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コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 33

1 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 17:18:26 ID:pJgqLGFg

ここはPS2/PSPソフト「コードギアス反逆のルルーシュ LOST COLORS」SS投稿スレです。
感想等もこちらで。このゲームについて気になる人はギャルゲー板のゲーム本スレにもお越しください。
基本sage進行で。煽り・荒し・sageなし等はスルーするか専ブラでNG登録して下さい。
(投稿前に読んでください >>2-)

■SS保管庫 http://www1.ocn.ne.jp/~herma/CodeGeass_LostColors/2ch/0.html

■前スレ(ギャルゲー板 0032)
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gal/1226828782/
  (過去ログは保管庫スレッド一覧から閲覧できます)

■関連スレ
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS 21 (本スレ)
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gal/1225489272/
コードギアス ロスカラのライ 温泉には大きなオッパイが6つ (主人公スレ)
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1225366437/
【PSP】コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/handygame/1207641630/
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS 攻略スレ4
 http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gameover/1209720651/

■公式サイト http://www.geass-game.jp/ps/
■アニメ公式サイト http://www.geass.jp/
■攻略wiki http://www9.atwiki.jp/codegeasslc/

2 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 17:20:19 ID:pJgqLGFg

■全般
・次スレ建設について
 950レスもしくは460kB近くなったらスレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから
 重複などを防ぐために、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えてください。
  ※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例 940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など
・誤字修正依頼など
 保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(geass_lc_ss@yahoo.co.jp)に
  ※修正依頼の際には、作品のマスターコード
   (マスターコード:その作品の投稿が始まる、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)
   を必ず記述して下さい
   例:0003-0342 のタイトルを○○に カップリングを○○に
     (↑この部分が必須!)
   マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定だと処理ができなくなる場合があります

■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください
3.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
4.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
  ・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
5.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
  ・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
   (トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で)
  ・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます

前書きの中に、以下のテンプレを含むことが推奨されます。(強制ではありません)
【メインタイトル】
【サブタイトル】
【CP・または主な人物】
【ジャンル】
【警告】

【背景色】
【基本フォント色】

3 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 17:22:26 ID:pJgqLGFg

■画像投稿報告ガイドライン

ロスカラSSスレ派生画像掲示板
 PC用  http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic
 携帯用(閲覧・コメントのみ) http://bbs1.aimix-z.com/mobile.cgi?room=lcsspic

1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。
  尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
 ・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
 ・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)

2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
  (SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。)
  例:「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。 画像板の(タイトル)です。
     〜(内容・注意点などを明記)〜 よかったら見てください。」
 ・内容:挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど
 ・注意点:女装/ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)/微エロ(キス、半裸など)
      /ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など(絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします。)

 画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
 *ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。

3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
  画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
  画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。

4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
 ・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます
 ・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
 ・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
  (ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)

4 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 17:43:24 ID:CXhOpXt8
乙&祝移転。

5 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 18:44:29 ID:QiCrOEGK
オッツー

6 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 19:16:51 ID:Nxj6807y
立て乙
そしてはじめまして(本当はそうでもない)創作発表板!

7 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 19:17:59 ID:tUobGz7S
前に相談に来てたスレだね
いらっしゃいませ

8 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 19:27:17 ID:BuuAb6JY
>>1乙!
これからも宜しく&これから宜しく

9 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 19:41:51 ID:2DQIvQii
>>1
乙です!

10 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 21:04:37 ID:GnMRPrvz
乙です

11 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 21:07:34 ID:6OQMt3EQ
ようこそ ロスカラご一行様

12 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 21:43:40 ID:TZ7yk04N
オールハイル>>1乙!
新天地だ!全力で書くぞ!

……でもちょっと時間くださいwww

13 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 22:06:28 ID:ugzabUi7
祝移転!
ロスカラ万歳!
ライ万歳!
創作板万歳!

14 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 22:20:39 ID:JqwEiNbV
せっかくだから、多少なりとも板にも貢献できるスレになりたいもの。
今後ともよろしく!

15 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 22:43:34 ID:bQzrVP+S
>>1乙カレン

16 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 22:45:05 ID:X3T+52g+
>>1乙〜

17 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 22:45:38 ID:de9AI4fI
>>1乙です。こちらの板を少しでも盛り上げられるといいなあ。

さて、22:55から投下します。本文・あとがき含めて4レスの短いやつですが。

18 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 22:53:49 ID:CpEzyqR2
>>1

早速SSが、来ますか楽しみです

19 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/12/02(火) 22:55:57 ID:de9AI4fI
創作発表板の方々、はじめまして。しがないSS書きですが、よろしくお願いします。
では投下します。

作者:余暇
タイトル:二つ星
カップリング:ライ×カレン

空を見ていたらすごくきれいな星が見えたので、思わず書きました。
本文・あとがき含めて4レス分です。

20 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/12/02(火) 23:00:13 ID:de9AI4fI
                                        『二つ星』

「空が暗くなるのが早くなってきたな。」
「もうすぐ本格的な冬だから、当然よ。」
ある日、僕とカレンは租界に出て買い物をしていた。買い物と言っても、そのほとんどは僕の部屋の冷蔵庫に入れる食料だが。
「すまない、わざわざ買い物に付き合ってくれて。」
「いいのよ、別に。租界を歩いてあなたの記憶の手掛かりになりそうなことを見つける目的もあったし、何より私は、あなたのお世話係主任ですもの。これくらいお安い御用よ。」
そう言うと、彼女は笑った。彼女には租界を案内してもらったり、黒の騎士団の活動中にも色々サポートしてもらったり、とにかく助けられっぱなしだ。
騎士団では、彼女とともに『騎士団の双璧』だったり『ゼロの両腕』と呼ばれてはいるが、僕自身はそんなに大したことはしていないと考えている。
ゼロが進む道を切り開き、カレンや仲間たちが望む世界を創る手助けを少しでもできればと、自分ができることをしているだけだった。
彼らに信頼されているのは素直に嬉しい、だが「僕が加わったことでみんなが変われた」と言われるのは、正直恥ずかしかったし過大評価だと考えていた。
「あっ、一番星!」
カレンが空を指差した。見ると、西の空に三日月が輝き、その上に明るく光る星と、少し控えめに光る星があった。


21 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/12/02(火) 23:02:51 ID:de9AI4fI
「あれは宵の明星だな。」
記憶を失っているはずなのに何故か知っている単語が、自然に僕の口から出た。
「何それ?」
「あの明るく光っている方の星のことだ。その正体は金星なんだが、夕方頃から西の空で光りだすから、宵の明星。ちなみに、明け方に東の空で金星が見える場合もあって、それは明けの明星と呼ぶんだ。」
「ふーん、ライって記憶喪失と言う割に、随分物知りなのね。」
「ああ。不思議なことに、知識だけはやたらと頭の中に入っているらしい。文字通り『詰め込まれた』って感じにな。」
本当に不思議なことに、この世界で生きるための知識やナイトメアの構造及び操縦技術を、何故か『知っている』のだ。自分の経験で覚えたという感覚はまったくないため、それが僕をさらに混乱させていた。
おまけにこんな豆知識まで披露できるとは、僕は一体何者なんだ。
「じゃあさ、その隣で控えめに光っている星は?」
カレンが、金星の隣で光る星について尋ねてきた。
「えーと、それは新聞か何かで読んだぞ。確か、木星だったな。金星と木星が近くで見える現象は周期的にあるらしいけど、月もセットでここまで集まった状態で見られるのは、結構珍しいみたいだ。」
「へえ、これって珍しいんだ。でも何だかあれ、笑った顔に見えない?」
そう言えば、三日月を口に見立て、金星と木星を目だとすると、確かに笑っている顔に見えた。
「なるほど、確かにそう見えるな。そう考えると星空を眺めるのも面白いな。」
「そうね、こっちまで笑いたくなってきちゃった。」
そう言って笑うカレンを見ていると、僕も少し楽しい気分になってきた。


22 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/12/02(火) 23:06:40 ID:de9AI4fI
そして星空を眺めながら、カレンは呟いた。
「そう言えば、あの星たちは私たちにも例えることができそうね。」
「僕たちに?」
「うん。月をゼロだとすると、その月に付き添って守るように光っている二つの星は私たちみたいだなって。ほら、私たち『騎士団の双璧』って呼ばれているでしょ?それって、ちょうどあの星たちみたいじゃない。」
僕は星を眺めた。確かに、月に寄り添うように二つの星が光る様は、僕たちのようかもしれない。でも改めてそんな風に言われると、少し照れくさかった。
「じゃあ、明るい方の星はカレンだな。君はいつでも明るいし、何だかその方が似合っているから。そして僕はその隣で光っている方だな。そんなすごい人間ではないし、目立ちたがりでもないから。」
「すごい人間じゃない、か。ライは絶対そんなことはないと思うよ。すごいと思うし、私だけじゃない、みんなが尊敬しているから。まあ、あの二つの星のどちらかと言えば、木星の方が似合っているとは思うけど。」
カレンは優しい眼差しで僕を見た。
「私も学校で習ったから少しだけ覚えているけど、木星って太陽系で一番大きな惑星なのよ。ここから見ただけでは一番目立たなくて暗いけど、本当はとても大きくて、周りを包み込んでしまいそうな存在なのよ。
それって、まるでライみたいじゃない。」
「どういうことだ?」
「包容力があって、私たちを陰で優しく見守ってくれて、いざという時には力強く戦ってくれる、とても心強い存在ってことよ。だから、あまり自分を過小評価したりしないで。
たとえ本当のあなたがどんな人間でも、私たちにとってライはライだから。もっと自信を持って、いつまでもあなたらしくいて。みんな、今のあなたが好きなんだから。」
彼女がそんな風に言ってくれることが、僕は嬉しかった。記憶がない自分をこんなに頼りにしてくれている、見守ってくれている。僕の居場所は、確かにここにある。
「ありがとう、カレン。そんな風に言ってもらえると嬉しいよ。そんな大きな存在に例えられるのは恥ずかしいけど、あの空に見える笑顔みたいに、みんながいつか笑顔で明日を迎えられるように全力を尽くそう。
もちろん、君やみんなと一緒に。」
「ええ、一緒に頑張りましょう!」
僕たちは顔を見合わせ、決意を新たにした。そんな僕たちを見守るように、二つの星が冬の夜空でより一層輝いていた。


23 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/12/02(火) 23:12:06 ID:de9AI4fI
以上で投下終了です。星が笑顔に見えるというのは、昨日の実体験です。
はじめましての方に軽く自己紹介。保管庫を見ていただければわかりますが、自分は相当数のライカレSSを書いています。
このカップリングが好きなのが理由ですが、中には読んでて恥ずかしくなるような激甘なやつもあります。
今回のはまだあっさりした方です、機会があれば保管庫の方もぜひ見て下さい、管理人さんが喜びます。

では、また。

24 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 23:17:14 ID:xk7qIi4K
>>23
余暇卿、投下乙&GJでした!
……星か、ほとんど見えないや。
バトレーは、一体何を考えて知識を詰め込んだんだろう?
……もしかして星を愛するロマンチストだったりするのだろうか。
……………
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

25 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 23:27:46 ID:F5WSWklY
>>23
乙でした!
今回も季節にからめたお話が染みました。
日常って大切だよね。
記憶ってそんな積み重ねだからね。

余暇さん、これまでありがとうございます。
そしてこれからも。
よしくお願いします!!

26 :いこ:2008/12/02(火) 23:28:10 ID:WqPYUMkM
携帯から失礼いたします。こちらの方には相当久しぶりに来ます、いこと申します。
23時30分にSSを投下させていただきます。

作者:いこ
題名:甘い世界
CP:ライ×シャーリー

単なるバカップルです。本編の切なさを思い出して、書き上げたものです。
1スレという短さですがよろしくお願いします。

27 :いこ:2008/12/02(火) 23:30:55 ID:WqPYUMkM
「シャーリーの髪はすごくきれいだね」

シャーリーの自宅に遊びに来ていたライは優しく微笑みながらシャーリーの長い髪を指で掬った。
シャーリーはその動作に胸をときめかせて「そうかな?」と尋ねる。

「長いのに枝毛とか全然ないし、絡まないでさらさらしてる。なにか特別なことでもしてるのか?」
「うーん、特にはないかなぁ」
「じゃあ元がいいんだな」
「そういう君だってきれいな髪だよ」

シャーリーからすればライの白ともいえず銀ともいえない、彼らしい不思議な髪もとてもきれいだと思う。
くせっ毛らしくぴょんぴょん撥ねている髪も触るとすごく柔らかくてさらさらしている。シャーリーからすれば男の子なのにどうしてこんなにきれいなのかと羨ましくなる程だ。
そんなライは「ありがとう」と優しく笑ってまたシャーリーの髪を掬う。

「でも僕はシャーリーの髪のが好きかな」
「なんで?」
「暖かくて優しい、まるで太陽みたいな色だから」

ちゅ、とライは髪に軽く口付けるのでシャーリーの頬は真っ赤に染まる。
まるで、どこかの国の王子様みたいだった。シャーリーの目は一瞬だけ、ライの周りに赤い薔薇が咲き乱れていた。

「…ライってたまにすごい恥ずかしいことするよね……」
「そうかな?」

自覚がないのがさらに厄介だ。

「今すごい王子様みたいだった」
「王子様って柄じゃないけど、それじゃあお姫様はシャーリーだね」
「あはは、私はお姫様なんか似合わないよ。お姫様っていうのは会長とかナナちゃんとか…」
「でも、僕のお姫様は君だけだよ」

最高級の天然口説き文句にシャーリーは今度は頬だけでなく顔を真っ赤に染めた。ライはくすくす笑ってシャーリーを優しく抱きしめた。お互いの体温が伝わってとても暖かい。

「可愛い、シャーリー」
「もー!ライってば……」

今度はどうやら、計算されていたらしくシャーリーはやられちゃったなぁ、と相変わらずどきどきしている心臓を静めようとするが、こうやってライに抱きしめられている限り無理かも、と心の中で苦笑した。
勿論、それが決して嫌なわけじゃないし、むしろ好きな感情だった。

「ライ、だーいすきっ」

シャーリーの告白に今度はライが頬を赤くしてすぐに嬉しそうに「僕も」と返して、シャーリーの額にキスをした。

28 :いこ:2008/12/02(火) 23:33:15 ID:WqPYUMkM
以上で終了です。
読んでくださった方々、ありがとうございました!

29 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 23:39:20 ID:de9AI4fI
>>28
おお、すごくお久しぶりです。そして投下乙です。
これまた甘いお話だ、天然王子ライと、そのお姫様にシャーリーを持ってきましたか。
こういう甘い話は大好きです、自分が書く時の参考にもなりますし。
またの投下をお待ちしています。

30 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 23:43:42 ID:F5WSWklY
>>28
乙です。
こんなストレートな愛情表現も、シャーリーらしいですね。
太陽のような髪、天真爛漫、まさにお日さまみたいな彼女に
相応しい例えだなと。

ほっこりしました。

31 :創る名無しに見る名無し:2008/12/02(火) 23:50:29 ID:xk7qIi4K
>>28
いこ卿、乙でした!
1スレで短いだと!? と誤字に軽く戦慄したりしました。
甘い、すっごく甘い。
天然で言ってるからさらに甘さが増しました。
さらにストレートな「大好き」は思わず咳き込むほど甘かったです。
貴公が次に投下される時を全力を挙げて待たせていただきます!

32 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 00:14:13 ID:4B2/2ZUJ
>>28
いこ卿、GJでした!
わずか1レスと言う短さでありながらとても内容が凝縮されていますね。
最近ライシャリはあまり見てなかったので新鮮で、そっちの意味でも良かったです。
卿の次回の投下を全力でお待ちしております!

33 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 01:44:05 ID:62iCAaYQ
いこ郷GJ!
わが友が萌えまくりそうなライシャリでした。
もちろん僕も萌えました。

ところで移転したばっかだってのに変な質問ですけど、この板でもクロスやBLは禁止事項でしょうか?

34 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 02:05:49 ID:9u6qtYV7
クロスというと、他の作品と絡めるってことかな。
以前、マクロスFのシェリルが出ている作品がなかったっけ。
クロス元を知らないことは多いと思うけど
注意書きがあれば自分はそれほど気にならないかなとは。
そればっかりになるわけじゃないだろうし。
あまり置いてきぼりなら寂しいと思うだろうけど

・・・BLは、勘弁してください。

35 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 02:08:49 ID:sboQ9PT+
>>28いこ卿、GJでした!
なんというか、正しいティーンエイジャーの可愛い恋愛ですね。微笑ましい!

36 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 05:38:46 ID:2y3A6M7Q
>>33
クロスやBLなどは別個にスレ立てしてくださいな

37 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 07:54:18 ID:62iCAaYQ
ふむふむ、回答ありがとうございました。

38 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 09:48:55 ID:FIW3HJ2F
BLは勘弁してくれマジで

39 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 11:24:10 ID:b/Ke0oo5
前に青運命が正体不明の部隊としてエースコンバット5の8492部隊の名前使ったりしてたけど、これもクロスになるんじゃね?
だとしたらあのひとはスレ違いってことで放逐だな
別スレに逝けってことで。

40 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 11:48:29 ID:oCKnMTT3
青の姐さんのは許容範囲内だろ。


41 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 12:20:49 ID:RR8g6vCS
>>39
それ言い出したら、かなりの職人がスレ違いになるな。
それでいいのか?
パロディと取れないほど器量が狭いといろんなSSを楽しめなくなるぞ。
確かに程度は必要だが、その程度でキャンキャン吼える必要はないと思うが…。
素直に楽しめよ。


42 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 12:58:26 ID:U73PhNf5
ただの青運命氏のアンチだろ?


43 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 13:10:18 ID:pL/j4yIf
>>39
他作品について詳しく知らないと話が楽しめないというのはNGだろう。
だが名前だけ使って、分かった人だけニヤリってネタならOKでね?
青運命氏の他にも「ロイ・キャンベル」とか「たんぽぽ娘」とか、
そういう名の使いどころを楽しませてくれる職人さんが居るじゃないか。

あとBLは専用板があるんだからそちらへ、だな。
作中でキャラを困らせるネタとして使われるだけなら笑えるが。

44 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 16:05:53 ID:7EyQOIls
知らなくても問題なく楽しめるように描写してくれるなら
問題ないと思うよ。

しかしクロスとBLは別問題だろ。一緒に聞くことじゃないわ

45 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 18:00:55 ID:4B2/2ZUJ
取り合えず、注意事項として書いておけばOKかと。
まあ実際に登場人物の名前とかを書かない限りは注意事項も要らないと思うけどね。そういうのはパロディに分類されるだろうし。
BLはレベルにもよると思う。
青月にあったレベル前後くらいまではOKだと自分の中では許容してるけどやっぱ無理な人もいるだろうし…
現時点ではそっちの板に投下するのが得策だとは思うけどね。

46 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 18:48:38 ID:jAWY1HJ/
記念すべき創作板投下第一号は余暇卿でしたね。余暇卿クオリティのライカレGJ!
いこ卿もGJ!可愛らしいライシャリは新鮮でした。
なんかロスカラ熱が戻って来ました。

47 :とうふ ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:32:05 ID:idCl/hLc
創作板の方々、よろしくお願い致します。
とうふと申します。随分久しぶりになってしまいました…
では、投下致します。本編入るのでカップリングも明記しておきます。
レス数は17です。

【メインタイトル】 LOST PIECE
【サブタイトル】 TURN1 亡霊が目覚めた日
【CP・または主な人物】 ライ×アーニャ
【ジャンル】 シリアス
【警告】 今回の話では少しの間だけオリキャラが出ます

48 :とうふ(1/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:33:45 ID:idCl/hLc
「くそっ、何たる事だ…! たとえ質で劣ろうとこちらは数で勝っていたんだぞ! 何故我々がこうも追い詰められねばならんのだ!」
EU軍指揮官、アーゼル・オレスタ大佐はKMFのコックピットの中で拳を叩きつけた。
気づいた時には孤立し、包囲され、伏兵による奇襲の餌食となり、各個撃破の憂き目に遭う。
こちらの戦術・戦略が全て読まれているようだった。もはやこの戦いの勝敗は決していた。
(預言者でも積んでいるのか、忌々しいブリキの兵隊どもめ…っ!)
前方で盛大に巻き上がる土埃はブリタニア軍の追撃部隊の進軍に他ならない。
アーゼルは唇を血が滲むほどまでに強く噛み締めた。撤退のルートまで完全に読まれている。
最後の最後まで全くもって完璧だった。忌々しいことこの上ない事に。
「全軍何があろうと撤退の足を止めるな! 私が殿を務める! いいな、何があろうとだ!」
「そんな、オレスタ大佐! 死ぬ気ですか!」
「命令だ!さっさと消えろ!」
怒声を張り上げて戸惑う部下の尻を蹴飛ばす。もはや選択の余地などない。
出来る限り犠牲を減らすよう殿を務められるのはこの先行試作型第7世代ナイトメアに搭乗する自分だけだ。
「貴様ら侵略者風情にこれ以上やらせるか!」
ランドスピナーが唸りを上げ、空気を切り裂いてナイトメアが驀進する。
ここで自分は死ぬだろう。だがただでやられる気は毛頭ない、最低でも5人は地獄行きの道連れにしてやる。
「EU軍、聞こえているか? こちらはブリタニア軍指揮官だ」
オープンチャンネルで告げられた敵の声に一瞬意識がとられる。
人間の声とは思えない声、いや、これは機械による合成音だ。何故わざわざ合成音などを使って―――
「勝敗は決した。降伏していただきたい」
降伏勧告。その意味を理解した途端に、先ほど一瞬浮かんだ疑念など消し飛んだ。
蒼く塗装されたヴィンセントを先頭に、10機のナイトメア部隊が猛然と駆けてくる姿が見える。

49 :とうふ(2/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:35:31 ID:idCl/hLc
蒼いヴィンセント。パーソナルカラーに染められた第七世代。つまりは指揮官機。
自分達をここまでズタボロにした指揮官はあの機体に乗っている―――!
「貴様が…貴様がぁぁぁぁぁぁっ!」
身体の隅々まで怒りの感情が吹き荒れた。これほどまでの怒りに胸を焦がした事は未だかつてない。
もはや道連れなど、他などどうでもいい。奴を、奴だけは殺してやる―――!
右腕に搭載されたやや長大な砲身からライフル弾が放たれる。
最高までエネルギーを高めたライフル弾は通常速度を遥かに超え、あっという間に敵を仕留めるはずだった。
「っ!? すり抜けた!?」
確かに当たったはずの弾は敵をすり抜け、敵の後方の山肌へと着弾した。
自分は破壊されたヴィンセントを見ていなければおかしいはずなのだ。しかし現実には敵は無傷だった。まるで、実体がないかのように。
「くそっ!」
言いようのない不気味さを覚え、彼は過剰と言えるほどに弾をばらまいた。
だが結果は同じだった。敵のナイトメアは少々の動きしかしていないはずなのに、当たるはずの弾は全てすり抜けた。
すり抜けた弾が、敵の背後の向こうに見える崖に着弾し、がけ崩れを起こす。
いよいよの異常事態にアーゼルは激しく混乱した。
(なんなんだこれは。相手はナイトメアの亡霊だとでもいうのか?)
亡霊。自分の考えた言葉にアーゼルは背筋が総毛立つような感覚を味わった。
彼の脳裏にあるのは、たわいもない噂話。聞いた時は笑い飛ばし、そして今では笑い飛ばす事など決してできない噂話だった。
「あ、あんな…あんなふざけた噂話、実在などしてたまるか! 消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろぉぉぉぉぉぉ!」
恐怖を振り切るかのように叫び、今まで以上の密度でライフルを乱射する。
正確さこそなかったが、その後先を考えない弾幕は非常に強力なものと言えた。
だが蒼いナイトメアはそのほとんどの弾をすり抜け、他の敵機に当たりそうな弾は右腕に搭載された盾で防ぎ、あっさりとしのぎぎった。

50 :とうふ(3/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:37:04 ID:idCl/hLc
「く、く…お、お、おおおおおおおおおおおおお!」
アーゼルは近接戦闘用装備であるMVSを抜き、更に機体を加速させた。急激な過重に身体が軋みを上げる。
急激な加速のGに顔をしかめながらも、接近する敵機が自らの間合いに入った瞬間に彼の機体は腕を振り上げた。
「くたばれっ!」
気迫と共にMVSが振り下ろされた。―――はずだった。
(な、何…?)
軽い、いや、何もない。手応えが何もなかった。当然だった。『剣は振り下ろされてなどいない』のだから。
(アレは何だ?)
1秒が1分に思えるほど停滞した視界の中で、人の腕に似た機械のそれが宙を舞っていた。
その断面は強い熱を帯びているのだろう、橙色に溶けている部分が見える。
(いつ、奴は剣を抜き放った?)
知覚する間もなく、敵の剣が振りぬかれ自機の片腕を斬り落としていた。
蒼いヴィンセントのメインカメラがこちらを捕える。
見慣れているはずのその無機質な眼光は何故か全く異質の物に感じた。
「な、ならば―――!」
胸元に搭載された2基のスラッシュハーケンを打ち込もうと操作に入る。
だが、その意図が果たされるより早く敵のスラッシュハーケンが射出機構を貫いた。
衝撃に機体が激しく揺れた。
「がぁ…っ!」
後ろに大きく姿勢が崩れる。離れた間合いの分、敵機は更に踏み込んで剣を下から斜めに振り上げた。
斬。残った片腕がライフルごと叩き斬られ宙を舞った。
「ま、まだだっ!」
すかさず肩に搭載されたハドロン砲を起動し―――ほぼ同時に返す刀でハドロン砲が眼前で叩き斬られた。
エネルギーを溜め込もうとしていた砲が破壊され空中で爆発が起こる。
爆発に照り返った蒼い機体はいっそ美しくすら思えるほど鮮やかに映った。
(バカ、な)
今度こそアーゼルは明確な恐怖と共に噂を思い出す。
未来が見えるかのように軍を動かし、眼に見えども触れる事すらできない敵の存在を。
その名を―――

「ブリタニアの、蒼い亡霊」

正解だと言わんばかりに剣が突き立てられ、彼の意識は機体と共に散った。
斬り飛ばされた腕が地に落ちる。それはまるで墓標のようだった。

51 :とうふ(4/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:38:33 ID:idCl/hLc
LOST PIECE      TURN 1 亡霊が目覚めた日



1時間前に収容された蒼いヴィンセントの肩に騎士が立っていた。
腰にまで届く長い黒髪、一見細く見えるものの強く引き締まった身体―――そして、その顔を覆い隠す白い仮面。
軍の誰もが彼の素顔を知らない。
ロゼ・オールド―――たった1年で驚くべき戦功を打ち立て続け、実力で全ての障害を捻じ伏せた者の名がそれであり、彼の情報の全てだった。
「ふう」
声は人工音声のそれであり、無機質な響きを伴っている。その機密保持は徹底していた。
軽く手を触れる。この機体とは数か月の付き合いだが、異常なほど過密な戦いは数年を経たかのような空気を与えていた。
(よく応えてくれたな)
死者を減らすためにこの機体には随分に無理をさせた。
整備班に言わせれば誤魔化せない所に響いたダメージが限界に来ているらしい。ここまでもった事だけでも奇跡とさえ言われた。
もう機体を換えろとも言われたが、乗り換えても同じヴィンセントならここでの戦争に決着がつくこの戦いだけはとごり押しした。
少々寂しい気持ちはあるが、もうこの機体を休ませるべき時なのだろう。
「オールド卿ーーー! もういい加減降りてきてくださいよ! いくら愛機との最後の別れっても長すぎますよーー!」
彼の感傷は下から聞こえてくる少々高めの声に遮られた。
下を見やると自分の部下、レスナ・ティルクがこちらを見上げていた。
ボーイッシュな雰囲気を持った金髪をショートにした釣り目気味の少女である。
確かに彼女の言葉はもっともだった、何しろこれでゆうに1時間だ。何故待っているのかは知らないがこれ以上は悪い。
「わかった、今行くよ。レスナ」

52 :とうふ(5/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:39:51 ID:idCl/hLc
記念にパイロットシートの座管を外してしまいこみ、彼はコックピットから身を躍らせた。
あの高さから降りたとは思えない軽い音を立てて、部下の前に降り立ち。

―――そしてがしっと腕を連行される宇宙人のように掴まれた。

「え?」
「それじゃ早速行きましょ、すぐ行きましょ、とにかく行きましょー!」
「わ、ちょ、ちょっと!」
思えばあの楽園のような学園でも女性陣にはこんな風に振り回されていた気がする。
副会長を筆頭に抗議しても、結局は何かしらで巻き込まれてしまうのだ。
「別に待っててくれなくても良かったんだけど」
「何言ってるんですかー、今日はオールド卿の奢りで飲みに行くんですから待ちますよいくらでも! 先に飲み屋で盛り上がってる他の奴らが薄情なんですよ!」
「だからレスナ、私はコレだから参加しても意味がないんだよ」
コンコン、と仮面を叩く。この仮面は口元まで完全に覆っている。
仮面を取るわけにもいかない以上、飲む事などできるはずもなかった。飲まない上司が行ったところで場が白けるだけだ。
しかしレスナはくるりとこちらを振り向き、邪な笑顔で目を光らせた。
効果音をつけるなら、『キュピ〜ン』とかいう音が出そうな感じの。背筋に何やら嫌な悪寒が走った。
「だ・か・らじゃないですか? さあさあ今日こそ貴方の素顔を白日の下に晒しましょう! 所詮仮面は流れ星、落ちる宿命にあったのです!」
先ほどとは比較にならないほど力を込めてレスナは勢いよく引っ張ってきた。もはや飛んでしまいそうなレベルだ。
(ハ、ハメられた…!)
振りほどこうとするが動かない。完璧に極められている。

53 :とうふ(6/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:41:21 ID:idCl/hLc
「バカか君は!? これは私の意思で着けてるんじゃなくて皇帝陛下の命令で着けてるのに、皆の前で外せるわけないだろ!」
「『外さぬなら無理矢理外してしまえほととぎす』。イレヴンの昔の人はいい事言った物ですよねえ。素顔見ても黙ってたらOKですって。賭けもあるし大人しくしてくださいね〜」
「いや言ってない、3人が3人ともそんな事言ってないから!…っていうか賭けって何?」
「オールド卿の素顔についてですよ。ちなみに私は左頬に十字傷のある美少年っぽい三十路近くの人と推測し、賭けておりますです、ハイ」
「何でそんなに具体的なんだ!?」
頭を掻き毟りたい衝動にかられる。無論、仮面が邪魔をしてそんな事はできないのだが。
(まったく、レスナといい、ウチの部下は何だって僕みたいな怪しい奴に懐くんだ?)
年がら年中仮面を着けて、声も人工音声で、正体不明のとことんなまでに怪しい人間である。
畏怖されるならわかるが、こうまで親しげにされるのは完全に理解の外だ。孤立するよりマシな事はマシなのだが。
(はぁ…仕方ない、どうにか誤魔化すか。レスナは僕を梃子でも引きずっていくつもりみたいだし)
飲み屋に引きずられていくのを諦め、如何に仮面を取らない事を誤魔化すかに彼の思考の大半が割かれたちょうどその時―――

「人気者だな本当に。そんな馬鹿どもに閉じ込められて窮屈じゃないのかなオールド卿」

たった一言だけで空気が冷えた。レスナが身を震わせ、動きを止めた。
橙色の髪を逆立てた青年が姿を現す。一見無造作に立っているものの、その立ち居振る舞いにはいささかの隙もない。
彼は煙草に火をつけて紫煙の息を吐き出した。
口の端を皮肉げに釣り上げ、猛禽類に似た目はロゼのみを捕えている。
「……お久しぶりです、ブラッドリー卿。あなたまでここにいらっしゃっていたとは存じておりませんでした」
青年、ルキアーノ・ブラッドリーは三日月のように裂けた口でくつくつと笑った。
「それは見込み違いだなぁ? ここは激戦区の場所の一つ―――何より君がいるのだから私にとっては非常に楽しい遊び場だ。先の戦闘の見物もなかなか楽しかった。まあ残念な事は」

54 :とうふ(7/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:42:38 ID:idCl/hLc
そこで彼は楽しげだった目をつまらなさそうに細めた。
その視線の先には少年が騎乗した青いヴィンセントの姿がある。
彼はゆっくりとヴィンセントの足元までやってくると、煙草を青いヴィンセントに押し付けた。
「……っ!」
じゅう、と火の消える音がする。
黒い煤のついたヴィンセントの足元に向かって彼は煙草を弾いて捨てた。これはゴミ捨て場だと言わんばかりに。
「こんなポンコツに乗らずお前の『新しい機体』に乗ってればもっと面白いものが見れただろうに」
その暴挙に、レスナが眼の色を変える。
「…っ、ブラッドリー卿! 人の機体にそれは」
「黙っていろ雌。私はオールド卿と話をしている。貴様ら塵芥にはこの私と話す権利などない」
視線をロゼに固定したまま、彼はレスナを見もせずに言い捨てた。
「ティルク、下がっていろ」
敢えて苗字で呼び命令だと暗に促す。しかし彼女は納得した様子ではなかった。
「ですが…!」
「私は『下がっていろ』と言った」
「…はい、わかりました」
少々強めに告げる。彼女は納得した様子ではなかったが、後ろに下がった。
「『あの機体』はまだ調整中です、使えるならば使っていましたが、そうもいかずヴィンセントに乗るしかありませんでした。
 それならば今まで使っていた愛着のある機体を、という事です。部下を数人死なせてしまった事は悔恨の極みですが…」
確かに今回の勝利は圧倒的と言っても良かったが、被害がなかったわけではない。幾人かの部下は鬼籍に入った。
その言葉には合成音でも隠しきれない感傷があった。ルキアーノはそれに面白そうに喉を鳴らした。
「ククク…相変わらず甘いコトだ。素直になれよ、同類。死んだ使い捨てのコマなんかより砕いて潰して壊して命を奪った事の方が遥かに重要だろう?
 お前はゴミどもの無駄な命を有効活用してやったんだ、むしろ感謝されるべきだろう。ハハハ」

55 :とうふ(8/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:44:11 ID:idCl/hLc
まるで世間話のようだった。そう、まるで世間話のように自然に―――彼は死んだ者達を侮辱した。
レスナの頭が一瞬で沸騰する。鬼籍に入った者の中には彼女の友もいたのだ。
「いくら貴方でもそれは口が過ぎるというものでしょう! 彼らは立派に戦ったんです、死者を貶める権利なんて―――」
「ティルク!」
今度こそキレたのか、ロゼの諫めの言葉も耳に入っていない。
言葉こそ敬語を使っているもののいつ殴りかかってもおかしくはなかった。
初めてルキアーノが彼女を見る。しかしその眼は害虫を見る視線そのものだった。
「うるさいサルだ」
マントから引き抜かれたルキアーノの腕が唐突にぶれた。
残像すら引き連れる拳戟がわずかにだけレスナの視界に映った。
思わず彼女は眼を瞑った。ぱんっと乾いた音が辺りに響く。
「え…?」
しかし彼女に痛みはなかった。彼女が瞼を開けると、ルキアーノの放った拳は彼女の鼻先で止められていた。
「オールド卿…」
瞬時に自らの前に差し出された、仮面の騎士の手によって。
「部下の非礼を謝罪します、ブラッドリー卿―――ですが、その責任の所在は彼女の上司たる私にあります。罰を与えるならば私に」
ルキアーノはにたりと笑って拳を引き、肩をすくめてかぶりを振った。
「やれやれ、相変わらず情に厚いワケか。前にも言ったはずだがなぁ? それはお前にとっての心臓の杭だと」
「私にとってはそうではないというだけの話です。それより何の要件でしょうか? 失礼ながら…やけに挑発的な言動が目立ちますが」
ロゼには珍しく慇懃無礼な口調だった。
本来はこのような口調など許されるはずもないが、初対面が殺し合いに近かったためかそんな事は今更だった。
ルキアーノは何も言わず、むしろその態度を気に入っている節があるため、彼らの間ではこれが当たり前となっていた。

56 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:44:46 ID:PXMvwkwh
支援

57 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:45:23 ID:PXMvwkwh
支援

58 :とうふ(9/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:45:30 ID:idCl/hLc
「いやいや私はお前の先の戦いぶりをただ褒めたいだけさ。さすが私の御同類。随分に派手にやったじゃないか、楽しかったろう?」
「お誉めいただき光栄ですが、楽しんでいたわけではありません」
「誤魔化さなくていいさ。お前は戦場を楽しんでいる、機体はパイロットを映す鏡だ。
 動きを見てるとお前が楽しんでいる事がよくわかるんだよ。同じミュータントにだけわかる心の震えがなぁ?」
仮面に隠されていてもはっきりとわかるほどに、ロゼの感情が揺らいだ。
それは不快さ故にか、図星を差されたが故にか―――あるいはその両方故にか。
「僭越ながら同族意識を持つのは貴方の自由ですが、それは随分に的外れかと」
不敬とも言える発言だった。
だがそれにルキアーノは大きく口を開けて狂ったように笑った。
「ヒィハハハハハハハ! 随分と不機嫌じゃないかオールド卿! ああそうか、数が少なすぎたか!
 いやよくわかるよ私には! 足りないよなぁ、あの程度の生贄では!」
ルキアーノは彼に触れそうになる程まで近づく。
ロゼの顔を覗き込み、何百という命を奪った指を突き付けた。
「人間にとって一番大事なものとは何だ? そうだ、命だ。お前はそれを奪う快楽を知っている。
 大事なものを奪った時の恐怖に引き攣った猿どもの声は最高だろう?」
「…用がないのならどいていただけませんか? 私も暇ではないもので。失礼します―――行くぞ、ティルク」
「え…あ、はい。すいません」
もはやルキアーノを見もせずに少年は格納庫の出口へ足を向ける。
これ以上ルキアーノと話すつもりなどもはやなく、何を言われようと無視するつもりだった。
ルキアーノが、ジョーカーを切るまでは。
「そう邪険にしないでもらいたいなぁ。私は君にわざわざ我らが皇帝陛下から預かった御言葉を持ってきたというのに」
「―――陛下の?」

59 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:45:34 ID:PXMvwkwh
支援

60 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:45:46 ID:PXMvwkwh
支援

61 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:46:00 ID:PXMvwkwh
支援

62 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:46:14 ID:PXMvwkwh
支援

63 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:46:54 ID:PXMvwkwh


64 :とうふ(10/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:47:00 ID:idCl/hLc
「そう邪険にしないでもらいたいなぁ。私は君にわざわざ我らが皇帝陛下から預かった御言葉を持ってきたというのに」
「―――陛下の?」
さすがにその言葉は軽視できなかった。足をとめ、ルキアーノへ顔を向ける。
ルキアーノがニヤリと笑みを浮かべた。
彼の思い通りになっている事は正直腹立たしいが皇帝陛下が相手ではそうも言ってられない。
切られた時点でこちらの負けだ。
「ああ。来る4日後に、今まで延びに延びていた式を執り行う。即刻本国へ帰還せよ―――だそうだ」
その内容は少年にとっては予想外のものだった。疑問に少年は眉根を寄せる。
「先の戦闘でこのエリアでの大勢は決した以上帰還は問題ないですが…ナイトオブイレヴンは納得していないのでしょう? それなのに」
「ハッ、何を言うかと思えば。そんなモノはブリタニアじゃ、特に我らが皇帝陛下の前では何の価値もないモノだ」
悪魔の表情でルキアーノは大仰に肩をすくめる。離れた距離をまた詰め、仮面の耳元に顔を近づけた。
ルキアーノは小さく囁いた。表情は仮面で見えないものの、ロゼは仮面の下で眉をしかめた。
「クッククククク、ヒハハハハハハハハハハ!」
歪みきり、そして心の底からの笑い声をあげながら彼はその場を去って行った。
レスナは腕を震わせていた。ルキアーノの姿が見えなくなった途端にそれは爆発した。
「なんなんですか、あの方は! いくらナイトオブラウンズだからって、あそこまで傍若無人に振舞っていいものなんですか!?」
「彼についてのコメントは控えるけど…レスナ、君も良くなかった」
少々睨んでおく。基本的に軍は上の言葉が絶対である。あそこで彼女が殺されていてもおかしくはなかった。
ルキアーノ相手に限り反抗的な自分が言えたものではないかもしれないが、言っておかねば彼女のためにもならない。
途端に彼女の意気が消沈する。
「す、すいません…けどあれは…!」
多分に不満げではあったが。
「けども何もない。今後は慎むように。…まあ固っ苦しいのはこれくらいにして早く行こう。皆待ってるんだろう?」

65 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:47:05 ID:PXMvwkwh


66 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:47:17 ID:PXMvwkwh


67 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:47:28 ID:PXMvwkwh


68 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:47:40 ID:PXMvwkwh


69 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:48:21 ID:PXMvwkwh


70 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:48:33 ID:PXMvwkwh


71 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:48:49 ID:2y3A6M7Q
ID:PXMvwkwh←うざい

72 :とうふ(11/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:49:32 ID:idCl/hLc
不満げな部下を尻目に今度はロゼが先立って出口へと向かう。
そうしていながらも、彼の思考はルキアーノの言葉に占められていた。

―――ようこそ『蒼い亡霊』。私達バケモノの世界へ―――

思い出すのは栗色の髪の友、金髪の騒ぎ好きな貴族、豪放な少々くすんだ銀髪の戦闘好き、殺人狂いの橙色の吸血鬼――そして、桃色の髪の寡黙な少女。

「―――ナイトオブラウンズ、か」

小さく零れた言葉は誰の耳にも届く事無く、ただ露と消えた。




ゼロ! ゼロ! ゼロ! ゼロ! ゼロ! ゼロ! ゼロ! ゼロ! ゼロ!

中国大使館、いや、日本の復活を望む全ての者が仮面の英雄ゼロの名を熱叫していた。
壇上に立つゼロの横には藤堂鏡志郎、扇要が控えている。
復活を遂げた黒の騎士団は、腕を振り上げ声高らかにゼロを讃美していた。
その復活の奇跡は都市ビルに設置されたモニターにくっきりと映されている。
イレヴンの名を持つ誰もが希望を抱いていた。
黒の騎士団は、ゼロは復活したのだ。

73 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:50:16 ID:PXMvwkwh


74 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:50:26 ID:PXMvwkwh


75 :とうふ(12/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:51:49 ID:idCl/hLc
奇跡を起こしたあのゼロはやはり本物なのだ。
日本は必ず蘇る。あのゼロが復活したならば―――!
(完全に思い通りだな。ここまでうまくいくとは)
仮面の王、ゼロは正確に彼ら日本人の感情を推察し、内心でほくそ笑んだ。
黒の騎士団の救出にはロロの籠絡と残存勢力の刺激という二つの目的があった。
ラウンズに匹敵する騎士と名高いギルフォードの前に堂々と現れ、黒の騎士団を誰一人欠ける事なく救出する―――まさしく奇跡。
ゼロの証明とは奇跡を起こす事に他ならない。
ゼロ、騎士団員、黒の騎士団の全てが揃った事が今回の件で完全に立証された。
この派手な救出劇は当然TVでも放送される。その立証が全世界に告げられているわけだ。
(潜伏している残存勢力も我々と合流しようとするだろう。ライの撤退指示のおかげでこの日本には生きたラインがまだ残っている)
カラレスは随分な締め付けを行っていたが、それでもライによって活きたライン、レジスタンス、それら全てを排除する事は1年では叶わなかった。
既に神楽耶達とのコンタクトは総領事館にいたC.C.達を介して済ませてある、数日とかからず戦力を整える事ができるだろう。
(やはり大した奴だよお前は)
ここまでの状況は1年前にライが整えていたと言っても過言ではない。
かつての勢力とまではいかないが、それでも敗北からの復活としては規格外の規模だった。
ゼロは友への心からの称賛を贈った―――しかし。
(だが、お前はここにはいない)
その称賛を受け取るべきライは彼の下にはいなかった。
1年前に自分と共にライはブリタニアに捕縛されてしまったが、その処分まで同じ場所、同じ時間で受けたわけではなかった。
ライがどのような処分を受けたのか、その情報は皆無と言っていい。
脳裏にC.C.の言葉が蘇る。
『生きているのは間違いないさ。ギアス能力者の生死が私にはわかるからな。どこにどんな状態でいるかまではわからないが』
(幽閉されているのか、俺と同じように偽りの生を生きさせられているのか…)

76 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:52:10 ID:PXMvwkwh


77 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:52:24 ID:PXMvwkwh


78 :とうふ(13/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:53:10 ID:idCl/hLc
どちらにせよ、ブリタニアの監視下に置かれている事は間違いない。
救出は困難を極めるだろう。だが―――
(諦めるつもりなどない。必ず助け出す)
決意を象徴するかのようにゼロは一歩前に進んだ。
「我が同志達よ! 黒の騎士団は、合衆国日本は今この時をもって、真の意味で再び立ち上がった!」
ゼロは左手でマントを払いのけた。黒のマントが大きくたなびく。
「我等が為すは正義! 我等は黒の騎士団、力ある者に対する反逆者にして力なき者の代弁者!
 撃たれる覚悟もなく、力を行使し弱者を撃つ。それを正義だと放言するブリタニアを我々は許してはならない。許してはいけない!」
今度は右手で覆ったマントを払う。一年前の建国の時のように。
「撃たれる覚悟を持った我が同志達よ! その覚悟の下に―――」
だが最後は違った。ゼロは払った右腕をまるで何かをその手に収めるかのように、前へと掲げた。
「失った名前を! 誇りを! 国を! 全てをこの手に取り戻すのだ!」

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

ゼロの言葉に熱狂は最大限に達した。誰もが拳を振り上げ、決意を新たにする。
それはゼロもまた同じだった。掲げた手を固く握りこむ。

(そうだ、取り戻してみせる、ナナリーもライも! そして俺は世界を壊し、世界を創造する。何があろうと、必ずだ!)

「そうだぁー! あのブリキ野郎どもをぶっ潰して俺らは完全に日本人に戻るんだぁ! 見てやがれブリキ野郎ぉーって、何だありゃ?」
威勢良く同意していた玉城がふと我に返ったかのように、ぽつりと零す。

79 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:53:26 ID:PXMvwkwh


80 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:53:38 ID:PXMvwkwh


81 :とうふ(14/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:54:35 ID:idCl/hLc
彼の視線の先にはつい先ほどまで黒の騎士団救出を放映していた巨大なモニターがあった。
ほぼ全員がそちらを振りかえる。ゼロもまた同時にそれに視線を向けた。
「あれは…ブリタニアの」
黒の騎士団救出の放映はいつの間にか終わっており、別の放映内容としてブリタニアの王宮が映し出されていた。
貴族や皇族達が列をなして並んでいる。その顔は報道される事など珍しくもない力のある者達ばかりだった。
そして、彼らを睥睨する最も高い場所に置かれた豪奢な玉座には、初老の男が腰かけていた。
初老とは言えども、その鋭い眼光、威圧感には些かの衰えもない。
ゼロは手が震えるほどに強く拳を握り締めた。
(皇帝…っ! シャルル・ジ・ブリタニアッ!)
頂点に座するこの男こそが神聖ブリタニア帝国皇帝、シャルル・ジ・ブリタニア。
元は辺境の小国だったブリタニアを世界一の大国へと造り替えた怪物であり、ゼロ―――ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの父にして最大の敵。
玉座の傍には数人の騎士が控えていた。皇帝直属にして帝国最強の騎士、ナイトオブラウンズが。
数人が揃うだけでも珍しいというのに、ほぼ全員が揃った様は壮観と呼ぶ他はない。
ビスマルク・ヴァルトシュタイン。
ジノ・ヴァインベルグ。
ドロテア・エルンスト。
アーニャ・アールストレイム。
ノネット・エニアグラム。
ルキアーノ・ブラッドリー。
モニカ・クルシェフスキー。
―――そして、枢木スザク。

82 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:55:17 ID:PXMvwkwh


83 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:55:29 ID:PXMvwkwh


84 :とうふ(15/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:55:57 ID:idCl/hLc
白い死神と呼ばれる最も新しいナイトオブラウンズにして、ラウンズの中でも屈指の戦闘力を誇る騎士。
ルルーシュにとってのかつての無二の親友であり、今は最悪の敵にしてこの世で2番目に憎い相手。
(俺達を売ったおかげで随分と出世したじゃないかスザク。ちょうど1年前にお前もそこでナイトオブラウンズになっていたな)
ブラック・リベリオンから間もない頃、全ナイトオブラウンズが見守る中で皇帝への忠誠を誓いスザクは頂点の一角に立った。
あの時は生徒会の皆と共に『友の努力が報われた』と喜んでいたが、今となっては嫌悪しかない。
(今はその場所の有難味を噛み締めていろ。だが忘れるな、お前は俺の宝と友を奪った人非人だ。いずれ全て返してもらうぞ、お前への借りと一緒にな)
仮面の下で憎悪に満ちた目がモニターの中のスザクを貫いた。
スザクの視線の先にルルーシュはいないが、まるで睨み合っているかのように二人の視線が交錯する。
映像がスザク達ナイトオブラウンズからシャルルへとスライドした。
シャルルは扉の前で待機する兵士に向かって一言だけ告げた。
「始めよ」
「Yes, Your Majesty!」
重厚な音を立て、王の間の扉が開いていく。
徐々に大きくなっていく隙間からは一人の騎士の姿が朧げに見えた。
(この式の主役か…ナイトオブラウンズのほぼ全員が揃っている事から想像はつく。恐らくは…)
扉が完全に開け放たれる。
扉を開けた兵士たちは横に退き、自分達の頂点の存在へと手をかけた騎士に最敬礼した。
「ロゼ・オールド卿、御前へ」
(新たな皇帝直属の騎士、ナイトオブラウンズ)
コツ、コツ、と軍靴を奏でて騎士が王の間に姿を現した。
ロゼの風体に貴族や皇族達から驚きの声が僅かに洩れる。
白を基調としたナイトオブラウンズの軍服。
纏いしは未だ史上最強の騎士との呼び名も高い閃光のマリアンヌと同じ真紅のマント。
そして―――その顔を覆い隠す白い仮面。

85 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:56:16 ID:PXMvwkwh


86 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:56:31 ID:PXMvwkwh


87 :とうふ(16/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:57:25 ID:idCl/hLc
あまりにもあからさまな『それ』にルルーシュは歯軋りした。
(ゼロへの当てつけのつもりか皇帝っ! いずれ俺が貴様に跪き乞食のように慈悲を乞うとでも言いたいのか!)
元よりプライドの高い男である、表には出さないもののその激昂は激しかった。
(跪くのは貴様らだ。俺を殺さずC.C.の餌として飼い殺しにしていた事を必ず後悔させてやる…!)
屈辱の全てを拳に込めて血が出かねないほどに握りしめる。
全てにおける渦中の人間のロゼは、そんな気配など微塵も見せずただ静かに歩を進めていた。
モニターごしにさえ伝わってくるナイトオブラウンズの圧迫感を仮面の騎士はものともしていない。
玉座まで敷かれた赤い豪奢なカーペットの上を、自らを待つ王の下へと歩む。
その歩は騎士どころか、まるで王のように厳粛とした力に満ちていた。
ロゼは皇帝の玉座の下段まで来ると、無言で膝をついて顔を伏せ、臣下の礼を取った。
「面を上げよ」
伏せられた顔が皇帝に向けられる。仮面で表情はわからないものの皇帝の鋭い眼光に怯む様子すらない。
玉座からゆっくりと皇帝は立ち上がり、ロゼが伏せる場から一段上に降り立った。
腰に差した剣を抜き、皇帝はロゼの顎先に当てた。
皇帝が少し力を込めれば命を失う状態でありながらも、ロゼにはいささかの動揺も見えなかった。
「ここに騎士の誓約を立て我が力として戦う事を誓え。
 我欲、夢、野望、その全てを抱き我が剣となり戦え。
 競い奪い獲得し支配し、その果てに貴様の過去を、未来を掴み取るが良い。ロゼ・オールド―――いや」
ロゼの顎先で止められていた剣が一気に降り上げられた。
周囲はどよめいた。儀礼の剣が実際に振るわれるなど前代未聞である。
単なる処刑であったのかと貴族達が訝しんだその時、ぴしり、と音がした。
音は更に鳴り続け、数瞬の間の後にぴきり、と終わりを告げるかのように少し変わった音が鳴り。
黒いウィッグをつけた白い仮面が二つに割れ、重い音と共に落ちた。
晒された仮面の騎士の素顔に皇帝を除く全ての者が眼を見開く。

そう、『全ての者』が。それは黒の騎士団とて例外ではなかった。


88 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:57:55 ID:PXMvwkwh


89 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 20:58:14 ID:PXMvwkwh


90 :とうふ(17/17) ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 20:59:05 ID:idCl/hLc
「嘘……………」
彼と共に双璧と称された紅の少女は呆然として呟いた。
「シャルルめ……そういう事か」
彼を騎士団にいざなった緑の少女は小さく言葉を漏らした。
「マジかよ、嘘だろぉ!?」
彼をよく気遣っていた男は理解できないとただ叫んだ。
「バカな……何故彼が」
彼の大器に誰よりも将来を期待していた将は彼の慮外の姿にただ意味を成さない問を問うた。

「そんな………!?」
彼の友であり敵だった白の騎士は有り得ない筈の光景に声を震わせた。
「―――――っ!?」
彼の友であり敵となる黒の王は仮面の下で不意の衝撃に目を見開いた。

過去と未来、白と黒の視線の間で、現在と銀の髪が静かに揺れる。
初めてその表情に覇気に満ちた笑みを浮かべ、尊大に王は騎士に告げた。

「我が騎士、ナイトオブイレヴン、ライ・ランペルージよ」

11の番号を持つナイトオブラウンズ、ロゼ・オールド―――否、ライ・ランペルージは静かに主君への忠誠を誓った。

「―――Yes, Your Majesty」

差し出された剣は亡霊の下に。
今、この時をもって、世界は亡霊の目覚めを認めた。

91 :とうふ ◆VWLH9tMv3Y :2008/12/03(水) 21:02:03 ID:idCl/hLc
以上です、ありがとうございました。
長々とすいませんでした。
書いてるうちにどんどん長くなって…
次はもっと纏めれるよう頑張ります。ありがとうございました

92 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 22:19:09 ID:9u6qtYV7
>91
えーと、前半初手からオリジナルキャラの名前で畳み掛けられて
コードギアスではない作品を読んでいるような気になりました・・・

他の方の再構成作品と、どう違った展開を見せてもらえるのか
楽しみにしています。長編投下、おつかれさまでした!


最大60行って聞いた気がしますが、多分、1レス分をもっと長くしても
投稿できるんじゃないかな?
19レスで30分はいいペースですね。今までだったら1時間かかったかも

93 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/03(水) 22:28:01 ID:tN1vNAHK
とうふ卿、お久しぶり&投下お疲れ様でした。次回も楽しみにしております。
ところで、>>58の末尾と>>64の先頭に重複している部分を発見いたしました。
取り敢えずはこのまま載せますが、修正を希望されるのであればいつでも遠慮なくお申し付けください。

遅れましたが>>1様、スレ建設お疲れ様&ありがとうございました。

94 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 22:37:49 ID:idCl/hLc
>>92-93
すいません、本当に大失敗です…うう、一発キャラなんて使うんじゃなかった。
もうオリキャラなんて絶対使わない…
重複のミス、本当にすいません。
>>64の重複部分を消していただけないでしょうか、迷惑をかけて本当に申し訳ありません

95 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/03(水) 22:42:02 ID:tN1vNAHK
>>94
修正しました。

96 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 23:21:24 ID:XtAgb2UB
やったあ、とうふさんが復帰された!

97 :創る名無しに見る名無し:2008/12/03(水) 23:34:47 ID:UISMcdUf
良かったです。続きを楽しみにしています。

98 :創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 00:20:20 ID:K22hPzdv
>>91
とうふ卿、乙でした!
テンさん、ノリノリだなぁ……
黒い仮面の男、ゼロとよく似た白い仮面の男、ロゼ……うん、めちゃくちゃ挑発的。
更にその正体はライ、しかも黒の騎士団篇の。
彼は何故そこにいるのか、何を憶えていて、何を憶えていないのか。
非常に気になるところです。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

99 :創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 01:03:17 ID:w8uQS1KG
なんか久しぶりに盛り上がれましたよ
ありがたやありがたや

100 :創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 03:08:08 ID:tV5ZIP/N
100げっとずさー
そして明日こそあの人が復活するに一千万ブリポン

101 :創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 12:48:55 ID:yQ0MpR7Y
とうふ卿乙です!
全世界に放映されている中での正体暴露。
出だしから続きが楽しみです!

>「所詮仮面は流れ星、落ちる宿命に〜」
ジェットマンの台詞を思い出しましたw

102 :創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 17:24:18 ID:fAultfO5
とうふ卿GJです!

鳥肌たちました!
なんという神展開なんだ!

103 :創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 22:36:26 ID:dmedklzr
とうふ卿乙です、GJです。

謎のオリキャラ、嬉々とした吸血鬼、復活した魔人の決意。いずれも読み応え抜群でした。
そしてナイトオブイレブン誕生の瞬間と、それに驚く人々のシーンには引き込まれました。
次回が楽しみです!

104 :創る名無しに見る名無し:2008/12/04(木) 23:57:55 ID:VhRm7oek
>>91とうふ卿、GJでした!

仮面、オリキャラ、蒼ヴィンセント、ラウンズ側、そして×アーニャと、自分の好きすぎる要素がありすぎて発狂しそうな勢いです…!
最後の正体を明かしたシーンも驚き半分戸惑い半分でwktkが止まらない…
正直、次回かなり期待してます。
…と言うことで、卿の次回の投下を全力でお待ちしております!


105 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/12/05(金) 00:27:51 ID:oH5ABX0D ?2BP(0)
とうふ卿GJです。
それにしても文章力はんぱねぇ……orz
上の作品に比べたら、読み応えなんか微塵もありませんが、続編SSを6レス分投下しようかと。


俺式ロスカラ続編〜騎士団カレンルート〜 8話
シリアスで今回は戦闘メイン
カプはライカレで、すでに恋人どうしです。


106 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/12/05(金) 00:30:08 ID:oH5ABX0D ?2BP(0)
それでは、創作板の方も前からの方もよろしくお願いします。

―――――――

僕らは当初の作戦通り、真刻たちのクーデターに合わせ天子奪還を試みた。
本来なら、彼らと共同でことに当たりたかったのだが、時間の関係上そうはいかなかったのだ。
僕の任務は追撃部隊の陽動で、
待ち伏せをしている部隊がいる渓谷に敵本隊をおびき寄せるのが目的だ。

陽動作戦とはいわゆる囮の役割。
かなり危険な任務なので、仙波大尉他、騎士団の中でもかなりの腕前のパイロットにしか務まらない。

こちらの暁が敵のヘリコプターを一機だけ撃ち落とし後退する。
「負けるふりといっても 気持ちのよいものではないな。」
と通信ごしに仙波がぼやいた。
「そう言わないで下さい。仙波さん。これもゼロの作戦ですから。」
敵と戦闘を行いながら、戦線を後退させる。
仙波さんだって一端の軍人だ。陽動作戦というものは十分に知っているだろう。
要は押されているふりをすりのだが、それがモチベーションを下げているのだろう。
「ゼロか………」
と意味深げな独り言を仙波は漏らしたがライの耳に届く事はなかった。

「戦闘隊長、君は日本の忘れ形見だ。
ゼロの命令も大切かもしれないが、自覚がないのも考えものだぞ。」

僕は皇という姓を名乗っている。これは、日本の名門貴族を表す名字。

ブリタニアに虐げられてきた日本人、
日本の名門貴族の青年がそれらを組織してブリタニアに立ち向かう。
それだけで、十分な大義名分が生まれ、わかりやすい日本人希望として人々に評されるのだ。

記憶を無くしていたので、これといった日本への執着心は持ち合わせいない。
けれど、カレンや扇さん達の願いは日本を取り返す事。
僕の生活に色を付け足してくれた、恩人である彼らのためになるのなら…
という理由だけで僕はこの名前を受け入れたのである。

皇という名字を継ぎ、神楽耶の兄になった時からある程度の覚悟はできていた。

けれど記憶が戻り、自分がブリタニアの皇族だったり
大きな過ちを犯した事から、僕の戦いの理由は
『みんなが望むから戦う』ではなく
『みんなを守るために戦う』に自然と変わっていった。

だから、自分の身を削るように働いた。
それが自分への罰だと思っていたから………
だから、みんなの事を第一に考えて戦った。
それが罪の償いだと思ったから………

皇という名前をもらった事を後悔してないと言ったら嘘になるだろう。
これから先もみんなを戦いに巻き込んでしまうから…
ルルーシュや学園のみんなまで守る事はできないから…

無責任な話だが、自覚がないというより自覚したくないのだ。
だから、先ほどの仙波さんへの返事は言葉を濁す事しかできなかった。


107 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/12/05(金) 00:30:53 ID:oH5ABX0D ?2BP(0)
陽動作戦も無事に終了し、斑鳩に戻ると
別同隊の撃退に向かっていたカレン達も戻ってきた。

「カレンお疲れ!」
僕はドリンクを渡した。

「ありがとうライ。」
と言い 唇をストローに当て、中の飲み物を飲む。
けれどすぐにそこから口を離し、質問を投げかけてきた。

「ねぇ、ライって結婚式とか行った事あるの?」

そうか。カレンは任務とは言え今回が生まれて初めての結婚式なのだろう。
だから、色々思う事があったのかもしれない。
「あるよ何回か」
カレンは興味深そうに目を輝かせた。
それは純情な乙女がお嫁さんというものに憧れて放つ輝き。
戦場ではブリタニア人に、鬼のごとく恐れられている彼女が こういった目をするなど思ってもいないだろう
しかし僕は彼女が期待してそうな答えを持ち合わせていない。
「あぁ でも、僕がまだ小さい頃にやった他の皇族の結婚式でさ、あんまり思い出とかないんだ。
そういう事に興味なんかなかったから、ただ単に退屈なだけだったな〜」
「そう」
カレンは思っていた通りの がっかり といった反応をしてくれる。
「結婚に興味があるのかい?カレン」
「べっ、別にそういうわけじゃないわよ。」
カレンは手を前に出し、あわてて否定した
「そうだよね〜僕がプロポーズしても茶化して断っちゃう位だもんね〜」
僕は目を細め、わざと、意地が悪く聞こえるように言った。
「あっ、あれはあなたが……」
「僕はプロポーズじゃないなんて言ってないよ。」
「なによ、あたしの気持ち知ってるくせに。」
とカレンは口をとがらせてツンと顔を逸らしボソボソつぶやいた。
しかし、そんな彼女をかわいいと思う間もなく 敵襲を意味するアラートが鳴り響いた。


あわてて外へ出てみると、進行方向にあるナイトメア部隊が撃破され黒煙をあげている。
そして近づいてくるナイトメアが見えた。
以前、シュミレーションで見た事のある機体 神虎
操縦が非常に難しく、機体性能を限界まで出す事ができるパイロットがいない事から、お蔵入りになっているとラクシャータさんから聞いた事がある。

3機の暁がそれを囲み撃破しようとするがあっさりと撃破されてしまう。
その鮮やかな戦いぶりに見とれてしまい、隣を見た時には既にカレンは居なく
彼女は補給の済んでない紅蓮に乗り込んだばかりの所だった。
「よせ、カレン補給がまだなその機体じゃ…」
しかしカレンに聞こえる事はなく紅蓮はそのままドッグから発進していく。

108 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/12/05(金) 00:33:08 ID:oH5ABX0D ?2BP(0)
「残月を出せますか?」
僕は近くのメカニックに慌てて聞くと
僕のも藤堂さんのも、ユニットを外したばかりで出撃可能になるまで約10分かかるという答えが返ってきた。
紅蓮が戦えるのは、せいぜいあと5、6分。
仙波さんの直参型も中破していて朝比奈さんや千葉さんも押され気味である。
決して僕一人でなんとかなるような事ではないのだが、恋人の危機に何もせずにはいられなかった。
「それでもいい。30秒で弾とエナジーフィラーを交換しろ」
「ライ、それでは危険すぎる。」
と藤堂さんが、制止にはいるがそんな事で止まりはしない。
「大丈夫です。あの機体なら、シュミレーションですが暁に乗って倒した事があります。
それに、輻射波動もありますから藤堂さんの残月よりはイケると思います。」
以前、ライは操縦技術を磨くため、性能差のある機体とのシュミレーションを行ってきた。
そのシュミレーションで神虎はよくでてきたのである。
しかし、それはお互いに飛翔滑走翼を外した状態か、お互いに付いていた状態。
本当にいけるだろうか…
いや、行くしかないのだ。
失いたくないもののために
「戦闘隊長!準備できました。」
メカニックの声を聞き、藤堂さんの返事を待たず、僕は残月に乗り込んだ。

地位的優位を望めないこの戦場でさらに飛べない機体での戦闘。普通なら自殺行為といってもいいだろう。
けれど、輻射波動砲弾が僕の残月にはある。
相手が砲撃を行う前後に生まれる隙を狙えば十分に撃破できるだろう。
「カレン、帰還するんだ。その機体では」
「ライ!あなたこそそんな機体で!」
カレンは戦いをやめようとはしない。
それどころか、戦い方が激しくなったくらいだ。
「カレン、冷静になれ!残っているエナジーを見るんだ!」
「でもっ」
ライの残月が神虎を射程にとらえたと同時に神虎もこちらを向く。
「その機体、ライか?!」
「真刻さん、やめて下さい。大宦官たちが、あなたを信用してると思っているんですか?」
「だとしても、天子様を渡すわけにはいかない。」
神虎がこちらに気付きワイヤーを飛ばしてくる。
二発のワイヤーの狙いは正確で素早かったが、なんとか避ける事に成功した。
「流石はライ。羽のない機体でなかなかやる。しかしこれなら!」

次の瞬間、神虎の胸部が開き天愕覇王荷電粒子重砲の準備が行われる。
「今だっ」
僕はハーケンの巻き取りと機体の加速で 一気に足元という死角へ滑り込み砲撃を回避する。
砲撃は地面にあたり大きな衝撃を生む。
衝撃で飛んできた岩の破片を輻射障壁で防御しながら輻射波動砲弾の狙いをつける。
しかし、他の岩よりも一際大きな岩が飛んできた。
神虎のワイヤーで岩をつかみ、僕へ叩きつけるつもりなのだろう。
先ほどのワイヤー攻撃の時から予想はしていた。
「空が飛べなくたって 懐に入れば!」
予想していた事への対処は簡単だ。
僕は飛んでくる岩を踏み台にするためにスピードと衝撃を計算しジャンプする。
かなりの衝撃を受けるが、想定内 機体のダメージはない。いける!

「自分の機体を知り、相手の機体を知る事が勝利をもたらすと考えた。
故にライ、お前の負けだ!」

神虎は岩に刺さっているワイヤーに電流を流した。
常識的に考えて岩に電気が通ると思っていなかった。
それはいくら行動予知能力に特化していると言われるライ自身も例外ではない。

109 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/12/05(金) 00:34:13 ID:oH5ABX0D ?2BP(0)
しかし、次の瞬間にはどういう訳か 凄まじい電流がライの機体に流れていた。
幸い、僕自身に電流が流れる事はなかったが、
コクピット内にある様々な計器がバチバチと音や火花を散らしダウンしていく。
「この地の岩は特殊な鉱石を含んでいる
電流を100パーセント伝える事はできなくても、
機体にダメージを与えるくらいの電流は流せる。
この大地こそ我らの味方。ここまでだ皇ライっ!!」

非常用のモニターからは、神虎がこちらに向けて天愕覇王荷電粒子重砲の準備をしていた。
綺麗なガラスのように輝く発射口が、おぞましく存在を主張している。
必死にペダルやパネルに入力を行うが全く反応はない。
「動けっ!残月!!動いてくれ!まだ、こんな所で終わるわけにはいかないんだよ!」
機械に向けて必死に声を荒げるライ
もちろん返事は返ってこない。
しかしライにはそうすることしかできないのだ。
完全の絶望に追いやられ、藁をもすがる思いで発した言葉。
しかし無情にも神虎の胸部からはオレンジ色の光が収束されている。
これで何回目だろうか?死を感じるのは…
僕は走馬灯すら見る間もなく、迫りくる死という事実から逃げるように目をつむった。

すさまじい轟音が鳴り響く


機体が大きく揺れる。


次の瞬間には全身が業火に焼かれるのだろうと覚悟したが、なかなか熱さを感じない。
いくら死の直前がコマ送りのように感じるからといっても、これは長すぎる。
それとも、僕はもう既に死んでいて、目を開けたら花畑や川が広がっているのかもしれない。
おそるおそる目を開けてみると、そこはさっきまでいたコクピットの中だった。

しかし、目の前には中破した暁直参型がボロボロになりながら砲撃を輻射障壁で耐えている。
それも、僕の機体を庇うように。


110 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 00:34:48 ID:XEebZpZT


111 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/12/05(金) 00:34:57 ID:oH5ABX0D ?2BP(0)
「日本の血を引く若者よ、お主はまだやり残している事があると見える。
皇の名を継ぐ者としても、ただのライとしても。」
通信にノイズが混じっている。
すなわち、あの機体がかなり限界に近い事を意味しているのだ。
「仙波さん!やめて下さい。その機体ではもちません!」
しかし、仙波の暁は輻射障壁を展開したまま退こうとはせず、どんどん機体が壊れて破損していく。
「どちらを選ぶか決まっているのだろう?ならば、生きろ。
せっかく、険しい茨の道のスタートラインに立ったのだ。散らすには惜しいというもの。
向こうでお主の活躍 見守っているぞ」
「気付いて…いらしたんですか。」
仙波さんは気づいていたのだ。僕の本質を。僕の戦う理由を。
「中佐のための命のつもりだったが、これなら中佐も許してくれるだろう。千葉、朝比奈、後は任せたぞ。」
「「仙波大尉」」
朝比奈さん千葉さんも駆け寄ってきたが、すでにどうする事も出来ない。
「日本万歳!」
そう言い放ち、暁の手足で唯一残っていた右足を使い
糸の切れた人形のように横たわっていた僕の残月を射線上から蹴り飛ばした。

残月は無残な人形のように転がって行った。
そして衝撃が納まり目を開けた時
先ほどまで僕の機体を庇っていた仙波さんの機体は既にオレンジ色の光の中にいた。

「よくもーっ」
先ほどまで撤退していたはずのカレンが凄まじいスピードで戻ってきた。
砲撃後の一瞬の硬直を狙った的確な攻撃だった。
しかし、紅蓮の右手が神虎を捉えたのだが、輻射波動が発射される事はなく
エナジー切れを起こし そのままダラリと力尽きたように落ちていった。
神虎はそれを見逃す訳もなく、ワイヤーを紅蓮に絡め剣を突きつける。
子供でもわかる、人質だという仕草。
戦友の戦死に恋人が人質になったという事実に
僕は、体を動かす事も声も出す事もできなかった。

千葉さんの暁が僕の残月を運び、朝比奈さんの暁がカレンをなんとかして取り戻そうとしていたが、
中華連邦の援軍が到着してしまった。

神虎はカレンを捕らえたまま本隊に合流
すなわち、カレンは人質から、捕虜になるという事だ。
また、守れなかった。
特区日本でもここでも…
どうして、僕はいつも感心な所で…

「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ」

体に納まりきらない程の後悔。悔やんでも悔やみきれないほどの思いが体の奥から溢れる。
僕は自分の拳から血が流れるのに気づかない程、何度も何度もコクピット内の壁を殴っていた。


112 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 00:35:01 ID:XEebZpZT


113 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 00:35:14 ID:XEebZpZT


114 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/12/05(金) 00:45:08 ID:oH5ABX0D ?2BP(0)
以上です。
創作板って相当 快適ですねwww

まぁ、作品の方はちょっとやりすぎた感ありますが後悔はしてません。
太平洋戦書いてる時にふと思いついたんで、このためだけに仙波さん生かすことにしました。

イメージ損ねる可能性があったのは承知ですが、展開の都合であえて警告書きませんでした。
仙波大尉のイメージ損なわれた方 ホントすみません。

115 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 01:15:16 ID:Dy7GnqT3
乙です。仙波さぁーん!漢らしい散り様、見事でした。
カレンが捕虜になって悔いるライ、これからが気になります。

次回をお待ちしてます。

116 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 05:48:01 ID:Onjfw2IK
>>114
B.B.卿、GJでした!
仙波さんが見事に散ったのを見て、涙が出てきた。
原作では気付いたら死んでいたというのに……
そして拐われたカレン、ライの後悔、自責の念が伝わってくるようで痛々しい……
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

117 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 08:54:10 ID:9tV5KaKy
>>114
快適な分、人が少ないのが玉に瑕だけどね

118 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 14:40:20 ID:Lng443rH
>>114
仙波さんとの交流、かすかなゼロへの不信感、
これが死亡フラグと言うものか… orz 
散り様が漢でした。
仙波さんを失い、カレンを奪われ。ライの今後が気になります。

>117
むしろ戻ってきているし増えてる印象が

>110>112>113
このあたりの書き込みは支援のつもりなのかな。
よほど書き込みが長く途切れているならともかく
このぐらいの連投数なら規制にはかからないだろうし要らないと思うけれど。

119 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 20:12:10 ID:bUpnOVXy
人いないかな……2100より投下いたします。

120 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 20:18:10 ID:olEyz2VJ
じゃあ九時になったらまた来るお

121 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 20:57:04 ID:bUpnOVXy
ちょっと早めに投下するけどいいよね?  ……答えは聞いてない!

初めての人は初めまして、そうじゃない人はお久しぶりです。
一回の投下より十回の感想、全力です!
板が変わって支援要らなくなったんで、コテハン変えてみました。
と、いうわけでよろしくお願いシマシタ!


まえがき
タイトルは「優しい世界の誕生日」

注意事項
・内容については、特にないんじゃないかな
・レス数、いつも数えてるんだけど、今回よくわからないや
 だって、こっちに投下するの初めてだし
 終わったらあとがき書くからわかると思います。


それでは、全力を挙げて投下します!

122 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 20:57:41 ID:bUpnOVXy
生徒会室で繰り広げられる日常、今日は少しばかりいつもとは違うようだった。
「またルルーシュはサボり? まぁいつものことね」
ミレイ・アッシュフォードの呟きに反応する者がいない――生徒会メンバーは全員、二人を除いて、己に与えられた役割をこなしていた――のがルルーシュがサボることがいつものことであることを証明していた。
ミレイはため息をついた後、急に笑顔になり言葉を発した。
「じゃあ、今のうちに話を進めましょうか」
その言葉を聞き一斉に仕事の手を休めた皆を見ながら言葉を続ける。
「では、ルルーシュ・ランペルージ誕生日パーティーの第一回準備を始めるわよ!」
「私としては、やっぱり大掛かりなイベントにしたいんだけど、皆はどう思う?」
真っ先に意見を出したミレイだったが、それはすぐに別の意見により却下される。
「でも、ルルは賑やかすぎるのは嫌がるんじゃないかな」
「そうですよ会長、ルルーシュの誕生日なんだからルルーシュの喜びそうな事を考えないと」
シャーリーとスザクの意見を聞き、ライもまた頷きながら意見を述べた。
「それに、そんな大掛かりな準備をしていたらルルーシュに気付かれると思います」
「うーん、まぁ気付かれない自信は有るんだけど、ルルーシュが楽しめる誕生日にしたいわね……でも、他に何か意見はある?」
そう言われてしばらくの間生徒会室に静寂が訪れる。
各々がルルーシュの誕生日を楽しいものにしようと必死で考えていた。
「んー、やっぱりすぐには思いつかないわね……仕方無い、今日はひとまず終了、仕事に戻りましょう。
 また明日にでも話し合いをするから、皆ちゃんと考えておいてね!」

その日の仕事は一応すべて終わり、皆が退出していく中、ミレイがライへと声をかけた。
「ライ、注意してね」
「……何をですか?」
「えーっと、ライはルルーシュとクラブハウスで毎日顔を合わせるわけだし……」
「つまり、僕の態度とかうっかりした言動でバレてしまうかもしれない、ということですか?」
「ええ、平たく言えばそう言うことよ」
その言葉を聞き、ライは密かにため息をついた。
黒の騎士団でゼロの右腕と呼ばれている交渉能力は伊達ではなく、おかしな態度を誤魔化すことなど造作でもないことだと思っていた。
(……まぁ相手がゼロだし注意は必要だな)
そう考えつつ、ミレイに言葉を返した。
「分かりました、気を付けます。
 でも、僕より先に注意した方がいい相手がいるでしょう?」
そう言いつつ、視線を左に向けるライ、その視線を追ったミレイの目には、ルルーシュの最も旧い親友が映った。
「ん、どうしたの、二人とも?」
「うーん、でもね、逆に注意した方がぎこちなくなったりしそうじゃない?」
「……それもそうですね」
「……一体何の話をしてるのさ」
ライとミレイは顔を見合わせた、交わされるアイコンタクト!
(誤魔化すのは任せたわよ)
(了解です!)
「いや、スザクってちょっと天然だなって」
その言葉を聞き、スザクは少し憮然とした表情で言い返してきた。
「君も結構天然だと思うよ」
(バカな! 私が天然だと!
 いや、確かに軍人篇ではそうかもしれないが、今回は騎士団篇、そこまで天然ではないはずだ!
 ……というか篇ってなんだ、篇って!)
衝撃のあまり電波を受信し始めたライを尻目に、ミレイとスザクは会話を続けて……
「あれ? もしもーし! ラーイー!」
「え? 僕に天然って言われたらそこまで傷つくの?」
……続いていなかった。
その後、再起動を果たしたライはスザクに謝り――スザクはすぐに謝罪を受け入れた――クラブハウスの自室に戻った。

123 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 20:59:16 ID:bUpnOVXy
「で、なんで君がここに居る?」
「なんだ、私が何処に居ようと私の勝手だろう?」
部屋のベッドでピザを食べているC.C.が居る光景に最近慣れている、その事実に多少の危機感を覚えながら、ライは尋ねてみることにした。
「ルルーシュは?」
「騎士団、いや、特区日本の仕事だ」
「部屋を追い出された訳じゃないんだな。
 ……何故ここにいる?」
「何、一人では寂しいかと思ってな」
「さっきと答えが違うぞ」
「細かいことは気にするな、頭でっかちの朴念人」
「……どういう意味だ?」
「……どういう意味だろうな?」
「……はぁ」
やはり口では勝てない。
そう思いつつ椅子に座り――ベッドはC.C.に占拠されている――ルルーシュの誕生日について考えを巡らせることにした。
(ルルーシュの事だから派手すぎるのはダメかな……)
「……おい」
(でもゼロは結構……いや、ゼロはゼロ、ルルーシュはルルーシュ、そう考えるべきだな)
「おい!」
(だとすると何が一番喜ばれるだろう……)
「おい、無視するな!」
「……何だ?」
「何か考え事か?」
「あぁ、実は……」
そこまで言ってライは気付いた、自らの致命的なミスに!
C.C.に対して深く考えずに発言してしまったということを!
「実は、なんだ? ほら、言ってみろ!」
獲物を見つけた猫の様に生き生きしているC.C.を誤魔化すことは無理だな、と、どこか他人事の様に――人、それを現実逃避という――考えるライであった。


124 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 21:00:25 ID:bUpnOVXy

「ほぅ、つまりあいつの誕生日をどう祝うか考えている、というわけか」
「……そうだ」
「ならばやっぱり「却下だ」……何も言ってないぞ」
「言わなくても分かる、どうせピザ関係だろう?」
「……」
「図星か……第一、君の為に準備をする訳じゃないし、それに君は参加出来ないだろう?」
「だが、巨大ピザを!」
「大掛かりなイベントはルルーシュが嫌がるかもしれないって言ったよね?」
「そんなこと、アイツに聞いてみれば……」
「なっ、それは」
「ん? どうした? あぁ、秘密にしておきたいのか。
 ふむ、どうしようか。」
(……この魔女に知られた時から覚悟はしていた。
 ならば迷うことは、無い!)
「ピザ三枚!」
「少ないな、お前にとってルルーシュに対する友情はそれっぽっちなのか?
 少なくとも十枚は欲しいな」
(くっ、人の弱味につけこんで!)
「この魔女め! ……五枚だ」
「魔女? よく言われるよ。
 十枚!」
微動だにせず先程と同じ枚数を要求するC.C.、ライには切れるカードは無い。
このままではピザを十枚も奢らなければならないだろう。
(ルルーシュの誕生日前に大すぎる出費は避けるべきだな)
そう考えて、ライは交渉を続けることにした
「……七枚でどうだ」
「十二枚」
(……増えただと。
 いや、落ち着くんだ、僕。 落ち着いて考えるんだ。
 こういうときは慌てたら負けだ)
「八枚」
「十五枚」
(くそっ、強気すぎる!
 こうなったら最後の手段だ!)
「分かった、好きにしろ」
「そうか、なら二十枚「そっちじゃない」……何?」
「別にルルーシュに言えばいいさ、よく考えたらバラされた所で驚きが失われるだけだ。
 別にやましい事じゃないし、こういうのは気持ちの問題だ」
「本気か」
「……」
(さて、どういう風に祝おうか……シャーリーに私がプレ……ダメだ、というか何を考えているんだ、僕は)
「……」
(ならばナナリーに……ダメ過ぎるだろう、それにルルーシュが暴走しそうで怖い。
 どう暴走するのかは彼の名誉の為に伏せておく)
「くっ、仕方無い十枚で手をうとう」
(でも、奇をてらいすぎても良くないな、敢えて普通のパーティーを提案してみるか)
「……八枚でいい」
「七枚」
「分かった」
(勝った! 第三部、完!)
若干落ち込んだように見えるC.C.にライは罪悪感を覚えたが、それはそれ、これはこれ、と開き直った。
「ふん、じゃあ私はアイツの部屋に行くぞ」
「あぁ……バラさないでくれよ」
「約束は守るさ」

寝る間際に結局は奢らなければならないため、勝ったわけではないことに気付き、落ち込むライであった。

125 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 21:01:13 ID:bUpnOVXy
「で、今日もルルーシュはサボりなのね……第二回準備を始めるわよ!
 まずは各員、どんなことを考えてきたか紙に書いて」

「うん、皆書けたわね。
 じゃあ皆この箱に入れてね……よし、じゃあ順番に発表するわよ」
そう言って箱の中から紙を取り出し、読み上げるミレイ……箱に入れることにあまり意味は無い気もする。「んーと、普通にパーティー……無難ね。
 で、次は……普通にパーティー」
(……僕と同じ考えの人がいるんだなぁ)
ライはそんなことを考えていたが……
「……普通のパーティー、三枚目……
 そして、これで四枚目ね……もう普通のパーティーで決定ね」
(……どうやら皆、何も思い付かなかったみたいだな……まぁ、普通が一番な気もするな)
そう割り切る事にしたライだった。
「じゃあ準備は私の方で整えとくから、皆はプレゼントの準備をしといてね!
 飾りつけは当日に皆でやりましょう!」
「会長!」
「何かな、スザクくん?」
「今日は仕事なので、少し失礼します」
「あ、僕も仕事があった」
「……私も、すっかり忘れてたわ」
「分かったわ。
 ……ライ、スザク、カレンの三名の健闘を祈ります!」
「「「了解しました!」」」

「で、スザクは大丈夫なの? 書類仕事は」
「そういうカレンこそ大丈夫なのかい?」
「わ、私は……いざとなったらライに手伝ってもらうから大丈夫よ」
「……いや、自分でやろうよ、まぁ手伝うけど」
行政特区日本が成立した事を切っ掛けにライとカレンは学園に戻ってきた。
正直、歓迎されないと思っていたが、ミレイさんが涙を流しながら二人をを抱き締め、迎えたのだった。
――二人の学籍は残していたから――その言葉を聞いた二人は思わず謝ってしまったが――バカ、謝られても困るわよ、こういう時は……――ライがあの言葉を忘れることはないだろう。
「でも、不思議ね……スザクに私にライ、敵と味方に別れた日本人、それが今は三人とも味方」
「そうだね……まぁ、僕は二人がハーフだったってことの方が驚いたけどね」
「ランスロットのパイロットが君だったことに比べればまだマシさ」
「ふふ、言えてる」
何だかんだで笑い合える、これがナナリーも言っていた優しい世界なのかな……
そんなことを思いながらライは、いや、三人は政庁に向かった。
ちなみに、お嬢様の仮面を被るのを止めたカレンだが、ファンクラブの人員はより増えたそうだ(リヴァル調べ)
更に、今までのファンの一部や新しいファンは「カレン様に踏まれ隊」、今までのファンの大多数が「カレン様を見守り隊」として内部分裂しているらしい(リヴァル調べ)
また、この事を聞いたカレンは物凄く引いていた。

「遅かったな、三人とも」
「もうすぐ会議が始まりますよ、準備をしてくださいね」
「「了解!」」 「イエス・ユア・ハイネス!」
(……ゼロ、サボってる君に遅かったとかいう資格は無いんじゃないかな)
まぁ、特区の仕事が忙しいみたいだし、仕方無いんだろう。
――それでもナナリーとの時間は完全に確保している、流石シスコン! そこにシビれる! アコガれる!

126 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 21:01:49 ID:bUpnOVXy
会議は終わったが、議論はたいして進まなかった。
「クッ、両者とも己の利益ばかり追い求めるとは……愚かな……
 これでは進む会議も進まないではないか」
「……ごめんなさい」
「君が謝ることではないさ、ユーフェミア
 ……私もキョウトを説得してみよう」
「……頼みました、私の方も頑張ります」
いつも仲の良さげな二人にやはり少し戸惑うスザクとカレンを尻目に、ライは考え込んでいた。
(表面上は穏やかな特区日本だが、内面はまだ固まっていない。
 でも、この始まったばかりの平和を壊したくは無いな)

「うーん、会議も終わったし、帰りま「ライ、後で私の部屋に来てくれないか」」
「あぁ了解した……二人とも、また明日!」
「うん、じゃあまた明日!」
「……また明日!」
少し不機嫌そうなカレンと苦笑するスザクと別れ、ライはゼロにつれられ彼の私室へと赴いた――ユーフェミアと共に。

「ふん、全くあのわからず屋どもめ」
「落ち着きなよ、ルルーシュ」
「そうよ、少しずつ進んでいけばいいわ」

「そうだな……ところでライ、学園で何かあったのか?
 どこか違和感を感じるんだが」
「……生徒会をサボってる君がそれを言うのかい?」
「すまない」
「ルルーシュ、しっかり学校に行かなきゃいけませんよ」
「……だが特区日本はまだ安定していない」
「貴方はゼロかもしれないけど、同時に学生でしょう?
 学業を疎かにしては「分かっているさ」 いいえ、分かってません!
 良いですか、そもそも……」
ルルーシュに説教するユフィ、その光景は大変微笑ましく思える。
(そろそろ助け船を出すか)
「ユフィ、それ位にしない?
 ほら、また明日も学校があるからそろそろ帰らないと」
「あら、もうそんな時間?
 分かりました……でもルルーシュ、ちゃんと学校を頑張りなさい」
「分かってるよ、とりあえず今日の会議は終わったし、暫くは顔を出す用事は無いからな」
「……分かりました。
 ライ、ルルーシュを頼みますよ」
「あぁ、頼まれた」

ユフィが出ていった後、他愛もない話をしながら二人は学園への帰路についていた。
「ライがユフィと知り合いだったと分かった時は驚いたな」
「またその話かい、まぁ、君の秘密には負けるよ」
そうだな、と笑みを浮かべるルルーシュの声を聞きながら、ライはユフィと初めて会った時の事を思い出した。
(普通、お姫様が租界を普通に歩いてるとは思わないよなぁ)
そして、なんだかんだで友達となり、今へと至る。
(僕が黒の騎士団に所属してると分かった時、凄く驚いていたよなぁ)
それでも、すぐに微笑みながら、お久しぶりです、と声をかけてきたのが彼女らしい、と思ったが。
(明後日が誕生日か)
プレゼントはどうしよう、そう思いながら彼は隣を歩く、目覚めてから初めて出来た親友を見た。
「……どうした」
「いや、何でもないさ」
彼が喜び、驚く顔を思い浮かべ、ゆるみそうになる頬を引き締め、会話を続けながらクラブハウスに着いた。
「また明日」
「あぁ、また明日」

明日はルルーシュの誕生日プレゼントを準備しなくちゃな……そう思いながら眠りにつくライだった。

127 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 21:02:59 ID:bUpnOVXy
「と、いう訳なんだけど、一緒にプレゼントをさがしに行かない?」
「はい、喜んで!
 でも、お兄様は何を貰えば喜ぶんでしょうか……」
「うーん、僕にも分からないよ。
 でも、だから一緒にさがしに行こうかなって思ったんだ」
ナナリーからのプレゼントなら、何であろうと喜ぶだろうと思ったのは秘密だ。

「じゃあ、咲世子さん、ルルーシュには上手く誤魔化してくれますか?」
「分かりました、気を付けてお出掛けになってください」
「はい、行ってきます、咲世子さん!」
ナナリーと共に租界への道を行くライ、二人の会話はなかなか弾んでいた。
「それで、議論は全然進まなくてね」
「大変ですね、ライさん」
「そうでも無いよ、それに優しい世界をつくっていけてる気がするしね。
 ナナリーが願うような世界になれば良いね」
その言葉を聞き、ナナリーの笑顔はより輝きを増した。
「憶えていらしたんですか」
「忘れるわけないよ、それに、その願いは是非叶って欲しいと思っていたし」
「……ありがとうございます」
「お礼を言われる事じゃないと思うけど……」
「それでも、です」
「それじゃあ……どういたしまして。
 あ、そろそろ色んなお店が見えてきたな」
「はい、足音がいっぱいです」

「さて、何を買おうかな?」
「……あら、この音は」
「ん? どうしたんだい?」
「いえ、あちらの方から優しい音色が聞こえてきたんです」
ナナリーの指差す方向をよく見てみると、一軒のオルゴール専門店があった。
(あそこから流れる音も分かるのか……)
その聴力に感心しながら――その原因を考えると感心して良いものか悩んだが――言葉を発した。
「うん、じゃあ行ってみようか」
「はい」

「結構雰囲気のあるお店だなぁ」
「そうなんですか?」
「あぁ、老舗ってかんじがするお店だよ」
二人でその店の商品を見て/聞いて?回る事にした。
「このオルゴールはどうでしょうか?」
「うーん、ちょっと大きすぎるかな、値段もちょっと手が出せないかな……
 こっちはどうだろう?」
「……ん……そうですね、ちょっと音色が……もう少し暖かい方が良いと思います」
見た目、大きさ、音色、すべてが良いと思えるオルゴールはなかなか見つからなかった。
「……ん?」
「どうしたんですか?」
「いや……」
ふと目に止まった紫のオルゴール、シンプルな外見のそれを手に取り、ライは蓋を開けてみた。
「あら……」
その場にオルゴールから流れるメロディが響いた――まるで世界にそれしか音が無い、そう思える程に――「……いい音だね」
「……はい」
二人ともそれ以上は喋らずにそのオルゴールを買うことにした。

「お兄様、喜んでくれるでしょうか?」
「うん、きっと喜ぶさ」

ナナリーとライとで買ったオルゴール、お金は2:8ほどの割合で出した、きっと喜んで受け取って貰えると、ライは確信/ナナリーはどこか不安そうそれでいて、二人とも楽しそうにしながらクラブハウスへの帰路へと着いた。

128 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 21:05:16 ID:bUpnOVXy
ルルーシュの誕生日当日を迎えた。
「ライ、そこの飾りはもうちょっと右に引っ張って……引っ張り過ぎよ……うん、そこ」
「はいもしもし……リヴァル?
 あと十分くらい、分かったわ。
 はい皆、あともうちょっと、頑張りなさいよ!」
「……十分は無理」
「そーですよ、会長、なんでリヴァルを行かせたんですか」
「仕方無いでしょう、ルルーシュがサボったら台無しだし、でもルルーシュ一人にケーキを取りに行かせるわけにはいかないでしょ?」
「あの、手伝いましょうか?」
「じゃあ、ナナちゃんはお皿をテーブルに並べてくれる?」
「はい、分かりました!」
「やっぱり一日で準備は無理ですって!」
ルルーシュを生徒会室から遠ざける為に、リヴァルと一緒に買い出しを頼んだ――主にルルーシュの誕生日ケーキを取りに行ったわけだが――が故に
使える男手が二人に減り――シャーリー、カレンの働きはそこらの男、例、ルルーシュ、を凌駕していたが――急ピッチでの作業はルルーシュの帰還に間に合いそうに無かった。
「んー……
 ガァァァーーーッッッッツッ!!!」
「今回ばかりは本当に無理ですって」
「く、仕方無い、奥義、枢木の舞い!」
「……スザク君の動きが二倍の早さになりました!」
「私も……紅蓮無双!」
「うわ、カレンがもっと紅くなって1、3倍の動きに!?」
「これなら何とか……いや、でもまだ微妙に足りない!」
シャーリー、ニーナ、ミレイの視線がライに注がれる。
「……すまない、無理だ」
……がっかりした視線を向けられるライ!
(……誰か、この凍り付きそうな視線から助けて!)

「後二分、どうしようー!」
「ガッツガッツガーーッツ!」
「いっぱい言う意味はあるの? ミレイちゃん?」
活動限界時間をこえたスザクとカレン――二人で大部分をやり終えたが――の屍(注・生きてます)を越えてなお、準備は終わらない。

129 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 21:06:18 ID:bUpnOVXy
「ならば、私に任せていただけますか?」
「「「「咲世子さん!」」」」
「……出来るの?」
「やれます」
ミレイさんとの短い会話、そこには自信が満ち溢れていた。

「それではいきます!
 篠崎流、秘奥義! 女威怒・員・邪版!」

……そこからは凄まじかった。
生徒会メンバーはメイドさんの神秘、その一端を見た。
分身とか、瞬間移動とかそんなチャチなもんじゃない。
もっと恐ろしいものを垣間見た気がした……

「準備完了でございます」
「「「「「「……ハッ!」」」」」」


「……よし、あとはルルーシュを待つだけね」
ミレイは見なかったことにした。
「そうそう、プレゼントもしっかり準備したし」
「……喜んでくれるかな?」
シャーリーも、ニーナも見なかったことにした。
「うーん、ちょっと自信はあるよ」
「私は……どうなんだろう」
スザク、カレンも同様に。
「……喜んでくれるでしょうか?」
「大丈夫さ、ナナリー」
ナナリーもライも、最もナナリーには見えなかったが。

「会長ー! 買ってきましたー!」
「お帰り、リヴァ……ルルーシュは?」
「とりあえず俺がケーキを持ってきて、ルルーシュにはジュースを持ってきて貰ってます」
「上出来よ、じゃあ皆、クラッカーを持って……」

「全く、先々行くなって、リヴ「「「「「「「「誕生日おめでとう!!!」」」」」」」」」うわぁ!」
鳴らしたクラッカーの音に驚き、ルルーシュは尻餅をついた。
「な、な……」
「だ、大丈夫かい? ルルーシュ、ほら、手を」
ライはとことんイレギュラーに弱い彼の手をとり、テーブルへと連れて行く。
「それじゃあ、改めて!」「「「「「「「「誕生日おめでとう!!!」」」」」」」」」
ミレイの掛け声で再び声を張り上げる皆に、ルルーシュもようやく状況を理解した。

130 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 21:07:08 ID:bUpnOVXy
「……黙っているとは、酷いじゃないですか」
「だって、喋ったら面白味に欠けるでしょう?」
「ふふっ、お兄様ったら凄く驚きましたね」
「ナナリーまで!?
 ハァ……まぁ感謝はしますよ」
「何よ、素直じゃ無いわね……まぁいいとしますか。
 はい、これ、プレゼント!
 前に欲しいって言ってた本よ」
「……じゃあ私も……はい、オススメの本……ルルーシュ君も気に入ると思うわ」
「ん、時間のある時に読ませて貰います」
「じゃあ私からはこれよ」
「ありがと……う……、これは……何だ……?」
「ダンベルよ、6キロの
 もっと体を鍛えた方がいいと思って」
「あれ? カレンもなのかい?
 確認しとくべきだったかな?」
「スザク、お前も……」
「うん、ダンベルだよ、6キロの」
「あ、両腕を一緒に鍛えられるんだし、別に大丈夫だと思わない?」
「それもそうか! じゃあ別にこの選択も悪くなかったかな?」
「一応礼は言っておく……この体力バカ達め……」
スザク、君は本当にルルーシュに喜んでもらえると思ってたのかい?
「んじゃ、次は俺だな、ほい」
「ん……これは?」
「ピーラー、この間切れ味が落ちたってぼやいてたからな。
 あと、じゃがいも用のピーラーもセットでプレゼントだ!」
「あぁ、少し困ってた所だ、ありがとう」
「次は僕たちの番だね」
「はい、お兄様。
 これが私達からのプレゼントです」
そうして二人が差し出した紫色のオルゴールを受け取り、ルルーシュは尋ねた。
「……開けてもいいかい?」
「あぁ」
「どうぞ」
ゆっくり蓋を開け、優しく、暖かい音楽が流れた。
暫くの間、皆は黙ってその旋律を聞いていた。
一曲が終わり、ルルーシュが蓋を閉じると、ナナリーが待ちきれず、不安そうに尋ねた。
「えーっと、どうですか?」
その声を聞き、ルルーシュ――少し余韻を味わっていた――は答えた。
「いいオルゴールだ、ありがとう、ナナリー、ライ。
 大切にするよ」
その言葉を受けたナナリーは――ホッとしたのか頬を緩め、そして――花が咲いたようなパァッとした笑顔を浮かべ応じた。
「どういたしまして、お兄様」
それを目にしたライも、微笑みながら言う。
「どういたしまして、ルルーシュ」
「え、えーっと、じゃあ、私からのプレゼント渡すね、はい、これ」
「これは、マフラーか、それも手編みの……暖かそうだな、ありがとう、シャーリー。
 ……ん、だがこれは少し長すぎる気がするが」
「あ、あの、それは、その……長い方がしっかり巻けて、暖かいでしょ?」
「……確かにそうだな。
 これ程の長さ、結構な手間だっただろう?」
「そ、そんなことなかったよ!
 喜んでくれたみたいで嬉しいよ!」
シャーリー、相当テンパってるなぁ……そう思いながら、ライはミレイへと視線を向ける。
そして、ブロックサイン!
(助け 必要 思います)
(了解 でも もう少し 見ていたかった)
ライはそれはちょっと酷いんじゃないかな、と思ったが、当然口には出さなかった。

「はい、じゃあプレゼントも渡し終えたし、本格的に「ルルーシュ・ランペルージ誕生日パーティー」を始めるわよ!」

131 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 21:08:01 ID:RIHg34cM
うわ、いつの間にか寝てたよ支援

132 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 21:08:03 ID:bUpnOVXy
「……ふう」
疲れたのか一人廊下へと抜け出すパーティーの主役。
「おいおい、主役が抜け出してどうするんだよ」
「どうしたんだい、ルルーシュ」
彼を追ってきた二人――偽りの身分の中でできた友と全てではないが彼を知る最も旧い友――に答える。
「ちょっと疲れたから休憩さ」
その声を聞いたのか
「そう、休憩したら、後少し頑張らないとね」
ルルーシュの最も新しい――それでいて最も彼をよく知る、全てと言ってもいいかもしれない――友もやって来た。
「あぁ、そうだな……」
そして沈黙――誰も居心地が悪いわけではない、むしろ、この空気に浸っていたい感じられる――が流れた。
「……すまないな」
その沈黙を作り出した張本人がゆっくりとそれを破った。
「すまない?」
不思議そうに聞くスザク、他の二人も同じ様な様子だ。
「いや、誕生日をな」
「何謝ってんのさ」
「あぁ、心外だな」
「僕達は君に謝って欲しくて誕生日を祝った訳じゃないよ」
その言葉を聞き、反論する彼の三人の友人、その言葉を聞き/納得し/しばし考えたあと、改めて言葉を紡いだ。
「……ありがとう」

「「「どういたしまして」」」
三人が声を揃えて言った後、四人で顔を見合わせて笑った。

「まぁ、お礼を言われても困るけどね」
「言えてる」
「どういうことだ?」
ライとリヴァルの言葉にルルーシュは首を傾げた。
「決まってるじゃないか」
スザクは言葉を続けた。
「だって、僕たち、友達だろ? ルルーシュ」
「そうそう」
「そういうことさ」
「……そうだな」

今、この場所は確かに優しい世界、いつかきっと世界のすべてがこの場所のように優しくなればいい。
ライはふと、そう思った。

133 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 21:08:41 ID:bUpnOVXy
おまけ
「全く、何処に行ったのかと思ったら」
「なんか楽しそうね」
「……そうね」
「ルルゥー」
「シャーリーさん、あんまり落ち込まないで下さい。
 お兄様も、いつかは気付くはずです、たぶん」

少し離れた場所にて
「男の同士の熱い友情、それがいつしか愛情へと変わり……アッー!」
誰が彼女を止められるだろう、スーパーメイドたる彼女の妄想を!
そう、誰にも止められないさ、動き出した彼女の妄想は!


おまけ、そのに
「お帰り」
「……何故ここにいてピザを食ってる」
「ん? 欲しいのか?
 仕方無い、一切れやろう」
「だからいら……何!?」
「どうし「C.C.、どうしたんだ! 熱でもあるのか!?」 失礼な奴だな」
「だが! お前が! C.C.が! 他人に! ピザを! 分ける! そう言ったのか!?」
「耳が悪くなったか?」
「……何を企んでいる」
「おやおや、酷いじゃないか。
 せっかく私が祝ってやろうと思ったのに」
「……何だと」
「言葉通りの意味だ、誕生日おめでとう、ルルーシュ」
「……」
「何、そう警戒するな、ただの気紛れだ」
「……そうか、ぁ………ぅ」
「ん? なんだ?」
「……何でもない」
「……そうか」

134 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/05(金) 21:10:41 ID:bUpnOVXy
あとがき
誰か、助けてください。
レポート多すぎです、課題も多いです。
……それでも、僕は、SSを書きたい時があるんだぁ!!!

……ここでも改行が多すぎます、とか一行の文字数多すぎます、とか起こるんだね。
まぁ、気をつければいいだけだけど

というか俺、筆進むの遅いよね、気分が乗ったらやたらと進むけど。
書きたい時に書きたいように書くんで、次の投下予定は不明です。
じゃあね (・ωΩ)ノシ

135 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 21:17:57 ID:RIHg34cM
全力さんおつかれさま
特区成立後のドタバタに和みました(自分が特区成立後の悲劇を書いてるだけに)
ルルーシュの誕生日。ミレイさんがからめば只ではすみそうにないですよねぇ〜
レポートもがんばってくださいね

136 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 21:18:15 ID:5nYK4I+y
全力感想人Y卿、GJです。小ネタが多くて随所でくすぐられまくりですね。
賑やかで明るいあの生徒会の空気が嬉しい1作でした。

しかしレポート、課題…懐かしい言葉だ。SSと同じく楽しまれよw

137 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/05(金) 21:50:54 ID:jtgvM7xM
全力感想人Y卿、投下GJ&お疲れ様です。
そして!卿は私に大変な課題を残してくれました。それは!

   一覧関係の表記どうしたらエエねん!?

ってことです。一応領地のトップで対応しましたが…何か不都合があれば仰ってくださいね。
(正直まだ試行錯誤中)


さて話は変わって皆様にちょっと相談というか質問なのですが。
32スレ目についてですが、あちらはもう事実上のスレスト状態と見做していいのでしょうか?
それとも投下(雑談・SS問わず)したければ別にいいという形なのでしょうか?

138 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 22:05:34 ID:Onjfw2IK
>>137
ええと、何かエラい迷惑かけてごめんなさいです、トーマス卿。
一応、今回以前は全力支援者で、今回以降を全力感想人にしてくれればありがたいです。
つまり一覧系統はそのままで私としてはオーケーです。
領地に関してもあれで良いと思います、(元 全力支援者)で。
お手数をお掛けして申し訳ございませんでした。

139 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 22:06:41 ID:mIqhY1t8
向こうのスレに連絡用に残しておくという事になっており、その旨ちゃんと
書き込みされております。
よく読まずにこういう書き込みをするのが軽率さの元となり数あるトラブルの
元になった温床じゃないでしょうか?

140 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/05(金) 22:22:10 ID:jtgvM7xM
>向こうのスレに連絡用に残しておくという事になっており
それは存じております。今回書き込んだのは
・向こう(32スレ)でも「このスレはどうするの?」といった質問があった
・32スレ目のログが保管されていないがどうなってるの?という旨の問い合わせが既に複数来ている
といったことがありましたので、本スレであるここで改めて確認をするという形を取らせていただきました。
(避難所を閲覧されていない方もちらほらいるみたいです)

141 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 22:41:12 ID:RIHg34cM
32スレに関しては、これ以降SSの投下はしない。〆ってことでいいんじゃないでしょうか?
こういうことを書くとまた馴れ合いだと怒られるかもしれませんが、気に障ったからと一々突っかかるような物言いは慎んだ方がよろしいのではないでしょうか?

さて、23時頃より久しぶりの投下をしようかと思います
支援は必要ない板だそうですが、読んでるよーって書き込みしてもらえたら嬉しいかもしれません

142 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 22:45:56 ID:66FK2bOv
10レスで他の人の書き込みが少なかったらさるさんですよ〜
色々試してみましたが、間隔を10分程空ければ平気っぽいです
しかしそれだと面倒なので、10レス↑のものは最初の投下宣言で支援依頼をすると良いかと

143 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 22:51:05 ID:kloiA9xx
正確には11レスめだよ

144 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 22:54:13 ID:56pbmXIm
どこが突っかかる物言いなのかわからないよ。
どっちかと言うと>>139の方が逆ギレしてるように見えるわw
保管庫のコテで質問しなきゃ普通に回答してもらえたと思うから
トーマスさんは差し障りのないことは名無しで書き込むのを薦めるよ

145 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 22:55:19 ID:mlPYQhVO
さるに関する有益な情報をありがとうございます。
しかし、この板の10レス=ギャルゲ板の20レスに相当しますから、かなり投下時の負担が減りましたね。

146 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 23:02:11 ID:66FK2bOv
>>143
わかり難い言い方で申し訳ない><

短時間で一度に投下出来るのは、10レスまで……ということです

容量は500KBと普通なので、そこも気をつけるといいかもです
避難所があると便利かもしれませんよ〜

147 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 23:07:37 ID:Onjfw2IK
さぁ、全力で投下を待つか

148 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 23:08:09 ID:RIHg34cM
おひさしぶりです。青い人です。まだ生きていました!
なんとなくぼんやりとした不安と一緒に療養生活をえんじょいしています
全開の投下は[手をとりあって]その9 では今回はその10?

ざーんねーんでしたーーー!

今回お送りするのは、コードギアス LOST COLORS [手をとりあって]その1   【ゼロ】
板も変わったことですし、もういっぺん最初から? みたいな?
なんだよ、おんなじモンそのまんま垂れ流す気かよ?!
そう思った方、そんな訳はないのですよ。
では、投下開始します。注意書きは以下の通りです

※ベースは黒の騎士団編ルルーシュEND後の世界
※ゲームのENDの後そのままに続いています
※今回はオリキャラ・オリメカ等はナシ
では、よろしくお願いしますね。

>>144突っかかる言い方としたのはおっしゃるとおり139の方に関してです。
名指しするのもなんだかなとあえて139さんがとしなかったのですが、勘違いさせてしまって申し訳なかったです

149 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 23:11:21 ID:jtgvM7xM
キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━!

150 :1/8 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/05(金) 23:12:32 ID:RIHg34cM
「それで扇さんの状態は悪いの?」
紅月カレンの忍耐は限界に達しようとしていた。
[日本]によるブリタニアへの一大反抗作戦──ブラックリベリオン。
その最終決戦の地であるトウキョウで彼女が受けた命令。
──零番隊は総司令部の防衛に当たり、これを死守せよ───
接収され、総司令部が置かれたアッシュフォード学園。ここを離れることなく死守せよとの命令。それだけだったのだ。
総司令たるゼロの姿はその本陣にはない。
開戦よりすでに五時間。その間彼は愛機たるガウェインと共にずっと最前線にあるという。
親衛隊長として近侍に仕え、その身を守るために働くはずの自分が前線より離れた場にいることが彼女の焦燥を掻き立てていた。
それが学園の廊下を行く彼女の歩を乱暴なものに変える。
『わたしはあの人の──“彼”の分までゼロを守らなければならないのに……ッ!』
副指令扇要の負傷を知り、彼が自分を呼んでいると聞いたのはそんな中でのことだった。
「生命に別状はなく、緊急性はないとのことです。ただ、こちらでは治療に限界があるため、後送するようにと藤堂中将より命令を受けております」
「藤堂さんに?」
司令部付の下士官はカレンに答える。その下士官の顔色は酷く青ざめているように見えた。薄暗い照明のせいだけではないだろうと思う。
「はっ。藤堂閣下は前線に混乱を起こさぬためにも副指令閣下の負傷は公にせず、伏せるようにと」
さすがにそれくらいの道理は彼女にも理解できる。しかし、だ。
なぜその指示を飛ばすのが藤堂鏡志郎であって、ゼロではないのか。
時刻はすでに5時をまわっている。
報告通りならばトウキョウにおけるブリタニアの最後の拠点、総督府と周辺区への総攻撃がはじまっているだろう時間だ。藤堂はその陣頭指揮を自ら執っているという。
「副指令閣下を銃撃した犯人は現在目下捜索中であります。残念ながら未だ逮捕に至っておりません」
そういってから慌てたように全力の捜査を行っているところでありますと付け加える下士官にカレンは零番隊から捜索の為の人員を派遣すると告げた。
その手に握った携帯端末を操作して副隊長の木下を呼び出し、事の経緯を説明する。多くを語らずともその真意を洞察し、汲み取り、最善を尽くす男だ。
「了解いたしました。警護部隊にその任に適した者がおります。その者を中心に捜索隊を召集しましょう」
簡潔な木下の返答にお願いするわと告げ、カレンは再び下士官へと視線を向ける。
「ご協力に感謝いたします」
下士官の謝辞をさえぎり、カレンはもう一度「それで」と言った。
「それで扇さんからの話というのは?」
自分にはわかりかねますと答え、下士官は辿り着いたドアを指し示す。
「こちらです」

151 :2/8 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/05(金) 23:14:45 ID:RIHg34cM
無言で頷き、カレンはドアを開けた。
最初彼女を襲ったのはむせるような消毒液の匂い。無言で忙しなく動く軍医と衛生兵たちの姿でいっぱいの部屋。
声が飛び交うことなど殆どないのに、その部屋は静寂とは程遠い喧騒が支配している。
「零番隊隊長紅月カレンです。扇さんは?」
護衛についているのであろう制服の上から白い予防衣を羽織った騎士団の男がカレンを見咎めたようだった。
「おまちしていました。紅月隊長、こちらへ」
手渡された予防衣をパイロットスーツの上から羽織り、カレンは部屋に入る。
扇は部屋の中ほどに設置されたストレッチャー上で手当てを受けていた。
「銃弾が内臓に達しており、緊急の手術が必要です。輸送ヘリが到着次第後送します」
さっきの報告とは違うようだけど…とは思ったが、カレンはそれを指摘するのはやめた。
途中に寄った司令部の混乱の度合いを見ればその指摘は責任を持たぬ護衛の兵士や伝令の下士官には酷だと思ったからだ。
「……カレン、か…」
かすれた声が沈黙の中、喧騒が支配している部屋の中に飛んだ。
「あまり時間はとれません。ヘリ到着まであと3分ほどです」
わかっていますと注意を垂れる軍医に言い捨て、カレンはストレッチャー上の扇に駆け寄った。
血塗れのガーゼ、注射器、名前の知らない医療器具。それらが扇の体の上で衛生兵や軍医たちの手を行き交っている。
素人目にも扇のケガの具合は悪いものだと知れた。
「カレン、すまない。こんなことになってしまって」
そう言いながら、しかし自分のことなどどうでもいいと扇は傍らに置かれていたモバイル端末を指差した。
B5程の大きさの端末には9インチ程の液晶画面がついている。その画面には大きく総督府の姿が写っていた。
これがどうしたの? そう言いかけてカレンは黙った。総督府後方の尖塔のさらに向こう側に白い影が小さく写っていたのだ。
見落とせるはずがない。見間違うはずもない。その姿を。
「ランスロット? なんでこんな最後方にスザクが…」
「今から十分前の画像だ。偵察隊のEWAC機が捕らえた………ヤツは戦闘空域を大きく離脱し、南の方角に飛び去ったらしい」
カレンの意識に閃光が走った。
「あいつがここを離れる理由なんて…」
そんな理由など一つしかない。ゼロだ。
「でもゼロは前線に……」
つぶやく彼女の腕を扇の手が掴んだ。強く。
その目がカレンの疑問に答を示していた。
いないのだ。この司令部にも戦場にも、ゼロはいなかったのだ!
「カレン、ゼロを追え。彼の行動には意味があるはずだ…」
「でも、どうやって!」
ハッとした。視線が手に取った端末のランスロットの映像に移る。
「EWACサザーランドの8番機に航跡を追尾させている。この画像を撮った機体だ。データを受け取ってヤツを追え…。その先には必ず彼がいる」

152 :3/8 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/05(金) 23:18:12 ID:RIHg34cM
手首を掴む扇の手。その力のなんと弱々しいことか。
それなのに、カレンにはそれがとてもとても痛かった。
「助けるんだ、ゼロを……ナオトの夢を。“彼”の分まで」
「……わかりました」
扇の傍らから一歩後ろに体を引く。
「ゼロは、わたしが守ります。必ず!」
そのしなやかな肉体のバネを総動員してカレンは部屋を飛び出していった。
ゼロの不在、扇の負傷、それらは敵にも味方にも知られるわけにはいかない。ランスロットを追うのは紅蓮での単独行にするべきだろう。
白い予防衣を脱ぎ捨て、カレンは走る。空輸機──ナイトメアキャリアーを補給部隊に用意させなければなるまい。部隊の指揮は木下に任せれば間違いはないだろう。
なぜゼロは行き先も告げずに戦場を離れたのか? 
『今はいい! 考えることは後ででも出来る! 今すべきはゼロを守ること!!』
そう。
ゼロを守ること。
カレンにとって、自分が為すべきことはもう…その一つ事だけになってしまった。
彼女にとっての大切な、誓い。
“彼”と共に過ごした日々を、幸せだった日々を否定させない。絶対に否定しない。
「だから…」
校舎を出る。校庭へと向かって走る。脇目も振らずに駆け抜ける。
校庭にそれはいた。紅蓮弐式。紅月カレンの愛機。[日本]の守護者として雄々しくそこにある、黒の騎士団の【赤き鬼神】。
「あなたの分までゼロを守ってみせる」
その右手はかつての紅蓮弐式のそれと異なり、さらに禍々しい巨大な威容を誇っていた。
紅蓮弐式の新たな右腕……試製徹甲砲撃腕。それは“彼”が遺した唯一つの形見。
「あなたが遺したこの腕でわたしと紅蓮は戦うから…。だから、わたしを守ってね………ライ」

 コードギアス LOST COLORS [手をとりあって]その1   【ゼロ】


トウキョウから数十キロの南。戦場から遠く離れた南の海にその島はあった。
双子の島。
その片割れにはブリタニアの放棄された補給基地。
もう一方には……人知れず築かれた“何か”がある。
遺跡……そう呼ぶしかないものがその島には存在していた。
いつからあるのか。何者が築いたのか。何のためにそこにあるのか。
答えられる者はいない。
いるのは、その回廊を走る唯一つの人影のみ。
黒づくめのおそらくは男。マントを翻し脇目もふらずに走る。ただ、走り続ける。
異貌の仮面、漆黒のマント。その男の名はゼロ。
そして、この島の名は神根島。
神根島と言う。

153 :4/8 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/05(金) 23:21:56 ID:RIHg34cM



『入り口にあったトラップはおそらくは時間稼ぎ。狙いは僕か…? C.C.という線もあるが』
それはないだろうとは思う。
何者なのかはわからない。だがその人物がナナリーをさらった事実から推測されるのは。
『敵はゼロの正体を知る者……』
そう、敵だ。
正体も、目的も、総てが不明。だがこれだけはわかる。敵、なのだ。
『もしナナリーにもしものことがあったら……』
最悪の事態が頭をよぎる。一瞬。
だが進むしかない。そんな結末を迎えないために。そのためにこの仮面を、黒衣を身に纏ったのだから。
『取り返す。誰が相手だろうと、せめてナナリーだけは』
回廊の最奥まではそう距離はない。入り口からそこに至るまでその歩を妨げるものもない。
祭壇なのか舞台なのか、開けた空間。その正面に鎮座する巨大な石造りの扉。
記憶に蘇るのはこの遺跡の調査を行っていたブリタニア帝国第二皇子シュナイゼルの姿だった。切れ者と名高い彼はここで一体何を調査していたのだろうか。
ふと浮かんだその記憶を頭から振り払う。いま考えるべきことはそれではない。目の前の事に集中できなければ総ては失われてしまう。
ここは戦場なのだから。
「いずれにせよ、ナナリーの無事を確かめたその後だ」
意を決し、石造りの扉に手をかけようとした、その瞬間だった。
ターーーーーーンッ
銃弾が石扉を削る。
それは来るべき時が来たことを宣言する鐘の音のように辺りに響きわたった。
「こちらを向け、ゆっくりと」
抑揚のない、けれどその秘めた感情を隠し切ることのできない沈んだ声が遺跡の中に響く。
隠し切れないのは、怒りゆえか、殺意ゆえか。
『こんな時に…ッ』
忘れていたとは言わない。しかしこのタイミングでとは…と臍を噛む。
ブリタニアの白き騎士。元皇女ユーフェミアの専任騎士であった男、枢木スザク。
彼ならば何をおいてもゼロを、自分を追いかけてくるだろうとは思っていた。
「聞こえなかったのか、ゼロ。こちらを向くんだ、ゆっくりと」
駆け引きなど意味はあるまい。向き合うしかないのだ。
突破口は必ず見出せるはずだ。否、見出すのだ。
「ブリタニアは罪なき日本人たちを一方的に殺した。治安維持を名目に、暴動の鎮圧と言い繕って。彼らは卑劣にも取り合うべき手を振り払ったのだ」
振り向いて言い放つ。
『!』
目にした彼の顔は暗かった。まるで深淵のごとくに。何もかもを失った人間の表情がそこにある。
それでも譲ることができないものがあった。
生きる目的があるのだ。生き抜かなければならない理由が、誓いがあるのだ。この身には。

154 :5/8 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/05(金) 23:26:13 ID:RIHg34cM
スザクは何も答えなかった。答えずに、ただその歩を進める。
その歩みはとてもゆっくりだった。憤りが逆に彼の足を急がせないようだった。
「だけど、ユフィは死んだ」
一瞬空気が震えた。スザクの一言が、激発寸前の彼の感情が空気を震わせた。
「ユフィは死んでしまったのに、お前が生きてる……お前は生きている。なぜだ」
「ブリタニアの非道は正されなければならないからだ。彼女の遺志を引き継ぐためにも。……だが、ユーフェミア嬢の落命には私も責任を感じている」
「責任を、感じている、だとっ?!」
その一言は彼の押し殺していた感情を刺激してしまったようだった。
スザクの絶望には、つむぐ言葉などありえない、とわかっていたはず。
だが、ならばどうすればいいのだ。
結局は戦うしか、殺しあうしかないのか。言葉は…無力なのか?
それは、あの日から今日に至るまでの間に幾度となく自問自答を続けた思いだった。
「お前は誰にも、何にも責任など取りはしない。世界を歪め、争いを呼び起こす、だけだッ! ……それが正義だと言い繕って、人を惑わして…!」
スザクは言った。その歩みも止まらない。扉の前、舞台の上、相対する。
「お前は、悪魔、だ。みんなお前の言葉に惑わされ、戦いへと駆り立てられる。戦いに、だ。そして結局は命を失う。お前のために、お前がいるから!!」
「言いたいことはそれだけか、枢木スザク」
足りないね、とスザクは言い捨てた。何かを振り払うように頭を振る。それでも銃口を逸らすような隙は見せない。
「踏みにじられ、命を失った者に謝罪だと? 責任を感じている、だと? そんなもの生きている者の、踏みにじった側の言い訳なんだ! 傲慢なんだよ!」
「しかし戦わなければ得られないものもある。現に踏みにじられている人々を生かすためには、抗うことも必要だと、何故考えられない」
「それは詭弁だ! 社会を変えていこうと望むのならば、組織を使うという手立てもあったはずだ!」
「その組織に、システムに入り込めない人々はどうすればいい? この世の矛盾をどこでどうやって訴えればいい?」
カチャッ。
左の手を銃を持つ右手にそっと添え、スザクは銃を構えなおした。
「そうやって言葉を紡いで、そうやって俺をも取り込む気か……ゼロ」
そう、所詮、言葉は無力、なのだ。
「その傲慢さが、それがお前の本質だ。ゼロ、傲慢さを償え……ッ」
ゆっくりとその手に構えた銃に力を込めるスザク。
その銃口は真っ直ぐに頭部へと向けられていた。放たれる銃弾は仮面をも貫通し、この命を消し去ることは間違いないだろう。
このままに推移すれば。
だが携えた銃がマントに隠れ、この手に握られていることにスザクは気付いてはいないだろうと思えた。
機先は制された。だが、自信はある。僕は彼よりも早い。
だが、自分にスザクが撃てるのか?
『撃つ』
傷は負うかもしれない、だが負けはしない。負けることなど許されない。彼がその怒りを放つ前に、撃つ。
周囲にお互いの殺気が満ち満ちた、その時。
カッ……。
小さく石を蹴る音が辺りの静寂を打ち破った。

155 :6/8 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/05(金) 23:29:14 ID:RIHg34cM
物陰から赤い影が飛び出す。スザクとの間に割って入ろうと飛び込んでくる。
なぜ今まで気がつかなかったのか、それは赤いパイロットスーツの女。紅月カレン。
「スザァァァァーーーークッ!!」
絶叫とともにその手に握った銃を撃つ。彼女に躊躇いはない。
ゼロを守るためにこの地まで追いかけてきていたのか!
その認識は嬉しくもあり、そして悲しくもあった。
それは彼女たちを裏切って、放り出して、己の目的を優先させた事実を彼女に突き付けることになるのだから。
その感傷が事態へと対応することを一瞬忘れさせた。
「カレンかッ!」
身を翻し、叫ぶスザク!
信じられない反応! 彼はカレンの放った銃弾をかわし、大きく飛びのいて彼女にその銃をむけるのだ。
勢い良く飛び出したカレンはその動きに反応できない。
死を意識することさえできようもない刹那、スザクの銃が再び乾いた音をたてた。



「ゼロ?」
目を開き、顔を上げ、カレンがかすれた声をたてた。
彼女の前にたち、スザクとの間に分け入って盾となったのだ。
彼女の考えていることはわかっている。
── “彼”の分も自分がゼロを守らなければならない ───
恐らくはそのように考え、自分を追い詰めているのだ。
スザク同様に失ってはいけない人を失ってしまったカレン。奪いさった僕自身がそう思うのは……やはり傲慢なのか。スザクが言う通りに。
「みんなバカだ! 君も日本人も! こんな男の甘言に乗せられて!!」
この行動は意外だったのか、スザクの言葉に表情に動揺が生まれていた。
銃弾を受けたのは右肩。熱さと痛みが広がっていく。
銃をもつ右手は血の流れとともにその感覚を奪われていった。
喋ることで動揺を押さえつけようとしているのか、声をあげつつスザクが立ち上がった。
「わからないのか、君には。なぜ見ようとしない、この男の傲慢を、正体を!」
「何をいまさら! あんたにゼロの何がわかるって言うの!」
そのカレンの一言に何かを思いついたかのような表情を見せ、スザクは再びその銃を構えた。
「そうだ……わかるさ。君も知ればわかる、この男の正体を。この男が……」
憎しみを隠そうともせず、スザクはその視線を仮面の下に突き刺した。
「この男が今までどれだけ俺たちを偽ってきたか」
「ッ?!」
スザクの意図を察したカレンが今度こそ盾となるべくその身を乗り出す。

156 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 23:29:14 ID:66FK2bOv
支援

157 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 23:30:02 ID:66FK2bOv
支援

158 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 23:30:43 ID:66FK2bOv
支援

159 :7/8 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/05(金) 23:32:01 ID:RIHg34cM
けれど、それを許すわけにはいかない。
そのパイロットスーツの襟を掴み、後ろへと突き飛ばす。
『どうして?』
突き飛ばされ、後ろに転がるカレンの顔がそう言っていた。信じられないという気持ちが形をとって表れていた。
『違うんだよ、カレン』
守りたいものの中には君もいるのだから、君を犠牲に生き延びることなど許されない。

── お前は欲張りだなぁ ───

“友”の言葉が脳裏に蘇る。
『そうさ、僕は欲張りなんだよ。何一つ欠けないままにすべてを手に入れたいんだ。手に入れたかったんだ!』
だからカレン、君を守ってみせる。ナナリーも守ってみせる。みんなだ、みんな守ってみせる!
「ダメよおぉぉぉぉぉぉーーーーーッ!!!」
カレンの絶叫を背に、スザクの前にその身をさらす。
今度はスザクも動揺などしない。彼が放った銃弾は狙い誤らず仮面を───ゼロの記号を砕いた。
ゼロでなくなる時が、来たのだ。
真っ二つに割れ、その破片が宙を舞う僅かな時に、カレンとスザクの表情が変わっていくのが見えた。
ゼロでなくなる時が、来たのだ。“自分”に戻ってしまう時が来てしまったのだ。
破片が床を叩き、無機質な音をたてる。
スザクの銃がその手を離れて床に落ち、カレンはその目をこれ以上ないくらいに大きく見開いた。
「なんで、どうして……」
カレンの声がどこか遠いところから聞こえてきた。そのように感じた。
「君が、君は……」
呆然としたスザクが頭を振る。
僕は静かに口を開いた。二人の驚愕に答えなければならない。
「そうだ。僕が、ゼロだ」
銃弾の衝撃が割ったのか、血が一筋、額から流れて落ちる。
だが、それが何だというのだ。こんな微かな痛みなどが、何だっていうのだ!
「黒の騎士団を率い、神聖ブリタニア帝国に挑み」
自分が何のためにここにいるのか、それを伝えなければならない。
自分が何のために戦い続けるのか、それを伝えなければならない。
それは義務だ。今日のこの日までみんなを偽り続けてきた僕の、義務だ。
「そして、友との誓いを果たす。そのために生きる男だ」
伝えなければならない。もはやゼロではない僕─── ライ ───の、これがたった一つの誓いであることを。


160 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 23:32:47 ID:36bzPGer
支援

161 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 23:34:07 ID:66FK2bOv
支援

162 :8/8 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/05(金) 23:35:58 ID:RIHg34cM
【ぎあすあとがき劇場 V.V.といっしょ】

投下終了と同時にわたしの横でV.V.がつぶやいた。
「ねぇねぇ、あおちゃん」
──なぁに? と聞き返すわたし。
「最初ッから全部書き直すつもり?」
うーーーん。わたしは腕を組み、考え込む………フリをしてみせた。
「まじめに答えないと、コロコロするよ?」
V.V.さん目がマジやないですかーーーっとわたしは背筋が冷える気分を味わった。
どうやら今日は冗談の通じないモードならしい。わたしは空気を読んで態度をあらためる。
──第一話はもとから書き直したかったんですよね。
「完成度低かったしね」
──ドスッ、グサッ。わたしは死んだ。スイーツ(笑)
心に刺さった心無い言葉を慎重に抜去しながらわたしはV.V.に笑いかけた。ひきつった作り笑いではあるけれど。
──間違ってないですけどね、確かにあれは一から書き直さざるを得ない出来ではありましたし。まぁ、それはともかく。
わたしはズラっと脚本を彼の前にそろえてみせた。
「他の話に関しても書き直すつもりはあるみたいだね」
そういうわけなんですよ、とわたしは答えた。
──と、いうわけなんで今日はこれで失礼しますね。すぐに第二話にとりかかりますんで!
わたしは引き止められるような隙を見せず、神速の撤退ぶりを披露してみせた。
ようは三十六計のなんとやらだ。
ドアのこっちがわでわたしは背筋をのばして家路についた。
──今日はゆうっっくり寝ようっと!

部屋を出て行ったあおを無言で見送り、V.V.は一人深くため息をついた。
「ぼくの出番って確か、最終回だけなんだよね………」
もう一度ため息をつく。
「いつになったら来るんだろう。ぼくの出番………」
寒い冬の夜、V.V.のため息は木枯らしのようにいつまでも吹き続けていたのでした………。

     つづく

163 :BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/05(金) 23:41:54 ID:RIHg34cM
以上で〜す
はじめまして創作発表板! これからはロスカラSS板共々どうぞよろしくおねがいしまーす!
投下前に挨拶しろよって話ですね。はい
気持ちが逸ってすっかり失念してました
失礼なやつですね。はい
病状も落ち着いたようなので、またお世話になります
また最初からってのはどうよって思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
そこはそれ、力の限りに面白い話を書くのでどうぞご容赦くださいませ
約束したライとロロの話もまだ書いてませんし、書く気だけは十分なので、どうぞ今後ともお見捨てなきように
それでは、おやすみなさ〜い

164 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 23:43:55 ID:i4AdeWnv
正直に言いますとその9その10が気になりますが書き直す前の作品より良かったです。続きを楽しみにしています。頑張ってください。

165 :創る名無しに見る名無し:2008/12/05(金) 23:48:08 ID:Onjfw2IK
久しぶりだなぁ、青さん!
全力感想人Y、君の存在に心奪われた男だ!
>>163
BLUEDESTINY卿、GJでした!
一から書き直しだと!?
いや、逆に考えるんだ、もう一度、更にレベルアップしたSSを読むことが出来る、と。
ゼロとなっていたライ、初めてこの作品を読んだときの衝撃がより大きくなり、私の心を揺さぶりました。
あぁ、やはり貴女のSSは最高だ……続きがどのように変わり、更にその先はどうなるのか、気になって仕方がない!
貴女の次の投下を全力を挙げて、全身全霊で、全力全開で、お待ちさせていただきましょう!

166 :創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 00:08:32 ID:UcmWI0fk
×ロスカラSS板
○ロスカラSSスレ
最後の最後で誤字ってやんの。しっかりしろ、自分
本文中に誤字を発見したらぜひ指摘してやってください
見つけた方には豪華景品………はないですがw
それでは今度こそおやすみなさいです
よかったら感想などお寄せください。書き上げるエネルギーになります!

167 :創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 12:34:06 ID:rJVE1IsM
45分頃に投下します
問題が無ければ12レスで終わると思います

168 :創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 12:43:17 ID:+KIlSP7V
支援いたします!

169 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 12:45:04 ID:rJVE1IsM
失礼しました
前書きと本文と後書きと合わせて14レスでした、申し訳ないです
えっと、創作発表板の皆様はじめまして
ロスカラSSスレの皆様お久しぶりです
稚拙で淡白な文章でSSを投下しているぷにぷにです
ちなみに由来はぷにぷにぱんちゅと…ってどうでもいいですね
不束者ですがここに嫁いで来た手前、頑張る所存です
以前の作品は>>1の保管庫を参照して下さい
それでは前振りも程々にして投下します

【タイトル】コードギアス 反逆のルルーシュR2 RADIANT WORLD
【ジャンル】シリアス(長編)
【警告】ギアス篇&黒の騎士団篇の合いの子ルートの
     ギアス篇ENDからスタートしています
     R2の豪快なifルート&オリジナルメカが登場するので
     苦手な方は御注意下さい

170 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 12:47:03 ID:rJVE1IsM
なにかもが必然だとしたら人は何を想い描くのだろうか。
願いは遠く答えは空虚。
それでも誰も立ち止まる事はできない。

第九話『COLORLESS FUTURE』

神聖ブリタニア帝国の帝都ペンドラゴンに彼女はいた。
ナイトオブラウンズの為に用意された円卓の前で今も戸惑い萎縮しながら。
隻眼の騎士。ナイトオブワンであるビスマルクは彼女を再度一瞥し口を開いた
「ヴィレッタ・ヌゥ。爵位は男爵だったな?」
「はっ。この場には相応しくないと思いますが―――――」
「構わん、正式な要請だ。それと貴公には子爵の爵位を授けよとの命も陛下より預かっておる」
男爵から子爵へ。貴族への憧れを持つ彼女が更に上へ上がる。
その事実に彼女は自身の憧れが更に明確になるのを喜んだ、ここまで登って来たのだと。
「以上が貴公に伝える事だ。以降はプランに従うがよい」
「イエス、マイロード」
彼女の規律正しく敬礼してからその場を離れていく姿を見届けながら彼は皇帝の采配を不安視していた。
(敢えて遊ばせるとは……陛下の御戯れも困ったものだ……)
皇帝の真意を知る数少ない人物の一人である彼だからこその不安。
彼の実力ならば不安要素や不確定要素の排除は容易だ。
だが、それでも彼には拭いきれない予感があった。自身の左目が疼くのはその現われなのか。
(奴だけならば問題はない……問題なのは―――――)
今の彼は座して考えるしかない、そして彼女は行動しながらでしか今は考えられない。
罠に嵌められたと思っていた彼女だが、その罠に飛び込んだ事で子爵の爵位を得られた。
この状況に追い込んだ少年、ライの真意を読みきれない彼女だったが利害は一致している。
危惧すべき事はある、しかし彼の行動はある種の一貫性があった。
パズルのピースの様に散らばっている行動の起点にはルルーシュがいる。
だが、ギアスという超常の力で操られた素振りはない。
ルルーシュの反逆とライの思惑、その答えを知るには彼女はまだ遠い。
「お待ちしておりましたわ、ヴィレッタ卿」
見えない意図について考え事をしていた彼女の耳にのどかな声が聞こえてくる。
声の主は軍港で彼女を出迎えるべく来ていたモニカだった。
ナイトオブラウンズ、しかも一日にその二人に会うなど一介の軍人には容易く無い。
そうして彼女は自分が今立っている位置を再確認した、重責を預かる立場なのだと。
「受領に際しての質問はありますか?」
「帰国の際に仕様書等には目を通してありますので問題はありません」
「優秀ですね。彼が副官にも恵まれてなによりです」
そのまま物資搬入の終了時刻、及び出航時刻とルートの再確認へと移っていく。
ヴィレッタが預かるのは新造戦艦であり、艦隊戦よりKMFの運用を主眼に置いた新基軸の物だ。
コーンウォール級浮遊航空艦、アヴァロン高速強襲型。
彼女がモニカからの受領の手続きと確認要項を済ませて向かう先。
その最初の目的地はエリア11、日本―――――

エリア11の政庁の一画に用意された軍事施設。
そこにキャメロット、ナイトオブセブン専属のKMF開発チームは駐屯していた。
その工房のKMFハンガーではランスロットのユニット換装が行なわれている。
正確に言えばユニットの適合性を確かめる為のテストといった方がいいだろう。
その様子を眺めているロイドとセシルはモニターが表示した結果に少々不服そうな表情を浮かべている。

171 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 12:50:03 ID:rJVE1IsM
「サクラダイトの量、増やして正解だったみたいだね」
「ええ、今でこれなら以前のままでは出力不足でしょうし……」
二人がチェックをしているユニットはコンクエスターユニットとは違っていた。
ハドロンブラスターが背部から突き出す形とは違い非対称で一対の砲身らしき物が機体下部へと向いている。
しかし、これでは基本武装であるMVSと干渉してしまい不便でしかない。
それを解消する改修図面の作成に二人が取り掛かるが瞬く間に完成してしまう。
その速さは二人がKMFの開発に関して優秀なのもあるだろう、そして―――――
「本当にこれでいいんですか? 取り回しに難があるんじゃ……」
「デヴァイサーが優秀だからね〜問題ないでしょ」
ロイドは完成された図面を見ながら鼻歌を歌いはじめた。
彼にとってランスロットの完成が全てでありその他の事象には興味がない。
そんな彼に頭を悩ませるセシルには他にも気になる事がある。
「このユニットもそうですけど他のプランも本気でうちでするんですか?」
「ガウェインの事ならいいんじゃない? あれは元々うちの機体なんだし」
彼は必要なパーツのピックアップをしながら興味が有るのか無いのか曖昧な返事をしている。
だが、この皇帝から下された勅命に関して彼女には気がかりな点が幾つかあった。
一つは破格の予算が用意された事。
ラウンズ専用の開発チームとは言えどもこれは異常な予算だった。
他のラウンズのチームの優に三倍はあろうかという位だ。
「ガウェインやアルビオンもそうですけど……更に一機、おまけにこのユニットまで……」
「こっちはフラグシップモデルだからね、それにいずれ必要になるでしょ?」
「それはそうですけど……」
彼女が一番気がかりなのはこれがシュナイゼルではなく皇帝の命だという事。
ナイトオブセブンの専属チームでありながら他の軍事プランにも介入する。
シュナイゼルも了承はしておりキャメロットの前身である特別派遣嚮導技術部という部署を考えてもおかしい事ではない。
しかし、その軍備増強の中でワンマンアーミーに等しい機体を作るなど彼女にとってはナンセンスだった。
逆に彼はデヴァイサーを最大限に活用できるならワンマンアーミーすら視野には入れている。
その中にパイロットの生死は含まれていないが機体性能が上がれば生存率は上がる。
結果、出来上がる機体はパイロットを選び量産性を著しく欠く事になった。
この彼独自の道徳観念はラクシャータとの確執にも繋がっているのだが彼はそれでも止まらない。
「アルトリウス構想に関してはどうするんです?」
「そっちは保留。全機体が完全にロールアウトしてからだね」
「でも、全機の基本フレームは既に完成していますよね?」
「コンクエスターでバトルプルーフは既に済ませているからね、このユニットでラスト」
二人はこれからの案件を練りながら手元ではFCS(射撃管制装置)の調整をしている。
先のユニットに関する図面から考えられるFCSの最適化を手早く行う二人。
二人の設計思想と行動理念は噛み合ってはいない、だからこそバランスが取れている。
そして、似たもの同士である事も少なからず作用しているのだろう。
その作業に没頭している二人に声をかける人物達がいた。
「これが前に言ってた専用ユニットなんですか?」
「なあ、これってスザクが使う新しい武装なのか?」
「ジノ……これは違う……あっちのよ……」
スザクとジノはランスロットに取り付けられたユニットに興味津々な様子だ。
アーニャはといえば携帯を弄りながら真横のKMFを指差してジノの間違いを注意している。
「ドミネーターユニットだっけ?」
「そうだよ、僕向きじゃないらしいんだけどね」
「スザクとじゃ相性が悪い……」
「あは〜アールストレイム卿は流石だね〜」
「もう、ロイドさん!」

172 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 12:53:02 ID:rJVE1IsM
会話をしている本人達は気にはしていないが他のスタッフは気が気ではない。
皇帝直属であるラウンズはここにいるスタッフ達にしてみれば雲の上の存在。
尊敬と畏怖の念を抱かれるのも仕方が無かった。
そんな中でも普段と変わらずジノとアーニャはランスロットのユニットを繁々と見ながらあれこれ会話をしている。
スザクも伝達しなければいけない事を伝えなければと二人に話しかけた。
「特に反対も無く承認されました、正式に任命するそうです」
「へえ〜で、扱いに関してはどうだったの?」
「本人の好きにさせよ、との事です」
ロイドはスザクの言葉に満足したのか微笑しながらあれこれと夢を膨らませている。
そんなトリップ状態の彼を咎めずセシルはスザクを心配していた。
「本当に良かったの?」
「正直、僕も戸惑いましたけど……でも喜ぶべき事だと思います」
二人はこの結果を素直に祝い喜んであげたかった、しかしそうできない何かを二人は感じていた。
まるで見えない何かに飲み込まれていくかのような不安が二人の中で駆け巡っている。
「……そういえば、この件で中華連邦に行くんですよね?」
「えっ? ええ、その事なら大丈夫よ。迎えが来るから」
「そうだったんですか。あ、それとロイドさんにも一言いいですか?」
「んふ〜なんだい?」
「たまには婚約者らしい事をして下さい。会長を見てると不憫ですから」
「……それって命令?」
「必要ならそうしますけど?」
スザクに嫌味はないがロイドは少々困った顔を浮かべている。
ここ最近はKMFにばかり構いきりな彼にそういう事をしろと言うのも中々に難しい。
ましてや革新的なKMFを扱っているのなら尚更だ。
何より人間関係の構築に関する知識はあるだけの彼はどうにも興味が無い。
それを知るセシルだからこそのフォローなのか、他のスタッフにユニット等の機材の搬入準備を指示した。
「セシル君、これって嫌がらせ?」
「まさか。自覚を忘れてもらわない為です、アスプルンド家の跡継ぎとして」
二人の見慣れたやり取りを見ながらスザクは日常が少し戻ってきた事を喜んだ。
今のエリア11は少々混乱している、特区日本が成立して黒の騎士団は健在。
情勢は変わりつつあるがそれでも油断は出来ない。
彼の中にある以前のナナリーとは違い彼女は政治的手腕を発揮して混乱は最小限に抑えたものの反発は今も多い。
「スザク君達はどうするの?」
「僕達はここに残ります。総督から離れるのは危険ですし情勢も落ち着いてないですから」
彼にとっての一年前にやり残した事、ユーフェミアの願った行政特区日本。
今は上からの施しでしかないが、そこから作れる未来はあると彼は信じている。
その僅かな沈黙の中、アナウンスで軍港にアヴァロン高速強襲型が入港した事を彼等は知る。

彼女は夢を見ている。懐かしく、そして忘れてはいけない人の夢を。
その人は彼女の頭に手を置いて願いを残した。
『カレンには母さんを守ってほしい』
声をかけているのは彼女の兄だ。彼女が尊敬を抱かずにいられなかった家族。
託すかのような言葉、それが彼女が聞いた兄の最後の言葉だった。
その光景を見ている自分がいる。そこで彼女はようやく理解する。
嗚呼、これは夢なんだと。もう帰ってこない日々なんだと。
兄であるナオトが彼女の頭から手を離して背を向けて歩いてくのを見送っている。
しかし自分は追いつけない背中を目指して走って追いかけている。
待って欲しいと。行かないで欲しいと。もう届かない想いと共に彼女は追いかけている。
母とシュタットフェルト家にいた時。母がリフレインという薬に溺れていた時。
そんな見たくも無い、嫌でたまらない現実に目を背けて逃げた自分。
自分はまだ母を守れる程強くなっていない、だから置いていかないで欲しいと兄を追いかける。

173 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 12:56:02 ID:rJVE1IsM
ゼロの真実を知った時も逃げた、現実を見据えようとしたのに。
母に迫った現実。間違った家族の在り方。それを正してくれると兄と同じ位に信じていたゼロの裏切り。
自分の心を強くしようとしても強くなれない弱さがあるから支えて欲しいと兄を追いかける。
だが、どれだけ追いかけても追いつけない。兄は死んでしまったんだという現実が彼女を追いつかせない。
唇が兄を呼ぶ為に自分の意思に反して絶叫する。兄に傍にいて欲しいからと追い求めて。
それに反応するかの様に振り返ったのは―――――
「っ!―――――」
そこで彼女の意識は覚醒した。
少し呼吸が荒く冷や汗も少しあると感じながら彼女は大きく見開いた瞳をゆっくり閉じて思い返す。
別段寝苦しい夜でもないのに彼女はうなされていた。
「……気持ち……悪い……」
無理に意識を覚醒させられたからなのか顔の血の気が少々悪い。
彼女は一度深呼吸をして脳に酸素を取り込んでから夢をみた原因に思考を移す。
原因は眠る少し前まで考えていた事だと彼女はすぐに答えを見つける。
が、それでも不可解な部分があった。最後に振り返って自分を見た顔。
(どうしてライなのよ……)
彼女が最後に見たのはライだった。
そこには脈絡が無く、ただ胸騒ぎにも似た予感が彼女を掻き毟る。
それを予知夢の類と彼女は思いたくは無かった。
もしそうならば彼女は自分のパートナーをこの先失うと認める事になる。
彼女には逃げ出す事はもう出来ない、これ以上奪われない為だけに戦う彼女には。
そんな考え事をしている内に彼女の意識は完全に覚醒してしまう。
もう一度眠るにしてもにもこのままでは寝付きが悪いと思い斑鳩の艦内の散歩をする事にする。
部屋から出ると窓の外の景色は暗く艦内に漂う静けさの中で時刻は深夜なのだと肌で感じ取れる。
その闇と静寂に包まれた世界の中で彼女は擬似的な孤独に陥ってしまう。
「子供の夜更かしは関心しないな」
不意に何かで頭を軽く叩かれた彼女が振り返った視界に入ったのはライだ。
頭を叩いたのはファイルで何かの作業をしていたのだろうと彼女はすぐ察せられた。
しかし、つい先程見た夢のせいで子供扱いされた事の怒りより不安が胸を衝いている。
「……どうしたんだ、こんな時間に?」
「ちょっと……寝付けなくて、ね……」
「寝付きが悪い? なら、いい解消法がある」
そう言って彼は近くの自室に彼女を招いた。
彼に促されるまま部屋に入り適当にベッドに腰掛けた彼女は部屋を見回してみる。
部屋の中は偽装船の時と同じく私物と呼べる物はなく殺風景なものだ。
デスクの上には携帯やKMFのキーといった必要になる小物だけ。
(どこが似てるのかしら……)
そのまま簡易キッチンで用意をしている彼に視線を移動して彼女の記憶と見比べてみる。
兄と比べても似ている点はそれ程無い。
ルルーシュと比べても精々ブリタニア風の容貌と漂わせている雰囲気だけ。
そしてもう一人、彼女には似ていると思わせる人物がいた。
(スザクにも似てるわよね、やっぱり……)
戦う姿勢や生き方の類がどことなくスザクに似ていると彼女は思う。
何かを抱え込んでいると匂わせるのがそう思わせる理由なのか。
そんな考え事をしながら彼女は彼の一挙一動を眺めている。
「僕の顔に何か付いているのか?」
「……ふぇ? あ、え、ごめんなさい……ちょっとね」
「ん? そうか。とりあえずこれを飲めば少しは寝付きも良くなると思う」
彼はマグカップを彼女に手渡してからデスクチェアーに腰を下ろしてそのまま何かの作業をはじめる。

174 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 12:59:02 ID:rJVE1IsM
渡されたマグカップの中を満たしているのはホットミルク。
そこから仄かに立っている湯気を少し眺めてから彼女は口に運んでみる。
温くもなく熱くもない、その適温が喉を潤しながら舌触りは少し甘かった。
「甘い……」
「砂糖を少し入れていたんだが甘いのは嫌いだったのか?」
「別にそうでもないけど……なんでホットミルクに?」
「……昔の癖、だろうな。妹に飲ませていた時にそうしていたからその方がいいかと思ったんだ」
ファイルとノートPCの画面を交互に見ながらキーボードを叩く彼の後ろ姿。
よく知っていると思えるその姿、それが最後に見た兄の背中に重なるのは偶然なのだろうか。
同時に彼女は彼の事をあまり知らないのだと再度思い知らされた。
過去を聞くのは悪趣味だと彼女は思うのだが、彼女の口はその意思に反して尋ねてしまう。
「へえ、妹がいるんだ」
「ああ、いたよ」
「……それって―――――」
「もういない、帰ってもこない」
「ごめんなさい……聞くべきじゃなかったわね……」
「気にしないでいい。こうなったのは自業自得だ」
作業を止めて振り返った彼の表情はいつもと同じだった。
家族の死を自業自得と言い切るそれは死という現実を受け流しているとも取れる。
しかし、彼女はそう受け取れなかった。
「……私にもね、お兄ちゃんがいるの。もう死んでいるかもしれないけど……」
マグカップに彼女は視線を落とすと湯気はまだ仄かに立っている。
湯気は静かにゆらゆらと浮かんでは消えていく、まるで彼女の心が葛藤しているかの様に。
「だから時折思うの……お兄ちゃんが生きていた意味は……あったのかなって……」
この道を選んだ事を後悔をしているのでなかった。
ただ、夢を見たせいで言い知れぬ不安が心に押し寄せている。
彼女はホットミルクをもう一度口に運んでから彼の顔を見たが表情に変化は無い。
「……ライにはあるの、生きていた意味って?」
「どうかな……あって欲しいとは思う。自分で奪っておきながら勝手なものだけど」
「こういう事って感傷的にもなるわよね……」
「後悔しているからだろうな……でも、そこで立ち止まってもいけないんだと思うよ」
少し弱々しく聞こえる彼の声、その中に明確な強さを覗かせる言葉。
彼女は自分とは違い彼は強くあろうとしているのだと知る。
手元のマグカップの中身はいつの間にか飲み干されていた。
「強いのね、ライは……私は駄目ね……いつも立ち止まってる気がする……」
「立ち止まってもカレンはちゃんと向き合っているんだろう、僕はそれを弱いとは思わないよ」
「……ありがと」
心に抱える悩みや不安を形を変えてあるとはいえ吐露していく内に彼女は気が楽になっていた。
同年代のパートナーという存在は彼女にとって奇しくも悩みの種であり解消法になる。
彼女がそう思った時に少し笑みがこぼれ、それを見ていた彼も微笑を浮かべていた。
「あ、今、笑った」
「ん、そうか?」
「たまにしか笑わないけどね」
微笑んでいる事を指摘された彼は俯いて考え込みはじめてしまう。
それを見ている内に彼女は目蓋が重くなってきている事に気付く。
安心からか充足からか、そんな事を思案している内に彼女は眠りに落ちていた。

無理をしているとライは思っていた。
だが、そんな自分でもカレン達に対して笑顔を作れる余裕があったのかと驚いている。
その事実に今までを振り返るかの様に彼は俯いて考えはじめた、これからの事を。

175 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 13:02:02 ID:rJVE1IsM
いつの間にか考えに耽ってしまい彼はカレンの事を忘れてしまう。
それに気付きカレンが怒っているだろうなと思って彼が彼女に視線を移すと頭が少し前後に揺れている。
「寝るのはいいんだが……まあ、いいか」
悩み事があったのは彼もわかっており、それが少しでも解消されたのなら幸いだと思う。
彼女の緩んだ手からマグカップを取ってからベッドに横にして布団を掛ける行動。
昔はこういう風に妹の面倒を見ていたのだろうかと彼は思い返す。
彼の記憶が戻ったと言っても一部であり全てではない。
ふと、彼がはじめて彼女と一緒に戦ったリフレイン事件の時の事を思い出した。
『駄目! こんなものに頼っちゃ絶対駄目!』
過去に戻れるという麻薬、それを使えば記憶が戻るという玉城の茶化した冗談が発端だった。
あの時、カレンは酷く傷ついた表情を浮かべてライを制止した。
『駄目……駄目だよ……だ、め……』
強く振舞っていても誰しも弱さはある。
リフレインという自分の意思を奪う暴力。
母がそれに溺れていた事実にカレンが傷ついた姿。
ライにとってその事件も再度戦う決意を決めた理由の一つだった。
ギアスも同じく意思を奪う絶対の暴力、リフレインの事件は形を変えて彼にその事実を突きつけた。
使えば誰かが傷つく、だが彼はそんな呪いに今も縋らなければ戦い続けられない。
ギアスについてはカレンなりの結論は出ているのは彼も知っている。
しかし、彼がルルーシュと同じくギアスを持っているとは教えていない。
(ここから先はカレン自身の問題だな、ルルーシュもいるし大丈夫だとは思うけど)
彼はカレンの弱さを知っている、だからこそ強さも知っていた。
紅蓮のキーを握りしめ機体を見上げる瞳にあった強い決意の光。
『ゼロは……ゼロは私が守る』
スザクがランスロットのパイロットだった事を知った時も変わらず強く決意していた。
だからこそ彼はカレンに託そうとしている、この数奇な運命を導いた一人である彼女へと。
その様々な想いを抱く彼の思考を遮ったのは携帯電話の振動音だった。
それを手に取ってから通路に出て着信画面を一瞥してから彼は通話のボタンを押した。
「ロロか。どうしたんだ、問題でも起きたのか?」
『いえ、大丈夫です。兄さんもすぐそっちに到着すると思います』
少ない懸念が現実になったのではないと知り彼は思わず壁に背中を預けた。
「そうか。本国か嚮団から連絡でもあったのか?」
『それが……詳しい話はヴィレッタがするから連絡をしろとだけで……』
「……わかった。それからこの事は誰にも話すな、余計な混乱を招くだけだ」
『いいですけど……信じていいんですか、これは―――――』
「最善の策とは思わないが最悪の事態を容易に防げるのはこれだけだ」
「……わかりました」
短い通話だったが彼が思う事は一つだけだった。
タイムリミットは既に目前なのだと。
携帯電話の短縮ダイヤルに入っているヴィレッタへの番号を出してから彼は少し戸惑う。
その迷いは一瞬だけに終わり彼の耳にコール音が響く。
数回のコール音に耳を傾けながら彼は周りを見渡して横にC.C.がいる事にようやく気付いた。
見据えられた金色の目に映っている自分の姿、それは未来の姿を映しているのだろうか。
そんな事を思いながらC.C.を眺めたままで彼はヴィレッタとの通話をしていたが珍しく彼女は口を開こうとしない。
彼女が口を開いたのは通話が終わってからだった。
「今戻ってきたぞ、お前と話がしたいそうだ」
「わかった、すぐに部屋に行くよ」
「……で、もう行くのか?」
「ああ、明日の昼頃には出ようと思う」
「そうか」

176 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 13:05:06 ID:rJVE1IsM
素っ気無い返事はいつも通りだなと彼は思いながら彼女の横を通り過ぎようとした時。
彼女は不意に彼の腕を掴んだ、目一杯の力を込めて。
「ルルーシュもそうだがカレンにもお前は必要だ、わかっているのか?」
「盗み聞きは趣味が悪いんじゃないか」
「話を逸らすな、大体聞きたくて聞いたわけではない。それでどうなんだ」
「そうだな……」
彼が自問自答したのは自分の必要性ではなくこの選択を止めるかどうかだった。
自分と他者、そのどちらを優先するか―――――
彼の答えはいつもと同じだった。
「それでも僕は行くよ、みんなの為に」
「まったく……お前は大人しくて無口で無表情で不器用な男だな」
「……はあ?」
「その上、悩みは一人で抱え込んで勝手に答えを決めてとんでもない事をする愚かな男だ」
「お、おい……」
「だが思いやりと責任感はある、そこは褒めてやろう」
「言いたい放題だな……」
罵詈雑言と称賛を浴びせる彼女に彼が視線を移すと彼女も彼へと視線を移して視線が同時に重なる。
彼が彼女を見据えた時、掴んだ腕を放して彼女らしくもない少し柔らかい笑みを浮かべて言葉を続けた。
「だからこそだ。ライ、全てが終わったら帰って来てやれ。ここに、この世界に」
「本当にC.C.は自分勝手だな……帰って来いと言ったり打ち克てと言ったり……」
「なんだ、もう甘えたくなったのか?」
「それはない、絶対にない」
「つくづくつれない男だな、お前は」
「C.C.にだけは言われたくない」
軽口を言っているが彼女の中でなにか変化でもあったのだろうか。
そんな事を思いながら彼はルルーシュの待つ自室へと向かった

学園での事を咲世子に任せて蓬莱島に戻ってきたルルーシュは自室でライを待っていた。
時刻は深夜であり彼も自重すべきかと思ったがどうしても聞きたい事があった。
「おかえり、学園はもういいのか?」
「問題は無い、条件は全てクリアされている」
C.C.を伴って部屋に入ってきたライは声をかけながらソファーに腰掛けた。
その反対側ではC.C.が服を脱ぎ散らかしてインナー姿で寝そべっている。
いつもの光景を眺めながらルルーシュは本題をすぐに出す事にする。
「こんな時間で悪いがどうしても聞きたくてな、ナナリーや皇帝の事を」
「その事か……それで?」
「ナナリーがエリア11の総督に自分から志願したとは聞いた、だが皇帝の目的が読めなくてな」
「牽制か警告か、それとも別の理由か」
「奴は今のゼロも俺だとわかっている筈だ、そうでなければナナリーの願いを聞き入れる理由がない」
それはナナリーに危害が及ぶのは明白だった。
その事をライが考えはじめたのを見てルルーシュも考えはじめる。
泳がせる為、つまり本来の目的であるC.C.を誘い出す為か。
しかし、それなら最初から総督などと回りくどい事をしなくても直接人質にすればいい。
総督になる前と後でも行動を起こしているがそういう気配は一切ない。
相手の目的は明白なのに行動の意図が不明瞭な事。
その事を本国にいたライなら何かを探って知っているのではと思い彼は聞きたかった。
「以前にも聞いたけど、言えば君は目的を見誤るかもしれない。それでもいいのか?」
「……俺はナナリーを迎えに行く。その為にも―――――」

177 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 13:08:02 ID:rJVE1IsM
全てを終わらせる。その罪を、その罰を、この戦いを起こした責任を。
自分はもう止まれないのだと。
その言葉を聞いたライは深呼吸を一度してから口を開いた。
「ナナリーは殺されないだろう、これは言い切れる。ただ、余程の事態が起きた時にその可能性は出てくると思う」
「なぜ言い切れる、余程の事態とはなんだ?」
「真意はわからない、ただ皇帝に殺す気はない。それは君も同じだ」
「C.C.を捕獲する為か」
「それもあるだろうけどそれでも不可解だ。やり方が回りくどい上に確証が得られない」
ルルーシュは言葉に耳を傾けていたが頭の中は混乱していた。
殺す気がない、しかも自分とナナリーの両方にない。
ライの情報を是とするなら皇帝の目的は他にある。
「起点はギアスに関係する事か……となればV.V.とかいう奴も絡んでくるな」
「V.V.を知っているのか?」
「名前だけはな、学園でC.C.から聞いた。で、お前はV.V.を知っているのか?」
「ああ、そのV.V.がマリアンヌを殺したそうだ」
「なっ、なんだと!?」
ライは抑揚無く言葉を続けていたがルルーシュの混乱は加速していく。
ギアス嚮団の嚮主でシャルルの同志であるV.V.がマリアンヌを殺した。
つまり皇帝は関知していながら無視したのかとルルーシュは考えた、しかし―――――
「それが二人の間でなんらかの軋轢を生じたんだろう、だが目的の為にはお互いを必要としている」
「目的とはなんだ!」
「詳しくは知らない。わかっているのは神とかいうのを殺してなにかをしたい事だけだ」
「お前は一体……」
「僕を起こしたのはその皇帝とV.V.だ。おかげで色々と知る事が出来たけど」
情報過多になりルルーシュは自分を落ち着かせようとするがどう考えても異常だった。
敵である人間の懐から情報を手に入れそこから飛び出してここにいる人物。
ルルーシュは自分の評価が正しくもあり同時に誤りである事を痛感した。
ライを敵に回すのは自分の怨敵と戦うより厄介なのではないかと。
「少し整理をしよう。皇帝は君達が目的を阻害しない限り殺そうとはしない」
「理解に苦しむな……」
「同感だ、そしてV.V.はルルーシュを邪魔だと判断したら殺そうとする」
「その場合、ナナリーにも危害が及ぶ。それは―――――」
「対策はある、それは後で言うよ。要は君が戦い続けるという事はあの二人の目的の妨害に繋がる」
「つまり戦い続けるという選択はナナリーや学園を……」
ルルーシュはようやく合点がいった、確かに聞けば目的を見誤ると。
それは今までの自分が道化師だったかのように思える情報だった。
ナナリーやユーフェミアの事も含め、自分の目的は何処にあるのか。
彼の中の様々な考えが螺旋を描いている時、ライは言葉を続ける。
「C.C.はなにか言う事はないのか?」
「今はない……今はな……」
「そうか。ルルーシュ、言っていた対策だけど―――――」
ライは一通り話すだけ話して全てをルルーシュに委ねた。
二人が歩む道は過酷であり厳しいものだった。
そうしてライが自室に戻ってから見たカレンの掛け布団を蹴っ飛ばして大の字で寝ている姿も中々に厳しかった。

長い一夜は明けて時刻は昼時、その時間になってもルルーシュは睡眠を取る気にはなれなかった。
ライに聞かされた様々な真実は彼をここまで悩ませている。
今は蓬莱島の管制室で施設整備と共にディートハルトが担当している人事案について受け答えしていた。
僅かな答えは見えてきてはいるがそれでも最後の決断はできていない。

178 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 13:11:02 ID:rJVE1IsM
「―――――情報管理のセクションと併せて構築しましょう。では」
「ディートハルト、ライの事だが」
「どうかされましたか?」
「今後あいつには別行動をして貰う」
「では、当面のKMF隊の事は藤堂でよろしいですか?」
「それでいい、細かい調整はお前達に任せる」
ディートハルトは僅かな笑みを見せてからその旨を了承して部屋を去った。
それを確認してから彼は窓のスモークをオンにして仮面を外す。
だが、それでもルルーシュという個人に戻りきれずにいた。
横にいるカレンもその僅かな空気の変化が気になったがディートハルトが見せた笑みにも不安を覚えた。
「ディートハルトは信用できるの? 咲世子さんの時みたいに独断で……」
「逆に読み易くなった、あの男はゼロという記号を神にしようとしている」
この時点でルルーシュとディートハルトの思惑にはズレが生じている。
ルルーシュはゼロを記号とした事で旗印を自分ではなくゼロという存在へと移行する事を目的とした。
対してディートハルトはルルーシュが演じるゼロだけを望みそれを神に仕立て上げるのが目的である。
いずれその事で衝突はするだろうが逆にそれだけ行動パターンは絞られて読み易くなる。
「それに情報操作については得難い逸材だからな」
「そう。それでライが別行動ってどういう事?」
「それに関しては……」
当然の疑問だろうとはルルーシュもわかっている。
ここで秘匿すべき情報を明かすべきか、いくら真実を多く知っているカレンでもそれは危険だった。
「カレン、君はライを信じているか?」
「えっ? それはまあ……一応はパートナーだし」
「そうか……」
彼は操作パネルの配線の調整を止めて意識をデスクの上に登って作業をしているカレンに向ける。
明かしたところで支障は少ない、しかし彼にはライとの約束があった。
『僕もナナリーの事を約束しただろ、だからルルーシュも約束してくれ』
自分が戦う理由、それはライと同じ様な答えでいいのだろうか。
沈黙の中、彼が思い悩んでいる時にカレンも少し悩んでいた。
(大丈夫かしら……)
ルルーシュの少し弱気な態度はナナリーが総督になった時を思い出させる。
不安定な足場で考え事に集中していたのだが、そこで不意に声をかけられ彼女は思わず落ちてしまう。
―――――時間は遡る事数十分前。
ライは斑鳩の近くにある防波堤で釣りをしていた、といっても時間を潰すのが目的だった。
手配していた飛行機の時間まで暇を持て余していたのだ。
KMF隊へのトレーニングの指示が予想より早く終わってしまい手持ち無沙汰。
ルルーシュへ蜃気楼についてまとめた資料を手渡そうにもディートハルトと打ち合わせ中。
趣味の類が無いライは途方に暮れていたがそこへ藤堂や仙波や卜部が声をかけてきたのだ。
そうしてカモメの鳴き声に囲まれながら四人の背中が並ぶ形となる。
「藤堂さんの趣味が釣りなのは意外ですね」
「俺は静かなところが好きだからな」
「そういえば中佐は焼き魚も好きでしたな、総隊長殿の趣味は?」
「特にはないですね、よく面白みが無いと言われます」
「若い時分からそれではいけませんな、あまり根を詰めず時には若者らしく遊ばれるとよい」
「ああ、君はまだ若い。世話になっている手前、俺もあまり強く言えないが少しは羽を伸ばすといい」
三人の気遣いを嬉しく思いながらもライの表情はどこか暗くなっていた。
他人に優しくされてもいいのだろうかと。
「総隊長殿はなぜ戦場に?」
「……大事な人と場所を自分のせいで失ってしまったんです」
「ふむ、それは辛いだろうな」
「自業自得ですよ、それに同じ過ちを繰り返してばかりです」

179 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 13:14:10 ID:rJVE1IsM
ライはすらすらと言葉が出てきた事に戸惑っていた。
父性の存在が乏しかったライにはこの三人の暖かさは嬉しくもあり苦痛でもあった。
そうして段々と口調が重くなっていくライの様子を見ていた仙波が口を開く。
「我々も生き恥を晒して戦っておる、若い内からそうなんでも背負い込みなさるな」
「そうですとも、総隊長殿がそう思い悩むのはまだ早い。こういうのは大尉程になられてから―――――」
「卜部よ、侮ると痛い目を見るぞ。次こそは遅れは取らぬ」
二人のやりとりにライが耳を傾けると後ろから怒声が響いてくる。
「朝比奈ーっ! またお前は!」
「いいじゃないか、沢山あるんだし」
「そういう問題ではない! こら、待て朝比奈っ!」
視線を向けると千葉がエプロン姿で朝比奈を追い掛け回している。
どうやら用意していた昼食をつまみ食いでもしたらしい。
卜部と仙波がそれを見て苦笑いを浮かべる中、藤堂はライに視線を向けた。
「すまんな、あれでは頼り無く見えるかもしれんが」
「そんな事はありませんよ、随分と助けられていますから」
ふと、ライが視線をずらすと子供達がこちらを見ている事に気付く。
「どうしたんだ?」
「え、えっと……」
不意に声をかけられた子供達はおろおろしている。
ライの事をよく知らない子供達にはブリタニア人にしか見えない彼に困惑していた。
足元を見ればサッカーボールが転がっており、これを取りに来たのだと彼は推測できた。
「ほら、これを取りに来たんだろう」
「あ、ありがと……」
「お兄ちゃん、早く行こうよ……」
ボールを手渡しても怯えられているがライは特に気にはしなかった。
気になったのは兄妹らしい二人に過去を幻視した事だけだ。
「……妹か?」
「う、うん……」
「そうか、大事にしろよ」
そういって子供の頭を軽く撫でてから彼が背を向けようとすると妹の方に服の袖をつかまれてしまう。
不意の出来事でつい目が点になり目線を向けてから口を開くの待つが中々開かない。
「……え、えっとね……」
「ん? どうしたんだ」
「多分、遊びたいんだと思う……」
「僕とか?」
よく見ればKMF隊のトレーニングをしていた時によく見かけた子供達だとライは思い出した。
それで自分への警戒が薄いのだろうかと思ったが、遊びたいと言われたのは流石の彼も予想外だった。
「別に構わないが……」
「ホント? じゃあ行こう! あっちでいつも遊んでいるの」
「こっちこっち」
「あ、お、おい……」
兄妹の二人に服の袖を引っ張られながら他の子供達に囲まれてライは広場へ連れて行かれてしまう。
その振り回されている姿に藤堂も少し驚いていた。
「意外だな」
「そうですか? 自分はそうでもありませんよ、総隊長殿はゼロの片腕として有名だそうですから」
「玉城とやらが随分と吹聴しておるそうで、しかしそのおかげで風当たりも少しは弱くなっておるそうです」
二人の説明で藤堂も合点がいった。
騎士団に入って日が浅いとはいえライの活躍は目を見張るものばかりだ。
玉城の口の軽さには少々呆れたが時には大事なのだろうかと藤堂も考えを改めていた。
想いはそれぞれにあり若者や未来を守ろうとする三人の意思は強い。
そうしてライが子供達と遊んでいる姿を眺めていると杉山がライに向かって走ってくる。

180 :創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 13:16:51 ID:G/hz5MNn
支援

181 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 13:17:03 ID:rJVE1IsM
「お、子供達と遊んでるのか」
「引っ張られてきました、準備は?」
「出来てるぜ」
杉山に礼を言ってライは藤堂達に挨拶をしてからルルーシュのところへ行こうとする。
それを藤堂は少し引き止めた。
「これを持って行くといい、無銘だがいい拵えの物だ」
「いいんですか?」
「なに、我々からの餞別といったところだ」
「総隊長殿にも合うと思いますよ」
彼等から貰ったのは日本刀だった。
ライにも剣の扱いには覚えはあるが日本刀は少々怪しい。
しかし、それでも貰えただけでも彼には十分だった。
「お兄ちゃん、どこかへ行くの?」
「ああ、続きは……」
「帰ってきたらまた遊ぼうね、約束だよ!」
「……わかった」
子供達に手を振り藤堂達に一礼して彼はルルーシュのいる管制室へと向かっていく。

足を踏み外したカレンはルルーシュに覆いかぶさる形で落ちていた。
お互い頭をぶつけてはいないが少々顔が近い。
そこでカレンは聞いてみたくなってしまう、一年前の事を。
「ねえ、覚えてる? チョウフでの事……」
「ん? ああ、あの時か」
「あの時―――――」
「おい、タバスコの場所を知らないか?」
二人は聞き慣れた傲慢な声が聞こえて同時に同じ方向を見るとピザを片手にC.C.が立っていた。
なにやら文句と不満が滲み出ている表情をしている。
「お前いつから―――――」
「それよりタバスコだ。ここにはラー油しかない」
それを言い終えると同時に管制室のドアが開きライが姿を現すと彼も少々硬直してしまう。
(……もしかして邪魔だったかな……)
「相変わらず空気の読めない男だな、それよりタバスコがどこにあるか知らないか?」
「タバスコ? それならさっき下の調理場で千葉さんが使っていたぞ」
「チェックがいいな、そういう男は嫌いではないぞ」
「君に好かれても嬉しくないな」
目的の物があると知りC.C.はその場で身を翻して部屋を去っていく。
ライもルルーシュに渡す蜃気楼の運用案をまとめたファイルを近くに置いて去ろうとする。
「蜃気楼の事についてまとめたレポート、ここに置いておくよ」
「おいっ、あまり邪魔をしてやるな」
「わかっている、それじゃ」
「ま、待て! 誤解をするな! これは―――――」
「はいはい」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

182 :創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 13:17:39 ID:mwwOKflF
支援いるかな?

183 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 13:20:02 ID:rJVE1IsM
半ば呆れた表情のままライも身を翻してその部屋を後にしようとする。
止めて誤解を解こうにも二人はパニックで体が動かない
その時、頭だけを再度覗かせてライは忠告らしき言葉を残していく。
「ドアはロックしておいた方がいい」
そのままドアが閉まってからようやく二人の体が動いた。
が、二人の為にドアが開く事は無く同時にドアにぶつかってしまう。
いつ如何なる時でもライに抜かりは無い―――――
(素直じゃないな、あの二人って)
他人をとやかく言えるともライは思えなかったが素直な感想が心の中で出てしまう。
そのまま発着場へ歩いているとC.C.の姿が目に入る。
「ここで一旦お別れだな」
「最後かもしれないけどな」
立ち止まる事もせずそのまま通り過ぎようとしたがC.C.の言葉に思わず歩みを止めてしまう。
「……お前の願いの色は見えているか?」
「願いの色、か……それはみんなが色づけてくれるよ、きっと」
それだけ言い残して彼はその場を離れた。
道は幾重にも広がりはじめている。
その道は時に交わる事もあるだろう。
ライが蓬莱島を離れた時を同じくして神楽耶のアナウンスが蓬莱島に響く。
それが新たなステージの幕が開ける合図だった。

184 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/06(土) 13:21:15 ID:rJVE1IsM
以上です
支援して頂いた方に感謝します
この板のさるの条件はよくわかりませんね
とりあえずアルトリウス構想だけは干渉、手助け一切無用!
いえ、そこだけはホント無視して下さい…他は中盤や後半に
ロスカラSSスレと創作発表板の両方で新参者ですが
皆様これからもよろしくお願いします

DS版のギアスのゲームを買ってみたのですが
プレイする暇がないのはきっと年末だからですね
SSのせいじゃないもん!
では、失礼しました

185 :創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 16:46:15 ID:56c6Rube
ぷにぷに卿乙です!

ライが子供たちとじゃれるシーンで和みました♪
案外ライって保父さんに向いているかもw

続き期待しています!

186 :創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 19:48:46 ID:Mk6glILJ
一気読み、読み応えたっぷり。ぜいたくだなあ

>全力さん
あたたかで、幸せな。そんなSSをありがとうございます。
互いに知ることはちぐはぐで、でも、間違いない信頼に結ばれた仲間たち。
こんなひとときが、あったんだろうな、と。
>青の人さん
まさかのリメイク!
飢えていました。読み終えました。
本編が終わった今、どんな構想が広がっているのでしょう。
新たな出発に祝福を。次回を楽しみに、お待ちしています。
>ぷにぷにさん
いよいよの、ライとの別離ですね。初回から示唆されていた展開とは言え、
先の読めない展開に不安と期待が止まらない。
マリアンヌの真実、VVたちの目的。本編より一歩先んじる彼らの
たどり着く先が、幸せなものでありますように、と祈っています。

職人のみなさん、ありがとうございました!

187 :創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 20:28:15 ID:qowY6MJH
>>184
ぷにぷに卿、GJでした!
ライが皇帝とV.V.の事をこの時点でルルーシュに伝えましたか。
より大きくなる変化を見ているとどのような展開となっていくのか楽しみで仕方がありません!
平和な光景は和む……それがつかの間のことかもしれないと思うと不安ですが。
貴公の次の投下を全力を挙げて待っております!

188 :創る名無しに見る名無し:2008/12/06(土) 21:13:42 ID:LyblDl2t
>>184
ぷにぷに郷、GJでした!
この時点では知る事の無いマリアンヌの死の真相にたどり着くルルーシュ。
更にライとの別行動により、ますますアニメ本編との乖離が強くなってきましたね!
果たして、ライ達がたどり着く未来はどの様な色をしてるのでしょうか!?

次回の投下を楽しみにお待ちしております!!

189 :ライ×C万歳:2008/12/07(日) 02:23:28 ID:oPrJLwBE
どうもです。ライ×C万歳です。
前に話していたロスカラとガンダムOOのクロスネタが完成したんで、明日こちらの板にあるクロス小説創作スレで投下しようと思っているのですが、向こうの許可は取ったほうがよろしいのでしょうか?それとも新規でスレ立てるべきでしょうか?

190 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 02:26:43 ID:Alo0YYS3
>>189
向こうはギアス系SS総合スレにしようかという話があるので
一応許可とって向こうに投下するのが最善だと思います

191 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 02:45:58 ID:5fiFVxhh
あれ、数ヶ月見ないうちに移転してる

192 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 07:45:05 ID:U6jpJ9Gu
>>190
あちらというのを勘違いしていないかい。
クロス専用のスレがあるんだけど。

二期スレは特に受け入れ体制が調ってるわけではないから
クロススレでいいんじゃないかと思うけど

193 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 09:31:40 ID:NjDgbnMm
確実に言える事は、投下には細心の注意を払って下さいという事だ。
クロスは強さ等、荒れる要因が多いからね。

194 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 13:23:35 ID:gg3Lqx21
>>189
いちいち許可取る必要ないだろ

新規にスレ立てでもしてくれ

195 :あしっど・れいん ◆6yugqI8E3U :2008/12/07(日) 14:15:18 ID:ZrjttSiF
どうもお久しぶりです。
タイトルは「バットエンド」です。
カップリングはありません。
まんせ、バッドエンドですから…。
さらに救いのない話なので、それが駄目な人はスルーしてください。
また、短いので支援は要りません。
なお、レス数は、ここは初めてなので要領わかりませんけど、1レスか2レス程度だと思います。


196 :あしっど・れいん ◆6yugqI8E3U :2008/12/07(日) 14:16:07 ID:ZrjttSiF
バットエンド 


目の前のナイトメアがゆっくりと崩れ落ちる。
コックピットまわりに深く開いた破壊の後とその周辺に飛び散る紅い液体がパイロットの生存を否定している。
これで8機目か…。
溜息ともとれる吐息が口から漏れた。
何で戦っているのだろう。
気がつくと黒の騎士団に一員となって戦う日々。
戦い、生き残る度に口から漏れる吐息と罪悪感とも後悔ともとれる思いが心を満たしていく。
記憶は戻っていないものの、戦えば戦うほどかっての自分の悪行を繰り返しているような気分になっていくのはどうしてだろう。
横たわるナイトメアの残骸を見下ろしつつ、生き残る事の虚しさを痛感するのは何故なのだろう。
生き残れたはずなのに…。
その時だった。
無線から女性の声が響く。
「ライっ…後ろっ…」
僕は、無意識のうちに機体を回避行動へと移そうとした。
しかし、その前に機体は激しい振動と爆発音に包まれる。
致命傷とはならないはずだったが、運が悪かったのか破片がコックピット内を跳ね回る。
キンキンキンという音とともに破片は、映像パネルを割り、狭いコックピック内に傷をつけていく。
そして、紅い液体が飛び散り、周りを濡らしていく。
また同時に体中に焼き鏝を当て付けられたような熱さが何箇所も沸き起こる。
幻想的な紅い液体が作り出す光景と灼熱の痛みが僕を捕らえていく。
ああ…なんて綺麗な…紅…。
そして、僕は悟る。
今まで何人もの命を奪い去ってきた僕にその順番が回ってきただけなのだと…。
身体中の力が抜けていき、思考がぼんやりとした霧の中に包まれていく。
そして…ぼんやりとした思考の中、無くした筈の記憶の断片が浮かんでくる。
ああ…母上…。
そして、愛しき妹よ…。
死に行く中にありながら、僕は幸せな気持ちに満たされていった。
短い間ではあったが、かって3人で幸福に過ごした日々が浮かんでは消えていく。
今から、そちらに参ります…母上、それにわが妹よ。
また3人で…幸せな日々を……。
そこで意識が深い闇の中へ沈み込んでいき、ライという名の少年の意識が二度と浮き上がることはなかった。

197 :あしっど・れいん ◆6yugqI8E3U :2008/12/07(日) 14:17:57 ID:ZrjttSiF
以上で終わりです。

こんな話を書いた理由はひとつ。
バッドエンドの時、どういう心境なんだろう。
ただ、それだけでした。
で勢いで書いたのがこれです。
否定的な意見が多いと思います。
ただ、こういうものがあってもいいかなと思い、投下しました。
以上です。


198 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 18:08:24 ID:PJzhzCyC
>>197
あしっど・れいん卿、乙でした。
バッド……というか、デッドエンド。
諦念と共に訪れる幸福感、それだけがせめてもの救いでしょうか。
まぁ、死んだこと無いんで、そうなのかなぁ、と何となく思いました。
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!

199 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 19:17:33 ID:F7G9uF0V
まあなんだ。バットエンドかバッドエンドかはっきりしてくれw

200 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 19:48:09 ID:pKk7OMES
あしっど・れいん卿乙です。

ライが死んでしまうのはやはり悲しいですが、
ゲーム本編の死亡エンドよりも情緒があるところが良いと思いました。

201 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 21:00:14 ID:wNfruNrO
あしっどれいん卿乙です!ところで196の1行目って「バッドエンド」じゃないですか?

202 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 21:05:16 ID:bPRbNZlo
携帯厨用エロいコードギアスハケンシマスタ
http://edrfkjh.digi2.jp/CODE_GEASS/CODE_GEASS.htm

203 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 21:23:50 ID:U6jpJ9Gu
>>197
ゲーム以上にやり切れない虚脱感が。
このライは、守るべき人も、世界の色も得ることが出来ないまま
流されるまま戦い続けて来たのでしょうか。
そう思うと、たどり着くべくして迎えたエンドなのだと言う気がしました。

204 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 21:24:27 ID:L3hCQEB2
創発板でも名無しで投下していいかな?いいよね!

・カップリングなし
・一期の黒の騎士団ルートで学園祭直前の嵐の前の静けさ
・2レスです

205 :箱庭ごっこ 1/2:2008/12/07(日) 21:26:00 ID:L3hCQEB2
   □ 箱庭ごっこ □

 昼休みの屋上で弁当を広げるのが僕とカレンの日課になりつつある。季節的にそろそろ肌寒いが、ここ
なら人目を気にせずに話をすることができるからだ。
「はい、ライの分」
「いつもありがとう」
 当たり前のように差し出される明るい色の弁当箱に恐縮してしまう。
 はじめの頃は意識していなかったが、学園でカレンの人気は高い。とても。同じクラスで生徒会で
ミレイさんの強制任命とは言え、僕の世話係を引き受けてくれたカレンとは共に行動することが多い。
僕は時折刺さるような視線を感じることもある。
 それに僕自身も彼女を好ましいと思う。
「お礼をしないとな」
「いいのよ。……私が好きでやってることなんだし」
 カレンはちょっと言い淀んでぷいっと視線を逸らした。
「うん。でも、気持ちの問題かな。僕もルルーシュに習おうかな」
「ルルーシュ?」
 カレンの目つきがやや険しくなる。カレンにとってルルーシュは虫の好かない相手らしい。ゼロの仮面
の奥を知る僕には苦笑が浮かぶ。
「彼、上手いんだ、料理。咲世子さんから教えてもらったのかな。和食もできるし」
「ルルーシュねぇ……」
 カレンはまだ納得がいかない様子だった。
「あいつ、猫被ってるわよ、私が言うのもなんだけど。性格はかなり悪いわね」
「うん。そうだね」
「……同意見で嬉しい限りだわ」
 カレンはそれだけ言うと、肉団子の甘辛煮をぐさりと箸先で刺した。

 ルルーシュとカレンの仲が険悪でも、カレンのゼロへ捧げる忠義には揺るぎがない。カレンにとって
ゼロはゼロであり、ルルーシュには一片の関わりもないからだ。黒の騎士団としてはそれでよい。そして
作戦補佐の僕としても親衛隊長のカレンと総司令のゼロにとっても。
 だが、ルルーシュやカレンの友人としてはどうだろう。同じ生徒会のメンバーの仲が悪いのは、精神衛
生上よろしくない。もっともルルーシュからカレンについては、からかっているような雰囲気もあるため
に心配はいらないだろうが。
 もし――これはあくまで仮定の話でしかないが――ゼロの正体がカレンに知られるようなことがあった
時、彼女はルルーシュを受け入れるだろうか。
 ひやりとした風が予感のように僕の頬を撫でていった。

206 :箱庭ごっこ 2/2:2008/12/07(日) 21:27:24 ID:L3hCQEB2
 ここのところ騎士団の活動が多く、久々に顔を出した生徒会室でミレイさんに小言を言われてしまった。
罪滅ぼしに書類の山を一通り片づけてクラブハウス内の自室に戻る頃にはすっかり日が暮れていた。
 部屋には明かりがついていた。そして漂うチーズの香り。
「C.C.?」
「違う、私はピザの妖精だ。少し分けてやるからルルーシュには黙っていろ」
「……仲、いいよね」
 ベッドをC.C.に占領された僕は椅子に逆に座り、呆れつつも半ば感心するような気持ちで自称妖精を眺
めた。ひとの部屋で当然のように寛ぎ、存分にチーズとトマトソースを堪能してからC.C.は思い出したよ
うに部屋の主の顔を見た。
「そういえば、ルルーシュが探していた」
「そういうことは先に言ってくれ!」

 急いでルルーシュの部屋に向かうとノックの後に返答があった。
「ずいぶん遅かったようだな」
「生徒会の仕事が溜まってたんだ」
 僕は事実を述べただけで悪気はなかったが、ルルーシュの良心が咎めたようだ。彼は一瞬、言葉に詰ま
った後、話を変えた。
「食事は?」
「ああ、適当に」
「あまり、あいつを甘やかすな。つけ上がる」
 ルルーシュは軽く溜息をつくと、開いていた端末の画面を切り替えた。
「なんでわかったんだ?」
「一つ、さっき俺はC.C.を追い出した。二つ、お前からチーズの匂いがする。この二点から導き出される
 答えは自ずと分かるだろう」
 ルルーシュは不敵な笑みを浮かべた。
「そこまで分かっていて、ピザの妖精を引き取ってはくれないんだな」
「断る。あいつも俺の部屋以外に行き場所ができていい気晴らしになっている」
 彼は眉間に皺を寄せて「他をうろうろされると困る」と付け加えたが、仕方ないとは言えC.C..を閉じ込
めていることを決して良しとはしていないルルーシュの本音が隙間から零れていた。


 ルルーシュは視線を画面に移した。租界の階層をパージして倒壊させるシミュレーションが流れている。
「次の作戦?」
「念のための仕込みといったところかな。まあ、使いどころが難しいが」
 これが使われるということはトウキョウが戦場になるということだ。ナナリーが、みんながいるこの場
所が戦場になる。

 崩れているのは画面の中のシミュレーションに過ぎない。
 しかし、僕は自分の足元に揺らぎを感じていた。不安定な箱庭の中に居る自分を。

207 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 21:30:52 ID:L3hCQEB2
以上です。
日常と非日常が背中合わせになっている感じが伝わっていればいいなと思います。

208 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 22:29:54 ID:Q424CT9g
10時45分ごろ投下させていただきます
移転前と感覚が違うので
大体10レスぐらいだと思います
あとはさるが出ないように祈るだけです

209 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 22:34:07 ID:xXLyoLMn
>>208支援しまっせ〜。

210 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 22:37:35 ID:Saf09qfW
>>208
じゃあ一応5レス目ぐらいに支援入れた方がいいのかな?待機してます。

211 :カズト:2008/12/07(日) 22:43:13 ID:Q424CT9g
タイトル「追憶の旅路 第13章 惨劇……そして、残酷な奇跡」

ジャンルはシリアス

【警告】

注意点
・実質完全オリジナルです……が今回少しリンクいたします……
・カレンがライの過去編を精神体という形で見ております
・オリキャラ多数 あくまで別人です……
・タイトルの通りグロ注意です!!
・情け容赦という言葉は存在しませんので苦手な方は読み飛ばしてください
・度胸いりますなこれ・・・・

初めて読む方へ

心を閉ざしたライの心に飛び込んだカレン
ブリタニアの辺境の国の皇子
ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニア
ライは「魔法使い」からギアスを授けられ
父と兄達を殺し、ついに王となった
改革を推し進めていくが
いつしか、心が磨り減っていき
ギアスも不安定になっていく・・・・・・

「北の蛮族」との決戦が少しづつ近づいていく中で
ライは一人の少女と出会う・・・・・
帝都の皇女レフィーナ=リ=ブリタニア

彼女はライの心に熱い何かを残し去っていった・・・・・・
だが、惨劇の時はもうすぐそこまで近づいていた

212 :カズト:2008/12/07(日) 22:44:58 ID:Q424CT9g
ある日の夜
ライは命と咲久耶と夕食をとっていた
政務に追われ、ここ数年は常に一人で食事を済ませていたのだった

「ライエル、彼らとの全面戦争は避けられないのですね……」
「はい、母上、既に奴らには宣戦布告の文を送りました」
親子の会話としては、あまりにも殺伐としていた
咲久耶が重い空気を払いのけようと言葉を紡ぐ
「お、お兄様……レフィーナ皇女とはどんなお話をされたのですか?」
「……っ!そ、それは……その……チェスの事とか……
戦術……戦略……でな……」ライはしどろもどろで答える
「大体!皇女でありながらこんな辺境にわざわざ何しに来たんだか……物見遊山に来られてもこっちも困る!」
ライは愚痴りながらもいつしか言葉を探すのに必死になっていた……
「お、お母様……」咲久耶はどうしたらいいかわからず母に助けを求める
「プッ……クスクス……」命はそんな息子の様子を見て嬉しそうに笑っていた
「ご馳走様です……」ライはここにいる事が息苦しくなり食事を手早く済ませた
部屋を出たライはふとあることに気付いた
(あれ?母上の笑った顔久しぶりに見た気がする……何年ぶりだろう……?)

そして、これが家族で囲う最後の食卓となった……

夜、ライは命の部屋の前にいた

(ライエル様……この世に……相談できないことなんてないんです!!)
ライはレフィーナの言葉を思い出していた……
ライはドアをノックをしようとした
しかし、できるはずが無い
なんて言えばいい?自分は人を操る魔道の力を持っている
その力で父を兄を殺し王の地位を手に入れた
その力で国を作り変えた……
(だめだ!!言えるはずがない!!)

ライは母と妹とは既に疎遠になっていた
政務に追われていた事もあるが、
魔道の力を使う自分の醜い姿を見られる事が何より苦痛であった

ライは命の部屋から去った……
ライは毎晩こんな事を繰り返していた
(今日は疲れた……)
(母上もお疲れだろう……)
(明日も朝が早い……)
明日はどんな言い訳を考えるのだろうか?

そして……「その日」が来た……


213 :カズト:2008/12/07(日) 22:46:48 ID:Q424CT9g
既に兵の準備もできており士気も高い
後はブリタニア帝都の援軍が来るまで持ちこたえれば、奴らとの戦いも終わるはず……
奴らとの戦に勝って、レフィーナ皇女との婚姻に持ち込み皇帝の座を手に入れる!
……あれ?何かが間違っている気がする


ライは「北の蛮族」との全面戦争に備え皇族の正装を着ていた
ライは城壁に立っていた
国全体が見渡せるほどに青空も澄み切っていた……

城の周囲には不安を抱えている民が多く集まっていた
奴らとの決戦が始まっている事は既に知れ渡っている

奴らとの戦いを終わらせる!!
そう思い民を城壁から見下ろす

「……っ!ぐっ……あああ……」
突然あの痛みと眩暈が襲ってきた!
しかし、ここで倒れるわけにはいかない
周りには家臣もいる
王としての威厳を保たねばならない
ライは愛用の大刀を杖代わりにして、深呼吸をしながら誤魔化していた
それが焼け石に水だったとしても……


いつしかライは痛みと眩暈で夢と現の境を彷徨っていた
(奴らを倒さなければ……)
(奴らを殺さなければ……全ての元凶は奴らなのだ!!)
(そうだ、奴らを皆殺しにしなければ……)
(殺せ……殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺セ殺セ殺セコロセコロセコロセコロセコロセコロセ…………)
そう考えていく内に、痛みと眩暈の波は少し鎮まっていた気がする……
だが、ぎらついたライの両目には赤い鳥の光がより強く輝いていた

「陛下!奴らの軍が国境を越えてきました!!」
ライはその禁断の言葉を……放った!

「奴らを……北の蛮族を……

カレンは堪らずに叫んだ……叫ばずにはいられなかった!!
「ラ、ライ……だめえぇぇぇ!!」

皆殺しにしろ!!」

ライの体から赤い光が円周状にどこまでも拡がっていった……
悪魔が……解き放たれたのだった!!


214 :カズト:2008/12/07(日) 22:48:47 ID:Q424CT9g
ふとライは我に返った……
急いで兵舎に行こうとしたライは呻き声を耳にした
うう……ああ……
家臣たちが頭を抱え苦しんでいた……いつしか彼らから殺意が湧き上がり
「殺さなければ……奴らを皆殺しにしなければ!」
「殺せ!奴らを殺すんだ!!」
「殺せ!殺せ……」
そして、家臣たちは武器庫に向かっていった

「な……!何が一体!?」ライはいつもと違う家臣たちの様子に戸惑っていた
そして、ライがそれを理解するのに時間がかかった
ライは気付いて青ざめた……
「ま、まさか!ギアスが!!は、母上!咲久耶!!」母と妹の姿を探した!
咲久耶が見当たらない!命はまだ頭を抱え苦しんでいた!

命は自分が自分でなくなっていく状態の中で全てを悟った!
息子は魔道の力を手に入れてしまったのだと……
おかしいと思ったのはあの時だろうか
夫のアルベルトが咲久耶の婚約を取り消した時だっただろうか?

「は、母上ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」ライが命に駆け寄った!
ドンッ
命は自分が自分でなくなる前に、近寄ったライを突き飛ばした!
ドサッ
ライはしりもちをついた……

「えっ……」ライは呆然とした……
拒絶……ライはそう感じてしまった……
ライの世界が真っ暗になる
そんな中、命はゆっくりと武器庫へと向かっていった……

ライは母を止めようとした
しかし、立てなかった、体が動く事を拒否していた……
拒絶されたと思い込んだショックでライは動けなかった……

ライはふと母への言葉を思い出した
「母上には関係ありません!!」
「あんな女ども野垂れ死のうが知った事ではありません!」
「民から搾取しているだけの無能に何ができるというのですか!!」
「帝都の奴らに我ら辺境の苦労などわかるはずがないでしょう!!」


「あ……あああああああああああ!!」
自分は何度母の諫言を拒絶してきたのだろう
一度拒絶されただけで、こんなにつらく……苦しいのに……
ライにとって八つ当たりは甘えの裏返しだった
母は優しくて強いから……だから激務のストレスを命にぶつけていたのだった

ライはこれからの事に絶望しながらも、立ち上がった
ショックでふらつきながらも兵舎に向かった

馬を駆りながら町を回ったが、ほとんど人の気配が無かった……
町にはいつしか火の手が回っていた!
「母上!サクヤァァァァァァァァァ!!」
誰も答えてくれない……
ふと耳を澄ますと鬨の声が聞こえてくる方向と距離からして国境付近である
ライは半狂乱になりながら、そっちに向かった

戦場に着いたライは唖然とした……
そこで繰り広げられていたのは、地獄絵図……いや地獄そのものだった!!

215 :カズト:2008/12/07(日) 22:50:51 ID:Q424CT9g
そこにあったものは死体……
見渡す限りの血塗れの死体死体死体死体死体死体死体死体死体…………
敵味方関係なく、死体の山が築かれていた……

敵兵はライのギアスで作り出された死兵達……いや屍鬼達にいつしか恐怖を感じ圧されていた

なにしろ、正式な兵のみではなく非戦闘員である市民まで老若男女関係なく、包丁、農具、刃物を持って自分達に襲い掛かってきたのだから……憎悪の念と声を持って!

「よくも……私の妻と子供を!!」男が鍬を叩きつける……
「孫を串刺しにされた恨み……」老人が重い体を引きずりながら……
「あたしのフレッド返してよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」女性が刃物を振りかざす……
「おかあさんをかえせ!!」子供が泣きながら敵兵の喉に噛み付く……
彼らは死ぬまで戦い続けた
片腕がちぎれ飛んだらもう片方の腕で……
両腕が無くなったら噛み付いて……
歩けなくなっても、ただ這ってでも……

「あ……あああああああああああ!!」
ライは罪なき民を殺人鬼にした己の所業に恐怖した……

ライはパニックに陥り叫んだ!
「た、戦いを……戦いをやめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ライの体からまた赤い光が放たれた!!ギアスが殺し合いを止めさせた……あくまで殺し合いを……

始まったのは、虐殺だった!!ギアスがかかったのは敵兵のみとなったために……
ライは見せ付けられる事になった、戦の専門家ではない市民が、ギアスで戦えない武装した兵士を一方的に殺していくという異常極まりない光景を……
「ち、ちが……違う違う!!ま、待て!待ってくれぇぇぇぇぇぇ!!」ライの叫びも空しく敵兵の死体の山が築かれていった……

敵兵は壊滅していた……
う……うう……
敵兵の呻き声が聞こえていた
「おい!!こいつまだ息があるぞ!!」
「殺してやる!!」そう言って民は赤ん坊の頭大ほどある石を振りかざし……
グシャ
息絶えた……
「殺せ、殺すんだ……奴らを……」
「そうだ……みんな殺せ……」
民は再び獲物を求め歩を進める……

この時点で、ライのギアスを解く方法は2つある
一つは命令どうりに「北の蛮族」が全て消える事であるが、国力の差から物理的に不可能なのは、自明の理である
そして、もう一つは……かけられた者本人の死であった……

「うわああああああああああああああああああ!!」
ライはただ、叫ぶ事しかできなかった……

ライの横を兵士が通り過ぎようとしていた
ライは肩を掴んで尋ねた
「は、母上は!?サクヤは!?どこにいるんだ!?教えてくれ!!」
「陛下!ミコト様とサクヤ様なら、あちらの方へ行かれるのを……そうだ、奴らを殺さねば……」

ライは兵士が指差した方向へ馬を走らせた!!

216 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 22:51:29 ID:Saf09qfW
一旦支援。

217 :カズト:2008/12/07(日) 22:52:59 ID:Q424CT9g
「こ、殺せ!や、奴らを狩り尽くせ!!そうしなければ、我らに未来はないのだ!!」
部隊を指揮していた馬上のカルロスが強迫観念にとりつかれていた!
ライのような子供に醜態を晒した上、皇帝陛下に自らの失態を知られてしまった
カルロスの本隊は町で敵国の民を虐殺していた!!
敵国の罪なき民の恐怖の悲鳴がライの耳に突き刺さっていた!!

(狩りだと……これが帝都の将だというのか!?)
自分のギアスがカルロスの本性を解放したことに吐き気を催した
「や、やめろおおおおおおお!!民は殺すなああああああ!!」
ライは兵士の死体から剣を拾い馬上のカルロスを地上に引き下ろし馬乗りになって剣を喉に突き立てた!!
ドッ……
「ガ……ガアッ……」カルロスは息絶えた……
だが当然、虐殺が止まるはずがなかった
ライは目の前で繰り広げられている惨劇にただ呆然としていた……

突然、ライの体を影が覆い、その直後ライの顔に血がかかった
影はライを敵兵の銃弾と弓矢から守っていた
「ウ、ウラハタァァァァァァァァ!!」
「へ、陛下を……守らねば……皆の……者!!」
「陛下を守らねば……」配下のもの達がライの壁となり楯となる
「う、うわあああああああああ!!やめてくれええええええええ!!」
ライはその場を逃げる事しかできなかった
逃げた先に大きな木があったそこには……
「ナ……ナラサキィィィィィィィィ!!」
女騎士の奈良崎は胸を撃ち抜かれ木にもたれ掛かり眠るように息絶えていた……

また逃げた先では、仙沢がいた……彼は肩と足を撃たれ、満身創痍で戦えなくなり、死の間際の精神力で命令をねじ伏せ腹を切って自決していた……

さらに、森の中では、敵本隊に奇襲を敢行し、
特攻を仕掛け巨躯の敵将を道連れにしていた旭川がいた……

師匠の海堂直属の部下はみな壮烈な戦死を遂げていた……

死んだ……いや、自分が殺した……
ギアスという魔道は簡単に信念を捻じ曲げてしまう
ライはギアスを使って、逆らうもの達……自分にとっての悪を善に変えていた
しかし、逆もまた然りという事であった……

ハァ……ハァハァ……
半狂乱に馬を走らせ、迷って、迷っていくつもの集団を彷徨い……
ある集団に辿りついた……

ここでも死体の山しか見当たらなかった……
あまりにも多くの死体を見すぎたのか、ライの感覚は麻痺していた……

ごそっ……
死体の山からわずかに何かが蠢いた……
少女がいた
何かに引っかかっていたのだろうか、それでも少女は前に進もうと這っていた
その少女を見つけたライの目に光が戻った!!

「サ、サクヤ!!ああ……生きていたんだね!!」
喜びの声と共に妹に駆け寄り
ぎゅっと涙ながらに抱きしめた
(忘れていた!!全ては大切なサクヤと母上の為だったんだ!!)

218 :カズト:2008/12/07(日) 22:54:08 ID:Q424CT9g
「おにい……さま……わたくし……はかれらをころさ……」声が弱々しい……
「もう、いいんだ!!サクヤは何もしなくてもいい!!僕がずっと側にいるから!!」
「おかあ……さまはどこ……?」
「探す!!探すから!!だから、静かなところへ行こう!そこで大人しくしているんだ!」
(そうだ!!静かな山の中がいい!!そこで、家族三人で静かに暮らそう!!食料はなんとかなる!!もう王の地位なんてどうだっていい!!よかった、生きていたんだ……)

「おにいさ……ま……いたい……」
「えっ?ああ、いけない!強く抱きし……」
ふと、ライは妹からにおいを感じていた……
戦場で嗅ぎ慣れていたはずの、血のにおいが……より濃く……
そして、ライは感じていた……かつて、味わった大切な人の命が消えていく瞬間を……
「おにいさま……い……たい……」

「あ……ああ……!!サクヤ……サクヤ!!う、嘘だ!!嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
(もうこの命もいらない!!どんな罰でも受ける!!
だから……だから!サクヤを助けてくれぇぇぇぇ!!)
そんな願いが聞き入れられるはずもなく、咲久耶の目から光が失われていく……

運命は残酷な奇跡を演出していた
その演出は、大切な妹を生きながらえさせていた
ライがたどり着くまで待っていたかの様に
ライに見届けさせる様に……ライに己の罪を見せ付ける様に……

そして、咲久耶は後ろに倒れていった……
その小さな手を、愛する兄に差し伸べながら……

「うわあああああああああああああ!!あああああああああああああ!!」
ライは妹の体をゆすった、当然動くはずもない……
ふと、ライは妹の足を誰かの手が掴んでいるのを見つけた
咲久耶の体を前に進むのを止めていたのは、この手だった
視線を辿ってライはさらに青ざめた……

演出は、まだ終わっていなかった……

「は、母上!!母上ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
咲久耶の足を掴んでいたのは、既に変わり果てた母……命だった
ギアスが解けかけ、最後の時を感じた命は、これ以上愛する娘を先に進ませない為に、その手を血で汚させない為に……それしかできなかったのだろう……
その最後の母の愛はライをさらに苛んでいくのだった……

ライは昔の母との会話を思い出していた……

(母上のは?名前の意味は?)
(ミコト 日本では皇命(すめらぎ みこと)っていうの、そうねえ、いのちを表す言葉……)

(ミコト……命?……命、いのちいのちいのち……)

「あ……ああああああああああああ!!あああああああああああああ!!」
ただ……慟哭だけが、廃墟に響いていた……

カレンはこの光景を涙を流しながら見据えていた
カレンは腕を組んでいた、爪を腕に食い込ませるように
そうしなければ、涙を拭くために目を塞いでしまうから
そうしなければ、逃げるために耳を塞いでしまうから
カレンは歯を食いしばった、愛する人の全てを受け止めるために……

219 :カズト:2008/12/07(日) 22:55:02 ID:Q424CT9g
ウラバナシH
帝都ペンドラゴンにて
「アレクサンデルよ!一体何が起こっておるのだ!?」
ブリタニア皇帝はアレクサンデル将軍と王宮を足早に歩いていた
「はっ!私にも現在状況は掴めておりません!!レイチェル様の旅団によりますと敵が大部隊をもって、虐殺を行っているとの報告しか……現在かの国は確保いたしました!!」
「よし!!そのまま現状維持!!我も自ら出る!!」
「皇帝陛下自ら御親征なされるのですか!?これだけの大援軍に御自ら……他の辺境が手薄になりますぞ!!」
「かまわん!!ある程度は持つ!!今、この時!!やらねばならぬのだ!!」
皇帝は長年の経験から、ブリタニアの浮沈がかかっていると感じていた
「アレクサンデル!!副将として、お前が全面的に指揮を取れ!!」
「イエス!!ユアマジェスティ!!」

皇帝は突如足を止め、咳き込んだ
「グ……ゴホッ……ゴホッ……!」口を押さえた手からは血が流れていた
皇帝は老齢の上に長年の政務、隣国との戦、我が子達の醜い権力争いなどで既にその体はボロボロだった……
「こ、皇帝陛下!!医師を……」
「呼ぶな!!士気に関わる!!伏せていろ!!」
「し、しかし……」
「我の体は、我が一番よく知っている!!おそらく、この戦と後継者の選定がを我の最後の仕事となろう……」

「それより、レフィーナはどうしておる……?」
「はい!陛下の言いつけどおり、部屋に閉じ込めておきました、窓にも見張りをつけておきました……もはや半狂乱になっており、ライエル王のもとへ行かせて欲しいと……あのような姫様、見ているのがつろうございます……」
「ふん!あやつも罪作りな男よのう……」
皇帝として父として、ライに対して複雑な感情を抱いていた
そして、皇帝は深呼吸をした後、数万の兵が集まる場へと足を運ぶのだった

220 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 22:55:02 ID:w7niGiJl
支援

221 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 22:55:32 ID:w7niGiJl
支援

222 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 22:56:19 ID:w7niGiJl
支援

223 :カズト:2008/12/07(日) 22:57:01 ID:Q424CT9g
投下終了です!!
向こうの板での感覚が残ってましたので
多く見積もってしまったようです

一気に惨劇を情け容赦なく書かせてもらいました!!

初めての創作版です
あらためてよろしくお願いします

あとがきは苦手な方ですから、その分は平に御容赦を・・・・

224 :創る名無しに見る名無し:2008/12/07(日) 23:20:57 ID:PJzhzCyC
>>207
GJでした!
カレン、ピザの妖精、ルルーシュ、と順繰りに描かれた黒の騎士団のメンバーとの交流
学園での日常の不安定さ、日常の中にも含まれる非日常に少しばかりため息をつきました。

>>223
カズト卿、乙でした!
何か最近惨劇にワクワクする私。
この過去から戻った時、ライに救いは訪れるのか……
また、どのように眠りにつくのかも気になります。

貴公らの次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

225 :創る名無しに見る名無し:2008/12/08(月) 18:45:40 ID:YWtTeHTw
カズト卿、拝読しました。乙であります!

ああ、暗黒面(ダークサイド)ここに極めり。
最初から決まっていた過去ですが、本当に救いがありませんね。
はたしてカレンは全てを知った後、何を想うのでしょう?
願わくばライとカレン、そして二人が関わる『今』を生きる全ての人々に救いがあらんことを。

226 :創る名無しに見る名無し:2008/12/08(月) 19:03:33 ID:YWtTeHTw
P.S.

SS保管庫の『サトリサトラレ 絶望編』、何故か閲覧できませんでした

227 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/08(月) 20:14:34 ID:cdCdBniO
>>226
すみません、直ちに粛清しました!

228 :創る名無しに見る名無し:2008/12/08(月) 20:22:37 ID:QU60k49t
>>223
投下、お疲れ様でした。
ついに、定められた終末が。
皇女は、ライの救いとなり得るのでしょうか…

続きを拝見できる日をお待ちしています。

229 :創る名無しに見る名無し:2008/12/08(月) 22:36:14 ID:KCkOYmKW
うおおおおおおおおおおおおお
面白かったああああああああああああ

230 :エノコロ草 ◆svacoLr1WE :2008/12/09(火) 00:17:11 ID:AM56fTQ6
こんばんは。
何度か、絵の投稿をさせていただいたことのあるエノコロ草と申します。
このたび、思い立って初めてのSSを作りました。
緊張しますが、0時20分あたりから投下させていただきたいと思います。
この投稿を含めて11レス程度を予定しています。

【タイトル】 君去りしあと
【ジャンル】シリアス
ギアス編エンド後、学園祭前の生徒会の様子です。
特別事件の起こるわけではないお話です。

231 :君去りしあと 1/9:2008/12/09(火) 00:20:43 ID:AM56fTQ6

「もう、なんだってこんなに物が多いのよ!」
金髪の乙女が、ヤケになったように天を仰いだ。
「しょうがないよミレイちゃん、何年も整理してないんだろうし……」
小豆色のジャージ姿の少女が、書類の束を繰る手を止め、額の汗をぬぐいながら答えた。
サイズの合わない、ゆるんだ軍手でメガネの曇りをふき取ってため息をつく。
「入ってる箱の形とか大きさ、わからないんですか?」
積みあがった箱を下ろしては、詰め物を取り出して中を確認していたくせ毛の少年が問う。
「それがねえ……。あー、たしかに、どこかに手配した気がするんだけどなあ……」
ちらり、と動かぬ置物と格闘する黒髪の少年を見やる。少年は、その視線に気付いて息を切らし答える。
「お、俺は、知らないですよ。何度も、言ったでしょう、もう!」
「……うーん?」
少女は、口元に手を当てて首をひねった。

アッシュフォード学園クラブハウス。
その一角の、薄暗くも雑然とした一室で汗水をたらしてあてのない「もの探し」を続けているのは、
アッシュフォード学園生徒会のメンバーである。彼らが多少なりとも辛い目に会っている原因が、
例のごとく「お祭り大好き生徒会長」ミレイ・アッシュフォードにあるかと言えば……
やはり、そのとおりだと言えるのだろう。
生徒会はかねてから、年に一度のアッシュフォード学園祭に向けて準備を進めていたのだが、
準備も佳境、学園祭も目前という今になって、抜け落ちていた案件が発覚したのだった。
「ミレイちゃん、創立校旗どこにあるか知らない?保管ロッカーにないみたいなんだけど……」
「会長、展示用の記念会報も見当たらないです!今年度用の学園史の資料にも使うんですけど……」
創立校旗と言えば、今となっては記念式典のときにだけご開帳される、アッシュフォード学園本校の、設立当時の
校章旗である。だいぶ年季が入って傷みも出てきたものだが、来賓の多い学園祭には華々しく展示されるのが常だった。
しかし、その校旗が見つからない。ミレイは、副会長であるルルーシュに任せた気がする、と主張するのだが。
「俺は知りません。会長、夢でも見たんじゃないんですか?」ルルーシュは言下に切り捨てた。
「うう……かわいくない!」
歯噛みするものの、ルルーシュの事務処理能力、記憶力は周囲も認めるところであり、非常にミレイに分が悪い。
「……だけど、よりによって私の代で。こんな失態許されないのよ」

   『 ……探すわよ!! 』

その言葉は、生徒会における鉄の掟となる。

「しかし会長、本当にあるんですか?レプリカなんて。」
「うーん、見たことある、『気がする』のよねえ……4年?くらい前?学園祭で出し物に使ってて……?」
「うああ、『?』ばっかり!やっぱりなんてアバウトなー!」
リヴァルがヤケ気味に両手を振り上げると、そのまま床に仰向けに倒れた。
「しょうがないじゃない!もうここしか心当たり残っていないんだもの!」
ミレイも返答が言い訳にしかならない。絶え間なく舞い上がるほこりに鼻の頭がすすけて、美貌も台無しである。
あるべき場所に、あるべきものがない、というのは非常に厄介である。
各々記憶を探れども、もともとごくたまにしか人目に触れない品のこと。
その上責任者たるミレイは、業者に預けた気もするしそうでない気もするし……と非常に煮え切らない。
とにかく家捜しだ、と心当たりをあたり尽くして、最後に残ったのがこのクラブハウスの「倉庫」だった。
倉庫と言えば聞こえはいいが、正規の学生活動からあぶれた品々、歴代生徒会の資料や各部活の活動記録、
そのほかの処分に困った有象無象が手当たり次第に詰め込まれた混沌、というのが実情である。
正規品探しが暗礁に乗り上げた現在、捜索対象はミレイの記憶にあやふやに残る「校旗レプリカ」に移っていた。

232 :君去りしあと 2/9:2008/12/09(火) 00:22:03 ID:AM56fTQ6

「これが歴代生徒会の暗部か……」
ルルーシュは肩をすくめてあたりを見回した。彼は、ダンボールを中身ごと運ぶのをあきらめ、
綴りを数冊ずつ取り出しては年度や内容を確認する作業を続けていた。
「埋蔵金発掘調査会」「失恋サンプリングサークル」「折り紙同好会」…
箱にはさまざまな問題の元に取り潰されたクラブの活動記録が雑然と詰め込まれている。
「なんだってこんなアナログな記録を残しておくんだ」
ため息をついて、ルルーシュは不平を漏らした。ふと、今日は「病欠」している赤毛の少女を思い起こす。
「俺の軍隊」とまでは言わない。「猫かぶり」状態の彼女でもいい、せめて、あと少し人手があったなら。
「全く非効率的だ。労力の無駄だよ。なあ、お前もそう思  、……。」
『 …… 』

  ……

「えっ、ルルーシュ、何?」
てきぱきと作業を進めていたスザクが、手を止めて振り返る。
ルルーシュは、はっと我に返った。
「……あっ。いや、」
「? そう? ルルーシュ、手が止まってる」
「わかってる!!」
苦い顔をしてみせるルルーシュに、スザクは笑いながら作業に戻った。
こんなときでもスザクは、馬鹿が付くほど真面目だ。実のところ、「あの島」での対決からそう日は経っていない。
カレンの欠席。その意味するところが自分にはわかる。スザクとて、それが心にかからないわけはないだろうに。
ふと、我が身をかえりみてルルーシュは苦笑をにじませた。心にかかることがあるのは、隠し事があるのは俺も同じ。
俺も、あいつも、「今」の日常を壊したくはないと思っている。それは真実なのだ。
ルルーシュは、漁っていた箱に見切りをつけ、目標を変える。
新たな箱の梱包を解き、手探りで書類束をえり分けながら、少しだけ、さっき感じた違和感をなぞってみた。

まただ。俺は、誰に、話しかけた?

……一瞬、ほんの一瞬。また俺は、誰かに。誰かが。誰かがそこに。……

「妖精さん、か。」
ふと、ルルーシュの顔に笑みが浮かぶ。
「確かに、そんなものの手助けが必要な状況かもな。」
そんな独り言を聞きつけたミレイが首をかしげた。
「もう、なーに?ルルーシュったら。妖精さんだなんて」
「へー、あの噂の?ルル、信じてるんだ。」
「余裕じゃん。俺もうへこたれそうだぜ」
あー、と体をぽきぽき言わせながら伸びをして、リヴァルが弱音を吐く。
「ミレイちゃん、もう旗なしでやる段取り考えたほうがいいんじゃあ……」
ニーナがため息をつきながら控えめな仕草で部屋を見渡す。
「会報も、もう印刷に入らないと間に合わないですしね……」
つられて視線を上げるシャーリーの元気印もしおれ気味である。
天井まで不安定に詰まれたダンボールの山、取り潰された部室から引き上げた有用無用問わないオブジェの森。
この、物質の海から、あるかないかもわからない旗の一枚、資料の束を探し当てる?
……はああ、とみんなのため息が重なった。

233 :君去りしあと 3/9:2008/12/09(火) 00:23:19 ID:AM56fTQ6

「あの、みなさん、ひとやすみしませんか。咲世子さんがお茶と軽食を用意してくださったので……」
ほこりにまみれた薄暗い部屋にさしこむ一筋の光。それは可憐な少女の姿をしていた。
「ナナちゃん!」
「おお、地獄に差し込む希望の光!!」
「休憩、賛成、です……」
すでに、休憩の準備は整っているのだろう、やわらかな紅茶の香りが廊下を渡ってくるのがわかる。
しおれかけた活力がわずかながらも盛り返した面々を見て、ミレイも根負けする。
「そうね、それじゃあ……休憩! きっちり休んできりきり働かないとね!!」
「……まだ、諦めないつもりですか。」
ルルーシュは呆れ顔で立ち上がって腰を伸ばすと、すっかり白くなった制服のほこりをぱたぱたとはたいて落とした。
俺も着替えて捜索するんだった、とフリルのエプロンに三角巾という完全装備のスザクを尻目にルルーシュは考えた。
「みんなー、ほこり払って、手洗ってから生徒会室に来るのよー」
「ナナリー、ここは空気が悪いだろう。先に生徒会室に」
「いえ、私もお手伝いを。ピザも頼んだんです。そろそろ来るから受け取って……」
「……ピザ?」
その単語に、ルルーシュが反射的に嫌な予感にとらわれたとき、クラブハウスの呼び鈴が鳴った。
「ナナリーは、皆と一緒に生徒会室に行っていて。ピザは俺が受け取る。いいね!」
「お兄様……?」「ルルーシュ?」
駆け出したルルーシュを、他の面々は首をかしげて見送った。

案の定、呼び鈴はピザ屋のものだった。(あいつにかぎつけられると……)
ルルーシュは、あわただしく会計を済ませるとピザの箱を抱え、生徒会室へと向かった。
ピザ箱を抱えたルルーシュが苦労しながら扉を開くと、紅茶と甘い菓子の香りが彼を迎えた。
「すまない、誰か扉を閉めてくれないか。手がふさがって …… ?」
そのとき感じたのは奇妙な居心地の悪さ。すでに集まったメンバーが、こちらを見ている?
「ルル……」
「俺は信じてたんだぜ?」
「お兄様……」
「な、何なんだその妙な視線は!!」
「証拠は揃ってるのよ!観念なさい!」
ピザ越しにミレイに詰め寄られて、ルルーシュがぐっと詰まる。
「一体、何の話ですか!」
「記念会報、持ち出すのはいいけど、資料は戻しておいてくれないと……」
混乱するルルーシュがふと視線を移すと、机の上に数束積まれた資料と、その横に立つ「緑の髪の」少女……
「……ッ!?!」
「副会長さんに、こちらに持ってくるようにって頼まれていて。まだあるんですけど重くて……」
少女は伏し目がちに言葉を漏らす。一瞬、隠しきれない悪魔の眼光がきらりと光るのを、ルルーシュだけがとらえた。
「……そっ、そうだった!そうでした!すっかり忘れていた!!残りを取ってきます!一緒に行こうか君!」
ルルーシュはピザの箱を置くのももどかしい勢いで緑の髪の少女の腕を取ると、生徒会室を後にした。
「ルルーシュ!あとで覚えてなさいよー! 旗の所在も吐かせてやるー!」
廊下にミレイの罵声が響いた。

234 :君去りしあと 4/9:2008/12/09(火) 00:24:12 ID:AM56fTQ6

「……強引だな、坊や。いや、『副会長さん』?」
緑の髪の少女、C.C.がからかうような声音でルルーシュに問うた。
「何の冗談だ。寿命が縮んだぞ!スザクに見つかったらどうする」
「大丈夫だ。変装した。まあ、あいつは直前に逃げ出した猫を追いかけて窓から飛び出していったわけだが」
三つ編みにした髪の毛先をいじりながら、C.C.はこともなげに答えた。
「それが変装か!?髪型変えただけじゃないか!しかもその制服はどうした!?」
「シャーリーのだな。生徒会の控え室に脱ぎ捨ててあった。ニーナのもあったが……胸がな。腰も。」
「そんなことは聞いていない!」
興奮からか、内容のデリケートさからか、顔を赤くしたルルーシュが一喝する。
「とにかく、なぜお前があの資料を持っている?」
「……なんだ。折角、忘れているだろうと思って持ってきてやったのに。骨を折ってくれた相手を罵倒するのか?」
「俺は、あんなもの知らない。お前が何か企んだんだろう!」
そう言い切るルルーシュに、C.C.はふん、と鼻で笑ってみせる。
「やっぱり、忘れているじゃないか全く。」
そう決め付けるC.C.に、ルルーシュはいらつきを隠さずたたみかけた。
「とにかく!シャーリーが制服に着替える気になる前にそれを戻せ!いいな、今すぐだ!」
「ピザを…」
「すぐ持って行ってやる!制服が先だ!!」
「冷めないうちに頼むぞ。残りの資料はお前の部屋の」
「俺の部屋だと?」
「……の、隣の部屋だ。」
「…? なんだって、そんな場所に!」
一瞬、虚を突かれた表情になるルルーシュだったが、すぐにいまいましげに身を翻すと廊下を駆け去っていった。
「そろそろ、別のプレゼントも届く頃かもな!」
C.C.の声が、ルルーシュの背中に届いた。


……もし彼が、もう一度振り返ることをしていたなら、見送る少女の笑みが、魔女の「それ」から
もっと別の、さびしげなものに変わるのに気付いただろうか?
「やっぱり、忘れているじゃないか。」
しかし、それに気付いたとしても、彼にはその表情を本当の意味で汲み取ることは出来なかっただろう。
「全く……」
先ほどと同じセリフをひとりで繰り返しながら、少女は全く違う抑揚をその言葉に乗せた。
その言葉の向ける先がルルーシュであったのか、つむいだ本人にもはっきりとはわからなくなっていた。

235 :君去りしあと 5/9:2008/12/09(火) 00:25:28 ID:AM56fTQ6

しばしば「わりと虚弱」と揶揄されるルルーシュが、残りの資料をかなり苦労して生徒会室に運び込むと、
新たな来客があったようだった。
「あ、ルルーシュ、おかえり」
右手の親指をしっかりとアーサーにくわえ込まれたスザクが、笑顔でルルーシュを迎えた。
「君に、荷物が届いてるよ」
「えーと、ランペルージさんですね。サインお願いします。」
「……『イケブクロ印刷』??」
伝票を見たルルーシュが眉をひそめる。
いくつも運び込まれたダンボールは、すでにミレイたちによって荷が解かれていた。
「ルルーシュったら」
「……この、荷物は一体」
「入稿まで済んでるなら言ってくれればいいじゃない!あやうく二度手間になるところだったわ。」
「でも、さすがに、出来は完璧みたい、だね。」
ぱらぱらと中身を確認しながらニーナが言う。
「今年度用の会報の編集ってルルが担当だったんだっけ?すっかり忘れてたよー」
「いや、俺は……」
またしても身に覚えのない事態に、ルルーシュは混乱していた。
 『 別のプレゼントも届く頃かもな 』
「……!?」
ふいに、先ほどのC.C.の言葉がよみがえって来てぎくりとする。

「まあまあ、良かったですね。とにかく皆さん、お疲れなのですから荷解きは後にして、お茶をどうぞ。」
咲世子がティーカップに茶を注ぎ始めた。立ち上る香りに、みな表情をゆるませ思い思いの席につく。
「咲世子さん、ごめんなさいね生徒会室まで。」
「いいえ、ミレイ様。」
キツネにつままれた気分とはまさに今の俺だな、と、紅茶を前にルルーシュは考えていた。
「……さて、ルルーシュ副会長?」
ミレイの問いかけに、「副会長」はぎくり、と顔をこわばらせる。
「残りの案件はただひとぉつ、……創立校旗はどこにやったの!」
「……だっ、だから知らないんですってば!!」
今となっては立場は逆転、C.C.も関わっているとなれば強くも出られない。
予想外の極みの事態に、ルルーシュの頭脳が高速回転している最中。

「あら、旗ですか。そうでした」
ぱん、と手を打ったのは咲世子だった。え?と周囲の目が点になる中、
部屋を辞した咲世子が間も空けず戻ってきた、その手にはひとつの箱が抱えられていた。
「アイロンがけをしておいたのですが、すっかりお渡しするのを忘れておりました」
かぱり、と開いた箱には、果たして、きちんと畳まれた、真紅に金の縫い取りの刺繍のある、創立校旗。
「……さ、咲世子さん、」
「それ、どうしたんですか?」
皆の視線の中心にあって、咲世子はきょとんと目を丸くしていた。
「どう、と言われましても……頼まれておりましたから。」
「だっ、誰に!?」
はて、と頭を傾ける咲世子。生徒会面々の顔を見回して、視線を定めた。
「……ルルーシュ様。」
「!?!ちっ、違……」
「ほらあ!やっぱりー!!」
「「「あーあ」」」

「……でしたっけ?」
自信なさげに続けた咲世子のつぶやきは、生徒会メンバーの声にかき消されて、人々の注意を引くことはなかった。

236 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 00:26:10 ID:IFchyXxq
念のため、支援

237 :君去りしあと 6/9:2008/12/09(火) 00:26:22 ID:AM56fTQ6

         * * * * * * * * *


静かな部屋に、シュッ、シュッ、と小気味よく糸を引く音が響く。音にあわせてくすんだ銀髪が揺れる。
窓からひんやりとした夜気が忍び入って来ている。やや欠けた月が、低い位置に見えた。
少年は、手にした木枠を少し離して明りを反射させてみた。金糸は違和感なく馴染んで見える。具合は良いようだ。
「……本当に便利な男だな、お前は」
背中越しに、けだるげな声が届く。
「ナイトメアの操縦技術から掃除洗濯料理全般、その上裁縫まで?」
「知識上なら文化刺繍でも刺し子でも。技術的に出来るかどうかは……別問題だけど」
シュッ、と最後の一刺しを抜き終えると、止めの処理を施した毛先を目立たぬように糸の波間に紛れ込ませる。
指先で丁寧に撫で付け、もう一度、光に透かして、確認。背後から、少年の手元を注視する気配が伝わる。
「なかなかじゃないか。可愛げのない。」
ぱたり、と寝具に倒れこむ音がする。吐く息の音がくぐもったところを見ると、背を向けたらしい。
「他に何を知ってる。まったく、お前の頭は百科事典か」
「ピザ生地の作り方もわかるぞ。薄地のピザの焼き加減から、パン生地に合うチーズの混合方法まで」
ネジを緩め、紅の布地を張っていた木枠をはずす。少し、跡が残ってしまったようだった。
「……いやがらせか。報酬もなく、こんな夜中にお前に付き合ってやっている私への。」
憮然とした声音が帰ってくる。実のところ、こんな夜中だからこそ、「報酬」を取ってやることが
出来なかったのだが、部屋の主たる少年には正直それが有難かった。なるべく、もう部屋に痕跡を残したくなかったのだ。
少年は苦笑を浮かべる。考えるように布地に視線を落とし、いとしげに金糸の表面を指でなぞりながら言葉をつむいだ。
「伝統的な石がまの組み方もわかるよ。火入れの儀式なんてのも。
 それから、ドレスの作り方、着付け、花壇の土の作り方、季節の花の播種に最適な季節、栽培方法……」
「……おい、」
「……山歩きの基本からトレッキング、サバイバル方法、有毒植物の知識、アクの抜き方、調味料の精製方、
 どんぐりのコマの作り方、野生動物の生態……」
「おい!」
強制的に遮られて、少年は口をつぐむ。沈黙が、部屋に下りた。少年が、作業をしていた椅子をゆっくりと回して
振り向くと、金色の瞳が少年をとらえた。
風変わりな拘束服をまとった美しい少女は無表情で、しかし瞳だけが強く、真剣な光をたたえて少年を見つめていた。
少年はひと時、少女の瞳をまっすぐに見返すと、そのあと困ったように微笑んだ。
「……そうじゃない。」
その口調は、子供をなだめる母親のようだった。
「確かめていたんだ。自分の中にあるこの世界を。」
「……――――」
「彼らと、僕の大切な人たちと過ごせたかもしれない可能性の日々を。」
少年は言葉を切り、思い描くように視線を上げた。
「知識と言うのは不思議なものだな。それだけでは無味乾燥なものに思えるのに、それを生活に活かすことを
 想像する瞬間、さまざまに大切な人たちと過ごす時間が見えるんだ。まるで、本当の思い出のように」
視界の端で、金の瞳がかすかに歪められるのが見えた。
「……それは、未練だ。」
声にはわずかな怒りが込められているようでもある。
「……ああ、そうだ。」
少年は、すい、と立ち上がった。
「だから僕は、この未練を深く自分の中に刻んでいる。」

238 :君去りしあと 7/9:2008/12/09(火) 00:29:01 ID:AM56fTQ6

両手で紅の布地広げ、ぱん!と鳴らして細かな糸切れを落とし、再度端からつぶさに確認していく。
ひととおり済ませると、満足そうな表情になった。少年が滑らかな布地を畳む様子を見ながら少女が問うた。
「どうするんだ、それは。」
「あとは、申し訳ないけど……咲世子さんに頼もうと思っている。ナナリーが起きてくる前に。
 ……書き置きのほうがいいかな」
「そこまで慎重になることじゃない。万一の場合でも、言葉を選べばいいことだ」
「そうか。……あとは、と」
手早く作業のあとを片付けると、卓上のラップトップに手を触れた。スリープ状態が解除されて
モニターが光を帯びる。続いて、いくつかの指示を入力し、保存されていたファイルを印刷所のサーバに送信する。
あとは事務的な必要事項の入力だけだ。一瞬、ブランクを埋めてキーボードを打つ手が止まる。
しかしその動きはすぐに再開され、終了した。ラップトップを閉じながら、隣室に住む少年のことを思った。
……大丈夫。彼ならば、多少の不都合が出てもどうにか処理してくれるだろう。

少年が顔を上げると、窓はほの白い明るさに染め上げられようとしていた。
窓辺へ歩を進め、窓を開く。朝の光によって、空が、世界が美しい色に照らされ、彩られていくのに目を奪われる。

「ありがとう。C.C.」
少年は、振り返る。銀の髪が揺れた。表情は柔らかな笑顔を作り、輝く金の瞳と見つめ合う。

「世界は、世界の色は、本当に美しいよ。」


         * * * * * * * * * 


「わあ、すごい!この旗、大分傷んでいたのに咲世子さん、補修までやってくれたのね」
ミレイが、布地を広げて確認しながら賞賛の声を上げた。
「でも、ルルったら。彼のこんなうっかり続き、初めて見たよ」
「ルルーシュ、最近またなんだか忙しそうにしてたから。疲れが出たのかも」
スザクが控えめながらフォローを入れた。
「えーっ、あり得ないぜ。あいつサボリの常習犯なんだからな!」
目を白黒させて言葉を失っていたルルーシュが、早々に生徒会室を逃げ出したあと、残ったメンバーは
お茶を片手に思い思いに好き勝手なことを話していた。
「何にしても、これで不安要素はきれいに片付いたんだよね。ほっとした。」
とりあえず活字を見ていれば幸せ、という様子のニーナが、気まぐれに積み上げた学園史を手繰っていると、
ぱらりと落ちたものがあった。
「あら、ニーナ、何か……」
ミレイが拾い上げたものを見てシャーリーが声を上げる。
「あ、折り紙。鶴だよ、ナナちゃん」
ニコニコと生徒会のメンバーの話を聞いていたナナリーが、小さな紙細工を受け取ってふと首をかしげる。
「どなたが、折られた鶴なのでしょう。お兄さまでもないようですけれど……」
「あっ、そうそうナナちゃん。今、学園で鶴を折るのが流行っているんだよ。」
シャーリーが、思いついたように話し始める。
「鶴って、夫婦とても仲が良くて一生添い遂げるんだって。それにあやかって、恋人同士で鶴を折ってお守りにするの。」
「シャーリーさん、物知りですね。」
ナナリーが、淡くほほを染めて相槌を打った。
「いや、この知識も、人に聞いた……受け売りなんだけどねー」
「へえ、そう言えば折り紙同好会を作りたいって申請が来てたような……」
「あ、それ私も参加することになっているんです……なんだか、顧問みたいな形になっちゃって……
 あと、咲世子さんと、もうひとり……えー…と?」

239 :君去りしあと 8/9:2008/12/09(火) 00:30:06 ID:AM56fTQ6

              * * *

生徒会室を抜け出したルルーシュは、クラブハウスの自室の扉を開こうとしていた。
身に覚えのない濡れ衣に、C.C.の仕業に違いないと怒り心頭ではあったが、
今、彼の手にはピザの乗った皿があった。結局のところ、彼は約束には律儀な男なのだ。
ふと暗い廊下に伸びる光に気付き、元を辿った。先ほど資料を運び出した隣室に、明りが点いているのだった。
……いつでも使えるゲストルームとして整えてはあるものの、ここ数年誰も使ったことのない部屋だと言うのに。
そう、先ほどからの疑問のひとつが再び湧き上がる。なぜ、この部屋に?歩を進め、扉を押すと、そこに
『 …… 』

  ……

……一瞬、ルルーシュの中に生じたのは奇妙な違和感。
扉を開くと、果たしてそこにあったのは、予期したとおりにC.C.の姿だったのだが。
「遅いぞ」
見慣れた拘束服姿でベッドに寝そべる少女の脇に無造作に皿を置くと、ルルーシュは苦い顔で答えた。
「なぜこんなところにいる。俺の部屋に行け……いや、とにかく!
 ……さっきの『あれ』は一体どういうことだ。何を仕込んだ?」
いまいましげに言い募るルルーシュに、C.C.はそ知らぬふりを決め込んで皿に手を伸ばした。
手にしたピザを神々しいものでも見るように光へ掲げて見せながら、からかうように返す。
「そうだよ、坊や。全部私がやってやったんだ。世界を壊すのに忙しくて生徒会業務に手の回らない
 サボリの常習犯、仮面の副会長さんのためにな。」
C.C.はくつくつとのどから笑いを漏らした。
「嘘をつくな!お前があんな面倒な作業するわけがないだろう!何の魂胆がある。」
ルルーシュが思わず怒鳴り声を上げるのを見て。C.C.はふいに真顔に戻る。挑むような光が金の瞳に宿るのが見えた。

「ああ、嘘だよ。私の言うことはみんな」

反抗的とも取れる響きを含んだ声音に、一瞬ルルーシュが怯む。C.C.は満足げに悪魔の微笑を浮かべた。
「まあ、安心しろ。あれらの出来は、この私が保証する。優秀だ」
「……それが、信用ならないと言うんだ。」
毒気を抜かれたルルーシュが、失った勢いのまま誰にともなくつぶやいた。
「ピザはありがたくいただくよ。今ので随分冷めてしまったようだがな」
C.C.は皿を抱え込んでくるりと背を向ける。
ひらひらと手を振ってみせるのは、この話はもうおしまいだ、ということなのだろう。
白い背中は、もう振り返ろうとはしなかった。

「くそっ……魔女め。」
ぶつけるべき苛立ちが霧散してしまい、あやふやな気分のまま、ルルーシュは暗い廊下を生徒会室へと歩いていた。
立ち止まりポケットを探る。手に触れたのは、しわだらけになった伝票だった。
無意識に取り出したチケットのしわを伸ばす。ふいにC.C.の言葉が耳によみがえった。

『 嘘 だよ。私の言うことはみんな』

「何の、冗談なんだ。まったく」
窓からさす星明りで、チケットに印字された宛名が浮かび上がるのが見えた。


『 Lie Lamperouge (ライ・ランペルージ)』


240 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 00:32:06 ID:IFchyXxq
支援

241 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 00:34:10 ID:rD4YIYKn
さるが出てしまったので、携帯より自援します。

242 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 00:36:00 ID:rD4YIYKn
自援

243 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 00:37:38 ID:IFchyXxq
さらに支援

244 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 00:39:58 ID:tvV4CQwQ
支援

245 :君去りしあと 9/9:2008/12/09(火) 00:43:10 ID:rD4YIYKn
              * * *

「まったく、なぜお前の後始末を私がやらなければならないんだ」
C.C.はひとり、残った部屋のベッドの上で肢体を伸ばしながら、「誰か」に不平をこぼしていた。
「お前の思いつきのおかげで、こっちはとんだとばっちりだよ。人が良いと苦労をする」
ピザの最後のひと切れに手を伸ばしそうとして、ふと動きを止める。C.C.は、寝返りを打つと備え付けのデスクへ視線を移した。


……ていねいに補修された校章旗。
(咲世子は、何事にも小器用なルルーシュが、自分で修繕したのだと思う。)
……そつなく編集された会報。
(ミレイは、当然ルルーシュが段取りを整えたのだと考える。)
……美しく鳴き交わし、雪原に踊る、鶴の舞う情景。
(シャーリーは、咲世子が語った日本の知識だったのだろうと思う。)
……生徒会室に、手付かずで片付けられた紅茶の一杯。
(ナナリーは、咲世子が「病欠」の紅毛の少女の分も誤って出したのだろうと思う。)

いくつかの、いくつもの。彼と触れた人々の持つ、彼のすがたの欠片。
もし、それぞれに抜け落ちた空白のイメージを、薄紙を束ねるように重ね合わせることができたならば、
そこにひとりの少年の姿が浮かび上がる。しかしそれは果たされるはずのない遊び。


ただひとり、そのたわむれが許された魔女は、誰もいない椅子を見つめ、
見えるはずのない銀の髪に、過ぎた日の少年のうしろ姿に、思いの焦点を合わせつぶやいた。

「……まったく、いい迷惑なんだよ。ライ」




246 :エノコロ草 ◆svacoLr1WE :2008/12/09(火) 00:47:10 ID:rD4YIYKn
以上です。投下手間取り申し訳ありません。
ご支援いただいた方々ありがとうございました。
読みにくい段は、ご容赦いただければ幸いです。

創作文芸板に引越しだ。大掃除だ!と、板移転にちなんだ絵を描こうと下絵を作っていたら
転じてこのような話を書くことになりました。SS職人さんはすごい、と再確認。すごい。
今後また、絵などでこちらに参加することができればと思います。
それでは、失礼いたします。


247 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 00:55:43 ID:IFchyXxq
>>246
GJ!
情緒豊かな描写でとても読みやすかったです。
ライの不在が生徒会メンバーに少しずつ喪失感を残している様子が心に響きました。
体力のないルルーシュや変装と言えない変装で堂々と出てくるC.C.に笑っていたはずなのに
いつの間にか泣かされました。
絵もたのしませていただいていますが、また何か書いた折には
是非とも投下して下さい!GJ!!

248 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 09:49:33 ID:1EG87RKk
>>246
エノコロ草卿、GJでした!
目から心の汗が滲み出てきそうになりました。
皆の所から去る前に残していった痕跡、未練があるからこその行動、しかし、確かに憶えているのはC.C.のみ。
皆に少し残っている感覚がやはり悲しさを増しますね。
最後の「嘘」はかなり良いと感じました。
貴公のまたの投下を全力を挙げてお待ちしております!

249 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 10:16:54 ID:+YZQai14
>>246
初投下おめでとうございます。
これで貴方も晴れて両刀使いです。(深い意味はないですよ。ものの例えですwww
しかし、初投下とは思えぬ出来にびっくりです。
これからも両方がんばってください。

えー、今のうちに投下します。
タイトルは「思いの後に… 第1話 私の王子様」です。
カップリングは、ライ←ニーナです。
まぁ、ありえないかなとも思いましたが、あえてやってみました。
ジャンルは、昼ドラですwww
残酷なシーンとか駄目な人は、ご遠慮ください。
まぁ、今回はあまりありませんけど…。

この掲示板のスペックを把握してないので、大体4〜5レス程度だと思います。


250 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/09(火) 10:17:54 ID:+YZQai14
そこはいつもの生徒会室のハズだった。
何気ない日常を作り出していくハズだった場所。
そして、そこに集う者たちに笑い、泣き、思い出を作り出していくハズだった場所。
だが、今、その場所を支配しているのは、非日常の光景。
すべてをねじ伏せる悪夢のような場所へと変わり果てていた。
そして、そこに呆然と佇むのは一人の少女。
クセっ毛をまとめてお下げにした髪と大きな眼鏡が特徴的なおとなしい筈の少女。
たがその心に隠されたのは激しいまでの凶暴的な愛。
そして、狂気へと走らせるほどの甘く熱い思い。
彼女は、床に転がるかって人であった肉の塊を見下ろしていた。
「ミレイちゃんが…悪いの…」
ぼそりとその少女が呟くのと同時に手の力が抜けて、持っていた血みどろのナイフが床に落ちた。
「ごめんね…ミレイちゃん」
少女の口から呟きが再び漏れる。
そして、きりきりと口の形が三日月を作り出していく。
その形が表すのは、残忍な笑み。
「でも…ライさんは…私の王子様なの…」
眼鏡に隠された瞳に宿るのは狂気の色。
「だから…私から王子様を取り上げようとする人には報いか必要なの…。
それは親友であるミレイちゃんでも…同じ」
淡々と口から言葉が流れる。
まるで自分に言い聞かせるように。
「だから、ごめんね。そして……さよなら」
そう最後を締めくくると少女はその場を立ち去った。


●思いの後に… 第1話 私の王子様




251 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/09(火) 10:20:17 ID:+YZQai14
はぁ…。
溜息が自然と漏れる。
どうしたんだろう…私…。
PCのデータ入力の手を止めて、テーブルの上の写真に目を向けた。
そこには、生徒会役員の全員の姿が写っている。
そして、その中の一人に自然と目が向いてしまう。
白銀の髪の優しそうな少年の姿。
ミレイちゃんが拾った男の子。
なんかとても卑猥な響きがするけどその通りだったりするから、問題はないと思う。
でも、何でだろう…こんなにも気になるのは…。
私は、男の子は苦手で駄目なはずなのに…。
いつの間にか彼のことばかり考えるようになっていた。
今まで、男の子は私に苦痛と蔑む視線しか与えてくれないものとばかり思っていた。
でも、彼だけは違っていた。
こんな愚図な私にも一人の女の子としてきちんと対応してくれて、思いやりのある言葉と優しい笑顔、それに暖かい手を差し伸べてくれた。
そんな対応をしてくれた男の子は彼が初めてだった。
それに、私の無理な注文も笑顔でやってくれて…そしてナイトメアが暴走した時、私を抱きかかえるように庇ってくれたりもしてくれた。
もっとも、その後は気を失っていたらしく記憶があやふやなのは、今思えばほっとする反面残念に思えてしまう。
もし、気を失わなかったのなら、私はどうしたのだろう。
感激してキスくらいしていたかもしれない。
そう思っただけで、身体が火照ってしまい自らを慰めてしまいそうになる。
こんな事は、ユーフェミア様以外ありえない事だった。
そう、ユーフェミア様が私の天使様なら、彼は私の王子様かもしれない。
ふと、そう思うことがある。
そうなるといいな…。
そう思ってしまう甘い自分がいたりするから、今更ながらに自分自身驚いていたりする。
ミレイちゃんが散々言っていた「恋をすれば人生変わるわよ」っていう意味がやっとわかったような気がした。

252 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/09(火) 10:22:23 ID:+YZQai14
生徒会室に入るとPCの前でぼーっとしているニーナの姿があった。
いつもいろいろな作業に没頭している彼女にしてみれば、珍しい光景だ。
「どうしたんだい、ニーナ?」
気軽な感じで声をかける。
あのナイトメア暴走の事件でギアスにより記憶を消して以来というもの、彼女の事が気になって仕方なかった。
特に…事故とはいえ、重なり合った唇に自然と目がいってしまうのは、若い男のサガというものかもしれない。
あの時は慌てていて実感できなかったが、すごく柔らかかった気がする。
まぁ、記憶がないとはいえ、僕も健全な男だから色恋沙汰には興味あるわけで…。
そんな事をぼんやり考えて彼女の横顔を見ていると僕に気が付いて慌てるニーナ。
「あっ…ライさんっ。えーっと…」
真っ赤になりながらあたふたしている。
その対応に僕も釣られるように慌てふためいてしまう。
「あ、き、気にしなくていいんだ…。ち、ちょっと気になったから…」
ああ、僕は何を言っているのだろう。
支離滅裂な対応をしてしまっている。
それで余計に混乱し、あたふたしてしまっていた。
そんな僕の対応が面白かったのだろう。
ニーナは、きょとんとした後、くすくすくすと笑い出す。
それにつられて僕も笑い出していた。

「ご、ごめんなさい。笑ったりして…」
笑い終わった後、おどおどとしてすまなさそうな表情で謝ってくるニーナ。
そんな感じもかわいいと思ってしまうあたり、僕もかなり彼女に惹かれているのかもしれない。
「ああ、いいんだ。気にしてないし、それに…」
「それに?」
眼鏡の奥のくるくるとよく動く瞳が僕を覗き込んで聞いてくる。
「こうして楽しく話せているから、問題ないよ」
そう言って微笑むと彼女も真っ赤になりつつも遠慮がちではあるが微笑み返してくれる。
いい雰囲気だな…。
もう暫くこのまま続いてくれないかな。
そう思った時、第三者の声が介入してきた。
「あら〜っ、いい雰囲気じゃないのっ。お邪魔だったかしらんっ」
小悪魔的な微笑みを浮かべミレイさんが生徒会室の入り口に立っていた。
「あ…違うのっ、ミレイちゃん」
慌てて言い訳するかのように答えるニーナ。
僕はミレイさんにそう思われて満更ではなかったけど、ニーナが否定している以上、残念だけど彼女に合わせておくべきかなと思って彼女に合わせる。
「そ、そうですよ。ただ話が盛り上がっていただけですから」
その言葉に少し不満そうな表情を見せた後、ミレイさんはそれ以上追及してこなかった。

253 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/09(火) 10:23:46 ID:+YZQai14
なんで否定なんてしてしまったんだろう。
折角のチャンスなのに…。
でも、怖がりの私にそんな勇気はない。
ミレイちゃんのように冗談めいてでも言えれば、私の人生は大きく変わっていただろう。
そして、それが出来ない事が私の欠点だとわかっている。
でも…怖い。
怖いよ…。
私の心は、とても傷つくことに臆病になってしまっているみたいだ。
もっと、勇気が欲しい…。
そして自信が持てたら…。
何度願っても、神様は私には与えてくれなかった。
そう、本当は自分で何とかするべきことなのだろう。
でも…。
ああ…きっかけでもあれば…。
そう願わずにはいられなかった。

254 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/09(火) 10:26:10 ID:+YZQai14
以上でおわりです。

しかし、思った以上にここは書き込めるようですね。
支援ナシでもかなりいい感じていけるし…。
もっとも、私の場合は、長いものはほとんどありませんけど。
なお、余裕があったら12月中にあと1〜2回は投下したいと思います。
では…。

255 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 18:49:33 ID:GoZB43y/
あしっどれいん卿gj!
…しかし怖い!はまり役すぎっしょw
キ○ガイに刃物状態のニーナにガクブルしつつも全力で続きを待たせていただきます!

256 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 18:55:02 ID:1EG87RKk
>>254
あしっど・れいん卿、GJでした!
……なるほど、これがヤンデレか……怖ぇ……
何でこんなにピッタリ感が有るんだろう……
怖いけど続きが気になる……ナイス昼ドラ!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

257 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 19:09:59 ID:+dazhyQC
あしっど・れいん卿、GJです。
冒頭から怖いよ、ドロドロだよ。今回も飛ばしてますね。あー、怖いけど何故か続きが気になる。
次回をお待ちしてます。

258 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 19:51:22 ID:AM56fTQ6
(((゚Д゚;))ち、着地点恐い!会長逃げてええ!!

ニーナのヤンデレ、違和感ないですね。
彼女にスポットの当たるお話も珍しい。
続き、楽しみにお待ちしています。

259 :KOUSEI ◆g9UvCICYvs :2008/12/09(火) 20:03:38 ID:0yoQuzl0
 スレ住人のみなさまお久しぶりです、創作発表板の方々、はじめまして。ケチなSS書きのKOUSEIです。
 今週の日曜は予定が入ってしまったので、今から前回の続きを投下したいと思います。
 私のSSはオリキャラ、オリ設定が数多く存在しますので、それらに不快感を感じるかたはスルーでお願いします。

260 :KOUSEI ◆g9UvCICYvs :2008/12/09(火) 20:04:30 ID:0yoQuzl0
<新板という事で、改めてシーン9話終了段階でのキャラ紹介>
○ロイ・キャンベル。
 蒼失編の主人公。
 スザクと同じ日にナイト・オブ・ラウンズになった若き騎士。ナンバーはゼロ。
 ゼロと言っても、ナンバーワンより地位的に上というわけではなく、本来は存在しない。という意味のゼロであり、どちらかと言えば、他のラウンズより地位は下かもしれない。
 そのため、自分専用のカラーも無ければ、マントも与えられていない――後に、ノネットからナイトオブナインの紫色マントのレプリカをプレゼントされる――。
 他のラウンズは全員持っている直属部隊も実は組織してない。
 専用KMF開発チームは、ナイトオブセブンと共同でロイド伯爵率いるキャメロット。
 能力は高く、ルルーシュ並の知性と、スザク並の戦闘力を兼ね備えている。しかし、ラウンズに至るまでの経緯と出自、そして、ラウンズ就任後のある事件が原因でブリタニア軍全体の評価は総じて低い。
 だが逆に、中華連邦、EUと敵からの評価は高く「青い聖騎士」の二つ名と共に恐れられている。スザクと二人で戦場で暴れまわる様子を「ブリタニアの二本槍」と呼称された事もある。
 軍全体で言えば評価は低いロイだが、一部の皇族、軍人、騎士からは、その人柄と能力の高さから厚意や好意を抱かれている。
 ラウンズの中ではジノ、スザクと歳が近いせいもあって特に仲が良く、アーニャとは本当の兄妹のように親しい。また、ノネットとモニカからはとても可愛がられている。
 弱点として、女性からの頼みはほとんど断れない、というのがある。

○クラブ・コンクエスター
 ナイト・オブ・ゼロ。ロイ・キャンベルの専用機。装甲カラーは青。
 現在、先行量産されているヴィンセントのプロトタイプ機をロイ用に徹底的にカスタム化した機体。
 改修の過程でサクラダイトの搭載量を増やしているため、性能も出力もランスロットとほぼ同じだが、クラブはロイの指揮能力の高さに合わせて二機のファクトスフィアの他に、それを補佐するレーダー・センサーが多く搭載されている。
 武装は可変ハドロンブラスター。可変ライフル。ショートソードタイプのツインMVS。

○ライ
 ゲーム、LOST COLORSの主人公で、このSSでは蒼月編の主人公。
 黒の騎士団において作戦補佐の地位についていた少年で、アッシュフォード学園、仮入学の学生という表の顔も持つ。
 ゼロからは絶対的な信頼を受け、ゼロの隣には常に彼の姿があった事から“ゼロの左腕”と呼ばれる。
 “ゼロの右腕”である紅月カレンとは恋仲であるとの説が有力。また、ライを黒の騎士団に勧誘したのも、この紅月カレンである。
 専用の青い月下を駆り、その“ゼロの左腕”の名の通り、戦術・戦略にと幅広くゼロの力となった。特に、紅月カレンの紅蓮弐式とのコンビを組んでの戦術展開は、敵に“黒の騎士団の双璧”として恐れられるほどの戦果をあげた。
 だが一年前、エリア11で起きたブラックリベリオンにおいて、学友であったナイトオブセブンに逮捕・拘束され、一週間後、ブリタニア本土で極秘に処刑された。
 その正体については謎が多く、ライにかんするデータは、ライを処刑したブリタニア側にもほとんど残っていない。

○青い聖騎士(パラディン)
 中華連邦、E.U.軍におけるロイの二つ名。
 緻密な戦略と、スマートな戦術。青い騎士を駆り、被害を最小限に留めようとするその戦いぶりはパラディンの名に相応しい。
 ただ、敵には多くの被害を。が信条であるブリタニア軍内部では、その名は蔑みの意味をも持つ。

○紅月カレン
 このSSのヒロインの一人。
 黒の騎士団に所属する若き女性レジスタンス。KMF乗りとしての腕は超一流であり、また生身での戦闘能力も修行の成果もあってスザク並に高くなった。だが、その修行と言う名の苦行のせいで体には目立たないまでも多くの傷を負った。
 黒の騎士団ではゼロ直轄の部隊である零番隊の隊長を務めており、そのゼロに対する忠誠心と技量から“ゼロの右腕”と呼ばれる。
 日本を解放する事と行方不明になったボーイフレンド、ライを見つけ出す事が今のカレンの目標であり、それが今の彼女の全てとも言える。
 好きな食べ物はハンバーグとクレープ。

261 :KOUSEI ◆g9UvCICYvs :2008/12/09(火) 20:05:08 ID:0yoQuzl0
○アーニャ・アールストレイム
 このSSのヒロインの一人。
 ナイトオブラウンズのナイトオブシックス。ラウンズ最年少の少女という事もあってかロイとジノに可愛がられている。スザクとももちろん仲が良い。ナナリーとは電話友達。
 ロイに淡い想いを抱いている。しかし、その想いを原動力として行動するとロイが鈍いのも手伝って大抵空回りする。
 携帯電話依存症で、メールはメチャクチャ打つ。日記も良く付ける。また自らを記憶にとどめようと戦闘以外においてプログ更新を続けてい――たのだが最近は少し滞り気味。
(と言っても一般的に言えば更新は早い方)
 携帯に触れている時間も以前に比べて少し減った。本人曰く、
「別に“記録”じゃなくても、私を“記憶”してくれる人がいれば満足」
 との事。その“人”というのが誰なのかは言わずもがな。
 嫌いなものはお酒(飲むのが嫌いなのではなくて、ロイがお酒の事となると自分を疎かにするから)

○ジノ・ヴァインベルグ
 ナイトオブラウンズのナイトオブスリー。ロイの同僚であり、親友。
 名門貴族出身で幼少から世間知らずとして育ってきたが、ロイと出会ってから一般市民の生活に興味を持つようになり、今ではある程度の社会常識は持っている。
 また、一人称は“私”だったがロイ、スザクと一年間俗な場所巡りをしたせいで、いつの間にか“俺”が主流になった(“私”を使わなくなったわけではない)。
 ロイとアーニャ。ナナリーとスザクの仲を影ながら応援している。ただ、その応援の仕方(特にアーニャに対する助言)は色々と間違っている。
 性格は陽気で明るいが、いざという時には冷徹になれる、というのがロイの評価。
 黒の騎士団の紅月カレンの事が気になっている。

○ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア
 妹ナナリーと幸せな生活を築くため、ゼロの仮面を被り、黒の騎士団を率いて戦う少年。
 一年前、自分が引き起こしてしまったブラックリベリオンで、親友ライを失ってしまった事にひどい罪悪感を感じている。

○ナナリー・ヴィ・ブリタニア
 現在エリア11の総督を務めている盲目で足が不自由な少女。ルルーシュの妹。
 アーニャとは友達であり、自分の本心や相談を臆面も無く話せる関係。また、姉であるカリーヌとの仲は、ロイというきっかけを経て、折鶴を教えるまでに回復、いや平常化している。
 ロイを信頼している。でもそれ以上に、無意識ではスザクを信頼したいと思っており、それはロイに見破られている。

○カリーヌ・レ・ブリタニア
 ブリタニア皇女。同い年だがナナリーの姉。
 ロイに一目惚れして以来、積極的に彼にアプローチしている。
 幼少からナナリーに嫌悪感を抱き、侮蔑の視線を持って罵倒し続けてきたが、ロイというきっかけと、アーニャの脅しにより、その感情は氷解。
 現在は、不自由なナナリーの体を気遣ったり、自分で作った折鶴を、日本にいるナナリーにプレゼントするなどの行動が見られ、少なくともナナリーの事を嫌ってはいない。

○アルフレッド・G・ダールトン
 亡くなった父ダールトン将軍が率いていたグラストンナイツの一員。
 ブラックリベリオン後、政治犯強奪事件で紅月カレンとの戦闘により負傷したが、しばらく本国で療養してエリア11に復帰。現在は帝国宰相シュナイゼルからの要請でナイトオブゼロ、ロイ・キャンベルの副官をしている。
 ただ、副官への就任は確かに帝国宰相シュナイゼルの要請があったから、というのも事実だが、かつて東ロシア戦線で、一時的にロイの部下となった時、そのロイに命を助けてもらった事があるから、というのも一因としてある。
 アルフレッド自身の能力は高く、ルルーシュはアルフレッドに「能力の質がライと似ている」つまり、全ての能力が総じて水準以上に高い、という評価を下している。

○アリシア・ローマイヤ
 エリア11総督に就任したナナリーの補佐兼お目付け役を務める女性。ナンバーズに対する差別意識が強く、ナンバーズ出身であるスザクやイレヴンに慈悲をもたらそうとするナナリーには非協力的な思想を持つ。しかし、それを行動に出す事はあまりしない。
 行政特区日本では、その設立に反対の考えを持ちながらも、ナナリーに協力し、行政特区日本の式典設置に尽力。また、その行政特区日本でゼロが百万のゼロを登場させた時も、見せしめとして殺すべし、と意見の提示はしたが、強くは主張はしなかった。
 事実、スザクが百万のゼロの国外脱出を見逃せという命令をしたら、素直にそれに従った。
 ロイとはエリア11就任前からの付き合いであり、ブリタニアの法律に(専門家からすれば)疎いロイに、その方面での仕事上の助言を行っていた。

262 :KOUSEI ◆g9UvCICYvs :2008/12/09(火) 20:05:57 ID:0yoQuzl0
 ○シーン10『ロイ・キャンベルの憂鬱』Aパート
 
 天子様の結婚式に黒の騎士団乱入!
 黒の騎士団。天子様を誘拐!
 黒の騎士団。星刻政権と同盟か!
 
 新聞上、このような言葉で並べ立てられた事件を経てエリア11に戻ってきたジノ・ヴァインベルグ、アーニャ・アールストレイム、枢木スザクのナイトオブラウンズ。
 彼らは中華連邦での黒の騎士団に敗戦した、とも言える結果に大きな怒りと、復讐心と、悔しさを感じて呻いているか、と言えばそうでもなかった。
 もしかしたら、内心ではそう感じているのかもしれないが、すくなくとも表面上は違った。彼らには、過去の失敗を悔いる前にやることがあったのだ。
 アッシュフォード学園への入学である。
 三人のナイトオブラウンズが中華連邦からエリア11に帰ってきたころには、行政特区日本失敗後のゴタゴタや後処理の大半はロイ、ローマイヤがすでに片付けていた。
 この後処理の速さ、正確さは「エリア11始まって以来の、理想的な文官・武官の共同歩調」と称えられた。もっとも、「その理想的な共同歩調とやらが初めて発揮されたのが、総督の尻拭いか」と苦笑する政庁職員もちらほらといた。
 とにかく、その成果もあって、ナイトオブラウンズの二人とロイは中華連邦での作戦の終了後、同僚のスザクに遅れる事数ヶ月で、黒い学生服に袖を通す事ができた。
 こうして、アッシュフォード学園に通う事になった三人だが、学園に通う目的はそれぞれ違っていた。
 ジノは楽しむため、ロイはナナリーのお願いのため、そして、アーニャはロイとジノの中間といった所だった。
 その中で、ロイの目的の半分は、入学後すぐに果たす事ができた。
「ジノ。ランペルージ卿が困っているじゃないか」
 アッシュフォード学園内のとある校舎、生徒会室に繋がる廊下には、朝の澄んだ空気が突き抜ているようで、とても冷えていた。
 そこでロイはナナリーに調査を頼まれていた人物。ルルーシュに会う事ができた。
 ――極秘でその方の事を調べてはいただけないでしょうか?
 ルルーシュの調査を頼んできたナナリーの顔は相当切羽詰っていた。だから、というわけではないが、ロイはナナリーの望みをかなえてあげるつもりだった。
「私の友人が驚かせてしまったようですね。申し訳ありませんランペルージ卿」
 ロイは人に好かれやすい微笑を浮かべて、金髪の同僚に抱き寄せられた黒髪の少年ルルーシュ・ランペルージに規則正しい歩調で近寄り、右手を差し出した。
「僕の名前はロイ・キャンベルといいます」
 ロイは瞳に触れかかった銀髪をかきあげながら名乗った。
 ちなみに、いつもそこにかけられているはずの分厚いレンズは、とある事情で無かった。
「実は先ほど、ミレイ会長から安全保障問題担当兼生徒会長補佐官を任命されました。至らない所もあると思いますが、これからよろしくお願いします」
 通常、ナイトオブゼロの事を知らない一般市民に、ロイが自己紹介をすると、相手はひどく驚くのが普通だった。
 そうならないために、ロイはまず初対面の人――特に一般人に対しては、丁寧な口調と物腰を持って相手と接し、驚きや、ナイトオブラウンズの威圧感を与えないように心がけていた。
「あなたが……ロイ・キャンベル?」
 しかし、ロイの努力むなしく、ルルーシュは瞳に狼狽の色を浮かべていた。
 ロイは、自己紹介の仕方が何か不味かったかな? と内心で首を捻った。しかし、ルルーシュはすぐにその瞳を元のかたち良いものに戻し、ロイに負けず劣らず、人に好かれる笑みを浮かべて見せた。
「こちらこそ――」
 ルルーシュはスッと、差し出された右手に自分の手を重ねた。
「よろしくお願いします、ロイ様」
(……へぇ)
 ルルーシュが狼狽から瞬時に、それも完璧に立ち直った事に、ロイは軽く驚いた。
 通常、一度狼狽してしまえば数秒は気分が落ち着いても口調は落ち着かないものだ。一度、狼狽というものに身を委ねれば、言葉の中に微細な振動が入るのは仕方の無い事なのだ。
 だが、目の前の黒髪の、それもとびきり端正な顔立ちの少年はそれを全く感じさせない対応をしてみせた。
(中々肝が据わっている)
 ルルーシュとの初対面で、ロイは好感と呼べる部類の感情を抱いた。
「様はやめて欲しいな。ルルーシュ君」
 ロイはルルーシュと握手を交しながら、ナナリーのために、この人物の事をどうやって調べ上げようか考え始めていた。

 ○

 アッシュフォード学園の地下室。ここは元々、ブリタニア皇帝陛下直属の機密情報局が活動の拠点としていた場所だったが、ルルーシュの策謀により、今は黒の騎士団のアジトとなっていた。
「くそっ! こんな事が!」

263 :KOUSEI ◆g9UvCICYvs :2008/12/09(火) 20:06:36 ID:0yoQuzl0
 ルルーシュは珍しく狼狽していた。
 今日、中華連邦から帰国したルルーシュに押し付けられた二つ現実は、量はともかくその質が濃厚すぎた。
 一つ目は、友人であるシャーリーとキスをしてしまったという事だ。これは、正確に言えばルルーシュの影武者を務めていたSPのサヨコがしてしまった事だが、責任はルルーシュ本人が取らなくてはならない。
 シャーリーはルルーシュにとってかけがえのない友人なので、そのキスについての弁明を他人に任せるわけにはいかないし、させるつもりも無い。
 また、ルルーシュは自分が仕事を任せた部下が失策を犯したからといって、それを全て部下のせいにするような精神構造をしていない。部下の失態は、部下を任命した上司の責任でもある。それがルルーシュの考え方だった。
 そして、二つ目。どちらかといえば、この二つ目の事実がルルーシュの純粋な狼狽だけで済んだ事柄に、怒気を加えた。
「なぜ、なぜ、今まで気付かなかった!」
 ルルーシュは黒い革張りのソファに身を投げ出すように腰掛け、苛立たしげに肘掛の上を指で何度も叩いた。その様子をヴィレッタ、サヨコ、ロロの三人は戸惑いの表情を浮かべながら見やっていた。
 ルルーシュは今日の朝、廊下で出会った三人のナイトオブラウンズの事を考えていた。
 ナイトオブスリー、ジノ。ナイトオブシックス、アーニャ。そしてナイトオブゼロ、
「くそ、こんな時に、俺はカレンを失って……」
 ルルーシュは、つい先日失った仲間の名前を呟いて、唇を噛んだ。
 紅月カレン。ゼロの正体を知っても協力してくれた仲間。親友の彼女。ルルーシュが守ると誓った存在。それをルルーシュはブリタニアの捕虜にしてしまうという愚を犯していた。
 中華連邦で結婚式に乗り込み、天子を強奪するまでは理想的な作戦進行だった。
 しかし、その天子を連れての逃走を星刻のKMF“神虎”に阻まれ、その迎撃をカレンに任せた結果、カレンは星刻に敗れ、中華連邦の捕虜となり、そして、大宦官の手によってブリタニアに引き渡されてしまった。
 そのため、星刻と和解し、彼が率いる中華連邦と同盟を組んだ今でも、カレンはルルーシュの元に帰ってきていなかった。
 そして、よりによってそのカレンを失った途端、あの男はルルーシュの前に現れた。
「何がロイ・キャンベルだ! 何がナイトオブゼロだ、お前は、お前は俺の――」
「兄さん」
 細身の少年が気遣わしげにルルーシュに声をかけた。
 ロロ・ランペルージ、ルルーシュ監視の命を受けて一年間、彼の弟役を演じていたが、寝返ってルルーシュに協力する事になった少年だった。
 この少年の本質は、冷徹な暗殺者であり、多くの感情や他人への情が欠落しているはずだった。しかし、ルルーシュに対しては話が別だった。
「兄さん。何を困っているのさ。大丈夫、兄さんには僕がついてる。兄さんさえ命令してくれれば僕はあんな奴らを簡単に殺して見せるよ」
 その言葉は恐らく兄のためを想ってかけた言葉であり、兄を安心させたいがために放った言葉だった。
 しかし、ロロは勘違いしていた。兄は、決してナイトオブラウンズが自分の身辺に派遣された事に対して恐怖を感じているわけでもなければ、不安になっているわけでもない。そんな感情で怒りを発しているわけではない。
「殺すだと!」
 ルルーシュは目を吊り上げてソファから立ち上がった。ロロは驚いて肩を震わせた。
「兄さん?」
 ロロはほとんどの事に恐怖心など抱かない少年だった。だが、ロロは、兄の怒りを買ってしまった事を漠然と感じて、自身の命が失われる瞬間以上の怯えを感じ、心と体を震わせた。
 ルルーシュはロロの襟を捻り上げた。ロロはそれに黙ってしたがった。
 その気になれば兄の手首を捻り上げ床に打ち付ける事もできるロロだったが、そんな事をするという選択肢自体、ロロには浮かばなかった。ロロはただ、自分より数段体力で劣る兄の激昂した顔を見て、親に怒られる無力な子供のように狼狽するだけだった。
「兄さん、苦し――」
「そんな事をしてみろ! 俺がお前を殺してやる! 弟だろうがそんな事は関係ない! 殺してやる俺がお前を殺してやるからな!」
 ロロは目を大きく見開いた。
「兄さん、ごめんなさい! ごめんなさい兄さん!」
 ロロは請うように謝罪し続けた。しかし、ロロは何のことについて謝罪しているのかは分かっていないだろう。
「それぐらいにしておけ、ルルーシュ」
 暴力沙汰になる一歩手前で制止したのは、すでにルルーシュの手中にある機密情報局の隊長ヴィレッタだった。
 彼女は珍しい形のポニーテールを揺らしつつ、鍛えられたしなやかな腕を兄弟の間に割り込ませると二人を引き離した。

264 :KOUSEI ◆g9UvCICYvs :2008/12/09(火) 20:07:14 ID:0yoQuzl0
「取り乱すとは、お前らしくも無い」
 ヴィレッタの一言でルルーシュは、普段は強固なはずの理性を手元に引き戻す事ができた。
「……」
 ルルーシュは内心で深く呼吸し、気分を落ち着けると、頭のスイッチを切り替えた。そして、優しい兄の笑顔を浮かべると、目の前で暴力を振るわれた子犬のように震えるロロに近寄った。
「すまない、ロロ……」
 ルルーシュは自分の細い指で、ロロの頬をなぞった。
「でも、俺の怒りも理解してほしい。俺はお前にもう殺しなんてさせたくないんだ。お前はもう、そんな事をしなくていいんだから」
 その言葉は、ルルーシュの激昂の理由を別のものに変換したものだった。冷静な第三者が聞けば、「はぁ?」と首を傾げるだろう。事実、傍にいるサヨコとヴィレッタは複雑な感情を込めてルルーシュを見つめている。しかし、
「う、うん。ごめんよ兄さん」
 ロロにとって、言葉の内容など意味を成さなかった。
 兄が自分のためを想って叱ってくれた。その甘美な事実を手渡されたロロは、言葉の意味など考える前に、陶酔にも似た感覚に陥り、自ら思考を停止して、熱い視線を兄に注ぐだけの存在になりさがった。
「いいんだよロロ。分かってくれれば」
(ふん、馬鹿が……)
 弟を笑顔で見つめながら、兄、ルルーシュは内心で大いに嘲笑した。
「ロロ、お前はナイトオブラウンズに関わらなくていい。あいつらは危ない存在だからな。そんな奴らにお前が近寄る事を考えただけでも、俺は不安に胸を押しつぶされそうだ」
「兄さん……」
「でも、俺だって何も考えていないわけじゃないんだ。大丈夫、あいつらはそのうち俺が排除する。お前は安全な場所から、おれの手腕を見ていてくれればいいんだ」
「分かったよ、兄さん」
 素直に頷くロロ。その視線はルルーシュを捉えて離さない。しかし、ルルーシュは、この弟の事など見てはいなかった。ルルーシュの瞳はいつも、大切な妹と、かけがえの無い仲間に向けられていた。
 だから、ルルーシュがロロを見つめる視線は、あくまで表面上のものに過ぎなかった。しかし、人とは相手の表面上のところまでしか分からないので、ロロはその兄の虚構の視線に大いに満足した。

 ○

 アッシュフォード学園。人目の無い、ある校舎の隅。
 その一角では、一人の教師と一人の生徒が壁にもたれかかり、缶コーヒー片手になにやら話し込んでいた。
「アルフレッド、どうしてこんな事になったと思う」
「運が悪かったのでは無いでしょうか、キャンベル卿」
 そう端的に言い捨てられて、ロイはその瞳を金髪の教師――学園内でナイトオブラウンズの警護を担当する事になった、教育実習の教師役――に向けた。金髪の実習生、元グラストンナイツのアルフレッド・G・ダールトンは小さく咳払いして、
「まぁ、あれがいけませんでした。あの時、キャンベル卿の眼鏡が壊れなければこんな事にはなりませんでした」
 そう言ってアルフレッドは目元にかけた変装用の眼鏡を、慣れない手つきでクイッとかけなおし、白いスーツのポケットに手を突っ込んだ。
 ちなみに、今のロイの顔にはあの分厚い眼鏡が無かった。細い糸のような銀髪の下には繊細な顔立ちと、整った眉目が白日の下に晒されている。
「……やっぱり、そうだよね」
 ロイは小さくため息をついて、大きく肩を落とした。
 まず、事の発端は今日の朝にさかのぼる。
 スザクはその職務から学校に行くことは敵わず、仕方なく三人で、初めての学校に行こうと政庁から出ようとした時にそれは起こった。
「ロイは眼鏡してないと」
「いや、でも転校生っていうのは初めが肝心だろ」
 政庁の玄関前。ロイが遅れて行くと、そこで学生服姿のジノとアーニャがなにやら言い争いをしていた。
 ロイは肩にかけていた学生鞄を持ち直しながら二人に近付くと、こちらの存在に気付いたジノが長い足を動かして近寄ってきた。
「ロイ、これ取って行けよ」
 ジノはひょいと、ロイの顔から眼鏡を取り上げた。
 すぐに、ロイの線の細い端正な顔立ちがあらわになった。
「……何するのさジノ」
 素顔を晒されたロイは、別段怒る事も無くジノに、深い色合いの瞳を向けた。ジノはニヤニヤと笑って答えた。
「今日は学校初日なんだ。眼鏡は絶対に取っていった方がいいって」
「駄目!」
 ジノの言葉にアーニャが強く反発した。彼女はジノの下に駆け寄ってジノから眼鏡を取り返そうとした。しかし、上に向かって長い腕を伸ばされると、アーニャの体では届かなかった。
「だめ、ぜったい」
 アーニャは諦めず、何度もジャンプを試みた。しかし、全然届かない。ジノはアーニャの攻撃を巧みにかわしながら言った。

265 :KOUSEI ◆g9UvCICYvs :2008/12/09(火) 20:09:06 ID:0yoQuzl0
「でも、顔を晒した方が、ロイは絶対好印象だって」
「それでも駄目。とにかく駄目」
「あのさ、話が見えないんだけど……」
 素顔になってしまったロイが、なにやら意見を対立させている二人に静かに問いかけると、
「だから、ロイは顔が良いんだから、眼鏡を取って学校に行った方がいいって。その方がクラスに馴染みやすいだろ」
 ジノが言うと、アーニャは小刻みにジャンプを繰り返しながら、それに断固反対した。
「駄目、余計なものまで来る」
 ロイは未だに、二人の討論の全容が見えなかったが、とりあえず基本的な部分は理解した。
「……つまり、ジノは僕に眼鏡を置いていけと言ってるんだね。それにアーニャは反対していると」
「その通り」
 ジノが頷いた。
「お前はとりあえず顔がいいからな、眼鏡は無い方が好印象を与えやすい」
「そうかな……」
「そうだよ」
「だめ!」
 しかし、アーニャは反対の姿勢を変えなかった。彼女は明らかに手の届かない高さの眼鏡に向かって、健気にジャンプを繰り返していた。その様子は、なんだか高い所にある果物を取ろうとする子猫のようにも見えた。
「別にロイは眼鏡があっても友達は作れる。眼鏡を取っていると、近寄ってくるのは薄っぺらい奴だけ」
 アーニャの言う薄っぺらい奴。というのがロイには理解できなかった。
「アーニャ、うっぺらい奴って何?」
 ロイが訊くと、アーニャはジャンプをピタリと止めて言い放った。
「売女」
「ば、ばい……」
 ロイは驚いて、呆然とした。そして、咳払いをして憮然とアーニャをたしなめた。
「アーニャ、そんな言葉どこで覚えたの……。いや、問題はそこじゃないな。そんな言葉、女の子が使っちゃ駄目だ……」
「でも……」
「というわけで、これは俺が預かっておこう」
 ジノが上に伸ばしていた腕を下ろして、肩の高さで眼鏡を軽く振った。それを見たアーニャは素早く動いた。
「!」
 ジノがアーニャの動きに気付いて、素早く腕を上げる、アーニャが逆に手を伸ばす。
 結果、悲劇を生んだ。
『あっ』
 ジノとアーニャの声が重なった。
 ジノが手を上げるより早く、眼鏡を掴んだアーニャだったが、彼女はそれを手元に引き寄せる事はできなかった。
 眼鏡はどちらの手にも渡らず、もつれて、宙に浮き、そして、
 パリン!
「……」
「……」
「……」
 三人は乾いた音を立てて砕け散ったものを、しばし無言で眺めた。


 ロイは朝の出来事を思い起こして、またため息をついた。
「あれが、全ての始まりでしたね」
 アルフレッドは、缶コーヒーをすすると、壁に背を預けながら沈んでいく夕日を見つめた。
「その後、キャンベル卿は見事に数名の女性のハートを射抜かれました」
「……」
 ロイは更に肩を小さくした。
 今日の朝から素顔となってしまったロイは、とにかくモテた。そう言ってよかった。なぜなら、入学早々たった一日でとある女子生徒とデートの約束までしてしまったのだから……。
 ――ロイ様。デートしよう。
 そう言われた時、ロイは拒否できなかった。拒否しようとはした。でもできなかったのだ。
 思えば、過去を振り返ってみてもロイは女性からのお誘いというものに極端に耐性を欠いていた。エニアグラム卿しかり、クルシェフスキー卿しかり、実例を挙げればキリが無かった。
「ミーヤ・I・ヒルミック」
 アルフレッドが懐から手帳を取り出して、名前を読み上げた。
「彼女の父はいたって普通の貴族です。あえて、特筆する所があるとすれば、サクラダイトに関する投資で、平民が数十年は楽に暮らせる利益を上げていることぐらいでしょうか」
 この副官は、上官がとある出来事でデートをすることになってしまった女性の事を、教師業のかたわら、たった数時間で調べ上げていた。戦闘技術だけではなく、この情報収集能力の高さは“グラストンナイツの万能型”と言われるゆえんでもあった。
 ロイとしては、自分の副官であるこのアルフレッドにルルーシュの身辺調査の手伝いをしてもらえるとすごく助かるのだが、ナナリーからのお願いで、自分とアーニャ以外にはルルーシュという人間を調べている事を教えられなかった。
 ちなみに、今回のミーヤ・I・ヒルミックの事に限って言えば、ロイはこの副官にその高い情報収集能力を発揮する事を指示してはいなかった。アルフレッドが上官の安全性をかんがみて勝手に調べたのである。
 アルフレッドにしてみれば、「キャンベル卿は、シュナイゼル、オデゥッセウス両殿下の支持をはじめ、味方の質は高いですが、敵の数は多いですから、油断はできません」という事で、

266 :KOUSEI ◆g9UvCICYvs :2008/12/09(火) 20:09:43 ID:0yoQuzl0
 少女の家庭環境を調べるという一歩間違えればプライベート侵害とも言える行為も、必要な処置との事だった。
「背後関係も綺麗なものです。安心してデートしてください」
「その前に、なんで僕はデートする事になったんだろうか……」
 ロイの問いに、アルフレッドは高い鼻を相手に不快感を与えない程度に鳴らして、苦笑した。
「男の私が言うのもなんですが、キャンベル卿の素顔の微笑みは反則ですよ」
「……」
 ロイはつまり、やりすぎたんだな。と反省した。
 今日一日、ロイは学生生活を楽しむかたわら、ナナリーからの頼みであるルルーシュという人間に対する情報収集を開始していた。
 ロイは、まず女性から情報収集を行う事にした。理由はルルーシュという人間が、女性に多大な人気を持っているという事をアーニャ経由で知っていたのと、一人の女性というのは一人の男性より、多くの情報を有している場合が多いからだった。
 学園という限られた空間で生活する女子学生というのは、情報の共有化がなされている場合が多い。
 女の子はおしゃべりが大好きだ。そしてそれが繰り返されると、一部が手に入れた情報は瞬く間に全体に広がる。つまり、どの女性からでも、手に入れられる情報に差は無くなるという事だ。
 それでも、本当に貴重な情報を手に入れたければ、数をこなすしか無い。しかし、とりあえずルルーシュという人物の基本的な人となりを知るのには、おしゃべりが好きそうな女性十人ぐらいと仲良くなれば良く、初日としてはそれで充分だった。
 そんな中、五番目ぐらいに話しかけたのが、ミーヤ・I・ヒルミックだった。長髪で、大きな瞳を持ち、表情をコロコロと変える屈託の無い女性だった。
 女友達との談笑を終えてその場から離れる彼女に、ロイは声をかけた。もちろん、緻密に計算された人に好かれる笑顔を浮かべながら。
「ちょっと、すみません」
「はい? ……って、あなたは噂のナイトオブゼロのロイ様!?」
「ええ、まぁ」
 すでに噂になってるのか、という驚きはなかった。話しかけて、こう返されたのは五回目なので、ロイはただ、女性同士の情報伝達の速度に感心しつつ、苦笑するだけだった。
 ロイはまずとりとめのない自己紹介を交わし、自然な日常会話に入って、やがて本題を尋ねる。
「ルルーシュ君?」
 彼女はそう言って首を傾げた。
「ルルーシュ君の事を知りたいんですか?」
「いや、ルルーシュ君だけじゃなくて、生徒会のみんなの事が知りたくてね」
 もちろん、主に知りたいのは今日の朝、挨拶を交したルルーシュの情報だが、口ではそう言っておく。
「ふ〜ん。じゃあ、とりあえずルルーシュ君はね――」
 その後に続いた言葉は、ロイが今まで四人の女性に聞いたものとほとんど同じで、これと言って新しいものの無い内容だった。
(これ以上、新しい情報は得られないかな……)
 そう思って、話を切り上げようとした時。
「せっかく、遊園地のチケットが二枚あったんだけど、ルルーシュ君とのデートがキャンセル待ちでね」
 言われて、ロイはつい余計な言葉を返してしまった。
 自分の印象を良くしようという心理が働いたのも事実だった。自分に好感を持ってくれている情報源はいくらあっても良いのだから。
 ロイはせいぜい好感度があがりやすい笑顔を浮かべて見せた。
「へぇ、僕だったら、君みたいな美人の誘いは断らないけどな」
 これがいけなかった。
 ロイは、眼鏡を取った自分の微笑みの威力を正確には理解していなかった。己の戦力は把握しなければいけない。それを理解していない軍人は必ず身を滅ぼす事になる。常識であるはずなのに、ロイはそれを怠った。
「……本当?」
 この時、ミーヤの瞳に熱がこもった事に、ロイは気付かなかった。
「じゃあ……代わりにロイ様、デートしよう」
 ロイは優しく頷いた。反射的にだ。
「ええ、もちろん」
 ロイの女性からのお誘いを、思考をめぐらす前に肯定するという反射神経。それは、ジノ曰く「ナインとトゥエルブの理想的な共同歩調の賜物」らしい。
「やったー!」
 大げさに両手を挙げるミーヤ。同時に、周りの視線がこちらに集中した。
 数瞬後、ロイは自分のとんでもない過失を自覚した。
「! って、ちょっと待った。ええ?」
「じゃあ、明日の朝九時に、中央モール街入り口で待ち合わせね♪」
「いや、待った! ちょっと待って!」
「ねぇ〜、聞いて聞いて、私明日ロイ様とデートするの」
 ロイの伸ばした腕を、ヒラリとかわして、ミーヤは友達の女性陣の所に戻っていった。
「え〜、本当?」
「それで、どこ行くの?」
「ルルーシュ君はいいの?」
「ちょっと待ってくれ!」

267 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:10:04 ID:AM56fTQ6
支援 念のため

268 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:10:27 ID:ukE/OJai
支援

269 :KOUSEI ◆g9UvCICYvs :2008/12/09(火) 20:10:29 ID:0yoQuzl0
 ロイは女性陣に戻ったミーアを呼び止め、振り向かせた。
「な〜に、ロイ君?」
 すでにロイ様からロイ君になっていた。
「いや、困るよ。いきなりデートだなんていわれても」
「えっ」
 ミーヤの顔に不安の影が差した。ロイはその顔を見て、心を小さな針でつつかれたような気がした。
「私とデートは、嫌?」
「いや、そんな事は……」
「でも、嫌なんですよね? だから困るんですよね……」
「そ、そんな事は無いよ」
「じゃあ、明日はOKですよね?」
「……はい」
 なんたる愚かしさか。結局、ロイは弱者だった。
 そもそも彼の中に、一度女性と約束したことを反故にするという神経は無かった。
 おそらく、それも「ナインとトゥエルブの理想的な共同歩調の賜物」なのは言うまでも無い事だった。


「私はむしろ、キャンベル卿には気晴らしになってよいのではないかと思います」
 ロイの副官であり、この学校では教育実習生でもあるアルフレッドは、女子生徒達に「貴公子」と騒がれている微笑を浮かべて、無責任な事を言った。
「キャンベル卿もここ最近は、執務室とトレーニングルームとベッドの中、というローテーションを続けておられたわけですから。心の休養も必要でしょう」
「無責任に言わないでくれ」
 ロイはジト目で言った。
「僕としてはデートなんか初めてだから、休養どころか緊張で疲労してしまいそうだ」
 銀の長髪が、がっくりとうな垂れた。
「その結果、政庁の執務は滞り、エリア11の運営はままならなくなるかもしれない……」
「そんな理由で仕事を滞らせたら、“例の一件”以来、優しくしてくれているミス・ローマイヤでも激怒しそうですね」
 アルフレッドは肩をすくめた。そして、ニヤッと意地の悪い笑みを浮かべた。
「しかし、キャンベル卿は、アールストレイム卿やエニアグラム卿、クルシェフスキー卿とよくお出かけしていると聞きますが?」
「二人で出かけるのと、デートは違うだろ」
 ロイが言うと、アルフレッドは意外そうな顔をしてこちらを見つめた。
「んっ、どうしたのアルフレッド――」
「ぷっ、ははは」
 と、上品さを崩さない程度に大きく笑った。ロイが首をかしげると、アルフレッドは笑いを堪えながら、
「し、失礼しました。まさか、自分の上官がこんなにもウブだとは思わなかったもので」
 ロイが頬を染めて睨むと、アルフレッドはいまだ沸きあがる笑いを堪えながら言った。
「じゃあ、二人で出かけるつもりで、デートなさればいいんじゃないですか?」
「……」
 ロイは反論しようと口を開きかけた。

270 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:11:27 ID:AM56fTQ6
支援

271 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:12:45 ID:ukE/OJai
支援

272 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:15:02 ID:rD4YIYKn
支援

273 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:18:56 ID:AM56fTQ6
>>142ということなので、
さるが出ているようでしたらいちど10分ほど間隔をあければ良いみたいです

274 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:20:49 ID:hl2hkV+K
こういう場合は
支援

275 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:21:19 ID:hl2hkV+K
支援

276 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:21:50 ID:hl2hkV+K
こうすると直りが早くなります

277 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:22:24 ID:hl2hkV+K
支援

278 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:22:55 ID:hl2hkV+K
支援

279 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:23:33 ID:hl2hkV+K
レス数と容量を見てみると、支援をふんだんにいれてさる防止した方が良さそうです

280 :KOUSEI ◆g9UvCICYvs :2008/12/09(火) 20:23:47 ID:0yoQuzl0
「ロイ」
 その時、二人の会話に一人の少女の声が割り込んだ。
 ミドルスクールの制服。眠たげな瞳。変則的なツインテール。ロイの同僚、アーニャ・アールストレイムが静かな足取りで向こうから近付いてきた。
「これはアーニャ様――」
 アルフレッドは敬礼しようとしてやめた。一応、この学園ではアルフレッドは教育実習生で、アーニャはミドルスクールの学生なのだ。
「こ、これはアーニャ君、こんにちは」
「こんにちは、アルフレッド先生」 
 アルフレッドはアーニャに対して、上の立場から声をかける事に一抹の抵抗があったようだが、アーニャは、素直にペコリと頭を下げた。
 アーニャはアルフレッドへの挨拶を済ませると、義理は果たした、と言わんばかりに、素早くロイに向き直った。
「ロイ、探した」
「ん、何だい?」
「明日、ロイは休みって聞いた」
「んっ? そうだね」
 そのせいでデートをする羽目になってしまったけど。と、ロイは内心でため息をついた。
「それが、どうかした?」
 聞き返すと、返答には多少の間があった。
「あのね……私も明日は休み。そして、学校も日曜で休み」
「へぇ、そうなんだ。アーニャも休みなんだ。一緒の日が休みなんて珍しいね」
「……」
 そのまま、アーニャは黙り込んでしまった。
(……何だ?)
 ロイはアーニャが口を開くのを辛抱強く待った。
 しかし、アーニャは手をお腹の前で重ねて、体を小刻みに揺らすだけだった。効果音をつけて表現するなら、モジモジしている。が適切だと思われた。
 それを見て、ロイは、トイレかな? と失礼な事を思ったりした。
「二人で、その、遊園地……行かない?」
 ようやく、といった感じで小さな口から発せられた言葉に、ロイは首を傾げた。
「遊園地?」
 何でまた? と聞き返そうとしてロイはギリギリで思い出した。
(ああ、そう言えば……)
 いつだったか。このエリア11に着任するのが決まる前、ブリタニアのロイの家の中で、アーニャと遊園地に行く事を約束した。
 しかし、あれからエリア11着任の準備、着任、行政特区日本、中華連邦、特区の後処理などで休暇などほとんど無く、あったとしても二人の休暇が一緒になったことは一度も無かった。そのため、約束は、ここ数ヶ月ずっと果たされないでいた。
「そうか、遊園地か。うん、いいよ」
 承諾すると、アーニャの顔に、ぱぁ、と花が咲いた。
「本当?」
「ああ、もちろ――」
 次の瞬間、ロイの口は何かに塞がれた。何かと思えば、それはアルフレッドの手だった。
「ちょっと、失礼」
 アルフレッドは額に汗を浮かべながら、ははは、とアーニャに笑って見せると、彼女に背を向けてロイをグイッと引き寄せた。
「それは、ギャグで言っているんですかキャンベル卿」
 小声で尋ねられて、ロイは「はぁ?」と聞き返した。
「どういう意味?」
「どういう意味って……キャンベル卿、あなた明日デートでしょ。しかも、その遊園地で」
「……あっ」
「?」
 背中では、アーニャが不思議そうに上官副官のコンビを眺めていた。

 シーン10『ロイ・キャンベルの憂鬱』Aパート。終わり。Bパートに続く。

281 :KOUSEI ◆g9UvCICYvs :2008/12/09(火) 20:25:19 ID:0yoQuzl0
投下終了です。
支援感謝です。
いや、ほんと快適ですねここ。今まで投下に一時間かかってたのがうそのようです。
ただ、今回、投下の連投限界に挑戦してみた所、やっぱり猿になりました……。
皆様、ご迷惑をおかけして、もうしわけありません。そして支援、改めてありがとうございます。
ではまた、二週間後の日曜に。

282 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:25:28 ID:hl2hkV+K
入れとこう
支援

283 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:41:19 ID:AM56fTQ6
>281
投下おつかれさまでした!

自覚のない美形というのはこうも始末の悪いものかw
9と12の方々の仕込みの風景を見てみたいと思います。楽しいんだろうなあ!
アルフレッドがいい味を出していますね。
ルルーシュが知った真実、これから、どうやって仕掛けていくのでしょうか。

続きを拝見できるのを、楽しみにお待ちしています。

284 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:41:43 ID:ukE/OJai
>>281
GJです!
女性の誘いを断れないロイwww
いくらなんでも反射で返事をするまで教育するのはどうかと……ノネットさん!モニカ!
ロイとアルフレッドがなかなかいいコンビになってきたみたいで、読んでいて微笑ましいです。

とうとうロイ・キャンベルの正体に気づいたルルーシュがこの後どんな行動に出るのか
固唾を飲んで待ちたいと思います。また、ロロの行動にも。
二週間後の投下を楽しみにしています!


285 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 20:55:22 ID:8jk90A+i
アルフレッド、いいやつだなぁ
それにしてもロイの正体に気付いてしまったルルーシュの狼狽振り
これから先にどう話が展開していくのか固唾を飲んでまってます!
ロロとルルーシュの係わりの描写もあいかわらずうまいなぁ
次回の投下をお待ちしていま〜す

286 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 22:05:08 ID:1EG87RKk
>>281
KOUSEI卿、GJでした!
ナインとトゥエルブは一体何をしたんだろうかw
しかし、ルルーシュの狼狽ぶりが目に浮かぶようです。
ようやく分かったと思えばタイミングは最悪、せめて後少し早ければ、と思ってしまいますね。
次はデート、と……うん、楽しみだ!
貴公が次の投下――二週間後の日曜――を全力を挙げてお待ちしております!

287 :創る名無しに見る名無し:2008/12/09(火) 22:39:39 ID:efueYgOw
>>254
遅レスですが、我が世の春がキターーーー!!!
攻略サイト見るまで学園編でニーナエンドがあると信じて疑わなかった自分が通ります
読み始めはガクガクブルブルしましたが読んでいて今後の展開がとても気になりました。
次の投下も楽しみにしています。

>>281
イイ男はつらいですな、……
ついにルルーシュと接触、さぁどう出るんでしょうか。

288 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 00:24:39 ID:QP5RowNd
285で感想を書いたあともなんとかがんばって今日中に投下すべくがんばっていたのですが…
無理でした。ていうか、日を越えちゃったし。なので予告編を落として寝ようかなって思います
期待していただけたら幸いです

289 :BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/10(水) 00:25:55 ID:QP5RowNd

僕の胸はさっきとは違う痛みに襲われていた。
そう、これは甘い痛み、幸せの痛みだ。
いつまでもここにいたいという僕の気持ち。ここを離れたくないと思う僕の心が胸に痛みを感じさせている。
そして、僕はアッシュフォード学園を後にした。
新天地に向かうために。

行政特区日本
それは、ブリタニアの中に生まれたブリタニアではないという可能性。
行政特区日本
それは、生まれたばかりのまだ幼い、若い街。僕たちの街。
行政特区日本
それは、僕たちの故郷となるはずだった場所。

「よく笑うようになった。それにびっくりしたり、呆れたり、怒ったりもするようになったわ」
「わたしの初仕事なんです。どうぞ、よろしくお願いします!」
「お前は嘘が下手だからな。つくならもっとわかりやすい嘘をつくだろう」

満ち足りた日常。それはいつか思い描いていたセカイ。
殺し、奪い、侵すのではない戦い。守り、育て、創り出すための戦い。
皇暦2018年7月、暑い日差しが続く夏の日に、僕たちの未来は確かに輝いていた。

そして

「これは契約だ。俺とお前で結ぶ、契約…」

コードギアス LOST COLORS [手をとりあって]その2   【ライ】 

12月13日夜投下予定。ご期待ください。
※投下予定日は予告なく前倒しされる場合もありますのでその際はご了承ください。

290 :BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/10(水) 00:29:14 ID:QP5RowNd
というわけで、このただ1レスだけでした
肩透かしもいいところでごめんなさい
本放送…ならぬ投下にご期待…してもらえたらいいなぁ
それでは、おやすみなさいです

291 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 00:45:47 ID:2QF1y3cl
期待して待っています〜

292 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 00:51:22 ID:uWBjcHS0
>>290
うむ、ワクワクしてきました!
投下、全力で待たせていただきます!

293 :ライ×C万歳:2008/12/10(水) 16:36:35 ID:jI3GsfST
こんにちは。
皆さんの意見も聞いた結果、やはりこの板にあるクロス小説創作スレで私が書いたOOとロスカラのクロス単発物投稿しようと思います。
新規でスレ立ても考えたのですが、需要が僕意外あるかどうか分からないし、保管庫が必要になっても僕には無理なので…

許可の方は避難所とクロス小説創作スレの両方からの許可でよろしいでしょうか?

294 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 16:46:48 ID:ceiydFjD
許可なんかいらんし、保管庫が気になるならトーマスに頼めばいいいだけだろ

295 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 16:50:59 ID:rm0xh54F
もういいから
避難所って何のこっちゃ良く分からんし、此処は確かにロスカラSSスレだけど、クロス作品だというならクロス小説創作スレがあるんだから、そこに投下すればいいじゃないか
一々此処にもむこうにも許可要らんし、少しは自分で判断できるようになりなさいな

本当にもういい加減にしてくれ
ぶっちゃけると少しウザイ

296 :ライ×C万歳:2008/12/10(水) 16:55:25 ID:jI3GsfST
本当に申し訳ありません…僕は迷惑かけてばかりで。
今日は用があるので投下の方は明日になりますが、少し長くなったかもしれないので、その時には支援を頼むことになると思います。
本当に色々とすみません。

297 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 17:09:59 ID:tjHMbtiR
>>296
だから何で一々ここに言うの?支援がいるなら向こうで言えばいいじゃない

298 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 17:34:56 ID:+0GDKP9f
>>297
まぁまぁ落ち着いて

299 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 19:13:01 ID:1EKUEin9
喧嘩腰はギアススレの花とは言わないがモチツケ


300 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 21:20:09 ID:S93fe0Vh
ライ×C万歳卿、連載中の作品の更新も是非!!

301 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 21:29:45 ID:vJ8121p9
ライ×C万歳卿にしても自分を知ってる人の支援が有ったほうが安心なんだろうね。
あと投下した後もさ。まあ多少くどいとは思うけどね。
最初からクロススレの方で話をした方が最善だったとは思うなあ。それか理想境とかね

302 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 22:57:20 ID:zdo9U2Ae
なんかこのスレさるさんについて間違った認識もってるみたいなんで
部外者がおせっかいしてみる

・この板のさるさん発動は連続11レス目です(10レスまではおk)
・支援はさるさん予防策です。発動してから支援してもまったく意味ありません
・さるさん解除は毎時0分です。支援によって早く解除とかありません。
 逆にさるさんになりそうだったら0分に近い間からはじめればすぐ解除きてお得かもしんない。
・つか11レス以上になるSSの場合は最初から毎レスごとに誰かが支援レスすれば?
 なんで人いるのに黙ってみてるんだろうと流れの支援屋は思いました、まる

303 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 23:04:19 ID:uWBjcHS0
……あれ?
結局の所、長いSSだったら前と変わらず支援いるのか……
コテハン戻そうかな……
……まぁ、いいや。
出来る限り全力で支援しよう。

304 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 23:15:53 ID:/Pl0kdpa
あくまで「緩やかになった」という認識がいいですね。
猿しかり、(1レス毎の)容量しかり。
次スレのテンプレには>>302氏の文言を何らかの形で追加することを提唱します。

305 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 23:26:11 ID:ZFfqI3uC
ここはSS投稿スレだよねこういう喧嘩は荒れる原因になると思うから喧嘩するなら別スレを立ててそっちの方でしてくれないか?これじゃ投稿する人が投稿しにくいと思う。

306 :640:2008/12/10(水) 23:38:20 ID:0ybnRc1x
本気かネタかわからんがそんな事で別スレ立てたら尚更厄介な事になるだろ…
それに喧嘩とは違うと思うけどな…
投稿しにくくなるのも事実だがそんなに厳しく見ないでも


307 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 23:39:44 ID:0ybnRc1x
連レスすまん
名前欄は無視の方向で

308 :創る名無しに見る名無し:2008/12/10(水) 23:43:26 ID:tOE/2EKp
>302
11レス目なのかな?
10レス目で出てることもあるみたいだけども(>269,>245)
269-280の途切れ方が さる→解除 なら毎時0分というのも?

とりあえず10レス程度行くときは要支援てことで。

309 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 00:16:14 ID:MhsMHofw
>>302
おけ。把握した。
これからは遠慮なく支援する。
この板の法則が分からなくてちょっと悩んでたのさ。
ありがとう、通りすがりの親切なひと!

310 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 00:21:11 ID:X2kJJfFv
ちょっとトーマス卿に質問。ライC卿のクロスものはそのまま一緒に保管するんですか?

311 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 00:37:35 ID:X2kJJfFv
まだですか?
さっきからずっと待ってるんですけど

312 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 00:46:52 ID:QVpRo1E2
たかが16分でwww
小さい奴。死ね

313 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 00:53:48 ID:jt/1Nr/w
>>310
あえてマジレスしてやろう。
特区に寝てると思われる。以前に体調を崩されてから夜がかなり早くなっているのだ。
急ぎならメールでもしたら?
>>312
気持ちはわからんでもないがその発言はヤバいぞ結構本気で

314 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 01:08:01 ID:X2kJJfFv
みんなにも知ってもらいたかったのでここでききました
クロスものをどうするかって結構重要な問題ですよね。トーマスさんはどうするつもりなのかと
メールじゃ意味ないんです。

トーマスさん子供じゃあるまいし体調管理ぐらいちゃんとしてください
管理に没頭したから体壊した?だから早く寝る?理由になってませんね
ただでさえ最近叩かれ嫌われまくってるのにやる気あるんですか?

315 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 01:12:41 ID:ygI4yQMg
>314
マジレスすると、ここに投下された作品以外は収集する必要はないし、しちゃダメ。
どうするも何も、他に適したスレがあって向こうに投下する以上、こちらとは無関係です。

316 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 01:15:13 ID:mktnjytq
>>314
管理に没頭したからなんて誰が言った?
憶測で語るのはやめとけ


317 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 01:34:57 ID:X2kJJfFv
このまま待っててもしょうがないので、体調管理その他に対する指導や管理にたいする姿勢
あとクロスものの取り扱いをどうするのかということをここでちゃんと言えってメール送っときました

318 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 01:45:42 ID:CnCpnXcb
すごいゆとりがいたものだ

319 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 01:58:54 ID:m9I8dyp2
たまに出るよね。トーマス嫌いな人

320 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 02:22:04 ID:QAEvw78w
残念な人が出るのは仕方ないよ

321 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 04:37:14 ID:QXVxF/1m
だから、あほの子はスルーせいと…

322 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 08:57:30 ID:jxfAy/wM
無償で作品発表・保管してくれるような人もいれば
自分でそうだと理解できない精神病・人格障害者も
普通に書き込んでいるんだろうからスルーするしかないよね
つい言われた側が不憫でフォローしたくなっちゃうけどさ

でも移転後初めてここに来たけど、まだまだギアスやロスカラ好きな人は
こんなにいるんだなって安心したよ

323 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 09:47:47 ID:QXVxF/1m
何気にこの板の中でものびがいい方みたいだしね。
移転前後はどうなることかと思ってビクビクしてたけど、職人さんたちが続々投下を始めてくれたので一安心した。

324 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 11:18:26 ID:ygI4yQMg
移転投票、あんなに数行くと思わなかったからなあ。
正直、寂しい人口調査になるんだろうなと思ってたけど、
人がいるのが確認できて、逆に良い効果になったのかもしれない

325 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 11:48:54 ID:o2j/K6I8
>>322
ついでに言うと無償どころかトーマス卿は自分でお金を払って保管庫を維持しているからな。

あーなんだ、みんなとりあえず流れを戻さないか?

326 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 12:03:05 ID:OAM/bTe4
流れを戻すために投下していいですか?
支援は要らないと思いますけど…

327 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 12:10:29 ID:o2j/K6I8
>>326
もちろんですぜ!

328 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 12:12:50 ID:OAM/bTe4
では、投下します。

タイトル「思いの後に… 第2話 ツノルオモイ」
カップリング ライ←ニーナ
ジャンル 昼ドラ

えーと、今回は残酷なシーンはありませんけど、ニーナ嫌いな人はスルーよろしくです。


329 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/11(木) 12:13:58 ID:OAM/bTe4
私は、小さい頃から迫害を受けてきた。
根暗な眼鏡猿、陰険女…。
ありとあらゆる陰険な言葉と暴力が私に降りかかってきた。
そう、いつもいじめられる日々。
でも、私にはそれを払う力も勇気も何もなかった。
ただ泣き寝入りするだけ…。
だから、死んでしまおうかと思ったことも一度や二度ではない。
現に私の手首には、消えかかっているが傷跡がいくつか残っている。
そして、運がいいのか悪いのか判らないが、その度に私は死ねなかった。
もう、諦めと惨めな自分に自我を失いかけた時、そんな私にも手を差し伸べてくれた人がいた。
それがミレイちゃん。
彼女はいじめられていた私を庇い、私を守り、勇気づけてくれた。
生きている事のすばらしさを教えてくれた。
そして、こんな愚図でどうしょうもない私を親友と呼んでくれた。
すごくうれしかった。
こんな私にも親友が出来たんだという喜びは、最高の幸せのハズだった。
でも…いつからだろうか。
そんな大切なはずの親友が暇しく感じ始めたのは…。
もしかしたら、それはずっと前から私の心の奥底で燻り続けていたのかもしれない。
そしてよりそのイライラが大きく燃え盛ったのは、恋をするようになってからではないだろうか。
でも、私は後悔していない。
だってライさんは、ミレイちゃんより大切な私の王子様なのだから…。

●思いの後に… 第2話 ツノルオモイ



330 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/11(木) 12:16:57 ID:OAM/bTe4

ぐらりと世界が逆転しかける。
あ…危ないかも…。
そんな事が頭に浮かぶものの、身体はとっさに反応しない。
私、運動神経ないからなぁとか思ってしまう。
その間にも身体は傾き、階段の上から転がり落ちそうになっている。
普段ならそのまま転げ落ち、怪我の1つや2つは負ったかもしれない。
でも、今日は違っていた。
その瞬間、私はぐいっと反対方向に引き寄せられたのだから。
「あっ…」
短い悲鳴が口から漏れた。
そして、引っ張られた勢いのまま、助けてくれた相手の方に倒れそうになる。
でも、助けてくれた相手は、そんな私をやさしく受け止めてくれた。
私はただ訳がわからず、落ちなくて済んだ安堵と恐怖に駆られた反動で引き寄せられた相手に無意識のうちに抱きついていた。
「大丈夫だった?」
そう聞きながら私を上から覗き込むように見ているのは、やさしい瞳と銀髪を持つ男の子。
ミレイちゃんが拾ってきた少年で、男の子の中で唯一の警戒なく話せる人。
ライさん…。
その表情には安堵の色が伺えた。
相手がライさんとわかり、あれほど高速回転をしていた思考が一気に止まって私は真っ赤になって言葉を発する事も出来ない。
いくら警戒なく話せるとはいえ、いきなりでは心の準備が…。
それを離れて欲しいと勘違いしたのだろう。
彼は私から後ろに下がろうとした。
それはやさしくいたわる様な動作だった。
普段の私なら、それに合わせて慌てて離れていただろう。
だけど、このときの私は反対にぎゅっと抱きついた。
男の子に抱きつくなんて今までの私では考えられないことだ。
でも、今の私はこの瞬間を終わりにしたくなかった。
少しでも長く彼の胸の中にいたかった。
だから、無言で彼の胸の中に顔を埋めて気がつかない振りをする。
そんな私の予想外の行動に最初は驚いたようだったが、彼は優しい笑顔に戻るとゆっくりとやさしく私を抱きしめ返してくれた。
心のドキドキが止まらないくせに…ああ、なんて落ち着くんだろう。
こんなに落ち着くのは、小さいころに虐められていたところをミレイちゃんに助けてもらって、抱きしめられて以来かもしれない。
やっぱり…ライさんは私の王子様なのかな…。
いや…そうであって欲しい…。
こんなに安らぎをくれる男の子は彼だけだもの。
私には…彼が必要…なのかな。
心の奥底で願いは…少しずつ…そして確実に欲望へと変わっていく。

331 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/11(木) 12:19:06 ID:OAM/bTe4
本人が気付かないままに…。
そして、幸福の時間はあっという間に過ぎていき、予鈴の音が私を現実へと引き戻す。
「ご、ごめんなさい…。それと…あ、ありがとう」
慌てて彼から離れるとうつむいてたどたどしく御礼を言う。
どんな顔をして彼を見たらいいのかわからないのでそういう行動をするしかなかった。
きっと、変な娘だと思われたかもしれない。
でも、恥ずかしい…。
それに彼の顔を見れない…。
どんな顔をして彼を見たらいいのだろう…。
わかんない…わかんないよ。
だけど、私の混乱を察したのかそんな私の態度にも彼はやさしく慰めてくれる。
「ああ、気にしないで。今度は気をつけてね」
そう言うとやさしく私の頭を撫でてくれる。
私は、一瞬ドキリとしたもののそのまま赤面してうっとりと彼の行為を受け入れた。
自然とまるでそうなる事が当たり前のように…。
そういえば、ミレイちゃんも私を落ち着かせる時によく撫でてくれたっけ…。
ふと、親友である彼女の笑顔が浮かぶ。
でも同じ様に撫でられているのに感じるものがまるで違う。
ミレイちゃんのは、安心を…。
彼のは、幸せを感じる…。
なぜなんだろう。
私はその疑問の答えがわからないでいた。
でも…それでもいいかな。
だって…すごく幸せだもの。
そして、私は願う。
このまま時が止まればいいのに…と。
だけど、それは無理な願い。
彼の撫でる手の動きが止まる。
「あ…そういや授業行かないとね。じゃあ、またね」
彼はにこりと微笑んで立ち去っていった。
だけど、私はその場に立ち尽くし、授業の開始のチャイムが過ぎても余韻に浸っていた。



332 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/11(木) 12:20:06 ID:OAM/bTe4

あぶないっ…。
僕は夢中で手を伸ばしてニーナの手をつかむと引き寄せた。
多分力が入りすぎていたのだろう。
呆気ないほどニーナの身体の倒れる方向はこちら側に変わったが、勢いが強すぎて僕の胸の中に飛び込む形となっていた。
彼女の身体が倒れこんでくるのを出来るだけやさしく受け止める。
「大丈夫だった?」
受け止めた後、そう声をかけたものの、ニーナは真っ赤になって慌てふためいているだけだ。
あ…不味いかも…。
初日の騒動が頭をよぎる。
だから慌てて彼女から離れようとした…が、出来なかった。
なぜなら、安堵の為か、あるいは恐怖の為だろうか、彼女はしっかりと僕にしがみ付いていたのだから。
僕の胸の中に顔を埋めてるニーナ。
その華奢で小さな身体。
清潔そうな石鹸の臭いとハーブだろうか感じのいい匂い、それに微かに漂う彼女の体臭にくらくらしそうになる。
そして、まるで誘われるかのように僕は彼女を優しく抱きしめていた。
心臓がバクバクと破裂するかのように激しく躍動しているのがわかる。
多分、顔は真っ赤になっているだろう。
女性に抱きつかれるという行為がこれほど興奮するとは思わなかった。
ああ…やばいよ…これ…。
なんとか理性を総動員して、欲望を押さえ込む。
ある意味、蛇の生殺し的な苦痛を感じながら幸せを感じてしまう瞬間ではなかろうか。
そしてどれくらい時間がたったのだろう。
とても長いようで短かったようなその時間は、授業の予鈴のチャイムで破られた。
ニーナは、チャイムと同時に僕からゆっくりと離れる。
「ご、ごめんなさい…。それと…あ、ありがとう」
うつむいたまま彼女はそう言った。

333 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/11(木) 12:20:55 ID:OAM/bTe4
多分、恥ずかしいんだろう。
僕はそう解釈する。
些細なことでも真っ赤になり恥ずかしがる彼女のことだ。
勢いとはいえ、男に抱きついてしまったという行為は、彼女の中ではとてつもなく恥ずかしい事ではないだろうか。
でも、そういうところがかわいいと思ってしまう。
初々しいっていうのかな。
でも、このままだときっと落ち込んだりするかもしれない。
だから、やさしく声をかけた。
「ああ、気にしないで。今度は気をつけてね」
そして、無意識のうちにニーナの頭を撫でていた。
そう、まるでそうすることが自然だというかのように。
もしかしたら、僕の忘れた記憶に関係あるのかもしれない。
また、彼女も恥ずかしそうではあるが、目を細めてうっとりと行為を受け止めている。
普段はすごく地味で、他の生徒会の女性に比べて目立たないものの、ニーナの時折見せる表情はとても可愛いと思う。
それにおしゃれをすればもっと綺麗に可愛くなるのではないだろうか。
今の彼女を見てそう思ってしまう。
これはこれで役得かな…。
だがずっと撫で続けておくわけにはいかない。
ちょっと残念とは思うものの、手を止めると笑顔で別れを告げた。
「あ…そういや授業行かないとね。じゃあ、またね」
だって、ニーナを僕の為にサボらせるわけにはいかないしね。
だから、僕は笑顔でその場を離れたのだった。

そして、二人は気付いていなかったが、その二人の事を影から見つめていた人影があった。
その人影は一部始終を見た後、その場を立ち去っていった。
その後姿からは、まるでどうしていいのかわからないかのように無言のまま感情を押し殺しているように見えた。


334 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 12:24:23 ID:OAM/bTe4
以上でおわりです。

しかし、ここの板の加減がわからず、何スレになるか予想つかないな…。
もっとも、支援必要なほど長いのを書けるとは思いませんけど…www

さて…お話ですが、後1〜2話はデレメインの予定です。
その後は…あはははは…。
ご想像ください。
では〜♪

335 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 12:39:34 ID:oHkfehnP
あしっど・れいん卿乙です!

まだこの時点では平和というか微笑ましいのに、
あんな惨劇に繋がるなんて……
どんな結末になるのか、気になります。

336 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 13:56:32 ID:f84glM/4
あしっど・れいん卿GJでした!
取り合えずジャンルの昼ドラに突っ込んでもよろしいでしょうか?
なんだかnice.boatな展開になりそうで怖いです。
そうならなくても、ハッピー?なラストは無さそうですね。
若干ビビりながらも、全力で次回の投下をお待ちしています。

337 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 14:48:40 ID:z/hiv/Jt
314は頭がかわいそうな方のようですね。

体調管理くらいしっかりしろ、とか言いつつその体調管理のために早く寝るようにされてることに関して文句を言うなんて頭悪いにもほどがあるな。

そもそも保管作業なんてスレがdat落ちしないうちに完了しさえすればそれで十分だと思うけどな。

もう314は死んでいいよ。

338 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 14:53:20 ID:o48iYdd3
>>334
あしっど・れいん卿、GJでした!
思わずニヤニヤしそうなほどにうぶな二人、いいねぇ。
しかし、このままでは終わらなさそうな昼ドラクオリティ!
人影は誰か、流れ的にはあの人でしょうけど……どうなんだろう?
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

339 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 15:12:42 ID:MMpJFgh2
あしっど・れいん卿、GJでした!
ピュアなようでいて暗い感情を溜め込んでるニーナがちょっと怖い。
次回デレだとしても、きっとゾクゾクしながら読んでしまいそうです。

340 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 15:14:54 ID:MMpJFgh2
ついでに。
>>337、構いなさんなと言うのに。
毎回同じ口調で同じこと言ってる人だよ、アレ。
NGワード出して、己を落としてまで相手する値打ちは無い。
そんな事してると同類どころかマッチポンプ系に見えかねんよ?やめとき。

341 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 15:43:00 ID:UQMWXmEs
>>337
以前別板で粘着アンチに遭っていた(一応SS書き)俺の対処方法教えておく。
つアンチの存在自体を無かった事にする
こう言う手合いは発言の矛盾点指摘しても、言い訳してるって取って叩きの材料にするから。

……今は連載2本抱えてるから無理だが、どっちか終わらせたら騎士団カレンEND後で連載書こうと思ってます。

342 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 16:09:47 ID:X7WFHVib
なんかネタちょーだい↓

343 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 16:27:24 ID:wlBDMX7K
つネタ

344 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 16:28:17 ID:wlBDMX7K
冗談です。すいません。

345 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 16:32:00 ID:o48iYdd3
マジ○ガーとかゲッ○ーに憧れる黒の騎士団の面々、それを理解出来ないライに魅力をとことん語り尽くす。
その話がゼロにも伝わり、僕の考えたナイトメアフレーム・コンテスト開催
一位になったらラクシャータが作ってくれる。

まで考えたけど続きが思い付かなかったネタをあげます。

346 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 16:39:05 ID:X7WFHVib
>>342
「ネタ」ネタなら一回やった事があるので棄却します

>>345
むーん。マジ○ガーとかゲッ○ーとかよく分かんないや。
あと「ぼくのかんがえたすごいないとめあbyルルーシュ」的なネタも一回やった事があるから棄却します


347 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 16:49:39 ID:X7WFHVib
ネタって書いたから不味かったかな。普通にリクエストって書けばよかった

348 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 17:07:50 ID:MMpJFgh2
これこれ、冗談でも乗ってくれた人相手に棄却って言い草があるかいなwww

349 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 17:22:25 ID:X7WFHVib
だって実現性が低いんだもの……
まあいいや、他のスレ行ってくる。お騒がせしました

350 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 17:27:23 ID:OAM/bTe4
「ふっ…先頭はカレン。君だっ。任せたぞっ」
「はいっ。ゼロ、任せてくださいっ。日本が生んだスーパーロボットの伝統と思いをこの合体でブリタニアに見せつけてやりますっ」
「よく言ってくれたっ。では、行くぞっ。玉城っ遅れるなよっ」
「うるせぅんだよ。俺を誰だと思ってやがる。戦争前は、スパロボ博士といわれた男だぜっ」
「いい返事だ、玉城っ」
「ではっ…いきますっ。いい?」
「「おう」」
「ちぇぇぇぇーーーーーんじぃっっっっ…げぇっ○ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…わんっ。すいっちおーーーんっ」
その掛け声と共に信じられない変形をしていく紅蓮滑空式と蜃気楼…。
そしてお情け程度の変形をする玉城無頼。
次々と合体していき…そこには、巨大なナイトメアの姿があった。
「見たかっ、ブリタニアっ…。これが超絶スーパーロボット的ナイトメア侍魂だっ…」
カレンの操縦で見事な動きを見せる侍魂。
「攻撃するわよっ…。玉城っ…精神コマンド「必中」」
「わかってるよぉ…。うりゃぁ…」



こんな感じでしょうか?



351 :創る名無しに見る名無し:2008/12/11(木) 17:33:08 ID:o48iYdd3
>>350
うん、そんなかんじ
……というか必中ってスパ○ボwww

352 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 00:01:24 ID:mRWVSFng
ここはSS投稿スレだからネタちょうだいとかリクエストとかはやめてもらいたいと思うのは俺だけかな?

353 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 00:33:10 ID:YmrGdnXk
この流れで、スパロボネタわかんねーよとは思ったけども。
SSスレだからというのはよくわからない言い分だな。>352

354 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:11:17 ID:okhhXYme

創作発表板の方々初めまして。RCといいます。スレ住人の皆様方、大変久しぶりです。
ギャルゲー板で僕が書いていたSS、Return Colors の10話目を投下させていただきます。

作者名 RC
タイトル Return Colors
カップリング 現在のところなし
ジャンル シリアス

注意事項

このSSはギアス編の続きとなっています。
本編に出てこない地名や設定は捏造だらけです。
人物も本編に近づけるように書いていますが齟齬は当然あります。
本編での極端に描写が少ない人物はオリキャラのように改変しています。
主人公はライです。

355 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:19:13 ID:okhhXYme
Return Colors 十話 〜魔王の目覚め〜



 ライの乗るナイトメアのモニターに、見慣れた白い機体が映し出されている。“白き死神”
の異名を持つ第七世代KMFランスロットだ。背後に映る景色は無惨な破壊の跡を残して
いる廃墟だ。
 静と動が入り交じるランスロットの猛攻に、ライは頭脳を超高速に稼働させると同時に、
巧みな動作で操縦桿を動かして対応する。白騎士は乗っている本人らしく、時折予測を超
えた動きをしてくるが、それでも慌てず迅速かつ、確実にライは己の機体を操作してラン
スロットと渡り合う。
 そして、数十回の交錯の後、ライの機体のMVSがランスロットのコクピットブロック
を突きつけたところで、モニターにMission Completionの文字が赤く表示される。
「これで百戦中三十四勝三十三敗三十三分け、か」
 機動キーを外し、メモリーチップを取り出し、ライはコクピットより出る。外はナイト
メアのモニターに表示されていた廃墟ではなく、薄暗く広い格納庫だ。
 ライの乗っているKMFの隣にはロールアウト直後のゼロ専用機である蜃気楼、藤堂が乗
る予定の斬月が並んであり、若干離れた場所では黒の騎士団の次世代量産型である暁が数
機並べてある。
 機体から降り、ライは斬月の元へ向かう。
「ラクシャータさん。模擬戦のデータです」
 斬月についている褐色の女性へ、メモリーチップを渡す。受け取った女性、黒の騎士団
技術開発主任ラクシャータ・チャウラーは妖艶に微笑む。
「ありがと〜。で、最後の戦闘はどうだった?」
「いつもと同じでぎりぎりでしたけれど勝てましたよ」
「それはよかったわ〜。でも結局百戦して勝ち負け引き分けが殆ど同一っていうのもね〜」
「悔しいですけれどそれだけスザクやランスロットが凄いって事でしょう。
でもそれと同等に戦える機体を作れるラクシャータさんも凄いですよ」
「当然〜。あのプリン伯爵に作れて、アタシにできないはずはないからね」
 言って、ラクシャータはライの背後にあるKMFを見やる。残月や暁とは全く外装が違う、
蒼と銀色に包まれた機体。
 この機体こそ、ライがラクシャータに何度も頼み込んで作ってもらったライ専用のKMFだ。
「最終的な微調整はこっちが終わってからやっておくわ。それよりもアンタはエリア11
へ帰る準備でもしたほうがいいんじゃない?」
「そうですね。それじゃあお言葉に甘えて上がらせて貰います」
 一礼してライは格納庫のエレベーターで上へ上がる。エレベーターを降り、外に出ると
晴天に輝く太陽の光が眩しい。
 すれ違う褐色の肌を持つ軍人達。ライが客分であることを知らないのか、敵意に近い視
線を向けてくる。
 中華連邦インド軍区――。皇歴2018年10月、黒の騎士団臨時総司令であるライ・
ランペルージは日本ではなく、ここにいた。
 数ヶ月前に起こったアジト襲撃よりカラレスのイレブン弾圧、犯行組織の壊滅はさらに
苛烈となった。襲撃により一気に数を減らした黒の騎士団は組織を抜ける者達が続出。ラ
イも賢明に組織の立て直しを図っていたが、結果的にそれを止めることはできなかった。

356 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:21:07 ID:okhhXYme
 もはや現在の黒の騎士団は風前の灯火。ゼロという火種を取り入れなければ瞬く間に消
えてしまう状況となっていた。
ゼロを取り戻すこと、同時にライは黒の騎士団の復興にも知恵を絞っていた。ゼロ奪還
後の幹部である藤堂達の奪還、ナイトメアの補充、新たな人員確保などなど。
しかしそんな中、無理がたたったのか一度だけとは言えライは倒れてしまった。原因は
働き過ぎによる過労だ。
大した症状もなくすぐに復帰できたライだったが、CCやカレンから中華連邦へ行ってく
るよう言われた。
理由は二つある。一つはライの体調を万全にすることだ。騎士団に加わってからのライ
は組織の立て直しのため、以前とは比べものにならないほど、それこそ昼夜を問わず働い
ていた。いかにライに体力が常人離れしているとは言え限界はある。また悲惨な状況下で
ライの強靱な神経も大きく削られてもいた。
さらに騎士団復帰後に得た傷や以前スザクより受けた傷は完治していなかったのだ。リ
フレインの一件で左腕の負傷が発見され、騎士団の医療班に診てはもらったが、十分な薬
品や施設もないゲットーでの治療。想像以上に深かったその傷は当然、完治はしなかった。
ゼロのように指揮に特化しているならともかく、KMFの戦力としてもライは含まれてい
る。愛機である月下が無くなったとはいえKMFで出撃しなくなったわけではない。第四
世代のKMFに乗っても並の戦闘員の数倍は働ける。しかし傷が治りきっていない状態で
は当然万全な実力など出せるはずもない。
『ヒビの入った盾なら、無いほうがまだマシだ』
『焦る気持ちはわかるけど、今は体を大事にして。ゼロが戻ってきてもあなたがそんな状
態じゃあ、満足な力になれないわ』
多少の躊躇いはあったものの、ライは二人の言うとおり中華連邦へ渡った。二人の言う
ことに従ったのは、二人の説得とは別に騎士団はライがいなくとも幹部であるCC達でまと
められるほど小さくなっていたという複雑な事情もあったからだ。
中華連邦に亡命していた神楽耶やディートハルトと合流した後、傷を癒しながらライは
もう一つの理由、黒の騎士団の新たなKMFの開発に協力していた。
ライが中華連邦に渡ったときにはカレンか卜部あたりの指示だろうか、ラクシャータは
騎士団の次世代KMFの開発に着手していた。
だがいかなラクシャータといえども順調だったわけではない。幹部が乗る機体には輻射
波動を搭載した様々な機能を追加することを考えていたし、以前ブリタニアより奪取した
ガウェインに搭載されていたシステムを流用しようとする機体もあった。
そのため開発は困難を極めたがラクシャータの卓越した頭脳と、ライが騎士団合流時に
渡したブリタニア本国で収集したデータを使い、一応の完成を見た。
だが最大の問題点が残っていた。試験パイロットがいないことである。新たに開発した
機体全てが第七世代に相当するものばかり。ラクシャータはもちろん、ディートハルトら
が乗れるはずもない。
そんなとき、騎士団内でカレンと同等の腕を持つライへディートハルトら試験パイロッ
トの協力を願い出た。ライは自分専用の機体を作ることを条件にそれを承諾。
 日本では騎士団の再建とゼロ奪還作戦に力を注ぎ、中華連邦ではブリタニアの動向、E
Uとの戦争を調べ、ラクシャータの開発した新型ナイトメアのテストパイロットを務める
生活を送っていた。一ヶ月交替で両国の移動を繰り返していたが、ブリタニアの脱走兵で
あるライが一般の客船を使用できるはずもなく、以前ブリタニアからエリア12、日本へ
渡った時に使用した密航ルートを使っての移動であった。

357 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:23:42 ID:okhhXYme
 長い長い雌伏の時だった。だがそのおかげで最大の問題点の一つである戦力の補充は半
分はクリアされた。後は藤堂達幹部と新たな騎士団員を確保すれば完全にクリアだ。
――そしてそれには、ゼロの復活が不可欠だ
 ブリタニアに監視されているゼロ――ルルーシュ・ランペルージを取り戻す起死回生の
一手。飛燕四号作戦。それをついに行う時が来たのだ。
 用意された部屋に戻り、軽く汗を流し着替えると、デスクに置かれたパソコンの上に腰
を下ろす。
 操作してしばらくすると、ノイズのみが表示されていたモニターに人の姿が映る。
『ライ様』
「こんにちは、咲世子さん」
 かつてのナナリーのお世話係――今は黒の騎士団諜報部に所属している篠崎咲世子へラ
イは笑いかける。
『どうなさったのですか』
「予定していたゼロ奪還作戦のため日本に戻るから、その前に神楽耶様に挨拶をしておこ
うと思いましてね」
『申し訳御座いません。神楽耶様は今、朱禁城へお出かけになられています』
「と、いうことは天子と会っていると」
 申し訳なさそうに頷く咲世子。ライは微笑を深める。
 自称ゼロの妻であり京都六家最後の生き残り、皇コンツェルンの若き令嬢には中華連邦
に来てから色々と世話をかけていた。改めて感謝の言葉とゼロへの伝言はないかと思い、
通信をしたのだが――いないのであれば、しょうがない。
「わかりました。それでは戻り次第、よろしくお伝えください。僕は予定通り日本へ戻り
飛燕四号作戦を実行します」
 「わかりました」と頭を下げる咲世子。しかしすぐに面を上げて、
『ライ様、ゼロを必ず取り戻してください』
 凛とした表情で言う。ライも微笑みを消し、
「わかっています。必ずゼロは奪還し――日本をこの手に取り戻します」
 その言葉を聞き、咲世子が微笑を浮かべる。ライも再び頬を緩め、パソコンの通信スイ
ッチを落とす。
 座り心地の良い椅子から立ち上がり、少ない手荷物をまとめ終える。そうして再び椅子に腰を下ろす。
 右手で右目を覆う。掌が作り出した闇の中に、ライは掛け替えのない友ルルーシュとそ
の妹であるナナリーを見る。
「待っていてくれ二人とも。必ずまた君たちを会わせるから。そして――」
――君たちの幸せは、僕が守ってみせる



 晴れ渡った青空を大小さまざまな形をした雲が行き交う。その間を広報宣伝の名目で借
りた飛行船が飛んでいる。
「そろそろ見えてくる頃か」
 操縦席でCCは呟き操縦桿を軽く握る。遠く目の前に見える雲から船体の進路は外れ、
CC達黒の騎士団が乗っている飛行船は進む。
 飛燕四号作戦。ルルーシュを取り戻す作戦が、ついに行われようとしている。

358 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:25:44 ID:okhhXYme
「CC。後どのぐらいで到着する」
 声をかけてきたのは卜部だ。普段からいかめしい顔をしているが、今日はさらにいかめ
しさが増している。
「予定ではあと五分ほどかな。そちらの準備は終わったのか」
「ああ。……そうか、あと五分か」
 表情を硬くする卜部。CCはふっと微笑み、軽い声で言う。
「どうした、緊張しているのか」
「しないはずがないだろう。この作戦が失敗すれば事実上黒の騎士団は潰えてしまう。
藤堂中佐や扇服司令達を助ける手だても無くなってしまう。
CC、お前こそゼロが心配じゃないのか」
「ゼロは、今普通の学生として生活している。まぁ何らかの目的があってブリタニアに泳
がされているのだろうが、とにかく無事だ。だから余り心配はしていないな」
 そう言うと卜部は眉を僅かにだが不機嫌そうにひそめる。その様を見て、CCは内心で
小さく吐息。
――やれやれ。ライもそうだが冗談が通じない男だな
 CCとしては軽いジョークのつもりなのだが、どうも幹部二人――いやカレンも含めて
三人――には不評のようだ。少しは作戦の緊張が紛れると思って気を遣っているというのに。
 仕方なく、CCはフォローの言葉を放つ。
「そう気分を悪くするな。私とて離ればなれより奴が側にいたほうがいい。だからお前達
に協力しているんだ。
さて、そろそろ政庁から通信が入る頃だな。いつでも作戦が開始できるようにしておけ」
 卜部は僅かに不機嫌だった表情を和らげて、飛行船後部に造られた格納庫へ向かう。数
分後、政庁よりこちらへの問いかけがあり、名目通りの目的を告げるとあっさり飛行許可
が降りる。
 そして見えてくるトウキョウ租界。その外縁部、シンジュクゲットー再開発地区に立て
られた巨大な塔。
 バベルタワー。ブラック・リベリオン後に建てられた百回以上の高さを持つ高層ビル。
未完成な下層地域と、上層部にはブリタニア人専用のカジノがあることで有名だ。
 今、あそこには目標であるゼロ、ルルーシュと偽りの弟ロロ。さらにルルーシュを連れ
出してくる役のカレン、ライの二人がいる。
――さて、上手くいくかな
 ライは五割の確率で成功すると言っていたが、CCは彼の立てた作戦が最良の手だと思っ
ている。
 作戦通りなら問題はないだろう。だが、何事にもトラブルはつきもの。特にルルーシュ
を監視している偽物の弟が唯一の気がかりだ。
「まぁ、それについては現場に任せるとしよう」
 


「チェックメイト」
 優雅で容赦ない手で黒のキングを追いつめるルルーシュ。一通りチェスをしたものが盤
面を見ればどう見ても黒のキングに勝ち目がないことがわかる。
「バ、バカな…」

359 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:26:03 ID:hPgInNf7
支援

360 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:26:13 ID:WP5Nfbr2


361 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:26:34 ID:hPgInNf7
支援

362 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:27:05 ID:hPgInNf7
支援

363 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:27:33 ID:okhhXYme
 黒のキングが呻き、興味本位の観客達が驚きの声を漏らす中、遠目でその対局を見てい
たライは小さく微笑む。
――さすがだ。ルルーシュ
 グラスの載った盆を片手に持っているその姿は普段とは違った姿だ。瞳はコンタクトを
入れて赤色に、髪も同じ赤色のカツラを被っている。ブリタニア軍からの脱走兵という立
場を考えて変装しているのだ。
 カレンと共にルルーシュがよく来るここ、バベルタワーのカジノで彼の到着を待ってい
たときだった。グラスを運んでいたカレンとやってきたルルーシュがぶつかったのだ。
 二人のやり取りの後、カレンに目を付けた黒のキングをルルーシュがかばい、こうして
対局で決着を付けるという流れになったのだ。
 それにしてもマフィア相手に喧嘩を売るなど。ゼロや皇子としての記憶を失っているに
も関わらずカレンが口にしたイレブン達の一般論にも不愉快そうな表情を見せていた。
 ルルーシュが根本的な部分は変わっていないことを嬉しく思っていると、そのルルーシ
ュの驚いた声が響いてくる。
「イカサマ!?」
「いけない子だ。……拘束しろ」
 キングの合図でルルーシュに迫る取り巻き達。どうやら黒のキングは無理矢理負けた理
由を作りだろうとしているようだ。
「薄汚い大人が! …ぐあっ!!」
――まったくだ!
 押さえつけられたルルーシュを見て思わず動こうとするライ。その時、ポケットの中に
入っている通信機に卜部からの合図が入る。
――絶好のタイミングだな!
 そして起こる震動。驚き戸惑う客の中、その震動の意味を遅れて理解したカレンは今ま
でと入って違った動きを見せて黒のキングと取り巻き二人を蹴り飛ばす。
「来て、こっち!」
 震動が続き、人々が騒ぎ立てる中、カレンはルルーシュの手を強引に取って走り出す。
――よし、これでルルーシュは確保できた。あとは
「兄さん!」
 二人の後を追おうとする偽りの弟。その背後にライは回り込む。
――お前を捕縛するだけだ
 少年を捕らえるべく無防備な背へ手を伸ばしたときだ。視界の端に憤激の色を浮かべて
起きあがる黒のキングと取り巻きの姿を捉える。
「こ、このイレブンが――」
 カレンとルルーシュの方へ向けられる拳銃。ライは咄嗟に右手に持っていたスタンガン
を黒のキングめがけて投げつけ、すぐさまそちらへ疾走する。
「ぐあっ!」
 拳銃を握っていた手にライの投げつけたスタンガンは当たり、手を押さえてよろめく黒
のキング。ライはそれを見て動きを止めた取り巻きへ飛びかかる。
「ふっ!」
 水月を打ち、側頭部を蹴って昏倒させ、さらにライを見て驚いている黒のキングの顎を
蹴り上げる。
 気持ちの悪い呻き声を聞き流して、ライは再び少年を追う。新たな震動が響き、照明が
消える。人々のざわめきがさらに大きく響く。

364 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:28:09 ID:hPgInNf7
支援

365 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:28:40 ID:hPgInNf7
支援

366 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:29:05 ID:okhhXYme
「どけっ!」
 逃げまどう人々を強引に押しのけて進む。見えてくるカレンとルルーシュ、そして少年
の背中。だが――、
「!?」
「きゃあっ!?」
 何故かカレンがこちらに倒れてきていた。ライは驚くも、慌てて倒れそうになる彼女を
受け止める。
「カ、カレン!?」
「あ、ライ。…え、あれ??」
「ルルーシュは……!」
 顔を上げると、ルルーシュは偽りの弟に手を引かれて暗くなったカジノの奥へと走っていく。
「ま、待って……!」
 再び走り出そうとするカレンとライだが、真上の天井が崩れ落ち、足を止められてしまう。
「ルルーシュ!」
 煙を払いのけてライは叫ぶ。しかし返事は返ってこなかった。
「ライ……!」
「しかたがない。プランE−04に移行する」
「わかったわ!」
 愛機の元へ走っていくカレンを見送って、ライは心を落ち着かせる。すると脳裏にバベ
ルタワーの構造図が浮かび上がってくる。
 そしてそれは急速な勢いで細分化され、今いる階層のマップが浮かび上がる。
即座にルルーシュ達が無事に逃げる可能性のある場所を選別すると、ライはインカムで
飛行船に連絡とプランE−04の発動、そしてルルーシュと偽りの弟が逃げると予想される
地点へ回り込むよう指示する。
「CC。頼んだぞ」
『ああ、まかせておけ』
 通信を斬って、ライも走り出す。
――しかし……何故カレンはルルーシュと離れたんだ
 どう考えても不自然だ。少年とルルーシュ達の距離はそう離れていなかったが、瞬きも
しない刹那の時間でルルーシュと合流し、カレンを突き飛ばすなど、物理的に考えて不可能だ。
 まるで時を止めたような……と、そこまで考えて、ライは一つの答えに行き着く。
「……まさか、あの少年」
 確証はない。だが監視対象がルルーシュである以上、それと同質の能力を持ったものが
選ばれることは何ら不思議ではない。むしろ当然の判断だと言える。
「ギアス能力者なのか……」



 穏やかに、しかし緊迫した空気を漂わせながら高亥と神聖ブリタニア帝国植民エリア1
1総督カラレスは対峙している。
 二人がいるのはエリア11にある中華連邦総領事館。今そこでは会食も含めた会談が行
われている。

367 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:29:31 ID:WP5Nfbr2


368 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:30:12 ID:hPgInNf7
支援

369 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:31:11 ID:WP5Nfbr2


370 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:31:24 ID:okhhXYme
 回りくどい高亥の言い方にカラレスは苛ついているようにも見えるその様を、遠く離れ
た扉の前で星刻は見ている。
 天子と共に中華連邦を纏める大宦官直属の武官であり、エリア11総領事高亥の片腕。
それが黎星刻という男の立場だ。
 何を話しているかまでは聞こえてこないが、おそらくろくでもないことなのだろう。少
なくとも大宦官が天子や国のことを思っているとは微塵も思っていない。
――そう、少しでも思っているのであれば、あのような話に耳を傾けるものか……!
 ブリタニアと中華連邦の同盟。しかし問題は同盟の条件とその名の下に隠された密約。
 確定情報というわけではない、噂段階のものだがそれを聞いたとき、星刻は唖然となり、
次の瞬間憤激が身を包み込んだ。
 盟主である天子とブリタニア皇族との婚姻。さらに領土の割譲、不平等条約の締結。大
宦官がブリタニアの爵位を授かること。
 高亥の白面から視線を背け、星刻は外に目を向ける。視線の先に張るのは煙を噴いてい
る巨大な塔だ。
 カラレスの説明によるとテロリストが何やらやらかしていると言うことだが、それもす
ぐに鎮圧されると言うことだ。
 テロリストと訊いて星刻が真っ先に思い浮かんだのがゼロと黒の騎士団だ。
 ブリタニアの魔女の二つ名を持つ女傑、コーネリア・リ・ブリタニア率いる精強な軍と
対等に渡り合い、そして一年前には反ブリタニア勢力としては最大規模の反乱――ブラッ
ク・リベリオンを起こした者達。
 結果的に彼らは敗れ、幹部も捕まり、ゼロも死亡したという。それを訊いた星刻は惜し
いな、と思った。
 日本のことはもちろんゼロや黒の騎士団のことを思ってのことではない。中華連邦の立
場からすれば旧日本、エリア11がブリタニアから独立することは喜ばしいことなのだ。
 何せ中華連邦とエリア11は目と鼻の距離。ブリタニアの植民エリアが目前にあっては
中華連邦としてはブリタニアへの警戒を強める必要がある。
 もしゼロのブラック・リベリオンが成功していれば、ブリタニアへの警戒も大分緩み、
あのような話もなかっただろうに――と、そこまで考え、星刻は思考を打ち切る。
――終わったことを考えても無益なだけ。私にできることをやらなければ
 視界を高亥とカラレスに戻す星刻。そして再び鋭い眼差しを二人へ向けるのだった。



「ルルーシュ……どこにいるんだ」
 所々崩壊したバベルタワーの中、ライは疾走していた。端正と言われるその表情には強
い焦りの色が見える。
 騎士団がバベルタワーに突入して数十分。すでにタワー内の敵勢力はカレン達によって
ほぼ全て片付けられている。
 唯一の懸念は偽りの弟と、目標であるルルーシュを探すこと。タワー内のメインコント
ロールルームを掌握したライは生体反応がある階を一階一階探していたが、逃げ遅れたブ
リタニア人やイレブン、負傷した軍人など、どれもはずればかり。カレンからも見つかっ
ていないという連絡が入っている。
「時間がない……」
 さすがにこれほどの騒ぎになった以上、カラレスも動くだろう。だがライが怖いのはカ
ラレスではなくルルーシュを見つけられないことだ。

371 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:32:01 ID:hPgInNf7
支援

372 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:32:32 ID:hPgInNf7
支援

373 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:33:09 ID:okhhXYme
 おそらくカラレスは出口という出口にナイトメアを投入してくるだろう。だがそんなこ
とは想定済みで、それを考慮した上での脱出策はすでにライの頭の中にある。
 だがルルーシュを見つけ出さなければその策は実行できないどころか、巻き添えで殺し
てしまう可能性もある。騎士団の面々にも探させてはいるがいい報告が入ってこないこと
に痺れをきらしたライは、自ら探しに出かけていた。
 新たな生体反応のある階へ到達するライ。そこへ入ったライの視界に入ったのは他の階
同様破壊された内装と、周囲に散らばる瓦礫。イレブンやブリタニア人の死体。
そして金の角を持った半壊した無頼と、そのコクピットに立つ少女。そしてそれを見上
げる今の今まで探し求めていた少年。
 名を呼ぼうとしたその時だ。唐突に一発の銃声が鳴り響き、CCの体が揺れ、無頼のコク
ピットから落下する。
 慌てた様子でそれを受け止めるルルーシュ。
「CC! ルルーシュ!」
ライも咄嗟に二人の名前を呼びCCを受け止めたルルーシュへ駆け寄る。
「CC! 大丈夫か!?」
「君は……この子の知り合いか」
 呆然とした声で呼ばれ、顔を上げる。すぐ目の前に驚きと、僅かな警戒をにじませた表
情を浮かべる親友、ルルーシュ・ランペルージの姿があった。
――ルルーシュ! ようやく、ようやく会えた……!
 わき上がる喜び。しかしライはそれを抑えてすぐにCCを見る。左胸部からわき水のよう
にじわりと血が流れ出ている。
――心臓を打ち抜かれたのか!? こんな正確な射撃となれば…
 ライの高速思考をナイトメアの駆動音と無数の甲高い靴音が遮る。視線を向ければ一機
のサザーランドを囲むマシンガンを構えた一般兵とは違った服装姿の男達の姿がある。
「……ブリタニア軍!?」
 ルルーシュの問いかけに男達は応じず、何名かが周囲へ転がる死体へ向けて火炎放射器
を使用。
 紫色の炎が瞬く間に焼き尽くし、しかし苦痛の悲鳴が上がる。
――なっ!?
「お、おい。何を……やめろっ! まだ生きて……!」
 静止の言葉を放つルルーシュだが、返答は数発の銃声だった。聞こえていた声は途絶え、
目の前のブリタニア軍、ルルーシュとライ、そしてCC以外の生存者はいなくなる。
「お役目ご苦労。ルルーシュ・ランペルージ君」
 もったいぶった声と共にサザーランドのコクピットが開き、男が出てくる。服装から見
るにこの部隊を指揮している指揮官のようだ。
 だが、そこでライは奇妙に思う。目の前の部隊のことをライが知らなかったことをだ。
「役目!? 何の話だ!」
「私はずっと観察していたのだよ」
 傲慢な声と共に男は一つの手帳を開く、スケジュールらしきものを述べる。
「今日の…俺だ」
 男が言い終わったところで、隣のルルーシュが呆然と呟く。
「飼育日記と言うところかな。――餌の」
「餌…」
「罠と言ってもいい。その魔女を、CCを誘い出すための。――だが、予定外の獲物も、連
れてきてくれたようだが」

374 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:34:31 ID:WP5Nfbr2


375 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:34:35 ID:hPgInNf7
支援

376 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:35:09 ID:hPgInNf7
支援

377 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:36:35 ID:okhhXYme
 蔑んだ男の視線がルルーシュからライへと向けられる。男を見返し、再びその手帳を、
記されている紋章を見て、目の真似の男達が何者なのかを悟る。
――この男達、機密情報局の……!
 男達を把握していないことにライはようやく納得した。ブリタニア皇帝直属である彼ら
ならバベルタワーのメインコンピューターにデータがないのは当然。センサーにひっかか
らなかったのもおそらくセンサーを無効化する特殊な機材でも使用していたためだろう。
「まぁいい。共に消せばすむことだ。さて、これ以上餌につきあう義理はない。処分の時間だ」
「しょ、処分……ま、待ってくれ!」
 ルルーシュが必死に呼びかけるも男達は止まらず、銃口を向けてくる。
「――くそ、止む得ないか」
 愚かにも指揮官まで外に出てきている。ライのギアスで一気に殲滅できる絶好の場面だ。
 前に出ようとするライだが、誰かに服の裾を引っ張られる。
「待て、ライ」
「!? 君……」
「CC!?」
 目を開けたCCはゆっくりと起きあがり、ルルーシュへそっと口づける。
『ルルーシュの記憶に、私の記憶を流し込む』
 再会した直後、ライがどうやってルルーシュの記憶を取り戻すのかと訊ねたとき、CCは
そう答えた。
 どういう訳かルルーシュの記憶はギアスで封印されているらしく――誰が、どんな手段
で封印したのかは教えて貰えなかった――その封印を破るために唇による直接接触で記憶
を流し込むというのだ。
『以前カレンの記憶を取り戻すときにやったのと同じ事だ』
 そして今、その光景は目の前で起こっているということは。
 記憶を失っていた、ルルーシュは。
 長いようで短い魔女の口づけが終わると、ルルーシュは抱きかかえていたCCから手を離す。
「――ライ、CC。下がっていろ」
「あ、ああ」
 いわれるがまま、下がるライ。
「私を処分する前に、質問に答えて貰いたい」
 機情へゆっくりと歩み寄るルルーシュ。その後ろ姿はライの知っているルルーシュ・ラ
ンペルージのものではない。
「無力が悪だというのなら、力は正義なのか」
 発するその声もやはりルルーシュ・ランペルージのものではない。かつて黒の騎士団を
まとめていた男が放っていた威圧感が満ちた声だ。
「復讐は悪だろうか。友情は正義たり得るだろうか」
「悪も正義もない。餌にはただ死という事実が残るのみだ」
 嘲笑を浮かべる隊長の男。姿を見せたとき少し腹が立ったが、今では哀れみの感情しか
浮かんでこない。
 目の前にいるルルーシュが“彼”である以上、男達の運命は決まっている。

378 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:39:15 ID:okhhXYme
「そうか。ならば君たちにも、事実を残そう」
 王者の風格を漂わせて、尊大な態度で言うルルーシュ。いや、
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。貴様達は――死ね!」
 ゼロより発せられた命令。放たれた絶対遵守の言葉。
 同じギアス使いとして、彼の力が甦ったことをライは感じ取る。
「……イエス。ユア・ハイネス!」
 ギアスを受けた機情の男達はその絶対遵守の言葉通り、己の手で己の命を絶つ。
――甦った
「ルルーシュ……」
 ライが呼びかけたその時だ。突然天井が崩れ、姿を見せる月下と紅蓮。
 まるで王に従う臣下の如く、礼を取る。
――ゼロが
『お待ちしておりました、ゼロ様。どうか我らにご命令を』
――ルルーシュが。僕の友が
「いいだろう。なぜならば、私はゼロ。世界を壊し――」
――今、ここに甦った――!
「世界を創造する男だ!」
 初めて目の当たりにする人ならざる風格を備えた友の姿に、しかしライは違和感を感じ
ず、紅蓮、月下と同じように膝を折った。



 ブリタニア帝国首都ネオウェルズ。巨大で華やかな都市部より離れた郊外に、一つの屋
敷がある。
 その屋敷は並の貴族では持ち得ないほど大きい。庭も広く、小さな池に無数の花や植物
が生を謳歌している。周囲を囲む壁は煉瓦を何重に積み重ねられており入り口の門の格子
も鋼鉄製。壁同様非常に分厚い。
 また屋敷のあちこちには無数の警備システムが働いている。並の盗人ならば侵入するこ
とも難しく、入れたとしても屋敷までたどり着けはしないだろう。それこそ屋敷の主のよ
うな常軌を逸した能力を持つ騎士ならば話は別だろうが。
 そんな屋敷の執務室に一人の少年がいる。暗がりの部屋の中、彼――ブリタニア皇帝直
属ナイトオブラウンズ、ナイトオブゼブンの称号を持つ枢木スザクは表情を浮かべない顔
で縦横数十センチもある巨大テレビを見つめている。
 そこには数日前、エリア11に再び出現したテロリストの姿が映っている。
『日本人よ、私は帰ってきた!』
 両手を広げ大仰に己の存在をアピールする仮面の男。憎い敵の姿を再び見て、スザクの
眉が僅かにつり上がる。
 数日前、エリア11には大きな事件が三つ起きた。一つはブリタニア人専用宿泊場兼遊
技場バベルタワーの倒壊。エリア11総督カラレスの殺害。
 そして最後の一つが一年前、スザクの信愛すべき主、ユーフェミア・リ・ブリタニアを
殺し、ブラック・リベリオンを起こした最大級の犯罪者、ゼロの復活である。
『聞け、ブリタニアよ! 刮目せよ! 力を持つ全てのものよ。――私は、哀しい』
 舞台の役者のように細かな動作と、感情をたっぷり込めた声音で語るゼロ。普通の人が
見れば強烈な印象がつくような光景だが、スザクには大根役者が演じる三流の舞台のよう
にしか見えない。

379 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:42:33 ID:okhhXYme
『戦争と差別。振りかざされる強者の悪意。間違ったまま垂れ流される悲劇と喜劇。世界
は、何一つ変わっていない。
 だから、私は復活せねばならなかった! 強き者が弱きものを虐げ続ける限り、私は抗
い続ける!』
――ゼロが、甦った
 内心で呟き、スザクは腰をかけている椅子へ身を沈める。厚い布や綿で作られた椅子か
らは心地よい感触を覚える。が、耳障りなゼロの演説を聴きながらでは、気持ちが落ち着
くのはほんの一瞬だ。
『――そして私は、今ここに合衆国日本の建国を、再び宣言する!』
 スザクはゼロの“合衆国日本建国の再宣言”のあと、今のスザクの主に呼び出され、話
したときのことを思い返す。
『ゼロが、復活したそうだな』
 低く、重厚な声でそう言ったのは現在の覇王、神聖ブリタニア帝国第九十八代皇帝、シ
ャルル・ジ・ブリタニア。
 シャルルは、ゼロ復活についてスザクと共に召還された同僚、ナイトオブスリー、ジノ・
ヴァインベルグ、ナイトオブシックス、アーニャ・アールストレイムらに今回の件につい
て幾つか問い、そして最後にこう言ってきた。
『カラレスの後釜は予定通りナナリーを送る。枢木よ、お主は総督補佐としてローマイヤ
ーと共にナナリーを守り、支えよ。
 ヴァインベルグ、アールストレイムにはエリア11駐屯軍への全権を与える』
 返事を返し、頷く三人のラウンズへさらにシャルルは言葉を投げる。
『我が剣ナイトオブラウンズよ、もしゼロを捕らえたときはその処遇はお主達三人に任せる。
好きにするがよい』
『もちろんです陛下。ゼロについては誰にも譲るつもりはありません。ゼロを殺すのは、
自分です』
 即答したスザクをジノが驚くような目を向け、王座のシャルルは猛禽のような鋭い眼を
さらに細め、しかし何も言わずジノとアーニャに退席を促した後、
「……アーカーシャの剣」
 黄昏の光を浴びて輝く、神殿のような場所へ連れて行かれた。
 神を殺す武器。シャルルはそう呼んでいたが、どういう場所なのか、どういう意味なの
かまでは教えてはくれなかった。
 ただ、何となくあの場所はギアスに関わりのある場所ではないか――そう、直感で思っ
てはいる。
『そして私は、今ここに合衆国日本の建国を、再び宣言する!』
 再び聞こえるゼロの言葉。スザクは気持ちが高ぶってくるのを感じる。
 バベルタワーにて起きた出来事の詳細な情報はすでに目を通してある。敵の殲滅と逃走
ルートの確保、そして中華連邦への亡命。そのどれもが決して容易でないというのにあの
ゼロはあっさりと、しかも同時にやってのけた。こんな真似ができるのは――
「ルルーシュ、キミなのか。それとも……」
 スザクの脳裏に一人の男が浮かぶ。スザクらラウンズと同等の武力を有し、あのシュナ
イゼルすら一目置くほどの知力を持つ銀髪の青年。ルルーシュと同じ力――ギアスを持ち、
同じ性を持つかつての友人。ライ・ランペルージ。
 彼との最後の邂逅――獣の如き戦いを思い出し、スザクの手に力がこもった。


つづく


380 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 01:43:21 ID:WP5Nfbr2


381 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/12(金) 01:43:41 ID:okhhXYme

10話、終了です。前話より三ヶ月……待っていてくれた人には長い間待たせてしまいまして、申し訳ありません。支援をくださった方々、ありがとう御座います。
R2とライをどう絡めるか考えたり、本編の終わり方に色々と影響を受けたり、別の小説を考えたり書いたり。スレの方でも次々と新しいSSが投下されたり、板が移動したり……色々とあったようですね。
今回もタイトル通りの内容です。まぁ正直R2 1話の改変と9話からの騎士団事情についての説明でした。
11話はほぼ完成しており、今週中には投下する予定です。それでは、またお会いしましょう。


382 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 10:08:48 ID:oMr4KbyG
>>381
お久しぶりでした、RC卿、そしてGJでした!
ゼロの復活はやはり心躍りますね!
そしてロロについての見当、まだ具体的には分からないようですが。
最後のスザクはライと戦いたがってるようにも見え、憎んでいるようにも見え……どうなんだろう?
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!

383 :ライ×C万歳:2008/12/12(金) 13:34:20 ID:1rTTTLnf
こんにちは、ライ×C万歳です。
クロス物、昨日投下してきました。
この件で色々不快な思いをさせてしまった方もいらっしゃるようなので、深く謝罪します。

お詫びといっては変かもしれませんが、ライ×綾芽で新作が書けました。
しかし、また微エロが入ってるので、苦手な方にはお勧めできません。

投下して大丈夫でしょうか?そんなに長くは無いです。

384 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 13:40:44 ID:qDrxElZo
おk

385 :ライ×C万歳:2008/12/12(金) 13:44:37 ID:1rTTTLnf
では…

タイトル:ただ生きるために

カップリング:ライ×綾芽

備考:「チョコレート」の続き

386 :ライ×C万歳:2008/12/12(金) 13:47:08 ID:1rTTTLnf
ただ生きるために

ゼロ…ルルーシュの騎士団追放から一月が過ぎた。
ルルーシュはシャルルに続く第99代ブリタニア皇帝として神聖ブリタニア帝国に就任し、スザクとの共同作戦で超合衆国評議会を襲撃して神楽耶、天子達超合衆国要人を捕らえ、人質に取った。

そして明日、ルルーシュを皇帝と認めないシュナイゼルの軍と黒の騎士団の連合軍が、ルルーシュ率いるブリタニア軍と激突する。
戦力比はほぼ互角だが、超巨大移動要塞ダモクレスと、ブリタニアの首都、ペンドラゴンを一瞬で消滅させたフレイヤ弾頭を何発も保有している分、連合軍側の方が有利だ。
だが、ゼロから地位を継ぎ、黒の騎士団総帥となっていたライは、このフレイヤの使用を疑問に思っていた。

「確かにフレイヤがあればこちらが有利だ。けど…これが人間のやることなのか…?」

ライは斑鳩にある司令室のデスクに座り、正面のモニターに映っている消滅したペントラゴンの映像を見ていた。
人も、街も、何も残っていない。
あるのは巨大なクレーター唯一つ。
美しい街並みであったブリタニアの首都は完全に消滅していた。
それはフレイヤが何も残さず、完全に対象を消滅させる悪魔の兵器である事を示していた。

そして明日、自分達はその悪魔の兵器を頼り、戦争をしようとしている。
おそらく何千万もの命が失われる事になるだろう。
それは昔、自分が過ちで死なせた人々以上の数だ。

だがルルーシュをこのまま野放しにすると、もっと多くの命が失われる事になる。
明日の何千万人を取るか、未来の何億人を取るか、どちらか取らなければならないなら間違いなく前者だ。
だがそれが本当に正しい答えなのか、ライは回答を出せずにいた。

「本当に…これで良いのか?こんな…」

ライが頭を悩まされているとき、司令室のインターホンが室内に鳴り響いた。

「?、どうぞ。」

ライがそう言うと、自動ドアが開き、ライの恋人である双葉綾芽の姿が現れた。

「失礼します。」

綾芽はライに一礼すると、司令室に入出し、ライが座っているデスクの前まで歩いてきた。

「双葉さん…何か?」
「いえ…あの…特にそういったものは無いのですが、ただ…」


387 :ライ×C万歳:2008/12/12(金) 13:48:29 ID:1rTTTLnf
綾芽は頬を染め、ライを見た。

「その…私用で…」
「…今はその方が嬉しいかもしれない。」

ライはそう言ってデスクから立ち上がると、デスクの左脇まで歩く。
そして両腕を広げた。

「…!」

綾芽は嬉しそうな笑顔を見せると、ライの胸に飛び込み、ライは彼女を優しく抱きしめ、唇を重ね合わせた。


軽い愛情表現が終わった後、二人はソファーに隣同士で座り、コーヒーを飲んでいた。

「総帥…」
「何?」
「何か…またイライラしてますね。」
「…うん、今度はチョコレートじゃどうにもならないくらいね。」

ライは会話しながらコーヒーを飲み終え、テーブルの上に空のカップを置いた。

「中途半端だよな…僕は。ゼロを…自分の主君を裏切り、元敵国に売ってまで、騎士団の総帥になったにもかかわらず、今度はフレイヤを使おうとしているシュナイゼルにも疑問を持ってる。
どっちつかずの究極の馬鹿さ、僕は。」
「それは当たり前だと思います。」
「え?」

綾芽も、飲み終えたカップをテーブルに置き、会話を続けた。

「私も、人の心を弄んでいたゼロが許せませんでした。だから、倒さなきゃならない相手だって分かってます。
でも…今はあんな兵器を使おうとしてるシュナイゼル殿下にも、従っていいかどうか分からなくなってます。」
「双葉さん…」

綾芽はライの方に寄り添い、ライの左肩に自分の頭を傾ける。

「だからせめて、私は総帥を…ライさんを信じたい…何も信じられなくなっても、私は貴方だけは信じています。
だってライさんは、命を何より大事にする人で、私の恋人ですから。」
「双葉さん…!」


388 :ライ×C万歳:2008/12/12(金) 13:50:26 ID:1rTTTLnf
ライの目から一筋の涙が零れた。
「命を何より大事にする。」自分にはもっとも相応しくない言葉。
綾芽は自分を誤解している。
本当は、自分のエゴで全てを滅ぼした残虐な人間にも関わらず、自分を「命を大事にする人」と呼ぶ。
彼女を騙している自分に腹が立った。だが、彼女の温もり、愛、肌の感触を知ってしまった自分は、信実を知って彼女が離れていくことを恐れている。
本当の自分を語りたいのに語れない。
それがたまらなく悔しく、悲しかった。
だからライは涙を流したのだ。

「ライさん?」
「あ…なんでもないよ。」

ライは慌てて涙を拭くと、肩に頭を乗せている綾芽の髪を左手で撫でた。

「ありがとう、双葉さん。」

綾芽はその言葉を聞いてまた頬を染めた。
そしてそのまま頭を下にずらして行き、ライの胸にピタリと密着させる。

「お願いがあります。」
「何?」

綾芽はライの腹部の衣服を軽く握る。
そしてゆっくりと口を開いた。

「これで最後になるかもしれないから、可愛がって…下さい。」
「…分かった。」

ライは綾芽を深く抱き寄せ、唇を強引に奪った。

「綾芽…」
「ライさん…」

そしてその後は、明日からもう二度と味わえなくなる彼女の愛と肌の感触を、骨の髄まで満たすように、彼女と求め合った。


389 :ライ×C万歳:2008/12/12(金) 13:51:28 ID:1rTTTLnf
………
翌日、ついにルルーシュ軍との激突が開始されようとしていた。
総帥であるライは格納庫で乗機に搭乗し、発射口まで移動した。

「黒の騎士団、出撃!」

ライの号令と共に、ライ機が斑鳩から発信する。
そしてライの後には藤堂の残月、カレンの紅蓮聖天八極式、千葉の暁直参仕様機と続き、さらに幹部たちが出撃した後には量産型の暁が次々に出撃して行った。

そして出撃後、ライはコクピットの中で操縦桿を握り締めた。

「そうだ、今は邪念を持っている場合じゃない。とにかくルルーシュを倒す!そして、僕は生きる!」

ライは昨日、求め合いの終わりの時、ライの明日の未来を心配した綾芽に誓った。
「必ず生き延びる。この戦いの後に世界の復興と言う黒の騎士団の新たな仕事がある。
君の為にも世界の為にも、こんな所で死ぬわけには行かない。
だから待っていてくれ。」と…

「僕は死なない…生きて、戦い抜く!」

そう生きる意志をたぎらせるライの目にはもう迷いは無かった。
「今は悩む時ではない。自分の過去も何れは彼女に話す。ただ、後の世界のために、今は生き残る。」
迷いを振り切り、騎士団の大部隊を率いて進軍するライの目には、生きる意志が燃える炎のようにたぎっていた。


390 :ライ×C万歳:2008/12/12(金) 13:55:52 ID:1rTTTLnf
投下終了です。
これは前と違って友人のゴリ押しではなく、僕が書きたいと思ったから書いてみました。

昨日投下してる最中でライがルルタニア行かないルートならどんな感じかと思ったので。

さて、これからMGストライクノワールの破損部分の補修、新しいライ×Cネタの創作と企画している公の人とライのクロスの構想に入ろうと思います。

次回の話もがんばろうと思います。

391 :千葉はライの嫁:2008/12/12(金) 15:15:33 ID:L1WzAIZ/
こちらに投下するのは、初めてなんだけど……どうやらこれまでと同じで良い、のかな?
パソコン壊れて禁断症状が出て、カッとなって書いたらなんかライマンセーになってしまったので、
そういうのが嫌いな人はスルー推奨。では、投下してみます。

392 :困った男:2008/12/12(金) 15:16:50 ID:L1WzAIZ/
「困ったものだ」
 己の視線の先で、休息所の一角で一息ついているらしい銀髪の青年を眺めながら、藤堂は改めて呟いた。
「本当に困った男だな、彼は」

『困った男』

 黒の騎士団の幹部の中でも、特に中心となる人物は四人いる。
一人は黒の騎士団総司令、ゼロ。これまで成してきた奇跡のような功績から、日本国民の支持を集めるカリスマ。その明晰な頭脳は騎士団に不可欠なものだ。
一人は黒の騎士団副指令、扇要。有能というわけではないが、時に厳しすぎる決断を下すゼロと団員達の間に立つ、緩衝材のような存在の彼は必要な人間だ。
一人は黒の騎士団軍事総責任者、藤堂鏡志郎。戦術、戦略に通じ、また一パイロットとしても卓越した技術を持つ彼の存在は、ただそこにいるだけで団員達の士気を高める。
そして、最後の一人。ゼロ直属の部下にして、作戦補佐、戦闘隊長、そしてゼロの片腕とも称される青年。
「ライ……まさに麒麟児だな」
 それがライに対する藤堂の評価であった。そしてそれはおそらく、黒の騎士団に属する者の総意でもあるだろう。尤も、当のライ自身はその評価を苦笑とともに否定するだろうが。
「ライ、さっきの千葉中尉との模擬戦のことなんだけど……」
「戦闘隊長の意見を聞かせてもらいたいのだ」
 藤堂の視線の先で、訓練を終えたカレンと千葉がライに声をかけている。
 ライはカレンが手にしたノートパソコンの画面を覗き込みながら、カレンと千葉に対して意見を口にする。するとその度に、二人は感嘆の声をあげながらしきりに頷くのだ。
 カレンも千葉も、間違いなく騎士団のエースと呼べる凄腕のパイロットである。その二人に対して戦術面や操縦技術の問題点を指摘出来るのは他の四聖剣や藤堂といったエース級に限られるが、その中でもライは飛びぬけて有用な助言を口にするのである。
 それは彼自身が戦術やKMFの操縦に精通しているからでもあるが、それ以上に彼の洞察力、分析力が他者とは一線を画す領域に達していることが大きい。それは戦場に立つ者にとって、得がたい才能である。

393 :困った男:2008/12/12(金) 15:18:12 ID:L1WzAIZ/
「ライ、ちょっといいか? 例の物資の補給についてなんだが……」
 カレン達が立ち去ってからそう間をおかずに、扇が書類片手に困り顔でやってきた。副指令という立場でありながら際立って有能というわけではない扇であるが、彼はゼロの期待以上の働きをしていた。
 その理由を説明すると、またもやライの名が出てくる。戦闘に関することだけでなく、ライはデスクワークにも卓越した才を持っていた。そのライの協力を得ることで、扇は仕事を上手く処理していた。
 実際藤堂の目の前で、先ほどまで眉を寄せていた扇は肩の荷が下りたようにほっとため息をつくと、ライに頭を下げ、笑顔さえ浮かべて去っていったのである。
「あ、ライ君。ちょうど良かったわ。ちょっと聞いてよ。ラクシャータさんたらまた……」
入れ替わりにやって来て、ライの正面に座るや否や愚痴を言い出したのは井上である。
最近後方支援にまわり、KMFについて学んでいる彼女だが、技術部門の責任者であるラクシャータにたっぷりしごかれているらしい。
愚痴をこぼし続ける井上に対し困ったような笑顔を浮かべながらも、ライは上手い具合に井上の不満を吐き出させつつ宥めている。
そんなやり取りを繰り返し、井上がすっきりとした顔をしたところで、
「あぁ、いたいた」
最早トレードマークと化したキセルを片手に持った、いつもの白衣姿のラクシャータが姿を見せた。
井上は露骨に嫌そう顔をしてライの背に隠れたが、そんな反応に気分を害した様子も見せずにラクシャータは井上の首根っこをひっつかむと、ずるずると引きずって行く。
意外に可愛らしい悲鳴を上げてライに助けを求める井上に、ライは笑顔で手を振って応えていた。
観念した井上が肩を落とすと、不意にラクシャータが立ち止まり、首を回してライに目を向けた。
「そうそう。アンタ用の武器が完全したから、後で来なさい。
折角だから、不足してるデータをたっぷり取らせて貰うからよろしく〜」
凍り付いたように動きを止めたライに愉快そうな艶やかな笑みを口元に刻み、ラクシャータは後でライが来ると知り少し復活した井上をやはり引きずりながら去って行った。

394 :困った男:2008/12/12(金) 15:20:21 ID:L1WzAIZ/
すいません、ミスです。二番目はこっちで。


「ライ、ちょっといいか? 例の物資の補給についてなんだが……」
 カレン達が立ち去ってからそう間をおかずに、扇が書類片手に困り顔でやってきた。副指令という立場でありながら際立って有能というわけではない扇であるが、彼はゼロの期待以上の働きをしていた。
 その理由を説明すると、またもやライの名が出てくる。戦闘に関することだけでなく、ライはデスクワークにも卓越した才を持っていた。そのライの協力を得ることで、扇は仕事を上手く処理していた。
 実際藤堂の目の前で、先ほどまで眉を寄せていた扇は肩の荷が下りたようにほっとため息をつくと、ライに頭を下げ、笑顔さえ浮かべて去っていったのである。
「あ、ライ君。ちょうど良かったわ。ちょっと聞いてよ。ラクシャータさんたらまた……」
入れ替わりにやって来て、ライの正面に座るや否や愚痴を言い出したのは井上である。
最近後方支援にまわり、KMFについて学んでいる彼女だが、技術部門の責任者であるラクシャータにたっぷりしごかれているらしい。
愚痴をこぼし続ける井上に対し困ったような笑顔を浮かべながらも、ライは上手い具合に井上の不満を吐き出させつつ宥めている。
そんなやり取りを繰り返し、井上がすっきりとした顔をしたところで、
「あぁ、いたいた」
最早トレードマークと化したキセルを片手に持った、いつもの白衣姿のラクシャータが姿を見せた。
井上は露骨に嫌そう顔をしてライの背に隠れたが、そんな反応に気分を害した様子も見せずにラクシャータは井上の首根っこをひっつかむと、ずるずると引きずって行く。
意外に可愛らしい悲鳴を上げてライに助けを求める井上に、ライは笑顔で手を振って応えていた。
観念した井上が肩を落とすと、不意にラクシャータが立ち止まり、首を回してライに目を向けた。
「そうそう。アンタ用の武器が完成したから、後で来なさい。 折角だから、不足してるデータをたっぷり取らせて貰うからよろしく〜」
凍り付いたように動きを止めたライに愉快そうな艶やかな笑みを口元に刻み、ラクシャータは後でライが来ると知り少し復活した井上をやはり引きずりながら去って行った。


395 :困った男:2008/12/12(金) 15:21:11 ID:L1WzAIZ/
「ライ!」
息つく暇もない。狙ったようなタイミングで駆けて来たのは、黒装束に黒マント、そして黒い仮面とその身を黒で塗り潰した男。黒の騎士団総指令たるゼロであった。
「C.Cを見なかったか! あの魔女、私の部屋をチーズ君グッズで埋め尽くしてくれた! おかげでディートハルトに妙な誤解を抱かれて散々な目にあったぞ!!」
語気を荒くし詰め寄るゼロと向き合ったライの顔がひきつっているように見えるのは、ライが部屋の有り様をありありと想像してしまったからだろうか。
(いや、もっと別の理由があるのだろう)
と、藤堂は察していた。何故ならライの足下辺りまであるテーブルクロスが、不自然に揺れ動いたのを藤堂は見逃さなかったからだ。
顔をひきつらせたまま、妙に片言な喋りでC.C.を見ていないことをライが伝えると、ゼロは盛大に舌打ちして恐るべき勢いで駆け去っていった。
ゼロの足音が遠ざかったのを確認したのだろう。いつの間に潜んでいたのか、テーブルの下からひょっこり緑の髪の魔女が顔を覗かせた。
「ふっ、冗談を解さぬ奴め。だからアイツは未だに童貞なのだ。そう思うだろう、ライ?」
さらりと毒を吐きつつテーブルの下から姿を表したC.C.は悪戯っぽく子供っぽい笑みをライに向けるが、ライは無言でがっくりと肩を落とした。
「ふふ、安心しろ。私は義理を立てる女だ。今夜は部屋の鍵を開けておけ。日頃溜まっている物を受け止めてやろう」
思わせぶりなことを口にして嫣然と微笑む彼女を、しかしライは適当にあしらった。総司令であるゼロやその愛人と噂されているC.C.と対等に口をきけるのは、彼くらいのものである。
 ライの反応に不満げな顔をしたC.C.であったが、ライが子供をあやすようにその長い髪を梳いてやると、ふん、と鼻を鳴らしただけで彼女にしては珍しく、文句の一つも言わずに何処かへ歩を進めていった。

396 :困った男:2008/12/12(金) 15:23:54 ID:L1WzAIZ/
その後も。
「ライ! 今日飲みに行くんだけどよぉ、お前もどうよ?」
「ライさん、ちょっといいですか」
「戦闘隊長殿、ひよっこどもの訓練計画について意見があるのですが」
入れ替わり立ち代わり彼の元へやって来る面々を見て、藤堂は大きくため息を吐いた。
「彼が抜けたら、一体どうなるのか」
 彼らが意識しているかどうかはわからないが、明らかに黒の騎士団という組織は、ライという人物に頼りすぎていた。
 しかもライがその期待や信頼に応えることが出来てしまうから余計に厄介である。最初は、ゼロというカリスマの存在によって成り立っている組織だと思っていたが、そのゼロさえもがライに頼ってしまっている。
「困った男だ。本当に」
 下手をすれば、ライが抜けただけで一気に瓦解する可能性すらある。そんなことを言われても、それこそライは困るしかないのであるが。
 らしくない自分の思考を振り払うようにかぶりを振った藤堂は不意に気配を感じ、顔を上げた。いつのまにか、藤堂の前にライが歩み寄ってきていた。
「これは、戦闘隊長殿。何か用でも?」
「いえ、そういうわけではないんですが……何か悩み事があるように見えたので。
 どうですか、昼がまだなら一緒に食堂へ行きませんか? 僕でよければ、相談にのりますよ」
 そういって朗らかに笑って見せたライを見て、藤堂は心中で先ほどまでの自分の思考を考え苦笑した。
 何故ならば、結局のところ。藤堂自身もまた、彼を頼りにしているのだから。だから、とりあえず今は。
「いや、悩み事というほどのことではないんだが、そうだな。折角の誘いだ、ご一緒しよう。
丁度、月下の機体運用について君と話し合いたいと思っていたところでもあったことだしな」
目の前にいるこの友人との食事を、藤堂は楽しむことにした。


397 :千葉はライの嫁:2008/12/12(金) 15:24:46 ID:L1WzAIZ/
以上になります。なんだか、携帯で書くと文章がいつもと変わりますね。
それでは〜。

398 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 19:24:25 ID:oMr4KbyG
>>390
ライ×C万歳卿、乙でした!
ルルーシュと決別、綾芽と恋人同士……なんか新鮮。
迷っているのもいいかんじですね。
でも、ラストのライに死亡フラグが立ってるように見えてならないw

>>397
千葉はライの嫁卿、GJでした!
次から次に皆に頼られるライ、オーバーワーク気味で倒れそうだな……
でもまぁ、何でも出来る人がいたら頼っちゃうよね、うん。
というかもう騎士団のトップほとんどライみたいだwww

貴公らの次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

399 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 20:26:22 ID:PdWufb7P
ちょっとリクエストします。
カップリング ライ←(カレン、ア―ニャ、C.C、ナナリーの内誰か)
女性陣視点の片思い、長めのストーリーを
どなたかお願いします。


400 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 20:41:46 ID:jJH5RMgs
>>381
GJです。ついにゼロが復活、スザクはその姿にルルーシュを見ているのか、それとも?
続きをお待ちしています。

>>390
乙です。綾芽とのカップリングは貴重ですね。
ルルーシュとの決別を決意するライ、その未来はどうなるのだろう。

>>397
GJです。すごく頼りにされているなあ、ライ。
藤堂さんが言うとおり、ライがいなくなったらどうなってしまうんだろうという危険性はありますね。
でもそれでも頼ってしまう、それがライクオリティでしょうか。

知らない間に投下が続いてましたね、みなさんお疲れ様でした。

401 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 21:22:34 ID:pKzx9SSP
アンチ物のリクもおk?

ライによる騎士団、超合衆国、ルルタニア批判の話が読みたい

402 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 21:54:44 ID:svWaEssp
>>381
お久しぶりです。乙でした。最初(仕方ないとは思うけれど)
少し説明的な文が続いてちょっと窮屈感がありましたが
段々読みやすくなっていって、最後の方は
状況描写と人物の心情描写がうまくて話に引き込まれてしまいました。
RC卿はKMF戦描写もうまいのでこれからの新型ナイトメアの戦いも非常に楽しみにしてます。

403 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 22:55:24 ID:i4Nu2ZLO
>>401
NO

404 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 23:52:10 ID:2BR7M1jj
>>401
別にいいんじゃないか?
ただ批判だけ述べてないでちゃんと行動起こすなら、だけど
ライが筆頭で軍団なんか出来たらそれはそれで面白いかと
ロスカラっぽいか、と問われれば微妙だが…

405 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 23:54:34 ID:Pta0xSOI
>>381
お久しぶりです!
待ち望んでいた続きが読めて嬉しかったです
やっぱりうまい書き方されていて、さらに今後の展開が気になりました
やっぱりゼロ復活のあたりは燃えるなぁって

>>390
ルル山さんと袂を分かつライってなかなかなくって面白い設定だなぁと
オペ三人娘ってほとんど設定ないようなものだから、いじりにくいだろうにと
思ってましたが、いいですね

>>397
千葉嫁さんもご無沙汰でした
やっぱみんなに頼られるライはいいなぁ
藤堂さんが良かった。藤堂さんの〆がなんかいいなぁと

さて、ご存知の方がいらっしゃったら教えていただきたいんですが、
この板での1レスの限界容量って4096バイトであってますか?
なんだか調子にのって書いてたら軒並み1レスが3000越えとかしてしまって
教えていただけたら幸いです

406 :創る名無しに見る名無し:2008/12/12(金) 23:59:07 ID:aQCr9plD
確かそれでOKなはずだけど、トーマス卿曰く改行1個につき6バイト消費するそうだから気をつけて。
容量を調べるツールを保管庫でダウンロードできるよ

407 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 00:06:40 ID:VSMU8xFF
>>406
教えてくれてありがとう!
なんか不安になっちゃって聞いちゃいました
自分で調べろって怒られるかなってのも少し不安でしたが

これで条件はほとんどクリアしたので、予告通り明日投下しようと思います
おやすみなさい

408 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:32:40 ID:EVwlC0tN
45分頃に投下しようと思います
前書きと本文と後書き合わせて全部で13レスです

409 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:39:05 ID:i3/nvIxO
ふむ、支援は……いるのかな?

410 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:41:00 ID:WPtLu5Hh
13なら11以上だから一応いるね

411 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:42:04 ID:0lMqYxmr
迷ったら支援

412 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 17:45:31 ID:EVwlC0tN
やっほ−!どうも、お久しぶりです
支援ありがとうございます
なんか毎度定型文なのではっちゃけてみました
すみません…自重します…ホント毎度申し訳ないです…
さてと、今回から本格的に暴投しますよ
『私の暴投は凶暴です』
扱いに困ります、ホント…

【タイトル】コードギアス 反逆のルルーシュR2 RADIANT WORLD
【ジャンル】シリアス(長編)
【警告】ギアス篇&黒の騎士団篇の合いの子ルートの
    ギアス篇ENDからスタートしています
    R2の豪快なifルート&オリジナルメカが登場するので
    苦手な方は御注意下さい

413 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:46:05 ID:0lMqYxmr
支援

414 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:47:11 ID:WPtLu5Hh


415 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 17:47:13 ID:EVwlC0tN
言葉は空を切り大地へと散っていく。
天への問いかけは虚しく響くだけ。
それでも人は語らずにはいられない。

第十話『裏切り の 遠き 人々』

エリア11にあるトウキョウ国際空港のロビーにライはいた。
目的地である学園に戻るバスの時刻まで余裕があり今はベンチに腰掛けて人の流れを見ている。
その瞳はどこを見ているのか。
組んだ足を組み直してロビーの天上を仰いで目蓋の裏に描く未来図。
それは誰かを救う為であり―――――
「やあ、こんなところにいたんだね」
彼が見上げるのを止めて声がした背後へと顔を向けて見慣れた少年の顔を見つめる。
「……今日はアリスが一緒か、珍しいなV.V.」
「一人で行くって言ったんだけどね、周囲に反対されたんだ」
彼はV.V.の斜め後ろに控えている明るい亜麻色の髪の少女に視線を移すと同時に少女から会釈される。
後ろで二つに分けて結っている髪を少し揺らして顔を上げたが表情に変化は無い。
「必要ないのにね、こんな失敗作―――――」
V.V.は少々不快そうにアリスが同伴した事への不満を口に漏らそうとしたがそれはライによって遮られた。
表情に変化は無くとも瞳は明確な敵意を宿してV.V.を射抜こうとする。
この場でV.V.とアリスだけが知覚できるその血塗れの瞳を以って―――――
「前にも言ったはずだ。僕の前でそういう物言いはするな、と」
「そうだったね」
V.V.は取り留めて気にもせずライの横に腰掛けて顔を覗いた。
いつもと同じ薄い笑顔で見つめている彼を見ながらライは用件を早く言えと思っている。
傍から見れば気にする光景ではないだろう、しかしアリスには恐怖を抱かずにはいられない。
「実はね、君に行って欲しい場所があるんだ」
「次から次へと……」
「利害はまだ一致している筈だよ、それに君への利益は破格だと思うんだけど」
「利益? 首輪の間違いだろ、それも特製のだ」
ライの横柄な態度を不快に思うよりV.V.は愉快に思っていた。
目先の欲に囚われず先見を持って事に当たる。
その信条を彼は気に入っていた、例えそれが自分に仇なす毒になろうとも。
それすらも計画を彩る装飾品とする為に。
問答はそこで終わり彼はアリスに手配してあるチケットをライへ手渡すように視線で意思を伝える。
間髪を入れず彼女もそれに応えライへチケットを渡した。
それを礼を言いながら受け取った彼の表情は少し厳しくなる。
「それじゃ、後は任せたよ」
「……待て。行くのはいいがアリスはここで預かる」
「どうしてだい?」
「ロロは既にルルーシュで使っている、だがナナリーにも鈴は必要だろ?」
「なるほどね。君の好きにしていいよ、僕には執着は無いからね」
それだけを言い残して彼は何処かへと姿を消していく。
V.V.の立ち去る姿を見届けてからアリスはようやく口を開いた。
「……どうして私なんですか」
「ナナリーと同い年だからな、色々と都合がいい」
「はあ……」
何も知らないアリスでもわかる、二人が目的を同じにしていないと。
そこに自分が介入する意味はあるのかと自問しようにも彼女には情報が少ない。
「とりあえず手配はしておく。後は本人に会えばわかる」
「まさか仲良くしろと?」
「ああ、なにかおかしいか?」
この男はなにを考えているんだと彼女は素直に思った。
だが、不思議とそれでいいのだろうと思わずにはいられないのは彼の人柄だろうか。
彼からこれからの段取りと約束事を伝えられ彼女は頭の中で整理をしてその旨を了承をした。
たった一つの秘め事を除いて―――――

416 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:47:32 ID:WPtLu5Hh


417 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:47:35 ID:0lMqYxmr
支援

418 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 17:49:03 ID:EVwlC0tN
「それからV.V.には全て秘密にしておく事、以上だ」
そう言って彼は腰をかがめて人差し指を唇に当てて秘密だというようにジェスチャーをした。
その仕草と言動の不一致に彼女は思わず素直な感想を口にしてしまう。
「腹黒ですね、ライさん」

神楽耶のアナウンスによって斑鳩のブリッジに集められた団員達は混乱していた。
その原因は皇コンツェルンを通して中華連邦から届いた一つの招待状だった。
内容は中華連邦の頂点であり象徴である天子の結婚式。
ただの結婚式ならば交友のある神楽耶に届くのもおかしくはない。
そして、それだけならば神楽耶も慌てたりはしない。
問題は結婚をする相手だった。
相手は神聖ブリタニア帝国第一皇子オデュッセウス・ウ・ブリタニア。
つまり政略結婚であり裏があるのは明白だった。
今までの両国の仲は良好とは言えずむしろ険悪だ。
それに拍車をかけたのが中華連邦総領事館への黒の騎士団の亡命の受け入れだった。
中華連邦内部ではその件で黒の騎士団への蓬莱島貸与には反発も多かった。
事の真相を知らぬ彼等にしてみれば火種を抱えさせられるだけでしかない。
ブリタニアも国際法を盾に自国へのテロ行為を行なった組織を受け入れた国としか認識できない。
その一触即発の両国が穏便に事を運ぶには示談か、もしくは―――――
「裏で手を引いているのはブリタニアだろう」
ルルーシュの一声で場に僅かな静寂が戻る。
表層からは見える事は少ない、しかし当事者である彼には見えていた。
この策略がシャルルではなくシュナイゼルの手引きによるものだと。
(身内すら駒扱いか。感情を廃した兄上と憎しみしかない俺が同じとはな……皮肉なものだ)
団員達はブリタニアが手引きしているとわかり混乱から不安へと感情が流れている。
逆にルルーシュは冷めていく自分を見ていた、シュナイゼルの采配を見据えながら。
己の迷いは敗北であり終着点でもある、だが知らされた真実と目の前の現実は重い。
『自分がどうして戦いをはじめようと思ったのか、振り返ってみるのもいいんじゃないか?』
全ては過去。だが、はじまりは過去の遺恨でありそれが今日まで続いている。
(そういえば凡庸な兄上だったな……)
政治と軍事、どちらも目立って秀でたものは無いというのがルルーシュの印象。
ただ、兄弟間の喧嘩を仲裁をしていたのはいつもオデュッセウスだった。
そんな思い出を振り返りながらも目標は見失わないのは、まだ彼の中の反逆の火種は消えていない証なのだろう。
「……ディートハルト、中華連邦に諜報員は?」
「数人程おります」
「では、現在の内情調査をさせろ。この機に誰かが動く筈だ」
「了解しました」
「藤堂と四聖剣はKMF隊の準備を。我々が行けば恐らく戦闘になる」
「承知した」
「神楽耶様は洛陽で行なわれる祝賀会へ赴いて下さい。カレン、君には神楽耶様の護衛を頼む」
各自への指示を出してからルルーシュは最後に扇には会議室へと来る様に伝えてその場を後にした。
最後のその指示を団員達が不思議に思いながらも場は落ち着きを取り戻している。
少し間を置いて扇はルルーシュの指示した会議室へと来たが先に場を後にしたルルーシュは来ていない。
彼が席について数分程してからルルーシュが大きなファイルを幾つか抱えてようやく姿を現した。
その抱えていたファイルを扇の前に置いてから彼も席に着く。
ファイルを少し眺めたが扇にはこのファイルが意図するところが思いつかなかった。
「ゼロ、これは?」
「黒の騎士団における戦術及び戦略を私なりにまとめたものだ」
「凄い量だな。でも、どうしてそれをここに持ってきたんだ?」
「扇、お前にはこれを参考にして黒の騎士団の運用論を完全にマスターしてもらう」
扇はルルーシュの指示に困惑した、膨大な量の資料もそうだが自分がそういう器でないのは重々承知している。
その自分がこの先そんな重責を預かるには力不足だという事も。
「すまないが、それは―――――」
「扇よ、確かに今のお前は無能だろう。だが、忘れていないか?」
「忘れてる?」
「お前も今ではゼロの一人だ、仮面を被っていなくてもな」

419 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:49:25 ID:0lMqYxmr
支援

420 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:49:43 ID:WPtLu5Hh


421 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 17:51:02 ID:EVwlC0tN
偽装船の中での選択肢、式典での演説での個を捨てる発言。
その将来の布石の芽を芽吹かせる役目はルルーシュには既に無い。
彼にあるのはその芽を大きくする事だ。
「この先、ブラック・リベリオンの時の様に私を欠いただけで瓦解するのは繰り返したくは無いだろう?」
「それはそうだが……それなら藤堂さんが適任じゃないのか?」
「藤堂は軍事に長けても政には少々不向きだ、何より前線に出向く事が多いからな」
「他にも適任はいただろ」
「いいや、お前だけだ。これが様々な観点から私なりに考えた結論だ」
ルルーシュの言葉は強く扇も了承するという選択肢しか浮かばなかった。
その資料への注意点等を言い含めルルーシュは席を離れ次の準備に入ろうと会議室を後にしようとする。
が、扉の前に止まり彼は自分の悩みをぶつけるかのように扇へ質問をしてしまう。
「お前はどうして戦おうと思った?」
「どうして、か……」
彼が緩やかに語りだした過去、様々な物を奪われた怒り。
親友である男の家族が壊れていきカレンが戦場へと駆り出されている現実。
そんな世界を正そうとする願い。
『スザク、僕は―――――』

中華連邦の洛陽、その地にある朱禁城の迎賓館ではブリタニアと中華連邦の合同で祝賀会が行なわれていた。
列席者の思惑はそれぞれにありブリタニアの貴族は己の力を誇示する為に。
中華連邦の貴族は己の保身をする為にと欲が渦巻く祝賀会と称した、ただの我欲だけが満ちている場でしかない。
そこには今回の婚礼を祝う者など居る筈もなく、外にいる黎星刻も同じだった。
(天子様を……ブリタニアに売り払うだと……)
六年前、彼は天子とある約束をしていた。
彼は過去に病気を患っていた囚人を助けた事がある、それは中華連邦の法で死罪に当たる行為。
そして処刑される時、偶然通りがかった天子の口添えで死罪は免れた。
彼はその時にこの拾った命を天子の為に使おうと己に誓う。
その為に士官学校へ入学する折、天子への謁見を望み言葉を交わす機会が得られた。
そこで聞いたのは年相応であり似つかわしくない言葉だった。
外へ出ていろんな事をしてみたいという願い。
天子の嫡子として生まれた以上、他の同年代の子供達の様に生きようとするのは無理だ。
そして政権の象徴としながら傀儡にされる彼女に外へ出る自由はない。
彼はその時、腐敗だけでも正せば外へ出せる可能性を見出した。
その可能性を心に秘めて彼は自分が彼女を外へ連れて行くと彼女に告げる。
それが彼と彼女が六年前に交わした約束だった。
『永続調和の―――――』
『契りを―――――』
彼は天から二物を授かったと常々評されていた。
文武に長け中華連邦が天から授かった麒麟児と。
だが、その彼には時間だけは与えられなかった。
「天子様を守るべきか……民の平和を守るべきか……」
腐敗を正すのが間に合わず交渉の道具として売り払われる。
しかし、その結果として民には平和が与えられる。
国に仕える立場と個人の感情の板挟み、それは迎賓館の中にいる人物の中にも抱えている者もいた。
「エニアグラム卿は不満そうですね」
「そうでもないさドロテア、ラウンズやエニアグラム家当主としてはな」
ノネットの遠回しな言い草に慣れているドロテアはそうですかとだけ答えたが問題のある発言でもある。
中華連邦のドレスコードに合うチャイナドレスに身を包んでいる二人だが包んでいる空気は別物だ。
そんな二人に声をかける者など居る筈も無く、二人は壁際で並んで立っているだけ。
(いくらお飾りとはいえオデュッセウス殿下すら道具にするのはなあ……)
「……ところで」
「どうした? わかった、腹減ったのか?」
「貴方と一緒にしないで下さい。視線が鬱陶しいんです」
「あ〜高嶺の花を壁に飾っているからだ、諦めろ」
声はかけられないが覗き見る者がいないわけではなかった。
それをラウンズにまで上り詰める程の武に長けた二人が視線に気付かない筈が無い。
ノネットは慣れたものだがドロテアは少々居心地が悪い。

422 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:51:24 ID:0lMqYxmr
支援

423 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 17:53:05 ID:EVwlC0tN
「本当に勿体無い、紳士の風上にも置けないわね」
「まったくだ。お陰で私も周りから急かされる事も多くてな」
「あら、エニアグラム卿もお悩みな年頃で?」
「それなりにな、最近はロイドを見習えとまで言われる始末だ」
カノンが二人への賛辞を述べながら近づいてきたのをノネットは特に気にするわけでもなく応対している。
だが、ドロテアはカノンの少々変わった性格が苦手だった。
変わり者好きのシュナイゼルならではの人材でありドロテアもその点は評価している。
しかし口調がどうしても受け付けなかった、男性が女性口調な事についてだけは。
「そのロイドも今夜は婚約者を連れて来ていますのよ」
「本当か? で、どこだ?」
「あちらですよ」
「よ〜し、挨拶でもしておこうか」
意気揚々とノネットがロイドの所へ駆けていく姿は中々に速い。
が、スリットが深いチャイナドレスで走るのはドロテアの悩みの種になった。
(あの人は……本当に……)
出席者の男性の視線を一斉に奪う辺りは評価したいが、それが正しいとも思えないのが彼女の淑女感だった。
「お〜これが噂の婚約者か、ロイドも少しは成長したんだな」
「いや〜成長期ですから。あ、こちらはノネット・エニアグラム卿。ナイトオブラウンズの一人」
「エニアグラム?」
「で、こちらが僕の婚約者のミレイ・アッシュフォード」
「アッシュフォード?」
お互い紹介されて握手でもするのかとロイドは思ったのだが二人ともなにやら固まっている。
少し間を置いてようやく口を開いたのはノネットだった。
「まさかアッシュフォード学園理事のか?」
「え、あ、はい、孫娘ですけど。エニアグラムという事は?」
「奇遇だな、こんな場所で会えたのも何かの縁だろうな。それで放蕩しているあいつは?」
「そちらでもそうなんですか? 学園でも遊んでいるのか放蕩していますの」
「はっはっはっ、あいつもそう簡単には変わらんか。こうなると首輪でもつけないと駄目かもしれないな」
「ええ、まったく。恋の一つでもすればいいと思いますけど」
瞬く間に意気投合したのか自慢話の様な様相になるが、ロイドも混ざれる話題であったのか三人で盛り上がっていた。
それを見ていたカノンはロイドの反応を珍しく思い状況を眺めている。
逆にドロテアはノネットの行動はいつも通りだと流して相手をしているミレイへ興味が移っていた。
波長が合うのは見ていればわかり、それが示す答えに顔が少々難色を示している。
その未来予想図まで描いてしまい頭痛から逃れるように視線をずらした時、彼女も珍しい反応を示した。
(ん、あれは確か……エリア11の……)
彼女の視線の先には神楽耶とカレンがいた。
自分達と同じくドレスコードに合わせてチャイナドレスに身を包んでいるが空気はそうでもない。
その二人は場を見渡しながらなにやら話し込んでいる。
「こんな場でエリア11のプリンセスと黒の騎士団のエースに出会えるとは、これも奇遇かな」
ドロテアはいつもと同じ様に近づいて声をかけたが二人には即座に警戒されてしまう。
カレンも表情は驚愕に包みながらもすぐに神楽耶の前に出てガードする体勢に入っていた。
ドロテアもその動きに少々感心した、それなりに肝は据わっているなと。
「失礼、私の悪い癖だ。気を悪くしないで貰いたい」
「なんの用? まさか直々に私達の捕獲? 貴方も随分と暇そうね」
「私は祝いの場で血を流す趣味はない、個人的な興味だけだ」
「あら、それはこの場だけは見逃すと受け取ってもよろしいのかしら?」
「流石はプリンセス、この国のプリンセスとは違って貴方も肝が据わっている様ですね」
そう言って彼女はオデュッセウスと天子が据わっている上座へ視線を向けた時。
タイミングが良いのか悪いのかノネットが彼女に突進して来ていた。
「なんだ、ドロテアはそっちが趣味なのか? そうならそうと言―――――」
「違います、我が名誉に誓ってそういう趣味は断じてありません」
肩に手を回しながらノネットは少し残念そうな顔をしながら二人に視線を向けていた。
ドロテアに見覚えが無いカレンでもノネットの顔には見覚えがあった、本国でマリアンヌ公の再来と評されている彼女の顔を。
逆に半ば俗世に興味が無いノネットもカレンの顔には見覚えがあった、黒の騎士団のエースと本国で評されている彼女の顔を。

424 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:53:24 ID:0lMqYxmr
 

425 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:53:57 ID:0lMqYxmr
支援

426 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:54:04 ID:WPtLu5Hh
 

427 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 17:55:15 ID:EVwlC0tN
「お前は確か……あ、思い出したぞ。黒の騎士団のラガンとか言うKMFのパイロットだろ?」
「なっ……紅蓮です! グ・レ・ン! 間違えないで下さい!」
「そうか。まあ、どっちでもいいさ。で、聞くところによると強いんだろ?」
人の話を聞いている様で聞いていないノネットの態度にカレンはミレイや玉城を思い出してしまう。
ドロテアはそれを流してカレンの風貌が少し気がかりだった。
「……お前はブリタニア人だろう、なぜ黒の騎士団に?」
「っ! 違うわ、私は日本人よ」
「ん〜ドロテア、ちんまりしている方は多分ハーフだ。どことなくあいつに似ているからな」
「ち、ちんまり!?」
カレンはそこまで小柄ではないがこの二人と比べると確かに小柄に見えると神楽耶も思う。
と、いうよりは判断基準をこの色々な意味で大柄な二人にするのは間違いではないかとも思っていた。
「そちらの方も祝いの場で血を流す趣味はなさそうですわね、貴方も私達を見逃すおつもりかしら?」
「そんな趣味は私にもないさ。ま、せいぜい楽しんでいってくれ。私は楽しむ気にはなれないのでね」
そう言い残してホールに繋がる階段へとドロテアを引っ張っていき彼女達が出迎えるべき今の主の登場を待つ体勢に入っていった。
神楽耶は勿論その場にいる参加者達もそこへ視線を集めている。
カレンはそこで自分に手を振る女性を見かけた、久しぶりに見るミレイの姿を。
そうしてシュナイゼルは姿を現したのだが隣に女性を連れていた。
その事を驚く者、興味を擽られる者は小声で囃し立てている。
シュナイゼルの隣でエスコートを預かるニーナはそのせいで少し俯いていた。
宰相直轄の研究チーム、インヴォーグの主任にまで上り詰めた彼女。
しかし、一年前と変わらず内気な性格のままだとカレンとミレイは思っていた。
「しっかり、ユフィはもっと堂々としていたよ」
シュナイゼルはユーフェミアの様になりたいというニーナの言葉を知っておりその振る舞いを嗜めた。
そうして二人はノネットとドロテアが控えている場へと辿り着く。
「EUと同じくこの地でもシュナイゼル殿下の指揮下に入るようにと陛下から命を受けております」
「これはこれは、ラウンズの二強がまたしてもかね?」
「あ〜実は三人です、明日にはもう一人も到着しますので」
「ほう、三人も? それは頼もしいね。ただ―――――」
シュナイゼルは二人の恭しい態度も嗜めた、ここは祝いの場だから楽にしてくれと。
ドロテアは特に不思議に思わず従ったがノネットの表情には少々変化があった。
不信等の感情をシュナイゼルに抱いてはいないが彼の人柄には思うところがある
(態度、言葉、行動、どれも良いとは思うんだが……どうにもな、人間味が無いというか感情が薄いというか)
人の本質という類に関心が強い彼女ならではの疑念感、しかし彼女はブリタニアに仕える身。
そういう態度はおくびにも出さないがノネットはそういうところがあるシュナイゼルが苦手だった。
それぞれの思惑とは裏腹にニーナは役目を終えた安堵感から周りを見渡した時。
彼女も懐かしい友人を見つけた、学園に在学していた時の様に嬉しそうな笑顔で。

「大宦官とシュナイゼルの間では既に密約が成立しています」
星刻は迎賓館から離れ朱禁城地下の周香凛(ジョウ・チャンリン)の報告を受けていた。
彼の想像通り今回の婚礼には裏があり大宦官や一部の貴族はブリタニアでの爵位を要求している事を。
その為に領土の割譲まで提示している事も知る。
洪古(ホン・グ)は星刻に地位と引き換えに天子と民を売る大宦官達を今こそ一掃するべきだと提案した。
星刻もその意見には賛成したかったが、そう簡単に物事は運べない。
ここで以前より計画していた大宦官を廃するクーデターを前倒しに起こしたとしてもその先が問題だった。
婚礼も破談とするならばブリタニアとの関係は悪化の頂点まで上がり戦争になるだろう。
「平和を取るべきか……それとも―――――」
この企みをルルーシュは盗み聞いていた。
ディートハルトに手配させた諜報員には中核に近い人物はいない。
その為、使われるであろう会議室全てに盗聴器を仕掛けさせていた。
当初はギアスを使って自白させようとルルーシュは考えていたのだが、ライの言葉のせいか使う気になれずにいた。
彼の中でギアスに対する躊躇いはこれで二度目、マオとの対峙した時を髣髴とさせている。
(やはりシュナイゼルの手引きか……しかし、これでは黎星刻では頭打ちだな)

428 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:55:28 ID:0lMqYxmr
支援

429 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:55:33 ID:i3/nvIxO
……多すぎる気がしないでもないが、まぁ、支援。

430 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:55:57 ID:WPtLu5Hh
 

431 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 17:57:02 ID:EVwlC0tN
静観という選択肢もある、しかし蓬莱島にいる人間や黒の騎士団はこれが成立すれば売り払われる。
ルルーシュもこのクーデターを成功させて自分達の保身を考えなければならない。
ゼロとして、この戦いをここで終わらせるわけにはいかないのだと。
そして星刻に同じ匂いを感じ取った事が彼を少し前へと進ませていた。
「ゼロ、どうかされましたか?」
「ふっ……なんでもない。ディートハルト、予定は決まった。明日の式で我々が介入してやろう」
「と、いう事は―――――」
「回線の手配をしておけ。この際だ、世界に今一度教えてやろう。我々黒の騎士団がどういう存在かを」
少しずつだがルルーシュは自分の答えを見つけはじめている。
しかし、まだ見つかっていない者もいた。朱禁城で再会した三人、カレンとミレイとニーナには。
「なんか安心しちゃった、二人とも無事みたいで」
カレンはミレイに安心される優しさに悩んでいた。
自分の立場や行いを受け止めてくるのはいいが、それは彼女との敵対でもある。
日本とブリタニアに心が別れている二人にはそれが絶対の答えだった。
「困った事があったら相談に―――――」
「止めてミレイちゃん……私、ミレイちゃんの事は好きよ、でも―――――」
ニーナは少しずつだが成長していた、ユーフェミアと出会った事で。
ミレイの庇護の下で過ごしていた彼女だったが真摯に向き合ってくれたユーフェミアに今は傾倒している。
優しさに自己満足の類がミレイに無かったわけではない、しかしニーナにはその全てが上っ面の物にしか思えなくなっていた。
アッシュフォード家という盾、ロイドという婚約者である彼女には遊び半分なところもあるかもしれない。
それはニーナにとって上の立場であり見下されるという感情しか生まなかった。
ミレイはそれを否定しようとするがニーナは最早怒りしか抱けずにいる。
「もう違うの私は! 私を認め―――――」
「もう止めなさいよニーナ、誰も貴方を否定なんかしていないでしょ」
その怒りを嗜めたのはカレンで二人は思わず驚いてしまう。
だが、それはニーナの怒りの矛先をカレンに変えるだけだった。
「否定されるっていうのは私達日本人の様に―――――」
「日本人? イレブンの間違いでしょ? 大体、カレンだって半分ブリタニ―――――」
「違う。私は日本人よ、ハーフなんて呼ばないで……」
カレンの言葉にミレイは表情は暗くなっていくが、ニーナは益々激昂していく。
「……だったらイレブンの癖に友達面をしてたっていうの!? 貴方もミレイちゃんと同じね!」
「ニーナ……」
「貴方も本当ならシュタットフェルト家の令嬢だったのに! なのにどうしてユーフェミア様を奪ったの!」
特区での虐殺、ユーフェミアの死、カレンもその事実と真実を受け止めてはいる。
だから間違いを正そうと、歪んでいく世界を戻そうとしている。
しかし、ニーナにとっては彼女はシュタットフェルトの令嬢でしかなくミレイと同じだった。
自分の家柄を盾に出来る立場、その気になればラウンズにもなれるKMF戦での実力。
逃げ道を残しながら生きられる道を選べる行動。
その全てを日本の解放の為だけにユーフェミアを奪ったゼロに心酔して使っている風にしか捉えられなかった。
「どうして……同じハーフなのに……」
「同じ……?」
「そうよ……何もないライ君はわかってくれたのに……私がユーフェミア様を必要としてるのを解ってくれたのに……」
「……ライを知っているの?」
「こらこら。お前達は知り合いなんだろ、そう喧嘩するな」
今にも泣き崩れそうなニーナを抱え起こしたのはノネットだった。
別段気にするでもなく仲裁に入るのは人柄か、それとも興味からかは表情からは読ませない。
「ドロテア、この子を休ませてやってくれ。気を張りすぎたんだろう」
「わかりました」
「返して……返してよ……」
ドロテアに抱えられて連れて行かれるニーナを見送る二人の表情は暗いが、ノネットはカレンが謝罪の言葉を残したのを聞き逃さなかった。
シュタットフェルト、彼女が持つ辺境の領地でもそれなりに聞いた事がある名家である事を思い出していた。
「しかし、ハーフはハーフでもシュタットフェルトのか。色々と悩みが多そうだな」
「……私達は敵対関係ですよね、その割に敵意を感じないのはどういう事かしら?」
「言っただろ、私も祝いの場で血を流すのは趣味じゃない」
「そうですか、それと私は―――――」
「わかったよ、あくまで日本人なんだろう。しかし、ハーフっての揃いも揃って頑固なのか?」
「……貴方も知ってるのね、ライの事」
「まあな、内輪であいつは色々と有名人だからな」

432 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:58:07 ID:WPtLu5Hh


433 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 17:58:47 ID:0lMqYxmr
支援

434 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 17:59:02 ID:EVwlC0tN
カレンもミレイも同じ感想が胸に渦巻いていた、ライがブリタニアで知られているという事を。
ミレイは学園に仮入学の際にエニアグラム家の口添えがあったので少々気になっていた。
カレンはそこまで有名なのかと不思議に思っていた。
「近い内に会えるさ。戦場でだろうけどな」
「貴方が言うと期待できそうね、でも戦場以外で出会う事は叶わないみたいね」
「お前とも話が合いそうだな。ああ、それとあちらのお姫様がお呼びだぞ」
「っと、いけない。それじゃ会長、さようなら」
「ええ、カレンもね……」
二人に一礼をしてカレンは神楽耶の下へと駆けていく。
ルルーシュからの連絡があり今後の予定の為に祝賀会を離れなければならない。
それを知らないノネットだが大して興味は無かった、ただ漠然と彼女の直感が感じる事だけに興味があるだけだ。
それよりもミレイの落ち込み具合に関心が移っていた。
「モラトリアムを楽しむのは難しいだろう?」
「そうですね……」
「成長には痛みを伴う事も多いからな。こういうのは通過儀礼みたいなものだ」
慰め、とういうわけでもないがノネットはミレイの落ち込む理由もわかっていた。
ミレイも自分の間違いや非を認めている、そういう部分も確かにあると。
「変わっていく奴もいれば変わらない奴もいる、一概に成長とは呼べんだろうがな」
「そうですね……そう言えばどうしてライが有名なんです?」
「ん? ああ、実はな―――――」
ノネットから告げられた事、それはミレイにとっては喜ばしい報せだった。

日付は変わり婚礼の式の当日、それぞれが正装に身を包み式に参加している。
ある者は皇族として、ある者はラウンズとして、ある者は黒の騎士団として。
それぞれに思惑がある中、その式に異議を唱える者によって式は壊される。
「何を持ってこの婚姻を中華連邦の意思とするか! 全ての人民を代表し、我はこの婚姻に異議を唱える!」
星刻は行動を起こす選択をした、出来うる限りの戦力を持って。
六年前の約束、それを天子は覚えてはいないかもしれない。
飢えた民を救う為に婚姻を破談するべきではない。
しかし、それでも彼には貫くべき信念がある―――――
「ドロテアは主要人物を守れ、それから放送を切らさせろよ。色々と厄介になりそうだ」
「そうやって自分の興味でクーデターを起こしたテロリストを相手しようとしないで下さい」
手袋をきつく嵌め直すノネットを引きずってドロテアは迅速に周りへの指示を出してく。
式に参加していた神楽耶もカレンによって既に下がっており予定している待機位置へと後退している。
場の混乱を中継で見ていた視聴者達も不安の中、それが切られてしまい更に混乱していく。
アッシュフォード学園でそれを見ていた生徒会メンバーも混乱しているが、ロロは違う事を考えていた。
(聞いてた通りだ……でも、これじゃ……)
クーデターに合わせて議事場等も抑えられていき、大宦官達も銃で応戦しようにもブリタニアへの配慮で撃てずにいる。
白兵戦で星刻に迫る者がいるとすればノネットだが彼女も後退せざるを得ない。
着実に天子に迫る反逆者達、だがそれは黒き反逆者達によって阻まれる事になった。
「ほう。忠誠心溢れる武官と思っていたが意外に人間臭いものだな、黎星刻」
「ゼロ、貴様……」
「君のおかげで我々も動き易かったよ」
「エリア11での貸し、それをこんな形で返すのが貴様の流儀か?」
「そうだな、確かに悪と呼べるだろうな」
「その上どこまでも卑劣で愚かだ、少しは下とか周りを見たらどうだ?」
「なっ!?」
ルルーシュはノネットが近づいているのに気付けなかった。
周りで見ていた者も紫のマントが閃光の様に走っていったのがわかる程度だった。
(ちっ……流石は母さんの再来と呼ばれるだけはあるな……)
「これはこれは。かのマリアンヌ公の再―――――」
「口が軽いな、そういう奴は嫌いなんだよ。それに私は久々に怒りを抱いたよ、一年前にユーフェミア殿下を撃った貴様へな」
「くっ……」
黒の騎士団、中華連邦、ブリタニアの三者それぞれの行動で場を正確にコントロール出来る者はいなくなった。
誰かが動けば必ず悲劇が起きる、それもかなりの規模の。
ルルーシュと星刻とシュナイゼルは頭の回転が早い事が仇になり動きが塞がれている。
ただ、この場で主導権があるとすればノネットだけだった。

435 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 18:00:00 ID:WPtLu5Hh
 

436 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 18:00:35 ID:0lMqYxmr
支援

437 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 18:01:18 ID:EVwlC0tN
「お前はブリタニア人やイレブン問わず殺しているな、それも民間人を含め多くのな」
「その裁きを貴方が下すと?」
「まさか。これでも軍人だ、戦争になった以上はそれなりに割り切っている。だがな―――――」
彼女の引き金にかけた指に力が篭り始める、明確な敵意と殺意を持って。
ルルーシュもその気配を感じ取っていた、咄嗟に天子へ銃を突きつけたが撃つデメリットは多すぎる。
星刻もそれを読み切っており動きを止めて静観している。
「経緯はどうあれユーフェミア殿下は貴様達に怨まれて当然だろう。これは個人的感情だ、ユーフェミア殿下の仇を討たせろ」
「お忘れですか、私は既に個人ではない。ただの記号ですよ」
「……ならお前はユーフェミア殿下を撃ったゼロか?」
「確かにユーフェミアを撃ったのは私だ、しかし彼女の遺志は我々に変化を与える場合もある」
「今まで他人を軽んじてた奴の発言とは思えんな、この場を凌ぐ為の言い訳か?」
「その判断は貴方に委ねますよ、エニアグラム卿」
ルルーシュの罪は深くそれが彼を追い込む。
それでも彼は止まれない、彼もやり遂げるべき事がまだある筈だと。
その言葉の端々から覗かせる変化、そしてヘッドセットから聞こえてきた声でノネットは銃を下ろした。
彼女が預かっていた少年の様にどこか終わりを欲しているその生き方に似ているからだろうか。
そんな感情の中で彼女は自分の信念と矜持を貫く事にした。
「生憎、祝うべき場を血で汚すのも趣味じゃない。連れて行くなら連れて行け」
「……いずれ討つ機会は―――――」
「いらんよ。私は死んで許されようって奴も嫌いだからな」
「……では、私なりに生きて償わせて頂きましょう」
「出来るならそうしろ、私以外の全てを退ける事が出来るのならな」
(言言肺腑を衝く、か……しかし、これでは天子様が―――――)
星刻はタイミングを計っていたが、天子に気を取られすぎドロテアの接近を許してしまう。
既に周りにいた賛同者も取り押さえられおりドロテアの実力を侮った星刻は詰めのタイミングを見誤ってしまう。
その式場にKMF斬月が到着しルルーシュ達を手に抱える際、今まで耐えていたであろう天子は星刻の名を絶叫した。
その伸ばした手は六年前の約束を交わした時と同じ様に象っていた。
それを見た時、星刻は声にもならない声で天へ吼えるしかなかった。

「しかし……花嫁を奪ってどうするのだ?」
「あくまで一時的な処置だ、早ければ今夜中には決着をつけられるだろう」
「この行動に君の大儀はあるのか?」
「ああ、だがその為には時に悪事にも手を染めねばならん。この先ブリタニアを抑える為にもな」
「承知した、ならば一時の汚名は背負うとしよう」
ルルーシュの行動に意味があるのか疑問視していた藤堂だったが、彼の言葉を信じる事にした。
そのまま天子との交渉をするのか、自分達を回収したトレーラーの後方へとルルーシュは移動していく。
それを見届けてから藤堂は斬月のチェックを再開したが不可解な事が今起きている。
『藤堂さん、なんかおかしくないですか?』
「朝比奈もそう思うか」
『ええ、既に二十分は経過しているのに僕達を未だに追ってこないのは……』
『私達にしてみれば神楽耶様を奪われた状態と同じ筈なのですが……』
「うむ……」
ルルーシュを迎えに来た藤堂、その護衛に朝比奈と千葉。
後詰としてカレンを配置した少数精鋭の電撃部隊にしたのだが追っ手が未だに無い。
その事を不審に思っていたが前方のトレーラーの運転席にいる玉城は呑気なもので同席しているC.C.とカレンは些か不安だった。
「よぉし、次を左だ」
「本当か?」
「あ、すまん。右だわ」
「このっ大馬鹿が!」
「玉城! しっかり案内しなさいよ!」
「わりぃわりぃ」
なんともいえない態度に二人は苛立ちを覚えるがどうしようもなかった。
その時ルルーシュが手順の確認を兼ねて通信してきた時、玉城は前々から思っていた事を口に出した。

438 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 18:01:23 ID:WPtLu5Hh
 

439 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 18:02:00 ID:0lMqYxmr
支援

440 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 18:03:08 ID:EVwlC0tN
「なあ、俺っていつまで平なんだよ?」
『ん? ああ、それなら―――――』
「玉城は宴会太政大臣で十分だろう、要らぬ才能ばかりに満ち満ちているからな」
「確かにね、それでいいんじゃない?」
「お、お前等〜!」
『玉城、その話はいずれだ。それより予定通りのポイントで合流する、斑鳩にも回収と補給の準備をさせておけ』
その伝達を了承してC.C.はナビ無しで目的地に向かって運転をはじめてしまいカレンも斑鳩へ通信をはじめている。
玉城は不平不満を口に出して二人に猛講義したが無視され続けられるだけであった。
その頃ルルーシュは天子に悪戦苦闘していた、国の象徴とはいえ彼女が政に疎すぎて困り果てている。
理屈で話そうにも中々通じず彼の苦手な部類の人間だった。
しかし、お飾りという点でナナリーを思い出させたのも事実である。
(黎星刻……まさかとは思うが俺と同じ理由だったのか……?)
彼は同時にこの場にいないライを思い浮かべていた、彼ならこういう手合いの相手は得意そうだと。
説明を止めて暫し無言でいると神楽耶は星刻との仲が興味津々らしくそんな話題に移っていた。
そうこうしている間に一団は斑鳩の回収ポイントへ到着する。
時間は遡り十五分前、星刻達は全員捕縛されてしまい一箇所に集められ現在の状況説明をされて全員が驚愕した。
「馬鹿なっ!? 我が国から追撃部隊を出さずにブリタニアに全てを委ねたと言うのか!」
「左様、あちらからの提案でな」
「提案……だと?」
「華はこちらが持たせて貰える手筈よ。星刻、貴様も我々を責められぬ輩だったとはな」
「なんの事だ!」
「貴様に貸しがあるそうでな、それを返したいそうだ」
「……誰の手引きか聞かせて貰おうか」
「私としてはその前に聞きたい事があるな、麒麟児と呼ばれる男の戦略眼からの答えを」
大宦官達は恨み節な視線を突然現れたノネットに向けるが彼女の気持ちは星刻にしか向いていない。
所詮は我欲に溺れる者、いずれ自滅する大宦官達よりも彼女の中では気高く思える行動をした彼に興味があった。
「目的地が不明な逃亡者、お前ならどうする?」
「目的地などすぐに読める。まず追撃するのが陸軍であれなんであれ足止めは既に考慮されているだろう」
「いい見識だな」
「対策としてKMFを伏兵に置ける渓谷を選び地の利を活かして脱出、それ等から目的地は自ずと絞れる」
「はっはっはっ。流石だな、私も気に入ったよ。おい、全員解放してやれ」
ノネットの気紛れにも見える行動に大宦官達は戸惑うが彼女の要求は止まる事を知らない。
星刻にKMFを与えろ、それもとびっきりのをという要求まで出してきたのだ。
大宦官達も流石に抗議したがノネットもそれなり駆け引きはできる。
華を持ってブリタニアへ来たいだろうと、その華を誰が持ってきたかラウンズである自分が皇帝陛下に口添えしてやろうかと。
我欲に溺れる大宦官達には既に先見の目は無く目先の欲に囚われている。
その一部始終を釈放されながら見ていた星刻は相手の思惑が未だ掴めていない。
「目的はなんだ、中華連邦をそこまでして手に入れたいのか?」
「どっちでもいいさ、そんな事は。私の与り知らぬところでもあるしな」
「一体どこの誰だ、こんな手引きをするのは」
「黒の騎士団が本隊と合流すると思われる場所へ来い。私は確かに伝えたからな」
星刻はマントを翻して去っていく彼女を見つめながら心当たりを探していた。
(まさかな……だが、考えられるのは一人だけだ)
そうして彼は孤高のKMFと呼ばれる神虎を与えられた。
その神虎が迫る中でルルーシュも違和感を感じていた、あまりにも行動が遅すぎると。
既に全機の補給を終えており、アンブッシュ用にKMFも配置するだけに終わってしまう。
全員が手ぶら、その事で団員達も見えない不安と戦っていた。
「ゼロ、これって……」
「確かにおかしいな。扇、お前はどう見る?」
「え、あ、ああ……あえて手を出さないで様子を見てるとかじゃないのか?」
「ふっ、少しは役立っているようだな。だが、もう少し先を見据える事だ。恐らくはこちらの動揺―――――」
「第三小隊から連絡です! 撤退す―――――」
「前方より高、きゃぁ!」
幾つもの情報が入ると同時にオペレーターである双葉と日向が知らせようとした時。
斑鳩を揺らす様に艦橋から一筋の弾道が見えた。

441 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 18:03:22 ID:WPtLu5Hh


442 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 18:03:47 ID:0lMqYxmr
支援

443 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 18:05:19 ID:EVwlC0tN
「くっ! うろたえるな、まだ威嚇射撃だ!」
「今のってランスロットの!? でも、あの弾速は……」
パニックは少し落ち着くが水無月が伝えた情報で更に艦橋は混乱する。
「レーダーに反応あり! えっ……嘘でしょ……予測発射位置は前方よ、四十キロ先です!」
「……なぁに、それって新手の冗談?」
「こんな時に冗談もなにもないだろう。事実として次も来てるぞ」
再度の射撃、それは寸分違わなく同じ位置を通り抜けていく。
その射撃地点では狙撃を観測しているKMFがいた、ヴィレッタが駆るチューンアップされた青色のヴィンセントだ。
「流石と言うべきなのか、これは? とりあえずは良好です」
「こんな隠し玉を持っていたとはな、一体どういうつもりかな」
予想通りのポイントを進んでいた黒の騎士団を嘲笑いながらも星刻はこの場で待っていた青いKMFのパイロットに声をかけた。
相手は特に感慨もないのか展開していた背部ユニットを収納してランドスピナーで斑鳩へ突進していく。
「なるほど、確かに個人的借りはあったな。だが、これでは借りをまた作ってしまう事になる」
「前方の機影、三機に増加! 内一機はこちらへ向かってきてます!」
「ちっ、前方の機体は全て下がらせろ! 仙波と卜部に前方の抑えを任せる!」
ルルーシュは即座に進軍してくる一機を危険材料と判断してエース以外を全て下がらせた。
四聖剣に与えられた暁・直参仕様、エース用にカスタマイズされたその機体で二人は斑鳩前方に展開する。
「他のKMFにも準備をさせろ、ここで戦闘になるぞ」
「みんな落ち着いていこう。ゼロ、藤堂さんと四聖剣の二人には斑鳩の直衛を?」
「いい判断だ、その調子で任せる。カレンは紅蓮に騎乗して艦内待機、相手には切り札がある筈だ」
「わかりました」
「後方から陸軍接近、上空にもアヴァロンらしき艦影が確認できます!」
前方で切り込みとして待機している仙波と卜部も焦りが出はじめていた。
今の斑鳩は挟撃される形となっている、しかし彼等の目的地であるインド方向への関係上後退は出来ない。
「大尉、機影を確認できました」
「こちらも確認した、あの白兜に似ておるな」
「さしずめ、青角ってところですかね」
「似ておるだけで意味はなかろう。それに以前の様にはさせん……来おったぞ、構え!」
「承知!」
二人はここまで飛翔せずに接近した事を懸念したが牽制を兼ねて上空からハンドガンを撃つがかすりもしない。
ハンドガンを当てにしていない二人だったが相手の動きに些か違和感を覚える。
地上で回避行動しながらランスロットに似た青いKMFは背部のフロートウイングを展開していく。
そして僅かな射撃が止んだ瞬間を見計らっていたかの様にフロートユニットを加速させて上空の二機へと突進する。
その最中に腕を十字にする様に背部ユニットのアタッチメントにあるMVSブレスタイプを交互に抜刀。
相手のその動きに合わせて二人も即座に廻転刃刀を構えて飛翔滑走翼の機動性を最大限に活用させて斬りかかる。
「その様な細身の剣では」「我等の刃は防げ―――――」
二撃同時、しかも受け止めるにしてもどちらかは防ぎ様の無い絶妙のタイミング。
誰がどう見てもその筈だったのだが、轟音にも似た激突音をあげて吹き飛ばされたのは斬りかかった二機だった。
「なんと!?」「馬鹿な、あの動きは!?」
青いランスロットは確かにMVSで受け止めていた。いや、正確に言えば受け流したが正しい。
刀身を直線で当てず傾けて廻転刃刀を滑らせながら踊る様に機体を回転させて足場の無い空中で斬撃の衝撃を逃がす。
その上で回転の慣性を利用しながら腕部のスラッシュハーケンの勢いを増させて二機へ追撃して弾き飛ばしたのだ。
「……ゼロ、私が出ます!」
「ま、待つんだカレン! 相手の出方を―――――」
「扇さん、相手はランスロット級よ! 私なら抑えられるから!」
「待てカレン、こちらの指示に従え!」
ルルーシュと扇の制止を振り切ってカレンは紅蓮可翔式で青いランスロットを抑える為に出撃していく。
それを眺めながらラクシャータはチームの解析結果と見覚えのある動きに悩んでいた。
「……あのプリンもどき、どうやら厄介みたいねえ〜」
「どういう事だ、ラクシャータ」
「データに完全適合する機体はランスロット・クラブ。白ロシア戦線での攻防が公で確認された最初で最後の機体みたいよ」
「一度だけだと?」
「それはおかしな機体だな。ゼロ、どうやら亡霊の類かもしれんぞ?」
「亡霊……? C.C.、お前―――――」
「どっちの差し金かは知らないからな」

444 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 18:06:35 ID:0lMqYxmr
支援

445 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 18:07:14 ID:EVwlC0tN
「……その話は後にしよう、まさかこんなにも早く動かしてくるとはな。カレンを今すぐ下がらせろ!」
(まさかとは思うけど……でも、専用機としてならあの動きも当然って事なのかしら。だとしたらイライラするわね)
艦橋でのやり取りとは裏腹にカレンは自分ならなんとかできると思っていた。
機体をゆっくりと回転させて自分を見据える行動、その挑発にも似た見下す行為。
「これだからブリタニアは……その態度、後悔させてあげるわ!」
徹甲砲撃右腕部の輻射波動機構が唸りをあげて砲弾を喰わせてやろうとしている。
紅蓮が一定の距離まで詰めても動きは見せず輻射波動を稼動させてようやく振り向く。
だが未だにクラブは動きを見せない、ようやく動きはじめたのは紅蓮の砲弾の準備が整ってからだった。
しかし、ただゆっくりと紅蓮に近づいていくだけに留まっている。
「っ!? 馬鹿にして!」
余りにもこちらを見下しきった態度にカレンは拮抗を自ら壊してしまう。
砲弾を最大限まで膨らませて後悔させてやろうと攻撃を仕掛ける。
が、その紅蓮が右手を振り上げようとした瞬間に合わせてクラブも最大戦速まで加速して突撃をはじめた。
カレンは即座に中止しようとするが既に入力した操作をキャンセルは出来ない。
その放たれた砲弾をクラブは右腕に展開したブレイズルミナスで範囲ギリギリの直線位置で衝撃を受け流していく。
その独楽の様に半回転しながらクラブの左手は腰へと伸ばしている。
VARISを使われる。カレンはすぐに読めたが紅蓮は砲弾を発射中で出力全開で撃った反動も殺しきれていない。
自機の速度、敵の攻撃を受け流しながら勢いを吸収して更に加速。
その自分と敵機の全てを利用してクラブは紅蓮へと高速で接近して頭部の前でVARISを構えた。
「そ、そんな……嘘でしょ……」
成す術もなくただの一度の攻防で勝敗を決された事。
それによって砕かれた自信と命を奪われる恐怖、そして―――――
『忠告しただろ。君は輻射波動に頼りすぎだ、と』
「ど、どうし……てなの……どうして……」
そこにいる筈のない、いてはいけない筈の少年の声を聞いてカレンの顔は青くなっていく。
髪の隙間から覗かせる自分を見る眼、総領事館で見た事のある相手を射殺しかねない程の冷たい眼。
それから逃げようとする反応を見た彼は心底落胆した様な声で彼女に告げた。
『エースが聞いて呆れるな、邪魔だ』
そう言って彼はクラブで紅蓮を軽く蹴落とした。
ショックからかカレンは成すがままで紅蓮を落下させてしまうが仙波と卜部によって急いで受け止められる。
その受け止めた彼等も、そして斑鳩艦内にいる団員達も映し出された少年の姿に驚愕している。
『さて……ゼロ、天子様の返還を要求する』
クラブのVARISは艦橋に狙いを定めている、位置関係も斑鳩がどう足掻いても逃げられる道は無い。
そして誰もこの現実を直視出来ず状況の把握も出来ていない。
言葉を交わしているルルーシュと彼以外には。
『君達のこれ以上の蛮行は目に余るそうだ、悪いけどここで君達を終わらせる』
「ふっ、流石は私が認めた男だな。演技が上手くて感心したよ、ライ」
ランスロット・クラブに騎乗している銀髪の少年、ライへとルルーシュは静かに賛辞を述べた。
様々な想いを託して―――――

446 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 18:07:46 ID:EVwlC0tN
以上です
アリスはそこまで本筋に絡まないのでお気になさらずに、客演ってやつでしょうかね?
ライは…何してるんでしょうね、この子?
更には色んな人達が乱れ飛んでおりますが…本当にいいのか、これ?

次回はいよいよ空白期間の外伝です
当面は本編と外伝の交互投下の形になりまして外伝は全六話になります
面白く書けるといいな…

あ、ニコニコに動画あげました
まあ自己責任もありますし、過剰反応もニコ厨乙されますので
その辺りの分別を持ってくれると嬉しいです
って自分のこれもスレ違いですね…以降は自粛します
一応、自分の長編に合わせて編集した様な物です
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm5478927

では、失礼しました

447 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 18:07:54 ID:0lMqYxmr
 

448 :ぷにぷに ◆/uQUf4aJ4k :2008/12/13(土) 18:11:53 ID:EVwlC0tN
あ、ごめんなさい。打ち直し出来てなかった
>>445の七行目は
紅蓮が一定の距離まで詰めても動きは見せず輻射波動を稼動させてようやく振り向く。

その紅蓮が一定の距離まで詰めても動きは見せず輻射波動を稼動させた辺りでクラブは振り向く。

です、ホント重ね重ね申し訳ない

449 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 19:28:30 ID:i3/nvIxO
>>448
ぷにぷに卿、GJでした!
なんだ、この展開は! 畜生! 燃えるじゃねえか!
うん、色々凄すぎるよ!
様々な人に知られているライ、いきなりのブリタニア側としての参上にびっくらこいた!
もう、続きが楽しみすぎる!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!



以下、戯言なので、全力で見逃せ!
すぐにマイリストに入れました。

450 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 20:37:04 ID:oRlm75oX
GJです。色んな人に知られてるライ、彼らとの関係は何なんだ。そして何をする気なんだ。
続きをお待ちしてます。

451 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 21:14:26 ID:LLgEGPqR
またトーマスさんのサボリ癖が出てるようですね。少し身の程をわきまえさせる必要があるんじゃないでしょうか?

452 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 21:22:47 ID:mmUYnxOK
板が変わっても、こういう下劣な屑って本当にどこでも沸くな

453 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 21:24:28 ID:n8ct3dNh
>>448
ぷにぷに郷、GJでした。
敵として現れるライに動揺する黒の騎士団。
一体、ライの真の狙いとは何なのでしょうか?
続きを楽しみにお待ちしております。




動画ですが、少し前に偶然見つけた時にコメントを見て「もしや?」と思いましたが、やはり貴方でしたかw

454 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:03:39 ID:VSMU8xFF
さてさてさて
冷たい雨の降る、土曜の夜。みなさんいかがお過ごしでしょうか?
青い運命の人です
予告通り コードギアス LOST COLORS [手をとりあって] 第二話を投下に参りました
あれもこれもと思うがままに書き綴った結果、かなり長い文章になってしまいました
2215より投下しようと思いますので、支援をお願いできないでしょうか
それでは10分後に、また
よろしくお願いします

455 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:16:19 ID:LLgEGPqR
僕は支援しない主義なもので

456 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:16:40 ID:5++sZObm
支援

457 :BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:17:37 ID:VSMU8xFF
どなたもいらっしゃいませんか〜?
いらっしゃらないようでしたら、明日の昼頃にでも延期しますね

※本日の前書き※
・黒の騎士団ルルーシュENDからの直結ストーリー
・拙作「手をとりあって」第二話リメイク………という名の殆ど新規。
・あとがきを含めて、全16レス
・オリキャラ少々あり
・時間設定などを細かいいくつかの設定を小説版から拝借(特区設立が2017年の12月だったなど)
・今回執筆時にイメージ曲として聞いてた音楽「誰かの願いが叶うころ」宇多田ヒカル

458 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:18:39 ID:WPtLu5Hh


459 :BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:19:33 ID:VSMU8xFF
あぁよかった。ではよろしくお願いしますね

>>僕は支援しない主義なもので
ではその主義をきちんと貫いてくださいませ
できれば書き込みもご遠慮いただきたいものですね

460 :1/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:20:42 ID:VSMU8xFF
───2017,Dec,アッシュフォード学園

「じゃあ…、向こうに行っても元気でな」
差し出されたリヴァルの手を握り、僕は彼の優しさと別れの痛みを十分に味わった。
「ありがとうリヴァル。でも、実は正直とまどっている」
それはなぜ? ミレイさんが静かに問う。
僕は思ったとおりにその理由を述べようとした。
「なぜって……、一昨日に話したとおり僕は黒の騎士団の一員で、いわゆる…ブリタニア国民にとってはテロリストの一味で……・・・」
それをミレイさんは遮るのだ。
「でもさ、結局のところ……ライはライ、なのよ。あたしたちが知ってるライが、ライよ」
そういうことっ! とリヴァルもいつものように明るい声を立てる。
雪こそふってないものの辺りは寒い。冬の空は灰色でどこか物悲しい。何か、今にも誰かが泣き出しそうな、そんなイメージ。
そんな日に僕はこのアッシュフォード学園を後にする。まとめた荷物は驚かれるほど少なかった。
もっともな話だ。幾着かの洋服も、幾つかの小物も、みんなこの学園に流れ着いた時にミレイさんや生徒会のみんなが揃えてくれた、それらだけなのだから。
皇歴2017年の12月──あの日からまだほんの十日しか経ってない──[行政特区・日本]が正式に発足された。
その存在と理念は日本人のみならず、多くの神聖ブリタニア帝国属領で生きる人々[ナンバーズ]たちにも希望を抱かせるものだ。
黒の騎士団総司令ゼロは提唱者であるブリタニア帝国第三皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアの要請を承諾し、行政特区の運営に参加することを了承した。
僕も黒の騎士団の一員として、行政特区がおかれた富士山麓周辺区域に向かうことになったのだ。
黙って学園を後にすることも考えた。
それが出来なかったのは………こうしてミレイさんとリヴァルが見送りに来てくれた事が示す通りだ。
「まぁ、その、ルルーシュまでがライにくっついて特区に行くって言い出したのには驚いたけどさ」
「リヴァル、俺は別にライのおまけでくっついて行くわけじゃないぞ」
不本意そうにルルーシュが口を尖らせる。
「俺はあくまで俺自身の自由意志で行くだけだ。ブリタニアの中に生まれたブリタニアではないという可能性、それを見てみたい。ついて行くのは、ライも行くというから一緒に行くだけでだな」
ハイハイハイと手をひらひらさせるリヴァル。ミレイさんはいささか複雑な表情を見せていた。
『本国からの追求の手を逃れるため、ブリタニア官憲の影響力が薄まるであろう行政特区へ行ってみたいと思います。まずは一人で』
自分の素性を知るミレイさんへの説明は概ねそんなもので済ませたとルルーシュは言っていた。
無論実際にはゼロとしての仕事を行うために特区に腰を落ち着けることが必要だから、なのだが。
いずれはナナリーも呼び寄せるつもりではあるという。急な環境の変化は良くないだろうと断腸の思いでミレイさんに預けていくことにしたそうだ。
「それにしてもさー、やっぱりこなかったなぁ」
リヴァルが嘆息する。
見送りに来てくれたのはミレイさんとリヴァルの二人だけ。シャーリーとニーナ、カレン。それにナナリーは来なかった。
カレンは実母の件もあって軽軽にシュタットフェルトの家を出て特区に向かうことはできない状況らしい。
それに式根島の一件以来学園からは足が遠のいているカレンだ。ゆえに出発の日のことまで伝える術がなかった。

461 :全力感想人Y ◆7RZOliBygM :2008/12/13(土) 22:21:21 ID:KnCIJz/g
私は全力で支援する主義ですので、支援させていただきます

462 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:21:29 ID:WPtLu5Hh


463 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:22:33 ID:WPtLu5Hh
 

464 :2/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:22:36 ID:VSMU8xFF
「まぁ、しょうがないわよね。カレンは相変わらず寝込んでるってことだし、ニーナは元々…だし、シャーリーはナリタの……」
いいんです、と僕は言った。
「責められても……憎まれても当然の立場ですから」
ルルーシュは表面上何の反応も見せなかった。
だが、僕以上にシャーリーに対して負い目を感じている彼であることを僕は知っている。
「そろそろ時間になるな。行くぞ、ライ」
促されて僕は荷物を手に取った。小さなカバンが一つ。それが僕の全財産だ。
『違うな』
物質的な財産ならそれは間違いではない。だが、本当の財産という意味でなら?
通用門傍に待たせている車から催促のクラクションが鳴る。確かにそろそろ出発しなければ余裕をもって到着することはできない。
ルルーシュに続いて、車に乗り込もうとした時だった。
「待って、待って、待ってッ! 待ってえぇーーーーーー!!」
元気な声がドアにかけた僕の手を止めさせる。
「シャーリーにナナリー、ニーナも! 三人とも来てくれたのかよ!」
歓声を上げたのはリヴァルだ。
ナナリーの車イスを押しながら走るシャーリー、その後に続くニーナ。
シャーリーが押す車イスの爆走ぶりにルルーシュの顔がわずかに引きつっているのを横目にしつつ、僕は振り返った。車を背にして三人を迎えた。
「あぁー、間に合ったぁ…よかったぁ」
本当に大急ぎで走ってきたのだろう。シャーリーとニーナは息を切らせていた。白い息が間断なく吐き出されている。
「これ、ね。作ってきたの」
シャーリーが指差し、ナナリーが差し出したのは折り紙の鶴の束だった。
「三人で作ったんです。ライさんとお兄様に持っていってほしくって」
「ライとルルーシュがニッポンに行くって聞いたの一昨日なんだもん。昨日から作り始めて今の今までかかっちゃった」
その朗らかな笑顔はよく知る彼女のものだった。いままでと何ら変わることのないシャーリーの笑顔。
「贈る相手の願い事が叶いますようにって、そういう風に想いを込めながら作るんだってナナリーに教えてもらいながら作ったの。千羽鶴ってそういうものなんでしょ?」
「シャーリー、あなた……」
声をかけるミレイさんにシャーリーは笑ってみせた。
「大事な友達の門出だもん。気合入れてがんばってきましたっ!」
そんな彼女の言葉に僕は胸を締め付けられる。
「シャーリー、でも、僕はッ…」
一歩前へ踏み出した僕の唇にシャーリーはその人差し指を当てて黙らせる。
「君は、ライだよ。わたしたちの…生徒会の仲間。大事な、大事な友達の、ライ」
そう言いながら一瞬、彼女は目を伏せて辛そうな表情を見せる。だけど、すぐに彼女はいつもどおりの朗らかなシャーリーに戻っていた。

465 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:22:51 ID:i3/nvIxO
……あー、>>461は全力で見逃してください。
支援

466 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:22:52 ID:WPtLu5Hh
  

467 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:23:11 ID:WPtLu5Hh
 

468 :3/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:24:24 ID:VSMU8xFF
「だからね、いいの! せっかくの門出の日だもん。ちゃんと見送りしなきゃね!」
ナナリーが頷く。ニーナはその後ろ、ナナリーの車イスの後ろに立っている。無言で、隠れるようにして。
そんなニーナの様子を見、シャーリーは僕の手をとった。
「いつか、わだかまりとかそんな色々なものがなくなって、みんな一緒に騒いだり、笑ったり…できるようになるよ。またできるようになるよ。ね?」
「あぁ…そうだ。そのために力を尽くすよ」
気の利いたことがまったく言えない自分がとてもつまらない人間に思える。こんな時、どんな顔をしたらいいのかがわからない。
そんな僕にシャーリーは屈託のない笑顔をくれた。
「がんばってね、ライ」
「そうだぜライ。がんばってくれよな!」
「たまには帰ってくるのよ。ここはあなたの家でもあるんだから」
「ライさん、お兄様をよろしくおねがいしますね。お仕事がんばってください」
口々に見送りの言葉をくれる仲間たちに、僕の胸はさっきとは違う痛みに襲われていた。
そう、これは甘い痛み、幸せの痛みだ。
いつまでもここにいたいという僕の気持ち。ここを離れたくないと思う僕の心が胸に痛みを感じさせている。
『そうだ、これこそが僕の財産だ』
物の多い少ないではない。形の有無でもないのだ。思い、思われる、その心のあるかないかこそが財産なのだと僕は教えてもらったのではなかったか。
これこそが僕の本当の財産なのだ。
冬の空にはもう、物悲しい、泣き出しそうなイメージはない。
そこには幸せのイメージが、優しさの色が満ちていた。
「ありがとう、みんな」
ようやくの思いでやっとそれだけを言えた僕。クラクションが再び鳴る。
いってらっしゃいというみんなの声に背中を押され、僕は車に乗り込んでいった。
シャーリーが、リヴァルが、ミレイさん、ナナリーが走り去る車に、僕たちに向かって手を振る。千切れんばかりにその手を振り続ける。
そして、その隅っこでニーナが小さく手を振ってくれていた。
照れくさそうに、はにかんだ笑顔で小さく手を振っていた。
「いつか、またここに帰ってくるよ。僕は」
「そうか」
手元の手帳に目を落とし、興味なさそうな様子で、愛想もなくぶっきらぼうに言い捨てるルルーシュ。
その態度はC.C.でなくとも「可愛くないッ!」と言わせるような代物だったので、僕はいつもならば見逃してあげるであろう“ソレ”を指摘してやるのだった。
「ルルーシュ、こう言ってはなんなんだけどさ。その手帳、上と下とが逆さまなんじゃないかい?」
ルルーシュはその一言に赤面した。

コードギアス LOST COLORS [手をとりあって]その2   【ライ】


469 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:24:42 ID:7IK6Y87c
支援

>>452
気持ちはわかる。だが、顔をしかめる程度にしておくんだ。スルーしようぜ
道端に犬の糞や生ゴミが落ちていたとして、それに一々憤りを感じて犯人を探していたら切りがないだろう?

ましてや、それ以下の存在になんて注意を払うことすら無駄だよ

470 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:24:43 ID:i3/nvIxO
支援

471 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:25:27 ID:WPtLu5Hh
 

472 :4/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:26:40 ID:VSMU8xFF
───2018,Jul,行政特区日本・政庁

賑わう時間はやや過ぎた午後三時半の職員食堂。
まさかそんな場所が阿鼻叫喚の修羅場の舞台になろうなど、想像だにできないことだった。想定の範囲外だ。予測の幅を超えている!
「だから───すっかり腰を落ち着けたとか、帰るつもりはないとかそういうことは全然なくってね…」
一言口にするたびに、返事が三言、四言、五言と隊列を為して返ってくる。
「うん、わかっている。………いや、そうじゃなくてね───違うよ! それは違うって!!」
できるだけ小さい声で答えてるつもりだけど、周囲のそう多くはない職員たちには丸聞こえなんだろうな…その点について、僕はもう諦めていた。
かつての日本軍はこんな思いだったのだろうか。圧倒的な物量の前にただただ押し潰されていく、絶対の無力感。
例えるなら手元にあるのはピコピコハンマーが一つきり。相手は完全重武装の機械化歩兵師団。ナイトメアとガンシップも保有している設定で…ではなく。
あぁ…携帯電話を持つ右手が鉛のように重い。いっそのことこの手を下ろすことができたら……。
親指がかかっている終了キーのことを思った。
『こいつをポチッと押してしまえば………』
僕は会話に向けている忍耐心の一部をそちらに向けて、kこの甘美な誘惑に耐えた。
今はそれでよくっても、後々その誘惑に負けた代償を払うことになるのだろうから。
それはおそらく……。
「とんでもない事態を引き起こす…」
一瞬の沈黙。
──・・・・・!!!!!!!!!!!───
これまで以上の言葉の奔流がスピーカーから突撃行軍をはじめた。
「違うよ、今のは君の事を言ったのではなくってね。───そうじゃない、ホントに違うよ! 仕事! 仕事なんだ!!」
最後の言葉は自分で言うのもなんだけど、とても切ない音色に聞こえたのに違いない。

クスクスクスクス………。

どこかで誰かの忍び笑いが聞こえた。
あぁ………。
上に立つ者としては、あまり情けない姿というのは見せられないものなんだけどなぁ…。
僕は一応行政特区日本の政務局次長の要職にあるわけで、そういう醜態は業務の遂行に支障をきたすのではないか、と。
だからね、ちょっとだけ勘弁してもらえないだろうか。僕は胸の内で心の底から許しを請うた。
僕にも立場とか都合とかそういった諸々があるんだよカレン。
けっして君を軽くみているとか、飽きたとか、そういうことはないんだよ!
──移動に5分、食事には7分。それ以上はかけないでくれ。時間厳守で頼む。仕事は山のようにたまっているんだからな───
『すまないが…その約束は守れそうにないよ、ルルーシュ』
およそ半年の間ほったらかしに“されている”と憤るカレンをどうなだめたものかと考えながら、僕は目の前のカレーうどんが冷えていく様をじっと見つめているのだった。

473 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:27:33 ID:KnCIJz/g
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474 :5/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:29:05 ID:VSMU8xFF



コトンと目の前にお茶の注がれたグラスを置いたのは井上さんだった。
「たいへんだったわねぇ〜」
見ていたのなら助けてくれたっていいのに。
そんな非難を視線に乗せて訴えてもみたのだが、それはさりげなくスルーされたようだった。
人当たりのよい笑顔。頼りになるお姉さんといった笑顔が対面の席に腰を下ろす。
「その調子だとカレンのことはこっちに来て以来ほったらかしだったようね」
「別にほったらかしにしてた訳じゃ……」
我ながら声に力がない。わかっている。自分にそのつもりがなくても、相手も同じように受け取っているとは限らないのだということは。
クスクスと井上さんは笑ってみせた。
「口ではそう言ってても、こっちは正直よね!」
そう言って井上さんは僕の額を人差し指で弾く。
イテッと声をたて、僕は不満気に唇を尖らせる。
「そういう言い方はよしてください。まわりに変な誤解を与えてしまう」
こりゃまた失敬、とおどけた調子で井上さんはまた笑って見せた。
食堂に入ってからの時間は───もう見るのはよそう。どちらにせよ戻ると告げた時間はとうに過ぎているはずだ。
お茶はよく冷えている。その冷たさは空調が効いている屋内とはいえ、暑い夏の午後にはありがたいものだった。
「あなたってさぁ……」
うん? と僕は視線をグラスから彼女に移す。
「変わったわよね、けっこう」
「変わった…ですか? 僕が」
「よく笑うようになった。それにびっくりしたり、呆れたり、怒ったりもするようになったわ」
そう…なのだろうか? 自覚はない。だが、彼女が言うとおりなのかもしれない。
僕は知った。この世界が、灰色のみではない、様々な“色”に満ちた世界だということを。
だから。
「そうかもしれません。なんだか、以前よりもっともっと色々なものに関わっていきたいと思えるようになりました」
「それは上々」
そう言って自分の分のお茶を飲み、井上さんはもういちど人差し指で僕の額を弾いた。
「それってカレンのおかげもあるんじゃないかなぁ。もうちょっと気にかけて、時間もつくって、しっかり大事にしなさいよ?」
「肝に命じます」
神妙な顔で答える僕が面白かったのか、再び、だが今度は大きな笑い声をたてて井上さんは席を立った。
「それじゃあね。午後からもがんばってちょうだい、政務局の次長殿」
「ご期待に沿えるよう努力します。秘書室長殿」
僕たちに声がかかったのはその時だった。
「すいません、井上室長。御門政務局次長」
「ん。どうしたの?」
知らない女性だった。若い…とはいえ僕よりは年長なんだろう。井上さんがとまどうことなく応対するところから秘書室の職員なのだろうとは知れた。
肩まである綺麗な髪。それを飾るビーズの髪飾りが目をひいた。なかなか凝ったアクセサリーだが、手作りなんだろうか。
「はい。午後からの会議を予定より早めて開始するとの指示が官房から提出されたんです。それで…」
女性秘書はチラと僕を見た。それでおおよその見当はついた。
「もしかして20時からの経済対策の会議を?」
そうです、となぜかその彼女が申し訳なさそうに頭を下げた。
あぁ…、まいったな。
僕は天を仰いで慨嘆した。

475 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:29:40 ID:i3/nvIxO
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476 :6/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:31:11 ID:VSMU8xFF
20時開始でも準備が整うかどうか微妙だったのに開始を早める? なんてことだ!
「それで何時開始に早まったの?」
冷静に聞き返す井上さんに、彼女は言い難そうに、それでもはっきりとした声で答える。
「18時です」
うわア…僕は目の前が真っ暗になる気分に襲われた。
「あと二時間少々しかないじゃないか」
「す、すいません!」
反射するように頭を下げる彼女に井上さんが「あなたが謝ることじゃないでしょ」と愉快そうにツッコミをいれる。
「そうなると秘書室も働かないといけないわねぇ。こりゃお茶してる場合じゃないわ」
足でイスをテーブルに押し込むと井上さんはさっさと立ち去ってしまった。
僕もいつまでも嘆いてばかりもいられない。執務室にもどろうとしたときだった。
「?」
秘書の彼女がまだ傍らに立ったままだ。
そういえばこの人、なんて名前だったろうか?
新人でも大体の職員の名前と顔は記憶していたつもりだったんだけど。
「あの、これを」
差し出されたのは一冊のファイルとディスクだった。
「案件を分野別にソートして閲覧しやすいようにしてみたんです。事案には各部局の意見を参考資料としてあげてあります。施行にあたっての法解釈も含め、過去の類似例などもサンプリングしてみました」
パラパラとめくってみた。
『へぇ〜』
理路整然となかなか詳しく一つ一つの案件がまとめられている。なによりも見やすい。
「いいですね、これ。こういうのはすごく助かる」
パっと花が開くように彼女の表情が和らいだ。
「ありがとうございます!」
ほっとしたように彼女は息を吐く。そんなに僕と話をするのは緊張するのだろうか。
「わたし、御門政務局次長ってもっと怖い人かと思っていました」
さっきまでよりはだいぶ柔らかくなった表情で彼女はそんなことを言った。
「特区の行政を取り仕切る、元黒の騎士団の…ナイトメアのエースパイロット。ブリタニア軍と戦っていた方で、あのゼロの右腕……」
やはり一般の認識とはそういうものなのだろうなと僕は思っていた。
黒の騎士団に対するゲリラ、テロリスト、怖いといった認識はやはり同じ日本人たちの間にもある。
「なのに井上さんとのお話の様子、なんだか可愛くって」
そういって小さく笑う彼女だが、すぐにあわてて「すいません!」と謝罪する。僕にはその様子のほうが面白いし可愛いと感じるのだけど。
「ちょっとぉーーー!」
食堂の出入り口から井上さんが呼ぶ声がする。
「すいませーん!」
答える彼女がそちらにむかって………行く前にもういちど僕に振り返った。
「そのファイルと午後の会議…」
まだ幼さの残るその顔に真剣さをたたえて彼女は、
「わたしの初仕事なんです。どうぞ、よろしくお願いします!」
深く頭を下げ、そうしてから彼女は踵をかえして出入り口の方へ駆けていった。

477 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:31:37 ID:WPtLu5Hh
 

478 :7/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:33:15 ID:VSMU8xFF
そんな彼女を見送り、僕はグラスのお茶を飲み干して、食器を窓口に返す。
そうだ、ついでにハーブティーのボトルを買っていこう。最近ルルーシュが美味しいとか言ってたやつを。
支払いをすませ、品物を手に僕は食堂を飛び出した。
全力…で走るわけにはいかないが、それなりの急ぎ具合で僕は廊下を走る。
廊下を走る僕にびっくりする者、会釈する者、クスクスと笑う者……などなど。
『あぁ、まったくもう…』
上に立つ者はいかなる時もゆったり歩け。つまらない事に気をとられて部下の士気を揺らがせてはならない。
それは鉄則のはずなのだけど。
[廊下を走ってはいけません]その標識を横目に僕は走る。
「御門“局長”がんばってー!」
今のは政務局庶務課の職員だ。たしか斉藤。あっけらかんとした性格でみんなに愛されているシングルマザー。
「僕は局長じゃなくて、次長!」
廊下の左側面は大きなガラス張りの窓になっている。
そこからは行政特区日本の街が眼下に一望できるのだ。
特区成立より半年。
まだまだ生まれたばかりの若い、幼い街。
僕たちの街、だ。
「御門次長、転ばないでくださいよ」
年配の職員が苦笑しながら声をかける。産業労働部のネイサン・ウッドブリッジだ。彼のようなブリタニア人も──無論極少数派ではあるが──特区に参加している。
「ありがとう、気をつける!」
多くの人々が集ったこの行政特区。生まれたばかりゆえにまだまだ足りないものは多い。
行政機能の確立、ブリタニアに依存状態にある経済の健全化。産業の創出に教育と雇用の機会均等、その安定化、治安維持。それから、それから…。
クリアするべき諸問題は山積みで、それらを一息に解消するような奇跡などはありえない。
この先何年もかかるものだ。いや何十年とかけて形作っていくものなのだ。それは小さな苗木から大木を育てるような気の遠くなるような作業。
地道に一つ一つを解決していくしかない。一人一人の人間が力を出し尽くして、手を取り合って作り上げていくもの。
毎日が戦いだ。
だけどそれは殺し、奪い、侵すのではない戦い。守り、育て、創り出すための戦い。
僕の誇りある戦い。
そのあとも何人かの職員と声を交わしながら、僕はようやく執務室までたどりついた。
部長クラス以上の者の執務室は強力なセキュリティシステムに守られている。盗聴対策なども万全だ。
ロックを解除して扉を開ける。
室内の奥にはデスク。だけど、そこに座るのは部屋の主人たる僕ではなく───
「遅くなってすまなかった───ルルーシュ」
身に纏っているのはゼロの黒衣。仮面はデスクの上に置いたまま、ドアに背を向け椅子に座ったルルーシュは振り向きもしない。
「食堂の売店でハーブティーを買ってきたんだ。君が好きだって言ってたやつ。まずは一緒に飲まないか」
「いらない」
その言い方はまるで駄々っ子のようで思わず苦笑しかけたのだけど、それはさすがに胸の奥にとどめることができた。
人間慣れればなんだってできるようになるものだ。
「約束どおりに戻ってこないでおいて、お茶の一杯で俺を釣るつもりか? ずいぶんと安くみられたものだ、この俺が」
まぁまぁと僕はルルーシュをなだめながら、棚から二人分のカップを取り出した。ボトルからそのまま飲むのでは味気ない。
「これから始まる修羅場のために、まずは一杯やるとしよう。なにせ開戦までもうあと二時間しかない」
うん? と首をかしげるルルーシュの前にハーブティーを注いだカップを置き、僕は応接セットのソファに腰を下ろした。
「ちょっと待て、あと二時間って?」
ルルーシュの顔色が変わる。そうか、さっきの僕はあんな顔をしていたのか。やはり人のこととなると観察眼が働く。確かに見ていて面白くはあるものだ。
「そういうことだ。まずは一杯飲んで、気を落ち着かせてからがんばろう」

479 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:34:04 ID:i3/nvIxO
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480 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:34:26 ID:WPtLu5Hh
 

481 :8/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:35:42 ID:VSMU8xFF



ルルーシュがキーボードを叩く速度は並じゃない。
僕が二枚目の原稿に入る頃にはもう三枚目が終わり、四枚目に入るくらいだ。
「それにしてもなんで二時間前倒しなんだ。いきなりすぎるじゃないか!」
「僕に聞かれても、困るよ!」
負けずにキーボードを叩いて資料をまとめ上げる。
「ルルーシュ、産業振興法案のB項のファイルはどこだ?」
「知らん」
ルルーシュの返答はいつも明瞭で明確で簡潔だ。
「探してくれたっていいじゃないか」
「俺がキーボードを打つのをやめるのと、お前が探しまわるのとどっちが効率がいいと思う?」
僕は手の平をヒラヒラさせて降参した。確かにそれは正論だ。間違いない。
「たまには片付けたらどうだ、ライ。あまりにも汚すぎる」
いつもならこの部屋もルルーシュ/ゼロの部屋に負けぬほど整理整頓が行き届いている。
だが、常ならぬ忙しさにかまけてデスクの上は書類・報告書・資料などでごった返していた。
否、デスクの上だけではない。応接セットの上、書類棚の上、あらゆる所が雑多なものでごった返している。
けど、僕は知っている。ここ数日、ルルーシュの部屋だって人のことを言えるほど片付けが行き届いてはいないのだ。
「これだ!」
積み上げた書類の塔から引きずり出したファイルを開いてみる。
外れ。
それは行政特区設立後に催された各式典に関するファイルだった。
開いた1ページ目には大きなユーフェミア行政長官の写真。
思わずため息が出た。
ユーフェミア行政特区日本行政長官。特区構想の発案者にしてナンバーズの最大の理解者。慈悲深き“元”皇女。
だがそれは彼女の一側面に過ぎない。もう一方の側面において彼女は黒の騎士団にとっては最悪の敵でもあるのだ。
「誰だ、お飾りの皇女様だなんてバカにしてたやつは」
そのぼやきは行政特区に参加することとなった黒の騎士団幹部にとっては日常の挨拶言葉のようなものだ。
挨拶かわりに「ユーフェミアが…」「またユーフェミア」「やっぱりユーフェミア」「結局ユーフェミア」などと彼女の名前が口の端に上る。
ただの理想家、お飾りさん。そのような扱いをされてきた彼女がその実卓越した政治センスを持つ才女だったなどとだれが想像できただろうか。
自信に満ち溢れ、政策を提言し、滞りなく実行していく彼女は間違いなく日本人にとって最良の理解者ではあった。
しかし、それは日本人への無制限の妥協を意味しない。
「最良の理解者とは最悪の敵手でもある、か」
いつの間にか傍らに立ち、彼女の写真を見ていたルルーシュがつぶやいた。どうやら僕と同じことを考えていたようだ。
「あの甘えん坊だったユフィがね。しかし」
ルルーシュがその手に持った書類を僕の目の前に放った。

482 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:37:07 ID:WPtLu5Hh
 

483 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:37:11 ID:i3/nvIxO
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484 :9/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:37:39 ID:VSMU8xFF
「よくまとめてあるファイルだが、どんなヤツが書いたんだ? 特区の官僚にも中々見所のあるヤツがいるじゃないか」
それは僕が探していた産業振興法案のファイルだった。ルルーシュはそれをデスクの中ほどから発見したらしい。
「見所があるって思うかい?」
そう聞く僕にルルーシュは「あぁ」と答える。
「アイデアとしてはそう目新しいものはないな。だが堅実で実効性のある案を複数の視点から立ち上げ、それらを実行に至るまでを主観的な視点に落ちずにきちんと考察しまてとめあげている。素晴らしいな」
「君にしてはベタ褒めだな」
「あぁ、中々いない実力者ではないかな。見るべき点の多い人材と見た」
で、これをまとめあげたのはどんな人間なんだ? ともう一度聞くルルーシュ。僕はつとめて平静を装い、彼の疑問への答えを告げる。
「玉城なんだ」
その時のルルーシュの顔はぜひミレイさんはじめ、生徒会メンバーに見せてあげたいと思わずにいられない最高な顔だった。
「玉城………それってあの玉城なのか?」
「他に玉城がいるというなら教えてほしいな。僕が知る限りこの行政特区日本には玉城という苗字の職員は他にいない」
「本当に玉城なのか? あいつがこれを? 本当の…本当に?」
「極東事変以前から彼の将来の夢は官僚で、本人によればそれなりに真剣に目指していたそうだ」
「だが、あの玉城なんだろ?」
「その玉城がまとめあげた、そのファイルなんだ」
心底信じられないといった表情でルルーシュはもう一度ファイルをめくりだした。まぁ、その気持ちはよくわかる。
「あの玉城がな。なにか得体の知れないものに化かされた気分だ。名状しがたい気分というやつだ」
「信じられないかい?」
いや、信じるよ。とルルーシュは言った。
「お前は嘘が下手だからな。つくならもっとわかりやすい嘘をつくだろう」
そう言ってルルーシュは僕をからかう。僕は皮肉をこめてやりかえしてやるのだ。
「部下の能力と特性とを的確に把握し、適材を適所に配置する。君が常日頃よく言ってることじゃないか」
うっと言葉に詰まるルルーシュ。どうやら久しぶりに一本をとれたようだ。こんなことがあると、今日は良い事があるんじゃないかって気分になる。
「さぁさぁルルーシュ、時間がないぞ。とにもかくにも今日の会議はユーフェミア長官が直々のお出ましだ。下手をうつわけにはいかないんだからな」
「あぁ、わかっている」
心底疲れた顔でルルーシュはまたデスクに戻っていった。
「子供の頃は甘えん坊だったくせに、最近はなんだかコーネリアに似てきたような気がする。けっこうシビアできっつくなっていて、さ。そのうち脆弱者ー!とか軟弱者ー!とか言い出しそうで怖いんだ」
お互い女性には苦労するな、とはお互いのために言わないでおいた。

485 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:38:08 ID:i3/nvIxO
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486 :10/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:39:54 ID:VSMU8xFF



いつの間にか時計の針は予定の18時にわずかな距離まで迫っている。
「…えぇ、わかりました。13会議室に変更ですね。時間は18時開始のまま……えぇ、ゼロにも伝えます」
かかってきた電話は会議が行われる場所の変更の知らせだった。
「ブリタニア本国から財務官僚が? ポールマン次官? 初耳ですが……えぇ事前の報告は…そうです」
事前の伝達とは細かいところに相違がみられる。総督府からでもなく、ブリタニア本国から来た財務官僚が同席するなどとは初耳だった。
「そういうことでしたら、それはそちらで調整を。えぇ、結構。たのみます」
受話器を置いた僕にルルーシュは意外そうな声をかける。
「井上が予定変更の伝達をし損なうとは珍しいな」
僕もそれに同意だった。
これまで、たとえどんな小さな予定の変更であっても、その伝達を忘れることも遅らせることさえなかった彼女であったのに。
「まぁ、あいつも大概いい年だからな」
ルルーシュがわからないことを言った。
「知らなかったのか? なんでも友人が今日結婚式をあげるんだそうだ。披露宴は夜だと言っていたな」
それも初耳だった。「祝い事に浮かれていたんだろう。あとは我が身の寂しさを嘆いていて、うっかりしたといったところなのかな?」そんなことを言い、彼は意地悪気な笑みを浮かべてみせる。
酷いヤツだなと苦笑し、僕はまとめ上げることに成功した書類の束をカバンに放り込んだ。
「ルルーシュ。そろそろ時間だ。会議室に移動するぞ」
「もうそんな時間か」
ゼロの仮面を手に立ち上がるルルーシュ。
「なぁ」とつぶやく。
「お前がこの仮面を被って執務に当たるというのはどうだ?」
最近は何かというとこんなことばかり言っている彼だ。
「そうすれば俺は日々の激務から解放されて、ナナリーのところに帰れるんだがな」
「上に立つ者が自ら動かなければ部下はついてこないのではなかったのかい? 僕だって学園に帰りたいのは変わらないんだぞ」
天を仰いで「冗談だよ、冗談…」とルルーシュ。けれど彼が本気で言っていたのはまず間違いない。
この半年の間、ナナリー第一主義(?)の彼が、彼女と離れることによく耐えることができたものだと、僕はある意味感心しているのだ。
「まぁ、それもそうだな。お前もカレンとは半年から顔をあわせていないんだろう?」
痛いところをつかれた。
「なぜそこにカレンがでてくる」
「ステディなんだろ、カレンは。あんまりほったらかしに過ぎると悪い虫がつくぞ」
「配慮をしてもらえるのなら、ぜひ休暇の許可をお願いしたいな。自由な時間がもらえれば障害はすべてクリアされる」
俺もだよ、と苦笑しながらルルーシュは仮面を被り、自分をゼロへと切り替えた。
「行こうか、ライ」
「了解だ、ゼロ」

487 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:40:06 ID:i3/nvIxO
支援!

488 :11/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:41:53 ID:VSMU8xFF
時刻はもうすぐ18時。夏の日はまだ高く、薄暗くさえなっていない。
行政特区日本の中心、行政府政庁。その庁舎内はまだまだ職員たちが忙しなく行きかっているようだった。
「やるべき仕事は数限りなく、探さずとも目の前に掃いて捨てるほどある、か。」
廊下を歩きながらゼロがつぶやく。
「忙しいのは僕たちだけではないってことだな」
そんな会話を交わしながら歩き、僕たちは中央エレベーターの前に立った。
「第13会議室は何階だったかな」
フロアマップの上の方、15階にその会議室はあった。
「なんでわざわざそんな離れた場所の会議室に変更したんだか」
そう言ってゼロは手に持ったファイルを振る。
『あれ?』
僕は今更ながらゼロがかかえるファイルがその手に持った灰色のファイル一つであることに気がついた。
「ゼロ、持ってきたファイルはそれひとつか?」
「ん?」そういえばゼロ自身の執務室に寄っていない。重要な書類をいくつか忘れている。
取りに戻るかと言う彼を制して、僕はそれには及ばないと答えた。
「本国から来たお偉いさんを待たせるわけにはいかないだろう? 主役はゼロ、君だ。もし開始時間に遅れでもしたら」
僕は意地悪な笑みを浮かべてみせた。
「それこそユーフェミア長官に『時間に遅れるとはなんですか、ゼロの脆弱者ー!』なんて言われるかもしれないぞ」
ボタンは押したがエレベーターのゴンドラはまだ来ない。下の方で止まっているようだった。
代わりに取ってくるから先に行っていてくれとゼロに告げ、僕はきびすを返した。



俺が会議室に到着した時、室内にはもうほとんどの関係者がそろっていた。
「失礼します、ゼロ。こちらをどうぞ」
秘書官が俺にディスクを渡す。会議室のそれぞれの席には端末がある。それで閲覧する資料なのだろう。
「あの…」
年齢に比して幼い顔立ちの女だった。その髪を飾るビーズのアクセサリーが目をひく。なかなか凝った髪飾りだが、手作りなのだろうか?
『ライの好みのタイプだな』
ふとそんな事を思った。
「御門政務局次長はいらっしゃらないのでしょうか」
「彼はいくつかの資料を取りに戻った。そう時間もかからないだろうからすぐに来るだろう」
「あ、はい」とそんな風に頷き、女は別の参加者の方へ向かっていった。
あぁ、あれは間違いないな。
『いけないなぁ、ライ』
あいつは“天然”だ。天然であるがゆえか、他人の艶のある方の好意に疎い。色恋沙汰などどこの世界の話でしょうかなんて調子だ。
あの秘書官。彼女もライに惚れているクチなのだろう。
あの目を引く容姿に性格、人当たりの良さに物腰、黒の騎士団での経歴、その能力。特区での肩書きもだ! あいつは特に異性に強烈な関心を抱かせる要素に恵まれすぎている。
女性職員のなかには彼を“王子様”などと呼ぶ者もいる始末だという。
『もしカレンが特区に来たら……』
あまり考えたくない未来が頭に浮かんだ。ユッケのようになったライというのはかなり勘弁してほしい。
「ゼロ!」
用意された席に座ろうとした時、ユフィが俺を呼んだ。
「これはユーフェミア行政長官」
傍らに控える壮年の男は本国から来たとかいう官僚だろうか。
礼にのっとった挨拶をしようとした俺を遮り、ユフィが先に口を開いた。
「ゼロ、なぜこんな急に時間や場所の変更をされたのですか? 私の方にも準備や何やら色々と予定がありましたのに」
あぁ、それは…と言いかけて俺は違和感を感じた。
──長官官房から時間の変更の連絡があったんだそうだよ───
「どういうことだ」
思わず口をついて出た言葉にユフィが首をかしげる。
電話!
ライに連絡を取ろうと身を翻した時、俺はテーブルに置いてあった飲み物のペットボトルをマントが引っ掛けたのを感じた。
その時。
音がした。扉が開き、そこから、この部屋に、子供が、入ってきた。

489 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:42:31 ID:i3/nvIxO
支援

490 :12/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:43:46 ID:VSMU8xFF



ファイルはすぐにはみつからなかった。いつもならルルーシュの部屋は整理整頓が行き届いていて探し物がしやすい。
だがここ数日忙しさにかまけてか、デスクの上は書類・報告書・資料などでごった返していた。
「ホント、人のこと言えないじゃないか。ルルーシュ」
しばらく探し続け、なんとか目当てのファイルを見つけ出したころにはもう時計は17時57分を指していた。
『過ぎてしまうか』
やはり一人で取りに来て良かったと思い、僕はルルーシュの──ゼロの執務室を出る。
来た道を走って戻る。エレベーターの前にゼロはいない。いてもらっても困るけれど。
僕はもう一方に乗り込んでボタンを押した。
エレベーターはガラス張り。政庁外郭の廊下と同じく眼下に広がる特区を一望できる。
僕はここから見ることのできる特区の町並みが好きだ。
この街が、この街に集った人々が、共に戦う仲間たちが好きだ。
かつて自分の愚かさから国を滅ぼしてしまった僕が、仲間たちと共に国を興そうとしている。
それは傲慢なのだろうか。かつての罪を忘れた恥知らずな行為だろうか。
それでも、手を差し伸べてくれる仲間たちと、手を取り合えるこの日常を僕は手放したくない。
過去の愚かさを、犯した罪とその結果も。今を生きるこの場所を、仲間を、友を。共に紡ぐ明日──未来。その総てを僕は決して手放さない。
「お前は欲張りだなぁ」
いつか話した時、呆れたように言うルルーシュに僕は告げた。
「そうさ、僕は欲張りなんだよ。何一つ欠けないままにすべてを手に入れたいんだ」
欲しいのはささやかな幸せ。けれど、それは大事なものが何一つ欠けないままにそろっていなければイヤだという、欲張りな幸せ。

幸せな思いは唐突に途切れた。

まるで何かに殴られたかのような衝撃。
これは、何だ? 殺意か、悪意か? そのどれでもない濃密な気配が僕を捉える。
だが、鳥肌の立つ程の悪寒を感じながら、僕は一方でその感覚に懐かしさにも似たイメージを感じていた。
僕は、この感覚を……知っている!
そうだ、知っている。これは───狂気だ。
辺りを見回す。エレベーターのゴンドラの中だ。当然僕以外の人間がいるはずもない。
「!」
もう片方のエレベーターが動いていた。こちらとは逆に降下している。
ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ
心臓が暴れだしている。
間違いない、この狂気が発される源は降下してくるあのゴンドラだ。
すれ違うまで幾許もない。
ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ
本能がここから逃げ出せと叫ぶ。
逃げ出したい思いが心臓の動きをさらに早める。
心臓が僕の恐怖を燃料に暴れて続ける。
ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ ドッ
そして、ゴンドラ同士がすれ違った。

491 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:43:56 ID:i3/nvIxO
支援!

492 :13/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:45:37 ID:VSMU8xFF
視線が僕を貫く。
幼い顔立ちの少年。ルルーシュや僕とそう変わらない年恰好。
ゴンドラがすれ違う、それはほんの………まったくの一瞬。
それなのに、僕はその少年がゆっくりと僕を見て、うっすらと笑みを浮かべたのを、見た。
間違いなく、彼は僕を見て笑った。
鼓動は治まらない。
『なぜ、ここに、いる?』
政庁は一般に開放されていない。ルルーシュが常にゼロの姿でいる以上、僕以外に未成年とおぼしき人物がこの場所にいるわけがない。
「なぜ、ここに、いる!」
鼓動は治まらない。むしろその動きはさらにさらに激しくなっている。
あの少年についてだけではない。危険なことが起きたのだ、今! それを僕は感じ取っている!
視線が自然にゴンドラの扉に向く。
── ルルーシュ!! ───
エレベーターが15階に到着する。すれ違ったほぼ直後。
チーンという音ととも扉が開く。全力で駆け出した。会議室はすぐそこ。
『やらせはしない、何も奪わせはしない、絶対に失ったりしない!』
あの少年は何かをしたはずだ。目的? そんなものは考えるまでもない!
扉を開ければそこにはルルーシュがいる。ユーフェミア長官も。そして始まる。僕の充実した時間が。
ルルーシュ──ゼロはしたり顔でたしなめるめるに違いない。上に立つ者はいついかなる時も云々と。
ユーフェミア長官はどうだろう? 慌てて飛び込んでくることなどないのにと笑うだろうか。
スザクはそんな様子を見て笑うに違いない。
忘れ物は見つかったかい、と屈託のない笑顔で迎えてくれるはずだ。
そんな毎日を、そんな幸せな世界を守るために僕はここにいる。
信じている。そんな日々がいつまでも続くことを。
信じている。僕は間に合う。きっと間に合う。願いは必ず報われると。 
僕はこの足を止めない。全力で床を蹴り、飛ぶように走る。
間に合え、間に合え、間に合え!
やけに長く感じる廊下の一つ目の角を曲がり、三番目の扉に手をかける。よかった、ほら、間に合ったじゃないか………。

大音響とともに抗いようのない衝撃が僕を跳ね飛ばし、壁に叩きつける。
熱風とともに無数の瓦礫が襲い掛かる。粉塵が舞い上がりすべてを覆い尽くしていった。



「ゼロオォォッ!!」
転倒した拍子に肩をくじいたのか、左手が上がらない。周囲の様相は一変していた。
舞い上がる煙、瓦礫の山。壁には無数の亀裂。火は出ていないようだがこのままではフロアが崩落する危険性もあるように感じられた。
僕の中の冷静な部分が動き出す。周りの状況を観察し始める。
『これは対人地雷なんてレベルじゃない! もっと強力な、何かだ!!』
ドアの吹き飛んだ向こう、会議室の中は凄惨を極めていた。瓦礫と、肉片と血と、そして・・・。
倒れた僕の目の前に、見覚えのあるアクセサリーが落ちていた。
──わたしの初仕事なんです。どうぞ、よろしくお願いします!───
あの笑顔。
「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
僕は立ち上がった、部屋の中に駆け込んだ。ゼロ、ルルーシュ、どこにいる! どこにいる!
部屋の上座に吹き飛んだテーブルが無残な姿を晒していた。その下から覗くマント。誰かと重なり合うようにしてゼロが倒れていた。ゼロがいた!

493 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:45:59 ID:i3/nvIxO
支援

494 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:47:07 ID:7IK6Y87c
支援

495 :14/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:47:40 ID:VSMU8xFF
足を引きずって駆け寄る。ゼロは、彼はユーフェミアに被さるようにして倒れていた。
かばったのか、彼女を。
「ゼロ! 無事か! 返事をしてくれ」
慎重に彼を抱き起こす。かすかなうめき声。生きていた!
「あぁ、よかった。ルルーシュ。しっかりしろ、僕だ。ライだ!」
「…ライ、お前か………」
弱々しい声、迷わず仮面に手をかけた。緊急事態だ、正体を他人に見られたとてそれは後からどうにでもなる。
「待っていろ、いま手当てを…」
仮面の下のルルーシュの顔は血まみれだった。その目が空をさまよった。
「ライ…、ユフィは…ユフィは無事か?」
とっさに目をそらしてしまった。彼がかばったもののユフィ…ユーフェミアはすでに絶命していた。
ほんのわずかな逡巡。
「あぁ、気を失ってはいるようだが心配はいらない。君のお手柄だ」
ルルーシュの瞳が大きく見開かれる。その顔がくしゃくしゃに歪み……。けれど、優しく微笑んだ。
「やっぱり……お前は、嘘が下手だな」
その時、彼を抱き起こした右手が熱いほとばしりを感じた。熱い、熱い何かが噴出してくる。それは僕の鼻腔に鉄の味を感じさせた。
「喋るなルルーシュ! いま止血を!」
ルルーシュが僕の肩を強く掴んだ。痛いくらいの強い力で。
「ライ、ギアスだ!」
その息は荒い。全身に激痛が奔っているだろうにルルーシュの腕は僕を激しく揺さぶった。
「あの時、会議室に子供が現れた。現れた瞬間消えた。だが、時間は過ぎていた。過ぎていたんだ!」
わからないことを言う。しかし意識が混濁しているのでも妄想を語っているのでもない。ルルーシュはその瞳が見たままの真実を話している。それがわかった。
「その子供なら僕も見た。そいつが爆弾を持ち込んだんだな?」
肯定の頷き。
「いいか、覚えておくんだ。そいつが現れたとき、俺は机の上のペットボトルを引っ掛けた。落としてしまうと思った」
もうルルーシュの声はその力を失いはじめている。彼の命が流れ落ちていくのを僕は止められない。
「ヤツは現れた次の瞬間、かき消すように消えた。瞬きもする間もなかった。それなのにヤツは消えていて、ペットボトルは落ちていた。ペットボトルはすでに落ちていた! 時間が消し飛んだんだ!」
「時間を消し飛ばすギアス、子供のギアス使い…」
それは一体何者なのか、予想されうるのは…。
「ブリタニアの刺客」
ルルーシュが低く宣言する。
「わからん。判断するには情報がない。ならばそれはいい。ライ、いいかライ」
吐く息はもう激しさを失っていた。その言葉も聞き取るのがやっと。
僕には耳をすまし、その一言々々を聞き逃さないようにすることしか出来なかった。言葉を遮られることを、彼は望んでいなかったから。
「ヤツがブリタニアの刺客であるにしろ、ないにしろ、ゼロが死ぬわけにはいかないんだ」
──わかる。僕はルルーシュの意図を把握していた。
これがブリタニアの陰謀であっても、そうでなくても、彼らはこの機会を見逃さないだろう。
恐らくは特区の行政府に治安維持の能力なしとして、そしてユーフェミア警護の責務を果たさなかったことへの報復として軍による治安活動に入る。
そうなれば日本独立の芽は今度こそ完全に摘み取られてしまうだろう。
そうさせないためには、この行政特区日本に集った人々が団結しなければならない。それにはシンボルとなる存在が必要だ。
シンボルに、象徴になりうる存在はゼロだけだ。ゼロという存在のみがブリタニアという巨大な勢力に対抗するための旗頭となる。
「君になれというのか。ゼロに、僕が」
その口元が歪む。彼は、微笑んだようだった。
「これは契約だ。俺とお前で結ぶ、契約・・・」
左手で僕はルルーシュの手を取った。痛みなどもう感じてはいなかった。ただ彼にこたえたかった。
握り合う手に血がつたう。交じり合う血が思いを分かち合う。
「結ぼう、その契約。そうだとも、僕たちが手を取り合えばできないことなんて」
───なにもない。
その言葉が、思いが伝わったのか、伝わらなかったのか………ルルーシュは答えてくれなかった。
ルルーシュはもう何もこたえない。伝わったのかこの言葉は。誰かがそれを教えてはくれるはずもない。

496 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:48:00 ID:i3/nvIxO
支援……後は大丈夫……かな?

497 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 22:49:20 ID:WPtLu5Hh


498 :15/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:51:09 ID:VSMU8xFF



僕は、いや、わたしは彼を静かに横たえて立ち上がった。
今まで気がつかなかったが、壁が床が微かに鳴動している。数刻と待たずにこのフロアは崩落するだろう。
人が来ないのはそれを危ぶんでか。それでも装備を整えたレスキューチームがやがては到着するだろう。
ほら、遠くにサイレンの音が聞こえる。
彼のマント、彼の装束、彼の仮面をわたしは纏った。そう、契約は交わされた。果たさなければならぬ。
これらの衣装自体には───意味などはない。
ゼロのマント、ゼロの装束、ゼロの仮面。それら自体には意味などないのだ。
その名前が、その姿がゼロなのではない。彼は常にその行動によって、その結果によって自らをゼロ───奇跡を起こす男たらしめていたのではなかったか。
そうであれば………。
わたしは彼を抱き起こした。強く抱きしめる。
彼は、もうゼロではなかった。
彼は十分すぎるほど戦った。もうゼロを名乗ることもない。
ルルーシュ・ランペルージが戦いの荒野に身を捧げることは、もう二度とない。
歩き出す。もう後戻りをする権利などない。そのつもりもない。驚くほど何もない。総てが色あせていく。
それは奇妙な感覚だった。
今日のこの日、この時、御門雷──ライという名の男は死んだ。友と共にこの世から消え去った。わたしはゼロ。黒の騎士団の総司令。
それは自由を失ったという意味ではなく、自分を失ったという意味でもなく、まさに奇妙なと形容する以外にない感覚。
ライという存在が、ゼロという存在に溶け合い飲み込まれていくような感覚だった。
『さよならは言わないよ。ルルーシュ』
そうだとも。さよならは言うべきではない。
「そのうちわたしの方から会いに行く」
果たされた契約の、君の願いがかなう頃には会いに行く。

─── だから ───

「わたしは、世界を──── 」

499 :16/16 BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 22:54:39 ID:VSMU8xFF
【ぎあすあとがき劇場 V.V.といっしょ】

投下終了と同時にわたしの横でV.V.がつぶやいた。
「ねぇねぇ、あおちゃん」
──なぁに? と聞き返すわたし。
「あおちゃんって富野節、大好きでしょ?」
──そりゃガノタですから。ガンダム抜きでもわたしにとって監督は雲の上の存在ですし。
「それゆえに?」
──まぁ、大勢まとめてコロコロしちゃったわけです。でもね、幸せ一杯の日常が急に反転した後のカタルシスって素敵じゃありません?
「へ?」
素敵じゃありません? という言葉にV.V.が素敵に呆然とした表情を作ってみせる。
──充実し、満たされ、未来は輝かしいものだと信じられる、希望にあふれた日々。それが…!
ほんの一時で総てが裏返る! そんなストーリーを創るたびにわたしはゾクゾクするものを感じるのだ。

カタルシス:詩歌・心理学・哲学用語
悲劇の効果は、観客が恐怖と同情(共苦:主人公の苦悩をともに体験すること)を感じることによって
最後にはこれらの激情から解放されることであり、この働きは浄化作用(カタルシス)とよばれた。
悲劇で描かれるモチーフや登場人物の悲しみや苦悩に共感することで、
心の奥底の感情が揺さぶられたり涙を流したりし、
その結果開放感が得られ、癒されることをカタルシスと呼んだ。
それは楽観的な思考(明るく・楽しく)では到達できない地点であり、
「物語中の悲しみや苦悩への共感」が浄化作用を呼び起こす。

「これはヒドイ」
そんなことを言うV.V.にわたしは言った。
──主人公は、いじめられてこそ華。ウフフフフフフフハハハハハハハハハハハァァァッ!!!!!!
ルル山さんばりの大笑いをしてみせるわたしに、V.V.は半ば怯えたような表情をし、やがて彼はそっと部屋を出て行った。
わたしは笑うのを止めない。
──まだまだまだなのよ、ライ。これからが本番なんだから!
迸るリビドーを銃弾の如くに叩きつけるために、わたしは再びキーボードに向かう。
「クックック、今宵のキーボードは血に飢えておる!」

と、わたしは自分を奮い立たせる。無理に、無茶に、無駄に、無謀に。そうでもしてテンションを上げでもしなければ一から全部書き直しなんて無理なんだもん。
あぁ、先は長い。
                               <つづく>

500 :BLUEDESTINY ◆i3Yio0CB.Y :2008/12/13(土) 23:01:17 ID:VSMU8xFF
今日は以上です
支援ありがとうございました!
この第二話は旧スレで投下した九話の中でも一番思いいれのある話で、
そのせいかかなり長くなってしまいました
読み終えてからでも感想・批評いただけたら幸いです
旧第二話との相違点についての指摘でしたら、なお嬉しいかもしれません

追伸:前置きでことわりを入れるべき話ですが、
ライの日本人としての名前、「御門雷(みかど らい)」についての注意書きが漏れていました
無論オリジナル設定です。申し訳ありませんでした

501 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 23:01:59 ID:7IK6Y87c
GJでした
私も好きですよ>富野節

そしてリメイクの言葉に偽りなし
最近は、アルファベットの最後の文字を冠する某富野作品のリメイクなど、個人的にはモヤモヤする感じがリメイクという言葉にはありましたが、この作品については確実に話の厚みとテンポが進化しているので満足させてもらっています
これからも頑張って下さい。応援しています

502 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 23:26:11 ID:i3/nvIxO
やはり素晴らしい……君の文章に心奪われた!
そうだ、この気持ち……まさしく愛だ!
>>500
BLUEDESTINY卿、GJでした!
……鳥肌立った……あぁ、なんかすっっっっっごく充実感が溢れる。
……黒い青さん……このドSめ!(誉め言葉)
いじめられて、なお立ち上がり、そして叩きのめされる! まさに主人公!
あぁ……イイ、最高じゃないか!
カタルシス……楽しみすぎる!
しかし、失うものが更に増えてる……貴公はやはりドSだ!(誉め言葉)
ヤバイぞ、ますます楽しみになってきた!
貴公の次の投下を全力全開で待たせていただきます!

503 :創る名無しに見る名無し:2008/12/13(土) 23:31:14 ID:bfzwXRtz
>
 BLUEDESTINY卿GJでした
 前回のも良かったですが今回のリメイクは学園や特区の描写が細かくなり
 よりライが特区やその未来に対して持っていた感情を理解しやすくなりました
 あと前の話では特に触れられていなかった学園の話が書かれていて嬉しかったです
 この話を境に物語中の歴史は急激に動いていくわけですが展開を知っているだけに
 どのようにリメイクされていくのかが楽しみでなりません。
 卿の次回の投下をお待ちしています

504 :創る名無しに見る名無し:2008/12/14(日) 01:57:23 ID:uUiNc03C
>>500
GJ
すごくよかった
次の投下も楽しみにしていますw

505 :創る名無しに見る名無し:2008/12/14(日) 19:03:31 ID:zQFemLcU
ここのところ保管庫が更新されないねトーマス卿病気にでもなったのかな心配だ。

506 :創る名無しに見る名無し:2008/12/14(日) 20:03:41 ID:smmwZTzr
>>505
ついに管理人死んだか?ww

507 :創る名無しに見る名無し:2008/12/14(日) 21:42:24 ID:5z5EUAwR
笑うとこじゃねえだろ

508 :創る名無しに見る名無し:2008/12/14(日) 22:12:06 ID:JRd476vO
更新されてたよ

509 :創る名無しに見る名無し:2008/12/14(日) 23:31:45 ID:LFvxqIFr
投下したいのですがよろしいでしょうか?
多分、支援なしでも大丈夫だとは思いますが…。

510 :創る名無しに見る名無し:2008/12/14(日) 23:38:43 ID:eUKm1tm+
どぞどぞ
できればレス数なんかもわかるといいかな?

511 :創る名無しに見る名無し:2008/12/14(日) 23:43:49 ID:LFvxqIFr
では、投下します。


タイトル  思いの後に… 第3話 キッカケ
カップリング ライ×ニーナ
ジャンル 昼ドラ(嵐の前)

注意点 ニーナ嫌いな人はスルーでよろしく。
多分、5スレくらいの予定だと思います。
うーん…相変わらず、上限が良くわかってません。

512 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/14(日) 23:45:29 ID:LFvxqIFr
カチャカチャとキーボードを叩く音が響く。
「うーん…」
どうも思ったような結果にならず、私のキーボードを叩く手が止まる。
すると彼は画面に覗き込むとデータをじっと見始める。
私の顔のすぐ傍に綺麗な彼の横顔。
私は思わずその横顔に見とれてしまう。
まるで人形みたい…。
しばし画面に見入っていた彼は、そんな私に気が付かず、見とれていた私のほうを振り向くと画面の一部を指差す。
「ここのデータがおかしいんじゃないかな」
ほんの数センチの先に彼の顔。
ドキンと心臓が大きく跳ねる。
心臓…壊れそう。
一気に顔が真っ赤になるのが自分でもわかる。
そんな私の変化にきょとんとした表情を見せる彼。
慌てて私は画面のほうを向くと彼の指摘する場所をチェックし始める。
いけない、いけないっ…。
思考をデータの方に向けてざっと簡単に頭の中で計算してみる。
そんな私に彼が言葉を続ける。
「動かしている者としての意見なんだけど、ここのところがしっくりこない感じなんだ。
ここをもう少し何とかしたらもっとスムーズに動くと思うんだ」
彼の意見を入れてデータを変更してみる。
するとどうだろう。
一気にデータの不具合がなくなっていく。
「す、すごいです」
私は思わず彼のほうを見て叫んでしまう。
気がつくと無意識のうちに手なんて握ってたりする。

513 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/14(日) 23:46:54 ID:LFvxqIFr
あ…。
我に返って慌てて真っ赤になって手を放して俯いてしまう。
彼も照れているのだろう。
視線を私から外しているが、幾分赤みの差した頬がはっきりとわかる。
「あ、ああ…。先生の教え方がいいからね」
そう言うと笑い出す。
それにつられ私もくすくすと笑う。
そして、私はつくづく感じてしまう。
私の心の中で彼の占める割合が日を負うごとに大きくなっていっていると。
いや、実際にそうなのだ。
最近は、常に彼を見ているのだから。
「あ…そうだ。ガニメデの右腕の伝達速度が遅くなっていると思うんだけどどうかな?」
そう言われ、PCですぐにチェックをしてみる。
確かに通常に比べ、5%程度落ちているのがわかる。
だが、よほどのベテランでない限り、そう簡単にわかるレベルではない。
すごい…。
思わず感嘆の声が出そうになる。
「そうですね。確かに落ちてます。でも…」
「でも?」
覗き見るように聞き返してくるライさん。
「これって…よほどナイトメアに精通してないとわかんないと思うんですけど…」
私の言葉を聞いてもどうもピンとこないみたいな彼の表情。
あ…かわいい。
思わず、そう思ってしまう。
男の子にこんな感想を持つことなんて今まででは絶対にありえなかっただろう。
うふふふ…。
思わず含み笑いをしてしまう。
ますますきょとんとなるライさん。
それがかわいく面白くて笑いが止まらない。
「ひどいなぁ…」
苦笑しつつ、文句を言うのもかわいかったりするから始末が悪い。
「ご、ごめんな…さいっ…でもぉ…くすくすくす…」
こんなに楽しく笑ったのは初めてかもしれない。
なんとか笑いが収まって、私が謝ると彼は苦笑しながらも許してくれた。

514 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/14(日) 23:47:55 ID:LFvxqIFr
「まぁ、ニーナの笑顔が見れたから、問題ないかな」と言って…。
その言葉に真っ赤になってうつむく私。
それをニコニコしながら見ているライさん。
「あーっ…ひどいです」
思わずそういう言葉が自然と出てしまう。
「あははは…ごめん。ごめんよ。でも、これでおあいこさ」
そう言われてしまえば、反論できない。
それにそのおかげで私が知らない違う私を見つけることが出来たし…。
今まで、こういう風に文句を言ったりすることはほとんどなかった。
それが冗談や悪ふざけでの文句であっても、今まではそれがいじめに繋がったから。
ああ、ライさんといると楽しい…。
私の知らない私をどんどん見つけさせてくれる人。
そういう認識が私の中で出来上がっていく。
彼となら…私は、もっと自由に羽ばたけるかも…。
そう思ってしまう。
やっぱり、彼は私の王子様なのね。
私には彼が必要…。
だから、彼といつも一緒にいたい。
彼を独占したい。
そういう思いがどんどん強くなっていく。
ああ、これが恋なのだろうか…。
私は始めての大きな感情の波に翻弄されてしまっていた。


●思いの後に… 第3話 キッカケ




515 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/14(日) 23:48:42 ID:LFvxqIFr
「…ごめんなさい。やっぱり右腕の伝達系の予備パーツないみたい」
在庫パーツのリストをチェックして彼に告げた。
「そっか…。まぁ、今でも困らないけど、予備はあったほうがいいかなぁ」
「そうね。まだ学園祭までには時間あるし、それにまだいろいろ実験もしたいし…」
私もそう言って彼の意見に賛成する。
それに一緒にナイトメアの実験をする限り、常に彼と一緒にいられるし…。
こっそりとそう考えてしまっている自分がいる。
だが、その後で彼の口から出た何気ない言葉が私をドキリとさせる。
「やっぱり、前の時みたいにカレンに案内してもらってゲットーに買いに行くしかないか…」
カレン…。
カレンといっしょに…なの?
私の心が一気に不安という名の黒雲に覆い尽くされていく。
確かに前回のときは、カレンと一緒だったかもしれない。
でも…なんで…。
その思いが口から自然と出た。
「なんでカレンなの?」
私は慌てて口を閉じたものの、もう遅い。
「彼女はああ見えてナイトメアの事詳しいんだ。だから、部品とかいろいろ吟味するときに助かるからね」
彼は、そう言った後、慌てて「今の黙っててね」と苦笑して付け加える。
私は素直にうなづくものの、彼をとられた気持ちで一杯になっていた。
彼の側にいたいのに…。
なんで邪魔が入るの…。
泣きそうになってしまう。
いつもそうだ。
何かいいことがあると必ずどんでん返しがあって、私は損をする。
そう…いつも、いつも、いつも…。
なんでそうなのよ。
私は…やっぱり…いらない人間なのかな…。
そして、今まで幸せだった気持ちが一気に坂を転げ落ちるように悲しい気持ちへと変わっていく。
もちろん、それだけではない。
惨めな…あまりにも惨めな自分を認識してしまい、諦めと虚脱感に襲われる。
普段ならそれで終わりだろう。
その場は愛想笑いをして、諦めて、後で自室で泣いて後悔をする。
いつもと同じことの繰り返し。
その…はずだった。

516 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/14(日) 23:49:58 ID:LFvxqIFr
だが、この時、私の心に現れたもう一人の私が叫ぶ。
−それでいいの、ニーナ?諦めきれるの?彼のことを…。
その叫びは、諦めという底なし沼に落ちようとしていた私の心を引きとめた。
−彼は、あなたの王子様じゃないの?
そう思ったわ。でも…私じゃ…。
弱気になっていく私の心。
だが、もう一人の私は、それでもなお言葉を続けていく。
−せっかく見つけたあなたの王子様を何もせずあきらめていいの?
あなたの王子様がカレンと仲良くなって、付き合うようになってもいいの?
その言葉と同時に仲良く微笑んで話す彼とカレンの姿が脳裏に浮かんでくる。
いつしか見詰め合う二人。
そして、近づく顔と顔。
ゆっくりと、そうスローモーションのように近づく唇。
その瞬間、私の中で何かがハジけた。
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああっっっっっっ。
私は、心の中で絶叫する。
今まで我慢していたものを一気に出し切るかのように。
いや…。
嫌だ…。
嫌だよぉ…。
ライさんは。私の王子様なの。
カレンなんかには渡さない。
まるで呪詛のように呟く。
それを楽しそうに見ていたもう一人の私が囁く。
−そう、それでいいの。
貴方は、今まで自我を殺し我慢しすぎていた。
もう遠慮することなんてないのよ。
自分の思うように動けばいいの。
さぁ、ニーナ。貴方の心を解き放ちなさい。
その言葉の一つ一つが、ニーナの心に染み込んでいく。
そう、それは甘美な悪魔の囁きのようだった。

517 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/14(日) 23:51:59 ID:LFvxqIFr
やっぱり、カレンと行くしかないのかな。
僕はそう思い、すこし残念な気持ちになった。
本当なら、ニーナと行きたいという気持ちがあったから。
だけど、彼女は前回のときも怖がっていたしなぁ…。
そう思っていたら、ニーナが僕の顔を見上げる。
「…ライさんさえよければですけど……私とでは駄目ですか?…」
確かに小声でたどたどしくだがはっきりとそう言うとすぐ俯いた。
耳が真っ赤になっているということは、多分、顔はもっと真っ赤に違いない。
僕は、ニーナの思いもしない提案に一瞬きょとんとしたが、すぐに肯定する事をしなかった。
「いいのかい?無理してない?」
そう聞き返す。
僕にしてみればすごくうれしい申し出だがニーナに無理してほしくない。
だが、そんな僕の問いに、彼女は顔を伏せたまま、答える。
「…うん。大丈夫」
そう答えた後、一呼吸間が空き、今度は真っ赤になった顔をまっすぐ上げて僕を見つめて言った。
「…それに、何かあってもライさんが守ってくれるって信じてるから…」
その言葉が僕の心に染み込んでいく。
あの怖がりで、ゲットーに近づくことさえ嫌がっていた彼女が、僕を信じて一緒に行こうと言ってくれている。
あの…ニーナが…。
僕は感激し、無意識のうちにニーナを抱きしめていた。
「わかった。ニーナは何があっても僕が守るよ」
そして、自然とそう答える。
「…うん」
僕の顔のすぐ側で頷くニーナ。
だが、すぐに軽い抵抗をする。
「…い、痛いよ…ライさん」
その言葉で僕にかかっていた魔法が一気に解ける。
慌てて僕はニーナを解放するとすぐに謝った。
「ご、ごめん…。つい…」
何度も頭を下げて、謝り続ける。
いくら親しくなったとはいえ、今回のことはやりすぎだと自覚してしまう。
だけど、そんな僕をくすくすと笑って見ていたニーナは、赤面しながら…それでもゆっくりとはっきり囁いた。
「…今度からは、優しくお願いします…ね」
僕は、大きく何度も頷いたのだった。

518 :あしっど・れいん ◆M21AkfQGck :2008/12/14(日) 23:54:08 ID:LFvxqIFr
以上でおわりです。

次回辺りから雲行きが怪しくなり始める予定です。
さてさて、修羅場は後どれくらい後になるかなぁ…。

519 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 00:16:59 ID:/w5ixNHD
>>518
あしっど・れいん卿、GJでした!
ちょっとアレなかんじになってきたニーナ、でも、まだ許容範囲内だと思うんだ。
ほら、軽い嫉妬というか、独占欲というか。
まだ、見ていても微笑ましいレベル
……貴公の言う、予定、が怖い。
でも、気になる!
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!

520 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 00:19:05 ID:jlsjqhqA
甘いニーナもの…感激です!しかし既に迫りつつある破滅のカウントダウン…続きが気になってしょうがない!
続きを全力で待たせてもらいます!GJでした!

521 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 00:39:34 ID:OFqCDklI
>>518
おぉ!幻のゲットー買い物イベント!どうにか形にしてみようと妄想するもどうやっても形にならなかったライニナが…
読めるだけでも感激なのに夢にまで見たイベントが……おぉ神よ、アシッドレイン卿の作品に出会えた今日という日に感謝します。

なんて仰々しいこと言ってますが次の作品投下楽しみにしてます。

522 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 01:58:05 ID:liFfJt8Q

あしっど・れいん卿GJです。
初めて芽生えた恋心への戸惑い。それを失う事への恐れ。
そして失わないために…ニーナの心の裏がゆっくりと表を浸食していってますね。
修羅場があるそうですが、その時にニーナがどのように変貌しているか。
楽しみです。とても、とても楽しみ、です。

さてReturn Colors の11話目を投下します。後書き含めて17、8レスぐらい
使用する予定です。

作者名 RC
タイトル Return Colors
カップリング 現在のところなし
ジャンル シリアス

注意事項
このSSはギアス編の続きとなっています。
本編に出てこない地名や設定は捏造だらけです。
人物も本編に近づけるように書いていますが齟齬は当然あります。
本編での極端に描写が少ない人物はオリキャラのように改変しています。
主人公はライです。


523 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 01:58:57 ID:V/aKKuk0


524 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 01:59:28 ID:liFfJt8Q
Return Colors 十一話 〜知略、大望、謀略〜



 壁に備え付けられた巨大モニターには今カレンがいる中華連邦総領事館とその正面に展
開しているブリタニアのエリア11駐屯軍が映っている。
『ゼロを名乗る人物と黒の騎士団の残党は――』
 しかしカレンの心には不安は少ない。なにせとうとうゼロが復活し、返ってきたのだから。
さらにはライもいる。黒の騎士団を束ねる王とそれを守る双璧。過去において不敗を誇
った三人がいる今、エリア11の駐屯軍如きなどに恐れを感じるはずもない。
 自動ドアより姿を見せたゼロ――ルルーシュとライを見て、カレンはやや興奮した声を出す。
「凄い騒ぎねライ、ルルーシュ」
「当然だ。突然自分たちの領土の中に国ができて、しかもその国が宣戦布告してきたとあ
ってはな」
 漆黒の姿より響いてきた声に驚くカレン。するとそれに応じるように仮面が外され人形
のような完成された美貌が現れる。
「CC。……いつの間に入れ替わってたの」
「演説の前」
「え、だって」
「声は録音。現れた時点ですでに別人」
「マジックショーみたいだね」
 平然とした様子のCCを横切りソファーに腰を下ろすライ。モニターに視線を向ける彼
は見たことがないような緩んだ笑みを浮かべている。
「……ライ、どうしてそんなに頬が緩んでいるの」
「あれ? そうかな?」
「確かに。そのにやけた顔は気持ちが悪いぞ」
 ゼロの衣装を脱ぎながら半目で言うCC。しかしライはさらに笑みを強める。
「だって、さ。ゼロが、ルルーシュが戻ってきたんだよ。嬉しくないわけないじゃないか」
 言って何度も頷くライ。彼の尋常ではない喜びようにカレンは胸中がざわめくのを感じる。
――私と再会したときと、ずいぶん違うじゃない
「カレンは嬉しくないのかい?」
「そういうわけじゃないけど……」
 嬉しくないわけではない。どちらかと言えば嬉しい、のだろう。だがそう思う反面脳裏
によぎるのは神根島での出来事。
――そう簡単には割り切れないわ 
「嬉しいのはわかったが、緩めるのもほどほどにしておけよ」
 呆れたようなCCに言葉にライは頷くが、頬のゆるみは消えない。どうやらよほどルル
ーシュが記憶を取り戻したこと、ゼロとして復活したことが嬉しいようだ。
「わかっている。……本当に、卜部さんには感謝しなければ」
 その言葉にはっとしてライを見ると浮かんでいた笑みは消え、やるせない表情が浮かん
でいる。
 そう、ライの言うとおりだった。バベルタワーで交戦したブリタニアの最新鋭試作機ヴ
ィンセント。人知を越える謎の能力を持ったそれに追いつめられたが、黒の騎士団の幹部
でありこの一年、苦楽を共にしてきた四聖剣の一人、卜部の犠牲によって何とか逃れるこ
とができた。

525 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:00:42 ID:liFfJt8Q
――卜部さん……見ていてください。必ず日本をブリタニアの手から解放して見せます
「さて、ルルーシュのギアスによって高亥……とか言ったか? あの白面」
 タンクトップとショートパンツといういつもの姿になったCCが、軽く言う。
 卜部について何も思っていないような言い方に腹は立つが、言い争いをしている状況で
ないことはカレンも重々にわかっているため、眉を潜めるだけで何も言わない。
「奴が合衆国日本を承認してくれたことでしばらくは問題はない。――だがいつまでもこ
うしているわけにもいかない」
「中華連邦本国から更迭でもされたら、私たち一気に追い込まれてしまうわね」
 今回のことはブリタニアは当然、中華連邦とて寝耳に水な話だ。いくらルルーシュのギ
アスで高亥がいいなりになったとしても本国から更迭されればカレン達が総領事館にいる
ことはできなくなる。
「その心配はないよ。少なくとも一、二週間程度は」
「ほう、何故だ」
 不適な――ルルーシュに似た――笑みを浮かべてライは言う。
「大宦官達がいるせいさ。自己保身と利益のみを追求するあの連中が意見をまとめるのは
時間がかかる。高亥を使ってブリタニアとの交渉も引き延ばせばそれぐらいの時間は稼げる。
 問題なのはブリタニア側からのリアクションだ」
「ブリタニアからの?」
「気になるのはブリタニアがこちらが出てこざるを得ない状況を作り出してくるだろう。
それがいつになるか」
 黒の騎士団が総領事館より出てこざるを得ない状況。それがどういうものなのか、カレ
ンにもわかった。
「とにかく、全てはルルーシュ。いや、ゼロの指示待ちと言うことになるのか」
 CCの言葉にライは頷いた。



『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア殿下? 確かマリアンヌ皇妃様の長子で』
『はい。私のお兄様です』
 ベリアル宮の庭園でナナリーが言う。彼女の周囲には色とりどりな無数の花が咲き乱れ、
華美な園を作っている。
『ブラック・リベリオンで離れ離れになってしまったんです。捜索はしていますが……』
『未だに見つかっておられないと。カラレス総督に命じて捜索させることは……できませんね』
『はい。大々的にそのような動きをすれば、私が懇意にしていた方々に迷惑がかかってし
まうと、シュナイゼルお兄様が……』
 肩を落とすナナリー。可憐に咲き誇る花々の中でのあまりにも痛ましい姿にライは膝をつく。
『お手を取ってよろしいですか、ナナリー様』
『え、あ、はい』

526 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:02:03 ID:liFfJt8Q
 ナナリーの手を取り、微笑するライ。
『大丈夫です。ナナリー様。ルルーシュ殿下はきっとご無事でいられます』
『え……』
『だって七年もの間、たった一人でナナリー様を育て、守り抜いてこられたのでしょう? 
それほどの気骨を持った御方がナナリー様を置いて逝くなど、この私には到底考えられません』
『ライさん……』
『いつか必ず殿下と再会できるときがきます。私はそう確信しています』
『ありがとう……ございます』
 か細く呟いてナナリーは涙をこぼす。それを見て慌てるライ。
『で、殿下! どうなさったのですか? 私が、何か失礼なことを……!?』
『なにしてるの』
『ア、 アールストレイム卿!? い、いや私にも』
『殿下を泣かせた』
『ううっ!?』
『アーニャさん。これは』
『殿下を、泣かせた』
『ア、アールストレイム卿。いやアーニャ。落ち着いてくれ!』
『皇女殿下を、いじめた』
『違う! 違うから!!』
 淡々とした眼差しを向けてくるアーニャへ必死に弁解するライ。そうしていると何故か
周囲が白い光に包まれていった。



「……夢、か」
 呟いて、体を起こすライ。用意された客室に備えられてある洗面場で身だしなみを整えながら、ふと先程の夢のことを思い出す。
「あれはまだナナリーと再会して間もないときだったな。色々話すうちに互いの家族の話
になって……」
――ルルーシュの話が出たんだったな
 結局あの後、アーニャの特別修練という名のしごきを強制的に受けさせられた――そう思い、鏡に映るライの面に苦笑が浮かぶ。
「ナナリー……今、どうしているだろうか」
 ブリタニアを離れた後も当然情報収集は続けている。だが日本人の圧政、弾圧が続く日
本とブリタニアから遠く離れた中華連邦では皇位も低い皇女の情報などが入ってくるはず
もない。結局のところ、ライが知るナナリーに関して知っていることは、彼女がエリア1
1の総督になるかもしれないと言うことだけだ。
――もしそうなれば、その時が勝負だな
 すでに自分の愛機はほぼ完成している。あれならば例えラウンズが相手でも早々やられ
ることはない。
「その日のために、心身共に鍛えておかなくちゃな」
 寝癖を直すと壁に掛けてある剣――昨日高亥に頼んで用意してもらった模造の剣――を
腰に差し、外へ出る。廊下を通り総領事館の中庭に出る。
 さすがに日が昇ったばかりの早朝だけあって人の姿はない。ライはストレッチなどで体
をほぐすと、鞘から剣を引き抜いて素振りを始める。 ブリタニア軍人“ライ・ランペル
ージ”の頃からの日課だ。

527 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:02:57 ID:V/aKKuk0


528 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:03:13 ID:V/aKKuk0


529 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:03:28 ID:V/aKKuk0


530 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:03:28 ID:liFfJt8Q
 素振りをしながら、ライはこれからのことを考える。倒壊したバベルタワーから総領事
館への移動の間にルルーシュの現状はすでに訊いている。
『ロロのほうは俺が対処する。ライ、お前は引き続き臨時総司令として騎士団をまとめて
おいてくれ。
 もしブリタニアから動きがあったときは二十四時間以内に連絡する。だがそれがない時
はお前の判断で騎士団を動かしてくれ』
 彼と別れてすでに数日。しかし未だルルーシュからの連絡はない。
 さしものルルーシュもルルーシュ・ランペルージを演じながら機情と偽りの弟を手玉に
取るのに苦労しているようだ。
 体が温まったところで、ライは眼前に仮想の敵を用意して、幻の剣戟に合わせて剣を振
るう。
 王だったときに身につけたものと、藤堂から少しだけ教わった日本剣術、さらにはブリ
タニア軍人となって覚えた西洋と東洋の中間のようなブリタニアの剣術。それらを統合し、
洗練されたものだ。
 目の前に現れる幻影はスザクやジノ達、ラウンズだ。ブリタニア最強の騎士達である彼
らと剣を合わせた回数――特にアーニャ――はある程度はある。しかし勝率は五分。彼ら
は当たり前のようにこちらの予測を超えた動きや反応を――ナイトメア戦でも言えること
なのだが――してくるからだ。
――特にヴァルとシュタイン卿やモニカ相手の時は、酷かった……
 他のラウンズ相手ではかろうじて互角に打ち合えるが、その二人は例外だった。ビスマ
ルクは純ブリタニア剣術を真っ向から繰り出してくる。それも絶え間なく。とどまること
なく相手を圧倒するそれは、まさしくブリタニア最強の騎士ナイトオブワンの名に相応し
く、ブリタニアそのものを具現化したものと言ってよい。
 そしてモニカ。彼女はライにとってまさしく最悪な相手だった。何しろ彼女は――
「!?」
 誰かに見られている感覚を覚え、思わずライは剣舞を止めて周囲を見る。しかし人の姿
はない。
――なんだ、今の視線は
 これがただの視線ならば特に剣舞を止めるようなことはしなかった。しかし注がれてい
たそれにはライを探るような、また敵意に近いものも含んでいたのだ。
 剣舞を再開する。しかし今度は周囲への気を配ってだ。
 そうすると再び先程と同じ視線が注がれているのを感じる。ライは剣舞の動きに振り向
くのを織り交ぜて、視線の先に振り返る。
「きゃっ」
「……カレン?」
 何故か後ろには驚いた様子のカレンの姿があった。騎士団服ではなく、軽装だ。彼女の
早朝訓練をしにきたのだろうか。
「どうしたんだい。こんな朝早く」
「私も軽く体を動かしにきたの。そしたらライがいたのよ。
声をかけようとしたら急に振り向くんだもの。しかもそんな怖い顔をして」
「カレン、だったのか……?」
「何が?」

531 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:05:01 ID:liFfJt8Q
「いや、さっき誰かの視線を感じて……」
「それって何分前? 言っておくけど私は今来たところよ」
 それならばカレンではない。そもそもカレンならばライに対して探ったり、敵意を向け
る理由もない。
――では、一体誰が……
「カレン、朝誰かに会わなかった?」
「今日最初にあったのはライ、あなたよ。それよりも」
「?」
「あなた凄い汗よ。ちょっとやりすぎなんじゃないの」
 言われてライは自分の息が荒いことと、体中に浮かんでいる無数の水滴に気がつく。
「……やりすぎ、だね」
「シャワー、浴びてくれば」
 ため息混じりのカレンの言葉に、ライは素直に頷いた。



 シャワーから出るお湯と湯気が少女の裸体を包み込んでいる。
 凹凸のハッキリした女性らしい体つきだ。腰はくびれ、尻も、胸もとても豊かに実っている。
 かといってそれ以外の場所に余分な肉は一切なく、締まっている。その姿はまさに、女
性の理想体型の一つと言ってもいいかもしれない。
「ふぅ……」
 シャワーの元栓をしめ、少女――紅月カレンはバスルームを後にする。濡れそぼった肢
体をタオルで拭き、身に包む。
 衣服を身にまとうべく加護を覗きこむと、視界に入る二つのもの。一つは騎士団服、も
う一つは、アッシュフォード学園の上着。
「ルルーシュ……」
 持ち主の名を呟いて、制服を手に取る。バベルタワーの中にいたとき、彼にかけられたのだ。
「一体、何やってるのよ」
 未だゼロ、ルルーシュからの連絡はない。緊急時に備えてかルルーシュはライを臨時司
令に命じていた。何かあったときは彼の指示通りに動けばいい。
 彼の有能さについてはわかりきっている。何かが起きてもやり過ごしてしまうだろう。
 だがカレンが気にかけているのは、そこではない。
「あなたはゼロなのよ」
 ゼロが復活したこと、合衆国日本が成立したことは、すでに周知の事実だ。となれば、
ゼロは行動を起こさなければならない。日本を救う、ブリタニアを打ち倒すと証明できる
行動を。
 もっともわかりやすい形として言えば、“奇跡”だ。ブラック・リベリオンの失敗以前、
ギアスの力があったとはいえゼロは幾つもの奇跡と呼べることを起こしている。それがゼ
ロという存在を日本人に刻みつけたこと、黒の騎士団が日本最大の反ブリタニア組織とし
て成長した一因でもある。
 復活宣言、合衆国日本建国まではいい。しかしその先の行動が続かないのであれば意味
はない。ゼロが復活した以上、ゼロであり続ける以上ルルーシュは行動と奇跡を求められ、
答えなくてはいけないのだ。だというのに――

532 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:05:37 ID:V/aKKuk0
 

533 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:05:53 ID:V/aKKuk0
 

534 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:06:05 ID:V/aKKuk0
 

535 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:06:10 ID:liFfJt8Q
 嘆息し、上着を置こうとしたとき、ふとその下に置かれていたものを見る。それはバベ
ルタワーのカジノに潜入したときに使用したバニーガールのコスチュームだ。
――今になって考えると、我ながらよくこんな恥ずかしいものが着られたわね……
 カジノでは、自分を見る男の視線が粘りつくようだった。特に黒のキングという男に捕
まれたときは、怒りのあまり一瞬純情なイレブン少女という役を演じるのを忘れかけたほどだ。
「そう言えばライも……」
 タワー内で着替えて対面したときのことだ。ライは酷く狼狽していて、視線を逸らして
いた。ようやく向いたときも時折視線が胸元に言っていたようにも思える。
 あれば、つまり……そういうことなのだろうか。そう思うと、頬に熱が集まってくる。
「ああ、もう。どうしてこんなものがあるのよっ」
 隠そうとして上着を置こうとしたとき、ふとカレンは気がつく。そもそもこの服を着る
ことになったのはバベルタワーのカジノに潜入し、ルルーシュと接触する必要があったからだ。
 だが、その役は、自分でなくとも問題はなかったのではないか? そう、CCでも。
「っていうか、絶対CCの方がよかったわよね!」
 ルルーシュの記憶を取り戻せるのはCCだけ。つまり自分が役を演じて近付くよりもC
Cが直接近付いておけば事はもっと簡単に運んだはずだ。
 そう考えるとカレンは無性に腹が立ってきた。学園服を乱暴に置くとそのままの姿でバ
スルームから出て行く。
「引き渡し交渉は遅滞させております。一週間程度は保つかと」
「ゼロに伝えておく。それと中華連邦政府は――」
「CC! 考えてみればアンタがバニーやったほうが話、早かったでしょ!」
 応接間に出て行くとCCとライ、そしてその対面には大宦官である高亥と、直属の武官
黎星刻の姿がある。
「え?」
「カ、カレン……」
「え、ええ?」
 顔を赤くしたライ、目を見開く高亥、顔色変わらぬ星刻。三者はそれも違う表情ではあ
ったが、目線から感じられるものは共通していた。
 ――なんて格好をしているんだ、と
 それを察したと同時、カレンは自分のあられもない姿に気がつき、瞬く間に頬を赤くする。
「ひゃああああ〜〜っ!」
 慌てて物陰に隠れ、体を抱きしめる。しかし顔に集まった熱は消えない。
――なんて格好してるのよ私は! ああ、もう穴があったら入りたいっ!!
「ゼロは、女?」
「そうだ」
 素っ頓狂な高亥の声に無機質な声でCCが答える。
「違いますっ!」
 反射的にカレンは物陰から姿を見せて突っ込む。
「ばらすのが早すぎる。遊び心のない女だ」
「ゼロで遊ばないで!」
「見えるぞ」
「……っっ!!」

536 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:07:38 ID:liFfJt8Q
 裸身を包んだタオルがずれ落ちそうになっているのを見て、再び物陰に隠れるカレン。
「初めまして紅月カレンさん。紅蓮二式のパイロットですよね」
 怒りやら恥ずかしさが入り交じって混乱しているところに、かけられた柔らかく真面目
そうな声。
 そっと身を乗り出し見ると、黒髪の偉丈夫がこちらを見つめている。
 彼は布や皮のみで構成された服を身にまとい、腰には長剣がこしらえてある。一般の中
華連邦の兵とは違った、時代がかった格好だ。だが全く違和感がない。
「どうしてそれを……」
「興味があるんです。あなた達に」
 大らかな笑みを浮かべている星刻はカレンが見てきたどの男とも違った印象を受ける。
 整った顔立ちには戦士特有の勇ましさと軍師のような高い知性を同居させ、それを支え
る肉体は鋼の如く鍛え上げられている。何かに例えるならば知性を持った獅子と言ったと
ころか。
 ふと、今の言葉は一体どういう意味なのか、カレンが問おうとしたときだ。出入り口の
自動扉が開き、騎士団の団員が駆け込んでくる。
「大変です! お、扇さんたちが!」
「扇達がどうした」
「扇さん達が、明日処刑されてしまいます!」
「なんですって!?」



『聞こえるか、ゼロよ。私はコーネリア・リ・ブリタニア皇女が騎士、ギルバート・G・
P・ギルフォードである。
 明日十五時より国家反逆罪を犯した特一級犯罪者、256名の処刑を行う。
 ゼロよ! 貴様が部下の命を惜しむならこの私と、正々堂々勝負をせよ!』
「やってくれるな、ギルフォードは」
 モニターに映っているギルフォードのゼロへ向けた演説を見ながら、ライは呟く。
「くそっ、ブリタニアめ」
「扇副指令達を餌に、ゼロを呼び出そうとするなんて……」
 会議室に割り当てられた別室に集まった騎士団の幹部達が次々に呻く。それを眺めつつ、
内心でライは呟く。
――予想以上の速い動きだな
 カラレスが死んだことによりしばらくはブリタニアも混乱していると思ったが、まさか
こんなに早くこちらが出ざるを得ない状況を作り出してくるとは思わなかった。
――さすがはコーネリアの選任騎士。帝国の先槍と呼ばれた男、と言うところか
「助けにいきましょう!」
「そうだ! このまま見殺しになんてできない!」
 幹部の一人が言うと、隣に座っているもう一人が威勢よく応じる。
 そこへライは一言を投じる。
「それは許可できない」
「どうしてですか!」
「このまま扇さん達が処刑されるのを黙ってみておけと!?」
 別の幹部から非難じみた声が上がるが、ライは顔色一つ返す、言う。
「現在の黒の騎士団の戦力で勝てるのか。しかもあのコーネリアの選任騎士、ギルフォー
ドが仕切るブリタニア軍に」

537 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:08:12 ID:V/aKKuk0


538 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:08:27 ID:V/aKKuk0


539 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:08:53 ID:V/aKKuk0
 

540 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:09:00 ID:liFfJt8Q
「それ、は」
 仲間奪還の声が上がっていた会議室が一瞬で静まりかえる。当然の反応だった。
 今ここにいる幹部の大半はブラック・リベリオン以前に騎士団に加わったものであり、
当時の騎士団とコーネリア率いるブリタニア軍との激闘を知るものばかりだ。そんな彼ら
当然、ギルフォードの強さも身にしみている。
「この事態はゼロもすでに知っている。しかしこちらへ指示はない。とすれば、今はまだ
動くなと言うことだ」
 ライは全員を見回し、言う。
「扇副指令を奪還するべくゼロは必ず動く。その時に我々が足を引っ張ってしまってはい
けない。だからそうならないよう我々はできることをしておくことだ。やるべきことはた
くさんあるだろう?」
 そう言ったときだ。突然の爆発音が響き、会議室を揺らす。
「何だ、この音は!?」
 幹部の一人が叫ぶと同時、ライのインカムからノイズと共に叫び声が聞こえてくる。
『ラ、ライ臨時司令! 大変です! ちゅ、中華連邦が突然襲いかかってきて!!』
「なんだって!?」
 突然の事態に思わずライは椅子から立ち上がってしまう。しかしすぐ落ち着きを取り戻
し、腰を下ろす。詳しい状況を聞こうとインカムに手を当てるが、呼び声に応じるのは応
答不能の証であるノイズのみ。
「ライ臨時司令……」
 ライのすぐ横に座る幹部が青ざめた表情で呼ぶ。どうやら彼も別の団員から聞いたようだ。
「ライ臨時司令。何があったのです」
「中華連邦が突然我らに牙をむいてきた」
 率直に言うと、幹部達は驚きと戸惑いのざわめきを作る。それを聞きながらライは超高
速で思考をまとめると、静かに席を立ち、言う。
「僕はカレン、CCと合流する。皆は総領事館に散らばっている団員を集めることを最優
先にしてくれ。言っておくがくれぐれも中華連邦の兵には手を出さないでくれ」
「何故です!? 攻撃を受けているのですよ」
 当然の疑問に、ライは己の考えを述べる。
「総領事館のトップである大宦官高亥とは話がついているにもかかわらずこの騒ぎ。考え
られるとしたら二つ、一つは我らを快く思わない人間によるものか、もう一つはこの騒ぎ
に生じて、何か事をなそうとしているか。多分後者の方が可能性は高いだろう」
「事とは一体……」
「それについてはこの騒ぎが終わった後で聞けばいい。とにかくまだ中華連邦が完全に敵
に回ったとは思えない。後々こちらが不利になるような行動は極力避け、味方の救出、防
備に徹するんだ」
 静かな声で言い、ライは部屋を出て行く。
 部屋を出たと同時に腰に差してある剣を引き抜き、応接間に向かって駆ける。眉間に皺
を寄せた面持ちは、焦りの顔だ。
――二人とも、無事でいてくれ……!
 余計な不安を抱かないよう幹部達の前ではああいったものの、前者である可能性も捨て
きれない。ギアスによって操られた高亥はともかく、他の人間からすればライ達は災いを
招くだけの存在だ。排除しようとするものがいてもおかしくはない。

541 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:10:03 ID:V/aKKuk0


542 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:10:24 ID:liFfJt8Q
 それに中華連邦を治める大宦官達は中層、下層の者達から非常に嫌われている。そんな
人間が総領事館にいないとは限らず、操られた高亥の命令に不満が爆発し、暗殺しようと
強硬手段に出ることも十分考えられる。
 そして考え得るもっとも最悪なことは、今回騒ぎを起こした人間が前者、後者両方の意
図で動いていることだ。
――もしそうだとしたら……
 ギアスを使うことも考慮しながら見えてきた角を曲がる。すると中華連邦兵の三人一組
の小隊と遭遇する。よく訓練されているのか、驚くのは一瞬。すぐさま銃口をこちらに向
けてくる。
 だがその時すでにライは奔っている。間合いに飛び込み銀の閃光と化したライの斬撃が、
打撃が、中華連邦の兵を打ち倒し、地べたにはいつくばらせる。
「見事なものだ。我が直属の兵をこうも容易く倒すとは」
 声と同時、確かな敵意と威圧感を背後から感じる。振り向けばそこにいたのは、
「黎星刻……」
 剣を構え、腰を落とすライに対し、星刻は腰に備えてある剣に手をつけない。両腕に何
も持たず、かまえも取らない自然体のままだ。
 だが彼の全身から放たれる武人の烈気が、ライの動きを押し止める。
「あなたがこの騒ぎを起こしたのか」
「ほう、何故そう思う?」
「高亥殿がこちらを裏切る様子はみられなかったからな。となれば高亥殿に次ぐ高い地位
のあなたの独断。大方そのようなことだと想像はついていた」
 さらに言うならば、ライにそう確信させたのは彼が放つ殺気と敵意だ。この二つは昨日
の朝に感じたものと全く同じ。
「一体どういうつもりだ。高亥が認めた僕たち合衆国日本の兵、黒の騎士団を攻撃するな
ど。これは明らかに大宦官高亥への、中華連邦への反逆行為だぞ」
 星刻は答えず、静かに息をつくと、腰の剣に手をやる。
 抜かれた剣は両刃の剣。ライが持つ模造剣と違い、殺傷力を持つ凶器だ。
 刃がゆっくりと円の軌道を描く。天井の照明に当たったのか、一瞬光がライの目を差す。
 僅かに目を細め、開いたときにはライへ向けて疾走してくる星刻の姿がある。
「っ!」
 咄嗟に体を後ろに引く。その直後銀線が眼前を通過する。
 早い。もし一瞬でも反応が遅れていれば無傷ではすまなかった。そのことにぞっとする。
 続く星刻の連撃。速く、不規則な軌道を描く剣閃。ライはそれらを回避し、時折反撃し
ながら分析する。
――スザクとジノの良いところを合わせたような感じだな
 体捌きと剣戟の速さはスザク、不規則に変化する軌道はジノのものとよく似ている。た
だ二人と比べると若干劣ってはいるが総合してみると差というほどの差はない。
――強い
 振り下ろしの一撃がライの銀髪をわずかだが切り落とす。ライも反撃の剣戟を放つがあ
と一歩のところで回避されてしまう。
 剣碗、身体能力なら目の前の男、星刻は間違いなくラウンズクラス。真っ向勝負ならば
ライの勝ち目は薄い。

543 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:10:48 ID:V/aKKuk0
 

544 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:11:02 ID:V/aKKuk0
 

545 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:13:44 ID:liFfJt8Q
 純粋な剣技と体技のみの真っ向勝負ならの話だが。
――さて、そろそろ反撃させてもらおうか
 ライは前進する。そして繰り出される星刻の鞭のような鋭く速い剣閃。
 しかし予測通りのそれをライは軽くかわし星刻の懐へ入る。初めて星刻の面に驚愕の色
が浮かぶ。
「ぬっ」
 顔面向けて放たれたライの剣戟を星刻は体を後ろに倒しかわす。ライは追撃するべくさ
らに前に出るが、後ろに体を倒した星刻はさらに体を倒し、一回転。顎に迫る星刻の足を
ライは咄嗟に体を上に仰け反らし、回避する。
 膝を折り、床に手をついた低い体勢のまま剣を構える星刻。突然変わったライの動きに
驚いているのだろう。
 再び前にライは進む。上段からの振り下ろしを後方に飛び退き回避する星刻。だがさら
に前に出るライ。
 舌打ちをするように表情を歪め星刻が連続で斬撃を放ってくる。しかしすでに星刻の立
ち回りや剣戟は分析が終わっている。そしてそれら全てはライの予測を超えるものではない。
 最小の動きで回避しては剣戟をお見舞いする。一撃一撃が徐々に星刻の体をかすめ、捕
らえようとしていく。
「おおっ!」
 そしてついにライの剣戟が星刻の右脇を捕らえる。模造とはいえ鉄で作られた剣。確か
な手応えと共に何かを砕いた感触が伝わってくる。
「ぐうっ……」
 苦痛の面で蹌踉めく星刻へ、ライは躊躇うことなく剣を振り上げる。
「しばらく眠っていてもらう」
 呟き、剣を振り下ろす。しかしそれと同時、必死の形相を見せた星刻の左腕から光が放
たれる。
 それを、反射的に危険と感じるライ。しかしかわしようにもすでに剣を振りおろした後
だ。光はライの左腕を直撃。激痛を覚え、同時に血しぶきが宙に舞う。
「ぐ、あっ」
 痛みに斬撃の剣戟の速度が鈍り、また軌道が大きくずれる。その隙に星刻は後ろへ下が
り、それを見たライも後退する。
――今のは、一体……
 赤く染まる腕へ視線を移し、すぐ星刻の左手へ向ける。そこにあったのは、くないのよ
うな短い刃物だ。
――暗器の一種か? あんなものを持っていたとは……
 いざという時に使用するべく持っていたのだろう。そしてものの見事にその効果を発揮
されてしまった。
「さすがに強いな。これ以上戦えば、私たちのどちらかはこの世にいまい」
 どうするかライが考えていると、脂汗を浮かべた星刻が笑みを浮かべる。そして暗器を
しまい、剣を鞘に収める。さらにはこちらへ向けていた敵意も綺麗さっぱり消してしまう。
 そのあまりの変わりように、ライは目を白黒させる。
「先程の質問に答えよう。これは反逆ではない。表向きには爆発事故と発表する」
「爆発事故?」
「それに大宦官は、高亥は亡くなる予定だ。それともここで黒の騎士団が潰える道を選ぶかね」

546 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:14:45 ID:V/aKKuk0


547 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:14:57 ID:V/aKKuk0


548 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:16:11 ID:liFfJt8Q
 その言葉にライは眉を潜め、しかしすぐに理解する。
「……そういうことか」
 星刻はこう言っているのだ。自分に協力すれば益があると。しなければこのまま騎士団
を殲滅させると。
 目の前の男、星刻はどうやらライの予想通り高亥、いや大宦官を快くは思っていない人
間のようだ。だがこちらへの明確な敵意はない。おそらく自分の目的のために利用できる
とでも考えているのだろう。
 騎士団が潰える、と言うのもはったりではないだろう。もし彼の言葉に頷かないのであ
れば死闘は再開される。そして仮にライが勝っても星刻の部下に殺されるだろう。やり合
えば互いに無事で済まないのはすでに実証済みだ。
 カレン、CCは生き延びるだろうが、他の大多数は殺されるだろう。騎士団の団員達は
元は一般人。正式な中華連邦の軍人であり、星刻直属の兵相手ではあまりに分が悪すぎる。
この武官が選び抜いた兵が並の兵であるはずはないからだ。
 もしそうなれば、如何にルルーシュといえども騎士団を再建することは困難だろう。い
や、星刻の言うとおりになる可能性は極めて高い。
 今エリア11にいる日本人はカラレスの圧政に心身共に打ちのめされたものばかりだ。
それでもブリタニアへの反抗をやめない者達が今の黒の騎士団員であり、数こそ少ないが
精鋭と言っていい。その彼らが全滅すればゼロがよほどの奇跡を見せないかぎり立ち上が
ることはないだろう。
 となれば、ライが取るべき道は一つしかない。
「いいだろう。総領事は僕たちと戦って死んだことにすればいい」
「理解が早くて助かる」
 認めたことを示すようにライも剣を収める。
「傷の手当てをさせよう。紅月カレン達がいる部屋に行っておいてくれ。医療班をすぐに
向かわせる」
 負傷の影を微塵も見せずそう言い、星刻は背を向ける。
「一つ答えてもらいたい。何故このような行動を?」
 ライの問いに、星刻は足を止める。そしてこちらへ向き直り、
「我が故国と、天子様のためだ」
 断固たる意志を感じさせる答えを放つと、再び背を向け、去っていった。



 鮮やかな青色の空の下、総領事館のすぐ外に幾つもの大型車が並んでいる。そしてその
上には磔が立っており、人が拘束されている。
「扇さん、藤堂さん……」
 拘束されている仲間の名を呟くカレン。すぐ側にはどういう訳か整備された紅蓮があり、
彼女も愛用のパイロットスーツをまとっている。
 自分の周りにいる団員達は少しの不安と大きな期待を込めた眼差しを磔へ向けている。
ライからゼロからの指示があったという言葉を信じ切っているのだ。
「ライ、ゼロからは」
 隣に立ち、磔へ鋭い眼差しを向けている銀髪の青年は僅かに首を振る。予定された処刑
の時間までもう三十分程度しかない。にもかかわらずゼロからの連絡はないのだ。
 ライが団員達に出した命令はゼロではなく、ライのものだ。もっともそれを知っている
のはカレン、CCの二人だけだが。

549 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:16:31 ID:V/aKKuk0


550 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:16:45 ID:V/aKKuk0


551 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:17:27 ID:liFfJt8Q
『ゼロは必ずやってくる。だからカレン、僕の言うとおりに動いてほしい』
 先程そう言ったきり、彼は厳しい顔つきで磔の方を向いている。そして彼の横にはバベ
ルタワーで鹵獲したサザーランドがある。おそらく彼も出撃するのだろう。
――大丈夫かしら……
 横目でライの左腕を見る。パイロットスーツに隠れているがその下には包帯が巻かれている。
 昨日星刻と交戦し、負った傷だ。深くはない傷だったが、一日程度に完治するというも
のでもなかったはずだ。
「星刻さん」
 気がつけばライは振り向き、その名を呼んでいる。彼の体の向きに向き直ると、その人
物がいる。
「黒の騎士団が保持していたナイトメアは可能な限りで整備させた」
「これはどう受け取ったらいいのかしら」
 昨日の騒ぎとライの怪我のことを考えていたせいか、声に険が篭もる。しかし星刻は表
情一つ変えず、言う。
「ゼロが現れたら動いてくれていい」
「我々なら、例えブリタニアに発砲しても知らん顔を決め込めると?」
 挑発するようなCCの口調にも、星刻の面は微塵も動かない。
「悪い取引ではないはずだ」
「武官と聞いていたが、政治もできるようだな」
 嫌みのような言い方にも、やはり顔色一つ変えない星刻。彼はCCを、カレンを、そし
て最後にライを見て、
「ゼロのお手並みを、拝見させてもらうとしよう」
 ほんの僅か唇を上げて、立ち去っていく。
――何を考えているのかしら
 昨夜ライから聞いた話によれば星刻は大宦官を嫌い、中華連邦を憂いている人物らしい
とのことだ。
 つまり、立場こそ違えど、カレン達黒の騎士団と似た理由で昨日の騒ぎを起こしたのだ
という。
――あれほどの男に忠誠を誓わせるなんて。中華連邦の盟主、天子ってのは一体どれだけ
の人物なのかしら
 カレンは中華連邦の内情については殆ど知らない。せいぜい盟主である天子がまだ幼く、
本来ならその天子を補佐する大宦官達が好き勝手に国を動かしていると言うことぐらいだ。
――とにかく、油断ならない男ではあるわね
 武力についてはライの負傷が何よりの証拠となっているし、知力に関しても先程の会話
や機能の騒ぎに紛れた高亥の暗殺。並ならぬ強い意志と智謀がなければできないことだ。
睨むように星刻をカレンが見つめていると、その側にいるCCが小さく呟く。
「あの男、これから長い付き合いになるかもしれんな」
 可能性の言葉にもかかわらず、CCの口調には断定のようなものが篭もっていた。



『イレブン達よ! お前達が信じたゼロは、現れなかった。全てはまやかし。奴は、私の
求める正々堂々の勝負から、逃げたのだ!』
 晴天に響くギルフォードの声。それに租界に集まっているのだろう、大勢の日本人の悲
嘆の声が小さく聞こえてくる。

552 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:18:11 ID:V/aKKuk0


553 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:18:59 ID:liFfJt8Q
 サザーランドのコクピットでライは操縦桿に手を置きながらも、焦りの表情は見せず、
じっと彼が現れるのを待っている。
『司令代理!』
 幹部の一人が呼びかけるがライはそれを聞きながらし、待つ。
――彼は来る
『みんな……!』
 微かに震えるカレンの声。だがライは動かない。
――必ず、来る
『違うな。間違っているぞ、ギルフォード!』
 サザーランドの銃器が扇達に向けられたその時、聞き慣れた合成音声が聞こえた。
 モニターを見るとブリタニア軍の背後に一機のナイトメアが出現している。表示される
型式番号はライもよく知っているもの、ゼロが騎乗する無頼のものだ。
『ギルフォードよ。貴公が処刑しようとしているのはテロリストではない。我が合衆国軍、
黒の騎士団の兵士だ』
『国際法に則り、捕虜として認めよと?』
『やっぱり来てくれた!』
『ゼロ様!』
 ゼロ、ルルーシュとギルフォードの会話、団員達の安堵の声を聞きながら、ライは小さ
く笑みを溢す。
――やれやれ。相変わらず演出好きだね
 そう思いつつも、ライもゼロの出現はこうなるのではないかと思っていた。枢木スザク
救出作戦やカワグチ湖人質救出作戦など、どうもルルーシュはインパクトのある登場の仕
方をしている。ルルーシュとしてはゼロの存在を周囲に印象づけるためにやっているのだ
ろうが、どうやら今回もそうらしい。
――まぁ、今はそれが必要であるけどね
 ライはいつでもサザーランドを起動させるべく動力部のスイッチを入れ、機体を起動さ
せる。その間にもマイクは様々な音を拾っている。
『お久しぶりですギルフォード卿。出てきて昔話でもいかがですか』
『せっかくのお誘いだが遠慮しておこう。過去の因縁にはナイトメアでお答えしたいが』
 ルルーシュの無頼が三機のグロースターの前で止まる。二機の後ろに立つ一機も前に出
てくる。おそらくこれがギルフォードの乗っている機体。
『フ、君らしいな。では、ルールを決めよう』
『ルール?』
『決闘のルールだよ。決着は一対一でつけるべきだ。そして武器は一つだけ。これでいか
がかな』
『いいだろう。私の武器はこれだ!』
 大仰にランスを振り回すギルフォードのグロースター。
『では、私はその盾を貸してもらおう』
 ゼロ無頼は側面にいるナイトポリスが持つ暴徒鎮圧用の盾を指さす。
『ええっ!?』
 仰天したカレンの声が聞こえてくる。ライも驚いたが声は上げず、じっとゼロの同行を
見つめている。

554 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:20:10 ID:V/aKKuk0
 

555 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:20:24 ID:liFfJt8Q
――さて、ルルーシュ。どうするつもりだ
 ナイトメアに乗っている以上、ルルーシュのギアスは使えない。ナイトメア同士の決闘
では万が一にもギルフォードの負けはあり得ない。ライはてっきり第三者へギアスをかけ
て状況を混乱させるかと思っていたが、この様子では本当に決闘をしかねない。
――いや、そう皆に思わせて、自分のフィールドに引きずり込むのがルルーシュ、ゼロの
やり方だ
 その際たるものがブラック・リベリオンの時に行った租界外縁部の一斉パージだろう。
ブリタニアにいた頃ゼロについて調べてみたが、あの作戦はあの状況ではこれ以上ないほ
ど効果的な作戦だった。コーネリア率いるブリタニア軍との真っ向勝負を乱戦に変えてし
まったのだから。結局ルルーシュの事情によって負けはしたものの、その事情がなければ
おそらくゼロは勝っていただろう。そう思わせるだけの策だった。
 そして今回、ルルーシュは一体どのような策を用意しているのか。
『質問しよう、ギルフォード卿。正義で倒せない悪がいるとき、君はどうする。
悪に手を染めてでも悪を倒すか。それとも己が正義を貫き悪に屈するを良しとするか』
 言葉遊びのようなルルーシュの言葉。それに対し、ギルフォードは一片の迷いもない答
えを返す。
『我が正義は、姫様の元に!』
『なるほど。……私なら。悪を成して、巨悪を討つ!』
 それはまさしく、今のルルーシュそのものを具現化した声だった。そしてそれに応える
かのようにルルーシュ達のいる租界が突然大きく振動し始める。
「これは……まさかブラック・リベリオンの時の!」
 上昇を始める租界の一部。そして下階層からの押し上げでフロアは傾き、後ろへ倒れる。
──すなわち、中華連邦の総領事館へ……!
 それを悟った瞬間、ライは声を発していた。
「カレン! 突入指揮を執れ! 僕はゼロの方へ向かう!」
『了解! 自在戦闘走行機部隊はついてこい! 扇さんたちの救出が最優先だ!』
 紅蓮と同時にライはサザーランドを発進させる。ゼロの無頼はすでに総領事館内へ入っ
ている。
『黒の騎士団よ! 敵はわが領内に落ちた。ブリタニア軍を壊滅し同胞を救い出せ!』
 その声に全力で答える騎士団員たち。ライもゼロと合流する進路をとりつつも、時には
騎士団員へ向かってくる敵機に向けて牽制の銃撃を放つ。
「ルルーシュは……いた!」
 一機のサザーランドの足を吹き飛ばしたところでモニターを見ると、ゼロ無頼は目と鼻
の先にいる。
 だがそれをもの凄い速さで追撃する機体が一機、ある。
「……あれは!」
 ヴィンセント。かつての愛機であり、バベルタワーでは卜部の命を奪った機体。この混
乱の中でも周囲に構わずゼロだけを追っている。
「乗っているのは、バベルタワーの奴かっ!」
 怒りと共にサザーランドの銃口を向ける。しかし次の瞬間、銃口の先からヴィンセント
は消え、さらには全く別の方向から放たれたスラッシュハーケンがライのサザーランドの
左腕を吹き飛ばす。
「ぐっ……!」
 予想もしない方向からの攻撃にコクピット内は大きく揺れ、昨日負傷した左腕の傷に痛
みが走る。

556 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:22:14 ID:liFfJt8Q
 すぐに体勢を立て直し攻撃された方向を見ると、走り去るヴィンセントの姿が映る。
「また瞬間移動……! この力、やはり…!」
 舌打ちし、後を慌てて追う。しかし試作とはいえ最新鋭の機体にサザーランドが追いつ
けるはずもない。ヴィンセントの腰部のスラッシュハーケンがゼロ無頼の左腕をえぐり取
り、さらに迫る。
「ルルーシュっ!」
 友の窮地に叫んだその時だ。突然サザーランドのコクピットがアラームを上げる。
――側面からの攻撃っ!?
 反射的にライは機体の軌道をルルーシュ達が曲がった地点より一歩手前で変化させる。
そして高速で飛来した砲弾は真っ直ぐあのヴィンセントへ向かう。
――よし! これであのヴィンセントのパイロットは
 無事では済むまいと心中で呟いたその時、どういう訳なのか砲弾の軌道へゼロ無頼が割
ってはいる。
「ルルーシュ!?」
 叫びと同時、ゼロ無頼の右碗部が砲弾で削り取られる。右腕を失ったのと、その衝撃に
よりゼロ無頼はバランスを崩して倒れる。
「ルルーシュ!」
 倒れた無頼へ駆け寄るサザーランド。対するヴィンセントはどういう訳か棒立ちだ。
「ルルーシュ、大丈夫か!」
『ライか。心配するな』
 穏やかに言うルルーシュ。どうやら怪我らしい怪我はないようだ、と安堵しているとモ
ニターにルルーシュからの通信が入る。
――しばらく黙っていてくれ?
 声を出さず文を読み、首を傾げていると震えた声が聞こえてくる。
『どうして……僕を』
 響いてくる少年の声。この子は確か偽りの弟のものだ。
――では、あのヴィンセントに乗っているのは……
『お前が、弟だから』
『!』
『植え付けられた記憶だったとしても、お前が過ごしたあの時間に嘘はなかった』
 慈しむように囁くルルーシュ。まるでナナリーに向ける口調のようだ。
『……自分の命が大事だって、そう言ったくせに。そんな、くだらない理由で』
『約束したからな。お前の新しい未来。……お前の未来は俺と』
『……み、らい。……僕と、兄さんの……?』
 か細く、途切れ途切れな声。今にも泣き出しそうな声だ。
 まるで本物の兄弟が作るような暖かな雰囲気が満ちる。だが飛び込んできた鋭い声がそ
れを霧散させる。
『ゼロ! ここで因縁を絶とう。私の一撃で!』
 スラッシュハーケンでフロアに機体を固定したギルフォードのグロースター。手に持っ
たランスをゼロ無頼へ向けて掲げている。
『この鉄槌で!』
 投擲されるランス。ライは慌てて回り込もうとするが、それより先に金色の影がゼロ無
頼の前に出る。

557 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:22:22 ID:V/aKKuk0
 

558 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:22:37 ID:1OnsQF9n
容量が 次スレ立ててみます
少し時間かかったらごめんなさい

559 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:24:06 ID:V/aKKuk0
 

560 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:25:03 ID:liFfJt8Q
『何っ!?』
 ランスを受け止めたヴィンセント。それを見てグロースターより怒声が迸る。
『どういうつもりかキュンメル卿! ……まさか、ゼロの仲間か!!』
 ヴィンセントは答えない。そして二機の側にいるライには、ルルーシュの優しげな声が
聞こえてくる。
『わかっていますよ。もう危ないことに弟を巻き込みません』
『っ!』
『当たり前じゃないですか。……ロロには、人殺しがある世界なんて、似合わない』
 いたわるような声でルルーシュが言ったその時、星刻の声が響き渡る。
『そこまでだ、ブリタニアの諸君! これ以上は武力介入と見なす。引き上げたまえ!』
 星刻の警告にしばらく動かなかったブリタニア軍だが、ギルフォードのグロースターよ
り撤退指示が下ると、恨みがましい素振りを見せて総領事館内から撤退していく。
 それを見ながらライが安堵していると、再び偽りの兄弟の会話が聞こえてくる。
『に、兄さん。僕は』
『ロロ。最初からブリタニアには安らぎはなかったんだ。……お前の居場所は、安らぎは、
俺の隣にある』
『兄さん……!』
 打ち震えるような弟の声を聞き、ライは苦笑する。
――なるほど。そういうわけか
 信じられないことだが、ルルーシュは藤堂達を救出すると同時に偽りの弟を懐柔してし
まったらしい。
「本当に、とんでもない鬼才だよ」
 どちらか一つをやれと言われたらライでもそう難しくはない。しかし二つ同時にやれ、
と言われたらかなり難しいだろう。
 ブリタニア軍に所属し幾つもの戦場に出て、戦術を学び、ライの知略もゼロと肩を並べ
られるぐらいにはなったかと思ったが、どうやら飛んだ思い上がりだったようだ。
 だがそれを痛感しつつも、悔しさよりも嬉しさがわき起こる。
「だが、それでこそルルーシュ、いやゼロだ」
 そう、そうでなくてはいけない。スザクを、ラウンズを、シュナイゼルを、シャルルを。
ブリタニアという強大な存在を敵に回すのだ。
――この狂王を従えるのだ。私の思惑を超える所行をやってもらわねば、な
「はははは。あははははははっ」
 心中に住んでいるもう一人の自分の声が響き、それに同意するようにライは低い声で笑
いを溢し続けた。

<つづく>


561 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:25:16 ID:V/aKKuk0
もし無理だったら俺なら確実に立てられるから立てるよ
ただの流れの支援屋だから、正しいテンプレとかわからないけど今のままの1でいいなら

562 :RC ◆0A6HOlRhmA :2008/12/15(月) 02:26:09 ID:liFfJt8Q

11話終了です。今回も多数の支援、ありがとう御座います。
次の話の投下予定は未定ですが、できれば今年中には次々回とも投下でき
たらいいな、と考えております。それではまたお会いしましょう。


563 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:30:47 ID:1OnsQF9n
駄目でしたすみません。
よろしくお願いします>561

とりあえずこのままでいいんじゃないかと
さるの法則とかあとでレス拾って転載しといたらいいかな

564 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:42:55 ID:V/aKKuk0
はいどうぞ
前スレだけ変えといたよ

http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1229276534/l200

565 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 02:47:11 ID:1OnsQF9n
乙です>564
2レス目以降転載しときます

566 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 03:07:16 ID:1OnsQF9n
投下中すみませんでした。

>>518
ニーナにときめく日が来ようとは。
実験が上手く行って思わず手を握っちゃうとか
絵が浮かんで可愛かったです。
学園編のゲットー買い物イベント、どう二人の関係が転ぶのか楽しみです

>>562
投下おつかれさまでした!
読み応えのある量に質、ドキドキしました。シンクーとの対決、いいですね。
記憶に残るブリタニア本国での暮らし、遠い日の幻のようで切なく。
そろそろナナリーとの再会が控えているのでしょうか。うわ楽しみだ

567 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 05:15:29 ID:/GSKjTG3
>>518
GJでした。ニーナがかわいいじゃないか。
でもこれから起こりうる展開を想像すると、何だかドキドキします。

>>562
GJでした。星刻との戦闘シーンは引き込まれました。
これからどう展開されるのか、楽しみです。


>>564
乙です、容量的にも次スレに投下した方が良さそうですね。

568 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/15(月) 07:11:25 ID:jlsjqhqA
おはようございます。
現33スレ目ですが、この板の連投規制や容量限界についてまだよくわかっていない方(私含む)が結構おられるようですので、
以前行った書き込み実験を行いたいと思うのですが宜しいでしょうか?

569 :流れの支援屋:2008/12/15(月) 07:13:29 ID:V/aKKuk0
支援の手が必要ならどうぞ

570 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 08:02:46 ID:l6w3B129
RC卿乙です!
ダークヒーローみたいなライがすごくいいですねGJっす

トーマス卿
いつも本当にご苦労様です。書き込みテストですがぜひともお願いしたいです
こっちもよくわかってない人間の一人なんでw

571 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 08:35:37 ID:Md+g4par
>以前行った書き込み実験を行いたいと思うのですが宜しいでしょうか?
俺もお願いしたいです。投下の容量とかギャル板とけっこうちがみたいなんで
じゃあ以後このスレは完全放置がよさそうですね

>>569
埋まるとアレなのでなにもカキコしないほうがいいと思われ

572 :創る名無しに見る名無し:2008/12/15(月) 08:40:08 ID:/w5ixNHD
>>562
RC卿、GJでした!
朝の訓練時に向けられた視線、そしてある程度戦った所で敵意を消し去る、シンクー、恐るべし!
ブリタニアにおいてナナリーと再会したことやラウンズ達と模擬戦を思い返して……モニカは一体何を……
今のところはおおむね本編通り、決定的な差異は生まれるか、また、それがいつなのか、非常に楽しみです。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!

>>564
乙でした。

573 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/15(月) 23:56:39 ID:jlsjqhqA
書き込み実験ですが、問題なさそうなので行いたいたいと思います。
明日投下用のデータを作るなどして実験自体は17日(水)に行います。
直前に告知しますので、その時はまたよろしくお願い致します。

※誠に恐縮ですが、このスレは以後完全に放置してくださるようお願い致します

574 :創る名無しに見る名無し:2008/12/16(火) 02:35:07 ID:Vbe/WOAz
保管庫管理人さんからスレの完全放置の指示が出ていますが、気になったので1レスだけ使わせてください

>>569
このスレでの支援及び34スレのスレ立てありがとうごさいます
ロスカラSSスレの保管庫管理人である、保管者トーマス ◆HERMA.XREYさんが行う予定の書き込み実験は
一見荒らしに見えるような記号羅列になると思われますが、保管庫で配布しているSSチェッカー等のために
創発板のデータをとるものですので、管理人さんから放置の指示があるように、
お気になさらず、そのままにしておいてください


あと、これは一住民の個人的なレスになってしまうんですが、
もしよろしければ、新スレの方でも余力のある時に引き続きお力添えいただけると嬉しいです

575 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/17(水) 20:15:20 ID:eKbtJnJP
書き込み実験ですが2020分ごろから行います。なお、この実験中は全てコテ&トリップで書き込みをいたします。
では宜しくお願いします。

>>574
拙い私のフォローありがとうございます。

576 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/17(水) 20:23:49 ID:eKbtJnJP
x=256
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa

577 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/17(水) 20:26:24 ID:eKbtJnJP
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578 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/17(水) 20:37:14 ID:eKbtJnJP
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012345

579 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/17(水) 20:44:59 ID:eKbtJnJP
01

580 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/17(水) 20:46:02 ID:eKbtJnJP
02

581 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/17(水) 20:47:12 ID:eKbtJnJP
03

582 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/17(水) 20:47:59 ID:eKbtJnJP
04

583 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/17(水) 20:48:59 ID:eKbtJnJP
05

584 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/17(水) 20:58:23 ID:j2FzLHIF
自演

585 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 20:48:31 ID:MXcHcIR/
01

586 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 20:49:30 ID:MXcHcIR/
連投実験
02

587 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 20:50:30 ID:MXcHcIR/
連投実験
03

588 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 20:51:30 ID:MXcHcIR/
連投実験
04

589 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 20:52:29 ID:MXcHcIR/
連投実験
05

590 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 20:53:29 ID:MXcHcIR/
連投実験
06

591 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 20:54:29 ID:MXcHcIR/
連投実験
07

592 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 20:55:29 ID:MXcHcIR/
連投実験
08

593 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 20:56:32 ID:MXcHcIR/
連投実験
09

594 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 20:57:34 ID:MXcHcIR/
連投実験
10

595 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 21:00:15 ID:MXcHcIR/
連投実験
11

596 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 21:01:29 ID:MXcHcIR/
連投実験
12

597 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 21:02:30 ID:MXcHcIR/
連投実験
13

598 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 21:03:29 ID:MXcHcIR/
連投実験
14

599 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 21:04:30 ID:MXcHcIR/
連投実験
15

600 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 21:05:49 ID:MXcHcIR/
連投実験
16

601 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 21:06:31 ID:MXcHcIR/
連投実験
17

602 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 21:07:29 ID:MXcHcIR/
連投実験
18

603 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 21:08:35 ID:MXcHcIR/
連投実験
18

604 :保管者トーマス ◆HERMA.XREY :2008/12/19(金) 21:09:30 ID:MXcHcIR/
連投実験
20

>>603は19です、失礼

605 :創る名無しに見る名無し:2008/12/19(金) 23:13:25 ID:vSme1Bd+
               /\
             /   \
              ̄|  | ̄
               |__|

  ──‐  ./ ̄| ̄ヽ   │ 
        |  │  |   人  
  (____  ヽ_丿 ノ  /  \ \

                 __                
   \__〃  __    |__|  ___   _/_
   /                |__|    / __/__
  /        ̄ ̄ヽ    |__|    /    /   
  \__     _ノ     _ノ l_   (_  (__


    __/'''7__   
.  /___   /   
  ___ノ   〃、  
 /____ノ__/ヽ、_>

  __/ ̄/__ .    
 /__  __  /   
 _./  //  / 
 |___ノ.|___,/  

 / ̄ ̄ ̄ ̄/
  ̄ ̄ノ /
   <  <.  
    ヽ、_/

606 :創る名無しに見る名無し:2008/12/20(土) 02:13:13 ID:3gerwniJ
もううめていいのかな ?


607 :創る名無しに見る名無し:2008/12/20(土) 02:20:18 ID:aK0B3rXz
もう500だから埋まったのかと思ってた

608 :創る名無しに見る名無し:2008/12/20(土) 02:56:32 ID:58cv7/Oy
まだ書けるのかな

609 :創る名無しに見る名無し:2008/12/20(土) 12:14:16 ID:QeI5ZiDD
20ならほぼ問題なしってことがわかっただけでもすごいな
トーマス卿ありがとう!


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