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コードギアス反逆のルルーシュLOST COLORS SSスレ35

1 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 02:59:29 ID:6kCHAlJA
ここはPS2/PSPソフト「コードギアス反逆のルルーシュ LOST COLORS」SS投稿スレです。
感想等もこちらで。このゲームについて気になる人はギャルゲー板のゲーム本スレにもお越しください。
基本sage進行で。煽り・荒し・sageなし等はスルーするか専ブラでNG登録して下さい。
(投稿前に読んでください >>2-)

■SS保管庫 http://www1.ocn.ne.jp/~herma/CodeGeass_LostColors/2ch/0.html

■前スレ
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1228205906/ 
  (過去ログは保管庫スレッド一覧から閲覧できます)

■関連スレ
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS 21 (本スレ)
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gal/1225489272/
コードギアス ロスカラのライ 温泉には大きなオッパイが6つ (主人公スレ)
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1225366437/
【PSP】コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/handygame/1207641630/
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS 攻略スレ4
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gameover/1209720651/

■公式サイト http://www.geass-game.jp/ps/
■アニメ公式サイト http://www.geass.jp/
■攻略wiki http://www9.atwiki.jp/codegeasslc/


2 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 03:01:53 ID:6kCHAlJA
■全般
・支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう
 (連投などに伴う規制について参考>>4-あたり)
・次スレ建設について
 950レスもしくは460kB近くなったらスレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから
 重複などを防ぐために、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えてください。
  ※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例 940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など
・誤字修正依頼など
 保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(geass_lc_ss@yahoo.co.jp)に
  ※修正依頼の際には、作品のマスターコード
   (マスターコード:その作品の投稿が始まる、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)
   を必ず記述して下さい
   例:0003-0342 のタイトルを○○に カップリングを○○に
     (↑この部分が必須!)
   マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定だと処理ができなくなる場合があります

■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.前書き・後書き含めて10レス以上の連投になると同一IDからの投稿が規制されます。(←「さる」状態)
  間に他IDからの「支援」が入ることで規制は回避できますので、規制にかかりそうな長文投稿の際は
  投下前に支援を要請して下さい。逆に、必要ない場合は支援の要らない旨を書いてください。
  前レス投稿から30秒ほどで次レスを投稿することができます。(投稿に関する規制については >>4- あたり参考)
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
  ・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
6.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
  ・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
   (トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で)
  ・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます

前書きの中に、以下のテンプレを含むことが推奨されます。(強制ではありません)
【メインタイトル】
【サブタイトル】
【CP・または主な人物】
【ジャンル】
【警告】

【背景色】
【基本フォント色】


3 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 03:02:55 ID:U9je0Y4x
■創作発表板での投稿規制について 参考(暫定)

1レスで投稿可能な容量
 ・X:1行の最大 / 255byte
 ・Y:最大行数 / 60(改行×59)
 ・Byte :最大容量 / 4095Byte
  但し、改行に6Byte使うので注意。例えば60行の文なら59回改行するので
  6Byte×59=354Byte これだけの容量を改行のみで消費する

さるさん( 過剰数の投稿に対する規制 )
 ・1時間に投稿できる数は10レスまで。それを超えると規制対象に
 ・毎時00分ごとにリセット。00分をはさめば最長20レスの連投が可能?

連投規制( 連続の投稿に対する規制。短い間隔で連続の投稿ができない )
 ・30秒以上の間隔をあければ投稿可

おしりくさい虫( 携帯のみ?同一内容の投稿に対するマルチポスト規制 )
 ・「支援」などの同じ言葉を繰り返し投稿することでも受ける規制。
  違う内容を投稿すれば解除される。スペースを挟むだけでも効果あり?

4 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 03:05:37 ID:6kCHAlJA
■画像投稿報告ガイドライン

ロスカラSSスレ派生画像掲示板
 PC用  http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic
 携帯用(閲覧・コメントのみ) http://bbs1.aimix-z.com/mobile.cgi?room=lcsspic

1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。
  尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
 ・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
 ・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)

2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
  (SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。)
  例:「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。 画像板の(タイトル)です。
     〜(内容・注意点などを明記)〜 よかったら見てください。」
 ・内容:挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど
 ・注意点:女装/ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)/微エロ(キス、半裸など)
      /ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など(絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします。)

 画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
 *ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。

3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
  画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
  画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。

4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
 ・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます
 ・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
 ・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
  (ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)


5 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 03:09:15 ID:6kCHAlJA
テンプレ以上です。

6 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 03:12:17 ID:TpS4ZAqs
1乙です!

7 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 03:14:53 ID:Nxk8nZ4f
乙です。

8 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 12:26:08 ID:RNFIE8KZ
乙でございます!

9 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:23:27 ID:YliS5tr5
乙です。そしてスレ住人の皆さん、明けましておめでとうございます。
新年早々でありますが、早速行かせていただきます。Return Colors13話投下します。
後書き等々含めて22、3レスぐらい使う予定です。

作者名 RC
タイトル Return Colors
カップリング 現在のところなし
ジャンル シリアス

注意事項
このSSはギアス編の続きとなっています。
本編に出てこない地名や設定は捏造だらけです。
人物も本編に近づけるように書いていますが齟齬は当然あります。
本編での極端に描写が少ない人物はオリキャラのように改変しています。またオリキャラ
もちょっとは登場します。
主人公はライです。


10 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:24:56 ID:YliS5tr5
Return Colors 十三話 〜求めていたもの〜



 EUのスペイン州。その首都マドリードにあるマドリード王宮。白亜で高大な宮殿。国
の象徴と言え、王族が住む場所だが、この宮殿にあったのは数多くの芸術品だ。一般公開
もされており子供の頃、叔父と共に大きく広い宮殿を彩る無数の芸術品に心を奪われ、同
時にあのような華美な品々を創造し、集めた自分の国を誇りに思った。
 その宮殿が今、炎に包まれ、焼き崩れようとしている。
「くそ、くそ、くそ……!」
 宮殿の正面に膝をつく白と青のナイトメア。すらりとした四肢と体つき、そして頭部に
は三角帽子のようなものも鎮座している。明らかにEUの主力であるパンツァーフンメル
とは全く違う形状だ。
 EU連合軍部が鹵獲したブリタニア製のナイトメアを元に作り上げた最新鋭機ダルタニ
アンだ。
 そのコクピットの中にいる黄金の髪を持つ美青年、EU陸軍スペイン州マドリードに配備された陸軍第12機甲歩兵旅団“グアダラマ”所属、ラウル・アスナール中尉は己の誇
りが砕ける様を見つめている。
「何だ、何なんだ。どうしてこうなった!?」
 少年のようなあどけなさを僅かに残すラウルの面は、今は恥辱に震えている。
 数多いるEU連合軍の中でも彼が所属する“グアダマラ”は屈強な軍人が揃った精強と
もいえる軍だった。
 ブリタニア第二皇子シュナイゼルが指揮を執るブリタニア軍の前に、ポルトガルが陥落
し、フランスは進行され続け、また各所で次々とあがってくる敗戦の報告。
 そんな現在のEUの中において“グアダマラ”だけは違っていた。幾度となく襲ってく
るブリタニア軍をことごとく粉砕していたのだ。そしてその中でラウルはエースの一人と
して今彼が騎乗しているナイトメアで存分の力を振るっていた。
 そして今日もそうだった。――あの二機のナイトメアが現れるまでは。
『アスナール中尉……。総本部は、アスナール中将は』
 弱々しい声がコクピットに響く。隣にいるパンツァーフンメルからだろう。
 彼に言われずともここへ来る最中、ラウルは何度も連絡を取ろうとしている。しかし返
答は返ってこない。本部の頼もしいオペレーターからも、叔父であり猛将と謳われていた
スペイン陸軍中将である叔父からも。
 そして本部であったマドリード王宮――オリエンテ宮は無惨に破壊され、炎に焼き尽く
されている。そしてその周囲には本部護衛に当たっていたパンツァーフンメルと、ラウル
の乗るダルタニアンと同時期に作られた最新鋭機アトスの残骸が散らばっている。
 こうなった以上、答えは明白だ。ラウル達は負けたのだ。完膚無きまでに。
 あの二機のナイトメアが出現してから聞こえてきたのは味方の怒号と悲鳴、叫びのみ。
しかしそれも今や殆ど聞こえなくなっている。
「……この場にいる総員に告げる。全機マドリードより――」
『ちゅ、中尉っ!』
 恐れを含む叫びを聞き、ラウルはモニターを見る。すると画面にはダルタニアンの後方
より迫るブリタニア軍を捉えている。
 そしてその敵軍の正面に立つ二騎のナイトメアを見たとき、暗く沈んでいたラウルの脳
裏に憤怒の焔が燃えさかる。

11 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:27:01 ID:YliS5tr5
「……っっ!!」
 機体を振り向かせ、その二騎を見据える。
 右のナイトメアは金と緑の色に染めあげられた機体だ。特に特徴らしい特徴はなく、武
装も右手に剣、左手には盾持ったその姿はグロースターやナイトオブセブンの乗るランス
ロットと同じ、騎士というイメージを固めたような機体だ。
 左側にいる黒と青色のナイトメアは対照的に非常に変わっている。まず大きさが違う。
ナイトオブワンが乗っているギャラハットと同クラスの巨大さだ。そして次に目立つのは
両腕に備え付けられた巨大な盾だ。機体を包めるような大きさだ。さらには背部に備え付
けられた巨大な二つの砲塔。
 血走った目で睨むラウルは知らず知らずに唇をかみ、血を滴らせる。
――貴様らっ、貴様らが……!
 そう、全てが逆転したのはあの二騎のナイトメアが戦場に現れてからだ。左の機体は桁
違いの火力と武力、そして鉄壁の盾を用いて味方を蹴散らし、押し潰し、右の機体はその
後方でブリタニア軍を操り、信じがたい速度で“グアダマラ”のナイトメア部隊を粉砕し、
マドリードの深くにブリタニアのナイトメアを侵入させ、要所を確実に潰していった。。
「総員ポイントB24へ一斉射! 全弾撃ち尽くしてもいい! あのナイトメア二騎を破
壊しろっ!」
 激情に操られ、ラウルは命令を下す。
 仲間の妄念や怒りが乗っていたのか、ダルタニアンの周囲に集まっていたパンツァーフ
ンメルより放たれた砲火は一発たりとも外れることなく二騎に命中。轟音が響き渡る。
「やったか……!?」
 軍勢を隠すような大きな煙が晴れると、
「な……」
 見えたのは緑色の光に包まれた両腕の盾を前方に展開している黒と青色のナイトメアだ。
 全て防ぎぎったようで、後方に控える敵機は先程と変わっていない。十数ものナイトメ
アの一点集中の砲撃を防いだその機体も傷らしい傷も見られず、先程と同じ姿勢へ戻る。
「パラメデスっ! ドロテア・エルンスト、貴様ぁぁぁぁっ!」
 何事もなかったかのようなその姿を見せつけられて、ラウルの脳裏の完全に屈辱と怒り
に支配される。
 マドリードの状況、味方の惨状、圧倒的なブリタニア軍。脳裏に重くのしかかっていた
それら全てを放り投げ、ラウルはダルタニアンをブリタニア軍向けて疾走させる。
『中尉に続けっ!』
 勇ましい、と言うよりもどこか自棄になった叫びと共に、残っていたパンツァーフンメ
ルも突撃する。
 徐々に迫る敵機。すでに肉眼で確認できるような距離になったときだ。黒と青の機体―
―パラメデスが前に出る。
 前に出たパラメデスの両肩に乗る二つの砲塔、その口内に赤と黒の光が集まる。それを
見て、ラウルは寒気が全身を走り、反射的にダルタニアンを跳躍させる。
 直後、二つの砲塔より放たれる高大で強大な光。ラウルの後に続いていた殆どのパンツ
ァーフンメルはそれに飲まれ、爆散してしまう。
「う、あ、あああ……ああああああああああっっ」
 怒りか、悲しみか、わからぬ叫びを上げてラウルは再び敵機に向けてダルタニアンを突
っ込ませる。
 そんなダルタニアンへ再び砲塔を向けるパラメデス。しかしその前に金と緑のナイトメ
アが出る。

12 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:28:27 ID:YliS5tr5
「ペリノア……! モニカ・クルシェフスキー!!」
 勢いのまま、ラウルはダルタニアンの持つサーベルをペリノアめがけて突き出す。
『白と青のダルタニアン。EU連合スペイン陸軍第12機甲歩兵旅団“グアダラマ”所属
ラウル・アスナール中尉』
 間違いなく渾身の一撃であるそれをペリノアは機体を半回転させてかわし、
『敗北が決まっているにもかかわらず無謀な特攻。――愚かですね』
 右手の剣で難なくダルタニアンの右腕を切り落とす。
「ぐっ……このおっ!!」
 相手から発せられている侮蔑に耳を貸さず、ラウルはダルタニアンを操作。腰部に備え
付けられているスラッシュハーケンがペリノアへ飛ぶ。
 しかしペリノアは易々とそれらを回避して右側面に移動。頭部を斬り飛ばす。
『貴方の叔父は噂通りの名将でした。実際あれだけの知略を持った人間はブリタニアにも
中々いません』
 メインカメラを損傷するが、それでもラウルはサブカメラに切り替えダルタニアンをペ
リノアめがけて突進させる。
『しかし“マドリードの闘牛士”と言われた貴方は、噂とはほど遠い愚か者です』
だがどんな攻撃もかすりもせず、返ってくる反撃は確実に機体を損傷させる。
――なぜだ!? どうしてここまで一方的にやられる!?
 ラウルはEU軍のナイトメア乗りの中でも間違いなく五指に入る実力を持つ。だからこ
そ24という若さで中尉の階級を持ち、最新鋭機であるダルタニアンを与えられ、正確な
攻撃と軽やかな機体操縦技能から“マドリードの闘牛士”という字まで囁かれていた。
 だがそのラウルの渾身の猛攻はナイトオブラウンズの末席――最下層であるはずの騎士
にすら全く通用しない。相手の動きは確かに一瞬でも視線を外せば見失うほどに速いが、
捉えきれないほどではない。だというのに――
――まるで……これはまるで……!
「私がどう動くのが読めているのかっ! 貴様は!」
 最後に残った武器、左腰部のハーケンもやはりかわされ、背後に回り込んだペリノアは
斬撃を二つ閃かせる。切り落とされるダルタニアンの左碗部と両足。
『ここまでですね。勝負はつきました、これ以上の戦いは無益です。降伏してください』
 地面に倒れたコクピットの中、聞こえてくる落ち着いた女性の声。
『従うのであればナイトオブトゥエルブ、モニカ・クルシェフスキーの名において、一般
市民に無用な危害を加えないこと、生き残った全て兵達を捕虜として丁重に扱うことを約
束いたします。』
『ここまで言われて尚、反抗するようならばこの私、ナイトオブフォー、ドロテア・エル
ンストがこの都市に生きる全ての人間をこの世界から消滅させるが』
 ノイズが走るモニターに映るペリノアとパラメデス。二騎は視線をこちらに向けて言う。
『返答は如何に?』
 重なる二つの声。相手を押し潰さんばかりの殺意と怒りが込められたそれを聞き、よう
やくラウルは頭に上がっていた血が下がる。
「わかった。降伏しよう……」
 正気に戻ったラウルは、もはやこう答えるしかなかった。拒否すれば彼らが本気で今言
ったことを実行するだろう。
 マドリードは破壊尽くされ、“グアダラマ”は壊滅し、市民にも大勢の犠牲者が出た。こ
れ以上の流血や被害は、もう沢山だ。
『ありがとうございます』
 落ち着いた声音がペリノアから響くと同時、ダルタニアンのコクピットブロックは闇に
包まれた。

13 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:29:39 ID:YliS5tr5



「お疲れ、モニカ」
「ドロテアさんこそ、お疲れ様です」
 G1ベースの独房のブロックからやってきたモニカがにこやかな笑顔を向けてくる。ド
ロテアは軽く手を挙げて彼女の隣に並ぶ。
「“闘牛士”に会ってきたのか」
「はい。あちらから面会したいと言ってきまして。私も少しは興味がありましたから」
「どんな様子だった?」
「先程とは別人のように大人しかったですよ。捕虜や一般市民、都市の様子を聞かれました。
約束通りの扱いをしていることを伝えると、お礼まで言われました」
 少し困ったような表情のモニカ。ドロテアとしてもそれは同感だ。
「そうか。紳士的な男のようだな。ナイトメアの腕も悪くはなかった。叔父同様、なかな
かの武人のようだ。
 今回の戦でスペインはほぼ手中に収めた。となればこの土地が新たなエリアとなったと
き、あ奴はこのエリア第一号の名誉ブリタニア人にするべきかな?
 枢木の例もある。鍛え上げれば円卓の席を埋める騎士になるかもしれないな」
 世界を分ける三強の一角であるEUの軍人の中にも、ドロテア達ラウンズに迫るパイロ
ットや猛将アスナールに引けを取らない知略を持った人間は何人かはいた。最もその殆ど
はブリタニアに屈することをよしとせず戦場で散るか、ラウルのように捕らえられている
のだが。
「それはないと思いますよ。誘ってみましたが彼は即座に拒否しましたから。侵略者の情
けを受けてまで生き延びていたくはないって」
「それは残念だ。となればエリア平定の為の見せしめ処刑が、奴の末路か」
――故国に最後まで忠誠を尽くすというのか。立派ではあるが、愚かだな
 ブリタニア軍人、それも最高峰の地位であるラウンズにいるものとは思えない言葉をド
ロテアは心中で呟く。もっともそれはドロテアの生まれと経歴を見れば納得いく言葉なの
だが。



「しかし、案外すんなりと終わったな。他の指揮官達が手こずっているというからどれほ
どのものと思っていたが」
 司令官室に置かれている長大なソファーに腰を下ろしたモニカとドロテア。ラウンズ専
用のマントを脱ぎソファーに座る彼女は足を組み、両腕を背もたれの上に置く。
「当然ですよ。私とペリノア、ドロテアさんのパラメデスがあれば、たいていの戦場はど
うにでもなります」
 そう言うモニカに、何故かドロテアは苦笑する。
「まったくお前という奴は……。可愛い顔して、そういう恐ろしいことをすんなり言える
ものだ」

14 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:31:01 ID:YliS5tr5
「そうですか? 私はただ本当のことを言っているだけですけど」
 事実、そうなのだ。ラウンズ一の智謀の持ち主であるモニカ、そして皇帝の剣であるナ
イトオブワン、ビスマルクと対を成す皇帝の盾であるドロテア。今まで二人が組み、戦っ
た戦場では勝利以外の結果はなく、ブリタニア軍部ではラウンズ最強のコンビではないか
とまで言われている。
「まぁ、いい。さて、今日の戦いでスペインは潰したも同然。後はフランスを攻略中のシ
ュナイゼル殿下とヴァルトシュタイン卿の軍がフランスを制圧すれば、EUはほぼ瓦解する。」
「予定の通りだと数日中には攻略するはずですね。そしてその後、シュナイゼル殿下は本
国にお帰りになられる」
「オデュッセウス殿下と中華連邦の天子の婚姻の準備のためにな」
 頷き、ドロテアはあまり湯気が立たなくなったカップを口に運ぶ。
「だが、そうなるにはまずあの場所を、エリア11を抑える必要がある」
「はい」
 その名を聞き、モニカの脳裏に無数の単語が流れる。ナナリー殿下、アーニャ達ラウン
ズ、ゼロ、黒の騎士団、ブラック・リベリオン。そして――
「あそこは今、また騒がしくなっていますしね。ゼロの復活に加えてカラレスの殺害。そ
して――」
「ナナリー殿下の総督着任」
 空になったカップを起き、ドロテアは再び頷く。
「つい先日エリア11へ向かう最中、黒の騎士団から襲撃を受けたと聞いています。枢木
卿達が対応し、事なきを得たそうですが」
「黒の騎士団も壊滅的と言うほどのダメージは受けていない」
 主力ナイトメアの大半は破壊したと言う話は聞いているが、主力と思われる四聖剣――
一人は仕留めたらしいが――と紅蓮二式のパイロットは健在。
 さらには黒の騎士団のスポンサーである皇コンツェルンの当主皇神楽耶に、技術開発主
任であるインド軍区出身のラクシャータ・チャウラーはブラック・リベリオンから一年も
の間、中華連邦へ亡命していたという。となれば彼らが無為に一年もの時間を過ごしてい
るはずはない。間違いなく新型のKMFの開発に着手しているだろう。
「……大丈夫でしょうか、ナナリー殿下は」
「確かに、心配ではあるな。ジノや枢木達の腕は疑いようもないが、知略に関して言えば
あの三人ではゼロの相手は務まるとは到底思えない。あのコーネリア殿下ですらあの男を
完全に抑えきれなかった」
 深刻な表情を浮かべると、ドロテアは側に青いてあるリモコンを手に取り、右側の壁へ向ける。
 スイッチを押すと天井からモニターが降りてきて、それと同時、室内の明かりもゆっく
りと消えていく。
 薄い闇の中、モニターに映し出される映像。その映像は海上の上でスザクやジノ、アー
ニャ達が騎乗する機体と交戦する朱と蒼白の機体。
「さらにやっかいなことに、黒の騎士団にはあの男もいる」
 クローズアップされたのは蒼白のランスロットだ。ランスロット・コンクエスターの猛
撃を紙一重にかわし、確実に攻撃を叩き込んでいる。
 別のボタンを押すと、今度は蒼白のランスロットがモルドレッドの頭部にMVSを突き
入れている場面が表示され、さらに別のボタンを押せばトリスタンと五分に渡り合う姿も
見られる。

15 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:35:01 ID:YliS5tr5
「ライ・ランペルージ。ラウンズ筆頭候補だったあの男。枢木達ともっとも親交が深く、
刃を交える機会も多かったとはいえ、同性能の機体を手に入れた程度でここまで渡り合う
とは」
「彼をラウンズにと皇帝陛下に口添えしたナイトオブワンの目は確かだったというわけですね」
 とはいえもしモニカのペリノア、ドロテアのパラメデスと交戦すればこのような結果に
はならなかっただろう。ライが枢木達の戦闘パターンをある程度理解しているからこその
結果と言える。
 もっとも、モニカとしては別に研究され尽くしていても問題はないのだが。
「それとこの機体、紅蓮二式。――そしてパイロットの紅月カレン」
 クローズアップされた朱の機体。トリスタンやモルドレッドと対等に渡り合っているそ
の姿を何故か怪しげな笑みを浮かべるドロテア。
「個人的に、とても興味をそそられる」
「ドロテアさん……?」
 彼女らしからぬ様子にモニカは声をかけるが、ドロテアは答えずリモコンを操作してモ
ニターを元に戻し、部屋の電灯に光を灯す。
「まぁ、しばらく成り行きを見守っておこう。ナナリー殿下や枢木達、そしてゼロのいる
エリア11をな」



 黒の騎士団所有の潜水艦。それを隠している大型タンカーの中にある会議室。その部屋
の入り口付近でライは壁に背を預け、腕を組み、正面を見据えている。
 新総督強奪作戦より数日が経過した今日、奪うはずだった新総督の就任挨拶が行われる
と聞き、黒の騎士団のほぼ総員がここ、会議室に集まっていた。
 視線の先にあるのは大型スクリーン。そして映っているのはライがよく知っている少女。
『皆さん、初めまして。私はブリタニア皇位継承権第八十七位、ナナリー・ヴィ・ブリタ
ニアです』
 彼女――エリア11新総督ナナリー・ヴィ・ブリタニアは、純粋培養されたような花を
思わせ風貌をしている。光を放ち、波打つ髪。シミ一つ無い純白のドレス。そして聞こえ
てくる鈴の音のような可憐な声。
『先日無くなられたカラレス侯爵に代わり、このたびエリア11の総督に任じられました』
 ナナリーは威厳というもの微塵も感じさせないながらも、ゆっくりと、しかしはきはき
と口上を述べる。その姿からは微かではあるが、ブリタニア皇族が持つ毅然とした強さが
見え、ライが以前感じたときよりも強くなっているのがわかる。
『私は見ることも歩く事もできません。ですから皆さんに色々と力をお借りすることとな
ります。
その時はどうか、よろしくお願いします』
「よろしくお願いしますって……」
「どうも、調子狂うな」
 そんな彼女の姿を見に集まった黒の騎士団の一同は、驚きよりも困惑の色が強かった。
それも無理もないと言える。彼女はコーネリアは当然のこと、あの虐殺皇女ユーフェミア
の第一印象よりもさらに可愛らしく、そして弱々しく見えるのだ。

16 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:36:12 ID:YliS5tr5
 さらに言うのであればユーフェミア同様ナンバーズに対しての差別意識というものが微
塵も感じられない。コーネリアと幾度となく戦い、あのブラック・リベリオンを経験して
きた黒の騎士団にとってブリタニア皇族イコール敵という方式が成り立っている。しかし
彼女をその公式に当てはめるにはあまりにも不適合に思えるのだ。
「ナナリー、本当に新総督になっちゃうのね」
 隣にいるカレンが小さく呟く。カレンにとってナナリーはライほど深くはないが、決し
て浅いという仲でもない。かつて肩を並べ楽しい時間を過ごした者。母と同じ守られるべ
き弱者。それ故に複雑なものを感じるのだろう。
『早々ですが、皆さんに協力していただきたいことがあります』
 スクリーンを見据えるライの眉が微かに動く。内心で、ナナリーの言葉が木霊する。
『私はエリア11でやらなければいけないことがあるんです。ですからあなたと一緒には
行けません』
「私は行政特区日本を再建したいと考えております」
「!?」
 可憐な唇から飛び出した爆弾のような言葉。次の瞬間会議室にいる騎士団員全員が怒気
を込めて口を開く。
「行政特区ぅ!?」
「日本……!!」
「何寝言抜かしてやがるんだ!?」
「今更……!」
 彼女の突拍子もない言葉にライも大きく目を見開き、唖然とする。だがすぐに激情が胸
の中に発生し、膨れあがる。
「ナナリー……!」
――君の言っていた、やらなければいけないことというのは、まさかそれなのか!?
『――かつての特区日本では、不幸な行き違いがありましたが、目指すところは間違って
いないと思います』
 おそらく――いや間違いなくナナリーがいる発表の場でも困惑と非難のざわめきが上が
っているだろう。しかしそれを気にした風もなく、ナナリーは静かに言葉を続ける。
『等しく、優しい世界を』
 腕を掴むライの手に力がこもる。心中の嵐は激しさを増すばかりだ。
『黒の騎士団の皆さんも、どうか特区日本に参加してください』
――何を言っているんだ。ナナリー……特区日本? それに黒の騎士団が参加する?
『互いに過ちを認めれば、きっとやり直せる。私は、そう信じています』
――君は何を言っているんだ。過ちだと!? 互いに認めればやり直せるだと!?
「そんなことが出来ていれば、世界から戦争というものは、争いは存在してない……!」
 険しい眼差しで、震える声で、ライは言った。



 タンカーの底部通路にライは一人立っている。最低限の電灯しかついていない通路は薄
暗く、周囲に人影はなく、物音もしていない。
 誰もいないことを再確認してから、ライは携帯を取り出すと、先日教えてもらったスザ
クの番号を押し、ダイヤルボタンを押す。

17 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:37:39 ID:YliS5tr5
『ライか』
「ああ」
 少しの時間を置いて出るスザク。硬質な彼の声に、ライも固い声で応じる。
「スザク、お前は特区のことを」
『知らなかったよ。他の人にとっても寝耳に水だった』
――やっぱりか
 いかなスザクといえども、特区日本のことを知っていれば今回のような発表をさせるわ
けがない。
 やはりあれはナナリーの独断。それを再確認すると、ライの眉間にさらに皺が増える。
「……ナナリーと代わってくれ」
 押し殺したような声で言うライ。しばらくして聞こえてくる軽やかな声。
『ライさんですか?』
「ああ。そうだよ、ナナリー」
『私の就任挨拶、ご覧になりましたでしょうか?』
 かつてのような大人しく、しかし明るい声でナナリーは話しかけてくる。
 かつては無邪気で可愛らしいと思ったその声だが、今はライの不快感を煽る悪声だ。
「ああ、見たよ。君が何を望んでエリア11まできたのかも、だいたいわかった」
『そうですか。なら――』
「ナナリー、一ついいだろうか」
 低く、冷たい声でライはナナリーの言葉を遮る。これ以上彼女の明るい声を聞いている
と心中に荒れ狂う嵐のような感情をそのままぶつけかねないからだ。
『は、はい』
 ライの声質に驚いたのか、戸惑う様子を見せるナナリー。ライは全力で己の感情を自制
し、努めて冷静に言葉を紡ぐ。
「君は本気で行政特区日本を作るつもりなんだな?」
『はい』
 断固とした意志がこもった返答。しかしライの心は全く動かない。それどころかさらに
嵐は激しくなる。
『ですが私一人の力では不可能です。だから大勢の日本人に、ゼロやあなた達の力が――』
 懇願の響きを持つ彼女の言葉を、ライは冷たく切り捨てる。
「ハッキリ言おうナナリー。君の掲げた特区日本は間違いなく失敗に終わる」
『……!? な、何故ですか』
 大きな動揺を見せるナナリー。その言葉を聞いてライは「そんなことすらわからないの
か」と心中で呆れと侮蔑がこもった言葉を投げつける。
「大きな理由は三つ。一つは今のエリア11はユーフェミアが特区日本を発表した時のエ
リア11ではないこと。一つはブラック・リベリオンの後であり、そして前総督カラレス
の統治を受けていたこと」
 ライには電話の向こうにいるナナリーの姿が容易にわかった。厳しいことを言われるの
を覚悟しつつも、それ以上にそれに恐れ、おびえるか弱い姿。
 だがライは一切躊躇わず、容赦せず、言葉の矢を彼女へ放つ。
「そしてもう一つは、君はナナリー・ヴィ・ブリタニアであって、ユーフェミア・リ・ブ
リタニアではないことだ」
 ナナリーの息を呑む声が聞こえる。凍り付くような沈黙が両者の間に満ちる。
『ど、どういう事ですか……』
 震える声で訊ねるナナリーへ、ライは冷厳に返答する。

18 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:39:08 ID:YliS5tr5
「さぁな。敵であるブリタニア皇女の君に、事細かく親切丁寧に教えてやるほど僕は優し
くない。
 僕が確実に言えることは先程のこととあと一つ」
 親しいライからこのようなことを言われること自体、ナナリーは想像すらしていなかっ
ただろう。蒼白なナナリーの表情がはっきりと脳裏に浮かぶが、ライははっきりと言った。
「特区日本を作ることは、僕個人としては反対だと言うことだ」
『……!』
 絶句するナナリー。ライは彼女の反応を待たず携帯を切り、電源をオフにする。
 気がつけば体に力が入っていることに気がつき、力を抜いて大きく深呼吸を繰り返す。
 そうしてライは、背後に感じた彼女へ声をかける。
「――聞いていたのかい」
 視線を向けると携帯を手に持ったカレンがいた。こちらを気遣うような表情を浮かべている。 
「電話の相手は、ナナリー?」
「ああ。太平洋上の戦いの時、連絡できるよう番号を貰ったんだ」
 手にしていた携帯をしまい、ライは彼女に向き直る。
「ルルーシュの元へは戻らない。自分にはやるべき事がある。ナナリーはそう言っていたが――」
 怒りと失望を込めた息をライは吐き出す。
「まさかユーフェミアの真似事をするだけだったとは」
「……厳しいのね」
「あんな馬鹿な発表を聞けば、厳しくもなる。特区日本だと? 成功するはずがないだろう」
 ナナリーが政治的なことに関しては未熟であることはライも理解していたが、まさかこ
こまでとは思っていなかった。今回の件に関してライはナナリーに対してはっきりと失望
と怒りを覚えていた。もし彼女の選任騎士として相談を受けていれば間違いなくやめさせ
ていただろう。
 特区が成功しないのは簡単だ。最初の一つ――ユーフェミアが特区日本を発表した時の
エリア11ではないこと。
 当時のエリア11――ライが眠りについた直後――は日本人の間でゼロへの信望が順調
に強まっていくと同時に、ユーフェミアへの期待も高まっていたことだ。
 今でこそ虐殺皇女という不名誉な字を持つ彼女だが、当時の彼女は姉コーネリアとは違
い、数多くの公の場――政治的には関わりがないとはいえ――に姿を見せており、ナンバ
ーズに対しての偏見が一切ない態度から、誰に対しても平等で、清廉潔白な皇女というイ
メージがあった。そしてそのイメージをさらに強めたのが選任騎士としてスザクを選んだ
ということだ。
 つまりユーフェミアは日本人の期待に答えるかもしれないと思わせる存在であったと言
うことだ。だが今のナナリーは当然そうではない。
 二つめ――今のエリア11はブラック・リベリオンの後であり、そして前総督カラレス
の統治を受けていたこと。
 今のエリア11の状況。ブラック・リベリオン――ギアスによって虐殺皇女に変貌した
ユーフェミアの特区日本に集まった日本人達虐殺から、黒の騎士団を中心としたブリタニ
アへの一斉蜂起。それが失敗した後エリア11はエリアランクの最下層、矯正エリアに落
とされ、カラレスの残虐無比な恐怖政治によりエリア11の日本人は戦後と同等以上の辛
酸を味わい、ブリタニアへの恐怖を受け付けられた。

19 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:40:23 ID:YliS5tr5
 そんなカラレスの後任としてやってきたナナリーは、外見上はどうであれ日本人にとっ
てはカラレス同様、いやユーフェミアのことを考えればそれ以上の恐怖の対象でしかない。
 三つ目――ナナリーはユーフェミアではないこと。
 ユーフェミアが一時的とはいえゼロに匹敵するほどの支持を得られていたのは前に述べ
たとおり彼女がその支持を得られるような行動を見せていたからだ。
 だが昨年までナナリーは死亡したことになっており表舞台に出てきたのはおそらく今日
の総督就任が初めてのことだろう。ぽっと出の皇族で、目に見える実績も持たないナナリ
ー。そんな彼女が特区日本を作ります、特区日本は平等ですと言ったところで誰も信じは
しない。
 問題はまだまだある。黒の騎士団の扱い、それに対する反発するブリタニア貴族や臣民
を抑える手段、他にも細かく上げればそれこそきりがない。
 おそらく、いや間違いなくナナリーはエリア11の惨状を知って総督に名乗りを上げ、
虐げられている日本人を救いたい一心で特区日本の再建を口にしたのだろう。
 その他者へ対する優しい心は彼女らしいと言えば彼女らしい。だが実行するためのハー
ドルをクリアせず一足飛びで実行に移そうとするなど、無謀以外の何物でもない。理解す
るべき所を理解していない無能な人間に協力するほどライはお人好しではない。
「ところで、ルルーシュへ連絡はまだつかないのか?」
「うん。さっきかけた時はすぐに切れちゃって。それ以降はさっぱり」
 ライも携帯でルルーシュに駆けてみる。しかし応答はない。
「どうしたのかしら、ルルーシュ……」
「……多分戦艦の中でナナリーから特区日本のことを聞いたんだろう。そう考えればルル
ーシュがナナリーを連れてこなかったことにも納得がいく」
 ルルーシュは激しく動揺しただろう。実の妹であるナナリーが、まさかユーフェミアの
意志を継ごうとしていることなど想像すらしなかったに違いない。
「ナナリーの意志をねじ曲げるようなことが、ルルーシュにできるはずもないからな」
 もっともライとてそれは同じだ。ただルルーシュと違うのはライは話を聞いた後では、
はっきりと彼女の意志をはねのけたことだ。
 仮にライがルルーシュの代わりに艦内に侵入し、特区日本のことを聞いていれば、今の
ように容赦なく論破して、強引にでも彼女を連れ出しただろう。
――それが今の僕とルルーシュの最大の違いだな
 かつてのライ――狂王の記憶を取り戻す前であったならばルルーシュと同じ対応だった
だろう。だが今のライはそうではない。
 大切な存在のために己の全てを賭ける。汚すような真似はしない。そこは変わってはい
ないが、その存在が不相応な、不可能な願い、野望を抱えていたならば話は別だ。恨まれ
ようと憎まれようとその存在を守るため、間違っていると教えるためにどんな手段でも取る。
 実際ライは王だった頃、かつて一度だけ妹に対しにそのようなことをしたことがあった。
そして今でも、そのことに対して後悔はない。
 おそらくルルーシュは自分がこれからどうするべきか悩んでいるに違いない。となれば
自分が側に行き彼に答えを提示してやらなければ。ライはそう思う。
「とはいえ、これからどうするか。彼を捜すにしても一体どこを探せばいいか」
「……一つだけ、ルルーシュの居場所に心当たりがあるわ」
 そう言ったカレンをライは見る。彼女は確信めいた表情を浮かべていた。

20 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:46:04 ID:YliS5tr5



 政庁とは目と鼻の先にある距離に作られた長大な建物。ブリタニア人専用の病院の三階
をふらふらとした足取りでロイドは歩いている。
 病院は地下一階を合わせて五階の建物。最上階であるこの四階は皇族専用の階層。三階
は軍関係者が出入りしている階層だ。
 その三階の一番奥の病室にロイドは足を踏み出す。
「こんにちは〜……ん? スザク君は?」
 自動ドアが開き、病室に入ると二人の人間がロイドを出迎える。一人はセシルと、もう
一人は体に幾重かの包帯を巻いたギルフォードだ。
「黒の騎士団を追うからって出ていきました。精密検査の途中だったんですけど」
 隣の誰もいないベッドを見て、セシルがため息をつく。ロイドは肩をすくめて主のいな
いベットに腰をかける。
「そう言うところ相変わらずだね彼。……それとも、あれだけこてんぱんにやられちゃっ
たから、ムキになっているのかな」
 ふと、先の太平洋上での総督を巡る争いのことをロイドは思い出す。思い出して胸がざ
わつく。
「スザク君は、そう言うことには拘らないと思いますけど……。それよりもロイドさん、
どうかしたんですか?」
「何が?」
「少し不機嫌そうに見えますよ」
「確かに。何かあったのですか」
 小首を傾げるセシルに、ギルフォードが追従する。
「わかる〜? ギルちゃん」
 内心を悟られたことにロイドはちょっと驚くも、あくまで普通通りの態度を見せる。
 当然それに慣れていないギルフォードは奇妙な自分の呼び名に目を白黒させる。
「ギ、ギルちゃん??」
「ロイドさん」
 低い声音を発するセシル。しかしロイドは不満げな顔を表に出し、唇を尖らせる。
「そりゃあ不機嫌にもなるよ。僕のランスロットがさ、ラクシャータが作った機体にボッ
コボッコにされたんだから」
 我が子のように可愛がってきたランスロット・コンクエスター。それがラクシャータに
作った――それもランスロットそっくりの機体にああも一方的にやられたのだ。さすがの
ロイドもあのような姿を見て腹が立たないはずはない。
「彼、ライちゃんにカスタマイズしているとは言ってもさ、あのランスロットはスザク君
のコンクエスターに比べればずっと、僕が求めているランスロットに近いんだもの」
 一番に納得できない、したくないのがのがそこだ。ロイドがランスロットに求めている
のはパイロットの送受技術を含めた抜群の運動性能。今のコンクエスターはハドロンブラ
スターという余計なものを装備させているせいでロイドの理想からは遠いところにいる。
 一方のライが乗るランスロット・クレッセントはランスロットほどのパワーはないもの
の、装甲などを軽量化したこととパイロットの操縦技術、そして天性の先読みが加わり以
前のエアキャヴァルリーよりもさらに速く鋭く、正確な運動性能を見せているのだ。
 だからこそ同性能の機体を有し、パイロット技術に差がないスザクとライが正面から戦
ったにもかかわらず、ああも一方的にスザクとコンクエスターが押されたのだ。
「よりにもよって彼女が僕より先に僕の先に逝くなんて……もー!」
 喋っていると胸の内にたまっていた怒りが急速にふくれ上がり、あっさりと噴火する。

21 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:47:25 ID:YliS5tr5
 ロイドは皺の寄ったベットを何度も激しく叩く。
「ロイドさん! ここは病室ですよ!」
 雷光のようなセシルの怒声に、我に返るロイド。据わった目を向けている彼女を見て、
ロイドは素直に頭を下げる。
「ご、ごめんなさい」
「私の作ったサンドイッチでも食べて、落ち着いてください」
「わかりましたよ……ん」
 普段なら断るところだが、これ以上の怒りを買わないようロイドは素直に皿に乗せられ
たサンドイッチに手のを橋、口にくわえる。
「どうですか? 新作なんですよ? ライ麦パンにウコンと――」
 笑顔でパンに挟んだラインナップを言うセシル。しかしロイドは答えない。口内に広が
る表現できない味。
――ま、また奇妙で珍妙で、独創的な……!
「は、ははは。相変わらずですねーっ!」
 口内を支配した味を払拭するべく、ロイドは水飲み場へ向かって走り出した。



 “新宿再開発地区”と掲げられた看板が目に入る。所々には建設途中の建物や、骨組み
だけで形すら成していないものもある。
 日も暮れ、夜にさしかかろうという時間、カレンに連れられライはここ、シンジュクゲ
ットーの再開発地区を訪れていた。時間のせいか、工事現場に人影はない。微かな風の音
が聞こえるだけだ。
「ここに本当にルルーシュが?」
「多分。ここは、このシンジュクゲットーでゼロは生まれたの。だから……」
 並んで進んでいると左右に道が分かれる。どちらの道の先にも曲がり角があり、人の姿
はない。
「そろそろ日も落ちるし、分かれて探しましょう。私はあっち、ライは向こうをお願い」
「わかった。見つけたら連絡を」
 カレンは右を、ライは左の道を行く。工事中と言うこともあってか、道は複雑化してお
り、どこが正確な道か、建物なのか、はっきりとわからない。
 それでもライは道と建物らしき場所に目星をつけルルーシュの姿を探す。
 しばらくそれを繰り返し、建物を僅かに照らしていたあかね色の光が消えたときだった。
 視界の端に、ライは人の姿を見つける。だが、それはルルーシュではない。
「……ロロ」
 声をかけるとロロはゆっくりと、しかし隙を見せず振り向く。暗殺者としての本能なの
だろう。ロロは体から無駄な力を抜いており、いつでもこちらへ向かえるような、逃げら
れるような自然体を取る。
「あなたは……確かライ・ランペルージ、でしたね」
 声変わりする前の少年特有の高い声。しかし声からは荒涼とした荒野のような乾いたも
のを感じる。
「君がいると言うことは、ルルーシュはやはりここに?」
 彼の本来の任務はルルーシュの監視。今ではルルーシュの手駒になっているが、ブリタ
ニアを欺くためにルルーシュ同様、彼も姿勢を変えていないという。

22 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:49:29 ID:YliS5tr5
 しかしロロは能面のような顔つきで素っ気なく言う。
「さぁ、どうでしょうか。もしそうだとしたら、兄をどうするつもりですか」
「今後の対応を彼に訊くだけだが?」
 言うと、ロロの表情が微かに強ばる。それを見てライは反射的に身構え、左手をポケッ
トに入れる。
 しかしロロは何もせず、再び表情を消してこちらへ問うてくる。
「……もし、兄さんがもう戦わないと言ったら?」
「何を馬鹿な。そんなことはあり得ない」
 ロロのふざけた言葉にライは真っ向から否定する。
「ルルーシュが戦いをやめるはずがない。ルルーシュが戦う理由――」
 そこまで口に出し、ライははっとする。
 そう、ルルーシュの戦う理由。それはナナリーのため。だが、そのナナリーはルルーシ
ュとは異なる立場にいて、異なる夢を見ている。
 そして今のルルーシュは、ゼロは、ナナリーの夢を阻害する存在でしかない。となれば、
ルルーシュは――
「……まさか」
「僕がここにいるのは、あなたと同じで兄さんを捜しているんです。尾行をしていました
が見失ってしまって。
 それでは失礼します」
 事務的な口調で言うとロロは音もなく姿を消す。ライは彼がいなくなったことを気にす
ることもなく、唖然としそこに立ちつくしたまま動かない。
「ルルーシュ、まさか、君は……」
――いや、まだ答えを出すのは早計だ。会って確認しなければ
 疑念を抱きつつも、ライは先程以上に懸命にルルーシュを探す。しかし彼の姿は見当た
らない。
「ここら一帯は探した。それでもいないとなると……ルルーシュはカレンが進んだ方にい
るのか」
 体を反転し、歩いてきた道を逆に向かう。カレンと別れた場所に戻ってきたライは一度
カレンと連絡を取ろうとするが、ふと耳に聞こえてくる足音を聞き、ポケットに入れよう
とした手を止める。
 駆け足のような音と共にやってきたのは今連絡しようとしていた当人だった。どういう
訳か彼女は前も見ず、全力疾走している。
「カレン!」
「っ!? ラ、ライ……」
 呼ぶと顔を上げるカレン。何故か彼女はこちらを見ると慌てた様子で腕で顔を拭う。
 だがライは彼女の瞳に涙がたまっていたのをしっかりと見ていた。
「どうしたんだ。何かあったのか。ルルーシュは……」
「……なんでもないわ。ルルーシュは、あそこ」
 ライから微妙に視線を逸らし、彼女は戻ってきた道を指さす。
「でも、今行っても、どうにもならないと思う」
 言って彼女はとぼとぼと歩き出す。声をかけるが歩みは止まらない。
「カレン……?」
 ルルーシュと会い、何があったのかは知らないが、今のカレンは捨てられた子犬のよう
に元気がない。
 そんな彼女を放っておくことが出来るはずもなく、ライはその後を追った。

23 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:51:05 ID:YliS5tr5



「リフレインを!?」
 東京租界の一角にある喫茶店にて、シンジュクでの出来事を簡略に話すと、ライは深い
青色の瞳を大きく見開き、立ち上がる。
 椅子を発ったときの物音と、リフレインという麻薬の名前が耳に届いたのか、周囲の視
線が一気にこちらに集まり、カレンは焦る。
「声が大きいわよ!」
「あ、ごめん」
 ライはカレンに短く謝ると、周囲に向けて見とれるような微笑を浮かべ謝罪する。
 ルルーシュ同様気品すら漂わせる顔立ちが作った微笑みに、周囲の人間――特に女性陣
はあっという間に魅了され、誤魔化される。
――なんだかルルーシュに似てきているような……
「しかしルルーシュがそこまで重傷だとは……」
 席に着き、テーブルに肘を突くライ。先程の微笑は消え、深刻な面が現れている。
 カレンとしてもそれは同意見だ。連絡不明となったときから、結構なショックを受けて
いることは予想はついていたが、よもやリフレインに手を出すほど弱り切っているとは思
ってもいなかった。
――どうするのかしら、ルルーシュの奴
 自暴自棄になったルルーシュに迫られ“女の慰め”を要求されたが、ギリギリの所で拒
絶。ビンタを食らわせて、言いたいこと一方的に言って、今こうしているが――
――あなたが戻ってこないであれば……
 カレンはルルーシュに要求しなければならない。自分を欺き、正体を隠して、自分たち
黒の騎士団をいいように扱っていた代償を。
 その代償は今のところ二つある。日本解放と、ルルーシュの命だ。だが今のルルーシュ
に前者は望めない。となれば後者になるのだが。
――この手で、ルルーシュを……
 今のルルーシュであれば後者を払うことを拒みはしないだろう。だが、それでいいのだ
ろうか。それ以外の方法はないのか――
「カレン? 唇がどうかしたのかい?」
「え?」
「いや、さっきからずっと触っているから。荒れてるようには見えないけど……」
 怪訝な面持ちのライ。気がつけば指が唇に触れている。少し濡れている所を見ると、ど
うやら長い時間触っていたようだ。
 問われ、迫るルルーシュの唇を思い出し、頬を軽く染めるカレン。
「う、ううん。なんでもないわ――」
 慌てて笑顔を取り繕い、ライを見る。純粋にこちらを心配している彼の青い瞳を見て、
カレンは自分のばかげた考えを捨てる。
――まだ結論を出すには早いわ
 もしかしたら戻ってくるかもしれない。いや、きっとルルーシュは戻ってくるだろう。
彼が、ナナリー命であるルルーシュが、このままの状況にしておくはずはない。
 そう思うカレン。思いこみのようなものだったが、不思議と確信したような気分になる。
今まで散々とルルーシュのナナリーへの溺愛っぷりを見ているせいだろう。
 うつむいていた表情を上げると視線がライの唇を見る。視線は何故かそこで止まり、思
わずルルーシュのものと比べてしまう。

24 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:52:31 ID:YliS5tr5
「……」
 彼の唇もルルーシュ同様整っており、荒れてもいない。綺麗な唇だ。
「って、何してるのよっ! 私は!!」
「はいっ!?」
 脳裏に浮かんだ嫌らしい妄想を振り払おうとカレンは思わず大声を上げてしまう。
 だがすぐに正気に戻り周囲を見ると、先程のライ以上の注目がカレンに集まっている。
 羞恥の熱が一気に頬に集まる。赤くなっているのが嫌でも自覚してしまう。
「す、すいません……」
 謝罪してカレンは席に座る。頬の熱は未だ収まらず、そのためライの顔を直視できない。
――本当に、何考えてるのよ〜
 どうも最近、妙なことを考えることが多い。これではまるでシャーリーのようではない
か――そうカレンは自己嫌悪してしまう。
「カレン、店を出よう」
「え?」
 さっぱりした口調で突然ライが言い、立ち上がる。彼はカレンの分の伝票を持ってレジ
に行き、颯爽と支払いを済ませてしまう。
「ラ、ライ。ちょっと待って」
 慌ててカレンは後を追う。店を出てライを追うような形で歩く。
 しばらくして人気がない場所――租界の外縁部に到着する。ライは唐突に振り向くと、
途中自販機で購入したコーヒーをこちらに放り投げてくる。
「ここなら多少大声出しても問題ない。周囲にも人の姿、気配はないしね」
「……」
 おそらく先程のライやカレンのことを考えてここにきたのだろう。だとしても空気が読
めているのかいないのか、わからないこの対応にカレンは思わず小さく噴き出す。
「カレン?」
「ごめん、なんでもない。さっきのことも何でもないから」
「……そう」
 気遣わしげなライの表情に気がつき、カレンは釘を刺す。
 やはり先程の叫んだことを問おうとしていたのだろう――ライは表情を少し怪訝そうな
面持ちに変える。だが、すぐに頷く。この辺りの空気を読むところはさすがだ。
「さて、これからどうするか。相変わらずルルーシュからの連絡はないし」
 何気なくライがそう言ったとき、ふとカレンは思う。
 そしてライを見て、少し迷うが、言う。
「……もし、ルルーシュが戻ってこなかったら、あなたはどうするの?」
「……え?」
 ライの表情が凍り付く。そしてそれは戸惑いや恐れを含んだものへと変わる。
 そう、カレンにとってルルーシュと同等に気がかりなことだ。今のライはルルーシュと
ナナリー、ランペルージ兄妹の幸せのためにいる。
 だが幸せにするルルーシュがもし戻ってこなければ? もしそうなったとき、ライは――
「……心配いらないよ。ルルーシュは必ず戻ってくる」
 内心を隠すように、強ばった表情を作ってライは言った。

25 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:54:35 ID:YliS5tr5



 目の前には夜の帳に包まれた見慣れた建物がある。
 数年間通い続けた学舎、アッシュフォード学園だ。いつもはお祭り好きの会長のため無
用に騒がしい学園だが、夜という時間ということもあってか人影も気配もなく、ひっそり
と静まりかえっている。
 とはいえあまりに静かすぎることにルルーシュは違和感を覚え、しかしすぐにその理由
に思い至る。
「そうか、みんな修学旅行に……」
 視線を向けた先――学園の生徒が暮らす寮。見える部屋の窓の幾つかは電灯がついてい
ない。それをぼんやりと眺め、ルルーシュはここ最近の自分を振り返る。
『ナナリィィィィィッ!』
 ランスロットと共に行くナナリーを見て、ゼロの仮面の下でルルーシュは叫び、気がつ
けばアッシュフォード学園のクラブハウス、自室に横たわっていた。
 脱出の際に傷を負った体が回復するまでの数日、ロロが甲斐甲斐しくルルーシュの世話
をする中、ルルーシュはゆっくりと新総督奪還作戦でナナリーと対面したことを思い返した。
『私はユフィ姉様の意志を継ぎ、行政特区日本を再建したいと考えています。
――ゼロ、あなたもそれに協力してくれませんか』
 予想もしていなかったナナリーの夢。願い。それを聞き、ルルーシュは一つの結論に達
していた。
――ナナリーが望む世界、ナナリーが望む明日。それには俺が、ゼロが邪魔だ……
 自分の中にあったナナリーという存在が砕け散ったような衝撃だった。そしてそのあま
りの衝撃故に、ルルーシュは今まで自分の中にあったこだわりやプライド、その他諸々が
塵芥のように感じられ、日々学園が終わった後、租界をさまよい歩いていた。
 そして今日、いつの間にかシンジュクゲットーの再開発地区に来ていた。租界を彷徨う
最中、途中リフレインの売人をしていたブリタニア貴族から奪ったリフレインを手に。
 リフレインの効果は知っていた。麻薬だと言うことも。しかしそれでも尚ルルーシュは
それを使おうとした。懐かしい過去――ナナリーが側にいるあの輝いていた至福の時間を、
もう一度味わいたかったからだ。
 そんな時に偶然なのか必然なのか、カレンが姿を見せた。彼女はリフレインを見るやル
ルーシュから奪い、投げ捨て、何かを怒鳴り散らしていた。
 その時はとにかく彼女のことが煩わしいとしか思わず、ルルーシュは彼女が怒り、立ち
去るような――確か女として自分を慰めろだっただろうか――ことを言い、行動に移そう
とした。
 予測通り彼女はルルーシュの頬を叩いていなくなった。だがその時に言われた、涙混じ
りの言葉はどういうわけなのかはっきりと覚えている。
『しっかりしろルルーシュ! 今のあんたはゼロなのよ! 私たちに夢を見せたことも、
あんた達兄妹のために戦うライに対しても責任があるでしょう!?
 だったら、最後の最後まで騙してよ! 今度こそ完璧に、ゼロを……演じきってみせな
さいよっ!』
 ルルーシュ達兄妹のために戦う友の名を聞いたからだろうか、それとも彼女らしい不器
用で、しかし真っ直ぐな励ましがルルーシュの心を揺さぶったのか。抜け殻のように感じ
ていた体に少しだけだが、力が戻ったように感じた。
 その後ロロの、ルルーシュの心の残骸を踏みにじるような戯れ言――腹は立ったが相手
にする気力がなかった――を聞き流し、こうして二人で学園まで戻ってきたのだが――
「今から追いかける?」
 隣に立つロロが気遣わしげに言う。ルルーシュはそれに特に反応もせずゆるゆると首を
横に振る。

26 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:57:46 ID:YliS5tr5
「いや、誰もいない鳥かごが今の俺には……?」
 か細く呟いたときだ。突然満天の空に色とりどりの大きな花が咲く。
 それも一発ではなく二発、三発。続けてだ。
「花火?」
「誰が……」
 呟きつつも、ルルーシュは誰の仕業か漠然と、いや確信していた。校舎に向けたゆっく
りとした歩調は、あっという間に疾走へ変わる。
「おかえり、ルル」
「ルルーシュもやろうよ。文化祭で使ったの余りだけど」
 音を頼りにたどり着いた屋上ではやはりというべきか生徒会メンバー――シャーリー、
ミレイ、リヴァルの三人が手に持っている花火を次々に打ち上げている。
「どうして……。修学旅行は!?」
「俺達だけで行ったら泣くでしょ、キミ」
 おどけた様子で言うリヴァル。
「旅行ってのはね、どこに行くかじゃなくて、誰と行くかなのよ」
ミレイが微笑を見せる。隣にいるシャーリーも首を縦に振る。
「……! それ」
 シャーリーの片手に乗るものを見て、ルルーシュは思わず目を見開く。
「? ああ、これ? 願い事が叶うって言うから作ってみたの。……誰に教わったのか、
思い出せないんだけど」
 無邪気な顔でシャーリーが両手を上に持ってくる。藍色の折り紙で折られたそれは折り鶴。
 まだナナリーとルルーシュが共にいた頃、ナナリーが得意としていた折り紙だ。確かシ
ャーリーもナナリーに教わっていたのは知っているが――
「何を、願ったんだ?」
「もう叶ったよ。少しだけ。――みんなで一緒に花火がしたいなって」
「みんな……」
「ニーナ、カレン」
「それにスザク」
「ルルーシュと、ロロもね」
 シャーリー達が口にする者達の名前。それはかつて一年前の生徒会メンバーと、今ルル
ーシュの側にいる偽りの弟。
 ライを除く、アッシュフォード生徒会メンバーの名前だ。
「一羽だけだったから、ルルにしか叶わなかったけど」
 柔らかく微笑むシャーリー。こちらを見るミレイ、リヴァルも穏やかな表情をしている。
 そんな彼らを見ていると、不思議にルルーシュの荒廃しきった心が温かくなる。自然と
ルルーシュも笑みを浮かべ彼らを――今この場にいない生徒会メンバー、ライも――見る。
――あれは、スザクと仲良くなってしばらくした頃だっただろうか
 ある日、ルルーシュ達の暮らす枢木家の土蔵でスザクと共に遊んでいたときだ。

27 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 13:59:15 ID:YliS5tr5
『なぁルルーシュ、幸せって形にしたら、どんなものだと思う?』
 突然スザクが突拍子もないことを言い、ルルーシュは呆れた。問いがあまりにも不可解
なものだったからだ。
 ともあれ普段からスザクよりずっと頭がいいと公言していたルルーシュは、全力で考え
たが、明確な答えは浮かばなかった。うんうんルルーシュが唸っているところでスザクは
胸を張りこう言った。
『ルルーシュにもわからないことがあるんだな。それじゃあ俺が教えてやろう。
幸せの形って言うものはな、ガラスのようなものなのさ』
 自慢げに言ったスザクに、ルルーシュは思わず幾つもの鋭い突っ込みを放った。先程の
と同様、いやそれ以上のわけのわからない答えだったからだ。
 その後、あまりに突っ込みすぎたため、怒ったスザクとつかみ合いの喧嘩になりかけた
ところをナナリーが止め、結局ルルーシュはスザクにどうしてそんな答えが出たのか、聞
きそびれてしまったが――
――幸せの形はガラスか。スザク、お前の言う通りかもしれないな
 今更だがルルーシュは思う。自分がどれだけ優しい世界にいたのかを。
 ミレイやシャーリー、ライにスザク達だけを含んだ生徒会という小さな世界。かつて母
やユフィ達といた世界とは違うが、だがそこは紛れもなく自分やナナリーが望んでいた優
しい世界。ちっぽけで、しかし楽しく、傷ついた自分たち兄妹とライを癒し、守ってくれ
ていた世界。
 普段は気がつかない。しかし少し見る角度を変えれば、ガラスは映し出す。すぐ側にあ
る幸せを。優しい世界を。
――優しい世界でありますように
 いつか、ナナリーが言った言葉が胸に響く。
 そう、優しい世界はすぐ側にあった。偽りの記憶を受け付けられ、皇帝のいいように作
られたとしても、それは確かに存在する。し続けている。ルルーシュの側に。昔も、そし
て今も、ずっと。
「ルル?」
「なーに、泣いてんだよ」
 おちゃらけるようなリヴァルの声に、ルルーシュは自分の下瞼が濡れていることに気がつく。
「あたし達の友情に感激ーってやつ? 可愛いとこあるじゃん」
「違いますよ。そんなわけないじゃないですか」
 涙を見られまいとルルーシュは背を向ける。そして背後からは、確かに友人である彼女
らの暖かな空気と優しい眼差しを感じる。
 それらが、ルルーシュの体に力をくれる。荒野になったはずの心に雨を降らせ、草花を
芽生えさせてくれる。
「みんな、またここで花火を上げよう。絶対に、絶対にもう一度。……みんなで」
「……うん」
 小さく、しかしはっきりとシャーリーが返事を返す。
――今、はっきりとわかった。俺が何を求めているのか
 ナナリーの幸せのためという理由で多くの人間を、それこそ腹違いの妹さえもこの手に
かけてきた希代の殺人者であるルルーシュ。しかし彼が真に求めているものはそれではな
かった。それを含めた願いだった。
――人を孤独にすると言うギアスを持つ俺が望むには不相応な願いかもしれない。だが、
そんなものは打ち破ってみせる
 それはルルーシュの側で、ナナリーが、ライが、自分の大切な人たちが幸せに、笑って
暮らせる世界。それこそがルルーシュの、真の望み、願いだ。
――そう、だから、俺の戦いは、もうナナリーだけのものじゃない……!

28 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 14:01:31 ID:YliS5tr5



「ふぅ……」
 偽装タンカーの会議室、眼下に見える潜水艦を見つつ、ライは思いため息をつく。
 シンジュクゲットーより戻って数時間、連絡が取れなくなって数日が経過した今、未だ
ルルーシュからの連絡はない。
――ルルーシュ、やはり君は、もう……
 先程カレンに問われたとき、心中を悟られまいと反射的に返してしまったが、疑念は当
然あった。
 そして時間が経つにつれ、それは確実に膨らみ続けている。
「君が戻ってこないのなら、僕はどうしたらいいんだ……?」
「どうしたの、ため息なんてついて」
 ちらりと視線を向ければカレンと、CCの姿がある。
「ゼロからの連絡は?」
「ない」
 素っ気なくCCは言う。再びライはため息をつき、視線を元に戻す。
「元気がないな。何か気がかりなことでもあるのか」
 薄笑いを浮かべるCCにライは無性に苛立つ。怒鳴ってやろうと体ごと振り向くが、す
ぐにそれが八つ当たりだという事に気がつき、またため息を吐く。
「ルルーシュが戻ってこないのか」
「……ああ」
「全く困った奴だ。仮にも組織の長である自分の立場がわかっていないようだな。このま
までは黒の騎士団は崩壊してしまうな」
 馬鹿にしたような笑みを浮かべ、大仰に肩をすくめるCC。彼女の前にいるカレンが振
り向き、きつい眼差しを向けるが顔色一つ変えない。
「そうだ。ライ、ルルーシュが戻ってくるまでお前がゼロを演じたらどうだ?」
「!?」
「いや、もしかしたらその方がいいかもしれないな。たかだか妹に拒絶された程度でへた
れるような根性無しより――」
「CC!!」
 明らかに面白がって言っている魔女に、ライは怒声を放つ。
「冗談だ」
 するとCCは表情を消し、いつもの無表情になる。
「ゼロの仮面は軽くない。世界を背負う覚悟のないものがつけても自分や周りの人間を傷
つけるだけだ」
「……なら、そんな冗談はやめてくれ」
 低い声でライが言うと、CCは短く謝罪の言葉を述べ、壁により掛かる。
「それで、お前は何を悩んでいるんだ」
 視線を全く別方向に向けてCCが訊ねてくる。カレンが意外そうな表情を浮かべ「え?」
と、小さく疑問の声を上げる。
――まったく、この魔女は……! わかっているなら最初から本題に入ればいいものを

29 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 14:04:03 ID:YliS5tr5
 ライは舌打ちし、心中で唸った後、もう一つの疑問を口にする。
「……僕はどうしてもわからないことがある。どうしてナナリーは僕と一緒に来なかったんだろう」
 作戦後、目が覚めてからずっと考えていたことだった。ナナリーという少女は基本的に
周りの人間に優しいが、それでも彼女が最も優先にし、大切にしているのが兄であるルル
ーシュであることは間違いない。
 そんな彼女は行方不明だった兄をずっと案じていた。それをライは知っているからこそ、
あのような取引を提示したのだ。確実にナナリーを連れて行くために。
 ナナリーは総督となって何をしたいのかはわかった。だがライにはそれがとてもルルー
シュと秤にかけられるものとは思えない。
「ナナリーにとってルルーシュの側にいることが、何よりの幸せなのに。何故……」
「ライ、それは――」
 何かカレンが言おうとしたその時だ。突如スピーカーか何かで増幅された声が聞こえる。
『こちらはブリタニア軍である』
 顕然とした声には聞き覚えがあった。
「……スザクか!」
 スザクの宣告が続く間、ライ達三人は潜水艦に入り、中央発令所へ急ぐ。
『機船の航路は申告と違っている。停船せよ。これより、強硬臨検を行う』
「藤堂さん!」
「見つかったんですか」
「そのようだ」
 発令状の中央で直立している黒の騎士団戦闘部隊総隊長、藤堂鏡志朗はライ達へ振り向
かず、事実だけを述べる。
『十分待つ。それまでに全乗組員は武装解除し、甲板上に並べ』
 正面の大型スクリーンには偽装タンカーの正面に、無数のブリタニア艦艇が在ることを
表示している。
 さらにその後方には小さな別に反応もある。別の艦艇から発進したそれがなんなのか、
ライはすぐにわかった。
「ブリタニア艦艇群後方に、トリスタン、モルドレッドを確認!」
「こんな時に……!」
「せめてクレッセントが万全なら……!」
 戦闘後にクレッセントは潜水艦に回収されているものの、ろくな設備に資源もない艦内
だ。念のために積み込んでおいた資源や旧世代のナイトメアのパーツでとりあえず動くよ
うにはなっているが、ラウンズとスクリーンに映っている十数もの艦艇を相手には出来ない。
 紅蓮可翔式は万全であるが、それでも食い止めておけるのはラウンズ一騎だけだろう。
――考えるんだ。何かこの場から離脱する方法を……!
 ライは焼き切れんばかりに脳を回転させ、脱出方法を思案する。だが浮かんだどの策に
も欠陥がある。
 そうしているうちに時間は過ぎ、ブリタニア艦艇から砲弾が放たれてくる。藤堂の指示
を受けて偽装タンカーを爆破。潜水艦は海中へ深く潜るが砲火は止まず、さらにソナー員
より艦艇から水中用KMFが出撃したという報告まで入る。
「ぐ……」
 爆雷と砲火は絶え間なく続き、潜水艦を幾度も揺らす。水中用KMFも周囲に散開して
こちらの道をふさぎつつある。

30 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 14:06:23 ID:YliS5tr5
――このままでは――!
 ライの頬を冷たい汗が滑り落ちたその時だ。突如発令所に低い男の声が響く。
『Q1、聞こえるかQ1』
「!? この声は……!」
「ゼロ!」
 歓喜の声が、発令状に湧く。だがそれに釘を刺すように鋭い声が聞こえる。
『ダウントリム50度。ポイントL40に向けて急速潜行しろ』
「藤堂さん」
「急速潜行!」
『正面に向けて、魚雷全弾発射。射出後、海底にアンカー射出』
「……正面!?」
「敵なんて、いないじゃない……」
 カレンの言うとおり、スクリーンはその一に敵はいないことを示している。
 藤堂もさすがに戸惑いを覚えたのか、口ごもる。だがそこに聞こえてきたのは少女の可
憐な声音。
『撃ってみましょう! 信じるより他に、手がありますか?』
 毅然とした神楽耶の言葉に一瞬遅れて、藤堂は命令を出す。
「……信管設定後、全弾発射」
『アンカー固定後、各員衝撃に備えよ』
 ゼロの指示通りに騎士団員は動く。そして全ての指示を実行し追えた直後、先程とは比
べものにならない激しい震動が潜水艦を揺らす。
「な、なんだこの揺れは。何が起こっている! 周囲の状況をスクリーンに出せ!」
 身を低くした藤堂が叫び、スクリーンが切り替わる。
「何これ……空気?」
「いや……泡だ」
 首を傾げるカレンに対し、ライは言う。
 スクリーンに映し出されたのは魚雷が当たり、できた窪地から大量の泡が飛び出し、膨
れあがりながら海上へ飛び出す様だ。
『なるほど。メタンハイドレートを利用した訳か』
 感心したようなラクシャータの声が響く。震動はしばらく続き、緩やかになったところ
でライは腰を浮かし、訊ねる。
「海上のブリタニア軍はどうなった?」
「窪地より発生した泡をまともに受けて大多数の船舶が転覆、行動不能となっています」「そうか、今なら逃げられるな」
――本当に頼りになるよ、ルルーシュ
 戻ってきた友へ感謝し、安堵のため息をつくライ。
「それと……」
「どうした?」
「ヴィンセントに乗って、ゼロがこちらへ向かってきます!」
「何だって!?」
 驚き、ライはスクリーンを切り替えるよう指示を出す。すると報告通り、飛翔滑走翼を
装着した金色のヴィンセントの両手に乗ったゼロの姿が映る。
『……私はナナリー総督の申し出を受けよう。そう、特区日本だよ』
「そんな……」
「降伏する気か!?」
 戸惑うカレンと驚く藤堂。声にこそ出さないが、ライとてそれは同じだ。
――申し出を受けるだって!? ルルーシュ、まさか……!
『ゼロが命じる! 黒の騎士団は総員、特区日本へ参加せよ!』
 ライの懸念をゼロ、ルルーシュは大仰なポーズと共に宣言した。


つづく


31 :RC ◆0A6HOlRhmA :2009/01/07(水) 14:25:12 ID:YliS5tr5
13話終了です。
さて、今回のナナリーに怒るライに大いに違和感を覚えた方は多いと思いますが、まぁそれは自分SSでのライですので。
先日の感想にあった裏切りの騎士がふさわしくないっていうのがよくわからないとありま
したが、こういう理由です。
ライから見ればランスロットという存在は裏切りの騎士という一面よりも武勇に優れ、
多くの人々から尊敬を集め、数多の円卓の騎士の中でもアーサー王にもっとも信頼を受け
ていたなど、正の一面ばかりが強く印象に残っています。
武勇が優れているのは似ていますがそれ以外は全く違う。故国を裏切り、親友を売った
男に第一の騎士の名前が付いたナイトメアなんて言語道断! 破壊する!! と当時は怒
り心頭でした(笑)。
さて今回、EU戦線にて初登場しましたドロテア。彼女とモニカのナイトメアに関しての設定は後々発表します。ちなみに二人のナイトメアに付けた名前の騎士は簡易ですが下記に紹介します。オリキャラが乗っていたナイトメア設定もその後に続きます。

トーマス卿へ
ランスロット・クレッセント、ダルタニアンの設定は今のところ保管はしなくてもいいです。パラメデス、ペリノアなどの設定と一つにまとめたものを後に載せる予定です。

ペリノア

円卓の騎士の初期メンバー。円卓の中ではエクスカリバーを持ったアーサーを打ち負かし
た唯一の騎士。ランスロットが現れるまではベイリンとベイランに並ぶ、円卓の中で最も
優れた騎士だった。
(ちなみに当初、ライの新型KMFの候補でした)

パラメデス

異教の騎士。トリスタンの騎士としても恋敵としてもライバル。ランスロット、ガウェイ
ンに並ぶ武を持っていた傑物。

ダルタニアン

武装 内蔵式対人機銃×1 スラッシュハーケン×2(腰部) アサルトライフル×1 対
ナイトメア戦闘用ランス×1


EUの軍首脳部がラウンズの圧倒的な性能を持つKMFや黒の騎士団の紅蓮や月下を見て、
急遽開発した機体。ブリタニア軍より鹵獲したグロースターをベースとしており性能は第
七世代に匹敵する。フランス州出身の技術者が最初に開発の声を上げたので、機体目はそ
れにちなんだものがつけられた。
(第七世代相当の出力を出すためEUはラクシャータに第七世代の内部機関のデータを求
めた。見返りとしてEUの持つ資金や資材を受け取っている。当然これは極秘で行われた
ことであり中華連邦はもちろん、ラクシャータ達などインド軍区の一部の技術者しか知ら
ない)
しかしMVSやブレイズ・ルミナス、フロートユニットと言った特殊装備の開発までは間
に合わず(ラクシャータも輻射波動や飛翔滑走翼、ライが持ってきたデータはさすがに渡
さなかった)、また現在でも試作機の意味合いが強いためごく一部のエースパイロットにし
か与えられていない。
同時期に三銃士の名前を持つKMFアトス(指揮官専用)、ボルトス(大型。中、遠距離専
用)、アラミス(近距離専用)も開発されているが、ダルタニアン同様の事情でダルタニア
ン以上に少数生産しかされていない。

32 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 16:24:46 ID:2cE2hTC8
おおおおおおすごい!!私もここまで長く書けたら・・・
どんなライでも違和感がないです!!貴殿の次回投下を待っております!

33 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 16:47:52 ID:BP2cupRO
RC卿GJです!

モニカさんとドロテアさんがかっこよすぎる!
特にモニカさん、以前ライに最悪の相手とか言われてた気がしますが、まさしくですね。
同じタイプのパイロットということで、ライやモニカの反応見る限り、
今現在ではモニカさんの予測スキルのほうが上手のよう…これからのライの成長に期待。
カレンとの関係も着実に進展していますね。さすが一級フラグ建築士。
ナナリーはやれば出来る子と信じてます。あの母と父の娘であり、何よりもルルーシュの妹ですし。
頑張れナナリー!超頑張れ!
そして最後のゼロポーズwwwww

投下お疲れ様でした!次も絶対読みます!

34 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2009/01/07(水) 20:47:50 ID:8dOj7pQX
>>31
保管不要の件、了解しました。あと>>30の13行目
スクリーンはその一に敵はいない → スクリーンはその位置に敵はいない
に修正しておきます。

職人の皆様、連載ものの中で独自の設定がある場合(虫食いシリーズとか)にSS単体とは別に
設定のみを書いたものを載せる事を考えております(任意)。詳細が決まり次第、またお伝え致します。

35 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:02:26 ID:dUlChAr6
>>31
RC卿、GJでした!
モニカとドロテアの活躍、ナイスでした!
冷たい怒りと共に、ナナリーの考えを論破するライ。
思っていたよりも早く立ち直りましたね。
しかし、その後にある台詞からして、独り善がりになりがちでしょうか。
ポーズを決めつつ宣言するゼロ、それを聞いたライの行動は!?
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

36 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:18:42 ID:6kCHAlJA
>>31
GJです。モニカとドロテアが、これから物語にどう絡んでいくのか気になります。
そして特区参加を決めたルルーシュの行動を受けて、ライはどう出るんだろう。
次回をお待ちしています。

さて、21:30から投下します。本文は7レス分です。

37 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:22:59 ID:FN6X0ElX
>>31
GJ!!!
前回の引きが引きだったものですから、はらはらしながら読みました。
前半のラウンズの戦いぶりが非常に格好いいです。
ラウンズの底知れぬ強さと恐ろしさを垣間見た気がします。
次回の投下も正座して待っています!

ところで、お正月気分の抜けないSSを投下させていただきます。
まだ松の内だからいいよね!

38 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 21:24:57 ID:FN6X0ElX
リロってなかった……orz
すみませぬ。36氏の後に投下いたします。

39 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/07(水) 21:30:28 ID:6kCHAlJA
そろそろ投下します。ようやくこの日を迎えました、『虫食い同好会シリーズ』最終回です。

作者:余暇
タイトル:虫食いは広がる、どこまでも

(注意)
・カオスです。
・卜部の影響で、色々な人の思考回路が変わってしまっています。
・シュナイゼル、ビスマルク、皇帝兄弟ファンの皆様、すみません。

本文は7レス分あります。

40 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/07(水) 21:34:57 ID:6kCHAlJA
          『虫食いは広がる、どこまでも』

ここはEUの上空を飛ぶアヴァロン内。EU戦線を指揮するシュナイゼルが、椅子に腰かけて考え事をしていた。
「このところEU側から戦闘を仕掛けてこない。まだそれほど向こうにダメージが蓄積しているはずはないのだが。
なるべくなら長期化は避けたいところだね、でないとまた彼女に文句を言われてしまう」
「殿下、大変です!」
するとそこへ、彼の副官であるカノンがあわててやってきた。
「おや、何か動きがあったのかい?」
「先ほど、EU側から停戦の申し入れがありました!」
「ほう、しばらく音沙汰なしと思えば、いきなり停戦の申し入れとはね。向こうは何と言ってきたのかな?」
「はあ、それが……」
カノンはしばらくためらった後、口を開いた。
「向こうの司令官が、急にいなくなったそうです。何でも、『家族サービスとして、息子にカブトムシをせがまれている』とか。
おそらく忙しくて、家族との関係も冷めているのでしょうね。それを挽回するために、戦争を放り出したと思われますわ。
まったく、いくら家族のためとはいえ、たかが虫一匹のために数千の兵を見殺しにするとは……」
「いや、わからなくもないよ」
「……はい?」
シュナイゼルの口から出た意外な言葉に、カノンは目が点になった。
「家族のために大きな犠牲を払う、これはなかなかできることではない。以前の私なら絶対にしなかっただろう。
だが最近兄上に叱られてね。『世界を平和にするには、まずは身内にもっと目を向けろ。身内に優しくなくて、何が優しい世界だ』ってね。
あの兄上が私を叱ったのだよ、以前なら絶対にあり得なかった。だから意外であると同時に、その分心に刺さるものがあったよ」
「はあ。それで、それと今回の件、どのようなつながりがあるのでしょうか?」
「ああ。実はカリーヌに『珍しい蝶を見たい』と以前からせがまれていてね。これまでは忙しいのを理由に、ずっと先延ばしにしてきたんだ。
でも今の報告と兄上の言葉を思い出して、改めて感じたよ。『世界を変えるには、まず身内から』だとね。
だから今すぐにEUと停戦協定を結ぼう。その後すぐに、私はアフリカへ向かう。あそこなら虫もたくさんいるからね」
「で、殿下。まさか、カリーヌ様のために蝶を捕りに行かれるおつもりですか?仮にも神聖ブリタニア帝国の宰相であられる殿下が……」
カノンが反対しようとした、その時だった。
「殿下!虫のことなら、我々にもお手伝いさせて下さい!」
突然、EU戦線に参加していたルキアーノとノネットが現れた。
「私はこれでも、国際虫食い協会の重役。やはり私が出ねばなりますまい。ヴァルキリエ隊も、きっと殿下のお役に立つことでしょう」
「私は最近国際虫食い協会とやらに加入したのですが、いやあ虫捕りとは実に面白いですなあ!
というわけで、私も是非参加させて下さい。こういう面白いことは大好きですから」
「ちょっ、お待ち下さい!お二人とも、本気でそのようなことを……」
勝手に話を進めるラウンズ二人に対し、カノンが戸惑いの声を上げる。
「ふむ、カノンは不服かな?」
「えっ、そ、それは……」
シュナイゼルの射抜くような視線に、カノンは怯んだ。
「マルディーニ卿、あなたも一度虫捕りをされるといい。今なら特別に、投げ網の使い方を教えますよ」
「……それを出されても、ラウンズの威圧感がまったく感じられないのですが」
懐から小さな虫捕り網を取り出して笑うルキアーノに対し、カノンが冷静にツッコんだ。
「もしかして、虫はお嫌いですかな?そんなものは慣れですよ、慣れ。
ジャングルの中で虫に囲まれれば、そのうち素手で捕まえられるようになりますよ」
「あなたと一緒にしないで下さい、エニアグラム卿。私には、あなたのように丸腰でスズメバチと戦うような度胸はございません。
熊じゃあるまいし、そんなことはしませんわ」
「はっはっはっ、熊ですか。うまいことをおっしゃる」
ノネットが愉快そうに笑った。ちなみにカノンが明かしたノネットの武勇伝は、紛れもない事実だったりする。
「二人とも、感謝するよ。君たちがいれば、こんなに心強いことはない。
では早速、EUと停戦協定を結ぼう。明日にでも出発するから、しっかり準備しておいてくれ」
「「イエス・ユア・ハイネス!」」
(ハア、まさかこんなに世界が様変わりするなんて。あの卜部とか言う男、怖ろしいわ。
でもあんなに楽しそうな殿下は初めて見るわ。もしかすると、これはこれで良かったのかもしれないわね)
テンションの高いシュナイゼルと二人のラウンズを眺めながら、カノンは苦笑いした。


41 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/07(水) 21:38:20 ID:6kCHAlJA
「おーい、何か捕まえたかー?」
「ジノ、まだ始めたばかり。そんなすぐには捕まえられない」
「ははは、ジノはせっかちだなあ」
ここは、とある山中。スザクに誘われて、ジノとアーニャは虫捕りをしていた。
「よっ、はっ、ほっ。へえ、トンボって結構すばしっこいな」
ジノは上機嫌で虫捕り網を振り回しながら、トンボを追いかけていた。
「ジノ、そんなに振り回しても捕まらないよ。もっと正確に目標を捉えないと」
スザクはジノにアドバイスしながら、素早くトンボを捕まえていた。
「ジノ、あまり騒がないで。蝶が逃げちゃう」
携帯のカメラで蝶を撮影しながら、アーニャはジノに文句を言っていた。
「よっしゃ、やっと捕まえたぞ!」
「やったね、ジノ!」
「……だから、うるさい」
大はしゃぎの男二人に、アーニャがツッコむ。だがその言葉に怒りの感情はなく、子供のような二人を「やれやれ」といった感じで眺めているようだった。
「なあ、スザク。向こうの方でカナカナって鳴いているのは何だ?」
遠くの方から聞こえる儚げな鳴き声を聞いて、ジノがスザクに尋ねた。
「ああ、セミの一種だよ。名前は確か、ヒグラシ…かな?」
「へえ、面白い名前だな。捕まえに行こうぜ」
「ダメ」
アーニャが、男二人を引き止めた。
「セミは地中で何年も幼虫として過ごし、やっと成虫になっても、その命が続くのはわずか一、二週間程度。
その間に子孫を残すため、懸命になって鳴いている。それをあなたが邪魔してはダメ」
「何だよ、アーニャ。やけにセミを大切にするんだな」
「もしかして、アーニャは虫捕りは嫌いなのかい?」
スザクの問いに、アーニャは首を横に振った。
「別に、そうではない。ただ今朝の星占いで、『金髪の男性がセミを捕ろうとする近くにいると、災いが降りかかる』って言っていたから」
「……やけにピンポイントな占いだな」
今まさにセミを捕ろうとしている、金髪の男が呟いた。
「特に占いを信じているわけじゃないけど、何だか嫌な予感がしたから」
「でも所詮は占いだろ?そんなの気にする必要はないって」
「でもジノ、あなたはセミを捕ろうとする金髪の男性」
「本当だ。アーニャが見た占いの通りだね」
スザクがジノを見ると、ジノは手をパタパタ振った。
「ははは、心配し過ぎだって。それにもし災いが降りかかったとしても、大したことじゃないかもしれないだろう?」
「もし大したことだったら、どうするの?何か罰ゲームを受ける?」
「よーし。丸腰状態のトリスタンで、モルドレッドとランスロットを一度に相手してやろう」
「ええっ!?いくらジノでも、それは危険過ぎるよ!すぐに撤回した方がいいって!」
心配するスザクの肩を、ジノがポンと叩いた。
「大丈夫だって、占いなんだからさ。もし当たったとしても、大したことないって」
こうして、三人はヒグラシ捕りに向かうこととなった。


42 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/07(水) 21:41:40 ID:6kCHAlJA
「鳴き声はするけど、見つからないなあ」
上を見上げながら、ジノが言った。
「ジノ。ちゃんと足元に注意しないと、木の根っこでつまづくよ」
「ああ、わかっている…って、うわぁっ!?」
「……お約束」
ジノは木の根っこに足を取られ、大きくよろめいた。そしてその勢いのまま走って、茂みの中にダイブしてしまった。
「大丈夫かい、ジノ?」
「あ、ああ。私としたことが…ん?何だ、このもふもふは?」
ジノは、茂みの奥にあった茶色い毛むくじゃらの「何か」に、頭から突っ込んでいた。
「何だか温かいな。おっ、こいつ動くぞ。おい、二人とも見ろよ」
ジノが振り返ると、スザクとアーニャが「何か」を見たまま固まっていた。
「ジノ!後ろ、後ろ!」
「え、後ろって……」
ジノが視線を移すと、彼が突っ込んだ「もふもふした何か」が、鋭い視線を彼に向けていた。そう、イノシシが。
「ええーっ!?」
ジノの叫び声を合図に、スザクとアーニャが逃げ出した。
「お、おーい!私を置いて行くなー!」
ジノも、猛スピードで追ってくるイノシシから全速力で逃げ出した。
「ていうか、ラウンズ二人に皇族の選任騎士がいれば、イノシシの一頭くらい何とかなるだろう!」
先に逃げた二人に追いついたジノが文句を言うと、アーニャがそちらを振り返った。
「そうかもしれないけど、ジノに関わってこれ以上の災いを被るのは嫌」
「冷たいこと言うなよ!スザクは?」
「僕は…生きなければならないんだ!」
「何だよそりゃ!?これくらいのことで大げさだって、しかも泣くなよ!」
瞳の赤いスザクに対して、ジノがツッコミを入れる。どうやら、ギアスの効果で瞳が赤いのを、泣いて充血していると勘違いしたようだ。
「くそっ、これでも喰らえ!」
ジノが懐から、ルキアーノから譲ってもらった投げ網を取り出し、イノシシに向かって投げた。
だが動揺していて手元が狂ったのか、投げ網はあらぬ方向へ向かい、運悪く蜂の巣を叩き落としてしまった。
そして当然の結果として、怒り狂った蜂の大群が三人に向かってきた。
「嘘だろぉ!?」
「最悪……」
「僕は、僕は生きるんだぁー!」
山の中に、彼らの叫び声がこだました。

最終的に彼らは無事生還し、後日、ジノは模擬戦でアーニャから制裁を受けた。今日も世界は平和である。


43 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/07(水) 21:46:59 ID:6kCHAlJA
「兄さぁん、一つお聞きしたいことが」
「ん?何だい、シャルル」
ここはブリタニア本国。皇帝シャルル・ジ・ブリタニアは、兄のV.V.に確かめたいことがあった。
「結局、月下マンとは何だったのです?本当に兄さんのお遊びだったのですかぁ?」
「うん、そうだよ」
皇帝の問いに、V.V.はあっさり頷いた。
「何か面白いことをしようと考えていたら、エリア11で昔放送されていた戦隊物のDVDを見つけたんだ。これが見事にハマっちゃったんだよね。
それで、現実世界でもそれと似たようなことをさせてみたくなって、適任者を探していたんだ」
「それが、卜部巧雪であったとぉ?」
「うん。変な活動をしているのを知って、すぐに気に入ったよ。そして彼の夢の中に入り込んで、特別な力を与えたんだ。
そしたら、あそこまで楽しませてくれるとは思わなかったよ。彼の影響を受けて、周りもどんどんおかしくなるし。
狂王にも同じ力を与えたけど、何だかんだ言ってノリノリだったからね」
そして、V.V.は皇帝を見てニヤリと笑った。
「まあ、おかしくなったのはシャルルも同じだけどね。国際虫食い協会の名誉総裁になっちゃったし」
「フフフ。それはぁ、実は嚮団内に『虫食いクラブ』を創設していた兄さんも同じでは?」
「ああ、そうだったね。彼らの活動を見ているうちに、何だか触発されちゃってね。
思えばあの頃から、僕たちも既に毒されていたのかもしれないね。今ではすっかり……」
「失礼いたします」
そこへ、ビスマルクが入ってきた。
「ビスマルク・ヴァルトシュタイン、準備が整いましたので参上いたしました」
「おぉ、来たかぁ。帝国最強の騎士にして、帝国最強のインセクト・ハンター」
そう、最近になって国際虫食い協会に加入したビスマルクはすぐに頭角を現し、「帝国最強のインセクト・ハンター」の称号を得ていたのだ。
そして卜部と彼によるエキシビションマッチが行われたのだが、彼はなすすべなく完敗した。
それ以来、ビスマルクは卜部を永遠の好敵手と認め、研鑽の日々を送っていたのだ。
「陛下、私に最強の称号はまだ早過ぎます。あの男を倒すまでは、まだ私は真の最強ではございませんので」
「君は卜部に負けたのが、相当悔しいみたいだね」
「はい、V.V.様。私の『未来を読むギアス』をはるかに上回る、豊富な経験に裏打ちされた見事な動き。
虫捕りにおいてあのような動きができるのは、世界であの男ただ一人でしょう。
私はナイトオブワンの誇りを賭けて、必ずや卜部巧雪を倒してご覧に入れます。そのためにも……」
ビスマルクはマントを脱ぎ捨て、麦わら帽子にランニングシャツと短パン、そしてサンダルという格好に変わった。
さらに肩から虫籠をぶら下げ、手には大きな虫捕り網が握られている。
「本日も己の腕を磨くべく、虫捕りをいたします!皇帝陛下より賜りし虫捕り網、『エクスカリバー・インセクト』を使って!」
続いて皇帝とV.V.も服やマントを脱ぎ捨て、ビスマルクと同じ格好になった。
「虫捕りはぁ、一人よりも二人!二人よりも三人の方がぁ、まぁた楽しい!そして空腹時にかじる握り飯はぁ、まぁた格別ぅ!
ビスマルクよ、ワシらもともに行くぞぉ!ともに汗を流し、ともに飯を食うのだぁ!」
「オデュッセウス特製のお弁当だよ。中華連邦の天子に食べて欲しくて、こっそり腕を磨いていたのが役に立ったね」
「おお、殿下お手製の昼食ですか!身に余る光栄!実は私、毎回楽しみにしているのです」
そして、皇帝が高々と虫捕り網を掲げて叫んだ。
「それではぁ、自己研鑽と親睦と狩りを兼ねてぇ、いざ行かん!」
「おおーっ!」
「イエス・ユア・マジェスティ!」
今日も彼らは元気に山を駆け巡る。年齢も地位もプライドも、その時だけは忘れることができた。
そう、彼らが知ることのできなかった少年時代を、彼らは卜部のおかげで知ることができたのだった。
だから、彼らは卜部をこう呼ぶのだ。「少年時代を与えてくれた偉人」と。

44 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/07(水) 21:51:01 ID:6kCHAlJA
「さて、今日の虫捕り親睦会はここでやるぞ!」
中華連邦の某所にある森の中で、卜部さんが高らかに宣言した。参加者は、僕とゼロ、星刻さんと天子様、そして新たに加わった南であった。
ちなみに星刻さんと天子様との待ち合わせ時間には少し余裕があり、二人はまだ来ていなかった。
「でも驚きましたよ、まさか南まで同好会に入れてしまうなんて」
「ああ、異常なまでのロリコンを修正するのに苦労したよ。だが、大分マシになったぞ」
「ええ、マシにはなったと思いますけど……」
そして僕は、南を見た。
「何だ、その目は。俺はもう、かつてほどのロリコンではないぞ。今でも少女たちが好きなのは否定しない、だが眺められれば十分なんだ。
何故なら!他の物にも興味を持ったから、そう、虫の幼虫に!大空に羽ばたく前の、様々な苦難を耐えしのぶ健気な幼虫だ!」
そう、南は卜部さんに修正され、何故か幼虫好きになっていた。幼虫であれば種類は問わず、写真を撮ったり成長記録を書いたりするようになった。
彼の部屋では色々な昆虫の幼虫が虫籠の中で飼われており、部屋を訪ねるには少し心の準備がいるほどシュールな状態になっていた。
まあ他人に迷惑をかけているわけでもないので、別に構わないのだが。
「だが、何故よりによって虫好きにしたんだ。しかも幼虫とは、どこまで予想の斜め上を行くつもりだ。
女性団員たちは、微妙に南と距離を置いたりしているんだぞ」
ゼロの問いに、卜部さんは首を傾げながら答えた。
「ロリコンとは、要するにまだ子供の面影を残した少女が好きなんだろう?だったら、同じように虫の少女時代に当たる幼虫を好きになることは可能なはずだと思ったんだ。
別に奇をてらったつもりはないが、そんなにおかしいか?」
「十分におかしいだろう。成虫ならまだしも、幼虫好きなんてマニアックにもほどがあるぞ」
「僕も同感です。人を追いかけないだけマシにはなりましたけど、逆にとっつきにくくなったというか……」
すると、南が笑顔で言った。
「いいぞ、幼虫は。ウネウネと懸命に動く様は実にかわいい。俺がレクチャーしてやろうか?すぐに虜になるぞ」
「いや、丁重にお断りする。何だか後に引けなくなりそうだ」
「私もだ。部屋を虫籠だらけにしたら、あの魔女に何を言われるか」
そんなことを話しつつ、僕は腕時計を見た。ここへ来て、二十分ほど経過している。
「そろそろかな。しかし南、本当に大丈夫か?天子様を見ても、以前のように…」
「ああ、安心しろ。絶対に以前のようなバカな真似はしない。何とか耐えきってみせる」
「……すごく不安になってきた」
僕の心に不安が芽生えてきた時、二つの足音が聞こえてきた。
「待たせたな」
「こんにちは」
僕たちの目の前に現れたのは、待ち合わせをしていた星刻さんと天子様だった。

45 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/07(水) 21:55:34 ID:6kCHAlJA
「あっ、ライ!こんにちはー!」
天子様は僕を見つけると、笑顔で駆け寄ってきた。僕も地面にひざまずき、一礼する。
「お久しぶりです、天子様」
「ねえ、見て!自分で桜が折れたよ!ライがお手紙で教えてくれた通りにやってみたら、すぐにできちゃった!」
天子様が、自分で作った桜の折り紙を、誇らしげに僕に見せてきた。
実は、僕が彼女に桜の折り紙をプレゼントしてからしばらく後、彼女から「折り方を教えて欲しい」と手紙が届いたのだ。
僕はすぐに返事の手紙を書き、桜の折り紙を作る手順をわかりやすく記して送っておいた。そして今日、その成果を見せる約束もしていたのだ。
「上手にできましたね、天子様。綺麗な桜だと思います」
「ありがとう!ライが教えてくれたおかげだよ。あれ?」
ふと、天子様が僕の背後に視線を移した。僕もつられて、視線を後ろに向ける。すると、
「ラ、ライめ…天子様とあんなに仲良く。う…うらやま、いやいや!俺は以前の俺とは違うんだ!でも自分にもあんな笑顔を……」
南が、目を充血させながら必死に欲望と戦っていた。本能に負けていないのはすごいと思うが、少し異様な光景だ。
「あの時の眼鏡の人だよね?具合が悪いのかな?」
心配する天子様の隣に、卜部さんがやってきた。
「天子様、ご心配なく。早く虫捕りがしたくて、ウズウズしているのですよ」
「そうなんだ、良かった。体の具合が悪いのかと思って、少し心配だったの」
卜部さん、うまくごまかしたな。しかし天子様も、南のせいで怖い目に遭ったというのにその彼の心配をするとは、本当にお優しい方だ。
こんなに心の温かい人なら、星刻さんが忠誠を誓うのも納得できる。
「ん?ライよ、私の顔を見てニヤニヤして、どうかしたのか?」
僕が星刻さんを見ながらそんなことを思っていると、彼が声をかけてきた。いけない、無意識のうちに笑ってしまっていたのか。
「ああ、すみません。天子様はお優しい方なので、あなたが忠誠を誓うのもすごく理解できると思ったんです」
「ふっ、そうか。だが人の顔を見て笑うとは、案外失礼な男だな」
顔を見合わせ、僕たちが笑い合う。そこへ、卜部さんのいつもの号令が聞こえてきた。
「それではメンバーも揃ったところで、ただ今より虫捕り親睦会を始める!」
僕たちは、今日も卜部さんに振り回される。でもそんなドタバタも、今では大切な時間に思える。何故なら、仲間と笑い合える楽しい時間だから。
僕は、今でも虫を食べるのにはまだ抵抗がある。それでも卜部さんに付き合おうとするのは、彼の不思議な力に導かれているからかもしれない。
何しろ彼の力は、虫の力は、本当に世界を変えてしまったのだから。少し信じがたい話ではあるが、紛れもない事実だ。
僕たちはこれからも、色々なドタバタに巻き込まれ、カオスも経験するだろう。でもそれも、いつかはいい思い出になる。そんな気がしてならない。

最後に一言。この世界が、いつまでも優しくて明るい世界のままでありますように。虫食い同好会、フォーエバー!

46 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/07(水) 21:59:57 ID:6kCHAlJA
おまけ

ここは某所。ナレーション組の藤堂とロロは、ほっと一息ついていた。
「ついに…終わりましたね」
「ああ。思えば、随分と長く続いたものだ。しかし世界を変えてしまうとは、卜部め、我が部下ながら怖ろしい男だ」
その時、ロロがあることに気づいた。
「あ、そう言えば最終回なのに、僕たち本編で出番なかったですね」
「む……。まあ、仕方があるまい。我々の扱いについて今さら言っても、特別編で急に変わるとは思えん」
「へっ?あ、兄上。今、何て言いました?特別編って聞こえましたけど」
戸惑うロロをよそに、藤堂が宣言する。
「本編はこれで終わりだが、虫食い同好会シリーズはまだ終わらない!というわけで、少しだけ予告編をお見せしよう」
「もう勘弁して下さいよー!」



「フフフ。ついに完成だ、ワシの最高傑作!待っておれ、月下マン。目にもの見せてくれるわ!」
密かに進められていた、「月下マン打倒計画」。
「おかしい。私の名は、確かオレンジマン…私はオレンジではなーい!」
「自分で言っておいて、自分でツッコんだー!」
そして始まる、新たなカオス。
「ゼロは敵でエネミー!倒スをデストロイ!」
「ええい、このポンコツオレンジが!」
狙われるゼロ、その運命は!?
「オレンジ、その名は我が忠義の証!」
「虫、それは俺の同胞!力の源!生きがい!」
ついに出会ってしまった、出会ってはいけない二人。そしてついに、「キング・オブ・カオス決定戦」が始まる!

虫食い同好会・特別編『月下マンvsオレンジマン〜混ぜるな危険!〜』、公開日は未定!



ジャジャン!チャチャーチャチャーチャチャー(BGM)
『本編はついに終わった。だが、カオスはまだ終わらない。出会ってはいけない二人が出会うことで、新たなカオスが少しだけ繰り広げられるぞ。
いつになるかは不明だが、その時を待っていて欲しい。最後に、今まで付き合ってくれて、本当に感謝している。日本、万歳!』(by藤堂さん)
『今まで、本当にありがとうございました!でも、もう少しだけお付き合いくださいね!』(byロロ)

47 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/07(水) 22:05:01 ID:6kCHAlJA
以上で終了です。番外編を含めて全18回にお付き合いいただき、ありがとうございました。
卜部は、本当に自分の中で最高のキャラになってくれました。虫と月下マンでここまで走るとは思わなかった。
特別編ですが、少し時期を空けてからにしようと思います。本編終わった直後なので。
それまでは、妖精さんとか短編を書いていこうと思います。

最後になりましたが、卜部よ、君は本当に最高だ!ありがとうございました!

48 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 22:08:59 ID:dUlChAr6
>>47
余暇卿、全力でGJでした!
皇族たちも、ラウンズ達も愉快過ぎるw 皆虫大好きだねw
南はまさかの幼虫好きにwww しかし、完全には方向転換出来てないw
まさかの虫によって誕生した優しい世界!
虫によって繋がる絆!
虫って凄い!
……そんな錯覚に陥りそうになるw
綺麗に纏まったかと思いきや、番外編。
しかもオレンジマン、カオスがエラいことになりそうだw
貴公の次の投下を全身全霊、全力を挙げて待たせていただきます!

49 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 22:36:58 ID:ZyG7GZ5b
余暇卿、虫喰い同好会シリーズお疲れ様でした。

まさか、ここまで続くとは・・・・・・
更新されるたびに腹を抱えていましたw
虫の力で世界を変えた卜部さん。本人に自覚は……ないでしょうね、きっとww
これからも(虫に)優しい世界でありますように!



50 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 23:09:19 ID:FN6X0ElX
>>47
GJ&シリーズ完結お疲れ様でした!
ずっと楽しみに読ませていただいておりました。
イノシシと蜂にあの衝撃wの一話を思い出しました。

本編が終わってもまだ波乱の特別編があることに期待しつつ
次回の投下をお待ちしております!


さて、さくっと2レスのSSを投下します。

・日本解放戦線篇の黒の騎士団合流後。まったり
・ライ千葉

51 :三が日の過ごし方 1/2:2009/01/07(水) 23:10:21 ID:FN6X0ElX
   ■ 三が日の過ごし方 ■

 年末からずっと慌ただしく過ごしていたため、ライの休息は正月二日になってようやく得ることができ
た。カレンは井上と初売りに、扇は泥酔した古参メンバーの引率として初詣に出かけてしまい、黒の騎士
団のアジトはとても静かだった。

 ゼロもここ三日ほど顔を出していない。彼にも彼の表の生活があるのだろう。仮面に奇抜なマントの男
がどんな生活を送っているのかそれはそれで興味がないことはないが、今のライにとっては暖かい炬燵と
みかんの方が重要だった。
 誰かがつけっぱなしにしたテレビは駅伝を中継している。それをぼけっと眺めているとひょろりと長い
人影が声をかけてきた。
「あれ、他には誰も居ないのか」
 幹部のラウンジに顔を出したのは四聖剣が一人、卜部だ。
「ええ、みんな出掛けています。僕は留守番を」
「そうか。まあいい。少尉、もし手が空いてるなら、どうだ?」
 そう言って卜部は盃を傾ける仕草をしてみせた。
「はあ、しかし僕は未成年で」
 ライは生真面目に断わりの文句を述べた。格納庫での酒盛りに加わった時、一滴も飲まないうちにダウ
ンした苦い記憶もある。
「まあまあ、正月くらい固いことを言わずに。千葉も着物で待ってるぞ?」
「え、それは……見たい。いや、どうして千葉中尉がそこに出てくるんですか」
「それはそこ、はたから見ていれば分かることだな」
 卜部はぐいぐいとライの腕を掴んで炬燵から引きずり出した。

 ひゅうっと音を立てて関東空っ風が吹き抜ける。ライは思わず「寒い」を背中を丸めたが、目の前を行
く卜部は平然としている。さすがに鍛え方が違うと感心していると、瓦礫を片付けて広場のようになった
場所に人だかりが出来ていた。この辺りはゲットーでも人が多く、活気のある区域なのだ。人だかりの中
を分け入っていく卜部に付いて行くと、その中心部では棒のようなものを持った千葉が仁王立ちしていた。
「遅い!」
 艶やかな和服姿が美しいが、その分きりりと吊りあがった眦が迫力を増す。
「いや、悪かった。少尉殿が炬燵の猫になっていてな」
「僕が悪いんですか!」
 千葉からの痛い視線を受け止めながら、ライは口を尖らせた。しかし、すぐに興味は目の前に置いてあ
る物体に向けられた。木製のどっしりとした大きな器のようなものが置かれている。
「何が始まるんです?」
「餅つきだよ。見たことない? こっちが臼、で千葉が持ってるのが杵。臼にもち米を入れて杵でつくと
 君も知ってる餅になるわけ」
 ライの疑問に答えたのは蒸篭を抱えた朝比奈だった。その後から割烹着を着た仙波が現れる。
「日本の冬の風物詩だな。これがないことには新年は始まらん」
 仙波は三角巾を器用に頭に巻きつけて、朝比奈に指示を出した。蒸し立てのもち米が臼にあけられる。
心得たように千葉はそれを杵で潰していく。
 そうして、あらかた粒が消えると、仙波と千葉は息を合わせてもちをつき始めた。掛け声と杵がもちを
つくぺったんぺったんという音が小気味よい。自然とそれを見つめる周りの人々も笑顔になっている。


52 :三が日の過ごし方 2/2:2009/01/07(水) 23:11:43 ID:FN6X0ElX
「面白いですね」
「少尉もやってみるか? おーい、千葉、ちょっと代わってくれ!」
 ライの呟きを耳聡く拾った卜部が大声を出して千葉を呼びとめた。
「え、僕、はじめてですよ?」
「いいからいいから。千葉、手取り足取り教えてやってくれ」
 卜部の幾分か不穏な発言に千葉は訝りながらも手にしていた杵をライに渡した。千葉が軽々と扱ってい
たので、そのつもりで受け取ったライは意外な重さに驚きを隠せなかった。
「……結構、重いな」
 千葉がほとんどつき上げた臼は仕上げを残すのみとなっていたため、初心者のライでもこなすことがで
きた。しかし、慣れない杵に戸惑い何度か臼の端にぶつけて、周りからは野次られてしまった。
「しっかりしろ、少尉。まだあと七升あるぞ」
 ライのよろよろとしたへっぴり腰に千葉が喝を入れる。
「みんな待ってるよ、ほら」
 朝比奈が親指で示した先では、近所の奥様方と子供たちが先ほどついた餅を丸めていた。きなこ、あん
こ、からみ……。餅とり粉を広げた長机の上でくるくると手際よく丸め、次々にパック詰めされて配られ
ていく。
「さあ、どんどん行くぞ、少尉」
 割烹着に三角巾姿が妙に様になる仙波に促されて、ライは次の餅を提供すべく杵を手に取った。

「お、終わった……」
 早い段階でコツを掴んだものの、連続で残りをついたライは疲労困憊でへたり込んだ。千葉はあれこれ
口は出すものの決して手は出してくれなかったのだ。役目を終えた臼と杵は卜部と朝比奈が洗い場に運び、
苦労の結晶である餅は一通り行き渡ったのか広場は人も少なくなっていた。
「今日の報酬だ」
 瓦礫の上に座ってペットボトルのお茶を飲んでいると、ライの頭の上に温かいものがぽんと載せられた。
見上げると千葉がからみ餅のパックを持っていた。
「あ、ありがとうございます」
 礼を述べて受け取り、箸を割る。まだ温かいそれはよく伸びて、ライが普段食べているものよりも美味
いような気がした。
「ゆっくり食べろ。慌てると痞えるぞ」
「はい」
 千葉は自分も瓦礫の上に腰を下ろした。冬の低い日差しが長く二人分の影を伸ばす。千葉は眩しげにゲ
ットーの向こうにある空を見ていた。
「千葉中尉、綺麗ですね」
「……なんだ、唐突に」
 千葉は何事かと眉を顰めてライを見つめた。頬が少しだけ紅潮している。それをライは可愛いと思った。
「いえ、言っていなかったので」
「今さら、……遅いぞ。遅刻する男は嫌われると覚えておけ」
 言葉では怒ってみせるが、千葉の表情には隠しようのない笑みが浮かんでいた。

53 :はんたま。:2009/01/07(水) 23:12:58 ID:FN6X0ElX
以上です。
ありがとうございました。

54 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 23:28:34 ID:6kCHAlJA
>>53
GJ!すごくほのぼのした、正月の一コマでした。
楽しく餅つきをする四聖剣とライ、それを囲むゲットーの人々。
そして着物姿の千葉さん。本当にのどかな光景です。
次回の投下をお待ちしています。

55 :創る名無しに見る名無し:2009/01/07(水) 23:32:13 ID:dUlChAr6
>>53
はんたま。卿、GJでした!
これはいい四聖剣だ。
そしてこのほのぼの感はなんとも言えないいいかんじ!
餅つきを囲む皆の雰囲気は和やかでしょうね。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

56 :創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 00:33:43 ID:JkPDL2/w
千葉さんの着物姿いいですねえ・・・
仙波さんの割烹着姿・・・・意外と楽しいものです!!
まだ、正月ボケが残っていたので、正月ネタ楽しませてもらいました!!
次回の投下お待ちしております

リロって大丈夫ですね
では、自分も投下させていただきます

タイトル「追憶の旅路 外伝 交差する運命たち」

注意点
・実質完全オリジナルと言う言葉がようやく取れました
・カレンがライの過去編を精神体という形で見ておりますが、
今回はライがほとんど出てきません・・・いや全くと言っていいほど

・ライに関わっていくキャラクター達をちょっと過去かな
ルルーシュがギアスを手に入れる前、で
大体 小説「朱の軌跡」の前ぐらいかも?
・とりあえず、殿下がメインになります

本文は3〜5レスくらいです

初めて読む方へ

心を閉ざしたライの心に飛び込んだカレン

「北の蛮族を皆殺しにしろ!」
ライは禁断の言葉をついに発した!!

民と兵は屍鬼となり、敵に襲い掛かかった!

数え切れない屍をつくり

そして、ライは守りたかった母 命と妹 咲久耶を失ってしまった・・・・・

「ライよ……全てを……忘れよ!」
ライは自らギアスかけ、全てを忘れ「魔法使い」によって神根島の遺跡に封印された・・・

永き眠りの果てに、ライはバトレーの調査隊によって再び目覚めたのであった・・・・・・・

57 :カズト:2009/01/08(木) 00:34:38 ID:JkPDL2/w
雷が治まった夜、エリア11のブリタニア政庁では華やかなパーティーが催されていた
そのパーティーの中心に一際目を惹く青年がいた
ゆるやかなウェーブのブロンド、派手な礼服、いかにも耽美な容貌
このパーティーの主催者であり、現在のエリア11の総督
そして、神聖ブリタニア帝国第三皇子クロヴィス=ラ=ブリタニアであった

今回はイタバシゲットーでのテロを鎮圧した軍の将校達の慰労パーティーであった
クロヴィスはテレビカメラも入ってる事も計算されたパフォーマンスをもってブリタニア人にアピールしていた
「諸君!!今回のテロ鎮圧見事であった!!
皇帝陛下の恩情がわからぬ愚か者たちがまだいるのは何とも悲しい事だ……
それでも……このエリアも君達の活躍で平穏を保てている!!
それではこのエリア11の繁栄を願って、乾杯!!」
「乾杯!!」
クロヴィスはその後、招待客達の対応をそつなくこなしていった……

盛り上がるパーティーを尻目に冷めた目で見つめる男がいた
「イタバシゲットーのテロ鎮圧」のニュースを流しているTVプロデューサーであるディートハルト=リートはこのパーティーの様子を馬鹿馬鹿しく思いながらも淡々と仕事をこなしていた……
クロヴィスと挨拶を交わす将校と貴族たちを滑稽に思う……
(ふん……砂糖に群がるアリだな……まるで……)



私立アッシュフォード学園生徒会室

『イタバシゲットーで起きたテロは無事鎮圧され……』
生徒会室にニュースキャスターの声が流れていた

「かーっ!豪華だねえ!クロヴィス殿下のパーティー
こっちは夜まで仕事だってのに……一度は出てみたいなあ」
リヴァルがたまった仕事を処理しながらぼやいていた
「ま、まあ……うちも昔はあれくらいはできたんだけどね……」
お祭り好きのミレイにしてはやけに食い付きが悪かった……彼女はテキパキと仕事をこなす少年を複雑な表情で見ていた……
(私なんて、あんなパーティーに出るなんて一生無いんだろうなあ……)
ニーナは淡々と仕事をこなしながら、
心の中でクロヴィスにエスコートされる自分を夢想していた……
「あたしは会長の考えるパーティーの方が好きだな……それに……あ、あたしは……」
(ル……ルルがいなくちゃ意味が無いんだからね!!)
言いあぐねながら、シャーリーは自分の思い人を横目で見ていた

「パーティーなんかどうでもいいじゃないですか……それよりも仕事を片付けないと、明日に響きますから……」
そう言ったルルーシュは手早くタイプしていた
(ふん……綻びが見えてきましたね兄上……どういうつもりで総督に志願したんだか……
そういえば、打ち掛けのチェス……あの時は、確かに俺の負けでしたよ……あくまで「あの時」のね……)
昔クロヴィスが勝ちそうだった盤面、結局水入りになってしまったのだが……
しかし、ルルーシュはすでにその盤面から逆転できる手を既に20パターン以上編み出していた
(兄上……あなたはあの打ち掛けのチェスから何も変わっていない……
あの男のおこぼれで総督のイスに座っている愚物が!!
もうあなたはお仕舞いなんですよ……
あの男に捨てられた苦しみをあなたも味わう事になるでしょうね……)

58 :カズト:2009/01/08(木) 00:35:36 ID:JkPDL2/w
ルルーシュは力を欲していたブリタニアに対抗するための力を!
だが、そんなものはどこにも存在しなかった
ミレイと結婚でもしてアッシュフォード家を乗っ取ろうかとも考えた
しかし、自分の血統をあてにするような堕ちた貴族など何の意味も無かった
このまま、暗殺に怯えながら、妹のナナリーと共にアッシュフォードの道具として使われるか?
それとも、己の中の黒い炎を燻らせたまま、この生温い時間の中で朽ち果てていくのだろうか?
ルルーシュの未来には二つの道しか用意されていなかった……今はまだ……


59 :カズト:2009/01/08(木) 00:37:08 ID:JkPDL2/w

テロ鎮圧後のイタバシゲットー

広場にはテロリストの死体があり、
そこではイレブンの一般市民が後ろ手を縛られ集められていた……
警棒を構えていたのは名誉ブリタニア人で構成された部隊であった
日本の為に名誉ブリタニア人の申請をして、同じ日本人を見張るのは皮肉であろうか?
部隊の後方では隊長である恰幅のいいブリタニア軍人達が踏ん反り返っていた
その中の隊長は命令を下す
「いいか!聞け貴様ら!!このイレブンどもはテロリストの通報義務を怠った!!
故に命令を下してやる!ここに居るイレブンどもを射殺しろ!!」
そう言って、隊長をはじめとするブリタニア軍人達は彼らに銃を渡す
「……!」
「!」
住民と兵士達は騒然とした!!
同じ日本人を……しかも、非戦闘員を殺せとは……踏み絵にしても度を越していた!
上の将校たちがクロヴィスのパーティーで羽を伸ばしていた事に対する腹いせである
そんな隊長の横暴に一人の兵士が隊長の市民と部隊との間に割って入った!
「やめてください!!彼らは非戦闘員です!!」
ガッ
「貴様ぁ!!命令に従え!!」隊長はその兵士に近寄り胸倉を掴んだ
「隊長殿!!自分は軍人として日本人を……」
バキッ!!
隊長の鉄拳が兵士のあごを捉えた!!兵士は地に突っ伏した
「日本人ではない!!イレブンだろうが!!ふん!父親が戦争の責任逃れの為に勝手に死んだ馬鹿なら、息子は害虫駆除もできない臆病者か!?ああん!?」
「ぐ……」枢木スザクは見えない刃物か何かで胸を突き刺されるように心を痛めていた

「おい!コイツを営倉にぶち込んでおけ!!」
「イ、イエスマイロード!!」スザクは二人の兵士に連れられて行った
本来は住民との間に立った彼らごと射殺される筈であったが、隊長の気まぐれで助かったのだ……しかし、その心の奥では死を逃れた事に対して残念がっていた……本人は気付いていなかったが……

スザクが連れて行かれてしばらくして、部隊は新たに来たテロリストの奇襲を受けた!!
ガガガガガガッ!!
銃弾の嵐に倒れていく名誉ブリタニア人の部隊……
さらに、流れ弾が隊長の眉間を撃ち抜き、統制を失った部隊は総崩れになり、兵士達はその場を退却せざるを得なかった……
その隙に、テロリスト達は市民を手早く逃がしていく……

「これがブリタニアのやり方……許せない!!」
軍隊とは思えない非道なやり方に紅月カレンは憤っていた
「なんてこった、全滅か……間に合わなかった……みんな!こっちも引き上げるぞ!!」
悔しがっていたのはこのグループのリーダー、扇要であった
このゲットーを中心とするグループを救援に来たが、ブリタニア軍に先手を取られて全滅ていた……
紅月グループからの繋がりであったが、これにより反ブリタニア勢力のネットワークの一つが断ち切られる形となった……


トレーラーで、逃走ルートを疾駆する扇グループ
備え付けのラジオではクロヴィス主催のパーティーの模様が放送されており、
運転手の扇と助手席のカレンが不快感を感じていた……

(ふん!日本人の血と涙を吸い上げた金でパーティー?いい御身分だこと……!)
この時カレンは夢にも思わなかった……
ブリタニアの偽善と虚飾の象徴であるクロヴィスが自分の生涯の伴侶となるであろう男の生殺与奪権を握っている事など……

60 :カズト:2009/01/08(木) 00:37:58 ID:JkPDL2/w

深夜 ブリタニア政庁
パーティーが終わり、クロヴィスは執務室のイスに座り、頭を抱え震えていた……
ガタガタガタ……
自分はどれくらいの失策を重ねたのだろう……
跳梁跋扈するテロリスト、その裏で暗躍するNAC、思い通りに動いてくれない重役
エリア11の総督に赴任してから、問題が解決するどころか、積み重なってく一方である
見せ掛けだけのパーティでのごまかしも限界が近い……

元々クロヴィスがこのエリアの総督に志願したのは、極東事変(第二次太平洋戦争)において、死んだ弟と妹の眠る土地を静かにしたいと願っていたからであった

しかし、それは自らが皇位継承レースの参加を宣言したようなものだった
地政学上において、このエリア11は中華連邦に対する橋頭堡という重要な意味を持ち
なおかつ、日本侵攻に対して早期降伏で余力を残したために、このエリアの反ブリタニア活動は他のどのエリアよりも激しかった
クロヴィスの器で治められるような場所ではなかった

このままだと、他の皇族に付け入られ、失脚しかねない……
姉上の怒号が聞こえてきそうだ……きっとユフィも自分を見限るだろう……
クロヴィスはそんな強迫観念に囚われていたのだった……

(クロヴィス、統治者は時に悪にならねばならない……優しさは美徳ではないよ……上に立つ者にとっては……)
エリア11への出立直前、シュナイゼルの言葉が思い出される、
あの時は軽く流してしまったが、今になって兄の言葉が重くのしかかっていた……

助かる方法は、「あの女」から、さらなる研究データを取り皇帝に献上し、エリア総督と同等のポストを用意してもらって、仕切りなおすしかない……

クロヴィスはパソコンの画面から、通信履歴があったのを確認
バトレーに連絡を入れた
『おお……これはクロヴィス殿下……今日我々は遺跡において、妙な男を発見いたしました』
「妙な男……?その様な者、警察にでも任せておけば良いではないのか?」
『はあ……確かに、ですがこのエリアどころか本国の行方不明者のデータにも該当する者はいませんでした……しかも、皇族の正装を身につけておりました。年の頃は十六、七といったとこでしょうか……』
「皇族……だと?十六、七……まさか!」
クロヴィスにとってその条件に当てはまる人間に心当たりがあった
「バトレー!至急、現在わかっているだけのデータを送れ!!」
『了解しました』

「な、なんだと!ま、まさか……し、信じられない……」
送られてきたデータから、彼の思っていた人間ではなかったが
クロヴィスは震えていた……驚愕ではなく興奮で……
本来、彼の得意分野は考古学であり、歴史にも造詣が深かった
そして何より、子供の頃、コーネリアとユーフェミアの屋敷で見た絵から、彼の正体を瞬時に見抜いたのだった
わずかな手掛かりから、すぐに答えまでたどり着くのは彼の天性ではある

『殿下……?如何なされたのですか?』
「バトレー……その者の血液は採取したか?」
『はい、一応念のためにと……』
「そうか……だったら「両方」調べるんだ」
『え?両方……でありますか?』意味がわからないといった感じで聞き返す
「そうだ、徹底的にだ!!」
『イ、イエス!ユアハイネス!!』そして、クロヴィスは通信を切った

「ま、まさかこの目で見られるなんて……狂王ライ……
ふ……ふふっ……ふはははははははは!!」
クロヴィスの体の中で血が熱く駆け巡り、震えと笑いが抑えられなかった
それはまさに、宝物を発見した子供の心境であった

61 :カズト:2009/01/08(木) 00:44:14 ID:JkPDL2/w
投下終了です
激戦区で考古学か・・・・クロヴィスらしいよ・・・坊ちゃん

他のキャラについても多少自分オリジナルをふくませてもらいました

クロヴィス殿下を書いてみたくなりました
たまにはこういうのもアリと思います
今回ライ視点ではないので、外伝と言う形を取らせてもらいました
現代に戻ってきて、なんとかこのシリーズも纏められそうです

ではまた!!

62 :創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 08:32:18 ID:37vQzFvD
>>61
カズト卿、GJでした!
古の王を目の当たりにしたクロヴィス。
その興奮、喜びは無理もないですね。
日本で言えば、生きた戦国武将が見つかった……興奮しない方がおかしいですね。
これからライの目覚め、脱走にどう繋がるのか楽しみです!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

63 :創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 11:10:02 ID:O2e4KjVH
年が明けて少し時間がたってまた色々なSSが投稿され始めて嬉しい限りです
みなさんこれからも頑張って下さい

64 :カズト:2009/01/09(金) 00:22:31 ID:sAhvIfVB
すいません
>59の
訂正依頼いたします

このゲットーを中心とするグループを救援に来たが、ブリタニア軍に先手を取られて全滅ていた……


このゲットーを中心とするグループを救援に来たが、ブリタニア軍に先手を取られて全滅していた……

お手数をおかけいたします

65 :創る名無しに見る名無し:2009/01/10(土) 23:43:13 ID:oD9SIomk
更新されない…
皆さん忙しいのかな?

66 :テリー:2009/01/11(日) 00:01:41 ID:EDNYvFPs
この後3分に投下します、よろしいですか?

67 :テリー:2009/01/11(日) 00:03:42 ID:EDNYvFPs
時間ですので投下します。

「明日の為に 第六章 」

5レス位です

68 :テリー:2009/01/11(日) 00:07:10 ID:EDNYvFPs
「明日の為に」



第六章



あの会議から何日たっただろうか・・・・・ほとんどをドックや旗艦「大和」
の長官室、艦橋ですごしていた。この戦いで艦隊が全滅するのは目に見えている、
そんな中でも部下を死なせない、損害を抑えるには指揮官の力が試される。
そのための策を練っている、それに没頭するあまり日が経っている事をすっかり忘れて
いたのだ。そのため殆んど息抜きもしていない、他の乗員はこれが最後の上陸
になるかもしれず

ある者は家族のもとに帰り
ある者は大切な人のもとに行き
ある者は仲間と思いで作りの為に町へ

と、それぞれが思い思いの日々を過ごしていた。

一方

政府は今回の一大事を発表した。国民のみならず世界中の世論は特区を指示し
中華連邦を非難したにもかかわらず曹達は全くどうじず、それどころか強気
な姿勢を崩さなかったのだ。


旗艦大和 第一戦闘艦橋


「大将」
「ん?どうした副長」
「よろしいのですか?何日もほぼ籠りっきりで」
「大丈夫だ、心配はいらない」


69 :テリー:2009/01/11(日) 00:10:31 ID:EDNYvFPs
「しかし、大将にも大切な・・・・守るべき者はいないのですか?」
「・・・・・・・・いるさ」
「では、会いに行くべきです。ここは我々がしっかり守り抜きます」
「・・・・・・だが」
「それにしても、ものすごい計算量ですね」
その量は百科事典ゆうに30冊ぶんの厚さ
「今回の海戦は全滅必須だからな、完璧に近い艦隊行動と精密射撃が必要だ。
そのためにはあげられる全部の可能性に対する計算がいるからな」
「今回も・・・・生き残れるでしょうか?」
「迷うな、迷った者から死んでいく。我々は自らの命を盾に戦ってきただろう、
自身をもて!今回も今迄のとなんら変わりはない、必ず生きるんんだ」
「は!!」
コンコン!
「失礼します!艦隊司令、ブリタニア軍よりKMF3個中隊が救援として只今
ナリタ国際空港に到着したとの報告です。各部隊長はナイトオブラウンズ
ジノ、アーニャ、ノネットの3名だそうです」
「確かか?」
「は、シャルル皇帝直々の連絡でありました。何やらこの間のお礼だとか」
「お礼?」
「は、確かにそう」
「・・・・・そうか、副長!」
「は!」
「上陸する、帰還は出撃10日前だ。それまで艦隊を頼む」
「は!!お気をつけて」
その数分後、ライは艦を離れ地上に立った。
足は地に着いたときすでにある方向に向かって歩き出す。




全ての始まりが起きた場所・・・・・・・・へ




町へ
町からさらに北へ



70 :テリー:2009/01/11(日) 00:13:30 ID:EDNYvFPs




余談
(でも、皇帝の“この間のお礼“って一体・・・・・何だ?)

その答は

ブリタニア本国帝都王宮

「ビスマルクよ、確かに到着したのだな?」
「は、今しがた報告が届きました」
「うん、よろしい!」
「ところで・・・・・」
「ん?どうした」
ビスマルクはあきれと言うか何とも複雑な表情で山の様に積まれた
本を見渡した
「あの・・・・一体何冊あるのです?このアルバム等は」
「しめて1000以上はあるぞ!!ブァハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
「・・・・・これを盗んだ者が可哀そうだ」
「ぬぁにを言うかビスマルクよ!!これは私の宝なのだからな!!」
「・・・いやだからって軍隊使うまでも」
「ふ、貴様も結婚すれば解るわ。ブァハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
この1000を超えるアルバム・・・・・・

ナナリー、ユフィ等の写真集・・・・・・なのだ(隠し撮り含む)

全部

「盗人も哀れだ、貴重で時価数千万の標本と間違えるとは・・・・」
実はこのアルバム、王宮にある標本と間違えて盗まれたのだ。と言うより
その時警備は何してたかと言うとシャルルと宴会の真っ最中だったと言う。
しかもご本人直々のお誘いだったからすんなりと侵入できたのだ。


71 :テリー:2009/01/11(日) 00:16:33 ID:EDNYvFPs

その後金庫に厳重にしまわれていた本と無造作に置かれホコリを被っていた本
のうち金庫の方を盗んだ。それがアルバムだったと言うから空しい・・・・・。
この事に気付いたシャルルは全軍総動員でとっ捕まえようとその働きはもうマリアンヌ
でも止められない位だった。目は炎で燃え、殺気は通常の100倍増し他etc etc

もうとにかく犯人が可哀そうでしょうがなかった。朝は5000もの爆撃にあい
昼はKMFの攻撃、夜は特殊部隊の夜襲と・・・・。その犯人は逃走から3日目
偶然停泊していたライの艦隊に逃げ込みあろうことか“助け”を求めたそうだ。
その時の乗員はライも含めみんな犯人をどこかの“難民”と思ったらしい。
それ位ズタズタのぼろぼろだったのだ・・・・・。
ライはその犯人をシャルルに引き渡したのだ、お礼とはその事。
ちなみにアルバムは一回目の総攻撃で捨てたと言う。

「それだけならまだ良かったのに・・・・」
「ふふふふふ、わしの逆鱗に触れたが最後と言うことだ」
「いや、あれはどうかと・・・・・」
写真を1枚ダメにされ、80CM列車砲で護送中に砲弾を叩き込んだと言う
暴挙をやったのだ。しかも何も知らないライに撃たせるというおまけつき。
真実を知ってるのは撃たせた犯人シャルルと見ることしか出来なかった
ナイトオブワン、ビスマルクのみ。
「ぶはははははははははは、そのおかげげブリタニアの犯罪発生率は激減した。
結果オーライで良いではないか!!ぶははははははははははは!!」
「・・・・・これで本当に皇帝か?この方は」
「ぶはははははははははh・・・・・・・・・」
「どうしました?おお、マリアンヌ王妃様でh」
「うおおおおおおおおおおおマリアンヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
「うああっ!?」
滝の様に涙を流すシャルル、それはナイアガラのミニチュアの如く
「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
この光景でビスマルクは放心状態、無理もないだろう痩せても枯れてもブリタニア皇帝
がこんなのだから・・・・・


「ライにワンの座を渡して隠居でもするか?」


皆様も帝国の未来をあんじてやってください。


72 :テリー:2009/01/11(日) 00:20:29 ID:EDNYvFPs
これにて終了です。ううううう、1レスでの話が長くできない
のが悩みです・・・・。

次回はもっと長くできるよう全力で参りたいです。

73 :創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 00:32:01 ID:+UddRiOp
>>72
テリー卿、乙でした。
ライに死ぬ気は無いようで、一安心でした。
そして……皇帝、自重しろwww
このシャルル・ジ・ブリタニア、愉快過ぎるわw
隠し撮りは犯罪だろw
完全にギャグキャラ的な皇帝、ブリタニアの明日はどっちだ!?
貴公の次の投下を全力で待っています。

74 :創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 23:07:24 ID:PsFwV7b5
異様なまでに過疎だな…
なんか有ったのか?

75 :創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 23:08:25 ID:wgJbc63S
なんと言う愉快なシャルルw

76 :創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 23:14:56 ID:6vieXAVl
みんな正月明けで忙しいんだろう。
ちなみに私はそうです。


77 :創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 23:31:13 ID:eQ0q+SWZ
気長に待ちましょう。

78 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 00:03:57 ID:/y3Dz44A
前回の続きです。投下してもよろしいですか。
20レスぐらいになります。

79 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 00:06:16 ID:sK+2RhTn
支援

80 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 00:23:39 ID:ha0Y4vCi
Another Lost Colors 色とりどりの世界を君に
第2話

アニメともゲームとも違うパラレルワールドと思ってください。
 話の展開上オリジナルキャラ、オリジナル設定、オリジナル展開多数です、
 そういうのが苦手な方はスルーしてください。
 一応ライが主人公ですが設定がかなり違います。



81 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 00:24:33 ID:ha0Y4vCi
「こちら統帥府直属帝立特務遊撃師団旗艦フェンリル、エリア11政庁基地への
 着陸許可を願いたい」
「こちらエリア11政庁基地管制塔、統帥府直属帝立特務遊撃師団旗艦フェンリルの
 着陸を許可します。エリア11は副総督閣下を歓迎いたします」
 ライは自らの専用艦フェンリルの中で雑誌を読んでいた。
 机には紅茶と他の雑誌が置かれている。
 それらの雑誌すべてはゼロの特集が組まれた物である。
「司令、そろそろ政庁基地に着陸いたします」
 アルがライの傍で行った。
「そうか・・」
「現在エリア11は混乱の極みです、ヒロシマ、コウチ、マツシマ等で
 レジスタンス活動が活発化、ジェレミア代理執政官もオレンジ疑惑で
 統率力を失い、エリア11の軍と警察は機能停止状態です」
「忙しくなりそうだ、すべては彼のせいか」
 ライは雑誌に載っているゼロの写真を見た。
「ずいぶん彼のことを気に入っておられるようですが」
「何となくだけど彼にはシンパシーみたいな物を感じるよ。
 エリア11の混乱はじきに収まるだろう、新しい総督はコーネリア皇女殿下
 だからね。ただ・・」
「ただ・・」
「今回のことはまだ序の口だろう、彼はもっと大きな混乱を引き起こす。
 そんな気がするよ、それにしても・・」
 ライはため息をついた。
「どうされました」
「コーネリアが僕の上官か、僕あの人苦手なんだけど」
「仕方ありません、コーネリア皇女殿下の実妹のユーフィミア皇女殿下と
 個人的に親しくされていますから」
「ユフィとは何でもないんだけどな、ただの仲の良い友人だし」
(そう思っているのは司令ぐらいですよ)
 アルはあえてそのことを口には出さなかった。

82 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 00:25:16 ID:ha0Y4vCi
エリア11政庁前
 
「どうして、いきなり・・」
 証拠不十分で釈放されたスザクは政庁から出てきた。
「そこ危ない!!」
 突然の声にスザクが上を振り向くと銀髪の男が降ってきた。
「ええ!!」
 スザクは思わず受け止めようとするが男はスザクをうまくかわし
 地面に受身を取りながら着地した。
「ごめん、ごめん、下に人がいるとは思わなかったから」
「僕も上から人が降ってくるとは思いませんでした」
「それもそうだな」
 スザクはライの顔を思わず見入った。
(綺麗な人だな、男の人だよね、服装も声もそうだし)
「僕の名前はライ、最近ここに来たばかりでね、
 悪いけど租界を案内してくれないか、枢木スザク一等兵」
「何で僕の名前を?」
「有名だからね、君は」
 後に歴史学者はこう言った。
 この出会いが世界を変えた出会いだと。
 ライと後にその騎士となるスザクはこうしてであった。

「司令、今後のスケジュールなんですが・・」
 部屋に入ったアルは誰もいない部屋に窓が開いてるのに気づいた。
 机には置手紙が置いてある。
『少し散歩に行ってきます、探さないでください byライ』
 手紙を読んだアルは怒りを通り越して呆れた。
「全くあの人は・・」
 アルはすぐさま携帯を取り出しかける。
「私だ、ああ・・位置は把握しているのか・・それなら良い」

「対象、枢木スザクと接触、移動を開始しました」
「我々も後を追います」
 ライ達の近くで黒いワゴン車が動いた。


83 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 00:25:43 ID:hxl6Dgcb


84 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 00:25:58 ID:hxl6Dgcb


85 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 00:26:19 ID:hxl6Dgcb


86 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 00:26:21 ID:ha0Y4vCi
ライの元に黒猫が近寄ってきた。
「ん、どうした、こいつめ」
 ライはあやす様に黒猫をなでる。  
 黒猫もライに懐く様に擦り寄りライを舐める。
「こらっ、くすぐったいだろう」
「ふぎゃー!!」
 しかし、黒猫がライの匂いをかぐと急に毛を逆立て暴れ始めた。
「うわっ、どうした、こいつ」
「あ、大丈夫ですか」
 スザクはあわてて黒猫をライから引き離そうとする。
 ガブッ
「痛っ!」
 スザクは指を噛まれた。
 黒猫はそのまま2人のもとから去っていった。
(猫にはわかるのかな、僕に染み付いた血の匂いが・・)
「行っちゃった、2人ともふられたみたいだな」
「そうみたいですね」
「猫は苦手かい?」
「僕は好きなんですけど、片思いばっかりなんです」
「片思いって優しい人がする、まあ従姉妹の受け売りなんですけど」
 ライは笑顔でいった。
 スザクはその笑顔に思わず笑顔になる。


87 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 00:27:11 ID:ha0Y4vCi
ライとスザクはブラブラ租界を歩く。
 途中でよった売店でクレープを買って食べた。
「う〜ん、おいしい、この苺パフェクレープ、これに紅茶がついてたら最高なんだけどな」
 ライは幸せそうな笑顔でクレープをぱくついている。
 それをスザクは唖然としてみていた。
「あ、やっぱり変かな、男が甘い物が好きだなんて」
 ライは恥ずかしそうな顔をする。
「いえ、そんなことはないですよ」
「そうか、でもこうしてみるとブリタニア本国とそう代わらないな、トウキョウ租界は」
「ライは本国から?」
「う〜ん、家は本国にあるけど、今まで世界中飛び回ってたからあまり本国には帰ったことない」
「世界中?ライは何でエリア11に?」
「仕事できたんだよ」
「仕事?ライは学生じゃないの、仕事って何やってるの」
「さっきから質問ばっかりだな」
「あ、その、すいません」
「いいよ、仕事に関しては秘密、学生はやっていない。
 今日が最後の休日でね、だから見ておきたかったんだ、このエリア11を
 母の故郷を」
「母?」
 その言葉にスザクは首をかしげた。
「ああ、僕、こう見えて日本人とブリタニア人のハーフなの、あまりそう見られないけど。 
 でもエリア11、いや日本に来るのはこれがはじめて」
「そうなんですか、でも僕じゃなくても」
「いや、君でよかったよ」
「そうですか」
 スザクは照れたようにいった。
「ライは何か格闘技でもやってるの」
「ん、何で?」
「歩き方もバランス取れてるし、さっきの受身も素人ができるものじゃなかった」
「ん〜、それも内緒、想像に任せるよ」
 ライは口に指をあて悪戯っぽく微笑んだ。

88 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 00:28:11 ID:ha0Y4vCi
街灯テレビではさっきからゼロに関するニュースが流れている。
「ゼロか」
 そのニュースを見てライは呟いた。
 スザクは顔をしかめているようだ。
「スザク、もう一箇所だけ案内してくれないか」
「何なりと思うしけ付けください、我が君」
 スザクにふざけた口調で西洋式の礼をとる。
「では、シンジュクに」
 その言葉にスザクははっとなる。
「僕を、いや私をシンジュクゲットーに案内しなさい、枢木スザク一等兵」
 先ほどとは違うライの雰囲気にスザクは驚く。
(まるで王に命令されてるようだ)

「対象、ゲットーに入るようです」
「我々もゲットーに入ります」


89 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 00:28:58 ID:ha0Y4vCi
シンジュクゲットー

 傾いた旧都庁 崩れかけた歌舞伎町の門
 シンジュクはかつてのアジア最大の繁華街の面影を残していなかった。
 さらにはこの間のシンジュク事変でさらなる破壊と犠牲が出た。
 ライ達はシンジュク事変の犠牲者の慰霊碑と墓地の前にいた。
 墓地や慰霊碑といっても立派な物ではなく鉄骨やパイプを地面でさして
 できた簡単な物ばかりである。
「シンジュクはもう終わりです、ようやく人が戻ってきたのですが・・」
 ライは掻かんである墓に供えられている人形を手にとった。
「どんな気持ちだったんだろうね」
「え?」
「どんな気持ちで死んでいったんだろうね、ここの人たちは」
「ライ」
「僕にはそれを想像することと祈ることでしか追悼の意を表すことができない」
 ライはさびしそうな顔で人形を元に戻した。

「あ〜あ、やっぱりイレブン相手にはRCは使ってないな」
「見ろよ、これ・・・」
 この雰囲気には場違いな声が聞こえてきた。
 どうやらブリタニア人の軍事マニアが来てるらしい。
 ライはその声を聞いて露骨に不快そうな顔をした。

「出てけよ、このブリタニアの豚ども」
 先ほどの軍事マニア達に玉城は怒鳴った。
「ん・・」
「ここにいて」
 スザクは駆け出した。
「いや、僕も行く」
 ライもスザクの後すぐにを追った。

90 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 00:29:57 ID:ha0Y4vCi

「やめてください、暴力は!!」
「邪魔すんな!!」
 止めようとしたスザクを玉城は振り払った。
 そのショックでスザクのグラサンが取れた。
「あ・・」
「こいつ・・」
「お前枢木スザクか」
 玉城達にスザクに気づいた。
「クロヴィスをやった枢木・・」
「馬鹿。やったのはゼロだろ」
「けっ、こいつはただの奴隷だよ、何が名誉ブリタニア人だ、嬉しそうに
 プライドも仲間も魂も売って、それでも日本人か」
「違う!!僕は」
 玉城の激高にスザクが反論しようとしたその時
「そこまでだ、スザク」
 後から来ていたライの声が響いた。
「何だ、てめえは」
 ライはスザクと玉城の間に割って入った。
「まあまあ、君達も落ち着いて、僕は彼の連れだよ。
 君達の言いたい事も良くわかるけどここは一旦引いてくれないか。
 彼らには僕がよく言っておくから」
「てめえには関係ないだろう!!このブリキ野郎!!」
 玉城はライに殴りかかってきた。
「危ない!!」
 スザクが叫ぶ。
「聞く耳持ってくれないか、残念だよ」
 ライは玉城の拳を見切ったように軽くかわし
 右手を突き出した拳のひじ辺りに軽く置いた。
「うわぁ!!」
 玉城は空中で一回転し地面に尻餅をつく。
 それを見て玉城の仲間達は驚くが一番驚いたのは
 スザクだった。
(今のは合気!?)
「まだやるかい」
「くそぅ」
 玉城は立ち上がってライのほうを睨みつけるが
「おい、もういいだろう、こいつやばいぞ」
「ちっ、今度あったら覚えて気よ、そしてそこの裏切り者が」
「何かいかにもチンピラの捨て台詞だな」
 ライのセリフは玉城に聞こえなかったらしく
 そのまま行ってしまった。

91 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 00:30:48 ID:ha0Y4vCi
「ライ!!」
「スザク、大丈夫か、ケガはとかしていない」
「君のほうこそ、それより今の技、君は一体何者なんだ」
「僕は・・「大丈夫じゃないよ」
 ライの声は今まで存在を忘れていた軍事マニアによってかき消された。
「何で逃がしたんだ、やっちまえよ「黙れ」
 スザクを責める軍事マニア達の声は今度はライによってかき消された。
 それはひどく低い声で底冷えしそうな声だった。
(ライ!?)
 スザクは先ほどとは又違うライの雰囲気に又驚いた。
「何だよ」
 その雰囲気に気づいた軍事マニア達は少し怯えるように言った。
「黙れと言ったのだ。この下郎、下種、愚民が」
「何だと」
 そこまで言われて軍事マニア達も怒りを表す。
「貴様らがまずやるべき事はまずはスザクに感謝することとさっきの言葉を訂正し
 謝罪することだ、イレブン風に地面に頭をこすり付けてドゲザでな」
「ふざけるな、何で俺達が名誉にそんなことしなきゃならないんだ」
「ふぅ、口で言ってもわからぬなら実力を持ってしてでもわからせる」
「お前何いっ・グハ」
 軍事マニアの一人に顔面に衝撃がとんだ。
 ライはすかさず掌低を男の胸に当てた。
 男は吹っ飛び地面でのた打ち回る。
「ゲー、ゲホッ」
「おい、お前何やって・・ゲハッ」
 驚いたもう一人の男にもライは顔面にけりを入れた。
 そして膝で男の下腹部をける。
 男は先ほどの男のように地面にのた打ち回る結果になった。
 この間5秒ともかからなかった。
 ライは地面にうずくまる男達を見下ろし
「いいか、ここにきたら殺されても文句は言えないんだ。
 これぐらいですんだ自分の幸運に感謝するんだな」

92 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 00:32:25 ID:hxl6Dgcb


93 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 00:32:40 ID:hxl6Dgcb


94 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 00:32:56 ID:hxl6Dgcb


95 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 00:33:10 ID:hxl6Dgcb


96 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 00:33:30 ID:hxl6Dgcb


97 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 00:34:06 ID:hxl6Dgcb


98 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 01:07:49 ID:m5/fdBNK
支援


99 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 01:10:37 ID:ha0Y4vCi
 ライの望みどおり地面に頭をこすり付ける結果になった男達を
 とりあえず無視することにした。
「さて、行こうか」
「でも、こんな暴力で・・」
 スザクは何か言いたそうだったがライは先に言った。
「僕は暴力はすべて否定しない」
「え・・?」
「何かを守るため、何かを貫くためなら僕はいくらでも暴力を行使する」
「でも、それは・・」
「否定したいというならそれでも良い、自分の考えが正義というほど僕も
 傲慢じゃない、ただ僕の邪魔をするなら全力で叩き潰す」
「でも、やっぱり暴力で解決しようなんて間違ってる、今この世界を覆う憎しみの連鎖
 飢餓、病気、貧困、汚職、テロリズム、戦争、誰かが止めなければならない。
 暴力を使えばその連鎖はとめられない、だから暴力は・・」
「ちょっと待て、君は英雄にでもなるつもりか」
「え?」
「君が言ったそれを止められる人間、理想と現実を限りなく近づけるもの
 それを人は英雄と言う」
「違う、僕はそんなこと不可能だってわかってる、でもせめて戦争がない世界を
 そうしなければ父さんが無駄死にしたことになる」
「枢木首相か・・スザク」
「はい?」
「死んだ者のために生きるな、生きてる者のために生きろ。
 僕が君に言えるのはそれだけだ」
「・・ライ」

100 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 01:11:40 ID:hxl6Dgcb


101 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 01:11:53 ID:ha0Y4vCi
ドカン!!
 2人の間に爆発音が響く。
 墓地の近くにある旧国立競技場からのようだ。
 ライとスザクが向うと1機のサザーランドが複数のサザーランドに囲まれている。
「スザク君!!」
 特派のトレーラーがスザクたちの前に止まり、中からセシルが顔を出す。
「セシルさん、これは?・・」
「純血派だよ、内ゲバって奴」
 後から顔を出したのはロイドだった。
(内ゲバ?・・なるほどそういうことか、あの中にいるのはジェレミア卿か、この人はロイド博士か)
 ライは大体のことを察した。
 キーッ
 今度はライの前に黒いワゴン車が急ブレーキで止まった。
「司令、ご無事ですか」
 運転席から男が顔を出す。
「ああ、僕は大丈夫だ、それより副司令は、どうせ僕のことずっと監視してたんだろ」
「すぐにこられると思います、早く乗ってください」
「いや、僕はやらなければならないことがある」
 そう言ってライは駆け出した。
 ランスロットが複数のサザーランド相手に戦闘を始めた。
(あの動き、さすが第7世代機、パイロットの腕も相当良くなければあの動きはできない)
 ランスロットが複数のサザーランドを圧倒する姿にライは感心せずにいられなかった。
 キューエルがケイオス爆雷を使った。
(しまった!!)
 このままではライも巻き添えになるスザクがそう思ったその時、
 ドッカン!!
 ケイオス爆雷はミサイルにより撃墜された。
 戦闘ヘリがミサイルを発射したのだ。
 他にもサザーランドや戦車、装甲車が競技場になだれ込んできた。
「何だ?」
「これは?」
「一体・・どこから」
 この事態にキューエルとスザク、セシルも驚く。
『あー、聞こえるか、こちらは統帥府直属帝立特務遊撃師団副司令ファランクス大佐だ。
 特派のパイロットに純血派のパイロット、君達が内ゲバで壊滅しようがどうなろうが
 私はこれっぽっちも興味はないが今すぐ戦闘をやめなさい』
 装甲車の上からマイクを持って拡声器でアルは冷静に言った。

102 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 01:12:51 ID:ha0Y4vCi
「ふざけるな、独立愚連隊風情が何のつもりだ」
 その言葉はキューエルの怒りを勝った。
『何のつもりだと、君達がやってる事は十分軍規違反だ、わざわざ止めに来たのだから
 むしろ感謝してほしいぐらいだ』
「ふざけおって!!」
 キューエルのサザーランドの銃を今度はアルに向って突きつけられた。
 特撃はすぐさま迎撃体制にうつった。場に緊張がはしる。
「やめないか!!」
 その緊張を破ったのはライの叫ぶ声だった。
「私の名前はライエル・エス・ブリタニア、皇位継承権第271位、ブリタニア軍中将、統帥府直属帝立特務遊撃師団司令
 そしてこのエリアの副総督に内定している」
「ライ・・」
「ライエル・・皇帝陛下の甥君だ」
「ライエル・・蒼き閃光・・マリアンヌ様の再来」
 すぐさまキューエルは銃をおろした。
「どんな事情があるにせよ、このような私刑(リンチ)まがいの行為、ブリタニアの騎士として
 恥ずべき行為だ、ブリタニア皇族として、ブリタニア軍中将として、このエリアの副総督として
 命ずる今すぐ武装を解除して戦闘を停止せよ」
「「「イエス、ユアハイネス」」」
 すべてのナイトメアが武装を解除し、腰を落とし礼の体勢をとった。
「ロイドさん、知ってたんですか」
「う〜ん、あまり表立って注目はされてないけどね、そして僕の依頼主でもある」
「依頼主?」
 その言葉にセシルは首を傾げるが後日その意味を知ることになる。

103 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 01:13:00 ID:hxl6Dgcb


104 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 01:13:40 ID:ha0Y4vCi
「ライエル様」
 ランスロットから降りたスザクは、ライの前に礼の姿勢をとった。
「知らぬとはいえ、数々のご無礼お許しください」
 ライはそんなスザクを見て、
「ライだ」
「え?」
「2人きりのときはそう呼べ、僕もスザクと呼ぶから」
「ですが・・」
「これは命令」
「はい、ライエルさ、あっ」
「まあ、いいだろう、スザク」
「はい」
 ライは真剣な顔でスザクを見る。
「僕は英雄になろうと思う」
「それは・・」
「理想と現実を限りなく近づける、できるだけ人を殺さなくてすむ、死ななくてもすむ
 できるだけ優しい世界を作ろうと思う、君はどうする」
「ライ・・」
「ただその理想を作るのはあくまで僕の欲望だ、君のため、誰かのためというつもりはない。
 それでも僕についてくるか」
 そう言ってライはスザクに手を差し伸べた。
 夕日がライの後光のようにさした。
 スザクは涙があふれ出た。
 あの日以来、はじめて人から手を差し伸べられた。
 スザクは自然と手をとり自然とこの言葉が出た。
「イエス、ユアマジェスティ」
 このときの事をスザクは後にこう後述している。
『この人こそ僕の王であり僕の主だとそう思った』

105 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 01:15:42 ID:hxl6Dgcb


106 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 01:15:55 ID:hxl6Dgcb


107 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 01:18:39 ID:m5/fdBNK



108 :Mrスケアクロウ:2009/01/12(月) 01:19:10 ID:ha0Y4vCi
終了です。支援ありがとうございました。
ユフィは一応出す予定です。
しかし女性と絡まないな、さびしい。
ライはプライベートは『僕』公務では『私』と使い分けています。
蒼き閃光はライの二つ名
指揮官、戦士としても優秀なのでマリアンヌ様以来の天才と呼ばれ
唯一彼女の二つ名を受け継いでいる。

109 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 01:30:52 ID:DMn8TrO/
>>108
乙です。物語が動き出してますね。
スザクとライが出会うことで、今後互いにどんな影響を与えながら世界を変えるんだろう。
今後の展開をお待ちしています。

110 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 01:44:45 ID:cQjwb/6D
>>108
Mrスケアクロウ卿、GJでした!
ユフィでなくライが副総督となり、起こるであろう変化の数々が楽しみです。
ユフィがどう出てくるのかも気になりますね。
この主従の行く道はどのようなものとなるか。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

111 :創る名無しに見る名無し:2009/01/12(月) 05:11:58 ID:vI/m4lyI
>>108
面白かったです!
特派編のスザクとの共闘とはまた違った関係性に。これは新鮮だー
ゼロと、ルルーシュとの出会いはどんなものになるんでしょうか。
続き気になります。楽しみに、お待ちしてます。

112 :テリー:2009/01/12(月) 22:44:22 ID:ilhX++Ik
どうも今晩は、45分に投下します!

113 :テリー:2009/01/12(月) 22:46:20 ID:ilhX++Ik
時間になりましたので投下します!

「明日の為に 第七章  黒の騎士団編」

5レス位でしょうか

114 :テリー:2009/01/12(月) 22:49:08 ID:ilhX++Ik
「明日の為に」


第七章    黒の騎士編


町からさらに北には昔ゲットーと呼ばれる場所があった。それは廃墟の町、
死んだ町とも呼ばれていただろう。その様は8年の間に見違えるまでに激変した。
今では立派な町並みとなっている一大都市として世界に誇れる町となっている。
その町並みを漆黒の軍服(学ランを思い浮かべてください)にコートを身にまとった
白銀の青年が歩いている。
(こんなに立派になるなんて)
日本を離れて6年間の間にすっかり変わってしまったゲットー、けれどもライは
うれしかった。人は絶望から見事に立ち直ったのをしみじみとその肌で感じて
いたからだ。


町を歩いているうちに夜になったていた。その中でとある大きな公園に入っていた

無意識に・・・・

その公園の中で大きな時計台がある場所の前に立っていた
「・・・・・・・・・・・・・」
その前で佇むライは昔を思い出し切なくなり、目頭が熱くなって顔を帽子で隠した。
「来ていたのか、ライ」
「・・・・・・ルルーシュ」
「やっぱりここだったのか」
「わかってたのか?」
「当然だとも、俺の親友の行動パターンはだいたい読める」
「・・・・・・・・さすが、ルルーシュだね」
黒のスーツに黒のネクタイ黒のコート、それはある意味で喪服を表しているようだが
ライにはそれが“似合う”と思うのだ、もともと黒が好きそうだったし。



115 :テリー:2009/01/12(月) 22:52:10 ID:ilhX++Ik
「・・・・・・懐かしいな」
「ああ、8年前・・・・・全てはここから始まった」
「あの時はお互いに警戒しっぱなしだったよな」
「ああ、まだお前を“使える駒”としか思ってなかったからな」
8年前、ここがまだゲットーだった時、カレンに連れられ訪れた廃墟の中
そこでゼロとしてのルルーシュと出会い、黒の騎士団に入団した。
この時計台はそのアジトがあった跡地に建てられた場所だった・・・・。

ルルーシュとは学園で最初に出会ったけれど、それはまだ“仮面”を被って
いた偽りのルルーシュとの出会い。本当の姿としてのルルーシュと出会った
のは、ここだった・・・・そう思っているライ。
「あの時、ライが側で支えてくれなければ、ここで出会っていなければ・・・・
今の俺は無かっただろう」
「大袈裟だなぁルルーシュは」
「本当の事だ、そう思ってる」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・本当に行くのか?あの沖縄の海に」
「ああ、変わりはないよ」
「なあ、考えなお、ヘックシュ!!」
「寒いからな今の時期は、ん?」


ふと目に入ったのは赤いノレンに赤い提灯に屋台


「いらっしゃい」
「おじさん、熱燗2つ」
「へいよ」
「こういう所はいつ来てもいいな」
「来た事が?」
「ああ、スザクに扇やカレン、C・Cに誘われてな」
「C・Cに?珍しい事もあるんだなぁ」
「お待ちどう」
「ありがとう、おじさん!がんもとちくわに大根を」
「俺は、はんぺんとこんにゃく、あとつみれを」
「あいよ」


116 :テリー:2009/01/12(月) 22:55:11 ID:ilhX++Ik


「・・・・はー、沁みるなぁ」
「ここの熱燗は日本一の美味さだからな!」
「おでんも絶品だなぁ、心に沁みる」
「お兄さん、ライ君だろう?」
「え、知ってるんですか?僕を」
「ええもちろん―――」
そう言っておじさんは町を見る
「この町、人の表情、日本そのものを変えた、救ってくれたのは、あんただからねぇ」
「いえ、そんな事」
「いや、俺も同感だよ。お前は全てを変えた男だ、俺も変えられたその一人だからな」
「ルルーシュ」
はんぺんをほおばるルルーシュの表情はどこか寂しげだった。
特区の式典で暴走したギアスで取り返しのつかない事をしてしまった。もう少しで
地獄を見るところだったのを止めてくれたのが隣にいるライだった・・・・・。
もし間違えれば死んでいたと言うのに、命も投げ出して・・・・・その2年後、
ライは自身で造り上げた艦隊を率いて長い旅に、戦いにでたのだ。
「6年前のあの時、お前がラウンズになると聞いて愕然としたよ。でも、すぐに
お前の考えだからだと気付いた」
「・・・・・・・・・」
「ラウンズの中でもワンになればそれなりの無茶ができる。それに、ブリタニアを
変えれば世界が変わる・・・・その中で一番父に近くにいれる・・・・しな」
「さすがルルーシュだな、おじさん!熱燗もう1つ」
「俺ももう1つ」
「あいよ・・・・良いですなぁ親友は」
「「?」」
「私にも沢山の友人がいます。その中でも親友と呼べる友は・・・・クロブィスに
殺されましてね・・・・・」
「そうだったんですか」
「・・・・・・・・・」
「でもね、私は憎みはしなかったんですよ。当時は生きていくので精いっぱいで
とてもそこまで思えなかった・・・・・それから数日たった時に公園で学友と
話す少年が言ったんです




117 :テリー:2009/01/12(月) 22:58:08 ID:ilhX++Ik
―――死んでいった仲間は僕達を明日に導くために自分を犠牲にした、だから
無駄にしちゃいけないって言うけど、僕はそれ以上に悲しんじゃいけない
と思う。涙を流してばかりじゃ前に進めない、憎んでばかりじゃ自分を
見失って死んでいく・・・・だからそれを踏み越えて行かなきゃいけない
その人が生かしてくれた・・・・大切な・・・・命だから―――

とね」
「そんな事が」




「・・・・・ライ」
「ん?」
「どんなにお前が遠くに行こうとも、死んでしまっても、俺はお前と共に
いる事を忘れないでくれ。俺の心は常に、いや、俺だけじゃない、スザクも
みんなの心はお前の側にあること・・・・・忘れないでくれ」
「・・・・・・・ふ、もちろんさ。何があっても」
「うん・・・よし!今夜は飲み明かそう、おじさん!もっと熱燗を」
「あいよ、今夜は私のサービスです」
「ありがとうおじさん、ありがとう、ルルーシュ」
「礼は全てが終わってからにしようじゃないか」



ボオオオオオオオオオオオ!!!



「この音は?」
「夜汽車ですよ、ここは静かでよく聞こえるんです。この蒸気機関車は特別列車でして
この汽笛を聞くために訪れる人も多いんです」
「本当だ・・・・・・何だかこの汽笛も心に来るなぁ」
「ああ、そうだな。力強いいい音だ」


「・・・・・・ルルーシュ」
「ん、何だ?」
「またここで飲もう、この場所で、この汽笛を聞きながら!」
「・・・・・ああ、必ずだ!」


118 :テリー:2009/01/12(月) 23:00:33 ID:ilhX++Ik
以上です!黒の騎士団編はゲームでも話す内容が濃いから
いろいろ書いていきます!!

119 :創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 02:01:48 ID:8Bjw6Orm
>>118
テリー卿、乙でした。
再生した廃墟、無意識に思い出深い場所へおもむくライとその行動を推測しやってきたルルーシュ。
互いに信頼を築きあった過去、そして二人でおでん屋にいる現在。
友の想いを聞き、そして互いに約束をする。
なかなか王道、しかしそれ故にいいかんじ。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!


>>116誤字
クロブィス→クロヴィス ですよね。

120 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2009/01/13(火) 23:36:40 ID:9rl/rkMe
45分より、代理投下を開始します。

121 :代理投下・ぷにぷに:2009/01/13(火) 23:45:14 ID:9rl/rkMe
ぷにぷに卿の代理投下です。

長編の前日譚とのことで、前書きと後書きは後日は後日とのことです。

10レス位になるのだろうか……よくわからないので、支援頼みます。

122 :創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 23:46:10 ID:8Bjw6Orm
支援

123 :代理投下・ぷにぷに:2009/01/13(火) 23:46:17 ID:9rl/rkMe
彼は信じていた。
大事だからこそ自分は遠ざかるべきだと。
守る為にも今一度ギアスを使うべきだと。
『みんなが、僕を忘れますように』
彼が願った想いは世界を変えていく。
それは光り輝く色の様な最後の願い続ける想い。
だが、彼がもう一度目覚めて見たのはその願いの色を失った世界の姿だった。
願い続ける想いを捧げた過去。
願い続ける想いが壊れた今日。
願い続ける想いも失った明日。
その中を彼は静かに歩きはじめていく。
歪んだ世界の中を、自分も歪ませてしまった世界の中を。

UNDERGROUND SIDE
『―ORDER:王の力―』

「V.V.様、彼女はこのまま?」
幼さを残した顔を無表情にしたまま少女、アリスは自分よりも年下であろう少年に恭しく話しかけた。
いや、幼いのは外見だけでありこの少年の姿をしたV.V.はアリスの何倍も生きている。
その彼はそうだねとだけ言い残してどこかへと去っていく。
残されたアリスは同い年である車椅子に座って眠っている少女を連れてどこかへと姿を消していった。
アリスから離れV.V.は再び象形文字が描かれた壁画の前に立つ。
彼が壁に触れた瞬間、壁が光り輝き彼を神殿の様な場所へと運んでいく。
「またここに来てたのかい、シャルル?」
「今ユーフェミアと話していたところです、兄さん」
彼の前にいる老人、いや老人と呼ぶには衰えを感じさせない人物。
神聖ブリタニア帝国弟九十八代皇帝シャルル・ジ・ブリタニア、彼等は兄弟にして最初の同志だった。
V.V.はシャルルの言葉を聞きながら彼の横に立ち報告を兼ねた会話を続けていく。
「ナナリーには驚いたけど出向いた甲斐はあったよ、面白い子供にも会えたしね」
「ほう、珍しいですな。兄さんが他人に興味を持つとは」
「シャルルに似ていたからね」
「それは是非とも会いたいですな」
シャルルが二人きりであるこの場で世辞を言う必要性はなくV.V.もそれはわかっている。
恐らくは本音だろうと、その言葉にV.V.は顔を崩して返答した。
「だったら会いに行こうか」

ライが最後に見た、そして最後に見る筈だった世界。
だが、今の彼はその世界とは違う場所にいた。
「こ、こは……」
虚ろな顔したまま彼は何が起きたのかわからず周りを見渡していく。
様々な絵が数知れず飾られた通路、まるで美術館の様な場所。
この状況を把握できず視線を幾度も右往左往させて彼はようやく見知った人物を見つけた。
「C.C.……?」

124 :創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 23:46:44 ID:8Bjw6Orm
支援!

125 :代理投下・ぷにぷに:2009/01/13(火) 23:47:01 ID:9rl/rkMe
確かに見知った人物、しかし纏っている雰囲気が自分の知っている彼女と幾らか違っている。
黒い拘束着を着た彼女はライを見つけ不思議そうな顔をしながら彼に声をかけた。
「貴方……私を知っているのね」
「何を言っているんだ……」
「……そう、ライというのね」
「ここは……どこなんだ……?」
ライはあまりにも不可思議な反応をするC.C.。
そして現実味を帯びない世界の空気に自分がどこにいるのかわからなくなってしまう。
自分の記憶の中なのか、答えを探すかの様に再度周りを見渡した時。
壁に飾られている絵が独りでに動き出していく。
『未練はある。だから未練はない』
『それを未練という気もするがな』
「貴方を気に入っていたみたいね、そうでなければここには来れない」
「……これはC.C.の記憶なのか?」
「そう、これは私の記憶。干渉できない過去の世界、変化のない過去の事象」
彼女の言葉と共に壁に飾られた絵が一斉に息を吹き返していく。
無残な姿で歩いている記憶。
教会でシスターとの契約を交わした日の記憶。
自分の深層意識の願いである他者からの愛情を浴びる日々の記憶。
幾人の男性と夜を過ごした記憶。
シスターから呪いを受け取った記憶。
マオに僅かな願いを残した記憶。
日本での記憶、中華連邦での記憶、ブリタニアでの記憶、EUでの記憶。
記憶、記憶。記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶記憶―――――
幾重にも重なって見えてくるC.C.の過去。
それを見終わった後、ライは彼女に再度視線を合わせた。
「貴方は嘲笑うのかしら、私の過去と願いを」
「いや……わからなくもない……だが、それでも理解には苦しむな……」
「おかしな人ね。でも、そんな貴方だから私は一時でも思うところがあったんでしょうけど」
「へえ、それは意外だな。君も少しは変わったんだね」
「っ……V.V.……か?」
「V.V.?」
突如として現れた少年にライは自分の見知った人物であるV.V.の名を呼んだ。
だがV.V.と呼ばれた少年は自分の姿をいぶかしそうな目で見直している。
暫く無言の後、ああと頷いてからライへと言葉を返した。
「記憶の置換は完璧みたいだね、残念だけど僕はV.V.じゃない」
「なんだと?」
「貴方―――――」
「非礼は謝るよ。それに今回は彼に用があるだけだから心配しないで」
自分を蚊帳の外にして話を進める二人を見比べながらライはある答えを出していた。
この二人は世界で出会った事のある二人ではないのだと。
そしてV.V.の姿をした少年は―――――
「お前は僕にギアスを与えた……」
「そうだ、そして私の姿に意味はない。この様にな」
「なっ……!?」
ライの目の前から突如として姿を消したV.V.の姿をした少年。
それと同時に耳の側から聞こえてきた声の方へと彼が振り向くとそこには自分と同じ姿をした人物がいた。
時代がかった衣装に身を包んだ自分の姿をした人物が。
「姿形など意味は成さない、特に私にはな。さて、お前には契約を果たしてもらうぞ」
「契約……だと? 今更どうしろというんだ」
「私の願いはお前の願いへと繋がる。さあ、今一度の目覚めと共に最後の―――――」
ライの姿をした人物がライへと手をかざした瞬間、彼の姿はこの世界から消えていく。
まるで最初からこの場所に存在しなかったの様に。
それを見届けた後、終始黙っていたC.C.は口をゆっくり開いていった。
「変わらないわね」
「ふっ……私は傍観者であって実行者ではない、観察者気取りにも好きにさせるだけだ」
言葉と共に微笑みだけを残してライの姿をした少年も姿を消す。
その少し間を置いてC.C.も記憶の絵へと視線を移しながら姿を消していく。
いつか見た日々へ届かない呟きだけを静かに残して。

126 :創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 23:47:11 ID:8Bjw6Orm
支援

127 :代理投下・ぷにぷに:2009/01/13(火) 23:47:51 ID:9rl/rkMe
バトレー・アスプリウス、彼について少々振り返ってみよう。
かつてクロヴィス、コーネリア、シュナイゼルと皇族達の下で仕えていた人物。
その彼も今では皇帝の命を受けるまでになっており事実だけ見れば人は栄転や栄進と羨むのだろう。
しかし、彼自身はそう思っていなかった。
皇帝より下された命は彼にとってオカルトであり狂気であり不可思議なものだ。
その象徴たる存在、自分が押している車椅子に乗せた銀髪の少年。
自分が携わっていた研究のデータバンクにある生体データに一致する記憶には存在しない人物。
「バトレー将軍……」
「言うな、事実は変わらん。現に人工授―――――」
「やあ、遅かったね」
壁画らしきものの前で待っていたであろう彼のもう一人の主。
少年の姿をしたV.V.と名乗る人物に声をかけられバトレーは萎縮をしてしまう。
額から汗が少し吹き出て胃が痛くなりながら彼は慎重に言葉を選んで話しかけていく。
「お連れしましたが意識は―――――」
「それについてはいいよ。ジークフリートは?」
「そちらの回収は順調です、明日には完了するかと……」
一応は話を聞いているのだろうがV.V.の視線は銀髪の少年を眺めているだけ。
これ以上の問答は必要ない、その言葉は出さず態度だけで意思を伝える異形の少年。
V.V.が醸し出すその空気を察したバトレーは連れていた部下と共に急いでその場を離れていく。
壁画の前に二人きりになり静穏な空気が場に生まれていく。
だが、それを壊するかのように壁画は赤みを帯びて遺跡を静かに揺らしはじめる。
神根島―――――
かつて銀髪の少年が眠りについた地であるこの遺跡は奇しくも彼の目覚めを誘う為に動きはじめていく。

ライは目まぐるしく変わる世界、景色、記憶の渦の中を通り抜け自分が生きている実感を感じた。
しかし急激な意識の覚醒や脳が異常を知らせるシグナル等で彼は目覚めて早々に嘔吐してしまう。
幾度か嘔吐しながらも彼は体の異常よりも自身が何処にいるのかを知る為に視線への神経を集中させた。
「っ……ここは……神殿か?」
見慣れぬ風景、見慣れぬ構造物、それが何を指しているのかを知るよりも彼が周りを見渡した時。
自分の目の入ってきた人物達に驚愕した。
「V.V.……それに……ブリタニア皇帝……か!?」
「ほう、一応は知っておるのか」
「急に目覚めるから驚いたよ、久しぶりだね」
ライは視線に入った二人に集中しながらも現状の把握に努めた。
自分は車椅子に乗っていたであろう事。
目覚めた拍子に落ちて今は地面に体の全てを預けている事。
体の異常はまだ感じられ力は然程も入らない。
つまり、抵抗しようにも抵抗できない状況にいるという事を彼は悟った。
「……お前達が僕を……目覚めさせたのか?」
「君の願いを邪魔してすまないね、でもシャルルが会ってみたいって言うからね」
「貴様は力を持っておるそうだな」
「ギアスの事か……それを知っているという事は……」
少しずつ目覚めた疲労が抜けていきライの思考がクリアになっていく。
ギアスの存在、V.V.の存在、二人がここにいるという事実。
少ない情報からでも彼にはわかった、この二人はギアスを熟知しているという事を。
「それで……一体なんの用だ」
「その力、C.C.から手に入れた物か?」
「C.C.まで知っているのか……答えはノーだ」
「知っておるのか、C.C.を。彼奴は今どこにおる」
「知らないな……お前達の知るC.C.は気紛れな女じゃないのか?」
ライは目覚めさせられた事よりも今この状況をどう切り抜けるかを優先していた。
彼の最後の願いである自身の忘却は既に叶っている。
だがここで知りうる事全てを話せば彼の守りたい人達を傷つける、彼の直感はそう告げていた。
それを防ぐ為にも駆け引きをするべきだと彼は即座に判断する。
例え危険な綱渡りであったとしても―――――

128 :創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 23:48:00 ID:8Bjw6Orm
支援!

129 :代理投下・ぷにぷに:2009/01/13(火) 23:49:09 ID:9rl/rkMe
「今はどこにいるのかは知らないがC.C.とは黒の騎士団で出会った」
「へえ、そうだったんだ」
「お前達の目的がなにかは知らないがC.C.との接点が欲しいのなら、僕に聞くより黒の騎士団を探し続けたらどうだ」
「それは真実か、それとも―――――」
「僕は嘘が苦手だ」
小さな真実を幾つか鏤めて大きな嘘を隠す。
駆け引きの常套手段の一つであり、相手は自分の人物像を把握していないと仮定して彼は話を進めていく。
だが咄嗟の行動であり教えられる真実を見誤れば周りだけではなく彼自身も終わりを迎える。
暫しの無言の後、言葉を全て聞いていたシャルルは威厳を害わない声でライへ向けて大声で笑い出した。
その思惑を見抜けたのかどうかは悟らせずに。
「なるほど、確かに似ておりますな。兄さん、此奴はどうするおつもりです?」
「会わせたかっただけだからね、用が無いのなら彼の願いの続きを叶えてあげたい位だね」
「では、この命は我等が預かりましょう」
「それもいいかもね、シャルルに並ぶ力を持っているし」
二人のやりとりに耳を傾けながらライは床に視線をゆっくりと落としていく。
鏡の様に反射する床の作りに違和感を覚えながらその床に自分の顔が映った時。
自分の両眼が願いを叶えた力の象徴であるおぞましい赤みを帯びた紋章を宿している事に気付いた。
(暴走している……マオと同じだな……これじゃ……)
状況が不明瞭の中、わかっているのは自分の眠りは妨げられた事。
この二人がC.C.を探している事、自分の願いは叶っているという事。
そして懸念していたギアスの暴走は既にはじまっているという事だった。
僅かな情報を拾い集めて彼が思った事は、自分が守りたい人達を傷つける事を防げたという事だけ。
ゆっくりと目を閉じ自分が今なにをすべきか、なにができるのか。
なにもかもがわからない中、それは出口の見つからない迷宮を彷徨うかの様に。
その中で答えを探すかの様に目を開いた彼が見たのは―――――
(なっ……ギアスのオフができている!?)
見慣れた目の色だった。
体の異常もギアスによるものだと彼は思っていたが明らかに違っている。
情報の少なさと自身の変化に戸惑っている彼を事態は待ってはくれず刻一刻と変化していく。
「それじゃ彼を連れて戻る事にするよ、考える時間も必要だろうからね」
ライが動揺している間にV.V.は彼の傍に寄り肩を掴んだ刹那。
視界が歪んでいく感覚に包まれながら彼が視線を上げた先には見覚えのある壁画やサークルがあった。
「ここは……神根島の遺跡か?」
「そう、君が眠りについた場所だよ」
視界が二転三転する事が彼の混乱を収束させない、しかし考えを止める事は出来ない。
その疑いの眼差しをV.V.に向けたが既に歩き出しておりどこかへと向かうようだ。
「どこへ行く?」
「野暮用だよ、またここで会おう」
「このまま逃げ出すかもしれないぞ?」
「それも君の自由だよ、好きにすればいい」
そうしてV.V.はライへの同行者も残さず姿を消していった。

130 :創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 23:49:22 ID:8Bjw6Orm
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131 :代理投下・ぷにぷに:2009/01/13(火) 23:49:57 ID:9rl/rkMe
「ちっ……このままでは不味いな……」
無残な姿に一糸も纏わず地面を這いずる少女、C.C.は森の中を少しづつ移動している。
彼女はKGFジークフリートとの対決の際にガウェインと共に海中へと沈み心中を謀ろうとしたのだ。
だが、潜行するにつれ水圧が上がりガウェインはそれに耐え切れずに瓦解。
結果として彼女は機体外部に放り出され海上に打ち上げられる事となった。
そして意識を明確に覚醒させてから視界に入ったのは見覚えのある服装を身に付けた集団。
彼女がかつて所属していたギアス嚮団の僧衣だった。
(目的は遺跡……というわけではなさそうだな)
幸いにも彼等の目的は彼女ではなく違う物の探索に執心している。
そのおかげで満身創痍ながらも彼女は彼等に見つからず森の中へと姿を隠せた。
しかし、それでも事態が好機ではないのも確かである。
不死者である彼女だが傷が瞬時に治るというわけでもない。
銃創等の少ない箇所ならばそこまで問題は無い、しかし彼女は海上に打ち上げられるまで高水圧の中に晒され続けていた。
水中では服はバラストにしかならず彼女は服を脱ぎ捨てている。
その甲斐も合わさりなんとか彼女は水面へと辿り着けた。
(さて……あの間に何回死んだかな……)
絶命と再生を繰り返しながらの浮上、それは常人のする事ではなく彼女は自分が不死者である事を再度教えられた。
そして今の状況だ、見つかれば逃げられる可能性はない。
そう、自分に近づいてくる足音が聞こえてくるという事はもう逃げられないのだと。
諦めと抵抗、その両方の中で彼女は今も地面を這いずっている。
「―――――C.C.なのか?」
「……その声は……どういう事だ、ライ?」
彼女はいよいよ幻でも見えるようになったのかと疑ったがそういう類を信じてはいない。
なにより彼は自分の意思で眠りについたのだ。
そして自分に上着をかけて近くの木にもたれさせる行動は虚像ではないという証にもなる。
「随分と酷い姿だな、一体なにがあったんだ?」
「ふっ……お前になら聞かせても大丈夫かもしれんな」
ぽつりぽつりと彼女は彼が去ってからの黒の騎士団の事を語っていく。
キュウシュウで起きたクーデター鎮圧の為にブリタニア軍と協力。
ユーフェミアが行政特区日本を設立すると宣言した事。
その為に黒の騎士団は選択を迫られたのだと。
「気になる点はあるが行政特区の構想は利用するのに問題はなさそうだが……それで?」
「式典の最中にゼロと一対一での会談の後、ユーフェミアは式に参加していた人間を撃った」
「……一網打尽にしようとした割には随分と回りくどいな」
「いや……それは……暴走によるものだ」
「暴走……? まさか―――――」
「そうだ、ゼロもお前と同じユーザーだ」
彼が知らなかった真実、黒の騎士団の総帥であるゼロがギアスという力を持っている事。
驚きを隠せず表情を少々強張らせたが、なにかに気付いたのか表情はまた変化した。
「C.C.……力を与えながらなにも説明していなかったのか?」
「ああ、お前に力を与えた者もそうしただろう?」
「そうだったかもしれない、しかし―――――」
「それとな、ゼロの正体だがお前のよく知る人間だ」
「知っている……?」
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。いや、ルルーシュ・ランペルージと呼んだ方が馴染み深いか」
彼女も状況が状況だけに味方を増やしたかった、その為に開示できる情報を幾つも出している。
そうしてルルーシュの過去も彼女は語り出していく。
かつてはブリタニアの皇族だった事を、ナナリーと共に日本へと来た事を。
ルルーシュが進めさせられた道、ルルーシュの歩んできた道。
そのあらましを黙って聞いている彼の反応を窺いながら彼女は言葉を繋いでいく。

132 :創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 23:50:16 ID:8Bjw6Orm
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133 :代理投下・ぷにぷに:2009/01/13(火) 23:51:53 ID:9rl/rkMe
「ユーフェミアにしても本気ではない、そして追い込まれた状況下であいつは―――――」
「まさかとは思うが……攻め込んだのか、ブリタニアに対して」
「そうだ、黒の騎士団の総力を持ってトウキョウ租界へな」
顎に手を当てたまま彼は彼女の言葉に耳を傾けているが様子が少しおかしい。
返事もして相槌も打つ、しかし表情からは疑問がある事を隠せていない。
そして今の状況に至る顛末―――――
会戦早々に租界の階層構造であり地震対策のフロアパージシステムによる租界外円部の破壊。
そのタイミングを逃さず租界へ攻め込み学園を司令部本部として占拠。
作戦進行中にランスロットの介入はあったが足止めは成功しそのまま航空戦力を抑えながら政庁にガウェイン単独で進軍。
政庁屋上ではコーネリアが待ち伏せてはいたが撃退、そして尋問の際に謎の大型KMFの介入があり交戦する事になる。
ここまでの状況でも既に二転三転しているが、ライの表情は変わらず未だに疑問を醸し出していた。
謎のKMFとの交戦の最中にナナリーが攫われた事に気付きその移動先であるここ、神根島に来た事。
そしてルルーシュをナナリーを追わせる為に自分はそのKMFに対してガウェインで特攻を謀り心中しようとした。
「結果はこの有様だ、ルルーシュも敵の手に落ちて万策尽きたな」
「そうだな」
「どういう理由でここにいるかは知らん、しかしお前がいるなら事態は好転できる」
「かもしれないな」
彼女に離れず近くの木に寄り添いながら全てを黙って聞いていたライはそのままどこかへと歩き出していく。
なにをするのか、そんな疑問の眼差しを向けられている事に気付いた彼はC.C.に振り返り返答した。
それが求められていない答えだとしても―――――
「騎士団の生き残りもいるだろう、連絡はしておく」
「どこへ行く気だ?」
「V.V.のところに戻る」
「……なんだと?」
歩みを止めない彼の考え、そして導き出した答えは彼女の望むところではない。
同時に彼にとっても望んでいる答えとも思えなかった。
彼はそのまま今回の作戦、後にブラック・リベリオンと名づけられる出来事の欠点を突いた。
租界に攻め込み制圧したとしてその後はどうするのか、補給線の確保もままならない戦場下。
相手にはフロートシステムというKMFの飛翔技術、加えて本国の軍が本気を出していたらどうなっていたか。
先の不明瞭な篭城戦、物量で勝るブリタニア相手に消耗戦を仕掛けられれば敗北しか残らない。
仮に補給線として外交ルートを使用するにしても会戦した段階で手打ちだ。
ブリタニアの物量ならば海上及び航空ルートを封じるのは容易だと予想できる。
ルルーシュが精神の均衡を失ったのだとしても作戦の粗は余りにも多すぎる物だった。
「今回の件は無策の上に無謀だ、ガウェインがあったとしても」
「だから賛同できないとでも言う気か?」
「出来る限りのフォローはする、今はそれだけだ」
「本当にそれでいいのか」
「どうかな……」
最後に彼女を一瞥だけして彼は森の中へと姿を消していく。
その後姿を見送るだけに留めて彼女は空を仰いだ。
これもルルーシュの、そして自分の選んだ行動の結果なのだろうと。
そうして世界から弾き出されたのは規定であり必定であると。
ガウェインと共に暗い海の底へと沈む中、夕日を背にして見送った後姿を思い出した時。
僅かな涙と微笑が出たのは一縷の望みがここに、神根島の遺跡に眠る少年にあるだろうという甘え。
「C.C.―――――」
「なんだ……まだいたのか……?」
「君にとってルルーシュはなんだ、願いを叶える為の駒か? それとも―――――」
「少なくとも……手助けはしてやりたいとは思ってるよ……迎える結果がなんであれ、な」
空を仰いでいる視界が僅かに滲んでいく。
また泣いている、彼女は自分が変化していく戸惑い。
それは自分はまだ人間で魔女ではない証なのか。
そう、彼女にはまだ他人の為に流す涙があり枯れてはいない。
しかし、彼女はもう人間ではない。それでも―――――

134 :創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 23:52:02 ID:8Bjw6Orm
支援

135 :代理投下・ぷにぷに:2009/01/13(火) 23:53:25 ID:9rl/rkMe
「だったらここで諦めるな、それと涙を流すのも止めておけ。まだなにも終わっていない」
「……なに?」
「ルルーシュの行動には賛同できない、それでも恩はある。話を聞いた以上はそれを返してから眠るよ」
「っ!? おいっ待て!」
空を仰ぐのを止めて彼女は彼が姿を消した方向へと視線を向けたが既に姿はない。
彼女は彼が眠る時と同じく見送るだけに終わった。
それが彼女の行動の結果であり、そして彼が選んだ行動の結果だ。
僅かなすれ違いは歪みを生み、それが世界を変えていく力の柱となる。

森の中を進みながらライは胸中の想い、出来事への答えを決めかねていた。
彼はもう一度眠るという選択肢がある、しかしそうしていいのかを迷っている。
ギアスの招く結果と歴史の繰り返し。
過去の自分がそうだったようにルルーシュも同じ道を進んでいった。
結果はC.C.から聞かされた顛末、つまり自分と同じだという事だ。
しかし決定的な違いがある、ルルーシュはナナリー達を喪っていない。
逆に彼は倒すべき敵、守るべき民、大切な―――――
「そんなところにいたんですか、嚮主V.V.がお呼びです」
森を抜け切ったところで彼は些か因縁のある相手に出会った。
短い髪にナナリーと同年代でありながら年齢に似合わない無表情の少年、ロロ。
かつてこの島で殺し合いをした相手と言葉を交わすのは数奇なものだと思いながら彼は返答する。
「散歩していたら、な」
「そうですか、嚮主は遺跡で待っているそうです。それでは」
「待て、名前は?」
「名前? 嚮団ではCODE―――――」
「違う、呼ばれる名前だ。流石にネームレスというわけではないだろう?」
「……ロロです」
数度の応答でライはある感想を抱いていた、記憶喪失だった頃の自分に似ているなと。
なににも興味を示さずただ流れに乗っていく。
既に興味は無いのか、その場から離れていくロロにライはある物を持っていないかを尋ねる。
PDAと通信機。その二つをなぜ必要とするのかを疑問に思いながらもロロは持っていると答えた。
「少しの間借りる、すぐに返すさ」
「では遺跡で返してください、僕もそこに呼ばれていますので」
「わかった」

ロロが足早に去っていくのを見ながらライはPDAと通信機を繋いで現在地の座標データを読み込んでいく。
C.C.が無闇に動かない事を踏まえて彼女の座標を即座に計算しながら彼の頭の中では違う考えが渦巻いている。
(これも調整の恩恵、か……知識だけが無駄に豊富なのも悩みどころだな)
彼が生きていた時代になかった物も難なく使える事、記憶の一部とはいえ過去を思い出した事は彼にとっては戸惑いだけだ。
目覚めが必然だったとしても自分はこの時代の人間ではなく異物である事。
選択するべき未来は眠りか、それとも―――――
(座標はこれでいいだろう、後は迎えに来るかどうかだな)
通信機の電波を拾わせない為に騎士団の通信コードをPDAに打ちながら彼は静かに返答を待つ。
皇帝とV.V.との接触は騎士団の敗北を示している。
しかし全滅するとは考え難い、ましてや軍人達である藤堂達がいるなら尚の事だ。
『なによ……もう……こんな時に……』
(女性団員か? 随分と憔悴しているな……)
「仲間が神根島に残っている、迎えに来てやれ」
『はぁ? ……あんた何者よ?』
「誰でもいいだろう、座標は今から送る」
『ちょっと待ちな―――――』
PDAにあらかじめ準備していた座標データと今現在の周辺状況をまとめたデータを彼はまとめて相手に送る。
その相手の返事を待たずして彼は即座に通信を切った。

136 :創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 23:53:33 ID:8Bjw6Orm
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137 :代理投下・ぷにぷに:2009/01/13(火) 23:54:13 ID:9rl/rkMe
「おい、これからどうすればいい?」
「その壁画に触れてごらん、君なら言葉で説明しなくても理解できると思うよ」
「……まさか好きにさせるつもりか?」
「抵抗してもいいよ、無駄だけどね」
「余裕か、油断するのはいいがどうなっても知らないぞ」
「そうはならないさ、そうはね」
余裕の笑みは絶やさずV.V.はそのまま遺跡の外へと去っていく。
訝しい表情になりながらライはそれを見届けるのを止めて壁画へと近づいてゆっくりと見上げた。
サークルがギアスの増幅を行なう一種のアーティファクトだとしてこの壁画はどういう物なのか。
同時に彼は目覚めた事をこの段階ではじめて後悔した。
(知らずにいれば良かったのかもな……いや、それは責任の放棄か……)
見上げていた視線を下げて胸中の想いに胸を掻き毟る。
なにが正しくてなにが間違いか、そう考える事自体が不毛なのか。
そもそも自分の存在そのものすらも―――――
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない……ロロはこれからどうするんだ?」
「貴方と共に皇帝陛下の下へ行けと言われています」
「……そういう事か」
自分に今まで見聞きした情報を統合して彼は答えを知る、この壁画がどういった物なのかを。
ロロの肩を掴んでから壁画に手を触れた瞬間、眼の中のギアスが反応するのに耐えながら彼は見覚えのある場所へと辿り着く。
壁画もまた一種のアーティファクトであり限定されているがその場所同士ならば瞬時に移動できるゲートの様な物だ。
その移動の感覚には彼は対応できたがギアスの反応には疲労と痛みを感じている。
「っ……まったく……ところで、ロロはできるのか?」
「いえ、できません。一定以上の力が必要だそうです」
「そうか……色々と詳しそうだな……V.V.の組織は……」
「嚮団、ギアス嚮団です」
淡白な反応を続けるロロに四苦八苦しながらライは再度周りを見渡した。
見慣れぬ神殿のような場所、時が止まったような空間。
「これはアーカーシャの剣よ、神を滅ぼす武器」
「いないかと思えば出てきたり、道端の石に会いたい言ったりと皇帝とは余程暇らしいな」
「はっはっ! 言ってくれるのう」
背後から声をかけながら近づいてくる老人、シャルルを見てからの二人の反応は対照的だった。
ロロは即座に膝をついて忠誠を示す姿勢。
対してライは射抜くような視線を向けて敵対を示す態度。
二人のシャルルに対する真意を如実に表す結果、それはシャルルの望むものでもある。
「ここでは話が進まん、来るがよい」
そう言ってシャルルは二人について来るように促す。
いや、促すというのは間違いだろう。
有無を言わさない言葉の力強さ、それは彼が皇帝として務めてあげてきた証。
ブリタニアの頂点にいるという自負と尊厳の証明でもある。
そして二人は帝都ペンドラゴンにある遺跡へと連なる場所へと辿り着く。
「兄さんから聞いておるな?」
「はい、僕の任務の場所はエリア11と聞いています」
「それでよい、詳細は後程知らせよう。そのまま向かうがよい、儂もすぐに行く」
「イエス、ユアマジェスティ」
皇帝が座る玉座、その部屋へと続く廊下を歩きながらライは終始沈黙を保っていた。
その仰々しい扉の前で別れるロロとは逆にライは皇帝の間へと招かれる。
目に入ってくる玉座の傍らには一人の騎士が主の帰還を待っていた。

138 :創る名無しに見る名無し:2009/01/13(火) 23:54:21 ID:8Bjw6Orm
支援

139 :代理投下・ぷにぷに:2009/01/14(水) 00:00:22 ID:I96GB4vJ
「陛下、お待ちしておりました」
「相変わらず心配性な男よな、ビスマルク」
「当然です、見慣れぬ男がいれば尚の事―――――」
そう言いながら隻眼の騎士はライへと敵意と懐疑の眼差しを向ける。
だが、ライはそれを流してシャルルの言葉を待つか言葉を引き出すかを考えていた。
抵抗も考えていたがビスマルクと呼ばれる騎士と相対してからはその考えは止めている。
体調の一部不良、敵地の中心、遺跡の力を使って逃亡するにしてもナンセンスな答えしか出ないからだ。
「幾つか聞きたい、ゼロを捕まえたの本当か?」
「彼奴ならば既に手中よ」
「どうする気だ、殺すのか?」
「殺すよりも屈辱的な罰もあろう?」
「あえて遊ばせるとでも言いたいのか」
「元より好きにさせておる、我等にとって彼奴は障害足りえん存在よ」
シャルルとV.V.。二人のゼロ、ルルーシュに対する処遇は似ていながら明確な違いが出ていた。
その答えがなんなのか、後にその答えを彼が知った時に彼はなにを想うのだろうか。
「では、答えを聞こう。我等に協力するか?」
ライの進んできた道とその結果、後悔と懺悔。
自身の願い、他者の願い、世界の答え。
その終局を知る為にと進む先は―――――
「いいだろう、協力してやる」
「ほう」
「ただし利害が一致している限りだ、全面協力はしない」
「それはいずれ敵対する事もあると貴様は言いたいのか」
「流石は皇帝の側近だな、そういう事だ」
ライは抵抗を止めた、しかし願う事を止めたわけでもない。
彼は知りたいのだろう。自分の選択を。行動の結果を。
その様々な想いが表情から滲み出ているのを見て皇帝は高々と笑った。
「よかろう! 好きにするがよい、だが面倒を見る者は必要であろう?」
「気前がいいな、だが貰うだけ貰って返さないかもしれないぞ?」
「はっはっはっ! では、期待するとしよう。ビスマルクよ、誰の手が空いておる?」
「ナイトオブナイン、ノネット・エニアグラムならばおります」
「彼奴ならば問題はなかろう、呼んでくるがよい」
「イエス、ユアマジェスティ」
見下ろす者と見上げる者の立場となって相対する王と王。
騎士の頂点に立つ者と頂点を目指した者の疑心暗鬼による敵対。
その邂逅は戦いではなく契約によって成された。
「さあ、選ぶがよい! 眠りにつくか、我等と契約するかを!」
「いいだろう。結んでやる、その契約を―――――」

叶わぬ願いの先を求めて尚一人で進む少年。
過去から這う様に聞こえてくる声に応える為に。
消える事はない大地に流れた血に応える為に。
そして再び流された血を抱いて進んでいく。
それは王の力を手にした者に課せられる罰なのか。
三度の目覚め、三度の新生、そのはじまりはここからだった―――――

140 :代理投下・ぷにぷに:2009/01/14(水) 00:01:13 ID:I96GB4vJ
これで投下終了です。

141 :代理投下・ぷにぷに:2009/01/14(水) 00:23:05 ID:I96GB4vJ
申し訳ありません
>>135>>137の間が抜けていました


(予想より時間がかかったな……逆探知か傍受されてなければいいが……)
通信機のコードを消去しながらPDAのデータ改竄もはじめて彼は行動指針を考えていく。
自分がなにをするべきでなにができるのか、守る為にできる行動。
遺跡へと向かいながら悩むが、彼の答えは結局決まらずV.V.の許へと辿り着く。
「遅かったね、それで?」
「決めかねているところだ、その為に幾つか聞きたい事がある」
「なんだい?」
「ゼロについて聞きたい、処遇も含めて」
V.V.とロロ、その二人がきょとんとした表情をするがV.V.はそうだねと前置きを置いて語っていく。
ゼロはギアスについて知っている、しかし邪魔でないなら放置する。
だが障害だと判断したら消す、その為にここにロロを呼んだのだと。
「つまり、今回の場合は消すという事か」
「不満かい、この決定に?」
「それなりにな、恩義があれば当然だろう?」
「正直者だね」
遺跡の階段に腰掛けていたの止めてV.V.は遺跡の出口へと向かっていく。
ロロに言葉を残してそのまま進んでいくのを呼び止められるまで彼は歩みを止めない。
それは何を表すのか―――――


以上が入ります

142 :創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 00:27:39 ID:rnd7RBRa
ぷにぷに卿、GJでした!
V.V.に目覚めさせられ、シャルル皇帝と会うライ。
ギアスのオンオフも切り替え可能となっていたり……寝起きは辛いね。
死にながら海面へと出てきたC.C. こういう言い方は微妙ですが、不死者で無ければ死んでいましたね。
ロロと会うライ、相手は忘れてるとはいえ、複雑なものを感じていたですね。
敢えてブリタニアに協力するライの三度目の目覚め。
あぁ、やはりワクワクします!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

143 :創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 03:07:03 ID:m1xeag4F
>ぷにぷにさん

謎だらけだった彼の背景がだんだんと明らかに。
人と違う、でもどの陣営にも属すことができて、事態をひっくり返す可能性も秘めている。
ジョーカーみたいなライの性質が巧く生かされた道だなあと。

これだけ色々な背景や設定を伏せたまま「読ませる」のがすごいと思います。
全体に漂う緊張感も好きです。
また続きを拝見できるのを楽しみにお待ちしています。

144 :はんたま。:2009/01/14(水) 22:03:08 ID:7VLuYnSY
>>140
代理投下乙でした!
ぷにぷにさん、GJです!
長編の前にこんなやりとりがあったんですね。物語に奥行きを感じます。
保管庫に籠って読み返してきてしまいました!


さて、遅れ馳せながら誕生日(準備)SSを投下します。

・特派ルート特区成立エンド後
・ネリ様の誕生日準備
・カップリングはなし。微妙にスザユフィに見えたらごめんなさい。
2レスでまったりです。

145 :ナナリーのレシピ 1/2:2009/01/14(水) 22:04:10 ID:7VLuYnSY
   □ ナナリーのレシピ □

 行政特区日本が成立して数か月、僕は久しぶりにクラブハウスの部屋に帰っていた。
 僕とスザクはユーフェミア様の補佐兼護衛として特区に参加しているため、ほとんどをシズオカで過ご
している。富士の麓に広がる一帯はあの日からどんどん活気づいていって、人口はトウキョウ租界を抜く
日も近いかもしれない。日本人だけでなく、ブリタニア人からの参加者も少しずつだが増えていた。
 それに伴って、小さな諍いも頻発してランスロットやクラブの出動回数も多くなっている。まだまだ発
展途上の特区なので仕方ないのかもしれない。それでも人種を超えて手を取り合う日が来るなんて一年前
には誰が想像しただろうか――。

 学園にはほとんど連絡を入れることすらできなかったのに、ミレイさんはこの部屋を僕が使っていたま
まにしてくれた。いつ帰って来てもいいように。ここが僕の帰ってくる場所だと。
 そして、部屋に戻って来た途端、それまで張りつめていた肩の力が抜けたのも事実だ。まったく、ミレ
イさんには敵わない。


 昨晩遅くトウキョウに着いたため、挨拶もそこそこに就寝してしまった。少しだけの会話だったが
ルルーシュとナナリーには変わりはなく、特にナナリーの笑顔にはほっと心を溶かされる。僕の勝手な
我が儘だが、どんなに世界が変わろうともあの笑顔だけはいつまでも変わらないでいて欲しい。

 周囲の明るさに目を覚ますと、既に日は高く昇っているらしい。カーテンの隙間から零れる光は眩しく、
冬の太陽も温かいことを思い出させてくれる。幾度か寝返りを打った後思い切ってベッドから出ると、
思っていたより寒くなかった。
 置きっぱなしだった私服に着替えて洗面所に向かう。ズボンの丈が少し短く感じるが仕方ない。手持ち
の服は他にアッシュフォードのジャージか制服、あとは特派の制服しかない。
 廊下に出た途端、甘い香りが鼻腔をくすぐった。バターの焦げる香ばしい香りも混じっている。階下の
キッチン付近から花めくような声も聞こえてきた。一応、一通りの身支度を整えてダイニングを覗くと、
スザクとナナリー、そしてもう一人とてもよく知っている人がいた。

「ユ、……!」
 僕は慌てて口を押さえた。スザクはともかく、ナナリーも一緒に居るのだ。ユフィがブリタニアの元皇
女と分かれば驚かせてしまうだろう。
「おはようございます、ライさん」
 足音で気が付いたのか、ナナリーが明るく声をかけてくれた。僕は若干の戸惑いを飲み込んで、ナナ
リーに近づく。
「おはようナナリー、スザク。それと……」
「ユフィさんとはライさんもお友達と聞きました。訪ねて来て下さって、嬉しいです」
 どういう立場を取ればよいのか迷っていた僕より先にナナリーがにっこりと笑いかけた。二人を見ると
すごい勢いで頷いている。ここはそういうことらしい。
 ならば話は簡単だ。僕とユフィは主従関係よりも先ず友達であるのだから。これならナナリーに嘘をつ
かなくて済む。
「そうだね。おはよう、ユフィ。今日はどうしたんだい?」
 スザクがいるとは言え、外に他のSPがいる訳でもなさそうだ。彼女は悪戯っぽく笑うとあっさり白状
した。
「今日はお休みです。色々な意味で」
 確かに公務は休みかもしれないが、今頃、シズオカも政庁も大変なことになっていそうだ。軽い頭痛を
覚えつつ、スザクを睨むと彼は明後日の方向を向いている。頑固だと思っていたけれど、だんだん彼も
ユフィに影響されてきたのかもしれない。

146 :ナナリーのレシピ 2/2:2009/01/14(水) 22:05:26 ID:7VLuYnSY
「でもお二人とも本当はお兄様に会いにいらしたんですけれど、今朝は早くからお出かけになって
 しまって」
「ルルーシュに?」
 そう言えば、二階には他に人の気配がなかった。明け方頃に扉が閉まる音を聞いたような気がするから、
きっとそれが彼だったのだろう。
「ええ、ル……スザクのお友達にケーキ作りの名人がいらっしゃると聞いて、先生になっていただこうと
 思っていたんですけれども」
 ユフィは頬に手を当てて軽く溜息をついた。テーブルの上には焼き上がったスポンジケーキが二つ載っ
ている。しかし、どちらも真ん中がへこんでいたり、膨らまずにぺしゃんこだったり成功とはいえないも
のだった。
「私はあまりお役に立てなくて……」
 ナナリーは少ししょんぼりした様子で眉を下げた。ケーキのレシピブックらしきものが広げられている
が、素人には難しいようだ。
「ライ、あなたはこういうの得意かしら?」
「残念ながら……」
 普段の食事くらいならなんとか作れるが、ケーキやクッキーと言ったものはさっぱりだ。咲世子さんが
居ればお願いできるかもしれないが、ユフィのこともある。あまり他人には頼れない状況のようだ。

「あのう……」
 ナナリーは少し迷ったように小さな声を発した。
「スポンジケーキは難しいですけれど、私が小さい頃にお母様がよく作っていたケーキなら簡単かも
 しれません。材料の分量も単純ですし、お兄様が作る時にもいつも手順を教えて下さっているので
 覚えています」
 ユフィはナナリーの手をぎゅっと握りしめた。
「……ありがとう。それならきっとお姉様も喜ぶわ。とっても、とっても!」
 手を取り合って笑顔を交わす二人はとてもよく似ていた。ユフィに妹が居たら、ナナリーに姉が居たら
きっとこんな感じなのかもしれない。
 ナナリーのレシピはとても分かりやすかった。材料は全部同じ重さだけ。ふわふわになった卵と砂糖に
粉と溶かしたバターを入れて丁寧に混ぜれば生地は出来上がった。それを四角い型に流し込んで焼き上げ
れば完成だ。
「成功……!」
 オーブンを開けたユフィが満面に笑みを浮かべる。僕とスザクはほっと胸をなで下ろす。役立たずの僕
たちはうろうろするしかなかったのだ。
「よかったです」
 ナナリーも嬉しそうだった。


「今日は本当にありがとう。どうしてもお姉様の誕生日に手作りでお祝いしたかったんです」
 クラブハウスでお茶を飲んだ後、僕たちはユフィを政庁へ送った。
 迎えの車は特派が間借りしていた大学部の側に付けられ、中からSPの人たちがわらわらと現れて僕た
ちはこっぴどく怒られた。政庁についても総督直々に怒られることだろう。
 後部座席に座ったユフィの膝の上には綺麗にラッピングされたケーキがのっている。
「誰かが作ったものじゃなくて、私が作ったものをお姉様に差し上げたかったの。ただのユフィとして」
 車窓を租界の景色が流れていく。整えられた街並みは美しいが、シズオカほど人の温もりを感じない。
ユフィはそんなものをコーネリア様にも伝えたかったのかもしれない。

「今日、私の夢も一つ叶ったわ。でも私は欲張りだから、これからも色々人の夢や願いを叶えていきたいの。
 だから、」
 別れ際に政庁の前でユフィは背筋をピンと伸ばして立っていた。差しのべられたその手をスザクが取る。
「僕はユフィの騎士だ。これからもずっと」
「もちろんだよ、ユフィ。僕らの友情に誓って」
 僕は自分の手を二人の手に重ねた。
 みんなが幸せに笑い合える場所を作ろう。誰も見たことのないやさしい世界を。

147 :はんたま。:2009/01/14(水) 22:07:02 ID:7VLuYnSY
以上です。
コーネリア様、お誕生日おめでとうございました!
歳は聞きません。怖いから!
誤字脱字チェックをしていたら遅れました……orz

148 :創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 22:25:00 ID:m1xeag4F
>147
かわいいい!ほっこり幸せないいお話。
コーネリア様も喜ぶにちがいないのです。
スザクとふたりのライが年相応に少年ぽくていいですね。

お菓子のいいにおいがしてきそうだ。
素敵SSごちそうさまでした。

149 :創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 22:30:40 ID:CltclNw/
 はんたま卿GJでした。
 ユフィとナナリーのほんわりとした優しさがでた良い話でした。
 あとこのスレでは、珍しい特に役に立たないライの姿が新鮮でしたw
 あとネリさまの誕生日なのにネリ様が出ずにユフィ達をメインとして書くのが面白いと思いました。
 貴公の次回の投下をお待ちしております。
 
 

150 :創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 23:42:04 ID:rnd7RBRa
>>147
はんたま。卿、GJでした!
ほのぼの、ほっこり、癒されるSSでした!
なるほど、これは優しい世界だ。
ナナリーとユフィの料理、うろうろしているライとスザクが何となく想像できました。
そして、コーネリア様、誕生日おめでとうございました!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

151 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 00:09:26 ID:jNwurilo
>>140
GJ&代理投下乙です。
再び目覚めたライ、皇帝やV.V.の下について、これからどう動くつもりなのだろう。
長編の前日談ということですが、続きをお待ちしています。

>>147
GJです、またしてもほんわかさせていただきました。
姉のために頑張るユフィと、彼女に協力するナナリーがいい感じでした。
どうすればいいかわからず、オロオロするライも良かったです。
こういう温かいSS、大好きです。次回の投下をお待ちしています。

152 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 00:23:20 ID:V0aUNHaA
>>147
素敵なほっこりSSで、ほんわかしました。

同じ分量ってパウンドケーキ?いや、仏独系名称多数のブリタニア風ならカトル・カール?
とか思いながら読んでいたのですが、溶かしバターとか四角い型ってことは違ったみたいですね。
……何だろう?
なんにせよ、きっと、バターのきいた家庭的な焼き菓子なんでしょうね。

ユフィの手をスザクが取り、ライが手を重ねるシーンにはほんわかを超えて、何か色々キました。

しかし、ルルーシュは朝っぱらからいったい何処に?
ただいないだけかもしれないんですけど、ルルーシュなだけに、
何かやろうとしていそうな気がして、ちょっと落ち着かないw



ネリ様誕生日おめでとうごさいました!
SSはこなかったけど、シュナイゼル殿下もおめでとうごさいました!
この二人、誕生日が一日しか違わない同い年と知った時はびっくりしたよ…
てっきりシュナイゼルの方が二つくらい上だと思っていたw
二人ともめでたく二十k

153 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 10:42:33 ID:2RsquTyo
おはようございます。
新年第一回目の投下をしたいと思います。
今回は、また今までとまったく違ったタイプなので賛否両論だと思います。
まぁ、気にならない人だけ楽しんでいただければ幸いです。

なお、以前、ナイトメア擬人化というのがあったので、こういうのもありかなと思い書いてみました。

タイトル わんこカレンとライ
ジャンル 絵本



154 :酸性雨 ◆6yugqI8E3U :2009/01/15(木) 10:43:37 ID:2RsquTyo
わんこカレンとライ

とある町の一軒家に1匹のわんこと飼い主の一人の少年が住んでいました。
わんこの名前はカレン、少年の名前はライといいました。
彼らはとても仲良しで、いつも一緒に楽しく生活していました。
でも、ある日からカレンの様子がおかしいのです。
いつも楽しみにしていた一緒の散歩も行かなくなってしまいました。
それにご飯も残すようになってしまいました。
それどころか一匹でこそこそと出かけている様子です。
ライは、とても悲しくなってしまいました。
でも、それ以上に心配になっていました。
彼にとって、カレンは家族のようなものだからです。
ただ一人の大切な家族…。
だからとても心配でした。
へんな人についていってないか、へんなものを食べてないかとても気がかりです。
そこで、彼は隠れてカレンの後をつけてみることにしました。
おやおや…どうやら今から出かけるようです。
周りを見渡し、こそこそと庭から出て行きます。
気が付かないふりをした後、急いでカレンの後を追いかけました。
てくてくてく…。
カレンは歩いています。
よく見るといつもより綺麗に毛を手入れしているようです。
ああ…彼氏でも出来たのだろうか…。
ライの心は、心配で心配でずきりと痛むほどでした。
でも、ここで声をかけたり、戻ったりするわけにはいきません。
なんとか不安を押さえ込み、ついていきます。
10分ほど歩いたでしょうか…。
どうやら、目的の場所に着いたようです。
そこは大きなお庭のある家でした。
どうやら門のところに小さな隙間があるようです。
慣れた様子でそこから入り込むカレン。
それを複雑な心境で見ているライ。
そして、完全にカレンが入り込んだことを確認し、そーっと庭を覗き込みました。
するとそこには、カレンとにゃんこの姿がありました。
どうやらにゃんこは、目が見えないようです。
くんくんくん…。
にゃんこはカレンを確認するかのように嗅いでいます。
そして、にゃーと啼くとカレンと楽しそうに戯れ始めました。
それを楽しそうに受け止めて遊ぶカレン。

155 :酸性雨 ◆6yugqI8E3U :2009/01/15(木) 10:44:05 ID:2RsquTyo
なんだ…。
ライは、ほっとしてしまいました。
でもどうして隠れて来ていたんだろう…。
不思議に思っていたら、後ろから声をかけられました。
「もしかして、うちのナナリーと遊んでくれているわんこの飼い主さんですか?」
黒髪のライと同じぐらいの少年でした。
「あっ…はいっ…」
びっくりしてそう答える事だけしか出来ないライ。
そんな彼に少年は、自己紹介をして訳を話してくれました。
彼の名前は、ルルーシュで、飼っているにゃこは、ナナリー。
彼らは、最近ここに引っ越してきたばかりという事でした。
そして、目の見えないナナリーが迷子になって近所のねこにいじめられていたのをカレンが助けてくれたのだそうです。
そして、それ以来、すっかりカレンとナナリーは仲良しになったということでした。
「ナナリーは、ご存知の通り目が見えないんですよ。おかけで、いつも近所のねこにいじめられていて…。
それに友達も出来なくて、いつもひとりぼっちでした。
でも、あのわんこ…カレンでしたね。あの子が来る様になってすごくうれしそうなんですよ。
私としてもナナリーに友達ができたという事は、うれしい事です。
それに、あんな素直ないい子の飼い主さんでしたら、私の友人になってほしいです。
だから、よかったら貴方も一緒に遊びに来てくださいませんか?」
すごく丁寧に話すルルーシュ。
とてもナナリーを大切に思っているのだろう。
だから、そんな彼だったらきっと僕とも気が合うのではないだろうか。
そんな気がライはしました。
だから、ライは喜んでルルーシュの言う事を承諾し、一緒に庭に入っていきました。
ナナリーと無邪気に遊んでいたカレンは、びっくりした様子です。
照れくさそうにうろうろとした後、ぱーっと向こう側に走って離れてしまいました。
どうやら、怒られると思ったようです。
そんな仕草もかわいいな…。
ライはそう思ってしまいました。
「怒らないから、おいで…カレン」
そう言うとしばらく迷った挙句、おどおどと近づいてくるカレン。
ライは、そんなカレンをやさしくなでなでしてやりました。
びくっと反応するものの、怒られないとわかったのか、カレンはそのまま黙って撫でられ続けました。
ぼーとして気持ちよさそうです。
カレンはなでなでされるのが大好きです。

156 :酸性雨 ◆6yugqI8E3U :2009/01/15(木) 10:44:33 ID:2RsquTyo
そして、しばらく撫でた後、ライはカレンに言いました。
「よし…カレン。君の新しい友達を紹介してくれるかな?」
そう声をかけるとうれしそうにカレンはわんと吼えて尻尾を激しく振りました。
とてもうれしそうです。
そして、ナナリーの傍に行くとわんわんっと吼えました。
どうやら、紹介するのでこっちに来てという事のようです。
ライはゆっくりと近づきました。
そして、そーっと手を出します。
カレンには、ナナリーになにやら話しているようです。
にゃんことわんこは、言葉がわかるのかな?
ふとそんな事が頭に浮かびました。
でも、本当のところライにはわかりません。
でも、2匹の言葉はお互いに通じているようです。
ナナリーがカレンに導かれて、僕の手の臭いを嗅いでいます。
目の見えないナナリーとってそれが判断するための基準なのでしょう。
しばらく、くんくんと嗅いだ後、にゃーと啼いてぺろっと指を舐めました。
そして、うれしそうに摺りよってきました。
どうやら認めてくれたようです。
その光景をルルーシュは楽しそうに見ていました。
カレンもうれしそうです。
そして、僕もうれしい気持ちで一杯でした。
こうして僕は、カレンのおかげで新しい友達と知り合う事が出来ました。
ありがとう、カレン。
僕は、このかわいい家族がより大好きになりました。
そしてご褒美として、その日の夜ご飯はカレンにご馳走を用意したのでした。


なお…カレンとの散歩コースにルルーシュの家によってナナリーと遊ぶ事が組み込まれたのは、次の日からでした。



おわり


157 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 10:47:41 ID:2RsquTyo
以上で終了です。
なお、にゃんこナナリーは、足を不自由にするか悩みましたが、いろいろ考えてやめました。
まぁ・・・そういう点が気になる人もいるかと思いますが、まぁ、見逃してください。
なお、本当なら、絵もあるといいんですけど、時間なくて描いてません。
すみません…。
今度、時間があるときにでも描いて投下したいと思っています。

158 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 16:00:13 ID:jNwurilo
>>157
GJ!絵本を読んでいる感覚になりました。
わんこカレンとにゃんこナナリー、かわいいなあ。その情景が浮かんできます。
自分はこういうのもありだと思いますよ、何よりほんわかした空気が好きです。
絵の方も楽しみにしています。

159 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 17:52:07 ID:zFYb43z5
>>157
あしっど・れいん卿、GJでした!
わんこカレンににゃんこナナリー……ぐふっ!
可愛い、絶対可愛い、魂がそう叫びました。
ほのぼのしてて、なんだかとってもいいかんじ!
絵も非常に楽しみです!
貴公の次の投下を全力を挙げて待っています!

160 :157:2009/01/15(木) 18:45:36 ID:2RsquTyo
わんこカレンのイメージラフを投下しました。
いつものところです。
よかったらどうぞ…。

161 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 19:54:33 ID:DJnGLAFZ
>>157
GJでした。
読んでいて、自然と頬が緩んでしまいました。
先にイラストを見てから読んだので、わんこカレンの破壊力が凄まじかったですw

162 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 20:58:50 ID:xojzWL5z
>>157

GJです!
このほのぼの感が心地よく、イラストと合わせて癒されました。
続くのであれば、次回も期待してお待ちしております。


・・・しかしタイトルのわんこカレンを読んで、とんでもないプレイを
一瞬でも想像してしまった僕の心は汚れているんでしょうか(涙

163 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/16(金) 12:17:04 ID:78ZG25ne
連投になりますが、1日たっているので投下します。

こんにちわ。お待たせしたかどうかは判りませんが、続きです。
やっと動き出しました。
まぁ、動き出すと一気に進みますからねぇ…。
ともかく、楽しんでいただければ幸いです。

タイトル 思いの後に… 第7話 カ ン ケ イ (関係)
カップリング ミレイ→ライ×ニーナ
ジャンル 昼ドラ

注意)
ミレイ壊れていますので、ミレイファンはご注意を…。
どろどろとしたものが駄目な方はご遠慮ください。

164 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/16(金) 12:17:49 ID:78ZG25ne
「ごめんなさいっ。だけどライにしか頼めないの」
ミレイさんは、切羽詰った様子で僕に話しかけてきた。
本当なら、会ってすぐにニーナへの告白の時間を作れるようにお願いするつもりだったんだけどタイミングが悪いとなかなか切り出しにくい。
それに普段からは考えられないほど切羽詰っているミレイさんの様子が気になる。
だから、まず自分の話より先に彼女の話を聞くことにした。
「ライも覚えていると思うけど、あの見合い相手がどうやら諦めてなかったみたいなのよ。
昨日、おじいさまから連絡があって、興信所みたいなところが嗅ぎまわっているって…。
念のために調べてみらったらあのお見合い相手らしいのよ、依頼者が…」
そう切り出され、僕はミレイさんのお見合いをニーナとルルーシュでぶち壊した事を思い出した。
そう、あの時は僕がミレイさんの恋人役だっけ…。
少し恥ずかしながらもあの時の嬉しそうなミレイさんの笑顔が脳裏に浮かぶ。
ニーナに少しでも好意を持ってなかったら、間違いなくミレイさんに惹かれただろう。
それほどあの笑顔はすごく印象に残っていた。
だが、今、僕にとっての一番大切な人はニーナだ。
だからあの関係はあれでオワリのはずだった。
そう…僕の中では、そうなっていた。
しかし…。
「だから、一週間でいいから恋人の役をやって欲しいの。お願いっ…」
必死になって頼み込んでくるミレイさん。
彼女がここまで必死ということは、かなり状況はヤバイのだろう。
それに僕が恋人ではないとバレたらアッシュフォード家にも迷惑がかかるに違いない。
「わかったよ、ミレイさん。だけど、一週間だけだからね」
僕ははっきりと期限を決めて言った。
はっきり期限を決めないと決心が鈍りそうで怖かった。
そして、ニーナをこれ以上、長く待たせたくなかったから…。
「それでいいわ。助かったわ、ライ」
ミレイさんはほっとした表情を浮かべている。
僕もミレイさんの力になれてよかったと思った。
そう…この時は…。
まさか…これが原因であんなことになるとは思いもしなかったから…。
もし、未来が見れたのなら、間違いなく僕は断っていただろう。
だが、僕にはそんな力はなく、ただ流れに流されていくしかなかった。

そして…。
ライが立ち去ってから、ミレイの表情が変化した。
柔らかな微笑がゆっくりと変わっていく。
口端がきりきりと歪み上がり、目元が細くなっていく。
その顔は、まるで堕ちた獲物をいたぶって楽しむサディストのような笑みが浮かんでいた。


思いの後に… 第7話 カ ン ケ イ (関係)




165 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/16(金) 12:18:37 ID:78ZG25ne

結局、このミレイさんの約束は二人だけの秘密と言うことになってしまい、僕はニーナにどう言うべきか迷っていた。
ニーナぐらいなら話しても問題ないとも思ったが、約束は破りたくなかった。
それに1週間後にはきちんと告白する時間をくれるという約束をミレイさんとしてしまったしなぁ…。
仕方ないので、ともかくニーナに伝えられることだけは伝えようとミレイさんのところに行く前に彼女に会い来たのだ。
昨日あったばかりだというのに、ニーナは少し疲れているようだった。
何かあったのだろうか…。
「どうしたの、ニーナ?疲れているみたいだけど…」
僕が声をかけると少し微笑んで誤魔化そうとする。
「…ううん。…大丈夫です、ライさん…」
そう言ってくれたものの、不安そうな瞳の色は隠せない。
くそっ…。
自分の不甲斐なさに情けなくなる。
好きな人の不安も取り除けないのかっ…僕はっ…。
今、ここで告白して安心させたい衝動に駆られる。
だが……。
心の中でそれでいいのか?という疑問が返ってくる。
だから、僕はゆっくりと彼女を抱きしめてあげることしか出来なかった。
「ごめん…。力になれなくて…」
やさしく…いたわるように…彼女を抱きしめる。
「……ありがとう……ライさん」
囁くような感謝の言葉。
そして彼女もしっかりと僕を抱きしめ返してくれた。
暫くそうしたのち、ゆっくりと離れる。
彼女は少し持ち直したようだ。
微かだが笑顔が浮かんでいる。
僕の大切なニーナ…。
自然と頭を撫でていた。
ごめん…ミレイさん。
やっぱりこんな状態のニーナに黙っておくなんて出来ないよ。
僕は、心の中でミレイさんに謝りながら、すべてを話すことを決めた。


166 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/16(金) 12:20:00 ID:78ZG25ne

ああ…ライさんが心配してくれている。
頭を撫でられながら、私はほっとする。
昨日の女子学生同士の会話の事などもうどうでもいいとさえ思えるほどに…。
私の大切な居場所…。
うふふっ…。
自然と笑みが浮かぶ。
それを見て彼もうれしそうだった。
だが、そのすぐに彼の表情が暗くなる。
どうしたんだろう…。
不安が心に湧き上がってくる。
苦しいほどに心が締め付けられそうになった。
ああ…そんな顔しないで…ライさん。
だから、言いにくそうな彼の顔を見たくなくて、私の方から話しかけていた。
「…ライさんこそ…大丈夫ですか?…なんか苦しそう…」
そう聞くと苦笑を返し、指で頭をかいている。
「まいったな…。ニーナにはわかっちゃうか…」
ええ、わかる。
だって……貴方の事をいつも思っているし、それにいつも見ていたんだもの。
だから、わかるの。
私の大好きな王子様…。
そして、私は少しでも彼の心の苦痛が除かれるように願いながら微笑む。
今の私に出来るのはこれぐらいだけだから…。
だが、その後に出た彼の言葉に私は心が張り裂けそうになった。
「実はね…ちょっといろいろあってミレイさんの恋人をしなくちゃならなくなったんだ」
まるで鈍器で頭を思いっきり殴られたようなショックが走った。
嘘っ…そんな…。
一瞬…時間が止まったかのような感覚に襲われる。
今、彼の言った言葉が頭の中でリピートされ続けるが、愕然となって何も考えられなかった。
思考が停止し、気を失っているかのようだ。
がくがくと足が振るえ、足の力が抜けて倒れそうになっていた。
そんな私の様子に言い方が悪かったと気付いたのだろう。
慌てて私を支えながら彼は言い直した。
「ち、違うんだっ。言い方が悪かったっ。
恋人じゃなくて、恋人のふりをしなくちゃならなくなったんだ」
「…え?!」
その言葉でやっと私は我に返った。
「…ど、どういう事…ですか?」
恐る恐る聞いてみる。
彼はすごく申し訳なさそうな表情で説明してくれた。
ミレイちゃんの見合いの相手がまだ諦めてない事。
そして、それを誤魔化すために1週間、恋人のふりをしなくちゃいけなくなったという事を…。
あの騒動は、私も関係していたからよくわかっている。
ミレイちゃんを助ける為にライさんがそう決めた事は決して悪いことではない。
だけど…何故なんだろう。
こうまで心が怯えるのは…。
まるで取り返しのつかない方向へ向きつつある流れを恐れているかのように思えてしまう。
いけないっ…。
彼を…ミレイちゃんを信頼しないと…。
私の大切な王子様と大親友を信頼しないと駄目だ。
そう・・・わかっている。
わかってはいるのに…。
私の心は不安という霧に覆われていく。
どろどろとした黒い粘着度の高い霧が心にまとわりついていく。
一生懸命、それを払おうとするけど…それはまるでキリのない行為としか思えないほど纏わりついて晴れてくれなかった。
だけど、彼を心配させたくなくて私は無理に笑顔になる。
もうこれ以上、彼を心配させたくない。
その思いだけで…
でも…。

167 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/16(金) 12:20:32 ID:78ZG25ne
「ごめん…」
そう言って彼は再び私を抱きしめた。
私が彼の事をわかるように…彼も私のことがわかるのだろうか…。
彼に抱かれ、彼の温もりと彼のにおいに包まれていく。
ああ…ライさんっ…。
私の…大切な人。
私が幸せに包まれている時、彼は私の耳元で囁いた。
「1週間だけ…。1週間だけ我慢してくれ。これが終わったら…」
そこで言葉を切り、決意を固めたのだろう。
私を抱きしめる腕に力が入るのが判る。
「きちんと話したいことがあるんだ…ニーナ」
語尾が震えているのがはっきりとわかる。
彼の必死の囁き。
私は、そう彼の言葉を受け止めました。
だから、私も答えないといけません。
いくら鈍感な私でも、ここで逃げちゃ駄目だとわかります。
そう、怖いけど…不安だけど…逃げちゃ駄目なんです。
だから…私は……。
「…うん…。…待ってます。ライさんの…話を…」
ありったけの勇気を振り絞ってそう答えました。
そして、お互いの顔が動いて自然と見つめ合い、まるで惹かれあうかのようにゆっくりと互いの顔が近づいていきます。
私はゆっくりと瞼を閉じました。
多分…彼も…。
そして…唇から伝わってくる彼の唇の感触だけが明確に脳に伝わってきます。
心臓が壊れそうなほど激しく動き、身体中の神経が唇に集まるかのようでした。
恥ずかしいとは思いましたが、まるでふわふわとした雲の上にいるかのような浮遊感さえ感じてしまいそうな幸せな気持ち。
そう、私達は二度目の口付けを交わしました。
そして、それはお互いが求めた初めてのキスでした。





168 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/16(金) 12:21:43 ID:78ZG25ne
「ライっ…。さぁ、いくわよぉ〜♪」
ミレイさんの恋人のふりを始めて5日がたった。
その間、僕とミレイさんはベタベタの恋人同士を演じている。
いや、僕は演じているつもりだが、ミレイさんはどうなのだろう。
時々、度を越えた対応を求められてしまい、かなり困惑することも多い。
その度になんとか誤魔化しているが、何度流されてもいいかなと思ったことだろう。
ニーナとのあの誓いのキスがなければ、どうなっていたかわからない。
それほど熱烈な行為が繰り返されている。
でも…あと2日だ…。
あと2日たてば、この役目も終わってきちんと告白できる。
いつもニーナの傍にいることができる。
だから…がんばろう。
そう思った瞬間、別れ際の寂しそうなニーナの笑顔が脳裏に浮かび上がる。
ニーナ…。
心配しないで…。
だから…待っててくれ…。
そんな事をぼんやり考えていたら、いきなりミレイさんから服を渡された。
「はいっ…。ライはこれに着替えてっ…」
「えーっと…どういうことでしょう?」
思いっきり疑問を感じながらも服を受け取り、聞き返す。
「何言ってるのよっ…。食事に行くのよ。昨日言ってたじゃないのっ」
ミレイさんが不機嫌そうにこっちを見ている。
「いや…それはわかっているけど…これって…」
そう…渡された服は、正装といってもおかしくないほどしっかりした服だった。
「仕方ないじゃない。それ位着ないと入店出来ないもの…」
その発言に僕は自分の認識の甘さを痛感した。
つまり、それほどきちんとしたお店ということか…。
てっきり、その辺のレストランとかを考えていた僕は、彼女の言い分を理解できた。
だが、納得できない。
「そんなところで食事しなくても…」
テーブルマナーとかそういうものもあるし、そういう堅苦しいものは苦手だ。
「だぁ〜めぇっ。却下しますっ。さぁ、さぁ…さっさと着替えるっ…」
相変わらずの強引さで話を進められ、結局僕は着替えることとなった。
そして、着替え終わり、今は学園の門のところでミレイさんを待っている。
うわー…見られているよ…。
恥ずかしい…。
そう、さっきから女生徒の視線が痛いほど集まっているのがわかる。
まぁ…恋人同士のふりをする為とはいえ、これは勘弁願いたい。
まいったなぁ…。

169 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/16(金) 12:22:12 ID:78ZG25ne
そう思っていたら、僕の前に高級車が止まった。
ゆっくりとドアが開く。
そして…僕は…言葉を失って見とれてしまっていた。
きらびやかなドレスを身にまとったミレイさんに…。
上半身は、きわどいぐらいに肩を露出し、胸の谷間を強調しているのに、腰はキュッとしぼられており、そこから下の下半身はふわりとした感じで広がっていく。
そして、何枚かの布が重なり合って、襞を作りリボンがそれをかわいらしくまとめていた。
そう…それはまさに彼女の魅力を最大限に魅せる為のドレスのようだった。
歩くたびに白の光沢のある布で作られたドレスがふわりと動く。
その優雅で煌びやかな動きと輝きがまるで別次元のようにさえ見えてしまう。
ああ…なんて…綺麗なんだ。
まるで童話なんかに出てくるお姫様みたいだ…。
そんな事が頭に浮かぶ。
呆然としている僕に、ミレイさんは近づいてにこりと微笑むと僕の手をとった。
それで我に返って慌てて褒めようとするが言葉がうまく口から出ない。
「あーっと…えーーっと…そ、そのぉ…」
そんな僕の様子が楽しかったのだろう。
くすりとミレイさんが笑う。
それでますます混乱してしまい、なんとか言えた言葉は「き、綺麗だよ…」だけだった。
それでも大満足だったのだろう。
すこぶるご機嫌で僕に車に乗るように勧める。
僕はその言葉に従って車に乗り込み、その後にミレイさんが僕の隣に座ってドアが閉まると車は動き出した。


窓から門のほうを見てみるとライさんが正装して立っているのが見える。
多分、またミレイちゃんとデートなのだろう。
彼からきちんと内容を聞いていなければ、私は狂ってしまっていたかもしれない。
或いは、生きる望みを失って死んでいたかもしれない。
それほど彼への思いは強く、私の心の多くを占めていた。
また、事情を知っていたからこの光景が平気というわけではない。
私の心の中は、不安と妬みの闇でドロドロに満たされかけていた。
あの時のお互いに求め合ったキスがなければどうなっていた事だろうか…。
後…2日…。
私は、これほど時間が経つのを遅く感じた事はなかった。
もし神様がいるのなら、時間を一気に進めて欲しい。
そう間違いなく願っていただろう。
だが神なんて存在しないし、そう都合がいいことは起こらない。
ただ、信じて待つだけ…。
それしか今の私に出来ることはない。
ああ…なんてもどかしいんだろう。
私は、それ以上、彼を見る事が出来ずに窓から離れた。
ライさん…。
私、ライさんの事…信じてます…。
だから……。


170 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/16(金) 12:22:34 ID:78ZG25ne


ミレイさんと一緒に行ったのは、とてつもなく高そうなホテルの最上階にあるレストランだった。
確かにここなら正装しないと無理っぽい。
周りを見ても正装をうまく着こなしている人たちばかりの様に見えた。
僕は少し窮屈な感じを受けたが、ミレイさんはそんな僕をリラックスさせるためなのか積極的に密着してきた。
腕を取り、豊満な胸を押し付けてくる。
「あ、あのうっ…ミレイさんっ…そのぉ…」
あまりの胸の柔らかさに蕩けそうになり、しどろもどろになんとか離れるように言いかけたが、それはすぐにミレイさんの囁きで言うのを諦めるしかなかった。
「ほらっ…後ろの男っ…。あっ、振り向かないでゆっくりと周りの風景を確認するかのように見て」
言われたとおりに視線を動かす。
確かにここ最近よく見かける顔だ。
なるほど、例の興信所の関係者か…。
ならば、ここは離れるのは不自然か…。
そう思ってミレイさんの密着を受け入れるしかない。
でも…ちょっと理性が持たないかも…。
そんな事を考えていると、むぎゅっとより胸を押し付けられてきた。
ああーっ…すごい柔らかくて…大きいっ…。
ニーナに比べると…ボリュームがぁ…。
そんな事が頭に浮かんだが、すぐにその考えを打ち消した。
駄目だっ…。
僕が好きなのは…ニーナなんだっ…。
そこまで思ったのはよかったが、すぐにデートのときに押し付けられたニーナの胸の感触が思い出される。
ニーナの小振りだけど、柔らかい胸もよかったんだよなぁ…。
あーーっ…。いかんっ、いかんっ…。
ニーナ…ごめん。
でも…許してほしい。
こんなことを考えてしまうのは男として…正常な証なんだ。
そんな言い訳を思いながら、頭の中でニーナに一生懸命に謝っていた。


ボーイに案内されて予約していたテーブルに着く。
今のですっかりライはぽーっとなっている。
くすっ。
あんな程度でぼーっとなっちゃって…。
くすくすくす…。
かわいいじゃないのっ。
でもね…これで終わりじゃないのよ。
今夜は、もっと気持ちいいこと教えてあげるわ。
そう…私から離れられなくなるような事をたっぷりとね。


171 :創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 12:23:19 ID:78ZG25ne
以上で終了です。
本当は、次の8話とで1つの話だったんだけど、でかくなりすぎて2つに分けました。
その分、いろいろと楽しんで書いてますが…。
さて…蛇に睨まれた蛙状態のライの運命はいかに…。
なお、次回はエロエロ展開の予定ですので、ご注意ください。
では…また〜♪


172 :創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 15:27:06 ID:h6/k7bQr
GJ!ああ、だんだんライたちが引き返せない所まで来ている。
色々企んでるミレイさんの前に、ライは堕ちてしまうのだろうか。そして彼を待つニーナは大丈夫なのだろうか。
つーか、ついに次回はエロエロ展開!次回をお待ちしています。

173 :創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 15:53:18 ID:JqXbec+8
>>171
あしっど・れいん卿、GJでした!
ミレイさんの恋人のふり一週間、大丈夫……じゃないみたいでした。
歪んだ表情が想像できない。
ニーナには話したでしたが、告白は延期、と。
しかし、それが致命的なあやまちになりそうで怖いです。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

174 :創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 07:59:00 ID:reJV6mIU
おはようございます。
3連投になりますが、まぁ…気にしないでいただけると大変ありがたいです。
前のが嵐の前の静けさというドロドロ昼ドラだったので、癒し系になります。
お楽しみいただけると幸いです。

タイトル わんこカレンの家出
ジャンル 絵本

まぁ、本編とは大きく離れていますが、まったりーと楽しんでください。
楽しめない方は、スルーお願いいたします。


175 :酸性雨 ◆6yugqI8E3U :2009/01/17(土) 07:59:48 ID:reJV6mIU
わんこカレンの家出



最近、カレンは面白くありません。
ライと二人っきりの楽しい我が家に侵入者が来るようになったからです。
その侵入者が来るとライはカレンと遊んでくれません。
だから、その侵入者は大嫌いです。
カレンのライを取り上げる悪い人。
だから、その侵入者が来ると機嫌が悪くなります。
我が家から出て行け!
そう思って唸ります。
でも、ライはいつも機嫌よく侵入者を向かいいれます。
なんで?
どうして?
ライはカレンの事が大事じゃないの?
カレンはとても悲しくなりました。
そして、やっぱり今日も侵入者は来ました。
「いらっしゃい、ミレイさん」
ライはとてもうれしそうです。
そして、侵入者を我が家に向かいいれます。
ライは、カレンのライだ。
そう思って吼えます。
でも、ライにすぐに怒られます。
うううー…。
言葉が通じたらいいのに…。
カレンはいつもそう思います。
そうしたら…。
でも、わんこと人では言葉は通じません。
くぅん…。
カレンはすごすごと引き下がるしかありませんでした。
「ライ、そんなに怒っちゃ、カレン可愛そうでしょ…」
侵入者がそんな事を言っているようです。
とても悔しい。
そんな思いでカレンは一杯でした。

176 :酸性雨 ◆6yugqI8E3U :2009/01/17(土) 08:00:17 ID:reJV6mIU
いいもん…。
こんなとこ、出てやる…。
ライなんか…。
ライなんか……。
大嫌いだーーーーっ。
カレンは、家を飛び出しました。
てくてくてく…。
町の中を一人で彷徨います。
てくてくてく…。
でも、どこに行ったらいいのでしょう。
てくてくてく…。
勢いで飛び出したものの、行くあてなどありません。
てくてくてく…。
そうだ。
閃きました。
ナナリーの家でお世話になろう。
そう思ったものの、ナナリーの家はライも知っています。
はあ…。
ため息が漏れます。
駄目だ…。
すぐ連れ戻されてしまう。
でも…。
そう考えてカレンは気付きました。
ライとカレンはいつも一緒だった事。
そして、カレンの知っている場所は、いつも傍にライがいた事を…。
きゃうん…。
そして、悲しくなりました。
なぜか、とてもとても悲しくなりました。
涙が出そうです。
うう…。
なんで…飛び出したんだろう。
とても後悔してしまいます。
でも…もう戻れません。
橋の上で途方に暮れていました。

177 :酸性雨 ◆6yugqI8E3U :2009/01/17(土) 08:01:04 ID:reJV6mIU
うううう…。
そしたら聞き覚えのある足音が聞こえてきます。
あの侵入者です。
どうやら探しに来たのでしょう。
「カレン、戻っておいで、ライ探してるわよっ」
そんな事を言っています。
でも、あの侵入者と一緒には帰りたくありません。
カレンは、その場から急いで逃げようとしました。
しかし、急いだため注意が足りなかったのでしょう。
橋から川に落ちてしまいました。
とてもとても大きな川です。
もちろん足がつくはずはありません。
ばたばたばた…。
カレンは、一生懸命泳ごうとしました。
でも、今は冬。
とても寒くて身体が動いてくれません。
ばちゃ、ばちゃ、ばちゃ…。
それでも手足を激しく動かします。
ばちゃ、ばちゃ、ばちゃ…。
でも駄目です。
身体が沈んでいきます。
ああ…私、ここで死んじゃうのかな。
そんな考えが頭に浮かびました。
ごめんなさい…。

178 :酸性雨 ◆6yugqI8E3U :2009/01/17(土) 08:01:29 ID:reJV6mIU
そう思ったときでした。
ばしゃーーーんっ。
大きな水音がすぐ近くでおこりました。
そしてすぐに息苦しさから開放されました。
そして、温かいものに包まれます。
カレンは、薄っすらと目をあけました。
ここは天国?
ふとそんな事を考えていました。
でも違いました。
どうやら、ミレイに助けられ抱きしめられていたようです。
「大丈夫?」
やさしい笑顔でミレイはカレンを見つめます。
でも、ミレイの唇が紫になっていました。
それに身体がガタガタと震えていました。
全身が濡れているようです。
あ…。
カレンは悟りました。
溺れている自分を、侵入者は飛び込んで助けてくれた事に…。
ううう…。
カレンは、とても自分自身が情けなくなりました。
この人は、こんなに寒いのに水の中に飛び込んで助けてくれたのに。
私をこんなに心配してくれているのに。
それなのに私はなんて態度をとっていたんだろう。
そして、とても悲しくなりました。
うっうっうっ…。
涙が溢れそうです。
そんな時でした。
なでなでなで…。
頭を撫でられました。
ミレイの綺麗な手がやさしく癒すように…。
ああ、なんて落ち着くんだろう。
ライとは違う安心感を感じました。
「ライが心配してるから、帰ろう…ね」
ミレイはやさしくカレンに言いました。
こくんっ。
素直に頷くカレン。
そして…。
くしゅんっ…。くしゅんっ…。
二人同時にくしゃみをしてしまいました。
そして、互いに見詰め合った後、二人は笑い出しました。
今までのわだかまりが消え去ったように笑いました。
とても気持ちよく笑いました。
「よしっ、一緒にお風呂入ろうか…」
ミレイがカレンをぎゅっと抱きしめて言いました。
わんっ…。
カレンも元気よく答えました。
こうして、二人は仲良しになりました。
ライがびっくりするほど、カレンとミレイは仲良くなりました。
そして、ミレイがくると三人はいつも一緒です。
びっくりするほどべったりです。
でもどうしてでしょう。
それには訳がありました。
カレンとミレイは仲良しだもん。
でも仲良しだけどライと二人っきりにはさせないもん。
仲良しでもそれだけは駄目だもん。
ライは、カレンのライだもん。
わんこカレンは、心にそう誓っていたのでした。


おわり

179 :創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 08:03:42 ID:reJV6mIU
ここで終了です。
絵本シリーズ第2弾です。
今回は、わんこカレンとライの恋人(?)ミレイとの関係がメインのお話です。
まぁ、話的にはすぐ出来たんだけど、簡単なわかりやすい文章って難しいですね。
でも、めげずにがんばりたいと思います。(いろいろアドバイスもらったりしたし…。)
それと第1弾の「わんこカレンとライ」では、皆様、いろいろ感想ありがとうございました。
どうしてもドロドロしたものを書いていると、こういう別のタイプを書きたくなるので、また書きたいなと思っています。
なお、次回は…にゃんこナナリーがメインにしょうかなと思っています。
まぁ…予定は未定ですけど…。
では〜。

なお、いつものところににゃんこナナリーのラフ投下しています。
よかったら一緒にどうぞ。

180 :創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 08:27:14 ID:+XzrRoeN
GJ!やきもちカレンがすごくかわいかったです。
そして、ミレイさんと仲良しになってもなお、ライを離すまいと彼に寄り添うカレンもまた、すごくかわいい。
穏やかなSSでした。次回をお待ちしています。

181 :創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 13:41:01 ID:7XQbtQO0
>>179
絵本→修羅場→絵本
いったいどんだけ守備範囲広いんですかw
こんなとき、ミレイさんなら迷わないんだろうなと納得。
しかし、ミレイさんの昼ドラSSとの振り幅がすごいことに。

182 :創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 16:03:46 ID:4TN8Z3mM
>>179
あしっど・れいん卿、GJでした!
カレン犬が可愛いすぎる!
ミレイさんと仲直り……可愛さ倍増!
ほのぼのとドロドロの狭間にいる貴方のSSは非常に楽しみです。
貴公の次の投下を全力を挙げて待っております!

183 :創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 19:44:54 ID:JwSsq6Xb
>>179
GJでした。
とても癒やされました。
相も変わらず、暖かいSSをありがとうございます。

184 :183:2009/01/17(土) 20:06:56 ID:JwSsq6Xb
間違えたw
「温かい」です。

185 :テリー:2009/01/17(土) 22:18:15 ID:VQRmbMFD
こんばんわ!!20分に投下します!

186 :テリー:2009/01/17(土) 22:21:26 ID:VQRmbMFD
投下行きます!!

「明日の為に 第八章 騎士団編」

カップ ライ×C.C
ちょっとC.Cの性格が違います、注意を。

187 :テリー:2009/01/17(土) 22:24:20 ID:VQRmbMFD
「明日の為に」


第八章  騎士団編   本当の愛


屋台で飲み、ルルーシュと別れたライは無意識に懐かしのアッシュフォード学園
に向かっていた。ライがこの世界で初めて帰ってこれる大切な場所であり
思い出の詰まったアルバムの様な場所・・・・・・。
だから必ずここに来ようと決めていた、最後になるかもしれない故郷を見ようと
目に焼き付けようと。
「変わってないなーー此処は」
記憶喪失で右も左も解らなかった時に迷い込んだあの時から変わらない敷地内は
ライに数々の思い出を脳裏に浮かべさせる。

生徒会役委員として学校祭を盛り上げようと走っていた事

騎士団と学生との両立に苦労した日々

騒々しくも楽しかった生徒会の慰安旅行

他にも沢山の思い出があるが、その中でも特に鮮明に覚えている事がある
ライはそこに向かって行った。
夜も遅い深夜でも赤、青、黄色と色鮮やかに輝いている・・・・・その場所は
古くからの伝説がある特別な所

「何時来ても綺麗だな、この礼拝堂は・・・・・」




188 :テリー:2009/01/17(土) 22:27:23 ID:VQRmbMFD
ブルームーン・・・・・・その夜に永遠を誓った場所、どんなに遠くに離れても
絶対に忘れない思い出。
「あれから・・・・随分たったしなぁ、やっぱり―」
「怒るのもあたりまえだ、馬鹿者」
「・・・・・・C.C」
「まったく、いったい何年待ったと思っているライ」
「ごめんよC.C」
ライと同じ黒の軍服を身にまとったライ最愛の人にして将来を誓い合った
パートナー、特区防衛軍大佐C.C
特区成立後にライ専属の秘書官になった彼女。
ライが日本にてまだ政務を行っていた時は公私共に支えになって尽くしていた
しかもだらけることなく公務はきちんとこなし、更には自ら積極的に仕事を
引き受けるなど周りを仰天させる事ばかりを毎日起こしていたから
何時も騎士団団員は“天変地異の前触れか”と囁かれライからキツーーイ
仕事を任された人ゆうに100人以上
「似合ってるね、その軍服」
「当たり前だ、私を誰だと思っている?」
「ははははは、そうだね失言だったよ」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」


しばしの沈黙が続く・・・・ライはC.Cを見つめるがC.Cは悲しげな表情しか
現わさなかった。それが何を意味しているか・・・・ライは苦笑いを浮かべる。
「どうしたの?C.C」
「気付いてるくせに、私に言わせるつもりか?」
「・・・・・・・・・」
「ライ、また遠くに行ってしまうのか?何も言わずに」
「そ、それは」
「6年・・・・前・・・・み・・たく」
C.Cの目からは涙がこぼれ始めてきた・・・・・


6年前




189 :テリー:2009/01/17(土) 22:30:23 ID:VQRmbMFD
ライはC.Cに何も言わずに日本から長い遠征に出港した。置手紙を残すことも
何もせずに・・・・・。当時、と言うより指揮官としてのライは今でも有能だ
しかしそんなライにもたった一つだけの弱点がある、それがC.Cだった。
誰よりも大切でずっと側にいて欲しいと望むライの中でのC.Cはあまりにも
大きすぎた。


それが故に、心の中で決めた決心がC.Cを前にするといとも簡単に崩れてしまう


C.Cの前でライは“軍人”ではなく“男”に戻ってしまう。男としてのライは
ものすごい弱い。かつての苦しみも悲しみも全てを両手で受け止めてくれるC.C
にライは弱い自分を曝け出してしまう、そうすればするほどライの決心は揺らいで
しまう・・・・。


だからライは6年前に何も言わずに出港した、決心が揺らがないために


「あの時・・・・お前は決心が揺らぐのを避けるために・・・・私に・・・
何も・・・言わずに行ったのだろ?」
「・・・・知っていたのか?」
「当たり前だ!私は・・・お前の・・・妻なのだぞ!!」
「・・・・・・・・」
「離れてる間・・・私は・・・辛かった・・・お前が側にいない・・・そ・・・
それだけ・・・で」
C.Cの涙はさらに激しく流れ始める・・・・
「・・・・・」
「だがな・・・私は挫けなかった・・・必ずまた会えると・・・解っていたからな
・・・式典の後に・・・やっと」
二人は式典の後にゆっくりと夜を過ごそうと約束し、そしてそのままずっと共にいよう、
と・・・・・。


6年間寂しくさせた時を埋めるために、お互いの存在を確かめるために



190 :テリー:2009/01/17(土) 22:33:18 ID:VQRmbMFD

「なのに・・・お前は・・・また私から・・・離れるのか!?」
「・・・・・・」
「もうお前と離れるのは嫌だ!!しかも永遠に別れるなんて私は嫌だ!!
お前を失いたくない!!離したくないんだ!!」
「C.C・・・・」
「嫌だ・・・・離れたくない・・・・頼む・・・考え直してくれ・・・
行かないで・・・」


その場に崩れ落ち声をあげて泣きだしたC.Cをライはそっと抱きしめた。


「ラ・・・・イ?」
「C.C、僕だって君と離れたくないよ・・・・でも僕が行かなきゃC.Cが
いるこの東京が炎で包まれるかもしれない、僕はそんな事はさせたくない」
「で、でも!」
「この日本は僕とC.Cとを会わせてくれた場所、そこを壊されたくないんだ!
それに生きて帰って来れないと言っても所詮は机の上での推測だけ」
「・・・・・ライ」
「今までだって生存出来ないって言われた作戦も僕は生きて帰って来ただろ?
今回だって同じだし僕は死ぬつもりも無い、必ず生きて帰って来る・・・・
約束するよ、それに――」
「・・・?」


「僕にはC.Cって言う妻がいるからね。C.Cがいる事が僕の“生きろ”っていうギアスだから」


「馬鹿・・・ライの・・・馬鹿め」
やっと泣きやんだC.Cはライの首に腕を回し抱きしめ返す。
「必ず・・・帰って来いよ・・・待っている」
「うん、必ず」




191 :テリー:2009/01/17(土) 22:36:15 ID:VQRmbMFD
二人は約束のキスを交わす・・・・長い・・・長いキスを・・・



「帰ったら式を挙げよう、盛大な」
「ああ、そう言えば挙げてなかったね。うん勿論!」
「必ずだぞ?そうだな、子供は多い方がいい」
「え?で、でも」
「安心しろ、私がしっかりエスコートしてやる」
「お、お手柔らかに」



大いに荒れている沖縄の海はライをどう導くのか

誰にも解らない・・・でも

守る、必ず!!そして・・・・帰って来る!!

C.Cのいる場所に!!


出撃まであと僅か・・・・


時は刻一刻と迫っていく


192 :テリー:2009/01/17(土) 22:39:49 ID:VQRmbMFD
以上です!!うーーむ恋愛系は難しい。
ではまた。

193 :創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 00:14:22 ID:8t1V6kBi
>>192
テリー卿、乙でした!
C.C.の弱さ、健気さがいいと思いました。
んー……しかし、どこか違和感を感じてしまう。
どう違和感があるのかはっきりしないのがもやもやする……
拙い感想で申し訳ないです。
貴方の次の投下を全力で待っています!

194 :創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 00:40:16 ID:zqfroBv3
正直、出来事の時系列がわかりにくいです。

195 :創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 05:13:26 ID:vPVYRTHU
……な、何がC.C.に起こった…
マジでこの話の時系列がきになります。
そして、今更だけど前回のおでん屋の元ネタは「おでん屋ナナちゃん」でしょうか?
次回も楽しみにしています。

196 :テリー:2009/01/18(日) 21:56:14 ID:xiX3Klp2
トーマス卿、187から191までのSSの保管庫行きを
取り消していただけませんか?まこと勝手ながらお願いします。


197 :創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 22:15:26 ID:Y5rY5Wae
投下は幸せ!!
22時20分頃投下させていただきました!!

本文は6〜8レスの可能性ですか!!そうですか!!

198 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2009/01/18(日) 22:20:04 ID:SAk2+I8E
>>196
処理、完了!

199 :カズト:2009/01/18(日) 22:20:04 ID:Y5rY5Wae
タイトル「追憶の旅路 第十五章 彷徨いし王の亡霊」

初めて読む方へ

心を閉ざしたライの心に飛び込んだカレン
ブリタニアの辺境の国の皇子
ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニア
ライは「魔法使い」からギアスを授けられ
父と兄達を殺し、ついに王となった
改革を推し進めていくが
いつしか、心が磨り減っていき
ギアスも不安定になっていく・・・・・・

「北の蛮族」との決戦が少しづつ近づいていく中で
ライは一人の少女と出会う・・・・・
帝都の皇女レフィーナ=リ=ブリタニア

彼女はライの心に熱い何かを残し去っていった・・・・・・

「北の蛮族を皆殺しにしろ!」
ライは禁断の言葉をついに発した!!

民と兵は屍鬼となり、敵に襲い掛かかった!

数え切れない屍をつくり

そして、ライは守りたかった母 命と妹 咲久耶を失ってしまった・・・・・

「ライよ……全てを……忘れよ!」
ライは自らギアスかけ、全てを忘れ「魔法使い」によって神根島の遺跡に封印された・・・

永き眠りの果てに、ライはバトレーの調査隊によって再び目覚めたのであった・・・・・・・

注意点
・実質完全オリジナルと言う言葉が取れました……アニメ本編とゲームの冒頭とリンクします
・カレンがライの過去編を精神体という形で見ております
・オリキャラ多数 あくまで別人でした……
・暴力描写あり注意

200 :カズト:2009/01/18(日) 22:21:09 ID:Y5rY5Wae
「がああああああああああああああああああああ!!」
ライはとある研究所の手術台のような場所に眠らされていた
そこで、筋肉の各部位に電流を流され、
さらに薬物を投与され、人工的に筋肉の破壊からの超回復を行っていた
その他にも神経、骨格に対しても様々な術を施されていた
さらに、この時代に合わせるため、あるいは強化兵士としての
様々な知識をある装置で植えつけられていた

「殿下……よろしいのですか?彼は……」
強化改造手術の傍らで、バトレーが己の主君に問う
「時間がないのだよ……「CODE R」の研究も進んでいない……私には、最強の騎士が必要なのだ……記憶があったとしても「生きた第一次史料」など皇帝陛下にとってなんの価値もないからね」
ライの記憶がなかなか回復せず、業を煮やしたクロヴィスは肉体強化を命じた
バトレーも皇族の血を継ぐもの故に躊躇ったものの、主君の命には逆らえずライを強化していく
イレギュラーとはいえ、皇族だからこそ今までの実験データを吟味しながら、慎重に施術していった
「しかし、目の前にいるというのに信じられませんなあ……
まさか、この者があの「狂王ライ」など……あの暴虐の殉教者……」
「不老不死の女がいるならば、時を越えた王がいても不思議ではない……それにしても……」
(生きていれば同い年か、いい友達になれただろうなあ)
いつの間にかクロヴィスは優しい目をしていた……

(クロヴィス殿下……亡くなられた弟君を思い出しておられるのか……
殿下は本来こういう方なのだ……
おのれ……NACに取り込まれた不忠者どもが!!)


ライは拘束衣のベルトを解かれ、ナイトメアのシミュレーターに乗せられていた
(敵は三機……目的……撃破)

ゲットーの市街地でライの乗るグラスゴーがサザーランドに囲まれていた
植えつけられた知識から、このグラスゴーとの性能の差を認識した
ライは瞬時に判断し、フットペダルを踏み込み三機のサザーランドの内の一機に向かう!!
ガガガガッ!!
他の二機に対してはアサルトライフルでけん制!!
サザーランドのファクトスフィアにスタントンファを叩きつける!!
さらに、アサルトライフルを叩き込んだ
ゴウンッ
(一機目撃破……)
ガガガガガッ
ビルの陰に隠れタイミングを見計らい……
アサルトライフルを撃ちながら二機目に突撃する!!
サザーランドも撃ち返すが、ライは最小限の動きで銃弾をかわして向かう!!
ゴウンッ!!
(二機目……)
すかさずスラッシュハーケンを三機目に放ち、
アサルトライフルと左腕部を破壊!!
スタントンファを構えたが時既に遅し、グラスゴーのスタントンファが三機目の頭部を破壊し、すかさずアサルトライフルを叩き込んだ
サザーランドのイジェクションシートが作動する
「ミッション……コンプリート……」

201 :カズト:2009/01/18(日) 22:22:31 ID:Y5rY5Wae
「こ、これは何という……この者がいれば、このエリアのテロリストどもを一網打尽にできる!」
クロヴィスは目を見張る
「天性のものですな、幼い頃から戦場に出てると聞いてましたから、
想像以上の数値です……一般兵など物の数ではないでしょう
司令官としての適正も高く、殿下の選任騎士として申し分ありません
私の見立てでは、経験を積めばラウンズすら夢ではありません!!」
「それほどか!!ふむ……精神の安定を見て、親衛隊長を兼ねさてせみよう……
あの隊長は品位というものがない……その内解任でもするか
いや、しばらく姉上の親衛隊に預けてみるのも悪くはないな……まずは、IDを用意せねばな……」

ライは二人の会話を空ろな心で聞いていた
「もう一回……お願い……します……」
ライは自分の心の中に戦場の記憶があるような気がした
それゆえに記憶を求めるように、彼らのテストに付き合った
「ほう!これだけの数値を出しながら、まだ満足していないのか
バトレー、次はグロースターを出すんだ」
「グ、グロースターですか!?さすがに性能が違いすぎますぞ……」
「かまわん……やれるところまでやらせてみようではないか」

この映像を見ていたカレンは怒りに震えていた……

愛する男がクロヴィスの尻拭いの為に
日本人に対する殺人兵器として、肉体強化されていたのだ
ましてや、クロヴィスはこの後、シンジュクゲットーの殲滅命令を出す事になるのだから

「記憶の方はどうなっている……」
「未だ戻っておりません……ありとあらゆる知識は植えつけているのですが、
時おり記憶の混乱が起こっています……それ故、今すぐには戦場に出せません」
「ふむ……もしかしたら、記憶が戻ってきているのかもしれないな……」
クロヴィスは子供のようにワクワクしていた

鎮静剤を打たれて、意識が曖昧になったライは二人の研究員に抱えられていた、
連れられて行く内にカプセルの中にいたエメラルドグリーンの髪の少女と目が合った
(ほう……お前、何者だ?ん……随分と記憶が曖昧だな……)
ライの頭の中に彼女の声が聞こえてきた
「あ、ああ……あう……」(だ、誰だ……?君……は?)
ライは少女の方に向いた
(先約がいるのか……どうやら、一度暴走しているようだな……)
ライには少女が何を言っているのかがわからなかった
「離せ……」
ライは研究員を振り払う!
「うわっ!」二人の研究員は尻餅をついた
「何をしているナンバー11!!それは最重要実験体だ!!」
(僕を……知って……いるのか……?)朦朧とした意識でライはカプセルにすがり付く
研究員がライをカプセルから引き剥がし引きずる
自分の記憶が彼女の中にあるのだろうか?そう思うといても経ってもいられない
(ああ……邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔ダ……ジャマダ!!)

強い感情がスイッチとなったのか、ライの目に赤い鳥が再び宿った!
「離……せ!!」ライの目から赤い鳥の光が飛ぶ

「ああ……わかった……」いきなり二人の研究員はライに言われたとおりに離した
拍子抜けするくらいあっけなく離されたので、ライ自身戸惑っていたが、何かが引っかかった……少しばかり思いだしたのだろう
(一体なぜ……?そう……確か僕には…人を操る魔道を持っていた……ような気が)
ドサッ……
邪魔者がいなくなり、ライは彼女に向かうが目が霞みそのまま倒れた……

202 :カズト:2009/01/18(日) 22:23:50 ID:Y5rY5Wae

ある日事態は急変した
「バトレー将軍……我々はどうすれば……」
「諸君も知っての通り、計画は全て失敗に終わった……
故にこの研究所は放棄する……」
「えっ?しかし……」
「ナリタに場所を用意してある……全てを移す
記憶がないとはいえ、私や参謀達がクロヴィス殿下の下を離れた事は事実だ
私は本国に戻され、責任を問われるだろう……
その際、皇帝陛下に秘密でこの実験を進めていたことが知られると……」
「わかりました、早急に準備を進めます……」

「検体ナンバー11は如何いたしましょう?」
「彼はヨコハマの方に移送せよ……彼のことはその後考える……くれぐれも処分せぬようにな」
忠誠心だろうか……
バトレーに皇族の血を持つライを簡単に処分できるはずがなかった

某月某日
どれくらい時間が経ったのだろうか?
睡眠薬を打たれたライだったが、すでに耐性のついていたライにとって、その程度の量では、眠れなかった……いつしか研究所に縛られているのもうんざりしていた
イスに拘束されていたライは何か起こる予感を感じていた
研究員達の話し声が聞こえる

バトレーが純血派のクーデターに遭ったこともあり、
ライの研究は凍結されていた……
「おい例のアレどうする?」
「バトレー将軍がいないとなあ……精神も不安定なんだよなあ」
処分しようにも皇族の血を継いでいるライ
ましてや、自分達が子供の頃から、おとぎ話、映画、ドキュメンタリー等で知っている
「狂王ライ」本人なのだ、これほどの研究対象があるだろうか……

「ん……ま、まずい!!軍の査察だ!!」
「な、何でここが!?くそ!データを急いで処分するんだ!!」
研究員達はいきなりの来客にとまどっていた
バァン!!
けたたましくドアが開かれたようだ
「ここか!バトレー将軍による非人道的な実験が行われているのは?」
「じゅ、純血派の……」
隊長らしき男が率先して突入してきたらしい
研究員達は純血派という者達に拘束されている様子
「キューエル隊長!!これを見てください!!」わずかに残った書類を手渡す
「な……なんという事だ!!イレブンとの混ざり物をラウンズにだと!?何たる不敬!!とにかく、ここはお前達に任せる!!私は混ざり物を探す!!何としてもオレンジの失地を回復せねばならん!!それでなくても我らはコーネリア殿下の不興を買っているのだ!」
キューエルと呼ばれる男がこちらに向かってくるようだ

ガチャッ
キューエルはドアを開ける
部屋が暗くて、顔がよくわからないが椅子に拘束されているのがそうなのだろう
気配でわかる……拘束衣に身を包んでいる……
「コイツか……イレブンとの「混ざり物」は……っ!!」(な、なんだコイツは!?)
キューエルは動けないはずのライに気圧されていた
ライは入ってきた者に対して覇気をむき出しにしていた

想像などできるはずがない、キューエルが対峙しているのは、かつてブリタニアの辺境を炎と血で染めた、忠義の殉教者「狂王ライ」本人などとは……
ライはキューエルにギアスをかける!
「私を……解放しろ!!」ライは命じた!
「わかった……」キューエルは拘束衣のベルトを緩め、ライの手足を自由にした


203 :sage:2009/01/18(日) 22:24:30 ID:Vr+ehEVP
支援

204 :カズト:2009/01/18(日) 22:24:59 ID:Y5rY5Wae
ようやく解放されたライ背後に殺気を感じた!
「な……何なんだ!?何者なんだ……お前は!?私に何をした?」
顔が見えない事も手伝ってか、得体の知れない恐怖を感じながら、キューエルはライに銃を向けていた
「私にかまうな!!」ライはギアスを再びキューエルに向けて使用した
「そ、そうはいかん!!大人しくしていろ!!」
(効かない……一体どういう事だ?まあいい……)
ライはキューエルに向けて床を蹴った!!
ドッ!
瞬時に間合いを詰められたキューエルは腹部に鈍い痛みを感じた!
ライの拳が鳩尾を打ち抜いていた!
「がっ……!お……おぐ……え……」
キューエルは膝から崩れ落ちた……

ライは無造作にドアを開ける
ガチャ

「ナ、ナンバー11!!なぜ拘束が!?」
純血派に手錠をかけられた研究員達が戸惑いの声を上げた
「な、何なんだ……コイツは!?」純血派の軍人達もまたライの気迫に気圧されていた
「私に……かまうな!!」ライはギアスをかける

ライは冷蔵庫から食料を取り出し、片っ端から貪り食った
拘束されていたときの食事は栄養とカロリーのみの最悪なものだったから
まともな食事が何より嬉しかった
幾つかの携帯食料らしき物を手に握り出口へと向かう

地上への階段を上っていく途中で、後ろから話し声が聞こえた
(おい!!何をしている!?早く奴を追え!!)
キューエルとか言う奴だったか、ライがいないかのように振舞う部下を必死で叱咤しているようだ……
(追えと言っているのがわからないのか!!何をしているんだ!
オレンジの汚名を雪がねばならんというのに!!)

ライは自分の足で外に出た
記憶にない景色だった
(ビル……鉄筋コンクリートなどで造った高層建造物……)
(アスファルトコンクリート……アスファルトを泥状に溶かし、砂利、砕石、石粉等を混合して、道路……)
(アスファルト……天然に、または石油の蒸留残滓……)

「う……うわあああああああ!!」
ライの頭の中にいきなり知識が流れ込んでいた……
ライにとってこの景色は何もかもが見慣れないものであった
無意識に知りたいと思ったため、
植えつけられた知識がライの頭の中で、記憶と共に混線していた
カルチャーショックによる拒絶反応であった

「……ッハァ……ハァハァ」
しばらくして、拒絶反応が落ち着いていた
日の位置から夕刻のようだ、郊外なのか人もまばらにしかいない
頬に当たる風が心地よかった……
しかし、ライはふと思った……(僕は一体どこへ行けばいいのだろうか?)

あてもなく歩いていくうちに、何台かの車が行きかうのを見た
そのトラックを選んだのは、それがライの選択した運命なのだろう……
フワッ……
ライは音もなくその停まっていたトラックの荷台に飛び乗った
寝転がりながら、ただ空を見ていた……

そこに着いたのは日が落ちてしばらくした頃であろうか
じっとして空を見るのにも飽きたライはトラックの荷台から飛び降りた
そこはカレンも見慣れたシンジュクゲットーだった……

205 :カズト:2009/01/18(日) 22:26:58 ID:Y5rY5Wae
ライは廃墟らしき所に立っていた……そこはあまりにも退廃的であった……
整備されていない道路、破壊されたままの建造物、
(ゲットー……イレブンの居住区……皇帝陛下の恩情を理解できず……名誉ブリタニア人の申請……)
流れ込んでくる知識と共ににライの頭に浮かんでくるものがあった……

燃えさかる炎……人々の叫び声……血の匂い……目の前で消えていく命……

「ッ……!ハァ……ハァハァ……」ライは急に息苦しくなり胸を押さえる
(い、いやだ……ここに居たくない!!)
ライは逃げるように走り出した!!

ライは亡霊のように彷徨い歩く……
さっき見たゲットーと違って、整えられた場所だった

気が付くと目の前に見慣れない景色が広がっていた……
何なんだろうと思ったライに突然、再び植えつけられた知識が一度に流れ込んできた!

(租界……ブリタニア人の居住地域を含むブリタニア人の直轄地…インフラ整備……)
(インフラ……下部構造……産業基盤の社会資本……)
(街路樹…市街の美観及び環境保全のために道路に沿って上連ねた……)
(歩道橋……横断歩道に代わるものとして……)
(電灯……電力を利用した灯火……太陽光発電……)
(太陽光発電……太陽電池などを使って、太陽光を直接に……発電方式
導入費用が高……電力需要ピークを緩……排出量を削減できるなどの特長を有す)

「がっ……ああああああああああああ!!」
一度に流れ込んでくる知識にライは頭を抱えた

苦しんでいる拘束衣のライを不審がる者がいたが、関わりあいたくないのか目を逸らしていた……

しばらくして、落ち着いたライはふと見上げた
ある建物に大きな画面があり、そこに映っていた女性が何かを読み上げていた
(テレビジョン……画像を電気信号に変換……送、通信の方式または受像、受信機)
流れてくる知識にももう慣れてきた……ライはただ空ろに画面を見ていた……

『河口湖ホテルジャック事件の続報です!!たった今、軍に動きがあったようです!
ホ、ホテルが崩れています!!人質はどうなったのでしょうか!?人質の安否……』
そう言った直後、画面が急に切り替わった

画面に映っていたのは黒い仮面を被り、体をマントで覆った者であった
「ん……あれは……」
「ゼロだ……」
「ゼロ……」ライの周りにいる人々がその名を口にした……
(ゼロ……一体何だというのだろう?)ライは周りの者達の緊迫した空気を感じていた

『ブリタニア人よ動じる事はない……ホテルに囚われていた人質は全員救い出した
あなた方の元にお返ししよう……』

ブリタニア……いや、世界の歴史が変わる瞬間であった!!
このエリア11という大劇場で今まさに、全国民の視線がゼロという主役に集まっていた!!

『人々よ!我らを恐れ、求めるがいい!!
我らの名は…… 黒の騎士団!!我々黒の騎士団は……』

(ほう……コイツは……面白い……)
ライは興味をそそられたのか、口を笑いに歪めその仮面の騎士を食い入る様に見ていた

206 :カズト:2009/01/18(日) 22:28:30 ID:Y5rY5Wae
己の中にある「王の器」が反応しているのか?
片方あるブリタニア皇族の血が呼んでいるのだろうか?
それとも、ギアスが共鳴しているのだろうか?
いずれにしても、ライの中で何かが騒いでいた……

『……世界は!我々黒の騎士団が、裁く!!』
しばらくして、画面が切り替わり、アナウンサーが予想外の出来事に戸惑いながらも番組を進行していった……
黒の騎士団創設宣言の余波がまだ残っていると言った感じであった
興奮し他の者と顔を合わせる者……呆然とする者……
それに対し、ライは興味を失いこの場を去っていった
ライとゼロ……敵となるか味方となるかは、この時点ではまだ誰も知らない……

ライは裏通りにいた
女性の叫び声を聞こえたのか、ライは声のした方向へ向かっていった

「や、やめてください!!お願い……たすけてください……」
若い女性が男達から腕を掴まれ振りほどこうとしていた……
服が無造作に破られており、何をされようとしたのかは想像に難くない
「逃げるなよ!!俺達が可愛がってやるからよ!」
「そうそう大人しくしていろよ……イレブンが!俺達がこのエリアを守ってやってんだよ!」
がっしりした体の二人の男達が女性に向けて下卑た笑いを向けていた
問題なのは男達の服装がフォーマルであったことである
二人の男は警官だった……男の片方がライに気付いた……

「何見てるんだよ!貴様はあっちに行ってろ!!」警官はライを威圧した!!
ライは意に介した様子もなく、男達にまっすぐ向かっていった

(そうそう……この国を守ってやるんだからなあ)
(守ってやる……?守ってやる……だと!!)
ライの中にある記憶が不快感を呼び起こし、男達を敵と認識していた……

「き、貴様!!主義者か!?」男が銃を構えた!
ライは地を蹴った!!
瞬時に間合いを詰め、左手で銃を持った手を払いのけ、右の掌底で顎を打ち抜いた!
ガッ!
男は脳を揺らされ既に白目を剥いていたが、ライは右手で前に引き倒す!
そして、左足を上げて……
ゴキッ……
男の左肩を踏み折った……

「ヒ……ヒィィィィィィ!」無機質に相棒を潰したライにもう片方の男は恐怖し後退った
「守って……やってるだと!!」ライは怒気を顕にし男に向かっていった
右手で髪を無造作に引っつかんだライは男を壁に叩きつけた!!
グシャ!
男の顔が苦痛と恐怖に歪む……
「ゆ……許して……」男がライに懇願する
グシャ!!
ライの左拳が容赦なく男の顔面を捉える!

「おいどうした!!」応援が数人来たようだ
しかし、肉体強化されたライにとっては物の数ではない
怒りの感情に囚われたライは全員叩きのめそうとしたが、
「グ……ガアッ……」再び頭の中で記憶の混乱が起こっていた!!
「貴様!大人しくしていろ!!」警官達はパトカーに隠れライに向けて銃を構える!!
さらに、軍用の装甲車も到着したようだ
ふらつきながら、ライは彼らから背を向けて逃げた……

後に、ライが起こした警官殴打事件は被害女性の訴えもあった上に、この二人の警官がリフレイン密売にも手を染めていた事がわかり、ライの事はうやむやになっていく……

207 :カズト:2009/01/18(日) 22:29:14 ID:Y5rY5Wae
どれくらい逃げたのだろう……いつの間にかライは開かれた路地にいた
日の位置から夕刻のようだ
近くでパトカーのサイレンの音が聞こえた
逆の方向に逃げようとするも、後ろからもサイレンの音が聞こえていた
(まずい!!このままじゃ挟み撃ちだ!!)
バッ!
咄嗟に一足飛びで塀を飛び越えた!!
どこかの敷地内だろうか?着地をしたライは再び走り始めた

「ハァ、ハァ……ここまで来れば……」ふと我に返り、あたりを見回す
「ここは……どこだ……」ライはこちらに近づいてくる人の気配を感じた

「ごめんね〜、急な仕事入れちゃって、でも前サボってるんだから、これでチャラね」
「だから、あれは不可抗力だと説明したでしょう?何度も……」
二人の男女が会話を交わしていた
どうやら、ここは学校のようだ
会話の内容はよくわからないが二人はここの学生らしい
(学生とはいえ、見つかるのはまずい……どうする……あの力を使うか?)
「うっ……」突然、頭痛が襲ってきて、声が漏れた!

「誰だ!」男子生徒に気付かれた!!
逃げなければ……だが……体が動かない……
そのまま、ライの意識が遠のいていく……

(ここからみんなとの日々が始まったんだよ……)
ライの精神世界でカレンに呼びかける者がいた……
「えっ……もしかして……」
この世界でカレンに呼びかけられる者はカレンをこの世界に導いたC・C、
そしてもう一人……
(そして、僕は君と出会ったんだ……カレン……)

カレンの目の前に愛する者がいた……
「ライ……やっと会えた……あなたに!!」

208 :カズト:2009/01/18(日) 22:29:53 ID:Y5rY5Wae
投下終了をフィニッシュでした!!



ライの過去編自体はこれで終わりになりますた
あとは、立ち直るだけです

おいしいところがなかったキューエルにギアスの洗礼をしてみたくなりました
顔が見えず、その後ナリタでアボーンされるので、
仮に純血派シナリオに分岐してもこれで矛盾はないはずです

ではまた!!

209 :創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 23:58:23 ID:8t1V6kBi
>>208
カズト卿、GJでした!
かなり無茶な実験を重ねられていたですね。
純血派の立場回復のために強制捜査するキューエル、なるほど、あまり違和感なしです。
そして今へと繋がる記憶、ライは自分を取り戻した?
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

210 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 18:06:30 ID:3xeUrtl4
もしルルーシュが皇帝になった時にスザクだけじゃなく、ライとカレンもラウンズとして側にいたらどんな結末になったのだろうとふと思いました……

211 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 20:41:40 ID:Hn5ZpRJh
カレンがラウンズだったらというのは想像するなあ。
本放送のときも、さらわれたカレンがラウンズになるんじゃないかとか

記憶改変ギアスあるから色々できそうで

212 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 21:44:09 ID:3xeUrtl4
シャルルじゃなくルルのラウンズというのがカレンにはしっくりくるな!!
それにライカレは二人そろってルルの側にいるのが似合ってる!!!

213 :創る名無しに見る名無し:2009/01/21(水) 07:03:04 ID:LbuWvTRv
ルルーシュ皇帝の双璧というわけだな。いや、そうなると双璧にスザクを加えて三又の槍ってところか。

214 :創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 12:11:29 ID:XPl1l6gY
寂れたな此処も

215 :某スレから転載:2009/01/22(木) 13:58:39 ID:3hZGZQou
前からだよ。>>210は、ネタ提供してるつもりだろうがその前のSSと関係ない話題振って・・・

64 名前: 名無しさん [sage] 投稿日: 2008/08/23(土) 23:14:29 YNviZB8M0
投下終了した途端にアニメ本編の愚痴が始まると
俺にどうしろって言うんだと途方に暮れるほかない

65 名前: 名無しさん [sage] 投稿日: 2008/08/23(土) 23:20:03 kB5uQ1RkO
>>64 あれは困る
感想まだなら流れを断ち切る為に感想書いたり
投下できるSSがあれば投下宣言するんだが
どちらでも無い時はその雑談にノリつつ流れを変えたり
諌めたりするのがやたら面倒くさい
本編批判してどうするよ


216 :創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 15:20:04 ID:wPo6jg5m
みんな忙しいから中々投下できないのではないでしょうか?気長に待ちましょう。

217 :創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 15:58:13 ID:H603Kh22
>215
出典も明らかにできないような転載しないと
自分の意見も述べられないんかい

218 :創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 16:18:17 ID:Yn3Ymzrh
>>210
変な妄想書き込むよりも、SSの感想でも書けばいいのにと思ってしまうのだが…。
それか、その妄想をSSとした形にして投下してくれ。



219 :創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 19:13:22 ID:bCqfon2d
19:20から投下します。本文は2レス分です。

220 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/22(木) 19:20:35 ID:bCqfon2d
では投下します。

作者:余暇
タイトル:赤い糸
カップリング:ライ×カレン

本文は2レス分、その後であとがきが来ます。

221 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/22(木) 19:23:30 ID:bCqfon2d
                                  『赤い糸』

「ねえ。カレンってさ、運命の赤い糸って信じる?」
「赤い糸、ですか?」
アジトのラウンジで、井上さんが私に話しかけてきた。
「そう、『運命の人とは、見えない赤い糸で小指同士を結ばれている』ってやつ。
ほら、ここの副総督が特区日本を宣言したでしょう?もしうまくいけば、これからは戦うことはなくなっていくわけじゃない。
そうなると私もいい年なわけだしさ、今までできなかった恋愛とかできるのかなあって」
「はあ、そうですか」
学園祭でユーフェミアが宣言した、特区日本。確かにそれが成功すれば、これからは戦わなくて済むのかもしれない。
数日後に行われる式典次第だが、もし成功した場合、私はこれからどうしたいのだろう。
ゼロを支えていく以外に、井上さんが言うような運命的な恋愛とやらはするのだろうか。
「でも、そういうのって所詮は言い伝えや迷信の類じゃないんですか?運命かどうかなんて、わかりませんよ」
「まあ、そうかもね。でもカレンの場合、案外運命の人は近くにいるんじゃないかしら。例えばライ君とか」
「えっ?」
ライの名前を出され、私は顔が熱くなるのを感じた。せっかく意識すまいと思って、考えずにいたのに。
「だってさ、神根島でみんなが見ているのに堂々と彼に抱きついちゃったりしてさ。好きなんでしょ、彼のこと」
「う……。ま、まあ嫌いじゃないですけど。その、向こうがどう思っているかなんてわからないし。それに、自分の進む道は自分で決めたいっていうか……」
すると、井上さんはため息をついて苦笑いした。
「やれやれ、素直じゃないんだから。でも、きっとライ君もあなたに気があると思うんだけどなあ。
だから、特区が成立したら思い切って素直になってみれば?自分で進む道を決めたいのなら、なおさらね」
「い、一応心にとどめておきます。それじゃ、私行きますね」
その場にいるのが恥ずかしくなって、私はラウンジを出ていった。


「はあ、井上さんったら……」
廊下を歩きながら、私はため息をついた。だが、私は無意識のうちに自分の小指を見ていた。
(運命の赤い糸、ね。もし本当だとしたら、私は誰と結ばれているのかしらね)
その時、頭の中に銀髪の少年の姿が浮かんできて、私は首を振った。
(ああもう!どうしてライの顔が出てくるのよ。そ、そりゃあ好き…だけど、彼の気持ちは私にはどうしようもないし……。
それに、彼の周りには会長とか素敵な人が何故か集まるし。って、そんな後ろ向きになってどうするのよ!)
一人で悶々としながら歩いていると、前方不注意が原因で、前を歩いていた人物の背中にぶつかってしまった。
「あっ!ご、ごめんなさい!」
「な、何だ?って、カレンじゃないか」
「わわっ、ラ、ライ!?」
悶々とした気持ちの原因である人物に図らずも出会い、私はすごく動揺した。
「どうかしたか?顔が真っ赤だぞ」
「な、何でもないの!ぶつかっちゃってごめんね。と、ところでさ、ライはどこかに用事なの?」
何とかしてごまかそうと、私は話題をひねり出した。
「え?ああ、特に用事はないが、少し格納庫に行こうと思って。何となく、自分の月下を見ておきたくなったんだ」
「月下を?」
「ああ。カレンこそ用事か?」
「へっ?わ、私?えーと……」
自分が同じ話題を振られることを想定していなかった私は、少し考え込んでから言った。
「き、奇遇ね。私も、何となく格納庫に行きたかったのよ」
「君も紅蓮を見に行くのか」
「そ、そう!そうなのよ、だから行きましょう」
赤くなった顔をこれ以上見られるのが恥ずかしく、私は先に歩き出した。とっさに出た返事ではあったが、彼と一緒にいたかったのも事実だった。

222 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/22(木) 19:27:16 ID:bCqfon2d
格納庫に着いた私とライは、隣り合って立つ自分たちの愛機を見上げていた。
「たくさん戦って痛い思いもしただろうけど、随分助けられたな。ありがとう」
月下の装甲を手でなでながら、ライが月下に話しかけた。そして、彼は私の方を振り返って静かに笑った。
「実は、この一言が言いたかったんだ。こいつがいなければ生き残れなかったし、君やみんなを助けることもできなかった。
そして何より、特区という一つの答えにたどり着けなかったと思う。その感謝の気持ちを伝えたかったんだ」
誰よりも自分の機体を大事にする、彼らしい言葉だった。
「そうね、でも月下もライに感謝していると思うわ。あなたはこんなに大事にしてくれるし、あなたの判断力がなければ、月下は戦場で落とされていたかもしれないから」
「僕は大したことはしていないさ。それに、カレンや紅蓮にもお礼を言いたいんだ。君たちがいてくれるから、僕は安心して戦えた」
「えっ……。ぐ、紅蓮はともかく、別に私は大したことないよ。あなたにいつも助けてもらってばかりだから」
私は顔が熱くなるのを感じて、ライから視線をそらした。
「いや、君には感謝している。黒の騎士団に入って、こうして世界を変えるために活動できるようになったのも、すべてはカレンのおかげだ。
君は本当に僕の恩人で、大切な仲間で、その……」
途中まで言いかけて、ライが言葉を切った。
「どうしたの?」
「あー、いや。何でもないんだ、気にしないでくれ」
そう言う彼の顔は、心なしか赤かった。彼は私に背を向け、再び月下を見上げた。私も彼の隣に立ち、一緒に見上げる。
「式典の日をきっかけに、世界がいい方向に向かうといいな。争いのない、平和で優しい世界が来て欲しいと思うよ」
「ええ、そうね。みんなと一緒に新しい世界を迎えられるといいわね。その、もちろんあなたともね」
「あ、ああ。僕も同じことを考えた」
「え……?」
私は、思わずライの方を見た。彼は顔を少し赤くして、私の方を見ずに上を見上げたまま、手で自分の頬を掻いていた。
その様子を見ながら、私は彼の小指を見つめていた。
(まさか、ね。私とライの考えることが、すべて一致するとは限らないもの。でも、私はただ新しい世界を迎えるだけじゃなくて、その後もこの人と一緒に歩きたい。
もし本当に赤い糸があるなら、彼と私がつながっていて欲しいな。そう、私にとって一番……)
「カレン、どうかしたか?」
「ふえっ!?」
ライの指を見つめたまま考え事をしていると、彼が声をかけてきた。しまった、いつの間にかこっちを見ていたのか。
「僕の手をじっと見て、手がどうかしたのか?」
「いや、その、な、何でもない!何でもないから気にしないで、それじゃっ!」
手をバタバタ振った後、私は恥ずかしくて格納庫からダッシュで逃げ出した。格納庫に、彼一人を残して。
「……何なんだ。でもやっぱり、『君が好きだ』とは言えなかったな。式典が終わったら、今度こそ勇気を出して彼女に伝えよう」


数日後、私たちは本当に運命の赤い糸を感じることになる。
式典が成功した後、今日は想いを告げられなかった相手と、運命を感じながら互いを確かめ合うことになるとは、この時の私たちは知りもしなかった。

223 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/01/22(木) 19:28:50 ID:bCqfon2d
以上です。すいません、カレン視点で話を進めるって設定を書き忘れましたorz


224 :創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 19:56:55 ID:41aZEUo5
>>223
余暇卿、GJでした!
互いに同じようなことを考えている……あぁ、いいですね。
思い合い、信頼しているかんじが伝わってきます。
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

225 :創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 20:59:05 ID:f1yHxhYn
余暇卿GJ!卿のライカレは相変わらず素晴らしいの一言です。
優しい甘さのライカレは俺の嗜好にぴったりです。

226 :創る名無しに見る名無し:2009/01/22(木) 21:52:37 ID:ZeBXaKL5
とてもGJでした!!やはりカレンにはライが一番似合ってるなっと再認識しました!!
これからも頑張ってください!!!

227 :創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 18:23:16 ID:zqeTvdBG
余暇卿GJ!考えは同じなのにすれ違い…まるで本編のようでもどかしいw
だがそれがいい!次回も全力で待機いたします!

228 :創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 19:01:29 ID:cQK1GjOD
ライカレ好きの自分としては余暇卿の作品は殿堂入りのものばかりです
更なるご活躍を期待します GJでした!!
>>226
気持ちはものすごくわかるんだが誰が一番とかは荒れるもとだから言わないほうがいいんだぜ

229 :創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 20:25:33 ID:enVytBkL
>>223
乙。井上のセリフ
>>神根島でみんなが見ているのに
此の辺が、引っかかった。
「ブリタニアの警戒ラインぎりぎり」で息を潜めていたのに、大勢でライを救助に行ったのかと。

230 :創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 21:08:14 ID:lsZtiVjh
こんばんわ。
投下いたします。
今回は、ちと変わったものを…。

タイトル 血の惨劇
ジャンル ラブコメ
 
まぁ、気軽に楽しんでください。
突っ込みどころ満載ですけど…。

231 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/23(金) 21:09:33 ID:lsZtiVjh
血の惨劇


「ライ、お願いがあるんだけど…」
少し甘えたような感じでミレイさんが僕を拝むポーズをとる。
あー…またですか…。
なんか毎日のようにお願いされているような気がするぞ。
だけど、なんなんだ?
ミレイさんからお願いって?
「またですか」
少しうんざり気味に答える。
昨日は買出し、一昨日はおつかい。
よく考えてみたら本当になんか良い様に使われてるな、僕は…。
うーんっ…。
ここは少しぐらいは抵抗を見せないとこのまま良い様に使われ続けていくのは面白くない。
僕はちょっとだけミレイさんに反逆してみることにした。
「今日は、用事があるんですよ。ねぇ、ニーナ」
傍でPC入力をやっているニーナに話を振ってみる。
「ふへ?」
いきなりの事でよくわかってないニーナ。
そりゃそうだろう。
最近はよく話すようになったし、一緒に実験もやるようになったが、いきなり話を振られるとは思ってもみなかったに違いない。
だから、僕はニーナに片目をつむってみせた。
俗に言うウインクってやつだ。
それで通じたのだろう。
一瞬浮かんだ「え?」という表情をあらためるとニーナはコクンと頷いてくれた。
「本当にっ?」
じろじろと僕とニーナを交互に見て怪しむミレイさん。
でも、すぐに仕方ないかという顔する。
だがすぐに表情が変わった。
一瞬、いやな予感が頭を過ぎる。
そして、それは現実になった。

232 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/23(金) 21:10:15 ID:lsZtiVjh
「まぁ…二人がデートって言うのなら仕方ないかなぁ〜」
いたずらっ子のような微笑を見せて、そう大きな声で言い切ったのだ。
「いいっ?!」
「ミ、ミレイちゃん!?」
慌てた声を上げるけど、時既に遅し。
周囲の視線はもう僕たちに釘付け状態…。
「へぇ〜、二人っていつの間に」
シャーリー、その期待に満ちた瞳はなんなんだい?
「えーっと…おめでとうございます…でいいのかしら」
ナナリーまでもが真に受けてそう対応する。
「へっへっへー…。ライもニーナもいつの間に…」
ニタニタ笑いをやめろっリヴァルっ…。
「二人ともおめでとう。よかったね」
そう祝福してくれるのはスザク。
だが…みんなっ、お願いだからよく状況判断してほしい。
本当にたのむよっ…。
そう思ったとき…ふと気がついた。
我関せずを貫いているルルーシュはともかく、もう一人の人物が目の前にいないことに…。
そう、確かに状況判断は大切だ。
自分自身にそう言い聞かせる。
僕はそーっと恐る恐る後ろを覗き見た。
そこには仁王立ちで引き攣った笑顔を見せているカレンの姿があった。
うわー、うわー、うわー。
カレンの髪が逆立っている! これはかなりやばい状態じゃないだろうか。
「へえぇ〜、デート。いいわね、ライ」
怒ってる、怒ってるよ、カレン!
「あ、あのさ…カレン。ち、違うんだっ、れ、冷静になろうよ…ね?」
なんとかそう言うのが精一杯。
「冷静よぉ〜、わたしはぁ〜…。それとも冷静にならなきゃいけない事…ライしたのかなぁ〜っ」
ぎろりっと心の中を覗き込むように睨みつけられる。
ゾクッと背中に寒気が走る。
やばい…マジにやばい…。
殺されるっ…。
それほどカレンの怒気はすごかった。

233 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/23(金) 21:10:55 ID:lsZtiVjh
そして、気がつくとみんなは黙って仕事に専念していた。
薄情者ーっ。
思わず、そう叫びたい心境に駆られた。
ミレイさんでさえも、知らない振りをしている。
もっとも、その口には、意地悪な笑いが微かに宿っていることは見え見えだが…。
だが、救いは意外なところからやってきた。
まさに地獄へ突き落とされそうな瞬間にカレンの携帯が着信の音を立てた。
「?!」
カレンの表情がサッと変わる。
あの音は確か騎士団の緊急呼び出しコールだ。
しかし僕の携帯は音を立てていない。
もしやと思ってルルーシュの方を見た。
手元の本から顔を動かさない彼。
だけどその手をヒラヒラさせている。
どうやらルルーシュに高い借りを作ってしまったようだった。
だが、本当に助かった…。
「くっ…」
悔しそうにそう音を口から吐き出したカレンは、僕をもう一度にらみつけた後、急いで生徒会室から出て行った。
多分、騎士団に連絡を入れるためだろう。
僕はほっとしたが、そんな僕を詰まらなさそうに見ていた人がいた。
そう…話の発端を作り出した本人である。
ミレイさん、あからさまにわかるようにチッとか言うのはやめましょうよ。
僕、もうちょっとでユッケみたいになるところだったんですから。
でも、これは言わないでおこう。
何言われるかわかんないし、火種を提供することにもなりかねない。
沈黙は金なりですよ、ええ。
そして落ち着いてからやっとニーナの方に気が回るようになった。
言い訳がましいかもしれないが、それほど切羽詰っていたのだ。
しかし…本当にニーナに悪いことしたな。
僕はニーナに振り返った。
そしてそこには、真っ赤になってぶつぶつと独り言を言うニーナの姿があった。
「わ、私が……ライさんと…デート……。デートっといったら…」
そう…そんなことを真っ赤になって一人でぶつぶつといっていたのである。
それはそれで……怖い気がするよニーナ。
そう思った矢先に、ついに上限を超えたのだろう。
ニーナの身体からがくんと力が抜けて倒れこんだ。
慌ててニーナの身体を抱きとめる。

234 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/23(金) 21:11:43 ID:lsZtiVjh
「あーあー、オーバーヒートしちゃった。わたし、しーらないっとぉ」
一抜けたとばかりにミレイさんが部屋から出て行く。
「あ、おれもおれもー」
リヴァル、お前もか。
「あ、部活だったっけー」
ああーっ…シャーリーまで!
救いの手を求めて振り向いた僕にスザクは「そうだ、軍の仕事が…」と出て行った。
ルルーシュはいつの間にかいなくなっている。
どうやら、ナナリーを連れてさっさと逃げ出したようだ。
なんて逃げるのだけはうまいんだよっ、ルルーシュっ。
そして……部屋には気を失ったニーナとそれを倒れないように支えている僕だけとなっていた。
どうすればいいっ…。
どうすればーーーっ…。
そう思って途方にくれたとき…部屋に近づく足音があった。
誰か考え直して戻ってきてくれたのかッ…。
そんな事を考えたのだが、現実はそこまで甘くない。
そして、扉が開かれた。
扉を開けて入ってきたのはジェレミア先生だった。
現状を把握できず、ポカーンとした顔で僕たちを見ている。
その顔を見て、僕は不味いことに気がついた。
気を失っている女生徒を抱き上げている男子生徒の図。
これを教師に目撃される…それは…
「なにをやっているんだーーー!」
そうそう、こうなるよね大体は。
ヤバイ。
何とかしなければ…。
慌てて思考をフル稼働させて言い訳をでっち上げる。
「助かったっ…。すみません、ジェレミア先生っ、彼女を保健室まで運ぶの手伝ってください」
よく考えたらおかしいのだが、考えさせないように言葉をまくし立てるかのように続ける。
「気分が悪いみたいなので、保健室に連れて行こうとしたら、気を失ってしまって……。
急いだほうがいいかもしれません。さぁ…手伝ってっ……」
「そ、そうか。それは失礼な誤解をしてしまった」
単純な……もとい純真な人だ。

235 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/23(金) 21:12:25 ID:lsZtiVjh
しかし助かった。
これがヴィレッタ先生だったら…と考えてゾッとした。
ともかく今は結果OKということにして、考えないでおこう。
だって怖い結果しか想像できないから…。
そんな事を考えながら二人でニーナを保健室まで運び込む。
時間が遅いということもあり、養護教諭がいないみたいだ。
とりあえずニーナをベッドに寝かせてと…。
そして、しゃべろうとした瞬間、ジェレミア先生が先に話し出す。
「彼女の自宅に連絡を入れてこよう」
ああ、先に言われてしまった。
そしてジェレミア先生はさっさと行ってしまい、結局僕たちはまた二人きりだ。
どうしょうか…。
ちょっと途方に暮れてしまう。
そんな時だった。
「う…ううんっ……」
どうやらニーナが意識を取り戻したようだ。
ぼんやりと僕を見た後、再度真っ赤になっている。
何を想像したんだろう…。
すごくいやな予感がする。
僕の本能がそう告げていた。
そして…その予想は大きく当たった。
「あ、あのぉ…ライさんっ……まだデートもしてないのに…こういうのは……早すぎませんか?」
おどおどとそう発言するニーナ。
「へ?!」
つまり…ベッドで襲おうとしているとでも思われたのか?
ちょっと待ってくれ…。
僕は…そんな男に見えるのかいっ…。
頼むから、きちんと状況判断してくれっ。
そう思ったが、ニーナは頬を染めてイヤイヤして僕の言うことを何も聞いてくれない。
困った…。どうすればいい…。
途方にくれたその時だった。

236 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/23(金) 21:12:59 ID:lsZtiVjh
僕の心の中に住むもう一人の僕が囁いた。
『確かに困った。だがちょっと待って欲しい。こうは考えられないだろうか』
もったいぶって言葉を止めて咳払いをする。
そして、はっきりと言い切った。
『つまりこれはチャンスなのだ』と…。
唖然としているともう一人の僕は、そんな僕をせせら笑いながら説明しだす。
『つまりだ…。彼女という存在はミレイさんに対して僕のカードとならないだろうか。
彼女を味方につければ、これほど有利な事はないだろう…』
つまり、いつもいつも玩具にされている恨みを晴らすため、この状況をうまく利用しろってことか…。
『そうだ。このままずーっとやられっぱなしでいいのか?』
くっ…。
確かに……その通りだ。
今まで散々、玩具にされからかわれ続けてきた日々が脳裏に浮かんでは消えていく。
よし。僕は腹をくくった。
彼女にミレイさんに対する反逆の鍵になってもらおう!
だが1つはっきりさせておかなければならない事があった。
そう…カレンの事だ。
どうすればいい…。
どうすれば、納得させられる…。
彼女の焼きもち焼きは強烈だ。
あれだけは、避けなければならない。
なにより……まだ死にたくない。
それに、あの剣幕では、とてもじゃないがよほどうまい手を用意しなくてしならないだろう。
何かないのかっ……。
そう思ったとき、再びもう一人の僕が答えた。
『あるじゃないか!特別なのが…』
そう言ってほくそえんだ。
その言葉で、僕にもその方法が思いついた。
手段は、ある。
そうとびっきりの手段が…。
そう、この力。絶対遵守の力、ギアスが!
僕はニーナに向き直り、そして心を集中させた。
ごめんニーナ、だけど僕にはこの手段しか思いつかなかったんだ。
本当に…ごめんっ。
だが、僕はすぐに違和感を感じた。
ニーナが何も言わず、目を瞑り、こちらに顔を向けているのだ。
もしかしてこれは……。
どーっと汗が吹き出る。
まさか……。

237 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/23(金) 21:13:36 ID:lsZtiVjh
「ライさんなら……いいですっ……」
僕の気も知らず、そう短く言葉がニーナの口からもれた。
やっぱりーーーっ。
何でこうなるんだよ。
僕はどうすればいいんだーーーーーっ。
まさかの展開に頭の中が真っ白になる。
ギアスを使おうと思っていたことさえ、一気に消し飛んでしまった。
ニーナのかわいらしい唇がかすかに動く。
キスを待つその姿に、ごくりと口の中にたまったつばを飲み込む。
僕だって、健全な男子だ。
もちろん……こういうことにも…興味がないわけではない。
いや…無茶苦茶ある。
こう…なんというか…リヴァルが貸してくれた雑誌とか、まぁ…いろいろ情報はあるわけで…。
やっぱり…こう……。
えーーーいっ。
落ち着けっ。
落ち着けっ、落ち着くんだっ…。
正しく状況判断を…。
そう思って持ち直しかけたときだった。
「ライさん……」
ニーナが僕を呼ぶ。
そう…キスをせがむ呼びかけ…。
これでまとまりかけた思考が一気に崩壊する。
これはいわゆる据え膳食わねばってやつじゃないのかっ。
それに女の子を待たせているなんて男として恥ずかしいじゃないかっ。
なんか都合がいいことばかり思いつく。
だが、それがどうしたというのだっ。
男だろう…ライ。
男ならーーーっ…。
もういちどつばを飲み込み、僕はそっと彼女に自分の顔を寄せていく。
ギシっとベッドが軋む。
手をベッドの上に乗せ、そして……僕は、ずれたシーツにその手をとられて派手にずっこけた。
ガキーーーーンッ。
派手な音が響く。
もちろん、部屋と僕の頭の中に…。
そう…こけて思いっきりベッドの柱に頭をぶつけたのだった。
そして…意識が……薄れていき………僕は………。



238 :創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 21:14:13 ID:Cdp1WVGt
一応支援


239 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/23(金) 21:14:30 ID:lsZtiVjh

そして、僕は頭に響く激痛で目が覚めた。
うっすらと目に入る周りの景色。
そして、僕を心配そうに覗き込むミレイさんの姿があった。
「おっ…気がついたみたいね。心配したんだぞ。
ニーナが泣きながらライさんが死んじゃうって言って来たときなんて心臓止まるかと思ったくらいに…」
打ちつけた部分に絞ったタオルを当てながら、そう言うミレイさんは本当に心配そうな顔をしていた。
聞けば、ニーナはどうやらミレイさんが先に帰宅させたらしい。
一人で看病してくれてたのか…。
それによく考えたら、ミレイさんにはお世話になりっぱなしじゃないか…。
そう思うと僕は反逆してやろうだの考えてたのがなんだかバカバカしくなってきた。
そうだ、いいじゃないか。
からかわれるくらい別にいいじゃないか。
みんなで楽しく生活できるんだし、なにより笑いのある生活というのはいいものだと思うしね。
まぁ…それはほどほどでいいと思うこともあるんだが、まぁ…今回はスルーしとこう。
そう考えていたらなんだかおかしくなってきた。
自然と笑いが口から漏れる。
不意に笑い出した僕を心配そうに見るミレイさん。
「ど、どうしたのよ一体!」
「おつかい頼まれても、仕事を押し付けられたって、僕はミレイさんの事が好きだってわかったんですよ」
そんなミレイさんを少しからかいたくなってそう答える。
これくらいは言ってもいいかなと思いながら…。
きっと、すぐにかわされるだろうけどね。
そう予想して放った言葉だったが……。
「へっ?!」
僕の言葉を聞いて、突拍子もない声を発したあと、ミレイさんの顔が真っ赤になった。
「す、好きって…あ、あの…」
普段のミレイさんらしくない反応に僕は、慌てた。
そして、自分の予想とはまったく違う展開に進んでいることがやっと理解できた。
だが、慌てふためく僕を尻目に、ミレイさんは照れながらも僕の瞳を覗き見るかのように顔近づけた後、微笑んだ。
「いいわ。じゃあ、今日は買い物に付き合ってもらうわよ」
そう宣言してミレイさんは僕手をとった。
「了解です!」
その宣言にほっとして…そして少し残念に思いながらベッドから起き上がろうとした。
そのときだ。
ドサドサドサッと凄い音がして保健室のドアが開き、人影がなだれ込んできた。 
シャーリーにリヴァルにスザクにルルーシュもいるじゃないか。
「もうルルが押すからバレちゃったじゃない」
「それはスザクだ」
「酷いよルルーシュ」
「どうでもいいけど重いんだよね、シャーリー」
ちなみに、最後の台詞は一番下になっているリヴァルで、言ったあとシャーリーに殴られている。
あー…重いは女の子には禁句だよなぁ…。

240 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/23(金) 21:15:25 ID:lsZtiVjh
そう思いながら人数を確認する…。
五人か…。
ニーナとナナリー以外全員いるじやないかっ。
そう思って呆れ返ったとき、何かが僕の心に引っかかった。
あれ、五人?
……カ、カレンっ……。
一気に血の気が引く…
なぜなら、そこには、毛を逆立てて引きつった笑顔を見せているカレンの姿が……。
お、お帰りっ…。
早かったのね……お戻りが……。
血の気が引いたのと同時にどっと脂汗が一気に噴出する。
多分…僕は……今、とてつもなく情けない顔をしているだろう。
自分自身でわかる。
そして、それを見てくすくすと笑っているミレイさんの姿。
「は、謀りましたねーーーっ、ミレイさんっ」
思わず僕はそう叫んでいた。
「わったし、しーらないっとぉ」
ミレイさんはひょいっと僕の追及をかわしてドアまで歩いていく。
まるでネコだ!
つかみどころがない。
つかんだと思ったら腕の間から滑り降りていく。
そんな感じだ。
そして、『修行がたりないのう』とでも言いたいのか、いたずらな笑みを浮かべ、ウインクして部屋を出てしまった。
くっそぉーーーっ。
騙されたーーっ。
ちくしょーーっ。
僕はあらためていつかミレイさんに反逆してみせることを誓った。
だが今はまず、ここから生きて出なければならない。
そう…生きて…。
生きてミレイさんに反逆するまでは、死ねないんだっ。
僕は、そう新たに決心するとなんとかカレンの怒気を抑える策を考える。
そして…考えた結論は…。
やはり……こうするしかないか…。
僕は覚悟を決めた。
そして、怒り狂うカレンに近づくと抱きしめた。
「ごめん…カレン。でも、信じてほしいんだ。本当に大切なのは……君だけなんだ」
我ながらなんて大甘なせりふだろうと思う。
だが、これしか思いつかなかったんだよ。
僕は……ミレイさんに反逆するためなら、どんなことでもしなきゃいけない。
そう自分に言い聞かせた。
だが…むろんそれでどうにかなるはずがなかった。
ええ、なりませんでしたよ……本当に…。


241 :代理投下:あしっど・れいん:2009/01/23(金) 21:21:36 ID:oM+QGpfJ
「ふう」
オレはため息をついた。
ユッケのようになったらさすがに正直勘弁してほしかったところだったが、カレンもさすがにそこまではしなかったようだ。
ただ、殴られ、踏まれ、ボコボコになった肉の塊のようになっているライが床に転がっていた。
「生きてるか」
答えるライの声は微かだ。
「もう死んでるかもしれない」
現状でそれだけ言えれば上等だ。
仕方なく、ライの肩を持ち上げる。
なんとかクラブハウスの隣の部屋に担ぎ込むのは一苦労だった。
第一肉体労働はオレの分野じゃない。
だが……親友だからな。
仕方ないときもあるさ。
そう思って苦笑する。
「今回はあの程度で済んだが、次は考えろよ」
ついでにだが忠告しておく。
「何をだよ…」
ぐったりとしたライの声が響く。
「あまりいろいろなところに手を出しすぎるとこうなるという教訓さ」
長椅子に寝かしながら答える。
「わかった……。次からは気をつけるよ、ルルーシュ」
それだけ言うとライは沈黙した。
多分、疲れ切って寝たのだろう。
だが、オレはこの惨劇が再び起こるだろうということを宣言せねばならない。
なぜなら、会長という悪戯好きな小悪魔とあまりにも人がよすぎるライ、それにライにべったりでヤキモチ焼きのカレンがいる限り……。
血の惨劇は、再び引き起こされるだろ……と。

〔おわり〕


242 :代理投下:あしっど・れいん:2009/01/23(金) 21:22:11 ID:oM+QGpfJ
以上で終了です。
で、読んでくださった方、気がつきましたか?
途中、途中で文章体系とかが違ってませんでしたか?
実は、これ…二人のリレーSSをベースに私が加筆調整したものなのです。
片方は私。
もう片方は、あのBLUE DESTINYさんです。
うぉー…。ぱちぱちぱち〜♪
機会がありまして、二人で遊びでやったリレーSSやったんだけど、このままポイするのはもったいないなと思って…。
許可貰って今回のSSとなりました。
いやぁ…本当にBLUE DESTINYさんありがとうこざいました。


243 :創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 21:45:48 ID:Cdp1WVGt
ライのフラグ一級建築士ぶりに噴いたw
そして…素晴らしい!リレーSSとは思えないほど完成度の高い作品に驚愕です!
お二人に等しくグッジョブを!

そしてトーマス卿、保管庫をいまみてまたもや驚愕です。そういきますか…!
あなたが管理人をしてくれて本当に嬉しく思います。

244 :創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 21:55:04 ID:KGUFSNM+
>>242
GJ。リレーなのに、ちゃんと一つにまとまっていてすごいです。
ライ、あちこちに手を出すのは危険すぎる、寿命縮むよ……。

>>229
ご指摘があったので、ちょっと補足。神根島にライを迎えに行ったのは、カレン・井上の他に数人の幹部というつもりで書きました。
特にライと関わりが深い幹部のみで頭には描いてましたが言葉足らずでした。すいません、150分しか時間書けなかったもので……。

245 :創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 21:59:17 ID:JbuYw6R+
>>242
あしっど・れいん卿、投下乙&GJでした!
そしてBLUEDESTINY卿もGJでした!
何というフラグ乱立!
「謀りましたねー」辺りでガ○ダムのシャ○とガ○マの会話を想像してしまった。
「君のフラグ建築能力が悪いのだよ」
ミンチという表現はよく見ますが、ユッケ……なかなかに斬新。
リレーSSとは、難しげなかんじ……しかし、かなり纏まっている。
多少の違和感は有れども、言われなければ気づかないレベルだと思います
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

246 :創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 02:52:31 ID:MZQAWz8e
誰もいない時間を見計らって5分後に投下します。

247 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/01/24(土) 02:57:55 ID:MZQAWz8e
では投下いたします。
【メインタイトル】 ラウンズデイズ 前編
【ジャンル】 ギャグ

248 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/01/24(土) 02:58:35 ID:MZQAWz8e
今日は何事もなく平穏に終わる予定だった。
いつも通り稽古をして家事をこなして、さぁ寝ようかという時に予期せぬ家主の凱旋がなければ。
「ライ、お前ラウンズに入る気はないか?」
「は?」
連絡もなくいきなり帰って来たかと思うと目の前の家主、ノネットさんはそんなことを言った。


    ラウンズデイズ 前編


「いきなりなんですか?あとコートはちゃんとハンガーに掛けて下さい。皺になります」
「ん、わかった」
横に折って置いていたコートをコートハンガーにかけるノネットさん。
やればできる人なのだ。でもできれば自発的にできるようになって欲しい。
「それでなんでいきなりラウンズなんですか?人手不足は知ってますけど」
お酒が入るとよく聞かされる。書類仕事が嫌なんだよ〜が大半だ。まぁお世話になっている事だし偶に手伝うのだが。
でも機密文書を部外者に見せるのはどうなんだろう?というかほとんど僕が処理したんだが。
それを聞いたジノやアーニャが大量の書類を持って訪ねて来た時は頭が痛かった。
ノネットさんも含めて三人とも説教をしてもらった。ありがとうございましたヴァルトシュタイン卿。
そういえば疲れた顔をしてたなー。大変なんだろうなラウンズを纏めるの。
実力と一緒に個性も飛びぬけてるしなー。また日本の温泉の素を送っておきますね。

「そろそろお前をコーネリア殿下に会わせようと思っている」
「――ッ!?」
あの特区日本の式典の日から僕はノネットさんの家にお世話になっている。
暴走し始めたギアスに誰かを巻き込みたくなかった僕をノネットさん匿ってくれた。
ノネットさんの領地は田舎でほとんど誰とも会わない生活ができた。
おかげで家事全般の能力は大分上がった。裁縫、料理、炊事、洗濯、掃除なんでも来いというぐらいだ。

最初はノネットさんも仕事が忙しく偶に帰ってくる程度だった。
ただ帰ってくるといつも倒れるまで稽古に付き合わされるのだが。
広い領内とはいえナイトメアフレームは持ち込まないで頂きたい。
あとグラスゴー対専用機とかなんですかそのいじめ。勝てるわけないでしょう。

しばらくしてノネットさんがジノとアーニャを家に招いた。
始めは二人とも何も話そうとしない僕を訝しんでいたが、ジノが直ぐに僕を喋らせようとくすぐり攻撃に出ようとした。
僕は全力で逃げた。くすぐられている最中にやめろとうっかりギアスを使ったら堪ったものではない。
すぐに追われた。しかも二人係で。
途中から何故かノネットさんまで加わって盛大な鬼ごっこになった。ラウンズの能力をあんな形で知ることになるとは……。
それ以来ノネットさんが不在でも二人はよく遊びに来るようになった。
稽古に付き合わされたり、お茶を淹れたりお菓子を作ったりとしているうちに次第に仲良くなっていった。
そして段々と他のラウンズの人も訪ねて来るようになった。
最近ではサロン感覚でラウンズの面々が集まる次第だ。もう何処の国と戦争するんですかと思うぐらいだ。


「もう一年になる。お前の中の力も落ち着いて来たようだ。自分でもそろそろ帰ることを考え始めてたんだろう?」
「それは……そうですが」
コーネリア様は僕の帰りを待っていると言って下さったそうだ。
ユーフェミア様も僕の帰る場所を守ると言って、特区日本をより良くしていこうと頑張って下さっているそうだ。
スザクや特派のみんなは僕の帰りを信じて今でもクラブを残していてくれているらしい。
ダールトン将軍やギルフォード卿、生徒会の皆にも心配をかけてしまっているかもしれない。

ギアスの力は今は抑え込めている。使用を続ければまた暴走するかもしれないが使わなければ戦闘時の高揚感でも問題はない。
これもノネットさんの特訓で慣れたことなのだが……本人はそんなこと考えてなかっただろうな、きっと。


249 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/01/24(土) 02:59:38 ID:MZQAWz8e
「でもそれでなぜラウンズが出てくるんですか?」
至極まっとうな疑問をぶつけてみる。ていうかラウンズになったらコーネリア様の親衛隊に戻れないんじゃ?
「一年もお待たせしてなんの成果も挙げずに帰ればどうなると思う?」
「……脆弱者コースですね」
「だろう。ラウンズ入りなら手土産に申し分あるまい」
そういってノネットさんはどうだ!という感じで胸を張っている。
確かにただ戻るのも気が引ける話だ。ブリタニア軍人たるもの常に己を磨けと叱られていたし。
だがまぁ、試験を受けてもいないのにラウンズに入った後の事を考えても仕方がない。
帝国最強の騎士と謳われるナイト・オブ・ラウンズだ。その審査も生半可なものでは無い筈。
それに作戦行動中行方不明になった人間がいきなりラウンズに入れるわけがない。
これはノネットさんなりに発破を掛けてくれたのだろうと思い承諾することにした。

「わかりまし―――」
「よし、では明日出発するぞ。準備しろ」
は?え?なにを言ってるんだこの人は?明日?どこへ?
「えっと、ノネットさん、どこへ行くんですか?」
「ペンドラゴン」
「いきなり!?というかなんの功績も挙げてない人間がラウンズに入れるんですか!?」
「推薦状がある」
ノネットさんは何枚かの紙を僕の前に突き出した。あーあー、端っこクシャッてなってますよ、もう。
見てみるとたしかに正規の推薦状のようだ。
「でもノネットさん一人の推薦状で……」
「一人じゃないぞ、私を含めたラウンズのワン、スリー、フォー、シックス、ナイン、テン、トゥエルブ揃い踏みだ」
「なんで!?わ、ホントにある!?」
「ヴァルトシュタイン卿とルキアーノは完全に予想外だったがな。人好きのする奴め」
はっはっはと豪快に笑うノネットさん。笑い事じゃないでしょう。
僕が断ってたらどうするつもりだったんですか。僕が困るだけですか、そうですか。
「ジノやアーニャはなんとなくわかりますけど……ってなんでロイドさんの署名が!?」
「ん?KMFがいるからな。お前の専用機を持ってきてもらうついでにな」
ロイドさんにバレている……嫌な予感がする。
「まさか皆僕がラウンズに入ろうとしてることを……」
「知ってるんじゃないか?話してるときに大勢いたしな」
余計なプレッシャーがっ!!ああ胃が痛くなってきた。
「心配するな、コーネリア殿下には内緒にするように言ってある。やはりサプライズというものは重要だからな」
なんで受かる前提で話してるんですかノネットさん。僕には今の状況が一番サプライズですよ。
頑張ろう、とにかく頑張ろう。
そうだ陛下にギアスをかければ……いやいや何を考えてるんだ僕は。ギアス、ダメ、絶対。
「さて、では前祝いで飲むか!!」
なんでそこまで自信満々なんですか?いやもう慣れましたけど。

ワインを飲み進めるノネットさん。飲みすぎですよ何本目ですかそれ。
さらにまた一本空けると急に思い出したようにこちらを向いた。
「そうだ、お前は今日からエニアグラムを名乗るように」
「は?」
なにをいってるんだろう?今日はよくわからないことが起きるな。
「後ろ盾……という訳ではないが、もう私がしてやれることはこれぐらいだからな」
そう言ってノネットさんは空いたグラスにワインを注ぐ。
「嬉しいんだよ私は。ここに来た時のお前は塞ぎこんで誰とも関わろうとしなかった。それがジノやアーニャと少しずつ打ち解けていって」
ノネットさんはグラスの中のワインを揺らしながら眺めている。
どこか懐かしそうに、楽しそうに、少しだけ寂しそうに。
「だんだん以前のお前に戻ってきて、そしてまた軍に戻ろうとしている。それがたまらなく嬉しいんだ」
「ノネットさん……」
「だから餞別のようなものだ」


250 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/01/24(土) 03:01:39 ID:MZQAWz8e
僕は言葉に詰まってしまった。貴族の家名。それは決して軽いものでは無いはずだ。ましてや簡単に人に与えるものでも無い。
ノネットさんには本当にお世話になった。
ノネットさんがいなければ僕は自ら死んでいたかもしれない。
ノネットさんがいなければ僕は誰とも会わずに世捨て人のように生きていたかもしれない。
命だけでは無い、心も救ってもらったのだ。
その上にエニアグラムの家名まで……貰い過ぎだ、僕はまだ何も返せてはいないのに。
「勿体ないです。僕はノネットさんにどれだけ感謝しても足りないぐらいなのに……」
ノネットさんはまっすぐ僕の眼を見て微笑んだ。
「なら恩返しも兼ねてエニアグラムの名をもう一つラウンズに刻んでくれ」
「……はい!」
「おいおい、軍人の返事はそうじゃないだろう?」
ああ、そうか。僕は軍に戻るんだ。だからこれはその意思と覚悟を表す言葉。
「イエス、マイ・ロード」
必ず受かろう。何も返せないこの身でできる唯一の恩返しだ。ここから始めて行こう。
そしてエニアグラムの名に泥を塗るわけにはいけない。もう僕だけの恥ではないのだから。
「いい返事だ!!さすが私の自慢の家族だな」
ノネットさんは豪快に笑うとグラスに口をつけ、一気に飲み干そうとする。
「でも、エニアグラムって名乗るとなんだかノネットさんと結婚したみたいですね」
「ブハァッ!!ゴホッゴホッ――」
ノネットさんが盛大に咽てしまった。あーあー。
「一気飲みなんてするからですよ、もう」
正しいことを言ったはずなのに何故か睨まれた。理不尽な。



251 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/01/24(土) 03:02:48 ID:MZQAWz8e
――――次の日――――
朝起きたらアヴァロンが浮かんでました。不思議だなーーーーー。
「ノネットさんッ!!??」
おそらく元凶であろう人物を問い詰めよう。あっ、寝てる。
「起きて下さいッ、アヴァロンが家に来てますッ!!」
「うあー、怒鳴るな頭がいたい。あと寝ぼけているのか?」
昨日はアレから何故か飲むペースが上がっていた。顔が真っ赤になるまで飲むなんて体に悪いですよ、ホント。
だがこの反応から見るにノネットさんが犯人ではないのだろうか。となると、まさか……
「おはよ〜、お迎えに来たよぉ〜」
やっぱりか!!
間延びした声を発しながら眼鏡をかけた科学者風の男が入って来た。
ものすごく楽しそうですねロイドさん。鼻歌交じりだし。新しい玩具が待ちきれない子供みたいです。
「お久しぶりです、ロイドさん」
「久しぶり〜、どこも壊れてない?」
元気だったではなく壊れてないかというのが物言いがロイドさんらしい。
僕はなんだか懐かしくて嬉しくなってしまい迂闊にも、
「ええ、今は万全の状態です。むしろ前より性能は向上してますよ」
とロイドさんに合わせて返答してしまった。
「あは〜、やっぱり君は最高のデヴァイサーだよ。あれからクラブをいろいろ改造してみたんだ。もう今すぐ実験しよう!」
もう待ちきれないといった感じでロイドさんがくるくるとその場で回りだす。スイッチが入ってしまったようだ。
「ところでセシルさんは?」
これ以上は拙いかなと思い、頼れる完全無欠のストッパーを呼ぼうと思ったのだが……。
「ランスロットの整備があったからね〜。今日は僕だけ」
しまった!!完全にイレギュラーだッ!!
セシルさんが付いてきていないロイドさんなんてサクラダイトを大量に積んだタンカーみたいなものじゃないかッ!!
こんな絶好調なロイドさんだとどんなシミュレーター地獄に送り込まれるかわかったものじゃない。試験前に潰れてしまう。
「とりあえず向こうにつくまで半日ぐらいしかないから急がないとね〜」
半日も乗せる気ですか!?しかも多分休憩なしですよね。
「いや、その……」
「待った待ったー!!――ッいたたた」
ノネットさんが起きて来たようだ。二日酔いなのに自分で大声を出すのはどうなんだろう。とりあえず薬を出しておこう。
しかし、どうやらロイドさんを止めてくれる様子。さすがノネットさん、頼りに―――
「私は専用機に乗ったライと戦ったことはないんでな。ぜひ私も付き合わせてもらおう」
なりません。本当に。
「僕がラウンズに入れたらいくらでも戦えるでしょう。今回は遠慮して下さい。というかノネットさん二日酔いでしょう」
「エリア11では善は急げというのだろう」
誰だそんなことを言った奴は!!あ、昔の人か、じゃあ仕方ない。誰だそんなことを教えた奴は!?……スザク?
玩具を待ちきれない子供が二人に増えたようだ。すごく意気投合してますね。
そんな二人を止められるわけもなく、支度もほどほどに僕は引きずられていくように家を出た。
移動中はシミュレーター地獄だった。
ノネットさんも、いざ戦闘開始という段になるとケロッとしていた。この人は本当に……。

「やぁライ、やっと御到着かい?」
「……いらっしゃい」
ペンドラゴンに着くとジノとアーニャが出迎えてくれた。目立つな二人とも。
「……やぁ……久しぶり……二人とも……元気だっ……た?」
「いや、それは君に聞きたい」
「……酔った?」
僕は喋るのも苦しくて挨拶がやっとだった。なので最後の力で後ろを指差した。
「いや〜、やるもんだなぁ。最後の方は完全に動きについてこられてた」
「そうですね〜、さっすが僕のデヴァイサー。おもしろいデータもいっぱいとれましたよ〜」
談笑しながら降りてくる二人。結局ずっとシミュレーターだった。
新しい武装を試す時にはノネットさんは休憩していた。モニターを見ながらわくわくしていたらしい。
その後の手合わせの時の目の輝きと言ったらもう。
「あー、お疲れ」
「……よしよし」
ジノが慰めの言葉をかけてくれて、アーニャが頭をなでてくれた。
「ありがとう」
それ以上は何も言えなかった。胃袋から込み上げてくるものもあって。


252 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/01/24(土) 03:05:59 ID:MZQAWz8e
結局その日は移動で一日潰れてしまった。
いろいろあるのは明日からということでなんとか助かった……はずなのだが。
「なぜ酒盛りなんですか?」
「前祝いさ!」
「……かんぱい」
「はははっ、かんぱーーーい!!」
近くにホテルをとったのだが、すごく大きい部屋だった。ロイヤルスイートですか、ノネットさん。
二人が来ること前提で部屋を取ってますよね、これ。
ていうかなんで受かること前提なんだい三人とも。
「あっ、ジノ、アーニャお酒は駄目だよ」
「……大丈夫、これはジュース」
「私のもただのワインさ」
「ワインはお酒だよ!」
「あっはっは、お前も飲め飲めーーー!!」
僕は明日試験なんですよ、ノネットさん!?ていうかアーニャにまで注がないで下さい。
「アーニャ、駄目だよ。アーニャにはお酒はまだ早いよ」
アーニャは少し眉間に皺をよせ、むっとした顔をする。
「私はそんなに子供じゃない」
言うと同時にグラスを呷る。子供扱いが嫌なのはわかるが……思春期の女の子の扱いは難しいなぁ。
「君も飲めってー」
「ごぼっ、ちょ、ジノ、やめ」
ジノは僕の肩に手を回すと持っていたグラスを押しつけて来た。
慌てて逃げ出そうとすると今度はノネットさんにジノと逆の肩を掴まれた。
「まぁいいじゃないか、目出度いことなんだから。お前もぐいっといけぐいっと」
逃げれませんでした。駄目でした。無理でした。ラウンズの能力が無駄に高いと痛感しました。
その夜のことはよく覚えていない。


――――そして次の日――――
「シュナイゼル殿下、この度は誠にありがとうございます。アヴァロンまでお貸しいただいてしまって……」
「ははは、かまわないよ。我が国に新たなラウンズが誕生する事になるのならば、このくらい―――」
殿下が急に沈黙してしまわれた。どうかなされたのだろうか?というか微動だにしておられない。
「……殿下?」
「あれ、エナジーフィラーが切れちゃったのかな?」
隣にいたロイドさんが殿下の顎に手を当てるとパカッという音がした。
で、殿下の顎が開いたッ?!
顎の中から小さなエナジーフィラーらしき物を取り出すと、新しい物に取り換え顎を閉める。
カチッという音がした。すると――
「―――の協力は当然だよ。ははは」
「再起動ッ!?」


「という夢を見たんだ」
「ライ、不敬罪って知ってるかい?」
「?当然じゃないか、ジノ」
朝のティータイムを楽しみながら昨日見た夢の話をした。
これは早くシュナイゼル殿下にお礼を言いに行けというメッセージだろうか。
「いや、ならいいんだ。なるほどこれが概念は知っているというやつか」
ジノはなるほどなーと言いながら頷いている。なんでロイドさん用語を知ってるんだろう?
「……殿下が電化(製品)」
アーニャはうまいことを言ったという顔でこちらを見てくる。褒めないよ?あ、なんか残念そうだ。
「……残念」
あ、口で言った。
「おっ、いい時間だな。そろそろ出るか」
ノネットさんの言葉を合図に皆で席を立つ。さすがに動きに無駄がない。
よく考えるとこれから出陣すると言ってもおかしくない面子だ。昨夜戦ったのはアルコールとだが。


253 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/01/24(土) 03:10:08 ID:MZQAWz8e
いきなり王宮に連れて行かれたかと思うと陛下に謁見することになった。なにゆえ?
「ルゥァアイィ、エヌゥィアグゥラァムゥゥゥフゥーーー」
え?僕?僕の名前ですかそれ?
ヴァルトシュタイン卿の方を見ると、こちらを向いて小さく頷いている。あっ、やっぱり僕の事ですか。
「はっ」
その後いろいろ陛下が話しておられたのだが、これはひょっとして騎士の選任の儀式じゃないだろうか。
あれ?試験は?
とりあえずなんだかそれっぽいところで
「イエス、ユア・マジェスティ」
と言っておいた。
いつの間にか盛大な拍手が鳴っていた。あっ、ロイドさんがいた。すごく楽しそうだ。嫌な予感がする。

儀式が終わるとラウンズの面々がやってきた。
「僕、試験を受けてないんですが」
僕の言葉に全員があっけにとられた顔をし、何を言ってるんだという目で見られる。
「ん?試験なんかないぞ」
「え、だって、僕何の功績も立ててないですよ!?そんな簡単に入れていいんですか?」
「簡単じゃないぞ」
どうやら現ラウンズ全員の推薦を受けた僕は鳴り物入りでラウンズに入ったことになっているらしい。
実力についてはノネットさんの家での稽古でわかっていたらしい。そういえば一通りの面子と手合わせしたなぁ。
ああ、どうりで前祝いとかするはずだよ。確かにノネットさんは試験があるなんて一言も言ってなかったしなぁ。
なんだったんだろう、あの胃の痛みはと考えているとジノが圧し掛かってきた。
「重いってジノ」
「ははは、ライ、楽しみにしてるよ。馬上試合」
「はっ?」
試合?あ、そういえばKMFが必要になるからクラブを持ってきた訳で。……まさか。
「実力のお披露目というわけだ。ラウンズに必要なのは強さだ。お前の実力をたっぷりと見せつけてこい」
ノネットさんが僕の肩をポンッと叩く。
「……わかりました。それで相手もラウンズから選ばれるんですか?」
何故かヴァルトシュタイン卿が渋い顔をした。
いやヴァルトシュタイン卿は渋いけど、そういう意味ではなく苦々しい顔をしたという意味だ。
「………………いろいろあって私が務めることになった」
何があったんだろう、全く聞きたくない。
「実はねー」
言っちゃうんですか、モニカさん。聞きたくないんですが。
「ライ君の相手を誰がするかって揉めちゃって」
「私がするのが一番だと言ったんだがな」
「ノネットは身内だから駄目だろう。だから私がと――」
「……私がやる」
「近接戦闘に必要なものはなんだー?それは運動性能と格闘兵器だ」
「……トリスタンを使う」
「勝手に人の愛機を使うなよ!!」
「…………こんな具合で誰が戦うか戦闘で決めると言い出す次第でな」
ああ、大変だなぁナイト・オブ・ワンって。
「お察しします」
「……………………痛み入る」
いや、不本意ながら僕が原因みたいですし。
「というわけだ、負けるなよ、ライ」
無茶言わないで下さい。勝ったら僕帝国最強じゃないですか。

いざ試合開始となったのだがヴァルトシュタイン卿がいきなり叫び出した。
「我はビスマルク・ヴァルトシュタイン、シャルル陛下の剣なりッ!!」
いや、ラウンズ全員そうなんですが。これは僕も言うのだろうか。全力で遠慮したい。
「我がエクスカリバーに断てぬものなしッ!!」
殺す気ですか?試合ですよね?そうですよね?陛下の前だと性格変わってませんか?
やっぱりこの人もラウンズなんだなぁ。
結局、一撃は入れることができたものの見事に負けてしまった。


254 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/01/24(土) 03:13:07 ID:MZQAWz8e
最後にヴァルトシュタイン卿と握手をすることになったのだが……
「お前には期待している」
手が痛いです。顔がすごく真剣ですよね。
「お前には本当に期待している」
社交辞令じゃないんですか、やっぱり。
「……彼女達を抑えろということですか?」
「いや、軽減してくれるだけで十分だ」
被害をですか?それとも心労をですか?
「……頑張ります」
「ああ、頼む」
これからを思うと深い溜息が出た。


試合も終わり、手続き等も済んだようでこれで僕も晴れてナイト・オブ・ラウンズだ。
どうやらすぐに仕事というわけではないらしく、しばらくは時間が貰えるようだ。
エリア11―――日本にしばらく滞在する時間ぐらいはあるらしい。
とりあえず一度家に戻って荷物だけでも準備しようか。あまり私物は無いのだが。
あっ、コーネリア様に報告しておかないと。いきなり出向くのはさすがに失礼だ。
そう思いノネットさんに相談した。
「なんだ、急に行った方が面白いのに」
いや、ノネットさんは面白いでしょうけど、しわ寄せが僕に来るって知ってました?
「ふむ、まぁ事前の連絡なら手紙を出しておけばいいんじゃないか。通信よりは面と向かって報告した方がいいだろう」
確かに通信での報告よりは実際に会って伝えた方がいいと思う。メールよりも手紙の方が味もあっていいだろうし。
「わかりました、そうします」
「ああ、そうそう」
「なんですか?」
「ほら」
白い箱を手渡される。しっかりした作りになっており、金をあしらった豪華な装飾も入っている。
「なんですか?これ」
「ラウンズの制服だ、前もって用意していたんだよ」
「え、なんでサイズを知ってるんですか?」
「モニカに聞いた」
…………なぜ知っているんだろう。少し怖くなってきた。
「手紙にそれを着て撮った写真も添えておくといい」
「それこそ面と向かって見せればいいんじゃないですか?」
「記念写真だよ、元々配るつもりだしな。何といっても私の家族の晴れ姿だ」
えへんと胸を張るノネットさん。そう言われるとやめて下さいとは言えない。
「わかりました。……ああ、そうだ丁度いいや」
「?」
「一緒に家族写真も撮っておきませんか?」
「…………ふっ、ははは、そうだな、そうするか!」
僕らは並んで写真を撮ることにした。家族で写真を撮ることは初めてで、なんだか気恥かしくて、くすぐったくて、嬉しかった。

後日写真をアーニャに見せるとすごく不機嫌な顔をされた。やっぱりなんでも自分で記録しておきたいんだろうか。
「……記録……私も一緒」
今度はアーニャと写真を撮ることになった。一緒に写るのはめずらしいな。
アーニャがその写真をジノに見せたら―――



255 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/01/24(土) 03:15:10 ID:MZQAWz8e
―――政庁内総督室―――
「………………」
コーネリアは写真と手紙を眺めると、ふぅーと深く息を吐き、眉間を軽く押さえもう一度目を通す。
『ナイト・オブ・ラウンズに入りました。後日ご報告に参ります』
一行の簡単な報告であった。簡略化し過ぎな文である。だがそこはまだいい。
帝国最強の騎士になった。驚くことだが奴ならいずれはと思っていた。
問題は他にある。差出人の名前 ライ・『エニアグラム』
加えて、この写真。自分の尊敬する軍学校時代の先輩が楽しそうな笑顔を浮かべている。
そして、その隣には自分の元親衛隊の騎士が少し恥ずかしそうに立っていた。
コンコンとノックの音がした。短く入れと言うと、彼女の片腕でもある歴戦の猛将アンドレアス・ダールトンが入ってきた。
「姫様、こちらの書類ですが――ひ、姫様?!」
「どうした、ダールトン」
「いえ、その、……何でもございません」
「なんだその返答はお前らしくもない。まるであの脆弱者のようだぞ」
コーネリアは歴戦の猛将を慄かせる程の威圧感を放っていた。
そして自分のKMFを念入りに整備するように命令するのだった。

続く…………?

256 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/01/24(土) 03:20:57 ID:MZQAWz8e
投下終了です。
前編と書きましたがむしろここで終わった方がきりがいいような気がします。

ワンさんはロスカラ2がでたらダールトンパパぐらい、いいエピソードを発揮しそうですよね。
2大お父さんキャラですね。両方未婚っぽいですが。
この二人が飲んでると素敵な雰囲気になりそうです。

それでは失礼しました。

257 :創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 03:41:58 ID:hAXJCykt
>>246
|・∀・) <ミタヨー

面白かったです。ノネットさんが素敵で素敵で。
エナジーフィラーなシュナイゼル電化とか概念は知っている不敬罪とか
気苦労の絶えないらしいビスマルクさんとかああもう楽しい。
記念写真の連鎖反応、想像するだけでほほえましいです。

もっと読みたい、それ故に続きをお待ちしています。

258 :創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 07:45:33 ID:CL/+cFPf
>>246
GJです!

キャラ同士の会話が本当に楽しかったです。特区エンド後でしょうか?平和な雰囲気がいいですね
ラウンズ達との絡みは元より、皇帝の騎士になってより近い存在になったユフィやコーネリア、
これからは上司と部下の立場にもなるかもしれないスザクや特派の面々との
交流も期待して…続き、お待ちしています!

しかしライのラウンズマントはやっぱり青だろうか
スザクのやつよりももう少し深くて落ち着いた色のものを想像したが

259 :創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 12:07:14 ID:Q7huh605
>>256
ワンドのナイト卿、GJでした。
ストッパーのいないロイドさんに、元からストッパー無さげなノネットさん。
二人が揃えばある意味敵はなし!
というか半日シミュレーターってヤバいw
シュナイゼルの顎がwww顎が割れてエナジーフィラー取り替えwwwww笑うしかないwwwwwww
そして独特すぎて聞き取りづらい皇帝ヴォイスw
更に親分なビスマルク!
あぁネタが面白い……
ラウンズ入りのライ、特区日本成立後の世界でどの様に物語が展開するのか。
後編も楽しみです!
貴公の次の投下を我が全力を挙げてお待ちしております!

260 :創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 22:25:25 ID:aqkUXIHM
今晩は、27分に投下します。

261 :テリー:2009/01/24(土) 22:28:02 ID:aqkUXIHM
時間になりまして投下します

「明日の為に」

ブリタニア軍人後のルートです

262 :テリー:2009/01/24(土) 22:30:13 ID:aqkUXIHM
「明日の為に」


第七章 ブリタニア軍人編


夜の街を歩くライは政庁へと向かっていた。記憶を取り戻すために特派に入り
様々な戦いを経て親衛隊に入隊し沢山の出会いと多くの大切な物を学び得た。
そしてあの特区設立のあの会場で再び暴走を始めた悪魔の力ギアスのせいで
また同じ過ちを繰り返そうとしたところをノネットさんに救われたのだ。
今でも鮮明に覚えている、本国で皇帝シャルルに出会い直にラウンズ入り
を決められた。
(あの時は半ば強制だったような気もするなー、でもそのおかげでまた
成長できたしいいかな)


夜も遅い深夜の政庁は不気味なほど静かだ、しかしその放つ存在感はものすごい
ものがある、ここからライの新しい人生が始まったのだ。
「すっかり雪化粧されて・・・・・綺麗だなぁ」
1月10日の時はあまり雪に埋もれていなかった政庁がライが籠っていた数日間
で白く染まっていた。


「久し振りだね・・・・・・ライ」


町からライをつけていた存在を彼が解っていないわけはない、それが誰かと言うのも


「1月に会ったばかりじゃないか、スザク」


一番の親友スザク、この世界で生きる目的を、自分の事を相棒と言ってくれた戦友
ライがラウンズに入ってからも変わらない友情を続けてくれた大切な仲間・・・・・




263 :テリー:2009/01/24(土) 22:31:39 ID:aqkUXIHM
「懐かしいよ、あの時も感じたけど変わらないなぁ政庁は」
「6年ぶりだからね。でもこの日本は変わったけど」
「良い方に、だろ?」
「まあね・・・・でも君は変わらない、あの時と全く・・・・なのに」
「・・・・・・・・・」
「どうして死にに行こうとするんだ!!他にも方法が――」
「無いよスザク、戦力差が有り過ぎる。嵐が無ければ敵はすぐに攻めてきただろう。
それに僕は簡単には死ぬつもりはないしね」
「・・・・・・・良かった」
「?」
「それが心配だった。もしかしたら単に自殺しに行くつもりじゃないかと」
それこそスザクが最も恐れていた事だった。ライはスザクにとって親友なのだが
それと同時にパートナーでもある。今までルルーシュやナナリーしか心を開けれる
友がいなかったスザクは友、特に親友に対して強い友情を求める。



「ロイドさんとかはどうしてるんだい?」
「ロイドさんは特区の技術科の主任をしてる、セシルさんはそのサポーター、
騎士団のラクシャータも同じ部署だったかな?」
「そうか・・・・・」
「ライ」
「ん?」
「海戦には必ず救援に行くよ、君を見殺しになんか――」
「その必要は無いよスザク」
「どうして!?戦力差は圧倒的なのに!!ルルーシュだってカレンだって
君を死なせたくないんだよ!?」
「僕は馬鹿じゃない、何の考えも無しに突撃する訳じゃない。救援なしでも
十分さ」
「・・・・・・・・・・・」
「そろそろホテルに戻らなきゃ、安心しろスザク。僕は死なないさ」
「・・・・じゃあ約束してくれ、必ずまたこの場所で会うと!!」
「・・・・ああ、必ず」





264 :テリー:2009/01/24(土) 22:32:32 ID:aqkUXIHM
その帰り道、スザクと別れ一路泊っているホテルに向かう途中で人気の
バー「エンドウ」に立ち寄った。
「いらっしゃいませ」
「キールを」
「かしこまりました」
時刻はとうに夜の11:00でもかなりのお客さんが入店していた。あの式典襲撃が
あっても動じている様子は無い事にホッと安心する。
「お待たせいたしました」
「ありがとうマスター」



その後しばらく一人たたずんで飲んでいた時
「お客様、スクリュードライバーでございます」
「え、僕は注文は――」
「俺のおごりさ」
「ジノ、いつの間に」
「お前が入店してからずっとさ、なのに全然気付かないんだからよ」
ラウンズの服ではない白いスーツを着ているジノ。ジノとはブリタニア本国で
出来た最初の戦友だった、よくこういうバーに行ったのを覚えている。
「元気そうで何よりだよジノ」
「ああ、お前も・・・・けどこんな事に成らなきゃもっと元気なんだけどよ」
「救援感謝するよ・・・・強襲部隊の戦力も充実する」
「お前の力になりたいからな、数少ない友だしな」
「ジノ・・・・」
「でも大変だったんだぜ?戻ってから」
「?」
「アーニャやノネットだよ、2人とも表には出さないけど毎晩泣きどうしでなぁ
お前が死にい行くって聞いてから。目なんて赤くて態度も露骨だったし」
「・・・・そうか」
「それにビスマルク卿も出向きたいって言ってたんだぜ。息子同然のライを
見殺しになんか出来ないって」
「ビスマルク卿には兵法とか学んだっけ」
「だから簡単に死ぬなよ、2人まで後追うかもしれないから」
「皆に死ぬなって言われるなぁ」
「当たり前だ!それだけ大切なんだよ、お前が」


265 :テリー:2009/01/24(土) 22:33:23 ID:aqkUXIHM
「・・・・・・・・・」
ライの胸はそれだけで熱くなる
「まぁ暗い話はここまでにして、飲もうぜ!」
「付き合うよ、戦友」



誰しもが死なないでくれと願う人がいる

過去にどんな事をしたとしても

心からの友情・・・・それはけして裏切らない絆



それぞれの想いを抱え



次回、出撃の時が来る






266 :テリー:2009/01/24(土) 22:35:33 ID:aqkUXIHM
以上で終いであります。ここで遅い説明ですが。

この物語は六章まで共通パートで七章で二つにルートが分岐します。
八章でまた共通になります。なお、前回投下した八章のライ×C.Cの物語
は消去でお願いいたします。ちなみに基本は

黒の騎士団、ブリタニア軍人編で+ブルームーン

となっております。
説明が無かった事を読んで下さいました皆様にお詫びします。



267 :テリー:2009/01/24(土) 22:41:11 ID:aqkUXIHM
すいませんもう一つ!バーの名前”エンドウ”は
2月11日の花言葉で”未来の喜び”です。

268 :創る名無しに見る名無し:2009/01/24(土) 23:58:04 ID:Q7huh605
>>267
テリー卿、乙でした。
えーっと……騎士団篇もしくは軍人篇親衛隊ルート、それにブルームーンが追加されたカタチが過去であり
それから二つのルート共通でブリタニア本国に行きラウンズへ
そしてこのSSの時系列にいたる、ということでしょうか?
かなり複雑、しかし興味深い設定ですね。
どの様に話が展開するのか楽しみです。
ライの考える勝つ方法は何なのか。
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!

269 :創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 03:00:06 ID:Jfnh2pB5
ノネットさんは、さめざめと泣いて待つようなタマじゃないと思うんだ!

270 :創る名無しに見る名無し:2009/01/25(日) 11:18:38 ID:Tn9+Qqta
>>266
GJ
共通ルート。今のところ、二つの異なる経験をしたライの話をほぼ同時進行させ、最後の最後エピローグでまた分岐って感じでしょうか・・・

>>269
涙を流さない泣き顔ってのもあると思うんだぜ

271 :創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 05:42:36 ID:P43sOPVv
○1日レスがなかったか

272 :創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 07:17:50 ID:jZNV0IxB
月末は忙しいんですごめんなさい

273 :創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 12:18:23 ID:d7h3Z/6e
ライがギネビアに迫られるSSがあると聞いて飛んできました

274 :創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 14:39:52 ID:1AXko7RV
ギネビアに迫られるのあったかな?

275 :創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 00:46:32 ID:ZcpBwThL
またも一日レスなしと

276 :カズト:2009/01/29(木) 01:05:50 ID:cAmfj2Qn
リロっても大丈夫なので
投下させていただきます

本文は4〜6レスです
タイトル「追憶の旅路 第十六章 対話の時」


注意点
・実質完全オリジナルと言う言葉が取れました……
・カレンがライの過去編を精神体という形で見ております
・オリキャラ多数 あくまで別人でした……

あらすじ

ある日、運命はわき道に逸れた
カレンはマオに拉致される
マオに一度は心を壊されたカレンだったが、ライへの愛によって自力で復活
マオを倒し、心身ともに叩き伏せたが
助けに来たライはすでに心を壊されていた
C・Cの力でライの精神世界に飛び込んだカレン
そこで、カレンはライの過去を知る
ライの苦しみ、罪業を受け止めたカレン
そして、カレンはようやくライの心の中でライを見つけた……


277 :カズト:2009/01/29(木) 01:06:58 ID:cAmfj2Qn
ライの精神世界で、ついに愛する人を見つけた
カレンはその手をライに差し伸べる……


「ライ……一緒に帰りましょう……みんなの所へ」
「カレン……知ってしまったんだね、かつての僕を……」
「ええ……ライ、あなたはこんなにも苦しんでいたのね……」

「血に塗れてでも、守りたかった……
でも、守りたいという思いと力が大きくなりすぎて……みんな失くした……

頼れる部下はいた、でも王として過ごしていくうちにギアスを使う自分が怖くて、
誰も近づけさせなかった、誰も信じられなかった……一人を除いて
目覚めた僕は生徒会のみんな、黒の騎士団の仲間達と過ごしてきて、
昔の自分になかったものを感じた……

カレン……共に戦う日々は君を知っていく日々でもあった
そんな日々を過ごしていって、
全てを思い出した時には、僕は……もう君を好きになっていた……
君が僕の居場所になっていた……
何度話そうと思ったんだろう……話せなくて……僕は血に穢れた手で君を……」
ライは罪悪感で頭を抱えていた

「ライ……あたしあなたに抱かれた事……後悔してないわ
あなたの過去を知った今でも、この気持ちは変わってない!」
カレンはライに強い思いをぶつける

「カレン、ありがとう……でも、これからどうすればいいのかわからないんだ……
僕は……わからないんだ……僕の罪……命を奪いすぎて
もう、命の意味がわからないんだ……みんな生きていたかったはずだ……」

「それでも……あたしはあなたに生きていてほしい!!」
「カレン……」
「あたしの人生、欲張りだと思うんだ……お兄ちゃんの願いであった日本のために戦う事、
それと普通の女の子としての幸せ……そう、ライ……あなたと出会った事……
ホントはお兄ちゃんも扇さんも、あたしにそう望んでいたのをわかっていた
あなたを好きになって、二つとも手に入れたの……」

「あたしもシャーリーのお父さんを殺してしまった時、苦しかった……
自分の行動に迷いが生まれたわ
でも、あなたが抱えていたものは、想像を超えていた……
それでも!!あたしがあなたに生きてほしいの!!
上手くいえないけど、あたし……まだ、あなたを愛してる!!」
ライの過去を追って行って、抱えていた孤独、苦悩、罪業を知ったからこそ、
ただ真っ直ぐな思いをライに訴えかけていた!!
「カ、カレン……あ……あああああああああああ!!」
ライは法雨の涙を流し、赤子のようにカレンの胸に泣き付いた




278 :カズト:2009/01/29(木) 01:08:08 ID:cAmfj2Qn
(クックククク……クハハハハハハハ!!)
二人の世界を壊すように、哄笑が響き渡った!!

カレンは笑い声のしたほうを向いた
「えっ……な、なんで!?」

カレンが戸惑ったのも当然である
そこにいたのも……ライだった!!正式な皇族の衣装を着て、邪悪な笑みを浮かべていた
そのライは、常にライの側にいて、悪魔の様に囁いていたライだった!!

(情が残っている様だな……ギアスを使えばすぐ王になれるだろ……
ダニエルは凡庸、ロベルトは腰巾着のクズ……この国に要らない者じゃないか
国のトップが無能……それだけですでに罪なんだよ……)

(なぜお前は彼女をモノにしない……できたはずだろう?彼女をモノにすれば、皇帝の地位に一歩近づく……お前はこの国を手に入れることができる!!おまえ自身だって彼女が欲しいんじゃないか?)
(バケモノが人間に愛されようなんて虫が良すぎるだろ……
はっきり言ってやる!もう、お前はギアスでしか愛を得る事ができないんだよ!!)

(奴らを殺さなければ……全ての元凶は奴らなのだ!!)

「美しいものだな……愛するという心は!!だが、そいつは私であり、
血に塗れた虐殺者だ……
私がそいつに代わってライとして生きてやろうではないか
そこをどけ……カレン!!」
「もうひとりのライ」は刀を抜き、ライに刃を突きつけた!!

しかし、カレンは意を決したように、「もうひとりのライ」の前に立ちふさがった!!
「な、何のつもりだ?カレン……」
「あなたにライを……斬らせはしない!!」
「ど、退けと言っている!!」威圧はするが、どこかに焦ってるようにも思える
「退かない!!」カレンが決して揺るがない強い決意で睨み返す!!

カレンはライの方を向き、
(ライ……もうわかってるでしょ!コイツの正体!)
訴えかけるような強い視線を送り、再び「奴」を睨んだ!
「う……あああああ……」
ガタガタガタ……
「奴」の切っ先が震えていた

「あ……ああああ……カレン……」
ライは何かを叫びたかった
ライは既に知っている……向き合わねばならないものを……

「ハァ……ハァハァ……」
「奴」は息を荒げながら、刀を振り上げた!!
カレンは微動だにせず、その切っ先を見据える!!



279 :カズト:2009/01/29(木) 01:10:08 ID:cAmfj2Qn
ガタガタガタ……
ライはその光景を歯を鳴らしながら見つめていた、何かを叫ぼうとしていた
ライの中で、カレンと過ごした日々が浮かび上がる……


「いいわ、私で」
「ええ、もちろん、お世話係主任ですもの」
そう言って、お世話係を引き受けてくれたっけ……

「ここではブリタニア人であるかどうかが、その人の明暗を分けるの
生きる権利があるか……をね」
ゲットーを一緒に見に行った時、初めて見せてくれたね……本当の君を

「ふ、二人の時間って……!何を言ってるのよっ!わ、私は生徒会の仕事として……」
生徒会の仕事の日だったかな?あの時から、君を意識しだしたのかもしれない……

テロリストとブリタニア軍の小競り合いで、カレンを庇った……あの時は反射的だった
リヴァルにその時の事をからかわれたけど、どこかでうれしく思う自分がいた気がする……

「なーんか、いい雰囲気じゃない?」
「会長!そんなんじゃありませんから」
ミレイさんにからかわれた時は、妙に心がむずかゆかった……

そして、黒の騎士団の勧誘を快諾した事は、記憶の事だけじゃない
カレンがいたからなんだよ……

カレンと共に戦い、一緒に悩み、そして……いつしか互いに惹かれていったんだ……

そして、ギアスにかかったユーフェミアに撃たれて、
目覚めたら側に君がいて
互いの唇が触れ、君の柔らかさと熱さを感じた
そして、君への気持ちにやっと気付いたんだ……


僕の……大切な人だから!!


ライは拳を握り、立ち上がった!!

ライはもう一人の自分を見据え……息を吸い
「止……めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

ビクッ!!
カレンに振り下ろそうとした刀が止まった!!
「ライ……良かった……」カレンは立ち上がったライを見届け、
ドサッ……
力が抜けたのかそのまま倒れた

280 :カズト:2009/01/29(木) 01:11:21 ID:cAmfj2Qn
「な……お前は黙っていろ!!」
「お、お前とは……随分他人行儀じゃないか!!お前は……僕だ!!
かつて、お前が……言った言葉だ!!」
ライは震えながら、「奴」を睨んだ!!

「グッ……だ、黙れ!!」「奴」は次第にライに気圧されていく……
「僕はお前と向き合うことが、怖かった……お前は、僕の中の……弱さだったんだ!!」
「……っ!」

「ギアスを手に入れ、力を振るっていく度に孤独になっていた
いつしか僕はこの世界を拒絶するようになっていた
孤独……敵、家臣への憎悪……不条理に対する怒り……罪悪感……王としての重圧……逃避願望……お前はそれらが混ざっていったものだ、
お前はいつでも僕の側にいて、何もかも分かっていたかのように囁いていた!!
自分自身だからね、当然の事だ!!」
いつしか震えは治まり、ライから迷いが消えていった

「あ……ああああああああああ!!」

全てを看破された「奴」は刀を落とし震えていた……
「奴」の体が足元から光の粒子に変わり昇華していく……

「僕はもうお前に負けない!!
生徒会の友達がいる!!
黒の騎士団の仲間がいる!!
そして……カレンがいる!!
だから、僕はもう一人じゃないんだ!!
僕であるお前にカレンが斬れるはずがないんだ!!
僕は、カレンを……愛してるから!
僕はお前を否定しない!!けど、もうお前に惑わされる事はない!!
僕の中で黙って見ているんだな……」

ライは深呼吸をして、「奴」に向けて言葉を放つ……
「消え……失せろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「ぐああああああああああああああああああああ!!」
そして、「奴」は完全に光の粒子に砕け、ライの精神世界に吸収されていった……

しばらくして、カレンは目が覚めると、隣に愛する者がいた……
「ライ、あなた、ようやく自分を取り戻したのね……」
「カレン、君のおかげだよ……ありがとう、僕を受け入れてくれて……
怖かった……君に忌まわしい過去を知られるのが……」
「誰でも何かを背負って生きているんだと思う
それでも、あなた自身の過去は一人では重すぎるわ……だからこそ、あたしもあなたの重みを背負いたい!何かの本に書いてあったわ、「過去の落とし前を付けるために、未来はある」って……」
「強いなカレンは……マオを倒しただけの事はあるよ」
「一人じゃあいつに勝てなかった……あたしの中にあなたがいたから……」

マオはその能力ゆえに、世界と自分を断絶していた……
いかに絶対的な力を持っていたとしても、所詮、一人の力などたかが知れている
カレンはこの世界を踏みしめ、兄の思いと母の苦しみを背負い、仲間達と共に生き、そしてライを愛した……
カレンがマオを倒せたのは、偶然でも奇跡でもない……必然であった……



281 :カズト:2009/01/29(木) 01:12:00 ID:cAmfj2Qn
「もう、閉じこもる事もない……早く帰って、みんなに会いたい」
「ええ……みんながあなたを待っている……帰りましょう」
ライとカレンはお互いを見つめ合う……
星と星とが引き合うように、ライとカレンの顔が近づいていく……
「ずっと一緒だよ、カレン……」
「ライ、愛してるわ……あなたの全てを……」
二人の精神が重なり合う

精神世界での精神体どうしのキス……
それは、永遠の絆の誓い……
何者にも断ち切れぬ、愛の契りであった……

(ようやく繋がったな……こっちだ早く戻って来い……)
C・Cの声が二人を導く

僕は再び目覚めた
確か、ゲットーの廃ビルの一室にいた気がする
目の前にカレンがいた
「お帰りなさい、ライ……」
「心配かけてごめん……みんなの所に帰ろう……か……あ、あれ……?」
立ち上がろうとしたライの視界がぐにゃりと歪んだ……
そして、床に座っていたカレンの胸にもたれ掛かり、意識を失った……
「ラ、ライ!目を開けてよ!!嘘でしょ!?」カレンは必死に叫んだ!!
C・Cがカレンを落ち着かせる
「大丈夫だ、精神的に疲れ切っているだけだ
しばらく、休養を取れば回復する
それよりも、カレン……お前も休んだ方がいい
昼から何も食べていないだろ……それに、ライを連れ戻すのに、相当精神力を使ったはずだ
助けは既に呼んでいるから、今はゆっくり眠れ……」
「あ……あれ?あたしもなんだか……眠い……」
カレンの視界もぐにゃりと歪み、ライを抱きかかえたまま眠った……

「ふう……それにしても、かなり力を使ったな……
早く帰って、(ピザで)腹を満たさねばな……
もう夜明けか……」

朝日が窓から差し込んで来た……
朝の光がライとカレンを照らしていた……
母の胸に甘える赤子のように、ライはカレンに全てを委ねている、
そんなライを受け止め、カレンは聖母の様にライを抱きしめながら、眠っている……

それは、まさに一枚の絵画であり、いかなる芸術作品も及ばない美しさを放っていた
C・Cは二度と見られない「その瞬間」を独占していたのだった

282 :カズト:2009/01/29(木) 01:14:25 ID:cAmfj2Qn
投下終了!!
ややこしい状況でしたが
やっと現実世界に戻ってまいりました
マオの名前が出るのは久しぶりですな
口頭で自分の過去を伝えるより、
映像付きで見た方が愛が深まると思いこの方式を取らせていただきました
のシリーズもゴールが近いです
次回はラス前の予定です

修正依頼
マスターコード35−200
保管庫での
タイトルのボックスに
「第十五章 彷徨いし王の亡霊」という
サブタイトルが抜けていますので
修正よろしくお願いします

ではまた!!

283 :創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 01:45:08 ID:lnLQtcFF
おつかれさまでした!
長い過去への旅でしたが、描ききったカズトさんに賞賛を。

284 :創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 01:54:28 ID:N1TEob0n
乙です。自分の過去に打ち勝ち、ついにライが現実世界に戻ってきましたか。
ラストに向けて、期待しています。

285 :POPPO:2009/01/29(木) 02:15:38 ID:O8otv3Xy
はじめまして。POPPOといいます。
いきなりですが勢いあまって書いてしまったSSを投稿しようと思います。
長編になる予定なので、長いおつきあいになるかもしれませんがどうぞよろしくお願いします。
中心はライカレです。
題名はコードギアスLOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
です。
どんな感想でも参考にしたいので、多くの書き込みお願いします!

286 :POPPO:2009/01/29(木) 02:25:59 ID:O8otv3Xy
時計のアラームが部屋中に鳴り響いた。無意識に手探りでスイッチを押し、その音を消した。意識が朦朧とする中、重い瞼を開けながら時刻を確認する。
午前5時30分。
いつもの起床時間だ。身を起こそうと思い、ふいに右腕にかかる重みを感じた。それを確認するや否や、僕は頬が柔らかく緩んでしまった。
そっと、彼女の綺麗な髪を撫でる。柔らかい頬を撫で、汗で付着した髪の毛を拭った。彼女は触られていることがくすぐったいようだった。
「ぅうん………ラぁイ…」
などと、可愛い寝言を立てていた。
一糸纏わぬ僕がいる。すぐ傍には、生まれたままの姿のカレンがいる。
僕は彼女を起こさないように、ゆっくりとベッドから離れた。
脱ぎっぱなしの下着や衣服を拾い、クローゼットにある制服に着替えた。
カレンの衣服は畳んで、彼女のバッグと一緒にベッドの近くにある椅子に置いた。風邪をひかないように掛け布団と肩まで掛けてやる。音を極力立てないように注意を払いながら部屋を出た。

そこで偶然にも学生寮の廊下でルルーシュと出会わせた。こんな早い時間に起きているなんて彼にしては珍しい。僕も驚いたが、ルルーシュも驚いた顔をしていた。
「おはよう。ライ」
「おはよう。ルルーシュ。今日は早いね。どうしたのさ?」
そう言うと、僕の持っているビニール袋にルルーシュは目をやった。そこで僕も察しがついた。
「…もしかして、まだ部屋にいるの?」
「…ああ、昨日は、まあ、その、何だ…」
歯切れ悪く、口を濁すルルーシュ。言いたいことは分かる。だから、僕はそれを制した。
「分かった。分かったから。最後まで言わなくていいよ。それで、朝食の方はどうしたんだい?」
「咲世子さんにすでに頼んでおいた。今日は随分と賑やかになりそうだな」
「そっか、ありがとう。ルルーシュ」
「なに、礼はいらんさ。俺はもう一眠りするからな。起こしに来なくてもいいぞ」
「そんなこと出来ないよ。お取り込み中だったら申し訳な…」
「お前と一緒にするな!」
と、ルルーシュは少し声を荒げてしまった。ハッと口を抑える。
「と、とにかく、それはさっさと捨ててこい。咲世子さんは話の分かる人だが…」
「ああ、分かってるよ。やっぱり恥ずかしいからね。こういうのは…」
僕はそう言って、ルルーシュと別れ、目的地へと向かった。朝の涼しい風が全身に当たる。外に出ると、太陽の陽射しがとても眩しかった。雲ひとつない青空を見上げる。

うん、今日はいい天気になりそうだ。








287 :POPPO:2009/01/29(木) 02:29:42 ID:O8otv3Xy
コードギアスLOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」(前編)




行政特区日本が成立して半年の月日が流れた。
ゼロ―――ルルーシュ・ランペルージが率いる黒の騎士団はこの行政特区日本を生かす形で神聖ブリタニア帝国と手を結んだ。
その話を聞かされた時は僕だけでは無く、黒の騎士団の全員が驚き、反対の意を唱える者も多くいた。
しかし、行政特区日本の代表であるユーフェミア・リ・ブリタニアとの和解により、黒の騎士団に対して、行政特区日本の運営協力という好都合の条件で調印した。
ルルーシュが元はブリタニア皇族本家の皇子であったことが上手く働いたのだろう。
ゼロを筆頭に、キョウト六家を含む日本側の代表は行政特区日本の発展に心血を注ぎ、激務の日々を送っていた。
そして実質上、黒の騎士団のNr.2となった僕は、「ゼロの双璧」とも呼ばれるパートナーであり、恋人でもあるカレンと共に黒の騎士団を率いて、主に外国と協定を結んで行政特区日本以外とのパイプラインを作り続けていた。
また、国内で起こるテロ活動の鎮圧に専念しており、ゼロに勝るとも劣らない多忙の日々を送っていた。
中華連邦以外にも隣国5カ国との提携を結んだ黒の騎士団は行政特区日本設立以前よりも、はるかに強大な組織へと変貌していた。
その功績や自身の血統のおかげで、現在はゼロよりも厚い信頼を寄せられているかもしれない、というのがカレンの今の見識である。
そうして、半年経ってようやく休暇らしい休暇を取れた僕たちは、久しぶりにアッシュフォード学園に舞い戻ってきた。




一通りのトレーニングを終えた後、僕は部屋に戻り、カレンを起こしに行った。
僕の『おはようのキス』で目覚めたカレンは、制服に袖を通して、一通りの身仕度を整えた後に僕と一緒に寮の廊下を歩いていた。
病弱設定であることを再確認させながら、カレンと年相応の話題に触れながら話をしていた。
僕は活発なカレンの方が好きだ、と言ったら顔を赤くしてそっぽを向いたことをここに明記しておく。
「ねえ、ライ」
「なんだい、カレン」
「朝早く起きてたなら、起こしてくれてもよかったじゃない」
「カレンの可愛い寝顔を見てたら、そんな気が起きなくて…」
顔を赤くした彼女は、僕から視線を逸らしながら言った。
「…もう、口だけは達者なんだから」
僕はカレンに微笑むと、手を握った。カレンも僕に微笑み返す。
「さあ、行こうか。咲世子さんが朝食を作って待ってるから」
「うん」


288 :POPPO:2009/01/29(木) 02:31:46 ID:O8otv3Xy
手を繋いだまま扉を開けると、カレンには予想外のメンバーがいた。
朝食が置かれているテーブルの奥には車椅子の少女、ナナリー。その傍にはお世話係の咲世子さん。左側には優雅にコーヒーを啜る美少年、ルルーシュ。
そしてルルーシュの隣には…
「えっ、カレン!?」
「シャ、シャーリー?何で此処に?」
そう、クラスメイトであり、生徒会の仲間でもある少女、シャーリー・フィネットがそこにいた。
「おはようございます。ライ様。カレン様」
「おはようございます。咲世子さん。そして、おはよう。ルルーシュ。ナナリー。シャーリー」
二人の驚きを余所に、僕は挨拶を交わす。
「そちらの席に座ってください。朝食は直ぐにお持ちしますので」
「はい、ありがとうございます」
カレンは僕に遅れて皆に挨拶を交わして席に着いた。
テーブルにはパンを主食とした洋食が並べられる。朝食に手をつける前にカレンは向かい側に座っているシャーリーに話しかける。
「ねえ、シャーリー。貴女、寮生よね。食堂で朝食が用意されているんじゃない?」
「私、朝はあんまり食べないんだ。それよりもカレン。貴女は通学生でしょ?もしかして、こっちに泊まっ…」
そこで二人はようやく気付いたらしい。カレンとシャーリーは慌てて視線を逸らし、顔を真っ赤にして俯いてしまった。
僕は、というと、向かい側に座っているルルーシュと一瞬だけ目を合わせると、何事も無かったように二人一緒にコーヒーを啜った。
うむ。今日はちょっと苦めだな。

ルルーシュとシャーリー。彼らは紆余曲折あって、行政特区日本成立直後にめでたくカップルとなった。そして、驚くことに彼女はゼロである彼を受け入れている。
ゼロの正体を知っている人は僕とC.C.とユフィ、そしてシャーリーの四人だけだ。しかし、シャーリーはカレンが黒の騎士団の一員であることは知らないし、カレンはシャーリーがゼロの恋人であることを知らない。
本当の意味で理解し合っている彼らは、今では学園きっての美男美女カップルだと言われている。
まあ、僕とカレンも彼らに負けないくらい有名なカップルらしいのだが…
「シャーリーさんだけでは無く、カレンさんもこちらに泊まっていらしたんですね。昨日にでも知っていればお二方におもてなしも出来たのに…」
ああっ!ごめんよ。ナナリー。泊まることは昨日の夜に決定したんだ。昨日は久しぶりに時間も取れて、恋人との甘い時を過ごしていたんだ!
思春期真っ盛りの兄貴と僕を許してくれっ!カレンとシャーリ―に責任は無いんだ!
流石のルルーシュも返答に困っている。
申し訳なさそうにしているナナリーに僕は当たり障りのない返事をし、再びコーヒーを口に付けていると、

「昨夜はお楽しみでしたね♪」

咲世子さんは絶妙なタイミングで爆弾を落としてくれた。
「「「「ブッ!!」」」」
ナナリーを除く四人は盛大にコーヒーを噴き出してしまった。
熱っ!ルルーシュ!こっちまで飛んでる!シミになっちゃうよ!
「!!どうされたんですか!?皆さん!」
突然の出来事に戸惑うナナリー。彼女は正常な反応だ。そして僕たちの反応も。
「ゴホッ、ケホッ…いや、なんでもないんだ。ナナリー」
「?昨夜は何か面白いことでもなさってたんですか?」
確かに非常に面白いことだが……って、いけない!思い出しちゃダメだ!朝っぱらから何を考えてるんだ僕は!カレンの顔をまともに見られないじゃないか!きっとカレンの顔も僕に負けないくらい真っ赤だろう。
あ、シャーリー。耳まで真っ赤だぞ。
「そ、そうなんだ。昨日は四人でささやかなパーティを開いて、夜遅くまで話し込んでいたんだ。そうだろう?ライ」
「あ、ああ。クラスメイトの人たちの話題で盛り上がってね。まさかあそこまで話が弾むとは思わなくて…」
ああ、昨日は盛り上がったさ。ね?カレン。
ルルーシュもそうだろう?あ、シャーリー。またコーヒー噴いちゃダメだよ。
「よ、四人でパーティですか!?なんて大胆な!ああ、若さって素晴らしいですわ!ア、アッー!」
またいつもの病気ですか。咲世子さん…


289 :POPPO:2009/01/29(木) 02:34:52 ID:O8otv3Xy
手を繋いだまま扉を開けると、カレンには予想外のメンバーがいた。
朝食が置かれているテーブルの奥には車椅子の少女、ナナリー。その傍にはお世話係の咲世子さん。左側には優雅にコーヒーを啜る美少年、ルルーシュ。
そしてルルーシュの隣には…
「えっ、カレン!?」
「シャ、シャーリー?何で此処に?」
そう、クラスメイトであり、生徒会の仲間でもある少女、シャーリー・フィネットがそこにいた。
「おはようございます。ライ様。カレン様」
「おはようございます。咲世子さん。そして、おはよう。ルルーシュ。ナナリー。シャーリー」
二人の驚きを余所に、僕は挨拶を交わす。
「そちらの席に座ってください。朝食は直ぐにお持ちしますので」
「はい、ありがとうございます」
カレンは僕に遅れて皆に挨拶を交わして席に着いた。
テーブルにはパンを主食とした洋食が並べられる。朝食に手をつける前にカレンは向かい側に座っているシャーリーに話しかける。
「ねえ、シャーリー。貴女、寮生よね。食堂で朝食が用意されているんじゃない?」
「私、朝はあんまり食べないんだ。それよりもカレン。貴女は通学生でしょ?もしかして、こっちに泊まっ…」
そこで二人はようやく気付いたらしい。カレンとシャーリーは慌てて視線を逸らし、顔を真っ赤にして俯いてしまった。
僕は、というと、向かい側に座っているルルーシュと一瞬だけ目を合わせると、何事も無かったように二人一緒にコーヒーを啜った。
うむ。今日はちょっと苦めだな。

ルルーシュとシャーリー。彼らは紆余曲折あって、行政特区日本成立直後にめでたくカップルとなった。そして、驚くことに彼女はゼロである彼を受け入れている。
ゼロの正体を知っている人は僕とC.C.とユフィ、そしてシャーリーの四人だけだ。しかし、シャーリーはカレンが黒の騎士団の一員であることは知らないし、カレンはシャーリーがゼロの恋人であることを知らない。
本当の意味で理解し合っている彼らは、今では学園きっての美男美女カップルだと言われている。
まあ、僕とカレンも彼らに負けないくらい有名なカップルらしいのだが…
「シャーリーさんだけでは無く、カレンさんもこちらに泊まっていらしたんですね。昨日にでも知っていればお二方におもてなしも出来たのに…」
ああっ!ごめんよ。ナナリー。泊まることは昨日の夜に決定したんだ。昨日は久しぶりに時間も取れて、恋人との甘い時を過ごしていたんだ!
思春期真っ盛りの兄貴と僕を許してくれっ!カレンとシャーリ―に責任は無いんだ!
流石のルルーシュも返答に困っている。
申し訳なさそうにしているナナリーに僕は当たり障りのない返事をし、再びコーヒーを口に付けていると、

「昨夜はお楽しみでしたね♪」

咲世子さんは絶妙なタイミングで爆弾を落としてくれた。
「「「「ブッ!!」」」」
ナナリーを除く四人は盛大にコーヒーを噴き出してしまった。
熱っ!ルルーシュ!こっちまで飛んでる!シミになっちゃうよ!
「!!どうされたんですか!?皆さん!」
突然の出来事に戸惑うナナリー。彼女は正常な反応だ。そして僕たちの反応も。
「ゴホッ、ケホッ…いや、なんでもないんだ。ナナリー」
「?昨夜は何か面白いことでもなさってたんですか?」
確かに非常に面白いことだが……って、いけない!思い出しちゃダメだ!朝っぱらから何を考えてるんだ僕は!カレンの顔をまともに見られないじゃないか!きっとカレンの顔も僕に負けないくらい真っ赤だろう。
あ、シャーリー。耳まで真っ赤だぞ。
「そ、そうなんだ。昨日は四人でささやかなパーティを開いて、夜遅くまで話し込んでいたんだ。そうだろう?ライ」
「あ、ああ。クラスメイトの人たちの話題で盛り上がってね。まさかあそこまで話が弾むとは思わなくて…」
ああ、昨日は盛り上がったさ。ね?カレン。
ルルーシュもそうだろう?あ、シャーリー。またコーヒー噴いちゃダメだよ。
「よ、四人でパーティですか!?なんて大胆な!ああ、若さって素晴らしいですわ!ア、アッー!」
またいつもの病気ですか。咲世子さん…


290 :POPPO:2009/01/29(木) 02:39:30 ID:O8otv3Xy




朝食を終えた後、僕はカレンと一旦別れ、ルルーシュの自室へと訪れた。
「カレンは先に行ったか?」
「ああ、裏口から出て正門から再び入ってくるって。シャーリーも一緒だったよ。他の寮生にはカレンの家へ泊まりに行ってたように見せるんだって。嘘が上手くなるなんて、なんだが君に似てきてないか。彼女」
「そういうカレンもお前に似て大人しくなってきたな。無駄な突撃が少なくなって、周囲の部隊を上手く運用する戦術を取るようになった」
「ちょっと待て。カレンが大人しくなっただって?逆だよ。確かに無鉄砲な突撃は減ったけど、攻撃の荒々しさは以前よりも増して凄いぞ。身近にいる僕がそう思うんだ。敵はどうゆう風に思っているだろうね」
「それほどお前のサポートが完璧だってことさ。知ってるか?コーネリアの部隊は紅蓮よりも青い月下に注意を向けろと指示していたそうだぞ?まあ、最近は戦場に出る機会は少なくなったがな」
「その分、デスクワークが大変だからね」
「ああ、お前がいなかったら俺は倒れていたよ。扇も事務処理は優秀の部類に入るが、お前と比べると天と地の差があるからな。それに政治的感覚も素人の域を出ていない」
「ルルーシュが凄すぎるんだよ」
「それはこっちのセリフだ。ライ」
ルルーシュは苦笑気味な表情を返した。僕は笑顔をと共に心を切り替え、平然とした態度で話を進めることにした。
「で?話って何だい?」
「やはり合図は伝わっていたようだな」
「左袖のボタンを止めなおす。『後で二人きりで話がある。部屋に来い』だろ?他にも三三〇通り作ったよね。僕たち」
「フッ。初歩的な合図さ。では、早速これを見てくれないか?」
そういってルルーシュは僕にプリントファイルを手渡した。素早くページに目を通しながら内容を確認していく。ルルーシュは説明をし始めた。
「これはEUの機密資料だ。物資と金の流れからマフィアに繋がっている政治家を探っている。いや、内通者といったほうがいいかもしれないな。この組織とのブリタニアの企業との癒着から正規でない輸送ルートを確保したい」
目は資料に落としたまま、ルルーシュの話を聞いて、返事をする。彼の思惑がだんだんと読めてきた。
「今、中華連邦の内政は混乱しているからね。EUとの表裏双方の太いパイプを作りたいのか。とにかくKMFに使えるパーツと弾薬が必要だ。中国から送られてくる物資は質の悪いものが多いってラクシャータが困ってたよ」
「ああ。いざとなれば、そのルートと引き換えに正規ルートのカードを手に入れることだって出来るからな」
「僕もそう考えていたよ。裏なんてのは絶対に表には勝てないからね」
「全くその通りだ。それとこっちの資料も頼む。使えそうな企業をリストアップさせておいた。その再確認と内部情勢の把握は頼んだ。己の判断で独自に事を進めてもらっても構わない。
…後は、キョウトからお前宛てに連絡が来ていたぞ。専用の新型ナイトメアだそうだ」
「本当かい?それは楽しみだな」
「ああ、期待するといい。神楽耶様が随分と喜んでいたからな」
「それは来週の訪問の際に回すとして、これは一週間以内に片づけとくよ。EUの担当は山本さんだよね。彼の部下にもすぐに動いてもらえるよう手配する。君は行政特区の運営に専念して。アドバイスが聞きたい時はいつでもいいよ。
扇さんだけじゃなく井上さんも頑張っているし、そっちに関してはあまり問題なさそうなんだけど…」
「その通りだ。大きな問題は無い。正直、助かったよ。その上、仕事も早いからな」
「ああ、任された」
そう言って、僕たちは微笑み合った。お互いを信頼し、協力し合い、彼の作った黒の騎士団を一回りも二回りも大きくしていく。
今はもうギアスを失ってしまった僕だが、彼に協力できることはいくらでもある。
多忙を極める毎日を送りながらも、僕たちは実りある日々を送っていた。どちらともの無く、自然と手を取り合う。
「さて、そろそろ登校しようか。久しぶりの学園生活だ。明日、明後日くらいはゆっくり羽根を伸ばそう。恋人もほったらかしだったからね。その埋め合わせは今しか出来ないよ。特にルルーシュは」
「…分かってるさ。シャーリーは良い女だからな」
「ははっ、分かってるじゃないか」
鞄を手に取り、ナナリーと共に、時間には十分に余裕を持って寮を出た。咲世子さんは中等部の校舎で待っているらしい。僕はナナリーとルルーシュの話に加わって、眩い日差しに照らされながらアッシュフォード学園に足を運んでいた。




これは僕たちの会話の一部。
「ところでお兄様。『らんこう』パーティって何ですか?」
「「ッ!!!!!」」



291 :POPPO:2009/01/29(木) 02:42:08 ID:O8otv3Xy
すみません。焦って二重投稿してまいました。管理人さん。申し訳ありません!
前編はこれで終了です。

292 :創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 04:27:42 ID:ZcpBwThL
カズト卿、POPPO卿、乙であります。

カズト卿
・とうとう過去編を終えて、ライ君も立ち直りましたね。
 カレンの愛に涙が止まりませんでした。
 物語はついに佳境を越えてクライマックスですが、二人に幸多い未来を願います。
 (できるなら結婚式or二人の子供を見てみたいような・・・)
 勝手な書き込みスミマセン。

 しかし、内なる自分を制したライ。・・・・・・Σ( ゚д゚ )
 ま、まさか○LEACHみたくギアス復活の兆候か!!
 ・・・・・・
 ・・・ 
 ・・
 最後までゴメンなさい。


 POPPO卿
・初めまして!
 とりあえず、初投下で規制に挑んだその勇気!GJです!!
 その恩恵がそれぞれのカップルが下品にならず、されどどれだけ深く
 想い合っているかがヒシヒシと伝わってきました。
 日常、ギャグ、締めに陰謀と。
 構成もうまく、これからどう話が展開するのか続きが楽しみです。

 ・・・っつーか、咲世子さん。ナナリーに何を教えているんですか!!
 ルルーシュはまだナナリーにはキャベツ畑を信じていてほしいのでしょうかw
 

293 :創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 07:42:34 ID:Jv+oKnmd
>>282 長い連載をここまで書き上げたカズト卿に感謝と賞賛の言葉を送りたいです。
ライやカレン同様読んでるこちらも戻ってくるまで長い旅路でした。
いよいよラストスパートですね。次回の投下も期待しています!

>>291 乙&GJ!ライカレ、ルルシャリと幸せな構図が成立している中でどのように話が進んでいくかすごく楽しみです。
ライとルルーシュという主役にカレンとシャーリーが正ヒロインとして(ですよね?)どのように物語に関わっていくのか!?刮目して次回の投下も待ちたいと思います!

294 :創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 12:45:39 ID:hkjyuH0C
>>282
カズト卿、GJでした!
ライの過去を受け入れるカレン。
己の弱さに向き合うライ。
そして二人の絆が繋がり、帰ってくる今。
今回もかなりクライマックスですね。
もうすぐ完結ですか……すこし寂しいですね。

>>291
POPPO卿、GJでした!
>昨夜はお楽しみでしたね♪
>『らんこう』パーティー
吹いたw
なに、この咲世子さんのある意味ファインプレーw
特区日本成立後の長編、舞台はEU? 中華連邦?
続きが大変楽しみです!

貴公達の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!


295 :テリー:2009/01/29(木) 21:27:41 ID:f67Kry2R
いやー面白いSSと切ないSS、本当に素晴らしい物を読ませていただきました!
さて、自分も投下します!

「明日の為に」

6レスほどどうかお付き合いを!!

296 :テリー:2009/01/29(木) 21:28:34 ID:f67Kry2R
4月10日  7:45  横浜港  防衛艦隊旗艦「大和」第一艦橋



「艦隊司令ライ大将あがられます!!」
第一艦橋内の人員は 艦隊司令の他に艦長、航海長、通信長、レーダー長
砲術長など艦隊及び大和の頭脳がここに置かれておりすべての命令や指揮が
取られる。艦橋に現れたライに対し一斉に敬礼をする艦隊幹部達
「皆、いよいよ時が来た」
「はい!必ずやこの戦いに勝利しなければなりません」
「うん、副長!乗員は?」
「全乗員乗船を完了しております!」
「よかった・・・・・ところで艦長は?」
「艦内点検です、もう暫く―――」
「艦長あがられます!!」
「先に来ていたのかライ」
「遅いですよ藤堂さん」
戦艦「大和」艦長 防衛軍少将 藤堂鏡史郎 式典後隠居しようとしたところを
ライ自身の説得でこの任についてもらっている。
「すまなかったライ君、元解放戦線の者達がこんな事を」
「言わないでください藤堂さん、今は目の前の事態を打開しましょう
それが任務です」
「・・・・そうだな、解った!」
うなずいたライは
「各艦艇!!出港準備はいいか!?」
「は!!全艦完了しております!!」
「現時刻、時計合わせ!!」
「7:59:45、確認!!カウントダウン」

「10秒前、9,8,7,6,5,4,3,2,1,0!!」



8:00




297 :テリー:2009/01/29(木) 21:30:04 ID:f67Kry2R

「全艦!!ただちに出撃!!!」



「明日の為に」

第八章



8:00に横浜を出港したライの艦隊は27ノット(約時速50km)で沖縄を
目指した。朝方のためか静かなもの、霧が立ち込めていたせいかまるで
幽霊船でも出そうな雰囲気で不気味に感じられる。


さてそのころ、東京湾で沖縄への強襲部隊を送り込むために着々と準備が進んでいた
この輸送船団は12:00に沖縄本島東20km地点、KMFのフロートユニットが
届く限界点に向け出港する。
「8:00・・・・ライが出港した頃か」
「ゼロ、上手く・・・・いくよね」
「・・・・・・・・・正直解らない、ライは大丈夫だと言っていたが戦力比は
1:10・・・ライ達に勝ち目はないが」
「あいつを信じるしかないのか・・・・・」
「やはりつらいか?ジノ」
「それは2人共同じだろ?俺からしてみれば数少ない戦友なんだから」
「・・・・・ライ、上手く行けよ」
海を見ながら3人は祈る、成功してくれ・・・・・・・と。


「どうだダールトン、ライ達は?」
「は、無事出港したとの報告が入りました」
「そうか・・・・・」
「心配ですか姫様」
「あいつの事だから心配はしていないが・・・・」



298 :テリー:2009/01/29(木) 21:31:04 ID:f67Kry2R

「落ち着きがないなカレン」
「そう言うC.Cこそさっきから格納庫とデッキと行ったり来たりじゃない」
「カレンこそ、うろうろしすぎだぞ・・・・・」
「2人共、心配?」
「「そ・・・それは」」
「アーニャも、でしょ?心配なのはみんな同じなんだから」
「だが落ち着こうにも落ち着けないだろう・・・・・上手くいけばいいが」



ライが率いる艦隊は14:00広島県呉港に入港し最後の点検と補給を受けた
その間に旗艦「大和」作戦会議室にて作戦の細かい確認が行われ戦いに向け
た作業が行われていった。

さて時間は戻るが12:00に出港したコーネリア率いる輸送船団は大きく
迂回し硫黄島を経由し沖縄へと進んでいった。ルルーシュもコーネリアも
不安な表情を隠せずにいる。しかし沖縄が近ずくにつれその表情は皆
戦士の表情になっていくのだ、唯一表情を変えずに戦火の時を待つのは
KMFであった。


4月11日6:30 豊後水道 



ライの艦隊は順調に進撃しておりここまで敵にでくわさずに来れたのはライにとって
嬉しいイレギュラーだった・・・・・・・・。
その1時間後、艦隊は予定どうりに豊後水道を通過、着々と南下していった

イージス艦「松」通信室
「確かか!!?」
「は!!」
「旗艦「大和」艦隊司令部に報告!!敵潜水艦発―――」




299 :テリー:2009/01/29(木) 21:32:34 ID:f67Kry2R
「敵戦艦ヤマト以下20隻ブンゴスイドウヲ南下、
速力27ノット

なおこれは平文による物であるとのことです」
「平文・・・・・」
「敵潜は?」
「イージス艦「剣」の対潜ミサイルで撃沈を確認しています」
「当初の予想より早いですな」
「うん・・・・少しマズイ・・・・か」
艦隊は佐多岬を過ぎた後西へと進路をとった。しかしこの進路変更は当初よりも
早い段階での変更となってしまい、暗雲が立ち込めていた・・・・・・
出来るだけ敵戦力を沖縄から遠ざけようと考えていたライの計画は早くも
狂いが生じてしまったのだ。しかしそれでもライ達は動じない、元々生存率は
低く戦力比も大きいため逆に清々しくなっているのだ。


それでも彼等は生きる事を諦めない、其々の約束を果たす為、明日の為に


4月11日 7:53 旗艦「大和」防空指揮所(艦橋最上階)


「・・・・・・・!!!左26°敵偵察機2つ!!」
「第一艦橋レーダー確認!!距離5km!!」
「対空戦闘!!主砲1,2番砲撃、撃っ!!」
轟音と共に「大和」に続き戦艦「長門」「榛名」「伊勢」「日向」の主砲が火を噴く。
「撃墜確認!!」
「艦長!!敵偵察機は本艦隊の位置を敵司令部に打電!!」
「こちらの正確な位置が掴まれたか・・・・」
「ライ大将、まだ十分な距離に足していません。たった30%しか・・・・」






300 :テリー:2009/01/29(木) 21:33:26 ID:f67Kry2R
「・・・・・・・・もう引き離す必要もないだろう」



この言葉に全員は覚悟を決める



「・・・・・沖縄に向かおう」
「・・・承知した・・・航海長・・・沖縄本島に向けよ!!」
「了解、沖縄本島に向けます!!とーーりかーーじ!!」
「全艦最大戦速!!戦闘配置!!!!」


艦隊は沖縄に頭を向けると全速で走り始めた、それと同時に艦内も慌しくなる


「ライ、私は防空指揮所に上がる」
藤堂はライに敬礼する。防空指揮所はいわば建物で言う屋上にある、「大和」
以下全艦の対空火器は全て自動で人が外に出るのは戦闘中殆ど無い。
防空指揮所は狭く弾丸を避けるのは難しい最も危険な所なのだが、艦長は
戦闘中防空指揮所にて指揮をするのが決まりなのだ。とは言っても
何処も危険なのは変わりはないが。
「大和を・・・・・頼みます」
藤堂はもう一度敬礼し防空指揮所に向かった。
「皆、頼むぞ!」
「「「「「は!!」」」」」


戦闘配置を完了してから37分


「レーダーに感!!左20°!距離20km!数大多数により不明!接触まで12分!!
敵機の内部にKMFの反応も在り!!」
「来たか!!全艦対空戦闘打ち方よーーい!!」
「前部主砲砲撃戦用意!!」


301 :テリー:2009/01/29(木) 21:34:05 ID:f67Kry2R

迫り来る敵機の群れ、それは20km離れていても解るほどの数だった。5隻の戦艦は
巨大な砲を敵に向ける全弾命中すれば東京都は焼け野原になるほどの火力を持つ。
しかし敵は余裕なのか、此方を捉えていないのか、一直線に向かってくる
「まだ撃つな!!指示したポイントまでは辛抱だ!!」
ライがこの戦闘に使う戦法の一つが“アウトレンジ戦法”だ。

アウトレンジ戦法とは敵の火砲などの射程外から一方的に攻撃を仕掛ける戦術
大和の46cm主砲等の戦艦の主砲による砲撃で敵戦力を下げようとするのが第一
段階。しかしそれでも敵の数があまりにも多いため殆ど焼け石に水ではあるが
これによる相手への精神的ダメージは意外と多きい、現にライはラウンズとして
KMFに乗り戦っていた時にこの戦法を使い勝ったこと数知れず。この戦法は
今では廃れた戦法で使う者は皆無、つまり常識外れの戦い方なのだ。



そして 2018年4月11日  8:34



「対空戦闘、撃ち方始めーーー!!!!!」



ライの戦いが、今始まったのだ。








そのころ沖縄本島では―――――




302 :テリー:2009/01/29(木) 21:35:09 ID:f67Kry2R
沖縄本島 9:42


「こちら12小隊!!救援っがーーーーーー!!!」
「だ、誰か弾をっ!!!」

8:14に突撃したルルーシュ達の強襲隊はその機動力を駆使しすぐさま
守備隊と合流し攻勢にでた。この突然の奇襲を全く予期していなかった
敵は浮き足立ってしまいあっという間に形勢は逆転し総崩れとなった。
さらに日本が誇るエース、ランスロット・紅蓮、ブリタニア最強騎士
ナイトオブラウンズまでもいる現実は更なる恐怖心を煽る
「見たか!!我らの力を!!」
「チョロイものね!!私達をなめたつけよ!!」
「敵弱すぎで話にならない」
「そうだな、つまらなかったぞ!」
この大勝利に喜ぶのは当たり前だが、ルルーシュ、コーネリア、ダールトン
の3名はスッキリしなかった。
「おかしい・・・・」
「何がだい?ゼロ」
「前線が危機に陥ってから敵の増援が全く無かった」
「ああ、ただの一機も来なかった・・・・・」
「何故だ・・・司令部に向かって調べた方がよさそうだな」
「その方が良いだろう、全軍!敵司令部まで進軍する!!」
その司令部に到着したルルーシュ達を待ち受けていたのは物けの空と化した
飛行場や施設ばかりで戦闘機の一機も無かった、つまり敵は味方を取り残し
逃げ出したと始めは考えられた。しかし施設に残っていた捕虜の話で
状況は変わった――
「全戦力を持って艦隊を撃滅だと!?」
「特区の旗艦がいるのだ、おそらくコーネリア殿下が居ると思ってだろう」
「まぁコーネリア殿下は今回専用機じゃありませんでしたから」
「だとするとライが危ない!!」
「・・・・・・・・・・・・・」


この状況、皆の決断は!!?



303 :テリー:2009/01/29(木) 21:39:33 ID:f67Kry2R
以上でございます!!さて、このSSを読んでくれた皆様に投票を
求めたいと思います。この次で分岐するルート決定の為に
皆様の決断をいただきたいのです!!

内容は

ライの救援に向かうか向かわないかです。皆様の一票を
お願いいたします!!




304 :創る名無しに見る名無し:2009/01/29(木) 23:40:21 ID:hkjyuH0C
>>303
テリー卿、乙でした。
敵は司令部を囮にして艦隊を叩く、一気に頭を潰す戦法。
確かに有効な戦い方ですね。
圧倒的な数の敵戦力、ライの策は通用するのか!?
その策を見てみたい、そして、仲間の信頼も見てみたい。
敢えて言わせてもらおう! 救援に向かわない、と!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

305 :創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 04:04:35 ID:/baWia/m
テリー卿、乙です!
忠義の救援を!!

306 :創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 15:05:40 ID:HDb7LG1s
んー僕は救援に行かないに一票
テリーさんの続き、楽しみにしております

ではでは今から自分も投下します
このレス込みの全部で10レスです
以下の部分が大丈夫な方だけ読んで下さい

:本編から超絶逸脱していても許せる方
:キャラクターが超絶崩壊しても許せる方
:無言・一言・二言のキャラが多いので好きなキャラの扱いがぞんざいなのは嫌な方
:自分の好きなキャラクターがいなかったら殴っ血KILLになっちゃう方
:ぶっちゃけライがハーレム臭いのは嫌な方

以上が大丈夫な方はどうぞ
コンセプトは「公式が病気らしいドラマCDに全力で対抗してみた」

307 :創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 15:06:11 ID:HDb7LG1s
―――――ロスカラ的ドラマCD、改めドラマノベル―――――

ここは日本にある経済特区、そこには様々な国が店を出している。
特区の設立から時の流れと共に今ではブリタニアと日本が特区を二分していた。
苛烈を極める両国の出店争いはついに禁じ手まで出してくる始末。
各々の美男美女を用いての領地争い。
そしていつしか特区は眠らずの街、不夜城へと変貌を遂げていた。
その朝日の色を忘れて生活する人達が住む街、そこを民衆はいつからこう呼ぶようになる。
ロストカラーズタウンと!

「ああ、そういう設定なのか」
「ライよ、誰と話している?」
「こっちの話だ。それでルルーシュ、今日はなんの用なんだ?」
僕の目の前で耽美な顔を顰めて腕を組んでいる少年はルルーシュ。
えっ? その前に自己紹介? ああ、えっと……
僕の名前はライ、この特区で小さなバーを経営している。
本当は学園に通う年齢なんだけど、母上や妹を守り養う為にここで頑張っているんだ。
出店する時に出資をしてくれた人がいたんだけど今は行方不明。
実は通りすがりの人なんだが、お金を渡すだけ渡して「おやすみ」などと言ってどこかへ行ってしまった。
で、目の前にいるのがルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。ちなみに同い年らしい。
ルルーシュは日本区の『黒の騎士団』という巨大ビルのオーナーだ。
付け加えるとそのビルは僕のバーの右隣にあるんだけど、暇なのかよく僕の店に来る。
「いい加減、俺のビルに来ないか? ああ、お前になら3フロア貸し与えてもいい!」
「だから遠慮すると言っているだろう。大体地上げ屋っぽいぞ、君の行動」
「そうだよルルーシュ、間違った行動で得た結果に意味は無いよ」
横から乱入してきたのは枢木スザク、彼はブリタニア区にある『ブリタニアオブザラウンド』という巨大ビルの社員だ。
言わずもがな、そのビルは僕のバーの左隣にある。
ちなみに彼が働いているのはホストクラブ『ナイトオブラウンズ』
その二人が先程から店先で問答をしているんだが、なぜか本人達に困るとは言えないのも悩みの一つだ。
「スザクっ! そうやってお前は俺から全てを持っていくのかっ!」
「ルルーシュっ! 僕は言った筈だ、中からこの特区を変えるとっ!」
「スザクーっ!」
「ルルーシューっ!」
またはじまった……ここ最近というよりは僕が出店してからの日常だけど。
そう、店先を箒で掃きながらそれを眺めるのが僕のオープン前の日課だ。
勿論最初は止めた、でも意味が無い事を知ってからは放置している。
あの二人、なんか頑固だしね。
『ライっ!』
「はい?」
「このままでは埒が無い! お前が決めろ!」
「君なら僕の考えもわかってくれる筈だ!」
「今日は変化球だな、大体なぜ僕をそこまで必要とするんだ?」
「ふっ、いいだろう。では、この俺が今一度懇切丁寧に説明してやろう!」
ルルーシュが指をパチンと鳴らすと、黒の騎士団ビルの巨大スクリーンがパッと画面を変えて特区の全体図を示した。
図は解り易く色分けされてある、恐らくこちらの心理を加味した演出だろう。
ぶっちゃけた話、金と時間の無駄遣いだとしか思えないけど。
「これがなんなのかは解るな?」
「ああ、この特区の全体図だろう。色分けは特区に出店している各国の色といった所か」
「その通り! 48%は我等が黒の騎士団、そしてもう48%がブリタニアだ」
「付け加えるとちょっと白い部分が中華連邦とEUとその他が出店している場所だよ、そして―――――」
「この勢力図の境目にして中心点の空白、これがお前の店の位置だ!」

308 :創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 15:07:09 ID:HDb7LG1s
中華連邦とEUの扱いが気になるが……なるほど、こうして見ると確かに中心だな。
これだと両方のお客さんが多い理由もよくわかる。
「まさか、勢力図の最後の一手として僕の店の土地が欲しいとでも?」
「最初はそうだったんだがな……お前には隠れファンが多くてな」
「強行策は頑として通らないんだ、だから僕達が日々こうして出向いて説得しているんだよ」
「なるほど。でも、ファンなんているのか? 男性も女性もよく来店するぞ?」
「ええい! この朴念仁め!」
「ルルーシュも人の事は言えないだろ?」
「スザクっ! この天然体力馬鹿が! お前も人の事は言えないだろうが!」
「ルルーシュっ! そうやって君はまた争いの火種を!」
「スザクーっ!」
「ルルーシューっ!」
また喧嘩しているよ……実は仲がいいんじゃないか、この二人。
ふむ、とりあえず概略としてはこの土地が欲しい。
しかし強行策は駄目なので僕を取り込もうという事なんだろう。
でも僕はこのままで十分だ、過ぎた幸せは身を滅ぼすとはなんとやら。
『原初の真理とは弱肉強食なり! 然るにお前の選択は愚かである!』
「あ、シャルルさん。マリアンヌさん、昨日も来てましたよ?」
『ぶるああああああああああ!!』
巨大ビルの屋上から右手を突き上げたまま降下してきたのは、ブリタニアの第九十八代目代表シャルル・ジ・ブリタニアさんだ。
108人いる奥様方はうちの常連さんなのだが……って右手で着地してそのまま逆立ちしているぞ、この人!?
「ぬぅははははは! 久しいのう、息子よ!」
「親父っ! そうやってまた俺から奪うつもりか!」
奪う前に僕はどちらの物でもないんだが……どうしてこう僕の意思を無視して話は進むんだろう。
とはいえここまでは既定路線、しかし今日は油断できそうにない。
嫌な予感がする……二人からの変化球に社長の逆立ち降下―――――
『ふふっ、どうやら私達の出番の様ですわね!』
『ええ、この何ヶ月も続いた争いもこれで終わりです!』
「神楽耶!? それにユフィまで!?」
「馬鹿なっ!? 皇神楽耶め……ブリタニアと密約していたのか!」
煌びやかな黒髪を靡かせて登場したのは皇神楽耶、黒の騎士団に大型出店している皇コンツェルンの代表だ。
対して艶やかな桃色の髪を靡かせて登場したのはユーフェミア・リ・ブリタニア、似ていないけどシャルルさんの娘さんだ。
それから……なんでお互いビルの屋上からなんだ、しかも巨大スクリーンでリアルタイム中継!?
「神楽耶様っ! 私より目立たないで下さいと言ってあるでしょう!」
『あら。ルルーシュ様、下克上は古来より日本の定石ですのよ』
「神楽耶は相変わらずだな……ってユフィ、君までなにをしているんだ!?」
『スザク……私も恥を忍んでいますの……でも、そこまでしてでも私には! いえ、私達には彼が必要なんです!』
熱弁は大いに結構だが、騒ぎのせいでギャラリーが増えてきているんだが……
ん、そろそろオープンの時間か。とりあえず僕は知らない見ていない関わらない―――――
「何処へ行く、主賓はお前であろう?」
いつまで逆立ちしているんだこの人は……それからそのままの状態で足を掴まないで欲しい。
顔立ちと逆さまになった巻き毛と合わさって妖怪にしか見えないから怖いんだよ……
「いえ……そろそろオープンの時間なので―――――」
「ぶぅわははははは! この好機、見逃すほど老いてはおらんぞマスターライよぉ!」
コワイコワイハハウエタスケテー
「で、盛大に登場したからには妙案なんだろうな?」
ルルーシュタスケテーコワイヨー
『勿論ですわ! 条件も対等です、これなら後腐れもないでしょう』
「神楽耶、君らしくないとは思うけどユフィが交渉したのなら信用できそうだね」
スザクモタスケテーコチラヲミロー

309 :創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 15:08:10 ID:HDb7LG1s
『更に本人の意思も尊重できますので問題は全て解決できます!』
カミガーカミガーノビテセマッテクルヨー
『題して! 両国が全力でライ様を御接待!』
『ドキドキチキチキプレゼンテーションです!』
「はぁはぁ……えっ?」
今なんて言ったんだ? 僕を接待? プレゼンテーション?
『ルールは簡単ですわ。まず双方に存在する業種の中から六つ選出、そして自国から業種の代表達を選出して対決を致しますの』
『それと共に私達のお仕事の内容を見て頂いて、直に触れて貰い理解を深めて頂こうというのが今回の趣旨です』
「なるほどな、確かにライは俺達のビルへは来た事がなかったな」
「僕達の仕事を実際に見て考えを改めてもらおうって事だね」
そういう事か、趣旨はわかったけど僕の意志は変わらず無視なんだね。
もういいよ、慣れてきたから。
「では、明日のこの時間からはじめようか。お互い準備をする時間は必要だろう?」
「わかった。ルルーシュ、君の方法では世界は変えられない!」
「スザク、結果は全てにおいて優先されるんだよ!」
二人とも携帯電話を取り出してどこかへ連絡しているけど、僕の意志は?
またもや無視? 酷い話だ、やれやれ……
「面白くなってきたのう?」
「僕は面白くありません、それといい加減離して下さい」
「そうはいかぁん! 競い、奪い、獲得し、支配し、その果てに来るべき未来があるぅ!」
「はあっ!?」
急に赤い……光が目の……中に……なん……だか……眠た―――――

「決戦の刻は来た! 我が黒の騎士団よ、その力を大いに発揮するがいい!」
『日本ばんざぁぁぁぁぁいっ!』
「我等ナイトオブラウンズ、そしてプリンセスオブラウンズの力をここに魅せる!」
『オールハイルブリタァァァァァニアっ!』
うるさいな……もう少し寝させてく―――――
って、なんだこの人だかりは!?
ん? よく見ると見たことがある人も沢山いるような……
「目を覚ましたな。さあ、これを振れ」
「運命は君が決めるんだ」
「拒否権はないのか……わかったよ」
よく解らない大きなサイコロまで用意しているし、たった一日でよくやるな。
『なにが出るかな? なにが出るかな?』
リズムに合わせて二人が踊っている、やっぱり仲がいいんだろうな。
それを眺めている間にサイコロもそろそろ止まりそうだ。
「……おなべか」
「おなべ、だね……」
「おなべ?」
なんだろう、料理対決なのか? いや、雰囲気を見る限りそれは無いとは思うが。
「ルルーシュ、やっぱり間違っているよ……このサイコロは……」
「言うな、双方の主張もある。しかし、これは……」
「二人共、とりあえず状況の説明をしてくれ。目覚めて早々だから事態が飲み込めない」
状況を整理しよう、まず僕の店先には特設ステージらしき物がある。
僕達三人はここにいる、ギャラリーも当然といった顔でいるのが気になるが……
そして今投げたサイコロは僕を接待する業種を選ぶ物らしい。
選出された業種はホストバー、ホステスバー、SMバー、おかまバー、おなべバー、(禁則事項です)バー。
……ちょっと待って欲しい、このいかがわしい上に問題多発のアリアリな選出を誰も止めなかったのか!?
しかし、おかまとおなべはなんだ。あれは調理器具だろ?

310 :創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 15:09:10 ID:HDb7LG1s
「ふっ、だが勝機はこちらにある! スザク、戦力配分を見誤ったな!」
「馬鹿な、これも計算の内だったのか!?」
「いいや、ただの偶然だ!」
それは自慢する程の事ではないとは思うんだが……いや、下手に口を出すと不味い。
ここは貝になろう。そうだ、僕がカイだ!
「どうやら決まったようですわね」
「では、両代表は入場して下さい」
ああ、司会進行は神楽耶さんとユフィさんなんだな。
……ってこのステージ変形しているよ母上!?
「C.C.、解ってるんでしょうね?」
「問題はない、いつも通りでいいのだろう?」
「駄目に決まってるでしょ! この一戦は逃せないのよ!」
あれ? C.C.にカレンじゃないか、なんであんな格好をしているんだ?
C.C.は髪を結んでいるし、カレンも後ろを小さく結んでアップにしている。
それから……なぜ男装?
「わからないといった表情だな。いいだろう、説明してやろう。スザクっ!」
「おなべ、古くは―――――」
スザクが台本を読んでくれるのは嬉しいんだが、要は女性が男装をして男性の様に振舞う人の呼称との事だ。
それにしてもルルーシュは一々調べたのだろうか?
そういう努力を違う所に向ければいいのに。その辺りは御両親に似たんだろうな、多分。
「くっ! 筆頭のC.C.とカレンを真っ先に出してくるなんて……しかし、こちらにも対策はある!」
「なにっ!?」
「なんだ、私達の相手は小娘か。この勝負の勝利は貰いましたね、コーネリア様」
「なぜ私がこんな事を、怨みますぞ父上……」
コーネリアさんにノネットさんまで同じ様な出で立ちだな。
C.C.達と同じ様な服装と髪型、さらにサラシまで巻いてくるなんて見事だ。
あれ? 確か説明された時は―――――
『自国から業種の代表達を選出して(以下略)』
……あの四人っておなべだったのか、世の中は摩訶不思議だな。
普通の職業でもよかったんじゃないのか?
「あら、双方とも早くも切り札を出されましたわね」
「当然です、ライさんが手に入るという名目もありますから。でもエースが自ら出陣とは意外です」
僕は景品なのか、つくづく自由意志のない世界だ。
これじゃあ、まるで○×△□で決められている様な感覚に近いよ。
「では、黒の騎士団の代表を紹介しましょう。おなべ王のC.C.さんとおなべ王子のカレンさんですわ!」
『キャー!! C.C.様ー!! もっとこちらを見て下さいー!! いつもの侮蔑の眼差しでー!!』
『あぁん!! カレン様ー!! 凛々しいですー!! 勇ましいですわー!!』
おーい二人共、声に応えて胸を張っている場合じゃないと僕は思うぞー
普段の君達はそんな人達じゃないだろー
「対するブリタニアの代表を紹介します。ダブルエンペラーの字を持つノネットさんと私の御姉様であるコーネリアです!」
『うぉー!! ノネットさぁーん!! 俺だー!! 結婚してくれー!!』
『いぇー!! コーネリア様ー!! 逞しいですぞー!! 熟れてまグハァ!!』
今度は男性が多いな、って誰か倒れているじゃないか!?
流石に傍観していられないな、助けに行かないと。
「ステージの変形も無事完了ですわね、両代表は前へどうぞ」
「あら、双方早くも目から火花が散っていますね」
「これは一回戦から早くも期待できそうですわ」
「ルールの再確認ですが各勝負の制限時間は十五分、先に二勝した側が勝ちです。営業時間の都合もありますからね」
ああ、その辺りは一応気にしてはあるのか。
意外に良心的な大会なんだね、僕感心しちゃうなー
あ、倒れた男性が気が付いた。大丈夫ですか?

311 :創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 15:10:15 ID:HDb7LG1s
「いい機会ね、この際ハッキリさせてあげようじゃない。どっちが上かをね!」
「私はどちらでもいいぞ?」
「ふっ、脆弱者はよく吠えるな。その目障りな自慢、へし折ってくれる!」
「コーネリア様、なんでもいいですから早く飲みたいです」
やる気のない二人に漲っている二人、意気込みはイーブンといったところだな。
うん? ああ、まだ意識が朦朧としているみたいだ。
はい、お冷をどうぞ。
「カレン、手早く済ませろ。私は早く帰りたいんだ、今日はピザのイベントだからな」
「あのねー! あんたもちょっとは頑張りな―――――ってライもなにしてんのよ!?」
「えっ?」
嗚呼、この隙に逃げ出せそうと思ったがやはり駄目か。
男性は無事に意識を取り戻しているな、仕方ない。
諦めて戻るか、やれやれ……って服をつかまれているのはなぜ―――――
「好きだっ! 俺と突きゲフゥ!!」
「やめろ、ライはノーマルだ」
C.C.、今はじめて君を素晴らしい人だと―――――
「まったく。早く来い、私はこんな茶番に付き合う程暇ではない」
思わない、偉そうにソファーに仰け反っている君には。
接待する側が偉そうなのは駄目だ、バーテンダーとしてそれは認められない。
「どうした? なんだ、もう怖気つイタッ!?」
「なんでそう偉そうなのよ! 今日はいつもと違うって言ったでしょ!」
カレン、君はハリセンを振り回すような女性だったのか?
いつも店に来ている時は大人しそうな感じだったのに。
ああ、猫を被っていたのか。ルルーシュ、カンペありがとう。
「もういい、あんたに頼った私が馬鹿だったわ。はぁ……はい、こっちよ」
「ああ……」
紳士的だな、手を差し出してからエスコートするまでの動きに無駄がないのも見事だ。
どうやら偏見は―――――
「ほら、ここに座れ。とりあえず水割りを飲ませろ」
持ったままでいいかもしれない。
「あーもう! 常連さんを相手する様にしないでよ!」
「そういうお前はさっきから口調が普段通りではないか、いつものお・う・じ・さ・ま口調はどうした?」
「うぅ……」
王子様口調? カレン、君は一体どんな営業スタイルを……
とりあえずソファーのセンターに座らさせられたけど、席順の確認でもしようか。
左から円状にコーネリアさん、ノネットさん、僕、カレン、C.C.の順だ
テーブルも小さなラウンズテーブル、確かにこれなら条件は常にイーブンになる。
そういうルールはしっかりしているのに、僕の意志は果てしなく無視なんだな。
「ふん、取るに足らんな。私が出るまでもない」
「それもそうですね。では、私がサックリジックリ終わらせましょう!」
ノネットさん、貴方はただ飲みたいだけですね。
それからしれっと腰に手を回さないで下さい。
「早くもブリタニアがリードですわね」
「ええ、黒の騎士団は足の引っ張り合いをしています」
もうどうとでもなってくれ……
「さて、とりあえず軽く飲むか?」
「結構です。ノネットさん僕は未成年ですよ、特区でのイベントといえども一応のルールは守らないと」
「そうか。それもそうだが私は飲むぞー!」
「貴方だけが飲んでどうするんですか、まったく。ジュースでいいのか?」
「え、あ、は、はい。すみませんコーネリアさん、僕がする仕事なのに」
「気にするな、今は世話をするのが私の仕事だからな。しかし、久しぶりにこうしてお前と話すな」
「そうですね、コーネリアさんは近頃来店されませんでしたから」

312 :POPPO:2009/01/30(金) 15:10:21 ID:pLHu9TO2
テリー卿、乙です!!

前編を終わらせようと思ったのですが、まだ終わりませんでした。
前編を1,2,3の3つに分断して、話を進める予定です。
いまはまだ日常パートで、私に日常の文章には自信が無いので、
感想と一緒にアドバイスもいただけたら幸いだと思っています。
それでは、コードギアスLOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」(前編2)
です。



313 :創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 15:11:17 ID:HDb7LG1s
「あらあら、大人の余裕といったところですわね」
「ええ、これには流石の黒の騎士団も不利ですね」
「くっ! カレン単独では不味い、頼りのC.C.があれでは勝てん!」
「ルルーシュ、案外采配ミスだったんじゃないかい?」
「馬鹿なっ!? この人選は条件の全てをクリアできている筈だぞ!?」
その条件を聞いてみたい、凄く聞いてみたいよルルーシュ。
少なくとも隣で言い争っているあの二人にその条件をクリアできているとはとても思えない。
「なんだ、惚れた男の前だけでは女性らしくしていたいのか?」
「な、なによ! そういうあんたはどうなのよ!」
「ふっ、私は普段通りにしているぞ。なによりこいつに見られたところでどうという事はない。なあ、ライ?」
「ああ、とりあえず普段通り尊大で傲慢で安心したよ。色んな意味で」
「どうだ、これで解っただろう? こいつは争う前から私のも―――――」
「とりあえず僕は物じゃない、それから君個人の物でもない!」
「くっ! 言うようになったじゃないか、童貞ボウヤが」
もういやだ、こんな接待……早く終わらな―――――
「駄目ー! ライは私のー!」
あ、あのカレンさん苦しいDEATH。
胸が呼吸でエアーが……
「この痴れ者が、おなべたる者が女の武器を使うなど恥を知れ!」
「いいじゃない、あくまで仕事内容を見て理解を深めてもらうのが今回の趣旨でしょ!」
リトル待ってカレン、その言い分だとこの行動は駄目だと思う。
それより酸素を、開きそうな窓が閉ざされそうだ。
「おー我がエニアグラム家秘伝の固め技も使えるとは流石だな。しかし、このショウチュウというのも中々イケるぞ」
「ふっ、そういうお前のワインも中々じゃないか。これはピザによく合いそうだ」
ノネットさん乳の張り合い、じゃなくて軽く意地を張っておきながら流さないでヘルプ!
C.C.も呑気にワインを呑んでないで僕に酸素を飲ませてくれ!
「なにを敵と飲んでいるのですか、貴様もブリタニア産のワインを軽々しく飲むな!」
「ふっ、年の割に狭量な女。いや、おなべだな。そんな事ではライは落とせんぞ?」
「なっ!? いい度胸ではないか、このコーネリア・リ・ブリタニアに言の葉の刃を向けるとは!」
「これだからブリタニアは、私だって負けないわよ!」
「おーい、ボトルのおかわりはまだかー?」
「ルルーシュ、一回戦から既にグダグダなんだけど……」
「ちっ、やはり能天気姫に任せたのは間違いだったな。ライ、とりあえずどっちが良かった?」
ルルーシュ……スザク……酸素……タップをするからエアーを……
ああ、意識が朦朧と―――――

「どうやら一回戦は私達の勝利ですわね」
「やったー! お母さんとお兄ちゃん、私勝ったわよー!」
よやく解放されたのか……あー空気がデリシャスだ、等間隔で等身大の幸せを感じるよ。
「お待ちになって下さい、先程のカレンさんのは卑怯です! おなべでありながら女性の武器を使うなんて!」
「あら、ライ様の決定になにか不満でも?」
「そのライさんに付け入る様な技を使うなんていけません、あれでは私達の仕事を誤解されてしまいます!」
はは……それもそうだねーそれとカレン、僕を勢い余って地面に放り投げないでくれ。
酸欠で体も口も思う様に動かないんだ。
『そうです! そこで誤解を解いて時間の無駄を省く案として、全業種による総力戦をここに提案します!』
えっ? この声はナナリー?
「な、ナナリー!? お前はなんてことを!」
「ナナリー、それは危険すぎるよ!」
「お兄様、スザクさん。景品であるライさんは一人なんです、でしたら後々の面倒を省くに為にはこれしかありません!」
確かに無駄は省けるけど、僕と彼等の意志は交わらない交差点の様だ。
奇麗事だけじゃ生きられないって事か?

314 :創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 15:12:09 ID:HDb7LG1s
「それに私もライさんと……ごにょごにょ……」
『そうは問屋が卸しません!』
『えっ?』
あれ? なにやら聞きなれた声が……いや、妹の声なんだけどね。
『ぬぅははははは! 流石は我が娘ナナリーよのう、だが父と伯父としてはこのまま終わらせはせぬぞ?』
『やあ、暇だったからスペシャルゲストを連れてきたよ』
あの、貴方達はなにを人様の妹を連れてきているのですかー?
「競い、奪い、獲得し、支配し、その果てに掴むべき未来があるぅ!」
「親父っ、またその社是か! その為に母さんは! ナナリーは!」
「ナナリーさん、兄様の事は私が一番理解しています。妹オブ妹として兄様を渡すわけにはいきません!」
「わ、私だってお兄様の事を一番理解しています。それにライさんは私といると癒されるとも言っていました!」
確かに言ったけど……それは客層の中では珍しいからそう思っただけだ。
それに妹に似ているし、って話が妹による兄自慢になっているけどいいのか?
「こうなっては御破算ですわ。藤堂さん、皇コンツェルンのスタッフを総動員です!」
「承知、四聖剣は前へ。客人に我等が魂を魅せる!」
「こちらも負けられません。ラウンズの皆様、出番です!」
「イエス、ユアハイネス。ナイトオブワンが命じる、総力を持ってゲストを迎え入れよ!」
とりあえず、御破算早々に混戦状態なんだが。
両者は勝手に客引きしているし、つくづく僕は無視なんだな。
なんだか面白おかしく振り回されているだけにしか思えないよ。
「ええい、こうなれば黒の騎士団も総力を尽くせ! なんとしてもライを手に入れろ!」
「おやおや、これはいただけないね。特派も使おう、カードは全て使わないとね」
「シュナイゼル様いつの間に? 解りました。ロイドさんセシルさん、パターンランスロットをお願いします!」
ちょっと待ってくれ、火付け役の君達まで流れに乗ってどうするんだ!
シュナイゼルさんもいきなり現れてからすぐに乗らないで止めてください。
どこまで事勿れ主義なんですか、お客さんの嬌声で特区が黄色い声の嵐なんですよ。
「なあ、アーニャ。やっぱり本気を出した方がいいのか?」
「当然、ライは私達が手に入れる」
「ゲストの簒奪など認められぬ」
「これが第九世代バーの―――――」
なんで全員集合しているんだ……
「ガーッツ! 私達も負けてられないわよー」
「か、会長の為なら……グスッ……ライ、怨むぜ……」
「ミレイちゃん、今日は気合入ってるね」
「わ、私もルルの為なら頑張る! それにライ君も……エヘヘ」
おーい君達まで参加しないでくれ。
嗚呼、僕の色が失われていくよ。
「直人、俺はお前の妹の幸せの為にも頑張るからな!」
「扇、直人は入院してるだけだろうが。死んだ風に言うなよ」
「カレンのお袋さんは接待中の飲み過ぎで療養中だったか?」
「あの桃色の髪の子、可愛くないか?」
「南、そういうヤバイ反応は止めなさい。それにしてもクールよね、あの子って」
どこを見てもこの有様、か。
なにがここまで人を駆り立てるんだろう。
「このジェレミア・ゴットバルトの寵愛の嵐、受けるがいい!」
「ジェレミア卿、そちらはラウンズがいます。私達は空いたスペースのカバーを」
「千葉、そっちはどう?」
「駄目だな、今日は人も多いが競合相手が多すぎる」
はあ……もう好きにしてくれ。
僕は知らない見ていない関わらない。
幸い店先に戻ってこられたし、僕は日常に戻る。

315 :創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 15:13:09 ID:HDb7LG1s
「ライ様。今日は代わりにお掃除を済ませておきました」
「咲世子さん? あ、え、それはどうもありがとうございます……」
「いえいえ、ライ様のあのあられもない姿だけでもうアッー!」
駄目だ……この人も今日の熱気にやられてしまったらしい。
いいさ、僕には関係ない!
「星刻、これはなんのお祭りなのです?」
「天子様。これは祭りではなく乱痴気騒ぎです、決して真似をしてはなりませんよ」
「お二人一緒なんて珍しいですね、今日はお休みなんですか?」
「ああ、君のせいでな」
僕のせい? さて、なんの事だろう?
僕はただのバーのマスターだよ、星刻さん。
「あら、休みを取ったのは間違いだったかしら?」
「マリアンヌさん、こんばんわ。シャルルさんはあっちですよ」
僕の仕事はバーテンダー、店先の騒ぎはモザイクカケロ。
「楽しそうな街ね、ライ」
「は、母上!? どうしたんですか、なにかあったんですか!? まさか妹の―――――」
「あの子なら女の子と楽しそうに自慢話してたわよ?」
「そうなんですか、良かった。それでどうしたんですか、わざわざ店まで」
「貴方が帰ってこないからお店で寝ているのかと思ってお弁当を持って来たのよ」
母上……その優しさだけで癒されて奪われたものが変わらない世界から帰ってきそうです。
「それにしてもはじめて来ましたけど、この街を貴方はどう思うの?」
「そうですね……」
店先の騒ぎに目を逸らすのをやめて再度見据える。
今回の規模は大きいが、これがこの街の日常だ。
聞こえてくるのは色彩の歌にも似たような響き。
「スザクっ! 世界を壊し世界を創るのは俺の役目だー!!」
「ルルーシュっ! 結果ばかりを追い求めたってなにも変わらないんだー!!」
「おいっ! 言わせておけば言いたい放題だな、この小娘風情が!」
「なによ! あんたなんか無駄に年食って偉そうなだけじゃない!」
「お兄様は変な癖もありますけど料理は上手なんです!」
「兄様だって能面ですけど愛想はありますもの!」
今回は少し過激だけど、ガス抜きにはいいのかもしれないな。
「これだけ元気な人達をお相手するのも大変でしょう?」
「バーテンダーですから、弱音は吐きません」
これが特区での僕の日常だ、喧嘩を止めて愚痴を聞いて。
今日のは少し変わった出来事だけど、これがいつかの思い出話にもなる。
「さてと、今日は来客が多そうだ」
さあ、バー『クラブ月下』のオープンをしようか―――――

ここは朝日を忘れた人達が住む街、ロストカラーズタウン。
しかし、そう呼ぶ人達は違う意味も込めている。
日常に疲れ未来を不安に思い明日の色を見失いそうな時。
そんな時はこの経済特区を訪れろと人は言う。
見失った色を見つけさせてくれる街、そこを人は敬意を込めてこう呼ぶ。
ロストカラーズタウンと。

Continue Story?

316 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2009/01/30(金) 15:17:37 ID:Hd2QWYoS
以上です、代理投稿ありがとうございました
えーRADIANT WORLDの前日譚なのですが、前々回も述べましたが全部で6つあります
本編と交互に投下しますので、本編が早く読みたい方にはごめんなさい
さて、少しずつ明かされる真実は本編にどう影響を及ぼして及ぼすのか。
気になりますね? 他人事過ぎるか…
続いて今回の短編のキーワードはズバリにしてたったこれだけ

『おなべ』

…あの、ホントすみません
なんかこう、欲望に忠実な人達の電波が融合合体したらこうなりました
色々とカットしちゃったので職業不明なキャラが多く尻すぼみになってしまい申し訳ないです
一応連載する気はいまのところまったくないのでご安心を?
では近々長編の11話でお会いしましょう、失礼しました

317 :POPPO:2009/01/30(金) 15:23:24 ID:pLHu9TO2
投稿中、すいませーん!

…コホン。
それでは、コードギアスLOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」(前編2)
出直して今から行きます!

318 :POPPO:2009/01/30(金) 15:26:27 ID:pLHu9TO2
一時限もサボること無く、真面目に授業を受けた僕はクラスメイトと話しを交えながら放課後を迎えた。僕は中途入学したので、その分の補充のためにクラスメイトの女子たちからノートやUSBメモリなどを沢山貸してくれた。
ああ、なんて親切な人たちだろう。お礼に贈り物を添えて返そうと思う。贈り物は何が良いか、後でシャーリーに相談してみよう。カレンには相談しないほうがいいと、心の片隅で誰かが囁いていた。

そして放課後。今日はスザクを除く生徒会のメンバーは生徒会室に集まっている。久しぶりに僕やルルーシュやカレンも参加していたので、話も弾みながら生徒会の仕事を片付けていた。
僕とリヴァルとシャーリーとミレイさんは肉体労働。ルルーシュとカレンとニーナは主に事務処理を担当した。
ルルーシュが言うには事務処理は僕と自分だけで十分だと言っていたが、肉体労働を全て女子に押しつけてしまうのは何とも忍びない。そのことをミレイさんに散々突っ込まれたルルーシュは押し黙ってしまった。
ミレイさん。それは流石に言いすぎですよ。彼も自身の体力にはコンプレックスを抱いているんだ。近頃はそれを克服しようと影で努力してるんです。C.C.の報告によると、今週は腕立て伏せが5回も続いたんだって。素晴らしい進歩じゃないか。

また、話によるとニーナがブリタニア軍の研究部からのスカウトを受けたらしい。大学からの推薦は珍しいことではないのだが、高校生からの引き抜きは世界でも指折りの人数しかいないそうだ。彼女の頭脳の優秀さに今さらながら感嘆する僕たちだった。
「そう言えば…」と手を顎に当て、ミレイさんは僕をじろじろ見ながら、何か思い出したように喋りはじめた。
何か顔に付いてるのかな。クッキーの食べかすはハンカチでちゃんと拭き取ったと思うけど…
「はー。やっぱりライって凄いわねー」
「どうしたんですか。ミレイさん。藪から棒に」

「今回のテスト。実技も含めてライが学年トップよ?」

『はっ!?』
生徒会のメンバーは声を揃えて口を開いた。








319 :POPPO:2009/01/30(金) 15:28:37 ID:pLHu9TO2
コードギアスLOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」(前編2)




先週行われた学科試験。僕とルルーシュとスザクは時間の合間を縫って、皆とは違う時間帯で取り組んだ。試験時間を短縮しても深夜までかかったっけ。
まだ結果は公表されていないはずだ。しかし、ミレイさんはこのアッシュフォード学園の理事長の孫。そういう情報は簡単に手に入るらしい。話題が僕に向けられ、視線がミレイさんに集まる。
カレンは皆に紅茶を配ると元に着いていた席に座った。それが生徒会活動の終了の合図である。
作業を続けて2時間が過ぎており、既に日は落ちていた。課題が全て片付いて、生徒会のメンバーは雑談の時間に入る。この時間が一番安らかなひとときだ。

「ライ。100メートル走は?」
「ん?確か11秒ジャストでしたけど」
『速っ!!』
そんなに驚くことかな。スザクも同タイムだったよ。反射神経は僕よりスザクのほうが…
「あの体力バカと一緒にするな」
と、ルルーシュに一蹴されてしまった。スザク、頭は悪くないと思うんだけど…
へぇ、リヴァルって意外に足が速いんだね。
ところでルルーシュ。君のタイムを教えてくれないか?

「そういえば、クロールは私よりも速かったよね」
シャーリーの水泳部の友達から『見学だけでもいいから』って頼まれた時のことだろう?とか言いつつ一週間程仮入部しちゃったけど、その時のおかげかな。皆の指導が良かっただけだよ。
冷たい視線が突き刺さるのはこの際無視しておこう。全ては過去だ。
ニーナ。怯えちゃダメだよ。その気持ちは痛いほど分かるけど。

「マリヴェーラ先生もライの事、褒めてたよな」
数学?それならルルーシュのほうが出来るじゃないか。成績はルルーシュに次いで二番らしいけど、試験は教科書と課題からしか出題されていなかったよね?
そうだろう?ルルーシュ。
「あれは趣味でやっているからな」
「…数学って趣味でやるものなのかよ」
ん?そういうものだろ?ニーナも首を縦に振ってるし。あれ、シャーリーとミレイさんは何で目を丸くしてるのさ。僕、可笑しなこと言ったかな。

他にもミレイさんから僕の評判を聞いた。テストの出来は勿論のこと、教師にも生徒にも概ね好印象であるということ。そして意外だったのが、字が達筆であったことに教師陣は非常に驚いていたらしい。
昔はパソコンなんていう便利な道具は無かった。出陣する時以外は、王宮の自室で著名したり、隣国とのやりとりの日々に明け暮れていた。課題のレポートを作成している時に何か物足りなさを感じていたのはこれが原因だったのだろう。
「うーん。本当に学生にしとくのは勿体無いほどの人材よねー。それでね。三日前に本国から帰ってきた叔父様に話したら、ちょっと面白いことになっちゃって…」
何故だろう。ミレイさんの『面白い』っていう発言は素直に受け取れないんですけど。
あ、皆も同意見か。
この場合、考えられるパターンは243通りあって…

「なんなら、養子にしなさいって言われちゃってさー」

『ええっ!!?』
生徒会室に大きな声が響いた。


320 :POPPO:2009/01/30(金) 15:29:52 ID:pLHu9TO2
それもそうだろう。僕だって驚いた。
これは244通り目のパターンだっ!
ってことは、ミレイさんは義姉?姓はアッシュフォードと名乗るのか。
ライ・アッシュフォード…
うん。韻をちゃんと踏んでいて響きはいいな、ってそうじゃない!僕を養子にだって!?
「そ、それは『ダメです!!』」
カ、カレン。そんなに叫ばなくても。久しぶりだから病弱設定を忘れてないか?仮面が取れかかってるよ…
「あら?何でかしら。ライは身寄りが無いのよ?アッシュフォード家は今は没落貴族だけど、名誉ブリタニア人になるよりは随分と都合が利くわよ?それに将来のことも考えると、とっても良い話じゃなーい。お母様もライのこと、ひと目で気に入ってくれたわ。この女殺しめ〜」
と、言いながら右腕で僕の首に回して、左手で頬をプニプニとつついてきた。
って、ミレイさん!当たってますって!うわ、うわーっ!服の上からでも分かる!
「ねえ、ラぁイ。私を『お義姉さん』って呼んでみて。『ミレイ』って呼び捨てでも構わないわよ?」
カ、カレンッッ!!?何、その笑顔!?唇が引きつってますよ?眉がピクピクしてるのは気のせいじゃないよね!?
「おいっ!ライ!なんてうらやま…じゃなくて、会長から離れろ!!」
リヴァルが歯を食いしばりながら、僕を睨みつけてきた。
「それはいい話ですね。会長。しかし、ライはIDを持っていない。そのところはどうするんですか。それが解決できれば問題ないと思いますけど」
そんな修羅場を無視して、賛同意見を述べるルルーシュ。カレンの鋭い目つきが彼に向く。彼は全く動じなかった。
あ、もしかすると紅茶を啜ることで誤魔化しているな?

確かに、ミレイさんの話は悪くない。むしろ願っても無い好条件だ。
しかし、それはかつての自分であったらの話。
今の僕は黒の騎士団の幹部。行政特区日本に参加した正式な組織とは言え、今だ世間の風当たりは強く、テロリストであることに変わりは無い。ミレイさんはそれを知らない。知っているのはルルーシュ、シャーリーにスザク、そして僕のパートナーであるカレンだけ。
あれ?生徒会のメンバーでは知らない方が少数派だ。
…まあ、それはさておき、あまりにもリスクが大きすぎる。ミレイさんには迷惑かけてしまうだけだ。だから僕はこの申し出を受け入れることは出来ない。
ルルーシュは賛成意見を述べたが、それは表面上だけのこと。彼もこの申し出は断るべきだと考えているだろう。
記憶喪失の上に正体不明の僕を匿ってくれた命の恩人だ。ミレイさんには感謝してもしきれないほどの恩がある。彼女に出会っていなければ、と考えると今でもゾッとしてしまう。
もしそうなっていたら僕は皆と出会うことも無かったし、ルルーシュと親友になっていなかった。そしてカレンと出会い、恋仲になることも無かっただろう。
僕はそんな恩人を裏切る行為をしている。本当に胸が痛む。

だから、これは因果応報の罰なのだろう。
心温まる穏やかな日常の一コマから、突如として緊迫感溢れるワンシーンに変わってしまった。
「ダメよ。『お義姉さん』って呼ぶまで離しませーんっ」
ミレイさーんっ!!貴女、分かっててこうゆう事してますね。確信犯ですね?
…仕方無い。こうなったミレイさんは止められない。ここは素直に要求を?んだほうがいいだろう。僕は一度眼を閉じて、頬に柔らかい感触を感じつつも心を決めた。

「……ミレイ義姉さん」

と、生徒会室にいるメンバー全員に聞こえる声で言った。
一瞬の静寂の後、
「もーうっ。ライったら可愛いんだからー!こんな義弟が欲しかったのよぉ!」
と、満悦な笑顔を浮かべたミレイさんは僕を正面から思いっきり抱きしめた。僕の頭がミレイさんの豊満な胸元にダイブする。
ちょっ!!何だコレはっ!?スキンシップとかいって後ろから抱き締められた時も大きな感触だと思っていたが、これ程とは!なんて破壊力だ!カレンよりも大きくて柔ら……ハッ!!?
夢心地の気分から一気に奈落の底へと突き落とされるような殺気を感じた。

「ダ・メ・です!!ライは私の家で預かります!」

カレン、とうとう仮面外しちゃったか…
あまりの大声にミレイさんも肩を震わせた。その感覚が偉大なる母性の塊から僕に伝わる。
あれはヤバい。1,2回のデートじゃ許してくれないな…


321 :POPPO:2009/01/30(金) 15:33:01 ID:pLHu9TO2
「カ、カレンもそんな大声が出るのね」
シャーリーやミレイさんだけではなく、僕とルルーシュを除く皆は驚いていた。
一瞬だが、両手の力が緩んだ。その隙にミレイさんから逃れようと思ったが、それを感じ取ったのか。さらなる力で僕に母性の塊を押しつける。
ぅぷッ!って、息が、息が出来ない!!

苦しむ僕と怒りを露わにしたカレンを交互に見比べて、ミレイさんはニヤァ、といたずらネコのような笑顔を浮かべた。
「へえ。カレンもそんな顔するんだぁ。ちょっと意外ね」
カレンの殺気立つ視線を浴びつつも、ミレイさんは全くひるむ気配は無い。
視線でミレイさんを射殺す気かい?カレン。
あ、標的は僕か…
「と・に・か・く。身寄りが無いならシュタットフェルト家で預かります。ウチの義母や使用人にも評判が良かったですし…」
あれ?あんまり僕の評判は良くないから家には来ないで、って言ってなかったけ?カレンの義母さんは僕を見るたびに視線を逸らしてたし…
ミレイさんは真剣な顔つきのカレンを見ていると、少し目を丸くした。
「カレンはライの事、本気なんだね」
「はっ、はい…」
急にしおらしくなるカレン。また猫の皮を被ったのだろう。周りの皆はこの三人に注目していた。ルルーシュはつまらなそうな目で3人を。シャーリーとニーナは目の色を変えたカレンを。リヴァルはミレイさんに抱き締められているライを羨望の眼差しで。
「そっか。そうなんだ」
カレンの真剣さを感じ取ったのか、笑顔を浮かべるミレイさんは腕に力を入れたまま、僕の頭を撫ではじめた。
「こんな可愛い子に想われて、ライって幸せ者ね。恋のキューピットのお姉さんに感謝しなさいなー♪」
はい、ミレイさんには本当に感謝してもし足りません。一生頭が上がらないです。
で、そろそろ離してくれませんか。ミレイさん。色んな意味で僕の命が危ないんですが…
再び仮面が剥がれそうなカレンに、親指をグッと立てたミレイさんは言った。
「私は別に貴方たちの交際を邪魔する気は無いわ。むしろドンドン進んじゃなさいっ!」
「え、ええっ!?」
予想外の言葉に、顔を真っ赤にするカレンと僕。
「うんうん。今日はこれで満足じゃ。でも、ライ。養子の話は考えておいてね。良い返事を待ってるわよー♪」
と、手を振りながら、ご満悦でミレイさんは生徒会室を後にした。
あやうく意識が跳びそうになっていた僕の脳内に大量の酸素が流れ込む。
ふう、死ぬかと思った。嵐のような人だな。会長って…



322 :POPPO:2009/01/30(金) 15:34:36 ID:pLHu9TO2

「もう遅いから。ごきげんよう。皆さん」
あっ!カレン。いつの間に帰宅の準備を?
そっぽを向いたまま部屋を出ようとするカレンの腕を、僕は慌てて掴んだ。
「何?私、用事があるんだけど」
外の方向を向いたまま、カレンは喋った。
ああ、随分とご立腹だ。ほったらかしたら一週間はまともに口を聞いてくれないな。
だが、このままにしておいたら僕たちの関係に亀裂が走る。仲直りする方法を脳内でシミュレートし、短時間でかつ刺激的な解決策を選んだ。
男は度胸だ。
僕はカレンの手を寄せると、そのまま彼女の体を強く抱きしめた。
力強く引っ張ってしまったために、カレンの体は勢い余って僕の胸に飛び込んできた。
そして、無理やりカレンの顔をこっちに向けると、
そのまま唇を奪った。

ちゅっ。

「……!?」
突然の出来事に体を震わせるカレン。
驚く彼女を無視して、僕はカレンの体から力が抜けるまでキスを続けた。
僕を振り解こうとする力が無くなって、ようやく僕は唇を離した。
カレンの顔はいつ見ても可愛いなぁ。
顔を赤らめたまま口をパクパクさせている彼女に僕は微笑んで、愛の魔法をかける。

「愛してるよ。カレン」

「〜〜〜〜〜〜!!」
バタン!と扉を開けて、あまりの恥ずかしさに耐えきれなくなったカレンは全速力でその場を出て行ってしまった。
その途端、一部始終を見ていた生徒会のメンバーは黄色い声を上げる。
「うひゃああ〜!」
「だ、大胆すぎ、です」
「お、お前…」
「キ、キスぅ!?皆の前で、何の躊躇の無くキスだとぉ!?ライ!お前たち何処まで進んでんだよ!」
顔を赤くした皆。リヴァルは少し狼狽しているみたいだ。
かなり恥ずかしいことをしてしまったな。明日、カレンは恥ずかしくて学園を休んでしまうかもしれない。僕に好奇な視線を送る皆に、苦笑を返すしか無かった。
まあ、これで少しは機嫌良くなったかな?夜に謝罪の言葉とラブコールを入れよう。
これでチェックメイトだ。








323 :POPPO:2009/01/30(金) 15:36:19 ID:pLHu9TO2
夜。生徒会の仕事が終わった後、僕たちは私服を買いに外出した。
予め、雑誌を読んで買う服をおおむね決めていたので、在庫を確認した僕たちは店に訪れてサイズをチェックした後に購入した。
移動時間を含めても1時間ほどで済んだ。仕事の話に触れずに色々な話をしながら、アッシュフォード学園の正門をくぐる。
寮では咲世子さんとナナリーが夕食を用意して待っている。僕たちが住む寮が目の前に迫った頃、話題は先ほどの生徒会室での出来事が上がった。
「ライ。養子の件はどうするつもりなんだ?悪くない話だと思うぞ。俺は」
「え?ルルーシュは反対じゃないのかい?」
「いつ俺が反対だと言った?このままだといづれ、お前は本国から良い話が来るだろう。そのためにはアッシュフォードという名前は何かと便利だ」
「僕は黒に騎士団を抜けるつもりは無いよ。君だけではなく、カレンもいるしね」
「ブリタニア人としての肩書も必要だ。活動のことは今まで通り隠し続ければいい。そして時を見計らって、打ち明ければいい。会長は受け入れてくれるさ。彼女の物分かりの良さは、長所の一つだからな」
「でも、僕はミレイさんの優しさに何時までも甘えてはいけないと思うんだ」
「ライ。そこがお前の悪いところだ。何でも一人で抱え込んでしまうところがな。確かに、事が事だが、会長を信頼してくれ」
「…分かった。そうするよ」
「そうしてくれ。それにこれはカレンにとっても安心できる提案だ。後はお前のIDの問題さえクリアできれば、な」
カレンが安心できる?そのことを訪ねるとルルーシュは苦笑しながら話を続けた。
これは自分で気づけってことか。後で分析してみよう。
「それとな。あの時、お前がさっさと会長から離れておけば、キスしなくても済んだんじゃないのか?」
「それはそうだけど…ミレイさんの席は隣だったし、なにより会長のスキンシップは唐突だからね。ルルーシュだったらどう切り抜けるのさ?」
「……俺は会長の腕を振り解けない」
ごめん。ルルーシュ。失言だったね。腕立て伏せを10回出来るようになれば大丈夫だよ。多分。
「それに、俺は浮気なんてしないからな。少しは節操を持て。ライ」
「むっ。その発言は頂けないな。僕だって浮気はしないさ。カレン一筋だよ」
…そういえばC.C.はルルーシュの部屋に寝泊まりしてるだろ?君の方こそ浮気には気をつけた方がいいんじゃないか?
僕の表情から言いたいことを察したのか、ルルーシュは嘆息しながら言葉を続けた。
「あれは女とは認められないな」
「それは理解できるけど、見た目はれっきとした女だぞ?容姿だけなら間違いなく美女の範疇に入る」
「顔、だけならな。だが、あの傍若無人ぶりにいつもチーズの匂いがする魔女の何処が『女』なんだ?いくら心の広い男でも三日で愛想がつく。品性の欠片も無い」
「C.C.に品性を問うこと自体間違ってるよ」
全くだ。と同意するルルーシュ。黒の騎士団の中でも評価は差ほど違いは無いけどね。と、僕は付け加えておいた。


324 :POPPO:2009/01/30(金) 15:37:46 ID:pLHu9TO2
「ほう、なかなかの言い草だな。『非』童貞坊や達」

その声の主、二階のベランダに目を向けた。そこには満月に背を向けて不敵な笑顔を浮かべながら佇んでいる、緑色の髪を持つ女がいた。
その光景を目にして改めて思った。
彼女は『魔女』なのだと。
「「C.C.!!?」」

笑顔が歪んでいる。C.C.結構怒ってるみたいだな。
「…もしかして。今の全部、聞いていた?」
恐る恐る、僕は野暮な質問をしてしまった。
「女の悪口を影で話す男こそ品性の欠片も無いな。女が出来てから、最近調子に乗っているんじゃないのか?お前たち。まだまだ序の口程度で『女』を知ったつもりになるとは…呆れてものが言えん」
「「なっ!!?」」
と、言葉を窮する僕たち。
なにっ!?あれでまだ序の口程度だとッ!!?
「まあいい。お前たちの犯した罪は重いぞ。なんせこの魔女を不機嫌にさせたんだからな」
背筋が凍りつくような視線を浴びせるC.C.
だが、僕たちは幾戦もの死線を乗り越えてきた。これくらいでは身震いすらしない。
「…では、どのような罰を与えるつもりだ?C.C.」
C.C.は淡々とした口調で残酷な刑を下した。

「そうだな。なら、ライ。もう一度お前にギアスを与えてやろう。それで許す」

ルルーシュと僕は絶句した。
酷ッ!!それ、僕の過去を知った上で言ってるよね!?
「乙女の純情を侮蔑した罪は、死より重いことをその身に刻んでおけ」
はい、すいません。もう絶対に言いません。
C.C.は魔女でも可憐な乙女です。可愛らしい少女です。
「フン。まあ、私もそこまで鬼ではない。代わりに、今週一杯はお前たちの手で最高級のピザを作れ。一枚でも手抜きのピザを作ってみろ。これからのお前らの情事を一字一句逃さず全て記録してやる。特にライ、先週のキュウシュウ議会の…」
わーわーわー!!頼むっ!それだけは言わないでくれ!僕も何であんなことをしてしまったんだろうって後悔してるんだ。ああっ!今、思い出しただけでも恥ずかしい!!
「くっ!一体どのくらいの費用と時間がかかると思っている!黒の騎士団のポケットマネーが潤沢になったと言え、少しは加減ってものを……って、C.C.その右手に持っている携帯は何だ?」
「うん?聞きたいか?この録音の日付は――――――――――」
その日時を聞いた途端、今度はルルーシュの顔が真っ青になった。
あー。内容は何となく分かった。
…君も弱みを握られているんだね。ルルーシュ。
「…分かった。今夜は中華風のピザを作ってやる。ライ。買い出しに付き合え」
確か、海老が無かったよね。明日はクアットロ・スタジョーニでも作るか…。
「流石は黒の騎士団のトップとその右腕だ。話が早くて助かるよ。お前たち二人が協力して出来ないことは無いらしいからな。期待してるぞ?『非』童貞坊や達」
ルルーシュが前髪をなじった。
それを見た僕は首を横に振る。無理だよ、それは。
意味は『ギアスを使っていいか?』だ。コンタクトはそのままでいいさ。


僕とルルーシュとスザク、三人が力を合わせればあの魔女を黙らせることができるかもしれない、と。
そんなことを考えながら、僕たちは食事を済ませた後、重い足取りで、再度学園を出て行った。


325 :POPPO:2009/01/30(金) 15:46:25 ID:pLHu9TO2
コードギアスLOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」(前編2)
投稿終了です。
管理人様にお願いしたのですが、保管庫には、前回の文章を、TURN00 「終わる日常」(前編1)
としていただけないでしょうか。どうかお願いします。
RADIANT WORLDは私も大変面白く読ませてもらっています。
ライは裏切ったのか。展開が全く予想できません!
投稿お願いします。
私的にはKOUSEI卿の「蒼失の騎士」の続きも気になるのですが・・・

326 :POPPO:2009/01/30(金) 16:01:03 ID:pLHu9TO2
320で、ここは素直に要求を「?んで」→「?んで」です。
すみません…


327 :POPPO:2009/01/30(金) 16:02:20 ID:pLHu9TO2
あれ?「呑んで」です…
再度すみません。

328 :創る名無しに見る名無し:2009/01/30(金) 20:43:10 ID:OzJ7akLa
>>316
ぷにぷに卿、GJでした!
色々と吹いたw
まず、いきなりのシャルルのインパクトがwww
右手突き出して落下からの片手で逆立ちw
>カミガーノビテセマッテクルヨー まてぃwww
サイコロの職種がwww三つ目と六つ目wwwww
おなべ王と王子、そしてダブルエンペラーw
ライの妹と母も生きているのか……
あと、店先の騒ぎはモザイクカケロ、にも吹いたw
なんとほのぼのとしたカオス!


>>325
POPPO卿、GJでした!
なるほど、実技も学科も含めるとライがトップ……納得。
人前、それも知り合いの前でキス……だ、大胆すぎる……
そしてC.C.絶好調である!


貴公らの次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

329 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2009/01/31(土) 01:11:46 ID:T4FMn3+m
>>325
初めまして。タイトルの件、留意しておきました。誤字も修正しておきますね。

        〜業務連絡〜
22日の晩に保管システムに重大なエラーが発生し、現在も復旧に努めております。
(更新が止まっておりますが決してサボりというわけではないです…)
今日明日にはなんとか目処をつけるつもりですのでご容赦ください。

330 :創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 01:30:59 ID:4dDWKwG/
ぷに卿
ある意味ドラマCDよりも病気(失礼)でいい感じでしたww
アブノーマルな人々に慣れているのか、ライも結構冷静ですねww


POPPO卿
二人とも自業自得ww
そしてキュウシュウ議会ではいったい何があったのか気になりますww

331 :創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 21:16:53 ID:G4a2lF11
こんばんわ。
久々に続き投下いたします。

タイトル 思いの後に… 第8話 カ ン ケ イ (陥計)
ジャンル ドロドロ(笑
カップリング ミレイ→ライ×ニーナ

注意点 
寝取られ要素あり。
ドロドロし始めますのでご注意を…。
ミレイさん、壊れてます。


332 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/31(土) 21:18:20 ID:G4a2lF11
出される料理は、とても贅沢でおいしかったのだが僕は落ち着かなかった。
身体がとても熱い。
いや…どちらかというと火照っているという感じだ。
もちろんそれだけが原因ではない。
目の前には、普段では見れない着飾ったミレイさんの綺麗な姿。
そのドレス姿とその妖しいまでの色っぽさと仕草に僕の目は釘付けだった。
くらくらしてしまいそうだ。
だけど…目が離せない…。
そう……ニーナの事を忘れそうになってしまいそうなくらいに…。
今……誘われたら……僕は……。
ふとそんな事が頭に浮かぶ。
裸で僕に迫るミレイさん。
豊満な乳房が僕にこすり付けられる。
そして…妖しい動きをする舌が唇を舐め上げる。
卑猥なまでに欲情したミレイさんの表情が、僕を焦がしつくすほどの欲望を煽り立てようとしている…。
い、いやっ…違うっ。
違うんだっ。
くっ…何を考えてるんだっ…。
なんで……こんな事を考えるんだっ、僕は…。
彼女と僕は、恋人同士じゃない。
あくまでも振りだけだ。
しっかりしろ…。
自分自身に言い聞かせる。
僕が好きなのは…ニーナなんだ。
そう何度も何度も繰り返す。
だが、一度火のついた欲望は完全に消し去ることは出来ず、その度に僕の理性は蕩けそうになって悲鳴を上げ続けた。
それは、ある意味、下手な拷問よりきついものだった。


思いの後に… 第8話 カ ン ケ イ (陥計)




333 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/31(土) 21:19:30 ID:G4a2lF11

完全に堕ちかけてるわね。
食事も半ばを過ぎたころからライの様子に変化が見られるようになった。
そわそわしていて落ち着きがなく、心ここにあらずといった感じだ。
それでいて、私の胸や腰や唇に熱い視線を送っている。
ふふっ。あれで誤魔化しているつもりなのかしら…。
本当に…可愛いんだから…。
しかし、思った以上に効くわね、この薬は…。
ミレイは、そっとハンドバックに隠し持った空の小瓶を見つからないように指でなぞった。
それは彼女が手を回して手に入れたものだった。
元々は貴族のボンボン達が女遊びをする為に作らせたという薬で、どんなお堅い処女でもこれを流し込まれた飲み物を飲ませられてしまったら、簡単に堕ちてしまうらしい。
もっとも、今持っているのはその薬の男性版らしく、試しに自分で舐めてみたが変化はまったくといっていいほど何もなかった。
だから心配したのだが、今のライを見ている限り問題なさそうだった。
ふふっ…。
ミレイは楽しかった。
好意を寄せる相手が、自分の姿に欲情する様に。
そして、熱い視線を捧げる事に…。
くすっ…。
自然と笑みが漏れた。
そう、普段のさわやかな笑みとは正反対の微笑が…。
そして、食事が終わると食後の飲み物が出た時に用意していたものをバッグから取り出した。


334 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/31(土) 21:21:40 ID:G4a2lF11

どうしたんだろう…。
火照る身体をなんとか抑えるので精一杯だった。
思考がピンク色に染まったかのような感じがする。
頭の中を卑猥な妄想が湧き上がっては僕を誘っている。
だ、駄目だっ…。
何度も何度も自分自身に言い聞かせる。
しかし、もう理性という堤防は、欲望という名の大洪水を押さえ切れそうにない。
そう…なにか些細な事でも決壊しそうなほど危うかった。
ミレイさんとの会話も少なくなってしまったのは仕方ない事だろう。
もし、気を許したら、ミレイさんを押し倒したい衝動に駆られていただろうから…。
だから、なんとか踏みとどまろうとしていた。
大好きなニーナの為に…。
そして、彼女に僕の思いを伝える為に…。
「大丈夫?ライ…」
僕の様子が変だと思ったのだろう。
ミレイさんが優しくいたわる様に声をかけてくる。
普段ならありがたいのだが、今の状態では、かえって状況を悪化させているだけにしか過ぎない。
「だ、大丈夫ですよ。……そ、そろそろ帰りましょうか…」
このままだと駄目だ。
無意識のうちにそう答えていた。
変な事をしてミレイさんを傷つけたくないという思いもあったのだろう。
だが、彼女の反応は違っていた…。
「うふっ…。辛そうね…ライ」
ミレイさんは、普段見せた事のない妖艶な笑みを浮かべるとバッグの中からあるものを取り出した。
それは、クリスタルブロックの付いた鍵だった。
ブロックには606という数字が彫られている。
「このまま帰るなんて……もったいないわ。折角、部屋も用意したのに…」
そう言うと見せつけるかのように鍵を指で弄ぶ。
「ライ…、貴方さえ良ければ……」
椅子から立ち上がると僕のほうに顔を寄せて囁いた。
「私の身体、貴方のものにして…」
ごくりと唾を飲み込む。
ぼんやりとした思考の中で「貴方のものにして…」という言葉が繰り返される。
それは僕の心を痺れさせ、理性を蕩けさせるのに十分なほど強烈な一言だった。
だか……だ、駄目だっ…。
霧がかかってぼんやりとした頭の中に微かな悲しそうなニーナの顔が浮かぶ。
そうだ……ニ−ナが……ま、待っている……んだっ…。
なんとか……、なんとか残った理性を奮い立たせて……。
そう思った瞬間、ミレイさんが僕の頬にキスをした。
「うふっ…。私、ライが……欲しいの。それに、貴方もきっと満足できるはずよぉ……」
甘ったるい言葉が再度囁かれ、潤んだ瞳で見つめられていた。
そして……自然と彼女の唇が……僕の唇へと近づいてくる。
ああ……なんで…なんで…。
ニ、ニーナ……。
ぼ、僕……は………ニーナが……す…き……なん……。
だがそんな思いは、唇と唇が重なった瞬間、あっという間に消え去っていた。
ただ、唇から伝わる感触と温かさだけがすべて…。
ミレイさんの誘惑に…僕は…………負けた。



335 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2009/01/31(土) 21:23:01 ID:G4a2lF11

「くっ…」
窓から刺す光で目が覚めた。
身体が鉛のように重い。
「うううっ…」
ゆっくりと身体を動かす。
異常はない。
ただ、疲労しきっているだけだ。
ゆっくりとぼさぼさの髪をかき上げて上半身を起こす。
その時だった。
「んーーっ…」
僕の隣で甘えたような声が漏れた。
えっ…?!
ゆっくりと横を見る。
そこには満足そうなミレイさんの寝顔があった。
状況が把握できず、僕は思わずベッドから落ちそうになる。
そして、そこで初めて自分が全裸である事に気が付く。
その動きのせいだろうか。
眠っていたミレイさんが、ゆっくりと起き出す。
シーツがめくれ、豊満な乳房がさらけ出される。
そして、それを目をそらすことが出来ずに見てしまっている自分がいた。
そんな中、ミレイさんはゆっくりと瞼を開けると微笑んだ。
「おはよう、ライ」
そう声を掛けられて、慌てて目をそらす。
そんな僕の反応が面白かったのだろう。
くすくすと笑い声が漏れる。
「昨日、散々楽しんだでしょ。それに、ライにならいつ見られてもいいわ」
甘い言葉と共に甘い吐息が漏れる。
「え、えっと……、き、昨日は………」
言葉にならず、思考が空回りを続ける。
ぼんやりとした頭が活性していく。
そして、昨夜の事を僕は………思い出した。
欲望に流され、誘われるままミレイさんを何度も何度も抱いた事を…。
そして、ニーナを裏切った事を…。
ぼ、僕は……。
どう…すれば……いいんだ。
今、自分自身の犯した過ちにどうすべきか何も思いつかなかった。

《おわり》

336 :創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 21:25:59 ID:G4a2lF11
以上で8話終了です。
さて…ドロドロはこれからだっということです。(笑
さて、次回をお楽しみに…。

なお、短いのは、いろいろとありまして…。
3分の1近くをカットしております。

では、次回もよろしくお願いいたします。

337 :創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 21:33:09 ID:fxltCCBh
>>336
GJです。ミレイさんが、すさまじく悪女だ。いかがわしい薬できましたか。
ニーナを想いつつ、ミレイさんの策の前に堕ちたライ。ついにドロドロ展開が!
次回をお待ちしています。

338 :創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 21:34:44 ID:L1j0MJth
ちょっ、最初からクライマックスだぜ!
>>336
あしっど・れいん卿、乙でした!
まさかのキングクリ○ゾン! 朝チュンとは……
ミレイさん、黒いです。
ドロドロ感がハンパネェ!
恐ろしい! でも、続きが気になってしまう!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

339 :創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 02:05:58 ID:6+guGsQh
乙でした!
三分の一…あんなとこや…こんなことが…
カットされたのかな!

修羅場まで秒読みですね。
さあ来い!
待ち構えております。

340 :創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 03:17:57 ID:MLdHwsQI
あしっどさん乙です!
こ、これは・・・完全にやっちゃってるんですよね?未遂とかオチじゃないですよね?
いよいよライは普通のフラグでは飽き足らず修羅場コースへのフラグもたてちゃったんですね・・・
怖いのに続きが気になって仕方ない!次回を超期待しています!

341 :創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 03:32:47 ID:NuiEAGrI
>>336
あしっど・れいん卿、乙でした!

ライ…負けちゃいましたね。まあミレイさん相手では仕方ないか?この事が発覚したらどうなるのか
生徒会のメンバーは、そしてなによりニーナはどう出るのか?
血戦の予感、期待せずにはいられない!!

342 :創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 03:34:45 ID:dY9QBewV
>>336
えちーい!しかも面白い!これで本格的にミレイVSニーナ戦争が始まるんだな。
どう転んでも刃傷沙汰は避けられない展開。
心の準備覚悟完了!続きを首を長くしてお待ちいたしております!

343 :テリー:2009/02/01(日) 17:15:09 ID:vyDqJNEt
前回の投票ありがとうございます!!これより投下の方行きます!!

「明日の為に 〜信じる心〜 」

6レス位でしょうか

344 :テリー:2009/02/01(日) 17:16:16 ID:vyDqJNEt
「ゼロ・・・・・・」
「あいつを信じよう、ライはやると言ったらやる男だ」
「うん、そうだな。ライはその辺の軟弱者ではない」
「そうですね・・・・自分も信じます!」
「あたしも!!」
「ライは簡単にやられない、必ず来る」
「待つとするか仕方ない」
ルルーシュ達はライの力を信じ待つことにした、彼が今までに多くの奇跡を起こし
たその力を信じここに来る事を・・・・・



「明日の為に」


第九章1項


9:17 坊の岬沖


「左舷敵機4!!3,5番機銃対処!!」
「敵ミサイル3右40°より飛来!!6,8番対処!!」
「取舵40°!!速度そのまま!!」
「敵増援数約100!!正面距離20km!!」
「主砲掃射――――!!」
戦闘開始から43分、そこらじゅうに火薬のキツイ臭いと主砲の轟音、
機銃の連射音、戦闘機のエンジン音、墜落音など艦橋内部でも大声を
上げなければ聞こえないほどだった。ライの居る第一艦橋も同じで
そこからでもミサイルは四方八方から飛び交うのが見える
何時命中してもおかしくない状況が続いている中―――――
「各艦現状を知らせ!!」
「大破艦皆無!!イージス艦「剣」「三雲」「妙高」が其々2発被弾、
されど戦闘、航行に支障なし!!他艦は被弾多くも損傷は軽微!!」
「よし!善戦しているな」
「左舷30°よりミサイル4、右舷80°よりミサイル6飛来!!」


345 :テリー:2009/02/01(日) 17:17:16 ID:vyDqJNEt
「各担当機銃迎撃!!」
「ミサイル2、抜けます!!」
「艦長!!」
「面舵40°!!」
「ミサイル2撃墜確認!!左舷120°敵機4!!」
「後部副砲撃―――――!!」
「全機撃墜なれどミサイル3接近!!避けきれません!!」
「護衛策始動!!」
ライが編み出した策の一つ“護衛策”、大型の艦艇ともなれば被弾率は高い
その場合は回避行動や搭載されている火器でかわすがそれも無理な時に使う
策だ。一隻の大型艦艇には必ず最低2隻の小型艦艇が専属の護衛任務を担う
事になっている、その任務は“接近する回避不可な飛来物を撃破する”
これによる主力艦のダメージを抑えることが出来るようになったのだ。
「撃墜2!!内1は後部カタパルトに被弾!!戦闘に支障なし!!」
「長門被弾1!!されど損傷軽微!!」
「万全とまでは行きませんな」
「この世に絶対は無いからな、艦隊陣形はどうなっているか!?」
「陣形混乱無!!全艦時間どうりのコースを進んでいます!!」
「時間差航行、効果ありますな」
「ああ!」
艦隊陣形の乱れは艦隊の攻撃力を時に無力としてしまう、特に対航空機戦なら
なおさら乱れる確率は高くなる。それを防ぐために出すのが2つ目の策
“時間差航行策”これは防衛策が機能している下で真価を発揮する策略で
前を航行する艦@が進路を変更したなら時間差で変更した方向の逆に舵をきり
@がいた場所に入り攻撃力の低下を防ぐと言う目的だ。
「敵更なる増援!!距離15km方位右58°数67!!」
「2番主砲砲撃っ!!」
「撃墜約40、なおも接近!!」
「担当砲座迎撃!!」
機銃の追尾能力は航空機に対してあまりに無力、と言うよりはほぼ不可能に近い
追いかけて出来た砲の死角から攻撃され撃滅された例は多い。そこでライが考案した
策3つめが“固定担当砲撃制”それぞれの機銃の火力が最大限に生かされる
距離、範囲を計算し割り当て、そのエリアに侵入した的を撃墜させる、そうすれば
死角を大きく減らすことが出来、隙の無い砲火を生みだした。
「敵第一波状攻撃群ほぼ全滅!!」
「やりましたなライ大将!!」


346 :テリー:2009/02/01(日) 17:19:21 ID:vyDqJNEt
「我が軍のほぼ圧勝ですぞ!!」
「浮かれるな!!すぐに敵本隊が来る!勝って兜の緒を締めよ!!」
「「「「は!!」」」」



「レーダーに感!!正面、距離20km!!――――」
「KMFか!!?」
「はい!!数は約70、航空機約200!!」
「やはり読みどうりですな」
「ああ、砲術長!!」
「は!!対KMF特殊弾装填!!」
対KMF特殊弾、これもライが発明した策の一つ。KMFの装甲は意外と薄い
そこでKMFの付近に到達したこの特殊弾は爆発し周囲500mに高熱の炎を
炸裂させる、その温度約1500°。
「艦長!!装填完了!!発射用意良し!!」
「よし!!ライ君!!」
「全戦艦、撃ち方始めーーーー!!」
爆音と共に放たれた砲弾はKMF部隊内部で炸裂し跡形もなく焼き尽くした
「敵、なおも抜けてきます!!数25!!」
「近接用意!!撃てーーー!!」
戦闘開始からすでに3時間は経過しているも全艦は今だ健在だった。被弾箇所が
運悪く速力が落ちていたり火器が破損したりしてる艦はあるものの沈没艦は
無かった。さらに少しずつ着実に沖縄へとと近ずいていた事は船員に勇気を
与えていた。




11:52 沖縄本島


ライを信じて待つルルーシュ達は束の間の休息を取っていた、沖縄の被害は
予想以上に酷く家屋は全体の36%も損失し復興にはかなりの時間を要する
と見込まれていた。しかしそれ以上に深刻なのが住民の被害だ、死者は多くは
ないが強姦や暴行、拷問などの被害が全住民の56%に及ぶ緊急事態だった


347 :テリー:2009/02/01(日) 17:20:06 ID:vyDqJNEt
戦争で特に酷い被害は家屋では無くこの住民などの非戦闘員の被害なのだ
「歯痒い!!奴らにこの様な愚行を許すとは!!」
「殿下・・・・・・」
「この落し前は必ずつける!!ダールトン、すぐに中華連邦に対する
制裁を開始せよ!!」
「イエス・ユア・ハイネス!!」
「ギル、負傷者の手当てはどうなっている?」
「は、黒の騎士団の医療班が手当にあたっております。重傷者は島内の
病院に搬送中であります」
「そうか・・・・あとは」
「はい、ライの艦隊の到着を待つだけであります」



本島の最北端の岬ではルルーシュとスザクが坊の岬沖に見える黒煙を眺めていた
戦闘があまりに激しいため遠く離れたここからでも解るほど・・・・規模は小さく
でしか見れないがそれでもいまだライが戦い続けているのが解る
「戦闘が激しい・・・ここからでも解る位に」
「でもそれだけこっちに近ずいてるんだ!あと少しだよ」
「ああ・・・・」


那覇にある港に位置する高台では
「何眺めてるんだ?アーニャ」
「ジノ、あれ」
「こっからでも解るのか・・・・激戦なんだろうな」
「でもライは負けない、まだ生きてる」
「解るのか?」
「うん、確証は無いけど・・・・そんな気がする」



強襲隊ベースキャンプ
「・・・・・・・・・」
「疲れているのか?カレン」
「ノネットさん、いえそう言うわけでは」


348 :テリー:2009/02/01(日) 17:20:58 ID:vyDqJNEt
「・・・・お前も心配症だな」
「そう言うノネットさんこそ、表には出してませんけど雰囲気がバレバレですよ」
「・・・・・・・ライは私からすれば弟の様なものだ。信じてはいるが・・・・」
「そうですか・・・・私も彼は特別な存在ですから」
「お互い様・・・だな」
「ええ」



ルルーシュとスザクのいる岬
「ここからでも解るようだな」
「C.C、見物か?」
「まあそんなところだ・・・・」
「心配、なんだね」
「何故そう言う?」
「表情が切なさそうだから」
「ふ、天然でも解るのか?私も感情豊かになったものだ」
「・・・・だが事実だろう?」
「そうだな・・・・ここまで心配させた報酬は高くつくぞライ・・・・とっとと
来い・・・・・」





坊の岬沖  沖縄まであと130km


「敵残存戦力は!?」
「KMF約12、航空機約140!!」
「かなり減らせた」
「あと一息だ、気を抜くなよ!!」
「「「「は!!!」」」」
絶望と言われた戦いもあと一息で終幕となる。乗員の生きる希望を失わなかった
強い心、沖縄を救出する使命感、一人の力も欠けなかった事実、総てが重なり
生みだした一つの結果なのだ


349 :テリー:2009/02/01(日) 17:22:21 ID:vyDqJNEt


「右舷20°KMF接近、距離5km!!」
「近接ーーー!!」
担当エリアの機銃の弾丸はことごとく命中しあっという間に炎に包まれる


だが!!!



「敵機なおも接近!!」
「護衛策!!」
大和に随伴するイージス艦の機銃が更なる弾幕を張る
「駄目です!!落ちません!!接触まで40秒!!!」
「面舵いっぱーい!!」
緊急に舵をきるも衝突は避けられない!!
「振り切れない!!」
「総員緊急退避ーーーーー!!!」



坊の岬沖  12:28   



「旗艦大和、第一艦橋に直撃ーーーーー!!!」





350 :テリー:2009/02/01(日) 17:25:45 ID:vyDqJNEt
以上終了なりです!!!

救援に行かないバージョンも近じか書こうかと思っております。

ではまた!!

351 :創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 18:16:08 ID:yaAvo7Um
>>350
乙です。絶望的な状況の中で、ライたちはそれを打開できるのでしょうか。
もう一つのバージョンとともにお待ちしています。

18:20過ぎに投下します。本文は2レス分です。

352 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/02/01(日) 18:20:25 ID:yaAvo7Um
では投下します。

作者:余暇
タイトル:魔女とお昼寝タイム
カップリング:ライ×C.C.

本文は2レス分です。

353 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/02/01(日) 18:22:37 ID:yaAvo7Um
              『魔女とお昼寝タイム』


ある日の午後、授業を終えた僕はクラブハウスにある自室に戻るべく歩いていた。今日は午後から職員会議があるとかで、授業は午前中で終了した。
幸いなことに、生徒会活動も黒の騎士団の活動も今日は休みだ。最近少し寝不足気味だった僕は、午後はゆっくりと自室で昼寝をするつもりだった。
「こんなにのんびりできるのは久しぶりだからな、ゆっくり寝よう」
大きな欠伸をしつつ、僕は部屋の扉を開けた。だがそれと同時に、チーズの匂いが部屋の中から漂ってきて、聞き慣れた声が僕に向かって飛んできた。
「何だ、今日は早かったな」
「C.C.……」
C.C.がベッドに寝転がり、ピザを食べていた。
「せっかく文句を言われることなく、ピザを堪能できると思っていたのに」
「悪いな。今日は午後から職員会議があって、授業は午前中までだ」
「何だ、さぼったわけではないのか」
相変わらずピザを頬張りながら、C.C.が言った。
「騎士団の用事以外の理由で、僕が授業をさぼる人間に見えるか?」
「さぼり癖は一度身に着くと、克服が難しい。現に私がそうだからな」
彼女が言うと、変な説得力があるな。
「ふむ、今日のピザもなかなかの味だったな。余計な邪魔が入ったが」
ピザを食べ終えたC.C.が、空き箱をベッドの隅に押しやった。
「それは僕が片付けるのか」
「当然だろう。今までだって文句を言いつつ片付けていたではないか。それとも、このいたいけな少女に労働を課すつもりか。お前は鬼だな」
「いたいけな少女…ね」
「何だ、言いたいことがあるならはっきり言え。返答次第では……」
「わかった、悪かった。片付ければいいんだろう?」
C.C.の機嫌が悪くなる前に、僕は空き箱を片付けた。妙な制裁だけは受けたくないからな。
「それで、何故僕の部屋にいたんだ。別にルルーシュの部屋でも良かっただろう」
するとC.C.は、鼻をフンと鳴らした。
「私がどこにいようが、私の勝手ではないか。それとも、ルルーシュに追い出されるまではお前の部屋に来てはいけないのか?」
「別にそうは言わないが、僕の部屋にいてもこの部屋は殺風景だし、僕だって気の利いた話ができるわけでもない。君にとって面白いことなんかないと思うが」
C.C.が僕の部屋をぐるりと見回し、そして最後に僕を見てため息をついた。
「確かに呆れるほど何もないな。暇つぶしになる『もの』がお前しかない」
「……僕を物扱いするな」
「ほんの言葉遊びだ、今のは人間に対して使う『者』であって、無生物に対して使う『物』ではないぞ。いくら私でも、その辺はわきまえているつもりだ」
「『つもり』ではなく、断言して欲しい所なんだが」
僕はため息をついた。昼寝をしに戻ってきたのに、何故彼女と言葉遊びをする羽目になっているんだ。しかも思いっきりからかわれているし。
「冗談の通じない奴だな、おまけにユーモアのセンスもない。普段はもう少し頭が回るのだから、気の利いた返答をしてもいいではないか」
「センスがなくて悪かったな。それと、あいにく今は眠いんだ。あまり気の利いた言葉は思いつかない」
彼女には悪いが、僕は本当に眠かった。午前中の授業を乗り切ったのだって、奇跡に近かった。
「ふああ……」
僕は大きな欠伸をしつつ、制服の上着を脱いでソファに座った。
「何だ、本当に眠そうだな」
「騎士団の活動とかで忙しかったからな、寝不足なんだ。だから午後はゆっくり寝るつもりだ」
そう言いながら、僕はソファの上に横になる。ベッドの上にはC.C.がいる、まさかそんな所に倒れ込むわけにもいかない。
「そこで寝る気か?」
「まさか、君がいるベッドの上で寝るわけにいかないからな。しばらくこの部屋にいるのなら、ベッドを使ってもいい。ただし、静かにしてくれ」
すると、C.C.がソファの近くまで歩いてきて、僕を上から見下ろした。
「寝るならちゃんとした場所で寝ろ、そこでは体に障る。私だって鬼ではない、お前の寝る場所ぐらい明け渡してやるさ」
「いいのか?」
「ああ、構わん。お前は黒の騎士団にとって、そしてゼロにとって欠かせない存在だ。だから今のうちに、しっかり体調を整えておけ」
そう言うと、C.C.は優しく微笑んだ。その言葉と笑顔は、今の僕にとってはありがたかった。
「そうか、ありがとう。じゃあ、すまないがお言葉に甘えさせてもらう」
僕はC.C.に感謝の意を告げてソファから起き上がり、ベッドの方まで歩いていって、その上に倒れ込んだ。
まだベッドの上に彼女のぬくもりが残っていて、少し照れくさいと同時に心地良かった。

354 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/02/01(日) 18:25:27 ID:yaAvo7Um
静かな時間が過ぎていく。C.C.もソファに座り、大人しくしていた。
「ふああ……」
その時、彼女が小さく欠伸をした。窓の外から差し込む春の日差しと部屋の静けさに、眠気を誘われたのだろうか。
「眠いのか、C.C.?」
「暇だからな。それとこの陽気だ、眠くもなる」
僕の問いかけに、彼女はこちらを見ることなく答えた。
「毛布を貸そうか?それとも、ベッドの方がいいか?僕はソファで寝ても構わないんだが」
「いや、それでは私がベッドを明け渡した意味があるまい。だが、横になって眠りたい気分でもあるな」
そう言うと、C.C.はソファから立ち上がり、ベッドのそばまで来た。
「ライ、少し端に寄れ」
「ん?どうするつもりだ?」
「いいからスペースを空けろ」
「?」
言われるままに、僕はベッドの端の方へと少し移動した。すると空いたスペースにC.C.が入ってきて、ベッドの上に寝転がった。
「うむ、これでいい」
「まさか、僕と一緒に寝る気か?さすがにまずいだろう」
すると、C.C.はニヤリと笑った。
「フッ、恥ずかしいのか?とんだ純情坊やだな」
「いや、それも少しあるが……。それより、君の方こそ恥ずかしくないのか?」
「私の方から来たというのに、そんなことを私に聞くのか?」
「……本当に大胆だな、君は」
聞く意味がないことを悟り、僕は苦笑いした。まあ、おかしなことをするわけでもないし、大丈夫だろう。
「今ここにある空間は、実に穏やかだと思わないか?」
ベッドの上に寝そべり、天井を見上げながらC.C.が言った。
「外は穏やかな晴天、日差しが部屋の中を柔らかく照らし、時間すらも緩やかに流れているように感じる。
こういう穏やかな空間に身を置くと、日頃の喧騒や悩み事がちっぽけに見えてくる。お前もそう思わないか?」
僕は天井を見上げながら思った。確かに、この穏やかな空気に包まれて、僕の心はすごく落ち着いていた。
失われた自分の記憶を探し求めたり、黒の騎士団の一員としてブリタニアと戦う日々が、一時的に自分の手から離れた場所で起きていることにすら感じられる。
「確かに、すごく落ち着くな。あれだけせわしなく動いている日常が、まるで違う世界で起きているみたいに。
だが、こういう時間も重要だと思うぞ。こうして日常から一時的に距離を置くことで、また日常に戻った時に何かが変わるかもしれないから」
「フッ、前向きだな。私も…何かを変えられればいいが……」
「ああ、きっと変えられる。だって君は…」
話しながら僕がC.C.の方を見ると、彼女は既に目を閉じ、静かに寝息を立てていた。
「何だ、寝てしまったのか。言いそびれてしまったな」
苦笑いしつつ、僕は彼女の寝顔を眺めた。その表情は穏やかで、不老不死の魔女とは思えないほど可憐だった。
きっと数え切れないほどの苦難に出会い、辛い思いも味わってきたのだろう。それを今の僕はまだ知ることができていない。
だが彼女は僕に色々な世界を見せてくれ、そのおかげで僕は少しずつだが変わることができたということは、紛れもない事実だ。
「君は僕を変えてくれた。僕がここまで来られたのも、周りにいてくれるみんなや、君のおかげだ。
君なら何かを変えられる、僕を変えてくれた君なら、それができるはずだ。それに、君は一人じゃない。僕も君の力になる。
世界だって、本当はこんなに平和で優しくて、そして穏やかなんだ。きっと変えられる、僕たちがこの穏やかな世界と心を忘れない限りは」
そして僕は静かに目を閉じ、穏やかな空間に包まれながら眠りについた。眠りから覚めた時、また新しい一歩を踏み出せるよう願いながら。

355 :余暇 ◆kkvclxzIds :2009/02/01(日) 18:26:49 ID:yaAvo7Um
以上で投下終了です。何だかほのぼの日常系を書いたのって、久しぶりな気がします。

356 :創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 19:06:24 ID:8Wplxt7W
甘ーい!
甘ーい!
甘ーい!
GJ!

357 :創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 20:16:24 ID:1Fb5yra0
>>350
テリー卿、乙でした。
ライの無事を信じて待つ仲間達。
しかし、それでも心配なかんじ。
最後に起こった事態、人々の安否はいかに!?
この続きも分岐先も気になりますね。

>>355
余暇卿、GJでした!
これはいいほのぼのだ。
C.C.の反応、イエスだね!
日常っぽいまったり感がとてもいい。
貴公らの次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

358 :テリー:2009/02/01(日) 22:03:35 ID:vyDqJNEt
トーマス卿!!そして皆様申し訳ありません!!349が修正する前の
状態です!!349を消去し359をお願いします
ご迷惑大変申し訳ございません!!

359 :テリー:2009/02/01(日) 22:04:33 ID:vyDqJNEt


「右舷20°KMF接近、距離5km!!」
「近接ーーー!!」
担当エリアの機銃の弾丸はことごとく命中しあっという間に炎に包まれる


だが!!!



「敵機なおも接近!!」
「護衛策!!」
大和に随伴するイージス艦の機銃が更なる弾幕を張る
「駄目です!!落ちません!!接触まで40秒!!!」
「面舵いっぱーい!!」
緊急に舵をきるも衝突は避けられない!!
「振り切れない!!」
「大将!!退避を!!!このままでは!!!」
「総員緊急退避ーーーーー!!!」
「ライ大将!!!早くっ!!!」
しかし、ライが第一艦橋を離れようとしたまさにその時だった・・・・・



坊の岬沖  12:28   



「旗艦大和、第一艦橋に直撃ーーーーー!!!」





360 :創る名無しに見る名無し:2009/02/01(日) 23:45:04 ID:JRtfXZAC
皆様乙です。
46分頃から投下をさせていただきます。

361 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/01(日) 23:48:12 ID:JRtfXZAC
【メインタイトル】 ラウンズデイズ 中編
【ジャンル】 ギャグ

親衛隊ENDルート後です。前回説明書きなしでした。ごめんなさい。

362 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/01(日) 23:48:43 ID:JRtfXZAC
ラウンズになってからまだ仕事はなかったのだが、何もしないのも落ち着かなかった。
そこで日本へ行くまでの準備の間に何かお手伝いをしようと書類仕事を買って出た。
書類の束を抱えて歩いていると向こうからルキアーノさんがやって来た。
「質問、今のお前の大事なものはなんだー?それは書類仕事だ」
「はぁ、まぁ確かにそうですが」
「お前の大事なものを奪ってやる」
「え、いやそんな申し訳ないですよ、ルキアーノさん」
僕はお手伝いしてるだけなのにそんな。
「忘れたのかなぁ?私が書類仕事の天才だって事を」
そう言ってルキアーノさんは颯爽と僕から書類の束を奪って行った。


    ラウンズデイズ 中編


「という事で暇になったんだ」
「誰だそいつ」
「え?だからルキアーノさんだよ。ちゃんと話を聞いててよジノ」
頭でも打ったか?いや変なトマトジュースでも拾い飲みしたのか?とぶつぶつ言っているジノ。
「……不気味」
「こら、アーニャ。失礼だよ」
まったくもう。ルキアーノさんはいい人なのに何故か周りの印象は悪い。不思議だなー。
「まぁ、そういう訳でなにか手伝う事は―――」
「あら?ライ君、ちょうどいい所に」
後ろからモニカさんに声をかけられた。少し身構えてしまう。
「……………………こんにちわ、モニカさん」
「なにかしら、その間は」
「いえ、なんでも」
なんでモニカさんは僕の服のサイズを知ってたんだろう。聞いてみようか、いや取り返しがつかなくなりそうで怖い。
やめておこう。うん、知らない方が幸せなこともあるさ。
「そうだ、なにかお手伝いすることがありますか?」
「うん、お願いできるかしら」
「はい」
「じゃぁ、明日の10時にここに書いてある場所で待ち合わせね」
「はい?」
モニカさんに紙を渡される。待ち合わせ場所って、ここ確かショッピングモールですよね?
「それじゃあ明日ねー。お寝坊さんはお仕置きよ」
手を振って去って行くモニカさん。歩いているはずなのに速い。すごく速い。まわりの人間をごぼう抜きである。
「なんだったんだろう…………痛ッ―――なにするんだ、アーニャ」
突然アーニャに太腿を抓られた。大人でも泣き出すんだよ、太腿抓りって。ラウンズの握力は勘弁してよ。
少し涙目でアーニャの方を見ると携帯電話を構えていた。
「……涙目記録」
「こら、アーニャ」
レア画像ゲットと呟くアーニャに叱るように声をかけるのだが、
「…………プイ」
アーニャは顔を背けてしまう。
「悪いことをしたら、ちゃんと謝りなさい」
あと擬音語を口に出すのはやめなさい。
「……ライが悪い」
…………なんで?今僕は何かしただろうか。それとも今までに何か不満があってそれが爆発したのだろうか。
アーニャは口数は少ないけどいい子だ。意味もなく人を傷つけたりはしない。やはり僕の行動がなにか気に障ったのかもしれない。
うん、ここは大人である僕がきちんと誠意を見せるべきなのだろう。
「アーニャ」
「……」
「アーニャ」
「…………」
「ごめんね、僕が君を傷つけてしまったのなら謝るよ。本当にごめん」
「……何が悪いか気づいてる?」
うっ、それを言われると……正直わからない。しかし、何が悪いか気付かなければ同じことを繰り返してしまうのも確かだ。
アーニャはちゃんとそれをわかっているんだろう。賢い子だ。

363 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/01(日) 23:50:06 ID:JRtfXZAC
「ごめん、それはわかってないんだ」
「……やっぱり」
「でも頑張って考えてみるよ、だから――」
「いい、ライはきっと言われなきゃわからない」
失礼な言い分だが、その通りかもしれない思う自分がいる。女心とはこうも難しいものなのだろうか。
コーネリア様には容姿を褒めただけで脆弱者と顔を真っ赤にして怒られる始末。いや今日話した女官の人などは大半が顔を赤くして眼を伏せられた。
やはり僕は女性の扱いがなってないのだろうか?うーん、と唸りながら悩んでいるとアーニャに袖を引っ張られる。
「……もういい、許してあげる」
「いいのかい?」
「うん……あと……………………ごめんなさい」
きちんと謝ったアーニャの頭をなでてあげる。むふーと息を吐きくすぐったそうに体をよじりながらも身をまかせてくれる。
アーニャの目が眠そうにトロンとしてきたところで、
「そうか、これが日本で言うきれいなルキアーノというやつか!!」
とジノが大声を上げた。まだ考えてたのか。というかきれいは違うだろう、また間違って日本語を覚えてるのか。
眠気を覚まされたアーニャがジノの肋骨の隙間に抜き手を放っていた。うん、見事な一撃だ。さすが最年少ラウンズ。
あ、ジノが痙攣してる。まぁいいか。


「お、ここにいたのか。探したぞ」
倒れたジノを眺めていると後ろから声をかけられた。
「ノネットさん、どうしたんですか?」
「実はお前に……なにしてるんだジノは?」
痙攣しているジノの方を不思議な顔で眺めるノネットさん。こらアーニャ、突いちゃいけません。
「まぁいいか、じゃあ行くぞ」
「は?どこへ行くんですか?」
またいきなりですか?毎回思うんですが、せめて事前に連絡をしてくれませんか?一言でいいんです。
まぁ思い立ったら即行動ですから無理だとは思いますが。
「お前の撮影会だ」
「何ですか、それ!?」
腕を取られずるずると引き摺られて行く。こういう時のノネットさんの力はとても抵抗できないぐらい強い。
僕もまだまだ精進が足りないなーとこんな時なのに考えてしまった。
「それで何故撮影会なんですか?」
「実はな――」
ラウンズに入った日、ノネットさんと記念撮影をしたのだが、その後何故か芋蔓式にラウンズの面々と記念写真を撮ることになった。
気が付けば楽しそうだねと言いながらオデュッセウス殿下まで参加なされていた。
カリーヌ殿下やギネヴィア殿下まで参加なされて、観光名所の張りぼてのような気分だった。
どうやらその件も僕の撮影会に関係しているらしく、最初に言いだしたのが僕だけに断り辛いのは確かだ。
ノネットさん曰く、コーネリア様を驚かすために僕の情報を少しの間秘匿にしておいた代わりにこの撮影会を開くらしい。……僕の意見は?
この件の責任者はシュナイゼル殿下だそうだ。帝国宰相が何をやっておられるのですか?
というか一番組み合わせてはいけない組み合わせではないだろうか、ノネットさんの行動力とシュナイゼル殿下の権力。
「……だめ」
アーニャがノネットさんと逆の腕を掴み僕を引き留めようとする。ありがとうアーニャ。
でも悲しいけどシュナイゼル殿下が後ろにいる以上、行かなければいけないんだ。なんとなく後が怖いから。
「ふふん」
ノネットさんがなにやらすごくいい笑顔だ。嫌な予感がする。あれは獲物を狙う鷹の目だ。
アーニャが獲物のはずなのに、何故か僕の背筋が寒くなる。いや、なんとなく予想はつくのだが。
「なぁ、アーニャ」
「……だめ」
「あのな」
「……だめ」
アーニャは頑なに拒否する。流石はラウンズ、意志の強さも帝国屈指の―――
「お前も好きに撮影していいんだぞ」
「………………だ、だめ」
揺らいだ。
「ポーズや表情の要求も自由だ」
「…………本当?」
完全に取り込まれた。というかポーズってなんですか!嫌ですよ僕。
「私が許す、お前も好きなだけ撮ればいいさ」
当人以外が許すものですかそれ?言っても無駄なのはわかってますけど。

364 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/01(日) 23:51:34 ID:JRtfXZAC
アーニャはノネットさんと固い握手を結ぶと僕の腕を取り引き摺って行く。なんだろう、今までに見たこともない程のやる気顔だ。
仕事に生かそうよ。ヴァルトシュタイン卿が聞いたら泣くよ?

ぐったりしながら運ばれていくとシュナイゼル殿下がおられたので即座に敬礼する。
「やぁ、すまないね。実は女官や女性兵が君の写真を撮りたがっているという話が広まっていてね」
「はぁ」
「ラウンズや皇族が一緒に写真を撮っているのを見かけて、自分達もせめて一緒ではなくとも、という事らしくてね」
何も僕の写真なんか撮らなくても……新しいがラウンズそんなに珍しいのだろうか?
ジノやアーニャの時もこんな風になっていたのかな?
「エニアグラム卿に話してみたら快く承諾してくれてね」
ノネットさんに話を持っていくあたりは流石というべきか。ええ、確実な手です。
「うむ、どこに出しても恥ずかしくない自慢の弟だからな!!」
あああ、恥ずかしいのは僕ですよ、ノネットさん。僕の顔は火が出そうになるくらい熱くなった。
その後は一日は撮影会だった。鬼のように注文が殺到し、生き地獄の様相を呈していた。主に僕だけが。
笑顔ぐらいなら頑張ります。でも蔑んで見下せとかやめて下さい。艶っぽい表情とか無理ですから。
あとアーニャ、何そのダンボール。メモリーですか、そうですか。何枚撮る気だい?
注文は更に続く。何故態々隠し撮り風になんてしなければいけなかったのだろう。その方がレアっぽいと言っていたが、世界は広いなぁ。


――――次の日――――
「陛下、ライ・エニアグラム、ただ今馳せ参じました」
「うぅぅむぅ、どぅぅえぇわぁぁぁ――――ぬぅああにやぁっつううぅぅぅ!?」(訳:うむ、では―――何奴!?)
「はっ、曲者!?」
「オォォォォォォルゥゥハァァァァァアイィィルゥ、ブリィタァァァァァァァニィィアァァァァァァァァァ!!!」
陛下が叫ばれると陛下の横巻きロールからハドロン砲が一斉に放たれる。
赤黒い光が敵を包み、無慈悲にもその命を飲み込んでいく。
「八門ハドロン砲……シュタルクハドロンの倍じゃないか…………!!」


「という夢を見たんだ」
「君はラウンズが誰に忠誠を誓ってるのか知ってるかい?」
「陛下に決まってるじゃないか、ジノ。何を言ってるんだい?」
「ああ、もういいよ、うん」
むぅ、自分から聞いておいてもういいとは失礼じゃないか。
「……負けない」
アーニャはアーニャで何故か対抗意識を燃やしている。モルドレッドの改造案を出しそうな勢いだ。
「で、なんで二人も来てるの?」
待ち合わせ場所に行くと何故かジノとアーニャも来ていた。
まぁ昨日待ち合わせ場所を書いた紙を奪われた時点でわかっていたんだが。
「庶民が買い物する場所を見ておきたくてね」
「…………………………私も」
ジノはわかるけど、アーニャが興味を示すとはめずらしい。しかしこれはこれでいい傾向ではある。
仕方がない、モニカさんにはあとで説明しよう。
「もう、大人しくしてるんだよ、二人とも。」
「はーい」
「……うん」
返事はいいんだ。うん。でも今まで返事が良かった時はロクな事がなかったんだ。

待ち合わせ時間の10分前になるとモニカさんがやって来た。
「おはよう、ライ君。お待たせしちゃったかしら?」
「おはようございます、モニカさん。僕もさっき来たところですよ」
挨拶をしただけなのにアーニャが不機嫌な顔で僕を見てくる。何故!?
アーニャの方を向くと目を逸らされた。またか……。
「まぁ、ジノとアーニャまで」
「僕より早く来てました」
「やぁモニカ、買い物に行くなら私も混ぜてくれよ」
「……私も」
「あらいいわよ。ジノは積載量も多そうだしありがたいわ」
「人に使う単語じゃないよな、それ?」
積載量……やはり今日の用事は荷物持ちだろうか。

365 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/01(日) 23:53:28 ID:JRtfXZAC

「今日は何を買われるんですか?」
僕が尋ねるとモニカさんが楽しそうに笑う。
「今日はライ君のお洋服を買おうと思ってるの」
「え?」
僕の服?何か式典でもあるのかな?いや、公式の場ならラウンズの制服を着る筈だ。
つまり礼服以外になる。なら何の服を買うのだろう?
僕が悩んでいるとモニカさんが軽く呆れたような顔をする。
「もう、なんで服を買うのかわからないって顔ね」
「う、はい、その通りです。すいません」
「少しはオシャレに気を使わないと。女の子にモテな―――、いやないわね、それは」
語尾が小さくて聞き取れなかったがどうやら少しは着飾れということなのだろう。
思えばノネットさんの家にいる時は最低限の服しか持っていなかったからなぁ。
まぁ今でも私服は最低限の物しか持っていないのだが。特に困ることもなかったので買い足す事もしなかったのだ。
「それに今日の事はヴァルトシュタイン卿からの御達しでもあるのよ?」
「ええ!?」
何故ヴァルトシュタイン卿が僕のファッションに意見を?まさかそんなに酷いのだろうか、ラウンズの品位を損なうぐらい。
それともヴァルトシュタイン卿は意外にもファッションに煩いのだろうか?まさかラウンズのファッションリーダーなのでは!?
恐るべし、ナイトオブワン!!
「いや、それはないって」
「心を読んだのかい、ジノ!?」
「……ダダ漏れだった」
「はいはい、そこまで。ちゃんと説明するから」

モニカさんがパンパンと手を叩き、今日の買い物についての経緯を説明を始める。
どうも自分の仕事もないのに連日他のラウンズや事務の仕事を手伝う僕の事がヴァルトシュタイン卿の耳に入ったらしい。
いずれ時期が来れば否が応でも忙しくなるのだから今のうちにゆっくり休ませろとの事だそうな。
そこでノネットさんにちょうどいいから僕の服でも身繕ってやってくれと頼まれたモニカさんが僕を誘ってくれたらしい。
ちなみにノネットさんは仕事中だ。相当来たがっていたらしいが正直買物だけは別がいいと前回の買い物で悟った。
「自分の事には無頓着な奴だからって言ってたわよ」
「う」
ミレイさんにもよく言われてたな、それ。
「あとヴァルトシュタイン卿が、楽しみなのはわかるが少しは落ち着きを持て、だって」
「うぐっ」
確かに仕事を手伝っていたのはそれもあったのだ。じっとしていると日本に行く事を考えてうずうずしてしまうからだ。
子供のようなので恥ずかしかったから誤魔化しているつもりだったのだが、やはりわかってしまうのか。
「向こうに行ったらお友達にも会うんでしょう?だったら少しはオシャレしないと、ね?」
「わかりました、では今日はお願いします」
「ええ!!張り切っていくわよー」
……張り切りすぎじゃないですか?

モニカさんは意気揚々と歩きだす。なんだかいつもの凛々しさとは違った面を見れた気がする。
今日は服装も白を基調としたワンピースに淡い黄色のボレロといった格好だ。
いつもはキリッとしたラウンズの制服姿を見慣れているせいか、いつもよりも雰囲気が柔らかい感じがする。
「モニカさん」
「なにかしら?」
「よくお似合いですよ、その服」
「あら……ふふ、ライ君もお世辞を言えるようになったのね」
「いえ、お世辞じゃ――痛ッ――」
またかいアーニャ。アーニャの方を見下ろすとアーニャがこちらをじっと睨んでいた。
「……ん……ん!」
アーニャは服の肩口やスカートの裾をくいくいっと引っ張っていた。
何をしているんだろう?服が伸びるよ?
僕が首を傾げるとアーニャはむぅと頬を膨らませその場でクルッとターンをした。
そこでようやくアーニャの行動の意図に気付く。これは……。
「もしかしてアーニャのことは褒めてないの?」
すいません、夢の話なんかしてました。

366 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/01(日) 23:55:17 ID:JRtfXZAC
「……はい……その……来ていることが意外でつい……」
「それはアーニャが怒っても仕方ないわね。ダメじゃないライ君」
柔らかく笑いながら、まだまだねぇと言うモニカさんに窘められる。
今日のアーニャはフリルのついた、かわいらしいピンクのワンピースを着ており、頭にはレースの刺繍の入った大きなリボンのつけている。
ラウンズの服もそうだが、ノネットさんの家に来る時は運動することが多いのでスカート姿を見たのは実は初めてなのだ。
初めて見せるスカート姿を無視されて、他の女性を褒められたら、それは怒りもするだろう。
これは確かに全面的に僕が悪い。

怒って完全に顔を背けてしまったいるアーニャに頭を下げる。
「ごめん、アーニャ」
「……」
「その服とても似合ってるよ」
「……もう遅い」
こちらを全く向いてくれない。しまったな、これは相当怒ってるな。
「ラウンズの服と違ってスカートだからちょっとびっくりしたよ」
「……変?」
「ううん、とってもかわいいよ」
アーニャはこちらに向き直り、僕の顔をじっと見上げた。
「……………………もう一回」
「とってもかわいいよ」
「……………………ワンモア」
「……よく似合ってる、かわいいよ」
「……………………大きな声で」
「勘弁して下さい」
公衆の面前なんです、勘弁して下さい。僕の困った顔を見ていたアーニャがようやく小さな笑みを浮かべる。
「……許してあげる」
「ありがとう、アーニャ」
どうやら機嫌が直ったようだ。
今回は女性に対してあるまじき行動だった。反省しないと。女性の服装には気を遣うようにしなくては。
「ライー、私はどうだい?」
ジノが頭に乗せたサングラスを手を当てポーズをとる。
「うん、さすがジノ。どこから見ても放蕩貴族だよ」
「やったー」
「褒められてないわよ、ジノ」
モニカさんのツッコミがきまったところで僕らはモニカさんお勧めの洋服店へと歩きだした。


服を選んでくれるというモニカさんの提案はとてもありがたいことだ。だが正直に言おう。有難迷惑です。
何故選んだ服を強制的に試着させられるのでしょうか?もうすでに20着を超えてるんですが。
「あー!これもいいわね!ライ君ライ君、どうかしらこれ?」
「さっきも着ませんでしたか?似たようなやつ」
「もう!色も違うし、袖や襟の部分も違うわよ」
わからない。色が違うのはわかるが襟や袖が多少違っていても同じなのでは?
「……これも」
あと、さっきからアーニャがさりげなく自分が選んだ服を足していっている。着た後写真を撮られるのはお約束だ。
「それもいいわねー。やっぱりフォーマルな感じの服はどれも似合うわね。ここはちょっと冒険してみようかしら」
冒険するのはモニカさんでも危険を背負い込むのは僕なんですが。
今日って僕の為の買い物ですよね?思いっきり楽しんでません?
「ライー、これなんかどうだー?似合うかもよ?」
ジノが笑いながらキャミソールを持ってきた。OK、ジノ。それ以上言うなら名誉を懸けて決闘を申し込むよ?
「……良いかもしれないわね」
「……うん」
「良いわけあるかぁ!!」

結局2時間ほど試着を繰り返した。何故か店の人まで乗り気で、どんどん服を持ってこられた。
買う事になったのは試着した分の1割ほどだったが、それでも随分量がある。
店の人もやりきったという顔をしていたぐらいだ。何故か去り際にモニカさんと握手をしていた。知り合いなのだろうか?


367 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/01(日) 23:57:02 ID:JRtfXZAC
買い物袋を提げて歩いていたら、ふと小物屋の前で目が止まった。ウィンドウに置いてある写真立てが気になったのだ。
豪華な装飾があるわけではないし、材質も貴金属を使った物ではなく木で出来ているようだった。
ただその写真立てはなんとなく温かい感じがしたのだ。
写真立ての中には幸せそうな親子の写真が入っており、僕には写真立ての温かさがその親子の幸せさを引き立たせているように見えた。
「すいません、ちょっと」
僕はそういって皆にことわってから店に入り、写真立てを買う事にした。
どうやらこの写真立ては今では珍しい職人さんによる手作りの品だそうだ。それでなんとなく温かいと感じたのだろうか。
「こういう店に入るなんてめずらしいな。何を買ったんだい?」
店から出てきた僕にジノが不思議そうな顔で聞いてきた。確かに普段は必要最低限の物しか買わないのでめずらしく見えるかもしれない。
「ちょっとね。ノネットさんに普段お世話になってるからプレゼントでもと思って」
「へー、女性に贈り物とは更にめずらしい。まぁ相手はノネットっていうのがライらしいが」
まぁ確かにそうなのだが。でもお世話になっている人には感謝の気持ちを伝えたいじゃないか。
「ジノもヴァルトシュタイン卿に何か贈ったら?いつも迷惑をかけているんだし」
「えー、贈り物はともかく迷惑をかけているのは私だけじゃないぞ」
「じゃあ、アーニャとノネットさんも一緒に何か贈りなよ」
「……私も?」
え、何意外な顔をしてるんだい?まるで自分がいつ迷惑をかけたみたいな顔だよ?
「んー、わかったよ。そのかわりライもプレゼント選びを手伝ってくれよ?」
「まぁ、僕でよければ」
僕もお世話になってるしね。ただプレゼント選びで力になれるかどうかは分からないけど。
「いいなぁ二人とも。プレゼント貰えてー」
モニカさんが急に拗ねたような言い方をする。そういえば今日はモニカさんにお世話?になったし何か贈ったほうがいいのだろうか?
「あの……モニカさんも何か欲しいものがあれば―――」
殺気ッ!?確かめる必要もない。目の前のアーニャが発しているのだから。
「じゃあ、プレゼントの代わりに私の買い物にも付き合って貰おうかしら」
そんな空気もものともせずにモニカさんが言い放った。

「ライ君、この服どうかしら」
「すいません、荷物で前が見えません」
荷物の箱が顔より高く積み上げられているので視界の確保すら困難なんですが。
「私なんか曲芸の領域だぞ」
どうにか顔を横に向けると、箱がタワーのように積み上げられており、しかも片手に一山ずつ持っている。
そして当然のようにその両腕には買い物袋が所狭しと架けられている。
「すごいなジノ、ラウンズの面目躍如だね」
「こんなことで面目を保ちたくは無い!!」
「もう、二人ともだらしないわねぇ」
いや物理的に無理ですよ。ちなみに僕の服は四分の一もなく、他はモニカさんとアーニャの物だったりする。
しかもアーニャの服や装飾品はモニカさんが勝手に身繕って買っているものだ。
今日って僕の買い物じゃありませんでしたっけ?いつからアーニャの着せ替えツアーに?いや、僕の着せ替えツアーはもっと嫌ですが。
結局、体積よりも多くの荷物を持たされそうになったので配達してもらう事にした。初めからそうして頂きたい。

「ふいー、つかれたぁ」
ジノと二人でベンチに腰掛ける。休憩という事で公園に入ったのだが女性二人は元気な事にクレープを買いに行くそうだ。
「庶民の買い物もこんなにハードなものなのかい?」
「いや、あれは特別だよ」
「だよなー、よかった。まぁノネットなら冷蔵庫を担いで帰るとか言い出しそうだけどな」
はっはっはと笑うジノ。実は笑い事じゃないんだよ、それ。
「甘いよ、ジノ。ベッド、ソファー、クローゼット、テレビも同時に持った帰ると言いだしたんだから」
「どうやって!?」
「KMFを持ち出そうとしたんだ」
あれは本当に止めるのが大変だった。こちらで住む際に部屋に備え付けの物では不便だろう、と買い物に来た事があったのだ。
即断、即決、即実行が信条のノネットさんは配達など待てないと言いだしたのだ。その時は食事に行きたいと言ってなんとか誤魔化して事なきを得た。
「……よかったな、今日はあの二人で」
「……そうだね」


368 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/01(日) 23:59:33 ID:JRtfXZAC
二人で黄昏ているとモニカさん達が帰って来た。僕らとは対照的に明るい雰囲気だ。
「あら、何かあったの?」
「……いえ、幸せを噛み締めていました」
「とてもそうは見えなかったけど」
僕が乾いた笑いをするとアーニャが少し心配そうにこちらを見る。
「……疲れた?」
「大丈夫だよこれぐらい」
僕は平気だとアピールするように元気に立ち上がる。するとアーニャが持っていたクレープを僕の前に差し出してきた。
「……疲れてる時は甘いものがいい」
「いいのかい?」
コクンと小さく首を縦に振るアーニャ。では、とクレープを一口食べる。
「うん、おいしい」
クレープは甘さが抑えられていて思った以上においしくて、ついつい笑顔になってしまう。
感想を言うとアーニャは急に俯いてしまい、黙ってしまう。
あれ、やっぱり食べさせたくなかったのかな?と考えているとジノが立ち上がり。
「そんなにうまいのか?じゃあ私も―――」
―――ズドンッ―――
ジノが立ち上がるや否やのタイミングでモニカさんの掌底がジノの肺のあたりに決まる。
肺の中の空気を全て吐き出して倒れこむジノ。すばらしい一撃だ。でもなんで掌底を放ったんだろう?
「あらあらだめよジノきぞくがじぶんからそんなことをいっちゃあ」
貴族の矜持ということか。僕もエニアグラムの名に恥じぬように常に心がけなくては。うん。
すごく棒読みだったのは気にしない。
「……記録」
アーニャがだらりとしているジノを携帯電話のカメラにおさめる。どうかブログには上げませんように。
「どうせならライ君を撮った方がいいんじゃないの?」
「……昨日たくさん撮った」
昨日の撮影会のデータをモニカさんに見せるアーニャ。
どこか自慢のコレクションを披露するコレクターのような、誇らしげ且つうっとりした表情で携帯電話を操作している。
あら、まぁ、こんなポーズまでとか色々聞こえてくる。心底やめていただきたい。
「もう、ずるいわ。私も撮りたい」
「……変なポーズは嫌ですよ?」
「ふふ、わかってるわよ。……えいっ」
モニカさんがいきなり僕の腕に抱きついてきた。な、なにごとかー!?
「モ、モニカさん!?」
「ほらほらライ君、笑ってー。はい、アーニャ撮ってー」
「…………いや」
アーニャがプイッとそっぽを向いてしまう。
モニカさんがえー、と不満そうにしているのだが僕としても正直この状態は勘弁していただきたい。
「アーニャー」
「……いや」
「アーニャ」
「……いや」
「逆側の腕が空いてるんだけど?」
「…………い、いや」
揺らいだ。あれ?デジャブ?
「ジノを起こして三人で撮ってもらうのはどう?」
「…………」
アーニャが無言でジノの背中に膝を当てグッと押したように見えるとジノが意識を取り戻す。
気付けもお手の物とは……さすがだ。
周りを見て状況を確認しようとしているジノに携帯電話を手渡し、撮ってとだけ言って僕の腕にしがみつくアーニャ。
しばしこちらを見て、あぁなるほど、と声を上げるジノ。ジノわかるよね、君がするべきこと。
さぁ、ふたりをとめ―――
「よーし、二人ともー、もっと寄って寄ってー」
裏切ったなッ、ジノッ!!ああ、ちょっと二人とも近い、近いってーーーー。

携帯電話の電子音が審判者の訪れを告げるラッパの音に聞こえた。
せめてブログには上げないでとアーニャに言っておいたのだが、聞いてくれるだろうか。



369 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/02(月) 00:01:08 ID:JRtfXZAC
――――政庁内――――
「そうか、エニアグラム家の養子になっていたのか」
コーネリアは書類に目を通しながら、まったく紛らわしいと呟いている。
「合点がいかれましたか、姫様」
「ふん、まぁな。しかし養子とはな」
「いえ、私もあいつが親衛隊に入っていなければ養子に迎えたかったぐらいです」
「グラストンナイツか?ふん、人好きのする奴だ、まったく」
あきれたような物言いではあるが、どこか雰囲気が柔らかくなっていた。

正直ここ数日は政庁内での仕事に影響が出るほどにコーネリアの威圧感は凄まじかった。
ダールトンはこれでようやく苛立ちも収まるだろうと胸を撫で下ろす。
始めはあのライがナイトオブラウンズに入ったという知らせを受けた時にああ、これが原因かと思ったのだ。
自分の知らぬところで自分の騎士がラウンズに入ったという事に不満を持ったのではないかと。
しかも、ラウンズに入ってから数日間情報が秘匿にされていたのだった。民間どころか軍内、それも皇族である姫様にまで。
しかし話を振ってみると、どうやらそのことではないようだった。
では何が原因なのか?
時期を見るにどうも本国から手紙が来てから機嫌が急変したようだ。そこで姫様に頼み、手紙を拝見させてもらう事にしたのだ。
手紙自体は短いものでほんの一行程度のものだった。
はぁ、筆不精め。もう少し気の利いたことを書かんかと手で頭を軽く叩く。
差出人を見るとライの性がエニアグラムになっていた。これが原因か。

普段であれば姫様が皇女にまでラウンズの情報が回ってこないことを不審に思わないはずがない。
どうやらまだ混乱されているようだ。いや頭に血が上っていると言った方が正しいだろうか。
これは、おそらく思い違いをしているのだろうと思い、ライとエニアグラム家について調べることにした。
エニアグラム家に直接確認をとれば早かったのだが、相手が相手だけに余計な悪戯をしかけてきかねないので止めておいた。
姫様の思っている通りなら最悪のケースだ、できれば自分の推測通りであってほしいと思いつつ提出された報告書に目を通した。
「ビンゴ、というやつだな」
そして話は今に戻る。

「しかしまさかラウンズとは……正直想像以上の器でしたな、あいつは」
「ふん、少し甘やかし過ぎではないか」
「いえいえ、姫様ここは―――」
ピピピッとダールトンの携帯電話が鳴った。
「かまわん、出ろ」
「失礼致します、私だ。ああ、ギルフォードか……少し待て、姫様も居られるのでな」
そう言って携帯電話を操作し会話を周囲にも聞こえるようにする。
『ライの件ですが、どうやらエニアグラム卿が情報を伏せるように言っていたそうです』
コーネリアがあの人は全く……と零してながら軽く眉間を押さえる。
「……なるほどな、となると概ね面白半分といったところか」
『そのようです。謀の類では無いようですね。シュナイゼル殿下ご協力のもとで行ったそうですし』
兄上ぇ……コーネリアはそう呟くと今度は強く眉間を押さえていた。
ラウンズという事だけに慎重に調査をしていたのだが、杞憂で終わってよかったという所だろうか。
いらん気苦労と言い換えてもいいかもしれないが。
「わかった、どうやらこれで今夜は安眠できそうだ」
『そうですね、大事に至らずなによりです。ああ、そうそう。インターネットに既にライの画像が出回っているようです』
「なに?」
『出所が不明なので、とりあえずご報告をと思いまして』
「そうなのか、こちらでも確認してみよう」
『はい、では失礼します』
「ああ、では後ほど」
ピッと携帯電話を切りコーネリアの方を向くといつの間にかパソコンを操作していた。なんと手早いことか。
「なるほど、確かに奴だな。見てみろ」
モニターをダールトンの方へ向ける。そこには確かにラウンズの制服に身を包んだライの姿があった。
「これは……なんとも感慨深いものがありますな」
我が子を見るような目でライの画像を見るダールトン。立派になったものだと感心していた。
「全く、情報を漏洩しすぎだ。公儀の映像ならともかくこのような普段の姿を晒すなどと……」
やれやれと言いながら、モニターを戻し操作を続ける。
言い過ぎではと思ったが確かに隠し取りに近い物まである。アイツが気付いていないのならば色々と問題がある。
出所を調べてみるかと思っていたら急に覚えのある感覚に襲われた。いや思い出したくはなかったのだが。


370 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/02(月) 00:01:29 ID:R3hSuXCA
「ほほぅ、なるほどな」
重い。姫様の言葉が、周囲の空気が途方もなく重い。やっと解放されたと思っていたのにまたこの威圧感を感じるとは。
モニターを向けられたので見てみると、なにやら日記のようなページが表示されていた。
ブログ……とかいう奴だったか?読んでみるとなんとナイトオブシックスのアールストレイム卿の日記のようだ。
ラウンズが日記を公開とはな……これも時代かと思って読み進めているとなんとライが登場しているではないか。
簡潔で言葉足らずな文ではあるが、一緒に買い物に行ったこと、服装を褒められたことなどが書かれていた。
極めつけは載っていた写真である。ライが金髪の女性、確か彼女はナイトオブトゥエルブのクルシェフスキー卿のはずだ。
それと日記の書き手アールストレイム卿に挟まれて立っていた。
しかも二人に腕を組まれて顔を赤くしている。
……これはまずい。そう思った瞬間地獄の底から響いてくるような声が聞こえた。
「……の……く……のが……」
「ひ、姫様?」
「あぁのッ!!脆弱者がぁぁぁ!!!!」
以前よりもさらに重く苦しい威圧感を放つコーネリア。
「帝国最強の騎士に名を連ねる者が、なんだこの不抜けた顔は!!」
「姫様落ち着いて下さい」
「落ち着けだと!?帝国を背負って立つべき男がこんな様なのだぞ!!わかっているのかダールトン!!」
「はっ、しかし――」
「しかしもなにもあるかッ!!あの脆弱者め、帰ってきたら性根を叩きなおしてやるッ!!」
ああ、ギルフォード、早く帰ってこい。いやお前の心境を考えたら酷なことなのだろうが。
安心して眠れる夜は遠そうであった。


そして火種は尽きない。
―――――アッシュフォード学園生徒会室―――――
パソコンのモニターの前に集まる生徒会メンバー。その中心で不気味な笑い声を上げる人物がいた。
「ふ、ふっふっふっふっふー」
「ミ、ミレイちゃん?」
「会長、落ち着いて下さい、ね?」
「これが落ち着いていられますかーーー!!」
ミレイの一括がクラブハウス内に響き渡る。ガッツの魔法の5倍はありそうな声量である。
「まったくあの子ったら、行方不明になって1年も連絡もよこさずに心配させておいて、いきなりナイトオブラウンズだなんて……」
声がどんどん小さくなって行き、次第に体も震えて縮こまってしまう。
「「「「「会長……」」」」」「ミレイちゃん……」「ミレイさん……」
生徒会の面々がその悲しそうな姿を見て慰めようと思った瞬間、
「ぜぇーーーーーーーったいに許しません!!保護者として断固抗議しますッ!!」
ああ、やっぱりそんなタイプじゃないんだなと皆が思った。
ミレイの怒りがさらに燃えあがろうとした瞬間、携帯電話の着信音が響く。
「あ、ライからだ」
スザクがある意味最高のタイミングでそう言った。

――――ライの私室――――
ヴァルトシュタイン卿へのプレゼントを考えていたのだが、うまく思いつかなかった。
高価な物を贈ればいいというものでもないだろうし、そもそも相手は地位も名声も富を満たされているのだ。
三人がこれからは問題を起こさないようにするのが一番いいプレゼントなのだろうが、できないものは無理だ。
他の人間に相談しようと思ったのだが、貴族や皇族の方に聞いてもジノ達に聞くのと変わりないだろう。
そこでふと学園の皆の顔が思い浮かんだ。
直接会って話そうと連絡は控えていたのだが、つい懐かしくなり、僕の事を聞いているであろうスザクに連絡をとることにした。

そう言えばスザクに電話するのは初めてかも知れない。そう思いながら僕は新しく買った携帯電話をかける。
時差的に向こうは昼のはずだから、たぶん出られるはずだ。
特区内ではナンバーズや名誉ブリタニア人といった分類はなく、日本人としての権利が保たれる。
だから今まで持つことが許されなかった携帯電話をスザクも持っているそうだ。
ロイドさんの電話番号を聞き、ロイドさん経由でスザクと番号を交換したのだ。
なんだか友達に電話をするというのは少しこそばゆい。
ピッ、という音がした。どうやら繋がったようだ。なんだか気恥かしいが思い切って声をかける。
「もしもし、スザ―――」
『こぉらぁぁああああああ、不良少年ッ!!!ミレイさんは怒ってるわよーーーーーーーー!!!!』

371 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/02(月) 00:03:06 ID:JRtfXZAC
耳がキーンとする。この声量は間違いなくミレイさんだ。そうか、今は学校か。
「お久しぶりです、ミレイさん」
『久しぶりじゃなぁーーーーーい!!なんで今まで連絡の一つもよこさなかったの!!!』
「いや、色々ありまして――」
『色々あっても連絡ぐらいできるでしょう!!』
「う、すいません」
『もう…………それで?怪我とかしてない?ちゃんと食べてる?』
「はい……ははっ」
なんだかミレイさんの保護者っぷりが懐かしくてつい笑ってしまった。変わってないなぁ。
『むむ、笑い事じゃないわよ!!まったくー』
「すいません。近いうちにそちらに行くことになりますから、その時きちんとお話します」
『え、そうなの!?』
電話の向こうで話し声が聞こえる。どうやら日本に行くことを皆に伝えているようだ。歓声が上がった。なんだか恥ずかしい……。
『じゃぁ、たーーーーっぷり聴かせてもらうからねー、覚悟しておきなさい!』
「わかりました―――ミレイさん」
『ん、なに?』
「ありがとうございます」
『?、どうしたの急に?』
「心配してくれた事とか色々です」
『あったりまえでしょう!!なんたってミレイさんはあなたの保護者なんですからね!!』
「はい、それでもありがとうございます」
『じゃぁ、これからは勝手に居なくなったりしない事!!わかった?』
「はい」
『よろしい!じゃあ、スザク君に代わるわね』
『もしもし、ライ?ごめんね、つい君の話が出てたから皆の前で君からって言っちゃって』
なんともスザクらしい。スザクも変わってないなぁと思いつつ本題に入る。
「構わないよ、僕も話をしたかったしね。ところで相談があるんだ。ちょうどいいから皆に聞いてみてくれないかな?」
『うん、わかった』

―――――生徒会室―――――
「なるほど、普段お世話になっている人に感謝をこめて贈り物をしたい――と」
ミレイがホワイトボードに大きくプレゼント大作戦と書いている。
「それって男?それとも女の人だったりぃ?」
「リヴァル、茶化すな」
ルルーシュがリヴァルを窘める。
「ビスマルク・ヴァルトシュタイン卿らしいよ」
「それってナイトオブワンじゃん!!すげー」
「なるほど、地位も名誉も財も満たされている人間に喜んでもらう方法というわけか」
ルルーシュは即座に頭の中でシミュレートし、最良のパターンをはじき出した。
「そうだな、64通りのうち一番効果がありそうなのは」
「うーん、やっぱり心を込めたものがいいよね。ね、ナナちゃん」
「そうですね、手作りの物などいかがでしょうか?」
「うん、それはいいかも知れないね」
「……そうだな」
自分の発言が無視された形になったのは面白くないが、ナナリーが言うならそれが一番だと思うルルーシュ。
ナナリー至上主義極まれりである。
「でも、何を作るのがいいのかしら?」
カレンの言葉に皆がうーん、と唸る。買うか手作りかは決まったが何をとは難しい。
「仕方ない、俺の考えた案―――」
「そうだ、日本じゃオセイボってやつなかったっけ?」
(リヴァルゥゥゥッ!!俺の発言がまた流れたじゃないか!!)
「お歳暮は手作りじゃないでしょう、むしろ子供が親に贈ったりする物とかいいんじゃないかしら」
殺意を放つルルーシュを余所にスザクとカレンが考え込む。
確かに子供の頃といえばお金よりも心をこめた贈り物をしたものだ。定番と言えば……。



372 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/02(月) 00:05:00 ID:R3hSuXCA
――――ライの私室――――
「「「肩叩き券?」」」
「そうです。日本では子供が親に贈ったりする物の中では自分で書いた絵と並んでポピュラーな贈り物だそうです。」
「たしかに絵はなぁ」
「……ある意味いやがらせ」
「だな」
三人ともうんうんと頷いている。
「というわけで肩叩き券を製造します」
「「オー!!」」 「……おー」
すごく返事がいい。というか何故そんなにテンションが高いんだろう。ジノとノネットさんを一緒にするのは拙かったかな。
紙に文字を書くだけだよ?わかってる?
「やっぱ、本格的に日本の言葉で書きたいよな」
「……プロフェッショナボー」
「まかせろ、滞在歴もあるぐらいだぞ、私は」
旅行ぐらいの期間でしたけどね。なんで態々難しい方に進むんだろう。やっぱりラウンズは向上心が強いんだろうか。
できれば事務仕事の方にもその向上心を向けてくれませんか?
「では書き方を教えます」
僕は漢字は難しいかなと思い、ひらがなで『かたたたきけん』と書いて三人に見せた。
真剣な表情で見つめたかと思うと、一斉にペンをとって書き出した。
早い、無駄に早い、そして無駄に無駄が無い動きだ。あれ?なんか変な言い回しだ。
「書けたーー!!」
ジノが一番乗りで僕に見せに来る。
では、とチェックしてみると『かたきけん』と書いてあった。ジノ、これじゃあ肩が危ないって意味だよ?
「『た』が足りてないよ」
「え、ホントに?」
アレ―?と言って戻るジノ。見切り発車じゃなくてちゃんと手本を見ながら書こうよ。
「書けたぞ!!」
次にノネットさんが見せに来た。
『かたたたたたきけん』
「『た』が多すぎです」
「なに!?」
もう、どうして何でもかんでも勢いで押し切ろうとするんですか?落ち着きましょう、少しでいいですから。
あと何で二人とも手本見ながら書かないの?
むぅと言いながらノネットさんが戻っていく。そもそもスピードを競ってるんじゃないんですよ。わかってます?
「……できた」
最後にアーニャが見せに来た。三度目の正直であってほしい。決して二度あることは三度あるなんて事はありませんように。
『かたたたきけん』
じーっと見つめてチェックする。見つめすぎて軽くゲシュタルト崩壊を起こしそうになってしまった。
しかし、これは……
「うん、ちゃんと書けてるね。えらいよアーニャ」
アーニャを褒めると頭をスッと出してきたのでなでてあげた。
負けたーー!!という声が響く。やっぱり競争してたんですか。

―――――ビスマルクの執務室―――――
手早く、しかし正確に書類に目を通すビスマルク。今日はジノやアーニャが出かけていたせいか騒ぎもなく業務が滞りなく進んだ。
子供は外で元気なのが一番かもしれんな。そんな事を考えながら新たに一枚書類を取り、紅茶に手を伸ばす。
それと同時にコンコンとノックの音がした。
「ライ・エニアグラム他3名です。ヴァルトシュタイン卿、よろしいでしょうか」
他3名が気になったが来ているものは仕方がないと思い、短く入れと答えた。
「「「「失礼します」」」」
やはりこの面子かと思い、なにか問題でも起きたのかと考えた。平穏無事とはいかんか。
そう考えていると4人がなにやら笑みを浮かべながら封筒のようなものを差し出してきた。
「なんだこれは?」
「ヴァルトシュタイン卿にはいつもご迷惑をおかけしているので、せめてもの感謝とお詫びをと思いまして」
そう思ってくれるのなら、少しは自重してもらいたいものだと思いつつ封筒を受け取った。
「肩叩き券です」
「なんだそれは?」
「一枚につき一回、我々がヴァルトシュタイン卿の肩を叩いてコリを解して差し上げる優れものなんですよ」
「……おまかせ」
「大船に乗ったつもりで使って下さい」

373 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/02(月) 00:06:45 ID:JRtfXZAC
「…………気持ちだけ受け取っておく」
兵の模範となるべきラウンズに肩叩きをさせる等出来る筈もないだろう。まぁ模範とは程遠い面子ではあるが。
「まぁまぁ、そう遠慮なさらずにー」
「……力作」
「さぁ、どうぞどうぞ」
半ば無理やり手渡される。全く、贈り物を押しつけてどうする。ライも苦笑しているではないか。
「わかった、ありがたく貰っておこう」
「「やったー」」 「……やった」
一通り騒ぐと、ちゃんと使って下さいよーと言いながら部屋から退出していった。賑やかなことだ。
しかし肩叩き券とは……ライの入れ知恵だろうか。

椅子に腰掛け、封筒を開けると中から紙がでてきた。
『かたたたきけん』
たしか日本の文字だったか。慣れぬ文字の為か少々たどたどしく書かれていた。
「……ふむ」
しばらく眺めた後、紙を封筒に戻す。
ハンカチを取り出して封筒を丁寧に包むと机の引き出しをあけ、中にそっとしまう。
パタンという音がすると、冷めてしまった紅茶を口に含む。
コンコンとノックの音がした。入れと言うと褐色の肌をした黒髪の女性、ドロテア・エルンストが入って来た。
「前回の演習のデータですが……おや?」
「どうした」
ドロテアがなにやら不思議そうな顔でこちらを見ている。
「何かいいことでも御有りになりましたか?」
「む?」
頬や顎に手を当てる。そんな顔をしていたのだろうか。
「雰囲気がいつもと違いましたから」
「そうか……まぁ少し、な」
微かに口元を緩ませてそう言うと、ビスマルクはドロテアから受け取ったデータに目を通すのだった。

―――――コーネリアの私室―――――
難しい顔をしながらコーネリアは雑誌に目を通す。彼女を知る者がいれば皆驚愕するであろう。
彼女がファッション誌を読むなどと。
『彼氏、彼トモ、元彼、全方位メロメロコーデ』
『あえての小悪魔メイクであなたもめちゃモテ愛されガール』
『愛されワンピで気になる彼をゲット!!』
「……全くわからん」
額に手を当て、天井を仰ぎ見る。自然と深い溜息が出た。
日本語なのかこれは?さすが他の言語より習得が難しいとされているだけはある。
特区成立後、ユフィの為にもと思い日本語を学んではみたが、これほど難解とは思わなかった。
『おしゃれ上級者御用達、噂のゼロマント』
『ブラックチューリップ革命』
『夏までに絶対痩せる!!必勝ゼロポーズエクササイズ』
ゼロの特集まである次第だ。あんな恰好が好まれるのか?全くもって理解できん。
「むぅ」
どうしたものか、これでは本から学ぶなどとてもできないではないか。
幼いころより歌やダンスよりも剣や乗馬等を好んできた。武芸ならば自信はあるが、着飾る事に関してはほとほと自信がない。
いや、皇族らしい服装というのはよくわかるのだが、今はその……こう……なんというか……。
「ええいもどかしい。なぜ私がこんなに悩まなければいけないのだッ!!それもこれもアイツが」
「お姉さま!!」
「ユ、ユユユ、ユフィ!?なんだノックもせずに!!」
ドアが開くと同時に雑誌を隠そうとするがバサバサと何冊か落ちてしまう。
「ライさんが帰って来るって本当で――――?あら?あらあらあら?」
ユーフェミアが落ちた雑誌をしげしげと眺めている。
いっそ死んでしまいたい。コーネリアはドアをロックしていなかった自分をグロースターのランスで貫きたいほど恨んだ。
「ユ、ユフィ……これはだな……その……」
「まぁ、お姉さまったら、私に相談してくださればいいのに……及ばずながら精一杯協力いたしますね」
「な!?ユフィ、これは違―――」
「そうと決まれば、まずは髪型からですわね」
ずるずるとユーフェミアに引き摺られながら部屋を出て行くコーネリア。普段からは考えられない光景である。

374 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/02(月) 00:08:58 ID:R3hSuXCA
「待て、待ちなさいユフィ!!私は――」
「お姉さまがああいった本を読まれるなんて、やっぱりライさんが帰ってくるのは本当だったんですね」
「なッ―――あ、あんな脆弱者の事などどうでも…………」
「ライさんをびっくりさせましょうね」
「話を聞け!!」
笑顔のユーフェミアに押し切られ、結局その日は一日中着せ替え人形のようになるコーネリアであった。


――――ライの私室――――
「ライ、明日の準備は出来ているか?」
「はい、準備万端です」
「うむ、よろしい」
明日はついに日本へ出発する日だ。そう思うと今夜は眠れるか心配なぐらいだ。
ノネットさんもどうやら楽しみにしているようでしきりに時計を見ている。いや、そんなに見ても時計は早く進みませんよ。
そういえばノネットさんに写真立てを渡すのを忘れていたな。ちょうどいい、今渡そう。
「ノネットさん」
「どうした?今すぐ出発したくなったか?」
それはノネットさんでしょう。駄目ですよ。……ま、まぁどうしてもと言うなら否定はしませんが。
「これ、プレゼントです。いつもお世話になっているので」
ノネットさんはキョトンとした顔をしていたが直ぐにいつものように豪快に笑った。
「はっはっは、そんなこと気にするなよ!家族なんだから」
「家族だからこそプレゼントを贈るんですよ」
「そうか?……そうだな、ありがとうライ」
そう言ってプレゼントを受け取ると早速袋をビリビリと破く。うん、ゴミはあとで片付けよう。
「これは……写真立てか?」
「はい、今日買い物をしてる時に見かけたんです。あまり豪華な物ではないんですが」
「そんなことはないさ。丁寧に作られているし、作り手のこだわりも感じる。良い物だよこれは」
見て触っただけで手作りだとわかったようだ。僕は流石だなぁと感心していた。
ノネットさんは写真立てを傾けたり回したりして色んな方向からまじまじと見ている。
笑顔を浮かべているので気に入っては貰えたようだが、そんなにしっかり見られるとなんだか恥ずかしい。
「こんなに嬉しい贈り物は初めてだよ。ありがとう、お前はいい子だな」
ノネットさんがこちらを向いてそう言っってくれた。
「そ―――」
僕は一瞬そんなことはないと言いかけたが、直ぐに言いなおした。
「―――、ノネットさんの弟ですから」
「ははっ、そうだな。その通りだ!」
ノネットさんは嬉しそうに笑うと僕の頭をぐりぐりとなでた。少し痛いけど、なんだか心地良かった。
早く明日になって欲しいと思っていたけれど、今の時間が続くならもう少しゆっくりでもいいかなと思った。


後編へ続―――けばいいのに



375 :ワンドのナイト ◆o57Uj37RJc :2009/02/02(月) 00:10:41 ID:R3hSuXCA
投下終了です。

長い。前編に入らなかったヴァルトシュタイン卿のかたたたき券ネタとネリ様ご立腹&R2髪化フラグを入れようとしただけなのに……なぜアーニャが。
あと女性誌のキャッチフレーズなんてわかりません。ネリ様の元ネタは完全に美○さんです。
というかネリ様は女性誌でいうところの艶女ってや―――おや?どこからかランドスピナーの音が聞こえる。
眠い時は単語だけ書いて、あとからそれに文章をつなげるのでどんどん長くなりました。容量多くてすいません。
眠い時に書いた単語 『ライ姫†無双』 これを……俺がやったのか?! 響きだけで使えるはずもない。

最後にヴァルトシュタイン卿は肩叩きをするアーニャが身長的に肩を叩くのがつらそうなので、軽く背中を曲げて叩きやすくしようとすると思うんです。

では失礼します。



376 :創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 00:26:29 ID:qmHw5lpj
 ワンドのナイト卿、投下GJでした
 とりあえず一言言いたいです
 ネリ様&アーニャカワイイwww
 なんというかノネットさんの買い物とか肩叩き拳とか他にも語るべきことはあるはずですけどその一言に尽きます
 二人とも素直になれない辺りが凄くかわいいです
 次回日本についてからのネリ様との再会が楽しみでなりません
 卿の次回の投下を心からお待ちしています   

377 :創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 00:43:14 ID:Uewg+tQg
>>375
GJ!ネリ様とアーニャに萌えたw他のキャラもいい味出してます。
ライが日本に帰った時、生徒会メンバーやネリ様たちはどう出るのでしょう。
次回をお待ちしています。

378 :創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 02:11:38 ID:J1jIE7wh
>>375
乙です。キャラが全員すごくいい味出してますね。ギャグと書いてますがなかなかどうして
ほんわかさせられる作品です。後編も全力で待ってます!
あと、>>368で、テレビも同時に持った帰ると言いだした というところは
テレビも同時に持って帰ると言いだした ではないでしょうか?

379 :創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 02:15:01 ID:J1jIE7wh
すいません、もういっこ。
>>369
差出人を見るとライの性が は 差出人を見るとライの姓が かと。
重箱つつきすみません。

380 :創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 07:57:50 ID:LOk6MEOl
ワンドのナイト卿、GJ乙です。
キャラが細かく書かれていて息遣いまで伝わってきそう、とてもいいと思います。
続き物なのも嬉しい。後編を楽しみにしてます。

381 :創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 09:29:22 ID:AhJ55Jl4
>>375
ワンドのナイト卿、GJでした!
テンさんが……きれいなルキアーノwww
……いい人すぎる!
あれか、伝え聞くところによるとツンデレのデレか!?
撮影会www 大丈夫かブリタニアwwwww
シャルル!? 横巻きロールががががが……
……夢オチwwwww
どこから見ても放蕩貴族www 喜ぶなよwww
ジノすげぇ……荷物持ちのプロだ……流石ラウンズ!
家電纏めてお持ち帰り……ノネットさんもパネェ。
電話かけるタイミング、ドンピシャw
凄くほのぼのするラウンズでした!
>夏までに絶対痩せる!!必勝ゼロポーズエクササイズ
待てぃw 何を出しとるかwww
ネリ様が着せ替え人形!? その展開、イエスだね!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!!!

382 :テリー:2009/02/02(月) 16:24:36 ID:e6Yh6qsH
トーマス卿 保管庫の「明日の為に」第八章で296が抜けてます。
修正願います。

383 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 18:52:38 ID:JLJFxQGZ
今から、
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURNOO 「終わる日常」 (前編3)
を投稿します!


384 :POPPO:2009/02/03(火) 18:53:40 ID:JLJFxQGZ
(平和だなぁ…)
講堂で授業を受けていた僕は先生の話を聞き流していた。
EUでの資料と情報を元に、脳内で計画を練っていた。授業の内容はテキスト通りなので特筆して学ぶものは殆ど無い。教科書を一通り読んでいた僕には問題は無かった。

一つ、納得のいく案が閃いたので、隣にいるルルーシュに聞こうとした時、肩を叩かれた。
ルルーシュの顔に目をやると、視線を横にずらした。その視線の先を追っていくと、
講堂のドアが半開きになっていた。
そこには、一人の生徒が立っていた。
茶髪に癖っ毛が特徴的な髪をしており、柔和な童顔の裏には強靭な肉体と優しすぎる精神を持つ少年。
かつてはルルーシュの無二の親友として、時としては宿敵として立ちはだかったこともある、僕たちの掛け替えのない親友。
枢木スザクがそこにいた。

(スザク!スザクじゃないか!)

僕たち二人は最後尾の席に座っている。先生にも近くで寝ている生徒にも気付かれずにこっそりと抜け出した。
廊下に出た僕たちは小さな声でやりとりをする。
「久しぶりだね。ルルーシュ。ライ」
「スザク!会いたかったよ」
「久しふりだな。スザク。それよりも早くここを立ち去ろう。巡回している警備員に見つかったら面倒だ」
僕とスザクがその言葉に頷くと、ルルーシュの後に続いて校舎を出た。

校舎を離れ、アッシュフォード学園の寮の中を3人は歩いていた。
「ブリタニアからいつ戻ってきたんだい?」
「2日前だよ。本国には名だたる貴族や皇族がいて挨拶だけでも一苦労だった」
「確かにな。しかし、スザクはそういう場には慣れているだろ?」
「しきたりとかそういうのがイマイチ慣れなくてね」
「ユフィからみっちり教えてもらったんじゃないの?」
「まあ、それはそうなんだけど…」 
「お前はガサツだからな。すこしはライを見習ったどうだ」
「そういう君はサボりグセがひどくなったね。少しはライを見習ったら?」 
「おいおい。そこまで僕を持ちあげないでよ。責任重大じゃないか。僕」
あわてる僕を見た二人はクスクスと笑っていた。
やられた、と思って僕も自然に笑みがこぼれてしまった。
「ナナリーには会ったか?お前に会いたがっていたよ。中等部は午前中で授業は終わっているはずだが…」
「ああ。ここに来る前にね。咲世子さんには今、席を外してもらってるよ」
「なんだと?おい、スザク。じゃあナナリーは部屋に一人ぼっちなのか?」
「いいや」
「「?」」
そう言ってスザクは僕たちの前に出ると、先にドアを開けた。
そこには、

「「ユフィ!!?」」

「お邪魔してます。ルルーシュ。ライ」
神聖ブリタニア帝国の元皇女、ユーフェミア・リ。ブリタニアとナナリーがいた。

あれ?そういえば僕は何を考えていたんだっけ?








385 :POPPO:2009/02/03(火) 18:55:12 ID:JLJFxQGZ
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」

TURN00 「終わる日常」(前編3) 




今、この部屋にいるのは僕、ルルーシュ、スザク、ナナリー、そしてユーフェミアの5人だ。
日本貴族とブリタニア皇族が集まるティータイム。
それがとある学園の学生寮の一室で行われているなんて、誰が想像できようか。
ナナリーの隣にはユフィ。対面には僕たち3人が並んで、和気あいあいと話していた。
キッチンに一番近い僕は紅茶を入れなおして、買いおきのクッキーを持ってくる。
「こんなものしか用意できなくごめん。ユフィ」
「いえ、いいのよ。ライ。連絡もせずいきなり来た私たちが悪いんだから」
「スザク。何故知らせてくれなかったんだ?メールの一つくらい入れられただろう?」
「ああ、ごめんよ。実は…」
「シズオカからの帰りなんです」
「シズオカ?それは何でまた?サクラダイトの件か何かで?」
「そ、それは…」
僕が聞き返すと、ユフィは何故か口籠ってしまった。
…マズイことを聞いてしまったのかな。
仕事の話題には触れないようにしていたのに…
ブリタニアからの情報を得ようと、黒の騎士団であることが無意識に働いてしまったのかな。
ルルーシュが肘で突いてくる。
ど、どうしよう…
そう思っていると、ナナリーが嬉しそうな顔で言った。

「ユフィ姉様ったら、スザクさんと二人っきりで温泉に行ったんですって♪」

「!?ナ、ナナリー!」
一瞬で顔を真っ赤にしたユフィはナナリーを見た後、こっちを向いた。彼女は少し慌てた様子だった。
僕たち、というよりスザクの方を見ているようだ。
「スザクと?二人だけで?」
「え、ええ」
ルルーシュの質問に頬を染めながら俯いて、微笑みながら返事をするユフィ。
その表情を見た僕とルルーシュは顔を見合わせた。
そして、僕たちはスザクの方に目を向ける。
スザクは頬を掻きながら、僕たちから視線を逸らす。
若干顔が赤いのは気のせいじゃないだろう。


386 :POPPO:2009/02/03(火) 18:57:06 ID:JLJFxQGZ
スザク。
尊敬するよ。君は遂に皇女と一線を越えちゃったか。
まあ、いつかこういう日が来るとは思ってたんだけど……コーネリア様には時期を見計らって喋った方がいいね。
決闘を申し込まれるかもしれないよ?グロースター、対、生身で。

スザク。そのぎこちない笑顔。よく分かるよ。
昨日、ここで僕たちもそんな笑みを零していたからね。
そして、その時ナナリーもその場にいて…

「昨夜はお楽しみでしたか?」

「「「「ブホッ!!?」」」」
そして、ナナリーを除く四人は同時に紅茶を噴き出したっけ。
驚くナナリー。彼女の発言に対処できなかった僕たち。
なんか既視感を感じるんだけど…
「!どうされたんですか!?ユフィ姉様まで!」
ハンカチで口元を拭う僕たち四人。
ルルーシュは咳込みながらも、ナナリーに問いかけた。
「ゲホッ、ゴホッ…な、ナナリー!そ、それはどうゆう…」
「いえ、咲世子さんに『言ったら皆、驚きますわよ』って教えてもらったんですけど、そんなに驚くことなのでしょうか?」
咲世子さんっっ!!貴女、純粋無垢そのもののナナリーに何吹き込んでいるんですか!!
ナナリーはそろそろ年頃だし、カンの鋭い子だ。気づいてしまったらどう責任を取るんです?!
ああっ!ナナリーにはまだコウノトリを信じてもらいたいのに!
ルルーシュもスザクもそう思うだろう!?な、な?
「あ、あははは。わ、私。化粧室に行ってきますね?」
恥ずかしさが頂点に達したのだろう。ユフィは急ぎ足で部屋を出て行った。
「あ、場所は分かるかい?ユフィ」
と、ユフィに続くように席を立つスザク。
だが、僕は彼の手を掴んだ。目で合図を送る。

逃げる気かい?と。

「…わ、分かったよ。ライ」
スザクは渋々席に座った。
そんな僕たちのやりとりを肌で感じ取ったのか、ナナリーはクスクスと笑った。
「本当に仲が良いんですね。3人とも」
「そ、そうかな?」
「でも、お兄様とライさん。ユフィ姉様には負けますね」
「え?何がだい?」
「スザクさんとの仲です。想い合う男女は身も心も似通ってくるというのは本当だったんですね。仲良くなると雰囲気だけじゃなく、匂いまで一緒になるんですから」
「匂い?」

「はい。ユフィ姉様の体からスザクさんの匂いがしました。香水の香りと一緒に」

絶句する僕とルルーシュとスザク。
ナナリーは畳みかけるように言葉を続ける。
「シャーリーさんからはお兄様の。カレンさんからはライさんの匂いがしました。そんなになるまでずっと一緒にいるなんて。私、少し妬いちゃいます。皆さんに」

……へー。そうなんだ。知らなかったよ。
次からは気をつけようね。
な?ルルーシュ。スザク。
ほら、そんなに硬直しないで。
僕だってカップを持ったまま固まってるけどさ。


387 :POPPO:2009/02/03(火) 18:57:54 ID:JLJFxQGZ




ユフィが部屋に戻ってくると、僕たちはスザクとユフィの仲のことを、ナナリーを通して根掘り葉掘り聞いた。
ナナリーも恋愛については興味深々。ルルーシュや僕がいつも口を濁すので恋人同士の甘い話はナナリーにとって格好の話題だった。
それに気真面目なスザクと真っ直ぐなユフィのことだ。
顔を真っ赤にしながら僕たちに正直に話していた。
いいね。こういう他人の恋愛話を本人から聞けるのは。

また、スザクとユフィがキスをしたのかとナナリーが訪ねて、二人が紅茶をたくさん飲んだ後で「「う、うん」」と返事をした時、
「まあっ♪ユフィ姉様。子供ができちゃいますよ!」
と顔を真っ赤にしたナナリーを見た僕とルルーシュが、ガッツポーズを取ったのは四人の秘密だ。


「…それでね、スザクったら、会食の席でラウンズの方にKMFの模擬戦を申し込まれちゃって…」
「「ええっ!?」」
ラウンズ?それって帝国最強の騎士じゃないか!?
「そんな!大丈夫だったんですか?スザクさん!」
心配の目を向けるナナリー。ナナリーに心配されるだけで心が癒されるね。
「スザクったら勝っちゃたんですよ!ナイトオブスリーに!」
「「「ええええー!!?」」」
僕たちは心の底から驚いた。
スザクが勝った!?いつの間にそんなに腕を上げたんだい?スザク!
これは僕もウカウカしてられないな!
さっそく神楽耶様の所へ行って新型を取ってこようかな?そういえば名前を何て言ったけ。
確か…

「ご褒美に、って私、スザクに皆の前でキスしたんですよ〜〜!」

今日、一番の歓声が上がった。
「きゃああっ!!ユフィ姉様ったら大胆!」
「それは、すごいな…」
「格好良すぎるよスザク!うらやましいなあ、そのシチュエーション!」
三人の黄色い称賛の言葉を受け取って、照れ笑いを零すスザク。
この時、僕とルルーシュは思った。
コーネリアがスザクに決闘を申し込む日はそう遠くないだろうと…





388 :POPPO:2009/02/03(火) 18:59:34 ID:JLJFxQGZ
「ごめん。ちょっと席を外すよ」
僕が用を足しに行こうとした時、
スザクも一緒に席を立った。
「あ、僕もいいかな?」
一瞬、スザクの目が鋭くなったのを僕は見逃さなかった。
…やれやれ。
そう言って、僕とスザクは部屋を後にした。


廊下を歩いて、化粧室へ向かう。
その前に僕たちは人気のない階段まで足を運んだ。
ここなら誰もいない。
さてと…
「黒の騎士団は軍備拡大を続けているだろ」
唐突に話を切り出してきたスザク。
政治の世界には向いてないな、と思いつつ僕はスザクに目を向けた。
一見穏やかそうに見えるが、目つきは軍人と同じだ。
「ああ、そうだ」
「いくらテロ対策の軍事とはいえ、規模が大きすぎないかい?」
「数や予算から見ても、エリア11に在中しているブリタニア軍以上の戦力があるからね」
「……それを承知で、君は」
「今や黒の騎士団は日本以外にも海外に拠点がある。もうテロリストと呼べる規模じゃない…そう言いたいんだろ?」
スザクは目を険しくした。この話の主導権が僕に握られていることを察したみたいだ。
「まだ軍は腰を上げていないみたいだけど、もう見過ごせるレベルじゃないことは明白だ。このままだと、いずれ…」

「戦うことなるだろうね。それこそ『戦争』の名に相応しい規模で」

「ッ!それを分かってて君はっ!!」
スザクの怒りは表に現れた。
胸倉をつかみ上げようとするスザクを、僕は制した。
「君は日本がブリタニアの傀儡になってもいいのか?今度は土地や資源だけではなく、国民の心まで奪われるぞ」
「どういうことだ!」
声を荒げるな。スザク。周囲に響くぞ。
「経済特区日本でブリタニアと共に国家を再建し、いずれは一国家として独立を果たす。それが君とユフィの目標だろう?」
「っ!そうだ…」
「このままいけば、経済特区日本はブリタニアと共に国家を再建し、いずれは独立するだろう。
しかしね。その時、日本は大きな鎖をブリタニアから繋がれているんだよ。『恩恵』という名の鎖を、ね」
黙って話を聞いているズザクに、僕は続けた。
「ブリタニアの属国としての『日本』。これがブリタニアの目指さんとする『日本』のあり方だ。日本人はブリタニアに統治されるのではない。
国家再建に協力したという『恩恵』の代わりに、ブリタニアの『要求』を受け入れている。そういった認識を国民に植え付ければ、現在のブリタニア統制の多少の規制緩和で、人々は受け入れてしまうだろう。
日本は『協力』と名を変えた『統治』によって支配されることになる」

「やがて、日本はブリタニア色に染め上げられた国家に成り果てるのさ」

スザクは押し黙ってしまった。言い返せないのだろう。僕の意見に。
おそらくスザクも、そういった未来を感じ取っていたのかもしれない。
そして、と僕は付け加える。


389 :POPPO:2009/02/03(火) 19:01:37 ID:JLJFxQGZ
「行政特区日本はいずれ独自の軍隊が必要だ。それこそ、ブリタニアの息がかかっていない軍隊が」
「それともう一つ理由がある」
僕は人差し指を立てて、言った。
「これは不確定情報だが、中華連邦が再度の介入を試みようという動きがある」
「なっ!?」
「裏で手を引いているのはブリタニアだ。行政特区日本を憂慮している人々も多い、ということさ。何せ、今までの支配体制を根本から覆しかねないものだからな」
「現在の支配システムが揺らいだら損をする者たちがいる、というのは知ってるけど…」
「いくらシュナイゼル殿下やコーネリア殿下といった大物の皇族が賛成しているとしても、エリアを所有している有力貴族たちを完全に掌握できるわけがない。なんせ彼らはある意味、一国の王様のようなものなんだからね。
有力貴族たちはこのテストケースが失敗することを望んでいるんだよ」
「そんな……」
「本当の意味でブリタニアと肩を並べるには『力』を手に入れなければならない。これは君が一番分かっているはずだろう?軍人である君なら、痛いほどに…」
言葉は紡がない。しかし、それは否定ではない。
それはユフィと共に在るということを決めたスザクの意思。
戦争の無い『平和な世界』の象徴としての彼の態度だ。
「この行政特区の成功が世に知れ渡るまで、あらゆる手でブリタニアの有力貴族は潰しにかかってくると思う。その時必要なのは、ペンと剣。どちらが欠けてもこの国を守り抜くことは出来ないよ」
「…そのための黒の騎士団なのか?」
「そうだよ。ゼロは行政特区日本のための『黒の騎士団』だと、そう明言していただろう?」
「…ああ、そうだな」
「っと…これで聞きたいことは、全部かな?」
僕はようやく一息ついた。
スザクは何か言いたそうな顔をしていた。
真面目な彼だから、予想は出来てるけど…
「その、ごめん。ライ。ちょっと熱くなりすぎた…」
ほらね。
真面目すぎるんだから。でもそんな人間味あふれるスザクが僕は大好きだ。
「気にするなよ。それだけ真剣にスザクが行政特区日本を考えてるんだって分かったから…」
「ありがとう。ライ」
しかし、スザクの顔がまだ晴れやかでは無い。
まだ聞きたいことがあるのかな。


390 :POPPO:2009/02/03(火) 19:02:08 ID:JLJFxQGZ
「…あのさ」
「ん?なんだい?」
「…君が言える範囲で良いんだ。その、僕の意見に、正直に答えてくれるかい?」
「…言える範囲なら、何でも」
そうか。と呟いて、目を閉じてスザクは一息吸った。
真剣な顔つきでスザクは言った。


「ライは、ゼロの正体を知っているのか?」


「…知っている、と言ったら?」
「…いや、聞かないよ。君は口を割るような人間じゃない」
それはどうも…と、僕は内心で呟いた。
いや、心臓に悪いよ。これは…
「…それと、もう一つ、聞いていいかな?」
「…今度は、何だい?」


「君が、ゼロじゃないのか?」


僕はその言葉に、虚を突かれた。
一体、僕はどんな顔をしているのだろうか。
そしてスザクは、ふと顔を緩めた。
「ごめん。こんなこと聞いちゃって。でも今の反応で分かったよ。ライは自分の事に対しては顔に出やすいからね。ライがゼロだなんて、僕、どうかしたてたよ」
「…スザク、人が悪いぞ。さっきのは僕じゃ無くてもビックリするさ」
「本当にごめん」

不機嫌な顔をした僕に、スザクは何度も謝ってきた。
ちょっとからかってやろうかなとも思ったけど、やめた。
さっき、ユフィ共々冷やかしたからこれでおあいこだな。
僕は「気にしてないから」と言って、スザクに一言、付け加えた。
一番、彼に伝えたかったことを。

「スザクがユフィと共に行政特区日本を建てていることは痛いほど分かる。
だから、君たちは光の当たる場所を歩んでくれ。これは僕と、ゼロの役目だから…」

その言葉に、スザクは目を見開いていた。
「ライ。君は…」
何か言いかけようとした彼の視線を逸らして、僕はこの話に終止符を打った。
「さてっ。そろそろ戻ろうか。遅くなると心配されるぞ?それよりトイレに行っていいかな?そろそろ限界なんだけど…」
「…ああ」
トイレに行くために僕は背中を向ける。
「ライ」
うしろからスザクの声がした。
「ん?」
振り向くと、スザクは言った。
「…僕たちは、友達だよね?」
その言葉を僕は笑顔で否定した。
「違うよ」
背中越しに、手を振りながらスザクに言った。


「親友さ」






391 :POPPO:2009/02/03(火) 19:03:46 ID:JLJFxQGZ


その頃、部屋ではルルーシュとユーフェミアの二人だけがいた。
ナナリーには二人だけで話があるからと言って、二人で部屋まで車椅子を押していった。
テーブルには5つのカップと、ルルーシュが作ったサンドウィッチが置いてある。
二人は紅茶を飲んでいた。
どちらも、ブリタニア皇族直血の元皇子と元皇女。
皿にコップを置いて、ユフィはルルーシュに話しかけた。
「ねえ、ルルーシュ」
「何だ?ユフィ」
「何でライを行政特区日本に参加させないの?それに一部の幹部たちも参加してないでしょ?」
「…しきなり仕事の話か」
「ごめんね。ルルーシュ。でも、話す機会は今ぐらいしか無いから…」
「そうだな。面と向かって話し合う機会は多くあるのにな…」
「ルルーシュは仮面をかぶってますけどね♪」
「…それは言うな」
顔をしかめたルルーシュをユフィは笑顔で見つめる。
「で、ライについてどうしてなの?幹部の人の顔を全て晒せないとしても、ライは素晴らしい人だわ。黒の騎士団、ひいては日本人とブリタニアを繋ぐ架け橋になりうる人よ?裏で暗躍するよりも表舞台で活躍すればいいと思うんだけど…」
「俺もそうしたいのは山々なんだけどな…あいつは表舞台には立てない人間なんだよ」
「日本の貴族の血を引いているんでしょ?だったら尚更…」
ルルーシュは紅茶を飲み干して、告げた。


「あいつは、俺たちと同じ血を引いている」


「えっ!!?」
ユフィは驚愕した。つまりそれはブリタニア皇族の…
「ちょ、ちょっと待って!それって…」
「あいつの存在はブリタニアの国是そのものを揺るがしかねないんだ。IDのDNA登録であいつの血が調べられたら、確実にライは不幸になる」
「……そういうことだったの」
「俺の知ったときは自分の耳を疑った。けれどこれは事実だ。紛れも無い、真実なんだよ」
「…ごめんなさい。余計なことを聞いちゃって」
「いや、いずれは話さなければならないことだからな。そうしないと、ユフィは納得しないだろう?」
「………」
ユフィは俯いてしまった。おそらく、彼の生い立ちを想像してしまったのだろう。
だが、ライの過去はユフィの想像をはるかに超えて絶するものだ。と、ルルーシュは思っていた。
唐突に、ユフィは口を開いた。
「…だからルルーシュとライは、似てるのね」
そうかな、とルルーシュは思う。
ルルーシュはユフィの肩を叩いて、頬笑みながらアドバイスを入れた。
「ライにはいつも通りに接してやってくれ。あいつは過去に拘らない男だからな」
「…ええ!」


その日、スザクとユフィは寮に泊まることとなり、僕たち5人は普通の高校生らしい話題で盛り上がりながら、夜遅くまで話し込んだ。
ルルーシュの恋人や僕の恋人の話をして、王様ゲームなんかで、色々罰ゲームを設けたりして、久しぶりに僕は心の底から笑った気がした。
ルルーシュが腹を抱えて笑っているところなんて初めて見た。スザクなんか酒のせいで、子供みたいにユフィにダダこねていた。ナナリーって意外とおしゃべりなんだな。
次の日、僕たちは騒ぎ過ぎて、学校をサボってしまったんだ。



その時、僕たちはまだ知らなかった。
僕たちが笑い合ったのは、これが最後だったなんて…


392 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 19:05:34 ID:JLJFxQGZ
ここで「前編3」は終了です。
次は「中編1」となります。

393 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 19:19:52 ID:JLJFxQGZ
申し訳ありませんが、管理人さん。
次のスレを「前編3」の一番下に書き込んでいただけないでしょうか。
お願いいたします。

394 :POPPO:2009/02/03(火) 19:20:36 ID:JLJFxQGZ
設定資料1


ライ(本名;ラインヴァルト・エス・ブリタニア)

Age; 17
Sex; male
Height; 179cm

本編の主人公。
表向きはアッシュフォード学園の生徒でありながら、裏では黒の騎士団のNr.2として活躍している少年。
人目を引くほどの銀髪と容姿もさることながら、ルルーシュ並の知性とスザク並の身体能力とKMF操縦技術を有しており、他人に好かれやすい謙虚な性格をしている。
一見、非の打ちどころのないような完璧人間だが、他人の好意に鈍く、天然なのが玉にキズ。
行政特区日本創立式典で起こったルルーシュのギアスの暴走事件以来、ギアスが失われてしまうが、それを補っても余りある非凡な能力で黒の騎士団に貢献し、今では副司令兼壱番隊隊長の地位に就いている。
「ゼロの双璧」としてのカレンとはパートナーであり恋人同士でもある。

彼の正体は100年以上前のブリタニアの属国の王であり、『ひとりぼっちの王様』のモデルとなった人物でもある。
ブリタニア帝国史上最悪の暴君だとも言われ、『狂王』の忌み名を持つ。
出生、経歴の説は多くあるが、有力な説は依然として無い。
ブリタニア皇族と日本貴族の血を引いている。ちなみに彼のミドルネームである「エス」は、母方の旧姓、『皇(スメラギ)』から取ってつけたものである。


395 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 19:25:38 ID:JLJFxQGZ
続いて、
コードギアス LOST COLORS
「反逆のルルーシュ。覇道のライ」
TURNOO 「終わる日常」 (中編1)
を投稿します。

オリジナルキャラ続出です。
グロ注意です。
しかし、皆さんに楽しんでいただけたらそれで満足です。


396 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 19:27:44 ID:JLJFxQGZ
スザクとユーフェミアがナナリーたちの元に訪れていた頃。


アッシュフォード学園の女子寮の屋上には3人の中等部の制服を着た女子生徒がいた。
広大な敷地があるアッシュフォード学園を一望できる、女子寮生のみが利用出来るお勧めスポット。
少し肌寒い風が吹いていた。
眼鏡をかけた三つ編みの金髪の女の子は、地べたに制服を敷いて寝っ転がっているルームメイトに話しかけていた。
「ねえ、そんな所で寝てたら風邪ひくよ?」
「だーいじょうぶよ。イレブンの諺では『馬鹿は風邪をひかない』っていうし…」
「なら、風邪ひいちゃうじゃない!」
「昨日と一昨日、私が何時に帰ってきたか知ってんの?」
「朝の6時頃だろ。全く何してたんだか。賭けチェスで儲け過ぎて、悪い奴らに追っかけまわされてた?」
寝っ転がっている女の子を見下しながら、腕を組んでいる茶髪のボーイッシュな女子生徒は呆れながら言った。
「む…随分と的確な回答だな。ノエル」
「ええっ?それ、本当なの!?」

「ああ、襲われたよ―――――――――――――――――――――――――――犬に」

三つ編みの金髪の女の子は目をパチクリさせていた。
それを見たノエルという女の子は大声で笑う。
「だぁーから、冗談を真に受けるなって、アンジェリナ。こいつはアンタの反応を面白がってるだけだから」
「もうっ!ヒドイ!私、ものすごく心配したよ!」
「ごめんよ。アン。お詫びにツカモト店のシュークリームが冷蔵庫にあるから。それで許してくれ」
「例のシンジュクのやつ!?ねえねえ、私の分もある!?」
「6つだ。一人2個。文句あるか」
「無いっす!!」
「あ・り・あ・りよ!それってまた賭けチェスで儲けたお金でしょ?しかも私をモノで釣ろうなんて、随分甘く見られたわね!」
顔を赤くして怒っているアンジェリナを見て、上半身を起こし、壁に背持たれた。少女は軽く頭を下げる。
「ごめん。アン」
「フン!一回謝っただけじゃ済まないんだから!」
「じゃあ、シュークリームは…」
「食べるわよ!」
そう言うと、アンジェリナは身を翻して階段へ向かっていった。
「あー。じゃ、私も行くわ。そろそろ休憩時間終わるし、今日はゆっくり寝てていいよ。担任には欠席するよう言っておいたから」
「…恩にきる。お礼に私の分、一つやるよ」
「え?本当!?わーい、やったー!あ、でも明日も休んで3日連続はダメだからな!じゃあね〜」
ノエルの姿が見えなくなるまで、少女は手を振っていた。
二人の友人を見送ってから、取り残された少女はそっと呟いた。


「ごめんなさい。アン。ノエル。私、本当に襲われてたのよ。犬よりも価値の無いクズに」


唐突に、彼女の傍から少年の声がした。


397 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 19:29:43 ID:JLJFxQGZ
すいません!
今から投稿します!
上のはナシにしてください!

398 :POPPO:2009/02/03(火) 19:30:25 ID:JLJFxQGZ
スザクとユーフェミアがナナリーたちの元に訪れていた頃。


アッシュフォード学園の女子寮の屋上には3人の中等部の制服を着た女子生徒がいた。
広大な敷地があるアッシュフォード学園を一望できる、女子寮生のみが利用出来るお勧めスポット。
少し肌寒い風が吹いていた。
眼鏡をかけた三つ編みの金髪の女の子は、地べたに制服を敷いて寝っ転がっているルームメイトに話しかけていた。
「ねえ、そんな所で寝てたら風邪ひくよ?」
「だーいじょうぶよ。イレブンの諺では『馬鹿は風邪をひかない』っていうし…」
「なら、風邪ひいちゃうじゃない!」
「昨日と一昨日、私が何時に帰ってきたか知ってんの?」
「朝の6時頃だろ。全く何してたんだか。賭けチェスで儲け過ぎて、悪い奴らに追っかけまわされてた?」
寝っ転がっている女の子を見下しながら、腕を組んでいる茶髪のボーイッシュな女子生徒は呆れながら言った。
「む…随分と的確な回答だな。ノエル」
「ええっ?それ、本当なの!?」

「ああ、襲われたよ―――――――――――――――――――――――――――犬に」

三つ編みの金髪の女の子は目をパチクリさせていた。
それを見たノエルという女の子は大声で笑う。
「だぁーから、冗談を真に受けるなって、アンジェリナ。こいつはアンタの反応を面白がってるだけだから」
「もうっ!ヒドイ!私、ものすごく心配したよ!」
「ごめんよ。アン。お詫びにツカモト店のシュークリームが冷蔵庫にあるから。それで許してくれ」
「例のシンジュクのやつ!?ねえねえ、私の分もある!?」
「6つだ。一人2個。文句あるか」
「無いっす!!」
「あ・り・あ・りよ!それってまた賭けチェスで儲けたお金でしょ?しかも私をモノで釣ろうなんて、随分甘く見られたわね!」
顔を赤くして怒っているアンジェリナを見て、上半身を起こし、壁に背持たれた。少女は軽く頭を下げる。
「ごめん。アン」
「フン!一回謝っただけじゃ済まないんだから!」
「じゃあ、シュークリームは…」
「食べるわよ!」
そう言うと、アンジェリナは身を翻して階段へ向かっていった。
「あー。じゃ、私も行くわ。そろそろ休憩時間終わるし、今日はゆっくり寝てていいよ。担任には欠席するよう言っておいたから」
「…恩にきる。お礼に私の分、一つやるよ」
「え?本当!?わーい、やったー!あ、でも明日も休んで3日連続はダメだからな!じゃあね〜」
ノエルの姿が見えなくなるまで、少女は手を振っていた。
二人の友人を見送ってから、取り残された少女はそっと呟いた。


「ごめんなさい。アン。ノエル。私、本当に襲われてたのよ。犬よりも価値の無いクズに」


唐突に、彼女の傍から少年の声がした。


399 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 19:56:36 ID:8Lp8y0YR
投下中に失礼します
次スレを立ててみますので少々お待ちを

400 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 20:03:34 ID:8Lp8y0YR
出来ませんでした
申し訳ない、どなたかお願いします

401 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 20:07:05 ID:o/+4asZV
じゃあ立てようか?
テンプレ変更点ってある?

402 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 20:09:20 ID:n6+tDtb3
>401
えーと主人公スレが字次スレに移行してる
とりあえずここだけ差し替えで大丈夫かな?

コードギアス ロスカラのライ 強くて優しい真の7(ナ)イト(主人公スレ)
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1233048852/

頼んだ!

403 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 20:13:32 ID:o/+4asZV
はいよー

http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1233659495/1-


スレ住人じゃないからなんか不備あるかも

404 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 20:17:02 ID:9OOYTQ1z
>>403乙でした!

405 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 20:23:32 ID:fM7tiysN
>403
ありがとー!

レス数からしてPOPPOさんはさるさんかな。
とりあえず支援待機

406 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 20:29:59 ID:8pqd4r/j
次スレに来てるよ

407 :創る名無しに見る名無し:2009/02/03(火) 21:12:57 ID:9OOYTQ1z
とりあえずこちらに前編3の感想を

POPPO卿、GJでした!
スザクとユフィが温泉にGO、グロースター対生身……もしかしたら勝てるかもと思えてしまう。
ちょ、ナナリー!?
咲世子さん、一体何を!
……意味は分かっていないようですが。
耳だけでなく匂いにも敏感なナナリー、五感の一つを封じられると他が鋭敏になるのですね。
キスして子供……微笑ましくて涙が……
ジノ、負けたのか……
騎士団の軍備増強、確かに仕方がないことです。
戦いが起きなきゃいいが……と、思ったそばから不吉な言葉!

中編1の感想は次スレに。

408 :創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 00:45:04 ID:7w/J/SfG
そろそろ埋める?

409 :創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 06:27:44 ID:D2ingBgr
まだ様子見

410 :創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 11:41:56 ID:GOnTb4QK
埋め

411 :創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 13:30:44 ID:OLbwUg9j
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412 :創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 13:31:40 ID:OLbwUg9j
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413 :創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 13:32:09 ID:OLbwUg9j
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414 :創る名無しに見る名無し:2009/02/05(木) 13:32:40 ID:OLbwUg9j
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