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ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第四部

1 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 20:16:16 ID:JaivTWtq
このスレはジョジョの奇妙な冒険のキャラクターを使ったバトロワをしようという企画です。

まとめサイト
http://www10.atwiki.jp/jojobr2/

したらば
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/11394/
前々スレ  ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第二部
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1212967001/
前スレ   ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd第三部
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1220152714/




2 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 20:22:27 ID:JaivTWtq
【第一部:ファントムブラッド】8/11
○ジョナサン・ジョースター/○ディオ・ブランドー/○ロバート・E・O・スピードワゴン/○ウィル・A・ツェペリ/
○エリナ・ペンドルトン/○ジョージ・ジョースター1世/●ダイアー/○黒騎士ブラフォード/○タルカス/●ワンチェン/
●ジャック・ザ・リパー

【第二部:戦闘潮流】5/10
○シーザー・アントニオ・ツェペリ/○シュトロハイム/●リサリサ(エリザベス・ジョースター)/●スージーQ/
●ドノヴァン/●ストレイツォ/●サンタナ/○エシディシ/○ワムウ/○カーズ

【第三部:スターダストクルセイダース】13/15
○ジョセフ・ジョースター/●モハメド・アヴドゥル/○花京院典明/○J・P・ポルナレフ/○イギー/
○ホル・ホース/○ラバーソール/○J・ガイル/○エンヤ婆/○ンドゥール/
○オインゴ/●マライア/○アレッシー/○ダニエル・J・ダービー/○ヴァニラ・アイス

【第四部:ダイヤモンドは砕けない】10/12
●東方仗助/○空条承太郎/○虹村億泰/○広瀬康一/○岸辺露伴/○山岸由花子/
●矢安宮重清(重ちー)/○トニオ・トラサルディー/○川尻早人/○片桐安十郎(アンジェロ)/○音石明/○吉良吉影

【第五部:黄金の旋風】13/15
○ジョルノ・ジョバァーナ/○ブローノ・ブチャラティ/○グイード・ミスタ/○レオーネ・アバッキオ/
○パンナコッタ・フーゴ/●トリッシュ・ウナ/○サーレー/○ホルマジオ/○ペッシ/○プロシュート/
●ギアッチョ/○リゾット・ネエロ/○ティッツァーノ/○チョコラータ/○ディアボロ

【第六部:ストーンオーシャン】 10/15
○空条徐倫/●エルメェス・コステロ/○F・F/○ウェザー・リポート/○ナルシソ・アナスイ/
●エンポリオ・アルニーニョ/●ロメオ/○グェス/○サンダー・マックイイーン/●ラング・ラングラー/●ケンゾー/
○ヴィヴィアーノ・ウエストウッド/○ミュッチャー・ミューラー/○ドナテロ・ヴェルサス/○エンリコ・プッチ

【第七部:スティール・ボール・ラン】 8/10
○サンドマン/○マウンテン・ティム/○リンゴォ・ロードアゲイン/○マイク・O/●オエコモバ/
○スカーレット・ヴァレンタイン/○ブラックモア/○フェルディナンド/○ミセス・ロビンスン/
●ベンジャミン・ブンブーン

【残り67人】

3 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 20:24:25 ID:JaivTWtq
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
勝者のみ元の世界に帰ることができる。
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
開催場所は、荒木のスタンドで作られた異次元世界であり、外に逃れることは不可能である。
開催場所は、杜王町ベースのJOJOワールド。
MAPはこちら>http://rowvj6pbm.ame-zaiku.com/index.html

【首輪と禁止エリア】
プレイヤーは全員、荒木のスタンドで作られた首輪を取り付けられている。
首輪の爆弾が発動すると、そのプレイヤーは死ぬ。(例外はない。爆発後にC・ダイヤモンドで治す等は不可能)
この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、荒木にプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
また、プレイヤーには説明されないが、実は盗聴機能があり音声・会話は荒木に筒抜けである。
首輪が爆発するのは、以下の条件の時である。

* 荒木が放送で指定した禁止エリア内に、プレイヤーが入ったとき。(首輪が自動で爆発)
* 首輪を無理やり取り外そうとしたとき。(〃)
* 24時間で、一人も死者が出なかったとき。(全員の首輪が一斉に自動で爆発)
* プレイヤーが、荒木に不利益な行動をとろうとしたとき(荒木本人がスイッチを押すことで、手動の爆発が可能)

4 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 20:24:59 ID:JaivTWtq
【主催者】
荒木飛呂彦。ジョジョロワ1stの荒木飛呂彦とはまた違う荒木である。

【参加者】
参加者は、上記の通りこれ以上の増員は絶対に認められません。
参加者の容姿、記憶、能力は、そのキャラクターを最初に書いた人に委ねられます。
(例:ディオ・ブランドー:ラグビー終了後 ジョルノ・ジョバーナ:ブチャラティに会う前)
そのキャラクターを最初に書く人はいつから来たのか明言を、
続けて書く人は前の話をよく読み時間軸の矛盾が起こらないように注意してください。
また、「作中で死亡したキャラクターが生き返った」は無しです。
あくまで死亡する前の時間軸から連れてきただけになります。
(例外として、殺されたのに永遠に死ねないディアボロがいます)

【能力制限】
スタンドは、スタンド使い以外でも視認可能。ただし、接触・破壊はできない。
柱の男は、頭を潰されれば死ぬ。
肉の芽、GER、バイツァダスト、メイド・イン・ヘブンは使用不可能。
カーズの究極生命体化も不可。

【支給品】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給される。
「食料(パン数個)」「飲料水」「懐中電灯」「開催場所の地図」
「鉛筆と紙」「方位磁石」「時計」 「デイパック」「名簿」「ランダムアイテム」
以上の9品。

【ランダムアイテムについて】
「ランダムアイテム」は『ジョジョ作中に登場するアイテム』『日用品』『現実の武器』等から選択。
猫草、ココ・ジャンボなどのスタンド能力を持つ支給品を登場させてもOK。
『参加者に能力を付与してしまう可能性』のあるアイテム、
つまり石仮面・弓と矢・聖人の遺体などは不可。




5 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 20:26:16 ID:JaivTWtq
【予約】
キャラ被りを防ぐため、自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
例 【予約】:空条承太郎、ディオ・ブランドー
期間:予約当日から3日間。予約期間後は、他の人が予約または投下してもOKです。
予約しなくても投下することはできますが、
その際は他に予約している人がいないか十分に確認してから投下しましょう。
延長制度
@期間→1週間。その後は他の人が投下してもOK(一言断って貰えると助かる)。
A権利→本編で2作以上採用されている作者のみ。新人はまず2回採用を目指そう。
B途中報告→2〜3日目に1回と、5〜6日目にもう1回。
C間に合わなかったときのペナルティ→次回だけ予約の期限が3日以内に。
{間に合わなくても、投下しても構わない。その代わり、なるべくお早めに。
その際も、途中報告をちゃんとする。}

【トリップ】
投下後、作品に対しての議論や修正要求等が起こる場合があります。
書き手は必ずトリップをつけてください。

【投下宣言】
投稿段階で被るのを防ぐため、
投稿する前には必ず議論スレで 「投下します」 と宣言をして下さい。
いったんリロードし、誰かと被っていないか確認することも忘れずに。

【キャラクターの参加時間軸】
このロワでは登場キャラクターがいつの時点から召集されたかは
「そのキャラクターを最初に書いた人」にゆだねられます。
最初に書く人は必ず時間軸をステータスにて明言してください。ステータスについては下記。

【ステータス】
投下の最後にその話しに登場したキャラクターの状態・持ち物・行動指針などを表す
ステータスを書いてください。
テンプレはこちら。
【地名・○○日目 時間(深夜・早朝・昼間など)】
【キャラクター名】
[スタンド]:『名前』
[時間軸]:ここはキャラの登場時間軸。できるだけわかりやすく
[状態]:(ダメージの具合・動揺、激怒等精神的なこともここ)
[装備]:(武器・あるいは防具として扱えるものはここ)
[道具]:(ランタンやパソコン、治療道具・食料といった武器ではないが便利なものはここ)
[思考・状況](ゲームを脱出・ゲームに乗る・○○を殺す・○○を探す・○○と合流など。
      複数可、書くときは優先順位の高い順に)

【作中での時間表記】
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24


6 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 20:36:26 ID:JaivTWtq
おまけ

【愉快な被害者達】4/?
●ダニー/●アヌビス神/●宮本輝之輔○ポルポ/○ココ・ジャンボ/○スコリッピ/○サヴェジ・ガーデン/●DアンG/●とある海洋冒険家のワイフ/
Coming Soon..

7 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 20:37:44 ID:JaivTWtq
という訳でスレ立て終了〜
最後変なの入ってるけど気にしない方向で〜

8 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 20:42:09 ID:USLe3nxL
こいつに「お疲れ様」の言葉を送りたいんですが構いませんねッ?!

テンプレの間違いの訂正、あと予約についてもお疲れ様でした

さて後は投下に備えて待っとくか………

9 : ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:00:56 ID:ojzDQooU
>>1乙!

では鉄塔組みの投下行きます
支援の言葉は>>1乙でお願いしますねww

10 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:01:51 ID:JaivTWtq
ではこの>>1も支援に参加させて頂こうッ!

11 :ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:02:38 ID:ojzDQooU
「随分かっこいいこと言ってくれるじゃないか神父様よぉ。漫画だったら名ゼリフ確定なんじゃないのか?」

沈みかけた月に照らされて夜の闇とは対照的な色を映し出す漫画のページ達。
サーレーの能力により宙に“固定”された紙は何十枚の領域で表す事が限界に近付いてゆく。
ビリッと軽快な音を立て再びコミック本体からページが千切り取られた。
この漫画の作者である岸辺露伴が見れば一発でプッツンするに違いない。

「でもよぉ。アンタは空を飛ぶ能力でも持ってるのかい? 持ってねぇんだろ?
 そんな能力あったらわざわざヘリになんて乗るわけねぇもんな!
 だったら俺の有利が揺るぐ事は絶対にないんだよぉ!」

眼前で滞空しているヘリコプターの搭乗者を挑発する言葉を飛ばし続けるサーレー。
しかし、ヘリのパイロットであるエンリコ・プッチは眉一つ動かさない。
ヘリをホバリングさせ操縦席に座りながら己の半身、ホワイトスネイクを発現した。
が、あくまでも傍に立たせているだけでサーレーに攻撃を加える様子は一切見て取れない。
“固定”の能力ならば近寄らない限りは問題ない、
むざむざ相手のテリトリーである空中に踏み込んでいくよりは待ちに徹したほうが賢明だと判断したからだ。

(こっちに攻撃しねぇってことはヤツには飛び道具がないと判断してもいいな、
 あったとしても俺の優位は絶対に崩れる事はないんだけどよ。
 仕方ない、あの気味悪いスタンドのスペックでも確認しておくか……)  

得体の知れない相手に無策で突っこんでいくのは自殺志願者か自信過剰の馬鹿位だろう。
本来サーレーは後者であったのだが、自らの油断が敗北を招いたミスタとの戦いにより多少の慎重さを得たのだ。
ズボンの右ポケットを漁り、あらかじめ地上で拾っておいた小石を数個掴み取る。
湿った石の冷たさが興奮して火照った掌に気持ちよい。
付近にある紙の“固定”を一時的に解除し、一枚一枚丁寧に回収していく。
そして、自分の真下で再度“固定”し五十センチ四方ほどの足場を作り出した。
強度を確認するかのように二、三回強く踏みしめた後、野球の投手とよく似た構えを取りスタンドの腕を自分の腕と重ね――――

「お手並みを拝見させてもらおうじゃねぇか。えぇ?」

スタンド、それも近距離パワー型が投擲すればただの小石であろうと凶器と化す。
サーレーの手元からプッチへと飛んでいった小石の数は四。
それぞれが銃弾並みのスピードを持つそれを一発でも喰らえば重症は必至。
しかし、それでもプッチは微動だにしない。いや、そもそも人間の視力では視認できるはずが無い。そう……人間の目では。
ヘリの中にいるのは人間であるプッチだけではない。
四回、きっかり四回だけ傍らに立つ者、ホワイトスネイクは腕を振った。

「なるほど。どうやらパワーの面では貴様のスタンドは中々の優れものらしいな」

プッチの意思でホワイトスネイクが握られた手を開く。
小さな塊が四つ、掌から開放されたとこにより重力の影響を受けてヘリの床へと落下していく。
カツンと言う音を立てて軽くバウンドした物体はサーレーが投げた石。

「やっぱりパワー型のスタンドだったか。外見で大体予想は出来ていたんだがなぁ!」

足場の上からサーレーが吼えた。

「うぉりゃぁ!」

左手に握られたコミックを両手に持ち替えた後、
再びクラフト・ワークの腕を己の腕に重ね、雄叫びを上げながら力任せに背表紙を引きちぎる。
そして、やけにさまになる感じで左手に残った背表紙を背後へと投げ捨てた。
無残にも千切り取られた背表紙は徐々に小さくなっていき、二人の視界から消える。
彼の手に残るは紙の束へと成り果てた哀れな『本だった』もののみ。

12 :ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:05:22 ID:ojzDQooU

(こいつ……何をする気だ?)

眉を少しだけ吊り上げ、プッチの表情が初めて変化を見せた。
疑問の回答はすぐに彼の眼前に広がることとなる。
サーレーがスタンドの腕で紙の束をヘリの上空へと投げたのだ。
が、スタンドの力で投げたといっても紙は所詮紙に過ぎない。
表面積の広さと質量の不足により紙はローターの真上で失速し、ヘリの真上から白い雨を降らせる結果に終わった。

(なるほど…ヤツの能力、降り注ぐ紙、そしてこの環境。
 空っぽの頭の持ち主なりに考えているらしいな)

ホワイトスネイクの目から自分の脳へと伝達される光景がサーレーの策を伝えていた。
白い雨の半分以上は何も無い空間で固定されている。
しかし、一部の紙はヘリのローターへと吸い込まれていく。
別に魔法やスタンドを使ったわけではない。
ただ、浮力を得るためにプロペラが回転する際に発生する下降気流にのまれていっただけだ。

「神父様。とっととヘリのエンジンを止めな! 死にたくなかったらよぉ〜」

ローターに絡みついた紙が“固定”されることにより回転を妨げる。
行き場の無くなったエネルギーが付け根を破壊しようと押し寄せ、金属が軋む不吉な音がプッチの耳へと届いた。
やれやれ。
友人を殺害した忌々しき男の口癖を呟き、プッチは鍵穴にささったキーを捻り完全にヘリの動きを停止させる。
ヘリが墜落しないと分かった以上コクピットに座っている必要は無い。
ゆっくりと育ちのよさを表すような優雅さで立ち上がるプッチ。

「ヘリを固定してくれたおかげで私は自由に動けるようになったよ。
 貴様は極度の自信家か? それとも単なる馬鹿か?
 ……どっちでもいいな。私の手で貴様を始末するという事項はすでに決定されている」
「おいおい、自信家って言うのは自分のことじゃないのか?
 動けるってもヘリの中だけだろ? 神学ばっか勉強して頭脳がマヌケになったか?」

サーレーとプッチの行動は同時、コンマ一秒のズレも無く始まった。

13 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:05:55 ID:JaivTWtq
僕の漫画をどうしてくれる!このスカタンがァーッ
ではなく支援

14 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:06:39 ID:456egYiG
支援だ1乙

15 :ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:07:50 ID:ojzDQooU


先程と同じくポケットから小石を取り出して宙へとばら撒き始めたサーレー。
彼は一度だけでは飽き足らず何度も何度も、一切の光沢を持たない小石を夜空にばら撒き続けた。
掌から銀色に輝くDISCを一枚発生させたホワイトスネイク。
このDISCに書き込まれた命令は『気絶する』という事。

(殺してもいい……。が、エシディシにスタンドを与えると約束したからな……。
 出来るだけ殺さずにコイツは確保するッ! そう! 羽虫を潰さず捕らえるようにだ!)

さっきのお返しだと言わんばかりにフリスビーを投げる要領でサーレーヘ円盤を飛ばす。



行動自体は同時に始まったが、終了までにかかる時間には大きなズレがある。
当然、単一の動作で終わるホワイトスネイクの方が反復させているサーレーよりも速い。
神業的なコントロールにより、DISCはまっすぐにサーレーの頭へと突き進んだ。

(何故ガードをしない?)

プッチは疑問に思う。
あくまでもこれは牽制としての一撃であり、ヘリにおびき寄せるための捨石にすぎなかった。
だが、目の前の男はガードの姿勢すら見せずにひたすら小石を漁っている。

「ルールを変えない限りはじゃんけんのグーにはチョキじゃ勝てねぇよな?
 どうやらこの場合は俺のクラフト・ワークがグーの方だったみてぇだなぁ!」

奇跡的にばら撒かれた小石に掠ることすらなくDISCはサーレーの元へと辿り着いた。
それでも彼の精神の化身は弾き飛ばす動作すら見せずに異物を見送る。
回転する円盤はついにサーレーの額の皮へと触れ体内へ侵入しようと―――――。








16 :ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:10:23 ID:ojzDQooU
「うぇっ! 何だこれ!? ただの飛び道具じゃないのかよ畜生!!」

DISCは5分の1も入らずに“固定”の能力により侵攻を止められた。
直後、彼は悲鳴に近い叫び声を上げ慌ててDICSを頭から引き抜く。
サーレーも驚いていたが、驚いたのは彼だけではない。
プッチも表面上は冷静さを保ちながらも内心では冷や汗を流していた。

(スタンドではなく本体も触ったものを固定する能力……だと?)

一般的な能力はスタンドの拳、広くてもスタンドの体に触れることでしか発動しない。
しかし、目の前の男は本体。それもど身体のどこに当たったとしても固定することが可能のようだ。
更に、高速で飛来してきた上に強制的に体内へと侵入しようとする作用を持ったDISCをストップさせるほどの固定の強さ。
驚愕がやった後に心の中で静かに燃え出したのは好奇心と歓喜。

(もし、もしこの能力をエシディシが得たとしよう。
 彼の回復力に攻撃が深く食い込む前に完全にストップさせるこの能力が加わったとしよう。
 ……素晴しい。彼も喜んでくれるのではないだろうか?
 結婚式は何度も見て来たが結婚指輪をプレゼントする男の気持ちを欠片でも理解したのは初めてだよ)

「おいおい? 自慢の能力が効かなくって変になっちまったか?
 ただのフリスビー遊びじゃない事は分かったが、その程度じゃこのサーレーに勝つのは1000年早いぜ!」

サーレーの指摘で知らず知らずにホワイトスネイクの口元が緩んでいたという事に初めて気が付く。
自分らしくないなと軽く自嘲気味な息を漏らし、再び口元を引き締める。
DISCが通じなかったのはこの際目を瞑る事にした。
今、最も気にしなければならないことはサーレーの目の前にある“固定”された数十個の石。
サーレーの能力には未だ未知数な部分がある。プッチはそう判断していた。

「で、神父様はもう攻撃しないのかい? 冥土の土産としてやりたいだけやってもいいぜ。
 俺に当たる可能性が万に一つでもあれば奇跡だろうがなぁ〜」

油断をしないという教訓は完全に頭の中から吹き飛んでいる。
彼の頭にある光景は自分の勝利ただ一点のみ。
サーレーは既にヘリを使って何処に行くかという事を考え始めていたのだ。

「じゃあ、そろそろ俺のターンでいいんだよな?」

サーレーの宣言に自然と体が勝手に警戒態勢を取り始めた。
自身の体を庇うようにホワイトスネイクを前面に配置する。
本体に近ければ近いほどパワーが増していく特異な性質を持つホワイトスネイクが最も力を発揮できる位置だ。
後ろからの奇襲も警戒すべきだが、“固定”の特性上背後から来る可能性は低いと考え、最低限の注意を向けるのみに留める。

「減らず口を叩くのはいい加減にしたらどうだ?
 知性の欠片すら見て取れない発言を聞いていると頭が痛くなってくるんだよ……。 
 さっきまでの会話の相手がマトモだった分余計にね」

別に手を出せない悔しさで悪態を吐いているのではない。
チンピラ全開のサーレーに心底嫌気がさしているだけなのだ。
だが、一人勝ち誇るサーレーにそんな感情の機微が伝わるわけもなく……。

「負け惜しみは終わったな? じゃあ一つだけ今からやることのヒントをやるよ。
 俺のスタンド、クラフト・ワーク。こいつで固定してる物に力を加えたらどうなると思う?」

プッチに問いかけると同時にサーレーは“攻撃”を開始した。

17 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:10:49 ID:JaivTWtq
固定した相手に怪焔王の流法・・・
グロ死体を量産しそうな組み合わせだ・・・

18 :ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:12:56 ID:ojzDQooU



トントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントン
トントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントン
トントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントン
トントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントントン

何も知らない者の視線になると、歯を剥き出しにした無機質な人型が両手の人差し指で延々と宙に浮く小石をノックするというシュールな映像となっただろう。
しかし、全てを悟ったプッチはこのシュールでありどこか不気味さを感じさせる光景に戦慄した。
自身の身に降り掛かることになるであろう恐るべき現実に気が付いてしまったのだ。



―――――――この場にいるのはマズイ!


プッチの足がヘリの床から離れる。
そしてその足を後部にあるスペースへと着地させようと―――

「賢い神父様は気が付いたみたいだな? 俺の行動と周りにある小石の恐ろしさがよ〜。
 だが、場所を移動するのは『許可』しない。まぁ墜落死したいなら話は別だがな。
 あまりお勧めしないぜ? 俺のヘリはぶっ壊れるし、お前も恐怖を味わいながら死に行くことになるしよ。
 俺は慈悲深い。抵抗しなきゃ即死させてやるから安心して神に祈りを捧げてていいぜ」
「2…3……5…7………11…13……17………」

ゆっくりと足の着地地点を変更し、元の場所と寸分違わぬ所へと置く。
プッチの口から漏れ出すのは素数。
ここからでは十メートルほど離れたサーレーに抵抗する術がない。
そう、エンリコ・プッチはこれから起こるであろう運命を覆す事は不可能なのだ。
天国へ辿り着くことが出来た彼は言った。
「未来を知り『覚悟』ができるというのが『幸福』であると」
プッチは『サーレーの攻撃を確実に喰らう事』を覚悟したのだ。
このことがこの戦いにどのような変化をもたらすかは本人にすら分からないことであったが。

「ん〜よくよく考えたらこんだけ残弾があるのにチマチマやるのも無駄じゃねえか!
 思いっきりぶん殴ればよぉ〜多少コントロールが狂うがショットガンみたいになるよなぁ?」

二つの小石をずっと叩き続けていたサーレーが指を止めた。
一本だけ立てていた人差し指をそっと折り曲げ、拳を作る。
そして、眼前に散らばる小石という名のサンドバッグを―――――

19 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:14:34 ID:JaivTWtq
支援

20 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:14:36 ID:456egYiG
柱の男とクラフト・ワーク!
これほど相性の(ry

21 :ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:15:24 ID:ojzDQooU

「クラフトッ・ワアアアアアアアアアアアアアクッッ!!」

滅茶苦茶に殴りつけた。
一撃一撃が人間を死に追いやる破壊の嵐を喰らってもビクともしない小石。
エネルギーはどれ程溜まったのだろうか?
プッチ、そして本人であるサーレー自身にすら分からない。
“固定”から小石を解放したとき初めて理解するのだ。

「ふぅ……そろそろいいだろ。
 俺からも祈っておいてやるぜぇ〜。第一実験者のアンタが天国に行けるようになぁ〜」

死刑宣告と共にサーレーは脳内で『固定を解除する』という信号を発した。
小石が自由と取り戻すと共に、内に秘められた行き場の無いエネルギーが解き放たれる。
そのベクトルの矛先はヘリコプター。
飛礫の雨が風を切り裂いて夜空を駆け抜ける。



小石のうち幾らかはヘリに当たることなく暗闇へと姿を消した。
だが、小石は4分の3近く残っていた。
掠った際に機体の外側を削り取り線状の傷を何本も作る。
金属、ガラスと素材を問わずに穴を開けヘリの内部へと飛び込む。
固いシートにめり込み動きを止める物。そのまま貫通して彼方へ消え去る物。
一発が危うくプロペラをへし折りそうになった時は流石のサーレーもヒヤッとした。

「ウオシャアアア!」

自分に当たる小石だけを選択してホワイトスネイクのラッシュで弾き飛ばす。
何処へ飛んでくるか分からない危うさはあるものの飛んでくるスピードはほぼ一定。
数発弾き返せば体がスピードに慣れてくる。

(この異常な環境で……私の目も狂ってしまったみたいだ……
 こんなカスを過大評価してしまうとはな……)

22 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:17:56 ID:JaivTWtq
神父〜〜〜〜
ジョジョにおいて自分の視点で相手を貶すことは負けフラグだぞッ!

23 :ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:18:12 ID:ojzDQooU











「うぐっ!?」

何が起こったかプッチには分からなかった。
咄嗟に両腕で頭を庇ったおかげで頭部に目立った傷は見当たらない。
だが、頭部を庇ったが故に小石を止めるものが無くなる。
幸い胴体に当たる分は弾ききっていたものの、四肢は凄惨な状態となっていた。
濃紺色の神父服には穴が開き、そこから対照的な色の液体が滲み出る。
服が下にある褐色の皮膚と共に抉り取られ、一部では肉体を支える白い塊が露となった。

……これらの『軽症』は気にしないでもいいだろう。
肉が削げた、体に穴が開いた。確かにダメージは大きいはずだ。
しかし、主要の血管には傷が付いていないので失血死する可能性も低い。
ならば遥かに軽い傷なのだ。


左胸にハッキリと残る弾痕が表す傷に比べれば。


ホワイトスネイクが動きを止め、色を失っていく。
プッチは動かない。
徐々にホワイトスネイク越しに背後の景色が見えるようになってきた。
瞬き一つしない。
ついに、ホワイトスネイクの存在が消えた。
初めてプッチが動く。
ゆっくりと後ろへと倒れこんでいく体。
ハッキリと目で捉えられる動作で床へと近付いていく。
無音だった。
ある程度の体重がある成人男性が一人倒れこんだのにも関わらず、終焉は非常に静かな物であった。


24 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:18:33 ID:456egYiG
今更だがタイトルうしとらか支援

25 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:19:41 ID:JaivTWtq
おおしんぷよディオが近くにいたのにしんだとはなさけない

26 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:19:48 ID:456egYiG
神父ううううううううう!!
途中で勝利を確信しちゃうから・・・

27 :ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:20:49 ID:ojzDQooU

「Amen.だったよな?
 カトリックとかプロテスタントとかは詳しくねーからな!
 まぁ、精々成仏することを……って、それは仏教だった」

彼の言葉には人を殺したという重みは全く無い。
ただ、ヘリを奪うのに邪魔だったから殺した。
チンピラといえど危ない橋を幾度も渡ってきたサーレーにとってはその程度の認識でしかなかったのだ。
足場にしていた紙の固定を解除し、底の見えない奈落へ落ち行く最中で再びその紙のうち一枚を“固定”。
クラフト・ワークの右手で固定された紙を掴み、左手で宙を舞う紙を回収。
その紙を再固定することにより、前方に掴まる物を生み出し
そして、空いた左手で一番近くにある紙へ掴まる。
更に、右手で握っていた紙の固定を解除した後、前方へ突き出し再固定。
丁度、うんていと呼ばれる遊具と同じ要領で着々とヘリの方へと前進していくサーレー。
欲望にまみれた目をギラギラさせながら、ヘリを操縦する自分を想像して口元が緩む。

「さ〜て。何処に行こうかね?
 観光旅行と洒落込みたいところだが燃料も不安だしキッチリと決めにかからなきゃなぁ。
 まっ、こんな上空に攻撃できるやつなんざそうそういねぇんだし此処でゆっくり考えるのもありだ」

今後のプランについて考えながら昇降口の縁に手をかける。
軽い掛け声と共についにサーレーは念願のヘリコプターを手に入れた。

「しっかし……快適ってヤツとは程遠い環境になっちまったなクソッ!
 だけどよぉ〜幾らあの二つが速いとはいっても近距離型を掻い潜るには弾幕が必要だっただろ?
 うわっ!? 座席とかは完璧にボロボロじゃねーかよ!」

ボヤキながらプッチの元へと近寄り、顔を覗き込む。
年を経ても鈍らぬ輝きをもった瞳は閉ざされ、神の教えを説いたり友と理想を語り合ったりした唇も微動だにしない。
念のために口の上に手を当てるも呼吸はしておらず、胸に手を置くも鼓動は感じられない。
プッチの完全なる死を確認すると、サーレーはコクピットへと向かっていった。

「ヘリの操縦なんて初めてだからチョックラ緊張してきたぜ。
 墜落しても大丈夫だからいいんだけどなぁ」

乱雑に鍵を捻り、再びエンジンを起動させる。
動力源の巨大な唸り声を聞くとサーレーの心中は興奮と歓喜で彩られた。
当然、ローターに絡む紙の解除を忘れるなど間抜けなマネをするはずもない。
が、起こるべくして起こることも存在した。

「うおっ!?」

ヘリを支えていた紙が解除された。
プロペラが全く回転していないのにも関わらずだ。
そうなれば重力に引かれて落下するということなどニュートンでなくても分かる。
しかし、ただでさえハイになってるチンピラの判断力と注意力は小学生と同等程度。
地面へ向かってまっしぐらなヘリの中。彼は操縦桿を握りながら必死な思いでスタンドを発現、ヘリを宙に固定させる。

「あっぶね〜! やっぱり車と同じノリで行くのは無理があったな」

何気なく爆弾発言を飛ばすサーレー。
このまま強行してヘリの残骸を一機残すのも馬鹿らしいので彼は頭を使って考えることにする。

28 :ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:23:14 ID:ojzDQooU



………頭を抱え込みながら閃きが出るのを待つ。



………すぐ脇の壁を拳で叩く。



………傍に置いてあったヘルメットを後部座席へと投げる。



………血走った目で自身に溢れる破壊衝動を必死に抑える。



こうして、後一刻遅ければクラフト・ワークでヘリをスクラップにしていたであろう精神状態の中、サーレーの脳内で巨大な電球が輝いた。
『一旦着陸させてから再び飛ばせばいい!』
ちなみに着地法は“固定”を解除して地面すれすれで再び“固定”すること。
時間を取って考えた割にはあまりにも杜撰すぎるが本人は至って満足気。
嬉々とクラフト・ワークの能力を解除しようとして――――――――





何故かヘリよりも先に墜落している自分に気が付いた。

29 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:24:34 ID:oejLPg+Y
支援

30 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:24:54 ID:456egYiG
何いいいいいいい
さっきからものすごいどんでん返しだな
支援

31 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:25:02 ID:FRa04LH4
 

32 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:25:04 ID:JaivTWtq
あ、ありまま起こったことを(ry
俺は能力を解除しようと思ったら(ry
なにを言ってるのか(ry
もっとおそろしい(ry

33 :ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:25:44 ID:ojzDQooU
妙に気持ちよい風も独特の浮遊感も驚愕の前にかき消されていく。
声を出す事すらまどろっこしい。
スタンドによって方向転換を行い、先程まで自身が乗っていたヘリを見た。
遠ざかっていく二つの人影。
黒い肌に、血に濡れた修道服。
所々にアルファベットの刻まれた白い体。
心臓を貫かれ、死んだはずのエンリコ・プッチが己のスタンドを携えて立つ姿がそこにはあった。

「キリストの復活ってやつか? 本当にあるんだったら俺も帰ったらキリスト教を信仰させてもらおうかね」

ぼやきつつ、ヘリにかけられた“固定”を解除。
落ち行くヘリを眺めつつ、自身も着陸に備え迫る地面との距離を目測で図る。
宙で靴を脱ぎ、クラフト・ワークに握らせる。
爪先が地面から10センチまで近付いた所で靴を“固定”。
その際に生じる衝撃はスタンドの頑丈さで全て受け止める。

「ふぅ〜。で、ヘリはどうなったのか……げっ!」

そのまま地面へと難なく着地を遂げたサーレーが空を見上げると、ヘリから飛び出したプッチの姿が見えた。
場所的に考えて、木にでも突っ込んで衝撃を軽減しようとしたのだろう。
だが、そんなことはどうでもいい。
目下最大の危機は無人のヘリがピンポイントで自分の下へとやってきていることだ。
回避は不可能。
それでも、彼の能力を考えればこの程度で死ぬのはありえない。

「俺の手に掛ればよぉ。爆走する機関車ですら指先一本で何とかできんだぜ?
 この程度のことで俺のクラフト・ワークを何とかできるとでも思ったか?」

人差し指のみを立てた指を天へと突き出す。
相手のスタンドは近距離型だから飛び込んだ先からここへ攻撃するのは不可能という油断故の行動だ。
かなりのスピードを持っていたが、指先に触れた瞬間に静止するヘリコプター。

「油断シタナ……確カニ相性ハ最悪ダッタ……ガ、コレデ私ガ一手上ヲイッタ」

直接心に響く声。
それと寸分経たず両頬に当てられる温かいのか冷たいのかよく分からない感触。
咄嗟に“固定”する。
回転する視界、そして暗転。
サーレーの首は180度捻じ曲げられ、中を通る神経系は完全に破壊された。
途絶えた意識と共に解除されるヘリコプターの“固定”。
彼の肉体はヘリコプターと地面にプレスされ、原型を留めずに挽肉となった。

「彼の……言葉を……借りて言うならば……『ヘリコプターだっ!』という感じだろうな……。
 しかし……危ない相手だった……。“これ”がなければ……隙を突く事すらできずに……死んだかもしれんな……」

胸から取り出されたのは一枚の円盤。
壊れないという特性を持った一人の男の記憶の結晶。
本人の知らぬところで“弟”は“兄”を救ったのだ。

「さて……スタンドを奪えなかったのは残念だったが、露払いには成功した。
 エシディシならば大抵の敵は何とか出来るに違いないが万が一という事もある。
 特にスタンドはこっちの方が遥かに熟知してるからな……」

ホワイトスネイクを攻撃に回したため、木で軽減したとは言ってもかなりの衝撃がプッチを襲ったはずだ。
が、麻薬中毒者のように震えながらもプッチは二本足で立ち上がり歩き始める。
休むのは自分達に降りかかる火の粉を一通り払った後。左右に揺れる背中はそう告げていた。


【サーレー死亡 残り66名】

34 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:25:50 ID:FRa04LH4
 

35 :ヤツは空にいる ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:26:31 ID:ojzDQooU
妙に気持ちよい風も独特の浮遊感も驚愕の前にかき消されていく。
声を出す事すらまどろっこしい。
スタンドによって方向転換を行い、先程まで自身が乗っていたヘリを見た。
遠ざかっていく二つの人影。
黒い肌に、血に濡れた修道服。
所々にアルファベットの刻まれた白い体。
心臓を貫かれ、死んだはずのエンリコ・プッチが己のスタンドを携えて立つ姿がそこにはあった。

「キリストの復活ってやつか? 本当にあるんだったら俺も帰ったらキリスト教を信仰させてもらおうかね」

ぼやきつつ、ヘリにかけられた“固定”を解除。
落ち行くヘリを眺めつつ、自身も着陸に備え迫る地面との距離を目測で図る。
宙で靴を脱ぎ、クラフト・ワークに握らせる。
爪先が地面から10センチまで近付いた所で靴を“固定”。
その際に生じる衝撃はスタンドの頑丈さで全て受け止める。

「ふぅ〜。で、ヘリはどうなったのか……げっ!」

そのまま地面へと難なく着地を遂げたサーレーが空を見上げると、ヘリから飛び出したプッチの姿が見えた。
場所的に考えて、木にでも突っ込んで衝撃を軽減しようとしたのだろう。
だが、そんなことはどうでもいい。
目下最大の危機は無人のヘリがピンポイントで自分の下へとやってきていることだ。
回避は不可能。
それでも、彼の能力を考えればこの程度で死ぬのはありえない。

「俺の手に掛ればよぉ。爆走する機関車ですら指先一本で何とかできんだぜ?
 この程度のことで俺のクラフト・ワークを何とかできるとでも思ったか?」

人差し指のみを立てた指を天へと突き出す。
相手のスタンドは近距離型だから飛び込んだ先からここへ攻撃するのは不可能という油断故の行動だ。
かなりのスピードを持っていたが、指先に触れた瞬間に静止するヘリコプター。

「油断シタナ……確カニ相性ハ最悪ダッタ……ガ、コレデ私ガ一手上ヲイッタ」

直接心に響く声。
それと寸分経たず両頬に当てられる温かいのか冷たいのかよく分からない感触。
咄嗟に“固定”する。
回転する視界、そして暗転。
サーレーの首は180度捻じ曲げられ、中を通る神経系は完全に破壊された。
途絶えた意識と共に解除されるヘリコプターの“固定”。
彼の肉体はヘリコプターと地面にプレスされ、原型を留めずに挽肉となった。

「彼の……言葉を……借りて言うならば……『ヘリコプターだっ!』という感じだろうな……。
 しかし……危ない相手だった……。“これ”がなければ……隙を突く事すらできずに……死んだかもしれんな……」

胸から取り出されたのは一枚の円盤。
壊れないという特性を持った一人の男の記憶の結晶。
本人の知らぬところで“弟”は“兄”を救ったのだ。

「さて……スタンドを奪えなかったのは残念だったが、露払いには成功した。
 エシディシならば大抵の敵は何とか出来るに違いないが万が一という事もある。
 特にスタンドはこっちの方が遥かに熟知してるからな……」

ホワイトスネイクを攻撃に回したため、木で軽減したとは言ってもかなりの衝撃がプッチを襲ったはずだ。
が、麻薬中毒者のように震えながらもプッチは二本足で立ち上がり歩き始める。
休むのは自分達に降りかかる火の粉を一通り払った後。左右に揺れる背中はそう告げていた。


【サーレー死亡 残り66名】

36 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:27:09 ID:FRa04LH4
 

37 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:28:38 ID:JaivTWtq
サァァァァァレェェェェェ

38 :名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:29:01 ID:ojzDQooU
「何だ貴様は? この俺、ディオ・ブランドーに個人的な用事があるわけではあるまい?
 俺は急いでいるんだ。馴れ合いたいなら次に会う奴とやっているがいい」

抑揚の一切無い冷淡な声。
内に秘めた恐怖と焦燥を覆い隠してディオは目の前の男を睨みつける。
見覚えはある。最初の広場で一、二を争う驚愕の表情を見せたので脳裏に焼きついていたのだ。
それを確認した瞬間、心なしか緊張が解けた気がした。
平静な表情に似合わぬ量の冷や汗はようやく流れ落ちるのを止め、
一生分は稼動したのではないか? と思えるほど鼓動を打っていた心臓も徐々に本来のペースを取り戻していく。
しかし一刻を争うこの状況は冷静さを奪い去り、ディオの口を滑らせた。
それはこの場においては致命的なミスとなりうる。
本来ならカードの一つとして使用できる名前をおめおめと晒してしまった事に彼はまだ気が付いていない。

(威勢だけはよかったものの、ただの臆病者か。
 ……が! そんな奴のせいで俺が一瞬でも恐怖を抱いたのは確か!
 気に食わん……荒木もジョルノもリンゴォもコイツも! この怒りをどうすればいいんだ?)

威圧的に突き放されたときから無言で震える青年を一瞥してディオは鉄塔へと向かう。
ラグビーで培った健脚はここまで走ってきた消耗を問題にせず、再び彼を走らせた。
体力の温存などは気にもかけていない。
一刻も、一刻も早く鉄塔に辿り着く。到達後にどうするかという問題ではない。
ジョルノに一泡吹かせる前に彼が死んでしまうという事態だけは認めるわけにはいかないのだ。
整い始めた呼吸音が再び荒れ始める。
一打ち毎に心臓の鼓動が加速していく。
全身から汗が滲み出し、着ていたシャツを湿らせる。
体温が上がった体に、夜の冷たい風が心地よい。

「てめぇ、確かにディオ・ブランドーっていったよな? そして、名簿にはディオの名は一つしか存在しねぇ。
 つまり……貴様が俺のじいさん、ウィル・A・ツェペリの敵って訳だ!」

最初は感情を押し殺そうとしていたものの溢れる感情の奔流は抑えがたく、
唯一の出口である喉から口内を通り怒声という形で外部へと飛び出していった。

「会いたかったぜ〜。何せ俺が貴様の存在を知ったときは既に太平洋の藻屑と消えてたんだからなぁ!」
 
師、リサリサから話を聞いたときからずっと憎んできた、ディオ・ブランドーという名の吸血鬼。
彼は祖父の愛弟子であったジョナサン・ジョースターによって打倒されたはずだった。
幼い頃からディオと過ごし、数多くの大きすぎる物をディオから奪われた彼にこそ復讐の権利があると
ぶつけようが無い熱した鉄のような憎しみを心中に押し込めて波紋の修行に勤しんできた。
だが、本人を目にした瞬間に感情の殻は融点を超える怒りの前にあっさりと溶け落ちる。
今の彼、シーザー・A・ツェペリは理屈ではない。魂が、自分の体に流れる血が肉体を突き動かしているのだ。

39 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:29:01 ID:USLe3nxL
1乙
うわあああサーレェエえーーーッ!

40 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:29:28 ID:456egYiG
あーん!サーレーが(ry

41 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:30:58 ID:JaivTWtq
ディオ!(お前)終わったよ…

42 :名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:31:05 ID:ojzDQooU


何だコイツは?
これがシーザーに対してディオが抱いた感想であった。
それは自らに対する身に覚えが全く無い話の事ではない。
異常な状況下で興奮したが故に、名前だけでどこぞの同姓同名の人物と考えていると彼は判断する。
ディオが真に驚いたのはそこではない。
もしもプライドが無ければ目は限界まで見開かれ、口はだらしなく開いただろう。

(俺は確かに全力で走っていた。それにヤツが走り始めるまでには百メートルは離していたはずだ!
 ならば……ならば何故コイツは俺の隣で走っている?
 しかもあの声……走りながら発したはずなのに途切れるどころか震えすらしなかったぞ!?
 本当にコイツは人間か? 蒸気機関でも積んでるんじゃないだろうな?)

驚異的な脚力と圧倒的なスタミナを見せ付けてきた目の前の男。
更に彼は非常に殺気立っており、握られた拳が何時こっちへ飛んできてもおかしくはない。
限界まで空気を入れた風船よりも一触即発な状況下で彼が選択した答え。
それは足を止めて青年と会話を試みることであった。
選択としては間違っていない。誤解からディオに襲い掛かろうとしているならば誤解を解くだけで話は終わるからだ。
しかしこれは自身の安全をある程度保障すると同時に、ディオのプライドを酷く傷つける選択であった。

(分かっている……この選択は“逃げ”だ!
 恐らくヤツはスタンド使い。能力は身体能力を強化するもの。
 認めざるを得まい……この俺ではどんな手を尽くしたところでコイツには勝てん……。
 ならばこの場において最も優先すべきは何だ?
 ……そう。俺のプライドを守りきることだ。ズタボロに踏みにじられたプライドをなぁ!
 では、薄汚れたプライドを崩壊させる事は何だ?
 このままコイツから逃げることか? 命を乞うことか?
 違う! 断じて否だ! 最も屈辱的なこと、それはジョルノに受けた借りを一つも返さずに終わることだ!)

奥歯を噛み締め屈辱を覆い隠しながらディオはシーザーに語りかける。

「俺は貴様に危害を加える気はない。……これで証明できるだろ?」

ディバッグを投げ捨てて、両腕を頭の上に持っていき抵抗をする気がないという事を示す、
……シーザーの死角を突いてカバン内から引き抜いた紙をズボンに挟んで。

攻撃してくるならば反撃すればよかった。
逃げるのならばその背中にシャボンランチャーを浴びせてやればよかった。
他にも数々の想定をしていたシーザーにとってもディオの対応は完全に計算外であった。
一瞬だけ気が緩み、だらしなく口の開いたマヌケな表情を晒すこととなる。
きつく握られた拳を持つ両腕は脱力して肩から垂れ下がった。
ディオの言った事を理解したのは全身の筋肉が弛緩した寸刻後。

「てめぇ……危害を加える気がねぇだと?何を企んでやがるんだ、おい!」
「何を企んでるだって? はっきり言っておくが会話の目的は貴様の誤解を解くことだ。
 祖父なんざの存在は知ったこっちゃないし、殺す気もさらさらないね。
 お前の言ってるディオ・ブランドーは同姓同名の別人じゃないのか?」
「……ジョナサン・ジョースター、ロバート・E・O・スピードワゴン、ジョージ・ジョースター。
 そしてウィル・A・ツェペリ。このメンバーが揃っていてお前だけが別人だと思うほど俺がヌケサクに見えるかディオ・ブランドー!」

43 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:31:43 ID:456egYiG
ディオさまがヒエラルキーをどんどん落下していく・・・

44 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:33:01 ID:JaivTWtq
ディオ様じゃない・・・あれはただのディオさ・・・
美化されすぎてたんだよ・・・これが本来の姿・・・

45 :名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:33:41 ID:ojzDQooU
(あぁ……本当に貴様はヌケサクだ。訳の分からん妄想で俺を祖父の敵にしたくって仕方がないみたいだからな。
 が、気になる点も幾つかある。何故俺がジョナサンやジョージの関係者だと分かった?
 ……さっきこいつが上げた名は名簿で俺の周辺に書かれた連中の名だったな)

SFという言葉が生まれる前の時代に生きていたうえに、文学に詳しいわけでなかったディオはタイムトラベルという概念すら脳内に持ち合わせていなかった。
だから“未来人”であるシーザーの言葉を説明する事ができず、結果、彼を狂人と判断させるに至る。
が、その反面で府に落ちない点が幾つかあるのがディオを困惑させる。
溢れ出る仮定と思考の渦に囚われた彼がシーザーの拳をかわせたのは完全に偶然だっただろう。

「ちぃっ!」

シーザーが悪態をつくが、本当に不満を漏らしたいのはディオの方であった。

(さっきの一撃は嫌な予感がしたから避けれたものの、こんな幸運は何度も続かん。
 くそっ! 動体視力の限界を越えた拳速を持った相手をこの間合いで何とかしろだと!?
 ……やってやろうではないか! この程度の試練を乗り越えられなくはアイツには一生掛っても届かん!)

シーザーに向き直り、ベルトに挟んだ紙を右手で引き抜く。
長期戦になれば勝ち目がない。
いや正確に言えば、一撃で何とかしなければ圧倒的な身体能力の前に為す術もなく斃されることとなる。
自分を殺そうといきり立つ男の前で、ディオは現状を正確に把握した。
しかし、一般人に毛が生えた程度のディオが一撃で波紋使いを戦闘不能にすることが出来るのか?
常識的に考えれば答えはノーだ。
だが、現在彼の手に持つ紙にはとある物が詰まっていた。
絶望的な状況を引っくり返し得る可能性を持つ切り札。
ディオは天高くそれを突き出し叫ぶ。

「ロ―――――――――――」
「させるかっ!」


ディオの高らかな宣誓は途中で遮られる事となる。
シーザーが間合いを詰めて来るのは視認できた。
そこから先は何が起こったか分からない。
肺から空気が搾り取られるような感覚でようやく自分が殴られたのだと気が付いたディオ。
手から紙は離れ、呼吸が出来きない苦しみに悶絶しようになる。
更に、殴られた痛みがようやく追いついてくる。
この二つだけでも気絶しそうな苦しみとなるのだが、止めとばかりに与えられた拳で触れられた瞬間に感じる謎の痺れ。
後方へと飛んで行く体。
徐々に遠くなっていく意識。
宙に舞っていく紙。
ディオの顔に浮かぶ笑み。
二つ折りの紙が開く。
中から出るは黄色を主体としたボディに灰色のローラー。
最後の力を振り絞り、ディオは“それ”の名を呟く。


46 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:34:21 ID:USLe3nxL
あれ…こんなディオ様も結構好きかも……

47 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:36:01 ID:JaivTWtq
ディオの時代にロードローラーってあったっけ?

48 :名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:36:16 ID:ojzDQooU
「ロード……ロー…ラー……だっ!」

時が止まった。
刹那の硬直、そして落下。
ロードローラーの持つ膨大な質量が大地を揺らす。

(なるほど……ジョルノの言っていた巨大な車というのはこれか……。
 想像とは少し違ったがまぁいいだろう……
 そんな事よりも……あの場所へ……あの場………)

茂みの中へと突っ込み、手足の一部を小枝で切ったらしいが痛みを感じない。
内臓を潰されたような痛みすらも消え始めている。
鉄塔へと向かうという強い意志がここまで意思を保たせていたが、肉体の限界がそれを阻む。
指先を何度も痙攣させ、ついにディオは虚無の世界へと意識を飛ばした。




落下の衝撃で舞い上がった土煙が晴れていく。
まず明らかとなったのは圧倒的存在感を醸し出すロードローラーの姿。
シーザーの姿は何処にも見えない。
地面との激突により生じた轟音が全ての音を攫っていったかのような静寂。
周りに生える木々のみが風に葉を揺らし微弱な音を立てる。
ようやく露となった地面に見えるのは黒い染み。
そしてロードローラーに潰されたシーザー。
流石の波紋も唐突すぎる攻撃と、重機の重みには対抗できなかったらしい。
変わり果てた肉片からは命の液体が滲み出し、地面を湿らせる。
長くもあり短くもあった戦いの歴史に幕は落ちる。

49 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:38:25 ID:JaivTWtq
ああ・・・何故俺の書いたキャラばかり死んでいく・・・

50 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:38:28 ID:USLe3nxL
>>47
エニグマの表面に「ロードローラー」って書いてあったんじゃね?

51 :名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:38:43 ID:ojzDQooU


「っつ、あああああああああああ」

ミンチになった左腕を無理矢理抜き出すシーザー。
彼の腕に手首より先は存在しない。
また左肘から先は肉はほとんど残らず、辛うじて付いている部分もボロキレ同然。
露出したカルシウムの固まりは血に濡れ、白から紅へと染められる。
更に、切断面の幾つかからは千切れた神経と血管が外気に触れ、シーザーの体から血液を奪うと同時に激痛を与えた。

「この程度……俺は…まだ戦えるっ!
 爺さんの敵は討ったがなっ! 俺はまだ父や友の敵を討っちゃいねぇ!」

波紋を腕に流し込んで、痛みを軽減させようとする。
だが、それも気休め程度にしかならない。
出血は波紋の力で大分収まってきたものの、苦痛は未だに彼の体を蝕む。
けれども彼に歩みを止めようという発想はない。
敵討ちの高揚感なのか自身の正義感が動かしているかは不明だが、怪我を意に介せずにシーザーは鉄塔へと向かう。
その瞳に情熱の炎をたぎらせて――――――――。



★  ☆  ★

52 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:39:16 ID:FRa04LH4
 

53 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:40:08 ID:FRa04LH4
 

54 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:40:49 ID:JaivTWtq
シーザー・・・

55 :名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:41:15 ID:ojzDQooU
何もない平地にそびえ立っているせいか異様な存在感を醸し出す鉄塔。
上空では一人の神父とゴロツキが戦い、付近には帝王や波紋戦士、漫画家に看守。果ては異常性癖の持ち主までもいる。
そして丁度麓では、一人のギャングスターと柱の男がプランクトンとギャンブラーを観客に対峙していた。
機械を連想させるスタンドの眼に黄金の意思を宿した瞳。
二対の目がジョルノの眼前に立つエシディシを射抜くも、彼の双眸からは余裕が見て取れる。
視線がしばし交し、ただでさえ一触即発の空気が更に膨らんでいく。
重厚さを増していく雰囲気の中、一人悩むF・Fにジョルノが不意に声をかけた。

「あなたを悪人ではないと信用してお願いがあります。
 恐らく僕は目の前の男との戦いで精一杯になってしまうでしょう。
 だから、落下してきた彼の治療を貴方にやってもらいたいんです。
 手足はたった今僕の能力で生み出しました。接合面に当てるだけで付くはずですから」
「おい! あたしはまだお前の事を信用してねぇぞ!」
「その辺の件については戦闘後にじっくり話します」

緊張感溢れる現状においてもジョルノの声はあくまでも冷静。
ダービーの事をF・Fに託して彼はエシディシへと飛び掛っていく。

「無駄ァッッ!」

柔らかな会話の時とは打って変わって荒々しい声を張り上げる。
繰り出された拳が向かうのはエシディシの頭部。
寸分の狂いもなく正確無比に固められた拳撃は目標へ飛んでいき、
人間よりも遥かに強力で密度の大きい筋肉の詰まった腕に阻まれる。
が、ガードされようとされまいと彼の能力の前には些細な違いにしかならないだろう。

「ゴールド・エクスペリエンス!」

スタンド名を叫び、触れた拳から生命エネルギーをエシディシの体へと流し込む。
無生物を生物に変化させるほどの現象を起こすのだから当然そのパワーは強力。
それを生物へと流し込めば、感覚が暴走して肉体を置いていってしまう。
分かりやすく言えば『自由に体を動かすことが出来なくなるのだ』
彼自身すらつい最近まで気が付かなかった能力をエシディシへと使用する。
ジョルノの予定通り、彼が腕を引いたにも関わらずエシディシは腕をかざしたままの格好で硬直した。

「残念ですが貴方は僕“達”と志を共に出来る人種でないと思われます。
 なので、軽く再起不能になるまでやらせてもらいますよ。
 ……何かの間違いがあったら僕の能力で治療するんで、まぁ我慢してください。
 あんな挑発的な登場されたら敵かと疑う他はないですから、貴方にも責任はありますからね」

右の拳を高く掲げながら死刑宣告を告げるジョルノ。
自身よりも遥かに背の高いエシディシを見上げる目には感情は無い。
目の前にいる男を半殺しにするのに喜びを感じる訳ではなく、暴力に嫌悪を感じるわけでもなく
ただ障害を排除するだけだという冷徹さを秘めた瞳。
エシディシは動かない。
いや、彼の瞳だけは動いていた。
冷静さと激情という相反する感情を混ぜ合わせた目で自身の腕を見ていた。

「なるほど……スタンドには本当に色々あるようだな………
 実物を見るのは二度目だが実際戦うのは初めてだ。
 精々俺を楽しませて見ろよ……なあああぁぁぁ〜〜〜!」

押し込めていた感情を解き放つ如き声。
最後の言葉を要約すると『異常』この一言に尽きる。
気圧されないように冷や汗を垂らしながらも驚愕を押し隠すジョルノと、ダービーへ向かう足を止めてエシディシを見るF・F。
場の雰囲気がエシディシによって作られていく。

56 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:41:18 ID:FRa04LH4
 

57 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:44:03 ID:USLe3nxL
支援したなら使っていいッ!

58 :名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:44:05 ID:ojzDQooU

「早く彼の治療に向かってください!」

ジョルノが初めて声を荒げた。
いいのかよ!? と聞き返すF・Fに静かに顎を下げて返事。
少し戸惑いながらもF・Fはダービーの下へと辿り着いた。

「通す気は……無いようだな」
「えぇ、当然でしょう?」
「一つだけ警告してやろう。お前のスタンド能力は生命力を注ぐ物だろ?
 “人間”にどのように作用するかは分からぬが俺にとってはエネルギー補給にしかならん」
「警告ありがとうございます。ですが敵にわざわざ告げるということは裏がありますね?」

エシディシの言に対してつれない返事を返すジョルノ。
顎に手を当てて困ったような声で彼はジョルノに問う。

「俺が戦闘狂だからじゃ駄目か?」
「信用に値するかどうかは分かりませんね」
「俺が本当の可能性を言っている可能性は考えていないのか?」
「考慮はしてますが判断するのはあくまでも僕です」

エシディシの口元が緩む。
彼が言っていたのはブラフなのか? それとも真実なのか?
正解は“どちらも”である。
偶然の産物か運命か、彼のスタンドが生み出す生命エネルギーの一部が波紋と酷似していたのだ。
それはあまり多量ではないので肉体を滅ぼすほどの出力にはならないが、柱の男を痺れさせる程度にはなる。
だが、微弱な波紋でも体内で使われれば多大なダメージをあたえうる。
つまりエシディシはジョルノを“食す”ことが出来なくなったのだ。
しかし波紋と同じ作用をするのは本当に僅かな物。
その他のものはエシディシの言ったとおり“栄養”となってしまう。
プラスマイナスで言えばジョルノのマイナスのほうが大きいのだ。
それでもエシディシは警戒することを決めた。

「MM? お喋りしすぎもよくないな」

ダービーの方にちらりと目を向けると、F・Fがダービーの四肢を丁度繋いでいるところだった。
早くしなくては逃げられる。エシディシは表情を変えてジョルノへと襲い掛かる。

59 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:44:11 ID:JaivTWtq
ザ・エシディシ!
時はううううあんまりだあああああああ

60 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:45:46 ID:456egYiG
シーザー痛々しいな・・・
がんがれコロネ様!

61 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:46:22 ID:JaivTWtq
コロネってなに?

62 :名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:47:14 ID:ojzDQooU
「無駄無駄無駄無駄無駄」

残像により拳が無数に見えるほどの嵐。
エシディシは一つ一つを見切り、捌き、反撃の機を窺う。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

ジョルノも生命エネルギーを流したり、流さなかったりして様子を探る。
が、目立った反応をエシディシは見せてくれない。
少しの痺れはあるものの気取られぬ様に無理矢理腕を動かす。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

所々でエシディシの反撃が混ざるようになってきた。
ジョルノも際どいところに迫る攻撃を叩き落とし、ラッシュを再開する。
優勢を保っているのはエシディシの方だ。
ジョルノのゴールド・エクスペリエンスと彼のスピードは互角、ならばパワーが上のエシディシが勝つのは明らかだろう。
最初の構図とは一転して攻めるエシディシを捌くジョルノ。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

激しい撃ち合いの最中、ジョルノの目が細まった。
スタンドの頭部を殴ろうとするエシディシの左腕を右腕で逆に殴りつける。
一瞬、ほんの一瞬であるがエシディシの動きが止まる。

「無駄アアッ!」

速すぎもせず、遅すぎもせずまさに硬直したタイミングでゴールド・Eの拳撃をエシディシの顔面へと叩き込む。
巨体が宙を舞って仰向けに地面へと叩きつけられた。
大きく空気を吐き荒くなった息を整えながら、額に浮かぶ汗を袖で拭う。

「ふぅ、あまりにも短いのでタイミングを取るのも大変でした。さて、治療は終わりましたか?」

何事も無かったかのような様子でF・Fにダービーの容態を尋ねる。

「大丈夫そうだぜジョルノ! 断面が変な黴で覆われていたから一応ぶった切っておいたけどな!
 しかし、スゲーなお前の能力。あたしの一部を繋ぎにすることも考えたんだが全くいらねーじゃんか!」
「えぇ、そ「ジョルノ……なるほど、お前がプッチの友人の息子だったか」
「プッチだと!?」

それぞれが個性を持つ3人の声が広い平地に響いた。

「プッチには悪いが……コイツを見逃しては後々厄介になるからな!」
ダメージを感じさせぬ生きてきた年月に恥じぬ重厚な声に殺意を込めて大気を揺らす。

「そりゃこっちのセリフだこの筋肉達磨! プッチの仲間を見逃すわけにゃいかねぇ!」
人間の声をしているがどこか不自然な怒声が広場に広がる。

「つまり……貴方はコイツと敵対するわけですね?一時的にでもいいので戦線を共にしましょう」
少年の影を残した声が辺りへと染み渡っていく。

一触即発の空気が場に流れ、無言のにらみ合いが続く。
三人の周りに大気が収束し、圧縮されていく錯覚を感じさせるプレッシャー。
沈黙した場を砕いたのはやはりジョルノの言葉であった。

「すみません、先程の発言は嘘でした。貴方は僕と協力しなくていい」


63 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:47:21 ID:USLe3nxL
ジョルノの髪型を見なッ!


64 :名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:49:13 ID:ojzDQooU

唐突な発言に戸惑いを隠せないF・F。
今が隙だと言わんばかりにジョルノへと跳ぶエシディシ。
彼の攻撃を再び捌くものの、上手い具合にタイミングをずらされ先程の方法が使えない。
そこで真意を量りかねたF・Fが加勢しようエシディシの拳を腕で防いで―――――――。


彼女の右腕は肘から先を完全に失った。


信じられない表情でF・Fは己の腕を見て、ジョルノとエシディシはF・Fを見る。
三人はほぼ同時に我を取り戻した。

「無駄ァ!」

ゴールド・エクスペリエンスの一撃が無防備だったボディにブローを入れる。
ガードの遅れたエシディシは再び数メートル飛んでいくこととなった。

「速く行って下さい! どうやらコイツは貴方の肉体を取り込んだようです! つまり貴方とヤツの相性は最悪!
 ですが、恐らくゴールド・Eの能力が関係して僕は食われずにすむ!
 ヘリが南に落ちるのを僕は見ました! ヤツの口ぶりからしてプッチとやらはそのヘリの中にいます!」

早口で内容を伝える。
F・Fは悩んだようにジョルノと南に交互に顔を向ける。
肩を大きく震わしながらも、自身の決定を告げるために口を開けた。

「お前は大丈夫なんだよな!」
「えぇ、死なないように努力します」

ジョルノの返事が終わる前にF・Fはダービーを背負って南へと走る。
無い左腕は周りのプランクトンを集めることによって代用。
愛する友の敵を討つためにF・Fは走る。
置いていった少年に髪を引かれる思いをしながら。





65 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:49:17 ID:JaivTWtq
?穴が穴が3つ空いてるだけだろ?

66 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:51:13 ID:456egYiG
ジョルノは頭にコロネをのせてる支援

67 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:51:37 ID:JaivTWtq
ダービーってドラゴンボールでいうとアックマンだよな・・・
技の発動条件がリスキーだけど決まれば一撃必殺な所が

68 :名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:51:38 ID:ojzDQooU
地面に倒れ伏したままエシディシはピクリとも動かない。
死んだと判断するかもしれないが、ジョルノは慎重に歩み寄る。
声が聞こえた。濃い声が呟いていた。

「人間ごときに……波紋使いでもない人間に顔面に二発も食らってしまった……」

ジョルノの経験は告げる。
この男はプライドが高すぎるが故に激高して身を滅ぼすタイプだと。
事実、目の前の様子を見れば誰がどう見てもそう思うだろう。
エシディシが上体を常識を逸した速度で持ち上げた。
警戒を強め、ゴールド・Eを構えさせる。
その後の彼の行動は完全にジョルノの予想を覆すこととなった。

「あ……あんまりだ……」

ジョルノの方を見ようともせず、呆然と前を見つめるエシディシ。
双眸に水滴が集まり、一筋の河となって頬を流れ落ちる。
それは涙と呼ばれる液体。
初めは少量、それが量を増していき、ついには滝の如く迸り始める。
同時に発せられる声も徐々に大きくなり、泣いているというよりもむしろ鳴いているといったほうが近いかもしれないほどになった。

「あああああああああああああああああああんまりだああああああああああああああああああああああああ
 HEEEYYYYYYYYYY AHYYYYYYYYYYYYY AHYYYYYYYYYYYYYYYYY」

あまりの光景にジョルノは警戒を薄め、呆然とエシディシを眺める。
彼の様はどう見ても大きな子供。さっきまでの人物には別人としか思えない。

「WHOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」

攻撃も忘れたジョルノの前でエシディシは鳴き続ける。
しかし、ジョルノもいち早く我を取り戻してエシディシに止めを刺そうと拳を振り上げる。
込められるエネルギーを全て注ぎ込んで流し込む生命エネルギーの量を限界まで増やした拳がエシディシに迫る。

「ふぅ。スッキリしたぜ。そして、お前はミスを犯した! 泣き喚く俺に気を取られ、安直な攻撃を繰り出したな!
 お前が気が付いたように、俺も発見したぞ! お前の能力は拳に触れなければ何も怖くないとなあああああああああああああ!!」 

スタンドと共に伸ばされたジョルノの腕に手刀を入れてジョルノの腕を切断する。
飛び出す鮮血、切断面からは骨が覗く。
即座に残る腕で地面を殴り、失った腕を創造。
生身の腕で拾い上げて、切断面同士を繋ごうと押さえる。
が、この隙を逃してくれるほど目の前の柱の男は甘くは無い。
腕が接合するまでの間、片腕のゴールド・Eでエシディシを相手にしなければいけなく
そしてそれはあまりにも荷が重過ぎる話であった。
ラッシュを掻い潜った突きがジョルノの胴体を狙い――――

69 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:52:15 ID:JaivTWtq
ああ、頭がコロネに見える訳ね?
なんか萌えオタくさい仇名で嫌だなあ・・・

70 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:54:39 ID:456egYiG
名言キターーーー

71 :名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:55:25 ID:ojzDQooU


エシディシが後方へと吹き飛んでいった。
ジョルノの手にあるのは蛙。
手を作る際にコッソリと忍ばせておいた蛙だ。
エシディシに見られる前に蛙を小石へと戻し、治した左腕の様子を試すように後ろへ放り投げる。

「ふむ、お前はまだ能力を隠しているようだな。 
 で、次にお前は『答える必要はありません』と言う」
「答える必要は……なかなかすごいですね。よっぽど頭がよくて心理を把握できなければ出来ない芸当ですよ」

ジョルノの無関心そうな褒め言葉にもエシディシは気分を害さない。
ニヤついた気味の悪い笑みを浮かべながら両手の人差し指を立て―――――




自分の全身を突き刺した。
傷口からは血液が滴り、自身の体に吸収される。
痛みを感じるどころかむしろ嬉しそうな様子で突き刺すエシディシに流石のジョルノも背筋に嫌なものが走る。
身体に無数の穴ぼこの空くエシディシが叫んだ。

「MUUUUUUUUUU『怪焔王』の流法!
 お前に秘められた能力があったように俺にもまだ隠し玉が残っていたんだよぉ!!」

空洞から蛇使いの蛇のように血管が飛び出してくる。
先端からは鮮血が滴り、地面に生えている草を焦がす。

「なるほど……熱々のシチューのように煮えたぎる血。それが貴方の能力なのですね」

ジョルノが相手にするのはエシディシの四肢と体中から伸びる血管達。
先程までは四肢で精一杯であった。
今回の攻撃はその上、無数の血管が攻撃に加わる。
如何なる策も講じる暇のないジョルノの勝ち目は限りなく薄いだろう。
しかし、彼は信じることにした。自分のスタンドの身体能力と生命を与える能力を。

「ゴールドッッ・エクスペリエンスッッッ!!」

精神を奮い立たせる咆哮と共に彼はエシディシの下へと突っこんでいった。


72 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:55:33 ID:USLe3nxL
まぁ、気にすんな
使う人がいるんだ〜、って感じで覚えるぐらいでおk

73 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:55:46 ID:JaivTWtq
ジョルノ相手に頭脳戦は死亡フラグだぜ!

74 :名に棲む鬼 ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 21:57:42 ID:ojzDQooU















唐突、全てが唐突であった。
ジョルノも目を丸くして驚いている。
恐らく自分の目の前で起こった現象が理解できないのだろう。
臨戦態勢であったエシディシがいきなり崩れ落ちたことに。
次は自分の番なのかと辺りをせわしなく見回し、一人の男を見つけた。
聖職者関係であるのが服装で見て取れた。
しかし、全身に刻まれた傷と昏倒したエシディシが目の前の男が只者でないことを告げる。
二人の間に緊張が走り、お互いに一歩も動かない。

「君が……ジョルノ・ジョバァーナだね」

流れる沈黙を神父服の男が破った。

75 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:57:50 ID:FRa04LH4
 

76 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:58:42 ID:FRa04LH4
 

77 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:58:44 ID:JaivTWtq
なんという衝撃のファーストコンタクト・・・
これは誰でもビックリする・・・

78 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:59:29 ID:Oo9UO9SC
神父ひでぇww

79 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:59:48 ID:JaivTWtq
まぁ、数時間で友好関係を深めようが
所詮プッチの中ではエシヂィシ<ディオだもんなあ・・・


80 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 21:59:58 ID:456egYiG
なん・・・だと・・・?

81 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:00:30 ID:JaivTWtq
プッチよ・・・こいつはウン何とかとかリキエルとかとは違うぞ・・

82 :賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 22:00:53 ID:ojzDQooU
★   ☆   ★

時はプッチvsサーレーが終わって少し後へと遡る。
プッチは自身の傷を意に介せずに鉄塔へと向かっていた。
幸い鉄塔はこの位置からでも見えていたので、迷子になる事は無い。
片足を引きずりながら彼は一歩一歩確実に進んでいった。

「おい……そこの神父……」

不意に聞き覚えのある声が聞こえた。
掠れていて聞き取りづらかったものの、忘れることの無い懐かしい声。
出会うことは想定していた。しかし、こんなに早く会えるとは思わなかったのでプッチは面食らっていた。

「ディオ、君か? 一体何処にいるんだ?」

返事は無い。
シーザーの件があり、ディオは一方的な知り合いに強い警戒心を抱くようになっていた。
息を潜め、人影が去っていくのを木陰で待つ。
当然、彼のプライドは千切れ飛びそうになるものの、理性と言う名の鎖が怒りを繋ぎとめる。
憤怒によって痙攣する手足を必死で押さえて、身を潜める。
切り札をなくした彼が、スタンド使いや波紋戦士に抗う術はない。
何よりも彼自身がその事を自覚していたので、大人しく潜んでいるのだ。

「ディオ! 私だ! エンリコ・プッチだ!」

ここまで呼びかけた所でプッチの頭はとある可能性を導き出した。
死んだはずの旧友と思いがけぬ再開を果たしかけた所為で頭から抜け落ちていたとある可能性を。
それは彼にとってはあまりにも残酷な仮説。
しかし、これは乗り越えなければいけない試練。
プッチは口を開けた。友が友で無いと確認するために。

「まさか……君は私と知り合う前の時代から来たというのか……」

時代と言う言葉が引っかかりつつも、ディオはプッチの言葉を欠かさずに聞く。
プッチも返事が無い事を気にせずに姿の見えないディオに語りかける。

「いいかいディオ。私が今から言うことは嘘偽りの無い事実だ。
 結論から言わせて貰うよ。私達は荒木のスタンド……超能力によって別々の時代から連れて来られたんだよ。
 そして、私は君の未来の友人だ。証拠を言おう、君は父が嫌いだった。君が語ってくれた数少ない思い出さ……」

プッチがキーワードを言い終わった瞬間だった。
慎重な行動やジョルノへと
荒い息をしたディオが、木の陰から飛び出してほうほうの体でプッチへと掴みかかる。

83 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:02:16 ID:FRa04LH4
  

84 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:02:16 ID:JaivTWtq
それじゃただの危ない人だぞ神父よ・・・

85 :賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 22:03:14 ID:ojzDQooU
「貴様ッ……どこでその事を知った! そもそも俺はアイツを父親と認めんッ!」

腹の底から湧き上がる怒りを声に変換して口から搾り出す。
襟を掴んだその手は弱弱しいながらも執念によってきつく握られる。
プッチは友人の怒声に瞳に悲しみを色濃く残すも、表面上は冷静に言う。

「すまない……。その話はまた後にして欲しい。今は火急の用があるからね……。
 が、約束はするよ。未来の君が何をやり、何を遺してきたのか教えると言うね
 だから私に着いてきてくれないか? お願いだ」
「断る! 俺は今から向かわなくてはならん場所がある」

そう言って今にも倒れそうな足取りで鉄塔へと向かうディオ。
だが、ダメージが早々回復するわけもなく、足の力が抜けて大きくバランスを崩す。
倒れ掛かったディオの肩をプッチが支えた。

「余計なことをするなっ! 一人でも歩ける!」

組まれた肩を振り払い、フラフラと歩み始めるディオ。

「何故俺を付回す!?」

後ろを同じペースで歩くプッチに怒りをぶつけるディオ。
静かに、普段から低いトーンを更に低くしながらプッチは答える。

「偶然だが……知り合いが鉄塔に向かっていてね。
 それに、君が何と言おうとも私は君の友であるつもりなんだ」

更に言い返そうとするも体力の消費が激しい上、一刻も早く鉄塔へ向かわなくてはいけなかったので無視して進む。
二人は無言で突き進む。

(未来の俺だと? コイツは気が触れているのか? ……いや、さっきのやつの言動も未来の俺が何かやらかしたと思えば納得がいく。
 ならば頭を下げて未来の俺の事を聞くのか? コイツは俺の未来の友らしいから可能ではあるだろうがな……
 まぁいい。未来の俺とやらの話を詳しく聞くまではコイツの存在は無視しよう)
(ディオ……君が私の事を知らないのは残念だが、此処に君が存在するだけで私は喜びを感じるよ。
 しかし、これからどうするべきか…… 未来のDIOは死んでしまっていてスタンドDISCも記憶DISCもない……)

様々な思惑を内に秘めながら二人は歩いた。
互いに一切の言葉を交わすことは無い。
ただ、傷ついた体を引きずって前へと進んで行くだけだ。
そして、辿り着いた鉄塔。
戦うジョルノとエシディシ。
追い詰められたジョルノ。
エシディシを殴りかねない勢いで飛び出したディオ。
発せられたジョルノという名。
咄嗟にエシディシに『気絶する』という命令のDISCを投げる。


こうして話は現在へと戻った。

86 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:03:16 ID:456egYiG
神父はもうちょっと落ち着けw

87 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:04:39 ID:FRa04LH4
  

88 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:04:56 ID:JaivTWtq
これはもう神父ウハウハだなwwww
自分の知り得なかった部分を補完出来そうだしwwwww

89 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:05:26 ID:456egYiG
さて、残す問題はFFと神父か・・・

90 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:06:09 ID:FRa04LH4
  

91 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:06:55 ID:FRa04LH4
 

92 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:07:13 ID:j6rDWMlT
 

93 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:07:16 ID:JaivTWtq
取りあえず ID:FRa04LH4は空撃ち自重すべきだと思うんだ。
コメントとか支援とか書いてあった方が書き手さんも嬉しいと思うが

94 :賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 22:07:39 ID:ojzDQooU
あなた、誰ですか? という言葉を出そうとして途中で飲み込む。
ジョルノの視界に入る不機嫌そうな顔をした金髪の男。
ついさっきまでは一緒に行動していたパートナーが後方に見えたのだ。

「彼が連れてきてくれたんですね。本当に……助かりましたよ」

心底ホッとした様子でジョルノは右腕を差し出す。
友好の証である右手。
プッチは躊躇うことなくその掌を己の左手で包み込み言った。

「始めまして、私はエンリコ・プッチ。君の父親の親友だ」
「僕の父親とは……?」
「ディオ・ブランドー、私の後ろに立っている人物だ。
 とはいっても君には今更説明する必要も無かったみたいだがね。
 いや、運命と言うのはあるのかもしれないね。
 まさかこの短時間で親子が再開を果たしていたとは思わなかったよ」

人当たりのよさそうな声と顔でジョルノと接するプッチ。
握った手を離し、話の核心へと前置きなく踏み入った。

「ちょっといいですか?」
「どうしたんだい?」

打ち明けられた衝撃的な事実を聞くも、ジョルノに動揺はない。
冷静にプッチへと質問を返す。

「僕の父は左肩に星型の痣があるはずですが、彼にはありませんでしたよ?」
「簡単さ、私たちは時間を越えて集められている。これだけで分かるだろう?」

プッチの返事にジョルノの鉄面皮が剥がれ落ちる。
ジョルノは咄嗟にディオの方を見た。
その態度に口を開くまいと誓っていたディオの唇が激しく動く。

「貴様もコイツの世迷言を信じてると言うのか!? 馬鹿馬鹿しい! 」
「ディオ……口では否定しながらも、君は僕に着いてきているだろう?
 それこそが君が僕の話に興味を持っている証拠じゃないのかい?」
「―――――ッッッッッ!」

顔を赤め、ディオは再び押し黙る。


95 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:09:10 ID:456egYiG
まあ、空打ち派とコメント派がいるし、どっちでもいいんじゃない?
書き手さんで「コメント邪魔」とか「空打ち勘弁」って人がいたら遠慮なくそう言っていいと思うし

96 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:09:34 ID:JaivTWtq
ディオは凄く新鮮wwww
DIOじゃこうはいかねえwwwww

97 :賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 22:09:40 ID:ojzDQooU
「しかし、時を越えて集められたと言うのは面白い仮説ですね。
 それに……僕の父のことにも興味があります。
 どこか安全な場所で少しお話がしたいのですが?」
「あぁ、私もそう考えている。が、すまないが彼を起こさないと話は進まないんだ。
 だからホンの少しでいいから待っていてくれ」

言い残し、プッチはエシディシの傍にしゃがみ込む。
この時点でジョルノには悪い予感がした。
そして、それは見事に的中することとなる。
プッチの手がエシディシの頭へと突っこまれると、そのまま銀色の円盤をエシディシの頭から引き抜く。
ジョルノは冷や汗を掻きながら、安堵した精神を再び引き締める。
一秒、二秒、丁度三秒後にエシディシは上体を起こした。

「MM? 俺は気絶していたのか?」
「あぁ。君がジョルノと戦っていたからね。止めるにはこれしかなかったのさ」
「プッチ…お前の仕業だったか。だが、コイツのスタンドは俺たちにとって危険、止めるのは許さん!」

腕を使って体を持ち上げ、臨戦態勢に入る。
自分のことを眼中にも入れないエシディシに内心溜息を吐きつつ、プッチはエシディシの肩に掌を乗せる。

「エシディシ……二対一で勝てると思うかい?」

気が付けば自分の頭にはホワイト・スネイクの手刀が突きつけられており、いつでもDISCが抜ける状態になっていた。
更に目の前では何時でも拳を叩き込めるように構えるジョルノの姿。

「なるほど……これは俺が譲歩せざるを得ないということか……
 貸しが一つ出来たぞプッチ。いや、お前がスタンドを与えてくれるというならば相殺されるのか?
 まぁ、その辺に関しては後々ハッキリさせよう。
 そろそろ日が昇るからな……俺はコロッセオの地下で待つ。
 入り口は真実の口だ。分かったな? 時間が無いから急がせて貰うぞ!」



98 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:10:06 ID:FRa04LH4
ぬ、そうか。感想とかは最後にまとめて書く派なんで
後空のほうが直次撃てるから回数多い方がいいと思ってた
こいつは失礼

99 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:10:53 ID:j6rDWMlT
別にそんなんどっちでもよくね?
俺は空打ちだけど

100 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:11:55 ID:oejLPg+Y
支援

101 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:12:10 ID:USLe3nxL
別にどっちだっていいさ!
みんなジョジョを愛してる、それ以外に何が必要だい?

102 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:12:13 ID:JaivTWtq
いや、俺こそすまん・・・
人のやり方にケチをつけるのは良くないか・・・

103 :賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 22:12:29 ID:ojzDQooU
「しかし、時を越えて集められたと言うのは面白い仮説ですね。
 それに……僕の父のことにも興味があります。
 どこか安全な場所で少しお話がしたいのですが?」
「あぁ、私もそう考えている。が、すまないが彼を起こさないと話は進まないんだ。
 だからホンの少しでいいから待っていてくれ」

言い残し、プッチはエシディシの傍にしゃがみ込む。
この時点でジョルノには悪い予感がした。
そして、それは見事に的中することとなる。
プッチの手がエシディシの頭へと突っこまれると、そのまま銀色の円盤をエシディシの頭から引き抜く。
ジョルノは冷や汗を掻きながら、安堵した精神を再び引き締める。
一秒、二秒、丁度三秒後にエシディシは上体を起こした。

「MM? 俺は気絶していたのか?」
「あぁ。君がジョルノと戦っていたからね。止めるにはこれしかなかったのさ」
「プッチ…お前の仕業だったか。だが、コイツのスタンドは俺たちにとって危険、止めるのは許さん!」

腕を使って体を持ち上げ、臨戦態勢に入る。
自分のことを眼中にも入れないエシディシに内心溜息を吐きつつ、プッチはエシディシの肩に掌を乗せる。

「エシディシ……二対一で勝てると思うかい?」

気が付けば自分の頭にはホワイト・スネイクの手刀が突きつけられており、いつでもDISCが抜ける状態になっていた。
更に目の前では何時でも拳を叩き込めるように構えるジョルノの姿。

「なるほど……これは俺が譲歩せざるを得ないということか……
 貸しが一つ出来たぞプッチ。いや、お前がスタンドを与えてくれるというならば相殺されるのか?
 まぁ、その辺に関しては後々ハッキリさせよう。
 そろそろ日が昇るからな……俺はコロッセオの地下で待つ。
 入り口は真実の口だ。分かったな? 時間が無いから急がせて貰うぞ!」



104 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:13:31 ID:456egYiG
しえーん

105 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:14:45 ID:JaivTWtq
後はFFとダービーだな・・・
万全な状態のダービーならコイン一枚でも凶器になりかねん・・・

106 :賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 22:15:31 ID:ojzDQooU
言いたい事だけ言って、返事を聞かずに東へと走っていくエシディシ。
柱の男の身体能力が生み出す脚力は人智を超え、舞い上がる土を残して彼の姿は消え去る。
最大の壁を何の被害も無く消し去ることが出来た事に安心する二人。

「すみません。貴方とお話をしたいのは山々なのですが、先程ヘリから落とされたあの男。
 何故あのような行為を行ったのですか? 返事によっては―――」

あえてそこから先は言わず、スタンドを発現させることによって意思を伝える。
正直に好奇心で、落としたといえば間違いなく火種が炎上し始めるだろう。
だから、プッチは嘘を吐く。

「彼の手足には黴が生えていただろう? あれは誰かのスタンド能力で周りにも感染する物なんだ。
 ただし黴の発生には条件があって、それは低い位置に行くという事。
 私たちは被害を抑えるために高い所、要するにヘリコプターの上から彼をマップ外へと捨てようと思っただけだ」
「では、彼が僕たちの近くへ落ちてきた理由は? ついでに、ヘリコプターが墜落した理由も教えて頂けると嬉しいのですが」

信用を一切見せない冷たい声がプッチを貫く。
彼はジョルノからの信用を勝ち取るために作り話を続ける。

「彼が落ちてきたのは私達がスタンド攻撃を受けたからだ。
 物体を固定する能力の持ち主でね……苦戦したが何とか仕留める事ができたよ。
 その後については大方予想が付くね。エシディシが挑発的な言動を取ったんだろう? 彼のパートナーとして謝罪させてもらうよ」
「………。」

プッチの話に出た固定の能力者にジョルノは心当たりがあった。
チームの仲間であったミスタが戦ったサーレーというゴロツキがそのような能力を持っていたと聞いている。
だが、エシディシの好戦的すぎる態度にはイマイチ納得がいかない。
着いていくかどうするか。
顎に手を当て悩むジョルノがふと顔を上げると、ディオと偶然目が合う。
露骨に嫌悪感を示したディオを眺め、ジョルノは思う。

(この神父が僕の父の知り合いであるというのは確かだろう。父の名を知っているのだから……
 しかし、本当に信用できる人物かと聞かれれば首を傾げざるを得ないな。
 どうする? ……いや、答えは既に決まっている。
 父の話を聞きたいという好奇心もそうだが、コイツは僕が監視しなくてはいけない)

プッチに向き合って、彼の瞳をしっかりと見据える。
強い決意を持っているようだが、それに気圧されない意思を持ってジョルノは言葉を発する。

「いいでしょう。コロッセオで貴方の話を聞かせてもらいます」
「君の理解に感謝する」

今回はプッチが右腕を差し出してきた。
迷うことなく左手を出して、ジョルノはプッチの掌を握る。

「ディオ。君も着いてきてくれるのかい?」

振られた問い掛けに鼻を鳴らすディオであったが、プッチは気にせずに歩き始める。
ジョルノも少しプッチと距離を置きながらも彼の後へ着いていく。
その際に数回後ろを振り向くがディオは動かない。
だが、四回振り向いたところで 非常にいらいらした様子で歩き始めたのでジョルノも振り向かずに歩く。

(確かにあのデカブツはプッチとやらがスタンドを与えることが出来るという旨の話をしたな……。
 スタンドは確かに欲しい! だが、自称未来の友から貰うのも癪だ。クソッ、またこの手の悩みか!)

四人が去った後に残されたのは一本の腕。
プッチに、ディオにさえ黙ってジョルノが作り出した腕のみが暁の空の下に置いていかれた。

107 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:17:32 ID:FRa04LH4
 

108 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:18:05 ID:JaivTWtq
支援

109 :賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 22:19:07 ID:ojzDQooU
【崩れかけた帝王の城】

【D-2/1日目 早朝】
【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:内臓の痛み、右腕負傷、体力消耗(大)、プライドがズタズタ(悪化)、スタンド使いへの激しい嫉妬、ジョルノ、シーザー(と荒木)への憎しみ、自分に対する無力感、ストレス
[装備]:なし
[道具]:チャーイ(残量1.5g)、基本支給品 不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本行動方針:なんとしても生き残る。スタンド使いに馬鹿にされたくない。
1ジョルノが憎いが、借りを返すまではジョルノと行動を共にする。返した後は不明(現在は腹を立てているので借りについては保留)
2.勿論ジョルノとの行動の途中でジョナサン、エリナ、ジョージを見つけたら彼らとも合流、利用する
3.なるべくジョージを死なせない、ジョナサンには最終的には死んでほしい(現時点ではジョルノにジョナサンを殺させたい)
4.ジョルノが……俺の息子だと!?(半信半疑)
5.プッチとやらはスタンドを与える能力を持っているようだが、頼むのも癪だ!
[備考]
1.見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
2.チャーイは冷めません
3.着替えは済んでいます
4.ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
  ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
5.ジョナサン、ジョージの名前をジョルノに教えました。
  エリナは9割方死んでいるだろうと考えているので教えていません。(万が一見つけたら合流するつもりではいます)
6.シーザー戦で使用したロードローラ(3部のあれ)はD−3南部に放置されています。
  壊れたか、燃料が入っているかは不明です。
7..参加者が時を越えて集められたという説を聞きました(本人は半信半疑です)


【ジョルノ・ジョバァーナ】
[スタンド]:『ゴールド・エクスペリエンス』
[時間軸]:メローネ戦直後
[状態]:健康(ゴールド・エクスペリエンスで治療済み)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3
[思考・状況]
1.プッチと共にコロッセオへと向かう。
2.仲間を捜す
3.ディオに変な違和感(父という事には半信半疑)
4.ジョナサンの名前が引っ掛かる
5.プッチとエシディシを警戒
[備考]
1.ギアッチョ以降の暗殺チーム、トリッシュがスタンド使いであること、ボスの正体、レクイエム等は知りません。
2.ディオにスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教えました。
 仲間や敵のスタンド能力について話したかは不明です。(仲間の名前は教えました)
3.彼が感じた地響きとは、スペースシャトルが転がった衝撃と、鉄塔が倒れた衝撃によるものです。
  方角は分かりますが、正確な場所は分かりません。
4.ジョナサン、ジョージの名前をディオから聞きました。ジョナサンを警戒する必要がある人間と認識しました。
5.参加者が時を越えて集められたという説を聞きました

110 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:19:36 ID:j6rDWMlT
 

111 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:19:44 ID:FRa04LH4
 

112 :賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 22:20:23 ID:ojzDQooU
【エンリコ・プッチ】
[時間軸]:JC6(69)巻、ヤドクガエルに“破裂する命令”をした直後
[状態]:健康 腕の辺りの服がちょっと燃えてる
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ヘリコの鍵(ヘリコプターはコミックス60巻でチョコラータが乗ってたもの)、ウェザーの記憶DISC
    不明支給品0〜2(確認はしてます)
[思考・状況]
基本行動方針:ディオ&ジョルノのもとへ、天国へ
1.ジョルノたちとコロッセオへ。
2.こいつ(エシディシ)は良い奴のようだ。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい。
3.ディオが違う時代から来ていたことに少しショック。
4.ジョースター一族はチャンスがあれば抹殺(無理はしない)。
5.DISCの確認
6.エシディシに相応しいスタンド探し
備考
※二人ともお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※日光から逃れれるのなら付近に建物、及びアヴドゥルの隠れ家に戻ってもいいと考えてます。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました
 彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※未だ朝日が昇ってないため音は聞こえますが、下の様子がわかりません。
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。
※ヘリは墜落しました。残骸はD-2の南部にあります


【エシディシ】
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:右手の手の甲が粉砕骨折(回復中)、ちょっとハイな気分。落下の際に脚部に軽いダメージ(戦闘に支障なし)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、『ジョースター家とそのルーツ』リスト(JOJO3部〜6部コミックスの最初に載ってるあれ)
    不明支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残る(乗る乗らないは現段階では不明)
1.日が昇る前にコロッセオへと向かう
2.こいつ(プッチ)はなかなか面白い。しばらく一緒にいてみよう。もっと情報交換をしたい
3.太陽に弱いという意味で無理に出歩く必要はない。
4.自分のスタンドを探す
備考
※二人ともお互い「気が合う、面白い」といった理由で手を組んでいるので利用する等の発想は現段階ではありません。
※時代を越えて参加者が集められていると考えています。
※日光から逃れれるのなら付近に建物、及びアヴドゥルの隠れ家に戻ってもいいと考えてます。
※C-10、特に隠れ家の周りはダービーの手足と周りの植物を基に繁殖したカビが広がってます(大体はエシディシに焼かれました)。
※スタンドが誰にでも見えると言う制限に気付きました
 彼らはその制限の秘密が首輪か会場そのものにあると推測しています
※『ジョースター家とそのルーツ』リストには顔写真は載ってません。

113 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:22:09 ID:JaivTWtq
もう砂のお城レベルになってるなwwwww

114 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:22:16 ID:FRa04LH4
 

115 :賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 22:23:37 ID:ojzDQooU
★   ☆   ★


ダービーを背負って森を走るF・F。
彼女の顔にはくっきりと落胆と焦燥の相が浮かんでいた。

「プッチは……どうやら擦れ違っちまったみてぇだな……
 で、ここは何処だ? がむしゃらに走ったせいで訳ワカンネェ所に来ちまったぜ。
 一旦鉄塔に戻ってジョルノに加勢するか?」

立ち止まり、ダービーを地面へと置いてF・Fは頭を抱える。
肩に見える緑色の影は月明かりがもたらした悪戯か? それとも外道が持ち込んだ悪意か?

【E-2/1日目 早朝】

【ダニエル・J・ダービー】
[時間軸]:本編初登場前
[状態]:気絶、満身創痍。落下による全身へのダメージ(大)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:これは夢なんだッ!バンザーイッ!
1.・・・?
2.痛みでまともな思考ができない
※自分以外の参加者はみんな死ねばいいのに、と考えてます。
※どうせ死ぬんだから誰かが死ぬためならなんだっていいと考えています。
※他の参加者がヘリコプターの通ったルートの真下を歩いてもカビに感染するとは限りません。
 これはグリーン・ディのカビと地面の距離が充分離れている、つまりカビの媒介物であるダービーが空にいるからです。
 逆に言うとダービーが地面に落とされた地点の周辺に誰かが近づいたらそいつは(ry
※声は出るようになりました。これはプッチとエシディが声で他の参加者が近づいてくれると判断したためです。
【F・F】
[スタンド]:フー・ファイターズ
[時間軸]:DアンG抹殺後
[状態]:健康、黴に感染?
[装備]:なし
[道具]:加湿器、メローネのマスク、支給品一式、壊れた懐中電灯
[思考]:基本行動方針: 徐倫達に会ってホワイトスネイクの正体を教え、共に承太郎のDISCを奪還する。勿論荒木は倒す
1.プッチを探すか? 鉄塔へ戻るか?
2.あとでリゾットと組んで行動し、リゾットを信用していいかその時に見極める
3.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断
[備考]
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます
※承太郎はDISCを抜き取られ廃人化した状態だと思いこんでいます
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いてません
※隕石を落としたのはウエストウッドじゃあない別のスタンド使いだと思っています。
※ジョルノに対しては未だ完全に信頼していません。
※黴に感染したかどうかはハッキリとしていません



116 :賢なる者は宴に集う ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 22:24:36 ID:ojzDQooU
★   ☆   ★

広場の近くに倒れ伏すシーザー。
出血は抑えたものの失った左腕のダメージはあまりにも大きく、ここまで来れたのが奇跡だといえるような状態。
気力と波紋の力のみで動かしてきた体にも限界は来た。
薄れ行く意識。
酷使した肉体を開放しようと無意識の内に目を閉じてしまう。

「……デンゴン。アナタヲ テキデハナイト ハンダンシタノデ ウデヲ ツクッテオイタ」

掠れ逝く聴覚にこのような言葉が飛び込んでくる。
アクセントは曖昧、発音も怪しい。
聞き取るのが非常に難しかった物の、要するに腕が治るという事らしい。
当然、罠の可能性も考えてはみたが放っておいても死ぬのだからやることはやってみようと最後の力を振り絞り歩く。
靄がかかった視界の中心に見える赤い影―――オウムの一種がこのことを伝えたらしい。
オウムが鉄塔の方へと羽ばたいていった。どうやら付いて来いという意味らしい。
棒のような足を一歩一歩踏み出してシーザーはオウムの後を追いかけ、腕の置かれた位置へと辿り着く。
どうすればいいのか? そんな考えを全て振り払い、シーザーは自身の腕の切断面に置かれた腕の切断面を合わせる。
たちまち二つは繋ぎ合わせられ腕が元通りになるも、シーザーは不思議に感じることはなかった。
それと同時に視界にかかる靄が薄れていく。

「まだ……俺は……死なねぇ……」

ジョルノがシーザーを敵でないと判断した理由。
それは優勝狙いの人物が、こんな重傷を負いながらもわざわざ人の集まる場所へ来るわけがない。
穴だらけの論理ではあったが、時間がないのだから仕方がなかった。
幸いにもシーザーはジョルノの予想通り、荒木に反旗を翻そうとする人物だった。

気絶する彼の顔は安らかだった。
戦いで傷ついた男の最初の休息が、固い地面をベッドにした最悪のものであるにも関わらず――――――――


【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[時間軸]:ワムウから解毒剤入りピアスを奪った直後。
[状態]:首に若干の痛み(戦闘には支障無し)、疲労(大)、ダメージ(大)
[装備]:スピードワゴンの帽子。
[道具]:支給品一式、エリナの人形、中性洗剤。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには乗らない。リサリサ先生やJOJOと合流し、 エシディシ、ワムウ、カーズを殺害する。
1.・・・(気絶中)
2.荒木やホル・ホースの能力について知っている人物を探す。
3.スピードワゴン、スージーQの保護。
4.ストレイツォは出来れば殺したくない。
5.女の子がいれば助ける。

※シーザーは重傷ですが放置しても死にはしません


117 : ◆xrS1C1q/DM :2008/12/27(土) 22:26:30 ID:ojzDQooU
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
投☆下☆完☆了!!

ながかった!支援くれた皆!本当にありがとう!
コメントありでも空白でも支援がある時点で俺は幸せですww



118 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 22:40:13 ID:456egYiG
うおおおおおおおおおおおおおお、投下乙!
さようならサーレー・・・
しかし綺麗にまとまったなあ
バトルも上手い・・・
本当にGJでした!

119 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 23:00:29 ID:FRa04LH4
投下乙!
多人数を綺麗に捌いて凄いです!!
サーレー死んだーーーー!、でもまっいっかw(サーレーファンの方ごめんなさい)
柱の男は相変わらず身体スペックがチートだぜ
ジョルノ、プッチ、ディオのトリオのこれからに期待。しかしディオ様はそのうちストレスで倒れるのではなかろうか?
FFはダービーをどうするかな
シーザーはあたらしいうでをてにいれた、ジョルノはホント万能だな


120 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 23:04:52 ID:USLe3nxL
投下乙ッ!
こいつに敬意を表してやりたいんですが構いませんねッ!?

いや、ほんと面白かった。なにより「巧かった」
サーレー対プッチ、ディオ対シーザー。二つの戦いの結末に驚愕、シーザー…そしてサーレェエェエーーッ!
時代が違うというロワならではの設定で組まれたプッチ、ディオ、ジョルノ、エシディシの四人組に痺れた……

それにしてもジョルノはほんと主人公だなwww
スタンドもだけどやつの頭脳は優秀すぎるwww

生き返ったダービーにも注目……って気になるパートがありすぐるッ!

改めて投下乙!ディ・モールトベネ!

121 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 23:20:18 ID:dvK2XxLE
投下乙!プッチVSサーレー。そしてジョルノVSエシディシ
いいバトルを見させてもらった。
ここは集団が多くできるロワだなあw

122 :創る名無しに見る名無し:2008/12/27(土) 23:38:50 ID:L2qka3Yy
投下乙!
自分には出来ない“裏の裏を読む戦いの描写”が素晴らしい。
見習いたいものです。。。

123 :創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 02:55:19 ID:lmIdBq9W
SUGEEEEE!!
心理描写だけでなく、戦闘までいけるとは……
なんというチート書き手
超GJっした!

124 :創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 11:58:35 ID:f+GkyYa8
新スレ乙!そして投下来てる!
なんという凄い話なんだ…ゴクリ

125 :創る名無しに見る名無し:2008/12/28(日) 16:13:59 ID:LpaKN+8p
予約来てるゥーーッ!
これはディ・モールト楽しみだ!

126 :創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 00:36:53 ID:y05Ab1rN
おお、wikiがむちゃんこ更新されてる!
更新した人乙なんだぜ

127 : ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/29(月) 01:28:21 ID:vDk1J0JH
wiki更新された方乙です!

一時投下スレにて投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします.
一言くださると嬉しいです。ではよろしくお願いします…。



128 :創る名無しに見る名無し:2008/12/29(月) 23:20:40 ID:jvQjofIy
ディ・モールト乙!

129 : ◆xrS1C1q/DM :2008/12/30(火) 21:15:57 ID:0dwjCaJv
皆さん、感想ありがとうございました。
感想は私の主燃料なので次回も書く気合が湧いてきます。

で、先日投下したSSの中でアレッシーを登場させるのを完全に忘れていたのですが大丈夫でしょうか?
大丈夫ならばwikiに登録したいのですが、アウトだったら加筆修正させてもらいたいと思います。
アレッシーを書かれた◆wKs3a28q6Qには本当に失礼な行為でした。本当に申し訳ありません。

130 : ◆xrS1C1q/DM :2008/12/30(火) 21:16:59 ID:0dwjCaJv
ごめんなさい……
◆wKs3a28q6Q氏に敬称をつけるのを忘れてました

131 :創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 21:27:37 ID:/lxUJKHz
場所が離れてますし、全然問題ないんじゃないかと
もしかしたら今頃ジョルノ達かFF達を尾行してるのかもしれませんし
ぶっちゃけアレッシーの存在は俺も忘れ(ry

132 :創る名無しに見る名無し:2008/12/30(火) 21:46:44 ID:JeiKWnJ4
アレッシーなんて『いなかった』。それだけが真実…

133 : ◆zQyD4guRRA :2008/12/30(火) 22:06:42 ID:gaHRcryO
したらばの一時投下スレに投下しました。
何かありましたらご指摘等よろしくお願いします。

134 : ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/31(水) 10:43:16 ID:FkQwQIMC
規制されそうで怖いなぁ…
少し遅くなりましたが タルカス・リンゴォ 投下します。

135 : ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/31(水) 10:43:47 ID:FkQwQIMC
C-4にあるDIOの館に向かうタルカスの足取りは重かった。現在彼が何より必要としたもの、それは休息であった。
彼がこの殺戮の舞台に呼び出されてから未だ五時間と経過していない。会った参加者も見知らぬ乗り物に乗っていた人物を含めても三人しかいない。
そんな彼が休息を必要とするのか?イエス、なのだ。
どうやら先ほどの出来事は彼にとっていささかショックが過ぎたようである。
小型戦車のように猛スピードを出していた面影はなく、トボトボと歩を進める様はどこか浮浪者にさえ見えた。
血を、肉を求め飢えた野獣のような眼光も鳴りを潜め、俯きがちなその視線は彼の心情を充分に現していた。

何も考えたくない、それが今のタルカスの正直な気持ちであろう。なにも臆したわけではない。殺しに躊躇いがあるわけでもない。ただ、今、この時は心の整理が必要なのだ。
それだから彼は休息を必要としている。
一歩一歩、噛み締めるように館へ向かうタルカス。
彼の背中はどこか寒々としていた。



   ◆



リンゴォが目覚め、何より必要としたのは休息であった。ヨロヨロと起き上がり、全身に響く痛みの合唱に彼の脳はなにより休息を要求したのだった。
その要求を断る理由もあるわけなく、彼は一息ついた後、地べたに座る。楽な体制であるあぐらをかき、両の手で痛む箇所を探り体の点検を開始する。

頭蓋骨、異常なし。
視力・聴力・嗅覚、それに伴う眼球・耳小骨・鼻骨、異常なし。
口内に裂傷確認、依然出血中。血の嫌な味が口内に広がる。
歯、左奥歯を幾つか欠如。
上顎骨・口蓋骨・頬骨、異常なし。
下顎骨に違和感有り。それに伴い額間接に異常有り。損傷は小さい。食事に苦労する程度だろう。
首、軽いむち打ち状態。戦闘に支障なし。

またも一息つく。そのゆっくりと吐き出された息には安堵がこもってるように感じられた。咄嗟に頭部を庇ったおかげだろうか、これだけの負傷ですんだのは幸運だった。
(…いや、本当にそうか?)
ふとリンゴォの中の冷静な自分が問いかける。
あのジョルノ・ジョバーナのスタンドによるラッシュ、確かに感覚が暴走していたこともあり必要以上に損傷を負ったように思えるだろう。しかし………
自分の考えに確証を持つため、体の点検を始める。外れていてくれ、そんな儚い想いを抱きながら。



136 :創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 10:44:41 ID:KpJSFGnb




137 : ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/31(水) 10:44:55 ID:FkQwQIMC
胸骨、異常なし。
両肋骨、折れて肺に突き刺さるなんて最悪のことは起きなかったがそれでも相当の圧力がかかったようだ。ヒュ、という呼吸音がそれを物語る。
肩甲骨、試しに大きく腕を回すが何の変化も無し。異常なし。
鎖骨、痛みはあるが折れていることはない。
上腕骨、ひびが入っているのか、わからないが動かしにくい。特に利き手である右手は挙げなくても絶えず鈍い痛みが走る。
前腕骨、同じく右手が酷い状態。握る力が殆どかからない。

焦燥とも焦りとも憎しみと言えない、何ともわからない複雑な感情がリンゴォの中に込み上げてくる。
まだ結論を出すには早い、そう言い聞かせ構わず点検続けようとした。
だがその時気づいてしまった。
(手が動く、腕が動く…。しかも両方とも、だ)
その事実に愕然とした。自分が恐れていたことをこの身を持って証明してしまった。
痛みはある、筋をやったのかうまくは動かすことは出来ない。一秒を争うような戦闘ではとっさに動かすことが出来ないだろう。
だが、しかし。
動かせるのだ。足も動く、手も動く。目も見える、耳も聞こえる、臭いもかげる、話すことだって出来る。それならば一体…
(俺は、自分は、あの青年との戦いで何を賭けたんだッ?!)

『あなたが何を言っているのかよくはわかりませんが……僕は先程言った筈です。あなたをブチのめすと。
 そしてその結果、あなたが生きようが死のうが知ったこっちゃない……僕はそう考えてあなたを殴った 』

そう言ったあの青年は確かにこのリンゴォの求める「漆黒の殺意」を持っていると思っていた。その眼に光り輝く夢を見た。
だからこそあの後自分を殺すようなことが無くても納得した。彼は確かに光り輝く男の道を歩んでいるから、と。
なのに…
(自分は本気を出すまでもない相手だと…。その上情けをかけるほどの相手だと…?)
ジョルノの狙いは的確であった。リンゴォはこの舞台において殺しに戸惑いを覚えない危険人物である。
しかしながらある一定のルール、彼の場合は「男の世界を」乗り越えるというルールだが、を越えない限りはそうとは断言できない。
それどころかそのスタンド「マンダム」の能力から言えば、仲間に出来たら頼りになることこの上ない。
だからである。ジョルノはリンゴォが死なない程度で尚且つ他の人と戦わない程度にぶちのめしたのである。いつかリンゴォを味方に引き込もうと、その思惑から。
最もこれは全てリンゴォの推測でしかない。だがそれでもリンゴォが「今」戦闘不能で、それでいてほかの参加者に会っても問題がないように逃走が可能なように足は無事である。
この事実に気づいたリンゴォは思わず天を仰ぎ、その場に寝そべった。悔しさか、怒りか、はたまた落胆か。何を思ったかはわからない。
夜空を見上げる彼の瞳はどこか空虚であった。



   ◆


138 : ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/31(水) 10:45:27 ID:FkQwQIMC

一体どのぐらいそうやった地べたに寝転がっていたであろう。起きた当初必要としていた休息は充分にとった。
痛みは以前体中に走っているがそれでも体を動かす程度なら大丈夫であろう。ゆっくりと体を起こす。そして立ち上がり、大きく伸びをする。
鼻から夜明け前の澄んだ空気を肺いっぱいに取り込む。ズキンと痛みが走るが、館の周りに生えている緑の芝の臭いが心地よかった。
地面に放り投げられていたデイバッグを拾い上げる。肩にかけるように下げ、比較的痛んでいない左手でナイフを掴む。
先ほどのジョルノとの戦いでリンゴォに何か変化があったのだろうか?自分に情けがかけられたとわかった今、リンゴォの取るべき道は何か?
ジョルノとの協力?ジョルノとのリベンジ?
(協力なんてもってのほかだ…。再戦…奴との戦いを「今」考えると複雑だが奴がこの俺の男の世界を超えたのは紛れもない事実…。すっきりはしないがここで再戦を望むのは野暮だろう…)
結局のところリンゴォの根底である「男の世界」を乗り越えるという部分は変えようがないのだ。ならばやるべきことはひとつ。

   「よろしくお願い申し上げます」



   ◆



ずっと俯いていたタルカスは突然聞こえたその声に顔を上げた。館へと残すところ僅か十数メートル離れた地点。
瞳に写る大きな館の影の中に髭を蓄えた男が一人、殺気を込めて左手にナイフを握り締めている。
男の筋肉が盛り上がる。瞳に宿されている殺意はタルカスが長年見てきた戦士とは違う、それであった。
ビリビリと空気が震える感じに呼応させるようにタルカスはゆっくりとスレッジハンマーを振り回す。
彼の中で先程の屈辱が蘇る。軽々とはじかれた自らのハンマー、砕け散った自信。だがそれを覆す絶好の壁がここにいる。並大抵の相手ではない、そんなことがわからないほどタルカスが馬鹿な男であるはずがない。
(これだ…この感覚だ………ッ!懐かしい戦場の臭いッ!)
常人ならばその空気を震わす緊張感に足を竦ませ、身を震わせるほどの効果があったであろう。
しかしながら、この空気こそがこの二人のホームグラウンド。この空気こそが二人が望んだ世界。

「その言葉、俺は決闘の言葉として受け取った!わが名はタルカス、生前は77の輝輪の試練を制覇した男、そして今は屍生人となった者だ!WRYYYYYYYY!」
「…」

リンゴォの言葉に対し、タルカスは体と言葉で肯定を示す。
その言葉は確かに人ならず者であることがわかるが、名乗りを上げ決闘を望む姿はどこか彼が忘れがちであった人であった時の誇り高き彼の姿、それであった。
片やスタンド使い、片や屍生人。だが共にこの舞台でどこか傷ついたもの同士。
そして共にこの戦いでの目標は一緒。
―『俺のほうが強い』
勝利だけがこの傷を癒してくれる、勝利こそが自らの使命。
例えこの激闘でどちらかが散ろうとも…散るからこそ、この戦いに価値がある。

「…名乗りに感謝する。こちらも遅れたが自己紹介させていただこう………。
名はリンゴォ・ロードアゲイン。 この戦いに使う武器はこのボウィーナイフ。
そして使うスタンド、その名は『マンダム』。能力は時をキッカリ6秒、戻すことができる…。
ほんの6秒。それ以上でもそれ以下でもない。きっかり6秒…6秒間隔さえあければ何度でも時を戻せる…。
そして6秒戻ったという『記憶』だけが残る。これがスタンド、マンダムの能力だ」
「KWAAAA!貴様もスタンド使いか?!だが望むところだ、俺のハンマーの前でそのスタンドで何処まで逃れるかなァ?」

ナイフ構え、ハンマーを固く握る。もはや、交わすべき言葉はない。
一対一、超えるべきは相手。そして敗北の前に散った先頃の自分自身。
賭けるは自らのプライド…そして命。
勝者は一人。敗者も、また、一人。



   ◆


139 :創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 10:46:25 ID:KpJSFGnb
支え

140 : ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/31(水) 10:46:51 ID:FkQwQIMC
リンゴォはその場を動かない。対照的にその体に似つかないほどの俊敏性でタルカスは二人の距離を縮めていく。
獣のような叫び声を上げ、あっという間に零距離となったそこでスレッジハンマーを振り上げる。
手に馴染むそれを血に染め上げようと振りかぶる。自慢の怪力、そこから生み出される破壊力は正に規格外。
だが、それ故にあまりにスロウリィ。だからこそスロウリィ。
その体格、そして彼の最も誇りに思う『怪力』。筋肉を盛り上げ、質量の大きいそれを振り回しては軌道はどうしたって大降り。
避けるに特別な技量は必要としない。ただ冷静ささえあれば。
それが、縦運動ならば。
「WRYYYYYYYYYYYYYYYY!!」
構える、振りかぶる、降りぬく、再び構える。怪力である故に、その振り子のような横運動、なぎ払うように動くハンマーの早さは圧巻。

バックステップで距離をとる。ナイフの届く範囲でないならば無理に攻めに転じる必要はない。リンゴォは避ける、避ける、避ける。
踏み込み、ナイフを突き立てるよりも早くハンマーは戻ってくる。リンゴォは避ける、避ける、避ける。
テンポ良く、メトロノームのように。だからこそ隙はない。だからこそ隙はある。リンゴォは避ける、避ける、避ける。

振り子が最高位に達する。均衡を破るその一瞬、リンゴォが動いた。
電気信号が翔る。脚を抜き、腰をひねり、動きもしない右手を無理矢理動かす。ナイフは依然左手に持ちながらも。
瞳の端に帰ってくるハンマーが写る。どちらが速いか。力学的な遠心力によって生まれた速度か、人間の肉体が生んだエネルギーか。

頭部を庇うように巻かれた右手が弾け飛ぶ。脳に残るような不愉快な音が響き地面をバウンド。
そして気づく。自分が弾き飛ばされたと。天を飛んでいた劇的に宙を舞い目の前に突き刺さる。
死神、この場合は鎌ではなく鉄槌だが、が近づく。だが慌てるはずがない。指三本、不要となった右手を左手首に。

そして―

タルカスの視界は依然ハンマーを振り回す自分と小刻みにステップを踏む男が。
体験したこともない、時が戻る感覚。本能が命じるままに急ブレーキを踏み敵と同様にバックステップ、距離をとる。
「『公正』に言った筈だ。オレは時を6秒だけ戻すことができると……」
「………。フン、その余裕がこの後も続くと思うなよ!さぁ、第二ラウンドと行くぞ!URYYYAAAA!」
なにも落胆することはない。否、それどころかこの心地よい緊張感でまだ過ごせる。
それが無性に嬉しかった。戦士としてのタルカスにとって。



   ◆




141 :創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 10:47:23 ID:B8NyZ/XR


142 :創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 10:47:43 ID:KpJSFGnb
しえ

143 : ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/31(水) 10:47:56 ID:FkQwQIMC
どこか冷めていく自分がいた。高揚していた精神が朝の冷気に冷えるように、時と共にゆっくりと。
昇り来る熱量を持った太陽とは対照的に。
もはや戦いとは言えなかった。虐殺、戦場で感じたかつての不快感。自らの手でそれを今演じてる。
当然だ。体力は6秒前に戻っても精神は戻らない。記憶は戻らない。
肉体は疲れなくても、精神が疲労を蓄積。集中力というものは回復不可能。僅か6秒である。

何といっても明白な差は人間と屍生人という越えられない壁。
リンゴォがタルカスに刃物を突き立てたこと、その数自体は一桁にとどまる。しかしその全てが『人間』の急所。
タルカスが人間ならば勝負はとうについていた。しかしながら悲しいかな、タルカスは人間でない。
何度リンゴォを『殺した』ことだろう。何度ハンマーが朱に染まっただろう。
戦いはタルカスの集中力とリンゴォの精神力の一騎打ちに摩り替わる。

「…まだ続けるのか?」
リンゴォは疲弊しきっていた。度重なるスタンドの使用、本来ならば動かすことが不可能であろう体の酷使。
地べたに這い蹲り、荒い息が口をついて出る。肺もやられている、息をするたびヒュ、という呼吸音。
タルカスもまた、疲弊しきっていた。いや、疲弊といっては誤解が生じる。脅え…は適当でない。興味…でもない。
そう、『記憶』が残ると言ったのはリンゴォ本人。ならば、と疑問を抱く。
何度鉄槌を振り下ろしたか。何度拳を叩き込んだか。その痛みをなぜリンゴォは耐えることが出来るのか?
段々と時を戻すことさえ出来なくなってきた。致命傷を負った時は時間を戻す。しかし、それ以外は。
擦り傷や、軽い打撲、出血など無数。数多のそれはいくつも積み重なり、体力を削る。
満身創痍。壊れかけの人形のごとく。睨み返す鋭い眼光がまだ戦える、と告げる。

「なぜ立ち上がる?」
戸惑いだ。タルカスのなかにあるのは戸惑い。
ミスをしたほうが死ぬ。それが狙いであるならば理解可能。だが仮に自分がミスをしても屍生人の自分では。
戦士としての自分が言う。こいつは、この男はここで死ぬにはあまりに惜しい。
屍生人では決して考え付かないようなそんな声。それが口をついて出た言葉に繋がる。

「男の世界を越えるため……」
ボロボロの体がやけに眩しく。自信を粉砕された自分がやけに情けなく。
そして思う。こいつを、この男の「男の世界」を超えれば、或いは自分は。
構えなおす。下げていたハンマーを肩に。この男、リンゴォに恥じない一瞬の死を。
「ならば、超えて見せるぞッ、貴様の『世界』を!KUWAAAAAAAAA!!」

狙うは左手。幾多の巻き戻された時間の中でタルカスが気づいたスタンドのスイッチ。
大振りしない。的確に狙いを定め、そして。
投げる。ハンマーそれ自体を。
「?!」
リンゴォ、咄嗟に身をひねるがバランスを崩す。体重が片足のみにかかり踏ん張りが利かない。
そのコンマ数秒。右側に回りこむ。タルカスは懐に潜り込み、そして掌打。
宙を舞う男。受身も取らず潰されたヒキガエルのように。
―この間僅か1秒


144 :創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 10:48:06 ID:B8NyZ/XR


145 : ◆Y0KPA0n3C. :2008/12/31(水) 10:49:18 ID:FkQwQIMC
脳から指令が出る。右腕を動かすよう。だが信号が繋がらない。見下ろすと。
程よい筋肉がついた自らの腕が生き別れに。同時に吐血。ガードした右腕ごとねじ切られその上内臓器官にも影響が発生。
―2秒

筋肉の硬直。なにより左手の手首に巻きついたスイッチをどうしたら。左手が直角に曲がるわけもなく。
虚しく爪だけが空を切る。露出された骨でネジが回るわけもなく。
―3秒

口にナイフを咥える。しっかりと固定されたことを確認。左手首の腱をぶった切る。
だが、失敗。左手の指それ自体が動かなくなる。
―4秒

ならばと。驚愕するタルカス。こやつの精神力は本物だ、と。鳥肌が襲う。
スタンドのスイッチごと切り落とそうと覚悟。ナイフに食らいついたまま首を振りかぶり。左手に突き立てた。
―5秒

現実は非常である。知っての通り腕は骨・筋肉・血管諸々で構成されている。切り落とすなんて腕の力でも困難。
バースデーケーキに蝋燭が刺さるように。滑稽なほどにナイフが腕に刺さるだけにとどまった。
6秒、間に合わない。その事実がリンゴォの雄叫びを生む。
間に合わない。
時は戻らない。
敗北。
「うおおおおおおおおおおおおおおおォオオオおおーーーーッ!!」

―大きな、大きな手が。スイッチを。腕時計のつまみを捻った。
―そして時は戻る。



   ◆





146 :創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 10:50:06 ID:B8NyZ/XR


147 :創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 10:50:15 ID:KpJSFGnb


148 :創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 10:53:32 ID:B8NyZ/XR


149 :What makes you differrent  ◇Y0KPA0n3C. (代理投下:2008/12/31(水) 11:36:33 ID:H8A5oXGV
「…なぜ助けた?」
つまみを捻ったのはタルカス。6秒戻ったその場でリンゴォは俯きながら尋ねる。
事実だけが脳内を駆け巡る。頭痛がする。吐き気もだ。今まで耐えてきた疲労が全身を襲う気だるさ。
敗北。それが彼の精神を、肉体を疲れに叩き落した。
ズルズルという音が近づく。ハンマーを引きずり、そして体も。そうして疲れきった様子のタルカスが。
リンゴォの傍を館へと向かっていく。擦れ違うときに、絞り出した声。
「………深い理由はない。“なにも殺すことはない”そう思ったまでよ…」
立ち去る背中に眼を向ける。自分はまたもや男の世界を証明できなかった。ならば何故。
こんなにも清清しいのだろう。屈辱に崩れることがないのだろう。
「リンゴォ…だったな」
館の入り口そこで。突如声を上げる。低く聞き取りづらい唸るような。
痛む右腕を押さえ、その言葉に耳を傾ける。

「貴様との戦い…悪くなかったぞッ!」
そして告げる。今のはついでであったと。そう思えるような情報量をリンゴォに与え。
曰く自分が使える主はディオ・ブランドー。
曰くその帝王ディオのもと荒木を地獄へ送ると。
曰くそのためにここDIOの館はその帝王の下に集まる場所であると。
曰く自分は昼は動けないから門番を頼みたいと。
そして。
「男の世界と言ったな…FUN、このタルカスもはや下らぬ拘りは捨てるとしよう。感謝しよう…貴様との戦いにッ!」
その宣言を最後に。バタンと扉が閉じられ。後にはリンゴォ、ただ一人が。
残された。

風が顔をなでた。二度の敗北。その両方が。なぜかリンゴォには大切であると思えた。
そして誓う。次こそは、必ず。
「ようこそ、『男の世界』へ………」
光り輝く道を、この手で掴み取ってやると。




150 :What makes you differrent  ◇Y0KPA0n3C. (代理投下:2008/12/31(水) 11:37:48 ID:H8A5oXGV

【C-4 DIOの屋敷/1日目 早朝】
【タルカス】
【時間軸】:ジョナサン達と戦う直前
【状態】:身体疲労(小)精神疲労(小) 挫折感、戦士としての誇り、ちょっとセンチメンタル
【装備】:大型スレッジ・ハンマー
【道具】:基本支給品
【思考・状況】基本行動方針:ディオ様と部下と一緒に荒木をぶっ殺す
1.館でディオのもとに集う仲間を待ち受ける。
2.ディオとその部下以外が館に侵入してきたら殺す。
3.自分の強さに疑問
4.出来れば鎖が欲しい…
5.男の世界、か…戦士であった頃の自分が懐かしい………
[備考]
※挫折感は幾らか和らぎました。
※リンゴォに以下のことを伝えました。それ以外は情報交換していません。
・自分の主はディオであること
・ディオと共に荒木をぶちのめそうとしていること
・昼出歩けないこと
※リンゴォのスタンド『マンダム』について把握しました。


【リンゴォ・ロードアゲイン】
[スタンド]:マンダム
[時間軸]:果樹園の家から出てガウチョに挨拶する直前
[状態]:全身にラッシュによるダメージ(中)身体疲労(大)精神疲労(中)右上腕骨骨折、軽い高揚感、ジョルノに裏切られて少しショック 
[装備]:ジョニィのボウィーナイフ
[道具]: 基本支給品 不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者達と『公正』なる戦いをし、『男の世界』を乗り越える
1.タルカスに従い、門番をする…のか?
2.次こそは必ず「男の世界」の証明を!
3.とりあえず休息と怪我の手当てがしたい。
4.ディオ・ブランドー…だと?
[備考]
※骨折は気力でカバーすれば動かせます。
※タルカスとの情報交換は上のと同様です。それ以外は行っていません。
※ディオに会ったことをタルカスに言っていません。
※リンゴォがどう動くかは次の書き手さんにお任せします。
※男の世界を証明したいという願望が強くなってます。

151 :What makes you differrent  ◇Y0KPA0n3C. (代理投下:2008/12/31(水) 11:39:46 ID:H8A5oXGV
すみませんがどなたか残りと下の文を本スレに代理投下をして頂けませんか…?
よろしくお願いします… orz

投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
一時投下スレにて指摘を下さった方、支援くださった方、ありがとうございました。

>>140
頭部を庇うように巻かれた右手が弾け飛ぶ。脳に残るような不愉快な音が響き地面をバウンド。
そして気づく。自分が弾き飛ばされたと。天を飛んでいた劇的に宙を舞い目の前に突き刺さる。
→天を飛んでいたナイフが劇的に宙を舞い目の前に突き刺さる。
自ら脱字発見…情けない、推敲しっかりやるって誓ったのに…orz

>>◆wKs3a28q6Q氏
きっと氏であろうと思いますが(間違えていたら失礼しました)
追跡表の更新、自分の分までやってくださってありがとうございました。

>>◆xrS1C1q/DM氏
短くていいなら自分が繋ぎのSSでも書きましょうか?
正直アレッシーですからどうにでもなりますしw
まぁ、とは言ってもまだプロットもぼんやりとしか立ってないので投下自体は遅れそうですが…


152 :創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 11:46:01 ID:H8A5oXGV
投下乙!

やばい、かっけえええええええええええええ
リンゴォもタルカスも『男の世界』という光り輝く道を一歩一歩ふみしめてますね
っていうかタルカスは何故1stでも2ndでも戦士の道を究めようとするんだ?ww

153 :創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 13:02:37 ID:YLsi771J
多分『ジャイアン・ザ・ムービー』現象がタルカスには起こりやすいのだろう

154 :創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 15:52:20 ID:fRDOoi3s
タルカスかっけええええええええ
ジョジョの悪党は悪党なりの信念を持ってるのが魅力的だなあ

そういえばwikiで前々から思ってたんだけど、参加者名簿をクリックしてもページが表示されないんだが、あれ何か意味あるの?
下線部だらけで正直短いし、なんとなくでやってるだけならあれ外して死人を赤くしたほうが見やすいと思ったんだけど


155 :創る名無しに見る名無し:2008/12/31(水) 16:27:55 ID:H8A5oXGV
参加者のページはちょっと軽くいじってみるけど、1st参加者は1stにあった参加者紹介を流用しても大丈夫だよね?

>>◆Y0KPA0n3C.氏
感想を書く際に書き忘れていましたがアレッシーの件、本当にありがとうございます
私もネタが浮かんだら書こうかな? とも思ってるんですが、現在はノープランなので助かります
が、氏の負担になってしまうようでしたら私がやりますので。

156 :創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 00:11:07 ID:8MrrF2pE
あけた!2008年完!
今年もみんな頑張ってこうぜえ〜〜!

157 :創る名無しに見る名無し:2009/01/01(木) 03:07:57 ID:8MrrF2pE
おお、wikiすごく更新されてる!
超乙です!

158 :創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 22:20:58 ID:IpOPOVNP
公式で出てないキャラの年齢って皆どのくらいって考えてる?
個人的な主観でいくつかのキャラの年齢をあげると
シュトロハイム30前半 トニオさん20後半 アヴドゥル30前後 ホルマジオ30前半
兄貴(生ハム)20後半 ペッシ10代後半 サンドマン10代後半 リンゴォ30前半
スピードワゴン30前後 サーレー20前後 マライア25 ダービー兄30代後半

あまりツッコムなよ? ョジョって年齢分かりにくいヽ(`Д´)ノ
ブチャラティが20歳だぜ? イケメンが三十路越えてるんだぜ! ジョルノなんか15であれかよ!


159 :創る名無しに見る名無し:2009/01/02(金) 22:39:49 ID:jhtOxZVT
ジョジョは年齢と中身が合わないキャラが多いww

160 :創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 00:05:12 ID:6YnRNcUr
リサリサ先生もそうだな

161 :創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 03:49:19 ID:NQPiE68f
荒木氏が一番謎なのは間違いない

162 :創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 11:26:56 ID:hQJ2g6aD
多分もともとの絵柄の濃さと中身の早熟っぷりを考えるに
ペッシとサンドマン以外は>>158をさらに5歳ほど若くした感じだと思う

163 :創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 12:26:44 ID:/r1gd6B1
wikiに便利なのが更新されてるな
オエなんとか・・・w

164 :創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 13:15:44 ID:JWpBFlFp
えーっと荒木氏が最初に現れたのは有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画で…


165 :創る名無しに見る名無し:2009/01/03(土) 13:34:58 ID:voDe8EDg
あー、そういやオエなんとかの参戦時期特に考えずに書いたなぁとかwiki見て思い出した
ごめんなさい本当何も考えてなかったです

166 : ◆zQyD4guRRA :2009/01/04(日) 00:02:02 ID:rcpz3fbV
本投下します。

167 :DIVE&DOWN! ◆zQyD4guRRA :2009/01/04(日) 00:04:11 ID:ZL/jvDb8
滞る深い闇に、満月からの淡い光が差し込み、幻想的な色彩を織り上げている。
舞台は、荒木飛呂彦が造り出した戦闘世界の辺端――高層ビルの一室。

光源無き空間には、一切の物音すら響かず。
月光に照らされた床上に佇み、対峙するのは、二人の男。

外の暗黒を切り取る窓の際で、涼しげな表情を崩さぬ色黒の青年。
唯一の部屋の出入口である扉の傍らで、鋭い光を瞳に宿す伊達男。

互いの距離は、十歩にも満たない。
だが、その小さな間隙に滾るのは、決定的なまでの不寛容の気配。

異能を持つ者として研ぎ澄まされた彼らの感覚が捉え、
不用意な動作を抑え込むのは同じもの――一触即発の、緊張。

静寂を破ったのは、鍔付き帽の側だった。

「『願ったり叶ったり』って奴だな――
 殺人犯が名乗りを上げ、しかもそれが顔見知りだったとは」

マウンテン・ティム。
元、スティール・ボール・ラン・レース優勝候補。
現、合衆国連邦保安官。
並びに、スタンド使い。

「あの『スタンド使い』は、私が『始末』した――
 それは確かな真実の世界だ」

マイク・O。
大統領身辺警備・機密調査担当。
並びに、スタンド使い。

二人が知るのは、互いの素性のみだった。
彼らは熟知している――
自らのスタンド能力を信頼できぬ他者に教えるのは、最も忌避すべき行いなのだと。

「しかし――結論から言っておく。
 私は、この殺し合いの世界に参加するつもりはない」

述べながら、マイク・Oは相手の所持品を確認する。
マウンテン・ティムの左手に取られるのは、自分の支給品だった通信機。
右手に握られているのは、不可解だが――至極単純な造りのロープ。

「では、お前が殺したあの男は何者だ?」

眉根を寄せ、マウンテン・ティムが紡ぐのは当然の疑問。
部屋を乱反射する月光が、その整った面持ちを照らし出す。

「私は、襲い来る敵に最小限の対処をしただけだ――
 先に攻撃を仕掛けてきたのは、奴だ」
「――どうとでも言えるだろうさ。目撃者は、既に仏だ」

紡がれる真実の弁解に、鼻で笑い返すマウンテン・ティム。
口調とは裏腹に、その眼光は厳しさを増す。

「分かってるんだろ、マイク・O?
 『参加者』を一人殺害した――その事実だけで、
 お前をこの場で『逮捕』する理由には十分足り得るんだよ」

168 :DIVE&DOWN! ◆zQyD4guRRA :2009/01/04(日) 00:06:53 ID:ZL/jvDb8
具体的な単語に、マイク・Oの身体が、一歩だけ後じさる。
彼の視線は、ティムの握るロープへと注がれた。
――両の腕でも、束縛するつもりなのか。

「……私を、これからどうするつもりだ?」
「俺達と共に行動してもらう。
 ただし、お前に『自由』は与えない」

掲げたロープを揺らしながら放たれた、マウンテン・ティムの宣言に、
マイク・Oは先の予測を確信のものとする。

「そちらから事を起こさなければ、
 俺も荒っぽい真似をするつもりはない。
 容疑が晴れれば、その場でお前を解放する」

保安官の表情を見据え、マイク・Oは内心を汲み取る。
それは、嘘偽りのない忠告。

「――どちらにせよ、答えを決めるのはお前だ。
 俺を振り切って、逃げ果せる自信があるならやってみな。
 ……それとも、ここで殺し合うかい?
 ハッキリ言わせてもらうが――"俺が負ける気は全くないな"」

首を僅かに傾げ、おどけたようにマウンテン・ティムは言う。
だが、やはり眼光は一切笑っていない。

マイク・Oは額に指を当て、思考を巡らせた末に――結論を下した。

「……分かった。
 疑惑を晴らす為にも、共に行動する世界としよう」

驚嘆の表情を浮かべたのは、マウンテン・ティム。
相手の回答が、意外な程に早かったのである。

「私としても、お前との戦闘は避けたい。
 そして、ありとあらゆる場所に危機が潜むこの世界だ――
 安全の為にも、複数人での行動の世界が望ましいだろう」

ここまで語ると、口を閉ざし、マイク・Oは低く嘆息する。
両の手を挙げ、カウボーイハットの側へと向ける。
その行為が示すのは、相手への服従。

合意が形成されたと見なし、無言で頷きかけると、
マウンテン・ティムは一歩……また一歩、身を接近させていく。

「しかし、なんだな……」

慎重な歩調に浴びせられたのは、唐突な発言。

「……"我ながら、『スタンド使い』という人種は、
 酷く厄介で、度し難い輩だとは思わないか?マウンテン・ティム……?"」

相手の口から零れ出した奇妙な言葉に、
歩を進めていたマウンテン・ティムは僅かにたじろぐ。
それに構わず、マイク・Oは淡々と言葉を連ねる。

「"例えば、能力の射程範囲内である事実も露知らず、
 平然とそこに足を踏み入れてしまったりする"……」
「――――ッ!?」

169 :創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 00:08:03 ID:jk7JQCkt
私怨


170 :DIVE&DOWN! ◆zQyD4guRRA :2009/01/04(日) 00:10:26 ID:ZL/jvDb8
――マウンテン・ティムは、見た。
眼前のスタンド使いの瞳に浮かぶ、鈍い輝きを。
既にそれは、合意と従属の意志ではない。
意図せずに溢れ出る、軽蔑の眼差し。
ほの昏い、微笑。

起こりつつある状況を理解したマウンテン・ティムが、
ロープを取る右手に意識を向けようとする。
だが、その行動はあまりにも遅過ぎた。

微小な風切音が、狭い室内に共鳴する。
それに続くのは、肉が裂き千切れ骨が粉砕する、鈍音。

噴き上がる血飛沫の一部をその顔面に受けながら、
マイク・Oの視覚が捉えたのは、上方から飛来し、
マウンテン・ティムの左肩に突き込まれた、四角形の金属塊。

本来の姿――建造物の外壁に取り付けられ、ガラス板を支える窓枠――を
取り戻し、質量に従い急降下した『バブル鳥』。
その剥き出しの断面が、骨肉を抉り、熱い鮮血を体外に散らせる。

激烈な衝撃は、瞬く間にカウボーイの鎖骨を両断し、左腕を肩口ごと吹き飛ばす。
接合から解き放たれた一本の肉塊は、宛ても無く空中を踊り、地を掻いた。

彼の左手に握られていた通信機――トランシーバーも、
からからと間の抜けるような音を鳴らして、部屋の隅の陰へと転がり、失せる。

「…………?」

苦痛の呻きすらも発せぬまま、仰向けに崩れ落ちるマウンテン・ティムの体躯。
鍔の下の表情は、何が起こったのかまるで判らない、といった様相。
ただただ、切断面からは血泡が止め処なく噴き上がり、
赤黒い液体が合成樹脂の床に侵食を始める。

「――この世界は、金属に恵まれた世界で助かった」

窓枠――マウンテン・ティムの血糊がこびり付いた凶器――が、
寸時の後に床に転倒する反響音を背に、
抑揚に欠けた声で、マイク・Oは呟いた。

「天井の闇に忍ばせていた『バブル鳥』――
 その能力を解除し、貴様に『ギロチン処刑』の世界を処した」

左腕を欠いたマウンテン・ティムが、傍らで震えている。
激烈なショックに全身の神経系が対応できず、がたがたと。

「…………き……さ、ま…………ッ!」

首を巡らせるのが、精一杯の様相。
荒々しい呼吸の間で、紡がれる言葉が意図するものとは。
その視線は、自らの致命傷に気に掛ける風も無く、敵の顔面を突き刺して。

「しかし、驚いたな――」

対するマイク・Oも、仰向けの姿勢にあるマウンテン・ティムの双眸を見下している。
両者の視線は交わり、しかしそこに意思の疎通は一片すら存在しなかった。

「一瞬早く落下を察知し、頭蓋骨の破断を免れた世界か」

171 :創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 00:12:27 ID:jk7JQCkt
sienn


172 :DIVE&DOWN! ◆zQyD4guRRA :2009/01/04(日) 00:12:49 ID:ZL/jvDb8
冷ややかな眼光に曝されるのは、
吹けば飛ぶほど弱々しく、しかし確固たる想いの炎が籠った瞳。
その熱い指先が、敵の靴先を捕えるべく、揺れる。

「その危険察知能力は、流石といった所だな」

マウンテン・ティムの蒼白の頬が、呻きと共に歪む。
マイク・Oの靴底が、彼の差し出した右手を足踏にしたのだ。

「――だが、これで終わりだと思ったか?」

囁くように発せられた問いは、非情なる宣告。
同時に降り来たる、慈悲なき追撃。

金属塊へと還ったもう一体の『バブル鳥』が、
動けぬティムの胴に衝突、その上腹部を垂直に両断した。

続けざまの衝撃に、びくり、と痙攣するティムの上半身。
瞳に滾っていた朧ろげな光は、致死の一撃に、今や完全に消失した。

二度目の攻撃を終えてから、マイク・Oは暫くの間動かなかった。
敵の思わぬ反撃を警戒していたのである。
その結果として、十数秒の静寂の時間が発生する。

脳を溶かすような鋭い血臭が、部屋を渦巻く。
あまりにも大き過ぎる傷口から溢れ出す二つの血溜まりが、
ゆるやかな速度で床上に散大する。

憮然とした表情で、敗者を見下し続けていたマイク・O。
その呼吸の静止を確認すると、
コートの背をひるがえし、部屋の隅のドアに指を掛け――。

しかし、そこで彼は立ち止った。

「――――すべては、」

ふいに、黒瞳を翳りが彩り、
その唇が、聞き手のおらぬ言葉を紡ぎ出す。

「大統領夫人の、為だ」

幽かな呟きは、背にした屍への、せめてもの餞なのか。

次の瞬間には、マイク・Oの双眸は本来の冷淡さを取り戻していた。
ドアと壁の間隙へと影のように滑り込み、部屋から立ち去る。

(マウンテン・ティムには仲間がいた。
 網状の服を纏った、長髪の男)

視界に広がるのは、闇が遮り、奥の見通せぬ廊下。
マイク・Oの思考は、既にビルを脱出する手法の模索へと移っている。

(ティムの仲間である男と、彼に手を掛けた身である私。
 出会えば、衝突する可能性は高い。
 無用な戦いは、避けたい)

奥に待つ階段に向けて、速やかに駆け進む。
足音は限りなく小さく、誰かにそれが聞かれぬように。

(一秒でも早く、この建物から脱出しなければならない)

173 :DIVE&DOWN! ◆zQyD4guRRA :2009/01/04(日) 00:14:35 ID:ZL/jvDb8
階段を目前にして、視線を走らせる。
傍らの壁面に記された表示――『十四階』。
その数値を確認すると、マイク・Oの身体は降下を始めた。
先の戦闘で負傷した左脚が痛むが、階段の昇降程度はできる。

二階を降った時点で、彼の靴先が、ふと静止する。
彼の聴覚は、下階から微かに響く一つの音を捉えていた。

(『足音』――この階段の真下、五階ほど降りた場所か)

長髪の男のもの――彼はそう推測する。

降り続けていた階段を数段戻り、
手近な階の廊下に移ると、再び疾走を始めた。

(奴は階段付近にいる。
 ならば、『こちら』を使うまでだ)

廊下を隔てた先にある、『非常階段』。
上階を行く際、その出入口を彼は既に確認している。

思惑通りに見つかったそれに、小さく息を付く。
非常階段へのドアは、上階と同じ配置に存在していた。
ドアノブに手を掛け、鉄製の重い扉を開放する。

その奥へと足を踏み入れ、
マイク・Oの肌が外気を感受した、次の瞬間――。



――何が起きたのか、解らなかった。



最初に認識したのは、重力からの解放感。
次に、雲一つない漆黒の夜空。
その次に、全身を駆け巡る衝撃と苦痛の嵐。

マイク・Oは、狭い非常階段を踊り場まで転がり落ち、
訳も判らぬまま、手摺に頭の先を激突させ、
激痛に胴を捩り、狭い床の上で悶え苦しんだ。

肺から意図せず漏れ出す呼気が、
喉を震わせ低い呻きを発する。
両腕両脚は勝手に床を跳ね回り、
他人事のようにすら思える衝突音が鼓膜を揺らす。
目の端に捉えた下方への階段の認知とそれによる肉体の反射が、
更なる落下と転倒を寸で押し留める。

脳を分断するような、強烈な頭痛が込み上げていた。
そして臓腑の奥底から切迫する吐き気。
揺らぐ視界に覗く満月に覚える悪寒。

激烈な苦痛に溶解した聴覚が、上方からの声を捉えた。
発せられたのは、たった今まで、自分が立っていた場所。
非常階段の出入口。

「『ダイバー・ダウン』ッ!
 既に扉に潜行し、通った人間をブッ飛ばす『トラップ』に変形させたッ!」

174 :DIVE&DOWN! ◆zQyD4guRRA :2009/01/04(日) 00:16:01 ID:ZL/jvDb8
説明っぽい男の声を聞きながら、
駆け巡る苦痛が、時間と共に僅かに引いていくのをマイク・Oは感じた。
理性の刃が意識を裂き、自身の状況を再確認するべく伸び行く。
――マウンテン・ティムを殺した。ビルから逃げようとした。
非常階段の扉を開けた。階段を転がり落ちた。敵が上にいる。

「――『足音』が、聞こえただろ?
 あれもドアを改造し、作り出した俺の『足音発生装置』。
 お前をここまで追い込む為の、『罠』だ」

敵の解説に、耳を傾ける暇は無かった。

階段の転倒による全身の打撲傷は決して致命的ではないが、
頭部へ衝撃は平衡感覚に変調を来していた。
息も絶え絶えに床を這いずり、踊り場の手摺に寄り添うと、
禍々しい形状の『罠』と化した扉の前に屹立し、
こちらを見下ろす長髪の男――ナルシソ・アナスイ――の姿を視界に収める。

「既にビル中に『罠』を張り巡らせているッ!
 その一段下の階段も、扉も壁も何もかもだッ!」

(マウンテン・ティム……私が逃げた事をこの男に吹き込んだのか?
 いつの間に、どうやって――信じられんッ……!)

湧き上がる疑問に、しかし今は対峙すべき時ではなかった。
朦朧とする視界の中で、いや増す頭部の鈍痛を振り切り、
マイク・Oは自らのポケットから一つの物体を掬い出す。
それは、基本支給品の一つ、『方位磁針』。

(方角は、空を見て知ればいい――時計を失うよりはマシ)

震える両手の指先に、添えるようにその小さな物体を乗せる。
背を軽く反らせ、口と喉を開き、両の肺に精一杯の外気を取り込む。

方位磁針の外部を覆う金属部分に唇を合わせ、
肺の中の全ての呼気――彼の異能の礎――を吹き込んでいく。

『チューブラー・ベルズ』のスタンド能力は、物理法則を歪曲させ、
本来のそれならば絶対に有り得ぬ形の『ふるまい』を金属に強制させる。

彼の呼気に反応し、ただ持ち主に方角を伝える存在だったはずのそれは、
ゴムのように歪曲、見る見るうちに膨張、巨大化して――。

マイク・Oの両手の中で、一つの『風船』が完成した。

「おい、お前……一体、何をしているッ!?」

ナルシソ・アナスイが階段の上から喚く。
眼前で巻き起こる異常な現象に困惑し、敵に接近できないでいた。

その間にも、マイク・Oの両手の指は、
驚嘆すべき速度で『風船』を捻り、曲げ、各所を結う。

(成功率は、決して高くない。
 だが、もう他に手段を選べない世界だ――)

超絶的な技巧により、十秒足らずで完成したバルーンアートは、
まるで水をたゆたう『鴨』のような造形。
しかしそれは、単なる子供の玩具などではなく、
本来の鳥のごとく地を這い、飛翔する、『バブル鳥』。

175 :DIVE&DOWN! ◆zQyD4guRRA :2009/01/04(日) 00:17:11 ID:ZL/jvDb8
「……妙な動きをしてるんじゃねぇ――――ッ!」

警告の絶叫を放ち、一段だけ、身を降ろすナルシソ・アナスイ。
その表情は、始まりつつある異状への緊迫に引き攣っていた。

(飛翔せよ――我が『バブル鳥』)

『チューブラー・ベルズ』の風船生物は、
本体であるマイク・Oの忠実な部下として機能する。
造り出した『バブル鳥』を、マイク・Oが差し向けたのは、しかし――
敵たるアナスイの元ではなかった。

風船使いが仰ぎ見たのは――漆黒に満ち満ちた、虚空。
二人のスタンド使いが対峙する、この非常階段の、『外部』。

「……な…………ッ……!?」

この時初めて、相手の心の裡を知り、
ナルシソ・アナスイは階段を下へと駆け出した。

両腕に異形の生命を抱く、敵の背を目指して。

アナスイの身体から放出された、スタンド『ダイバー・ダウン』のヴィジョン。
激烈な破壊のエネルギーを宿すその指先が、
敵を捕えるべく、暗闇の深淵へと伸び上り――――!



――――なにもない空を、掻いた。



アナスイの視界の中で、地上約三十八メートルからの『落下』を決行した敵の、
幻影のような一瞬に垣間見えた、その表情は。



……逃亡の成功による歓喜に、口元を釣り上がらせていた。



「――――野郎ッ!」

一瞬の後に、非常階段の踊り場は元の静寂さを取り戻す。
今の今まで巻き起こっていた対決など、最初から無かったかのように。

手摺に這うように掴まり、アナスイは遥か下界を見据える。

非常階段の直下はビル同士の間隙であり、
満月の光が照らす領域とは一線を違えていた。
それでも微かに覗く地の上に、既に男の姿は皆無。

穏やかな風が、首元から暗夜へと伸びる長髪を撫でる。

「…………ッ!」

ナルシソ・アナスイは、音が鳴る程に強く奥歯を噛み締めた。
敵を逃した屈辱が、彼の自尊心をじわじわと脅かす――。



176 :DIVE&DOWN! ◆zQyD4guRRA :2009/01/04(日) 00:18:29 ID:ZL/jvDb8
 ★  ★  ★



間一髪、だった。

『バブル鳥』の浮力による落下速度の軽減と、
風船の弾力を用いた激突衝撃の緩和。

高度数十メートルからの肉体の落下という状況を前にして、
この二つの要素がどれ程の効力を与えるかは、全くの未知数だった。

しかし、うつ伏せに転倒した体勢で、
マイク・Oは、地を眼前に淡い笑みを形作っている。

「上出来の世界だな――」

立ち上がる際に、誰にともなく、ぽつりと呟く。

首を巡らせ、地との接触で弾け飛んだコートの袖を確認する。
右肘付近の皮膚に生々しい擦り傷が覗いているが、
逃亡の代価としては、あまりにも些細なものだった。

両の手でコートとズボンを叩き、付着した土埃を落とす。
そして、闇の中を浮遊する『バブル鳥』への能力を解除する。

大の男一人が抱えられる程のサイズだったそれは、
一瞬で直径数センチメートルの金属片に姿を戻し、マイク・Oの掌へと落ちた。
既に磁針などの余計な部分は剥がれ落ち、金属製のケースのみと化している。

持ち歩ける貴重な金属塊をポケットに忍ばせると、
ビル同士の間隙の空間から、マイク・Oは近場の道路へと駆け抜ける。

その瞳は、せわしなく辺りを見回す。
自らのスタンド能力の媒介となる、金属を求めて。

(奴らは、この建物から一歩たりとも逃がさない――
 我が『チューブラー・ベルズ』の世界で)



177 :創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 00:18:38 ID:jk7JQCkt
sienn

178 :DIVE&DOWN! ◆zQyD4guRRA :2009/01/04(日) 00:19:57 ID:ZL/jvDb8
 ★  ★  ★



「どうやら、逃げられたようだな」

仄かな月光が照らし出す、非常階段の踊り場。
聞き慣れた声を耳にして、ナルシソ・アナスイはそちらへと視線を巡らせた。
――それは、『頭上』の方向。

アナスイの佇む踊り場に、上階から一本のロープが垂れ下がっていた。
その持ち主であり、声を放った張本人でもある男――マウンテン・ティムが、
分断した肉体をロープと一体化させた状態で、滑り降りて来る。

「しかし、お前は十分にやってくれたよ」

下界へと自らの四肢を落しながら、
ティムは仲間を宥めようと声を掛ける。

「今回の責任は、俺にある。
 俺の情報不足が、奴を逃してしまったんだ――」
「いや」

慰めの言葉は、しかし、アナスイの意外な言葉が遮った。

「まだ、やれる」

力強い響きが、夜の闇に染み渡った時には既に、
アナスイから現出した『ダイバーダウン』の両手が、
ティムと融合した物干しロープの端を握り締めていた。

「……行くぞ、『ダイバー・ダウン』」
「…………ッ!?」

カウボーイが疑問を差し挟む間も無く。
ナルシソ・アナスイの身体は非常階段の手摺を越え、
両の腕を開き、軽々と飛び込んだ――。



――暗黒の覆う、三十八メートル奥の、冷たき地平へと。



「ティムッ!お前を待っていたッ!」

下方から巻き上がり襲い来る、猛風――落下物への当然の空気抵抗。
全身を煽られながら、それに負けじと言わんばかりに放たれる絶叫。

自らの幻影と右腕同士を組み合わせ、
スタンドの左腕を、ビルの外壁に『潜行』させて、
ナルシソ・アナスイは『降下』する――敵の待つ地上へと!

「奴を叩くッ――今、ここでッ!」

その上で、物干しロープと融合した分裂状態のまま、
風に揺られ空中を踊るマウンテン・ティム。
彼と一体化するロープの端は、アナスイの左手が掴んで離さない。

179 :代理投下:2009/01/04(日) 01:46:23 ID:WLsMBXp3
二人の視界の中で、爆発的に拡大する冷たき地表面。
躊躇、容赦など欠片すら見せず、致死の激突を平然と待ち侘びている。
一呼吸付く間もなく、漆黒の顎は降下者達を包み込んで――。

――ヒールの靴底が、固い地を叩く。
非常階段からのダイヴは、数秒で終結した。

降り立ったのは、狭小な空き地。
四方を建築物に挟まれた、静寂と闇のみが支配する空間。

ナルシソ・アナスイの背後で、マウンテン・ティムの、
『オー・ロンサム・ミー!』の異空間を経て分裂した体躯が、
物干しロープを介して次々と結合していく。

暗闇を通して、二人の視線が重なり合い、頷き合う。
言葉が無くとも、互いの意志は通じている。
彼らの視線は周囲を巡り、外部より漏れる光を確認する。

出口は、左右。
共に、幅一メートルに満たない、路地とすら呼べない間隙。

その、両の道から――
獰猛な唸りを吐きながら、数体の影が、彼らに向けて接近する。

左方から、三体。
右方から、四体。

生きる風船細工――『バブル犬』達が、
獲物たる男達に向けて、獣の吐息を洩らす。

全てが、体長一メートルを優に超える、猛獣。

溢れる呻きは、狭い空間を反響し混じり合い、
闇を通じて、不気味なアンサンブルを共鳴させる。

二人の能力者は背を合せ、七体の異形と対峙する格好。

揺れる獣の影は、男達を円状に囲い込むと、一旦静止した。
そして、この一角を揺らしていた奇怪な合唱も、終わる。

造られた生命の無機質な瞳は、二人の人間に何を見たのか。
激突を後に控えた、静かなる間隙の時が、始まり――唐突に終わる。

七つの猛進と、マウンテン・ティムの右手が躍ったのは、完全に同時だった。

空を切り、神速で闇を巡る物干しロープが、
二人の周囲を『結界』のように囲い込む。

本能の忠実な僕である『バブル犬』達は、敵の行動などお構いなしに、
その肉に噛み付く為に実在しない口を開け、突っ込んで――。

――その動きを、止める。

180 :代理投下:2009/01/04(日) 01:47:11 ID:WLsMBXp3
……いや、厳密には止まっているのではない。
彼らの太い脚は忙しなく動き、獲物への肉食衝動に全身を蠢かせている。
それでも、前に進めない。移動できない。

マウンテン・ティムの取るロープが、
七体全ての『バブル犬』の胴と一体化し、構成するパーツを分断させ、
その一切の挙動を制御していたのだ。

視線で合図を送られ、アナスイは『ダイバー・ダウン』の右腕を振るう。
変形への意志を託された拳が、足元の地面へと突き刺さる。

瞬く間に、地から出現した無数の『槍』が、
身動きの取れぬ『バブル犬』達に、その鋭利な先端を埋没させる。
その構成物質は、空き地を覆い込む鼠色のアスファルト。

風船の割れる小気味良い音が、周囲の壁々を反射し、遥か夜空へと響き渡る。
二人のスタンド使いを取り囲み、喰い殺そうと襲来した『バブル犬』軍団が、
完全に無力化した証拠だった。

ガス管、水道管、道路標識、囲いの金網、
錆びたガラクタ、建造物の外壁を包む金属枠――。
元の姿へと還った『バブル犬』の死骸が地に散乱し、
重なり合い、秩序に欠ける濁音を打ち鳴らした。

「……逃げられた、な」

地上に降下してから初めて発せられた、
マウンテン・ティムの囁きに近い言葉。

「どうやら、そうらしい」

ナルシソ・アナスイが、仲間を仰ぎ見ながら答える。
その表情は、先程よりも険しさが見られない。
彼も、敵の追跡を諦めていた。

「……ティム、その傷は?」

アナスイは眼を見開き、仲間の胴体に指を向ける。
その左肩と腹部に、赤黒く染まった服の断裂を見たからだ。
この時点で初めて、彼はティムが手負いである事を知った。

「これか……?
 ほんの少しだけ、奴に気を許してしまってな」

アナスイの心配を他所に、ワイオミングのカウボーイは微笑みすら浮かべ、
自らの顔面にある長い傷痕を指し示した。

「心配するな、どうということはないさ。
 俺のスタンド能力は傷口の空間同士を『縫い』、治癒させる。
 これは、爆弾で全身をバラバラにされた傷さ」

確かに、マウンテン・ティムの服を切り裂いた二つの傷の大きさの割に、
そこからの出血は既に見当たらない。
体躯を分裂させるという能力と、苦痛の声を一度も耳にしなかった事実が、
アナスイが彼のダメージに気付かなかった原因だった。

「むしろ、俺が心配したいのはあんたの方さ。
 アナスイ、怪我はないか?」
「……別に」

181 :代理投下:2009/01/04(日) 01:48:26 ID:WLsMBXp3
そっけない答えに低く口笛を吹き、
マウンテン・ティムは左手に小型機械――トランシーバーを掲げる。

「奴に攻撃された後、お前から貰い受けたこの道具を使い、
 『挟み撃ち』を画策したが――
 どうやら、あちらが一枚上手だったようだな」
「ああ――ビル中に『罠』を仕掛けたが、無駄になっちまった」

アナスイは先の失態を思い出し、悔しげに眉を顰め、
空き地の出口へと目を移す。

「あの野郎は、まだこの近くにいる……。
 他の『参加者』を殺し回る気なら、放ってはおけないぜ――?
 今から、街中を捜索するか?ティム」

カウボーイは首を振り、否定の意を示す。

「いや……奴はもう我々に襲い掛かりはしないし、
 他者に危害を加える気も無いだろう。
 『屋上の死体の男』からも、先に攻撃されていたようだ」
「あんたの考えならば、俺もそう信じるが――何故、言い切れる?」

足元の残骸を見下ろしながら、吐き出されるアナスイの訝しげな言葉。
帽子の唾に指を当て、微妙に角度を整えながら、ティムは返答する。

「幾らか、言葉を交して感じたんだが……。
 あの男――マイク・Oには、『別の目的』がある」
「それは『優勝』ではない、と?」
「ああ――」

マウンテン・ティムが次に発した、思いがけない言葉に、
突然アナスイは、胸を締め付けられるような感覚に襲われた。

「――そうだな、あれはまるで、
 "参加者の誰かを見つけ、護ろうとしているか"のような――」

182 :代理投下:2009/01/04(日) 01:49:21 ID:WLsMBXp3
 ★  ★  ★



深い闇に紛れ、一人の男が夜道を疾走している。
その服は所々が破れ、頭部には生々しい打撲傷が散見された。

それまで無表情を貫いていた彼――マイク・O――の顔面は、
今や、強い焦燥の念に歪められている。
スタンド能力による奇妙な直感が、彼の意識に渦巻いていた。

(『バブル犬』共が、たった今、同時に始末された)

駆けながら、背後に聳え立つ一つのビルに振り返る。
夜空の中心で、堂々と自らの姿を誇示するそこは、
つい先刻、彼が逃亡した場所。

(思っていたよりも、ずっと早い。
 奴らを倒せる期待はしていなかったが――)

七体もの『バブル犬』を、余裕で撃破する敵の戦闘力に脅威を抱きつつ、
同時に、彼の内心には深い安堵の情も湧く。
逃亡という選択は、やはり正解だったのだ、と。

(『ダイバー・ダウン』――『罠』を作り出す能力。
 あれは厄介な世界だ)

非常階段で対峙した、長髪の男のスタンド能力と、
自らの『チューブラー・ベルズ』との相性の悪さを、マイク・Oは痛感する。

(そしてマウンテン・ティムも、恐らくは生きている。
 何故だ――奴の能力の正体はなんなのだ)

底深い疑念が、漆黒の瞳に滾る。
疲弊に零れる一筋の汗が、顎を伝い落ちた。

(とにかく、この場を離れなければ――)

マイク・Oは痛感する――今回は、相手が悪かった。
長髪の男、そしてマウンテン・ティム。
彼らとは、これからも極力接触を断ちたい。

(大統領夫人。
 あなたは今、どこにおられるのですか――?)

夜風に吹かれ、マイク・Oは疾走する――敵のいない、何処へと。

183 :代理投下:2009/01/04(日) 01:50:07 ID:WLsMBXp3
【F-4南部の空き地/1日目/黎明】
【チーム・愛の求道者】
【マウンテン・ティム】
[時間軸]:SBR9巻、ブラックモアに銃を突き付けられた瞬間
[状態]:左肩と腹部に巨大な裂傷痕(完治)。服に血の染み。やや貧血
[装備]:物干しロープ、トランシーバー(スイッチOFF)
[道具]:支給品一式×2、オレっちのコート、 ラング・ラングラーの不明支給品(0〜3)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
1.アナスイの仲間を捜す
2.事情を察したのでマイク・Oは追わない
3.「ジョースター」、「ツェペリ」に興味
4.アラキを倒す

[備考]
※アナスイと情報交換しました。アナスイの仲間の能力、容姿を把握しました。
(空条徐倫、エルメェス・コステロ、F.F、ウェザー・リポート、エンポリオ・アルニーニョ)
※マイク・Oのスタンド能力『チューブラー・ベルズ』の特徴を知りました。
※マイク・Oの目的(大統領夫人の護衛)を知りました。


【ナルシソ・アナスイ】
[時間軸]:「水族館」脱獄後
[状態]:健康
[装備]:トランシーバー(スイッチOFF)
[道具]:支給品一式、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームに乗った参加者の無力化、荒木の打倒
1.仲間を捜す(徐倫は一番に優先)
2.殺し合いに乗った奴ら、襲ってくる奴らには容赦しない
3.アラキを殺す

[備考]
※マウンテン・ティムと情報交換しました。
 ベンジャミン・ブンブーン、ブラックモア、オエコモバの姿とスタンド能力を把握しました。
※マイク・Oのスタンド能力『チューブラー・ベルズ』の特徴を知りました。
※アラキのスタンドは死者を生き返らせる能力があると推測しています。

184 :代理投下:2009/01/04(日) 01:50:54 ID:WLsMBXp3
【市街地(F-4)/1日目/黎明】
【マイク・O】
[時間軸]:SBR13巻、大統領の寝室に向かう途中
[状態]:左足に銃撃による傷が複数。全身に打撲。右肘に擦り傷。疲労
[装備]:金属片(方位磁針の外殻)
[道具]:支給品一式(方位磁針を除く)
[思考・状況]
基本行動方針:大統領夫人(スカーレット・ヴァレンタイン)を護る。
1.F-4南部のビルから離れる。
2.大統領夫人を命を賭けてでも護る。
3.自分の身は護るが自分から襲ったりはしない(下手な逆恨みで大統領夫人を危険に晒さない為)
4.襲ってきた相手には容赦なく反撃する。
5.大統領夫人を襲ったりしないのなら別に誰かに協力するのもやむを得ない。
6.できるだけ大統領夫人と共に脱出したいが無理そうなら大統領夫人を優勝させる為最後の二人になったら自決する覚悟。
7.マウンテン・ティムとナルシソ・アナスイの二人を警戒。
8.マウンテン・ティムをはじめ、どういうわけか死人ばかりだが気にしない。大統領夫人を襲うつもりなら元同僚でも容赦しない。

[備考]
※名簿はチェック済みです。一通り目を通しました。
※マウンテン・ティムが「裏切り者」(ルーシー・スティール)をかくまった謀反人であることは知っているようです。
※ナルシソ・アナスイのスタンド能力『ダイバー・ダウン』の一部(罠の作成)を知りました。
※マイク・Oが進んでいる方向は次の書き手さんにお任せします。

185 :創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 02:06:16 ID:BDyG1W5C
投下乙 それに、向こうでも言いましたが代理投下乙です


イケメンは死んだのか? それともスタンドで死んだふりをしていたのか?と実にハラハラしましたwwww
いや、それにしてもこのアナスイは初期の頼りになるアナスイはを彷彿させますそれにマイクOもカッコいい!
バブル鳥を利用して飛ぶなんて想像もつきませんでした

また、マイクOの護るという決意はアナスイにどのような影響を与えるのでしょうか?

186 :創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 02:15:46 ID:vsp4FNUa
投下乙!
イケメン絶対死んだと思ったぜ・・・w
マイク・Oは奉仕マーダーともまたちょっと違って面白い
アナスイ達と再会したときにどうなるのか見ものだなあ

187 :創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 12:58:20 ID:gb65ITnv
投下乙ッ!
あーん、ティム様が死んだ!と初見で思ったのは自分だけじゃないはずw
ティムのスタンド、貧弱貧弱ゥと思ってたけど意外に便利だなぁ…ってびっくりしたぜ!

マイク・O、本当に降伏して三人で行動すれば良かったのに……、そう思わせるほどのマイク・Oのイケメン具合に惚れた…。
アナスイもかっけぇし、ほんとこの三人は愛に生きてるって感じだぜ……
ようこそ、「男の世界」へ…


改めて投下乙ッ!ディ・モールトベネ!

188 :創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 21:13:49 ID:jk7JQCkt
荒木「やぁみんな。ちょっと暇だったから遊びに行ってたよ」

189 :創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 22:20:29 ID:czNJMdYe
したらばのスレにでも行ってろ。もしくは総合毒吐き

190 :創る名無しに見る名無し:2009/01/04(日) 22:30:49 ID:hKu5+RKn
あのスレのことかな? まさか荒木が出るとは思わなかったw
ここで言っていいのか分からないけど、安価取った奴GJ

191 :創る名無しに見る名無し:2009/01/08(木) 18:31:33 ID:hH71xHxY
今後の展開にwktkしすぎて死にそう

192 :創る名無しに見る名無し:2009/01/09(金) 00:46:14 ID:fGe4cubE
>>158
亀だが、スピードワゴンとダービー兄は公式設定あるぞ
スピードワゴンは2部最終話にで1982年没、享年89歳とあり、
逆算すると1863年生まれ、一部登場時点では25〜6歳(ちなみにストレイツォも同い年)
ダービー兄はテレンスと10歳差、テレンスが21歳なので31歳

193 :創る名無しに見る名無し:2009/01/11(日) 00:37:51 ID:h/X1zfic
予約wktk

194 :創る名無しに見る名無し:2009/01/14(水) 23:09:40 ID:Ylgx8h7k
予約期限って3日じゃないの?
あ、テンプレ書き換えた馬鹿のせいで7日が定着したのか

195 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 09:49:25 ID:TAhrDJf6
忙しい時期あったし仕方ないんじゃね?
でも途中報告の義務があるのを忘れてるね。

196 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 18:21:08 ID:WkAc6pU6
悲しいことだが予約ラッシュがあるような状況でもないから別に一週間でもよくないか?

途中報告は…確かにマズイけど

197 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 19:02:48 ID:Q5QD1jnF
>>194
二回SSが採用された人には一週間予約する権利がある、ということになってる。
>>5の「延長制度」のところがなぜか「予約制度」に変わっていたのでwikiのルールに準拠して書き換えられた。

途中報告はどうなんでしょうね?「予約を延長します」って報告して延ばすっていうのがルールなんだろうけど、
予約ラッシュの無い現状それで問題ないだろうし、そもそも書き手の方々のためのルールだからなんとも言えない……

198 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 19:06:36 ID:Q5QD1jnF
>>197
×それで問題ないだろうし、
○報告なしで問題ないだろうし、

199 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 20:00:24 ID:GuXtpm0A
違う、予約三日の権利自体はみんな共通。
2回以上採用された書き手に権利が出来るのは一週間までOKの延長する権利。

200 : ◆xrS1C1q/DM :2009/01/15(木) 22:21:14 ID:Ubdr9RyR
その……途中報告に関しては完全にその〜変な眉毛の看守にあいましてね……
で……あれ? 俺は何を言おうとしていたんだっけな………あっ、腕に書いてあった


【駅組み投下します】

201 : ◆xrS1C1q/DM :2009/01/15(木) 22:24:20 ID:Ubdr9RyR
「さ、さてと、電車も来たし乗るとしようかのう?」

明らかに上ずった様子のジョセフの声。
それも仕方がないことなのだろう、先程から何を言っても返ってくるのが無言の返事しかないのだから……。
しかし、話を完全に無視するわけでもなく二人は各々荷物を持ち、一両しかない小さな電車のドアへと向かっていく。
ホームと電車の間にある小さな隙間を越えて、三人は電車内へと入っていった。
年甲斐も無く、ジョセフは勢いよくシートへと身を預けて飛び込んでいき、
音石が同じ側の座席、ディアボロが反対側のホームが見える方の座席へと座った。
電車の中でも相変わらず三人の間に流れる空気は重い。
だが、音石明だけは無言を貫きながらも顔色は多少よくなったように見える。
理由は、ついに自分の最も必要としていた安定した電力の供給を得ることに成功したからだ。
パンタグラフにレッド・ホット・チリペッパーを張り付かせて、電車の運行に問題が無い程度の電気を吸わせる。
電気を全て使い果たすつもりで戦えば、マックスとまでは言わないが近距離型とも十分に渡り合える自身はあった。
と、唐突にジョセフが右腕を顔の前に突き出して己の半身の名を呼ぶ――――。

「ハーミット・パープルッ!」

叫ぶと同時に、顔の前にかざされた右手に絡みつく紫色の茨。
ジョセフは不敵な笑みを浮かべながら茨の絡みついた腕を前方へと突き出した。

「畜生、防げ! レッド・ホット・チリペッパー!」

パンタグラフから換気扇を通って自身の目の前にスタンドを呼び出す。
僅かな時間ではあったとはいえ、ある程度の電力は確保できた。
いざという時は、後ろにあるガラスをブチ破って逃げる。
本体は背後に視線を向け、スタンドは隙無くジョセフを見つめるも――――攻撃は来なかった。
確かに茨は車両を埋め尽くし音石のすぐ近くにもやってきた。
しかし、それだけなのだ。
唖然とする音石をよそに、ジョセフは満足げな顔をして隠者の紫を袖の内に納める。

「よしっ、この車両に他に人はおらんようじゃな。計器や動力部も調べてみたが異常は無い。
 それと仗助君。警戒するのは正しいかもしれんがあくまでもこれはただの探知じゃよ」

腕を組みなおして苦笑しつつ、ジョセフは音石を見る。
攻撃ではなくてほっとしたものの、新しい疑惑が音石の頭を過ぎった。
当たっていて欲しいか当たっていて欲しくないのかは分からない。
どちらにしても自分に不利に働きかねない可能性だからだ。


目の前にいる老人が、ジョセフ・ジョースター本人であるという可能性は。

202 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 22:24:49 ID:SO8+TQj2
支援

203 : ◆xrS1C1q/DM :2009/01/15(木) 22:27:46 ID:Ubdr9RyR


「あの〜機械の探知とか言ったんだけど、それが貴方のスタンド能力っすか?」
「あぁ、ワシのハーミット・パープルの能力は念写や探知じゃよ」

恐る恐るジョセフに対して尋ねる音石。
引きつった表情を必死に隠そうとしながら半ば上ずりかけた声で。

「探知って、例えば場所を調べるって意味ですか? それとも機械や電線などの中を調べるってことですか?」
「一応どっちもできるのう。電線は……やった事がないからわからんが多分できるはずじゃよ」
「おっおおおおおおおおおおおおおおおおおう」

当たってしまった。
奇声を発しつつ、音石の顔が急速に青ざめていく。
承太郎の言ってたジョセフとはまるで違う物の、こいつが本人である事は疑いようがない。
何故、若く見えるか?
そんな疑問など何処かへ吹き飛んでしまっていた。

「どっ、どうしたんだね仗助君?」
「いやぁ、ちょっと寒気がしただけっすよ。実は俺、体が弱くって」

少し落ち着かない様子のジョセフの問いに、これまたしどろもどろになりながら答える音石。
そして訪れるいたたまれない沈黙。
静まり返った電車内で二人はそれぞれ別のことを考えていた。






204 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 22:29:09 ID:SO8+TQj2
支援

205 :線路は続くよ、どこまでも ◆xrS1C1q/DM :2009/01/15(木) 22:29:52 ID:Ubdr9RyR
仗助のヤツになんて言ったらいいのかのう?
自分が父です、となんて今更言うのもあれじゃし……
大体、アイツはどういう環境で暮らしてきたんじゃろうか?
もしかしてワシの子ってミュージシャンに関わることが多いのか?
ホリィにしろ仗助にしろ。
いや、そんな事よりも今は何か話題が欲しいのう。
承太郎と二人きりになったってこんな沈黙にはならんはずじゃが……




おいおいおい! 本物来ちゃったよ本物。
どうする? どうするんだ音石明!?
ここでコイツを殺してすべてなかったことにするか?
いや……それも危険すぎる!
やっぱり安全の為にしばらく同行して参加者が減ってから寝首を掻くしかないのか!?
だが、貴重な電力源になるだろう電車から離れるのはできれば遠慮してぇ!
どっち、どっちにするんだ?
ギ、ギター! ギターが欲しい!
あれさえあればどんな環境でもやってけるのによぉ〜!!







二人の思惑をよそに、ディアボロは呆然としていた。
いや、表情こそは間の抜けた物だが、彼の顔に血の気は無くよくよく見れば小刻みに震えているのが分かる。
彼は見てしまった。彼だけが窓越しに見てしまった。
自分たちがいなくなって無人となったホームに現れた人影を。
ディアボロに気が付くや否や、男は笑った。
底の知れない邪悪と抑えきれない狂気があふれ出した表情でニヤリと笑ったのだ。
彼はヤツを知っている。ヤツは彼を知らないはずだ。
だが、ディアボロの心に去来するのは薄ら寒い恐怖。
ついに過去が彼の袖を捕らえた。

(落ち着け……アイツには俺の素顔はおろか肉声すら晒したことがない。
 ならば、ヤツが笑ったのだって別に俺自身へ意図したものではないはずだ。
 それにグリーン・ディの射程はもう過ぎているだろ?
 落ち着け……冷静になるんだ……冷静さを欠いてはいけない……)

頭では分かっているはずなのに、震えは一向に止まらない。
常人の理解を超えた無限の死は彼の誇りと心の芯をズタズタに破壊してしまったのだ。
震えが静まるのを待ちながらディアボロはゆっくりと瞳を閉じる。




★   ☆   ★


206 :線路は続くよ、どこまでも ◆xrS1C1q/DM :2009/01/15(木) 22:32:52 ID:Ubdr9RyR



長い静寂の中、ようやく一筋の光明を見つけ出したジョセフが嬉々とした様子で音石に会話を振る。

「そういえば仗助、さっきお前が真剣に見ていた紙。あれはなんなのじゃ?
 ワシのディバッグにはあんな紙は入ってなかったぞ?」
「あれか? あれはよく分からないけど開くとランダムに道具が出てくるみてーなんだ。
 って、アンタのディバッグには入ってなかったのかよ? おっさんのにも入ってたから全員分あると思ったんだがよ」
「おっさん? 同行者でもおったんか? いや、それは後回しにして……」

音石から目を離し、ジョセフは青ざめたディアボロに視線を送る。
あまりの血色の悪さに不安になるものの、その辺は割り切って問いを投げかけた。

「のう、ディアボロ君。もしかしてアンタのディバッグにも開けると何かが出てくる紙があったのかのう?」
「あぁ……開けるとピザが出てきたなそういえば……」

彼から返ってきたのは肯定の言葉。
ディアボロにもあったし、音石にもあった。おっさんなる人物も持っていたらしい。
でもジョセフには一枚もないという。
顎鬚を指先でなでながら訝しげにジョセフはぼやいた。

「もしかすると……ワシの支給品は何者かに盗まれたのかもしれんな」

同時に彼の胸から噴出する血液。
見た目の割には重大な傷ではなかったらしく、大きく体勢を崩すものの彼の意識ははっきりとしていた。
苦しげに胸を押さえるジョセフと驚きで目を丸くする二人。
彼らは完全に対応が遅れた。
各々がスタンドを発現したとき、既にガラスには穴が開き侵入者、ホルマジオは外部へと逃げ去っていたのだから。




★   ☆   ★



「こんなキッカケで見つかるなんてよぉ〜しょうがねぇなぁ〜。
 欲張らずに一枚ぐらいは残しといて置けばよかったぜ」

宙を舞いながらホルマジオは一人、反省点を口に出す。
あえてジョセフに対して能力を発動させなかった。
戦うならともかく逃走一択の時にわざわざ自分の能力を晒す必要は無いからだ。
線路沿いにある湿った地面が彼に迫ってきた。
当然、この速度で地面とぶつかればよくて全身骨折だろう。
しかし、彼の脳内では完全な着地法が組み上げられていた。
自身の上着の一部だけ能力を解除。
一瞬で膨らんだ布地は丁度パラシュートのように働き、時速150kmの地獄から彼を救い出した。
地面に軟着地すると同時に、自身にかけていた能力も一旦解除する。
露骨に嫌な顔をしながら服についた泥を払い落とし、溜息を一つ。

「何処へ向かおうかねぇ? 本当にしょうがねぇな〜」

剃り込みの入った頭を音を立てながら掻き、彼は闇の中へと消えていった。



☆   ★   ☆

207 :線路は続くよ、どこまでも ◆xrS1C1q/DM :2009/01/15(木) 22:34:48 ID:Ubdr9RyR



「大丈夫かジョセフ?」
「ああ、傷口は浅いようじゃよ。出血は激しいが止血さえすれば全く問題は無い」

内容はジョセフを気遣う物であるにも関わらず、淡々とした口調のディアボロの言葉。
荒くなった息を整えつつ、波紋法で痛みを和らげると共に出血を抑える。
幸いな事にあふれる血液はすぐに止まり、シャツを紅に染めるものの貧血症状が出ることは無かった。
シートに深く座りなおし、帽子の位置を両手で整えながらジョセフは大きく息を吐く。
彼の疲れたような顔を見ながら、ディアボロはあることを考えていた。

(チョコラータにあの新入り共。……上手くジョセフたちとぶつける事はできないだろうか?
 しかし万が一、俺の正体がばれた時にジョセフとあいつらの二者を同時に敵に回す羽目になる……。
 どうする? 言うべきか、言わまいか……)

電車は走る、三人のそれぞれ異なった思惑を乗せて。



☆  ★  ☆

208 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 22:36:42 ID:SO8+TQj2
支援

209 :線路は続くよ、どこまでも ◆xrS1C1q/DM :2009/01/15(木) 22:37:22 ID:Ubdr9RyR



無人となった駅のホームで醜く表情を歪めるチョコラータ。
喉の奥から出てくる不愉快な音だけが彼が笑っているということを示している。

「くくく、くはははははははははは。滑稽だ、今まで見てきた中でもあそこまで絶望した表情を見せるやつも中々いないぞ。
 早くセッコにも見せてやりたいもんだ! ディアボロ、アイツは間違いない。アイツは俺の事を知っている。俺のこのゲスな性格も含めて!」

人が来る可能性を考慮しながらも、明らかに目立つであろう独白は止まらない。
彼は先程の男が見せた絶望と、自身が探していた人物との接触に興奮していた。
手に持っていたビデオカメラを持ってディアボロの顔を改めて観察する。
小さな画面に映るディアボロの青ざめた顔を幾たびも幾たびも。

「見ろよこの姿! 仲間を何人か作ったみたいだが、それでもやはり恐怖というのは乗り越えられなかったみたいだな。
 ボスの病的な慎重さとコイツの臆病さ、あまりにも似ている……。やはりコイツこそがパッショーネのボスかもしれん」

誰も聞いていない虚空へと一人話し続けるチョコラータ。
本来ならば常に相棒が隣にいたので癖になっているのだろう。
極々楽しそうな様子で延々と独り言を続ける。

「で、俺はコイツを追いかけるのか? それとも別のところへと行くか?
 そういえばさっき、ヘリが飛んでるのを見たな。確か方角は……西へ行っていたはずだ。
 ここからは遠いがナチス研究所にも興味はある。あのナチスの研究所だ、さぞ素晴しい資料があるに間違いない」

表情から笑みが消えた。
顎に手を当て考える事のベクトルは全て苦しむ人を見るためという一点に集約している。
頭の片隅に浮かぶのは悶絶するダービーの顔に、どうしようもないと告げていたフーゴの様子。そして今回のディアボロの表情。
込み上げてくる笑みを抑えながら、思考を繰り返す。

「やはり西だな……」

ぼそりと自分の思考の結論を口に出す。
ディアボロたちが乗った電車が向かう先は西。
ヘリが向かっていった先も西。
ナチス研究所があるのも西。
そして、自分が必要としている“高さ”を持った建造物、鉄塔があるのも西。

「しかし、この俺にとってどのルートを通ることが一番有益となる?」

距離的に言えば、まっすぐ進むのが一番早く西端へ着くのは間違いないだろう。
だが、本当にそれでもいいかのかという疑問は湧いてくる。

「認めよう、我がグリーン・ディは近付かれると弱い。
 中心にある街といった大人数がいそうな所に下手に突っ込んでそのまま蹂躙されるのは遠慮したいところだな。
 だが――――」


再び彼の歯が剥き出しになり、目が細まった。

210 :線路は続くよ、どこまでも ◆xrS1C1q/DM :2009/01/15(木) 22:38:51 ID:Ubdr9RyR

「上から絶望した連中の顔を見下すのにこれほど向いているスタンドは無いと断言できるね」

自身の短所をわきまえた上で、この能力ほど自分にあっているスタンドはないと確信する。
そして、そのスタンドをどのように生かすべきかも。

「そして、だからこそ俺は真ん中を通って西へと向かう。なぁに、そうそう他の参加者と間近で出会うことはあるまい。
 出会った場合もどうするかだな。フーゴみたいに突き崩すのも楽しいし、黴まみれにしてやるのもいい。
 もしくは同類がいるかもしれないから、もしも出会ったなら同行してやってもいいな」

これから行く先で出会うであろう人物をどのように痛めつけるかを思索する。
腕を千切るか、足を飛ばすか、目を抉るか、腸を引き出すか、耳をもぐか、
爪を毟るか、皮を剥ぐか、舌を抜くか、性器を潰すか、葉で精神を突き刺すか。

「当然、最後は限界まで痛めつけて格の差を教えてやるのだがな。
 いや……第二のセッコっていうのも案外いいかもしれん」

と、ここで限界までつりあがっていたと思われるチョコラータの口元が更に上に引っ張られる。
人間の限界へと到達した顔は醜いを通り越しておぞましさすら感じさせる。

「どうやら先程の三人を見るに、集団を作っている連中もいるみたいだな。
 荒木にでも対抗するつもりなのか? それだったら好都合だ」

せりあがって来た歓喜の声。

「集団に取り入って、土壇場で裏切る。
 ふふっ、裏切られたという絶望の顔を見るのも悪くは無いかも知れんな」

結局、彼がどうするかは分からない。
だが巨大な悪意の塊は改札から外へと解き放たれたことだけは確かだった――――――


「おっと、出る前にもう一度だけ奴らの顔を再生するか」

211 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 22:41:11 ID:u5cIGm1/
 

212 :線路は続くよ、どこまでも ◆xrS1C1q/DM :2009/01/15(木) 22:43:03 ID:Ubdr9RyR
【E-7〜 電車内/1日目 早朝】
【子持ちのおっさんコンビ〜チキンの音楽家添え〜】 【ちいさなおにいさん  逃亡確認】

【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:健康。だけど目が死んでる。強い恐怖
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:とにかく生き残り平穏な生活を送る。
1.ジョルノには絶対殺されたくない。
2.自分の顔と過去の二つを知っている人物は始末する。
3.とりあえずはジョセフに協力。でも無理はしない。
4.自分の過去に関するボロは絶対に出さない。
5.普通に死ねるならそれでもいいや。でもなぶり殺しは勘弁。苦しまないように殺して欲しい。
6.なるべく名前は言いたくないんだが…
7.チョコラータ怖いよ、キモイよ……
8.ジョルノや暗殺チーム、チョコラータとジョセフ達を上手く敵対させたい、が、ぼろが出ると怖いからどうしよう……

【ジョセフ・ジョースター】
[時間軸]:DIO討伐後、日本に帰る飛行機の中。
[状態]:健康。胸に浅い傷(止血済)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:必ず生きて脱出する。打倒アラキ!
0.や、やられたっ?!
1.承太郎、シーザー、リサリサ、アヴドゥル、花京院辺りと合流して自分の推測について話し合いたい。
2.スージーQ、ジョージ、ジョナサン、ツェペリ、エリナ、スピードワゴン、仗助、徐倫は見つけ次第保護する。
3.勿論それ以外の殺し合いに乗っていない参加者達も護る。或いは協力していく。
4.ディオや柱の男達は見逃せない。ストレイツォに関してはリサリサの育ての親でもあるし保留したいが…
5.ディアボロにちょっと戸惑い。自殺をしそうで怖い。
6.機械に詳しい人間がいたら『隠者の紫』で首輪の内部構造を描き、解析してもらう。
7.正直な所スージーQと仗助はなるべく会わせたくない(スージーQに自分が殺されかねない。ばれるとは思わないがねっ!)
8.仗助とか……今更父親面するわけにもいかんしのう……
[備考]
※参加者達は時代を超えて集められたのでは?と推測しています(ディアボロにはまだ話していません)
※首輪を『隠者の紫』で調べましたが機械には疎いので詳しい事はわかりません。分かった事といえば隙間がまったく無いという事くらい。
※1で挙げた面子はジョセフが聡明と判断した面子なだけで別にポルナレフが信用できないというわけではありません。
※波紋の呼吸を絶えず行っています。その影響である程度の運動なら息ひとつ乱れません。

【音石明】
[時間軸]:チリ・ペッパーが海に落ちた直後
[スタンド]:レッド・ホット・チリペッパー(充電中。徐々に回復して色もネコドラk……ドラえもんのオリジナルカラーと同じ感じになりました)
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品 ×1
[思考・状況]基本行動方針:優勝狙い
1.げっ、げぇっ! 本物のジョセフ・ジョースター!?
2. とりあえず仲間が欲しい
3.充電ができてほっとしているが、電車から降りたらどうするかは未定
4.サンタナ怖いよサンタナ
5.電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー!
[備考]
※バトルロワイアルの会場には電気は通っているようです。
しかし様々な時代の土地が無理やり合体しているために、電線がつながっていなかったりと不思議な状態になっているようです。 スタンドが電線に潜ったら、どうなるかわかりません。(音石は電線から放電された電気を吸収しただけです)
※ミセス・ロビンスンをスタンド使いだと思っています

※電車は一両編成で、運転手はおらずに自動で走っています


213 :線路は続くよ、どこまでも ◆xrS1C1q/DM :2009/01/15(木) 22:44:59 ID:Ubdr9RyR
【E-7〜 何処かの線路沿い/一日目 早朝】

【ホルマジオ】
[時間軸]:ナランチャ追跡の為車に潜んでいた時。
[状態]:健康。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、万年筆、ローストビーフサンドイッチ、不明支給品×3(本来はジョセフの物。ホルマジオ、ジョセフ共に未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:ボスの正体を突き止め、殺す。自由になってみせる。
0.しょうがねぇなぁ〜。これからどうするべ?
1.ディアボロはボスの親衛隊の可能性アリ。チャンスがあれば『拷問』してみせる。
2.トリッシュ、ティッツァーノ、チョコラータの三名からもボスの情報を引き出したい。
3.もしもジョセフが仲間を攻撃しようとすれば容赦はしない。
[備考]
※首輪も小さくなっています。首輪だけ大きくすることは…可能かもしれないけど、ねぇ?
※サーレーは名前だけは知っていますが顔は知りません。
※死者とか時代とかほざくジョセフは頭が少しおかしいと思っています。

【E-7 ネアポリス駅構内/1日目 早朝】
【チョコラータ】
[時間軸]:本編登場直前
[状態]:ハイ
[装備]:ミスタの拳銃、
[道具]:顔写真付き参加者名簿、チョコラータのビデオカメラとテープ(テープは原作になし)
    支給品一式(ランダム支給品はなし)×2
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いを楽しむ
1.中央(繁華街)を通り西を目指す
2.優勝して荒木にロワの記録をもらう
3.ディアボロを拷問してボスの情報をはかせる
4.参加者に出会ったらどうするかはその場で考える(しかし、最終的には殺す気)
[備考]
※グリーンディの制限はまだ不明
※参加者が荒木に監視されている事に気づいています(ただし推測)
※思考3については、「できれば」程度に思っています


214 : ◆xrS1C1q/DM :2009/01/15(木) 22:49:58 ID:qcrHhYjt
投下完了です
毎回言ってますが支援ありがとうございます

指摘、不満、その他もろもろがあるなら遠慮なくどうぞ〜

215 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 22:52:52 ID:XhXIwM2i
投下乙
このコンビ、なかなか面白いな
テンパる音石。ディアボロの大冒険。
他のメンバーも動いたし、一波乱の予感!

216 :創る名無しに見る名無し:2009/01/15(木) 23:06:07 ID:GuXtpm0A
う〜ん、ディアボロはキンクリを出すことで何かデメリットが出るとは思えんなあ・・・
ジョルノ達にはどうせ書体を知られているし、この場で能力を晒すこと云々とアバッキオみたいな感じで行けると思うが。
過去さえバレなきゃいいいんだろ?

217 :創る名無しに見る名無し:2009/01/16(金) 16:38:06 ID:XszQxhFj
ジョセフと音石のことをそこまで信頼してないんじゃね?

218 : ◆xrS1C1q/DM :2009/01/17(土) 00:03:42 ID:pcUY+vBU
>>216
遅くなってスミマセン。個人的な解釈になってしましますが
ディアボロの根底にあるのはやはり病的な臆病さだと思うんですよね
だから過去を知っている知らないは関係無しに最後で最大の保身の手段であるスタンド能力を見たものは誰であろうと生かしておく気はないと
つまり、ジョセフを殺したくないあの状況下では能力を使う気にならなかったという感じで考えておりました

219 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/17(土) 00:21:32 ID:FKfvl7ij
>>214
投下乙ッ!
あれ…チョコラータが大人しい…と思ったらこの外道っぷりw
考えが正に嫌らしさの塊、スタンドは精神力とはよく言ったもんだw

ホルマジオが離脱したのにびっくり。まぁ、結果的にそれがボスを救うことになるのか、それとも…
音石とジョセフの奇妙な関係もべネ!そして放送来たら音石オワタ\(^o^)/
うまい具合に集団もばらけてこれからの展開が広がる話でした!GJ!

一時投下スレにて投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
投下が遅れて申し訳ない…。
問題ないようでしたら月曜日か火曜日には本スレにて投下したいと思います。
それではお願いします。

220 :創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 17:14:00 ID:IUVg8M78
先生が西に行くとなれば、さらにフーゴの孤立化が深刻になるなwww
ディアボロがこの先立ち直ることはあるのか?

221 :創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 20:58:54 ID:7UDAh3wS
ディアボロはトリッシュがすでに死んでるから、放送来れば少しは立ち直るんでねーの
むしろやばいのは音石

222 :創る名無しに見る名無し:2009/01/17(土) 23:34:04 ID:1QfuRoS1
今のディアボロは
「トリッシュが死んだ…?いや、嘘だ!これはアラキの罠なんだっ!影から俺に襲わせるつもりなんだ!」
とか平気で思いそうだから困る

223 :創る名無しに見る名無し:2009/01/18(日) 22:40:47 ID:7cgju0aH
予約、新人さんだから今日までだよね?
個人的には後一日でも一週間でも待てるけど、期限守れないなら一応筋は通して報告して欲しいな

224 :創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 07:48:12 ID:2CcdXY4Y
まぁ、報告について言わせてもらえば常連である書き手さんもやってなかったから強くは言えんけどな


225 :創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 08:48:55 ID:TPROHFN4
あれってテンプレ書き換えの影響だろ?
少なくともそれがルールだった筈

226 :創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 09:14:43 ID:gpnuyEPI
まあ、次回が短くなるだけだし、
先に書き終わってから投票すれば全く問題ないんじゃがのう。

が、これ以上遅刻が増えるようなら…

227 : ◆xNdvPCPVM. :2009/01/19(月) 20:27:55 ID:u+RKvyi/
遅れてすみません。
投下します。

228 : ◆xNdvPCPVM. :2009/01/19(月) 20:30:38 ID:u+RKvyi/
「北に向かえば街、南に向かえば森。どちらも隠れ蓑には申し分ない」

柱の男たちは非常に特別な種族である。
生物学に通ずる数多の理論は、彼らの前ではお粗末な抽象論と化す。
その証明のアプローチの1つとしてなりうるものは、太陽光への嫌悪。
日の恵みで浄化される屍生人(ゾンビ)を食する柱の男。
彼らの体が、餌の体系と酷似してしまったのは皮肉な話である。

「このワムウ、どちらに向かうべきか」

黎明から日の出に近づいている現在。
柱の男であるワムウの方針が殲滅から撤退に移すタイミングとしては頃合か。

「……まだ2時間以上ある」

ワムウは右から左へと視線を流し、笑う。

「セコイことを言わず、両方を拠点にすればよい。ここから走って一周すれば事足りるだろう」

下見というには名ばかりの制圧が始まった。

@   @   @

(……最も、最も難しい関門は"タイミング"だ)

盲目のハンター、ンドゥールは考える。
ンドゥールと友好を結んだ、と勘違いしているサンドマンが獲物にかなり接近し始めたからだ。
メートル単位とはいえ正確に刻まれる彼の体内メジャーは今日も万全だ。
その絶大なる目盛りを持つ彼だから可能な作戦――誤解。
サンドマンと獲物が互いを敵と判断し戦闘、そして共倒れ。これが理想な形。
きっかけとして、ンドゥールのスタンド『ゲブ神』が、サンドマンと獲物に合わせて二度襲い掛かる。
サンドマンは獲物が、獲物はサンドマンが襲撃したと思わせるためだ。

(接触されるのは"まだ"いい。しかし会話をさせては駄目だ)


229 : ◆xNdvPCPVM. :2009/01/19(月) 20:33:45 ID:u+RKvyi/
ンドゥールにとって最大のアドバンテージは聴覚。
周りの環境からの反響だけで察せれる、彼のソナーの精度は無二だ。
ただしンドゥールは、数百メートル離れている彼らを音だけで判断しなくてはならない。
"何かをやっている"のがわかっても、"何をやっているか"は詳しくわからない。
もしサンドマンと獲物が、ンドゥールの悪事に気づいてしまったとしたら。
そして筆談、ジェスチャー、あるいはアイサインを始めてしまったら。
目の見えない彼には推測という毒にも薬にもならない伏兵を使う術しかない。

(木の枝を飛び移っているようだが、随分と早い足だ……こちらに考える余裕を与えてくれぬ)

ひらひらと落ちてきた葉をつまんで、鼻から薫りを頂く。
盲目である彼には、耳だけでなく鼻もよく働く。
障害者が健全な感覚器を発達させることはさほど珍しくはない。
木々の優しさを充分に受け取る資格が、森林浴としてリラックスする資格が、彼にはある。

(悪く思うなよ……やれッ! ゲブ神ッ!)

ンドゥールのスタンド、ゲブ神は指示通りにサンドマンを襲う。
ゲブ神は全身が水で構成されているスタンドであり、巨大な手に変身できる。
得意な必殺技は手に変身した状態からの切り裂き攻撃だ。

(地面への着地音を確認……木から落ちたな。悲鳴は無い……良いぞ、怪我はしていないな)
 獲物は……足音がサンドマンに向かっている。気づいたな。距離にして……7メートル強……許容範囲!
 最大の難関はクリアーした……ゲブ神ッ! 獲物たちにも襲撃をするんだッ!)

ンドゥールの難題は『ゲブ神にサンドマンの体スレスレを思いっきり引っ掻かせる』ことだった。
サンドマンが面食らって、獲物に存在を知らせるような(地面に着地して音を出すといった)ヘマをさせるためだ。
とどのつまり空振りである。しかし侮ることなかれ。
馬に匹敵するスピードを持つ人間を、驚かせて特定の位置で止まらせる。
考慮すべき物理学的計算は一般人であるンドゥールにとって厄介以外の何物でもない。
サンドマンが600メートルをあっという間に走りきる故に、時間も限られていたのだから。

(獲物とサンドマンは……近づかないッ! 音の周波数から会話も始めていないッ!
 この距離ならばお互いを認識可能。だが様子を見ている……警戒しているな)

獲物とサンドマンを緊張状態に持っていったンドゥールは、思考を張り巡らす。
狙いは『このまま彼らが敵対意識を持ったまま別れる』ことだ。
せっかく蒔いた疑心の種を、ここで完結させるのは愚考なのだ。
仮にサンドマンと獲物がこのまま戦闘に入り勝敗がついたとしよう。
……最低でもあと40回以上もこんなことを繰り返すというのか。
サンドマンはサンドマンの仲間に、獲物は獲物の仲間に『奴は危険だ』と吹聴させたほうがずっと良い。
サンドマンの仲間と獲物の仲間が対峙する可能性だって生まれてくる。
生憎サンドマンには仲間はいないが、そこは問題ない。
ンドゥールは、サンドマンとつい今しがた知りあった仲間と、名乗れるからだ。
彼が"サンドマンは信用できる"と周りに知らせるだけで、獲物側の立場は危うくなるだろう。
噂が噂を呼び、真相を知る者は限りなく減る。
とにかく疑心の種を周囲に蒔く。それが彼の狙いだった。

(さてゲブ神、ここから第二関門だ……ム? )

230 : ◆xNdvPCPVM. :2009/01/19(月) 20:37:31 ID:u+RKvyi/
彼の狙いは、それだけだった。

(右斜め後方より音を察知……だがこれは!?  馬? 車? 飛行機?
 速い――速すぎて正確にサーチできない! "コレ"は人の足音なのか!?)

この世で最もおそろしいものは、『思い込み』である。
世に言う熟練者が失態を繰り返すのは、この先入観や経験が時として足枷となるからだ。
ンドゥールの先入観は『サンドマンより速い走る人など滅多にいない』。
ンドゥールの経験は『自分と同等に耳のいい人間に出会ったことがない』。

(なん…だと…! こちらの位置を察したのか!? 真っ直ぐ向かってくる!
 しかし俺のような探知能力に長けた人間が2人も!?
 このスピードでは、俺がサンドマンたちを襲う前に、俺がやられてしまう!!
 そいつが敵だったとしたら……俺は悠長にスタンドを手放している場合じゃあない)

彼がこの後、どうやってサンドマンたちを別れさせようと考えていたのか。
彼がこの後、どこへ向かおうとしていたか。

(クソ……サンドマンたちの妨害をしている余裕が無くなってしまった。逃げられない)

それは、もはやどうでもいいことだ。

@   @   @

障害者用に持っていた杖が、腹部に刺し貫かれている。
出血は酷く、まともに歩けるほど精気は残されていない。
一瞬だった。
ンドゥールの認識も遅くはなかったが、相手はその上だった。
彼はその圧倒的戦力差に成す術もなく敗れたのだ。

「このワムウに、恐怖することなく仕留めにくるとは……愚か、愚かよ」

ンドゥールの最大の弱点は、スタンドが近距離パワー型じゃあない点だ。
相手の位置がどんなに遠距離からわかっていても、すぐそばに近づかれては意味がない。
だからこそ彼は確実に少ない手数で相手を殺すために、常に集中力を全開にしてスタンドを操っていた。

「世の生物は決して恐怖を忘れない……恐怖こそが自己の生存に繋がる。
 貴様ら人間は何度制裁を与えられようとも、同じ過ちを止めようとしない」

ワムウとの距離がわずか1メートルになった時も、ンドゥールは諦めていなかった。
向かって槍のように尖ったゲブ神で、カーズの上半身をブチ破ろうとタイミングを伺っていた。
だが、ンドゥールのスタンドは水のスタンド。
ゲブ神が炎を受ければ、本体も火傷を起こす。
ゲブ神が高熱を浴びれば、本体の体も細胞が破壊される。
ゲブ神が"ワムウの神砂嵐――超高速回転する腕と衝突すれば、その摩擦熱で蒸発し、本体もダメージを受ける。

「『スタンド使い』といえど、ただの人間ごときが……このワムウに。
 こ・の・ワムウにッ! 真剣勝負でかなうと思ったのかッ!? 」

奇襲は、ワムウに読まれていた。
敗北したンドゥールには、これ以上の抵抗は思いつかなかった。
意思はあった。
柱の男が、吸血鬼の天敵であるという事実をワムウ自身から聞かされていた。
このままでは自分の主人の安全が崩れ去ることはわかっていたのだ。
だが何も思いつかなかった。それだけ柱の男は強大だったのだ。


231 : ◆xNdvPCPVM. :2009/01/19(月) 20:38:52 ID:u+RKvyi/
(一手、早かった)

ンドゥールはさっき別れた知人のことを惜しんだ。
もし、サンドマンがもう少しこの場にいたら。
彼をこの場に引き止めていたら。
せめて、彼と共に柱の男に対応できたのかもしれない。
柱の男の存在を周りに知らしめるよう、彼に依頼できたかもしれない。

(しかし……これ以上惜しむのは……失礼……)

だがンドゥールは、サンドマンを騙したことまでは、後悔しないように努めていた。
それは自らの意思ではっきりと道を選んだ過去に対する侮辱になってしまう。

(運命への……かつての自分への冒涜は許されない……)

常に誇り高く。
彼には彼なりの美学がある。

@   @   @

「お前さんは、かつて死んだことがあるのか? 」

硬直から時間にして20分近くたったころであろうか。
ンドゥールが設けた修羅場の中で、最初に意を決したのはツェペリだった。
ンドゥールの獲物(正確には獲物は2人あったッ!のだが)である、ウィル・A・ツェペリ。
彼の狙いはサンドマンとの和解であった。
断っておくが、ツェペリはンドゥールの謀に全く気づいていない。
彼は飲料水に波紋を流して、常に周囲を警戒していたというのに。

「この世界には、一度死んだ後に、荒木によって屍生人として復活させられた者がおる」

ある意味しょうがないことなのだ。
ツェペリの波紋による探知は、ンドゥールとは違い『周囲の気配を読める』レベルに留まる。
何かが襲い掛かってきたことに反応できても、それが液体と予想するのは無理な話。
もちろん『数百メートル離れた場所から音を探知できるスタンド使いがいる』という発想にも至らない。
彼に残された思考は『予め気配を探知できていた目の前の男(サンドマン)に、自分たちは襲われたのか? 』のみ。

「無駄な争いはしたくない。君に心当たりがあるのなら、真の敵は人の命を弄ぶ荒木だろう。
 ワシはウィル・A・ツェペリ。"ツェペリ"でいいぞ。こっちは"コーイチ・ヒロセ"君じゃ」

ツェペリはいつも通りに正義を振りかざしているが、それは彼の悪運と言えよう。
ンドゥールが何者かの接近のせいで、横槍を入れられない"偶然"の奇跡。
元々どちらも荒木打倒に燃える者同士。
3人が落ち着いて語り合えば、同盟を結ぶことに障害が起きることは有り得ないのだ。

「君の名前を聞かせて――」

ただ、その"偶然"は誰が起こした者だったのか。
ンドゥールの聴覚を惑わせた張本人は誰だったのか。
人よりも速く走れる生物とは何だったか。
ツェペリも広瀬康一もサンドマンもンドゥールも知らない第四者。
我々は勿論知っている。その男の名を知っている。

「――風の流法(モード)」

232 : ◆xNdvPCPVM. :2009/01/19(月) 20:39:27 ID:u+RKvyi/
四肢の一切を竜巻く空気の刃の舞。
間接を外した右腕と左腕を高速で捻ることで、腕の間に生じる急激な風。
その風が特定の範囲の空気を追い出しながら、真空――かまいたちを幾重にも疾させる。
これぞまさしく"逆境に吹く風"と書いて、逆風である。

「『神砂嵐』ッ! 」

強烈な闘技に、三者三様の反応が絡まりあう。
一人は即座に後方へ飛び、葉室の囲いに身を落としての『逃げ』。
一人は守護霊を呼び、魔法の呪文を唱える『咄嗟の判断』。
そして最後の一人は不適な笑みを浮かべての『余裕』。
余談だが、自然界のギャラリーたちは物も言わず死んだ。
とり壊される大型居住宅のように、天然の瓦礫と化した。

「……しくじったか」

襲撃者は注意深く少年を見やる。
未知との遭遇による興奮のせいか、彼の言葉遣いにはいつもより上ずっているようだった。

「――エコーズACT2ッ! 」

ひしめき合いながら次々と倒れてゆく大木を横目に、広瀬康一はスタンドを召還した。
割って入った小さな嵐。その嵐を発せし者。
身に着けている衣服はほとんどなく、靴すら履いていない。
目に付くには下腹部の布当てと、頭部にある不可思議な装飾物と髪型。

(何ということだッ! あいつらは最初から2人がかりで僕たちを殺そうと……)

勘違い。
ワムウとサンドマンが同じ立場の者であるという誤解。
広瀬康一はンドゥールの罠に嵌りかけていた。
もしサンドマンがその場で釈明すれば――いや、彼が人間であることを証明すれば、全ては丸く収まった。
しかし彼は不在。
"自分を襲撃した者はコーイチ・ヒロセたちか、嵐を生み出した巨漢の男のどっちだ?"という発起。
"どちらにも少し探りをいれたいが、両方とも自分の敵になるかもしれない"という懸念。
"そもそもンドゥールは巨漢と接触せずにすんだのか、いささか心配だ"という摩り替え。
"ンドゥールの言っていた実力者は、おそらくツェペリと名乗った男の事だろう。賢明なんだろうな"という妥協。
"まぁ、自分が無理にしゃしゃり出る必要はないだろう"という結論。
サンドマンは彼なりに最善手を考え、撤退を選んだのだ。

「やれッ! 『エコーズ』ッ! 」
「そんな貧弱な虫けらに何が……NUGAAAAAAAAAAAAAA……これはッ!? 」

サンドマンの行動は結果的に正しかった。
広瀬康一という同じタイプのスタンド使いと戦えば消耗戦は避けられない。
そんな片手間で、問答無用に挑んでくるワムウを相手にするのは至難の技だろう。

「砕けた木屑に"ピカァァァ"の文字を貼り付けて、あなたに投げつけた。
 直射日光を間近で受けたら眩しいでしょうね……この夜じゃあ、たまったもんじゃない」
「ぐぐ……このワムウにペテンをかけおってからにッ! 」
「エコーズACT3ッ! 手を休めるなああーッ!! 」

そのワムウも勘違いしているのだから、どうしようもない。
ツェペリの紹介を一言一句逃さず聞いた彼の頭は、『コーイチ・ヒロセも波紋戦士だ』と受け取ってしまったのだ。
康一もワムウも誤解しているのに、双方に思い当たる人物がいるので会話が通ってしまう不思議。
彼らの想像の中で真実はただひとつ。相手は危険=敵。

『5以内メートルに到達。ACT3FREEZE!をブチこみました。しかし両腕が限界……』
(わかってる。これ以上懐に入ったら危険だった。体の大きさといい、さっきの嵐といい、こいつはスケールがビッグだ)
「重いッ! これも波紋の力だというのか。いや、それともッ……!? 」

233 : ◆xNdvPCPVM. :2009/01/19(月) 20:40:08 ID:u+RKvyi/
広瀬康一の『エコーズACT2』音を文字として具現化し、触れた者に音と同じ効果を与えるスタンド。
『ドヒゥウ』の文字を触った物は突風を浴び、『ドジュウ』の文字に触れれば火傷を負う。
広瀬康一の『エコーズACT3』は相手を重くするスタンド。
射程距離は5メートルだが、康一との距離が近くなれば比例して相手にかかる重力は大きくなる。
とはいえ康一は、絶対的な優位に立ったと信じ込まない。

「お前たちは正気なのかッ!? 僕たちを殺すなら、荒木の言いなりになるってことだぞッ! 」
「貴様ら波紋使いがこの世にいる限り、我々柱の男と戦う運命は変わらん! 」

彼が危惧しているのは、ワムウのスタンド能力。
康一はワムウがスタンド使いではないことを知らないゆえに、5メートル以内に進めない。
神砂嵐の発生条件が読めないだけに、迂闊に近づけば殺されてしまう。

(話を聞いてくれそうな気配はない……)

康一は最大の勝機を手放していた。
神砂嵐の発生にはワムウの両腕による高速回転の使用を伴う。
ゆえに両腕にACT3FREEZEを掛けられている彼が、容易に神砂嵐を出すのは難しいのだ。
だがワムウの神砂嵐の強力さが、彼の足を鈍らす。
相変わらず毅然と殺意を放ち、重みに耐えながらも、少しづつ近づいてくる敵。
何を賢明とするかを康一に尋ねるのはあまりにも、不憫だ。

「――康一くん、待たせた」

キリキリと左肩を回しながら帽子を被り直すウィル・A・ツェペリに、康一は顔を綻ばせる。
彼が不安としていたことは、神砂嵐を回避したときにあった。

「波紋をなめたらイカンよぉ」

サンドマンと対面したとき、ツェペリの波紋による探知は、ワムウをも見透かしていたのだ。
ゆえに彼は康一に密かに合図を送り、緊急の危機に備えていた。
康一がとった行動は、『ドヒュウ』という突風の音をエコーズACT2に地面へ付着させる作戦。
敵が奇襲をすれば、ツェペリが康一を抱えて『ドヒュウ』の文字を踏む。
ツェペリたちは立ったままの姿勢で長距離のジャンプが可能。

「すみません。僕の体はもう怪我をしても大丈夫なハズなのに」
「なーに、ちと時間はかかったが、骨折や打撲なんぞパウッといじればスグ治るわい」

ただ、ワムウが果樹園の木々ごと吹き飛ばすとは予測できなかった。
つまりツェペリには矢のように吹き飛ぶ沢山の枝が、彼の体に突き刺さってしまった。
康一はそんなツェペリの好意に報いるため、時間稼ぎを買って出たのだ。

「どうしましょうツェペリさん」
「2、3、質問してみようじゃないの」

ツェペリはおどけて見せるが、康一の心中はおだやかではない。
ワムウの奇襲を読んでいたからこそ、全てが旨く進んだのだから。

「お主、ワシらと手を組む気はないかのう?
 荒木打倒までの一時的な協力でもよい。とにかく、無益な争いは避けたいのじゃよ」
「な、な、何を言ってるだぁーっ! ツェッペリンさん!? 」 
「そんな連れない顔をするなコーイチ君。いや、割と本気じゃよ。
 のぅワムウとやら。こちらのコーイチ・ヒロセ君はな、屍生人でありながら、荒木を倒そうと意気込んでおるぞ」

ツェペリのカミングアウトに、ワムウの目が大きく見開いた。


234 : ◆xNdvPCPVM. :2009/01/19(月) 20:41:03 ID:u+RKvyi/

「どうやら思い当たるフシがあるようじゃな。ワシもかなり驚いたが、事実だ。
 真に奇妙な運命だとは思わないか? 波紋使いと屍生人は犬猿の仲だったはずなのに。  
 思い知らされたわい。本当の敵を倒すためなら、立場の違いに拘っている場合じゃあないと」

ぽかんと口を開ける康一にツェペリはニヤッと白い歯を見せる。
それだけ彼は広瀬康一を買っていたのだ。
屍生人という正体が波紋使いにバレても、逃げるどころか共闘を持ちかけた戦士に。
かつての自分の思想に"待った"をかけた紳士に。
そして話し方や態度では感じ取れない彼の頼もしさを、ツェペリは感じていた。

「なぜお前が波紋使いを憎むのかはわからんが、イザコザは後回しにしても悪くないと思うが……」

だがツェペリは勘違いをしていた。
ワムウは人間でも吸血鬼でもなく屍生人でもない。
それら全てを餌としか考えていない存在であることを。

「……"アイツ"と同じ性ゆえに、どれほどの男かと思えば――失望したぞッ!! 」

そしてワムウは、分別のつかない一方的な憎しみで動く戦闘狂ではなく、強者を絶対の真理とする闘士。
彼は拳を交えた『先』でしか語れぬ男。
かつて倒した波紋戦士、シーザー・アントニオ・ツェペリを称えたように。
身を削りながらも殺し合った男を、純粋に友として尊敬したように……。
ワムウの心意気は、和平という枠には収まらない!

「SYYYYYYYHHHHHHHHHHHHHAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!! 」

彼は――

「こんな両腕などいらぬッ!! 」

だらりとぶら下っていた両腕を両足で挟み、上半身を起こすことで引きちぎったのだ!!
当然、肉体から解放された両腕は地面にめり込んだのでワムウは自由の身となる。

「じ、自分の両腕を……」
「な、なんと器用なッ!! 」

だが彼の奇抜な行動は終わらない。
康一たちの驚嘆を無視してディバッグを地面に落とす。
間髪いれずに開いたディバッグ口に顔を突っ込み、力の限り首を跳ね上げた。
そこから飛び出したものは、彼の支給品。
ワムウにたてがみを噛まれて引っ張りあげられた馬『エル・コンドル・パサ』だ。

「なまじ自分の技に自信を持っていたゆえ……長所を仕留められるという失態。
 これは私自身への戒めだ……獣の姿に……敢えて身を落とす。この屈辱と暴挙をバネにッ! 」

ワムウはパサに飛び乗り、深い呼吸と共に関節を鳴らし始める。
するとどうだろうか。彼の両足がズルズルと腹、胸、肩と滑り、腕の付け根に到達したではないか。
そして両足の無くなったワムウの胴体はパサ背中の鞍に入り込む。
そのグロテクスさは、まるで2つの頭をケンタウロスのようだ。


235 : ◆xNdvPCPVM. :2009/01/19(月) 20:42:02 ID:u+RKvyi/
「何だアァァァァーーッ!? 馬の内部に入り込んだぞッ! 」
「いかん! 早くスタンドを解除するんじゃコーイチ――」
「"新生"・神砂嵐ッッッ!! 」

ワムウが風を再び巻き起こす。
彼の胸元で下腹部についていた両足が、いつの間にか両腕の代わりを勤めていた。
自分の体を自由に変形できる彼だからこそのセンス。他の生物に潜り込める彼だからからこその発想。
嵐は人間と果樹園をまとめて吹き飛ばした。

@   @   @

水平線から見える白の侵食は、日の出の時間が迫っていることをさしていた。
ワムウは神砂嵐の被害を受けなかった樹木の下で、東を睨む。
地に伏した樹木を跨ぎながら、ゆっくりとツェペリが向かっていた。

「コーイチ君は屍生人だった。愛と勇気と希望に満ち溢れる……立派な屍生人だった! 」

康一を讃えるツェペリの雄叫びが、合図となった。
巨木が倒壊したことで開かれた野道。その一直線上に相対する戦士たち。
馬と一体化しながら嘶く怪物と、血まみれの肉塊を抱えて歩く超人。
両者は大きく空へジャンプし、空中で対峙する。

「"新生"神砂嵐ッ! 」

先手を取ったのはワムウ。
ツェペリのズームパンチが胸元を貫く前に、神砂嵐は遥か高く上空へ吹き飛ばす。
木々の高さを超えて舞ったツェペリの体は、追撃を狙う上では格好の的になる。

「まだワシは死んでおらんぞーッ!! ぶっ潰れろおーい!! 」

そのワムウの先入観を砕いたのは、ツェペリの思わぬ反撃だった。
突如現れた巨大な氷の塊。南極から取り出されたこの聖なる氷は、スティールボールランレースの賞品。
ツェペリに支給された健闘と前進のシンボルが、ワムウを押し潰そうと落下してくる。

「知っていたぞ! あえて騙されてやったのだ! 貴様が空に飛ばされたのは俺の神砂嵐ではないッ!
 俺の体にくっついているこのふざけた"ボヨヨン"の文字に触れたからだッ! 」

ワムウは地上のとある木陰に隠れていた広瀬康一を見る。
ツェペリと同じく、血まみれになりながら見上げる康一は絶望していた。
風の流れを感知できる彼にとって、だまし討ちなど無理な話である。

「この氷も"重くなっている"だろうッ!? この程度で俺がしてやられるとでも思ったかッ!
 甘い……甘い甘い甘い甘い!! 貴様ら人間の常識に柱の男が当てはまるわけがなかろうッ!! 」
「――それは良い事を聞いた」
「何ッ!?」
「じゃあ、"してやられて"もらおうかのうッ!! 」


236 : ◆xNdvPCPVM. :2009/01/19(月) 20:42:52 ID:u+RKvyi/
渾身の力でのけぞるツェペリが、大掛かりな備品を取り出す。
それは広瀬康一の支給品、紫外線照射装置。柱の男にとっては究極の天敵だ。
ツェペリは――ワムウがACT2の『ピカァァ』の文字を食らった反応を覚えていた。
体がブスブスと炎症を起こし、ワムウの異様なまでの狼狽。
ツェペリの計画は目くらまし+氷の圧殺を狙ったものだったが、一握の希望を持っていた。
ワムウが太陽光で浄化されて焦げ付くのも、彼は考えていたのだ。

「SYAGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!! 」
「散乱していた光は巨大な氷を通ることで屈折し、強めあうッ!! 直接照射された光なら尚のことッ!!
 まるで虫眼鏡のレンガが太陽光を集めて紙を焦がすようにッ!! この氷は太陽のように熱視線を送るッ!! 」

サンタナのように体が硬化しながらも、ワムウは神砂嵐の構えを取ることができなかった。
巨大な氷もろともツェペリを完膚なきままに滅そうと、息巻く余裕はなかったのだ。
夜明け前に降り注ぐ自然の恵みは、予想だにしない衝撃を彼に与えていた。

(甘かった……なまじ目が見えたから、奴に虚をつかれたのだ)

ワムウは、腕だけに留まらず肉体に別れを告げた。
両目を潰すスウィッチングバック。
ワムウ流ショック療法がバトルロワイアル一日目にして、早くもここで登場した。

(これからは、この角で明かりなくして『風』だけを感じてものを見よう)

ワムウはエル・コンドル・パサの体に完全に入り込んだ。
ツェペリも康一も、ワムウの対応はある意味予定通りだった。

「えッ!?」
「油断してはいかんぞ康一くんッ!」

しかしワムウは馬から出ることなく、そのまま馬ごと氷塊に潰されてしまった。
呆然とする康一にツェペリが激を飛ばして着地する。
あ、と我に返った康一はツェペリのもうひとつの支給品である火炎放射器を氷塊にあてた。

「このまま逃げるような輩とは思えん。あれは本物の格闘バカじゃて。
 奴は日の光を嫌う……もし生きていたならば、奴は絶対に日の出前に勝敗を決してくるはず」

紫外線照射装置のスイッチを切りながら、ツェペリは慎重に周囲を見渡す。
いつでも周りに波紋を流せるように、康一に氷塊を溶かすことによって、地面を濡らす配慮をしている。
南極の氷といえど、温暖な土地に引っ張り出して十分な熱を加え続ければ溶けるのだ。
このまま氷塊が全て溶ければ、半径数メートルはすっかり水浸しになるだろう。
波紋使いを知っていた者なら、その手ごわさに、まず身動きがとれなくなるだろう。

237 :創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 20:43:41 ID:TPROHFN4
パウッといじればwwwwwww

238 :代理:2009/01/19(月) 21:09:49 ID:wV6v3hLo
<693> :<◆hNG3vL8qjA>:2009/01/19(月) 20:51:20
「奴は馬の体内に潜ることが可能じゃ。ひょっとしたらあらゆる物に潜れるやもしれん。
 氷に潰される前に馬から地面に移った可能性は十分に考えられる……地面が濡れれば出てこれまい」
「……ツェペリさん。僕は、あなたにあえて本当によかった。あなたからは学ぶことが一杯ありました」
「なんじゃい突然」
「この戦いが終わったら、みんなに??」
「おっと、その台詞は全部終わってからじゃ」
ツェペリは笑顔で答えながらも、ゆっくりと波紋の呼吸をして自身の体を癒す。
屍生人である康一とは違い、生身の人間が足を引っ張るわけにはいかない。
倒れた木々たちの葉っぱがツェペリの波紋に引き寄せられていく。
磁気を利用した波紋によって、かき集められた波紋の鎧は葉っぱといえど効果はある。
(日の光が苦手のようじゃが、吸血鬼ではない……難儀じゃの。さて、)
スカッ
(どうで??る? )
ツェペリは足元にポトリと落ちた物に目を取られた。
まるで鋭利なギロチンに斬られたような、パックリと割れた自分の帽子であった。
「康一くんッ!! 伏せ……うおッ! 」
その正体に感づき、ツェペリが声を出す頃には、全てはあまりにも遅すぎた。
空気、氷塊、葉っぱの鎧、まだ倒れぬ木々が、スッパリと横一文字に離されていた。
次元を切り裂いたかのような現象に、被災者は無残に倒れるしかなかった。
「炎のそばゆえ……おおよその位置しかわからぬが、狙いは間違っていないな。
 氷の奇襲のカリはこれで返したぞ。敵に楽させる趣味はない。貴様らが完全に動けなくなるまで徹底的に続けよう」
急襲の慌てふためく康一からわずが数メートル。
ワムウは全身から空気を吸い込みながら、座っていた。
ワムウの奥の手は、風の最終流法『渾楔颯』。
体の管から取り込んだ空気を圧縮させてカミソリのように狭いすき間から噴出す『烈風のメス』。
ワムウ自身も圧縮による摩擦や熱で体が崩れてしまう自爆技。


239 :創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 21:11:11 ID:wV6v3hLo
<694> :<◆xNdvPCPVM.>:2009/01/19(月) 20:51:57
「なぁ! ツェペリィイィIIIIII!! 」
「ワアムゥウゥゥゥううううううううう!! 」
ワムウの角は風の流れを探知する。前方から凄いスピードで飛んでくるウィル・A・ツェペリだ。
ワムウはそこから一歩も動かず、いつの間にか拾っていた両腕を胸部から打ち出して迎え撃つ。
ツェペリも負け時と渾楔颯を正面に浴びながら、ワムウの両腕を交わして??真っ直ぐに突っ込んだ。
「「……ぐはッ!! 」」
決着は互角。渾楔颯で敵を
両者の体は見るも無残に崩れ、爆散した。
@    @    @
「お主は確かに強かった……しかしワシには康一君という仲間がいたんじゃ」
体を真っ二つにされたツェペリは、溶けゆく氷塊の傍で倒れている、頭部が横に真っ二つになった康一の死体を見る。
同じく傍で倒れていた火炎放射器の炎が、地面と康一の体に燃え移っている。屍生人といえど助からないだろう。
「この勝負、勝者は俺でも貴様でもない。勝ったのは貴様とあの屍生人の絆だ」
渾楔颯の襲撃に最初に気づいたのは、ツェペリではなく康一だった。
射程距離半径50メートルのエコーズACT1による探知が、それは可能にさせた。
ツェペリが声をかける直前に康一がとった行動は、ツェペリの体をACT2の『ドヒュウ』の文字で飛ばすこと。
ワムウの体から見得たかまいたちのような風圧に危険を感じていた、康一の精一杯の抵抗だった。
「先に……言われてしまったのう……ハッハッハ……」
結果、不運にもツェペリはワムウのいる方向へ飛ばされてしまった。
康一がドヒュウの文字をツェペリの足元に貼った瞬間、頭部を破壊されてしまったから。
しかし……この風がツェペリに味方した。
飛ばされるツェペリの体から生まれる微妙な気流が、ワムウの風のセンサーを惑わせたのだ。
その僅かなスキと迷いが、ツェペリがワムウの体に波紋疾走を叩き込む時間を与えた。
「だが悔いはない。真剣勝負の果てに死ねるのなら本望! ……もうすぐやってくる日の光は罰と受け取ろう」
ワムウとツェペリの死闘はわずか十数分を待たずに決した。
実力が拮抗した達人たちの命のやりとりが、あっけなく終わる。
互いが良しとするプライドをぶつけ合う、拳と拳の対話は、相手を感嘆させるほど尊かった。
「??首を突っ込むつもりはなかった」
そして……その美学に引きよせられたのか。
「友の安全を確認したら、さっさと逃げるつもりだった……巻き添えはごめんだからな」
誇り高き戦士が、またひとり。
「我がスタンド、イン・ア・サイレントウェイも音を操る」
サンドマンは木を駆け上がり、沢山の音のオブジェをワムウの頭上に降らせた。
目視という尺度では測れないほど、目にも写しきれぬほどの量。
衝撃音、粉砕音、切削音、掘削音、燃焼音、破壊音。
波紋で傷ついていたワムウの体が粉々になりながら塵と化し消えていく。
人類を超えた存在??柱の男。その一角が遂に落ちたのだ。
「まさか……こんなことが……なぜ……そ……んなバカな………………………」
「卑怯と言われる筋合いはない。お前は"ただの人間だった"盲目の友を殺した」
ワムウと達の衝突から逃げた彼を待ち受けていたのは、非スタンド使いと勘違されたままのンドゥールの亡骸。
墓標のように倒れていた木々に、サンドマンは見覚えがあった。
とびっきりの葬送曲を引き連れて、サンドマンは復讐を選んだのだ。
ンドゥールのため。自分と同じく音を奏でる少年のため。誇り高き男のため。
闇雲に挑むのではなく、確実な死を与えるために。

240 :創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 21:12:36 ID:wV6v3hLo
<695> :<◆xNdvPCPVM.>:2009/01/19(月) 20:52:35
残されたツェペリが、最後の力を振り絞って体を起こす。
「お前さんは、根っからの悪人じゃあない……それだけはわかるんじゃ」
「あんたの仲間に余計なマネはしない。余程のことが無い限りな」
「伝、えて、くれ。荒木、打倒、の、意志を………………」
ツェペリがサンドマンに託し事切れたとき、太陽は顔を出し始めていた。
サンドマンは海からやってくる暖かな風に背を向ける。
誇り高き者どもが夢の跡。この調べは何よりも重い知らせ。
人はいずれ死ぬ。どんなに優れた雄であろうとも。
「伝えてやるさ。音が風に負けてたまるか」
音を奏でるはサンドマン。まだ見ぬ世界へ全力で翔け出す。
【I-7  中央部(果樹園跡)/一日目 早朝】
【サンドマン】
【時間軸】:ジョニィの鉄球が直撃した瞬間
【状態】:健康
【装備】:なし
【道具】:不明支給品1?3(本人確認済み) 、紫外線照射装置
     基本支給品×2、
【思考・状況】 基本行動方針:元の世界に帰る
1.街の探索再開。
2.荒木は信頼できるのか? ツェペリの『荒木は死者を復活させて命を弄ぶ』論に少し興味。
3.名簿にあるツェペリ、ジョースター、ブランドーの名前に僅かながら興味
4.ツェペリ、広瀬康一、ンドゥールの知る誰かに興味。探してみたい。
【備考】
※7部のレース参加者の顔は把握しています。
※スカーレットが大統領夫人だと知っています。
※ンドゥールに奇妙な友情を感じています。 康一、ツェペリにも近い感情を持っています。
※康一、ツェペリ、エル・コンドル・パサの死骸はI-7中央部の果樹園跡(ワムウは消滅)。
※聴覚補助に用いる杖が突き刺さった、ンドゥールの死体はI-7 リンゴォの果樹園北部。
※チーム・ザ・ウェーブの遺志はまだ生きています。
※ツェペリの支給品は火炎放射器と聖氷(SBRコミックス1巻)でした。
※リサリサの支給品はワムウVSツェペリ戦で爆散。ワムウの所持品と一緒に消滅しました。
※果樹園はほぼ壊滅。火事がまだ収まっていませんが、遠くからは見えないでしょう。
【ンドゥール 死亡】
【広瀬康一 死亡】
【ワムウ 死亡】
【ウィル・A・ツェペリ 死亡】


241 :創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 21:17:07 ID:wV6v3hLo
<696> 名前: ◆xNdvPCPVM. 投稿日: 2009/01/19(月) 20:53:28
投下完了しました。


投下乙です!戦闘描写がかっこよく、キャラの個性も良くでてました。
ただ、4人死亡ってのは大丈夫なのかな…?
個人的には大丈夫なような微妙なような…
スレ住人の意見が早く聞きたいところです。

242 :創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 21:57:53 ID:0CncmgVp
投下乙、自分は問題ないと思う対主催2人とマーダー2人差し引き0だ
それに最近人死んでないし、ここらで死亡者を増やした方がいいんじゃないかな
と俺は思う

243 :創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 22:21:41 ID:gpnuyEPI
ワムウってそこまで長距離探知できたっけ?
サンドマンってここまで義理堅かったっけ?
康一ってそんな何度もミスする奴だっけ?

パッと思いつくのはこれくらい。
遅刻の件は…新人さんに関しては全く決めてないし、ノータッチ?

244 :創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 22:41:09 ID:TPROHFN4
コンドルパサって放置されてなかぅたっけ?

245 :創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 22:54:11 ID:XlxKS5rA
投下乙です!

ツェペリさんカッケー!
バトルも一転二転してどちらが勝つか分からずに非常にワクワクしました
そして最後の最後でいいところを掻っ攫っていったサンドマン!
本当に最高の作品でした!

が、上でも言われたとおりコンドルパサの矛盾が如何せん致命的で……
>>243の指摘は個人的には構わないんですが、流石にこれはキツイです……
規制を喰らってしまったみたいなんでしたらばの議論スレで破棄か修正か決めてください
できれば修正にしてくれたほうが嬉しいのですが、このバトルの根幹に関わる部分なのでどうしてもキツイと思われたらこちらとしては残念ですが破棄されても結構です。

色々言っちゃったけどジョジョロワを嫌いにならないでね?

246 :創る名無しに見る名無し:2009/01/19(月) 23:00:33 ID:gyk8LNho
投下乙!

内容の矛盾・文章力という点では問題ないかな。俺の見た限り。
ただせっかくの良い文なのに若干誤字脱字等が目立つかな。
・カーズの上半身をブチ破ろうとタイミングを伺っていた …カーズ→ワムウかと
・ゲブ神が"ワムウの神砂嵐 …謎の「"」 が入っている
・虫眼鏡のレンガが …おそらく「レンズが」
・「この戦いが終わったら、みんなに??」 …文字化け
・(どうで??る? ) …文字化け
・わずが数メートル …「わずか」数メートル
・ワムウの両腕を交わして??真っ直ぐに突っ込んだ。 …文字化け
・ワムウの体から見得た …おそらく「見えた」

まだあるかもしれないけど。
これだけあるともう少し早く、多少未完成でも一時投下してから修正、本投下した方が良かったのかも知れないな。
そうすれば遅刻だのなんだのと急かされることもなかったと思う。
文章力や展開が良いだけにもったいない。

まぁ、色々といったけど内容に関しては俺的には問題なし。他の読み手さんの意見も参照しておくれ。
改めて乙でした。

247 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 00:54:27 ID:Op4SReqE
日の恵みで浄化される屍生人(ゾンビ)を食する柱の男。
屍生人じゃなくて吸血鬼ですよ

248 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 08:41:59 ID:3G0zgk6J
波紋は太陽のエネルギーだし屍生人も浄化されるでしょ
康一がミスするかなとオモタが5部でジョルノの木にいきなり攻撃して反撃くらったりしてるからねー
柱の男も知らないからしょうがないとオモ

249 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 09:44:15 ID:H7iZnoYd
>>248
そっちじゃねーと思うが
柱の男達が食うのはゾンビじゃなくて吸血鬼だってことでしょ

250 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 20:48:19 ID:rmphJL55
空条承太郎,エンヤ、山岸由花子、吉良吉影 投下します。

251 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 20:49:29 ID:rmphJL55

<吉良吉影は静かに暮らしたい>

階下から聞こえた物音に作業の手を止める。
何事だ、と耳を澄ませたところどうやら一階にて別行動をしている男が何かを見つけたのか、それ以上の音は聞こえてこなかった。
本日何度目かわからない深いため息をつき、彼は『馬鹿馬鹿しい』と投げ出したくなるのをグッとこらえなんともなしに時計に目をやった。
長針は九の数字を通り越し、対角にある相方の短針も四に近づきつつあるのが見える。
もはやのんびり過ごす時間もない。そう暇つぶしのように時間を費やすわけにはいかないだろう。
こんな時間に起きている、成人男性にしては珍しいほどの早寝に執着する男はそのことに違和感を覚えつつも、今の自分の泥棒じみた行動を思えば、と自嘲気味な笑みを浮かべた。

ベットの下を覗き込む。
奥に光るのはなんだろうか。硬貨か、はたまたただのボタンか、それ以外か。
スーツを埃まみれまでにして取るようなものなのだろうか。ナンセンスだ、そう呟き這い蹲ると言う選択肢を切って捨てる。
代わりといってはなんだが、近くにある本棚に手を伸ばす。見事に空っぽであるが、その下にある戸棚の中身はどうであるか。
両開きの扉をゆっくりと開き、中身を確認する。
予想していたとはいえ、ここまで何もないと落胆すると言うもの。なにもない狭く浅い暗闇が男、吉良吉影を見返していた。
その下の戸棚も。横の開きも。奥の小物入れも。
舌打ちをした後、一晩中動き続けて疲れがたまった体をほぐすように伸びをする。肺の空気をゆっくりと吐き、深呼吸を繰りかえす。
イライラの蓄積を本人も自覚している。無駄な心労が彼の最も望む平穏な生活とかけ離れていることはそれを忌み嫌うことからもわかるだろう。
探索を終えた部屋から出ようとする吉良はもう一人に何か文句でも言われるだろうと、覚悟しながら数少ない自らの戦利品をデイバッグの中で整理していた。

だが、ふと目に入った未確認の段ボール箱。あたかも見てくれ、とふんぞり返ってるそれは明らかに怪しい。
というかあの荒木がわざと置いたとしか思えない。
自信分身であるキラークイーンを傍に出現させ、そろそろと近づいていく。
見た目は何の変哲もないダンボールであった。しかしこの世界で視覚一本に頼るほど愚かなことはないだろう。
万が一に備えなる吉良。少し自暴自棄気味になりながらも決心したようにその箱を、思い切りよく開いた。

コロコロと軽い音を立て転がるボールペンが一本。
なぜか彼の脳裏に浮かんだ荒木飛呂彦はしたり顔で、腹を抱えて吉良を馬鹿にしていた。騙されただろうと、いたずら小僧のような無邪気な表情と共に。
吉良は青筋を立て、堪えることなく振り上げた腕をそのまま下ろし、数秒後手近なところにあった人形がその愛らしい顔を無残なものとした。



   ◆

252 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 20:50:11 ID:jJe3zZ7D
支援

253 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 20:50:32 ID:d3hHSCNh
支援 だ

254 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 20:50:34 ID:rmphJL55



リビングの机の上に並べられた戦利品をじっくりと見る。
折り畳み傘、ボールペンが三本、クリップが二つ。マグカップに紅茶パックが半ダース、手に収まるサイズの手鏡が二つ。
チラッと承太郎の非難めいた視線を吉良は受け、芝居がかったようにお手上げだと言いたいのか、肩をすくめた。
大の男二人が夜中に赤の他人の家に入り、物色。その結果がこうであってはやれやれと呟きたくなるのも致し方ないことだろう。
微かに落胆しつつも、承太郎はきっちりと吉良の持ってきたものに触れることなく自分が持ってきたものだけをデイバッグに詰めた。
デイバッグの中身を綺麗に整理する。
言葉を発するわけでもなく、その足取りを玄関へと向け出発の意思を示す。
それを見た吉良も動かないわけにはいかなく、のろのろと自らが持ってきたボールペンが三本と紅茶セットを詰め込んだ。

廊下にコツンコツンと革靴が音を奏でる。出てきたリビングの時計が伴奏するかのようにチクタクと秒針を走らせた。
玄関のドア、それのガラス越しに人影がないことを確認しようと覗き込む。
道路まで目を走らせ、とりあえずの安全を確かめる。
そうして彼は混沌と殺戮の待つ世界へと踏み出そうとドアノブに手をかけた。
未だ廊下にパタリパタリと響くその足音を耳にし、そのまま振り掛けることなく声を荒げるわけでもなく呟くように言った後に。

「時間を稼ごうって思ってるならもっとうまくやりな…。平穏な生活を望むのはお前の勝手だが俺は我慢強いほうではないぜ………」
「私とて、こんなオンボロな家で朝を迎えようとほ思っていない。
他人のあら捜しをしている暇があったらもっと視野を広くしたらどうだ?リビングの椅子は引きっぱなし、カーテンは止めないままだらしなく垂れ下がってる。
おまけに土足で家に入った、その行動で廊下は泥だらけ。これではみすみす後から入ってきた参加者に『ここに人がいました』と主張しているようなものだぞ…」

低く、それでいてどこか皮肉めいた調子の声。ドアノブを握ったままの彼の鋭い視線はその声の持ち主の姿を睨む。
廊下の窓から入り込む灯りがスポットライトのようにどこか劇画的に男を照らし、吉良吉影は壁に背を持たれかけひとつの彫像かのような形を取っていた。
沈黙で答えること十数秒、やれやれと本日何度目かわからない口癖を呟く。
有無を言わせぬという強制を含むわけではなく、相手を小馬鹿にしたような承太郎、彼らしからぬ口調で言葉を返す。

「いいか、吉良吉影。俺が言いたいことはもう既に言ってある。
一度でいいことを二度言わなけりゃいけないってのは、そいつが頭が悪いってことだからだ…。
今、お前の殺人鬼であるという証拠が入った携帯を持ってるのは誰だ?俺だ。
今、脅されて、脅してるのは誰だ?俺だ。
お前の首根っこを掴んでるのは誰だ?俺だ
勘違いするな…、そして三度目はないぜ…吉良吉影。正体をばらされたくないようだったら俺についてこい。いいな…」
それっきり一度として後ろを見ることもなく、承太郎は闇へと溶けていった。

後には能面のような表情をした男がひとり残され。身を守るように組まれていた腕が解け。彫像のような壁にもたれていたその優雅な姿勢は崩され。
先を行った男が道路にて改めて現在位置を確認していたとき、背後の家から何かを叩きつけるような音と共に家が揺れ、小汚い悪態が辺りに響いた。



   ◇   ◆   ◇   

255 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 20:51:05 ID:rmphJL55

<山岸由花子は恋をする>



視線の先には老婆がいた。
月が空を半分ほど横切るその間、濃霧にゆらりと揺れる影を由花子は追い続けていた。
疲労から息は乱れ、彼女の額には汗が浮かんでいた。
老婆も同様であった。同じく疲労からか、休息をとるように年相応のどっこいしょ、という掛け声を一人吐き、やれ腰が痛いだやらなんでスタンドが広がらないんだ等等…。
悪態に耳を傾けつつ、随分と街の中心地に来たものだと由花子は思った。
同時にそうやって街の中心地に来ながらもほかの参加者との突然の遭遇が起きないように老婆がゴミ箱の陰に潜むように座り込んだあたりに彼女の老獪さを感じた。
追うべき物が一息ついてることもあり、由花子もこの機を逃しては到底休めまいと、休息を取るために手近にあった段差に腰を下ろす。
頬杖をつきながらいま自分の現状を考える。体は休めても頭は休むべきでない、特に彼女のような弱者は。

尾行がばれれば自分の立場は危うい、それがあの老婆をずっと追けてきた由花子の率直な感想であった。
例え自分が彼女に髪の毛を植え付けていて、いつでも爆破することが出来たとしても、だ。
それほどまでに老婆の異常性、落ち着き、立ち振る舞い、そしてその目的。
彼女は幾つの修羅場を潜り抜けてきたのであろうか。何度死線を越え、間一髪のところで生を掴んできたのだろうか。
一介の女子高生である彼女は自分ながらによくもまあ、あの狸婆の注意を誤魔化してるものだ、そう思った。

そして、嗚呼、そうだ。一般的な女子高生の彼女は、またもやこれはあの『愛しの人』のおかげだと。
盲目的にまでその精神に浸っているのだ。彼が私を守っている、そんな根拠のない『愛』の力に。
こんな緊張状態であるにもかかわらず。
嗚呼、恋とは、愛とは素晴らしいものだ。

広瀬康一、愛しの人。
どこかこの舞台にいるであろう愛しの彼。
無事でいるだろうか。お腹をすかせてはいないだろうか。この夜風で体調を崩してはいないか。怪我はしているのだろうか。
もしかしたら、と由花子の脳裏に悪夢がよぎる。
殺戮者に襲われ窮地に落ちいる彼。謎のスタンド使いが彼に襲い掛かる。善人面した姑息なものが彼の寝首を掻こうとしている。
けれでもと。そんな自分を否定する。由花子は拒絶する。
いつだって彼は機転を利かせ悪を打ち倒すだろう。黄金に輝くその精神で道を切り開くだろう。
だって自分はそんな彼が。たまらなく好きで、愛しているのだから。


256 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 20:51:55 ID:d3hHSCNh
支援を!

257 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 20:52:49 ID:rmphJL55
しかし夢は覚めるから夢という。そんな由花子の夢想の時間は突如破られた。
表情を一瞬で相応しくない戦士のそれに変え、どこかから聞こえたのだろうかと音源を探り耳を澄ませる。
同時にエンヤへと視線を向けると同じく物音を聞いた彼女は突然のことに腰を抜かしたのかその場動けないようであった。
由花子の口元には意図しなくてもそれを見て老婆を見下したような冷めた笑みが浮かんだ。
少し遅れながらも老婆は経験からスタンドを再発。澄んだ夜空の空気が立ち込め、純白の世界を形成していく。
またもあの霧の世界に身をおかなければならないかと思うと由花子はいい加減うんざりしてきた。
しかし。

今の由花子の目には白の世界が映っている。
しかしその白に変わる僅かな時間の間に彼女の視界に映ったものが彼女の心を驚愕と疑惑の灰色の世界に変えていた。
吉良吉影と空条承太郎。
いてはならないその二人組みに、あってはならないその組み合わせを由花子だけが見ていた。
由花子、彼女だけが見ていた。



   ◆



疑惑と驚愕の真っ先に思ったのが何故吉良吉影と空条承太郎が共に行動しているのか。
杜王町に恐怖をもたらした吉良吉影。杜王町に希望をもたらした空条承太郎。
言うなれば表裏一体、決して相容れことのない二人が何故。
しかしその前に、度重なる衝撃の中、新たに由花子の頭に浮かぶ疑問。何故吉良吉影が生きているのか。
確かに名簿を確認した際に名簿にその名前があったことは覚えている。しかしだ。普通死んだ人間が参加しているなどという非科学的な事実を導き出すだろうか?
結論から言って自分が目にした事実は信じる以上ほかならない。人が生き返る、そんなびっくり超常現象、仮にもスタンド知らなかったら鼻先で笑っていただろうに。
霞む霧の中、エンヤの影はじっとしたままだった。一方の疑惑の二人組みも突然の濃霧に警戒からかその場を動いてないように見えた。
聡明な彼女は考えた。今最も優先しなければならないことはなにか。

老婆は二人に気づいていない。
二人は老婆に気づいていない。
ならばなにをすべきかは。


258 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 20:53:27 ID:rmphJL55
おまじないのように今の考えをすばやく呟く。いける、大丈夫、絶対うまく行く。そう自分に言い聞かせる。
絶対的弱者は自分。
その絶対的なスケールの大きさの霧のスタンド。史上最強の二つ名を持つスタンド、スタープラチナ。杜王町の殺戮の女王、キラークイーン。
恐怖を自覚している自らの体。見ると手が震えていた。押し隠すように、優しくもう片方の手でぎゅっと握る。
かつて彼がやってくれたように。
もう一度あの温もりを。

もう一度あの温もりを。

全ては康一のために。
再び歩き出した彼女はもう震えていなかった。



   ◇   ◆   ◇   



警戒からか、細められた目を更に薄くする。向かってくる人影が濃くなるにつれてエンヤは自分の表情を極めて無表情であるように努めた。
支給品であり、自らの人形となった死体を盾のように自分と人影の直線上に配置し、飛び道具や銃弾などへの配慮も忘れない辺りにこの老婆の狡猾さが知れる。
そうして彼女の警戒が最高潮にたったころ、人影は霧の中からその形をあらわにし場違いともつかない言葉が彼女の耳に入る。
「こんばんわ、お婆様…。愉快な夜とは言えない天気ですけど、散歩でも楽しんでるのかしら?」

見たところ東洋人のようであった。年は幾つであろうか、十代後半といったところか。
何の躊躇いもなく姿を見せた割には警戒態勢になってるわけでもなく、場慣れしていないのがエンヤの目から見ても取ることが出来た。
しかしながら、その美貌は別であった。
世の中の女性が溜息と共に感嘆するほどのそのプロポーション。
すらっとした鼻立ちにハリのある若々しい肌。そして何より目を惹くその美しい髪。
ひとつの完成された芸術作品かのような細部までの美しさ。そのうねりはまるで上質の絹で作った絨毯かのようで。包み込む霧、それが宝石かのように見えるかのように。

「残念ながらわしも年でな、お嬢ちゃんとは違うんじゃ…。夜風の冷たさが膝に堪えるし、なにより恐怖で胃がもたんわ」
しかしながら、暢気な返答をしながらもエンヤはどこかに違和感を感じていた。
笑みを浮かべながら目にはその感情を一切宿さず、肉食動物が獲物を前にするかのようで。
何か策のにおいを感じずにはいられなかった。
相手が絶対的だ、と確信できるほどの。


259 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 20:53:48 ID:d3hHSCNh
支援

260 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 20:54:18 ID:rmphJL55
偽りの表情を貼り付け、互いに腹の探りあいは続く。
経験と長年の積み立てからアドバンテージは圧倒的にエンヤの手中にあると言えるだろうに。
けれでも。

「あら、そうかしら…?北のタイガーバームガーデンでゆっくり観光を楽しんだり、大きなお友達とお喋りしたり。
おまけに気の利いた付き人までいるのに…。羨ましいわ、やっぱり人脈の広さは年の功かしら…」
「ッ!?」
「追けてきたなんて人聞きの悪いこと言わないでよ、心配してたのよ?お婆様が殺されたらどうしようってそればっか考えてたのよ?」
未だ笑顔の少女と対照的に自分の笑顔が解け去り、崩れていくのをわかっていながらエンヤは止めることを出来なかった。
狼狽の表情を洩らしながらも、彼女の脳は冷静にも相手と自分の状況を分析していた。

この手の場合、こうした告白の狙いはほにんの有利性を主張したいがためであることは明白。
なにしろ伏せたままであれば切り札にもなりうるその情報と言う強力なカードをこの短いやり取りの中で何枚も切ってきたのだから。
それだけの自信があるのだろう、今の自分との交渉、または脅しに。
ならばここは従うほかあるまい。仮にブラフだとしても、自分のスタンドならばあらゆる攻撃に対応できる。
ならば今は『何を持って』彼女が自分を脅そうとしているかを見抜くべき。
それが自分にとって重要な情報になりうるかもしれないのだから。

「…これはまいったのう、お嬢さん、貴女のほうが一枚上手だったようじゃな。なんなりと申して御覧なさい」
「話が早くて助かるわ。伊達に歳は取ってないのね」
だがらだ。
そんな言葉とは裏腹に、エンヤには従おうという意思は更々なかった。例え首輪付けられようとも自分の主はただ一人。
飼い犬に成り下がろうとも、隙あれば飼い主の首を噛み千切るであろうと寝首を掻く、その意思を握り締める。
たがそんな凶暴な意思も。彼女の醜い笑顔の一睨みに。
悪寒と共にザワザワと不自然に伸びる自らの髪の毛は彼女の中同時に恐怖として植えつけられた。
「どう、操る立場から操られる立場になったのは?
貴方の首輪を爆破するに十秒もかからないわね…。まぁ、死にたくなかったら余計な事を考えずに隣にいるその人形みたいに私の言うことを聞きなさい」

261 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 20:55:11 ID:rmphJL55
気まぐれひとつで顔を覗かせる死への恐怖。孫ともとれない年端も行かない女に手玉に取られる怒り、屈辱。
エンヤは数多の感情に顔を赤らめたり、青ざめたり、白くさせたりさせた。
だが最後には疲れた様子で観念し、操り師の命令を聞く人形になり下がるほかなかった。
「わかった…、どうすればいいんじゃ?」
その滑稽な光景。化けの皮がはがれた老婆の萎れた様子。
由花子は艶やかに、そして楽しそうにサディスティックな笑みを浮かべ強者の愉悦に浸る。
髪の毛を掻き揚げると『三つの命令』を与える。

1.近くに二人組みの男がいるので其々を分担させる。
2.参加者を出来る限り減らす。ノルマは今夜10時までに二人。証明のためその死体を引きつれD-4にあるスペースシャトル前にてその時間に。
3.自分のことを他言しない。

ペナルティは聞くまでもない。死、それが待ち受けている以上エンヤは頷いた。反抗的な口調は慎まなかったが。
「まったくもって忌々しい小娘じゃ…」
「あまり減らず口を叩かないことをお勧めするわ。今生きてられるのは誰のおかげかしら?
悪態ついてる暇があるならさっさと二人のとこに行きなさい」
顔を醜い魔女か何かのように歪め立ち去るエンヤの背中を見ながら由花子はまたしても愛が一歩近づいてきたのを感じた。
ここで一息つきたいところだ。しかし何より愛しの康一のためだ。
数分か、それぐらいか経った後、その表情を緩んでいたものから、これから成すべき事をやるに相応しく緊張が走った顔に変え由花子は霧の中へと向かっていった。



   ◇   ◆   ◇   

<思い出させてあげる>



空条承太郎が戦士であったことが第一の不運だった。
突然の濃霧を前に慌てることなく殆ど反射と言うほどのスピードでスタンドを発現、臨戦態勢となる。
その構えは正に歴戦の戦士に相応しく、パワー・スピード・精密機動性においてナンバ-ワンと言われるスタープラチナの力もあいまって一部の隙も作り上げなかった。
例え霧に紛れて何者かが奇襲を仕掛けたとしてもそれはもはや奇襲としての意味を成さず、拳ひとつの前にただの返り討ちとなりえる。

262 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 20:56:23 ID:rmphJL55
しかしながら。
携帯電話のブラフによる吉良吉影への牽制。それは即ち吉良を封じ込めると共に常に彼に命を狙われると言うリスクを負うことを意味していた。
その点承太郎は不運であった。優秀な戦士であるがためにリスクを抱え込み、一瞬の行動が遅れたのであった。
彼の不運、それは言い換えれば吉良と組んでいた、その一言で言い換ることができた。

二つ目の不運、それはあまりに空条承太郎の危機判断能力が優れていたこと。
数々の修羅場を潜り抜けてきた彼がその経験から培ったものの中で戦闘において最も大きなスペースを占めていたもの。
それは「常に最悪の場合を考えること」。
彼が瞬時に想定したもの、先程目を通した際にも要注意人物として彼が特別注意していたその『二人』が組んでいたとすれば。
そしてこの霧という天候、そして殺し合い、『二人』の残忍さに狡猾さ、そしてただ殺しを楽しむだけでなく機転を利かすことが可能と言う点。

何よりもその『二人』のスタンドの相性。
二人が遭遇する可能性、手を組む可能性、更に承太郎と出会う可能性。それら全てを計算すればそれは微かなものであろう。
しかしながら、走り霧の外に出ようとしながらも承太郎は。
彼が想定したスタンドの組み合わせ、DIOの腹心エンヤの「正義」、それと杜王町の狂気アンジェロの「アクア・ネックレス」。
間に合わない。彼らが姿を現す頃にはもうどうしようもなくなっているであろう。将棋やチェスで言うチェック・メイトでしか彼らは姿を見せないだろう。
ならば今彼がすべきことは。
彼の不運、それは彼があまりにも知りすぎていたこと。

一刻も早く霧から出ようと我武者羅に足を走らせる。風が唸り湿った空気が彼の顔を叩く。霧に紛れ民家が現れては消え、消えては現れる。
けれども。


263 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 20:58:33 ID:m7btOPYG
支援

264 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 20:58:59 ID:rmphJL55
―彼が安堵に胸を撫で下ろす前に。
―二つのスタンドに襲い掛かかられたときの対処法を考える前に。
―霧からその身を脱出させる前に。
―足が止まった。
―見覚えのあるその後姿を前に。



瞳は大きく見開かれ。脳は考えるのをやめ。ただそこにあるものに承太郎は。
微かに残った理性が騒ぎ立てる。緊急の警報をかき鳴らす。戦闘態勢の構えを見せようと。
だがその声はあまりに小すぎて。

死んだ人間は戻らない。
彼自身が言った言葉だ。彼自身が一番理解している言葉だ。身をもって受け入れた言葉だ。
けれども。
それでも。

もう一度だけ、名前を呼び、名前を呼ばれ。
もう一度だけ、微笑を交わし、その身を抱き。
もう一度だけでもあの温かさを。

                         もう一度。

そうして思った。
―振り向く彼女を見て。残酷な現実を前に。彼は思った。
ああ、あの時どうして彼女を救わなかったのだろう。
ああ、あの時どうして彼女の後姿など見てしまったのだろう。
そして、あの時どうして希望を持ってしまったのだろう。

ただもう一度だけ希望にすがりたかった自分は。
とんでもない大馬鹿者だ。

二度と流すまいと誓ったはずなのに。二度と弱みを見せまいと思ったはずなのに。
彼はみっともなく泣くまいとしていた。
唇をかみ締め、口奥から漏れる声を押しつぶす。
そんなことしても涙が止まるわけないと自分でわかっているのに。
雫が頬を伝い一滴だけ大地に水溜りを作る。

こんなに、こんなに、こんなに醜い現実を。美しい光景を。見ることになるなら。
神よ、笑ってくれ。自分は二度と涙を見せないだろうから。



   ◇   ◆   ◇   

265 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 20:59:15 ID:5rninu9u
 

266 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 20:59:26 ID:rmphJL55
<吉良吉影の新しい事情>



思わず緩みそうになる頬の筋肉を引き締める。そうでもしないとだらしない笑みが零れ落ちそうで。
ぴくぴくと痙攣しそうになるのを傍らに歩く同行者に悟られまいとなんでもない民家に興味惹かれたように顔を背けた。
足は今にでもスキップを始めかねないほど軽やかで。
口からは鼻歌を上機嫌に任せ、大音量を奏でかねないでいて。
十数分前に同行者、山岸由花子が持ち込んできた話、それが彼をルンルン気分にさせている。

『貴方に話があるの…』
突如霧の中から現れた彼女の言葉に承太郎の失踪でイライラが爆発寸前だった彼は返す言葉が見つけられなかった。
第一声が『貴方に話がある』であるということは。
相手が自分の顔と正体を知っていることは間違いない。それ以外であるならば第一声はこの場に相応しくない。
自分の正体を知るものがまた一人増えたことは腹立だしいが、荒木の時間操作の弊害だろう。自分に対するしわ寄せの怒りはこの場で納めることした。
だがそれでも。
情報が足りなさ過ぎる今、返答次第ではろくな目にあわない。もしかしたらの可能性も考え吉良は慎重に事を運ぶためにも沈黙と言う返答を返した。

『さっきまで貴方、空条承太郎と一緒にいたでしょ………』
『………………』
『何が理由で貴方があの空条承太郎と一緒にいるのかしら…?ありえない組み合わせでしょ、普通だったら…。
好奇心から聞くけど教えてくれないかしら?最初に言ったけど大切な話があるのよ、だんまりばっかりじゃわからないわ』
『………答える義務はない』
『…ふぅん。まぁ、いいわ。そんなことより本題に入りましょう。私と手を組まない?』

純粋なまでに吉良は驚いた。どうせこの狂った女だ、あのクソカスの広瀬康一がどうのこうのだと予測していた彼は予期せぬ協定に目を見張った。
自分をはめる罠かもしれないと閃きのような考えが浮かび、慎重な男は尚も返答を返すことなく彼女の目を見た。
そしてそれだけで充分だった。
強い意志を秘めるそれは、黄金に光り輝くことなく血に塗れたダイヤのようで。
黒く深く静かに輝く殺意に吉良は自分自身を見た気がした。

『貴方だって空条承太郎のこと邪魔だと思ってるんでしょ?正義の味方が悪を引きずり回すならまだしも、悪に首輪を付けられて俯くヒーローはいないでしょ?
なら弱者は貴方で、振り回されてるのは貴方。私と手を組みましょうよ、悪い話じゃないと思うけど…?』

267 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 20:59:39 ID:3G0zgk6J
支援

268 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 21:00:13 ID:rmphJL55
いつのまにかイライラは収まっていた。それどころか自分の正体を知る邪魔者を二人同時に消し去れるかもしれないと思うと彼の胸は期待で膨らんだ。
『いいだろう…せいぜい利用しあおうではないか、山岸由花子』
『協力に感謝するわ、でも友好の握手は遠慮するわよ。私だってまだ死にたくないもの…』
とりあえずの情報交換を始めようとする二人。
微笑を浮かべ、見つめあい談笑するその男女二人組み。
親愛や友好。そんな恋人、家族、親子が交わすような感情は一切そこになく殺伐とした空気が流れていた。



爪がまた長くなったように思いながらつい今しがた交わした会話を反芻する。
じっくりと観察すると確かに爪が伸びている、と吉良は先程までなら溜息をついていたであろうこの問題になんら脅威を感じなかった。
ちらちら視界に映る女の手と自分の中に湧き上がる欲望を前にしてもその殺意は留まることがないのはやはり先の協定で余裕が生まれたのだろう。
「清清しい朝だ…」
思わず呟いてしまったその言葉に冷めた目線で応じる由花子。
適当に受け流しつつも、余裕の笑みを浮かべ、そろそろ本腰を入れて承太郎の行方を追わなければと吉良は意識を切り替える。
承太郎がどう動くかわからない以上、霧が去った今しかそのチャンスはないだろう。
姿が見えなくなった時間から考えてもそう遠くはいってないだろうと判断できる。
(できることなら放送までに合流したいものだ………)
時計に目をやり思う。
ここが禁止エリアとなったら承太郎の消息は不明となり、合流は絶望的になる。
さすがにそうなっては今のこの高揚感も冷めてしまうし、なによりこれ以上自分の正体を知られたら流石に不味い。
吉良は少女の背中を追い走りだした。

(承太郎を殺したら…その次はお前の番だぞ、山岸由花子。フフフ…美しい髪が自慢のようだが手にも自信を持ってもいいぞ…フフフ……ハハハハハハハ!)
(無茶はしない…。互いに潰し合わせて最高は同士討ち、最低は消耗したところを私が止めをさす。焦っちゃダメよ…絶対にまちがってはいけない。勝てる勝負だけ勝てばいいのだから…)
杜王町を走る男女。ブレーキが壊れたトロッコのように彼らの殺意と狂気は止まらない。

269 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 21:00:46 ID:rmphJL55
【E-4 中央部/1日目 早朝(放送前)】
【吉良吉影】
[時間軸]:限界だから押そうとした所
[状態]:掌に軽度の負傷、ハイ、爪の伸びが若干早い
[装備]:爆弾にした角砂糖、ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り5個)  
[道具]:ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×6、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×8、未確認支給品×0〜2個、支給品一式 、緑色のスリッパ
マグカップ,紅茶パック(半ダース)、手に収まるサイズの手鏡二つ
[思考・状況]
基本行動方針:植物のような平穏な生活を送る
0.承太郎と合流したい。
1.由花子を利用できるだけ利用する。
2.手を組んだ由花子と協力して承太郎を暗殺する。ただし無茶はしない。
3.当面はおとなしくしていて様子を見る。そのためにまず情報の入手。
4.自分の正体が吹き込まれた携帯電話を破壊したい
5.他に自分の正体を知る者がいたら抹殺する
6.危険からは極力遠ざかる
7.2が終わった後、または利用価値がなくなったと思ったら由花子を殺して手を愛でる。
[備考]
※バイツァ・ダストは制限されていますが、制限が解除されたら使えるようになるかもしれません。
※荒木のスタンドは時間を操作するスタンドと予想しました。が、それ以上に何かあると思っています。
※場合によっては対主催に移っても良いと考えてます。
※平穏な生活を維持するためなら多少危険な橋でも渡るつもりです。

【山岸由花子】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:健康、強い覚悟
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1〜3
[思考・状況]基本行動方針:広瀬康一を優勝させる。
0.承太郎と合流したい。
1.吉良吉影を利用できるだけ利用する。
2. 康一には絶対に会わない
3. エンヤがたくさん人を殺すことに期待
4. DIOの部下をどうにか使って殺し合いを増進したい。
5.正直知り合いにはなるべくあいたくない。けど会ったら容赦しない。
6.今夜10時にD-4のスペースシャトルにてエンヤと合流。残り人数次第でそこで始末する。
7.康一と自分だけになったら自殺して康一を優勝させる
[備考]
※エンヤの頭部に髪の毛を植えつけました。
※エンヤの能力が死体操作であることを知りました。生きた人間も操れると言う事はまだ知りません

※二人がどのぐらい情報交換したかは後続の書き手さんにお任せします。
※二人が何処に向かうかは次の書き手さんにお任せします。

270 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 21:01:15 ID:rmphJL55
   ◇   ◆   ◇   




霧は晴れていた。
窓ガラスに映った自分の顔をまじまじと見て思う。この数時間で随分と歳を取ったように見えるその顔は確かに疲労の色が濃く、エンヤは休息を取ることにした。
数多くある民家から適当にひとつ選ぶ。
先にほかの参加者が潜んでいるかもしれないと言う警戒を忘れ、倒れるようにリビングのソファに身を沈める。
緊張の糸を解きぼーっとこの数時間のことを考え、そしてこれからのことを考える。
何気ないように髪の毛を掻き揚げようと挙げた手を中空で止める。
思い出されたその事実から警戒をあらわに、恐る恐る手を伸ばしゆっくりと指を沈めていく。
いつものように少し水分の足りないパサついた髪の毛がそこにあった。

全身に走るこの安堵感とともに霧のかかったようにぼやける目を休め眠りに付けたらどれだけ楽な事か。
放送が近い以上、そういうわけにもいかず眠気を紛らわそうとエンヤは心地よい空間より身を起こし台所へと向かった。
「『正義』はもうひっこめたほうが面倒に巻き込まれないかもしれんのう……」
弱気な独り言をひとつ吐き、その背中を小さく老婆。
ふと湧き出た疑問。
(そう言えばさっきあの小娘に言われて引き離した参加者、どうしてわしの人形を見てもなにひとつ行動をおかさなかったのかのう?言葉ひとつも吐かなかったし…まぁ、いいか…。)
いつだって苦労するのは一番上に立つものでなく腹心のナンバー2。
DIOの腹心エンヤ、今の彼女には悩みがあまりにも多すぎた。
(はぁ…早くDIO様とJ・ガイルと合流したいもんじゃのう…)




271 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 21:01:59 ID:rmphJL55
【D-5 南部 民家/1日目 早朝(放送前)】
【エンヤ婆】
[時間軸]:聖痕で全身に穴が開いた直後
[状態]:全身穴だらけ、精神疲労(中)身体疲労(小) 
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、承太郎の妻の死体
[思考・状況] 基本行動方針:ディオ様の元へ馳せ参じ、帝王の手下と共に荒木を地獄へ
0.休息をとりつつ、放送を待つ。
1.『正義』を展開したまま行動するか考え中
2. 最低でも後二体死体が欲しい。
3.ポルナレフとホル・ホースを地獄の苦しみの末に殺す
4.ジョースターの奴ら(ジョセフ・ジョースター、モハメド・アヴドゥル、花京院典明、空条承太郎)も殺す
5.なんで“正義”が広がらないんじゃ?
6.今夜10時にD-4のスペースシャトルにて由花子と合流。
[備考]
※スタンド“正義”が制限されていることに気づきました。主な制限は次のふたつです。
 ・射程距離が50メートルほどに制限されています。
 ・原作より操る力が弱体化しています。人間はともかく、吸血鬼や柱の男たちにはエンヤ婆の精神が相当高ぶってないと操れない程度に制限されています。
 前者はわかっていますが後者は気づいていません。
※頭部に由花子の髪の毛が埋め込まれています。
※放送後何処に向かっていくかは次の書き手さんにお任せします。
※現在『正義』は出現されていません。また今後『正義』を展開したまま行動するかは次の書き手さんにお任せします。
※山岸由花子の名前を知りません。また、空条承太郎と吉良吉影両名の姿は確認できませんでした。



   ◇   ◆   ◇   

272 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 21:03:17 ID:TaR8cNbZ
支援

273 :I still... ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 21:04:29 ID:rmphJL55
<ダイヤモンドは砕けない>



かつてジョセフ・ジョースターは言った。怒りに身を任せてはならない、と。
だが彼は思った。怒りに身を任せるのと怒りを押さえ込むのは違う、と。
友の死、仲間の死、家族の死。
そして。
愛する人の死。
真理はいつだって残酷だ。けどいつだって正しい。それだから美しい。
死を知り、生を謳歌する。怒りを覚え、人を愛することを知る。悲しみに涙を流すから、幸せを掴もうと手を伸ばす。
十字架を背負ってきた彼はこれからもそれを忘れることはないだろう。
そのひとつひとつが彼、空条承太郎が彼であり、自分が自分であるためなのだから。

寂しげな笑みを口元に残し第一幕のベルが近づく。
その時彼が何を思うかは彼自身しかわからないだろう。



【D-4 南部/1日目 早朝(放送直前)】
【空条承太郎】
[時間軸]:4部終了後
[状態]:???
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 携帯電話 折り畳み傘、ボールペン三本、クリップ二つ
[思考・状況]
基本行動方針:徐倫を自分の命にかけても守り、荒木をぶっ飛ばす
1.???
[備考]
※荒木のスタンドは時間を操作するスタンドと予想しました。が、それ以上に何かあると思っています。
※吉良の参加時間軸を知りません。
※携帯電話に吉良との会話が録音されています。通話相手に聞かせる機能があると言うのは承太郎のハッタリです。
※妻との遭遇が承太郎にどのような影響を与えたかは次の書き手さんにお任せします。
※スタンドの状態は不明です。
※放送後何処に向かうかは次の書き手さんにお任せします。

274 :I still... ◆Y0KPA0n3C. :2009/01/20(火) 21:06:20 ID:rmphJL55
投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
一時投下の際、誤字を指摘してくださった方、支援を下さった方。
ありがとうございました。

少しだけ描写を加えたのと備考を整理したので次にかかれる書き手様はご確認ください。
では失礼します。

275 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 21:14:56 ID:Iy9rPTWO
投下乙
強固なマーダー同盟ここにできる。
孤立して承太郎ピンチ。死んだワイフの姿をもう一度見せるなんて
拷問とか言うレベルじゃねーぞ!

276 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 21:18:32 ID:3G0zgk6J
投下乙
あーこりゃヤバイな承り……もうだめかもわからん

277 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 22:56:58 ID:iGSWAw5O
投下乙

キャラの魅力とマーダー連合の恐ろしさがヤバイww
承太郎…哀れな男だよ彼は
死亡フラグバリバリな状態で次がどうなるか期待してます


278 :創る名無しに見る名無し:2009/01/20(火) 23:56:53 ID:7bWTA+x7
ニコロワ並にマーダー連合できるかもしれんね。
全ての鍵はディオの選択とプッチの導きか。

279 :創る名無しに見る名無し:2009/01/23(金) 04:01:50 ID:WCUY0fd0
投下乙です
由花子の立ち回りのうまさがヤバイな
自分を弱者と自嘲してるが、そうゆうのが一番怖いってのがよくわかるわ
承太郎は普段の状態なら孤立しても心配要らないんだが、今の状況はやばすぎる

280 :創る名無しに見る名無し:2009/01/26(月) 08:24:03 ID:wfqplxZs
投下乙です
由花子さんKOEEEEE!!
彼女の立ち回りも重要になってきましたね・・・

281 :創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 21:11:10 ID:qNccOZN7
最新のSS読んでふと思ったんだがワムウってマフラー持ってなかったっけ?

仮にそうだとしたらツェペリさんの波紋が通じないと思うんだけど

282 :創る名無しに見る名無し:2009/01/27(火) 21:42:59 ID:XhS9u/CW
仮投下スレで言ってやれ

283 :地図の人 ◆rOwVJ6/pbM :2009/01/28(水) 16:46:09 ID:fhqS+YJl
お久しぶりです
現在地地図にいっぱい追加しました
http://rowvj6pbm.ame-zaiku.com/index3.html
しばらくこれなくてごめんなさい
したらばで地図つくっててもらってて本当に申し訳ないです

地下鉄は、どこがつながっててどこにこっそり駅があってってのが判明次第
新たに地下鉄マップつくります
あと、フェルディナンド博士の恐竜とばしてみました
内容把握しきれてなかったら混乱招くと思ったので進行方向の矢印はいったんとっぱらいました
えーと、あとなんだったかな
私への罵倒はパープルヘイズしてください
狂いもだえます
喜びでな

284 :創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 18:39:10 ID:oUUAiKg9
あれえ、結局ワムウ関連はどうすんの?

285 :創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 19:11:33 ID:kfHjL/Hr
久しぶり、地図の人!
更新お疲れ様です

なにか意見があるならしたらばで発言したらいいと思う
現状は書いた本人様待ち、かな…?

286 :創る名無しに見る名無し:2009/01/28(水) 21:27:03 ID:IAvpVejV
                 パクリ検証サイトを貼る前に言っておくッ!
                  おれは今やつの人間の屑っぷりをほんのちょっぴりだが体験した
                   い…いや…人間と呼ぶにはまったく社会の常識が欠け過ぎて居るのだが……
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|   あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|    『奴はジャンプ誌上でパクリがバレ作者に謝罪したかと思ったら
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ     その後再び{何十点}もパクっていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人      こ… こんなことをいっても しんじねーかと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ     おれも最初はあまりに恥知らずな行動を信じられなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ     頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r ー---ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \  盗まれた創作者の気持ちだとか挙句それを自分が起源の如く語るだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ   そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ     もっと恐ろしい日本の恥の片鱗を味わったぜ…

パクリ糾弾テンプレまとめ(画像200枚ほど)
http://www30.atwiki.jp/ichi-1/pages/14.html

パクリ検証動画
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1732928
http://jp.youtube.com/watch?v=W6Lxjl7TqZ4


287 :創る名無しに見る名無し:2009/01/31(土) 10:30:22 ID:VjVXNXm+
>>283
乙です。
相変わらずわかりやすい地図、非常に助かります。恐竜を飛ばした絵がなんともかわいいw
>>284
修正されてWikiに掲載されたぞ。

288 :創る名無しに見る名無し:2009/02/02(月) 08:08:40 ID:Qa0TWRTh
>>283
乙。
ツェペリのおっさんww
あとフーゴ完全に孤立してんなぁおい

289 :創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 17:43:43 ID:/Y1xOsqg
書き手さんはリアルが忙しい時もも自分の時間を犠牲にして書いてくれた・・・・・・・・・・・
したらば管理人や地図の人、ネッシーも ジョジョロワの為にために支援を与えて頑張っているぜ・・・・・・・・・・・
だからオレだってなんかしなくっちゃあな・・・カッコ悪くてあの世に行けねーぜ・・・・・・・・・・・・
ttp://www.youtube.com/watch?v=db0q6dnlMfE

無断で地図や名前を使わせてもらったので、問題がある場合は遠慮なくどうぞ
ちなみに画質が悪いのは仕様ですorz 文字がつぶれた所もありまくりだよチクショウ……

290 :創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 20:27:36 ID:bi3RHDzE
乙!言わずにはいられない!
いやいや…これは…いやはや!正直支援MADなんてほかのロワでしか見たこと無いから何て言えばいいかわからんっていうのが正直な感想だぜ…
鳩が豆鉄砲喰らったって言うんッスか?とにかく一言で言うなら
「痺れた」
不謹慎ながらダイアーさんの登場で吹いたけどなwww
ところでBGMは誰の曲なんだ?

改めて乙!そしてありがとう!

291 :創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 21:11:12 ID:1QQnlroZ
投下乙

なんというか……スゴイっす……
第一放送前の主要イベントをかっこよくまとめたのは感動しました
ダイアーさんに吹いたしなww

もう一度乙!

292 :創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 21:36:21 ID:SYBWAood
曲は403って方のサザンクロスって曲だったはず
一昔前、フラハクで某作者が使って一躍有名になった曲

293 :創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 21:37:41 ID:pw249PmI
フラッシュで有名なやつか
しかしダイアーさんは一話死亡なのに凄い待遇だなw
不覚にも吹いたぜw
GJすぎる

294 :創る名無しに見る名無し:2009/02/08(日) 21:41:50 ID:/Y1xOsqg
みなさん感想ありがとうございます
ちなみに使っている曲は>>292氏の言うとおり、403のSouthern Crossです
某フラッシュで知って以来403のファンになってましてw

295 :創る名無しに見る名無し:2009/02/09(月) 16:47:56 ID:d/nxkGn0
いまさらだが乙!
こうして見るとイベントの密度濃いな
ほんとにこのロワは最初からクライマックスだぜ

296 :創る名無しに見る名無し:2009/02/10(火) 17:40:30 ID:C4U6Ci2X
ダイアーさんwww
一つ一つの画像選びにセンスを感じました!

297 :創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 13:26:09 ID:8Upts14P
wiki更新乙!
放送まであと少しかな?
あと書かなきゃいけないパートって何処だろう?

・ヴェルサス・ティッツァーノ組
・徐輪・アバッキオ・イギー組
・ミューミュー・スカーレット組
・アレッシー
・マイクO
・アナスイ・マウンテンティム組
・岸辺露伴・ウェストウッド組
・スピードワゴン・ホルホース組

かな?
間違い合ったら指摘して下さい。
たぶんどのパートも、あとは放送までの繋ぎ系の話だと思う。

298 :創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 13:32:05 ID:AhYEBS7b
>>297
乙!
時間軸的にはそのくらいだけど、たとえば徐倫組は「放送の後まで動かない」と明言しているし
逆にオインゴ億泰組なんかは「走り出した」のような終わり方してるから一概には言えないよな。
話が進んでるところとそうでないところの差が大きいからどっち道繋ぎが多くなりそうだね。

299 :創る名無しに見る名無し:2009/02/11(水) 18:41:22 ID:WGmqWCfw
したらばにて話し合いの場を設けました。
意見がある方はぜひともお聞かせください。
それではよろしくお願いします。

300 :創る名無しに見る名無し:2009/02/12(木) 18:16:38 ID:8j5rFT36
いまさらだけどMAD製作超乙。
驚いた……すっごく驚いた……センスあるじゃないかッ!! とてもッ!!berissimo !
信じられねぇ〜〜〜〜磨けば光るダイヤの原石つぅぅかよ〜〜〜〜偶然拾ったガラスの靴つぅかよぉぉ〜〜〜

いや、マジびびりました。マジ期待してます。

301 :創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 20:29:25 ID:vFTzXSdb
予約にwktk

302 :創る名無しに見る名無し:2009/02/17(火) 23:42:37 ID:m9qf2KX0
予約キタ!これでかつる!
今からwktkが止まんねぇや!

303 : ◆iWsXXvK.9U :2009/02/18(水) 18:35:32 ID:YkzypTEs
ティッツァーノ、ヴェルサス投下します。


304 :創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 18:36:00 ID:YkzypTEs

「後ろ、問題ないか…?」

「ええ、依然問題ありません。前方は…?」

「こっちも大丈夫だ…」

「結局、誰とも会いませんでしたね…」

「ああ、そうだな…」

灰色の空の下、ティッツァーノとヴェルサスは、
薄闇に染まる静寂の街並みを、周囲に注意しながら歩みを入れていた。
先程まで降っていた雨は今は止み、折り畳まれた傘がティッツァーノの手中に収まれたいた。
日時は早朝、時計の短針が四つほど進んだ先。
深夜に二人が偶然遭遇してからおよそ二時間。
二人は誰かに会い、情報を得ようと考えていたが、
結局、誰とも会うことはなかった。


305 :創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 18:36:39 ID:YkzypTEs

「放送まであとどれぐらいだろうな…」

「大体、あと二時間弱ぐらいじゃないでしょうか…
空の色も段々と薄くなってきていますし」

「もうちょっとで六時間も経つのか…
とりあえず、何とか最初の放送までは生き残れそうだな」

「油断は禁物ですよ。
いつ、誰が私たちの寝首を掻こうと潜んでいるのか分からないのですから」

「とはいってもよ〜、結局俺らはまだ誰とも会ってないんだぜ。
もしかしたら、こっち側には俺ら以外誰もいないんじゃねぇかぁ?
それとも実はもう、みんな結構な数が殺し合って、
ほとんどの奴が既に死んじゃってたりさぁ」

「…、残念ですがそれはまず有り得ないでしょう」

「そうとも言い切れないだろうが…!
現に俺らは…」

先を続けようとしたヴェルサスの口を、ティッツァーノは、もううんざりとした表情で塞いだ。
ヴェルサスの言うことも一理ある。
だが、それは自分勝手で軽薄な発想にすぎない。
不確定要素が無限に存在する死地において、
そのような思い込みは正に言語道断。
『思い込む』という事は何よりも『恐ろしい』

「そんな甘ったれた考えは止めたほうがいいですよ。
いつそれが命取りになるか分かりません。
世の中は自分の思い通りにいくほど、そんなに甘くはない…」

「わ、わかったぜ…
済まなかったな、ティッツァーノ…」

「分かってくれればいいんです。さぁ、先を進みましょう。
周囲には存分に注意して下さいね」


306 :創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 18:37:15 ID:YkzypTEs

二人はしばらく無言のまま北上した。
その間も、二人は誰とも遭遇することはなく、
遂に、午前六時の第一放送まで残すところあと三十分を回っていた。
空からは陽の光が差し込み、辺りもすっかり明るくなっていた。

「遂に放送まであと少しってとこまで来たな。
さすがに、もう大丈夫だろ。
結局、誰とも会わなかったけど…」

「油断は禁物と言ったはずですよ。
しかし、まさか放送直前まで来て、あなた以外の誰とも会うことが出来なかったのは以外でした。
正直、歩いていれば誰か一人ぐらいには会えると思っていたのですが…」

「確かにな…。俺もそう思ってたぜ」

「私たちには情報が圧倒的に足りません。
第一放送後は、もっと積極的に動いたほうがいいかもしれませんね…」

「でもよぉ、危険度も増すんじゃ…」

ヴェルサスがそう思うのも無理はない。
二人のスタンド能力は攻撃型ではない。
当然、襲ってくる相手に対しての手段も、ヴェルサスの支給品の銃ぐらいしかなく、
圧倒的にディスアドバンテージしか取れないのだ。


307 :創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 18:38:27 ID:YkzypTEs

「そこは仕方がありません。
ここに来て『急がば回れ』では遅いのです。
運よく、殺し合いに乗っていない参加者に会えることを祈りましょう…」

それを聞いたヴェルサスの表情は、一気に絶望の色へと変貌した。
鳩が豆鉄砲をくらったように。

「マ、マジかよ……最悪だぁぁぁ〜〜〜……
ああぁぁぁッ、くそがッ!!何でテメェみたいな『雑魚』と俺は出会っちまったんだよッ!!」

「それはこっちの台詞ですよ!
私だってあなたみたいな人と会わなければこんなことには…」

「何だとッ!テメェもう一回言ってみろよ、コラァッ!!」

「あまりうるさくしないで下さい!
今は、仲間割れなんてしてる場合ではありませんよ!
今、此処で死んでしまっては本も子もありません!
とにかく、今は第一放送まで此処に待機、分かりましたか!?」

「ちっ、分かったよ、勝手にしやがれッ!」

二人はそのまま黙りこんだ。
この状況下で口論だけで終わったのは、幸いだったのかもしれない。
命の奪い合いにまで発達しなかったのは、やはり二人のスタンド能力によるところが大きかったのだろう。

殺し合いが始まっておよそ六時間弱
―――――、第一放送まであと十分


308 :創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 18:39:40 ID:YkzypTEs

【G-5 住宅街/一日目 早朝(5:50頃)】

【あてのないブラザーズ】

【ドナテロ・ヴェルサス】

【時間軸】:ウェザー・リポートのDISCを投げる直前

【状態】 :軽いストレス、荒木に怒り、ティッツァーノと喧嘩中

【スタンド】:アンダー・ワールド

【装備】 :テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、基本支給品

【思考・状況】

基本行動方針:絶対に死にたくない。

1.どんな事してでも生き残って、幸せを得る。

2.誰か(できればこの町の住人)に会って、仲間にする。

3.プッチ神父に会ったら、一泡吹かせてやりたい。
4.この先不安…

5.ティッツァーノムカつく

【備考】

※ティッツァーノの『トーキング・ヘッド』の能力を知りました。

※ティッツァーノ以外のマフィアについてはまだ聞いていません。

※荒木のスタンドを「物体をコピーする」能力だと思っています。

※荒木の能力により『アンダー・ワールド』には次の2点の制限がかかっています。

 ・ゲーム開始以降の記憶しか掘ることはできません。

 ・掘れるのはその場で起こった記憶だけです。離れた場所から掘り起こすことはできません。

※『アンダー・ワールド』でスタンドを再現することはできません。


309 :創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 18:40:07 ID:YkzypTEs

【ティッツァーノ】

【時間軸】:ナランチャのエアロスミスの弾丸を受けて、死ぬ直前。

【状態】 :健康、軽いストレス、ヴェルサスと喧嘩中

【スタンド】:トーキング・ヘッド

【装備】 :ブラックモアの傘、岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)、基本支給品

【思考・状況】

基本行動方針:生きて町から出る。

1.アラキを倒し、生きて町から出る。

2.誰か(できればこの町の住人)に会って、協力を得る。

3.この名簿は一体?なぜ自分はここに呼ばれたんだ……?
4.この先不安…

5.ヴェルサスムカつく
【備考】

※ヴェルサスの『アンダー・ワールド』の能力を知りました。

※ヴェルサスの知り合いについてはまだ聞いていません。

※荒木のスタンドを「物体をコピーする」能力だと思っています。

※G-5では雨は降っていません。


310 :創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 18:41:45 ID:YkzypTEs
投下終了です。
タイトルは『夜明けの間奏曲』で。
矛盾や問題点は、たぶん無いだろうと判断したので、
本スレでの投下に踏みきりました。

内容は可もなく不可もなく、といったところでしょうか…
繋ぎ話なので意見、感想なども出しにくいと思いますが、
何卒、よろしくお願いします。



311 :創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 19:24:12 ID:2wHtGhiW
確かに可もなく不可もなくって感じだ
でも、投下してくれるだけありがたい。
欲を言うと状態表はスペースはくっつけて書いてくれると尚よし

312 :創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 21:14:20 ID:Gwy8tyZC
投下乙。
でもティッツァーノのスタンドは裏を返すと嘘しかつけない。
つまり言ってる事と逆が全て真実って事になる。
ステルス候補でもありステルス殺しでもあるんだよなトーキングヘッド

313 :創る名無しに見る名無し:2009/02/18(水) 22:18:29 ID:ewA/jdv/
待て待て
ステルスマーダーも一般人も「俺はマーダーじゃない」と主張するから意味ないんでないか

314 :創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 07:14:22 ID:xgh9aTVn

上手くいけば、戦わせる事とか、孤立させる事は出来ませんか?
(真)「ゲーム乗ってる」→(嘘)「ゲーム乗ってない」=言われた相手は油断して戦うor仲間になろうとする。

(真)「ゲーム乗ってない」→(嘘)「ゲーム乗ってる」=言われた相手は逃げるor進んで戦うor正当防衛で戦う。
ただ、言われた相手が、取りつかれたスタンドと、能力に気付かなかったらの話。



315 :創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 12:00:06 ID:ImPWCfEe


316 :創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 15:41:36 ID:Z6Fc+mCw
ティッツァきた!これで勝つる!
しかしお前ら弱いんだからチームプレーするよう頑張れよ……w

ステルスに使えそうな気もするけど、スクアーロいないからそもそもトーキングヘッドが張り付けられない予感がするw
能力隠すことより相手(大半の奴がスタンド使い、柱の男なんか触れたら死ぬ)の口にスタンドねじ込む方が遙かに難易度高いw

317 :創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 18:35:16 ID:yISnEcPs
過去にそこにいた参加者を掘り出してさー、そいつの舌にトーキングヘッドつけれたりするんかね?
掘り出した神父からDISK盗んだ例があるし不可能ではないんじゃね?

318 :創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 19:15:54 ID:ycTUJNPI
そのネタを考えていて予約かぶってしまったんだよorz

319 :創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 19:22:25 ID:yISnEcPs
>>318
やっちまった\(^o^)/
安易に本スレに書くもんじゃなかった、すまない

320 :創る名無しに見る名無し:2009/02/19(木) 23:44:38 ID:3jcEczhl
遅れたが投下乙ッ!
どう見てもイチャイチャ痴話喧嘩です。ほんとにありがとうございました。
だって登場話から三回連続だぜ?
しかも他の参加者に誰一人会ってないし

いや、それにしても冷静に考えれば良くこの二人生き残れたな…
とにかく放送後に二人が空気脱却することを願ってるぜ!

321 :創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 13:05:22 ID:aTDh175j

この二人について、したらばのなんでもありスレに、ある計画載せたのですが、どうでしょう?
自由に使っても、使わなくても、構いません。
この計画は、書き手さんによって、結末は自由にかえられると思います。

322 :創る名無しに見る名無し:2009/02/21(土) 19:21:39 ID:tSpwid+s
掘り出した神父はDISKの位置を確認しただけで、奪い取ったのは現実神父からだし
トーキングヘッドを仕掛けられたら言うことなすこと全て逆転するわけじゃない
「真逆ではないけどウソ」になるし、そのままウソをつかせないこともできる

323 :地図の人 ◆rOwVJ6/pbM :2009/02/23(月) 20:41:40 ID:JsVrXLLp
http://rowvj6pbm.ame-zaiku.com/index3.html
>>308
【ドナテロ・ヴェルサス】【ティッツァーノ】
以上を現在地地図に追加しました

324 :創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 04:33:32 ID:yTtc2GjB
地図の人いつも乙です!
そして今回初めて博士の周りに恐竜飛んでるの気づいたw
きめ細かい仕事っぷり流石です!

325 :創る名無しに見る名無し:2009/02/24(火) 22:15:37 ID:wuckUQOi
すばやい仕事、お疲れ様です。
くそ、放送までがこんなにも遠いとは…!
地図を見ると参加者がいかに固まってるかよくわかるぜ

326 :創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 09:13:16 ID:l6WIhnjr
>>322
それならナランチャがもっとあっさり看破してる。
筆記も無駄だったじゃん

327 :創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 19:34:15 ID:nRGvZLlG
ある情報を伝えさせないことに関してはトーキングヘッドは優秀だが
ある情報を引き出すことに関しては絶対ではないってことだろ

水が武器の真逆が水着はビキニってこたああるまいw

328 :創る名無しに見る名無し:2009/02/25(水) 22:10:08 ID:md1bW/2C
>>327
マーダー(ここは素直に殺し合いには乗ってません、って言ったほうがいいよな…)
マーダー「ヤらないか?(殺らないか?)」
!!
マーダー(なに、こ…これはスタンド攻撃ッ!馬鹿な、いったいいつの間に…)
ティッツァーノ「うほ、いい男。 や ら な い か ?」

      アッーーー!

こうなるんですね、わかります。

俺はおせっかい焼きのスピードワゴン!
住民の皆、一時投下スレに投下が来てるぜ…!指摘なり感想なりやってやれば書き手さんも喜ぶだろうなァ!
じゃ、俺はクールに去るぜ…。

329 : ◆yxYaCUyrzc :2009/02/26(木) 23:43:24 ID:0XnjT1nq
一時投下後一日が経過しましたので修正したものを本投下という形でこちらに投下します。

330 :オオカミ少年 ◆yxYaCUyrzc :2009/02/26(木) 23:44:16 ID:0XnjT1nq
「旦那ァよぉ、いつまでこうしてる気なんだァ?」
リビングのソファーから仰け反るように背後を見やるホル・ホース。
視線の先には口をモゴモゴとさせながらその顔を睨むように見つめるスピードワゴンが座っていた。
「……って、何食ってんだアンタッ!?俺に黙ってッ」
ガバッとソファーから飛び降りるホル・ホースに静止するよう右手を出したスピードワゴンはゆっくりと口の中の物を飲み込み答える。
「質問は一つずつにしてくれよ。まずは……そうだな、今食ったもんだ。ありゃ、紙だ」
何か御馳走を、自分も食べられるかも、と期待していたホル・ホースはがっくりと項垂れ、ため息混じりに
「はぁ〜!?そんなもん食っても腹は膨れねぇぞ?どうしちまったんだよ、旦那?」
と呟き力なく床にへたり込んだ。
「あぁ、まぁあまり気にしないでくれ。それで、もう一つの質問に答えなきゃあな。いつまでこうしているのか、だったか?
せっかくだ。ついでに今までに俺がまとめた考えも一緒に話してやるよ」
一呼吸ついたスピードワゴンはゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。


* * * * *

331 :オオカミ少年 ◆yxYaCUyrzc :2009/02/26(木) 23:45:22 ID:0XnjT1nq
まず最初に。この名簿と地図はおそらく嘘じゃあないと思う。
だが“嘘でない”っていう証拠はどこにもねぇ。だから俺たちはこの世界を回りながらこの地図が本当かどうか確かめなきゃあならねぇ。
勿論名簿もだ。お前さん、名簿はさっき見たよな?誰か知り合いとか、仲間とか、そう言うのは載ってたか?
……ハン、ダンマリかい。まぁ今回は聞かなかった事にしてやるよ。
一方の俺はってぇと、ジョナサン・ジョースターにジョージ・ジョースター、ウィル・A・ツェペリ、エリナ・ペンドルトン、ダイアーにストレイツォの六人。知り合いだし……大切な仲間だ。

すると次に、じゃあこの人たちを探すのか?って事になる。だがこの人たちは殺したって死ぬような人間じゃあない。俺なんかよりもずっと強くてしっかりしてる。
だから俺はこの六人を探さないッ!まぁ、見つかるに越した事ぁないがな……。
つまり!俺たちがやるべきことは“守るべき人間の保護、志を共にする仲間を探す”事だッ!
これについてはお前さんも異論ないだろ。仲間は多いに限るからな。情報も得られるし名簿の証明にもなる。

んで最後だ。いつまでこうしているか?お前さんが俺に聞いた質問だな。
そりゃ簡単だ。第一回目の放送とやらが終わるまで。放送を聞いたと同時に行動開始だ。簡単だろ?
結局この家は俺達以外に誰も入って来やしなかったんだ。日の出まであと十数分、油断はできないが安全だと見ていいだろう。
……と、こんなもんかね?後は?質問あるかい?


* * * * *

332 :オオカミ少年 ◆yxYaCUyrzc :2009/02/26(木) 23:46:36 ID:0XnjT1nq
スピードワゴンの説明を聞き終えたホル・ホースはハハン、と感心した。
単なるゴロツキではない。可能か否かと言う事を一旦置いて考えれば、なるほど理にかなった意見である。
そして……仲間が多ければ多いほどスピードワゴンは喜ぶし、自分の立ち回りも容易になる。
地図はこの際どうでもいいだろう。“仲間集めに夢中で――”とでも言えば丸め込める、そう結論付けた。
「なるほどな……いいアイデアだ。俺もその作戦に乗るぜ。そんな作戦断るバカはいねぇよ」
その言葉通り、断る理由はどこにもなかった。
「よし。じゃあ決定だな」
とスピードワゴン。だが彼が続けた一言にホル・ホースは驚愕する。
「それじゃあ、荷物まとめて俺は北、お前さんは南だ」
「はァ!?」
まさかスピードワゴンが別行動という方針をとるとは……。慌てて言葉を続ける。
「おいおい旦那そりゃないぜ。俺たちはコンビだ。一緒に行動しないで何になるッ!?」
「落ち付けって。今から理由を説明する。……と言っても答えは単純。効率がいいからさ。
一緒に行って仲間も見つからず共倒れ、じゃ洒落にならんだろう?」

彼の説明を受けて幾分落ち着きを取り戻したホル・ホースは、ならばと自分のすべき事を考え始めた。勿論怪しまれないように、
「ハンハン、なるほどね。そりゃ当然の発想だわ。さすが旦那だな」
などと答えながら―――
ホル・ホースは他人とのコンビで初めてその力を発揮するタイプである。それは彼自身分かっている事だし、そのために必要な観察眼は十分に養ってきている。
スピードワゴンという“旦那”がいなくなってしまっても新たな“旦那”を見つければそれでいい。
力が強い者の下に付けば生存の確率はぐっと上がる。お人好しの下に付いたならこの作戦通りに“仲間を見つけてきた”と言う事にすれば良い。
そして何より“どう転んでも自分が逃げ延びる事が出来る”というストーリーを作り出せる。
何とも甘っちょろい考えだ。お人好しは自分の盾になって死んでいく。強者が勝手に戦ってくれる。自分が手を汚すことは少ない。これほどいい作戦はないだろう―――
「そこで」
一人考えにふけるホル・ホースの意識はスピードワゴンのその一言で現実に帰る。そこで?そこで何をするのだ?
ホル・ホースがそう聞こうとする前に―――
「あんたに“保険”をかけることにした」
そう言うなりスピードワゴンはホル・ホースの腹部に向かって“あるもの”を投げつけた。

333 :オオカミ少年 ◆yxYaCUyrzc :2009/02/26(木) 23:48:41 ID:0XnjT1nq
「!?おいッ旦那!いやテメェ何しやが……」
そう叫び出すホル・ホースを無視してスピードワゴンは言葉を続ける。彼の腹部には衣類と同化したように真っ白な鼠が写っていた。
「おっと俺を殺すなよ。もう遅い。そいつを外すための“カギ”は、俺を殺したら二度と手に入らない」
「……ぐっ、どういう事だ!?」
ギリと歯ぎしりをするホル・ホース。スピードワゴンは鼻を鳴らして説明を始めた。
「いいか。俺はお前さんを完全に信用しきれない。お前さんは嘘をついてる……おっと、答えなくていいぜ。俺には“におい”で分かる。
だが、だからってここで殺しちまったら俺はこのゲームに乗っちまった事になる。仲間たちに顔向け出来ねぇ。そこでその“ネズミ”だ。
説明してやるよ。そのネズミはおよそ十時間でお前さんを攻撃するようにできているらしい。つまり制限時間だな。
要するにお前さんはその間にさっきの計画通り仲間を見つけるなり地図を証明するなりしないと“心が折れて”しまうんだとよ。
んで、肝心の“カギ”だが、っと……多くは言わねぇぜ。さっき俺が食った“紙”だ。あそこに全て書いてある。今話した説明も全部書いてあった。答えは俺しか知らねえ。
“メモを食べたら胃を切り開いても取り戻す”?それも不可能。食べなかった一部はお前さんが居眠りこいてる間に外に捨てちまったよ。うまいこと夜風に乗って飛んでっちまった。
しかも厄介なのが、手錠や何やらと違ってぶっ壊して取り外すことが出来ない、ってとこだ。腹えぐってお前さんが生きてれば話は別だがな」
「クッ……」
完全にスピードワゴンのペースだ。他人の歩調に合わせなければならない、つまり自分の立ち回りが困難になる。それがホル・ホースにとっては一番の屈辱だった。
「だがまぁ俺も鬼じゃあねぇ。……そうだな、第二回放送後にここにまた戻って来い。“カギ”を教えてやるよ。制限時間が十時間だから六時間後なら余裕だろう。
悪くないだろ?別に俺だってここで踏ん反り返ってる訳じゃあない、ちゃあんと北に向かうさ。あんたが正直者ならそれでいいんだ。信用できなかった俺が悪いって事で土下座して謝ってやるよ」
計画の全てを聞き終えホル・ホースは観念したようだ。スピードワゴンの胸倉から手を離し倒れるように座り込む。
「クソッ……確かにそれじゃあ俺ぁ従う他ねぇな……あんた、いや……旦那、よ」
「OK。契約成立だ。先も言ったが別に俺はお前さんと殺り合おうって訳じゃねえのよ。さ、とりあえず放送を待つとすっか。言い忘れてたがソイツは攻撃時以外には何の力もないそうだから動くことも放送のメモも出来るだろ」
「あぁ。だが最後に。旦那、あんた嘘はついてないだろうな?」
「もちろん。この件で嘘ついて損するのは俺だし、俺ぁお前さんとは違うのよ」
「ケッ」
その言葉を最後に二人の間には再び沈黙が流れ出す。

334 :オオカミ少年 ◆yxYaCUyrzc :2009/02/26(木) 23:50:58 ID:0XnjT1nq
(俺の皇帝が人型じゃあなくって良かったぜ。スタンド出したらそいつも本体同様腹にネズミがくっついてました、じゃあシャレにならねえからな。だがまぁ、痛みがねぇのが救いだな。
しかし、クソッ!抜け目ないヤツだぜ……だがこいつが“旦那”の内はしばらく生きていけそうだな。後はどんな奴に出会うか、だな。こればっかりは神頼みか……)
奥歯を噛みしめホル・ホースがぶつけようのない怒りを体内で燃やし続ける。

(問題はコイツが偶然“水”に気付いてしまわないか、それと出会った人間を口先で丸め込んで俺を悪者に仕立て上げるかも知れねぇ、って所だよな。
だが俺は拷問程度じゃあ絶対に口を割らねえぜ。自白剤でも持ってこられたら話は別だがな……)
自分の計画に一抹の不安を抱くスピードワゴン。

この計画が彼らにどのような出会いをもたらすのか。
そしてその出会いは彼らを生き延びさせる力を持ち合わせているのだろうか。
ホル・ホースの腹の“ダニー”がニヤリと笑ったような気がした。


第一回放送まで―――あと、約五分。




【E-4 民家/1日目 早朝・放送五分前】

【No.2と解説役】


【ロバート・E・O・スピードワゴン】
[スタンド]:なし
[時間軸]:コミックス五巻「悪鬼の最期」にて、ジョナサンとエリナを発見した直後。
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:支給品一式(不明支給品1、確認済)、リサリサのマフラー、民家で見つけた包帯。
(※時計と方位磁石は、ジャケットのポケットに入っています)
[思考・状況]
基本:ジョナサン一人に負担をかけぬよう、自分も弱者を守る。
1.ホル・ホースを警戒しつつ、共に目的を同じくする者との合流を図る。
2.1のためにホル・ホースと分担で仲間を探す。自分はとりあえず繁華街に向かいその後北に向かう(食料・武器の調達もしたいが、無理かもしれないと考えている)
3.1と2に加え、地図が正確か確認する(それほど疑っているわけではない)
4.ホル・ホースは信用しきれない。そのために保険をかけた。だが心の奥底では信用してやりたいとも思っている。
5.あの隕石は自然現象か、それとも……?(一応確認したいかな、程度の思考です)

[備考]
1.ホル・ホースが戦ったのは波紋使いではないかと薄々考えています。
2.スタンドについて未だ知りません。
3.ネズミについての真相はスピードワゴンしか知りません。

335 :オオカミ少年 ◆yxYaCUyrzc :2009/02/26(木) 23:52:08 ID:0XnjT1nq
【ホル・ホース】
[スタンド]:エンペラー(皇帝)
[時間軸]:「皇帝」の銃弾が当たって入院した直後。
[状態]:シーザーとの戦いで負った怪我は応急処置済みでほぼ健康。腹部にダニー(身体的な異常は0)
[装備]:なし。
[道具]:チューブ入り傷薬、支給品一式(不明支給品0〜2、確認済)
[思考・状況]
基本:生き延びるために誰かに取り入り、隙を突いて相手を殺す。
1.ひとまずスピードワゴンと行動を共にし、利用する。
2.1のためにスピードワゴンの作戦に乗ったフリをする。
3.1と2のため作戦通り南へ行く。具体的な場所等は未定。
4.このネズミをどうにかしたい。
5.女は見殺しにできねー。

[備考]
※先刻の【D-4/深夜】にてホル・ホースの悲鳴が近くの参加者に聞こえた可能性があります。
※スピードワゴンにシーザーとの戦闘の事を隠しています。


※ホル・ホース、スピードワゴンの両者は、隕石を見、鉄塔とスペースシャトルの破壊音を聞きました。


※ネズミについて(SPWの不明支給品のひとつでした)
このネズミは【アクセル・ROの作りだした“ジョニィが捨てたダニー”】です。出典はSBR15巻。
このネズミの解除方法は原作同様“水で清める”だけOKです。ただSPWが教えなかっただけなので偶然的に外すことができるかも知れません。
ロワでの制限として“心が折れるまでには約10時間かかる”というものがあります。
またダニー自体を破壊する事は出来ます(コミック内の描写より)が腹と一体化しているのでまず無事では済まないでしょう。
また、上記が記された【説明書】はスピードワゴンが破り、その一部は屋外へ捨て、残りは食べてしまいました。

336 :オオカミ少年 ◆yxYaCUyrzc :2009/02/26(木) 23:56:34 ID:0XnjT1nq
以上で投下終了です。
題名は「嘘つきは損をする」「ハッタリで相手を困らせる」と言うところから取りました。
修正箇所は誤字等のほか、徐倫の手錠→ネズミのダニー、と言うところですかね。また荒木サイドの“参加者でない被害者”が増えたことになりますがw
手錠の箇所を多少無理に改変したため若干の矛盾等があるかもしれませんので気付いた方は容赦なく叩いてやってくださいorz
また、一時投下時にも似たようなことを書きましたが、このSSはダニー(旧:手錠)がないと成立しない話ですので、その点で問題があるようでしたら修正のしようがなく、最悪の場合は破棄を予定しています。
もちろん掲載してもらう事に越したことはありませんがねw

一時投下後から大して時間が経っていない状況での本投下ですので改めて誤字脱字・展開の矛盾等々の指摘のほどをよろしくお願いします。では。。

337 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 00:31:36 ID:KHDBEDok
ダニーはぜんぜんおっけーじゃないの?支給品としてヨーヨーマッとか前例もあるし
正直犬だと思っててSBRの方思い出すまで意味がわからんかったがw

338 :地図の人 ◆rOwVJ6/pbM :2009/02/27(金) 02:39:48 ID:zMC8bW03
勢いで絵かいてきた

339 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 02:40:22 ID:zMC8bW03
トリ消し忘れたし

340 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 10:26:44 ID:VfMHEF1n
「乙ですね地図の人^^」

っておちょくってやろうと思ってたのに!
…か…かわいいじゃねえか

341 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 15:30:36 ID:eQdyHmXw
ちょwwうめえwwwwwww
なんてマルチな才能・・・

342 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 20:19:41 ID:ItnNg2G0
スピードワゴン死んだらホルホース死亡フラグ確定wwwwwwwwww

343 :創る名無しに見る名無し:2009/02/27(金) 21:40:02 ID:afgE6oyA
投下乙ッ!
まったく…スピードワゴンのことを旦那なんて呼ぶ日が来るなんてな…
こいつは渋いぜェ…
ホルホースがほかの参加者に遭遇したときにどうやって鼠を説明するか気になるw

後質問なんですが制限時間内に「心が折れたら」それはそれで効果を発揮するんですか?
なんか制限時間、っていうののに自分だけかもしれませんが違和感がありまして…
「心が折れたら死ぬぜ」ってだけでも相当プレッシャーになるんじゃないですかね?
あとブラフにするとか


>>地図の人
ちょっ…鼠テラ癒し系………
これは間違いなくマスコットキャラ候補

344 : ◆yxYaCUyrzc :2009/02/27(金) 22:37:18 ID:+1LQnVjQ
ご意見、感想ありがとうございます。
まずは地図の人に多謝。まさか自分のSSが絵になる日が来るとは……(嬉泣
そして感想のほとんどを持っていかれたw

>>343氏の質問に対して。
俺は単行本を読んで「シビル・ウォーに攻撃され、ぐしゃぐしゃの状態になってしまう事」を作品中で「心が折れる」と表現したものだと思っていまして……
「心が折れるとあの“ぐしゃぐしゃ状態”になる」のとは順番的に逆では?という発想だったんですorz
その辺は他の多くの方の意見を聞きたいところですね。
で、制限時間ですが……「原作中では攻撃=心が折れる(上記の俺解釈)までの時間が早いのでは?」と思ったために付けた設定です。
これも解釈次第(343氏の案)では時間無制限とすることも可能ですし、別の対処法として状態表に一言「制限時間はブラフかも知れません」と書くだけでもいいかな?なんて思っていたりします。

いずれにせよ多くの方の意見を仰ぎたいところです。
しっかりと皆さんの意見をまとめて掲載しないと後の書き手さんに大きな負担を与えてしまうかも、という事もありますし、
一時投下時の手錠と同様このSSの要になっている部分ですのではっきりさせておきたい気持ちです。
ですので今後も皆さんのご意見をお待ちしています。では。。

345 :創る名無しに見る名無し:2009/02/28(土) 15:19:36 ID:zOBv/k6y
344 名前: ◆yxYaCUyrzc [sage] 投稿日: 2009/02/27(金) 22:37:18 ID:+1LQnVjQ
ご意見、感想ありがとうございます。
まずは地図の人に多謝。まさか自分のSSが絵になる日が来るとは……(嬉泣
そして感想のほとんどを持っていかれたw

>>343氏の質問に対して。
俺は単行本を読んで「シビル・ウォーに攻撃され、ぐしゃぐしゃの状態になってしまう事」を作品中で「心が折れる」と表現したものだと思っていまして……
「心が折れるとあの“ぐしゃぐしゃ状態”になる」のとは順番的に逆では?という発想だったんですorz
その辺は他の多くの方の意見を聞きたいところですね。
で、制限時間ですが……「原作中では攻撃=心が折れる(上記の俺解釈)までの時間が早いのでは?」と思ったために付けた設定です。
これも解釈次第(343氏の案)では時間無制限とすることも可能ですし、別の対処法として状態表に一言「制限時間はブラフかも知れません」と書くだけでもいいかな?なんて思っていたりします。

いずれにせよ多くの方の意見を仰ぎたいところです。
しっかりと皆さんの意見をまとめて掲載しないと後の書き手さんに大きな負担を与えてしまうかも、という事もありますし、
一時投下時の手錠と同様このSSの要になっている部分ですのではっきりさせておきたい気持ちです。
ですので今後も皆さんのご意見をお待ちしています。では。。

346 :創る名無しに見る名無し:2009/03/02(月) 17:32:42 ID:4EPnmkLq
シビル・ウォー
その人物の「捨てた」過去を引きずりだす空間を構築し、「過去」を以って攻撃するスタンド。弱点は水で清めること。
この能力の影響下で殺人を犯すと殺した人物が殺された人物を「捨てた」とみなされ、殺された人物は捨てられた過去の一端として甦り、殺した人物は殺された人物の罪を全て被る事になる。
また、捨てたものはアクセロ・ROの意志で操ることが出来るため、相手が捨てたものが生物ならゾンビとして襲わせることが出来る。スタンド名の由来は同ロックバンドの楽曲「Civil War」。

wikipediaより引用してきた。
う〜ん…難しいなァ………

絵描いた地図氏には申し訳ないが、ぶっちゃけ爆弾付きの手錠とかにしたら解決じゃね?

347 :地図の人 ◆rOwVJ6/pbM :2009/03/02(月) 20:43:51 ID:NbqcG1BX
>>346
おなかにねずみというインパクトある見た目が好きなので
個人的にはこのままがいいなあ
能力を「心が折れる」だけに限定すればややこしいことにはならないと思うけど
ホル・ホースが「殺した人物は殺された人物の罪を全て被る」ような展開になっても
一読者としては非常にわくわくします

しかしSS書けない人がとやかく言ってもあれなのでだまります
話し合いがまとまり次第地図編集します

348 : ◆yxYaCUyrzc :2009/03/03(火) 07:04:16 ID:q0nqDexD
こう言うのって書き手の私がびしっと決めちゃっていいんでしょうかねぇ?
私が書いている時のイメージとしては地図の人の意見にあるような「心が折れるという能力のみを持つダニー」としていたのですが。。
「おっかぶる」のはあくまでシビルウォーの力(≠ダニーのもつ力)だと思って考えてまして、
そこまでやると地図全土がシビルウォーの攻撃範囲になるんじゃないか?→ホルホース以外はどうなるんだよ、となりそうで……
もちろんそこまでの能力を考慮した案でも私は構わないのですが他の書き手さんには多大な負担になりそうですし。

もしもこのまま議論が停滞してしまうようでしたら数日後にはダニーの説明欄に上記のような分を追加しwikiに掲載しようと思います。
予定では週末あたりになりそうですかね。

349 :創る名無しに見る名無し:2009/03/03(火) 21:24:17 ID:TByX+gyX
かなり遅れましたが投下乙です
渋ううううううううううううううい、渋い渋すぎるよスピードワゴンさん
そこに痺れた憧れたぁ! 
もう一匹のダニーって発想はマジでなかったww
先に逝ってしまった犬のほうのダニーの分も長生きして頑張って欲しいところ……
下手したら修正で消えかねないけどwww


ちなみに個人的な案を言えば
原作のような感じで殺した相手の全ての罪をおっかぶる展開はなしでも、
この会場で殺した人物はおっかぶるという制限にすればありかもしれません
一応原作でも対処法については出てきたわけですしね……
ただ、話のギミックになるか枷となるかは他の作者さんの意見を聞かないと分かりませんね

350 : ◆yxYaCUyrzc :2009/03/06(金) 21:01:35 ID:6AcDSWHw
議論がほぼ停滞していたので私の独断で
「ダニーは“おっ被る”能力を持たない、あくまでもシビル・ウォーの“作り出したモノ(≠シビル・ウォーの能力)”」と言う旨の文を付けくわえ、wikiに掲載しました。
>>349氏には申し訳ないですが、私以外の書き手さんの負担を考えた結論です。
もしご意見ありましたら引き続き受け付けますので。ではでは。。。

351 :創る名無しに見る名無し:2009/03/07(土) 01:05:55 ID:/RF9tmhB
予約 w k t k !!


352 :創る名無しに見る名無し:2009/03/10(火) 17:48:09 ID:MItxD7Ey
wktkが止まらない
ディオ様生き残ってくれぇぇぇ……

353 : ◆0ZaALZil.A :2009/03/10(火) 22:42:42 ID:5C+21JBt
38歳のアレッシーくん投下します

354 : ◆0ZaALZil.A :2009/03/10(火) 22:43:21 ID:5C+21JBt
アレッシーは機を待つ。木の傍らで機を待つ。

じき日も昇るだろうし、顔面に傷を負ったとはいえ視力に問題は無い。観戦に支障は出ない。
地図において端に近い位置であるし、無いとは思うが奇襲の危険性を考慮し、絶好の『釣堀』を探すのに時間がかかった。
命には代えられないし、今後更に『魚』が集まる可能性を考えれば時間の無駄ではない。
と言っても、最大の理由は東方より迫っていたヘリコプター。
おそらく鉄塔の騒ぎに参加したい者が乗っているのだろうが、その騒音には驚かされた。
支給品なのだろうが、向こうの厚遇に対してこっちは現状武器になるのが毒入りのカップラーメンぐらいしかない。
最初は不平を一人つぶやいていたが、上空からこちらに気付かれれば作戦は下手すればご破算、最悪狙撃されることだってあるだろう。
故にアレッシーは身を隠すのに慎重になった。

「朝っぱらから爆弾投下なんて、わざわざえらいねェ〜〜〜〜〜」

慎重になりすぎ、ヘリコプターから何か放たれたのか良く確認はできなかったが、こういった状況下であれば爆弾か何かだろう。
鉄塔の脇に男女の二人組も確認できた。間違いない。
聞き覚えのあるような奇声が聞こえたことや、爆弾が不発に終わったことが気になるが、奇声は騒音による気のせいとし、爆弾は一発だけでは無いのだろうと自己完結させた。
再びヘリコプターを注視する。しばらくして、

天に昇らんとする青年と、地に下らんとする豪傑が同時に視界に入った。

  ★

「なんてヤローだ……。あの高さから飛び降りるか普通?」

しばし思考がフリーズした後、アレッシーは呟く。
異能『スタンド』を持つアレッシーは、上空から受身をせず着地したところでそこまで驚かない。
天に昇ることと同様、スタンド能力を用いたものだろう。
だがヘリコプターを飛び降りた男は、スタンド能力では説明がつかないことが一点ある。

『ためらいが無い』ことだ。

バンジージャンプに命綱があるからといって、安心して飛び降りれるわけが無い。
地に足つけて生活している人類にはそう経験できない高度、速度に恐怖を感じるだろう。
考えられるのはそういった状況に慣れていることだが、『慣れ』と言っても並大抵のものではない。
挙動からして、豪傑の行動は本人には『二階から一階に向かって階段を下りる』くらいの認識で済まされるのだろう。
文字通り彼は精神面でも――敢えて例えるなら、主DIOのような――超越者。


355 : ◆0ZaALZil.A :2009/03/10(火) 22:44:19 ID:5C+21JBt

とにかく、豪傑はレンジャー部隊も真っ青の離れ業を、余裕を持ってやってのけた。
『魚』は上と下、二箇所に散った、ということでもある。

(さぁて、どっちにするかなあ〜)

視線は天を向き、フリーズした思考は再び稼動し始める。

ヘリコプターが依然動いていること、一向に青年が中に入らないことを考えると、中に最低もう一人いるのだろう。
天に昇る青年がスタンド能力を堂々と使っているのを見るに、彼は自信家なのかよほどのバカなのか……あるいは両方か。
『スタンド能力を簡単に見せることは弱点を教えることにほかならない』アレッシーだってそれは心得ている。
それに、どうやって飛んでいたかは分からないが、ロッククライミングをするような動きを見るに単純に空を飛ぶ能力ではないようだし、青年は自分で自分の足場を限定したのだ。
『自ら首を絞めて』いるとも言える。
このゲームにおけるスタンスは分からないが、そう長くは生きられないタイプと推測。放っておけば自滅するだろう。
不発に終わった爆弾を無視してヘリコプターに向かった以上、利用できる善人であるはずも無い。
ヘリコプターを操縦している男が仮にスタンド使いだとしても、このような事態を想定していなかったこともあり、この位置からでは両者何をしているのか見えにくい。

「答えは決まった! 地上を観察するッ!」

ともすれば、消去法。
鉄塔付近に視線が移る。

(おそらく構図は2対1。二人組のスタンスは分からねぇが、乗ってるとしても共同戦線を張るだろーよ。
 あんなド派手な登場されちゃあ、話し合いの余地まるでねーもんなァ〜〜〜〜〜〜)

荒木に抗う仲間を募るならもっと他にやりようはある。
爆弾が別の何かだったとしても、攻撃の意志はなかったなんて弁明は、自分が弁護士でもゴメンである。
豪傑をよく観察する。
皮製であろう軽装のプロテクター。ターバン。巨大なピアス。
どこかの民族なのかもしれないが、アレッシーはそのような知識を持ち合わせていなかった。
そして、やはり注目すべきはその肉体。鍛錬の成果であろう丸太のような四肢は、鈍器以上の強靭さを感じさせる。
スタンド能力が気になるが、いずれヴィジョンを出すだろうし、観察対象を変えようと――


356 : ◆0ZaALZil.A :2009/03/10(火) 22:45:31 ID:5C+21JBt

――豪傑、突如拳を阻む。


(はえぇ! まるで見えなかった!)

二人組の男の方が、スタンドのヴィジョンを発現し、正拳を放つのに要した時間は刹那。
かつて相手にした(というより一方的にやられた)空条承太郎の『スター・プラチナ』の攻撃を髣髴とさせ、アレッシーは戦慄する。
見ていなかったから、という言い訳はしない。見ていたところで結果は同じだったろう。
背筋に冷や汗。早まる鼓動。

(人型の『近距離パワー型』! まず間違いねぇ)

平静を取り戻すため、改めて観察。
スタンドを発現した男は、高校生かそこらといった感じの少年。金髪で、髪を後ろに編んでまとめている。
外見上特に気になることは無いが、スタンドの拳を素手で阻まれても身じろがないその態度は賞賛に値する。
ある程度の修羅場をくぐってきたのだろう。
スタンドの拳が引かれる。豪傑は、彫刻のように固定したまま動かない。

(『触れたものを固定する能力』か? 俺の『若返り』と相性バツグンに良さそうな能力だねェ〜。触れなきゃなんないのが面倒だけどな)

奇しくもその能力は天に昇る青年――サーレーの能力であったが、そんな偶然の一致は何の意味も持たない。
判断材料の少ない中で『物質に生命エネルギーを与える』能力、という答えを見出すことは至難だろうが。

少年が女に向かって何か叫ぶ。
距離と騒音の相乗効果で何を言っているのかは聞き取れないが、女が走る方向を見ればある程度の察しはつく。

(爆弾の様子を見に行かせたってえところだろうな。不発に終わったとはいえ無力化したわけじゃあないし、あの位置だと3人とも危険だからなぁ。
 しかし、サシでやるっていうんだからよっぽど自信あるんだろ? えらいねェ〜〜〜)

調子に乗ったその態度は気にいらないが、アレッシーの心情を無視するように闘争は加速。少年は猛攻に出る。


――突きの連打。


近距離パワー型だからこそできる、ゴリ押し。
再び『スター・プラチナ』によるトラウマを回顧させられ、小動物のように体を振るわせつつ、より木陰に身を隠す。
流星のように放たれた無数の拳を捌く豪傑。やがて均衡崩れ、巨体がブッ飛ぶ。

(『固定』が解かれたのは能力に制約が課せられてるとして・・・・・・、妙だな。何であの大男はスタンドを出さない?)

豪傑はスタンドのヴィジョンを見せる気配すらない。
『身体と一体化している』『ヴィジョンが無い』……こういう短絡的な結論は真っ先に挙げられるしそれ自体に矛盾も無いが、何かがおかしい。
豪傑が『最初に少年のスタンド攻撃を避けずに受け止めた』のがわからない。
アレッシーのスタンド能力が影のヴィジョンに触れて発動するものだからこその疑問。
下手に触れれば圧倒的に不利、そういったスタンドは少なからず存在する。
だからこそ、相手の能力を警戒しないあの態度は不自然。
眉間に皺寄せ瞑想するように思索にふけるが、現時点では情報が少ない、そんな言い訳じみた結論を出して――――

ふと目を開けば、知人らしき男の姿が。


357 : ◆0ZaALZil.A :2009/03/10(火) 22:46:25 ID:5C+21JBt
  ★


暫し思考した後、アレッシーは女――F・Fを追う決断を下した。
理由は大きく分けて三つ。

第一に、少年と豪傑、二人の決着には時間がかかると判断したこと。
いくら少年のスタンドがパワー・スピード重視のものであっても、豪傑は対応しきっていた。
腹部に一発食らう姿を見たが、顔面をやられても平然と跳躍していたし、それが致命傷となるはずが無い。
『固定』したところで、サンドバックを相手にしているようなもの、決定打がなければ徒労に終わる。
他者の介入が無ければ、決着がつくのはだいぶ先だろうし、自分が割って入るなんてのは論外だ。
第二に、知人ダニエル・J・ダービーの発見。
ずっと単独行動していたため、もし強者の庇護を受けようとしても、下手をすれば『はめようとしているのでは』と思われてしまう。
しかし同行者が知人ならば? その人を心配するような言動があったら?
何も無いより、信頼を勝ち得る可能性がグッと上がるのは明白。
実際には、ダービーのことはエジプト九栄神の一人として知っているだけだし、スタンド能力も知らない程度の間柄なのだが。
万が一殺し合いに乗っているとしてもDIOへの忠誠心によるものだろうし、それならそれで同じ臣下にある自分は安全だ。
そして、第三の理由が最も重要なことなのだが……
おそらく女は、傷を癒せるスタンド能力の持ち主だということ。
女はそう遠くない距離に移動し、いつの間にかダービーを抱え、走っていった。
ダービーが騒ぎを聞きつけやってきたのなら、抱えられているのは明らかにおかしい。
女は鉄塔に向かう際、戦闘に臨む態度ではなかったし、そもそも敵対したなら抱えて逃げる必要は皆無。
このことからアレッシーが導き出した推論はこうだ。

『ヘリから投げ込まれたダービーを女が治療した』

豪傑は殺し合いに対し積極的、故にダービーを生贄にし、将来徒党を組み厄介になるであろう『人殺しが許せない善人』に自身への敵意を生み出させた。
結果少年はその挑発に乗ったが、女のスタンドは戦闘に不向き。
だからこそ、少年が隙を作って、女は鉄塔にいた重症のダービーを治療、そして戦闘の邪魔になるので逃走、といった具合。
かすかに聞こえた奇声もビビッたダービーのものだったとすれば、すべての謎が丸く収まる。
彼女と合流すれば、今の傷を癒せるし、信頼を得れば今後もそうしてもらえるだろう。
希望的観測が過ぎるかもしれないが、少なくとも女がゲームに乗ってないのは確かだから同行する価値はある。

かくしてアレッシーは、満身創痍の参加者をいじめてスカッとする『ベスト』より、生存確率が上がる最善手、『ベター』を選んだのだ。


  ★

358 : ◆0ZaALZil.A :2009/03/10(火) 22:47:57 ID:5C+21JBt

アレッシーはひた走る。北を背にしてひた走る。
ヘリコプターが墜落したようだが、もはや興味が無い。

「ヒィー、ハァー、ヒィ〜……」

早朝の冷たい空気が喉を通って肺を駆け巡る。だが体は油が切れたように上手く動かない。
やがて歩幅が狭まり、速度は緩み、歩いているときとほぼ変わらなくなってきた。
当然だ。
つま先の痛みで歩調が乱れ、貧血で酸素の供給がロクに行われていないのだから。
そして貧血の原因である鼻血、これが厄介だった。
鼻の内側の皮膚は脳に直接酸素を送り込んでいる、つまり鼻が詰まるのは脳の働きが鈍ることと同義。
司令塔が役目を果たせないなら、体中の各組織は自然本来の力が引き出せない。
とうとう歩くことすら叶わなくなり、アレッシーは森の中、母なる大地と重力にその身を委ねた。

「あいつ、あんな、に、早く、走り、やがって……、ぜんッ、ぜん、えらく、ねェ〜……」

アレッシーは呼吸を整えつつ、うつ伏せになったまま愚痴をこぼす。
手負いと無傷を足の速さで比べたら後者が勝るのは道理だし、そもそもF・Fは同行者ですらないから待つ理由など無い。
この行き場の無い怒りは、まったくもって理不尽なものと言わざるを得ない。
無理も無いのだが。
ここに来る前に、幼児化したポルナレフに策でもってして出し抜かれ、事実上敗北し。
合流した承太郎とのダメ押しによって、今度は完膚なきまでに敗北し。
この世界に来てからも、再起は可能だが二度の敗北を味わった。
踏んだり蹴ったりだ。
自業自得ではあるのだが、歪んだ思考を持つには十二分な境遇。
これがもし演劇で、観客が今のアレッシーを見たなら、コミカルな悪役としてさぞ滑稽に思うだろう。
怒気を帯びて歯を食いしばってみせても、殴られた痕が残るその不細工な顔は更に不細工になり、嘲笑を誘う事間違いなしといった感じだ。

果たして彼は這い上がれるのか? それとも、今までのようにこれからもただ堕ちていくのみか?



――放送は、近い。




359 : ◆0ZaALZil.A :2009/03/10(火) 22:49:12 ID:5C+21JBt
【D-1とD-2の境目/1日目 早朝】
【アレッシー】
[スタンド]:『セト神』
[時間軸]:はるかかなたにフッ飛ばされて再起不能した後
[状態]:顔面に殴られた痕(ミスタからとエリナからの分)、背中に刺された傷(浅い)、地面を転がり蹴られたのでドロドロ、
片腕に少女エリナの歯型、足のつま先に痛み、顔中鼻血の跡、貧血気味、疲労(放送ごろには回復します)
[装備]:なし
[道具]:カップラーメン(アレッシーは毒入りだと勘違いしています)、携帯電話、不明支給品×1、支給品一式。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームに乗るつもりは今のところないが、明らかに自分よりも弱い奴がいたら虐めてスカッとしたい
1.今は休む。
2.ダービーを抱えた女と合流、信頼を得て保護を受ける。 鉄塔近くの奴らとヘリは無視だ!
3.その後、携帯電話を使わせる。
4.でも本当はいじめまくりたくて仕方が無い。
5.上手く不意を突ける機会があればミスタとエリナに報復する
[備考]
※セト神の持続力が弱体化しているようです。アレッシーが気絶しなくても、アレッシーに何らかの異常があれば子供化は解除されるようです。
※『名に棲む鬼』における鉄塔の戦いの一部を目撃しました。会話は聞き取れていません。
  ダービーが投下された瞬間を見逃し、最初に目にしたのはF・Fに抱えられた治療後の姿だったため彼がカビに感染していたことを知りません。
  また上空の戦いは見ておらず、プッチ神父とサーレーの姿もよく見えていませんでした。
※ジョルノのスタンド能力を『触れたものを一定時間固定する』能力、F・Fのスタンド能力を『治療が可能な』能力と認識しました。
  エシディシに関してはスタンド能力がどういったものであるかイマイチ確信を持てていません。
※ンドゥール、オインゴ、マライア、ダニエル・J・ダービー、ヴァニラ・アイスとはお互い面識がありますが、スタンド能力は把握していません。

360 : ◆0ZaALZil.A :2009/03/10(火) 22:54:07 ID:5C+21JBt
投下完了。
誤字脱字、矛盾点、感想などありましたらどうぞ。

また、今回のSSでアレッシーの参戦時期を確定させました。繋ぐ書き手さんは注意してください。
Wiki編集は、やりながら覚えるぜ

361 : ◆0ZaALZil.A :2009/03/10(火) 23:05:16 ID:5C+21JBt
タイトル入れ忘れたorz
タイトルは「『ベスト』より『ベター』を」です。

362 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 00:23:48 ID:Ai7JPKZO
投下乙!
アレッシー一人の予約だからどんな話かと思ったが、こう来たか!
ディオ様とニアミスだぜぇぇぇ!!
惜しい!もう少しジョルノの方を観察していれば…。
面白かったです!



最初のダジャレで吹いたのは内緒(´・ω・`)

363 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 09:26:16 ID:orePL2WQ
投下乙ッ!
これでFFに合流できなかったらアレッシー涙目www
ダービーもどうでるかわからない以上これはどっちに転んでも…?w
戦闘を見たことが今後、どう影響が出ることやら…
可能性が色々広がるぜ…!GJ!

364 :創る名無しに見る名無し:2009/03/11(水) 13:16:02 ID:GDDAsWjo
超GJ!
アレッシーなかなかどうして頭が回るやないか・・・
なんだかんだで思い通りに行っていない辺りがアレッシー(笑)って感じだがw
FF達と絡むのか否か、放送後が楽しみだぜっ!

365 :創る名無しに見る名無し:2009/03/13(金) 06:48:46 ID:HQMTYvZ2
露伴・西木組も予約来たな。
これで放送に入れるか……?

366 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/15(日) 20:09:24 ID:JM/fiUMk
途中報告を
6割方、完成してます。遅くても火曜日の番には投下できると思うので今しばらくお待ちください。
繋ぎで短いのに迷惑かけてすみません。

367 :創る名無しに見る名無し:2009/03/16(月) 21:06:07 ID:Kozn+PbX
支給品更新乙です〜
非常に見やすくなって助かりました

368 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/16(月) 23:36:44 ID:/H7cRBBQ
同じく支給品更新お疲れ様です!
それにしてもネタ支給品多すぎだろwww荒木遊びすぎwww

一時投下スレにて投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。

369 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/20(金) 18:56:11 ID:2etTWYC0
なんとか間に合った…
シーザー、ウエストウッド、露伴 投下します。

370 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/20(金) 18:58:43 ID:2etTWYC0
静寂が辺りを包む。
薄明かりに照らされた壁掛け時計の刻む音だけがその静寂を破る。
チクタクと一定の間隔で進み続ける振り子はただ虚しく時を刻む。上がっては下がり、再び往復するだけの決して外に出ることは出来ない囚われの身。
それはまさにその場で悪戯に時を過ごす男の姿を示唆しているようだった。
耳を澄ませる。男はなにもできない鬱憤からか、乱雑にデイバッグより飲料水を取り出す。
怒りを静めるように喉を潤そうとするが容器を口元で傾けたとき、既に中身が空であることに気づく。

「クソが………ッ!!」

メトロノームのようにリズムを告げる時計の音に一瞬だけ打楽器が重なる。
宙を舞った容器は壁に当たるとカランと乾いた音を立て、力なく落下した。

自らを静める溜息のような深呼吸をひとつする。手持無沙汰となった両手は自然と疼く傷口へと向かった。
緩くなりかけていた包帯をきつく結びなおすと、男はその巨体を椅子より持ち上げる。
質素な部屋には机と一組の椅子、ソファー、そしてベット。そのベットに今は一人の男が横たえられていた。

気絶しているのか、寝ているのか。男の容態を心配する様子もなく、ただ包帯を自らのと同様に結びなおす。
紅く染まったものも取り替える。そして机より真新しい純白のそれをあてがい、またもや結ぶ。
それが終わるのを確認すると男は椅子に座り、深く腰掛けた。

時計の秒針は何度目かわからない回転を辿っていた。
そんな一コマ、そんな一時。



    ◆



―少し時を遡ろう。

371 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/20(金) 19:02:31 ID:2etTWYC0
ウエストウッドは文字通り立ち往生していた。おんぶのような形で抱えている背中の男。
特別な感情をもっているわけではない。『自分が最強だ』、それを証明しまいと行動してきた自分が何故と首を捻りたくはなる。
漠然と湧き上がる義務感の前ではそれも瞬時に消え、元来深く考えないその性格も相まってか、ウエストウッドはとにかく安全の確保を急いだ。

しかしながらあちこちから聞こえる闘争の音。
血肉沸き踊る魂の削りあい。
絶叫と衝動と騒音。

北からも南からも、四方を囲むように響く戦闘音にウエストウッドはどうしようもなく、ただ立ち尽くしていた。
単純に考えれば止血や治療のためにすぐ北にあるジョースター邸に赴くのがベストだろう。
しかし既に館は灯りに照らされている。遭遇者の危険性と館という見返りをはかると素直には頷けない。

ならば南はと、思うがこちらこそ論外。
流星の下に集まった男達による馬鹿騒ぎ。
すでに戦闘と言う火薬は着火され、上空では奇術師びっくりの空中浮遊。地上では拳と拳の達人芸。
姿は見えずともその熱気は肌を通して空気が震えるのを感じるほどであった。

汗が額を伝う。思考は堂々巡りに入る。
動きたいが動けない。動きたくないが動きたい。決断を進めなければ傷口から流れ出るその血液の損失は深刻な損害を持ち主に与える。
ならばどうすべきか。
どのぐらいその場にとどまったことか。薄暗い湖の傍でどのぐらい息を潜めていたのだろうか。
弱者がするように茂みに逃げ込み襲撃者に脅えるはめになったのはどうしてだろうか。
いつのまにか妖艶な月明かりは温かい仄かな太陽光へと姿を変えていった。

静寂が辺りを包む。
どうやら参加者による饗宴は終わりを迎えたようだ。
それを合図にしたかのようにウエストウッドは足を南、闘争の跡地へとその身を躍らせる。
それは館より二人の男が飛び出てきた結果でもあった。
鬼気迫るその様子と狂気の色を薄明るくなった中で確認した彼は自然と追われるような形になり、その選択肢を選ぶほかなかった。

湧き上がる戦いの欲望をぐっと押さえつけ、慎重に南へ向かう道を辿る。
上空で響く叫び声、甲高い金属音。闇夜より轟く拳を打ち合わせる音、鼓舞しあう互いの声。
思い返すその記憶は未だ一刻も経過していない鮮やかなもの。
名残惜しそうに残り香に意識を向けながらも彼はやはりその場にとどまることはしない。それが今の彼の義務なのだから。仮にそれが偽りだとしても。

看守として鍛え抜かれたその身体が息を乱す頃、足早に動いていた足が止まる。
ぜえぜえとあがった息を吐くウエストウッドの足元には男の体があった。
血の跡を辺り一面に撒き散らしながらも安らかな寝顔を浮かべ道路に転がる男は実に不可思議に思えた。
試しに足で軽く蹴りを入れるも反応はない。声をかけるもこれもまた無反応。
困ったように周りを見渡すが何もこの謎を解くようなものはない。男の背中で申し訳なそうにデイバッグがちょこんと存在を主張しているのが物悲しい。

372 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/20(金) 19:03:11 ID:2etTWYC0
「別にぶっ殺してもいいんだけどな………」

誰ともなしに呟いた言葉が自らの耳に届く。
最強であるための証明。その手段として怪我人、それも意識のないものを虐げることはどうも興ざめであった。
かといってここに放置するのも後味が悪い。
それになにより気になるはこの男。見れば全身至るところ傷だらけである。疲れも相当あるのだろう、呼吸は深く長い。
さらに道路に広がる血の量も相当のもの。つまるところ戦闘を行ったの間違いない。
にもかかわらずその出血源がみつからないという不可思議な点に探偵でもないウエストウッドは首を傾げるしか出来なかった。
彼の脳にあるひとつの可能性が浮かぶまでは。

しばらくの沈黙の後、ウエストウッドの瞳が怪しく輝く。
巨体を生かして、器用に二人目を担ぎ上げる。
彼の顔に浮かび上がった笑顔が何を意味するかは、彼自身しかわからないだろう。


    ◆



―再び時を戻そう。
ベットに背を向け、ソファーを見張るように椅子の向きを変える。
目の前には以前目を覚まさない二人目の男がいる。彼自身が担ぎ上げてきた男である。
理由は単純。彼の周りに血痕が大量にあったにもかかわらず傷ひとつ無いという奇妙な事実がウエストウッドにひとつの可能性を導き出させた。

スタンド能力。今の状況、怪我人の治療を可能とするものならば彼にとって願ってもないもの。
彼を担いで移動させた理由は襲撃者を警戒しての行動。襲撃され、戦闘を行えることは大歓迎だがその際に二人の怪我人を巻き込んでは目も当てられない。
加えて鉄塔や館であったように思いのほか殺戮に乗った参加者は多いようだ。その配慮からの移動であった。

とにかく暴れるにはベットに寝てる男の怪我が治ってから。ならばすべきことはひとつ。
治させる。拒否しようものならばそれはそれで戦う理由が出来る。それでも拒むようであれば…

「俺が…ぶっ殺してやる………ッ!!」

獰猛な狼のような笑み。歯をむき出しにする男は気づいていない。既にその首には首輪が架けられていることに。
所詮彼自身も、彼の主人である男も、今から放送を流す男の前ではただの玩具のひとつにしかすぎないということ。
眠る二人は何も知らずただ壁掛け時計だけが三人を見ている。
短針は間もなく数字の六を指そうとしていた。


373 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/20(金) 19:03:45 ID:2etTWYC0
【D-3 北部の民家/1日目 早朝(放送直前)】
【岸辺露伴】
[スタンド]:ヘブンズ・ドアー
[時間軸]:四部終了後
[状態]:気絶、右肩と左腿に重症、貧血気味
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜3
[思考・状況]
基本行動方針:色々な人に『取材』しつつ、打倒荒木を目指す。
1.気絶中
2.怪我を治したい
3.あとで隕石を回収しに来よう
[備考]
※まだ名簿・地図・不明支給品を確認していません。
※プッチ神父と徐倫の情報は得てません
※傷の出血は止まりました。包帯で応急措置は済んでいます。手が挙がる、足が動くかどうかなど後遺症があるかどうかは次の書き手さんにお任せします。

【ヴィヴィアーノ・ウエストウッド】
[スタンド]:プラネット・ウェイブス
[時間軸]:徐倫戦直後
[状態]:左肩骨折、ヘブンズ・ドアーの洗脳
[装備]:なし
[道具]:基本支給品(飲料水全て消費)、不明支給品0〜3
[思考・状況]
0.スタンド能力を持っている男(シーザー)に男(露伴)を治療させる。
1.露伴を治療する
2.露伴の命令に従う
3.出会った人間は迷わず殺す
[備考]
※怪我の応急措置は済ませました。戦闘などに影響が出るかどうかは次の書き手さんにお任せします。
※支給品を一切確認していません。
※自分の能力については理解しています。
※ヘブンズ・ドアーの命令は以下の二点です。
 1.『人を殺せない』
 2.『岸辺露伴を治療ができる安全な場所へ運ぶ。なお、その際岸辺露伴の身を守るためならスタンドを行使する事を許可する』
※ヘブンズ・ドアーの制限により人殺しができないことに気づいていません。
※鉄塔の戦いを目撃しました。プッチとサーレーの戦いは空のヘリで戦闘があった、地上では乱戦があった程度しかわかっていません。
 また姿も暗闇のため顔やスタンドは把握していません。
※館から出てきたジョナサン、ブラフォードを見ました。顔まで確認できたかどうかは次の書き手さんにお任せします。


【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
[時間軸]:ワムウから解毒剤入りピアスを奪った直後。
[状態]:首に若干の痛み(戦闘には支障無し)、疲労(大)、ダメージ(大)
[装備]:スピードワゴンの帽子。
[道具]:支給品一式、エリナの人形、中性洗剤。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには乗らない。リサリサ先生やJOJOと合流し、 エシディシ、ワムウ、カーズを殺害する。
1.………(気絶中)
2.荒木やホル・ホースの能力について知っている人物を探す。
3.スピードワゴン、スージーQの保護。
4.ストレイツォは出来れば殺したくない。
5.女の子がいれば助ける。

[備考]
※包帯は民家にあったものです。


374 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/20(金) 19:06:40 ID:2etTWYC0
投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。
一時投下スレにて指摘を下さった方々、ありがとうございました。

指摘通りシーザーを運んだ理由と発見後のウエストウッドの思考の描写を加筆しました。
またウエストウッドの備考を整理しました。次を書かれる書き手様はご注意ください。


375 :創る名無しに見る名無し:2009/03/20(金) 19:14:47 ID:0LyFP5Jv
投下乙です!
ヘブンズドアーの命令とシーザーは関係ないということはこの看守、実にツンデレである
「こっ、殺されるのは流石に可哀想だから運んでやるよ」→「目が醒めたらぶっ殺すがな!」
あれ…? むしろ外道ベイビーの方だった?

何はともあれこれで放送ですね。
書きたい人が複数いれば投票か何かで決めますか? それとも早いもん勝ち?

376 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/22(日) 00:07:34 ID:QPqR8y7f
第一回放送投下します。

377 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/22(日) 00:09:35 ID:QPqR8y7f

――――………
O Freunde, nicht diese Tone!
Sondern last uns angenehmere
anstimmen und freudenvollere.

Freude, schoner Gotterfunken,
Tochter aus Elysium
Wir betreten feuertrunken.
Himmlische, dein Heiligtum!………

―べート―ヴェン交響曲第九番の第四楽章「歓喜の歌」
う〜ん、じつに素晴らしいね。心が震える、そんな曲だ。
格好つけたような言い方すると、人間賛歌、ってとこかな?

おっと、挨拶が遅れたね。おはよう、みんな。元気にしてる?
水平線からお日様が顔出してる、そんな美しい光景。
この六時間、無事に生き延びた君たちに相応しいと思うね、僕は。
いやぁ〜、それにしても…それにしてもだよ…。
本当に君たちは良く生き残った!素晴らしい、心の底から思うね!
…うん?なんでかって?それはだね…君たちも聞けばわかるよ、聞けば…。

さて…じゃあ発表しま〜す。
午前六時、第一回放送までの六時間で脱落した参加者は…

ジャック・ザ・リパー
ロメオ
ラング・ラングラー
ダイアー
スージーQ
ケンゾー
トリッシュ・ウナ
リサリサ、エリザベス・ジョースター
オエコモバ
エルメェス・コステロ
ワンチェン
モハメド・アヴドゥル
ギアッチョ
ストレイツォ
サンタナ
ベンジャミン・ブンブーン
矢安宮重清
東方仗助
ドノヴァン
エンポリオ・アルニーニョ
マライア
サーレー
ンドゥール
広瀬康一
ワムウ
ウィル・A・ツェペリ

以上26名!
いやいや頑張り屋だね、君たち!



378 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/22(日) 00:10:36 ID:QPqR8y7f
…それともそれが君たちの本性だったりするのかい?
巨大な力でいたぶる様にするのが好みかい?
偽りの関係からの襲撃がそんなに楽しいかい?
殺し合いだから…と正当化し現実から目をそらすのが君たちの選択かい?
だとしたら…酷く醜いね…!

この六時間はそういう意味で実に興味深かったよ。
ここまで楽しくなるとは思わなかったしね、この後も期待してるよ、君たちの活躍!
それじゃ、また六時間後…お日様が一番高くなる頃、また会おう…




――――………
Deine Zauber binden wieder,
Was die Mode streng geteilt;
Alle Menschen werden Bruder,

Wem der grose Wurf gelungen,
Eines Freundes Freund zu sein,
Wer ein holdes Weib errungen,
Mische seinen Jubel ein!………

…っとっとっと、ごめんごめん。禁止エリアを忘れてたよ。申し訳ない。
みんなの前で話してたら興奮しちゃってね、いや、すごく、若返った気分だ。
じゃ、一度しか言わないから、気をつけてね。

       7時からB-10
       9時に C-1
       11時に I-3

いい?二度は言わないよ。聞き逃した人は…まぁ気をつけて。
大丈夫、即・爆破!ってことはないから安心してね。
それじゃ改めて、君たちの健闘を願って…


――――………
Seid umschlungen, Millionen!
Diesen Kus der ganzen Welt!
Bruder, uber'm Sternenzelt
Mus ein lieber Vater wohnen.

Ihr sturzt nieder, Millionen?
Ahnest du den Schopfer, Welt?
Such' ihn uber'm Sternenzelt!
Uber Sternen mus er wohnen.………


――――………

              ◇  ◆  ◇

379 :創る名無しに見る名無し:2009/03/22(日) 00:11:15 ID:hnIGm/T6
支援

380 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/22(日) 00:11:30 ID:QPqR8y7f

どう思うって?

それは………そうだね、正直に言うと楽しいよ。これ以上ないくらいね。
フフフ…本当のことを言うとだね、暇つぶしにこうやってチェスに興じる時間も惜しいぐらいだね。

わかってるって。それよりどうしたらいいと思う?

彼だよ、彼。そうだな…言うなればポーンだよ、ポーン。
そう、ポーン。プロモーションもしないポーンなんてルール違反も甚だしくないかい?

どうだかね…。まぁ、この放送次第だね。鬼が出るか蛇が出るか…。

その時は…そうだね、ランプの魔人にでも活躍してもらうかね?
まぁ、じっくり待つよ…
「その時」が来るまで、ね。
フフフ…フフフ、ハハハハハーーーーッ!!

381 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/22(日) 00:14:00 ID:QPqR8y7f
以上です。
テンプレ放送で申し訳ない。色々書くとこの先大変かな・・・という言い訳でも聞いてくださいorz 

禁止エリアについてなのですが…色々言いたい事があると思いますので増やしたり変えたりするのもありかと思ってます。
何かご意見ありましたら連絡ください。

382 :創る名無しに見る名無し:2009/03/22(日) 11:12:37 ID:ezaKo7pz
投下乙!
荒木は放送を楽しみすぎだろww
っていうかチェスの相手は誰だ!?
俺のを含めた放送案の全てに荒木以外の誰かが出てるってどういうことww


ちなみに禁止エリアの意図を教えてくれるとありがたいです
個人的にはフーゴ(笑)はともかくナチス研究所組みを動かしたほうがいいと思うので……
それと、放送後の予約解禁を何時からにするかも決めておくべきでしょう

383 :創る名無しに見る名無し:2009/03/22(日) 15:16:59 ID:E+v+7xOc
投下乙です。
それにしてもこの主催者、ノリノリである

ナチス研究所は確かに禁止エリアにしてSM組を動かしたほうがいいかもしれませんが、
首輪の解析のためにそこに向かう奴が出てくるかもしれないから、今潰すのはまずいのかも

384 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/22(日) 16:17:23 ID:QPqR8y7f
>>382
>>383
えー、禁止エリアについてですが言い訳を言わせて貰いますと
 B-10  → フーゴ(笑)
 C-1   → 全体のバランスから 東は海なので施設を避けて西を埋める
 I-3 → 駅組みにプレッシャー 同時に南のプレッシャー 橋を渡って引きこもるのを避ける

問題になってるSM組みは自分の中でプロットがあるのでというまことに自分勝手な理由です…すみません orz
それに383氏に言われて気づきましたが研究所は首輪解析にも利用できますよね
チョコラータが向かってるのもありますし禁止エリアにするのはどうかなぁ…と

問題になるようなら C-1 → F-2 にします。
ほかにも意見がある方はどうぞおっしゃって下さい。

予約解禁については放送と同様に3/23 00:00 でいいんじゃないでしょうか?

385 :創る名無しに見る名無し:2009/03/22(日) 16:30:32 ID:ezaKo7pz
いや、プロットがあるなら別に変更しなくても構わないと思いますよ
予約は今日でも問題ありません
今回は負けねぇぞ!

386 :フー・ファイターズ ◆xrS1C1q/DM :2009/03/23(月) 06:50:11 ID:w9x0X0Sw
あたしは走っていた。涼しい風を肌で受け止めながら。
チラチラと揺れる前髪を視界の上部に感じながら。
踝の辺りまで伸びた草を一歩一歩踏みしめる感触を味わいながら。
目の前に木の枝が迫るも、無理矢理へし折りながら前へと進む。
背中に名も知らぬ男を背負っているが、大した負担にはなっていない。
元々、近距離パワー型と張り合える力は持っているのだから成人男性一人くらいの重量は重しにすらならない。
意識はないものの、重態だったコイツにこの揺れは厳しいようで吐く息もかなり荒い。
でも……流石に殺しに乗ったヤツがどこにいるかも分からない状況で適当に放置するのもナンセンスだ。
それに、衣服越しに感じる体温は温かいままなのでしばらくは大丈夫なはずだ。
内臓に負傷があるといけないから、一応あたしの一部を飲み込ませて傷口を塞ぐようにしたしな。
ジョルノのヤツは無事にやっているのだろうか?
完全に信頼したわけじゃねぇが、見ず知らずであろう男を治療するってことは少なくとも敵にはならねぇはずだ。
だからあたしは鉄塔に向かって走っている。
朝日に照らされて不気味に輝く鉄塔は何かによく似ていた、それが何に見えたのはあたしにも分からない。
ただわくわくするような、不安のようなよく分からない感覚が頭の中に流れ込んでくる。
警戒しながらも、不思議な世界へと心を飛ばしていたあたし。
突然響いた無粋な人の声にあたしの旅は終わった。
忘れはしない穏やかな口調の中にゲロ以下の何かを感じさせるムカつく声によって。

「―べート―ヴェン交響曲第九番の第四楽章「歓喜の歌」
う〜ん、じつに素晴らしいね。心が震える、そんな曲だ。
格好つけたような言い方すると、人間賛歌、ってとこかな?」

謎の舞台以来きっかり6時間ぶりに聞く荒木飛呂彦からの放送だった。
ヴェートーヴェンがなんだのってムカつく態度が気に食わないが我慢して聞き流す。

「おっと、挨拶が遅れたね。おはよう、みんな。元気にしてる?
 水平線からお日様が顔出してる、そんな美しい光景。
 この六時間、無事に生き延びた君たちに相応しいと思うね、僕は。」

こんな所にいきなり飛ばされて元気か? だってよ。本当に人を舐めた野郎だ。
お前の挨拶なんて聞くだけで朝から気分は最悪ってやつだぜ。
へッ、それに美しい光景だとよ。
そんなに綺麗なもんが見たけりゃモナリザによ〜く似た自分の顔でも鏡で見つめてやがれってんだ。

「いやぁ〜、それにしても…それにしてもだよ…。
 本当に君たちは良く生き残った!素晴らしい、心の底から思うね!
 …うん?なんでかって?それはだね…君たちも聞けばわかるよ、聞けば…。 」

へっ、徐倫とエルメェス。そしてエンポリオにウェザー・リポート。
あたしの友達はそうそう死んだりはしねーよ。
アナスイはよく分からないヤツけど実力は確かだ。
そんなブラフがあたしに効くと思ってるのかあの野朗は?

「ジャック・ザ・リパー、ロメオ、ラング・ラングラー……」

次のヤツの名前を言うまでかなりの間隔を空けやがるな、嫌な間を作る野郎だぜ。
誰が死んだか確認するために、ディバッグから取り出したボールペンのキャップをはずして呼ばれたヤツの名前に横線を入れていく。
しかし、徐倫の敵だったラングラーが死んだのはある意味吉報かもしれねぇぞ!

「ダイアー、スージーQ、ケンゾー……」

あの風水ジジイも死んだのか!
アイツの能力は厄介だからな……他に死んだやつのことを考えれば素直に喜べねぇがいい兆しなんじゃないのか?
ペン先が名簿の上で滑り、呼ばれた名前を一つ一つ消していく。
敵対してた人間ばかりが死んでいくので心に少しだけ余裕が生まれた気がする。

「トリッシュ・ウナ、リサリサ、オエコモバ……」

この三人は知らない名だが、天国に行けるように願っといてやるぜ。

387 :フー・ファイターズ ◆xrS1C1q/DM :2009/03/23(月) 06:53:26 ID:w9x0X0Sw
「エルメェス・コステロ」
「はぁっ?」

マヌケな声と共に唇からキャップが落下して草の中に埋もれる。
誰の名前を呼んだ?
荒木は今誰の名前を呼んだんだ?
聞き間違いだろ?
まさか、エルメェスが簡単に死ぬはずがねぇ!
あの男らしさと優しさの両方を持っていたアイツがたったの6時間で!
なにかの間違いだ。そうだ、同姓同名がいるに違いない。
名簿だ。名簿を再確認すれば分かることだ。
呼ばれる名前を無視してあたしは視線を名簿に這わせる。
一番上のジョナサン・ジョースターから一番下のベンジャミン・ブンブーンまでを血眼になって探す。
いない。
再び一番上から。今度は小さく声に出しながら名簿の一字一句を網膜へと焼き付ける。
いない。
ペンで確認した名前の前に印をつけながら名前を探す。
やはり、二人目のエルメェス・コステロは存在しなかった。
気がつけばあたしの口からは笑い声が漏れ始めていた。

「エンポリオ・アルニーニョ」

再び荒木の口から紡がれる大切な友達の名前。
死んでしまった。
失ってしまった。
友を、二人の友を。
その後に禁止エリアがなんだのと言っていた気がするが頭に入ってこねぇ。
放送が終わり、辺りに静寂が戻ってきてもあたしは呆然と立ち尽くしていた。
動けない。動く気が起こらない。
目は見えるのに頭に映像が届かない。
耳は音を拾っているのに、脳は全て雑音としてか捉えない。

「さよならも……別れすら言えずに逝っちまったのかよ」

ようやく自由を取り戻したあたしの体が真っ先に行った行動はこの呟きだった。
人間の肉体を使っている名残だろうか? 涙腺からは雫が滴り落ちている。
体内から消えていく貴重な水分達。
普段ならばもったいないといって飲み込んでいただろう。
だけど……あたしはそれを吸収できなかった。拭うことすら……。
やけに温かく感じるこれは何を象徴しているのだろうか?
人間はこれを涙といい、悲しい時は瞳からこれを流すとエートロの記憶が告げていた。
そうか……あたしは今悲しんでいるんだ。
伝わる熱は多分、エルメェス達がくれた温もり。
あたしはボロボロと涙を流していた。
地面に吸収された水滴は小さな染みを作る。
その小さな染みが集まって大きな塊へ。
たまらずペットボトルを取り出して水分をとるものの、瞳から溢れる水は止まる事を知らない。

「エルメェス……エンポリオ……」

出会ったときからどんな会話をしたかは一字一句間違えずに言う事ができる。
笑顔は、眉の角度も正確に思い浮かべることができる。
肌の温もりは、今でも記憶の中にこびり付いている。
あたしに知性、そして魂を与えてくれた大切な仲間。
生きる意味―――思い出を作ること―――をあたしは知ることができた。
でも……思い出だけじゃ耐え切れない。
もう一度、エルメェスと、エンポリオとお喋りがしたい、下らないことで笑いあいたい。
潤んだ瞳を瞼で覆い隠すとクッキリと映像が映し出される。

388 :フー・ファイターズ ◆xrS1C1q/DM :2009/03/23(月) 06:56:24 ID:w9x0X0Sw
「エルメェス・コステロ」
「はぁっ?」

マヌケな声と共に唇からキャップが落下して草の中に埋もれる。
誰の名前を呼んだ?
荒木は今誰の名前を呼んだんだ?
聞き間違いだろ?
まさか、エルメェスが簡単に死ぬはずがねぇ!
あの男らしさと優しさの両方を持っていたアイツがたったの6時間で!
なにかの間違いだ。そうだ、同姓同名がいるに違いない。
名簿だ。名簿を再確認すれば分かることだ。
呼ばれる名前を無視してあたしは視線を名簿に這わせる。
一番上のジョナサン・ジョースターから一番下のベンジャミン・ブンブーンまでを血眼になって探す。
いない。
再び一番上から。今度は小さく声に出しながら名簿の一字一句を網膜へと焼き付ける。
いない。
ペンで確認した名前の前に印をつけながら名前を探す。
やはり、二人目のエルメェス・コステロは存在しなかった。
気がつけばあたしの口からは笑い声が漏れ始めていた。

「エンポリオ・アルニーニョ」

再び荒木の口から紡がれる大切な友達の名前。
死んでしまった。
失ってしまった。
友を、二人の友を。
その後に禁止エリアがなんだのと言っていた気がするが頭に入ってこねぇ。
放送が終わり、辺りに静寂が戻ってきてもあたしは呆然と立ち尽くしていた。
動けない。動く気が起こらない。
目は見えるのに頭に映像が届かない。
耳は音を拾っているのに、脳は全て雑音としてか捉えない。

「さよならも……別れすら言えずに逝っちまったのかよ」

ようやく自由を取り戻したあたしの体が真っ先に行った行動はこの呟きだった。
人間の肉体を使っている名残だろうか? 涙腺からは雫が滴り落ちている。
体内から消えていく貴重な水分達。
普段ならばもったいないといって飲み込んでいただろう。
だけど……あたしはそれを吸収できなかった。拭うことすら……。
やけに温かく感じるこれは何を象徴しているのだろうか?
人間はこれを涙といい、悲しい時は瞳からこれを流すとエートロの記憶が告げていた。
そうか……あたしは今悲しんでいるんだ。
伝わる熱は多分、エルメェス達がくれた温もり。
あたしはボロボロと涙を流していた。
地面に吸収された水滴は小さな染みを作る。
その小さな染みが集まって大きな塊へ。
たまらずペットボトルを取り出して水分をとるものの、瞳から溢れる水は止まる事を知らない。

「エルメェス……エンポリオ……」

出会ったときからどんな会話をしたかは一字一句間違えずに言う事ができる。
笑顔は、眉の角度も正確に思い浮かべることができる。
肌の温もりは、今でも記憶の中にこびり付いている。
あたしに知性、そして魂を与えてくれた大切な仲間。
生きる意味―――思い出を作ること―――をあたしは知ることができた。
でも……思い出だけじゃ耐え切れない。
もう一度、エルメェスと、エンポリオとお喋りがしたい、下らないことで笑いあいたい。
潤んだ瞳を瞼で覆い隠すとクッキリと映像が映し出される。

389 :フー・ファイターズ ◆xrS1C1q/DM :2009/03/23(月) 06:59:25 ID:w9x0X0Sw
湿地での出会い、そういえばあたし達の出会いは最悪なものだったな……。
世間話の最中に、足の指の形で盛り上がったりもした。
キャッチボール……今度は賭けでもなんでもなく純粋な遊びでやりたかった……。
公衆電話の落書きや、ベッドの毛布やゴミの臭い、扉の開閉の音やトイレの音……。
エルメェスのネーチャンの敵であるスポーツ・マックスに復讐は果たしたし、
徐倫の父親の敵がプッチ神父だってことも判明した。
もう少し……もう少しで戦いを忘れて皆で笑って暮らせるんじゃなかったのかよ。
ゆっくりと一歩一歩思い出を胸に刻んで。
何時かはあたしもみんなも死んじまうことだって分かっていた。
あたしに関してはホワイトスネイクが死んだ後もDISCが残っている保証だってないから覚悟はしていた。
でも、だけどだ! こんな殺し合いで死ぬ事なんて……チクショウ。


昔読んだ本ではこの状況を胸にポッカリと穴が開いてたと表現するらしい。
今のあたしを説明するのにこれ以上の表現は何処を探してもないんだろうな。
二人。
一人一人の思い出が知性のなかで満ち溢れているのだから二人分が消えたらそりゃ隙間も空くはずだ。
思い出として二人はあたしの中に残っている。
しかし、それだけでは足りないんだ。
体が干からびてしまうんじゃないだろうかって位涙は溢れる。
あたしに泣ける心をくれたエルメェス達。
生ける機械だった自分に感情を与えてくれた人だったからこそ……いなくなると寂しいのだろう。
『知性』は死んでしまっても残るのだろうか?
『知性』さえあれば死んでしまっても生き返ることができるのだろうか?

「馬鹿馬鹿しい……」

その事についてはあたしが一番知っている。
新しい肉体に、記憶と知性を与えて再びエルメェスとエンポリオをこの世に呼び出したとしよう。
しかし、それはあたしが知っているのとは別の二人。
あたしがさよならを言いそびれた二人は二度と帰ってこない。
あたしは初めて右腕で涙を拭った。
濡れた腕は自然に乾燥させる事にする。
これがあたしから二人に捧げる鎮魂の意。

「徐倫……」

ポツリと呟いた生き残っている友達の名前。
死なせたくはない。死なせてはいけない。
この身が滅びようとも、あたしの知性が消失しようとも。
だけど、あたしは徐倫が何処にいるかなんてわからない。
脳裏に過ぎる最悪の想定。
そんなわけがない!
必死に否定しようとするけど、前に死んだ二人の影があたしの心を縛る。
なんとしても、なんとしてでも彼女を守らなくては。
でもどうやって?
堂々巡りとなっていく思考。
最後に行き着いた考えは――――――

390 :フー・ファイターズ ◆xrS1C1q/DM :2009/03/23(月) 07:03:33 ID:w9x0X0Sw
彼女以外の参加者を皆殺しにすることだった。
やれるのか? 本当にやれるのか?
人を殺した経験なら何回もある。
徐倫の前に立ちふさがる相手ならば殺すことに躊躇したりしない。
しかし……あたしは徐倫の為に無関係の人間を殺せるのか?
やっぱり荒木に反抗したりすることはできないのか?
気が付けば瞳から溢れる雫は止まっていた。
荒木の意図に乗るべきか乗らざるか。
そもそも、徐倫の父さんである承太郎さんやウェザーにアナスイだってこの場にはいる。
彼らを犠牲にしても徐倫一人を救い出すのか?
いや……あたしの腹は決まっていた。
よくよく考えたら、特別懲罰房で植物化して死んだはずのケンゾーのジジィが参加者としているのはおかしい。
つまり、荒木には死者をも蘇らせる何かがあると判断してもいいはずだ。
どんな能力があるかは見当もつかねぇ……が、マトモにやりあおうとも、どんな策を弄そうとも勝てるとも思えない。
そもそも戦闘中で神経を研ぎ澄ませていたあたしにすら連れて来られた時に何が起こったか感知することすらできなかったんだ。
たとえ時を止められたとしても―――――恐らくヤツには勝てない。
ガラに無く弱気になってしまっているという自覚は十分ある。
だけど徐倫だけは何があっても生き延びさせなくてはいけない。
荒木が死者を復活させるとしても、死んでいった彼女は戻ってこないから……。
でも、万が一があったら?
……考えないようにしよう。
あたしは彼女を優勝させなきゃいけない。

「すまねぇな……」

一番近くにいた参加者へと右手の人差し指を突きつける。
苦しそうに唸っている男の姿が、一瞬だけ徐倫に被さった。
アイツも多分泣いているんだろうな……。
そして、これからあたしは彼女を泣かせてしまうんだろうな……。
胸に突き刺さるような痛みが湧き上がる。
勝手に歪んでいく表情を元通りに戻して、あたしは再度F・F弾を発射する形をとる。
汗が額を伝わって顎へと辿り着くのを感じた。
今までになく構えた右腕が震える。
二の腕を左手で掴んで必死に固定しようとするも、左腕まで震えだした。
心のどこかであたしは殺しを拒否しているのだろう。
目の前の男を前にしてあたしの動きが止まる。

動け。

両腕を使って照準を合わせようとする。

動け。

震えに関しては既に諦めた。

動け。

揺れるならば丁度ターゲットと指先が重なった時に発射すればいい。

動け。

片目を瞑って一点を見定める。

動け。

指先にプランクトンの塊を集めて弾丸と為す。

動け。

指の皮を突き破り、黒い何かが男の顔へと飛んで行き―――

391 :フー・ファイターズ ◆xrS1C1q/DM :2009/03/23(月) 07:05:22 ID:w9x0X0Sw
耳の脇数センチという距離の地面へとめり込んでいった。
徐倫を守るといいながらも当てられない自分に憤るのと同時に、殺さなかったことに安堵する自分も居た。
それがとても許せないことに思えて、あたしは自分のこめかみに指先を突きつける。
打ち出されたF・F弾。
入った側とは反対から突き出したそれはエートロの頭部に詰まっていた自身の一部を吹き飛ばす。
地面へと降り注ぐフー・ファイターズは男の顔にもかかった。
そして、ヤツの口内にも微量なフー・ファイターズが。

「ゲッ、グガガガガガガガガガ」

ヤツの唾液、そして細胞そのものに含まれている水分を吸収してフー・ファイターズは増殖を始める。
口内を満たした後は、食道を通って胃袋の中へ。
先程飲ませておいた治療に当てた分にも増殖を命令した。
あっという間にコイツの胃袋はあたしの分身によって一杯となった。
あたしは体内にいる分身へと告げる。
この男の体を内部から完全に破壊しろと。
まずは男の胃袋を完全に破壊して、体内へと散らばっていくのが分かった。
血は出ない。水分は全て増殖に当てる。
あまりの激痛に男が目を覚ましたらしい。
腹を押さえてのた打ち回る姿に罪悪感が湧いてくる。
これも皆がくれた感情だと思うと悲しみがあたしの心を浸し始めた。
口を大きく開けて激痛を訴え続ける男。
しかし、声が出ないようだ。
無駄に苦しめる事もないな……。
あたしは心臓を破壊するように指示を出した。
潰された瞬間、爪の先端から血を出しながら地面を引っかき――――――――男は死んだ。
目から、耳から、鼻から、あたしの分身が体の中から出てきて本体のあたしと融合していく。
カラカラな死体になる一歩手前で水分の吸収はやめた。
無残な姿に変えようと思わなかったのはあたしの心にある躊躇が原因なのだろう。
だけど……殺されたやつにとっては死体がどうなろうと関係ないはずだ。
つまり、これはあたしの下らない逃げ道。
自分の為に殺人を犯したあたしが徐倫に嫌われたくないという願望。
そんなものは捨てろ!
両手で激しく頬を打ちつける。
後戻りできない領域に来てしまったのは間違いないんだ。
男の死体を見下ろしながらあたしは決意を固めた。



フー・ファイターズはここで死ぬ。


F・Fと彼女たちが呼んでくれた存在をこの世から消し去ろう。
エートロという仮の皮を捨て去ろう。
今からあたしは名も知らない男になる。
それは徐倫を傷つけないため。
エルメェス達に続いてあたしが死んだことを知ったら徐倫は悲しむかもしれない。
だけどアイツは強い奴だ。
少なくとも……あたし達の為に罪を重ねたりは絶対にしない。
だから、だからこそあたしが全ておっかぶる。
……いや、おっかぶるんじゃない。
あたしが勝手にやった行動であって、今からの行動に徐倫は一切関係しないんだ。
指先を呼吸の止まった男の口元に当てて、体の一部を流し込んでいく。
萎れた男の体が膨らむのとは対照的にあたしの体はしぼんでいった。
新しい体。
新しい決意。
それは思ったよりあたしに馴染む。
最後の一滴まで移し終えた後に、指を曲げ伸ばししたり、刑務所でやった体操をやって体の操作性を確かめた。
またしてもみんなとの記憶があたしの脳裏を過ぎる。
徐倫を守る為なら……あたしは思い出を捨てても構わない。

392 :フー・ファイターズ ◆xrS1C1q/DM :2009/03/23(月) 07:07:21 ID:w9x0X0Sw











      幻の戦闘機   誰かの為に戦う者
こうして『Foo Fighters』は『Who Fighters』となった。
F・Fは愛するものの為に、名を捨て、姿を捨て、心を捨てた。
彼女は守り抜けるのだろうか?
同じ空の下にいる仲間を思いながら彼女は永遠の孤独へ向かって歩き始めた。







393 :フー・ファイターズ ◆xrS1C1q/DM :2009/03/23(月) 07:08:37 ID:w9x0X0Sw
【ダニエル・J・ダービー 死亡】
【残り 65名】

【E-2とD-2の境目付近】

【F・F】
[スタンド]:フー・ファイターズ
[時間軸]:DアンG抹殺後
[状態]:健康
[装備]:ダービーの肉体
[道具]:加湿器、メローネのマスク、支給品一式、壊れた懐中電灯
[思考]:基本行動方針: 空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる
1.ジョリーンの為に皆殺し
2.殺すことにはまだ躊躇いがある?
3.死んでいった仲間たちへの深い悲しみ
4.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断
[備考]
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます
※承太郎はDISCを抜き取られ廃人化した状態だと思いこんでいます
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いてません
※隕石を落としたのはウエストウッドじゃあない別のスタンド使いだと思っています。
※ジョルノに対してはある程度の信頼を寄せるようになりました。 が、完全には信用してません
※黴に感染しませんでした
※ダービーの体を乗っ取ったので外見は完全にダニエル・J・ダービーです
※彼の記憶も見ることが出来たので三部勢(少なくとも承太郎一派、九栄神、DIO、ヴァニラ、ケニーG)の情報は把握しました
※放送でダービーの名が呼ばれるかF・Fの名が呼ばれるかは不明です
※エートロの皮がE-2とD-2の境目付近に放置されています

394 : ◆xrS1C1q/DM :2009/03/23(月) 07:15:29 ID:qADdUrmp
投下完了です
感想、指摘、その他諸々があれば遠慮なくどうぞ

……ダービー戦は大好きだからダービーには思い入れがあったはずなんですがね何はともあれ一度はやりたかったタイトルにキャラの名前を使うネタがでました


395 :創る名無しに見る名無し:2009/03/23(月) 13:56:15 ID:+37sFCwv
投下乙です。
FFが奉仕マーダー化した…だと…?
1stの荒木を倒す手段となった内部からの破壊をマーダーになるために使ったのは皮肉なんだろうか?

アレッシー? ああ、そんなのいたね(笑)

396 :創る名無しに見る名無し:2009/03/23(月) 14:43:40 ID:2RZmIZkx
投下乙ッ!
うわああダービーーーーーッ!!
FFは…もしかしたらと思ってたけどまさか完全奉仕マーダーとは…
それよりそれで首輪外せることに気づけよwww

アレッシー(笑)は踏んだり蹴ったりだなw
助けを請いに来た相手はマーダー化、仲間死亡ってまさに涙目www

397 :創る名無しに見る名無し:2009/03/24(火) 15:22:55 ID:PuTj71FF
投下GJ!
FF…・・ダークサイドに落ちてしまったか……
ジョリーンやウェザー、アナスイとの対峙はあるのだろうか

398 :創る名無しに見る名無し:2009/03/24(火) 23:26:18 ID:blA1c2Rb
徐倫はこんなF・Fに会ったら,どう思うんだろうね。

399 :創る名無しに見る名無し:2009/03/27(金) 13:05:07 ID:bhLs5m2W
ふー・まいったー

400 :創る名無しに見る名無し:2009/03/27(金) 20:28:49 ID:ZkMvChYA
投下乙!!

前回対主催だったのに今回マーダーとは…

そう…一味違うのね…

401 :創る名無しに見る名無し:2009/03/27(金) 22:47:38 ID:Bx1ghwej
前回と今回でスタンスが違う奴ってのはどれくらいいるかね?
ジョセフやディオは仕方ないとして…
ディアボロが一番顕著かな。F・F、アナスィが逆転してるかも。
吉良吉影は相変わらず静かに暮らしたいし、岸辺露伴は動じない。

ミドラー、ペットショップ、噴上祐也、ミキタカ、形兆、ナランチャ、セッコ、
ジョンガリA、スポーツマックス、リキエルは出てないな。
もしも次があるのなら、彼等にも出て欲しいところ。

402 :創る名無しに見る名無し:2009/03/27(金) 22:51:31 ID:5lIC9QQP
ダイアーさん
1st→ほんとにかけれた
2nd→自分がかかった

403 :創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 11:03:15 ID:I/cmgeZL
投下乙!!
ダーーーービイイーーーー!!

404 :グェスは大変な物を盗んでゆきました:2009/03/28(土) 11:07:06 ID:I/cmgeZL
【花京院典明・グェス】


ダーグブルーの水平線が、日の出と共に柔らかなピンク色に変わっていく。
暖かな日差しと、木々のざわめく音、優しい潮騒が砂浜に座り込む二人の人影を包みこんでいる。

しかし、普段なら心和むであろうこの光景も
今の二人の心を休ませることは出来ないらしい。

「そんな・・・アヴドゥルが死んだ?」

がっくりと膝をついた花京院典明がそうつぶやいた。
自分よりもはるかに戦闘経験が豊富なあのアヴドゥルが?

「ねぇ、これだけ騒ぎとか起こってるんだから誰か気づいてくれるよね?
 警察とか助けに来てくれるよねっ??」

花京院から距離をとって座っていたグェスが言う。
荒木の部屋から生還してから今まで一言も口を利かなかった彼女だが、
あの不安をかきたてる放送に思わず口を開かずにはいられなかったようだ。
時間の経過というやつは、彼女の精神を話が出来るまでに回復させたらしい。
もっとも、支給品なのであろう物体は花京院に取られまいとしっかりと抱きしめたままであったが。

グェスのそんな様子をゆるゆると横目でみながら花京院は非情な現実をつきつける。

「残念ながら・・・その可能性は限りなくゼロに近いと思われます。
 僕のスタンドを無効化したあの力、そして先ほどの放送、あの態度。
 このゲームを邪魔されないという絶対の自信があるのでしょう。
 第三者が助けにきてくれるなんていう甘い期待はしない方がいい。」

アヴドゥルの死という事実に投げやりな言い方になっていたかもしれない。
そんな花京院の言葉は、グェスを打ちのめすには十分すぎる材料だった。

「もう嫌っ!!何なのよ!わけわかんない!!」

今まで溜まりに貯めてきたストレスが花京院の言葉で爆発してしまったらしい。
ついには砂浜にへたりこんで泣きじゃくり始めた。

「殺し合いって何よ!あたしなんかが勝てるわけないじゃん!
 出してよっ!ここから出してよぅ・・・!」


405 :グェスは大変な物を盗んでゆきました:2009/03/28(土) 11:07:52 ID:I/cmgeZL
子供のように涙を流すグェスの姿に花京院は再び罪悪感で心が冷えてゆくのを感じた。
人間、自分よりパニックに陥った者を見ると冷静になるものである。

(さきほどの荒木の邪悪さを感じ取れなかった事といい、この反応といい、
 彼女は間違いなく一般人だ・・・)

それを考えると、彼女のような人間までこの殺し合いに参加させた荒木に対する怒りが
ふつふつと沸き上がった来る。

(もし承太郎達がこの事を知ったら・・・ハッ!?

 そうだ・・僕が一番にすべき事はここで打ちひしがれてる事じゃない。
 承太郎達に荒木の情報を伝え、一刻も早く荒木を倒し、
 彼女のような巻き込まれた人達をこの糞ったれなゲームから解放することなんじゃないか!
 なんのために自分は命を賭けてまで荒木から情報を聞き出したのではなかったのか!
 そ の た め に は っっ!!)

「グェスさん!!」

いきなり自分の名前を呼ばれた事と、バッ!!と振り返った花京院に気押され、
グェスは思わず後ずさった。

「ななな何よ!?」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

花京院は大きく息を吸い込むんでこう言い放った。




「僕の仲間になってくれませんか!?」



バァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 という効果音が聞こえてくるんじゃないかなってなくらい堂々とした宣言であった。

「・・・・・・・・・・えええええええええええええぇ!?
 ちょっ・・・おまっ・・・・それって・・・あんたと一緒に
 あたしにあの荒木飛呂彦っていうおっさんと戦えってのかよー!
 無理無理無理無理絶対無理!死ぬって!」

 ぶんぶんと首を振るグェスに、花京院はしっかりと目を見つめて言った。

「心配はいりません、貴女の事は僕が命をかけても守りますから。」
「んな大袈裟な」
「貴女のおかげで思い出せたんです。ここにみんながいたらどうするかって。
 アヴドゥル・・・死んでしまった僕の仲間の名前です・・・。
 もしアヴドゥルがここにいたならば、こんな殺し合いはすぐにでもやめさせて、自分の命を賭けてでも
 他の参加者が生還できるような手段を考えるでしょう。
 彼は・・そういう人でした。」
 
『Yes,I Aam!!チッチッ♪』という声が聞こえたような気がして花京院はわずかに微笑した。
 一方のグェスは花京院の瞳の力強さに思わず目をそらしてしまう。


406 :グェスは大変な物を盗んでゆきました:2009/03/28(土) 11:08:35 ID:I/cmgeZL
「あ・・・あたし弱いよ?能力だってあんたみたいに強くないし
 ただちっちゃくするだけだし。きっと足手まといに」
「僕は戦力として貴女を仲間にしたいのではありません。
 ただ、僕と一緒に行動してほしいだけなのです。
 いや・・・・別に仲間じゃなくてもいい、僕と友達に・・・なって下さい。」
 
友達。その言葉にグェスは自分の体の震えがピタリと止まるのを感じた。

徐倫と友達になりたっくて「グーグードールズ」で人形にしたのはいいものの、おもいっきり反撃され。
わけもわからずこの変な殺し合いに参加させられ。
そして今、自分の目の前に立っているこの男は友達になってくれと言っている。

わけがわからない。今日一日で変化が多すぎる。
しかし・・・パンク寸前のグェスの頭を「友達」という言葉が埋め尽くしてゆく。
グーグードールズをつかわなくてもいい友達。
他の人と同じような普通の友達。
肩を並べて歩ける友達。
それはひょっとすると、自分がこの能力に目覚める前から
ずっと欲してきたものではないのだろうか?

殺し合いに巻き込まれた恐怖心より、「友達」という言葉の甘美さが
ゆっくりとグェスの心を傾けていく。

「・・・・わかった、友達でいいのなら。」
「ありがとうございます。」

グェスは一礼を返す花京院に自分から近づいてゆき、立ち止まると。

「よろしく、えーとMr.花京院?」

と、おずおずと手を差し出したグェスに、花京院は微笑んで手を握り返した。

「花京院、でかまいません。僕も貴女の事はグェスと呼ばせていただきますので。
 ・・・・・友達はお互い呼び捨てにしあうものです。」

「そ・・そうよね!じゃあ、か花京院」

「グェス」

「花京院」

「グェス」

「花京院」

水平線のダークブルーはもう見えない。キラキラと輝きはじめた水面を背に
握手を交わす二人を日差しが包み込んでゆくーーー

407 :グェスは大変な物を盗んでゆきました:2009/03/28(土) 11:09:54 ID:I/cmgeZL



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハッ!?
「いや、何か恥ずかしいし!?おかしいし何この空気!?」

グェスは思わず花京院の手を振り払った。顔が真っ赤である。

「???空気?別におかしな感じは・・・まさか、新手のスタンド使いかっ!?」
「そうじゃねぇし!!あぁそうだ花京院!これ!」

この空気を変えようとグェスは今まで抱きしめていた荷物をバン!!
と花京院に突き出した。

「グェス・・・これは?」

「いやねー?ほら花京院と荒木がジャンケン?だっけ?やってる時に、
 荒木のおっさんあたしの方全然注意払ってなかったみたいだったからさ、
 ランプ今のうちに取り返せないかなーとか思ったわけですよ。
 んでグーグードールズこっそり出して、取りに行かせたはいいんだけど、
 ランプとるまで根性なかったから・・・代わりにっていったら変だけど
 机の上にあったのをその・・・パチっちゃいました。
 あ、でもたいしたもんじゃ無いと思うよ?開かないし。」

照れ隠しで早口になっている。
花京院はグェスの手ににぎられたその本を見つめた。
かなり古いものなのだろう、表紙は色あせ角は降り曲がっていた。
所々破れたり、濡れて乾いたかのような箇所も見られた。

もし・・・・この光景を荒木飛呂彦が見たら悲鳴を上げていたかもしれない。

その本の表紙にはこう捺印されていたからだ。



「荒木飛呂彦の日記」と。





 
 【花京院とグェスの友達百人計画】


408 :グェスは大変な物を盗んでゆきました:2009/03/28(土) 11:13:44 ID:I/cmgeZL
【D-9サルディニアの海岸/1日目/早朝】
【グェス】
【時間軸】:脱獄に失敗し徐倫にボコられた後
【状態】:落ち着いた、ちょっと恥ずかしい
【装備】:なし
【道具】:支給品一式 荒木飛呂彦の日記
【思考・状況】
1.友達として花京院に協力する
2.とにかく生き残りたい
3.ゲームに勝つ自信はない
4.徐倫には会いたくない
5. ヴァニラやばい。ヴァニラやばい。
【備考】
・グェスは、エルメェスや他の刑務所関係者は顔見知り程度だと思っています。
 空条承太郎が空条徐倫の父親であると知りました

・荒木飛呂彦の日記は開く事が出来ないようです。

・荒木飛呂彦は日記が無くなった事にまだ気づいていません。
 


【花京院典明】
【時間軸】:ゲブ神に目を切られる直前(目、顔に傷なし。恐怖を乗り越えていない)
【状態】:とても喉が渇いている。恐怖は乗り越えたようです。黄金の精神。
【装備】:なし
【道具】:ジョナサンのハンカチ(ジョナサンの名前入り)、ジョジョロワトランプ、支給品一式。
【思考・状況】
1.自分の得た情報を信頼できる人物に話す。(承太郎、ジョセフが望ましい)
2.仲間と合流しなければ…
3.巻き込まれた参加者の保護
4.安心して飲める水が欲しい。
5.荒木の能力を推測する



※水のスタンド(=ゲブ神)の本体がンドゥールだとは知りません(顔も知りません)
※ハンカチに書いてあるジョナサンの名前に気づきました。
※水や食料、肌に直接触れるものを警戒しています。
※4部のキャラ全員(トニオさん含む)を承太郎の知り合いではないかと推測しました。
※1で挙げている人物は花京院が100%信頼できて尚かつ聡明だと判断した人物です。
 決してポルナレフやイギーが信頼出来ないという訳ではありません。
※荒木から直接情報を得ました
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」


以上◆bAvEh6dTCでした。
規制で投下が遅れた事と放送で誤爆した事をこの場を借りてお詫びします
本当にすいませんでした・・・・
新参ですがこれからもよろしくお願いします。

409 :創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 11:27:52 ID:5bsElQS3
投下乙です!

グェスかわええー

410 :創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 13:53:09 ID:NTCLf3oZ
盗んだ物がとんでもなさすぎる(笑)

前回終盤までほったらかしだった日記が今回序盤から登場…
展開として面白いです
これからも頑張って書いてください!

後、花京院の台詞がナンパにしか見えない。

411 :創る名無しに見る名無し:2009/03/28(土) 19:51:08 ID:Yrv02IN5
投下乙ッ!
ちょっ…グェス、お前wwwそしてタイトル自重しろwww
恐怖を乗り越えた花京院がめっさイケメン
ナンパしてないで早くまともに対主催者しろwww

荒木がどう動くか…盗聴で気づいたら直接出向いてくることもありえるのか…?
続きが気になるぜ!

412 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/28(土) 21:26:54 ID:Yrv02IN5
一時投下スレにて投下完了しました。
誤字・脱字、矛盾点・修正すべき点、他気になる点などありましたら指摘お願いします。

413 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 01:51:53 ID:QeI0LfKn
>>408
日記キターーーーーーー!!!
しかしグェス可愛いなw
いい奴じゃあないけど、別に悪い奴でもない小悪党だったもんなあ原作でもw
しかし花京院は前回の復活劇といい荒木と何気に縁があるなおいw

>>412
仮投下乙です
感想は本投下後に
自分も問題はないと思いました

414 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 13:19:44 ID:rCuKI9+d
投下乙です。
土壇場で裏切るとかウルトラCを決めるのだけはやめてくれよグェス・・・
あと一つ気になったんだが花京院のアヴドゥルの呼び方ってさんづけじゃなかったっけ?
原作でもバラバラだっけか

415 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 15:34:44 ID:lWuXvPJ6
>>414
直接呼んでるとき以外は呼び捨てもあったと思う

416 : ◆rOwVJ6/pbM :2009/03/29(日) 19:48:25 ID:hm/qLnE/
グェス可愛いよグェス
地図こねくりまわしてきます
日付かわるくらいにでも

417 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/29(日) 20:35:48 ID:5ZT9GD3k
>>416
毎回更新お疲れ様です!

一時投下から一晩しか立ってないので色々と不安ですが…
ペッシ、リゾット 投下します。

418 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 20:36:28 ID:Ec8IFN5a
地図の人来た! これでかつる!

419 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 20:37:02 ID:Z8t+jUb7
大人は?吐きではありません、ただ支援をするだけなのです


420 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/29(日) 20:37:23 ID:5ZT9GD3k
「26人か………」

朝日が眩しいのか、目を細め呟く。温かく輝く光源と対照的に男の口調は冷え、どこまでも現実を見ていた。
手元の名簿をじっくりと見つめる。地図を眺め現在地を確認、今後どうするかについて頭を働かせる。
しかし表面上は冷徹を装っていても、己の中で激情を押さえ込めるほどリゾットと言う男は器用でなかった。

(短気なアイツのことだ。見境なく喧嘩をし、相手の力量を見違えたか…。
まぁ、この舞台では長生きできるような奴じゃなかったってことだろうな。)

こうなることはわかっていたと自らに言い聞かせる。理論的に考え、冷静に、客観的に分析を行う。
それでもこの悪趣味な処刑の中で大切な部下が散ったという事実はあまりに大きい。

「禁止エリア…外堀を埋め始めたか。逆に言うとそれほど中央に参加者がいないと考えるのは短絡的か…?」

涙は決して見せない。悔しさに唇を噛み締めるようなこともしない。怒りに拳を振るうような行為は野蛮だ。
果たして人を失うことを悲しくないと思える人間などいるのだろうか。
ましてやそれが親しいものなら、愛するものなら、それはどうであろう。
リゾットと言う男はそれらを全て背負っても髪の毛ひとつほど動揺を見せない。
弱みを決し見せることなくどこまでも無表情な偽りの仮面をそこに貼り付ける。
彼らが求めた『リーダー』とはそんな男なのだから。

「重ちーは…」

目を上げることなく聞こえる言葉にほんの少しだけ意識を傾ける。椅子に座り背中を丸める部下の声は微かで震えていた。
「ただのガキだったんだ………。母親を大切にして、父親を愛して、学校生活を楽しむ。
そのくせ、笑っちゃうほど頭が悪くてよォ…。この俺が言えるんだぜ?それでも楽しそうに言ってたよ。
『ペッシ、学校はおもしろいど!』ってな…。そりゃ嬉しそうにな…顔中笑い顔にして…。」
ペッシは話を続ける。
「きっと仗助もそんなアイツの友人だったんだろうな…。仲が良かったかどうか、俺にはわかんねぇけど少なくとも重ちーは信頼してたみてぇだ…。」
「………」
本来だったらリゾットはこんな話をゆっくりと聞くほどお人よしではない。
感情的になることを戒めるような一言と共にすぐにでも行動を開始するのが本来の彼だろう。
それでも話を聞いてやったのはペッシに罪の意識を吐き出させてやることで彼の中の重荷を軽くしてやりたかったからか。
或いは何処かで彼自身も心の整理の時間を必要としていたからか。

「そう…ただのガキ………ガキだったんだッ!こんな殺し合いがなければッ!」

421 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/29(日) 20:38:04 ID:5ZT9GD3k
もはや声が震えてるという言葉は適当ではなかった。涙声となったその叫びが木霊する。悲痛な叫びが辺りに響く。

「殺し合いなんて間違ってる…!なんで殺し合わなきゃいけないんだッ…!
なんで重ちーが、仗助が、ギアッチョが死ななきゃいけなかったんだよォ!どうしてッッ!」
真正面からその言葉を受け止め、その眼と視線を合わせる。悲しみと怒りが暴走したのは放送を流した男が原因か。
「お前の言うことはもっともだ。正論、これ以上ないほど否定しようがない。
しかしな、ペッシ、お前はそれが決定的な矛盾を抱えてることに気づかないのか…?」
その言葉に萎びれたように顔を落とす。目線は足を見つめるもののそれでいて言葉はやはり、力強くまっすぐだった。

「リーダーも兄貴もホルマジオも、そして俺も……暗殺チームだ。わかってるよ…殺し屋が殺すことを否定するなんて可笑しいよなァ…」
その言葉にリゾットはゆっくりと部屋を横切り窓へと近づく。外から差し込む朝日が眼に染みる。
ペッシは椅子からゆらりと立ち上がり顔を上げる。輝く意志の強さが瞳に伺える。
「だから、リーダー…」

「俺はッ!荒木をッ!ぶっ殺す!」

「俺はマンモーニだ…。覚悟を決めたはずなのに今みたいに放送ひとつで冷静さを無くしちまう、取り乱しちまう…。」

「だからッ!荒木を『ぶっ殺した』時、俺はマンモーニじゃなくなるんだ!本当の暗殺チームになるんだッ!」
高らかに響くその宣言。それは彼ら二人が知らぬことだがペッシが兄貴と慕う男が誓ったものに酷似していた。
「いい眼になったな、ペッシ…」
誉め言葉に照れた様子もなくただ俯き返答の代わりとする。然り気無く自らのデイバックに近づくリゾット。
留め具をなぞるようにもてあそび、そうして部下の成長に細めていた眼を鋭く冷たくする。

「そうだ、荒木を殺るのは俺たち、暗殺チームだ。そのためには全てをなげうってでもな…。
そして俺の考えが正しければ荒木は俺達が殺すべき『ボス』、パッショーネのボスでもある…!」
「?!」
「ペッシよ…お前にその覚悟があるか……?一人、また一人…。もしかしたら俺が、プロシュートが、ホルマジオが、倒れていっても…。
その屍を越えてでも、踏み台にしてでもお前は荒木を殺る覚悟があるのかッ…?」
躊躇いを一切見せずに、というわけにはいかなかった。
落ち着かせるような呼吸を何度か吐いた後、それでも確かにペッシは折れなかった。
「やってやる……!必ずだ、リーダー!それが俺達暗殺チーム!」

ニヤリと歪められた笑顔は何を思ってだろうか。
余裕を表すように仰々しく組まれた腕はどうしてか。
リゾットは口を開いた。皮肉な口調がそこには含まれていた。

422 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 20:39:01 ID:Z8t+jUb7
支援は生命なり!

423 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/29(日) 20:40:18 ID:5ZT9GD3k
「そうか、ならばまず俺達暗殺チーム以外の参加者全てを始末することから始めるぞ…」
「ああ…って、え…?」

歪みはますます傾きを増す。
部下を称えていた瞳は滑稽な道化を見下すようなものに姿を変えていた。
憐れみを含んだ語りは止まらない。
「俺は『ふたつ』聞いたぞ…ペッシ。何を踏み台にしてでも成し遂げる覚悟。
そして決定的な矛盾、つまり荒木を殺るためにはその重ちーや仗助とやらの知り合い全てを始末する必要がある…。
仮にもそいつらが俺達と敵対する可能性が僅かでもあるならば潰さなければならない、その覚悟をッ!」

狼狽したような顔に汗が伝う。覚悟を決めた顔はそれでも変わりなく、余裕を失いつつも腹をくくった男がそこにいた。
渇いた口の中の僅かな唾液が喉を通る。ゴクリと音を立て、自らの中に走る緊張を認めつつもペッシは腰を屈め目付きを変えた。

「そうか…それを否定するか。ならばもうお前と俺は相容れないということになるな…」

「見せつけてみろ!お前のその誰も殺しはしないという甘い考えが、荒木を殺るという覚悟が、この俺の覚悟に勝っているということを!」
「リーダー………ッ!」



反逆の牙を持った男が二人いる。かつてはパッショーネという巨大な組織に、そして今荒木飛呂彦という無限の力に対抗せんとする二人。
若く、何処までも青い狼が今、己の信念を貫かんと獣の長である誇り高き同族の狼に牙を剥く。





   ◆   



果たしてリゾットはこうなることを予想できていたのだろうか。こうなることを望んでいたのだろうか。
結果的には合流後、ペッシと情報交換のため近くの民家に入ったことは間合いを詰めることになり、彼にとって不利を招くものとなった。

しかしながらリゾットはペッシに対して大きなアドバンテージを持っていた。彼が開戦の言葉を口にしたのもそれが理由かもしれない。
スタンド使いの戦いに置いて最も優先すべきことは相手のスタンド能力が「何か」であることを知ることにある。
当然ながら暗殺チームのリーダーである彼はペッシのスタンド能力を把握し、それに適する指令を与えていた。

424 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 20:40:55 ID:Z8t+jUb7
投下ってよ〜〜っ やっぱりカッコよくて…… 美しいよなあ〜〜っ ひかえ目に言ってもミケランジェロの彫刻のようによォ〜〜ッ この美しさのためなら 支援だってやるぜ…

425 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/29(日) 20:41:51 ID:5ZT9GD3k
それに対してリゾットの能力をペッシは知らない。信頼関係云々でなく、仮に情報を引き出すようなスタンド能力者がいたらどうであろう。
拷問にも口を割らない根性の据わった彼らであってもスタンド能力の前ではその意志も意味を為さない。
ならば、との配慮からリゾットは可能な限りチーム内に置いても互いのスタンドを隠していた。中には例外もいたようだが。

「…?!どこに…いや、消えた?」

ペッシは釣竿を力強く掴む。同時に姿を消した相手、リゾットからの攻撃に備え警戒心を強める。
突然のターゲットの消失にもペッシは油断なく竿を構える。驚愕こそしたものの冷静さを失わず頭をフル回転させた。

(一番不味いのはリーダーのスタンドが近距離パワー型だった場合だ…。姿が見えないうえ、俺のスタンドじゃとてもじゃないが近距離の攻撃を防ぐようなことはできない…。
元々俺のスタンドは兄貴と組んで発揮できるタイプ。一対一で間合いも測れないようじゃ、この戦いは少々ヘビィだぜ…。)
(だがッ!逆を返せばリーダーは必ずこの間合いにいるッ!少なくとも部屋から出るような真似はしねぇ!
リーダーは殺る時をみすみす逃すような甘ちゃんじゃねぇからな。必ず仕留めに来る。なら………)

「ビーチ・ボーイ!」

自らのスタンドの名を叫び力強く振りかぶる。
先端より飛び出した釣り針は重力に従うことなく部屋を縦横無尽に駆け回る。彼の意志の下、自身の分身は部屋を覆い尽くす。
糸が緩み、張り、さながらそれが立てる音は獲物を狙い這うように動く蛇のようだった。
一秒、二秒、………。

ペッシ本人の息遣いだけが聴こえる。その息も段々と小さくなる。そして………

「見つけたッ!そこだ、ビーチ・ボーイッ!」

猛然と針が空気を裂き迫る!
僅かに空気が歪み、突然空中より血飛沫が上がった。
何処からともなく姿を露にした男は顔を痛みに歪めた。
左肩を抉った釣り針は持ち主の元に戻り、二人はにらみ会う。

「今のは…確実に殺る覚悟だった…。やはり成長したな、ペッシ。見違えるようだ。」
「………」
「だがッ!その程度ならばまだまだ俺には…、荒木には及ばない!喰らえ『メタリカ』ッ!」

油断なく構えていたはずだった。面と向かっているその状況で気を緩めるはずなどなかった。なのにペッシには彼の身に何が起きたかわからなかった。
理解不能、という文字が頭に繰り返し思い浮かぶ。

426 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 20:42:07 ID:Z8t+jUb7
スタンドも 月までブッ飛ぶ この支援…

427 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/03/29(日) 20:43:49 ID:5ZT9GD3k
「がぶっ!…カミソリが…どうやって…、あぐあッ!」
「既に…お前を『殺る方法』は…できている………」

喉を押し広げるように出てくるカミソリ。胃袋から込み上げる有り得ない吐瀉物と不快感。
同時に呼吸器をやられ、予想外の吐血からか足元がふらつく。
意識をしっかりと取り戻した頃にはリゾットの姿は忽然と消え去っていた。

(どっ……どうなってるんだ?!姿を消すのがスタンド能力じゃないのか?
いや、透明にする能力なら…透明化したカミソリをいつの間にか口元に突っ込まれていた…。
いや有り得ないッ!そんなことが可能ならば喉をかっ切るほうがはるかに手間がかからない…!)

動揺は止まらない。戦闘中にそんな姿を晒すことがいかに愚かであるかはペッシも理解しているが余裕の無さが今は思考を止まらせない。

「ち、ちくしょう……ッ!何をやったんだァーーーッ!?いったいどこに消えたァァアーーーッ!」

やけくそ気味に放り投げられた釣り針は宙を進む。
しかし前のように獲物を捕らえることなく、部屋を横切ったそれは窓ガラスを虚しく叩き割った。
背後から諭すような声。

「はっ!!」
「言ったはずだ…。既にできている…とな。」

右肘、利き手で釣竿を握るその腕の付け根に激痛が走る。目を落とすとそこにはハサミがまさに今血管をかっ切らんと刃を開いていた。

「ち、ちくしょう…ッ!」
「お前の成長には目を見張るものがある。これから先、お前はいい暗殺者になれただろうな…。」

「とはいえ…死んでもらうッ!」

噴水のように血が吹き上がり、朱に染めていく。痛みの絶叫が響く。途切れることないその両方にペッシの精神は…。

「何………ッ?!」
「ひるむ…と思うのか………。これしきの…これしきの事でよォオオー!」

折れなかった。
脳裏に浮かぶ二人の少年達の笑顔がペッシに膝をつくことをよしとしなかった。
短気な仲間のひねくれた激励の言葉が手より竿を離すことを許さなかった。

「死んじまった三人のためにもォオー!!」
「俺は死ぬわけにはいかねェェエーーーーーッ!!」

428 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 20:46:22 ID:Z8t+jUb7
リーダーァッ! リゾットリーダーァッ! やっぱりリーダーはスゲェーやッ!

429 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 20:48:22 ID:3aYjAlN5
支援

430 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 20:51:22 ID:Z8t+jUb7
「支援」とは………………… 犠牲の心ではないッ!「支援」とは!! 暗闇の荒野に!! 進むべき道を切り開く事だッ!

431 :代理投下行きます:2009/03/29(日) 20:53:26 ID:Z8t+jUb7
弓のようにしならせた背中の筋肉が収縮する。竿が元に戻ろうとする弾性力と遠心力が加速を最大にした。
そうして生まれた針の早さはまさに規格外!
一直線に、肩より上が明らかになっているリゾットの心臓に針が迫る!

(必ず殺るって決めた時は「直接」だッ!今の俺は何がなんでもただ突っ切るのみッ!)

吸い込まれるように進む針。加速は止まらない。
その速さの前では回避行動も間に合わない。最期の時を風切り音が奏でる。

「俺の勝ちだ、リーダー!」

臓器を潰すような、体を抉る音は聴こえなかった。ボヨーン、という間抜けな音と鈍い石が砕ける音に紛れて勝者の声がペッシの耳に届いた。
リゾットが両手に抱えるように持っていた岩がその音源であった。広瀬康一、彼のスタンド能力を吹き込まれたリゾットの支給品。

「一手足りなかったな…。或いはお前が俺と同じ土俵に…スタンド能力を互いに知っていれば結末は変わっていたかもしれないな。」

コストパフォーマンスが悪いと彼は評したがそれは鉄分を操る彼自身の能力とは極めて相性が良かった。
それは彼のスタンドの性質上、攻撃方法を封じられないため。唯一の欠点は敏捷性を失い相手の攻撃がかわせなくなる点にある。
それも今回においては問題にならない。ただ即死を避けるだけならばペッシの針より顔か心臓を守るだけですむ。
もっとも足の一本や腕の一本は覚悟しなければならないが。

痛む右肘だけでない。全身、首も顔も膝も、そして内臓辺りからも。中から食い破ろうと蠢く何かを感じペッシはたったひとつのことだけを理解した。
死を受け入れる、なかば諦めのような悟りのような感情が芽生える中…
 
ペッシは己が負けたということだけを理解した。

(すまねぇ…重ちー。どうやら、俺はここまでみてぇだ………。)
走馬灯が走る中、目を瞑る。最後に脳裏に浮かぶのは彼が兄と慕った男の姿。
俺もあんな、兄貴みたいになれたかなぁ…そう思った彼の耳に…

   「合格だ、ペッシ」


沈みかけた意識をその言葉がすくう。
痛みだけじゃなく緊張と力みが全身から引いていくのがわかった。
呆然とする彼の前でリゾットは控えめながらも本心からの笑顔を微かにだけ見せた。



   ◆





432 :代理投下行きます:2009/03/29(日) 20:54:17 ID:Z8t+jUb7
「人が悪いってレベルじゃねーぞ…。もしかしたら俺もリーダーも死んでたかもしれないんだぜ?」
「仮に死んだらそこまでだったということ。それに本物の覚悟とは本物の殺し合いでしか生まれないからな。」
「それにしたってもっとほかのやり方が…」

奇妙な光景だ。彼らの仲間が見たらその滑稽さに笑うか、或いは何があった、と疑問に思うか。
泣く子も黙る暗殺チームのリーダーを含む二人が大雑把にとは言え散らかる部屋を片づけ清掃している。非常に貴重な光景であることは間違いないだろう。
愚痴をこぼしながら戦闘の余波で砕けた机を隅に追いやる。淡々と作業をこなしながら壊れてもはや不要となった椅子を放り投げる。

「なに、この期に及んで人を殺せないようじゃ使えない、そう判断するのは軽率か…?」
「…まぁ、確かにそうかもしれねぇけど………」
「部下って言うのは頭の指示に従ってはじめて駒になる。使えない駒はここでは駒どころか足を引っ張る存在だ」

そうして粗方掃除が終わったのち、二人はようやく一息つくと中央にあいたスペースに座り本格的な情報交換を行うことにした。
放送前は参加者を警戒して移動、そして民家にたどり着いた途端放送が流れたため、二人には殆どその時間がなかったのである。

「そんなことより本題に移ろう。ペッシ、『その話』は確かなんだろうな?」
「確かも何も、俺はリーダーの言ってることのほうがよくわかんねぇよ」
「ふむ。そうなると…荒木がパッショーネのボスという考えは…いや、そうでないとは否定できない。それどころか…」

ぶつぶつと呟き続けるリゾットにペッシは沈黙を貫く。
彼がブチャラティと遭遇することが出来なかった、任務を果たせなかったとのことについて謝罪を一言いれたことが事の発端であった。
疑問符を頭の上に浮かべながらもペッシはこういう時は何も口出しをしないほうが良いということを嫌と言うほどわかっていた。
なにより頭を働かせるのは彼の役割ではない。どうせ一緒に考えても一歩通行に相手の意見を聞くことになるだけになるのだ。
それ故にペッシはリゾットが考えをまとめるのを待つことにした。
大分時間がたった頃にようやく呟きが止む。どうやらリゾットの中で考えが固まったようだ。



「…もう一度確認するぞ?お前がこの殺し合いに呼び出されたのは『ブチャラティ達と遭遇する前』で合ってるんだな?」
「…?それ以外に何があるんだ?リーダーだって兄貴と俺のタイムスケジュールぐらい把握してるでしょ?」
「そうだな…ならば、質問を変えよう。例えばブチャラティ達に遭遇したが気づかなかった、いつの間にかすれ違った、或いは目的地に移動中に睡眠をとったということもないか?」
「???…何が何だか俺にはさっぱり………。」

ぽかんと狐に抓まれたような表情をするペッシに対し、リゾットはすくっと立ち上がると苛立ちからか、円を描くようにその場を歩き出す。
腕を組み目付きを鋭くするとリゾットは再び口を開いた。

「正直な話をしよう。まず最初にこの話は嘘偽りない、まったくの事実だということをお前に知っておいて欲しい。それがわかったら話を続けよう。」
目をやると無言で頷くペッシがいた。
「俺の手元には『ペッシ』とプロシュートはブチャラティと交戦、二人とも始末されたとの情報が届いた。
情報源はメローネ、さらにその情報を中継したギアッチョより直接聞いた情報だ。信憑性は高いと見ていいだろ。」
「…?ちょっと、リーダー…」


433 :代理投下行きます:2009/03/29(日) 20:55:31 ID:Z8t+jUb7
「更に言うとそのギアッチョもサンタ・ルチア駅で始末されたらしい。その後ブチャラティたちの足取りを数時間失ったが、その間に奴らは裏切りを決意。
トリッシュと共にヴェネツィアを脱出、サルディニア島に向かっていた。」
「………」
「ボスの親衛隊も動き出したらしいが詳細は不明。交戦はしたものの誰一人欠けることなく奴らはたどり着いたらしい。
サルディニアに向かった理由はわからないが裏切りから推測できることはボスについての情報収集って所だろう。
俺はその情報をキャッチ、即座に飛行機を手配し自らの足でサルディニアに向かっていたところでこの舞台に引っ張り出された。
以上が俺の話だ。おっと、その顔を見ると色々お前も言いたいことがあるようだがまずは俺の考えを言わせてくれ」

ペッシの納得のいかない顔からして反論なり、何かを予期したのだろう。
リゾットはその口より言葉が零れ落ちる前に手を上げてそれを制する。そして再び自らの口を開く。

「当初、俺はこれが俺たち暗殺チーム、そしてブチャラティ達に対する『悪趣味な処刑』だと思った。
その中でお前達死んだとされた暗殺チームはこの処刑のために幽閉されたと考えていた。しかしながら、だ。
お前の話を聞く限りこれはありえない。捕まった様子もない、覚えもない。
なにより以後の記憶が一切ないというのは不自然すぎる。スタンド能力?いやいや、記憶を消すのはメリットがない。

ならばほかになにがある?死んだお前を生き返らせた…これも不自然な点が数多く残る。
何故その必要がある?処刑ならば捕まえて済ませれば良いだけだ。生き返らせる手間と理由がわからない。
それに殺されたときの記憶がないのも不自然だ。
同時に人を生き返らせることがいかに不可能か、それは殺しのプロの俺たちが一番わかっている。
どんなスタンド能力だろうと死んだ人間は取り戻せない。これは動かしようのない真理だ。

付け加えると娘であるトリッシュを参加させる理由もわからない。あれだけ安全を、俺たちより守ろうとしていたその娘だぞ?
よってまず第一に荒木=パッショーネのボスと言う可能性はほぼないと見て良いだろう。

それでは本題だ。俺とお前の間にある決定的な違いはどうすれば説明できる?
記憶操作説、死者蘇生説…。キモとなるのは俺とお前の間に『時差』があるということ。つまり時間だ…。
これはすなわち荒木のスタンドの恐ろしさを認めることにもなるが俺の仮説が正しければ荒木は…

   俺たちを別の世界、俗に言う並行世界からそれぞれ連れて来たに違いないッ!!」

「な、なんだってーーーーーーーー!!」


434 :代理投下行きます:2009/03/29(日) 20:56:38 ID:Z8t+jUb7
「時間操作、と言うのも考えた。しかしそれではタイムパラドックスが発生する。
例えばお前がいた世界、ブチャラティと遭遇する前の世界。荒木がお前を連れだ出した時点で世界は枝分かれするだろう。
プロシュートのことだ、お前が消えたらすぐにでも俺に連絡を取る。そうしたらこの『俺』が体験した、お前から見て未来を、『俺』は体験しないだろう。
もしかしたらペッシが消えたことを聞いた俺は撤退を命じるかもしれない。もしかしたらギアッチョを向かわせるかもしれない。もしかしたら俺自身が向かうかもしれない。
つまりお前がいた世界をAとすると『ペッシとプロシュートが敗北し、それを報告したメローネ、ギアッチョも死んだ世界B』より俺は招かれたわけだ。
そうしてプロシュートはきっと違う世界C、ホルマジオはD…。そんな感じで荒木はありとあらゆる世界より俺たちを呼び寄せたわけだ。」

突然の莫大な情報の波に、聡明な男の脳と比べるといささか単純な構造を誇っている彼の脳が悲鳴を上げる。
漫画やアニメで表現するならば今頃プスプスという音と共に湯気が彼の頭より漂っているだろう。
落ち着かせるように水を一口含む。冷静に自分なりに噛み砕くと、彼は頷きを持って理解を示した。
男は説明を再開した。

「その根本的なスタンド能力を説明すると人間ワープというのが最も的確だろう。
見せしめの女が死んだときを覚えてるか?あの場で女を浮かせていたが、あれは“空中のある地点に延々ワープさせている”とも取れなくはない。
そして今回の俺の仮説、これもワープで説明できるだろう。ただ恐るべきは精密機動性、そしてなにより射程距離にあるだろう。なんせ並行世界までその効力を広げているんだからな。
そして80人以上の参加者を同時に連れてくるスタンドパワー…。仮にスピードまで優れていた日には一対一では無敵を誇るスタンドであろうな…」

唖然とするペッシを尻目にリゾットはデイバッグよりメモと筆記具を取り出す。
促すように顎で示すともたつきながらもペッシはこれに従う。指揮棒かのようにボールペンを彼の鼻先で上下に振りリゾットは力説する。

「これら俺の仮説はメモをしといたほうが良いだろう。奴らと合流したときに同じ話をしなくてすむし、何か思いつくたびに書き加えれるしな。」
そういい終わると今しがた語った仮説を加えようとサラサラと紙面の上を黒線が走る。持ち主の性格を現すかのような正確で細い線が文字を作りだした。


[主催者:荒木飛呂彦について]
・荒木のスタンド→人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
        →精密機動性・射程距離 ともに計り知れない


「………」
「さて、ペッシ。話は変わるが何故俺たちは今殺し合いをしている?」
「…?なぜってそれは荒木がそうするよう俺たちに強制させてるからじゃないんですか?」
「まぁ、そうだな。ではなにがその強制力を持っている?」
「…首輪、ですか」

ニヤリと笑みを浮かべる。リゾットは皮肉気味に自らにかかった首輪を突っつく。
思えば暗殺チームの時にもボスより、そして今は荒木に。いつだってこのリゾットと言う男には首輪が架けられている。
それを思って彼はすこし自嘲的な気分になった。


435 :代理投下行きます:2009/03/29(日) 21:00:47 ID:Z8t+jUb7
「そうだ…首輪だ。残念ながら俺にこれを解析できるような技術力はない。ほかの仲間も同様だろ。
しかしながら、だ。まず大前提として『この首輪は外せるのか?』という疑問について考えたい」

「冷静に考えれば首輪は『外せない』ようにできているのが当然だろう。これを外されたら荒木の言う殺し合いは成立しないのだからな。
では更に疑問を重ねよう。『荒木はなぜ殺し合いを開いた?』」
「………???」
「殺し、または処刑。言い方はいろいろあるだろうが『死ぬ』ことが目標や理由ならこの首輪を外せないだろうな。だが、もしも『死ぬまでの過程や方法』が目的ならばどうだ?」」
「う〜ん…リーダー、俺にはよくわかんねぇよォ………」
「娯楽目的、それもあるだろうな。それにしては規模がでかすぎるとも思える。しかしそうなると奴一人で俺たちを管理するのは………」
呟きながら綴る。独り言のかたちに近くなったことに気づき、部下を見つめるが彼はもはやお手上げといった感じであった。
苦笑いを浮かべながら、自分と同じように書くことを示す。


[主催者:荒木飛呂彦について]
・荒木のスタンド→人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
        →精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
・開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 

※荒木に協力者がいる可能性有り


「まぁ、こんな所か。」
「…リーダー、それで今から何処に向かう?」
「そうだな、そこらも含めてこれからの方針についても話そうか」
立ち上がっていたリゾットもペッシの傍に座る。今しがた取ったメモを置くと地図を広げ、参加者名簿を手に取った。
「俺たち暗殺チームの基本方針は『首輪を外すこと』だ。これを基本に行動していく。そのためにすべきことを言うぞ。
まずひとつに首輪を解析できる施設の確保。そして首輪を解析・分解できる参加者との接触、チームへの勧誘。
そしてこの二つのために暗殺チームの仲間との合流及び協力者の確保。この三つが最優先行動だ。」

コツコツと指が音を奏でる。
フローリングの床を刻むリズムに合わせてペッシが目を下ろすとリゾットの指は地図をなぞり、参加者名簿をなぞっていた。地図は南西辺りを、名簿は自分達の名前がある辺りを。

「よってそのためにここ、ナチス研究所を拠点として確保。これが第一行動方針。
そして人が少なすぎると言うのが今の現状…。信頼できるお前らがベストだが、俺を含めもはや四人しかいない。
首輪を解除できる奴を、仮にそいつが信頼できるようであるならチームに引き込む。仲間意識を持てば裏切りは容易にはできないだろうからな。
また俺たちと組むことが如何に有用か、それを思い知らせてやれる自身も俺にはある。
第二行動方針として暗殺チームの拡大。具体的には人数が多くなったら拠点待機組、資材確保組、参加者討伐組と別れて行動する気だがな。
他の施設についても時間があるようなら回りたいところだ。
そして最後に荒木飛呂彦についての情報収集。やはり奴の狙いがわからないようでは脱出も難しい。もっとも奴ほどの男がなにか残すとは思えないがな。」


436 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 21:01:47 ID:FJ7c3SIn
支援

437 :代理投下行きます:2009/03/29(日) 21:01:51 ID:Z8t+jUb7
ペッシは要領よくリゾットの指示を叩き込む。指示がわかりません、ですむ会社が何処にあるというのか。
理解は出来なくて良い。ただ自分が何を成すべきか、自分の仕事はなにか。それをはっきりとさせておかなければならない。
己を駒と評したリーダーのためにも自分が足を引っ張るわけには行かないのだから。

「そうと決まれば、行こう、リーダー!」
「急ぐな、ペッシ。移動中は物音を立てるな。それと会話もなしだ。とにかくナチス研究所へ慎重に向かうぞ………」

玄関のドアが軋む音が響く。男達は青空が広がる下へと向かって歩き出した。
明るい太陽が照らす中、首もとにぶら下がる拘束具がきらりと輝く。
それはさながら男たちが目指す栄光への煌きと一緒で。
花火のように一瞬で命を散らすかもしれない。陽炎のように霞み、消えていくかもしれない。
それでも彼らは誓う。 “俺たちは必ず勝つ” と。

黄金の精神、それは確かに彼らの中で輝きを放っていた。






【F-3 南部 町/1日目 朝】
【暗殺チーム(現在メンバー募集中)】
【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:メタリカ
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷、左肩に裂傷有り
[装備]:フーゴのフォーク
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする
1.ナチス研究所に向かい、拠点として確保する
2.首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む
3.暗殺チームの仲間と合流
4.ブチャラティチームとプッチの一味は敵と判断、皆殺しにする
5.荒木に関する情報を集める
6.他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味(優先順位はナチス、次点でG−1の倉庫)
[備考]
※F・Fのスタンドを自分と同じ磁力操作だと思いこんでいます
※F・Fの知るホワイトスネイクとケンゾーの情報を聞きましたが、徐倫の名前以外F・Fの仲間の情報は聞いてません
※リゾット、及びペッシのメモには以下のことが書かれています。

[主催者:荒木飛呂彦について]
・荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
         → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
・開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 

※荒木に協力者がいる可能性有り


438 :代理投下行きます:2009/03/29(日) 21:04:01 ID:Z8t+jUb7
【ペッシ】
[時間軸]:ブチャラティたちと遭遇前
[状態]:頭、腹にダメージ(小)、喉・右肘に裂傷、強い悲しみと硬い決意
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品(数不明)
    重ちーが爆殺された100円玉
[思考・状況] 基本行動方針:『荒木』をぶっ殺したなら『マンモーニ』を卒業してもいいッ!
1.リゾットに従いナチス研究所に向かう。
2.誰も殺させない。殺しの罪を被るなら暗殺チームの自分が被る。
3.チームの仲間(特に兄貴)と合流する
4.ブチャラティたちを殺す?或いは協力するべきなのか?信頼できるのか?
[備考]
※100円玉が爆弾化しているかは不明。とりあえずは爆発しないようです。


【暗殺チーム全体の行動方針】
基本行動方針:首輪を解除する
1.首輪解除のためナチス研究所を拠点として確保する。
2.首輪を分析・解除できる参加者を暗殺チームに引き込む。
3.1・2のために協力者を集める。
4.荒木飛呂彦について情報収集
5.人数が多くなれば拠点待機組、資材確保組、参加者討伐組と別れて行動する




439 :代理投下行きます:2009/03/29(日) 21:09:05 ID:Z8t+jUb7
仮投下完了
タイトルは『We Are the Champions』だそうです

〜〜ここから感想のターン〜〜

乙です!
信念を持ったリーダーと覚悟を決めたペッシの熱い戦闘には燃えました
ペッシは既にマンモーニじゃねぇよww
原作の覚醒が熱血なベクトルにいったって感じですよね
後半の考察話もベネ!
タイムパラドックスから来る多元宇宙説
しかし、前回が前回だっただけに今回もどう来るかわからないですよねw
荒木なら……荒木なら時間的な矛盾無しに同一世界から参加者を集めてこれるはず

改めて投下乙でした

440 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 21:13:11 ID:3aYjAlN5
投下乙!
キバヤシも月までぶっ飛ぶこの考察!
やっぱリーダーはすげぇやw

441 :創る名無しに見る名無し:2009/03/29(日) 21:19:47 ID:Ec8IFN5a
投下乙です。
バトルも考察もこなすリーダーかっこよすぎる!
ペッシも熱いぜ!

442 :地図の人 ◆rOwVJ6/pbM :2009/03/30(月) 00:52:33 ID:5gJ13i6S
>>359 ◆0ZaALZil.A氏『『ベスト』より『ベター』を』【アレッシー】
>>373◆Y0KPA0n3C.氏【岸辺露伴】【ヴィヴィアーノ・ウエストウッド】【シーザー・アントニオ・ツェペリ】
>>393◆xrS1C1q/DM氏『フー・ファイターズ』【F・F】
>>408◆bAvEh6dTC氏『グェスは大変な物を盗んでゆきました』【グェス】【花京院典明】
>>437◆Y0KPA0n3C.氏『We Are the Champions』【リゾット】【ペッシ】

以上を現在地地図に追加しました
http://rowvj6pbm.ame-zaiku.com/index3.html

禁止エリアになるエリアを赤くしてみました
時間がくれば紫色にする予定です
それと行動矢印復活させました
過去の分を読み返して追加していくのは申し訳ないけど
ちょっとしんどいのでこれからSSではっきりと移動する方向が出てきたときに追加していきます

あとそれと◆xrS1C1q/DM氏見ておられたらひとつ質問させてください
地図のスペースの都合で勝手に駅組を駅の北側に配置したのですが
進行方向はあっているでしょうか
南側でしたら修正を、北側であっていれば矢印をつけたいので
お手数ですが回答してもらえると助かります
よろしくお願いします

443 :創る名無しに見る名無し:2009/03/30(月) 09:59:25 ID:PvHBhATg
>>442
ハートww

444 : ◆xrS1C1q/DM :2009/03/30(月) 18:13:54 ID:N5/cp+vU
>>442
地図氏、毎度ながら乙でございます
ってハートwww 流石に予想外だったぜww

で、駅組みの進行方向は南のつもりでした
っていうか現在の予約的に南にじゃないと矛盾すr(ry
元々サンタ・ルチア駅に向かわすつもりだったんで、修正お願いします


445 : ◆xrS1C1q/DM :2009/03/30(月) 23:41:11 ID:N5/cp+vU
仮投下スレにパンナコッタ・フーゴの仮投下をしてきました
支給品で危ない橋をわたっている気がするので是非指摘してください

446 :使者〜メッセンジャー〜 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/02(木) 12:34:52 ID:kt/MWs94
では、パンナコッタ・フーゴを本投下します


447 :使者〜メッセンジャー〜 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/02(木) 12:39:00 ID:kt/MWs94
砂浜に押し寄せる飛沫がパンナコッタ・フーゴの靴に湿気を与える。
しばしの黄昏、昇り行く朝日を見つめながら彼は先刻の放送を思い出していた。
B-10が禁止エリアとなった以上はここを去らなくてはならない。
正確な居場所を理解していない以上はここがB−10でないという保証はないから。
しかし、彼は暁の空を見つめ続けていた。
孤独という不安が心を締め付けるから? 知人であったトリッシュ・ウナの死を知ったから?
恐らくはその二つが混ざり合っているのだろう。

「向かうなら……西の政府公邸辺りか?」

開始時にいたのは恐らくサルディニアの海岸。
そして、1〜2時間の睡眠時を除けば北へ歩いていた。
自分の歩行ペースからして恐らくここはC-10、もしくはB−10。
もちろん正確なところは完全に分かってるわけではないので、百パーセントとはいえない。
けれどもおおよそでもいいから推定しなくては動きようがないから仕方がないのだ。
西へ向かえば恐らく政府公邸には辿り着くだろう。
最悪の場合でも鉄道に当たるから自分の現在地ぐらいは分かる。
両手に広げた地図を見ながらフーゴは考えを纏めて行く先を決めた。
砂地に落としたディバッグを拾い上げ、底に付着した砂を叩き落とす。
浜辺に点々と足跡を残しながらフーゴは歩いていく。
波打ち際の傍に付けたものは早くも白波に攫われていき形を崩した。

「26人も死んだ……それにボスの娘もだ。やっぱりこの殺し合いは誰も信用できないのか?
 チームのみんなは恐らく荒木に反抗するんだろうな。
 しかし……それでも26人が死んだ。やっぱり無理なんだろうか?」

不安そうな独り言を漏らしながら歩く彼には希望の欠片が見て取れない。
ブチャラティ、アバッキオ、ミスタ、ジョルノ。そしてこの場にはいないナランチャ。
数少ない信頼できる仲間にも頼る事ができない。かといって他の人間を簡単に信頼することも出来ない。
誰とも出会いたくないと逃げ去った地図の端。
荒木は残った数少ない安心すら奪い去っていく。
張り詰めた神経は徐々に磨り減っていき、ついには彼自身を蝕むだろう。
この殺し合いの場における自分の立ち位置。
最後の二人になるまではジッとしようという方針を決めたものの立ち位置は宙吊りの様な状態だ。

「もしも、もしも誰かが首輪を解除することが出来たら僕はそいつについていくべきなのだろうか?
 優勝するつもりのヤツがわざわざリスクを犯してまで首輪を何とかしようとは思わないだろうから一応は信頼できるのか?
 しかし……荒木との戦いで勝てるという保証はない。それどころか、十中八九負けるだろうな」

思い出すのはブチャラティたちと決別した時の自分の心情。
絶対に組織に勝てるはずがない。
そう言って彼らが去っていくのを一人見送った。
後悔していないといえば嘘になる。
ずっと世話になっていた仲間達を裏切るのに何の苦痛も感じないはずがない。
しかし、自分の命をチップにすることはできなかった。
それ故に彼は苦しみ続けることとなる。

「僕はどうすれば……」

彼は仲間を求めているのには違いない。
この苦境の中で信頼することの出来る仲間を。
しかし、彼は誰も信用することが出来ない。
このジレンマの中で彼の心が安心を見つけることが果たして出来るのだろうか?



★    ☆    ★




448 :使者〜メッセンジャー〜 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/02(木) 12:43:02 ID:kt/MWs94
「おおい、出してくれんか」

風の凪ぐ音しか聞こえない世界の中でこの言葉がやけにハッキリと届いた。
声から判断すれば中年……むしろ初老というべきだろう。
か細い声であったが故に正確な出所を察知する事はできなかったが、人の存在だけは感じることが出来た。
咄嗟にディバッグを地面へと落とし、半身のパープル・ヘイズを発現させて辺りを警戒する。
前方、左右、後方、上空までもチェックしてみたが人影どころか小鳥の姿すら見えない。
視覚が駄目ならばと聴覚、嗅覚を獣のように研ぎ澄まし何か異変があればすぐにでも反応できるようにする。
しかし、一度っきりしか聞こえなかった声の他に人の気配は一切しなかった。
もしや地中に潜んでいるのではないか? それとも透明な敵が近くにいるのではないか?
フーゴの疑念は晴れることなく、落ち着きのない様子で360度を見て回る。

「ここじゃ、カバンのなかにおる」

改めて聞き直せば確かに音源は落としたディバッグの中にいるようだ。
彼の脳内で真っ先に思い浮かんだのがナランチャが戦った暗殺チームの一員。
本体をも小さく出来る能力者であり、やろうと思えばディバッグに潜むことぐらいできると考える。
けれども府に落ちない点もある。
もしも中にいるのがそいつだった場合、わざわざそんな事をする必要があるのだろうか?
ディバッグに忍び込む隙さえあれば自分を殺す、もしくは拷問にかけたりするだろう。
ならば、中にいるのは友好的な人間?
それも分からない。そもそも信用されたいような人間がこんな怪しい接触をとるはずがない。
開けるべきなのだろうか?
躊躇いを隠し切れぬまま、ディバッグを放置して一人悩むフーゴ。
その間にも声は止まらずに出すことを催促してくるが一切無視。
懇願の声が怒りの色を帯びてきた頃、ようやくフーゴは開けることを決意した。
水や食料、地図に名簿とディバッグを捨てるのはあまりも失う事が多く、
だが、得体の知れないものを入れたままこの殺し合いの場を歩き回るほどの度胸はない。
屈みこみ、片膝を立てた状態でディバッグを手に取った。
何が出てきても対処できるようにパープル・ヘイズには抜き手の型を取らせ、自身の手でチャックに手を付ける。
開ける際に出てくる独特の音が仲間への郷愁を誘うが、緊張感で押さえ込みゆっくりとずらしていく。
半分ほど中身が見えたところで一息つく。
心臓の動悸が早まっていくのがハッキリと分かる。
深呼吸を2、3回して心を落ち着けた後に再びチャックに手をかけた。
噛み合った金属が互いの結合を解く度にフーゴの息は荒くなり、掌が湿気を帯びる。
完全に開ききった裂け目から見える中身は薄暗く何があるかは分からない。
地面につけた左膝を伸ばして立ち上がる、ズボンに土がついているが気にしている場合ではない。
両手でディバッグをひっくり返して中身を外へとぶちまける。
ペットボトル、携帯食料、二枚の紙に、謎の頭像・・・それしか出てこない。

「まさか……」

フーゴの視線が白い人型へと向けられた。
意図的に目を逸らしていたそれからは相変わらず禍々しい空気を作り出していた。
吐き気が込み上げる、頭痛もだ。
しかし、この像には実際に喋ってもおかしく無いのでは? と思わせる重圧が存在した。

「コイツかッ!? いや、万が一違ってもこの像を壊すことで僕にデメリットは来ない!」

叫ぶ事で無理やり心を鼓舞させながら、パープル・ヘイズの抜き手を頭像へと向ける。
拳で殴るほうがいいのだが、彼のスタンドの特性上拳で殴るのはあまり賢いとはいえない。
大きく息を吸い、意識を研ぎ澄まし、パープル・ヘイズを腕を突き出し―――――。



「ふぅ。やっと出れたわい」

一枚の写真がディバッグから舞い落ちた。

449 :使者〜メッセンジャー〜 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/02(木) 12:47:01 ID:kt/MWs94
唖然とするフーゴを他所に写真、正確に言えば写真の中に映るパジャマ姿の老人はフーゴに笑みを向ける。
元々のホラーチックな雰囲気により不気味であるとしか思えないが、構わず彼はフーゴに話しかけた。

「助かった。ワシは支給品として扱われていてな。ずっとカバンの中に隠れてたんだよ。
 しかし、支給品といえどもワシには命がある、死にたくなかったからお前が安心できる人物だと判断できるまで黙ってた」

いきなり出てきた老人のあまりにも唐突すぎる発言に驚きつつ、フーゴは後ずさりをして距離を取る。
そして、ある程度の安全が保障される距離になってから老人に返事を送った。

「支給品だと? お前は一体何者なんだ? それにどうして僕が安心できる人物だと?」

矢継ぎ早に出てきた三つの質問。
老人はやれやれと言わんばかりに光る頭頂部を撫でながらフーゴに答える。

「まず、ワシの名前は鋼田一吉廣。スタンド能力は『アトム・ハート・ファーザー』写真に隠れることのみが能力でな。
 ちっぽけなスタンドだと思われるかもしれんが、死んでも写真に魂を残せるというのは我ながら感心したよ。
 これからのワシの話が信用できないと思うならば破り捨ててもらっても構わない。そうなれば流石に魂を繋ぎとめる事は出来んからな」

ここで一旦話を区切り、フーゴの同意を待つ。
弱点である写真が破られたら死ぬというのを晒すには抵抗があるが、目的の為に危ない橋を渡るのは仕方がない。
小さく縦に頷いた動作を確認した後に吉廣は話を続ける。

「ワシがお前を信用した理由は……簡単に言えば開始からずっとお前の言動を見ていたからじゃのう。
 状況から読み取ったからよく分からんところもあるが、お前は『どうすればいいか分からない』のじゃないか?」

『どうすればいいのか分からない』

この一言にフーゴは反応する。
まさにその通りだ。自分はどうすればいいのか分からない。
心の隙を突かれた彼に吉廣は追撃するように喋りかける。

「殺せばいいの、抗えばいいのか。確かにこれは難しい問題だからの。 
 ワシだって絶対に殺し合いに乗らんと信頼できる者が一人しかおらん
 カバンの中でコッソリと名簿を確認させてもらったがむしろ敵だらけじゃったよ。
 しかし、悩むってことはこちらの味方になってくれるかもしれない。だからワシはお前に姿を見せた」

殺し合いに絶対乗らない参加者。彼が最も欲していたものが身近にやってきたのを感じる。
しかし、彼の冷静な部分はこいつも?吐きだったらどうする気だと警鐘を鳴らしていた。
疑い出せばキリがない。コイツの話を最後まで聞いて考えようではないかと決め、続きを促す。

「その、信頼できるって言うのは一体誰なんだい? それと敵って言うのが気になるから教えてくれないか?」
「吉良吉影。ワシの仲間じゃ」

鋼田一吉廣などという人間は存在しない。彼の本名は吉良吉廣、彼の口から出た人物“吉良吉影”の父親だ。
肉親という直接的な間柄を言ってしまえばより警戒されるのは分かりきっている。
だから彼は吉良吉影の仲間というポジションで彼を信用させようとしているのだ。

「ワシらは日本という国で暮らしていたんだがな、とある殺人鬼に偶然目をつけられてしまったんだよ。
 スタンドを悪用して殺人、強盗、強姦、とにかくやりたい放題やっとる人間達にな。
 警察に相談しようとも暴力団に所属してるならともかく、表向きは一般人でな。
 スタンドという概念を知らん連中に説明してなんとかしてもらうのは無理だったんだ。
 そして挙句の果てにはワシは殺されてこんな体になっちまったって訳だよ」

途中に出てきた犯罪組織という説明にパッショーネとの繋がりがあるのでは? とフーゴは疑うが、後に出てきた横の繋がりはないという事に安心する。
しかし、この少ない説明では信用できるかどうかは怪しい。
男の話に興味があるのは事実である。
もし老人が真実を言っているのならば味方が一人でき、かつ危険人物たちの情報が分かる。
けれども嘘の可能性だってありえないわけではない。

「その話には興味があるな。その犯罪グループって連中の特徴を教えてくれないか?」

450 :使者〜メッセンジャー〜 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/02(木) 12:51:05 ID:kt/MWs94
「そうじゃな、まずリーダー格が空条承太郎。数秒だが時を止めるスタンドを持つ上にパワーもスピードもある厄介なスタンド使いだ。
 オマケに本体の判断力もずば抜けておる。容姿はかなりの長身とコートに学生帽のような帽子、全部が白いって言うのが特徴じゃな」

時を止めるスタンド使い、あまりにも強大すぎる相手の正体を聞きフーゴは戦慄した。
不可解であり、難攻不落だと聞いたボスの能力にも張り合えるであろう力を前に自分は抵抗できるのだろうか?
間違いなく否だ。相打ちでいいのならばギリギリでいける可能性もありうる。
けれども、命を惜しむ彼の性格上その選択肢だけはありえない。深く考えようとするとここで疑問が湧いてくる。

「どうして相手の能力を知ったのにお前達は生き残れたんだ? 時を止められては逃げることすらできないじゃないか」
「だから逃げられなかったのだよ」
「逃げられなかった?」
「あぁ、逃げられなかった。何が起こってるかも分からぬまま死に……気付いたら写真の中って訳じゃ。
 時を連続で止められないという弱点にも気付いたが命と引き換じゃのう」

自嘲気味に笑う吉廣、フーゴは彼の表情に注目する。
嘘を付いているのかどうかは分からない? だが、目の前の老人は簡単に人を信用しすぎている気がする。

(いや、僕が不審すぎるだけか? ナランチャなら情報を普通に漏らしかねない気もするしな)

「そしてサブリーダーなのが東方仗助。コイツはチームの回復役で。スタンド能力は殴った物を直す。人体でも物体でもな。
 死んだからどうでもいい気がするが念には念を入れて説明しておこう。
 コイツはいつも学ランを着ていて、髪型はあれだ……カツオ。いや、マスオだったっけな?
 あっ、サザエさんだ。サザエさんそっくりな髪型。え〜っと、リーゼントとか言うのかのう?」

死んだものの説明までも丁寧に進めていく吉廣をフーゴは冷静に観察する。
回復役、しかしジョルノと同様戦闘もできる可能性だって十分ありうるだろう。
しかし、所詮は死者。説明されたところでしょうがないものばかりだ。

「申し訳ないが、死者の情報には興味はない。生存者限定で話してくれないか?」
「すまんかった。じゃあ生存者だけ話しておこう。
 虹村億泰。右手で触れた物を削り取る能力者だが本体が馬鹿だから右手に気をつければ何とかなるだろう。
 パワーもスピードも近距離型としては並。本体はこれまた学ランで、ハンバーグみたいのが頭に乗っかっておる」
「右手に気をつけるか……ちなみに削り取るっていうのはどんな感じなんだ?」
「要するに右掌に触れた物が消え去るってことじゃな。しかし、そのせいでヤツは右腕で引っかくような攻撃をするから逆にかわしやすい」

掌で触られたらその時点でアウト。
厄介といえば厄介だろう。
しかし、吉廣が言っている通りならどうにでもしようがある。
むしろ拳に触れたらアウトな上にラッシュを仕掛けてくるブチャラティの方が危険だと考えた。

「後は、山岸由花子。コイツは髪の毛を操るスタンド使いでパワーは一応近距離並はあると思ったほうがいい。ちなみに髪の毛は無制限で伸びるぞ。
 格好はピンクを基調にしたセーラー服にウェーブのかかった長髪じゃな。」

髪の毛を操るスタンド使い。
どうしても近距離の自分ならどうにでもなると考えるが、首を振りその思考を捨て去る。
未知数の相手なのだから一切の油断は禁物。
油断により敗北した強力無比なスタンド使い達を彼はいままで何人も見てきた。 

「それと岸辺露伴。コイツのスタンドは厄介でビジョンを見せることで相手を本に変える上に、色々な命令を本になった体に書き込んでくる。
 ちなみに本にされたら体の自由はほぼ利かない上に、書き込まれた命令に逆らうのは不可能じゃ。
 ギザギザのヘアバンドが印象的でやたらと露出が多い服を着とる」
「なっ……!?」

触られたら負けどころか、スタンドのビジョンを見た時点で敗北が決定する。
つい最近戦った、鏡に映ればその時点でほぼ勝敗が確定するスタンド使いの存在を思い出した。
唯一の救いはコッチの方は鏡の世界へと逃げていかない点だろうか?

451 :使者〜メッセンジャー〜 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/02(木) 12:55:09 ID:kt/MWs94
「トニオ・トラサルディー。コイツは直接的な関わりは不明だが、連中の溜まり場になっているレストランのシェフだ。
 詳しい情報はないんだが、料理に関係するスタンドの持ち主で、常にコック帽にエプロンをしているのが特徴じゃな」

トニオ・トラサルディー。
名前からして同郷の人間であるのだろうと何気なく考える。
料理を食べなければいいだけならば対応はそう難しくないだろう。

「最後にジョセフ・ジョースター。年齢は80そこらだろうな。帽子に緑のコート、金の口髭もたくわえとる。
 スタンドはハーミット・パープル。戦闘向けじゃないだろうがイマイチ能力が分からん」

スタンド能力が分からない。
これはフーゴの心に引っ掛かりを作った。
そんな彼の心情も知らずに吉廣は話を締めくくりにかかる。

「そしてさっきの放送で死んだ広瀬康一、矢安宮重清の二名を含む九名がこの殺し合いに参加しておった」

空条承太郎以下八名の情報を聞き、顎に手を当てるフーゴ。
吉廣の話は話半分にしか聞いていない。
しかし、吉良吉影が仲間になるという可能性は捨て置ける物ではなかった。

(だが……信頼できないと言われている連中もかなりいるッ! どっちに進むかで僕の進退は大きく変わるぞ。
 行き止まりで終わりを待つ羽目になるのか? それとも明るい道を歩んでいくのか!?)

グルグルと思考は巡り、答えの出ない袋小路へと追い込まれていく、頭を下げたフーゴに吉廣は切り札を見せた。

「吉影の能力も教えておくべきだな。あいつの能力は爆弾化。触れた物を全て爆弾に変える事ができる。
 容姿としては極々普通のサラリーマンだな。唯一目立つ点といえば愛用の髑髏柄のネクタイか?」
「なっ……!?」

相方の生命線とも言えるスタンド能力を吉廣は躊躇いなくフーゴに伝えた。
目の前にいる老人の話からは真偽が全くつかめない。
仲間の持っていた汗で嘘を見破る能力が本気で欲しくなる。
流れる汗をぬぐう間すらも惜しい。

「少し……考えを纏めたいから時間をくれないか?」
「そんな、少しといわずゆっくり考えればええ」

小さく感謝の言葉を述べるフーゴ。
彼の視線が外れた瞬間、吉廣は無音で大きな悪態を吐いた。



☆   ★   ☆





452 :使者〜メッセンジャー〜 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/02(木) 12:55:50 ID:kt/MWs94
“鋼田一吉廣”はほくそ笑む。
最初は様子を見ておくつもりであった。
自分のスタンド能力はギチギチの制限に晒されており、物を動かすことにすら難儀する。
今までポケットの陰に上手く隠れおおせることができたが、逆に言えばそれが精一杯だったのだ。
が、どんなに苦難しようと諦めるわけにはいかない。
愛しの“息子”を優勝させるためにコイツにはいい駒になってもらわなくてはいけないのだ。
最初に名簿を見た時はあまりにも絶望的な状況に愕然とした。
こちらの味方になってくれるスタンド使いは一名もいないのにもかかわらず、“息子”の宿敵達は十名もこの場ににいるのだ。
川尻早人は敵としてカウントするべきかどうか悩んだが、ただの小学生であるのですぐに死ぬだろうと判断。
万が一出会ったときも息子の決断に任せようと思い、あえてフーゴに名を教えなかった。
そして問題といえば目の前に佇んでいる少年である。
先刻の会話から見えてきた『組織』『裏切り』『パッショーネ』『ブチャラティという男を始末する』
これらから到達した一つの結論がパンナコッタ・フーゴは暴力団、もしくはそれに準ずる組織に所属しているという事だ。
もしもこの仮説が当たりならば承太郎との繋がりがある可能性はほぼゼロに近いと吉廣は考える。
なのでフーゴを上手いこと騙して承太郎達と激突させようとしているのである。
問題はこちらよりも圧倒的に数の多い向こうの陣営にフーゴが説得されて引き込まれてしまうことであったが、彼はついていた。
宿敵達の内三人が死んだのだ。
重ちーとやらは既に殺したはずだが、気にすることはない。
コイツの呟きを聞くと今にも不安で押しつぶれそうな様子だった。
不安は心の隙間となり、人間は自然と隙間を埋めることを望む。
ならば自分が安心で満たしてやろうではないか。
息子が信頼できる人物だと言い聞かせて安心させてやろうではないか。

「しかし、本当に用心深いガキだ!」

唇だけを動かして全身から湧き上がる苛立ちを抑える。
言いたくは無かったが息子の能力までも伝えてしまった。
シアー・ハート・アタック、そして切り札バイツァ・ダストは隠し通したものの、普段使用している能力を言ってしまったのは痛い、
たとえ信頼を引き換えにしたものであろうとも。
吐き捨てるように言い放ち、考察を続けるフーゴを見る。
まるで生がないように微動もせずに棒立ちで考えていた。
時々聞こえる小さな独り言が唯一彼の生存を吉廣に伝えてくる。
いっそ隙を突いてコイツを殺した後に他のヤツのところに行ってしまおうか?
吉廣は脳裏に過ぎった考えを一蹴する。
自分のスタンド能力はこれでもかというほど制限されているのだ。
まず第一に体の自由が思ったほど効かない。
それと第二に写真の中には大きな物を入れることはできない。
これはディバッグ内でフーゴに隠れてあれこれやっている間に気が付いたことだ。

「写った写真を支配する能力は残っておるんじゃろうか?」

カメラがあれば実証できるのかもしれないが、無いものねだりはできない。
それに今映っている写真は吉良邸のものなのでここで幾らものを動かそうとも意味がない。
あまりに無力。
喋る事ぐらいしかできない自分のあまりの無力さに吉廣は歯噛みする。

「吉影、ワシの愛する息子は無事に生き残っとるのだろうか?
 ワシはこの餓鬼を使ってお前の邪魔を影から消してやるぞ」

この後、どうすればフーゴを心底から信頼させればいいのだろうか?
承太郎や、億泰、由花子に出会えばどうすればいいのだろうか?
彼は一人で考える。

「バイツァ・ダストは無敵の能力。これだけはワシも信じておる。
 しかし、発動中に急に殺し合いに巻き込まれたからどうなっとるのか……」

心底から息子を心配する姿は美しい家族愛の表れだろう。
しかし、愛の大きさと表現法は歪んでおり、息子自体も歪んでいる。
捩じれきった“愛”はここにいる一人の少年に少なからぬ影響を与えていった―――――――

453 :使者〜メッセンジャー〜 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/02(木) 12:56:40 ID:kt/MWs94
【B-9 /1日目 朝】



【パンナコッタ・フーゴ】
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:苦悩と不安、軽い鬱状態、傷心、人間不信
[装備]:なし
[道具]:ディアボロのデスマスク、吉良吉廣の写真、支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:「近付くと攻撃する」と警告をし、無視した者とのみ戦闘する
1.僕は1人なんだ……誰も信じられない……
2.ブチャラティたちを始末する……のか?
3. 鋼田一豊大の話を信じるか、つまり『吉良吉影』を信頼するかどうか?
4.ティッツァーノ、チョコラータ、ディアボロは組織の人間だろう
5.4に挙げた人物とは出来るだけ敵対したくない
6.空条承太郎達に警戒
7.西へ向かい政府公邸、もしくは線路に辿り着く

[備考]
※ 結局フーゴはチョコラータの名前を聞いていません
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
※ 地図を確認しました
※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました
※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※吉良吉廣のことを鋼田一吉廣だと思い込んでいます


【吉良吉廣】
[時間軸]:バイツァ・ダストのループ中
[状態]:健康、思い通りにならないフーゴにイラつき
[装備]:なし
[道具]:0?
[思考・状況]
基本行動方針:吉良吉影と共に優勝する
1.待ってろよ吉影!
2.フーゴを利用して敵対している相手を消していく


※吉良吉廣には三つの制限がかかっています
・自由に動き回る事ができない
・小物しか写真の中に入れることができない
・写真に写っている物を支配できない
制限の程度については後続の書き手さんにお任せします

※フーゴの支給品を掠め取って写真の中に隠している可能性があります
 その場合、その支給品はある程度小さい物です


454 :使者〜メッセンジャー〜 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/02(木) 12:58:16 ID:kt/MWs94
投下完了です
ペルラのDISCは消す事にしました
機会があれば出していきたいところです
また、指摘されたところの修正は行いましたが他に気になる点があれば指摘をお願いします


455 :創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 15:04:26 ID:mrxbkZ2d
投下乙です!

ペルラのDISCなくても十分に面白かったよ
ヨーヨーマッといいアヌビス神といい今回しゃべる支給品多いなwww

456 :創る名無しに見る名無し:2009/04/02(木) 23:05:30 ID:ktqpNrfT
投下乙ッ!!
写真の親父について言えば遂に出てきたか、って感じだな
楽しみにしてたから今後どう吉良を助けるか、あった時どういうリアクションをするか非常に気になるゥ!
フーゴも吉良を信頼したら信頼したで面白くなりそうだ
近くにグェスと花京院もいるしどうなることやら………

457 : ◆bAvEh6dTC. :2009/04/03(金) 15:27:05 ID:iTxf5B4D
ティッツァーノ・ヴェルサス
したらばに仮投下しました

指摘よろしくお願いします



458 :創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 17:44:51 ID:Pcaz1Fx5
なんだかんだでもう一年だな・・・
読み手しかできないけど、今年度もよろしく。

459 :創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 19:27:59 ID:hepeM0It
ようやくフーゴ動くか!?
おやじがこの先うまくやれるかに注目だな

>もう一年
まじかよ・・・時の流れが速すぎて泣きそうだ・・・

460 :創る名無しに見る名無し:2009/04/04(土) 19:52:29 ID:qF81DW6a
プッチ神父の新たなるスタンドが…

461 :男女 ◆bAvEh6dTC. :2009/04/05(日) 10:31:03 ID:v/ybXXsa
【ティッツァーノ、ドナテロ・ヴェルサス】投下します。

その死体には目が無かった。
いやきっと舌もそれどころか心臓や内臓すらあるのかどうか疑わしいとティッツァーノは思う。
なぜならティッツァーノの目の前に転がっている死体は、
数時間前にラバーソールという男が、内側からバリバリと食べてしまっていたからだ。
ティッツァーノがじっと死体を見つめていると、眼球があった所にできた穴をアリが出たり入ったりしているところだった。
人間の肉は柔らかくて齧りやすいのかもしれない。
そう思うとこの血と肉のすえついたような匂いも、なんとなく熟れ過ぎたフルーツの匂いに感じてくるから不思議だ。

そういえば仕事が終わったらスクアーロと一緒に食べようと思って、ドリアンを買っておいたんだっけ。
この暑さで腐っていないと良いのだけれど。
私がいなくなった今、スクアーロは一人で食べてるんだろうか?

なんでこんな事を考えたんだろう?
それは多分今の状況のせいだ。
ティッツァーノは腹部にのしかかる圧迫感で現実に引き戻された。

耳にかかるヴェルサスの吐息が生暖かい。
掴まれた腕もしびれてきたような気がする。
ティッツァーノはヴェルサスに掴まれたままの両腕に力を込め抗議の意思を伝えたが、
自分の上のヴェルサスはどいてくれる気配が無い。

今の状況を説明すると、ティッツァーノの頭は地面に押し付けられて、
目の前の死体と顔をつきあわせていて、体はヴェルサスの下にある。
まあ簡潔に言ってしまうとちょっとアレな表現になるが「押し倒されている」というわけである。

溜息をついてティッツァーノは唯一動かせる頭で上を見上げた。空はしだいに明るくなってきている。

一体二人に何があったというのだろう?
ナランチャがこの場にいたなら
「あれッ! 急に目にゴミが入った! 見えないぞッ二人なのかよくわからないぞッ!!
見てない! 俺は見てないぞなあーんにも見てないッ!」と叫びそうな状況なのか?
どうして死体の傍にいるのか?
どうしてティッツァーノは現実逃避をしているのか?
この死体はオコモエバだったのかオモエコバだったのか?オで始まってバで終わったのは覚えているのだが。
まあ、それはどうでもいいとして、


何故、二人がこんな事になったかという理由は時をさかのぼること少し前----

*     *     *      *       *

462 :男女 ◆bAvEh6dTC. :2009/04/05(日) 10:31:52 ID:v/ybXXsa
放送が流れてからのティッツァーノの行動は迅速だった。
テキパキと身支度を整え、傍らで参加者の名前にラインを引いていたヴェルサスに向けて声をかけた。

「ヴェルサス、こちらから仕掛けますよ。さきほどの放送で死亡したという26人、
 この人数が本当ならばかなりの数の人間がこのゲームに『乗った』ということ、
 ボヤボヤしてる暇はありません。一刻も早く行動しないと。」

「仕掛けるって・・・どーすんだよ。嘘をつかせる事しかできねえ能力のくせによぅ。」

まださきほどの喧嘩を引き摺っていたらしい、ヴェルサスの口調には棘があった。
その台詞にティッツァーノは眉をひそめたものの、
自分の手に出現させたトーキング・ヘッドを目の前のヴェルサスに突きつけた。

「嘘をつかせるだけ、というのは語弊ですね。私のスタンド能力は『嘘をつかせる』事ですが、
 スタンドは使いようによっては色んな使い方ができるんですよ。
 例えばこんな風に。」

そう言い終わるや否やティッツァーノは左手でヴェルサスの顔をガッ!と掴むと
右手に持ったトーキング・ヘッドをヴェルサスの口につっこんだ。

「ウボァーーーーーーーッ!? 何すんだお前!!!
 これって俺が嘘しかつけなくなるだけじゃないのか!? ってアレ?」

普通にしゃべることが出来る。

「違いますよ。すぐに着けたからといって嘘ばかりつくわけではありません。
 嘘をつかせる、つかせないは私の意志で決めれますから。」

なるほど、着けてすぐに能力が発動するわけではないらしい。
だからといって断りもなくスタンドを他人の口につっこむのは人としてどうなのか。
ヴェルサスはぶつぶつとつぶやいた。

(こいつ・・・それ言いたいがために俺の舌にスタンドつけたのかよ!
 ギャングってどいつもこいつもこんな無茶苦茶なやつばっかりなのか?)

ティッツァーノに聞こえないように言ったはずなのだが・・・

「しょうがないじゃないですか、こうでもしないと貴方は理解してくださらないでしょう?」

!?今のはティッツァーノに聞こえないはずである。口の動きでわかったのだろうか?
まさか・・・今度はティッツァーノに見えないように口元を手で隠すと小声で言ってみた。

(えーと、バーカ、バーカ、お前のスタンドどうみてもタコ)

「酷い事を言ってくれますね。それと一つ言っておくとタコは可愛いし美味しいですよ。
 イタリア人以外の方はなじみがないのかもしれませんが。」

やはり聞こえている。
と、いうことは?ヴェルサスはティッツァーノの顔と
自分の舌に装着されたままのトーキング・ヘッドを交互に見比べた後、はっと気付いた。

463 :男女 ◆bAvEh6dTC. :2009/04/05(日) 10:32:57 ID:v/ybXXsa

「ひょっとしてお前とスタンドが電話の子機と親機みたいな状態になってんのか」

「Exactly(正解です)、それとタコは煮るより生で食べる方が私は好きですね。」

返すティッツァーノにヴェルサスは舌にへばりついたトーキング・ヘッドを投げて返す。
あんまり長いこと口の中に入れておきたい物ではない。
ヴェルサスは床にペッペッと唾を吐いた、まだ口の中にぬめりが残ってるような気がする。

「タコから離れろよ・・・。
 お前のスタンドが嘘をつかす以外にも使い道があることはわかった、
 けどそれが俺達から仕掛ける事とはつながらねえだろ。どっちみち相手の舌に付けさせないと意味がないぜ?」

トーキング・ヘッドをキャッチしたティッツァーノは頷くと。

「ええ、そこで問題なんですけど・・・。さっきから私達の足元に散らばってるコレ、一体なんだと思いますか?」

先生が生徒に数学の問題をたずねるような口ぶりである。
間違ったら「このド低脳がー!!」とか言われてフォークで刺されてしまうのだろうか。
それは置いといてヴェルサスは足元に目を向けた、
風にあおられて飛んできたのだろうか焦げた様な跡もあり、所々凹んでいた。
見回すと同じ物があちこちに散乱していた、中には木に突き刺さってブスブスと煙を上げているものまである。

「こいつは・・・チップだな。カジノとかで使われてる。
 ・・・あー、わかったつまりお前はこう言いたいわけだ」

一呼吸置いて続ける。

「このチップは誰かさんの支給品で、紙を開けたはいいけれど使えねえから捨てたんだろ。
 んでもってこのチップの状態からすると、ついさっきこの辺で戦闘があったのは確実で
 しかもこの惨状だと誰か一人は死んでいる可能性が高い。」

「で、ティッツァーノは死んだ奴の基本支給品の水にトーキング・ヘッドを仕込みたいわけだ、
 他の奴が通りかかったら水と食料を奪ってゆくのは目に見えてるだろうからな。」

「俺達は物陰にでも隠れて、水を飲んだ奴がしゃべる言葉をスタンド越しに盗聴する。
 仲間にしていい奴かどうか判断できるし、危険そうな奴なら泳がせて情報を得られる。
 違うか?」

パチパチと拍手が聞こえてくる。ティッツァーノは微笑んでいた、正解らしい。

「すごいですよヴェルサス。」

「百点中何点だ?」

「200点くらいあげたいですね。察しの良い方は好きですよ。」

そんな風に微笑まれるとさっきの暴行もなんとなく許してもいいかなあと思えてしまう。
顔の良い人間の笑顔には、気分を沈静化させる効果でもあるのかもしれない。
ヴェルサスは頭をかくとティッツァーノに言う。

「そこまでわかってんなよぅ、早く行こうぜ。死体があるかどうかもわからねえし、もしあったとしても
 他の参加者が来ちまってるかもしれねえ。」
 


*     *     *      *       *

464 :男女 ◆bAvEh6dTC. :2009/04/05(日) 10:34:29 ID:v/ybXXsa
結論からいうと死体はすぐに見つかった。
爆風で飛んできたチップをたどって、いくらかしないうちに異様な匂いがただよってきたからである。
熟れ過ぎた果実の様な匂い。
人間の血と肉の匂いが。

「うへぇ・・・。」

おもわずヴェルサスはつぶやいた。
今、自分の目の前では黄色いスライムが虫の触角の様な帽子をかぶった男性を
内側からむさぼりくらってる最中だった。
B級スプラッター映画の様な光景を間近で見てしまいおもわず後ずさる。
これからしばらくプリンとか食べれなくなりそうだ。

「もういい十分だ・・・・、やめろアンダー・ワールド。」

自分のスタンドに「再現」を停止させるように命令した。同時に男の体をむさぼり食らっていたスライムも消える。
こういう死に方だけはしたくは無いものだとヴェルサスは思う。
こんなわけわからんゲームに巻き込まれた末路がコレとか嫌すぎる。

「あとでゆっくり回収するつもりだったんでしょうね。おかげでわたしの水を使わずにすむようです。」

ティッツァーノが戻ってきた。手にはバッグをさげている、お目当ての物は見つかったようだ。
死体の横にぼすっという音を立ててバッグが置かれた。
このバッグのありかもアンダー・ワールドで探したのである、元々はこの死体の物だったらしい。
安全な場所にバッグと馬を置いて二人の参加者を始末しようとしたが逆に返り討ちにあった・・・。
それがアンダー・ワールドで再現した事実であった。間抜けな話である。

ヴェルサスはティッツァーノに「再生」でわかった事実を伝える。

「こいつを殺したのはラバーソールって野郎だ、スタンド名は『イエロー・テンパランス』
 どんなやつにでも変身できる上に攻撃を吸収しちまうやっかいな能力だ、
 思いっきりこのゲームに乗ってるっぽいから要注意だな。
 それともう一人、ジョースケっていう男がいたんだが放送で死んだって言われてたから
 ラバーソールを追いかけてって殺されたんだろうよ。チップはこいつの持ち物だったみたいだな。
ところで、ティッツァーノの方こそ「仕掛け」は終わったのかよ?」

「ばっちりですよ。
 ゲームに乗った参加者がいるとわかったのは行幸です。ラバーソールという名前でしたか?
 どんな人間にでも変身できる能力、貴方の言うとおりやっかいですね
 何か合図でも作っておきますか?私達に変身するということも考えられますし。」

そう言いながらもティッツァーノの手は臆する事無く死体を検分し始めている。
なにか使えるものがないか探しているらしい。

「お前・・・よくそんな気持ち悪い死体さわれんなあ・・・。」

「そうですか?組織にいた時はもっと凄い死体をあつかってましたよ、最近だったら輪切りの死体とか、
 切断面がとても綺麗でしてね、血管から骨髄までくっきりと」

「もういい・・・、わかったから続けんな。」

ティッツァーノは頭を振りながら死体の傍から立ち上がった。
何もみつけられなかったらしい。

465 :男女 ◆bAvEh6dTC. :2009/04/05(日) 10:35:36 ID:v/ybXXsa
「とはいえ、同じ男といえども同情しますよ。こんな殺し合いに巻き込まれた末路がこれではね。」

「・・・・・・・・。」

ティッツァーノもヴェルサスと同じ感想を持ったようだ。

「そうそう、もうひとつ報告しておくことがあります。このバッグをみつけた民家で調べたのですが
 水道が使えなくなっているようです、残り少ない食糧品と水を参加者が奪いあうことも予想しているのでしょうね。
 下衆な話です。」

「・・・・・・・・。」

「そこで我々が一番にすべきことは水の確保。死体の水と食料は仕掛けのせいで持ち運べませんからね。
 なのでこれから北の、地図でいうとE−5、繁華街があるあたりにむかいます。」

「・・・・・・・・。」

「隠れるには最適の場所でしょうし、ひょっとすると食糧や水も残ってるかもしれません
 もしなくても武器になりそうな物はここで見つけれる可能性が高いです。ここにとどまるよりましでしょう?」

「・・・・・・・・。」

「というプランなんですけどヴェルサスはどう思いますか、って聞いてますか?」

「・・・・・・・・。」

どうしたのだろう?さっきからヴェルサスは沈黙したまま答えない。表情も逆光でわかりにくい。
その様子をいぶかしんだティッツァーノはヴェルサスに近づいてゆき

「どうかしました? ヴェルサ」

ス。と言い終わらないうちにティッツァーノの視点はぐるんっと半転した。
ヴェルサスに地面に叩きつけられたのだと頭が理解する前に背中に激痛が走る。

隙を見せた自分が悪いというのは良くわかっている。
幸せになりたいとあれだけ力説していたヴェルサスである、
どんなことをしてでもこの殺し合いから脱出したいという気持ちは人一倍強いはずだ。
自分を蹴落としてゲームに勝利するという事も考えておくべきだった!

ティッツァーノが激痛から意識を回復させているうちに、
両手はがっちりとヴェルサスの手で地面に押し付けられていた。
こうなると完全にマウントポジションを取られた形になる。
この状況でスタンドでも出されれば、ひとたまりもないだろう。ティッツァーノのは覚悟を決めた。
こうなったら相打ちでもいい、ヴェルサスがスタンドを出した瞬間を狙って顎の下をカウンターで殴りつける!

自分だってギャングのはしくれである、マウントポジションを取られてしまったのはキツいが、
素人相手に殴り合いで負ける事はないだろう。脳震盪ぐらいはおこさせる自信はある。


466 :男女 ◆bAvEh6dTC. :2009/04/05(日) 10:37:12 ID:v/ybXXsa

ところが、来るなら来やがれというティッツァーノの覚悟を余所に、
対するヴェルサスは何かを仕掛けるそぶりも見せなければスタンドを出す気配すらない。

(どうした・・・? 来ないのか・・・?)

ティッツァーノはおそるおそる顔を上げてみた。
あいかわらず表情は逆光で見てとれないが、ヴェルサスの口は何かを言いたげにパクパクと開閉している。

「お・・・おっ・・・!」
 
「お?」

なんだろう、心なしかヴェルサスは涙目になってる気がする。

次の瞬間ヴェルサスは声よ枯れよ地よ叫べとばかりに絶叫した。





「男だったのかよお前えええええええええええええええ!!!!!」

「そっちっ!?」

【G-4オエコモバ の死体の傍/一日目 早朝】

【あてのないブラザーズ】



467 :男女 ◆bAvEh6dTC. :2009/04/05(日) 10:37:52 ID:v/ybXXsa
【ドナテロ・ヴェルサス】
【時間軸】:ウェザー・リポートのDISCを投げる直前
【状態】 :軽いストレス、荒木に怒り、ショック受けてます(立ち直れるレベル)
【スタンド】:アンダー・ワールド
【装備】 :テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、基本支給品
【思考・状況】
基本行動方針:絶対に死にたくない。
0.俺のトキメキを返せ(泣)
1.どんな事してでも生き残って、幸せを得る。
2.『トーキング・ヘッド』で仲間にできそうな人物か判断する。
3.プッチ神父にったら、一泡吹かせてやりたい。
4.この先不安…
5.ティッツァーノムカつ・・・えっ!?
【備考】
※ティッツァーノの『トーキング・ヘッド』の能力を知りました。
※ティッツァーノ以外のマフィアについてはまだ聞いていません。
※荒木のスタンドを「物体をコピーする」能力だと思っています。
※荒木の能力により『アンダー・ワールド』には次の2点の制限がかかっています。
 ・ゲーム開始以降の記憶しか掘ることはできません。
 ・掘れるのはその場で起こった記憶だけです。離れた場所から掘り起こすことはできません。
※『アンダー・ワールド』でスタンドを再現することはできません。
※ラバーソールの『イエロー・テンパランス』の能力と容姿を知りました。

【ティッツァーノ】
【時間軸】:ナランチャのエアロスミスの弾丸を受けて、死ぬ直前。
【状態】 :健康、軽いストレス、背中に痛み、現実逃避中(立ち直れるレベル)。
【スタンド】:トーキング・ヘッド
【装備】 :ブラックモアの傘、岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)、基本支給品
【思考・状況】
基本行動方針:生きて町から出る。
0.今ままで何だと思ってたんだ・・・ 。
1.アラキを倒し、生きて町から出る。
2.『トーキング・ヘッド』で仲間にできそうな人物か判断する。
3.この名簿は一体?なぜ自分はここに呼ばれたんだ……?
4. この先不安…
5. ヴェルサスムカつ・・・えっ!?
【備考】
※ヴェルサスの『アンダー・ワールド』の能力を知りました。
※ヴェルサスの知り合いについてはまだ聞いていません。
※荒木のスタンドを「物体をコピーする」能力だと思っています。
※ラバーソールの『イエロー・テンパランス』の能力と容姿を知りました 。
※トーキング・ヘッドを操作できる射程距離に制限がかかってる可能性がありますが、
 本人は気づいてないようです。(ちなみに原作の射程距離はB)

※G−5のオエコモバ の死体の傍に『トーキング・ヘッド』入りの水がバッグに入った状態で放置されています。
※二人はしばらくするとE−5に向かいます。


468 : ◆bAvEh6dTC. :2009/04/05(日) 10:48:04 ID:v/ybXXsa
投下完了しました。

トラップをしかける話を書きたかったのに
なんか不必要に話がのびてしまった・・・文才のある人がうらやましい。

したらばで指摘をうけた部分は修正しましたが
他に気になる所があれば指摘をお願いします。

後、「押し倒す」って表現が女性向きだから自重!って指摘して下さった方がいましたが
三行状態表見てたらどうしても書きたくなったんです、すみませんorz



469 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 09:45:33 ID:nPG7lTtH
投下乙。他ロワではよくある(?)恋愛要素がついにジョジョにも出てきたってとこだなw
話が進むわけでないけど(と言うと失礼だが)こういう話があってもいいと思うよ俺は。
問題は次にこの2人を書く書き手さんだなw

470 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 10:16:09 ID:schz6YWY
同性愛はいかんぞ!非生産的な!

471 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 10:27:48 ID:MB1eWc9y
花京院とグェスも忘れないであげてください

472 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 11:59:41 ID:Ixca+huy
ゲイはリンゴォ襲った奴だけで充分だっ!

473 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 13:11:10 ID:6jIgDS3K
1stジョジョロワにも恋愛要素はあったよ!と言ってみる
でもシーザーもトリッシュも死んだからなぁ…
ロワでは恋愛と書いて死亡フラグと読む。
というわけで花京院頑張れ超頑張れ



474 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 18:29:19 ID:KCGIOjlm
シーザーは死んじゃいねえぇぇーーーーーー!!

475 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 19:09:18 ID:6jIgDS3K
>>479
前回のシーザーとトリッシュの事だろ、あれもいい感じだった

死んでからもネタにされるオエなんとかに合掌。
水を拾うのはマーダー連合あたりか?

476 : ◆em4fuDEyHM :2009/04/07(火) 20:03:59 ID:+F8c26xE
投下乙です!
ヴェルサス、あわよくば死ぬまで気づかなかったのかな?w
2人きりでこのまま第二回放送までいったりして……

自分も投下します。

477 :イエスタディを聴きながら ◆em4fuDEyHM :2009/04/07(火) 20:04:55 ID:+F8c26xE
電車はゆくよどこまでも。線路はF-8で土に潜りガタンゴトン。
大きく曲がって西にガタン。穴の中を進んでゴトン。

「つ、つ、つ、次の駅で降りるですってー!?」

オーバーなアクションにディアボロは身体を浮かせる。
ジョセフは一瞬気を取られるも、すぐに車内にある路線図に視線を戻した。
2人はこの地下鉄が、音石明にとって命の次に大事な電気のたまり場であることを知らない。

「いいか仗助君。この列車はF-8で地下に入り、I-4で地上に出るタイプ。この案内表からもわかる。
 では……さっき通ったあのホームはなんじゃ。アナウンスは『G-6・食屍鬼街(オウガーストリート)駅』だったかのう?」

ジョセフは窓際にある路線図をバシィィーッと叩いた。

「次に降りるのは『H-5・ポンペイ遺跡駅』と書かれている。ワシらはここを調べる。
 ワシは昔イタリアに行ったこともあるからの。ポンペイ遺跡のほうが親しみやすい」
「――前の駅を無視したのはそのためか? 最初にあったサンジョルジョ教会……その存在に」

言葉を遮るかのように手を挙げながら、ディアボロが広げた地図を出す。
ジョセフは地図に記されたサンジョルジョ・マジョーレ教会を指差した。

「ワシらが最初に会ったサンジョルジョは、確かイタリアの名所じゃあないかのう。
 ツギハギに名所が書かれている地図の意味を知る上では、同じくイタリア名所のポンペイ遺跡がいい」
「そ、それくらいの調査だったら承太郎……さんも実行してるんじゃないッスか?」
「君は列車に乗らない限り、H-5に地下の駅があるとは考えんなかったじゃろう?
 ワシらは最初の駅のホームでこの事実を知った。この列車に乗ったのはワシらが最初ではないか?」

落ち着いて答える大人の対応に、音石の足がすくむ。
せっかく手に入った電車を手放すわけにはいかなかった。
しかし一人になる恐怖もあった。ジョセフ・ジョースターの探知をかいくぐった謎の攻撃。
直接攻撃を受けたジョセフが電車を降りようと考えるのは至極あたりまえのこと。
そして東方仗助と偽っている身ならば、同伴して降りるのが筋。

「H-3のサンタ・ルチア駅から先にも地下の駅はある。どうかな。地下の駅は……地上に繋がっているとは考えられんか」
「わざわざ調査してどうする?駅に誰かが待ち伏せしている危険性が大きいだろう」
「ポンペイ遺跡に地下鉄の入り口を探そうとする奴はいまいて。仮に見つけたとしても普通ならば!
 疑うじゃろう? スタンド攻撃の可能性を。有り得ない場所に有り得ない物があるゆえに。
 それに危険に晒されるのは駅で待つ側も一緒じゃろう。真っ暗闇の線路以外に逃げ場がない。
 自分に相当の自信をタップリ持つ奴か、身のほど知らずの阿呆でなければ近づかん。
 『食屍鬼街(オウガーストリート)駅』か『ポンペイ遺跡駅』の入り口を見つけても、用心深いやつは入ってこないじゃろう」
「……それを地下鉄の入り口と考えていたならな」
「ディアボロ君、ビビッてもしょうがない。電車にこのまま乗っていても、トラブルは起こるぞ。ワシの傷のように」

流れるように作戦会議を立てる2人に、音石の頭がパーンとはじけそうになる。
ジョセフのスタンドは想像していたほど脅威ではなかったが、探知能力はやはり魅力的だ(一抹の不安はあるが)。
生存を最優先するのであれば、彼らと別行動をとるのも気が乗らなかった。

『――まもなく〜ポンペイ遺跡〜ポンペイ遺跡〜。お降りの際は足元に注意してください……』

時計の針がいよいよ朝の6時を指そうとした時、列車が駅に到着する。
列車内から見える駅のホームはやや明るいが、電気が充分に通っているのかどうか判断しづらい。

「そういえばもうすぐ第一回目の放送じゃな。放送か?流れるのか? こんな地下にも、という意味じゃが」

ジョセフの何気ない一言は、列車の騒音に溶け込んでいた。
いや――……溶け込んでいなかったとしても、耳に入っていただろうか。
自分の事で頭が一杯になっていた音石明と、『彼』を見ていたディアボロには。


478 :イエスタディを聴きながら ◆em4fuDEyHM :2009/04/07(火) 20:06:55 ID:+F8c26xE
* * *

『スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』

ジョセフ・ジョースター達が乗っている電車はATC、いわゆる自動運転になっている。
数分間の停車、出発は完璧にコントロールされており、停車位置のブレも制御されている。
遮蔽物に衝突しても、本体が破壊されない限り進み続けるだろう。

『ウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』

そんな列車の側面に刃を走らせる。レコードの上を滑らかに走る蓄音機の針のように。
例えば、街で沢山の女を囲う、ジゴロが乗っているピカピカのスポーツカーの扉に、十円玉を走らせるように。
着かない。傷が。一本のなだらかな直線が走ることはない。普通は。丈夫だから。

『ウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』

傷がつくとしたら、刃を変えてみてはどうだろうか。持ち手を強靭にしてみてはどうか。
チェーンソーのように一秒間で何千回と回転し、その速さゆえに光輝いてみえるような刃。
ロードローラーくらいなら片手で軽く持ち上げてしまう化け物。
この組み合わせならおそらく可能だろう。事実、可能だったのだ。

『〜〜……ッッパァァァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』

柱の男・カーズは、己の腕に生える巨大な刃で電車を横一文字にかっサバいたのだ。
輝彩滑刀(きさいかっとう)――光り輝くカーズの刀。
駅のホームの端に立っていたカーズは、ひょこっと刃を出して待っていた。
列車が勝手に彼の刃に構わず猛進するので、カーズはそこから一歩も動いていない。

「線路を歩いていたらこの休憩所にたどり着いた。そこへ大型トロッコが来ただけのこと。
 強度はいただけないが、形は崩れずこのまま状態を保っている。耐久力はあるようだな」

トロッコよりは遥かに進化した地下鉄に、カーズの好奇心はくすぐられたようだ。
車両の壁に耳を当てて、ゆっくり物音を拾う。彼の耳は家の中にいる人の数もわかるほど精妙なのだ。

「『隠者の紫』AND 『波紋』ッ!! 」

ゆえにカーズは列車から素早く離れようとした。聞こえる波長は、彼が最も憎むものだったからだ。
だがカーズの左腕は、車内から伸びる紫色のイバラに絡め取られ、そのまま車内に引っ張られてしまった。
そしてイバラから流される電流のような痺れ。忘れもしない太陽のエネルギー。

「MU……MUOOOOOOOOO!! なんのこれしきィ! これしきィ!! 」

迷わず左腕を右手で切り落とし、カーズは受身をとって横転する。
ちぎれた左腕はブクブクと沸騰しながら骨を残して蒸発してしまった。

「助かったよディアボロ君。君がいなかったら、ワシらはうめき声を立てる間もなく死んでおったわ。
 壁と一緒に首をスッパリ切られておった。反対の座席にいた大人2人をどうやって助けたのかは、あえて聞くまい」
「俺はお前達を助けた。お前は俺にカリが1つできた。それだけだ。……そしてもう1つ。お前はカリを作る」
「ワシは今のままでも充分感謝しておるがッ! ……そこで腰を抜かしておるワシのドラ息子を頼む」

カーズは3人組の男たちの顔を知らなかった。
しかし彼らは――少なくとも1人はこちらに喧嘩を吹っかけてきた。
電車の恨み……ではない。カーズの左腕を溶かせる術はこの世でただ1つ。忌まわしきライバルの技術。
カーズ一派と古代から戦い続ける戦闘民族の必殺技、波紋。筋骨隆々な老人は波紋使いである。それは敵である。

「ジョセフ、コイツはお前の言う『自分に相当の自信タップリな奴』なのか? 」
「ああ。そして『用心深い』……最悪のケースじゃ」


479 :イエスタディを聴きながら ◆em4fuDEyHM :2009/04/07(火) 20:10:36 ID:+F8c26xE
* * *

電車が停車して何分たったのか、ディアボロは時間を計るのを忘れていたことに気がついた。

(襲ってくるのならば容赦はしない……と気張り過ぎたな。このディアボロとしたことが)

電車の先頭付近の床に気絶している音石明を寝せ、ディアボロは運転席を覗く。
電車から駅へと逃げようとはしなかった。
大の男を担いで駅の構内を走り回るのは馬鹿馬鹿しいと思っていた。
どこにあるかわからない出口を探すよりは、ルートのわかっている地下鉄にいたほうがよいと考えていた。

(俺はあくまで列車内にいる謎を優先する。ジョセフに怪我を負わせた謎の解明)

しかしディアボロ、本音は恐怖していた。
恐怖。いつどこから死がやってくるのかわからない恐怖。
その恐怖が襲ってくる可能性を、彼は列車内という最小限の範囲に留めたのだ。
どうせ襲ってくるのならば、全貌のわからぬ食屍鬼街(オウガーストリート)駅よりは、狭い車両。
野原にいるネズミよりも袋のネズミのほうが、猫を噛み易いと理解していた。

(あのネアポリス駅とこの駅の停車時間は……同じ15分前後なのか? この駅の時刻表が知りたいな。
 まあ規則正しく運行する電車など世界でもJAPANぐらいだが、いきなり動き出されるのも面倒だ)

チラリと駅の構内で戦っているジョセフを見やる。
抜き差しならない状況――まるで西部のガンマンの決闘のように。
少し小競り合いをしたかと思うと、しっかりと距離を取って互いを探り合っている。
ディアボロにわかるのは、彼らがお互いの手の内をわかっているということ。
少なくともジョセフはあの男を知っており、あの男も迷うことなく最初の標的をジョセフにした。

(……『聞』こえなかったのか。 ジョセフ・ジョースターは、放送を。それとも『聴』こうとしなかったのか)

ディアボロは支給されていた名簿にペンを走らせる。
キュ、と擦れた音を立てながらインクは名前を塗りつぶす。
現在時刻、朝の6時過ぎ。第一回放送は既に終了していた。
ディアボロは、黙々と戦うジョセフ・ジョースターに少し同情した。

「東方仗助、なぜ貴様が生きている。始末されたはずだ……この世界の誰かに」

音石明は、首根っこをキング・クリムゾンに掴まれている。
血のめぐりが悪くなったせいで、顔面は蒼白になっていた。

「我がキング・クリムゾンに抵抗は無駄だ。逆らえばあの包帯男にお前を差し出す」
「ジョセフを、攻撃したのは、俺じゃ、な、い」
「それはさっき聞いた。俺が聞きたいのは――」

480 :イエスタディを聴きながら ◆em4fuDEyHM :2009/04/07(火) 20:12:24 ID:+F8c26xE
*  *  *

「波紋使いッ! 俺のことを知っているなッ! 」

ジョセフ・ジョースターは妻を愛していた。
朝は傘でたたき起こされ、昼はキスの代わりにビンタを受け、夜はTボーンステーキを焦がされる。
お抱えのSP、運転手、娘に笑われながら過ごす平凡な日常を彼は30年以上続けた。
年を取らない波紋の呼吸も、妻のために止めた。妻は波紋を使えなかったから。
娘がトラブルに巻き込まれたら、海外だろうと飛んでいった。大事な一人娘だったから。

「そして時間稼ぎをしているな……フフ、図星だろう。あの乗り物が走り出すまでの時間をな。
 仲間を逃がすために、このカーズの足止め役を貴様は引き受けたのだ」
 
ジョセフ・ジョースターは家族を愛していた。
厳しい祖母、毅然とした母親に尊敬の念を払うことを忘れていなかった。
彼女たちの血を受け継いでいることをジョセフは本気で誇りに思っていたし、喜んでいた。
だから若い頃にやっていた悪事、いわゆる黒歴史は今でもするべきじゃなかったと後悔していた。
彼女たちのような気高さをあのときの自分は履き違えていたからだ。

「……と、私が思っているとでも、思っているのか? ハハハ老いぼれめ。このカーズも舐められたものだ」

ジョセフ・ジョースターは仲間を愛していた。
年も国も境遇もまるで違う相手と、信頼という絆で共闘した。
付き合う時間の長短を越えて繋がった仲間たちのことを考えると、奮えが止まらない。

「貴様の後ろにある乗り物……金属で出来ている。その箱のようなフォルムに波紋を流したら……。
 油溜まりに広がる火のように、一瞬で全体に行き渡るだろう。そんな物にッ!
 このカーズがうっかり触れてしまったらッ! ど・う・な・る・か・なあ〜〜!? 」

大きく声を張り上げて列車に接近するカーズ。

「老いぼれジジイ……貴様は待っているのだよ。このカーズがムキになって、乗り物に乗ろうとするのをな。
 あの乗り物に閉じ込められてしまったら、私は波紋が流れる袋に入れられたネズミだ」

カーズの懐から支給品のエニグマの紙が宙を舞って開く。

「そこで1つ思いついたぞッ! 私はこの容器をこの場で破壊してみようッ!
 老いぼれ、お前はどこまで持ちこたえる事が出来るかなッ!? 」

カーズの両手にずらりと並んだ小瓶がドクロのマークを見せ付ける。
遠投選手のように身を捻らせて、放り投げられたそれ――『ディ・ス・コの劇薬×5』がジョセフの足下で爆ぜる。

「……隠者の紫ッ!」

強烈な突沸と異臭を放つ気体の化学反応。
ジョセフはその煽りを受けまいと、隠者の紫をロープ代わりにし、列車の上に登る。
カーズは知っていた。自分は波紋に弱いが、人間にも弱いものはあると。
柱の男にはなんでもないような薬品が、人間には中毒を起こすことがあるということを。
換気の悪い地下ならばひとたまりもない。

「フフフ……乗ったな。さぁ尻尾を巻いて逃げるがいい。私はあ・え・て・貴様らを逃がすのだ。
 今殺す必要はないッ! 夜になれば堂々と殺せるのだからなああああああああああああッ!!」

しかしこのとき、カーズに電流が流れる。


481 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 20:24:03 ID:KlJDOkMe


482 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 21:11:29 ID:Rl/vGggI
 

483 :代理:2009/04/07(火) 21:18:34 ID:Rl/vGggI
「HAHAHAHAHAHA……はっ!? 」

そして――身体を大きく痙攣させた。

「UKAKAAKAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

数ある送電線の一本が切断され、カーズがぶちまけた薬品の溜まりに飛び込んで電流を流していた。
カーズは地下鉄の仕組みを知らなかった。
地下鉄は電力を地下道の天井にある送電線から受け取っていることを。地下鉄の車輪はゴムタイヤであることを。
ジョセフは地下鉄を知っていた。自分の経験と音石明を加味した知識を利用したのだ。

(そうじゃ。追いつかれようが追いつかれまいが、ワシらはここから脱出すればいいだけじゃよ。
 どうせこの列車はいずれ地上に出る。カーズ、貴様は地上に出れん……最初からこちらが優位だったのじゃ)

ひょこっと列車の上から顔を出したジョセフが悠々とホームに飛び移る。
そして列車の中から車両全体に波紋を流し、外にいるカーズの悪あがきを予防する。
盛大な漏電とともにカーズの叫び声が構内に響き渡る。直接死には至らないとしても、足止めにはなっただろう。
事実カーズはホームの上で転げ回り、ジョセフの座席から見える場所で地面を舐めた。

「……だが薬品は少しキツい。目と鼻が痺れてたまらんわい。洗うための水が欲しいのお」
「お、の、れぇ……何故、私が負傷せねばならんのだァ……この程度の電気で……」

ジョセフの勝利を祝福するかのように、発車のベルが鳴り響く。

「お前は“貴様のような老いぼれに、このカーズが ”という」
「貴様のような老いぼれにこのカーズが……ハッ!」
「そしてこのやり取りから、“まさか貴様はジョセフ・ジョースターなのかッ!?”と思いつく」
「まさか貴様はジョセフ・ジョースターなのかッ!?……GUOOOOOOOOOOOOOOOO!」


ジョセフたちを乗せた車両は、ポンペイ遺跡の駅を後にした。
取り残された柱の男は、信じられない邂逅に、衝撃を受けていた。


【H-5  地下鉄・ポンペイ遺跡駅構内/1日目 日中】
【カーズ】
[時間軸]:リサリサとJOJOにワムウと自分との一騎打ちを望まれた直後
[能力]:柱の男、『輝彩滑刀の流法』
[状態]:全身に裂傷、左ヒジから左手にかけて損失、全身にダメージ(中)、疲労と頭痛と吐き気(中)、痺れ
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、輸血パック(残量0ml)、首輪、 不明支給品0〜2(未確認)、
[思考・状況]基本行動方針:荒木を殺して力を奪う、スーパーエイジャを手に入れる
1.ジョセフ・ジョースターの姿に疑問。いずれ復讐をする。
2.首輪解析のためにたくさんのサンプルを集める。特に首の配線があるであろう、吸血鬼が一匹欲しい。
3.地下通路や首輪について考察し、荒木の目的を突き止める。
4.エイジャの赤石を手に入れる。
5.月が真上に上がった時(真夜中・第四回放送時)にジョースター邸に赴く
6.荒木について情報を集める。
7.エシディシ、サンタナと合流する。
[備考]
※血を吸った際の回復力に制限がかけられています。
※ワムウと情報交換しました。
※カーズとワムウがマンホールに入った地点はH-7です。
※心臓にもなにか埋め込まれてるのではないかと考えています。
※地下鉄はある程度周りの下水道や空気供給官なとと繋がっているようです。(イギーVSペットショップのような感じ)

『ディ・ス・コの劇薬×5』
SBRのディ・ス・コがジャイロ戦で使った薬品。危険物。
全て消費されました。J・ガイルのラス1の支給品でした。

484 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 21:20:10 ID:Rl/vGggI
* * *

ガタンゴトンと列車は進む。大きくうねった地下線路。
列車はもうすぐサンタ・ルチアに到着する。

「ムッ!?」
「俺だ。ディアボロだ」

カーズを振り払ったジョセフをディアボロを尋ねたのは、大分たってからだった。
ジョセフは列車内で受けた謎の攻撃を警戒し、隠者の紫で周囲を警戒していた。
しかし目と鼻が薬品の炎症で正常に働かないので、彼はディアボロにも警戒してしまったのだ。

「すまんのうディアボロ君。目と鼻が利かないものでな。もうすぐ地上じゃ。
 次のサンタ・ルチア駅についたら、顔を洗う時間をくれんかのう」
「……放送は、聞いたのか」

ディアボロは躊躇なく、ジョセフが放送をちゃんと聞いているかどうか事実確認をする。
ジョセフは返事をしなかった。つまり、放送を彼はしっかりと聞いていたのだ。

「ハッハッハ! すまんな。ワシとしたことが、してやられたわい!! 」
「まんまとな」
「ちょいとばかし、あの東方仗助にお灸を据えてやらんとな! あの若者は何者なんじゃ?」
「お前に話すことは何もない」

ディアボロの予想だにしない返答に、ジョセフの顔が曇る。

「言っただろう? お前は借りを作ったと。これがその“返し”だ。あの男は最低のゲスだが使い道はある。
 ……お前はあの男を追い払ったことで随分とご満悦のようだがな、ボケているぞ。
 送電線をショートさせて地下鉄が走るとでも思っているのか? 安全装置が働くだろ常識的に考えて。
 なんとか復旧したから良かったものの、正気じゃないぞ。それとも列車を捨てても勝算があったのか? 」

ディアボロは珍しく饒舌になっていたが、彼は彼なりに行動していた。
ジョセフに『最悪のケース』と言わしめる敵が現れたのだから、逃げるに越したことはないのだ。
だから彼は音石明がおそらく日本人(東方仗助と名乗るくらいなのだから)と推測し、地下鉄の操作を聞いたのだ。
首根っこを掴まれた音石は、恐怖に縛られながらも、列車のATCを解除しようと必死だった。
そんな時起きた、一時的な停電。ジョセフがカーズを電線に衝突させてショートさせたからだ。

「勝算があったのなら、今すぐ列車を降りてしまえ……お前がやっているのはそういうことだ」

音石はパニックになりレッド・ホット・チリ・ペッパーを発動。
強制的に列車の電気回路やコントロールシステムに無理やり電気を流し、列車を発車させたのだ。
切断された電線はチリ・ペッパーが再び結びなおしたことで、機能を正常に戻していた。
もちろんディアボロはこの事実をジョセフに話すつもりはない。
ディアボロは危険を嫌う。
いくら頼りになるとしても無茶をするジョセフより、恐怖に縛られれば忠実に動く音石のほうがマシであった。

「列車は……無事なのかのう? 」
「強がりはやめろと言ってるんだ。年寄りの冷や水だぞ。身内の生死がお前を弱くしている」

いつものワシじゃない――ジョセフの心は、やはり疲弊していた。
スージー、リサリサ、ストレイツォ、アヴドゥル、東方仗助。
さぁ泣けと言われて泣くやつはいない。放送で伝えられる無機質な知らせに、実感は少ない。
ひょっとしたら嘘ではないか、と思いたくなるのが普通だ。直接見ていないのだから。

485 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 21:20:50 ID:Rl/vGggI
「ワシは強いままじゃよ」

ジョセフは力なく項垂れた。

「ただ……後悔はやってくる。この世界で敵と戦ったり、誰かと会話したり」

そこには歴戦の戦士の姿はなく、ただの老いぼれ爺だけが座り込んでいた。

「荒木を倒して元の世界に帰った後も同じじゃ。妻のコップを洗ったり、古い写真を見たり。
 日記を見直したり……そんな時にふと、ワシは泣いてると思う。ワシは死ぬまでそれを続けるんじゃ」

ディアボロには、ジョセフが急に何歳も年を取ったようにみえた。
あっという間に色々な物を失った人間。ギャングの世界では飽きるほど見てきた姿。
ディアボロには身内を思う感情が理解できなかった。
恋はすれど、最終的に大事なのは自分自身だ。彼の失望感は人というよりは“栄光”や“利益”の損失からくる。

「娘がいると言っていたな。お前はどうしていた? この世界に娘も来ていたら……もし死んでいたら」

だからディアボロは実の娘、トリッシュ・ウナがこの世界で死んだことに、何の憂いもなかった。
直接この手で始末したかったという悔いはあるものの、それ以上の思いはなかった。
同じ娘を持つ身として、ディアボロはジョセフに質問していた。彼を試すために。

(親しい者の死に直面して、今後どうするのか。それによっては……ジョセフ、お前を――)

ジョセフが返事をしないまま、列車はサンタ・ルチア駅に向かう。



【H-4 電車内/1日目 朝〜日中】
【チキン三羽〜子持ちのおっさんコンビと音楽家〜】
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:健康。だけど目が死んでる。強い恐怖
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:とにかく生き残り平穏な生活を送る。
1.ジョルノには絶対殺されたくない。普通に死ねるならそれでもいいや。苦しまないように殺して欲しい。
2.自分の顔と過去の二つを知っている人物は始末する。ボロは絶対に出さない。
3.とりあえずはジョセフに協力。でもジョセフのへたれ具合によって対応を変える。捨て駒も視野に。
4.チョコラータ、電車内の謎の攻撃、謎の男(カーズ)怖いよ、キモイよ……
5.ジョルノや暗殺チーム、チョコラータとジョセフ達を上手く敵対させたい。ぼろが出そうだから怖いけど……

[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りましたが、ジョセフに話すつもりはありません。それを取引に協力させたようです。

486 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 21:21:32 ID:Rl/vGggI
【ジョセフ・ジョースター】
[時間軸]:DIO討伐後、日本に帰る飛行機の中。
[状態]:健康。胸に浅い傷(止血済) 目と鼻につらい炎症(失明はしない程度)。深い悲しみ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:必ず生きて脱出する。打倒アラキ!
0.深い悲しみ。立ち直れそうで立ち直れない。
1.承太郎、花京院辺りと合流して自分の推測について話し合いたい。
2.ジョージ、ジョナサン、ツェペリ、エリナ、スピードワゴン、徐倫は見つけ次第保護する。
3.殺し合いに乗っていない参加者達も護る。或いは協力。機械に詳しい人間がいたら首輪の内部構造を依頼。
4.ディオや柱の男達は見逃せない。偽者の東方仗助を警戒?(攻撃したのは彼?ディアボロ君に任せるか)。
5.ディアボロにちょっと戸惑い。自殺をしそうで怖い。

[備考]
※参加者達は時代を超えて集められたのでは?と推測しています(ディアボロにはまだ話していません)
※首輪を『隠者の紫』で調べましたが機械には疎く詳しい事がわかりません。分かった事といえば隙間がまったく無い事くらい。
※1で挙げた面子はジョセフが聡明と判断した面子なだけで別にポルナレフが信用できないというわけではありません。
※波紋の呼吸を絶えず行っています。その影響である程度の運動なら息ひとつ乱れません。
 ディ・ス・コの薬品の負傷はいずれ治るようです。いつごろかはわかりません。

* * *


ディアボロたちから少し離れて。運転席に座る男が一人。
この男、幸運なのか不運なのか。


「た、たのむよ……そろそろ首根っこを外してくれ。馬鹿な真似しないからさ……。
 これじゃ……最初と全く変わらないじゃねーか……うううう……」



【音石明】
[時間軸]:チリ・ペッパーが海に落ちた直後
[スタンド]:レッド・ホット・チリペッパー(充電中。徐々に回復して色は緑色に。そろそろ黄色になる?)
[状態]:健康  キング・クリムゾンに首をつかまれている
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品 ×1
[思考・状況]基本行動方針:優勝狙い
1.ひぎぃっ! 弱みを握られちゃった……悔しい
2. とりあえず仲間(ディアボロ)ができたのは良かった。でも状況変わってない……。
3.充電ができてほっとしているが、電車から降りたらどうするかは未定
4.サンタナ怖いよサンタナ
5.電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー!
[備考]
※バトルロワイアルの会場には電気は通っているようです。
しかし様々な時代の土地が無理やり合体しているために、電線がつながっていなかったりと不思議な状態になっているようです。
スタンドが電線に潜ったら、どうなるかわかりません。(音石は電線から放電された電気を吸収しただけです)
※ミセス・ロビンスンをスタンド使いだと思っています

487 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 21:22:24 ID:Rl/vGggI
※電車は一両編成で、運転手はおらずに自動で走っています。
 一度、音石の無茶な操作で発車しましたが、現在、運行状況に支障はないようです。
 しかしカーズとの騒動のせいで、サンタ・ルチア駅に時刻どおり着くかどうかはわかりません。
※電車はカーズの輝彩滑刀によりダメージを受けました。
電車の右側の壁が横の真一文字に傷がついています。傷は電車を貫通しています。

※正面からみると↓な感じです。(傷の開き具合は誇張気味です)。
┌─┐
│  
└─┘
※横からみると↓な感じです。(傷の開き具合は誇張気味です)。
┌──┐

└──┘


『地下鉄の駅』

地下に駅があるようです。駅は地上と繋がっているのかもしれません。
他にも駅があるのかどうかはわかりません。

※確定しているのルート(ジョセフ達は早朝にネアポリスに乗って朝〜日中にサンタ・ルチアに着きます)
『E-7・ネアポリス駅』→『G-6・食屍鬼街(オウガーストリート)駅』→『H-5・ポンペイ遺跡駅』→『H-3・サンタ・ルチア駅』

488 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 21:23:17 ID:Rl/vGggI
以上 たぶん投下終わり

489 :創る名無しに見る名無し:2009/04/07(火) 22:44:28 ID:KCGIOjlm
投下&代理投下乙です!
さすがジョセフ、年季の違いを思い知らされたぜ
カーズ……余裕ぶっこいてるやつはたいていやられるんだぜ
ディアボロは完全復活とまではいかないか。過度に保身的な思考が身についてしまってるんだろうなあ
音石?もはや何も言うまい
それぞれ異なる理由でチキンな3人の今後に期待! GJでした

一つ指摘を。カーズの状態表に
>7.エシディシ、サンタナと合流する。
とありますが、放送でサンタナは呼ばれたのでその部分は消したほうがいいと思います


>>475>>474宛かな? 1stではシーザーは生還したよ

490 :イエスタディを聴きながら ◆em4fuDEyHM :2009/04/07(火) 23:31:46 ID:+F8c26xE
代理投下ありがとうございます!
規制に巻き込まれてしまったみたいです。
>>489
指摘ありがとうございます。wikiで修正します!

491 :創る名無しに見る名無し:2009/04/08(水) 00:55:32 ID:eKRVuezF
両名投下乙ッ!

>>男女
オチに吹いたwヴェルサス、まったくお前ってやつはw
水入りペットボトルもだが現在位置も現在位置なだけに今後の二人の行く末に期待
ヴェルサスよ、別れは近い…かも

>>イエスタディを聴きながら
高飛車なカーズ、ヘタレ音石、ビビリながらもボスの威厳を回復しつつあるディアボロ…
それぞれが丁寧に描写されていて非常にGOOD!

そして現実に直面したジョセフに全俺が泣いた……
ジョセフ・ジョースターは…の件で目頭が熱くなり最後の台詞に涙腺崩壊した…

改めて両者投下乙!!

492 :創る名無しに見る名無し:2009/04/09(木) 02:20:49 ID:wFeDvVM5
ジョセフはやっぱりカッコいいなあ
逃走って選択肢がこれほど似合う主人公もそうおるまいてw
ディアボロは相変わらずビックリするほど慎重だな……だがそれがいい
『チキン二人の主従関係』って書くとアレだが、実際戦闘力はかなりものなんだよなあ
精神面も不安がたくさんだし、今後に期待だぜ!
GJでした!

493 :創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 14:15:40 ID:EmNU0mf5
予約ラッシュ来てて良い流れだ。
自分もそろそろ書こうかな…

494 : ◆yxYaCUyrzc :2009/04/11(土) 18:17:12 ID:Y4Iz7Qxg
本投下開始します。
投下中規制がかかった場合は続きをしたらば・一時投下スレに投下しますのでどなたか代理をお願いします。

495 :蛇足 ◆yxYaCUyrzc :2009/04/11(土) 18:18:51 ID:Y4Iz7Qxg
「トリッシュが……」
「くッそ……」
放送を聞き終え頭を抱える二人の男。ブローノ・ブチャラティとグイード・ミスタである。

「任務とか言ってる状況じゃねぇけどよ、そういうの抜きに俺は彼女を護衛していたかったぜ。トリッシュはただの女の子だったんだ……」
任務。それはトリッシュを護衛すること。だが彼女はこのゲームの中で命を落とした。
つまりブチャラティのチームは任務に失敗したという事になる。その場に居なかったなど理由にはならない。
―――もっとも、彼らはその後の彼女と自分たちの運命を知らないのだが。
「あぁ」
ミスタの言葉に短く答えるブチャラティは名簿と地図に丹念にメモを綴る。
そして……一瞬、ほんの一瞬だけ躊躇いながらもトリッシュ・ウナの名を消す。
それを見たミスタは思いきりブチャラティの胸倉を掴み叫び出した。
「おいブチャラティ!何トリッシュの名前消してんだッ!」
「トリッシュが死んだからだ」
あまりにも簡単で、そしてあまりにも重い言葉にミスタは襟首を掴んでいる拳をぐいぐいと前後に揺さぶる。
「てめぇ!トリッシュが死んだってのを信じるってのかッ!彼女の死に何も感じてねぇのかッ!?」
その言葉を聞いたブチャラティはミスタの手を振りほどくと、そのまま思いきり彼の頬を殴る。まるで数時間前のお返しだと言わんばかりに。
数メートル吹っ飛ばされたミスタは何かを言いかけながらブチャラティを睨みつけ……そして力なく項垂れる。
目の前の男はギリギリと歯を食いしばり、その唇からは血を滴らせていた。

「俺がトリッシュの死を信じただと……何も感じていないだと……

 言っただろう。後悔するだろうと。自分自身を責めるだろうと……

 だが……これはお前が言ったんじゃあないか。彼女の意思はなんだと。
 きっと……トリッシュだってスージーのように……

 俺たちが受け継いだものを先に進めることを願っているッ!」

496 :創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 18:20:06 ID:/YjTSxhf
キターーー!

支援

497 :蛇足 ◆yxYaCUyrzc :2009/04/11(土) 18:20:28 ID:Y4Iz7Qxg
ブチャラティの頬には涙は流れない。
だがその顔からは涙の代わりに溢れんばかりの後悔、自責、そして決意が滲み出ている。
「そうだな……悪かった」
「気にする事はない。俺の方こそ思いきり殴ってしまったな」
「いや、いいんだ。それより……そこまでの覚悟があるって事は今後の計画も立ててあるって事かい?」
ミスタの質問にブチャラティが答える。
「あぁ。では聞いてくれ。俺は先に“ここに行こう”と言ったが……」
と……手をかざしながら。
ミスタはブチャラティの視線と手の動きを目で追い、コクリと頷く。
「先に“ここ”に向かおうと思う」
と……その先を指し示す。
その先を見つめたミスタはハッとしたようにブチャラティに視線を送る。
視線を送られたブチャラティも目で頷き返す。
「ここは……禁止エリアじゃあねえか!?」

「そう禁止エリアだ。幸か不幸か俺たちのすぐ傍に。
 当初の目的地からは少々方向がズレてしまうが見に行って損はないだろう。勿論侵入する訳にはいかないが。
 その後当初の目的としていたところに向かい、その後は地図の北に沿って東の海に出よう。
 かなりの距離だが問題はないな?」
「オーケーだぜ、ブチャラティ。銃がないのは少々不安だけどな。それも問題なしさ。
 あの荒木のヤローの事だ。“禁止エリアにボーナスアイテムを置いといたよー”とか言いかねないしな」
荒木の声真似をして笑うミスタ。それを見たブチャラティも少し笑う。
「よし、決定だ」


* * * * *

498 :蛇足 ◆yxYaCUyrzc :2009/04/11(土) 18:21:52 ID:Y4Iz7Qxg
物事を考えるという事はとても素晴らしい事である。
そして“覚える”と言う事はなお素晴らしい。考えるために必要なスキルであるからだ。

だが……そう言った素晴らしさを体験出来ないものも少なからず存在する。

昆虫である。

彼らは遺伝子だとか本能だとか、そう言ったものはあれど、考える脳を持たないと言われている。

しかし。そこにも例外はあるのだ。現実離れしすぎて俄かには信じられない例外が。

スタンド。

この“ジョジョの奇妙な冒険”に欠かすことの出来ぬ未知の才能。超能力。
その力が不可能を可能にする。

虫は飛ぶ。

翼竜へとその姿を変えて。

彼らの会話をしっかりと記憶して。

主のもとへ―――


* * * * *

499 :蛇足 ◆yxYaCUyrzc :2009/04/11(土) 18:23:11 ID:Y4Iz7Qxg
「……どう思った?」
ブチャラティが問う。
「どうって……ありゃナントカザウルスだろ」
ミスタが答える。
「そうじゃあない」
「じゃあナントカノドンだろ」
突っ込みに対しさらにミスタが答える。
「そうじゃあない」
「そう言えばニホンのコミックで、大昔に岩塩漬けになった男が現代に蘇って格闘するってのがあったな」
その突っ込みに対しさらにミスタが……答える。
「そうじゃあない」
歩を進める二人の何気なくも重要な会話は続く。
彼らは客船を後にしてからB−2まで歩を進めて来ていた。

「……あぁ、分かってるよ。明らかなスタンド能力だ。恐竜を操るなんて厄介だよな。
 ジョルノのやつも流石に太古の生物までは形にしたこと無いしかなりの強敵じゃあないか?」
すっかり呆れた表情のブチャラティに対しミスタがふう、と息をついて正解を答える。
「ああ。まともに戦っては到底勝ち目はないだろうな」
「でもこっちが気付いてる事までは分からなかったろうな。会話に突然ハンドシグナルを入れてきた時はどうしたかと思ったよ」
「だがよく分かってくれた。会話と矛盾のないように送るのには手こずったからな」
そう。彼らは虫の……翼竜の存在に気づいていた。
参加者以外に生物が存在しない世界での小さな疑問。ギャングと言う特殊な環境で培った洞察力。それがこの二人に翼竜の存在を気付かせたのだ。
そして……行き先を指し示す動作の中にハンドシグナルを織り交ぜながら会話を行ったのである。

「で、そのスタンド使いを騙すつもりかい?それともあの会話は本当かい?」
ミスタの質問にブチャラティが答える。
「両方だ」

500 :蛇足 ◆yxYaCUyrzc :2009/04/11(土) 18:25:07 ID:Y4Iz7Qxg
「はあァ?」
物事の選択で曖昧な返答を返すブチャラティをほとんど……いや、全くと言っていいほど見たことのないミスタとしてはこの反応は当然と言えば当然である。
一方のブチャラティはそんなミスタを見かねてか、補足するように説明を始めた。

「分からないか、ミスタ。じゃあ言い方を変えよう。俺たちは少し“寄り道”をしていく。
 名簿を見て気付かなかったか?妙に“ジョースター”の姓が多いことに」
「あぁ、確かにそうだな。他にもツェペリとかも、だな」
「そうだが今は置いておけ。今向かうべきはここから近く、多くの“ジョースター”が集まるであろう“ジョースター邸”だ」
「なるほど。確かに自分の家に帰りてぇってのは誰しもが望むことだろうしな」
「そうだ。あのゲス野郎の死体の傍を通るのは癪だが……支給品と、首輪が落ちていたら拾っておいて損はあるまい。無ければ無いで構わないが。あくまでこちらは事のついでだ。
 その後ジョースター邸にて情報収集。それ以降はあの恐竜使いに“宣言した”通りだ」
「オーケー、把握したよ。確かに“両方”だ。んで……もしその恐竜使いが俺らを尾行するような事があったら?」
ミスタ自身、答えは分かり切っていた。だが確認の意を込めて敢えて質問する。
「向こうがこちらを警戒して逃げるようならそれで良し。
 向かってくるなら“強力なスタンドなのに本体が愚者”だろう。勝機はいくらでもある。
 現にそいつは“俺たちが一直線にC−1に向かっている”と思っているんだ。逆にこちらが背後を取れるさ」
「だな」
「まぁ何にしてもこちらが恐竜に気付いてる事を向こうは把握していないのだ。今はそれだけで十分だろう」

ブチャラティが会話をしめる。


が……数秒後にミスタが話題を掘り返した。


「……しっかし。そういう時ってハンドシグナルはホント便利だよな。
 俺なんか昔はこれしか知らなかったってのによ」


「…………パンツーまる見え」
「YEAAAH!」

501 :蛇足 ◆yxYaCUyrzc :2009/04/11(土) 18:26:48 ID:Y4Iz7Qxg
【B-2/1日目 早朝】
【チーム・ブチャラティ】

【ブローノ・ブチャラティ】
[時間軸]:護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後
[状態]:肩に切傷(血は止まっている)、左頬の腫れは引いたがアザあり、トリッシュの死に後悔と自責
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、荒縄、シャーロットちゃん、スージーの指輪、スージーの首輪
[思考・状況]
基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出
1.ジョースター邸に向かい情報収集を行う。その道中にミスタに後述の仮説を聞いてもらおうと思っている。また、可能ならワンチェンの支給品および首輪の回収を行いたい。
2.1ののち禁止エリアC−1に向かう。
3.C−1確認後北・西の地図の端を見に行く。その後は北端に沿って東を見に行く。
4.絶対にジョセフと会い、指輪を渡す。彼にはどう詫びればいいのか…
5.チームの仲間に合流する。極力多くの人物と接触して、情報を集めたい。
6.“ジョースター”“ツェペリ”“空条”の一族に出会ったら荒木について聞く。特にジョセフ・ジョースター、シーザー・アントニオ・ツェペリ(死亡したがエリザベス・ジョースター)には信頼を置いている。
[備考]
※パッショーネのボスに対して、複雑な心境を抱いています。
※ブチャラティの投げた手榴弾の音は、B−2の周囲一マスに響きわたりました。
※ブチャラティが持っている紙には以下のことが書いてあります。

@荒木飛呂彦について
ナランチャのエアロスミスの射程距離内いる可能性あり

A首輪について
繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。

B参加者について
知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから

502 :蛇足 ◆yxYaCUyrzc :2009/04/11(土) 18:28:03 ID:Y4Iz7Qxg
【グイード・ミスタ】
[時間軸]:54巻、トラックの運転手を殴った直後(ベイビィフェイス戦直前)
[状態]:健康、左頬が腫れている、トリッシュの死に深い動揺とゲームに対する怒り
[装備]:ナランチャのナイフ、手榴弾4個
[道具]:不明支給品残り0〜1(あるとしたら武器ではないようです)
[思考・状況]
基本行動方針:ブチャラティと共に行動する。ブチャラティの命令なら何だってきく。
1.YEAAAH!
2.エリナの誤解を解きたい
3.アレッシーうざい
4.あれこれ考えずシンプルに行動するつもり。ゲームには乗らない
[備考]
二人がした情報交換について
※ブチャラティのこれまでの経緯(スージーとの出会い〜ワンチェン撃破まで)
※ミスタのこれまでの経緯(アレッシー、エリナとの出会い〜ブチャラティと合流まで)


【翼竜について】
フェルディナンド博士の生み出した恐竜のうち一匹が
「ブチャラティとミスタと言う男がC−1に向かい、その後北西の端、北端沿いに東へ向かう」と言う事を覚えました。
ですが「二人が自分(恐竜)の存在に気付いている」と言う事は知りません。
これから博士のもとに帰還します。その際他の参加者の情報を得てくるかはわかりません。

503 : ◆yxYaCUyrzc :2009/04/11(土) 18:30:15 ID:Y4Iz7Qxg
以上で投下終了です。
蛇足=パンツーまる見え・ピクルの友情出演(?)ですねw
ジョジョでちょくちょく出てくるハンドシグナルをやってみたかったので書いてみました。

意見をいただいた点に関して以下の通りに変更等を行いました。
・翼竜の射程:SBR本編中でも結構射程が長そうなので変更なし。描写もSS中では特に追加なし
・翼竜のタルカス他無視:特に修正なし。虫ですからwと言う事にして下さいorz
・行動方針:現在地→ワンチェンの死体経由→邸にて情報GET→C1と言う方針に変更
・ワンチェンの支給品:回収していなかったので存在しているかどうかを含め確認しよう、と言う感じに変更
・虫はジョルノじゃね?:したらばでの意見を参考に……してないですorz 本編中では現代の生物しか生んでない、と言う点からの解釈です。

修正点に関して若干無理な文章の変更等を行っていますので誤字脱字があるかも知れません。
ご意見、感想をお待ちしています。では。。。

504 :創る名無しに見る名無し:2009/04/11(土) 18:39:50 ID:/YjTSxhf
投下GJ!
やっぱり一々深く考えて策略を練るのがジョジョキャラの魅力だなあ
博士はこの二人に絡むのか今から楽しみだぜ
恐竜については、個人的には問題ないかと
確かブチャ達の前で生み出したものから情報引き出したりしてなかったし、
「ジョルノが生み出した生物飛ばして情報収集してるよ!」と思わなくても大丈夫かと

505 :創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:00:07 ID:BeF1zIPK
投下乙です。自分はSS苦手なのでとりあえず参加者名簿あたりを埋めてます。
北端に沿って東へ…って下手すりゃ空気フラグだな。多分その前に一部勢あたりと接触するんだろうけど。
ところでブチャチームと暗殺チームって状況的に似ているような……リーダーと一人が合流して、内乱のようでそうでもないケンカで両者が負傷したり
仲間の一人が死亡していたり
原作で最初に出てきた人はマーダーや対主催が入り乱れる状況からひとまず脱出していたり
残りの一人は近くの人とチームを組みつつ、ある女性の仇として柱の男を追っていたり。
はたして、栄光を掴むのはどちらなのか。
……あれ?

506 :地図の人 ◆rOwVJ6/pbM :2009/04/12(日) 00:45:37 ID:syc71DSv
>>453◆xrS1C1q/DM氏『使者〜メッセンジャー〜』【パンナコッタ・フーゴ】【吉良吉廣】
>>467◆bAvEh6dTC.氏『男女』【ドナテロ・ヴェルサス】【ティッツァーノ】
>>483◆em4fuDEyHM氏『イエスタディを聴きながら』【カーズ】【ディアボロ】【ジョセフ・ジョースター】【音石明】
>>501◆yxYaCUyrzc氏『蛇足』【ブローノ・ブチャラティ】【グイード・ミスタ】

以上を現在地地図に追加しました
http://rowvj6pbm.ame-zaiku.com/index3.html

地下鉄のマップ作成はちょっと色々してみてるのでしばらくお待ちください
とりあえずですが、現在地下にいる参加者をグレーにしています
吉良親父写真はよくできたと思います
わかりにくいですがトーキングヘッドもいます
二人が移動したらきっと見やすくなります

>>444
◆xrS1C1q/DM氏回答ありがとうございました
今更ですが、前回更新分を修正しておきました

ディアボロかっこいいイヤッホー

507 :創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 00:56:41 ID:IMa07eCC
投下乙です
ジョースター邸組の予約も入っているようですし、これからの展開に期待大ですね
>>505言われてみれば確かに…
こういう偶然が自然と起こる様はいかにもジョジョらしいですね

ところでミスタの発言にあったニホンのコミックって少年マガジンの「ゼロセン」のこと?

508 :創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 01:21:09 ID:CswF9tGY
刃牙のピクル(氷付け→解凍済みの原始人)

509 :創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 01:27:58 ID:MqQdBXoH
お前の投下に乙を表するッ!

>>507
岩塩漬けだから範馬刃牙のピクルだろう

510 : ◆yxYaCUyrzc :2009/04/12(日) 06:45:31 ID:MvZs+UiM
感想ありがとうございます。
また地図の人、掲載乙です。いやぁどんどんカオスな地図になってるw地図の位置はあれで問題ないので地下鉄関係を頑張ってください!

>ニホンのコミック
アレはピクルの事です。実際ミスタが存在した時代(2001ころ)にはおそらくピクル編じゃないですがw
まぁ「蛇足」って事でw

511 :創る名無しに見る名無し:2009/04/12(日) 12:26:50 ID:G091T8d1
博士の制限は恐竜の数だけで射程はそのままってこと?

512 : ◆xrS1C1q/DM :2009/04/12(日) 16:44:43 ID:NBvNiu62
地図氏更新乙です!
貴方のマップにはいつも執筆の際の助けになっています
そしてハートブレイクww 吉良の親父ww 相変わらずのクオリティでww

◆yxYaCUyrzc氏も投下乙です
ブチャラティはやっぱりかっこいいなぁ〜
「パン! ツー! ○! 見え!」と「塩漬け原人」には笑いましたww
タイトルの蛇足、無駄なことという意味ですけど、だがそれがいい!

これから俺も蛇足な感じのSSを投下させてもらいます
『ウェザー、ブラックモア、Jガイル、アンジェロ』



513 :忍び寄る気配 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/12(日) 16:50:40 ID:NBvNiu62
空を仰ぐウェザー・リポートの顔に冷たい雫が降り注ぐ。
いつまでこうしているのだろうか?
滅多に感情を表に出さない顔は相変わらずの鉄面皮を貫いていたが、
静かに路上に立ちすくむ彼の姿からは哀愁と不安が読み取れた。
毛皮でできた特徴的な帽子を濡らす雨は止めようとすればいつでも止められる。
しかし、彼は落ちてくる雫に身を晒し全身で風雨を受け止めた。
それは全てを揺るがす豪雨でも、何もかもを吹き飛ばす烈風でもなく、
優しく地面に染み渡っていく小雨と心地よい微風。
亡くなった仲間を天へと送る彼なりの鎮魂を続けていく。
「エルメェス……エンポリオ……」
呟いた二つの名は風に乗せられてどこかへ消え去った。
放送を聞いてから初めて発された言葉は非常に小さく、儚い。
だが、彼の放つ眼光はあまりにも力強く、雄雄しい。
視線を下げハッキリと前を見据えたウェザーの耳に同行者であるブラックモアの声が届いた。
「気持ちの整理はできたみたいですねぇ」
「あぁ……すまない。貴重な時間を大分浪費してしまった」
「いえいえ。むしろ、うわついて隙だらけの行動を取られるほうが困りますから」
「そうか……」
己のスタンド能力により地上から5メートルほど高い位置に立っているブラックモア。
自然とウェザーを見下ろす形となるが、互いに細かい礼儀などは気にしない。
再び頭を上げて、ブラックモアと目を合わせながら会話を続行する。
「で、どうだ? 何か怪しいものでも見えたか?」
「すみませぇん。この高さからでは特に何も確認できませんでした。
 もう少し上に行けばいいのかもしれませんが、無防備に姿を出すのは好ましくないんで。
 まぁ、私達が危惧するのは外ではなくて内側ですね。随分怒っていらっしゃいましたよあの二人」
ブラックモアは軽い口調で返事をしつつ、雨粒を掴みながら下へ降りていく。
飄々とした彼のイメージから程遠い速さで颯爽と地面へと降り立った彼は、帽子に付いた飾りの位置を正した。
哺乳類の尾のような飾りは水を吸って重くなっていたが気にせずにウェザーへと顔を向ける。
「……これからについて話し合いましょう。何も言わずに東のボンペイまで移動してくれませんか?
 出来れば、あの二人をまくために北に雨を降らせながら移動させていただくと嬉しいのですが」
「了解した……。ただ、いつもに比べて疲労感が大きい。正直な話数キロいくかいかないか分からないほどにだ。
 限界が来たらすぐに解除するから何時までも騙し続けるのは不可能だろう」
「それで構いません。ある程度の距離まで撒くことが出来れば追跡はこの広い会場、不可能でしょうから」
黒と白が入り混じった鼠色の雲がゆっくりと、しかし確実に北へと向かっていく。
それがウェザーの無言であり明確な肯定の返事。
ブラックモアもそれを感じ取り、口を閉ざしたままで東へと足を向けた。

514 :忍び寄る気配 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/12(日) 16:53:35 ID:NBvNiu62
「ってわけらしいが、どうするよJガイルの旦那様よぉ?」
「裏切り者には死の制裁を……って言いたいところだが、ウェザーの能力にはまだまだ用がある。
 今まで通りある程度距離を置いて尾行を続ければいい。ボンペイだったか? あそこまではそんなに距離がないはずだからな」
日が昇ったものの未だに薄暗い駅に潜む二人組み。
口の角を無理矢理曲げたような醜悪な笑みを浮かべながらJガイルは片桐安十郎、通称アンジェロの肩に右手を乗せる。
胡散臭そうな目で置かれた手を眺めながらも、楽しそうな口調でアンジェロは苦言を呈す。
「っていてもなぁ。ブラックモアの野郎にゃ俺の能力はばれてるだろうしよ。結構しんどいんだぜ?」
「じゃあ俺が代わってやろうか?ハングマンなら気付かれずに尾行できるぜ?」
「おいおい、あまりいい気になるもんじゃねぇぞ。反射物がないといけないお前の能力じゃ不安定要素が多すぎるじゃねぇか」
軽口を叩き合ってニタニタと浮かれた表情を見せる二人。
駅での会話で互いの趣味を晒しあったお陰か、二人の間には独特の価値観が共有されていた。
それは人を殺すことに快楽を抱くという事。
社会の爪弾き者、所謂マイノリティ側の人間であるが故に同じ価値観を抱く人間の存在は貴重。
気があったという一言では説明することが不可能な常人には理解し得ない複雑な何かが彼らの間には存在していた。
「だがよぉ。仗助の野郎を殺しそびれたのは本当にむかっ腹が立つぜ」
「落ち着きな……まだ承太郎が残ってるんだろ? 俺はそっちには手を出さないからポルナレフの方はやるんじゃねぇぞ」
「オッケーオッケー。お楽しみを邪魔するほど野暮な真似をする気はねぇよ。ほれ、奴らも移動したし俺らもボチボチ行くか」
通り過ぎていく黒雲を名残惜しげに眺めつつ、二人は東へと歩き始めた。
駅の中での和気藹々とした空気は消え去り、顔に残るのはこれまでの経歴に恥じぬ凶悪な人相。
水を求めて彷徨う砂漠の民のように、ウェザーという水源を求めて彼らは朝日の輝く方角へと向かっていく―――――。 

★  ☆  ★

515 :忍び寄る気配 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/12(日) 16:56:04 ID:NBvNiu62
暁の空の下、死の都が太陽に照らされて白く輝く。
2000年近くも前からずっと変わらずに佇んでいた石造りの建物は荘厳な雰囲気を醸し出し、
大通りを歩くウェザー達の網膜と心に自然と焼け付いていく。
「これがポンペイですか、話には聞いてましたが……実際に見るとやはり違いますね。
 百聞は一見にしかず。まさにその通りですが最初に考えたのは誰なんでしょうかネェ?」
「さぁな。しかし……少なくともこれを言い出したのは一人じゃない気はする。時代、場所、人物は違えども同じことを考えたヤツは何人もいるはずだ」
石畳で舗装された大通りを歩きながら何気ない会話をしつつ、全方位を見回す。
辺りの警戒の意味、そしてゆっくりと腰を据えて話し合うことが出来る隠れ家を求めて。
そして十分ほど歩き回った後、ブラックモアが一つの建造物を指差す。
大抵の家が何処かしら崩れている、もしくは大通りに面しているなどの理由で隠密には向かないのに対し、
その石積みの住居は小道の奥の方に位置している上に、目立った傷すら存在しない。
まさに二人が捜し求めている条件にピタリと当てはまる物件であった。
「ここにしましょうか。いざと言う時も雨漏りはしないと思いますよ」
二人は開け放ちの入り口から民家へと入り込み、一通り中を見回す。
ウェザーは家と一体化する形で床から生えているテーブルと机を発見し、腕で押して強度を確認してから固い椅子へ腰を下ろした。
「ふぅ……」
臀部が石と接すると同時に小さな溜息を吐き、もう一つの部屋へと向かったブラックモアを待つ。
「悪いが先に座らせてもらっている」
「いえ、全然構いませんよ。向こうも結局何もないみたいですからね」
ウェザーと同様、ブラックモアも椅子の耐久性を確認してから座る。
静寂が両者の間に広がり、屋内特有のひんやりとした空気に包まれながらしばしの休憩を取った。
ブラックモアはディバッグよりペットボトルを取り出してキャップを捻る。
蓋を口につけると気泡が天に向けられた底へと昇り、内容物の量を減らす。
透明かつ軽量で固い未知の素材に興味が湧くものの、この状況で聞くのは場違いな雰囲気があるので湧き上がる好奇心をグッと抑えた。
「補給しておこう」
小さな吐息と共に唇が離れていったペットボトルの口を綿毛のような雲が覆い、減った分の水を再び充填する。
謝礼の言葉を述べ、満タンとなった容器の蓋を閉めたブラックモア。
「さて、そろそろ本題に入りましょうか?」
彼の目が一瞬だけ輝いた。
「襲撃は第二放送時。これに異議はありますか?」
「早人の安全がある程度保障されるならばそれで構わん」
最も優先するのは駅に捕らえられた川尻早人の安全。
向けられた鋭い視線を受け流しブラックモアは飄々と言った。
「殺すならば、移動時だと私は踏んでいます。早人さんは人質としての役割も果たしてますからね。
 それに今すぐ行って他の同盟メンバーと鉢合わせた時も考えれば多少であろうとも時間を置いたほうが賢明だと思いますが」
「そうだな……どちらにしろ危ない橋を渡るならば少しでも確立が高いほうを選ぶべきか」
頭では納得できる。
実際、自分たちが移動した後に駅にいた三人がどう動くかは分からない。
下手に襲撃現場に居合わせ敵が増えましたとなっては目も当てられないだろう。
心の底にわだかまりが残るものの、理性で押さえつけて無理矢理納得させる。

516 :忍び寄る気配 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/12(日) 16:58:12 ID:NBvNiu62
「今回の禁止エリアはヴァニラとの戦いにおいて支障をきたす事にはならないでしょう。
 隣とはいえども逃げ場の少ない橋の方へ逃げ込むくらいならば北の開けた部分に逃げるべきでしょうからね。
 ヤツの能力……えぇっと、何と言うべきでしょうかね?」
「ブラックホールなんていうのはどうだ? 引き寄せる能力があるわけじゃないが、一度入れば出れないという点では共通している。
 それに……内部で粉微塵の粒へと変えるという点もまさにブラックホールだ」
呼称に詰まるブラックモアにウェザーが何気無く思いついた単語を送る。
ブラックホールが何かは理解できないものの適当に相槌を打って会話を元に戻す。
「一度触れれば防御不能で即死……実に厄介な能力ですね。挙句の果てには可視不能。
 ここまで強すぎるともはや感心する気すら起きません」
「だが、俺の能力さえあればヤツの軌道を視認することくらいなら出来る」
「えぇ。雨であろうと構わず消し飛ばしますからそれで動きだけは分かります」
不可視であるはずの敵の動きが見える、これだけで勝率はグッとあがる。
しかし、ウェザーはその事について手放しで喜ぶわけにはいかなかった。
自身が見た光景から導き出される恐るべき可能性の存在により。
「だが……早人と一時期行動していたアヌビス神とやらの話によれば、口の中にスタンドの体全体を収める事ができるらしい。
 どんな絵になるかは想像がつかないほど奇妙な話だけどな。それに俺もヤツがスタンドの口内へと入ろうとするのを確かに見た」
「それは、最強の矛が最強の盾を兼ねると言いたいんですか?」
「早人の話によれば、スタンドの口の中に少しでも入った時点で粉砕されるだろうから恐らくは」
この言葉と共に再び沈黙が二人の間を覆う。
推測ではあるが、最悪の条件が二人の脳裏を過ぎる。
敵に触れた時点で粉々にする攻撃は、敵側からの攻撃をも砕く防御ともなる。
もし、もしもこの仮定が当たっていたら一体どのようなスタンド能力を以ってすれば彼に勝てるのだろうか?
暗雲が狭い室内に立ち込めていく。
「本当に……困りましたねぇ」
「弱点が無いわけじゃない。エンポリオと早人の情報から分かった事がある。
 スタンド内に入っている最中は外界の様子は一切知覚できないという事だ。
 これについては伝聞だけでなく、俺自身が判断する材料も存在している。
 橋についている痕跡を見たか? 人間、それも子供一人を仕留める動きにしては無駄が多すぎる」
「そういえばそうですね。つまり……ヤツは当てずっぽうなんですか。いやはや、呆れるばかりですよ」
少しだけ俯き、小さな溜息を漏らす。
ゴリ押しであろうとも如何なる敵に勝てる算段があるからこその行為。
実際に、自身のスタンド能力を過大評価しているわけではなくヴァニラ・アイスにはそれを実行するだけの力があった。
「とりあえず現在分かっている事について纏めてみましょうか。
 まず、ヴァニラ・アイスのスタンドは口の中にブラックホールに似た何かを作り出す能力で触れれば粉みじんになる。
 更にヴァニラ・アイスはスタンドの体内に隠れることによって如何なる攻撃も通さなくなる。
 それどころかスタンド自体の体までも“口”の中へ隠すことが出来る。 
 しかし、“口”の中からは外界の様子は分からない。こんなところですかね?」
「あぁ、付け加えるならば全体が口に収まった時の移動速度は尋常じゃないとも聞いている」
「尋常じゃない……こればかりは実際に体感しなければ分かりづらいですね」
顎に軽く手を添えながらブラックモアは大きく背中を後ろに傾け、背もたれが無いことに気付き慌てて体勢を戻す。
駅で曲者達を見事に纏め上げた隙のない彼と、今のような間抜けな行動や口調を取ってしまう彼。
ウェザーにはどちらの姿がブラックモアの本質か分からないが気にしないことにした。
自分の能力と赤い糸で結ばれたような見事な相性。
彼にとってはこれは大きなメリットとなる。ブラックモアへの疑問を振り払い、彼は二つ目の憂いを尋ねた。
「ところで同盟を組んだ連中はどうするつもりだ? 俺個人としては連中をほうっておくのは気が進まない。
 叩けるならば機を見てたたけるようにしたいと思っているんだが」
「ですね。私もその辺に関しては思うところがあります。が、しばらくは手を出すべきではないでしょう。
 ヴァニラと戦う前に消耗するのはキツイですし、戦った後に私達が五体満足の保障はないですから」
(それに……彼らには戦力として期待させてもらっているからな)

517 :忍び寄る気配 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/12(日) 16:59:04 ID:NBvNiu62
心の底に隠した本音を億尾も出さずにブラックモアはウェザーへと進言する。
優勝するといった目的がある以上は志を共にする仲間(もっとも最終的には敵同士として潰しあうが)は必要だ。
「それに、さっきの彼らを見て分かるとおりこの会場には案外殺し合いに乗るヤツが多い気もします。
 もしかしたら危険人物の間引きにも役立つかもしれませんからね」
(彼らの能力は、少なくともアンジェロの方の能力は間違いなく水系統を操る能力。
 ならばウェザーを味方に引き込んだ私が負ける要因もない)
彼は今後の算段も含めてアンジェロとJガイルは生かしておくことにした。
ヴァニラは第二放送になれば殺しに行くから関係がない。
ならば現在彼の目の上のタンコブになっているのは――――
「ですが、ラバーソウル。彼だけは放置しておくと非常に厄介なことになりますね。
 変身能力を持つ彼に私たちの顔を覚えられたし、彼の顔が何時までも同じとは限らない。更に足として非常に優秀な足まで持っている。ようするに最悪ってやつです。
 一刻も早く彼に対処しなくてはなりません……。しかし、先程は同盟を組んだ建前上下手に手出しすることができませんでした」
変身能力がある上に、未知数の能力があるが故に油断ならない相手にブラックモアの警戒も激しくなる。
逃がさざるを得ない状況をつくった事を本気で悔いるブラックモア。
馬に乗っている以上は既に彼は自分たちが追いつけないところへと逃げてしまっているのだろう。
「本当にすみませぇん。あの時何とかしていればよかったですね。私の完全な判断ミスでした」
「いや、むしろそれに気が付かなかった俺が悪い。仲間のことで頭がいっぱいいっぱいだったからな……」
「気にする事はありません。が、本当にどうするべきでしょうねぇ」
溜息と共に吐き出された一言が二人の肩に重くのしかかる。
厄介な相手を見逃してしまったことだ。
ヴァニラを相手にする前に憂慮すべきことが増えてしまった事は非常に大きい。
が、よどんだ空気を変えるためにウェザーはブラックモアへと話題を振る。
「とりあえずアンジェロとJガイルは放置。ラバーソウルは万が一出会えたら潰しにかかる。
 放送が来るまではどうする? 駅付近でも歩き回って仲間でも集めるか? それともここで作戦を煮詰めるか?」
「そうですねぇ……移動する事にしましょう。詳しい作戦は歩きながら考えていけばいいですし、
 作戦は万が一ラバーソウルが私たちの悪評を広めるならばその前に一人でも多くの参加者にコンタクトを取ることが阻止につながります」
荷物を手に取り、立ち上がりながらブラックモアは自分の意見をウェザーに伝える。
無言で頷き、ウェザーも彼に倣って荷物を拾い上げて出口へと向かう。
(やれやれ、ウェザーの信頼を得る。彼らとは敵対しないように上手いこと誘導する。
 この二つを同時に行う『蝙蝠』のような作業は本当に骨が折れる)
ブラックモアの心の呟きに反応するように、天井の隅に付着していた水滴が光を反射した。

518 :忍び寄る気配 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/12(日) 16:59:51 ID:NBvNiu62
★  ☆  ★



壁にもたれかかりながら向かい会う二人の男。
冷たい石畳に零れだした笑みが吸収されていく。
「いい話を聞かせてもらったな。第二放送時に駅舎に襲撃か……場合によっては俺たちが参加するのもやぶさかじゃないだろう?」
「あぁ、しかしヴァニラの野郎の能力がそんなに厄介なやつだったとはな。いい気にもなるってやつだ」
愉しいイベントの開催を知り上機嫌になるJガイルとヴァニラへの嫌悪感を隠し切れないアンジェロ。
2人ぼっちの環境の中で他方が不機嫌であると通常は非常に居心地が悪くなる。
しかし、Jガイルはそんな様子を一切見せずに再びアンジェロへと話題を振った。
「で、ラバーソウルのヤツはどうするよ? そもそも俺たちは積極的に殺していく予定だし、
 俺の知り合い連中は変身できるって事を知ってるだろうから問題ないだろうけどな。放っておくか?」
「ん〜どっちでもいいんじゃねぇのか? また会った時に邪魔だったら殺す。使えそうだったら野放し。
 実際俺たちだってそんな関係だろ? 利が消えればその時点で潰しあう」
2人は特にラバーソウルの動向には興味がなかったらしく、話はここで終わる。
「けどよぉ、ブラックモアの野朗は本当に上手く溶け込んでるじゃねぇか。
 殺し合いにに乗ってるヤツにも乗ってないヤツにも媚を売って自分は漁夫の利ってかよ、気にくわねぇ」
唾を床にはき飛ばしながらアンジェロは苦々しげに言い捨てる。
へばり付いた液体を不快そうに眺めながらもJガイルは面倒くさそうに答えた。
「さぁな……だが、少なくとも俺達からの信頼をやつは失ったわけだ。
 大本になる信頼自体が最初からないに近かったがな。しかし、ヤツを始末しない理由がなくなったのは事実だぜ」
Jガイル達を庇っているかのようなブラックモアの言動、それが逆に彼らに不信感を与えることとなった。
四方八方にいい顔をしている調子のいい人種。
ブラックモアに対して2人が抱いている印象はこんな感じである。
「これからどう動くことにするよ? 襲撃を手伝うか? ヴァニラを殺るか? それとも無関係を決め込むか?」
アンジェロが出したこれから進むべき三つの道。
この殺し合いにおいての大きなターニングポイントの一つが提示された。
どちらの味方をすれば今後の局面で優位に立つことができるのか?
それとも勝ったほうにゴマを擂っていくのか?
「正直に言えば、今の内にヴァニラは潰しておきたい。機ってやつはそんなに沢山あるわけじゃないからな」
思い出すのは殺し合いが始まって早々に出会った2人の化け物の事。
そして、放送で告げられたその片割れの死。
誰にも打ち明けることはなかったが、内心では深い衝撃を受けていた。
あれほどの化け物を殺しうる参加者の存在。
もしかしたらヴァニラならそいつを消し去ってくれるかもしれない。
しかし本当にそれでよいのだろうか?
狂ったような強さを持つ参加者が一人減ったとしても、ヴァニラの存在は消えない。
だから倒せるのならば倒しておきたい。
「けれども奴らに俺たちが加わったからと言っても勝算は限りなく低い……やはり様子見が一番賢いかもな」
逃げ腰の意見。しかしアンジェロは反対すること無しにジッと見つめるだけだった。
少し経ってから、アンジェロは率直な質問をJガイルへと飛ばす。
「襲撃は観戦するとしてそれまではどうするよ?」
「当然だろ? 参加者を探してはぶっ殺していく。幸いなことに、駅から北に向かっては雨を降らしておいてくれてるからな。
 駅に戻る時間を考えれば今まで降らしてくれた範囲で不足はないはずだぜ」

ウェザーたちに遅れて15分ほど、ようやく彼らは動き始めた。
交錯する互いの意図と運命の中心地はサンタ・ルチア駅。
第二放送を目印に、それぞれのパーツが動き始める――――――。

519 :忍び寄る気配 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/12(日) 17:02:41 ID:NBvNiu62
【H-5 ボンペイ遺跡/1日目 朝】


【J・ガイル】
[時間軸]:ジョースター一行をホル・ホースと一緒に襲撃する直前
[能力]:『吊られた男』
[状態]:左耳欠損、左側の右手の小指欠損、右二の腕・右肩・左手首骨折、カーズに対して怒りと恐怖、 軽く情緒不安定
[装備]:なし
[道具]:支給品一式
[思考・状況]
1.アンジェロを可能な限り利用し、参加者を減らす。
2.第二放送になれば駅へ向かい、優勢なほうに味方する
3.自分だけが助かるための場所の確保もしておきたい。
4.カーズには必ず自らの手で借りを返す…のか?
5.4のために力をつける。結局はこのゲームでは力がないと死んでしまう…
6.20時にDIOの館に向かう
7.ブラックモアへの不信感
[備考]
※デイパックと支給品一式をカーズに奪われました。
※『吊られた男』の射程距離などの制限の度合いは不明です。
※ワムウによる蹴りのダメージは右二の腕・右肩・左手首骨折でした。それぞれに対して添え木がしてあります。
※支給品一式をブラックモアから譲り受けました。
※ヴァニラアイスの能力と、ウェザー達が第二放送時に駅に襲撃を仕掛けることを知りました


【片桐安十郎(アンジェロ)】
[スタンド]:アクア・ネックレス
[時間軸]:アンジェロ岩になりかけ、ゴム手袋ごと子供の体内に入ろうとした瞬間
[状態]:健康、テンション高
[装備]:ディオのナイフ ライフルの実弾四発、ベアリング三十発  
[道具]:支給品一式
[思考・状況] 基本行動方針:安全に趣味を実行したい
1.J・ガイルを可能な限り利用し、参加者を減らす。
2.第二放送になれば駅へ向かい、優勢なほうに味方する
3.空条承太郎を殺す。
4.荒木は良い気になってるから嫌い
5.20時にDIOの館に向かう
6.ブラックモアへの不信感
[備考]
※アクア・ネックレスの射程距離は約200mですが制限があるかもしれません(アンジェロは制限に気付いていません)
※名簿に目を通しました。
※ヴァニラアイスの能力と、ウェザー達が第二放送時に駅に襲撃を仕掛けることを知りました

520 :忍び寄る気配 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/12(日) 17:05:09 ID:NBvNiu62
【ウェザー・リポート】
[時間軸]: 12巻、脱獄直後
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1〜3(本人は確認済み)、黒い糸数本
[思考・状況]
基本行動方針: とりあえず殺し合いには乗らない。襲ってきた相手には容赦なく反撃する。
1.早人の安全を確保したい。
2.第二放送時に駅を襲撃する
3.ブラックモアを警戒。
4. 男(ロメオ)を殺したやつを探す。相手次第で始末する
5.20時にDIOの館に向かう…?
6.早人救出作戦を考える。場合によってはブラックモアと相談する。
7.七人の同盟をまもるかどうか、場合によってはブラックモアと相談する。
8.エンリコ・プッチ、ラング・ラングラーの二名に警戒
9.ラバーソウルは見つけ次第対応する、Jガイルとアンジェロはしばらく放置
10.駅周辺を移動して仲間を探しつつ、対ヴァニラの作戦を考える
[備考]
※雨はウェザー・リポートが降らせています。
 雨雲は【H-3】から北上させています。制限の関係上どこまでいけるかは後続の書き手さんにお任せします
※名簿はチェック済みです。一通り目を通しました。早人と情報交換しました。
※ブラックモアとは情報交換を完全にしていません。交換されたのは下の情報だけです。
 @ブラックモアが、気絶しかけていたエンポリオを止血して助けた。
※黒い糸はブラックモアの服からちぎりとったものです。
※先程よりブラックモアに対する信頼感が増しました。一方でその狡猾さに不安も覚えています。
※ヴァニラアイスの能力を把握してます


【ブラックモア】
[時間軸]:ジャイロの鉄球が当たって吹っ飛んだ瞬間
[状態]:左腕にかすり傷
[装備]: 一八七四年製コルト
[道具]:支給品一式、予備弾薬(12/18)不明支給品1〜3(本人は確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する。
1.ウェザーの信頼を得ることを第一に考え行動する。その際に生ずる損得を含めて。
2.第二回放送時にサンタ・ルチア駅を襲撃する。ただし無理はしない。
3.早人救出作戦を考える。場合によってはウェザ−と相談する。
4.七人の同盟をまもるかどうか、場合によってはウェザーと相談する。
5.20時にDIOの館に向かう…?
6.早人が用済み(ウェザーの信頼得た後ならば)になったら始末する。
7.名簿にある“ツェペリ”“ジョースター”“ヴァレンタイン”の名前に注目
8.遺体を捜す
9.傘が欲しい…。
10.ラバーソウルは見つけ次第対応する、Jガイルとアンジェロはしばらく放置
11.駅周辺を移動して仲間を探しつつ、対ヴァニラの作戦を考える
[備考]
※名簿はチェック済みです。一通り目を通しました。"ツェペリ""ジョースター""ヴァレンタイン"の名に警戒と疑問を抱いてます。
※ブラックモアがほかの七部の参加者をどのぐらい知っているかは不明です。
※エンポリオからは情報を聞き出せませんでした。
※支給品一式をJ・ガイルに譲りました。ウェザーリポートにはばれてません。(二つ持ってたことも渡したことも)
※J・ガイル、アンジェロのスタンドについては理解し切れていません。水、及びそれに順ずるものを媒介とするとだけ把握しています。
※ヴァニラアイスの能力を把握してます

521 :忍び寄る気配 ◆xrS1C1q/DM :2009/04/12(日) 17:08:16 ID:NBvNiu62
投下完了です
意見などがあれば遠慮なくどうぞ

それと、次の投下が終わったら新スレを立てるべきですね
もしも次が30kぐらいあってこのスレ内に収まらない時はもう立ててしまってもいいと思いますが

522 :地図の人 ◆rOwVJ6/pbM :2009/04/12(日) 22:56:27 ID:iGZ7mKGS
>>519◆xrS1C1q/DM氏『忍び寄る気配』【J・ガイル】【片桐安十郎(アンジェロ)】【ウェザー・リポート】【ブラックモア】

以上を現在地地図に追加しました
http://rowvj6pbm.ame-zaiku.com/index3.html

八方美人が嫌われるとにやっとしてしまう

523 :創る名無しに見る名無し:2009/04/13(月) 00:03:57 ID:s+QEJ3CB
投下GJ!
性格は小悪党そのものなのに、なまじ頭が切れるせいで凶悪に感じるぜ……
アンジェロって確かフーゴ(笑)よりIQ高かったしな……
ウェザーとブラックモアは無事ヴァニラに勝てるんだろうか……
相変わらず悪魔の虹の連中はどうなるか分からなくてドキドキするぜ
腹の探り合いはジョジョの醍醐味だな

524 :創る名無しに見る名無し:2009/04/14(火) 01:07:43 ID:N4ormal/
投下お疲れ様です
アンジェロ&Jガイルが予想以上に好タッグで驚いた
心理戦中心の展開は考えさせられるなあ

とりあえず
>>514で「ハングドマン」が「ハングマン」になっていたこと
ウェザーの思考で、すでに死亡しているラングラーへの警戒は解いてもいいのではないか
という二点を報告、指摘しておきます

525 :創る名無しに見る名無し:2009/04/15(水) 23:12:05 ID:t97pHhFg
投下乙です
ウェザー!上、上ーッ!!(犯人的な意味で)
SBR勢の中でもキャラ付けが濃い目のブラックモアには
いろいろと頑張ってもらいたいな

526 : ◆yxYaCUyrzc :2009/04/19(日) 05:41:25 ID:C5gCTj2a
wiki掲載して下さった方ありがとうございます。
本来自分でやるところだったのですがスケジュール的になかなか都合が取れなくてorz

以前wikiは作者がやろうという方針で議論が行われていましたし、今後は気をつけたいと思います。

527 :創る名無しに見る名無し:2009/04/19(日) 12:56:15 ID:JPVM/fZY
◆bAvEh6dTC氏、◆Y0KPA0n3C.氏が一時投下スレで仮投下を行ったから、
指摘とかしてあげると両者喜びで狂い悶えると思うんだぜ

528 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/04/20(月) 20:38:47 ID:NO5GiDY0
どうも、遅くなりましたが今夜には投下できそうです。
九時ごろから投下を開始する予定なので支援が出来る方がおられましたらよろしくお願いします。

529 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 21:09:28 ID:3DXVWFMN
OK!
スレの容量は大丈夫そうですか?

530 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/04/20(月) 21:14:10 ID:NO5GiDY0
あー…それは考えてませんでした
幾つでいっぱいになりましたっけ?570ぐらい?

531 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 21:16:08 ID:x6ZNge+1
ま。とりあえず投下してパンパンになったら引っ越しでいいんじゃない?

532 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 21:24:38 ID:3DXVWFMN
確か500までじゃありまセンでしたっけ?
仮投下見る限りだとギリギリだと思いますが

533 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/04/20(月) 21:26:22 ID:NO5GiDY0
男は度胸!なんでもやってみるもんさ!
遅くなりましたが 空条徐倫、イギー、レオーネ・アバッキオ、ホルマジオ、チョコラータ 投下します。

534 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 21:27:11 ID:3DXVWFMN
気にいったぁ! 支援

535 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/04/20(月) 21:27:14 ID:NO5GiDY0
〈side A:レオーネ・アバッキオ〉

「―――……ぇ、ねぇ!聞えてるかしら、アバッキオ!」
ああ、聴こえてるさ。それこそお前の声が壊れたテープレコーダを繰り返し再生してるみたいにな。
まったく嫌になってくるってもんだ。
冷め切ったであろう目で目の前の少女を見つめる。相も変わらず同じことの繰り返しだ。俺はこの光景を後何度再生しなきゃいけねーんだ?

「―――……なのよ!ちゃんと私の言ってたこと聞いてた?…―――……んていうのは冗談きついわよ」

何度こいつに言い聞かせたことか。何度話したことか。
意図せずとも俺の口から溜息が漏れる。ああ、落ち着いてるさ。嫌というほど俺は落ち着いてる。
クールになろうぜ、レオーネ・アバッキオ…。

「いいか、ジョリーン…その団子頭に何が詰まってるか知らねぇが何度も同じことを言わせんじゃねえ。
俺は同行を許すって行ってるんだ。付いて行くも何も俺はダメだ、なんて一言も言ってねェぞ」

そうだ、事の発端は俺の提案から。
『現場』に向かうと宣言した俺に対してジョリーンは同行を申し出た。しかしながら正直な話、スタンドを見られることは俺にとっての最大のタブーだ。
隠せるべき場面で己の武器をほいほいと自慢げに披露するのは馬鹿がやることだ。そして俺は幸いなことに馬鹿じゃない。
覚悟が座ったジョリーンなら、スタンド像はともかく再生したときの様子を教えてやるぐらいならしてやってもいいかと思ったんだが…。


「それならどういうことよ?お前はここで残って家を守れって暗に言ってるの?さっきから貴方と話してるとどうも私を現場に向かわせたくないように見えるわよ…。
それにあたし、家庭を守るっていう専業主婦にだけにはならないつもりなんだけど」
できることなら俺のスタンドを見せたくない。そして知られたくない。
ジョリーンがスタンド使いじゃなく再生を見られることがないなんていう楽観的考えは相当のマンモーニ(ママっ子)だ。
見張りの目が増えて悪いことはないし警戒する人数が多すぎるなんてこともないことは確かだ。

「この犬っころが番犬の役割をしっかり果たすように見えるのか、お前には?
支給品にクソなんか引っ掛けられた日には俺はこいつを蹴っ飛ばすぜ…ッ!」

顎でそいつを指し示す。相変わらず生意気な顔だ…。
とにかく、だ。
自分の身も守れないようなガキンチョを抱えて現場に赴くなんて俺はゴメンだね。
そもそも放送15分後に動く理由はその時間が一番「参加者に会わないだろう時間」だからだ。

…矛盾してるかって?ああ、クソッタレ、わかってるさ。
矛盾してるさ。
そう、俺は自分で同行を許しながらも必死こいてジョリーンと犬っころを残そうとしてる…。
自分で決めたことを捻じ曲げてでもな。

536 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 21:28:08 ID:3DXVWFMN
後12k……支援で容量を食っていいか疑問だがとりあえず支援

537 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/04/20(月) 21:29:04 ID:NO5GiDY0
「イギーはそんな間抜けじゃないわ。それにこの子をそんな風に呼ばないで」
ああ、そうだ。決してそんなことはない。
俺がジョリーンとイギーをココに残したいのはこいつらが心配だからなんかじゃない。断じてそうじゃねぇ。
ただ再生を見られるのと、再生中に敵に襲われたときこいつらが足を引っ張るからだ…ッ!

イギーをあやす様に撫でるジョリーンがトリッシュと重なって見えるなんてことはない。
共通点なんていえば、同じぐらいの年頃で、ただ二人とも女の子であるってことだけだ。
「それでもイギーをここに一匹置いていくってのも酷な話だ。まぁ、俺としては犬一匹ぐらいって思うんだが懐かれてるお前の場合は違うだろ?
ああ、イギーも一緒に連れて行くってのも説得力のねぇー話だ。支給品はどうする?」
追い討ちをかけるように付け加えてやる。
ぐっと黙り込んだジョリーンを見るのはあまり気分がいいものじゃねーが、これも俺自身のためだ。
おとなしくパパの帰りでも待ってるんだな……。

「とにかく、だ。そろそろ時間だ。俺は…」
時計を見つめる俺の視線が止まる。せわしなく動いてた秒針が9を過ぎ、そして―

「―べート―ヴェン交響曲第九番の第四楽章『歓喜の歌』
う〜ん、じつに素晴らしいね。心が震える、そんな曲だ。
格好つけたような言い方すると、人間賛歌、ってとこかな? 」

俺の神経を逆なでするような声。妙に鼻に付く男の演説が始まった。




    ◆


正直トリッシュのこともあったし、ジョリーンとの遭遇もあって『こいつ』について考える暇がなかったな。
もちろん、俺たちをこんな狂ったブラッド・パーティーに招いた奴だ、招待状もなしでなんて礼儀知らずににはお灸を吸えてやらねといけねえ。
でもよ…、ここまでの奴だったとはな!

手の中に握られてるペンが俺の握力でミシリと音を立てる。ペンをぶち壊す勢いで強く握るが、ほんの少しだけ残った冷静な自分がそれを押しとどめる。
やれやれ、冷静さを欠くような真似をするなんて。感情を抑えろ、この世界じゃそれが常識だ。
それに…ここで俺が弱みを見せたらどうする?

放心したように、一点を見続けるジョリーン。大方さっき言ってた友人を亡くしたことが原因なんだろうな…。
人の死に慣れすぎた俺にはかける言葉が見つからなかった。
情けないことに俺はこの場にいて唯一ジョリーンを励ますことが出来たのに、どうすればいいかわからなかった。

「………ッ」


538 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 21:30:03 ID:3DXVWFMN
読み手のくせにハラハラさせられるぜ支援


539 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/04/20(月) 21:31:11 ID:NO5GiDY0
ペンを握ったままのジョリーンの手に俺自身のを重ねる。
こじ開けるように手を開くとピントの合わない目が俺の瞳で揺れる。
その動揺が俺に伝わる前に、無理矢理口を開く。

「調査は俺一人でやってくる…。お前は………少し頭を冷やせ……。」

一睨み効かすつもりはなかった。それでも俺自身少し目つきを厳しくしてしまったのはそうして欲しいと俺が願ったからだろうか。
ジョリーンは黙ったまま頷くと、イギーを抱きかかえ椅子に深く腰掛けた。
喫煙者の気持ちがわかった気がする。きっとこういうときに一煙吹かすんだろうな。
玄関の開いたドアから暁の風が吹き込んできた。生暖かいが風が俺を包み込む。

「アバッキオ…!」
呼び止められてドアを片手に振り返る。何事だろうか。付いて行く、とでも言うんじゃないだろうな…。
神経を張ったまま俺は振り返る。頭にに浮かんだ多くの説得の言葉。
決心を固めた女が如何に説得しづらいかは短い人生の中でも体験済みだ。

「…いってらっしゃい」
だけど俺を待っていたのは拍子抜けするような激励の言葉。おかげで一瞬だけ間抜けのような顔をジョリーンに晒す羽目になっちまった。
硬くなっていたジョリーンの顔がそれでか、笑顔になった。まったく、これだから女ってのは…。
むず痒いような気分になり、俺は努めて表情を鉄仮面に戻すと言葉を返すことなく扉の外に出てった。
そして…

「…行ってくる」
とてもじゃねーが面と向かってなんて言えねえ。こういう役はミスタの役だってのに…クソ!
柄にもねぇことやっちまったな…。
冷静になろうぜ、レオーネ・アバッキオ……。
深呼吸をしたときに香った草の匂いがどこか故郷を思い出させ、俺はゆっくりと現場に向かった。




    ◆


『そりゃあ…爺さんが負けたら……俺も死ぬからじゃねぇか』

まずこいつと面を会わすようなことがあったらその土手っ腹に蹴りをぶち込んでやる…ッ!
誰の手でもねぇ。もちろん足でもねぇ。そして俺自身のスタンドでもない。
この俺、直々に…その身に嫌というほど染み込ませてやるぜ………!

『あぁ…おクハッ、俺の息子が荒木に……利用さ…されててな……
 絶対に…助けに…行かなきゃならねぇんだよ……』

だから今は笑ってるがいいさ…。ふんぞり返って待ってるが良いさ。
その腐りきった性根、再起不能にしてやる……ッ!
そうでもしねーと俺の腹の虫の居所が収まりそうにねぇからな…。待ってろよ、荒木飛呂彦!


540 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 21:32:00 ID:NO5GiDY0
『なぁ…爺さんよ……息子を………アンドレをた……』

…再生の声をBGMに考え事、か。最高じゃねえか。この舞台に相応しい、死と侮辱の匂いがぷんぷんしやがる。
ほんとなら放送が始まる前には再生を終えてる予定だったんだがな、少し警戒しすぎたか…。

現在位置は把握してる。幸い禁止エリアに指定されなかったことだしじっくり調査を進めるとするか…。
そう思ってるのに俺は驚くほど集中できてない。
気づけばあの放送の男、荒木飛呂彦のクソ生意気な態度ばかり思い出す。
忘れようと調査を勧めるが虫が湧き出るように俺の頭に侵食しては思考を乱す。
……少し気張りすぎか。

そうして気を抜いた俺の頭に浮かんだのは二人の女。
泣き崩れるアイツ、誇り高いまま死を迎えた彼女。麻薬中毒者が幻覚を見るように、俺の目の前で二人がちらつく。

「………クソッタレ!」

ジョリーンは…きっとここには来れないだろうな。
母親を亡くし、親友を亡くし、慕われてた少年も失った。あの年頃の女の子には堪えるだろう。
………俺だって堪えてるんだ、あいつが動揺しないはずがない。
認めるほかない、俺は今動揺…ではなく、そうだな、驚愕してる。
何に、かって?
それは、そうだな…。
トリッシュの死をわかっていたのに自分でもその名前を聞いたときに自分が衝撃を感じちまったこと。
26名という死亡者の多さに俺が甘さを感じちまったこと。

「………」
隣で再生を終えた自分の分身を見る。既にターゲットは物言わぬ死体となり、俺はそれに一時停止の命を告げていた。
手ががりは今すぐにでも見つかるだろう。それでも俺はすぐに動き出すことは出来なかった。
空を仰ぐように顔を上げる。ぼんやりとした頭を総動員しないとこの選択は選べそうになかった。

ギャングの俺がベビーシッター気取りか?ハッ、俺も焼きが回ったもんだ。
それでもこの機会は逃せねえ。今が一番がチャンスなんだ。
周りに人の気配は…どうだろうかね。一応気は張ってるがこの俺の警戒網を越えるぐらいのやつがいないとも限らねえ。
さて、どうすべきか…?


【レオーネ・アバッキオの場合】

1.再生を続ける
2.再生を中止、空条徐倫の元に戻る
3.再生を中止、周りにいるかもしれない参加者を探す。



                ◇  ◆  ◇

541 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 21:32:31 ID:3DXVWFMN
支援


542 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/04/20(月) 21:32:51 ID:NO5GiDY0
〈side B:空条徐倫〉



「ねぇ………、ねぇ!聞えてるかしら、アバッキオ!」
イライラ…してるんでしょうね。妙に口調を荒げる自分が珍しく思えた。
なんでイライラしてるかって?そうね、色々原因はあるわ。ただ一番の原因は彼ね。
この目の前にいる、やけに白けた目で私を見つめる男。レオーネ・アバッキオ、その人のせい。

「心配なのよ!ちゃんと私の言ってたこと聞いてた?…同行を許す、なんていったくせに今更『なし』なんていうのは冗談きついわよ」

やけにゆっくりとした動作で私の目も見るアバッキオ。半眼にあけられたそれは明らかに『面倒だ』との気持ちがありありと浮かんでる。
…こういう目は嫌と言うほど体験してるわ。そしてこういう目をしてる男って言うのは…。
やれやれ、厄介この上ないわ。

「いいか、ジョリーン…その団子頭に何が詰まってるか知らねぇが何度も同じことを言わせんじゃねえ。
俺は同行を許すって行ってるんだ。付いて行くも何も俺はダメだ、なんて一言も言ってねェぞ」

天井を仰ぐように見上げる。これだから大人って言うのは嫌いなのよ。
自分の都合ばかり通して平気で約束破り。大人の権力振りかざして子供を黙殺。
まったく、溜息つきたいのはこっちのほうよ。

「それならどういうことよ?お前はここで残って家を守れって暗に言ってるの?さっきから貴方と話してるとどうも私を現場に向かわせたくないように見えるわよ…。
それにあたし、家庭を守るっていう専業主婦にだけにはならないつもりなんだけど」

「この犬っころが番犬の役割をしっかり果たすように見えるのか、お前には?
支給品にクソなんか引っ掛けられた日には俺はこいつを蹴っ飛ばすぜ…ッ!」

皮肉にまじめに返すことを望んでたわけじゃないわ…。もちろんわかっててそうしてるんでしょうけど。
はぐらかされる様に話は進む。あたしは床に眠そうに伸びをするイギーを抱え挙げる。
少し嫌そうにしたけどそんなことかまいやしない。その柔らかな毛皮に顔をうずめると太陽のにおいがした。

「イギーはそんな間抜けじゃないわ。それにこの子をそんな風に呼ばないで」
「それでもイギーをここに一匹置いていくってのも酷な話だ。まぁ、俺としては犬一匹ぐらいって思うんだが懐かれてるお前の場合は違うだろ?
ああ、イギーも一緒に連れて行くってのも説得力のねぇー話だ。支給品はどうする?」


543 : ◆Y0KPA0n3C. :2009/04/20(月) 21:33:33 ID:NO5GiDY0
…もういいわ。
最初から行かせる気なんてなかったんでしょ、どうせ。
そうは思ってもやっぱり納得いかない。
あたしをか弱い女の子かなんかと誤解してるみたいだけどそんなことあるわけないじゃない!
自分の身ぐらい自分で守れる。そうやって過ごしてきたし、これからもそう。
だって、あたしは―――

「とにかく、だ。そろそろ時間だ。俺は…」

「―べート―ヴェン交響曲第九番の第四楽章『歓喜の歌』
う〜ん、じつに素晴らしいね。心が震える、そんな曲だ。
格好つけたような言い方すると、人間賛歌、ってとこかな? 」

口を開きかけたあたしを黙らせるには充分だった。
アバッキオの言葉も遮った男の声を六時間ぶりに聞きながら私は知らず知らずのうちに強くイギーを抱きしめていた。




    ◆



放送が木霊のようにリビングに響く。やけに耳に残るそれを感じながらふと目を手元に下ろす。
動揺もせずに名簿には脱落した参加者の欄に線が引かれていた。
禁止エリアもご丁寧に時間まできっちりと書き込まれている。
…それを見てあたしは喜べばいいのか悲しめばいいのかわからなかった。

エルメェスとエンポリオの名前が呼ばれたのに冷静に受け入れれたこと。
悲しいはずなのにそれをどうすればいいかわからないこと。

………そうよ、放送で名前を呼ばれたってことは死んだってこと。二度とあの二人に会えないってことだわ。
そう理解したとき、そう思ったとき、ビデオ再生のようにママの最後が思い出される。



鳥肌が全身を襲ったのと手に震えが走ったのは同時だった。

嫌だ。もう二人に会えないなんて嫌だ。
まだエルメェスには話してないことがある、やってないことがある。
返してない借りた百ドルのツケ。いかした顔した男子看守のホットニュース。FFと仕掛ける予定だったドッキリ。

544 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 21:33:42 ID:3DXVWFMN
後10kで500か 支援

545 :創る名無しに見る名無し:2009/04/20(月) 21:34:40 ID:3DXVWFMN
とりあえず埋まろうと埋まらなかろうと投下が終わったら新スレは立てるぜ!

546 :代理投下:2009/04/20(月) 21:44:43 ID:3DXVWFMN
エンポリオだってそうだ。
あたしを姉みたいに慕ってたあの可愛い少年はもういないの?もう会えないの?
幽霊の部屋にまた招待してよ。気まぐれにピアノをかき鳴らそうよ。またあたしを「おねえちゃん」って呼んでよ。

嫌よ、そんなの。嫌、二人に会えないなんてそんなの、そんなの―――ッ!!

「調査は俺一人でやってくる…。お前は………少し頭を冷やせ……。」
突然手を握られる。霞む視界に大きな手が映り、少しずつ視野が広がる。
ぼんやりと靄がかかっているような頭は以前働かないものの、目の前にいるのがレオーネ・アバッキオであることはわかった。
温かさを膝に感じるとアバッキオと同様にイギ−がその身を丸めこちらを見上げてる。

震えはまだ収まらなかった。それでも手を握り返し、イギーを抱きしめた。
それが今のあたしがすべきことだと思ったから。

大きな男の背中が遠ざかっていく。玄関の扉に近づきその手を扉にかける。
急激にこみ上げるなにかが命じるままにあたしは声を振り絞った。
そうでもしないとこの背中を見るのが最後になるんじゃないかって漠然とした不安に押しつぶされそうだったから。

「アバッキオ…!」
だから振り向いた彼を見てもあたしは何も言葉を用意してなかった。
少し目つきを仕事人のもにした男に対してあたしは宙ぶらりんな状態を維持するしかなかった。
結局無理矢理ひねり出した言葉は当たり障りのないただの挨拶だった。

「…いってらっしゃい」

間抜け面を晒したアバッキオを見て、少しだけ笑った。そうやって笑える自分がいることにほっとしてまた笑った。
イラッとしたような顔を一瞬だけするとそれでもアバッキオはもう一度表情を戻した。
そうしてまたその広い背中を見せると…

「…行ってくる」

扉が閉まるその直前に、最後にその背中があの日のあいつに重なって、またあたしは笑顔をなくした。




    ◆



寒かった。
頼れるものもなくして、寄りかかるものもなくして、あたしは一人だった。
窓に視線を向けるとちょうどお日様が顔出す頃であたしはそれからも顔を背けた。
イギーは相も変わらず私の腕の中で大人しく抱かれてくれてる。そうして欲しい、って私が思ってるのがわかってるのかしら。


547 :代理投下:2009/04/20(月) 21:50:00 ID:3DXVWFMN
どうすればいいのかしら、これから先………。
あのエルメェスが死んでしまった。まだ認められないし、認めたくない。
それでも微かに残った冷静な自分が騒ぎ立てる。熱く燃え滾る自分が叫ぶ。
……そうね。その通りよ。
アナスイだって、FFだって、ウェザーだって。
あたしは守られるだけの女の子じゃない。
ストーン・フリー。何者にも縛られない私自身の誓い。

立ち上がらないと…!これ以上失いたくないって言うなら失わせちゃいけない。
だったら自分の腕で掴み取れ。あたしにはそのための腕があるんだから。

それからあたしが家を飛び出なかったことが結果的に良いかどうかは判断できない。
ただあたしは今一度考えをしっかりと練り直さないといけなかった。
一番の論点は「アバッキオが信頼できるかどうか」

アナスイ、ウェザー、FF…そして『あいつ』。もう失いたくない。それが素直な気持ち。
現場に向かった彼は大丈夫かしら…?それにもしかしたらあの拡声器の声につられてあたしの仲間が来るって可能性も…。
すれ違いになったらどうしよう…。それが最大の懸念だわ…。

とにかく急がないと。決断はサクッと。クールにいきましょうね、空条徐倫…!



【空条徐倫の場合】

1.仲間を探しに出る
2.アバッキオの元に向かう
3.アバッキオの帰りを待つ




                ◇  ◆  ◇


548 :代理投下:2009/04/20(月) 21:55:21 ID:3DXVWFMN
〈side C:イギー〉


「この犬っころが番犬の役割をしっかり果たすように見えるのか、お前には?
支給品にクソなんか引っ掛けられた日には俺はこいつを蹴っ飛ばすぜ…ッ!」

………んだよ。せったく人が心地良く寝てたってのに。マナーがなってねぇぞ、マナーが。
ぎゃーぎゃー喚く人間どもの声を聞きながら俺は眠りから覚醒する。
眠気覚ましに欠伸を一発かまし今の自分の状況を把握する。

なんだよ、まだ随分暗いじゃねーか。お天道様と同時に起床、ブラックコーヒーを片手にってのが俺のいつものモーニング。
それと比べたらそれは、まぁ、対したもんだぜ…
安っぽくて廃れたホテルでももっと心地良い目覚めになるだろうってのに…やれやれ。
それにしてもこの俺の眠りを妨げたのは何処のどいつだ?………なんだ、ジョリーンのやつか…。

「イギーはそんな間抜けじゃないわ。それにこの子をそんな風に呼ばないで」
「それでもイギーをここに一匹置いていくってのも酷な話だ。まぁ、俺としては犬一匹ぐらいって思うんだが懐かれてるお前の場合は違うだろ?
ああ、イギーも一緒に連れて行くってのも説得力のねぇー話だ。支給品はどうする?」

まあいいだろ、いちいち抵抗するのも面倒だ。
それに大抵人間は犬の都合なんて無視だからな。ここは俺が大人になってやるか…。
最もあの男だったら今頃顔に強力な一発をふっかけてるだろうけどな。

「とにかく、だ。そろそろ時間だ。俺は…」

それにしてもよく喋るもんだぜ。こうもキャンキャン騒がれるとこっちが騒ぐ気をなくすぜ…。
ま、いい。もう一眠りと行くか…。

「―べート―ヴェン交響曲第九番の第四楽章『歓喜の歌』
う〜ん、じつに素晴らしいね。心が震える、そんな曲だ。
格好つけたような言い方すると、人間賛歌、ってとこかな? 」

目を瞑り夢の世界へ旅立とうとする俺を望んでもない目覚ましが遮る。
今度は何だよ…。いいかげんにしねーと温和な俺様もプッツン来るぜ…ッ!?



    ◆


549 :代理投下:2009/04/20(月) 22:00:15 ID:3DXVWFMN
「調査は俺一人でやってくる…。お前は………少し頭を冷やせ……。」

これだから人間ってのは嫌いなんだよ。
自分たちがこの世で一番賢いだ?やれやれ、その賢い人間様はそれじゃどうして26人も犠牲者を出してるんだ?
そもそもこれを開催したのも人間様じゃねーか。…いや、もしかしたらあの荒木って奴は人間じゃねぇかもしれんがね。
どうも奴からは匂いがしない。薄っぺらい無機質の匂い。
へっ、NYの酒場のゴミ箱の中のほうが何倍も嗅ぎ応えがあるってもんだぜ。

「アバッキオ…!」
「…いってらっしゃい」

それにしても、アヴドゥルの奴もくたばったのか…。
俺をNYから引っ張り出したのが仇になったか。ただあいつほどのスタンド使いがこうもあっさりやられるとはちょっぴりだが、びっくりだぜ。
俺はあいつの強さだけは認めてたんだがな…。
まぁ、荒木、あのニセモノ野郎をぶっ飛ばすついでだ。てめぇの仇も気が向いたら取ってやるよ。
だから化けて出てくるんじゃねぇぞ?お前みたいなブ男が夢に出てくるなんてことは勘弁だぜ…。
そういうわけだ。いい夢見て眠りやがれよ、アヴドゥル。

「…行ってくる」

さてと。そんなことより、この現状だ。
軋み閉まる扉を見て俺は下からジョリーンの奴を見上げる。
思ったとおりだがジョリーンのやつは動揺が酷い。心音も早くなってるし、額に浮かぶ脂汗も尋常じゃねえ。
野郎のほうもそれに対処できてねえ。それどころかこいつ一人置いてどっかに行きやがった。
一人にしとくのがいいんだって?やれやれ、これだから青臭い童貞(ガキ)どもは困る。

男であるもの、女一人エスコートできないようじゃこの先苦労するぜ?全く使えねえ奴だ。
こんなときは女のために思いっきり泣かせる胸のひとつやふたつ用意しとくもんだぜ?
そういうわけで今日だけ特別サービスだ。今だけは、俺の毛皮で思う存分泣きな、ジョリーン…。





    ◆


550 :代理投下:2009/04/20(月) 22:04:10 ID:3DXVWFMN
野郎の奴がジョリーンをそのままにして家を出てからだいぶ経った。
ジョリーンの奴は相変わらず震えっぱなしだ。俺の体に伝わるほどの震えを感じる。
随分と危険な匂いだ…。
その震えが止まったことから俺は更に鼻をひくつかせ、体から溢れるばかりの感情の臭いを嗅ぎ取る。
焦り、恐怖、義務感、決意。徐々に固まりだした匂いはジョリーンの体を蝕んでいく。

なに?決意が固まったことはいいことだって?
馬鹿言え、今のこいつは最高に視野が狭い状態だ。やれやれ…これだから人間は。

冷淡に生きること、死者を重んじること、ドライに生きること。
死が特別なものである人間にはそこらをやたら分別したがる。
弱肉強食。油断したら死を招くその世界にいる俺からしたらどれも大して変わらねぇ。
ただ死んだものに自分の中でどうけじめをつけるか。それが葬式であったり追悼であったりするわけだが。

死を無駄にしない、なんて二枚目くさいことは言わねぇぞ?
ただ俺はどんな死者にだって敬意を表すべきであって、そこに私情を含むかどうかは別物ってやつだ。
…まぁ、俺が特別すぎるってことか?

とにかく、こいつは死者の影追うばかりで肝心の自分の命が見えてねぇ。
目標ばかり目に行って足元がお留守。傍から見たらどうも危なっかしい。
…はぁ、めんどくさいことに首突っ込んじまったなぁ。仕方ねえ、これも犬好きのガキンチョどものためだ。

六時間一緒に過ごしたよしみあるしな、ジョリーン、協力してやるよ…。
だからといってそれがお前の望むことになるかどうかは俺の知ったこっちゃねぇ。
犬好きのお前にとって何が一番良いか、賢い人間様より聡明なこのイギー様が判断してやるよ!


【イギーの場合】

1.徐倫を引き留める
2.徐倫と一緒に家を出る
3.なるようになる

                ◇  ◆  ◇


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