいてあげるわよ。
私は、アーニャの思考にそう言い切ると目の前の相手に意識を集中させた。
そう言われた事とさすがに戦いの途中でいろいろ言うのは拙いと思ったのだろう。
アーニャの思考が大人しくなる。
ふう…。
これで落ち着いて戦えるわ。
私は、ゆっくりと魔法のロッドを構える。
ランクCか……。
なら、連中の情報も持ってないだろうし、パワーの消費も抑えなきゃいけない現状なら、一気に仕留めて終わらせよう。
そう考えると詠唱を始めた。
もっとも、そのほとんどはロッドでやってくれるから、私はキーワードとパスワード絡ませた一文を唱えるだけだ。
「大いなるブリタニアの光よ、今、我に力を…。そして、不条理なものを送り返す光の門へと閉じ込めよ。イ・セルドーラ!!」
私の詠唱が放たれると、その言葉は光となり、相手の異形のものを包み込む。
そして、その光の中にゆっくりと沈みこんでいく異形のもの。
気味の悪い叫びをあげるものの、ランクC程度の雑魚が術式を敗れるはずもない。
あっという間に、異形のものは光の中に完全に沈みこみ、光が薄れていった。
ふう…終ったっと……。
そう思った瞬間、呆然とこっちを見ている彼の姿が目に入った。
確か…ライって名前だったわよね。
アーニャの友達のおにーさんの友人だったっけ……。
うーーん……めんどくさいなぁ。
でもなー、アーニャに臍曲げられたらこれからが困るんだよなぁ。
そう、アーニャの身体を間借りしているマリアンヌにしてみれば、持ち主であるアーニャのご機嫌取りは必要不可欠であった。
仕方ない……。
感謝してよね。
そう思いつつ、彼に近づいた。



424 :簡単に書いてみた:2009/03/10(火) 04:38:46 ID:ZMWWziRE

僕は、信じられなかった。
いや、普通だったら絶対信じていないだろう。
別次元からこっちの世界に入り込んできた異形のものを狩る魔法少女のことなど……。
だが、彼女は、僕の目の前で変身し、異形のものを封印してみせた。
信じるしかなかった。
「わ、わかったよ。信じるよ、その話」
僕は頷くと聞き返した。
「で…、貴方の事はどう呼べばいいんですか?」
そう聞かれ、一瞬考え込んだ後、にこやかに彼女は笑うと答えてくれた。
「閃光のマリアンヌ」と…。
ああ…綺麗だな……。
さっきまで怖い思いをしてたのに、彼女の笑顔に僕は見とれてしまっていた。

ふう…。
はいっ、きちんと説明したからね。
後は任せたよ。
私はそう言うと身体の支配権をアーニャに戻した。
えっえっええええーーーーーーーーっ。
慌てるアーニャの思考の声が響いたが、私はさっさと自分の思考を眠らせた。

身体が光に包まれていき、私が目を開けると目の前にはライさんの姿があった。
「えっと……そのぉ……」
何を喋っていいのか、頭の中がぐちゃぐちゃだった。
えーんっ、マリアンヌのばかぁ〜っ。
私だって……心の準備がっ…。
慌てふためく私を見ていたライさんは、落ち着かせるためかゆっくりと私の頭を撫でてくれた。
「あの……、今は……アーニャでいいんだよね?」
きちんと確かめるような言葉。
私は、その言葉にこくんと頷く。
なんだが頭を撫でられていると落ち着いてきたみたいだ。
なんでだろう……。
そう思ったけど、今はそんな事は考えないようにしょう。
でも何を話したらいいんだろう……。
迷っている私に、ライさんは微笑みながら言った。
「大変だったね、アーニャ。……あのさ、僕でよかったらだけど……君達の手助けをしてもいいかな?」
その言葉に私は驚いた。
あんな事に遭遇し、あんな出鱈目のような話をされて、まさか手伝おうなんて言ってくれるとは思ってもいなかったから。
だから、私は思わず聞いていた。
「あんな話、信じてくれるんですか?」
「信じるも何も目の前であんな事があった以上、信じるしかないだろう」
そう言って笑い出すライさん。


425 :簡単に書いてみた:2009/03/10(火) 04:39:47 ID:ZMWWziRE
「で、でもぉっ……変身しちゃう女の子って変じゃないですか?」
私は、恐る恐るそう聞いてみた。
なんだか、ライさんなら、今の私も受け入れてくれそうな気がしたから。
「うん。普通に考えたら変だよね」
その言葉にショックを受ける。
聞くんじゃなかった。
後悔が一気に私の心を塗りつぶしていく。
だが、彼はすぐ言葉を続けた。
「でも、僕はそれは間違いだと思う。アーニャは、ただ普通の人とはちょっと違うだけ。
アーニャは、アーニャさ。僕にとっては何もかわらないよ」
その言葉が一気に後悔に塗りつぶされようとしていた心を開放する。
「ありがとう……ライさん」
自然と感謝の言葉が出た。
そして、目には涙が溢れ零れ落ちた。
そんな私をやさしく抱きしめて頭を撫で続けてくれるライさん。
今まで気味悪がられたり、信じてもらえない事ばかりで理解者が現れる事を諦めかけていた。
だけど……。
私、理解者に出会えたのかのしれない。
私はそう思えてならなかった。

第一話 終了




次回予告
ついに現れるランクAの異形のもの
それを相手に苦戦するマリアンヌ。
あわや敗北かっ…。
そう思われたとき、光と共に現れたのは……。
次回 「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第2話 これが絆の強さですぅ にご期待ください。


426 :創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 04:42:10 ID:ZMWWziRE
以上です。。
1時間程度で書いたものなので突っ込みどころ満載です。
まぁ、勢いでやっちゃったと笑って許してください。

427 :創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 10:49:10 ID:7KylQZoY
>>426
GJでした!
い、一時間で書いただと!?
えぇい、ロスカラSSスレの職人は化け物かッ!
魔法少女……いいね!
続くの文字に期待しつつ、貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

428 :創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 11:54:53 ID:JWrYHjGj
このネタを考えついた者です。このネタを使ってSSを書いてくれたお方、
誠にありがとうございます。とてもいいですよ。
一応ネタの補足になりますが、自分の脳内では、

・(その時の服装状態の子供の姿のアーニャ)−変身→(魔法少女の衣装を着た大人の姿のマリアンヌ)
・ルルーシュとナナリーの母親であり、C.C.の知り合いでもあるマリアンヌその人である
・アーニャの身体に居座ることになった流れは、ほぼ本編沿いに近かったりする

てな感じです。・・・今頃になってスミマセン。二つ目と三つ目の補足設定
は無視してもかまいません(特に三つ目は)。あの話でも十分いいですよ。
それではまた、「閃光の魔法少女マリアンヌ」のSSが書かれることを
を楽しみにしています。

429 :創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 12:51:59 ID:nkvEVnIQ
>426
おもろかったー
1時間でこんなに書けるものなのか!?素直に感嘆。
マリアンヌもアーニャも可愛いです。

>428
youそこまでネタ詰めてあるなら自分で書いちゃいなyo

430 :創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:32:14 ID:ZMWWziRE
なんか需要があるようなので、2話投下します。
すみません。
1話、2話続けて勢いで書いてますから、突っ込みどころ満載です。
まぁ、気楽に楽しんでください。

タイトル 「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第2話 これが絆の強さですぅ 
カップリング ライ×アーニャの予定
ジャンル  未定

注意点
パラレルワールドですので、キャラの性格変わってます。
なお、このSSでのアーニャは、今まで普通の女の子として生活してきて、最近になってマリアンヌに寄生されちゃったって感じでしょうか…。
その為、本編のような性格にはなっていません。
もちろん、他のキャラもそういう感じで変わってしまっています。
ご注意ください。


431 :簡単に書いてみた その2:2009/03/10(火) 21:33:07 ID:ZMWWziRE

「あのね…ライさん……」
「わかってるよ、アーニャ」
ライさんは、そう言って片目をつぶってウィンクしてくれた。
「あの事は、二人だけの秘密だね」
「うんっ」
思わず、笑顔で答えてしまう私。
ドキドキしてる胸の鼓動。
なんでだろ……。
疑問が湧いたが、今は理解してくれる人が傍にいる。
それだけで私は幸せだと思っていた。
そして、そんなアーニャを頭の中でマリアンヌは面白そうに見ていた。
「若いねえ…」と思いながら……。


「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第2話 これが絆の強さですぅ




だが、そんなほのぼののひと時もすぐに終ってしまった。
異形のものが現れたのだ。
「なんで…こんなところに……」
マリアンヌの思考が叫ぶ。
「アーニャ…変わるわよ」
「うんっ、わかった」
そう頭の中のマリアンヌに返事をすると呪文を唱えるアーニャ。
「星よ、月よ、火よ、太陽よ、あらゆる光の源よ。
私、アーニャ・アールストレイムが願います。ここにマリアンヌ・ヴィ・ブリタニアの帰還を……。ルルーディ・ル・フェンドゥ」
そして、その呪文にあわせてアーニャの身体が光に包まれてた。
まだ幼かった少女の身体が、光の中で女の身体へと変化していく。
それにあわせて、服装もこの前着ていた魔法少女のユニフォームに変わっていった。
そして、光が一気に強くなった瞬間に掻き消され、そこには一人の女性の姿があった。
「マリアンヌさんっ……」
ライは思わず声をかけてしまっていた。
ちらりと僕を見たマリアンヌさんは、相変わらず綺麗だった。

432 :簡単に書いてみた その2:2009/03/10(火) 21:33:47 ID:ZMWWziRE
「は〜い、ライくんだったわよね。危ないから下がっててね」
そのマリアンヌの言葉に、ライはすぐに返事をすると後ろに下がった。
うふっ……。
素直ないい子じゃないのっ。
思わず微笑が漏れる。
でも……今は、こっちの方が重要ね。
魔法のロッドを握りなおし、目の前の相手を睨みつける。
この前封印したのとは比べ物にならないほどの妖気だ。
その妖気だけでじりじりと肌が焼かれるような錯覚さえ覚えてしまう。
ランクB、いえ違うわね。
ランクAってところか……。
冷たい汗が流れる。
契約したばかりの私にとって、あまりにも強すぎる相手だ。
確かに勝てない相手ではない。
でも、回復者がいない現状では、消耗の激しい呪文も術式も使えない。
くっ…どうしょう。
一瞬、逃げるかという選択肢が頭に浮かぶ。
だが、私が逃げれば、逃げ遅れるライくんは間違いなくやつに殺されるだろう。
それは出来ない。
いくら知り合ったばかりの相手とはいえ、私だってあの子に情が少しは移っている。
それになによりアーニャを悲しませたくなかった。
ええいっ……。
なんとかなるさっ。
私は、そう決心すると異形のものに突っ込んでいった。

はぁ……はぁ……はぁ……。
荒い息がマリアンヌさんの口から漏れる。
さっきからマリアンヌさんはすごく辛そうだった。
戦いは、確かにマリアンヌさんが押しているようにも見える。
だが、まだ相手は余裕があるように僕には感じられた。
なんか……拙い気がする。
僕の本能がそう警告する。
だが、どうすればいい。
今の僕に出来ることなんてあるのか……。
ちくしょう。
僕に力があれば……。
そうすれば彼女を助けて上げられるのに……。
そして、非力な自分に憤慨しながらも、僕は力を願った。
彼女を助ける事が出来る力を……。


433 :簡単に書いてみた その2:2009/03/10(火) 21:34:36 ID:ZMWWziRE

さすがランクAね。
この程度の呪文や術式だほとんどダメージ通らないかっ。
予想以上の相手に、私は焦っていた。
だが、現状で出来ることは大抵やりつくした。
やっぱり、リミッター外さないと駄目か。
彼女は決心した。
いくらセーブしても、ここで負けたら意味がない。
「アーニャ、ごめん……。力を貸して欲しいの」
頭の中のアーニャのに声をかける。
「うんっ。……だ、大丈夫だよ」
少し頼りない返事が返ってくる。
だが、迷っている暇はない。
魔法のロッドを構えると私は詠唱をスタートさせた。

「我、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアが命ずる。我の心と共に歩むものの力を我が……」
だが、そこまで詠唱した時だった。
異形のものが一瞬無防備になったマリアンヌに攻撃を仕掛ける。
今の彼女では、その攻撃は回避できない。
駄目だっ…。
その思いが膨らむ。
そして、僕は無意識に叫んでいた。
「やめろぉぉぉぉぉぉぉーーーーっ!!」
するとどうしたのだろう。
びくりと僕の言葉に反応し、異形のものの動きが止まる。
なに?
何が起こった?
それは多分、異形のものも同じなんだろう。
僕には混乱しているように見える。
そして、その間に詠唱は完成した。。
「剣に宿らせ、光の輪廻へと切り捨てよ。ファン・ルーファー・イズシス」
ロッドが光の剣と化していく。
そして、「斬!!」と言う言葉と同時に異形のものが光の剣に切り捨てられた。
光の粒子となって消えていく異形のもの。
そして、その光の剣の中にはぼんやりとアーニャの姿が見える。
「えっ?!アーニャ……なの?」
思わず、光の剣に話しかけていた。
「うんっ、私っ……」
光の剣の中にあるアーニャが僕に向かって微笑む。
驚いている僕にマリアンヌさんが苦笑して説明してくれた。
「リミッターを外す事で、アーニャの力をロッドに宿す事が出来るのよ」
「うんっ、これが絆の強さですぅ〜♪」
少しふざけたような言い回しに、僕は吹き出した。
そして、それに釣られみんなも笑い出していた。
「そろそろ戻すよ、アーニャ」
笑いが収まるとそう言って変身を解くマリアンヌ。

434 :簡単に書いてみた その2:2009/03/10(火) 21:35:41 ID:ZMWWziRE
変身の時のように光が彼女を包み込み、だんだんと小さくなっていく。
そして、完全に光が消えるとそこにはアーニャの姿があった。
「ごくろうさん…。大丈夫か?」
「うん……大丈夫……」
アーニャはそう言いかけたが、足が思うように動かないのか倒れそうになる。
「おっと……。無理しちゃ駄目だよ」
それを支えると僕は優しく彼女を抱き上げた。
「え、え、ええーーーっ……」
アーニャが真っ赤になってじたばたと暴れ始める。
まぁ、いきなりお姫様だっこなんてされたら驚くか……。
だけど、僕はそんなアーニャに微笑んだ。。
「何も出来なかったから、せめてこれぐらいはさせてくれよ、アーニャ」
その言葉に真っ赤になったまま大人しく頷く。
実際、かなりしんどいのだろう。
笑顔を見せようとしているが、汗が止まらないように流れている。
そんな彼女を見ながら僕は心の底から思った。
僕にたいした事は出来ないかもしれない。
でも、少しでも彼女らの力になりたい、と……。



そして、戦いの一部始終を学園の屋上から見ているものがいた。
黒尽くめのマントに黒の仮面をかぶったその姿。
そいつは、その場を離れる二人を見送りながら呟いた。
「こんなところにギアス能力者がいるとはな……」


第二話 終了




次回予告
私たちの前に現れた黒マントに黒マスクの男。
彼はゼロと名乗った。
彼は、敵なの?味方なの?
そして再び襲い掛かってくる異形のもの。
えーいっ、考えるのめんどーね。
次回 「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第3話 我名はゼロ にご期待ください



435 :簡単に書いてみた その2:2009/03/10(火) 21:36:57 ID:ZMWWziRE
以上でおわりです。

まぁ、気軽に楽しんでください。
なお、3話の予定は…………未定です。

436 :創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:39:25 ID:oAxH7bt+
>>435
乙です。最初違和感あったがパラレルとして割り切るとむしろ新鮮な感じだ。
続き楽しみに待ってます。

437 :創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 21:46:39 ID:7KylQZoY
>>436
GJでした!
注意点www >寄生されちゃった 吹いたw
まさかのアーニャ武器化w
そしてゼロktkr
次回予告の微妙な投げやり感もまたいいかんじ。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

438 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 08:18:55 ID:TmZWW03p
未定…?生殺しもいいところだ…面白いだけに

439 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 19:44:55 ID:y8KlM9Gm
このスレあと容量どれくらいなんだろ

440 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 19:49:10 ID:LQhUgji2
現在389kBですね

441 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 20:33:49 ID:4xQWja0d
代理投下予告。
本日20時50分から、投下いたします。
支援等よろしくお願いいたします。

442 :代理投下:2009/03/11(水) 20:49:29 ID:4xQWja0d
そろそろ時間なので投下します。 
ここから下は、ライカレ厨さんの書かれた文章です。

             ↓

お久しぶりです。随分と投下間隔が開いてしまいましたが、前作の続きを投下します。

【メインタイトル】コードギアス 反逆のルルーシュ L2  

【サブタイトル】〜 TURN02 逆襲の処刑台(前編)〜

【  CP  】無し、敢えて言うならライ←カレン

【 ジャンル 】 シリアスだと思います。

【 警告 】●根幹は黒騎士ルートを準拠してのR2本編介入ものですが、オリジナル設定と話も多々あります。
      ●王様ライの性格は自分の考えに依存してます。苦手な方はご注意下さい。
      ●オリキャラ及びオリジナルの名称が出ます。同じく苦手な方はご注意下さい。
      

それでは、投下行きます。


443 :代理投下:2009/03/11(水) 20:51:37 ID:4xQWja0d
シャルルとライ、二人の声が黄昏の間に響く。
 二人は互いに顔を会わせる事無く言葉を交わしていた。ただ遥か雲海の先より差し込む夕日をその身に受けながら。
 「そうか、ゼロが……」
 シャルルが独り言のように言葉を零すと、ライは軽く相槌を打った。
 「ああ」
 「御主はどう見る?」
 「まだ何とも言えない。状況証拠はルルーシュを否定しているからな。だが……」
 「申してみよ」
 珍しく言葉に詰まるライを尻目に、シャルルが僅かに笑みを含んだ声色で告げると、ライは自身の想いを告げた。
 「ルルーシュは目覚めた。いや、これは違うな。私は望んでいるのだ。そうであって欲しいと」
 ライはルルーシュが目覚める事を、ゼロの復活を心の片隅で望んでいた。
 それは、C.C.を捕らえるにあたり最大の障害に成りうる。本来であれば絶対に避けるべき事項である。
 しかし、ライは報告書で知ったゼロのカリスマ性。それに惹かれていた。
 端的に言えば、戦ってみたかったのだ。
 一方でそれを聞いたシャルルはただ一言、そうか、と告げるのみ。
 暫しの間、沈黙が辺りを支配する。
 やがて、ライは今後の方針を告げた。
 「騎士団の残党の件だが、今は領事館に逃げ込んでいる。なに、直接占拠してしまえば――」
 「中華連邦との対立は、現時点では避けよ」
 予想だにしていなかったシャルルの言葉にライは僅かに瞳を見開いた。が、そんなライを余所にシャルルは更に続ける。
 「あの国とは、シュナイゼルが話を進めておるのでな」
 「シュナイゼルか、鼠の親玉だったな」
 シャルルが告げた一人の男の名。その名を聞いたライの瞳に鋭さが増した。
 この一年の間、シュナイゼルは再三に渡り機情に密偵を送り込んでいた。
 正確にはシュナイゼルの命を受けたカノンが送ったのだが、王の力の前ではどれ程優れた密偵であろうとも無力だった。
 「煩わしい連中だった。ギアスを使えば駆除は容易かったが……そういえば最近は無くなったな。咎めたのか?」
 「何も言ってはおらぬ。何れにせよ、再び挑んで来た時は好きにさせよ」
 表向きは宰相という皇帝の右腕たりえる地位を以て、その辣腕振りを発揮しつつも裏では密かに暗躍する。
 シュナイゼルのその姿に、嘗ての王宮に蔓延っていた唾棄すべき存在を思い出したライは心底不愉快そうな顔になる。
 「ブリタニアらしいな。いや、貴族らしいと言うべきか?私の居た頃と何も変わらない」
 だが、それも一瞬の事。直に普段の冷めた表情に戻したライは話題を変える。さっさと忘れたかったからだ。
 「ゼロはどうする?」
 「未だ真偽が定かでないのであれば、今はC.C.捜索を優先せよ」
 「無茶を言ってくれるな。相変わらず何処に居るか分からないのだが?」
 不快感を滲ませながら問い掛けるライに対して、シャルルは助言を与えた。
 「C.C.は必ずゼロの近くに居る」
 だが、それを聞いたライは今度こそ不快感を露わにする。
 「そう仮定するなら確率が一番高いのは領事館になるが、お前は対立は避けろという。無理難題を押し付けるな」
 「出来ぬと申すか?」
 シャルルの口元が弧を描く。その挑発ともいえる笑みを横目に捉えたライだったが、直ぐに視線を戻すと暫しの間押し黙った。が、やがて独り言のように呟いた。
 「C.C.はゼロの傍に居る、か。では、ゼロを引き摺り出す方法は任せてもらおうか」
 笑いを含んだ口調で呟くライ。それに気付いたシャルルが問い掛ける。
 「何を考えておる?」
 「簡単な事だ。餌を使う。だが、お前はどうせ私が指揮を取る事は許さないのだろう?そうなると実際に指揮を取る者次第だが、奪われる可能性がある」
 「C.C.が何処に居るか。今はそれだけでも分かれば良い」
 「では、いいのだな?」
 最後にライが釘を刺すと、簡潔な答えが返って来た。
 「好きにせよ」
 「ああ、そうさせてもらおう」
 ライが満足げな笑みを浮かべてその場を後にしようと踵を返した時、不意にシャルルが呼び止めた。
 「これを渡しておく」
 そう言ってシャルルは外套の下に隠していた二対の剣を取り出した。一方は刀。そしてもう一方は剣。

444 :代理投下:2009/03/11(水) 20:54:11 ID:4xQWja0d
 「お前が持っていたのか」 
 ライは些か驚いた様子で答えながらも受け取ると手元に視線を落とす。
 刀は白鞘に収まっており鍔には見事なまでの装飾が施されている。
 だが、もう一方の剣に至っては一切の装飾も施されてはいない。
 対照的なそれらを暫しの間無言で見続けたライは、やがて慣れた手つきで刀を鞘より抜き出した。
 夕日に照らされて目映く輝くその刀身には美しい刃文が浮かび、そこには一切の錆も見受けられない。
 それを認めたシャルルは思わず感嘆した。
 「見事なものよ」
 その言葉にライはまんざらでも無いといった様子で答える。
 「ああ、母が私に与えてくれたのだ。何でも、母の国で作られた剣…刀と言うらしい」
 「形見、か……」
 そんなシャルルの問い掛けとも取れる呟きに、ライは僅かに眉を顰めた。
 しかし、それも一瞬の事。
 直ぐに表情を変えると、ライは暫しの間感慨深げにその刀身を眺めていた。
 そこには普段の鋭さを秘めた瞳は無かった。嬉しそうでもあり、しかし何処か悲しみを湛えた横顔。それは、年相応とも言える一人の青年の姿だった。
 やがてライは刀を鞘へと収め腰に据えると、次に剣を抜き出した。
 その剣の刀身は血のように紅く、また先程の刀と同じく一切の錆も見受けられなかった。
 が、造形美は明らかに刀より劣るものだった。
 「何の意匠も感じられぬな」
 そう言って笑うシャルルを余所に、ライは特に気分を害した様子無く淡々とした口調で答える。
 「剣は所詮人殺しの道具に過ぎない。装飾など無意味だ」
 「ほぅ、では先程の刀はどう説明する?」
 その問い掛けに、ライは臆面も無く言い放った。
 「これは刀では無く宝だ。そもそも、母より頂いた物を敵の血で汚せというのか?」
 「では、その剣は?」
 「ああ、これか。これは……V.V.からだ」
 「V.V.……」
 その言葉を聞いたシャルルの瞳が光る。
 「ある日突然現れて、王位に就いた祝いだと言ってこの剣を寄越した。しかし、見た目とは裏腹に切れ味だけは見事なものだぞ?他国を攻める際には大層世話になった」
 「そうか、それをV.V.が……」
 シャルルが何やら考え込む素振りを見せると、ライは悪戯っぽく笑いながら告げた。
 「何なら試してみるか?」
 「いや、遠慮しておこう」
 一切動じる事の無いシャルル。
 それを見てライはつまらなそうな表情を浮かべた。
 「件の件だが、取り急ぎ行動を起こすがよい」
 「ああ、そうさせてもらう」
 ライは剣を鞘に仕舞い込むと再び踵を返す。
 「これは有り難く貰って行く」
 最後に振り返る事なくそう告げると、今度こそその場を後にした。
 ライが立ち去るのを確認すると、一人残ったシャルルは独り言のように呟いた。
 「聞いていましたか?兄さん。……ええ、その様に……」
 短く言い終わると、シャルルは暫しの間思慮に耽るかの様に瞳を閉じた。
 「フフフッ」
 やがて、我慢出来なくなったのか愉悦を含んだ笑いが口元から溢れると、シャルルはゆっくりと双眸を開く。
 そして、誰に聞かせるでもなく呟いた。
 「間違いない。あれこそが真のエクスカリバー」
 聖剣エクスカリバー。
 それはあらゆるモノを打ち砕く剣。

 ――神を殺し、世界の嘘を破壊する――

 そのシャルルの望みを叶える上で、必要なモノ。ライと同じく無くてはならない鍵の一つ。
 「神よ!待っているがいいっ!」
 シャルルは心底嬉しそうな、それでいて残酷な笑みを浮かべると両手を広げ天に向かって高らかに吼えた。

445 :代理投下:2009/03/11(水) 20:55:41 ID:4xQWja0d
―――――――――――――――――

 コードギアス 反逆のルルーシュ L2  
 〜 TURN02 逆襲の処刑台(前編)〜

―――――――――――――――――
 エリア11、その中心地でもあるトウキョウ租界。 
 その政庁は突然のゼロ復活という事態に、蜂の巣を突いたような騒ぎになっていた。
 「中華連邦は何と言ってる!?」
 「何も。領事の独断の可能性も……」
 「初めから話しがついていたと言うのか?」
 「クソッ!情報が少な過ぎるっ!」
 指揮所では兵士達が慌ただしく動き回っている。
 その場所で眼鏡を掛けたオールバックの長髪の男、コーネリアの騎士、ギルバート・G・P・ギルフォードはモニターに映る領事館を眺めながら呟いた。
 「ゼロが甦ったとは……」 
 その呟きを聞いたグラストンナイツの一人、クラウディオ・S・ダールトンは他の兄弟を代表するかのように問い掛ける。
 「ギルフォード卿、あれは本当にゼロですか?ゼロを語っているだけでは?」
 「いや、あの手際の良さは間違いなくゼロだ。私には分かる」
 ギルフォードが断定するかのように言い切ると、背後に控えていた他のグラストンナイツの面々は思い思いの言葉を口にする。
 「だとしても……」
 「ああ、厄介な場所に逃げ込まれた」
 「袋の鼠だ。父上の仇を――」
 「馬鹿、どうやって誘き出すつもりだ?」
 そう、ゼロが逃げ込んだ先は中華連邦総領事館。
 そこは中華連邦の領地と同位なのだ。仮に武力を以て制圧しようものなら外交問題は必死。
 EUは弱体化したとはいえ、未だブリタニアと戦火を交えている。ここで現場の独断で下手に中華連邦を刺激する事は避けねばならなかった。
 「頭が痛いな」
 思わず眉間に皺を寄せるギルフォード。
 彼自身、ゼロを領事館から誘き出す手立てが全く思い付けないでいた。
 それは即ち、主であるコーネリアの仇が討てないという事。ギルフォードは何も出来ない自分に歯痒さを覚えていた。
 その頃、彼等の直ぐ近くで慌ただしく作業をしていた兵士の一人が、見慣れないチャンネルからの通信を拾った。
 気になった兵士は、報告する前にそれとなく発信元をトレースしてみる。が、不明だった。
 気になりもう一度試すと、それは隣の端末から発信されていた。
 不思議に思った兵士が次に試すと今度は帝都から。
 発信元が目まぐるしく変わりどこが正しいのか皆目検討がつかない。
 「何だ、これ」
 その時、同僚の戸惑いに気付いたのか隣に座っていた兵士が問い掛ける。
 「どうしたんだ?」
 「いや、見たこと無い周波数から通信が入ってるんだが……」
 「どれどれ?……何だ、帝都からじゃないか」
 「いや、さっきはお前の端末からだったんだが……」
 すると、兵士達の話し声に気付いたギルフォードが咎める。
 「どうした?私語は慎め!」
 「も、申し訳ありません!ですが、ギルフォード卿。見慣れない通信が入っております」
 「見慣れない通信?出してみろ」
 ギルフォードが怪訝な表情のまま命じると、暫しの間を置いて彼等の眼前にその者は現れた。
 「「「なっ!!」」」
 巨大なモニターに映るその姿を見た彼等は、驚きのあまり言葉を失った。
 先程の喧騒さも何処へやら。指揮所が静寂に包まれた時、モニターに映る者が口を開いた。
 「オ初ニオ目ニ掛カル、ギルバート・G・P・ギルフォード」
 「何だ……お前は……」
 それは無知の成せる技と言えた。だが、その者はギルフォードを咎める事無く答える。
 「私カ?私ハ"カリグラ"」
 その名はその場に居た全員に聞き覚えがあった。


446 :代理投下:2009/03/11(水) 20:58:39 ID:4xQWja0d
 ――機密情報局長官カリグラ、それはライのもう一つの顔――

 しかし、その姿はつい先程甦ったゼロを前にしては不謹慎以外の何物でもない。
 ギルフォードが思わず怒りを孕んだ口調で問う。
 「機情の長が、一体何の用ですか?」
 「"ゼロ"ガ現レテ喜ンデイルカト思エバ怒ッテイルノカ」
 それに気付いたカリグラはそう言って笑いを溢した。
 だが、それはギルフォードにとってはまるでゼロに笑われているような錯覚を覚えさせた。
 「貴卿のその姿が不愉快なのです」
 「噂ニ違ワヌ正直者ダナ」
 「一体何の用でしょうか?」
 「ソウ突ッ掛カルナ。コノ姿ハ陛下ノ命ダ」
 予想だにしていなかったカリグラの答えに、ギルフォードは思わず眉を顰める。
 同時に彼の後ろに控えるグラストンナイツは訝しむような眼差しでカリグラを見やる。
 が、カリグラの仮面の下、ライはそんな彼等の様子を特に気にした様子も無い。
 「ソレヨリモ"ゼロ"ニ対シテ大層思慮シテイル様ダナ?」
 「お心遣い感謝します。ですが、これは我々の問題です」
 「ソレハ違ウナ。帝国ノ問題ダ。ソコデ一ツ、提案ガアルノダガ?」
 「提案、とは?」
 「"ゼロ"ヲ、アソコカラ引キ摺リ出シタクハ無イカ?」
 「方法があると?」
 ギルフォードの問い掛けにカリグラは無言で返すと、それを肯定と受け取ったギルフォードは更に問う。
 「お聞かせ願えますか?」
 「特収ニ居ル囚人共ヲ殺セ」
 特収。それは、特別収容施設の事だ。そして、そこに居る囚人達と言えば――。
 「今、なんと?」
 ギルフォードは聞き間違いかと思い反芻した。だが、聞き間違いなどではなかった。
 「公衆ノ面前デ、アノ者達ヲ処刑シロ」
 カリグラから返って来た言葉は、明確な使い道だった。
 俄にざわめき出す指揮所内。 
 しかし、ギルフォードは一人冷静さを失わないでいた。
 「ゼロが見捨てる可能性は?」
 「無イナ。"ゼロ"デ無クトモ、指揮官デアレバアノ者達ハ喉カラ手ガ出ル程欲シガル」
 「しかし、処刑とは……」
 ギルフォードは思わず口籠もる。しかし、カリグラはお構いなしといった様子で語り続ける。
 「何レニシテモ"ゼロ"ガ復活シタ今、アノ者達ノ利用価値ハソノ程度ダ。仮ニ現レナケレバ処分スレバイイ。ダガ……」
 そこでカリグラは敢えてひと呼吸置いた。続きが気になった者達は固唾を呑んで待つ。
 指揮所内が再び静寂に包まれる。
 それをモニター越しに認めたライは、カリグラの仮面の下で嘲笑いながらも一人の男に狙いを定めると、囁くように告げた。
 「"ゼロ"ガ出テクレバ決着ヲ着ケラレルゾ?主ノ汚名ヲ濯グ又ト無イ機会デハ?」
 それはギルフォードにとっては甘い誘惑だった。
 ブラックリベリオンにおいて、コーネリアは黒の騎士団を退けた。
 その事に対して、当初、本国の貴族達はコーネリアを手放しで賞賛していた。
 が、彼女はゼロによって手痛い手傷を負った。
 そして、その傷が癒えると同時に雲隠れするや否や、貴族達は掌を返して陰口を叩くようになっていた。
 曰く、戦う事が恐ろしくなった臆病者だ、と。
 彼女の性格を誰よりも知っているギルフォードがそれを聞いて我慢出来る筈も無い。
 しかし、コーネリアが行方を眩ませている事は紛れもない事実である。
 そして、ここに来てのゼロ復活。情報は瞬く間に世界中に広がった。
 今頃本国では一体どんな噂が流れているのか。ギルフォードにとっては想像する事さえも腹立たしい事。
 最も好ましいのは、コーネリア自身が今度こそゼロを討つという事だが、前述の通りそれは叶わない。しかし……。

447 :代理投下:2009/03/11(水) 21:00:20 ID:4xQWja0d

 ――騎士はその者の鏡――

 正に、ゼロを討つのは己しかいないのだ。しかし、ギルフォードは決断出来ないでいた。
 一方、ギルフォードの傍で事の成り行きを見守っていたグラストンナイツは違っていた。
 彼等にとっては、父と慕ったダールトンの仇を打てる又と無い機会なのだ。
 まだ若く、血気盛んな彼等にとってこれ以上の言葉は要らなかった。
 しかし、愚直なまでに騎士道に殉ずるギルフォードはあくまでも撥ね除けようとする。
 「それは無理です。陛下は今まであの者達の処刑をお認めにならなかった」
 そう言って撥ね除けようとしたのだが、続けざまに紡がれた言葉は更に甘美なものだった。
 「モウ許可ハ得テイル。ダカラコソ、コウシテ進言シテイルノダ。ダガ、決メルノハ貴公ダ。サテ、ドウスル?」
 その言葉を聞いた時、ギルフォードは確かに見た。
 銀色の仮面が怪しく光るのを。
 それがまるで笑っているかのように感じ取れたギルフォードは念を押す。
 「誠、でしょうね?」
 「私ガ嘘ヲ言ッテイルト?」
 「その容姿で言われれば、誰でもそう思うと思いますが?」
 挑発にも似たその言葉に、仮面の下でライは密かに笑った。
 「真偽ノ程ハ貴公ニ任セル。ダガ、私ガ機情ノ長トシテ話シテイル事ハ、心ニ停メテオクガイイ」
 その言葉と共に通信が切られると、指揮所内は再びざわめき出す。
 ギルフォードは未だ信じられないでいた。
 だが、皇帝直属である機密情報局。その長が言った言葉ならば事実なのだろうという事は十二分に考えられた。
 機情の長が嘘を吐くという事は、それ即ち皇帝が嘘を吐くという事になる。皇帝の名を汚すような、そんな存在が付ける地位では無いという考えからだ。
 「ギルフォード卿!!」
 突然背後から呼び掛けられた事にハッとなり振り向いたギルフォードが見たのは、自身を決意の眼差しで見つめるグラストンナイツの面々。
 その瞳を見ても分かるように、彼等はギルフォードとは打って変わって冷静さを失っていた。余りにも若過ぎたのだ。
 しかし、そんな彼等を見たギルフォードは若さに当てられたのか、自分の心が大きく揺れ動いた事に気付く。
 が、依然としてカリグラより告げられた策は軍人として到底認める事が出来ないもの。
 ギルフォードは、藤堂に対して優れた武人だと一定の評価を下していた。
 そんな彼を戦場では無く、よりにもよって道具として使うのだ。
 それは余りにも卑怯と言う他無い。
 自身が仮にそうされた場合は、一体どれ程の屈辱だろうかと。
 しかし、一方でゼロを誘い出せる可能性が有る事も否めないでいた。
 ――こんな方法が、認められるのか?
 彼の軍人としての尊厳がその甘言を必死に阻もうとする。
 だが、そこで思い直す。
 ギルフォードは確かに軍人である。しかし、それ以前に彼はコーネリアの騎士。
 そして主の汚名を濯ぐにこれは又と無い機会。
 ――姫様の為……ならばっ!
 そう思った瞬間、ギルフォードは生まれて初めて誘惑に負けた。


448 :代理投下:2009/03/11(水) 21:02:10 ID:4xQWja0d
―――――――――――――――――
 今後の事をC.C.達に任せたルルーシュは学園に戻っていた。
 しかし、そんな彼を待ち受けていたのはイベント好きで有名な学園の首魁たるミレイ・アッシュフォードの企みだった。
 それは名目上テロ事件より無事に生還したルルーシュとロロを祝う記念パーティーだった。
 本来なら主賓である筈のルルーシュは、何故かその準備や片付けに追われゆっくりと今後の事を考える暇もなかった。
 そして、やっとの思いでそれらのイベントから解放されたルルーシュは、クラブハウス内の自室で一人ロロについての考察とナナリーの安否について思慮に耽っていた。
 結果として分かった事はそう多くない。
 ナナリーが偽りの弟にすり替わっている事。
 そして、生徒会のメンバーからナナリーの記憶が無くなっている事。
 それらを考慮した結果、導き出された答えはブリタニア皇帝がナナリーを握っている可能性が高いという事だった。
 しかし、そこでルルーシュの脳裏に一つの疑問が浮かんだ。
 「ナナリーだけではなく、何故ライの記憶までも?」
 そう、生徒会メンバーはナナリーの事だけでは無くライについての記憶までも奪われていたのだ。
 ナナリーに関する記憶を奪った理由について、ルルーシュは直に理解した。
 だが、ライの事まで何故消す必要があったのか。
 当初、ルルーシュにはそれが全く理解出来なかった。
 しかしある仮説を元に考えた時、それは実にあっけなく解消された。
 「まさかとは思うが……」
 その一つの可能性に気付いた時、ルルーシュの足は自然とある場所へ向けて歩き出していた。
 やがて目的の部屋の前まで来ると、ルルーシュは軽く扉をノックする。しかし、反応は無い。
 分かっていた反応ではあったが、それはルルーシュの心を物悲しくさせるには十分なものだった。
 暫しの沈黙。
 やがて、意を決したルルーシュは僅かに震える手でドアノブを掴むとゆっくりと扉を開けた。
 その部屋の中は薄暗く、閉め切られたカーテンからは夕日が僅かに差し込んでいた。
 ルルーシュは埃っぽい匂いを感じながらも足を進めて行く。
 そこは、嘗てライが間借りしていた部屋。
 今は、生徒会のイベントで使われた数々の小道具がその部屋の主となっており、生活感の全くない倉庫となっていた。
 部屋の真ん中まで歩みを進めたルルーシュは、ふと立ち止まると確かめるかのような言葉を発する。
 「ここに、ライが居た」
 そう、確かに居たのだ。一年前まで。
 その時の光景を思い出した時、ルルーシュの胸に去来したのは悲しみ。
 それに心が蹂躙されながらも、じっとそれに耐える。
 すると、突然背後から声を掛けられた。
 「あれ?ルル、倉庫に何か用でもあるの?」
 声をかけたのはシャーリー・フェネット。ルルーシュに恋心を抱く女性だ。
 しかし、声を掛けても想い人からの返事は無い。
 その事を少々不満に思ったシャーリーは、先程より幾許か大きめの声で問い掛ける。
 「おーい、ルルってばっ!」
 「あ、ああ。シャーリーか」
 その事が功を奏したのか、ようやっと振り向いたルルーシュ。しかし、その表情は芳しく無い。
 それが少し引っ掛かったシャーリーだったが、呼んでも直に振り向いてくれなかった事への不満から少し拗ねた様子で重ねて問い掛ける。
 「もう、ルル大丈夫?」
 「ん?何がだ?」
 だが、返って来たのは先程とは打って変わってあっけらかんとした様子でいるルルーシュだった。

449 :代理投下:2009/03/11(水) 21:03:55 ID:4xQWja0d

 その事に少し安堵したシャーリーだったが、続けざまに問われた言葉に不安になる。
 「それよりも、シャーリー。ここは倉庫だよな?」
 「何言ってるの?ここはずっとそうだったでしょ。ねえ、ルル。本当に大丈夫?」
 シャーリーが心配するのも当然だった。
 彼女の記憶の中でもこの部屋は倉庫以外の何物でも無く、それはルルーシュも承知している筈だと思ったからだ。
 そして、更に言えばタイミングが悪かった。
 シャーリーはルルーシュがテロから無事に生還したとはいえ、何処かで頭でも打ったのかと不安になったのだ。
 それが想い人であれば尚更だろう。
 しかし、朴念仁であるルルーシュがそんなシャーリーの気持ちに気付く筈も無い。
 「ああ、済まない。少し疲れてるのかもな」
 そう言ってルルーシュはわざとらしくこめかみに手をやる。
 「ちょ、ちょっとルル。大丈夫?」
 その仕草にシャーリーは心底驚いたようで、慌てて駆け寄ると心配そうにルルーシュの肩に手を置いた。
 「大丈夫だ。暫く部屋で横になるから」
 「それなら……いいけど」
 不承不承といった様子で承知したシャーリー。ルルーシュはそんな彼女に対して、静かに微笑みながら感謝の言葉を口にする。
 「ありがとう、シャーリー」
 「ど、どういたしまして」
 それを間近で見てしまったシャーリーは、頬が紅潮するのが分かり思わず顔を背けた。
 しかし、果たしてその行為で誤魔化せるかといえば、答えは否だ。既に耳まで真っ赤なのだから。
 普通の男なら女性のこういった反応に何かしらの結論を出しても良いものなのだが、朴念仁たるルルーシュが気付く筈も無い。
 それどころか、ルルーシュは全く別の結論を導き出していた。
 ライは生きている、と。
―――――――――――――――――
 ルルーシュとシャーリーが端から見れば青春そのものであった時。
 学園地下に設置された機情の一室では、先日現れたゼロとルルーシュの関係性についての考察が行われていた。
 しかし、学園内に配置された監視員からの報告はルルーシュがゼロであるという可能性を明確に否定していた。
 その為、他の隊員達はあのゼロはルルーシュでは無いだろうと結論を出していた。
 が、隊長であるヴィレッタだけは未だに怪しんでいた。機情の中でロロを除いてたった一人、ギアスの恐ろしさを身を以て知っているヴィレッタが慎重になるのも無理は無い事。
 片や、それを知らない隊員達はヴィレッタの慎重さを訝しみつつ、今後の方針について会議を続けていた。
 だが、そんな彼等を余所に突然それまでの話を聞き流していたロロが口を開く。
 「結局、C.C.は何処に居るんです?」
 辟易した口調で問われた事に対して、隊員達はロロを睨み付ける。
 ヴィレッタも思わず眉を顰めるが、ギアス使いである上に命令系統の違うロロとやり合う気は更々無い。
 「ルルーシュと接触していないのなら、領事館に居る可能性は低い」
 「つまり、事件前と一緒。何処に居るか分からない」
 感想のように告げるロロ。
 その口調からヴィレッタは今度は暗に批判されている事を感じ取ったが、あくまでも眉を顰めるのみに停める。その時、短い着信音と共にパネルを操作していた隊員の一人が口を開いた。
 「ヴィレッタ隊長。カリグラ卿からです」
 「出せ」
 ヴィレッタは表情を引き締めると部下にそう命じながら立ち上がる。
 同じく他の隊員もそれに習うが、ロロだけは一人ソファに腰掛けたまま立ち上がる事は無かった。
 モニターに銀色の仮面が映ると、隊員達は一斉に頭を垂れた。
 それを受けてカリグラの仮面を被る男、ライは開口一番問い掛ける。
 「"ルルーシュ"ノ状況ニ変化ハ?」
 「いえ、今の所は何も。ですが、急にどうされたのですか?報告書の件で何か不備でも――」
 定時連絡の時刻までは些か早く、バベルタワーの一件を報告書に纏めて提出したヴィレッタは内心気が気でない。
 だが、それは杞憂に終わる。
 「イヤ、ソウデハ無イ。早急ニ聞キタイ事ガ出来タノダ」
 カリグラはそこまで言うと、我関せずといった様子でソファに座っているロロに視線を移す。 
 「"ロロ"、何故"ルルーシュ"ノ傍ヲ離レタ?」
 皆の視線がロロに集まる。
 「不測の事態が起きたんです」


450 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 21:05:21 ID:LQhUgji2
支援

451 :代理投下:2009/03/11(水) 21:06:03 ID:4xQWja0d

 ロロはそれを一身に受けながらも平然とした様子で答えるが、その言葉で納得するカリグラ、もといライではない。
 「ソノ一言デ片付ケルツモリカ?貴様ノ役目ハ何ダ?」
 「僕はあなたの部下じゃありませんから」
 そう、ロロはモニターに映る銀色の仮面、その下に隠された素顔の持ち主が自分に名を与えてくれた存在、ライだという事を知らないのだ。
 「答える必要を認めません」
 そう言うと、ロロは冷めた視線を飛ばす。
 事の経過を直立不動で見守っていたヴィレッタ達は、それを見た瞬間まるでこの世の終わりだと言わんばかりに顔を蒼くする。
 一方でロロの口撃を予想だにしていなかったライは、仮面の下で思わず柳眉を逆立てた。
 しかし、ロロの反応は嘗てライが命じた言葉。

 ――機情と連携を取る必要は無い――

 その通りである。従ってこの反応は自業自得といっても仕方無い。
 仕方無いのだが、こうも平然と言われて我慢出来るライでも無い。
 ライの心に青白い炎が灯ると、モニター越しにそれを感じ取った隊員達はそれ見た事かと思わず顔を強ばらせた。
 しかし、ここでライに仮面を取るという選択肢がある筈も無く……。
 「……良イダロウ」
 僅かな沈黙の後、ライは憎々しく思いながらもそう告げると、ホッと胸を撫で下ろしている隊員達に命じた。
 「オ前達ハ引キ続キ餌ノ監視ヲ継続セヨ」
 「「「Yes, My Lord!」」」
 ヴィレッタを筆頭に隊員達が答えると通信は切られた。
―――――――――――――――――
 学園に夜の帳が落ちた。ここはロロの部屋。
 時計の秒針がその時刻を告げた時、ロロの携帯が震える。
 すると、ロロは待ち望んでいたかのように素早く携帯を手に取ると通話ボタンに手を掛ける。
 今日はゼロが現れた。
 一年前、ゼロ捕縛の一報を聞いたライは自ら帝都に出向いた程。
 そのライのゼロに対する関心の高さを知っていたロロは思う。
 どんな返答があるだろうか。少なくとも今までの事務的な会話などではないかもしれないと、頬を僅かに緩ませ淡い期待に胸踊らせながら電話に出る。
 しかし、そんなロロの表情はライの声を聞いた瞬間凍りついた。
 電話口から聞こえてきたのは、今まで聞いた事もないような憤怒の声だったからだ。
 「機情の報告を聞いた。ロロ、お前はあの時ルルーシュの傍を離れていたな?何故言わなかった!!」
 「そ、それは……」
 開口一番に告げられたのは叱責。
 ロロはそれ以上何も言えなかった。
 あの時、ライが問い掛けた際に正直に言っておけば良かったと後悔したが、もう後の祭。
 「ロロ、お前はルルーシュを見失っただけでは無く、私に嘘を吐いた事になる。…お前には失望した」
 「っ!?ま、待って」
 慌てて携帯を両手で掴んだロロが懇願する。
 だが、全ては遅すぎた。怒りに身を任せてしまったライを止める事など誰にも出来ないのだから。
 聞く耳持たぬと言わんばかりに通話は切られてしまい、それ以降ロロの携帯が鳴る事は無かった。
 「僕は…僕はどうすれば…」
 ガクリと床に両膝をつき、瞳に涙を浮かべながら哀しみに打ち震えるロロは絞り出すかのような声でそう呟いたが、その答えが返ってくる筈も無かった。

452 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 21:07:05 ID:WHLEya4t
支援

453 :代理投下:2009/03/11(水) 21:08:55 ID:4xQWja0d

―――――――――――――――――
 ライが通信を切った時、それまで呆然と二人のやり取りを聞いていた子供達は我に返ると囁き出す。
 「ロロお兄ちゃん可哀想……」
 「だよね」
 「シッ。滅多な事言うんじゃないの」
 「でも……」
 そんな子供達の声が聞こえたライは苛立ちを隠すこと無く告げる。
 「子供は寝る時間だ」
 「「「は、は〜い。お休みなさ〜い」」」
 慌てた様子で立ち上がると、手を振って立ち去る子供達に対してライは軽あしらうように2、3度手を振り返す。
 やがて、その姿が施設の奥に消えて行くと、それを認めたライは側に居たV.V.に視線を移す。
 「僕は子供じゃないよ」
 「そうだったな」
 気勢を制される形となったが、ライは特に異に介した様子も見せず正面に向き直るとそれ以上口を開く素振りを見せ無かった。
 そんなライの様子に真意を計り兼ねたV.V.が問い掛ける。
 「ねぇ、あの子達が言ってる通り今回の処分は僕も厳し過ぎると思うけど?」
 しかし、ライは何も答えない。ただ思慮するかのような瞳で相変わらず真正面を見据えるのみ。
 だが、そんな態度にV.V.が納得出来る筈も無い。
 「ロロは君に依存してる。それが分からない程君は鈍感なの?」
 すると、遂に聞き流すのも億劫になったのかライが口を開く。
 「知っている。そう仕向けたのは私だからな」
 「なら、尚更ロロを切るのは早いと思うけど?一体何を――」
 「切った訳では無い」
 ライが言葉を遮ると、V.V.は目で続きを促した。
 それを尻目にライは玉座に深く身を委ねる。
 余談だが、V.V.は最近になって知ったライの癖がある。
 こういった時、ライは決まってある仕草を取るのだ。
 それは、足を組み膝の上に両手を重ねて純白の手袋の上から何かを触る行為。
 初めてその仕草を見た時、V.V.はライが何に触れているのか分からなかった。
 尋ねてみるべきかと迷ったが、ライは自分のその行為を意識的にしているとも思えなかった。
 何に触れているのか。
 やがて、それを理解したV.V.は心の底から後悔した。
 今もまた、その仕草を取りながらライは静かに語り出す。
 「ああでも言っておけば、二度とルルーシュの傍を離れたりはしないだろう。次に控えている作戦の事もあるからな。……確かに、少し言い過ぎた感は否めないが――」
 最後に珍しく後悔した様子を見せたライだったが、だからと言って謝るという選択肢は端から無い。
 「ライ、君はロロの事をどう思ってるの?」
 突飛な質問だったが、ライは特に驚いた様子も見せずに向き直ると口元に三日月を浮かべた。
 「お前と同じだ、V.V.」
 何を言いたいのか分からないといった様子で不思議そうな表情を浮かべるV.V.に対して、ライの三日月が鋭さを増す。
 「只の駒だ」
 それを受けたV.V.は一瞬呆けたような表情を浮かべたが、次には同じように三日月を浮かべた。
 ――ライ、君も僕の駒に過ぎないんだよ?
 ――V.V.。私を利用するならすればいい。ただし、私もお前を利用させて貰うぞ?
 両者が互いの心の内を知る由も無い。しかし、考えている事は全く同じ。
 二人の視線が交差する。
 「フフフッ」
 「ハハハッ」
 やがてどちらとも無く笑い始めると、それは徐々に大きくなり施設内に木霊する。
 「「ハハハハハッ!!」」
 二匹の悪魔が其処に居た。

454 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 21:10:28 ID:LQhUgji2
支援

455 :代理投下:2009/03/11(水) 21:12:04 ID:4xQWja0d
―――――――――――――――――
 隊員達が領事館に立て籠ってから早三日。
 当初以降、ルルーシュからの指示は完全に途絶えていた。
 脱出の際のゴタゴタで、ルルーシュの連絡先を聞く事が出来なかったカレンは連絡手段を持っていない。
 その事に一日経って気付いたカレンは慌ててC.C.に訪ねたのだが、彼女がそんな気の利いた事をしている筈も無い。
 逆にC.C.は、「連絡先を聞くのは男の義務だ」とまで言い放つ始末。
 風呂場から上がったカレンは、これからどうするべきか一人考える。しかし、どれだけ考えてもこれといった手段が見つからない。
 活路が見出せない事に歯噛みしながらもカレンは自身の左手の薬指、そこに有る指輪に向かって問い掛ける。
 「ライ、ルルーシュは一体どうしたと思う?彼は、ゼロなのに……」
 指輪が応える筈も無い。
 しかし、カレンにはこれで十分だった。

 ――ライから貰った指輪――

 それを見るだけで、今でもライは一緒に居てくれていると思えるのだから。
 先程までの焦りが夢散していくのを感じたカレンは、着替えに手を伸ばす。
 すると、脱衣籠に入ったそれを見て思わず手を止めた。
 「あっ!そっか…」
 先程までの憂鬱な表情も何処へやら。
 何かを思い出したのか素っ頓狂な声を上げたカレンは、自身の今の身形の事も忘れてすっ飛んで行った。
――――――――――――――――― 
 所変わってここは領事館の一室。
 そこでは中華連邦と黒の騎士団、現時点での互いの代表者が膝を付き合わせていた。
 中華側からはここの主、総領事たる高亥と彼に着き従うかのように佇む長髪の武官、黎星刻。
 対する黒の騎士団からはC.C.と卜部。
 「ブリタニアからの引渡し交渉は遅延させております。一週間程度は保つかと」
 「ゼロに伝えておく」
 高亥の言葉に、さして興味無く答えるC.C.。それを認めた星刻が僅かに表情を曇らせる。
 「いや、大変助かる」
 C.Cに代わって律儀な卜部が礼を言った時、慌ただしい足音と共にカレンが飛び込んで来た。
 「ちょっとC.C.!考えてみたらあんたがバニーやった方が話し早かったんじゃないの!?」
 「紅月…お前って奴は…」
 突然飛び込んで来たカレン。
 バスタオル一枚という乙女とは思えぬその身形に、卜部は思わず顔を背けた。
 「えっ?キャアッ!」
 卜部の指摘にここに来て漸く自分の身形を理解したカレンは、慌てて衝立の後ろに身を隠す。
 だが、衝立は透けておりその姿が余計に艶めかしく見える事に気付いていない。
 それを見てしまった卜部が、服を着て来いと口を開きかけた時、高亥の言葉がそれを遮った。
 「ゼロは…女…?」
 「そうだ」
 「お、おいC.C.」
 「違いますっ!!」
 間髪入れずに同意したC.C.に、二人は抗議の声を上げる。が、魔女に効果がある筈も無い。
 「ばらすのが早過ぎる。全く、遊び心の無い奴等め」
 二人の抗議は至極まともだ。しかし、何故か怒られた。その理不尽さに卜部は呆れるのみであったが、対照的にカレンは食って掛かる。
 「ゼロで遊ばないで」
 「はぁ……」
 二人の口論が始まった事に、卜部は溜め息しか出ない。

456 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 21:13:00 ID:LQhUgji2
支援

457 :代理投下:2009/03/11(水) 21:13:58 ID:4xQWja0d

 「どうでもいいがカレン、見えるぞ?」
 「へっ?キャアッ!」
 C.C.に指摘され、再び身を隠すカレン。勝敗が決した時、それまで一言も言葉を発する事が無かった星刻が口を開く。
 「初めまして。紅月カレンさんですね?」
 「えっ?どうして?」
 突然自分の名を告げられた事に驚きを隠せないでいるカレンを余所に、星刻は柔和な表情のまま告げる。
 「興味があるんです。黒の騎士団のエースにして紅蓮二式のパイロット。そして、双壁の一人」
 その呼び名を聞いた3人、卜部は表情を曇らせC.C.は僅かに眉を顰める。しかし、カレンだけは一人抗議の声を上げる。
 「その呼び名は止めて」
 何故?といった様子でいる星刻に対しカレンは俯きがちに答えた。
 「私がそう呼ばれたのは、彼が居たからよ」
 「ええ、知っています。ゼロの左腕。何でも、相当に頭の切れる方だとか。その方とも是非一度お会いして――」
 「星刻殿、だったか?済まないがあいつの話はやめてくれないか」
 そう言って卜部は星刻の言葉を遮ると、カレンが後に続いた。
 「彼は、ライは……」
 「これは失礼した」
 カレンの悲痛な声から全てを理解した星刻が謝罪の言葉を述べた時、血相を変えた一人の隊員が飛び込んできた。
 「大変です!扇さん達がっ!!」
―――――――――――――――――
 「聞こえるか、ゼロよ!私はコーネリア・リ・ブリタニア皇女が騎士、ギルバート・G・P・ギルフォードである。明日15時より国家反逆罪を犯した特一級犯罪者、256名の処刑を行う。ゼロよ!貴様が部下の命を惜しむならこの私と正々堂々と勝負をせよ!」
 領事館に向けて高らかに宣言するギルフォード。
 「みんな……」
 「中佐っ!クソッ!」
 対して、遠方より囚われの仲間の姿を認めたカレンと卜部は悔しさを滲ませる。他の隊員達も同じように、何も出来ない事に歯痒さを抱いていた。
 「やってくれたな!ギルフォード!」
 生徒会室でその映像を見ていたルルーシュは、苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべた。
 だが、そんな彼等とは対照的にエリア11より遠く離れた地では、二人の人物がその映像を見ながら笑っていた。
 「まさか本当にやるなんてね。これも君の謀った通り?」
 薄暗い嚮団の地下施設で、嚮主たるV.V.は嬉しそうに言った。
 片や問われたライは、例の仕草を取りながら悠々とした様子で答える。
 「愚問だな。あの男は愚直なまでに忠誠心が強い。故に、甘い言葉を囁けばあの通りだ。しかし、よりにもよってゼロと勝負だと?」
 「当てが外れた?」
 「いや、想定内だが馬鹿正直過ぎる。ギルフォードでは、あのゼロがルルーシュだった場合は勝てない」
 「奪われる可能性があるって事?」
 「ああ。……しかし、それならそれで楽しみが増えるな」
 「遊びじゃないんだよ?」
 「ゼロが甦った今、私にとっては遊びとなった」

458 :代理投下:2009/03/11(水) 21:14:44 ID:4xQWja0d
不満げな様子でいるV.V.に対して、ライは事も無げに言い放ってみせた。
 これでゼロが嘗ての力を取り戻し、再びブリタニアに抗うだけの力を得たとしてもそれはライにとっては願ったり叶ったり。
 嘗てのライにとって戦いは決して負けてはならないものだった。二人の為にも。だが最早護るべき存在は居ないのだ。
 「ゼロを甘く見ない方がいい。下手をすれば殺されるよ?」
 「これはテストだ。囚人達を助け出して初めて、ゼロは私のいる場所に立つ力を得る」
 「で、そこから先は互いの命を賭けた戦いが始まるって訳?負けたらどうするの」
 「勝ち負け等どうでも良い。純粋に戦ってみたいだけだ」
 ライは未だC.C.捕縛という使命を忘れた訳では無い。しかし、甦ったゼロを前にしてはその優先順位は下がっていた。
 これからは熾烈な情報戦となる。
 ゼロはライの目をかいくぐり、ライはゼロの真贋を見極める。
 ライは思う。どれ程楽しいだろうか、と。
 「ゆっくりとあの仮面を剥いでやろう。その下にある素顔が誰のものか。考えただけで身震いするとは思わないか?」
 心底楽しそうに語るライに対して、V.V.が心底不機嫌そうな表情を崩す事は無かった。
 それを認めたライが感慨深げに問う。
 「成る程、お前は余程ゼロが嫌いなのだな」
 が、V.V.からの返答は無い。
 「それともルルーシュが?」
 「どうでもいいじゃない」
 その問いにやっと口を開いたV.V.だったが、これ以上話す気はないとの明らかな拒絶を示した。
 「クハハハッ。そういう事にしておこうか」
 ライはこの辺りが限界だと悟ると、この事についてはこれ以上問い掛ける事は無かった。
 その後、二人はたわいもない会話を交わして暇を潰していたが、その日ゼロが現れる事は終ぞ無かった。



459 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 21:15:21 ID:WHLEya4t
しえん

460 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 21:15:39 ID:LQhUgji2
支援

461 :代理投下:2009/03/11(水) 21:17:14 ID:4xQWja0d
以上で投下終了です。


ここからは、代理人が書いています。
        ↓

支援、助かりました。
規制がかかっている方も多いと思いますが、皆さんもがんばって下さい。
では…。
ありがとうございました。

462 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2009/03/11(水) 21:18:46 ID:WHLEya4t
携帯から失礼します。
代理投下有難うございました。
大変助かりました

463 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 21:48:11 ID:WRWffvjZ
>>461
代理投下乙でした。
>>462
ライカレ厨卿、GJでした!
やはりこのライはいいねぇ、ゾクゾクするよ。
しかしこのロロ……どうなることやら。
しかし、卜部が生きてるっていいねぇ。
彼の今後の活躍にも期待。
ふぅ……続きが非常に気になってきました!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

464 :創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 00:04:13 ID:AaHeXIbK
>>462
やっと来ましたかっ。
やばいよなぁ…。
何がやばいかって?
そりゃ、続きが早く読みたいという衝動に駆られるところが……。
面白いし、ぐいぐい引っ張られるストーリー。
さらに先が読めない展開にわくわくします。
GJでした。
続き、お待ちしております。

465 :創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 00:54:58 ID:OLMdJlAm
容量調べるのってどうやるんでしょ?
どうも今書いてるのが40か50kくらいにはなりそうだから、投下しきれるかちょっと不安なのね

466 :創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 01:02:41 ID:veHNwspC
>>465
志村ー! 左下、左下!

467 :創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 06:11:18 ID:tuIw9R1B
ギコなら右下ね

468 :創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 06:43:54 ID:jyB1t4KE
うわっ! 俺、今まで一々ブラウザで表示し直してたよ

469 :創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 07:22:03 ID:hZXOlyiS
お久しぶりです!ライカレ廚卿!長編お待ちしておりました。
ライがキてますねえ。ライカレの婚約から始まったこのシリーズ。再び二人が結ばれる日を期待し、投下を待ち続けます!
また近いうちに卿の作品と会えることを祈っております。

470 :簡単に書いてみた その3:2009/03/12(木) 11:14:28 ID:AaHeXIbK
どうもです。
未定のつもりでしたが、やっぱり感想の力って大きいですね。
結局、続き書き始めてました。
そういうわけで第3話です。
まぁ、深いことは考えず、気軽に楽しんでいただければ幸いです。

タイトル 「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第3話 我が名はゼロ
カップリング ライ×アーニャの予定
ジャンル ラブコメ魔女っ子バトルストーリー(予)


注意
パラレルワールドの為、キャラクターの設定等がオリジナルとは違っています。
ご注意ください。 
・アーニャ・ 平凡な家庭で育てられたあくまで普通の中学生。
      マリアンヌに寄生されてからは気苦労が耐えない日々を送っている。
      最近、親身なってくれるライが気になる様子。恋に恋するお年頃のようです。
・マリアンヌ・ ブリタニアから"異形のもの"を封印する為にこの世界に来た魔法使い。
       だが、単身ではこの世界に実体化出来ず、契約を交わしたものの身体を借りている。(寄生しているとも言う)
       現在、契約したばかりという事もあり、力を出し切れていないようだ。また、回復者がいないという事も彼女の力を引き出せない原因になっている。
・ライ・ ふとしたことからアーニャやマリアンヌと関わるようになった普通の高校生。
    しかし、記憶喪失の為、3年以上前のことは覚えていない。マリアンヌの美しさに惹かれている。
・ルルーシュ・ ライの親友でナナリーの兄。
・ナナリー・ ライの妹でアーニャの友達。最近、アーニャの行動がおかしい事に疑問を抱いており、何も相談してくれない事に寂しさを感じている。

では、第3話スタートです。

471 :簡単に書いてみた その3:2009/03/12(木) 11:15:23 ID:AaHeXIbK
「ブリタニアの魔女よ、お初にお目にかかる」
黒尽くめの服装、それにマントにマスクをつけた男が私に恭しく頭を下げる。
だが、その丁寧な仕草は、私をカチンとさせるのに十分だった。
「誰よ、あんたっ」
どうしても語尾が怒りに震えてしまう。
そんな私にわざと少し怯えてみせる男。
「おおーっ、怖い、怖いっ…。さすがは閃光のマリアンヌと呼ばれるだけはありますな」
その仕草にますますイライラする私を楽しそうに見ていやがる。
えーいっ、腹立つなぁっ。
異形のものを始末した後で消耗してなかったら、すぐに呪文や術式の一つくらいはぶち当ててやっていたかもしれない。
それほど私は怒りに支配されていた。
だが、私は我慢する。
どうやら、異形のものについて何かしらの情報を知ってそうだ。
そういう確信に似たものがあったからである。
だが、そんな私をいいことに、やつは実に楽しそうに言い切った。
「くっくっくっ……。下手な駆け引きなんて貴方は似合いませんよ。いつもどおりにやったらどうです?」
その言葉に、ついに私はぶち切れた。
「わかったわよ、聞きたいことは、力ずくで聞かせてもらうわ」
そう言い切ると準備しておいた術式を発動させた。
やつの周りに魔方陣が浮かび上がり、いくつもの魔法の鎖がやつを捕らえていく。
ふんっ。これで捕獲したわよ。
その怪しい仮面をひっぺがして、知っていること洗いざらい喋ってもらうから。
そう思った時だった。
ひゅんっ……。
一筋の紅い線が走ったと思うと、すべての魔法の鎖が切り裂かれ、魔方陣が崩壊した。
「な、何っ……。今のっ……」
驚く私が再び術式を走らせようとした時だ。
私の首筋に紅く鋭利な爪が突きつけられた。
「動かないで下さい……」
爪とその言葉に私は用意しかけていた新たな術式の発動を止め、後ろを振り向いた。
そこには、赤毛でサングラスをかけた黒ずくめの女が立っおり、その女の右手にはめられた手袋から伸びる爪が私の首に当てられていたのだ。
「くっ……」
私に察知されないで後ろをとるなんて、なんて奴なの……。
私はそいつを睨みつけたが、そいつは涼しい顔のまま私の視線を無視した。
静寂がその場を支配する。

472 :簡単に書いてみた その3:2009/03/12(木) 11:16:21 ID:AaHeXIbK
そして、その均衡を破ったのは、マスクをかぶった野郎だった。
「紹介しておこう。私の右腕の『紅蓮』だ」
ぬけぬけとそう言ってマントを翻して去ろうとする。
「こらっ…待ちなさいよっ……」
そう言いかけたが、私の首筋に当てられた爪が皮膚に食い込み、黙るしかない。
だが、それで思い出したかのように仮面の野郎は振り返った。
「そうそう、言い忘れていたね。我が名はゼロ。覚えておきたまえ……。ふっははははははは」
憎たらしいほどの高笑い。
その笑い声が段々と小さくなっていく。
それにあわせるかのようにぼんやりと薄くなっていく奴の姿。
そして、声が消えたのと同時に掻き消すように奴の姿も消え、同時に私の後ろに立っていたものの気配も消える。
そこに残されたのは、私と静寂だけ。
くそっ…。くそぉーーーっ……。
私は、自分の不甲斐なさと怒りでどうにかなりそうだった。
こんな屈辱っ……。
ギリギリとかみ締めた歯が軋み、握り締めた拳が震える。
「マリアンヌ……」
心配そうなアーニャの声が遠慮がちに聞こえた。
だけど、今の私にはそれに答えてあげられる余裕はなかった。




「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第3話 我が名はゼロ




「ふむー、さすがは閃光のマリアンヌだな。契約したばかりだというのに、あんな術式を使ってくるとは……」
暗がりの部屋の中で、ゼロはさっきの術式で縛られた部分を手でさすりながら呟いた。
かなりきつかったのだろう。
言葉の節々には驚きが含まれているように聞こえる。
「ゼロ、お戯れは程々にしていただかないと困ります」
さっきまでの無表情とはうって変わって、心配そうな表情で駆け寄ろうとする紅蓮。
それを大丈夫だと手で制するゼロ。
「すまんな…。これも性分だと思ってくれ」
そう言って、苦笑を漏らす。
そして、紅蓮の顎に指を添えて囁いた。
「すまない、カレン。迷惑をかけて……」
その手を両手で包み込み、微笑みながら答える紅蓮、いやこの場合はカレンの方がいいだろうか…。
「迷惑なんて思った事は一度もないよ……」

473 :簡単に書いてみた その3:2009/03/12(木) 11:17:06 ID:AaHeXIbK
だが、そんな恋人同士の語らいのような甘い雰囲気を壊したのはいきなり入ってきた1つの映像連絡だった。
部屋にある大きなディスプレに映し出される女性の姿。
そして、ゼロに寄り添うようなカレンの姿を目に留めて、ニタリと笑う。
「あのさ〜、立て込んでるとは思うんだけどさ〜、いい?」
慌てて、ゼロから離れるカレン。
咳払いして、映像の方を向くゼロ。
「なんだ、ラクシャータ」
「あのさ……、本当に、アレぶつけるの?」
ラクシャータと呼ばれた女性は、細長い愛用のタバコパイプで自分の後ろにある培養液に満たされた巨大な筒を指した。
そこには、まるでこの世のものとは思えないグチャグチャとした異物が生かされている。
「ああ、そのつもりだ」
「でもさ、アレって…ランクSS相当だよ。いいの?」
そのラクシャータの言葉にゼロは笑いを漏らして答える。
「ふふふ……。魔女の力がどの程度かを見極めないと計算できないからな」
そして、暫く間をあけて言葉を続けた。
「それに……ギアス能力者が傍にいるとなるとそれぐらいは必要だろうしな」
だが、その言葉はまるで呟くような感じだった。

「あのさ、どうしたんだい?」
心配そうにライさんが顔を覗き込んでくる。
「う、ううんっ…なんでもないよっ」
わざと陽気に否定する。
だが、ライさんの寂しそうな表情が胸に痛い。
ライさんにあんな顔させたくない。
でも話せない。
マリアンヌの気持ちを考えるとどうしても口が重くなる。
あんな悔しそうなマリアンヌ……初めてだった。
どうしたらいいの……。
そんな私を気遣ってか、ライさんは私の手を握って励ましてくれる。
「わかったよ。今は話せないかもしれない。でも、どうしても苦しい時は、頼って欲しいんだ、アーニャ」
その言葉と手の温もりが私の心に響く。
マリアンヌ、貴方も感じているよね、ライさんのやさしい気持ち。



474 :簡単に書いてみた その3:2009/03/12(木) 11:18:36 ID:AaHeXIbK
ああ…、感じているよ、アーニャ。
私は答えなかったが、心の中でそう返答していた。
だが、そんな優しい雰囲気は、突然の乱入者によって壊された。
そう、異形のものの襲撃によって。
しかし、こんな近くに近づくまで判らないなんてどういう事?
そんな疑問が最初に湧いたが、今は考えている暇などない。
こいつを倒さないと……。
そう考えて、素早く戦いに向けてへの思考に切り替えるとアーニャから身体の支配権を受け取った。
変身し、ライくんを巻き込まないように敵を別の場所へと誘導する。
妖気からしてそれほどランクは高くないようだ。
せいぜいランクBぐらいか……。
なら、だらだらやるよりも一気に決める方が効率がいいだろう。
「アーニャ、一気に決めるわよ。いいっ?」
「うんっ。わかった」
敵の攻撃をかわしつつ、詠唱する。
「我、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアが命ずる。我の心と共に歩むものの力を我が剣に宿らせ、光の輪廻へと切り捨てよ。ファン・ルーファー・イズシス」
そして、光の剣が完成すると一気に決着をつけるべく相手を切り捨てた。
「斬っ!!!」
光の一撃を受け、光に包まれていく異形のもの。
ふう。
たいした事なかったわね……やっぱり。
そう思った瞬間だった。
「あぶないっ……」
そのライくんの叫びに反応して無意識のうちに魔法防御壁を展開する。
すると完成と同時にびりびりという衝撃が防御壁を振るわせた。
間一髪……。
だが、それよりも私は目に映る光景に唖然としてしまう。
そこには、倒したはずの異形のものの姿があり、そして……私の必殺の一撃は、まったくと言っていいほどダメージを与えていなかったのだ。
「う、嘘っ……」
言葉に詰まる。
確かに、今の私の力は、条件が悪い為に通常の半分程度だ。
だが、リミッターを外し、契約者の力をも借りたあの攻撃はランクAでさえ一撃で倒す。
それなのに……。
嘘だ……。
そんな馬鹿な……。
こんなランクBにも満たないやつに……。
そう思った瞬間だった。
今まで抑えていた妖気を開放する異形のもの。
みるみる高濃度の妖気が回りに広がっていく。
そして私を包み込む妖気。
その妖気でわかった。
こいつ、ランクSSだ。
駄目だ……。
駄目だよ……。
今の私じゃ……勝てない。
私の膝から力が抜け、がくりと姿勢が崩れる。
そして、私は呆然とした表情でその場に力なく座り込んでしまっていた。

475 :簡単に書いてみた その3:2009/03/12(木) 11:19:40 ID:AaHeXIbK


「ふむ……。あの程度では呆けてもらっても困るのだがな」
少し離れた場所で戦いを見守るゼロ。
そして、その傍には紅蓮がいた。
「いかがなさいますか、ゼロ」
その自信に満ちた言葉からは、命令とあらば、すぐにでもあの異形のものを始末しますというニュアンスが含まれていた。
「いや、待て……。あのギアス能力者がどう出るか……。それを見極めたい。だからそれまでは手出しするな」
その言葉に、紅蓮は頷くと視線を戦いへと戻した。
彼女の目から見れば、敗北濃厚な戦いに……。


 

第参話 終了




次回予告
襲い掛かるランクSSの異形のもの。
その圧倒的な力の前にマリアンヌの傷ついた心が諦めへと染まっていく。
そして、何も出来ない自分に絶望するライ。
絶望が…諦めが…その場を支配した時、それはおこった。
次回 「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第4話 ライが命じる… にご期待ください

476 :簡単に書いてみた その3:2009/03/12(木) 11:22:16 ID:AaHeXIbK
以上で第3話終了です。
普段なら、最後を決めて書き始めるのですが、このシリーズは決めてません。
さてさてどういう感じになるのかは、私自身もすごく楽しみです。
では、第4話でお会いしましょう。


477 :創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 17:36:19 ID:veHNwspC
>>476
GJでした!
ゼロキターwww
そして紅蓮(カレン)にラクシャータ。
魔物? を創っているのか、それとも……
次回予告……ライがどうするのか気になる。
あと、ランクって何さ? という疑問を抱きつつ
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

478 :創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 19:31:02 ID:jyB1t4KE
>>470
ナナリーの設定……誤字?

479 :創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 20:28:03 ID:BIZJyTDH
a

480 :創る名無しに見る名無し:2009/03/12(木) 23:46:30 ID:wRfMr2Ys
>>476
実質オリキャラなのになぜこんなに面白いんだろう。
作者の力量を感じる。乙です。

481 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 19:02:08 ID:1tRtB616
こんばんわ。
19時15分頃から投下いたします。
よろしくお願いいたします。

482 :簡単に書いてみた その4  ◆M21AkfQGck :2009/03/13(金) 19:14:23 ID:1tRtB616
そろそろ時間ですかね。
では・・投下したいと思います

さて、第4話です。
相変わらず、勝手に突っ走ってますが楽しんでいただいているでしょうか?
まぁ、気難しく考えずに読んで楽しんでいただければ幸いです。。


●タイトル 「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第4話 ライが命じる…
●カップリング 今のところ…マリアンヌ←ライ←アーニャ
●ジャンル ラブコメ魔女っ子バトルストーリー(予)


●注意
パラレルワールドの為、キャラクターの設定等が大きく変わっています。ご注意ください。
 
・アーニャ・ 普通の人として今まで生活してきた為、あくまで普通の中学生。
      マリアンヌに寄生されてからは気苦労が耐えない日々を送っている。
      最近、親身なってくれるライが気になる様子。恋に恋するお年頃のようです。
・マリアンヌ・ ブリタニアから"異形のもの"を封印する為にこの世界に来た魔法使い。 
       だが、単身ではこの世界に実体化出来ず、契約を交わしたものの身体を借りている。(寄生しているとも言う)
       現在、契約したばかりという事もあり、力を出し切れていないようだ。また、回復者がいないという事も彼女の力を引き出せない原因になっている。
・ライ・ ふとしたことからアーニャやマリアンヌと関わるようになった普通の高校生。
    しかし、記憶喪失の為、3年以上前のことは覚えていない。マリアンヌの美しさに惹かれている。
・ルルーシュ・ ライの親友でナナリーの兄。
・ナナリー・ ルルーシュの妹でアーニャの友達。 
      最近、アーニャの行動がおかしい事に疑問を抱いており、何も相談してくれない事に寂しさを感じている。
・ゼロ・ 黒尽くめの仮面の男。ライの事をギアス能力者と呼び危険視する。秘密結社「黒の騎士団」を率いて何やら暗躍している様子。
・紅蓮・ ゼロの右腕として暗躍する黒の騎士団幹部の一人。本名はカレン。
・ラクシャータ・黒の騎士団の幹部の一人。騎士団随一の科学者で、科学・技術部門のトップ。


・ランクについて
 簡単に言うと異形のものの強さの目安。Dからスタートして、最高はSSSまで。
だが、これ以上のものも存在しており、それらはランク外、或いはカテゴリーゼロと呼ばれ別扱いにされている。


では、スタートします。


483 :簡単に書いてみた その4  ◆M21AkfQGck :2009/03/13(金) 19:16:01 ID:1tRtB616
勝利を確信したのか、異形のものはゆっくりと私に近づいてくる。
だけど、それを呆然と見ているだけしか出来ない私。
なにが『閃光のマリアンヌ』よ。
ただの哀れな道化じゃないの。
自虐的な苦笑が漏れた。
「しっかりして!!」
アーニャの叫びが聞こえたが、私の心はその叫びでさえ動かなかった。
ただ、心を支配するのは、自分の惨めさ。
そして、恐怖……。
そう、初めて味わう死への恐怖が私の心をがんじがらめに縛りつけ、麻痺させてしまっていた。
私……。
ここで……死ぬんだ……。
諦めという甘い誘惑が心に染み込んでいく。
その甘美な味に、私はもう逆らえない気がした。




「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第4話 ライが命じる…




駄目だっ。
完全にマリアンヌさんは、戦意を喪失してしまっている。
このままじゃ……。
そう思った瞬間、僕は走り出していた。
させないっ。
させるものかっ。
絶対にマリアンヌさんは、死なせない。
僕が絶対に守る。
だが、彼女の傍に駆け寄ろうとした瞬間、異形のものの触手が僕を襲う。
鞭のように撓りながらの一撃。
奴にしてみれば、軽く牽制程度に振ったものなのかもしれない。
でも、それを受けて、僕は壁に叩きつけられた。
背中を思いっきり打ちつけ、一瞬息が止まる。
一気に身体中がガタガタになる感覚……。
いや本当にガタガタなんだろう。
再度立ち上がろうとしているのに身体は痙攣し、動こうとしなかった。
くそっ…、なんで僕は無力なんだ。
絶望が心を蝕んでいく。
くそっ、くそぉーーーっ。
そして……。
僕の意識は、絶望の中に沈み込んでいった。


484 :簡単に書いてみた その4  ◆M21AkfQGck :2009/03/13(金) 19:18:18 ID:1tRtB616

私達を庇おうと走り出したライさんが、吹き飛ばされるのが目に入る。
宙を舞い、壁に叩きつけられるライさん。
その瞬間、私は叫んでいた。
「い、いやぁぁーーーーーーーっ」
一気に体温が失われたように身体が、そして心が震える。
ライさんがぁ……。
私の大切な……ライさんがぁ……。
私の心が悲鳴を上げる。
いやだよぉ、こんなの……。
絶対に……。
絶対にいやだよぉーーっ。
そして、その絶叫を合図に私、アーニャ・アールストレイムの意識のブレーカーが落ちた。

僕は暗闇の中にいた。
ふわふわと漂うような感覚。
僕は死んだのか?
だが、その思いは、否定される。
「それくらいで死にはしないさ。特にお前はな……」
その女性の声に僕は聞き覚えがあった。
だけど、誰だったか思い出せない。
大切な人だったような気がする。
だけど、どうしても思い出そうとすると頭に激痛が走る。
「無理はするな……」
ぶっきらぼうだか優しさを含んだ声。
そして、その声は語りかける。
「お前はどうしたい?」
その言葉と同時に視界が開け、目に入るのはマリアンヌさんに迫る異形のものの姿。
「僕は……」
その光景から目が離せない。
「僕は、あの人を守りたい」
「いいのか?危険な目にあうのだぞ。死ぬかもしれないのだぞ」
確かに声の言うとおりだろう。
だけど、僕は……。
そう、僕はそれでも……。
「それでも、僕はあの人を守りたい。彼女の支えになりたいんだ」

485 :簡単に書いてみた その4  ◆M21AkfQGck :2009/03/13(金) 19:19:47 ID:1tRtB616
その僕の言葉にくすりと微笑が返される。
「ふっ、男の顔をするようになったな、坊や。三年前とは違うということか……」
「えっ?三年前?!どういう……」
その言葉に僕は混乱する。
そう、僕は3年前、半年間の記憶を失っている。
その記憶がない時の事をこの声の主は知っているのだろうか……。
だが、そんな混乱する僕を無視して、声は喋り続ける。
「いいだろう。記憶は無理だが三年前に封印したお前の力を開放しょう。偉大なる王の力を……」
「力?!そんなもの……僕には……」
「いいや…。お前はもう持っている。ただ、使い方を忘れただけだ」
その言葉と同時に、まるで女性に抱きしめられて包み込まれるような感覚が僕を襲う。
ああ…、なんて安心できる心地よさなんだ。
「思い出せ…、ライ」
混乱していた僕の心がだんだんと落ち着いていく。
そして、心の中に浮かび上がる光。
そうか…。
そうだよ。
僕はその光を知っている。
そう、僕の持っている力……。
ギアスの力を……。
「そうだ。お前の力だ」
声が優しくそう囁く。
「うん、わかるよ、C.C」
僕は、無意識のうちにそう答えていた。
そして、一瞬、僕の頭の中に、緑色のロングヘアの女性の姿が浮かぶ。
その女性は、僕を見て微笑んでいた。

「ふむ。ここまでのようだな」
ゼロが、無意識のうちに落胆したような声を漏らす。
あのギアス能力者が何かすると思ったのだがな。
それとも、まだ完全に覚醒していないのか?
どちらにしても、まだあの魔女には生きて駒として動いてもらわなければならない。
「紅蓮、すまないが……」
そう言った瞬間だった。
壁に叩きつけられ倒れた男がゆっくりと立ち上がる。
そして異形のものを見て叫んだ。
「ライが命じる……」
男の顔が狂気で歪んだようにゼロには見えた。
「異形のものよ、お前は………死ね!!」
男の声が辺りに響く。
そして、自らを切りつけ、血反吐を吐きながら崩れ落ちる異形のもの。
「あれはっ……『絶対遵守』の力かっ…」
驚いたような声がゼロの口から漏れる。
そして、しばしの沈黙の後、彼は呟いた。
「そうかっ、そういう事かっ。やつは、三年前の……」
「ゼロ……」
恐る恐る紅蓮が声をかけるが、まるで聞こえていない様子だ。
「いいぞ。いいぞぉ……。これで……うまくいく。うまくいくぞっ。あははははははは……」
まるで何かに取り付かれたかのようにただ笑い続けるゼロ。
それを驚き、ただ見ている事しか紅蓮には出来なかった。


486 :簡単に書いてみた その4  ◆M21AkfQGck :2009/03/13(金) 19:20:52 ID:1tRtB616

「あれ?私……」
気が付くと見知らぬ部屋のベッドに寝かされていた。
きょろきょろと周りを見渡しているとドアが開いた。
「よかった。気が付いたね」
そう言って入ってきたのは、ライさん。
「あっ……えっと……」
どういうことなの?
私達、異形のものと戦っていたんじゃ……。
状況把握が出来なくてきょとんとしてしまう私。
そんな私の疑問や混乱がわかったのだろう。
ライさんは、優しい微笑と一緒に状況を説明してくれた。
どうやら私が気を失った瞬間、マリアンヌの変身が解けで本来の私に戻ったらしい。
そして、私を学校の健康管理室に運び込んで、汗を拭く為にタオルを濡らして戻ってきたら私が目覚めていたという事らしかった。
そうなんだ……。
その説明に納得しかけて、やっと私は大事な事を思い出す。
そういえば、異形のものはっ……。
その事を思い出し、私は慌てて起き上がろうとした。
しっかりかけられていたシーツがめくれる。
そして目に入ったのは大きく開らかれた自分の胸元だった。
「えっ?!」
きっちりボタン上までしてネクタイつけていたのに…。
そして、ライさんと目が合う。
真っ赤になって慌てて横を向くライさん。
その瞬間、私は悲鳴を上げていた。
「きゃーーーーーっ」
真っ赤になって慌ててシーツで胸元を隠す。
「な、なんで……」
「ご、ごめん……。苦しそうだったから…少し外したんだ……」
胸が激しく動悸し、ますます恥ずかしくなる。
「み、見ました?」
その問いに慌てて即答するライさん。
「み、見てないよっ。白のキャミソールなんて…」
あー…。
正直すぎるライさんの言葉。
それって見たっていう事じゃないですかっ。
でも、それを聞いて沸き起こったのは、怒りではなかった。
そう、私は呆れかえって笑い出していたのだ。
もう本当にライさんってしょうがないんだから……。
でも、ライさんなら……いいかな。
そんな気持ちさえしてしまう。
いきなり笑い出した私をきょとんとした顔で見ているライさん。
そして、その様子にますます笑ってしまう私。
ああ、そういう事なんだ。
笑いながら私は湧き上がる感情に気が付いた。
私、ライさんの事……好き…なんだ。


487 :簡単に書いてみた その4  ◆M21AkfQGck :2009/03/13(金) 19:21:55 ID:1tRtB616


そこは周りが黒に塗りつぶされたような空間だった。
その中で、私はまるで迷子の子供の様にただ泣きじゃくっていた。
たすけて……。
必死に助けを呼ぶが、その声は、闇の中に響くだけ。
アーニャっ……。
ライくんっ……。
必死に名前を呼ぶ。
だけど返事は返ってこない。
いやだ…。
一人はもう嫌だよぉ……。
だれか……たすけてよぉ……。
私はただ一人泣き続けた。
暗い暗い闇の中……ただ一人で……。
そして、彼女は呟いた。
シャルル……もう嫌だ。
帰りたい……。
帰りたいよぉ……。



第四話 終了




次回予告 (アーニャ)
あの戦いの後、マリアンヌは心の中に閉じこもったままだった。
そんな彼女に私は何が出来るの?
私は、どうすればいいの?
迷う私を心配してくれるライさん。
だけど、ライさんの傍には、女性の姿が……。
次回 「閃光の魔法少女マリアンヌ」 第5話 ゼロの命令とあらば… にご期待ください。


488 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 19:23:19 ID:1tRtB616
以上で4話終了です。


まず、謝らなきゃいけません。
前回、第3話の前ふりの中にある設定に大きなミスが。
すみません。ナナリーはルルーシュの妹です。
何で気が付かなかったんだろう。
指摘され、初めて気が付きました。
本当にお恥ずかしい。
まぁ、そんな馬鹿みたいなミスしたりとうっかり者ですが、これからもよろしくお願いいたします。
また、設定とか知りたい方は、感想とかと一緒に書いてもらったらお答えしたいと思います。
もっとも言える部分と言えない部分がありますけど……。

では次回5話でまたお会いいたしましょう。

489 :488です。:2009/03/13(金) 19:30:10 ID:1tRtB616
すみません。
482の説明でライの部分で間違っている箇所があります。
(またやったよ。すみません。古い方の設定コピぺしてしまった)

      正
      ↓
・ライ・ ふとしたことからアーニャやマリアンヌと関わるようになった普通の高校生。
    しかし、3年前、半年間の記憶を失っている。マリアンヌの美しさに惹かれている。

490 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 20:35:53 ID:mDDhnAGp
>>488
GJでした!
異形のもの+記憶喪失のライ……くとぅるふチックなかんじ。 C.C.がイスの偉大なる種族っぽい。 ……っと、本題からハズレてた。

異形のもの強ッ!
マリアンヌ→ライ→アーニャと次々とやられていって、ライの意識下にC.C.登場!
絶対遵守、やっぱり反則気味だなぁ……
それにしてもゼロの目的はなんなんだろうか。
マリアンヌがこもりきり……変身できなくなるのかな?
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!

491 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 21:27:46 ID:YH1JjJ2Q
ssの代理投下したいのですが、容量が60KBを超えているので37スレに投下できません。
私はスレの立て方がよく分からないので、誰か次のスレ立てお願いします。

492 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 21:33:33 ID:WUUcIWOI
では私が試みてみます。暫くお待ちください。

493 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 21:38:17 ID:mDDhnAGp
>>491
次スレが立ってもまだ48KB程容量が残っているので
こちらに限界まで投下してから次スレに移った方がいいと私は思います。

494 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 21:39:23 ID:E35NcNpL
もうここ埋めたほうがいいの?
また全部埋めろとか言われそうな

495 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 21:40:59 ID:WUUcIWOI
建てました
コードギアス反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ38
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1236947805/

496 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 21:50:18 ID:WUUcIWOI
>>494
取り敢えず大きなものは次スレに投下してもらって、このスレは納まるものを投下でいいんじゃないでしょうか。

497 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 21:53:48 ID:YH1JjJ2Q
了解しました。
支援お願いします。
POPPOさんがアク禁をくらってしまったらしいので、回ってきたデータをそのまま
投下します。
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」 (後編2)
TURN00 「終わる日常」 (後編3)
2人のオリジナルキャラクター、3機のナイトメアフレームの設定資料を投下します。

498 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 21:54:02 ID:CI84fX/y

ちょっとばかし質問が。
此処ってライが登場するSS限定?
セシル×ロイドなSSがあるんですが〜(ロスカラやってる最中に何となく思い付いたので気持ちはロスカラSS)

大丈夫そうなら埋めついでに投下しようかと思っております。


499 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 21:59:26 ID:WUUcIWOI
>>497
了解、支援はおまかせあれ。

500 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:04:42 ID:mDDhnAGp
支援

>>497
後編2をこちら、後編3と設定を次スレ
ぐらいでいいんじゃないかな?
それぞれ何KBかは分かんないけど

501 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:07:06 ID:WUUcIWOI
>>500
確かに…。可能ならそれがベストかな

502 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:14:00 ID:YH1JjJ2Q
了解です。
ssを投下したことがないので、至らない部分もあると思いますが今から投下します。

503 :代理投下:2009/03/13(金) 22:16:33 ID:YH1JjJ2Q
青い月だった。
空は暗く、月の明かりと静寂だけが世界を支配していた。
淡く仄かな光だけが窓から差し込んでいる。
アッシュフォード学園の女子寮。その一室に私たちはいた。
窓の淵には秘蔵のピュアモルトウイスキーのボトルが置いてあり、もう半分も残っていない。叔父様が敷地に持っている酒蔵からくすねてきたもので、本国から持ってきた最後の一本。
それを今日、開けた。
だって明日は私にとって『運命の日』なんですもの。
兄の仇をとる決行の日。
そんな前夜に開けずに、いつ開けますか!

時刻は既に深夜を回っていた。
グラスを口につけた。
最初は、大人が何でこんなものを好んで飲むのか分らなかったけど、飲み続けているといつの間にか自ら進んで飲んでいる。
こういうものなのかしら?アルコールって。
「リリーシャ。飲み過ぎなんじゃない?」
向かい側の椅子に座っている少年から声が聞こえた。月に照らされる彼は、どこか神秘的な雰囲気がある。
まあ、本当に神秘的な存在なんだけど…
「…まあ、今日はね。そういうX.X.だって結構飲んでるじゃない」
「すっごく美味しいからね。これ。ついつい飲んじゃうんだ」
「でしょ?叔父様のお墨付きなんだから。それに、家族そろってこの銘柄が好きなのよね。
遺伝かしら?」
そう言って、私は少年に微笑みかけた。
突然、風が窓から流れ込んで純白のカーテンを靡かせた。
風が肌に吹き付け、私とX.X.の髪を揺らす。
窓を中心にして左右対称に椅子を向き合わせて、私たちは椅子に腰かけていた。
「ねえ。アンジェリナちゃん、起きちゃうんじゃない?窓閉めようか?」
「アンなら大丈夫よ。一度目を閉じたら、いくら騒いだって起きないから」
「そうなんだ。じゃあ安心だね」
「ええ。だから呼んだのよ。夜遅くに子供を部屋に呼んで飲酒してるなんてバレたら、即、本国に還されるわ」
「僕は子供じゃないんだけどなぁ」
首をかしげながら、X.X.は苦笑していた。
そうはいっても、グラスに入っている飲み物がウイスキーでなければ、子供にしか見えない。
底をついたグラスにウイスキーを注ぎ足した。
わたし、この時の『トクッ、トクッ』っていう音が好き。
「X.X.がイケるクチなんて、すごく意外だったわ」
「そうかい?伊達に長生きしてないからね。僕は」
「うふ。それもそうね。だって私たち人類の大先輩だもんね」
どちらともなく、お互いに微笑みあった。
子供である私が、大人ぶった態度で大人ぶった一時を味わってみる。
そんな時間が私は大好きだった。

「乾杯しましょ。私たちの未来に」
「うんっ。乾杯」
私たちはグラスを合わせて、小さな音を立てた。






504 :代理投下:2009/03/13(金) 22:17:44 ID:YH1JjJ2Q
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」 (後編2)




そんな夢を、私は見ていた。

私は目を開く。

ぼやける視界には白い天井と、見覚えのある顔。
茶髪のショートカットに赤い瞳。黄色に近い素肌。
その顔からは大粒の涙がこぼれていた。

「…………ノエル?ここは?」
周囲を見回した。
私はベッドに寝ていて、カーテンで周囲を遮られている。このカーテンの白い色に見覚えがあった。
一番窓際のベッドで、ノエルの後ろには真っ暗な光景が広がっていた。
どうやら夜らしい。
廊下のほうから騒がしい足音が聞こえるあたり、日が暮れてから時間は経っていない。
「アッシュフォードの保健室だよぉ…やっと起きた……よかったぁ」
泣いているノエルの目元には大きなクマが出来ていた。
涙をぼろぼろと零しながら、ノエルは言葉を紡ぐ。
「リリーシャが正門の前で倒れてたのを、見つけて、私が、ここまで、運んできたんだよぉ…うぐっ、ぐすっ…二日も目を覚まさないから…えぐっ、わたし、わたし…」
「……え?」

…正門の前で倒れてた?私が?
朦朧とする意識の中、私は記憶を探った。
確か、隠れ家に逃げこんで、ずっと閉じこもってて、食事もろくにしなかった。
トイレ以外、ベッドから一歩も動かなくて、何もしたくなくて、体中が死ぬほど痛くて…
一度、頭に血が上って証拠隠滅も兼ねてパソコンを床に叩きつけて…
バッグもデスクも散らかしたままで。
それからしばらくして、部屋に音がして、銃を撃って、
それから…


『悪魔』の笑顔が脳裏に蘇る。


瞬く間に記憶が鮮明になり、全身に怖気が走った。
「――――――――――――――ッ!!!」
私は悲鳴にならない声を上げた。
「だ、駄目っ!リリィ!急に体を動かしちゃ!全身怪我してるんだから!」
起き上がろうとして、体中に激痛が駆け巡る。
覚ましたばからの脳に直接電気を打ち込まれような感覚が襲う。
「――――――――ンッ!―――――あ、あああっ!かっ、はっ…」
無意識に胸を抑える。
まともに呼吸が出来ない。
苦しい。
ノエルが優しい手つきで背中をさすってくれる。
胃から込み上げる嘔吐感を両手で押さえつつ、私は徐々に呼吸を整えていった。
「ほらっ。水をお飲みなさい。貴女、脱水症状ですってね」
私の口にコップを当てて、少しずつ口に運んでくれた。
コクコクと、乾ききった喉に生ぬるい水が沁み渡っていく。
コップにある全ての水を飲み干して、深呼吸を繰り返して、心身ともに落ち着かせた。


505 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:17:59 ID:WUUcIWOI
支援

506 :代理投下:2009/03/13(金) 22:19:00 ID:YH1JjJ2Q
その時、両腕に包帯が巻かれているのに気づいた。黄色のパジャマの袖に隠れていて見えなかった。
顔に手をそっと当ててみる。湿布のようなものが左頬に貼られていて、指の所々には絆創膏が貼られている。
体を少し動かすだけでも痛みが走る。
首に痛みが走らない程度に動かして、薄目で周囲を見回した。
右側には涙の跡が色濃く残っている親友、ノエル・パッフェンバウアーが椅子に座っている。
そして、左側には…


「……ヘンリエット?」


「…今ごろ気付いたのですか?貴女は」
先程まで、心配そうな顔で私を見つめていたのに、私の言葉で気分を害したのか、急に顔を顰めて鼻を鳴らし、腕を組んだ。

彼女は私とノエルと同じクラスメイトの一人であり、絵に描いたような傲慢稚気なお嬢様。
淡い紫色の瞳に、同じ色をした綺麗な長髪。透き通るような素肌に豊満な胸をお持ちである抜群のスタイルの持ち主。
性格さえ矯正すれば中等部のトップアイドルになりうる素質を持つ美少女である。
ヘンリエット・T・イーズデイル。
いつも私をライバル視していて、会話をするたびにギスギスしてしまう同級生。
私の目の前に、意外な人物がいた。

「……なぜ貴女が、ここに?」

「…私がここにいちゃ悪いかしら?」
不機嫌な顔を露わにして、ヘンリエットは言葉を発する。
反射的に両手を振ろうとしたが、腕を少し動かしただけでも痛いので、不自然に体をビクッと震わせただけだった。
「い、いえっ。そんなことは無いわ。…ただ、見舞いに来てくれるとは、思ってなかったから」
「私がお見舞いに来ることが、そんなに意外?」
となりでノエルがうんうん、と首を縦に振っている。
「…いえ、とてもありがたいわ」
私は精一杯の笑顔で返した。
「…………そう」
腕を組んだまま、黙り込むヘンリエットだった。
彼女を見ていて、ふと感じた違和感を口にする。

507 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:19:24 ID:WUUcIWOI
支援

508 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:20:34 ID:mDDhnAGp
支援

509 :代理投下:2009/03/13(金) 22:21:10 ID:YH1JjJ2Q
「ギプスは?肩は、もう大丈夫なの?」
今さら何を言っているんだ、私は、と思う。
私が彼女を痛めつけた張本人なのに。
本当のことを話しても信じてくれそうもないけど、彼女には後ろめたい気持ちがある。
「…先々週からつけていませんよ?貴女、最後に学校に顔を出したのはいつ?」
「22日前…」
「……呆れてものが言えませんね」
「ご、ごめんなさい」
なぜかヘンリエットは目を見開いていた。
ん?私、何か変なこと言ったかしら?
そして、ノエルがヘンリットに目配りをしている。
そのコンタクトはなに?っていうか、ノエルってヘンリエットと仲良かったっけ?
「あっ、あのっ、リリーシャさん…」
「え?何かしら?」
「実は貴女に、謝りに来たんです…」
「……はい?」
「あの時は、その、言い過ぎたといいますか…私も、色々と当たってしまって…今さらなのですが、…申し訳ありませんでしたっ!」
そう言うと彼女は恐縮した態度で頭を下げた。

今度は私のほうが目を見開いた。
あのヘンリエットが頭を下げるなんて…

おそらく、本国の両親に叱咤でもされたのだろう。子ども同士の小競り合いでも貴族にとっては不仲の火種になりかねない。
特に同じ爵位を持つ貴族同士は出土が異なろうと、縦の繋がりだけは無く、横の交友関係も大切だ。貴族にとって人の繋がりは命である。
だからこそ、貴族はこのような些細な出来事でも敏感に反応し対処を怠らない。
大きな失敗も、多くの場合は元を辿れば小さな事柄から派生していることを鑑みれば、当然の対応であるが…

510 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:21:25 ID:WUUcIWOI
支援

511 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:21:35 ID:mDDhnAGp
支援!

512 :代理投下:2009/03/13(金) 22:22:06 ID:YH1JjJ2Q
まだぎこちない態度でも彼女なりの精一杯の謝罪をしていた。
だから、こっちも誠意を返す。
「気にしなくていいわ。ヘンリエット…貴女が私に言ってた事は全部、本当のことだから」
しかし、
その言葉に、ヘンリエットは心底驚いた顔をした。
彼女だけは無い。反対側にいるノエルすら驚いている。
ちょっと待って。
何でびっくりするのよ?
「…リリーシャ」
「…貴女」
そうと思いきや、今度は悲痛そうな表情に変わる。
ますますワケがわからない。
「ちょっと、二人ともどうしたのよ?私、何か変なこと言った?」
「いや…そういうこと、じゃなくて、さ」


「……アンジェリナさんの件、聞きましたわ」


私は、息を飲んだ。
「……やっぱり、知ってたんだ。だから、リリィは学校をとび出したんだろ?」
「…え?」
「え?じゃありません!!ノエルがどのくらい貴女のことを心配していたか!?少しは分ってて!?」
「ちょ、ちょっとヘンリエット!やめなよ!」
「貴女ねぇ…いくら頭が良くても、テロに巻き込まれたらどうなるかお分かりでしょう!?あれほどの騒乱を一人でどうにかできるとでも思って!?思いあがるのも大概にしなさい!!」
唾を飛ばしながら、私の胸倉を掴み上げた。
痛みに体が悲鳴を上げていたが、声を出さずにそれを甘んじて受け入れた。

ヘンリエットの言っている事は正しい。
テロ行為の前では武器を持たない少女なんて無力だ。
そんなことは分っている。
彼女たちは、「事件を知った私はアンを助け出そうとして、騒乱に巻き込まれて帰ってきた」と思っているらしい。
私の性格と状況証拠から判断すると、誰だってそう解釈するだろう。

しかし、実際は違う。
私が、このリリーシャ・ゴットバルトがその事件の黒幕なのだ。
2か月前から準備をして、ギアスを用いて引き起こした大事件。
それに、私は式典にアンがいることを知らなかった。その日、アンは寮で自習をすると言っていた。
だが、奇妙な偶然が重なり、アンは式典へと足を運んで、鬼頭が用意した爆弾に巻き込まれて、
命を落とした。

それが真実だ。

513 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:22:25 ID:mDDhnAGp
支援……

514 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:22:40 ID:WUUcIWOI
支援

515 :代理投下:2009/03/13(金) 22:22:49 ID:YH1JjJ2Q
「うん……ごめんなさい。ヘンリエット。ノエル」

私がそう言うと、ヘンリエットは手を放した。
私はしわくちゃになった黄色のパジャマの襟元を戻していく。
まだ怒っているヘンリエットに、心を覆い隠したまま、笑顔で返した。
誰にも、これを悟られるわけにはいかない。
私の罪を知ったら、この娘たちに迷惑がかかるだけだ。
それだけは絶対イヤだ。
「心配してくれてありがとう。ヘンリエット。貴女、とっても優しいのね」
「なっ!?」
突然、顔を赤らめて慌てはじめる彼女。
「べっ、別に貴女が心配というわけじゃ、ただ、貴女を心配するノエルが不憫に思えて仕方なかっただけですわ!それだけよっ!」
鼻を鳴らして私から目を逸らす彼女。
…ははぁ。
落ち着いて話してみると、彼女の性格がよく解った。
優しいのに、気持ちを伝えるのが不器用なんだ。この娘。
「でも、お見舞いに来てくれた事は本当にありがとう。とても嬉しかったわ」
私は彼女にお礼の言葉を述べた。
「……そう」
こういう人には、ストレートな言い方が一番効果がある。
ヘンリエットの反応に、何だか意地悪心が芽生え始める私。
(この娘、結構面白いかも…)

その時、保健室のドアをノックする音が聞こえた。
この保健室には何故か私たちだけしかいなかった。席を立とうとしたノエルをヘンリエットが制す。
「私が見てきますわ。ノエルさんもリリーシャさんの看病でお疲れでしょう?」
「えっ?私が見てく…」
「人の好意は素直に受取っておくものよ?」
そう言って、ご機嫌な様子が隠せてない顔でカーテンを潜っていった。

二人きりになった時、私はノエルに疑問をぶつけてみた。
「ねえ、なんで私、保健室にいるわけ?体の包帯、誰がやったの?」
「医者。一昨日、医者が学園にいた時にリリーシャが帰ってきたから、本当に幸運だったんだ。病院は何処も満席で、ベッドが足りないらしいよ」
「納得。…ところでさ、ノエル。いつの間にヘンリエットを仲良くなったの?」
「ふふん?それはね〜、ヘンリーって実は…」
それ以上、私はノエルの話を聞くことができなかった。


なぜなら、
「リリーシャ!!一体どういうことっ!!?」
カーテンを乱暴に開くと、凄い剣幕で私の胸倉を掴み上げてきたからだ。
「!!ヘンリッ、い、いたいいたいたいたい!」
激痛が全身に走る。
私、重度の筋肉痛なんだって!それに所々擦り傷があるし!ホントに痛いのよ!
さっきまでの和やかな雰囲気は何処へっ!!?


「貴女に会いたいって、ライ先輩がお見えになってるわよっ!!」


その言葉に、私は凍りついた。




516 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:23:09 ID:mDDhnAGp
支援!!

517 :代理投下:2009/03/13(金) 22:23:36 ID:YH1JjJ2Q
「うん……ごめんなさい。ヘンリエット。ノエル」

私がそう言うと、ヘンリエットは手を放した。
私はしわくちゃになった黄色のパジャマの襟元を戻していく。
まだ怒っているヘンリエットに、心を覆い隠したまま、笑顔で返した。
誰にも、これを悟られるわけにはいかない。
私の罪を知ったら、この娘たちに迷惑がかかるだけだ。
それだけは絶対イヤだ。
「心配してくれてありがとう。ヘンリエット。貴女、とっても優しいのね」
「なっ!?」
突然、顔を赤らめて慌てはじめる彼女。
「べっ、別に貴女が心配というわけじゃ、ただ、貴女を心配するノエルが不憫に思えて仕方なかっただけですわ!それだけよっ!」
鼻を鳴らして私から目を逸らす彼女。
…ははぁ。
落ち着いて話してみると、彼女の性格がよく解った。
優しいのに、気持ちを伝えるのが不器用なんだ。この娘。
「でも、お見舞いに来てくれた事は本当にありがとう。とても嬉しかったわ」
私は彼女にお礼の言葉を述べた。
「……そう」
こういう人には、ストレートな言い方が一番効果がある。
ヘンリエットの反応に、何だか意地悪心が芽生え始める私。
(この娘、結構面白いかも…)

その時、保健室のドアをノックする音が聞こえた。
この保健室には何故か私たちだけしかいなかった。席を立とうとしたノエルをヘンリエットが制す。
「私が見てきますわ。ノエルさんもリリーシャさんの看病でお疲れでしょう?」
「えっ?私が見てく…」
「人の好意は素直に受取っておくものよ?」
そう言って、ご機嫌な様子が隠せてない顔でカーテンを潜っていった。

二人きりになった時、私はノエルに疑問をぶつけてみた。
「ねえ、なんで私、保健室にいるわけ?体の包帯、誰がやったの?」
「医者。一昨日、医者が学園にいた時にリリーシャが帰ってきたから、本当に幸運だったんだ。病院は何処も満席で、ベッドが足りないらしいよ」
「納得。…ところでさ、ノエル。いつの間にヘンリエットを仲良くなったの?」
「ふふん?それはね〜、ヘンリーって実は…」
それ以上、私はノエルの話を聞くことができなかった。


なぜなら、
「リリーシャ!!一体どういうことっ!!?」
カーテンを乱暴に開くと、凄い剣幕で私の胸倉を掴み上げてきたからだ。
「!!ヘンリッ、い、いたいいたいたいたい!」
激痛が全身に走る。
私、重度の筋肉痛なんだって!それに所々擦り傷があるし!ホントに痛いのよ!
さっきまでの和やかな雰囲気は何処へっ!!?


「貴女に会いたいって、ライ先輩がお見えになってるわよっ!!」


その言葉に、私は凍りついた。




518 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:24:32 ID:mDDhnAGp
支援!

519 :代理投下:2009/03/13(金) 22:26:13 ID:YH1JjJ2Q



同時刻。
メジロゲットー。
既に日は暮れ、夜になっていた。
黒の騎士団の前線部隊が周辺を占拠していた。十機あまりの月下とその倍以上の無頼が配備されている。
周囲には物々しい雰囲気が漂っていた。
夜は冷えることもあって、たき火の周りに黒のジャケットを着た男たちが屯っている。
たき火を囲み、休憩を取っている見張り役は配給されたお吸い物を口にしていた。
「またブリタニアと戦争することになるとはな。まあ、いつかこうなるとは思ったが…」
「なあ、行政特区はどうなったんだ?」
「馬鹿野郎!もうお終いだよ!あの裏切り皇女め。ゼロを撃ちやがって!死んで当然だ!」
「ここの指揮官、奥さんがやられちまったらしいぜ」
「…ひでぇ。ブリキ野郎。どこまでも腐ってやがる」
「ゼロは軍人だけだと言ってたが、邪魔をするなら民間人も容赦しねえぜ」
「当ったり前だ。あんなやつら、片っ端から…って、ん?」
団員の一人が、空で光るものを見つけた。
星にしては大きすぎる。
団員が双眼鏡で『それ』を確認した。
それを見るなり、顔が蒼白になる。
「!?あ、あれはっ!」
「あ?一体どうした?」

ドォン!!
爆発した。
粉塵を舞い上げて、コンクリートが深く抉り取られた。
大きな爆音と共に彼らは吹き飛ばされた。


周辺に警告音が鳴り、多くの団員が動き出した。
それを上空五〇〇メートルから確認する一機のナイトメアがいた。
両腕に装備された大型ガトリングが火を噴く。
ダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!
パイロットは、モニターでロックオンされたナイトメアや倉庫に容赦なく口径1213mmベネディクト弾を撃ち込んでいく。
着弾地点から次々と火の手が上がった。
KMFが空を飛べると飛べないとでは、戦力的に天を地の差がある。
一方的な虐殺に、そのナイトメアのパイロットは納得いかなかった。
このような戦術は彼女のスタンスではない。
口径1213mmベネディクト弾の雨を終わる頃には、倉庫や施設は全て崩壊していた。

520 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:26:28 ID:WUUcIWOI
支援

521 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:26:32 ID:mDDhnAGp
支援

522 :代理投下:2009/03/13(金) 22:28:07 ID:YH1JjJ2Q
「私は遠距離から攻撃は嫌いなんだよなぁ…」
モニターに残存する多数のナイトメアの熱源反応を感知する。
それを見たパイロットは思わず、笑みに口元を歪めた。
「だから!」
瞬時に右手でパスワードを打ち込んだ。
ガチャッという音と共に、両腕に装備されていた大型ガトリングがパージされる。
そして、背中に備え付けられていた、ナイトメアの全長の2倍はあろうかという複雑な形状をした巨大ランスを両腕に持ちかえた。
そのまま、多数のナイトメアが集結している敵陣の中心に猛スピードで突進する。
爆風を周囲にまき散らしながら、自ら境地へと降り立った。

『緑色のグロースター?』
『いや、違う!巨大な槍とあの機体は、まさか!!』 
突然現れたKMFに周囲の人々は目を見張った。

外形はグロースターを緑にカラーリングしたような機体。
しかし、所々の部位がグロースターとは異なっていて、全体的なシルエットはグロースターのよう重厚感では無く、ランスロットのような機動性を重視した印象を受ける。
特に胸部の形がグロースターと大きく異なっていた。
金色の槍のようにとがっていて、嘴のように展開した奥には大型のファクトスフィアが顔を覗かせている。
背中にはフロートシステムに漆黒のマント。
明らかに量産機ではない専用機体。一人のパイロットがそのKMFの名を口にした。


『まさか、べディヴィエール!?』
『ははっ!ご名答おお!!』
そう、ブリタニアの騎士ならば誰もが憧れ、畏怖する存在。皇帝直属の騎士、ナイトオブラウンズの一角が目の前にいる。
『マリアンヌの再来と謳われる、『あの』!?』
『ラウンズがこんな辺境にいるわけ無えだろ!一斉にかかれ!相手はたったの一機だ!』
驚愕の叫びと共に襲いかかってくる幾多のナイトメア。

523 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:28:40 ID:mDDhnAGp
全力で支援!

524 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:29:01 ID:WUUcIWOI
支援

525 :代理投下:2009/03/13(金) 22:29:18 ID:YH1JjJ2Q
それを見たノネットは声を荒げる。
『やっぱこうでなくっちゃなあ!騎士の戦いというものは!!』
ランスに備え付けられた4つのスラッシュハーケンが4機の月下を捕らえた。
その大槍を何なく振り回し、振り回される月下が周りにいる無頼に次々と激突する。
まるでカーニバルのようにナイトメアは円を描きながら振り回されていた。
それだけではない。
バババババババババババッ!!
ランスの中心が回転し、槍に装備されているバルカンが火を噴いた。槍の先には無数の弾丸が飛び交う。
被弾したナイトメアは黒煙を上げて沈黙する。
スラッシュハーケンが『べディヴィエール』の手元へ引き戻され、4機のナイトメア
が宙に舞う。
ランスの先端の回転数が更に増し、コーン状のブレイズルミナスを形成した。それだけでは留まらず、ブレイズルミナスの槍はさらに伸びる。

そして、一列に並んだ4機のナイトメアのコクピットを串刺しにした。

4機のナイトメアを串刺しにしても、ブレイズルミナスコーンの先端は4機目のコクピットから突き出している。
それを肩手だけで持ち上げる剛腕のKMF。
そのまま、『ベディヴィエール』はランスの先端に最後の一機を捉えた。
亡き骸を貫いたまま、『ベディヴィエール』はフロートシステムを展開し、黒いマントを靡かせながら最後の1機に突進していった。
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
抵抗も空しく、その無頼改は貫かれた。
しかし、べディヴィエールの勢いは止まることなく突進を続け、後方にある倉庫に激突した。

ドォォォオオオン!!!
5機のナイトメアは爆発し、倉庫を巻き込んで周囲に爆炎が吹き荒れた。

通常、サクラダイトの爆発に巻き込まれたナイトメアは同等の被害をこうむる。
多くは誘爆、良くて戦闘不能の大破。

しかし、燃え盛る炎の中にいた緑色のKMFは傷一つ負ってはいなかった。
槍を中心に、べディヴィエールの全身をカバーできるほどの六角形のブレイズルミナスが展開されている。

最大の攻撃力と最高の防御力を備えた巨大ランス。
それがこのKMFの唯一の矛にして、盾。

周囲は火の海だった。
一瞬で20機近くのナイトメアは撃墜され、攻撃開始からわずか数十秒でこの一帯の戦力は皆無と化した。
周辺にいた黒の騎士団の団員も灼熱の炎に身を焼かれ、絶命している。



526 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:30:11 ID:mDDhnAGp
支援

527 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:30:34 ID:WUUcIWOI
支援

528 :代理投下:2009/03/13(金) 22:30:58 ID:YH1JjJ2Q
コクピット内にいる凄腕のパイロット、ノネット・エニアグラムは大きなため息をついた。
戦闘終了後、すぐに通信が入った。

「まったく手応えが無い。これではつまらん」
モニター画面に映っている開発主任は、苦笑しながら言葉を返す。
『ノネット様。『ゲイボルグ』の調子は如何でしたか?』
「ああ。悪くない。突貫作業、感謝するよ。短期間でよくここまでやってくれた」
『勿体なきお言葉です。連中もその言葉だけで疲れも癒えましょう』
「いや、お前たちには本当にすまないと思っている。ロシア戦線に続いて疲労も溜まっているだろう。ここが済んだらたっぷりと休暇を与えてやる。それまで楽しみに待ってろ」
『はははっ。本当にお優しい方です、ノネット様は。優秀な上司を持つ我々は果報者ですな』
「あはっはっはっはっ!お前は人を持ち上げるのが上手いなあ!」
『私は本心を述べたまでですよ』
「私が優秀な上司かぁ?ならこの『べディヴィエール』を駆動系がいかれるまで使ってやろうか?お前らの休暇を短くしてやる」
『…開発者として嬉しいのですが、それだけはご勘弁を』
「なはっはっはっはっ!本当に正直だな、お前は」
豪快な大笑いを返した後、ノネットは再び操縦桿を握りしめた。
「よし!私はこれで帰還する。『ゲイボルグ』の肩慣らしは済んだしな。コーネリア様に伝えておいてくれ。決戦では噂に聞く『ゼロの双璧』とやらを相手にさせろ、とな」
『イエス、マイロード』

この日、メジロゲットーにある黒の騎士団の中継基地は一分足らずで壊滅した。
たった一機のナイトメアによって。
だが、その事実が黒の騎士団の本部に通達されること無かった。
駐屯していた連絡員も一人残らず殺されていたからだ。

もしこの時、『彼ら』がナイトオブラウンズの存在を知っていれば、未来は変わっていたのかもしれない…







529 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:31:20 ID:mDDhnAGp
支援!

530 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:31:38 ID:WUUcIWOI
支援

531 :代理投下:2009/03/13(金) 22:32:53 ID:YH1JjJ2Q
私はノエルとヘンリエットを退出させた。
幸いにもこの部屋で休んでいるのは私だけだった。
窓際のカーテンを閉めて夜空を覆い隠し、そのままライ先輩は立ったまま私を見降ろしていた。

笑顔が印象的なライ先輩の顔に、一切の表情が無かった。
それを見ただけでも、あの光景が嘘ではなかった事を切に訴えている。
ライ先輩の口が薄く開く。
「お友達は、いいのかな?」
第一声はそんな気遣いの言葉。
ひどく意外だった。
「ええ。それに、私の友人たちの前で話せる話でもないでしょう?」
「……君ひとりで、あの事件を引き起こしたっていうのか?」
「………それが何か?」
出来るだけ平然とした表情を取り繕った。
内心は驚愕にうち震えながらも、そんなことは表情に一切出さなかった。
幸い、声も上ずっていない。
「心配しなくてもいいですよ。誰にも話してしません」
「…そうか。それは、助かった」
「それで、要件は何です?私を殺しにきたんですか?」


「…だったら、どうする?」


ライ先輩の眼光が急に鋭くなった。
怖気がした。

冷たい。
冷たすぎる。
人間の目じゃない。
気付くと、無意識に震える体を抑えていた。
手に力が篭もる。
腕に食い込む爪が少し痛い。
「…私の命は先輩にあげます。…焼くなり煮るなり、好きにして構いませんよ……できれば、ひと思いに殺してほしいですけど」
その言葉にライ先輩は目を見開いていた。
私の発言が大層意外だったのだろう。

532 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:33:10 ID:l1qIXJkw
sienn


533 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:33:33 ID:mDDhnAGp
支援

534 :代理投下:2009/03/13(金) 22:33:42 ID:YH1JjJ2Q
「…それは、友達を、失ってしまったから?」
「っ!!!」
そこまでっ、私の事を!!
……隠しても無駄か。
…ここは、素直に答えておくべきだろう。
「…ええ。そうです。…今さらなんですけどね……怖くなったんです」
私はライ先輩から目を逸らした。
夜の景色が見られなくて少し困る。
でも、ライ先輩の行動は正しい。尋問する時、窓が無い個室で行うのは閉鎖的な圧迫感だけではなく、質問に全ての注意を向けさせるための手段でもある。
その上、カーテンには模様も無くて面白みが無い。
目がとまる場所が無かった。ライ先輩の美形を間近に見られるというのに、今は全然嬉しくない。
「…君に聞きたいことがたくさんある。正直に、答えてくれるかな?」
「……ええ、でも、一つ条件があります」
「…何だい?」
「先に私の質問にも答えてほしいんです。勿論、嘘偽りなくですけど」
「…答えられる範囲であれば、いいよ」
ライ先輩は私が何を質問するか分っていないと見える。
おそらく、ゼロの正体が誰かと、もう一度問い詰めるようなことはしないとは分っているようだ。
さっきのやりとりでも何となく私と同じくらいの思考力があることは理解できた。
そうでなければ、学生と黒の騎士団の幹部を両立するなんて出来るわけがない。
私は頬笑みを浮かべながら、爆弾を落とした。


「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア…」


ほんの一瞬だが、ライ先輩の目が見開いた。
「……やっぱり、そうなんですね。隠さなくても結構ですよ。先輩。今の反応で分かりました」
先輩は口を噤んでいた。
肯定と受け取っていいだろう。
うまく不意打ちをかけられたことに私は内心で微笑んでいた。
「本当に王子様だったんだ。先輩は」
「なぜ、分かった?」
「ルルーシュ先輩がゼロって分かって色々考えてたんです。そしたら昔、兄が言っていたことを思い出して。実は、結構前から思ってたんですけど…」
「…驚いたな」
「なぜ、ゼロがブリタニアに歯向かうのか。ゼロの正体を知ったら誰だって気付きます。
…だから、『王の力』を持ってたんですか。納得です」


「……ギアス、か」


今度は私のほうが驚いた。
まさか、知っているなんて…

535 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:34:01 ID:WUUcIWOI
支援

536 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:34:06 ID:1tRtB616
しえん


537 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:34:19 ID:l1qIXJkw
支援するー

538 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:35:49 ID:slP58YDJ
支援

539 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:36:01 ID:1tRtB616
しえん

540 :代理投下:2009/03/13(金) 22:36:37 ID:YH1JjJ2Q
「…先輩も知ってたんですか?それを知ってて、私の前にのこのこ現れたんですか?随分と不用心ですね」
「用心しているからこそ、ここに来たんだ。今、アッシュフォード学園は避難民で一杯だ。その上、警備のために軍人も出入りしている。そんな状況下で殺人なんて出来るはずが無い。
特に、君の能力ではね」
「…へぇ。私のギアス能力、分かってるんですか?」
「人の身体を操るギアス。操る為にはその人間を視認し続けなければならない。操作できる人間は一人…そして、あの異常な身体能力は自分自身にかけていた。違うかな?」

言葉を失ってしまう。
何故か、思わず笑ってしまった。
「…うはは、く、くっはっはっはっ…うはは、うふふ。…驚きましたね。全部正解ですよ。まさか、あんなに少ない情報で的確に当ててくるなんて…すごいですね。ライ先輩」
「…素直に答えるんだな」
「さっき約束したでしょ?私、約束破るの大っ嫌いなんです」
そんな私を見ても、ライ先輩は眉一つ動かさない。
微笑んでいるイメージが強いだけに、とても不気味に感じる。
わたしは再度、ライ先輩に微笑みかけた。


「警戒しなくとも大丈夫ですよ。私はもう、ギアスを使えませんから…」
また反応があった。少し怪訝な表情をしている。
そんな顔も絵になるわね。ライ先輩って。
「…無くなったんです。もう」
「ギアスを、失った?」
「はい。私の願いは、もう叶わなくてもいいので…ギアスは無くちゃったんです」
目覚めた時から妙な違和感があった。
何かが抜け落ちているような感覚。それが『ギアス』だと、すぐに気付いた。
実際、ライ先輩を見た時、即座にギアスをかけようとしたのだか全く反応が無かった。
だから、確信した。

あの時、X.X.は私の能力を奪った。
X.X.からしてみれば、貸していた『力』を返してもらったに過ぎないだろう。
彼の願いは私が叶えた。
私は願いを叶えなくていいと思った。
当然の帰結だ。
前後の記憶が曖昧なのだが、おそらくその副作用だと思う。
「私にギアスはありません。『王の力』なんて、庶民の私が持つべきものじゃないんです」
ライ先輩の青い瞳を見つめた。
何か吸い込まれそうな深い眼だ。
「分かってるでしょう?私の動機も、罪も」
「…罰を受けたいのか。君は」
「……そうですよ?悪いですか?」

やっぱり、先輩は頭の回転がすごく早い。私が喋る言葉を想定して、口に出す言葉を選んでいる。
もしかしたら、私以上かもしれない。
話しているだけでここまで感じるなんて、相当凄い。

541 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:37:01 ID:WUUcIWOI
支援

542 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:37:52 ID:l1qIXJkw
しえんしえん

543 :代理投下:2009/03/13(金) 22:38:45 ID:YH1JjJ2Q
私の話を聞いて、ライ先輩は腕を組んで、何か考え込むような顔をした。
…何を考えてるのかしら?
唐突に先輩が私に言葉を返してくる。
「なあ、君は僕に『命をあげる』といったよね?」
「…ええ」
「じゃあ、僕が君の命を預かる。だから…」
…だから?



「黒の騎士団に入ってくれないか?」



「――――――――――――――――――――――――――――――――――――は?」
私は今度こそ呆気にとられた。
おそらく表情も取り繕えていない。
開いた口が塞がらないって、まさにこうゆうことを言うのだろうか。
「…何を言ってるんです?気でも触れましたか?」
「いや、僕は正気だ」

「……私が何をしたか、わかって言ってるんですよね?」
「そうだ」

「私は、貴方たちを、日本を陥れたんですよ?」
「知ってる」

「…兄の、兄の仇を取る為に、ゼロを殺そうとして…それだけじゃなくて、黒の騎士団を壊滅させる為に、ブリタニアと戦争させようとしたんですよ!?」
「知ってるさ」

「な、なにを!!それが…『だから!!!』

私の大声はライ先輩の声に遮られた。
柔和な容姿からは想像できないほどの力強い声で。

「だから、僕が君の命を奪う代わりに、僕たちの仲間になってくれ」

私はワケが分らなかった。だから、ライ先輩の話を最後まで聞くしかなかった。
初めてだ。この私が、話の主旨が掴めないなんて。
「君はとても優秀な人間だ。事をなせる力がある。
だから、今から起こる事を、戦争で犠牲になるかもしれない人たちを、
一人でも多くの命を救ってほしい。
それが、君にはできる。いや、しなければならないはずだ」

「それが罰、ですか?」
「いや、僕からのお願いだよ」
そういってライ先輩は微笑んだ。
綺麗な銀色の髪、男とは思えないほどの透き通った白い肌。一目見たら忘れられないほどの端麗な容姿。澄みきった青い瞳。
その姿は一枚の絵のようだった。
(な、何を考えてるの?この人。分からない、分からない!)

「それとね。罪は消えるものじゃない。償うものなんだよ」

私の鼓動はそこで止まった。

544 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:39:01 ID:WUUcIWOI
支援

545 :代理投下:2009/03/13(金) 22:39:48 ID:YH1JjJ2Q
その言葉に、私は頭に血が上った。
思わず拳を握り締める。
私に、この私に…諭した。
安っぽい、一般論で。

ありったけの声を張り上げた。
「…ライ先輩に、そんなことが言えるんですか!?黒の騎士団の幹部の貴方が!テロリストが!そんな綺麗事を吐いて私に説教ですか!?」

「…そして、罪は背負うものなんだ。罪は消えない。いくら、償おうが、一生消えることは無いんだ」
「っ!!知ってます!そんなこと!そんな単純な事!罪は何をしても消えないってことくらい!!」
思い切り、拳をベッドに叩きつけた。
手を振り上げるだけでも痛かったが、それでも腹の虫が収まらないっ!
ふざけるなふざけるなふざけるな!!
私が黒の騎士団の仲間に!?醜いテロリストになって助けろって!?
確かに私は黒の騎士団を窮地に追い詰めた。
だから、私は助けろっていうの!
…分かってる。分かってるけど、私は、私はブリタニア人で、由緒正しい、ゴットバルト家の人間で…
私は…わたしはっ!!



546 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:40:19 ID:WUUcIWOI
支援

547 :代理投下:2009/03/13(金) 22:41:21 ID:YH1JjJ2Q
次の瞬間、私の手に温かな感触が伝わった。
「!?」
ライ先輩の手が私の左手を握っていた。
そして、ポケットから取り出したものを私に握らせる。
金属の手触り。
それを見た私の目は見開いた。
「これは、君が持っておくべきだ」
思わず、声を上げてしまった。

「えっ…!ど、どうして…これをっ!?」

そう、それは銀色の十字架のネックレス。
私のお気に入りで、アンからプレゼントされたもので。
アンの手に握らせたはずの、私が置いてきたはずのネックレスで…
「アンジェリナさんのお母さんから預かってきたんだ。君が彼女を看取った事、知ってたみたいだよ」
「!?な、なんで!!」
「そのペンダント。お母さんと一緒に買いに行ったらしい。だから、握られているペンダントを見て、気付いたんだと思う」
「え、へ…う、うそ…」
「…お母さんから、伝言を頼まれてるんだ」

「最期まで傍にいてくれて、ありがとう。って」

「――――――――――え?」
息が止まる。
時間が止まる。
言葉が出なかった。
氷の刃が私の胸を突き刺したように、体中に冷たい血が走る。

頭の中が真っ白になった。
―――――――――――――――――――――――――――――――アリガトウ?
――――――ナゼ?私ガ感謝サレルノ?


「失ってしまった命の為に自分ができること、それを自分で考えて、自分で行動するんだ。そして、嘘を本当にしてしまうことだって、できる…」
「!?」
息を飲んだ。
いつの間にか、ライ先輩は私の手を放していた。
両手には、銀色のペンダント。
先輩は私を見下ろしていた。
ライ先輩の顔が見えない。いや、見る事が出来なかった。
なぜか、とても怖くて…




548 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:41:57 ID:WUUcIWOI
支援

549 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:42:50 ID:l1qIXJkw
しえんですよ

550 :代理投下:2009/03/13(金) 22:43:20 ID:YH1JjJ2Q
重い静寂が漂う。
「先輩…私、思うんです」
先輩は何も答えない。
でも、私は話を続ける。
「輪の中に入れない人々。存在してはいけない人々。そういう人たちはその烙印を背負って、必死に生きていきます。
ルルーシュ先輩も、黒の騎士団に参加している人々も、そういう人たちだと思うんです。
でも、私は、生きてちゃいけない人間はやっぱりひっそりと死んだほうがいいって思うんです。それが一番、迷惑がかからないと思いませんか?
そして、私は大罪人。私も、存在しちゃいけない人間…
だから…」

「それでも…」


「君は、僕たちは、生きてるだろう?」


…すごく、深い響きを持った言葉だった。
ライ先輩の制服の背中が、少し寂しく見えた。
今だから分かる。
まさか、この人も…
「ライ先輩は……失ったんですか?大切なものを…」

「もう、随分と昔のことだよ。でも、今も、大切なものがあるから」

…そうなんだ。だから、分かるんだ。私の気持ちが。
罪の重さが、償いが、その存在が…
かけがえのないものの、本当の大切さが…


その後、長い沈黙が続いた。
私もライ先輩も何も喋らなかった。
ライ先輩は私と目を合わせないし、私は私でカーテンについているシミを何度も数えたりしていた。
…重い。
「…ねえ、先輩。こんなことを聞くのは野暮だと思うんですけど…」
「何かな?」

「カレン先輩と付き合ってるんですか?」

551 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:43:40 ID:WUUcIWOI
支援

552 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:44:16 ID:l1qIXJkw
しぇん

553 :代理投下:2009/03/13(金) 22:44:41 ID:YH1JjJ2Q
「…うん」
「カレン先輩はライ先輩が黒の騎士団の一員であるとこを、知ってるんですか?」
「…うん。知ってる」
「っ!…そう、なんですか」

「黒の騎士団とカレンを選べと言われたら、僕は迷わずカレンを選ぶ。そのくらい好きさ」
そう言って、ライ先輩は私に断言した。
大きくて、力強い声ではなく、いつものように優しい口調だった。
だから、それが本当のことだと分かる。
当たり前だと言わんばかりに…

「ちょっと、恥ずかしいセリフだったかな?」

「いえ、とっても素敵です。ライ先輩。そんなこと言われたら、女の子は誰だって嬉しいですよ」

「…ありがとう。リリーシャ」

「!?」
ライ先輩は、初めて、私の名前を呼んだ。

…先輩。優しすぎます。貴方は。
テロリストに、向いていないんじゃないですか?
でも、多くの死を、人間の醜い部分をたくさん見てきたから、優しいのかな?
先輩の優しさは、罪が生み出した償いの一つなのかな?

「先輩…」
「ん?何だい」


「さっきの話…少し考えさせて下さい。…色々と、整理がついていないんで…」


「分かった。リリーシャの体も大丈夫じゃないみたいだからね。…僕としては、良い返事を待ってるよ」









554 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:45:14 ID:WUUcIWOI
支援

555 :代理投下:2009/03/13(金) 22:47:39 ID:YH1JjJ2Q
ドアが閉まる音が聞こえて、先輩は保健室を出ていった。
私は手元にあるペンダントを見た。
銀色の十字架のペンダント。アンの形見。
血は付いていなかった。
ただ、何となく、重みを感じる。

感傷に浸っていると、大きな音を立ててドアが開いた。
二人がやってきた。
カーテンを乱暴に開けて、ノエルとヘンリエットが私に問い詰めてきた。
ノエルは興味深々といった顔で。
…ヘンリエットの目が血走ってるのは何でだろう?
「さぁって、リリーシャ・ゴットバルト。きっーぃちりと説明してもらぁいますわよぉ…」
ちょっと、顔が近いって。
それに、怖いんだけど、その目。
「これを、渡しに来てくたんだって…」
私は両手にあったペンダントを見せた。
昔、私が落としたところを見て、拾ったのに渡す機会が無くて、たまたま今日、訪れたという話をでっち上げた。
ライ先輩の裏の顔を知って、危うく口封じされるところでした、なんて言えるわけがない。

「落としてしまったのを偶然拾ってもらったんだぁ…いいなぁ。うらやましいな。ライ先輩になんて…」
「…………そういう、ことでしたの」
ねぇ、どうしたの?ヘンリエット。
急に黙り込んで…
なぜか、首を何回も縦に振って、一人で納得していた。
何を?

…ヘンリエットの手元から甘い匂いが周囲に漂ってきた。
私はそれに目を向ける。
『チャワン』を呼ばれる黒い陶器の中にある白いものから湯気が立っている。
「あっ、実はこれ、ヘンリーが作ったんだよ!オカユ!」
「…オカユ?」
「『おかゆ』といって、イレブン、いや、『ニポンジーン』でしたわね。一人の従者が、私が風邪で寝込んでいる時に作ってくれましたの。それがとっても美味しくって…」
そう言って、スプーンで『オカユ』を掬った。
フーフー息をかけて、私の口元へと運んできた。
「お水みたいで、お腹に優しいんですのよ。…ちょっと熱いから、私が冷ましてあげます。ほら、お食べなさい。貴女も病みつきなりますから…」
「うん!私も勧めるよ。リリーシャ。本当にウマいんだから!あっ、それ、ライスだからね」
「…ノエルが言うなら」
私はそれを口に運んだ。水のような音を立てた。
じんわりと口に広がる。
塩味が効いて、少ししょっぱかった。

美味しい…

冷え切った心と体に、その温かさが伝わっていった。
…本当に温かいなぁ。
ノエル、ヘンリエット、貴女たちって、こんな私でも迎え入れてくれるのね。
こんな、こんな、どうしようもない、私を…心配してくれて…

急に視界がぼやけてきた。

556 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:47:48 ID:WUUcIWOI
支援

557 :代理投下:2009/03/13(金) 22:48:24 ID:YH1JjJ2Q
「ねえ?美味しいでしょ?」
あったかい。
とっても、あったかい。
「……う、うん。お、おいひ…ううう…」

…あれ?…あれ?……私…な、んで…


「ありが…う、ううう、あああああん!!あああああああん!!」
私は二人に抱きついて、大粒の涙を零し始めた。
彼女たちの温かさに、私の冷え切った心の氷河が、音を立てて崩れていった。
「ちょ、リリィ!?」
「…泣くほど、美味しかった?…うふふっ!!嬉しいわ!リリーシャ!」
少し、しょっぱくて、味が薄かったけど、とても美味しかった。
涙で、前が全然見えなかった。

二人は、私を抱きしめてくれた。
本当に優しくて、温かい、

私の、大切な友達。











558 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:48:41 ID:WUUcIWOI
支援

559 :代理投下:2009/03/13(金) 22:50:14 ID:YH1JjJ2Q
私が派手に泣きはらした後、急にお腹が減って、ヘンリエットが作ってくれた『オカユ』
をすべて平らげてしまった。
彼女たちの分もあったのだが、私に分けてくれた。
まあ、大半は私が食べちゃたんだけど、これって何杯もいける。
美味しいというより、食べやすいわ、これ。
ミネラルウォーターを飲み終えて、私たちは色々と話していた。
ここ2日の出来事を教えてくれた。
あとで、ヘンリエットが二日分の新聞を持ってきてくれるらしい。
男の子の話題が挙がったとき、私は彼女たちが知らない新事実を教えてやった。

「ライ先輩とカレン先輩。付き合ってるって」
「え!?やっぱり!?」
「私の感覚では、相当深い関係よ。このままいけば結婚しちゃうくらい…」
「うっそ………それ、マジでヤバいんだけど。ファンクラブ、解散?」
「…間違いなくね」
「リリーシャがそこまで言うなんて…じゃあ、まず間違いないわね」
…あれ?ヘンリエット。どうしたの?
世界に絶望したような顔して。
ノエルの方を見ると、「あちゃー…」とか言いたそうな顔をしていた。
彼女が落としそうになった『チャワン』を私は支えた。

「そ、そんな…ライ様が、そんな、そんなあああっ!!!」
いきなりの悲鳴にビビる私。
落ち着きを少し取り戻したところで私は恐る恐る訪ねてみた。
私、知らなかった。
「……ヘンリエット。まさか…」
「…そうだよ。ヘンリエットはライ派のファンクラブの副会長だよ?一目惚れして……」
ヘンリエットの顔面蒼白ぶりに、その話が真実であることを如実に表していた。
それにしても、あれはだいぶ入れ込んでいるなぁ……
…色んな意味で罪作りな人ですね。ライ先輩。
「ヘンリエット。良い事教えてあげる」
「な、何です!?」
ちょっと、唾を飛ばさないでよ。
今の顔、男子には見せられないわね。
教えてあげるわ。今の貴女には毒か薬かは分からないけど…

「ライ先輩は本当に素敵な人だよ。ヘンリエットたちが思ってるより、ずっと、ずっと…」

560 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:50:58 ID:WUUcIWOI
支援

561 :代理投下:2009/03/13(金) 22:54:20 ID:YH1JjJ2Q
多くの支援、ありがとうございます。
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」 (後編2)

これで終わりです。
後編3は次のスレに投下します。次の話をやたらと容量が多いので出来れば引き続き支援をお願いします。


562 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 22:55:25 ID:l1qIXJkw
おつかれさまでした〜
引き続き向こうの方で支援しますよぅ

563 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 23:08:00 ID:mDDhnAGp
>>561
代理投下乙!
そして、POPPO卿、GJでした!
貴方のSSに俺が泣いた!
後半ヤバい、読んでてモニターぼやけてきた。
すっごく面白い、物凄くグッときた。
しかし >1213mmベネディクト弾 1メートル越えの弾、パネェ。
……本当に凄いわ、これ。
貴公の次の投下も全力を挙げて支援します!

564 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 13:57:39 ID:3RGRKMXi
埋めるか?

565 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 16:33:15 ID:RL2NuWYq
埋めついでに、点呼とらないか?
過疎ってるとか言われてるけど、正直どの程度人がいるか気になる。

なので・・・
イチーー!

566 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 16:50:55 ID:BxvT5Yq+
2get

567 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 16:52:26 ID:5aGW76lS
サンダー!

568 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 17:28:28 ID:FxKe9/CL
4人目の適格者

569 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 18:01:30 ID:qSETsMLr
誤診ですた

570 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 18:38:43 ID:m12RwEaz
六人目、と

571 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 18:57:19 ID:jV4a0kEL
七がセブン!
すなわちジーベンこそがチーでした。

572 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 19:02:34 ID:grERl194
ナイトオブエイト

573 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 19:03:47 ID:TMp/Nvzt
ナインのノネット

574 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 19:07:08 ID:isJn12O/
十人目の吸血鬼

575 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 19:14:27 ID:3o3qmdAG
ナイトオブイレブン

576 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 19:20:59 ID:jFnRC9A2
ナイトオブトゥエルブ、モニカで〜っす!

577 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 19:24:56 ID:4pOysj9k
ゴルゴ13
以外に人多いな

578 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 21:23:45 ID:c5AcbfTx
14だぎゃー

579 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 22:48:06 ID:cKX0py+C
15だ・ぜ

580 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 22:50:59 ID:FBAWJxy3
16だ

581 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 22:59:13 ID:+mF7jt+p
大鉄人17

582 :創る名無しに見る名無し:2009/03/14(土) 23:23:29 ID:K7kj2iuW
18っと

583 :創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 00:26:28 ID:VBBk0GvA
19

584 :創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 11:35:39 ID:a23iptVk
埋め

585 :創る名無しに見る名無し:2009/03/15(日) 11:39:57 ID:a23iptVk
                    ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
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  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
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       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
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  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
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    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |]]]>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -――-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-――┬      \         /
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
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